2011年04月

2011年04月30日

雑感。内閣官房参与の辞任

小佐古内閣官房参与が辞任しました。原発対応で任命された六賢者の一人、しかし東大閥は原子力安全神話を担ってきたため、意見を採用すればどうしても楽観に傾きがち、それで失敗を繰り返し、最後は遠ざけられた形なのでしょう。しかし「官邸、行政が場当たり的な対応を繰り返し、事態収束を遅らせた」という会見を開き、官邸サイドは火消しに躍起です。
以前も述べましたが、原子力を推進してきた側は、異常時に役立ちません。なぜなら不測の事態に対し、常に警戒して対応を検討してきた側ではないからです。常に冷静に、すべてをフラットで分析する立場の人間でない限り、次に何が起きるかを予断をもって推測することは不可能です。逆に、この件は菅氏の人選ミスと同時に、危機対応の際に混乱していた政権内部の動きを、如実に語るものでもあります。つまり菅氏は不測の事態に対し、冷静に、フラットで判断できなかったということを示すのです。原発対応が後手をふむ理由、政権の根幹に関わってくると云えます。

例えば、水棺により格納容器内にいれた水を冷ます方式を、東電は空冷にこだわっています。自分たちが汚した海の水を、冷却に用いることはできない、とでも言わんばかりです。空冷の方が冷却効率は悪く、また夏場はただでなくとも水温が上がるため、機能が正常に働くか不安を残します。燃料ペレットは溶けているが、炉内に溶け落ちているのはごく一部、という説明を信じるにしても、溶けて一部が固まり、高い熱を出し続ける可能性は未だ高いといえます。空冷にこだわるのは、再度の津波が怖いという以上に、やはり汚染を心配していると考えるべきなのでしょう。
校庭にたまった汚染土の問題もあります。この処分ができず、高レベル廃棄物を地下埋設できる、と考えているなら早計です。むしろこの程度の低レベルの汚染土を処分できないなら、高レベル廃棄物の処分など絶対に無理と断言できます。であれば、国が早めに指針を示す必要があるのでしょう。現状、汚染土の処分は廃坑やウラン鉱山の跡地などに埋設する、という形にするか、原発敷地内に埋める形しかないと考えますが、その判断すら国は出来ていません。

菅氏に一番足りないのは、政策の優先順位、物事を進めるための順序立てを理解できていないこと。その結果、人を集めて会議、打ち合わせをすれば知った気になる。しかし自分で判断しなければいけないことは、むしろ信念に基づいた方がぶれも少なくて済みます。菅氏には、その信念が見えないだけに、誰もその意見の中に、菅氏への配慮をにじませなくなります。何しろ、どう云えば納得されるのか?官僚サイドでも検討がつかないため、必然的に官邸から遠ざかることになります。
身内の反逆、と大きく報じるところもありますが、すでに党内で離反的な動きは広がっており、政権はピースの外れたジグソーパズルのように、どんな絵が描かれているのかは、誰にも理解すらできていません。公務員給与1割減、なども語られ始めましたが、その程度で増税に国民理解を得ようとするその姑息さも、菅政権の致命的な問題です。国民が不満に思っていることは、絵も描かれていないキャンバスを抱え、菅氏が必死に自分は美しい絵を描ききる、とだけ述べるその手法にあるのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:46|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年04月29日

英国のロイヤル・ウェディング

英国でウィリアム王子、ケイト・ミドルトンさんがウェストミンスター寺院で結婚式を挙げました。350年ぶりの一般家庭出身の女性が王室入り、ということで注目も集まりますが、その350年前は名誉革命で王位を追われたジェームズ二世、運命と云えばその通りでしょう。チャールズ皇太子と結婚したダイアナ元妃は、そのジェームズ二世系の末ですし、またチャールズ皇太子、ダイアナ元妃との結婚時も経済的に混乱がありました。
英国はユーロ準加盟国であり、通貨はポンドを採用しています。そのため中銀の政策に自由度はあるものの、逆にそれが徒となって高インフレ状態です。3月消費者物価(CPI)は前月比0.3%、前年同月比4%と高水準。ただし予想や、2月のデータより勢いを弱めたことで利上げは先送り、一旦は小康を得た形になっています。しかし3月のデータ、日本の震災影響もあり、景気減速を先走って数字が弱めに収斂した可能性があります。

しかし英中銀ではインフレ目標の策定、量的緩和で買い入れた2千億ポンド(約27兆円)の国債売却、低金利維持の解除時期など、幾つも難しい課題を抱えています。英中銀は国債売却より先に、金利を引き上げる見通しを示しており、政策判断としては難しいところです。つまり利上げにより、価格下落、金利上昇を招くため英中銀が膨らませたバランスシートを一部、自ら毀損させます。損を自らとりにいく、という意味では厄介ですし、それより先に国債売却をすすめれば、利上げよりも金利上昇を招きやすい、との試算もあります。市場から資金を吸収してしまうので、景気鈍化はより進むことになります。
そして日本の震災による、サプライチェーンの乱れは供給不足を招きます。一旦、インフレに火がついている国では、それが顕著に利いてくるでしょう。仮に今回の震災による影響が軽微だとすれば、英国のインフレは再加速する恐れがあります。そこにもってきて緊縮財政による公共工事など、景気刺激策も打てず、雇用悪化が深刻であるため、よりインフレに耐えられない状況です。英国で起きていることは、間違いなくインフレと景気鈍化が同時に起こる、スタグフレーションと呼べるような状態なのです。

英国は打つ手も限られ、このままでは王室も影響を受けるでしょう。ムダ、という意味ではすでに経費削減が求められていますが、デモや暴徒が増えれば警備も必要となり、余計なコストになります。王室を革命で失った国は、総じて処刑など陰惨な結果をもたらしましたが、還俗という形もあります。いずれにしろ、今の経済状態では王室を維持していくことすら難しいので、大きな改革が必要となってくるのかもしれません。
ロイヤル・ウェディングを見物するため、旅行者が英国に集まり、経済効果が高いとはされます。しかし一時的な効果と、継続した支出との問題に、今後も頭を悩ませそうです。おめでたい日に、人の懐具合をとやかくするのは下世話ですが、英国のことわざに「貧すれば争う」というものがあります。経済的困窮は争いの下、元は家庭における夫婦のいざこざかもしれませんが、今は国家が貧している。争いのタネは尽きないのであり、おめでたいばかりではいられない、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | 経済

2011年04月28日

経済の話。バーナンキFRB議長の記者会見

3月鉱工業生産指数が前月比15.3と、リーマンショック後の最大の落ち込みです。3月全世帯実質消費支出は前年比8.5%減、こちらは統計開始以来最大の落ち込みです。震災と輪番停電の影響ですが、この統計をうけても米系の先物買いに支えられ、今日の市場は大幅高を演じています。その米国ではバーナンキFRB議長がFOMC後、記者からの質問をうける初の試みもありました。事前予想通り、6月末にはQE2終了、総額も変えず、終わった後も当面は金融緩和ということが語られました。
しかし質問者を予め選定しておいた節もあり、きつい質問を避けるなど「透明性」を訴えた議長の意図とは、やや違った側面も見られます。またこの会見で、米国における当面の課題も見えてきます。景気見通しはやや悪化、それでいて日本の震災による影響は軽微、世界は急回復して成長軌道に戻るとしています。しかし年後半、景気回復して市場が上昇しないと、困った問題も起きます。

米国で懸念されるのは逆資産効果。本来、徐々に相場が上昇して資産効果を高め、景気を維持することが求められますが、今の相場が超楽観で先の景気回復を織り込んでおり、逆にほぼ上限の位置にあります。QE2が終了し、住宅価格は一時期の差し押さえ再開とともに、REPO住宅が出てきて二番底へまっしぐら。年末は非常に厳しいことまでは、これまでも容易に予想ができることです。
FRBはこれまで雇用を注視、という形でQE2を正当化しましたが、追加刺激策に関しては成長率とインフレ率をあげました。FRBはインフレ期待を安定的に、高く推移させ、消費促進を当面の目標とする気でしょう。しかしQE2は6月終了のため流動性供給策は使えない。当面行われる施策はドル安誘導です。最近、米政府も原油市場への規制をチラつかせ、ガソリン価格引き下げに躍起です。そしてそこから流出する資金を、米国債購入に振り向けさせる。中期的には再投資という形で、長期的には格付け見通しの改善、という形で米債の買いを促す。背後ではヘッジファンドに割り当てを求めるなど、形振り構わず米債を買わせるよう、画策することがFRB議長の会見からは見て取れます。

日本政府が金融緩和策を続けるので、円安という話も聞かれます。しかしドルとの関係で見れば、明らかにドルの方が弱く推移するでしょう。FRBが過大に膨らませたバランスシート、消費堅調に伴う輸入企業によるドル売り、コモディティ規制に伴う投資資金の国債購入による、スワップ取引の低下など、米国がドル安に導ける手は幾つも残されています。米国は食料をある程度自国で賄え、このためドル安が進んでも影響は少なく、ガソリン価格さえ抑えられればドル安は容認できるのです。
日銀の政策決定会合でも、震災の影響は軽微とされました。内閣府の試算では、復興対策でGDPを0.6%押し上げるとされます。しかし日本で今起きていること、それは震災による消費鈍化と同時に、海外からの旅行者減による消費喪失も経験し、また津波と原発で逆資産効果が起こり、0.6%どころではない、それ以外の落ち込みが大きいと云えます。サプライチェーンの問題ばかりでなく、GDPの6割を占める消費の鈍化が、日本では大きいのです。回復は緩慢で、また元の水準まで戻るには数年を要することでしょう。それは風評被害により、海外からの渡航者の減少、という形が大きいのだと感じます。金融当局者まで、日米ともに楽観的。危機管理の問題が、福島原発の問題でも問われていますが、今のままではリスク管理もできないまま、最悪のシナリオに陥って、初めて対策、対応をとるという形になるのでしょう。経済分野まで『想定外』なんて言葉が使われるようなときは、世界経済が終わりを迎えることにもなりかねず、想定だけは楽観ばかりではいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年04月27日

東電の処理の仕方

福島第一原発1号機の水棺作業に着手しました。耐震上、重力バランスが変わると揺れに伴う共振など、再計算し直す必要もあるはずですが、そこまで想定したか不明です。また格納容器を水に満たすと、配管やダクトにかかる圧力が変わるので、単純に水漏れというばかりでなく、余震による打撃にも考慮しておく必要があります。詳細な発表に目を通していないので何とも言えませんが、工程にしばられ安全を蔑ろにすると、再び危機を迎えることにもなるので、この場合は上手くいけば儲けものぐらいの認識で良いのかもしれません。

東電の賠償に関して、金融機関が上限がなければ社債など、資金調達の際に融資できないとしている問題で、政府は上限設定を否定しています。しかし経産省では、東電の賠償に対する損失補填、税金投入にむけた計画を策定中とも伝わり、行政側の対応は異なるようです。しかし仮に、原発避難者が仮設住宅などに入る場合は、その分を東電側から負担させるなどの仕組み作りも必要で、震災被害者と原発避難者を切り分けないと、国が無限責任の一部を肩代わりすることになるので、注意しなければいけません。
今回色々と明らかになっていますが、東電は13兆円の資産をもつ、キャッシュリッチ企業です。役員の年収は5千万円近く、一般職の年収も750万円以上、これは全産業の平均よりも高額報酬に当たります。つまりここから分かるのは、電力会社が電気料金をとり過ぎているのではないか?という疑惑です。

さらに人件費は、企業年金という形で高額報酬者に手厚くなるので、過大な人件費コストを賄いながら黒字経営を続けてきた。それが東電です。また研究開発など、電力に関係ない分野まで手広く多岐にわたっており、これも余乗利益で賄っています。天下りの受け入れ、経産省の西山審議官の子女も東電社員、といった報道もあり、権力構造に食い込むための人的受け入れもムダ、と指摘できます。報酬引き下げが伝わると、早速優秀な人材が流出する、という官僚擁護の際と同じコメントをするメディアもありますが通常、電力各社の社員はローテーションするので、現場を知らないために危機の際はほとんど役に立ちません。大企業にありがちな、出世街道にのった人間ほど優秀ではないと指摘できます。
電力各社は公正取引からみて違法状態。即ち独占企業による専売状態なので、電力ピーク時に料金を上げるという仕組みはナンセンス、東電延命に手を貸すのみです。東電は柏崎・刈羽原発の事故と昨年の取引上の損失により赤字計上するまで、黒字経営を続けてきた優良企業。逆にいえば、それは全て電気料金が不当に高すぎた、と指摘できるものなのです。他社の株式購入も電力会社にとって不必要であり、賠償にむけて売却も必要です。人件費削減と資産売却で今の電気料金を維持すれば、経年的に賠償に寄与するだけの額は捻出できる、それは国とまったく同じ構図をもっていると云えます。

東電の株主構成は年金、保険、金融機関、東京都が並びます。これらが東電の上場廃止を阻止せんと様々な働きかけを政府に加えているのが現状です。しかし甘い人件費削減策、企業年金の問題に切りこむには一旦破綻させ、出直した方がスムーズに進みます。むしろ破綻させず、生き残らせる場合は特別立法をつくるか、企業に圧力をかけて改善を促す、という誤った形でしか改編ができなくなるのです。誤ってはいけないのは、破綻しても再生できるのであり、これは電力供給というインフラの維持に向けて、組織をどう立て直すかという問題なのです。政府が税金を投入しても、電気料金に上乗せしても、結果的に国民負担による東電救済という形になります。国の財政健全化と同じように、東電も内的要因により変革を拒むのであるなら、やはり破綻させるべきという結論になってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 社会

2011年04月26日

今後の政局について考える

民主党・山岡氏らが「震災に対応できる連立政権に向けた総調和の会」を立ち上げました。ネーミングにセンスはありませんが、菅政権退陣後に公明との連立にむけ、反菅勢力が結集した形です。一部の世論調査では、首相にふさわしい人として、小沢氏がトップにたつなど、震災対応をめぐる現政権の無能、無策ぶりにうんざりし始めた様子もうかがえます。しかも枝野氏が2位ですが、原発事故にかんする情報隠蔽における共同正犯の疑いも強く、何となく理路整然と記者会見に対応しているように見えて、虚実でいえば『口のうまいセールスマン』という体であり、本質をつけば順位も下がる恐れがあります。岡田幹事長の選挙弱さと、党内調整能力のなさも露呈しており、メディアがネクスト総理と期待してきた人物らは、軒並み総倒れとなっています。

菅首相は、今回の震災が任期中に起きたことを「一つの運命」と述べました。フランス人のヴィルマンは「運命は創造するのであって、迎えるものではない」とします。運命を、事象の重ね合わせに伴う帰結、という意味で使ったのかもしれませんが、もし菅氏が運命論者なら単に弄ばれているのみ。実際、有効な対策も打てていませんし、仮設住宅の建設も遅れ気味で、政府が「全力で取り組んでいる」という姿勢はみえません。
昨日も述べたように、政府は結果責任が伴うのであり、運命を創造できないような人物がその地位にいることは相応しくないのです。サミットにおいて、エネルギー構想を打ち出すようですが、原発輸出路線をうちだし、今も交渉が続く日本政府が新エネルギーなどと宣言すれば、原発受注が頓挫する恐れもあります。効率のよいエネルギーが見つかれば、そちらの受注に多くの国でも舵を切るでしょう。つまり、閣僚に意見を求めても出てくる答えは一つ、原発推進とその他の自然エネルギーとのバランス路線であり、それはこれまでと何ら代わりないものとなるでしょう。今の菅政権には創造性というものが、完全に欠如しています。運命というなら、内閣不信任を待つようなことをせず、自らこの国にとって最良は何かを創造すべきでしょう。

小沢氏が次の政局を握るとしても、今は公判中です。1つ、石川被告の裁判で取り調べを担当した吉田検事が「石川氏は1500万円の裏金を認めていた」と述べています。ですが、仮にそうだとすれば奇妙な話です。調書に一切の記述がない、これは逆に、調書が初めから準備されている予定調和によってとられている、ということを裏付けるものです。吉田検事が偽証したのでなければ、調書の信ぴょう性が問われますし、偽証であればこれは現職検事による、取り調べにおける事実の捏造にあたります。どちらにしろ検察にとって悪い材料です。
これはイイワケを重ねた結果、整合性がつかなくなったことの裏返しです。この事件では供述調書しか頼る部分がないのに、供述を否定して心証面に訴え始めた。検察の戦略の転換を示す内容ですので、今後の公判に影響してくるのでしょう。そして供述調書のみ、証拠採用となる小沢氏への裁判にも影響するものです。

菅氏がサミットを花道にするか? 自公は通常国会期末に内閣不信任提出の流れでしょうから、その前に両院総会まで、民主党内の動きが膨らむかです。現時点で、広がりは確認できませんが、中間派も確実に反菅では一致することから、党執行部を糾弾する流れにはなりそうです。菅氏を直接は引きずり下ろせずとも、岡田幹事長を引責にもちこめば、菅政権は四面楚歌となり自壊が鮮明な形となるのでしょう。
ドイツ人のフンボルトは「人々は運命に過度の要求をすることで、自ら不満の種をつくる」と述べます。菅氏は全力を尽くしていれば、運命によって勝手に展望が開けると考えているようです。人事を尽くせば…というところなのでしょうが、一向に好転しないことで不満を抱え、爆発寸前といったところでしょう。残念ながら「知恵のない自信ほど卑しく、致命的」という言葉は知らないようですからね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年04月25日

統一地方戦、後半戦の結果について

東電が人件費削減策を発表しています。役員50%、管理職25%、一般職20%の削減です。しかしすでに柏崎・刈羽原発の事故で役員報酬は2割減、実際に役員の平均年収は2300万、一般職の平均年収は600万円以上になることが判明。国が補償額の一部を補填する案もありますが、これでは国民が納得しません。
東電を一旦破綻させた方が良い理由は、企業年金のカット、債務削減などがすすめ易くなるためです。あくまで上場を維持しようとしても株主総会が紛糾、株主代表訴訟が起こることになります。一部保険会社が1千億円の損失を計上していますが、時価総額で3兆円近い額が吹っ飛んだ影響は、必ず総会に出てくるでしょう。今は債務超過状態に陥る公算が高く、株主を納得させるためには役員報酬、一般職も含めて500万円程度が年収の上限として見えてきます。過去、破綻を懸念された企業の中にはもっと給与削減に踏み込んだところもあり、今の計画では原発の補償と合せて株主訴訟で、数兆円がとられることになります。経営改善ができないなら、本当に破綻させて上場廃止、株主価値はゼロになる恐れすらあるのですから。

昨日の統一地方選後半戦、民主惨敗の報も伝わりますが、党執行部の判断はやや異なっているようです。根拠は41道府県議選で微増ながら、当選が拡大していること。候補者擁立に難渋し、民主議員が無所属になって戦った末の結果なので、岡田幹事長を初め一部は強気になっているようです。知事、市長では敗北続き、都区議選など改選前117から30も議席を落としていますし、どう考えても大惨敗なのですが、石井選対本部長の辞職願いを押しとどめた理由の一部に、党勢凋落より変化の兆しをとった辺り、苦しいイイワケですが、民主党の現執行部をそこに一縷の望みをかけたようです。
しかし、最近菅氏が好んで使う「全力をあげて取り組んでいる」という文言。裏を返せば全力を出してこの程度なら、復興、原発対応、いずれも大きく改善される期待が当面の間は低い、ということを示します。つまり『全力』とは限界値ですから、情報隠しや対応の遅れも、すべて官僚統制能力の欠如を示していますが、そこに改善の余地はないと自ら認めてしまった形なのです。あげ足とりではありませんが、一所懸命にやれば認められるのはスポーツなど、その結果として個人がすべてその責を負えば済むような競技に限るのであり、国や企業は努力の過程など何の役にも立たないし、評価に値しないということです。

しかも放射性物質の拡散予測、今頃になって毎日公表に切り替えます。精度が悪いため公表できなかったはずが、公表に足る精度向上が図られた、ということもなく公表です。細野首相補佐官はこれまで公表できなかったことを謝罪していますが、誤って済むような話ではなく、問責に値します。原発の必要性を論じるため、総発電量を低く見積もって公表していた、という記事を週刊誌が報じていますが、官邸主導の情報隠しの責任は必ずとらなければいけない問題です。
地方選で、原発容認派が多数当選、という話が驚きをもって伝わります。ただ補助金が切れれば、地方財政は逼迫することが目に見えているので、豊かな生活とのバーターで対策さえ立ててくれれば…というのが本音でしょう。しかし耐震設計は、これまで想定されていた事象に依存することが多いので、住宅のように補強するのも簡単な話ではないのです。直下型地震の怖さは、まさに先の柏崎・刈羽原発で体験しています。住民判断として、自分のところでさえなければ…という判断が働いた結果として、容認派を認めているのなら、今後起こる事故による事象は、自業自得という目で見られることになることもまた、仕方ないことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2011年04月24日

雑感。震災による東京の経済への影響

衆院愛知6区補選、自民党元衆院議員の丹羽氏が勝利しました。民主は不戦敗であり、事実上、減税日本の川村氏との一騎うちの様相でしたが、今は震災で自粛モード。選挙戦に関する報道も少なく、浮動票も動かないため票読みとしては、固定票を多く抱えた自民が有利です。地方組織を多く抱え、また公明との協力関係が10年も続いた今、浮動票を外すとほぼ無敵といえるのでしょう。統一地方選の結果をうけて、自民は国政選挙をやると確実に勝てそうと判明したので、ますます大連立の可能性は小さくなりました。わざわざ震災復興という困難な時期に与党となり、票を落とさずとも二年後には与党になれるのですから…。

震災で、企業の動向にも少しずつ変化が見られます。計画停電地域からの脱出として、地方に拠点を移す、分散化するという流れが出来ています。これは一極集中を改める動きであり、この傾向が拡大すればまさに日本経済の転換点に、この震災がなることでしょう。つまりこれは雇用の分散であり、人口の分散であり、労働動態を変える可能性を含むものです。そして否応なく、これは行政システムを変えることにつながります。
今回、余震も続き、夏場の電力供給も不安視されることから、関東圏企業が分散化を始めています。関西圏では不動産、特にオフィス需要が活発であるように、これは全国にまたがる動きになります。計画停電が終わっても、原発稼働率が全国で低下することが想定できるため、電力確保のためには複数箇所で企業活動をする選択が今後もふえていきます。しかも日本は地震大国、関西圏とて東南海では被害想定もあることから、全国各地に分散化することで、リスクを軽減できることになります。

この流れで打撃をうけるのは東京とその周辺地域です。東京は労働人口が減り、高齢化がますます進むことで、高福祉体質に移行せざるを得ません。都庁は16万人が働く、巨大組織です。しかし都政という意味では、区が多い東京の行政範囲は人口、産業に比べるとそれほど多くありません。逆にいえば、豊かな税収がこれだけの職員を養う原動力ですが、その転換が迫られます。しかも東京は今回、東電の株主として巨額損失を被りました。仮に東電が情報廃止になれば、損失はさらに膨らみますので、実は東京が一連の震災で被った損失は数千億、有形無形も含めれば直接の震災の損害はないにしろ、巨額に上るとみられます。
しかも、企業が夏場の節電にむけて動きが見られる中、都庁の節電対策が未だ示されません。一部の作業を夜間に移し、16万人の内3分の1でも昼の労働を抑えれば、節電効果も高いはずです。住民サービスを落とすことはできませんが、平日から休日に作業を移しても良いですし、もっと対策が打てるはず。行政が協力しないという姿勢は、企業に努力しろを求める態度とも合致しません。東京の行政がもっともスリム化を求められる、と云えるのです。

私は霞ヶ関周辺から、公益法人、財団法人等の法人格をもつ組織を、すべて地方に移せばさらに節電効果があがると見ています。そうすれば、天下りをしても勤務地がほとんど変わらず、住み心地がいい官僚の動きにも楔が打てますし、行政との癒着も若干ですが減るでしょう。しかしこれは、東京地区の不動産価格下落、という別の面も引き起こします。自販機規制でも同様ですが、おかしな規制を強制的にかければ、確実に経済を萎縮させます。経済とはムダなことをどれだけするか?によって規模を拡大できますが、今の自粛ムードによる影響は確実に経済を下押しします。法人格をもつ組織は財源捻出のためにも規制をかけるべきなのですが、タイミングを間違えるとそれも経済を悪化させる材料となるので、難しい判断が迫られていることは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2011年04月23日

某メディアの記事の見出しに違和感

最近、読売新聞の見出しが再び過激化しています。『小沢系ら採決欠席、叫び声あげ…首相に抗議文も』『軽率・挙動不審…小沢氏に面会の仁木議員に懸念』タイトルをみると、異常行動をとったと誤認させますが、前者は税制関連法案で委員長が採決を求めた際、民主党の川内議員が異議を申し立てたことに対するもので、通常の委員会であれば野党は異議を申し立てるのでごくふつうのことです。後者は前原グループの若手が小沢氏と会ったことを、身内が批判した言葉としてタイトルに用いられていますが、発言者の名前もなければ、議員が議員と会っただけで懸念されるほど、脆弱な組織であることに驚きですし、また記事にするほどの重大事とも思えません。読売にとって小沢氏に対する行動は、過激な見出しをつけて記事を載せるほど大事だということかもしれません。
復興に関しても、地元で復旧対策に忙しい現地の知事をわざわざ呼び出さずとも、福島・宮城選出の国会議員を会議に出席させれば事足ります。議員は地元に秘書もおいていますし、知事とのコネクションもある。岩手4区の小沢氏を気にしているのか?だとしても、宮城の安住氏や福島の渡部氏など、菅政権よりの人材もいるのですから、ピックアップして数名のみ会議に呼べば事足りるはずです。ここで地元議員を排除するのは、逆に言えばそれだけ政権基盤が脆弱となり、他の与党議員さえ信頼できなくなった、ということかもしれません。この方がよほど軽率・挙動不審ですし、官僚を大声で怒鳴りつけ、追い出す方がよほど『叫び声』とするに相応しい醜態といえるのでしょう。

しかも『小沢系議員、週明けから菅降ろし本格化』という見出しをかかげます。中身は有志議員が両院総会の開催にむけ、署名集めをするというもの。しかしこの、統一地方戦の後半戦の投票日を明日に控えた、ここで出したのが重要です。つまり、選挙に敗北しても党内分裂の気配があったことを敗因の一つにでき、党執行部は安寧を得られます。さらに、選挙に敗北すれば当然、小沢系議員が動くことに説得力をもちますから、読売は二重の意味で保険をかけたことになるのです。要するに民主党は敗北する、それでも菅政権を存続させる、という形で明日以降の政局に対してコインをベットしたのです。『政争ネタになってはならない…復興院巡り仙谷氏』と、あたかも反小沢系が政争を嫌っているかのような内容の見出しを、先に出しておいて…。
菅首相は昨日の記者会見で、復興実施本部の設置を示唆しました。また組織が一つ、増える形になります。自民、公明の参加が不可欠としましたが、それ以外の政党は?こうしたことが政争なのです。オールジャパンを唱えながら、意見を違えそうな者は参加させない、では偏った意見、計画しか建てられません。広く意見を求めるなら、全野党に呼びかけるべきです。それすら批判せず、あたかも小沢系が政局を仕掛けている、という印象ばかりを先行させて報じる、性質が悪いというと言い過ぎかもしれませんが、報道の公平性という視点でみれば偏向的と指摘できるのでしょう。

上記にあげた記事は、中身を読むまでもありません。ただ見出しのみを並べても、どちらに偏っているかは知れてきます。未だにフィクサーを自負し、自民・民主に大連立をもちかけた社主にとって、今や目の上のたんこぶは小沢氏とみているのでしょう。小沢氏さえ居なければ、菅政権は自・公ともすり寄れるとの算段です。
しかし日独交流150周年を記念して決議をとった際、自虐的史観に基づく内容だとして、自民党の一部が反対の意思を表明しました。自民が党議拘束をかけなかったこともありますが、自民とて一枚岩になりきれない、党執行部が与野党ともに脆弱なのが現在です。強烈なリーダーのいない烏合の衆ほど、まとまりにかけ、国を危うくするものはないと云えます。今が大連立が必要かどうか、それは組織の内実も踏まえ、よく考察しないと泥縄はいつまで経っても泥縄ということに、なりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 政治

2011年04月22日

震災による被災者と、原発による避難者

菅首相の福島訪問で、被災者、福島県知事と会った際、腰に手を当てていたことが話題になっています。腰痛?という話もありますが、歩き方は問題ないので、どうやら夕刻のギラード豪首相との日程を気にして、気持ちが目の前に向いていなかった、というのが見方として正しいようです。東電の清水社長による現地訪問も、福島第二原発の再開にむけた地均しという見方であり、機先を制するように知事は運転再開は認めない、と宣言しています。さらに、これからは国の原子力損害賠償紛争審査会の指針も、重要になってきます。
住民の避難、農漁業や商工業への補償が盛り込まれますが、大事なものが抜けています。それは不動産価値の下落をどう補償するか?です。今後、数十年に亘って今回警戒区域、計画的避難区域に指定された土地に、転入してくる住民はいません。つまり、土地の売買は事実上停止されるため、その価値下落に見合う分もふくめ、補償しなければならないのです。東電は放射性物質が影響を及ぼさなくなれば関係ない。環境基準以下になれば、問題ないという認識かもしれませんが、風評被害まで含めた補償とはまさにここです。しかし不動産の価値まで補償すると、賠償金額は兆の桁を変えるため、東電も審査会も滅多なことで口にも出しません。ただ継続的な影響のある汚染とは、住民の資産としての家屋、土地すら無価値に変えたのですから、当然補償の対象にする必要があります。

例えば地震、津波で家屋を失った人が、仮設住宅に入る話もあります。それと原発避難者を同じに扱って良いのか?という問題もあります。補償は東電、であるなら仮設住宅を準備するのも、東電の責務によって行われるべきでしょう。震災、津波の被害者が、原発避難者のために入居が遅れた際、同じ被災者として受け入れられるのか?という問題になります。つまり避難指示が遅れ、原発避難者は人災による形となったため、差をつけなければいけない課題となっているのです。
一方で、東電は一所懸命にやっている、との話をする人もいますが、企業に求められるのは過程ではなく結果です。どれだけ努力しようと破綻する企業は破綻する。例えば今回の地震、津波、原発によって倒産のやむ無きに至る企業も多いのですが、東電のみ天災だから、と逃れることは罷りなりません。そしてその際に『想定外だから』という言葉は、企業存続や補償額には何も影響しませんし、事業継続を前提とした補償の枠組みを経産省が、今の段階で練るなどは言語道断です。またエネ特会に手をつけさせないため、増税や国債増発にのみ議論を集中させる、今のメディアのあり方にも、今回の事故によって改めて官民の癒着が透けてみえます。

一次補正4兆円が閣議決定され、GWの谷間に可決の見通しです。しかし菅氏は相変わらず、記者会見で復興対策本部には自公の協力が必要、と未練タラタラで述べており、二次補正も今国会中の提出には言及しませんでした。云えることは、従来の枠組みの上に復興という新たな事業を載せるので、増税や国債増発の話になりますが、大転換が必要なときに枠組みを変えるという英断を下せない政治家、政党はすべて日本にとってムダです。それは増税大連立の菅民主-自民-公明の枠組みでは、決して成し遂げられないものであり、財源論を語る際にこの大連立は何の価値ももたないのです。
原発の避難企業に対し、無利子、無担保融資を計画しているとされます。しかしこれは融資であり、事業の根幹である機器を持ち出せず、事業継続が難しい中で、この融資を返済するのも企業には大変です。実際、数年後には倒産、それに伴う連鎖倒産などの話が頻発するはずですから、政府支援が切れればその時点で負債にカウントされることになり、原発問題が長引けばそうしたリスクを意識せざるを得ないのです。政府が介入せざるを得ない、という話も一定程度理解できますが、責任範囲を明確にきり分けておかないと、民である東電と経産省の癒着が、さらにはっきりと浮かび上がることになるでしょう。この件とて、東電が融資すべき問題です。今回、その線引が曖昧なまま、震災復興という名目ですべて一くくりに物事がすすめられており、いずれ政権の対応として問題視されることになるのでしょうね。

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2011年04月21日

経済の話。米IT企業の決算と金融の問題

菅首相による福島訪問、カメラの前で数人の住民と話して放送用資材とし、立ち去ろうとしたところ住民から呼び止められる、というハプニングが起きました。省庁から続々と明らかになる官邸による情報隠しの指示。このため科学的、実証的に原発の状態を説明することが不可能となり、語る言葉をもたないため、住民に説明できません。だからといって政治が説明責任から逃れ、被災地の住民を蔑ろにしてはリーダーの資質に欠けます。本来、被災住民との間に信頼関係をつくり、それから移転や補償の話になるはずですが、頭ごなしで警戒区域に設定するなど、この政権にはまったく心が見えません。結果的に、住民の怒りを買うことになります。

米国でインテル、アップル等が1-3月期決算を発表し、市場予想を上回る内容で好感されています。ただわかったことは、米雇用は当面弱いということです。インテルは企業のIT投資が活発になったことが、業績を押し上げています。米企業は内部留保、手元資金を篤くするため、市場調達を進めましたが、ここにきて銀行からの調達も順調です。このため余剰資金を運用する必要に迫られ、一部をIT投資へふり向けたのです。しかしIT投資が収益に好影響を与えるのは、それによりコストダウンできる場合のみ。つまり人件費、物流などをスリム化できるかどうかで、効果が決まってきます。逆にそれができなければ経営の失敗として糾弾されます。
アップルもMacBookProなど、以前に比べて性能と価格がWindowsを搭載する他メーカーと近づいてきましたが、バラしてチェックする機関によると、これまでにない粗さが目立つとされます。今はブランドイメージが高いため、安さを好感して販売好調でも、コストカットに向けた企業努力の影響は、米国からの製造移転という形となって表れています。IT分野の好調さが、米国で雇用に結びつかない構図となり、今やシリコンバレーも中々新企業を生み出せない。この分野における米国への寄与度は、それほど高くなくなっています。しかもドル安が相当程度、業績に寄与している形が鮮明です。

しかも気になるのが、三菱UFJモルガン証券によるフィクストインカムの自己勘定取引で、1-3月期1千億円近い損失を計上、三菱UFJが米モルガンを増資により、連結対象におく案まで出てきました。内実は明確な発表がないのでわかりませんが、相当切迫した事態が起きていたことは間違いありません。米ネット証券をマネックスGがTOBで買収を表明するなど、市場が好調であるのと裏腹に、米国では何やらきな臭い動きも出てきています。
日本では大口の欧州系CSや、米系JPMなどが値を飛ばしてくることが多い。モルSはその反対をとることも多く、一概には言えませんが、過剰流動性の中で立ち遅れた感も否めません。1日で数千枚を傾けられる大口の意思に、相場が左右される現状では、反対をとって対抗すると骨までしゃぶられ、損失を拡大させます。今がこういう現状である限り、金融不安というのはこうしたトレーディング部門から発生しやすくなっている、とも云えるのです。

最近では、オバマ大統領自ら原油市場の高騰を「スペキュレーター(投機家)のせい」と述べるほど、米国内での反発も高まります。しかし、マネーサプライを短期間で一気に拡大し、市場ボリュームを拡大させているのはFRBであり、最大の投機家はFRBという見方も可能です。明らかに健全な伸びとは異なる資金供給は、インフレを起こしやすくしている。金、原油市場の蛇口を締めれば、どこかであふれた水がバブルを生み、世界経済を混乱させやすくしている、ということもいえます。
ドルが一段安しましたが、米企業業績が好調であることと、米経済が強いこととは、今やイコールで語れません。そして三菱UFJモルガン証券による巨額損失は、右肩上がりと見られてきた市場でも、リスクが内在していることを意識させました。しかも、今はリスクをとりにいってさえ尚、本業の儲けは微々たるもの、というのが金融業界の実相です。リスク選考型の市場で起きた、金融再編という流れ。ギリシャ国債、アイルランドの銀行の社債の債務カット問題、いずれの形でも金融業にとって悪い話題であり、世界経済の重石となってくる可能性もあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年04月20日

警戒区域、校庭使用禁止、政府の変わる基準

ウクライナで原子力安全サミットが開かれていました。皮肉なことに、チェルノブイリから25年目にして、福島で重大な事故が起きたことになり、議論もそこに集中したようです。世界は反原発へと向かい、イタリアでは原発再開を無期限停止、米国でも増設計画が凍結され、インドでも原発建設地で住民との衝突が続きます。チェルノブイリ事故は世界に衝撃を与え、脱原発へと舵をきる国も多かったのですが、福島原発も同様の効果を引き起こしそうです。
原子力関連施設は、意外と事故の報告が多いものです。事故率としては少なくても、被爆や放射性物質の漏えいが伴うことにより、深刻さが増すためです。ドイツでも地下埋設で環境に漏えいする事故を起こしていますし、仏国でも高速増殖炉スーパーフェニックスは燃料漏れを起こしており、英国でも一部原発で漏えい、低放射性の核廃棄物を海洋投棄し、問題になっています。医療、検査で使われる放射性物質は取り扱いで、何度も被曝事故を起こしていますし、東南アジアでは放射化された金属が街中に投棄されており、住民が被曝して問題になったこともあります。これまで日本ではあまり報じられてきませんでしたが、実に多くの事故が世界で起こったことは認識しておくべきでしょう。

それを踏まえ、相変わらず政府の対応には後手が目立ちます。20kmの避難指示地域を警戒区域へ、強制的に立ち入れないよう、指示を出す見込みです。周辺住民の被曝量調査、3.8μSv/hを超えた13の学校の校庭を使用禁止、これらは「直ちに影響はない…」から、見直しがかかった結果ですが、1ヶ月強の期間、防げる対策を遅らせた責任はとらねばなりません。
そんな中、原発賠償機構なるものを創設し、国が数兆円の資金を拠出、補償に充てる案が出てきました。東電は数年かけて収益から返済していく、という形ですが、仮にそれをするなら東電の資産を担保する必要も生じます。東電は13兆円の資産、5兆円の負債とされますから、それを差し引いた分を資産として抑える。これは東電保有のKDDI株売却話がでたように、東電が投げ売り状態で保有資産を吐き出すと、市場に動揺が走るためです。あまり好ましくありませんが、国が金融機関を救済したときのように、市場価格の数割ディスカウントで買取をしても良いかもしれません。リパトリが警戒されたように、今の脆弱な市場に対して大口の売り圧力が出れば、経済全体を弱める恐れが出てきます。

また福島第一原発が停止したことで、福島に核燃料税45億円が入らないとの話もありますが、それは住民に渡るお金に代わります。問題は地域振興として、エネ特会から落ちていたお金を、現行のように双葉町など一部地域のみで良いのか?ということです。原発災害は、一度発生すれば地元のみならず広範囲に影響する。今後、各地で原発の運転が止まれば核燃料税が地元に落ちない、という問題とともに、原発における地元という考え方そのものが問われることになるのでしょう。さらに、一部で電力各社に今回の補償の一部を肩代わりさせる案があり、その際は電力料金に転嫁される、という報道もありますが、元々電力料金にはエネ特会分の税金がプールされる形だったのであり、以前も指摘したようにエネ特会全体を見直せば、そこから捻出できる予算は必ず出てきます。
放射性物質は一つ間違えれば、大きな事故になる。今回、二つも三つも間違えたことで事故が拡大したのと同時に、政府による隠蔽によって無用な被曝を増やしてしまいました。国がその賠償を負うのは致し方ないほどですが、現政権は閣僚報酬を全額カットしても足りないほど、国民に対してつき続けたウソ、大げさ、紛らわしい説明の責任はとるべきです。遊んではいけない校庭から、埃が舞い上がったら?本当なら避難すべき事象と呼べます。これまでと、これからと、違ったことと云えば政府が線量を確認し、基準をつくったということだけ。そのあまりの遅さを生んだ責任は、総理報酬年5千万円程度ではまったく足りないのですからね。

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2011年04月19日

菅首相の参院予算意での答弁について

昨日、参院予算委の菅氏の答弁はひどいものでした。昨年10月、自身が本部長となって実施された原発の放射性物質の漏えい訓練、それを忘れていたと明らかにしました。幼稚園児にももし起こったら、きとんと対処できるよう訓練は真剣に、と説明されます。一国の首相が、訓練をおざなりで実施していた、子供たちの模範にもなりません。あまつさえ、対応マニュアルも無視して指示を出していたことも判明。原発事故が人災で拡大した、ということをあたかも認めてしまったようなものです。事故は想定外などではなく訓練までされていたのに、訓練内容を忘れ、無視した結果、被害が拡大しているのですから言い逃れもできません。

復興財源が俄に活発しています。復興債を消費税増税でまかなう案、現状3%を時限3年で今の消費税に上乗せする分などが挙げられます。しかし、国庫からの年金負担分2兆5千億円を、一次補正に組み込む提案に対し、細川厚労相は将来の財源確保による補填でまかなう、という財務相の提案を受け入れたので、実はすでにこの2兆5千億円は増税でないと負担できないことになっています。つまり、現状ですらすでに将来的に増税路線に舵をきっています。
よく子ども手当、高速道無償化、高校授業料無償化をやめて、復興財源に当てろという提案があります。しかし、それを当て込んで生活設計を立てていた人間にとっては、死活問題になります。消費税で無理やりむしり取るのか、配らないか、という違いはありますが、結果的に民間に流れる資金を強制的に官にとどめる傾向となり、経済下押し圧力となり、復興にむけた経済の歩みを遅らせる事態となるのです。子ども手当に収入制限をつける、高速道の無償化は停止すべきですが、高校授業料無償化も制限があって良いと考えますが、全面禁止とすれば後に負の影響が蔓延します。

これは自販機規制も同じ、余計に経済を圧縮する行為に手を染めれば、税収減になりますし、それを法的に為そうとすれば補償の話しになる、ということです。ではどうすれば財源が確保できるか?それは官で回る資金を削る、ムダ削減による捻出がもっとも経済的には打撃が少ないのです。公務員給与の削減がてっとり早いですが、公益法人、財団法人に発注される契約額を、2010年レベルから強制的に半分にする、という手もあります。これも最終的に民に流れる金が大半ですが、困って手を挙げれば中間搾取が如何にひどいか、また民に直接資金を流すことも出来ます。官―官の資金の流れ、そこを節約する方策を練ることでまだまだ予算は捻出可能です。
しかし東電への資源エネ庁前長官の天下りで高まった、経産省への批判をうけ、やっと規制強化の話が出てきました。これも後手の対応です。官―官、官―民、規制と認可の両面をもつ官が関与を強めて、成功したケースはありません。災害想定のみならず、組織、人に対する規制を甘くした結果、今回の問題をこじらせているのなら、菅政権の対応は常に後手と指摘できるのです。

それでも菅氏は欲張りとしながら復旧、復興、財政再建の道筋をつけるまでやると言い切りました。一言で云えば「増税するのが我が使命」と述べているのです。つまり復旧、復興財源に消費税増税、財政再建にそれを恒久化すれば歴史に名を残せる、とでも考えているのでしょう。本当に迷惑ですし、増税でしか財源論を語れないような政治家は、アイデアのない政治家ともいえます。創造性を失った人間に新たなデザインを描くことなど、できるはずもありません。
小沢氏が、復興に向けて案があると語ったことに、一部メディアではなぜそれを公表しない、と批判する向きもあります。しかし協力を拒んでいるのはむしろ菅氏の側であり、オール日本の体制ではなく、内向きに政治をしている菅氏を責めるべきです。これは野党への協力でも同様、協力を求めながら、相手の意見を取り入れようともしない。だから行政からも忌み嫌われ、官邸に近づく人間も減る原因なのです。諫言も、直言も受け入れず、甘言を受け入れ、緒言ばかりを述べて答弁も中身が薄い。半年前の訓練を忘れたように、一年前の参院選で消費税増税をぶち上げ、大敗北したことを忘れているのなら、もうこの人物に組織を率いていくだけの人望は得られないのであり、欲張りどころか欲深じいさんとして、歴史に名を残すことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年04月18日

経済の話。米国が抱えるリスク

クリントン米国務長官が来日し、復興に向けた官民パートナーシップを約束、原発対応も緊密に連携を表明し、一部メディアで日米同盟の深化が見られたと好感する記事もあります。しかし内実は米韓協議で、来年の核保安サミットに原発の安全問題を取り上げる提案も日本に報告はない。また六カ国協議も米韓の話し合いで事態が進みそうな点など、明らかに日本外しの動きも見られます。震災復興で日本政府はそれどころではない、ということ以上に、菅政権が来年まで続くことはない、という読みも長期の視野で協議することはない、という米側の態度に表れます。
日本は経済的にも、同盟としても重要。だから協力は惜しまないが、菅政権は見限っているのでしょう。これは情報発信のあり方や、初動で米側の協力を断った態度からそう結論づけたのです。つまり日米同盟の深化などではなく退潮、外交的な位置づけでの日本の価値は大きく低下している。それが日米関係の今です。

米国が日本を支援する理由の一つ、経済に関しては最近、米国に不穏な記事が頻発します。金融機関に対し、住宅差し押さえの損失補填、審査を厳格にするため人員の増加を金融機関に求めています。また銀行間取引におけるLIBORに関しても調査が入ります。こればかりでなく金融、不動産市場に関して過去に遡って調査、罰金などが頻出しています。これはボルカー・ルールを提唱したボルカー経済再生諮問会議議長の退任で、金融規制の流れが止まるかと思われた動きに反します。
一つには米上院の金融危機調査委員の報告書により、金融危機時に大手12社が破綻リスクにさらされていたことが判明するなど、危機を再び起こさせない、とする強い意思も見え隠れします。二つには現在、超金融緩和状態であり、金融機関に規制、賠償をかけても耐えられる面があります。そして三つには今後、金融引締めに移る前に、金融機関の財務のトップの交代が相次ぐように、実は脆弱な金融機関に対して既存の仕組みで規制をかけることは、先のボルカー氏の退任が象徴するように困難なため、高リスク取引を減殺させる新たな仕組みとして過去の取引に遡って、罰則を適用するという離れ業を米国では実行している影響も認められます。

企業決算時期、米金融機関の1-3月期決算も出る時期ですが、引当金の減少などで好調にみえても本業の儲けが弱いことは明らかです。米金融機関が脆弱であるため、個人への貸付は一向に改善しない。時間軸でみても米国、その州、市を含めた行政機関の負債見通しは年内で限界に近い傾向も出てきます。それを裏付けるように、S&Pが米債見通しを弱含みに変更しました。貿易不均衡の問題に終息の目処がつかず、GDP100%を超える債務過剰国では当然の流れですが、仮に格下げになれば自動的に米債は売り圧力が高まります。金融機関を強化し、貸付による資金循環を進めていかないと、経済的には保たないのです。
米国にとって、日本の震災がリスクであると同時に、米国債の第2位保有国である日本がリパトリを行うことが何より怖い。それは年金、民間金融機関を初めとして同様なのです。だから日本のリスクを取り除くことに積極的でしたが、足元のグラつきがより大きくなってきました。米国は今後、次の二つの戦略をとる必要があります。米金融機関を切る決断。米地方債に暗黙でかかっている国家保証を解除するという決断。米債の危機を回避するためには、欧州でも最近活発となったヘアカット(債務削減)に向け、踏み込んでいかざるを得ないのでしょう。そうなると、ヘッジファンドを含めて、金融機関は必然的にリスク管理を厳格化していかざるを得なくなります。これが、右肩上がりでない経済における、必須の項目と言えるのです。

米国債の格下げリスク。さらに3月の消費者物価は0.5%上昇と、落ち着きはみせましたが上昇傾向にはある。即ち、利上げをどこかの段階で意識せざるを得ない、という悪循環に陥る懸念が高まってきた。世界同時スタグフレーションの風が徐々に吹き始めているのです。G20でも、日本の震災がリスクとして取り上げられましたが、世界は本格的なこの世界同時スタグフレーションというリスクは、まだ織り込んでいませんし、それを見越せば決して楽観はできなくなります。米国が、自国の足元の崩れを意識したとき、日米同盟の深化どころか世界経済が泥沼化する恐れすらあり、非常に危機を感じさせる状況になってきた、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年04月17日

東電が工程表を発表

東電が原発事故に関し、記者会見を開いて工程表を示しました。冷温停止まで3ヶ月、そこから放射性物質の放出を抑制するのに3〜6ヶ月。言葉尻をとると、放出の抑制としているので、地下水への漏出経路が分からぬ現状で、海洋汚染は完全に止める目処がたっていないことを示唆しています。さらに冷温停止までの期間が3ヶ月、ただ方法論が確立されている訳でもありません。建屋の外部にタンク、循環システムをつくるとしていますが、希望的観測の期間であることは言うまでもありません。
2号機の格納容器破損、4号機の建屋強度の不足は認めましたが、1、2、3号機の圧力容器損傷は認めていませんし、原子炉建屋に亀裂が入っている恐れもあります。水素爆発の恐れも依然消えていないことを認めましたが、そうなると覆いをつくる話も、冷温停止の期間次第ということになります。一つ分かったことは、炉内の状況に触れない、触れたくない事情もあるということです。制御棒の状態、再臨界状態だったかどうか、今となっては燃料棒が溶けた結果、適切な距離が保てなくなり臨界状態は想定しにくくなりましたが、当時の状況はまだ正確に語られていない、ということです。

格納容器が損傷している2号機は、圧力抑制室の周りをコンクリートで埋める策が示されましたが、水が常時漏れている箇所で、コンクリートを流し込むとその部分の強度が低くなる懸念があります。高い線量で人が近づけない、という理由もありますが、原子炉建屋の最下層が完全に埋まる形になりますし、仮にそこから水が漏れるようなら手に負えなくなります。慎重にすすめないと、石棺は人のアクセスを拒絶するので、万全を期すべきでしょう。1〜3号機を水棺にする計画も示されましたが、格納容器の健全性が本当に保たれているのか?こちらも慎重を期すべきであり、圧力容器のみならず、格納容器からも大量の配管が出ているのであり、どこかからまた水漏れという話になれば、環境への汚染を防ぎきれなくなります。水位が低い状態で問題ないことと、高い状態では異なる事象が出てくることを意識して、作業する必要もあります。
現状、冷温停止までは半年以上かかると見ており、希望的にみても1年は必要でしょう。これはシステムが出来ても同じ。圧力容器の損傷に関わらず、底に溜まった放射性物質を冷やせるだけの水量が必要です。それは現状、外部から常温の水を注入して温度が保たれているなら、熱交換器で下げられる温度、その効率をかなり上げねばなりません。水の量が増えれば、さらにその傾向を強めるのでしょう。

東電が3ヶ月という期限を、このタイミングで出してきたのも政治から圧力をかけられたから、と類推することが可能です。政局的に、菅政権はギリギリですし、統一地方選後半に向けて、地元住民からの反発の映像が流れると、それだけで悪影響です。枝野官房長官が、クリントン米国務長官との会談をキャンセルしてまで福島に向かったのも、地元の理解を得たという印象を、政権として得たいとの思惑です。それには、どうしても短期で封じ込めるとしておきたかったのでしょう。
しかし、やはり炉内、炉外の状況にたいして、出ている数値から読みとける部分に言及しないのでは片手落ちです。それで示す工程など、作業目標としての価値しかありません。モニタリングを増やすことを発表していますが、これとて爆発事故の当日から、すでにやっていなければいけない話であり、こうしたものが原発不審につながっているのです。周辺住民の安全を第一に考えれば、やっていなければいけないことが出来ていないのですから。今回、私が想定してきたことと大差ない内容であり、中身は乏しいといえます。逆にいえば、東電の叡智が結集してこの程度のことであれば、もう数日前にやっておくべきだったのです。工程表、という前に計画をより具体化し、問題点を国民に示した方がわかり易かった、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:50|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 原子力

2011年04月16日

雑感。G20と原発対応

主要20ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、ワシントンで開かれました。中東情勢、欧州財務不安、インフレ懸念、新興国バブル、貿易不均衡などの様々な課題に答えも見いだせない国際会議にまた一つ、日本の震災という不透明要因が追加されたことが、国際会議で初めて議論されました。ただ支援を約束した各国も、具体策は示せません。各国も深入りすれば内政干渉の恐れもあり、また国債買取りなどを表明すると債券市場を歪めます。一つ、為替市場において協調介入もありましたが、各国の介入額は百億円規模で、9月に日本が行なった単独介入にも遠く及ばない数字です。いくら未曾有の震災とはいえ、支援の具体策を諸外国にお願いするのは、むしろ恥ずべきこととも言えるのでしょう。そんな中、風評被害の対策を依頼する場面が見られました。

しかし日本政府とて、国内の風評被害を抑えきれない中、各国も具体策を立てようがありません。日本への渡航規制も、徐々に解除されつつありますが、この規制もそもそも日本政府の情報発信に対する不審が招いています。自粛要請の品をイオンが販売していたこと、シンガポールで愛媛県産の大葉から放射性物質が検出された問題で、実は福島産だったといった話も、ただの誤りであるかどうか疑う気になれば疑えます。産地偽装がなくならないように、安全であるという話を完全に担保するのは総じて困難であり、安心を買うのはさらに厳しい状況です。
今回、原発の安全神話は完全に崩壊しました。それにも関わらず、与謝野経財担当相が原発推進の態度を示し、今日になり枝野官房長官がゼロベースの見直しを示唆しました。ただ民主党政権全体として、クリーンエネルギー・原発を強力に推進したことも間違いない事実です。これまでの原発行政は自民党の責任ですが、自己対応は民主党の責任として、しっかり切り分けた上で考えた方が良いものです。その上で考えるなら、細野氏が認めたようにコントロール不能に陥る寸前、個人的にはコントロール不能で未臨界に陥ったと想定していますが、その事故を隠したのは非常に許し難い行為であり、民主党政権が原発推進を訴える道はすでにないといえます。

レベル評価も、当初の被爆量の報道も、非常に作為的でした。つまりパニックを起こさない、という名目の上で国民の安全を蔑ろにした政権に、これ以上原子力という玩具をもたせておくことに、国民は脅威を感じるのです。また同じことが起きれば、同じように国民の健康は二の次になるのでは?という不安です。
これは自民党の方がさらに脅威ともいえます。原子力はリスクのある発電、数万年単位で維持、管理しなければいけない高コスト型発電、そうした情報を隠蔽してきた罪は重い、と言えるでしょう。日本は原発を歪めて報道、教育してきたのは一貫した自民党時代からの国策でした。今、それを見直すべき時にきて、前時代的な意見が政権内から発せられる。これは官僚型の政権が陥りやすい構図であり、継続性ばかりを強調する、悪い流れの政権であることの証左です。結果的に、菅氏が目指した自民党型、官僚依存体質ではこうなってしまう、ということなのでしょうね。

今回、私が原発対応で最も菅政権を許せないのは、地域住民の被爆管理をしなかったことです。よく白や薄い黄色の全身スーツ、全面マスクをした人が外を歩く映像が流れますが、あれは管理区域で用いる服装です。つまり管理区域と、非管理区域の境がないことが明白であるのに、原発で働く人にのみ被爆管理をし、そうでない一般の住民の管理を蔑ろにした。このことにより、事故でどれだけ被爆したかを知ることは永遠に不可能となりました。後で類推することは可能ですが、それでは事故の規模の一部を後世に伝えることしかできません。菅政権は、管理区域並みの被爆管理を近隣住民に、すぐ実施する必要があった、それを怠った。国民の安全を守る最低限の仕事もできない政権は、本当に早く退陣してもらいたいと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 政治

2011年04月15日

中国の1−3月期GDP

都議会民主党が自販機の消費電力抑制として、夏場の10時〜21時の停止を求める法案を提出する見込みです。石原都知事も前向きですが、非常に不可解です。石原都知事は以前から、夜間のコンビニ営業の自粛をあたかも節電対策と述べているように、見かけの電力使用しか見ていません。真の節電対策はピークを下げることであり、コンビニに限っていえば昼間の営業を自粛したほうがよほどその任に足る、といえます。自販機も13時〜16時は電力カットをしているため、ピーク電力の積算にはまったく影響しません。無駄なやり方で経済を縮小させる、しかも政治が民間の営業を法律で規制するなど、どこかの共産国でもあるまいし、暴政にすぎるのでしょう。
そもそも論でいえば、昼間に議会を開催する必要はないのですから、都議会、区議会を深夜に開催した方が節電効果は上がります。都庁も都民サービス以外の部署は、夜間営業でも良い。そうして身を切る努力もなしに、他人にばかり自粛を強制するやり方は、彼らの特権意識をより誇張させることになるのでしょう。ピークを下げること、それを節電対策の根幹に置かないようなものは、すべて暴論と指摘できてしまうのです。

中国の1‐3月期GDPが発表され、事前の予想中央値9.4%を越え、前年同期比で実質9.7%と高い伸びを見せました。輸出は25%増と堅調ですが、小売関連は16.3%と伸びを抑えられた形となり、また消費者物価が前年同期比で5.4%と高い伸びを示したことから、金融引締めが意識されて相場は軟化しました。さらに、同日発表された外貨準備が3月末時点で3兆$を超えたこと、これが意識された側面もあります。人民元は徐々に高値をとっていますが、中国は為替制作をゆっくりと、人為的に変動させているため、負の側面として外貨準備がたまってしまう傾向があります。1‐3月期では2000億$増、外貨準備の多様化をすすめており、米国債保有はそれほど増えませんが、その内3分の1が米国債に振り向けられています。
外貨準備が世界2位の日本でさえ1兆$そこそこであり、如何に中国が歪んだ経済かは、この数字をみても明らかです。輸出が堅調と言いながら、外需のGDP寄与率は約4%。つまり安価な工業製品で世界の市場を席巻する、という大目標のために内需を蔑ろにする結果が、この外貨準備です。実際、中国が必要とする外貨準備は3千億$で十分とされ、その十倍の外貨準備を適正水準に戻すだけで、世界経済に大打撃を与えるだけの量となってしまいました。

しかも、中国のGDP、物価、外貨準備は連関しており、高い投資熱を支える遠因となっている点が問題です。国内投資、公共工事、設備投資も高い伸びです。しかしこれは国内にあふれたマネーを見た投機的水準であり、しかも昨今の日本市場の下支えにチャイナマネーか?と言われるように、マネーゲームを引き起こし始めています。昨今、米系証券の先物の商いが拡大しており、それが中国による資金流入だとすると短期であり、国際市場が弱含みになると、市場全体を下方に落とす懸念もあるのでしょう。外国人投資家も一時の勢いを失い、5月にはヘッジファンドの決算対策などもあり、市場ボリュームが今後、拡大するという想定はしにくい面があります。
日本の隣で、世界の経済を左右できるほど外貨準備を蓄えた国がある。これは日本の復興ばかりでなく、世界経済にとっての「新たなリスク」です。G7、G20でも日本の震災をそう捉えているようですが、日本は何度震災にあっても、その度立ち上がって復興してきました。しかし中国が世界経済のメインプレイヤーとなった経験は皆無です。しかも、中国共産党が学び、模範としているのはどうやら日本のバブル時代、という面が強いようです。その先に起きること、予想するのも難しいですが、日本の震災に気をとられていると、中国経済が爆発する懸念も、今後は想定されるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2011年04月14日

復興構想会議が開催される

西岡参院議長の会見で朝日新聞記者の異様なカラミがみられました。震災から1ヶ月、法案が一本も出ておらず、被災地に資金配分もない。それが問題とする議長に、首相交代をいうのは無責任、政治空白を生む。次の枠組みを示せと迫ったのです。1ヶ月の空白がある、と西岡氏は指摘しており、今から菅政権がいつのタイミングで対策を打つかもしれない中、空白という定義自体がすでに崩れています。また議長が政府の枠組みに言及すれば、今後の議運にも影響するのであり、それこそ無責任になるでしょう。
朝日の記者は、公邸の年始会に呼ばれたことに恩義を感じているのか、与謝野氏の入閣で菅政権を支えると約束したことを、未だに引きずっているのかもしれません。クーデターが起きている中東で、空白により混乱しているか?といえば、そんなこともありません。いずれも暫定政権をつくり、国民に選ばれた代表に交代するまで機能します。救国内閣の際、国のトップが交代しても混乱も空白も生じない、ということはこれでも自明のことです。

復興構想会議が立ち上がりました。超党派、復興税、創造的復興、クリーンエネルギーと誰かが呟いていた内容が並び、みるべき点はありません。提言は重いとしながら、法的拘束力はないため、ともすれば官僚の予算枠拡大の思惑につかわれる恐れがあります。国交省、農水省、経産省、いずれも復興予算に鵜の目鷹の目です。
例えば復興税、全国民の負担がいいとしますが、それなら当せん金付商標法、即ち宝くじの特別法を数年にわたって施行し、当選金を低く抑えて経費を抜いた全額を、復興資金に当てる策もあります。当選した人がそのお金の一部を募金に回すことも想定され、これなら積極的に国民からお金を集められますし、その仕組みもあります。これはロト、toto、競馬に拡大しても良いでしょう。ギャンブルをして後ろ暗いのではなく、その収益金をより多く被災地に渡す仕組みを数年間限定でつくれば、そのほうが有意義です。税という仕組みに頼れば、やはり官僚に吸い上げられ、その一部しか地元には流れない、と知るべきであり、そこに頼る方がおかしいのです。

また被災地主体の復興とするなら、一括交付金として紐づかないで渡す方がよく、国が「創造的」なるおかしな構想を押し付けるのは、甚だ地元を蔑ろにする高慢な態度といえるでしょう。福島では原発からでた線量の高い地域を、菜の花畑にする案があるそうです。菜の花は放射性物質をとりこみ、土地改良に役立つこと。また菜種油にしてクリーンエネルギーに利用できること、があげられます。また可燃性のガレキをペレット状にし、火力発電で利用しても良いでしょう。そのために必要なのはガレキの一時保管場所であり、そういう面で国が関与すれば良いのです。
この復興会議、またまた6月を目途に提言をだすようです。すでにTPPも、税制も会議としてはとんでいますが、その代替物としてこの復興構想会議がすべり込む公算が強い。つまり復興税も、後の消費税増税の下地として機能させるべく、官僚は動くでしょう。それを抑制する能力も、手腕もない菅政権ではそれが起きてしまいかねません。

アラブのことわざに「川は海を困らせない」というものがあります。下の者がどんどん苦情、無理難題をもってきても、リーダーは満ちることなくそれを引き受ける、という度量を示すのがその意味です。しかし菅氏には寛容さもなく、人を怒鳴りつけて従わせようとします。自分を批判しない者にのみ饒舌に語り、そこでの失言を咎められると言ってないと頬かむりするようなリーダーでは、川の方が困ってしまう、ということになってしまうのでしょうね。

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2011年04月13日

東電社長の会見と一次補正予算案

東電・清水社長の記者会見、ひどいものでした。原発対応、火力の復旧、計画停電など様々な課題に直面し、混乱するのは理解できますが、ほとぼりが冷めれば東電は補償の支払いの際にも、難癖つけるのが確実です。
原子力損害賠償法では、国と折半で補償を支払うと記されます。東電は14兆円弱の資産、社債が5兆円程度ありますが、大抵は社債償還が補償に優先されるので実質9兆円弱の資産です。ただ発電設備、送電設備などの電力供給に関する土地、建物の資産もあり、売却は事実上不可能。実質的に補償として現時点で支払えるのは、5兆円にも満たないでしょう。

ウラン鉱山の近くは自然の線量が高いことも知られています。土地にしみ込んだ放射性物質など、東電はそれらと代わらない、補償の義務はないとするでしょう。象徴的なのは「施設内で確認されたプルトニウムも、過去の核実験でばら撒かれたレベルと同じ」とした副社長の言葉に表れます。ストロンチウムも確認されましたが、過去に核実験でばら撒かれた…という説明で凌ぐ気でしょう。さらに津波対策も、土木学会の想定に従ったとするのみで、責任論は棚上げです。
民業で続けたいとしますが、Jグッドとバッドに分割する、発・送・配電に分割する、様々な案も出されます。しかしまず電力会社と経産省の癒着、原子力を研究する大学への補助金、この時期にメディアへ広告を打つ、などの産官学の原子力ムラを解体する必要があります。その上で規模を縮小、リストラを初めとした経営改善、電力料金の引き下げを初めとしたサービス向上などに努めるための、どういう形態が今後望まれるのか、を議論しなければなりません。それもなく、他電力会社も応分の負担を、などと述べれば東電延命策と受け取られます。補償と真摯に向き合う企業でなければ、コンプライアンスの低下と同時に存続する価値はない、と知るべきです。

政府からは一次補正予算案もいくつか出ています。ただ財源に年金の国庫負担分2兆5千億を充てる予定ですが、震災で下落した株価、増発懸念で値を下げた国債など、年金は昨年末で非常にシビアな運用になっています。一般会計の枠内でのみ、議論しても何も始まりません。一部、発電所の周辺地域整備資金からも活用されますが、特別会計からも地下埋設用、高速増殖炉関連のエネ特会からの捻出が可能ですが、菅政権は財務省ベースの予算仕立てしかできないのが、閣僚構成から見ても明らかであり、議論が煮詰まりません。
汚染水の海洋投棄も、在外公館へ事前周知がなかったことが明らかとなりました。レベル7の認定も統一地方選の影響?という見方も示されます。諸外国のメディアからは「認定が遅れたのは驚き」とされるように、危機管理がこの政権ではできない、とみなされています。この一次補正、各省の予算枠にかからない部分のみ集め、束ねているという意味では、やはり菅政権に官僚統制力はない、ということなのでしょう。危機管理、情報管理、人材活用、いずれも赤点のままで、さらに巨大企業・東電の経営にまで手を突っ込んで整理・縮小できるとは到底思えません。与党内、野党からも菅政権下ろしの風が吹き始めましたが、キリスト教では今年の復活祭を4月24日とされます。人望と能力のない人や企業は復活せずに、灰の水曜日として灰燼に帰してくれる方が日本も救われるのでしょうね。

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2011年04月12日

震災後1ヶ月における菅首相の記者会見

菅首相が記者会見を行いました。噛み砕いていくと、復興は未来型エコ都市を計画し、計画を今月にはまとめる。原発事故は評価レベルを上げたが安定化に向かっており、放射性物質の放出も減少傾向。補償は東電の範囲だが政府も責任。戦後復興となぞらえ、次の世代に日本をひきつぐためにもがんばる、といった類の内容です。
福島第一原発の事故、評価レベルが5から7に引き上げられ、チェルノブイリ事故と同レベルになりました。事故発生直後は4、3月18日に5、そして7ときました。これは東電天下り役員と保安院が、原発事故による補償を恐れ、住民がもっとも高い被爆をしたと思われる時期を外すために仕組んだ工作、とみられます。拡散予測が出されていたことでも分かるように、国は放出量を把握していた。つまり放出量事態で、レベル7に達することは承知していたはずです。そしてこの失われた時間のため、継続した被ばく線量しか把握できない。つまり内部被爆をし、ヨウ素が崩壊して一定程度影響が下がるタイミングを見計らう、それがこの1ヶ月です。自主的に海に捨てた放射性物質とともに、減少傾向だから良い、とする菅氏の発言は誤認であり、減少傾向であるのに今からしかレベル7での補償をできなくさせたのです。

しかも、昨日20km圏内のみならず、5市町村で区域設定を行って1ヶ月を目処に計画避難です。積算すると年間で20mSvを超える、ただもっとも被爆量が高かった時期、調査はされていません。つまり調査地点の積算のみであり、個別補償も横並びでしか行われない。酪農など、個別事案は考慮されても今の東電はきわめて補償に後ろ向きです。
事故はあくまで想定外事象によるもので、東電幹部は謝罪もしません。福島に社長が訪ねても、県知事がいるのに受付に名刺をおき、そこで記者会見を行うだけで帰ってしまう。謝罪する気も、天井なしの補償に応ずる気もない。ここで菅氏が責任論に言及したことで、東電はしてやったりでしょう。東電は経産省を後ろ盾に、国と賠償責任交渉を行って、自身が経営を続けるための原資をえるために最大限の努力をすることでしょう。原発被害対応本部に海江田経産相、これは東電の思惑通り、完了の手のひらの上に乗っていることを如実に示しています。

最大に悪い観測は、菅氏の記者会見に現れます。時間軸の言及が一切ないことです。1次補正が5月初旬に提出見込みですが、これが後ズレする懸念があります。5月はサミット、出席に意欲満々の菅氏は、1次補正を提出すると当面の役割を終えた、として交代論が噴出する。サミットが花道となる可能性もあり、政局で補正予算提出を遅らせる公算が高いのです。復興構想会議からの提言や、原発対策の行方を見極めたい、という言い分を用いて。そうして6月4日を迎えると、めでたく菅氏は首相就任から1年を迎えます。ずるずると延ばすに十分な理由といえるでしょう。
菅氏は『絆』と銘打たれたメッセージを、各国の新聞広告として掲載しました。しかし、国内で菅氏に絆を感じる人はいない。記者の「大連立にも菅氏がネック」という指摘にも、菅氏はものの見方が異なる、と一蹴です。大連立推進派の意見にも乗れませんが、自身の見解が正しいと信じるだけの根拠は示さない。それは時間軸を示して言質をとられることを恐れ、今の対策についても万全の方策というばかりで、悪いところから目を背けることからも、政権延命が至上命題としてあるために震災復興、被害者補償が後回しされる懸念を、常にこの政権は意識され続けることになります。

自衛隊とNPOの被害地域における救済活動が、菅氏のアピール点のようです。しかしNPOの活動は政府からの指示ではありませんし、自衛隊とていつまでも災害復興に関わるわけにはいきません。被害者の捜索や、危機対応は行えても、今のように瓦礫撤去まで行うのは任務を逸脱しています。瓦礫撤去は地方自治体の責務ですが、その予算が縦割りで、全体としての絵図面も描けないため、遅々として進まない。そんな中、撤去費用を含む一次補正が遅れることは極めて問題もありますが、菅氏はそうしてしまうかもしれない、という懸念もまた今回の記者会見で垣間見えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年04月11日

統一地方選の結果について

夕方の地震により菅首相による震災後1ヶ月、節目の会見は延期されました。福島第一原発で、一時電源喪失するなど混乱もしたので已む無しですが、相変わらずメッセージ性がこの政権には感じられません。昨日の統一地方選でも、地方選なので中央政界には影響しない、という岡田幹事長の会見は、半笑いを浮かべて岡田氏も語っており、諦めなのか、達観なのかは分かりかねますが、菅政権の不人気は改めて自覚したのであり、民主王国・三重での敗北は民主党に打撃となったのでしょう。

県知事選挙、市長選は投票率も前回並みのところが多いですが、やや事情が異なるのが県議、市議選です。投票率はほとんど前回以下、これは自粛ムードで盛り上がらない選挙戦、顔が見えない、名前を知らないことも影響したと見ています。総じて安定化を求める流れが現職を後押ししていますが、県議、市議においては日常からよく知らない、という浮動票の流れも大きいと見ています。
そこで地域政党、として名を馳せた大阪維新の会と、減税日本には大きな差が生まれました。維新は橋本府知事の知名度、それに以前から続く流れでもあり、有権者に浸透力があった。一方で減税日本は、減税による震災対策に不安がある、復興に向けて増税容認の空気も漂う中、小さな政府路線に見えてしまう点がマイナスです。未曾有の災害では、官による関与が不可欠であり、減税をして小さな政府を目指せば、対応に不安を生じる。河村名古屋市長の影響力は大ですが、大村愛知県知事はまだ2月に就任したばかりであり、有権者に浸透力もない。そうした面も、2つの地域政党に差を生んだ原因なのでしょう。

しかし民主系、自民系の県議を比べるとトリプルスコアで自民、相模原以外の市議は自民が勝利です。相模原も公明を合わせると民主、自民で同数なので、地方議会はほぼ自民が握ることになります。都道府県知事も直接対決は自民3勝、現職で強い県知事以外、民主はほぼ負け続けました。中央政界が決めたことが、地方から反発を食らう数字といえます。子ども手当て、共工事、これらの混乱を排除するためには、地方分権をすすめる以外、地方選が中央に影響しないということはあり得ない。今回の統一地方選、前半戦は実にここに意義があったと見るべきでしょう。民主党政権の構図では、自然発生的に地方分権をすすめなければ、政策実現性が低くなる。中央から物事を決め、地方に従わせるのに多大な労力が要るようになった、そう考えればとても有意義な結果、ともいえます。
菅氏が誤っているのは、震災対応でもそうですが、自分が首相だから電話をかければ相手が従う、と錯覚していることです。官僚は自己保身のためにも、ペーパーがないと動かない。指示書もなく、頭ごなしで直接言われても右から左です。言質をとる、という形は通用せず、指示書により動いた、ということを後で抗弁するためにも、ペーパーを必要とします。いわゆる縦割り、お役所仕事の典型ですが、それは危機でも変わりません。なのに、菅氏は一人で危機モード、口頭指示で通じると錯覚し、その結果何も動いていない、その場限りで指示がばらばら、それに苛立ち八つ当たりということを繰り返します。菅政権は、仕事のやり方から見直さなければなりませんが、菅氏にその手腕はないでしょう。今回、厳しい結果にも関わらず反省の弁すらない。責任論は棚上げして、自身の延命にのみ汲々とする、その結果、ますます自身の首を絞めていることになっているので、これぞ自業自得ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2011年04月10日

経済の話。ふたたび円キャリーの動きか?

統一地方選、前半戦も民主党には厳しい風が吹いています。震災で選挙戦も自粛モード、現職が強い情勢ですが、それにしても与党の弱さが目立ちます。震災でも安定政権を望む、という国民は少なく、それだけ民主党に不安を感じている人間が多い、ということを映すのでしょう。
注目の都知事選は石原氏の勝利。浸透力の弱い新人が政策を訴える場も少なく、風も起きません。この石原都知事、実に菅首相と同じ匂いがします。同世代、戦後の国家へ反骨心を宿した人間の原理は似通うものですが、都政と国政の違いとともに石原氏の方が戦略を練る参謀の用い方がうまい、と云えます。テレビ討論も一回、新人が顔見世する場も消し、まんまと現職の強みを生かしました。多選批判もある中、票差がついたのは、震災で現状を望む人間の意識をうまく掴んだ、と言えます。逆に、菅氏は周りから続々と人が去る、という話も聞きますが、震災対応にしろ周りを会議と有識者で固め、知ったような気になるだけでは、何も動きません。動かし方、を学ぶ必要があるのでしょうね。

市場には新たな動きが出ています。円は3月最終週からジリ安、一方で金、銀、原油などの資源高、これは円キャリーが起きているとみて間違いありません。ECBの利上げ継続を見込んで、ユーロが独歩高の状況ですが、ユーロとてポルトガル支援要請、スペインへの波及、国家、金融機関による債務整理への不安、2%を越えるインフレによる経済への影響、等問題を抱えています。それでも他通貨よりマシ、という考えがユーロを支えており、米国のように一見経済が堅調に見えても、巨額の供給に陥るような国は見掛けと実態の景気認識は異なる、という見方もされています。
日本は震災復興の影で、市場では米系の動きが活発です。バフェット氏は震災前、わざわざ東北を訪ね、日本への投資チャンスを訴えました。これは自身の投資会社バークシャーが、ということではなくとも日本をポゼッションしていた一部の投資家が、利益を出す算段もあったものと思われます。これは、バークシャーNo.2と目されたソコル氏が、インサイダーまがいの取引をしていたことからも推測可能。日本への投資資金が、短期的にマイナスに陥ったことで、資金引上げや買い増し、などが活発になった側面があるのでしょう。バフェット流の投資手法は長期投資、下がれば買い増しですから、短期の売り崩しをここが支えた、という側面が見え隠れしています。

一方で個人的な見解ですが、震災対応として、米国は70億円規模の支援、イスラエルは持ち込んだ医療器具をそのまま譲り渡す、など篤い支援をしています。これは日ユ同祖論が米国、イスラエルの中に心情として含まれるため、と見ています。日本人はほとんど知りませんが、ユダヤ系の人には広く知られたこと、日本人とユダヤ人は同一の祖をもつ民族、という意識が彼らの中にはあります。
米国は中国へ対抗するためにも、アジアの拠点としての日本を重要視した、という側面が強いのですが、米政府の中には名前だけでユダヤ人、と判別される人も多数含まれます。議会予算であれだけもめた大統領、議会が日本支援では一致した。それも日本を重視するがゆえ、でしょう。

ただ米系の支援がいつまでも続く訳ではありません。当初、原発対応で日本政府は米国の支援を断った、このことで外交面に禍根を残す形となりました。これで菅政権が補正を含む経済、復興対策に失敗すれば、確実に見限られるでしょう。それは投資資金の流れとしても、現れるのかもしれません。円売り材料は、見かけの日本株の価値をも下げる意味をもちます。円キャリーによる円安、行き過ぎない前に手を打たなければ、日本経済にトリプルパンチとなって襲います。日本経済の輸出依存度は16%、この数字を誤まって、いつまでも外需依存度が高いという妄想に囚われていると、日本全体が地盤沈下することになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年04月09日

原発とコスト

鳩山前首相が「原発事故は天災ではない。政治の世界で『想定外』という言葉は許されない」と述べます。しかし国の安全設計審査指針では、長時間の全電源喪失は考慮されない、とされます。送電線の復旧、非常用発電の設置、3重に送電網を確保しているためです。しかし、一昨日の宮城沖地震で東通原発の非常用発電から、オイルが洩れて使用できなくなり、どうやらパッキンの設置ミスではないか、と指摘されています。大規模震災になると、たとえ3重だろうと設計で想定された基準を軽々と越え、施設を維持できない状態になる、ということが今回も露呈しました。
原発推進派は、未だに原発はローコスト発電でメリットがある、と述べます。ですが今回明らかになったように、安全設計審査が甘い基準を適用してきたため、ローコストが成立するのです。先に新潟沖地震で火災を起こした柏崎・刈羽、震度5で非常用電源が喪失した東通、いずれも安全を守る最低限の設計とは何か、を問い掛けます。さらに、高レベル廃液を中間貯蔵する、六ヶ所再処理施設も耐震設計は6.5とされますので、あそこで巨大地震が起きれば、非常に危険となります。

高レベル廃液はガラスと混ぜて固められ、縦積みされて保管します。仮にピット自体が壊れても、容器が損傷しない限り、放射性物質の放出はないようですが、ピットが歪んでその圧力が容器にかかれば、ピットから取り出せない、人も近づけない、アンタッチャブルゾーンが一つ出来上がります。中間貯蔵は数十年とされますので、耐震基準を上げ、補強が必要かもしれません。
最終処分場となると、もっと厄介です。数十万年、大規模震災が起きず、安定的に保管できる地下というのが思いつきません。震災が起きても安泰とするには、高コスト施設としなければならず、それだけでも大変。またエネ特会から地元に落ちる補償も含め、幾らのコストがかかるか?原発は減価償却が終わっても、発電が可能で電力会社としてはおいしい産業、という言い方もされますが、発電までにかかるコストと、それから何十万年かかる管理コストは別けて考えられてきており、合算すれば極めて高コスト、高リスクで発電しなければならない、非効率な発電方式と言えます。

東芝は福島原発1〜4号機の廃炉に約11年、とした計画を提出しました。しかしこれも圧力容器が健全、と想定してのこと。期間を短縮して事業規模を小さくし、安価に廃炉できる、としなければ原子力行政は保てない、『為にする』議論です。格納容器内にこびりつき、固まった炉心を剥がすことから始めて、作業だけでも試行錯誤をしながら進めれば数十年はかかるでしょう。地元への説明のため、世界ですすめられた原発計画を頓挫させないため、簡単に廃炉できるとするのは幻想です。
現状、提出されている案で最も現実的なのは、格納容器を閉鎖して水で満たす水棺処理なのでしょう。圧力容器内ではなく、炉心が格納容器に溶け落ちているのなら、それしかありません。それで作業に着手するのは、数年後か数十年後、となるのでしょう。廃炉でさえ高コストになる、その間の管理費用も含め、仮に東電が国有化となれば税金で処理されることになります。もう一度、原発全体のコストというものを見直し、正確な情報を提示する必要もでてくるのでしょう。コストも含め、隠蔽体質を続けてきた原子力行政のツケを清算するのは、この時をおいてありません。仏国では情報開示が進み、それでも原子力行政を推進してきました。日本は最終処分場さえ決まらず、その費用さえ算出されないのに、安価で安全で安心、と訴えてきました。高価で危険で確立された技術ではない、という人間は排除されてきた。学問は推進派と、正しい批判があって初めて成り立つものです。日本では、原子力という学問の分野がそもそも成立していなかった、という意味で深刻さを浮き彫りにするのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 原子力

2011年04月08日

大連立の動きが下火に

昨日の地震で、東北地方が再び停電です。今回、首都圏では地下のインフラの脆弱性が露呈しました。液状化が広範囲にわたると、地下埋設の水道管などは復旧の目処もたたない状況です。国民新・亀井氏などがインフラを共同埋設する公共工事などを、以前から提案していますが、地上にあれば復旧が早くて済みます。今回、変電所もやられているので、少し時間はかかるかもしれませんが、震災に強い都市をつくる上ではインフラの確保、を最重要に考えるべきでしょう。

菅首相が在日韓国人からの政治献金104万円を返却し、報告書の訂正を示唆しました。これで前原前外相と、対応に差が出たことになります。しかも親しく交際していたことを相手に口止めした、との報道もあり、有耶無耶のまま責任論を封じる意向です。一時盛り上がった大連立構想も、自民党側で首相経験者などに意見をきき、反対姿勢に転じたとしますが、やや事情も異なるでしょう。
当初、菅氏は首相退陣を呑んだとされましたが、その後の動きはやや異なります。野党との窓口を、仙谷氏から岡田氏に切り替えたのも、首相継続を訴える岡田氏を重用しようとする菅氏の意向。つまり菅氏は首相を下りる気がなく、それを自民が嫌った側面が出てきています。
菅氏は「非常時に挙国一致」を迫りますが、菅政権の危機対応に疑問符が呈され、今やその理屈で大連立を迫っても道理がない。岡田氏も手蔓なしで、協力を求めても自公にはそっぽを向かれます。菅首相、という最大のネックは民主、自民、それに大連立を求めた財界、今や菅氏には何も期待していないメディアとともに、その扱いには頭が痛いところ。民主内で反小沢勢力が分断されたことにより、今や政界内で最大勢力は小沢派、ということになりつつあります。それらも、反小沢勢力にとっては菅氏の振る舞いに、頭を痛めるとことになっているのでしょう。

菅政権の最大の失敗は、情報発信の不味さです。放射性物質の拡散予測は気象庁HPの深層、一方で電力予測は天気予報とあわせ流す、と計画されます。ネットにアクセスできない子供、老人、被災者への配慮もない。情報は透明化する、という基本姿勢さえ出来ていない形です。それは国外にも伝播、誤報、捏造まがいのことも起こり、火消しに余計な手間がかかっています。
一方でネットの流言蜚語、公序良俗に反するものは削除を求めるなど、言論統制の姿勢を強めます。デマとの線引き、という具体的な内容がない。これは本来、正確な情報公開さえあれば起きない事象であり、むしろ問われるべきは東電、政府の隠蔽と疑われる態度の中にあります。
菅氏の記者会見も具体策がなく、ましてや質問もほとんど受け付けない。無能で答えられないのと同時に、自分の意見を聞いてくれる相手でないと、怖くて発言できないのでしょう。最早菅氏が国のトップにいることが、最大の天災と呼べるほどになっています。被災地にも怖くて足を運べない、それは被災者の愚痴を受け止められない弱い心のためであり、天皇陛下が積極的に、被災者の慰撫に勤める姿勢とも大きく乖離しています。未来は盛んに喧伝したがりますが、今を何とかできないのは政局で仙谷氏に頼ったり、岡田氏に頼ったりして、結果的に大連立を成し遂げられないことを見ても明らかです。菅氏という災厄は、日本国中に振りまかれる災害であり、後に影響が残るところもある能力をもつ物質と同じです。長期的な視点にたった対策をするなら、早く封じ込めるという作業が永田町には求められます。福島第一原発はすでに百年オーダーの管理が必要、とされます。石棺、水棺、なども囁かれますが、そこに一つ黙菅という処理も必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年04月07日

窒素注入の意味するもの

日銀の金融政策決定会合が行われ、1兆円の被災地向け融資を決めるなど、やや踏み込んだ内容も示されました。ただ一段の緩和策が出される、との短期スジの読みが外れてやや円高。日銀は東電の社債も買ったのでは?と噂されるだけに、今後どう動くかに注目が集まります。
欧州ではギリシャ、アイルランドに次ぎ、ポルトガルがEU支援を求めました。800億ユーロを上限とし、貸付が行われる公算ですが、そんな中でECBは0.25%引き上げ、年1.25%としました。インフレが2%を越えて上昇気配であり、早めに手を打つ形です。まだ会見の模様が伝わりませんが、利上げに前向きな発言が出ると、更なるユーロ高を招き易いといえ、為替を読み難くさせます。金利差に着目すればそうですが、PIIGS内金融機関の社債、国債などはすでに高利回りであり、その債務整理は不可避とも伝わる中でのユーロ高は意外感もあります。これがリビア介入に伴う、欧州経由で日米に流していたオイルマネーによる投資資金引上げ、という側面であれば次にユーロ安に向かう想定も出てくるのでしょう。

昨日から実施されている窒素注入、米NRC(原子力規制委員会)の提案ということが明らかになりました。NRCは1号機70%、2号機30%、3号機25%の燃料が損傷していると試算しており、すでに圧力容器の損傷により、格納容器内に溶け落ちた核物質が水素を発生させ、爆発の危険が生じていると判断したようです。海水中の酸素と、海水だと発生し易い水素、それが反応する懸念をNRCは示しています。
燃料に塩分が析出し、冷却を阻害しているという想定もあるようですが、こちらは私見ですが懐疑的です。塩は水への溶解度が高いため、濃度が高まらないと容易に析出はしません。仮に水蒸気が炉内から抜けているなら、炉内の塩分濃度は相当高いと想定できますが、圧力容器の底が抜けていればその限りではない。これは二律背反で、塩分が析出するのは水を失った状態と言えます。

しかし、仮に圧力容器損傷が確認されると、今は必死で復旧に向けた作業をしている冷却システムが、実はまったく機能しなくなる。冷却システムは炉内の水を熱交換器により海水で冷やし、循環する仕組みです。炉の底が抜け、水漏れしていれば循環はしない。常に炉内に水を供給しない限り、炉内が水不足に陥ることが必定です。そうなると、数年オーダーで水を上からかけ続けながら冷却し、温度を下げる今の状態が続くことになり、すると高レベルの汚染水が出続けます。海上フロートでも容量は足りず、新たな処分池を検討するか、再びの海洋投棄すら想定できます。また、炉内の水が不足し、乾燥状態に陥ることによる塩分析出も、可能性として出てきます。
圧力容器損傷という事態が判明すると、対策は月単位から年単位へと切り替わります。もし窒素注入が米NRCの想定に基づくもので、東電もそれを認めるなら、早くこの事態を発表すべきでしょう。ただ東電は依然、未確認だとして公表を差し控える気かもしれません。しかし上記想定が正しければ、早く汚染水の処理装置を設置する工事に取り掛かり、長期的な対策をとることが求められます。それをまたしても情報を隠蔽し、後で慌てて国際的にも問題となるような処分に至るなら、東電は企業体としてもコンプライアンスが低い、と見なされ、信用はますます失墜することでしょう。

窒素注入で見えること、それは極めて厳しい現状です。圧力が上がっているので注入が上手くいった、と東電は説明しますが、早いこと格納容器から気体を抜く、換気設備を機能させた方が万全であることは間違いありません。窒素注入も、場当たり的な危機対応です。数年オーダーでの対策をより慎重に、計画的に進めていかざるを得ない段階に移ってきた、今回の件はそれを示すのでしょうね。

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2011年04月06日

雑感。輪番停電について

高レベル汚染水の漏洩が一先ず止まりました。ただ止まったということは、どこかに滞留するということ。いずれにしろ、建屋からの水抜きが必要です。一部は圧力容器内が大気圧、即ち漏洩があるとされます。そこで1号機の格納容器内に窒素を封入しています。炉内の燃料集合体が70〜25%損傷とも伝わりますが、そこにふれた空気から水素、酸素が遊離し、水素4%、酸素5%になると爆発臨界に達する。それを防ぐために窒素を使うとしています。ただ窒素は水素、酸素と反応するとアンモニア、硝酸に変わります。格納容器内は、さほど熱も圧力も高くないとされますが、単に濃度を下げるためとして入れた窒素が、海水と同じように格納容器に打撃を与える結果かもしれません。それでも、予防のために窒素を入れる。今回の対応も、めざす結果と打つべき対策との乖離に、やや不安を覚えるものとなっています。

今春、輪番停電は火力の立ち上げ、気温上昇などでこれ以上はない、という観測もされます。ただ電車は一部、間引き運転が続きますし、工場も操業停止をしているところが再開すれば、再び電力不足に陥る恐れがあります。ただ福島第一、第二で全滅、柏崎・刈羽も計画的に運転を停止、点検した後の操業再開は地元との話し合いで不透明になるなど、真夏の対策が急務となっています。
一般家庭も10〜15%削減を求めますが、この議論は日本の二酸化炭素排出でも散々やった議論です。先に削減を進めていた人より、そうでない人の方が削減幅が大きい。しかも働いている1人暮らしの人間では、昼間家にいない人も多く使用量は元々少ない。家庭という枠に限ってみれば、削減に寄与できる人はむしろアンペア契約数で、50Aを
越えるぐらい多く、普段から使用している人です。

しかし、アンペア数ではなく全体に削減を求めるのは、基本料金が下がって東電の収益性に影響するため。強引にでも、全戸で契約アンペア数を一段階、二段階引き下げればそれなりに削減効果も出ますが、そうした提案はない。企業も削減と言いますが、押し紙というムダのある新聞に夕刊を出すな、とも指摘しませんし、テレビ業界もピーク時に局数を減らす、という提案はありません。
国家公務員は一時的に、給与の5%削減で組合と合意し、それを復興資金に充てるとされます。しかし、民間企業との格差は30%以上あり、そこまで下げることは可能なはずです。官公庁の庁舎、官舎で被災地の野菜をつかうという話もありますが、例えば参議院食堂のカレーのニンジン、ジャガイモは被災地のもの、とされていても根ものでは大して意味がありません。直ちに影響ないけど、線量が検出された葉ものを使って、初めて被災地支援を行ったと言えるのです。

国のちぐはぐさ、どうにも菅政権の常とも呼べるものとなっています。海洋投棄も唐突感があり、海外との調整はこれから…としながら国際法には抵触しない、と述べるなど、国際司法という場を甘く見ているとしか思えません。菅氏は国民新・亀井氏との会談で、役人をうまく使えるのは1.亀井氏、2.自分、3.仙谷氏、と述べたようです。相手を持ち上げるためとはいえ、2位に自分を配したその過信が、すべての元凶となっているのでしょう。真夏の輪番停電まで、菅政権が続くかどうかも分かりませんが、少なくとも輪番政権のような、不透明なたらい回しはやめた方が良いのでしょうね。

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2011年04月05日

経済の話。市場の動き

昨日、発表された日銀短観の再集計、やや意外なほどに変化は小幅に留まりました。これは震災後、提出できるほどの余裕のない企業が多かったこと、また影響が読みきれずにいたこと、などが考えられます。震災から1、2週間の計画停電の影響も織り込まれておらず、関東、東北圏ばかりでなく今後、部品調達が滞ることによる操業停止などが起きて、悪材料視されるのでしょう。日銀が、この材料を元に政策決定会合で緩和的措置をうつ、という手は阻まれましたが、むしろここから対策を打てば超緩和策に陥るのであり、ここからはインフレとの綱引きが生じます。
同日、日銀から発表された3月資金供給残高がより重要でしたが、前年同月比16.9%増と高水準。連日、資金供給を続けた勢いで金融機関、企業、家計など慌てて手元資金を厚くしたことが窺えます。ただ、これは経済的にみれば死に金であり、どこかに滞留して経済の足取りを重くするばかり。といって不要、不急の支出は控えるよう政府が喧伝するため、財布の紐も緩まりません。小売、鉄道関連から3月の落ち込みが示されつつありますが、業績不透明感がしばらく続きそうです。

今週末には4月マイナーSQです。やや売り超ですが、ロールオーバーしてでも売りで持ちたい、という意図が働いたのか、今日はやや大きな下げとなっています。円安も悪材料視されるなど、輸出主導型経済に、供給不安の起きた点が今回は重要です。震災後、解散価値を下回れば買いを入れてきた外国人、年度末でドレッシングを入れた年金系も動きを潜め、売買も低調となりました。
先進国経済は、モノ余りの状態が続いてきました。生産が自国のみならず、新興国へと波及、より安くをキーワードに販売戦略を練ってきたと言えます。今回は供給不安が部品の段階で生じ、新興国でさえ部品が届かない恐れが生じている。つまりモノ不足によるインフレがおきつつあります。それをいち早く悟ったバーナンキFRB議長は、雇用に軸足を置いた政策から、インフレに軸足を移すかの発言を行っています。欧州はすでにインフレを懸念しており、日本だけがインフレでも引締めに移れない。しかも経済運営で比較的優等生だった日銀が、過剰流動性相場に打って出たことで、更なるインフレが意識され、資源の中でも金、原油などは先をとって高くなっています。

欧米で先にインフレ退治に動けば、この価格も一旦は落ち着く可能性もあります。ただ、その時は欧米株が弱含むときであり、日本からの引き上げ資金が流れ込む、という期待も止まる公算が強い。FRBが雇用を見ている、という予測で超緩和状態が続くと考えていると、ひっくり返される恐れも強まっているのでしょう。世界はここ一年、インフレと戦い続けることになるでしょう。
円は一時買い溜めた投機筋が、今度は売りでとろうと仕掛けている向きもあり、ここからの水準はどちらにも仕掛けが利きます。円が最弱通貨になる2000年代前半の想定と、貿易赤字に陥ることでリパトリによる円買い需要が発生する想定と。今は国債と同時に、為替を弄る投機筋の思惑のみで動いていますが、90円まで到達させるには材料不足。一方で証券市場も早期に1万円回復、という思惑が崩れたために当面弱含みが想定され、SQは9500円に近づけてきそうです。

ただ上記、想定を崩す恐れがあるとすれば、東電関連の対応で国際的な圧力が高まることによる、日本政府の信用が失墜することです。情報隠しをしている、そうした憶測が強まると、経済面でもマイナスの影響が生じます。それは経済統計の数字にも不信が高まり、国債は不透明感を嫌気して暴落、というシナリオも想定できるのです。今、世界の不信は日本の原発対応に向いており、海洋投棄が国内法では認められても、国際法では不適当と認定される恐れがある。そうなれば、日本に賠償なりペナルティなりが課される可能性もあります。すると、日本への投資資金も引き上げられるので、こうした動きには警戒も必要です。原発対応、実に様々な悪い展開を意識できる水準まできたのであり、ここから一つ一つの対応で誤まると、リスク材料となり得ることを肝に銘じておかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年04月04日

低レベルの汚染水を、ついに自主的投棄

東電がついに、自主的に低レベル放射性廃液の海洋投棄を始めました。集中廃棄物処理施設内の1万t、5、6号機の地下水1500t、濃度基準は157倍と40倍、500倍と様々ですが放射性物質を含む廃液であることに違いありません。保安院は「やむを得ない」と述べますが、とんでもないことです。水を入れ続ければ、いずれどこかに処理せざるを得なかった、その対策を疎かにし、2号機からの高レベル放射性廃液の漏洩が判明して慌てて処理せざるを得なくなった。これは人災です。
近隣の魚介類を食べ続ければ年間0.6mSvとしますが、これも怪しい数値です。海に流せば拡散してすぐ希釈すると説明しますが、波は寄せては返す循環運動をしているようでいて、実は円運動です。海流にのれば速いものの、波打ち際の水はその場に長く留まります。水漏れしている2号機の水は、シルトカーテンで拡散を遅くする案も示されましたが、もしそれで本当に核物質の動きを遅くできるのなら、逆に放出口の辺りは濃度が高まり、極めて危険な区域になります。穴が見つからないので、カーテンで塞ぐなどは、放射性物質というものを知らない人間の発想です。

最近、海洋の放射線データが示されませんが、北茨城市でコウナゴから約4千Bq/kgの放射性ヨウ素131が検出されました。福島沖は親潮が南下するため、影響が南へ広がっています。データは示すべきなのに、示さない。これは政府、東電による情報隠しと見られる行為であり、海洋で拡散という虚構を成立させる。もしかしたら、ある段階から海洋投棄は規定路線だったのかもしれません。
古い話ですが、低放射性物質の処理に英国ではアスファルト固化し、海洋投棄を行っていました。しかし汚染がひどく、取り止めになった経緯があります。日本でもアスファルト固化が試されており、海洋汚染が伝わって商業的に成立していませんが、長く海洋に留まることを、一部の学者は知っている公算が高い。それでも海洋投棄で拡散、というロジックに拘るのが原子力学会の総意かもしれません。制御棒に関しても触れない、この辺りに「便りがないのが良い便り」とばかりに情報を隠蔽する、原子力という分野の閉鎖性、密室性が垣間見られるようで非常に危険です。

「安全?」と聞けば、「安全」と答える。…コダマでしょうか?いいえ、枝野です。が最近、永田町の流行だそうです。ACの広告ですが、このままでは「甲状腺がん、定期的に検診を」と、ACが広告を流す必要もあるのでしょう。気象庁が出している放射性物質の拡散予測を、政府が公開していない。2位じゃダメのスパコンを活用しつつ、精度が悪いから公開はしないと述べる。それこそ壮大なムダ事業であり、仕分けで拡散予測など止めればいい。それがIAEAの要請に基づき、提出しているものなら尚更国内に公開しないのはおかしい。これも原発ムラの閉鎖性と言えます。
原発を流通させるには、専門家しか内容を知らない方がいい。これが、原発ムラに生きる人間の考えです。しかし、この海洋投棄は日本のみならず、海外から日本は海洋汚染を始めた、という目で見られるでしょう。日本国内で、如何に安全神話を保とうとしても土台ムリな話です。海外からは辛らつな批評や、精緻な検証も出されるでしょう。そのたび、日本は説明の整合性に苦労することになります。この件は、日本が情報公開、報道という面において後進性を示すことにも繋がってきますし、原子力分野における行政、学会等の怪しげな動き、日本の原子力産業に対する不信となって海外にも伝播します。

福島県浪江町で11日間の積算を、年換算すると10mSvを越えると発表されました。30km以上離れた地点であり、これは極めて重大です。屋内自主退避の地域の人は、フィルムバッチを渡し、定期的に監視する必要があるレベルと言えます。補償を嫌がり、国民の健康を蔑ろにする政府の動きは、最早「害悪」と答える方が良いほどとなっています。悪質なデマに惑わされないで、と政府は述べますが、デマゴギーの略であるデマという言葉はデマゴーグ、即ち煽動政治家と読み替えることも可能です。悪質な煽動政治家が、もし「安全」という虚構を垂れ流していたら…。早めに安全というものの本質が何か?それに気づけなければ稀代の嘘つきとして、この政権は歴史に名を残すことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年04月03日

放射性物質封じ込めに、政府の見通しは数ヶ月

菅政権で初めて、放射性物質の漏洩に関して歯止めには数ヶ月かかる、との見通しが示されました。私は最低でも3ヶ月、6ヶ月がかかると以前記しましたが、これは建屋を覆う形で飛散が止まる段階です。高レベル廃水の漏洩が確認された現在、その期間はさらに延びています。
海洋へ洩れている箇所にコンクリ、高分子吸収ポリマーなど、幾つか手を講じていますが芳しくありません。本当に映像でみる勢いで水が洩れているなら、先に目の細かい金網などを張り、そこに砂利を落とし、それからコンクリの投入のはず。むしろいきなり塞げば、そこから水が溢れ出す。作業員の安全のためにも、放り込んで済むような手立てに留まるため、止め切れないとみます。

玉突き排水、という手段で炉内の水を処理する手立てが打たれようとしています。ただ炉外から水を追加するたび、漏洩や行き場を失う水の存在に悩まされる、これはイタチゴッコです。そのため、原子炉冷却システムの復旧を最優先しますが、これとて完全に機能するかは不透明です。まず、炉内の制御棒が脱落している恐れもあり、溶け落ちた燃料が経年的に熱を出し続けます。通常より長い期間、冷却を続ける必要があるのと同時に、通常より多くの熱をもてば、炉内の圧力が高まる恐れもある。すると配管には原子炉特有の応力腐食割れ、という症状が出て、亀裂や破断などが生じて炉内の水がまた洩れることになります。そうした不測の事態に対処しつつ、冷温停止の状態になるまでには、相当長い期間が必要だと見ています。
しかしそれとは別に、施設の密閉性を確保するのに半年以上かけてはいけません。そのために施設内の仮設換気システムをつくり、炉の破損部分を覆う形で封じ込める作業は、それとは別に進められます。人手をかけられるなら、そちらに回せますが、今は炉内冷却システム回復が先。だから施設の密閉回復が遅れています。政府が本気で原発対策をとるなら、この原子力施設特有でない作業に人を手当てする。それが政府の本気度ですが、そうした対策はないようです。

線量計が足りないなら、近くの茨城県東海村にある施設や、宮城県の女川原発からもってくる。それが政府主導の、国が一丸となった対策です。なのにそれもなく、政府の対応はどこか他人事であり、メディアに流れて初めて対策を打つ、という形。統合対策本部が機能しておらず、政府はただ東電から上がってくる情報を、ただ横流しするしかしていないように見えます。
本部が機能すれば、現場から上がってきた問題点に対し、横通しで対策を打てるはずですが、それがない。東電という狭い範囲で困ってから、初めて屈折型放水車などの民間からの協力が得られる形となっています。政府対応という点でも、この福島第一原発の事故は人災、と呼べる状態になっています。それでいて「数ヵ月後に…」と述べるから、俄かには信じ難くなるのです。政府が介入して統合対策本部を立てたのなら、問題点を現場と共有する、というまず根本の信頼関係を構築する前に、菅氏がその信頼を崩して怒鳴り散らし、あまつさえ官邸に有識者を集めて官邸内別組織をつくるなどの、おかしなことを初めてしまった。それでは、情報の共有化など図れるはずがありません。チェルノブイリ化、汚染がすすめばそうした形になります。少なくとも政府ができる責任として、管理区域を設定するための建屋補修、という大工事に対する人員確保ぐらいは、政府の手で行うべきではあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年04月02日

大連立の動きが俄かに…

政局が俄かに活発化してきました。菅首相が自民党・谷垣総裁に副首相・兼復興担当相を打診したのと異なり、今度は菅氏が辞任する変わりに谷垣氏を首相に、仙谷氏を副首相に、輿石氏を民主党代表にすえる、という具体的提案です。先に民主党からは内閣法改正し、震災復興担当、環境相、沖縄北方担当相とされ、副大臣6、政務官6、首相補佐官5人も追加する意向です。こうしてポストを準備し、救国内閣を作ろうという呼びかけは、菅氏も合意済みであるとされます。
若干、違和感の残るのは菅氏はここで辞任すると政治的には終わりです。情緒不安定で政権運営はもうムリという話もありますが、危機対応に失敗、人徳もなく、資金力もない。党代表の座に返り咲くこともないので、菅グループは自壊の一途を辿るでしょう。それを呑まざるを得ないほど、頑なに首相の座にしがみついていた人物が折れるのか?そこにナゾが残ります。結果的にそれは、救国のためではなく、大増税が国難を救う唯一の策、それを成し遂げる執念ではないかとみます。

元財務相の谷垣氏をトップに、大増税連立を図る。与野党とも、大増税の立役者となれば選挙で争点にならない。役人が相談に来ない、と不満を託っていた自民古株の族議員も、連立になれば影響力を行使できるとの思惑で森氏、古賀氏、町村氏などは派閥をまとめ始めました。むしろ閣僚を差し置いて、役人は長い付き合いの自分たちを頼るだろう、との判断も含まれているはずです。
しかし国民新は統一地方選の民主党議員への推薦をとりけすなど、小政党は警戒モード。郵政関連法案の扱いもありますが、明らかに相談もなく話を進める民主を嫌った動きです。大連立になれば、小政党は埋没。民主との連立も視野に入れていた公明、社民も立場をなくし、国会がおざなりにされる恐れを訴えます。震災で敵対的な国会での対決姿勢は減っていますが、国会ではなく与党内協議ですべてを決することができるので、その危惧も当然と云えるでしょう。

大連立は、結果的に増税を正当化するためだけに民主、自民の増税派が組む形となることが必定です。小政党も不足する財源、ということは重々承知しているので、経済を学んで対立軸をつくるしかない。一方で、大きな対立勢力として浮上しそうなのが減税日本です。大連立が増税による復興を目指すなら、ムダ遣いを削減して減税による経済復興を迫る、という形が鮮明になります。
そして、そのトップには小沢氏がつく可能性も高くなります。逆に、この大連立は反小沢同盟でもあり、小沢氏の復権を阻む目的を併せ持つ、という言い方も可能です。菅氏が大増税を悲願とするのと同様、小沢氏の復権を恐れるがゆえ、自身は手をひいても仙谷氏をすえ、睨みを利かせようという算段なのでしょう。一方で輿石氏を登用し、反大連立の動きを牽制する。それが、この大連立における反小沢派の考えです。

救国と云いつつ、実はまだ狭いムラの中で権力闘争をくり返す。これが菅氏の実態とも言えます。当時の学生運動に興じた人の中には、既存の権威を否定し、信ずべきものを失ったため、自分という存在が極端に昇華され、自分を崇め奉ってくれる者には甘くなり、自分を蔑ろにする、敵対する者はとことん忌み嫌う性質をもつ人がいます。攻撃的なまでに過剰な反発を示すのは、自分が揺らぐことを過度に恐れる、そんな人間とも云えるのでしょう。人間の弱さ、脆さをこれでもかと見せつける菅氏、これが救国ではなく、救自分で大連立を模索する根拠であり、菅氏という人間の性と言えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年04月01日

経済の話。3月日銀短観

3月日銀短観が発表されました。11日までの回答が72%で、震災前だったこともあり、4日に震災後のデータを公表する、という異例の対応です。大企業製造業DIは+6(1pt改善)、大企業非製造業DIは+3(2pt改善)。中小企業製造業-10(2pt改善)、中小企業非製造業DIは-19(3pt改善)と、いずれも改善傾向でした。日銀が4日に再発表するのは、短観は3ヶ月に一度、このデータを指針とし、その間の対策をうつと不整合を生じるため、異例対応を正当化する4日のデータを今後使う、という意味です。
民主党内で日銀に直接、国債を買い取らせる案があります。しかし、経済無知を露呈する内容であり、容認はできません。財政規律が壊れますし、市場の価格調整能力が喪失する恐れもあります。日銀の信認にも傷がつき、良いことはただ幾らでも国債を発行できる、というご都合主義のみ。いくら異例な対応とはいえ、長期的にみてマイナスのことはすべきではありません。政府が日銀と連携することと、日銀と一体となることはまた別であり、民主党内の誤まった認識の一つといえます。

短観では自動車が2pt改善とエコカー減税の剥落から、立ち直りも見せました。ただ震災で3月新車販売は前年同月比で35%減、と壊滅的です。さらに部品調達の遅れから、工場停止や出荷もままならず、今後数年は自動車産業の停滞が意識されます。生活が落ち着けば、被災者の多くが車を失っており、買い需要も出るかと見られますが、被災者が新車購入も難しいでしょうし、海に流されたことで車の玉数が減り、中古市場の高騰など今後いくつか影響も出ます。日本車は中古で輸出されることも多かったのですが、これは国際市場の中古価格にも波及する問題となります。
同日、発表された生活意識に関するアンケート調査でも、個人の判断指数DIは-42.3(9.4pt改善)となりました。これも震災前の数字で現状に即していませんが、節約モードと水やパン、余計な交通費などへの出費で相当落ち込むことが想定され、極めて厳しいのが現状です。

相場は新年度入り、年金系、米系のTOPIX先物買いで3月相場はかなり下支えも利きましたが、ここからは新規資金の流入が期待できません。しかも日銀が資金供給を続け、欧米と遜色ない通貨ジャブジャブ発行状態に陥ったため、悪いインフレがおき易くなっており、円全面安症状も引き起こされています。リパトリを封じられ、輸出できる品物もなく、輸入コストだけ上がる円安は、今の経済にとってマイナスの打撃となるでしょう。何より、スタグフレーション懸念が襲っています。
この時、政府が打てる手が一つあります。それは米国債の売却です。半年で5兆円程度米国債を売り、それを復興費用に充てる。前回の介入規模が7千億円弱だったことから見ても、半年で5兆円ならまずまずです。ただ、米国を裏切る形となるため、外交交渉は相当に困難を極めるでしょうが、復興費用捻出のために半年という期間、金額を区切って円買い介入をしても、今なら容認される可能性もあります。復興費用捻出に、日銀に国債を買い取らせるよりも、よほど現実的な対応です。

米国は3月雇用統計で失業率が8.8%、非農業部門雇用者数も21万6千増と、予想より良い数字で着地しました。しかし米国とて、日本の震災で輸出がままならず、部品調達の停滞などで販売計画も狂うことから、4月以降が正念場を迎えます。6月にQE2終了が既定路線化されてきましたが、この流れの中に日本が輸入大国となり、世界で物不足が起きることによるインフレ懸念も含まれている、ということです。経済指標が今をピークに、調整色を強めることが米国でも意識されるでしょう。
相場的に、明るい材料は日米欧が資金供給力を競うため、インフレ懸念が生じて市場に運用資金が更に流れこみ易くなる、ことぐらいです。しかしすでに運用難、世界的にも高すぎて買い難い市場ばかりであり、バブルがいつ弾けてもおかしくないところで、高止まりしている状況もあります。経済指標が好調であること、市場が好調なこと、これは並存状態であり、どちらかが崩れても不安定さを増す、という意味では新年度入りでも、楽観できない展開がしばらく続くのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |