2011年05月

2011年05月31日

日本の格付けと増税議論

今日の株式市場は大幅高、しかしいずれも押し上げた材料は中長期的にみると悪材料ばかりです。欧州で、ドイツがギリシャ支援に前向きとなりユーロ高です。ただ債務再編が不可避と市場から見られており、支援は時間稼ぎに過ぎません。またムーディーズが日本国債の各付けを引き下げ方向で見直し、債券安、通貨安となったことも影響し、円が一段安となりこれも市場の上昇に寄与しています。欧州系のCTA筋による債先売/株先買が出たことが、取引をみても明白です。
先にS&Pが東電を5段階、投機的水準まで格下げしています。政府が債務削減や低利融資を求めたことで、東電の財務は破綻水準とみなされたことが影響します。政府はそれでも金融機関に融資を促しますが、銀行も原資は預貯金ですし、収益性の悪化は銀行の経営体力に影響します。つまり東電への融資は、すべて貸し倒れ引当金を積まなければできないので、もし仮に政府の思惑通りにすすむのであれば、今期の銀行業績は大赤字の公算が大、民間企業ではとても受用できない問題です。

ムーディーズの日本国債の見通しに関し、地方自治体、企業等の格付けも見直しが示唆されます。母体である国が格下げになると、機械的にそこに属す債権発行体も格下げ、利回り上昇を余儀なくされます。国の財務事情とは、景気のみならず企業が日本にとどまるか、海外に拠点を移すか、という判断にまで影響する問題です。そんな中、社会保障と税の一体改革で消費増税が示されました。
格付け機関も日本の社会保障費に注目していますが、集中検討会議で示された内容は、与謝野ビジョンを踏襲した、来年に消費税を8%、2015年に消費税を10%にする2段階引き上げ案。しかも、小税増税でも景気は落ち込まない、逆進性を緩和する税の軽減も必要ないという内容になっています。

政府は年末には景気が緩やかな成長軌道に戻る、との認識を崩していませんが、景気が安定的に成長する見通しがあって増税するのが常道です。しかし今、震災で景気は落ち込む中であり、政府の景気見通しが外れたときの担保もありません。しかも、企業は格下げで資金調達コストが上がり、資金繰りが苦しくなることが確実な状況で、増税を行えば、確実に日本がギリシャの二の舞になります。
ギリシャは財政健全化のため増税しており、それがさらなる景気鈍化に繋がり、財政目標に達せず破綻懸念を生んでいます。日本の検討会議では成功例ばかりひきますが、直近の世界の流れは増税で景気鈍化、という流れが鮮明です。これは今が過剰流動性により、景気低迷を防いでいる状況であるため、資金調達の選別がおき易くなっており、長期安定運用というスタンスの減少が影響します。

与謝野氏は復興税は消費税以外、と言明しています。復興財源に消費税だと期間が限定され、しかもその間の景気鈍化という実態が、再び消費税議論を始めることの足枷となります。ここにきて、慌ててこの提言を出したのは、政局で仮に選挙となった場合、消費税を焦点に戦わせれば民主、自民が増税路線ということで、国民の信が得られたと喧伝するためであり、また菅政権が終わった後の政界再編でも、軸として機能するとの思惑が働いたものなのでしょう。
豪州が大雨、洪水などの災害でGDP1%程度の押し下げになる、との見通しが出ています。日本の震災がコンマ数%程度の落ち込みで、すぐGDPも回復すると考えるのは豪州の例からも明らかに異常です。鉱工業生産も3月の落ち込みから、4月は1%回復、5月には急回復の見込みです。ただこれも、元の状態に戻るまでは達するかどうかは、世界の動向にかかってくるとも云えます。中国の旱魃、米国の竜巻、異常気象という自然災害の影響もあり、景気に目配せせずに増税を行うようであれば、日本は政治リスクで景気回復ができない、としてこれも世界から見限られる原因になるのでしょうね。

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2011年05月30日

菅政権の五大老について

内閣不信任案の提出にむけ、もう少し検討してみます。菅首相がもし仮に復興対策、原発対応に命をかける、ということなら総辞職する代わりに横滑りで、復興担当相への就任を党へ打診しても良いはずです。そうすると党代表選の間も、復興は現政権で続けて担当できるので、時間的ロスはないことになります。しかし菅政権は解散をチラつかせ、震災復興ではなく政局を選択する動きが活発であり、これは反菅勢力ばかりでなく、菅政権の側も政局を望んでいることを意味します。そこには権力に執着する菅氏、以外に菅政権五大老の政治家としての動向が影響しています。

私が指摘する菅政権五大老とは、枝野官房長官、岡田幹事長、安住国対委員長、仙谷復興担当相、江田法相です。まず江田氏は昨年の参院選で、議長としては異例の民主党公認で戦うなど、選挙弱い側面があります。しかも5年後は75歳と高齢で、菅首相以外では公認も出ないでしょう。社民連時代からの付き合いですが、菅氏へのパラサイトは強く、菅政権が倒れれば浮かぶ瀬もない状態です。
仙谷氏は官僚の声に耳を傾け、決断する政治家として霞ヶ関のウケはいいですが、永田町では逆の評価です。真っ赤な思想、態度から扱いが難しい。赤みを帯びた菅政権以外では色味がおかしくなるといった評です。菅氏から飼い殺しの目に遭いながら、政権にしがみつくのは、菅政権以外で要職につくのは難しいと自身も悟っているのでしょう。身内におくと政権が食われる恐れもあり、非常に扱いにくくなった。霞が関に顔が利きすぎる、というのは逆に寛容な党首以外で動きにくい。豊臣秀吉と黒田官兵衛のような関係で、懐柔か飼い殺しかしか選択できない。逆にそんな扱いにくい人間を閣僚で迎えるはずもなく、菅政権以外で力を発揮するのは難しい。だからあくまで菅氏に協力します。

安住氏は国対という重要な役職についた途端、強行路線が増えた、いわゆる権力で態度が変わった、もっとも顕著な人物です。防衛事務次官通達で政権批判を封じ、国対というよりメディア戦略といった側面が強く、これはNHK出身という面もあります。しかも今は国対なのか党対策なのか、やたら党内に強気の発言を繰り返しており、自らの立ち位置を不鮮明にしています。国対として、玄葉政調会長のパイプにしか頼れず、いずれも連立が破綻したのに、その責任もとらない。逆に、菅氏におべんちゃらを使う以外、本来であれば国対解任になるほど、その手腕は疑問視されているのです。
岡田氏は、間違いなく菅政権が崩れれば主君倒れて…ともに討死です。まず党内引き締めで恐怖政治をしく態度、調整に骨を折るより先に処分がくる、極めて問題も多い党運営です。選挙弱さも顕著、それなのに菅氏は甘い判断で幹事長職にとどめるため、恩義に報いるつもりなのは、安住氏と同様かもしれません。自分に甘い人間が、他人に厳しいともっとも嫌われますが、人間性の問題としてもう岡田氏が党代表選で、多数をとることはほぼなくなった、と言えるのでしょう。

枝野氏は一部の世論調査で、次期党首候補No.1ですが、菅政権の隠蔽体質を嫌う人が枝野氏で良い、というのは矛盾です。なぜなら、枝野氏が情報隠しの首謀者だからです。弁護士らしく、弁護する立場の人間の利益を最大化するため、黒を白と言いくるめても主張を通す。この手法を見抜けないと、裁判でも口舌の徒に手玉にとられてしまいます。菅政権の情報発信は、すべて枝野氏の検閲を通っている、ということを抜きにして、その弁舌の冴えだけに誤魔化されてはいけません。
むしろ、枝野氏が党首になればより酷い情報隠しが行われる恐れすらある。それで、今後も原発対応を任せるのか?という議論が今は皆無です。むしろ、菅氏の能力不足を補っている分、悪しき部分も内包しているのであり、その点を誤ると大変なことになるのでしょう。結果的に、五大老はそれぞれの事情で、菅氏を歯がゆく思いながら忠誠を尽くす、それが菅政権の姿と云えるのでしょう。つまりいずれも、菅政権以外での自身の立ち位置に思いやり、この党首を外せないという打算の結果なのです。この五大老を通し、政治とは何かをもう一度考えないと、震災対応が第一義に…などという聞こえの良い言葉に騙されることになります。それは保身と利権の代弁のため、理屈づけに用いられているだけ、ということになっているのですからね。

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2011年05月29日

内閣不信任の景気への影響

今週、内閣不信任が提出された後の、経済的な影響について考えてみます。市場的には極めて厳しい環境です。菅政権が倒れた後、どういう政権が生まれ、どういう政策が打ち出されるか?その情報がなく、市場がもっとも嫌う不透明性の高い状況です。27日には欧州系の大量売りでましたが、27週買越しのの外国勢が円高をみても、利益確定売りを出しやすいタイミングとなります。

不信任が否決されれば、菅政権がお墨付きをうけたことで、2次補正の遅滞が鮮明となり、それもまた売り圧力を強めるでしょう。内閣府は世界経済報告書を出し、震災の影響は軽微で、世界経済の成長は3%前後と見込みますが、東北地方の復興の遅れは、日本経済単体でみてもGDPを1%近く押し下げるでしょう。今は節電用の家電が売れている、とされますが、消費電力の高い商品は、実は高級品で粗利の高い製品とも云えます。日本のGDPも個人消費が大半を占めるのですから、被災者の低調な消費とこの低価格帯の消費。両者の影響は4-6月期GDPにも出てくることになります。
菅政権の経済に対する見通しの甘さが、仮に否決でも売り要因となりそうです不信任が可決されると2つの見方があります。解散は最悪で、1ヶ月は市場も様子見。何しろ民主も自民も過半数をとれそうにない、という状況で、経済政策も選挙の争点になりにくいことから、買う材料もない状況です。恐らく次期政権は連立、しかも政界再編の端緒でしかなく、部分連立となる恐れもあることから強い政権による政策の推進、という見方もできません。しかも菅政権が推し進めた政策は尽く見直されそうですから、市場の買い推奨銘柄も変わってくることになります。

菅政権が総辞職すると、民主党政権の政策は継続されるので、その分の安定は出そうです。しかも民主党代表選ならば最短なで1週間で後任が決まるので、問題は後任が誰かになります。市場では予てから小沢待望論があるように、小沢氏なら落ち着きも早いでしょうが、今回の出馬は微妙でしょう。公判を戦いながら国会審議の場にたてば、三権分立も無視して公判の内容が国対に影響するのが確実です。小沢系が代表に推されると、一旦市場は落ち着くかもしれません。ただ、長期的な買い材料となるかは、そこで出される政策などが影響するので、問題解決への手腕が問われるのでしょう。
今回の倒閣の流れ、メディアでも毎日-TBS、朝日-テレ朝ラインは紙面でも、テレビのコメンテーターからも「気がしれない」と酷評です。ただ原発の情報隠し問題もあり、菅政権に乗れないといった感も強く、全面支援は打ち出せていない状況です。菅政権は、パニックを恐れるとしてひどい情報隠しをしてきました。しかも情報に対し、閣内不一致の状況をみせます。海水注入を知らないという官邸サイド、事前に注水開始をFAXした東電本店は、停止についても報告をしたはずです。仮に、現場が勝手に注水を続けていても、本店は止めたと信じていたのですから。ならば、2度も官邸サイドに報告をしたのであり、それを官邸は知らないと白を切り続けています。SPEEDIの隠蔽も同様、そんなことがあることは知らないと述べますが、もしそうなら高木文科相の責任として辞任させねばなりません。

菅氏と朝鮮総連との関連も、俄に話が盛り上がってきましたが、もしそれが毎日、朝日の動きに関わるのなら、今のメディアの菅政権支援の動きは極めて悪質とも云えます。朝鮮半島のことわざで「虎の居ない所では狸が虎になる」というものがあります。民主党の政党助成金、173億円を握りしめて解散に打って出て、札束で議員をつなぎ止めようとするのか?そうなれば数億でゴタゴタするより、利権型の政治家という印象を強くさせるのでしょう。景気を低迷させてでも解散という選択をし、一ヶ月も国政を停滞させる気か?菅氏の判断には注目も集まるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年05月28日

来週は政局へ

来週、内角不信任が自公から提出される見込みです。6月1日党首討論、2日衆院本会議、3日参院予算委集中審議、重要日程のどこで出しても国会は異様な熱気で包まれるでしょう。谷垣氏は5日の青森県知事選で勝ち、しずしずと会期末に出すつもりでは?とみていましたが、公明が提出にむけて積極姿勢となったため、ここで出さなければ谷垣おろしの風が吹くと悟ったようです。民主・自民両党とも党首が追い詰められた結果、重要局面を迎えているので、ほぼ不可避の状況になっています。

民主内の動きは、両院総会を求めて決起。執行部が開催を拒否すればそれを根拠に、仮に開いても質疑で誠意が見られない、と執行部への叛旗を翻す根拠になります。執行部も対応が難しいのは、震災復興を政権存続の錦の御旗にするため、解散はそれと逆行する流れです。自ら対応する方が、震災復興が早くすすむ、という理屈で解散しても、支持率20%台、震災対応への評価は80%程度が評価せず、という世論調査をみる限り、国民がそれを否定します。つまり党執行部に従い、解散して戦っても勝てないことが明白であり、逆に解散権をちらつかせる執行部に不信感も募っています。
民主党は派閥、グループの結びつきがゆるく、票読みは難しい側面もありますが、来週の執行部の対応次第では100は造反が現れますし、最低でも50は流れそうです。棄権、退席は20〜50、最低ラインでぎりぎり否決、むしろ可決の可能性が強いとみています。菅政権では、党内調整を経ないことが多く、採決見込みで委員会を開催しても直前でとぶ、ということが度々おきます。閣内調整もなく、公式の場で菅氏が発言し、後で調整に混乱する場面も度々ありますが、それが政治家・菅直人の限界と呼べます。戦略性がないのは調整、根回しという組織を維持する上で大事なことを蔑ろにした結果、党内をばらばらにしてしまったことで、政権運営が不安定となり、それを嫌って党内に政策をはかることもない。人を信じられない裸の王様、天上天下唯我独尊、それが首相の座に執着する原因でもあります。

自民も反小沢であれば…という石破氏、小池氏などが内閣不信任に後ろ向きでした。ここで倒閣を起こせば小沢派が復権してしまうので、それは困るとの腹づもりです。ただ反小沢だけで、政治がまとまれたのは昨年まで。警察、検察の不正捜査が次々に明らかとなり、起訴即有罪という常識が通じなくなった今、大同団結できるほどの材料になり得ない。復興基本法案の修正協議を行うにしても、菅政権の閣僚増員や、会議乱立の手法をみると、どこに乗って共に復興策を練るのか?まったく不明です。自民党内にも、菅政権に協力できないとのムードが強まる中、反小沢派が押し切られた形です。
公明が倒閣に強く動いたのは、公明支持層から続々寄せられた、被災地の声という側面が大きいのでしょう。自公連立を組むまでは、弱者救済を党是とし、創価学会とも連携してきた公明にとって、支持基盤である学会員の声は無視できない。特に、女性支持層の突き上げが大きく、現地にボランティアに行った人間などを含め、菅政権のひどさに腹を据えかねた、というのが実態とみています。

党内基盤の弱い民主が、党内に敵を作って選挙は戦えるはずもない。それが菅政権の選挙弱さとして顕在化してきました。来週、代表経験者との階段を渇望していますが、今更頭を下げるなど菅氏のプライドが許さないでしょう。仮に下げても、修復は不可能です。下手をすれば、菅政権の泥舟で選挙は戦いたくない、として大量に処分者を出せば、民主は解散しても最初から過半数割れという事態になりそうです。自民も公認を着々増やしており、戦える体制はつくってきたのであり、逆に菅氏を初めとした民主執行部は、まったく準備不足。これで解散できれば、菅氏はあだ花だけは咲かせるでしょう。ただしそれは、民主党を壊した男としての評価であり、この一週間から十日近くで菅氏がどう動くのか?それ次第では、今年の夏は節電どころか、大節約時代が訪れるのかもしれませんね。

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2011年05月27日

ドービル・サミットが閉幕

関東、甲信越が梅雨入りし、台風も迫ります。心配なのが被災地で、地震と津波で堤防が決壊している河川、ダムも一部は決壊しており、地盤沈下で大潮のときに水没する地区など、水に弱いところは警戒も必要です。また空気中に浮遊している放射性物質が、雨により叩き落とされるので、福島第一原発の近隣では、放射線量が再び上昇する恐れもあります。グラウンドの土を入れ替えても、線量が高くなれば元の木阿弥、今度はその上に土を盛るか、再び削った土をどこかへ運ばねばいけません。国が98%まで、土の入れ替え費用を負担する話もありますが、2度目があるかはまだ検討前です。

フランスのドービルで開かれた主要8ヶ国(G8)首脳会議が閉幕しました。日米会談で、9月前半にオバマ大統領から訪米が要請された、という話があります。米国は6月政局を見すえ、解散にしろ総辞職にしろ、次期首相が組閣後、外交のトップで訪米という形になるよう、時期を設定したものです。外務省内チャイナスクールから米より先に中国、という動きも出るでしょうが、この辺り米国が先に外交でベットしてきた。臨時国会まで、菅首相であることは『想定外』ということなのでしょう。
菅氏は会議の冒頭を飾りましたが、内容は薄く、太陽光発電を1千万戸設置と華々しく述べたものの、いつも通り海江田経産相は「聞いていない」とします。閣内調整もなく、政治主導は首相主導だ、と誤認するから起きることですが、そのため現場が混乱して調整に余計な手間がかかります。実現すれば己の功績、できなければ部下のせい。このトップだから情報隠しが起きますし、部下が従わなくなる。G8でも、誰も彼の言葉に感動や同調することはなかった。外交でも深刻な一人芝居が続きます。

G8では中東・北アフリカ支援に、米国16百億円、欧州12百億円の支援を表明しています。債務削減などが主で、新規融資は少ない見込みですが、この計画から日本は除外されました。同時にIMF、世界銀行も融資を行うようですが、ここに先のIMFストロスカーン専務理事の醜聞がでっち上げ、謀略だとする一部、仏国の世論に渦巻く根強い声が含まれている、という見方がされています。
IMFが中東・北アフリカに対して融資する、ということは政策への提言が可能、ということを意味します。国家間では内政干渉でも、国際組織が経済・財政に口を出すことは、融資を行う上で当然との見方もされるからです。欧州主導で中東・北アフリカ支援が行われると、米国が狙う権益拡大などの計画が頓挫しかねない。次期候補に仏国のラガルド経財産相の名もあがりますが、この混乱に乗じて米国はIMFを動かすことができます。米国で逮捕されたストロスカーン氏、真実が何かはまだわかりませんが、米国にとって最良のタイミングだったことは、ほぼ間違いないと云えるのでしょう。

インターネットの議論も、米国発のサービスはとかく個人情報の扱いが悪い。Google、Appleの位置情報特定、Twitterのページ閲覧情報を開示する行為など、それがサービス性向上だろうと、同意なく情報収集される仕組みが埋め込まれています。お財布ケータイが導入されますが、これだけ個人情報の扱いが悪い国、小売にも怪しい店が多い国で、上手く機能するかは疑問も残るところです。逆に、そういう形が真剣に討議されず、検閲だけを問題とするだけでは、真の議論とは云えないのでしょう。
原発、エネルギー政策、世界経済、いずれも具体策は示されず、各国の裁量に任せた部分が大きい。中身としては、各国の思惑が一定程度通った形ですが、国際会議としての意味はなかったと云えるのでしょう。ほとんどの首脳が支持率低迷に悩み、国内事情絡みで、議論が主導できない側面はありますが、世界経済の不安定要因として新たに加わった原発問題でも、IAEA頼みです。国際機関に頼るのなら、G8のようなムダな会議は、莫大な予算をかけるまでもなく、それこそネット会議で十分、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2011年05月26日

経済の話。日中サプライチェーンの行方

菅政権・東電の「海水中断はなかった」との報道は、深刻な大本営発表の不審を生み出すでしょう。当初、斑目原安委員長に責任を押し付けたものの、辞任に追い込まれれば辞任ドミノが起き、菅首相も退陣を迫られる。それを恐れ、手打ちのため「可能性はゼロでない」と修正、今度は福島第一原発所長の独自判断により中断なし、との発表です。この紆余曲折は、現場責任者として本社とケンカしてでも作業員、現場を守る所長に罪を負わせれば世論の目をごまかせる、とするこすい判断の結果なのでしょう。もしこれが本当なら、現場の暴走であり、指揮命令系統の崩壊なので所長を即座に解雇する必要が出てきます。
ただ辞められては困る、という世論が守ってくれる。FAXで官邸、保安院にも海水注水の内容が送付されていたと報道された後、政治の力学で、誰かがシナリオを書いたとしか思えません。市場では『政局の6月』とされますが、菅政権の暴走は止まらず、延命のために東電と組んで事実を捻じ曲げようとする。深刻な情報隠蔽が起きています。政局ではなく、これは隠蔽事件とさえ呼べる事態です。

昨日、財務省から4月貿易統計が発表され46百億円強の赤字でした。4月中旬までの結果とほぼ同じ、下旬だけではトントンという結果です。輸出は昨年比12.5%減、輸入は8.9%増でしたので、これは震災後緊急輸入を膨らませたものの、消費鈍化で思うように販売が伸びず、下旬に輸入が手控えられた結果なのでしょう。ただ火力フル操業により、原油やガスなど高水準の輸入が続くことから、年内に黒字化するかはサプライチェーンの回復にかかってきます。そしてこの傾向は、米欧中にも影響を与えています。
米欧中で鉱工業生産、製造業景況指数が軒並み悪化。これは在庫の減が主な要因ですが、部品供給が滞り生産計画が立たないことも内在的な要因です。一方、中国で今夏は電力不足が指摘され、中国の製造業が打撃を受ける恐れがあり、夏場以降も供給不安が続く予想もされます。世界の工場である日本の震災と中国の電力不足、これは世界全体に対して供給パニックを引き起こす恐れすら出てきました。

今日の株式市場は9500円台を回復、一見すると強い相場です。よく売り方相場と云われますが、下がると買い出動する日米証券系の思惑が強い、つまり下げさせない相場です。9380円を節目とし、その水準を割ると震災後に買い増した分が損失となる。新規投信の設定を囃す向きもありますが、逆に海外勢のこれ以上の買い増しがないと、市場の上昇余地はありません。この綱引き、思惑の差が値動きを小さくさせ、相場全体を気迷いにする元凶ともいえるのでしょう。CTA筋など、どちらかと云えば値動きをつけたい投資家も日本市場に魅力を見出せず、傾きをつけ難くさせている。日経225ミニでNエッジJが大きく動かないと、今日のような3桁の上下動がでなくなっているのが実態です。
欧州はギリシャの債務再編不可避、の見方で資金ショートの恐れがあり、またECBが南欧支援で資金を吸い上げれば、景気に影響します。インフレ懸念が燻り、利下げや紙幣増刷の手が使えないため、市場が変調すればすぐにでも資金引き上げにかかりたい。短期のポジションしか組めないのが現状です。一部で、今回はセリング・メイで調整しただけで、すぐに再び上昇基調に戻る、とする意見もありますが、日中の製品供給能力と、南欧の債務問題の行方を見ておく必要があるのでしょう。ギリシャが債務再編になれば、アイルランドやポルトガルも格下げ、との格付け機関の提言もあります。支援の基準が曖昧で、いつ梯子を外されるか分からないのなら、格付けも下げざるを得ないということです。欧州ではストレステストも基準が曖昧で、内容も信憑性が薄い、とされています。当局がどれだけ問題ない、と述べても市場や国民から信頼されない。日本の震災も、アラブ圏の政変でも同様ですが、21世紀は政治という場が世界全体で大転換を向かえる、そんな世紀として記憶されるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年05月25日

菅政権と原発対応

東電が発表した福島第一原発の状況。1〜3号機がすべてメルトダウン、圧力容器も格納容器も破損、という明らかにされました。今回の発表がさらに不審を増すのは、IAEAの調査が入る直前になって、やっと発表されたということ。つまり国民に知らせることが第一義ではなく、国際的な評価を気にしたものだった、ということが政府・東電が国民の安全を軽視する姿勢と重なる、ということです。

地震により、タービンを回す蒸気配管も破損していた可能性が示されました。津波だけが想定外、ということで、地震では壊れていない、と抗弁する専門家もいますが、それとは異なる見解です。蒸気配管は高い安全性が求められ、地震で壊れてはいけない配管です。また建屋内にあるため、津波の被害とは想定できないものであり、確実に地震で壊れたのでしょう。又聞を掻い摘んで説明すると、配管は3軸の耐震構造があり、配管の伸びる方向が1軸、横方向に1軸、縦方向に1軸となります。高い安全が求められる配管では、絶対壊れてはいけないため、軸方向にガイドを設けて3軸以外には揺れないよう抑え、ガイドの動き、その遊び分で揺れを吸収するよう設計されているそうです。
原発は堅い地盤の上に建てられるので、長周期振動でねじれが負荷としてかかる可能性は低いとされますが、今回はかかったかもしれない。耐震設計を超える震動では、ガイド部分の遊びが足りず、そこが抵抗になって配管を破断させる要因となったかもしれない。原発の耐震設計を見直す、とはこうした配管一本一本に及ばなければなりません。それが今回の福島第一原発を襲った震度、局所的な揺れより低い場合、すべて補修、改修が必要となってくるのです。浜岡原発停止ばかりでなく、全原発の耐震設計をチェックし、こういう基準だから大丈夫とお墨付きを与えない限り、地元も納得はできませんし、国の安全審査は相変わらず抜けが多い、と指摘されることになるでしょう。

東電の情報発信の遅さ、隠蔽体質が問題視されています。対応で忙しい、火力フル操業などで忙しいと云っても、従業員数百人の企業でもありません。正しいデータの解析、現状認識があって、初めて対応が可能なのであり、ここで発表されたことは極めて重要で、IAEA調査まで発表を待ったとしか思えないのです。
それでいて、菅政権は国際的なコンセンサスとは異なる基準で動いています。IAEAは3月の段階で飯館村で土壌中に基準の2倍の放射線量と警告し、その後日本政府は問題ないとしました。しかし計測方法が表面を計るIAEAと、数センチ下まで掘って全体を計る日本と、計測方法が異なっていたことが明らかとなっています。また子どもの被曝を年20mSvに定めたことも問題で、1mの高さで計測した3.8μSvと地面で計測したものとは大きく異なります。放射線は距離が大事で、子供の大事な臓器は1mより下にあり、より高い被曝に晒されます。また農作物などで300、200ベクレルと基準も示されますが、これは少量でも内部被曝することを意味し、安全という意味ではマイナスと受け取られています。

15%の節電目標に達成しない企業は、罰則という話があります。それで作業中に熱中症、脱水症状で倒れる人間が出ても、国は面倒をみないでしょう。安全管理が悪いと云われるだけです。そうなると企業は生産性を落とし、それは賃金の減少として労働者にはね返る。夏ごろ不安視される景気低迷は、政府主導のこうした態度の中にあります。よくこんな時、政局をするなという人がいますが、菅政権では国民の安全を守れない、2次補正の遅れにより経済低迷が深刻化するから、変えなければダメということなのです。
最後に、ギリシャの賢人アリストテレスの言葉でしめます。「言葉には何が有益で何が有害か、すなわち何が正しく何が正しくないか、それを明らかにする働きがある。善悪、正不正等の感覚をもつことだけが人間固有なのだ。このような価値観の共有が家と国家をつくる」 残念ながら菅政権とは善悪や、有益、有害の判断は共有できないと感じるからこそ、不支持にならざるを得ないとなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年05月24日

雑感。陸山会公判での水谷元会長の証言

布川事件の再審請求に対し、水戸地裁は無罪の判決を下しました。昭和42年に起きた事件であり、無期懲役が確定していた事件としては、足利事件に続いて7件目の再審無罪です。今回の事件でも目立つのは、自白重視の検察の公判にたいする戦略です。被疑者に事件を語らせれば、公判は維持できるとして、検察自身が組み立てたシナリオに、被疑者を誘導していく。一度同意したり、供述調書にサインしたりなどすれば、裁判所もそれで心象を悪くし、有罪判決を下してしまう。検察と裁判所はそうやって冤罪をどんどんと生み出してきた、ということなのでしょう。

政局に影響しそうな、陸山会の土地所得をめぐる政治資金収支報告書の、虚偽記載の公判で今日は注目の証言がありました。水谷建設元会長によるものです。元社長ら幹部4人は、詳細な内容を公判でも証言しており、細かい差異はありますが、ほぼ供述通りといえる内容です。元会長は、裏金づくりは自分が手配し、大久保氏に渡したとの報告をうけた、と供述をしましたが、これは元社長の「石川氏に渡した」とは異なる内容です。また裏金の授受には、必ず立会人を同席させ、かつ相手が代理の場合は預り証をもらう、と証言。一人で渡しに行ったとする、元社長の証言とも食い違う内容を話しています。
弁護側は、食い違う証言としており、検察側は裏金が渡った事実を補完した、と自信を深めていますが、食い違ったのは如何なる理由か?それはこれまで、いくつかの事件で判明したように、検察が描いたシナリオに沿って供述をとったため、なのでしょう。運転手が、供述時に語った10月15日にホテルまで元社長を送った、とした供述も取り下げを示したように、事件の構図が根本から違うようです。2回に分けて、1億円を渡したとする件も検察側は元社長に依頼され、元常務が準備したというシナリオですが、元会長によると自分が準備したとしており、元会長のゴーサインが必要な巨額案件であり、かつ政界との癒着という重大局面で、元会長と元社長が食い違う意見を語ること自体、異例とも言えるものです。

水谷建設元会長、運転手の意見に従うなら、事件の構図はまったく異なってきて、土地所得において一切関係するものではなく、もっと後でお金を渡していることになります。しかし大事な点は、元社長に依頼されて会社側で1億円を準備したのか、元会長が自ら準備したのかはともかく、1億円という大きな金額を捻出したその方法が、依然不明ということです。つまり資金の授受に関する供述をどれだけ詳細に語っても、公判でまったく資金の調達手段がわからない。裏帳簿、とされるものの存在すら一片も明らかにされないことです。元会長によれば、厳格に管理していたとされるので、その出納を確認し、一件一件を虱潰しに当たれば、捜査機関であるなら資金の流れは解明できたはずです。しかしそれがありません。
当日の会話の内容まで克明に語る証人たちが、資金をどう捻出したかを語らない。そこに奇妙な形、違和感が生じます。逆に、資金の流れが解明されれば、それが最大の証拠として公判でも有利に働いたでしょう。つまりこの事件も、傍証的な内容に頼った冤罪可能性の高い事件、とさえ云えるのです。この事件は、小沢氏が善か、悪かという二者択一で判断を下していいものではありません。この程度の材料で事件として公判まで導けば、国として大変な損失になるということです。布川事件も40年にわたる冤罪で、国は多額の賠償を迫られます。陸山会の事件とて、無罪になれば相応の損害賠償が必要となるでしょう。確証となりうる物証を集めることが、検察の仕事であるはずなのに、いつの間にかシナリオライターとして、心象にばかり訴えるようになってしまった。この事件は他に、余計なファクターもあるので、判決がどう転ぶか分かりませんが、検察不審という意味で一連の流れの中にある、という点では深刻なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2011年05月23日

菅政権における増税議論と公務員改革

事故翌日の海水注入の件、衆院復興特別委員会で議論されました。浮かび上がるのは、谷垣自民総裁の攻め弱さと、菅政権の対応の拙さです。もし知らないのであれば、現場把握ができていなかった点が、知っていれば停止の経緯が問題になります。一方で、福山官房副長官が当時のことは「議事録にない」と述べるなど、事故調の妨害ともとれる発言を行っています。もし議事録がなければ、それこそ後に検証ができない、事故対応をそんな人間たちに任せてはおけない、という発想も沸きますが、谷垣氏にそんな攻め手もないようです。残念ながら、与野党ともに党首が力量不足、ということなのでしょう。

政治の無力は公務員労組との交渉でも明らかです。給与削減幅が幹部職10%、課長補佐、係長が8%、一般職が5%で合意しました。しかしこれでは自衛隊の非常勤務、危険手当などが長期間続くことから、公務員人件費としては微減、しかも3年確約なので震災の間、再引下げなどの交渉が難しくなります。つまり公務員労組は、官僚に甘く交渉の余地もある菅政権の間に、微減で折り合ったというのが実態となります。リストラと合わせ、2割減が公約だった民主党のこれは敗北であり、このお墨付きを与えた菅政権の失態と評価できます。
政治の無力さは、社会保障と税の一体改革でも同様です。6月末のとりまとめに向け、15年度までに5%の引上げで調整に入ったようです。財務省は高齢者向けの医療、介護、年金で15年度には14兆円が不足と試算しており、消費税1%で2.5兆円の税収増となることから5%上げを主張しますが、計算が合わないことは一目瞭然。しかも、景気の悪化により思ったほど増税効果が上がらない、と指摘されますから、仮に14兆円の欠損を埋めるなら、最初から10%程度の上げ幅が必要なはずです。これは最初から欠損を高めに見積もることと同様、不足感を出すことで更なる増税を、という政治への圧力として機能させよう、とする財務省特有の意識が見え隠れするものです。震災対策消費増税が、永続化するというプロセスを踏ませようとしているのです。

地方議員の年金廃止法でも、法案では12年以上勤務の議員は一時金か年金、12年未満の議員は掛け金の80%を一時金としてうけとります。これにより、支払い不足は1兆円を超える試算です。これは地方議員なので総務省、共済年金は財務省マターの話ですが、年金制度改革を難しくする、という意味で深刻です。議員年金は地方議員が減り、年金を掛ける母集団が小さくなったため、必然的に廃止せざるを得ない状況でした。しかし地方議員への配慮で、掛け金総額の一時金支払いを64%から80%に高め、かつ12年を目処に年金制度を存続させたことで、不足額が拡大、数十年単位で継続して支払わねばならない、そのための仕組みも残さなければいけない、という事態に陥っています。
これが本筋の年金制度改革において適用されねば、不公平感が増します。当然、共済年金と国民年金や厚生年金は仕組みが異なるので、一概には言えませんが、制度をやめて新システムに移行する際に、多額の国費負担が生じる可能性を滲ませます。改革ではなく、改変で乗り切ることを厚労省は想定しています。そこに、社会保障と税の一体改革が組み込まれており、国民から毟り取ることでしか財源不足を補えない、官僚制度の悪しき慣習の果てに一連の問題が討議されている、ということにもなるのです。

震災復興のための消費税増は、早ければ来年から。社会保障と税の一体改革でいう、消費税増税は4年後から。税の引継ぎとして3年は都合よく、その間にコスト削減を求めて公務員給与の引き下げを求める声を、今回の件で封殺してしまった。すべてがスムーズに、公務員の既得権益を守る議論の先にある、と云えるのでしょう。残念ながら、菅氏にそれを見抜く目もなければ、むしろ同調してこの動きを推進する立場にあります。浜岡原発を悪者に仕立て、政権浮揚を図る。いつもの仕組みでごまかされていては、この政権の真の意味での無能さ、いやらしさは理解できないことになるのでしょうね。

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日中韓首脳会談について

斑目委員長発言が、波紋を呼んでいます。政府・東電統合対策室は、斑目委員長が「海水注入で再臨界の恐れ」を指摘した、としていましたが、斑目氏の強い反発をうけて「再臨界の可能性がゼロではない」と発言した、と訂正しました。基本路線に変更はない、と強気ですが、斑目氏は「海水は中性子を吸収するので、再臨界の可能性は低くなる」としており、未だに矛盾を抱えています。
これで野党は、斑目氏を何度も国会の質疑によび、その矛盾をつくだけで審議を停止させることができます。統合対策室が撤回するか、大幅に内容を修正する以外、この発表が国会運営で菅政権を死に体い追いやることが鮮明になってきました。これまで、菅政権では参与が菅氏の発言として内外に公表したものを否定する、ということを行ってきました。しかし今度は逆、斑目氏が言っていないことを政府が言っていた、という形になっています。菅氏を擁護するため、発言を操作してきたことで矛盾、齟齬が臨界に達してきたことの、これは表れなのでしょう。菅氏が再臨界を心配していたことは間違いなく、その辻褄合わせに、他人の口を借りて罪を擦りつけようとした。この問題は尾を引くことが確実で、菅政権の詰みが見えてきた、といえるのでしょうね。

日中韓首脳会談が行われています。友好ムードの演出に余念がありませんが、これは支援を表明した後で偵察機を飛ばしたロシア、尖閣に船を派遣した中国と同様、裏のある話です。その証拠に、北朝鮮の金正一氏が訪中しています。この件は、北朝鮮の事情が大きいと見ていますが、食料問題、核開発の問題、そして後継候補の問題があります。現中国共産党執行部は、渋々ながら世襲を認める方向ですが、次期執行部にもそれを確約させねばなりません。温首相の留守中に訪問、相互訪問の形ではなく、金氏による一方的な3度の訪問も、そうした事情が北朝鮮側にある、ということなのでしょう。
韓国は李政権がレイムダック、来年に向けて厳しい政治事情が続きます。サプライチェーンが崩れたことにより、日本から調達する部品が届かず、また日本への輸出が滞ることになれば、経済的にも深刻です。米国の経済指標が悪化を始めたように、世界経済はリーマンショック後の状況から、転換点を迎えており、景気が失速すれば韓国での政局は激しさを増します。竹島問題に目をつぶるのも、今は外交での失点を減らしたい、とする双方の思惑です。

中国では、一見すると好調な経済に支えられていますが、スイカ爆発に見られるように、農家の不満が大きい点にリスクがあります。中国では不当に農作物を安価に抑えており、それが農家の収益性を低くしています。今は二世が出稼ぎで国内経済の平滑化に寄与していますが、いずれその構図が崩れる。農村戸籍をもっていても、農作物を作らないとなれば、価格転嫁して農家でも儲かる、という仕組みづくりが必要ですが、そうなるとインフレを加速させる恐れが出てきます。生鮮食品はインフレにカウントされませんが、波及という面では大きいのです。
中国では、バブル崩壊という一気に経済を壊す恐れも強いですが、最大は農村部の出稼ぎという構図が崩れる、雇用問題が最大の経済運営上の懸念なのでしょう。未だに国内投資に高い伸びが続きますが、生産拠点としては撤退を示唆した企業もあり、三次産業のシフトが必要な段階です。

日中韓、それぞれに問題を抱えながら、手を携えた三国。欧州のように、支えあうほどの強い絆もない中で、笑顔の裏にある厳しい状況は、三国にとっても手を携えざるを得ない状況を生み出しています。鹿を遂う、とは権力欲に対する言葉ですが、鹿を追う者は山を見ず、というと目前の利益ばかりを追うことをさします。敵対せず、相互利益で友好関係を演出した三国、山を見ていないとみなすのなら、国益の求め方をしっかり議論する必要もあるのでしょうね。

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2011年05月21日

雑感。菅おろしの動きが活発化?

政局が、少しずつ熱を帯びそうです。きっかけは西岡参院議長の菅政権批判の寄稿文。それと、菅氏による3月12日、1号機への海水注入の一時停止の指示です。東京電力は21日の記者会見で、真水注入を止めた後、水素爆発を起こした1号機に東電の判断で7時04分海水注入を開始、官邸が再臨界の可能性を指摘したため、7時25分に注水を停止。その後、7時55分に海水注入を官邸が指示、8時20分から再注入が開始されています。
細野補佐官は、政府は海水注水を知らなかったといい、当日は斑目原子力安全委員会委員長が海水注入により再臨界の恐れを訴えた、として海水注入をためらったとします。この話には、いくつも矛盾があります。まず2時53分に真水注水は停止されているので、約5時間近く冷却は停止していたことになります。海水は若干でも中性子を吸収するので、再臨界の可能性は低下傾向にあるはずです。つまり政府が知らなかったのなら連絡体制、指揮命令系統の崩壊と、4時間余り無策のまま炉心溶融を招いた責任がありますし、斑目委員長が再臨界の恐れを訴えたのなら、その根拠となる論説が必要となります。いずれにしろ政府には問題が生じるのです。

通常国会の会期中に2次補正提出がなければ、不信任という話が伝わると、菅氏は1.5次補正で小幅延長をもちだし、不信任封じに走ろうとしました。しかし海水注入の停止の際、勝手なことをした東電を怒鳴りつけ、注水を停止させたという話の真贋が問題となり、不信任提出に野党も動き出す下地ができました。もっとも重要な原発対応で、政府の動きが作業を混乱させた、という実態が詳らかにされたからです。
個人的には、菅おろしより先に谷垣おろしが起きるのでは?と見ていました。最大野党が他の野党をまとめきれず、近い立場の公明さえ法案によっては賛成に回る。これは谷垣氏の手腕のなさ、という点に加え、自民党内でも対決姿勢を重視する勢力、連立に色気をみせる勢力がいて、方針をまとめ切れない部分が大きい。しかも連立に関しては嫌小沢と、小沢勢力と接近してでも…という動きに二分されており、連立して何をしたいか?ではなく誰と連立するか?に主眼が置かれている部分もあり、自民の形すら曖昧にさせかねない現状に、党執行部は手を拱いてきたのです。

菅氏は早く国会を閉じ、内閣改造で支持率を上げる公算もあったようですが、震災対応という肝心の部分にお粗末さを露呈。党内で菅おろしの動きが活発化するにつれ、打つ手を失いつつあります。2次補正も、東電賠償スキームに関する法案も、すべて先送りして自分に任せてくれ、いずれやるから。という都合のよい言い訳は使えなくなりつつある。ここで、友好ムードを演出した日中韓首脳会談の後でも、サミットで記者の質問に耐えられない、という失態を犯せば最後通牒となるのでしょう。逆に、それだけ海外メディアは菅政権の情報発信に不審を抱いており、日本の財界や官僚と結びついたメディアの追求とは訳が違います。
内閣不信任は、仮に可決せずとも造反組は離党するので、政権基盤はさらに弱体化します。菅氏の側近である寺田氏などは解散を匂わせますが、解散すれば歴史上稀に見る混乱選挙でしょう。個人的には、後世この時代は内閣がころころ変わり、政治が停滞した悪しき時代として振り返られることでしょう。その時、菅政権のような民主主義も、市場原理すもら無視した政権が現れたことは、歴史的にみると転換点、ターニングポイントとして記録される可能性が高まっており、菅政権はそれを促した最悪期の政権として記録されることを想定しています。ここが徒花で、他に撒かれた種が実を結ぶことも間近、となれば菅政権の存在意義は最後の最後まである、という言い方もできるのでしょうね。

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2011年05月20日

東電決算について

東電による2011年3月期決算は最終損益1兆2473億円、巨額に上りました。震災、原発対応の特損が大きいのですが、売上高は5兆4千億、経常利益3千億円とまずまずの内容。これは3月分の電気料金を検針できない、として暖房で電気代の高い2月に合わせた結果であり、利益を先食いした結果として今期はさらに厳しさを増します。火力による燃料代の増加、電力需要の監視、報道対応も含めて必要な作業が増える中、6千億円規模の資産売却とともに、リストラを含む5千億円規模のコスト削減も発表。格付け引き下げによる借り入れコストの上昇とともに、厳しい運営が続くことになります。
東電がカウントできないコストは山とあります。3〜5年後から増えると云われる乳幼児の甲状腺がんや、原発作業従事者の内部被爆に伴うガンの増加、など疾病関連の補償です。従事者への内部被爆のチェックは確認せず、年間20mSvと決めた子供の被爆量も、裁判になればマイナス要因です。つまり影響を軽微にしようと、今きちんとやっていないことが、将来的なコストで跳ね返る形となります。

震災に伴う損害保険金が被災者、企業向けに2兆円を超える、という報道もあります。これは阪神大震災の10倍を超える、とされることからも広範で甚大な被害の影響が出ている、といえるのでしょう。一部で新規保険受付を断る事例もあることから、保険商品の支払い能力にも影響し、翻っては保険の再保険会社の損失にまで、支払いを求めるものです。特に保険会社は11年3月期決算でも、申請が本格化していないにも関わらず、赤字転落が一部見られたように、保険の規模と地域別の顧客数の差などに伴い、各社濃淡はあるものの厳しい内容となります。エコカー減税の恩恵で、自動車保険の伸びが高く収益性の良かった前期と、新規顧客の獲得が減少する中、支払いも本格化する今期との差は中々埋めきれないのでしょう。
上記、2つの項目は株式市場を軟調にする原因です。東電は保有資産に多くの株式を含み、それは関連企業に及びます。また保険も同様、運用に回していた資金を一部取り崩し、支払いに回す必要が出てくる。日本国内の売り要因が強い、という意味で株式の下落は日本の時価総額に影響します。26週連続で外国人投資家が買い、と喜ぶ以上に、日本固有の売りについて考慮する必要があるのでしょう。

東電は発送電に関する資産以外、売却の方針ですから、関係のない分野の研究・開発を行っていた部門を含め、閉鎖なのでしょう。200億円以上の広告費は削らない、と述べていた一方、PR館の閉鎖を示唆するなど、これは地元を含めて雇用という面ではマイナスとなります。賠償金の支払いに回すのが第一義なので、当然の選択肢と云えど、負の影響について考慮しておかないと、景気にはマイナスです。だからこそ、東電の資産を譲り受けるよう政府系金融機関を活用し、資産売却の速度を国がコントロールすることが肝要なのです。
東電はこの内容で、株主総会を乗り切るのであれば非常に厳しいのでしょう。社長が顧問に降格とはいえ、経営刷新を求める声は総会からも上がるかもしれません。経営責任という意味で、過去の経営者にも責任をとらせる、訴訟についての話は出ませんでしたが、こうしている間にも年金支払いは行われており、この元栓を絞ることも必要です。地震、津波に関しては国会でも指摘があり、ずっと問題視されていたのに、手をつけなかったことに関しては請求対象、と考えてよいものです。

しかし今回、最大に驚くのはコスト削減規模です。通常の企業でも事業部を売却するなどしないと、中々1千億円のコスト削減達成は難しいのですが、一気に5千億円を表明しています。逆にいえば、高い電気料金に甘え、無駄な事業にいくつも手を出してきた、その証左なのでしょう。経営陣、顧問を含めて一般企業の比にならないほど多かった、という現実を見ても、東電の経営体質を刷新できない限り、赤字体質の脱却も難しいということが、この決算発表でも垣間見えたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2011年05月19日

日本の1−3月期GDPについて

米格付け機関が武田薬品の格下げ、の検討に入りました。スイス製薬大手買収に絡む、1兆円近い借り入れにより、財務悪化を嫌気したものです。枝野氏は、東電の特殊性を述べて債務再編は妥当との認識を示しましたが、格付け機関は債務不履行とみなし、投資不適格の格付けになると述べています。そうなれば金融機関は今後貸し出し不能となり、今後の融資は政府機関のみになります。枝野氏が理解していないのは、市場原理に則らない存立の企業、団体の救済スキームに、市場原理を規範とする企業をその一端に組み込もう、とすることの浅はかさです。もしこの二律背反を成立させたいなら、金融機関まで含めて政府の統制下におくか、東電を国有化するしかないのでしょう。そして国鉄民営化を手本に、損失処理を行うという手もあります。今の政府の手法では、誰も得をしない…東電OBや財務省、経産省ばかりが諸手をあげて喜ぶものでしかありません。

内閣府が発表した1-3月期GDP、実質で前期比0.9%減、年率換算で3.7%減となりました。個人消費0.6%減、設備投資0.9%減が響きましたが、震災の影響という言葉では括れません。年度末セールが機能せず、自粛モードだった個人消費は震災の影響。設備投資は機械受注など、3月は比較的良かったことからも、リーマンショック後の急回復局面に、一旦落ち着きが見られることが低迷の一因、という見方ができます。すると、設備投資は震災復興、という面で一部盛り上がる可能性がありますが、そこで
重要なのが2次補正です。2次補正は8月末以降、ということですが、現状の歩みの遅さから見ると10月半ば以降に提出です。すると7-9、10-12月期GDPにも寄与しない形になります。
政府の支援がなくとも、民間は動きますから一概には言えませんが、GDP急回復のシナリオにある公共投資の増加、がいつ頃出てくるか、が重要です。また操業ペースがいつ頃戻るか、電力不足による生産調整、夏休み延長に伴う影響、また平日休業、土日操業による家族間の休みが合わないことによる、旅行やレジャーに出かける機会の減少、が個人消費という部分では利いてきます。実に有形、無形のマイナス要因が夏場から秋口まで続く、といえるのでしょう。

失業率の増加や、震災の影響で給与が下がることも、影響として加味する必要があります。与謝野経財担当相は「反発力は強い」と述べますが、年内に2次補正が動き出さないことは、上記要因のマイナス幅を補えないことを意味します。そして最大の懸念は、震災時に曖昧な基準で貸し出された資金が不良債権として焦げ付くこと、です。政府保証がついているので、金融機関への直接の打撃は少ないですが、これは政府がどれだけ貸し倒れ引当金を積み増すか、によります。そこに不足、という観測が出てくると財政上の問題を意識され、影響は国債へと及んでくるのでしょう。
住宅投資が0.7%増、これは市場の過剰流動性の影響という側面もあります。しかし関東ではこれまでのベイエリア、高層階という人気物件が凋落。今後は地盤の固い、水害に強い、活断層のない、震災に強い場所という選択肢が増えることでしょう。それはこれまでの開発計画を一変させるものであり、対応の遅れた業者を直撃します。耐震を意識し、中古なども嫌気されることを考えれば、より深刻な不動産不況、となるのかもしれません。震災が与えた影響は、かくも大きいのであり、安易に日本経済は底堅い、などと額面だけの強気を述べるより、政府関係者はそのサポートをしないと、日本の長期低迷が鮮明になってしまうことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2011年05月18日

菅政権であることの政治リスク

昨晩、平田オリザ内閣官房参与が「海水への汚染水放出は米国の要請」と韓国の講演で述べ、波紋を広げています。真贋は別にして、拙速で閣内の調整も諸外国への連絡もなかった、汚染水放出に外部からの圧力があった、という話はノンフィクションライターにとって興味あるところでしょう。事実、米国は東電が工程表を見直したその日、米原子力規制委員会(NRC)が福島原発の24時間監視を解除するなど、側面支援的な安全宣言を行っています。フクシマは、米国のコントロール・マターと考えてやぶさかではありません。

菅首相による会見が行われました。中身は抽象的で、今後に向けた具体策にも欠けるものですが、極力言質をとられることを恐れる、菅氏によるいつも通りの会見です。国会も予定通りに閉じたい、延長はしたくない、という内向き政権の面目躍如。そのため2次補正も8月末以降を示唆し、東電賠償スキームに関する法案についても、臨時国会を待たねばいけない状況であり、いつ頃成立するかの目処も立ちません。
政府の原子力災害対策本部による工程表において、原発被害者を「国策による被害」と位置づけるようです。7月半ばまでのステップ1で、仮払いを個人、事業者へ払い、1月ごろまでのステップ2で、申請された賠償の支払い、後は長期的な対応と位置づけます。しかし当面、東電が資産売却などで賄うとしても、東電賠償スキームは国会審議でも紆余曲折が想定されます。市場原理と乖離した、奇妙な内容であるため野党が反対姿勢を貫くにも力があります。恐らく、通常国会まで継続審議となり、ステップ2には到底間に合わないのでしょう。

特に世界の見方は、日本のポリティック・リスクを意識し始めています。中電への浜岡原発停止『要請』、東電賠償スキームにおける金融機関への債権放棄『要請』、いずれも菅氏の出自である社民連から「古い社会主義体制の復活」との言葉もあります。政治が法律や政令ではなく、要請によって市場に介入し、歪めてしまうというリスクは、経済の分野ではより深刻といえます。そういう国に投資したい、とは思えないからです。日本市場を見ても、日米証券系の買い、という形が目立つことでもそれが分かります。国策、護送船団方式が好感できるのは、それによって恩恵を受けられる国、フクシマへ汚染水放出を要請できる国や、政府に対するロビー活動ができる国内勢しか、旨味を享受できないと不安がられているのです。
菅政権に対し、自公が2次補正を出さなければ不信任案提出、を表明しました。政権は1.5次補正なる裏技をつかう話もありますが、西岡参院議長などはサミット前に不信任を提出すべき、と述べています。よく非常時だから政局で動くな、という意見を耳にしますが、大事なことは菅政権が継続することによる対応遅れ、誤った対策により失う国益と、政権を入れ替えることにより正常軌道に戻る時間軸の損失との差です。今の菅政権の対応を見る限り、失う国益の方が大きいのであり、それを無視してフリーハンドで支持しろ、という意見は国益を無視した意見とまとめることができます。

2次補正が遅れることにより、復興には時間がかかるでしょう。瓦礫撤去も済んでいない、という面もありますが、これとて所管官庁が異なり、手を出せないことが続いたことによる対応の遅れを指摘できます。政局が停滞気味ですが、菅政権はすでに連立の道も絶たれ、参院での法案成立の道筋が立たず、国対の弱体が顕著であるため、どんな法案も成立には衆院優先を使うしかないのです。つまり菅政権では迅速に通したい法律でも、我を通した内向きで法案を作った場合、合意を得るのが難しい状況であるとも言えるのです。2次補正を復興構想会議の提言を待ってから、など実に不都合な法案の描き方ともいえます。これが国会の停滞となり、政策対応のない中で日本が厳しさを増すという真の意味のポリティック・リスクなのでしょう。菅政権では停滞が確実なのに、まだ菅政権でいこうという場合、どれぐらいの損失となるのか?その代償は国民が払う、という意味で深刻なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

東電による原発工程表の見直し

東電が原発事故の対応に関する工程表を見直しました。作業手順や内容を見直すものの、工程は変えないということです。この工程表と、先に示されたデータにより分かることと、分からないことがあります。東電は事故後、海水注入を渋る態度を見せていましたが、その理由が判明します。東電はメルトダウンを把握しており、海水は真水よりも溶け落ちた炉心を、水に溶かすためそれを嫌っていたのでしょう。これは建屋の地下に溜まる水が、毎時2000mSvと高い線量でも分かりますが、相当量の放射性物質が水に溶けている、という想定がされるのです。

まず1号機ですが、時系列を単純に示すと、地震発生から16時間後には炉心溶融と見られます。地震発生から15時間後に真水注入開始して9時間続けて停止、その6時間後から海水を注入しています。その間に2800度まで燃料が上昇した、と見られるので、その温度で炉内に溶け落ちると簡単に炉を突き抜けます。1号機は冷温停止にあるのではなく、炉外に相当の放射性物質が溶け落ちている、と見るのが妥当でしょう。
格納容器内はグレーチング、という金属製の網でフロアを仕切っています。溶け落ちた燃料は、途中で引っかかっている想定もできますが、格納容器の底に溜まっている、と考えられます。格納容器に損傷が見られる、として循環冷却の方式も示されましたが、個人的には地下階まで含めて水を溜める半水棺処理が必要、と見ています。その上で循環冷却を行うしかありません。圧力抑制室の底部から水漏れ、とされますが、それでは温度の低い水が漏れ、高い水は上澄みに集まります。お風呂の逆で低い水を上に持ってくる仕組みは必要なのでしょうが、溜める水量も重要なのです。

2号機はすでに格納容器損傷が伝えられ、コンクリで埋める案もありましたが、1号機の状況をうけて変化も必要なのでしょう。もし1号機が循環冷却で成功すれば、コンクリの必要はありません。ただ当初から2号機で循環冷却が計画されなかったのは、高放射線と高温という難しい状況のためであり、その意味で1号機も、2号機も冷温停止に至る過程で確証なく作業を続ける形となります。
3号機は徐々に温度が上昇し、300度を超えました。これは逆に、溶け落ちた燃料が相当数、圧力容器内に留まっていると想定できます。ただし、もっとも建屋の損傷が激しいように、爆発で格納容器も痛んでいると考えられ、ここが最も厳しいのでしょう。東電は「臨界には適正な距離が必要で、臨界ではない」と述べますが、塊であるとその適正な距離にある放射性物質が、飛んできた放射線を捕まえて安定的に核反応を繰り返す『未臨界』という状態になります。つまり、規模は小さくても熱を相当程度出す、という状態であるといえます。これは冷温停止に相当懸念を生じさせるのでしょう。

公表されたデータでも、判明することと未だに隠していることが政府、東電にはあります。枝野官房長官が、東電が非常用復水器を手動で止めた件を「知らなかった」と述べましたが、翌日には菅氏が東電に乗り込んでおり、また5日後には統合本部を立ち上げている。また保安院は知っていた可能性があり、もし仮に情報が伝わっていなければ伝達方式の不備であり、知っていたとすれば責任逃れの嘘をついたことになる。どちらにしろ、政府の責任に帰せられるといえます。
原安委がメルトダウンを3月下旬には認識していたこと、菅氏も容器破損の恐れを、翌朝の視察時には認識していたことなど、公表されなかった情報は山ほどあります。本来、データの詳細な分析、検討があって対応、計画が立てられるものですが、その公開がもっとも遅い。これは情報隠し、ととられても仕方ないことです。未だにそうした体質を引きずり、情報を小出しにしてダメージコントロールを図るなど、姑息な政府、東電の手法が今回でも透けて見えたのでしょう。残念ながら、信憑性のない発表が続く、という意味で原発インパクトはまだ続いてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 00:00|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年05月16日

経済の話。物価動向とIMF専務理事逮捕

小沢氏の政治資金管理団体・陸山会に関する事件で、水谷建設元専務が、資金を運搬したことを証言しました。元社長も裏金を認めていますが、この問題で重要なのは裏の帳簿などともされますが、水谷建設側の資金捻出を証明できていないことです。つまり大本の裏金自体、架空の存在であることです。こういう裁判では、よく虚偽の証言をする理由が見当たらない、として有罪判決が出ることもありますが、虚言を弄す原因が一つあります。それは検察のプレッシャーです。この事件で証言する証人は、奇妙に鮮明な記憶を語りますが、5年以上前におきた出来事を鮮明に語れる人間が、どれぐらいいるのか?ということを考えた場合、何かで補完された記憶という指摘しかできないのです。

3月機械受注が発表され、前月比2.9%増(予想9%減)と、市場予想よりも良い数値が出ました。これは昨年の業績も好調、節税対策のためにも発注を止めなかったこと。及び震災で復旧、復興のための駆け込みで入った受注も多かったとみられます。ただ今年度の業績見通しが未発表の企業も多いように、今年度に計画している企業の設備投資計画の方が重要です。国内の消費鈍化、海外の変調を織り込んでいるか?と見ると、業績見通しを出している企業は概ね、下期の復調を業績に盛り込んでいると見られ、逆にそれが業績に負担を及ぼすのではないか?と懸念しています。インフレを売価に転嫁できる国と、そうでない国。営業展開している国の差で、企業の今期業績は決まりそうであり、それは企業選別、という面でも大きな意味をもつのでしょう。
気になるのが、4月企業物価が前年同月比2.5%と上昇傾向にあることです。これは資源高が影響していますが、この傾向は年間通して継続するでしょう。ただ3月の消費者物価は0.1%減、であるように日本では価格転嫁がしにくい傾向です。つまり日本市場では、企業間取引の際のインフレを売価には載せられない。日本のみで事業展開している企業は苦しい。また中国でも4月消費者物価が5.3%となり、企業に値上げ自粛を要請するなど、今後はアジア方面での事業展開で大きな利益は見込みにくいとみられます。

米国では若干抑制傾向ですが、消費者物価指数の予測は全米企業エコノミスト協会によると、今年度2.8%、1.8%から若干引き上げられたように、売価に反映され易くなりました。欧州ではインフレ傾向でECBが利上げ示唆なので、一時アジアの成長が持て囃されましたが、今後は欧米に消費はシフトするかもしれません。ただ問題は、米国の不動産と景気の逆相関、欧州財務不安なのでしょう。そんな中で、IMF専務理事が暴行容疑で逮捕される、というショッキングな事件が起きました。
ストロスカーン氏といえば著名で、仏国出身のためか比較的欧州には緩和的スタンスを保っていました。ギリシャやアイルランド支援でも理解を示し、それほど厳しい条件を示していません。これはアジア通貨危機で見せた、IMFの厳しい制裁とは一線を画す手法だったといえます。つまり、ギリシャ債務不安が再び盛り上がる中で、IMFに態度の変化がみられることが、欧州では最大の懸念となるのであり、仏国の次期大統領候補、という一国にとどまる話ではなくなってきた、というのがこの逮捕による影響として想定できます。

日本へも、欧米で消費不況が起きると極めて厳しい、といえます。また今日になり、米証券による日本の投資スタンスの変化も報じられました。25日線を割り込み、テクニカル的にも厳しい株式市場ですが、投資スタンス変化には、米国での資金の流れに変調が出たことも含まれるとみられ、影響は5月の特殊要因では済まない、夏ごろまでは確実に出そうです。昨年、QE2で1年間の猶予期間を与えられた世界市場が今年末にまた、試されることになるのでしょう。当面、強気になれる材料もない中、悪いときに悪いことが重なる、という典型のような形で困難な局面を迎えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年05月15日

雑感。最近の情報端末について

東電が福島第一原発1号機は、地震から5時間後にはメルトダウンに至っていた、とする推計を発表しました。16時間後にはほぼ溶け落ちた、4号機の爆発は3号機から排気塔を伝って流れた水素によるもの、とのこと。しかし時系列でみると、3号機が爆発してから4号機は爆発しており、外壁もぼろぼろの状態で、4号機を破壊するほどの水素が、排気管を通じて4号機に流れるのか?ということです。3号機を破壊する前に流れた水素が4号機を爆発させたとすれば、逆に3号機の炉心は見る影もなく、水素を発生させ続けた、ということになるのでしょう。現状、3号機は温度上昇が止まっていない状態ですが、炉内の状態を正確につかまない限り、冷温停止の方向も読めないということなのでしょう。

ソニーが情報流出をうけ、4月後半からとめていたPSNのサービスを一部再開しました。昨日はスクウェア・エニックスが不正侵入により、25000人分の個人情報を漏出、という話が伝わります。情報漏えいなどは、どこでも起きることと言えますが、最近気になるのがスマートフォン、iPadなどのいわゆるスレート型の端末が増えていることです。問題は、簡単にネット接続ができるものの、セキュリティ面では脆弱なこと。ウィルスもいくつか報告されている中で、こうした端末が後に情報流出という問題に直面するのでは、ということです。
日本はガラパゴス携帯、として世界から取り残されていたため、世界から見てハッカーに狙われることも少なかったのですが、ネットは世界共通です。iPhoneもAndroidも、ストアからアプリをとりこむ形ですが、無料や違法のアプリもあることから、いつその脆弱さがつかれるか?という時間軸の問題ともいえます。本格的なセキュリティ導入には、システムが不足していて難しい、きちんとしたセキュリティ対策を、メーカー側で講じる必要性を感じています。

ソニーの問題では、ソニーのシステムに侵入されたため、それでカードの不正利用などが起きた場合、基本はソニーに賠償の責任が生じます。米国でも訴訟ラッシュの状況ですが、スマートフォンなど端末にウィルスを送り込まれた場合、個人の責任として処理されます。これまでのセキュリティ関連の裁判は、常にそういう形でした。脆弱な端末で、ネットからダウンロードを行える、という環境はそれだけ個人にも、重要な問題を提起しているのでしょう。
米国では、グーグルやアップルが個人の位置情報を特定していた、として問題になっています。以前、ソニーのルートキット事件を取り上げましたが、メーカーが個人の同意なく個人情報を集めるようなソフトを、個人のパソコンに送り込む。現状、企業倫理として容認できない、という感情論でしかこれを規制できません。集めた情報をどう活用するか、ということを問うことは、法的にもできません。特に、ソフトをダウンロードするときには『同意する』というボタンを押しますが、ほとんどの人がその中身を詳しく見ないでしょう。その際、情報を集められることにも同意した、ととられかねない危険も孕みます。今、世界はネットにおける情報というものに関して、もっと敏感であるべき時代に入っているといえるのでしょう。

企業と個人が、情報に価値を見出してやり取りする、という新たな形態のサービスも現れています。今後も、新しい世界だけに紆余曲折があるのでしょうが、ソニーに関わらず大企業の姿勢も、単に便利だから商売に利用できる、というだけではいけないのでしょう。大規模な事故で、優良企業が一気に破綻寸前まで追い込まれる、それは情報流出で損害を与えても同様、という認識をもつべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2011年05月14日

雑感。オサマ・ビンラディン殺害で日本が想定しておくこと

福島第一原発1号機で格納容器が損傷、地下1階の半分が水で浸っていることが判明しました。毎時8トン、これまで1万トンの水を入れており、その内3千トンが冷却には寄与していない場所で見つかった形です。メディアは『水棺』という言葉が嫌なのか、『冠水』という言葉を使いますが、水漏れではそれも不可能です。地下に溜まった水を圧力容器に戻す案も出ましたが、爆発で水は2千mSvという線量ばかりでなく、相当不純物を含み汚れています。ポンプの性能次第ではすぐ目詰まり、しかもフィルタを使わずとも高濃度に汚染されるので、交換も難しくなります。結論としては、建屋ごと水棺にするため、空調を生かして地下一階の水面に風を当てて冷却、それを循環して戻す仕組み、ポンプはフィルタを使わないものを用いるしか、当面は仕方ないのでしょうね。

オサマ・ビン・ラディン氏の殺害から2週間経ちました。パキスタン政府がアルカイダと関係していたのでは?パキスタン国内にオサマ氏の支援組織があったのでは?など、様々な憶測も流れます。しかし現状、パキスタンで起きていることは、もっと深刻です。政府の信認は失墜し、テロも起きています。新米政権が、米単独で行った作戦で窮地に陥り、無人機による武装勢力への攻撃も、パキスタンの監視下で…と初めて言及。しかし米国はそれに応じず、単独で行動するなど両国の関係は泥沼に近くなっています。米国はパキスタン支援の額を増やすか、現状のままならパキスタンからの撤退を余儀なくされ、テロの温床と化した同国は政情不安の中で、混沌とするのでしょう。
注目すべきは、仮に日本で今回のように重要容疑者が潜伏していた場合、を想定することです。つまり、米国が殺したいほど憎い相手が日本にいたとき、米国の行動を想定した上で、日本がどう対処するかを検討しておかなければ、日本は危機対応もできずに政府転覆、混乱が起きることが必定となります。

米国が日本政府に、作戦を打ち明けるか?現在の菅政権ではその可能性も低いですが、これは両面で厄介です。日本政府に事前通報があり、作戦を遂行されれば国内法に則らない、超法規的措置を政府が認めた形になります。事前通報がなければ、逆に米国との信頼関係が崩れ、ぎすぎすした形で日米安保が運営されることになる。いずれにしろ、政府は立場を失い、日本は米国との関係を見直さざるを得ません。
問題は、米国がとった行動は国内法にも、国際法にも違反する行為だということです。以前から、米国は米国の国益のために行動する、と述べていますが、相手国がどうなろうと米国のために超法規的措置を遂行します。尻拭いは誰もとってくれない。それはパキスタン政府も感じているでしょう。政府は世論に配慮せざるを得ず、また法治国としてあるまじき行為を、後付で認めさせられる。これは国として、その形すら危うくするものといえ、日本政府にも対処法を準備しておく必要を感じます。

日本はスパイに甘い国です。北朝鮮の金正男氏が日本に密入国した際、超法規的措置で強制退去させたぐらいで、十分な取調べもできませんでした。それに、日航機ハイジャック事件など、テロに屈した例はいくつもあります。問題は、その解消のために他国が超法規的措置を、日本国内で用いたら?という想定をしておくことです。オサマ氏の事件は、最初から殺害目的だったことなど、作戦的にみても極めて重篤な影響を与えるものです。日本もただ、テロの首謀者が亡くなって良かった、などと歩調を合わせているばかりでなく、自国の危機管理として捉えなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | 政治

2011年05月13日

東電賠償スキームで、債権放棄をいきなり求めること

菅首相が各国の駐日大使を招いた席で「ODAを何倍にも増やす」と述べた件で、松本外相が「気分」の問題と衆院外務委員会で述べました。先に、被災者の仮設住宅入居に対し「全員お盆まで」と述べ、大畠国交相が打ち消したように、菅氏の言葉の軽さが目立ちます。権力欲は旺盛なのに、首相の座における責任の重さは中々自覚できない。一議員とは異なり、首相の発言には実行力を求められます。特に、各国の駐日大使の前で発言したなら、一報は各国に伝えられているでしょう。日本はODAを約束した、ととられてそれを実現しなければ、今度は相手の気分を害すことになります。

枝野官房長官が金融機関に債権放棄を求め、波紋を広げています。異例なのは、いきなり債権放棄だからです。まず求められるのは減資、株主に責任を求めるのであり、債権者は基本的にステークホルダーでも責任は最後です。例えばJAL型の破産では、一部債権の減免を求められましたが、これも企業を倒産させ、100%の毀損になるぐらいなら、一部は認めて再生に賭けようという判断が機能します。つまり、逆にみると東電はもはや破綻確実である、と訴えていることになり、そうなると従業員に給与を支払うことさえ、不都合になります。破綻企業が年600万円の給与を支払う、それは債権者や株主も納得しません。
こういう場合、破綻させた方がスムーズなのは、上場廃止に伴う株主価値の毀損が、そのまま減資という形で株主責任を問うことになるためです。その上で大量の転換社債を国が引き受け、それを原発対応や賠償に充てる。その上で一部の債権放棄を行い、企業の再生により残り分を返済する。株主には再上場で一部をとり返すようにする、そういった形が想定されました。ただ今回、金融機関や財務省、経産省がそれでは株主総会を通過できない、と考えておかしなスキームを作りました。それが混乱を生む元凶なのです。自己責任、という言葉を使いましたが、破綻させないを前提にした産業再生など、責任論をどこかに放棄した形でなければ成立しません。そこを間違えると、市場原理と異なることを政府が要請し始めます。年金も保有株式の減損処理が必要ですが、それを考慮して先に債権放棄、だとすれば益々説明のつかない泥沼で、株主総会を迎えることになるのでしょう。

民主党内で、東電の賠償額に上限をつけないのがおかしい、国が原子力行政を推進してきた責任もある、という注文がつきました。前者は、現状でも刻一刻と原発の情勢が変わる中、上限など画餅に過ぎないことは明らかです。特に、今発表されている内容でみても、東電の想定は確実におかしい。炉心溶融をやっと認めるなど、もしこれが情報隠しで想定を低く出しているとすればさらに問題です。上限が決められるのは、環境への放出が止まり、避難住民が戻れるようになってから、です。また原子力行政の責任を問うなら、それはエネ特会の解体にまで踏み込み、エネルギー関連の予算を一から見直す姿勢を示してから、といえます。電気料金に上乗せされ、集められてきた資金を原発対応や賠償に回すこと、その踏み込みもなく炯炯に盛り込めば、国民負担を増やすだけになります。
米国でも原発再点検の結果、甚大な影響を与えるシステム上の不備が複数見つかった、という報告がされました。原発対応で、世界は日本に注目しています。今回のスキーム、日本ではなぜか批判も少ないのですが、世界からみれば異常との見方も多くあるようです。それは市場原理に則らず、奇妙なスキームがまかり通ってしまうことになるのでしょう。これは東電の売り仕掛けが、一旦踏まされたということ以上に、海外投資家が7割を占める日本市場から、逃避することで影響が出てくるのでしょう。日本式、東電救済策が功を奏すかは、市場の信任失墜をいかに防ぐか?ということでも評価できます。今回、最初から手順を間違えていますが、それを正常化まで導くのに国会審議だけでは心許ないですが、それをしなければ世界から日本は見放されることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2011年05月12日

経済の話。震災後の経済指標と市場動向

財務相から3月国際収支が発表され、経常収支は前年同月比34.3%減の1兆7千億円弱、貿易収支は前年同月比77.9%減の2400億円となりました。問題は、貿易統計における4月上中旬(1〜20日)の貿易赤字が7868億円、これは4月上旬(1〜10日)の1689億円より拡大しており、中旬のみでは6千億円近い貿易赤字が出ています。震災でサプライチェーンが崩れた影響もありますが、日本は貿易収支が黒字で、国より国民の金融資産からみて、海外から評価されているため、この貿易統計が崩れると海外からの見方が大きく変わる恐れもあります。
内閣府が11日、発表した3月景気動向指数では、景気の現状を示す一致指数で103.6、前月比3.2pt低下しており、先行指数も99.5と前月比4.5ptも下げています。これはリーマンショック以上の下落幅であり、震災によるマインド面の低下が顕著に現れています。しかし逆に見れば、リーマンショック時の下落幅に比べ、ほぼ震災前と同水準まで戻した株式市場の強さは、異例という見方もできるのでしょう。これは日本単体の問題であり、世界のマネーの流れに変化がない、という前提で成り立ってきましたが、その流れがGW辺りから変化を見せています。

米CMEが銀相場における証拠金を2週間で3回、約84%まで引き上げて銀が急落。原油相場のWTIの証拠金も25%引き上げ、ブレント先物も23.8%証拠金を引き上げるなど、資源相場の引き締めを開始しました。これに伴い、コモディティ関連のファンドは数日で4億$の損失と発表するなど、影響は多方面に亘っています。1つの市場にとどまらず、影響は複数にまたがっており、これが資金の流れを変え、株式にも相場に頭打ち感が台頭しています。米FRBはQE2を継続している間、資源相場を引き締めてインフレを抑え、QE2終了後に緩和スタンスに戻すことで、市場規模拡大を狙っているようですが、銀は投機資金の拡大で急騰した分を吐き出したものの、その他の市場では下落幅が限定的であり、この段階では緩和スタンスにいつ戻れるか、先行きも見通せない状態となっています。
内閣府が発表した4月景気ウォッチャー調査をみると、現状判断指数は28.3、前月比で0.6ptとやや改善しています。前月の20.7ptの下落からみると軽微ですが、先行き指数も改善しており、マインド低下にも歯止めがかかったかに見えます。ただ、これが本当に政府や日銀が云うような回復基調になるかは、非常に不透明と言わざるを得ないのでしょう。

最大の懸念は、市場全体に天井感があることです。市場では買いたい弱気、とも囁かれますが、現実はマネーの変化に伴う市場全体の下落圧力の方が大きい。特に、先物市場など低水準の売買なのは、コモディティ関連のファンドが、引き締め傾向をみて身動きがとりにくくなった、という面もふくんでいます。明日は5月SQですが、特定筋しか傾きを大きくしていない。傾向はここ数ヶ月と同様で変化は見られませんが、中身としては日本への投資に、一定程度の達成感もあり、今以上に資金を投入することに躊躇を始めている側面もある、と見ています。
欧米に不安が高まり、逃避的に日本買いが入るとの観測もありますが、いくら改善傾向とはいえ、まだ経済指標が低く、また今期の企業業績も発表しない企業が多い。傾向のまま腰折れする懸念も考慮すると、今後も買いが拡大するという判断は下しにくい部分があります。新興国のみならず、コモディティの引き締めが行き過ぎれば、世界はより深刻な景気後退期を迎えることになるのでしょう。

中国が預金準備率を50pt引き上げました。消費者物価指数が5.3%上昇し、インフレが止まらない中国では、企業に価格上乗せを停止するよう命じました。これは異例であり、業績面でみると世界に大きな影響を与えそうです。特に米国では、海外の売上が企業業績を押し上げてきましたが、インフレ国で収益を確保できないと、業績で支えられてきた米国市場が崩れる恐れが出てきます。日本市場も米株高を鏡としてきた面があり、業績関連の報道で悪い材料が目立ち始めると、より下を叩くことも意識しなければいけないのでしょうね。

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2011年05月11日

東電、ギリシャにみる『自己責任』の考え方

福島原発3号機から、汚染水が漏出していると発表されました。62万倍のCs134、43万倍のCs137などが、海洋に流れ出ました。慣れはもっとも良くないことですが、震災から2ヶ月、漏えいでも驚かなくなり、報道の扱いも小さいことは心配です。どんな状況であれ、放射性物質が外部に漏れ出せばすべて問題なのですから。

欧州ではギリシャ不安が再燃です。財政危機が報じられてから2年近く、未だに終息の気配すら見せず、むしろ悪化の一途です。ギリシャは2012年に270億ユーロの不足を指摘されます。昨年の財政赤字の目標はGDP比8.1%、これに対し10.5%に上りました。昨年末時点の債務は3270億ユーロ、これはGDPで150%に達しており、債務削減を回避するのは難しい状況です。それでもドイツ、フランスの金融機関が多くギリシャ国債を保有しており、ECBによる支援が欠かせない、とされます。実はこの動きは、東電支援に傾く政府とも重なるものがあります。
つまり両者に共通するのは『自己責任』という考え方がないこと、です。独、仏の金融機関にしろ、ギリシャ国債の保有は自己責任で行なっているはずです。しかし損失を出すと痛手を被る、として支援を行なってきました。東電も同様、破綻させれば貸し込んできた3大メガバンクは、保有株式の評価損や社債が紙くずとなるなど、経営を傾かせかねません。しかし電力会社は安泰、として資金をつぎ込んだ、その経営判断が問われるべきところを、そうならないように政府支援を要請します。この傾向はリーマンショック後、特に顕著と云えます。

避難区域への一時立入りに関し、住民に対して『自己責任』と謳われ、問題視されました。日本では不動産の個人所有が認められますが、そこに行くことを制限され、立入るには『自己責任』を求められる。これは理屈の異なる話で、積極的に自から行動することに対し、自己責任が生じるのです。選択肢がなく、国からそういう状況を強いている限り、責任論はむしろ国や東電に帰すのであり、同意書に入れる文言ではありません。
東電の賠償に対し、国は事故による1200億円の負担と、新たな機構を創設して国、金融機関、他の電力会社からの資金で支払いに充てる、というスキームが固まりそうです。この中で、新機構という話には違和感もあり、たまたま民営化計画が一時凍結されている、日本政策投資銀行などもあり、また別組織を立ち上げるのか? という点があります。政府系金融機関に対し、改革が進んだこともありますが、もし新機構で対応するなら、原発対応が終わるまでの時限措置とするなど、ある程度の工夫も必要なのでしょう。さらに、国債発行ではなくエネ特会の資金を活用すれば、時限的に返納される形で国庫に戻ります。エネルギー基本計画を見直したのですから、当面はその程度の予算は確保できるはずであり、エネ特会の見直しは確実に必要となってきます。

資本市場で必要なことは『自己責任』の考え方です。現在、米国では証拠金を引き上げ、コモディティ相場に流入する投機の流れを規制していますが、投資も投機もすべて『自己責任』でなければなりません。翻って、電力会社は事故を起こせば、破綻に直結するとなれば無闇に楽観を並べ立て、コストを下げて安価で安心な原発、などを謳うことが逆にリスクととらえられます。そんな企業には、資金の貸し手も現れなくなるからです。
当面は原発で電力を賄うしかないのですから、そのとき安全を重要視するためには、事故を起こせば大変なことになる、『自己責任』で運営するという意識なのです。安易に救済され、体質の見直しができなければ、それはギリシャと同じ、何年経ってもリスクを意識されます。緊縮財政を敷き、景気に悪影響を与えながら、経済が好調な頃に借りすぎた債務の借り換え、利払いに苦しむ構図と、節電意識が高まり、かつ電力料金値上げによる使用手控えなどで、収益性も落ちるのが確実な東電。格下げで増えた利払い、などを見ても同じ道をたどっていると云えます。海江田経産相は「すぐに電力料金を…」と述べたので、後に値上げすることは容認したかの口振りでした。しかしそれは悪魔の囁きであり、東電とギリシャが重なることになれば、リスク長期化として意識されることにもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2011年05月10日

雑感。東電が国に支援要請

菅氏が記者会見を開き、エネルギー基本計画の見直し、自身の首相歳費の返納、事故調の設置などを述べました。しかし歳費の返納にしても、原発収束に目処がつくまで、としているのでこれは年単位で首相は無給という意味です。これは仮に菅政権が退陣に追い込まれても、次期首相になる人間にも縛りをつける内容となる。閣僚には相談もなく独断で決めており、本来なら内閣で統一し、見解を示すべきです。これは菅氏が次期首相を狙う人間に、曲球を投げた、と指摘できるものです。
また原発事故に関して、国も責任を認めましたが、これは東電への補償に向けた布石です。震災による被害と、原発による被害は別けて考える必要もありますが、経産省は一体化し、その割合を隠そうと画策しています。以前から指摘していますが、原発による被災者は本来、東電が仮設住宅を準備する等の対応が必要となります。しかし一体化すれば、いくら補償にかかるかは概算しか出せません。原発周辺を閉鎖し、立ち入りを制限したことでも行政は対応を迫られていますが、こうしたことも東電の責任です。ただ、菅氏が事故後すぐに対策本部を立ち上げたことで、すでに責任論は曖昧になっており、こうしたことも強気の経産省、東電の対応に現れるのでしょう。

東電から取締役の報酬全額カット、常務取締役は6割カット、管理職は25%、一般職は20%の給与削減案が示され、また資産売却なども進めた上で、国に支援要請がありました。踏み込み不足は否めず、退職金カット、年金支給率の低下など、打つべき手はまだあります。一部では、、国が転換社債を引き受けるりそな型救済の話も出ていますが、これは債権者や株主にとって有利な内容であり、逆に云えば財界の意向として、そうあって欲しいという内容です。
東電など、電力会社による高い報酬により支えられてきたのが、公務員給与です。人事院勧告は大企業の給与水準を参考に決められ、そこには電力会社も含まれます。高い電気料金は、給与を高水準に保つための原資ですが、国が電気事業法に基づき電力料金を認めつつ、公務員給与にも反映させる、という半官半民の電力会社の役割があります。今回、コスト上昇で年7千億、電気料金に16%上乗せと試算されていますが、そこにさらに賠償金の支払い、福島原発の原状回復までの費用が乗る計算になっています。すると電気料金は20%以上の値上げでしょう。

電力会社が全産業平均並の給与水準になれば、1千億円程度の人件費削減になる計算です。逆に云えばインフラを担い、独占が認められた企業の給与が全産業平均以上である。これがそもそもの誤りなのです。そこを正しい有り様に戻すだけで、ある程度の補償に耐えうる資金は確保できるのです。菅氏は会見の中で事故調の立ち上げを示唆しました。独立性、公開性、包括性としましたが、その中でこれはやむを得ない自然災害によるもの、とされれば益々東電の賠償額は引き下げられ、国の負担が増える傾向となるのでしょう。
東電は一旦破綻させても、安定的な収益が見込める優良企業、だからこそ破綻という道筋が描けるはずですが、やはり菅政権にそういう決断はできないだろう、ということが今回の一連の動きでもわかります。存続を前提に、公的資金を注入しても立ち直りが遅いのは、これまでの産業再生を見るまでもありません。それは大胆な改革を促す好機を失い、体制、体質を残して新たな収益体制を築くことの難しさでもあります。むしろ、電気料金という形でそれを転嫁し、収益を確保させるということなら益々東電が東電である意味は失われるのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2011年05月09日

浜岡原発の停止と、敦賀原発の放射性物質漏えい

石井民主副代表が党地震対策本部副代表の座を、那谷屋参院総務委員長が、生方衆院消費者問題特別委員長が、フィリピンでゴルフをしたことで辞任しました。大した問題ではありませんが、それだけに影響も限定的、拡大しない前にさっさと辞めた、ということです。しかし国会会期中であり、図らずも彼らの得ていた役職がそれほど重要でない、人材としても彼らでなくても良かった、と露呈した形です。

浜岡原発の停止を中電が決めました。止めること自体はある程度好感できますが、問題は安全審査の結果として防波堤の高さをどの程度、ととり決めた訳ではないため、再開する基準が不透明ということです。何メートルの高さであれば安全、というハードルは設けていないため、安全サイドにあるかどうかも判断はつきかねます。中電株は今日の市場で10%安、これが中途半端のまま、決断を先延ばしするリスクとして意識されたのかもしれず、民間企業に行政指導でもなく、単なる要請を出したというツケは、政府支援として国庫が被らなければいけません。それは結局、納税者の負担という話になります。それと同時に、火力を増やすことによる燃料サーチャージなど、電気料金は上昇傾向でもあるので、国民は痛い代償を払うことになるのでしょう。
日本原電の敦賀原発2号機では、換気用排気塔から微量の放射性物質が7時間で41億ベクレル漏えいした、と発表されました。微量で環境への影響はない、としていますが、1次冷却水の放射性物質濃度が高まり、燃料集合体の損傷が懸念されていたため、7日に停止したばかりです。しかも、排気塔から漏れるということは、格納容器内に放射性物質を含む水が漏れている恐れもあり、水素爆発に至る恐れはなくても深刻な事故です。むしろ福島原発の問題がなく、未だに原発の安全神話が続いていれば、非常に大きな問題となったはずです。

菅政権では浜岡原発以外、停止の要請はしないとしていますが、この敦賀原発ももっと前に止めておくべきでした。浜岡原発では、地元雇用云々の話もありますが、元々原発は通常運転時より、定期検査のときの方が人手もいるのは、福島の例をみるまでもなく明らかです。特にこの時期、補修や改修を行うのでまったく心配ない、と云えます。むしろ交付金が運転時と同様にでる、とされているので地元には多額の資金、また人が集まることにより旅館、タクシーなどの産業には好都合とさえ云えます。地元には運転時と同程度の交付金を約束しているので、今のところ地元に損はありません。ただ原発も動かさないのに、ぬれ手で泡のように地元にお金が落ちることによる、国民に懐疑的な見方が広がる方がより大きな影響となります。
放射性物質を、一度でも環境に放出すれば、事業者が問題ないと述べても眉唾にしか受け取れなくなる。損失補償をする側が計測し、安全かどうかを判断しているのですから。むしろ東電が与えた影響は、電力会社の発表内容に対する不審、となって全国的に波及します。少なくともオンラインで、加工されていない情報、数値を市役所、または集会所などでオンタイムで見られるぐらいでなければ、国民からの安心は得られないと云えます。運転再開が困難、とされますが、困難な状況に追い込んでいるのはむしろ電力会社側、という認識をもたなければいけません。悪いことが重なる、という不運を嘆くばかりでなく、安全を確保するための基準作りを確立しないと、老朽化だけが進むという悪い流れの中で、原子力行政全体が頓挫することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年05月07日

菅首相による浜岡原発停止要請について

菅首相が昨日、中部電力に対して浜岡原発の停止を要請しました。あくまで要請であり、中電は対応について検討、今日は結果が出ませんでした。浜岡原発は東海地震の震源域にあり、かつ活断層の真上にたつことから、以前から危険性は指摘されていました。ただ今回、菅氏のとった行動には幾つか問題も見受けられます。
まず、これが単なる要請であること。一民間企業に対し、行政指導でも、勧告でもなく、政府が要請を出すことに対する正否があげられます。これまで行政は認可を出しており、問題ないと認めてきました。今回、それと異なる要請を出したことにより、国に対して損害を請求できる権利を、中電は得たことになります。実際、原子力が安価で、火力などより安く電力供給できるとすれば、差額分のコストを請求できます。M8クラスの地震が87%の確率でくる、と言ってもそれは以前から指摘されていたこと。このタイミングで、急速に情勢が変化したわけではありません。

次に、日本にはまだ危険な原発がある、として海外からの渡航者が忌避する傾向も出るでしょう。これは安全審査の問題というより、詳しい事情を知らない海外から見ればただの危険、というだけです。海外の原発政策、受注動向にも影響してくるかもしれません。誤ったメッセージを海外に発信しかねない、という意味で甚大な影響を与えそうです。そして国内では、原発新設や再稼働に影響するでしょう。
何を間違えたか?それは手順です。新設、既設に関わらず、過去の事例や新たな知見を盛り込んで再審査する。その過程で、どういう対策、設計をすれば安全を確保するかという広範な議論の後、停止かどうかを判断すべきでした。危険な原発をすぐ止める、という意見もありますが、震災後二ヶ月もあってすぐに取り組んでいれば、一定の指針ぐらいは出せたでしょう。活断層による直下型地震はどの程度の破壊力をもち、どう耐震を担保するか?防波堤の高さは?ここで、運転停止を要請したからには、次に震災で原発が損傷した場合、もうイイワケのできない状態におかれます。すでに現在停止中の原発、その再運転も難しい状況ですが、誰も安全かどうかを担保しておらず、また国の担保がないために事故を起こせば、電力会社の負担として重くのしかかる。二重、三重に原発再稼働には枷が嵌められた状況といえます。

行政として、監督官庁もありながらただの要請にとどまる。そうすれば、訴訟や賠償のリスクにさらされない、と考えたのすれば大きな間違いです。むしろ、影響の大きさからすれば言及するだけで、一企業に損害を与えるのです。これが安全審査に基づく指導なら、むしろそうしたリスクを回避できたはずであり、これも場当たり的な対応による、政府の不作為によって引き起こされた問題と指摘できるのです。
今回、中電とて経産省とケンカする道をとるか?が注目されます。しかし普天間移設でみせた官僚の動きを踏襲するなら、経産省が東電にここはこうすればいい、と裏で囁くことによって、政権判断とは異なる選択肢を促す恐れもあります。それが根回しなく、電撃的に発表したツケでもあるのでしょう。一方で、根回しすればどこかから漏れ、発表前にこの要請が潰された恐れもありました。ただ手順前後で、また要請に基づくものだけに結果は保証されません。今回、電力会社の再編まで視野に入れて改革が必要と論じれれていますが、小手先の対応ではなく、原子力行政全体の見直しが必要であることは、停止要請に伴う帰趨が見せてくれるのかもしれませんね。

明日は一日、お休みします。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年05月06日

経済の話。商品相場の急落

米国で注目されていた4月雇用統計で、雇用者数は24万4千人増、失業率は0.2%上昇して9.0%となりました。市場予想は18万5千人増、失業率は8.8%だったのでトントンの内容です。米国では民間雇用統計が悪化し、景況指数も減速懸念がでて、一気に景気に対して不透明感がわき起こりました。それに伴い債券買い、金利差の縮小によるドル買いが起き、それが日本でも円買いの要因になっています。また商品市場が歴史上、稀に見る急落を演じており、影響が拡大する懸念もあります。
原因はCMEによる銀相場に対する証拠金引上げ、加熱を抑えるため、二段階で84%まで引き上げており、これを受けて銀は1オンス=50$から35$に急落、それが他市場に波及した形です。金は2.6%減、原油は10%減、銅は3.3%減、スズは7%減、トウモロコシは3%減、大豆は2.3%減です。コモディティ関連の投資は、株式のように銘柄が多いわけではないため、全市場に資金を振り向けています。このため銀急落による損失で、他市場からの資金引上げが起きており、これがCRB指数5%急落、という史上5番目の下げにつながっています。

下げ幅に温度差もあるのは、例えば原油市場は米政府から投機筋のマネーゲームに懸念を示されており、規制を意識した影響もあります。ファンドは6月で解約するための45日ルールがあり、5月半ばまでにある程度、現金化しておく必要を生じます。問題はこの資金が再投資で戻ってくるか、です。市場は新規資金の流入がない限り、上昇を見込めない宿命をもちます。再投資+新規資金への期待は、QE2.5が支えてきましたが、想定以上に米景気が鈍化すると、今以上の解約売りに晒されることになり、市場期待にそぐわなくなります。投資運用会社は先高期待を煽りますが、今回の急落でその期待さえ剥落した形です。
世界に影響を与えるのは、金と原油です。金は高値水準にあっても、中国が怯まず買いを入れてきました。3兆$を超える外貨準備の運用多様化、国民にも金需要が高いため、相当国内に貯めた形です。価格下落は国家、個人ともにリスクヘッジが出来ていない恐れがあり、景気を頓挫させるでしょう。中国マネーが世界市場に溢れてきたため、相場をもう一段押し上げてきた、その原動力を失うことになります。原油は中東マネーを衰えさせるので、これも市場にはマイナスの恐れを生じます。一方でインフレが緩和されるので、QE3の期待が拡大します。するとドル安、商品市場の再騰という事態も意識されます。ただ今度のドル安は、債券安を伴う恐れもあるので、制御不能に陥る可能性も高い。相場はこの綱引きで悩むことでしょう。

日本は再び円高です。現状では輸出産品が減って、輸入が増えるので、円高抵抗もついているといえますが、企業業績では震災に伴うもの以上に、減益幅を大きくしそうです。マクロは震災対応に伴う政府支出の拡大で堅調、ミクロは損害やサプライチェーンの崩壊で受ける影響から停滞、という流れが円高からも促されそうです。どの程度まで円高になるか、は逆にドル安の進行度合いと密接に絡むのでしょう。
商品市場急落にみえるマネーゲームの危うさ、規制は一市場の下落にとどまらない、波及的効果を伴うことが今回知れました。米系の拝金主義と、新興国から溢れてきたマネーと、それを規制するのは難しいのです。高すぎる、という言葉が虚しく、無意味に響くときはすでにバブルであり、それが弾ければ日本で起きたときとは比べ物にならない、未曾有の危機に世界はうち震えるはずです。今回、図らずもその一部は垣間見せました。マネーでつながる経済は、どこかで循環が断たれた時に脆弱になりますが、今はマネーの力が強すぎて、悪化する程度が読みきれないのが現状です。予行演習になった、という意味で今回の下落を教訓とするか、バブル崩壊に怯えて規制を後ずれさせるかにより、崩壊の程度と時期が変わってきますが、後ずれさせるほど危機は拡大することだけは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2011年05月05日

米外交公電による普天間移設について

ソニーの情報流出が1億人に及ぶ中、米下院の公聴会に呼ばれたソニー幹部が出席を拒否、トヨタの二の舞を懸念する声が上がります。現状、発表された内容も曖昧模糊としており、被害範囲も特定できていないため、それがまた不審を増す、悪い流れとなるのは日本政府の原発対応と同じ。当初、Wikileaks支持や、ジャスミン革命で名を馳せたネット集団、アノニマスの関与も疑われました。アノニマスはSCEがPS3のプログラムを解明した技術者を、著作権侵害で提訴したことに抗議して、攻撃を仕掛けています。ただ、今回の流出にはAPT攻撃、と呼ばれるシステムの脆弱性をつくものであり、手口も異なることから、犯人を特定するに至っていません。
ソニーは2005年に、ソニールートキット事件を起こしています。ソニーBMGのCDをパソコンで再生すると、ルートキットにウィルスが仕込まれ、違法コピーなどを監視していた問題です。知的財産権を守る、という言い分を盾にしてハッカー並に悪意をもったウィルスを送りこむ。日本では被害も少なく話題も小さかったのですが、ソニーが今ハッカーとの対決を標榜すると、違和感を生じるのは過去にこうした経緯があるため、かもしれません。このソニールートキット事件では、無効化されたプログラムを使ったウィルス、なども作成されており、企業倫理を強く意識させるものでした。問題は、その頃からのソニーの体質にあるのかもしれません。

そのアノニマスが支持するWikileaksの米外交公電について、朝日新聞が分析を加えて、続々と発表しています。その中で、注目したのは2点。グアム移転費用をあえて水増しし、米国が負担を過大にみせることで、日本の負担割合を低くみせようとしていた点。本来は3分の2という拠出を、6割を切ることで体裁を取り繕っている。何のため、と言われれば予算を通しやすくする、負担割合の低減を外交上の手柄とする、様々なものがあるでしょうが、当時の自公政権が国民を欺いていたことに違いありません。これは遡って検証する必要があります。
そしてもう1点は、普天間基地移設に関しての鳩山政権の態度です。記事を読めばわかりますが、鳩山前首相の発言、態度が直接には登場しておらず、岡田外相、前原国交相、松野議員、薮中外務事務次官などが米側に、連立政権に配慮して県外移設を訴えているが、いずれ現行案に戻る、大丈夫と伝えていたことが明らかとなっています。さらに斎木アジア大洋州局長、薮中次官、高見沢防衛政策局長が、米側に民主党政権の批判を加え、安易に妥協しないよう助言していたことなど、非常に問題を含む内容です。これまでも指摘してきましたが、鳩山前首相は閣僚、官僚に外堀を埋められている間、道化のように県外移設を訴えていたことになり、普天間移設がどうして歪み、誰に責任があって県内移設に戻ったか、を如実に示す内容となっているからです。

これをもって証人喚問も可能です。もし当時の閣僚、官僚が証言を拒否すれば事実を裏付けますし、否定すれば米側との軋轢を生みます。どちらにしろ、意図せざる流出とはいえ、今回明らかになったことは官僚の不作為が、政治による外交問題の解決を阻害する、最大の懸念ということです。そして政権とて、一枚岩ではなくユダのような人間が内部にいると、国益を損じることを強く意識させるのでしょう。これは米国か、中国か、という二者択一の問題ではなく、裏切り者がいることによって政治全体が停滞する懸念をさします。
公電内の、シーファー氏の分析に興味深いものがありました。『日本の官僚制や計画制度は融通が利かない…未だに理解していない脅威に対して脆弱…日本政府や私企業は準備不足をつかれる…重大なシステムやサービスの長期間にわたる喪失になる』と結論づけます。地震というより、異なる種類の災害、攻撃を念頭に置いていますが、想定外を繰り返す今の地震、原発の問題とリンクしてくるでしょう。日本の何が問題か、上記の例をみても明らかなように、この国はまず官僚機構を改める必要があるのでしょう。菅政権では、この問題に対して静観を決め込んでいますが、外部からもガンが発見されているのに、治療もせずに悪化するまま放っておく。この問題はいずれ肉を腐らせ、骨を溶かしてこの国の息の根を止める、そんな問題だけに放置は許されないはずなのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2011年05月04日

雑感。ユッケによる食中毒

今朝、一斉に東電の損害賠償にかかる費用捻出のため、政府・民主党が電力料金の値上げを容認、という記事が載りました。もし仮に、これが事実なら完全に経産省の術中にはまったことになり、政権はもたないでしょう。増税議論も同様、行政機関が民間よりも高い給与を得る。コスト高の構図の中で国民負担により、歳入を賄おうとするその姑息さを嫌気するものです。「リストラをすすめて…」とありますが、役員報酬はまだ高水準であり、かつ企業年金まで及べば人件費コストは相当に及びます。経産省は、電力各社10社と、日本原電、電源開発も含めて50年で68人が天下りしている、としています。うがった見方をすれば、この経産省OBの報酬を削らないよう、電力料金値上げで対応しようとしている、といった側面も透けて見えます。
リストラのみではなく、旧経営陣の経営責任にまで踏み込まねば、電力料金に転嫁などできないはずですが、そうすると原子力行政自体の見直しが発生する。そこまで手を広げると、公益法人、特殊法人まで含めて天下りの数は桁を替えてきます。またエネ特会見直しまで浮上するため、電力料金値上げは、経産省の利権構造を守るためだけに画策されている、と云えるのです。これを認める政権にはもう何も期待できないのでしょう。

ユッケを食べた人に、腸管出血性大腸菌O111に感染し、死亡する例が出てきています。今回、判明したのは生食用には馬肉しか流通していない、という事実であり、肉を生で提供する構図の中で、店側と卸しの段階で検査、という形での安全性の担保はなかったということです。日本は生食に寛容な部分もありますが、消費者はこの背景を知らずにユッケを食べていた、という事実は消費者行政の抜けでもあります。
政府が規制すべきではない、とする意見もありますが、正しくリスクを理解してそれを需要側、供給側が満たすなら問題ないでしょう。今回、明らかになった事実により消費は確実に減退しますので、それが規制という形で機能します。ただ国民に安全を提供する、という立場にたてば、検査を義務付けて罰則規定を儲けるか、フグと同じように特別な免状を必要とする、等の対応も必要となります。

例えばクジラの肉、日本では捨てるところがない、として余すところなく食用、工業用に用いられてきました。これは文化の中で熟成され、安全に美味しく食用として満たすよう機能してきたものです。しかし昨今、新しく日本に入ってきた海外の食文化は、それを相手の文化的傾向に依存して、安全を判断するものであり、未だに安全は確立されていない、とさえ云えるものです。薬でも西洋人には効果が高くても、東洋人には効きにくいものがあったり、という事実も同様に、その国の環境や体質に合わないと、それだけでリスクを抱えるとも云えるのです。つまり腸内環境や普段の食文化との兼ね合いも含めて、危険、安全の定義は変わってくるということです。
コアラはユーカリ、という他の動物では毒性が高く、食べない植物を食べるために親から子へ、腸内の微生物を子にわたす作業が行われます。それ以外でも、動物では食性を合わせるために、親の糞を食べるということは度々行われますが、これも食文化と云えます。普段食べているもので、他の毒性を消せるため食用に資す、といった食材すらあるのです。お刺身とてリスクはあるので、一概に肉の生食のみ禁止することは難しい、としても今回の件は何らかの規制が必要となるのでしょう。ただ食文化とは、総括的に語られるべきものであり、外来のものを取り入れる場合は安易に、それを需要してしまうよりも、リスクという面を認識しておくべきである、とは云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:53|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2011年05月03日

某紙のアンケートと倒閣手詰まり、という記事

福島第一原発1号機で、換気装置の設置が進みます。ただ湿度が高いと高機能フィルタでは、すぐ目詰まりして使いものにならなくなるため、除湿とセットでないと厳しい。また空気中の濃度が高いため、フィルタがすぐに高い放射化の状態になり、頻繁に交換を余儀なくされます。当然計画の内だと思いますが、全般的に線量が高い施設全体を換気する、という例は茨城県の東海村で起きたアスファルト処理施設の爆発事故以来、ということでもあり、前例をよく倣った形で進めるのが良いのでしょう。

今回の震災で、福島県の藤沼湖でダムが決壊していたことが報じられました。1949年に建造された古いダムであり、鉄砲水が襲って7人が死亡、1人が行方不明です。原発事故で、他の発電施設としてダムを取り上げる人間もいますが、コンクリートにも耐用年数があり、補修を重ねてもいずれ決壊の恐れは出てきます。藤沼湖は規模も小さく、被害も津波ほどに拡大はしていませんが、それでも震災被害に違いありません。ダムも耐震設計、周りの地滑りなどで危険性が高いのであり、決して安全という観点でみれば絶対ではない、と意識すべきなのでしょう。

朝日新聞に面白い記事がありました。5月2日に1週間前のアンケート結果が載ったのです。内容は憲法改正と、国政選挙における1票の格差についてなので、憲法記念日に合わせて、連休前にとっておこう…という話はありますが、アンケートは鮮度が大事であり、その根幹が揺らぐと意味を為しません。結果は、憲法改正は必要、9条改正には否定的、というものです。
同時にとられた1票の格差の問題、こちらはこの時期、話題にすること自体を目的としたものでしょう。最高裁で格差が大きすぎる、として違憲判決がでており、選挙制度改革に着手する必要が生じています。しかし朝日は西岡参院議長に、ここで倒閣を云うのは無責任、と詰め寄った経緯もあるように、菅政権に親和的です。同時に打たれた「倒閣」手詰まり感、の記事に本旨があるのでしょう。この記事の中で、野党が内閣不信任を提出、小沢派の80人が同調して…というシナリオを挙げていますが、これは1票の格差問題で難しい、と暗に示しています。

現状、総選挙を行うと違憲状態にある選挙制度で戦うことになります。それを回避するには、突貫で新しい選挙制度をつくるしかありません。それには最短でも1ヶ月、告示までの周知期間も含めれば2〜3ヶ月は優にかかります。つまり内閣不信任の提出は、選挙制度改革と大きくリンクして問題を孕むものと云えるのです。これは各党が協調して、改革を進めなければいけませんが、当然菅氏を始めとした民主党幹部は、この話し合いを積極的に進めたがらないでしょう。解散カードは震災で阻まれており、党内の引き締めにはこの選挙制度改革が、十分に使えるからです。
倒閣の本命は両院総会です。党代表選ならものの1週間で可能であり、政治空白も短くて済みます。2次補正も通常国会内で提出できない、そんな政権であれば1週間、間が空いても何ら支障がないと云えます。朝日新聞が、なぜ内閣不信任を本命視するのか?簡単には、総選挙なら民主党が敗北し、事実上、親小沢の代表が誕生することはない、ということに尽きます。党代表選なら、確実に親小沢の政権が誕生してしまいます。だからこそ、その話題には触れないというに過ぎません。しかしあくまで、倒閣は両院総会で、党執行部に不信任を突きつけること、これが政局では重要になります。それが起きる可能性はかなり高まっており、党内暴発の引き金はいつでも引ける状態なのでしょう。身内からの離反、批判、これは政権の末期症状を意味します。後はキッカケ作りであり、そのタイミングを探っている時期なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2011年05月02日

校庭利用基準の不誠実さ

パキスタンで、オサマ・ビン・ラディン容疑者を米海軍特殊部隊が射殺したと報じられます。ただ、追跡に10年をかけたことでテロ組織は分散化、脅威は短期的に『報復』という形で肥大化します。逆に殉教、という形で神聖化されると、攻撃が激化する恐れすらあるのです。テロ対策、と称して相手国に乗り込み、国民を殺しまくったツケで、米国への反発は中東で高まりを見せています。そのとき象徴を失えば暴走の恐れは、さらに高まっていると云えるのでしょう。
アフリカ、中東で民衆放棄により政権が崩壊しています。この動きは、むしろテロ支援を国家ぐるみで行う恐れがあるのでしょう。それだけ、民衆に浸透しているのがイスラム原理主義であり、欧米に不都合な方向に進んでいます。水葬という行為も、相手に対する礼を失しているものであり、恨みを晴らせば、その恨みが還ってくる。負の連鎖に陥る禍根を残した、という面では今回の作戦、後に起こることの方が大きいと云えます。日本では東京市場が好感、震災前の1万円台回復です。米でQE2.5によるジャブジャブ相場が継続される、ドル安で米経済は堅調、という米国人のキチガイじみた拝金主義が続く限り、相場は堅調なのでしょう。ドル紙幣を刷り続けても負の影響は起きない、テロ首謀者を無残に殺害すればテロは起きない、そんな奇妙な思想にとりつかれた、神による愛と許しを至上とするキリスト教プロテスタント国。米国が抱えている火種は、実は国内にあるのかもしれません。

参院で1次補正が成立しました。ただ2次補正は税と社会保障の一体改革後、という話になっており、当然増税を盛り込むことが想定されます。そんな中、小佐古内閣官房参与の辞任を、今日は一斉に各メディアが報じ始めました。国会を開けば、折りに触れて取り上げられる問題であり、しかも内閣の決定を、その中枢にいた人物が否定するという事態であり、政府の信頼が問われています。
小佐古氏の発言が伝わってきましたが、幼児、小学生に年間20mSvは学者として認められない、と強い口調であり、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準そのものに疑惑を投げかけます。20〜1mSvは異常時の対応としてICRPも認めていますが、土に染み込んだ放射性物質は、継続して高い線量を出し続けます。また埃で舞い上がり、内部被爆を起こす恐れもあることから、線量の高い場所での活動は極力控えるべきものです。成長段階では、細胞分裂前の未分化の状態の細胞が多く、その核が傷つけられて修復も不可能になると、そのままガン化する恐れがあります。

この校庭利用基準、原子力安全委員会も開かず、2時間でお墨付きを与えていたことなど、どう考えても対応がお粗末です。放射線による影響が100mSv以下なら問題ない、とICRPでも謳われるのは、細胞レベルでどれだけ壊れたか?を定量化できないことによります。放射性物質は体内に取り込まれにくいとされますが、例えば美容などで用いられるヒアルロン酸、コラーゲンなどは大きな分子構造のため、腸壁からは吸収されないとされます。ですが事実取り込まれていることが確認されており、これは学会でも意見が分かれている問題です。つまり、体内に吸収される確率に定説はないのです。
大人と幼年期の子どもは、あらゆる面で異なります。文科省の20mSvという判断は、菅政権における定量化された判断、楽観的というに等しいのです。子どもたちを守るという立場にたてば、まずグラウンドの土は入れ替える、という郡山市の判断の方が正しいと云えます。それを処分する場所が見つからない、余計な予算をかけるのがイヤ。横断的な調整が必要な内容を避けて、結果的に子どもたちに無用な被爆をさせてしまう。これは政権における物事の決定システムに直結した問題です。
今回の問題でも露呈していますが、能力不足の菅政権が続くことによる弊害と、1週間、党代表選にかけて新しい首相で出直す道と、その損害額を比較すれば、容易に結論が出る話です。福島の子供たちを人柱にしないためにも、こんな判断を下す政権は早めに撤去すべきなのでしょう。避難住民全員が仮設住宅へ入居するのはお盆まで、と菅氏は述べます。それができなければ辞職する、という決意表明にも受け取れますが、しかし3ヶ月以上、今のままだらだらと政権が続けば、それだけ被害が拡大していきます。子どもたちのことを考えるなら、全員に放射線管理手帳を配り、フィルムバッチをつけて線量管理をすべきです。昔で云えば名札の形式でもよく、それが危機時の対応として正解だと云えるのです。国民を守る、ということができない政権は早めに淘汰されるのがベストなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年05月01日

内閣広報担当による悩み

ソニーがPSNのデータに不正侵入され、7700万件の個人情報が流出した件で、カード情報が悪用された場合は個別補償、30日間の無料コンテンツの提供が発表されました。流出発覚から、情報開示が遅れたことといい、どこかの国の原発対応のようです。危機管理で求められるのは、第一に速報を打つこと、どういうリスクがあり、どう備えなければいけないかを示し、最悪のリスクはこういうことなので、身構えるよう促す。このとき、被害状況や範囲など未確定でも構いません。その後、正確な情報を把握し、今度は確実なものとして第二報を流す。そのとき、初期対応に関して修正する部分を伝えることで、一時的な混乱に終止符も打てます。今回、情報の把握に手間取っている間、『安心して』会員登録しようとした人間にまで被害を拡大するという事態に陥り、企業対応としてマイナスです。
補償の問題にしても、元々会員登録自体は無料のサービスなので、金銭的な補償はないようです。しかし個人情報を登録させる、という行為は企業にも高いセキュリティ・ポリシーが求められているのであり、今回そこが毀損しています。無料コンテンツ、と云ってもそのサービスを利用しない人間にとって、何のメリットもありません。企業側の都合で、一部は有料で提供されるものもあるので…とするのも、信頼回復にはほとんど寄与しないと云えます。大企業ソニーが、ハッカー集団と争うというのも異例ですが、危機管理上の問題が露呈したという意味で、今回の件は大きいのでしょう。

広報担当の下村内閣審議官が、今朝の番組に出演していました。広報のあり方に悩んでいるようでしたが、簡単にいえば、菅氏の発言は自身が延命したい、ということに必ず結論を帰着させる傾向があります。つまり本来、他者が評価すべきことを自身の発言の中に絡めてしまうため、非常に傲岸な態度に見えてしまいます。私心を捨て、原発対応に必死であたっているなら、そういう傾向の発言は本来出てこないはず。それが自分の口から、億面もなく語られるのでこの人物に期待できない、となります。自分に甘い人間に、他人は必ず辛口になるためです。
また同番組内で、レベル7でもチェルノブイリと違う。放射性物質の漏えいは雲泥の差、と必死で述べていましたが、これも下村氏は誤っています。原子力施設は本来、核物質を漏えいさせてはいけないものであり、それが漏れたことが問題です。量や事故の質は、第三者が評価の際に用いるものであり、それを当事者が述べると非常にいやらしく映ります。多くの量の放射性物質が漏れたことは同様なので、事故の質よりも今は原発対応が正しい方向に向かっている、ということを強くアピールすべきです。番組内では、元同業者なので甘い追求でしたが、明らかに下村氏は誤っています。

そしてもう一つ、組織、体制の問題でいえば広報担当の下村氏が、統括して情報を一元管理し、注釈を加える側なのか。情報に対する司令塔なのか。それとも情報を束ねて横流しにするだけなのか。この線引きが曖昧なため、非常に立ち位置を危うくしています。情報操作の疑いがもたれている今の菅政権では、広報担当者がその司令塔であれば最大の問題ですし、情報を差配しても問題です。ありのままを流す、ということなら下村氏の頂点としてただ組織をつくり、機能させるだけで十分です。彼が理解できていないのは、この中で自分の立ち位置を鮮明にすれば、注釈という形で政権に批判を加えることも可能です。何でも流す、という行為はそれほど容易いものではありません。意図が篭められた映像だと勘ぐられるので、批判もうけます。
下村氏も菅氏と同様に、政権にどっぷり漬かっているため、冷静な判断ができていません。ただの広報なのか、情報統括部隊なのか、戦略を立てるのか。最低でもそれを示してから、組織、体制について疑問を抱くべきでしょう。場当たり的、とはそういうことです。どうしたいか?その絵が誰にも見えないので、何となく不安を抱いてしまう。先のソニーの件でも分かるように、危機管理とはかくも難しいものです。しかしそれに対応できることが、運営者の責務であり、そのために高額の報酬が是認されています。それができなければ、さっさと職を辞すべきと云えるでしょう。それは報酬を払うだけムダ、それに見合う対価としては高すぎる代償といえ、それを評価する国民からみてふさわしくない、と評価されることになるのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般