2011年07月

2011年07月31日

やらせメールは薬害エイズと同じ?

埼玉県知事選、現職の上田氏が三選を果たしました。問題は投票率で24.89%と低いことです。確かに争点もなく、盛り上がりには欠けましたが、県民の4分の1のそのまた何%かの得票で、知事に就任するということは選挙の根本を揺るがせます。千葉県富里市の市長選も23.46%。震災の影響もあったでしょうが、日本の首長選挙のあり方を改めて考えないと、低い投票が続いてしまいそうです。

菅首相が九電、保安院のやらせメールについて「薬害エイズと同じ」と、みんなのエネルギー・環境会議の席で述べました。当時は製薬会社のお抱え審議官がいて、薬事審議でお手盛りにした上、製薬会社の利益を守る目的が、厚生省内に存在しました。今回、お抱えメンバーというより、経産省全体が原発推進の構図にあり、根は深いと云えます。しかも、原発推進はメディアにまで及んでおり、産官学に及ぶ時点で、製薬会社という一業種にとどまらないほど拡大しています。
電力会社は株主総会にも動員をかけることは、周知の事実です。ただ、これは持株会などがあり、社員も株主である点で問題ありません。しかし道義的に、企業体としてどうかは別ですし、厳密に社員の参加は禁止している企業もあります。これは、企業寄りの判断を下しやすい社員が参加すれば、経営が歪むためでもあり、逆にそういうことをするのは、原発反対などの議決が毎回提出されることを恐れた電力会社の、宿命的な部分もあったのでしょう。佐賀県知事の発言、などが引き金という話はとんでもないことで、むしろ過去からの慣例であったことは当事者以外にも公然の事実であり、それを指摘したとて、引き金とするには当たらないということです。

しかし今、改めて報道されて衝撃、という話も奇妙なことなのでしょう。暗黙が公然となり、驚く人もいるでしょうが、メディアがそれを知らぬ素振りでいることは、むしろ違和感を与えます。逆に、メディアでもシンポジウムなどを開きますが、その不正とて有り得るのであり、自己防衛という認識を強めるばかりなのでしょう。真に公平、公正な議論はそもそも存在しない。それは司会進行のやりようでも変わりますし、参加する有識者によっても、議論の誘導が可能だからです。
やらせ、動員、いずれも問題は多くあります。ただ中間派は総じて意見表明せず、過激に偏った側が声高に意見を述べる場、として公開討論があるのですから、元々それを賛否を決する場と考えること自体が間違いなのです。そもそも、原発は隠蔽主義です。プルトニウムの保管場所は公開されませんし、建物の詳しい構造も公にされている部分は少ない。それはテロ、悪用を恐れる構図であり、それを一般の情報まで拡大し、適用してきたのですから、そこに問題の根があるのです。

残念ながら、菅氏の指摘はあたりません。さらに、保安院を経産省から独立すれば済む問題でもなければ、資源エネルギー庁を残せばいい、という経産省の考え方も誤りです。経産省が産業界と癒着を生じた時点で、職員を解雇するぐらいの強い規制がなければ、この問題は解決しないのです。今回でさえ、保安院は問題意識の低い会見をしていますが、人事権を強化しない限り、組織全体が腐敗の温床として残るだけであり、独立してもそれぞれが敵対することはないのが官僚なのです。
多数派工作、というのは実に簡単です。例えば地方選でみる低投票率は、支持母体の大きさだけが有利に働くだけの、民意として正しいかは別の問題です。やらせ、動員で見せかけの多数派工作をし、それを指示したら、すでに懲罰の対象である。それだけの強い意思があれば、脱原発依存は本物と云えます。菅氏が描いた多数派工作としての脱原発依存、それがただのパフォーマンスなら、かいわれ大根と同じで、組織改革など絶対にムリ、ということが云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2011年07月30日

米国の第2四半期GDP

米第2四半期GDPが、年率換算で前期比1.3%増となり、市場はこれを悪材料視しました。さらに第1四半期の伸び率も1.9%から0.4%へと下方修正し、2期連続で鈍化した傾向を示しました。第2四半期の鈍化は個人消費支出の伸びが0.1%と低迷したことが原因ですが、一部では日本の震災によるサプライチェーンの鈍化、も言われますが、一方で食品・エネルギーを除くコアPCE(個人消費支出)価格指数が第1四半期1.6%から第2四半期は2.1%に上昇しており、じりっと消費傾向の変化も見受けられます。
問題は、米景気は日本の震災やガソリン価格の上昇、QE2による景気対策にかかわらずすでに鈍化していたことです。一部、FRB理事からはすでに底を打ち、年後半は上昇するという発言もみられますが、そのドライバーはまったく見当たりません。しかも、米債務上限問題は佳境を迎えたものの、来週後半か、再来週に合意はずれこむともされており、まだまだ予断を許しません。

判明してきたのは、8月15日に利払いが控えており、逆にこのタイミングまで債務不履行に陥ることはない、ということ。及び、米債券に紐づけられた地方債など、格下げ懸念により米債券市場に深刻な打撃を与えること、です。アラバマ州ジェファーソン郡、など具体的に債務の借り換えが厳しい場所の名が上がり始めたように、公的機関も含めて米債券市場が大混乱を来たすだろうことです。
米共和党が下院で9千億ドルの債務上限引き上げと、約9千億ドル規模の歳出削減を可決しました。上院は否決の見込みですが、妥協案も示されました。3段階の債務引上げと、3兆ドル規模の歳出削減という提案で、与野党の折衷案に見えます。ただ与野党とも、この中途半端な内容でどこまで所属議員を説得できるかは、まだ不透明です。議会は通過できても党内部の亀裂は深まるかもしれません。

さらに、ここにきて疑問視され始めたのがIMFの立ち位置です。ギリシャ支援第2弾でもIMFの関与は必須とされますが、すでにギリシャの負担金の32倍の予算をつぎ込んでおり、これはアジア通貨危機の際に厳格なルールを適用した態度とも異なります。また、今以上の負担を強いられれば、IMFの予算すら脅かされることになります。欧州に甘いIMF、という印象は負担金の増えた新興国にとって、許容しがたい内容です。また、米国が仮にデフォルトした場合、IMFが関与することになれば、負担金の額を倍増する提案などが出てきて、世界経済を揺るがすことになりかねません。
米国のデフォルト確率は、それほど高くありません。ただ歳入の100%を越え、今や最高格付けを維持することは難しい。その現実がMMFなどからの、資金引き上げという形になって、米経済を悪化させることにつながるのでしょう。10年間で3兆ドルという歳出削減が、多いか少ないか? それを格付け機関が判断することになりますが、機関により態度が別れている点が、米政府の圧力ということを感じさせます。いずれにしろ、来週の動き如何で、その後の傾向も見えるのでしょう。

日本の株式市場では、必死で26週、52週移動平均線を維持しようと、先物を買い支える向きもありましたが、やや割る形で引けています。米国ではOffのスイッチが入り、債務問題解決まで売り、というムードが支配的ですが、日本株もやや弱い傾向がみられるかもしれません。業績発表も続きますが、どちらかと云えば予想通り、サプライズはない印象です。ただ、本年度は珍しく日本企業が下期回復を織り込み、やや強い見通しを示している点で、今後の展開は心配です。米景気鈍化が与える影響、それは新興国の輸出という構図を崩し、そこから世界経済が調整局面入りすることを警戒させます。
いつも弱気な経営陣が、強気を示さざるを得ないほど、株価対策が必要と考えたとすれば、むしろ下期鈍化の方が想定線であり、そこからの上昇余地としては小さい、と云えるのでしょう。逆に、PBRなどの下支え要因からみると、下値は固いと言えるのでしょう。当面、ブレの小さな相場になることが予想されますが、それを崩す要因は米国にあり、と云えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年07月29日

菅首相の不定期会見

韓国で大雨を降らせた前線が、新潟、福島にも大きな被害をもたらせています。地球ダイナミズムでは、ヒマラヤにぶつかった風が南シナ海などの、温かく湿った空気を日本に運ぶため、湿潤な気候が保たれるとされます。それが、今年はもっと北に持ち上げられたのか? 太平洋岸は湿気が高くても気温の低い状態が続きます。地球の環境が、これまでと異なっていることを感じさせます。

菅首相による不定期会見が行われました。前回、13日の記者会見時に「3月11日の事故以来、原発のリスクを意識した」と発言しましたが、1次補正に原子力安全規制広聴・広報事業費がのっています。この中に、原発に対する風評の監視、安全という広報活動が含まれていた。これは、菅氏の指示が行き渡らなかったか、当初はリスクを考えていなかったかのどちらか。即ち、会見内容に齟齬を来していることになります。さらにこの活動、今年は広告代理店が受注していますが、これまでは天下り先が受注するなどお手盛り予算が判明しています。それでも菅政権は復旧、復興に足りないから増税路線を唱えます。さらに、保安院のやらせ問題など、予算執行の体すらなしていません。
さらに佐賀県知事に「訪問できない」旨の、謝罪の電話を菅首相は入れましたが、実はここに菅政権の終焉の形をみる気がします。同日、刃物をもった男が公邸に現れた記事がありましたが、低支持率で解散に踏みきり、各地を首相として回れば暴漢に襲われる恐れが出てきます。警備をしても、民衆を前にして演説するのですから、何をぶつけられるかわかりません。菅氏に、命を賭しても解散をやりきる覚悟があれば別ですが、そんな度胸はないでしょう。ノルウェーのテロ、こうしたものが菅氏に幾許かの、心理的圧迫を加えたことは、ほぼ間違いありません。

しかも、拉致事件への関与が疑われる人物との、献金をめぐる親密さ。これは国を滅ぼす逆賊という見方もされます。過激な行動は、こうした原因から起きるものであり、菅氏にとって首相として迎える選挙は『命のリスク』を考慮する必要が出てきたのでしょう。海江田経産相が委員会質疑で顔を真っ赤にし、泣き出しましたが、菅氏も自らの不人気に泣きたい気分なのかもしれません。
さらに亀井補佐官から、郵政改革法案の委員会付託を8月5日、と期限をきられました。菅氏は指示しましたが、党内の反菅勢力にとっては、これを放置しておけば国民新は菅政権支持を下りるのですから、願ったり叶ったりです。そもそもこの方針自体、党の中で調整がとれているわけではなく、震災復興が先、という大義もたつのでのらりくらりで十分です。亀井氏もこれを踏み絵と迫り、できなければ菅政権から離脱するぐらいの腹はくくった、とみるのが正解なのでしょう。

菅氏はこれから、人の顔色を伺って政権運営をしなければなりません。それは、味方が敵になる恐れであり、これまではまだ大丈夫とタカをくくっていましたが、これからは1人の離脱が致命傷になる可能性が高い。それは少数派へと転落する流れであり、しかも敵の攻撃は物心両面から、かかることにもなってきます。嫌われ者が人の上に立つためには、それなりに理由を示さねばなりませんが、それが菅氏には足りていないのであり、人徳を失って孤立無縁になればもう終わりです。
菅氏はこれからも、誰に会うのも怯えなければならなくなります。それは内部情報漏えい、といった形ですでに現れているように、恫喝や発言内容が筒抜けになるのは、すでに獅子身中の虫がいることを示しています。言霊詩人など、耳障りのよいことばかりを云う人がいますが、巧言令色鮮し仁、という言葉もあります。逆に、そういう人間を信じていれば、いつか裏切られる。腹を割って話をするのでなく、自分の語りたいことを喋り、トモダチと呼べる関係を築いてこなかった菅氏には、相談できる人が益々限られていくのでしょう。菅氏は窓際になっても辞める意思はないでしょうが、そこまでしてしがみついても、歴史も、誰も評価しないと早く気づくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年07月28日

経済の話。ソロス氏のファンド閉鎖と円高

中国の列車事故、信号機故障という不可思議な原因が発表されました。仮にそうであっても、衝突防止制御があれば、列車は止まるのであり、複合的という見方ができます。中国では35人以上の死亡事故はない、という奇妙な話もありますが、今は国民が加熱しており、ほとぼりが冷める頃に犯人逮捕というシナリオは、毒ギョーザ事件のときの対応を想起させます。鉄道省には秘密警察も付随しているとされますが、後々事件の顛末まで見ておく必要があるのでしょうね。

円高が進んでいます。今回、介入が難しいのは要因が米財政不安であり、実行為替レートベースでみても、さほど極端な円高ではない点です。米債務上限問題は上院民主は2兆7千億ドルの上限引き上げ、歳出削減を提案し、下院共和は9千億ドルの上限引き上げ、歳出削減を提案しています。来年の大統領選時、再び議論の俎上にのるか、のらないかで与野党がもめている構図となっています。しかしどちらにしろ、歳出削減に不足を指摘されており、それが格下げへとつながるので、議論の可否に関わらず格下げ、という事態は避けられそうもないのが現状です。
6月米耐久財受注が2.1%減となり、マクロ指標の悪化も嫌気され始めています。ミクロの好調も、新興国のインフレとドル安による嵩上げが影響しており、実態としてそれほど経済は強くない。雇用が拡大しないのも、国外経済に頼る形が鮮明だからです。ソフトパッチの長期化、これを織り込むようなニュースが、著名投資家ジョージ・ソロス氏のヘッジファンド閉鎖です。かつての同僚、ジム・ロジャーズ氏より機動的ですが、金融規制によるファンドへの締め付け。世界経済の見通しについての不透明性など、晩節を汚さないために投資規模を縮小させる狙いがあるのでしょう。

投資家の最大の不安は、通貨危機です。インフレ抑制に失敗し、ハイパーインフレになれば、預貯金はほぼ無価値となります。一方で、過剰流動性の供給により通貨安になれば、グローバル投資をする人間にとって嬉しくありません。ドル建ての見かけ収益は上がっても、トータルの資産が増えないからです。新興国のインフレと、米国経済の鈍化と政策への不安。これらが重なり、資金の逃避場所としてデフレ、財政出動が期待できる日本への買い要因が膨らむ形となっています。
問題は、この構図を変えずして介入だけをしても、何ら意味がない点です。むしろ損を抱えるだけなのでマイナス、と指摘できるでしょう。円高は当面、構造的な問題であり、解消に向けた施策はデフレ解消にかかります。しかし日銀は、米国の対策に追随する形で小幅の流動性供給策に留まり、無策との批判をかわすためだけに、精力を傾けているようにしか見えない。円高は、こうした面からも助長されており、長期化する懸念は拭えないのでしょう。

8月は円高に傾き易いとされますが、見かけ上円高は対日投資の成績を補完します。ただ、今後は解約売りが増えるかどうか、それが株式や為替にも影響してくる、と見ています。ソロス氏のファンド閉鎖で、自信を失った投資家が手元資金に還流させようとするかどうか? 結局それは、世界経済へも大きく関与することになるのでしょう。円高が今以上にすすむかどうかは、世界経済がどれだけ落ち着いていられるか? にかかっています。それは欧米の債務問題を含め、不安心理という市場が最も恐れる、パニック状態をどう回避するか、にかかってもいるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年07月27日

雑感。高速鉄道事故と日産と

中国の高速鉄道事故、対応を含めて大きな問題を引き起こしています。国威発揚の最重要案件として持ち上げてきただけに、注目度も高く、ネット規制が効きにくいのでしょう。早期幕引きを図るため、埋めたことは論外ですし、札束で頬を叩くような賠償金にも、批判が集まります。分からないのは、目視によりどの段階で運転士が、前方に停車している車両を確認したか? 事故2秒前に100kmを超えていた話もありますが、いずれにしろ事故情報が判然としないまま埋めたので、事実が判明する日は永久にこないのかもしれません。ただ、中国共産党には大きな打撃です。
中国では6月でインフレはピークを打ち、7月からは落ち着き始めるという見方が6月までは支配的でした。しかし、実際には7月もインフレは高進、これが利上げ懸念へとつながっています。一方で、鉄道事故で関連株は下落、中国経済には二重、三重で負担となっています。特に、中国製の運行管理システムで起きたことが判明すれば、輸出も含めて大きな悪影響が出てくるでしょう。

そんな中、日産ゴーンCEOが2015年末までに中国での生産を倍、500億元の投資計画を明らかにしました。成長する国に、大きく投資して収益機会を得る。当たり前のようですが、この動きにはやや懸念を抱いています。まずトヨタの失敗は、米国に軸を置きすぎて、米国経済がサブプライムローン問題や金融不安に陥った影響をまともにかぶってしまったことです。つまり高級車が売れる市場で、積極投資をしたことにより、その他の市場に持ち出せない商品構成になってしまいました。
中国では高級車も売れますが、主に売れ筋は中小型である点は、日本と同様です。しかも都市部では一巡感があり、農村部へと波及的に景気を拡大しようとしていますが、実際農村部の収入は増えていないのが現実です。汎用にしていけば、どの市場でも売れるように見えて、実は没個性化がもっとも懸念されます。また市場占有率を高めても、中国のような市場は国家の一声で、如何ようにも変化してしまうため、投資がそのまま収益になるかは博打のようなものです。

更に中国は急速に成熟社会に向かいます。その比は日本どころではありません。そして、今回の鉄道事故で見られる、加速する世論は、以前トヨタが米国で体験したバッシングを想起させます。制御系に不具合がある、として議会、メディアが世論を煽り、1年間にわたって調査を放置した挙句、何も問題ないという発表を行いました。もし仮に、中国で同じことが起きたら…。自動車事故を契機にバッシングなどが起きれば、企業活動が大きく阻害される恐れがあるのです。
非常にシビアなことを云えば、今高い成長をしている国に、投資するのは愚の骨頂です。むしろこれから発展する、成長する国をみつけて積極投資する方が、実入りはよほど良いのです。しかしこれにはリスクがあり、経営責任に発展しやすい案件となります。逆に、今回の計画はゴーンCEOが守りに入ったことを、伺わせる内容となったのでしょう。中国の成長が後何年続くか? そして政治リスクをどれほど組み込んでいるか? それ次第では後に極めて厳しい結果を迎えるのでしょう。

ただ仮に企業が日本に残っても、増税ばかり議論され、景気にまったく配慮のない政権ではリスクとなります。企業にとって、市場開拓は必須の項目ですが、原発輸出のように政権の態度で受注計画が頓挫するようなことになればたまったものではない。日本も原発事故のように、事故隠しととられる行動を政府、東電がした以上、他国のリスクを云々できるレベルではありませんが、少なくとも企業、個人にとってこの国が住みにくい国へと突き進んでいることは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2011年07月26日

菅氏の訪朝? と増税復興策

中井元拉致問題担当相が、北朝鮮高官と中国で接触していた問題。外務省は事前に承知していない、と発言していますが、これは政治案件であり、外務省を通してはいないでしょう。先に北朝鮮は世界にむけ、洪水被害で水没した街の写真を世界に配信、その後捏造が発覚し、1日でAP通信が配信をとりやめたことがありました。今、北朝鮮は困窮の極みに陥っており、支援は喉から手が出るほど欲しい状況です。ただ、北朝鮮は拉致被害者が残っていることを認めておらず、それを覆すには相当の手土産が必要でしょう。一方、世論は無条件での返還を求めており、この点で乖離もあります。電撃訪朝がそのまま政権浮揚になるとは思えず、むしろ批判の声が高まるはずです。

菅氏は衆参ダブル選挙に言及しました。本音はそこまでやりたい、実態は各社の世論調査でみても支持率が低下し、解散で勝てる見込みがない。脱原発依存宣言で、解散すれば勝てるとの目算が外れ、長期居座りを覚悟した側面があるのでしょう。小泉訪朝を意識しているようですが、最早情報が先走っており、電撃ではなく国民にサプライズもない。よほど好条件を引き出せば別ですが、菅氏の目論見はうまくいかないことが明白です。そんな中、3次補正で増税の話が出てきました。
5年間で8兆円程度を法人税、所得税の増税で、3兆円程度を子ども手当の見直しや、NTT、JT、東京メトロ株の売却などでまかなう、という話があります。ただし、同じ議論の俎上にのせねばならないのは、同時に社会保障費の増大をまかなう目的で、消費税増税が検討されている点です。逆累進性をどう解消するか? よくわからず詳細は不明ですが、国民負担は10%近くになると推計されます。

消費税が仮に8%に上がると、現行より3%の負担増。法人税、所得税は年間で1%程度の増税とみれば、約4%です。ただ以前とりあげたように、94年から09年の15年間で、国民の平均所得は660万円から550万円に落ち、これは17%強で年1%を超えます。即ち5年で5%程度はデフレと景気悪化の影響で収益は下がると見ておいた方が良いのです。さらに、この平均所得は公務員との合算ですが、公務員給与はむしろ上昇しており、恐らく平均値として割り出されたものより、民間企業の給与の下落率は大きいと判断できます。つまり、ここで増税による負担が増えれば確実に消費は鈍化します。
菅政権は、こうしたこともすべて犠牲にすることになり、極めて問題が大きいと云えます。国債償還基金に12兆円が毎年、繰延されていますが、この半額を使えば増税負担は大きく軽減されます。また公務員給与、議員歳費など手のつけられる箇所は山ほどあるのに、それができない。菅政権というのは、とかく弱者に厳しい施策が目立ち、子ども手当見直しも所得制限ばかりでなく、給付額を減らせばこれまでの児童手当に比べ、負担感が増すことになるのでしょう。

菅政権は、相変わらずどこを向いているのかわかりません。大衆迎合したいなら、今こそ官僚の既得権益と戦うことが必要ですが、今そこを敵に回せば官邸内に味方がいなくなります。政治で敵をつくった上、官僚機構まで敵に回すことは難しい。それは、本人が不信感をもっていてもそうなのでしょう。閣僚は経産省を統制しきれない海江田氏を初め、官僚の代弁者である与謝野氏など、官僚にべったりの政治家が並びます。菅政権の漂流は、最早看過できないほど日本を不幸にしているとみて、ほぼ間違いなくなってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年07月25日

経済の話。米債務上限問題

政府がなでしこJAPANに国民栄誉賞を授与する方向で、検討に入っています。政権の人気とり、もらってもただの名誉だけで、行動を縛られるだけで意味がない、等の良い評判のない賞ですが、不人気政権は、人気者にあやかりたいと考えるもののようです。ただ、なでしこリーグも始まったのであえて云いますが、なでしこ版totoをつくり、女子サッカーの運営と当面の被災地への復興費に回すよう、制度を準備した方がどれほど有益か知れません。注目が高い今だからこそ、むしろ国民への周知も含めて、男子と同様のシステムを導入することは決して間違いではないはずです。

米債務上限引き上げ問題が、佳境を迎えています。オバマ大統領と上院総務、下院議長が会談するなど活発ですが、双方が債務上限の引き上げ幅ではなく、財政再建に向けてどういうシステムを構築するか、で綱引きが起きており、来年の大統領選を控えて、情勢は依然不透明です。
この問題で重要な点は、野党は8月2日という期限が、本当に財政上デフォルトに陥るか? という懸念を抱いていることです。これは財務長官が、突然打ち出した期限であり、説明が足りていないために起こっていますが、そのため妥協点が見いだせません。野党、共和党は「焦って将来に禍根を残すぐらいなら、妥協しない方がいい」とまで述べており、これが混迷を招いている原因です。

個人的には、恐らく仮の債務上限引き上げで、1〜2ヶ月の小康をえると見ています。つまり一時的に債務発行を容認し、その間に財政再建に関して増税か、歳出削減か、という議論を深化させる。今のところ、与野党が合意できるのはこうした提案ではないかと見ています。歳出削減枠や、米景気の下押し懸念もあり、下手に妥協して具体的な数字が出ると、格下げ懸念は残ってしまいます。外貨準備として、米国債保有比率の高い国への信頼を崩さないためには、これしかありません。
日本では円高が起きています。為替介入警戒という話もありますが、この円高は米国債格下げが要因なので、介入は無意味です。76円25銭を目指す、という話もありますが、問題は長期的にみてドルが買えるか? ということです。仮に格下げ懸念が晴れても、米景気が落ち込めばQE3期待が盛り上がります。ドルの下押し要因は枚挙にいとまなく、一面ではドルへの還流を促すとされる本国投資法にしても、前回の経験からすればそれほどドルを押し上げる効果はありませんでした。

さらに、米株市場はこの先延ばし法案ですら織り込んでいないために、実際合意できない場合、影響はかなり大きく出るはずです。日本企業と比べ、米企業は内部留保を国債でもつ、ということをしていないため、直接的な影響は少ないのですが、資金を市場調達することが当たり前の国で、その調達コストが上がることで、当然のように新規投資が細り、成長が止まる形になります。
米企業の決算発表も3分の2程度が終わりましたが、概ね好調でした。しかし海外売上比率が高まる中で、米景気鈍化よりも世界経済の成長リスクが、大きく影響してきます。そして新興国は多かれ少なかれ、外貨準備として米国債を保有しており、米国債の不安は深刻に受け止めるでしょう。米国債の問題は、基軸通貨体制の転換という重大な問題を含んでいます。中には、本当に8月2日ですぐデフォルトするなら、もう間に合わないという人もいるほど、この問題は切羽詰っています。妥協がただの先送り策と意識されると、1日、2日は小康を得られても円高、株安は緩やかに進みやすくなるでしょう。今週の米国の動きは、注目しておいた方が良いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年07月24日

雑感。原子力損害賠償法改正など

中国高速鉄道が浙江省で衝突事故を起こしました。列車事故は転覆とされるように、極めて甚大な影響をもたらします。雷が原因ともされますが、技術とはモノづくりばかりでなく、トータルパッケージとして管理できることが重要です。どんな製品でも、顧客は買うばかりでなく、サポート体制まで含めて相手の信用を見ます。中国は高速鉄道の輸出を考えていますが、問題を隠蔽してしまう体質まで含め、数千億円の買い物を中国からしてはいけない、という意識を喚起したことでしょう。

日本の技術も、東電福島第一原発の事故で揺らいでいます。菅首相が21日の参院予算委で、原発輸出の見直しについて言及しました。仮に、菅氏の意見が日本政府の方針になると、日本政府のサポートが得られない、として他国に不審を植え付けます。そして更に、企業活動も国の方針一つで左右されることになり、これでは安心して企業がこの国では産業として成り立たないことにもなります。また菅氏のトップセールスで成立したベトナムなど、契約したはずのセールスマンが自社に戻って、勝手に契約破棄を宣言した、と受け止めることになり、極めて不誠実な対応です。
さらに、民主と自公が協力し、原子力損害賠償法の改正にむけて動くことになりそうです。原子力損害賠償支援機構法案も、自公の案を軸にして調整がすすめられています。国の責任を明記し、東電救済を鮮明にする形です。残念ながら、自公には多くの東電族議員がおり、こちらの方向ですすめば税金が無尽蔵に投入される懸念を強めます。つまりこれは、東電が短期に支払い不能に陥る事態を回避する策、と見られていますが、現状の被害の拡大をみれば明らかなように、巨額に膨らめば短期債の発行などで、国が多くの負担を膨らますことが確実であり、国家自滅法になりかねません。

しかもその間も、企業は営利団体として、多額の広告費や年金を拠出できます。もしそれを制約するなら、東電を国家の管理下とした方が良いのですが、あくまで民間企業でありながら、救済するとします。また電力会社に応分の負担割合を求めますが、原発は事故がないという前提に立てば、これは保険ですらありません。一方で、原発には事故が起きる可能性もある、とすれば再稼働などできるはずもない。つまり、他電力会社から見れば、負担以外の何ものでもありません。
矛盾の塊のような、この法案を与野党で合意してしまうのですから、日本の政治がいかに利権の構図で動くか? の証左でもあるのでしょう。そしてこうした矛盾は、最終的に日本の信用に関わってきます。短期的な国債増発懸念とともに、システムとして日本は異常事態に対処する能力がない。事故を起こさない、という方向で強化されてきたはずが、実際に事故を起こしてみれば、対応が利かないとなれば政治力としても、不信感が強まります。総じて、今起きていることはすべて、日本という国への信任をどう維持するか? という問題でもあるのでしょう。

残念ながら、原賠法改正や原賠支援法の問題をみる限り、与野党ともに問題への対処能力が感じられません。また、この問題に関して与野党とも、国民に説明を尽くしているようにも見えません。大連立の弊害は、結果的に今、少しずつ顕在化しているのでしょう。それは双方に都合が悪いことを隠し、自分たちの論理で法を通すということに集約されています。福島原発の問題は、日本の電力会社による支配という問題を浮かび上がらせていますが、もう一つは政治の危機も国民に警告したことになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年07月23日

岡田氏のマニフェスト見直し発言

ノルウェーでテロが起きました。首都オスロの政府庁舎に爆弾を仕掛けた後、ウトヤ島で銃を乱射するなど計画的で、残忍です。ナショナリズムに凝り固まっていた、という報道もありますが、移民受け入れをする現政権への反発を、国民にむけて晴らす。集まっていたのは与党支持者であり、すべてが国を壊す輩と映ったのかもしれません。ただ、欧州では政府の施策に批判的な国民が増えているのは間違いなく、これまでの国家間、宗教間対立よりも、今後は思想的なものが暴力の理由として増えるのかもしれません。結局それは、国の基が揺らいでいる証拠でもあるのでしょう。

それは日本も同じ、ついに岡田幹事長が、民主党が掲げたマニフェスト見直しを示唆しました。岡田氏が主張退陣にむけた、下地づくりだという話もありますが、それはやや早計でしょう。逆にみれば、仙谷派(前原氏、野田氏、枝野氏)にとって、マニフェストは目の上のたんこぶ、財務官僚にとっては自分たちの思う通りに予算執行できず、負担ばかりが増えるとして、菅政権の間にマニフェストを見直し、次期政権への引継ぎをスムーズに…といった思惑が働いているはずです。
つまり仙谷派は財務省派、と言い換えることもできます。マニフェストを見直し、自公の主張に近づける形になると、今度は条件闘争になります。要するに調整が必要になりますが、残念ながら岡田氏にその能力は皆無です。そもそも、党内調整すら経ず、鳩山GR、小沢GRの反発を買っている時点で、幹事長としての手腕はゼロです。一方で、自公との調整も長引くことが想定されます。

自公にとっては、菅政権で選挙してくれた方が得です。つまり高いハードルを課し、妥協を後送りにすれば、民主を追い詰めるものの退陣条件が整わず、菅政権が延命することになり、さらに民主の支持率は落ちますから、選挙を有利に戦えます。自公にとって、次の選挙で勝利した後に政権運営を容易にするためには、民主党マニフェストはできるだけ外してくれる方がいい。まさに、自公にとって見直しをより広義に適用すれば、様々に利点がある、ということになるのです。
菅氏という猫の目首相も問題ですが、岡田氏の調整能力不足幹事長も、さらに問題があると云えるのでしょう。しかも、先に自公との調整に入った。自公とて党内調整を経ていない、となれば協議には乗れないはずです。結果的に、菅氏も岡田氏も、自分が通そうと思うことは党内で調整せずにできる、という誤った認識の下で動いています。猫も杓子も、民主党執行部は似たような思考パターンで動いており、それが『独善』という点が、大いに事態を複雑にしています。

最初に指摘したように、岡田氏はある程度仙谷氏などと、図って動いている面はあるのでしょう。ただ、仙谷派が官僚依存である以上、彼の息がかかった政権が国民にとって、非常に不都合である点が否めません。仙谷氏は自分の裁量で決裁を決めているので、官僚依存ではないと述べるでしょうが、官僚のもちこむ案件は、すでに霞ヶ関語に彩られた法案であり、彼が幹事長だった時代を通して、統制が利いていたとは到底思えないのですから、やはり官僚依存ということになります。
マニフェストは、政党が掲げる看板です。岡田氏は「旗を下ろしたわけではない」と述べているようですが、見直し幅によっては、結果的に看板にドロを塗る形となります。民主党はこの一事をもっても、支持率はさらに低迷するのでしょう。自公もこうなってくると、年内に菅氏で解散…という戦略をとるでしょうが、それは国民にとってもあまり好ましいものとは映らないはずです。政治が、極めて不誠実な状態に突入すれば、日本の治安も荒れてくるのかもしれませんね。

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2011年07月22日

経済の話。ギリシャ支援第二弾の合意

欧州の緊急首脳会議で、ギリシャ支援策第2弾が決定しました。総額1090億ユーロ、その内370億ユーロが民間部門の関与です。欧州金融安定ファシリティ(EFSF)の機能拡大、欧州通貨基金の創設など、総枠で欧州不安を拡大しないよう躍起で、EFSF融資はギリシャ、アイルランド、ポルトガルへの期間を15年に延長し、金利も6%近い水準から3.5%と下げました。サルコジ仏大統領は、民間関与でギリシャ債務をGDP比12%下げる、としていますが、これでは焼け石に水ですし、デフォルトに格付けされることを認めているため、実際にこのスキームが進むかどうかもわかりません。
さらに欧州では今、安定政権がないことも影響します。独国でも地方選で与党が敗北、伊国でもベルルスコーニ首相が退陣表明、各国で議会を通せるかは、依然不透明です。一方、民間部門では債務削減率が21%、市場のデフォルト確率50%強よりも良い数字ですが、問題は債権保有者の90%の参加を目指しますが、逆にそれだけの参加がないと、このスキームは破綻する点です。一応、2014年までの安定を目指した提案ですが、残念ながら数ヶ月安定できれば御の字で、これは先送りに過ぎません。

その中で1つ気になるのが『マーシャルプラン』です。ギリシャ経済を回復させる策、というフレコミですが、実態は不明です。ただもし仮にそんな提案ができるのなら、万事経済問題は解決できます。ギリシャはGDP比で150%と債務比率が高く、しかも破綻懸念が利払いを高くする。構造的な問題に陥っています。試作として考えられるのは、ギリシャの経済封鎖ではないかと見ています。
ユーロ圏の強みは金融が一体なので、信用事由に関する見通しがこれまでは緩かったことです。一方で、一国に限っての経済政策が利きにくく、インフレ誘導をしにくい。域内最大のドイツ経済をみてECBは利上げを続けてきましたが、逆により強い経済としてドイツに資金が集まる形となります。ここでギリシャ経済をユーロと切り離し、緩やかなインフレ路線をとる。云うほど簡単ではありませんが、単一の金利を適用するなど、デフォルトを想定するなら打つ手はある、ということでしょう。

市場は概ね好感、リスクOnともされますが、賞味期間は1日しかないようです。実際、今はOnのスイッチが入りっぱなしの状態で、ここから加速は難しいところです。株式市場では最近、ヘッジファンドのアルゴリズム取引の話題が盛んです。東電株は今や、東証の1割近い売買を占める大商いを続けていますが、昨日まで急騰、今日は一時9%近く上昇した後、7%の下落と上にも下にも大きくふれています。これは買い指し値の増加をみて買いを入れ、売り指し値が増加すると売りを入れる、そんな取引で値動きを出しています。しかも、このアルゴリズム取引崩しもあり、値動きはまさに資金力勝負といった様相が強く、基礎的経済要件を満たさない取引が続きます。
そんな中、ヘッジファンドへの資金流入が細っている話が出てきました。経済への不透明感、米国でQE2終了に伴い、デフレに陥る懸念なども投資機会を減らす要因でしょう。デフレになれば現預金が増えます。重要な点は、米国が投資立国の地位を外れると、経済成長は成し遂げられない、ということです。米企業決算も好調ですが、海外売上比率が高まり、米国内に限ってみれば経済は決して好調とはいえません。そして、米国の投資が細れば、日本の株式も上昇余地をなくします。

当面は、1万円台の攻防をするのでしょうが、欧州財政不安は一時の小康をえても、いつか再燃する爆弾です。また米国の債務上限引き上げも、中途半端な内容で終われば、結果的に株価の押し下げ要因として機能します。10年間で3兆$の債務削減で合意する見通しですが、それだと不足気味であり、かつそれだけ削減すれば、失業者が増えることも確実です。米国の債務に関しては、市場はまだ織り込んでいない。不安が現実化するようだと、やや大きな動きが世界を襲うことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2011年07月21日

雑感。セシウム牛肉の問題

関西電力管内で、政府が10%節電要請をしました。電力使用制限令ではなく要請に留まるのは、準備不足で経済に与える影響が深刻だから、ということです。一方で使用制限令が出ている東電管内の電力は余っており、まったくの自己矛盾を抱え、余剰電力を送る話まで出ています。それなら即刻東電管内の制限令を解除すべきで、要請にとどめるべきと云えるのでしょう。
経産省が、東電管内で企業の抱える発電能力が180万kwとし、菅氏がそんなはずないと激怒した話があります。ただこれは、産業界は設備を遊ばせておくことはせず、電力使用制限令が出ていれば、当然率先して稼働計画を立てていたはずです。むしろ余剰電力は総務省が所管する地方行政や、それが抱える三セクなどが有しています。経産省が自省の管轄のデータのみ提示したのは、意地悪か、知らぬふりを決め込んだか、いずれにしろ関電においても対策としてすべきは、管内のすべての発電容量を正確に知り、対策に盛り込むことです。今の行政は知ってか、知らずか、不作為が増えています。

その最大の被害は、汚染牛の問題です。稲ワラが飼料として使われることは想定外、農水省はそう発言しますが、これは不作為を自ら認めています。薬害の問題でも、本来知りうる立場にある者が、それを見逃していれば責任を問われます。中国産の稲ワラが、BSEを拡大させたとの懸念から、国産稲ワラを優先して使用していたなど、これは何も特異なことではありません。農水省は今回、予防的に注意喚起することを忘れていた、そのことを『想定外』としたに過ぎません。
朝日新聞がその論調で、賠償に「稲ワラを出荷した農家、その稲ワラを与えた酪農家の責任」について、言及しています。ただ、文科省がホットスポットなどの汚染状況を国民に周知せず、また農水省が規制しなかった。これは確実に、放射性物質を拡散させた東電と、情報を流さなかった国の責任がほぼ100%です。もし朝日の論調を採用すると、農家などは野菜を出荷し、それが汚染されていたと認定されただけで責任をとらねばならず、そんな作業なら今後一切できなくなります。

菅政権では、財務省が極めて強い影響を及ぼしているので、賠償が膨らむことを恐れて議論が中々すすみません。しかし汚染牛の問題も「パニックを恐れて…」情報を出し渋ったため、起きた2次災害であり、すべて国が面倒をみる必要があります。それは過去の薬害の問題をみても明らかであり、和解がすすむ肝炎とて、同様の構図だったのですから、今回に特例として新たな基準を設けることは、むしろナンセンスです。特に菅氏とて、これまで肝炎訴訟の和解に動いてきたはずですから、それと何ら変わらぬ基準を適用すれば、牛の全頭買取、風評被害による補償まで必要とわかるはずです。
しかも、汚染牛を食べても少量なら問題ない、というなら、カイワレ大根を食べたように閣僚は汚染牛を食べるべきなのでしょう。率先垂範とは、そういうことです。かつてBSEのとき、自民党も牛を食べてアピールしましたが、庶民に手の届かない高級肉が並び、批判を浴びました。もし少量では問題ないとするなら、最低でも行動に示さなければならず、できなければ口に入れてしまった人間に対しても、賠償責任が発生することになるのです。なぜなら、暫定であろうと規制値を設けているのであり、それが網の目をすり抜けた原因は、行政側に帰されるのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 一般

2011年07月20日

3次補正の増税か?

なでしこジャパンの活躍から女性強しとの発言が相次いでいます。サッカーのユニホームで用いられるジャパン・ブルーは、元々日本の陶磁器に使われた濃い青、をさして使われました。それが欧州で珍重され、高貴な色とされたものです。日本では『青鞜』という女性解放の雑誌が発刊されていました。『原始、女性は太陽だった』の文言が有名ですが、天照大神が女神と定着したのは平安以降との説もあるように、太陽神が女神という認識が古代にあったかは不明です。また、青鞜という言葉自体、女性を侮蔑的に扱う英語をあえて使った、とされるように女性の地位向上は悲願でもありました。ただ近年はそれを利権として捉える向きもあり、女性の活躍を女性が阻害する要因となっている点は重要です。今、女性に光が当たる中、この問題について改めて考えても良いのでしょうね。

米連邦債務上限の問題が佳境です。オバマ大統領が上院超党派案に対し、賛意を示したことで昨日のNY株は大幅高、債券買いも進みましたが、この案の中で10年間で3兆7500億$の債務削減ももりこまれましたが、一部格付け機関は最低4兆$の削減でないと、格下げ懸念は残るとされており、依然予断を許しません。しかもこの上院超党派案が、そのまま通るとも思えない状況です。
そんな中、日本では二次補正予算が衆院を通過しました。三次補正に所得税、法人税増税を行い、規模を膨らます話が出てきています。ただ、厚労省が発表した国民生活基礎調査の報告は衝撃的です。国民の平均所得を示す数字が、94年は664万円だったものが、15年後の09年になると550万円に落ちているのです。率にして17%強、これだけの賃金デフレが起きれば、日本経済が長期低迷に陥るのも頷けます。日本はこの15年で、確実にデフレスパイラルが起きていた、と指摘できます。

しかも深刻なのは、その間に増税や水光熱費などが確実に増えており、これが国民の生活を苦しくしてきた原因です。さらに増税…しかも被災地に配慮するとして、奇妙な税体型になると想定されることから、期待通りの税収が得られるかは不透明です。財務省は既存の歳出は確保したまま、新たに復興財源を捻出しようと画策するので、どうしても歳入増ばかりに目がいきます。
民主党の目玉政策だった事業仕分けも、財務省主導だったため、府省の中で天下りや行政関与の少ない部分、即ち宇宙事業やスポーツ振興などに向き、予算を切られたことは記憶に新しいところです。蓮舫氏が逆神とされ、予算カットした事業が次々と芽を出すという構図を生むのも、元々予算枠が小さく行政にとって実入りが少ない、そんな事業の方が民間の知恵が発揮できた、ということです。

青で話を締めくくりますが、blue lawという言葉は古臭くて堅苦しい規則、を意味します。今の行政は80年代までの成功体験にしがみつき、古臭くて堅苦しい体系の中で、予算枠に柔軟性を持ち得ない段階といえます。菅氏は大衆迎合として『脱原発』を訴えますが、元々民主党に期待されていたことは、脱官僚主導だったはずです。菅氏は都合の悪い報告をする官僚に、青筋立てて怒るようですが、そんな家父長制の頃の絶対権力者は、最早古臭くて堅苦しいとさえ云えます。
青で代表的な名句に「青は藍より出でて藍より青し」があります。この次句は「氷は水これを為して水より冷たし」となります。解釈はやや異なりますが、水という流れる対象が凍ることで、停滞することを戒める内容となっています。菅氏が首相に留まること、それが本来流動的である政治の流れを凍らせ、身動きができなくなっています。出藍の誉のように、弟子が師より優れていることは、よくあることです。今の菅氏より、次が出てくれた方がよほど良い、そう思われる首相がいくらじなでしこジャパンにあやかろうとしても、藍より青くはなれない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年07月19日

菅首相の大衆迎合型政治

なでしこジャパンのW杯優勝、嬉しい限りですが、早速政治利用が始まっています。菅首相が強行日程で決勝戦の応援にかけつけようと、日程調整に動くなど、大衆迎合型政治の悪い面が出ています。ただ国民栄誉賞は、王貞治選手の偉業を称えようと設立されたように、政治は他人の褌で相撲をとりたいもの。逆にそれだけ、政治が国民にとって不人気であることを示します。

欧州ストレステストは、金融不安の解消になりませんでした。ヘアカット率をギリシャ15%、アイルランド、ポルトガル2%と見積もったため、市場が想定するそれぞれ50%強、40%弱という数字に、到底届かないものだったからです。金融機関の資産がある程度公表され、効果があったとする人もいますが、欧州は2回連続でストレステストを市場安定化につなげられなかった、つまり失敗です。
これも一つの大衆迎合型ですが、不都合な情報を隠し、表面上何ごともなかったよう装えば、とりあえず小康が得られます。しかし世界はこの傾向を受け入れられないほど、あらゆる部分に軋みを生じており、見過ごせる事態ではなくなっています。そんな中、日本が大衆迎合型の首長、菅氏を首相に担いでいることは、どれほど不幸かわかりません。菅氏は伸子夫人と語らっている間は、主婦層の意見をとりこみ、人気もありましたが、閣僚、首相にまで上り詰め、取り巻きが増えたときに、もちこまれる意見を取捨選択する能力に欠けていた。その結果、政策が官僚に都合よいものだったり、大衆迎合に戻ったり、とふらふらしていて一向に収まる気配なく、今は『脱原発』にご執心です。

ローマ時代の政治家、プラトンは貴族制→富裕者支配→民主制→僭主制と、国家は劣化すると説きました。アリストテレスの言を借りれば、共和制は腐敗と党派の争いを生み、国を荒廃させると説きます。両者とも有能な君主による統治を求める立場だったので、政治家でありながら、国家観が今とかなり異なりますが、指摘は概ね理解できる範疇にあります。問題は、今の日本が民主制から僭主制へと移行しているような劣化を感じさせる点であり、菅氏の専横に強く感じる部分です。
政治が大衆迎合型に陥りやすいのは、それが説明責任を回避できる点です。つまり結果は国民の望む形なので、わざわざ国民に不都合なことを話し、説得する必要がありません。菅氏が記者会見で説明を拒むのは、メリットを意識されている間は、国民の納得が得られる点もあげられるのです。

しかし菅氏の手法では、周囲を説得して回ることができません。利害調整が困難であり、妨害も横槍も増えます。そのため先行して記者会見をし、更なる混乱を生むという悪循環に陥るのです。つまり菅氏の手法そのものが、現代社会で通用しない形であり、しかも劇場型を組み合わせることで、足元を固める策をとっていない。被災地への支援、対策が滞っていることが、予算委でも指摘されていますが、菅氏が目先どころか空想主義である点が、このことからも露呈しています。
同じローマの政治家、キケロは王制、貴族制、民主制の混合形態こそ良い、とする前時代的な三権分立を唱えました。一方で「粗暴残忍な暴君は、患部を切断するのと同じように、排除すべき存在にすぎない」と述べています。菅氏は恐らく、自分は国民の声を代弁している、と捉えているのかもしれませんが、政治史的にいえば、暴君の位置づけに該当します。閣内不一致を生み、特にそれが菅氏の独断専行による行動にかかっているとすれば、それはまさに暴君です。今、人気とりにばかり目がいき、まったく被災地の方を見ていない君主は『粗暴残忍』という指摘もできるでしょう。被災地のニーズに合わない、日本赤十字が現物支給などを行い、批判を受けていますが、被災地に寄り添わず、勝手に自分の都合を押し付けるようなものを『暴君』と称するのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年07月17日

福島第一原発の第一ステップ

高速道路の渋滞が起きています。キッカケは被災・罹災証明書を確認する手間が、料金所などでかかるためです。これは、システムを複雑化すると失敗する、ということの証明であり、証明書の発行が膨らんだことから、予期されていたことです。被災・罹災者といっても状況は様々、それを行政が仕分けることもできない中、証明書を通行手形したのですから尚更です。中央が地方の実情をまったく分かっていない、ということの証左でもあるのでしょう。

政府、東電が連休明け、福島第一原発の工程表における第一ステップを終了、と発表する予定です。循環冷却で炉内の温度が安定しており、1〜3号機では窒素も注入され、水素爆発などの不測の自体は回避できる見込み、という点が挙げられます。菅首相は昨日、被災地域の首長と会談し、第二ステップの冷温停止にむけ、早く住民が戻れるよう努力すると語っています。
しかし最も難しいのが、建屋を覆うカバーです。東電は恐らく、夏場の台風シーズンを避けたいはずですので、着工は早くて10月。福島の海通りはそれほど豪雪地帯ではありませんが、第二ステップの終了を考えると3ヶ月程度が必要です。逆に、このカバーができない限り、周辺地域は管理区域並みの扱いが必要であり、爆発しなくても気密性が破れた今は、周辺地域はすべて相応の対策が必要です。除染に関して、国が責任を持つよう細野原発担当相が発言していますが、本来は東電が行うべきところですが、範囲も規模も国が手当しない限り、まったく進まないと云って良いぐらい広範囲にわたり、かつ資金面でも苦しくなるので、住民のためには国が手当するしかないのでしょう。

しかし第一ステップでも、様々な問題があります。循環冷却は、海外メーカーの装置でトラブル続きですが、突貫工事だから仕方ない、という言い方もされますが、突貫工事だから実績重視で海外メーカーを選択したはずです。逆に、こうしたトラブルは実績として、メーカーに蓄積されるのであり、国益を考えれば国内メーカーに発注すべきでした。また、かなり広範囲に敷地内を配管が引き回されていますが、要するに外気にあてて温度を下げているなら、敷地全体がこの循環冷却を続ける間、管理区域として設定されなければなりません。つまり水漏れがあれば、そこに放射性物質が飛散するのであり、そういう区域を厳しく管理してこそ、原子力行政が成り立ってきたはずです。
さらに、ここにきて汚染肉の問題が出ていますが、ワラは想定外とも言われますが、だとすれば想定が甘すぎですし、原発から何十キロ離れて…というイイワケも通用しません。ホットスポットの調査を怠っているため、起きている事象であり、ワラだろうと干し草だろうと、管理区域にある物質を取り扱う、ぐらいの慎重さが必要です。しかも牛にそれだけ蓄積するのであれば、人間でも本当に調査すれば、多くの人が内部に放射性物質を蓄積していることが想定されます。これらも、国の対応が遅れたことで起きた事象であり、当然のようにすべて賠償対象とすべきなのでしょう。

菅氏は原発ムラにケンカを売りましたが、正直勝てる見込みはありません。保安院改革にも言及しましたが、こんな話は3月から云われていることで、逆に4ヶ月経ってもできていない、という時点で最早巻き返しが起こり始めています。原発ムラへの抵抗を、郵政と同列で扱ったことから、どうやら米国にも変化を生じ始めています。これまで、よく云うことを聞くとして重宝していましたが、支持率低下と原子力ムラの一部に、米系が食い込み始めたことで、もっと都合よい政権を望む態度となり、米紙による菅政権批判などが、公然と起こり始めています。上記、原発対応で一定のめどがついた、とホッとしていると、スズをつけるのが米国、ということになりかねないのでしょうね。

明日は一日お休みして、あさってから再開したいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年07月16日

菅首相の首にスズをつけるのは誰?

誰が菅首相にスズをつけるのか? 政界でも話題ですが、前原前外相は民主党代表経験者がそろって官邸にのりこむ、という案を鳩山前首相に示しました。ただ、前原氏の背後には仙谷氏がおり、この提案に黙って乗れば、次の代表選びは前原、仙谷氏の息がかかった人物となります。前原氏はまた、山岡元国対と連絡をとりあい、小沢グループとも着々と近づきつつあります。
しかし前原氏の打たれ弱さ、戦略性のなさは国交相、外相時代に露呈済みです。前原氏が代表になる要件は仙谷氏を官房長官、もしくは幹事長にして風避けにするしかありません。ただそうなると仙谷氏の影がチラつき、米国の失望を招きやすくなります。逆に、仙谷氏が背後にいる限り、彼は米国からの関心は買えない。つまり前原グループにいる中国系の人物を政権から一掃するぐらいの覚悟がないと、前原氏が成功する可能性はなく、一方でそうなると忠誠を誓ってまで前原氏の防波堤になってくれる人物もいない。元々精神的に弱い面があることから、戦略性のなさから支持率は低下、メディアからのバッシングをうけ、安倍元首相と同じ轍を踏むことになるのでしょう。

私は菅氏のことを、たまにジャイ菅と呼称します。これは『ドラえもん』に出てくるジャイアンのことですが、脱原発依存会見も個人的な意見だったと自ら認め、多くの人間を強引に集めてリサイタルを開いた、と指摘されます。スズがついているのはドラえもんの方ですが、生憎と菅氏には便利なポケットもありません。下手な歌をきかせ、みんなが耳を覆って聴きたくないと訴えるのに、本人は気づかず、自画自賛するばかりです。映画版ではいい人になる、ということもジャイアンに関しては言われますが、そんな特別な場面もなく、あくまでいじめっ子の姿が強調されます。
そんな中、小沢元代表が動かないことを『手詰まり』とする意見もあります。ただ、内閣不信任案で動いたので、一回休みといった側面があります。二回続けて倒閣を主導すれば、不穏分子という評が固定します。小沢氏が動くには大義が必要であり、現状では仮設住宅に一定の目処を示唆したお盆明けか、会期末である8月末という形になるのでしょう。

鳩山氏が悩ましいのは、グループ内の連携が弱く、かつ平野元官房長官のようにおかしな形で議論をまとめ、お茶を濁す人間を信じてしまった点です。鳩山氏の会長復帰にともない、松野氏をグループ幹事長、米長氏を事務局長にするなど、グループの引き締めを図りました。ただ、鳩山氏は力の源泉である鳩山家のカネが使えず、政治力としても厳しい状況です。人に任せてしまう大らかさは、凡庸さを自ら認める点は、菅氏より数段もマシですが、自ら戦略をえがいて菅氏を追い落とす形は作れないでしょう。40名とされるグループが、草刈り場とならないよう動くのが精一杯でしょう。
菅氏にスズをつけるのは誰か? それは閣僚から出ないと難しいのでしょう。失言も、失策もなく「菅氏の下では働けない」と、辞職を申し出ればそれが最後通牒となります。今回の脱原発依存にしろ、ストレステストにしろ、菅氏には失策が目立ちます。しかも、業務遂行に支障をきたすほどの内容であり、菅氏には首相の能力が欠如しています。町のガキ大将なら、多少まわりに迷惑をかけても是認されますが、菅氏は一国の首相であり、専横は国益を著しく損なうという点で、極めて問題ある行為といえます。解散に踏み切れば、閣僚の多くは拒否して辞職という道にもなりますが、それ以前に閣僚が数名でも、辞職という形になれば、それがスズになるのでしょう。

菅氏に対して、スズをつけられるのは側近ですが、枝野官房長官はこの宰相を支えると、自身の名声が高まるとして、最後まで動きません。閣僚といっても、おトモダチである人物以外では、様々な利害が絡んでおり、容易に動けないという状況もあります。海江田経産相など、今のところ福島原発の第一ステップ終了で、ひとつのターゲットが来ますが、こうした局面を迎えて、誰が動くのか? ということが政局を動かす一つの動機となりうるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年07月15日

米国債の格付け見通し引き下げ

玄葉政調会長が、家電エコポイントの復活について言及しました。今回、難しいのは節電が第一義となり、前回のようにテレビを大型化し、電力消費が増えても地デジ化という大義があった頃と異なる点です。買い替えが節電に寄与するかを算出するのに、どういう手法を備えるか? 自己申告では齟齬を来たす恐れすらあります。太陽光発電導入など、すでに補助がついているものもありますが、発電の側により手厚くすべきとの考えもできます。いずれにしろ、内容如何では毒にも害にもなるので、補助対象商品や仕組みについては、よほど精査しなければ本末転倒になるのでしょう。

格付け機関S&Pが、米国債の見通しをネガティブとしました。重要なのは、声明の中で債務上限引き上げ法案が成立しても、3ヶ月以内に格下げ懸念がある、としたことです。つまりただの成立では、債務削減の道筋が見えないので、格下げも有りうるということであり、これまでとは異なる一歩踏み込んだ内容です。逆に、債務がGDP比100%超えで、最高格付けは有り得ないという判断でもあります。
米国では6月雇用統計以来、景気の見方が割れており、一方でQE3期待もあって微妙な均衡を保っています。ただバーナンキFRB議長の発言をみる限り、QE3は条件付き発動となる公算が高く、インフレ率が低下、景気が今より悪化、という環境で発動となりそうです。そうなると今より確実に経済環境が悪くなる前提が必要であり、雇用環境にまで踏み込んだQE2とはやや趣を異にする内容となりそうです。実際、QE2は雇用にそれほど寄与しておらず、金融政策の限界を感じた面もあるのでしょう。

今晩、欧州では金融機関のストレステストの結果が発表されます。調査対象が約90行中、10行程度が不合格となる見込みで、その内大手はないとされます。しかし、国債保有に関して最高格付けならリスク0。以下、格付けが下がればリスクとしてカウントされ、デフォルトとみなされれば、当然リスク100と試算されます。つまり米国債格下げは、欧州ストレステストの結果すら覆す恐れがあるのです。
しかしもっと怖いのは、欧州では短期の資金繰りがつかない金融機関が、徐々に増え始めていることです。ストレステストの抜け穴は、自国の国債は緩和的措置が認められること。即ち、デフォルトと格付けされた国でも、自国の金融機関が国債を投げ売らないよう、配慮がなされているのですが、逆にそれは、金融機関の健全性を正しく評価できていない恐れを、金融機関同士が感じ始めているという形であり、これが疑心暗鬼となって、短期の貸し借りにまで影響しているのです。

円高が定着し始めていますが、日本の三連休を狙って、ストップロスを出すよう動くのでは? と懸念されています。つまりミセス・ワタナベがいない内、鬼の居ぬ間に…と売り仕掛けてくることが不安材料なのです。昨日、一瞬為替市場では円安にふれ、為替介入を意識されましたが、すぐに水準を戻しました。動きを試したか? それとも力を蓄えたか? いずれにしろ、午前6時が相場を急変動させる時間帯とされてきましたが、日本の休日になれば一方的に動きやすくもできます。欧米の国債に不安がある現在は、円高に誘導しやすい点では為替の動向に注意も必要なのでしょう。
日本の株式市場は、まだOff相場となっていません。200日移動平均線を意識し、その水準を維持しようとする向きが、健在だからです。米国が仮にQE3を行なった場合、中央銀行のバランスシートが拡大しすぎることになり、それも格下げリスクとして、意識されるかもしれません。安全資産のゆらぎとともに、金相場は急騰しており、ますます兌換紙幣から実物資産へ、という流れが強まっています。国債不安とは、国の信用低下でもあり、それは紙幣の発行体としての国、中央銀行不安とも直結しています。米国債の格下げは、世界を震動させることでしょう。影響の度合いは、まだ図りきれていませんが、恐らく日中露など、米国債保有の多い国は誰が売るか? のチキンレースに入るのでしょう。今年の夏は天候ばかりでなく、債券市場も暑くなりそうなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年07月14日

雑感。脱原発・依存症

昨日の菅首相の記者会見、今日になって枝野官房長官が「あれは菅氏の想い」と、内閣としての方針ではないと否定的な見解を示しています。これは脱・原発依存ではなく、脱原発・依存ではないか? とされるように、この問題では主客がまったく不明です。内容が薄っぺらいのも、経産省などの出した数値が盛られず、具体的にイメージが描けないから、という部分が影響しています。
鳩山前首相が、菅氏のこととして語ったことによると、鳩山政権の支持率が下がったとき、当時財務相だった菅氏は「新しい課題」を国民に提示することで、支持回復を提言したとされます。そのときの新しい課題は「消費税10%」、菅氏が首相になって、まっ先に提示した課題ですが、参院選で大敗したのは記憶に新しいところ。脱原発も、菅氏による「新しい課題」として提示されたがため、反発も強く沸き起こります。政治は国民生活に密接するものであり、イメージ力を求められますが、菅氏の場合、目標に対してそれをどう達成していくか? というイメージが湧きません。

例えば、寿命を迎えて原発が廃炉になることにより依存度を下げるとしていますが、一部ではすでに圧力容器交換により、40年と云われてきた寿命を延命させる措置が計画されちます。その外枠の格納容器まで含め、弁、配管、容器そのものを交換という形で延命できるのです。菅氏のいう将来がいつを指すのか不明ですが、コンクリの建屋が崩れ落ちるまで、ということなら百年後ぐらいです。
また再生エネ法が成立すれば、恐らく電力会社は原発の稼働を優先します。しかも、電力会社は買い取った電力を供給するとは限らず、自分たちが作った分を優先して売る。元々、電力料金に上乗せが可能なので、自分たちの計画を優先します。繰り返しになりますが、原発が自然減になるなり、廃炉にするなり、そうした法律は一本もないので、「想い」というだけの評価にしかなりません。

参院の委員会では、野党が提出した原発賠償法が可決です。賠償額の2分の1を国が仮払いし、後に東電に返済させる案です。与野党で修正協議を行いましたが、妥結できなかったため、今後は与党の法案に統一し、審議されます。与野党の法案、いずれも問題があるのは、すでに東電は資金繰りにショートの懸念があり、野党案では確かに短期の資金を国が肩代わりできますが、企業体としての東電が今の形で存続したまま、賠償に耐えられるかは不透明だということです。
少し話は変わりますが、NHKがネットで番組を配信する代わりに、課金を検討している話があります。放送法の改正以来、懸念されていたことですが、曲解すればネット受信やワンセグ放送など、NHKの番組を受信できる端末に対して、料金を徴収することも模索しているかもしれません。国の法律、制度で守られた組織が高コスト体質に陥り、またただの一コンテンツでしかないものに、強制的に料金徴収を画策するのは、競争型ではない社会の特徴と云えるものでもあります。

昨日の記者会見で、少なくとも発送電の分離を打ち出せば、脱・原発依存という形を描けたはずです。しかし発送電の分離にまで踏み込めば、法案という形にしなければならず、それができなかった。これが菅政権の限界であり、脱原発・依存にしかなっていない現状です。
松本前復興担当相が軽躁状態という話が出てきました。生涯罹患率は1%程度なので、それほど特別なことではありませんし、むしろ病気かどうか、判断が難しい場合もありますので、実際にどうかはよくわかりません。ただ、菅氏による丸投げは、下にいる人間にとってプレッシャー以外何ものでもなく、しかも梯子を外されたり、後ろから蹴飛ばされたり、と疑心暗鬼も生じさせています。「新しい課題」依存症の菅氏には、下で働く者の苦労を考慮できない、という点がトップにいる人間として不適格と断じられるのであり、病巣は菅氏という見方もできてしまうのでしょうね。

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2011年07月13日

菅首相による『脱原発依存』会見について

中国の4-6月期GDPが発表され、+9.5%と第1四半期より鈍化したものの、予想より堅調な数字となりました。6月鉱工業生産が前年比15.1%増と堅調となり、一方で6月消費者物価が6.4%となり、また固定資産投資が前期比25.6%増となったことなど、未だに過剰投資の傾向が鮮明です。中国は政策金利が3.5%なので、マイナス金利状態です。このため、借りて投資すれば儲かる、という誤った認識が広がっており、当局はそれを抑制する方向に動いていません。人民元にしろ、政策金利にしろ、景気に悪影響を与えないよう緩やかに改善をすすめますが、明らかに遅滞しており、これが地方当局や金融機関の不良債権として、益々蓄積されています。バブル退治が遅れれば遅れるほど、破裂した時の影響が大きくなるため、中国経済は今後も注意が必要になるのでしょう。

菅首相による『脱原発依存』会見が行われました。さすがに「30年来…」という文言は整合性がなく、事故以来という文言に変えており、浜岡原発停止やストレステストの混乱に対して「一貫した考えに基づいて…」と述べたところをみても、自分はブレていないと印象づけたかったようです。ただ玄海原発の再稼働問題では、指示の遅れが明らかに混乱を招いており、逆に言えば、一貫していれば起きなかった事例、という言い方もできます。いくら言葉を言い繕ってみたところで、実存としてすでに現れた事象は、菅氏によるブレをいくつも示しているのです。
しかもこの会見で重要なのは、被災地や福島原発事故に割いた時間が、あまりに短いということです。いみじくも記者クラブ幹事社からの要望として、自分の都合悪いときは会見を拒否し、云いたいことがあるときだけ会見を開くな、と提言されたように、これは菅氏の性格を強烈に示す事柄です。自分の関心が向くと、人集めや意見の具申を求めますが、気に食わないと遠ざけてしまう。自分にとって都合よい、と判断できないとインセンティブが働かないということです。原発の事故も、被災地の復旧、復興もあまり進んでいないので、触れられたくない、目をつぶってしまったのです。

実際、この会見の中身はありません。53%まで拡大するとした原発政策を見直し、老朽化に伴い閉鎖するのを待ち、原発は暫時停止していくと示したに過ぎません。原発は軍事と密接であり、プルトニウム保有を進めたかった過去と異なり、今は捨てるほど大量に余ったプルトニウムを、プルサーマルで処理しなければいけない状態であり、原発の存在自体に今はそれほど価値がありません。
ただ会見で示されなかった、CO2排出の問題をどうするのか? また自然エネルギーが拡大し、電力会社がただの卸売業になった場合、どの程度を安定供給として確保するのか? また15%の節電に違反した企業に罰則を設けたのに、東電管内では電力が余っているという実態。これについて、未だに明確に菅氏は具体策を示しておらず、中身がないという以上に、問題ある会見だったのでしょう。

仏人のアンリ・ベルクソンは『存在』という定義を『生命』ととらえ、『直覚で事象の流れを感じとる創造的活動(エラン・ヴィタール)』としました。菅氏の態度をみていると、この言葉を思い出します。首相であり続ける『存在』は、エラン・ヴィタールによる、いわゆる民意と事象の流れによる変化を『直覚』し、行動という方向に結びつけているように感じられます。
つまり首相としての『生命』を、『存在』においているという逆説です。菅氏が今、首相の座を下りれば間違いなく、違法献金疑惑で政治『生命』の危機に脅かされる。これは倫理ではなく、法律の下で『存在』を失うということであり、こうしたものも菅氏が権力にしがみつく一因なのでしょう。ベルクソンはまた『自由』という定義の中で、『選択の自由』は真の自由ではない、と述べています。詳述は避けますが、今の日本には首相を『選択する自由もない』という意味でとらえると、菅氏の欲望による専断が、今の日本にとっての真の意味で不幸、ということになっているのでしょうね。

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2011年07月12日

経済の話。日経平均の1万円割れ

先週までのOn相場が一転、円/ドルは79円台に、円/ユーロは111円台に、日経平均は1万円を割れてきました。急落の要因としては、ポルトガル格下げに反応しなかった市場が、イタリア不安により下げた、と巷間語られています。確かに経済規模でいえば、イタリアはユーロ圏第3位、ポルトガルの9倍もあり、影響は大きいといえますが、キッカケとしてはかなり弱い印象です。
原因として考えられるのは 1.イタリアで緊縮財政法案が可決できない恐れ、 2.イタリアで12日予定の国債入札不調になるのでは? という観測、3.欧州ストレステストで不合格となる金融機関が予想より増える、4.ポルトガル格下げに関して、格付け機関に制裁措置を検討、また欧州版格付け機関の創設を検討、といったところです。1.は与野党で協力体制にあり、2.も問題なく通過したようです。3.はまだ不透明ですが、4.もイタリア不安を拡大させないための措置で、緊急的には大して問題ない話だと云えるでしょう。個人的な見解としては、米国で世界の金融機関の収益が4-6月期悪化する、という見通しが示され、これが金融相場の終焉を意識させたのでは? と見ています。

さらに、米国でも12日の国債入札は今後の試金石ともされており、それはQE2終了後の金融の行方を懸念させています。米企業決算が始まりますが、トップを切ったアルコアが増益達成でも、1株利益は市場予想を下回り、決算期待も剥落してしまった。これ、といった決定打はないものの、実に多くの材料が、On相場のスイッチを切った。世界の市場で、買い戻しが多かったことも含め、市場のエネルギーは売り方がつくっており、買い戻し一順で売り易くなった面も影響したのでしょう。
欧州財政不安は、楽観の賞味期限が短くなっています。上記の4.ですが、格付け機関を問題視しても本質的な解決にはなりません。格付けの前提がおかしければ、市場はそうした機関の信用を落とし、格付けなど意味をなさなくなります。もし仮に、欧州版格付け機関をつくっても、米系の格付け機関に圧力をかけても、おかしなバイアスをかけた情報では、意味をなさないのです。しかも厄介なことに、欧州のオピニオンリーダーたちが、楽観により市場沈静化ばかりを狙うため、口先介入が機能しにくくなっていること、これが現在の急変動を起こしやすい、影の原因でもあるのです。

すぐ上昇波動にもどるとする人もいますが、材料の一つ一つは小ぶりでも、一向に解決されず、対策が先送りされることで蒸し返されることを繰り返している。もはや鎮火では収まりきれません。ユーロ圏財務相会合で、ギリシャのデフォルトに対する確率が高まり、これも嫌気されたのでしょう。万事を解決する策はなく、誰かが痛みを受けなければ、最早解決も難しいのが欧州債務問題です。この問題の影響を、正確に推定しておかないと、相場が上昇できるかどうかは判断できません。
そんな中、日銀は金融政策決定会合で、景気見通しを「持ち直し」に上方修正しました。一方で今年度の成長率見通しを0.6%から0.4%へ、下方修正しています。日銀は生産面は、秋以降に急回復というシナリオを描いていたはずで、これはスジが通りません。こういう二律背反のようなことをしているため、オピニオンリーダーの発言の信ぴょう性が失われていく。政策当局者への不審、これが強く意識されると、市場にはかなりのマイナス材料となってくるのでしょう。

今回、Off相場になるとすれば今晩の米市場が重要となるのでしょう。米国はアンカーとして、これまでも下落局面を食い止めてきましたが、米系楽観が支えるか? それとも、マネーの新潮流となっているアジア系の、トレンドフォロー型のOn/Off相場に巻きこまれるのか? 重要な局面にある、ということは云えるのでしょうね。

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2011年07月11日

脱原発での解散は失敗する。

肉用牛から暫定規制値を越えるセシウムが検出されました。一つ云えるのは、肉食でBSEが感染するのか? という確証もなく全頭検査を実施した割に、今回の国の対応は曖昧です。暫定規制値に意味があるのか? という点もありますが、内部被爆に注意するとしながら、抜き取り検査のみです。BSEのときは農家のため、というより全頭検査のための組織づくりで、農水省が多額の予算をとれる。一方で今回は、経産省や厚労省との兼ね合いで動きが鈍い、と指摘することができます。

ストレステストが2段階、定期検査中と稼働中に別けて行われる旨、発表されました。ただストレスのかけ方が示されず、地元への理解も進まないでしょう。そんな中、8、9月に脱原発解散の噂が、永田町で絶えません。やるか、やらないか、は菅氏の意思次第なので断言はできませんが、やれば確実に失敗することは断言できます。まず、菅氏は場当たり的、とされますが信念の政治家ではありません。つい4ヶ月前までは原発推進、今も海外向けには原発推進の姿勢を示しています。
8月、広島、長崎で『脱原発宣言』を行い、解散の流れをつくると目されますが、菅氏は変節の政治家であり、それが言葉通り実行されるかは、依然不透明です。つまり菅氏が脱原発解散すれば、TPOに応じて発言を変えてきた歴史が繰り返し報道され、国民の間にも奇妙な違和感を生じるでしょう。これは菅民主で、脱原発が達成できるかの懐疑であり、また地方の事情でそれを訴えない候補者もいる。さらに、菅氏を選挙区に呼ばない候補者が多いため、発言機会もグッと減るはずです。また解散にサインしない閣僚も多く、閣僚の大量辞任となれば、そんな混乱も国民に嫌気されます。

自民が原発推進、などの政策を掲げれば民主と共倒れとなり、仮にみんなの党辺りが「我こそ脱原発政党」と訴えれば、党勢を一気に拡大することでしょう。小政党の強みは、方針転換が素早くできることです。しかし大政党をまとめることは大変で、唯我独尊で自分の意見を通すには、それなりに力が必要です。内閣支持率が10%台に突入し、菅政権には最早その力がありません。
再生エネ法をみても、このまま法律を通せば余剰電力分が国民負担に被さるのみで、脱原発に舵を切るかどうかはわかりません。郵政解散のように、民営化法案を否決されたら解散、という形は描けない。つまり、菅氏の描く脱原発は法律にも、形にも何も示されていないただの口約束です。それで変節の政治家を信用できるか? 原発の事故対応による情報隠蔽、官房機密費の使途に関わる部分、この政治家を信じるには、これまでの不誠実な態度と言動から、国民とて胡散臭い目を向けます。

仏アレバ社、米キュリオン社、菅氏は原発関連で海外から機器を導入することで、商業的には海外から好感されています。実績があるから、というのが表向きの理由ですが不具合続きであり、実績が霞むほどの内容であることは周知の通りです。日本の技術でもできたはず、その臭いをかぎとって、経団連などは反菅政権にむけて、語気を強める発言も見せています。ここで、菅政権に対して最大の懸念が生じる。国内で不人気となった政治家は、総じて外国との関係で支持の好転を狙います。これが不利益条約や、日本の富を散財させるだけの、愚策を生みやすいということにつながるのです。
最悪の懸念は、ポチではなく丁稚のように海外の御用聞きとなってしまう恐れです。特に米国では、QE2が終わり、米国債の買い手に困窮する状況で、数回連続で国債入札に不調を来しています。これは米国債の買い手不在を意味し、そこで日本が期待されている部分も存在するのです。日本が苦しいとき、支えてくれた米国という印象は、結果的に見返りとしてよく云うことを聞く、菅政権に対する要求という形に変じるのでしょう。菅政権が続いてはいけない理由、『脱原発』は何をもって原発からの脱却なのか? という疑問。そして変節の政治家への不審。これだけの材料で、菅氏が解散に打ってでれば民主党自体が、崩壊に晒されるほどの影響を被ることになるのでしょうね。


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2011年07月09日

経済の話。チャイナマネー

総務省が、消費者物価指数(CPI)の調査品目におけるウェートを公表しました。基準年を2005年から2010年に替えるためですが、デフレ圧力を強めるのでは?と不安視されています。特に問題は薄型テレビで、価格下落と政策効果により大量に需要が発生したため、それが影響して下押しします。
デフレの状況が強まると、金融政策への期待が高まりますが、日本はすでにほぼゼロ金利ですし、量的緩和も行なっています。逆にいえば打つ手はなく、デフレ封じができない国としての評価が定着してしまう恐れがあります。それは更に円の価値を高めるという逆循環であり、日本単独では為す術もない。グローバル・マネ―の流れは、円は買っても日本に投資せず、という選択をするものであり、今回の消費者物価の改定は8月26日の7月分から代わりますが、一波乱起こしそうです。

グローバル・マネーの新たな担い手になっている中国、色々な懸念が囁かれています。中国では、中・低所得者向けの住宅価格を抑えようとするため、開発が停止している箇所も出ています。しかも中国の金融機関も、自己資本基準を厳格化する中で、今年上半期に昨年比34%の債券発行を余儀なくされていますが、一方で貸付が公表されているものより、数十兆円以上多い、とも指摘されます。
グローバルマクロの動きが、最近極めて一義的な流れを示すのも、これまでの資金の出し手だった米系富裕層、欧州貴族系、中東オイルマネーの他に、チャイナマネーが増えたことも影響していると見ています。しかも中国では規制が多いため、拠点を米国やアジアにおいて、そこからマネーゲームを仕掛けてきているらしく、中々動きがつかみにくいというのが現状です。

昨日発表された米6月雇用統計、6月後半から上昇波動に入った局面には米ソフトパッチ期待(景気減速は一時的)がありましたが、それを覆す材料にも関わらず、下落は小幅にとどまっています。On相場という言い方をしていますが、今の相場は強気に傾いているときは、悪材料はすべて無視する。これは竃の神、つまり現世利益を追求して世界を動き続ける、中国人の行動と似通っています。
中国国内に投資先が少なくなり、また当局が規制を厳しくするため、当面資金を海外に持ち出す傾向が強くでています。国内はインフレ高進のため、資金を手元においておくことはリスクだからです。一方で、このインフレは賃金上昇圧力を伴い、かつ農村部からの出稼ぎという形にも限界が見え始めている。中国は製造業からソフト、サービス業への転換が必要ですが、流れが急すぎて恐らく転換はうまくいかないでしょう。中国当局は、両面の成長が可能として新幹線など、海外への売り込みを進めていますが、技術面で安全や性能ではなく、見栄えの最高速などにこだわる姿勢は、とてもこの国が安価で優れたものを提供する、とはいえない面を強く意識させるでしょう。

しかも渤海の原油流出でみられる、事故隠しなどが常の国家に、安全や安定が賄えるのか? 江沢民氏が死去、という報道にみられる混乱。最近の中国共産党には、不安定さがつきまといます。中国共産党が結党90年、というイベントを大々的にやっていましたが、この国がこの体制でいく限り、終りは統制の狂いから生じることでしょう。デモ、暴動が頻発し始めると、統制国家は大抵末期と認識されます。投資資金が中国から引き上げられれば、米国のように本国回帰にむけた施策が打たれるかもしれません。そうした動きが出てきたときは、中国国内の混乱が拡大しているときなのでしょうね。

明日は一日、お休みしてあさって再開したいと思います。

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2011年07月08日

雑感、色々なことを少しずつ

2018年冬のオリンピックが、韓国の平昌に決まりました。近年、五輪単体でみるとコストと収益の関係では、赤字が目立つ傾向にあります。式典が派手で華美になり、選手村の待遇や警備など、以前とは比べ物にならないほどコストは割高です。インフラ整備、前後の観光事業をふくめて、やっと黒字になれば良いほうで、特に冬の五輪は厳しい結果になります。韓国では歓迎ムードですが、インフラにかかるコストが債務を積み上げる形になるので、7年後の経済事情も気になるところです。
東京は2020年夏のオリンピック誘致をめざす、と石原都知事が宣言していますが、アジア〜アジアになる可能性は低く、数百億円をムダに使うぐらいならやめた方がいい。それこそ、東京から被災地にふるさと納税した方が良いほどです。さらに、世界で募金、献金してくれた人たちが日本はそんな余裕があるのか? と意識すれば、イヤな想いをする恐れもあります。今な日本の豊かさ、技術力を見せつけるべきではなく、それは心の問題としてもやめた方が良いと指摘できるものです。

九州電力によるやらせメール。副社長が関与し、組織ぐるみであると判明しています。ただ、今の報道の仕方は九電の特殊性に仮託する流れがありますが、これは電力会社すべて同様の課題です。先月に行われた株主総会、そこで社員を送りこみシャンシャン総会を演出しました。つまり株主を愚弄するような企業が、国民を大事にするとはとても云えず、電力会社はこれまでも下請け、孫請けなどの幅広い業者を動かし、議論をシャンシャンとまとめてきた歴史があります。
しかも発電コスト、データの改ざん、自己情報の隠蔽など、枚挙にいとまがないほど、電力会社は原子力に関するものをウソで塗り固めてきました。今回が異常ではなく、同一線上にのった虚構が、たまたま露呈したということになります。九電の説明に「発電して送り届けるのが仕事」という言葉がありましたが、つまりコンプライアンスの準拠、ということが第一義ではないのです。
さらにストレステストに関し、審査前でも再稼働できる、という見解が政府から示されました。正式に閣内で統一された見解ではないので、未だに予断を許しません。ただ、菅氏が脱原発解散についてやや後退した発言をし、責任を自公に押し付けるような答弁をしたように、この問題が微妙な内容を含むと、やっと気づいたようです。もし菅氏がそこに踏み込めば、東電からいくらでも福島原発事故隠しの情報が漏れ、政権が保てないほどの痛手を被るでしょう。要するに、原発村に逆らって国民にすりよっても、自身が一度原発行政に手を染めたら、もう同じ穴のムジナなのです。

話は代わって、今日の市場は7月SQ算出日で、10200円台をつけました。ただ先ほど発表された米6月雇用統計は市場予想を大きく下回り、いくらOn相場とはいえ、来週以降やや不安も漂います。今は金融相場であり、グローバル経済、マネー動向が極めて重視されています。相場が下落を始めるとすぐQE3期待などが盛り上がるのも、運用担当者の能力の低下を示しており、それは金融機関のリストラがすすめられる中、もっとも楽な政治へのロビイストで運用成績を確保しよう、という形が鮮明です。
日本でも、年金運用が昨年度3千億円の赤字となりました。震災もあり、仕方ない部分があれど、金融相場では上下動が大きくなるだけで、長期投資の年金基金などは厳しいと云えます。実は、これは全世界的なことであり、企業は年金原資の目減りに対応するため、補填する形が今後増えていくのでしょう。為替をみても、リスクが高まると円買い、という一義的な動きが強まるのも、金融相場の特徴です。将来不安を解消するための、ベストミックスを見つけていかなければいけないタイミングで、日本は原発稼働すら閣内で一致できない。不幸はこれからも続きそうですね。

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2011年07月07日

菅首相と原発と経産省

原発ストレステストの問題が国会内で尾を引いています。欧州金融機関では、ストレステストで安全宣言を出した直後、アイルランドの金融機関に不安が生じ、テスト自体が価値をもたない、という事態を招きました。ストレスのかけ方が重要ですが、日本では特に機能しにくい面があります。
ストレスとして、異常事例を参考にする際、それは今回の東日本大震災ではなく、3つの震源域が連動し、太平洋岸を襲う東南海地震を想定する必要があります。この場合、短周期、長周期の自身が交互に襲ってくる、揺れの時間も幅も拡大する傾向があるでしょう。また、断層の近くかどうかで浜岡や柏崎刈羽など、直下型地震を想定する必要も出てきます。さらに、今回の地震でも東海原発が壊れたように、地震のみでも多くの被害が出ている。実際、横断的にストレスを決めていくことは、ほぼ不可能とさえ言える状況です。欧州のように、簡易的に条件を決められない、それが地震大国です。

この問題で、海江田経産相が辞任を示唆しました。そんな中、証券取引等監視委員会が、経産官僚に対してインサイダー取引で強制捜査が入りました。これは経産省を疎ましく思った菅氏が指示…とまでは言いませんが、現政権が経産省と距離をおいている、できると判断した証取の思惑もあります。逆に、これは氷山の一角、経産官僚が他人名義の口座で株取引をすることは、もっと多くの場面で行われているはずですが、トップに近いキャリアを叩いておけば、一罰百戒の効果がある。さらに原発関連で、菅氏と対立しているのですから、よりやり易い環境が整っていました。
昨日もとり上げたように、菅氏はやらせメール問題がでたとき、ニヤッと笑いました。それは再生エネ法が通しやすくなる、といった側面があります。しかしストレステストの問題で、経産相が辞任を示唆し、閣内不一致が露呈し始め、今日は火消しに走らざるを得なくなった。菅氏は欧州ではこんなことをしている、と囁かれ、自らの脱原発路線と整合する、これはいいと考えたのでしょうが、逆に敵を増やしたのみ。剰え海江田氏と細野原発相の答弁の整合を問われると、本人に聞けと突き放しましたが、内閣としての態度ではなく個人に責任を押しつけ、他人のためにイイワケするのはイヤとでも云わんばかりでした。脱原発どころか、嫌菅を助長してしまったことになります。

更に持ち上がった中山経産政務官の人事におけるゴタゴタ。副大臣就任を連絡し、直前で取り消すなど菅氏の力の凋落を見せつけました。よく「レイムダックになる」という言い方をしますが、これは「レイムダックにする」が正解です。自然に状態が変化するわけではなく、支持率凋落に陥ると、自ら打開に動いて、それがさらに首を閉める。今回の原発関連の動きは、まさにそういった傾向を強めました。菅政権の終わりの形、それは閣僚が次々と辞任する、といった孤立無援が想定されます。お盆の頃、大畠国交相が仮設住宅に全員入居が出来ないことで、辞任する可能性も出てきます。これは大畠氏の責任ではありませんが、菅氏を追い込む手段として、党内で画策されるでしょう。
菅氏は偉大な成功体験、つまり自分が首相になれた、ということでこれまでの自分を過信し、自分のやり方に誤りはない、として一向に怯む気配がありません。ただ、主要閣僚が次々と去り、なりてもいない状況になって、初めて自分の姿を振り返るのでしょう。レイムダックは、元々証券取引で支払い不能におちいった人を指した言葉です。菅氏による「政権交代をめざす市民の会」への巨額献金問題、外国人からの違法献金問題、お金にまつわり、今は首もよく回るようですが、足はもうしばられてしまった。花道を歩けるような余裕は、もうなくなってしまったのでしょうね。

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2011年07月06日

経済の話。日経平均が1万円台を回復

共産党・笠井衆院議員が爆弾を落としました。九州電力が市民を呼んで限界原発における公開討論をした際、安全性を訴えるメールを送るよう指示した、所謂やらせです。原発関連会社とて、不承不承仕事に携わっている者がおり、内部告発はおきやすい。特に、このご時世で不正を働いてまで、原発に賛成するなど容認できない人間も多く、それが共産党に情報提供されたことは容易に知れます。
少し気になるのは、菅首相が一瞬ニヤッと笑った点です。恐らく、これでクリーンエネルギー移行への道がつけ易くなった、とでも考えたのでしょう。一方で、海江田経産相が出した原発安全宣言に対し、菅氏は答弁に苦慮する場面がありました。これは、興味ないことは記憶に残らない、といった点が影響していますが、政府として原発再稼働は要請していたのであり、やらせメール問題も、安全宣言における閣内不一致も、海江田氏が地元まで再稼働の要請に行った以上、再稼働できないことは菅政権の失態です。いきなり持ち出したストレステストも、これは安全試験ではなく、負荷試験であるため、実は試験の内容が非常に重要なファクターを占めます。安全宣言まで出した政権が、厳しい条件を課せるのか? 非常に不透明感が高いと云わざるを得ないのでしょう。

日経平均が1万円回復です。市場で語られるのはOn/Off相場ということ。需給の関係でOnは買い、Offで売り。スイッチはリスク、更に短期でOn/Offを入れ替えており、そんな相場を嫌気して売買が低調になる中、上下動を大きくしており、これが1万円回復の実態です。こうした相場は先高期待が描きにくく、長期の資金は入りません。リスクテイクといっても、本格的に買える状況にない以上、短期で値幅を出すしかない。コモディティ関連か、グローバルマクロか、いずれにしても投資主体が限られている以上、スイッチがOffされれば、急落せざるを得ないのが現状です。
現在の国内市場には2つの問題が内在しており、それは個人資産の目減りと、企業の内部留保の増加です。震災後の水準を回復しても、高値からの下落率において、個人投資家が買える状況にない。また消費税増税、復興増税の話があり、益々資金の出しては限られます。日本の個人資産は1200兆円と云われたときもありますが、実際は400兆円と少し、という試算もあるように、財務省が悲願としてきた個人の預貯金を吸い上げる、という流れが結実しているのかもしれません。

そして企業の内部留保が、M&Aに向かうという期待がありましたが、今はその資金が国債などの安全資産で運用している、とされます。高い信用で企業は低コストで借入が可能、一方で運用先はない。武田のように、焦って海外メーカーを高値で買収すると、市場からの評価を下げてしまいます。それなら、低金利で微々たるものでも、国債で運用して利ざやを稼ごうという動きが見られます。
賃金を低く抑え、一方で企業は内部留保を蓄えていく構図が、こんなところで経済全体を歪ませている。一方で、外国人経営者による高額報酬、という問題が重なってきます。業績連動型とはいえ、一部に富が集中する構図は、その富をどう用いるかによっては、経済の変動幅を大きくしてしまいます。欧米では、すでに株主総会で高額報酬に対し、待ったがかかっていますが、富の偏在は今後の経済においても、それをどう修正していくかが、政策の方向性として求められるのでしょう。

現在の市場で、個人投資家はこのOn/Offを見極めるしかありません。ただし、スイッチはある日突然切り替わります。米国とて、景気鈍化を示す指標にほとんど無反応でいながら、ギリシャ問題が再燃するとOffのスイッチが入り、ギリシャ問題が小康するとOnに入る。ポルトガルが投機的に格下げされ、中国の利上げもありましたが、ポルトガルは予想通り、中国は最終局面として、未だにOnのスイッチは入ったままです。ただ、もう一押しがあると、これがOffに切り替わります。日経平均が1万円回復といっても、こうした状況にある限り、決して楽観はできないのでしょう。とにかく、長期投資が今は利かない、ということだけは覚えておいた方が良いことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年07月05日

松本復興担当相の辞任

松本復興担当相が辞任です。やりたくなかっただけに、素早い反応ですが、自分の意図が伝わっていないという忸怩たる想いが、会見からは滲みました。一つ云えるのことは長幼の序は儒教であり、階級社会である自衛隊とはまったく関係ない事実。元自衛官の宮城県知事へのあてつけにもなっていません。親分肌ともされますが、特定の人間にのみ辞任の連絡をいれたように、人を好き嫌いで別ける人のようです。部下ならそれで良いかもしれませんが、相手は知事、市長などであり、立場は台頭な有権者に選出された一国の主。国会議員、担当相という立場を逸脱したことが辞任の原因とみれば、分を弁えることができなかった、力量不足ということが云えるのでしょう。

後任には平野内閣府副大臣が、持ち上がりで就任です。一時、仙谷官房副長官に後任を打診、とされたときは冗談かと思いました。誰かが辞めると出てくる名前は、代わり映えしないばかりか、嫌菅の中心にいた人物です。せまい人間関係でしか安心できない、狭量さが如実に出てしまいました。
2次補正が閣議決定されましたが、2兆円のおよそ半分が復興のための予備費であり、この点で与野党の合意は得られます。ただ松本氏の問題はそうもいきません。菅氏は、他人のためにイイワケするのはイヤなので、遺留に向けた情熱は湧かなかったようです。ただ、菅政権に関われば、閣僚は舌禍の恐怖にさらされます。つまり、一旦菅政権不要論に傾いたメディアは、言質をとってこの政権を貶めようと、虎視眈々と狙い始めるからです。閣僚クラスは冗談さえ云えない状況となります。

しかも、菅氏による有頂天で3件ハシゴ、伸子夫人による公邸見学ツアーなど、ネガティブ報道が目立って多くなってきました。これが、数ヶ月前まで政局にするな、政権をコロコロ変えるな、と言っていたのと同じメディアとは、思えない態度です。これをうけ、菅氏はますます引きこもり、メディア嫌いとなり、表に出てこなくなるでしょう。ディベートが得意ともされますが、特定の相手を狙った個人攻撃はできても、大多数を相手にすると、小さな例をひいて成功事例を語る以外、ほとんど手立てをもたないため、菅氏とて舌禍の恐れがつきまとってしまいます。
原発に関する情報では、未だに閣内不一致の状態です。原発村の恩恵をメディアもうけるため、この問題への攻撃は強まりませんが、ここで問題が拡大すると、内閣は確実にとびます。連合も、菅政権の解散風に苦言を呈すなど、支持離れもおき始めました。人に頭を下げてまで調整することは嫌い、そんな人物は親分肌ですらありません。親分とは、子分を守るときには身体を張ることも必要ですが、菅氏は常に切り捨てなのです。この問題で重要なことは、任命権者としての責任ではなく、リーダーとしての資質が菅氏にあるのか? ということになるのでしょう。

松本氏の態度は、菅氏へのアテツケだったという意見もありますが、そこまで深読みする必要はないでしょう。ただ、一連の動きが菅政権の終わりの形を見せ始めた、とは云えます。メディアのネガティブ報道で、閣僚は次々と討死し、なり手不在の状態になります。遠慮なければ必ず近憂あり、論語の言葉ですが、過ちて改めざる、これを過ちという、という言葉もあります。頭の切り替えが早い人間は、逆に深慮遠謀がないことでも知られます。その過ちに気づけず、この一年同じように場当たり的対応を過ごしたこと、長幼の序の前に学ぶべきことは、菅氏には多いのでしょうね。

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2011年07月04日

松本復興担当相の発言について

松本復興担当相が、被災地の福島、宮城で行なった会談での発言が問題になっています。自らオフレコと、隠蔽工作を図ったほどの酷い発言ですが、松本氏の一連の行動には『拗ねている』面が見られます。サングラス会見、民主も自民も公明も嫌い発言、ここから透けて見えるのは、環境相という省付きの大臣から、担当相に格下げされたことがイヤなのでしょう。
復興担当相には巨大な利権がつきまといますが、菅政権下ではいつまで続けられるか分からない。環境相と防災担当を兼務したときは、これほど激務とは思っていなかったのに、今は最前線です。一時現地を離れたのも、体調面なのか、精神面なのかはわかりませんが、ほとほと嫌気もさしていたのでしょう。そこで、やりたくもない復興担当相となり、拗ねたのです。悪い言い方をすれば、国会の中ではジャイ菅とスネ龍が、「オマエの物はオレの物」と我が物顔でいる、といったところでしょう。一人は総理大臣という力で、もう一人は復興資金という力で、いじめっ子になっています。

問題は「知恵を出さない奴は助けない」という発言ですが、良いようにとれば、地元の知恵を生かして復興する、ということであり、悪いようにとれば、国は被災地を見捨てることも有りうる、と述べている形です。叱咤激励としますが、これは対人関係で陥りやすい人間性という面で、そう受け取れるかどうか? ですが、言い方からしてまずそうは受け取れません。つまりそれだけの信頼関係があり、かつ言葉の端々にそういった想いがにじまない限り、これはただの恫喝です。
一方で、民自公で国会正常化にむけ、合意がされました。ただ、すでに衆院再可決にむけた60日条項が使えず、延長国会内で成立させるためには参院可決しかありません。2次補正予算に向け、岡田幹事長が従来の3条件に加え、原子力損害賠償支援機構法案の成立を自公に訴えました。6月末で政府が東電に支払った1200億円を使い切り、東電はこれから資産の取り崩しに入ります。海江田経産相が「福島第2原発も被災と考え、合計2400億円必要」としますが、それなら東北電力の女川原発とて原子力損害賠償法の対象となってしまい、合計で3600億円です。東電を救うためだけに法解釈を変えるなら、もっときちんと説明しないと、それこそ東電維持に向けた経産省の思惑に乗る形になります。

しかも、青森県の六ヶ所村にある日本原燃についても、懸念が浮上しました。ここは使用済み燃料棒を再処理し、それを収益にして事業運営しますが、トラブル続きで未だに再処理は行われていません。それを、電力会社の保証をつけた形で借入を行い、これまでは運営されてきましたが、その保証が東電の投機的とされる格付けで、機能しなくなっている。すでに1兆円とされる債務を抱え、新規の借入が停止されれば、その破綻処理費用も電力会社にかかってくる恐れがあります。
原子力損害賠償支援機構が、東電救済のためではなく、日本原燃救済に回るかもしれない。しかも事業規模が拡大したため、収益を担保するには再処理費用を高く、設定する必要があります。もしかすると、それも発電コストとして電力料金にかかってくるかもしれません。知恵を出さない奴は助けない、というのは電力会社が入って策定された、この原損賠機構法のような形態をいうのかもしれません。自分たちを救って欲しければ、法制化できる案をもってこい、ということなのでしょう。

今の日本に、便利な四次元ポケットはありません。一つ一つを前に進めるためには、真摯に問題と向き合い、解決策を探っていく努力が必要ですが、ジャイ菅は興味が持続せず、法案が成立していないにも関わらず、下の人間に丸投げして知らんぷりです。スネ龍は下から上がってくる情報を、単に右から左に動かすだけなら、復興担当相など要りません。のび太君のように、いつもはいじめられっ子で、道具を得たときだけ強気、という態度は両者に共通していると云えるのでしょう。それが、非常に不快と映るのは、やはりそこに想いが篭められていない、ということなのでしょうね。

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2011年07月03日

再生可能エネルギー特措法について

メディアの世論調査でも、じりじりと内閣支持率の低下が見られます。そんな菅政権が退陣の条件として掲げた、再生エネルギー特措法案の成立ですが、少しこの問題を考えてみます。まず太陽光発電において、住宅用と事業者向けの買取期間が異なります。住宅用10年、事業者は15〜20年です。太陽光はパネルの数のみで発電量が決まるので、期間に差をつける必要はありません。事業として成立させるため、買取機関を長引かせるとしても、家庭は収益性を考えてはいけない、という考えを経産省は有しているようで、この法案の問題点はこんなとことにも現れています。

試算は様々にありますが、太陽光発電は30〜40年の耐用年数があるため、本来年限がなければ投資コストを回収した後、収益にカウントされます。全量買取なら7年程度で投資コストは回収できる、とされますが、年限があることで、どれほど回収が可能かは天候のみ知る、ということになります。
太陽光発電は天候により変化しますが、北日本は冬になると豪雪で、発電できないことが指摘できます。梅雨時は全国的に発電量が低下しますし、秋の長雨にも弱い。そこで問題となるのは、電気使用者に課される負担金に地域間格差、不均衡が生じないようすること、と決められていることです。発電していない地域で、負担金のみ支払わされる、それは北海道、東北、北陸などにとって、逆に負担感を増すことにつながるでしょう。さらに電力使用量が低下し、逆に発電量があがったときはコストとして電力会社が回収してよい仕組みであるため、使っていないのに電気料金が値上がりする恐れすらあります。つまり作り過ぎて供給過多になると、値段が上がってしまうことも問題です。

太陽光発電以外では、15〜20円/kWhの範囲で価格は決められますが、コストを下げればより収益が上がる。逆にそれは、設備的に簡素なものになりかねず、異常時にすぐ停止してしまうような脆弱さとなるかもしれません。逆に、高コストの発電方法は採用されにくくなり、それは効率性を追求する経済原則には合いますが、地球環境にとって良いか、という判断には合わない可能性もあり、この法案が目指す方向性を失っていることにつながるのかもしれません。
3年ごとに見直し、とも謳われますが、その度ごとに事業の見直しが迫られることから、新規参入の障壁を高くするかもしれません。ただ、ソフトバンク孫氏が前向きなように、家庭を含めて数で高額買取を迫れることから、事業として成立する見込みが立つ、ということでもあるのでしょう。しかし逆にそれは、負担金として国民に対して重くのしかかるのであり、どこまで国民理解が進むかもわかりません。逆にいえば、この制度は負担と事業継続性との両面で苦労することになります。

元々、日本の公共料金は高いと言われます。これは設備投資の回収が終われば、本来は料金引き下げなど、負担低減措置を講じることが求められるのですが、日本ではそうなっていません。高い公共料金の下に紐づいた、多くの組織を養うため、機能維持のための負担を求められるからです。むしろ収益の回収局面に入っても、料金引き下げがならなかった場合、それは行政の責任と云えます。
NTT東日本が、光ケーブル事業において黒字化達成という記事もあります。その場合、基本料金引き下げが必要なのでしょう。一方、ソフトバンクがボーダフォン買収の際、発行した特別事業債を一般債券に借り換える話もあります。再生エネルギー法案がもつ意味と、エネルギー需要は決して一体ではありません。投資と回収、という事業規模での成立も求められるからです。ただ、これが発送電の分離と一緒にできなければ、悪法という形に近づいてしまうことは確かなのでしょうね。

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2011年07月02日

雑感。陰謀? 3つの事件について

小沢氏の元秘書による政治資金規制法の虚偽記載事件の裁判で、新たな動きがありました。威迫、利益誘導があったとして、供述調書12通、残り26通も一部を証拠採用しない旨、地裁が決定しました。この件のみならず、現在取り調べの可視化が試験的に導入されていますが、非常に問題あるものとなっています。撮影は調書にサインする場面のみ、つまり任意でサインした、という証明のためだけに使われているのです。しかし、本件でも大事なのは供述する場面ではなく、そこに持ち込むための威迫、利益誘導をどう防ぐか? それが可視化の本質的な意義のはず。検察、警察は運用で自分たちに有利となるよう、極めて重大な場面の可視化を未だに拒み続けているのです。
検察、警察は「大変意義がある」と鼻高々ですが、すでに心くじけ、疲れきっている被疑者が、検察官に促されるままサインする場面など、裁判で何の役にも立ちません。石川氏が再聴取を録音したことで、明らかになったことは非常に多い。事情聴取をすべて録音、録画しない限り、公判資料にたるような価値ある証拠にはならない。検察は今の可視化の試験についても、もう一度見直すべき段階にあります。そしてそれが出来なければ、検察は永久に国民から信頼はされないでしょう。

次にネイビー通信を名乗り、フリー記者として会見に出入りしていた人間が、窃盗で逮捕される事件がありました。この件で重要なのは、大した事件でもないのに、多くのメディアが報道したことです。これはフリー記者には怪しい人間が多い、という印象操作のためなのでしょう。大手メディアの記者とて、逮捕される人間は毎年かなりいますが、ベタ記事か、まったく報道されないかです。
逆に、記者の身分を利用して犯罪に手を染める人間もいます。問題は身分より、記者としての資質があるか、ですが、どうやらこの人物はネット関連の話を軸に、陰謀論者を展開していたようで、仮にそれをするなら証拠が必要だったのでしょう。不規則発言とされますが、パーソナルな問題と、組織に依拠していれば記者が自制できる、という判断はまったく別ということです。

IMF前専務理事、ストロスカーン氏の事件も急転しています。サミット前、米国がIMFと協調したいタイミングでの事件だっただけに、陰謀説が実しやかに囁かれていましたが、事件そのものが虚構となれば、益々その疑いを強めるのでしょう。被害を訴えた女性が消される懸念とともに、ストロスカーン氏が次期大統領となれば、米仏関係にも影を落とすできごとと云えるでしょう。
陰謀論は18世紀以降、フランス革命を境にして活発になりましたが、不可解な動きの背後に、何らかの意思をもった組織、団体がいるとするのは往々にして指摘できます。福島原発のデータ隠しも、メディアが菅政権を擁護する論調をとったのも、陰謀といえば呼べるのでしょう。一方に不都合や、利益が存在するときに、起きることです。しかも小沢氏の事件も、フリー記者の件も、メディアが動いている点で同様の構図を指摘できます。つまり民衆への伝播力をもつ組織が、陰謀史観を定着させるのに、もっとも都合よいツールと呼べるのかもしれません。

現代では三極委員会、ダボス会議、ビルダーバーグ協会など、実在の組織をさして世界を統一しようとしている、などと謳われます。そうした大きな動きに、民衆が対抗する術はほとんどありませんが、何が正しいか? という視点に立てばどう考えるべきか見えるのでしょう。小沢氏に関する事件では、事件と断定するにはまだ材料がない。フリー記者の件では、個人の資質の問題であり、それは既成メディアの記者も同様。そしてストロスカーン氏の問題は、米国にとって利益になった。そこから次の動きを予測することが、大事なことになってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2011年07月01日

経済の話。6月日銀短観について

6月日銀短観が発表され、大企業製造業景況指数が-9と15pt悪化、非製造業は-5と8pt悪化でした。3月は調査が震災前だったため、影響を織り込めず、今回はサプライチェーン回復をうけ、下げ幅も小幅にとどまった印象です。9月は急回復を見込んでおり、一時的要因との見方が大勢ですが、やや気になる点もあります。想定為替レートが82.59円で、最高水準にありますが、それでもまだ現状より円安になります。また設備投資計画が前年度比4.2%プラス、1.1%上方修正されていますが、サプライチェーン回復にかけた企業の動きは、生産を押し上げるほどにはならない可能性があります。
つまり原状回復に必要な分が1.1%、そうみるとやや低いと見なせるからです。さらにそれを心配させる動きもあります。5月全国消費者物価指数が前年比0.6%上昇、食料、エネルギーを除く総合指数が前年比0.1%上昇、これらは電気代、ガソリン代の上昇などもありますが、2年超ぶりの上昇です。デフレが強い日本で、インフレ転換はむしろ好感するむきもありますが、5月の全世帯消費支出でみると、前年比1.9%減、消費は確実に減少していることが伺えるので、ややマイナス材料です。

6月の新車販売台数も、2割減です。製造できないので売れない、という事情の他に、被災地などで起きる2重ローンの問題。ローンを組みにくい現状も影響しているとみます。一方で手持ちの資金で買える中古車市場は活況、という事情からも自動車販売が元にもどりきれる保証はありません。
さらに、電力使用制限令が与える影響を、市場は読みきれていないのが現状です。平日休暇、休日出勤はピークアウト電力を減らすのみで、15%の節電とは関係ありません。平日働こうと、休日働こうと同じ作業をすれば電力使用量は同じです。15%の節電で、生産性は数%の下落を見込まなければいけません。つまり震災前の水準より、7-9月はやや低い水準にしかならないのが現状なのです。

個人的には米国のソフトパッチで終わる期待や、V字回復期待が現実のものとなるには、景気刺激策が日米欧いずれかで打たれれば…ということだとみています。逆に、それがなければ金融引き締めの影響が大きく、景気は悪い方向にバイアスが掛かりやすくなるのでしょう。金融、財政政策に期待できないとなれば、マインド面の低下が大きいため、この点に何か打ち出せるかが重要です。
今日から年後半ですが、個人的な市場予想としては、年初に打ち出した10500〜5000円の水準で、日経平均は推移するとみています。それ以上の水準を試すためには、2次補正で景気刺激を盛り込めるか? それが単に現状復帰や、ただの夢に終わりそうな構想のための予算だと、さほど上昇に拍車はかからず、この水準を右往左往するのみなのでしょう。そして、売買高が日米欧で減少する傾向は、よほど買えるだけの低下でなければ買わない、上値では売りたい、ということで推移するはずです。

今のマネーの動きは。まだ売り方優位の展開です。ゆるゆる売って一気に買い戻す。欧米ではドレッシングも必要だったこともあっての堅調さですが、日本市場にそれほど買い向かわないのは3月水準からみても、遜色ないレベルだったからです。200日移動平均線越え、などを囃すむきもありますが、7月前半のうちに再び不安相場に突入し、下落を試していく、景気対策を期待する相場展開になると見ています。その頃までにどの程度まで上昇できるか? またこの買いが重くなってくると、下落が長期化する恐れもあり、やや不安も増してしまうのでしょう。
日本政府が打つ対策は、特に電力使用制限令にみられるように、何が大事かを弁えておらず、この点も不安が残るのでしょう。罰則が適用される可能性は低いですが、昨年以上に生産しようと思っても、電力制限でムリという企業が現れれば、これは雇用にも影響してきます。個別の業態、企業を見ることは不可能だとしても、一律に15%削減。一部では除外もありますが、こうした政策効果による成長の鈍化が、今の日本にはもっとも懸念されることになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |