2012年03月

2012年03月31日

雑感。南海トラフの新想定における想定

大阪地検特捜部による、証拠改ざんで犯人隠避の罪に問われた元部長らに、判決が出ました。ただ逆に、法務省の処分理由と判決内容がほぼ一致したため、結論ありきの印象を拭えません。この事件は政界マターまで狙って、特捜部が動いたことから、決裁は元部長に留まらなかったはず。要は組織を守るため、現場の直接の責任者に罪をきせて、足切りしたという疑惑には、裁判を通じて答えがありませんでした。結果的に、大阪地裁は組織を守った。しかし大事な何かは守れなかったようです。

南海トラフの津波想定が、波紋を広げています。原発は想定した高さを超え、これまでの想定で行われたストレステストを無意味にした。海岸沿いの地域も、これまでの防波堤を越えるどころか、避難場所まで津波が押し寄せることとなり、酷いところでは逃げ場所がない、という事態になっています。さらに云えば、海岸沿いの家をリフォームしよう、建て替えようといった意欲を殺ぎ、さらにはその地域の不動産価格すら変えかねない事態、とさえ指摘できてしまいます。
しかも東京湾など、入り江になっているところも、先の地震で津波が回折してくることが判明した。これは湿地を埋め立てた場所では、洪水ではなく、逆流で堤防を越える恐れがあるということになります。地域防災計画にも波及するでしょう。大きな地震がくれば、取水口を閉じるために、全職員が一斉に走らなければ間に合わない。といって、その行動にはリスクが伴うことになります。

今回の想定が与える影響は過大です。避難場所として、鉄塔を建てても津波の勢いを防げない。濁流となり、家や車がぶつかると鉄塔では耐えられない。構造物をつくるなら、避難場所にはもっと強固なものが必要となる。しかも地域インフラは壊滅するので、道路では物資輸送が難しくなる。そうなると、かなり高い位置に最低限の物資を確保しておく、等の対策が必要です。今まで以上に、安全に資する施策は限られてくる、という点ではかなり深刻なのでしょう。
これは企業にもいえます。海岸沿いに工場、拠点をもつ企業はすでに選考され、仮に震災が起こったときは叩き売られる、といった事態も想定せねばなりません。つまり市場のトリガーとして、『津波に弱い企業』を意識される、といった動きが起きます。それを嫌って海外に逃げたとしても、海外は日本より地震研究は遅れ気味です。起きないとはいえない、といった点ではどこへ行っても同じ、となるのでしょう。ただ、海外移転の動きは加速する恐れには留意しておくべきです。

インドネシア沖の大地震以来、地震と津波、はセットで考えられるようになりました。ただし、日本では東日本大震災がくるまで、津波の想定が低かった。今後は、この失敗を繰り返してはいけないのです。しかし今回の想定は大きく、対策までは時間を要するでしょう。百年に一度、千年に一度、などと余裕をもてなくなった今、早急な対策が求められていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2012年03月30日

消費税増税法案の閣議決定

消費税増税法案が閣議決定され、これで年度内に法案が提出されます。まず国民新が大荒れです。亀井氏は連立離脱を明言、しかし下地幹事長が打ち消し、自見氏も閣僚として署名しました。『亀の乱』『亀裂』ともされますが、今回は下克上で、代表の意に添わない行動をとる下の人間が叛旗を手にしているのであり、これは『下じ見の乱』とするのが正しい表現です。
しかし分裂気配ながら、まだ党が割れないのは党規に物事の決定方法がなく、政党交付金の分配方法が明確でないから、です。通常、政党は代表に権限が集中し、出ていった側に交付金を渡さない、といったことが行われます。頭割りではない。亀井氏が代表ですから下地氏らは党を出ていかざるを得ず、新党を立てて民主と連立、がスジです。その場合は政党交付金もなく、自費でこの1年を乗り切らざるを得ません。恐らく、下地氏らが強気なのは、民主執行部からその場合の資金の手当は打診されていたのでしょう。しかし両者とも出来上がった国民新党、というフォーマットを崩すのは、得策ではない。さらに支持母体も、亀井氏がいるからの支持で、ケンカ別れは好ましくない。

しかも下地氏にしろ、自見氏にしろ、これで弓引くのは二回目、しかも今回は寝技で亀井氏に謀反を起こした…これは頗る印象が悪い行動です。民主執行部が云う「先の衆院選での約束は任期中に消費税増税せず、だから13年から…」というのと同じぐらい、始末の悪い騙し討ち、裏切りに国民には見えます。郵政という支持母体も、反対を主張する間は強い支持母体として機能しますが、今後はそれも期待できない。下じ見の乱を起こしたからには、資金力をつけるか、自ら指導力を発揮するしか、政界では生き残れない。今後の行動次第では、永田町を去ることになるのでしょう。
小沢氏が、今の民主党執行部を「自分より剛腕」と述べました。それもそのはず、今の民主は先の選挙以来、バブル状態であり、政党交付金にしろ、機密費にしろ、荒い使い方を続けています。小沢系議員の内、政務三役4人、党の役職13人が辞表を提出しており、民主党内の混乱も続きます。これはまだ下克上でもない動きですが、国民と、党内と、約束したことを後で国際公約として破り、強引に自分のやりたい政策を推し進める。どちらが暴走かは押して知るべしです。

よく社会保障費が増大するから、景気が上向いても税収が足りず、増税するしかないという論法があります。それは今の社会保障体制を続けていく、というのが前提の議論です。つまり不足するかどうかは、社会保障改革の行方次第であり、足りないというのは未だそちらの議論が足りない、というに過ぎません。野田政権では、社会保障改革の形は一切みえず、見えないということは足りない、ということになる。この論法に騙されると、消費税増税が必要、と考えるようになります。
ロジックは簡単です。今の制度で計算されたものでは、すべて将来的に破綻します。ということは、そこに手がつかなければ、増税して歳入を増やしても『足りない』のです。謀反、下克上、それは仕える者の立場が行うものであり、国民が起こす運動は『革命』です。このまま、一方だけ改革を押し付けても、いずれ破綻することが見えている。そのことに国民が気づいた時、大きな動きがこの国に起こるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年03月29日

海外からの日本マネーへの期待

フェイスブックのザッカーバーグCEOが野田首相と会談しました。SNSは寡占状態で、成長余地が少ないのでは? と市場から見られており、各国の事情をみて新たなサービスを探そうとしている。また広告効果を狙った来日です。しかしグーグルにしろ、フェイスブックにしろ、米国では国に情報提供している、という話が議会で出るぐらいです。元々、インターネットは幾つかの中継基地で、すべての情報は管理され、テロなどのキーワードを元に収集され、情報は捜査当局に筒抜けとされます。量子暗号化技術が採用されても、各国が盗み見を止めることはないでしょう。
イタリアのモンティ首相も来日しました。危機は去ったので投資を…と述べますが、今はLTROの影響で、各国の金融機関が積極的に国債購入をしているため、一時的に危機が収まったかに見えます。しかし逆に、次に危機が深刻化すると、今買いためている国債が不良債権化する恐れがある。金融相場の悪い癖で、サブプライムローンもこんな仕組みは長く続かない、と思っても資金繰りに余裕があると、金融機関は飛びつきます。そのバブルが弾けたとき、危機は一気に肥大化するのです。イタリアとて、まだ国債利回りは5%近くあり、この小康が長期化する確約はありません。

こうして海外の要人が日本に詣でるのは、今後の流動性供給が期待できるため、でもあります。欧州はLTROを打ったばかりで、ECBは引き締め方向を示唆しています。FRBも2月以来のタカ派発言が鳴りを潜め、最近はハト派発言で市場に配慮していますが、恐らくQE3を打っても不胎化するでしょう。擬似インフレ目標を掲げた日本だけが、新規資金を期待できる市場、ということになります。
金融相場の悪い点は、実体経済への波及が小さい点です。過剰流動性に陥る原因は、金融機関にリスクが高いことです。マネーフローは血に喩えられますが、中央銀行というポンプが排出した血を、大動脈である金融機関が流さない。それを無理やり拡張させ、流そうとしても流れない。すでに動脈硬化を起こしており、安易に血の流量を増やそうとすると、動脈瘤となって破裂してしまいます。

米国では不動産市場の回復期待もありましたが、数字は冴えないものでした。これはまだ金融機関に隠れ差押え物件がたまっており、市場の回復に水をさす原因となります。この塞栓をとらずに、血流がよくなるはずがない。日本が長期に亘り、低成長に陥ったのも金融機関の不良債権処理でしたが、米国とて同じ状況なのです。逆に、米国は日本の失敗を何も学んでおらず、それが不安となります。
海外から、今後も投資のお願いで来日、が増えるでしょう。経常赤字に陥った中国、それはもう中国からの投資に、期待できないことを意味し、さらに人民元安の圧力がある中、為替市場で値幅制限を緩和する方向で、中国政府が動き出した。これは即ち、米国の圧力をかわすため、人民元高を容認してきた中国政府の転換になるやも知れず、これが日本への期待となってはね返るのでしょう。

但し、貿易に占める中国向けの比率が高まっており、これはドル安より人民元安の方が、輸出企業に深刻な影響をもたらす、とさえ云えることです。中国国債の保有に舵をきった日本、もしかしたら今後、人民元買い介入、ということが近いうちに起きそうであり、財務省にとって政府短期証券の発行枠を増やした動きといい、不透明な流れが増えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2012年03月28日

消費税増税法案が民主党で一任

民主党の合同総会が、前原政調会長への一任で消費増税改正法案への決着しました。混乱は増税反対派のせい、としてあくまで低姿勢を貫いた、今回で一先ず前原氏は官僚たちの間で株をあげたでしょう。最初に、大綱にもなかった『財務省の希望』項目を最大限に盛りこみ、そのハードルを徐々に下げて、自分たちはこんなに妥協にむけて努力している、という官僚が得意の手法を踏襲、メディアも「小沢系の反対派が…」と連日報じ、抵抗勢力としての扱いにまい進しました。
一つ云えるのは、『増税賛成』は官僚と上手くやりたい、と同義だということ。昨日も指摘したように、今年度は10兆円近くが、一般会計から捻出できており、さらに昨年末に策定された予算に比べ、来年度は今年以上に税収の見通しが良いだろう、ということです。さらにバブルが起きつつあり、景気対策を打つ必要性は小さい。今年度と同様、10兆円近くを国債の早期償還に当てられる計算が立つのであり、それは消費税5%相当分にあたります。こうしたことが正しく議論されず、社会保障費が足りないから何となく増税、という人間に、すでに行政改革など不可能といえるのでしょう。

改正労働者派遣法が成立しました。約2年かけて、当初民主が主張していた論点は削げ落ち、製造業派遣、登録型派遣は削除されて従来通りとなり、原則禁止される派遣期間も、60日から30日に短縮されました。現在の民主党執行部、それに野党・自民党は経団連寄りの判断をします。国民新の亀井亜紀子氏が反対意見を述べるなど、2年半前の約束を守る国民新、という色を鮮明にしました。
国民新は連立離脱の見込みですが、問題は党が割れるかどうかです。亀井代表はすでに、民主と一緒では選挙に負ける、と踏んでいる。選挙はまだ先、と読んでいる党内の流れを押さえ込めるか? それとも党が割れて一部が民主と統一会派、という流れも予想されます。後は資金繰りだったり、恩義に関わる部分なので、どうなるかは予断を許しませんが、国民新の内部は荒れそうです。

メディアの世論調査の一部で、小沢系は社会保障改革や、財政再建の道を示しているか? と問う内容が見受けられました。さらに、小沢氏が党内議論に参加すべきか? というものまで。おや? と思うのは、小沢氏は処分中であり、党内の議論には参加できない立場です。つまり上記の質問は、党員資格の停止中である人間に対するものとしては、相応しくないと云えるのでしょう。
私は小沢氏の支持者ではありません。しかし、現在の永田町で、妥当な発言がもっとも多いのが小沢氏、とは考えています。最初の話に戻りますが、今年は経済が堅調になるとの見通しが多く、今の金融相場バブルさえどこかで弾けなければ、年末までは調子いい。そうなると、税収で10兆円ぐらいは軽く捻出できます。だからこそ、努力目標という名目3%、実質2%という文言が大切であり、経済成長さえすれば、実は増税などしなくても税収は確実に、改善するのです。つまり増税に数値目標を入れたら、増税できなくなるのではなく、増税する根拠、必要性を失うという意味なのです。

少し福沢諭吉の論からとります。「人間に不徳は多いけれど、交際に害のあるのは怨望が大きい。誹謗などは不徳の大きいものだけれど、素より不善ではなく、施すべき場所、方向性、強弱などにより、不得を免れる」 長いので端折りましたが、要するに反対だから不徳だ、という論旨は通用せず、その反対の行動に正当性があるかを吟味しなければいけません。そして怨望とは「人の言路を塞ぎ、業作を妨げる」こととします。どちらが怨望を抱いているか? それはよくよく考えなければいけないのでしょうね。

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2012年03月27日

震災がれきについて考える

韓国のソウルで開かれた核サミット、日本外交として屈辱的な扱いです。唯一の被爆国、福島原発事故、があっても尚、脇役以下のその他大勢の役回り。懇談、立ち話ばかりで正式会談は一つもなし。要するに、野田政権と話しても提案もなければ、何か実のある話はない、と見限られていることを示しています。消費税で政治生命をかけるのですから、法案成立後、この政権が残っていることはない。野田政権のカウントダウンは始まっており、国際会議の場で、日本は見向きもされないという前代未聞の扱いです。国内事情、日程の問題は関係なく、外交的には大失敗と云えるでしょう。

震災がれきの問題について、少しうがった見方をしたいと思います。ここ最近、震災がれきの受け入れに、多くの自治体が名乗りをあげるようになりました。これを助け合いの精神、と好意的に受け入れるわけにはいきません。3月に入ってから政府が約束した、がれきの受け入れで、焼却施設の寿命が縮んだり、焼却灰の受け入れ施設に負担が増えたりした場合、国がその分補填すると約束しました。つまり老朽化した焼却施設を抱えた自治体は、国の予算で建て替えられる、これが真相です。
さらに国の説明も、がれきを見ると震災を思い出す、という地元の方の意見を殊更取り上げますが、実際は生活している場所から、がれきの保管場所は遠い。それに、津波にさらわれて余った土地はあり、国がそうした土地を買いあげず、使用料を払ってがれきを置いておけば、その方が助かる住民もいるはずです。阪神淡路大震災では、生活圏にがれきがあったため、処理を急いだ側面があったとしても、今回の震災とは大きく異なり、3年で処理にこだわる国の態度には、違和感もあります。

今年度は4次まで補正予算を組みました。一次4兆円、内3.7兆円を本予算の組換えで捻出、二次2兆円、全額一般会計の決算剰余金、三次12兆円、内11.55兆円は復興債、四次2.5兆円、国債利払いの余りと税収上ぶれ。総額は20.5兆円、内9.45兆円が実に増税をしなくても、歳入として確保できたことになります。結果論であっても、国債発行は約10兆円は抑制できた、ということです。
さらに復興債は、単年度で発行せずとも良い。来年度に処理しても良いので、実はスタートから少し余裕があります。過去最大といっても、復興予算を含んでおり、さらに年金の国庫負担分を将来の増税分に、先送りしてまで組んだ予算。しかし今年度の実績をみても、10兆円ぐらいは捻出できる。震災がれきの処理を急ぎ、予算を肥大化させて財政逼迫を訴える、これらはすべて結実しています。

政府は、消費増税をする根拠をつくっているのです。赤字国債の発行を増やすのも、二次補正など顕著ですが、決算剰余金の半分は財政法上、国債の償還に用いるべきものですが、特例法を出して二次補正に全額回しました。つまり『復興』とつけば予算がつけられる、それが執行できずに滞留すると、予算が不足するから増税、というシナリオ全体が崩れかねない。大盤振る舞いしても、がれき処理という名目で広告費までかけ、各自治体に説明してまで急ぐ理由が、ここにあります。
上記の補正予算、その3分の1程度は経済対策です。しかも、復興と名をつけながら、復興と関係のない予算を多数含みます。それらもすべて、財政が枯渇し、消費増税しなければいけない、という理由づけのために行われているとすれば、これは由々しき事態なのでしょう。震災がれきも、長期に亘ってきちんと分別され、資源として利用できるものもそうしていけば、その方が地元対策にもなります。今の野田政権は、消費税増税のためにすべてを犠牲にしようとしているように見え、その中に震災がれきの処理を急ぐことも含まれるなら、この政権にとっての正義がいずれにあるのか、自ずと想像もつくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年03月26日

経済の話。雑感のように色々と

先週、米株市場でApple株が急落しました。高速取引を謳うBATS取引所が、システム障害で誤発注したのが原因ですが、当日は米証券取引委員会(SEC)が超高速取引(HFT)に対して聞き取りを始めたところであり、システム変更を余儀なくされた結果との見方が大半です。聞き取りは、一般の投資家に比べて、HFTが『不当な優位性』を得ているかどうかを調べるもので、逆にみれば変更が必要だったのは、不当な優位性を認識して、取引所が開設されていたのかもしれない。kれはそういう意味です。
アルゴリズム取引を全面禁止する以外、不当な優位性は変わりません。ただ、この動きで仮にSECにより業者の摘発にまで発展すると、反対売買による急変動が起きる可能性は、意識しておくべきでしょう。Apple株の場合、大型株になりすぎてポートフォリオに組み入れざるを得なくなり、ここまで買いの一手で来ました。逆に、今回は誤発注でしたが、急落などが起きると多くの運用が損失を抱えることも、間違いありません。肥大化するとtoo big to failになる、これは金融に限ったことではありません。Big3のように、米国は今後も巨大企業には緩和的であり続けるのでしょう。

そんな米国ではゴールドマンサックス証券(GS)の元幹部による告発本、が話題です。米国ではGS、日本では野村、金融業界ではエリートとされる出自をもちます。ただ、最近ではそれも揺らいでおり、AIJ投資顧問の社長も元野村、中央三井のインサイダーに関わったのも野村社員です。リーマンショック後、リーマンの海外部門を引き取ったことも、今では失敗とされています。日本では、森をみて木を判断するところもありますが、木の善し悪しはそれを見て判断することが求められます。出自、経歴よりも大事なことは、人をみてどう感じるか、が大事ということになります。
それは現在の日本市場にも当てはまります。外国人投資家が買って盛り上がり、個人投資家も出動する。これがいつものパターンです。銘柄選定ではなく、市場のムードで売り買いしてしまう。そのため大抵の投資家が損をします。さらに、AIJ投資顧問は逆張り専門だったようですが、今の日本市場では、もっと大きな動きに呑まれ、必ず損をするやり方だった、ということは云えるのでしょう。

先週で一旦、9週連続騰勢の記録は途絶えました。もう少し下げた方が健全な調整ですが、週末のドレッシング期待等もあり、1万円に絡むところで、もう少し日柄が必要なようです。調整入りした原因が欧州、中国での景気に不安を生じたこと。逆に、だから米国に資金が集中し、好調ということも云えるのですが、今回の金融相場は、世界全体の斑模様が鮮明になっていくのかもしれません。
日本の場合、若干明るい方の斑ですが、それでも景況感は悪化すると思われます。輸出企業は潤っても、それを上回る消費マインドの低下が襲う、とみられるためです。昨年は買って被災地を応援しよう、というムードが高まり、消費は意外なほどに堅調でした。しかしこれは経年的に続くものではありません。テレビが代表例ですが、消費の先食いは後で減退を生みます。今、スマホがブームなのも、それがこれまで無かったこと、新しく欲しいと思える商品がその他で見当たらないこと、などが影響します。自動車だけのエコポイント復活も焼け石に水、低燃費車ばかり選好されるでしょう。

米国の強気に、どこまでついていけるか? 日本は米国向け輸出より、中国向けが増えている今、中国景気の動向の方が、日本には強く影響します。木を見て森を見ず、しかし木の見方を間違えてはいけないのであり、欧州、中国の動きには注意しておいた方が、間違いが少ない、となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2012年03月25日

雑感、謝ると怒りは収まるけど…

名古屋大などの研究チームが、謝罪が不快感に基づくわだかまりは残すものの、怒りに任せた攻撃性は緩和する、と述べています。最近、土下座がブームだそうです。現代ではそれが『謝罪の高等手段』のようにとられますが、元は身分の高い相手に平身低頭する、その形の強い意味であって、江戸時代の庶民はふつうに大名が通るときは、していたことでもあります。それがクールにみえ、様々な土下座の方法を編みだす、といったことも行われているようですが、すわってお辞儀する習慣のない国では、単に身を守ろうとする姿にしか見えないのかもしれません。
欧州では『カノッサの屈辱』が有名です。ドイツ皇帝が、教皇に泣いて許しを請う…といった面が強く主張されますが、司教の任命をめぐる皇帝と教皇との争いであり、謝罪し、破門を赦されたハインリヒ4世は、後に教皇を追い出しています。これは、一時の恥を忍んでも謝罪しておいて、将来の大望を得るという意味では、多々見られることの一つであり、謝罪が一時の効果をあげたことの、結果かもしれません。ただ不快感は、次の対立のタネになる、という意味では時間稼ぎに過ぎないのでしょう。

原発の再稼動で、国と地方自治体との間で、温度差がみられるようになっています。地方自治体も原発で潤うところと、そうでないところ、例え潤っても被害想定が大きく、損失を懸念するところなど様々ですが、関西広域連合や民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームまで、時期尚早としています。
ストレステストは、電力会社がある基準で検証したものを、原子力安全・保安院や原子力安全院が検査するものですが、ここの能力不足が指摘されています。だとすれば、ステレステストは何も意味を為さず、あるとすれば事故を起こした人間が、その反省もないまま業務命令をこなしているのみです。これを先の話に当てはめれば、謝罪もないので不快感のみならず、怒りも収まらない、となります。

福島第一原発の事故、というだけではなく、原子力ムラが国民を欺いてきたこと、をどう謝罪するかがまず第一なのでしょう。恐らく、それがない限りずっと原発には不快感が付きまとい、トラブルが起きるたびに、再稼動、停止の判断を迫られることになります。そのとき、素人の政治家が判断する、という姿勢が正しいかどうか? 今の前のめりな野田政権の態度も、正しいかが問われます。
原発は、減価償却も終わり、後は稼動すればするほど収益が上がる、電力会社のドル箱だった。それが停止し、電力各社は軒並み赤字転落に陥る見込みです。逆に、原発依存の少なかった電力会社の方が、ここにきて優位に立つ。今は原発依存からの脱却が難しくとも、最終的には原子力を辞めないと、業績の変動が大きくなるため、経営にとってもマイナスと指摘できるのでしょう。

福島第1原発の事故は、謝っても謝り足りないぐらいの問題です。少量なら、影響ないレベルだから、放射性物質を国中どこにもって行っても良い、という基準を国が推進している。そんな国は世界で日本だけです。政府もお願いするだけではなく、まず放射性物質を持ちこんで「すいません」というところから始めないと、市民には不快感ばかりが溜まっていくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 政治

2012年03月24日

日本の磨耗するリーダー像

野田首相が参院予算委で「日本はリーダーが磨耗する仕組み」と述べました。国会対応に忙しいことを嘆いたものですが、日本は議院内閣制で、首相は国会議員から選出されるため、これは仕方ないことです。ただもう少し意味を重ねると、日本では首相が利権の糊の役目も兼ねるため、両者の間にたつことで疲弊します。特に、野田氏は調整役を自認しており、さらに摩滅が激しいと云えます。
野田氏が講演で「政治生命をかける」と、消費税増税法案の今国会成立に、意欲を示しました。これが『政権の命運』でないことで、法案成立後の解散、総選挙で落選しても構わない、と述べたのと同義です。自己陶酔型の人間にありがちな、悲劇を従容と受け入れようとする態度です。

橋下大阪市長の登場で、リーダーに注目が集まります。簡単に、小泉首相以後の誤ったリーダー像、それを考えてみます。谷垣自民総裁が「野田氏が小沢氏と妥協するのは、国にとって不幸」と述べています。谷垣氏は官僚の思惑を表だって語ってくれる、スピーカーのような存在です。逆に言えば、自民が語る消費税増税論も、まったく国民の期待に応えていない。それが歴代自民党総裁の負ったキズです。即ち、財政が厳しいなら、消費税増税もやむ無しと考えている国民にしても、今のシステムを維持し、その延命のために増税すれば改革が進まないのが自明だからです。
すべてのキーワードは「変革」。野田氏がちまちまと年限つきの公務員給与削減や、議員歳費削減をしても、国民の溜飲が下がるわけではありません。自民党政権が続くと、国民が不平、不満、閉塞感を抱く現状には変化がない。だから政治体制を変えようとしているのです。それは野田首相を落選させた方がすすむなら、国民はそういう選択肢ももっている。それは議院内閣制だからです。

来週、韓国で開催される核サミットで、野田氏はオバマ大統領との会談がセットされず、今回も立ち話で済まされそうです。米国は、辺野古にこだわる野田政権では、解決の速度が遅すぎるため見限った。野田氏は外務省、防衛省の利害を優先してその意見を聞いてきたため、ここで卓袱台返しを食らわされそうです。リーダーに信念が必要である一方、柔軟な態度も必要です。しかし野田氏は辺野古移設にも、社会保障の改革にも信念がない。だから誰からも見向きされなくなるのです。
つまりすべてが手段、消費税増税を通す、その信念のために他のことが蔑ろなのです。そこに気づいている国民は、とっくに野田氏を見限っている。野田氏のままでは『変革』できない。消費税増税が、不満のある現状を維持させるシステムとして組み入れる、と野田氏が宣言しているため、リーダーとして相応しくないのです。国民が期待、希望を抱けるのは、ウソでも小泉氏のように『自民党を変える、ぶっ壊す』と宣言するような人物、ということになります。

野田氏を初めとする民主党内の反小沢勢力や、今の自民党ではダメなのです。ナゼなら誰も『変革』を訴えない。それは国民の不満に応えていない、ということになります。国民の声に応えるなら、『変革』によって現状を変える姿勢を、リーダーは示すべきなのでしょう。それが野田氏の小手先、近視眼的な政策に凝縮されて現れており、国民の不満はいずれ大きく噴出することなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年03月23日

AIJ投資顧問に強制調査

愛知県東浦町が、市へ昇格できるよう居住実態のない住民の国勢調査票を作成していた問題で、統計法違反の疑いが浮上しています。世論調査でも同様ですが、統計にはブレ、クセがあるので、必ずその影響を差し引いたり、考慮したうえで最終判断をする必要があります。米国でも、原油・ガソリン在庫を示す、エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の出す数字に不審が集まっています。意図的かどうかは別にして、アナリスト予測と毎回の乖離が大きく、実勢がわからないといった不満です。統計が信用できなくなると、世界経済にとっては悪影響と云えるでしょう。

AIJ投資顧問の問題で、証券取引等監視委員会が強制調査に入りました。分かってきたのは債券先物など、デリバティブ投資を行なっていたこと。当初から損失を出し、9年間で1092億円の損失に膨らんでいたこと。被害に遭った年金基金には、厚労省、社保庁のOBが49人天下りしていたこと、です。最後の、天下りの問題では「年金に詳しい」人は、年金基金には必要ありません。誤解してはいけないのが、年金基金が徴収、給付を行なっているなら年金に詳しい人材が必要ですし、その場合はもっと社保庁OBなどが必要です。しかしここは外部委託、のような形であり、運用のノウハウがある人間がいるべき場所です。ただ残念ながら、運用に詳しい人間は、年金基金に務めたがらないのです。設定が厳しい、成功報酬が見込めない、など様々な理由がそこにあります。
毎年数%の利回りを約束する、簡単なようでいて、今のように成長率がトントンの状況ではかなり難しいことです。それこそデリバティブか、株ならよほど銘柄選定がうまいところでないと、まず不可能です。しかも、1年利回りを下回ると、翌年からは2倍の利回りを確保しないといけない。解約されない限り、資金流出がないファンドとは、ここが大きく異なります。そのため毎年収益が出ている、といった誘惑に負けるところも出てきますが、それこそ翌年から更に条件が厳しくなります。

金融庁の監督の甘さ、そもそもこの仕組みにムリがある、など当局側の問題は多々ありますが、それでも損失補填はすべきでない、と考えています。問題発覚前、解約した年金基金は、情報を得て判断した結果であり、AIJが破綻を申請するか、監督官庁に問題を指摘されるか、どちらかという状況に置かれていることを、把握できた可能性もあるからです。年金基金は投資運用が主体なのですから、責任は年金基金側にもあるのです。利回りの高さも、労働者側と話し合いが必要でした。
その上で、連鎖破綻をどう防ぐか。例えば30年ぐらいかけた返済計画を、一緒に当局がつくる。合同で組織された年金基金なら、1社倒産でその損失が他社に及ばないよう、その部分は補填する。その場合も、利回りを引下げて年金基金の運用に支障が出ないよう、条件の変更を必須とする。今は担当者と相談しても、年金基金を解約するときはとにかく元本を返せ、というばかりで話合いできないと云います。そんな国の態度が問題の根を深くさせており、ここをまず改めねばなりません。

年金基金は二階建ての部分まで、運用を委託されていたとされます。であれば、これは年金制度全般の問題です。安易な救済ではなく、まず現在の年金制度の不備、少しでも損失が出ると回らない、その仕組みを変える必要があるのです。AIJ問題は幾つもの示唆、教訓を投げかけていますが、それを未だに議論すらせず、対応も後手である今の政府に、本気でこの問題に取り組む姿勢が見られない時点で、社会保障・税一体改革の、社会保障の改革に関する熱は、一切感じられない、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2012年03月22日

野田政権の場当たり的対応に疑問

大阪府泉佐野市が、財政難で市の名称をネーミングライツで、企業に売却する意向を示しました。しかしこの試みの難しいのは2点。かつては公衆トイレにまで、ネーミングライツを売るといったこともありましたが、広告の基本は名前を売ることであっても、効果はそれが良い印象を与えること、が重要です。○○市が財政破綻! などのニュースが出れば企業にとってはただの迷惑です。ネーミングライツで財政を回復させるには、広告料を上げねばならず、またそれ以外の財政再建策とセットでなければ、企業は二の足を踏むことになります。また、企業が降りるたびに住所が変更で、そのたびに空く歳入とともに継続性が必要なのですが、企業は長期の固定費を嫌います。
米国でも、幾つか市や郡の財政破綻が起きています。関西空港による経済効果を当て込み、身の丈に合わない投資をしたため、財政難に陥ったとされますが、長期の景気低迷に陥ると成長を基本として考えているような団体は、どこも破綻します。欧州でも、ギリシャの次はポルトガル? スペイン? と言われますが、状況が悪化しても耐えうる行政機構をつくることが如何に大事か、です。

民主党内の消費税増税の党内調整に、まだ結論が出ないようです。党執行部は最初に高いハードルを出し、少しずつ妥協案にしていくという、官僚得意の手法で合意を見出そうとしていますが、いくら衆院採決が本番とは云え、ここで妥協しているようでは反対派も脆弱と云えます。間違えてはいけないのが、増税賛成派のメディアは、党執行部が妥協案を示し、反対派が強硬に拒否している、という印象でタイトルをつけますが、最初に大綱を逸脱した条項をつけたのは党執行部側、ということ。逆に言えば、それで議論が紛糾するのはすべて、党執行部側の問題ということです。
民自公が郵政民営化法改正案に対し、今国会中に共同提出する方向となりました。重要なことは、これで国民新が連立に残る理由がなくなる、ということです。予算案の年度内成立が絶望的となり、14年ぶりに暫定予算を組みます。すべては提出時期の遅さ、国会運営の不味さ、なのですが、メディアは野田政権に遠慮して批判的なことは云わない。これも消費税増税前向き効果、なのでしょう。

公示地価が発表されました。海沿い、液状化し易い土地が下がり、高台は上昇。また東日本の下げ幅は、西日本より大きくなりました。この西高東低現象、震災のみなら東南海連動地震も指摘があることから、東と西でリスクの差はそれほど大きくありません。これが放射線による影響なら、実はそれも東電の賠償対象でなければならない。それは原発事故が財産を侵害しているからです。
被災地の高台が高騰し、移転計画がままならない、という話もあります。被災地に必要なのは低放射性物質の中間貯蔵施設ではなく、中間処理施設です。がれきの汚染を除去し、また除去しきれない汚染を焼却、圧縮するためのプラント。そうすれば、がれき処理が終わるまで、永続的に雇用が生まれ、また終わった後もごみ処理プラントとして、活用が可能です。そしてここで検査し、汚染がないものを他の自治体にお願いする。つまり管理区域の境界を、その施設で行うという発想です。ここで安定雇用ができれば、ローンも組み易くなり、移転もスムーズになるはずです。

野田政権は財政再建の問題も、がれき処理の問題も、目の前にあるからどければいい、というだけの発想に見えます。それは近視眼的であり、ただ被災者のローンを組むのに保証をつける、というだけの愛情のないやり方、と云えるでしょう。野田政権が続く限り、日本の未来像に関する限り、良い想像ができない点ではいずれの施策も共通しています。将来的に、日本は山、島、川などのネーミングライツを売り出さないよう、財政の問題は長期的にみて、解決策を探らないといけない、ということなのですね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年03月21日

雑感。消費税増税について考えてみる。

児童手当法改正案が、衆院の厚生労働委員会で可決されました。3歳未満は15000円、3歳から小学生は1子、2子は1万円、3子以降は15000円、中学生は一律1万円。これに所得制限がついて、年収や家族構成について月5千円の下限となります。名称にこだわりをもつ与野党が、混乱の火種をつくっていましたが、法律は月内に通っても、新制度の周知徹底には時間がかかります。申請主義であるため、早く広報しないともらい損ね、も起きそうです。制度運用には時間がかかっても、制度変更のたびに申請を出すようでは、結局それは国民を振り回しているだけ、なのですね。

今日も民主党では、政策調査会において社会保障・税一体改革に対して意見がまとまりませんでした。付則の年限を変えたり、景気弾力条項への数値目標に難色を示すなど、反対派の合意をえるには程遠い内容です。一つ、円安という切り口を加えてみます。ガソリン価格が急上昇していますが、これは円安によるものではありません。イラン問題から急騰した、原油市場の高騰によるものです。円安による影響は今後、多方面に出てくると予想され、それはガソリン価格や電気代、ガス代の高騰を招くと予想されます。消費者心理が悪化するのは、これから本格化するでしょう。
さらに消費税で社会保障を賄うと、年金のマクロスライド、診療報酬の増加などにより、1兆円程度は歳出が増えると見込まれます。つまり実質的な歳入増は、その分マイナスで見込む必要があります。さらに、相変わらず消費税5%は国際的にみて低い、という論調が見受けられますが、国税・地方税を合わせると税収に占める割合は13%を超えており、決して低い数字ではありません。日本では全品目に消費税がかかるため、国際的な比較でみても税率が低い、というのは誤りです。

アイスランドでは、地熱発電の廃湯を家庭に無償で配り、暖房に利用するなど寒冷地でも快適に暮らす制度があります。日本ではゴミ処理場などの廃熱を、プールに利用することがあっても、家庭には配りません。こうした固定費も、日本では一律家庭の負担と考えられており、こうした部分も異なります。日本の高い公共料金、それは通信費や電波料金にまで及んでいます。
最近、世界の潮流として消費者物価が、国民の実感と合致しないという提起があります。変動の大きい食料、燃料費が除外されるため、逆に実際の支出の大きい部分が、入っていないということです。日本では物価が下落しても、上記は値下げに対応してこなかったため、実は世界一割高、と称されるものまで出てきており、実質的にはインフレ傾向を覆い隠してしまっている懸念すらあるのです。

日銀が何もせずとも、物価は高進しそうです。それは円安により輸入物価が上がるためですが、消費税増税が行われればそれも物価押上要因です。恐らく、消費税が10%になると、税収に占める法人課税の割合18%を、消費税が超えてくるでしょう。法人とて消費税を負担している、ということも云えますが、個人の所得税、住民税等を合わせると割合は32%を超えます。この国は極端に、個人に税負担の多い国だということに間違いはなく、電力料金とて大口はこれまで、個人より優遇されてきました。こうした一つ一つが議論もされず、民主党内でただ条件闘争だけしている様は、やはり国民軽視の姿に映ってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2012年03月20日

朝日 VS 読売の真偽なき戦い

15日、朝日新聞が読売巨人軍の97〜04年に入団した6選手に対し、12球団で申し合わせた1億円を超過する額で契約した、と報じました。また入団前に小遣い、大学監督にも退職金として金銭の授受を約束している、という問題です。これに読売新聞が反論、資料が盗まれたとして刑事事件にするか、検討するとともに、朝日新聞にも『読む人に誤解』として謝罪を要求する事態となっています。

読売の態度に違和感があるのは、国民の知る権利として、企業の内部情報や行政からのリークを奨励してきたはずです。また情報源の秘匿を盾に、誰から情報を得たのか? という要求にも応じません。読売が朝日にそれを要求したということは、今後読売がだすスクープでは、要求されたら情報源を開示する、という確約をした上でないと、この行動に何ら正当性がなくなってしまいます。
しかも紙面を割いて、グループの一つを擁護する記事を掲載したのは、他の情報リークに遭った企業にも、同様にそれをしないと公平性を欠きます。グループ企業なら良い、とするなら私的流用であり、それも問題です。情報流出に関して、内部監視体制の問題と事件化は勝手にやれば良い話で、紙面にて脅しのように掲げる必要もありません。総じて子供の喧嘩の大人版、といった感じです。

そもそも、この話が事実なら偽計業務妨害罪には当たりません。また誤解、という表現をしても、申し合わせに拘束力がないことは明記されており、見出しはインパクトがあっても朝日の当初の記事は、中身は大したことがないものです。07年以降ならプロ野球機構からの制裁、という話になっても、それ以前は形式的なものだからです。そこまでなら、巨人ってお友達との約束も守れないんだね、で終わったはず。最近の主筆による顕著な脊髄反射、清武憎しが影響したとしか思えません。
この話は、全般どうでもいいものです。36億円の内、27億円が最高標準を超過している。しかもそれは出来高とされながら、税務上契約金の一部、として処理されると聞いても、特に何が変わるわけではありません。むしろ球団経営に、不透明さがあると国民に知れることが、最大のメリットでしょう。つまり球団が契約を結んだ段階で、引当金を積み増したかどうか、それらは全く不明ですし、お手盛りの企業会計が通用しているなら、それはプロ野球の不人気に拍車をかけるだけ、です。

そして検証記事など、身内のことには過剰反応する、メディアの内向き姿勢が垣間見られること。冷静な検証なら、読売側の財務会計まで明らかにして、違法性がないと報じれば良いですが、あくまで記事とその漏えい経緯の追求のみです。それは国民の知る権利とは無縁のものなのです。
『運命の人』というドラマで、主筆をモデルとした人物が登場し、週刊誌に主筆が怒りをぶちまけていますが、今回も同様の対応で十分だったはずです。新聞の紙面とは、読む人のためのものであり、主義・主張を唱えるなら一部の機関紙と同じです。その主義・主張と異なる意見をもつ人は、新聞からは離れていく。読売の態度は、そんな動きを加速させかねないことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2012年03月19日

陸山会事件が結審

陸山会事件における小沢氏の公判が結審しました。個人的には有罪か、無罪か、よりもこの裁判が時間軸で、どう展開されるかの方が重要と考えています。輿石幹事長が一審で無罪なら処分解除、と語っていますが、逆にこうした意見により司法が硬直し、有罪を導く公算も高くなります。
政治的に抹殺したければ1、2審で有罪、最高裁で差し戻し、差戻し審で無罪、と考えられます。そこまでやると、5年間は政治の一線から遠ざけておくことができる。直接証拠はほとんどなくとも、『推認』なら如何様にも判決が下せます。供述調書を、一部は採用とした判断も、本来検察側の捜査に瑕疵があると認められれば、公判は停止して事件自体を抹消する、といった対応も可能なはずです。ここはこうした状況だから、調書は採用できるとした判断に、すでに『推認』が含まれます。

練炭連続殺人事件、木嶋被告は真っ黒に見えますし、感情論としても愛人バンクなどの職歴を聞いても、有罪が妥当なように思えます。しかし『法と証拠』を厳密に適用すれば、この事件で有罪にできる直接証拠はない。状況証拠ばかりです。これが裁判員裁判で、有罪判決を勝ち取れば、昨今の判例でもある裁判員裁判の判断は、尊重するという姿勢をもって『法と証拠』がゆがむ恐れがある。1人の証言、状況証拠、それだけで有罪判決を出せることは、検察にとっても非常に有り難いことである一方、冤罪を生みやすい一面をもっている。この2つの判決はかなり重要です。
英国の法律に重要な役割を果たしたベンサムの言葉を要約します。『行政上の地位を得る目的で、その地位にある人を毒殺する、有用な政策を提案する。動機は同一でも、前者は忌まわしく、後者は賞賛される』 日本では、実はこの前者、後者の区別があまりありません。功利主義でも、最大多数の最大幸福を目指すのなら、この2つの方法を是認しようとしますが、日本のメディア、司法、行政、政治の場に至るまでが、陸山会事件では極めて功利的にこの問題を捉えようとしています。

ただ問題は、小沢氏を政界から抹殺しておくことが、最大多数の幸福かどうか? でしょう。官僚、政治家、メディアにとって都合の悪い人物ではあるかもしれませんが、国民という広い範囲で捉えたとき、小沢氏を排除することが国民の最大幸福なのか? ということです。
小沢氏の主張が、国を滅ぼすものなら今の反小沢の動きも、正当化されるでしょう。しかし誰もそれを明確に説明できていません。4億円の説明、を求めていた層も、小沢氏には4億円以上の手元資金がある、と知った後でさえその説明を求めますが、小沢氏を排除することで、日本の『最大幸福どう成し遂げるか?』は説明しません。そして現実、小沢氏を排除しようとすることで、消費税増税が推進されようとしている。現実問題として、国民が消費税増税に反対を唱え、明確にそれに呼応している小沢氏の側が、国民の最大幸福を体現している、とさえ云えてしまうのです。

ベンサムの幸福計算を簡単に示しておきます。強度、持続性、確実性、遠近性、多産性、純粋性、範囲。この7つの総和だとします。民主党内の消費税増税議論をみても、この7つにおいて高い数値が得られるとは、到底思えません。年金を始めとする社会保障も、今はもうぐらぐらで、国民が幸福感を得られる基準には、到底届いていないと云えます。小沢氏の事件でのみ、持続性をもたせるなら、国民の最大幸福とは一体何か? それがこの国では揺らいでいることの示唆を与えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2012年03月18日

経済の話、市場と年金

岡田副総裁が自民党・川崎氏に特例公債法案と消費税増税法案への成立と、連立打診と報じられました。質が悪いのは、川崎氏は自民党内でも無役であり、取りまとめにも不十分な相手に、連立という提案をした点です。これで岡田氏の政治手腕のなさ、人脈の薄さを痛感したことでしょう。
しかもこの時期、大連立の提案を報じられたことは、益々話し合い解散の思惑が広がり、法案成立を難しくさせます。国会答弁でも、調整していないことを語り、紛糾する事態を繰り返しており、野田内閣の疫病神になってきました。汚れ役、批判を一身にうけるつもりだとしても、防波堤をつくったら波を乱して、ますます荒波が襲うようになったといったところなのかもしれません。

株式市場を考えてみます。先週は1万円を越え、3日続けて維持しています。外国人投資家の買いは細る中、先週辺りから国内勢の買いが大台突破、維持に寄与した面が大きいと考えています。欧州ではLTROが奏効し、資金繰りに余裕ができたことで、短期で収益をあげようと市場に資金を注入し始めた。それが日銀の追加緩和で、運用先としての日本の魅力が増し、目詰まりしていた資金を振り向けましたが、恐らくLTRO2の運用には慎重になるはずです。手元資金を厚くしておかないと、経済の急変動が起きた際、耐え切れないことはリーマンの破綻を見ても明白だからです。
外国人投資家が買わないと、日本株は上がらない。これは、国内勢は押し目待ちが多く、上値追いには慎重なためです。ここから一段の上昇には、様々な要因をクリアしておく必要があります。来期業績見通しが5月辺りに出ます。そして再び目詰まりを始めた市場、その向かう先が見えない。債先売、株先買も出ますが、コモディティの状況をみても市場には今、気迷いムードが漂います。

日本ではAIJの問題がありました。実は大半の投資運用組合が疲弊する、今はそんな時代です。大雑把に言えば、1%成長の国で金利がマイナス成長なのに、運用利回りで3%や5%を約束している場合、それは必ず成功でなければならない数字です。そして日本の年金は多くがその数字を約束している。ということは構造的に、日本の運用を基本とする組織には破綻懸念がある、ということなのです。
民主党では他の厚生年金で穴埋め、という話が出ていますが、絶対反対です。それは企業年金というシステムが構造的に抱える問題であり、一時的に損失を補填してもまた起きます。年金制度全般を変える際、過去の損失をどう清算するか、という問題はあるかもしれませんが、一時的に穴埋めするだけなら、それは穴の開いたバケツに一時的に水を補填するようなものです。

日本株が出遅れ、12000円まで行く、という煽りのような記事が1万円回復の原動力になったとすれば、ここからの一段高は難しいとみます。運用が主体であり、利回りを約束しているところは、今後も苦しい状況が続くでしょう。年金制度は、こうした面からも持続不可能であり、AIJ問題で損失を補填するようなら、制度の寿命を縮めることになり、破綻を早めるだけになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2012年03月17日

汚染ガレキ処理に関して

政府が関西電力の大飯原発再稼動について、緊急防護措置区域(UPZ)を従来の8〜10kmから30kmに広げたのに際し、滋賀県の一部が含まれるとして政府に説明を求めていた県知事に対し、拒否する姿勢を示しました。では『地元』とは何を指すのか? 政府が都合良く地元の解釈を歪め、反対派の首長がいる自治体を排除しはしないか? UPZを変えたのなら地元もそこに含めるべきでしょう。
野田政権が恐ろしいのは、秘密保全法の有識者による検討会議において、議事メモを破棄したり、といったことを平気で正当化してしまうことです。公文書管理法で、意思決定を透明化するためのメモは保存すべき、とされているので、これは公文書管理法に抵触する話です。特にこれが、国民の知る権利と真っ向から対立する法案であるだけに、どういう過程を経て、法案が作成されたかは、し過ぎるほど公開する必要があります。官僚の手玉に操られ、情報を隠蔽する体質が色濃くなっている政権であること、それは原発再稼働にも影響する話、と言えるのでしょう。

ガレキ処理に関して、様々な話が出ています。雑駁に話をすれば、私はガレキ受け入れに対し、非常に懐疑的に考えています。通常、原子力施設ではエリアを別け、放射性物質を外部に放出しないよう厳重に管理します。容器に入れ、その表面を拭って放射性物質がついていないか確認し、外部に搬出していたはずです。しかし今のガレキは、まとまっているところの表面をさっと確認して終わり。計測したものの裏側に放射性物質が付着しているだけで、線量が下がる。あるときから突然、放射性物質が付着していても、管理区域外で移動が可能となるよう法律が変わったのです。
これは焼却灰の塊を、表面だけ計って「問題ない」というのも同様です。焼く前に表面をすべて計り、放射性物質の付着を確認しない限り「汚染はない」とは云えない、「問題ない」というレベルなのです。その「問題ない」が本物かどうかが、最大の懸念として受け入れ先にも広がっています。

しかし中間貯蔵施設に関しては、『地元』の意見にはやや違和感もあります。原子力施設には大抵、低放射線の廃棄物が存在します。それは地元も認識しており、低放射線が充分に低減されるまで保管が原則だったはずです。低放射線の廃棄物貯蔵庫が原子力施設には必ずつき物ですが、今、影響の大きさを考えて原発ではそのことを言い出しません。しかし低放射線の廃棄物貯蔵施設はこれまでもあり、これからも原発を稼働し続ける限り、不可欠に存在することは十分認識しておくべきものです。
事故を起こしたアスファルト固化処理施設とて、低放射性物質をアスファルトに混ぜ、海洋投棄するために作られたものです。海洋投棄は深刻な汚染拡大に繋がるため、今は現実的な方法ではありませんが、原子力施設を動かせば、山のように放射性廃棄物が増え、それを蓄えておく施設は必ず作らなければなりません。高レベル廃棄物の最終処分場は未だに決められず、低レベル廃棄物は中間貯蔵さえ出来ない、では再稼働など絶対にすべきではありません。それは責任ある政治とは程遠いものです。

ガレキ処理は、管理区域以下の扱いでやり取りされるなら反対です。そのことに政府が前向きでいることは、一般の住民がふつうに暮らす場所まで管理区域として扱う、と明言することにもなるのです。国が責任をもつなら、γ線を出す一部の放射性物質のみを計測するだけで良し、とする説明をまずすべきでしょう。それが「問題ない」というレベルであっても、福島第1原発の事故で変化した法律、国の態度の差を、地元に説明する最大限の責任であり、国はそれに応えてはいないのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 原子力

2012年03月16日

中国の焦りが露わ

吉本隆明氏が亡くなりました。思想的に知るところは少ないですが、氏は1972年から日本は超資本主義、消費資本主義と置きました。必ず買う必需消費と、買っても買わなくても構わない選択消費、その割合が逆転し、選択消費が主要な産業となった形態を、消費資本主義としています。
今日、IPadが発売されました。これなど完全な選択消費です。難しいのは正統進化とされるものは、買い替え需要に応えにくい点です。画面がキレイ、といっても4型台サイズでHD画質のスマホと、9.7型で2048×1536の画素数は精彩さに変わりありません。iPad2と比べればキレイ、というレベルです。新しいもの好きは飛びつきますが、選択消費に4万円も出して買う層が、今後どの程度現れるか? iPad2をもっている人間は、買い急ぐ必要がない、目新しさという点では失敗したのでしょう。
吉本氏は消費資本主義は解決不能な病理を生む、とも指摘していますが、その解決不能な部分を思想的に脱却する試みには、生きる時間が足りなかった点が悔やまれます。ご冥福をお祈りします。

そのiPad商標権の問題が、中国で訴訟係争中です。先にレアアースの問題で、日米欧がWTOに仲裁を申し立てていますが、同様に商標権も世界の標準に合わせ、国際的に認められたものを、国内で個別に認めるなどということを止めるよう、WTOを通じて正式に働きかけても良いのでしょう。これは、先の欧米メキシコで提訴したレアメタルに続く動きであり、レアメタルでは中国側が敗訴。レアアースでも敗訴が見込まれており、次に商標権問題を俎上に乗せる準備はしておくべきです。
そんな中国が、尖閣沖にて活発に動いています。これは国際海洋法裁判所で、ミャンマーとバングラデシュの間で両国の中間線、と決められたことが影響している、とされます。中国の主張は大陸棚、つまり日中の中間線ラインで行われているガス田開発でも、日本側の主張が認められることを意味します。取り出したガスの半分が、労せず日本に奪われるのですから、国益をかけて行動してきます。司法の近代化に遅れた中国は、国際的にも不利であり、それが強硬姿勢に現れます。

全人代が閉幕しましたが、温首相の声明は予想外にタカ派の文言が並びました。住宅価格は高すぎる、地方債務には改善が必要、インフレもまだ注意が必要、緩和を示唆する内容は読み取れず、中国株はその後大きく調整しています。中国の問題は、これらの材料はずっと懸念として存在しながら、その解決策を一向に見いだせないこと。まさに解決不能な病理を、治療する術をもたないことです。
海洋権益でも、中国に不利。WTOに加盟しながら、独自基準を許されてきたこれまでと違い、世界が中国に対して厳しい目を向け始めた。これは、中国経済への期待が萎むのと、ほぼ同時に起きてきたことです。世界が調整局面にあったときは、中国経済が支えるとされ、意見を云えなかった世界が、米国景気が堅調との認識が広がるとともに、中国に意見を云うようになった、ということです。

この流れに日本が乗らない手はなく、そうすれば尖閣も、ガス田も一気に解決できるでしょう。しかし離島に名前をつけようとして、尖閣周辺は見送った。この弱腰が日本の最大の問題です。野田氏は対米追従以外、今ひとつ他に外交上の主張点が見当たりませんが、ここで外交問題を解決できれば、一気に支持率が回復する、というぐらいの気概をもって当たらない限り、日本はふたたびこの好機を逃すことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2012年03月15日

民主党の消費税増税党内審査

一昨日、民主党が厚生年金と健康保険の加入条件をパート、非正規に対して週20時間以上、年収94万円以上、従業員500人超、勤続1年以上のすべての条件を満たした、45万人程度を対象とするよう決め、厚生年金法改正案に盛り込む見込みです。極めて問題なのは、例えば同一の条件、勤務形態であっても勤め先が零細企業だと対象外となり、生涯設計が変わることです。加入したいのに出来ない、加入したくないのに年金や保険料を払う、といった矛盾が生じてしまいます。
しかも勤続年数が盛り込まれたため、短期の就労契約が増え、雇用の不安定さが増すことでしょう。今の環境なら45万人ですが、当然この数字はもっと下がる、と見て良いものです。前原政調会長が、14日から始まる党内審査の前につくった妥協案ですが、これでは改悪です。しかも、これだと厚生年金、健康保険ともに状況は改善されず、制度的な破綻がいずれ問題視されることでしょう。

そんな消費税増税関連法案に対する党内審査ですが、予想通り大荒れです。最初に出てきた法案では、付則に10%超に再引上げが盛り込まれ、景気見通しでもGDPで名目3%成長といった数値目標が落ち、社会保障改革の方は上記のように、急拵えとなって内容が希薄。大綱からも後退した、云わば副題に『財務省の希望』と入れたい内容でした。野田首相は付則の追加を「知らなかった」としており、財務官僚が法案作成時点で、こっそり潜り込ませたことが歴然の内容となっています。
国民新党の亀井代表が、月内に法案を提出するなら閣僚辞任、連立解消を示唆しました。先の選挙で、国民新は消費税増税に賛成していない、との理由はスジが通っています。民主党が趣旨替えしようと、国民新は約束を履行する。こうなると、民主党の趣旨替えが正しいのか? という点に焦点が集まってきます。消費税増税に理解のある下地氏を、民主はとりこみたいところですが、沖縄地盤の下地氏にとって民主と近づくのは得策でなく、また石原新党に合流する場合も、亀井氏が増税反対である以上、石原新党も消費税に関しては曖昧ですから、下地氏も苦しい立場となります。

民主党内では、中間派まで増税法案に反対を始め、修正を余儀なくされそうです。逆に、これだけ滑稽な法案になったことは、党執行部の手腕のなさを露呈した、と云えます。財務省はトリガー条項を入れたくない。それはGDPが3%成長することなど、有り得ないと知っているためです。なので、ここでトリガー条項を入れれば法案を放棄したことになる。そこで、次は自民に政権をとってもらって、トリガー条項外しを狙ってくるでしょう。つまり野田政権を踏み台にしよう、という腹です。
藤井税調が英国は景気後退でも付加価値税を上げた、と頓珍漢を云っていますが、食料品などに税がかけられていない英国と、全数税がかかる日本では、税制上の意味が大きく変わります。だから逆進性が問題とされるのであり、景気後退期の増税が、深刻な消費不況を招くということなのです。

こうした不可解な説が、ふつうにメディアで流れる構図が、そもそも問題ではあるのでしょう。日本がギリシャの二の舞になる、と云いますが、そのEFSF債を日本は大量に購入しています。中国国債も購入枠を確保し、さらにIMFへの追加出資も前向きです。ギリシャの二の舞になる前に、国内と海外で使い分けているその二枚舌が、国民の信を失う最大のギリシャ化、と云えるのでしょうね。

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2012年03月14日

米国の動きとFOMC

今日は三陸沖、千葉東方沖で地震がありました。嫌日動画が話題ですが、地震で滅んだ国は世界の歴史をみても現在までありませんので、過剰反応は慎むべきでしょう。しかし朝鮮では過去、渤海が白頭山の噴火で滅んだという説もあり、天変地異はどこでも起こり、それで滅ぶかどうかは国民の意志に委ねられることです。大所高所の見地で、物事を論じる必要があるのでしょうね。

昨晩のFOMCをうけ、円が一段安となりました。声明では景気見通しを上方修正し、タカ派とされますが、インフレは一時的との認識を示しており、むしろハト派です。コアは1.8%と、FRBの誘導目標2.0%に近い数字ですが、消費者物価は2.9%と、すでに大きく超えており、さらにガソリン価格やオフィス賃料の上昇など、インフレは長期化しそうな気配であるにも関わらず、です。
米国では先週の雇用統計も、小売売上高も市場予想より少し良い数字でした。この少し良い、を好感。FOMC声明文もイイトコどりで、米景気は堅調だがQE3期待は、若干下がったものの継続しています。一方、昨晩突如発表されたストレステストで、4つの金融機関が不合格となりました。失業率13%、株価半減、住宅価格21%下落を『厳しい基準』としていますが、残念ながら米国内の数値のみ盛り込んでも、意味はありません。欧州国債のCDSに、米銀も関与しているとされます。損失は欧米国債の下落と、その保証に関するものを含めなければ、厳しいと言えません。その中で、4行が不合格となったことは、国内要因でのみ破綻する可能性がある、ということを示します。

米国は現在、国際的な波風を立てないよう、懸命です。米朝協議で前進があったとするのも、イラン問題を抱え、二正面作戦が難しくなった今、北朝鮮に暴れて欲しくない。両国が合致し、支援と査察受入れを交換条件としてしまった。IAEAが、北朝鮮の方がイランより深刻、と指摘してもこれは変わらない。イスラエルを抱えている限り、北朝鮮とは手を結び、イランにはタカ派的です。
問題はこの流れだと、原油高騰に繋がるということです。アフガン撤退がこのままだと早まる可能性が高い。米政府が計画通りにすすめたくとも、議会が許さないかもしれません。昨日、野田政権は対米追従としましたが、唯一抵抗しているのが辺野古移設です。米国は決められない日本に呆れ、06年合意を次々見直す要求をしています。辺野古でなくともいい、とシグナルを送っていますが、日本政府は辺野古に固執している。すでに日本は面子や他の地域に変えると、選挙が戦えないとの理由で、辺野古から計画を移せない事態に陥っている、とさえ云える事態となっているのです。

米国の格付け機関、フィッチがギリシャ債をデフォルトから投機的、に格上げしました。米国は世界に向けては波風立てず、大統領選を乗り切りたい。そんな思惑が透けて見えます。しかし一兵士やイスラエルが、そんな思惑を吹き飛ばし、外交上慌ただしくなってきました。しかし米国が北朝鮮に緩和的になれば、日本にとっては拉致問題解決が遠のく、という負の面も指摘できます。日本も、米国を慌てさせるぐらいの外交手腕をもたないと、北朝鮮との関係で決して前進はない、となってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2012年03月13日

経済の話。最近の市場の動き

日経平均は3日連続で1万円をつけながら、後場崩れる状況です。先月、バレンタインの贈り物、とも呼ばれた日銀のサプライズの新規流動性供給、擬似インフレ目標で、市場に楽観ムードが広がりました。今日はホワイトデーを期待し、円安、株高を演じたものの失敗しています。昨今の市場の動きは、少し分かりにくい部分もありますが、外国人投資家の思惑を知ると理解できる部分もあります。
現状は買い過ぎているので、高値掴みをする層を誘う動きを仕掛けています。自分たちのポジションを落とさないと、新たに買いにくい。これが上値が重い原因です。為替は大幅な円買いのポジションが、ようやく円売りに変わった段階で、まだ多少余裕はある。といっても、ここから一段の水準まで円安にするのは、材料的にも物足りず、こうした思惑が上値を重くさせる原因です。

外国人投資家がポジションを変えた理由の一つに、野田政権が対米追従、日銀が緩和姿勢になるなど、現状が小泉政権下に似てきた影響があります。野田政権が消費税増税を成し遂げれば、日本が経常黒字を続けても、政府から円が海外へと流れる。財務省が中国債を8500億円保有する話など、欧米が懸念する中国経済の失速に対し、日本が援助を求められ、それに応える動きが背後にあるのかもしれません。財政が逼迫しているのに、対外資産を増やすことは、財務省の説明が破綻していることを意味しており、短期の値幅とりなら額を決めて行動すること自体が間違いと云えます。
米国が直近、ドル安を容認するかのように動かないのも、国内でもガソリン高騰が懸念材料となっており、WTI価格を抑えたい意向が働いています。不胎化QEとされるものも、米国による新たな流動性供給は困難なことを意味します。そこで日銀に期待が集まりましたが、成長融資枠を2兆円増額のみ。今後も日中に緩和規模の拡大を迫る動きが、外国人投資家からあるのでしょう。大雑把に、米国200兆円、欧州100兆円、日本65兆円、中国50兆円、意味は少し異なりますが、経済規模に対して景気対策として打てる金額に、余力ある国として狙われることになります。

今のマネーの思惑は、株は買いすぎ、円はもう少し売る余力はあるものの、傾け過ぎるのが怖い。こんな状況です。欧州では、ギリシャの交換後の債券が売られ、長期金利は20%に近づいた。つまりもう一度、債務再編が必要と判断していることになります。ギリシャは選挙モード、債務削減計画が順調にすすむとは思えない。ユーロ圏離脱か、財政管理になる、その思惑が働いています。
現状、ギリシャ選挙は4、5月ですから、市場はその間は楽観ムードに浸りたい。しかし欧米にじわりかかり始めたインフレは、元々金融緩和をやるレベルでなかった水準からの、一段の高進になりますから、深刻な副作用を起こす恐れもあります。マネーが目詰まりする中で、日銀にしろ更なる金融緩和に踏み出せるのか? ここからはチキンレースのような状況です。どこかでインフレが弾ければ、今の楽観ムードも消し飛んでしまうでしょう。仕掛けは増えると思いますが、実際の価値、に目を向けておかないとプレゼントと思ったものが、実は無用な、害をもたらす効果しかもたらさない、ということになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2012年03月12日

野田首相による原発再稼動とがれき処理

さいたま地裁で行われている裁判、連続不審死事件で死刑が求刑されました。この裁判員裁判が重要と思われる点は、事実がどうであれ、証拠なき裁判としての、市民感覚の前例と司法が受け止める可能性です。それは陸山会事件にも影響するでしょう。むしろ検察が状況証拠のみを積み上げたこの事件、陸山会事件における、検察が打った最後の大仕掛けと捉えることもできそうです。

野田首相は、昨日の震災後1年における記者会見で、原発再稼動に対して「先頭に立たねば…」と述べました。また首相、官房長官、経産相、原発事故担当相の4人がストレステストの妥当性を確認し、地元の同意を得る、としています。しかし政治家が原発の安全、危険を見抜けるはずもなく、要は原子力安全委員会の説明を聞いて、諒を出す。その後、地元に交付金を出す、と述べているに過ぎません。政府が「先頭に立つ」とは、国庫から財政措置をすることなのです。
昨日、報道ステの震災特番で、原子力ムラの影響で原発の報道ができなかった、と伝わりました。原発は技術ですから本来、技術的評価が正しく為されれば良い、と云えます。しかし残念ながら、原発を運営する側も、検査する側もその能力が乏しい。技術を利用する任に足りないから、国民は不安になります。だから原発再稼動に後ろ向きだけど、冷静な目をもつ人物を集めて、検査、チェックできる体制作りが必要であり、それができなければ再稼動すべきでない、と云えるでしょう。

与野党が前向きな、がれき処理について考えると、些か首をかしげる部分があります。災害廃棄物特措法で、広域処理を推進する。国費も出費する。この件で、メディアでも被災地に行き、線量を計って問題ない、というシーンが幾つもありました。しかしあれではダメなのです。積まれたがれきの表面は削られ、流され、空中に飛散してしまっている。そしてその表面が遮蔽となり、がれきの山の中心辺りに落ち込んでいった線量を、隠してしまう形になるので、積んですぐ、計ったものなら意味はありますが、そうでない以上、ただの印象操作をしているだけ、になってしまうのです。
だから、がれきは全量、線量チェックをする。抜き取りや事前に表面を計るだけではなく、全量を計測して安全なものを地方に処理してもらう。こうした形でないから、不安になるのです。微量でも残っていて、それが焼却処理などで濃縮されると、結局汚染がまた拡散される形になる。国が責任もって全量チェックする、と言い切ることが大事であり、そこに予算措置が必要なのです。

東大が都民の内部被曝量を問題ないレベルとしましたが、本当の内部被曝はこれからです。海洋汚染が広がり、海底に住む生物から食物連鎖により魚に至るまで、内部に放射性物質を溜めていくと想定されるためです。拡散から川を伝って海へと集中する。しかも国民の意識が希薄となり、メディアも取り上げなくなるとき、じわじわとその影響を国民が被る、ということになるのでしょう。
震災後、1年に合わせたように各社が世論調査を行いましたが、自然災害で国に頼る気持ちが強まれば、支持率があがって当然です。メディアは連日、変化のないオセロ中島氏の問題を取り上げ、政治の問題を矮小化しました。一方で、木嶋被告は何の確定的な証拠もないのに、何やら有罪が確定したような報道の仕方です。これらが政治を隠し、国民の判断を変えた可能性もあるのです。そもそも、がれき処理は大変なことが分かっていたのであり、もしこれまでの予算措置で十分でないなら、それは政府の予見性が低い、ということでもあります。物事を正しく批評する観察眼と、それを正しく伝えることをメディアに求めたい、それを益々強く思う今日この頃ですね。

analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年03月10日

震災から1年

明日で、震災から1年です。野田政権下では復興が減速しており、復興庁は被災地に予算を横断的に渡すことで、復興を加速するのが原則でしたが、条件を厳しくして計画書を再提出させるなど、これでは各省庁で行っても同じです。つまり復興庁の職員が出向元の省庁のやり方を踏襲し始めたため、復興スピードは遅れが目立つようになった、これは野田政権の責任に帰されます。
立法措置が50、予算措置が20兆円、しかし予算がまだ半分も消化できない。これが遅れれば遅れるほど、利権と結びつく可能性が高くなります。ヤクザが復興利権に集る、という話も聞かれますが、それは政治家、行政も同じです。県や市に渡してしまうのを惜しめば惜しむほど、国が関与できる。今の復興庁の態度は、交付金で地方をしばる中央省庁そのものとさえ指摘できるのです。

昨日は原子力災害対策本部が議事概要を発表しました。これで、1年前にも経たないことを緊急対応で忘れた、ばたばたしていて思い出せない、という人物に、危機対応は任せられません。逆に言えば、指揮命令系統が確立されていれば、発言がすべて紐づいて記憶されていないと、どこで誰の指示で、どんな作業をしたか、それが曖昧になってしまう。どんな緊急対応であっても、それを記憶できない人間は、作業にあたってはいけないのです。つまりそれは、現時点で内閣に残っている者であっても、能力不足を示している、ということになります。
しかも米国には最悪シナリオを伝え、政府は国民に伝えなかった。これは国民に対する明確な裏切りです。菅政権は媚米、国民軽視だった。さらに、原発再稼動にむけて、菅政権の閣僚たちが前のめりになっていた姿勢は、明らかに国民の意志と、政治が乖離していたことの表れです。中韓貯蔵施設の話も出ていますが、残念ながら、これも政治家は利権としてしか見ていないのでしょう。原発利権に群がる者は、そこに多額の予算措置があるからであり、政治は震災を経ても、そうした意識から脱却できていない、それが1年経った今、さらにハッキリしてきています。

内閣府の調査で、自衛隊への評価が3年前より10.8%上がり、91.7%となりました。今後も益々、自然災害が増えることが予想され、自衛隊の役割も高まります。それが国民にも浸透しているのでしょう。ただ、日本新聞協会の調査には違和感をもちます。情報が正確と感じた…が54.7%と、高い数字となりました。政府発表を右から左に流しただけで、実際はメルトダウンも、被曝の情報も報じなかったメディアに、『正確さ』があるとは到底思えません。一部では、政府への不審が増大した、との研究もあり、それと同様の結果でない今回の発表は、ある意図を感じます。
日本新聞協会の調査は、昨年11、12月に実施され、サンプルとして7千人を抽出したとされます。まずそれを3ヶ月後に発表するのは異常ですし、サンプルの中に70代を加えたことで、過去の調査とは必ずしも整合しない。しかも電子版の利用状況は、有料版が1.1%だったとされることから、これまで有料版で何十万人の購読者を確保…とした各社の発表を否定していることになります。どの数字をどう、ということはあえて指摘しませんが、少なくとも新聞が正確、と考えている人が多いのなら、それは新聞のみに頼って情報を得ている人であり、忌むべき状態と云えるのでしょう。

震災があって、1年が経過します。国には頼れない、と民間のスピードは早いですが、行政がそれについていけていない。この国の政治が利権、既存の体質から脱却できることはなかった。それも教訓として、付け加えてもよいのでしょう。世界に、広告を打つことばかりに熱心な政府、首相の姿勢とともに、これは憶えておいて選挙にも影響する、そんな力ともなってくるのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2012年03月09日

野田氏は18歳でタバコ?

注目されたギリシャ債務削減に、民間債権者の83.5%が参加しました。今朝から95%が参加した、正式発表になってから強制執行すれば95%になる、などの風説もあり、日経平均は一時1万円をつけました。この要因は3つで、3月SQ値9946円を超えておきたかった、震災1周年を前にした記念、米国の不胎化QE3や中国の金融緩和などへの期待、です。いずれも流動性相場による要因となります。
ギリシャの問題では、無秩序なデフォルトが回避されたことを好感…と述べる人もいますが、無秩序なデフォルトなど市場は数%も織り込んでいないので、ウソです。今後起こることは、CDSが発動されるか? 強制執行に反対して裁判になるか? 特にユーロ圏以外のヘッジファンドは独自の原則、法律があるため、反発することになります。目標だった90%を下回った微妙な数字であり、今後想定外の動きが出るのか、その辺りはまだ予断を許さない、といったところなのでしょう。

陸山会事件で、小沢氏に禁固3年の求刑がありました。違和感をもったのは、検察が捏造した報告書が、検察審査会に影響を与えるはずがない、と述べている点です。証拠品であるタバコを捏造した事件が、大阪府警でありましたが、もし偽造証拠で起訴されても、一度公判になったら判断を変えない、と指定弁護士がしていることです。これは、今後の検察審査会の判断にも影響するはずですから、裁判所がどう判断を下すのか? 公訴では証拠に不備、偽造などがあった場合は、公訴を取り下げ裁判自体が停止することもある中、強制起訴では判断が変わるのか? この点は注目に値します。
そんな中、18歳でタバコを吸い始めた? 野田首相が料亭で側近の手塚氏などと酒宴を開いたことが話題です。野田−谷垣会談をリークし、解散をチラつかせて消費増税反対派を押さえ込んだ、その祝杯ということですが、もしそうなら政治センスが無さ過ぎます。野田内閣の間、衆院任期が迫る前に消費税増税を通そうとすれば、議員の間に疑心暗鬼を生じます。たとえそうでなかったとしても、裏では話し合い解散を想起させるためです。

2年前の参院選で、輿石氏が当落ギリギリだったことは記憶に新しい。この支持率で解散されれば、中堅、若手のみならず古株とて、戻ってこられるか分からない。前回の衆院選の自民党中堅が、かなり苦杯を舐めましたが、それと同じ状態を民主党議員も味わうのです。つまり野田氏は、自ら党内合意を放棄してしまった形となり、野田内閣で消費税増税法案を通すことはもうムリなのです。
それでも来週、閣議決定され、月末には法案が提出される予定です。昨日、予算案が衆院を通過しましたが、特例公債法案を分けたことで、自然成立以外の道はなくなりました。野田氏は先の党首討論でも、党間協議を無視して1票の格差是正を先行する意思を示し、党内を慌てさせたように、政策手腕は就任から半年を経ても稚拙、この点は終始『一貫している』という状況です。

子ども手当てを、どう名称変更するかで与野党がもめていますが、まるで子供のケンカです。プライドばかりが勝って、真に我を通すところを弁えていない。消費税増税で我を通したいなら、絶対に解散権をチラつかせてはいけない。それは野党には好感されても、党内の造反を増やすだけなのです。
民主党で、消費税増税法案への合同総会が画策されていますが、責任のたらい回しが始まりました。子供のけんかどころか、幼稚園のお遊戯会のように、それぞれがバラバラに動き始め、党自体が瓦解を始めつつあるように見えます。法案を踏み絵にするつもりが、みんなが二の足を踏み、野田氏は地団駄を踏みそうです。18歳からタバコを吸う…ちょっとやんちゃをアピールしたつもりかもしれませんが、次に料亭で開く酒宴は残念会か、それとも…いずれにしろ、次に地雷を踏んだら、政権はもたなくなるのでしょうね。

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2012年03月08日

経済の話。米FRBの動きと日本の経常収支の赤字

iPadが発表されました。画素数の4倍化、カメラ機能の向上、4G搭載ということですが、約10インチのタブレットは重量がネックで、そこは70gアップ、画素数が上がり、GPUがクアッドコアになったことでバッテリも不安。Apple製品はステマが多く、絶賛する声もありますが、上記の点を様子見してから買い替えでも良いのでしょう。Apple株も方向感をなくしましたが、市場も評価に悩むところです。
ただこれでノートパソコンは極めて厳しい立場となりました。15.6インチサイズでHDが主流だからです。4インチのスマホもHD並の画素数を備えており、既存技術が、メーカーの定めた基準に固執する内、遅れた技術になる様を体験することでしょう。今年はインテルからも新しいコアが出て、OSもWindows8の登場となりますが、MicrosoftもIntelも追いかける立場となってどう戦略を描くか、でしょうね。

今晩、ギリシャの民間債権者との債務交換の成否が判明します。市場は楽観ムードですが、昨晩の時点で40%と発表されたとき、不安を感じました。それは大口で、ECBの管理下にある金融機関は応じるのが確実で、すでにそこに組み込まれているからです。逆に、問題ありそうなヘッジファンド、その他の債権者がどう対応するか? それによって世界は大混乱に陥りそうです。
そんな中、米国で首を傾げる話が持ち上がりました。FRBがQE3を示唆し、それを不胎化するというものです。2月の単位労働コストが大幅に上昇し、インフレ傾向が出ているために流動性を供給しつつ、不胎化で吸収する。一見、スジが通っているようでいて、何のためのQE3? それがよく分かりません。米国債は今、異例なほど低金利であり、QE3の必要性は皆無なののですから、尚更です。

米国のバブルを指摘する話を見つけました。それは、収益率の差です。現状、企業の収益率は過去最高に近づいている。その原因が借入れコストの低下、社債の金利低下によりもたらされており、これが企業の借入れを増やし、経済が堅調さを示すことにつながるというものです。これが正しいとすると、米国では更なる金利低下により、米企業を下支えしようと、不胎化QE3を行うのかもしれません。
しかし異例なほど低い金利が、これ以上低下するとは到底思えません。しかもインフレ傾向が出ており、それを反映するなら金利は上昇しなければならない。どうもこの辺り、米FRBの政策も妥当性を欠きそうです。スーパーチューズデイでも、共和党の候補者が一本化されませんでした。共和党はFRBに対して、強硬な主張をしているため、仮に中間層の支持をうけたロムニー氏であっても、FRBは共和党には大統領になってほしくない、そう考えているのかもしれません。

日本も、1月経常収支が4373億円の赤字となりました。季節性や、中国の春節の影響などの特殊要因もあるので、驚く数字ではありませんし、予想よりは良い数字でした。しかし過去最大の赤字幅に注意は必要です。マネーが溢れる中、赤字が継続してくると、そのマネーが逃避していきます。今、マネーの価値は著しく低く、また根付かず流動化している状況なのです。日銀がインフレを、どういった手法で達成するのか? それによっては不安定な動きをすることも、想定しておかなければいけなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2012年03月07日

社会保障・税一体改革大綱について

先月17日に閣議決定された、社会保障・税一体改革大綱を取り上げてみます。大雑把に言うと、社会保障改革半分、税制抜本改正半分の分量です。先に税制をやりますが、相変わらず歳入の倍、歳出がある。日本の負債は世界でみても異常な高水準、欧州などを比較に出して消費税増税の必要性を訴えます。しかしこんな簡単に論破できるものはなく、一般会計のみでみれば、確かに歳出と歳入がバランスしていませんが、特別会計を合わせれば率はぐっと下がります。負債は、必ず資産との差し引きをしなければなりませんが、財務省の試算では必ずその点が抜けています。
将来世代へツケを回さない、ということなら、たった一つの法律で済みます。それは特例公債法案を廃止する。つまり赤字国債をなくせば、歳出入が均衡するのでツケは残りません。特別会計とあわせて予算を組めば、必要な額を確保するのに、そうムリはなくなります。また消費税増税がもっとも安定した財源、というのもウソです。もっとも安定しているのは所得税です。世代間格差をなくす、というなら年金に対する課税をすればいい。この国で暮らす以上、何らかの所得があると考えるなら、それがもっとも安定して歳入を確保できるのです。消費税増税の理屈を色々と並べてみたところで、議論に正しい情報を提示しない段階で、この大綱は破綻しているといえます。

社会保障面は、大きく云うと『検討する』それをもって今年か、来年の通常国会に法案提出、のオンパレードです。気になった幾つかは、まず病院、病床機能の分化、強化です。機能を分けることになれば、明確に線引きできない病気、複合的な病気など、区分けが必ずしも上手くいかないことも多い。連携、といっても介護にまで跨れば、それは医療、介護側の負担の増加につながります。これは長期入院を減らし、在宅医療、介護を拡充させることで、国の負担を減らそうという一つの方向性ですが、面倒をみる家人への負担、仕事を辞めざるを得ない状況など、別に負の側面を引き起こすことになり、これはトータルで考えていかなければならない項目です。
特養で認知症老人への暴言、暴力などが事件としてありますが、人は対人関係における受け答えに、ある程度の一般性を求めています。これは認知症や、幼児に対して苛立つ心の動きでもありますが、理屈が通じないと知らず、知らずの内にストレスが溜まります。そうなると心に棘が出て、言葉がきつくなったり、暴力に転嫁してしまう。介護ではそうした点に重点的に手を当てないと、今後も様々な問題を生じますが、在宅になれば尚更心的負担に対してのケア、といった面も必要でしょう。

働き方にかかわらない保障の提供、といってみたところで、病気になるといきなり職を失う、といったことも指摘されます。つまり企業はいつ職場復帰するか、分からない社員の保険料まで面倒はみないところが、増えているのです。働き方ではなく、トータルでどう保障を考えるか? それが必要です。
しかも高齢者医療の点では、70〜75の1割負担をするための予算措置は見直し、国保組合への国庫補助も見直し、等々見直しのオンパレード。いわば国民負担の増加を意味します。さらに気になるのが、総合合算制度です。これは家計単位で、社会保障や子育てなどの負担に上限を設け、低所得者を支援する制度ですが、裏の生活保護に陥る可能性も含まれており、正負両面が指摘できます。

年金制度は、消費税増税を前提にして、国庫負担分を埋める、最低保証年金を創設する、等が盛り込まれます。つまり消費税増税がなければ、年金は近いうちに破綻します。来年度予算から、すでに将来の消費税増税を当て込んでおり、それが困難になると数年後には負債を返す充てにも困るからです。この大綱は、国の歳出を抑えて歳入を増やす、その一点でほぼ彩られた、財務省主導の財政均衡策ともいえます。しかし問題点はまだまだあり、この大綱でもし制度設計されていくなら、負の部分がいずれ明らかになるごとに、国への不審が高まる、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年03月06日

野田政権の支持率が微増?

AIJの問題をうけ、支給条件の同意に『3分の2以上』から『半数以上』の賛成とする、検討を民主党が始めました。非正規が多くなり、海外に工場移転などをすることなどで、年金の納付額がここ数年で著しく減少、年金基金は破綻寸前です。企業が補助を出すか、支給を減らす以外にそれを補う手はありませんが、相変わらず企業サイドに立った判断を下しそうな気配です。

国会では税と社会保障の一体改革、その集中審議が行われています。その前に、議員歳費を300万円削減、国家公務員の新卒採用を13年度4700人削減、を検討と出ています。しかし議員歳費は、公務員給与を削減する法案と同様、時限法となりそうです。恒久的なものでない以上、ただの付け焼刃です。公務員の採用では、13年度の採用を減らしても、その分次年度から増やせば削減の意味はなく、また13年度に卒業する若者にのみ、シワ寄せするのは道理に反します。減らすなら、仕事もしていない、現状の不良公務員を分限免職するのでなければなりません。
しかもこうした議論になると、必ず日本は公務員の数が少ない、と述べるメディアがあります。しかし日本は準公務員、国からの受注がほぼ100%近い財法、独法など、国の予算がななければ成り立たない法人が多く、しかもそこに天下りがあり、裏のみなし公務員が多く存在します。退職まで抱えず、途中で天下りさせてしまうシステムがある国で、割合を云々しても意味がありません。

週末の世論調査で、野田政権の支持率が微増、という結果を示すメディアが幾つかありました。前回、NHKのみそうした結果を出したため、これをNHK現象とします。その一つ、NNNなどは夕刻の番組に野田首相が生出演したことから、ご祝儀と見られますが、5%も上昇して30.6%になっています。
しかしこの間、起こったことは1票の格差が違憲状態に、茶番の党首討論、いいことは一つもありません。しかも番組内でも、将来世代にツケを回さないように…と、ナゼ歳入を拡大すれば、将来安定するか? という説明はなかった。今日の国会でも、野田氏の答弁は杓子定規で、安定感はあっても、それは何も説明しないに等しく、説明しないから余計なことを言わずに済む、といった循環を辿るのみです。これをすれば大丈夫、というばかりで中身はまったくありません。

この5%の一部には、前日に別の民放に出演した小沢氏への面当て、の部分が含まれるはずです。小沢氏は相手をみて、出演を決めていますが、野田氏は行脚を示唆しており、メディアの出演にも前向きです。そんな野田氏が不人気では、番組に呼ぶのも二の足を踏んでしまいます。しかし、何度か対談を見ていますが、野田氏では視聴率がとれないのが確実であり、それはハッキリ面白くないのです。
前述しましたが、野田氏の語る言葉には中身がない。好々爺とした部分を売りにしたいなら、番組が演出に凝らなければなりませんが、NNNは完全に失敗していました。記者会見もつまらない、安定感はあってもサプライズはない、野田氏は非常にメディアうけしない党首、といえます。しかしNHK現象を起こす限り、メディアの世論調査に対する世間の見方が、益々冷たくなりますが、その視線は野田氏との馴れ合いで番組作りをすると、メディアにも向かい易くなっていくのでしょうね。

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2012年03月05日

中国で全人代が開幕

東電が企業向け電力料金の平均17%値上げについて、中小企業向けの節電プランを発表しました。昨夏以降で、最大電力が下回れば…と云ってみたところで、震災で節電に協力、もしくは部品が入手できず、やむなく操業をあきらめた工場など、昨夏が使用電力が下がっている状態で、それ以上に下げろというのか? 休日を平日に設定するといっても、休日出勤手当ては企業もち。まさに批判の強い値上げに対して、理解を求めようとして不誠実なことを言い出した印象です。
電力の供給に限界があり、こうした割引でそれを達成する目的なら理解できます。しかし値上げ緩和を割引で達しようとすると、電力料金を決める総括原価方式の正当性に疑義を生じます。こういうとまた逼迫、逼迫と騒ぐかもしれませんが、値上げにも、値下げにも東電側に妥当性はなく、この節電プランが逆に、東電への不信を助長することにつながっていくのかもしれません。

中国で全人代が開幕しました。成長率の目標を7.5%に設定、これが世界で嫌気されています。物価上昇率を4%、都市部失業率を4.6%以下に抑え、安定的な成長を促すともされています。中国の金融緩和、流動性供給に期待していた向きは、期待が遠のく発表です。過剰流動性の金融相場は、成長を持続しようとすれば、次々どこかが流動性を供給し続けない限り、いずれ息切れします。日米欧が限界に近づき、新興国に期待を向ける、その中でも最大の中国に関心が集まっても、急成長に伴う弊害を押さえ込まなければいけない現状で、それは過大な期待というものです。
一方で、国内の治安維持に11.5%増、国防費に11.2%増の予算を提案します。これを脅威、警戒とする向きもありますが、私は好感しています。それは経済危機が間近にせまった今、軍事予算を増大させると負の効果が財政面に表れるためです。中国の財政にそれほど逼迫感はありませんが、それは地方や日本で言えば三セクに付回されているだけで、実態は巨額に上るとみられます。軍事予算は麻薬のようなもの、一度上がれば軍族が肥大し、簡単に下げることは難しい。地方や三セク破綻が続くと、財政の問題と軍関係がぶつかる公算も高くなり、それは国内の混乱につながるでしょう。

流動性供給策も麻薬、すでに閾値は超えているため、その効能に溺れている内は良いですが、切れると「もっと、もっと」と要求を始めます。軍事予算も、一度増やせば今度はその規模を維持、管理していくためにも金がかかる。中国がマイナスのスパイラルに入る、一つのきっかけが軍事予算と、08年以降に打たれた景気対策への後始末、になってくるとみています。
中国は江沢民の時代から経済開放政策をとりましたが、それはちょうど市場原理主義が蔓延していたときと重なります。しかし富裕層を生み、その消費で支えられた経済が、富裕層による米国への移住、という事態をうけて政策の転換を迫られています。中間層を厚くする、さらにその中間層に、国外に脱出するほどの富を蓄えさせない。これが中国のいう安定成長です。

今年辺り、米国の大統領選とも相まって、個人的には『中間層の厚み』が経済の一つのキーになると見ています。これまでは富裕層への恩恵、が市場原理主義のキーだった。しかしそれでは格差、政府との癒着など、富める者がもつ優位性により経済はさらに貧窮します。中間層の厚み、それが国内外の変動要因に耐える、国の施策の目指すべき点になるのでしょう。中国に対する警戒は、ここに置かなければいけない。いち早く、実践に成功するなら、中国は本当に安定成長に移行できるかもしれない。日本はそれに負けないよう、早めに舵を切る必要もありますが、今の政府は消費税増税と、それに逆行する施策をとり続けており、この点でも野田政権は見劣りしてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2012年03月04日

ロシア大統領選と北方領土

天皇陛下が退院されました。お歳がお歳なので、こうしたことに一喜一憂しても仕方ないですが、震災の一周年の式典に出るため、とも報じられます。今はお体を大事にしていただきたいところですが、逆にこういうお気持ちでいるからこそ、国民からの敬慕を集めるのかもしれません。

今年は各国で選挙モードですが、トップを切ってロシア大統領選が行われています。批判はあれど、対抗馬を徹底的につぶしてきた経緯からも、プーチン首相の再登板が有力視されています。やたらと体力アピールも目立ちますが、ロシアでは60歳ぐらいが寿命の目処とされ、59歳のプーチン氏はギリギリ。つまりイヤでも元気、若さをアピールしないと、日本で言えば80歳近くで立候補するようなもの、であるためとされます。永田町では60歳で中堅、とされるのとは大違いです。
重要な点は、北方領土において「引き分け」と用い、話し合いに応じる姿勢を示したことです。しかし以前から2島返還に、ロシアは応じる姿勢を見せており、話し合い次第では歯舞、色丹は帰ってくるでしょう。問題は、残り2島に続けられるか? この点は外務省でも見解が別れており、日本の戦略もはっきりとはしておらず、交渉のテーブルに日本の事情でつけない点があります。

ロシアは中国と領土問題を抱えていた大ウスリー島を、西は中国、東はロシアと分割することに08年合意、つまり北方領土でも2島返還で妥協しろ、と申し出てくる可能性が高い。しかし島の規模も、経済的価値も違うのですから、協議の継続性を主張できるか、がポイントです。しかし今の外務省に、国益をかけて外交交渉できる人物はいないので、今回も難しいのでしょう。
プーチン氏は軍事面を強調し、支持を高めたとされます。シリアや中東など、米国と対立する機会が増えたことで、強調し易くなった点はあるでしょう。ただし、中国で軍事費が11%増という話もありますが、中露とも抱える事情は、国内経済の回復に伴う賃金インフレにより、兵士の給与を上げざるを得ません。しかもインフレ傾向が続く限り、軍事予算は上がっていく計算が成り立ちます。

しかしプーチン氏は外に敵を作り、内を引き締めていくしかない、という意味で軍事、秘密警察の増強に努めざるを得ない。そんな相手と、タフな領土交渉をする気概が外務省にあるか? 野田政権にあるか? 今の野田政権は、国会内ですら敵を作らないよう、心がけているほどの内向きで、さらに外交面では米国依存が顕著となっており、国益を主張して対立姿勢を貫くほどの根性はないでしょう。
野田氏は、対立軸をつくって何かを主張する政治姿勢は、初めから不得手なのです。つまり外交も苦手、ロシアの情勢変化にも、正しく対応はできないでしょう。それをサポートする外務省も頼りない。この国の戦略性のなさは、身を捨てる覚悟のない人間たちが仕切る部分で顕著です。五輪選考マラソンで、組織に所属しないランナーが三大会連続で日本人トップ、改めてハングリー精神の大切さが意識されます。外務官僚にそんな精神は存在しない、この時点でもう日本の負けは確定してしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 政治

2012年03月03日

小沢氏のメディア出演を報じるメディア

小沢氏が民放の昼の番組に出たことで、反応が色々出ています。否定するものでは焦り、戦略見直し必至など。しかし支持率の低下する民主、自民で今焦る必要はありませんし、もし民自が話し合い解散を前提に消費税増税法案を通しても、堂々と反対票を出して選挙を戦えば良く、逆にそんな野田民主と離れて選挙を戦えるので、有利です。戦略は変わらないことが明らかです。
陸山会事件で、検察が報告書の虚偽記載を知っていた、処分を検討と報じられます。捜査報告書は問答形式で書かれ、箇条書きのような、会話の前後もあることから、過去の話が混じった、という説明にはムリがあります。検察がもしこの事実を知って、隠蔽していたなら、処分はその事実を知っていた検察幹部にも及びます。これは確実に有印公文書偽造であり、この捜査報告書が資料として提出されていることからも、検察幹部が犯罪を隠蔽していた、有罪になる可能性もあるものです。少なくとも、検察内部の調査では留まらず、公判において事実関係を明らかにすべきです。

岡田副首相が動きを活発化させています。野田−谷垣による極秘会談が報じられ、しかも両者が否定しながら、複数の関係者が証言しているためウソをついた形となり、これを後に認めると二人とも党内基盤を失います。副首相が動いて事態を打開するしかなく、自民の感触をさぐる意味でも、岡田氏が重要な役割を担っています。しかし自民も一枚岩ではないため、いくら派閥の領袖に聞いても数を確保できるかは不明で、票読みができるわけではありません。特に、谷垣氏と距離を置きたいグループにとって、消費税増税党の下で選挙戦になることを恐れ、造反が出る可能性もあります。
野田民主も同様、消費税増税党となることを恐れ、離党、脱党の動きは投票直前まで読めません。明らかに、党首討論の前に極秘会談を組んだ方が『焦り』であり、小沢氏は反消費税増税の議員を、ゆっくりと糾合していく算段です。つまり対立軸をそこに置けば、増税法案が通る前に解散となることで、対立軸の筆頭となります。一方で、谷垣氏の立場も微妙です。対立軸がそこになると、小沢新党と消費税増税組との対立なので、民自をあわせて過半数確保できるか、という事態になります。

党内基盤の弱さ、今の民主、自民にはトップに共通の悩みを抱えます。逆に、小沢氏は裁判さえ終われば、もっとも基盤の強い側として、最大の脅威になる。ナゼそんな人物が焦ったり、戦略を見直したりしなければならないのか? メディアの小沢嫌いは以前からですが、今のところ小沢氏は悠然と構え、野田政権の支持率が20%を切るまで待てばいい。その頃、裁判の結果が出て一気呵成にでる。小沢氏が描く戦略は明確で、特にこの段階では変わらないでしょう。
仮に、野田−谷垣ラインで消費税増税法案を通した後での話し合い解散になると、対立軸が変わってきます。それは増税分を何に使うか? もしくはその法案を白紙に戻す、という選択肢を掲げることになる。野田氏がかけるのは、そこしかない。対立軸が三つになると、増税分を有効に使う、と訴える側が有利になる可能性もあるためです。しかし、すでに増税分を当て込んだ法案がいくつもあり、野田氏がそれを訴えても、あまり成果が上がらない可能性は相当程度高くなっているのでしょう。

野田−谷垣ラインは、いずれにしろ手足が縛られ、自由な動きは不可能です。そんな中、自由度が益々高まる小沢氏、そうした見方で政局を読むと、落ちていく人間よりも、上がっていく人間の方が、有利なのは自明です。メディアに積極的に出るのも、その余裕の為せる業でしょう。今後、大きな変化がない限り、この流れを当面変えることは難しいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2012年03月02日

AIJ問題で公的資金による救済か?

国際スワップデリバティブ協会(ISDA)が、ギリシャの債務交換は信用事由に該当しない、としました。分かり易く云えば、CDSの取引は行わない、欧州国債で損を被っても保証はない、と宣言したことになります。欧州の国債市場はLTRO以降、比較的堅調ですが、再び混乱したときにCDSの保証がない、となれば買い手が激減する恐れもあり、この決断は禍根を残すことになるのでしょう。
一方で、ギリシャが発行体となったサムライ債が債務削減対象にならない、と決まりました。日本の投資家には朗報ですが、これもEFSF債などを積極的に購入した日本への特典、です。ギリシャへの2次支援が欧州首脳会議で決まりましたが、融資枠の拡充は持ち越されました。欧州は今、LTROにより安定的にみえても、歪みを溜めていることだけは意識しておく必要もあるのでしょうね。

AIJ投資顧問の問題で、様々な動きが出ています。社保庁の天下りも発覚していますが、社保庁は年金の仕組みは知っていても運用は経験ありませんし、特に三階建ての三階部分は社保庁の管轄でないため、素人同然です。社保庁OBによるネットワークで、運用先を決めていたというように、素人だから横のつながりに頼るのであり、他人が儲かるというようなものは、大抵甘い汁を吸い尽くした後、つまり今回なら初期の頃加入してくれた相手に、配当を出すために新規の投資を勧誘していたのであり、人に言われて加入した基金は丸々損をした、ということになっています。
この問題で、厚労省が6月にも提言をまとめる意向です。外部監査の義務付け、情報開示の厳格化、監視機能の強化など、色々と並べますが、騙そうという相手はいずれもすり抜けます。オリンパス決算も監査法人は見抜けず、AIJとて情報開示はしていた、それがウソだっただけです。監視機能といっても、証券取引等監視委員会は問題が発覚してからしか動きません。逆に言えば、日本では警備、警戒のために配置できる行政官はほとんどいないのが現状であり、効果はないでしょう。

一部で、公的資金で補填する話が出ていますが、これは筋違いの話です。個人で考えると分かり易いですが、これは資産運用で預けたお金を、詐欺で失ったのと同じです。年金基金はあくまで民間であり、運用を企業や組合から委託された側です。つまり本来はプロであるべき側が、実はただの委託組織であり、それをプロと信じる投資組合に委託したら、詐欺だった。個人と年金基金は同じであり、個人の詐欺被害を国が保証しない以上、年金基金を救うのは道理が通りません。
最大の問題は、年金基金がただ従業員の年金を集めて、資金を預けるだけの組織であること、です。市場環境が悪化しているのに、収益を出していれば、それは運用内容をよく確認しなければなりませんが、恐らく聞いても年金基金に内容を分かる人間はいないこと、それによって、詐欺を見抜けないことなのです。瑕疵が誰にあるかは明らかで、これは年金基金が問題なのです。それを公的資金で救えばモラルハザードを起こす。最初に指摘したギリシャなどの問題と同じともいえるでしょう。

年金、というと過剰反応も多いですが、誰に責任があるかを明確にしておかないと、議論が怪しくなります。年金運用独法が、10-12月期で6千億円の黒字になった、と発表しています。海外資産が収益になった、ということですが、これとて債券バブルと、米株上昇に救われたものの、100兆円の資産で0.6%の運用実績に過ぎません。それ以上の運用が出る、ましてや毎年黒字などというところは、まず疑うぐらいの用心深さがないと、運用などしない方がマシ、というぐらいの環境にあることを、今は自覚しておく必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2012年03月01日

ECBによるLTRO2

昨日の党首討論、25日に極秘会談があったと報じられ、そうであれば谷垣氏の腰砕け討論も説明がつきます。しかし党内向けには、谷垣氏も「絶対ない」と云うしかない。しかし与党、野党第一党も党首がぐらぐらで、経済面も過剰流動性の問題が出てきていますが、政治面でも流動性が顕著になりそうです。小政党乱立などの問題と重ねると、これも過剰流動性なのかもしれません。

欧州ではECBがLTRO2を実施しました。規模は5295億3100万ユーロ、LTRO1と合わせると約1兆ユーロが放出された形です。LTRO1は驚いたことに、欧州国債の買いに向かいました。自己資本強化を求められる金融機関が、あえて不良債権化の恐れがある資産を買い増したので、ECBとの合意しか考えられません。事実、民間への貸出しは1月でもプラスになっておらず、前回が国債購入なら、LTRO2は民間への貸出しを増やすことを、ECBと約束している可能性はあります。
これは欧州のPMIをみても、未だに50を割り込んでいることでも分かります。つまりまだ欧州に製造業の本格回復はありません。金融の血脈を、末端まで行き渡らせるには、日本のように金融機関の裁量に任せていたら、絶対にムリです。ドラギ・マジックを成就させるためには、これが単なる流動性供給に留まらず、命令権を伴ったものであることが、必要となってくるのでしょう。

一方でバーナンキFRB議長がQE3に言及せず、金価格が急落したように、過剰流動性における負の面を目の当たりにできました。金にしろ、原油にしろ、投機スジに規制をかけなければ乱高下になることが見えています。ギリシャを救ってやれやれ、ではなく、代わって資源価格高騰が、次の宿題として提示されました。米QE3が実現すれば、世界がバブルに怯え続けることになります。
日本の株式市場も、日中の乱高下が続きます。先物の傾きが大きくなっており、ポジション調整や崩しによる手口も活発化してきました。現物、オプションも含めると、SQまでに値動きが荒くなりそうです。欧州系の傾きがやや大きいので、ここの処分が増えると下を見そうですが、それを嫌う上への崩し、その仕掛けが成功する要因は、欧米株価が水準を抜いていくことかもしれません。現在PERが20倍超え、来期予想通りに業績が回復しても15倍、それで上値を追えるかは海外要因しかないのでしょう。恐らく、為替への仕掛けは分かり易すぎるため、そろそろ終焉するはずです。

G4(FRB、ECB、BOE、日銀)のバランスシートは倍以上、GDPに対する比率が24%まで拡大したとの話があります。つまり07年以降の成長は、ほぼ中銀の資金供給に支えられた、とみなすことさえ可能です。では12年以降、同じ手法に頼ったなら、インフレかデフレ化か、どこかの市場が壊れるほどの乱高下となり、それが恐慌入りへのキッカケになり得るのでしょう。
ECBは3年後、LTROを吸収する際の経済環境をみて、新たな対策が必要となります。1兆ユーロを一気に市場から消せば、景気の下押しがきつくなる。ドラギ・マジックとは、時間でタネがばれる程度の、浅いものでしかないのです。今後、相場の急変動に備える必要性が高くなっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | 経済