2010年07月

2010年07月31日

米4−6月期GDPとFX規制

米4-6月期実質GDP速報値が発表され、前期比年率換算2.4%増。市場予想とほぼ一致しています。設備投資が17%増、住宅投資は27.9%増、個人消費は1.6%増、輸出は10.3%増となったものの、輸入は28.8%増となり、純輸出が2.78ptのGDP押し下げ要因となっています。
ビッグマックの価格で見る購買力平価で通貨を比較すると、対ドルで人民元は50%近い過小評価、即ち割安に置かれています。IMF報告書も、人民元の価値について割安と明記するものの、中国に配慮した両論併記の形に決着しています。しかし09年の対中貿易赤字が2千億$超え、と米国でも容認ならざる水準にある今、中国の為替操作国との認定は最早避けられないかもしれません。
GDPで見えること、それは米国の減速感以上に、世界景気が依存する中国という国を支える対米輸出で、米国がマイナス成長に陥る可能性を示唆されたことです。安価な中国製品を買うことで、個人消費を押し上げられもしますが、米国内景気に還流しない。それに米国民が気付き始めれば、支持率低迷に喘ぐオバマ政権が強硬路線に転じる可能性は、充分高いのでしょうね。

明日からFX取引におけるレバレッジ規制が始まります。高いところは400倍の取引を認めていたのであり、明日から50倍、来年になると25倍の取引までしか、認められなくなります。これを受け、個人の取引量が激減し、破綻する業者がいるのでは?とも囁かれています。これは先の貸金業法改正と同じ、緩和的な状態に置かれていたものを、正常な水準に戻す作業です。
しかしその過程で、当然その緩和的状態で利益を享受していた人間は、不利益を被ることになります。安い証拠金で高額取引を行い、高い利益を得ていた人、年収の証明書など手続きが猥雑化し、主婦で借りられなくなる人が出るなど。ただ規制緩和と強化というのは、常にこうした利便性の拡大と、負の側面が顕在化することで逆回転が起こる現象の繰り返しです。

米金融規制も修正法案が頻発され、多数派工作を行うためにそれを盛り込み続けた結果、法案自体が数千ページに及び、内容も骨抜きされた状態ですが、緩んだ規制を巻き戻す流れです。経済成長や景気拡大を促す施策として、規制緩和を盛り込む際は、こうした循環を考慮せねばなりません。つまり一時期はそれを享受できても、将来的な成長に即した施策ではない、ということです。
一時期、個人投資家は為替に流れ、株式から逃避したと言われます。ただFXレバレッジ規制の動きを受けても、個人投資家が証券投資に回帰することはないでしょう。二番底懸念など、不透明要因が強くなったのは、米経済の先行見通しでも示されています。踊り場とされますが、それを脱却するための財政出動が各国で出来なくなり、証券市場を好感できる材料は少ないからです。
唯一は中国の環境投資を3兆元とする五ヵ年計画ですが、強気の中国に頼る姿勢が、こんなところにも見え隠れしています。日本企業の4-6月期決算発表もピークを迎えていますが、中国向けが堅調な企業は好業績を確保、という形が鮮明です。米国、日本と中国頼みの景気回復を見せる中で、投資資金は国債、地方債などに流れる構図がより鮮明になってくることになるのでしょうね。

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2010年07月30日

臨時国会が開会

臨時国会が開会しました。当日の首相の記者会見は『異例』ですが、民主党政権に替わったのですから、自公政権時代と比較しても大して意味はありません。ただそれを『パフォーマンス』と批判する手合いもいるので、言葉の意味を履き違えないようにしないといけないのでしょう。
例えば死刑執行にサインした千葉法相をそう批判する場合、以前であれば『スタンドプレイ』と表現されたはずです。ただ言葉は世につれ、今はこうした言い方は流行ませんし、組織の中で個人が単独で動くことを意味する傾向があります。つまり逆の意味で、『パフォーマンス』という言葉には、使用者がこれを法相の権限内の事項にも関わらず、政権全体の問題として捉え、スタンドプレイや個人の問題ではない、と企図していることを意味しています。

それは厚労省の職員調査でも当て嵌まります。「現実的なスケジュール感の観点から納得のいく指示が出されている」で、そう思う職員は1%。これを悪いようなイメージで書かれる記事もありますが、むしろ当たり前のことです。年金、後期高齢者医療制度、子ども手当て、医療・介護、生活保護など、厚労行政に対する国民の不満が最も高いのであり、それは継続した厚労省の怠慢や、制度設計の不味さが招いています。
厚労省職員の残業時間が多い、という背景も、これらを改善、是正する時間的猶予は少なく、突貫工事で行う必要があり、ある程度の独断専行もやむを得ないことから起こります。意見の中に「職員は駒でなく人」ともありましたが、厚労行政を受けるのも人であり、そうした人の気持ちを満足しないから、厚労省は批判に晒されて来たのです。厚労省が自浄努力で改善できるのなら、政務三役を批判することで溜飲を下げれば良いですが、それでは国民も納得しないのが現状でしょう。
議員定数の削減に触れたことを点数稼ぎ、とする意見も誤りです。ただこれは超党派での議論が必要であり、特段政権の得点に寄与するものではありません。各党がマニフェストに含めた内容であり、具体化する過程で、改革に後ろ向きの政党が批判されるべき内容でもあります。

菅氏の記者会見で気になったのが、林業再生です。林道整備の遅れを指摘し、木材需要の国内競争力強化をとり上げます。しかし一旦衰退した産業を、再活性化させるにはかなりの重点投資を要します。その体力は日本に少なく、コンテストの話も出ていますが、予算分捕り合戦の末、効果のない政策に無駄なカネを浪費しては、財政再建など全く進まなくなってしまいます。
菅内閣の最重点、とした質問に「雇用と経済成長」を掲げています。いみじくもFRB地区連銀総裁が「米国が日本型長期デフレに陥る可能性」に言及し、昨晩話題になりました。ゼロ金利下では、銀行による企業への貸出しはリスクとの兼ね合いで拡大し難く、実体経済への波及効果が低くなる。その結果、消費低迷の影響から製造業はコスト削減による低価格路線へ突入。一方で金融商品への投資が活発化、というのが日本型長期デフレの背景です。つまり金融政策では限界があり、景気対策も乾いたスポンジに水を流すようなものとなります。こうした現状で、どういった手があるかはもう少し具体化し、提示する必要があるのでしょう。会期の短い臨時国会ですが、ここで失政を重ねると景気が二番底に陥る懸念を更に強めてしまう。そうした危機意識をもって、国政に携わる決意が必要なのでしょうね。

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2010年07月29日

経済の話、中国の金余りと米国地方債

中国産野菜の輸入が増加しているようです。心配なのは、中国国内でも富裕層は敬遠する中国産野菜が、日本に入っている現状です。大雨と一転しての酷暑、野菜の生育には最悪の状況が続き、国内の品不足が原因ですが、農薬や残留化学物質などの調査を徹底し、国内に輸入するなどの対策をとり、安全に努めることなどが求められるのでしょうね。

中国の政府系ファンド、中国投資(CIC)が09年海外投資利回りが11.7%になった、と発表しています。海外展開を進めた初期に、米国投資会社に出資、かなり損失を被った後でも、アクティブな形で運用をする強気の姿勢が、高い利回りとなったようです。ただ国内インフラ投資として、中国の金融機関が融資した内の5分の1が不良債権化しそうである、との試算も出されており、米国に次ぐ拝金主義とも見られる積極型投資の成否は、今後の経済環境にかかってきそうです。
同時に、米地方債の利回り低下の話題も入っています。注目されたイリノイ州の起債も順調にこなし、利回りが低下。旺盛な買い需要があるとされます。ただこれも、ギリシャの二の舞に見える点に不安を残します。高額所得層への課税強化、株式譲渡税の引き上げなど、ブッシュ政権時代に打たれたサンライズ条項が今年末で切れることに関連し、個人投資家が非課税枠を用いるため地方債に買いを入れている、とされます。しかし甘い投資で後に損失を抱える構図、財政規律が緩み、負債を溜める構図は世界各国で共通に見られるものです。約3兆$の地方債が、後にデフォルト危機に陥ると、その際顕在化するのが連鎖倒産のリスクとなります。

米カリフォルニア州は7月で財政年度の切り替えですが、昨年と同様に議会が予算案を可決できず、危機宣言が出されました。住宅価格は底ばい圏にあり、金融機関が負債を抱え、すでに100件を超える地銀が倒産している。それでも米国で楽観ムードが漂うのは、真の意味で危機を体験したことのない世代が、投資・運用に積極姿勢を崩さないこと、にあるとみられます。
しかしギリシャでスト行為の禁止命令が出るなど、財政危機で労働環境が悪化した国は、依然混乱状態にあり、正常化の道は程遠いのです。これが米州で起きたら…ミクロの指標は4-6月期まで良かったものの7-9月にその反動が出たら…など、マクロの悪化と付き合わせると、不安な面は否めません。金融相場、そう称されて久しいですが、資金需要は満たされても実体経済に回らない、悪い回転で世界が一時的な小康を得ていることに、何の変わりもない状態が続いているのです。

日本市場は久しぶりに買い方、売り方が見せ玉を使う手口が散見されました。若干買い方が優勢の地合いですが、夏休み前で、売り方が一時的に処分を出しているだけ、にも見えます。今年の夏は猛暑で、各地で消費は堅調に推移しています。ただ一方で行き過ぎた環境変化は、中国産野菜のように本来輸入に頼るべきでないところを、補わざるを得ない負の側面も出ています。外貨準備を余らせた国が、他国の債券を買い漁るのも負の側面、と言えば言えるでしょう。世界経済がこうした危うい琴線の上で、後どれぐらいバランスを保てるかが今後を占う上で、重要なのでしょうね。

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2010年07月28日

千葉法相の死刑執行について

民主党政権下、千葉法相の下で初の死刑が執行されました。立会いや、突然の執行に政治パフォーマンスとの批判も上がりますが、何か新しいことをする度、パフォーマンスだとすれば従来と同じ手法を繰り返さない限り、全て批判の対象と出来ることになります。これは批判者が保守的なのか、何らかの意図を含んだものであり、画一的な批判を繰り返すメディアの悪い癖です。
死刑は従前より突然の執行です。昔は執行前日に少し良い食事が出る、などとも囁かれました。日本は絞首刑のみであり、四つの釦を四人が同時に押し、その内の一つと連動して床が開く。そうすることで、重責を回避しても来ました。しかし死刑は国家の責務として、法的に許された行為であり、茶化すような批判はむしろ死刑制度の意義を貶めるものです。立会いも必要に応じてすべきですが、もし仮に法相として、死刑を1件も執行せずに職を辞せば、その方が問題でしょう。元々が死刑廃止論者、落選で政治生命が絶たれた今、執行の道は閉ざされたと見ていましたが、一先ず責任は果たした。逆になぜここまで執行を拒否してきたか?その方が重大な問題に感じます。

重要な裁判が幾つかありますが、広島女児殺害事件のヤギ被告に対し、広島高裁で無期懲役の判決が出ました。ここで重要なのは、ペルーでの性犯罪歴ですが、日本の前歴と同じではないとされました。これは司法が国際化されていない証拠であり、国際犯罪や証拠、犯罪歴等がより重要視される傾向を否定するものです。必然性が認められれば、日本でも証拠採用すべきであり、問題は日本の司法判断で信じるに足るほどの情報が得られたかどうか、です。
日本に生活基盤がない被告の場合、社会的制裁が効かない。国際手配がされていなければ、原則は当事国で起こした犯罪を判断材料とすべきですが、厚生可能とした広島高裁の判断には、違和感も生じます。刑罰に犯罪抑止効果を求めるなら、一人なので死刑にできない、などの生命の価値に軽重をつけるような司法判断は、決してするべきではありません。つまり生き残った人間に、厚生の可能性などを認め、減刑することは失った命の価値を貶めることになるのです。

一方で、秋葉原連続殺傷事件のような、死刑確実の裁判もあります。逆に、これだけの事件を起こして、死刑判決以外が出れば、誰も納得できません。刹那的な犯罪が増える中で、生きる権利のみとなれど、公費で悠々と暮らせる環境となれば被害者感情のみならず、一般納税者の感情も逆撫ですることになります。自白偏重を未だに改善できない、検察の態度では冤罪の可能性を否定できないものの、国でなければ出来ない行為、それが死刑なのです。
13世紀、ドイツのある地方では治安が乱れ、警察、司法組織が機能停止に陥ったことがあります。その際市民の一部が団結し、秘密法廷を開催して被告を裁くなどが行われたことがあります。有罪となった場合も、出頭を拒否した場合も与えられるのは死刑のみ。これが14世紀に入ると、国家公認の合法組織となります。欧州では、広く魔女裁判が行われるなど、司法制度がどの程度機能していたか?という問題もありますが、治安悪化に対し、民衆が団結し、死刑という抑止で対抗する歴史は幾つか散見されます。判決の正当性の問題と同時に、市民がそれを行う危うさも指摘されますが、死刑制度を考える上での抑止効果は、切っても切れないものがあります。法律上死刑が認められた国で、それを執行しないことが問題なのか、パフォーマンスとしたことが問題なのかは、よくよく注意して議論の俎上に乗せる必要があるのでしょうね。

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2010年07月27日

辻元議員の離党と民主党の政治主導

辻元議員が社民党を離党し、当面無所属となることを発表しました。選挙区事情も語られますが、『政権与党病』との見方が正しいのでしょう。内閣に入ると、官僚が平身低頭で説明してくれ、命じたことをこなしてくれます。この優越感は何物にも代え難い、政治家になって良かったと感じる瞬間です。辻元氏に限らず、そうして甲斐甲斐しく働く官僚が、自らの子飼いとなったかのような錯覚を生み、後に族議員化していく傾向の走り、という体験を半年間味わった。消費者担当大臣として、あまり仕事をせず、政権離脱を決めた福島氏とここに差が出たのです。
社民党が厳しいのは、所属議員が高齢化する中、新人が当選し難い構図があります。小選挙区当選がなく、党に一定の理解ある票は集まっても、新人を名簿上位に並べる愚は冒し難い。すると益々高齢化が進み、古臭い政党とのイメージが定着します。これを脱却する戦略を打てない党幹部に対し、離党など党内部が混乱している印象が加わると、益々票離れを招くでしょう。社民党が存亡の危機に立たされたことだけは、今回の動きでハッキリしてきたのでしょうね。

辻元氏と同じ傾向は、民主党にも見られます。概算要求で一律1割削減、これは財務省の望む財政の手法です。財務省は出てきたものを束ねる、その際細かい評価基準などがあっては、手間がかかります。一律削減、こうした手法が都合よく、また執行過程で財務省予算が多いことを隠す意味でも、横断的に削減額を決めた方が、何かと財務省にとって有利に働きます。
「形の上で政治主導…」という財務副大臣の言葉は、まさに本音です。財務官僚に丁寧に説明され、有頂天となった政治家が、官僚の掌の上で転がされ始めた兆候です。菅氏が財務官僚寄りの消費税増税に傾くなど、政権全体が財務官僚に取り込まれ始めており、国家戦略室の格下げなども、その象徴と言えます。ネジレであっても、みんなの党などは予算策定権を内閣が握る方向などには、合意できる見通しを示しており、必ずしも参院で否決されるとは限らないのです。

政治主導は、官僚の説明に懐疑的な視点をもち、その中に含まれる矛盾や、合理性が認められるか、それを見つけ出す作業です。官僚を使いこなす、とは政治家がそれだけ高いレベルの認識をもつことを意味します。それが与党病に罹患しては、曇り眼で物事を捉えることになります。
9月の代表選、菅氏は出馬の意向ですが、参院選敗北の総括に消費税増税発言を盛り込めるかどうか、なのでしょう。そこで菅氏が敗北すれば、民主党政権下で消費税議論はタブー視されます。一方で対立軸と見られる親小沢派は、消費税増税は反対を訴えてくるでしょう。つまり親小沢、反小沢の対立軸に、消費税が加わることになるため、菅氏が総括で消費税から逃げ、増税容認論者のままでいくと、親小沢派側が圧倒的優位に立つことが想定されてくるのです。
民主党は派閥が緩く、また族議員がいない政党であり、且つ官僚からの転進組を公募という形で多く採用、法案を書ける議員を増やしたことで政権政党としての地位を目指してきました。もしここで、与党病を発症してしまうようなら、政権の座にいる期間も短くなりますし、いる意味も失われます。批判的な姿勢であること、それは野党時代から与党に対するものだけでなく、官僚に対しても求めていたことを忘れるようなら、支持率急落が致命傷となって圧し掛かってくるのでしょうね。

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2010年07月26日

東証の取引時間拡大について

欧州ストレステストを受けた市場の動き、一部で当面1万円を窺う展開、などの大風呂敷も広げられましたが、比較的落ち着いた展開です。為替が1$=87円台後半、1ユーロ=113円台中盤で推移したことも、安心感を誘いました。しかし欧州市場にステージが移ると円高推移となり、市場も小動き。ドイツの数行が詳細開示を拒み、ストレステストの結果に不透明感も漂っていることから、当面はレンジ相場、銀行間取引の指標も改善を示しましたが、それらも早晩戻ると見られます。日本の金融株は弱かったように、ストレステストを受けても市場にストレスはかかったままのようです。

財務省から6月貿易統計が出て、10年度上期の輸出額は前年同期比37.9%増、約33兆円となりました。輸出はアジア向けが46.4%増、北米向けが29%増、EU向けが17.2%増です。ただ単月ベースで見ると、前月水準を下回る推移となっており、各国の景気対策が息切れし、円高などが直撃する傾向も見られます。前年が低い水準なので、伸びは高いですが、今後に心配な数値を示しています。今後、欧州の緊縮財政が鮮明になれば、更に輸出は影響を受けることになるでしょう。
東証が取引時間の延長を検討しています。夜間取引の導入や、昼休みの廃止など、幾つかの案を併記していますが、この試みは確実に失敗します。今日の取引は1兆円割れしており、ここ最近は1兆円そこそこの水準に留まるなど、市場ボリュームは確実に低下傾向です。これは外国人投資家の市場参加率が影響していますが、こんな時に時間を延長すれば、更に時間単位の取引が希薄化することで不透明な値動きを誘発しかねず、参加意欲を殺ぐ傾向に拍車をかけることになります。

簡単に云えば希薄化、です。市場規模が拡大する時、投資機会を増やす、参入を促す仕組みを検討すれば成功する。希薄化すれば更に価値を低下させる、という簡単な経済の原則でこの問題は語り尽くすことが可能。今は一時的に、イベントドリブン型の売買が膨らむ程度で、大口の手口と言えば年金と見られる買い支え程度、そんな市場では、投資機会を増やす意味すらありません。
米市場やアジア市場との連動性が高い、逆に見れば、これは補助的機能を担っているのみであり、主体性のないのが日本市場です。為替相場との相関も高くなる、これも外需依存に傾き過ぎて、独自の経済環境を評価できない、日本の弱さです。商品を並べるだけ並べ、管理費ばかりが高くなるようなマーケティングで、収益拡大を促せばいずれ淘汰が起きることになります。

これは製造業も同様、市場規模が拡大するときは品揃えを拡充し、要求に応える必要があります。しかし縮小に転じた際には、製品を整理して一部に集中投資を行い、企業イメージを確立した後、きちんと次の拡大機会を待つことが肝要です。それに失敗した企業は、業績不振に陥り、危機を迎えることになります。株式に魅力を失いつつある今、逆に取引を集中させるような、逆説的な意見も踏まえて議論を進めないと、日本市場は縮小、均衡の道にしばらく突入することに、なりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年07月25日

雑感、国会と労働対価

原口総務相が将来的に、国の出先機関を廃止することに伴う、国家公務員削減について6万人の目標を示しました。麻生政権の3万5千人から上積みした形ですが、人数ではなく総人件費で見なければなりません。米国の低成長は失業率の高さが鍵となりそうですが、内需を抑制する労働人口の推移が、新卒採用の抑制や自然減で促せば、労働の世代間格差が広がります。つまり若年層の就職難が固定化し、将来世代のツケが更に促進される傾向が顕著になる、ということです。
人件費が高騰する原因は、高額所得層の増加であり、逆に見れば生産性の高い労働層にどう配分するかです。つまり最も消費傾向が強い層に資源配分することが、内需促進に寄与するのです。国が労働と経済を考えるなら、どういう形で人件費を見直すかという方針は、もっとはっきり示した方が良いのでしょうね。

同様のことは、国会議員の歳費日割りにも当て嵌まります。現状では月割り支給となっているため、1日でも議員資格を得て働けば、月ごとの全額支給になります。昨年の衆院選から問題となっていたケースですが、公明、みんなの党が臨時国会に法案を提出する予定となっています。
これを拡張すれば、国会開会時のみ歳費を支払う、としても良いのですが、現状では年収にして3分の2程度になるので、そこまで踏み込む政党はないようです。ただ立派な議員会館が参院、衆院で建設されましたが、国会議員は国の代表なのだから、その程度の経費は必要とする意見もあります。しかしこれは問題のすり替えであり、経費をかければ良い仕事をするのか、良い仕事をするために経費をかけるべきなのか、という理由のどちらも指摘してはいません。

現状、国民の不満は議員が特権階級として固定化される懸念と、その仕事ぶりに満足していない、という二者があります。前者は世襲批判として、後者は歳費や議員一人当たりにかかる経費の問題として浮上します。しかしいずれの場合でも、国会議員の仕事ぶりに満足できていれば、批判は起こらないのであり、批判が巻き起こること自体が、すでに不満を示しています。
つまり現状の経費に対する仕事ぶりに、国民が納得しない限り、議員会館や歳費の問題は燻り続けることになるのです。先の問題と同様に、国が労働と経済、という面でこの問題を捉えるなら、生産性とそれに見合う労働対価として、合致するかどうかが一つの示唆を与えるのでしょう。
議員が政党助成金を受け取り、秘書給与も支給され、尚且つ歳費を月割りで与えられ、それを国民が不満に思う。全ては仕事振りにかかっていると云えるのでしょう。現状の政治に不満が大きい限り、この問題をきちんと考えなければ、政治不信は一向に解消されないのでしょうね。

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2010年07月24日

経済財政白書について

欧州銀行監督委員会(CEBS)が、域内20カ国91の銀行の資産査定(ストレステスト)の結果を発表しました。7行が不合格、35億ユーロの不足が指摘され、今後景気が急激に悪化した場合は、91行で5659億ユーロの損失が発生する見込みを示しました。公表された条件面は経済成長が3%落ち込み、国債価値が目減りすることは盛り込みましたが、短期売買目的の保有分のみ、安定投資分の国債保有は盛り込まなかった。つまりギリシャなどの、債務不履行(デフォルト)の確率は含んでいません。
問題を指摘されたのは、すでに公的管理下にある金融機関。一部機関で分析されたものでは10行以上が不合格、資本不足も300億ユーロを超えるとされたので、相当甘い査定と云わざるを得ないのでしょう。最もやってはいけない『お手盛り』であり、米株市場は好感しましたが、時間が経つにつれ、不安解消がされないままの金融機関の銀行間取引が困難となって、市場が混乱する場面が創出されることになるのでしょう。

日本では経済財政白書が発表されました。20年に及ぶ需給ギャップがマイナス、マネーストックの増加が低水準で、構造デフレを指摘しています。一方で法人税率の引き下げで税収増になる、との論調を用いており、消費税による景気動向に影響されない税体系を促しています。
デフレを認めなかった以前と比べれば踏み込んだ内容ですが、日本経済の構造的問題に対する認識不足は否めません。日本が低成長に陥りながら、多少の好況を演出できるのは、外貨を稼いで国内に還流する、貿易黒字国だからです。つまり本来、先進国では経済成長で資金需要が増える分を、外貨獲得に置き換えてきた。そのため、通貨供給量を低水準に抑えても、国内には円が還流しますが、貸出は増加しない、という資金面の需給に問題を残す国になったのです。

しかもこの国は顧客満足度を高めるため、低価格を求める傾向が企業にはあります。米貿易摩擦以来、その国で売る製品はその国で作る、という流れが一般的ですが、日本は企業が工場を海外に移転させ、安く作ったものを安く売る。日本で作って日本で売る構造でないため、企業が家計に還流する仕組みになり難い。これが需給ギャップの要因であり、この構造を変えない限り、法人税減税も無意味なのであって、国内経済を低成長に抑える主因ともなっているのです。
デフレを脱却するには、経済成長する仕組みにこの国を改める必要がありますが、これは構造の問題であり、変革には複数年かかります。規制緩和や法人税減税で、日本に企業誘致が進んだり、買収が促進されることはありません。一足飛びで解決する手法はなく、通貨供給量を増やしたり、企業が国内で投資を促す法制度を施行したり、そうした複数の施策を用いて、日本が普通に経済成長できる国へと、構造全体を変えなければいけません。
これは20年の失政の結果なので、最低でも複数年に跨り、法案を幾つも通しながらということになります。消費税増税も、法人税減税も、魔法のランプでないことは確実です。経済成長法案、これは多面的に日本全体を変えるための複数法案でなければならないのです。経済成長路線を訴える政治家、政党にも、こうした視点が見られない時点で、経済財政白書も同様に、政治と行政の視点は同じであり、かつ誤りである、ということになるのでしょうね。

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2010年07月23日

雑感、民主党内の動き

厚労省の雇用均等・児童家庭局長が労働政策研究・研修機構の研究員として、出向になった件で、降格人事と話題に上がっています。子ども手当てを巡る、在日外国人の扱いにおいて、長妻厚労相の不況を買ったためとも云われますが、これは政治主導であれば当然起きる動きです。
法案を09年度内に成立させ、制度をスタートさせたことで省内の評価も高いようですが、それは最低ラインであり、国民にとってより良い制度を作り上げてこそ本来評価されるはず。また閣僚が意図する形で法案を仕上げられなければ、むしろ官僚を更迭する権限を有するべきなのです。独善的、との批判はあれど、審判は閣僚が選挙で負います。政治主導による行財政改革を進める1つの大鉈として、制度設計に関しても行政の側に責任が生じる。これが1つの形となるのでしょう。

民主党内で、鳩山前首相の動きが活発です。菅首相を支持するような態度を示し、一方で消費税議論に、菅氏が財務相時代から前向きで、自民に抱きつく戦略を示していたと暴露。また小沢氏との会談を菅氏より先に実現し、参院議員会長に決まった輿石氏との三者会談を行っています。
先の首相辞任時、憶測を呼んだ鳩山‐小沢会談もあり、当面この二人の間には亀裂があるやに見られました。しかし小沢氏と良好な関係を保つ輿石氏を挟み、会談したのは敵の敵は味方、という鳩山氏、小沢氏の共通の戦略なのでしょう。つまり菅氏が参院選敗北の原因を前政権に求めたり、政治とカネに言及したりすれば、二人にとって共通の敵は菅氏、ということになります。

気をつけるのは、各社の世論調査でも参院選敗北の原因を『菅氏の消費税を巡る一連の発言』という訊き方をしており、消費税増税に触れたこと、とはしていません。一方で、今後の取り組むべき課題に『(消費税増税を含む)財政再建』などという訊き方をしており、消費税増税を財政再建に結びつける、誘導まがいの調査も行われています。メディアが消費税増税を目論むため、こうした訊き方になるのですが、これを真に受けて参院選の総括をすれば、確実に道を誤ります。
古語の一つに『やにさがる』というものがあります。江戸時代、煙管を上にすればヤニが下にくる、即ちこの言葉は、鼻を高くして煙管を高くするようなことを指して『高慢な態度をとる、気取る』という類の意味になります。これを少し字を変えると『野に下がる』。まさに『やにさがる』ような態度をとっていれば、政治の世界では『野に下る』ことになるのです。

脱小沢で盛り上がった人気を、消費税発言で台無しにした。ぶら下がりに応じないなど、高慢な態度をとり、不人気に拍車をかけたツケを、今は払わされている印象もあります。政治家は現状認識を正しくし、先見性を持たねばなりません。時に応じて態度を変えるような、変わり身の早さは一時的に有利でも、持続性がありません。菅氏が9月代表選で『野に下る』ことになるのか、それは消費税発言を見直せるか、ということも影響してくるのかもしれませんね。

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2010年07月22日

金賢姫氏の来日

今日の東証でみずほFGが公募増資した新株の取引が解禁され、13億株弱となり過去最高を記録しました。東証全体の約半分、その煽りを受けて他銘柄の取引は7年ぶりの低調です。某銀行も増資に動くのでは?との憶測も走るなど、金融機関の動向に市場が振らされる傾向があります。
米大手金融決算が出揃いましたが、投資銀行部門の収益にも蔭りが見られ、米国で成立した金融規制法や、バーゼル?の動きなど、不透明要因も強くなっています。この辺りは日本の金融機関にも影響しますので、注意深く見ていかなければいけないのでしょうね。

金賢姫氏が来日しています。ただ元工作員、大韓航空機爆破事件の元死刑囚に対する異例の厚遇、VIP待遇に批判もあるようです。1つあるのは、韓国では死刑判決を受けた後、恩赦で釈放されており、罪を論じることは刑期を終えて出所した人間を揶揄することと同じ、非常に不見識な論調だということです。罪を償えば法的に非難されることはなく、韓国でそうした判断が出ている以上、それをもって非難するのは誤りだということになります。
一方で、日本政府の動きは所謂客寄せパンダの扱い。拉致事件を風化させないよう、メディア向けに打った一芝居に見えます。金氏が動けばメディアも動く、これだけ露出し、注目を集めれば拉致事件の報道が嫌でも増えることになります。費用対効果で見れば、これほど安いものはありません。またこれは日朝交渉に行き詰る、外務省への圧力との見方もあります。当然、北朝鮮を刺激しますが、強硬路線に転じた今の北朝鮮の扉を開くのに、外交交渉だけでは無理。2国間関係の場合、悪いときに膿を出しておいた方が良い、という外交戦術でもあるのでしょう。

ただ金氏から何か新たな情報が得られる、と考えるのは間違いです。88年以降、北朝鮮関連の彼女の情報は、伝聞以外の何物でもなく、それであれば韓国で活動を続ける団体と、連絡をとった方が余程有効な情報が得られるでしょう。過去の思い出を語り合う場を提供しただけであり、20年という歳月を振り返ったとき、その間の変化の方がより重要な情報でもあります。
また暗殺予告もあったとされますが、そういう人物を国賓として招くのは賭けであり、危険との兼ね合いも考慮する必要があります。失態を犯せば、日本の治安は国際的に信用を失い、ダメージは大きいでしょう。単に啓発活動で終わるなら、これほどリスクの高い行動はありません。

左寄り、と見られがちな菅政権が対北強硬姿勢を示す。仮にこの動きがそれだけに終わるなら、何の意味もありません。対北に圧力をかけた先に、何の展望も見出せなかったこれまでと、違う結果を求めるのであれば、次の一手が重要なのでしょう。現状では特に、そういう点の示唆はない。今回の件が評価できるかどうかは、そこで判断するべきであるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2010年07月21日

欧州ストレステストと米地方財政

今週末、欧州ではストレステストの発表があります。現在より景気が悪くなる、との想定で銀行の資産査定を行い、資本の健全性を見るものであり、不合格の場合資本注入を求められます。現在、独不動産ローン大手のヒポ・レアルや、スペインで不動産投資を推進したカハなど、10〜20の銀行が不合格になるのではないか?と推測されています。ただ試験の条件は公表されない見通しなど、各国の足並みの乱れもあり、まだ紆余曲折がありそうで予断を許しません。
事前に欧州中央銀行(ECB)や国際通貨基金(IMF)が、楽観的見通しを示しており、更に欧州市場が閉じた後の公表。ということで、アク抜けになり難そうな気配が濃厚です。そもそも、経済成長見通しを数%下げた水準で、という条件をつけたとしても、公的機関の破綻は条件に盛り込まれるはずもなく、不良債権の保有比率に対する懐疑的な見方に、決着つけられないことが問題です。

公的な債券の価値とは、実は信用しかありません。現在、日経平均が9千円台前半で踏み止まるのも、株価純資産倍率(PBR)で1倍割れが目前であり、それが割れれば解散価値の方が高く、割安との判断からです。つまり企業には、解散〜資産売却〜株主均等割りで損失を回収できる仕組みがあります。しかし国債や地方債などには、デフォルトするか、しないかの2択しかありません。
現在、米カリフォルニア州の財政危機が伝わります。財政赤字190億$、州内総生産は2兆$弱なので、安泰に見えますが、財政均衡を求められる州政府にはこれも重い数字です。累積赤字が積み上がる状態であり、歳出削減策として教員の削減や公的サービスも数日に一回の受付とし、公務員の無給休暇所得を促すなど、涙ぐましい努力を続けています。が、財政事情がもっと悪い、破綻するのでは?と噂されるのが米イリノイ州です。9億$の新発債を発行予定ですが、市場では米地方債から投資資金が逃避していることに対する、試金石と見られています。

欧州各国でも最近発行されるのは、短期証券(TB)の類です。堅調な応札も、高い利回りを約束しており、当面のECB、IMF支援を受けられることを見越した買い、との見方が一般的であり、決して楽観できる状況にありません。長期債が堅調な入札をこなせるようにならないと、真の意味で欧州不安が解消されたことにはならず、借り換え時に再び不安に見舞われることになります。
企業は現在、市場からの資金調達や投資家向けCB発行で、内部留保を蓄え堅調。これが世界の流れですが、それを許されるのも解散価値を確保しているためです。企業と行政と、信頼度の差はあれども、資金調達能力で差が出始めているのは、まさに解散という言葉に隠れています。

ストレステストも、結果次第では公的に資本注入が必要です。すでに準備された資金で賄える、というレベルに留まると、逆に予定調和の匂いがして、それも嫌気されるでしょう。テスト条件の詳細公表がなければ、結果的に週末の発表が更なる不安の火種となるリスクもあり、市場も織り込み始めています。ただ欧米は楽観に傾いているとされ、不安定な市場が今後も続くことになるのは、ほぼ間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | アメリカ

2010年07月20日

来年度の概算要求基準の骨子

明日、米韓2+2会合が開かれます。黄海、日本海で開催予定の米韓合同軍事演習の詳細も発表される見込みですが、難色を示す中国や北朝鮮の出方など、朝鮮半島が一時的に緊張する恐れがあります。国連やASEANの議長声明でも北朝鮮への言及がなく、事件を曖昧なまま終わらせるわけにはいかない韓国と、西側の盟主としての地位を保ちたい米国。軍事境界線の近くに設定されている非武装地帯(DMZ)を、初めて国防・国務長官が視察を予定するなど、一定の行動は示して圧力外交に参加してます。
ただ米国や北朝鮮が意識しているのは、中国の出方でしょう。備蓄が足りず、戦争できない北朝鮮が小幅でも衝突する可能性があるとすれば、中国の後ろ盾が必要です。恐らく米中の話し合いは済んでおり、可能性は低いですが、暫くこの海域の動向は注意しておくべきでしょうね。

2011年度概算要求基準(シーリング)の基準の骨子が示されました。国債償還費を除く歳出上限を今年度と同様71兆円とし、社会保障費の増額分1.3兆円増は、そのまま盛り込まれる見通しなので、2%は嫌でも他予算から削減されます。大胆な組替えで削減分を捻出するとしており、成長分野に対しては特別枠を設け、重点配分する見込みも示しています。
国家戦略室を局に格上げする法案が成立しておらず、予算編成の方針策定を仙谷官房長官直属の、玄葉政調会長、野田財務相を含む新組織に委ねる方針も示しています。しかし改革の後退は意識されます。秘書室の位置づけであれば、法的権限もないので予算案や方針を策定しても、それを実現するには菅氏の後押しが必要です。ただ支持率は下がっており、起死回生の手を打たない限り、菅政権が早晩レイムダックと化すことは明白、代表選後の党内支持すらリスクとなります。

予算策定はゼロからの積上げ、こうした方針を示せず、各省から出てきたものを束ねて終わり、では自民党時代と何ら変わりません。一律1割削減という目標は置きませんでしたが、組替えを促す飴とムチがない。これでは官僚に良いように弄られ、予算分捕り合戦になって終わりです。
予算執行過程で最終配分額は変えず、仕組みで予算全体を2割圧縮した事業には翌年1割増を認める。一方で達成できなければ翌年は更なる圧縮予算になる、とすれば各省も目の色を変えます。最終的に配分される額を変えず、という枕が重要で、これは歳出チェックを完遂する意思を政治が示すことを意味します。政治主導でゼロから積上げ、これが不可能なら下流側を見直すしかありません。

9月と目される内閣改造を控え、閣僚に圧力をかけるべきです。予算分捕りに力を貸す、民主党版族議員の存在は徹底排除する。ダメなら入れ替える。恐らく菅氏に試される指導力はここなのでしょう。鳩山前首相は閣僚に任せ過ぎた。官僚主導から政治主導へ、とした流れも政治主導のリーダーたる閣僚が官僚の手に落ちては、民主党政権では政治主導も達成不能、との烙印が押されます。
ただ新しい国家戦略室の形も、首相主導の行政改革も、内閣支持率が高くなければ何も進みません。むしろ菅氏は当初、小泉型の劇場版を目指すかと見られましたが、メディア露出を控え、自身の態度を国民に晒さないことで、悪い永田町型の密室政治と見られ始めた形跡があります。予算策定は現状の最重要課題です。ここで各省の分捕り合戦に終わり、何も達成できないようだと、民主党政権にとって痛撃になることは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年07月18日

雑感、ねじれ国会とフランス革命

「ねじれ」について考えてみます。自民党政権時代のねじれは衆院3分の2で再可決が可能、今回そうした構図にならないため、真正ねじれとも云われます。日本の場合、政策や法案に従って組んだ部分連立構想は、明治以来ほとんど達成されません。それは人を基にし、人を基準とする倫理観が根強いためであり、これは聖徳太子の制定した憲法十七条の一にも明らかです。
和をもって貴しと為し…人皆党あり…事理自ずから通ず。何事か成らざらん。端折っていますが、道徳規範の一番先に訴えねばならないほど、事理を通じるのは難しいということです。人との信義がなければ連立など無理。法案ごとに態度を変えるなど、人につく日本の物事の進め方にとって、最大に難しい要件だということは明白です。どの党も党議拘束をやめ、各委員会単位で与野党とも腹を割って話し合いが尽くされるようでないと、現状では部分連立すら成り立たないでしょう。

歴史に学べる点として、フランス革命を取り上げます。様々に分析がされますが、莫大な財政赤字を抱えた状況と、今の日本はとてもよく似ています。フランス革命は複合革命であり、その後七月革命、二月革命が起こったように、フランス革命は人民蜂起の初期段階と位置づけられます。5月に三部会が国民議会を宣言、7月にバスティーユ牢獄事件が起き、封建的特権の廃止と人権宣言を決議します。今の日本はこの段階と考えます。その後フランスでは王政廃止、共和制宣言と続きますが、ジロンド派の追放やモンターニュ派の崩壊など、政局は二転三転します。
両者とも左派ですが、国王裁判後に保守化したジロンド派、農民や中間階層寄りの政策を打ち出し、独裁革命を目指したモンターニュ派。しかもモンターニュ派は右派のダントン派と、左派のエベール派に分裂を始め、両派を粛清したロベスピエール派が残りますが、恐怖政治を布いた代償として逮捕され、結局108名が処刑されています。

現代は血の粛清をする状況にありませんが、大きな革命を促しても、貴族支配の強固により閉塞感が暫く続いた事実は、政権交代後も官僚支配の続く日本と相通じるところがあるでしょう。その間、国民は政策や政党の態度に一喜一憂し、人気を落とした党は排除されています。
アナーキーの対極に、シナーキーという言葉があります。適材適所の人員配置によるエリート政治、という捉え方をする向きもあり、フランス人のダルヴェードルは、これを人類統合を成し遂げる施策とみなし、ヨーロッパ合衆国の創設を訴えました。しかし道筋はともかく、エリートを選抜する仕組みは皆無であり、特権的階級を得た者が自己統制できなければ、それは政治を困難にすることは間違いありません。

最近、世論調査を頻繁に行うと、国民の声ばかりを意識した政治となる、と提言する人が増えています。大連立に向けた地均し、と見る向きもありますが、フランス人のルナンの言葉を加えておきます。「国民という存在は、毎日の人民投票である」投票権をもち、国に関与するということは、常に国民も国政に参加する意欲を試されている、ということです。
大衆迎合という以上に、国民政治を成し遂げるためには、まず政治も行政機関も特権を外すことから始め、それは民意を反映すべきです。ただ一方で、ぶれてはいけない国の方向性に、一時の大衆感情を反映し過ぎるのも問題でしょう。このバランス感覚が今の政治に試されており、ねじれには政治家がこうした意欲の持ち方に、どういう態度をとるかにかかっているのでしょうね。
明日はお休みし、火曜日から再開したいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 欧州

2010年07月17日

日米の中央銀行の動き

今週は日米の中央銀行で、相反する判断が示されました。米連邦準備制度理事会(FRB)のFOMC議事要旨で、2010年成長率見通しを下方修正。4月3.2〜3.7%予想に対し、6月3.0〜3.5%に引き下げました。追加景気刺激策にも言及しています。日銀が政策決定会合において、実質GDP成長率を2010年度1.8%から2.6%へ引き上げました。個人消費が経済で大きな規模を占める米国と、外部要因に振らされる日本とは基が異なりますが、この判断の差に両国の意思決定の違いが見られます。

米国の懸念は中国が外貨準備の多様化を進めること。欧州不安とマネーの流れの変調が、ドル基軸通貨体制を揺り動かす。製造業、非製造業景況指数の悪化、こうしたものがドル安を導いても、輸出先がなければ経済は回復しない。個人消費を支えるものは雇用であり、経済成長であり、高い失業率が続くと米経済は個人消費が痛み、全体がおかしくなります。
日銀はもっと深刻です。政治の圧力に晒され、景気見通しを好調に保たないと、金融政策に頼って景気刺激を打とうとする。輸出に頼る中国では、貿易で稼いだ資金を外貨準備として蓄え、国内には人民元を刷って流す。その結果、中国人民銀行は本来空洞化しますが、政府と中央銀行が一体、尚且つ為替操作国だからこそ出来るような施策です。そして日本もそのようにしろ、という圧力がかかり易くなっているのです。

中央銀行の独立性は最早過去の話であり、FRBは景気刺激策を財務省と密接に協議し、欧州中央銀行(ECB)も国債買取りに踏み込んだ。中央銀行がバランスシートを拡大させながら、景気とのバランスを考えるようになっている。日銀にかかる圧力は、ここに世界標準から見て出遅れている、とする識者によって為されます。ただやり過ぎれば当然、マイナス面が多くなります。
日銀が01年から始めた量的緩和政策により、世界各国にバブルが生まれた。通貨供給量を増やすことが、必ずしもその国を成長させず、成長著しい国へと流れるのは、最早経済の鉄則です。供給国は、その恩恵を弱い形で受けるしかない。欧米が財政再建に舵を切れば、資金の流れが止まり新興国のリスクも高まる。米国が感じている不安と、日本が感じている不安は本質的に異なります。米国は日本の過去の量的緩和策などを研究しており、次の手を考え始めた。日本はその前段階で足踏みしながら、政治と中央銀行が綱引きを始める程度のことで、動揺を始めているのです。

米株式が大幅下落です。企業決算が出始めましたが、インテルも4-6月期は好調でしたが、季節性もありしかも収益を先食いした懸念が出ました。金融も本業の儲けは回復せず、引当金の見直しで収益を確保している。固定費削減で業績を保ってきた企業の息切れ感、しかも日本と同様、景気対策も終わりを迎えてきますので、新たな手を模索するタイミングです。
米国では追加景気対策を市場が促してきた。日本では先に記したように前段階で足踏みし、しかも財政再建が重く圧し掛かっています。中国のようにマネーサプライを増やすだけでは、円が下落するのと同時に、中央銀行の信任も落ちることでしょう。抜本的な経済仕組みを社会主義化するなら、中央銀行への圧力も効果あるでしょうが、今そういうタイミングかは、よくよく考えて発言し、行動しないと政府と中央銀行の間に、おかしな亀裂が入ることになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2010年07月16日

小沢氏に対する「不起訴不当」

東京第一検察審査会が、07年分の政治資金規正法違反事件に関し、小沢氏を不起訴とした東京地検特捜部の判断を「不起訴不当」としました。これは検察の再捜査後、不起訴と判断すれば事件は終結することを意味し、04、05年分の政治資金規正法違反事件に対する「起訴相当」より、軽い判断です。ただ前回同様、「考えられない」「供述内容が相当程度信用できる」としたものであり、この結果を受けても、小沢氏不起訴の判断を検察が変えることはないでしょう。
つまり起訴には物証が必要であり、昨今の裁判では供述内容を全否定される、即ち警察、検察が描いたシナリオに基づき、採用した自白は誘導とされて公判を維持できないケースが多くあります。特にこれが、闇献金や裏ルートにまつわるものであれば別ですが、事件は政治資金収支報告書の虚偽記載。即ち記載はあるものの、時期がずれたというものです。小沢氏が事実を知っていようが、いまいが、水掛け論であって、仮に罪を問えるとしても会計責任者までが関の山。関与の有無を供述に頼る時点で、立証がほぼ不可能であり、「確かにそうらしい」では事件になりません。

水谷建設の5千万円献金の供述も「信憑性が高い」としていますが、仮にそうなら特別背任罪として立件し、証明する必要があります。検察審査会が別事件の信憑性を論じることには、何の意味もありません。なぜなら疑わしい、との決め付けは名誉毀損の恐れがあり、検察審査会だろうと他の事件への言及は自らの首を絞めます。何より、この事件は政治資金収支報告書の虚偽記載であり、献金ルートや政治資金の正当性について、事件としては全く触れる必要がないからです。
以前から指摘しているように、小沢氏が正しいか、間違っているか、罪を犯しているか、そうでないのか、でこの事件を判断してはいけません。この程度の材料で立件して良いのか?です。つまり憶測や推論を交えてはならず、秘書の証言のみで、しかも厳しい取調べで心神耗弱状態に追い込まれ、そこで得られたものに信憑性が、公判を維持できるほど確かか?です。個人的には、事件が収支報告書の虚偽記載での立件に留まった時点で、小沢氏に波及する可能性は皆無、検察の敗北と考えます。未だに話をすると事件の全容を誤解している人が多くおり、これはメディアの態度として、正確な情報を伝えていないことの証左でもあるのでしょう。

そんな小沢氏が、菅首相との会談を拒んでいるようです。姿を消して雲隠れ、一部に与野党を超えた多数派工作とも伝わります。菅氏が党首討論で見せた、野党への攻撃姿勢で、政策協議も進み難くなった。小沢氏の出る幕も出てきた、ということです。検察審査会を控え、9月の代表選に直接出ることはないでしょうが、2つの戦略の狭間で態度を決めかねているのでしょう。
党を割るか、あくまで民主党が第1党なので、残って勢力拡大を目指すか。個人的な読みでは、勢力拡大を目指す過程で、独自の立ち位置を探すのでしょう。菅氏のような脱小沢は論外ですが、幹事長ポストとまではいかずとも、党要職に自身の息のかかった者を送り込めるようなら、当面は収まりをつけるはずです。何より、ここまで支持母体が自民と民主の綱引きでガチャガチャになると、投票行動に繋がらず、新党立ち上げも難しいことになります。菅氏向けに、自身を高く売る戦略として時間稼ぎをし、敷居を高くしているのであり、臨時国会前に頃合を見て自身の戦略に基づき、党内で勢力拡大を始めることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法

2010年07月15日

IMF年次審査報告と、中国GDP

宮崎の口蹄疫に関し、民間種牛の殺処分を東国原知事が受け入れると表明しました。折も折、感染疑い隠しが発覚したように、宮崎県の家畜保健衛生所や知事の態度に反発する動きを受けたものなのでしょう。当初の感染疑い時も、報告を受けても情報を共有せず、所員の個人判断のみで報告をしなかった。今回は現地対策本部に連絡を入れ、感染疑いを隠蔽したと伝わります。剰え種牛の特例を求める態度には、自己保身しか感じられません。宮崎県全体に対して危機意識の希薄さ、自己都合の優先に対し、獣医師なのか国なのかが疑問視した、その結果でもあるのでしょうね。

国際通貨基金(IMF)が、日本の年次審査報告で「消費税増税すべき」と提言しました。15%でGDP比4〜5%(20兆円)の財源確保、法人税減税、日銀の追加金融緩和など、昨今の政治と財務省の意見にソックリですが、これは6%の議決権を有する財務省の誰かが、根回しした結果です。
基礎的財政収支の赤字をGDP比で年1%ずつ削減、も提言されています。この目標を達成できなければ国家公務員給与を3割削減し補填する、と決めれば、確実に債務削減は進むでしょう。事業仕分けは1つの手法ですが、歳出削減を今のメディアは、一部の不都合を受ける側のみ取り上げ、ネガティブに報道し効果を減退させようとします。ならば歳出削減を官僚に任せ、達成できなければペナルティを課せば良い。逆に行政が切り過ぎて、国民生活が滞るようなら政治が歳出圧力をかける。これが国民に向く政治としての本来の役割、立ち位置に即した歳出削減に向けた道筋となるはずです。
問題は行政コストの削減であり、事業仕分けによる削減では、膨大な時間と人をかけた分析が必要です。それを省き、短時間でムダを抽出するなら、一番事情が分かる官僚に任せる。後で天下り公益法人などへの発注が発覚すれば、幹部クラスには更に大きなペナルティを課しても良いでしょう。国民が官僚に抱く不満とは、責任の問い方であり、問題意識の持ち方なのです。

中国の4-6月期実質GDPが前年同期比10.3%と発表されました。固定資産投資が1〜6月に前年比25%増、不動産開発投資が38.1%増、この辺りが牽引しています。小売総額も1〜6月で18.2%増ですが、意外なのは消費者物価が2.9%と、前月の3.1%から低下したことです。民間予測を大きく下回ったのは、この物価指標のみと云ってよく、6月後半は値上がりも目立ったことから、操作の疑いもあります。
中国も天候不順であり、生鮮食品以外にも荷動きが悪くなっています。物価が下がる要因は少ないですが、人民元相場の弾力化で、値動きが抑制されたと示したいこと。及び引締め懸念などが出て、景気下押し圧力がかかることに、配慮したものなのでしょう。米国は中国の為替操作国認定を見送りましたが、そろそろ経済指標操作国の認定をしても良いのかもしれません。
中国農業銀行が上海、香港などに株式上場されます。国有銀行の上場は必ずIPO価格を上回り、堅調に推移すると言われます。面子で下げられない、という訳で、2.68元の公募に対し、2.69〜2.75程度で推移したようです。中国がこうした市場介入を国単位で繰り返す、市場の閉鎖性が指摘される中で、GDPで日本を抜く水準に来ている。危機はまさにここに有り、です。欧州の緊縮財政で、マネーの流入が減る新興国はこれから正念場を迎えます。不動産バブルを抱えた中国に、それを乗り切る力があるかが、試されることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2010年07月14日

日本振興銀行前会長の逮捕

国民新が社民に衆参の統一会派を申し入れました。参院過半数ではなく、衆院3分の2を目指す。影響力の持続性、という点で見れば有利ですし、気に入らない法案を後で潰すことが出来る。社民も参院敗戦で、戦略練り直しが迫られる中、乗るとの亀井氏の判断なのでしょう。ただ民主がその動きに期待するようなら、政権政党の価値はありませんが、民主は民主で独自に連立に動くはずですので、まだ腹の探り合いの状況、ということになるのでしょうね。
西日本の大雨被害が深刻ですが、国交省でダム再検証の新基準案に関する中間とりまとめが出ました。ダムは一定雨量以上になると治水効果がなくなり、逆に放水が続くことで下流側に深刻な被害を与えます。土砂災害がダムやその上流で起きたら?そうした可能性を含めて検討すべきであり、治水だけであれば護岸工事や河川拡幅などが優先されるべきです。新規道路より人々が安全に暮らせるよう、ゲリラ豪雨が頻発する現在、災害対策として率先として進めるべきなのでしょうね。

日本振興銀行で、銀行法による検査忌避により木村前会長が逮捕されました。金融庁の立ち入り検査時、メール削除などを命じた件です。破産申請手続き中のSFCGとの債権買取り、手数料を支払う件など、不透明な取引も明るみに出ており、出資法違反の疑いも出ています。
ただ事件そのものより、こうした業態の事業構造が困難であればあるほど、末端まで融資が進まず、国内経済にとってマイナスであることを見逃してはいけません。中小企業に融資する際、不良債権扱いにされ、引当金の積み増しを迫られる場合がある。現在は国が保証をつける形で、中小企業への融資を促進していますが、これが正しい形とはとても云えないものです。

中小企業向け融資、この事業構造では自己資本の充実が重要です。10万円貸すのに、数万円を損失引当てに積み上げるなら、高い利回りを設定せざるを得ず、規模を拡大するにも資本が必要だからです。が、銀行業の免許所得に8ヶ月しかかからないなど、審査体制にも疑問がついたまま、日本振興銀行は立ち上がっている。収益構造の弱い銀行が、無理やり収益を得、かつ融資実績を得るという目的にまい進した姿は、まさに銀行業のもつ闇であり、染めてはいけない手法に染まった態度です。
SFCG、新銀行東京、どれも中小企業への融資促進を掲げながら、いずれも苦しい経営環境に晒される。どこも事情は異なりますが、新規融資の伸び悩みと、破綻リスクとの綱引きに身を竦ませた結果でもあります。日本を浮揚させるためには、技術力のある中小企業の活性化。そう与野党ともに考え、経済分野の有識者からも同様に意識されながら、いずれも失敗している。ここに手を充て、新たな制度を構築しない限り、日本で景気が本格回復するなど有り得ないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 社会

2010年07月13日

参院選を受けた市場の動き

国民新が民主との統一会派を解消しました。これは保守勢力を標榜するた日、改革、自民党時代に付き合いがある公明を含め、第3極と連携することで、連立の糊の役割として自身の価値を高めたい、という戦略でしょう。小沢氏が民主党執行部にいなければ、俺が連立を目指してやる。という亀井氏の動きであり、国民新の生き残り戦略なのでしょうね。

参院選の結果を受けた、経済の動きを見てみます。格付け会社S&Pが、日本の長期国債格付けに対し、懸念を示しました。強い政府がなければ、増税議論も財政再建も進められない。政権基盤がグラつき、当面の対策が打てないとなれば、当然のように出る動きではあります。
ポルトガルがムーディーズにより2段階格下げされました。ギリシャ短期債の応札は堅調だったものの、利回りは上昇。国債は今、こうした変動期に晒されています。これを証券市場と重ねてみると、先々週までは株先売/債先買で、米短期債は歴史的水準まで利回りが低下しました。先週から株先買/債先売となり、世界の市場は好調を演じる、というように一進一退です。逆に、そうした動きに翻弄された動きであり、経済指標はキッカケに過ぎない、商品投資系の動きに振り回される展開が続きます。

日本でも参院選の結果を受け、一瞬債先売/円安の動きを試したものの、すぐに反対売買が出ました。市場には与党敗北が織り込み済みだったこと、国会運営がどう展開するか、はっきりするまで動き難い点があります。一方で、郵政改革法案の停滞や金融規制の後退を受けた、金融関連買いも見られましたが、あまり材料視はされていません。子ども手当ての見直しで消費関連は売り、円安が進めば輸出関連買いとの思惑もありましたが、それも拒否された形です。
今回の民主のマニフェスト、景気対策の視点では見るべきものがなく、部分連立にしろ今後の政策が見え難いものの、事前に期待値が盛り上がらない、それが小幅な動きに繋がっているようです。後半に向けて続々と切れる景気対策、その行方すら不透明であり、買い向かう段階にはない、ということだけがハッキリしている形です。

債券との連動で株先物を売買する主体にとり、日本の債券市場は動き難く、大きな動きはとりづらいため、小幅な値動きに留まっているのが実態です。欧米は売りと買いを続け、変動の大きい相場を創出し、その中で収益を確保する形が定着しており、数ヶ月はこの値動きを続けそうです。日本がそれに乗り遅れる、という意味で与党大敗の影響があるのでしょう。
ただ今後、政策の紆余曲折を目の当たりにすると、下に行き易い傾向は現れるかもしれません。特に今、世界は戻り基調であるため、上値は7月SQ値で抑えられ、頭が重いものの下値も堅い状況です。ただ変動が早い相場つきは、循環的に見ると来週にも世界の株式相場が下げに転ずる可能性があり、その際は日本売りが出易くなるでしょう。ネジレたのは国会のみならず、市場も同様であり、動き難い相場になったことだけは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年07月12日

参院選の結果を受けた第3極争い

昨日の参院選結果を受け、早くも永田町がバタバタしています。消費税増税論者である各メディアは、早くも消費税は争点でなく、政治とカネや普天間問題が影響、と論点をすり替え始めました。自民‐民主で僅差の議席でワンツーを決める、これが官僚・メディアにとって最良のシナリオでしたが、民主が負け過ぎたために要因分析の中に、確実に消費税増税議論に踏み込んだことが入るためです。ただ、民主を追い落とすために消費税で散々煽ったのですから、この点はどんな言い訳をしようと、民意は消費税増税にノーであったことは確実です。

今回の最大の勝者、みんなの党とも語られますが、実は公明党と見ています。つまりみんなの党と民主が連立を組んでも、参院過半数に達しない。改選議席から減らしても公明が満面の笑みなのは、選挙区で議席を獲得した以上に、自民を躍進させた1人区の選挙協力で創価学会800万人の力を見せ付けたこと。連立参加で過半数を得る、重要なキャスティングボードを握れたためです。1人区は比例得票で見ても、民主31%対自民+公明37%、その得票差が見て取れます。この構図は2人区も同様であり、自民大勝の要因は10年に及ぶ連立政権の遺産、だったと見ています。
仮に小沢氏が党幹部に居れば、閣僚ポスト2つで公明の1本釣りを狙うでしょう。それが手っ取り早い自民潰し、民主復活に繋がるからです。自民が参院議長ポストを要求したのに対し、参院第1党が握るべきと公明が反対したのも、先を見越して自分を高く売る戦略でもあります。民主が9月まで内閣改造先延ばし、というのも連立の代償を考慮し始めている点が窺えます。

小政党はみんなの党以外、軒並み沈没。部分連立の話も、小政党が参加することはまず有りません。複数の政党と協議すれば、意見が錯綜して議論が発散する恐れがあるからです。よってた日も、改革も存在感を示すのが難しい情勢、部分連立でも参院過半数がとれないみんなの党ととも、実は踏み込み難いのです。一応3分の2条項は使えますが、国民新の反発があればそれも不可能。国民新の離反を招いても動じない党は、自民との大連立か公明との連立以外ないのです。
しかし現在の民主党執行部は公明と折合いが悪い。組むならみんなの党、という方向性です。公明は9月の民主代表選を注視していることでしょう。それ次第で再び連立参加が可能となるからです。小沢系は枝野幹事長外しに躍起ですが、就任1ヶ月の幹事長の首を獲るのは些か無理筋です。が、脱小沢の象徴的存在を追い落とし、代表選に弾みをつけたいところ。公明もそれを見ているのです。

ただ、みんなの党も新党改革の吸収や、自民党から数人引き込む戦略は有しているでしょう。部分連立で政策を実現させ、存在感を示したいからです。自民は野党第1党などと喜んでいると、第3極の勢力図争いに巻き込まれます。地方で公明が離れれば、今回と逆の結果になることは明白です。また党執行部不満が、この大勝で幹部交代が当分ない、となると失望となって離党・脱党の動きが再び活発化する恐れがあります。今回の選挙結果、与野党ともに永田町内の動きを複雑化した、という点では議席が表すもの以上に深い、とも云えるのでしょうね。

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2010年07月11日

2010参院選について

参院選の結果、まだ確定していませんが、各社の出口調査では民主50弱、自民50、公明、みんなが10前後、共産、社民が数名程度で、他の小政党は議席がとれない状況と伝わります。2人区はほぼ民自で分け合い、1人区はダブルスコア以上で自民が勝利、この1人区の勝敗が結果に効いているようです。ただ比例の得票率を見ると、この結果に首を傾げる部分もあります。
民主34%、自民28%、公明13%、みんな12%、共産6%、社民2%、国民新1.9%、た日1.4%、改革1%となります。あくまで途中結果ですが、政党支持率と比べて野党は総じて高い水準ですが、これは与党批判票です。ただ全体の結果を踏まえると、民主の立場から見れば選挙戦術の誤りが指摘できます。即ち2人区に重点を置き、てこ入れした結果1人区が疎かになった。前回の参院選、1人区は逆の結果であったことを見ても、地盤固めが出来ていないことの表れとなります。つまりこれは、現幹事長の責か、前幹事長の責か問い難くなったことを示しており、菅政権の基盤は脆弱になりますが、代わって小沢派が台頭、という形になり難くなったのでしょう。

一方で大躍進のみんなの党も、選挙区は苦戦続きです。渡辺喜美の知名度とイメージでは、風を起こし切れない限界も示します。お金と組織がない政党だけに、無党派層の支持に頼らざるを得ませんが、60弱の投票率では、強い支持団体である創価学会800万票を有する公明に肉薄する程度しか、票を集め難いのでしょう。これは次の衆院選に向け、みんなは戦略の見直しを迫られそうです。
意外なことに、今回の選挙は支持母体の強い選挙結果、という印象であり、1人区で自民が強いのもこれまでの選挙協力体制にあった公明票、と考えるとすんなり理解できます。つまり自民28%+公明票の一部が1人区で、自民に入ったことが、結果に影響したと見ています。

今回の結果を受け、政局が混沌としてきます。ネジレはネジレであり、自民当時の衆院優先3分の2条項が使えないので、政策は野党との個別協議に移ります。恐らく、消費税議論は自民が積極的に推進、行政改革はみんなとの協力、など個別政策ごとに近い政党を見つけ、協議する形となるのでしょう。ただ経済政策などに各党の主張が入れば、バラマキ型にならざるを得ず、益々対策をまとめることが困難になります。恐らく一番のマイナスは、景気に表れるのでしょう。
連立や総選挙までのシナリオ、政界再編の動きなど、考える項目が多くて後に回したいと思いますが、混迷という言葉は間違いなく使えます。ただこれが国民の審判であり、なってみて初めて分かることが多いのは、政権交代と同じでしょう。参院が政局の府となり、パワーバランスで日本の政治で綱引きが始まる。世界がソブリンリスクや、2番底懸念を抱く中で、日本の舵取りをする政治の世界が泥舟に乗った、という意味では今回の結果、日本の道筋に経済という面で暗い影が落ち始めたことだけは、確かなのかもしれませんね。

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2010年07月10日

政治改革と参院議員

愈々、明日は参院選投票日です。菅氏はメディアの報道姿勢に文句をつけているようですが、従来の物事の決め方しか知らない、もしくはそれに戻したい、というメディアと民主党が折り合いをつけることは、当面ありません。政務三役が物事を決める今の体制は、官僚による情報の横流しができず、メディアにとっても不都合。この構図が続く限り、メディアは批判を続けることになります。なぜなら、政務三役や閣僚から流れる情報は、確報ではないので変わってしまう。それをメディアが誤報した、と指摘されるのを避けたければ、ブレと指摘する以外ないからです。
政治が物事を決定する際、ガラス張りにしようと思えば検討過程や、自身の意見を公開することになります。ただそれを報道し、後で変更することはメディアもしたくない。これがブレ批判の本質であり、民主党政権が変わるか、メディアが理解する以外これは変わらないでしょう。

参院は良識の府、など今は昔です。残念ながら政治改革は、各党とも議員定数の削減や経費節減が主であり、本格的に参院を変えようとする政党は皆無です。しかし現時点で、参院議員が党所属であり、各種団体の支援の上に立つ以上、参院改革を議員の力で促すことは不可能です。
これは政治資金規正法改革と同様、政治改革は政治の手では無理、ということの象徴です。マニフェストでは、民主党など一部で企業・団体献金の禁止を謳いますが、政治とカネに焦点が当たらないのも、各政党がこの分野に消極的だからこそ、です。一部で消費税議論に摩り替えた、という意見もありますが、各党のマニフェストで政治とカネに積極的な順から並べると、共産、民主の順であり、後は政治改革の1項目として付されているのみとなります。

民主は批判を受けたので当然ですが、各党も攻め所が分からない、それが政治とカネです。説明責任を果たすよう迫れば、ブーメランの可能性がある。献金額も減らしたくないし、党の中にはキレイでない政治資金を受けとる政治家もいます。これはどの党も似たりよったりであり、与野党協議すらできない、という意味で消費税より難関だと言えるのでしょう。
1つの試案は、参院が団体の支持や献金を受けず、100人程度で国会の監査役として機能することなのでしょう。選挙は全国区、もしくは関東、関西などの大枠とする。支持者集めもせず、一切をネットや政見放送で行う。ここまでやれば、参院が良識の府となるのでしょう。ただメディアは、正しいことをする人を応援することは10ある内の1や2、他はあら捜しをするのが仕事といえば仕事です。足の引っ張り合いになる、という危惧もありますが、候補者の身元調査をメディアがすれば、国の経費節減にもなるでしょう。選挙戦の候補者の名前の連呼は、海外でも不思議な目で見られています。いつまでも日本独自の手法にしがみつくのではなく、政治改革を含めて民間の知恵を生かす、という方向で検討する時期に、もう来ているのでしょうね。

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2010年07月09日

消費税と参院選

産経の記事で【参院選】消費税やっぱり鬼門…という記事を取り上げます。気になったのは、みんなの党が支持を伸ばし「消費税増税がまた遠のいた」と、財務省内の悲観を伝える部分です。各社の世論調査で、民主50届かず、自民40後半と伝わります。この結果通りとすると、自民が参院第1党、民主が次点が予想され、これは財務省にとって願ったり叶ったりの結果のはずです。
消費税に積極的な方から、自民、た日、民主、新党改革の順に並びます。即ち自民、民主でワン、ツーを決めれば、消費税増税は次の衆院選を待たずに通過させようとするでしょう。自民は世論の負託を受けたと迫り、財務官僚も全面的にバックアップする。次の衆院選で争点にしたくはないので、民主党政権の間に法案を通そうとする。なぜなら自民も、財務官僚も次の衆院選で争点にしたくはなく、竹下・橋本政権のような増税政権のレッテルは、民主党政権に任せたいのです。たかだか10名程度のみんなの党など、霞ヶ関の常識からして何ら問題にはなりません。

つまり世論調査の結果では、民意が消費税増税を容認と霞ヶ関、永田町では映るのです。民主、自民の順だと検討会で増税已む無し、との結論に至っても、次の衆院選で再び争点になります。その時初めて脅威として意識されるのが、みんなの党です。当然情勢も変わり、各党の主張も変わるかもしれません。ただ反対派の小政党がこぞって議席を減らし、増税容認派の2大政党が票を集める現状に、ほくそ笑むのは財務官僚や霞ヶ関で予算分捕り合戦をする人間、ということです。
市場では、参院選で与党過半数割れ、を織り込み始めました。景気対策が打てない、財政再建にも痛手、というねじれ国会による停滞を両面で意識した形です。中国が5月に日本国債を7千億円以上買越し、と伝わります。しかしこれは新規資金の流入を囃すのではなく、逆に不安定要素が高まれば、売り圧力を強める勢力が、大量に日本国債を保有し始めている、ということになります。裏を返せば、政局不透明要因で売り、という展開も今後予想されるのです。

自民第1党なら、連立の枠組みより政界再編が視野に入ります。なぜなら、消費税議論に踏み込んだ菅氏への信任が失墜、どういう形に納まるにしろ、政党内に火種が燻ります。一方で、自民党内でも各委員会の配分次第で、族議員の力関係も変わるので、火種を残す形となるでしょう。政権の旨味を知る者同士が大連立、となれば次の衆院選は連立与党の歴史的大敗北が見えてきます。
参院選の結果もまだですが、その後の政局は消費税への態度をどうとるか?で枠組みは変わりそうです。日本の消費税税収は、付加価値税を導入する欧州諸国と比べても決して低くなく、また社会保障の目的税化する意見も、そこで浮いた予算をどこへ回すかは議論されない。日本の財政議論に圧倒的に欠けているのは、個別課題に注視しすぎて、全体を見通せない態度に含まれます。
税還付の話もありますが、納税番号導入とのセットであり、そうでなければ不可能です。読売では『英「消費税20%」に世論「やむなし」』と、増税容認の論調が再び目立ち始めました。日本の不幸は、メディアが冷静に税制を語る口を持たない、というところにあるのかもしれませんね。

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2010年07月08日

経済の話。経済指標は頭打ち感が台頭

日銀が支店長会議で地域経済報告(さくらレポート)をまとめました。全国9地域の内8地域で景気判断を上方修正しています。直近の経済指標からすると、極めて違和感のある報告であり、3月辺りから継続する欧州不安は、この報告に織り込まれていないと見ています。
アジア向け輸出は堅調、消費も節約疲れと1年続いた財政出動による、景気回復局面を受けて騰勢、というのがこれまでです。東海地方はトヨタのリコールを受けて据え置きですが、九州・沖縄地方も口蹄疫問題があり、決して経済環境はよくありません。報告の中にも、下げ止まり、底打ち・改善の動き、というものが目立ちます。所謂下落トレンドに歯止め、という段階でプラス判断をしたようにも見えます。問題は、こうした報告で金融政策対応が変動することであり、甘い見通しの下では、しっかりした対応が打ち出され難いということが挙げられます。

同日発表された、内閣府による6月景気ウォッチャー調査では企業動向が前月比1.8%低下、特に製造業は4.2%低下しています。また5月機械受注統計は前月比9.1%減、携帯電話の受注を除くと13.3%の大幅減です。機械受注統計は元々ブレの大きい指標ですが、いずれの調査も先行きに不透明感を示す。DRAM価格の頭打ち感や、バルチック海運指数を見ると、どうやら天井をつけた局面が窺えます。
政府からは踊り場、との発言も聞かれますが、上昇局面にある停滞ではなく、景気指標からは腰折れとの判断も可能です。日米欧で財政出動が期待できないので、この局面の打破には相当の苦労を要しそうです。そこでさくらレポートを見ると、金融政策にも期待薄だと見られます。

世界が一時的に株高商状ですが、これは米金融規制法が甘い規制で留まりそうなこと、欧州金融機関のストレステスト公開に向け、楽観的発言が相次ぐこと、などで一時的に売り方が買い戻す相場つきです。明日のSQは無難に通過しそうですが、米金融の2Q減益決算懸念など、来週から米企業の決算発表も始まりますが、決算より見通しに注目が集まることになるのでしょう。
以前も指摘したように、このままでは確実に2番底です。民主党政権では、予算成立時点で赤字国債を発行しており、税収見通しが若干改善したものの、恐らく補正予算は組み難い。エコ減税も息切れ感があり、新たな消費促進を促す施策が求められます。家計への直接給付や、高校授業料無償化が始まり、さくらレポートでも判断はまちまちですが、これらが消費に回ってこないと、景気という面では厳しいのでしょうね。

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2010年07月07日

建設弘済会と空港整備協会の見直し

調査捕鯨の妨害行為など、5つの罪で起訴されたシー・シェパード船長ピーター・ベスーン被告に懲役2年、執行猶予5年の判決が出ました。求刑通り、全ての罪状を認定していますが、執行猶予とした判断に外交上の配慮が見てとれます。反捕鯨活動に参加しない、ことを理由としていますが、この手の主張をする人間が反省によって、自身の主張を覆すことはまずありません。
なぜなら、国に戻れば英雄扱いです。反捕鯨活動の悪質性を認め、今後関われば執行猶予を停止し、服役する。というぐらいの強い主張があって、初めて意見を翻したと云えるのです。揺るがぬ主張がある故、暴力を厭わぬ反対運動に身を投じた人間が、簡単に主張は撤回しないでしょう。外交問題に発展するのを嫌った、というのが東京地裁の判断なのでしょうね。

前原国交相が建設弘済会と、空港環境整備協会の業務を、3年以内に大半を民間へ、という方針を昨日示しました。事業仕分けの結論では、建設弘済会は業務を民間との競合で、空港環境整備協会の業務は廃止、だったので一歩踏み込んだ形の結論です。ただ職員4358人の内、国交省OBが548人、残りの3800人の職員がいるので再就職を3年で進める、としています。
注意すべきは、両組織とも民間に姿を変えて存続することです。建設弘済会は公共事業予定価格の積算で、手心を加えていたと伝わりますが、こうした業務の専門性を抱え込み、条件付発注とさせるよう仕向ける。民間なので天下りチェックが甘くなり、官僚側に都合よく使われる可能性があります。整備協にしろ、独占的に省庁の発注業務を受けていた組織が、そう簡単にゼロになることはありません。組織縮小に敏感な官僚の巻き返しには、注意しておくべきでしょう。

この時期に発表した政治的な裏は、官僚に厳しい姿勢を見せることで、参院選を有利に戦う。特に前原氏が参院側に配慮し、側面支援をしたことでシンパを増やせれば、今後の党内の基盤固めに繋がる、といったところでしょう。メディアも選挙向け、と批判を強めないのは、反小沢側の動きは支援したいという意図を含みます。行政改革には大きな動きですが、扱いは小さくなりました。
今日、発表された2重課税問題に対し、5年を超えて所得税として徴収したものは返還する方針を、野田財務相が示しています。これも40年に及ぶ慣行で、どれだけ返還が増えるかを検討したものではなく、選挙向けと指摘できます。ただそういう指摘が少ないのは上記と同じ理由ですが、制度設計が出来ていないうちに、やると云われても懐疑的にならざるを得ません。第一、遺族がすでに亡くなっている場合があり、その際他の遺族へ渡せば贈与に当たる可能性があり、難しい問題を含むからです。つまり単純に還付できる話ではないのです。
ただ上記の、建設弘済会と空港整備協会に手が入ったのが、端緒であることは間違いない事実です。行政機関は1法案、1〜2組織をつくって、法案の実行と天下り先を確保してきた。増税の前に整理すべきは、行政に連なるこうした準組織です。そこにどこまで手が入るか、これは選挙とは別に見ていかねばならない項目なのでしょうね。

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2010年07月06日

参院選とイメージ戦略

最高裁で相続税と所得税の2重課税に対し、違法判決が出ました。年金保険を分割で受けとると、相続税分を支払ったにも関わらず、所得税を源泉徴収される。昭和40年代の国税庁通達からの慣行です。同時に5年分の還付しか法律上認められない、との判断も示されましたが、グレーゾーン金利などと同様、昨今の裁判に共通した「国民利益の最大化」が、この判断でも示されました。
法制上の抜け道、慣行として通してきたものを、法の番人が正す。これは国寄りの態度と指摘されてきた最高裁が、司法の正しいあり方を取り戻しつつある姿です。ただこの影響で、国は還付請求に対し引当金を積まねばならず、今後の税収減にも繋がります。一方で保険業は年金保険を売り込み易くなり、個人においては相続税の受け取り方に幅が出ることになります。行政機関が殿様商売をしていた時代の終焉、という意味でも、画期的な判決と云えるのでしょうね。

参院選で自民の堅調が伝えらます。選挙区で堅調、比例で不調。この分析に、みん党やた日に比例票が流れる、と云われます。自民党は最近のイメージ戦略で「1番」を連呼します。ただ外交、経済、軍事でも米国の次、2番手を目指した反省ではなく、この分野の独自性、政策の見直しは皆無です。何が1番なのかが伝わらず、こうしたものも比例に利いているのでしょう。
自民が行う民主党のバラマキ批判も、自民党政権では予算が硬直化され、官僚主導で予算枠が決められた。そのため政権が自由に裁量できる補正予算を、バラマキで用いたのであり、日本は世界最大の債権国になったのです。経済効果が低かったことは、長期の低成長に喘ぐ現状でも明らですが、社会保障の充実に消費税を充てる、という主張だけで、経済成長に見るべき点はありません。

今回の参院選は、やや異例な流れが続いています。サッカー、相撲に話題をとられ、無風状態。一方で民主への投票を呼びかけるメディアや、小泉氏をCM起用し、自粛を受けた自民など。またメディアが民主バッシングを高めたのも、勝ち過ぎへの警戒であり、旧来の「ブレ」を用いています。ただ正しく言葉を用いると、これはブレではありません。決定事項を覆す、これがブレであり、検討中の意見の遷移をブレと捉えると、全ての検討過程をブレと表現することになります。
菅氏のイメージ戦略として、消費税増税に前向きなメディアを取り込む、という思惑も働いた上で消費税に踏み込んだのでしょうが、総スカンを喰らって逆にメディアと距離を置いた。実は、この菅氏のイメージ戦略こそブレており、これが政権支持率の低下に繋がっているのです。

民主が54議席、とするのもメディアのイメージ戦略です。勝ち過ぎも嫌、一方で負け過ぎれば小沢派が力をつけ、9月を跨ぐと政権の行方も分からない。改選議席程度でいて欲しい、それがメディアの思惑です。投票は個人の判断ですが、少なくともこうしたイメージ戦略に乗るのではなく、有権者自身が冷静な判断で、各政党の主張を受けて投票するべきなのでしょうね。

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2010年07月05日

経済の話。年後半の市場予想

帰宅時に大雨が降り、大変でした。ゲリラ豪雨と呼ばれますが、熱帯雨林地方で降るスコール、と称しても良い気がします。何でも温暖化や、ヒートアイランド現象に仮託するのは、考えを放棄しているようで嫌いですが、長期的な視点で排水能力を見直すべきではあるのでしょうね。

年後半の株式市場を考える前に、中国を考えます。国十条と呼ばれる不動産投資規制により、主要70都市で価格が下落に転じています。国土資源相が「全面的な調整局面入り」を示唆、まだ健全な調整範囲で対策はとらない方針ですが、この段階で注意すべきは値下がり期待で、買い控えが起きることです。日本が陥った、価格下落スパイラルに中国が陥るかどうか、となります。
中国では鉄鋼の在庫が積み上がり、価格も下落傾向です。以前、宝鋼が5ヵ年計画で、鉄鋼の生産能力を年8千万tから5千万tに見直し、景気減速を意識されました。現在が異例の高成長で高需要を支えられており、将来需要の高まりを見込まない。企業の態度がそうである以上、景気見通しがどうであろうと、中国の肌実感として将来に不安が漂うことは、確実な情勢です。

日本も東アジア輸出で支えられましたが、この見直しを迫られそうです。問題は欧米不安の先行きであり、現状2番底は80〜90%の確率で年後半から来年初めまでに起きると見ます。当然、対策が打たれれば別ですが、欧州の緊縮財政と新興国の息切れ感、両面が直撃することはほぼ確実でしょう。問題はその際、破綻企業、地方行政、国がどの程度出るか、により転換点は決まります。
直近の市場は、プットの9千円台後半のポジション組換えが活発です。先週、急速に下落した対応ですが、先行きに自信ももてない環境が続きます。短期では下げ過ぎ感などから切り返す場面があっても、長期トレンドに上昇を示唆するものはなく、2番底を探りに行くタイミング次第で、色々と情勢も変わります。最悪は、低消費社会によりモノが売れなくなり、年を越せない企業、行政が出ることであり、そうなれば景気は本格的な大不況時代に突入です。

しかし現在、根拠不明な楽観が市場を支配し易い環境です。それだけ資金がダブついている証拠なのですが、変動幅の大きい相場は覚悟すべきであり、運用を主体とする事業体、投資家に至るまでの篩い落としが始まるのでしょう。昨年後半、12000〜5000の予想を立てましたが、後半は10500〜5000の範囲と見ます。2番底の深さとタイミング、年後半のポイントはそこになるのでしょう。
為替介入や財政出動などの期待は、財政状況から抱き難い環境です。仮にあっても1次補正が組めるかどうか?規模も小幅でしょう。上昇のキッカケを失い、長期の視点では財政再建が好感されるものの、株高を演出することは難しい。年後半はテーマ性を追うことも難しい中、海外要因を睨みながら増税に怯え、経済がシュリンクする可能性を模索しながら、相場展開を探るということになりかねないのでしょうね。

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2010年07月04日

党首討論と経済政策

今朝の党首討論を幾つか見ましたが、やはり争点はボケ、中身は少ないものでした。与党が消費税に関して協議会設置、としているのみであり、議論になりようがありません。これを曖昧戦術だ、と批判することは出来てもそれ以上ではない。消費税還付の水準も、結局検討項目を語るだけで、決定事項は何一つないのです。しかも菅政権は政権の通信簿、という形での審判は受け難いため、与野党ともに今後の政策について議論されます。逆質問が目立ちましたが、結局これが許されるのも、発足後1ヶ月の若い、実績のない政権だから、ということになってしまうのです。

クモの話をします。私は昆虫が好きですが、それは人に忌み嫌われる昆虫も同様であり、クモやムカデなどの一般的な忌避昆虫でさえ、大丈夫です。特にクモは巣を作り、一箇所に長く暮らすため、子供の頃はよく蚊やハエを捕まえてはあげて、観察していました。するとその内、クモが巣から自分の身体を吊り下げ、風を受けてくるくる回る。つまり遊びをするようになりました。コガネグモの類ですが、風を受け易いよう足を折り畳んでおり、しばらくすると止め、またしばらくすると始めたので、意図的に行っていることは確実です。遊びは人間の専有事項、と語られた時期もありますが、エサが豊富で安全が確保されると昆虫も遊ぶ、ということを知りました。
今回の参院選が低調なのは、財政再建は各党も語りますが、それに見合う経済成長戦略に各党で目ぼしい点がないことです。一部主張があるように、経済成長があれば財源は賄えます。増税とムダ削減と、経済成長はセットのはずですが、そこに魅力的な提案がないのです。

積極的な提案をするみんなの党も規制緩和がメインです。これは政府関与を拡大する、現状の世界の情勢とも異なり、日本単独での効果も限定的です。日本は、全体的に消費不況なので、規制緩和で経済のパイを拡大させる方向性はありますが、賃金デフレの解消など、多面的な対策が必要であり、踏み込み不足感は否めません。それ以外の、財政出動路線は論外ですが、民主党の増税分を福祉の雇用へ回す政策も、保険料拡大などの財政出動を伴うため、効果は限定的です。
クモでさえ遊ぶ環境は、食と安全が満たされる社会です。民主党から法人税減税において、課税対象の拡大により、財源不足を担保できる。所得税の最高税率も、見直しを示唆する発言がありました。現在、富を蓄え浪費しないのは、高額所得者や企業です。つまり世界が不況下にある、ということを織り込み始めている。消費税増税で、個人の預貯金を吐き出させる前に、不況下で富を蓄え易い部分を叩き、市場に資金を流し易くする政策、これが与野党に求められているはずです。

独法、公益法人も同様、組織の内部留保に課税する仕組みを作れば、それが設備投資に回ったり、一時金として労働者に分配され、消費に回ります。そうして資金が循環すれば、経済は自然と良くなるでしょう。日本では夜のクモを「よくも来た」と忌み嫌い、殺す風習もあるようです。英国では「クモを殺せば幸せが逃げる」と云われるようです。どちらにしろ、クモでさえ遊ぶことがあるのに、人間が縮こまり、遊びさえ憚られる環境に陥らないよう、政策を考えていかなければいけない、ということなのでしょうね。

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2010年07月03日

雑感、党首討論と会議のあり方

6月の米雇用統計が12万5千人減、失業率は9.5%と、0.2%改善したものの民間雇用の回復の遅れが意識され、ダウは7日連続の下落です。失業率も欧州不安を意識し、就業を諦めた可能性があるため、全体はマイナスの印象です。2番底が意識され、米国経済には不透明感が漂う中、市場には強気になれないムードが続きます。7月は元々弱い月ですが、欧米不安は深刻であり、反転の兆しは水準感による下げ過ぎが台頭しない限り、中々買いの手も伸び難いのでしょうね。

党首討論の話題が出ています。菅氏は1対8だと述べますが、国民新まで野党の扱いとしており、これは消費税や経済政策など、自説に拘る亀井氏をけん制するものです。一方で、これだけ野党の数が増えたのは新党ブームが起きたとき以来であり、与党のやり難さも確かに存在します。一問一答形式にすれば菅氏の露出が増え、野党はおもしろくない。野党が自説を述べ、最後に代表して与党が応えるようでは、応答ではなく自説をひけらかして終わりであり、党首討論の形式をとることは難しくなります。現状、政党は政策をフルコースで並べており、何でも首を突っ込みたいところです。ただ野党が得意科目を決め、個別の政策には2、3の野党が臨む形としなければ、与党との話し合いにはなり難いのでしょう。
6月にサミット(G8)が行われましたが、元々頂上会談は1943年が最初。1945年のヤルタやポツダムの方が有名ですが、各国の首脳が集まり、重要な決定を下すのが目的です。しかしG8はそうした場ではなく、各国が自国の事情を語り合い、その中で合意できる事項を声明として取りまとめる、という場に変わってしまったようです。

円卓会議の出自は英国で、1887年にアイルランド自治を与野党が話し合ったのが最初と言われます。当然、アーサー王時代の円卓の騎士に範をとったものでしょうが、腹蔵なく意見を語り合えるこの方式も、決断を下せるかは出席者の決断力によります。特にYES、NOで決着をつけられない、将来的な課題を語り合う場合、正しいか誤りかはディベートできますが、それ以外は各々の主観であり、言い合いに終わることがしばしばあります。
フランスではテニスコートの誓い、というものがあります。フランス革命前、改革を阻止しようとする旧来の利権をもつ貴族が、ヴェルサイユ宮殿の広場を軍により閉鎖したことに対し、進歩派の人間が広間の隣のテニスコートに集まり、憲法制定をするまで議会を解散しない、と誓ったことに由来します。これは現在のテニスコートと異なり、屋内の球技の場だといわれますが、今回の党首討論も同様に、そこで行われていることよりも重要な議論は別にありそうな気配です。
政党が似通った政策しか出さない、というのは何処かでミスリードさせようと、画策している人間がいることを想像させます。それは財務官僚、ここを引きずり出して、意見を聞く方がよほど日本の問題点を浮き彫りにするでしょう。党首討論も、政治家はスペシャリストではなく、ゼネラリストであり、個別の政策において詳しいわけではない。俄仕込みの詰め込みで、テレビの前で訳知り顔で語られるより、今回は選挙なので仕方ありませんが、意味のある意見を聞ける場を、テレビ等も考えて作っていくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年07月02日

韓国の国防目標と米イラン制裁法

韓国が国防改革基本計画の目標「全面戦争、潜在的脅威」を、「侵入、局地的侵略」に見直しました。前者は北朝鮮との戦争と、その後の日中露による脅威を指した内容であり、今回は対北朝鮮に絞って、国防を展開する方針に転換した形です。前者は兵力重視の規模を誇る軍、後者は兵器力重視であり、先進技術を取り入れた攻め込まれないための、防衛力に力を入れる軍です。
韓国軍が戦時統制作戦権を、米軍から移管する時期を3年7ヶ月延ばしたのも、こうした行動の延長にあります。その間、兵器調達を進めて臨機応変の軍隊に仕上げる。そのための国防費は2兆円超え、7%近い増額で申請する見込みです。これは、それだけ北朝鮮の脅威が切実であり、また沖縄の米海兵隊のグアム移転に伴う、司令部の一部を沖縄に残す方針に米側が転換した件とも結びつきます。即ち米韓はここ数年、北朝鮮との小競り合いが頻発する、と見ているのかもしれません。

米国ではイラン制裁法案が成立しました。?ガソリン、石油精製品の輸出企業の米国での取引制限、?革命防衛隊と取引のある金融機関の、米銀との取引制限、?イランの人権侵害に関わる機器を取引した企業を、米政府調達から排除、が柱です。?はイラン国内で原油精製はあまり行われませんが、イランとガソリン取引をする企業を威圧し、イラン国内のガソリン不足を招きかねません。?は、大手企業はイランと取引しないのが普通なので、規制は小幅です。?は少し影響がありますが、元々中東は欧州との結びつきが強く、その取引でドルスワップが可能な現在では大きくありません。送受金が困難になるなど、米国内のテロ対策の方に効果が出るかもしれません。
先週、岡田外相がインドとの原子力協定を締結する方針を表明しました。核拡散防止条約(NPT)にも加盟していない国に、核実験の停止を条件に、核兵器を作れる技術と材料を提供する。日米同様の動きですが、産業界の突き上げでなし崩し的に、原子力協定を結んだ形です。

外交に二枚舌は当たり前ですが、問題は核技術であり、扱い方を間違えると大変なことになります。使用済み燃料棒は、プルトニウム型爆弾の燃料を満載しています。その処理で、日本はプルサーマルへの移行を余儀なくされましたが、数年後同様の問題が今の新興国で持ち上がります。核燃料への転用を絶対に防げるとの確信がない中、扱いは曖昧な形で提携が進められており、後に禍根を残しそうな気配のまま、世界は原子力発電に舵を切ったように見えてしまいます。
原子力発電はCO2を出さないクリーンエネルギー。しかし核爆弾の材料を生み出すことに、何の代わりもありません。政策や態度により、国の親密度も未来へ向けて変遷することになります。北朝鮮が崩壊し、韓国に併合されれば今度は韓国が核保有国となります。そうした先を見据え、外交の態度を考えていく時代に入っている、ということは直近のこうした動きでも明らかなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | アメリカ

2010年07月01日

日銀短観と路線価

6月日銀短観が発表されました。予想の上限値に近く、一旦株式市場は好感しましたが、強い経済指標は即ち強い円に結びつく。為替感応度の高い今の株式市場はこれを弱気材料と捉え、年初来安値を更新です。特に自動車産業の見通しが弱気、これで先行き不透明感を意識されました。
大企業製造業は15p改善の+1、非製造業は9p改善の-5、中小企業製造業は12p改善の-18、非製造業は5p改善の-26でした。いずれも改善、ただし9月見通しはほぼ横ばいで、今回の景気回復局面における天井感が漂います。特にこれは6月前半の集計であり、論拠不明な楽観が市場に存在した時期と重なります。現在起きている欧米不安は織り込まれず、想定為替レートも1$=90.18円。この日銀短観の評価は、極めて難しい判断を強いる以前のもの、と捉えるのが良いのでしょう。

特に大企業製造業の10年度設備投資計画が、前年度比3.8%増。しかしこれもリーマン前の水準であり、かつ欧米不安で直近の企業動向には、手控え傾向も見られます。工作機械受注が堅調でも、アジア圏への輸出であることから見ても分かりますが、設備投資は今そこに需要がある場所で、モノ作りをするために行うものであり、国内消費が弱い中、国内に設備投資し、新規の雇用を創出するような動きを見せる企業は、ほとんどないのが現状と言えるのでしょう。
2010年の路線価も発表されています。東京で前年比11.3%減、主要都市圏も軒並み下落であり、土地取引の低調さを示しています。日本の不動産取引に、中国で不動産規制がかかったため、富裕層が参入してきています。それでもこの結果、というのは深刻さを増します。土地が下落するなど考えてもいない彼らが、下落する日本市場から手を引けば、将来的にも売り圧力が強くなるからです。1月の集計であり、住宅版エコポイントが施行する微妙なタイミングではあります。ただそれ以前の住宅購入支援制度が高額取引への減税であり、購入のパイが拡大しなかったことが、全体を地盤沈下させる結果となり、こうした数値に表れたのでしょう。

特に現在は居抜き、即ち中古で設備が整った物件に買いが集まり、新規にテナントは集まり難い。1から事業を立ち上げ、収益を上げられるビジネスモデルが存在しない、というのが大きいのでしょう。底打ちが近い、という見方もありますが、5月住宅着工の弱さからも、楽観すぎる見立てです。
1つ良い情報は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、09年の年金市場運用で約9兆円のプラスとなり、08年度損失の90%以上を取り戻しました。ただ09年は日本も外国も、年間を通して市場は上昇しており、ベンチマークと同等程度の収益であり、決して褒められたものではありません。運用収益とは、ベンチマークをアウトパフォームして、初めて評価が下されるものだからです。ただ年金原資の取り崩しではなく、収益を上げられたことは素直に喜べるところです。

米民間調査機関が、中国景気の見通しを計算間違いを理由に下方修正しました。通常有り得ないことであり、米国内で米中経済の先行きに警戒が出た。これらも今の市場には影響しています。過去の経済指標より、先行きに期待感を抱き難くなったこと、こうしたことが市場下落を招いており、世界経済が試されている、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |