2011年02月

2011年02月28日

年金切り替えの救済だけが年金問題ではない

衆院予算委では、専業主婦による国民年金への切り替え忘れの問題で、救済策を巡ってもめています。国民皆年金でありながら、申請主義という矛盾が生むツケを救済という形で国が支払うのか、不公平として受け付けないのか?という問題のようでいて、実は別の問題も存在します。
H22年度第3四半期の運用実績が発表されましたが、通年としては-0.91%と、プラス圏には浮上していません。原因は世界の債券安、株式運用益は拡大しましたが、インフレ懸念で利上げ局面にあり、日米も金利上昇傾向です。年金は67%を国債、8%を外債で運用すると決めているため、金利上昇の局面ではこの高い債券運用比率が、悪影響として利いて来ます。

運用利回りの中期目標は4.1%です。ここ数年の収益をみてみるとH18年度4.75%、H19年度-6.41%、H20年度-7.57%、H21年度7.91%です。リーマンショックを跨いだとはいえ、全体としては目標に届いていない状況で、しかも先にも述べたように、当面は金利上昇局面での運用は厳しい状況であり、マイナス推移が続くと見られます。ちなみに、経済の前提は物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.5%など、明らかに前提と違ってきているため尚更、年金制度全体には不安がつきまといます。
年金はマクロ経済スライドが前提です。しかし物価上昇率は1.0%を上回らず、支給をマイナスに出来ないため、まだ発動されていません。簡単に言えば、物価上昇率、賃金上昇率が目標を超えてこないと、負担が増大されるだけになるため、マクロ経済スライドは導入できない。そんな矛盾を抱えて、収入と支出を均衡させるよう、バランスをとろうとしているのが今の年金です。

そこで先の問題、厚労省課長が立法措置ではなく、通達で救済を実施しようとしたのは当面の収入を確保する目的で、未払い分2年間のみで全額支給を決めた。そう想定できるのです。つまり将来の支払いが拡大しようと、今の収益を確保せんと厚労省が画策したのではないかと読めます。
そもそもの失敗は、経済の前提が日本の現状に合っておらず、その結果いつまでもマクロ経済スライドを導入できない、運用利回りが目標に達しない、等の厚労省側に大きな問題を含む点です。そしてポートフォリオ上から、安全運用であるはずの債券投資が今後はリスクとして懸念される。国民皆年金なら強制なので、税と同じように強制徴収をすれば良いのに、申請主義により国民は制度もよく知らないまま支払いをさせられる。実に多くの問題が年金制度には含まれるのです。

民主党の年金改革も、長妻氏が厚労省を去ってから停滞。何しろ省庁側と敵対せずに上手くやろうとすれば、今の年金制度を小手先のみ変更し、辻褄あわせしようと画策するからで、細川厚労相はまさにそちらで動いています。問題があると認識されていても、官僚側が抵抗するため年金に手がつけられない。自民党時代と同じ構図ですが、その下書きは昨年9月に菅政権が誕生したときの仙谷官房長官が、官僚と敵対しているとして長妻氏を更迭したときから始まった、といえるものです。失敗だった年金制度改正を引きずる限り、国民皆年金の理念は益々遠ざかり、国庫負担2分の1の財源もなく流浪するのみでしょう。
年金ほど、自民党時代からの宿題が多い課題はありませんが、菅政権では官僚に依拠しているため改正はムリ、次の政権に期待したいところですが、仙谷氏が裏でも実権を握れば、厚労官僚と結託して長妻氏を遠ざけようとするので、それも難しいのでしょう。年金制度を必死で研究していた民主党議員を遠ざける、こんな態度からして、年金制度の安心は得られないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 年金 | 政治

2011年02月27日

雑感。菅ニングより重い罪。

入試問題をYAHOO!JAPAN知恵袋に投稿し、回答を得ていた問題で、偽計業務妨害などの刑事事件に発展する可能性も強まりました。カンニングもITを活用し、組織だって行われると大学の調査の範疇を超える。相撲の八百長にしろ、アドレスを開示させるには公権力が必要です。ただ狡賢い手をつかう人間を徹底的に糾弾する、一面では当たり前のことですが、メディアの方向性として、この問題でも今後報道が過熱する恐れがあります。現在タレントの某氏もカンニングが発覚し、大学入試の道が潰えていますが、いつの時代もカンニングはあるものであっても、今や時代は民事では済まないのであり、バレたら刑事事件ということを認識すべきなのでしょうね。

明日で2月が終わり、3月になります。菅氏とその周辺のみ、3月政局がないと踏んで動いていますが、すでに民主党内では老壮青とも、菅政権の退陣モードとなっていますが、予算案成立までは身動きとれない状況で、菅氏が自発的に総辞職をする以外に手がなくなってきています。つまり予算も通さず政局絡みで動けば、一時的にしろ悪役となるため、どの勢力も手立てがない状態です。
しかも菅氏は野党や小沢氏に責任転嫁し、予算関連法案の年度内成立や支持率低下を省みず、自分は頬被りをして責任論を棚上げです。何度選挙に敗北しても、こういう人物は学習効果がないので、同じ失敗を繰り返す。原因は簡単で、身内に巧言令色の徒を並べ、自身に不都合な情報は遮断してしまう、権力者にありがちな失敗を菅氏は丁寧になぞっているからに他なりません。その効果に最大に寄与しているのが、伸子夫人となっているため、党内でポスターに使われるともめるのです。夫人は叱咤叱咤と述べますが、それは失態失態としか思えないからです。

菅氏の寄る辺は米国と財務省、そこに尽きるでしょう。民主党内で前原外相を次期首相候補に、という流れさえできなければ、現状の米国は中東情勢の不安定化により、日本で政変に付き合うことは出来ない。菅氏で行こうとします。財務省もこれだけ民主党内で都合よく、自分たちの意見を取り入れてくれる人材はいないので、下支えをしようと動いてくれるでしょう。結果的に、巧言令色の徒を並べて政権運営をすることで、それ以外の人材は離れていく構図です。
恐らく、統一地方選で選挙応援にも出られず、出れば厳戒態勢。石すら投げられかねない状況をみて、初めて気づくのでしょう。自分がどれほど、中東の独裁者と似ているのか、ということに。しかしそのタイミングでは、民主党は選挙で惨敗を重ねており、政権基盤は大きく揺らいでいることになります。問題は、その前に誰が背後から撃つか?という状況となっています。

仙谷代表代行、というのが専らですが、それだと反菅勢力として仙谷派が小沢派と結ぶ以外、数を保てないのでその後の政局は不利になります。私は今回、幕を引くのは伸子夫人と見ています。彼女がもういい、と云った時点で菅政権は終わりです。精神的な支柱を失えば脆い、そういうことになるのでしょう。有権者から択ばれた人物ではないのに、国家の命運を握っている。極めて異常ですが、ネットで回答を求めないだけマシなのかもしれません。カンニングは罪かもしれませんが、身内に答えを求めているだけでは罪にもなりません。ただ、それが国政を司る首相という立場を続ける人間としては、より以上に罪深いということになるのでしょうね。

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2011年02月26日

最高検による全面可視化の試行指針について

俗に『陸山会事件』とされる、小沢氏の政治資金団体が4億円の土地を購入し、それを収支報告書の翌年に記載して、政治資金規正法の虚偽記載で起訴された事件の公判が行われています。少し論点整理の意味で、この事件を見てみることにします。検察は水谷建設が胆沢ダムの受注の謝礼に、16年10月に5千万円を受領したことを隠す目的で、時期をずらしたと主張しています。
しかしこの事件では、水谷建設が胆沢ダムを受注した件で、小沢氏が関与した件は一切明らかにされていません。証拠も、証言もない状態です。つまり小沢氏は岩手県側にも、国交省にも権限はないので、ここに収賄は成立しないことはおろか、検察のストーリー通りだとしても立証はされていないので、水谷建設側が手前勝手に受注には小沢氏が手心を加えてくれたと考え、お金を小沢氏側へ渡した、と検察側の事件のシナリオは描いていることになります。

それに沿って調書は作られましたが、小沢氏の秘書、元秘書の面々はいずれも調書を否定。調書は検察側が変遷させたもの、とします。検察は二重線を引いたのは被告側として、任意性はあるとしていますが、任意の意味を履き違えていると云えるでしょう。検察が直して良い箇所と、シナリオ上直してはいけない箇所を差配し、調整した疑いはどの段階であっても消えないためです。
任意性を担保したければ、検察は一切介入してはいけません。被疑者が検察とは別の場所で事件について記憶している限りを記し、初めて任意です。検察官の恣意が雑じる形でとられる供述調書は、初めから任意を否定しているのであり、それを防止する手が全面可視化による映像証拠になります。即ち全面可視化とは、検察が任意性を担保できる唯一にして、絶対の条件なのです。

最高検が試行指針を表明し、検察による特捜事件の取調べの一部可視化を提言しています。しかし検察官の裁量により、可視化の判断がされるなど、愚策に過ぎます。検察官の差配が雑じることで、任意性は著しく損なわれ、編集による印象操作を可能とします。つまりメディアが一部のみ抜き取って、相手の印象操作を行う、その手法を検察が手に入れ、公判を有利に導こうとする考えが見え見えで、むしろ任意性の立証という意味では後退とさえ云えるものです。
全面可視化であるからこそ、検察に都合の悪い部分も浮き上がると同時に、任意性が担保されるのです。そのすべてを証拠採用せずとも、弁護士が確認し、長時間の取調べによる被疑者の不利益、言動による誘導を確認する。逆に、それがないと判断されて初めて任意です。要するに、陸山会事件の供述における任意性は立証不可能であって、そこを争点とすることは誤りです。法曹界がこれまで金科玉条の如く祀り上げてきた供述至上主義では、冤罪増加を招くとさえ言えます。

検察は郵便不正事件で凛の会元代表に対し、虚偽有印公文書作成の控訴審を争っていましたが、周知の如く村木氏はすでに無罪、公務員が携わらないと有印公文書作成は不可能なので、無罪判決が出ました。検察が面子で戦う公判ほど、厄介なものはありません。また面子で全面可視化を受け入れない姿勢も、結果的に検察が物証により、事件を解明するという姿勢を遅らせるだけの、時間稼ぎとも云えるでしょう。貴重な時間の浪費、というだけではなく、国費のムダにならないためにも、全面可視化により供述の価値を高める努力程度は、まず始めなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2011年02月25日

経済の話。有事でもドル買いにならない理由

リビア内紛が発生して世界で同時株安が起きましたが、今回は有事のドル買いが進みません。スイスフラン、円が強い状況で、ドルは比較的弱い通貨に入ります。年度末で日本企業が円に還流する動きもありますが、ドルが弱くなる原因も存在します。まずWTI原油価格は昨晩、カダフィ大佐暗殺などのデマで急落、97$台で終えましたが、米国では歴史的な水準まで原油在庫が積み上がり、カナダ産のオイルサンドがメインとなりつつあるので、中東の激変にも本来は強いはずです。
過去、有事にドルが強かった背景には経済規模、基盤の安定が大前提にありますが、海外における資金運用の割合が相対的に高かったことがあります。有事に資金が還流する流れ、これがドル買いに繋がっていました。しかし今は海外に支点を有し、慌てて資金を引き上げる必要がありません。またブッシュ時代に行われた本国への資金還流に対して課税額を抑える施策、これが再度検討されており、実施されるとの思惑も米国への資金回帰を遅らせる、その原因となっています。

世界を揺るがす軍事衝突が起きる場合、背後では米ソの冷戦構造があり、米軍事産業が活況を呈す、という観測も成り立ちましたが、中東ドミノに米軍の介入余地はありません。長期化すればCIAが兵器を横流しし…とも想定できますが、今はむしろエジプト軍など、米兵器を導入していた国も購入を手控える傾向にあり、米国にとっておいしい部分が少ない有事、とも云える状況です。
そして最大は米国がQE2など有事モードであり、安心感がまったくない点です。財政を考える場合、日本では地方債務がデフォルト可能で切り分けられますが、米国では地方債務をデフォルトさせられず、国が肩代わりするので一体的に扱う必要があります。これは一般紙でも借金議論と混同されていますが、日本では国と地方合わせ…というのは、借金総額としての議論であり、国の債務として財政赤字を考える場合は誤りです。一方で、米国では国債のみが議論の対象ですが、本来地方債務も含めなければ、法的要件からみた財政の考え方としても誤りだ、ということになります。

つまり米国ではGDPの100%を超えても債務拡大が可能なよう、法案審議中ですが、地方債務を含めるととっくに100%を超えているのです。イリノイ州の州債起債が話題でしたが、増税提案をしたことで歳入増が見込まれ、無難な入札に終わったようです。しかし州財政は悪化、米国債より高い利回りで入札される一方、最終的には米国債で下支えされるから債券ファンドは買います。ただ歳入を増税で賄うのも逆効果となる公算が高く、国は減税、州は増税という逆行も不安視され、某州では企業に課税した途端に工場を移転した例も存在するように、流動的な状況なのです。
上記からも、有事のドル買いには進み難いと云えるでしょう。しかも株安で消費者信頼感などが下がり、消費が減退すればデフレに陥る確率もある。すると欧州ではすでに懸念されるスタグフレーションという状況も想定でき、金融政策、景気対策も限られ、深刻な事態になりかねません。

有事でもドルは買えない。これも米国の地位低下を示すのでしょう。少々悪い観測を述べれば、中東で民主化ドミノがすすむと、イスラエルの扱いが東アジアの北朝鮮と同じ、大国をバックにしているから存続しても、ただの厄介な乱暴者でしかなくなるかもしれません。イスラエルによるパレスチナの入植に対し、安保理で米国が初めて拒否権を行使しました。これも米国の指導力が低下し、国際的には大国としてではなく、ただの一国として扱われ出したことの現われです。リーマンショック、それは米国が世界に覇を唱える時代の終焉、を意味していたのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年02月24日

雑感、予算案と天下り

昨日の党首討論、注意すべきは菅首相が「丸呑みできるような案」を自民に求めた点です。これは財務省と調整した予算案を野党が出してくれれば、すぐに採決して民自の賛成多数で通します、と言ったものです。そうすれば、野党も予算関連法案に責任をもたねばならず、国会が紛糾せずにすむ。国民にとって重要なのではなく、政局にとって重要と判断したことになります。
一方、自民も予算組み替え動議を出しました。民主目玉政策を軒並みカットして2.6兆円、公務員人件費削減1.5兆円などで5.3兆円を捻出、公共事業、児童手当、防衛費などに2.2兆円、残りを予算圧縮とする案です。子ども手当てや高校授業料無償化など、公明が呑みやすい施策まで廃止としたことで、自民案は調整を経ていないと見受けられますし、これだけやれば1ヶ月での調整はムリ。財務省とも調整されておらず、菅政権も丸呑みできない野党の予算案、という形になりました。

民主党政権で、政府と関連が深い法人に再就職した省庁出身、現役出向した国家公務員が一昨年9月19日から、昨年10月1日までに4240人に上ることが判明しました。官僚統制が利いていないこと、これが最大の国民への裏切りです。しかも数が拡大しており、規制がかかる前に早めに天下りし、おいしい汁を吸おうと焦る姿勢も窺えます。民主党では現役出向を認めるなど、鳩山政権時代から天下りには甘い体制もありましたが、菅政権となり官僚主導となったことで、最早そこに規制をかけると政権運営が成り立たない、官僚から足元を見られた形になっています。
仮に自民の予算案を検討するなら、公務員人件費削減は落とし所になりますが、両党とも本気度はない。政局でこの問題を扱っている限り、解決策は見えません。法案1本、2本ですむ公務員人件費削減が先延ばしで、成立の目処もたたない社会保障と税の一体改革は前のめり。歴史に責任をもつなら、出来ることからするのが最も近道ですが、そういう態度ではない点で、財務省の意見に責任をもって、政権運営しようとしている形が鮮明であり、菅政権への期待値も下がります。

そんな中、相変わらず前原外相の虚言癖で、NZ地震の被害者家族の神経を逆撫でする件がありました。政府専用機に同乗させるとした発言で、自分で汗もかかず、言ったことに責任をもたず、都合が悪くなると頬被り。メール問題、八ツ場ダム、普天間基地、日航、彼が携わってグチャグチャになった事業は山ほどあり、こんな人物が次の首相候補と考えると暗澹とさせられます。
自民も生き埋め、大崩落など、この時期に不適切な発言を繰り返しますが、この国の政治家は国民目線に立てない、どこか特殊な国の人たちのようです。国民にとって重要、という国民の支持の上に立っていない人物が言葉を弄する愚、国民が期待したことは出来ていないのに、できたと胸を張る虚構。児童期の虚言癖は、幼少期に味わった深刻な愛情飢餓から、過剰な自己顕示性をもつその表現の手法の一つであり、愛情の代用物として自分に関心と注意を惹く、とされます。菅政権では、どうもこの傾向が強く見られるようで、首相や外相には顕著なようです。
教育論や自然に帰れ、という言葉で有名なルソーも青年期、虚言癖があったと告白しています。ただ彼は「人間を奴隷にする権利はない」と述べ、18世紀前半としては進歩的な主張をしました。21世紀前半、虚言癖をもつ党首は仲間を売るように、びっくり発言を暴露しています。党首なら党員をどう扱っても良いのか?これが権力欲にとりつかれ、自身の安寧のみを望む者としての限界を示すのでしょう。大人になっても虚言癖とは、どこか歪な表現から脱しきれない、子ども手当ても支給されない子どものような大人、というようにしか国民の目には映らないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年02月23日

リビア情勢で資金の流れに変化

NZ地震は深刻な被害です。邦人の行方不明者も多く、1日経っても中々確認できない状況です。地震大国として、日本と同じ備えもあるのでは?と考えていましたが、未曾有の災害に手付かずのようです。日本の援助隊がやっと派遣されましたが、期待したいところですね。

リビアが内紛状態に陥ってから市場が一転しています。安全資産として金が高騰、北海ブレント、ドバイ原油は100$を超えていましたが、遅れてWTI原油も90$台に乗せてきました。リビアの輸出が止まり、バーレーンでもデモが拡大、サウジにも波及するとの思惑もありますが、懸念はそれに留まらず、現在進出している欧米の原油採掘業の一時国有化、という事態も想定されるからです。
軍部が掌握したエジプトと異なり、リビアは内紛が継続化する懸念があります。カダフィ大佐支持派、国民に銃口を向けた軍、火種を抱えたまま権力者のみを締め出しても、政情不安が続く。この内紛状態が続けば国家財政が逼迫し、さらに貧窮することになるので、国内の企業をすべて一時国有化し、収益を国庫に入れてしまうのが最も財政回復には寄与する政策となるのです。欧米は経済制裁で取引を停止しても、中国は構わず購入する。すると制裁も利き難いので国有化のハードルも低くなり、また王族や権力者に連なる者が運営に携わる企業も多くある。これを一時国有化し、社会主義化して経済を回復しよう、とする可能性も当然のように高くなります。

一部で穀物価格は下落、順調に経済成長するという仕組みが崩れ、中東の内紛が続けば原油供給量が低下してインフレ、穀物の購入余力も下がるという計算です。原油に振り向ける資金捻出に一部配分を見直した側面もあり、CTA筋などこの辺りは活発に動いています。米英が否定しようと、投機資金は先の思惑で動くものであり、これは株先売/債先買という流れの転換にも見られます。
世界は同時株安症状、米国ではS&P500の倍返し、NASDAQの史上最高値更新など、イベントを控えてとにかく買いだった傾向も崩れた気配です。オイルマネーの縮小、統制経済の発生に伴う自由市場の縮小、中国への拡大など不安要因が大きく、たかが6千億$のQE2では下支え効果も限られます。経済規模が拡大するときは得られたスケールメリットが、逆に経済が下押しするときはマイナスに働き、企業買収の動きなども限られることから、市場に資金が入り難くもなってきます。

アイルランド選挙も近づき、勝利確実と見られる野党は金融機関のシニア債をデフォルトさせる、と表明している。これはECB、IMFなどの要請とは逆行し、欧州銀行の債務悪化に繋がります。米住宅価格が下げ止まらない一方、販売は好調との指標も出ていましたが、今日になり中古住宅販売における民間集計会社による水増し疑惑が浮上。軽微としていますが、販売数量が課題に見積もられていたことで、販売と価格のギャップが生じていた可能性も否めなくなってきました。
米国では2月消費者信頼感も70.4と高かったですが、株価が下がるとこれも低下傾向になる。悪い言い方では、今楽観が崩れると負のスパイラルに入る公算も強くなるのです。人間は目標をもって邁進するときは強いものですが、目標を見失う、心が折れると立ち直りも難しくなる。上昇波動の終焉を指摘する向きもありますが、中東情勢の波及で景気が腰折れすると、少し深押しすることも睨みながら、今後の推移を考えていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年02月22日

小沢氏に対する党員資格停止処分

NZで大きな地震がありました。直下型の断層地震、耐震構造がどうかはわかりませんな、建物や人に大きな被害を出しています。地球は今、大きな活動期に入っており、何が起きてもおかしくありません。新燃岳の噴火ばかりでなく日本も地震、火山大国。備えは必要なのでしょうね。
ムーディーズが日本国債の見通しを、中立から弱気に変更しました。裏を読めば、米政権の意向をうけた格付け機関による、菅政権切りと読めなくありません。社会保障と税の一体改革を進めなければ…という理由も、逆にそれを後押しする新政権への意向を視野に、米国が動き出した可能性が高いものです。ただ日本の場合、地方を一旦破綻させて債務整理できるのですが、米国は州、地方政府を破綻させられず、国が支えなければいけない形です。なので、米国の債務は報道されたベースより実質的には高い、それなのに日本のみ見通し引き下げをする手法は、格付け機関に対する見方を厳しくするものです。米国でも下院は予算案を通過しましたが、このまま上院も通る可能性は低く、見直しがかかることは必至です。NZの格付けも、この震災で引き下げられる可能性が高いものです。国家債務のあり方と、自然災害という不測の事態における経済への打撃、警戒が必要なのでしょうね。

民主党が倫理委員会で小沢元代表の弁明を聞いた後、常任幹事会で「党員資格停止」の処分を決めました。小沢氏は不服申し立てを行う見通しですが、これは菅首相による電撃解散封じの思惑もあります。小沢氏に党公認、選挙資金を与えず選挙を実施する。予算関連法案で失敗、統一地方選で惨敗した後では解散の手が打てませんから、やるなら予算を放ってでも3月解散です。
しかし本来、敵と見定めた者を身内に抱えたまま手打ちなど、お粗末に過ぎます。郵政解散を決行した小泉氏は、敵を徹底的に切り捨てました。それは一度弓を引いた相手を身内に残すと中から反乱、クーデターが起きるからであり、これだけ執拗に攻撃しておいて身内に残すなど、統治能力の欠如に他なりません。これは中東でも同じ、国民に一度でも手をあげれば不平、不満を内包した状態となり、たとえ政権に留まっても治安は悪化、デモやテロによりいずれ組織が瓦解します。つまり菅氏が解散権で恐怖政治を布こうと、身内だけで固めた政権に留まろうと、自壊は決定路線です。

明日の新聞の社説では、こぞって『処分は当然』の論調でしょう。党代表選になれば処分見直しを打ち出す候補者もいる、それを封じるには既定路線化するしかないからです。首相をころころ変えて良いのか?と、半年前に論陣を張った新聞が、今や退陣は既定路線と書く。なぜ今も同じ主張をしないかと云えば、小沢氏を追い落としたことと、世論の支持率低下で最早その主張が受け入れ難いと気づいているから。元々、揺らがない骨のある主張ではなかったということです。
菅氏は身内を守らないばかりか、死屍累々の落選の山を築いても、見て見ぬふりを続けます。国民の必要…を訴えるには、最低でも何かを守る態度を示してから、国民という大きな枠を示すべきでしょう。彼が守っているのがちっぽけな矜持なのか、富と名声なのか、米国からの要求なのか。ただいずれにしろ、守れなかったものの方が多く、それがリーダーとしてのマイナスイメージを定着させる。もし今回の『処分が当然』というなら、この国のリーダー像はどこか歪で、権威主義的な面が否めないのでしょう。予算審議に、与野党の合意もなく委員会を開催して躓いた菅政権、幼稚で杜撰な政権運営が招いた失敗を、小沢氏処分という人きりで挽回しようというなら、自身の首切りをより早めただけであり、政権末期の様相を呈してくるのでしょうね。

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2011年02月21日

雑感。国の統治とお金の話

菅首相のぶら下がりが、少し面白いです。21日は「…思います」を連発。思わず感想文?と呟いたほど。18日は「国民にとって何が一番重要か、必要か、それを考えて行動」を連発。解散の話が中心でしたので、総理の解散権を行使する理由として用いたのだとしても、今度は自身の言葉で語り始めると感想文のような形になる。組織のトップとして、何かを決断する際の態度としては不安を覚える物言いです。支持率急低下が話題ですが、この短期間で党代表選、内閣改造を繰り返したため、支持率の変動は相場的言い方をするとダブルトップ、もしくは三尊の形であり、下落せざるをえない局面です。トップの資質という面でも、支持率という面でも重要局面なのでしょうね。

中東のデモが拡大し、リビアでは全面衝突です。打倒されたチュニジアのベンアリ政権の資産が相当なものになると公開されています。ムバラク政権も同様、5兆円という途方もない額を一族が溜め込んでいたとされ、王族や政権に富が集中する形、これが鮮明になることでデモを勢いづかせます。中東のオイルマネーはやや長めの資金も多く、政権崩壊とともにこうした資金も縮小し、長期投資の資金という観点ではマイナスです。ただイスラムでは投資という形にも制約があり、イスラム原理主義に則ると背教的に映りそうです。王族の支配の正統性、どの宗教でも謳う神の名の下の平等もあり、カリフという宗教指導者もありますが、経済を牛耳る今の形に失業と貧困で喘ぐ若者層が叛旗を翻す形は継続性もあり、今後も拡大していく気配が濃厚です。
中国でも呼びかけはあったようですが、ほぼ拡大せず沈静化しています。中国では海外からの直接投資が昨年1億$を超え、インフレには苦しみますが、政府への不満は然程高まってはいない。何より経済が堅調、国民も不動産価格の上昇など、一定の恩恵を受ける層もいる。不満の受け皿に『政権打倒』のスローガンが迫力を伴いません。そんな中国から、パンダが上野動物園に貸与されました。1年間で8千万円、大物歌手の来日公演や中国雑技団より、良い稼ぎをしているのかもしれません。

マキャベリの君主論では、統治者は「愛されるより恐れられる方がはるかに安全」とあります。中東のデモは恐怖統治を強いてきた結果、「恐れたままでいるより今のままでいる方が危険」と国民が認識した結果であり、中国では何千万という共産党員に対して「疎ましくても反抗するより今のままでいる方が安全」と考えた結果です。最近、菅氏が解散権を国民の意志に仮託しようとするのも「愛されないから恐れられている方が安全」と考えた結果なのでしょう。
中東では王族に富が集まる構図、中国ではバブルで経済が好調、日本では失われた次代を経た閉塞感、お金にまつわる意識や、国民感情の抱くことは異なるのです。一緒には議論できませんが、その時に応じて統治者がとる行動も異なり、中東では政権が打倒され、中国では強制的に排除し、日本では相変わらずの内輪もめ、永田町の中だけで権力闘争を続けます。
モンテスキューが「民主制における共和国への愛」という定義づけに、「平等への愛と質素への愛」を掲げました。平等は理解できても、質素には誰しも首を傾げるでしょう。しかしモンテスキュー自身、裕福な貴族の家柄で自分で働かずとも良かったことを考えると、求めようとしない理由も頷けます。しかし明日食べるパンにも困る国に暮らせば、質素を甘受してばかりではいられない。だから独裁を排除して民主制へ向かおうとする。富める者と貧窮する者、どちらが民主制を希求し、正しくトップを択びたいと思うかは、むしろモンテスキューには理解できなかったのかもしれませんね。

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2011年02月19日

経済の話。G20は政策コンテストの場

20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)がパリで開催されています。世界経済の不均衡、テーマは漠然としており、その参考としてどんな経済指標を用いるか、様々な候補が上がっています。しかしGi時代において、関税障壁のない自由な貿易を進める上で、これは重大なテーマであり、世界が避けては通れないものの答えは難しい側面を孕んでいます。
問題はすべての国が同一の制度、政策を共有していない中で、貿易だけを自由化すると、必ず制度、政策の有利、不利を競うコンテスト化するということ。それに敗北すれば貿易上不都合を生じ、相手国に壊滅的な打撃を与えうること、これが新たな国際戦争化する恐れすらあることです。バーナンキFRB議長が中国を名指しで為替操作国としていますが、国家が農業に補助金を出して貿易振興することも、一面では国家介入によって世界市場を歪める効果に繋がります。

つまり貿易自由化の流れ、というのはアダム・スミスによる「神の見えざる手」と、逆効果を生む可能性が高い。政策の優劣が輸出入の強弱を決める、むしろ国家による規制排除ではなく、優遇策の多寡を誇るような時代に突入する可能性を示唆することになります。つまりリカードの示唆した「自由市場は皆を幸せに、ただお役所的な世界を招く」を地でいくことになるのです。
今の中国は自由市場に完全参入せず、国家関与を強めているため貿易は強い。産業は強くなりますが、インフレという弊害を伴う。自由市場という枷のある米国はQE2でドルをバラマキ、フリードマン型の金融政策をとった。しかしこの資金が食料、資源相場に流れ込み、新興国で貧困層の窮乏をまねき、国家を揺るがす事態にまで発展している。これが政策コンテストの側面です。

いずれが最良か?は経済学者でも結論が出ない話ですが、G20で何を切り口にしても、浮かび上がるのは制度の差異です。同一の制度、政策の上に並んでいないのに、その先の貿易の結果として現れるものを同列に扱おうとしても無理がある。こんな簡単な理屈が討議されないのは、各国とも自国の制度、政策を拒否されたくない、外交圧力でそれを覆すことはまかりならん!という強い態度を各国がとるためです。G20は各国が自国の利を主張するコンテストの場、と云えるのでしょう。
しかし実害は、世界全体のインフレにまで及んでいる。食料価格の高騰は、新興国の成長や、気候変動による収量不足も背景にはありますが、投機も含まれています。ただし自由市場を標榜する国は、投機の規制に消極的であり、人為的に回避できる市場高騰の面まで否定します。これも自国の主張する制度を良とする意見ですが、その結果、中東のような政変も起こるのであり、世界経済全体を不安定化させ、自由市場を破壊する事態となって初めて両国にも跳ね返るのでしょう。
コンテスト、のコンの部分は英単語では『一緒に』を意味する接頭辞です。テストを一緒にするから競争、という意味になりますが、今世界は『一緒に』という体裁を整えつつ、『一緒に』は何も行えていない。真の危機が訪れないと人間は気づけないものであり、こうしたものが次の危機を準備します。G20においても『一緒に』目標は設定できない、世界経済の舵取り役がいない、Giの時代に入ると更に自国の制度、政策の良い面ばかりを強調する形に陥り易いのでしょうね。

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2011年02月18日

菅政権では国を守れない

民主党で16名が会派離脱を表明した件で、その波紋が広がっています。菅首相も社民連時代に、他の人間と別れて別の党の会派に合流した経緯もあり、益々現執行部による制裁が難しくなりました。小沢氏に近い、現在はブレーンの形にある平野氏が小沢氏に提案、ただ小沢氏は積極的でなく、一部議員に打診してこの動きが大きくなったことを明かしています。小沢氏の関与のあるなしはいつか判明することもあるでしょうが、菅政権に与えた効果が絶大であることは明らかです。
原口前総務相が、雑誌で政権批判を展開。この時期、政権と対立する理由は親小沢派として求心力を高めること、小沢氏に近いとされ、首相に色気をみせる海江田氏は現経産相であり、身動きがとれない。先んずれば制す、形でしょう。一方で自公に対して、首相交代で予算関連法案に賛成するよう打診、という話もあります。幹部とされますが、自公とのパイプを自認し、キングメーカーとして大胆発言をするような人間は自ずと限られ、憶測ですが仙谷氏しかいないのでしょう。菅氏は小沢斬りで討ち死に、後は自分が推す野田氏、前原氏でいく算段を立てたのです。

予算関連法案では国民のため、党離脱の動きでは統一地方選のため、と菅政権から聞こえるのは、相変わらず自分の責任論からの逃げです。誰のための政治、というより何のために政治をしているのか?それを疑問視される動きが、南極海での捕鯨中止です。一面では船員を守るため、苛烈になったシー・シェパードの攻撃を理由としますが、背後では米豪蘭などへの配慮が滲みます。中止すれば彼らの成果であり、益々つけ上がらせる。それを知った上であえて損害賠償請求もせず、口先だけは抗議の言葉を並べても、行動が彼らに屈した、外交で余計な雑念を排除してへらへらと外交していればウィン・ウィン。そんな考えで国益を損ねようとしています。
思いやり予算の5年間継続といい、誰のための政治?と疑わせます。決して国民のためや、統一地方選で戦う仲間に向けたものではない。波風ないのが良い政治、とする安定志向の官僚に牛耳られ、外交ではケンカしてまで国益を主張し、国民利益の最大化という目的を放棄してしまった。マニフェスト見直しも、官僚が携わっていない国の方針なので、見直したいと言い出す。何のために政治?といえば、自分が生き残るために手を結んだ、官僚と自分たちがウィン・ウィンになるための政治、という形が一連の菅政権の行動の背景には滲んでしまうのです。

原口氏が内ゲバ、浅間山荘のようと指摘しています。鳩山政権時代に普天間移設問題で鳩山氏の追い落としを諮った…とまでは云いませんが、その頃から菅体制の要職についた人間には、黒い部分も見えています。この政権で、例えば地方分権のための出先機関の移管、という話も持ち上がっていますが、まず総務官僚や財源を渡したくない官僚の妨害で、うまくはいかないのでしょう。
中国がGDPベースで世界第2位、それでもODAを継続と外務省は訴えます。ODAは数少ない外務省の国内向けの財布、諸外国向けの公共投資を外務省として行える枠、だから国民1人あたりでのGDPは低い、などと理由付けしてまで必死で残そうとします。ですが、そんなことでは無駄遣いが減らないことはおろか、それを放置する菅政権も同罪と呼べるのです。それがイヤなら高利で貸付とし、後で返済義務がある資金でODAをやれば良い。そういう外交交渉もなく、ただ国民の富を散財させようとしているのです。米国債の保有比率を、このタイミングで増している財務省も同様、金利上昇局面で国債買増しなど、カネをドブに捨てるようなものです。政治とカネの問題で、22日にも処分という話もありますが、国庫を使ったこの数兆、数十兆円に及ぶ散財の仕組みを改めずして、それ以上の問題が他にあるのかどうか?菅政権は猛省すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年02月17日

米経済指標とG20

小沢氏に近い、先の衆院選比例代表で当選した16名が、民主党会派離脱を表明しました。個別に会派を立ち上げると委員会質疑などが行え、現執行部の手法に反対でも質疑もままならない、という状況から脱する。党内の不満分子として、離党せず新会派というのは練られた作戦です。
現執行部が認めないので成功はしませんが、これは他の野党に選択を課した形です。仮に与野党合意が成立しても、与党内の造反で3分の2は使わせない、という牽制。小政党では予算関連法案に賛成しても、無意味になります。菅首相もよほどショックなのか、ぶら下がり会見も言葉少な、党執行部も冷静というより熱くなれば離党ですから、宥めにかかる。野党に対してお願いを繰り返すように、低姿勢にならざるを得ない状況です。これは中東の独裁体制と同じ構図であり、嫌小沢が最大勢力ではないのに、如何にも自分たちが主流派として中枢を占め、独善的に物事を決めるやり方に対する叛旗です。菅体制の全否定、どころか嫌小沢の側の今の手法に対する全面対決を党内から突きつけられた、という重い課題であり、答えは相当難しいのでしょう。

米フロリダ州で計画されていた高速鉄道に対し、州知事が拒否を発表。日本の受注競争が徒労に終わる結果となりました。CO2削減を含む、大型公共工事による経済復興に対し、小さな政府路線である共和党系のNOが鮮明になった形です。そんな米国では約半年、一本調子で市場があげ続けていて、いつ調整が入るかが話題です。個人的にはS&P500が最安値からもう少しで倍返し、その水準を目標に上げを志向した主体があり、達成感の広がった段階が一旦ピークと見ています。
問題は押しの深さと長さ。上昇相場における通常の調整なら半年の半分で3ヶ月です。しかし3ヶ月後にはQE2が切れる、極めて重要な段階に入ってきました。米国では経済指標が堅調ばかりか、というとそんなこともありません。1月鉱工業生産が前月比0.1%減、設備稼働率も小幅低下と良くありません。輸入物価が1.5%増、卸売物価のコアも前月比0.5%増、じわりとインフレ圧力が襲います。

週末からG20ですが、インフレと資金の流れが焦点です。しかしインドが携帯電話向け通信設備を納入する外国メーカーに対し、ソースコードの提示を求めたように、これは全世界が統一した基準もなく、貿易やモノを売り買いする際に発生する諸問題、全般が影響しています。その一括りとして、人民元問題や資本移動による過剰な投資、資源インフレが入るのであり、仮にEPA、FTAにしろ制度の違う国同士が課税障壁をなくして取引をすれば、産業構造全体の変革に繋がり、国の態度次第では相手の産業を牛耳り、壊滅的な打撃を与えることも可能となるリスクを負います。
新興国も、自国の消費を喰われるだけで、富を先進国に移転されては堪らない。安売り攻勢をかけてでも、市場占有率をつかみにきます。その際、技術移転を促しておけば、有利になるとの目論見が、ソースコードの開示などに繋がるのです。G20で真に議論すべきは、自由市場の創出には統一した基準が前提になければならない、という共通認識でしょう。菅政権が目指す平成の開国が、そのルールも無しにまい進すれば明治時代の金取引と同じ、交換比率の関係で外国へ日本の金が流出したのと同じ失敗を繰り返します。
米国がS&P500で最安値から倍返しを達成した後、3月は期末で買いが入り易い観測もありますが、欧州系証券が日本株の比率を5%から20%に拡大する、こうした報道があるとそろそろ下落…という観測も広がります。市場が堅調だと、多くの政権は安定化するものですが、今は世界各国で政権基盤が揺らいでいる。菅政権がどのタイミングで総辞職か?もしかしたら市場からも、それを催促されるように、3、4月は重要な月になってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年02月16日

雑感。中東ドミノは世界ドミノ

中東ドミノが拡大し、バーレーン、リビア、イランに及びます。イランは選挙で大統領が決まるので、デモはむしろ過激派に属します。それでも米国は支持、ただアハマディネジャド政権が倒れた後、もっと反米、反イスラエル化する恐れもあり、米国の動きは単純すぎるもの。逆に過激派への支援すら疑わせます。イランに対するため、イラクのフセイン政権に支援を続けた後、反米国家に転じた轍を再び踏むのかもしれません。ムバラク一家が5兆円の蓄財、とも伝わりますが、各国の王族、独裁政権が抱えてきた資産がどのように築かれたか、これも国民の不満です。
原油の輸出は要注意ですが、もう一つ警戒すべきはドバイです。中東が不安定化すると、先に債務返済の先延ばしに同意した投資家が資金を引き上げにかかる。するとアラブ全体の資金繰りが悪化し、また欧米の金融機関が不良債権を抱える。中東ドミノは、実は世界ドミノに繋がります。今はまだ資金が豊富で楽観が広がる市場も、ドバイから始まる負の連鎖に再び戦くのかもしれません。

日本では予算関連法案で、最重要視されている公債発行特例法案に、自公、みんなの党ばかりでなく、社民党の福島党首も後ろ向きの発言を始めています。米軍普天間飛行場移設関連費用の撤回、これは米軍とも絡む話なので、党首マターでも結論が出る話ではありません。高いハードルを課し、菅政権に踏み絵を迫ってきたのであり、単に「協力して」とお願いするばかりの菅政権に、行動を求めた形です。米予算教書でも、米軍のグアム移転費は大幅に削減されたとはいえ、今回の件を今更白紙撤回されては困る。米国もすでに菅政権に期待することは少なく、延命のためだけに撤回に同意するとは思われないため、社民の協力も得られる見込みが少なくなりました。
その米予算教書では、裁量的経費の削減と歳入増を見込んで、10年で1.1兆$の財政赤字削減を盛り込みました。しかしブッシュ減税延長、法人税も30%程度に減らす案もあり、歳入増は世界経済が安定し、成長することが大前提です。しかも低所得者向け支援や単純労働の減により、国民怨嗟が高まることは中東以上。食料は輸出割合が大きく、今の穀物高が直接は影響しませんが、ドル安に伴う輸入物価が1.6%増となるなど、企業収益に影響する資源インフレにより益々苦しくなります。

北朝鮮では、金正哲氏がシンガポールに現れるなど、権力移行時としては異例な動きも見られます。ただエジプトで、警察が政権の支持を受けて民衆弾圧したことで、国民の支持を落としている状況を見れば、北朝鮮でも軍や警察が一蓮托生となり、政権寄りの態度をとる可能性もあります。
北朝鮮でデモが成功する確率は低く、むしろ政権転覆には軍部の反乱分子が主導する形が想定される。その際、次の政権はミャンマー型の軍政となるでしょう。軍の価値は、他国との緊張によって演出される公算も強く、強権的な手法は軍事統制下とするのがもっとも良い。金正日氏の誕生日で祝賀ムード、ただ祝い品も配給されないほど国家財政が困窮しているとされます。こういう時、金一家の蓄財を狙って軍部が動くというシナリオが、現実味をもち始めている点で緊張も高いのでしょう。

中東ドミノが世界ドミノに拡大する。それは経済分野だけではありません。これは統治体制のドミノであり、米国支配や、独裁体制の転換を意味するものです。国民新の亀井氏が現在の民主党執行部に対し、連合赤軍と発言していますが、北朝鮮の動きや日本のこうした体質は、世界からみて周回遅れで政治体制を築いている、と云えるのでしょう。米国の対外証券投資で、中国がトップに変わりませんが、日本が激しく追い上げて中国に肉薄しています。つまり、この時期に米国債に日本が投資している、このマヌケぶりが国の統治力のなさ、という側面として映し出されます。国の舵取り役がいないと、日本の富や資源は益々散財するだけ、になってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 海外 | 政治

2011年02月15日

党員資格停止と鳩山氏の方便発言

民主党で常任幹事会が開かれ、倫理委を開催した後、再び常任幹事会において小沢氏に対して『党員資格停止』を含む処分を下すことを賛成23、反対10で可決しました。またぞろ影響力低下が必至、政治家生命の危機、等のメディアの常套句も並んでいますが、非常に浅薄な読み方です。これはむしろ反小沢系が追い込まれた結果であり、今後の政局次第でカードになり得ます。

菅政権は3、4月には総辞職です。菅体制で要職を務める岡田幹事長、枝野官房長官は一緒に引責となるので、絞られるのは前原外相、野田財務相、玄葉政調会長辺りが名乗りを上げるでしょう。彼らは一長一短、前原氏は知名度があれど都合が悪くなると逃げ出す頬被り病、野田氏は財務に明るく堅実でも知名度が低い、玄葉氏は知名度も実務面でも見劣りする。いずれも決め手がありません。
しかも、今回の代表選は党員・サポーターを含まない議員票、9月の段階で200を集めた小沢支持派の票は何としても得たい。前原氏が最近、小沢氏への追及の手を緩めるのも小沢系の票が欲しいためです。しかし仮に前原氏、野田氏が立候補を表明した後で小沢系の議員が1人立つと、非常に厄介なことが起こります。反小沢系が分裂、しかも前回、小沢氏に恩義を感じながら離反した人間も、今回は小沢氏を支持する可能性が高い。大差で小沢系の勝利が確実です。それを食い止めたい反小沢系、若しくは小沢系の議員はこの『党員資格停止』の見直しを、公約化する可能性も高く、つまりこのカードは、次期代表選では避けて通れないほどの重要な内容を秘めるのです。

反小沢系が予算案で造反、とも囁かれますが、そんなことをせずとも社民と共同で予算案を組むことなど現状では難しい。その側面援護のような、鳩山氏の動きもありました。それが「方便」発言です。沖縄のメディアは反発しますが、むしろこれは好感すべきです。ナゼなら、当時政権内で何が起きていたか?それが詳らかになるためです。当時、平野官房長官、岡田外相、前原沖縄開発担当、北沢防衛相が如何にして官僚に篭絡され、辺野古を既定路線としていったか。それを鳩山氏にどんどん語らせることで、今後の沖縄に関する政権の態度や手法を解明できるからです。
鳩山氏は純朴にして無能。政治的には親の遺産で金回りが良いだけで、特に力はありません。当時のことを考えると、鳩山氏は方針を示して後は丸投げするタイプであって、早くとも2月末でないと周囲が自分の支持通りに動いてない、と気づけなかった。自身が動き出すのはもっと遅く、時期からみてもう間に合わないと気づいたとき、周囲の閣僚、官僚の誰かが囁いたのです。「抑止力と云っておけば良い」と。つまり菅政権に残るこれらの閣僚に対し、腹に据えかねるからこそ鳩山氏は暴露する。これが昨今の鳩山氏の発言、行動に垣間見られる流れ、いわゆる反逆の形です。

鳩山氏はどんな形だろうと、政治的にはもう終わりでこの人物を叩いても利はない。それでもメディア、政権が過剰反応したのは、米国に都合の悪いことを云う人物を排除する論理です。沖縄の米軍が抑止力なんて方便、そんな発言をすれば放言や暴言と非難し、社会的に抹殺を図る。コレまで何度も繰り返されてきた、メディアによる世論誘導の構図なのです。しかし先にも述べたように、この件で鳩山氏に当時の内部情報を語らせる方が、余程沖縄にとっても利があるのです。
社民は鳩山発言に反発、特に予算協議で妥協を余儀なくされそうな中、更なる重石になりそうな気配です。連立を組んでいた時期も、社民は小沢氏を頼みとしていた。小沢氏のいない民主党では、統一地方選の戦略をみても合意が難しい。これらはすべてこの時期まで問題を引っ張ってきた、菅体制の致命的なミスです。仮に党員資格を停止しても、2ヶ月後には解除される、これが小沢系議員の余裕であり、さらに結束を強める事情と云えるでしょう。どちらが追い込まれたか、その読みを間違えると、今後の政局の読みも誤るのであり、今回の件はよくよく考えた方が良いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年02月14日

10-12月期GDPについて

内閣府発表の10-12月期実質GDPは前期比0.3%減、年率換算1.1%減となりました。民間予想より若干良い結果ですが、名目GDPは前期比0.6%減、年率換算2.5%減です。エコカー補助金とたばこ増税に伴う駆け込み需要が、エコポイント縮減に伴う家電売上げを上回ったことで、個人消費が0.7%減となったことも響きますが、設備投資は0.9%増、住宅投資は3.0%増と高い伸びです。この数字から読みとけるのは、資金が豊富になった企業による余力、世界的な金余りによる不動産取引の活発化など、世界の動向が日本にも波及している影響です。一方で輸出は0.7%減、輸入は0.1%減など、世界全体はモノの移動より資金の移動の方が、日本のGDPにより利いた印象も受けます。

日本が中国に抜かれ、3位確実になったことを云々する論調もありますし、菅氏が「近隣諸国の成長は歓迎すべき。協力して発展」と述べます。もう少し戦略性をもった方が良いですが、例えば現在、中国は内陸部が10%を超える高い成長を約束し、その実現にまい進しています。しかし地方行政がその目標にまい進し、また財政を補うため不動産を売買、悪い言い方をすれば土地転がしをしている話もあり、虚構で嵩上げされた数字であることが鮮明です。消費者物価も5%超え、4.9%に留まる、など様々な指摘もありますが、統計の数字を弄る国なのですから信憑性にも欠けます。
また住宅投資の活発化の中には、日銀がJ-REITの買取など、緩和策を打ち出したことも影響していると見ます。米国の追加緩和が主ですが、日銀も昨年末に35兆円に及ぶ基金を創設しています。年末の段階では5兆円の積増しに過ぎませんが、J-REIT、ETF等の買入れを表明したことで、流動性供給がGDPにも影響しており、一方でそれが個人に波及していない状況も見えます。

苦しいのは、明日に日銀政策決定会合で白川総裁が会見しますが、現状変更はないと見られます。ただ景気回復への楽観論が広がり、時間軸政策を導入した昨年末の状況から、緩和より引締めの側に傾き易い現状です。長期金利がじりじり上昇、これ以上政策をゼロ金利に貼り付けると、マイナス面も大きい中で舵取りを難しくしたことです。1-3月期は回復を見込みますが、家電エコポイント縮減に伴う消費減退があり、海外の成長頼み、というより企業と投資に期待する傾向が益々強まる中、いつまで異常な金融政策を続けられるか?という逆時間軸の状態に陥っています。
大証では、14日に日経225先物とオプションにJ-GATEという取引が導入されました。端的に云えば、アルゴリズム取引の優遇であり、今日はまだシステム対応が少なく、一部がTOPIX先物に逃げ、今日のところはトラブルもなくスタートしたようです。ただ昼休みを廃止したものの、その間の取引は壊滅的なほど少ない。アルゴリズム取引が対応していないことと同時に、取引主体によっては昼休みをとるため、世界とのキャッチアップどころか、マイナス面も大きくなります。

日本経済の魅力が低いのは、市場規模を増やして投資を呼び込む姿が、企業の間に鮮明であることです。海外に進出する、取引時間を延長する、しかし規模を増やして投資家が集まるような手法は米国しかとれません。2位でそれを目指しても無意味、3位に転落すれば益々無価値になるのです。むしろ日本独自の魅力を訴えるなら、安全、安心を訴える方がよく、不透明なアルゴリズム取引を優遇する今回のやり方は、誤った方向に進んでいると考えます。GDPデフレーターが前年同期比-1.6%、このデフレ傾向は欧米とも異なる。それでも日本が破綻せずに継続されている、欧米が理解できないことを日本が出来ている、ということも魅力として訴えていかねば、日本は欧米の変動に巻き込まれるだけに終わってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年02月13日

雑感、企業統合と破産の話

米商務省が発表した2010年貿易収支の赤字額が、前年比32.8%増の約5千億$に達しました。要因はリーマンショック後、順調に回復する経済、消費関連が押し上げているためですが、一面ではドル安により輸入物価が上昇していることも挙げられます。この数字から、日本より米国の方が持続可能性も低いことが分かります。オバマ大統領の輸出倍増計画は失敗し、米国は金融資産を膨らませ、財を輸入するしか不足分を補うことが出来ないため、対外的な悪材料があってもダウは上昇を続けます。2月はヘッジファンドの45日ルールで下げも多い月ですが、それすらカバーします。
米書店大手が破産しましたが、電子書籍に押された結果です。米ニューズ社が週99セントでiPadに配信を始めましたが、運送、配達、紙代などを抑えた結果、値下げを断行したとされます。しかしそこに紐づいていた労働者は切り捨てられる形です。これは米国で、単純労働の縮小を意味し、この動きは労働人口の減少を招くことが明白です。FRBは失業率の改善を社是としたかのように、発言を繰り返しますが、産業構造は確実に単純労働を締め出しており、答えのない状況です。逆に、それが金融市場にとっては流動性が継続される、と好感される面が市場を押し上げます。非常に矛盾に満ちたまま、チキンレースのように上げ続けるしかないのでしょう。

日本では2月SQを10561円で通過、もう少し売りが嵩むと見ましたが無難な着地です。売買も少なく、メジャーSQである3月まで持ち越した形が多かったと見ています。投信設定や、銘柄入れ替え等もありますが、1月末に態度を変えた外国人投資家も、ここ最近は買いに回っているようです。
日本でも新日鐵と住金の統合話を皮切りにして、サッポロとポッカの統合話が持ち上がりました。ただやや違和感があるのは、ポッカは先にMBOにより上場廃止をしており、直近でも再上場の噂が出ました。ゴタゴタした背景には、ポッカの主要株主アドバンテッジパートナーズによる戦略変更が想定されます。先にサッポロへの投資からはスティールパートナーズが撤退しており、現在は憶測を交えた話ばかりで何とも云えませんが、前向きに捉えれば手元資金で株主還元を求められていた状態から、攻めの経営に転じたと見ることも可能です。ただ統合効果に関して、前向きな話が聞かれない中、資金の流れが変わったことによるのみの統合なら、これは後ろ向きと捉えられます。ポッカは海外展開が活発、といってもそれに乗って、スケールメリットで出て行くのみでは経営としては失格です。

非上場の林原が破産しましたが、会計監査人を置いておらず、売上高の架空計上が発覚する事態となりました。メインバンクでさえ、その事実を知らなかったとのこと。これは由々しき事態です。異常なのは貸付審査の方法であり、これは銀行の劣化であるとともに、他の貸付案件さえ疑いをもたれるほど、中国銀行の問題は地銀に対する不審につながりかねない事態です。
米国でも単純労働が減少し、金融や設計・開発などの部門への移行が顕著です。しかしその部門が存立基盤さえ揺るがすような、甘い体質でいれば今の経済環境で、企業は生き残っていけないでしょう。企業が金余りと、世界市場での活躍を目指して統合する、一方でその資金の調達方法に疑義を生じさせる。上記2つの話はそういうことです。上場して市場から資金調達なのか、メインバンク頼みなのか、いずれにしても経営判断という話で括れない、存亡に関わる話に直結してきます。今の世界が益々不透明感を増す中で、先見の明をもつ会社選び、というのはより慎重にならざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 経済

2011年02月12日

年金に関する議論について

エジプトのムバラク大統領が辞任しました。総括は色々あれど、一つ云えるのは民主主義は、民衆の力によって成し遂げられるということです。今後、エジプトには国としての困難が待ち受けるでしょうが、民衆の選択により国が導かれることに、国民全体で責任をもち、国の行く末を見ていかなければいけないのでしょう。衆愚であろうと、大衆迎合であろうと、民主主義が如何なる欠陥を抱えていようと、これが大衆が導くダイナミクスなのだということですね。

共同通信の世論調査で、内閣支持率が20%をきりました。このままだと2月後半に10%前半、3月には1桁に落ちます。民主は元の基盤が弱い政党、連合とて上の統制が末端まで確実に及ぶほどではなく、地方の県連、市議団レベルも自民より圧倒的に少ない。世論の追い風を浴びなければ、多数派を死守することなど出来ない政党です。それがこの支持率ですから、統一地方選は大惨敗の目も出てきました。これまでの選挙を総括もしない執行部ですから、これは止むを得ない話です。
そんな中、俄かに社会保障と税制の一体改革で、年金制度に関する問題が持ち上がっています。与野党協議の前に、まずはっきりさせなければならないのは、今の年金制度は変更が必要だ、ということ。百年安心な設計ではない、ということです。そこで厚生、共済年金一元化の話もありますが、これは共済年金の側が制度的に破綻する、その仕組みを厚生年金の側につけ回す手法です。

公務員人件費の削減、地方への業務と権限の移管、いずれも現役世代の負担を増やします。また公務員はリストラを経ていないため、早期退職勧奨があっても、団塊の世代の退職が待ちうけます。しかも、給与引下げが遅れているため、支給の方が益々増える悪循環、これまで財務省の管轄として、共済年金を守り続けてきた公務員が負担に耐えられず、厚生年金とセットにしたいと言い出している。実は自民党政権時代からの、これは財務省主導による共済年金を守る議論に過ぎません。与謝野氏がテレビで発言していますが、要は自民党時代の議論に逆戻りさせ、与野党が歩み寄ることで財務、厚労が協議して公務員の既得権益を守る形ですすめるということです。
問題は最低保証のあり方で、それを確立させなければ年金か、生活保護か、という選択になるだけです。問題は歳入と歳出を均衡、もしくは黒字に貼り付けることではなく、国が保証する最低生活を国民に与えるには、収入減少型社会に陥るとリスクが高い、ということです。つまり働く者も、引退した者も、不安を抱えるような社会ではどんな制度でも、破綻を想起させる点をどう国民に、納得できるように説明し、解決の糸口を提示するかなのです。

インフレになれば、マクロスライドがあるから給付が上がる、という説明もありますが、コストプッシュインフレは賃金デフレと物価高の両面を担う可能性が高い。それでは歳入減、歳出増の仕組みに陥るだけです。持続可能性とは、時と場合に応じて成功するか、失敗するか分からない、という制度ではなく、如何なる変動にも耐えうる制度を構築できるかどうか、です。そのために日本年金機構は給付のみで、規模を十分の一に縮減、税と一体化させた方が有利であるなら、そうすべきなのです。
菅政権の持続可能性は最長でも4月、その間に与野党協議が進む道はまずありませんが、大切なことは中身を透明化した議論にすることです。今のままなら、大手メディアは官僚の流す表向きの議論ばかりで、国民がまた百年安心プラン、などのゴマカシに晒されます。小手先の改革で終わらず、国民に納得できる議論となるようにするために、議論のオープン化からまず始めねばいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2011年02月11日

雑感。エジプトのデモ拡大

小沢氏が自由報道協会で会見した件で、今日になり別のメディアから『自分たちに発言の機会が与えられない』と報じられました。十数人が参加した、とされますが、何十人もフリー記者がいれば、十数人など多寡が知れます。しかも事前に打ち合わせもしていないので、何を質問していいか分からない。大手メディアはまだ、競争社会での身の処し方が分かっていないのでしょうね。

エジプトの混乱が拡大しています。ムバラク大統領辞任の観測が流れ、CIAでさえ認めた中で、スレイマン副大統領へ権限を委譲するが9月まで職には留まる、と述べたことが怒りに拍車をかけます。一時、対話姿勢に応じた野党勢力も、国民の声をうけて再び拒否の姿勢に転じるなど、政治的にも混乱しています。軍も大統領声明を支持しながらデモへ軍上層部が参加、と伝わるなど両天秤であり、国民の声をうまく拾い上げられない、様々な勢力の苦悩も窺える事態となっています。
イスラムでは喜捨(サカート)と呼ばれる制度があります。これを税金として徴収する国も多く、現金2.5%、農産物10%などと決められ、強制的に徴収されます。寄付的な喜捨はサダカと呼ばれ、富の再分配として機能します。経済の分野では、イスラム金融などが話題になることもありますが、高利貸はイスラムで七つの大罪に数えられるものであり、何倍もの利息を貪ってはいけない、とコーランで定められるほど。経済が根本から違う、ということが認識できます。

エジプトではスンニ派が多数ですが、シーア派と比べて穏健派とされます。それでもイスラム原理主義が入り込むのは、貧困世帯の拡大と、それを支援するイスラム原理主義という側面があり、これが富の再分配として機能するためです。高所得者と見られる医師、弁護士にまで波及し始めましたが、国が縛ってきた制度、体質に疑問を抱くからであり、これらもイスラム圏内では「ムハンマドの時代に戻れ」ということかもしれません。つまり国が特権的ではなく、コーランを重視する姿勢に戻れば、非常事態宣言を出し、反体制派を排除するムバラク体制はノーとなります。
今回、米国が内政干渉にならないよう気をつけながらも、盛んにメッセージを発します。しかしイラク戦争で米国が主張した、民主主義の輸出により、中東諸国は続々とイスラム原理主義の国に変わります。西洋列強が中東に支配を強める際、土地の有力者に与えた権力が、そのまま独立後も残って今に至る。そうした歪んだ形から前進する際、伴う痛みというものが今のエジプトと見ます。

イランのアハマディネジャド大統領も、エジプトに反米国家誕生だと述べますが、民主的なら確実にそうなるでしょう。軍が国民に信頼されるのも、イスラエルとの戦いが影響するなら、尚更反イスラエルであることにより、国民の支持を得られることになるからです。ストも拡大、スエズ運河の運行も危ぶまれる中、世界が早く退陣して欲しいと思っている。しかし権力にしがみつくのは、どの国の為政者も似たようなものです。ただ権力の使い方をすでに間違えているのなら、もうそれは倒錯でしかありません。どんな情報も今は不確実ですが、少なくとも国民を虐げて権力の座に留まる者の末路は、惨めな形で終わることが今回も明らかになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | 宗教

2011年02月10日

雑感。政治とメディアの言葉の使い方

日露間の緊張が高まっています。北方領土に駐留する砲兵部隊の近代化、までメドベージェフ大統領が指示しています。きっかけは菅氏の「暴挙」発言ですが、この動きを逆手にとれば、日本が優位に立つことも可能です。ロシアでは来年の大統領選に向け、この話が材料になることは間違いありません。現在、メドベージェフ氏とプーチン氏が権力の綱引きをする状況なら、日本は天秤にかけて、話を前に進める方につけば良い。メドベージェフ氏の強硬路線がマイナス、という方向で外交交渉を如何に描けるか?これが吉と出るか、凶と出るか、判断はまだ先になります。

菅‐小沢会談が開かれ、菅氏からは自発的離党を促し、小沢氏は拒否しています。この議論は以前から平行線、今日はタメにした議論です。党役員会で党員資格停止を中心に、処分を出すため。岡田幹事長に一任しているだけでは、岡田氏一人に罪を被せる形となるため、菅氏も一部その責任を負う、ということを内外に示して処分を下す形を整えたことになります。
しかし予算委で、国民新が与謝野氏に対し歳出削減を迫ったのに対して「歳出削減は困難、だからといって税制を議論しないと無責任」とした発言をしたのに反発、与謝野氏がいる限り予算案に同意しないとの態度まで示しました。民主は社民と予算案の修正協議に入りますが、自公に協議を拒否され、国民新、社民とのすきま風を埋めるのも、相当に苦労しそうな気配です。

読売が『小沢氏はネットメディアが好き』と、とんちんかんな論調をしています。会談後に小沢氏が記者会見した自由報道協会は、ネットメディアにも情報を開放していますが、読売など既存メディアを排除したものではありません。誰でも入れる会見です。ネットメディアが小沢氏に好意的、としますが、ネットで生中継されているので同じ質問を繰り返したり、不見識な質問をすると記者の質が問われ、甘い質問では批判される。こうした点が記者クラブの会見とは異なり、決して甘くはありません。つまり質問する方も、される方も緊張感をもって国民の視線に晒されます。
記者クラブの加盟団体は、優遇が外されるため自由報道協会の動きを批判しますが、生中継の方がいい、という小沢氏の意見を吸い上げられないだけです。つまり報道する側の選択のみ享受してきたものを、される側も選択しようという流れであり、好き嫌いの議論ではありません。生中継という質に耐えられるのなら、誰でも会見に臨めば良いのですし、大手メディアの記者も参加すればいい。逆に、大手メディアの記者は参加する自信がない、能力がないと述べているような批判の仕方ですが、菅氏もネットテレビに出るなど、間違いなくこの動きは今後広まるでしょう。

今は自民がだらしないですし、メディアもこの体たらくなので、こんな脆弱な政権さえ解散・総選挙には至らないでしょう。何より、社会保障制度にしろ、税制にしろ、改革の案がない。恐らく選挙となり、マニフェストが提示されても対立軸は少なく、仕方なしに選択される形で政権をとることはあっても、長続きせずに政権交代を繰り返します。元の木阿弥に陥ってはダメなのです。
菅氏が公邸で『おもいのまま』というウメを贈られ、国会がそうならない、とぼやきます。中国の三国時代、魏の曹操が行軍中に喉の渇きに苦しむ兵士に「あの山を越えれば梅林がある」と指示を出し、勇気づけた話があります。これはもっと古い説話で曹操が流用したとの説もありますが、時の為政者は周囲を鼓舞するため、臨機に言葉を択んで導くことも必要です。苛政は虎よりも猛し、政治、メディアがそう思われるのも言葉をうまく択んで使えないためであり、それがこの国の不幸、言葉の貧困さを表すことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2011年02月09日

米国のついたウソ

党首討論が開かれました。枝葉は省くと、マニフェスト違反を迫る自民・谷垣総裁と公明・山口代表、参院選ではマニフェストの中に一部含むとする菅首相の解散時期における綱引きといったところ。協議は選挙を経た後でもできる、英国では任期満了段階で判断、とすれ違いを見せます。一つ云えることは、民主党を大勝させた衆院選マニフェストはどちらも履行する意志がなく、衆院の議席数はそのマニフェストが反映されている事実です。菅氏も谷垣氏も、国民選択という視点が抜けた議論ということが、ここからも分かります。双方が官僚の意向を反映したマニフェストでないと、選挙が戦えないことになれば、国民は選挙で選択もできない事態に陥るのでしょうね。

米国運輸省が、トヨタ車の急加速問題において、電子制御系に問題なしとする報告を出しました。約10ヶ月の調査を経たとされますが、事実上1年も引っ張って、やっとの判断です。この件が異常な点は幾つもあります。まず電子制御は汎用性であるのに、米国でのみ異常の調査がされたこと。買替促進など他社のトヨタバッシングが容認されたこと。真に安全が脅かされるほどの問題なら、迅速な調査がなされなかったことなどです。ここから読みとけるのは、米国はGM、クライスラーを復活させるため、一部で事故や証言を捏造していた可能性が、多分に高いということです。
ガイトナー米財務長官は、ブラジル訪問の際に同国のレアル高やインフレの要因を、「他の新興国の通貨政策による」と見解を述べます。しかし安価な中国製品や資本流入の原因に中国人民元の影響があるのは確かですが、主たる原因はQE2など、米金融政策にあることは疑いもない事実です。G20を控え、南米勢と協調してQE2の支持を得たい、そんな思惑が透けて見える発言ですが、上記2つはいずれも米国が自国防衛のために、あからさまなウソをついたという事例です。

最近の米株式は好調、一方の債券安について、景気が好調で将来に亘って楽観が広がっているのを原因とします。しかし昨日行われた3年債入札は、やや不調。海外からの応札は30%を切るなど、全体の保有比率から見ても低い応札に留まります。外国勢は決して米国の将来を楽観的に見てはいない、という姿勢がここに映ります。これがインフレ圧力なら、長短金利が上昇しても可笑しくありませんが、長期金利のみ跳ね上がります。為替は短期金利の方が影響を受け易いですが、今の長期金利の動向からみて、米ドルは再びドル安基調に入ったと見ることが可能です。
現状、新興国の金融引締め懸念で米国にドルが還流、証券市場は好調ですが、ドル買が進んでもドル高にはならない。QE2で、新たに国内にばら撒かれるドルが外に向かうこともありますが、債券市場に資金が集まらない。日中露の外貨準備の多様化が影響している面もあり、決して巷間云われている、米経済の楽観シナリオばかりでは語れないことも多いのです。
FRBがQE2を停止できず、継続が示唆されるのも債券市場の弱含みを食い止めるため、です。一方で、ギリシャやアイルランドのように、危機を報じられると日中露、ECBなどが米債市場にも仕方なく資金を流すのでしょう。今の世界は、利回りの低い発行体が債券をバラマキ、思いやりによって他国の債券を買い入れることで支えられた側面が大きい状況です。ただ、米国や中国がウソをついてまで経済を下支えしようとする昨今、大国の信用が低下していることも否めない事実です。男女間のウソはついてもいい時がある、とされますが、信用で成立する経済でつくウソ、これはいずれ致命的な結果をもたらすことになりかねないのでしょね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2011年02月08日

政治に関する道理について

陸山会裁判の4億円の原資について、公判で矛盾とする証言が出ています。ただ小沢氏が示した原資はすべて合わせると5億6千万円、02年に1億3千万円を自宅の建築費に当てても、4億3千万円が残ります。矛盾?という言葉遣いには、世論に訴える印象操作が相変わらず見え隠れします。
一部、新聞では小沢氏の政治資金収支報告書には、まだまだ説明の足りない箇所が多い、と書き立てていますが、政資報告書はほとんどの議員が杜撰です。しかし処罰はされない、それも政治資金規正法がザル法だからなのです。ならば、ナゼ政資規正法の改正を訴えないのか?これが汎論ではなく、個人攻撃の材料にのみ用いるのなら、新聞が癒着や世論誘導との疑いを抱かれるのです。これを正道と世に広めたいなら、万事に道理が通じる理論を構築しなければいけません。

愛知、名古屋のダブルで当選した大村氏、河村氏が小沢氏を表敬訪問しています。河村氏は元々小沢氏に近く、減税路線など共通の主張が多い。ムダ削減を徹底し、結果を残していますから主張にも道理があります。その点に関し、財務副大臣が「安易な減税は危険」と述べ、真っ向から対立姿勢を見せます。要は財務官僚の手の平の上で、歳出削減ができないから国が減税するのはムリ、この動きが全国的に広がるのを警戒した財務省の懸念を、副大臣が代弁した形です。
愛知、名古屋に関しては愛知県連、名古屋市議団の意向を汲み、岡田幹事長は全面対決の姿勢に転じました。しかし結果は惨敗、これも議員報酬の半減を嫌った議員側の抵抗でしたが、今日になり名古屋市議団は容認に転じています。当然、トリプルスコアに近い形で議員解散が決まったため、半減に反対していたら落選し、議員報酬が得られなくなる。これも一つの市民運動の形が結実しており、公職にある首長、議員報酬を引き下げられる可能性を、全国的に示しました。

北方領土返還要求全国大会で、前原外相がロシアの高官が北方領土に渡航することを遺憾、返還に全身全霊の努力、と決意を述べました。今週訪ロし、外相会談を開催します。ただ菅首相がロシア高官の渡航を「暴挙」とまで述べ、波紋を広げています。これを保守としての強い態度を示すため、外交に活路を求めて強気の姿勢をとった、と捉えることも可能ですが、逆に非常に内向きな党内抗争の結果、と見ることも可能となっています。問題はポスト菅のトップに前原氏がいることです。
前原氏の後見は仙谷氏、国対委員会室の隣に代表代行室を設けられ、仙谷氏には特別待遇も目立ちます。仮に菅政権が倒れても、前原政権となれば仙谷氏が隠然たる影響力を持ちうるは必定、そこで官僚、政治家も仙谷詣でをしているとされます。菅氏にとっては、それが気が気でないばかりか、前原‐仙谷ラインが疎ましくて仕方ない。わざわざ外相会談の前に、波紋を広げるようなことを云ったのも、北朝鮮やロシアで存在感を増そうとする、前原氏への牽制と見ることができます。

新聞による批判記事、岡田幹事長の愛知トリプル選における判断、菅政権内のゴタゴタ、いずれも『無理が通れば道理が引っ込む』類の話です。しかし道理が通るところに結果がついてくることを常識としていかなければ、世の順逆を問うことなど難しくなります。何が正しいか?は難しい面もありますが、少なくとも道理を失えば人の心をつかむことなど出来ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年02月07日

経済の話。米雇用統計と業績から

先週末、米国では1月雇用統計が発表され、非農業者部門就業者数が前月から3.6万人増と、市場予想14万人増を大きく下回りました。一方、失業率は9.0%と0.4も改善。この指標に対し、大雪の影響で就業者が減った、労働環境は改善傾向にあるといった観測が流れ、米市場は上昇しています。ただ悪い材料があると追加緩和策期待が盛り上がり、債券市場は売られて金利上昇など、好悪材料面を消化しきれず、資金流入だけで株式市場は上昇する悪い流れが続いています。また米国ではほぼ出揃った10-12月期業績、日本でも半数は発表されましたが、そこから読みとけるものもあります。

今回、業績改善傾向が強いのはプラント系、機械・設備系などであり、これらは財政出動における公共投資と、企業が蓄える内部留保により支えられた側面が顕著です。一方で汎用品、一般消費財関連はまだら模様。つまり個人消費への波及効果は、それほど高くない形です。
米国で個人消費が堅調なのは、株式投資などの投資関連で収益を上げた層、金融部門の就労者による押し上げ効果です。これも政府が金融政策を緩めきった結果、と言えます。一般には景気は強い、これから成長軌道に乗る、とされますが、実はまだ政府による支援が下支えしており、波及的な拡大を示す材料はそれほど多くない、と言えます。その矛盾が雇用統計であり、失業率もリーマンショックから2年以上が経過し、延長されている失業給付にも、そろそろ飽きてきた。労働市場の縮小傾向を示すものであり、就業者数の伸びが鈍いのも業績に慎重な企業態度の表れ、なのでしょう。

気になるのが、来週オバマ氏が政府系住宅金融(2F)の改革案を示す、とされます。現在、不動産ローンを組む際に保証をかけてきた、この2Fの規模を半減させる、というのですから米住宅市場が当面弱含む可能性があります。赤字を垂れ流し続ける2Fの改革は急務であり、政府支出の削減を迫られる米政府が、焦って住宅市場を下落させれば株式上昇の効果は減殺されてしまいます。
米国では自社株買いと、企業買収が市場の下支えです。ファンドがそれほど買っていない、これは個人への波及も頭打ち、を示します。ボルカー・ルールも緩和はされましたが、投資主体は米国から英国へと移っている報道もあり、米国全体が投資大国から滑り落ちる形も見えます。金融機関の収益で、投資部門の伸びがそれほど高くない、今後この影響は確実に出てくるのでしょう。

日本企業は中国シフトが鮮明であり、むしろ中国のインフレと利上げに脅えます。米市場の売上げは、今後の成長というより収益の基盤であり、増収を目指すなら海外展開を増やすしかない、という形が鮮明です。しかし新興市場が無限にある訳でもなく、リスクはエジプトのように突然に政情不安、自然災害などが起きて、操業停止や消費鈍化の影響を被り易い。成長するなら新市場、という号令も基盤の収益である日米で崩れると、産業界全体が苦境に陥るのでしょう。
資源、農業国の豪州で洪水、旱魃、サイクロンに火事、など自然災害のオンパレードです。北半球では夏は猛暑で冬は寒波、日米欧が同じように自然の猛威を感じます。素材関連も好調ですが、行き過ぎればコストプッシュインフレを招き、経済の下押し要因となる。今は好感できる材料でも、将来に亘っての成長要因とはなり得ないものです。経済指標が好調な部分も多いですが、個人へ波及する前に、インフレに景気が崩されるかどうか?その競争になって来たのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年02月06日

大相撲の春場所が中止

愛知トリプル選は元自民の大村氏が県知事、前職の河村氏が名古屋市長、名古屋市議会は解散という結果になりました。市長選は磐石であり、県知事選には民主、自民、みんなの党が独自候補を擁立し、混戦でしたが河村氏との連携で序盤のリードを保った大村氏が逃げきりです。
読みとけるのは既存政党の地盤沈下と、改革機運の高さです。手法に疑問はあっても改革を旗に掲げた方が有利。先の衆院選でも大勝した民主は改革を掲げ、その前の衆院選も小泉構造改革の只中で郵政解散です。つまり閉塞感の脱却に、改革を国民が求めているのであり、その受け皿に今は地方政党がなっている構図が、今回も鮮明になりました。官僚に主導され、小手先の改革に終わったり、中身が薄いもので実効性を問われると、有権者は納得しない。行動力とは、自ら範を示す姿勢であり、今の中央政界が国会、行政改革さえ成し遂げられない姿勢を、国民は評価していないことの現われとも言えます。民主、自民支持層もかなり流れたこの結果、確実に統一地方選に影響してくるのでしょうね。

大相撲の春場所が中止になりました。様々な発言が跋扈しますが、一つ云えることはこれまで相撲協会が八百長はない、と云い続けたことの責任です。これは八百長ではなく、デキ山だという人がいます。つまり金銭授受などなくとも「あ、うん」で負ける、人情相撲だということです。しかしすべて全力でぶつかる肉弾戦、と信じていた人には背信であり、勝敗の価値を自ら認めてしまう形です。「あ、うん」が通用するのは相互の利益が一致した場合のみ、となります。
これはプロレスの凋落と似ています。プロレスは筋書き通りに勝敗が決する、という話が広がり、やがて『お約束』という言葉で括られるようになりました。本気で技をかけると死ぬかもしれない、また見栄えをよくするために、技をかける側、受ける側が協力しているという話です。

しかしこの話が浸透し始めると、如実に人気が凋落しました。K-1、PRIDEなど、より肉弾戦の強い方へと興味は移り、やがて格闘技全体の人気は細分化され、一つの団体辺りでは低下しています。八百長だろうと、デキ山だろうと、そこに筋書きがある限り、人は興味を失います。勝っても負けても、そこに感動を共有できないからで、これはスポーツの側面から見てマイナスです。
一方で相撲は神事だ、という人もいますが、神事にお金をとって見世物にするのは違和感があります。これを興行とするなら、公益法人格には問題があります。つまり相撲が国民一人、一人にとっての位置づけが曖昧であり、それをおざなりにして三方を満たすような理由づけをし、存続させてきた形がここで崩壊することになるのです。相撲協会は興行なら民営で充分ですし、神事なら国営で安価に提供すべきですし、スポーツなら任意団体として各相撲部屋を統括する形となる。これらの矛盾をどう整合させるか?という形が、今後は検討されていかなければなりません。日本神話でも天照大神、月読命、スサノオの尊と三神の思想がありますが、三態を今と同じように続けながら、全国民を納得させることは困難になった、ことは確かなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 地方

2011年02月05日

法務省の全面可視化に関する見解

エジプトで、イスラエルへのガス供給パイプラインが爆破されました。テロとの見方もありますが、情勢は予断を許さないため、大統領派が危機を煽るため、との観測もできます。副大統領の暗殺未遂報道など、これが混乱に乗じたテロなのか?側近を切っても延命したい政権側の策謀なのか?それとも危機意識を煽って団結したい大統領支持派の陰謀なのか?これだけ国内が混乱を来たすと何でもアリなので、何が起きているかは、冷静に見ておいた方が良いのでしょうね。

法務省が全面可視化について、見解を民主党の法務部門会議に提示しました。内容は全面可視化が困難として1.取調べがホテル、勤務先などに及ぶ、2.関係者が応じない、3.検察官や弁護士の負担増、との状況を理由に挙げます。小川副大臣が座長のワーキンググループが取りまとめた内容ですが、まるで子どものケンカ…というと、子どもに申し訳なく、簡単に論破できます。
可視化、といっても録音と録画の二通りあります。録音機は軽量、小型で今や持ち運びは造作もなく、動画撮影ができる機種とて同様、場所を択ぶ必要はありません。関係者への同意の可否は、拒否したいなら選定弁護士に依頼し、立会いをさせることで密室性を排除できます。弁護士の負担増、といっても今や司法試験に合格しても、弁護士として採用されない事例もあることから、業務が増えることは人材の確保として就業機会を増やします。その分、国費の負担が増えますが、これは国民の安全を確保する上で必要であり、その費用は削ることが出来ません。

1/31に石川議員が再聴取時に極秘で録音した、その一部が明らかになりました。取調官は供述を変えると困る、を連発。供述の変更は最悪とまで表現し、どうせ小沢氏は起訴されない、検察は証拠がないんだから、とまで述べています。これが誘導、相手に誤解を与える取調べであることはほぼ確実であり、検察が無罪とする事件で起訴する、という矛盾さえ孕む内容となっています。
また大阪府警で、捜査報告書を捏造。関係者に口裏を合わせるよう、要請していた可能性が強まる事件がありました。すでに公判が始まっており、供述調書が公判に証拠採用されていませんが、供述調書さえ誘導だった可能性も高いものです。今回の事件も、事件を構成する要件として都合の悪い証拠は黙殺、捏造してまで事件化し、起訴に持ち込むという内容は、先のFD改竄事件に通じます。背景として、すべてに共通するのは、恣意的に証拠が扱われているということです。

最近の脳科学でも記憶は常に流動的であり、美化されたり、改変されると謳われています。供述のみに頼る事件、というのはそれだけで冤罪リスクが高い、ということです。疑わしきは罰せず、が法曹界の常識なら、まず立件などできないはずです。供述から物証を得る、という形ならともかく、供述のみで事件性など立証し得ない。そう考えれば、全面可視化は警察、検察にとっても有利なはずです。供述調書を作文する作業、手間が省けるためであり、サインも不要です。
供述の矛盾をつく、とは結果的に記憶の変容を認めない、古いものの考え方です。ただ音声、映像データでさえ改竄が可能な現在、そちらの保存の方がよほど重要な課題であり、漏洩や捏造などに対する罰則を検討した方が良いものです。供述を未だに重要視する姿勢、それが警察、検察が抵抗する理由ですが、科学的にも否定されているということを、しっかり認識しないと、今後も冤罪可能性を否定できなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2011年02月04日

経済の話。新日鐵と住金の合併

新日鐵、住金の合併話が浮上しました。市場は好感、閣僚からも歓迎ムードが広がりますが、結果はまだ不透明です。これが例えば日本メーカーと海外メーカー、また組み合わせが異なるなら違和感はありませんが、日本市場で1位と3位の合併。一部に大口顧客との価格交渉力がつく、という観測もありますが、そんなことになれば市場寡占化の弊害として、公取が許可しないでしょう。
鉄鋼業界は以前から再編話が浮かんでは消えました。今回も、市場占有率が高い薄板は切り離せ…などの条件がつく可能性もあり、ただスケールメリットだけ享受できるのとは、訳が違います。海外に打って出る、としてもそれこそナゼ世界第1位の鉄鋼メーカー、アルセロール・ミタルのように多国間合併でないのか?この説明をしなければ公取の審査で不合格となる公算も高い。また価格交渉力がつくのを嫌う、一部の産業界から横槍が入る可能性もある。まだ予断を許しません。

しかしこの合併がただでなくとも雑多な、日本の産業界に再編機運を呼び込む可能性もあります。ただパナソニックとサンヨーの合併で事業の切り離しを余儀なくされたように、合併効果を得るには様々な障害もあります。再生中のJALもJASと統合したものの1社2制度、3制度のような体制を生み、統合効果が得られませんでした。銀行もシステム統合が上手くいかず、システム障害で取引が止まるなど、失態続きです。とかく日本は合併が双方の面子や、権力構造によって上手くいかないことが多い。新日鐵がシームレスパイプから撤退、なども発表されていますが、上手く棲み分けをしないと、ただの烏合集団になりかねない、そんな危険も孕みます。公取の判断以上に、経営判断も大切です。
一方で最近、MBOの話題があります。CCC、アートなど流通、小売で苦戦が伝えられる企業に多いものですが、MBOは経営陣による株式買取で非上場化する動きです。懸念は安い価格でMBOを行い、再上場して高値をつける経営手法が最近目立つことです。企業は常に成長することは難しいものです。低い成長だと株は売られ、企業価値は低下する。これを回避するため、成長時期にのみ上場し、成長が低いときは雌伏の時とばかりに非上場としてしまう。上場している間も経費がかかり、それも支払うのがイヤ。再上場時も費用が発生しますが、そこで売り出す新株による儲けも加えれば、これは経営陣にとってかなりメリットがあり、一部の経営アドバイザーが推奨しているとされます。しかしこれは市場の混乱を生み、企業価値を損する恐れもある手法です。

最後に、Intelが新CPUのリコールを発表しました。1/9から出荷開始した全CPUを回収し、2月末から発送される改良版に交換するというものです。パソコンメーカーの出荷計画も狂いますが、それ以上に買い手控えが起きれば、困るのは半導体メモリやHDD駆動装置などの部品メーカーです。
自動車はディーラーが密接で、リコールもやり易い。パソコンメーカーも保守、点検は備えますが、送付の手間やデータの保証など、CPUを載せ替えるだけ、といってもかなり困難も伴います。影響は大きいと云わざるを得ません。CPUも寡占化した市場であり、欧州では常に独禁法との兼ね合いが取り沙汰されます。昔は日本企業が多く開発に携わったCellが、もっとパソコンに導入されて…ということも一部で囁かれましたが、今や東芝が折半からソニーに工場ラインを売却するなど、企業集約の流れも見られます。規模の拡大と選択と集中、以前から言われていることですが、企業が目指す未来の姿は、堅太りというスリム化して筋肉質、という形が鮮明になるのかもしれませんし、それに乗り遅れたり、失敗すると危機を迎えることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2011年02月03日

菅氏の政権運営について

昨日から続く大相撲八百長の一件。警視庁が野球賭博で得た証拠品から判明した事実であり、八百長という事実は事実として、不当な情報漏えいであることに違いはありません。昨日は検察不祥事の扱いを小さくするため、と読みましたが、もう一つ重大なのが、国会で醜態を晒し続ける菅政権が、相撲協会をメディアの生贄に差し出した可能性です。そうすることで国会の扱いが小さくなり、相撲協会に強く出ることで、指導力を見せつけることが出来ます。邪推の範疇ですが、もし仮にその筋書きを描いたとすれば、仙谷氏周辺が怪しいと睨んでいます。
官房長官として情報のすべてを握っていた当時、野球賭博の一件も報告は受けていたでしょう。役員会でも、小沢氏を処分できないと『決めきれない党』との印象を与えると主張したようなので、まさにこの問題で『決める党』を演出したいのです。またメディアがこの問題で、情報漏出の有り様に一辺の疑問も差し挟まないことも、警察は正義のためなら別件の捜査で得た情報でも、犯罪行為が見つかれば逮捕、発表して良いと考えているからです。色々な面で、今回の一件には問題が含まれるのであり、警察の証拠の取り扱い方が今後問われるのかもしれません。

そんな国会は菅政権の幼稚な運営が続きます。最低保証年金制度の創設に向けて、いくら必要かという金額を試算していない。社会保障と税制の一体改革では、子ども手当ても含むとの認識を示します。一方で、これらの問題を菅政権は一緒に議論、と野党にもちかけます。まるで一党二制度、即ちマニフェストは鳩山‐小沢色が強いから、意見が近い野党さんと一緒に再度練り直しましょう、とこれは述べている形になります。どうせ官僚が委員会議事録を準備し、法案を書いてくれるから、法案を出さなくても良い、と菅政権は情けないまでの醜態を晒しています。
当然、それで議論が進むことを与党の手柄にされては堪らない、とばかりに野党も法案を出せと要求します。まだ対案を出せるほど党が習熟されていませんし、野党案を取りまとめるのも一苦労です。法案を見て手直しして対案としたい、これは野党も焦れている面があります。

また与謝野氏に始まり、柳沢元厚労相を検討会議の民間委員に起用、また多くが自民党時代のメンバーの再任です。菅政権は自民に近い、を必死にアピールしています。やたらと参与や特別顧問を増やすのも、末期症状の悪い癖で、スケールメリットを得れば何かが変わる、と期待するためです。しかし経産省資源エネ庁の前長官が、東電顧問に就任するなど、官僚はやりたい放題で統制もきかず、菅政権下においては最早行政の監督機能は麻痺していることが明白になっています。
マニフェスト違反も、そんなにマニフェストが嫌なら、ナゼそれを看板に戦ったのかを明確にしていません。財政面で厳しいと知ったからマニフェスト違反を容認して欲しい、はスジが悪い話です。これが、最近浮上する菅氏の破れかぶれ解散、という話にも繋がりますが、菅氏はむしろ民主党としての看板を掲げるより、自民と同じ旗を掲げるしかないのです。その際、二大政党制として国民に選択肢を提供するなら、党を出るのはむしろ菅氏の側です。民主が自民と同じ旗を掲げれば、政権政党の側が不利なのは明白ですから、ボロ負けが確実なのです。国会の醜態をひた隠すため、今後も様々な手を打つのでしょうが、3月までは嫌でも延命の姿を見せられるかと思うと、エジプトで国民が爆発して権力の座から引き下ろす姿が、羨ましくも見え始めてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2011年02月02日

エジプトと米国

相撲の八百長メールが出てきました。過去に何度も粛清するキッカケがあったのに、相撲協会が裁判までして隠蔽してくれるので、力士はやりたい放題にできた。これが事件の真相でしょう。身内に甘く、体面ばかりを気にする組織に起き易い構図が、見事に表れている形です。
ただ違和感があるのは、警視庁が野球賭博の捜査で押収している携帯電話のメール。もしそれが漏洩したら、証拠品の流用であり、別件捜査の疑いも出てきます。しかも違法性はない、ということなので相撲協会の倫理観を問う、としても警視庁の態度が正しいかどうか、甚だ疑問です。うがった見方をすれば、FD改竄事件で組織的関与を疑わすメモの存在、と同時に八百長メールが漏出しており、検察と警視庁との違いはありますが、裏の判断には何らかの意図を感じさせます。事実だから良い、としていたら証拠品の取り扱いを、警察が恣意的に扱うことの容認になるのでしょう。

エジプトではムバラク大統領が9月の大統領選に出馬せず、と表明した後も混乱が続いています。これは圧政に苦しんできた側にとって見るのも、声を聞くのも、匂いを嗅ぐのも嫌なのであり、即時退陣が要求になっています。混乱が続けば余波も大きく、それは欧米の中東へのプレゼンス、という形で跳ね返る。ことはエジプト一国ではなく、中東全体の問題に波及しています。
一方で市場は、なぜか楽観に傾きました。北海ブレントが100$をつけ、銅が最高値などがあっても買いの手が止まりません。東証を見ると、先々週辺りから欧州系が中立となっており、次の動きを注視していましたが、どうやら上値が重く、下値も堅い中で利幅が薄くなった。そこで値動きを出すためにボリュームをかけて、一日の値動きを大きくしている、そんな気配があります。

米国の1月製造業景況感指数が60.8、一見すると製造業が好調に見えます。しかし日米はインフレ懸念がなくとも、世界の将来のインフレを見込めば、当然先行して作り置きしようと考えます。これが、現時点の欧米の製造業における好調ですが、新興国ではインフレ圧力が高まり、引締めを続けている。インフレ懸念を世界が共有できず、米国ではFRBの理事からQE3まで言及される。欧米コンセンサスが世界で通用しなくなっている形が、こんなところにも現れています。
エジプトで起きていること、そしてこれから世界が体験するのはG0ではなく、Giなのでしょう。iは虚数、世界が協調して…や、米国主導の秩序維持は、もはや過去のものとなりつつあり、計算が立たず混沌とするという意味です。ムバラク政権後を、米国ではエルバラダイ前IAEA事務局長と見すえ始めましたが、国外への顔としては適任でも、国内をまとめ切れるとは到底思えません。イランとの関係でも、IAEAとして欧米寄りの姿勢を見せてきた。これが国内の過激派にとっては物足りず、一時的にしろ支持を得ても、インフレと失業率に改善がなければすぐ見切られます。

米国も、Gi時代に突入するとエジプトに経済支援をしていた資金が、そのまま過激派の財産となり、イスラエルに向かう可能性もある。安定的に、自分たちの都合よい政権を続けさせるには、むしろ民衆を無視して独裁政権を支援するGI(軍隊式)しか、手がなくなるのでしょう。経済面でも、インフレに苦しむ新興国に対し、米国がさらに量的緩和をすることで怨嗟の声が高まります。一地域として安定していない、非常に困難な時代の幕が今年から開く形となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 海外 | 社会

2011年02月01日

雑感。小沢一郎と沢尻エリカ

昨日の小沢氏の強制起訴、新聞などは大きく『窮地』、『求心力低下は必至』等の厳しい文言を並べます。誤解しているのは、激しく体制側から攻撃を受けると、人間の本質としてはより紐帯をはっきりさせ強固に団結し、先鋭化されていきます。それは新興宗教やテロ集団も同様、攻撃を受けて瓦解するにはまだ要件が足りません。特に今回は既定路線、情勢の変化は何もありません。あるとすれば、有罪の確率が高まるような材料が公判に出てからであり、その時初めて上記の文言が通用します。新聞は検察の意向を汲み、散々に攻撃を加えたことから復権が怖くて仕方ない、ということをこの流れが明らかにしています。国会で説明しないのは議員の資格なし、とする論調は最早暴論以外の何者でもなく、これまでどれだけの疑惑が疑惑のままで終わったかを考慮していません。
しかも検審を国民代表、とする論調が根強くありますが、制度自体に欠陥や不備が多く、これを国民の声の代弁とするのは釈然としません。そんなに国民代表と述べたければ投票で審査委員を決める以外にない。その方法以外では、抽出されたあくまで一般人。ただ本当に一般人かどうかを判断する術もない、という曖昧さです。必要なら裁判員制度のように、一部の人間でも会見をすれば良い。完全非公開で密室性の高いこの検審が、もし国民の代表なら「蜻蛉、蝶々も鳥のうち」です。

ちょっと視点を変えて『小沢一郎』と『沢尻エリカ』を比較してみます。本人同士に接点はないでしょうが、メディアの扱い方はとてもよく似ています。それは両者が共に1.メディア嫌い、2.取材、会見はもっと嫌い、3.悪役として定着している、4.打たれ強い、面があげられます。
1、2でほぼ3は決定しますが、沢尻氏も不機嫌な会見をしただけで、謹慎しろとのバッシングに晒されました。確か映画の舞台挨拶か、何かでしたが、本来謝罪や賠償が発生するのは映画の配給会社や協賛メーカーなどです。テレビ各局が一斉にバッシングに走ったのも、生意気な娘の鼻っ柱を折りたい、そんな思惑が透けて見えました。小沢氏も記者会見のオープン化を訴え、メディア改革に手をつけた。一斉に新聞がバッシングしたのも、そんな人物を排除したいからです。

しかし両者とも打たれ強い。それは固定ファン、支持層がいて、体制側や報道ベースのバッシングでも動じない面も大きい、と考えます。本人が挫けない限り、こういう人物はメディアにも手が負えないため、ずっとバッシングを続けます。振り上げた拳を下ろせないのがメディアです。なぜ下ろせないかは、組織としての影響範囲が大きく、個人のように互いに納得すればケンカも終息、という形になり難いためです。トップが方針を変えるか、有無を言わさずバッシングに利がなくなるような材料が出るまで、こういう形が続くと見てほぼ間違いないことでしょう。
勝手に抽出された人物らが国民の代表でもなければ、メディアが国民の声を代弁しているのでもない。ましてや、そうした側が攻撃するからと云って、それが正義とは限らない、ということです。特に、この両者に関する限り、明らかに報道姿勢が異常です。沢尻氏が海外に渡航する空港内で、メモを渡すなど常識を逸脱するメディアの存在、やたら貶めたいという目的での報道を流す態度も、どう考えても常軌を逸しているとしか思えません。今のところ、両者の報道に関して云えることは、そんな騒ぐほどの材料でもない、ただそれだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会