2011年12月

2011年12月28日

日本の景気について

イタリアの6ヶ月債が堅調な入札で終えました。ただ短期債は償還が早いので、堅調になりやすいのですが、明日の3〜10年物が一つの目安となるのでしょう。イタリアが3年後、ギリシャと同じ状態にはならない、という確約を抱きにくいため、入札が堅調なら安心して年末を迎えられます。不調に終わると、年初から期待感のもちにくい相場展開になるのでしょう。来年もこの欧州債務問題で、世界は振り回されることが確実なのでしょう。

11月の経済統計が幾つか出てきました。全国消費者物価が前年比0.2%減、小売業販売額が前年比2.3%減。これが深刻なのは、来年は復興需要で日本の景気はいい…はずなのに、震災が起きる前の指標より、今が落ちていることです。これは復興予算としてつけられた分のうち、3割も消費していない行政の問題もありますが、今回の復興需要は遅々として、ゆっくりとしか反映されないのかもしれません。つまり復興債を特別会計にしたように、単年度会計として処理する必要がなく、息の長い予算であるため、省庁が自分たちの都合よい相手を、じっくり選べるという意味において、慌てて発注する必要性がないために、予算の執行が遅れるということです。
しかも消費支出は前年比3.2%減。これはエコポイント制度の問題もありますが、現状の盛り上がりに欠ける消費は、来年に向けて景気が回復する、という期待を剥落させます。企業のボーナスが増加傾向、という話もありますが、リーマンショックからやや立ち直った企業が、震災前後で妥結した結果であり、来年は賃金の上昇が見込めませんから、この部分も弱いところです。

来年は円安で株高、と述べる人もいますが、残念ながら株高になるような強さがあるなら、円は買われますからこの推測は根底から間違いです。ドルの上昇に合わせ、円も上昇しているように、逃避的に流れ込む資金は、日本が経常黒字国である以上止めようがありません。一方で、各国が低金利に陥り、また日本が貿易赤字を膨らます過程で、利息収入が減って経常赤字に転落すれば、円安に向かうかもしれません。ただその時は、日本に株安、債券安の波が襲っていることでしょう。
しかも来年にかけて政治は確実に荒れます。また原発事故に関して国、東電を相手どって集団訴訟が起きる可能性が高い。それは政治家本人に向かうのかもしれません。ただアラブの春にも似た、閉塞感を打ち破る何かを期待した動きが、この日本でも起きるのかもしれません。そんなとき、日本の景気が良くなるとは、少なくとも思わない方が良いのでしょう。ただ来年、出直しできる機会があれば、再来年に期待することは可能です。辰年は飛翔したい年でもありますが、飛躍の準備期間、と捉えることで希望を抱き続けるしか、今はないのでしょうね。

今年はこれで最後になります。来年は1月5日から再開したいと思います。今年は震災もありましたが、来年こそは良い年にしたいものですね。


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2011年12月27日

野田首相の目線で来年の政局を考える

民主党では中島衆院議員の離党に続き、斎藤氏、中後氏が離党の動きをみせています。先に党を出た松木氏と、新党結成の動きか? ともされますが、やや遅い感じが否めません。党執行部は中島氏の離党届を受理せず、年明けの党常任幹事会にかけるつもりです。つまり仮に年内に新党を旗揚げしても、民主党としては離党議員がまだ民主党である、と主張することで、政党助成金を渡さず、民主党の懐に入れることが可能だからです。また年の瀬が押しつまると、ニュースが減るためメディアへの露出が少なくなり、話題性も乏しくなります。最低でも先週、そうした動きが出ればまだしも、今週に入ると党執行部も色々な工作が可能、ということになります。

今日は少し、野田首相目線で、政局における戦略を考えてみます。年内に社会保障と税の一躰改革、即ち消費税増税に関する党内のとりまとめを指示していましたが、仮にその言葉を実現するなら、党内がガタガタになるほど、強行を余儀なくされます。これでは来年の党代表選の勝利は覚束ない、どころか絶対に再選の目はない状況です。3月までには支持率も20%台、よほどのウルトラCがない限り、政権は1年で終焉を迎えることでしょう。
党代表選後も、代表で居続けるためには? 消費税増税法案と引き換えに、自民党に解散、総選挙をもちかける。しかも、民主党に配られた政党助成金170億円の内、数十億円を政治団体経由で自民党に渡し、選挙後の連立を約束する。さらに、選挙の公認を出すのに民主党議員に踏み絵を踏ませる。党代表選で自分を支持すること、それによって選挙用の資金も党で出してやる、と。

ネックは何点かあります。まず自民党が選挙で、第一党に選出されねば連立が難しくなります。恐らくそこまで締め付けても、民主党の議員は半数も残りませんし、これは県連レベルで党を解体するほどのものです。名の通った有力議員は残れても、ほとんどが討死しますから、民主党は支持母体も失い、少数政党に転落します。また野田氏本人が選挙にそれほど強くないこと。批判が集中し、党代表でありながら落選の恐れが出てきます。
しかし上記の条件をクリアすると、自民党が中心の連立政権が誕生し、野田氏は民主党代表の座に留まり続け、閣僚も送り込めます。しかも民主党時代の政党助成金を残すので、当面の資金繰りも問題ない。むしろ金欠の自民党を影で操ることさえ可能です。恐らくこの構想に乗るのは、野田G、前原G、菅Gと岡田氏、玄葉氏などでしょう。自民はどうしても避けたい消費税増税という十字架を、民主党が背負ってくれる。与党に戻ることができる。資金面のバックアップもある。至れり尽くせりで、後に連立ではなく野田民主が合流することで一大勢力を築けます。

かつての永田町なら、これぐらいの大構想を掲げる政治家もいましたが、これだけの大仕掛を打てる政治家は民主党内にいません。仙谷氏辺りが、自民の古株とつるめば筋書きを描けますが、民主党内で自民と近い政治家は、いずれも中堅としかつながっておらず、ここも弱い。それに、野田氏にそれだけの度胸と根性がある、とも思えません。今後、何十年と批判と中傷にさらされながら、政治家を続けるだけの度量はまったく見いだせません。ただ、この動きが起こるとすれば来年の6〜7月、その頃までに決断できないようなら、当代表選で惨敗して終わり、となるのでしょうね。

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2011年12月26日

雑感、国家への不信が来年もつづく

今年は色々なことが起こりました。1つ1つは取り上げませんが、政治経済の分野では『国家への不信』ということが、世界的に起きた年でもあります。アラブの春、欧州債務問題も大枠では政治、国の制度への不信に基づきます。そして日本では、原発対応をめぐる政府の対応、情報発信のあり方に不信感を抱き、自ら考えて行動する人が増えた年ともなりました。
政府原発事故調が、中間報告を出しました。厳しい…ともされますが、まだ政府側の聞き取りは終えていませんし、原発行政全体が目指していた方向性、原発を危険視する人間を徹底的に排除してきた閉鎖性には言及しておらず、最終報告でどこまで議論を広げ、収束できるかが課題なのでしょう。しかし各局で、原発事故の当時の状況を聞き取りで描いたものなどを見ると、政府はメルトダウンや水素爆発が起きそうなことを、すでに知っていたことが明らかとなっており、今後は政府の責任をどうとるのか? といった問題に発展することが想定されます。

そしてこの『国家への不信』が、来年もっと問題になるのでしょう。米国大統領選では、まだ対立する共和党の候補が決まりませんが、オバマ大統領の支持率は、最近回復傾向にあります。イラク戦争の終結、減税延長を支持するなど、政策への評価が高まっています。また雇用統計の改善にみられる経済政策に関しても、評価が上がっているのです。
しかも共和党の下院が、減税の二ヶ月延長を一旦は拒否した後、すぐに賛成に回ったことで共和党への不信が高まっています。有力候補がいない、茶会の意見に左右され過ぎる、共和党への不支持も同様に高まっている。実は世界で唯一、政権基盤が安定しているのが米国であり、バブル的な資金が集まりやすくなっている、というのが現状です。しかしオバマ氏も盤石ではなく、財政問題では延長を繰り返しており、行き詰まれば当然、選挙の行方もわからなくなります。

経済の面でも、来年は信用不安がより顕著になるでしょう。今日の日本の株式市場は9億株台の取引、活況の目安が20億株ですから、半分以下となりました。欧米がクリスマス休暇中ということもありますが、尋常ならざる少なさと言えるでしょう。これはリスク資産に対する投資が、オフになる傾向が来年以後も続くことを意味します。日本の格付け機関が、日本国債を初めてAAAから格下げしましたが、世界各国でクレジットクランチが起きやすいのが現状です。
ヘレン・ケラーが「希望は人を成功に導く信仰である。希望がなければ何事も成就しない」と述べていますが、その希望を抱く前提にあるもの、安心感が来年は足りない、という意味において、不幸な一年になるのかもしれません。何かを信じられない、そんな中で何を信じるかが、とても重要になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年12月25日

来年度の予算案について

日中首脳会議が行われました。先に、脱北者の日本大使館への駆け込み問題で、中国側に妥協している日本ですから、期待できない部分が大きいものです。仙台市へのパンダ貸与にしても、中国のパンダは有償で貸し出されることが当たり前であり、無条件貸与なのかが問題です。被災地だから…と云っても、それを中国がのむかは細かく見ておく必要があるのでしょうね。

来年度の予算案が示されました。政府ODAが0.3%増、公共事業が6.6%増、環境省関連の予算が5倍、一般会計は11年度の当初予算に比べて2.2%減の90兆3339億円となりましたが、年金の国庫負担分を交付国債として別枠に、復興関連も特別会計枠に入れるなど、姑息な手で予算案を見かけ上、低くしたことが伺えます。この予算案が出たことで、今年の永田町界隈では、おいしい忘年会のお酒を飲んでいる、官僚の姿が目に浮かぶようです。
交付国債に関して、小宮山厚労相が「運用原資は減らない」と述べていることから、恐らく仕組みは市場で取引される国債と、連動した利回りが約束されているのでしょう。しかしこれは、毎年新たに発行される交付国債で、運用原資が置き換わっていく、つまり市場に毎年2.6兆円の売り圧力がかかる、ということを意味します。しかも現在、市場の運用分は財投債を含めて74兆円、30年経つと交付国債の方が上回る仕組みで、持続可能性はありません。

安住財務相は財政改革を訴えますが、消費税10%を2015年に…と決意を述べるだけで、特別会計の一般財源化や、発注の見直しによる歳出カット、公務員給与の削減などにはまったく興味がないようです。また仙谷派がまたぞろ、大合唱を繰り広げています。前原氏は10%越えを示唆していますし、仙谷氏は15%や「小沢元代表は選挙目当て」と述べるなど、風当たりの厳しさを意識してか、強い反発を見せています。野田氏も含めて仙谷氏の息がかかった仙谷派であり、このメンバーが政権に携わる限り、絶対に行財政改革は達成できない、ということを露呈しています。
政治家が選挙目当てなのは当然です。問題は約束したことを実行できないこと。各メディアからも公約破り、と指摘されるように、選挙のときに自分もその公約を選挙民に配り、その公約に沿って選挙を戦ったのに、多数党になった途端にあれは前の執行部のせいだ、ということは愚です。もし仙谷氏が、公約はこうだけど私はこうする、という主張をして選挙を戦えば今の意見は成立しますが、そうでないから民心が離れます。メディアも敏感にそれを察知し、批判一色になったようです。

この予算案は、野田政権が官僚依存であることを、より鮮明にしただけでした。大体、予算を編成すると政権の色が見えますが、霞み色とでも云うほどで、交付国債や復興予算を特別会計に入れるなど、肥大化をさらに助長させてしまった。もう野田政権に期待できることは何もありませんが、少なくとも外交で間違えない内に、退陣してくれることを祈るしかないのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年12月23日

東電が電力料金の値上げを示唆

一昨日、オリンパスに東京地検が強制捜査が入りました。年度内に立件方針であり、恐らく証拠も揃うことから、ほぼ確実に有罪ということにはなるのでしょう。裁判で、たまに聞かれる「社会的制裁を受けたから、刑を軽減する」との文言が入れられますが、この言葉に対比するものとして『noblesse oblige』があります。意味は「高い身分には道徳上の義務が伴うこと」であり、これを意識すれば、社会的制裁とは義務を果たさなかったことに対する、最初の罰となります。今年、この言葉を強く意識させられたことが、何度もありました。

日本は創業100年を越える企業が1800社以上ある、という話があります。日本は人を大切にする企業風土が、利益よりも繋がりを重視する姿勢につながるために、互助会的に融資が集まり、倒産などの事態を回避しやすいという面があります。ただ悪い面でいうと、企業が利権構造を保持しやすく、それは構造であるため壊しにくい点が挙げられます。
東電が電気料金の値上げを示唆しました。事業者の義務、経営が成り立たない状況で何もしないのは、株主代表訴訟になる、と西沢社長が述べています。同日、原油価格の下落をうけて、2月の電力料金を値下げすると伝わることから、これは福島原発の廃炉費用や、事故による補償費用が嵩んでいることで、電力料金に転嫁しようとしていることが明らかです。つまり事故に対する経営責任が、まだ出てもいない段階で、国民にそのツケをまわそうということを明確にした形です。しかも、その理由が株主代表訴訟という、経営上の都合というオマケつきで。

同日、東電は政府に対して6千億円の援助を申請する見込みを示しており、これで援助の額は約1兆5千億円になります。原子力損害賠償支援機構も5兆円を限度としており、廃炉費用も幾らかかるか分からない。そこで、電力料金に転嫁しようという流れが見え見えですが、これは政府も認めにくいでしょう。ただ、歳出を減らしたい財務省にとって、5兆円で不足する分を他の電力会社、国民に転嫁したいことは明らかで、野田政権ではこれを認めてしまう恐れもあります。
noblesse obligeを当てはめれば、東電の旧経営陣まで含めて、損失を負担させることが第一でしょう。それは東電にヒモづいて、原発に携わってきた企業すべてに関わることです。東電も官僚機構と同じで、自ら身を切る態度を示さなければ、国民の理解は得られません。しかも株主代表訴訟が怖いなら、上場を廃止すれば良い話であり、それこそ破綻させれば良い、という空気が強まるのでしょう。

しかし同じように、菅政権が福島原発の事故で、どのような位置づけを果たしたか? それによっては「道徳上の義務」を果たさなければならないのでしょう。しかしそれは国庫からの支出ではなく、立場に伴う個人の責任に帰せられるべきです。逆に言えば、それだけの覚悟もなく、その立場につくことが誤りだったことになるのでしょう。noblesse oblige、来年はそんなことを考えなくても良い一年にしたいものですね。

明日は1日、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 経済

2011年12月22日

バブルが街にやって来た

週末にはクリスマスですが、欧州の金融機関にはECBからプレゼントが渡されました。3年物の資金供給オペ(LTRO)が、523銀行で約4900億ユーロに達しました。これは3年間を平均したECBの政策金利で、運用できる資金を銀行が手に入れたということになります。つまり年1%の金利で、4900億ユーロを借りられたことになります。これは09年の1年物の資金供給オペ、4500億ユーロを上回り、現在がリーマンショックを超えた危機にあることを示しました。
サルコジ仏大統領は「周辺国の国債を買え」と述べますが、仏国でさえ格下げにより、価格下落圧力がある欧州国債を買う、とはとても思えません。ではどこに向かうか? 一部は商品市場に向かうでしょうが、大半は米国に向く、と見ています。米国では農地の価格が上昇しており、米FRBもバブル化を懸念しています。しかもこの動きをみて、11月米住宅着工が前月比9.3%増、前年比では24.3%増となり、中古住宅販売戸数も年率4%増と、米不動産市場が活況を取り戻したかのようです。つまり、有事のドル、としてバブルが起きそうな米国投資に使われる、と想定されます。

6中銀が協調したドルスワップ協定では、0.5%の付利でドルが調達可能です。極論すれば、そこで調達したドルで米長期国債を買えば、1.3%以上の利回りで運用ができます。しかし、ドルスワップあはあくまでドルの決済金であり、現状不足している分もドル、ユーロを調達できても効果は低いとさえ云えます。LTROとはそんな効果が限定的な施策とも云えるものです。しかしこれが米国で運用することを考えれば、ユーロ安が期待できます。これは域外との貿易で黒字を抱えるドイツを利することであり、ドイツの態度軟化を引き出す狙いもあるのでしょう。
これが、資金の向かう米国になると、また厄介です。中国は欧州向けが主なので、今回の欧州危機の影響をモロに受ける恐れがあります。アジアの資金も、現在好調と見られる米国へと流れ出す恐れがある。つまり米国は今後、流入する資金によるバブル、その退治が始まる懸念が強まっています。

我々が思い浮かべるサンタクロースは、米国でイメージが創られたものです。しかし聖ニコラウスの伝説は様々にあり、その一つに売春を強要される3人の貧しい娘に、3袋の金を与えた、とするものがあります。このLTROは、まさにこの3袋の金ですが、与えられたのが強欲とされ、これまで金の力をつかって世界を牛耳ってきた、金融機関だったというのが大きな違いなのでしょう。
旧約聖書にヨブ記があります。「人間はすべてを失っても信仰を保てるか?」という神と悪魔の賭けの対象とされたヨブが、子供と財産のすべてを失い、ひどい病気となる。それでも神を信じ、神に潔白を訴え続けたヨブは、やがてその信仰心が認められて元通りの繁栄を取り戻した、というお話です。今の欧米に、ヨブの立場を受け入れられるような信仰心もないのでしょう。アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言いましたが、神は賭けをするようです。そしてその賭けにより、人を不幸にもし、試すということをこの話は示します。今、その試練をうける欧州と、流入する資金で富んだように見える米国、そのうけとったプレゼントは、見方によっては二つとも滅びの火なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2011年12月21日

雑感。来年の政局について

八ツ場ダムの凍結が延期されるようです。ただ凍結が最悪の決断です。地元で暮らす人は移転や新生活への設計などが狂いますし、付帯的な工事は進められます。やるのか、やらないなら付帯的工事をどこまで進めるか、というガイドラインを作る必要があります。この問題でも、野田政権は先送りとなり、決断できない首相という印象が益々強まります。消費税増税とTPPだけ不退転、というのはどう考えても国民理解が得られず、支持率凋落につながっています。
橋下大阪市長に、与野党の政治家がこぞってすり寄っています。一方で、中田前横浜市長の名誉毀損裁判が、二審でも週刊現代の敗訴になりました。改革派市長には、必ず人格すら否定せんばかりの記事が載ります。こんな記事が多いので、日本の週刊誌はタブロイド誌としてしか見られません。そんな中、駐クロアチア大使のセクハラ疑惑が報じられています。

この記事が仮に事実だとすると、国際問題を野田政権下では隠蔽したとなるため、情報統制を布く北朝鮮と同じ、とみられます。外交問題に発展する恐れがあり、国内で幾ら口を封じても、情報の拡散が起きる恐れもあります。しかも、野田政権で調査に乗り出したのか? その情報すらありません。もしこれが虚報なら、それこそ名誉毀損になりますが、そうした動きもない。官僚による情報統制はしていても、政権による官僚統制ができているのか? それを疑わせます。
来年の政治は、3月の予算案は通っても、予算関連法案ではかなり混迷しそうです。しかも、相変わらず小沢氏に関して、求心力が低下しているといった言い方もされますが、消費税増税への反対で、むしろ反対派議員を糾合しつつあるため、勢力が拡大する可能性があります。特に、裁判では捜査報告書の捏造疑惑が生じたことで、地裁で無罪判決が出て裁判が終結することも想定され、そうなると4月には復権してきます。秘書の裁判は続きますが、石川議員の調書をとった検事の捜査報告書が、文書偽造の疑いがかかった中で、捜査過程でとられた証言そのものの信ぴょう性が、かなり低くなっており、また前田元検事の言によれば証拠はなかった、とのこと。裁判自体が茶番に終わる可能性もあります。

4月はいずれにしろ、ターニングポイントでしょう。昨日も取り上げた交付国債に関する法案は、野党にとっても受容し難い部分があります。4月予算を通し、小沢裁判が終わる前に解散、総選挙というシナリオもなくはないですが、ここでも野田氏は決断できないでしょう。党内の反野田の動きを察知し、八ツ場の凍結延長を決めたふしもありますが、顔色をうかがうしか、融和が計れないのは致命的です。弱い党首との印象では、選挙が戦えるはずもありません。
世界は来年、選挙イヤーです。日本もそれに遅れまいと、野田氏は悠々と振舞っているようでありながら、着実にその道を全力疾走でひた走っているのでしょう。野田氏は自らを西郷隆盛になぞらえますが、世間に知られたあの像をみて、西郷夫人は夫に似ていない、として卒倒したとされます。野田氏がそんな偽物扱いされる日も、そう遠くないうちに来ることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年12月20日

年金の国庫負担分に対する新たな国債

北朝鮮で政権が変わっても、日本の拉致問題はまだ解決に向かわないでしょう。期待するのは、金正日氏の後継である正恩氏より、正男氏のように前政権を必ずしも讃美、承継せずともよい新政権の樹立があるかどうか、です。その場合、自政権の正当性を謳うためにも、前政権の罪を暴きたて、また短期の成果を欲しがるために罪を認める一方、日本に経済支援を求めてくる可能性が出てきます。その時、拉致問題は大きく前進するでしょう。
一方で、貧困により若年層に教育格差がみられ、工場誘致などには慎重にならざるを得ません。日本に拉致問題の解決を促してくる場合、条件は相当もむ必要が出てきますし、今から日本政府がそうした準備をしておくべきです。ただ拉致問題担当が閣議に遅れるなど、前途多難です。

昨日、野田首相による街頭演説が予定されていましたが、北朝鮮問題でキャンセル、罵倒から逃れて助かったとされます。そんな中、驚く情報もありました。来年度予算における年金の国庫負担の不足分2.6兆円を、交付国債を厚労省に渡すことで賄うようです。交付国債は国債の引換券みたいなものであり、いつでも国債を財務省に戻して現金化できるものの、財務省としては当面の国債発行を抑えられます。つまり見かけの借金を減らす一方、隠れ借金を増やすことになります。
厚労省は消費税増税が実施された時点で、これを現金化するとのことで、当て込んでいるのは消費税です。もし仮に消費税増税が先送りされた場合、隠れ借金は膨らみ続けます。つまり消費税増税を人質にとった形で、しかも野田政権にダメージを与えぬよう、前年からの赤字国債の発行を抑える、といった財務省サイドの配慮が働いたのです。野田氏が年内の取りまとめに焦るのも、支持率が高いうちに…という財務省サイドの筋書きだったのですが、それが支持率急落で崩れ始めた。よって財源が決まらぬ年金負担分を、隠れ借金として見えなくしてしまったのです。

これが由々しき事態なのは、隠れ借金の存在は、国債の信用に関わるためです。某新聞が、何面もつかってイタリア、ギリシャの問題をつかって消費税増税を正当化する論陣をはりましたが、まさに財務省がそのイタリア、ギリシャと同じ轍をふもうとしているのが、今回の提案です。
財務省が年金負担分の財源捻出を諦めた、といった点も問題です。予算審議がこの一事をもってしてもとぶ恐れがあります。少なくとも増税がなければ財源がない、という予算の組み方は有り得ないのですから。しかも、もし仮に増税分が2.6兆円を上回らなければ、借金は膨らみ続けるため、どこかで本格的な財源探しをしなければならなくなるのです。

さらにこの交付国債は、厚労省での保有が前提となるため、運用原資から年金の支払いに回されるため、どんどん原資が削られます。それは賦課方式とはいえ、運用益を還付に回すことが前提の年金制度、全体を壊す恐れすらあるのです。消費税は13年10月に8%、15年4月に10%とする案を軸とするようですが、1%で2兆円…などと甘い試算を立てていると、法人税の減税分などを埋めきれないほど、税収が減少する恐れすら出てきて、まさに地獄の釜の底が抜けてしまうのでしょう。
今回の案を、ほとんどのメディアが報じていませんが、これは極めて問題の大きいものです。政府短期証券を初めとした国の隠れ借金の他に、交付国債という新たに毎年2.6兆円が積み上がるシステムが出来上がろうとしている。まさに財務官僚がこの国を破綻に導く時限爆弾を仕掛けた、といっても過言ではないほどの問題を後に起こすことでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2011年12月19日

北朝鮮の金正日氏が死去

北朝鮮の金正日氏が死去しました。死亡から2日後の発表ですが、もしそれが本当なら情報統制が行き渡っている、とみるべきであり、暴発の懸念は当面回避されています。しかし死亡の日時、経緯など信ぴょう性がおけるのか? ということまで含めて懐疑的に見ておいた方が良いのでしょう。逆に、かなり以前に死亡していたのに、発表が今になった可能性もあるわけです。
当面は服喪の期間があるので、暴発の懸念はありません。例えそれが金一族を貶める狙いがあっても、数週間は反体制派も動けない。ただ懸念は、米韓から民間レベルで食料支援がすすめられていましたが、これが止まります。6ヶ国協議も止まりますが、政権が安定しないと民間交流も、安全が担保できないために途絶えます。春を迎えるまで食料がもつのか? というより、下層の人々まで食料が行き渡るのか? それ次第では、政権移行期の不安定さ、軍部でさえ食料が満足に行き渡らない中で、軍の引き締めのためにも一定の緊張を生む小競り合いを生じる恐れがあります。

仮に朝鮮が暴発し、朝鮮戦争を再開させた際は中国が抑えにかかるはずです。中国としては一番イヤな、中国側から物資が渡らないよう、中朝国境付近に国連の監視団が入る動きが、国際社会から起きてしまうからです。体制転換に伴う混乱という事情が明確なので、国連が主導して、国の政治体制を監視しようとするためです。中国は国連が関与して、北朝鮮の政治に介入することは、何としても避けたいはずなので、暴発の動きに関しては極力封じ込めるはずです。
一方で米国も、不測の事態に備えていたはずです。日本の備蓄燃料を韓国につくる、それは朝鮮戦争に向けた準備だったはずですが、やや死亡が早かった。また仮に朝鮮戦争が起きた場合、日本は上記のように資金を拠出する側で、前回のような特需は起きないため、マイナスの効果しかありません。またウォン安、韓国証券が一時急落したように、日本も売り叩かれる恐れがあります。ただ当面、動きが控えられたとしても、経済的なリスクとして北朝鮮問題が浮上したことは事実なので、注意が必要です。

野田氏が昨日、韓国の李大統領との会談を行いました。内容は大半が慰安婦問題とされ、前向きな発言は何もなかった。これは野田政権の玄葉外相の無力、といった側面が強く、事務方の調整が何もできておらず、会談の日程だけを優先させたために起きたことです。こんな会談内容なら、断ってしまえばよく、冒頭の李氏がメモを読む場面を撮影させたのも韓国側への配慮、それが報道されることにより、韓国国内にきちんと主張した、との証拠を残すためだったはず。しかしそれで収められなかったことは、明らかに外交上の失敗です。
しかも慰安婦問題は重視されない、という見通しを玄葉氏が米国に対しても示しており、日韓は友好的であるかのように装ったのは、明らかに米国から見て裏切りです。それを解決するため、前原氏が提唱するアジア女性基金の創設など、云わば妥協をしてしまう恐れが極めて高まっています。日韓は、来年の大統領選まで冷え込むことが確実であり、そこで起きた北朝鮮問題が、今後の外交で日本の弱腰をひきだすカードとして用いられそうです。意見を表明するのに2分だけだった野田氏、見通しの甘さを露呈した玄葉外相を含めて、今の政権には極めて不安を感じてしまいますね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2011年12月18日

経済の話。来年の市場予想

来年の市場を予想してみたいと思います。アナリスト懇親会では、9800円程度が中央値として示されましたが、前提は世界経済が落ち着いていること、即ち楽観シナリオの極値がその水準ということです。厳しいのは、来年は各国の選挙で政治の基盤が変わる可能性があり、それを正確に織り込むことは極めて困難だ、ということです。正直、来年はテクニカルやアノマリーがどこまで通用するか? むしろ通用しない公算の方が高いと見ています。
まず欧州は、どこかの段階でグッドユーロ、バッドユードに分裂すると見ています。その場合、ユーロは急落する恐れもありますが、損失を切り離して一部を健全に保つにはそれしかありません。現在、欧州各国の債券、金融機関の格付けは高すぎます。つまりそれは健全な国が、自国の金融機関とともに、悪化した南欧諸国の財政まで面倒を見なければいけない、その上でAAAを維持できる国はないと云えます。よって今後も格下げリスクがつきまとい、国の債券を格下げされることにより、それを大量に抱える金融機関も同時に格下げされてしまう。この呪縛から逃れたければ、バッドユーロとして経常収支が赤字の債務国を切り離すしかありません。

中国も不動産バブルが弾け、景気は調整局面ですが、強引な金融、経済政策で急激な悪化は見込みにくい。ただ欧米からの直接投資がマイナスとなったように、今後は中国消費の鈍化を見越した、資金流出超によって景気への打撃が大きい。しかも国が抱える債務の大きさから見ても、そう簡単に景気が浮揚するほどの効果が得られない。そしてこの、中国の消費鈍化が日本の製造業に与える影響も大きく、その景気下押しが日本に直撃します。
米国も今は好調に見えてもインフレ圧力の高まりが、金融政策を縛ります。これからドル高に向かう、と予想する人間もいますが、リパトリが多い年末でさえ78円が限界であるように、ドル高に迎えばFRBが資金供給量を増やし、ドル安に向かわせようとします。仮にQE3があれば、ドルは70円割れを目指す局面もあるかもしれず、その度に輸出企業が…と日本は大騒ぎすることでしょう。

日本は経常収支が黒字、純債権国として円が志向されやすい一方、株は買われない。それは日本が輸出偏重と見られており、日経225の採用銘柄としても輸出企業が多いため、この傾向が続く限り、株式に資金は集まらないと見て良いのでしょう。もし日本の株式の反転タイミングを探るなら、欧米株式が明確に底を打ってから、です。逆にそれ以外の、ダマシで返しても反転は良いとこ二週間もてば良い方でしょう。
昨年、日経平均で10500〜5000円と予想しました。さらに昨年から年末は厳しい、と述べてきましたが、来年は年末に大きく二つの見方ができます。欧米で本格的な対策が年前半までには出る、という前提に立てば、少しは楽観もできます。しかし最初に示したように、来年は選挙の年。対策が打たれる可能性はかなり低いので、いつの段階で景気後退入りを認め、恐慌を防ぐか? という抜本的な話し合いも、来年後半まで先送りされる場合は、年後半は相当程度に悪いと見て良いのでしょう。

もし来年、恐慌入りが確認されるなら年末安で5000円台をつける可能性もある。一方で高値は、どこかでバブルを仕掛ける層が出てくれば、一時的には11000円をつける場面があるかもしれません。仕掛けるのは米系で、それは本国投資がうまくいかず、日本にお金を大量に投下する場合です。こうみると11000〜5000円を幅にしますが、上値をつけに行くのは仕掛けであり、9500〜5000を水準と見ておいた方が良いのでしょう。来年、早い段階で世界が素直に今の経済環境を受け入れられるか? それ次第では景気回復への動きは、再来年に先送りされることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年12月17日

原発の冷温停止と日韓の動き

昨日、野田首相が福島原発の冷温停止、ステップ2の完了を宣言しました。「格納容器内の温度が100度以下に保たれ、何らかのトラブルが生じても敷地外の放射線量が十分低く保たれる」ことが判断材料としますが、すでにメルトスルーが起きており、コンクリを侵食しています。それがコンクリを通過し、施設外に出た場合は、地下水を通じて汚染が拡大する懸念があります。地下水の流入は認めながら、施設内の水が流出していることは認めない。そんな歪んだ判断の先に、コンクリを侵食し続ける、という仮定にはふれない政府としての態度がよく現れています。
政府の作業部会で年間の被爆線量を、長期帰還困難区域で50mSv超、居住制限区域で20〜50mSv、解除準備区域で20mSv以下に定めるよう、最終報告をまとめました。これは国が「元通りには戻せない」ことを認めた内容です。つまりいくら除染をしても、自然放射線量を除いて0mSvにはできない。これを既定路線に、計画をつくろうということです。

野田氏の会見は、いつも心を打ちませんが、はっきり言えば原稿を読んでいるようにしか見えないので、心が通いません。例えば「安全宣言を出された食品は大丈夫」と述べますが、福島産のお米は安全前言の一箇月後に、線量が確認されました。全量チェックをかけているわけではないので、もっとも厳しい箇所を正しく調査していないので、抜き取り検査だけで安全とは云えない状況です。こうしたところも、官僚の書いた下書きを、そのままなぞっているようにしか聞こえません。
明日は日韓首脳会談ですが、その前に李明博大統領から、従軍慰安婦問題について「日本は永遠に懸念を解決できない、という負い目をもつ」と語りました。国内の厳しい支持率で、再選の目が消えかかった大統領が、乾坤一擲で日本で好材料を得よう、と仕掛けてきた形です。日韓基本条約を無視しているのは韓国側ですが、それを日本側が主張できるかは、また懸念の残るところです。

特に、野田氏の背後に仙谷氏がおり、この人物は予てから従軍慰安婦問題でも非常に韓国側の主張にそった発言をしています。逆に、民主党に仙谷氏がいる限り、韓国に対して強行路線がとれるのか? 日韓基本条約をきちんと上から読めば、賠償放棄はきちんと明記されているのですが、弁護士であるこの方は条約すら目を通していないようで、心配は尽きません。
政治家は自らが所属する国に、忠を尽くすことが求められます。外交が国益のぶつかり合いになるのは、誰しも自分の国を最大限に利するよう、動くからです。この時期、忠臣蔵の討ち入り時期で、関連したドラマも多いですが、吉良上野介も地元では名君とされているように、他国の領主や民からどうみられようと、自国を富ませなければ政治家としては失格です。それが野田政権、バックに人権派の仙谷氏がいて出来るか? 自身の支持率が低下する中、ここで韓国側の条件を飲めばジリ貧になることは確実ですが、そこに踏み込むかは、よく注視していかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2011年12月16日

陸山会事件における前田元検事の証言

陸山会事件の小沢氏が強制起訴された裁判、山場を迎えています。郵便不正事件で証拠を改ざんし、有罪となった前田元検事が出廷。「特捜部と小沢の全面戦争」との表現まで使い、東京地検特捜部長や、一部の検事が熱心だった以外、現場は厭戦ムードなどとも語っています。
昨日は石川議員を取り調べた検事が出廷していますが、捜査報告書に調書にもない言葉を入れたことが、問題となっています。これは録音が残っており、それと捜査報告書を付き合わせているので、疑いようもないのですが、それに大して検事は拘留中や保釈後に話したこと、が思い出しながら報告書を書く中で雑じった、と述べていますが、これは重要なことです。

調書には被疑者が内容を確認、署名するのが大前提です。しかし捜査報告書は、現場の検事が上司に報告する資料なので、被疑者に内容は知らされない。つまり被疑者が語っていないことを捜査報告書に盛り込めば、起訴の判断を誤らせる恐れがあります。どこかで語った記憶がある、と云ってもそれを証明できませんし、被疑者も覚えていない可能性が高い。裁判で水掛け論に終わるのも、こうした話が主ですが、特に今回、この捜査報告書が強制起訴の材料となっており、尚更信ぴょう性が担保されるべきですが、それが検事の証言でしかない、となります。
もし検察の捜査報告書がその程度のものなら、捜査報告書全体の信用の問題に関わってきます。この事件に限らず、検察が信用を得たいのなら、捜査報告書には取り調べの内容のみを記載する、という内規を示すべきですし、そうしなければ捜査報告書は参考資料の位置づけに格下げされるでしょう。さらに、メモもとらずに後日調書を作成した、ということも信用に関わります。いくらそれが仕事とは云え、7時間、8時間に及ぶ会話をすべて記憶し、記録に起こすことは人間として不可能です。重要な部分、後に重要とされた部分について、後日すらすらと語る場合、どこかで記憶を補完された以外には有り得ない。特に1年、2年と空いていれば尚更で、自己弁護という補完を検事がかけている、と見たほうが良い答弁が目立っています。

この事件はまだ予断を許しませんが、検察の捜査手法や体質に焦点があたっている、という点では大変興味深いものです。いみじくも、前田元検事が取り調べの可視化や、証拠は検察の判断で提出する、しないを判断するな、と述べているのは画期的です。つまり検察が恣意的に扱える部分をなくせ、というのが本旨だからです。調書、捜査報告書、証拠、そのいずれも、検察が恣意的に扱える今の制度であれば、いくらでも改変、改竄が可能だと元検事が認めているのです。
検察内部でも、起訴には否定的だったものが、ナゼ強制起訴まで進んだか? もしそれが市民の判断だというなら、そう判断させたものは何か? ということも含めて検討するべきです。それが一部の狂信的な『全面戦争』と述べる人間がつくった調書、捜査報告書、証拠に基づくものなら、なお危険だということになります。客観性をもたせるためにも、恣意的な部分をなくすか、第三者による監視を強化する必要を感じますが、まだ検察がそうした方向に進んでいない時点で、この国の警察権力には改善の余地が大きいことを感じさせますね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2011年12月15日

日銀短観と米FOMC

12月の日銀短観が発表されました。大企業製造業DIは-4(+2)、先行きDIは-5。大企業非製造業DIは+4(+1)、先行きDIは0。中小企業製造業DIは-8(-11)、先行きDIは-17。中小企業非製造業DIは-14(-19)、先行きDIは-21。カッコ内は9月調査の数字です。大企業非製造業、中小企業は9月より改善していますが、これは節電で苦しんだ分、12月は楽になったとの見方ができます。一方で先行きDIは軒並み悪化、しかも設備投資計画を企業が下方修正するなど、産業界全体が縮小均衡を目指す形となることが、浮き彫りになりました。

業種別でみると、電気機械の悪化が顕著であり、通信はすこぶる堅調。これは例えば海外では50$程度で端末を購入できますが、日本では通信業界を通して10万円近い金額を支払い、それを割引で端末価格を下げる、という形のために通信業界は損をせず、恩恵は電気機械に及びにくいといった点も理由としてあるのでしょう。スマホブームでも明暗が分かれた形です。
自動車も堅調で、震災からのサプライチェーンの回復が、中国の消費鈍化を勝った印象です。日本ではそんな中、重量税減税などが話し合われる。何とも矛盾ですし、もしそうなら一般財源化が先でしょう。財政が苦しいと増税を議論しながら、一方で特定の業種のみを優遇するようにしか見えません。それが短観でも、苦境だという経営者の認識がないのなら、尚更首をかしげます。

昨日は米FOMCが開かれ、金融政策は現状維持が伝えられました。しかし堅調とされる米経済の実相が、朧気ながら見えてきました。米国のMMFが欧州から徐々に資金を引き上げており、それが一面ドル高を演じています。しかし国内還流する以上に、米国内にドルが溢れている現状が、マネーサプライM2で+9.8%という高い伸びに現れています。M2は現金通貨と預金を合わせた指標ですが、預金率は減少しており、それを現金通貨の高い伸びがこの数字に現れています。つまり還流される資金以上に、米国内に現金が溢れています。
米国ではイラク戦争の終結宣言が出されました。期間の大半は米経済も好調で、財政赤字の拡大はそれほどでもない。しかしオバマ氏が保険制度改革を実行し、リーマンショックで金融、住宅関連の支援を続けるここ2年の財政赤字の伸び率は、かなり危険です。よく日本の国債が攻撃される、と述べる人もいますが、収支も赤字で、財政赤字の伸び率も高い、米国の方が余程狙い撃ちされやすいと云えるのでしょう。

日銀短観でも欧州債務不安がリスク、というようなされ方もしますが、最大のリスクはすでに見通しの悪化が伝わる欧州より、現在好調と見られている米国の景気鈍化が顕在化することです。先行きの不安に答えるためには、好調な業種をより伸ばそうとするより、不調な業種を底上げさせた方が、はるかに効率が良いのです。パナソニックは白物家電で、世界展開を画策していますが、既存のものとは違う新しい機種、市場を開拓しない以上、パイの決まった市場で競争を繰り広げても、企業の収益拡大はさほど望めません。
といって、欧米市場に進出しても、現在の環境からみればそれほど収益も上がらないでしょう。ニッチを見つけ、開拓者としてのポジションを得るか、あるいは違うビジネス、サービスを展開することで、企業が拡大するという形が、今はネット業界のみならず主流なのです。日本は既存の産業、製品に対する補助や減税で、企業を助ける政策が打たれるために先食いでしかなく、今の薄型テレビの凋落につながっています。政策で使うべきは、研究や開発、新たな市場開拓であることを、日銀短観でも読みとくことが出来るのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2011年12月14日

雑感。定年の65歳延長を義務化

厚労省が、2025年までに年金支給年齢が65歳に引き上げられることに伴い、希望する人間に対して定年を65歳とすることを義務付けるよう、方針を固めたようです。しかし若年層の雇用確保が難しい中、逆行する政策であり、若年層の雇用がないということは、現役世代が高齢者を支える賦課方式が崩れることを意味します。20代、30代という時期に就労経験が得られない、それは長期に亘って正規雇用への道を閉ざしてしまいます。
60〜65からの無収入世帯は減るかもしれませんが、臨時雇用や派遣、パートなどには適用されないため、そうした層に転落した人には恩恵がありません。むしろそうした労働者を削ぐ方向になるでしょう。やる気はないけど、給料が欲しいという人には都合よい制度となりますし、役職についていた人に回す仕事の内容にも気を使う。高齢者、主婦の労働力を使おうとしてきたのも安価に、パートタイムで使えるから、という企業の思惑もあったはずですが、義務化をすれば企業の負担も増す。結果的に、これは誰も救わない制度になるのかもしれません。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、7-9月期の運用実績を発表し、3兆7千億円の損失だったことが明らかになりました。GPIFは自主運用を始めた平成13年度から、19兆円の黒字、運用資金109兆円からすれば優秀、安心とします。しかし年率にすると2%弱、決して好調ではないばかりか、アジア通貨危機、ITバブル崩壊と続いて市場がかなり落ち込んでいた時期に運用を始めており、時期的なものを考えても、民間の運用側からみるとむしろマイナスです。
7-9月期の内訳をみても、国内株は11.61%、外国債は3.88%、外国株22.78%もマイナスであり、それを運用比率の高い国内債が2%で支えた構図で、決して褒められたものではありません。しかも、もし仮に日本の国債が売り叩かれるとするなら、年金も崩壊することになる。それは現在の欧州です。各国で年金の運用先に困り、金や資源、それに景気が堅調と伝わる米国へと逃避している。年金は世界全体で、崩壊の危機にあると云えるでしょう。

賦課方式をとる国も、リスクにさらされています。高い失業率が、過去の労働人口が多かった時代の高齢者を支えることが、難しいためです。日本は債券運用、賦課方式と二つの危険因子を抱え、尚且つ郵政民営化に伴う、公務員の縮減により共済年金のリスクも抱える。しかも加算が大きい共済年金は、年金統合にも難色を示すなど、この国の年金は小手先の改革では、もうどうしようもない段階にある、とは云えます。
定年を65歳に引き上げようと、基本制度が悪ければ何もなりません。またそれを前提にした改革、国庫負担の増大などは、年金制度を改悪するものだとさえ云えるのでしょう。長妻氏を追い出し、年金も知らない大臣が続いた結果、厚労省のやりたい放題が続いています。残念ながら、野田政権でも細川厚労相では、大して意味のある改正はすすまないと考えますが、来年あたりには年金でさえ、景気の波を受けてかなり危険な状態になることは確実と見ていますので、ここで改革を進めておかないとリスクを抱えるだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2011年12月13日

米国の軍事的な動きと日本

中国漁船による韓国海洋警察官の刺殺事件で、韓国側で中国大使館などに激しい抗議活動が起きています。これが日本と無関係でないのは、韓国で取締が厳しくなると、日本の対応が緩ければ大挙して東シナ海に中国漁船が押し寄せる、そんな懸念もあるからです。さらに日中韓でFTAやEPAの話もあります。野田首相の訪中の話もありますが、逆にここで親中の態度を示すと、韓国側からの反発も受けやすくなるので、中韓とを天秤にかけるのでなければ、延期されたのを好事とし、当面の訪中は差し控えた方が良いのでしょう。
しかし朝日新聞は、刺殺されたのを海洋警察庁の職員としていますが、何の配慮だか…。

米議会でグアム移転費用が全額カットされる見込みです。その上で、米政府に対して予算を要求するなら計画書の提出と、普天間飛行場を嘉手納基地に統一すること、などを求めています。この動きに一貫するのは、予算の削減です。米軍は嘉手納と普天間、2本の滑走路が必要としますが、決してそれは米国内で多数派な訳ではありません。基地が1つになれば、経費その他が楽になりますし、財政赤字に着目する議会ではムダに映ります。
日本の次期戦闘機がF-35に決まりそう、という話もありますが、一機100億円もかかるのであれば、大型航空機の部品が日本産であることでも分かるように、国内でも作れます。これは研究開発費を日本が負担しており、その経費を上乗せして発注費に含めているために、莫大な機種代となるのです。それで、本当に用に足りれば良いですが、ステルス機がイランに捕縛され、今や米戦闘機は最新鋭が、最先端でない時代に入ってきます。これは米国の景気と密接にからみ、研究開発費の縮減という形となって現れるでしょう。

日本のメディアは、普天間の辺野古移設が既定路線という線を崩しませんが、これも共和党系の軍産複合体を潤してきた層が、密接に政治、メディアに食い込んでいるからに他なりません。TPPが米国の国是のように語る場合もそうで、TPP自体は米国内で、それほど話題にもならないものです。TPPが新たな軍事同盟の変わりになる、という議論をもちだす場合、往々にしてこうした対日戦略を担うグループが関わっていることになります。
米軍は今月末に、イラクから完全撤退します。イランの監視に、軍を常駐させたいところでしょうが、オバマ大統領の公約にこだわった結果です。来年の大統領選に向け、実現力を誇ることと、現実の国際情勢が厳密にはマッチしていない。これも米軍の地位低下に関わるものです。しかもパキスタンは誤爆以来、基地から撤退させられており、中東、アジア圏における米軍の弱体化は、恐らく今後の活動にも影響してくることでしょう。

野田首相は、辺野古移設に向けて環境アセスの提出に前のめり、むしろ出過ぎている部分がありますが、米議会の動きもよく見た方が良いのでしょう。共和党系のグループの言いなりになっていると、いつ梯子を外されてもおかしくない。それは米国内の政府と議会との駆け引きの具に、日本が関わって一方に肩入れすると、後に禍根を残すからでもあります。経済が混乱すると、必ず国際関係もギスギスしてきますから、今は多面作戦を描いておいた方が間違いが少ない…という意味でも、今の態度は危険に過ぎるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2011年12月12日

雑感。欧州格下げの動き?

ロシアで、クドリン前副首相兼財務相が新党結成を示唆しています。クドリン氏はロシア経済が堅調な間、財政赤字を劇的に減らした人物として、欧州から評価も高い。一方で、ロシア経済の失速に合わせ、経済閣僚として詰腹を切らされた、という経緯もあります。ただプーチン首相と近く、リベラル派の結集とされるものの、これが与党系の新党である疑いも拭えない部分ではあります。下院選の不正疑惑で、投票所の調査などを命じていますが、調査するのが権力側の人間であるため、疑惑はいつまでも晴れません。そこで受け皿用の新党をつくる。大統領選に出てくるなら別ですが、まだ流動的なのでしょう。

今年の漢字は『絆』だそうです。個人的には『波』だと思っています。津波もそうですが景気の波、日本の政権支持率の波も、ここ数年は9月がもっとも高く、8月が低いの繰り返しです。ニュートリノが光速を超えた、という記事もありましたが、量子力学では波動性が重要ですし、この前発見か? と云われたヒグス粒子も標準模型の構成には重要で、色々な意味で『波』を意識させられた一年、と云えるものでした。
そんな東京市場は、逆に波がない状態です。海外の株高、株安をうけて朝方動くか、日中のGLOBEXの動きや、アジア株式をみて少し上下動するぐらいで、日中の値幅が出ません。今日も、EU首脳会議を受けた欧米の株高について、うまく説明できずに様子見が続き、ポジションもとれない状態です。日本の経済指標で、11月消費者信頼感指数が前月から0.5pt低下し、38.1ptになりましたが、その悪材料も織り込めませんでした。

しかも、日本時間にはすでに米国や、新興国からIMFによる欧州各国への支援に、懸念が示されたことが伝えられていますから、それすら織り込まない。今晩の欧米市場で、その材料がどう扱われるか分からない。最早、考える頭がない状況となっています。
今年、株式相場を日経平均で10500円〜5000円と予想しましたが、今年恐慌の扉を開かなかったことは、一つの好事ではあるのでしょう。ただ先送りで、問題を解決できなかったため、来年はロールオーバーが一つのリスクとなります。2月以降に拡大するため、そこで債務問題が噴出すると予想されますが、その前に欧州の格下げが現実味を帯びていますので、年末ラリーをとれるかどうか、微妙な状況になってきました。

来年の予想は、もう少ししたら出すつもりですが、今のまま欧米市場に追随するだけでは、急落の余波を受けること必定です。今の米国は、明らかに高すぎます。日中の輸出が減速する中、米国は輸出入に変動が出ていない点も不思議です。ドル安の恩恵も、来年からは剥落してくるので、米経済の変調が今や世界経済における最大のリスクでしょう。
来年の景気変動の波は、底をつけに行く可能性が極めて高まっています。年末にはラリーがあっても、9千円に乗せるのがやっと、週内に欧州格下げなどがあると、警戒モードも強まります。米FOMCでも、特に何も出ないとは思いますが、逆に何らかの対策がでるときは、米国でも警戒モードに入ったと見て良いのであり、欧州格下げの影響を慎重に見極める、そんな展開となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2011年12月11日

雑感、野田政権の100日

今日で東日本大震災から9ヶ月です。大体、企業でも3Qが過ぎると年間の予想もたちますが、津波被害の大きかった市町村の復興計画は、まだ4割しか策定できていないようです。地元の意向や状況などが異なりますが、遅れた要因の一つに三次補正の成立が遅れたこと、も挙げられます。そもそも、今年の補正予算は歳入が確保されないとつかない、という致命的な部分があり、しかも中規模な二次補正を組んだために、大型の三次補正が遅れた背景があります。こうした点からも菅政権の残した害は甚大なのでしょうね。

そんな中、やっと復興庁設置法が成立しました。2月を目処に復興庁を設置したい、と平野復興担当相は語っていますが、遅いことは云うまでもありません。すべてが壊れた時から、本来の復興はスタートします。政治が復興という形を築くまで1年かかろうと、再建はその場限り、一時しのぎでは軌道に乗りません。長期的な安定、安心が得られてこその復興です。法案成立から、2ヶ月もかかるようでは政治が用を足りていません。
昨日で、野田政権の発足から100日です。民主党政権としては三代目ですが、発足からの経緯は似ています。政権発足当初に仕分けを実施、菅政権からは発足後、閣僚がすぐに辞任する形となります。菅政権では亀井郵政・金融担当相が交代し、野田政権では鉢呂経産相が交代。鳩山政権は発足後、9ヶ月で退陣しましたが、支持率は70から20へと急落しており、菅政権では1ヶ月で20%も下落、野田政権でも3ヶ月で20%下落しています。

しかし菅政権は、一部で得をした面もあり、『最悪の鳩山政権』というレッテル張りが横行したため、それよりマシという評判が、当初は定着しました。これは「コロコロ政権を変えるな」という言葉とともに、擁護論がメディアで主流派になった面があります。
野田政権は、党内融和路線を布いたために、当初からメディアの評価はフラット。小沢氏との距離は評価されても、ぶら下がりを拒否し、記者クラブの既得権益の一つを外したため、メディアも評価しにくい。情報発信力の不足、と論じられる場合、多くはぶら下がりの復活を望んでいます。問題はぶら下がりのような毎日の発言より、一昨日の記者会見でも、何も読み解くような部分がないことなのでしょう。公務員給与や、議員定数削減などは「早くやる」と云いながら時期は明言せず、社会保障と税の一躰改革は時期を示して解決までの道を示す。官僚依存、ということしか、野田氏は示していません。

野田氏は、霞ヶ関からの話と、一部の新聞の購読しかしないのでしょう。残念ながら、国民の声を聞こう、という姿勢すら感じられません。霞ヶ関では稀代の名宰相という誉も高いですが、その内閣の支持率は下落の一途です。ハネムーン期間が終わり、倦怠期がくる前に、国民からは離婚届が出されそうです。復興庁の設置が決まりましたが、野田政権にとっては、復興して欲しいのは支持率、ということなのかもしれませんね。

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2011年12月10日

米無人偵察機と中露

昨日のEU首脳会議に対し、米国は明らかに失望を感じたようです。米国は以前からIMFへの追加拠出を渋っていましたが、米国民の税金は使わないと明言しました。中東、ブラジル等は支援の方向性をもち、バフェット氏も欧州国債に投資しているようですが、買い手は不在でしょう。何より制裁金を課した場合、その支払いのために国債を発行し、その国債を制裁金をえたEUが支える…という構図は、何とも皮肉な限りです。

イランが確保した、とされる米無人偵察機が公開されました。中露からイランの航空便は満席、と皮肉られるほど、電子通信無線を乗っ取り、無傷で確保したために米軍事機密がダダ漏れの状況です。今後警戒すべきは、レーダーに映らない航空機が増産され、世界中で領空侵犯が多発することです。これまで米軍が専売特許であり、偵察、空爆による暗殺等、やりたい放題だったことが、中露がそれを握ることが可能となります。
イランとしても中露と結べば核技術の獲得も可能ですし、ミサイル技術も推進できます。この無人偵察機の技術で、世界の軍事技術は一段、先にすすむことでしょう。日本は米軍に対して技術の開示と、合同で対策を打つことを求めるか? 一歩先んずるならイランとの間に合同研究チームを提案し、中露が技術を得る前に囲ってしまう手もあります。イランに軍事技術を握られても、第三国への流出を防げれば、米軍への理解も得られます。ただしこれは、イランが裏切らないという前提と、それだけの見返りも必要です。

そんなロシアも、下院選の不正疑惑で国内が荒れてきました。当初、デモを強権で押さえ込みに入りましたが、勢いは増すばかり。アラブの春を目の当たりにした、ロシア当局者もこの流れが、政権打倒に繋がることを恐れ始めています。プーチン氏が米国の陰謀説を唱えましたが、現在そうした兆候が無くても、今後この無人偵察機の問題と絡めてみても、米国の諜報部隊が暗躍する可能性が極めて大きくなっています。
中国も不動産価格下落、鉱工業生産指数の低下、等の経済下押し圧力が強まっています。世界経済の牽引役としての力を失えば、中国の軍事力増長に目をつぶっていた米国も、動き出すことになります。内部に動乱要因を抱えているため、中国は扇動しやすい。特に中露は汚職、内部不正に国民が失望しており、政府を打倒しやすい環境にあります。

経済の波乱とともに、軍事的、政治的にも問題が拡大しそうな昨今。日本は、と言えば防衛相と、消費者担当相を守るために、国会を閉じてしまいました。日本の政治が幼稚なのは、自己防衛とイイワケのために外交を駆使しており、国として、国益をどう確保するかの観点が皆無である、ということです。そのため、米国に依存していれば良い、という謝った認識を、政府を初めメディアもそう訴えます。しかしそれでは国をやめて属州にでもなればいいのです。国としてのプライドがあるなら、この激動期にしっかりとした道筋を示せる、そんなリーダーの登場を待たなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2011年12月09日

EU首脳会議

EU首脳会議の概要が、徐々に明らかになってきました。
 1.EU基本条約は改正しない。
 2.ユーロ圏各国は財政赤字がGDP比0.3%超えないよう、憲法に明記。3%を越える場合は
  制裁金を課した上で、欧州委による監視、指導。
 3.EFSFの後継であるESMは銀行免許付与せず。資金力の上限5千億ユーロ。
 4.IMFにユーロ圏から1500億ユーロ、EU圏と合わせて2千億ユーロを拠出し、支援に
  充てる。
 5.ユーロ共同債は発行せず。

昨日、ECBが0.25%利下げしましたが、国債買取枠の拡大には消極的でした。これは市場の期待値が高すぎ、急な変動を懸念したものです。EBAが欧州金融機関の資本不足が11兆8千億円、と試算しましたが、9月末の国債価格を基準としており、現在はもっと増える公算です。しかも欧州は2度もストレステストに失敗しており、この手の報告に信ぴょう性がもてないことも、市場の不安を煽るのでしょう。さらに、米MMFは仏国からの資金シフトを進めており、これは仏国の格下げが、現実味を帯びていることを示唆します。
まず、上記2と4のみが、直近の支援として機能するものです。2に関しては、米国で財政赤字がGDP比100%を超えないための法律が、改正に手こずったように、これは政局化する恐れがあります。財政は与党の専権事項ですが、達成できなければ野党からの攻撃材料となり、かつ欧州委からの指導が入れば、それだけで失政と判断されます。あくまで極論ですが、赤字隠しや、財政を見えにくくすることが横行するかもしれない。これは欧州投資に対する不安として、今後も意識される恐れがあります。4は、各国の財政支出は少なく抑えられましたが、逆にこれでは不十分であり、更なる資金の積み増しが必要です。

1と5は市場の期待に答えられなかった部分です。ただしこれは、今後も合意が難しい話であり、一方で期待としては燻り続ける、厄介な問題となるのでしょう。3も、既定路線のまま、という決定ですが、総じてこれだけ注目を集めながら、見るべき点は何もないといった結果となりました。現在、欧州市場は安定していますが、今日はまだ戦略を練りきれておらず、来週からこの施策を見た売りと、年末ラリーとの綱引きとなるのでしょう。
しかし日本の貿易が、2ヶ月連続で赤字になる可能性が示唆され、中国でも鉱工業生産が鈍化、各国で消費鈍化の傾向が見受けられます。欧州の成長率見通しが悪化し、今後も輸出依存型の国は、かなり厳しい推移になるのでしょう。しかも、欧州で明確な対策が打ち出されなかったことをみても、来年はもっと厳しいと予測されます。

欧州の対立の構図も鮮明になってきました。独国は財政規律重視、仏国は緩和姿勢、英国は英国益を守る、といった形で、今後のEU首脳会議には期待ももてません。残念ながら、もっと危機が深刻化しない限り、対面を乗り越えることは出来ないのでしょう。ナポレオン後の国際会議が、中々決着をみず「会議は踊る」と評されましたが、まさに今回もそんな結果です。ただし、踊ったのはタンゴでも、ワルツでもなく、お遊戯会のダンス程度だったという意味で、今後の世界経済に暗雲が漂い始めたと云えるのでしょうね。

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2011年12月08日

COP17で京都議定書の継続へ

臨時国会が明日で閉会されます。これで重要法案がとび、通常国会に持ち越されますが、問責の可決が決定的になりました。閉じるなら、国会がとまることを恐れる必要がないためです。国会の審議を拒否すると、野党にもリスクがありますが、民主党は与党の方がリスクが高いと考えたようです。
終盤国会で問題が持ち上がりました。中国にある日本大使館で、脱北者を入れないよう中国と誓約を結んだ文書がある、というもの。政府は何らかの文書が存在することを認めた上で、提出は拒否しています。これは前原前外相、仙谷元官房長官の頃の出来事であり、内容が明らかにされると反小沢派にとって、かなり痛手となるのでしょう。もしこれが事実なら、かなり屈辱的な内容で、外交交渉の条件を飲まされたということであり、それは外交力の欠如を示します。

ECBが0.25%利下げし、年1%としました。利下げは織り込み済みですが、今週末にかけて首脳会議で何らかの提案が出るかがカギです。今のところ、財政規律を守れなかった国に罰則、という話がありますが、取締と罰則の内容と、様々な点でこの対策は不十分な可能性が高い。IMFを巻きこむ案と、ESM及びEFSFを銀行扱いとし、ECBから支援を受けられるようにする、等の案が出ていますが、いずれも実現性は低い。EU基本条約の改定も、結果的に国が州に格下げされるぐらいの、強い強制力をもった上位の政府がないと成立できないことです。それが、ここ2日で決着がつくとは思えません。
そんなEUが主導し、COP17で京都議定書の延長が決定される流れとなっています。しかし日本、カナダ、ロシアが拒否、米中は参加していないため、主要排出国がほとんどいないまま、削減目標を決めるという極めて歪んだ国際会議となっています。約2年前、鳩山元首相が国連で90年比、20年までに25%削減と演説していますが、途上国をふくむ主要排出国の参加を前提条件としており、離脱はそれに沿った決定でもあります。ただ問題は、2年の間に米中を初めとした、新興国を巻き込めなかったことが失敗でもあるのでしょう。

これは、京都議定書の内容がEU、新興国にとって極めて都合よい内容だからです。東欧の参加で排出量に余裕のある欧州、削減義務を負わない新興国、さらに先進国に対して排出権取引を行えば外貨が獲得できる、非常に有利となっています。これを上回るシステムを提案しなければ、誰も日本の主張に耳を傾けない。京都議定書をフランスの諺になぞらえると「天が落ちたら雲雀がたくさんとれる」です。地球温暖化という、天が落ちるほどの災厄でも、それを利益が降ってくるものとして、口を開けて待っている国がたくさんある。その仕組みに楔を打たなければなりません。
どうするかは簡単で、その国ごとに地球温暖化によるマイナス面を算出し、それが排出量取引で得られる収益と比べ、多寡を明確に示して交渉することです。利害がもっとも国を動かす要素となりますが、日本はこうした分析力が弱いこと、個別交渉が不得手なことから、国際会議で多数をとれる形は滅多にありません。これも外相、外務省の力の弱さであり、アフリカ諸国をまとめていたカダフィ氏を失った後の、交渉方法の確立に至らないなどが影響しているのでしょう。

CO2が、地球温暖化の主因ではない。というのが最近の主流になりつつあるので、COP自体の位置づけも変わってきています。さらにEU首脳会議ですら、結論が出せないのに、こうした利害が密接に絡む国際会議がまとまるか? という話もあります。最後に、もう一つフランスの諺を上げておきます。「鳩の怒りをおそれよ」 これは、いつも柔和な人間がたまに怒るのは怖い…というぐらいの言葉ですが、日本もたまに強もてに出て、国際会議で強いリーダーシップをとるぐらいの方が、外国もオッと思うのでしょう。それが鳩山イニシアティブを踏まえた、日本のとる行動なのでしょうね。

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2011年12月07日

政局含みの話を幾つか

東電が火力発電所の新規着工を見送り、一部を売却する方向で検討しているようです。ただし高額な託送料(送電利用料)があるため、どれだけ利用者の便益になるかは不明です。東電は固定費を減らし、この高額な託送料で収益性を確保するつもりかもしれませんが、人件費削減は年金減額とセットでないと、上手く機能しなません。国の損害賠償支援機構が主導し、報道から世論を形成して流れをつくるつもりかもしれませんが、週内とも云われるアクションプランが待たれます。
またこれはTPPと絡む話かもしれません。TPPでは、米国から発送電分離を要求されることがほぼ確実です。発電会社に投資したいが、地域独占で守られているため、収益性が低い。電力会社と、発電のみ行う会社が同じ条件になるなら、発送電分離が現実化します。東電で先鞭をつけ、それを他の電力会社にも拡大し、TPPに備えようとする経産省側の思惑も働いているかもしれません。

改正国民年金法が参院で可決、成立しました。注意したいのが、復興債の個人向け販売も始まっていますが、1次補正で転用された年金の国庫負担分2.5兆円を、復興債で賄うとこの法律で決めていることです。11兆5500億円発行のうち個人向けが1兆5千億なので、復興にほとんど充当されると見ることもできますし、1次補正に転用されたので、それは復興に回ったと考えれば補填でも問題ないかもしれません。ただ、復興債と銘打ってもすべて復興に回るわけではない、と覚えておく方が幸せです。
またこの法律で特例が解消されます。特例そのものは、景気や年金受給者への配慮、というよりマクロスライドを導入したことを、誤りと指摘されないよう時間をかけて、影響を軽減するための措置でした。減額されると受給者が困る、という論調もありますが、それはマクロスライドを導入した段階で分かっていたのであり、構造的なデフレの日本では減額が必然とも云えるのです。

昨日、原子力協定承認案の衆院採決に関して、民主党から造反が出ました。これは野田氏にとって年内離党、新党結成のプロローグに見える厄介なものです。そんな中、民主党の代表選で在日外国人の投票権を廃止し、任期途中で辞任した場合は国会議員と合わせ、地方議員も3人に1票を割り当てる案が示され、来月の党大会で決定する見込みです。この臨時の代表選の変更は、世論の煽りを受けやすい地方議員に票を割り当てれば、小沢系の代表が誕生しにくい、と読むことができます。
造反も小沢系が中心ですし、小沢系が増税反対の筆頭となっている。当然、新人議員などは増税されると、世論の反発をうける、再選されにくくなるので小沢系に加担する可能性が高くなっています。菅、野田と続いた非小沢系の政権の失敗を目にすれば、尚更そうした流れになりやすい。国会議員票だけにしておくと、まさに野田氏に逆風が吹きやすい環境が整いつつあるのです。

国民新の亀井代表が、郵政改革法案の修正を示唆し、野党への提案を行なっています。これも政界再編にむけた布石、と見ることができます。郵政で柔軟化しないと、新党を結成しても参加に向けたハードルとなり、人が集まりにくくなる。参加しやすい仕組みとすることで、野党からも人を募りたいとの思惑が透けて見えます。郵政の支持だけでは、選挙が厳しいと見ている部分もあるでしょう。
鈴木宗男氏が仮釈放され、これも大きな流れの布石となりそうです。新党大地の支持をとりつけられれば、北海道で当選しやすくなるだけでなく、比例でも有利になります。年末にかけて、幾つも動きがみられますが、どれもが政界再編をにらんで今動くか、様子見か、という綱引きをしながら政局を動かしていくのでしょう。野田政権、すでに議員から注目を集めにくくなっており、水面下の永田町のストーブリーグは、かなり熱い戦いになっていくのかもしれませんね。

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2011年12月06日

オリンパスの第三者委員による報告書

米格付け会社S&Pが、8〜9日に開かれるEU首脳会議の結果如何で、15ヶ国の長期国債を格下げすると発表しました。これは米国から結果を出せ、という圧力にも見えますが、ユーロ圏からAAA格付けがなくなる可能性があります。仮にどういう仕組みとなっても、ユーロ圏の債務は増える形となりますし、歳出削減圧力により、景気下押しの懸念もあるので格下げは、ある意味妥当とも判断できます。
日本の株式市場は大きく下げましたが、8750円のコールに商いが多かったため、ここを狙って上げてきた側面があります。今週はロールオーバーも増えていますが、ある程度達成感もあるので、今後はEUの動向次第でしか動けない展開でしょう。年末ラリーを意識するのはもう少し先になるはずです。

明治の粉ミルクから、1kgあたり30.8Bqの線量が検出されました。埼玉県春日部市の工場で、大気中から混入したらしいとのことで、懸念を感じます。もし一時期にしろ、それだけ高い放射性物質が、その地域にあったとすれば、関東圏の工場で製造された食品も、検査すべきと云えます。真空密封や窒素を封入していない製品は、同様に線量が上がっている可能性があり、もう消費されてしまったものも含めて、影響が今後も拡大する恐れが出てきてしまっています。
またこの程度の線量なら問題ない、暫定基準値200Bqをもちだす論もありますが、乳幼児の基準は今後見直しされます。薄められるから、8日で半分が排出されるから、との説明もおかしい。排出される速さは関係なく、毎日定期的に経口摂取するものなら、濃度はその食品をとり続ける間高止まりするのです。しかも半分は排出できても、残り半分はまだ残るのですから、特に同じもの毎日とり続けるお米や乳幼児のミルクには細心の注意が必要なのです。相変わらずこうした説明は不足しています。

オリンパスの第三者委員会が、報告書を公表しました。注目したのは損失の種類と隠す手法でした。要約版を読んだだけですが、前者は「金利先食い型の商品と複雑な仕組み債」というだけで、詳細には分かりませんでした。後者は「連結対象外の受け皿ファンドの創設」であり、オリンパス側の資産を元に、銀行からファンドに融資させる。またオリンパス側で投資事業組合をつくり、資金を流していたとのことです。なぜこの2つに注目するかと云えば、他社へ波及するかどうか? でした。
98〜00年にヨーロッパルートでLGT銀行が、00〜05年にシンガポールルートでコメルツ銀行が、それぞれファンドへの融資に関与していますが、LGT側は損失飛ばしを認識していた、とされます。一方でコメルツ銀行は投資事業組合への融資なので、こちらは影響を回避できるでしょう。また国内でも投資ファンドに投資し、それを合わせて1千億円近い額を、常時動かしていたことになります。その償還のために、のれん代として資産化、償却するために買収へとつながっていった、と述べられます。

98〜00年の仕組みは、LGT銀行と調整済みだったこともあり、チープですが、05年までの仕組みは詐欺に近い形です。コメルツ銀行に預金し、それを迂回融資のような形でファンドに流すなど、極めて悪質性も高い。どこまで責任追求できるかもありますが、やや影響が拡大するかもしれません。同じように、傘下に投資事業組合を抱える企業は多くあります。それが飛ばしや、迂回融資などで資産を運用していないか? この報告でその霧を完全に払拭することはできなかったのでしょう。
オリンパスはこの報告をうけ、監査法人が14日までに1ヶ月遅れの四半期決算を提出します。恐らく、監査法人も繁忙期ではないため、間に合う可能性もありますが、まだ微妙なところです。すでにオリンパスの上場維持は国策であり、提出期限の延期も囁かれますが、そんなことをすれば信用を失うことになるのでしょう。第一、十年以上も損失隠しを行なった上、その処理に関しても当時はスルーしてきたことを思えば、市場の信頼回復には経営刷新ばかりでなく、投資に対する約款変更まで含めて企業が出直さない限り、上場維持しても企業価値の向上にはつながらないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2011年12月05日

ロシア、韓国の選挙と、韓国への備蓄

山口県で高級車が14台、多重事故を起こしました。一部で「車の性能を楽しんでいた…」と伝えるメディアがあるなど、配慮も見られることから、中には九州の有力者か、その血族が含まれるのかもしれません。週刊誌には恰好のネタになりそうであり、性能を楽しもうが、速度超過は違反です。

報道ステーションの某コメンテーターが、橋下氏が市役所に意見交換に出向いた件で、職員がイエスマンばかりで良いのか? と述べていました。この人物は首を傾げる意見が多いのですが、市役所職員は実務遂行が仕事であり、市長と議論して市政を決めていくのは市議会です。職員が意見を違えて対立することは、混乱を引き起こすだけです。職員がNOと云ったら市政がストップするのか? もう少し職責、棲み分けを考えて発言しないと、ただの暴論に陥る可能性があります。
ロシア下院選が行われ、与党・統一ロシアが得票率で50%を割り込みました。しかもラジオ、ネットなどで政府に批判的なところはアクセスできないなど、露骨な妨害行動と選挙違反? があったとされる中なので、極めて与党に厳しい展開です。これは日本にも影響し、強権姿勢や独裁が疑問視されることから、圧力が低下する可能性があります。一方で、まったく逆に国内の不満を海外にむける、北方領土で対日恐慌論を展開する、という恐れも出ています。特に、欧州債務不安で投資資金の引き上げが、顕著なロシアでは、後者に軸足をおく公算が高いので、注意が必要でしょう。

同じように、韓国ではソウル市長選で与党ハンナラ党の議員秘書が、選管HPにサイバー攻撃を仕掛けた罪で、逮捕されています。野党支持に近い無党派層を、選挙に行かせないためでは? として韓国国会は大荒れです。選挙違反はどこの国でもありますが、ロシア、韓国の例は選挙制度としての、新たな違反対策として日本にも参考になるものです。金ではなく、妨害という形が今後、日本でも増えてくるのかもしれません。選挙戦中の、人権侵害も含めて監視が必要なのでしょう。
そんな韓国で、石油製品の備蓄を経産省が計画していることが明らかになりました。これは由々しき事態です。まず韓国は、北朝鮮との間で休戦状態であり、云わば戦時下です。延坪島への砲撃があっても、開戦ではなく休戦協定の違反となるのはこのためです。そんな国に、大事な備蓄をつくる。これは大問題と云えるでしょう。理由は、恐らく米軍は北朝鮮が暴発する可能性が、近年になく高まっていると見ています。それは食料危機に陥る春から夏にかけて。そのとき、日本の備蓄基地が韓国にある場合、米軍の補給拠点として利用できます。さらに、そこが北朝鮮から攻撃をうければ、日本の財産に対する攻撃なので、否応なく朝鮮戦争に日本も関与せざるを得なくなる。つまり、米国の戦略において、日本の備蓄を韓国におくことが、極めて有効と判断されたのでしょう。自衛隊が日本の財産を守るため、日本海に展開することが、一定程度容認されるという考えです。

震災時、備蓄が海洋に流れて大きな被害を出しました。しかしこれは、効率性の観点で海岸に置くことが、リスクなのです。日本海の備蓄を韓国に移し、震災でも影響がないように…と云っても、もし日本海で地震が起きれば、津波は全方位に広がるので意味がありません。残念ながら、この経産省の計画は、まったく意味を為さないと云えるのでしょう。むしろ朝鮮戦争の再開を想定するなら、マイナスと指摘できます。すでに韓国から非公式に了解を得ている、という話ですが、少なくともこの動きも、米国に依拠している野田政権下における、首を傾げたくなる判断ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2011年12月04日

雑感。野田政権の支持率低下について

中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)の設立にむけ、米加を除く中南米諸国が会合を開きました。米州機構(OAS)に変わる仕組み、として機能する可能性があります。中国の胡主席が早速「歓迎」の意向を伝えていますが、足元の友好国だったミャンマーを揺さぶられ、遠交近攻の策にでたようです。
しかしこれは日本にとっても好機です。常任理事国入りをめざし、日本は米国に日、独、インド、ブラジルの4ヶ国によるG4を提唱しています。米国は明確に賛否を明らかにしていませんが、中国が反対し、大勢を占めている状況です。日本が本気で常任理事国入りを目指すなら、中国離れを起こしているアフリカや、CELACをとりこむ必要が出てきます。ただし、自民党時代に熱心だった常任理事国入りに、民主党は態度を明確にしていないので、そうした熱もないのかもしれませんが…。

共同通信の世論調査で、消費税増税法案の成立前に、解散すべしとの意見が50%を超えました。当然これは、実施前に選挙としていた野田政権の、戦略見直しを迫るものです。野田氏はTPP、消費税増税に不退転の決意と述べました。ただし、仏教用語でいう『不退転』は「修行において得た悟りや徳を失わないこと」です。首相になる前、野田氏が積んできた修行は、相当歪んでいたのでしょう。何しろ教師役は財務官僚であり、そうやって得たのは人々から支持されないものだからです。
仏教から出た言葉は、かなり意味を歪めて、今では使われているものが多くあります。例えば『投機』。これは師と修行僧との心機が投合することを仏教的には意味しますが、ご承知のように現代では博打的な投資に、これを用いています。『退屈』…これは仏教用語では困難に尻込みすることですが、今ではヒマなことを意味します。そうした言葉と同じように、『屠所の羊』という言葉があります。仏教的な意味は、老いや死に対しても無関心でいることを、自分が殺されるとも知らずに屠所へと向かう、羊になぞらえたもの。現代ではそれを、逆に元気なく萎れる様に使います。

野田政権は、まさにこの仏教的な意味でいうところの『屠所の羊』です。政権は常に劣化していきます。生きている証を残さなければ、見劣りがして支持率が低下していく、それが宿命です。野田氏はその証をTPPや消費税増税に求めていますが、説明もしていないため、伝わっていない。『ホラを吹く』とは、今ではウソをつく、大げさなことを云う、という意味ですが、仏教的に云えば法螺貝は遠くまで伝わることから、説法に喩えたもので、実は良い意味もあります。
野田政権は何か好事がおきない限り、支持率も上昇しないでしょう。それを『渡りに舟』で乗り越えようとするのでしょうが、仏教的な意味は「子の母を得たるが如く…」と並べられることから、実は必然により訪れる事象を云ったものです。ただ、野田政権にそれは訪れないかもしれません。最後に『利益』という言葉も仏教的に読むと『りやく』、ごを付けると分かり易いですが、そう読みます。しかしこれも本来は自分が得るのは『功徳』であり、他人を益することを『利益』と呼びます。もし野田政権が、財務省を益することを考えているなら、御利益は国民ではなく財務官僚に与えられる、ということになるのかもしれませんね。


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2011年12月03日

雑感。東京モーターショー

米国の8月雇用統計が12万人増、失業率も8.6%と改善しました。ただブラックフライデーが史上最高の売上高、と同時に史上最長の営業時間でもあったように、小売が相当コストをかけた結果です。それは臨時雇用も増やしたのであり、雇用統計も数字通りに受けとめることは難しいのでしょう。
米メディアがIMFを通じ、ECBが2千億ユーロを債務危機国に拠出、と伝えました。ECBは金融機関の監督を主な業務とするため、国を支援できません。そこでIMFを通す、という話ですが、これが9日のEU首脳会議に向けた布石かはわかりませんが、ECBが国家支援に関与し始めると、一時的には安定に寄与しますが、長期ではユーロ安を引き起こします。通貨ユーロはなくなるかも…バフェット氏の予言があたるか、ここ数ヶ月の動きが鍵となってくるのでしょうね。

東京モーターショーが開催されています。日本の自動車産業は失敗の典型です。車は高級品の地位をキープするために、新技術を次々と投入し、開発費もふんだんにかけてきました。汎用品になると白物家電と同様、価格下落圧力が強まり、収益性が落ちるためです。しかしその結果、国内需要の低迷とともに先進国向けの輸出に依存し、円高の影響をうけやすい体質となっています。しかも新興国はまだ乗れれば良い、という水準であり、高級車への需要はそれほど多くない。新興国に売るためには、汎用品として低価格な車にシフトする必要がありますが、それに出遅れました。
自動車産業は裾野が広い、という話もありますが、EV車が増えると部品点数が減るため、産業としての位置づけも低くなる。むしろ家庭での急速充電などを含め、家電メーカーとの連携に重点をおくことになります。つまり立ち位置に変化を見せなければ、次の10年、20年を生き残れませんが、中々その戦略はみえません。今の円高対策や、TPPへの期待をみると、国に依存して生き残ろうとしているようにしか見えない。まさにそれはここ数年にまたがる失敗の歴史、ということです。

自動車重量税の廃止が税調で議論されるなど、国も自動車産業を支援する方向です。ただし、それは税制全体の考えを歪め、特定の産業に便宜をはかるようなものです。もしそれを認めるなら、自動車も多くの製品がたどったように高級車と、安価な車とに分化していくべきなのでしょう。一時、トヨタがレクサスという高級ブランドをつくりましたが、棲み分けが不明確で失敗しました。最近ではダイハツが80万円の軽自動車を出しているように、こうした低価格戦略車が必要なのでしょう。
技術革新は、常に先端技術をもたらすとともに、コスト低減に伴う価格低下をもたらすはずです。新興国市場が競争相手になった今、自動車産業にはこうした層化により、多様化する需要に答える必要があるのでしょう。強い産業として生き残るためには、変化に対応しなければならず、今のように変化が急だからムリ、と言っているだけでは産業としても見劣りがします。

新車投入サイクルの短縮など、企業も努力を重ねてきました。しかし今求められるのは、既存技術を生かした研究開発費をかけない安価な車です。またデザイン性も重要なファクターとなってきます。ただ日本の自動車産業の最大のネックは、デザイン性です。東京モーターショーでも、見栄えは良いですが、どれも似たり寄ったりで、面白みには欠けました。Appleがデザイン性で優位を得たように、日本メーカーの生き残り策がどこにあるか? それは自ずと答えも出ているはずですが、まだ明確な解答をみせておらず、自動車業界の苦境はつづくことになるのでしょうね。

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2011年12月02日

ミャンマーとイランの資源

一川防衛相の問責決議が、可決される流れです。給与の一部を返納、という形でお茶を濁したいようですが、可決されれば延長しても参院で審議がストップ。法案が通りません。野田氏が必死で一川氏を庇うのも、これで野田政権下で閣僚が二人目の辞職、三人になるとレイムダックなので、何としてもそれは避けたい。また小沢系の議員を切ると、年末にかけて離党の動きに弾みをつけます。
しかし防衛省としては、無能で役に立たない一川氏をきり、北沢氏を待望するムードも強い。なので1995年の事件も、あえて一川氏に教えることはせず、国会であのような答弁になったのでしょう。ここで沖縄防衛局長、防衛相と二人を失うと、防衛省の力は一時的に弱まりますが、環境アセスは野田氏が強引にでも提出するでしょうから、体制を刷新してでも…というところです。ただ野田氏は問責がでるなら、法案を通す条件で辞任としたい。その綱引きのが今後出てくることでしょう。

クリントン米国務長官が、ミャンマー入りしています。米国のアジア重視の一貫であり、一方で、まだ軍事政権の影響が残るので、日本などと連携して対処する思惑です。ミャンマーも、世界で吹き始めた中国離れの流れを受けています。中国は相手の利権としか結ばないので、国民に不満がたまる。国の資源、財産を奪われている…という不安が、中国企業の進出に嫌悪感をむける原因です。
ミャンマーは資源国ですが、米国はつい最近、原油の純輸出国となりました。シェールガスの採掘も活発で、ミャンマーだと旨みは少ない。しかし日本は違います。ロシアが天然ガスを外交に用いる以上、交渉に相応しくない。インドネシアとは天然ガス開発で、提携も増えていますが、カントリーリスクを考えるなら、多国との間で権益をもつことが大事です。あくまで軍事政権の影響が薄まるならとの前提で云えば、ODAの再開を含めて関係を構築しておくことが有益です。

そんな中、イランの核開発問題で緊張が高まってきました。英仏など、欧州ではイラン大使館閉鎖の動きもあり、今日になって施設で爆発が確認? という記事まで出てきました。これは攻撃をうけた可能性と、核の起爆実験を行なった可能性と、二通りの見方ができますが、イランが否定していることから、後者かもしれません。いずれにしろ濃縮は進んでおり、起爆装置ができれば、中距離ミサイルは北朝鮮の協力で完成したとされ、核爆弾の保有が現実味を帯びてきます。
欧州が苦しいのは、経済制裁の真下でもイラン産原油を禁輸してこなかったことです。中東でアラブの春により、調達が難しくなる中、イランは比較的安定して原油を供給してきました。しかし大使館襲撃、核開発の問題などをうけ、禁輸リストに加える必要が出てくるかもしれません。それは欧州にとって苦渋ですが、イランが外貨を獲得する手段として原油依存度が高い中で、それをしないと経済制裁の意味を失うのです。そして、イランから欧州へ輸出できなくなった原油は、もしかしたら安価で、アジアに流れてくる公算が強く、それは震災で備蓄を失った日本にとって必要なものです。

欧米でイランにむけ、経済制裁強化の動きが出るでしょう。そんな中、日本がイラン産原油を輸入できるか? という問題もあります。しかし震災を理由として備蓄分につかう、とすれば理解も得られやすい。何より、上限が決まっていれば安心感が出ます。イランの核開発問題は、イスラエルの反発とともに予断を許しませんが、国際社会でうまく立ち回るようでないと、日本は今後立ちいかなくなります。ガソリンも再びじりじり上がっていますが、円高のこのタイミングで資源を確保し、安定供給に資する戦略をもつ。非常に大事なことですが、野田政権にそうした臨機に立ち回る能力があるか? ということで非常に疑問なので、今回も指を銜えて見ているだけなのかもしれませんね。

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2011年12月01日

野田首相による記者会見

昨晩、日・米・欧・英・カナダ・スイスの6中銀が協調してドル資金を供給する、と発表されました。これまで1%の付利を、0.5%に下げて借りやすくするものです。ただこれは白川総裁が云うように「時間を買う」。即ち、これが長期にわたると市場に見透かされると、ドルに余剰感が強まり、ドル安へと向かいやすくします。また金融機関が、この付利で資金を借りてばかりいると、破綻懸念が生じてさらにドルを調達しにくくします。本来、日本ではドルに不足感がないので、参加する意義は相当に低いのですが、協調を演出するため、緊急の金融政策決定会合まで開いて決定しています。
それ以上に、昨晩は中国が預金準備率を0.5%引き下げた。これが市場には影響しました。春節前、という観測もありましたし、下がったとは云え、まだ5.5%も消費者物価が上昇しています。ただ今日発表の11月PMIが前月比1.4P低下して49と、節目の50を割れてきました。預金準備率を下げると、市場に人民元の余剰感が出ますが、不動産の下落や、製造業景況指数の悪化をみる限り、それを吸収できるとの意図が、このやや早めに緩和策に舵をきった理由でもあるのでしょう。

野田首相が4次補正予算の編成を指示しました。予想より金利が低下したため、その不要な利払い分、税収上ぶれ分で財源を捻出し、二重ローンの問題などに充当します。ただこの細かい補正の編成が、如実に菅政権を継いだ野田政権の、財務省依存を示している、という意味では深刻です。予算が余りそうだから補正が組めますよ、と財務官僚に囁かれないと、補正が組めない状況です。一部でTPP参加を睨んだ農業対策費…という話も出ていますが、野田政権は参加すると言明していないので、仮にその予算を盛り込むと参加が前提とみられることから、盛り込むのは厳しいでしょう。
しかもこの4次補正、景気にはほとんど影響しません。被災事業者向けに、二重ローンとなる分の債権を買いとることも必要ですが、マイナスがゼロになる程度の効果です。加えて、他の震災復興関連の予算が、使い勝手が悪くて地元まで流れないのと同様、今回も金融機関から無条件で吸い上げれば損失を国が抱えるだけですし、条件をつければ審査に手間取るばかりです。復興基本法における理念では雇用創出を唱えますが、同時に『計画的かつ総合的に』復興をすすめると明記されており、ますます無条件とはいかないでしょう。法整備の段階で、かなりのハードルを課すと思われます。

今日の野田首相の会見で、通常国会に特別会計法の改正案も提出予定、と示しました。公務員住居を15%削減から25%削減へと上積みしたように、増税を通すためには多少は身を切る、という方向に舵を切ったようです。ただ公務員住居など、公務員の数は郵政民営化などもあって減っている中、増やす方向で来たこともあり、削減はむしろ適正水準へと動くことが肝要です。さらに、特会も一般会計の二倍近い水準であり、歳入から見れば三倍近い水準であることが、そもそも間違いなのです。実に、この二つというのは財務省が抱えた余剰を、ただ吐き出すだけに過ぎないと云えるのでしょう。
七月革命後、フランスの王政復古の時代は、王が銀行家や実業家の機嫌ばかりとり、一方で市民の自由を制限するなどしました。しかし逆に、一時的に平穏な時代を享受することに成功しています。ただ、そうした抑圧された自由と、ブルジョワ優遇に伴う利権と腐敗の構図に、やがて二月革命が起きて王は放逐され、新たな統治体制が築かれます。今の日本は、この過渡期の時代にいるような気がしてなりません。当時の首相は「国家は私より重態」と嘆きましたが、まさに今の日本は『重態』であり、早く根治させなければ欧米の荒波にただ、翻弄されるだけになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済