2011年06月

2011年06月30日

ギリシャ、米国の債券にまつわる話

ギリシャが5ヵ年の中期財政再建法案を可決しました。関連法案を含め、今晩可決されれば正式に、ギリシャ国内は緊縮財政と、資産売却に動き出すことになります。ただスト、デモが起きる現状で、観光業が主体のギリシャにとって、国内混乱の継続が、歳入には影響してくるので辛いところです。また仏国が自国の金融機関と合意した、ギリシャ債ロールオーバー案は、かなり疑問が残ります。
仏提案は、借換えのタイミングで3割を償還、残り7割をロールオーバーする、というものです。ギリシャはこの7割の内、2割を高格付債へ投資し、仮にデフォルトしても2割は返還に応じる、というものです。債務削減に陥ると6割が損失となるので、それよりは良い内容ですが、極めて問題が多い。まず新発債の発行に伴い、ギリシャは懐に5割しか戻って来ないこと。しかも経常赤字なので、新発債は増える傾向にあり、より多くの債券を発行しない限り、運転資金さえ枯渇する状況となります。

2つめに、シンジケートを組んで高格付債に投資する仕組みは、デフォルトと同時に高格付債も大きく売り叩かれる懸念を生じるので、投資先を明らかにしにくい面があります。つまり投資不適格のギリシャが保有する金融商品、これは全般に格下げリスクが生じます。またギリシャは20%を越える金利を払いながら、同じ資金で3%程度の金利しか受け取れない。その欠損を埋めるだけの歳入を担保しないと、ギリシャは破綻懸念を強めるだけなのです。つまり、この仏提案のロールオーバー案は、金融機関のヘアカット額を減らす目的であり、ギリシャにとっては極めて厳しい内容と云えます。
ギリシャは贅沢を云えない。ただこの仕組みでは、ギリシャが崩壊を早めるだけです。仏国では「貸すときは神、返すときは悪魔」という諺があります。これはまさに悪魔の仕組み、とさえ断じられるのでしょう。金融機関を救うシステムのはずが、欧州全体を混乱に導くことになりそうです。

米国ではQE2が終了しますが、米国債の不調が続きます。ギリシャ不安の後退で、安全資産としての米国債への需要が低下した、というのが専らの見方です。住宅ローン債権など、償還を迎えるものは国債などに再投資する、と明言しており、現状資金の供給量は減るものの、FRBは買い方として機能するためです。ただ、一方で8月4日とされる、米国債の上限撤廃は、議会でまとまる気配がありません。
民主党は富裕層への減税撤廃を、共和党は減税継続を訴えます。これは支持層とからみ、来年の大統領選を控えた動きと重なるので、双方引けなくなっており、オバマ大統領も調整に動いています。ただ米政府が、この法案を通すために取りうる手法として、気になる話があります。それは、地方債にデフォルト懸念を生じさせ、危機感を煽って議会通過を狙うやり方です。

米州、市などは財政不安に陥るところも多く、毎年もめるカリフォルニア州が、今年はすんなり予算の年度切替えまでに法案を通過させましたが、財政が逼迫している地域は両手を超えています。たあデフォルト懸念が出れば米国債も売り叩かれる恐れがあり、諸刃の剣とはなりますが、それがドル安を引き起こし、米経済を堅調に導く可能性も出てきます。
それを実行できるかどうか? それは7月後半の国債、証券、為替市場等の動向に関わってくるのかもしれません。米国は国を維持するためには、小を切り捨てます。オバマ政権が禁断の手法に手を染めるか? その前に議会で妥協案がつくられるか? それらはすべて7月後半に判明します。ギリシャ不安の再燃も、総じて早くなっているので夏場にはまた話題になるでしょう。今年はこうした債券とデフォルト、という話題が、世界の経済分野では流行語になってしまうのかもしれませんね。

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2011年06月29日

亀井国民新党代表の戦略

経産省発表の5月鉱工業生産指数が5.7%上昇と、05年意向最大の上昇幅となりました。震災後の回復が鮮明ですが、7月でも8〜9割の回復、という水準をどうみるか? です。恐らく供給回復以上に、秋口以後は需要面の問題も大きくなることから、生産余力は回復しても果たして…といったところです。
市場はボーナス月の持株会からの買い、年中間のドレッシング買い、といった上昇局面です。買い圧力の強いときは、買いで利益をあげようとする短期の動きですが、米国では債先安となっており、QE2後の米債に不安を残します。ギリシャ問題にも、財政再建案が通過しても、仏国が提案した民間金融の債権借換え策は、仮にデフォルトしても従来のヘアカットの半分で済む、という大胆な策ですが、高格付け債への再投資、という手法自体に信頼が集まるかどうか? 今後、議論を深める上では幾つもハードルがあると見て、間違いありません。しかもヘアカットになれば、損失を抱えることは間違いないことであり、今は財政再建案の可決で楽観も広がりますが、これからなのでしょうね。

亀井国民新代表が浜田参議員の引き抜きに対し、民主、国民新で109人、共産6人、社民4人、無所属1人で合計120人、過半数に1人足りないからと説明しました。再生エネ法の可決を睨んだ動き、とのことですが、亀井氏が読み誤っているとすれば、それは民主造反の可能性です。菅氏が念書に成立後、退陣と認めなければ、賛成しないと詰め寄る可能性があります。これまで、約束を反古にしてきた人間ですから信が置けません。特に、参院民主は先の選挙で、相当苦労させられた人間も多く、かつ半数以上は菅政権以前に当選した議員も多いので、輿石氏の動向が注目されます。
しかも共産、社民が賛成するかどうか、確約がとれてはいません。直前で賛否を覆されれば、面の皮が剥がされるので、調整役に批判の矛先が向かうでしょう。これは表向きの理由であり、裏では自民と民主の対立を決定的にし、大連立機運を萎ませる。小政党、国民新が存在感を保つための、苦肉の策だったと見ることが可能です。しかも亀井氏の構想の中に、小沢派を取り込んで菅政権の基盤固めをする、という項目があったはずですが、これを菅氏は尽く却下してしまった。非常に党内基盤が脆弱になった、これが党内造反の動きを加速しやすくさせた、と言えるのでしょう。

しかも、亀井氏は自民にもケンカを打った形になります。元々、大連立になれば郵政法案の行方はかなり不透明になり、成立の目処も立たなくなります。つまり亀井氏をトップに、救国内閣を描くのは自公との関係から、かなり困難とさえ云える。国民新が郵政法案を捨てるか、民主と合流するか、自公がかつての恩讐を忘れ、郵政法案に賛成を示さない限り、亀井内閣は誕生の見込みも低いのです。
今回、副総理就任を断ったのも、簡潔にいえば菅氏と共倒れはイヤ。特別首相補佐官への就任は、菅氏に協力して近自民系の力を殺がないと、菅政権後には部分連立にしろ、確実に与野党の協力体制が出来上がってしまう、ということがあります。実は、キングメーカーを自任し、積極的に政局を作ろうと動いている今は、国民新として非常に切迫した事情がウラに存在する、とさえ云えます。

味方と思って菅氏もすり寄りますが、亀井氏の心根を知ると警戒を強めるでしょう。そして亀井氏もお盆明けに、菅氏退陣路線が描けると、次の一手を模索しなければならない。近自民系を嫌えば小沢系の誰かにアタリをつけ、震災のみの部分連立で話をまとめよう、と動いてくるでしょう。
国民新は、無利子国債の発行など、かなり大胆な提言もマニフェストに盛り込みましたが、逆にこれは危うさにカウントされます。改革が必要なことは、誰しも認識していても改悪であっては困る。国民新の提案は、経済の側面からみると非常に不都合なものが多いのです。亀井氏は郵政族、建設族とされたこともありましたが、もっとも警戒されるのは経済分野、ということになるのでしょう。誰と連携しても、ここに首を傾げるような提案をしていると、政局で重要局面を握るには国民新は役不足、と判断されてしまうことになるのでしょうね。

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2011年06月28日

2つの総会について

民主党で両院議員総会が開かれました。冒頭、菅首相が「エネルギー政策は次期国政選挙の最大の争点」と述べましたが、とんでもない話です。これは科学技術であり、判断基準は安全に運営できるか? 設備維持費、燃料代、交付金、効率などを含めたコスト面で、他の発電方法と比べてどうか? です。それを正しく判断するには、国民に正しい情報を開示し、真摯に国が向き合う姿勢を示してこそ、争点になりますが、今は国や電力会社を含め、神話としてしか語っていません。
つまり原発を政争の具にする、時の感情論というもっとも曖昧なものに、国の未来を委ねようとすることは、政治家にあるまじき行為と云えます。一方、コストを判断すれば原発の新設、稼働は縮小傾向にあることは間違いありません。事故が起これば、被害範囲は日本の半分を覆うほどであり、交付金の額など、今後は拡大傾向にあるでしょう。これは迷惑料であり、再稼働に伴い増える反対運動を含め、金額を積みまさねばなりません。また安全設計をやり直しても、どこまで行えば安全が担保できるか? それも技術指針でしかなく、安心を買えるほどでは到底ないのでしょう。原発はコスト面からNOと云える状況で、あえてそれを争点にして選挙をすれば、未来を壊すとさえ云えます。

菅氏は打たれ弱い性格なので、早々に総会を退席しました。しかも、自民参院議員の一本釣りで、自民の足元を揺さぶったと上機嫌だったのに、党内、メディアを含めて政局混迷の遠因とされました。恐らく、この提案をした亀井氏に対し、菅氏は早晩見限ることになります。採用したのですから、責任は自ら負わなければならないのが責任者ですが、菅氏は失敗は提案者の責任、として距離をおき始めるのが常です。ただ、今は菅-北沢ラインに亀井国民新を加えた、トライアングルしか菅氏を支える勢力がなく、そこで孫氏の入閣などが俄に囁かれることになります。
自分に都合よい提案をする者を集めて、反発する者は露骨に遠ざける。結果は内閣改造にも現れますが、蓮舫氏など、反菅勢力との近さを嫌気されました。両院議員総会でも、攻撃されるのはイヤと逃げ回る。残念ながら、一国の指導者としての資質には、著しく欠けていると云えるのでしょう。

東電の株主総会が開かれました。指摘のあった巨大災害の可能性を無視し、結果重大事故を招いた責任を「異例なほどの天変地異」という枠に逃げよう、とする東電の態度が異例です。逆に、これが誰からの指摘もなく、突然起こってしまったことなら理解できますが、少なくとも科学技術の進展とともに、過去の事例が明らかになり、警鐘が出されていたのであり、異例ではありません。
しかも、国はこの枠を認めておらず、政治の立場としても認めることはできません。さらに裁判となり、数も量も恐らく日本では過去最大で、長期化することになる公判ですから、経営を著しく圧迫します。結果、賠償のための費用を積まねばなりませんが、その時国と対立する枠にこだわれば、国も認めてはくれません。逆に、政治に働きかけて枠を認めさせるなら、そんな経営についても株主としては納得できないでしょう。この東電の態度は、明らかに矛盾と云えます。

東電は委任状を盾に株主提案を否決していますが、これも捏造かもしれない。原発の情報が二転、三転するような企業が、委任状の数字だけは正しく算出できています、とは云えない状況なのです。菅氏もそうですが、組織を率いていく際、誠実さに欠ければ社会的、同義的にそれは組織として機能できなくなる、ということです。原発も工程通りに進んでいるとはとても云えず、今回をシャンシャンで終えても、また次、また次と不信のボルテージを上げるだけ、と云えるのでしょう。日本の政界、財界に蔓延る無責任さ、がこの総会では2つとも垣間見られた点で、非常に日本的な、リーダーシップのない総会だった、ということが云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 企業

2011年06月27日

内閣改造、亀井氏への副総理打診

浜田参院議員が自民党を離党し、総務政務官に就任します。亀井案件として名前が挙がった4人の内の1人、とのことですが、この曖昧さが菅政権の見通しの甘さ、です。本来、これは一本釣りではなく、参院多数をとれる8人を集め、一斉に引き抜く形でなければ政局的には意味がありません。
自民党では引き締め、アメ代を配るなど硬軟で引き止め工作をします。ただ、会期延長を見通しもなく、50日で一旦合意した執行部の甘さ、若さ。50日はよいが70日はダメ、という説明不足まで含めて自民党に見切りをつけたとしても、先行き短い菅政権との天秤の中で、そちらを選んだのは亀井氏が将来を約束したとはいえ、自民党の力不足も感じます。花道など、別に野党が用意する必要もなく、むしろ交換条件で何を引き出すかが重要なのに、そうした戦略が描けていない。谷垣自民の致命的な部分なのでしょう。しかし、これで自民は法案審議に積極的に応じる必要はなくなりました。

菅政権は、就任以来1年で2度目の内閣改造です。この一事をもってしても、菅氏がいかに延命優先か透けて見えますが、細野首相補佐官を原発担当相に、蓮舫行政刷新担当相を解任し、江田法相を環境相と兼務させるなど、配置転換がメインですが、亀井国民新代表に副総理打診など、裏で目玉人事は練っていたようです。蓮舫氏は、この亀井氏就任の煽りで職を失ったようなものですし、亀井氏に副総理を断られ、尚且つ見限られた面もこの人事には含まれます。大幅な内閣改造を進言したものの、菅氏の悪い癖で身内と、自分を支持してくれる人間しか、周りに置かない。非常に内弁慶で、耳の痛い諫言をする人間は遠ざける。そんな、宰相としては最悪の性癖を有しています。
しかも、与謝野氏の閣僚就任でも他人の助言を受け入れる際は、その背後で何が起きるか、を想定せずに受け入れるため、展望も描けない状態です。浜田参院議員の引き抜きも、審議を進めなければいけない現状で、自民を硬化させました。、自民は徹底抗戦をする以外に、党を引き締められませんから花道など準備せず、復興策以外の法案審議には、徹底して応じないよう動くでしょう。

一部で、亀井氏の首相待望論もあるようです。ただ今回露呈したのは、4人程度しか名前を挙げられないという事実です。それに、国会内でキーパーソンになれるほど、国民新の数も多くない。民主に投票した人間からすれば、勝手に国民新に政権を渡す、というのは背信に映ります。小が大の上に乗るには、それなりに理由が必要ですが、亀井氏が明確に復興の構想を語ったことはありません。それが素晴らしい提案で、議員がすべて乗れる、ということなら確率的には有りなのでしょうが、現状そんな期待を抱けるような状況でもありません。
また、郵政法案を進めるには、自民の協力を得ていると、それだけ齟齬を来します。唯一可能性としてあるのは、国民新が民主と合併することですが、小政党の旨みを知り、かつ連立で埋没を恐れる立場、民主の支持が下がっていることから見れば、合併に前向きにはなれないでしょう。亀井救国内閣とは、その後の政界の展望を更に混乱に導くとさえ、云えるものでもあります。

菅氏は、敵を攻撃するときは強気ですが、根回しが下手なため味方がいない。大連立反対の亀井氏とて、前原氏、仙谷氏、野田氏らの連立派が力を落とせば、早晩菅氏からは手を引くでしょう。主君とともに相打ちする気はない、それが小政党の強みです。逆に、そんな人物に頼ろうとする菅政権は、汲々内閣とさえ云えるのでしょう。今回の改造も、目玉の亀仙人は野党との亀裂を決定的にしただけ、という結末に終わりそうです。菅という急ぎすぎのウサギを、勝手に亀が追い抜いていくシーンを思い浮かべておくと、結末は自ずと分かってくると言えるのかもしれませんね。

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2011年06月26日

雑感、原発をめぐる動きについて

自民党福島県連が原発推進せず、に舵を切り、党本部は慌てて原発は必要との認識を示しました。自民はこれまでの原発推進路線もあり、積極的に脱原発は訴えにくい立場です。一方で、脱原発解散も囁かれますが、原発への向き合い方について少し考察してみたいと思います。

原発停止で電力料金値上げ、と囁かれますが、原発を動かさなければ交付金等の、原発立地地域への歳出削減となります。特に今年、原発を正常に動かすという計画でエネ特会を組んでいるので、今年に限っては余乗が出ます。しかもエネルギー対策特別会計には、原発立地に向けて積立金があるため、今後のエネルギー政策で原発の新規建設を止めれば、この積立金を取り崩すことが可能です。つまり政府が態度さえ明示すれば、短期的な電力料金を下げることが可能です。電源開発促進税などを減税し、その分を電力料金引き下げに回せば済むことでもあります。
企業は電力料金値上げで海外脱出、とも言われますが、むしろ安定供給されない方が問題です。昨年ベースで15%の電力引き下げ、しかもいきなり停電の恐れがあれば、生産計画も立ちません。では海外脱出を防ぐには、企業が電源確保のために設備投資する分を、減税や融資などで促進する。再生エネ法案などを持ち出さなくとも、補正に組み入れれば出来ることです。企業は自分たちで使う分の、一定電力を確保できますし、そうなれば企業が海外脱出しにくい構図となるでしょう。

しかしこれは、最終的に電力会社の収益性の低下になり、かつ特別会計に手を入れられたくない経産省の抵抗にあいます。菅政権に脱原発はムリ、というのはこうした面からも指摘できます。菅政権は財務省シフトを敷いたため、特別会計への抵抗感、逆風は政権内部からも起こります。実は、脱原発に紐づいて起こる行政改革は、すでに民営の努力を進めていた郵政よりも強い、とさえ云えるのです。それは財界、マスコミを含めて当面は脱原発を推したくない理由とも重なります。
福島が原発を推進できない原因は簡単で、住民感情が許しません。一方で原発により被害をうけ、もう一方で利益を享受する。この場合、損害を越える賠償が必要となります。しかしそうなれば、電力会社か、国が多額の歳出が必要となる。それは経済原則からみても容認できないでしょう。福島以外の土地では、利害の面でバーターは可能です。まだ被害が出ていないため、原発による利益はそのまま地元への報酬とカウントできるためです。ただし新設となると話は別で、数年間に亘る安全性の担保に、建設コストは跳ね上がりますし、交付金の額も変わってくるため、これは地元との合意と同様に、建設主体である電力会社からみても、非常にリスクが高い発電方法になるため、です。

再生エネ法案も、これが愚策なのは電力料金にカウントされることです。エネ特会を見直し、これまでの電源開発特会の仕組みを見直せば、きちんと税金で開発コストをまかなえ、国民負担を軽減できるのです。ただ、これは震災前に準備された法案のため、その仕組みは盛り込めていない。そんな法案を後生大事に、30年来の悲願と述べる人物が推進しても、利権誘導として受け取れないのです。原発をめぐる報道には、今後も虚実があるのでしょうが、少なくとも今の仕組みの上にある原発、という側面でとらえると誤りも多くなります。日本の未来に資するだけの原発、という面での提案は未だにないのが現状であり、促進にしろ脱原発にしろ、いずれもイメージ上の姿で論じているに過ぎない、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2011年06月25日

復興構想会議の提言がまとまる

復興構想会議の第一次提言が出されます。復興構想七原則の一つに「地域主権の復興、国は支える」とありますが、もしこれが原則なら、他の項目はほとんど要りません。都市計画法、農業進行地域整備法、福祉を基幹産業に、などは地域ごとに定めた方がよく、国が関与すべきことではなくなります。特に、福祉を基幹産業に…などは、若者が脱出して高齢者が残る、現状を追認したのみですが、産業としては地域でクローズドしてしまう、幅の狭いものです。悪い云い方をすれば、原発問題で福祉を充実させる以外、住民は逃げていく。もしそれが基幹産業になるほど、他の産業が誘致できないのなら、そんな地域には高齢者しか居なくなってもやむ無し、なのでしょう。

再生可能エネルギーの導入、なども盛り込まれましたが、安価で安定した電力供給ができなければ、被災地に高い電気料金の請求が届くだけです。この再生可能エネルギー、なるものの本質、手法が描けない限り、安易に導入を促進して良いとは思えません。むしろ、早期に導入可能な地熱、波力などによるエネルギーの安定化をはかる、といった形の方が実情には合うのでしょう。
しかも、防波堤、防潮堤の設置なども盛り込みましたが、今回の津波、地盤沈下なども考え合わせると、一体それらにどれほどの高さが必要なのか? 皆目検討がつきません。しかも湾を堤防で覆えば使い勝手が悪く、漁にでることを妨げます。むしろ防潮堤はそこそこに、避難地としての塔の建設などに主眼をおいた方が、予算面や利用価値という点で優れている、と云えるのでしょう。電波塔、展望台、灯台、それらを合体させた津波に強い構造物、その屋根に太陽光発電装置などをつけ、備蓄食料を入れておけば、逃げ込んだ人も安心して、しばらく過ごすことも可能です。

原子力災害に関しては、住民の健康管理などを入れましたが、とっくにやっていなければならないことであり、提言に含めること自体がおかしな話です。汚染の除去の研究、実践の場とするのも、すでに地域が汚染された、と認めるのなら、それも提言に盛り込まなければいけない話ではありません。逆に、提言に盛り込んで予算をつけねば動けない、ということなら、この政権が原発災害に関して後送りにしている、それを証明していると言い換えることも出来ます。
気になるのが、七原則の一つに「技術革新を伴う復興、復旧」をいれますが、技術革新とは何をさすのか? しかも現状復旧以上に、新たな予算措置を必要とすることから、現実性のある提案なのかが見えません。「復興債の償還財源として基幹税」といういい方もしてますが、社会保障と税の一体改革で消費税を打ち出したため、それと整合をとるために基幹税をいれたなら、この政権は安定財源としての消費税を放棄し、曖昧な基幹税に頼って将来負担を増やす、という言い方もできます。

民主党内で消費税増税時期について、もめているように、増税をめぐる議論は必ず紛糾します。歳出削減なら、官僚の抵抗さえ突き崩せば達成できる。どちらに軸足をおくかが、政権の基本的な態度としてにじみ出る、という言い方も可能です。今回、こんな提言なら有識者が集まり、何日もかけた意味はないとさえ云えるのでしょう。政権に寄り添うだけで、大胆な提言もできない、既定路線で収まる会議なら政治家がやればいいのです。何も有識者を集める必要もありません。速度も必要な復興構想が、中途半端なままで終わるのなら、やはり菅政権に復興はムリと云えるのでしょうね。

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2011年06月24日

復興担当相に松本環境・防災相

復興対策担当相に、松本環境・防災相の就任が決まるようです。環境相は辞任し、別に環境相を選任する形ですが、ここは現閣僚との兼務となる公算が強いと報じられます。菅内閣は早期退陣が決定的であるため、誰も引き受けてがおらず、業務との兼ね合いで松本氏が引き受けた形です。ただ、松本氏は5月の段階で、病気療養のため職務を一時離れており、健康面に不安を残します。
大幅な内閣改造も取り沙汰されていましたが、それもないようです。2ヶ月経って引継ぎ、では仕事にやりがいもないですし、また菅政権に尽くしても実りは少ない。亀井国民新代表が、少数政党埋没を恐れていくら菅氏に肩入れしても、菅氏の指導力には限界が来ています。亀井氏が復興相で入閣、となれば最大の利権を他党に渡すことになるので、党内の反発も強まる。政権内で横滑りや、兼務をはかる以外に協力者はいない。これが菅政権の現状といえます。党首元気なら何でもできるわけではありません。むしろその元気さが、すべての元凶となっているのが現状です。

そして、政界で語られる『脱原発解散』。原発を単独争点にして選挙にうって出る、リミットは9月22日とされますが、年内の選挙は必ず復旧、復興が第一の争点になるので、原発の継続性は二の次です。郵政解散のような、社会に余裕があったときとは全く異なり、電力料金値上げの波が高い今、それを加速させる争点では集票力はない。また、その原発の情報を隠蔽している疑いのある、菅政権が脱原発を訴えると、すべてが隠蔽工作と捉えられる恐れもあり、解散はムリと云えます。
菅氏が肝煎りの再生エネ法案も、7月2日衆院通過が60日ルールの大原則ですが、審議もせずに通せば前代未聞。政策の優先順位が狂っている政権なので、それでも通したいなら、他の法案をすべて捨てる覚悟が必要です。それでは党内、霞ヶ関が許さないので、現実的な対応とはいえないのでしょう。

つまり菅氏は内閣改造、解散権、すべて封じられた状態であり、それができると語るのは菅政権の情報戦術でしかありません。実際やろうとすれば、様々なハードルがそれを出来ない、と語るのでしょう。菅政権下の復興構想会議、一番復興させたいのは、菅政権の屋台骨なのかもしれません。
現在、福島第1原発の汚染水が地下に流れ込み、海へと漏れ出す懸念に対して、遮水壁を地下に埋め込む案について東電が1千億円規模と語っています。ただ難しいのは、原発は元々硬い岩盤の上に建てられること。及び周辺を掘るので耐震性の再評価が必要なこと。規模が広範囲で、かつ途中で高濃度の汚染水が確認された場合、作業ができなくなること、などの課題が山積みとなります。

つまりすでに浸透していた場合、硬い岩盤を無人掘削していく必要が生じ、しかもその機械は高レベルに汚染されるので、使い捨てです。そう考えると設置費用は無尽蔵であり、1千億円は最低ラインと云えるのでしょう。株主総会のため、情報を封鎖していたとされますが、生憎1千億円など賠償費用の拡大に比べれば、大した額ではありません。むしろ計画性、見積などの点で誠実さや正確さのないことの方が、株主総会を荒れさせる原因となるのでしょう。
菅氏はあまり福島第1原発に興味ないようで、言及もほとんどありませんが、脱原発を訴えても、では福島第1原発の処理は誰が責任をもって、終息させるのかが不透明になります。菅氏はその時の発言に責任をもたない、それは原発推進に舵を切り、今や脱原発に鞍替えしたことでもそうです。復旧、復興には強い意思、継続性をもたなければなりませんが、こうした面からも菅氏にその脳は低いと云えるのでしょう。復興担当相なら、福島、宮城に部局をおいて地元の声をきく、ということが大事ですが、菅政権の下では困難な作業となってしまうのが確実なのでしょうね。

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2011年06月23日

経済の話。米FOMC声明文について

昨晩、米FOMCが開かれました。QE3への言及はなし、2011年の成長率見通しを2.7〜2.9%(前回3.1〜3.3%)とし、2012年の成長率見通しを3.3〜3.7%(前回3.5〜4.2%)と下方修正しました。コアインフレの予想は若干上方修正し、1.5〜1.8%(前回1.3〜1.6%)の上昇です。内容に新味がない、予想通りとの声もありますが、今回の声明には大きく変わった点が2点あります。

1つはインフレに対し、見通しを変えました。これは年前半でマネタリーベースを73%拡大させたことと絡み、影響がじわじわと出ており、無視できなくなっています。これはQE2の影響ですが、それでも伸び率と比べ、インフレが低く収まるのは新興国への資金シフトのためです。しかしポールソン元財務長官の設立したファンドが、中国で多額の損失を出すなど、新興国一辺倒の投資行動にも見直しが迫られており、北米で上場する中国企業にも、情報に不備があったとして上場見直しになる恐れすらある。新興国投資が縮減すれば国内に資金があふれ、インフレをより高めるのが明白です。
もう1つは景気減速に対し、FRBが有効な手段を持ち得ていない、それを示しました。FOMCの予想より景気回復は緩慢、労働市場は弱い、それを日本の震災など、一時的要因においていますが、再加速する見通しに根拠はない。本来、何らかの手を打つ必要がありますが、急速に拡大させたバランスシート、それを再投資に回すぐらいで、当面はインフレに目配せせざるを得ず、対策は打てない。一部で8月にもQE3を表明という話がありますが、現時点でそれを示唆するものは何もありません。

日本市場では、欧州系の先物買いが2日続きで入りましたが、ギリシャ問題の安定で一部買い戻し機運が高まった。そこで信用売り残の多い銘柄を崩すい、つまり踏みあげを狙ったものとみられます。6月SQ値9553円を抜いたこともあり、先物買いで相場が上昇、指数に関連する銘柄で売り残の多い銘柄、ここに反発狙いの買いが多いことからも自明です。この動きは一部ユーロと連関しており、ユーロ安で株安、ユーロ高で株高という側面をもちます。資産であれば為替と株価は逆に動きますが、値動きをとっているのみです。つまりユーロ安のとき株先売をため、ユーロが高くなると処分してユーロに還流する。こうした流れで、最近の市場の動きのほとんどは説明できてしまいます。
しかしこの手法は長くもたないこと。及び信任されたギリシャ新内閣ですが、EU、IMFとの会合で財務相提案にEU、IMF側が拒否を示したと伝わり、一気にユーロ安が進んでおり、明日は予断を許さないのでしょう。外国人投資家は2週連続で売り越し、朝方の大量買いは、全く信用できないことが売買動向からも知れます。日本はもっともポジションを持ちたくない市場、という噂が絶えないことからも、日本株が上がると述べる根拠には、著しく欠けていると云わざるを得ないのでしょう。

欧州各国では、ギリシャ債務のロールオーバーを金融機関に要請しています。ただ、それは不良債権とみなされるので、金融機関は自己資本を厚くするか、貸し倒れ引当金の積み増しに耐えられる手を打たねばなりません。しかも、これは米系の金融機関、ヘッジファンドの保有も示唆されているのであり、米国にとって対岸の火事ではない。エクスポーズは低いとされますが、米金融機関は訴訟の拡大にもさらされており、今後は規制強化とともに、経営が厳しくなること必定です。
米FOMC声明文で分かったことは、実に深いと云えるのでしょう。そしてまた、米金融政策の足を縛る要因が、そこかしこに見え始めたことも意味します。住宅価格の長期低迷、株価下落、QE2終了に伴う債券売りの拡大、等が起こりかねない状況です。一部、景気鈍化が債券買いを促進するとの見方もありますが、QE3も控えるとされること、またQE2が本来の金利を引き下げる効果をもたなかったことなどを考えると、そう単純に動くとも思えません。明日以降、ギリシャの楽観が崩れるようだと、市場にはかなり警戒色の強い展開が、起きかねないということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(0)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年06月22日

国会会期延長幅が70日に決まる

国会会期の延長が70日で決まりました。自公は先に岡田民主党幹事長と合意した、50日延長を主張して反対。他はた日が反対、他は賛成に回り、自民では河野氏、岩屋氏が造反して賛成です。これは最悪に近い形の決着ですが、要は70日延長しても物事を決められない事態が続くだけです。
まず野党の対応が割れたのは、国会を開いておいた方が与党を追い込める。震災対応のみ報道され、与党のイメージアップにつながることを恐る向き。一方で、直接交渉した自公は交渉役が意味をなさず、菅首相と合意もしていない『私案』を持ち込まれるたび混乱し、腹に据えかねた。これは元々、菅氏に妥協案が存在していないことを意味し、『花道』はない証左です。

しかも、菅政権は先の両院総会で言葉を弄し、策を打ったため言葉に信がありません。3次補正が『新体制』というのもその一つですが、周囲がどう言い繕うと、それを覆す術がない以上はただの空手形に過ぎません。つまり今回露呈したのは、党執行部の形骸化と、菅氏はどんな手を弄しても辞めないという判断です。こうなると議論は硬直化し、妥協点は探りにくくなります。
自公は、次の政権で連立を模索する、その焦りのため早期に合意したのは誤りでした。これで民主党の次期政権の形が見えにくくなった。つまり形骸化したため、議論すらできなくなった。この政権と話し合う伝手を失った形です。仙谷氏、玄葉氏、岡田氏、いずれも条件を持ち込んで失敗。しかし逆にみれば、この3人は党内基盤が強くなく、交渉ごとに強くない。誰もが一枚岩にのってはおらず、頼みの菅氏の後ろ盾もない。政権がレイムダックどころか、党全体が交渉の力を失いました。そしてこれは野党も、法案成立の道筋を描けない、交渉役がいないという事態に陥ったのです。

菅氏が法案を通したいと思えば、信頼できる交渉役をたて、条件を伝えるしかありません。しかし、野党は拒否するので、野党対策費として党費を積むしかない。官房機密費をメディア対策に使うように、政党助成金を野党に横流しする。そうなれば法案の幾つかは通せる状況なのでしょう。
菅氏は再生エネ法を通すために70日、を主張しましたが、恐らく70日ではムリです。60日ルールを使うにも、10日で衆院を通過させる。それは他の法案が通せなくなるため、与野党協議も進まないでしょう。そこを強引に押し通せば、特例公債法は確実にとびます。しかも財務省サイドは、2次補正、3次補正の合間に、H24年度概算要求と予算案をまとめねばならず、当面菅政権への協力はできません。社会保障と税の一体改革さえ、党内を通すには紆余曲折があり、この政権へ協力しても果実が少なくなってきた、それが財務省の見方です。つまり、財源捻出が可能か? それすら曖昧なのです。

菅氏の退陣時期は、正直不明です。9月になれば日米首脳会談、との思惑は米国が難癖をつけて潰すでしょう。再生エネ法も継続審議にできるか、微妙です。焦って衆院を通せば廃案となり、臨時国会で再提出の可能性も強まる。それに抵抗し、政権を続けても成立の目処がつかないまま、ずるずると開店休業国会が続くのみで、ゾンビ政権となって人々から忌避されるだけです。
菅氏は未だ支持率20%があることを根拠としたいのでしょうが、これは情報過疎である被災地、高齢者による高い支持が影響します。メディアが菅政権を擁護し、従来のテレビ、新聞に頼る層がそれを信じて支持をする。またこの層は投票意識が高い層でもあり、これが世論調査と選挙結果が、著しい差を生まない原因ともなっています。しかし、メディアも菅氏の態度に、徐々に菅離れをおこし始めています。明らかに政局重視で、言葉を弄ぶ人間であることが明らかとなり、国会を開いてその言葉を聞けば、益々胡散臭さが増します。経団連も放れた、後はこの支持層が離れていくと、誰も望まないのに居座り続ける政権、という形になります。人の噂も75日と言いますが、70日ではこのドタバタ劇を見せられた国民も、菅氏の態度を忘れないことでしょう。それは政権にしがみつく、浅ましい男という印象しか残さず、早晩支持率は一桁となり。レイムダックが深刻化するのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年06月21日

中国のデモと軍拡

政権与党内のゴタゴタが、以前終息の兆しを見せません。一度、日付のない確認文書で煮え湯を呑んだ嫌菅派が、日付の入った文書で確認することを求めており、名言を避けたい菅氏との亀裂を生んでいます。菅氏が退陣前として掲げた法案、予算案など形も見えず、成立を約束するというのもおかしい。明日、自然閉会となって、党執行部が総辞職する可能性もまだ排除できないのでしょう。

中国では、共産党創建90周年を7月1日に控え、デモの鎮圧に躍起となっています。農民工に対して、デモを密告した者に報奨金、都市戸籍を与える約束するとの報道がありました。難しいのは、その根にあるのはインフレ抑制であり、その強引な手法に反対してのデモなので、力で抑え込めば不安が溜まりますし、一方でインフレを放置すれば経済的打撃は計り知れません。
そんな中、胡錦涛主席がカザフ、ロシア、ウクライナの3ヶ国歴訪から戻りました。ロシアで注目されたのは、ガス供給に関する妥結です。ロシアは安定供給先を、中国は将来のエネルギー需要に備えると、両国にとってメリットもありましたが、胡氏の訪露中に締結はできず終いです。これはインフレが高進する中国にとって安価で調達したい、との思惑があり、金額面での折り合いがつかないことが原因です。さらに、最近中国が対外政策で強気に出ている、そんな背景も伺えます。

中国は電力不足を補うため、ミャンマー北部に建設するダムに出資、電力供給をうける計画でした。しかし地元の少数民族の反発に遭い、ミャンマー政府軍との武力衝突の様相を呈しています。一方、ベトナム軍は先週、南シナ海で実弾演習を繰り返し、一触即発の緊張状態に入りました。国内の不満が高まると、対外的な緊張状態を高め、それをガス抜きとして治安維持をはかる。実は、中国はここ数年来ではもっとも高い、軍事的解決に向けた機運が高まっている、と云えるのでしょう。
米専門家グループがまとめた報告書に、中国軍が普天間、嘉手納をふくむ米軍基地に対して先制攻撃をふくむ軍事ドクトリンをまとめた、という記事もあります。予算成立前のタイミングなので、米軍が国防費削減に対するカウンターとして、報告書をまとめた懸念は多分にありますが、現実味という点で米中が戦争状態にはいれば、一次攻撃を遅らせる意味でも沖縄はターゲットになるでしょう。ただ中台は現状、良好な関係下にあり、東シナ海よりは南シナ海の緊張が強く意識される段であり、海軍の増強に520隻、15000人を2020年まで、という配置が問題になってくるのでしょう。

愛国無罪を訴え、デモを容認していた頃とは様変わりした中国。逆に、共産圏でデモを行なってもよい、という成功体験を国民に植えつけたことが、今回の事態につながっています。日本はあの時、煮え湯を飲まされましたが、それが中国崩壊の引き金になるのかもしれません。中国経済は一面で、まだ堅調に見えます。ただし、告発サイトが出てくるなど、中国内の膿を国民が知るに連れて、こうした国の制度、組織に対する不満が爆発することになるのでしょう。
日本も通過した学生運動の波、今やその忘れ形見というべき人物が、政権中枢にすわる時代です。中国にもこうした激変の時代をこえ、次の国の形を模索していくことになるのでしょう。軍事費削減が喫緊の課題だった中国で、海軍の増強が単に海洋権益拡大のみで終わるのか? 今後も中国は周辺諸国との衝突でナショナリズムを煽る、そんな体質になっていくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2011年06月20日

雑感。スパコンの世界一

民主党内で、菅氏の辞任時期に対して2次補正、特例公債法の成立を花道としたい党執行部に、菅氏は再生エネルギー法なども挙げるなど、対立の様相を深めています。復興基本法が成立し、復興庁の設置も決まりましたが、人選でもまだ内閣改造があるか、ないかという綱引きがあります。また4ヶ月の延長を野党に求めましたが、この件が決まらないと自動的に通常国会が閉会してしまいます。この駆け引きはもうしばらく、続いてしまうのかもしれません。

国産スパコンが毎秒8162兆回の計算速度を達成し、世界1位になったと発表されました。喜ばしいニュースですが、これを何に利用するかが大事です。例えば、NASAが月に人を送り込んだ際、使ったコンピュータは今の家庭にあるラップトップより低い性能でした。このスパコンは気象・災害予測などに利用を想定されているようですが、計算速度が早かろうと打ち込むデータ、人が介入する部分でどれだけ精度を高められるか、です。今回の震災とて、データは出てきていたのに、人がそれを原子力の安全設計としてアウトプットしていませんでした。それより、ここより高い場所に逃げろ、という昔からの言い伝えの方が、安全を確保するのに効果が高かったのです。
震災で日本のサプライチェーンが回復しても、以前と同じような市場規模を獲れるか? その点が今日本経済を語る上でも問題になります。日本の供給力が下がり、またガス、石油などの輸入が増えたために5月の貿易統計は8537億円の赤字でした。しかし、供給能力を確保できても市場占有率が低いままでは、輸出は伸びず、企業は苦しい立場に置かれることになります。

産業として、高級品と汎用品という見方に分けると、日本企業の考え方が現れると考えます。日本企業は未だに自動車、パソコンなどは高級品に分類されます。白物家電は汎用品、ここ最近は高級品志向も出てきましたが、最低限のことができれば良い、という考えです。実は最近、新興国から出てきた流れは、確実に自動車やパソコンを汎用品と位置づける動きが増えています。
性能はそこそこでも、日常使う分には支障ないレベルに仕上げて、安く売る。かつての日本は製品の質、アフターサービスまで含めて、魅力を打ち出していましたが、今やこの安売りとの対決となっており、逆にサービス面の拡充がコストと意識され、その分の付加価値を価格差で受容できるか、という選択になっている。このため、本当の意味でのヒット作品が生まれにくくなっているのです。

米Appleは、その名前を聞くと脳の宗教的反応を部位が、活性化する人がいるという研究結果があります。盲目の信頼、そこまで勝ち得ればメーカーは顧客をつかむことになりますが、この魅力の打ち出し方が、今の日本企業に足りない一手です。その結果、顧客は流動的となっており、メーカーは安定的な収益を出しにくい構図となっている。しかも、一度寸断されたメーカーとの繋がり、という面が今回の震災後に訪れますので、より厳しい局面が出てくると云えるのでしょう。
万人に受け入れられやすい品、というのは汎用品です。一方で、付加価値があって買いたくなる、という品が高級品です。日本はこの2つの戦略を、明確に使い分けていく必要が生じているのでしょう。スパコンの世界一、確かにそれは良いニュースですが、それを生かして汎用品の底上げをはかること、そうした技術力を製品に生かせる努力が日本では足りない、かねてから云われていたことです。今からでも、それを動意づけることが日本の復興には必要な施策なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2011年06月19日

消費税増税議論と国民負担率

サッカーのクェート選、3−1で勝利しました。アウェーでの戦いもありますが、最終予選進出に大きな前進です。そんな中、東京都が五輪招致に向け、再挑戦する旨を発言しています。ただこれも原発の収束次第ですし、震災復興をシンボルとするのに、出来上がった都市の再生はやや印象が薄くなります。それこそ、東北で行うならともかく、五輪招致の御旗に東京は役不足といえます。

社会保障改革検討会議にて、2015年度までに段階的に消費税10%とする案が、明日決定される公算です。先にIMFが2017年までに消費税を15%とするよう、異例の報告書を出していますが、日本の消費税率は海外の先進国に比べて低水準。日本の消費税を語る際、必ず出される理由ですが、この点について少し考えてみます。財務相の資料で国民負担率、というものがあります。これによると2008年の欧米先進国と、11年度の日本見通しを比較する資料から抜粋します。
日本の税負担率22.0、社会保障16.8、合計して国民負担率は38.8になります。同様の順番で並べると米国24.0、8.6、32.5。英国36.2、10.5、46.8。独国30.4、21.7、52.0、仏国36.8、24.3、61.1。この結果だけをみると欧州より低く、米国よりは国民負担率が日本では高い、と指摘できます。ただこの数字はGDP比ベースで日28.1、米26.4、英37.3、独39.3、仏45.2ですから、単純比較と比べると数値にそれほどの差が出ているわけではありません。ただ、この数字は欧州の税制改正による付加価値税の上昇を行なった英国や、オバマ大統領の社会保障改革で、日本がかなり低いことは確かです。

ただここに、インフレ、賃金上昇を含めるとやや判断も異なります。日本は構造的デフレ、それは賃金も同様に低下傾向を示しています。働き方の多様化、企業が正社員を採用しないなど、日本の賃金上昇はほとんど横ばいです。一方で欧米ではインフレ懸念が漂うなど、賃金は上昇傾向にあり、税負担の高さがそれほど心理的重石にはなりません。2%のインフレとデフレ傾向の日本、ここで税負担のみ増えれば、確実に日本経済にとって景気を悪化させることにつながるでしょう。
IMFが世界経済見通しを改訂し、日本を2.1%大幅に下方修正し、0.7%減としました。ただし来年には2.9%増とします。ただこの見通しも正直、胡散臭い見方が可能です。IMFにとっての不安は、日本の財政が行き詰まることにより、米国債の買い手が不在になることです。特に、財政不安で日本が外貨準備を手放す必要性を生じると、それこそ不安が世界経済に拡大します。専務理事が逮捕され、混乱期にあるIMFが、米国の意向を汲んでいることは、先のサミットでも鮮明になっていますが、この段階で財務省と歩調を合わせて、こうした発言をするのも米国の意向が働いていると推測されます。

法人税減税が昨年から話題になりましたが、震災で飛びました。国際競争力をつけるため、法人税減税すべし、という論調は税負担をどういう形にするか、その全体像があって初めて成立します。消費税も同じ、税制の枠組みを変えるなら、企業を優遇して国民所得を痛めるのなら、賃金上昇という果実がない限り、それはただ単に国力減退につながるのみとなります。
しかも、国民負担が増えるのに伴い、日本は中負担、中福祉から高負担、低福祉へと転換しようとしているのですから、余計に負担感は増します。負担感が増せば、マインドは冷えるので景気にはマイナス。その観点もなく、来年には経済が成長するので増税もアリ、という見通しだけで進めようとしている。本来は成長起動にのり、実感を得て国民に負担増を受け入れるだけの素地をつくるのが先ですが、経済運営に失敗して余裕がなくなってきた。財務省の焦りが、IMFの思惑とも重なり始めた、ということの一連の動きが、ここ数日で出てきたということなのでしょう。残念ながら、菅政権では本気で景気を考える人材がいない、ということだけが浮き上がる、そんな税制改正になりそうですね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年06月18日

雑感。原発の対応について

菅首相による原発解散があるのでは? 永田町ではそんな噂があります。原発を推進してきた自民に対し、再生エネルギーの転換を掲げて原発反対を訴える。ただ、原発推進派による必要論は日本に根強く存在し、現状維持を望む国民が多いことから、この単独争点で選挙に出れば第三局を利するだけです。永田町が考えるほど国民には今、復興を急げという機運が高く、解散ムードはない。
自民は民主党が分裂していると印象づけるため、民主党執行部の辞任を匂わす発言などを積極的に流しますが、ここ数日の延命策をみて、菅氏の魂胆が国民にも見えてくるはずですから、むしろ正攻法で行くべきです。一方、海江田経産相が原発再開に地元理解を求める旨、会見を行なっています。上記の噂を打ち消して、財界への継続した協力をとりつけたい。菅氏が勝手に動くことで生じる混乱を閣僚が火消しに走る。こんな構図がしばらく続いてしまうのでしょう。

そんな福島第1原発では、循環冷却システムが東芝、米キュリオン社、仏アレバ社の技術を連結して開始されました。ただ、数時間で米キュ社製のセシウム吸着装置で線量が予想外に上がって停止し、再開の目処はたっていません。すでにメルトスルーにより、炉心が格納容器を突き破って建屋まで達している、とする見方もありますが、バルブを円滑に動かすための油分、建屋内に散乱したガレキや埃に付着した放射性物質は、想定以上に水に溶け込んでいることが、これでもわかります。
しかも昨日、比較的建屋は健全である2号機の扉を開放して、換気することを保安院が認めました。これは放射性物質の漏えいに繋がります。最近では、雨によりホットスポットが各県に拡大していますが、水分は放射性物質を運びますので、扉開放の影響は多少なりとも出るでしょう。湿気が高いので作業ができないのなら、水分除去と同じように、建屋の外に放射性物質の除去用の装置をつくることが必要です。水はダメで空気は良い、この線引きが曖昧な点も政府の対応に矛盾を感じます。

政府は避難勧奨地点を定める方針を示しました。年間20mSvを越える住居を特定し、避難を支援するというものですが、雨樋により雨が一箇所に流れ落ちる地点、特に地面に直接流す形だとそこがフィルタとなり、線量が高いことも想定されます。これは時間経過とともに減るのではなく、上昇が予想されるため、後ズレすればその分高い値が測定されることになります。
東電は建屋を覆うためのカバーの模型を公開しましたが、模型をつくるぐらいなら早く実施すべきですし、そんなお金があるなら賠償に充てるべきです。見栄えで復旧をアピールする、というためだけの意図が見え隠れし、相変わらず事務方のセンスのなさが目立ちます。2号機の扉開放も、カバーの施工を始める前に空気を抜かないと、カバーに取りつける換気装置のフィルタがすぐ汚染する、という焦りです。つまり自身がフィルタ処理で困らないため、先に汚れた空気を流してしまえ、です。

避難勧奨地点が拡大した場合、東日本には住めない場所ばかりとなります。支援の規模と期間も曖昧であれば、尚更不安が増してしまいます。菅政権でうたれる対策はいずれも場当たり的、という点がここにも現れます。工程表も改訂されましたが、安全対策に作業員の被爆管理さえまともにできない組織が、どんな対策を盛り込もうと画餅に過ぎません。特に、政府も東電もムダな出費を抑えたいため、甘い対策で後手に回ることが今後も確実に起きます。
汚染水の処理装置など、既存の仕組みをかき集めてきたため、どんな不具合がでるかは今後もやってみないと分からない、ということになるのでしょう。初めから厳しい想定をしておけば、今はもう出来ているはずの項目が山ほどあります。今後も、垂れ流される放射性物質を受け止めながら、住民は政府と東電に翻弄されるだけの日々が当面は続いてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2011年06月17日

宰相・菅直人の戦略2

菅首相による矢継ぎ早の政権延命策が、永田町を混乱させています。岡田幹事長、安住国対、玄葉政調会長などが、花道を準備しようと動きましたが、いずれも芳しくありません。当初、野党から妥協を引き出すための強気発言、とみられた菅氏の言動が、本気で辞める意思はないと見られ始めたためです。実際、花道を準備されても菅氏が辞めることはないのでしょう。
国会会期延長は90日、と岡田氏が述べたのも矛盾です。途中で首相が交代すれば国会は停止します。閣僚を変えずとも新政権がどんな意思、政策を打ち出すか分からなければ、審議もできません。これは内閣改造も同じ、国会会期中に小幅でも改造すれば、政策の継続性が途切れます。委員会での説明者も代わりますし、方針が見えるまで国会を止めざるを得ない。つまり今、菅氏から打ち出される方針は震災復興を早期に成し遂げる目的ではなく、政権延命のための策ばかりという形です。

いくら首相には強い権限がある、としても今回ほど異例な行動はない。党執行部が、菅氏一人に翻弄されているのであり、仙谷氏が辞任を匂わせたのも、政権中枢からの離脱者を出すことで追い込めること、菅氏に付き合いきれないこと、の2点です。しかし菅氏はそれでも辞めない。閣僚が全員辞職しようと、辞めない。法案が与党からの造反で否決されても、辞めない。なぜなら菅氏には責任感が存在しておらず、トップとして人を率いている、という立場を弁えていないからです。
では強気の法則とは何か? それはメディア対策として、官房機密費をばらまいた仙谷―枝野、官房長官ラインの首を抑えられるためです。自民党時代より額も多く、菅政権は官房機密費を使いまくった。結果は見ての通り、菅政権擁護の論調が新聞、テレビに溢れました。通常、一連托生で政権幹部はこの事実に責任をもちますが、菅氏に責任感はない。自分を追い落とそうとすれば、この事実をバラす。それは次期政権でも要職をめざす仙谷―枝野氏は怖い。またそうした脛にキズをもつ仙谷氏を野田財務相も遠ざけ始め、党内融和路線に舵を切ろうとしている、と見えます。

ここまでやれば、政治家として菅氏は終わりです。そこで、次に菅氏が狙っているのはお遍路でも、科学者でもない。それは再生エネルギー振興財団の会長に収まること、です。元々、理系で自負の強い人物であり、ソフトバンク・孫氏が創設するであろう組織に、顔役として就任する。現在の再生エネルギーにかける熱い想いとは、再就職先づくりといった側面が極めて大きいのでしょう。
日本は豪雪地帯、露、秋雨等を鑑みれば、太陽光発電の全体の比率はせいぜい8%がいいところです。つまり安定供給は難しく、冬に供給懸念を抱える太陽光発電が、それ以上の比率になると不都合も多い。ただし、数年の間ずっと補助金が出るのなら、事業としては利潤の高いものとなります。菅氏は再生エネルギーの転換をすすめたという功績と、孫氏との結びつきを得て転身できる。そうした想定を得ているため、民間の講演会で菅氏は「顔もみたくないなら早く法案を通せ」となります。

このまま辞任するのは矜持としても難しい。2次補正も、1.5次補正と小幅にして全力を出し切らず、辞任の花道論を封じる。内閣改造をすれば半年、1年の延命を模索できる。それでいて、再生エネルギーに前向きなのは、自分は理系出身であるという矜持、脱原発を訴えて新たな日本の形をつくる、という功績が得られ、再就職先を準備できる。これが『菅居直り人』戦略であり、仲間がどんなに迷惑をしても、被災者が困っても、自分の思惑ばかりを優先する菅直人の人物像です。
この1年で『古い政治からの脱却』、『消費税増税』、『原発、復興対応』、といずれも失敗した男が描く新たな『再生エネルギー』の夢。政治家・菅直人の終焉を飾るにふさわしい、と本人は考えているのでしょう。躁状態に入った菅氏は、自分ならできると邁進していますが、再生エネルギーの形はしっかり議論した形で進めないと、将来に歪みを生じてしまいます。その場限り、思いつきで進める男の悪い癖は、自身の利権と絡んできただけに、執念になりそうな気配なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年06月16日

ギリシャ問題と東電

ギリシャ問題が深刻化しています。与党PASOKが支持率を落とす中、パパンドレウ首相が連立を模索したものの頓挫、内閣改造を打ち出しましたが、信任投票を示唆しています。280億ユーロに及ぶ緊縮財政策を打ち出していますが、これはGDPで10%を越えるものであり、国民には不評で暴動、ストが頻発するなど治安が悪化。それが政情不安につながっており、国内は騒乱状態に陥っています。
EU、IMFなどは支援を表明しますが、これらはギリシャの財政健全化の進捗をみて、投下するとしていた資金であり、このタイミングには違和感もあります。ただ、7月まで財政健全化の法案通過が見込めず、借換えもできない各国の銀行を支援するためには、追加の支援が必要と判断されるかもしれません。また仏銀3行がギリシャ国債の保有を理由に格下げされるなど、域内銀行全体に不安を抱えており、問題の根は深いと云えます。ギリシャ自体、GDP規模ではEUの1%にも満たない小国ですが、ギリシャ国債まで含めた、経済的損失を考えると、桁が変わってくる恐れすらあります。

しかも、欧州各国はギリシャ支援に、民間投資家の関与を求めています。これはオランダ中銀の発言が適当で「今の支援額の2倍が必要」ということなのでしょう。実際、緊縮財政が経済規模をシュリンクさせる、悪いパターンに陥っており、支援額が膨らむ形となっています。ギリシャはすでに破綻させざるを得ませんが、その時には大きな波が世界を襲うことになるでしょう。
日本とEU、ギリシャの関係が重なるのは、東電の問題です。EUから見てギリシャがGDP規模で1%未満なら、日本のGDPからみて東電の売上高は震災前、1%を超えていました。東電の資産は13兆円、債務は5兆円、しかも東電は格下げされ、投資不適格になるのは目前です。新規の社債発行もできず、債務借換えもままならない。5兆円の社債をどう処理するか、もこれから問題になってきます。しかも、今問題になっている下水の処理をした際に出る灰の、放射線量です。政府はこれを線量が低ければ問題ない、と基準を示しましたが、今の政府発表には信頼がなく、これを受け入れてくれる企業、自治体がないと処理費用が別途かかってきます。その処分費用も東電には重なってきます。

また汚染水処理、そこから生成される高レベル廃棄物の処理も、東電1社ではまかなえない。実に多くの歳出を抱える中で、生半可な賠償支援機構などでは、東電の債務を担保できない恐れが高くなっています。福島第1原発施設内の低レベル廃棄物、どれもこれも、民間企業として賄い切れない額となるでしょう。この時点で、新規社債発行ができないのですから、早晩行き詰まることになります。
日本政府は民間に社債引き受けを求めますが、自己資本規制が厳しい中、貸倒引当金を積みまさなければならない。こうした投資は進まない公算が強い。民間関与は、法律でもつくらない限り、企業経営という本質を毀損する問題となり、容易には受け入れられないのです。東電は売上高5.5兆円、これが節電効果で、5兆円弱に下がることになるでしょう。しかも電気を使わず、灯油やガスに代替される恐れもあり、また新エネルギーが拡大すれば買取も増える。今、政府が躍起となっている施策は、実に東電という経営をシュリンクさせるものだ、ということも云えるのです。

ギリシャと同じように、歯車が狂った経営を立て直すには、それを上回る大規模な資本を投下せざるを得ません。ただ、ギリシャは計画が甘く、失敗が目前に迫っています。一方で東電は、未だにリストラや一部で賃金抑制策も打ち出していますが、甘いと云わざるをえない段階です。これで、東電が生き残る確率はゼロ、と言えるのでしょう。再建計画に甘い査定をもちこむ、日本の官僚機構がよく見せる延命策の手法ですが、ギリシャでさえ破綻を意識させる昨今、東電が今の形で生き残ると考えて賠償支援機構などを創ったのなら、やはり破綻はやむ無しという判断になるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:56|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2011年06月15日

経済の話。中国CPIの上昇

昨日、中国で5月消費者物価(CPI)が発表され、5.5%の上昇です。同日の夜、預金準備率の引き上げも発表し、今年6回目で21.5%まで上昇しています。一方、政策金利の上昇は4月5日に2回目を行い、1年物預金金利は25bpあげて3.25%、1年物貸出金利も25bpあげて6.31%にしています。
中国ではほぼ毎月、預金準備率を上げていますが、これは投機的な動きを抑えるため、銀行に資金を滞留させることを狙ったものです。しかし政策金利は3.25%足らずなので、インフレ率より低く、これでは貯蓄に回りにくいと想定されます。ただ中国の貯蓄率は以外に高く、このため預金準備率の規制で景気加熱を抑えよう、という方向が見えています。簡単にいうと、貸出に回してもインフレ率よりやや高い程度、銀行に預けてもインフレ率に満たないので、投機的な貸出は増えないと、当局は見ていることになります。そんな中、今週月曜日に人民銀行から注目すべき発言がありました。

為替介入用ファンドの立ち上げ、です。これはコンセンサスのとれた話ではありませんが、興味深い内容です。為替相場の過度な変動を抑えるため、中国は変動幅を調整しています。しかし貿易黒字で稼いだ外貨を、人民銀のみで調整すると外貨準備を貯めるだけ。3兆$を超えた外貨準備は、最早中国経済のお荷物です。つまりインフレ率を低く抑えるため、人民元を緩やかでも上昇させると、中国が抱えている外貨準備の価値も、なだらかに低下することになるからです。
為替が一方向に傾くことが明確だと、資金はその流れに従います。人民元が緩やかに上昇するなら、海外への投資より国内で人民元を保持していた方が得。これが、マネーが国内に滞る傾向を強めます。それがまたCPI上昇に影響し、悪い循環としてインフレが起きていると云えます。中国では6月がピークで、6.0%をつけた後緩やかに低下する、いわゆるソフトランディングを想定する声もありますが、当局が強制的に引き締める一方、暴動やストで賃金上昇圧力が高く、企業活動全体に影響を与えています。6%が、5%になったとしてもインフレ率が高すぎるのであり、しかも施策面でそれを抑制する術がないため、どの段階までインフレが高進するかは、まだ分からない状況です。

日本の株式市場では、中国系政府ファンドの買い、が専ら囁かれています。ここ数日、9350円に近づくと買い出動し支えるのも、この層が強い買い方として機能している、という見方もされます。ただ先に示したように、中国では外貨準備の多様化を進める一方、人民元上昇により対外資産は目減りしていく公算なので、価値が下がった分、バランス上買いの資金を投下できますが、ある段階を過ぎると売りに回る公算が高い。特に、これはポジション組成上の調整なので、長期投資にはなりにくく、国家の意向で巻き戻しがかかる公算も強い。そのタイミングは、中国のバブル崩壊で国内の資産価値が著しく目減りし、その穴埋めのために売りを出す、ということになるのでしょう。
米のマクロ指標も悪いものが並びます。米ダウは1万$前半からQE2効果で、一気に12千$まで上げているため、逆の見方をすればQE2終了後、1万$台前半までは容易に戻りやすい、と云えます。そうなると資産効果で堅調だった消費が鈍化する傾向も見えるのでしょう。オバマ大統領は所得税減税、雇用促進減税、などを模索しているようですが、減税は財政を悪化させますし、米の雇用はむしろ需給要因も強いので、減税が小幅に留まると日本の失われた10年のように、ただ財政赤字を膨らませるだけで、景気に影響なし、ということも考えられます。日本を取り巻く環境は極めて厳しく、そんな中来年に増税を模索する日本は、さらに景気を悪化させてしまう可能性が大となります。政府はやっと今年度の成長率を0%と修正しましたが、景気や市場への見方は変えておらず、逆に市場から見ると今の政府には期待できない、となります。菅政権の下では市場もNO、ということになるのでしょうね。

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2011年06月14日

宰相・菅直人の戦略

イタリアでは国民投票で原発再開はNOとなりました。投票率55%で94%が反対、半数以上の反対なので推進は困難です。日本では「原子力損害賠償支援機構法案」が閣議決定され、審議入りが決まりました。ただこんな悪法では与野党とも批判が噴出、収拾がつかなくなるでしょう。東電のリストラ、経費節減、資産売却などは運営委員会に委託しますが、財界、学会、政界に深く根をはる東電の包囲網の中で、この委員会が独立を担保し、経営にまで踏み込んで判断できるとは到底思えません。
例えば、原発で働く作業員に○次下請けという話が出てきますが、請負企業には多く東電OBが役員として就任しており、そうした企業は中抜きするだけで作業は丸なげします。これは民、民の関係なので天下りではありませんが、巨大企業に紐づく関連産業には、多く東電などの発注側の人間がおり、それが○次下請けなどを生む原因です。海江田経産相は「運用で…」とゴマカシますが、法案にないことは空手形でしかなく、真に必要なら法案に盛り込まなければいけない。菅政権では、こうした方向性において、官僚を統制できていません。法人税減税の理論で、諸外国より高い法人税で企業が海外に逃げる、というなら、諸外国より高い電気料金で企業が海外に逃げる、という論調に置き換えることも可能です。理屈をそのとき都合良く用いるのが官僚ですが、これも同様なのです。

そんな菅首相は会期延長、電力の全量買取、1.5次補正など、矢継ぎ早に延命策を打ち出しました。永田町の常識では、すでにアウトですが、これが庶民派宰相の真骨頂です。つまり、通常であれば地元有力者や後援会が、後継者への引継ぎの際のイメージダウンを考慮し、力を余しての交代を働きかけます。しかし東京地盤で、かつ本人の力量より夫人の影響力が強い選挙体制であり、後継候補に引き継がないなら、ぼろぼろになるまで菅直人という政治家を引っ張る戦略が可能です。
菅氏の戦略、大胆に予想すれば解散、総選挙を経て政界再編の道筋をつけることです。ただ現状、それをすれば震災、復興という観点で袋叩きが確実なので、年初までは持ちこたえたい。年初、政党助成金が支給された段階で、自分に叛旗を翻した人間をすべて追い出し、巨大な政治資金で解散に打って出る。そうなればイヤでも政界再編です。このまま退陣しては名も残せない、逆にここで歴史に名を、しかも高評価をうけるには、自ら政界再編の端緒をつけるしかありません。

与党は今、菅系(菅、国民新・亀井)、近自民系(野田、前原、枝野、仙谷)、小沢系の三派に別れています。この中で最小は菅系ですので、嫌でも攻撃的にならざるを得ません。問責、審議拒否を続ける野党を攻撃し、一方で与党内をなだめ空かし、ずるずる、だらだらと政権運営する。年を越すまで続けば菅氏の勝ちなので、与野党の反菅グループは次の一手を打つ必要が出てきます。
仮に総選挙で、菅グループ中心の新生・民主党で戦っても大敗は確実。菅氏は自分がぼろぼろになるまで戦うつもりですが、それは仲間も道連れ、という意味になります。つまり菅氏は、仲間や自分に付き従う者の運命さえ弄び始めた、と言えるのでしょう。そしてそれは、震災復興も同様です。自らの延命策の道具として、復興を用い始めました。これが最小不幸社会を目指した、宰相幸福政界、即ち宰相のみ満足いくまで突っ走る政治、という男の描く戦略なのでしょう。

震災対応を本気で、必死でやるという気概もない人物が、いつまでも自分の地位にしがみつき、日本を混乱させる。これはもう、菅災と云える事態に陥っています。それでも、菅氏を辞めさせるには次の一手が必要になる。それは政界から離れた、民主党の支持母体である連合辺りになるのかもしれません。菅政権で選挙しても支援しない、こう云われれば菅政権は例えどれだけ延命しても、自身の手で解散することは封じられます。庶民派が、永田町の常識と離れて首相という地位のもつ力をもっとも理解していた。ただそれは『菅居直り人』戦略として、日本の不幸となってしまうのでしょうね。

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2011年06月13日

雑感。IMFへのハッカー攻撃

南米チリのプジェウエ火山が噴火、影響は豪州まで広がっています。今は地球ダイナミズムが活発化しており、今後数十年は地震、火山活動などが活発化しやすくなっています。これは日本の原発でも同様で、数百年に一度は今起こらない、という甘い査定をしてはいけない、ということを示しています。チリは地震も多く、1970年にワスカラン山で起きた地震では、雪崩で2万人近い村人がそのまま埋まる、という痛ましい事件もありました。地震の起こすエネルギーは津波、雪崩などありますが、噴火が重なると長期的に影響します。今しばらくは警戒が必要なのでしょうね。

国際通貨基金(IMF)がハッカーによる攻撃をうけた、と発表されました。ソニーに始まり、任天堂や米銀シティなど、相次いでハッキングをうけて内部情報流出と発表しています。しかしこの一連の行動はハッカーにとって、高い壁を乗り越える名誉的なものであり、実質的な金銭被害はなく、規模や事の重大性に比べ、詐欺的な行為はほとんど起こっていません。ただIMFがうけた攻撃は、メールや内部情報の漏えいとも伝わっており、これは甚大な被害を予感させるものです。
一部、国家関与が疑われますが、ハッキングを国家で行う国は多くても、取りざたされるのは中朝です。これは米露英などハッキングを疑われる行為があっても、巧妙に隠す国と、惚けてしまえというアジア的なものの考え方という差もありますが、洗練されていない面もありました。ただ今回、高度な技術を謳われるように、極めて精度をあげてきたことは重要となります。

先に、グーグルがハッキングをうけ、要人の個人データが流出する騒動がありました。この発表の前、米国がハッキングに対し攻撃をしかける、と極めて強い態度を打ち出しましたが、この時も中国が疑われ、警告という意味もふくんでいたのでしょう。情報技術の分野で、米中が戦争状態に突入していることの、これは現れと見ることが可能です。そしてその被害は、ひいては国家の安全補償に関わる問題として、かなりの被害が出ることも想定としては有りうることです。
日本では、普天間基地移設に関して、辺野古のV字滑走路案をもって、北沢防衛相が沖縄を訪問しています。米公電から明らかとなった、官邸の意向を無視して米国に対して助言し、普天間の県外移設を潰した官僚の裏切り。日本の安全保障面でも、少なからず情報流出は影響している問題です。日本政府はウィキリークスの発表を無視していますが、国家ぐるみでハッキングを行う人間が、こうした情報をつかんだ場合、脅迫や圧力の材料とされかねない、そんな問題とも云えるのでしょう。

日本ではスマホの安全性について、報道が相次いでいますが、それ以上に日本の行政機関のHPが度々書き換えられるなど、その甘い管理に不安もつきまといます。情報は基本的に公開すべきなのは、原発事故でも感じることですが、隠蔽した情報が多ければ多いほど、それを諸外国に悪用された場合の国家損失も大きくなります。今、官民で取り組まねばならないことは、情報に更にアクセスしやすくなった環境において、安全性をしっかり担保することなのでしょう。
仮にIMFのハッキングにより、次期専務理事選に影響したら?国際機関を一部の国が、恣意的に扱える恐れも生まれます。またギリシャ支援のみならず、IMFは日本の消費税にも言及していますが、その三艇根拠が外部に流出しても、問題は大きいと云えるのでしょう。これを対岸の家事とみるばかりではなく、他山の石とできなければ日本は国として失格とさえ云えます。ただその時、行政は危機感もなく、予算分捕り合戦をしているようだと、日本は情報化社会で生きてはいけなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 海外

2011年06月12日

仙谷代表代行による活発な動き

仙谷氏の動きが、俄に表だって活発化してきました。自民党・大島副総裁との連立協議が、与野党内の動きによって否定されたため、裏で動いていた仙谷氏が、ハシゴを外されてしまった形となりました。突出した形で動いたため、取り残され、慌てて巻き戻そうとする動きです。
BS朝日の番組に出演した際、首相の早期退陣論に言及し、それを凌雲会、グループの長である前原氏が追認しています。連携した動きは、仙谷氏の地位低下が凌雲会の凋落にもつながる。そう考えて党内融和を求める野田氏と呼応し、対決型政治を変えたい、恩讐から脱却したい、と述べたのもその現れです。これは野党、自民党にむけた言葉でありながら、党内に向けて小沢系議員にも呼びかけています。自分たちが反小沢で凝り固まり、負けそうになると手の平を返したことが明白です。

しかも、首相に早期退陣を促したのも、政局混乱の早期収束を狙ったものではなく、次期首相候補レースで野田氏を軸にしかけたものの、野田氏は早期に仙谷色をけす方向に舵をきった。このため、このままでは仙谷氏は次期候補に関与できぬまま、レースが長期化することで、政局から遠ざかり続けることを嫌ったもの。そしてそれは、やはり自らの影響力の低下を示します。
党内の多数派である首相退陣論にすり寄れば、その分影響力を保持し続けられる、との思惑もあるでしょう。2次補正については次期政権で、特例公債法案の成立を首相の退陣に重ねる発言もしていますが、財務相経験もある谷垣総裁なら、特例公債法案に成立の目処はつけられる。2次補正は与野党協力も可能という読みもあります。しかし、恐らく自民党内でもこれは認められません。辞めるという首相に、引導を渡すのではなく花道を準備しろ。これが『恩讐による政治からの脱却』の意味するところですが、首相の辞任はもうカードではなくなっており、取引材料ではありません。恩讐という刺激的な言葉を使ったのでしょうが、カードでない以上新たな材料の提示を求められます。

仙谷氏の凋落は、ひいては前原、野田という次期首相候補にも影響してきます。自民の中でも石破氏など、両氏との連携を画策する向きにも関係しますが、しかし自民党内でもこの大連立派が多数でないことが、今回の動きでもはっきりしました。逆に云えば、大連立構想は最早なくなったと云えるのでしょう。今後あるとすれば部分連立、復興庁などの震災対応部署を作れば、そこに与野党とも出入りして政策提言ができる形になります。ただ、復興庁は新たな利権となり、あまり好ましい形で復興が進むとは思えない側面があります。メンバーが重要となるのでしょう。
しかし、仙谷氏がBS朝日に出演したことは、興味深いものがあります。朝日は新聞、テレビを含めてずっと菅政権擁護の姿勢を貫いてきました。谷垣総裁に対し、朝日新聞の記者が「ある週刊誌によると…」という問い方をし、それが朝日の週刊誌だったという笑い話すらあります。このタイミングでBSとはいえ、TV出演を促したのは仙谷氏側からなのか、TV局からのオファーだったのか。いずれにしろこの出演が、仙谷氏にとって都合よく自らの立場の転換、主張を通す場となったことは疑いようもない。そして、この一時は菅政権を支えてきた側にとって、致命的な裏切りにも映るのでしょう。

菅グループの一部は、党内の動きに反発するようにイメージ戦略を続け、菅氏も続投を滲ます発言を繰り返している。あくまで、首相ポストにこだわる方が野党からの妥協を引き出しやすい面もありますし、自ら一日でも長く続けたい、との思いもあるでしょう。ただ五大老の一角が叛旗をひるがえした、この明白な裏切りは菅グループとの間でしこりになって残ります。自ら生き残りをかける仙谷氏の戦略が吉とでるか、党内でさらに孤立を深めるか、岐路に立たされたとみて間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年06月11日

雑感。原子力行政と新エネルギー

東京で、大規模な原発NOのデモが行われました。震災から3ヶ月、未だ好転の兆しすら見えない原発へのイラダチ、変わらぬ原発行政への不満、といった内的問題と同時に、主張のよく分からない団体も巻き込んでのアピール合戦の様相も呈します。作家の村上春樹氏が、スペインで「2度目の核の災厄…効率化という言葉に騙され…地獄の扉を開けた」と述べました。極めて強い文言で、原子力行政を否定した形であり、知識人からの指摘は世論を動かすことにもなるのでしょう。

サミットで菅首相は、クリーンエネルギーとして1千万戸の屋根に太陽光発電を、と述べました。しかし全量買取制度が成立し、事業として成り立つならむしろ平置きの駐車場、コインパーキングに屋根を設置し、そこに太陽光パネルを取り付ければ広いスペースを確保しやすい。一部、電線敷設の必要はありますが、面積は住宅よりよほど確保しやすい。米国では、3年で黒字化を達成と述べる事業者が現れるなど、太陽光への期待と効率化への取り組みが、ますます加速しています。
2度の温度差があれば発電できる、温度差発電の技術もあるそうです。問題は効率ですが、期待は冷蔵庫、クーラー、パソコンなど廃熱を必須とする電気機器で使用された電気の、一部が再利用できる点です。クーラーファンなど、温度差がでると、自動的に動く仕組みができれば、電力使用量が減ることも期待されます。その他、自動車のエンジン部の高温を利用する手もあるでしょう。

原発周辺にでかけた人から、高い放射線量が観測される。内部被爆が確認された。という記事が幾つかあります。それでも国は、被爆量を調査しようという積極姿勢はありません。民主党は肝炎、アスベストなどの問題で、迅速に対処するよう求めてきました。今回、菅政権は国の損害賠償による支出を恐れ、認めようとしないばかりか、調査すら行おうとしません。ただフィブリノゲン、アスベストなどは当時、危険性はごく一部しか周知されておらず、予見性という面で裁判が長引く側面もあったのです。しかし原発による被曝は、すでに多くの国民が認識しており、被曝量が限度を超えれば危険であると誰もが知っています。そこに予見性はなく、年間5mSvで労災認定とされた前例を踏襲すれば、多くの国民に対して病気が発現すれば、否応なく国、東電は賠償請求にさらされます。
菅政権は今を守ろうとして、未来を守っていない。これが最悪の政権とする所以です。だからこそ、国の原子力行政に不審が高まる。関西電力が15%の節電をもとめ、橋下府知事が「原発稼働の論調だ」と歯牙にもかけぬ発言をしたように、情報の開示を拒みつつ要求だけは通そうとする、その姑息なやり方が反発を招いています。人にお願いするのなら、誠意は最低でも見せなければなりません。

原子力行政の誠意は、ずっと交付金に伴うカネでした。しかもそれは、国の税金から支払われるものであり、だからこそ電力業界も初期コストを回収しやすくなり、原発を推進してきた。ただ今後、高い安全性能を求められれば、確実にコストは割高。しかも今回の補償が低くなれば、事故が起こっても補償がない、として地元の理解も得にくくなるでしょう。結果的に、効率という面で見劣りのするエネルギーに原子力がなる、ということは云えるのです。
原子力事故が「想定外」で片付くなら、これほど危険なエネルギーもないでしょう。日本は、反原発と原発容認、という二極化ですすむことになります。ただ、菅政権のように基準も曖昧なまま浜岡原発を止めたり、運転再開を約束したり、政府の態度が曖昧なままでは益々不審が募ります。恐らく、本当に調べたら東日本の住民の多くは、内部被爆をしています。それは茶葉のみならず、空気に混じっている限り人間も吸い込むからです。基準より低い、問題ないと言い続ける政府が、後に訪れる巨額な補償に耐えられるか? そんな日本の未来も、菅政権は奪ってしまったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 原子力

2011年06月10日

経済の話。中国不動産バブルの崩壊か?

今日の株式市場ではメジャーSQ算出日で9553円でした。期近より期先で買いを増やす傾向が見られたので、上回って推移すれば下値サポート、と意気込んで買った向きもいましたが、最終的にこの数字は割っています。SQ算出に伴う買いはかなり出ても、日中は低調、これが日本市場の現状です。

そんな中、海外から気になるニュースがあります。『中国の不動産バブル、崩壊』のニュースです。数%が下落した範囲ですが、住宅価格は横ばいになっても、ローンを組む割合が高いため、金利負担がマイナスとなり、価値を下落させます。中国では、預金準備率の引き上げや、2軒目の住宅ローン組成の厳格化など、極めて厳しい規制を布いてきました。その効果が出始めています。
これは建機メーカーも認めており、中国向け建機輸出が鈍化した、と述べていることから、住宅建設も一巡感が強まっているのでしょう。米国は移民の流入などで世帯数が増え、それが住宅バブルの根拠とされました。ただ中国の場合、経済発展を住宅価格上昇の根拠としたため、価格そのものに根拠はないと云えます。急速に少子高齢化がすすみ、また海外へと移住する人間が多いため、中国では世帯数が減少傾向にあり、1人が2軒、3軒ともつのでない限り、需要は増えないのが現状です。

中国では自動車販売も前年実績を2ヶ月連続で下回った。これは都市部への流入規制、ナンバー給付の抑制など、当局の政策効果も出ているものですが、消費に鈍化傾向が見られると、思うように再浮上できなくなるのが、景気のマインドです。中国人は景気に対して楽観的、これは政府に依存しながら政府が富を約束してくれる、出来なければ政変でトップを変えてきた、中国の歴史とも密接に絡みます。マインド面で強気の中国人が、不動産価格の下落に耐えられるか? 正念場を迎えています。
5月貿易統計は130億$越え、都合よく解釈すれば前年同月比3割減で、経済改革をすすめて貿易不均衡是正に務めているといえますが、もう一方で高い貿易黒字は続いていると云えます。中国の富の拡大は、貿易黒字と国内の資産効果でした。来週、消費者物価が発表されますが、一部でやや低下するとする予測もありますが、国内の資産効果が剥落すると、存外脆い経済事情も抱えるのでしょう。

第1に、インフレは消費鈍化を招き易い一方、不動産価格はインフレの一面も担っていますから、収入が据え置きでも、資産効果で消費は堅調に推移します。ここ元、賃金インフレが加速し始めていますが、これは当局が不動産価格の抑制を見越して、資産効果が剥落しても、消費を堅調に推移させるため賃金改訂を進めている、とみることが可能です。
第2に、山陸部に開発を進めていましたが、輸送や移動に難があるからこそ、産業が育たず土地が安価に据え置かれてきた傾向があります。地方政府は住民流入と不動産開発を狙って乱開発を進めましたが、それが不良債権化する恐れが高い。これは甘い査定で貸し出してきた、中国金融機関にも影響する問題です。不動産価格が10%下落しても問題ない、15%でも大丈夫と政府やエコノミストが盛んに発言しますが、逆にそういう発言を出すときは、その価格まで下がると問題がある、と述べているに過ぎないことになるのです。中国経済が、英FTや米WSJから同時に『中国不動産バブル、崩壊』と書かれても、どのぐらい持ちこたえるのか? これを転換点と読むと、中国の景気動向には今後、悪い材料が重なっていくことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2011年06月09日

菅政権の1年と仙谷氏の動き

昨日は菅政権誕生から1年。参院選大敗、中国漁船の衝突、官房長官の問責と内閣改造、幹事長は3人目、外国人からの違法献金、東日本大震災とよくこれだけ保ったというほど、その対応は一事が万事内閣総辞職になってもおかしくないほど、酷いものでした。逆に、こんな拙い対応でも生き残った、というのは特筆ですし、支持率が高いのは驚愕に価するといって良いでしょう。
国益という面で、IAEAの天野事務局長外しが起こっている、とされるものがあります。日本政府、東電の情報隠しに対し、適切に指導できない。また加担しているのでは?という不満が、国際機関にも渦巻いています。IAEA報告書の提出に応じて、メルトスルーを認めるなど、一連の対応にも不信感を高めているでしょう。これも、菅政権の対応の失敗を表す、一つの傾向と云えます。

菅首相は続投を示唆する内容の答弁をしています。ただ、もう菅氏は政局的に重要ではなく、菅氏の辞職と法案成立を、野党と取引できる環境にはない。引き伸ばしは党内のみならず、震災対応を含めた行政全体の混乱に繋がります。しかも仙谷主導の大連立、野田氏後継、というリーク情報が新聞の一面をかざり、その方向で誘導しようとする向きもあります。仙谷氏は自民・大島氏と大連立を模索しましたが、民主・自民とも党内に強い反発があり、頓挫したのには仙谷主導を嫌われた面もあります。
失敗する原因は両者とも党の主流ではないこと。当事者同士でまとまっても、党内を纏めきれない。言葉は悪いですが、両者とも嫌われ者です。仙谷氏は真っ赤で強引な手法が、大島氏も選対でありながら表舞台から隠されるなど、党内外で不人気を託ちます。人徳がない、という言い方をすれば妥当かもしれませんが、仙谷氏が裏で動くとろくなことがない、と党内でも気づかれ始めています。

反小沢で連立を模索する仙谷氏と、連立に否定的な菅氏、と二極化が生まれていることは転機です。つまり野田財務相擁立で党内をまとめよう、と仙谷氏が画策しても、うまくいかない公算が強くなってきた。反小沢が分裂、という事態になっています。しかも、マニフェスト検証委員会が立ち上がりましたが、実は菅政権が陥った罠もここにあります。民主党マニフェストはバラマキ、とされますが元々財政に手を突っ込まないと成り立たない、行財政改革が必須の条件です。菅氏にしろ、行財政改革を封印しては、財源を増税でしか賄えなくなる。野田氏が就任しても、同じ泥沼が続くだけです。
マニフェストを見直しては、約束を反故にする政党として、選挙は大敗が続くことになるのです。
前原氏を重要閣僚で…という話がありますが、違法献金問題から3ヶ月で閣僚に就任しては、反省のない党とのイメージを定着させます。参院選大敗から半年で、幹事長辞任から官房長官就任を果たした枝野氏、官房長官問責から3ヶ月で、復興担当に返り咲いた仙谷氏、いい加減同じメンバーで失敗を繰り返せば、党内から反発も生まれます。菅氏は支える者がいなくなっても、首相続投にまだ執着をみせる。こうした動きが、反小沢の分裂を招くキッカケにもなるのでしょう。

外連味を狙ったやり方にスジはありませんが、少なくとも何をやりたいのか、どうしたいのか、という骨のない政治家ばかりが、次期候補に名乗りを上げたようにも見受けられます。菅氏のように、昨日いったことが今日変わる、1人の意見でコロっと靡いてしまう人物も問題ですが、党代表になってみないと分からない、という人材を選んでも、日本を託せるとは到底思えません。菅政権の失敗を繰り返さないためには、少なくとも仙谷氏の動きを押さえ込み、メディアとの間で行われた情報リークを封印するようでないと、国の形すら危うくさせられる懸念は残ってしまうことになるのでしょうね。

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2011年06月08日

経済の話。米オピニオンリーダーたちの発言について

内閣府発表の5月景気ウォッチャー調査、現状判断DIが36.0と前月比7.7pt改善、先行き判断DIが44.9と前月比6.5pt改善、いずれも回復傾向を示しました。しかし財務相発表の貿易収支で、5月上中旬は赤字が1兆円を超えてきました。4月下旬がトントンだったことから比べ、一気に拡大傾向を示します。元々、日本固有のGWという要因があり、生産も落ちるのが5月前半ですが、今年は夏季休暇前倒しの影響で、生産は確保される見通しもある中でしたから、極めて悪い数字といえます。
日本市場はメジャーSQを前に、9500の水準にむけた思惑的な買いもあるので下支えも強いですが、高水準の個人による円買いポジションの売り崩しが出る、つまり円高になるとの観測もあり、重い印象もあります。全体の傾向として、PBR1倍割れを下支えの根拠とするようなときは、市場の停滞ムードから逆に、それしか買い材料がない時が多く、1倍割れなど度々起こしてきました。それは景気にかかっているのであり、マインドが再び低下するようだと、売りが嵩む恐れもあります。そんな中、米ガイトナー財務長官から2つの重要な発言、及びFRB議長の講演での発言が出てきました。

ガイトナー長官は期限を8月2日と示し、債務上限引上げに与野党が合意するよう求めました。米の財政年度の切替えは9月、年金取り崩しなど、今の対策の限界を迎えることを意味します。否決に与党からも大量造反が出ており、政府に財政支出の削減を求めますが、オバマ大統領が就任直後に打ち出した保険制度改革など、見直せば次期大統領選に影響する。かといって、見直さねば8月2日に米債がデフォルトするリスクを迎える。どのタイミングで妥協し、内容も世界経済に影響してきます。
また、新興国の市場で米国並みの規制を求め、反発を受けています。これをQE2による過剰流動性の流入で、バブルとなった新興国から反発を受けますが、もう一つQE3の布石と見ることも可能です。バーナンキFRB議長は講演で、米経済は想定より弱い、と言及しますが対策は示していません。バランスシートは拡大したまま再投資する、と述べますが、財務長官の発言と重ねると、何らかの対策をうつことも想定できます。ただそれは、ドル安とのバーターになり、インフレを加速させます。

米国では今、インフレは起きないと政府当局も楽観できる材料が、労働市場の悪化です。百人単位の募集でも万に近い応募があるなど、低賃金で雇える環境が整っています。しかし雇用統計で発表された時間辺り賃金は上昇し、矛盾する内容を示します。これはリーマンショックから回復した、金融などが引き上げた一方、単純労働の市場は悪化傾向を示し、賃金インフレが起きにくい傾向を示します。このことからインフレ警戒をせずに済む、とやや矛盾した分析を可能としています。
しかし米国では、住宅ローン債権規制について着手するなど、住宅価格が2番底をとりにいく段階で規制に踏み込まざるを得ない。しかも政府系住宅金融(GSE)をカウンターパーティーに含めた、リバースレポを行う旨がFRBから発表されました。これは2つの意味をもち、住宅価格の更なる下押し圧力と、インフレの抑制です。なぜこのタイミングで市場から資金を吸収するのか?それは、FRBの景気見通しとも異なり、また住宅価格の動向や抑制されたインフレ、とも逆行する施策ということです。

恐らく、FRBはQE2終了後の対策について、更なる緩和を模索しているのでしょう。しかしその負の側面として、インフレを引き起こし易くなる。そこで試験的にリバースレポなど、いくつかを手段化しておく。もしこの想定が正しいとすると、FRBはドル増刷などの直接的なドル安、景気刺激策を打つのかもしれません。マツダが米国向けの自動車生産を、米工場から移転する計画を発表しました。米労働市場が賃金デフレになっても、ドル安によって海外のメーカーは米国への資本投下を減らす、という傾向が、真に米国を危機に陥らせるのでしょう。米国の凋落、夏を越えるまでに何らかの結果も出てきそうですが、その対策次第では次の危機を拡大させることになり、注意が必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年06月07日

福島第1原発事故調が始まる

政府がIAEAに提出する報告書で、1〜3号機のメルトスルー(原子炉貫通)を認めました。これは格納容器まで、炉心が溶け落ちていることを示しますが、圧力容器の下部はどろどろで、底が抜けた状態であると想像できます。そして圧力容器損傷のタイミングについて、東電と原子力安全・保安院で大きく食い違う解析結果がでました。先に、東電が示した圧力容器損傷の時間は3月12日6時、保安院が示したのは3月11日20時、実に10時間も開きがあります。海水注入のタイミングについて、政府、東電で大もめしていた頃には、すでに圧力容器下部は形状を保っていなかったことになります。
10時間のラグについて、この海水注入の判断を正当化する判断が、東電の解析結果に現れたのでしょう。東電が海水注入を決断したのは12日2時台、つまりもう炉心は溶け、圧力容器すら溶けていた。決断が正しい、というためにはこの2時台はまたぐ必要がありました。つまり、未だに東電は責任論を回避するため、情報隠蔽を行なっていることになり、それが保安院との差をうんだ原因です。

また、大気中に放出された放射性物質が、ヨウ素換算で77万テラベクレルとし、以前に保安院が示した37万より、原子力安全委員会が示した63万より多い数値となりました。問題は、徐々に事態の悪化を示す被害の深刻さであり、政府が当初述べていたことと、真逆の結果が出ていることです。
これは益々政府発表を懐疑的にさせます。福島県の伊達市、南相馬市で積算線量が20mSvを越えるなど、政府が策定した基準や規制にも、疑問が呈されるなど政府全体の対応のまずさ、がここでも見られます。ホットスポットの存在、関東の一部で飛び地としてある、線量の高い場所の存在など、政府が率先して情報発信するのではなく、民間や地方行政の指摘で続々と判明しており、政府への不審はピークに達しています。しかも、ホットスポットの存在は、チェルノブイリでも見られており、何も今回が特殊で、異例な事態ではありません。菅政権では情報共有もなく、過去のデータも活用されていない、その実態がこうした誰かに指摘されるまで分からない、ことにつながっています。

しかも、原発作業員が脱水症状、被爆限度越え、という報道が増えており、一方で作業員不足が指摘されている。安全も確保できない仕事場では、作業員を集めるのも苦労するのであり、夏場に向けて深刻な労働力不足が、作業の停滞をうむのでしょう。内部被爆も含めて年間580mSvを越える量は健康被害も想定されるものであり、長期的にも問題があります。マスク云々と説明していますが、それより震災当時、外をどう出歩いたか、また免震棟の管理をどうしたのか、など多岐に亘って検証が必要なのでしょう。
事故調査委員会の初会合が開かれました。菅氏は「被告というと言い過ぎ…」と述べましたが、事故調に処分権限はなく、むしろ被疑者に相当します。しかもその被疑者が選任し、被疑者本人が処分を下す立場にあります。菅氏が早期退陣を拒んだ理由が、こんなとことにも見え隠れします。しかも、議事録がない、通信記録を残していない、などの警察権力並みの捜査権を有しないと、この会議は形骸化するので、きちんと検証できるかも課題です。むしろ、東電の情報隠蔽体質や、政府の「知らない」と述べる態度などに、真の問題が含まれているという意味で、警察が介入しても良いのかもしれません。

非常事態宣言が出たのは3月12日未明、つまりこのタイミングで圧力容器損傷という事態は、政府も保安院の解析を隠したかった事情も存在するのです。ベント開のタイミングも12日早朝なので、ここも妥当性が問われるでしょう。続々とわかる原発の現状、今後も悪い方向へと改訂されていくことがほぼ確実です。もしメルトスルーなら、初めから循環冷却などムリだったのではないか?という検証まで含めて、国民を危険に晒した罪を公的にも検証する。そんな体制も必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(3)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年06月06日

民主党の次期代表候補をみて思うこと

昨日、大連立の話を取り上げましたが、私はかつてから大連立論者ではなく、逆説的に大連立なら小沢氏が適任と述べました。しかし、岡田幹事長が「税と社会保障の一体改革も…」と述べたように、震災で関係ない項目を、勝手に永田町で処理してしまうツールとして大連立を使おうとする向きがあるので、大連立には弊害が多いと指摘できます。政権監視、対立の構図がないと政治が緩み易く、結果的に復興が進まない、ということにもなりかねません。また、民主党では党代表選の話も持ち上がりましたが、菅氏が仮に8月まで続けた場合、9月以降に連立の話となり、それでは震災対応が遅れることになります。2次補正の目処、といったところで前政権のつくった負の遺産を、新政権がなぜ引き継がねばならないのか?それこそ本末転倒、と指摘することができます。

強力なリーダーシップが必要な現状で、今民主党で次期代表として名前の上がる人を、簡単に指摘しておきます。枝野官房長官、情報隠しの首謀者であり、仮にこの人物が首相に推戴され、大連立となれば情報隠しの隠蔽工作が、与野党で行われます。菅政権のとった対策への検証も含め、前政権の失敗という轍を踏まないようにするためには、枝野氏は論外、と指摘できます。
仙谷官房副長官が暗躍していますが、この人も論外です。野党は官房長官として問責しており、半年も経たず大連立のトップに担ぐのは、憲政の常道としても有り得ません。官僚は使いこなせても、政治の場ではもう表舞台に立てないのが現状です。岡田幹事長は選挙大敗の責任、戦略性のなさ、菅氏を最後まで擁護した手腕など、極めて疑問も呈されます。党内に協力者もおらず、民主党がばらばらになっても良いなら、岡田幹事長という話になってくるのかもしれません。

前原前外相は先の献金以来、囁かれるのが黒い人脈です。実はそれが出ると、閣僚辞任どころか政界引退、という話が党内にあります。また云ったことに責任をもたないのは、中国漁船衝突時の対応でも明らかで、政治力は極めて弱いと指摘できますし、爆弾がどこで破裂するかもわかりません。野田氏は財務省マターで、財源を牛耳られることから、官僚には都合よくても復興や社会保守と税の一体改革では、財源捻出に四苦八苦し、結局増税路線を布くため問題あり、です。野田首相、谷垣財務相、仙谷氏や与謝野氏が周りを固めれば、これはまさに財務官僚が念願の増税体制です。
なぜ菅政権ではダメなのか?それは信を失った政権であること、及び震災対応が緩慢で遅れが目立つためです。逆に考えれば、菅政権に携わった人間が引き継げば、反省と見直しが進まないことを意味します。大連立なら尚更、うやむやにされる恐れを鑑みれば、菅政権色は消す方向が必要です。しかし大連立なら、間違いなく小沢氏が適任であり、逆に小沢氏を外して強力な体制をつくれ、というのは矛盾と欺瞞に満ちている、と指摘できます。むしろ、それなら大連立をしない方が良いのです。

原口氏は、一連の動きでブレを指摘されています。政界では臨機の対応が必要ですが、前にでる時を間違えると、後に行動との整合性を問われたとき、疑問視されることになります。鳩山氏に踊らされた、といっても発言の責任は原口氏にあります。海江田氏の声もありますが、経済対策、東電の対応も含めて、経産省を御しきれていない人間が、首相などは到底ムリなのでしょう。
民主党の首相候補とされる人間はいずれも鳩山、菅政権時代に脆さを露呈しました。完璧な人間はいないのだから妥協も必要でしょう。ただそれが打算であると、結果的に首相の選び方が問題となり、短命政権を繰り返すだけです。菅氏を選んだ際、対立候補が心許ないとして、能をみて選べなかったことが失敗の最大の原因であり、主張を正しく忖度して選ばなければ元の木阿弥に陥ることでしょう。民主党に求められるのは、党首選びに打算を持ち込むな、ということです。グループの結束が弱く、票読みは難しい政党ですが、だからこそ主義、主張をみてきちんと政治家それぞれが選ばなければいけません。菅氏が退陣するのが確実なので、もう震災対応を含め、代表選に出馬を決めた人間は公約を出しても良いのです。それを見て国民も選択しなければ、ただのイメージ先行で失敗、という同じ轍を踏むことになり、震災対応がまた遅れる、ということを肝に銘ずるべきなのでしょうね。

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2011年06月05日

メディアの成功と失敗と、小沢元幹事長

まずWHOの専門組織「国際がん研究機関」が示した、携帯電話が発する電磁波が脳腫瘍の一種、神経膠腫には関連がある、という記事が1日に流れました。これを原発より携帯電話が危険、と騒ぐ人もいるようですが、波は人の身体を透過します。アンテナが3本たっている場所は電波が常に存在し、電波の発生源であるかどうかは関係ありません。違和感があるのは、これが電磁界なら発生源と人体への影響は考慮の余地がありますが、電磁波となると話は別ということです。本文を読むと、違う訳語に出逢うのかもしれませんが、エネルギー線としては大きな質量を伴うα線、β線の方が強く、エネルギー準位も高いγ線などの方が、人体に悪影響であることは云うまでもないことです。

こうしたメディアの報道で、右往左往するのも人の常ですが、世論誘導の成功例として直近では「首相をコロコロ変えるな」というものがあります。震災後、これは言葉を変えて「政局をするな」となり、菅政権の擁護に用いられました。「未曾有の震災で、誰がやっても同じ」という論調も同様で、政権擁護の言葉を国民がインタビューで語ることにより、それが国民の総意であると錯誤させる。逆に、メディアの論調と同じなら、それは報じる価値もない意見なのに、あえて報じる。そうやって国民に向けて広く、深く浸透します。ただこの論調の弱点は、首相の選任に国民の意思が反映される割合が低く、選任方法に問題あり、と指摘できる点です。元々、方法論に不備があるのでコロコロ変えることはその結果にすぎず、変化を止めても根本が治っていないのでは意味がありません。
そして、メディアの失敗例をあげると、今回も見られた「小沢氏はもう終わり」、「影響力低下は必至」という論調です。昨年9月の党代表選、昨年6月の幹事長退任、検察の強制捜査と公判開始、毎回同じ言葉をかけられながら、小沢派の結束力は菅氏から「辞任する」という言葉を引き出すほど、官邸を追い込みました。これは、大衆を操作するメディアでも、個人の主義・主張を覆すのは難しいことを意味します。メディアの論調にのり、しめつければ造反議員は2、30人と読んだ党執行部は、不信任提出の夜にかなり慌てたでしょう。小沢氏の力をメディアとともに読み誤った、これが結局、小沢系を処分できない、党執行部の弱さに繋がります。また、処分を決行すればこの数を見せつけられた党内の、小沢氏に近い議員から反発も強く、党執行部はこの点も間違ったのでしょう。

しかし菅首相は、両院議員総会でも「若手に引き継ぐ」旨を述べ、小沢氏は嫌だと改めて宣言しました。これは、小沢氏が怖くて仕方ない弱気の一面をにじませます。しかも、青森県知事選は民主新人が現職に惨敗。中央の混乱より原発問題が争点でしたが、交付金が失われる、雇用の受け皿がなくなる、という地方特有の問題で原発容認派が勝利しています。ただ、地方選はずっと負け続ける菅政権に対する追求、という面も今回吹き出てくるでしょう。菅氏に次の首相を云々できるはずもなく、いくら小沢氏が党代表になるのが怖くて仕方ない、と云ったところで効力はありません。
今日になり、岡田幹事長も党内の声をうけて菅氏を裏切り、早期退陣に言及。菅氏も渋々ながら早期を認める形になっています。ポスト菅、という形で動き出したことになりますが、大連立であれば尚更『若手』という意見は違和感があります。むしろ救国、時限内閣で連立を組むならベテラン議員の方がしっくり来ます。復興にむけ、一年程度なら尚更、調整力のない若手で不安定さを露呈するよりも、寛容さが求められることになるのでしょう。小沢氏は完全無視し、次期党首が語られますが、メディアはここでも世論誘導を仕掛けていることになります。

政治力という意味で、1年限定で小沢氏に任せるのが、実はもっとも無難な選択なのでしょう。公判もありますが、時限なら双方が妥協しやすく、復興対策は失敗することも多いことから、その責任を問い詰めれば今度こそ、小沢氏の政治生命に終止符が打たれます。もし小沢氏が成功すれば、そのときは改めて時限解消後に話し合えばいい。実は、時限で任せるなら与野党、双方の内実を知る小沢氏がもっとも適任なのです。ただ、メディアはその動きに関して最大の障壁になることが確実です。今度はどんな論調で、世論を誘導するのか?それは菅氏のみならず、こうしたことで小沢氏に反発してきたすべての人間にとって、危険な遊戯となっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2011年06月04日

経済の話。米雇用統計の悪化

内閣不信任の動きをうけ、市場は意外なほど冷静というより、ほぼ材料視していないように見受けられます。ただ内実は先物に大口の売りが出ており、6月のメジャーSQ前のポジション整理、裁定取引の解消といった側面も含みますが、外国勢が日本売りの姿勢をとってきた、と見受けられる動きも散見されます。2日の朝、まるでSQ当日のような、大きな売買が成立したのもそうした流れで、朝方の売買で海外勢が分厚い取引をいれた、ポジション整理とみることが可能です。

5月米雇用統計が予想16万人に対し、5万4千人増と予想に届かず、米の景気鈍化が鮮明になってきました。製造業景気指数など、マクロ指標が軒並み悪化を示しており、一部は日本のサプライチェーンが崩れたことによる影響もありますが、住宅価格の二番底など、米固有の問題もあります。さらに、有名エコノミストが米州、市の財政が破綻する見通しを示すなど、雇用統計でも悪化を示すのは民より行政の側であり、某州などは昨年来ずっと財政が懸念されるなど、深刻な状況が続きます。
米国ではQE3期待もありますが、リーマンショック後ずっと懸念されてきた、手詰まりの状況が目前まで迫っている状況です。各国が打ってきた流動性供給策はインフレを起こし易く、米国ではガソリン高の側面が、景気を冷やしています。今後、QE3を打てばドル安がすすみ、対円では60円台の可能性をにじませる。WTI原油価格も景気鈍化の影響をうけつつ、1バレル100$は切らずに推移しそうです。

つまり、各国は財政赤字を抱え、景気対策として金融政策に頼らざるを得ないものの、金融政策さえ打てない状況、それが今間近まで来ています。年末に危機がくるかと予想していましたが、存外早い観測も出てきました。早めた原因は日本の震災であり、製造業の鈍化が雇用を停滞させ、賃金低下が消費にまで影響する。消費はマインドなので、マインドが低下すると、それを向上させるための策を為政者がとらねばなりませんが、それが打てない事態が近づいているということです。
しかも、日本ではそんな中で増税、国民負担が増える議論ばかりです。しかも国が国民所得を吸い上げ、年金をはじめとした行政サービスが向上するなら良いですが、それでも今より悪化する、と試算されるのですから、より深刻です。政府がきちんと歳出改革をせず、支出の増分をすべて歳入増で賄おうとするため、これが起きます。表立って指摘する向きはありませんが、これは大きな政府路線であり、特に菅政権では、与謝野氏が大きな政府の筆頭であり、そこから提出される案はすべて歳入増で歳出を賄おうとする、そうした路線で彩られていると云えるのです。

しかも、震災対応の増税はそれと別、というのですから負担感は増大します。来年度、仮に増税が始まれば深刻な景気低迷が起きるでしょう。そして、欧米、新興国経済の変調が早まった今、9月辺りに大きな経済の動きも予想されます。年内には大きな変動要因が、海外から伝わることをある程度織り込む必要が出てきます。市場の動き、海外勢のポジション外しは、こうした動向を先読みする動きなのかもしれません。リーマンショック時を踏襲するとすれば、消費が蒸発して製造業の悪化が鮮明になりました。今回も、引き金は米地方財政の破綻なのか、南欧問題なのか、新興国のバブル崩壊なのか、まだわかりませんが、そうしたキッカケには注意する段階には来てしまったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年06月03日

政治の常道を外れた菅首相

鳩菅による覚書が波紋を広げています。政治の場で、信を失うということは常道が通用しないことを意味します。退陣を否定し、両院協議会を拒否し続ければ、与党が法案に賛成せず廃案にすることも起きます。今回で、執行部の強行路線は大量離反を生む、という教訓を得たので、反菅勢力も執行部も党議拘束が弱まったと想定できます。つまり、国会で何が起きても常道が通用しないので、不思議ではないことになる。因果は結局、政権延命から政治混迷に移ったことを意味するのです。
しかも、覚書をつくった平野-北沢ラインは、普天間で失敗したペアです。鳩山氏が矜持とした内容を忖度せず、都合よい妥協案をつくって物事をすすめる。平野氏は鳩山氏を守ろうと考えたのかもしれませんが、結果的に追い込む形で終わります。政治家として押すべきところは押す。それがない甘さが鳩山、平野両氏が組んだ際の致命的な政治手腕の欠如として、今回も現れたのです。

「誰がやっても同じ」という言い方をする人がいます。その意見自体、推測に基づく暴論になるのですが、少なくとも云えるのは「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という、謙虚な気持ちがないから菅氏はこれほど嫌われ、信を失っているということです。今回は顕著ですが、震災後、自民に大連立をもちかけた時も「自分が身をひくから一緒にやろう」と打診するのが常道です。しかし菅氏は震災復興担当というポストだけを用意し、人を手足のようにのみ使おうとした。菅氏の腹はうまく行けば自分の手柄、震災対応に失敗すれば自民のせい、というつもりですから自民も乗れない。すると「無責任だ!」と罵倒する。これではトップとして、信頼がゼロに落ちても当然と云えます。
官僚が意見を具申しても「ウソをつくな!」「いい加減なことを言うな!」と罵られるので、官僚も面従腹背で、誰もまともな意見を述べない。会議が乱立で、誰が責任をもち、どう動かすかというビジョンがないから、誰も動かずに被災者が困っても、責任が曖昧なのでたらい回しになる。「誰がやっても同じ」であるかは、むしろ現状の反省ができる今なら、ドラスティックに変更することも可能といえ、逆にそれは菅政権が失敗を認め、出直すことを意味しますから、政治の常道ならそれもできません。だからトップを変え、今の反省を踏まえて出直しを模索するのが妥当なのです。

政権は、常道を外しては何もできない。これがレイムダックの本質です。菅氏の手腕を賞賛する向きもいますが、国を率いていく者として身内に権謀術数を用いれば、君主と誰も認めない裸の王様になります。切ると決めた相手にそれを用いれば常道ですが、身内に抱えたまま、それを為せば信を失います。菅政権は、与野党の誰からも協力を受けられず、いたずらに時を過ごすことになります。
朝日新聞もさすがに呆れたのか、政権攻撃を始めた。未だに花道をつくれ、と述べる人がいますが『政界の中心でIと叫ぶ』終幕は、明らかに悲劇にしかなりません。私は言葉を選んで用いるようにしていますが、権力亡者と用いたこともあります。それは権力の座にいることに連綿とし、そのために権謀術数を用い、他者を貶めてまで自分が生き残ろうとする。そういう人間をさして用いました。震災後、身を捨てる覚悟さえあれば、いくらでも展望が開け、菅氏の下に多くの国会議員が参集したでしょう。覚悟が足りない、そうした政治家としての器量も、菅氏には見られないのです。

未だに「復興ビジョンを示せ。なければ倒閣するな」と述べる人がいますが、復興ビジョンを示せばそれを倒閣と決めつけて攻撃する。今のメディアに、きちんとした一本の論調が備わっていない、一つの象徴なのでしょう。菅氏が辞任すれば、ビジョンをもった人間が短期でも、続々と名乗りをあげるはずです。それは、信を失った政権では実現できなくても、みんなが身を捨てる覚悟があれば、知恵というものはそこから生まれるからです。政治家は信を失えば終わり、倒閣をしても、党分裂をしても、ついてくる者がいれば信を失っていないことになります。今回、菅氏についていこうとする人間は、五大老ぐらいなのかもしれません。閣内からも異論があがる中、菅政権の行き詰まりはより深刻な形で、これからの国会に閉塞感を生むことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年06月02日

内閣不信任の否決について

衆院による内閣不信任の否決、最悪の結末を迎えました。菅首相が1.民主党を壊さない、2.自民党政権に逆戻りせない、3.復興基本法案の成立、4.2次補正の早期編成に目処、といった形で菅-鳩山会談が決着し、結果は民主党から松木、横粂2氏が賛成、15名が欠席となりました。11時台に起きた新潟の地震なども、まだ震災というイメージを起こさせたのかもしれませんが、だから民主党の動きは読みにくい、と改めて感じさせられた一日でした。しかし、先にも述べたように最悪のシナリオです。

第一に、菅氏は積極的に震災対応をする動機を失いました。3も4も菅政権の任期を縮めるので、後送りさせる意識が働きます。『目処』の解釈論で後にもめることも含め、与党内に不協和音が続き、野党との政策合意がないので攻勢は止まらない。国会審議はとまり、震災関連、2次補正しか審議には応じない。レイムダックした菅政権に、野党が応じるはずもありません。つまり、公債特例法案の行き詰まりを含め、秋口が次の政局として意識され、それまでは政局が激化する一方になるのです。これが政治空白をもっとも長引かせる、最悪の結末という根拠です。
辞任するなら今でなければならない。その方が政治空白を短期間で収められる最善です。解散なら選挙、組閣を含めて1ヶ月半で新たな船で出直せます。しかし今回のシナリオでは最短で3ヶ月も政治空白が続きます。その間、審議拒否を続ける野党の方が国民の怨嗟を集めるだろう、と考えるのは早計です。メディアはそういう論調をとるかもしれませんが、政権を運営する側に国対の責任があり、これは与党の責任が強いのです。民主も野党時代は、そう攻めていたはずです。

菅氏は辞任のタイミングについて、原発の冷温停止までと述べたので、単位は年。すなわち政府の示した工程表は信じるに値せず、そうこうする内に総選挙の時期です。つまり菅氏はずっと続ける、と述べており、言質をとられないよう『辞任』の文字を覚書にいれなかったことでも、人のいい鳩山氏はまんまた騙されたのです。その間、選挙制度改革への着手を野党にもちかけ、解散カードを手に入れた上で、解散を望む野党と、それを恐れる与党という構図で手綱を握るつもりです。つまりタイミングを逃したのは、優柔不断な鳩山氏による、致命的なミスだったのでしょう。
政権延命は、すなわち政局延命です。政局の、最大のネックである菅氏が居直るという結論で幕をひいた、その不条理さは民主党が、次の選挙で浴びる罵声により気づかされるのでしょう。政局をもっとも長引かせる決断をしたのは、愛党精神を全開にした鳩山氏と、自由党時代の金をつぎ込んでも、先の総選挙での勝利をめざした小沢氏が、民主党の崩壊を惜しむ気持ちなのかもしれません。

菅氏は今回でも小沢系を追い出し、刺客をたてる小泉劇場型の郵政解散を描いていたようですが、自身が「政治とカネ」を抱え、身動きとれないと判断した。今回も、党内の反菅勢力の動きをうけ、処分を見送らざるを得ない。次に菅氏が打つ戦略としては、総選挙前に選対に小沢氏を据えることです。菅政権の下では敗北が確実、引き受ければ責任をおしつけ、断ればそれを敗北の理由にできる。自分が生き残る嗅覚だけは、並以上のものをもつ菅氏なら、そんな手も打つかもしれません。
今回、最悪のシナリオが続くことを思うと沈痛な面持ちになります。そして、それを見抜く目をもたぬ政治家に対する失望と、保身に汲々とする政治家に対する憤慨と、様々な面で残念な気持ちで一杯です。震災対応が第一、と云いながら菅氏にそんな気持ちはないでしょう。被災者を愚弄する政治が今後、国民からどう評価されるかは、次の選挙が示してくれるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年06月01日

内閣不信任が提出される

自民、公明、たち日が内閣不信任を提出しました。共産、社民は棄権の模様であり、明日の採決まで予断を許さない展開は続きます。今日は党首討論が行われ、昨日は菅-鳩山会談も開かれました。もし菅氏が策士なら、あくまで辞任せずで突っぱねておいて採決の直前で内閣総辞職、造反を企図した小沢系を一掃するという戦略も想定できましたが、あくまで菅氏は自分がトップにいることを、金科玉条に据えているようです。そのため、野党も安心して攻撃できる。菅氏が総理でなければ協力する、とまで野党が歩み寄っても、がんとして首を縦に振らない。鳩山氏も辞職しかない、と説得しても聞く耳をもたない。これは民主党議員に、極めて重大な決断を促すことになります。

即ち、ここで内閣不信任を否決すると、次の選挙は菅氏をトップにして戦わねばならない、ということになります。たとえ支持率が低迷し、悪材料が山積しても菅氏は自分で選挙する、したい。それはつまり民主党の大敗を意味します。民主党議員は、ここで菅政権を信任しても、選挙までに再度決断を迫られることになり、それは新党合流か、新党立ち上げか、いずれにしろ今回賛成に回ったことが負の遺産となり、民主党で戦って討死を覚悟するしかない状態におかれます。
特に、小沢系が離脱すれば、小沢氏が築き上げた民主党の支持基盤も、軒並み小沢新党へとなびくでしょう。選挙弱い岡田幹事長の下では、支持基盤すら固められない。原理主義者は、清濁相呑むような寛大さもなく、それは党の結束すら揺るがせにする。今回でも明らかになったことです。

しかも、これだけ派手に内閣不信任をぶち上げれば、野党は連立を組めません。50人以上の離党者を出すと、衆院で過半数さえ見込めなくなります。参院も離党者がでるので、採決は立ちいかない。菅氏は、小沢氏と自民が組むのを警戒する発言をしていますが、野党の方が多数の状況では組む、組まないの議論はありません。つまり政権は年をまたぐまで待っても離党、脱党が増えるだけですから、ジリ貧になることが明白であり、程なく選挙を迎えます。そのとき、菅首相で戦うかどうか、という決断を、民主党議員は今回の内閣不信任にかけられていることになるのです。
菅氏は『通年国会』という曲球を投げましたが、震災復興も対策会議を待たねばならないので、開店休業が長引くだけです。国会も一日開けば運営費で1億かかるので、だらだら開くなら開かない方がいい。それだけの決断とスピードが求められるのであり、場当たり対応では心許ない部分もあります。IAEAによる調査報告書もありますが、細野総理補佐官は情報隠蔽を申し訳ないと述べ、枝野官房長官は知らなかったと突っぱねる。政権の中からも不協和音は響いており、政権は一度ついたウソを隠すため、ウソをつき続けるしかないので、どこでその時限爆弾が破裂するかも分からない状況です。

可決すれば総選挙、否決でも数ヶ月後には総選挙。この重大局面で、民主党議員にも棄権は少ないだろうとみていましたが、存外増えそうな気配です。もしここで総選挙なら、処分を含めて民主党は三桁に届かない議席となるでしょう。下手をすれば八十以下の可能性も出てきます。そして今回、まだ風は読めませんが、単独過半をとる政党は出ない公算が強い。曖昧な態度がどれだけリスクかは、選挙の時に感じることになるのでしょう。菅氏を看板に戦えるか?被災地を無視して解散などの手を打てるのか?いずれにしろ、政局を望むのは菅政権も同様だという認識で良いのでしょう。
党執行部の戦略のまずさ、政権内部の動きも重なり、菅政権は追い込まれた形となりました。菅氏のみが辞任すれば、全て丸く収まるのにそうではなかった。実は、菅氏がもっとも政局を望んでいるのかもしれません。ただ、本人はその後も中枢に居続けると考え、周りの意見にも耳を貸さずに明日を迎えます。政界の中心で『I(私)』を叫ぶ、この物語の結末は悲劇か、喜劇になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般