2011年01月

2011年01月31日

小沢氏の強制起訴について

小沢民主党衆院議員が強制起訴されました。検察審査会の議決をうけ、既定路線ですが、これで国会のステージは証人喚問から、離党勧告や議員辞職に移った感があります。証人喚問にしろ、参考人招致にしろ、政治家としての倫理観を問うものであり、公判は法律違反を問うものです。明らかにレベルが違う内容であり、公判において争う方がグレードも高くなります。
起訴内容はシンプルです。16年10月に小沢氏からの4億円を借入れ、土地所得による支払いと、土地保有を記載せず、それを17年1月に記載したとするもので、小沢氏が共謀したかどうかが問われます。秘書の起訴理由にあった水谷建設からの裏献金、という話はざっくり落ちており、あまり報道はされませんが、検察の進める秘書による公判との整合性、即ち裏献金の事実について事件全体の構成に不整合が起きる可能性があります。これも検察と指定弁護士、それぞれの判断の違いという面があり、事件の構図の読み方、証拠の不確実性に関する認識が異なることを示すものです。

一方で、事件がシンプルになったので容易に反論が可能となりました。資金の支払いは16年10月ですが、本登記は17年1月と不動産会社との間で取り決められており、それに従って政治資金収支報告書に記載したことが正当化されます。日付について憶測も呼びましたが、本登記において所得とすることは、商契約上は充分あり得る話です。小沢氏側の弁護士が立件するとは思わなかったというように、また指定弁護士が法曹の良心に反しない、とするように無理スジとの見方が大勢です。
しかも小沢氏からの借入れのみ不記載、とすれば現状どこかに欠損が出るはずです。これは検審の議決に従い不記載としたものの、事件の構図全体を解き明かせず、とりあえず起訴内容に含めた、程度です。検審の議決内容は大事にしましたが、指定弁護士の捜査の限界が見えた。特に、検察の供述調書の信憑性がグラつく中で、それしか寄る辺がない中、公判維持も難しいのでしょう。

これは小沢氏が善か、悪かという話ではありません。この事件において小沢氏を問い詰めるのは無理スジだ、という話です。しかし小沢氏を諸悪の根源とするメディア、政治家が散々に煽ったため、これで無罪になると小沢氏は絶大な権力を得ます。次の立件が高い壁になり、司法としては無罪放免のアンタッチャブルゾーンに入るからです。その時、メディアはまだ疑惑があると報道するのでしょうが、最早力をなくします。だから今、必死で影響力の低下と報道し、それを規定路線とする流れや離党、議員辞職などを自発的にして欲しいと訴えることになります。復権するのが怖くて仕方ない、そんな本音が透けて見え、その度合いが強いほど強権的にそれを訴えます。
今回、悪い観測では公判が始まる前に水谷建設元会長の口封じもあるのでは?と感じていました。下手に公判に出てきて、証言を覆されては堪らない。先に判決の出る秘書らが無罪になると、小沢氏の共謀そのものが成立しない可能性もあるからです。水谷建設元会長の証言が落ちたことで、本当の意味で政治資金規正法の虚偽記載、という形の事件として審理されます。予断もなく、商取引上の契約をどう政治資金収支報告書に反映させれば違法か、そうでないかの判断となります。
公判は、この内容で公判前整理手続きを行うなら早いでしょう。膨大な供述調書といっても、使える内容は少なく、恐らくは秘書らの供述調書の信憑性と、公判時の証言の違いが焦点となるためです。早ければ夏ごろには審理が始まるでしょう。今後は衆院解散の時期を睨んで、小沢氏の復権が怖くて見切り解散をするのか、そうでないのかという点が菅氏の決断なのか、次の政権の決断なのか、そうしたものに課せられてきて、民主党内が右往左往することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2011年01月30日

ダボス会議が閉幕

昨晩のアジアカップ、良かったですね。サッカーは私が見ていると点をとられたり、負けたりするので基本見ないのですが、今大会は見るたびに得点してくれるツキがありました。このツキを大事にするため、決勝もラスト5分ぐらいから見ていましたが、優勝できて本当に良かったです。

世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が閉幕しました。菅首相は新しい絆の創造を訴え、最小不幸社会の実現にふれています。しかし日本の長期国債が格下げとなってすぐであるにも関わらず、財政再建に関しては触れないなど、来年度予算案では財政再建の道筋が立たず、来年もし出席する場合にギリシャのパパンドレウ首相のように支援の必要ではない、と言い続けた言質をとられて批判されるのを恐れた形です。しかしオピニオン・リーダーとして、また日本の首相として常に財政再建の旗を下ろしてはいけないのであり、菅首相にはそうして国のリーダーとしての発言ができなかったようです。
しかし欧州の財政再建路線が、中東情勢の不安定化にも直結しており、財政再建には功罪も付きまといます。政府が歳出を抑えたことで、欧州の失業率が高まります。中東やアフリカは、歴史的にも欧州に出稼ぎに行く割合が高く、出稼ぎ先で就業できないため、中東諸国やアフリカなどに人が滞留して失業率を高める。それが政権批判を強めるという構図も一部には含まれます。

しかも政権基盤が揺らぐと、さらに輸出が滞って商品が市場で品薄となり、インフレを招く。原油が高騰しましたが、楽観論を見直さざるを得ないほど、この根は深いと言えます。失業率、インフレ、市場にばら撒かれた資金とこの2つの問題は、極めて密接に絡み合ってきています。
一方で米ドルの準備通貨としての価値下落が、深刻になったことも伝わります。ロシアも特別引出権(SDR)に、人民元やルーブルを含めるよう提案した、ともされますし、各国も米ドル以外に外貨準備を多様化している報告がされます。特に、価値が下落し続ける米ドルを保有することがリスク、と捉えられ始めた。これが大きなポイントであり、FRBが下支えする米国債が、3%前半でもたつきながらFRBが目指す金利低下が進まない。これは買い手がそれほど多くないことを示します。

28日のNY市場は大きく下落ですが、これはダウ12000$を目指してきた一部が、さすがに売り始めたことを意味します。世界で楽観的なのは米国人のみ、今の世界は欧州が財政再建、弱った国の支援策で汲々とし、中東、アフリカなどの政情不安を抱え、アジアも堅調そうに見えて、中国の貿易黒字が縮小する予想など、不穏な空気が漂い始めています。この時、きちんと日本の行く先を示せなければ、真の意味で日本も危機を迎えることになるのは必定なのでしょう。
菅政権の語る最小不幸社会は、社会保障の充実など、セーフティネットが機能することを意味します。しかし財政再建、政情不安、いずれも世界はそちらを向いていない。目的はそれであっても、今ここで訴えるべきとはとても思えません。経済会議は夢を語る場ではなく、現実にある世界をどうするかを語る場です。菅氏が示した内容は、国際的にはほとんど評価されないでしょう。何をしに、何を訴えたかったのかはわかりませんが、耳を傾ける提案がなければ参加する意味などなく、ここにも菅氏が誤解したまま、という姿勢が透けて見えたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2011年01月29日

エジプトでデモが拡大

エジプト全土でデモが拡がっています。ムバラク大統領の独裁的手法に対抗する民主化の流れですが、デモが暴徒化し、軍が出動しても治安維持がされないなど全土が非常事態です。エジプトはサダト前大統領、ムバラク現大統領と同郷出身者が政権中枢を維持してきました。ちなみに、サダト前大統領は家名を偽っていたことが死後確認されており、アル‐サダトは預言者ムハンマドの家系につけられる敬称とされますが、本当はサダティ、聖者に従う者、即ち平民とされます。一方でムバラク大統領も古代の聖者に由来する家系になりますが、こちらも家名に関する調査は死後にならないと行われない、とされます。つまり聖者の家系として自らを権威づけていますが、それも情報操作である可能性を示唆されている状況です。
一方で、エジプトではサダト前大統領を暗殺した人物が名家の出身であったように、有力氏族の子弟が、政権への抵抗勢力に加わっているようです。今回、ネットに触発された若者が中心の動きですが、同郷出身で継承しよう、息子に後を継がせようとするムバラク氏側の動きが、国内では相当に反発を買っています。これも名家の出身で海外に留学に出て学を積んだ、自由な気風を学んだ世代が主導する面もあるのでしょう。今回の動きが政権打倒までいく可能性が高くなります。

この動き、最も困るのは米国です。巷間云われるように、親米のムバラク政権を支持したくとも、民衆革命は排除できません。エジプトの政権の構図はイラクのフセイン政権と同じ、権力を一部が掌握し、民衆を圧政していた形です。これを否定してはイラク戦争すら否定しかねません。
実は民衆蜂起も、テロ集団とされるものも同根です。規模の大小や手段が異なるのみで、目的は政権打倒ということで一致しています。政権に反対する勢力が大なら、デモという形で緩やかに改革を目指し、その中の一部が暴徒化します。勢力が小なら、強行的な形で意思を表明せざるを得ず、空港爆破などの過激な活動に走る。情報により多数化を得る、という形が今後主流になりかねず、中国やロシアなどの一部に不安定要因を抱える国は、早速ネットの検閲などを強化する動きを示します。また米国、イスラエルなどは親米政権が妥当されることで、中東情勢を不安定化させることを恐れている。反イスラエルの体制ができれば、パレスチナへの支援が行われ、イスラエルは反発を強めるでしょう。

しかしこの動きでも確かなことは、米国は利をみて独裁政権であるムバラク陣営を援助、手を結んできたのであり、それは米国外交としての正義だと言うことです。民主化を支援、と口では云いながらもムバラク政権の維持を望む、米国とはそういう国だということです。
しかしこれは批判することではありません。外交は必ず自国の利を最大化するよう、動くものだからです。だからこそ、日本も自国の利を最大にするよう、米国とも交渉しなければいけない、ということです。それが日本にとってどう好影響をもたらすか?ということが、最大の議論の対象であり、残念ながら日本はそうした議論を封殺する傾向があります。しかしネット世界が情報を共有し合い、正誤を既存メディアが論ずるのみでなく、正しい方向に導けるなら、民衆蜂起という流れは規模や手段は様々であっても、今後も起き得るのでしょう。産油国に影響が拡大とされますが、実は世界が同様にこうした民衆蜂起の流れを萌芽させつつある、とは云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 海外 | 中東

2011年01月28日

菅首相による『疎い』発言

昨日の菅首相による『疎い』発言。今日になり、相当程度理解しているつもり、市場に影響していない、と発言をしています。しかしダボス会議に出席する人が、『相当程度』と『つもり』という、二重に曖昧な表現をいれて格付けの理解を語るものではありません。また、市場に影響していないのは、オピニオン・リーダーとして発言を軽視されている故であり、決して誇ることでもありません。つまりこれは事前に影響は軽微と見られており、発言で市場が動くようなら重要視されている、と捉えることが可能です。逆に影響が大きいとき、発言で沈静化を図れれば、それは発言者として影響力の大きさを示した形になります。どちらでもない今回、市場からは明らかに軽んじられたのです、
今日、株式市場が下落していますが、これも間違えないよう指摘しておくと、先週末から欧州系が売り買い均衡のフラットに転換しています。上昇を牽引してきた層であり、それを補う形で今週、日米が一日で大口買いで下支えする動きもありました。月末ドレッシングと、決算期待の両面からですが、そこが追随買いもなく週末に見切り売りした形です。銀行株が下落していますが、これも短期で材料視されただけ、利回りが上がれば収益性確保、として見直し買いが入るでしょう。

ただ昨日、格付け機関ムーディーズが米国の見通し変更の可能性に言及しました。構造的には日本より米国の方が深刻です。経常赤字国がGDP比で100%を超える債務を抱え、これは欧州で破綻懸念を囁かれる国と同じです。しかも国内に財政赤字の州、不良債権を隠す銀行を抱え、事態は深刻の度合いを増します。これはブッシュ減税延長を決めた先月からの話ですが、来月の予算教書で財政再建の道筋が立たなければ、見通しのウォッチ期間に入りそうです。スタグフレーションに陥る英国や、米国のような国が最上位格付け、ということが格付けの正当性が低いことを物語ります。
日本の構造的な問題とは、団塊世代の大量退職により生産年齢人口が減少し、所得税収が下がることです。だから財務省は間接税である、消費税増税が悲願なのです。つまり先の税収減が見えているのに、一向に歳出削減改革がされず、歳入増しか前向きでないことなのです。これが与謝野氏が入閣したことで、一層鮮明化されました。格付け機関S&Pの一部からさえ、与謝野氏の入閣で民主のスタンスが不鮮明になった、即ち行政改革の旗を下ろしたと見られているのです。

官邸では、菅氏が自分の意思が国民に伝わっていない、としてテレビ出演などを積極的に検討しているようです。しかし今回でも発言を市場から軽視され、逆に失言の方を期待されている。これは言葉ではなく、行動ですでに意思は伝わっており、美辞麗句をいくら並べようと、評価は変わらないことを意味します。しかも攻撃的な言葉は狭い範囲の攻めに適していても、広い範囲をカバーし、失言を抑える守りには適していない。これを本人が理解できていないのです。
攻めは失敗しても攻め。挽回の余地も少ないことが、今回の『疎い』発言でも如実に表れています。悪い言い方ですが、ぶら下がり取材は番記者ばかり、見知った顔で口を滑らせただけ、という見方もできます。記者を接待などするから、変に親近感が沸いて、その先にいる国民や国を背負うという感覚ももてなかったのかもしれません。自分が何に『疎い』のか?それは情報ではなく、人の心の機微や国民の声です。それを受け入れる真摯な態度がなく、攻めれば自分のことを応援してくれる、という誤解だけで突っ走れば、支持率に『疎く』なるしか政権を維持する意欲も湧かなくなるのでしょう。天網恢恢疎にして漏らさず、天の網は『疎』であっても、悪い行いには悪果で報いる、と知るべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月27日

日本の長期国債が格下げ

霧島連山の新燃岳が小規模の噴火を起こしました。溶岩が上昇しているのでは?という話もあり、不安も増します。一方で鳥インフルの話もありますが、これで一帯から野鳥が離れて感染が減ることも想定されます。どちらが大変、という話でもありませんが、自然災害という形は、時と場所を択ばずに襲ってきますし、それが重なると大変な事態になってくるのでしょうね。

格付け機関S&Pが日本国債の格付けを、AAからAA-に引き下げました。来年度予算を今から検討する通常国会の開始と同時に、民主党政権には債務問題に関して一貫した戦略が欠けている、と酷評された形です。欧州では財政再建には、必ず増税と同時に公務員給与の引下げが入ります。日本だけ特異的に、増税議論ばかりが先行され、あまつさえその確実性も疑われています。
しかも「経済財政の中長期試算」が出た直後。基礎的財政収支(PB)が2020年度に、国と地方を合わせて23.2兆円の赤字、と公表したばかりです。今後、財務官僚による世論誘導、危機感を煽る戦術はそのまま国債の格付けに跳ね返る、ということが明らかになった形です。この試算が今回の判断に影響した可能性は低いですが、今後情報の取り扱いに失敗すれば、最悪の事態を招きます。

そんな中、菅首相は元財務閣僚であるにも関わらず「疎い」と公言。財務閣僚が無知でも務まる、それを露呈した形です。実際よく分からないため、官僚からのレクチャーがないと喋れない、という意味ですが、これは世界から失望を招きます。これは事前に見直しを示唆されていたことであり、一国の首相が不勉強で、深刻な事態にも対応が効かないと喧伝された形となるのでしょう。
若干の円安ですが、これはショック症状だけで、大きな動きにはならないでしょう。見通しは「安定的」、さらにAAからAの段階に入ると自動的に売り圧力が強まりますが、今はまだ一級の格付けです。ただこれがネガティブウォッチの段階に入り、各格付け機関がこぞって下げ圧力を強めると、CTAやグローバル・マクロ系に狙い撃ちされる可能性も充分あります。今のように、予算を各省の概算要求で財務省が取りまとめる形では、予算削減圧力がかけられません。財務閣僚経験者ばかりで、財務省シフトを強める菅政権では不安、それが戦略の欠如となるのでしょう。

政府が提出予定の国家公務員法改正案も、人件費2割減にはほど遠い内容です。人事院を廃止し、内閣府の下に人事厚生委員会を置く。争議権は認めないものの、人件費に関しては労使で交渉が可能という内容です。うがった見方をすれば、労使交渉に有利なのは自治労に近い民主、選挙や政策立案などに自治労に属す公務員から民主が支援を得易い、として検討されたかのような内容です。
最も簡単な人件費の決め方は、中小企業社員の平均給与と、国家公務員の平均給与を合わせることです。すると必然的に2割程度、人件費を下げられます。また寮や社宅の家賃を民間相場から1割程度の補助に留める、とするのも良いでしょう。公務員につけられた特典は、労使交渉とは違った形で、過度に優遇され過ぎているのが現状です。そこに見通しをつけることが大事なのです。
菅政権は、海外から財政問題に関して『落第』という烙印を押された。これで自身の態度を見直せないようなら、内外から『落第』とされます。さらに、自然災害による財政支出の拡大なども、格付けには効いてきます。経常収支が黒字だから、国内で償還が可能だから、そんな屁理屈はもう通用しないのですから、『疎い』首相では早晩交代圧力も強まることでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2011年01月26日

代表質問は与野党とも失望

オバマ米大統領が一般教書演説を行いました。草稿が事前漏洩するハプニングもありましたが、5年間国防を除く政策経費の伸びを抑制し、4千億$の抑制を訴えます。しかしこれは伸びの抑制であり、積み上がりは防げても、赤字削減には繋がりません。また法人税減税も訴えますが、特例減税の見直しで財源確保としており、この計画が上手くいかないと減税による歳入不足となります。
米国では住宅価格の二番底懸念も出ており、株価の戻りが消費を支えるとも云われる中で相場の買い支えが効かなくなり、調整色を強めると危険を増します。技術革新、インフラ整備、いずれも政策経費が過少では効果も上がりませんが、議会多数派の共和党の圧力で、歳出削減は果たさなければならない。難しい舵取りですが、少なくとも日本のリーダーより、具体策のある中身です。

今日から代表質問ですが、菅首相が答弁漏れをするシーンがありました。言葉の軽さは最近の政治家の常ですが、「政治生命をかける」が「改革に最大限努力する覚悟」とするなど、後退どころか意味を替えています。そんな中、前原外相が「思いやり予算」を「接受国支援」ホスト・ネーション・ネーション・サポート(HNS)と呼び替える提案をしています。グアムに訓練を移転するだけでその費用を負担する日本政府は、従属国負担とした方が良く、国防の基幹部分を米国に未だに握られる現状では、最恵国待遇負担、もしくは単に対外的防衛経費としても良いのでしょう。
しかしこの自衛隊の問題で、防衛相直轄の自衛隊諜報保全隊が、自民党議員の講演会に情報収集目的で潜入した、とされる件が質問にありました。ただこの件は自民にもズレがあり、潜入の目的が曖昧な中で「議員の監視」や「思想・言論の自由を…」とするには材料が足りません。仮に、防衛次官通達を巡って自衛隊に強い影響があるOBの発言を確認した、ということでも非難には当たりません。当該政権が民主的に択ばれている以上、文民統制の観点から自衛隊員の思想・信条を確認することは必要性もあります。通達の問題と、保全隊の活動は切り分けて追及しなければ、議論がまぎれて中身が薄く、よく分からない議論になりかねないのでしょう。

自民党は政権公約の見直し、消費税増税を巡って解散を求める戦術ですが、ここにも保守色を強める菅政権に対する、危機感が滲みます。実は、自民党政権時代の手法とまったく変わらなくなってきた今の菅政権が崩れ、自民党が政権を握っても苦しいことが明白です。何より、参院第1党は民主なのですから、ネジレが更に複雑化するだけであり、官僚依存と消費税増税の手法が否定されると、やりようをなくします。委員会を開かせないよう、音信不通にするなど自民がとっている手法を、民主が同じように行えば国政が停滞し、結果的にどちらも政権政党のみが行き詰る形になります。
菅政権もだらしないですが、自民党も頼りない。それが今日の代表質問で明らかになったことなのでしょう。どちらも悪い言い方をすれば米系です。つっ込める部分にはつっ込めても、都合の悪い部分を共有してしまっている。TPPや小沢問題など、もっと追求する部分はあるものの、自分たちの態度が決まらないため、中身は乏しい。議論できる材料を、統一地方選後に答えを出せればいい、などと考えているだけ、自民党にも迫力がありません。与野党とも政策議論は低調である点が、日本の政治貧困の象徴です。貧者の一灯より、貧すれば鈍すると映る点が残念な部分なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月25日

経済の話。市場の流れが若干変化

日銀が金融政策決定会合を開き、政策金利は現状維持。景気判断をやや回復傾向に見直しています。リスクとして米欧経済の不確実性を示しますが、経済見通しでいう先行きとは必ず不確実であり、過剰流動性相場の終焉のさせ方の困難さ、という言い方が正しいものです。
しかし先週末辺りから、資金の流れが変わってきました。ドル決裁が多い原油価格などは、特にドルの価値に連動し易い側面がありますがドル安で金、原油安。この背景にある要因の一つとして、今年G20の議長国である仏国から、商品市況に対する規制強化の提案があり、欧州系商品投資顧問(CTA)スジなどが、持分を調整してユーロに戻す流れを生んだのでは、と想定しています。

それを示すように、日本の証券市場も先週調整色を強めましたが、欧州系の先物売りが活発だったことが知られます。ただ今週に入り、それを補うように米系が活発となり、小康を得た形です。米国では日本時間の明朝、オバマ大統領の一般教書演説があり、減税などの提案があるという期待、FRBが大量の債権買取をする上で米系金融機関には大量の資金が滞留し、余裕がある状況も影響しています。
そんな米国では、米国債の上限撤廃も議論の俎上ですが、もう一つ州政府の破産を認める法案が提出予定です。現状、米州は破産が認められていません。破産相当になると連邦政府の管理下に入り、連邦政府が債務を肩代わりします。このため、現状州政府の債務は、米国の隠れ借金となっており、米国債の発行上限どころか、この隠れ借金が破裂すると米財政は確実に厳しくなります。

米地方債に関しては、格付け機関も年内の見通し変更に言及しており、年後半までに米経済が回復しないと、間違いなく厳しさを増します。欧州債務不安は、米州債務不安へと飛び火する可能性があるのです。米国が大統領選の前年には必ず経済成長する、というのは財政、金融政策に余裕がある昔ならいざ知らず、現在では幻想に過ぎないほどの儚い、僅かな可能性に過ぎません。
今、過剰流動性で溢れる資金は規制と利上げに脅え、一方向だった流れが多面的に向かい始めています。新興国向けの輸出が低下傾向にあり、新興市場も上値を追う動きにない。逃避的に、規制が遅れそうな日米の市場に資金を移しても、こういう資金は逃げ足が速いものです。ECB、英中銀もインフレ対策に舵を切り始めました。一旦、商品投資の資金を本国に還流しても、規制に脅えて外へ持ち出さざるを得なくなる。更にPIIGSで政情が安定しないなど、ユーロ売りの材料も抱えます。

米国金融決算が出揃いましたが、市場部門は不調、貸し倒れ引当金の取り崩しで最高益を出すなど、収益構造としては非常に悪い形が窺えます。債券バブルが調整に入り、収益性を落とすなど、今後も市場との向き合い方には苦慮することでしょう。相場が高すぎると、調整代を大きくする。今後も資金の流れには、注意していかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年01月24日

菅首相の施政方針演説

通常国会が始まりました。菅首相による施政方針演説、気になったのが結びで「建設的な議論、先送りせず結論」を国民が期待していると語っています。誤解してはいけないのが、それは最低限の議会の務めであり、国民はその結論で良い国にしてくれることを期待します。残念ながら、菅氏の描く日本の未来像には夢がなく、国民の理想とは乖離しているのですから、結論自体が受け入れられない場合も多々ある、ということになります。ぶら下がりでは「野党は対案を」とも述べていますが、その対案を丸呑みして議論を通すようでは、熟議でもありません。
全体としては、ひどい短冊型ではありませんが、社会保障に関する部分は短冊が目立ちます。やりたいことは曖昧として、時期も不明確なものが多く、政治改革は野党も意見をもち寄って…と、本来は施政方針なのですから、自身のやりたい施策を披見するだけで良いにも関わらず、野党にすり寄る姿勢もみせます。ただ全体的に、焦点がボヤけており、やはり菅氏の描く国家像が大増税による大きな政府、としか浮かび上がってこない。与野党が党派を超えて議論…とする菅氏は、まるで永田町全体が増税容認であるかのように述べますが、選挙を控えて増税を前向きに提言する野党はいないでしょう。

細かい点で気になったのが、生産年齢人口の減少という話です。これを悪しき課題として語りますが、周知のように就職は氷河期。逆に生産年齢人口が増加していれば、失業率がはね上がる。特に1次産業は高齢者が多い、という現実を見ても生産年齢人口の問題とは、単に納税世帯が減るだけと捉えられます。しかし、間接税が重くなれば就労による直接税ではなく、税収が確保できる。消費税議論には、こうした悪しき課題としての、社会の構造変化による税収の落ち込みをカバーしたい、という財務省側の意向が色濃く滲んだ内容ということが云えます。
更に「新しい公共」として、その担い手となる『認定NPO法人』への寄付を税額控除する、などの話をわざわざ入れていますが、これが新たな天下り法人になりかねない。つまり国が管理、監督するNPO法人に官僚OBが入り、節税対策のために利用されかねない。難しいのは、認可団体が自主、独立を維持することが可能かどうかであり、行政の管理、監督が甘くなればそれこそただの天下りの受け皿団体が増えるだけ、になります。まじめな非営利団体もありますが、事業自体が営利でなくとも役員に報酬が支払われる体制では、必ずしも行政の監視、監督だけで機能するものでもありません。

さらに平成の開国に関して、農林水産業の再生を重点課題に掲げますが、TPPは関税による調整代を失うものなので金融、財政、通貨政策や産業保護、育成など包括的な議論が必要です。これこそメディアの指摘を鵜呑みにするだけで、事前に起こるリスクを予測して、その対策を盛り込む検討に至らない、最近の政治が陥り易い政策リスクです。事は外交だけに、失敗して見直せば良いという話ではありません。正しい理解が進まない内に「やってしまえ」が一番危険なのです。
行政刷新の最後に、ちらりと「検察改革を進める」話が入りましたが、何が問題でどう改革するつもりなのか?それが単なるFD改竄に関することなら、検察の検証結果で個人的な問題とされたはずです。国民の知る権利の強化、とするなら取調べの全面可視化を認めるのか?施政方針演説では読みとけないですが、菅政権が官僚との接近を容認しただけに、こうした文言だけでは信がおけない、これが菅政権がいくら訴えても国民に届かない点であり、それはこの施政方針でも示されなかったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月23日

雑感。NECとLenovoの合弁

中国工商銀行が香港の東亜銀行の子会社で、米金融機関を買収する話が伝わります。稼いだ外貨を外貨準備として溜めるのではなく、海外企業の買収に用い、人民元安へと導く。これは国家戦略ですが、その流れの1つ、NECのパソコン事業をlenovoと合弁する話が浮上しました。
個人的に、パソコン部門に限ってみるとソニー、東芝は海外標準を採り入れており、純粋に日本的手法で事業展開をするのはNEC、富士通ぐらいと感じています。サポート体制を充実させ、お助けソフトを盛り沢山にして至れり尽くせり、使い勝手を考慮した設計。顧客満足度を重要視する姿勢は、海外メーカーではあまり見られません。しかしこの日本的手法、ソフトの管理とメンテナンスだけでも高コストであり、特にOSやCPUなど、変化が早くなればその分コストも増します。

海外メーカーは常に訴訟リスクに晒され、最低限のサービス、ソフトでの販売を行います。過度なサービス、ソフトを搭載するとそれだけでリスク、これがlenovoを始めとする、グローバルに事業展開をする企業です。これは良い、悪いの話ではなく、企業の事業戦略上とってきたものであり、消費者は選択肢がある、ということでした。ただNECとlenovoの合弁で、lenovoが過半を出資するとの報道もあり、その選択肢が狭まることが懸念として残ります。
しかもNECでも黒字事業、ただ海外勢が日本でシェアを拡大するのも時間の問題です。低コストの運営に転換すれば、サービスを落としと悪評に繋がり、大胆な転換には提携という形で事業構造を大転換する必要に迫られた。今回の提携には、そうした背景も滲むのでしょう。

買収、合弁は他国で販路を広げる上で必須の行動です。広告宣伝費をかけずに、企業の信用や信頼を手に入れられます。この手法で気がかりなのは、企業の風土、体質がどの程度変遷するか?その一点です。日本企業も海外メーカーを買収してきましたが、日本的体質を持ち込んで失敗した例も多く見受けられます。しかし今回の買収は世界企業として展開しているlenovoによるものであり、これが成功事例になると日本にも世界標準を、という流れになるのかもしれません。
中国企業だから、と決して排除する流れではなく、世界標準という流れを受け入れるかどうか?今回の提携話とは、そういうものなのでしょう。日本のガラパゴス化、という話は日本の標準を世界に売り込み、それを世界標準にできなかったという過去の失敗です。日本では1、2を争うシェアを誇る企業も、世界から見れば弱い企業です。日本が生き残りをかけるのに、他社との連携であったり、日本発で何かを売り込むであったり、様々な戦略がありますが、今回の提携話において何を見出すか?それはあらゆる産業において、当て嵌まってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2011年01月22日

雑感。菅政権のこと、少し皮肉ってみる。

民主党内では未だに予算委の人選など、ごたごたした印象が付きまといますが、自民が求める小沢氏への議員辞職勧告決議も、みんなの党はあくまで国会説明を求めるなど、野党の態度もまちまちです。これは政局で強硬策に出て、後に火の粉をかぶるのを嫌がる小政党と、とにかく解散してしまえば…という自民との温度差です。問題は以前も述べたように、仮に無罪判決が確定すると、追い込んだ側が損害賠償請求の対象になること。政治の上での判断…としても、今までのように起訴すれば確実に有罪と決めきれない、そんな中で各党も結論を決めかねています。みんなの党も、民主対自民の構図で埋もれることを嫌い出した、総選挙が近いと見て、野党各党が自らの態度を鮮明にし始める。通常国会は与野党ともに荒れ模様でしょう。

最近の菅政権には本当にがっかりさせられることばかりです。皮肉の1つ、2つも云いたくなり、今日は気軽にこき下ろしてみます。最近、『菅直人』の名前が『CAN NOT』に見えて仕方ありません。公約は果たせない、政治主導もできない、政倫審問題もやるやると云ってやれない、外交ではメモを読んで自分の言葉で語れない、中国人船長も起訴できない、幼保一元化もできない、公務員人件費2割削減もできない、何をやっても『CAN NOT』。一方で消費税増税を含む、財務省の主張には耳を貸す。財務閣僚経験者を並べてご満悦で、菅政権(can say gain)と鼻高々ですが、これで支持率が1桁になれば、自ら菅内閣(Can I quake?)は身震いすることでしょう。
昨日のコメント欄にも書きましたが、昔は「亭主元気で留守がいい」が流行語になりました。現在、菅氏に対して国民からは「党首平気でウソを言い」と映り、地方の民主党議員からは「党首病気になって欲しい」と思われ、本人的には「党首のん気に煤払い」とばかり、党内の大掃除中です。国政は財務省依存で官僚任せ、自分は党内対立が忙しい。論語では『七十になると、自分の思うままにふるまっても道徳に反しない』と孔子が述懐し、七十従心とされます。菅氏の道徳心は、有罪か無罪か分からない人間をとにかく追いたて、自身の安息を得ることに費やされているようです。

壕は一度落ちれば知恵がふえる、は中国の諺です。一度失敗すると、次に失敗しないよう考えをめぐらします。しかし菅政権にこれは当て嵌まらない。一万を恐れず、万一を恐れよ、とも言いますが、要するに事は慎重に運ばなければならず、菅政権では目算もないまま発言し、前のめりのまま壕に落ち続ける、ということを繰り返すのでしょう。菅政権の主体は攻撃、つまりそれでは日本が成功と失敗というリスクに常に晒され、万一どころか失敗を常態化させる懸念を生じさせるのです。
みんなの党の渡辺氏が、自民と距離をおき始めたのも、政界再編を睨み始めているとも想定されます。極論ですが、今衆院選を行えば第三党の座はみんなの党が握ります。この時、民主党は分裂が想定され、自民に近づく菅氏の側との対立軸には、当然小沢派が立つでしょう。その小沢派と大同団結して、与党を目指す。自民の中で埋没しないためには、民主分裂に対しての備えとして、小沢氏との距離感を計り出したと見えます。『CAN NOT』の菅政権が、政界再編の道筋をつけるとは想定外でしたが、壕に落ちるまでつっ込むかどうか?解散含みともされる国会で、政界再編の号砲を鳴らすのか?来週からの動きは一つ一つが政局とみて、まず間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月21日

菅政権は官僚依存体質へ

来週からの通常国会を控え、永田町が活発になってきました。驚くべきは菅首相による脱・脱官僚宣言です。政治家にもいき過ぎや不十分があった、と述べて調整作業を政治、事務方の双方で進める提案をしました。与謝野経財担当相、藤井官房副長官など、財務省依存シフトを強めてきた菅政権が、ついに政治主導の旗を下ろして官僚の調整力で与野党協議をしよう、ということです。

自民党が昨年提出した財政健全化責任法案を、かなり考え方は近いとして各閣僚が容認を示唆し、野党案丸呑みもやぶさかでない態度を示します。法案の中にある時期的なもの20年度に23兆円不足という内容は、すでに自民党政権時代に主張されていたことであり、基礎的財政収支の均衡についても官僚が書いたシナリオでした。つまり官僚のシナリオに則っている限り、菅政権では自民党と手を組むこともあり得る、と今回の動きにより判じてしまえる形です。
しかし自民もそれを菅政権の手柄にされては困る。予算関連法案に関し、自民・谷垣総裁が反対を表明したように、与野党協議にもハードルを上げた形です。幼保一元化の議論も先送りされた、これも官僚の抵抗が強いから。マニフェスト見直しも、官僚の抵抗の強い部分となるのでしょう。この政権は、猫なで声で官僚に頼るしか、もう政権を維持する力がないと自ら認めたのです。
社会保障と税制改革の議論も、国民の理解を得ることなど簡単で、公務員人件費2割減と、議員定数の削減など国会改革が先。それを複数年実施した上で、それでも足りない場合に国民に応分の負担を求める。それで済む話です。行財政改革をもう出来そうもない菅政権が、国民にのみ負担を迫るから拒否される。こうした簡単な話にさえ、結論を出せない政権だから、誰も支持しなくなりますし、世論はむしろ怨嗟に傾いている、と云えるのでしょう。身を切るのは政治・行政が先。隗より始めよ、が一時期政治家も好んで用いましたが、範を垂れろということです。

一方、小沢氏の招致問題は自民側から幹事長会談を要請、予算委員会前に開催の見込みです。かの事件は、FD改竄事件の前田元検事がとった供述調書を採用せず、と検察側が要請しました。これは郵便不正事件においても、検察側の訴因変更の要請を大阪高裁が認めませんでした。つまり違法捜査が行われた場合、たとえ有罪に等しい物証があっても無罪になる可能性が高く、前田元検事が小沢氏の秘書からとった供述に、疑わしい部分が多い、と検察自ら認めた形となります。
これでこの事件は、検察が描いたシナリオを補完する材料が、水谷建設元会長の証言のみ、となりました。ホテルで紙袋で金銭授受、などかなり具体的な供述があるにも関わらず、それを立証する材料はない。逆に、数年前のことをそれだけ鮮明に記憶している、ということが不可思議であり、これも検察の誘導により描かれたシナリオである、と断定することが出来ます。
最近、聴取していない参考人の供述書を勝手に作成し、公文書偽造に問われた北海道警・警部補。任意聴取において暴言を吐いて脅迫罪に問われた大阪府警・警部補。知的障害のある男性を誘導して供述をとったとされる大阪地検・検事。様々な形で供述調書の信憑性が疑われています。検察、警察全体が改革しなければ、国民の信頼は回復しないでしょう。先の菅政権の態度も同様、求められているのは自民党政権時代から、小幅な改革ではもう何も変わらない、という国民の不満を行政側がどう受け止めるかです。これらの問題は、すべて『隗より始め』られるかどうか、自己改革を果たせない人間に対する国民の不満です。しかし小沢事件を政局にしている時点で、いずれも改革は果たせそうにない、そうしたものが不支持に繋がっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 行政

2011年01月20日

中国の経済指標について

米中首脳会談が行われました。優劣はつけ難いですが、450億$相当の中国向け輸出という手土産と、形振り構わぬ米国の歓迎ぶり。どちらがホスト国で、世界の超大国かを疑わせる光景も随所に見られました。訪米前にガイトナー財務長官が、人民元はインフレ率を含めて10%程度は上昇、と為替相場に柔軟な姿勢を示した一方、核心的利益という、台湾や南シナ海など、中国の戦略的に重要な方針に対する米国の寛容を示す文言を、今回は外す形で米国としても対面を保っています。この米中会談、米国は実を、中国は米国と肩を並べたという虚栄をとった、ということになります。

中国国家統計局が経済指標を発表しています。2010年の実質GDPが前年比10.3%増、10-12月期GDPが実質で前年同期比9.8%増、これで通年では名目ベースで中国5.9兆$、日本5.5兆$となり、日本が抜かれる計算です。通年では固定資産投資の伸びが高く24.5%増、これは景気対策が終了したものの、公共投資は単年では終わらないためであり、数年は中国経済を下支えしそうです。
しかし問題は消費者物価指数(CPI)です。通年では3.3%上昇も、12月は4.6%上昇と高水準であり、11月より下がりましたが、月を追うごとにインフレが加速しています。利上げも繰り返し行われていますが、インフレ率にはほど遠く、利上げの効果は限定的です。預金準備率の引き上げも、ダブついたマネーと資産効果で、貸し出し引締めには繋がっていない。上海万博の終了と同時に、失速すると見られていた中国経済は、インフレ期待という流れの中で、お金を持ち始めた中間層の旺盛な投資意欲に支えられて、バブル的な経済をさらに膨らませ始めています。

しかし恐帰族という話もありますが、出稼ぎの若者が地元に帰りたがらない。これは春節で地元に還元するお金を出し渋る動きですが、本質は都会のインフレが激しいため、生活に困窮し始めていることです。内陸部へと拡大する工業、発展の波が民族の大移動と、消費を伴うこうした動きを止める。中国を破綻させるのはテロや暴動、都市型集中に伴う鳥インフルなどの感染症、という見方をしていましたが、真に破綻に導くのはインフレと、それが止まった後に起こる経済発展要因の阻害、という形になるのかもしれません。つまりインフレが止まると、それで中国経済が安定成長に入るのではなく、停滞期を迎えるという意味で深刻になるのかもしれません。
労働生産人口が下り坂に入る、という話は労働力の減少であり、人件費高騰の要因です。しかも資源、食料の上昇が相乗効果でコストプッシュインフレを招く。中国は今後数年、数十年高インフレ体質を継続せざるを得ない、ということです。それを強引に止めるためには、行き過ぎた規制に陥らなければならない。一方で、インフレは社会の二極化と、生活困窮者を生み易い形になります。それを抑制しなければ社会不安が増大し、それこそ民族問題と共産党一党支配、という不安定要因を抱えているために、何とか対策をしなければなりません。今年、中国は物価安定を最優先課題に掲げており、その政策に失敗すると中国共産党内に不協和音が広がる可能性もあります。

都市部で自動車購入にナンバー規制をかけたことで、都市部の販売が壊滅的という話もあります。行き過ぎた規制をかけなければいけないほど、市場が狂い始めている、というこれは典型です。高いインフレは、一見すると高成長を演出します。経済という名の持続可能性が中国にあるか?そのための対策として、今年の過剰流動性相場が終焉した後で中国が迎える景色は、ばら色とはほど遠い形なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2011年01月19日

春闘が始まる

厚労・文科両省の調査で、今春卒業予定の大学生就職内定率が68.8%、就職氷河期の74.5%(1999年)を下回る、との結果が明らかとなりました。安定志向の学生が、大企業を目指す傾向がある、海外赴任を望まない内向きともされますが、メディアの洗礼を浴び続ける現代の若者が、テレビなどのメディア媒体に露出が多い、そんな企業を目指すのはむしろ自然なことと云えます。

春闘が始まりました。連合はベアを見送り、定昇は維持する方針で、給与総額という残業代、一時金等の総額で1%の増額を要請しています。一方で経団連は定昇も議論するとして、給与総額1%上昇にも難色を示します。現代は、人件費などのコストカッターが優秀な経営手腕と評価される流れなので、安易にコスト増を容認しません。某研究所の予測で、企業は今年度6%程度の増収、経常増益も60%弱と見込んでいますが、それでも人件費増には慎重な姿勢を示します。
企業が内部留保をため込むという指摘もできますが、問題は安定志向が企業、学生共に内在し、それが働き方の硬直化を生んでいる点です。本来、社会のダイナミズムは大小に関わらず、企業は淘汰の可能性を含みます。しかし現在、大企業は影響が大き過ぎる、として国家も破綻回避、支援体制を整えますが、中小は切り捨てます。こうしたことが益々学生の安定志向を加速させ、産業界全体を硬直化する流れを生む。社会が閉塞する原因、それは流動性を失いつつある社会の中で国民全体に進む安定志向が広がっていること、という見方を可能にします。

米国では大統領令で、就職における規制を撤廃するよう各部署に指示されました。米国は企業の内部留保が約2兆$ともされ、高失業率の一因とされます。9%を超える失業率も続きますが、失業保険の給付延長など、益々財政的には苦しい中で行政が喘ぐ状態です。人口増社会であるため、安定的に雇用が増えないと、益々失業者が増えていく構図に、大統領令で対処する形です。
日本では雇い止という形で、失業を回避できている例も多く、就労実体としてはかなり苦しい。社会がダイナミズムをとり戻し、栄枯盛衰の過程で中小企業が伸びたり、といった形が望ましいですが、今は産業界全体が飽和的で、逆に淘汰が進み易いほどであって、割り込むスキマは少ない。ネット業界も、Facebookのような新顔はいてもこのサービス、リスクも伴うことから悪い情報で成長が止まる可能性もあります。今、話題のスマートフォン、電子書籍も、ネットにアクセスする以上ウィルスに晒されているはずなのに、その件はほとんど報道されない。後に深刻な影響も出てきそうです。問題は、成長産業の先に安定した市場形成が見えず、今の勢いを保って成長できる企業なのか、を誰も読みきれないことなのでしょう。

安定志向を覆すには、やはり規制緩和しかありません。大企業、既存企業に優遇を与えてきたものを撤廃すれば、スキマ産業として中小企業が滑り込めます。その中で、経営難に陥る企業もJALのように出てくる。行政としては、そちらの対応に注力していった方が、本質的な棲み分けを可能とするのでしょう。しかし今の経団連、財界の流れは、安定均衡した状態から、無闇に踏み出すことはせずに現状維持。これが経営側の判断として最善とされ、行政にも圧力をかけるのです。
社会がダイナミズムを失ったこと、それが閉塞であり、低成長型社会です。既得権益を覆す規制緩和。当然行き過ぎたり、小泉政権時代の米国の制度を輸入するだけで日本社会を壊すような、失敗例を繰り返すわけにはいきませんが、規制という名の社会の縛りを外す作業が必要なのです。菅政権では雇い止であったり、資金を使う方の雇用対策ばかりですが、日本社会を動かしていく、そんなダイナミズムが雇用環境を改善させるのには、必要なことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 経済

2011年01月18日

小沢氏に関する周辺の動き

今日、衆院政倫審の幹事懇談会が開かれる予定でしたが、自公が出席を拒否して民主も開催を断念しました。通常国会が来週24日に開催されるため、党役員会で『国会前に政倫審出席を決定する』という決定を果たすためには、週内の議決が大原則です。一方で、民主単独で出席を決めても、それこそ党内がグチャグチャとの印象を内外に与えてしまいます。菅首相は出席してくれれば物事が進む、としていますが、自公が政倫審とは距離を置いたために政倫審は意味を失っています。
政倫審の土肥会長が20日までに、審査申出書を提出するよう小沢氏に要請していますが、これは拒否するでしょう。となると、政倫審問題で菅政権は約束を果たせない、物事の進め方の不味さがまた一つ露呈する形です。目算もないのに、決意表明だけしてしまう。これは社会保障や税制一体改革、普天間移設問題でも、同様に閣僚がバラバラの発言をする『民主病』と呼べます。

一方で、小沢氏は指定弁護士からの聴取を拒否。これで起訴に向けた障害はなくなるため、早ければ週内にも強制起訴です。小沢氏側としても、これだけ菅政権が後手を踏めば、早めに身奇麗になって復権を目指したいでしょうから、勝負は年内と踏んだと見ます。小沢氏側からも、石川議員による再聴取時の極秘録音、という爆弾が出ています。聴取時の録音なら、それがたとえ極秘であってもこれまで証拠採用はされてきました。公判とは異なる鞘当てですが、この録音データの公開、という形が次の検察と小沢氏側との焦点であり、公判の動きとあわせて注目されます。
このデータが公開されると、再び検察の事情聴取方法について、懐疑的な見方が強まります。世論が傾くと判決に影響することも多い。当初、検察が計った世論誘導により、小沢氏=悪とした流れが、このデータによって検察=悪の流れになるのが検察も最大に怖い。それはFD改竄事件で検察庁長官が辞任に追い込まれたように、世論の敵になれば庁内の権力構造にも影響するからです。

『民主病』とは、各政治家が自分の思ったことを発言してしまい、後ですり合わせしようとする動きです。政治主導を、政治家主導と勘違いした結果、自分こそ政治をしている、として自己主張してしまう。当然、根回しがないので他の閣僚が反発し、政権内がバラバラとの印象を国民に与える。今、ひどい民主病に罹患しているのは菅氏、岡田氏、前原氏、仙谷氏、北沢氏辺りですが、更に最近これが省益と結びついているため、余計物事を決めきれなくなっています。
小沢氏の問題とて、三権分立なので立法府が関与すべきでない。そもそも、検審の議決理由がこの極秘録音で崩れる可能性が高い。そうなれば、益々介入すべきではありません。疑惑解明の場を、立法府と司法に分けて齟齬が出た場合、その修正には数年を要すでしょう。それが立法府、司法の改革に結びつける意欲があるなら別ですが、そうでないなら権力の綱引きになるだけです。

しかしこの小沢氏の事件、メディアも徐々に小沢シフトを解除し始めた、そんな流れも見受けられます。新報道2001への小沢氏の出演、仙谷氏、江田氏の政治資金の問題もポロポロ出始めましたが、政権が力を失うと知っていて書かなかったメディアも、こうした情報を流し始めます。これはメディアが、政権切りを決意した表れであり、もう菅政権の退陣の流れは既定路線となってきたのでしょう。小沢事件でも、菅‐岡田ラインは答えを出せなかった。これを至上命題に掲げてきただけに、致命的な判断となり、国会運営がこの件でも停滞することでしょう。さらに、民主党政権が『民主病』を克服しないと、次に誰がやっても同じ結末となることでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月17日

アフリカの政変と中国

今日は16年前に阪神・淡路大震災が起きた日、地球ダイナミズムが活発となり、都市型震災の恐怖を思い知らされた日です。今も大寒波や、南半球では洪水が起きるなどの震災被害が相次ぎます。地球が大きく動くとき、災害対策費として費用を積んでおく、事前に食料の備蓄をしておく、両者が必要となってきます。インドネシア、ハイチなど、未曾有の被害が出ている国が頻発するのですから、心構えはしておいた方が良いのでしょうね。

世界では政治も動き始めています。チュニジアで政変が起きました。詳述はしませんが、アフリカは王制や独裁政権が多く、この政変が他国へと波及する懸念が広がります。そして影響はその独裁政権と結びつき、インフラ輸出の見返りに資源の独占を果たしてきた、中国へと及びます。
仏国で極右政党の党首が選出され、次の議会選でも大きな影響が出そうです。これと同じように、国情が荒れると愛国精神が発揮されるケースが多い。特に、前政権と結びついてきた利権者を追い出そうとする動きが、往々にして見られるのです。この動きに対して中国は利権を守るため、次の権力を握りそうな団体に近づくか、現政権に資金、兵器を輸出して強力なバックアップを図るか、どちらかです。恐らく、国ごとに事情は変わりますが、アフリカ利権が一つの転機に入ったこと、それがチュニジアの政変に見える、今後のアフリカ情勢だといえます。
中国は北朝鮮の羅先に軍の駐留を始めた、と韓国紙が伝えています。これが第2次朝鮮戦争が起きた際、介入する前段階という見方より、北朝鮮の国情が荒れてせっかく国同士が合意した利権、東北地方の物資を直接日本海に輸出するための、販路を強奪されないように、という配慮でしょう。中国からの大量の物資が流れる、略奪や暴動に巻き込まれる公算もあり、中国もそれは看過できない。北朝鮮の国内も、暴動一歩手前まで追い込まれている、という見方が正しいと考えます。中国がこれまで得てきた利権は、先進国が敬遠する不安定地域が多い、そのことが国家リスクとなり、安定生産や供給の妨げになる、という形が今後増えるのでしょうね。

最後に、各社の世論調査の記事が出揃いました。内閣支持率、高い読売は34%、低い朝日は26%です。実はこの世論調査、江田法相が与謝野氏に関して「追随する議員」への期待をかけましたが、これを大きく否定するものです。つまり、今の民主党に協力するのはリスクと政治家、政党ともに感じさせる内容となっている、ということです。これが未だに政権内に燻る大連立や、公明との連携への期待を完全否定していることになる。菅政権は崖っぷちだと暗示させる内容なのです。
政権基盤が脆弱だと、外交上不利な面が多いのも事実です。欧米のみならず、中東やアフリカでも吹き始めたインフレ、失業率などへの不満。ストや暴動など世界が荒れる中で、ただ無策のまま開国をしては、荒波に自ら船を漕ぎ出すようなものです。菅氏にそれ以上の政策があるようには、とても見えません。与謝野氏は政権の疫病神で、彼が閣僚になるといずれも短命、などの話もありますが、閣僚ポストに妄執した怪物にとり憑かれた、と見ると政権の崩壊タイミングも近いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2011年01月16日

雑感、メディアは崩壊するのか?

一部の週刊誌で、メディア、特に新聞に関してかなり辛らつな内容の記事がありました。産経、朝日、日経などの購読者の減少と、ネットにおける課金システムの動きを踏まえて、将来的には存亡の危機に立たされる、という内容です。経営手腕が今のままなら、現実味を帯びますし、ネット課金のシステムはメディアの中で自滅につながる内容を秘めていると感じます。
例えば産経が、このタイミングで細川厚労相の礼賛記事をあげていますが、4ヶ月前まではズブの素人で、今は猛勉強して省内の信頼が篤い、と書いてあれば疑われるのは省内のレクチャーを受けて、族議員になったということです。それを礼賛すれば、メディア自身が族議員を推奨している、という形になってしまい、行政の監視という本旨を果たしてしないことになります。

iPadや電子書籍の登場で、記事を配信して課金するシステムを導入するにしろ、無料のサービスや本来の配達がある中、どれだけ必要かという判断もあります。新聞が生き残るには記事の質をあげること、これしかありません。この最も大事な視点が抜けており、ひどい記事の中には「アイドルの爪の垢を呑め」というものまであります。
米英ではメディアが堅調、という話があります。けん引役は勝ち抜きオーディション。歌や踊り、一芸に秀でた素人が投票によって勝ち抜いていく大会で、テレビで放映され、翌日には新聞の一面を飾る。これでテレビの視聴率や、新聞の購読が上がっているというものです。

この人気の秘密は投票システム。自分が育てている気になる、肩入れ、応援という形が興味に結びつく。このシステムはAKB48も取り入れており、固定のファンを囲い込む形になる。日本ではM-1という漫才グランプリなどもありましたが、昨年で終わりました。これも実はテレビを使って、公開対決などにすればもっと盛り上がり、続いたのかもしれません。採点結果に企業の都合、のようなものが見え隠れしていれば、それは年末の音楽祭のように興味が失われます。
しかしこの投票システム。実は政治における議員選出方法と同じ、ということに気づけば、実は大胆な提案もできます。首相選出に、毎週政策のディベートを公開で行って、人気投票する。ディベートに出場できる人選の仕方は色々ありますが、国民が直接選挙などせずとも、実は誰が一番政策に精通しているか?その中で国民が託したいと思うのが誰か?それを短期間に知ることができるシステムは、実は既存メディアには存在している、ということになります。

それを活用できていない。一方で、同じことがネットでも出来てしまいます。むしろどの政党であるかに関わらず、多くの議員がテレビのニュース切り取りや、論評のあり方に不平があるとすれば、ネットで公開投票による代表選出、という形は実現間近になると考えられます。逆に、それを促すほどのひどい記事、個人の主観によって捻じ曲げられた、としか思えない記事が、メディアの凋落を示すように繁茂し始めている、という見方もできてしまうのです。
メディアが重要度を勝手に差配できてしまう現状、どれだけの国民が満足しているかは、ネット中継に数万人が集まる、ということにも端的に現れています。ライブで、脚色のない情報が欲しい。実は既存メディアが生き残る術は、こうした方向にもあるのかもしれません。そうでなければ、フリージャーナリストが自由に記事を配信し、その価値を読者が判断し、対価としての賃金を得るというシステムしか、この世界に生き残ってはいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2011年01月15日

経済の話。インフレとTPP

一部では改造内閣に対する世論調査も出ています。概ね上昇幅は1桁台、国会閉会中は内閣の動き、即ち外交であったり政策がストレートに発信されるため、支持率も上昇するものなのですが、思った以上に支持が回復しないようです。国会開会中は反対意見や、国会で説明に窮する場面が増えるため、支持率が低下する。これはかなり早くに10%台へ落ちそうな気配です。
しかも石川議員が検察による再聴取を極秘に録音、それを裁判に証拠申請する模様です。「供述を翻すと小沢議員に迷惑が…」として、再聴取時の供述を先の事情聴取と同じにするよう誘導されたとするもので、これが事実なら検審会が小沢氏の強制起訴を決めた理由、石川氏が2度も事実を認めた、が完全に覆ることになります。
一言付け加えるなら、誘導でない供述調書など有り得ないのであって、もし誘導を完全に排除するなら、相槌さえ打ってはいけません。今回のように、先にこういうことが起きるから、という親切心を装って供述を自身の都合よい方向にまとめれば、その時点で供述の価値はなくなります。最近、投資詐欺の話題も多いですが、詐欺的要素を含む捜査員の発言は厳しく取り締まらなければいけない、そういう時代に入っています。そして、これらの要素が重なると、小沢氏を追い込むという菅政権の戦略的な人気取りの構図も、完全に覆されることになります。短期間で禊が済んだ、とされる前に党から追い出せ、そんな動きが永田町では強まるのかもしれません。

最近、世界はインフレが顕著です。トリシェECB総裁、中国、韓国、豪州でも利上げの動きが活発、インド、東南アジア、南米など軒並みインフレ退治を鮮明にします。デフレで悩むのは日米のみ、といった構図です。実は今後、TPPなど貿易が自由化されると、海外のインフレがダイレクトに輸入され易くなる構図が生まれます。いわゆる課税による調整能力が欠如し、他国の物価や経済政策がより輸出入に反映され、景気動向を政府がコントロールすることを、より難しくするという意味です。現在のTPP議論には産業界の意向ばかりで、圧倒的にこの議論が足りません。
現在、世界は財政再建路線ですから金融政策に軸足を移しています。金融政策は金利や資金供給量などを通じて、通貨を調整しますが、TPPが始まると基本的に通貨の強弱が貿易の強さに還元されることになります。しかも金融商品が市場に大量にあふれ、投資資金が世界を駆け巡る現在、通貨の強さは単に貿易の強さだけを意味しません。極端な話をすれば、金融商品を拡充していくとその国の通貨は買われ易くなり、貿易の欠損さえ相殺できる形になる。リーマン・ショック後、ドル安に陥ったのはまさに典型で、金融商品が縮小する際にドルから逃避する資金がドルを押し下げたのです。

翻って、日本の金融商品は欧米に比べて貧相な商品展開です。しかし円高の現在、金融商品を拡充し、人気が出るとますます円高になる構図が生まれます。それは貿易の弱さとなり、均衡点をめざす。市場調整能力を最大限に謳えば、こうした市場の動きが想定されるのです。
菅政権やメディアの一部では、TPP万能みたいな言い方もされますが、合成の誤謬を起こせばそれこそ国家破綻に至る、これは麻薬のようなものです。つまりあらゆる政策を調整した結果として、市場の均衡点を置き間違えれば貿易が弱くなったり、市場機能が低下したり、といった変動を招き易くなるのです。TPPは農業政策との兼ね合いで賛否が語られることも多いですが、金融政策や市場開放の度合い、その他様々な要因が検討されなければ、安易に賛否など語れないはずなのです。利権団体が声を上げるのは尤もですが、政治がそういった検討を飛ばして、妙に前のめりな点が、このTPPの議論における最大の不安でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2011年01月14日

菅改造内閣について

菅改造内閣が発表されました。命名すれば菅硬変内閣、依怙地になった菅氏がおかしな内閣を作った、という意味です。4ヶ月で改造に陥ったことで、TPPに反対した大畠経産相を更迭したくとも、鳩山グループへの配慮でできない。そのため国交相に横滑りさせるなど、政策に通じているのではなく、政局で人事を行ったことが明白です。これは海江田経財担当相を、経産相に横滑りさせたことも同様で、与謝野氏を閣内に入れたいために、スライドさせたに過ぎません。
しかも官房副長官に大ベテランの財務族議員・藤井氏が就任です。枝野官房長官は老壮青のバランスと云いますが、行政の長たる内閣が財務省べったりの布陣。財政再建路線とされますが、今のところ社会保障として歳出が増える分を消費税で賄う、つまり不足を穴埋めするだけで、財政再建の道筋が示されたわけでもない。この財務省シフトで、赤字国債発行には歯止めをかけてくる、つまり景気対策を打とうとする政治側の圧力はかわせても、それ以上のものではありません。

さらに中野寛成氏が国家公安、拉致問題、公務員制度改革で初入閣です。旧民社系として、外国人参政権にも積極的とされ、これが朝鮮総連とのパイプなのか、それとも癒着を想起させるかで、評価は全く異なります。菅政権の下では、拉致問題が鬼門と見ていますが、結果的にその答えはこの改造内閣でも見られませんでした。しかも公務員人件費2割削減、は先送り濃厚であり、やる気もないので中野氏にお鉢が回ってきた印象も拭えません。蓮舫行政刷新担当を守るため、あえて公務員制度改革を外した話もあり、結果的に公務員制度改革もやる気なし、が透けて見えます。
頼りがないのが良い便り、とばかりに目だった動きのない閣僚は留任。一方でもう一人のおトモダチ、江田五月氏が法務大臣就任です。ここから見えるのは、大畠国交相も同様、自分と意見の合わない人物は、怖くて閣僚にも入れられない。非常に内向きで、悪い意味でいうところの『保守的』な、内弁慶の菅氏の態度がそのまま出てしまった、そんな人事なのでしょう。

枝野官房長官も、発言が分かり易いとしていますが、説得力を持たなければ野党からの良い的です。齟齬を導き出すため、ねちねち与謝野氏の過去の発言と、民主党政権の掲げた政策の違いをとり上げ、菅政権の方向性と重ねれば、すぐ窮地に陥るでしょう。明瞭な答弁が通用するのは法廷の場だけで、官房長官に求められる、時にうまく誤魔化すような答弁の手腕が、直言居士である枝野氏に担えるかは不透明です。これで中国との関係も、一旦距離を置かれることでしょう。
仙谷氏を代表代行へ就任させたことも、党内で倒閣運動に発展されるのを恐れて、という話もあります。仙谷氏とて、次期首相を狙う一人であり、年齢的にも時間が限られています。無役にして政権から切り離すと、菅政権が凋落してきたとき、真っ先に名乗りを上げられる。結局、そうしたものも怖くて、囲っておくしかできなかった、ということになり、それも内向き人事の象徴です。

肝硬変という病気は、一定水準を越えて肝臓が悪化すると、治癒能力が働かなくなって機能が低下したままになる病気です。通常、内閣改造すれば支持率が回復しますが、今回は小幅で終わりそうで、通常国会も対決姿勢の野党を崩す布陣でもありません。支持率が20%を切れば、機能不全で修復できない事態がより鮮明になるでしょう。肝炎問題も対応までの歩みが遅い、となればますます菅硬変内閣は、硬直化した国会の中で立ち行かなくなってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月13日

民主党大会で示された菅氏の増長

民主党大会が行われました。昨日も述べたように、菅氏が述べる「間違っていない」の最大の齟齬は、現状認識を間違っていることです。まずは「政治とカネ」、就任当初は評価されたこの案件が、今や民主党の内紛の構図として国民が嫌気しています。誰よりも挙党一致を望む、としながら岡田、仙谷、枝野で重要ポストをたらい回し、仲良し権力構造は崩す気配もありません。
私は予算をこれだけつけた、画期的としますが、予算配分構造を変えずに額を増やしても中抜きされるだけで、最終執行の金額ではありません。予算をつければ改善される、物事がうまくいくというのは、財務省的な発想の構図です。経済も同様に、現状認識が間違っている。こういうリーダーのいる部隊は全滅する、それが端的現れているのは地方選挙であり、地方組織が上げる悲鳴すらも、正しく認識できないために対策も、改善も期待できないのが現状となります。

ここで与謝野氏、入閣の話が浮上しています。財政再建、消費税増税、ともに訴えることが菅氏と似ている、いわゆる財務族議員の結託です。公明との太いパイプや、自民出身というパイプも期待されていますが、逆にこの人事はスジ悪で、野党も協議の呼びかけに乗れないでしょう。
特に、協議に出ないのは歴史への反逆行為、としたことで反発も強まります。支持率が10%台に達しても総辞職や解散をしないのは、歴史への反逆では?と切り返されることが必定。逆にその水準では、政策に対する信頼が国民にない、と見なされます。審議拒否も不義理な菅政権のせい、という口実が成立するのです。また民主党内にも、なぜ党での実績がない与謝野氏を入閣させるのか、菅氏に意見が近いだけで、他にも議員はいる、との反発を受け易くなりました。

菅氏が誤解しているのは、現状認識ばかりでなく、党代表に択ばれたからと云って全てをフリーハンドで決めて良いなんて、そんなフリーハンドを与えた訳ではない、という党員の不満を吸収し切れていないことです。小沢問題は分かり易い対立の構図ですが、それ以上に強権的な手法が党内に不満をためる。最早、菅氏を支持する人間の方が少数派になっているにも関わらず、その態度や行動を改めないばかりか、益々増長している点が両院議員総会、党大会でも示されたのです。
人望のないリーダー像の典型、それが本来の菅政権の弱点です。それは敵も味方も同様で、話し合いにならないから孤立していきます。協調性のなさと独善性、それでいて打ち出す政策の中身が場当たり的で、説明もうまくない。今後も支持率回復は望み薄であるのでしょう。

自分たちに反対する者が悪、という攻撃の仕方は、政策批判だけをすれば良い野党時代のみ通用します。自分が打ち出すことが間違っているのでは?という謙虚さがあれば、修正にも応じられる。しかし菅氏には何がおかしいか?すら理解できていないでしょう。理解できないから、自信がある。伝わらないことに不満で、イラ立つ。現状認識ができないとは、まさに菅氏の置かれた状況を示すキーワードです。恐らく、それができたときは、味方の少なさに愕然とすることでしょう。客観的にみて、「自分が間違っているのでは?」と考えることが、内省的であり、多角的な視野にも繋がりますが、そういった認識すらもてないリーダーの下では、本当に部隊は全滅するでしょう。最近の映画のタイトルをパクれば『嘘つき菅クンと壊れた民主党』という、一つの結果が生まれるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月12日

経済の話。菅氏は間違っていない?

民主党の両院議員総会、荒れたと言われますが、今日は専ら反菅政権の議員に発言させてガス抜きを狙ったもので、想定通りでしょう。まとめては明日、党大会が終わってからやりますが、その中で一つ気になったのが、冒頭の菅氏の挨拶で日経平均が1万円を少し超えた水準にあることに「民主党政権の1年半、菅政権の7ヶ月は大きくみて間違いではない」と述べたことです。確かに二番底懸念は後退していますが、それは米国で50兆円と、日本の一般会計の歳入より大きい規模のカネを、8ヶ月かけてばら撒いているからです。決して民主党政権の成果ではありません。
むしろエコポイントは自民党政権時代から継続ですし、組んだ予算の規模を誇ってみても、公益法人などの予算執行過程で中抜きする、省庁の既得権益に手をつけていないので、最終的な予算執行の額は限られます。自信をもって、と発言していますが、自信の根拠が誤っていれば過信にも慢心にもなります。最大の懸念は、楽観論を振りまきたいとしても、菅氏の認識の甘さが致命的なまでに、トップとしての資質を問われるほどにひどい内容だ、ということです。

特に株式市場は金余りの特徴が色濃く出ています。今週末はマイナーSQですが、11000円コールのポジションを積み上げ、先高期待を煽る勢力がいます。大きくは下げさせまいと、見せ玉を使って先物の板を厚くし、価格の変動を抑えてしまう。思惑が交叉し易く、それを主導しているのが欧米の証券会社経由、いわゆる外国人投資家です。下げて良い局面でもダラダラと上げてしまう。健全な調整が働かないので、本格的な調整が入るような、大きな材料が出るとドンと下げてしまいます。欧州財政不安も今や慣れがあり、単に調整したいときの口実にしかなっていません。
この上昇相場の終わりは、金融相場の転換で見えます。新規資金の流入がないと、買い手不在で調整局面に入る。欧州では財政再建、新興国ではインフレで引締め懸念、日米が量的緩和の継続を止めただけで、この上昇相場は終わります。危機は確実に、半年と経たず迫っているのです。

12月景気ウォッチャー調査でも45.1(前月比1.5pt増)と、基調判断を上方修正していますが、これも米楽観論に後押しされた効果であり、政策の寄与ではありません。問題はこうした現状認識を正しくし、次の手を準備するリーダー像であり、菅政権にはそれが圧倒的に不足しています。
大発会で自見金融担当相が「卯年ですよ、跳ねましょう」とはしゃいでいましたが、ウサギは逃げるために跳ね、いつも肉食動物に狙われる弱い生き物です。恐らく、今日本に流入しているマネーはインフレの激しい新興国からの逃避資金、つまりアジア株投信の一端が、物価の安定している日本の組み入れ比率を上げているために起こっているのです。今は、3月まで安泰というのが投資運用者の共通認識ですが、それが変化すれば、菅政権が如何に成果を誇っても資金は逃避傾向となるでしょう。2010年は2兆円程度、外国人が買いを入れたとされますが、ピークの半分程度、これも足の早い資金と覚悟をしておくべきです。跳ねて逃げるのは外国人投資家であり、逃げられない日本人は穴に逃げ込むしかない。そんなことにならないためには、雪化粧に足跡を残そうとするばかりで、一向に前に進まないまま胸を張るリーダーでは不安、そうした認識が更に一層、広まってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年01月11日

経済同友会による提言

経済同友会が政策提言「2020年の日本創生」を発表しました。道州制の導入、衆院優先の原則を拡大し、再議決を3分の2から半数へ、消費税率を段階的に17%まで引き上げ、10%を年金財源、5%を地方財源、2%を国家財源とし、その財源を生かして基礎年金を7万円に、国は防衛と外交、通商に専念する体制とする。TPPは来年中、欧州とのEPAを早期に結ぶことも提案しています。
全文には目を通していませんが、選挙制度には触れられていないようです。しかし衆院優先の原則を強めるなら、そもそも参院は不要となります。それこそ参院は党派をなくし、歳出のチェック機関のみとして、人数を絞ることもできる。中途半端な改革はむしろ後退の印象です。

また「若者がやる気と希望がもてる」ことを前提としますが、それなら高齢者間扶養構想が必要であり、例えば高額収入のある高齢世帯の負担を重くし、年金受給者に回すことにより、世代間不公平をなくす制度をとり上げてもいいのです。「企業にも責任」として雇用などで支援も打ち出していますが、それは提言に含めるべき内容ではなく、経済同友会として傘下企業に通達すれば良い話です。全般的に「国民的な議論の土台として世に問う」割りに、中身が薄くて大胆な発想がなく、小手先の改革に終始しています。現在の企業経営者が、いかに柔軟な発想がなく、固着化した価値観で新事業を開拓できていないか、それがこの政策提言で読みとける内容です。
消費税議論も、増分主義から脱却できない財・官の流れを踏襲した形です。地方財源が手厚いですが、景気対策を地域別にやる、としても同一サービスを提供しなければならないものは幾つもあり、それで2%の国家財源は少ない限りです。つまり景気対策費用は手厚く、というのが5%の発想の根幹であり、制度変化に合わせて焼け太りする、その構図をこの政策提言の中に含めているのです。

突然、国家の最重要課題に持ち上げられたTPPは、この議論で日本の貿易障壁を消そうとする米国の意図が如実に滲みます。これが切羽詰れば行政も改革の道筋をつける、平成の開国だという意見も見受けられますが、行政の増分主義を改革できなかった菅政権にそれを述べる資格もない。既存の予算を維持しつつ、増えた財源の分捕り合戦を繰り返す行政にメスを入れない限り、どんな政策も効果はなく、それに触れない政策提言の価値は、極めて低いといえるのでしょう。
今日、民主党・江崎参院議員のパーティー券購入問題が持ち上がりました。政治資金規正法上の規制がなく、倫理的に問題とはしても、両院議員総会を前にして突如、大手メディアが一面で打ってきたのには、きな臭い動きも漂います。自治労系の議員を叩いておけば、組織固めの下手で、先の連合による調整を不調に終わらせた菅氏への追い風にはなります。しかしこれとて、政治資金規正法がザルだから、法改正が必要という議論の糧にするなら意義はありますが、そうでなければただの事実確認に過ぎない程度の記事です。その情報で、どう行動するのかが重要であることが問われるなら、先の政策提言も同様に、それに基づいて何を為すかをもっと明確にしないと、価値は低くなってしまのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2011年01月10日

中国の輸出入額について

内閣改造人事で、色々な情報が出ています。人事は蓋を開けるまで判然としないものですが、枝野幹事長代理が官房長官へ、との話があります。参院選敗北の戦犯として幹事長職を辞した後、半年での復権となれば党内の集約が難しくなるでしょう。そもそも枝野氏にしろ、岡田氏にしろ、支持固めが下手でそれは党内基盤にも云えることです。菅政権は世論のみならず、党内さえ不安定にならざるを得ない。菅氏の人脈の弱さが、こんなところにも露呈する形なのでしょう。

中国が昨年の貿易額を発表し、輸出が1兆5779億$(前年比31.3%増)、輸入が1兆3948億$(前年比38.7%増)と、ともに過去最高を更新しました。貿易黒字は1831億$(前年比6.4%減)と、これは輸入の高い伸びが抑えた形です。当然、この黒字額をみて欧米などは人民元改革を促しますが、逆にそれをすれば中国は貿易赤字に陥る、今年もこの点では欧米中の鍔迫り合いが続きそうです。
中国の対日貿易赤字は556億$(前年比68.5%増)であり、日本は対中国に対して貿易面では優位性を保ちます。これは中国による日本製品に対する信頼があり、貿易総額に乗らない個人が手土産に購入する家電などを合わせると、相当の金額を日本にもたらしている計算です。実際、大阪では中国、台湾から来る旅行者向けに春節セールを開催し、旅行消費単価が大阪では高いことを追い風に、買い物客を呼び込むよう、大々的に動いています。百貨店戦争ともされる、乱立状態に陥るものの、中国人観光客で消費は旺盛との見方もありますが、これは非常に危険な状態です。

私は人民元相場が弾力的に解放されると、人民元が上昇ではなく、下落する危険を想定しています。国際収支は好調、格付けの引き上げ、金利上昇局面など、人民元上昇要因はありますが、逆に高いインフレ、投機資金の流入、など下落要因も強い。ウィキリークスで、中国高官自らが国内の経済指標はいい加減、と述べているように、中国の高いインフレは賃金面からも始まっているため、根強く残る可能性が高く、こうした要因を見逃していると後の変動を予想し難くさせます。問題は、人民元の下落が起きると、円高の日本には負の影響が訪れる、ということです。
中国頼みでシナリオを立てると、数年後に必ず見直しを迫られますが、逆に今は依存しすぎの状況です。しかし改めて考えるべきは輸出比率を低下させ、ドル安でも日本企業の収益に大きな影響を与えない、米国との貿易を全面に打ち出したTPPなのか、中国との輸出入における日本の戦略なのか、どちらを重要視するかであり、その点日本のメディアが語る日本の戦略が、やたらとTPPに偏りすぎな点です。農業政策は大転換を促さず、TPP必須とする論調は警戒を抱くべきなのでしょう。

貿易多角化は必須ですが、今の日本の戦略上、TPPよりも中国に依存しすぎている経済の現状は、より危険性が増していると云えます。新車販売が世界一、そんな中国経済が斜陽に入ると、日本の貿易のみならず消費すら停滞させてしまう。このままでは、経済を中国に握られることになります。日本が当面生き残るには、TPPではなく個別のFTAを結ぶ方が、実情には合っています。韓国ではそうしていますが、その出遅れを多国間の貿易協定にあたるTPPで済ますのは、外務、経産、農水などの怠慢であり、逆にそれに参加するなら、国内の大胆な転換を打ち出さなければ、何も議論は前に進みません。今、目の前にある危機はむしろ、TPP枠内にはないところにあり、その点を指摘できなければ、貿易の重要性を論じるには片手落ちと云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2011年01月09日

北朝鮮の動きと菅政権の動き

今年、少し大きな動きもありそうなのが北朝鮮です。昨日は金正恩氏の誕生日とされますが、実際の誕生日は誰も知らないとのこと。この世代間の権力継承に関し、金正日氏の背後に控えて立つ姿の写真が、最近目立ってきたとされます。これを儒教的精神による態度で、着実に権力委譲に向けて進んでいるという見方と、国内外の世襲批判に対して目立たないよう慎重になっている、そうした2つの見方が可能となっています。後者の方が強いと見ますが、特に国民的休日とせず、記念行事も行われなかったのも、表立った動きを控えた結果でしょう。
北朝鮮から政府、労働党、各種団体の共同声明として、韓国と無条件の当局者会談を求める動きがありました。延坪島砲撃に対する正式な謝罪もなく、非核化の動きもない中で、韓国は当然即時拒否しています。が、米韓軍は北朝鮮軍の特別警戒態勢の解除をうけ、自らも監視体制を通常レベルに戻す措置を行っています。つまり表面的な緊張関係は、一旦終息した形になっているのです。北朝鮮は協議に向けた態勢をすでに整えた、次のステージに向けたカードをどう切るか、それは北朝鮮と同様に、韓国も手にした形となっているのが現状です。

弱腰批判を受けた今の李政権は、大統領選の日程からも安易に妥協するとは思えませんが、北朝鮮はどうにかして、春には援助を受けないと死活問題になってきます。この背景には豪州の洪水が影響します。日本国土の2.4倍が水没、小麦生産と石炭輸出に打撃を受けました。これを受けて、米QE2以来、資源・食料価格が高騰し始めましたが、小麦価格がこの洪水をうけ、更に跳ね上がっている。北朝鮮の昨年の貿易総額は34億$と試算されますが、食料を買うのも難しい規模です。
北朝鮮は貧しい人々がマキにするため、山の木々を切り出します。禿山も目立ち、一箇所に多く植えれば収穫も上がる、という金正日氏の農業政策の誤りにより、農業生産は壊滅的です。小麦が買えない北朝鮮は、中国・韓国からの無償支援に頼るしかありません。逆に、それが受けられなければ世襲批判を撥ね退ける材料もない、といったところでしょう。春先ごろから食糧不足が深刻になる、タイムリミットが近づいてきている、それが北朝鮮の状況であり、焦ってきた動きが無条件の協議を韓国側に求める、そういった形でも現れてきているのです。

しかし、残念な動きは日本です。菅首相はた日との連立協議の条件に、た日が積極的な北朝鮮の拉致問題において、担当相のポストを準備したと言われます。これは、菅氏が拉致問題を政局とし、自らは何ら行動していないことを、暗に示した形なのです。逆に云えば、菅政権では拉致問題を重要視しておらず、他党に丸投げしようとしたことが、これで明確になるのです。
一時期、支持率低迷の起爆剤に、菅氏の電撃訪北という話が永田町に流れたこともあります。しかし実際、もうそうした動きはないでしょう。重大局面を迎えつつある北朝鮮情勢において、菅氏が拉致問題を政局にした。これだけでも本来、国会開会中であれば責められて然るべき内容です。国民総所得は韓国8372億$、北朝鮮224億$、これだけを見ても、両国が戦争できる材料はほぼない、と云えるでしょう。北朝鮮を安易に支援すれば、金体制の延命に手を貸すのは自明ですが、だからといって拉致問題に年頭会見で言及もない。そんな政権では、保守を名乗るだけ虚しく響くばかりと云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2011年01月08日

米12月雇用統計とFRBの動き

昨晩の12月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が10.3万人増(予想17万人超)、失業率は9.8%→9.4%に改善となりました。事前のADP調査で、民間部門の雇用者数が30万弱と、期待をもたせる数値だったことから失望が広がりました。失業率の低下は、小売が臨時雇用を増やしたこと、及び就業を諦めた人がかなり含まれると見られており、予断を許さないとの判断がされています。

そんな米国で、連邦債務が法定上限14.3兆$に、早ければ3月末に到達する話が出てきました。ガイトナー財務長官は法律の見直しが必要としますが、下院で多数派を占める米共和党は、歳出の削減を求めることが確実です。仮の話ですが、法改正がされないと米会計年度は10月で切り替えですので、残り半年の予算が執行できず、米国債がデフォルトに陥ります。歳出抑制では賄いきれませんが、議会との妥協点として何らかの提案を、オバマ政権が行う必要性も出てくるのでしょう。
議会とのネジレで、FRBの態度にも変化が見られます。バーナンキFRB議長が議会証言を行っていますが「将来の赤字削減に向け信頼ある計画」を実行すれば「米国には多大な恩恵」と述べたように、議会の態度にすり寄る姿勢も見られます。オバマ政権ではグリーン・ニューディール政策に代表される、歳出拡大による景気対策を進めましたが、これは明確に決別することを意味しています。共和党では、金融政策を議会監査しようとする動きもあり、下院金融委員会の下位にあたる国内金融政策小委員会に、FRB批判を強めるポール議長が就任、FRBが追い詰められています。

以前から、FRBが雇用まで金融政策で担うことには批判的な見方が多い。12月雇用統計に言及するFRBに、議会は懐疑的な見方を示します。金融アナリストはQE3を期待しますが、金融支援との批判もある中で更なる金融緩和を促すことは、ほぼ難しくなったと云えるのでしょう。
しかもバーナンキFRB議長が、州政府に対する支援に反対する姿勢を示したことで、米州の財政破綻が現実味を帯びてきました。この前退任したシュワルツェネッガー加州知事も、州財政を3倍近く悪化させたように、米州は厳しい財政運営が続きます。基本的に、財政均衡が求められながら、州政府が赤字を溜め込み、破綻に至れば連鎖破綻に陥りかねず、その際は連邦政府が支えなければいけない。今のEUと欧州各国のような問題が、米国と州政府の間に起きることになるのです。

大手銀行の住宅差し押さえに関し、州最高裁が無効との判断を下しました。早期処分を焦り、所有者の確認を怠ったということですが、これは差し押さえ全件に及ぶ問題です。連邦最高裁ではないので、義務がないとは云えますが、続々と同様の判決が出ることが予想され、米銀はコスト高と、住宅ローン債権の組成など、あらゆる面で収益に影響が出る問題となるのでしょう。
先日、原油、金など資源価格が急落し、一部話題になりました。色々な原因が考えられますが、一部ECBが資金を吸収したことも影響した、と見ています。日本でも、公募増資が発表した後で爆騰する銘柄があり、それは空売り禁止と、踏み上げを狙った買い方の作為的な動きが影響しています。さすがにりそなHDは1日で急騰も終焉しましたが、こうした金融相場に特有の、思惑で値動きが激しくなる仕手系の動きも目だってきました。これは資源価格、食料価格、様々なものに影響し、我々の生活にも関係してきます。金融相場の負の部分が目立ち始めてきた今、米政府やFRBの次の一手に気をつけておかないと、日本もその荒波に晒されることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年01月07日

雑感、政治と情報とメディアと

菅首相が生出演したテレビ番組で、登場した瞬間に視聴率が急落したことが話題になっています。攻撃には適している粘着質な、厭味な語り口は対象が国民に変わると、これほど耳障りなものはありません。またこれだけ支持率が下がると、微笑みがニヤケて気持ち悪いに変わります。ネット番組に現役首相が初めて生出演することも話題ですが、ネットは生の声を伝える代わりに、容赦ない評価という的にされます。批判されると「だから…」で始める口調を改められず、小事を大事と取り違えて、一向に日本の指針を示せない。そんなトップが双方向で相手と対話し、結果を出すのは相当に困難であり、見苦しい形となるだけなのでしょう。

産業界では、日産・ルノーの仏重役クラスによる、企業情報漏洩の話があります。中国系企業に、電気自動車の技術を洩らしたとのこと。企業の動きは素早く、停職処分にすると同時に、法的措置も検討とのこと。中国のように、重要な部品を国内で作らないと販売させない、として国家ぐるみで産業スパイをする国と今後向き合うには、企業も甘い体質では基幹技術を奪われる可能性があります。これは全産業に跨り、社則の厳格化を含む対応を余儀なくされる内容です。
企業は収益の最大化が第一義なので、対応も迅速ですが、これが政府になると話も変わっているのが現状です。尖閣衝突映像や公安情報など、漏洩を認めない形や罪にも問えない。公務員の情報漏えいに対し、もっと厳格にしないと、いずれ国家の形をも歪める情報が流されることでしょう。ウィキリークスにも現れるように、これは情報戦争であり、日本の公的部門の整備が遅れているのは深刻です。しかも、それを対外的に握られれば、政権の生殺与奪の権利を諸外国が得ている状態であり、外交という面でもマイナスに働くことは云うまでもありません。

米国ではCESが開かれ、タブレットPCやスマートフォンなど、携帯型端末が人気です。バッテリーの寿命は3~5年とされ、これはその周期で確実に4、5万円の端末に買い替え需要が発生する、企業にとって垂涎の産業形態です。だから注力しますし、メディアも煽りのような記事を流す、一種のITバブルの状態で狂乱参入が起きているようです。しかし特に電子書籍など、情報の載せ替えや方式の統合が進まない中でこれほど端末だけが売れると、後で媒体の統合や整備が発生した際に問題も生じそうです。情報端末のルール作りが急がれ、それは民間の統一規格作りも必要ですが、政治としての対応が必要な場合もあります。
そして端末が行き渡ると情報が近くなる。ますますネットが重要性を帯びるため、既存メディアの価値が低くなる、と云えます。テレビが一家に一台から、一人に一台に変わったように、情報端末が一人一台になることで、ネットが重要視される世界に更に近づくことになります。
メディアが小沢氏を嫌う一部は、記者クラブ解体が見えているため、でもあります。しかし菅首相がその扉を開けてしまった。今後は、ぶら下がりではなくフリーの記者を相手に会見する、という形が一般化すると見ています。それだけ、意味不明な問いかけや、結果を残せないぶら下がり会見が増えているのです。今、産業界で起きていることは今後の政治とメディアにも関係することであり、その変化についていけなければ政治家であれ、メディアであれ、生き残れない世界になっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2011年01月06日

菅政権と統一地方選

国会日程が決まりません。12日両院議員総会、13日党大会という重要日程を過ぎないと、内閣改造、党役員人事も決められず、野党に提案もできない状態です。菅氏は党の反転攻勢の場としていますが、党内からは攻勢を受けそうであり、党をまとめ切れるかどうかの不安も漂います。
一部で舛添氏や与謝野氏の入閣、という話もありますが、多数派工作でもなく閣僚の席を渡せば党内に不満もたまります。さらに最近、外務省人事が発表されますが、どうやら官僚の思い通りの、横滑りや順当な人事が目立ちます。官僚主導の菅政権、という印象をさらに強める内容であり、本人が発信力を自慢するほどには、内部の統制も利いていないように見える。西岡参院議長が、最近菅政権批判を繰り返しており、参院は荒れ模様の展開が続くのかもしれません。

3ヵ月後に統一地方選を迎えます。13都道県知事選、44道府県議選、政令市も含めた地方首長、議員選挙が行われます。前哨戦とされる選挙では、多くで与党系が惨敗しており、現状のままいくと与党系は多くの選挙で敗北が予想されます。特に、地方は旧来の繋がりもあり、自民系の強い構図があり、世論に見放されつつある菅政権では反転攻勢どころではありません。
内閣改造次第、という面もありますが、仙谷官房長官や岡田幹事長など、菅氏が評価する人物の世論評はあまり高くない。この意識のズレ、ギャップに気付けるかで改造の中身が変わります。といって、先に指摘した統一地方選の流れを変えるほど、劇的な人事を今打てるとは到底思えず、特に菅政権では答弁の受けの下手な人物が目立ちます。通常国会でも、問題発言をとり上げられ、困難に直面することが想定され、支持率回復はほぼ難しいと云わざるを得ません。

しかし野党も正直だらしない状況に変わりありません。自民党の中身は変わっておらず、民主党が凋落すればシーソーで支持率も上がりますが、積極的支持ではありません。特に政治資金規正法の改正や、議員定数や公務員人件費など、改革に向けた国民への発信は皆無ですから、自民党政権になれば元に戻るだけ、元の木阿弥です。自民党は変わった、といえるような提言ができなければ、一時期政権をとってもすぐその座を明け渡すことでしょう。特に、支持母体が流動的となり、公明票が離れれば自民は深刻な党勢の凋落を迎えます。自民党に必要なのは、政局で与党を追い詰めることではなく自らの変化です。その任に現状全く応えてはいません。
統一地方選は、よほどのサプライズがない限り自民系が強いのですが、仮に国政が直近実施されれば第三極の勢いが更に強まる可能性が高いとみます。その時は、自民も民主も過半数に達せず、混迷政局を迎えるでしょう。その時菅政権では柱もなく、何となくやりたいことを羅列する、今の手法では他党も連立はし難い。今の自民も保守の傾向が強すぎて革新系へのウケが悪い。そうなるとベルギーの例もありますが、政権が流動化する懸念があり、その時は国債暴落などの副次的な、国家への信用度の低下という流れを生むでしょう。そうなる前に、与野党ともに国民目線に立った提言のできる党を誕生させないと、日本が危機に陥ってしまいます。永田町では勝手に盛り上がる政局話ですが、国民の目は冷淡になってきており、政治の空洞化ということになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年01月05日

菅政権の経済政策は未だ…?

東証の大発会、卯年は跳ねると169円高を囃す意見も聞かれますが、海外市場の動向にもよりますが、大体ご祝儀相場で上げることが多いものです。これは、昨年末に売った欧州系2社の買い戻し、債券とのアビトラが起きただけですので、特に好感すべき材料ではありません。問題は欧米に不安定要因を抱え、新興国のバブル懸念もある中で日本の政治がどうすべきか?となります。

昨日の菅首相の年頭会見、一点取り上げなかった話題があります。それは、経済に関する提言が全くなかったことです。唯一、開国元年がTPPに絡む内容であり、農業再生という話もありましたが、目ぼしい経済政策に対する文言はなかった。菅政権は発足後すぐの9月に為替介入で失敗、補正予算でも目ぼしい内容がなく、エコ減税効果の剥落で今年の景気見通しは厳しい中、対策も打ち出せません。残念ながら菅政権の経済運営は未だに柱の見えない状態が続きます。
ワルラスによる限界革命という理論では、消費による満足は0→1、1→2…と増えていくに従って減少する、とされます。この理論はそのまま現在の新興国では消費効用が高く、先進国では低いという形に表れます。よって日本では値引きや、補助金で消費喚起を促すか、革新的な商品を生み出して限界革命を崩すしかありません。しかも先進国では20年かかった消費拡大を、新興国は4~5年で達しようとしている。これが先に必ず訪れる低消費型社会、所有の満足感を達成した後でくる閉塞感となります。電子書籍も、スマートフォンも海外発、今話題のネットで複数の消費者を集めて割引販売するグルーポンの形式も、海外からの輸入であり日本は後追いが現状です。

菅政権では内部留保が歴史的水準にある法人に減税、個人には消費税増税の議論をしたくて仕方ない。企業の手元資金が豊富であれば研究開発が進んだり、雇用を増やす状況であれば政策効果も高いですが、そうではない。経済団体が菅政権に高い評価を下しても、これはストックオプションを大量に抱えた役員クラスが、株高を狙って自社株買いや配当に回すだけです。
円高も7-9月期の企業業績をみる限り、影響は少ない。10-12月期も為替予約と円建て取引が増えた結果、大きな影響は出ないでしょう。実は日本の企業の考え方が内向きで、そこに資金を与えても経済への寄与は少ないのです。企業の海外移転を防ぐ術は、日本の内需を活性化することが最大の効果を与えます。これはクルーグマンが云うところの埋没費用であり、投資資金を回収する間、一定期間は設備を維持し続ける。それを企業の発想の中に、日本市場で想起させることなのです。

菅政権では、雇用促進にしろ政府関与の発言がチラチラと見え隠れします。大きな政府路線かは曖昧ですが、予算案を見ても増分主義は維持する見込みです。つまり菅政権が続く限り、景気は低迷するし歳出も削減はできない、財政再建は果たせない、ということだけは確実に云えます。経済政策の柱も打ち出せず、話を聞いても「例えば…」論を延々とぶち、個別の成功事例をあたかも全体のように語る手法は、聞いていて不安を増すばかりです。大局にたった大きな柱と、個別の政策はそれぞれに必要なことであり、瑣末的な議論ばかりを繰り返す菅氏に、国という大きな船を動かす力量は初めからなかった、ということがこうした点でも云えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年01月04日

菅首相による年頭記者会見

新年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

菅首相による年頭会見が開かれました。「平成の開国元年」、「最小不幸社会」、「不条理をただす政治」の3点を掲げています。不条理…に関するものは小沢氏の政治とカネ。「起訴されれば、小沢氏は出処進退を明らかに…」と述べていますが、小沢氏は明確に、離党も議員辞職も否定しており、この問題のボールは菅氏にあります。年齢的にも、新党をつくって政権政党を目指すには心許ない。それに、近い内に支持率が10%台に凋落するのが確実なので、焦って離党する必要もありません。政局的な問題としては、菅氏が相打ち覚悟で小沢氏に詰め腹を切らせるか、という点であり、その場合は解散か、総辞職かの判断を小沢氏の決断に委ねる手が想定できます。つまり小沢氏が離党なら内閣総辞職、離党しないなら解散をチラつかせる可能性です。
新年会では小沢氏120人、菅氏46人が党内の勢力図です。通常の総辞職では、菅氏が再浮上する目はすでになく、菅グループは瓦解します。小沢氏が実力を保持したままでは、枕を高くして眠れません。仲間が死屍累々を築いても自身が生き残る術を見出せば、解散を小沢氏の責任に帰し、政治的に息の根を止めておくしかない。その決断を下す段がいずれ、来ることも想定すべきでしょう。

平成の開国元年…はTPPに関してですが、6月を目処です。消費税議論、社会保障改革も6月を目処としていますが、そこまで政権が続く保証もない。しかもTPP参加はこれまでの農政の失敗を認めた大転回が必要であり、それを官僚主導の菅政権で、6月までに案が作れるかどうかもわかりません。最小不幸社会を、社会保障の財源論にすり替えているフシもありますが、賃金デフレの環境下で増税を模索すると、景気の下押し圧力は深刻な影響を伴って日本を襲うことでしょう。
菅氏はまだ支持率回復が可能、と思っていますが、20%台はもう何をやっても引かれ者の小唄にしか聞こえません。年初に、仙谷氏を切るとの報道を流して野党と世論に打診を入れましたが、芳しくなかった。だから切るかどうか、判断に悩んでいる様子が窺えます。節操もなく野党に連立を申し入れた結果、もう部分連立も難しい。やることなすこと裏目、それが現実です。

菅政権では支持母体固めが上手くないため、何度選挙をやっても敗北を重ねる。それが党内でどう評価されるか、によって党大会の流れも決まります。責任論から逃げ、菅氏も岡田幹事長も選挙戦で前に立たない。そんな指揮官についていくか?です。攻め型の人間なのに小心者、それが最大の懸念であり、支持率下落と同時に、党内でも疑問視される部分なのでしょう。
消費税議論も、この増分主義を脱却できない限り、単に財政再建を増税で済ませようとする議論にしかならない。菅政権では、事業仕分けも機能しません。民主党で人気を得た政策も封印され、マニフェスト全面見直しに手をつける。菅政権は発足半年で流浪を始めています。菅カラーを出すつもりが菅カラ回りとなってきた。菅政権には深刻な厳冬が襲うことでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般