2010年08月

2010年08月31日

民主党代表選と概算要求

菅‐小沢会談が行われ、両者出馬となりました。小沢氏が出馬表明する前なら妥協案も模索できましたが、この段階での出馬取り止めは事実上の菅氏の敗北、党人事と実権は完全に小沢氏側に握られます。そんな提案を菅氏が出来るはずもなく、それこそ党内の菅氏支持離れを起こします。多くの新聞が小沢氏の出馬回避、との見出しを打ったのも、その方が都合よいとするメディアの思惑であり、永田町の流れを出馬回避に仕向けるための、誘導の側面もあったのでしょう。
菅氏の側はずっと後手を踏んだ。それは世論が総理をコロコロ変えるのは良くない…という流れに傾いていたからであり、党内の多数を占めると見られていたからです。世論頼み、それはかつての小泉政権の手法に似ていますが、似て非なる部分は選挙に弱い宰相、という目で党内では見られていることです。結果的に、党代表選でも魅力ある提案は国民向けにするしかない、そこでの提案も後手に回り、内容に乏しければ党内支持は更に下がり、再選の目もないのでしょうね。

来年度概算要求が出され、96兆円規模に拡大、1兆円の特別枠にも3兆円の応募があります。これまでの事業仕分けの効果なく、看板掛替えで予算規模を維持する。いつもの省庁のやり方ですが、ここに画期的な手法を示します。本来、ここから年末まで財務省が各省庁の概算要求を精査し、予算案を来年の通常国会までに策定します。同時並行で、政治家を総動員して府省の出してきた要求から、事業仕分けで指摘された項目を含め、削減箇所を見つけた政治家には、そこから抽出、削減できる予算の1万分の1を特別手当として認める。財源は内閣官房機密費です。
1月1億円の機密費が3ヶ月で3億円、30兆円の効果を見込めます。特別会計事業仕分けと含め、国債発行枠を抑えるムダ削減に寄与できる。臨時国会中であり、数字通りには行かなくても、機密費が全て公開されるという前代未聞の出来事も起きます。削減項目が多い省庁には、幹部クラスに懲戒的な項目を与えることも、示唆しても面白くなります。事業仕分けを過去のものに終わらせない、という効果もあわせ、代表選に向けて目玉の提案になる可能性は充分に高くなります。

今回の概算要求が増えた原因は国債償還費用などが増えるためですが、更にマニフェスト実現には、多額の費用が必要です。このためマニフェスト実現派と見直し派で、代表選でも争点にならざるを得ません。しかし歳入見通しが立たないまま、バラマキに陥れば国民に見透かされる、ということは十二分に両者とも意識するでしょう。市場では小沢氏で国債発行枠拡大、などの思惑もあるようですが、借金拡大が進むような政権なら、支持率は1桁台となりすぐ解散準備です。
世論に頼りたい菅氏、不人気で更なる世論離れを引き起こしたくない小沢氏、実は両者とも強烈に『国民の目』を意識せざるを得ない状態に、追い込まれているとも云えます。ここから2週間は政策論争ですが、具体的な提案がなかったり、魅力的な提案ができないなどとなると、益々苦しくなるのでしょう。形骸化した仲良し選挙でないだけに、真剣な政策論争ができれば政治の空白、という形ともなりません。派閥締め付けが緩い民主党では、選挙が流動的になり易いですが、国民の声を吸収できた陣営が出てくると、雪崩をうってそちらに流れる傾向も出るでしょう。選挙戦序盤、今週中に流れを引き込んだ方が、次期代表の座に近づくとも云えるのでしょうね。

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2010年08月30日

日銀・政府の景気対策について

日銀が臨時の金融政策決定会合を開き、新型オペの拡充として期間6ヶ月物の貸出を、10兆円上積みして新型オペの規模を30兆円とする、と決定しました。今の経済、特に市場関係者は雨乞いすることで溜飲を下げる傾向があります。自分の池に水が溢れていても、他の国で一杯雨が降っていれば、自分の国でも降らせてと天にせがみます。ダムが壊れていて、水が漏れていることが問題であるのに、水量ばかりを気にしているため、すぐ下がった水量を気にして効果が切れてしまいます。
今回の対策は、やや長めの資金の利回りを低下させますが、ただ入札回数は少なく、オペレーションとしての効果は限定的です。10兆円は大きな資金ですが、日銀が雨の降らせ方を局所的にした。潤いを感じられるのは一時的、と見て間違いありません。更に8月10日の会合で、景気見通しを楽観的とした判断をわずか3週間で見直し、政治に屈したとの印象を内外に与えたことは、日銀の大きな失策です。下ぶれリスクを先取り、という言い訳は虚しい限りに聞こえます。

政府は同日、経済対策の基本方針を決めました。予備費9200億円を充当し、トライアル雇用制度の拡充、家電エコポイントの延長、環境分野の設備投資に補助金、などを打ち出しました。補正予算を組まないので、すぐに対応できる資金ですが、対策の詳細は来月10日に打ち出します。
日銀の新型オペ拡充も、政府の基本方針も、いずれも市場予想を超えるものではありませんでした。今日の日本市場は期待値が高まった午前は300円近い上昇、日銀の決定内容が伝わった後場は失速し、150円上昇で引けています。月末ドレッシングを巻き込んで、買い方が仕掛けた印象も強く、内容に乏しかったことから明日の相場は若干、期待値が剥落する場面も起きそうです。

為替相場も、政府が介入辞さずの姿勢を示したことから、85円台後半にあった円ドルが84円台中盤まで巻き戻って留まり、アナウンスメント効果は低かった、と見るべきでしょう。結果として政府・日銀の手詰まり感を露呈した、そんな一日として意識されそうです。米国はFRB議長が景気認識に厳しさを認め、追加緩和を示唆、次の段階で緩和措置を打ちます。これだけで2ヶ月程度、アナウンスメント効果を得ることが出来る。日本のようなバタバタした印象は皆無です。
大事なことは壊れたダムを補修すること。ただし日本はバブル崩壊以後、補修作業を繰り返しており、そこそこ水漏れは止まっている。問題は欧米です。欧州ではアイルランド格下げなど、再び不安が出始めており、スプレッドが拡大しています。法人税減税などを行い、企業誘致に努めて経済発展をした国が、財政不安を抱えた場合に法人税増税に舵を切れるのか?これは世界の企業動向、拠点探しに対する態度を決めることになるのかもしれません。

雨は降っても地は固まらない。それは大地主が自分の池に水を引き込み、下流の農家に流さないことで起きています。昔から水利権は村同士の争いの種になり易かった、という面で見れば、雨乞いばかりしていても、何ら問題の解決にはなりません。今回の対策は『年寄りの冷や水』です。後手で小出し、屋上屋を架すような政策を冷やかされるだけ、という深刻な内容でもあるのでしょうね。

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2010年08月29日

雑感。民主党代表選後の動きを予想してみる

菅‐鳩山会談が行われました。これは代表選後の民主党体制にも影響する話であり、少し考えてみます。仙谷官房長官が菅‐小沢の一騎打ち回避の可能性を「十二分にある」としています。ここから推測されるのは、仙谷氏の更迭です。党内対立を生み出す問題は、小沢氏側にとって仙谷、枝野両氏の処遇であり、菅氏側にとっては小沢氏の処遇、という点に集約されます。

仮に一騎打ちで、菅氏が勝利した場合は小幅改造。ただ挙党体制を組むには、小沢氏側の主張を取り入れねばなりません。その際、枝野官房長官、仙谷法相が一つの形として想定されます。千葉法相は先の参院選で落選、内閣改造までの暫定ですし、仙谷氏は弁護士出身、法相には適任です。府省の大臣になれば、考えようによっては格上げですが、内閣の実利から遠ざかることで小沢氏側を納得させる。枝野氏は調整能力に欠ける点があり、官房長官に相応しくない点が、逆に妥協点になり易い。一方で、菅氏の側は小沢幹事長を認められないので、ここに小沢派の海江田氏か、原口氏を当てるという人事が想定できます。
難しいのは、小沢氏が勝利した場合です。早くも一部では総総分離が指摘されています。総理と総裁は別ける、との考えであり、小沢氏は幹事長職に就き、総理は別の人物、それこそ原口氏を当てるのでは?と見られます。小沢氏は選挙に強い政治家を嗜好する傾向があり、海江田氏は東京を地盤とし、浮動票に左右される選挙で若干弱い部分があります。総理には不向きと見られるでしょう。

首相は国会の委員会にかなりの頻度で呼ばれ、事情がない限り、拒否も難しい。外交に飛び回り、国内では選挙対応もしなければならない。小沢氏が総理になりたい、という野心を抱くかどうかは、むしろ世論調査の傾向で小沢氏容認論が半数に達しないと、難しいはずです。
ただ小沢氏勝利の跡、菅氏、仙谷氏、枝野氏の処遇をどうするか?は重要です。菅氏は副首相、仙石氏と枝野氏はどちらか、もしくは両者が干される可能性が高い。その時、挙党体制という形にヒビが生じることも出てくるのでしょう。ただ仙谷、枝野氏も派閥を抱えるわけではないので、分裂しても小幅な脱党に留まると見られます。菅氏がそれを見て意気に感じ…という形にはなり難い。そのため、仙谷氏は党内情勢を睨みつつ、最終的には自身のポジションを引き換えに党内融和を図る、という戦略が見えてくると考えています。

しかし菅氏、小沢氏の一騎打ち機運がここまで盛り上がれば、最早無投票にする手も限られます。これは、先の菅‐鳩山会談で提示すべき内容であり、その段階では仙谷氏が読み誤っていた、とも考えられます。まさか小沢氏本人が出馬するなんて…という甘さです。小沢氏の行動はその上をいった、しかも多数派工作で、菅氏が幾ら経済対策や視察を行っても、メディアへの露出度は小沢氏の方が高まっていて、小沢氏の上手さには及ぶべくもない。政治の世界では権力のある側、とない側では、ない側の方に勢いがつくと怖い、ということもあります。今は小沢氏の側に勢いがついた、これを回避する術は並大抵の提案でない限り、覆すのは難しいのでしょうね。

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2010年08月28日

雑感、刑場公開について

東京拘置所の刑場が公開されました。千葉法相は「情報公開、死刑制度の議論の第一歩」と述べています。死刑反対派は絞首用のロープがないことに、残虐性を隠したとしていますが、逮捕時の手錠、腰縄さえボカシを入れるこの国で、なぜ刑場なら残虐的な映像でなければならないのか?ということは何ら説明されません。恐らく、多くの国民が意外とキレイなんだ、という感想をもったぐらいと想像されますが、殊更に凄惨さを強調する意見も見られます。
ただ凄惨さを強調すれば死刑廃止論が増える、との論調では、逆に事件現場を公開すれば死刑賛成論が増える、と同義です。目を覆うような悲惨な状況は、一体どちらの場面で多いかは明らかなことです。死刑論は映像表現によるものや、偏った情報で決すものではなく、失われた人権と今ある人権と、天秤にかけた時にのみ可能なものです。もしそれを人為的に、どちらかに重みをかけるようなことをすれば、議論の俎上に乗る段階で間違った方向に進んでいることになります。

遺体なき殺人事件と呼ばれる、2件の殺人事件に対する判決が、仙台地裁でありました。6年前の強盗殺人は無期懲役、11年前の殺人は15年の懲役です。同一の被告ですが、その間に覚せい剤取締り法違反容疑の罪が確定しているため、これは重犯として一緒に量刑判断をするのではなく、刑法上は別々の判断が下される、という珍しい判決です。別の殺人事件で懲役23年の判決を受けていますが、執行が停止され、刑罰としては無期懲役から、という形になります。
しかしこの被告の場合、複数の強盗殺人事件を犯しており、仮に重犯として量刑判決が出れば、死刑になった可能性が高いものです。広島女児殺害事件でも、被害者が一人ということで無期懲役刑が確定しましたが、失われた人権の数で死刑判決かどうかで差が出ることに違和感をもちます。この違和感は、人権の天秤が加害者側に重い、ということから来るものです。

裁判員裁判制度が始まり、個人が死刑を考える契機に、との意図は理解できても、背後にある死刑廃止論を盛り上げようとの思惑はいただけません。刑場に対し、厳粛な気持ちを抱くことは当然あっても、おかしな世論誘導に手を貸してもまた、制度全体をおかしなものとするのです。
古く、死刑は国民の娯楽として存在しました。死刑が行われると多くの民衆が集まって、それを傍観した。1つには見せしめの意味もありますが、国民は犯罪者が処刑されることに溜飲を下げ、それを見世物のようにして見たのです。当然、死に対する価値観が現在とは異なりますし、大衆娯楽としての死刑は行うべきではありません。ただ死刑制度は、国民の価値観であり、現在は死刑存続派が多数を占める、ということもまた事実です。欧州ではギロティンを見物した、日本でも刎ねた首を街道に晒した、それが正しい世の中とは思いませんが、捉え方は個人により異なる、ということを議論の出発点にしなければ、議論の大前提が崩れることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2010年08月27日

円高、株安に対する政府の基本方針?

菅首相が記者会見し、経済情勢の認識と経済対策の基本方針を表明しました。為替は必要なとき断固たる措置、日銀総裁と帰国後会談、8/31経済対策の基本方針、それから雇用、需要を創出する景気対策を速やかに実施、ということです。会見の報道が昼に伝わり、若干円安、債券安、株高に向かいました。ただし、会見後の反応は極めて鈍く、内容は予想を大きく逸脱したものではない、との認識も広がっています。
夜にかけて円安が進みましたが、これは米4-6月期GDP改定値が、予想より悪化しなかったことを受けたものです。一部、小沢氏が代表選出馬で債券が売られた、という報道も見られますが、出馬表明した昨日は大きく動かず、今日の菅首相会見発表で債先売/株先買に傾いただけで、小沢氏の出馬が材料視されたわけではありません。また小沢氏出馬で政局混迷による日本売り、と騒ぐ人もいますが、これも意味ある内容ではなく、現在は混迷の結果、対策が出ない方が円買いポジションを組み易いのです。

日本の債券バブルはアジア系、特に中国の買いが主因と見られます。毎月1兆円、とも云われる日本国債買い。今日の株高/債券安は持ちすぎたポジションを週末、月末も近く、日本の対策を見極める前に調整した動き、です。国会閉会中では迅速な対策も打てず、政局自体は不透明感もあり、相場的には材料になり難い。実体経済以上の流動性が確保された現状で、大きな世界経済減速、欧州債券リスクや米経済減速の方が余程重視され易い、ということになります。
例えば、円高で企業が工場を海外移設、という話が出ています。しかし試算するとこれはそれほど利のある行動ではありません。企業は今後数十年、国内労働者の高い賃金に見合う、高い年金負担を強いられます。しかしリストラや新規採用抑制などの労働人口減少、新興国に拠点を移した労働コスト削減で、年金積立てが減少し、企業収益から積立て不足を補う状況が生まれています。30年程度経ると年金支払いが一巡してきますが、短期的には積立不足を埋める増収が確保されなければ、国内の人件費を削って新興国へ移転することはマイナス、との指摘もできるのです。これは多くの企業が抱える問題であり、年金の運用が悪化すると、より鮮明となるはずです。

円高によるメリット、デメリットは単純に計算すると、後に大きな失敗となります。現状の円高の一因として、日系金融機関による外債投資と、そのヘッジに伴う円買いをあげる人もいます。投機筋による円買いも、株売りとのヘッジとの見方もあります。それを人為的な介入などで食い止めても、大きなマネーの流れの変化を生むことにはならないのでしょう。
今は一義的に物事を捉えすぎる傾向があります。特に経済評論家やアナリストの一部に、そういう傾向が強く、多面的な影響を考慮し切れていない、そう感じます。年金原資は企業が破綻しても、優先度の高い保全がされます。米国で一度破綻したGMの再上場が検討されていますが、実は年金運用10%以上を達成しないと、収益のほとんどは年金支払いに回り、赤字に陥る可能性も示唆されています。日本の企業がそうならないために、今何ができるかを政治が提案できなければ、賞味期限の短い材料にしかならず、市場の失望を益々強めることになる、ということになるのでしょうね。

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2010年08月26日

小沢氏が党代表選に出馬表明

民主党代表選で、ついに小沢氏が出馬表明です。友愛でも、社交性の通じない菅氏の頑なさに、決断を促したという一般の見方でほぼ間違いないのでしょう。以前と比べて資金集めに窮する今の政治家は、人事を求心力の要とします。それが脱小沢路線を貫く菅政権では、小沢派は衰退の懸念を生じてしまう。先送りできない、そんな危機意識が決断のキッカケではあったのでしょう。

各国の反応は、中国は歓迎、韓国は中立、米国は警戒、といったところ。これは小沢氏の外交姿勢を示します。国内の反応は、メディアは「政治とカネ」もあり批判的、世論もまず8割方否定的です。ということは、党員票300ptは期待できない、と見るのか?それとも政策論争に移った段階で、世論を惹き付ける秘策があるか、がカギとなってくるのでしょう。
小沢氏は霞ヶ関改革、を旗印にする可能性があります。先の参院選でみんなの党が躍進したように、官僚機構にメスを入れることは、国民の期待も高い分野です。公務員人件費2割減、浮いた予算でマニフェスト実現と、経済対策を実施する。剛腕・小沢に期待される霞ヶ関の中央突破、それをみんなの党などと部分連立を組んで達成、となればかなりインパクトが出ます。逆に見れば、これは菅政権の弱点と見られる部分であり、国民の不満が高まれば、小沢支持も集まり易いのでしょう。

更に、自民の審議拒否を大連立で凌ぐのではなく、公明、みん党、たち日、新改、などを巻き込んで、政党連合という形で回避する手も出てきます。つまり政党多数派工作であり、審議拒否をする党は排除して、小政党との多数派だけで国会審議を進める。そんな剛腕もあり得るのでしょう。
ただいずれの手法も、かなりの綱渡りです。最大は検察審査会の行方、仮に首相には特権があれど、起訴議決されれば当然政局になります。しかし逆に、首相となれば審査員の意識に、そんな議決を出せば大変なことになる、と芽生える可能性も出てくるのでしょう。これも直近の世論を誘導する、メディアの態度にも関わっており、どう転ぶかも分かりません。

民主党に分裂懸念が出るのは確実ですが、現在菅氏を担ぐ勢力も、菅氏で大同団結するのはやや抵抗があります。仮に党を割っても、小沢氏に政党連合を組まれれば、自民と組むのも力不足。また菅氏が政策論争で失敗すると、政策という錦の御旗も立て難くなります。この辺りを考えると、分裂含みにはなるものの、今後の動き次第という面も出てくるのかもしれません。
個人的には、小沢氏は出ないと見ていましたので意外感もありますが、どっちに転んでも茨の道、小沢氏が初めて政治生命を賭して身体を張った、ということになるのでしょう。ただ悪役で固定された人間が、善人になるのは相当に難しく、更に日本は善人で能力の高い人が国のトップに居て欲しい、と願う国民性です。選挙は勢いが大事であり、今は小沢氏若干有利、という見立てもありますが、国民の声を読み誤るとすぐ運営に行き詰る、そんな綱渡りであることは間違いないのでしょうね。

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2010年08月25日

雑感、民主党代表選と数字のペア

今日の産経の記事には少し驚かされました。小沢氏後援ゼネコン15社 胆沢ダム落札率95%超で談合明らか、という記事です。この時期、これだけ未確定な情報を打つのですから、よほど小沢氏を党代表にしたくないという意地の表れでしょう。小沢氏の疑惑に関する一連の報道で、圧倒的に足りないのは配役です。国交省にしろ、岩手県にしろ、小沢氏が関与するためには直接の権限がないだけに、そこの担当者などと密接に手を結ばねばなりません。但し、そうした内容は皆無であり、この構図が全く不鮮明であるため、疑惑と報じられても信憑性がないのです。
週刊誌と異なり、独自調査で記事を打つ場合、新聞社は慎重に事を運びます。ただ小沢氏関連の記事で、そうした配慮はあまり見られません。ピースを全て埋め切れないまま、疑惑の構図と報じる危険性を、新聞社があえて犯しているように見えます。逆にそうしたことが、益々一連の記事に対する信憑性を落としている、と云えるのかもしれませんね。

民主党代表選で、鳩山氏が存在感を増しています。60名ともされる鳩山グループを抱え、かつ前代表。調整役にはうってつけです。数学の世界では、友愛数なるものがあります。ある数字があり、その数字を除く約数を全て足すと、もう一つの数とペアになる。簡単なところでは220と284がそうであり、220の約数の、220以外を全て足すと284に、284の約数の、284以外を全て足すと220になります。
友愛が2つを結びつける形ですが、これが3つ以上の組み合わせになると社交数、と呼ばれます。友愛の前首相が菅派、小沢派を結び付けられるか?幹事長ポストがカギとされますが、目立たない枝野幹事長と、目立ちすぎる仙谷官房長官、という二人の処遇が調整しろとして残るのでしょう。ただ官僚の指導力不足、を最大に露呈しているのは現在、岡田外相が最も目立ちます。

元社保庁長官の渡辺氏を駐スウェーデン大使に任命しました。処分歴があり、新たに発足する年金機構理事長への就任を認めず、8ヶ月後の決定です。当然、背後には官僚間のごり押しが想定されますが、国を代表する大使という役職を、渡りのように斡旋してしまう構図に、唖然とするしかありません。大使の任命は閣議決定事項ですが、外務省人事を岡田氏は通してしまっています。
また欧州局長に小寺氏を充てましたが、元ロシア課長であり、対ロ強硬派として知られる人物。田中真紀子氏や鈴木宗男氏を追い出す際、強い影響をもったとされます。閣僚が強い権限を得るためには、人事権を最大限活用しなければ、官僚から嘗められます。いざとなれば伝家の宝刀を抜く、そう意識されるからこそ、表向きだけでも従順に振舞うのが官僚なのです。

菅氏が再選で小幅、小沢氏が代表就任ならば大幅改造が、内閣には想定できます。ただ両派の論調をとれば、小沢氏就任で11月解散、菅氏再任で予算通過後の3月解散となります。先の数字の話に繋がりますが、友愛数に似たものに婚約数というものがあります。1と自分自身を除く約数の和でペアになる組をさし、その最小は48と75の組です。代表就任後、解散までのカウントダウンを48日か、75日か、というところに置くのではなく、社交的な結びつきを考えることが大事なのでしょうね。

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2010年08月24日

経済の話。円高と株安

今日は日経平均が1年4ヶ月ぶりの9千円割れ、15年ぶりのドル/円相場で83円をつけるなど、市場が大きく動きました。昨日の菅‐白川会談が電話で済まされ、今日の野田財務相の緊急会談でも、特に対策が示されることはなく、市場が失望した形です。仙谷官房長官が、投機的な動きに警戒感を示しますが、今の相場の流れは投機筋ではなく、大元は世界経済の動向に掛かっています。
為替介入を行うとすれば、現状の世界経済の流れを見ても、数兆円は用意しなければなりません。外為特会の予備費は大体3千億、これは通常の歳出とは異なり、ドル資産を積み上げる形なので、予算措置はある程度可能でしょう。ただ外為特会は今年、円高により10兆円以上の赤字を計上するとされ、ドル資産の積み上げは難しいところ。更に副作用として、米国による為替操作国認定を行い、輸入制限を行うなど、ドル安志向の米国が先のトヨタ叩きのような、国内産業保護の姿勢を鮮明にする可能性も高くなります。内需の弱い日本は、世界から袋叩きに遭う公算が高いのです。

一般に、ドル基軸通貨体制の下でも「有事のドル」で、ドルを買う主体はもう無いと言われます。代わって有事に買われる通貨、それが円です。背景には、ユーロが南欧不安から、システム上の不備を露呈してしまったこと。米英でマクロ指標の悪化、当局による景気減速発言などが続き、弱さが意識されることがあります。そしてもう一つ、米国と各国がスワップ協定を結び、ドル供給体制を確立したことで有事に不足するドル、という恐れを回避できたことが大きいのでしょう。
即ち決済通貨として、リーマンショック後に脆弱な各銀行にドル調達懸念が起き、欧州で実際にドル供給不安が起きました。その際結ばれたスワップ協定により、ドルに対しては安定供給が約束されたことになり、有事になってもドルをストックしておく必要性が薄れた。このため、安心して売り建てられる通貨になった、それがドル安を相対的に後押ししています。

これを逆手にとれば、円高を防ぐ手も見えてきます。即ち日本も各国とスワップ協定を結ぶこと。投機筋が安心して円買いポジションを組めるのも、有事で円が不足する恐れがあるためです。円も貿易量の観点から、ストックしておきたい通貨。だからこそ、金利差があっても持ち続けられる、いざとなれば買う金融機関がいるからこそ投売りをせずに済んでいるのです。
懸念は、通貨安競争に走る米英欧が日本とスワップ協定を結ぶか?特に、直接の円供給不安は起きておらず、素直に条件を呑むとは思えません。またマネタリーベースでは確実にドル、ユーロは供給過多。仮にスワップ協定を結べても、新型オペなどによる追随姿勢は、どうしても必要な施策の一つとなるでしょう。これらをセットで、一度に行うことが求められている、とも云えます。

日経平均は9100円で買い支えを鮮明にした主体を崩そう、という先物の流れもあり、9千円割れです。ストップロスを巻き込み、買戻しも積み上がったポジションまで到達せず、年初来安値を更新しました。円高であるのに内需株が買われない、これは資金の逃避傾向の中の下げ、という形を鮮明にします。日本株のポートフォリオが減少する傾向にまず、何らかの変化が見えない限り、それこそ2番底意識で大きく下げる局面も出てくるのでしょう。安心して投資できる環境ではない、即ち「有事の円」とならないために、お金を使わず知恵を用いることが、今は必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年08月23日

公務員の隠れ人件費?

プロ野球で来季から2年間、ミズノ社製の公式球を統一して1軍の試合で使うことになりました。平均反発係数を抑え、本塁打が減るともされますが、M社製のボールはウール100%を標榜、昔からよく飛ぶとされてきました。残念なのは国産をやめて中国産とすること。そのことで1球1100円から850円に価格が抑えられるといわれますが、国産の質の高い試合球、というのが日本球界のウリだったはずです。縫い目の高いMLBの試合球より、しんなりして手に馴染む、とされてきたものがどう変わるか?来年はプロ野球の世界でも、色々と変わることが出てくるのかもしれませんね。

財務省所管の国家公務員共済組合連合会が経営するKKRホテルに、10年間で177億円の赤字補填が、国庫から拠出されていたことが明らかになりました。公務員の福祉には必要、と説明していますが、福利厚生に手厚い公務員の実態が、また一つ明らかにされた形です。先に総務省所管の地方公務員共済組合でも、同様の構図が指摘されており、ホテル所有の是非とともに、甘い経営が助長される原因が解明されなければ、存廃も含めて議論しなければいけない問題です。
総務省の調査で、08年に補助金や発注を受けた公益法人、民間企業への07〜09年度における幹部公務員の天下り実態を調べた結果、延べ17百人以上が再就職していたことが判明しました。調査は国から500万円以上の支出を受けた法人、再就職期間も3年ですが、範囲を拡大すればもう少し対象も増えそうです。当然、出身官庁に近い組織に再就職すれば、キャリアが生きるし、付き合いのある組織なら顔馴染みもいて、尚更再就職もし易くなります。しかし出身官庁に顔が利く、という利点を行使すれば天下り受け入れ先以外の参入を困難とし、そこに利害得失を生じてしまいます。

上記2件は、公務員人件費とカウントされない国庫支出です。特にKKRホテルには、国と共済組合が折半した人間ドック受診費を流用する形としており、隠れ歳出です。逆に、それほど受診費を拠出する必要があったのか?という段階から予算措置を考えねばいけません。一方で後段も、事業費として支出したものが、天下り役員の人件費に変わっていれば、それも人件費です。日本ではこうした隠れ人件費、隠れ福利厚生費、という形の優遇が目に見えない形で多く存在します。だからこそ、まずは歳出の見直しを始めなければならない、ということになります。
今は政治のニュースが民主党代表選一色ですが、国造りをどうするか?という視点の発言はあまり見られません。党員・サポーターの300ptを得るのは、公示後で良いとする意識も透けて見え、国会議員票取り込みに躍起な姿が見られます。特別会計事業仕分けも、聞き取り段階に入りましたが、足元のこうした抜本的な歳出見直しも、欠かせない課題となっています。

民主党政権は必ず浮動票に頼らなければ、選挙戦は敗北します。むしろこうした記事に敏感に反応し、国民目線を大切にすることが、求められると云えるのでしょう。現在はそれに逆行する流れも見受けられますが、行財政改革の基本である、公務員人件費という課題に取り組めなければ、誰が代表の座を射止めても、衆参の選挙戦は苦しい戦いを強いられることになるのでしょうね。

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2010年08月22日

経済の話。中国の資金の動きを考える

鴨緑江の氾濫で、中朝に被害が出ています。パキスタン、中国チベット自治州、昨年は欧州でもひどい水害がありましたが、世界各地が熱帯化したような猛暑となり、極端な気象に悩まされる。来週には湿った空気が日本にも流れ込むとされますし、洪水対策は真剣に検討することが、ある意味道路より喫緊の課題として、経済対策では必要になるのかもしれませんね。

一昨日、中国が外貨準備を多角化という話題に触れました。日本国債は1-6月に1兆7千億円の買い越し、韓国国債は7月末で3100億円保有、欧州国債にも手を伸ばしており、日本株にもチャイナファンドが5300億円、と規模を拡大しています。中国の政府系ファンド(CIC)は昨年末、海外投資ポートフォリオで811億$、運用は株式36%、現金及び現金同等物32%、債券26%、オルタナティブ資産6%となっており、運用リターンは11.7%増という好成績を収めています。
更に国外の外資系銀行に、中国内の債券運用が解禁されます。貿易決済した人民元を、直接中国内で運用させれば人民元売りを防ぐことが出来ます。これまでは国内還流を制限し、経済をコントロールすることを主眼としてきましたが、昨年末で中国の債券発行残高が16兆元(約200兆円)となり、多少の資金流入でも変動幅を抑制できる、とする思惑も含まれています。

こうした傾向は、中国が人民元の操作国認定を避ける狙いがあります。中国はインフレが3%を超え、先進国を上回る勢いで経済成長しています。これでは益々人民元は安くなり、為替を人為的に下支えする必要が生じます。現在、中国が諸外国の圧力を免れる術は、内需振興策をとること。十億人を超える人民の力でしかありません。外資系企業を中心にストを行い、所得を増やす狙いもこの内需増進です。一方で、これはインフレを招き易く、また国営企業へ波及してもらっても困る、と考えています。ストなどは現在、先進国では職業扇動家が主導する形が一般的ですが、中国でもこうした勢力が暗躍し、それは国家的な意図の下で行われているようです。
一方で、ポートフォリオを多角化し、諸外国の経済を牛耳っておけば、人民元安に陥れば運用比率を下げるぞ、と脅しをかけられます。日本株も2%以下、買収や経営に口を出すアクティブファンドというより、配当比率やキャピタルゲインを狙う純投資と見られます。しかし一気に手を引けば、昨今の市場では1日の半分の運用資金が動くことになる。それが一斉に売りに傾けば、どうなるかは語るまでもありません。日本より市場規模の小さい国では、大きな流れとなるでしょう。

中国が為替操作国に認定されることを恐れる流れは、日本にも影響していると考えています。それは政府・日銀に為替介入を促す動きに、端的に現れています。日本が為替介入をすれば、中国が為替操作することへの圧力が弱まります。現状、実効為替レートで見ても、決して円高ではないため、介入にはスジが通りません。単に企業の想定為替レートが、かなり円安設定されている、というだけでは世界も納得しないでしょう。それでも為替介入を積極的に主張する人物は、中国から何らかの影響を受けている可能性、その意図を斟酌していることは充分考えられます。
中国の動向、内陸部へと広がる不動産購入の流れは、ゴーストタウン化を生み出しており、後に虚構の経済にメスが入るはずです。何より、運用が厳しい時代を迎え、それだけの投資資金を動かすことは、とてもリスクが大きくなります。中国の手法、中国の常識が崩れたとき、先進国も大きな打撃を受けることは、この流れを見ても明白です。G8が力を失い、G20が力を得た今、もう止めようもない流れですが、中国が崩れると世界経済は、意外と脆さを露呈することになるのかもしれませんね。

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2010年08月21日

雑感。東西冷戦とスパイ戦争

民間告発ウェブサイトとして、アフガン戦争の機密情報リークしたウィキリークスの創設者が、スウェーデンで婦女暴行容疑で指名手配されました。今後もアフガン戦争関連の機密情報を公開予定とされ、米政府から圧力との憶測もあるようです。最近、こうしたスパイに関する事件や、裏で国家が暗躍すると想定される事件が相次いで起きています。
美人スパイと噂されたロシア人のアンナ・チャップマン。スパイ交換が成立し、どんな情報が流出したのか?などの詳細が調査されることなく終わっています。但しMicrosoftに勤務していたロシア人も強制送還されており、米露間の妥協にどんな思惑があるのか?推測するばかりです。

タイで旧ソ連軍将校の武器商人が08年3月に拘束されています。米国の国際手配に対し、タイ政府が1審でロシアの圧力で引渡しを拒否、2審で米国の圧力で引渡しを決めています。この人物は昨年、北朝鮮製の武器がバンコクで押収された件に関与しているといい、共産圏の武器をテロ組織に流した、と疑われているものです。こうした動きに関連し、ロシアと米国が綱引きをしている。その狭間で様々な動きが起きている、と考えるのも正しいのでしょう。
古い話ですが、1981年にイタリアでP2事件と呼ばれるものがありました。銀行を巻き込み、マネーロンダリング組織を築いた金融犯罪です。しかしその規模はヴァチカン、CIAからマフィアまで含まれたと云われ、それを反共工作に回していたとされます。イタリア政財界から、NATO高級将校までその名が上がり、当時はかなり大きな事件として、日本でも報じられています。

北朝鮮と韓国の間でも、スパイなどの話題が出ていますが、つい先日、北朝鮮は経済混乱により金正日体制に国民が不満、という記事と経済が安定化し、市場が再び活性化しているという、正反対の記事が報道されたようです。発信元の信憑性と、その記事を発信することによる思惑、という面で、今後もこうした裏に隠れた事実と、表に出される情報はよく考えねばいけないのでしょう。
ロシアの小麦禁輸、米国の小麦豊作、なども両国の立場の差を意味します。自由貿易を標榜する米国ができないことも、ロシアは物価面で如何様にも仕向けられる。一方で米国は自国防衛に関しては、形振り構わぬ態度で相手を追い詰め、そこには圧力や偽情報を流す、犯罪まがいの行動も厭いません。大国が自分の地位を守るため、内向きになるか、外向きになるか、その双方に巻き込まれると、結局日本も右往左往させられます。東西冷戦が終わっても、この争いはより暗く、陰湿な形で継続されています。こうしたことは、双方の立場が一方的に崩れない限り、当面は終わらないのかもしれませんね。

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2010年08月20日

経済の話。日銀の対策について

今日の日経平均は大きく下落しました。背景には、今週中に日銀が緊急決定会合を開き、追加金融緩和策を発表するという某紙の記事で、高まった期待の剥落という面があります。昨年末と同じ構図、菅‐白川会談の前に対策を打つ、という思惑ですが、新型オペの拡充で金利を更に引き下げ、円高に対応するという期待で今週、株式、為替市場は下支えされた面があります。
しかし流動性供給策では、低すぎる金利をこれ以上低金利に誘導することは不可能です。更に日銀は今月10日に決定会合を開き、企業業績は堅調との見方を示しており、同時に円高警戒は示しているものの、楽観的見方を続けています。それを1ヶ月ともたずに覆すことになる。当時のドル/円相場は85円台、今と特段変化率が高い訳でもなく、対策を打つにも大義がない状態です。今回はむしろ、市場関係者が某紙の先走りを促し、日銀の対策を催促した。先物には怪しげな買いも走っており、こうした一部米系の動きに右往左往した一週間、ということが云えるのかもしれません。

すでに日銀は金利誘導の術を失っています。更に、米国が中間選挙を控えてドル安容認姿勢に傾く中、これを覆して円安に導くのは並大抵の規模では済みません。ここで日銀・財務省が対策に失敗すると、今後も政策期待が起きなくなり、円高期待が進み易い状況が醸成されてしまうことになるのです。そう簡単に対策の中身を詰められるほど、現在は単純な環境ではありません。
昨今、中国がポートフォリオの多角化から日本国債、韓国国債や、南欧などに手を広げ始めています。通貨バスケット制に戻し、一時的に人民元高に誘導したものの、昨今は再び元安に戻しています。元高になれば、外貨準備として蓄えた米国債の価値が目減りするため、比率を変える間は何としても元安に導こう、という強い意志の表れです。景気減速が見え、再び刺激策を打つ必要性に迫られており、その原資を稼ぐ意味でも、外国の短期国債を買い漁る構図は当分続きそうです。

そうなると、日銀の国債買取も有効な策ではない。これ以上バランスシートを膨らませることは、日銀の信用にも関わってくるため、よほど厳しい見通しを示さない限り難しいのです。八方塞、これが2番底懸念に陥る中で、もっとも恐れる政策空白区における景気減速となります。
株式市場は夏枯れ、ともされますが、売り方を規制したため収益性が低下、市場参加者が減ったことも問題です。更に昨日、保険会社に適用する新しい会計基準の草案、が公表されました。時価会計の全面導入により、日本の生保は保有株式の削減を迫られます。最近、公的買いともされる動きが見られますが、受給は将来に向けて確実に悪化することになり、政投銀が保有する株式も当分売却できなくなるのでしょう。株式、為替、いずれも多面的に支える必要がありますが、景気対策も打てない財政事情では、効果も限定的なものにならざるを得ないのでしょう。
これまで、世界経済は新興国に悪材料があっても、先進国が支える構図で落ち着きを得ていた部分があります。今後、新興国リスクが直接世界経済を揺さぶる。パキスタン洪水や、ロシア火災など、新興国で不測の事態が起きるたびに、景気が大きく変動し、その度対策をとらねばならなくなります。そんな世界が、今後も順調に拡大すると考えるのはただの夢想であり、日銀、政府も短期の下支えに終わらない、腰の据わった景気対策を、今こそ真剣に議論すべき時に来ているのでしょうね。

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2010年08月19日

民主党代表選に向けた動きが活発化

鳩山グループが研修会を開き、そこに小沢氏が参加、俄かに民主党代表選に向けた動きが活発化してきました。研修会参加者は120名、これが顔見せ参加も含めて200に近づけば、小沢氏出馬が現実味を帯びてきます。来週には各グループの会合も多く、新人議員の研修も含めて多数派工作が熾烈です。そんな中、最大勢力の小沢派、それに次ぐ鳩山グループの動向が大きな影響をもつことは言うまでもなく、小沢氏の出馬に対する動向も含めて考えてみます。

まずメディア、官僚にとっては菅政権存続が望ましい結果です。ムダ削減を目指す事業仕分けがあっても、過去2回の経験で官僚も対策がとり易い。それより、こぞって小沢叩きに動いたものの、未だ影響力を有する小沢氏の復権は許容し難い。震え上がるほどの問題となって襲います。
実はこの小沢叩きが、小沢氏が党内で未だに影響を持ち続ける原因です。政治家が失墜する原因は主に2つ。党内工作に失敗して影響力を失うか、自身のスキャンダルです。小沢氏の『政治とカネ』は後者に当たりますが、はめられたとの主張であり、未だ結論が出ていない問題です。実際、立件された事件は矮小化され、当初語られた構図とは大きく異なり、何者かの意図的な関与を疑わせます。この点が小沢氏の主張に信憑性を与え、その権威を保たせている理由の1つです。

ただ今回、代表選に出て敗北すると、多数派工作の失敗という印象を強めます。残りの政治生命を考えても、仮に挙党一致体制の下、何らかの役職を得ても小沢離れを引き起こしかねない。小沢氏出馬は、絶対勝利が至上命題なのです。しかし小沢政権誕生となれば、検察審査会などもあって国会は荒れ模様、行き詰って年を跨ぐことなく解散・総選挙です。小沢氏は政界再編まで視野に入れた上でないと、自身が出馬することはありません。党内300名程度を抱えないと不安は尽きないでしょう。
憶測も交えれば、小沢氏本人は出馬せず、代理戦争を戦う人間が仮に敗北しても、国家戦略担当相に送り込む算段ではないか?と見ています。今後の政界は、この位置づけを巡り思惑が入ります。仮に室が局に格上げされれば、予算編成権を握る絶大な権力を与えられます。現在の荒井担当相はスキャンダルを抱え、菅グループということもあり、改造段階で真っ先に首切りです。みんなの党を巻き込み、政界再編の台風の目となり得るポジションを押さえる。そのために自身出馬をチラつかせ、影響力の行使と仮に政界再編になる際の踏み絵、として試行しているのが現在の動きと見ます。

菅氏は防衛関連の軽口で立場を失いそうです。メディアは消費税増税、反小沢の立場から菅氏支援に動きたいものの、就任当初の連れない態度から疑心暗鬼であり、悪材料にも食いつきます。前原・野田グループは先んじて支持に動いたものの、旧社民、旧社会などへの浸透力が鍵となるのでしょう。グループ内結束が弱い民主党の場合、票読みは難しいところですが、今のところ若干は菅氏有利であるものの、今後の推移次第では番狂わせも起こりうる、そんな情勢なのでしょうね。

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2010年08月18日

官房機密費に関する官僚証言

事業仕分け第3弾の主査9人が発表されました。今回は規模の大きな特別会計、埋蔵金ばかりが取り沙汰されますが、1回、2回の財源に寄与する程度のものなら、実施する意義は多くありません。仕組みを変え、経年的に垂れ流されるムダを削減できるか?それが成否を別ける鍵です。
第2回事業仕分けで、独法、公法などの仕組みを見直し、それを各省庁における事業仕分けで横並びをしたはず。今度の予算は各省庁とも、その程度の削減は可能となるはずです。むしろ検証の土台に乗ってきたのであり、削減が出来ていなければ、省庁の努力不足がハッキリしてきます。それは特別会計にも及びますから、そういう目で事業仕分けを見る必要があるのでしょう。

官房機密費関係書類を、国が全面非開示にしたことを不当とした裁判が行われ、口頭弁論の場に現役の内閣総務官が出廷し、証言しました。使途は公開できない、相手も公開されないことで協力、信頼関係が崩れる、等の証言拒絶を行っており、監督官庁にこれが正しい判断かを照会する場面までありました。証言の中では、出口が複数ある場所を選択、贈答品にも配慮、車の運転手選びも慎重に行うことなど、かなり機密保持に神経を払っていることを窺わせます。
しかし昨今、取り沙汰された政治家、メディア、評論家等への機密費を渡したかどうかについては言明を避け、曖昧にしたままです。無い、とすれば済む話を濁したことで、逆に疑惑が高まる形になっています。100%否定できない、ということはむしろ有ったことの証明なのでしょう。

外交機密費の上納や、衆院選直後の使途不明の2億5千万円の話もあり、官房機密費の闇は深まるばかりです。官房機密費が単なる政界工作、情報操作の目的であれば廃止すべきであり、使途は年限を区切っても情報公開すべきです。そうした動きが一向に出ない。また現状、この官房機密費が党内工作費として用いられる可能性もあり、公費がそうした形で流出することは、ムダ削減の観点からも食い止めねばなりません。毎月1億円のお金を領収書要らずで使える、そんな贅沢をする余裕が今の財政状況であるのか?は、民主党に説明責任が生じる問題です。
証言拒絶に対する、内閣官房の態度が注目されます。もし今回のように、法廷の場でも証言を拒否することを正当化すれば、官房機密費の情報公開は菅政権では進まない、というメッセージになります。大手メディアが無視し続ける問題ですので、大きな動きになり難い面もありますが、民主党政権における膿の抽出、という政権交代の意義には黄色信号も灯るのでしょう。

特に、この問題は国のために!という強い意志のないまま、公費が垂れ流されることが問題です。仮に使途の公開はできないが、国を良くするために用いている、と断言できない弱さが国民への不信感を与えます。内閣、与党、自分たちの立場、環境を良くするために公費が用いられるなら、これは第二の政党助成金と呼んでも良いものです。使途公開、これを原則とする以外に、この問題の透明性を増すことはできないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年08月17日

厚労省の怠慢の責任と施設売却

昨日の悪化したGDP発表以降、菅首相が景気対策の検討を指示しました。ただ現状挙がるのはエコポイント延長、中小企業資金繰り対策など、既存の景気対策の延長であり、同じ対策を続けても効果は確実に弱まります。20日頃に景気対策の検討に入る、23日には菅首相と白川日銀総裁の会合、などの口先介入と思しきイベントは並びますが、効果のほどは甚だ疑問視せざるを得ません。
今日の株式市場では、法人?年金?と見られる実物買いが入り、取引中の年初来安値を拒否して引けています。一時はまさか政府の介入?ともされたほど、この水準で市場は疑心暗鬼になっており、予断を許しません。仮にイベント通過で失望が広がると、若干弱気に傾く可能性もあります。来週にかけ、海外のマインド変化と日本政府の対応は、短期の市場形成に大きな影響を及ぼすのでしょう。

年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)が、年金や社会保険料を使い建設した施設の売却を行い、簿価6562億円、時価2001億円とされた施設合計で、2185億円になったと発表しました。建設・維持費で1兆13百億円ですから、約2割の回収です。ただ赤字経営の穴埋めに年金・社会保険料が充てられなくなった分、ムダ削減には繋がるのでしょう。但し社会保険病院、厚生年金病院は地域医療への影響から売却を凍結されており、RFOは2年間延長することが決まっています。
地域医療では特に、民間参入が困難な場合、均衡状態を崩せば大きな痛手です。新たな独法をつくり、運営を任せる法案は廃案となり、2年間で新たな運営を模索する必要があります。地域の実情、一つ一つに合わせて廃止、存続するにしても売却か、新主体に移行するのかを決しなければなりません。福祉の増進、などの曖昧な目的で作られた施設とは、判断基準を大きく変えねばなりません。

これはエコポイントも同様。本来、効果が薄れた製品から、対象を新たに拡大したいところですが、生活に密着した部分でないと、税金投入して購入支援する意図が薄れます。病院も生活に密着したものであり、税金投入が許容される一方、甘い経営方針であればムダとの批判を招きます。実はこれが独法、公益法人を含め、必要性を論じる場合に必ずもたねばいけない視点であり、それは『国民生活への寄与度』という形で表されることになります。
長妻大臣が年金機構の事務所に業務の覆面調査を実施、正しい応答が全体の2割ほどしかなく、機構が対策に追われるとされます。しかし年金機構が年金照合作業に追われ、対策が後手などの説明は言い訳に過ぎません。準備期間は充分にあり、作業の遅さとサービス、マナーの悪さが指摘されたものは、通常の民間機関であれば昼夜を徹して改善を目指さなければいけないものです。特に、年金は国民生活に密着しており、納付を義務化された半強制的なシステムだからです。

所在不明の高齢者の問題でも、紙台帳のみならず、コンピュータ上のデータさえ照合が必要となっています。不正受給の回収作業まで大量に発生、これらも今までの通常業務さえ怠慢だった部分が、露呈したことで一気に作業量が増しただけの話です。これを大臣が余計なことをして仕事を増やす、などと述べるある幹部がいる時点で、組織的な改善は年金機構に移管しても進んでいないのでしょう。厚労行政は幅広い分野です。大臣の個人的な責任に押し付けようとする官僚が現れた、それをそのまま報道してしまうメディアの記事にも、要注意なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2010年08月16日

日本の4-6月期GDPと経済政策

日本の4-6月期GDPが発表され、実質で前期比+0.1%、年率換算+0.4%と年率で2%台半ばとされた事前予想を下回りました。3月でエコポイントの変更があったことによる駆け込み需要が剥落し、内需は低迷。外需の伸びも円高と、景気対策剥落で落ち込み、全体が萎んだ印象です。
荒井経財担当相と、津村政務官が異なる見解を示し、政府対応も混沌とします。7-9月期は猛暑効果とエコカー駆け込みで、一時的には内需が回復する可能性もありますが、観光地は人手が減るなど猛暑には両面があり、一方エコカー減税が剥落する10-12月期には落ち込みが大きくなりそうです。日本を蝕む元凶は、内需を徹底的に蔑ろにしてきたことにあり、経済面で国際的な発言力を失うのも、日本国内の市場が縮小傾向にあるためです。消費税増税は更に内需を萎ませ、法人税減税は過剰設備に陥る企業に対して、今行うべき友好な策ではありません。

日本が打つべき対策を検討しました。細かい数字をつめ切れていませんが、その一つは経営者課税です。従業員100人以上の企業経営者は、従業員の平均給与の10倍を超える所得となる場合、高い税率を課す。派遣、期間工、パート、アルバイト、正規従業員と異なる労働者も含めます。海外に工場移転した場合も、完全子会社化、連結対象の場合は、現地従業員の所得も含めるものとします。
これは経営者がコストカッターとなり業績を確保。その成果として、自身の所得を高くすることを防ぐ手立てです。従業員の所得を低く抑えれば、経営者自身の所得も下げる。一方で、経営者は企業の内部留保を運用し、その収益を自身の所得に組み入れても良い、とします。但し損を出せば無限責任。給与没収以外に、個人資産を売却しても損失を穴埋めさせます。するとリスク投資は抑えられ、また情報開示で運用額を公表させれば、無茶な投資をする経営者には、市場から厳しい視線が向けられるでしょう。これは企業が内部留保を溜め、低消費社会で設備投資も抑制傾向にある中、それを吐き出させる策として、経営者による運用として仕向ける仕組みです。

更にこれは、企業経営者のマインドを転換するためのものです。業績さえ確保すれば良い、とするこれまでから、企業の信用を高める経営に移行せざるを得ない。なぜなら経営者が高い所得をえるためには、従業員の給与確保や、割当増資などで得た資金を運用するしかないためです。
高い税率を課すため、財政上も寄与。海外に生産拠点を移す傾向も回避できます。マイナス面は、日産の社長や新生銀など、欧米の経営に慣れた者にとって、経営者が高い給与を得ることは当たり前であり、課税されると分かれば海外に逃避することです。また投資、運用を主体とする経営の生保や銀行、証券やファンドなどの、経営陣の運用との線引きが難しくなります。業態ごとに仕組みを変えれば混乱を招き易く、整合性のある内容を構築する必要もあります。

ただ先に述べたように、内需を確実に広げるには人件費カットを経営陣の成果、と考える風潮は改めること。業績は企業評価の一手法であり、信用を新たな企業評価として考えられること。これらを変える企業と経営者と労働者、この三者の関係に変化が生じることが期待されます。給与水準が確保されれば、内需に寄与し、日本経済が改めて海外から見直されるでしょう。海外に本社機能があり、日本には支社があるような企業をどう扱うか?など難しい面はありますが、財政面への配慮も含め、新たな仕組みを構築していかなければ、益々GDPは悪化し、年率で中国に抜かれることが鮮明化してきます。景気対策はバラマキではなく、日本の仕組みを変えること。そういう提案が政治の世界から出来るようになれば、本来はそれが最も良いことなのですけどね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2010年08月15日

戦後と日韓関係

終戦の日、菅政権の閣僚は政務三役に至るまで靖国神社参拝を自粛しました。アジア迎合主義、信教の自由など、否定的な意見も見られますが、本質は政教分離の原則に神道参拝が合憲か?ということです。プロテスタントが作った米国のように、何事も新約聖書に手を置いて宣誓する国と違い、日本は政治と宗教は厳密に区別され、関わりを持たないよう憲法が規定しています。
これは靖国のみならず、伊勢神宮も同様であり、創価学会も同じです。政治家が特定の宗教団体と関わりをもつこと、それが違憲と判断されます。これまでは私人、公人と使い分けてきましたが、それが可能ならば、プライベートな問題に関する全ての報道は規制できます。これは原理原則論に反するからこそ、従来から問題視され、それをアジアに利用されてきたのです。寡聞にして靖国参拝肯定派が、憲法改正して政教分離を外せ、と主張するのを聞いたことがありませんが、この条項を自らの主張に沿う場合のみ外す、という都合よいことは出来ません。靖国を公益法人化しても良いのですし、憲法との不整合を縮める努力は最低限必要なことなのです。

菅談話で、韓国側で誤訳があったようです。お詫び→謝罪、渡す→返還する、と駐日韓国大使館で誤訳したまま本国に送信、韓国政府がそれを日本から渡されたもの、と発表したとのこと。いずれも1段階上の表現であり、都合よい解釈とされ、また責任転嫁する姿勢も問題視されています。
韓国では、光復節で李大統領が「謝罪した」と述べたようですが、お詫びは悪いと認めていなくてもでき、謝罪は字面通りに罪を謝る、ということです。日本が用いる「お詫び」という言葉に謝罪は含まれず、「反省」という内的要因に含まれる。この辺りの微妙な表現が、戦後賠償を認めないという日本の態度としてあり、対外的に罪を認めたわけではないことを、正しく表現し切れない部分でもあります。むしろ、こうした玉虫色の決着を図る日本と、自分たちに都合よい解釈を「誤訳」という形で国民に喧伝する韓国、という構図をこの談話でも鮮明にするのでしょう。

李大統領は「歴史を忘れず…」とも述べますが、歴史認識は両国で異なり、忘れないことに大した意味はないのです。中国や韓国とは、歴史認識を同じにする活動も始まっていますが、政治利用が鮮明になる中、歴史の前に互いに結んだ条約、共同文書に至るまで正しく理解し、双方ができる範囲を確認した上でないと進まないのでしょう。未来志向と言っても、その前段階さえ双方に誤解があるのですから、どちらかが妥協する以外にこの問題が解決する方法はありません。
菅談話を条約化し、朝鮮王朝儀軌などの返還に応じるとしていますが、その前に国会審議を経なければならず、菅政権ではこれがまず第一関門です。何のために?という説明がつかない中、与党内をまとめ切れるかさえ分かりません。更に、仙谷官房長官肝煎りで差し入れられた人道支援の強化も、何をどうする?と具体的になれば、反対派が増えるでしょう。菅政権は例え9月を乗り越えられても、党内基盤は脆弱のままと予想されており、党内配慮のない政権運営は考えられません。
今後も大戦が起きず、いつまでが戦後なのか?は人により様々な、認識上の問題だけのことです。過去を引きずったまま未来を考える、など到底不可能です。そんな中で共通認識を正しくする努力は、百年というスパンではなく、まず直近の戦後から始めなければならないのでしょうね。

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2010年08月13日

雑感。企業の話題について、など

ユーロ圏4-6月期実質GDPの速報値が前期比1.0%増となりました。ドイツが前期比2.2%増と高い伸びを示しましたが、南欧不安によるユーロ安が、輸出に強みをもつ国のGDPを押し上げた側面があります。そんな中、1%付近の高い伸びを見せたスロバキアが、ギリシャ支援資金8億ユーロの拠出を、国会で否決しました。各国は緊縮財政を進める中、ECBは国債買取などの流動性供給策を打ち出すなど、各国の事情で1枚岩でなくなり始めた欧州に残る火種は、いつ導火線に引火するか分からないまま、見た目の実質GDPだけは好調という構図。これは暫く続くのかもしれません。

iPodの発煙で電車が停止、という記事があります。iPhoneで脆弱性という記事もありますが、快進撃を続けてきたApple社製品に暗雲が垂れ込めた形です。これと同じ構図で一気に製品への懸念が膨らんだのが、昨年末から起きたトヨタ急加速の問題です。現在では、米道路交通安全局(NHTSA)が情報を隠蔽し、急加速もドライバーの単純ミスという話が出ており、トヨタ叩きは単にGM、クライスラー救済の側面をもった、米政府のミスリードというのが定説になりつつあります。
Apple社製品の場合、ネット環境を変える、など散々に持ち上げられました。低消費社会で数少ないヒット商品となりうるもの、という側面以上に、報道先行の加熱ぶりには異様さも窺えます。しかし一度悪材料が出ると、手の平を返したように悪い報道が重なる。これもiPhone受信感度の問題で、幹部が辞任しつつ責任を認めないApple社に対し、ネガティブな見方が広がった影響です。企業が弱みを見せ、叩き易くなるとそれまで好調だった企業、出る杭は打たれる、ということです。

欧米経済は、企業業績が好調であったため、不安を抱えつつ株価も堅調に推移してきました。しかしそれも国に債務を付け替えたり、支援策を受けた追い風であり、今後に不安を残すことは否めません。更に、人件費抑制などのコスト削減効果が剥落してきており、今後の伸びは期待できない状況です。在庫の積み上がりなども目立ち始めており、GDPの伸び以上に今後に不安を残します。
3Dテレビの価格下落、台湾系パソコンメーカーの変調、消費動向の変調は確実に起き始めており、いずれ業績にも現れるでしょう。これは日本も同様、4-6月期業績発表もかなり進みましたが、新興国需要を取り込んだ企業は概ね好調であるものの、一部には減速も見られます。8月SQは9188円程度でしたが、今後の市場はマクロの悪化を、ミクロがどう織り込むか?ということで右往左往する局面も訪れるでしょう。今は為替が大きなウェイトを占めますが、ミクロが崩れると存外早く下落するかもしれません。

長期金利1%割れが常態化しつつあります。これも一時的に強含む市場が、投資資金の引き上げで急変動する状況を、想定せざるを得ない環境です。出る杭は打たれるのと同様、常に右肩上がりという状況は、すでに描き難くなっています。それが国債市場で起きる前に、今は為替の急変動ばかり取り上げられますが、政府・日銀が何らかの手を打つ必要も出てくるのでしょうね。
明日はお墓参りに行きますので、一日お休みします。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(4)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2010年08月12日

円高に関する動き

進む円高に対し、菅首相が調整との話が昼過ぎに伝わり、急激な動きは緩和されました。ただ口先介入が利くのは数回程度、口だけ介入と見縊られれば売り叩きの材料を与えます。といって、為替介入には高いハードルがあります。中国を為替操作国認定するかどうか?と揺れる米国や、欧州も主要国であるドイツが輸出で潤うように、ユーロ安容認姿勢です。日本が介入などすれば、中国への圧力を高めるために、真っ先に制裁措置が課される可能性があります。内需が弱い日本は、欧米から見て魅力的でなく叩き易い、ということは意識しておく必要があるのでしょう。

しかも今回、FOMCによるドルよりユーロの動きの方が急です。113円後半から109円に、一気に4円も動きました。欧州不安の背景には、アイルランド銀行への100億ユーロの追加支援。ECBのドル資金供給を2つの銀行が受け、自力でドルを調達できない金融機関への不安、という面も重なっています。むしろこちらの方がユーロ安を招いた、との見方が正しいのでしょう。ストレステスト後の楽観が、再び悲観に巻き戻された形です。銀行間調達金利など今後上昇が懸念され、それが欧州全体の景気動向に不安を与え、ユーロ安を招くという構図はしばらく改善の見込みもありません。
米国では複数の金融機関が、4-6月期に自己売買による損失が10日以上に達した、と明らかにしています。市場が右肩上がりでなければ、トレーディングで常に利益を上げるのは、難しい環境です。米国はここ数年、金融で拡大し、個人消費を増やす好循環を保ってきましたが、それが崩れると更に消費が減速し、厳しい状態に置かれることになるのでしょう。

政府・日銀は好調な見通しを示す日本でも不安材料が出ています。現在、ハイテク関連が活況を呈してきました。テレビ買替え需要や、パソコンやモバイル端末に新製品が投入され、買い需要が出ていたからです。しかしここに一巡感が出ており、見通しが悪化しています。先に鉄鋼が減産という話題が伝わり、景気鈍化が意識されましたが、ハイテク関連まで崩れると、産業界には大きな痛手です。ITバブル崩壊時の水準を意識しつつ、金融不安がない現在の方が多少は良い環境ですが、国内製造業にとっては、円高と低消費社会の進行はダブルパンチになるかもしれません。
日本でも量的緩和、という話題は対応策として常に上がるところです。しかしほぼ無意味でしょう。確かにマネタリーベースの伸びは、欧米に比べて群を抜いて低いのが日本ですが、金融機関、企業に滞留し始めた資金は、すでに行き場を失い流浪する状況です。バブル懸念がある市場に投資したり、無駄な設備投資を行えば、過剰投資に陥り、景気低迷を長引かせるのみです。

上記の内容を踏まえ、打つべき対策を検討中ですが、長くなるので機会を改めます。ただ現在は場当たり的な対応では意味を為さない水準まで、景気不安は進んでしまっている、と云えます。楽観に傾いていた欧米。まさか最悪の事態に陥っても、神の救済を期待していたわけではないでしょうが、気付いてみれば箱舟に乗れる人間はごく僅か。アイルランドもギリシャもスペインも、ジャブジャブの資金の中で溺れ掛けています。流動性供給策とは、箱舟に乗れない人、享楽の宴に浸った人を押し流してしまう愚策である、ということは今回更にハッキリしてくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2010年08月11日

米国FOMCによる追加緩和策について

日米の中央銀行による会合が開かれ、市場が大きく動きました。日銀の政策決定会合はほぼ無策。一方FOMCでは、FRBが買い取った住宅ローン担保証券(MBS)の償還金を、国債購入に充てる決定をしています。FRBの動きは追加の金融緩和策、という指摘もありますが、端的には市場に資金供給を促す策ではなく、資金吸収による出口戦略を先延ばしして、「異例なほど不透明」とFRB議長自ら発言した現状の苦境を乗り切るための施策、ということになります。
FRBの動きは、追加の供給策では日本型デフレに陥る、とタカ派のレポートが米地区連銀総裁から出ており、一方で緩和策を求めるハト派との中庸、といった施策です。FRBのバランスシート拡大はなく、2倍近く拡大しているマネタリーベースにも変動を与えない決定と云えます。

ただ市場が動いたのは、FRBによるドル安容認の動きを感じ取ったものです。MBS購入は住宅市場支援策です。この継続は一業種に偏った施策との指摘がFRB内にあり、MBS購入枠拡大の提案はあったはずですが、国債購入による低利な貸出しを増やすことで回復の弱い住宅市場への影響は相殺する。また国債利回りを下げてドル安に誘導し、外需を取り込んで景気回復を促す。これが米国経済の方向性、国債大量発行に伴う当面の支援策が、国債購入だったということです。
これを受け、米2年債利回りが0.5%を切るなど、水準感が変わったことでドル安に拍車がかかります。FRBの景気認識から見れば、当面利上げはない。ドル売りのポジションを組み易くなり、密接な関係にある欧州にも飛び火。ストレステスト以来、安堵感の広がっていたユーロ売りに繋がり、景況感が良い円高に繋がる、という嫌な流れが出来てしまいました。一方、円高を嫌気し、株式市場は週末のSQ、来月のメジャーSQを低めにとろうとの動きで売りが嵩みました。

今日発表の中国の経済指標も一部が弱く、消費者物価指数は3.3%と3%台に乗せたことで、金融引き締めが意識されます。昨日は中国の輸入鈍化も発表されましたが、中国経済の動向を意識せざるを得ない、欧米の経済事情という側面が、改めて意識され始めています。
15年ぶりの円高、という指摘もありますが、当時と今では水準感が異なります。購買力平価などを見ても極端な円高ではないため、介入するには論拠が必要です。2、3日で3〜5円程度動けば介入の条件は成立しますが、それとて一時的な緩和であり、過剰流動性に陥った世界で、日銀の介入程度で下支えが出来る期間は、そう多くはないでしょう。といって、政策決定会合で無策を露呈した今、また景気判断は良好と見ている日銀に、追加緩和策や介入などの手は打ち難いのが現状です。つまり政治も日銀も自己保身による態度が、新たな対策を遠ざけるという効果を生んでいるのです。

現在は先進国が二流化するデフレ懸念に陥り、新興国はインフレに悩むという構図です。先進国から持ち出された資金が新興国に流れ込む、物価は先進国が新興国並に近づくのと同時に、新興国は先進国水準を目指す、その過渡期です。こうした平準化に向かいながら、資金供給が過多に陥っているため、新興国ではバブルを引き起こしています。このバブル崩壊で過渡期は終わり、世界経済は冬の時代を迎えるでしょう。それに気付きつつ、FRBは自国経済に対する自己保身的な態度から出口戦略を先送りした。いずれ世界は、そのツケを清算しなければならない段階に至るのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2010年08月10日

日韓併合100年に対する首相談話

人事院が国家公務員一般職の給与を月平均0.19%、期末・勤勉手当(ボーナス)を0.2ヶ月分引き下げる勧告を出しました。昨今の公務員批判を踏まえ、また各政党が打ち出す公務員人件費2割減、こうしたものに配慮し、小手先の調整でお茶を濁した形です。しかし本給以外の手当てや、福利厚生面で民間レベルと乖離した多大な優遇があり、特にリーマンショック以降、大きく減少した民間企業の給与水準との格差は、まだまだ大きな開きがあります。
消費税増税のように、法律を通さなければ出来ないものと異なり、人事院勧告を無視すれば公務員給与は変更が可能です。これまではそれをして来なかったのであり、強制力を伴わない勧告が、最終決定として採用されてきました。財務省発表の「国の借金」は、6月末時点で904兆円と3月末時点から21兆円の増加です。国債発行は13兆円増の734兆円、この借金を返すために、何から始めねばいけないかは自ずと知れるはずです。後は政治主導で踏み込めるかどうか?だけです。

日韓併合百年という節目に、首相談話が出ました。「痛切な反省と心からのお詫び」を盛り込み、村山談話の踏襲という形です。「これからの百年を見据えた未来志向」という文言の後に、人道的協力と朝鮮王朝儀軌を「渡す」とする内容に、戦後賠償の話が蒸し返される、という指摘もありますが、恐らくその動きはこの首相談話とは絡まないでしょう。ただ問題は、何のために「渡す」のかが、単なる親近感の演出というのでは、外交的には落第です。
北朝鮮への圧力、という側面は確かにありますが、現状の朝鮮半島は緊張が高まっています。今この時、日本から韓国に近づく必要は皆無であり、むしろ朝鮮半島で戦端を開いた場合、日本が傍観すると、立場を危うくする可能性を高くします。米韓連合で戦闘は行うとしても、日本にも後方支援。物資調達の依頼は親近感が増せば増すほど、強く出されることになるでしょう。

輜重輸卒が兵隊ならば、蜻蛉、蝶々も鳥のうち。これは昔の言葉ですが、自衛隊が輜重輸卒となれば、北朝鮮から狙い撃たれる可能性が出てくる。今この段階で、日本から韓国に親密さを求めることは、否応なく朝鮮戦争を意識せざるを得ないのです。仮に「渡す」としても見返りを得る必要があり、例えば日韓のFTA締結の際、為替操作をしている韓国ウォンとは、実効為替レートを基準にして取引するなど、幾つも引き出しは開けられるはずだったのです。
仲良くなってから交渉する、これまでも日本の外務省が描いてきて、失敗してきた外交上の構図です。時の政権が変われば、国の態度が変わっても文句が云えない。国際的な常識であり、李明博政権の長期化を見据えたとしても、ここで単なる仲良し外交で終わるなら、また大きなものを1つ失う結果となるのでしょう。それが譬え、戦時の混乱で得た品物でも、それを返す段で何らかの合意を得る材料にすることは、外交上往々にして存在することなのですから…。
しかも北朝鮮は勢いづくでしょう。むしろ今年も深刻な打撃を受けた農業、食料事情による国内の不満を、日本に振り向けてくるでしょう。戦後賠償は国際関係上、ほぼ相手に請求する権利はありません。ただ日韓は基本条約が結ばれていますが、北朝鮮と日本に、外交上の取り決めはない。北朝鮮が戦後賠償を訴えるのは、理由ないことではないのです。韓国と同じレベルを迫られた際、拉致被害者の問題も含めて折り合えるのか?日本の戦略上、重要な課題を突きつけられるのでしょうね。

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2010年08月09日

長野県知事選と世論調査

参院選後、初の地方首長選となった長野県知事選。民主推薦の阿部氏が自民支援候補に5千票の僅差で勝利しました。長野は田中康夫氏も県知事を勤めるなど、改革機運の高い土地。更に参院選での消費税ネガティブ報道が一旦止んでおり、国民に支持の高い事業仕分けなど、訴えるべき点がプラスに働いた面もあるでしょう。しかし投票率は過去最低の52.7%、これをどう見るかです。
公明の支持母体である創価学会も、自民支援候補に乗っていましたが、ここに参院選疲れが出た、これが大きいのでしょう。実際、低投票率では強い支持基盤をしっかり固めた方が有利です。自民候補は経済団体、農業団体などを手堅くまとめる戦法に出ましたが、固め切れなかったと見ています。国政と県政は違いますが、最新の世論調査でもこの傾向を準えられます。

データは朝日新聞を参考に引用しますが、どこも似たような数字です。菅政権の不支持が若干低下、この数字は消費税増税への国民の態度でも透けて見えます。参院選前は増税に懐疑的、参院選後は増税推進キャンペーンをメディアは打っています。その結果、増税賛成は35→41、反対は54→47と国民の間に容認派が増えており、これが政権へのネガティブな見方を和らげました。
またみんなの党が支持を9→7に下げており、これは週刊誌が醜聞探しに躍起となり、ネガティブ報道が増えたことで、行政改革の党としての民主への再期待に繋がった面もあるのでしょう。自民が支持を21→19に落とす一方、民主が27→31に上げた側面は、安全運転に終わった臨時国会と同様、菅政権が発足後に急落したリバウンド、という面もあります。民主党中心の政権が続いた方が良い、とする意見が34→38と上昇していますが、行政改革路線に一定の評価もあり、その分がネガティブ報道が減ったことと合わせて一先ず出た、それが長野県知事選にも影響したと見ます。

今回の世論調査、幾つかの数字にはメディアの報道に左右される世論、という傾向が強く現れています。話題にすら上がらない小政党は、支持が集まらない。特に小政党のほとんどが野党であるため、箸にも棒にも掛からない、というのが現状です。みんなの党は参院で法案提出が可能な議席を確保し、存在感を高めていますが、それ以外は次の衆院選を戦える環境でもありません。これらも、メディアを積極活用できるかどうか?ということに掛かっているのでしょう。
政権交代をしたのが良かった、と答えた人数が多いのに、民主党の政策で評価できるのは行政改革の姿勢のみ、政策の中身や政権運営の評価は高くありません。こうした数字は、国民の意識と政治との距離がまだ埋まっていない証左であり、それを媒介するメディアの報道姿勢にも問題があります。今回は、単なる反動による民主支持の回復ですが、野党である自民が一向に態度を示せない。このままでは、ますます国民の政治離れが加速しかねないのでしょう。
出る杭は打つ。特に行政改革に前向きなみんなの党潰しが出てきたのは、省庁付きの記者やその周辺が、暗に動いた結果との指摘もできます。参院選前後の報道姿勢の変化とともに、この国が政治と民意という側面を真剣に考えないと、いずれ衆愚政治に陥るか、独裁体制を築いて利権型政治に逆戻りするような、そんな場面も訪れることになるのかもしれませんね。




analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2010年08月08日

ロシア火災について

中国のチベット族自治州で、豪雨による大規模な土石流が発生し、2千人が行方不明となっていると伝わります。インド北部では鉄砲水で行方不明者600人。北朝鮮でも大雨で5500戸が破壊、15千ヘクタールが浸水するなど、アジアで被害が続出しています。一方で、ロシアは猛暑により森林火災が発生し、現在まで19万haが焼失。猛暑は小麦の生産にも深刻な被害も出ており、輸出第3位のロシアが禁輸措置をとる、ということで小麦価格が高騰。1日で利益確定売りが出たものの、穀物市場に不安定化の兆しも出ています。一方で火災による渡航制限、産業活動の停滞なども想定でき、アジア各国の大雨被害と同様に、経済面で深刻な影響を与える可能性も出てきました。

ロシア火災は更に深刻で、ニジェゴロド州サロフは閉鎖都市であり、一般人の立ち入りを制限して核開発を行う街ですが、火災により放射性物質を退避しています。またボロネジ州では原発に迫る火災に、集中的に消火活動を行い防いでいます。更にチェルノブイリ原発事故で放出され、地上に拡散していた放射性物質が、この火災で上空に巻き上げられる可能性も指摘されており、大気で拡散するためどの程度の被害が出るかは不明ですが、放射性物質をもつ国への懸念も出ています。
個人的な推測では、放射性物質が火災で拡散すると内部被爆の可能性があります。濃度は低いものの、内部被爆は経年的に影響するため、安易に安全とは云えません。チェルノブイリ周辺の地域は、事故当時も住民に危険性を説明せず、放置した歴史もあるためロシアの対応は危惧されます。今回も周辺森林に火災が及んでも、消防士に安全対策は施さず、消火活動させるのでしょう。

そしてロシアはガスパイプの多く通る国です。引火は最悪ですが、それと同時に火災がパイプラインに接近すると、ガスの供給を止める可能性があります。すると東欧や中央アジアでも、経済的な影響が出るでしょう。アイスランドの火山噴火で、空港が麻痺したように、火災の煙が拡大して空港などが混乱することも想定できます。これらはいずれも火災の継続次第ですが、モスクワ周辺で非常事態宣言を出すのは、単なるスモッグ対策のみではない、ということなのでしょう。
日本への影響は、現時点で工場閉鎖なども起きていませんが、トヨタなどロシア進出を活発化させた企業など、経済活動の低下でロシア国内の需要が低下すれば、いずれ影響も出てきます。更にロシア・東欧への投資が多い、欧州全体の経済に影響が出てくれば、再び欧州の債券市場に影響を及ぼす可能性が出てきます。ロシア一国の問題ではなく、アジアの豪雨被害も含めて、天候の影響は今後も経済の振幅を大きくする原因になりかねない、という意味で極めて深刻です。

小麦禁輸も、国内経済のインフレを懸念して、早めの対策をとったと指摘されるロシア。火災による健康被害、観光面への影響なども含め、国内経済に暗雲が垂れ込めた、という点でこの影響をもう少し慎重に見ておかなければいけないのでしょう。ロシアのプーチン体制も、活況な経済を背景に高い支持を誇ってきただけに、国民の不満を抑えることに躍起となり、国際的な孤立を深める場面も今後は出てくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 経済

2010年08月07日

日本の打つべき景気対策

内閣府が「国民生活に関する世論調査」を発表しています。政府に対する要望は「社会保障の整備」「景気対策」が多く、昨今の情勢から「財政健全化の推進」が高い伸びを示しています。先日、6月の景気動向指数速報を発表していますが、CI一致指数が前月比0.1pt上昇し、5月に14ヶ月ぶりに低下してから2ヶ月ぶりの上昇、内閣府は判断を「改善を示している」と据え置いています。政府に対する景気対策の要望、しかしこれまでも毎年景気対策を打ち、補正を組んで対応してきていますが、結果的に日本はマイナス成長に陥ったり、低成長に甘んじてきています。

景気対策には2種類あり、下落局面における下支えを目的としたもの。公共工事の拡大など、政府支出を伴う雇用創出、全般を指します。需要不足を補う目的で打たれる対策も、下支えであって浮揚効果が乏しいものです。日本が長期低迷に喘ぐのも、この段階で財政再建が必要となるのも、下支えのみの対策に終始してきたからです。景気浮揚とは、確実なプラス成長に至る道筋を作ること。実は、予算措置など講じなくとも、可能な策ということが出来るものです。
菅政権では、増税で雇用創出を謳います。増税し、その増加した予算を介護など、高齢化する社会の雇用に用いる算段です。しかし仮に成功したとしても、恐らく菅政権が続く間に、雇用増となるかは微妙なタイムラグのある政策です。しかも日本では必ず運用が公益法人か、地方行政に分担されるため、必ずしも民間の雇用増には繋がらない可能性があります。つまり国家収入の全額が介護に回るとは限らないため、失われた民需の分、プラス寄与するとは限らないことに問題があります。

今の日本に必要な景気対策、それが実は増税なき財政再建です。日本の財政が健全化すれば、日本の信頼性が増します。現状の日本国債は長期債が1%割れ、という異常な水準ですが、ここから大きな上昇は想定し難い水準、という見方もできます。日本の信用力が高まれば、投資や投機的資金が地方公債や企業にも流れ易くなり、投資マネーが拡大する方向になります。
一時的には信用の高い国の通貨として円高になりますが、逆に日本の利回りが低いことから、2000年代前半に起きたような、日本からの海外投資が高利回りを求めて活発となり、円安に誘導される局面も出るでしょう。世界経済が堅調という前提の上での話ですが、安全資産とリスク資産の配分で考えれば、安全資産は少なくリスクをとった運用が拡大。日本に流入する投資資金と、日本から流出する資金を比べれば、上記のような想定も可能となります。

経済が不透明性を強める時代、世界経済が縮小均衡までに時間がかかることも想定できます。ただ財政再建は、次の機会で日本が優位に立つためにも、今最も必要な施策であるとも云えます。それも国内経済のパイを縮小せず、現状規模を保つ形で成し遂げることが重要でしょう。増税では、一時的にしろ経済の下押し圧力が出ます。日本を救う施策、最初に必要なのは公務員人件費の削減であり、そこから捻出される財源です。財政再建が一早く達成できれば、次の浮揚のキッカケも掴み易くなる。景気対策と財政再建の二兎を追いながら、その難題に答えを見つけようと苦労するのか?優先順位を置いて、国民に説明をして予算を使うのか?景気浮揚策に真に繋がるのがどちらかは、しっかり検討して行うべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2010年08月06日

日韓併合100年の首相談話は出るのか?

広島で65回目の原爆の日を迎えました。今回、国連の播基文事務総長や、米国のルース駐日大使、英仏も臨時代理大使を迎えるなど、大きな転機を迎えています。ただ米国はプラハ演説で核廃絶を訴えたものの、未だに劣化ウラン弾を実戦配備しており、アフガンやイラクで多くの人々を被爆者にしています。米国はネバダ核実験場で、100回以上の大気圏核実験を行った国。大統領が変わっても、軍事面では硬くて貫通力があり、廃物利用も兼ねる劣化ウラン弾を使い続ける。クラスター爆弾も同様、形を変えた最悪の兵器を今でも使い続けている国です。
オバマ氏の支持率が40%そこそこまで低下し、3ヵ月後に迫る中間選挙も、民主党敗北の予想が伝わります。そんな中、7月雇用統計が13万人減と発表されました。米景気回復に暗雲が漂い始めた今、オバマ大統領には起死回生の手は少なく、軍需産業とも敵対する形になる今回の式典参列、米国内では核廃絶も大きな争点でない中、厳しい政権運営が続くことはほぼ確実視されています。

戦後の態度、という意味では日韓併合100年を迎え、政府が何らかの公式声明を出すのでは?と専ら話題になっています。現状、15日韓国の光復節に合わせる案、22日日韓併合条約調印、29日同条約発効、の3日の内のどれかで談話、メッセージ等の形式出の発表が検討されているようです。
しかし菅政権がこれに失敗すると、確実に内閣総辞職です。仙谷官房長官が取りまとめの中心とされますが、これまでも在日韓国人の権利保護に努めた弁護士らしい、配慮を示す言動を見せており、内容が不安視されます。しかし先にも記したように、ここで村山談話を超える遜った態度を見せれば、代表選では小沢派と保守系が合同し、菅政権を引き摺り下ろすことになるでしょう。

1965年の日韓基本条約において、戦後賠償はキューバ危機を迎えた米国が調停役となり、金額面で合意を見ており、追加の賠償など国家間の問題としては一切必要がないものです。一方、民事も同様であり、これは賠償金を民間補償に用いず、国家の景気対策として使用した韓国側の問題であり、全て韓国政府に請求すべきもの、ということになっています。
しかし未だに韓国政府は態度を曖昧にし、賠償を日本政府に求めようとする国内の動きを抑え切れません。こういう動きが出ること自体、韓国政府の脆弱性や、統治能力の問題であり、日本側があえて配慮する必要などないのです。そのことを踏まえず、更に踏み込めば戦後賠償の動きを勢いづけるのみであり、日本政府が更に困難な道に至ります。そのことを政治家の信念、というだけで片付けられるはずもなく、普天間以上の問題となって党内を覆うでしょう。
全ては行動に合理的な説明がつくか、です。日韓基本条約締結以降、両国の問題はこの条約を踏まえた形でなければならず、それが嫌だと云うなら、改めて条約を結ぶ努力から始めねばなりません。つまりこれが国家間の取り決めで言えば、最上位の強いものである以上、そこから逸脱した形の談話やメッセージは、政治的に相手を喜ばす手法であると同時に、自らの首を絞めることになります。今回、久しぶりにサポーター参加で行われる代表選、下手に一部勢力に阿る態度を見せれば、大きな流れが起きる予感もある、そうしたものでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2010年08月05日

雑感、児童虐待に対する国の姿勢

参院予算委が終わり、菅政権初の国会論戦は終了しました。菅氏は上々、一方あれだけ予算委開催を迫った野党は収穫なく終わり、といった感じです。元々この臨時国会は参議院の人事案件を処理するためのもの。菅政権の国家ビジョンや与党の問題を問い質す形が主ですが、問題に新鮮味がなく、また首相演説もないためビジョンも不鮮明という責め難さがあります。菅氏としては一先ず安全運転で9月の代表選に弾みをつけた、という意味では価値があったのでしょう。失言や言質をとられるようなマイナス作用は回避できた、それが収穫と考えるはずです。

経済の側面で捉えると、子ども手当てにより塾が活況、という話題があります。これは13000円に対し、増額?満額?保育所増設など別目的にするか?という報道が多いことも影響しています。子供たち向けに手当てがあると知れ、夏期講習や塾へ通うことを親にお願いし易い。ゆとり教育の見直しで今後厳しくなる授業もあり、教育にお金をかける家庭が増えた、というプラス効果です。
子ども手当ては、未だに経済対策の面で批評する記事も見かけますが、これは少子化対策や教育の充実が進んだか、で評価すべきもの。現行の13千円を基本線に、毎年余剰資金があれば千円増額、減額などとすれば、予算審議の際に話題に上り、世間の耳目に晒されます。そうすることで、子供たちに周知徹底できれば、更に子供向けの支出に振り向けることが可能。一方で、予算削減の恩恵を子供たちが甘受できる、目に見える形で政治家の価値を知ることになります。

更に、子ども手当てを満額としないなら、最近頻発する児童虐待などに予算を振り向けても良いかもしれません。上半期の児童虐待の摘発件数が181件、潜在的には増加傾向と云いますし、周辺住民の監視による通報などが増えた、とも云われますが、踏み込み不足で重大な事案に至ったケースが最近、幾つか起きています。例えば、動物園でも育児放棄などで、飼育員に養育される動物が増えています。ただ元を辿ると育児放棄をする親が、その被害者であった場合も多く、世代間継承されるケースも目立つと云います。これは現代の若者の問題ではなく、子育てに対して継続されてきた問題が、現代では悲惨な事件まで発展しているとも指摘できるのです。
少子化の時代、一人当たりの労働生産性を高めねば、高齢世帯が働き続けるか、若年労働層を拡大しなければ、経済のパイは確実に縮みます。情操教育も含め、教育に対する支出が増えることと同様、子供たちが社会人になるまで、きちんと国を含めて対応する施策も重要です。

婚活の話題も多いですが、最近の選択肢の一つに、男女問わず相手の家庭が幸福であること、が上げられるそうです。つまり幸せに育てられたので問題を起こさないだろう、という発想のようですが、これが行き過ぎれば育った環境が結婚など、その後の人生にまで影響する、という形になりかねません。親を再教育する、と考えるのも1つの手ですが、社会が子どもたちをしっかり守る、という形になることで日本の将来を支える、という発想も必要となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2010年08月04日

円高と、長期金利の1%割れ

円高が止まりません。売買の観点から見ると、夏休み前に投機筋の円買いが止み、手仕舞い売りで7月は少し戻しましたが、FXのレバレッジ規制が導入。日本の個人投資家は円売りが多かったものの、取引量が激減。そのためもう一段の円買いが出て、85円台に突入した形となっています。
投機筋が円買いを入れる理由、そこにあるのが米経済の失速です。デフレ経済では、設備投資も製造ラインを作って雇用を増やす方向ではなく、固定費を削減し、安価な商品を提供するように動きます。工場の海外移転や外国企業の買収など、企業は豊富なキャッシュをそうした方面で用い、国内経済に還流しない。これがジャパナイゼーションとされる日本型デフレです。米国は現在、間違いなくこの方向に進んでおり、更なる流動性供給策が囁かれることも、ドル売りに傾き易くさせています。ただ実際、金融緩和にしろ効果は限定的となる公算が高まっています。

欧米、新興国まで陥る流動性供給策。日銀が乗り遅れたため円の価値は上昇、更にそうした日銀の態度から、益々円買いを入れ易い傾向も指摘できます。ただボリュームが拡大しているため、これが80円を切るまで、買い進まれるということは、現状想定できません。ただ利益確定を出しながら、一段の上昇を目指す手口はヘッジファンドの常套であり、欧米で新たな材料が出ないとも限らない中、注意が必要であることは言うまでもありません。
一方で、過剰流動性の負の側面は、日本の長期国債1%割れにも見られます。自己資本比率の見直しにより、安全資産を逃避先として、資金が流入しています。つまりリスク資産を保有する際、自己資本比率を保つため、国債を組み入れて賄っている構図です。金融機関にとってこうした取引はコスト増、しかしそれを可能とさせるもの。それが過剰流動性で、大量に溢れた現金なのです。

しかもドル安を見ての資源高。これは基軸通貨が揺らぐことにより起こります。米株市場もドル連動性を強めており、ドル安で上昇という形を指向し易くさせる。昨今は個別の材料で動く為替と、それに連動する市場という眼で透かして見れば、多くの動きが説明できてしまいます。現状の日本の株式市場が弱めに見えても、円ではなくドル、ユーロなら強い市場との見方ができるのです。
為替で仕掛けて、市場を動かす試みも出ているようです。当然、市場は連動するものですが、為替依存度が強すぎる、これも実体経済の弱さから来るものです。それでいて資金は溢れている。今は最も危険が高い時期とも云えます。ここでリスクをとった運用をし、失敗すれば金融機関の経営基盤を危うくさせる。そうした原因もまた、国債買い入れが増加する理由となっています。

各国の国債も、歴史的な低水準にあり、すでに貸出しには回り難くなっています。経済が低成長で、倒産リスクがあり、低金利での貸付となる企業へは、資金が流れないことが経済全体のパイをさらに縮めます。こうした様々な要因の中、経済がダウンサイドリスクに晒される。この構造にメスを入れる手法を新たに構築する必要性が、経済政策には求められるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2010年08月03日

衆院予算委について

国会で衆院予算委員会が開かれていますが、その中で議員定数削減に関し「唐突」という表現が目立っています。穿った見方をすれば、この説明の中にある「自分たちが身を削る」という提案に官僚が危機意識を抱き、裏から手を回したとも考えられます。即ち、身を削る対象に公務員人件費や、高コスト体質にメスを入れられてはたまらない、というわけです。議員定数削減は、与野党を超えて国会が範を示すべき内容であり、誰が得をするものでもありませんし、各党がマニフェストに盛り込んだもの。むしろ後ろ向きならネガティブに受け止められる、という話です。提案を齟齬にするようバイアスをかけた報道には、気をつけた方がよいのでしょう。

2日の間で今日は「イラ菅ぶち切れ」という見出しが目立ちます。映像を見てもこの程度で?という内容ですが、これは印象操作の部分もあります。小泉元首相は含み笑いを浮かべ、飄々と国会論戦を乗り切りました。一部ぶち切れても、そうした報道はほとんどありませんでした。
しかし菅氏はキレる場面を探されている。この程度なら、歴代首相でもっとキレた人はいますが、本人がキレようが、キレまいが、「キレる」というキーワードで報道される。これも個性であり、菅氏に足りないのはウィットやユーモアという部分です。弁舌の冴えも頭の「キレ」と表現されますが、正論をぶつけ合うのみでは記事にならず、印象的な言葉も出て来ない安全運転ですから、この程度でも「キレる」として記事にされてしまう、ということになります。

一方で、公明が提案した追加経済対策に、菅氏は前向きな姿勢を示しています。現状の政府、日銀判断は上向き、やや不透明感といったところですので、景気が予想以上に落ち込まない限り、今年は1次補正で終わりそうです。しかもこれは延長策、別の言い方をすれば延命策であり、景気浮揚効果というより下支えが主な内容です。つまり消費、雇用、中小支援策にしても持続的であり、目に見える効果は望めない。現状維持は経済にとってプラスに受け止められない、政権にとってのプラスは何もないことになります。
日を改めますが、為替は1$85円台に突入、最近の異常気象で小麦価格は高騰、原油もWTIの価格が80$台乗せ、などの金融バブル下における、景気拡大の最終局面のような症状も出てきています。景気が再び下落局面に入る、と想定するなら下支え策を検討する意義もありますが、拡大期と捉えているはずの、政府・日銀の態度とは明らかにギャップのある対策です。最小不幸社会、という目的には合致するでしょうが、最大の効果を得る景気対策をもう少し詰める必要もあるのでしょう。

所得税の最高税率の引き上げも、共産党に同調する姿勢を示しています。これも富裕層を拡大し、その消費意欲で景気拡大を目指す、とした小泉‐竹中路線の見直しである点を踏まえないと、単なる増税路線と受け止められます。政策、対策には必ずそれに至った理由と、効果を合わせて述べる必要が出てきます。正論ばかりでなく、国民が笑いながら同意し、心を明るくできるような人を説得する術を得ることが、菅政権には今後求められていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年08月02日

雑感、報道の仕方と年金機構

日テレ記者が、埼玉県秩父市山中で遭難した事件。県警からの墜落事故現場の取材自粛要請があったにも関わらず、地上からの映像が撮りたいとの理由で入山させたことと同様、当初の装備は充分との発表は、山岳ガイドから否定されています。この事件で感じること、それはテレビ局も民間の1私企業であり、自社の責任回避のため嘘をつくことは大いに有り得る、ということです。
報道機関はまるで各社が一連托生、他社との競争は先陣争いや、特ダネ競争のみ。相互批判により、他社を蹴落とす報道はほとんど聞かれません。今回も1社の暴走と見通しの甘さが招いたことであり、他社は「自戒」と述べるばかりでなく、正当な批評を加えるべきものです。
放送法に守られ、新聞・ラジオ・テレビとの間は業務ばかりでなく、資本提携まで結んでおり、相互に自浄能力を働かすことはありません。むしろ馴れ合いで、都合の悪い情報は隠す傾向すら、見え隠れしています。官房機密費の説明責任の回避と同様、これは法的に買収・提携などが規制された業種であるからこそ、自浄作用を働かせるよう資本提携を解消させる必要があります。批判を封殺した組織は腐敗する、という傾向に今のメディアは陥っていることに、早く気付かせるべきなのでしょうね。

同じことが日本年金機構でも云えます。評価部会で昨年度実績を自己評価する際、48項目中41項目を高評価したことに、委員が甘い査定と指摘しています。東京で確認された2件の高齢老人の不在、1件は年金受給はないようですが、高齢者世帯への定期面会などを必要に応じてすべきでしょう。年金は請求案件とし、社保庁時代から受身の姿勢でしたが、例えば80、90など節目で記念品を手渡しする。本人確認ができない場合、受給を停止する措置なども考慮するべきです。
年金記録の復元の際、散々に不正受給、詐欺的行為が論じられましたが、本人確認もせず受給することも、詐欺を助長させる一因です。役所との連携も含め、日本年金機構に与えられた課題は多く、自己満足のような評価をしていては、自浄作用が働かない組織となってしまいます。

日本人の本質でもある批判的精神、これは個人レベルでは達成可能でも、組織レベルになると主客が逆転する傾向があります。主君に仕える、という文化的風土が上意下達の指示・命令を受容し易くさせる。その結果、相互に批判する精神を排除し、組織に従順な人間を求める傾向を強めてしまいます。これは昨今の就職事情から、コンプライアンスが欠如した企業にも見られる内容であり、日本を蝕む癌ともなりうる病巣だと言えるのかもしれません。
メディアは政治の世論調査を頻繁に、更に各社でほぼ横並び実施です。そんなムダをする予算があるなら、一体で実施してサンプリング数を増やし、制度を高める。そんな工夫も必要でしょう。日本年金機構も、利用者に評価をつけてもらい、それを業務改善に繋げる工夫が必要です。機構として、また放送法で守られた組織として、通常の民間組織より保守的に陥り易いだけに、外部の意見を如何に取り入れるか。逆にそうでなければ、今後見限られる場面が増えてくることになりかねません。自浄作用が働かなければ、外部から手を突っ込んで大改造するしかない。今はそれを期待する声の方が、大きくなりつつあるのが現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2010年08月01日

雑感。明日から衆院予算委

明日から衆院予算委が始まります。その前に、幾つか与野党討論番組を見て、気になったことがあります。それは自民党のやりたいことが見えない、ということです。大抵の議題で野党の一番手として語る役目もあり、与党批判を展開するという形になるのは致し方ないとしても、それで終わりです。例えばみんなの党は、国家戦略室への合意を示すなど、国政における自らがやりたいことを主張する機会を得ています。しかし対決姿勢を鮮明にし、合意形成という形を描ききれない自民は、常に批判をして終わり、それ以上の内容が出てきません。
政治とカネの問題は既に古臭く、法相の問題も自民党政権時代の常識と民主党政権の手法、という比較は意味がありません。民意として否定された政治家が、法相であるという追及が、どの程度影響するかです。責め所は荒井国家戦略相の事務所費問題ですが、この程度では無難に通過しそうです。景気や雇用が日本における最大の問題、と世論調査の結果が示すように、そうした方面の課題で議論が深まらなければ、論戦という形にはならないのでしょう。

国家戦略室の問題で、みんなの党が調整次第で賛意を示したように、民主党が当初想定した反対ばかりでない、という形で推移しそうです。一方、野党第一党である自民党も、野党共闘を組む力の露呈不足を見せています。つまり小政党は各論で与党と合意し、政策実現力を見せて存在感を示したい。しかし政権与党を狙う自民は、全面的に対決姿勢を見せることで存在感を示そうとしています。その結果、政権批判で共闘を組めなくなる可能性が高まっています。
産経の記事で「総括という名の集団リンチ…」というものがありました。安倍政権以降、党内で党首を引き摺り下ろして溜飲を下げる傾向を指摘したものです。ただそれを促すのはメディアの報道にある、という点が指摘されていません。昨今、日銀のゼロ金利解除時や、日米外交の過去の交渉内容、などが情報開示などで明らかになっていますが、その中で責任者が批判を受けても最後までやり抜く覚悟が見られます。結果や内容に批判や問題はありますが、メディアの批判が世論を形成する一つのキッカケとなり、それを意識する政治家が国益ではなく、世論に後押しされて政権批判を強める傾向が、特に強まっているのが近年の流れです。

十年後の国益を見据えた政治の動きが、短期の批判で潰される。それは支持率という形で、直近の民意として政権批判の一つの手駒のように、世論調査が使われる現実です。米国からも、政権がクルクル変わる日本の現状を危惧され始めたように、これは制度的、社会的な風土として、批判的精神が強いことが影響する一方、公平を唱えるメディアの動向にも感化されているのです。
メディアが政権批判をするのは当然ですが、米国のように旗幟を鮮明にし、批判記事を展開すべきなのでしょう。つまり公平を謳いながら、何に依拠するのかが分かり難い。メディアは社会正義と訴えるでしょうが、今やそれを信じる国民はいません。一方で、記事の内容には左右される。それは情報発信者として、メディアの価値を認める国民が多いことも影響しています。国会論戦が低調に終わらないためにも、与野党や各メディアが、国民に範を示せる態度を見せることが肝要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般