2012年01月

2012年01月31日

田中防衛相と沖縄防衛局

米国イリノイ州のバイロン原発で、一時外部電源が喪失し、低レベルの放射性物質をベントで外部に排出する、という事例がありました。非常用電源が立ち上がり、問題ない、基準以下だから影響ないと、まるでどこかの政府みたいな言い訳です。しかし経緯を調べれば、外部電源が喪失した時点で、安全には停止していない疑いがあります。安全サイドであるなら当然止まっているべきですし、そうであれば内部の圧力が上がり、ベントするということもなかったはずです。米国の古い設計の原発は、外部電源喪失に弱い、ということが今回も明らかになったのでしょう。
同日、ロシアで日本からの輸入品の内、福島原発事故後、約10ヶ月で535の基準を上回る汚染された物品を確認した、とされます。除染で一部は輸入されたようですが、まだ壊れた建屋に覆いもない中で、原発の情報に疎くなってはいけないのでしょう。政府は原発を原則40年で廃炉という方針を閣議決定しましたが、原則がついた時点で形骸化は確実であり、外部電源喪失に耐えられるのかは、しっかりと検証しなければいけません。米国の影がちらつくIAEAが、例えお墨付きをだしても、です。

田中防衛相が、予想通りの失態続きです。真紀子氏は後ろから足を引っ張られ、外相を辞任しましたが、直紀氏は後ろから手足を操る人がいるようです。就任早々の辺野古年内着工の話も、間違えたのか、どうせ田中氏は長く続かないと官僚が願望を口走らせたのか、定かではありませんが、元々よく知らない防衛面ですから、官僚の言いなりになっても当然で、これが野田氏の定義する最強内閣ということなら、この国の防衛面を最弱の状態にしておくことが良い、と述べていることになります。
そんな沖縄防衛局で、宜野湾市長選に関与したのでは? との疑いがもたれています。労働組合や、政治にかかわる宗教をやったことがある人なら、この程度のことは選挙ごとに行われていることで、何とも思わないでしょう。ただし広義では、これはアウトでしょう。何より、そうした活動にメールを使う、脇の甘い構図は、どこかの電力会社のやらせ事件と同じです。違法性が高いものを、証拠を残す形で行うのは、沖縄防衛局が本当に防衛を担えるのか? という不安すら感じさせるものです。

しかも防衛省は、身内で調査することで是としようとしている。選挙に行くことを促す講話をした、とのことですが、職務権限上の命令権を有する局長がそれをすれば、下手をすればパワハラです。しかも身内を調べて参加を促すところから、その疑いもあるのです。選挙でどの候補に…と云えば、公務員が政治活動する法律に抵触しますが、その前段階から、これは容認できないものなのでしょう。
原発の問題も、この沖縄防衛局の問題も、やり口が非常に似通っています。汗をかかず、賛成派を集めて多数派のように見せかけ、それで意思を決定させるというものです。しかもそれを、便利な道具に頼っているため足がつく。消費税増税でお尻に比がついていた野田政権が、これで片足を棺桶につっこんだ形になったのでしょう。田中防衛相は委員会中に、勝手に休憩をとり、問題となりましたが、自発的か、引責かはまだわかりませんが、防衛相という任から永久に休憩させられる日も、そう遠くないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年01月30日

雑感、将来人口推計について

厚労省が人口の推計を出しました。中位推計で2060年に9000万人を切っている計算です。しかもこの推計では、2024年に出生率が1.33で底をうち、その後1.35まで回復するというもので立てられていますから、逆に出生率が1.2に落ち込めば、その分下落が大きくなるものです。
しかし悪いことを云えば、日本人の多くが貧困層に転落すると、出生率が上がる可能性もあります。これには様々な要因もありますが、開発途上国の方が出生率も高いためです。ただ逆に、生活に困窮して結婚しない男女が増えると、これはまったく逆の結果になります。その意味でも、子ども手当という直接給付の方式は、後の検証を経る意味でも数年は実施し、その成果を確認すべきだったのでしょう。特に、その仕組みを児童手当に戻すのなら尚更です。たとえバラマキであっても、それが少子化に歯止めをかけられるなら、有効だという評価も可能だったはずです。

この推計で重要なのは、社会保険制度をになう現役世代が、65歳以上の高齢者を支える割合が今は2.8人に1人、50年後は1.3人に1人の割合になります。つまり今の2倍以上、現役世代が負担するか、今の2分の1に給付を抑えるしかない点です。これでは制度として破綻しています。
野田首相の所信表明でも、女性の社会参加が謳われていますが、労働人口の減少による解決を女性に求めるのは酷です。働きたくとも働けない人を出してはいけませんが、政府はパートやアルバイトにまで、負担世帯を拡げるよう動いていますが、それは負担増に他なりません。子供を保育所にあずけ、負担が増えると働かないより働いた方がマシ、程度の内容になってしまいます。

日本に欠けているのは労働意欲の減退です。事実上、春闘も始まっていますが、ベアなしが通りそうです。働いても昇給せず、非正規が増えたため出世もありません。生産性を上げる上でのインセンティブがない状況です。実はデフレ日本は、工場誘致に最適な条件を整えています。
つまり海外に工場を移転すると、一時的に人件費が抑制され、企業も業績がアップして潤います。しかし業績から見れば、翌年から低いコストを基準とするため、伸び率は落ちていきます。しかも新興国はどこもインフレ、賃金上昇率が高く、その伸び代によっては設備の減価償却が終わらない内に、日本で生産しているよりコストが上回ってしまう可能性がある。それは過剰流動性、金融緩和に頼り、経済回復をはかる世界に共通の課題と云っていい問題になります。その中で、日本は無縁でいられるのです。

つまり日本に工場を置く限り、安定はできるのです。経済が激変する世界では、安定が最も大事な要因と云えるでしょう。日本で雇用が増えれば、労働人口の減少を高齢者の社会参加で賄うことでカバーできます。現状のように、支給年齢を先送りするから高齢者の働ける環境を…というマイナスではなく、プラスになるよう、こうした動きをもっていかなければいけません。人口減少社会の中では、小さな政府が必須の事項ですが、そうした方向性をきちんと見出さないと、この国は経済規模が縮小していくだけの国になりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2012年01月29日

雑感、今週の欧州首脳会議で答えは…?

世界経済フォーラムが閉幕しました。この会議は、会員企業や招待された政治家、有識者が集まり、世界の課題を話し合うためのものです。そこに菅前首相が出席し、原発の安全対策を訴え、海外からは原発反対派へ転身などと揶揄されています。気になったのは各廃棄物の処理について、国境を越えた枠組みづくりを提唱した点。これは、悪いことを云えば日本が今後も増える核廃棄物を、他国に押し付けようとするかのように聞こえます。実際そうした思惑があるのでしょう。
ただしこれは日本の評判を落とす行為です。二酸化炭素排出量ぐらいなら、取引で何とでもなりますが、核廃棄物は数千年に亘る管理を必要とします。日本が一体何年、諸外国に管理費を払い続ける気なのか? それこそ日本が破綻してしまいますし、そんな国に信をおいてはもらえなくなるでしょう。原発の輸出は推進する、とした首相時代のちぐはぐさを、まだ引きずっているようです。

ダボス会議でも解決策が示されなかった欧州債務不安、ギリシャの財務相が近いうちに民間債権者と合意、と述べています。ただ仏要人が進展している、と発言して市場は好感したものの、実は何も進んでいないことが分かるなど、この問題に関しては発言に信ぴょう性がありません。ただ、先のECBが打ったLTROの条件が、仮にギリシャ問題の要請受け入れだった場合、進展は既定路線となります。独国やギリシャが強気な理由も、その辺に原因があるのかもしれません。
そんな欧州ではポルトガルに危機が拡大し、国債利回りが10%を大きく超えてきました。しかしLTROの規模は5000億ユーロ、ギリシャとポルトガルのGDPを合わせた額です。この2国を支える程度は、市場にばら蒔かれています。問題は2月末、規模は定かではありませんが、1兆ユーロが仮にばら蒔かれる場合、これは伊国の破綻に備えたとみられるでしょう。ただ問題は償還期限であり、またそのタイミングにおける景気の下押し圧力に、焦点が移ってくると見られます。

30日のEU首脳会議に、何らかの成果を出したい欧州がどんな答えを出すか? 今週はそこが一つのキッカケになりそうです。米国の雇用統計も、米経済が堅調なことは、すでに織り込み済みなので、余程良い結果が出ないと好感しにくい。欧米は年初からの買い疲れで調整局面に入っていますが、日本も加熱感が強まっており、一段の上値を追うにはギリシャ問題の結果が求められるのでしょう。
米国、世銀、新興国も欧州とは一線を画す中で、日本だけが条件次第で協力、という態度をとっています。しかしこれはマイナスです。仮にそうであっても、サプライズ発表にすれば、市場へのインパクトが断然違います。こんな単純なことさえ出来ないので、日本は長期低迷などという、不名誉な状況に置かれていると云えます。日本の経済政策はサプライズなし、これでは期待ももてないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2012年01月28日

共通番号制度への世論調査について

昨日とり上げた議事録未作成の問題、読売だけは『官僚との溝』が原因とします。政治主導により、官僚に閣僚から命じられたこと以外やらない風潮がある、ということですが、これはとんでもない暴論です。公文書管理法に基づいて各府省はそれぞれ省令を設け、総括文書管理者〜文書管理者をおきます。
その上で文書作成として「経緯も含めた意思決定に至る過程並びに〜省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係わる事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない」となっています。しかも、これは文書管理者が指示することであり、政治家は一切関係ありません。ただ公文書管理法に罰則の規定はなく、各省ごとに文書管理者などへの処分が必要ですが、ここを岡田副総理は「緊急時だから…」とお茶を濁そうとしています。
ではナゼ読売がここまで奇妙な論をとるかと云えば、総括文書管理者は官房長などの重要な役職であり、仮にここで大量処分者を出すと、順送りの人事に影響するから、なのでしょう。しかしこれは行政機関、及びそれを監督できなかった閣僚の責任が明白です。つまりこれは『官僚との溝』などではなく、その会議に参加した府省の単なる怠慢と、文書管理者を守ろうとするメディアの動き、と総括的に云えるものです。

内閣府が共通番号制度における世論調査を行いました。85.7%が個人情報の扱いに不安をもっています。これは年金記録を覗き見していた、当時の社保庁の問題でも処分が甘く、また自分の身内に甘い判断を下していた、などの諸問題が大きく影響しています。更に最近のハッキング、議員のIDとパスワードが盗まれていた件など、不安に思うことは山ほどあり、一括管理することへの不安は尽きない面があります。
そして上記のように、公文書管理さえまともにできない組織が、人の全記録を管理してしまうことへの不安も重なります。仮にルールや法律を決めても、形骸化しては何も意味がありません。例えばアクセスを認められた人間が、パスワードを盗まれたら? それをハッキングされたから仕方ない、とでもされてしまえば、管理は何も意味を為さないのです。今回は管理、という意味での試金石にもなるのでしょう。

菅政権、野田政権に共通するのは、官僚と溝がある体質ではなく、むしろ官僚を律することができない体質です。野田氏は財務省がひねり出した「消費税増税を実施する時期は、選挙を経るので、公約違反にならない」との理屈を用いて、自分の言を正当化していますが、これは言い訳に過ぎません。
上記の公文書に関する文言にある「検証することができるよう…」も、霞ヶ関文学では「検証できるよう」であれば『検証』が目的であり、『検証すること』が目的である上記の文章は、責任のランクが一段落ちてしまいます。上記は財務省の訓令から採用していますが、これを発行したのは野田財務相時代のことです。官僚のこうした動きを、正しく検証できないことは、致命的な統治能力の欠如、という言い方もできるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2012年01月27日

震災における議事録未作成の問題

朝日新聞が1面で、石原新党結成をほぼ断定的に報じました。3月に立ち上げ、国民新、たち日、民主党も一部が流れるとされます。石原都知事は、都知事選から1年で国政に転出は難しいでしょう。都知事選は震災で現職が強かった面もあり、圧倒的な勝利となりました。しかし1年で放り出せば、都民からは裏切りにしか見えません。仮に新党を立ち上げるとしても、平沼氏が中心となり、亀井氏がそれに合流する形が考えられます。そこでサポート的に地方の首長が協力する、その中の一人に石原氏を含む、という形を想定しています。何しろ80になろうと政治家であり、今後は老害が懸念されるところです。
では地方首長はどう関わるか? ということでは、やや厳しいと見ています。前回の選挙でも、保守は強くなかった。今度の選挙は争点がぶれそうですが、『改革』が一つのキーになると見ています。民主は失敗、自民も未だ態度が曖昧、国民から『改革』派はみんなの党とみられています。つまり石原新党も、比較第一党には遠く及ばない四番手か、五番手になってしまう恐れがある。そうなると連携しても効果が低くなります。地方政党が乗ることで人気が出る、という構図なら歪みですし、保守が地方分権を丸呑みする、ぐらいの覚悟も必要ですが、平沼氏、亀井氏にそんな構想はついぞ聞かれない。地方分権は中央の利権と真っ向からぶつかるものですが、それを突破できるか? それを示せるかが一つのポイントでしょうね。

東日本大震災における、政府の10の組織で、議事録すら作成されていない事例が発覚しました。菅政権の異様さ、が改めて浮き彫りになった形ですが、これは公文書管理の違反です。つまり一発で服務規程に関わるほど、重大な問題と云えるでしょう。緊急対応だったことを理由に挙げていますが、今はレコーダーもあり、方法は幾らでもあります。当初から情報隠しを企図していた、発言を知られたくなかった、という理由しか考えられません。しかも現在、公文書管理担当の岡田副総裁が、党の幹事長として参加していた恐れもあり、これを岡田氏を筆頭に調査させることにすら、問題を生じる可能性があります。
しかも、枝野経産相が今夏の節電は必要ない、という説明をしていますが、これも昨年の節電要請が、適切でなかった可能性を疑わせます。その検証も、議事録がなければ困難になります。さらに、採石場の汚染に対して、枝野氏は「東電に賠償を…」と述べていますが、採石場が汚染したのは確かに東電の責任ですが、それを拡散させた責任は経産省にあります。つまりマンションや道路に使われ、撤去や対策にかかる費用は経産省がかぶるべきものです。公的管理下におく? からと云って、何でも東電に責任をなすりつけてはいけません。事故当時、官房長官だった枝野氏は、避難区域や物品の搬出にも関与していたはずであり、隠蔽疑惑をもたれてしまうでしょう。

今回の議事録未作成問題は、公文書管理法の違反であり、岡田氏にとっては推定無罪の小沢氏を処分した件との整合をはかる上でも、極めて厄介な問題が浮上しました。小沢氏の件は党規で、内々の問題だとしても、これは法律違反です。処分しないわけにはいきません。それが例え緊急時だとしても、もしそれを認めてしまえば法律が形骸化します。この問題に限らず、野田政権の遵法意識が問われてくるのです。
これは菅政権下の問題であり、野田政権に関係ない、という訳には到底いかないのでしょう。ただ、自民の今の対応をみる限り、それを追求できるかは不明です。仮に政権与党に戻っても、財務大臣にはならない公明が、年金問題で民主を追求し、7%+の問題が浮上していますが、自民からはそうした具体的な追求が出ない。この問題も、当時の閣僚のみならず、官僚にも責任が波及するため、そこを追求するかは不透明です。ただ、この問題の例をみても、この一年の政府対応は異常であり、検証と解明のためにも、ここで妥協するようなやり方では、与野党ともに次の選挙では転落が見えてくると云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年01月26日

米FOMCと一般教書演説について

昨晩、米FOMCが開催され、2014年終盤まで政策金利を低水準にとどめる、即ち時間軸政策を打ち出しました。これは日本にも影響します。まず日銀の政策が縛られました。欧米は緊縮財政で、縮む経済を支えるために100兆円の資金供給を、中央銀行が行いました。ECBは2月末にも1兆ユーロ規模の、資金供給を行う可能性があり、FRBは「バランスシートの拡大が今後も…」と、追加緩和の可能性を匂わせており、それがQE3なのか、国債買取かは示されていませんが、これの数十兆円規模になりそうです。
しかし日本は復興に伴い、政府が歳出を増やす課程にあり、ここで緩和を打ち出すと市場に資金がダブつく恐れがあります。つまり日銀は流動性の供給ができないばかりか、すでに超低金利であるため、金融政策は今年から再来年まで、手を打てません。そうなると円高バイアスが掛かりやすくなります。

更に、米国はインフレ目標と示唆していませんが、年2%程度のインフレ誘導を目指すようです。つまり低成長で、インフレ。益々円高になりやすいのでしょう。しかも、米国の国債は金利が低い状態が続くため、日本政府が保有する米国債は、その円高の分目減りすることになります。これは日本で、米国に投資しようとする金融機関、個人に至るまで同様ですが、よほどバブル的に上昇する市場を見つけない限り、ドルベースでは価値が上昇しても、円ベースでみると価値が下落している。ハッキリ云えば、米国に移住して一生ドルで生活するのでない限り、米国に投資してはいけない、といった状況です。単純計算はできませんが、0%成長で2%のインフレなら、その分ドル安に向かうのです。
これはIMFがG20財務相会合に提出する文書で、デフレリスクの高まりが示されたこととも連動します。デフレは需給バランスの歪み、と指摘されますが、米国がインフレ誘導することを正当化します。ただ、これを流動性供給で対応しようとすると、米国ではなく小国でハイパーインフレを起こす恐れがありますが、米国は仮にそうなっても、低金利政策を長期化することを厭わないのでしょう。

一昨日、オバマ大統領の一般教書演説が行われました。注目したのは2点。シェールガスの開発で2020年までに60万人の雇用を訴えた点。もう一つは世界各国における不公正な貿易を調査する部局の新設と、不公正な輸出金融をとる国に対抗するため、米企業に金融支援する、という点。前者は中東で有事があると、米国のシェールガスに需要が高まり、潤う計算が成り立ちます。コストが高く、通常なら販売競争力はありませんが、有事を想定したリスク分散として、これが志向されれば、米国に恩恵があります。
後者は、仮にTPPなどを結んでも、日本に『不公正』と見られるものがあれば、米基準で制裁を加えられる恐れが出てきます。しかもそれを口実に、補助金を出すというのですから、公正な市場の形成とはかけ離れたものです。これまでも、コストを低く抑える努力をしたところ、米国から『不公正』と云われたケースは山ほどあります。今後も、米国は自分たちの基準を他国に押しつけ、価格競争力がつくまで米企業を支援する、という形をとってくることが、この一般教書演説で読み解けます。

米国では金利が低くても、国民の預金額が少ないので、むしろ住宅ローンの金利が低くなる、と好感されます。ただ利回りが確保できず、年金などが行き詰まるのは日本と同様に起こりうるのでしょう。米国が新たなステージに入った、それを示唆するFOMC、一般教書演説ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2012年01月25日

2011年貿易統計について

民主党の消費税増税に、年金改革を含めると25兆円分、7%が不足するとの試算が出ました。つまり社会保障と税の一躰改革を、言葉通りにすすめると消費税は17%になる、ということです。しかしこれは現行制度をベースにしたものであり、今の徴収と給付の関係を続ける限り、これでも不足するかもしれません。制度疲労が起きているのであり、これは抜本改正が必要な課題です。例えば年収で500万円以上あれば、最低保障年金は給付せず、加算分のみ、とするなどの調整が必要なのでしょう。
またIMFが、日本は消費税を10%ではなく、15%以上にすべき、との意見があります。これはIMFの最大出資国・米国の意向を汲んだ意見です。日本の財政が行き詰まり、保有している対外債権を放出することを恐れている。米国債、IMFへの出資、世銀、いずれも日本は世界第2位です。税収を上げ、日本の景気が低迷しても財政が安定している方が、世界経済に寄与する、そう見られていることになります。

財務省が2011年貿易統計を発表しました。輸入が12%増の約68兆円、輸出が2.7%減の約65兆5千億円、差し引き2兆5千億円の赤字です。これを「円高が悪影響」という人もいますが、原発の停止で原油やLNGの輸入が増えたのなら、円高はむしろ好影響を与えた、と云えます。つまり輸入が12%増で留まったのは、円高が寄与したからであり、円安だったらもっと輸入額が拡大していたのです。むしろ日本は震災、タイの洪水、という二度のサプライチェーンの寸断により、輸出が減った。これが原因です。
これは輸入原油単価が、原油市場の高止まりで円ベース24.7%の増加だったのに対し、ドルベースなら37.3%増だったことでもハッキリしています。そして今後、影響しそうなのが欧州と、欧州へ輸出を減らした中国の動向です。12月だけでみると、前年比で輸入は8.1%増、輸出は8%減ですから、年間ベースよりも輸入が増える以上に、輸出の減りが激しいことが分かります。しかも地域別では、輸出が前年比で米国向け3.9%増、中国向け16.2%減、欧州向け12.7%減です。ドル安/円高でも、むしろ米国向けは増加しており、これも円高要因で輸出が減った、という考察を否定しています。

では、今年はどうなるか? 昨年の想定為替レートは平均で79.97ドル、これがもう少し円高に推移します。新興国が成長し、輸出が拡大するというのは早計ですが、金額ベースよりも企業収益ベースでは増加する、と見ています。今年は元々の想定為替レートが高いこと、また米国では、約1年半の間に欧米で100兆円規模の流動性が供給されたことにより、バブルが起きているため、消費はしばらく堅調です。
問題は欧州債務不安が深化し、欧州、中国向けの減少が顕著でしょう。また仮に円安になれば、輸入額が増加するため、日本の貿易赤字が続く恐れがあります。逆に、円安になって数量ベースでは増えても、輸出額が減るようなことになれば、赤字は更に拡大してしまうかもしれません。さらに、国内の経済活動が活発となったなら、燃料費は益々かかることになるため、輸入が拡大するという試算も成り立ってしまうのです。

今は為替レートより、需給により輸入、輸出は決まってくるのでしょう。上記にも示したように、企業業績との兼ね合いと、この貿易統計とは必ずしも合致するものではありません。輸出企業の業績は円高で厳しい、だから貿易赤字になった、という奇妙な論は改めるべきなのでしょう。これが、企業が海外進出し、貿易総額が減っていく方向になるのなら、円高を原因に据えても良いのでしょうが、数字を正しく認識しないと、対策も誤ってしまうのであり、それは努努間違ってはいけないことなのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2012年01月24日

野田首相による施政方針演説

第180通常国会が開会しました。野田首相の施政方針演説は、福田元首相、麻生元首相の演説内容を引用し、野党に協力を求めるという異例な内容でした。岡田副総理は「互いに与野党を経験した…」ことを理由に、そろそろ国政を動かす努力をしよう、という虫のいい提案をしています。アナタたちはそう云っていたから、こちらの提案を受け入れろ。一見スジが通っているようでいて、論理破綻です。
依頼人(プリンシパル)と代理人(エージェント)の関係でいうと、もし圧倒的な差、例えば衆参とも与党が多数であれば、高圧的な態度で相手をひれ伏すような交渉が可能です。一方でネジレの状態であれば、相手の妥協を引き出すインセンティブが働くよう促すことが重要です。しかしこのような、相手の神経を逆なでする行為をすれば、当然プリンシパルにとって期待すべき効果が得にくいのは自明です。つまり野田氏は、野党の怒りをひき出し、それで国会を空転させ、批判を野党に集中させることで、国会を動かそうとしているようにしか見えない。ただし、国会運営の責任は主に与党にあり、空転すれば批判されるのは与党になります。野党に責任転嫁をするためには、相当の試練が待ち構えている、と云わざるを得ません。

気になった文言は「大きな政治」と「決断する政治」です。前者は「僅かな違いを喧伝するのではなく、この国の未来と利益…」と述べることからも、消費税増税に対して与野党合意しろ、と述べている形です。しかし深読みすれば、大連立を呼びかけているようでもあり、大同小異から大同団結を訴えるようにも聞こえます。後者は「重要な課題を先送りしない」ことを指しますが、国民は誰も野田氏の『決断』が正しいこと、とは思っておらず、その『決断』が間違いだった場合、とんでもない結果になることを知っています。
そして最後に「政治改革家」なる、リベラルっぽい不思議な文言を入れました。その前に「先送りできない課題…拍手喝采はうけない」と述べていることでもわかるように、自身の主張は国民に受け入れられないことが分かっている。一方で『改革』?することで、名を残すことに腹を決めた。それがこの文言に含まれます。しかしこれが『行政改革』であれば、国民の理解も得られ、拍手も受けられます。しかも、歳費削減には一切触れておらず、選挙制度改革を間違って読み替えても『政治家改革』にはならない。政治を、単純に『国のまつりごと』と読むと、国の大規模な制度改革になりますが、それは施政方針演説には一切入っていない。単に『政局改革』と読むのが正しい、といったところです。

既報の独法の4割減、特会改革を入れましたが、これが単なる数合わせに過ぎないことは、国民にもバレています。本気で改革者たらんとするなら、消費税なんて既存のシステムの数字を弄るのではなく、年金を国民の負託に応えるよう抜本的に変える、税制も大胆に変更する、等の提案が必要です。
改革者になろうとして、志半ばで凋落した人は山ほどいます。ただ、野田氏がめざす『政局改革』にとって、最初に述べたように相手の神経を逆撫でする「自分たちはやらなかったけど、こう云っていたんだから、やりなさい」的な発言は、どう考えてもマイナスと云えるでしょう。話し合いを呼びかけるなら、もっとうまいやり方もあるはずですが、ここから伺えるのは、実は調整が苦手、という野田氏の根本的な問題です。結果的に、国会を混乱させるだけに終わらせそうな、そんな施政方針演説になったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年01月23日

原発事故の最悪シナリオ隠蔽?

内閣府自殺対策推進室が、3月の対策強化月間の標語に『あなたもGKB47宣言!』となるようです。GKBは医師を意味するゲートキーパー、国民に広く普及して欲しいという願いをこめたベーシック、47は都道府県の数だそうで、これほどセンスもなく、意味もわからない標語はありません。標語はキャッチーであると同時に、意味を伝えねばならず、意味を聞いてもよく分からないようなものは、最早その任に足りません。それに、これでは自殺を止められなかった、周囲の者がGKとしての役割を果たしていない、というネガティブな捉え方もできてしまいます。家族でも、近親者の犯罪を防げないように、周りの人間にいくら訴えても、本人がそれをしようと思えば止められない。こうした標語は、直接本人に呼びかける形でなければいけない、ということなのでしょう。

福島第一原発事故で、3月下旬に『最悪シナリオ』が首相執務室で示され、一部の政権幹部のみで封印され、昨年末まで公文書としても扱われていなかった、という事例があります。議事録もとっていない、とのこと。菅政権における、最大の問題が提示された形ですが、この件はメディアの追求も弱い面があります。法的にみると、政治家が国民を危険に晒しても、罰則を当てはめるのは困難です。被曝は直接的な外傷ではなく、またその影響の発現の仕方が一様ではないため、傷害としても扱いにくい。しかも当時、姑息に被爆線量の上限を高めに設定するなど、法的処分に問われないよう武装しています。
当時はメディアも、少し調べれば分かるようなことでも、政府の発表をそのまま流すといった風潮がありました。結果的にそれはウソで、情報も隠されていた。これは本来、知らされるべきことを知らされず、遺伝子レベルでの傷害を多くの国民が負った、という意味で、未必の故意が適用できるかもしれません。そしてその場合、菅政権の重要閣僚だった人物に対し、証人喚問を求めることが、国政調査権の範囲として認められることになります。つまり、現野田政権の閣僚でさえ、その対象ということです。

現状、参院における問責が話題ですが、実は野党の戦略として取りうる最大のものは、この原発事故対応における証人喚問、ということなのでしょう。メルトダウンの発表も、官邸が保安院が3月14日に発表した内容を取り消すなど、迷走した件も同様に調査対象となります。現状、東電の事故調は「対応に問題なし」、政府の事故調は中間報告まで出していますが、来夏に最終報告が出る予定です。国会の事故調は立ち上がったばかりですが、その動向を待つまでもなく、強制捜査権を国会が発動できるのです。
事故調の報告を待って…と考えがちですが、実はこの問題こそ、公開の場で明らかにしなければいけないことが多いのです。つまり国会の事故調には議員証言法と、同様の効果をもたせていますが、調査はあくまで密室で行われます。しかし小沢氏の件に、盛んに喧伝された証人喚問の効果が、この件ほど適用できる事例はない、と言えるほど、すべて白日の下にさらして議論が必要だ、ということになります。

菅政権が何を隠蔽し、国民をどう危険にさらしたか? それこそ自身の口から語らせるべきなのでしょう。それが真の意味で、国民の審判であり、国民の知る権利に叶うものだと云えます。むしろこの件で、野党の腰が引け気味であるのは、結局連携したい相手がそこに含まれているからではないか? との疑心暗鬼を生じさせますし、メディアがそれを主張しないのは、原発を未だに推進したい、電力業界への配慮すら感じさせます。この件こそ証人喚問、この主張が国会で出れば、国会論戦の流れが変わってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 政治

2012年01月22日

雑感、ギリシャの債務交換協議

自民党の党大会が開かれました。谷垣自民は、政党支持率でみると民主とどんぐりの背比べ、数%の得票率の差が、小選挙区では最終的な議席数に大きく関わります。選挙戦における風もあり、最終的にどうなるかはわかりませんが、事前に支持率が上回っていないと不安が生じます。所属議員に安心を与えられない、それは組織のトップとしての力量不足に見られてしまいます。米倉経団連会長に、大会で野次がとんだ件にしろ、現状の野田民主の暴走、マニフェスト違反をうけても尚、自民党の支持率が低いことへの焦り、みたいなものが見られるのでしょうね。

先週の株式市場は世界的にみても堅調でした。月曜日は欧州の一斉格下げで下げたものの、一気にリスクオンとなり、週末にはコア銘柄にも買いが入り、出来高も膨らんできました。背景には欧州CTAスジが、先週までやや売り超の状態であったのを、月曜は売ったもののそこから大量に買い越し、一気に買い超になったことがあります。原因は欧州の安心感、という他に25日線を突破し、雲突入などのテクニカル要因を次々とクリアしたことにより、一時的な買い材料が増えたことも一因です。
ただ継続性については疑問が残ります。まず先物を買っても日経225とそのミニが主体であり、短期とみられます。TOPIXやオプションとの絡みが少なく、債券との関連にしても債券市場にはデフレ圧力があり、一時的なリスクオン市場と云えど、債券価格の下げ幅が限られる中では、株式の上値も限られます。今週もEUの動きに焦点があたることになりますが、ギリシャ協議に難航が伝わります。

ギリシャの債務交換は、50%の保有比率の引き下げと、期間を長めにとる、利率を4%台に下げるなどの案が語られますが、IMFやドイツが更なる厳しい条件を提示したようです。これはEFSFの格下げ、IMFの増資にも暗雲が漂い、それに伴う資金調達能力の低下が影響している、とみています。ギリシャ単体では、いずれの組織も資金の融資能力に問題はありませんが、仮にこれが前例となり、他の重債務国に波及した場合の問題として、民間により重い負担をしく、という判断ではないかと思われます。
ギリシャは3月後半に大規模な借換えがあり、それまでに結論を出さねばいけません。2月末に、ECBによる再度の資金供給(LTRO)が予定されており、それで吸収できれば御の字ですが、その時の経済環境によっては、失敗する可能性が依然残されています。ギリシャの問題は、今年も不安材料として意識されます。

いずれにしろ、今回の計画的デフォルトが試金石になることは必定で、最悪はドイツが他国の支援による負担で、最上級の格付けから落ちることなのでしょう。すると、欧州関連の資金調達能力は著しく低下する一方、ドイツの国債は買われる、といった二極化が起きます。経済が長期の低迷に陥っても、国債の利回りは低下する。それは日本化と称されるものですが、日本もIMFや世銀に資金を拠出しながら、最上級格付けではない、という状況にやがてドイツもなるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2012年01月21日

消費税増税にむけた全国行脚?

総務省が宝くじが1等当選金額の上限を、100万倍から250万倍に引き上げる方向で、法案を改正するようです。ロト6で、1等の当選金を2等が上回ることがありましたが、日本は富くじという伝統がある割に、宝くじなどにはネガティブな印象が強い面があります。しかし宝くじには運営時のコストの問題があり、それを減らして当選金額に回すよう努めた方が、よほど利があると云えます。見かけだけ、枠を広げて失敗する形が昨今、日本ではよく見られます。
東証が取引時間を延長してから、取引額が減りました。ロト6も月木と2回にしたことで、当選金が減っているようです。人気が低迷するとき、市場を拡大するのではなく、縮小した方が効果が上がります。宝くじも、数を減らして当選金額を増す、コスト減でその分を当選金に回す、という努力が必要です。その方が復興くじ、のような臨時のものも、より効果的に宣伝できると云えるのでしょう。

消費税増税に、国民理解を得ようと全国行脚、と称して政府要人が各県の経済界と話し合いをしています。その中で、広報基本方針として、消費税増税は「全額社会保障財源化」と明記されています。これまでは「原則として…」が付加されており、それが消えたことで、それ以外の出費に回す可能性がなくなりました。ただ、これは説明は分かりやすくしますが、理解が得られるとは限りません。
年金は特に、子育てにお金がかかる現役世代の負担増大を容認することになり、消費税だから、全世帯負担と云ってみたところで、基本的な支出の多い世帯に負担がかかるのは、火を見るより明らかです。住宅にかかる消費税は減免を検討、という話も、地方に多い建設業への配慮としか見えず、一生にそう何度も住み替えをする人は稀ですし、賃貸で暮らす人には一切の恩恵がない。消費税増税が、それこそ便宜供与のように、特定の業種のみを利することになっては本末転倒なのです。

特にこれが目的税化されると、特別会計と同じ構図です。消費税増税分が余ったら? 積み立てるのか、流用するしかありませんが、もし法律で規制すれば積み立てるしかありません。一般会計の、他の予算が足りなくても、です。それを赤字国債の発行のように、毎年特例法を可決して流用するのなら、それが政局に利用される恐れがあります。目的税化が万能薬ではないことを認識しなければいけません。
消費税増税を通すため、形振り構わない態度を野田政権は示し始めましたが、肝心の社会保障改革は一向にその姿が見えず、さらに全額を社会保障財源にすることで、益々ムダ削減が遠のく印象があります。予算がついてから、コスト削減の努力をすることは、人間の性質上ムリであり、それは特に国家の予算では不可能、とさえ指摘できます。消費税増税を先にすすめる野田政権は、そうした改革における稀代の最悪な政権、という言い方さえ出来るのでしょう。理解を求めるため、として色々と小細工を考えているようですが、すべてマイナスに作用しそう、ということを見ても政権担当能力を疑わせるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2012年01月20日

雑感。大学の秋入学について考える

オリンパスの上場維持が決定しました。10年以上も市場を欺き、それを隠蔽するための過大評価した企業へのM&Aまで実行したことを、僅かな人数しか関わっていないので組織ぐるみとは云えない。債務超過に陥っていない。との理由で「投資家の判断に重大な影響を与えたとは云えない」ことを、上場維持の判断としています。しかしこれで、東証は今後上場廃止の判断を出しにくくなりました。
実名は避けますが、例えば現在の株価より高い価格でTOBを仕掛ける場合、潜在的価値がもっと高いと判断した、ということも当然ありますが、ストックオプションで株を保有する経営陣が、買収の条件として高値での買取を提示する場合もあります。特に、グループ企業のTOBの場合、こうした利益供与が少なからず含まれることがあります。違反ではありませんが、健全な市場の形成、といった判断でこうした動きを考えた場合、やはり疑問符がついてしまうのでしょうね。

東大が発表した秋入学にですが、11の大学が興味を示し、経済界とも調整するとのこと。しかしハッキリ云えば、これは幾つかの大学が率先してやるようなものではなく、全体でまとまって行うべきものです。所謂、混在することによる経済的損失、という観点をもたねばいけません。
例えば、海外からの留学生を受け入れ易く、また日本の学生がその間、留学できるとしますが、日本から留学する場合、大学に通うとなれば向こうの大学の1年の後半に参加する形となります。それではついて行けないことが必定なので、単なる語学留学か、または専門外の勉強をする目的が増えるでしょう。つまり留学経験、のためだけにする期間ができることになります。これは卒業後の半年も同様で、大学院や研究課程に留学するのは難しく、逆にそんなことなら就業経験を日本で積ませた方が良い、となります。

これが春と秋、企業側がそれぞれ新卒採用を行う、ということなら有用です。ただしそれは企業側のコスト増でもあり、受け入れられるかは不明です。さらに、もっと酷い状態はこの期間の使い方を、採用条件に含められてしまった場合、学生のコスト負担が増大する恐れがあります。つまり留学経験が一つの採用条件となった場合、その分は学生がコストを負わない限り、採用に格差が生じてしまう、ということです。その場合、家庭環境における教育格差が、拡大する方向となってしまうのです。学生がアルバイトで学費、生活費をすべて賄い、仕送りに頼らない場合も増えており、そうしたケースに対応しなければいけません。
解決策の一つとしては、3年半で履修課程を終える。即ち入学は秋でも、春卒業に合わせる手法です。これは4年生の時点で、ゼミへの参加が増えるはずですので、夏休みなどの長期休暇を削り、その分で不足した半年を補う、という形です。これは大学側のコスト増であり、一方で学費には値下げ圧力がかかる、という方向ですので、大学側が受け入れにくいのでしょう。ただ、誰も損を被らずに一部がそれを採用する、ということは現状ほぼムリであり、大学がそれを行いたいなら、大学側が負うべきコスト、ともいえます。

当たり前の指摘として、1年間は無収入の期間が伸びるので、学生にとっては生涯賃金の低下に繋がる恐れもあります。定年延長など、今は新卒採用を減らす方向性と、この問題を重ねて考えると、結局若者にツケを回す、といういつもの構図になるだけです。大学に限らず、もっと広汎に意見を集めないと、ただコストを学生に回す最悪の構図に、この件はなりかねないのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2012年01月19日

IMF、ECBの欧州債務不安への対応

独立行政法人を統廃合する、という話が行政改革調査会で出てきました。増税容認派のメディアは4割減、と大々的に見出しをつけましたが、廃止されるのは3つで、ほとんどが統合による数の減少がメインです。これは見出しだけをみて、中身を確認しなければわからないよう、小細工したのでしょう。特会改革の話も出ましたが、それで歳出がどの程度削減するか? その試算を出していない、というのですから、これが本当に好材料であるかはまったく判断がつきません。

IMFによる6千億$の資金調達の話が出てきました。現在の融資能力が4千億$であり、欧州債務不安への対応に、1兆$かかるとの試算の上です。しかし調達方法は未定であり、出資の形なら中国を初めとした新興国も検討、と伝わりますが、米国は難色を示しています。新興国が発言権を拡大するのを是としない、先進国の都合でこの計画も難航が予想されます。また米国は欧州向けの出資はしない、と明言しており、そのツケは日本による資金拠出、という形で回ってきそうな気配です。
日本はすでにEFSF債を3600億円購入しており、極めて重い負担です。11月に米国債が1兆円を越した、ということが明らかになっていますが、それを半年程度で半分にまで迫る勢いです。それに、米国債とてここ数年で、急激に増やしており、リーマンショック以降、日本が保有する外国債券の拡大はウナギのぼりです。これで中国国債まで購入を検討していますから、財務省の膨張は目を見張るばかりです。

最近、欧州国債の入札が堅調なのは、ECBによる3年物の資金供給(LTRO)の賜物です。5千億ユーロを拠出しており、2月末にも実施されることから、金融機関に安心感が出ています。一方で、国債買入れに伴う不胎化をECBはしてきましたが、LTROではそれをしておらず、これがユーロ安を招きました。ただ国債入札が堅調となり、リスクマネー回帰とともにユーロも値を戻す展開が続きます。
しかしIMFの支援は上手くいかないでしょう。元々、IMFは先進国が破綻リスクに陥ったとき、支えられる仕組みではありません。6千億$を調達するには、どこかがその分の国債を発行するしかありませんが、仮に日本のみでそれを実行すれば、一気に50兆円の借金増大で、GDPの10%分に相当します。新興国とて、利下げが始まった現状で国債を増刷すれば、通貨安を招き易くなり、それは投資資金の引き上げという負の側面を顕在化させます。見かけの資金としても、それを実現させるのは極めて厳しいのです。

日本も欧州系の資金が先物に入ってきて、株価も上昇していますが、難しいのは資金供給で上げる相場は、不安で下げるということです。月内は一先ず買い、のスタンスをとるとしても、その後の継続性に疑問を残してしまいます。楽観が蔓延しているときに打たれる対策、発表される内容は、総じて好感され易い面があります。一方で、悲観が強まると政策に疑問符をつけられる。現状、ECB、IMFの対策、発表を好感する流れもありますが、不安の側面が強まったとき、その真価が改めて問われることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2012年01月18日

選挙制度の改革案について

野田政権の物事の決める方法の不味さが、幾つも露呈しています。大飯原発の安全評価を原子力安全・保安院の専門家会議で開こうとしたところ、傍聴をめぐって混乱、経産省の対応に不審が募っています。これは保安院が『妥当』という評価書を提出するためのものですから、混乱を避けたかったことが原因です。また細野原発担当相が、原発は原則40年で廃炉と述べ、その後、内閣官房原子力安全規制組織改革準備室で、40年から60年に延長する案を決め、そちらで閣議決定される見通しです。
民主党になってから、会議が非公開だったり、議事録もとり寄せないと分からないなど、情報公開と逆行する流れがあります。これは陸山会事件でも、検察官がいい加減な報告書を提出するなど、議事録などを精査されると不都合な内容が多く、責任追及を恐れる官僚側の事情が大きいのでしょう。会議の非公開も同様に、無断で採録された情報を議事録に起こされると、不整合を生じてしまう。つまり茶番劇を認めない、国民の目の厳しさが警戒感に繋がっていることの証左なのでしょう。

民主党の政治改革推進本部役員会で、小選挙区を5減で295議席に、比例を80減で100議席にする案を、国会に提示する方針となりました。5減は自民案を丸呑みし、80減は自民以外の野党へのプレッシャーをかける算段でしょう。比例については現行のままの配分方式にする案と、連用制という案があります。
連用制は各選挙ブロックごとに、小選挙区で得た政党の議席をその分引く、という形であり、これまでのような名簿が足りず、他政党に議席を渡す、といったことがなくなる代わりに、小選挙区で得た議席では勝利しても、比例と合わせると数で負ける、といったネジレが生じる恐れがあります。つまり前回選挙に当てはめると、民主党の比例当選は数名程度になり、何とか過半数を維持といった形になります。一方で小政党はそれぞれ数を増やすので、これを小政党は望んでいるわけです。

上記は、民主党にも厳しい内容なので、党内をまとめ切れるかも不明です。逆に、野田氏は党の議員を切っても、妥協点を探るために野党にも厳しい内容を突きつけた、と見るべきでしょう。岡田副総理が8%の歳費削減に言及したところ、党内から反対されるなど、調整不足を露呈しつつ、野田氏が踏み込むのは消費税増税で名を残す、この一本になってきたのでしょう。
しかしムダ遣いの削減は、何も政治家ばかりではありません。一方で、独法への支出が来年度4.1%増の3兆円強、特会の歳出額は国債の借り換えや重複分を除いて4.5%増の190兆5千億円、つまり行政の歳出枠は増加しているのです。この増加分を仮に一般会計に回していれば、5%の消費税増税分ぐらいは容易にまかなえてしまう。こういうカラクリを、野田政権は野放しにしたままなのです。

恐らく議員定数の削減は、与野党ともに政治家に圧力をかけたものなのでしょう。つまり議員が身を切る覚悟を示せ、これに反対する議員は抵抗勢力として、浮かび上がるぞ、という脅しです。ただ行方次第では過半数を得る政党がなくなり、連立政権の枠組み作りのみが政界の話題になりかねません。むしろ、野田氏は民主党を小政党に転落させても、自民などの増税容認の政党と組んで、消費税増税を成し遂げるつもりなのかもしれません。ただし、上記のように官僚への優遇には手がつかないどころか、むしろ肥大化していることが、この政権の根深い官僚依存体質、その本質をよく表しているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年01月17日

中国のGDP発表

福島原発の周辺で、1月2〜3日に線量が上がったという報告があります。疑わしいのは元旦に起きた鳥島付近の深層地震ですが、国は風で周辺に飛散した放射性物質が舞い上がった、という説明をしているようです。簡単に推測すれば、長周期の横揺れで水がかき混ぜられ、沈殿していた浮遊物が水面に浮上、また溢れるなどして飛散の割合が高まったと思われます。建屋全体の覆いが1号機のみなのですから、当然こうしたことは今後も起きるでしょう。そのたびに「風が…」という言い訳に終始すれば、原子力発電の信頼性など二度と戻ることはないのでしょう。
そんな東電が、大口契約者に平均で17%の値上げを4月から実施する、と発表しました。これは法人税よりインパクトのある、企業の海外脱出要因となります。また法人税は黒字企業だけが支払えば良いですが、電気料金は赤字でも関係なくかかり、コストアップ要因となります。価格に転嫁できればよいですが、現状の中小企業と、大企業の力関係からそれも難しい、となれば倒産が増加するかもしれません。この件でメディアが仕方ない、と受け入れる姿勢を示すのは、異常という外ないのでしょう。

中国の第4四半期のGDPが前年比8.9%となり、2011年の通年でGDP総額575兆円程度になりました。中国では、不動産価格の下落が叫ばれますが、問題は建設業のしかかり工事が止まること、なのでしょう。つまり供給過剰状態が起きており、住みもしない二軒目、三軒目の不動産を所有することで、消費層を拡大させてきたため、当局がそうした需要に対して規制をかけたことで、消費層が横ばいになった。また作っても売れないため、不動産会社が倒産し、夜逃げする恐れが出てきます。
中国の商取引は、一部を知るのみですが、前払いで建設を請け負うことはないはずです。ディベロッパーが倒れると、請け負った工事業者すべてに倒産懸念が出ます。そうしたニュースが出るときが、中国が景気後退に陥ったと認識できるタイミングです。またその頃には、景気の下押し圧力が相当強まっている、とみて良いのでしょう。今はまだ緩和期待があり、そこまで深刻さはありませんが、ただそれ以外にも心配なニュースが幾つか入っています。

短期金利が上昇しており、オペで資金供給しても止まらない、とのこと。春節前で資金需要が強い、ということもありますが、金融機関の資金需要が強まる事態は、経済危機の前には必ず起きることです。リーマンショック前の米銀、今の欧州銀のドル不足、金融機関同士で資金が融通できず、国債に頼って資金をとりたがるのは、預金の解約が増えている恐れ、そして上記のように不動産会社の倒産に備えて、工事業者が中途で代金の一部の受け渡しを迫っている可能性があります。
中国が苦しいのは、緩和余地は残されていても、インフレ期待はまだ高いということです。賃金インフレが顕著になってから1年と少し、これが物価水準をまだまだ押し上げる可能性が高い。今年も中国はインフレと、緩和の板挟みで経済運営することが求められているのでしょう。欧州向け輸出が多い、という不安とともに、中国の地方政府で膨らむ債務が実際にはどの程度あるか? 中国は、気づいたときには満身創痍、ということも起こり得るのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2012年01月16日

雑感。自動車業界の復権を考えてみる

民主党大会で、野田首相が「参院に法案を送って『つぶしたらどうなるか』と考えてもらう手法も時には採用していく」と述べました。これを各メディアは一斉に『解散を示唆』と報じます。しかし野党は解散歓迎なので、これは脅しにすらなっていません。本旨は財務省悲願の増税法案を野党が潰したら、仮に選挙で勝利して与党になっても、財務省の協力が得られないぞ、という脅しを財務省側からかけさせる、ということになるのかもしれません。
また、財務省の実行部隊、国税庁に命じてマルサを送り込む、ということでも脅しになります。駐車場の貸借料を払えない自民党にとって、資金面での締め付けが最も怖いでしょう。多少、選挙前に強引な手法をとることは、陸山会事件ですでに先鞭をつけており、国が捜査権を行使して政党を追い詰める手法が、半ば解禁された状態です。すんなり解散、ということにはならないのかもしれません。

北米国際自動車ショーが開催されました。その中で各社とも、車離れを起こしている若者をどう呼び込むかが課題、ということでした。トヨタもハチロクを復活させ、走りの楽しさを訴求しています。しかし200万円も出したものが、走って、曲がって、止まるのは当然であり、そこをいくら洗練しても大した差は生じません。逆に、その差を体感できる消費者は少ないのが現状と云えます。
しかも、車は開発ペースが遅い、とみられています。上記のように『洗練』では、消費者は満足せず、大きな転換をみせない限り、消費者の目が自動車に向かうことはないのでしょう。では、自動車業界の復権を考えてみるとき、興味深いのがスマホの普及です。スマホはカスタマイズができることが強みであり、さらにこれまでのパソコンという概念と、携帯電話を融合させ、今は売れ行き好調です。自動車もロック、解除等の連携はありますが、発想を大きく転換させる必要があります。

それは自動車を無線Wi-fiの基地にする。つまり出かけた先でも、車の近くにいればすぐ情報にアクセスできる、という環境にしてしまうのです。3GやLTEでも良いですが、自動車が基地化することで、さらに自動車の状態をスマホで確認できるようになり、利便性が増します。アンテナをもち、バッテリを有し、移動が可能な筐体を利用しない手はなく、これは通信業界との連携を含めて、自動車産業がどう生き残るかにおいても、一つの手法となりうるのでしょう。
もう一つ、30万〜50万円ぐらいをベースにした、完全カスタマイズカーの実現です。かつてはエンジンのシリンダーを削る、という強者がいたぐらい、自分の手で車を改造する者もいましたが、電子制御が普及し、弄る楽しみは外装や足回りに集中し、ほぼ失われてしまいました。ならば、弄ってもらうことを前提に、非常に安価にベース車を提供する。メーカーはカスタマイズのパーツを取扱えば、収益性は確保できます。むしろこれぐらい大胆な主張が必要です。

エコカー減税も始まりましたが、消費の先食いであり、一時期の気休めにしか過ぎません。自動車産業の復権には、既出の技術とみなされがちな、付加価値をつけて価格を維持する、という今の商品構成を抜本的に変える必要があるのでしょう。既出の技術に、高額をかけよう、という消費者は少なくなっていますから、自動車業界にも新たなアプローチが求められているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2012年01月15日

雑感。広がる放射能汚染

内閣改造をうけて行なった各社の世論調査で、内閣支持率が横ばいか微減という結果になりました。これをみて、最も青ざめたのは財務省でしょう。国民にも理解が得られる、これは歴史的偉業、と政治家に説明してきたのに支持率は危険水域。重要政策を通すほどではありません。
岡田副総理も社会保障と税の一体改革をすすめる役目、と喧伝されることで評価されませんでした。一番重要なのは、消費税増税の反対が、賛成の二倍に近づいたこと。これにより、無理に強行すれば選挙結果がどう転ぶか分かりません。次の選挙は閣僚クラスもかなり厳しいと見られますが、初めて首相が落選、ということも現実味を帯びるでしょう。まさに野田氏は汚名を後世に残せるわけです。

国営放送で、放射能汚染が福島原発の周辺の海洋や、湖、河口付近で高まっている、と放送されました。事故直後から懸念されたことですが、東京湾は後2年程度まで放射性物質の蓄積が続き、その後10年は高いままというものです。食品の安全基準が上がりますが、今後は江戸前の魚介類に影響がでるでしょう。これは余計なことですが、DASH村が使用不能にされた某番組で、今度はDASH海岸さえ使用禁止にされそうです。当面は収穫が期待できないため、番組にならないかもしれません。
原子力安全基盤機構が、業者の定めた検査要領書に従い、設立当初から検査していた問題がありました。その改善策が、要領書作成の責任者を決める、業者との打ち合わせは議事録をとる、だそうです。誰しも「え、そんなこともしていなかったの?」と驚くほどの内容で、これが原子力行政の現実を垣間見せたのでしょう。原子力安全・保安院の当初の説明では、拡散して汚染は影響ないレベル、だったはずです。しかし食物連鎖で確実に、汚染レベルが上がっていることも、放送されました。

これは陸上でも当てはまり、コオロギからは1kgあたり4170Bqが検出されています。ということはそれを食べる爬虫類、鳥類も体内に相当のセシウムを蓄積しているはずです。もし上記のように、東京湾の汚染レベルが上がれば釣り船屋、釣り宿、お寿司屋などにも保障が必要となるでしょう。客足が遠のくばかりでなく、メニューを減らさざるを得なくなれば、営業上支障が出るためです。
どんど焼きの中止も相次ぎますが、これからスギ花粉の季節がきます。昨年は調査することもはばかられる状況を、政府がつくってしまいました。山野から長距離を飛散する花粉の状況が、どの程度の飛散させるかは今後の課題でしょう。今はもう雨でたたき落とされており、再び舞い上がる分をどう運ぶか? という話ですが、コオロギがそれだけ蓄積したということは、葉や種子になる部分にも、まだ相当の放射性物質が付着している恐れすら感じさせるのです。

原発の最悪事故を想定しておきながら、それを公表しなかったことを細野原発担当相が認めました。今後、政府の判断が妥当だったのか? 司法の場で明らかにされることがあるのか? 小川新法相がそうした判断は到底できないでしょうが、政治が国民を危険に晒した場合は、国民審判という形があっても良いのかもしれません。もっと情報公開が進まないと分からないことも多いですが、少なくとも政府の対応、発表が間違いだったことは明らかになってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2012年01月14日

欧州の9ヶ国が格下げ

昨晩、格付け機関S&Pが欧州の9ヶ国、仏、オーストリアなどを1段階、伊、スペインなどの国債を2段階格下げしました。昨年末から警告されていたことであり、意外感はありませんが、格付け機関フィッチが仏国の格付けを、状況の変化がない限り変えない、と発表し、安心感が広がった後だっただけに、改めて欧州債務問題について、その影響を意識させられることにはなったのでしょう。非常に重要な点は、欧州が取り組む財政再建が不十分、と指摘したばかりでなく、今の手法では雇用や消費に悪影響が出ることによって、景気に下押し圧力がかかることを指摘した点です。つまり長期に亘り、格下げ圧力が続くことを意識せざるを得ないのです。
今後、地方債や各国の国債に連動している債券も格下げされます。国家による保証を受けることで、健全性を維持することが期待される金融機関も、同様に格下げされます。それが国全体の資金調達コストを上げ、それらが財政を苦しめることになります。そしてもう一つ、財政が悪化した国を支援するために創設されたEFSF、今夏に始動するESMにしても、資金調達コストが上がることが確実です。ドイツ、オランダはトリプルA格付けを維持しましたが、これはサブプライムローンと同じ問題を含みます。つまり、色々な格付けをもつ国が資金をだす際、ごちゃごちゃに混ぜられ、発行される新しい債券が最上級格付けを得るという仕組みは、危険に過ぎることになります。

ギリシャ支援についても、未だに流動的です。債務削減比率や、財政健全化のシナリオが見えないとされます。ギリシャがユーロ圏を離脱すると、今は欧州で危機とされる国の順番がくり上がります。つまりスペインの国債入札が好調だったのは、ECBが拠出した3年物の供給オペ(LTRO)の結果、とされますが、それは3年に区切ってみればその間、1%で借りられる資金を、財政不安のある国の国債と変えておけば、その差分の利回りを得られる、という算段があるからです。
しかしギリシャが離脱すると、3年先までユーロ圏が存在するか? と不安を生じ、資金が引き上げられる恐れがあります。つまりギリシャ離脱から、ドミノ倒しが意識されると、国債入札への懸念が強まってしまうのです。それを起こさないためには、ユーロ圏を維持するための、明確な方策を示さなければなりません。結果的に、再び欧州首脳会議で結果を出す必要性に迫られたのです。

メディアは最近、一斉に増税礼賛、野党も協議に応じるべきだ、のオンパレードです。その理由が内閣府が新聞に、社会保障と税の一体改革に関する1ページ分をつかった広告をうつ、つまり広告主としての立場を行使したため、と伝わります。昨日取り上げた某経済評論家?も、増税を国民も受け入れろ、と述べているように、御用学者たちも同様の言説を述べています。
野田首相も欧州の問題をうけて「対岸の火事ではない」と述べていますが、間違えてはいけないのが、欧州は大半が対外債務国であり、日本は対外債権国だということです。欧州の各国は、多くがGDP比で赤字が100%を超えている。つまりそれを束ねると、日本の財政と同程度、もしくは対GDP比の財政悪化は、日本の200%を上回っている恐れすらあるのです。対外債務国が、それだけの借金を貯めれば再建は不可能です。もう少しきちんと財政について考えないと、正しい議論すらできない、ということはきちんと整理する必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2012年01月13日

野田改造内閣が発足

野田改造内閣が誕生しました。岡田副総理が注目されますが、個人的に注目していたのは法務相で、小川参院議員が就任しました。元裁判官、弁護士で菅グループ、小沢裁判では検察によるメディアへのリークを調査する側に立つなど、バランスをとった人選となっています。つまり菅氏が怖いのは、福島原発で情報隠蔽により住民を危険にさらしたこと、それを司法の場で裁かれることが怖い。そこで平岡前法相を、野田氏を支持する条件で送り込んだとされているぐらいです。逆に、今回も菅グループからの選任であり、それを裏付けたと云えるのでしょう。
野田氏は会見で「推進力、突破力、鳥の目でみる俯瞰」という言い方をしているので、名付けるとすればミサイル内閣です。ただし、綴りはmiss-ill。失敗と害悪、という意味です。岡田副首相、平野文科相は、鳩山政権当時の外相と官房長官。まさに普天間基地の移設に手足となって動いた人物です。岡田氏は菅政権当時の幹事長時代も、菅前首相を辞職させるのに失敗し、民主党が与党になってからは失敗ばかりでした。平野氏も官房長官時代に鳩山首相を守ろうともしなかった、要するに官房長官として不適格な人物です。前原グループや野田グループの目指す利権に、理解を示す鳩山グループとしては数少ない人物として重用される、といった手合いです。

さらに田中防衛相は、相変わらず野田氏が防衛を軽視している部分を露呈します。民主党に適任者が少ない面もありますが、普天間問題は小沢グループに投げておく、といった考えなのでしょう。田中真紀子氏に足枷をはめた、とも言われますが、真紀子氏は夫に辞表を出させても自分の考えを通すタイプなので、枷にはなりません。松原国家公安委員長は拉致にまったく興味のない野田氏の下、トップがバックアップしないまま、どこまで出来るかは未知数です。
害悪の部分は、昨日の安住財務相です。ガイトナー米財務長官との会談で、国防授権法をうけて米国の要請を受け入れる、と明言しました。ただし、その後で藤村官房長官が否定しています。日本は独自の判断で動けば良いのであり、例えば猶予期間の延長や、除外規定の適用などの確約をえてから、賛意を示せば良いのです。その交渉をこれからにして要請を受諾すれば、米国が日本の金融機関に融和的措置をする行為が、米国から日本への貸しになってしまいます。仕方ないから米国の要請を受け入れる、ということなら日本から米国への貸しです。こうした判断もできず、国際社会と渡り合おうなどという閣僚は、害悪以外の何者でもありません。米国だったら何でも追従、ではダメなのです。

某報道Sという番組で、T経済評論家?が、国民は消費税増税を先に受け入れ、それから国会や行政のムダ削減を求めるべきだ、なる発言をしていましたが、とんでもありません。これは国民と、政治との交渉であり、消費税増税という強いカードを捨てれば、どんなお願いをしても政治が緩み、身を削るムダ削減などするはずもないのです。もし本当にそんな言説が通用するなら、日本はとっくに歳費の削減、公務員人件費削減、特会改革などに手がついているでしょう。
消費税増税に対して、ミサイル内閣は突き進むのでしょう。社会保障改革は、まだ影も形も見えない中で、税議論だけにエンジンを搭載した。ちなみに、ミサイルにはブレーキがないので、目標地点まで到達するか、途中で爆発する以外は止まりません。適材適所が、最善最強になったところで、顔ぶれがmiss-illである以上、自爆スイッチは常に準備されていると見るべきでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年01月12日

景気ウォッチャー調査について

経産省の幹部がインサイダー取引で逮捕されました。これは氷山の一角であり、仕手系に情報を流し、報酬を得る行為まで含めれば枚挙に暇がないはずです。妻名義という分かり易さのため、今回明らかになった形です。内規にすれば良いものを、それだと判明した瞬間に懲戒が生じるため、誓約書という判断を曖昧にできる書面で、内部統制を図ろうとしている。そんな経産省に、身を律する考えは毛頭なく、今後もよく監視すれば出てくる話なのでしょう。

懸念されていたイタリア、スペインの国債入札が堅調でした。スペインは目標の2倍を調達し、利回りも低下しています。新年入りにより、新規の資金と年末に手元に戻しておいた資金が、活発に動いているようです。統計的にみると、年初はパフォーマンスも良いものですが、日本市場からは資金が引き上げています。明日は1月SQですが、8500を狙った仕掛けが失敗した面もあり、売りが少し膨らんだ印象もありますが、総じて元気ないのが気になります。
中国の12月消費者物価が前年比4.1%となり、金融緩和局面を期待する声が多く聞かれます。ただ前月比でも0.3%上昇しており、歯止めではない可能性も指摘されており、景気後退局面で早めに緩和に転じると、インフレが高進することが知られています。つまり企業向けの貸出が減少し、金融面でのみ資金が滞留することで、景気後退期のインフレを起こしやすいのです。

日本では12月景気ウォッチャー調査で、現状判断DIが前月比2.0pt上昇し、47となりました。ただ先行きDIは前月比0.3pt低下の44.4となり、楽観はできない状況です。日本が苦しいのは、エコカー減税の復活など、景気対策に目新しいものがない一方、国の試算によると10億円近い資金を、増税という形で国民から吸い上げることが鮮明であり、景気にまったく期待できない点です。
しかも日本はデフレと云いながら、米国で売られている商品を円ベースで見ると、非常にお得感があり、購買意欲が高い米消費市場も納得できる部分があります。逆に云えば、日本の企業が日本で販売する製品が、非常に割高に見えてしまう、ということです。某社がパソコンの春モデルを発表しましたが、今どき希望小売価格に20万円近くを提示されると、3ヶ月後に半分以下になるものを、その価格で売ろうとしても販売は盛り上がらないと思わざるを得ません。

今の日本に覆うのは、業績悪化懸念です。輸出競争力を落とし、国内販売も低調。実は日本市場が日経平均で8千円台前半というのは、現状のフェアバリューであり、上下に動くには材料が必要である一方、外国人投資家は売りたい向きが多い、というのが現状です。それは現金化しておく、という目的があるためで、手元資金を厚くしたい、という投資家層の意識ともとれるものです。欧米株が堅調、国債入札が好調であっても、日本市場と同じ動きが今後、起こるとするなら、危険なのは2月ということが云えるのかもしれませんね。

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2012年01月11日

雑感。日本の企業は冒険ができないのか?

今日も小沢氏への被告人質問が行われました。新しい材料はなく、指定弁護士の責めあぐね、が目立ちます。バブル王とされた人物が「総裁選だから1本(1億)」と自民党議員から要請された、という話を暴露していますが、政治に『一般の感覚』を持ちこんでも、感覚が根本から異なります。それに、小沢氏は多数の不動産を保有しており、ことさら問題の土地に注意を払うか? も断言はできないところです。後は証拠もないまま、人を有罪にできるか? という点に関わるのでしょう。

JR西日本の前社長に対し、福知山線脱線事故の予見可能性はない、として無罪判決を出しました。安全水準には達していないが法令違反には問えない、ということです。しかし安全に運行する責任は、当然企業経営者には課されるのであり、転覆事故を起こした責任があります。責任と、法令上の違反は異なる、という区別もできますが、経営者が責任を回避してしまえば、実は『経営者なんて要らない』という極論に落ち着いてしまうことは、考慮しておく必要があります。
オリンパスの上場も維持される方向、と伝わりました。投資家を10年も欺いた企業が監理銘柄の位置づけであっても、市場に残れる。実はこの辺りに日本の問題が隠れています。米国のラスベガスでCESが開催されています。有機ELテレビなど、韓国企業は新技術を打ち出し、新機構のタブレットなど、台湾企業は安さを売りに勝負をかけています。翻って日本企業は目新しいニュースは何もありません。唯一、東芝が4K×2Kのテレビを発表し、新技術として期待できますが、製品化までの道のりは遠く、有機ELテレビで先行したソニーの二の舞、という言葉がちらつきます。

問題は日本メーカーが冒険しない、内向きな経営に終始している、ということです。経営者が責任とることを恐れ、トラブルを起こさない、既存技術にしがみついている姿勢が、CESでも伺えます。残念なことは、これがプロ野球の外国人枠でも見えることです。新外国人ではなく、日本で実績のある外国人選手を雇う。いざなぎ景気の終わる頃には、外国人選手を何人も採用し、競わせるという形も見られましたが、今はまた下火です。これらも経営として、責任を回避するために経験に重きを置いた選択を、経営がしていることが原因となっています。
日本から目新しい、心踊るような製品、サービスは出ないのかもしれません。それは経営者の『恐れ』から来ると感じます。しかし例えば第三のビールなど、日本は技術革新によって出てきた製品に、すぐ課税するなど官民で潰してきた歴史もあります。それは新技術により、企業間の優劣の差が変化することへの『恐れ』、そうした面を映した動きでもあったのでしょう。

事故を起こしたり、新製品への投資に失敗し、経営を傾けたり、そういったことの責任を経営者は負うことになります。一方で、成功報酬としての給与は高く推移しきました。今は世界でもこのアンバランスが問題となっており、日本だけの問題ではありません。しかし日本企業の製品開発力をみていると、世界との競争力の低さに、やはり経営者の質の違いを意識せざるを得ません。最大に内向きになっているのは、日本の経営に携わる高齢者層、ということを考えると、この高齢化社会で極めて根深い、とも云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2012年01月10日

小沢氏への被告人質問

昨日、台湾留学生を二人刺殺した容疑者が、任意同行中に自殺する事件がありました。今日、台湾の反応をとり上げないメディアは警察、検察に配慮している、と見て間違いないのでしょう。台湾でも注目の事件であり、この失態は当然、台湾側からの強い批判にさらされます。大人しい日本の一般市民より、激しい抗議が起こっていることをメディアが伏せれば、それは情報操作です。
残念ながら、簡単にふれられた程度しか各メディアの記事を目にしていないので、まだメディアと警察、検察ももたれ合いは解消されていないようです。そもそも、『隠し持っていた』とされるナイフですが、ポケットに入れていただけでも『隠す』のであり、ズボンに何らかの細工をしていた、とも思えないものです。つまり単純に『見逃す』ことを『隠す』と表現しているに過ぎません。言葉の使い方、表現上のことで印象はまったく代わってしまうのです。

陸山会事件で、小沢氏への被告人質問が行われました。相変わらず『4億円の原資について、説明が…』と語られますが、これは立件にまったく関係ありません。不誠実な金だろうと、誠実な金だろうと、元の収支報告書の虚偽記載が認められた上で、共謀したという行為が認定されて、初めて有罪となります。検察が描いたシナリオ、つまり4億円が違法献金で、その所得をごまかすために…というシナリオに未だにこだわっており、またその件でしか追求できない部分でもあります。
この原資について、ひどい表現では『説明を拒み続け…』というものもありますが、一方で『語ることが二転、三転…』ともされます。要するに、納得できるまで説明しろ、ということの言い方を変えただけです。ただ、上記のように事件の成立要件としては補足的部分でもあるので、この件でいくら問い詰めても、公判ではっきりすることは何もないのでしょう。

実際、指定弁護士も執拗に金の出処ではなく、やりとりに対する小沢氏の認識について訊ねており、翻ってそれは資金の把握度合い、を浮き上がらせる戦略のようです。小沢氏が資金の流れを把握していたから、虚偽記載についても認識していただろう、ということで有罪に持ち込む。これは他に証拠がないため、裁判官の『推認』を引き出す戦略、と言い換えることも可能です。
しかし、これまでの警察、検察の手口や裁判の経緯をみていると、検察が『無罪の証拠を隠している可能性』に言及せざるを得なくなっています。つまりナゼ検察が起訴できず、審査会での強制起訴になったのか? それは検察が起訴しても、無罪になると知っていて、その証拠を隠して審査会に報告書を提出したのでは? そう疑わせる証言が幾つも出てきているのです。

ただこの事件は、どういう形であれ司法は非難されます。小沢氏の復権を拒む勢力、望む勢力、その二つから目の敵にされるからです。だからこそ冷静で、誰もが納得できる判断を下すよう努めないといけないのですが、それが東京地裁にできるかは、先の『推認』裁判以来、疑わしくなっており、司法の信任がこの件で失墜することも想定できるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2012年01月09日

イランの核開発問題

イランの核開発問題が緊迫化しています。フォルドゥにつくられた地下核施設が、近く稼働見通しとなり、20%までの濃縮が可能となります。ただ、ウラン濃縮を核ミサイルに使うためには70%程度が必要とされるので、まだこの施設では規模や精度が不足していますが、欧米はしゃかりきに制裁を課そうとしています。一部では、イランが欧米との緊張を高め、国内をまとめようとしている、との見方が出ていますが、逆に云えば欧米とて同じように、イランとの緊張を高めることで、国内の不満を逸らそうといった意図があるとも云えるのでしょう。

例えば米エネルギー省が昨夏、未臨界核実験の補完的実験が行われました。これはプルトニウムを高温、高圧にした状態でX線を当て、反応をみるものであり、爆発時に残ってしまうプルトニウムの挙動を知り、効率的に爆発させるためのものと思われます。すでに核兵器をもっている国だから、何をやっても良い、ということならこの件に文句を云うこともできませんが、そんなことはなく、米国は非難されるべきでしょう。しかし欧米にそうした動きはありません。
イランはまだ核兵器を手にするのは、十年先とみられます。しかし起爆装置を北朝鮮から輸入できるとなれば、それは一気に短縮されます。しかも核施設への空爆? ウィルス? などの嫌がらせに対抗するため、地下とし、孤立化もさせたでしょうから、そうした攻撃も通用しなくなった。欧米にとって、管理もアクセスもできない核施設が、もう怖くて仕方ないのでしょう。

米国は昨年末、国防権限法が成立し、イラン中銀との取引をする金融機関を米国と取引させないよう、いつでも規制がかけられます。欧州も月内にイラン産原油を禁輸する措置をとるため、イランはホルムズ海峡の封鎖を示唆しています。日本は原由の8割がここを通過するため非常に厄介です。イラン産原油は、先の制裁以来減っているため、直接の影響は限定できるとしても、仮にホルムズ海峡封鎖、その後で米国との戦争に陥れば当面、ペルシャ湾は使い物にならなくなり、他の地域から原油を買わざるを得なくなります。
しかしこれには他の産油国が抵抗するでしょう。そして今、アラブの春で各国が政変を迎える中、米国とイランを天秤にかけた際、どちらに付くかはこれまでとやや違うことも予想されます。アフガン、パキスタンでは誤爆により反米感情が高まり、イラクでさえテロが常態化してしまった。これまでは親米国家で、政変が起きていないサウジなどでも、あまり米依存を強めていると、国内が不安定に陥るかもしれません。それはイランの権利を認めるか、どうかの判断にかかってくるのでしょう。

核兵器を完全廃棄し、関連技術を徹底的に排除しない限り、北朝鮮にしろイランにしろ、これは雨後の筍のような問題です。欧米の誤りは、それを自分たちの見える範囲で管理できないと、不安でしょうがないとの自分勝手な心理なのでしょう。しかしその内経済が苦しくなり、原油高騰が更に追い打ちをかける事態になれば、恐らく欧米もこの動きを取り下げるはずです。そうやって自分たちの都合を優先させている内は、この問題の解決は難しいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | アメリカ

2012年01月08日

雑感。朝鮮半島の神話について

かつて日本人の由来を探りたくて、各国の神話を調べたことがあります。最近、韓国系ドラマで神話の時代を扱うことが多いようです。そこで、朝鮮系の神話について考察してみます。一括りにすると朝鮮神話とされるものは、実に多種あります。新羅など、始祖とされる朴、昔、金と三氏がそれぞれ神話をもちます。ちなみに、新羅王統譜によるとこの三氏が仲良く、上記の順番で王統をついだことになっており、元は新羅一国ではなく、三国に別れていたことを知ることができます。

しかも史記に書かれた殷の代の卵生神話をモチーフにしている、と見られます。簡単に記すと、玄鳥が卵をおとし、それを呑んで生まれた子供が、殷の始祖になったとする話です。その後、春秋戦国時代にあった徐国の神話が、博物誌に見られ、これが原型とされています。徐の宮人が卵を生む。不浄として捨てられるものの、故あって拾われ、成長してそれが国を興す。ベースはほぼこれに沿った内容であり、後に中国の東北地方に侵入して国を興した扶余族もこれを踏襲し、それが朝鮮半島に広く伝播したことは、この後の神話が各国の事情に基づいて洗練、改変されたことをみても理解できます。
その中で百済、高句麗は扶余国の神話を色濃く踏襲しています。扶余国の神話は『北夷の索離国の王の侍児が卵を生み、捨てられるものの助かって東明と名乗り、やがて王に疎まれて逃げ出し、ある場所にたどり着いて国を興す』というものです。百済はこの東明の子孫に『仇台があり、漢の遼東太守、公孫度の娘を娶って強国となった。初め百家が助けたので百済となす』としています。
高句麗は索離国を扶余国に、東明を朱蒙とすると、ほぼ話のスジは同じ神話になります。ただ文書上の装飾、洗練度からみて、上記の扶余国より後代に宣したといわれています。

実は、ここまでの神話は朝鮮半島の歴史を著した三国史記からは採録していません。難しいのは、三国史記は12世紀まで待たねばならず、神話としては中国の文献に頼らざるを得ないためです。しかし三国史記にある新羅の、三氏による神話は系譜を異にします。
昔氏は卵が生まれるところまでは同じで、『それを箱に入れて船に乗せて流す。それが始祖の脱解となった』とされます。朴氏はいきなり卵が見つかり、そこから生まれた瓠公が始祖となります。さらに金氏になると卵がなくなり、箱があってそこに男児がおり、それが始祖となる。王統譜にかたる順番で、話の前半部分が削られ、後半部分が増えていくという奇妙な形となっています。

朝鮮半島の神話は、二つの系譜が見られますが、それは中国系の歴史書に記された内容と、三国史記などの朝鮮半島の歴史書としての記述、としてみると分かりやすいのかもしれません。それを示すのが伽耶の神話で、三国遺事に採録されていますが、黄金の卵が六つあり、それが各々の国を興して六伽耶になった、とされます。時と国に応じて、神話の中で卵が増え、同じ内容を少しずつ変遷させていく。モノマネともされる、製品づくりはこうしたことにもルーツがあるのかもしれません。またこれらを踏まえて、神話によって描かれたドラマを見ると、また少し違った見方ができるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 神話 | アジア

2012年01月07日

欧州問題と、世界銀行の役割について考える

米国の12月雇用統計で、非農業部門の就業者数が20万人増、失業率が8.5%と改善を示しました。米国ではドル還流のおかげで、インフレ傾向が漸進しており、消費が好調になる一方で、賃金インフレが起きていないため当局も引き締め、緩和、どちらにも舵がとれない状況です。しかし欧州債務不安は、いつ地雷を踏むかも分からない状況であり、1ユーロは100円を割りました。
今、500円硬貨1つで1ドル紙幣が6枚、1ユーロ紙幣が5枚も手に入ります。これがデフレ日本の実相です。500円硬貨には銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%が含まれており、決して安くはありません。極論をすれば、500円札を復活しても良いぐらい、通貨としての差が顕著になってしまっているのです。あくまでマインドの問題ですが、紙幣を増やすことで、多くお金をもっている気になるのかもしれません。一方で、500円紙幣になると消費を抑えてしまうことも考えられます。資源価格との兼ね合いですが、いずれデフレに合わせた貨幣制度の変更も有り得るのでしょう。

欧州問題の解決策が、中々示されません。そんな中で、世界銀行の役割について考えてみました。世界銀行はブレトン・ウッズ体制の下で発足した国際復興開発銀行を前身として、今では5つの機関を抱える巨大銀行です。昨年、クリントン米国務長官が総裁になるのでは? と噂されましたが、当初は戦争で疲弊した先進国を救済する目的での設立でした。今では発展途上国への融資をメインとし、約170兆円の自己資本をもち、100兆円近くを融資しています。
俗に世銀債とも言われますが、独自に債券を発行しており、AAA格付けをうけて各国の金融機関や個人に引き受けてもらっています。現在、先進国からの投資引き上げで苦しむ新興国に、世銀が融資することで、均衡を保つのに寄与している、と言えるでしょう。ちなみに、世銀の融資先には中国、韓国も含まれますが、日本は第二位の出資国ですから、融資は受けられません。

EFSFやESMにしろ、市場の安心を得られないのは自己資本が不足しているためです。ESMは5000億ユーロを集める見通しですが、それだと50兆円。世銀と同じように60%で融資をとどめるなら、30兆円しか使えません。それでイタリアを含む先進国をカバーすることができないのは当たり前です。
しかし世銀とて、当初から収益が安定していたわけでも、融資基準が徹底されていたわけでもありません。むしろ巨大な資本となり、融資の回転がきくようになって、初めて安定したと云えます。しかも政府への貸付で、優先回収権をもっている。これがAAAの格付けに寄与しているのです。同じことをESMにさせるなら、最低でも世銀の資本を越える規模を備える必要があるのでしょう。

恐らく、世銀が現代に同じような仕組みで、成立させようとすれば確実に失敗したでしょう。むしろ当時のどさくさ、と言ったら言葉が悪いですが、情報の乏しかった時代だからできたことです。それを現代に復活させることができるか? 非常に困難が伴うことになりますし、世銀が欧州への融資を始めたら、今度は世銀の財務に懸念が生じてしまうのでしょう。いずれにしても、見せかけの資本をつくる試みに対して、情報過多の時代が最大の弊害と云えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2012年01月06日

雑感。オリンパス問題と日本の閉鎖性

今日の日経平均は大きく下げましたが、久しぶりに欧州CTAスジのイベントドリブン型の先物売り、という形でした。きっかけは北朝鮮の核施設事故との噂かと思いますが、昨晩の米国は景気刺激策をうつとの噂で上げており、投資先の見当たらない欧州系は、米国買い、アジア売りの姿勢を強めているように感じます。つまり欧州への輸出が多い中国が景気鈍化を迎えると、アジア全体が軟調におちいることが見えるので、アジアから資金を引き上げて米国に振り向ける。逆にいえば、それほど欧州の輸入は減るだろう、と考えていることが伺えます。
そんな欧州では、新たにハンガリー問題が浮上しました。長期債の利回りが10%を越え、今年165億$を返済するのに、借り換えができない状況です。通貨ユーロは導入していませんが、IMF、EUの支援を受けられないと、間違いなく年内に破綻します。可決された中銀法の扱いをめぐってIMF、EUとの対立が先鋭化しており、今後はこの協議をめぐって市場が変動することもありそうです。

日本ではオリンパス問題をめぐり、ウッドフォード元社長が委任状争奪戦からの撤退を示唆しました。銀行団や、持株による閉塞感をあげ、大株主からの同意を得られない、ということが撤退の理由です。ただ、これでオリンパスの上場廃止に向けた障害はなくなった、と言えるのでしょう。これが国内のみ、捜査しているなら政治マターで、金さえ積めばなんとかなったのでしょうが、捜査は海外を巻きこんだものであり、海外で違法性を問われると上場廃止に傾かざるを得ません。つまり隠蔽のために海外取引を用いたことで、国内の判断だけでは済まない事態になっているのです。
ウッドフォード氏が新社長に就任すれば、少なくとも改善が見られる、という判断も働いたかもしれません。旧体制の残滓を引きずれば、海外は日本の閉鎖性を囃し立て、より違法性を追求したがります。横のつながりを重視する日本型の社会構造が、会長も弱体化する中で、外国人社長により分断され、専横されることを恐れたのでしょうが、スジが悪い決断と云わざるを得ないのでしょう。これでは海外から、日本が異質な市場という見方をされることが確実です。

民事再生法を申請していたシルバー精工が、破産したようです。企業のクラッシュが起きやすくなっており、それは経営陣の手腕も挙げられます。ハンガリーが、中銀の独立性を無視した行動をとれば、融資する側は警戒します。欧州で売上を伸ばし、手腕を期待されて社長になった人物を、この苦境のときに排除するような行動をとれば、市場からも疑惑の目を向けられます。
日本の再生に足りないのは、既存の枠組みを壊して、新たな社会を構築することです。オリンパス問題は、まさに日本がそういう段階に昇華されていない、ということを示したのでしょう。これは素案を決めた野田政権でも同じことで、既存の枠組みを壊せないから、新たに消費税増税を上乗せし、システムの維持を図ろうとする。これでは閉塞感が益々強まるばかりです。今回、起きていることは古い体質を脱却できない、そんな閉鎖的な『日本』を強く意識させることなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2012年01月05日

野田首相の念頭会見

本年もよろしくお願いします。

野田首相による年頭会見、社会保障と税の一体改革を押したいがため、公務員人件費の削減や、議員定数の削減に多くを費やすなど、一定の配慮をみせました。ただし、心に響かないのは取り立てるべき言葉が見当たらないほど、発言が薄っぺらいためです。チャーチルの『ネバー…ギブアップ』を引用し、「大義あることをあきらめないで、しっかり伝えていく」と述べました。これにはゲーテの言葉を返しておきます。『生活は二つから成り立つ。したいけれどできない。できるけどしたくない』 消費税増税には不退転の決意でのぞむ一方、その他の政策にそうした決意が示さない。消費税増税はしたいけれどできない。他の施策は、できるけれどしたくない官僚の意向に沿う。これでは国民も見向きもしなくなります。

年末に辺野古移設のための、環境アセスを送った件にしろ、あんなことをすれば地元の態度が硬化し、実現は遠のくことが確実です。しかし地元の合意を優先するのではなく、米国との約束を優先した。それが『ネバー…ギブアップ』によるものなら、どこに大義があったのか? 地元に伝えることを粘り強くしたのか? 非常に懐疑的でしかありません。
しかも、米大統領選で米軍も揺れています。辺野古移設にしろ、グアム移転にしろ、米国防総省の予算獲得のための、一つの項目に過ぎなくなっており、議会からは米軍事費をもっと削減しろ、という圧力が高まっています。結局、日本が米国防総省と米議会の綱引きの中で、右往左往させられているに過ぎないのです。その認識をもてば、環境アセスの提出を強行した意味は、もっと違って見えてきます。日米両政府がそろって、議会に歳出枠の確保をおねだりしているのです。

民主党を離党した九名が『新党きずな』を立ち上げました。設立時期を昨年末とし、政党助成金の受けとりは可能ですが、意外なほど民主党執行部からの妨害工作がありませんでした。通常、後に続く者がでないため、比例で通った者には「議員バッジを返せ」とせまる、自民党的な手法が一般的でしたが、すんなりと通った。これには輿石幹事長の意向が働いていると見ますが、そうなると次、また次と離党者がでることはある程度想定済みとの見方もできます。
むしろ野田政権が早期に倒れることを見越して、その後の統一会派をくむことも視野に入れているのでは? と見られます。分限免職にふれたことで、前原氏は連合会長からも睨まれています。前原氏を後継に据えるには、ハードルが徐々に上がっており、次の党代表選はどう転ぶかも分からない状況です。たとえ九名とはいえ、高圧的態度に出られない党の事情もあるのでしょう。

今年の政治は、恐らく大荒れでしょう。残念ながら、野田氏のかかげる大義を、自らの口で国民に説得する気もないようなので、野田氏の支持率は急落が見えています。年頭会見なのですから、もっと目標的なものを掲げた方が、国の指針ともなったはずですが、それが消費税増税という既定路線に終わった。日本丸がどこへ向かうかを、船長は示さなかったことに他なりません。野党も何となく消費税増税に反対しておけば選挙が見えてくるのですから、通常国会は政局含みで見ていかざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般