2010年09月

2010年09月30日

衆院予算委の集中審議

衆院予算委が開かれ、尖閣問題の集中審議が行われました。それと合わせるようにフジタ社員3人が解放されましたが、国慶節前で国民も1週間は大人しい。1人残したのは、国内と国際世論との間で、最善のタイミングでカードを切るのを待つ、外交上の綱引きに利用するつもりです。
更に、日本で前原外相が過去の中国紙で、尖閣諸島の領有を日本と認めていた記述を公開。こうしたものが五月雨式に出ると、日本に訪問、もしくは永住中国人から情報が中国国内に入ってくる。国際世論も中国に批判的で、レアアース禁輸などは貿易問題に発展し、WTO違反にとられれば中国の他の産品も制裁を受ける。様々な理由で中国は譲歩の方向に一旦舵を切っています。

しかも中国は良い教訓を得た。それは仙谷官房長官が、自身の見通しの甘さを述べた記者会見で、やたらと尊敬語を連発したことです。国同士の関係は対等、そんな原則さえ忘れ、宗主国を仰ぐような態度を見て、この政権は使えると判断した。問題を長期化させ、政権を追い詰めるより存続させた方がいい。前原外相がネックでも、この官房長官がいれば中国は安心できます。
一方で今日の審議で特徴的な答弁は「検察は日中関係も勘案できる。判断は適切」と「刑事捜査への政治介入は一切ない」です。しかしこの両言動に、残念ながら整合性はありません。検察が外交上の判断をすることと、それをノーチェックで通すこととは意味が異なります。では検察庁が外交上、不都合な判断をしようとしてもノーチェックか?となれば重みが代わってきます。

しかも細野前幹事長代理が訪中の際、政権は関知していないと発言します。一方で民主党は中国とのパイプがない、として仙谷氏が人選を進めた経緯も伝わるので、親書を携行したかは別として、ノドから手が出るほどの人脈に、政権がすがらないはずがありません。この二つの動きから、菅政権は責任論が及ぶのを殊更に恐れ、関係各所に対応を丸投げする傾向をもつことが分かります。
これは負の側面を有します。一つは、政権に臣従する人間以外の協力を得難くなること。影で努力した結果は、政権の功績にしかならない。一方で失敗すれば尻尾きりに遭う。どちらにしろ、政権に協力するのはリスキーと意識されます。今後、重要案件で菅政権は部下の背信、または非協力姿勢に困惑することになるのでしょう。これは閣僚でも同様なのかもしれません。

政権基盤が脆弱なことを意識し、変動要因を除こうとする姿勢。それが菅政権の特徴であり、弱点でもあって、無責任に見えるところでしょう。ただ後から菅氏が「中国に問題」と述べたとて、釈放を例にひけば日本は超法規的措置、中国は法に則って処分、という結果であり、対応に問題があった側がどちらかは、自ずと明らかです。政権の実相を明らかにせず、政権運営を進める形は旧共産圏に多かった手法です。なぜ自ら全面に立ち、リーダーシップを見せないのか?その内、それが政権の大きな問題として、糾弾されていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2010年09月29日

経済の話。日銀短観と市場動向

9月の日銀短観が発表されました。業況判断指数(DI)の現状はいずれも改善、将来は不安、という形が鮮明ですので、分かり易くするために6→9→12月と並べてみます。大企業製造業1→8→-1、非製造業-5→2→-2、中小企業製造業-18→-14→-22、非製造業-26→-21→-29となります。9月に改善傾向を示した後、3ヶ月後には景気が悪くなる、そう判断している企業経営者が多いことを、このDIは示しています。特に大企業製造業の落ち込みが激しいですが、エコカー減税の切れる自動車業界が、現況32から先行き-6を見込むなど、景気対策の息切れを見ることができます。
また企業の想定為替レートが1$=89.66円。83円台に突入している現状の為替、仮に介入があっても、85円を大きく上回らないところであり、これらも厳しさを増す原因です。しかも回復を見せ始めた中小企業が製造業、非製造業とも大きな悪化となり、日本全体に暗雲も漂います。

市場動向から、企業の戦略と今後の流れが見えてきます。マクロ指標が悪化しても、日米とも株価は不思議な堅調です。支えているのは市場に流入する企業買収資金と、自社株買いです。四半期末を迎えると、買収報道が増えるのは連結に組み込んで業績アップを狙うため。特にリーマンショックから2年、昨年から見ると業績の伸びも鈍化する時期であり、規模の拡大で乗り切りたい。
一方で自社株買いも、企業のEPS(一株利益)を押し上げる要因であり、内部留保の運用に困った企業が、株価上昇を促せます。つまりミクロはしばらく堅調、という演出がここにあります。しかし企業のこうした資金の使い方は、マクロ的な景気浮揚を促しません。雇用も賃金も上昇しない、米国では不動産は再び値上がりする、という論調も多いですが、それも難しいことを意味します。

FRB、日銀の金融緩和期待が強いのも、まさに金融相場の特徴ですが、例えば日本市場の昨今の動きは、為替介入期待で前場に買いを溜めても、期待剥落という形で弱含むことが多くあります。当局に依存しながら、当局の望む形で景気回復はしない、これが現状の最大の問題点です。
経済指標は全体を示す指標をマクロ、企業の指標をミクロとしますが、実はマクロ指標は個人の動向に依拠する部分が多く、生き残りをかける企業と、恩恵を受けられない個人。そういう形が市場動向からも分かるのです。また景気対策や金融緩和が利きにくいのも、企業に吸い上げられた資金が、個人にまで回らない傾向が、益々強まっているためでもあります。不動産、株などで一部に還元されるものの、その効果は極めて限定的と呼べるものです。

民間企業の従業員の平均報酬が405万9千円、前年より23万円強の減少です。リーマン後の春闘を経て、企業が大幅に引き下げた影響ですが、日銀短観で経営者マインドの低下が窺えるので、来年も賃金上昇は低く抑えられます。金融相場の悪い癖、ミクロ指標の良好さに惑わされ、上昇を志向しているといずれマクロ指標悪化の大波が、市場全体を襲うことになるのでしょう。
市場全体が上昇する間は、好循環を生んで堅調に推移します。一方で逆の循環が始まると、資金が蒸発することとなり、当局がばら撒いた資金で、後に残るのは国の負債だけという形になりかねません。来月の4-5日に、日銀会合で金融緩和が準備される、との見方が大半ですが、景気対策にしろ水漏れを防いで打たないと、ただ規模を誇るだけのものなら、後で非常に深刻な影響を生じます。これまでの景気対策と異なり、制度全体を考え直す対策が、今は求められるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年09月28日

中ロによる共同声明

北朝鮮で、朝鮮労働党代表者会が開かれました。ただ会期や内容は不明、公式に盛大な大会を開くのであれば、金正日総書記の映像が流されるはずですが、それもなしです。事前に、金家の三男ジョンウン氏の軍大将への就任という話が聞かれますが、後継候補となり、これから研鑽を積む形は知れるものの、それ以上の内容が伝わってこない状況です。一党独裁、それが世襲三代目を後継リーダーとするのですから、かなり歪な国家ですが、逆に独裁者だけに何を仕出かすか?により、東アジアは緊張状態に陥る可能性もあります。未知数、というのが最も不安です。

ロシアのメドベージェフ大統領が中国を訪れ、胡錦濤国家主席と会談、共同声明を発表しています。中ロは同じ共産圏でも路線は別、境界を接し、領土問題を抱えていただけに敵対に近い関係だった、という歴史を持ちます。しかし04年にアムール川中洲の島を等分にする形で解決、08年には国境策定に至っています。中国も北方にあった軍事力を、南方に移す形で両国の緊張が緩和した流れが、今回の共同声明に至った形となります。ロシアはソビエト崩壊以降、等分分割という形で領土問題を解決する流れにあり、北方4島の2島返還論なども、この流れにあったのかもしれません。
戦略的パートナーの全面的深化を謳い、第2次大戦65周年などを絡め、戦勝により勝ち得た領土という形を、両国で確認しています。合わせて原発の技術協力、中国向けガス供給の拡大、金融機関の協力など、自由主義経済に乗り出した両国の利害が一致、協力関係を築くことは、最早生き残り戦略には必須の事項である、ということを深化の一字に籠め、両国の親密ぶりを示しています。

BRICsの一角とされながら、資源国の側面が強すぎ、リーマンショックで痛手を被ったロシア。リーマンショック以後、通貨供給量を拡大して国内投資により乗り切った中国。両者の対応、国情は著しく異なります。安定的な資源確保を求める中国は、ロシアで銀行間市場で人民元/ルーブル取引を開始し、人民元の取引量を増やしたい。ロシアは中国の経済発展と、ガス供給で利を得る。大統領が企業経営者を連れて行く、という昨今主流の商業外交の一環ですが、ロシアの場合、民営でスタートした企業の国営化を進めてきたので、外交使節団としても迫力が違います。商業外交が最も機能し易い両国が、ここにきて手を結んだのです。
菅首相が国連で、日本の常任理事国入りを訴えました。ただ外交上失敗とされ、多くの国から酷評された中ですから、それも困難です。更に常任理事国である中ロが組み、領土問題を主張すれば当面、日本の常任理事国入りはありません。今、訴えるべき提案ではないのでしょう。

中国はノーベル賞選考にまで口出ししています。従来から同様ですが、今は国力もついたため、中国のイチャモン外交は、過去に比べてより深刻に世界は捉え始めています。米国に危機感が出てきて、日本擁護の論調も増えますが、その前に日本として、何ができるかという戦略を十分に練らねばなりません。中ロの親密さは、長期的に見て日本外交の転換を迫ります。国家の後ろ盾を得た企業を引き連れての商業外交、日本外交もやっと対応を始めましたが、まだ遅いといわざるを得ません。
カリフォルニア州の鉄道計画、シュワルツェネッガー知事が来日しましたが、彼の本音は三セグ形式で、資本出資もしてくれる企業、団体だとの意向も耳にします。日本はただモノを売るだけでない、トータル外交を展開する以外、両国の動きに対抗するのは難しい、そういうことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | ロシア

2010年09月27日

経済の話。中国への経済対抗策

消費者金融大手の武富士が、会社更生法の適用を申請との報道がありました。会社側は否定、今日の申請は見送られましたが、監理銘柄に指定された上、こうした報道が出ると融資が停止するので申請は避けられません。深刻なのは少し前、外資系証券から消費者金融の業績底打ちリポートが出され、上昇が見込まれていた業種に不透明感が出たこと。改正貸金業法などの影響が出ていますが、かつて貸出しを拡大した企業ほど過払い金の返還請求が増える、というジレンマを抱えて、業種としては未だに底這いであり、新規制に対応した一部しか脱し切れていないということです。

お金の話を少し。9月半期末まで、後1回、2回は為替介入があるのでは?との見方も広がりますが、そんな中、米下院歳入委員会で為替操作に対する圧力をかける、対中法案を承認しています。しかし中国はマネーサプライを拡大、人民元安に誘導しています。ここから先に見えるのは、米国が望む形の人民元高ではなく、暴落シナリオではないか?という未来像です。
現在、人民元高期待が中国への資金流入を招き、マネーサプライと重なって中国経済は好調です。逆に、人民元安不安に陥ると売りが一気に膨らみ、人民元建ての取引も手控えられます。元々、人民元安誘導政策をとってきた中国が、この動きを牽制したければ、資金を吸収する必要があり、それが更に経済を弱めます。今の良好な循環が一気に逆回転になる、そんな引き金が準備されていると見ます。米国は、自国の利のみを考え、人民元高圧力をかけますが、実は逆の動きが導かれるときが、真の危機に繋がるのかもしれません。格付け機関ムーディーズが中国4大銀行に対する見通しを1段階引き下げましたが、ネガティブ報道が続いたときが、懸念として浮上します。

日中間の貨物が、税関の検査厳格化を受け、遅れを生じています。これはトヨタのカンバン方式を、中国では全否定されたことを意味します。一般産業にも在庫を減らして、モノ作りを効率的に進める手法として広まりましたが、政局リスクで物品輸送を滞らせるような国でモノ作りをする場合、生産計画と在庫管理は、他の国と異なる体制を布く必要があります。インフレが進む中国は、人件費高騰も進み易いことから、今後10年の世界の工場足り得ないことをこの事例は示します。
2010年上半期の日中間の貿易総額は1400億$弱、これらも円高が進む中、輸出産業は円建て取引を嫌う傾向もありますが、人為的に操作された人民元は、非常に危険な通貨との認識が広がれば、異なる動きも出てきます。日本は財務省、日銀出身の経済アナリスト、評論家が多い半面、政治利用としてのプロパガンダは、あまり上手でない側面をもちます。財界の言いなり、消費税増税、法人税減税を無条件で訴える姿勢にも顕著ですが、利益誘導型としては財界主導とも言える体質です。

しかし中国経済に関して、何が危険かをもっと訴えるプロパガンダとして、経済アナリスト等を利用するのも一つの手です。それが正論なら、相手に反論を許しません。現状、中国経済にすがる財界からの反発もありそうですが、人民元などの歪んだ評価は、今後更なる世界経済の変動要因として意識されることでしょう。資源問題でこじれた豪州も、中国の軟化までかなりの時間を要し、中国に対する警戒感が強まっている。政治的に強気な中国と、どう対抗するかは多角的に検討しないと、正面切っての船長釈放などでは、何の解決もしないと知るべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2010年09月26日

検察と政局

中国船長釈放に関し、中国政府が謝罪と賠償を請求する意向を見せ、日本政府は応じない意向です。ただ日本政府が那覇地検の判断としていることで、野党からは地検の次席検事を証人喚問請求する話が出ています。一部では、大阪地検のFD改竄事件の影響で、検察幹部が政治の圧力を受け入れ易い状況でもあり、政治介入を明らかにするためにも、この要求は受けざるを得なくなるでしょう。つまり那覇地検側の証人喚問が、新たな政治カードとして機能することになります。

しかし一方で消えつつあるカードがあります。政治とカネです。最初の西松偽装献金事件で、小沢氏の秘書に供述をとったのが、この前田主任検事です。検事の調書の取り方が今回のFD改竄事件で明らかにされ、信憑性を失っているため、この事件は物証がないため無罪推定が可能です。
以前指摘したように、検察は『関係者』を用いて新聞社に、スジ読み通りの報道をさせる。世論を煽って検察が正義、被疑者が悪と喧伝し、裁判を有利にしようとした形跡があります。またスジ読み通りに供述調書をとる人物が出世、保釈をちらつかせて供述調書にサインさせる、こうした報道が繰り返されることにより、裁判所も供述調書の証拠採用は今後しばらく有りません。また政治家も、これまで検察の立てる筋書き通りの証言を求め、証人喚問を求めてきましたが、それも出来なくなる形が濃厚です。背後に4億円の出元不明の資金がある、とした検察のスジ読みが崩れ、単純に3ヶ月の収支報告書の記載遅れでは、他の政治家も横並びで違法性を問われかねない。そうした問題に発展するため、対岸の火事と云えなくなることが想定されます。

最高検の取調べで、前田主任検事は「謝って書き換えた」という供述から、意図的な改竄を認める方向で供述を始めたそうです。ただ検察が早期の幕引きを図るなら、情状酌量の方向に切り替えるのが得策ですので、そうしたスジ読みをすることも可能です。即ち、今回も最高検が捜査しているため、前田容疑者を篭絡して供述を得る、という方向性を用意に想定できてしまいます。
確かに、故意以外に考えられませんから、供述を翻すことを云々するつもりはありません。ただこの事件以後、多くの国民が検察の発表を鵜呑みに出来なくなったこともまた、事実です。逆に云えば、検察カードは政局的に見ると野党側に利が多い一方、与党内の反菅勢力にも有利、という状況です。検察攻撃は、代表選で政治とカネの問題を取り上げ、代表の座を勝ち取った菅政権に対しても、また野党に対しても恰好の材料になる、そうした方向で今後動いていくことになります。

外交上、大きな失敗を仕出かした菅政権。日本はかつて、ダッカ日航機ハイジャック事件で、超法規的措置で犯人側の要求を呑み、犯罪者を解放しています。今回、非常に構図が似ている点で、政権が転覆する懸念まで出てくるのでしょう。日本で犯罪を犯した者を、超法規的措置で釈放するとはそういうことです。しかも、それを一機関に仮託し、政権が責任を放棄し続ける限り、問題の火も消えずに燃え盛ることでしょう。政局の秋、焚き火が延焼して家が包まれる前に、火消しの方法を見つけなければ、日本は大変なことになるのででしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 政治

2010年09月25日

経済の話。米独の経済指標と日本の補正予算

米国では経済指標に悪い内容が続きますが、市場は金融緩和期待で上昇する、という矛盾した動きを続けています。8月の耐久財受注が前月比1.3%減、輸送関連の落ち込みが大きく、全体として底堅さを保つものの、これまで在庫の積み増しで生産が堅調だっただけに、耐久財のみならず、産業界全体の動向に変調を来たせば、景気減速をより意識されることになるのでしょう。
8月新築一戸建て販売件数が季節調整済みで年率換算28万8千戸、予想平均より下回っています。住宅着工は10.5%増、ただこれは新たな住宅を建設しても、売れなければ在庫となり、価格下落を引き起こす要因になります。米国では貸付金利の低下で住宅販売は回復するとの見立てが大勢ですが、日本の現状を照らしてみれば、金利1%台が登場しても住宅販売は低迷しています。ディストレス物件が続く限り、住宅価格の回復は当面難しい、現状ではそういう形なのでしょう。

ドイツの業況指数が106.8と、前月の106.7から予想外の上昇、海外市場はこれを好感して上昇しています。一方でアイルランドのGDP下方修正を受け、財政悪化懸念が出て債券価格が下落。金利が上昇し、利回り格差は欧州不安後の最高値を更新です。国有化されたアイルランド金融機関が発行した劣後債に関し、デフォルト懸念が台頭した形ですが、国債入札は堅調、小康を保っています。
日本では補正予算の話が出ていますが、予算規模は09年の剰余金約1兆円、10年度税収見込みの上ぶれ分2兆円、国債利払い分1兆円、で約4兆円とされます。ただ、ねじれ国会でこの補正予算を通そうとすれば、需要不足を政府支出で補填することを主張する政党が、強行に反対するでしょう。これは新規の国債を発行しない限度額であり、到底この内容では呑めないと主張するでしょう。特に、尖閣問題が政権のアキレス腱に浮上したので、恰好の攻撃材料を得た形です。

日本では半導体関連も、鉄鋼関連も一時期の活況が薄れ、一巡感が漂います。どちらも産業的には基幹部品、つまり製造業全体にこれから、大きな需要不足が発生すると見られます。これは企業が新規事業の立ち上げの発表がない、昨今の事情とも重なります。企業は内部留保を企業買収に充てる。株式市場は新規資金の流入を好感しますが、実は産業全体がシュリンクすることを、この情報は意味しています。つまり産業界全体のパイは増えない、雇用も新規の設備投資もない、企業買収という情報は経済全体で見ると、悪材料という見方ができるものなのです。
ただこの需要不足を財政出動で賄う、などと考えない方が良いでしょう。規模が途方もなく膨らんでしまうからです。欧州は産業全体を見捨てても、財政再建路線に舵を切り始めています。米国はそれと逆、もう少し財政に余裕があると見て、更なる財政出動を模索しています。実は、日本はどちらに向かうのか?まだはっきりとはしていません。財政再建を掲げ、国債発行を膨らませたくない菅政権と、政権を死に体に追い詰めたい野党。実は補正予算枠を拡大させるだけで、当初の菅氏の態度からはぶれと見なされ、政権を追い詰められることになりますから、この辺りの綱引きは今後かなり出てくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:49|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2010年09月24日

中国漁船衝突事件で処分保留

中国漁船衝突事件で、中国人船長に対して那覇地検が、処分保留で釈放されました。最悪のタイミングで、最低の決断を下したことになります。極めて異常なのは、法治国家で、超法規的措置の判断を、一行政機関が下したことを政府が「了」などとする態度です。これがもし本当なら行政統治能力の欠如。ただ、これは仙谷官房長官が裏書した動き、であることが明白です。

これは菅‐前原ラインが、国連で成功裏に外交を進めていることとも無縁ではありません。前原氏は親米嫌中、そこが外交成果として日米強化を推し進めれば、帰国のタイミングは更に遅れます。2人が戻る前、船長の親の葬儀に間に合う日、それが急転直下の今日という日付です。仙谷氏は旧社会党出身、元々文化大革命を美化するなど、中国から大きな影響を受けています。首相、外相が居ない間、しかも二人の路線が一致して成果を収めていた。それを官房長官が捻じ曲げ、外交上重要決断をする。恐らく他の閣僚に相談はなく、独断で実行されたと推測できます。
船長に対して海上保安庁に人的被害がないこと、計画性がないこと、などを処分保留の理由に挙げていますが、だとすれば追われるパトカーに体当たりしても、公務執行妨害を問えない、との判断になります。現行犯で逃げる人間の計画性など最初からあるはずもなく、受けた船舶の被害は違法性のない行為でつけられた、と認めてしまった形です。今回、中国は異常な対応を続けた。外交、経済でむしろ中国の異質さを浮き上がらせ、世界に知らしめるチャンスだった。それが、逆に日本外交が異例の対応で追随し、外交上の弱気な態度を示してしまった。これは将来の禍根です。

今日は二度目の為替介入?が市場で取り沙汰されました。正式発表はなく、あっても2千億円程度、と推測できる小幅なものですが、84円を割るタイミングでの介入は、市場からの評価も低かったようです。また大口プレイヤーの株式先物買いが少し重くなっており、為替を操作して処分売りを出した?などの噂も飛び交うほど、今日の市場は乱高下に見舞われました。
為替操作も同様、日本は異例なやり方に手を染め始めています。地検の判断で外交を済ます未熟さなのか、中国に屈しただけの弱気なのか、どちらかといえば後者と言えるだけに、より深刻です。中国の諺に「福は積むもの、禍は仕出かすもの」というものがあります。粛々と、国内法に照らして処分することは福、唐突に処分保留などを決める人為的判断を交えることは禍です。

菅氏は元々、外交上の態度が不鮮明。これを良いことに、ますます内由外官政権の中で仙谷氏が幅を利かせ始めています。仮にこれが親中派である公明、社民の取り込みも意図した、内政も含む対策なら尚更深刻なのでしょう。世論頼みのはずが、世論と乖離した判断を下して、政局重視で支持を落とす。よくある政権の帰趨であり、これでは政権も長続きしないのでしょう。
東南アジア外交など、様々な意味で日本は後退してしまった。それがたった一人の官房長官により、国益を大きく損なう行為がまかり通るなら、国の歪みが是正不能なレベルにまで落ちてしまいます。脱小沢で支持率回復を喜んでいる間に、国の基盤を壊すことが為される。真に憂うべき事態なのかもしれません。何がこの国にとってベストか?その判断を下す際、おかしな材料や人物が雑じることには、要警戒であるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年09月23日

菅首相、前原外相が国連出席

中国がレアアースの対日禁輸に踏み切った、との記事があります。これが本当ならWTOに提訴できますが、恐らく中国は一時的な不足を理由に言い訳することでしょう。中国は米国へ融和を訴えますが、米国でも為替操作国認定など、対中強行路線が出ています。中国の異常な姿勢を、世界に喧伝できる良い機会、と捉えて行動する方が今後の日中関係にも有利に働くことでしょう。
今回の動き、少し異例な点は中国が「日本の責任」としていることです。逆に、日本が折れなければ、中国も折れられないジレンマを抱えます。国民向けのアピールとしても、共産党政権が自身を追い込んでいるように見え、一方でそれを強硬な態度とする見方も可能です。前者だとすれば、デモの参加人数が05年と比べ、激減と伝えられることからも、対日に高圧的な姿勢を示すより、経済面で国民の不満が溜まり始めている、と見ることも可能です。つまり殊更に危機を煽りたて、不満を外へ向けるために、中国政府が必死である、とする見方を可能としていることになります。

菅首相が国連に出席しています。菅コミットメントとして2011年からの5年で保健に50億$、教育に35億$の拠出、ミレニアム開発目標(MDGs)による飢餓・貧困の半減に、最小不幸社会を提唱する自らの主張に合致、として「全力をあげる」としています。しかしこのMDGsも、達成困難が云われており、今後の経済動向により先進国の態度が変化すれば、益々困難な達成目標となります。第一に、先進国で貧困層が拡大する事態に、どちらを優先して対策するかは自ずと知れます。
また生物多様性の保全に関し、日本は名古屋で行われる第10回締約国会議を前に、今後10年を重点期間に、国際機関の設置など、積極的に提案をしています。これは環境技術を売る日本に有利、つまり生態系の保全に向け、水や土の浄化、CO2排出などに関して積極提案が可能です。いつもの通り、米国は国益を考えて締約国に入っていませんが、日本が環境技術の輸出という面で、先行して利を得る機会と捉えることも可能です。原油タンカーのバラスト水も、今は生態系を乱すとしてフィルタにかける動きがあります。様々な面で、生物多様性を保全することは商売に繋がり、乱獲や密漁などを防ぐ意味でも、効果ある取り組みとなるのです。

国連は各国首脳が集まる場です。日本が尖閣諸島問題で、正論を述べていることをきっちりアピールすることが重要です。菅氏のコミットメントも、ほろ苦デビューと伝わるように、実は各国の関心も薄れ、中身は然程評価されていないようです。カネだけ出す国、との目で相変わらず見られているのなら、日本外交としてカネだけでない政策を訴える必要もあります。
話に目を向けさせること、それはパフォーマンスを重視する戦略もありますが、中身で勝負する方が、長期の国益に適う行為です。MDGsを達成するにはどうするか?生物多様性に向け、各国がどう動かねばならないか?中国の行為をどう位置づけるか?日本の主張が正しい、となれば世界各国は耳を傾けてくれます。オバマ氏の演説は満員で、菅氏の演説はその半分もいない。今の日本外交は、その程度の判断がされているということです。戦略性をもって、日本外交を世界レベルに高めるなら、カネを出すなら口も出す、ぐらいの気概は少なくとも必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2010年09月22日

経済の動きと対中国戦略

米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されました。弱気な見通しが示され、これが次の11月FOMCでの追加緩和期待に繋がり、再び円高方向に推移するなど、日本にも影響を与えています。最大の方針転換は、インフレ率が当面抑制された水準、になることを認めたことです。即ち米国がデフレに陥る懸念を、金融政策で回避しようという動きにバイアスがかかった形です。
米国では、オバマ景気対策に支持が集まらない。一方で金融緩和期待は根強く、それが相場を下支えしています。つまり従来型の財政出動では効果が低い、というのがコンセンサスです。一方で、政権中枢の人民元相場への言及も増え、輸出増を促す態度を鮮明にしています。

米国は中国脅威を訴えて思いやり予算の増額を求めるなど、日本に強気の態度を示します。知米派の前原外相が就任した件と絡みますが、中国とは別けて考える必要があります。つまり戦争可能性と、軍事的脅威は別次元ということです。中国高官が円高を示唆、との記事もありますが、中国は形振り構わず日本に高圧的態度を示します。尖閣諸島の問題を外交成果とする目的です。
しかし仮にこの件で戦争に至る、若しくは軍事的圧力で領土紛争を解決する態度なら、中国は世界から貿易を停止され、苦しい立場におかれます。つまり今は脅威であり、戦争に至る可能性は低い。一方で、沖縄近海での中国海軍とのニアミスなどで、米軍が動くことはありません。あくまで日中の問題として切り捨てます。つまり沖縄に米軍が居ようが、居まいが脅威は存在するのであり、戦争に至らない範囲での抑止効果なら、実は大兵力が存在する必要もありません。

日本は米国に対してこう主張する。仮に中国が円高圧力を強めるなら、米国債が売られ、金利が上昇して住宅価格に影響するし、ドル高に振れる。そして日米が緊密に連携し、中国が資本主義経済で影響を更に強める動きを阻止しなければ、経済面で中国に牛耳られることになる、と。
また日本単独では、ASEANまでに東南アジア諸国と経済的に親密さを増す。この際、中国がそれを嫌えばとる態度は2つ。日本に更に高圧的に迫るか、東南アジア諸国の取り込みに動く。どちらにしろ東南アジア諸国に利がある点を訴え、戦略上巻き込むのです。今回の中国側の動き、それは世界的脅威です。そして東南アジア諸国でも、同様の問題を抱え、中国抑止に向けた動きもある。麻生政権では自由と繁栄の弧、として東南アジアから中央アジアと連携する動きを模索しましたが、手広くやるより焦点を絞った方が得策です。中国は東アジア経済圏を確立し、主導的立場を得たいとの思惑もありますから、東南アジア諸国と日本の連携強化は深刻な脅威に映るはずです。暗に、日本企業の工場を中国から東南アジアに移すことを奨めても良いのでしょう。

政治が脊髄反射する必要はありません。一方で、仙谷氏のように「むしろこの時期こそ親密に」という態度では、侮られるだけです。中国が強気な外交を挑むのも、経済において自信があるからです。逆に、そこを逆手に取り、経済面で対策を講じる。例えば中国は日本への渡航制限を出しましたが、日本もデモ発生地域を日本人の安全を確保できないと渡航制限にすれば、中国は治安に不安のある国、という印象を与えることが可能です。中国人観光客に頼る、今の観光産業には痛手でも、日本の治安に不安があるわけではないので、これは国の態度として誤っている、とのメッセージにもなります。大人の対応とは、正論で屈服しない態度を、冷静に相手に示すことです。今の菅政権で、そこまでの対応ができるか?今後に注目なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2010年09月21日

検察によるデータ改ざん事件

郵便不正事件を捜査した大阪地検特捜部・主任検事が最高検に逮捕されました。フロッピーディスク(FD)のデータ作成日時を、6月1日から6月8日に改竄。公判では証拠請求しなかったものの、重要な証拠に手を加えた、という事件です。かねてからこのFDに注目が集まっていましたが、今回検事は「遊んでいて誤って」修正したことを認めた、ともされます。これは幾つか重要な点を示唆します。
この事件が重要な点は、法と証拠に基づく正義の番人、とされた検察特捜が『意図的に』冤罪を生み出す行為に加担した、ということです。このFDが元のデータのまま証拠採用されれば無罪推定が可能です。逆に、改竄データで証拠とすれば有罪への有力な証拠。公判で証拠採用をしなかった検察は、このFDが証拠足り得ない、改竄データであると組織的に認知していたことを意味します。つまり特捜部と裁判に従事した検察官はグルと自ら認める。それが証拠採用せず、の判断です。

また「遊んで誤って」修正した場合、検察は証拠品を正しく保管せず、剰えデータ改竄ソフトを以前から有していた、となります。捜査メモの廃棄、という重大な違反がこの事件ではすでに発覚しており、2重3重に深刻です。検察に押収された証拠品は一切信用できない、となるからです。
そしてこの検事が担当した事件では、公判中のものは証拠不採用が、刑が確定した事件でも冤罪、再審請求が頻発されることでしょう。高検を飛び越し、最高検が直接捜査を指揮するとされますが、携わった事件全てを洗い直し、確実な証拠に基づき捜査された、と立証する必要に迫られます。先にグルとの指摘をしていますが、これが検察全体の常態化された捜査手法である、と自ら認める幾つかの経緯、判断の中に、検察の抱える根深い問題が見え隠れします。その不審の根を、どこかで混雑しなければなりません。

以前から検察が捜査情報をリークし、世論誘導を謀る点を指摘してきました。そうした手法に手を染めたのは、本来警察、検察を監視すべきメディアとの癒着の構図があります。腐敗は既に顕在化しており、キャリアに汚点をつけまいとする自己保身の態度に、官僚機構の一組織、としての態度が見え隠れしています。逮捕すれば容疑者を起訴するまで停まらない、ブレーキの壊れた組織には、自浄能力の欠如が疑われます。今回、極めて重大な局面を検察は迎えたことになります。
失われた信頼は警察、検察への不審となって、今後数年の司法の場を支配するでしょう。客観的証拠を捏造し、冤罪を自ら生み出す。検察が「問題ない」と抗弁すればするほど、不審の輪が広がり、収集がつかなくなるでしょう。検証チームの発足のみならず、第三者委員会による監視、有識者を交えた捜査手法の改善など、検察が透明化を進めてすら、数年は継続する問題となるのです。

検察審査会は、あくまで検察のもつ証拠、供述により起訴すべきかどうかを判定する組織です。それが、証拠と供述に信憑性を失う。最早、何を判断材料とすべきか?という問題にまで発展します。裁判員裁判でも同様、それが信頼に足る情報なのか?そんな不審の目さえ、今回の件は助長させるのでしょう。歪んだ正義が招く社会の混乱、その危うさを感じさせる事件ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2010年09月19日

菅政権と事業仕分けと世論調査

尖閣諸島近海で逮捕された船長の拘置延長を決めたことに対し、中国が「強烈な報復措置」を示唆、閣僚級以上の交流停止も決めています。事象そのものより、尖閣諸島は昔から中国のもの、という大本営発表を鵜呑みにしてデモを繰り返す民衆と、それを制御し切れない国の怖さです。中国は菅政権に圧力をかけ、対米重視を改めさせたい。今は外交上の綱引きの、極にある印象です。ここが踏ん張りどころで、折れると後に甚大な禍根を残すことになるのでしょう。

事業仕分けを実施した地方行政の中で、大阪市、奈良市、大津市などで不要判定された事業の内、5割以上が存続している、という記事があります。これが示すのは、事業仕分けはあくまで手段であり、結果を保証しないということです。民主党政権で支持の高い事業仕分け、成果はこれからであり、メディアはほとんど報じなかった省内の事業仕分けも、結果は現在の閣僚の手に委ねられています。
片山総務相が人事院勧告を超える、人件費削減に言及しています。代表選で、菅首相も明言していますが、実は官僚の意向を反映した菅政権では、公務員に対する態度もねじれてしまっています。この辺りにも、かつて人事院勧告を無視して、人件費を削った実績をもつ片山氏を、民間登用の目玉と据えたことが吉かどうか、その判断の正否が出てくることになるのでしょう。過去の政権でも、目玉人事は得てして成果が上がらず、失敗と評価される例は枚挙に暇がありません。それは往々にして官僚が警戒し、閣僚との距離を掴みかねることで起こる、と想定されます。片山氏が反官僚の狼煙を上げるなら、すぐ様集中砲火を浴びるのでしょう。

菅政権に対する世論調査が、軒並み60%を超える高い支持を得ています。これは劇場型政治の悪い癖で、善悪の色分けをした上で、菅政権を評価するメディアの態度が含まれることは、言うまでもありません。古い政治を脱却し、小沢支配を脱却する菅氏は善。カネと利権にまみれ、壊し屋ともされる小沢氏は悪。とされるモノの見方を押し付けられ、それを評価してしまう流れです。
これは中国と同じ、非常に危険な行為です。大事なことは、自らが善と悪を判断する材料に、正しい証拠があるかどうかです。尖閣諸島は古くから琉球に属す、と考えられました。それを組み込んだ明治政府が、尖閣諸島を日本領土と宣言。これは当時の欧米列強の考え方、領土は早く国際的に宣言したものが得る、という流れを意識しての行動です。そのため国際社会では尖閣諸島は日本領土と認められ、沖縄返還でも米国は日本領と認め、同時に日本に返還されています。
正しい情報があれば、中国人も歴史を知ることが出来る。しかし正しい情報がない社会では、得てして民衆は誤った方向に向かいがちです。民主党政権が発足して1年、これから事業仕分けの成果や、本丸である特別会計に切り込まねばなりません。むしろ気を引き締めなければ、官僚支配が強まり、日本は負債を溜めるだけの三流国に転落します。勝てば官軍で、支持が高まったことを喜んでいるようでは、官軍が官僚の軍に変わるだけです。ねじれを生じたのは、菅氏自らの言動の結果もありますが、民意との間にねじれを生じれば、メディアの情報操作が菅政権に不適格の烙印を押し、支持率などはすぐ下落するのでしょうね。

明日は一日お休みし、21日から再開したいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:46|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年09月18日

閣僚による経済対策発言

菅政権が発足し、補正予算を組んでの景気対策が、俄かに喫緊の課題として浮上しています。緊急経済対策は9200億円、それで十分とは云えない、という認識を海江田経財担当相は示しています。財源は国有財産の証券化等も語られますが、不動産の証券化、という事業で成功するためには継続的に賃貸料収入などが上がる場合のみ。国有財産の証券化をしても、賃料収入がないので、結果的に国税から金利相当分を払わなければ、国有財産証券など誰も買いません。
この提案は、新たな国の借金を増やすということ。現在発行されている国債も、国の資産や継続的な税収が期待されて、価値をもちます。つまり国有財産の証券化によって、一つの資産で二重に借金をする形になるのです。それより簡単に、国が資産を増やすやり方があります。それは公益法人を株式会社化し、民間企業として生まれ変わらせる。株式を徐々に放出する形で、国は収入を得る。当然、公益法人に価値がないとなれば、この手法が通じない。逆に残す価値ある公益法人と、そうでない公益法人を明確にでき、更に国の歳出も減少できる可能性をもちます。

野田財務相は、新規国債発行に後ろ向きです。ただでなくとも拡大した国債発行、しかも歳入減は当面続く見込みです。財源論に関して、法人税減税を取り込めば、更にその分を補わなければなりません。一つ間違えているのは、法人税は黒字企業で、継続して掛けられる税金です。大畠経産相が「円高で苦しむ企業のため」法人税減税が必要と述べますが、円高で苦しい企業の収益が減れば、法人税の税率など何の関係もない、法人税は払わなくて良い、ということになるのです。
法人税減税は、高収益があって、且つ人件費にも設備投資にも回さない、内部留保を溜めようとする企業だけに効果があります。人件費、設備投資、どちらも雇用促進と内需拡大に寄与する施策が、法人税減税をすることで妨げられる。これは菅政権が目指す施策と、逆行する提案なのです。

補正予算は野党案を参考、とまで玄葉国家戦略担当相は述べます。しかし各党の提案をまとめていては、規模は膨らむばかり。特に財政出動に積極的な、国民新を連立で抱えるのですから、歯止めが利き難くなります。ねじれで他党との連携は必須としても、財政健全化を目指す政権の行動との整合性、こうしたものも菅政権には求められてきます。
恐らく、小沢派は内閣提出の法案を「中身がダメ」と、修正しなければ賛成しないと玄葉政調会長に詰め寄るでしょう。参院のみならず、党内もねじれている現状で、法案を通せるかは中身次第。それで国民理解が得られ、支持を得られるかです。小泉政権は看板を小泉氏が書いたことで、国民の高い支持を得た。しかし菅政権に、そうした一言で世論を惹き付ける魅力をもった人材はいない。
経済対策もねじれるのなら、それこそ民意は離れていきます。為替介入は現状、成功との見方ですが、今後の推移次第でもあります。未曾有の経済危機が襲う、という予測もある中で、経済の舵取りに失敗する恐れ。閣内の意見の相違は、やや不安を残すのかもしれませんね。

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2010年09月17日

菅改造内閣について

菅改造内閣の発表がありました。脱小沢、ベテラン布陣、など色々ありますが、私は『サ官内閣』としておきます。『さ』には接頭語として『いきいきとした』との意味を含みます。官僚がいきいきとする内閣、そういう意味です。厚労官僚に対し、人事権まで行使して綱紀粛正に努めた長妻氏を更迭し、省庁改革に後ろ向きな高齢者ばかりで固めた。官僚は今晩、祝杯を上げるでしょう。
サ官内閣では『内憂外患』を文字って『内由外官』、つまり官邸の中では仙谷由人官房長官に仕切られ、外に出ると官僚に牛耳られます。残留、横滑りした閣僚はいずれも官僚と馴れ合い、上手くやった手合いであり、代表選の論功行賞以上に官僚との付き合い方が目立ちます。これで、本気で行財政改革を目指すのか?発足当初から疑わしい、そんな人事構成をあえて作り上げました。

経済財政担当と国家戦略担当が別れましたが、これは官邸主導の旗を下ろす、それを意味します。予算を組むには財政と、今後必要になる重点分野と、その両方に目配せが必要です。しかし責任者が二人に別れたので、官邸として機能するなら両者を調整しなければなりません。本来、作業効率が悪いやり方であり、これを実行したことで予算策定に官邸は機能せず、今後も従来通りの省庁が概算要求をあげ、財務省が精査する形に落ち着く、という形を暗に明示したことになります。
国家公安が、消費者・少子化にくっついた理由も不明です。就任した岡崎氏は社会党系、手腕は未知数どころか、小沢氏に対する検察審議会の行方や、昨今の警察関連の問題へ対処できるか、甚だ不安です。更に法相と拉致問題担当が合わさりましたが、その位置づけも理解しかねます。もう実効的な拉致はない、法的問題に変わったという意図的なものか、法相は暇だと判断されたのか。大胆に役職の組み換えが行われ、そこに年功序列的な配慮があれば問題と云わざるを得ないのでしょう。

サ官内閣の最大の特徴は仙谷官房長官が強いことです。しかし為替介入時、82円攻防ライン発言でも分かる通り、失言も目立つ人物です。為替介入は政府短期証券の枠から、予算枠は40兆円が最大と試算されており、初日に2兆円弱が投下されたことから、残り38兆円。売り崩しを狙う勢力は、じりじりと予算を使い切るタイミングを狙い、82円を割る円買い仕掛けを行うでしょう。
つまり政権の実力者が、実力不足という現実です。官房長官はカバーする範囲が広く、専門家ではないのですから適当にはぐらかす、程度で十分のはずです。それを、政権を動かす自負があるのか、余計な発言で混乱を来たす。ここに最大の問題があります。しかも小沢派外しをしたため、旧社会系、旧民社系の勢力が幅を利かす、仙谷氏と元々の考えが近い人物を充てた、との見方もできるのです。

かつて茨の冠を被せる、というのは刑罰の一種でした。しかし今回、官の上に乗る草の冠は、古代ローマで勝者に贈られた月桂樹の冠の如き、官僚を讃えるかの如きものです。仙谷氏がいる限り、官僚と上手くやった閣僚が厚遇される、という形が鮮明になった今回の組閣。誰の上に冠が輝き、誰が泣くことになるかは、よくよく見ておかなければいけなくなったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年09月16日

民主党幹事長に岡田氏

福岡高裁で爪切り事件に無罪判決が出ました。重要なのは、再び供述調書の信憑性が問われたこと。地検と県警の違いはありますが、警察捜査の手法に、抜本的にNOを突きつけられ始めていることです。郵便不正事件も控訴断念と伝わりますが、供述偏重主義が今、問われています。
検察OBなどが郵便不正事件は異例、という論調を述べますが、であれば処分者が出なければなりません。一方で、今後も続々と調書内容が覆されると、警察、検察への信頼が揺らいでいきます。供述調書に頼らない、証拠至上主義の捜査手法を早期に確立することが、国民の信頼を得る組織になるための第一歩であり、そこに取調べの可視化という議論も乗ってくるのでしょうね。

民主党幹事長に岡田外相が就任見込みです。原理主義、堅物との論調もありますが、外務省での手腕から想像すると、拘りの強い部分は頑固ですが、完璧主義者ではない部分もあります。政治とカネにはクリーン、逆にそこに固執すれば党内に資金を配らず、不満も高まるでしょう。
小沢氏との関係では、新進党時代の臣従と決別から、民由合併を築くまで。時と場合によって両極端な姿勢で臨んできました。直近では、閣僚としてかなり早い段階で菅氏支持を打ち出すなど、距離を置いています。脱小沢を目指す菅首相とすれば、この距離感がある岡田氏を幹事長にしたかった。それは時に応じて小沢氏とも連携できる、という強みを期待してのことでしょう。

ただ閣僚人事では脱小沢が鮮明。小沢氏、輿石氏に代表代行を依頼、という話もありますが、これだけ小沢派を外され、党内融和は困難です。しかも菅改造内閣で1年ともたず変更する閣僚が多いほど、政策の継続性が問題となり、官僚内閣制に近づくことになります。小沢氏が代表にならず、直近ではヤレヤレ支持が集まり、支持率は脅威の70%超えを示す調査もありますが、党内基盤が脆弱でも世論で政策を推し進める、菅氏が望む小泉劇場型に近づいているとは云えるのでしょう。
ただ菅氏には、核として訴える提案が少ない。財界、官僚、メディア、評判を気にして右往左往する感は否めず、骨になりそうな雇用拡大策も手法は未知数です。特に、岡田氏が党内融和に失敗すると、小泉政権当時より巨大で、かつ強固な一枚岩を擁する小沢氏の勢力がすぐ台頭してくるでしょう。郵政造反組が、自民党離党後分裂したような、そんな甘い考えでは政界再編が待ち構えます。

岡田氏は菅氏と一蓮托生になった。これは一つの契機であり、ともに自爆するか、泥舟を大型客船にまで仕立てられるか?その手腕が試されることになります。ただ批判した側は忘れても、批判された側の恨みは骨髄です。蝸牛角上の争いではない、泥仕合にまで至れば政界に激震が走ることになる、その点でこれから数年の政界には、強風が付きまとうのかもしれませんね。

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2010年09月15日

経済の話。6年半ぶりの為替介入

政府・日銀による為替介入が行われました。一時ドルで82円台に突入した市場が85円台後半へ、一気に3円ほど円安が進んだ形です。菅政権の組閣が済むまで、動きはないと見られた菅政権が自ら認めて介入に踏み切る、そのサプライズ効果はかなり出たものと見られます。
しかも日銀は非不胎化、即ち為替介入した資金を市場に流し続ける、インフレを認める策をとったことで効果を大きくしています。東京、欧州と来てNYでも実施すると見られ、規模は今日だけで2兆円いくのでは?とも見られます。財源は政府短期証券で賄われますが、外為特会に組み入れられ、一部では国の借金にカウントされます。同時に溜まったドルを米国債に換え、損得ゼロに見えますが、今後の為替動向と債券バブルの現在、米国債の金利動向に一喜一憂することになります。

菅氏が先に指摘したように、欧米政府、金融当局者からのネガティブ発言はなく、整合はとれたのでしょう。ただ、効果に持続性はありません。まず米政府の意図を汲むか、そうでないかは別にして、為替操作国の認定を米議会に提出する動きが、議員の間から起こります。これは野田財務相が認めてしまったため、否定する権利は日本側にありません。政府は抑えても、議員個人を抑えるには相当のロビイスト活動が必要ですが、米国内事情が更に抑制の動きを困難にします。
米国が為替操作国認定したいのは中国です。一方で中国は大消費地、強く出られません。中国は通貨バスケット制移行後も為替介入を続けていますが、公式に認めてはいない。特に日本が為替介入したので、恰好の材料として圧力回避に日本を持ち出すでしょう。そこで米国は日本を先に為替操作国認定し、制裁関税をかけることが想定されます。つまり間接的に中国へ圧力をかけるためです。

外交で弱気と見られるオバマ政権が、日本叩きで外交成果を得る。中国への圧力と同時に手に入れられる、絶好のポジションを得たことになります。しかもこれは先に韓国、日本、豪州と述べた国務長官の発言通り、日本パッシングの一環であることも、動きを容易にさせます。
株式市場では寄り安後に、一気に断続的に先物買いが入り、円高にも関わらず強気な動きが見られました。事前に情報が洩れた形跡と、今日のイベントドリブン型の買いを今後、どう清算するかもネックになるでしょう。人為的に引き起こされた動きは、おかしな変動要因を招き易い。6年半ぶりの介入で32兆円という前回の規模を超えるのなら、相当の規模になる可能性もあり、財政健全化を訴えた菅政権が政府短期証券の大量発行という赤字を抱える、言行不一致となります。

政府が円安誘導する間、遅れていた企業の為替予約と円還元が進む。これが財界が一斉に菅政権を評価した流れです。しかも攻撃されると脊髄反射で反論する、菅氏の性格が現れたとも見られ、円高容認の評価に対する反発も含むのでしょう。ただ日本が米中の為替操作認定の板ばさみの中、自ら手を上げて参戦した意義は大きいのです。短期的には成功でも、長期の視点で見るとドル偏重主義を抜け出せない日本と、諸外国に攻撃材料を与えてしまった点で、マイナスの評価となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2010年09月14日

民主党代表選の結果について

民主党代表選、菅氏721、小沢氏491で菅氏圧勝になりました。国会議員票412:400、地方議員60:40、党員・サポーター票249:51となりました。党員・サポーター票で大きな差が出ましたが、これは小選挙区制、総取り制を採用すると、数票の差が結果に大きく反映される、というシステム上の癖です。党員・サポーター票では菅氏13万8千票、小沢氏9万票。国会議員以外は6:4という結果です。
選挙戦の間、メディアではずっと菅氏優勢が伝えられ、議員票が雪崩を打つ現象も想定できましたが、国会議員票は小沢氏もまとめ切ったようです。ただこれで、小沢氏が全面に出て闘う戦略は今後描き難くなり、より闇将軍を志向し易くなったのは、あまり良い傾向ではないかもしれません。

これで菅政権が磐石という論調もありますが、それはありません。菅政権下で小沢氏は良くて名誉職、悪くて無官です。どちらにしろ、政治とカネの説明責任や脱却を公言してしまった以上、野党の追及をかわし難くなります。終盤、菅氏が議員巡りをした際「400人体制で…」と述べたのは、小沢氏とその側近11人程度は切る、という勘繰りも出来たほど、敵対姿勢を強めました。
党を割らずとも、参院で造反を出せば政権運営は立ち行かない。菅氏はそれを食い止めるため、妥協が必要です。幹事長ポストが話題ですが、党をまとめ切れる人材は少ない。中間派を置く案が有力、それでも抑制は効き難く、仙谷官房長官がいる限り不審の目は続くことになります。

政界多数派工作は、小沢氏なら公明やみんなの党、菅氏なら自民という形が想定できますが、それに反発する動きを見せれば、確実に政界再編へと向かう流れになるのでしょう。しかも、菅政権が政権運営に行き詰る構図は自民党時代と似るはずなので、国民の失望の高まりも早い。これは、自民党型政治を実践すると、官僚主導を脱却できない点がポイントになります。
つまり政権交代が単なる看板の架け替えと見なされれば、支持急落も早い。一方で反小沢で連携した官僚、メディア、財界も小沢氏の力が弱まれば、今度は政権攻撃を始める。逆に安定政権を目指すなら、ここら辺りに目配せしなければなりません。官僚の利権構造の維持拡大、メディアの地位保全、財界には法人税減税と財源措置による景気対策など。それがこの国にとって良い選択でなくとも、菅政権が乗った泥舟を構成する一端である以上、無視はできなくなるのです。

この国の形を歪めているのは、反小沢の構図で全てをまとめることです。それを同一の党内で囲う、その困難さは一政治家の扱いとしても、相当対応を難しくするのでしょう。その歪みの中心にメディアがいる、という時点で、この国は修正を難しくするのだと考えています。
結果的に、今回の代表選で菅氏は自らを、最も難しい立場に追い込んだ、とも云えるのでしょう。早くも為替市場が円高で反応、市場コンセンサスは菅政権で円高株安なので、こうした目配せも必要です。菅氏を支持した反小沢陣営、そして打ち出した政策に対する市場の反応、小沢派の動向、心配事だらけの船出を磐石とするなら、早晩政権運営の甘さが指摘されることになるのでしょうね。

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2010年09月13日

自民党執行部人事について

沖縄県の名護市議選が行われ、基地受入れ反対の市長派が16議席と、過半数を大きく超えてきました。これで普天間基地移設の日米合意履行は、益々難しくなります。鳩山政権が今年4月、普天間基地の縮小維持を地元に提案した、と一部報道であります。危険地帯にある学校を回避するため、滑走路を縮小させ、クリアゾーン(安全地域)を確保するというもの。当時は時間切れと、外務官僚の抵抗で頓挫しましたが、小沢氏が代表選当初匂わせた腹案は、これではないかと推測しています。
当然、これには米海兵隊縮小が前提です。米紙で小沢氏は米国にNOを云える政治家、とするものも見られますが、これは誤解であり、米国にNOと云えない外務官僚にNOを突きつけられる政治家です。普天間縮小維持案は、当面は普天間に基地機能は残るものの、安全は確保できる策です。地元代議士も乗り気ですが、米国と外務官僚は抵抗する。ここを動かせるかどうかなのでしょう。

明日には民主党代表選の結果が判明しますが、その前に先週末発表された自民党執行部人事について、少し考えてみたいと思います。副総裁に大島氏、幹事長に石原氏、総務会長に小池氏、政調会長に石破氏、国対には逢沢氏です。ずらりと次期総裁候補を並べる、挙党一致を目指した布陣ですが、逆に若干の不安も漂う構成になっています。まず副総裁の大島氏、都道府県連との調整に強みを持ちますが、国民ウケは悪く、先の参院選では徹底的に影に回された経緯があります。
大島氏が選対責任者を務める。これは小沢氏シフトと見られ、小沢氏がオレでいいのか?解散に打って出たとき、組織固めをする陣容を優先したもの。しかし若手にもウケの悪い大島氏が、昇格されたことには違和感もあるでしょう。また石破氏は谷垣路線と違う提案も多く、それが政調会長というのも、谷垣氏にとっては痛し痒しです。女性初の党三役という小池氏も、広報からの昇格ですから依存はなくとも、党のイメージ戦略上重要なポイントを抑えられなかった、という点で見れば安売りです。

何より、この時点で前倒しされたことは、党の刷新を図る目的があった。民主党代表選前に決定しておきたかった、ということを差し置いても、案の定政治関連の記事は民主党代表選で埋没してしまいました。年度末にかけ、一先ず解散を目指す戦略を描くのでしょうが、予定調和と見られる人事に、党内融和の難しさという点では厳しい船出を強いられたのでしょうね。
民主党代表選に注目が集まるのは、最後まで結果がわからない面白さです。菅氏有利との報を流し、雪崩を打つ現象を起こしたいメディアも、一向にそうした動きが広まらないことで、票読みを難しくしています。小沢氏に睨まれるより、有権者の離反が怖い政治家は、ステルス議員となって菅氏支持に回っている公算が高い。結果的に、菅氏支持の票が流動的な点がポイントなのでしょう。
自民が派閥を壊して新しく出直すなら、派閥に与えていた権限は、全て召し上げた方が良い。人事も金も、また投票行動も。民主党代表選がメディアジャックできる構図をよく学ぶべきです。明日の党大会、菅氏は原稿を用意と伝わりますが、菅氏が自らの言葉で主に語るのは、代表就任後では今回が初です。小沢氏はすでに準備済みでしょうが、ここでの評価が最終的に大きく影響する。土壇場の攻防というのは、やはり見る側にとって注目を集めるのでしょうね。

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2010年09月12日

年金運用の赤字と中国経済指標

米国では9.11米同時多発テロの9年目、重大な局面を迎えています。イスラムの集会所モスクを、グラウンド・ゼロの近隣に建設する計画が立ち上がり、それに反発する一部過激派による、コーラン焼却宣言。最初の牧師は撤回しているものの、実際には一部で実行されたようです。
旧約聖書を根本とする宗教は、経典を最重要視する傾向があります。同様の経典焼却が、相手に対しての威嚇行為として行われると、ユダヤ教、イスラム、キリスト教の三者は血で血を洗う抗争に突入します。米国の一部過激派のとった行動が、宗教抗争の違う扉を開きかねない。経済が上手くいかなくなり、精神的に追い込まれ、気持ちが荒廃し始めると、違う形の敵を探し始めます。それが戦争突入に至る流れを生む、歴史の必然です。米国が精神的にも追い詰められている、その流れなのでしょうね。

年金積立金管理運用独立行政法人が、4-6月期の運用で3.6兆円の赤字を計上しています。国内外の株価下落、円高により評価損が更に拡大するなど、年金運用には冬の時代でしょう。そして、7-9月にもその流れが変わっていない、ということは更なる損失を計上する可能性があります。
8月の中国経済指標が発表されています。鉱工業生産が13.9%増、消費者物価指数が3.5%上昇、小売売上高は18.4%増、固定資産投資が24.9%増、いずれも前年比であり、前月比でも上昇しています。驚くべき経済成長ですが、更に驚くのは8月マネーサプライM2が前年比19.2%、前月比からも高い伸びを示しています。つまりインフレ懸念があるのに、中国は全く資金供給を緩めておらず、こうした伸びが経済成長を支えるドライバーになっている、という実態がこれでよく分かります。

中国は成長を見越し、多くの資金が流入する。それと対抗するように、中国は資金供給を続ける。不動産投資には規制がかかる懸念があり、若干弱含み傾向ですが、ゴーストタウンに投資し、値上がり益を狙う動きは未だに活発です。余剰資金は抑制が効きにくくなり、最早バブルを通り越している、そんな警戒すら漂います。
マネーバブルの悪影響は、潰れて良い企業、仕組みを存続させてしまうこと。それによりバブルが弾ける時、適正水準に戻る頃には、巨大な損失となって経済に打撃を与えます。中国のバブルが弾けたかと思われても、未だに継続しているのは、この巨額な資金供給という面があり、更に悪い方向へ、悪い方向へと中国は経済を向かわせている、とも云えるのでしょう。

日本の年金も、株式は下落しても債券は高かった。それでも運用損を抱えたのは、低金利の中で債券価格の上昇余地は低く、それを補うことが難しいからです。日本政府が、中国は日本国債を買えるが、中国国債を日本が買えないのは可笑しい、と述べています。当然の主張ですが、だからと言って中国国債など、買わない方が良いでしょう。むしろ中国の日本国債購入を抑制する形で、けん制するべきです。運用が厳しい時代に突入し、少しでも利回りの高い金融商品へ、という流れはありますが、それこそ振興銀行の例を見ても分かります。新興国で相次ぐ利上げは、先進国の大量の資金供給策に支えられており、この虚構が崩れたときは厳しい環境が待ち構えているからです。日本が運用を間違えないためにも、今から戦略的に年金運用を考えていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:51|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2010年09月11日

民主党代表選を読む。

民主党代表選、今日で党員・サポーター、地方議員票の受付が終わりました。後は14日の国会議員投票のみです。かつて、自民党総裁選では国民支持が先に発表され、小泉氏に雪崩を打つ現象が見られ、それを避けるために当日、投票後に今日の開票結果発表があるという運びです。この段階で、メディアも行っている票読みを、少し分析してみたいと思います。

以前からの指摘ですが、世論調査とネット調査には結果に大きな開きがあります。メディアが行う無作為抽出の電話調査は、消極的民意が反映されます。ネット調査はむしろ積極的に関わりたい、そうした民意を反映します。世論調査は菅氏支持が60%台半ば、小沢氏が20%程度、一方でネット調査を行うと、小沢氏の側が高い支持を受ける傾向が続きます。
党員・サポーターは自ら政治に関わろうとする積極的支持層、ただネット支持層との重なりは低いと見られます。しかし世論調査を金科玉条の如く、党員・サポーターの動きと重ねる、メディアの解釈は誤りでしょう。世論調査の結果は、統一地方選が近い地方議員の投票行動を縛る、そうした傾向は窺えますが、それ以上の結果を生み出すことはないと推測されます。

国会議員票は小沢氏190、菅氏180とされます。菅氏側は小沢氏が怖くて靡いている議員も、投票は菅氏に向かう。との読みもあるようですが、これは逆です。民意が怖くて菅氏支持に向いていても、投票は小沢氏、という議員が多いはず。これは菅氏を支持する理由が、当初からコロコロ首相を代えるな、小沢氏は政治とカネで有権者にウケが悪い、だったことでも分かります。
菅氏を積極的に支持する訳ではない、これが全体の数割を占める、菅氏への投票行動です。ただこれでは政権基盤が非常に弱い。失政が続くと菅氏を引き摺り下ろす動きが、すぐに起きます。菅氏支持の内の数%、下手をすれば十数%は小沢氏に流れることでしょう。つまり菅氏が議員票で、小沢氏を上回るには目算で240程度を固める必要がある、ということになります。

個人的な当初の票読みでは、国会議員票が小沢氏230、菅氏181。地方議員・党員・サポーター票で150:250。これだと菅氏が辛勝です。ただ党員・サポーター票は意外と接戦と見ると180:220となります。これだと200近くを菅氏は取らなければならない。目算で220以上ないと厳しいでしょう。
自民党の石原幹事長など、菅氏を組し易しと見たのか、今日になり「財政再建なら協力」と打ち出します。どうやら菅氏サポーターは官僚、メディアのみならず、野党からも援護射撃が入るようになりました。それで政権運営が安定する、とするのは間違いでしょう。反小沢体質をもつ集団が、一斉に菅氏に乗った構図では、小沢氏の脅威がなくなれば自戒するのが目に見えています。
議員票を上積みできるのか?できなければ安定した政権運営など難しく、弱気の菅氏支持では、日本の困難な課題に立ち向かえなくなります。14日まであと少し、多数派工作が熾烈のようですが、ポストもチラつかせて形振り構わぬ態度を見せる菅氏、といわれますが、そんな手法で票を集めると後々、更に厳しい政権運営を迫られることになることだけは、確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年09月10日

雑感、郵便不正事件と日本振興銀行破たん

郵便不正事件で、村木元局長に無罪判決が出ました。「客観的証拠に照らして供述に不合理な点がある場合、供述の信用性は大きく低下」と、裁判所が断じたように検察完全敗北の構図です。自分たちが作り上げたストーリーで供述調書を書き上げ、大した罪ではない、そんなはずがない、など言葉巧みにサインさせた。まさに事件が会議室で作られてしまった、そんな事件です。
こうした冤罪をなくすには、可視化議論もありますが、米国のように取調段階から弁護士が立ち会う。もしくは誘導や恫喝を阻止するなら、法廷立会人を部屋の外に配置する、などの工夫が必要なのでしょう。同じ構図で、検察が事件を作り上げてしまった、と疑われる件があります。検察に対する信用と、供述の信憑性を著しく低下させた、事件の影響は大きいといえるのでしょう。

日本振興銀行が債務超過により破綻、日本で初のペイオフになりました。残高6千億円、預金者の97%は保護、他金融への波及はない、など市場の安定に躍起ですが、今日の最大の効果は為替が円安に傾いた点です。欧州でストレステスト以降、沈静化していた金融不安が再燃、それが円買いに向かっていた理由ですが、日本も問題があるのでは?と、一旦手仕舞う動きが出ました。
少し長い視点では、中小零細金融機関で取付け騒ぎが起き易くなります。ペイオフの現実を目の当たりにし、基盤の弱い金融機関に1千万円以上の預金を置くリスクが意識されます。今後は国も財務が厳しくなり、また有権者の目も厳しいため簡単には全額保護などに動けない。バーゼル?もありますが、銀行の狭義の自己資本は、預金者も注意深く見る必要が出てくるのでしょう。

中小企業向けの無担保高利貸し、こうした手法が成功する鍵は経済成長です。ちょうど6年前、小泉‐竹中路線と欧米の住宅バブルで景気が上向き、大手が手を引く中小向け融資の救世主と期待もされました。ただこうした手法は、成長鈍化で不良債権が一気に拡大し、貸倒引当金の積増しを迫られる脆弱な経営です。SFCGとの不透明取引に走った時点で、すでに破綻懸念に迫られていたのでしょう。
問題は金融庁の立入り検査が遅れ、検査結果発表から4ヶ月と経ずにペイオフに至ったことです。再計算で不良債権比率が高まった、としていますが、金融庁の立会いで明確になっていなければなりません。つまり4ヶ月間、提携先や新しい出資者探しをしたとしても、それは誤った情報で結ばれた契約である可能性があり、本来は4ヶ月前にそうした決断に至るべきだった、ということに繋がります。

高い金利に惹かれて…という預金者の言葉に象徴される、定期預金でも1.3%で高金利と意識されるのが現状です。そして今後、高金利を謳う預金制度を打ち出す金融機関には、不安が付きまとうのでしょう。何か不正があるのでは?という疑いです。こうして公正な競争すら阻害される超低金利時代、格付け機関では金融機関の格付けが公表されている場合もあるので、そうした情報にも目を配る必要が、個人にも出てきているということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 社会

2010年09月09日

新成長戦略実現会議の雇用拡大案?

米国で追加景気対策として10年で1千億$、企業による研究開発投資減税を行う、と発表されています。設備投資減税(300億$)も発表、ただ規模は大きいですが、期限が長く効果は限定的との指摘もあるものです。いずれもオバマ政権が景気対策として打ち出すもの、まだ合意の目処も立っていませんが、租税特別措置によるものから恒久減税化、ということで注目を集めています。
世界は今、日本型経済に自国が陥ることを警戒しています。結論を先に云えば、その本質は企業優遇体質です。企業は収益確保のため人件費を削り、個人に還元する姿勢を見せずに内需を縮退させる一方、法人による設備投資などで、経済を循環させる仕組みを築く。これが日本です。つまり資金を使う主体が個人より大きな法人、という立場に置き換えたことが、最大の失敗として世界から意識されています。

これにより賃金デフレが発生、このことから消費低迷が明らかとなり、小売も価格競争に陥る。政府もこれを後押しするかのように、製造業の非正規雇用の拡大を容認。企業は収益を上げても国内投資をせず、景気低迷を招きます。先の米国の減税措置などは日本でも打たれましたが、一向に効果なく企業は外に逃げていく傾向を強めます。法人が収益を確保し、内部留保を蓄えても国内経済には寄与しない形、即ち日本が地盤沈下を起こす最大の要因であり、これが日本型経済となります。
新成長戦略実現会議で、雇用拡大に取り組む企業に減税、とします。しかし非正規を正規に切り替えても、雇用の安定には寄与しますが、雇用が拡大した訳ではありません。今は非正規やパートにも、一定の社会保障負担がかかっているので、企業にとっては切換え自体、痛みは少ない。組合が強くない企業では、簡単に首切りや正規から非正規に戻すことも容易です。つまり今のままの議論では、雇用拡大には全く効果なく、企業のみ減税効果を得る形が想定されるのです。

逆に、非正規の賃金体系に正規雇用の賃金を近づける、という試みもあります。これも賃金デフレを招く動きの一つであり、国内経済の低迷を招くものです。菅政権は、民主党政権としては比較的財界との風通しが良い、といわれます。しかし財界の意見を通し、企業優遇を進めた先に消費税増税議論を持ち出すなら、語るに落ちた感もあります。最大は賃金デフレを止めること、それが成長戦略に最大に寄与する、企業優遇体質でない、骨太の経済政策となるはずです。
例えば、前年比で人件費を何割増、とした企業にその割増し分を収益から非課税にできる、としても良い。収益より人件費の方が高い場合が多く、割合は検討の余地もありますが、これだと賃金上昇、若しくは雇用拡大にはっきり寄与する動きを、減税という形で促すことが可能です。

この施策では、法人税減税分が若干ですが所得税で戻ることが肝です。また消費促進が見込まれるので、税収効果は高いと云えるでしょう。賃金デフレが起きる中、消費税増税などをすれば、国内経済の死滅化を招きます。少なくとも、全労働者における賃金カーブを上昇させた後でなければなりません。なぜ世界が日本型経済に怯えるか?それは低成長型社会になると、経済運営が立ち行かないことを、どの国も知っているからです。欧米でもそういう形に進みつつある。今こそ、悪い見本とされる日本が、率先して経済構造を転換させる必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2010年09月08日

民主党代表選にまつわる周囲の動き2

民主党代表選に絡み、小沢氏と青木愛参院議員のスキャンダルが週刊誌2誌で報じられます。やっぱり出た、という類のものであり、これは小沢氏に反対する勢力により書かれた記事です。内容は憶測を交えた非常に曖昧なもの、この時期に出すことに意義がある程度のものです。メディアと官僚に挑戦状を叩きつけると、必ず真偽不明、出所も怪しい記事に振り回されることになります。

最高裁が鈴木宗男衆院議員の上告を棄却、懲役2年、追徴金1100万円の有罪判決が確定。議員を失職し、収監される見通しとなりました。物証は少なく、証言による調書と一部の金の流れで検察は起訴。現在では、同様の構図では検察も起訴が難しくなり、当局もこの判断には胸を撫で下ろしたことでしょう。民主党代表選、郵便不正事件の村木被告への無罪判決等、絶妙のタイミングで下した判断には、最高裁がどちらを向いているか、それを明らかにして見せたという点で大きい出来事です。
同様のことは、昨年の衆院選における、小選挙区の格差2.30で大法廷を開催する最高裁の動きにも、顕著に見られます。大法廷は07年の参院選における格差4.86でも合憲、と判断しています。参院選と衆院選は、格差にも開きがありますが、かつては2.47でも合憲との判断を下していることから見ても、このタイミングでの大法廷開催は、先の合憲判断を覆す意図が見て取れます。歴史的政権交代が違憲、最高裁がこの判断を下すのかどうか、今後この動きは注目されます。

尖閣諸島で操業中の中国漁船を、海上保安庁が拿捕した問題で、中国が抗議しています。しかしどの国でも、係争中の土地で活動をすれば拘束されて当然です。今回の中国の反応は、代表選中の菅政権の出方を試す意味もあるのでしょう。国際関係の悪化を印象づけたくない、と政権が考えれば穏便に済ませる。菅首相はともかく、仙谷官房長官は対中関係を良好に保ちたいと考えるだろうから、強く出ても悪影響はない、という見方をされているはずです。
こうした動きは、日中ハイレベル経済対話でも現れています。レアアース輸出規制について、中国は強気です。年間輸出を前年比4割減、3万tにしたことで中国に頼ってきたレアアース、7月に発表され日本でも高騰が続きます。中国が北朝鮮を支援するのも、レアアース埋蔵が見込まれる北朝鮮が崩壊し、中国と同様の輸出国になることを嫌う、といううがった見方も可能です。中国は今、自国の最大の強みを用いて、強気の外交を展開する、日本がどう付き合うか、を試されているのです。

日本は中国漁船に対し、粛々と国内法を適用すれば良い。この点で、おかしな揺らぎを見せれば今後、政権運営を危うくします。外務省は好意を示すことで、見返りを期待する風潮があり、そうしたチャイナスクールの動きに惑わされないことです。鈴木氏がいなくなってホクソ笑む外務省、日本の国益を守るためには、最大に改革が必要な行政機関の一つ、なのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年09月07日

菅首相による小沢氏起用発言?

民主党代表選で、菅首相が「小沢氏を得意分野で活躍」と述べ、要職起用を示唆したと見られましたが、今日になり発言を訂正しています。これを、反小沢を標榜して支持を受けた、自身の立場を危うくするものという指摘もありますが、それだけではない影響をもちます。今回の代表選、序盤から菅氏は小沢氏の政治とカネを指摘し続けました。これは野党の要求と同じ、即ち今後、菅政権が続く場合、菅氏が小沢氏を庇うようなことをすれば、前言と違うと野党の攻撃材料とされます。
菅氏自ら、小沢氏は説明すべきとしていたではないか。野党からそう要求されれば受けざるを得ません。一方で小沢氏は「総理になれば国会で答える」と、条件付の発言にしていた。これは逆に、総理にならなければ無視し続ければ良い、というのと同義です。すると、菅氏は自らの発言と野党と、小沢氏との間で板ばさみとなり、政権運営が立ち行かないのが必定となってしまいました。

つまり菅氏は、ブレによる党内基盤の弱体化のみならず、自らの発言の軽さ、甘さをこの段階で露呈した。これで党要職に小沢氏をつければ、益々党内統治能力を疑われることになります。政治とは、スジの通らないことを通す作業ですが、人を動かすにはスジを通す必要があります。特に、政治力学では小沢氏の方が上、菅氏がスジを通さなければ小沢氏に応える理由はないことになるのです。
菅氏が小沢氏を要職に起用することは、最早ムリなのです。党内に居てさえ、政権運営を危うくする。そうした状況に追い込んだのが、自身が行ってきた小沢氏への政治とカネへの口撃です。挙党態勢も、トロイカ+1も、菅政権下で構築は不可能。仮に菅氏が政権をとっても、反小沢しか支える者がいない、党内基盤の弱い、非常に脆弱な体質の政権運営となることがほぼ間違いなくなった、それを印象づけた出来事が、今回の小沢氏起用という問題なのでしょう。

どんな組織でも、組織内抗争で相手を攻撃すれば泥沼です。菅氏は自ら泥縄を握り、それを政権の手綱とせざるを得なくなった。代表選を政策論争にしなければいけない、というのはそういうことです。政策なら中身で妥協できても、敵失や弱点を攻撃しては、その後の一体運営を危うくする。小沢氏のように「官僚主導」と攻撃しておけば、省庁付きでない副首相などの地位に相手を据えることが可能、この辺りにも政界を百戦錬磨で歩んできた、小沢氏の強かさが見て取れるのでしょう。
政治とカネは、小沢氏にとってネックであると同時に、民主党にとっても脛なのです。それを自ら晒して殴ってしまった。小沢氏が幹事長時代、毎週定例記者会見を受け、質問も受け付けた。それでも記者は責め切れなかった。しかし新聞などは、未だに説明責任が足りないと指摘します。小沢氏の政治とカネは、質問者が変わろうと責め切れない、そういう次元の話です。つまり検察が描いた図式を示す証拠、それが皆無であるため、憶測でそれ以上の追求をすれば、我田引水の論調しか成り立たないのです。一方でそれは、政治のカードとなる。小沢氏は菅政権を追い詰めるための、野党もそれと同様の動きをとるでしょう。政治のスジは、伸びきれば手足を動かすことさえ難しくなる。菅氏が負った問題は、殊の外大きいことになるのでしょうね。

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2010年09月06日

東アジアの為替と外貨準備の話

韓国のサムソン電子が来年の設備投資、研究開発費を30兆ウォン(2兆2千億円)とする見込みです。半導体、液晶パネル、来年も需要拡大を見込む強気の計画と、他社に先んじて大規模投資を打ち出すことで、けん制する狙いがあります。韓国は為替介入を繰り返し、輸出産業を後押ししてきましたが、これが世界で問題視されないのは、韓国は未だに新興国との位置づけだからです。
日本では、小沢氏が2兆円規模の為替介入を示唆していますが、この程度で終わればスズメの涙。ただ先進国が介入に舵を切った、との批判だけが世界から日本に浴びせられます。すると、中国、台湾、韓国は圧力が緩和され、日本の影で当面の安泰が得られる。日本の介入の効果は、アジアの安定という面では寄与しますが、日本が荒波の防波堤になることだけは間違いないのでしょう。

そんな中国の外貨準備の構成が憶測も含みつつ、米国65%、欧州26%、英国5%、日本3%と公表されました。ドル固定からバスケット制への移行で、急速に多様化を進めた結果、毎月1兆円の日本債券買いと波乱を起こしました。台湾も8月末で外貨準備を3720億$(約31兆円)に増加、外貨準備高で世界第4位の地位を、不動のものとしています。
この中国マネーは、日本の普通預金金利にも影響しています。三菱東京UFJが0.04%から0.02%へ金利を下げ、スズメの涙の金利すら涸れ果てそうです。大量の国債購入が長期金利を押し下げ、預金の金利を押し下げる。これが為替にも影響しますが、一方でもう一つ、海外から見て、日本の個人投資家が円売りを仕掛けることを「ミセス・ワタナベ」という、との話が伝わっています。

名前に意味があるかは存じませんが、要するに大量の円買いを仕掛けても、ミセス・ワタナベが円売りで相殺してしまう、というもの。輸出国は企業が稼いだ外貨を自国通貨に替えるため、どうしても通貨高を招き易いのですが、一方で外貨のまま保有する傾向が強まり、外貨預金が10兆5千億円に達する見込みです。個人も企業も、円を持ちたがらない。これが円安に巻き戻れば利益が出て良いのですが、更なる円高になれば損切り、円売りの材料として意識されることになるのでしょう。
世界は債券バブルの影響で、じわり小康を保つ展開です。国債暴落の歯止めにはなっていますが、一方で預金金利は下がり、世界の貯蓄傾向と逆行する動きを見せます。一方で、南欧では再びスプレッドが拡大しつつあり、中国が一気に増やした外貨準備を南欧の国債に傾けた、と見られることから、こちらも波乱要因になりそうです。中国の場合、運用基準や安定運用という形が見えないため、一気に売りかかる懸念は、一向に消えないということになってしまうのです。

中国はすでに日本の2倍以上の外貨準備を蓄えた、とされます。その内の3%としても6兆円以上が、日本を買っている計算です。輸出依存の強い東アジアの国々ですが、波乱、変動要因の渦中に中国がいることは、ほぼ間違いないことです。中国からは個人投資家と見られる韓国国債買いも活発、と見られます。ジャブジャブ刷り続けられる人民元と、アジアマネーの行方、一蓮托生になる前に、抜本的な解決策を模索しなければ共倒れ懸念すら生じかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2010年09月05日

雑感、米雇用統計と世論調査

先週末の米8月雇用統計で、10万人減予想のところ、5万4千人減と良い指標が出て、米株市場はそれを好感して上昇しました。ただ現在は債券バブル、株上昇の代わりに債券が売られてドルは上昇、日本にはユーロ安が若干好影響という程度の反応が予想されます。日本も小沢氏が代表選に出馬を決めたことで、債券価格が下落しているといいますが、世界の大きな流れは先週辺りから債先売/株先買を走らせているので、その理屈を適用すると小沢氏出馬で、世界の債券市場を動かしたことになってしまいます。特に、世論調査の結果を見ると、民意は菅氏60%半ば、小沢氏20%未満ということであり、この数字で債券市場が小沢総理を織り込む、というのもおかしな話です。
行き過ぎた債券買いが、米マクロ指標に良いものが出て一旦売り、という流れにあるのが直近です。これはまだ債先買/株先売という大きな流れの中の調整、という側面は拭えないのでしょう。こういう動きは、逆に余裕を溜めて、更なる債先買を仕掛け易くさせます。日本の小沢氏出馬などより、米国のマクロ、ミクロの方がよほど経済を動かす、というのが現在の日本の市場の流れということなのでしょうね。

8月米雇用統計では、政府雇用が12万1千人減ですが、若干違和感があったのは教育、医療関係が4万5千人増、ということです。元々米国では9月が年度切り替わりのタイミングなので、この時期に教育機関が雇用を増やすものですが、州政府の財政は未だに厳しく、公的機関の雇用増とは考え難い面があります。一方で、オバマ政権の医療保険改革で、医療機関を受診し易くなったことに対応する、そんな動きとも受けとれます。
失業率は9.6%、これを就業を諦めていた人間が戻ってきたため、との論調もありますが、一方で継続失業者が着実に増加しており、幾ら人口増社会であると云っても大きな数字です。これはむしろ、労働環境は一向に改善されない中、民間雇用が増加した数字に違和感をもつべきなのでしょう。金融機関では、自己売買部門の人員削減の話が出るように不必要な人員はすぐ切る、という態度です。米国の労働市場は日本のような終身雇用型では元々ないため、日本型経済に陥ると米国の労働環境は劣悪化する恐れ、そうしたものをこの雇用統計は垣間見せていると考えます。

統計上の数字、というのは正確性が重視されます。米雇用統計は前月の数字を翌月の第一金曜日に発表する形のため、速報性はありますが、正確性にはやや欠けます。必ず修正が入りますが、最近下方修正が入ることが多いと感じられます。これが統計上の癖なのか、ある意図の下に操作されているのか、はよくよく見ておかなければいけないのでしょう。
日本メディアがよく行う世論調査、先にも示しましたが、民主党代表選で菅氏60%半ば、小沢氏20%未達という状況は、ネット調査と大きく異なります。消極的態度を取り込める戸別電話調査にも意義はありますが、元々党員はある意思をもって、党に属しています。投票行動は、今回の世論調査でははかり難いのでしょう。特に小沢氏を積極支持、と言い出し難い風潮をメディアが構築しており、実際はどの程度かはまだ予断を許さないと考えています。何より、他者を批判して自らの票に繋げようとして失敗した例は、直近では自民党が最大です。統計の癖、ということを考慮し、経済でも政治の世界でも活用することが大事です。二つの数字が示す内容は、統計に何らかの操作があるかどうか、ということで見るとどっちもどっち、ということにはなるのでしょうけどね。

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2010年09月04日

民主党代表選にまつわる周囲の動き

多剤耐性菌の問題が拡大しています。複数の抗生物質が効かず、治療法がない。抗生物質を用いることの多い、院内で発生し拡大するとされますが、鶏や豚などの家畜にも大量に抗生物質が投与されており、そこから改善されないと根本的な発生を抑えられないともされます。今回の問題は、帝京大病院側が隠蔽していたことであり、対策に遅れが生じたことです。菌の撲滅を後回しし、感染者拡大という事態を招いた。これは大きな問題になるのでしょう。

民主党代表選、今日は街頭演説ですが、各社で行う情勢調査では国会議員票で小沢氏がやや有利、地方議員票で菅氏が有利、党員・サポーター票も菅氏が有利と見られるので、序盤戦はやや菅氏が優勢と見られます。そんな中、現役閣僚が小沢氏に対する反発を強めるシーンが見られます。菅内閣の閣僚なので当然ですが、やや議論が感情的に過ぎることが多々見られます。
小沢氏が在沖縄海兵隊は2千人と述べたことに対して、岡田外相が1万と述べました。某紙は米軍の開示情報を引いて1万3千、としましたが、この数字が正しければローテーションで3分の1しか沖縄にいないので、常駐兵は北沢防衛相が2月に指摘したように4、5千が正しいのでしょう。そうなると、岡田氏はかなり過大な数字を提示し、議論のミスリードを狙った可能性が指摘できます。

件の某紙は、記者クラブ主催の討論会を「うつろな舌戦」と見出しをつけています。一々上げればキリがないほど、某紙の見出しは誹謗中傷の類が多いですが、対決姿勢だけは今回も鮮明ということでしょう。小沢氏が揮毫を求められ、白紙にしたことには記者クラブを軽視する、小沢氏らしい態度が見受けられます。ぶら下がりも定例記者会見を提案するなど、小沢氏の最大の敵は目下メディアということで、間違いではないのでしょう。
自民党型の派閥調整型と違い、民主党代表選は最後までどう転ぶか分からない、メディアジャックの効果が大きいと云えます。自民党は小沢氏なら政治とカネで、菅氏なら景気対策への消極姿勢で、攻め手を探るといいます。ただ政界再編の思惑とともに、自民党は動き難いともいえます。反小沢で糾合できるかは、小沢氏の政界多数派工作の行方次第、菅氏の場合は保守を標榜する自民が本来、手を組みたい相手です。野党の側より、与党の側が率先して政界再編は仕掛けるものであり、野党の自民党は政界工作巧者の小沢氏と対決し、上をいく戦略を練らねばいけないのです。

閣僚も小沢氏が勝利すると地位が危ない。メディアも小沢氏を攻撃してきたツケで、今後冷や飯を食わされる恐れがある。自民は多数派工作の面で小沢氏を敵に回さなければならない。今回の代表選は、それぞれが、それぞれの思惑で小沢氏を睨んで動いている印象があります。結果的に勝利するか、敗北するか、どちらに転んでもその後の政局をリードする、重要な地位にはあるのでしょう。
小沢氏は多剤耐性、多くが蹴落とそうと動いても、これまではそれを跳ね除けてきました。今回、小沢氏は政治生命をかけると言い切った。これが最終決戦なのか、更に先があるのか、こうした読みスジも今後は重要になってくるのでしょうね。

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2010年09月03日

民主党代表選の政策論争は?

民主党代表選で、小沢氏が「僕には夢がある。国民の生活が第一」、菅氏が「元気な日本の復活を目指して」というキャッチフレーズが決まりました。「夢」という漠然としたものながら革新を意識させる言葉と、「復活」に示されるように保守的傾向を示す言葉、こういう所にも両者の違いが垣間見られます。これらは幾つか、発言の中でも見られる傾向です。
小沢氏の「極東における米軍は第七艦隊で充分」発言。これは極論ですが、朝鮮半島や台湾有事にしろ、いきなり戦争状態に突入することはまずないと云えます。兆候があり、その段階で艦隊や軍隊を移送して備える、でも充分ではあるのでしょう。現行の世界は、国連が調整せずに第三国が介入する行為を認めていません。これは安保があっても同様、抑止という意味の米軍駐留や、在留米人、邦人を救出するための海兵隊との位置づけも、実は非常に曖昧と云えます。それが分かると、緊張状態の高まりと同時に、どう兵を集中させるか?という戦略の方がより重要になるのであり、平時は第七艦隊のみでも事足りるが、有事の危険性の高まりをどう感知するかを議論すべき、と云えます。

小沢氏の無利子国債案は、国民新の亀井氏の提案でもありました。ですがこれはマイナス効果です。短期的にそれで良くても、長期で安定化させる策ではない。場当たり的な、政治家が陥り易い悪い癖です。約20年景気が低迷する中、今だけが異常だとはとても云えません。場当たり的な対応とは、将来の禍根です。借金の付回しを議論しては、政治家の逃げでしかありません。
一方で菅氏も政治とカネの追求や、数の理論など小沢氏への攻撃姿勢を強め、自らのやりたい項目への主張が見えない。例えば政治とカネの問題は、資金の出元に対する検察の捜査は不発、政治資金収支報告書の虚偽記載に留まります。つまりカネ自体の問題ではなく、記載方法の不備という形で、小沢氏がそれを指示したか、認識していたか、で起訴、不起訴が別れます。その証明は物的証拠がなく不可能、なので検察は不起訴にしています。この辺りの理屈が分かると、小沢氏が説明責任を果たすことはムリと分かります。ただ国民の多くが説明責任が果たせていない、と感じるのは、実はカネの出元が怪しいのではないか?という点です。しかしそんな話を自ら暴露する政治家はいないため、幾ら小沢氏に説明責任を求めても何も出てこない、ということになるのです。それが分かっていても、菅氏も要求している形になります。

菅氏が本来やらねばいけないこと、それは政治主導の形をどう描くか?それを国民に見せていくことです。保守的傾向は、自民党政権時代と同様の小手先の改革にしか見えない。国民が望む、行政改革や従来の仕組みからの脱却、という絵を国民が空想でも脳裏に描けないことが今ひとつ支持を得ない理由です。それで揚げ足ばかりをとれば、益々自民党時代の派閥構想に近い形にしか見えなくなる。結局それは、政治主導で変革とは見え難い、ということになります。
元気とは気持ちの問題であり、漠然とし過ぎです。下手をすれば、今より不幸でも元気でさえあればいい、貧乏暇なし、とも解釈できます。小沢氏の夢の話も、国民が期待するほどの価値、未来があるのか?という疑問形になります。いずれにしろ、政策論争に移った中、矢継ぎ早に色々と夢が語られる小沢氏と、元気に相手を攻撃し続ける菅氏、という対比では、国民の期待値も低くなる、ということになりかねない代表選となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(2)TrackBack(3)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年09月02日

米国のイラク戦闘任務終了宣言

記者クラブ主催の公開討論会、目玉は小沢氏が総総分離をきっぱり否定したこと、でしょう。これで小沢氏が目指すのは、野党との政界多数派工作となります。自らがトップに立った上で審議拒否に対抗するには、衆参で部分連立なりの多数を占め、審議を強引にでも推し進める力を得なければなりません。メディアでは小沢氏は財政拡大路線、と菅氏の消費税発言と同様のイメージ戦略を打っています。予算組替えなどできるはずない、との思惑だけでなく、官僚の差し金という面もあるのでしょう。一方、為替介入を示唆する小沢氏の背後には中国の影も見えますが、企業側の要望もあって、こちらを強く指摘できないメディアの偏重姿勢も、今回の代表戦では特徴的な動きなのでしょうね。

昨日、普天間飛行場移設の報告書が提出されました。V字案とI字案の両論併記、I字案だとV字案に比べて3%の経費節減と50haの面積縮小、その代わり環境評価に15ヶ月を要し、6ヶ月の工期短縮と合わせて9ヶ月余計にかかるとのこと。米軍はV字案を主張、飛行経路も陸上を主張するなど食い違いを見せており、2+2での決定も先行きには暗い影を落としそうです。
米軍はイラクでの戦闘任務終了宣言が出され、7年5ヶ月に及ぶ主力部隊の立場から、その任を降ります。その間7千億$の戦費、この経費負担がなくなる分を経済再生と雇用につぎ込むとしますが、イラク帰還兵が溢れると、米国では一気に失業率が悪化する問題があります。
更に11年末が完全撤退の日取りですが、この間イラク軍、イラク警察を親米的にしておかなくては、すぐイラクで反米政権誕生という問題も抱えます。宗派対立が激しくなり、イラク国内を統一する最も良い主張が反米、という形となることが、ほぼ確実視されるからです。それがアルカイダ系なのかは別として、軍や警察に睨みを利かせておきたい、そんな思惑も透けて見えます。

米国ではアフガンに対テロ戦争を集中、としますが、問題はパキスタンにも波及しており、水害で支持を高めるアルカイダ系が、いつパキスタン政府を脅かすか分かりません。そうなると核をもつテロリスト、との戦いとなり、非常に困難な闘いを強いられることになるのでしょう。
米国はグアム移転費も出し渋るなど、軍産複合体も弱体化の兆しが見えます。元々、米共和党との関係が深いとされますが、財政悪化は米国でも深刻な事態であり、軍需産業を養う余裕はなくなってきた、と云えます。日本でも次期主力戦闘機の選定が行われていますが、米国以外の機種を選択肢とすると、普天間を初めとした米国との交渉にも材料とすることが出来るのでしょう。
日米安保があれど、日本の兵器選定に米国が口を出せば内政干渉です。米国は今後、益々自ら軍事予算をかけず、日本にすがってくると予想されます。今回の一連の動きは、その端緒として捉えて良いものです。その時、日本が交渉相手として米国と向き合うことができるか?それらも日本の将来に不可欠な議論であり、民主党代表選でも争点として議論すべきことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2010年09月01日

民主党代表選・経済政策で見る相違点

民主党代表選が告示されました。菅氏、小沢氏の政策面の違い、財政再建を訴える菅氏が保守的、マニフェスト実現を訴える小沢氏が革新的、そんな色分けも見えてくるようです。政見の中で述べられた、経済政策に焦点を当てて、少し両者の違いを見てみることにします。
菅氏は雇用創出を第一に、小沢氏はひも付き補助金を一括交付金にすると提案しています。前者は官僚の書いたシナリオに見え、後者は官僚の嫌うシナリオです。菅氏も財務省の問題を訴えますが、全般的にこの流れにある、ということが云えます。菅氏は税制抜本改革として消費税も含み、その中で社会保障改革を訴えます。一方で小沢氏は207兆円の全面組替えで財源捻出、年金も制度一元化による抜本改革を訴えます。どちらが官僚でも書けるシナリオか?は一目瞭然です。

しかし小沢氏も急激な円高に介入辞さず、の姿勢を示します。2兆円が介入資金とされましたが、一日の取引が10兆円規模の市場であり、効果はやや疑問視されます。単独介入を1年間にわたって実施したスイスを例にとると、外貨準備が2300億スイスフラン(約20兆円)、1年前の5倍近くに拡大させたものの、単独介入の効果は低く、為替は更なるフラン高となり、2010年上期に中銀は2000億円以上の損失計上を余儀なくされました。スイスのGDPは5000億スイスフラン強なので、これ以上の外貨準備は経済政策を狭めますし、介入後の更なるスイスフラン高を招く結果に終わっています。
長期のトレンドが円高を示す今、単独介入で効果を出すには、期間にもよりますが、かなりの規模を誇る必要があります。逆に、今は市場に資金がダブついている状況であり、政府の介入を上回る規模で、崩しにかかる可能性も示唆されます。ヘッジファンドもリスク資産の圧縮に動く昨今ですが、仮に介入姿勢を強めたとしても、口先介入に留めて、効果を上げる工夫は必要なのでしょう。

子ども手当て満額支給など、小沢氏の提案にはバラマキも目立ちます。ただ鳩山、菅政権ではできない予算組替えが、小沢政権では出来そう…との期待を抱き易い点で、小沢氏の発言にも信憑性が増します。菅氏の訴える雇用創出が、先の基本方針で示されたトライアル雇用制度、程度の提案ではやや弱いとみます。福祉分野の充実、を前回の代表選でも訴えていましたが、未だに具体的提案はありません。介護資格の取得など、制度改正もまだ進んでいない部分です。
あくまで経済政策に的を絞りましたが、逆にその他の分野、普天間や政治とカネなどに具体的提案はなく、やや意外感はあります。菅氏も前回の代表選での「私も真っ白ではない」が効いているのか、企業・団体献金の禁止など、強く訴えるものはありませんでした。小沢氏の訴える、普天間基地に関する米・沖縄と合意を得る案、というのもよく分かりません。この辺りが焦点に出来ないと、菅氏の側は益々苦しくなるでしょう。世論頼みとはいえ、議員票でダブルスコアをつけられては、政策に対して国会からノーと言われているようなものです。

国家公務員給与の人事院勧告以上の削減、これが唯一、菅氏が官僚に対抗する提案です。法的制約はないものの、歴代政権はこの人事院勧告に従ってきた。それを突き崩せるか?菅氏、小沢氏、どちらも日本の舵を決める過程で、官僚との付き合い方、その態度を示さなければ国民に理解されません。両者の違いが際立つだけに、結果はかんらいドラスティックな展開も予想されそうですね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済