2011年09月

2011年09月30日

第三者委員会による東電に関する報告書

福島第一原発の周辺、緊急時避難準備区域の指定を、一括解除する方針を固めました。除染がまだ進まない中で、またコミュニティが完全に破壊された中で、生活すらままならない中で、どれだけの人が戻るのか? 例えば老人ならもう諦めもつくから戻る、とする意見もありますが、それこそ唯一の楽しみでもある孫が訪ねてくる、ということすらこの地にいるとままならないのです。
スケジュール有りき、情報隠蔽から始まり、国民を守る、という国家の第一義から著しく逸脱する行為が続いています。野田政権になり、少しはマシかと思いましたが、菅政権の残滓が色濃いこの政権では、やはり期待するだけムリのようです。プルトニウムがが原発敷地外で確認されていますが、今が『死のまち』なのか、今後も『死のまち』であり続けるのか? 除染がすすまなければ、結局後者が強くなってしまいます。冷温停止も意味を為さない、今回の指定解除も意味はないのでしょうね。

政府の第三者委員会による報告書で、東電の賠償総額が4兆5400億円と試算されました。しかしこれには精神的損害があっても、健康被害に関する項目がないので、今後増大するとみられるガンなどの直接的な病気以外に、間接的な病気も含めた幅広いケアが必要となってきます。
さらに総括原価方式に関して、10年間で6186億円が過大だったという試算を出しました。項目について、1.オール電化関連広告費、2.寄付金などの諸費、3.図書費などの消耗品費、4.福利厚生費、5.電気事業連合会など各種団体への拠出金、が含まれており、相応しくないとします。すべて発送電に関するコストではないので、原価に含めるのは明らかにおかしいですが、まだ含まれていないものは東電がうつすべての広告費です。電気利用者は広告により、使用量が変わるわけではありません。また利用者は電力会社の事業規模拡大に、責任をもつ必要はありません。あくまで発送電に関するコストのみで十分なはずです。さらに、電力会社は役員報酬に、政治家やその他団体への寄付金を含めている場合があるので、こうした資金も抑制することが可能となります。

さらに、枝野経産相が「公務員並み…」と述べましたが、人件費はむしろ全産業平均ベースで十分です。公務員人件費も含め、これを一つの法案で解決するなら『公益性の高い、競争のない事業体は賞与を全産業平均を超えない』と打ち出せば、電力会社は給与体系を独自に決めることができず、これも電気料金の引き下げになります。また公務員も同様なので、人件費を2割以上削減できます。
公益性の高い、競争のない、という2つの項目を含む業態が、日本ではもっとも非効率で、無駄の多い社会と云えます。自然エネルギーの参入で競争が働く、との意見もありますが、送電網の利用に高い料金を課すなど、競争を阻害する要因を抱えています。総じて電気料金は、公共料金として税に近い形を有しています。であれば、このタイミングで無駄をすべて抽出し、単なる一過性の盛り上がりで終わらせてはいけないのでしょう。改革に必要な速度、原発シンポジウムでのやらせ問題など、こうして不正に注目が集まっている今しか、電力会社への改革は難しいとさえ云えます。

日本では値上げの秋、といわれます。小麦卸価格やバターなど、食料品に幅広く及んでおり、これらは輸入物価の高騰といった面を反映しています。このタイミングで円安になどなれば、日本の富が世界に吸い上げられるだけ、になってしまいます。そして今、電力料金の値下げが可能となれば、こうした動きを緩和し、個人消費の下支えに寄与するでしょう。総括原価方式を公取でチェックしても良いので、原価という考え方を厳正に適用し、ムダなお金を国民に使わせないようにする。それだけで景気対策になる、ということを忘れてはいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2011年09月29日

前原政調会長と民主党税調

3次補正に関して民主党内がもめています。前原政調会長が税外収入を上積みし、復興財源が16.2兆円とされるものに対し、税外収入と歳出削減で11.2兆円とする党税調、政府の方針に抵抗し、9.2兆円を主張しています。上積み2兆円の財源としてはJT、資源開発企業の株の売却、という話ですが、JTはタバコ生産者との調整で、資源開発企業は経産省とエネルギー確保で、もめそうな気配です。

前原氏は今まさに『言うだけ番長』すなわち『Only 誠(Say)司』です。世論に迎合しようとするあまり、自分の立ち位置を失う。野党だった頃はそれでも良いですが、実現力を試される与党では、これは致命的な能力上の欠陥です。今回にしても根回しも、裏付けもない中で大風呂敷を広げたので、財務省が配慮し、一応2兆円の積み増しを提案していますが、臨時増税案では11.2兆円と記載される見込みで、前原氏は財務官僚に対して、一つ貸しをつくってしまった印象です。
しかも先に渡米し、普天間や武器輸出に関しても対米迎合をみせたものの、実現の見通しはない。党内でもめるぐらいならまだしも、外交の場でも『言うだけ』で終われば、国として信用を失います。前原氏の失敗は、鳩山政権下で国交省・沖縄開発担当相だった時代から顕著で、普天間失敗組の1人です。実は、前原氏は当初、辺野古移設に消極的で、現行計画にこだわるなら支援拡充を、という立場でした。これは沖縄担当相として、利権絡みの動きもありましたが、むしろ世論に迎合しようと辺野古移設は難しい、とみていた面も否定できません。政権交代後、すぐにマニフェストに記載された八ツ場ダム建設計画の停止を発表したのも、同様のパターンだと指摘できます。

しかし今回の補正予算、財務省にとってはウソかマコトか、増税を通した人間が出世する、という財務省内の事情が強く影響しています。OECD内で低い国民負担率、GDPベースでみると低い租税収入、それらの改善を省是としており、しかも野田政権は野田首相、藤井税調会長、五十嵐財務副大臣はほぼ財務省の代弁者ですし、安住財務相、枝野経産相は官僚の言いなり、これほど財務省に追い風が吹いたことはないと言えるのでしょう。つまり『言いなり』に『言うだけ』が対抗した形です。
残念ながら、こうした重要案件の場合、自らの主張を通すには高度な政治力を必要とします。実現にむけた青写真が描けない以上、前原氏の主張が通ることはありません。しかも根回しのプロ、とされる官僚の中でも、今の財務事務次官は『平成の弓削道鏡』ともされる人物です。菅政権時代に事務次官に就任、その前から菅首相を増税路線に転じさせた功労者、というのが専らの噂です。

道鏡は仏教体系により政治を壟断しましたが、こちらは予算で政治を牛耳ります。民主党政権は代替わりするたび、財務省の色を濃くしてきましたが、まさにそれを成し遂げた人物でもあります。こうした人物に対抗するには、前原氏では力不足が否めないのでしょう。政調と党執行部とのパワーバランスは、確実に財務省側についた輿石幹事長に軍配が上がりそうな気配です。
『Only 誠(Say)司』は、最早党代表への道も閉ざされたのでしょう。後ろ盾のはずの仙谷氏が、今回まったく姿を見せないのは、財務省と対立しても良いことない、との判断です。野田政権がすすむ方向性は、すでにこの増税の動きで顕著に垣間見られています。前原氏が『言うだけ番長』なら、野田氏は『野ダメ・カンタービレ』、その財務省の言いなりぶり、笛の音に踊らされていると、国民はいつの間にか川に飛び込んで集団自殺…ということにもなりかねないのでしょうね。

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2011年09月28日

経済の話。市場の動き

昨日、上海地下鉄で事故がありました。信号機トラブル、とされますが、すべては中央制御の失敗と云えます。中国国営の鉄路通信信号グループと、仏アルストム社の合弁企業が信号システムを納入していますが、この企業は先に事故を起こした高速鉄道のときと同じです。システムは、三重ぐらいのチェックがないと正常に作動するかどうか、分かりません。仕様通りであることと、何か異なる事象が起きたときの、トラブル時の動作とを整合させて、初めて問題ないと云えるからです。こうした細かいチェックは、日本人が得意とするところなので、中国でトラブルが起きている今のうちに、しっかり日本の技術を海外にアピールできるようにならないといけないのでしょうね。

今週、欧米の株式市場は堅調です。キッカケはバークシャー・ハザウェイの自社株買い、の発表でした。自社株の価値はもっと高い、株価は安すぎる、とのメッセージを好感したのです。欧州不安の緩和、という材料は気分次第で受けとり方も変わり、実際問題は何も解決されていません。
投資運用会社が、自社株を買う。しかも10%のプレミア付きです。ただ裏を読むと、これは極めて危険な賭けです。規模は300億$までいかず、期間は未定、この発表をした背景には、実はこの3Q決算に何か不測の事態が想定されたのでは? と疑わせます。手元資金は480億$程度あるので、すぐ破綻懸念が出るわけではありませんが、株価下落により自己資本が低下し、投資案件を手仕舞わなければならなくなる。すると株式市場はさらに投資資金の引き上げ、という事態に直面し、長期的な下落を意識させられたでしょう。これが3Qの締め、つまり月末ドレッシングと重なり、急騰となりました。

最近の相場は、大凡月末の3、4日前からドレッシングを疑わせる買いが入ります。それが今月は週末が月末、さらに3Qの期末になるので、週初から買いのアルゴリズムが働いた。しかし最近では、ドレッシングの規模は大きくなっているものの、ここまで上げた後で、更に上昇はよほどの好材料がないと難しいので、昨晩の米市場の引け辺りから、利益確定売りが出始めました。
このアルゴリズム取引は、ついに資源価格まで値幅を大きくだす方向で、プログラムが組まれたようです。金など、WTIでは1日で50$近く動くようになり、一向に値が落ち着きません。これはフェアバリューを外れているためであり、逆にアルゴリズム取引が幅を利かせ、大きな値動きで収益をとろう、という形に陥っているということです。残念ながら、この流れは当面続いてしまいそうです。

日本では、例えば昨日は日銀のETF買いを委託されている、とみられる日系2社によるTOPIX先物買いが厚く、ほぼ相場の上昇はこの動きで説明できてしまいます。今日は小休止でしたので、相場は小動きにとどまりました。欧州のCTA筋に振り回されず、日系の買いで支えられているなら心強いですが、それが公的資金に基づく思惑、ということなら、逆に忌むべきことなのでしょう。
アルゴリズム取引による急変動、月末による思惑、そして日銀のETF買い。今日は配当権利落ち日で、それを埋めてくると戻り相場、とも言われますが、今は上記による相場攪乱要因が山積しており、古い格言はあまり意味を為さなくなっています。欧州債務不安では、EFSFの規模を現在の4400億ユーロから1兆ユーロまで拡大、という話まで出ているようです。しかし借金できる額が増えても、EFSFが紙くずになりそうな債券を大量に抱えれば、今度はEFSF債の不安につながってくるでしょう。世界はそんなことにすら、答えをもっていません。市場の動きが大きくふれるのは、むしろ政策当局者の気持ちのぶれ、そんなものを如実に反映している結果なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年09月27日

民主党税調の動きについて

小沢氏の証人喚問が国会で持ち上がっています。ただ、昨日の判決要旨をみると、政治団体と資金のやりとりをしている人間は、それを企業献金と認識していた、と裁判官が『推認』すれば政治資金規正法違反に問えることになります。つまり与党がこれを政敵の排除に使おうと思えば、できてしまう便利なものです。これで責任論など問うていると、ブーメランは野党全体を襲うでしょう。つまりこの判決を認めると、政治資金は窮屈になり、政治家は常に有罪判決の危険を負います。特に野党の政治家は検察、裁判所が、悪い言葉で云えば『グル』ですし、選挙に関わる時期でも検察が動く、という前例を小沢事件でつくっているので、選挙前に強制捜査を受ける恐れが常に生じるのです。

東電の報酬は公務員並み、と枝野経産相が述べています。しかしそれでは天下りが止まらず、しかも総括原価方式では、利用者である産業界から資金を強制的に吸い上げ、高い給与とすることが可能なので、これは全産業平均に合わせるべきです。それが総括原価方式を認める代償であり、電力業界に対する搾取、競争社会のない業界としての、一定の制限であるべきです。
民主党税調が、所得税を2013年から10年間4%上乗せ、法人税を2012年から3年間10%上乗せ、またたばこ税の増税を決めました。しかし法人税減税分があるので、実質的に法人税は5%の増税幅です。例えば財務相の資料の中に、日本の租税収入はOECD諸国の中で31番目、対GDP比で15.9%しかないので低い水準とします。また国民負担率は租税負担22.2%、社会保障費16.4%、トータルで38.6%でこれもOECD諸国より低く、しかも国民負担率から比べて法人税負担が重いことから、4%の上乗せは妥当との試算をもっているようです。比率が異なるので単純に足せませんが、国民負担を約40%に、ということです。

しかし間違ってはいけないのが、法人税は黒字企業しか支払い義務がなく、また繰越できるため、手元に資料がないので定かではありませんが、大体3〜4割程度しか払っていません。一方で所得税は所得がある人、全員が一律でかかります。税収規模でいうと、大体所得税が法人税の2倍程度あるので、法人税を5%増税するより、所得税を4%増税する方が、財務省のそろばんとしては弾きやすいと云えます。つまり、法人税が3年後から減税分も含めて下がっても、4%の所得税増税を続けておけば、7年間の税収増は確約される。これが財務省が考えた錬金術、ということになります。
財務省は1ヶ月でコーヒー1杯程度、としますが、年収500万円の人が、そうそう喫茶店でコーヒーは飲まないでしょうから、負担感は相当です。しかも個人住民税も2016年から上がる、まさに国民負担率は日本がOECD内でトップ10に入ってくるでしょう。さらに云えば、TPPなどに参加すれば関税による収入が下がるので、それを穴埋めする、という思惑も混じるのかもしれません。

藤井氏が税調会長に入り、野田政権が主導すれば、これは既定路線と云えます。また野党もこの案には乗りやすい。それは復興増税に必要だから、というよりも財政規模を拡大しておけば、その分自分たちが与党になったときに余裕が生まれる、との思惑です。もう一つ、財務省の資料の中で、政府の総支出が対GDP比で40.6%、これが低いとの見方もこうした思惑が先走る原因です。
ナゼ今回、インフラ整備が建設国債でないのか? その説明もないまま、国民負担ばかりが増えようとしています。議員歳費の削減や、公務員人件費の削減など、すぐできる項目が後回しであることも政治不審を強めるでしょう。この税調、財務省に屈した、まさに勝事務次官の思惑通りということになり、財務省の意向を最大限組み入れた内容、という最悪のものとなったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年09月26日

小沢氏の元秘書らに有罪判決

陸山会事件における判決が出ました。結果は地検の主張をほぼ認め、大久保被告を禁錮3年(執行猶予5年)、石川被告を禁錮2年(執行猶予3年)、池田被告を禁錮1年(執行猶予3年)としました。この判決、地裁や高裁でまれに出る極めて首を傾げる判決、の一つに引っかかったようです。この判決要旨は一般人にも関係する、非常に危険なものですので、少し詳細に見てみたいと思います。

まず西松建設事件、これは政治団体が西松建設の隠れ蓑であり、実体は企業献金にあたるとするものです。これを拡大すれば、政治団体とは必ず何かの組織を元にするので、すべての献金は個人名義にするしかありません。電力会社のように、役員報酬の中に献金額を含める場合はセーフ、一方で政治団体同士の資金のやりとりは、すべて他人名義、企業献金と認識できることになります。
岩手県の胆沢ダムの受注に関し「天の声」を認めていますが、仮にそうなら元秘書らは斡旋利得の罪であり、どこかで収賄罪が成立する必要があります。何かの犯罪行為があり、立件も立証もされていなくとも、裁判所がそれを認めて良い。この判決はそういう意味をもちます。

ここから陸山会事件ですが、重要な言葉が『推認』です。まず4億円の借入を元秘書らは説明できず、5000万円の受領を隠す目的で事実を隠蔽したと『推認』しています。これは例えば、暴力団員の現預金に対し、詐欺の疑いがあるから内容を説明しろ、説明できなければ詐欺で有罪、という別件逮捕を容認する内容です。つまりそれが冤罪であっても、被告の側に積極的に無罪を証明することを、裁判所が求めているのであり、冤罪可能性を無視した暴挙、とさえ云えるものです。
さらに石川氏、大久保氏が意思を通じていたことを『推認』。ここに客観的証拠はなく、裁判官の個人的な主観です。状況証拠もなく、事件のストーリーを整合させるためには、意思を通じていなければならない、とする地検と同様の判断を下しています。しかも水谷建設元社長側の証言はすべて認める一方、元秘書らの証言は著しく不自然と述べるだけです。司法書士から「本登記を行なったときが正式な所有権の移転」と聞き、記載年をずらしたとの石川氏の説明も、仮に事実としても故意を阻却しない、とします。ですが、これは故意ではなく誤った説明をした司法書士による、業務上過失でなければなりません。つまり全体を通じ、誰かの犯罪行為があって、この事件は成り立つもののそれらは何ら解明されず、見せしめに元秘書らを有罪にします、と述べているようなものです。

『推認』は非常に危険です。例えば、満員電車で女性の後ろに立てば、痴漢したと『推認』できるので、証拠がなくても有罪にすることが可能です。つまり『推認』とは、冤罪を生むもっとも危険な、裁判官による独自の判断というほどの意味です。これが例えば誰かを貶めようと、第三者集団がまとまって相手の有罪を語れば、確実な物証がなくとも有罪にできる魔法の文言なのです。
魔法をかけた、ということはこの裁判が政治案件として、相当重要だったことを意味します。それが増税なのか、行財政改革なのか、米国からの圧力なのか、何か裁判所にとって都合の悪い理由もあったのでしょう。これは大審院判例ではないので、他の裁判で横並びに通用するものではありませんが、もしこの裁判官が担当する他の事件において、同様の判断を下すのなら誰でも有罪に出来てしまう、ということでもあります。今回の事件、冤罪可能性さえ無視すればどういう判決でも下せる、ということを知らしめたという意味では、画期的でしょう。また検察と裁判所のずぶずぶの関係を改めて意識させられた、非常に問題あるものとなってしまったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2011年09月25日

雑感、光速の話と経済の話。

ニュートリノが光速を超えた、と話題です。これでタイムマシンが作れる、時間を遡る、と語る人もいますが、そんな都合よくはいきません。昔は『裸の特異点』は見られるか? と議論されたこともありますが、今では家庭にあるコーヒーポットとアンプなど、機材があればブラックホールの中心ともされる、裸の特異点を現出させることが可能であると証明されています。
個人的見解ですが、光速を超えたからといって特別なことが起こるとは、到底思えません。2005年は国際物理年で、相対性理論が発見されてから100年の記念でした。特殊相対性理論は、物理法則を不変として空間、時間を変化させるものですが、時間軸が逆転することまで保証していない。光速を超えたものが時間を遡るのなら、ニュートリノは発射される前の段階に戻ることにもなります。少しだけ難しい話をすると、ミンコフスキー時空で光とは時空距離ゼロ、と定義されます。光速を越える、とは時空距離をマイナスにすることで、それは実時間の世界ではなく、虚時間の世界であるように見えます。宇宙創成時の状態、時間と空間が交じり合った状態になったからといって、時間を逆にたどれるような、便利な理論は現在の物理学には存在していないことだけは、確かなのです。

IMFの諮問機関、国際通貨金融委員会(IMFC)が「世界経済が危険な段階に入っている」と声明を出しました。先にFOMCも景気減速を認めましたが、すでに景気は後退局面に入っている、と認めたほうがスッキリします。しかも、これまでは堅調だったミクロの企業業績には、ここから反映が進みますので、株価的にはかなり下に見ておいた方が、間違いが少なくて済むのでしょう。
今回の問題は、流動性を供給した後で危機に陥っていることです。流動性供給は、インフレと中央銀行のバランスシート、という二つの問題を引き起こす、最終手段です。つまりもう打つ手もなく、問題解決能力が、各国で欠如しています。FRBのツイストオペで、米長期金利が下がったとされますが、これは不安を反映してリスク資産から、安全資産に逃避したことで起きました。欧州では金融機関に資本増強を促せ、と米国が主張していますが、仮にIMFが試算した21兆円の損失が事実だとすると、それだけの資金を吸い上げれば、景気はかなり下方へと引っ張られることが必定です。といって、金融機関が破綻すればもっと深刻な事態になることが確実、今をとるか? 先送りするか? です。

もし時間を遡れれば、ギリシャ破綻は米QE2など、流動性供給策と同時に行うべきだったのでしょう。しかもECBは今年に入って利上げする、といった景気を下押しする策をとってきました。今から利下げを行い、景気の下支えをするとしても、利回りが低下すると金融機関の収益性が落ちます。欧州は財政政策だけでなく、金融機関も各国バラバラの事情を抱えており、一方でギリシャ破綻により多額の損失を抱える、という点が同じです。金融機関に、ギリシャ国債の売却を停止したことも、今から思えば金融不安につながったのであり、先送りが失敗だったと意識されるでしょう。
特殊相対性理論が見直されるなら、それに基づく物理法則は、多くが見直しを迫られるでしょう。それと同じように、経済理論も今回の混乱を回避できない、その反省にたつ時がくるに違いありません。アインシュタインは量子力学の不確定性原理を、忌み嫌っていました。「神はサイコロを振らない」という言葉は有名ですが、実は世界に神がサイコロを振った、と思わせる事象は山ほどあります。複雑系の科学では、タバコの煙の動きを正確に導くことはできませんし、ゲーム理論でも人が多数になると、理論上の解とは異なる結果を導くことが知られます。今は、そうした「神がサイコロを振る」ような、そんな経済に陥ることを覚悟する必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2011年09月24日

パレスチナの国家申請提出

今晩、野田首相による国会演説が予定されています。野田氏は安全運転が目立ち、各国首脳との会談も特段目立つものがありません。むしろ前原政調会長が『言うだけ番長』と呼ばれますが、野田氏は『言われっ放し番長』といった形で、官僚の云った通りに外交も目立つため、大きな目標を掲げることもなく、政治の基本として何がしたいのか? この外交の場でもまったく見えません。しかも今回の主役は、日本の震災、原発事故ではなく、パレスチナの国家申請であることが明白です。

米国はパレスチナの国家申請について、決議案の採択を大幅に遅らせ、米国が拒否権を発動する事態を避け、その間に米国主導でイスラエルとの和平交渉を行う、という提案をしています。仏国はパレスチナのオブザーバーとしての地位を『機構』から『国家』に格上げし、1年以内に和平交渉合意を目指す、という立場を表明。これは中東で起こる民主化運動とともに、欧米の次代における権益の確保という、重大な意味をもちます。アフガン、パキスタンで米国排斥の動きが強まる中、ここで失敗すれば米国は中東の足がかりのほとんどを失う、という重大局面に入っています。
パレスチナのアッバス議長は、国連に申請を提出。米国が拒否権を発動するか? 安保理の採決を遅らせる提案をパレスチナがのむか? という条件闘争に入ります。パレスチナが国家たり得ない、との理由は通用しません。逆に、国家になるとイスラエルの入植など、第三次中東戦争以来の問題が蒸し返される恐れもあります。米国にとって、絶対阻止したかった国家申請を提出された時点で、外交としては失点です。そして大国の拒否権以外、この提出を拒否できない点も、国連総会で湧き上がったアッバス議長への割れんばかりの拍手で示されてしまいました。

しかしパレスチナでも、ハマスはイスラエル国家を認めておらず、国家申請によるイスラエルとの国境線、確定について否定的です。しかし国として認められれば、一定の制約とともに活動の幅が広がる。穏健派のファタハが国家申請を行うことにも、道理があります。ただ、パレスチナが一枚岩でないという事実が、米、イスラエルの唯一の逃げ道になりそうな点ではあります。
日本は常任理事国入りを目指しますが、この問題に対して強い発言はありません。原油のほとんどを中東に頼り、日米安保を基軸とする日本にとって、ここでどちらに軸足を置いても、禍根を残すことが確実だからです。しかし中東がこの民主化運動の後、規制改革などが進んで成長が約束されるなら中東側にのった方が得策です。米国はここ数年、経済が弱含むことが確実であり、下手をすれば景気後退どころか長期低迷です。原油という輸出産業を中心に据える限り、中東は安定的といえます。

ただ、外務省にそうした戦略はありません。この動きにも日和見で、勝者につこうとするでしょう。しかしこれは後塵を拝す愚策です。国際社会では、どこかにヘッジをかけつつ、肩入れする側を決めた方が得策になることが多い。それで失敗すれば責任をとる必要もありますが、そうしたリスクを負わない態度は、結果的に国益にとってマイナスなのです。
野田氏は安全運転をするあまり、各国からクラクションを鳴らされるかもしれません。この問題でも、結論を出せないようだと、米国との距離感にも変化が生じる可能性があります。それは米国に肩入れしても同様、日本としての態度は日本の国益を最大にする必要があり、そうでなければイザというとき米国を支えられない。円借款やODAでアフリカ支援を訴えていますが、今は欧米の方が支援を受けたいぐらいであり、日本が震災のお礼を述べるのなら、誠意を見せてくれと云われるのでしょう。野田氏の演説、当たり障りがないからこそ今回の国連総会、主役の座から滑り落ちたとみて、間違いないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | 政治

2011年09月23日

FOMC後の市場と、G20

FOMC後、世界の証券市場は大きく下落しました。これは期待値が剥落し、当面上げ要因がないことを見越して、売り方がつくってきた感があります。欧州債務問題、米景気後退、新興国のインフレと景気減速、数え上げればキリがないほどの悪材料もあり、今の市場は「Give me Money!」と叫んでいます。それがQE3であり、景気刺激策です。しかし各国の債務問題に焦点が集まる中、財政・金融政策にも限りがみられ、それが市場全体に対して弱気ムードを増す原因です。

G20財務相・中央銀行総裁会議が開かれました。これまでのこうした会議と同じ、現状追認と、希望的観測を述べる場ですが、共同声明の中に「為替の過度な変動や無秩序な動きは、経済や金融の安定に悪影響」との文言が入りました。これは日本の主張が認められたのではなく、経済の大前提だからです。過度、無秩序などという文言があるものは、為替でなくとも悪影響なのです。
日本の問題は、ユーロが急落して102円台に突入したのに、為替介入しないという事実です。ユーロはヘッジがとり難く、しかも企業の想定為替レートは114円台にあるのですから、もし上記の文言が正統な価値をもつのであれば、ユーロ買い介入が必要です。それでいて、EFSF債は追加購入すると約束するのですから、逆にこれをユーロ買いの原資とすれば良いのです。しかしこうしたアナウンスメントもなく、如何にも日本の財布は別会計と云わんばかりで、日本の政策に無秩序さが目立ちます。

世界は対策の打ちようがありません。G20でもユーロ圏に対してEFSFの拡大を望んでいますが、拡大したからといって甘い審査で資金を融資すれば、それはEFSFの運用に疑念を生じさせます。また各国政府首脳は、国民に択ばれた政治家であり、EUのために動いてもメリットが少ない。もしEUが効果的な対策を打つなら、各国政府の介入を排除し、EUとして強い権限を発揮し、リーダーシップをとらなければまずムリです。例えばギリシャ問題でも、ギリシャ政府の財政再建計画に基づいて、10月支援を受けられるか? 議論していますが、IMFなども政治介入して経済、財政再建に道筋をつける、という強い態度を示さない限り、国民に選ばれる政治家が、国民に不満の政策は中々打てないのです。
G20で米国は対策を打ち出した、とされましたが、オバマ大統領の案はそのまま通る見込みもありません。米国の問題は、金融、地方行政の破綻にどう備えるか? サブプライムローンの発覚時、金融機関に入れた公的資金がつかえる、という話もありますが、米銀行が格下げされたように、格下げ、信用コスト増、といった形で当面はすすみ、いずれそれに対応がとれなくなる組織が出てきて、米国債務問題と絡んで、大きな波へと波及するのでしょう。逆に、そこで世界経済のもう一段の下を探るような状況が、どうしても出てきてしまうのでしょう。

各国は、各国の事情に合わせて何とかしてくれ。これがG20の声明です。当たり前のことですが、その当たり前のことが出来ない状況が、今です。しかし一国、一組織の対応が他国に波及しやすくなっているのであり、余計に複雑になってしまっているのでしょう。今の市場は、売り買いの振れ幅をやたら大きくとり、そこで収益機会をみつける、大口投資家の動きによって、決められています。日本の株式市場も、8千円を現状の水準で割り込む可能性は少ないですが、欧米の急落による影響など、波及効果を考えれば容易にその水準も割ることでしょう。世界経済は混沌の時代に入った、それを各国が暗に認め始めている、そんな国際会議が今後も増えていくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年09月22日

雑感。三菱重工へのサイバー攻撃

昨晩、米FOMCによる声明が出され、来年6月まで4000億$のツイストオペを実施することが決まりました。長期金利の引き下げ効果、と謳われますが、これは長めより短期の債券に人気が集中する、最近の投資動向を鑑みたもので、受給の緩和という意味合いが強いものです。すでに長期金利は2%程度であり、効果は限定的、失業率に強い関心を示しましたが、そこへの直接的な効果はありません。
QE3を排除していませんが、デフレ懸念が強まらない限り、その手は打ちにくいことが読み解けます。米株市場は急落、欧州も弱含んでいますが、FOMC期待で上げていた分は剥落します。米国でも財政再建で、富裕層増税が打ち出されましたが、富裕層の投資マインドが冷えたとき、米国は想定以上に経済規模が縮減するのかもしれません。景気後退にすすむとき、誰が歯止めに乗り出すか? そのタイミングと効果次第で、今後の景気浮揚を探るしか手がないのかもしれません。

三菱重工へのサイバー攻撃、俄に国防上の問題が浮上しています。中国が関与していることはほぼ間違いないようで、問題はその狙いです。ただ、一部で指摘される最新鋭潜水艦や、ミサイル情報がどれほどの価値をもつか? 私は軍事機密を狙った、という意見には懐疑的な見方をしています。
日本には原子力潜水艦がありません。大陸間弾道ミサイルもありません。敵地攻撃能力は皆無であり、あくまで専守防衛における装備しか、国内では製造されていません。逆にいえば、中国は日本と戦争しても、いきなりミサイルが国内に飛んでくる、という懸念がないので安心です。日本の領海内でのみ、局地戦を想定し、そこで有利に戦うことを狙って情報を得る、という目的のために今、このタイミングで必要だったのか? 逆に今回の動きは、軍事は二の次と感じています。

日本の軍産複合体は、ほぼイコールで原発関連企業です。震災後、増えたとされることから、このサイバー攻撃の目的は、原発事故の情報収拾ではないか? そう見ています。国内でも情報隠蔽が懸念されていたところ、特に中国でも親設の原発を立ち上げており、中国国内における国民の反発とを抑止するため、正しい情報を得ておくことと、設計上反映できる項目は盛り込みたい。原発関連企業に流れる情報は、かなり信ぴょう性が高いと思われ、それが三菱重工、IHIなどだったのでしょう。
恐らく全面的に詳細な調査を行えば、全企業、組織においてサイバー攻撃は行われています。米セキュリティソフト大手は、72の国、組織に『国家関与のサイバー攻撃』があったと認めています。米国では今年5月、サイバーテロに関する国際戦略をとる、と宣言しています。すでに世界はサイバー攻撃に対し、臨戦態勢をとっているのであり、日本がメディアの指摘をうけ、企業が防衛省に通報したり、慌てて防衛省が聞き取りをしたり、は遅きに失しているとさえ云えるのでしょう。

残念ながら、日本の自衛隊は米軍に比べて、野球に例えればベンチプレイヤーです。恐らく戦争になればスタメンの米軍に頼る以外なく、逆に言えば日本の戦力を、リスクを犯してまで探る必要はそれほど大きくない、と云えます。ではナゼ今回、軍事産業という方向で一斉に記事が流れたか? それは原発の情報が外部に漏れていた、となると今の東電が機密事項として、真っ黒にして出した資料などの手が使えなくなるためです。しかし実際、軍事と原子力の極秘レベルを見れば、原子力技術に関する情報の方ががより多く抜かれた、とみてまず間違いはないのでしょう。
日本でもサイバー攻撃に関して、警察や公安に任せるだけでは、もう不足しているのでしょう。専門の部署をおき、数千人単位で監視、または攻撃者に対して反撃するぐらいの能力をもつべきです。公務員削減が難しく、人余りだというなら、こうした部門に人手を厚くする、そんな国家戦略をもつようでないと、日本は世界から立ち遅れるばかり、となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 企業

2011年09月21日

IMFの世界経済見通し下方修正と、基準地価

IMFが世界経済の見通しを、大幅に下方修正しました。米国は2011年に2.5% → 1.5%、2012年に2.7% → 1.8%。ユーロ圏は2011年に2.0% → 1.6%、2012年に1.7% → 1.1%です。日本については2011年に-0.7% → -0.5%、2012年は2.9% → 2.3%と、2011年は上方修正、2012年は悪化です。
IMFはこれまでも、年後半から来年にかけて経済は好調、と誤った判断を示しており、信じるに足る部分は少ないですし、欧州債務危機は拡大しない、ギリシャはデフォルトしない、との条件で試算されているので、必ずしも当たらないと指摘できます。ただ、重要なことは世界が統一して年後半から来年にかけて、景気悪化が懸念されているとき、日本では増税が議論されていること、です。もしそれを織り込むなら、日本の景気は来年、さらに悪化することは確実な情勢です。

国交省から基準地価が発表されました。住宅地は前年比3.2%の下落、商業地は4.0%の下落です。これは不動産取引に関するものなので、少し議論はずれますが、固定資産の価値が下がれば税収も下がります。また資産価値が下がることで、借入が難しくなれば、資金の余裕も減ることになります。今回の基準地価の下落は、震災の影響ともされますが、被災した地域は省かれるなどしているため、全体としては土地取引に慎重になる、マインド面の影響が大きいとも云えるのでしょう。
湾岸から内陸へ、と人気が移っていますが、液状化、地盤沈下、地滑りなどの要因に加えて、ホットスポットと呼ばれる放射線の影響もあります。東電は、この土地取引に関する損失を補填する意志をまだ示しておらず、国に除染を任せるだけです。しかし風評被害を補償するなら、この土地価格についても含めねばならず、基準地価に入らない部分が、実はもっとも大事だと云えます。

野田首相はEFSF債の追加購入に、前向きな姿勢を示しました。現在4400億ユーロを抱えるEFSFですが、ユーロ圏の保証があるとはいえ、日本が増税してまで欧州を救う理由があるのか? BRICsもユーロ圏の救済を唱えましたが、BRICs財務相会合では、合意できない見込みです。日本が単独でEFSFの拡大に対し、貢献することはやや本質と異なります。日本は世界最大の債権国、一方で財政赤字も世界一です。そして後者しか国内に喧伝せず、増税議論の糧としているのであり、このEFSF債購入も、財務省の増税議論を補完する材料に過ぎない、とさえ云えるのでしょう。
野田氏は国連に出席し、オバマ米大統領との非公式会談にのぞむ予定です。先に玄葉外相とクリントン国務相との会談で、普天間、TPPなどただ要求を突きつけられただけで終わったように、野田氏も頭を垂れてくるだけで、何か提案できることはないのでしょう。もしかしたら、円高是正でドル買い、米国債を今後も買い支えします、とでも約束してくるのかもしれません。

世界のコンセンサスは、来年は景気後退に陥るリスクを考慮する、です。野田政権がどんな政策を打とうと、この事実は揺るぎません。ドジョウは、金魚にはなれなくても金を御する財務省のイヌにはなれる。そんな態度でいれば、国連の場で「ドジョウは金満になった」という目で海外から見られることになり、日本の信任にも影響する事態となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2011年09月20日

雑感、福島第一原発に地下水流入

今年は台風の当たり年になってしまいました。しかも長く、激しく、多く雨が降るという最悪のパターンです。気温の変動も激しく、健康面に与える影響もあるので、今年の日本には本当に悪いことが重なります。気持ちを沈ませないようにしないといけないのでしょうね。

細野原発担当相が、IAEA年次総会で冷温停止を年内に前倒しする、と発表しました。ここ数日で3号機の炉内温度が下がっており、冷温停止に近づいているとの自信もうかがえますが、元々圧力容器を冷やす装置を稼働させたのですから、温度は多少なり下がります。そして新たな問題として、地下水流入という問題が発覚しました。しかも、東京新聞の推計を、東電が追認した形でこの事実が判明するなど、東電は本当に専門家集団なのか? それすら疑わせる事態となっています。
5月末には10万5千tあった汚染水が、今は10万2千t。新たな注水量は4万7千tで、9千tを処理しているので差し引き4千tがどこかから流入した水です。これが地下水だとすると、毎日400t程度が流れ込んでいる計算となり、それを東電は公表していなかったばかりか、指摘されて初めて認めた。しかもこの問題は、建屋と地下水とがツーツーの関係にあり、流入と同時に流出の懸念すら生じます。つまり地下水から海水へ、かなりの量が流れている恐れが、確認された形となります。

遮水壁を2年かけて構築する計画、ともされますが、汚染水がある現場で、直接作業するのはリスクも高く、またそれは現状の計画には盛り込まれていないでしょう。冷温停止どころか、壊れた建屋から漏れる放射性物質は、大気からも地下水からも漏れている。これで、冷やしているから問題ない、というのは設計としてセンスのない話です。しかも溶けた炉心が今、どこにあるか分からない。最悪の観測は、メルトスルーした炉心は、コンクリの壁を溶かしているのでは? ということ。もしそれが地下水に触れているなら、汚染水はどこまでも拡大していくことになるのです。
しかも緊急時避難準備区域の解除、を月内にも行う計画を官房長官が発表しましたが、放射性物質の放出量は8月と変わらず2億ベクレル、つまり減っていません。汚染物質を吐き出し続ける施設の近くに、そこまでは飛んでこないから戻っていい、というのは無責任な発想です。除染をしても再び汚染されれば意味はなく、本来の除染とは完全に放射性物質が放出されない、との段階でなければ効果は極めて低いのです。これは東電が、避難の長期化で賠償額が膨らむのを恐れ、色々なことを前倒しで行う、という方針の下で、政府も動いているとしか思わせません。

高らかに国際社会で計画前倒しを宣言するより、避難している住民に、安全にみんなが帰宅できる日を伝える方が、どれほど政治が評価されるか? 国際社会の評価も大事ですが、それ以上に大事なのは国民なのです。野田首相も国連に出席するため、出発しましたが、誰に一番に伝えるか? その手順を間違えると、結果的に良い発表でも悪くとらえられる、ということを意識しておく必要が、この政権にはあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2011年09月19日

雑感、司法における動きを幾つか

最近の司法判断について、今日は少しまとめて取り上げます。西武鉄道をめぐる株主訴訟について、最高裁が「所得時と処分時の価格差から、虚偽記載の公表前に下落していた分を引いた額を、賠償として認める」としました。分かり易くすると10万円で株を買って、虚偽記載公表時に8万円だった株価が公表により急落、1万円で処分した場合、7万円分を企業側に支払いを求めるとする内容です。
一見すると株主に有利なようですが、実はまったく逆です。虚偽記載があり、上場廃止に陥るような内容の場合、企業は株主代表訴訟による損害賠償請求額を低くするため、事前に「上場継続に重大な疑義があるらしい…」と、ファンド勢に囁きます。すると株価は急落、十分下がったところで虚偽記載を公表する。上記の例をとると、10万円で株を買ったのに噂で下げ、2万円になったところで虚偽記載を公表され、1万円で処分する。これで企業は1万円の支払いで済みます。つまり、情報開示を遅らせることで企業は有利になる、という矛盾が生じるので、情報開示姿勢と大口投資家が有利になる風説の有無について、市場は疑心暗鬼にならざるを得ません。これは現在、他にすすむ株主代表訴訟では有利なようにみえて、今後の市場に大きな禍根を残した大審院判例と云えるのでしょう。

日債銀の粉飾決算も同日、旧経営陣の無罪が確定しました。98年に破綻した日債銀が、98年3月の決算において不良債権を損失処理しなかった、いわば予見性を問われた裁判です。しかし未だに財務処理上の評価、統一された見解で世界は動いていないように、心ある人には粉飾に見える行為も、それを当局が認めていれば違法ではありません。つまり、これを一企業の経営判断に委ねた点で、むしろ当局の予見性を問わなかった、これまでの行政上の問題と同じ轍を踏んだと云える裁判です。
同様の事件で長銀の旧経営陣も無罪が確定しています。しかしこの事件は本来、薬害エイズやアスベストと同様、金融当局者の監督、監視が問われるべきものです。当時の検察の姿勢を問うことは、今となってはできませんが、今後世界経済が混乱する中で、必ず必要となる視点となってきます。

最後に、陸山会の政治資金規正法違反事件で、小沢氏の公判に石川元秘書が隠し録りした事情聴取の場面が、検察官役の弁護士により証拠申請され、採用される運びとなりました。これは二つの見方ができます。検・弁護士は事件の全体像を詳らかにし、地裁判断が出れば終決させるため、すべての情報を盛り込む意向であるとする見方。もう一つは、検察の誘導はあるにしろ、石川氏は認めているとの事実があるので、それを重視して公判を有利にするための戦術を練っている、とする見方です。
後者はかなり強引な筋立てが必要です。元々、供述調書しか小沢氏を公判に引き出す材料はない一方、この隠し録りはすべての供述の信ぴょう性に疑義を生じさせます。つまり同一人物により作成された供述調書は、すべて誘導があったとする前提が成り立ち、それは公判で証拠の価値を失わせます。
前者の想定であれば、公判という公の場でこの隠し録りを流すこと、そのものが目的と考えられますから、検察の権威が失墜しても構わない、とする検・弁護士の態度とみることを可能とします。月内にも秘書の判決が出ますし、小沢氏にも来年春には判決が出るスケジュールです。政局が混乱し、一年で首相が変わるという事例を踏襲するなら、来春は政局が花盛り、それは支持率低迷と、党内巨大勢力の復興と、野党という三竦みの状態に日本が陥ることを意味するのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2011年09月18日

復興増税の議論

菅氏が共同通信のインタビューで、現場との意思疎通ができず、対応が困難だったと述べています。どこまでも自己正当化したいようですが、現場との意思疎通がはかれ、対応できるのはすべて想定を立ててすすめる訓練だけです。イレギュラー訓練をしないなら、それは危機対応時の訓練ではない、むしろ危機時に現場との連絡がとれる事例は皆無です。これは異常事態、という場に身を置いたことがない人間の台詞であり、このことからも危機における宰相としての能力不足を感じさせます。

では野田政権はどうか? 政府税調で復興財源に消費税を除外したのは、社会保障と税の一躰改革で議論するためであり、逆にいえば復興増税と、消費税が重なれば景気にはダブルパンチです。そこで政府税調では所得税に納税額の5.5%上乗せを10年間、法人税10%の増税を3年間として組み合わせる案、などが議論されています。あくまで個人にかかる所得税の方が多い、という点にこの政権の問題点が内包されるのでしょう。法人税は、赤字に陥った企業は税負担が免除される一方、所得税は生活がどれほど苦しくてもかかってしまう税金であり、この部分でも負担感は異なります。
政府の基本方針では年金流用分、B型肝炎訴訟の和解金と合わせて16.2兆円と試算されます。保有株の売却、特別会計の剰余金などで5兆円を捻出見込みとされ、残りが増税としています。例えば、外為特会の見直しについて言えば、短期証券を発行して為替介入しているので、米国債を売却して復興に充てるのは、借金で借金するようなものと財務副大臣が述べていました。しかし保有し続ける米国債を借り換えるときに、短期証券を発行しているわけではなく、しかも短期証券は償還時期が早いので、それは外為特会の予算が充てられている。つまり米国債を売っても、それで短期証券を償還するわけではないので、この言説はおかしい。財務官僚の説明を鵜呑みにしているだけです。

みんなの党は、償還時期を迎えた米国債を、借り換えせずに回せば年15兆円の捻出が可能とします。100%でなくとも、3分の1を二年行い、かつ新たな為替介入さえしなければ11兆円は可能な数字です。ここ1、2ヶ月で実施された為替介入は、財務省の焦りとも見られる規模であり、逆に不要でした。財務省の為替介入を、裏で歯止めをかけなければ無駄カネを使うばかりです。
また議員の歳費削減を、同じ俎上で語る必要があると藤井民主党税調会長が述べていますが、選挙改革に合わせて実行できる好機ですし、規模によっては1千億円規模になります。議員定数削減のみならず、秘書を含めた人件費、交通費の補填、外遊と称した海外旅行も数が減ります。地方に権限を以上すれば国の委員会は減らせますし、行財政改革、政治改革に道筋をつけるだけで、実はこのぐらいの金額は容易に出るはずです。後は、野田氏の決断次第なのですが、それは政府税調への関与具合、指示のだし方をみても、期待するに値しないと云えるのでしょう。

あの時精一杯やった、そんなことは誰でもできます。政治とは結果です。結果が伴わないものは、誰も評価しません。これは組織であり、組織は努力の過程や頑張りなど、まったく何の価値ももたないのです。結果がすべて、その意味で野田政権が向かっている方向は、重い税負担による景気低迷、という形がより鮮明です。復興税はすぐに使われる予算だから、景気対策としても有効と述べる人もいますが、税金は必ず単年度決済なので、他の予算がすぐ使われないわけではないので、この言説も極めて奇妙で、おかしなものだと云えます。総じて、菅政権の後を継いだ野田政権は、今このときにあるべき能力があるか? それは歳出改革が先、増税が後、という形にならなければ、結果として非難されることが多い政権として、菅政権と同じ道を歩むことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年09月17日

欧州財務相会合とアジアの動き

EU財務省会合閉幕、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の権限拡大、ギリシャ支援に関する協議はされたものの、具体策は何も出ませんでした。しかし、背景として今週は様々な動きが出ています。7月ユーロ圏の経常収支は32億ユーロの赤字、中でも証券投資が184億ユーロの流出超となり、リスク資産の圧縮がすすんだことを示します。これと連動する形で、ユーロ圏からアジア圏への投資を加速していたとみられ、実はここ数実、その巻き戻しと見られる動きがありました。
韓国ではウォン安がすすみ、ドル売り介入が実施されたとみられます。これは他のアジア圏も同様、急速な通貨安となりました。背景には、為替市場では新興国のインフレがアジア圏に拡大し、各中銀が利上げを迫られる、との観測があり、それに基づいて買いポジションを膨らませていた。しかし米MMFが大量の欧州資産を売却していることから、欧州マネーがリスク投資の圧縮を迫られた、というのが実態のようで、売り圧力が強まったのです。そして通貨安が広がると今後、アジア圏に流入していたマネーの逆流が起こりかねず、しかもそれは急速に起こるだろう、という観測が成り立つことから、第二のアジア通貨危機が懸念される、ということにもなるのでしょう。

この動きのもう一つの背景は、米QE3による流動性供給策が、世界的なインフレ亢進を引き起こす、との観測がありました。しかし、今や米国もQE3の弊害を看過できない2%越えですから、新興国への急速な資金流入は回避できる一方、欧州から逃避し続けるマネーが今度、どこへ向かうかもまだ不明ですので、予断は許さないのでしょう。アジア圏は資金の流入、流出に怯える展開が続きます。
この動きの一旦なのか、中国不動産が12%越えの急落という記事があります。その対策なのか、中国当局は資産の証券化について、議論を始めたようです。証券化することにより、実物資産ではなく証券として取引できる。仮に急落してもそれは証券と同じで、保有していた側の責任に留まる。証券化には取引が容易になる、などのメリットもありますが、逆にこれは当局が不動産バブルの破綻リスクを意識し始めたことを示し、それは近いうちに急変がある可能性を意味するのでしょう。

日本では証券市場が不思議な上昇を示しましたが、欧州勢がショートカバーを入れた、との見方で良いようです。つまりここでも、欧州勢はポジションを落としている形なので、一連の流れと合致するのでしょう。これを見ても分かるのは、アジア圏の中で日本は異質、通貨は買っても資産は売りでポジションをもつのであり、これも日本がデフレ、ということが影響しているのでしょう。
欧州は対策が出せませんでした。来週の米FOMCはツイストオペがあるか? という観測が広がりますが、長期債とて今や2%を切る水準なので、長めの国債に借り換えても、効果は限定的でしょう。G20でも声明は出ないようなので、世界はリーダーシップもなく、対策も出せないリーダーたちに、再び失望する時が遠からず来てしまいます。そんな中、日米欧で3ヶ月もののドル資金供給、という話が出てきましたが、これもやや懐疑的に見ています。

8月に2行がECBから借りたものの、約半年もドル調達不安が囁かれながら、利用した金融機関はない。これは中銀からドルを調達すると、市場からは不健全行と見られるためで、それは信用を落とす結果になります。実際、欧州でどの程度このドル資金供給策に頼るか? 次の危機が盛り上がる際に、この結果が利用されるようになると、欧州債務不安が欧州金融危機として、本当に第二のリーマンショックをセットすることになってしまうのであり、警戒しておいた方が良いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2011年09月16日

雑感。脱原発派を調査会で増やすことについて

民主党で、国対委員長代理の松木氏、加藤氏、国対副委員長の松野氏が、辞表を提出しました。国会会期をめぐる混乱の責任、としますが、これは野田政権に見切りをつけた動き、と見ています。野党が反発する4日間、という会期を設定した理由が未だ明らかでありませんが、混乱は最初から想定済みのはずです。3次補正の協議入り、という条件とここまでの混乱にバーターとしての価値はなく、民主国対にとっては今後の国会運営を怪しくしただけ。つまり党執行部の方針、戦略についていけない、という想いが、今回の辞表提出の理由でしょう。遠からずこうした動きが起きるかもしれません。
それは昨日も取り上げたように、野田政権は適者生存型なので、淘汰された側は政権からぽろぽろと溢れる形になるためです。あらゆる勢力をしがらみの中で抱え込んだ結果、ほころびが見え始めると存外早いのかもしれません。野田首相にそれでも率いていく人間的魅力は、今のところ感じません。

代表質問に応える形で、総合資源エネルギー調査会の陣容で、脱原発派を採用する旨発言しています。しかしこれは評価するに値しません。原発はすでに完成された技術であり、イノベーションは起こらず、改良できる程度です。また新設が難しい現在、この会合に原発推進派がいても、何の役にも立たないのです。将来的には原発が必要、と訴えるだけなら、福島第一原発の事故収束にむけた研究、対策の人員に充てた方が効率よく、エネルギー調査会にその人員がいる必要がありません。
また福島第一が無保険になる、という話もあります。日本原子力保険プールというシンジケートにより、原発の民間保険は運用されていましたが、事故で健全な炉から外れたため、保険を適用できなくなるからです。問題は無保険で、廃炉でない原発が存在するのは法律違反になること。法律改正が必要です。しかしそれ以上に問題は、一般的な事故は今後も起こりうる中で、原発作業員や周辺住民に被害が拡大した場合、東電の支払い能力が問われる点です。また、もし仮に福島第一原発が、このシンジケートに残った場合、保険料率が跳ね上がってしまう、という恐れが出てきます。

未だに被曝事故が多く、また汚染水の処理がやっと軌道に乗り始めたものの、トラブルの潜在可能性は高い状況です。完成された技術なのは原発が正常に稼働しているとき、今の事故収束、廃炉にむけた動きは、未完成の技術です。もし保険料率を設定するなら、恐らく事故が起きる確率は50%以上にしなければならず、悪い観測ではかけるコストの半分は、保険料金にもっていかれる恐れがあります。
東電は高コストになれば、電気料金に上乗せすればよい、という安易な発想があり、人件費などの削減には消極的、KYボーナスもその一貫です。しかし事故対応にむけた保険料、という形でコストが跳ね上がることまで電気料金に上乗せすれば、やはり国民感情が黙っていないでしょう。

古賀氏がテレビ番組で、将来世代にツケを回すな、という文言が財政には使われても、原発の核のゴミには使われない、と述べていました。核のゴミは数万年に及ぶ将来世代へのツケ回しなのですから、原発推進派には耳が痛い話でしょう。経産省は、改革派官僚という獅子身中の虫を追い出してせいせいしているのかもしれませんが、民間人になると仮に時の政権が人気取りを狙う場合、古賀氏を経産相として任用することも有り得るのです。政権は人事で、態度を示すのが常道ですが、野田政権から離れていく人の顔ぶれをみると、やはりこの政権に期待はできない、となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年09月15日

野田政権考、政権運営でムダを生む?

国会会期について、民主党が今月末に延長する案を固めたようです。当初、何らかの妥協を探るため4日という提案をしたと見ていましたが、追い込まれて延長するのみで、野党から条件を引き出せたわけではないようです。混乱させるだけで、結論が狂うのは普天間基地問題と同じ、平野国対の手腕のなさが目立ちます。周囲を動かすにはイメージ力、どこで横車を押すか、引くか、というシミュレーションが出来ていないのでしょう。融和型の野田執行部にとって、これは致命的かもしれません。

輿石カーテン、なる言葉が出てきました。閣僚人事で「漏れたら差し替え」と命じ、鉢呂発言に対する調査と、閣僚らにテレビ出演の際は政権の方針に沿って話をするよう、要請したことなどを指します。これを情報統制、として批判する向きもありますが、その批判は的外れです。なぜなら、この程度は云われるまでもなく、政治家であればそうすべきもの、であり、閣僚が政府方針と異なる発言をしたら現場は混乱します。人事を発表前に誰かに漏らすような人間は、信用できません。
そしてメディアを客観的にチェックできる機関は、一部人権委員会や倫理規定委員会などしかなく、実は正しさを検証できない仕組みとなっています。また、その程度のことで情報統制と感じ、萎縮してしまうようなメディアなら、存在する意味はなく、中国や中東などの国家統制がある国で、ジャーナリズムを名乗る人間は、もっと高潔に、正しいことを報道する気概をもって任じています。この国のメディアには、程度で情報統制と感じる程度の人間ばかりがいるのかもしれません。

野田氏が財務省時代に承認した、公務員宿舎が話題です。総工費105億円、なぜこれがムダに見えるか? それは被災者を一時的に受け入れられるほど、公務員宿舎が余っている、という現状を国民が知るため、です。昨年の12月に着工なので震災前とはいえ、今から止めて、土地も売れば復興予算が出ます。増税前にムダ削減、というならまっ先に止めるべきであり、八ツ場ダムに代表される、公共事業に歯止めがかけられない野田政権、という形をここでも露呈してしまいました。
しかも公務員制度改革には、菅政権時代の小幅な見直し、つまり官僚主導でつくられた法案を再提出する意向を示すなど、まったく後ろ向きです。これでは増税に理解が得られず、政権は早晩行き詰まることが必定なのでしょう。国対による野党対応も含め、この政権は情報発信力が弱いことが、ここ数週間で表れていますが、国連出席に向けた勉強会が忙しいとはいえ、上記のことを国民に理解するよう説明するには、相当骨の折れる作業であり、法案を通すことに支障が出てくるはずです。

しかも輿石幹事長、前原政調会長の対立が、今の民主党の喫緊の重要案件なのかもしれません。野田氏は明確に、仕事の棲み分けをしていないようであり、これが野党対策、方向性の乏しいことにも繋がっている。それは新たな仕組みの構築に向け、あらゆる勢力が生存ゲームを繰り広げ、その中で均衡するまでは綱引きが続く、ということを意味します。野田政権は適材適所ではなく、適者生存なのかもしれません。これが速度を求められる復旧、復興時、政権の座にあることで遅れに繋がるようだと、批判が集中するのでしょう。さらに、この適者生存の結果出てきた形が、不完全内閣ではなく不健全内閣、と称されるようになると、極めて難しい政権運営に陥るのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年09月14日

ギリシャ破綻懸念の波及

国会では衆院で代表質問が行われました。内容に見るべき点はありませんが、新たに出てきた動きとして4次補正があります。国債の利回り低下による利払い費の低下、税収上振れ分などを含めて1、2兆円規模とされますが、3次補正さえ国会審議されていない段階で、しかも浮いた予算があれば3次補正で議論すれば良い話です。確かに歳入のタイミングは異なりますが、何次と分けるだけの手間がかかる分、経済効果も異なる、という点でみても、今回も極めて財務省的な判断を下しているのです。

欧州ソブリンリスクは、ギリシャ破綻の可能性をほぼ90%以上の確率まで押し上げています。独国では公然とギリシャのユーロ圏離脱、ドラクマ回帰案が出るなど、破綻した場合の路線についてまで話題になるほどです。ギリシャ破綻について、幾つか考えられるシナリオを考えてみます。
これまで欧州では債務削減率を50%とする案があり、現状65%以上と見込まれることから、金融機関に有利とみられていました。しかしギリシャ再建を考慮するなら、削減率は高い方が良く、ギリシャをユーロ圏から離脱させるか? でも変わりますが、大体60%程度になると想定されます。仏銀が格下げされていますが、株価下落で自己資本も下がり、かつドル調達に難渋する現状は、増資もしくは支援を必要とする水準です。欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の権限を強化し、ここが資金拠出を行うか? ECBか仏中銀が割当て増資を引き受ける形になると思われますが、その額もかなりの規模になるのでしょう。その規模次第で、イタリア、スペインなどへの波及度合いが決まります。

イタリアの5年債入札が不調だったように、利回りが拡大、現時点ですでに波及している形です。ECBが大量買入れした上で、今の水準はかなり問題があり、かつ効果がないことを示しています。しかもすでに膨らんでしまったバランスシートを、今更買い入れを止めて健全化することもできない。ギリシャ破綻ですぐ、ということはありませんが、ギリシャ破綻による景気下押し効果で、歳入計画が立たないこともあり、早晩波及はするのでしょう。五月雨的に危機が連鎖する形は、長期にわたる景気下押しを促すため、もっとも避けねばいけませんが、今は問題の数が多くなってしまったため、逆に同時に解決しようと動けば、恐慌を引き起こすほどの影響が出るのでしょう。
リーマンショックから3年、問題を先送りすることで、無難にまとめてきた世界が、先送りできない段階まで追い詰められてしまったのが今です。恐らく、ギリシャ破綻は一つのキッカケに過ぎず、それだけで金融破綻にはなりにくいものの、ポルトガル、スペイン、イタリアと次々にターゲット化されていけば、最終的には金融破綻懸念から取りつけ騒ぎが起き、それが金融破綻を引き起こすのでしょう。

残念ながら、市場は金融不安を織り込んでいるものの、恐慌は織り込んでいないのが現状です。リーマンショックは、消費が蒸発したとされましたが、今度の流れは国が蒸発し、新たな形の組織へと移行するのかもしれません。つまりユーロ圏でバッド・カントリーとして一くくりにされ、政治が実態をなくし、ECBまたはIMFの管理下に入ることです。現在、欧州ソブリンリスクは、ユーロ圏内で留まるとして、市場も動いていることが為替、銀行間取引からも見て取れます。ただし、これが景気下ぶれとして各国に波及することは間違いなく、そうした流れから世界は恐慌に至ると見ています。まだその底を浅くするだけの手腕は残されていますが、世界がそれに合意するとは思えず、問題の根を深くしてから破裂させるとするなら、今回の事態は世界が大きく変わる契機にもなるかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | 経済

2011年09月13日

野田首相による所信表明演説

仏国のマルクール原子力施設で起きた事故。極めて異例な状態です。核施設で使われた金属物は、放射化と呼ばれる放射線を出す状態になります。それを溶融する炉なので、当然放射性物質を内包しており、爆発・火災により重軽傷を負ったのですから、当然詳細なサーベイがなければ、被爆なしとは判断できないはずですが、あまりに『被爆なし』との報告が早かった。また原子力施設は、常に負圧にするためフィルターを通して換気します。これは目が細かく、火災の煙ですぐ目詰まりします。目詰まりすれば換気ができなくなる、それなのに『放射性物質の漏えいなし』は極めて早かった。
つまり、これらの報道は沈静化を図るため、詳細が明らかでないにも関わらず国が出した公算が強いのです。実際、被曝や漏えいがどの程度か? 本当にないのかは今後の検証次第でしょうが、フランス政府が『迅速に』対応したことで、逆に不審の根を深くしたと云えるのでしょう。

野田首相による所信表明演説が行われました。スジが悪いのは、原因の分析が正しくないのに「私はやります」と述べている点です。例えば労働力人口の減少で、若者、女性、高齢者、障害者の就業を促して全員参加型社会を目指す、と述べますが、今は高い失業率に悩む時代です。つまり社会保障などの収入面を考えれば、労働人口を増やすことは対策としてありますが、雇用対策についてはほとんど言及がありません。働く場をつくることが政府の仕事であり、そこを削除したのは、経産省などから具体策が上がらず、何を盛り込んで良いかわからなかった、という事情が透けて見えます。
しかも『新しい日本の開拓』という話を入れましたが、グローバル人材の育成、地域発展モデルの構築、周辺海域の開発、宇宙の開発・利用と数え上げましたが、項目の半分は国外の話です。何が足りないか? それは国外の閉塞感の脱却にふれていないこと。硬直化した日本社会を崩すため、何が必要かを語らないことです。日本はあまりに制度、業界・組織、様々な仕組みで流動性を失っており、これが若者のやる気を引き出せない原点です。頑張れば何とかできる社会ではない、それが高望みしない若者、低消費世代となっており、そうしたものへの解決策は一切示されていません。

既得権益者に配慮すれば、安定は得られます。それは旧態依然とした社会に、そのまま乗るだけだからです。しかし安定はしても希望は得られません。特に今は、日本社会が震災、原発事故で沈んだ状態であり、一先ず安定すれば良い、という状況ではないのです。復興も、そこまででとどまれば現状回帰であり、新しく何かを生み出せたわけではない。成長はしていないのです。
八ツ場ダムに関して国交省が「ダムが最も治水、利水に効果ある」とする試算を出しました。ただこれは使い物にはなりません。今回の台風12号レベルの降水量があったら? ダムの周りの山が土砂崩れを起こしたら? 震災で決壊したダムに対する検証は? 等に何も答えていません。国交省という、ダム推進団体のみが計画、立案してきた、この硬直化された状況が正しい試算を排除しているのであり、反対派も含めて検証・試算しなければこういう公共工事は絶対に進めてはいけないのです。

ドイツ人哲学者・ハイデッガーが50年前に著したエッセーを引用しておきます。
人間は原子力エネルギーによって生きていけず、逆に滅びていくだけだ。たとえ原子力が平和目的にのみ向けられたとしても、平和利用が人間のすべての目標設定と使命を規定するようになると、人間は自らの本質を失わねばならぬ。
『存在』について深く考察した彼は、平和を求めると人間の心は緩み、甘えや油断が生じることをすでに見抜いていたかのようです。甘えや油断は、今は公的機関において多く見られる問題です。それが今回の所信表明演説で随所に垣間見られたことは、野田氏は変革者ではなく継承者であり、この時代における真のリーダー足りうるか? については懐疑的に奈良ざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年09月12日

鉢呂経産相の後任は枝野前官房長官

仏国南部の原子力関連施設で爆発がありました。まだ詳細はわかりませんが、テロや放射性物質が漏えいした事実はないようです。ただ死者もでており、また施設内で放射線を浴びた作業員がいれば、それは被爆事故です。原子力施設は、どの国も厳重管理が徹底されているはずですが、事故があればそれぞれが甚大な影響を残します。それをまた、原発推進国でも意識されるのでしょう。

鉢呂前経産相の辞任について、今日も色々なことが出ています。時系列的にみると、「死のまち」発言が出た後、「放射能つける」発言が出たかのようですが、実際、後者はその一日前のオフレコの記者懇で出たことです。各社に報道の違いが見られることから、記録は何もない。しかも一日前にはそれが問題視されるとは、記者の誰も考えていなかった、ということが分かっています。
鉢呂氏を擁護するつもりは一切ありません。ただ、被災者の心情を…とメディアが語ることには違和感をもちます。記者が被災者の心情を無視して取材したり、報道として流したり、は頻繁にあることです。しかも、記事の信ぴょう性は前述のように、各社のうろ覚えな内容からも、推測に基づく部分が多いと云えます。つまり不正確な記事を各社は流した、ということです。
フジテレビのニュース報道が「放射能つける」のニュースバリュー拡大の契機、ともされますが、速報でも確報でもなく、流したというのが一連の顛末を象徴するのでしょう。また、国対の時代と、番記者までつく閣僚と、記者の付き合い方を同一視する向きもありますが、それは大きく異なります。番記者は閣僚と仲良くなり、オフレコでのスクープ記事をとることで手腕を評価されるため、阿り、謙りで閣僚と親密になろうとする。そこでおフザケがあり、類似の発言があったものだと推測できるのです。これも前後の文脈、状況がわからないと判然としませんが、一部の言葉だけを切取って問題が拡大した。鉢呂氏の甘さもありますが、まさに言葉狩り、で閣僚を辞任に追い込んだのです。

枝野前官房長官が、経産相に就任しました。これの何が問題か? それは原発事故の検証を進めている段階で、当事者が閣僚であること、です。つまり細野氏にしろ、仮に情報隠しが行われていた、と認定された場合、現職の閣僚が責任を問われることになります。細野氏は菅政権からの引継ぎなので、責任のとり方は明白ですが、枝野氏は現職の経産相としての仕事ぶりに関わらず、幕引きを図らなければならなくなります。つまり検証作業に、負のバイアスをかけられた、ということです。
ソツのない応答、とも評価されますが、枝野氏の答弁には心が感じられません。論理的に整合がつくよう、気を配っているために、情緒的な部分に訴えるものはない。しかも手腕としては、幹事長時代の参院大敗にみられるように、実務型ではない。官僚の統制が効きにくいことは官房長官時代の、情報隠しでも明らかですが、結果的にウソとばれても、その時に真実を立証できるよう議論を誘導することからも、言い方を変えれば、この人物の言に信は置けない、とも云えます。

先に指摘したように、検証委員会にいらぬプレッシャーがかかったことはマイナスですが、それ以上に今回の一連の動きで、野田氏があっさりと謝罪したことは驚きです。報道側の検証をすれば、記者懇などの記者クラブに与えられた権限の見直し、もできたことです。つまり枝野氏のような、記者とも上手く付き合う人材を充てたことで、新聞記事は絶対正しく、今回の件も検証はしないと述べたようなものです。野田政権は融和型ですが、それは記者クラブとて同様、とみなされる公算が強く、それは既得権益擁護者、というイメージに結びつきます。結果的に今回の一連の騒動、単に経産相が交代した、ということ以上に、野田政権が失ったものの大きさを後で感じることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年09月11日

雑感。原発事故から半年

鉢呂経産相の辞任について、少し考えたことがあります。それは「死のまち」発言のみで『辞任やむ無し』の論調をとったメディアがいたこと、これは国民の間でも「何が問題か?」今ひとつピンと来ていない人が多い、と思います。恐らくこうした意識の乖離には、原発推進者とそれ以外、という明確な線引きができるのであり、原発推進者にとってみれば「死のまち」=「核戦争後の世界」をイメージさせ、到底容認できない、ということになるのでしょう。
しかし廃墟となった町に、野生化した動物たちが走り回る姿は、まさに「死のまち」であり、ふるさとをそう表現されることはイヤでしょうが、しかしこれは紛れもない事実です。原発推進のメディアは、「原発ゼロ」を打ち上げた経産相を吊るし上げ、意気軒高に退任会見で暴論を吐きまくった、ということなのかもしれません。そうであれば「放射能つけちゃうぞ」発言をされた記者は、自ら名乗り出てその状況を説明する必要が生じるのでしょう。検証は、記者懇のメンバー側も必要であり、双方向で検証されることにより、物事を正しく判断することができるのでしょう。
震災から半年が経過しました。いつ原発で避難している住民が地元に戻れるのか? と語る記事もありますが、まだ原子炉建屋は崩壊しており、管理区域とそれ以外を区別できていないのです。逆にみれば、ゆっくりと、まだ福島原発からは放射性物質が漏えいしているのであり、戻る、戻らない、の議論は建屋を覆うカバーがとりつけられてから、です。つまり例え除染しても、土壌に付着した放射性物質が巻き上げられることを除いて、新しい漏えいがある状態では、しばらく経てば元の状態に戻っていきます。線量が安定的に低下する状態になってから、安全対策は始まります。
汚染水は、処理施設が稼働したことで安定していますが、一時に比べ海洋汚染の話題が減っています。ただこれも、コンクリの割れ目から汚染水が漏れていないのか? 海に潜って全体の線量を確認しない限り、実は確かなことが言えません。大気に流れた汚染源はSPEEDIでシミュレーションできますが、海洋は潮目の変化や水面と水底の違い、塩分濃度、等によっても変わるので、流体としては三次元的であり、極めて難しいのでしょう。すぐ沈底するという話もありましたが、漂う砂粒に付着したらどうなるのか? まだまだ分からないことばかり、と云えるのです。

中京大・武田教授により「東北の野菜、健康を害する」発言がありました。放射性物質の取り込みはないに越したことがなく、政府の暫定基準が信用できない以上、これは正しいのでしょう。週末、枝野前官房長官がテレビにでて発言していましたが、情報隠蔽に関して、官僚に問い質す間に時間がかかった旨の発言をしていますが、であればその官僚は情報を出し渋った、その責任を問われるか、説明をする必要があります。菅政権ではそうしたものがなく、また官僚も処分していないため、いくらこういう状況でした、と説明しても無意味であり、結果に責任をもってはいません。
冬も節電対策を…と述べる人もいますが、間違いなく云えるのは、節電をしなくても電力供給料は足りている、ということです。冬は定期検査に入る原発が多く、その分電力供給は下がっていました。火力を稼働させ、安定している今の状況を冬も続けたとて、何の支障もありません。原発ムラが再稼働にむけ、色々と仕掛けも増えていますが、云えることはストレステストを電力会社に任せて運用していては、甘い査定であるとの疑いを晴らせません。欧州金融機関が二度のストレステストでもリスクを意識される、それらも査定の甘さ、運用面の問題があるのであり、原発のストレステストも同様の懸念を抱えています。少なくとも、原発再稼働の話も建屋に覆いをつくってから、それからと考えても良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2011年09月10日

ECB専務理事の辞任とG7

鉢呂経産相が辞任です。「死のまち」に続き「放射能つけちゃうぞ」の責任をとる形です。先の言葉は配慮不足、後者は悪ふざけ、大臣の資質には欠けるでしょうが、何やら狙い撃ちされた感もあります。鉢呂氏は旧社会党系で、横路グループであることからも敵は少ないと見られますが、農水族でありTPPには慎重。海江田前経産相から比べれば後退、との印象を与えます。この辺に敵を見出すことができそうですが、財界からも不安視されるような人事であり、無難とみた野田首相の判断に疑問符を突きつける形になったことからも、本当に4日間なのか? 国会は冒頭から波乱含みの様相です。

昨晩、ECBのシュタルク専務理事が突然辞任、これが市場を不安視させました。メディアに寄せた文によると、ECBが8月4日に決定した国債買入れに対する抗議、という見方が妥当のようです。ここ二十年近くは国家破綻、という事態に陥ることがないため、もうそれは起こらないという前提にたつことも多いですが、百年単位に広げれば、国家破綻はかなりの確率で起きていることが分かります。
ソ連崩壊で危機的状態だったロシア、ハイパーインフレを起こしたブラジル、IMFの介入をうけた韓国など、今みるとあれ? という名前が並びます。つまりこれらの国は一旦破綻し、外部から改革を促されたことにより成功した例です。しかし今、欧州財政不安はあくまで政府の対策に任せ、IMF、ECBなどは国債買入れや、資金援助のみで積極的な介入はしていません。これが次のリスクをセットしているのであり、シュタルク理事の行動は、今後の評価として正しいと認識されるでしょう。

G7(財務相・中央銀行総裁会議)が開催されました。画期的な部分は各国に共通の解決策はない、と認めたことであり、緊縮財政 対 成長ではないと述べている点です。つまり協調も、協力もないものの経済の不安定化に対して、断固たる意思をもつ、という共通認識に今後のG7は軸足を移すことをこれは意味しています。世界の何か一つが壊れたら、経済に大打撃を与えますが、もうすでに国際的な協力はできない、各国が独自に対応せよ。これがそのメッセージの受けとり方です。
安住財務相は「為替の投機的な動きには断固たる措置」を訴えましたが、昨晩のユーロ安/円高の急激な動きは放置しました。こうした一貫性のなさが日本の弱点であり、ドルペッグに過ぎないではないか、と見られる点です。原油などドル決済が多いことも事実なので、否定する気はありませんが、投機という言葉を使って理解を求めても、国際社会はそう見てはくれません。円高対策であれば、ドル以外でもユーロを監視する必要があり、また人民元ではそれほど変動がないことを見ても分かるように、必ずしも日本は円高ではないのです。今はドル安、ユーロ安なのですから、それを日本が何とかしよう、と発言しても国際会議の場で、見向きもされないのは当然と云えるでしょう。

悪いことを云えば、ほぼ90%後半ぐらいの確率で世界恐慌は起きてしまうでしょう。残り数%回避できる可能性があるとすれば、英雄的な指導者が現れ、世界を良い方向に導いてくれること、ぐらいかもしれません。そして、破綻した後で回復する、というシナリオであれば、十年後ぐらいにどの程度戻りを試せるか? を想定しても良いのでしょう。ただこのままでは、確実に一度は恐慌が起きることを織り込まねばならず、その懸念はG7でも解消されませんでした。G20も控えていますが、国際会議でも『協調』が盛り込まれなくなった、これが現状認識として共有すべきこと、なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2011年09月09日

雑感。野田政権の閣僚絡みで幾つか

オバマ米大統領の演説、所得税12.4%を労使折半して納めていますが、それぞれ半分にする。公共事業を増やす、地方州政府に対する補助金などで、総額4470億$規模の景気・雇用対策を提案しました。しかし財政赤字は増やさない、とも述べており、歳出の組み替えと一部は高額所得者への課税で賄う、としていることから議会では相当もめそうです。米共和党は、オバマ氏に得点を与える必要はなく、議会で調整を経るうちに規模は縮小され、効果も限られることになるでしょう。

日本では国会開会に向けて与野党がもめています。通常、所信表明演説と反対演説、それに予算委員会を衆参で開き、最低でも一週間程度は行うところを、民主党が4日、予算委さえ開かない提案をしたためです。しかも平野国対が短い会期の理由を「態勢が不十分」と述べ、国会を閉じた後で予算委だけ開く、と提案したため、さらに問題がこじれる形になっています。
昨日の前原政調会長、タバコ増税の小宮山厚労相、辞めた後でインタビューに応じてぺらぺら喋る菅前首相と枝野前官房長官など、口が軽いのと同時に、自己正当化が激しいのが特徴です。職責に応じて云って良いこと、悪いことを正しく精査できない。少なくとも社会人として教育を受けていないのでは? そう思わせる事態であり、能力以前に人間性を疑わせます。後に続く者の苦労や、周りに迷惑をかけるということまで気が回らない、話を聞いてくれる人がいると、ついつい見聞きしてきたことを喋ってしまう。ここで名前を挙げた方は全員、小さな子供に見えてしまいます。

前原氏が暴力団絡みの写真、と某週刊誌に出ています。鉢呂経産相の「死のまち」発言はすでに謝罪しており、また配慮不足というだけなので大したことありませんが、前原氏の方はテレビ業界を揺さぶる『紳助問題』とも絡むので、対応が注目されます。予てより悪い噂はありましたし、ただ一緒の写真、というだけであれば問題ありませんが、親密ぶりが出てくると外国人献金と同じようなインパクトが出ます。前原氏は注目度が高く、かつ脇が甘いという致命的な問題を抱えており、この人物が首相になる日はないのでしょう。清廉さを売りにすると、ネガティブがより打撃となります。
週末にはG7(財務相・中央銀行総裁会議)が開かれます。日本は円高対策に各国の合意をとりつけたい意向ですが、はっきり云えば愚です。円高対策を打つから各国から総スカン、ECB総裁には「スイスと日本は違う」とまで云われてしまいます。ですが、これが国内のデフレ対策なら各国に文句を云われる筋合いはありません。ここで各国の顔色を伺い、しかも借りを作れば後に要求を飲まなければいけない、そんな場面も出てくるでしょう。安住財務相は最初から間違いを犯しています。

しかも安住氏はテレビでJT株、郵政株など、国保有の資産売却に言及しています。政権成立の影の立役者を自認する細川元首相が、野田氏に対して「福祉税と同じ轍を踏むな。増税より歳出削減が先」とアドバイスしたそうですが、もう一つ付言すれば「資産売却より歳出削減が先」です。株は変動も大きいリスク資産ですが、配当という税外収入をもたらします。しかも今処分すると、売却益は低くなり、かつ市場下落圧力が強まる恐れすら出てくるため、景気にはマイナスです。
資産売却は、法律一本通せば達成できるものがほとんどです。逆に云えば、臨時の財源として活用が可能であり、震災から半年も経って、やっと手をつけるようなものではありません。むしろ歳出削減改革をどう達成するか? それは月末に出てくる概算要求とも絡み、重要な判断が必要ということでもあります。震災復興は1年で終わらず、安定財源をつくる必要があり、それは既存の歳出をどう圧縮し、捻出できるか? でもあります。野田政権は各閣僚、党執行部に大きな問題を抱えており、しかも官僚に頼らなければ何も動けない、という点も含め、足かせばかりが目立つのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年09月08日

前原政調会長の米国講演

なでしこJAPANがロンドン五輪出場を決めました。もっとも懸念されたのは、最終戦の中国までもつれると、露骨な嫌がらせが増えるということです。中国が豪州に破れ、中国とて可能性がないわけではありませんが、北朝鮮の最終戦がタイ、ということでほぼ日本、北朝鮮で決まりなのでしょうね。

最近、前原氏の動向に注目が集まっています。ワシントンで開催された日米同盟に関するシンポジウムで講演し、耳を覆うばかりの拙い英語を披露しました。その中で、武器輸出三原則の見直し、海外派遣時の武器使用基準の緩和、について言及しました。前者は米国が研究開発費を削減する中、日本との共同開発が増え、それが日本側の制約で輸出できないことを見直す動きです。現状、日本が武器輸出をできる環境ではないため、この利益は米国にとってのみ有利な提案です。
後者はアフガン撤退、ソマリア沖の海賊対策まで米国が抱えている軍事上の問題を、日本が肩代わりする提案であり、さすがは米追従政治家といったところ。まず行うべきは、最近増えている中国潜水艦の領海侵犯、それに中国偵察機が領空侵犯する事例に対し、自衛隊がどう対応するかの明確なルール作りです。国内、領空、領海の武器使用さえ曖昧な中で、海外派遣時の武器使用を認めれば、それは指揮権を放棄して他国に自衛隊を委ねる、ということに他なりません。自国で武器使用が認められない軍隊が、他国の領土でのみ武器使用を認めれば、それこそ不審の目で見られるでしょう。

しかも前原氏は米国務省にて「TPP参加の是非を早く結論を出す」と伝えました。これは党内、政府で調整されたことではなく、私見といった類でしょうが、またも八ツ場ダムと同じ失敗を繰り返しそうです。政調会長の職責で、国際的な交渉ごとに口を出せるはずもないので、リップサービスだとしても過大な期待を与えた責任は、十分にあります。これで結論を出せなければ、野田氏の責任に押し付けてまた逃げだすつもりでしょう。前原氏は一貫して、こうした態度が目立ちます。
米外交公電で、2010年2月8日キャンベル国務次官補に対して、前原氏の発言はさらに驚愕です。普天間問題は北沢防衛相が決定権を握る。社民、国民新に口出しさせない。小沢元代表は相手によって発言を変えるから気をつけろ。当時は沖縄開発担当、という立場で普天間に関わっており、その中での発言だけに重みがあります。そしれその重さは、彼の軽さ、という評価に繋がります。まるで小さな子供が、見聞きしたことを一生懸命相手に向かってしゃべる、そんな姿しか想像できません。

最近、読売新聞が米国プロパガンダを丁寧に、日本国内に喧伝しています。どうやら野田政権は親米的、とみて『米政府はコロコロ代わる政権にうんざり』という記事を盛んに載せます。しかし、仮に反米政権ができれば、同じように米政府は『うんざり』するので、これは米国にとって都合良いかどうか、という判断基準に基づくだけで、日本にとって必要なことは何も評価していません。政権をコロコロ変えるな、と言っていた頃の論調を、米国に名を借りて行なっているのみです。
米国が強い国であった頃は、米追従を決め込んでおけば、そこそこ発展もしたでしょう。しかし今後は米国がNo.1の座から滑り落ち、それに日本が巻きこまれるかの瀬戸際です。米追従だけでは到底生き残れないことが明白なのです。読売は二つも『売』が入ることを嫌い、旧字の『讀』を使っていますが、この右は『述べる』や『育てる』を意味しています。米国に心を売り渡す国民を育てるよう仕向け、情報操作をするのなら読売新聞が国民から『うんざり』されることになるのでしょうね。

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2011年09月07日

スイス国立銀行による無制限介入

スイス国立銀行(SNB)が昨晩、スイスフランを1.20ユーロに固定する無制限介入を宣言し、市場に動揺が走っています。フランは急落、円も対ドル、対ユーロに対して下落、金相場も1トロイオンス1920$から1860$に下落、株式は英国が上昇、それ以外の国は小幅下落、特に米国は大幅下落が警戒されていたものの、小幅にとどまりました。この件は、後に大きな変動要因になりかねないものです。
SNBが認めているように、高いコストを支払いつつ国内経済を保護する、これが表向きの理由です。スイスは大規模な為替介入に失敗、フラン高が続き、国内はデフレに陥るなど景気に懸念が広がっていました。背景には、ゴールドマンサックス証券(GS)が大口顧客に向けたリポートでも、フラン買いを推奨するなど、金融機関が下落相場に強いとして円、フランなど特定通貨を推奨する流れがあり、大量の資金が流れ込んでいることです。恐らく、今回の対策はフランの先安期待をみせることで、そうした投資資金の流れを絶つ目的があり、金額よりもマインドの変化を狙ったものです。

つまり巨額のフラン売りの原資に、紙幣増刷があれば国内がインフレになり、フラン買いの根拠が失われます。ただし、行き過ぎればハイパーインフレですし、外貨準備として蓄える意図はないでしょうから、期間も限定されるでしょう。私見ですが、このタイミングでSNBが踏み切った背景には、ユーロ不安がここから加速する、その逃避先にフランを買われては堪らない。固定、無制限、という強い態度にでたのも、短期勝負との思惑があるのでは? そう考えています。
そんな中、日銀が政策決定会合を行いました。9月20、21日に行われる米FOMCを待ちたい、として対策は何もなし。日銀は対GDP比でマネタリーベースが24.6%に達し、FRBの17.4%やECBの11.5%を上回る、として緩和が不足している、との批判に応えました。しかしマネタリーベースで高い伸びを示すのは、当座預金残高の前年同月比79.4%増です。日銀券発行高は2.7%増、貨幣流通高は横ばいなので、ほぼ当座預金残高が占めているのです。これは幾つかの要因が考えられますが、高い国債保有率もあって、金融機関が応じやすい反面、貸出が伸びていないことからも市場に流通している資金は少ない、と判断できます。つまり日銀が胸を張って自慢できるような効果はないのです。

このことはマネーサプライからも判断できます。M1が高い伸びを維持しており、4〜5%です。これは現金と普通預金を合わせた数字ですので、恐らく震災以降、手元資金を確保しておく動きが活発化、企業は資金を確保し、個人はファンドの解約などで普通預金の残高が拡大したものでしょう。これは、日本では資金が目詰まりしており、必要なところに行き渡らず、個人消費も活発化しない。いざ、というときに備えるだけで、対策が滞っていることを意味しています。
SNBの行動は、中国の人民元相場を是認する動きですし、欧米は認め難いところがあります。一方、これを日本で導入できるか? まずムリでしょう。スイスは取引がユーロ偏重なので、ユーロに固定できますが、日本は円建が増えてきたものの、未だに各国と広範な取引をしており、一つの通貨に固定するのはほぼ不可能です。ただし、フラン相場の固定化により、アルゴリズム取引の一部が相場の転換点と判断し、円まで売ってきたのは好機でした。つまり、今は各国の相場と連動させる。予測変換システムが活況であり、どこかの変動はリスクのOn、Offを図る上での指標となっています。

9月SQに向け、思惑も走りやすいタイミングですが、スイスの試みが長期化すれば、逆にリスクOffの動きが活発化、売りが出やすくなるでしょう。たかだか800万人しか国民がいないスイスが、4億人のユーロ圏に対抗するのですから、当然ムリがあります。長期化が数ヶ月ではなく、数日から二、三週間ということを考えると、今回の動きは警戒をもって注視しておいた方が良いのでしょうね。

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2011年09月06日

原発コストと海外からの賠償請求の動き?

日経平均が年初来安値です。欧米で再び懸念が広がっており、仕方ない面もありますが、市場は野田内閣をまったく支持していない、ことの現れです。なぜなら景気浮揚策がまったくない、これだけでも珍しいことですが、野田氏が訓示で「ポピュリズムに陥り、つらいことを先送り…」と述べて増税に前向きである一方、官僚にとってつらいことは全て先送りする姿勢を鮮明にするため、極めて悪い形の政権になりそうだ、と読んでいることもあります。
ポピュリズムを衆愚政治と捉えるか、民主主義の一形態と捉えるか、でも変わりますが、少なくとも公務員や政治家の「つらいことを先送り」しておきながら、国民だけにつらさを押し付けるなら、政権に評価できる点はないのでしょう。次官会議の復活、この一事をみても、野田政権は政治主導の旗を下ろし、官僚にとって『都合よし彦クン』となったことを示すのでしょうね。

日本エネルギー経済研究所が発電コストとして1kW時、火力10.2円、原子力7.2円と試算しました。経産省所管の財団法人が、原発礼賛のために出した試算であり、信用はできません。再処理、廃炉、いずれも電力会社の積立をベースとしており、しかも福島原発の事故は含まれていません。しかもこの原発コスト、原発立地地域への交付金は、行政側の支出として組み入れておらず、しかも廃棄物の地下埋設費用さえ、将来のコストとして見込んでいないため、まったく不足しています。
政府の第三者委員会、東電の資産・経営状況を調べる「経営・財務調査委員会」が、総括原価方式について、過去に実際にかかったコストより、総原価が上回る状態だった、と指摘しています。とり過ぎ、ということですが、原価の中に含まれている人件費は、全産業中で電力業界はトップクラスであり、人件費を下げれば電力料金を下げられます。つまり二重、三重にとり過ぎ、という指摘ができるのです。今回、東電管内で電力に余裕が生じたのも、東電が普段使う必要のない火力発電所を大量に抱えていたためであり、これらの維持、管理コストさえ平時では無駄だったのです。

東電から、打診的に料金値上げの話が出ています。KYボーナスという話がありますが、過去のとり過ぎ電気料金が真実なら、大口需要家などから、賠償請求されかねない事態です。福島に中間貯蔵施設という話がありますが、これとて東電が負担すべきであり、用地も福島原発の敷地内に設けることが唯一の解決策なのでしょう。原発の敷地は、法律で緑化することが求められており、その法律さえ外せば、広い敷地に大型の施設は確保できるのであり、管理も含めて東電が負うべきなのです。
最後に、東電が放出した海水への汚染水に関して、中ロが賠償請求する話が出ています。意図的に流したことが問題、とされますが、意図的に放射性物質を撒いたことなど、世界で事例はたくさんあります。特に、米軍がイラクで使用した劣化ウラン弾など、米軍兵士やイラク国民を大量被爆させており、米国は認めていませんが、線量を図れば容易に被害総額は算出できます。

地上核実験、低レベル廃棄物を海洋投棄したイギリス、未だに汚染水が漏れている施設がある、ともされています。中ロは多額の賠償を仕掛け、それをテコに領土問題を解決しよう、という小賢しい計画があるのかもしれませんが、薮をつつくと出てくるものはヘビ以上のものです。つまり放射性物質の漏えい、ということを罪にするなら、過失にしろ故意にしろ、国際的な訴訟ラッシュが始まり、その対象国は中ロとて同様となるのです。まずないとは思いますが、各国の情報収集と分析は進めておくべきであり、原子力の発電コストに疑わしい額を算出する前に、やるべきことをやっておかないと、なってみて始めて慌てるでは、政府の対応としては落第になってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2011年09月05日

野田内閣の人事が出そろう

台風12号が大きな爪痕を残しました。1年分の3分の2を1週間で降らせた雨、ダムが防災に機能しないことが今回でも明らかです。そして1次、2次で予備の財源を使っているため、震災の復興ばかりでなく、台風被害による復旧も補正に含めないと、ままならないということになります。この台風被害の真下、中央官庁で引継ぎなどをやっている場合か? 確かに、一義的には地方自治体の仕事とはいえ、復旧は政府の仕事もあるのですから、少なくとも臨戦態勢でなければならないはずです。

野田内閣の支持率が各社から出ました。70台前半から50台前半まで、この差は菅内閣を最後まで支持したメディアほど低いことからも、ネガティブ面を取り除いたことによるもの、と判断できます。つまり退陣表明から3ヶ月分粘ったことの効能であり、決して政策を支持されていないことは、各社の支持する理由、という項目でも明らかです。人柄が評価されている部分もありますが、これは政権発足当時は、ポジティブ報道が多いことからくる、一過性のものでもあるのでしょう。
副大臣、政務官、党人事なども決定し、野田内閣が正式に動き出します。気になるのが政調会長代行に仙谷氏がついたこと。これで党政調が前原グループに、完璧に掌握されました。違和感があるのは代表選時、前原氏の出馬で相当苦しかったのが野田陣営のはずです。決選投票で支持してくれた、というだけで党政調に強い権限を与え、剰え前原グループに全権を譲り渡す材料足り得ないのです。背景には、前原氏が野田氏に三行半をつきつけ、自身が出馬に踏み切った、という巷間語られることとは異なり、前原氏出馬が野田氏から仙谷色を消す目的だったのでは? ということです。

しかも、税調会長に元財務相の藤井氏が就任します。野田氏の首相就任に、財務官僚が暗躍していたという話もありますが、これで増税シフトは完璧です。菅氏が就けば露骨ですが、藤井氏なら重鎮としても、増税色が薄い面もあって好感されます。ただし、財務省色が党税調にも明確に漂うようになり、次の衆院選は増税同士の与野党対決となり、国民の選択肢がそれ以外ない、となります。
野田氏が財務官僚のかいた答弁書をそのまま読んだように、安住氏のここ数日の発言は、財務省の言葉になっていました。野田氏は財務省内で「使い勝手よし彦クン」と呼ばれたそうですが、安住氏は「従順(淳)クン」と呼ばれそうです。デフレ対策ではなく、円高対策に言及するなど、まさにデフレ解消に知恵のない財務官僚が、見た目の実績にこだわり円高を標的にする、という態度そのものです。原因ではなく、結果に手を加えても改善しないのは、火を見るより明らかです。

小宮山厚労相によるタバコ増税発言は、財務官僚の神経を逆撫でするでしょう。今は笑い話でも、財務省所管の税制に、他省が口をはさむことは、後のネガキャンを産みそうです。さらに、予算委員長に中井氏が再任されましたが、菅政権時代から問題が多く、与野党融和路線とは若干異にする内容です。様々な勢力に目配せする余り、勢力同士がぶつかると、実は野田政権の融和路線は脆いとさえ云えるのでしょう。「使い勝手よし彦」クンの、使い勝手が悪くなれば、使い捨てられるだけです。「何もしなくてよし彦」クンになる前に、力関係を整理しておかないと、極めて危険な政権運営にならざるを得ない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年09月04日

中国の建設と裏金融

中国企業が、アイスランドの0.3%もの土地を購入し、一大レジャー施設を建設する計画が持ち上がり、話題になっています。アイスランドは高い金利を狙って海外の預金が流入、高い経済成長を成し遂げたものの、サブプライムローン問題以後、資金が逆流して一気に経済が悪化した経緯があります。しかもこの企業はそれほど大きくないにも関わらず、巨額投資をしたことで、欧州大陸から離れた土地に、大西洋を監視する一大拠点を築くつもりか? と話が広がっています。
この企業はリゾート建設としますが、背景には軍事施設より、中国人の移住計画があるのでは? と想定されます。急速にすすむ高齢化、それを中国国内で養うのは厳しいですし、元々中国は南部の湿地と、山岳地帯もあって、住める土地は少ないとされています。中国が国外に人を送り込むのは今に始まったことではありませんが、職付きで土地の確保は国家事業で動いているのでしょう。

しかも、最近中国で問題視されるのが、裏金融機関の存在です。中国では高いインフレにより、金融引き締めが行われています。そこで、金融機関は迂回融資、つまり正規の融資先であるトンネル企業をつくり、そこから別の企業に融資されている、という話です。金融機関のバランスシート上、健全とされる貸付企業が、ある日突然不健全企業になれば、金融機関に大打撃となります。
しかも、これは規制を逃れているため、当局がその実態を把握しにくく、政策効果を低くしているために、過剰規制になって初めて効果が出る、と負の効果を強めてしまいそうです。中国では、鉄道建設にブレーキがかかっていますが、建設局の高い債務、事故による信用低下もありますが、こうした裏金融機関でもさすがに警戒を強め始めた、そんな背景も透けて見えます。


昨日は欧米の金融機関に、警戒を強めている話をしましたが、中国とてこの裏金融の仕組みが破綻すれば、銀行の債務に影響します。これまで中国当局の規制に対し、一向に改善がみられないインフレに、この背景が大きく影響しているとすれば、サブプライムローン問題以上となるのでしょう。
北朝鮮でも、平壌で建設ラッシュです。それは来年の故金日成生誕100周年にむけた記念事業、ともされますが、経済対策ではない点が重要です。労働対価が正当に払われたり、物資を国内で調達できたりすれば、それは景気対策になるのでしょうが、金正日氏の訪中、訪露の背景が支援の要請である場合、これは単に国民を苦しめる悪政となるのでしょう。公共工事は、雇用を生む反面、政府支出を伴うものです。北朝鮮に今、その余裕があるとは到底思えません。
そして中国も、バブルがより深化している懸念があり、裏金融の問題に手をつければ、国内外の建設ラッシュ、投資資金が一気に停滞する恐れがあるのでしょう。アイスランドにしろ、中国に買われることそのものより、それで資金の流れに増減ができ、国の経済に影響することを懸念すべきであり、軍事施設などを作れば国際的に問題視されるのですから、こうした投資話には注意が必要です。アジアでも広がる第二のリーマンショック懸念、早めに問題解決をした方が傷も少なくて済みますが、今の世界にそれを受け入れられるほど余裕ある国はない、という点で厄介なのでしょうね。




analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2011年09月03日

経済の話。米国の8月雇用統計と金融機関

昨日の男子、北朝鮮戦に続き、女子も韓国戦に勝利しました。サッカーはいい流れが続いていますが、海外から聞こえてくる経済は、非常に悪い流れです。8月米雇用統計が民間部門雇用者数が17000人増、政府部門雇用者数が17000人減、で増減なし。予想は75000人増なので届かなかったばかりか、平均週間労働時間も減少、時間当たり賃金も低下、と賃金デフレが深刻な状態です。
消費者マインドの低下が数字になって示された形ですが、米国では『QE3期待』があります。ただし、現状で市場にそれほど大きな期待があるとは、到底思えません。米の債券相場は不安と楽観にの間で乱交下しており、株式とのシーソーをしているだけです。QE3期待があるなら、もっと金利はどちらかに傾いてもおかしくありません。米財政を懸念すれば売り、米景気を不安視しても安全資産を求めるなら買い、そのどちらでもないのは、QE3に対する負の面を測りかねているためでもあります。

一方でツイストオペの期待が高まり、これは短期債から長期債へと、FRBが借り換えを行うというもの。金融機関の資金調達コストが上がっているように、短めの金利を低下させれば金融機関には有利ですが、長めの金利を低下させると、企業や個人の資金調達が容易となります。米国では金融機関に厳しい態度が続きます。サブプライムローンの組成に関し、2000億$の賠償を大手金融機関を中心に、米連邦住宅金融局(FHFA)が提訴しました。今更…ですが、先送りできないと当局が焦り始めている証拠であり、それはバンカメの破綻リスクを米当局が織り込んでいる証拠と見ています。
第二のリーマン・ショック? それを恐れて当局も動き出しています。WSJが報じたところでは、急激な変動に対する措置の検討を、FRBがバンカメに要請したとのこと。バンカメは健全行とされてきましたが、メリルリンチ吸収などの投資銀行部門が重石となっており、懸念が広がっています。逆に、バンカメが破綻すれば米国は1400億$も税金を投下し、この不動産ローンの補填に費やしてきたものがすべて失われた挙句、さらなる負担を強いられることになります。公的資金を完済し、経営陣に巨額の報酬を出すぐらいなら、今のうちに取り立ててしまおうということかもしれません。

悪いときに悪いことは重なり、欧州ではギリシャの第二弾支援は合意したものの、次回支援に向けたIMF、EUとギリシャとの協議が決裂、9月半ばに再開の見通しです。ギリシャ支援が頓挫すれば、欧州の金融機関が不安にさらされます。第二のリーマン・ショックが、欧米のどこで起きてもおかしくない状況であり、月末ドレッシング程度の買いでは、この当たりが限界とも云えるのでしょう。
米国では、8日にオバマ大統領が経済、雇用対策を打ち出します。在り来たりな公共工事に頼る公算が高く、雇用者数を増加した企業に減税などの恩典を与えるのでは? とみられます。逆に、日本はこのオバマ対策を受けて、似たような施策を打ち出すことも、検討しておいた方が良いのでしょう。つまり鉢呂経産相では経済政策が心許ないので、米国を手本にして景気対策を考える必要があります。

日本でもやっと、日本は高金利? という指摘が増え始めました。デフレ環境では、金利がゼロでも実質的には高い金利を払っていることになります。お金の価値が上がっているので、同じ金額を払っても負担割合は上がっているのです。日本の元凶は円高ではなく、間違いなくデフレです。円高ばかりを指摘し、肝心のデフレを是正する策は、政府の誰からも聞かれません。打つ手がないなら、本当にオバマ政策を丸呑みするぐらいしかないのかもしれません。実務とされるものの中に、経済の専門家はいない。経済分野に実務は有り得ない点で、この政権は景気に不安を残すのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(4)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年09月02日

野田内閣について

野田内閣の顔ぶれが決まりました。一言で表現すると『恩故知新内閣』。古い人に恩を売り、自分に近い若い人を、顔見世で閣僚にしたという意味です。一方で鳩山グループは冷遇、これは鳩山政権で閣僚になれず、副大臣にとどまった恨みと見られます。決選投票までした海江田氏を入閣させていないことからも、政策の方向性が異なるとはいえ、この辺にこだわりが見られるのでしょう。

実務型とされますが、これは留任、副大臣からの持ち上がり、官僚出身者で固めたことが影響していますが、うがった見方をすれば鳩山―菅政権は失敗と評されており、実績型ではないと云えます。つまりこの布陣、官僚に頼らないと何もできない内閣です。それは安住財務相、玄葉外相に端的に現れています。財務経験も、外交手腕もない二人を重要ポストに起用すれば、内外の目が厳しくなり、実務をまとめるには官僚に頼らざるを得ない。両閣僚は国際会議も多いのですが、一言で云えば役不足で、本来このポストは外に睨みの利く人物でなければなりません。
さらに気になるのが防衛、国家公安に小沢系、戦略担当、厚労に仙谷系という奇妙さです。前者は仕事も少ないだろうと軽視し、後者を官僚系のとりまとめとして、仙谷氏の院政に委ねるつもりか? しかも法務がまたもリベラルの平野氏。これは批判を受けるかもしれません。経産相の鉢呂氏も寡聞にして経済政策を存じませんが、東電問題をどう捌くか? 電力問題は? 次世代エネルギーは? なども含め、閣僚に頼らなければ何も動けないのでしょう。残念ながら、実務はむしろ官僚の役目に担われているのであり、次官会議が復活すれば、それはもう確実に先祖返りです。

藤村官房長官を含め、超軽量級内閣―。泥にまみれるどころか、閣僚はぷかぷかと水面に浮かび、水底では誰が糸を引いているのか? 野田氏は党政調を重視する意向を示しているので、益々裏の思惑が走りやすくなり、軽量級でありながらフットワークも軽く、国会運営をするのは難しくなる。
そんな中、野党との会談自民、公明と個別に会うなどの曲球も投げています。民公連立とも囁かれますが、与野党協議機関を設け、公明をテコに国会運営をする、が野田氏の描いている戦略です。公明も自民との選挙協力が長く、今更支部の反発を食らってまで、民主党にすり寄る必要もなく、キャスティングボードを握れる位置にいれば満足。民主も公明の協力があれば、法案を通しやすくなり、ネジレの中でも一定の成果が得られるとの読みがあります。しかも、官僚の全面協力が期待できるので、この内閣は法案の成立に向けての戦略は、かなり練っていると見て良いのでしょう。

しかし、閣僚個々の資質、能力は極めて疑問で、国会答弁の場では窮する場面が多々出てくるのでしょう。どんぐりころころ内閣、という話もあるようです。どんぐりが池にはまった後、どじょうが出てくるという童謡の話です。泣いてはどじょうを困らせるのが、閣僚なのか、官僚なのか、いずれにしろ想定問答集の出来、不出来がこの内閣の生命線になりそうです。
そして背後に蠢く人々によっては、この内閣は『土壌汚染内閣』とさえ呼ばれてしまうでしょう。早く除染しなければならないのに、一向にそれが進まず、長期的に居座れば迷惑とさえ云われてしまう。表面の土壌をとり除くだけでは抜本対策にならず、汚染源を絶つ必要がありますが、依って立つ組織が強大すぎて、とても統制が利かなくなりそうです。野田氏のリーダーシップは判断もつきませんが、独善が許されない以上、この内閣の主体性は不透明のままとなってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年09月01日

雑感。テレビと韓流ドラマ

今日は防災の日ですが、気になる記事が幾つかあります。北極で磁場が反転、南極で反転せずとするもので、太陽の黒点周期とのズレなど異例とされます。日本の関東圏でも磁場のズレがあり、東南海連動地震、東京湾地震など、幾つか提起されていることからも、地球ダイナミズムの動き、ここ百年ぐらいは自然災害多発はある程度意識して、生活する必要もあるのでしょうね。

フジテレビの韓流ドラマに関して、ちょっと考えてみます。その前に、Appleとsumsungの話から。両社はスマフォに関しては犬猿の仲です。これは、両社の販売スタイルが似ていることに由来します。熱狂的なファンが製品を支持し、宣伝してくれることから口コミ効果で販売数量が伸びます。当然、良い製品であることが大前提ですが、プラットフォームが統一化されている現在、差別化という面で違いが少ないにも関わらず、売れ行きが好調なのはこの宗教的ともされる、宣伝効果が大きいのです。販売スタイルが似る両社は、シェア獲得に向けて衝突し、欧州では形状が似ているとの訴訟により、Galaxyが販売差し止めになるなど、この争いはもうしばらく続きそうです。
韓流ドラマも実は似ています。在日韓国人のコミュニティが、ドラマを話題にすることで口コミ効果が得られます。テレビ局にとっては安くて、宣伝費をほとんどかけずとも、一定程度の視聴者が見込めること。これが元々視聴率が低く、予算も少ない昼の時間帯や、BS放送などで韓流ドラマが席捲する理由であり、もうしばらくすると中国やインドのドラマが増えてくるのかもしれません。

テレビ局は経営戦略として、営利を求めるなら現在の判断は正しい、としてネットの動きを無視します。さらにデモなども報じないでしょう。もし韓流ドラマを今より減らしたいなら、Appleやsumsungの販売戦略の裏をいけばいいだけです。つまり韓流ドラマについているスポンサーに、負のイメージがつくようにする。不買運動をする必要はありませんが、安価で視聴者も獲得できるコンテンツとしての韓流ドラマを広告宣伝に利用しても、企業イメージが悪化するならスポンサーはつきません。これはコンテンツ産業の宿命であり、人気があってもスポンサーがつかなければ放映はできない。
一方で人気があっても打ち切りになるのは、社会道徳に反する、悪いイメージでスポンサーが敬遠する、など幾つもの要因があります。その一つを抑えなければ、円高対策に為替介入する、というぐらい無意味な行動になります。地道ですが、効果が高いのはこうしたイメージ戦略であり、負のイメージが湧くまでいけば、自然とそうしたコンテンツは減少するでしょう。

例えば日本の『おしん』は、未だに日本人をみると「おしん」と声をかけてくる人がいるほど、世界で放映されました。コンテンツ産業は、国の宣伝も含むのですから、優良なコンテンツなら政府が補助金を出しても、各国で放映を促しても良いのでしょう。それが日本を知るキッカケになり、また日本を見る目を変えるかもしれません。しかし、今の韓流ドラマは安かろう、悪かろうの見本であり、特に見たい番組ではないとも云えます。それを放映し続けるテレビは、視聴者を度外視し、採算性のみで放映を続けているようにしか見えず、そのことが批判の対象として相応しいのでしょう。
日本のコンテンツ産業の歪みは、NHKに端的に表れていて、強制的に受信料を徴収できるシステムであり、もっとも視聴者を意識して番組作りをしなければいけないはずが、ほとんど見たい番組がない、という問題があります。一方で民放は、極論すればスポンサーさえ納得すれば、視聴者を無視して番組を放映しても良いのです。コンテンツ産業は、今や激動期にある。それこそ磁場が反転し、ネットの方がビッグビジネスに結びつく、そんな可能性を秘めています。コンテンツの質を落とし続けるテレビメディアは、将来の投資を手控えてやっと今の収支を保っているのだとすれば、激動期において縮小を余儀なくされることは、間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会