2012年06月

2012年06月30日

EUサミットにおける合意

東証が9000円台に乗せ、欧米株価も大幅高で帰ってきました。期待感の少なかったEUサミットにおいて、欧州中央銀行(ECB)に、域内の銀行の監督権限をもたせ、欧州金融安定ファシリティ(EFSF)、もしくは欧州安定メカニズム(ESM)から直接資本注入することで合意したことを、素直に好感した形です。しかし独国のメルケル首相が、ECBによる監督権限の決定は、年末までかかるとしたことや、ややはしゃぎ過ぎといった面も窺えますが、この仕組みには重大な欠陥があります。

まず財政ルール遵守国が、EFSFかESMを活用し、市場を通じて国債を支援することも可能、とします。しかしEFSFやESMでさえ、そうした国の資金で賄われており、これは財政ルール遵守国に、過大な支出を伴うことになります。それは、国民に対する負担であり、政治が国民から合意を得ることを難しくする。これは各国の財政政策において、政治を流動化させる事態です。
さらにESMによる金融支援に、優先債権回収権を適用しないとしますが、そうなるとESMの運用資産が劣化する状態が、往々にして起きやすくなり、資産の劣化は資本の増強という次のステージに移ります。今回の対策で、市場が安定し、景気が回復し、金融機関が健全になるなら問題ありませんが、そうでない場合は新たな破綻リスクが、今度はESMから起きることになります。

ESM債にしろ、ユーロ共同債にしろ、無尽蔵にお金を生み出せる打ち出の小槌ではありません。ユーロの経済規模が変わらないなら、発行できる債券が市場の不安を超えた場合、破綻リスクを負います。今はGDP比で100%を基準にしますが、スペインのようにそれを下回っても、銀行に不良債権が多ければ不安が高まる。だからといって、実体のないEFSFやESMは、そこに資金を積まない限り安心は生まれない。その資金は、欧州全体から生み出されるものであり、経済規模を超えない。これは必ずどこかで行き詰まる、チキンレースで崖に向かって車を走らせるようなものです。
スペインやイタリア国債の利回りは急落し、一方で独国債の利回りは上昇しました。リスク低下で、安全資産が売られたともされますが、負担が増大する独国の国債は、今や安全資産とも呼べません。欧州内では相対的に安全でも、独国がEUサミットの合意を遵守しようとすればするほど、国債発行に圧力が掛かることは間違いなく、結果的にそれは欧州全体で安全網を構築したのか、欧州が全体で沈没するのか、その二者択一の道に踏み出したようでもあります。

市場は、しばらくこの動きを好感できそうですが、ただ時間軸が長いことで、この上昇の勢いも一旦落ち着きそうです。今回は、半期末のドレッシングをしたい思惑と重なり、それが大幅高を演じましたが、まだ仕組みが明確ではない点が問題です。ECBが監督権限をもつ、といっても各国の法律、制度により形の異なる金融機関に、どうやって統一した基準を用いるのか? 貸出基準を厳格化したりすれば、それこそ貸し渋り、貸しはがしが起き、景気を傷めかねません。
大事なことは、欧州が景気後退に入っていること。10兆円を超える成長戦略も合意されたとはいえ、公共工事ではなく、IT産業も拡大には限界がみえる中で、何を成長に据えるのか? これは世界が抱える重要な問題です。今回のEUサミット、会議が踊らなかっただけマシですが、小躍りして喜んだのは支持率低下に悩む伊首相や、スペイン首相だった、ということに陥りかねない結果だったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | 政治

2012年06月29日

永田町で出回る情報

今日も永田町では、幾つも興味深い動きがあります。小沢氏に処分を求める替え歌『ウルトラ処分』がばら撒かれました。鳩山政権のときの『鳥』などもそうですが、これらが得意なのは自民です。しかしそうなると、小沢夫人による紙爆弾が永田町、支持者に届きましたが、これらの出元も概ね推測できてしまいます。自民として一気呵成に攻めたい、といったところですが、それらも今は空回り気味です。読売の見出しで、小沢新党に『期待しない』が79%とありますが、『期待する』が16%と、政党支持率より高い数字を示しました。これは小沢氏を徹底的に批判する読売の世論調査、という結果からみると、かなり高い支持がある、とさえいえるのでしょう。

最近メディアで、『社会保障と税の一体改革』という言葉ではなく、『3党合意』という言葉が多用されます。さらに3党合意は重い、という言葉と併用されることでより意味深に扱われますが、大して意味はありません。3党合意は、政党間の信認には関わりますが、各党とも何の規定もない空手形に過ぎないからです。むしろ『3党合意』とつかうことで、増税色を薄める効果があり、社会保障が先送りになった、という意見すら覆い隠せる。実にメディアに都合よい言葉になっています。
さらに、小沢氏は政局ばかり、という報道の仕方にも問題があり、与党の過半数割れ、分党か? などの政局しか報じないのはむしろメディアです。マニフェスト違反、消費税増税、などの影響を報じれば、党主流派にとってマイナスとなる。結果、政局の方が面白く、政局ばかりの報道となり、今回の行動が政局としか映らない。小沢氏の側に大義がある、と報じたメディアがほとんどないことが全てですが、小沢氏は政局で動く、というイメージがメディアによって作られるのです。

小沢氏を早く追い出したいメディアが出て行け、の大合唱ですが、週末に支持者と話してから離党がスジですので、週明けが当然の対応です。民主党は幹事長の権限が強い、と今さら報じるメディアもありますが、だから先の内閣改造と一緒に、党執行部にも手を入れなければいけなかったのです。分党の話も、そんなことはあり得ないと幹部は云いますが、すべて輿石氏の判断一つ。野田代表から人事の一任をとりつけており、大量の離党者を出せば責任をとらなければいけない幹事長としては、どんな判断でも出来てしまう。それが民主党の党内の物事の決め方です。
小沢氏が金銭を要求している、といった書き方をするメディアもありますが、小沢氏は今回『大義』を掲げており、粛々と対応しているのでそれはありません。後は輿石氏が何を求め、どう対価を与えるか? でしょう。内閣不信任は提出しないでくれ、なのか、増税は反対でも他の法案、特に特例公債法案には賛成してくれ、なのか、です。元々、衆院は過半数を維持できても、参院に過半数がない民主党は、衆院の3分の2を切っていることで法案採決までいくのもやっとなのですから、参院側にも離党者がでた時点で、小沢氏の側に協力を求めないとできないことが多いのです。

自公は、解散に向けて消費税増税法案以外は、対決モードです。輿石氏が、法案の修正をもちだした、という話もネタであり、実現性は低いといえるのでしょう。そもそも、いくら参院で修正をかけようと動いても、参院の自公がそれを許しません。今度はそれを他の野党と協議する必要があり、それこそ永田町がカオスに陥る所作です。最近、こうしたあり得ない話も増えていますが、それも情報、風聞によって物事を動かそう、とするものだと捉えれば、暗躍しているのが誰かもみえてくるのでしょうね。

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2012年06月28日

雑感。消費税増税への不安

民主党の支持母体である連合の古賀会長が、自民党本部で講演しました。民主党への支援『見直し』を示唆しており、これは民主党が瓦解する影響を及ぼすでしょう。組織固めをしてきた人間が党を離れれば、支持母体も離れる。党主流派は、連合が増税賛成であることを自らに支持あり、として喧伝してきましたが、個別法案と政党への支持は異なる、ということです。
輿石−小沢会談は継続、となりました。輿石氏は、処分は一任されても3党合意の見直しまでの権限がないので、提案は会派離脱でお茶を濁せないか? ということでしょう。党内党についてメディアで一斉に報じられましたが、これは牽制です。党内党を作られてはマズイ、2ヶ月以上会期が延長され、仮に参院で棚ざらしにされても、衆院で再可決が可能となりますが、この法案を廃案にする方法が唯一あります。それは国会を閉会させるほどのスキャンダルが噴出すること、です。

衆院で可決された法案を、参院で採決せずに国会を閉じれば、法案は廃案になります。増税派にとって、わずかでも不安要因があれば払いたい。党内党で揺さぶりをかけられることが、もっともイヤなのです。しかし景気に揺さぶりをかけるのが、消費税増税です。引き上げ前には駆け込み需要で、5〜10%程度消費を押し上げますが、翌年には3%以上の落ち込みになるはずです。これは生産調整で何とかなるレベルでなく、過剰設備になった企業は、設備投資が重しになります。
消費税増税にはウソも多いのですが、その一つに「社会保障が安定し、消費が増える」があります。自民党時代に、年金100年安心プランとして、国庫負担分が約2.5兆円増えています。自民時代は、それこそ埋蔵金で埋め、今の野田政権では将来的な税収増に期待し、特別債券のような形が模索されました。しかしいずれにしろ、2.5兆円は今ある制度の穴埋めであり、社会保障の安定には寄与しません。政府は7〜8兆円の税収増を目論見ますが、早くも補正予算の話が出ているように、落ち込む経済に5兆円の景気対策を打てば、仮に同程度の増収になっても社会保障は賄えないのです。

歳入が安定し、国債にも好影響という話もウソです。仮に7〜8兆円を国民から吸い上げ、何もしなければ確実に景気後退に陥ります。それにより経済規模が縮小、経常収支が赤字になれば信用を失います。欧州でおきていることは、償還能力に関する疑義であり、経済規模が縮小していくことは最大の懸念です。歳入が安定するどころか、マイナスにさえなりかねません。
そんな欧州では首脳会談が開かれます。1300億ユーロの成長戦略、ユーロ共同債などが話し合われますが、一度景気後退を迎えてしまうと、成長軌道に戻るのは困難です。10兆ユーロを超える規模の経済圏で、1300億ユーロは焼け石に水。しかも何に使うか? を決めるのはこれまたもめるでしょう。共同債の話も、ESM債の優先回収権の話も、ドイツは撤回を求めて動いています。自国の国債の価値を低下させる動きがおきれば、結果的にドイツが支援に回せる額も減ってしまう。今、欧州でおきていることは負のスパイラルであり、誰もそれに気付いていないのが問題です。

このまま消費税増税が始まれば、日本は欧州と同じ、負のスパイラルに突入です。悪いことですが、野田政権が耐えられないようなスキャンダル、事件がおきることを少し願ってしまうぐらい、増税法案を通してはいけない、とさえ考えています。民主党が少数与党になる、小沢新党が内閣不信任を出せる議員数を確保する、といった過少なことで大騒ぎするより、消費税増税が通った後の景気の落ち込みのほうが、よほど日本にとって深刻ですが、それを報じるメディアもまた過少、ということなのかもしれませんね。

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2012年06月27日

東電株主総会の声と政府の動き

小沢新党は週内か? という話もありますが、やや早いという印象です。昨日も述べたように党内に居座った方が政権には打撃ですし、週末、支持者に説明をしてから…つまり来週と見ていました。今回、小沢氏は大義を掲げており、それが政局ではなく大義で動く。反対したのですぐ新党、という動きかもしれません。しかし今回、評論家や新聞などが盛んに「展望がない」旨、強調しますが、恐らく小沢氏が今回、野党などと十分連携を図っていないこと、を指していると見られます。しかし、もしそんな動きをすれば今度は「党に反抗、壊し屋」と批判したはずです。
小沢氏は今回、堂々と受けて立つ構えです。それが多数派工作をしない、展望がない、ということなら『ための批判』です。人格破壊が、家族破壊にまで及び、さらに支持者の家にまで小沢夫人の手紙のコピーが届いた、とされます。背後にどれだけの闇が動いているかは、メディアがこれまでまったく報じなかった、消費税増税の影響を、報じ始めたことでも分かるでしょう。財務省は、たとえ参院で否決されても、民自公でまとまっていれば衆院再可決で通過する。その目処が立ったため、野田民主の攻撃にGOサインを出す。つまり解散に向けて、野田民主を追い込んでいくことを野党、メディアに容認した、とみて良いのでしょう。国民に不都合なことを『決められる政治』には、選挙して大連立、というシナリオで官僚は動いていることの証左なのでしょうね。

市場でも、やや昨日は変調が見られたのは日系証券からの売り、が目立ちました。政局の混乱を嫌気した、という説明以上に、消費税増税法案の通過まで買い支えていた層が、重くなったので処分した、とみることも可能です。この辺りも、今回の動きにおける闇の深さを垣間見る思いがします。永田町に紙爆弾、というのはこれまでもありましたが、支持者にまで送りつけるとなると、相当の資金と規模が必要です。それを出した人間が今、日本を動かしているということですね。
野田政権のもう一つの課題、電力会社の株主総会が、各地域で一斉に開かれました。総会自体は金融機関、年金基金などに独占され、多数決が機能しないものです。ただ燃料費増加ばかりでなく、東電は仮設の発電装置なども重しのはずです。ナゼそれを常設にし、減価償却後の収益に還元しないのか? といえば、原発再稼動を前提にしているため、です。火力の燃料費が重し、と云ってみたところで、燃料費のかからない地熱、波力などの設備を国が別組織でつくっても良いわけで、そうなれば電力会社が賄う電力量自体が減り、原発がなくても供給が間に合う状態になるわけです。

民主党政権では整備新幹線の未着工区間に明日、GOサインが出ます。増税でむしりとった金がコンクリートに流れる。まさに『人からコンクリートへ』です。しかも電力需要が逼迫している昨今、さらに電気を食う設備が増える。それなら、発電設備を増やした方が経済基盤を強くしますし、国民への寄与度も高い。なぜなら供給が増え、競争が生まれれば電力料金が引き下げられ、増税と電力料金増加で苦しむ国民に、還元ができるからです。新幹線をつくっても、それで産業が呼べるわけでもなく、ちょっと余暇の旅行が増える程度の還元なら、大して意味がありません。
野田政権は、政策の優先順位を間違えていることがほとんどです。原発再稼動も、安全を優先させる前に、経済原理を優先させました。陸山会事件の検察官に対する甘い処分など、官僚の思うがまま、です。この検察官は公文書偽造の他、裁判における偽証の疑いもあるので、きちんと処分しないといけませんでした。これも、上層部まで波及することを恐れた動き、として今後も糾弾されるのでしょう。電力会社の株主総会であがる声が、いずれ政府に向かうことを選挙で思い知ることになるのでしょうね。

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2012年06月26日

衆院採決後の小沢氏の動きを考える

社会保障と税一体改革関連法案の衆院採決で、民主党から57人の反対、16人の棄権・欠席となりました。思ったほど小沢氏が、多数派工作を仕掛けなかったことが意外でしたが、ここから次の戦略もみえそうです。まず小沢氏が動かなかった背景は、理念・政策で一致した議員を集めた、小勢力連合を見据えていること。また、そうした意見の異なる人たちを糾合していくには、体力的に厳しいこと、などがあるでしょう。その結果、ムリに多数派工作を計ることはなかった。
もう一点は、すぐに離党をせず、マニフェストに則った政策なら連携できるとして、部分連立を模索し、あわよくば分党を認めさせる戦略もあるのではないか? 新党作りには30億円かかるとされますが、分党であれば予算面は問題が解消されます。一方で、政権交代可能な二大政党制を目指すなら必要ですが、小勢力連合を目指せばそこまでの金額も必要なくなります。さらに民主党と連携することで、解散時期を早める狙いもあるでしょう。自公が求める厳しい処分を棚上げさせれば、擬似大連立という道を断てますし、党内党をつくることで、次の政局にも関与できることになります。

しかし上記は、著しく党主流派から反発をうけます。野田首相が「厳正な処分」に言及しており、これは賛成した議員に配慮した発言ですが、ここからも野田氏への突き上げが激しいことも窺えます。ただ輿石幹事長は党内融和を求めており、ここを切らない限り、大甘処分は確実です。分党を認め、政策ごとに連携協議などをもち出せば、党内から野田下ろしが火を吹くでしょう。
つまり小沢氏が会見で述べた「最後の努力」を続ける限り、野田政権は追い込まれる構図です。早く離党し、新党を立ち上げ、選挙先延ばし戦略で干上がらされるより、この「最後の努力」を続けて党内に居座り、党内党として振る舞い続けることが、実はもっとも戦術に叶うといえるでしょう。処分が出るまで、1ヶ月以上のタイムラグがあることは往々にしてあります。夏ごろ解散なら、新党を立ち上げてその余勢を駆って…ということも考えられます。1ヶ月、じっくり新党構想を練る、ということなら、その方がよりしっかりした党をつくることもできるのです。

ただ選挙の面では、橋下維新の会との連携が、現状では不透明です。石原氏は尖閣諸島の購入で支持を上げましたが、購入まで至らない内に国政には出られない。そこで、焦って橋下氏に接近し、たち日との連携だけでも結ばせ、自身の影響力を行使したいと動いています。橋下氏も、今の石原新党なら支持も高く、第三極辺りに滑り込めると考え、今は小沢新党にそれほど魅力を感じていない。80人規模なら政権交代政党として魅力もありますが、40人台では次の選挙でどうなるか分かりません。
党内党、という戦略も、選挙戦術には直結しません。国民ウケするには、離党騒動の報道が過熱しているときに、新党立ち上げが最もインパクトあります。そのタイミングを見計らう、そこに小沢氏の一任、という言葉があるのでしょう。一任とは、勝手に宣言してそれを下の者に徹底させる免罪符ではない。小沢氏の一任と、党主流派がとった一任と、手続きの上でもそれだけ差があります。

野田氏の記者会見は、相変わらずがっかりさせられます。社会保障は国民すべてが享受するから、負担の拡大に同意してくれ。社会保障とはそういう性質のものなので、今さら説明の必要はなく、大事なことはムダ遣い、不平等などの解消を今後どうすすめるか? それを国民に説明するべきでしょう。増税とあわせ、年間30万円超の負担が拡大され、それで受けられる行政サービスが向上するなら別ですが、低下することが検討され、そこに国民の不満が強いのです。
野田氏は『大きな樽』です。空っぽの樽で、色々な人の意見を聞き入れてしまう、一方では良い面もあるでしょう。しかし側近はそこに、増税や原発再稼動の泥水しか入れません。しかもシロアリに食われ、その樽は穴だらけで、樽としては使い物にならないばかりか、水が抜けて残るのは泥ばかりです。そこにドジョウは住み易いのかもしれませんが、そんな樽に人は価値を見出せない。今の野田氏に国民が感じるのは、そういったところなのかもしれませんね。

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2012年06月25日

雑感。情報に関するいくつかの記事

中国から北朝鮮へ軍事車両が輸出されていた問題で、外務省が事情聴取していた職員が自殺する、という事件がありました。公務員が職務上、知りえた事実を漏洩すれば違反であり、発表には『所轄庁の長の許可を要する』とありますが、そうなると夜討ち、朝駆けと呼ばれる記者の自宅訪問や、記者との懇親会における発言なども『長の許可』をとっていなければならなくなります。情報の重大性、国の意図はこの場合関係ありません。自殺が、本当に自ら追い込まれた末のものなのか? 疑念が残ります。
一方で、日興SMBCのインサイダー事件は、いわば仕手系とのずぶずぶの関係を露呈しており、先の野村とともに、証券会社の管理体制の甘さが表面化しました。証券会社は新株発行、公募増資、など株価に影響する情報を自ら扱え、さらに買い、売り推奨などの格付けに似た、株価誘導まで行えます。内部情報管理ができない証券会社は、上記の業務を1年間停止、とするぐらい厳しい罰則が必要なのでしょう。情報とは、そのまま金銭価値に置き換えられ、それは今後厳罰化しなければなりません。
例えばyahooが、無料のメールサービスでその内容を読取り、広告をだす技術を開発しました。これはFacebookやGoogleでも同様、インターネットの閲覧履歴で、興味ある広告を表示させたりする技術が違法ではないか? とするのと同じです。個人情報を金に替えるビジネスは今後も増え、それに対する規制の在り方を間違えると、後に大きな問題を残します。メール読取りなど、量子暗号化技術が可能となるまでは、必ずIT産業ではねらい目の成長戦略になりますから、今から対応が必要です。

情報つながりで、週刊ポストが報じた『小沢夫人の手紙の真相』によると、小沢夫人は精神的にかなり病んでいることが窺えます。もしこの情報が正しければ、小沢夫人の手紙に、何の根拠もなくなります。筆跡も、小沢夫人のものと違う、という情報もありますから、代筆によって書かれた可能性もありますが、本人が病んでいるなら代筆であろうと、なかろうと、すべて妄想となるかもしれません。
問題は、もしこの記事が正しいなら、それを知っていて背景を報じないメディアの罪です。精神的に病んでいることは、心療内科の診療でも難しい判断ですが、その恐れがあるなら記事にすべきではありませんでした。それを週末にかけて、大々的にうったメディアが増税路線なのも皮肉です。そして小沢氏がこの件で発言することは、恐らくないでしょう。それは妻の醜聞を、自ら語ることに他なりませんから、それは長年連れ添った妻にも失礼にあたる。逆に、それを知ってこの問題をとり上げたとしたら、メディアとしての姿勢、態度の方が問題視される事態になるのでしょうね。

野田氏が代議士会で「心から」を3回くり返す演説を行いました。内容はこれまでと大同小異ですが、心無い答弁が多い、とされることを懸念したのでしょう。大事なことは、相手を説得しようとする場合、一つの説明で納得してもらえなければ、次には違う角度からの説明を試みなければなりません。野田氏にそれはない。国会でも、党員にむけても、国民にむけても同じ文言のくり返しです。
しかし日経新聞の世論調査で、政権支持率が5%上昇しました。増税反対が増え、3党合意にも不支持が多い、それなのに支持率が上昇する。むしろ小沢氏の行動には反対が多い、ということでこの結果を分析すると『小沢氏を追い出した』こと、のみが支持率上昇に寄与したかのようです。日経の世論調査は、以前から経団連の思惑に添った結果になることも多いですが、逆に読めば経団連の中でも、消費税増税に反対の人間が多い、とも読み解けます。情報を金に替えるという意味でも、世論調査の数字でどちらか傾きをかけることは、結果的に企業の信頼をなくすことになっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2012年06月24日

前原政調会長による補正への言及

最近、太陽活動の不活発さが話題です。マウンダー極小期のように、地球が寒冷化すると懸念されますが、その原因の説明には些か首を傾げます。太陽の極点が、四極の状態となり、太陽の重力場が低下することで宇宙線が降り注ぎ、雲をつくり易くなってそれが日照を減らす、とされます。
しかしそんな強い磁界があれば、地球も磁力をもつため、太陽の磁力線に沿って傾きが決まることになります。太陽は十数年ほどで磁極を変える、ともされるため、その度に地球も北半球が南半球へ、南半球が北半球へ、と入れ替わることになるはずです。太陽の磁界が強くないなら、地球の磁場が宇宙放射線を防げない、ということに説明がつきません。化学の分野では特にそうですが、分かっている事象から、現象を説明するよう理論を組み立てると、他の理屈と合致しなくなる場合があります。太陽風の影響と、宇宙放射線の影響と、その差に解を求めた方が断然よい気もしますが、今の説明をきくと合成の誤謬、という言葉を思い起こされます。

前原政調会長が、補正予算に言及しました。これは秋以降も政権運営する、選挙はしない、と暗に述べたことになります。つまり今選挙をするなら、離党しようという党内の動きをけん制した形ですが、この補正予算が財政を悪化させてきた曲者です。エコカー補助金などは消費を喚起し、良い評価も多いようですが、購入者は損をしている場合もあります。それは買い替えの場合、中古車市場が値崩れしており、買取価格の上乗せがない分、補助金と相殺するとお得でない場合もあるからです。
津波で車が流され、中古車市場が需要不足になった時期に始めれば、それは効果としても期待できたでしょう。しかし始まったのは今春であり、その頃には中古車市場も落ち着いていた。ハイブリッド車など、消費を当て込んで買い入れていたディーラーが、中古市場に投げ売りしたともされるので、どの程度かは別にして、経済的な効果は限定されていた部分があります。さらに、米国の消費が堅調だった時期と重なったことで、自動車業界の堅調さは演出できましたが、日米の効果が一斉に剥落する来期以降の自動車業界は、生産能力を拡大した分、業績に重しとなることが考えられます。

これはテレビと同じです。車の買い替えサイクルはテレビより短いですが、景気対策でその後の需要を鈍化させるのは、愚策と云えます。しかもエコ、と名のつく対策でありながら、家電を増やして、電力需要を逼迫させる効果が指摘されるものまであり、エコとは名ばかりの対策まで。消費喚起であれば、そう明記した方が効果も得やすい、といえます。実に昨今の政府の景気対策、として打たれる補正予算は、その狙いと現れる効果にズレの大きい点が、極めて問題だといえるのでしょう。
しかも日本は毎年補正予算を組んで、景気対策を打ちながら、景気を浮揚させるまでの効果がない。それでいて財政の逼迫を訴え、増税する。本当に財政を考えるなら、補正予算などやめてその分を国債の早期償還にまわした方が、よほど効果的と云えるでしょう。逆に、政府が海外で説明していることと、効果のない景気対策を毎年うって財政を傷つけることは、政策としても合致しないのです。

金融機関が破綻しないよう、自己資本を改善させる動きが、お金を廻らせなくなり経済が縮小する。財政均衡を目指し、増税したことで却って景気を悪化させ、歳入減少を招く。これらはすべて合成の誤謬、とされます。今の政治、経済で実際に起こっていること、政府が説明していることは、まさに合成の誤謬によって、説明される効果と逆の結果を招く、とさえ指摘できます。消費税増税が今、本当に必要かどうか? それをもう一度熟慮しない限り、後々に大きな禍根を残すことになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2012年06月23日

雑感。市場の面から選挙日程を考える

週末にかけ、読売新聞が文春の記事をとり上げたり、菅前首相が反小沢のブログをアップしたり、ネガティブキャンペーンが活発になっています。一つ間違えてはいけないのが、造反工作や引き止め工作で、『脅し』が使えるのは党主流派の側だ、ということです。こういう場合、得てしてケンカ両成敗的に、双方が悪いことをするイメージをもちますが、全てを握った側が強いのは、洋の東西を問いません。アラブの春がそうだったように、権力に対立する側は個人の意志を集結させるしかありません。
菅氏は『呪縛』としますが、マインドコントロールをかけて相手を意のままに操るほど、小沢氏のコミュニケーション能力は高くない。議員が自らの意志で動かなければ成り立たない。一方で、金、ポスト、それに醜聞といった形で党主流派は動けますが、それが逆に各政治家から疎まれる。党に残れば、そうした誘惑に負けた人間、と思われてしまい、それは有権者にとってネガティブにしか映らない。心ある人なら、党主流派にそんなことするな! と云いたいところなのでしょうね。

日本の株式市場が、比較的堅調な動きを示します。米FOMCでQE3が見送られ、若干の円安に傾いていること。及び欧州において、ギリシャ新政権の発足、来週のEUサミットに向けてすすむ各国間の調整、といった前向きな話もありますが、少し国内の動きに注目しています。信託系の資金が、下値拾いを始めたといった話も聞かれます。仮に今年の上昇波動が、1月初旬から始まり4月半ばをピークに、下落トレンド入りしたとみると、次の波動は7月にくる、それを先取りした動き、として説明がつきます。
ただ今回注目しているのがマル政と呼ばれる、いわゆる選挙対策のための上昇、です。かつては都市伝説としてありましたが、今では市場規模が大きくなったこと、また政治の力も減退したため起こらない、とされます。しかし次の選挙は新聞各社、財界、経団連などが望む消費税増税がかかった選挙となります。景気が低迷したときの政府与党には、逆風が吹きます。政府支援のため、財界から株高指令が入った。今はまだ個人的な憶測に過ぎませんが、日系の買いが増えている観測もあります。

しかも、現状は株式市場に直接買いを入れるより、為替を円安にした方が連動性も高い。輸入企業を叩いて、円売り予約をこのタイミングでかければ、それも市場対策になります。民主党としても3ヶ月サイクルで市場が上下動するなら、8、9月は都合よい。五輪に隠れて選挙に焦点を当てない、当てたくないという事情とともに、景気の面からも夏解散がサポートされる。下手に年をまたげば、米国の大統領選、及び『財政の崖』を超えることになり、不透明感も高まる。さらに欧州次第で、景気が大底を迎える可能性もある。実に秋以降の政治日程は、窮屈になることが今から予想されるのです。
ただ、今の政権幹部に、そこまでは読めていないかもしれません。動いているとすれば財務、経産などの官僚でしょう。消費税増税関連法案は、与野党の合意で通せても、特例公債法案は夏までかかる、と見られます。それが通ったとき、代表選、総裁選を控えた民主、自民にとって一つのタイミングがきます。逆に、そこを逃せば野田氏、谷垣氏で選挙をすることはなく、両党のデッドラインは9月です。9月8日まで通常国会が延長されましたが、9月9日解散も囁かれる。経済、市場の側面からみても、その辺りが上値の抵抗になり始めそうでもあり、サポートされると云えるのでしょうね。

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2012年06月22日

民自公による法案の通し方は?

今日も永田町が揺れています。岡田副総理が「総理が『政治生命をかける』から、懸命に支える」と、まるで無条件に支持するような言い方をしていますが、極論すれば総理が「政治生命をかけて戦争する」と述べた場合、それは止めるはずです。つまり『政治生命をかける』ことで支持、ではなく、その政策で判断しなければならない。『政治生命』云々を理由とすることは、それ自体が誤りと指摘できます。
今回の民主党分裂は、民自公が大連立という形で政策を似通らせ、国民から選択肢を奪おうとする動きに対して、楔を打つという点において大きな意味をもちます。大連立は官僚、政治家が国民不在で政治をするのに有利であり、永田町、霞ヶ関の悲願ともいえるものです。そこに別の選択肢ができたことで、国民の政権選択という権利が奪われずに済んだ。そして、今の大連立にむけた動きに疑問を呈する、幾つかの改正案が国会で審議されることもなく、すっと通ってしまった事例がありました。

原子力基本法に『わが国の安全保障に資する』とする文言が追加され、衆院は1日、参院は5日後に通ってしまいました。韓国などから反発もありますが、仮に『平和の目的に限り…』とあっても、うがった見方をすれば、北朝鮮に対抗すべく日本を平和にするため核兵器をつくる、ということも原子力基本法上、可能となります。法は解釈次第ですが、『安全保障』は『国防』としか読み改められず、諸外国に懸念を与えても仕方ありません。問題は、これが政局に利用される、ということでもあります。
次に著作権法、衆院では議論せず、参院も1日で通過です。いずれも改正案とはいえ、重要な変更が行われており、審議不足は否めません。法律は解釈次第であり、曖昧な部分はいずれ警察などの解釈次第で違法、とされる可能性があります。今回は海賊版のダウンロードに罰則を規定し、偶然の映りこみなどを処罰の対象から除く、という方向性では正しいといえますが、その曖昧さは当然、国民にとって疑念を生じる。それを国会審議を経ず、民自公の調整の中だけで決めてしまうことは、やはり国民から議論の透明性を奪う、という点でも問題が大きいのでしょう。

上記と同様に、審議もほとんどせず決められようとしているのが、消費税増税関連法案です。国会で審議入りしましたが、26日に採決方針です。通す気になれば参院も6月中には通ってしまう。特別委で100時間以上の審議時間を経た、とされますが、修正案は今日から審議なので拙速との批判は起こります。民自公の、物事の決め方において万事がこういう形になると、やはり国民からは疑わしいとなるでしょう。
さらに今の形が不自然なのは、与党が大きく、絶対有利な状況であっても国会審議を軽視することは、これまでありませんでした。民自公で決めれば他の野党と議論する必要なし、などとするのはまさに国会軽視、常道から外れた行為です。今の馴れ合う民自公では、やはり国民は離れていきますし、それは国民が思い描く期待とはほど遠い、一部の政治家、官僚のための政治を始めたとしか見えないのでしょう。

過去、小沢氏の離党、新党騒ぎの中には、正直首を傾げるものもありましたが、今回は明らかに小沢氏の側の主張に正当性があります。さらに、今回の党執行部からのネガキャンの一つに、小沢氏妻の手紙のコピー、というものが加わった時点で、どちらが悪役かも国民からはっきりしてしまったのでしょう。今は処分について、反対派の切り崩しをしているようですが、明らかにお金をチラつかせていることが見えています。金と醜聞で相手を攻撃し、理念が消えつつある。それは国会軽視の姿勢と相まって、今の民自公に対する反発となって永田町を襲いますし、それは国民にとってもそうなのでしょうね。

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2012年06月21日

小沢氏が新党立ち上げか?

米FOMCが開かれ、ツイスト・オペの延長と必要なときに追加緩和、が示されました。同時にQE3などの追加緩和は、非常事態でないと発動しない、FRBの苦渋が見え隠れします。QE3は最終兵器、恐らくFRBのバランスシートが大きく崩れ、米国への信認低下、という事態を真剣に検討している素振りです。それほどQE3は簡単ではない、ということなのでしょう。

小沢氏が造反を明言し、政局が動き出しました。もう後には引けない、ここで引いたら議員の支持も離れ、国会内で小沢氏が浮上する目はなくなります。内閣不信任で動けば、政局で動くと云われますが、消費税増税反対で動けば、政策で動いたことになる。なぜ、今回なのか? はそれで説明できます。
これで民主は衰退モードに入ったのでしょう。行政改革に『小沢』という最強カードを手放すのなら、霞ヶ関の言いなりを受容したようなものです。政権交代の、最大の焦点が行革であり、国民は霞ヶ関の抵抗をはね退け、行革できる政党を探す。民主がその期待に応えない、となれば次の政党を探す。民自公は行革ができない党、だから無党派層は離れます。今、日本で最大の支持母体が『無党派』、ということを忘れれば、自民との連立を承諾した途端に衰退を示した、社会党と同じ道を辿るのでしょう。

ただ民主は議員の判断に甘さがあるので、そこまで見通せている議員が少ない。これは世襲議員の方が長じている、と云えるでしょう。しかし小沢新党が60を超えると、民主、自民に次ぐ第3党となり、政権交代可能…つまり行革を託せる党となり、一気に注目を集めます。先にも示したように、有権者の中で最大勢力は『無党派』なので、ここの支持をうけることが肝要であり、そこに増税反対があります。
与党が過半数割れ、という話は大したことではありません。民自公で合意した事実は、選挙時期についてもそうで、仮に内閣不信任が出ても「消費税増税法案が通るまで」と、自公が反対する。仮の大連立とはそういうことです。小沢氏にとって懸念は、参院側の議席不足をどうするか? それと政権交代を目指すなら、新人の擁立をどうするか? です。資金面のバックアップと同様、人選が重要になる。もしそこに、橋下維新の会との連立が成立すれば、小沢新党と合致しない場所に候補者を立ててもらえば、解決します。そこまでの合意は得られていないでしょうが、政権交代が可能な政党になる、ということはそれに期待し、結果を求める人間からみてもとても魅力的にみえる、ということです。

民自公が大政党であり続ける限り、地方分権という官僚にとって、最も容認しがたい政策が通るはずもない。これは3党がマニフェストで訴えても、国民は懐疑的に見てしまうでしょう。だからこそ、マニフェスト堅持を訴え、約束は反故にしないという新党をつくって、戦うことが上策。その場合、マニフェストへの信頼感が増し、地方分権にむけたスケジュールを示せばそこに期待が集まるのです。
これも『小沢』のカードが使えるから、と云えるのでしょう。逆に、行革をやりたいなら『小沢』カードを、自身に都合よく使い切れるか? その自信がある人間のみ、この新党構想に乗れるのでしょう。それは選挙のみならず、その後の政策にも現れる、というこです。選挙後に大連立で長期政権、などとほくそ笑む人間が未だに多いのが残念ですが、大連立政権など百害あって一利なし。国民がそんなものを求めていないことは、必ず結果となってはね返ります。風の吹く今の選挙では、必然としてそうした動きが起こるのでしょうね。

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2012年06月20日

G20が閉幕

民主党で、両院議員懇談会が開かれています。これは懇談会で、議決がないので云わばガス抜き、です。そんな中、民主の支持母体である連合が、三党合意を『受け止める』とする文書をだし、これは政権支持だ、とするものがあります。しかし『受け止め』た後『いなす』ことも出来ますし、これは了承とは異なります。連合も、党分裂になれば各選挙区で事情は異なり、強く議員と結びついたところは新党に流れてしまう。苦渋のバランスが『受け止め』という表現です。なので、必ずしも党執行部に追従するわけではありません。離党した議員のところに落下傘、という話もありますが、郵政解散時とは異なり、この低い支持率で落下傘を立てても正直大きな流れにはならない。むしろ自民党を利するため、官邸は選挙区ごとに分裂選挙を画策しているのでは? と疑える行動とも云えるのでしょう。

野田首相はG20の閉幕を待たず、帰国しました。残念なのは、プーチン大統領との会談で、シリア情勢でロシアから何らかの言質をとれば、成果とできたでしょう。ロシアからは、北方領土交渉において、野田政権は眼中にない、ともされます。支持率の低い政権では、外交交渉をまとめられないため、です。他にもG20では、日本は2015年までに消費税増税を、と記載されます。しかしこれは先のIMF高官の発言と同じで、財務省の出向組が、せっせと世界で増税を説得しており、国際的な合意を得ているとの動きを作り出しているため、です。経済成長重視に傾く論調の中で、日本だけが特異な表現になるのも、そのためです。
欧州問題では財政の統合、銀行同盟などに前向きな意見が示されました。しかしユーロが一つの国となり、各国が州に格下げされるぐらいでないと、結局細かな制度の違いが、後に大きな問題になるだけです。危機対応だから『一部のみまとめてしまえ』が最悪の展開であり、何の解決にもなりません。

このG20では、貿易保護主義的措置を講じない方針を、2014年末まで1年延長することも決定しています。これは世銀レポートで、保護主義の高まりが指摘される中、G20各国でもかなり措置が増えているとされますから、深刻です。そんな中、TPPに対して日本が出遅れ、という記事が目立ちます。しかし国の制度も、政策も異なる中で経済だけ関税撤廃により、統合させることがどれだけ歪んでいるかは、ユーロの失敗を見るまでもなく明らか、です。さらに、保護主義の動きを強めている米国が参加している。今、その動きは対中国、という形であり、TPPも対中包囲網の一環として語られます。
しかし日中韓ではFTA交渉を始めるなど、TPPは包囲網ですらない。今から主導権をとれるわけでもないTPPに拘ることに、大きなメリットはありません。それこそ個別交渉が可能なFTAに切り替え、条件をつめたほうがよほどメリットがあります。多国間交渉で時間がかかるより、短期で成果がだせるFTAであれば、それこそ出遅れをとり戻せる。TPPに拘ることこそ、日本の悪い癖だとも云えるのでしょう。

例えば、最近欧州で独国債の利回りが上昇しています。スペイン問題など、独国への負担増大が原因、とする論調もありますが、明らかに7月から発足する欧州安定メカニズム(ESM)を見据えた動き、とみることが可能です。つまり欧州における、最強の債券がESM債です。独国債を売り、ESM債に切り替えた方が自己資本の改善につながる。さらにスペイン、伊国などのリスクの高い国債を買う必要は益々なくなります。
ユーロ共同債の議論もありますが、これも問題の抜本解決ではないのです。一部の制度、政策だけ統合すれば、その歪み、脆弱性をついて市場は攻撃してきます。TPPも同様、奇妙な国際的な組織、枠組みづくりは、短期では好感できても長期では必ず失敗します。G20で唯一好感できたのは、IMFへの資金拠出枠を明示していなかった国が、金額を表明した点のみです。危機を起こした仕組みを改めず、その上にさらに奇妙な組織をつくれば、屋上に屋を架す、ばかりでなくさらに問題の根を深くするだけ、なのでしょう。こうした認識をもたない限り、いくら国際的な枠組みを議論しても、価値は低いといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2012年06月19日

民主党で執行部が一任とりつけか?

季節はずれの台風が直撃しています。それは永田町も同様、大嵐の予感が漂います。増税グループには読売新聞が含まれますが、最近の社説は目を丸くします。マニフェストの呪縛をといて増税法案を通せ、というものです。しかも一面では『小沢グループに展望描けぬ』と、増税派である民主党主流派に、援護射撃も甚だしい記事を上げています。さらに、執行部からは選挙制度改革で、公明に阿って連用制を決めたので、創価学会票が期待できるとの風聞まで、流れているようです。しかし長き自民との選挙協力で、地元ではほぼ自民党議員の支援団体と化しており、政局で民主に鞍替えするとは到底思えません。
実は、展望のないのが主流派です。支持母体も勝ち馬にのりたいので、民主で勝てるか? を最大の判断材料とします。小沢系が抜け、公示前に250の勢力だとしても、選挙後に80にも満たない可能性が高い。そうなると政策実現性が低くなり、支持する意味がない。ここに来て、本来なら民主の重鎮らが支持母体固めに奔走する、ということも必要ですが、それすらない。民主主流派は、誰も汗をかきたがりません。小沢氏なら政界工作ばかりでなく、離党がはっきりすれば支持母体を回り、協力を要請するはずです。その意味でも、今の党執行部には弱点があり、選挙に弱いことが露呈する形となっています。

今の執行部には、慢心があるとしか思えない。仙谷政調代行が、BSの番組で「自公と増税、原発を争点にしない」と述べましたが、これなど民自公で大政党、その期間だけ通用する詐術です。逆にそれと反対の政策を掲げる政党と、民自公の対決になれば、民自公が大連立しても過半数の確保が難しい。むしろ連立で多数をとる、という話であって、多くの民主党議員が討ち死にする提案を仙谷氏はしているのです。
民主党執行部が一任をとりつけたようです。これで焦点は反対票がどれぐらい増えるか? です。どうも輿石幹事長は党分裂止む無し、で腹をくくったようで、粛々と手続きをすすめている。後は分党を認め、政党助成金を渡すか、という判断まで輿石氏が関与することになるのでしょう。いずれにしろ、党分裂の責任は誰かがとらねばならず、それは幹事長がもっとも適任になるため、です。

恐らく、党分裂後は自由度を増した小沢氏が、連携や支持母体めぐりなどで多数派工作に動くことが確実です。小沢氏の最大の懸念は、この辺りのことより参院だと思われます。衆院は解散しても参院選は来年です。そうなると参院に議席がなければ、力をもちえないん。その戦略を考えたとき、今の輿石氏の『粛々と』した態度が何を意味するか? それが明らかになるときもあるのかもしれません。
野田氏はG20も早々に切り上げ、帰国の途につきました。プーチン大統領とも北方領土問題について話し合いを始める、という事務方でもできる成果しか持って帰ることができなかった。これで、国内に帰ってきて増税法案について、党内にどう説明をつけるか? これが衆院採決ので造反の数にもかかってくるのでしょう。ドジョウの泥を誰がかぶるか? それは民主党議員全て、ということかもしれません。マニフェストに縛られる必要は、必ずしもないかもしれませんが、努力もせずに時間が来たから約束を破らせて下さい。ドジョウは硬骨魚ともされますが、そんなところで硬い相手では、多くの仲間を泥に沈めるだけということになり、泥舟から逃げだす人間が今後も増えることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年06月18日

ギリシャ選挙の結果について

自公が民主に対し、21日採決を強く促しています。これは、民主が選挙において唯一敗北を最小化できる手について、自公も気付いているためにそうしています。その手とは、即ち野田氏の両院議員総会を開いて、野田氏の解任動議をかけ、野田政権を失脚させて新たな政権を樹立、消費税増税反対を訴えて選挙にでる、という奥の手です。新政権のご祝儀相場、自公との対立軸、実に有利に選挙を戦えることになります。
菅前首相は、自ら消費税増税を表明して参院選、大敗を招きました。普天間迷走があっても、新政権にはご祝儀があります。自公は増税前向き、というレッテルを貼られて、対立軸を増税、原発再稼動におかれると厳しい。当然、そのときは民主の分裂、増税派は駆逐されるので、選挙結果がどうであれ連立を組みたい自公としても、看過できない。だから野田氏に援護射撃をする、という構図ができあがります。

ギリシャ選挙で、新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が過半数を占め、急進左派連合(SYRIZA)を破りました。ただし財政緊縮派、そうでない派、という色分けは正しくありません。選挙期間中、スペインの金融支援策をみて、NDも支援における条件を改めてユーロ圏と協議する、と訴えており、NDが勝利しても、SYRIZAが勝利してもユーロとの再協議が待っているからです。あえて言えば、先の支援条件を前提として交渉する側か、支援条件を破棄して新たに交渉する側か、の選択だったというに過ぎません。
日本でやたらと、財政緊縮派が勝利し、当面のユーロ離脱は回避…と報じられますが、SYRIZAもユーロ離脱は訴えていない。なので、この報道は誤りです。ND、PASOKの連立でもユーロとの交渉に失敗すれば再選挙です。結果的に、問題が解決しなければどの政党が勝利しても、いずれユーロ離脱となることが規定路線なのです。なのに、なぜこうした報道をするか? といえば最善の選択だったと述べたいだけ、です。
つまり選挙によって、対外的に結んだ条約といえども、新たな政権は破棄できる、新たに交渉できる、ということを覆い隠すためには既存の与党に勝利して欲しかった。日本も政権後退を果たしましたが、まるで交渉できないか、のような誤った報道が目立ちます。しかしこれも、互いの関係で培った利害をもち、新たな調整が必要となる官僚にとって、それが不都合だからこそ、日本では再交渉をできないように報じられます。政権交代とは、それだけの意味をもつことであり、今回は政権が維持されて弱い交渉力となったために、ユーロ圏にとっては厳しい交渉をしなくなって助かった、という意味になります。

米国のガイトナー財務長官が、ユーロ圏に対し、統一した銀行監督機関などの創設を求めています。しかしこれこそ難しい。金融、財政、保険、社会保障などまったく異なる国同士で、銀行のみを監督しても意味がありません。これは資金の運用方法の差、という意味であり、さらにスペインのように、すでに不良債権が溜まっている金融機関と、これから不良債権が膨らみそうな金融機関、比較的健全な金融機関、とスタートが異なる以上、これから監督機関をつくると逆に不安材料が増す、ということになりかねません。
先に、欧州では金融機関へストレステストをかけ、その数週間後には健全とされた金融機関が破綻するなど、甘い監督が指摘されてきました。ギリシャにしろ、大事なことは機関があることではなく、仕組みを信用に足るものに改めること、です。ギリシャ選挙は、その意味では何も選択されていないので、市場でみても一時的な好感だけに終わる、ということでほぼ間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | 政治

2012年06月17日

民主は『野田で選挙』をするのか?

野田政権執行部が、8月末までの会期延長を画策しているようです。消費増税法案を衆院に通せる、その場合は参院を通すために会期延長、ということで執行部の自信が見え隠れします。しかし党の了承をとりつけられるか? 今週が一つの山場ですが、その点を考察してみます。
小沢系はここまで消費税増税反対、を訴えて前言を翻すと、それこそ袋叩きに遭うので今回は採決まで行っても反対するはずです。問題は中間派の動き、です。官邸周辺は小沢系のみ30名程度が反対、とみていますが、今回公明が修正案を呑んだことで、年内に選挙が確実になりました。つまりここで消費税増税法案を、党として呑めば『野田で選挙』が現実味を帯び、それにお墨付きを与えるかどうか、という判断がここにかかってきます。民主党議員の判断とは、実は選挙における重要な決断を自ら下す、ということでもあり、失敗すればそれは議員の職を失う、という現実を突きつけることになります。

野田氏は多重苦です。増税、原発再稼動、選挙公約を守れない、前回大勝の反動減、さらにここに来て党をまとめ切れない指導力不足、上記以外で政策的に何をしたいか不明、次の選挙でマニフェストさえまとめられるか分からない状況です。野田政権で選挙になると上滑りの選挙公約しか示せない。それでいて一度、マニフェストの撤回をしているので、もう誰も国民は信じてくれない。ここで増税に合意する、ということは、次の選挙は民主党の旗を掲げて戦えない、ことを意味しているのです。
恐らく11月が公明と約束した選挙リミットですが、8月オリンピック解散が囁かれます。代表選を越さない、これはまさに『野田で選挙』です。仮に11月まで選挙を延ばすとしても、野田氏をひきずり下ろす理由がない。増税に賛成すると、野田氏は必然的に自ら掲げた目標を達成することになる。支持率低下や、マニフェスト違反を指摘しても、ここで賛成票を投じる、という行為がそれを容認する形になる。さらに、党内の逆風を感じれば代表選を待たずに衆院解散、という選択肢をとれるので、結果的にここで消費税増税に賛成、という行為が、まさに『野田で選挙』を選択することになります。

多重苦の党首を抱えて選挙する。さらに、民主党が抱える問題は、仮に第三極が出てくれば、小選挙区制の中で優先順位が第三極、自民、民主の順になることです。これは無党派層の投票行動であり、支持母体が加わるとこの結果がそのままにはなりませんが、最初から三番目では、小選挙区制の下で勝てる見込みはない。極論すれば公明の選挙手法と近くなり、比例に望みを託す議員が続出するはずです。これは中堅に厳しく、古参優遇の党の態度からも、救われる議員は少なくなります。
今週、消費税増税法案に賛成する、とは上記のように選挙を見据えた行動になる。第45回衆院選では、自民と民主の立場が逆転した。これは2大政党制を国民が意識したため、自民でないなら民主、という選択をした形です。しかしここで民主と自民が組んだことで、以前指摘したように第三極と、民自公の対決を国民は志向しやすくなった。もし2大政党制を国民が再び意識するなら、第三極が第一党に躍り出る可能性は十分、内包される選挙になる、ということです。その際、仮に200程度をその3党で別ける、と考えたとき、どの党がどれぐらいとるかはおして知るべし、です。前回の選挙では、自民が一気に3分の1近くまで議席を減らしましたが、もし民主が『野田で選挙』を選択するなら、逆にどれぐらい議席を減らすか? ということに国民の関心がむかう可能性は大なのでしょうね。

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2012年06月16日

経済の話。ギリシャ選挙とその後

明日のギリシャ選挙に世界の注目が集まります。ただ、新民主主義党(ND)だろうと、社会主義運動(PASOK)だろうと、急進左派連合だろうと、事態は変わらないと見ています。まずユーロ離脱とは、どの党も訴えていません。ただ緊縮だけでは景気後退を食い止められなくなっており、EUとの合意を見直す時点で、その内容に市場は動揺することになる。それがユーロ離脱を余儀なくされる内容なら、世界は震撼します。新政権が樹立できるかも分かりませんが、仮に過半数を占める連立政党が誕生し、それがEUと協議するタイミング、そこが一つの転換点になってくるのでしょう。

米国の消費者物価指数がマイナスとなり、市場のQE3期待が一気に盛り上がっています。前回のQE2もデフレ懸念が一つのキッカケだったため、です。さらに世界の中央銀行による協調行動が発表され、期待が先走る形で米国市場は上げました。日本では株底打ち、円高の転換点、などが盛んに報じられるようになっています。ギリシャ選挙を超えると、一旦の悪材料出尽くし、で買われるタイミングではありますが、残念ながらそれほど大きな反発にはなりにくいのが現状です。
協調行動も、市場が動揺すれば…という制限つき。日銀の金融政策決定会合でも、買取り枠の増額が示されなかったように、混乱が前提です。ただ混乱後に対策をうつ場合、見せ金の規模を大きくしなければいけません。例えば日銀のETF買いは、下げ相場で買い支えていますが、効果は限定的です。米国では、市場が気迷いムードのときに買い上げ、上値を追うことで景気をよく見せる効果があります。この点でも、日銀の後手にまわる対応と、FRBの対応は異なりますが、たまたまFOMCが来週だったため、対策がないまま明日のギリシャ選挙を迎える、という形になります。

ギリシャ選挙を越えても、動揺しない理由の一つに、来週のG20があります。もし世界が動揺すれば、G20でも対策が話し合われるとの期待が、下支え要因です。そんなG20で、野田首相がロシア、メキシコ、インドネシアの大統領との会談が発表されました。ロシア以外は明らかに対日貿易や、投資を拡大して欲しい国であり、拡大解釈すればロシアも同様と云えます。欧州債務危機で、ロシアの資源輸出に停滞感が出ており、経済の好調を売りにしてきたプーチン大統領の支持低下も重なり、国内情勢の混迷が、経済規模は大きいのに輸出額が大きくない、日本の首相と会談する理由です。
天然ガスなど、ロシアとの貿易にはメリットも多いですが、ロシアは政治的な理由でパイプを閉める国なので信用はおけない。調達国の多様化、という意味では価値があっても、それ以上ではありません。インドネシアも天然資源が豊富ですが、すでにLNGは多く輸入しており、価格交渉ができれば別ですが、今以上のメリットは少ない。ロシア以外は友好国との会談、というに過ぎません。

野田首相は、日本でほとんど語られませんが、海外での評価が著しく低い首相です。米国は4月の首脳会談後なので、ここでやる必要はありませんが、あの時も待遇は極めて悪かった。今回も欧州債務危機を迎えて、経済大国である日本の首相に、会談のオファーがほとんど来ない。存在感のなさが、日本では敵をつくらないともされますが、海外から見れば箸にも棒にもかからず、会談する意味がない。日本は、為替介入でも同様ですが、動いたものに対して反対売買を仕掛けるだけで、主体性がないのです。後の先をとれないような手法では、世界から注目されず、見放されるだけなのでしょうね。

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2012年06月15日

民自公の三党が修正協議でほぼ合意

オウム真理教の高橋容疑者が逮捕されました。また政治日程としては重要な日に、大きな事件がぶつかった。これが偶然なら恐るべき確率です。一方で、偶然とは思われないのが政治の重要日程で、必ず起こるのが小沢氏と、その周辺のスキャンダル記事です。まず小沢氏の妻が、支持者に送ったとされる直筆の手紙が、文春に掲載されました。ただ、これを鵜呑みにできないのは、すでに離婚にむけた動きがある中で、一方が相手を貶めるために手紙など、証拠として残る形で悪し様に言い、離婚調停を有利に進めようとすることはよくあること、だからです。
例としては不適切ですが、仙谷氏のセクハラ裁判があります。週刊誌には会話が詳述されましたが、裁判ではそれを不採用とし、ただセクハラまがいの発言があったことは認めました。密室、特に家族間の会話を一方の発言だけで特定するのは、困難です。水掛け論に終わる場合が多く、離婚問題のこじれにおいて、一方だけの発言をとり上げるわけにはいかない。メディアの大半が無視した理由も、これで説明つきます。一方で、田中美絵子議員の路チュー問題は、完全にプライベートなので、それが明かされると困る議員は山ほどいる。これは狙い打ちなので、問題が拡散することはないのでしょう。

民自公の協議が多くを『棚上げ』で、増税先行を容認しました。採決して民主党分裂を誘いたい自民と、採決させずに解散に追い込みたい公明、という構図もありましたが、三方が不可解な一両損を合意した形です。民主はマニフェストの旗を降ろし、自民は民主の攻撃材料を消し、公明は選挙を先送りした。この中で、自民が最もほくそ笑む形ですが、恐らくここで三党の形が極めて問題が多い、と国民に知らしめるので、次の選挙は民自公 VS ○○党、という形になります。つまり民自公で一つ、それに対抗する政党探しが始まるので、実は三党がすべて議席を減らし、損をすることになるのです。
簡単に云えば、各選挙区は民主、自民の対立構図がありますが、ここに第三極が対立候補を送ると、民自 VS 第三極となり、民自の票が割れるのです。大連立は大政党にとって非常に不利ですし、国民会議をつくって議論すれば益々一体感が強まる。さらに公明がここに加わることで、年内に選挙の圧力が高まる。先送りしても、ギリギリ予算案が固まる11月、それ以後は予算や都議選、参院選などと連続になるので、早くしたい思惑が公明には働くため、選挙日程はほとんど限られてくるのです。

今回のことで判明したのは、野田氏、谷垣氏ともに大連立で代表選、総裁選をのりこえる腹だということです。脆弱な党首同士が、自分たちでないと大連立をまとめられない、と主張して党に縛りをかける。そのための合意が今回、ということなのでしょう。ただこれは幾つか、不透明要因を残します。まず自民は落選議員が、選挙が遠のくことで執行部に不満をもつ。民主は分裂により、支持母体も割れるので、次の選挙は大敗がみえてくるため、党に残るなら次の選挙を先に延ばしたい。しかし公明は、そうもいかないので公明の協力を得たい自民も、年内解散で合意するしかない、ということです。
しかも民主が分裂後、年内に解散してくれれば来年の政党助成金は確保できるので、分裂した側も早期解散を望む。干上がらせたい民主も、公明の意を汲まないわけにはいかない。まさに増税法案の合意、仮想の大連立シミュレーションにより、今後は日本をどうしたいかより、日程をどうすれば自分たちに都合よいか? といったレースを今後、始めることになるのでしょう。本当に残念ですが、衆院で消費税増税法案が可決するようなら、上記のような政局国会が今後起こるのは、ほぼ確実です。そのときは既成政党離れが加速し、次の選挙では大きなうねりが起こることも、確実なのでしょうね。

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2012年06月14日

選挙制度改革は与党単独提出か

新型輸送機オスプレイが墜落、という記事があります。考えてみれば簡単で、パイロットは飛行機とヘリの2つの技能がいること、さらに翼があることで風の影響を受けやすい。さらにコンピュータ制御であるため、不測の事態に対応できない。人間は考える以上に、様々な入力を処理する能力があり、結果としてその部分が、この機体では排除されているため、事故はあらゆる意味で『技術力のなさ』に起因します。さらに事故がおきた場合、米軍による情報隠蔽の可能性まで考えると、簡単に配備を決めてはいけないものであり、今回は見送るべきと云えるのでしょう。

政治的には明日が与野党の交渉期限とされますが、恐らく野田氏がG20に旅立つまで、交渉は続きます。野田・谷垣会談で最終合意ともされますが、両者とも党内に抵抗勢力を抱えるため、そこが最終地点ではない。手順前後し、党内合意が得られぬうち、トップ会談で決着すればさらに抵抗が激化します。この件で、いくつかのメディアでも分析がありますが、野田政権が抱えるのは何も社会保障・税一体改革ばかりでなく、原発も同じです。民主党で117名の反対署名は、一つの力です。
仙谷氏主導ですすめられる原発再稼動、原子力規制庁、さらに原子力防災会議の設置も決まりました。また権限の棲み分けが難しい組織を、幾つも立ち上げて、結果的に混乱を助長させたいようです。原発廃炉が40年も形骸化しましたが、設計年数は40年であっても、応力腐食割れと呼ばれる劣化が、炉にも及んでいることが後に判明したため、実は40年も耐性がない。だから廃炉にするか、炉の交換が必要ということなのです。炉は胴部、下の湾曲部などに溶接があります。恐らく非破壊検査はしているでしょうが、脆くなっていればそこから破断する恐れもある。決して40年が安全なわけではないのです。

そんな中、輿石幹事長がここに来て、選挙制度改革に0増5減に比例40減を追加する改革案を、与党単独で提出する構えです。さらに次の次の衆院選ではさらに35減、マニフェストに則ることで明確に社会保障改革の与野党協議と、一線をひいた形です。さらに連用制を適用し、自公分裂もはかる。この終盤にかけて、マニフェスト堅持を掲げた輿石爆弾が、マニフェスト撤回でつき進む他の議論に対し、楔を打つように入った。これは各政党の思惑、力関係にも一石を投じるはずです。
本来、社会保障などは政党の利害が対立し、選挙制度は与野党が胸襟を開いて決めるべきものです。しかしそれが逆転している。選挙制度改革が与党単独になったことで、他の審議にも影響を与えるのが常です。しかし自民も消費税増税を民主党政権の間に通してしまえ、という勢力が依然として強く、自民にとって呑みにくい提案でも、受け入れるかもしれない。選挙制度改革が通れば、解散にむけたハードルも下がり、思惑が走りやすい一方で仮に勝利しても大差がつきにくい制度となります。

すでに大連立が成ったかのような話し合いが進む一方、それが国民にとって何の利もないことが、今回の与野党協議で自明となりました。原発の動きなど、工学的にみてもリスクの高いことを、利権者の代弁となって認めてしまう。最も大事な社会保障は先送りし、消費税増税という本来、後に回してもいいことだけ合意してしまう。政治は、すべて手順を前後すると悪法になるのです。やるべきタイミングを誤れば、長期の景気低迷を招くことを覚悟し、今後の推移をみる必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年06月13日

原子力規制委員会の設置にむけた関連法案

昨年8月、中国の人民解放軍系列の企業が、北朝鮮にミサイル運搬用の車両を輸出していた件を、日米が把握しながら公表していなかった件が報じられました。安保理違反である件を握って、何か外交上のカードとして機能させた、というのではありません。むしろ日本はそのカードを米国に丸投げし、尖閣諸島を初めとする交渉材料ともしない、弱腰外交をこの点でも露呈した形です。
丹羽中国大使の発言も、明らかに弱腰外交の極みであり、この点でも政府と丹羽大使の態度は一致していた形です。だから更迭しない。外交上、失敗し続ける野田政権では、G20でもNo order、誰も会談してくれない事態になりかねません。野田氏は驚くほど、外国要人と会談してもらえない首相であり、外交上の成果は何もありません。ほとんどがEFSF債購入、ASEANへの2兆円支援、などのいわゆるパトロンのようなお金を出して終わり、という歪んだ関係しか築けないのが現状です。

民自公で、原子力規制委員会設置関連の法案が、大筋合意しました。原規制委は国家行政組織法3条に基づく三条委員会とし、有識者5人で任期5年、原発が事故を起こした場合は判断、指示などの強い権限を有し、首相の指示権は原規制委を超えない範囲に限定されます。さらに原子力規制庁を事務局とし、5年の経過措置後はノーリターンルールで、出身官庁に戻さない、としています。
これは非常に問題があります。まずノーリターンルールなど、経過措置の間に利権を確立し、もどるか、もどらないかを判断するのみで、意味はありません。さらに有識者が『原子力ムラ』の人間ならば、情報隠しや不透明な操作など、やりたい放題にできます。さらに間接民主主義の観点からも、シビリアンコントロールが利かない。原規制委の情報発信体制を含めて疑問が残る内容です。

事故などの緊急事態の際、最大の懸念は素人の介入ばかりでなく、現場が最も情報を知ることから、政府や本店からの対応に現場の作業員が時間を割かれること、です。結局それは有識者とて同じ、現場をよく知り、詳細に情報収集している人間は、原発に否定的な人間の方です。今の政府が任命する委員では、原子力ムラの人間ばかりとなるでしょう。その場合、正しく対応できる保証はありません。
結局この法案は、電力事業者と原子力ムラが、非常事態に政府などの監視を逃れて不正を働くことを容認した、というに過ぎません。三条委員会だから政府と一体だ、という議論にしても、素人の政治家に小出しに、限定的な情報を与えて世論をミスリードする、官僚の手法をつかえばいつもの通り、世論とは乖離した形で原子力を恣意的に扱えることになる、というだけの話となります。

今の民自公の協議をみると、すでに大連立が為されたかのような、極めて不透明感の高い形で、様々な物事が決まっていきます。それは一部の特権による専横、とみなすことさえでき、政治が機能不全に陥る一歩手前で、一部の政治家により壟断がおきている、という言い方さえできてしまうのでしょう。この原規制委設置関連法でみる限りにおいても、判断の劣化は覆いがたく、結果的にこの三党に対する国民不信が増すばかり、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2012年06月12日

スペイン金融機関への1000億ユーロの支援

市場が乱高下しています。原因はスペインを巡る報道です。週末、1000億€の支援を欧州財務相による電話会議で、あっさり決めました。ただし詳細は未定、それを好感する動きもありましたが、1日経つと今度は仕組みの不透明さが嫌気される形です。さらに思惑が重なってきました。
1000億€を、仮に欧州安定メカニズム(ESM)が賄う場合、優先債権者となります。その上で金融機関という、国が担保すべき部分にESMが融資することで、上位にあるはずの国債が、デフォルトの位置づけになるのではないか? 欧州金融安定基金(EFSF)は、あくまで基金なので地位は曖昧、しかしESMは各国が合意した条約に、ESMが上位にあることが記されており、強制的に優先債権者の扱いになります。このスペイン国債のデフォルト扱い、という話に1日で市場が反応した形です。

さらに、ギリシャ国債の場合、二次支援実施の条件として53.5%のヘアカット率で、96.9%の民間債権者が参加した、とされます。ギリシャとは比べるべくもありませんが、無条件支援には違和感もあります。しかしギリシャ選挙を控え、このスペイン支援が選挙にも影響を与えるため、条件や詳細などは発表されない。すでにギリシャ、ポルトガル、アイルランドなどの既支援国は条件緩和にむけた動きを始めており、それはギリシャの選挙戦においても各政党が同様の訴えをみせています。
スペイン支援の詳細は、週明けにしか発表されない。市場はその不透明さを嫌がります。さらにスペイン政府が、国への支援ではなく、金融機関に直接支援を条件としたことで、政局化は避けられたものの、仕組みが複雑化した。国債ばかりでなく、金融機関の民間債権者は、すでにデフォルト扱いになるのか? もし今回はそれを逃れても、破綻した場合はESMが優先して債権を回収してしまうため、金融機関の貸し渋りなどが一層、厳しくなるのではないか? そういった懸念もあります。

あっさりと決めた支援の結果、逆に市場はもっさりしてしまった。一応の歯止めはかかりましたが、1000億€のESM債を発行した場合、誰が引き受けてになるか? 恐らくは欧州系金融機関にとっての、第二の独国債のような安全資産の逃避先となり、さらにリスク資産となる弱体化した国の国債は、叩き売りに遭いかねない。この辺りに見通しがつくのは、6月後半となってしまいました。
さらに日本は、6月のメジャーSQを通過し、ポジションが軽くなったスジにとって、値動きで稼ぎやすい環境にもあります。落ち着きない市場ですが、当面は8千円台の前半か、後半かで綱引きを続けるのでしょう。残念ながら、今は主体性のない噂で、思惑の売買がはしる程度です。これも日本経済の弱さであり、その弱さを生む遠因が外需依存、という内需を無視した経済政策にあるのです。

日銀政策決定会合で、何か出るようなら来週のFOMCの先取り、といった感じで期待も盛り上がるかもしれません。ただ、米国でも一気にQE3期待がはしっていますが、大統領選前に大型の金融政策を打ち出すとは、到底思えません。FRBが政治に介入した、と受け取られかねないからです。それは日本も同じはずなのですが、選挙にむけて首相が言及しても、ほぼ選挙がないかのような動きです。それをみても、首相の言葉の軽さ、政治軽視の日本的体質が見え隠れするのですが、消費税増税法案から景気条項を抜く、という行為を容認している時点で、やはりこの国の経済政策には期待できない、日本経済の弱さを如実に表してしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2012年06月11日

雑感。クーデターが起きる?

大阪東心斎橋で通り魔事件がおきました。最近、こうして自己破壊衝動を、他者にむけて晴らすといった残虐な行為が増えています。社会心理学のフロムによれば、破壊欲という言葉で語られますが、自己の痛みを伴わない分、自己を蔑んで亡き者にしたい、その代理を他者に重ねてしまうのは安易な解決です。今は社会を安定させ、生活の見通しを多くの国民がつけられることが、一番の解決策になると考えますが、政治・経済がまったくその任に応えられないことが問題です。

読売の世論調査で、見出しは『消費税増税法案、修正・成立を…64%』というものがありました。これは成立を望む人が多い、と誤解させる見出しであり、要するに法案を通すなら…という前提において修正が多い、というに過ぎません。法案自体に過半数が反対しているのは、他の世論調査と同様なので、少数意見のさらに少数の意見を汲みとったものを、錯誤させる見出しをつける。残念ながら、読売はもうどこへ向かっているのかさえ、分からない新聞社になってしまいました。
その消費税増税法案が、民自公の修正協議で、とんとん拍子ですすんでいます。ただ、野田政権内でも、安住財務相のいい加減答弁にみられるように、野田政権が討ち死にとなることを察し、やる気を失った閣僚もいます。特に、安住氏は消費税増税法案の重要閣僚でありながら、党間調整になっているため蚊帳の外。仮に法案の採決までいったとして、国会が混乱すれば野田政権が総退陣するか、誰かが詰め腹を切らされる。それには財務相が適任で、どちらにしても政権には残れません。

自民が求めるマニフェスト撤回を、野田氏が呑むとすれば、それはマニフェスト選挙で当選した民主の各議員の正当性を疑わせる。結果として、まさに党代表として党員の上に立つのではなく、大局(大きな省庁)の上に立つことになります。逆にいえば、野田氏は民主を切らないと法案成立できない。これは小沢切り、と矮小化されたものではなく、野田氏による背信、もしくは裏切りになります。
そんな中『クーデター説』が国会の予算委で飛び出しました。内容は、野田氏がG20に行っている間、与党内で倒閣運動が起きるのでは? というものですが、これも増税派の仕掛けです。仮に15日までに採決するなら当然、混乱したまま野田氏はG20に出席しなければならない。倒閣どころか、基盤がぐらぐらで国際会議に出席すれば、益々野田氏は追い込まれてしまう。それを避けたく、最初から負の情報を流してけん制する。この質問が野党から出る辺り、すでに話し合いができている印象を強めます。

少数与党、という体制はいくつかの国でみられますが、野田グループが与党内少数勢力となった場合、それに異を唱えることが、果たしてクーデターなのか? クーデターは、元は仏語で、その仏国では下院選挙で緊縮財政派ではなく、経済成長路線派が大きく議席を伸ばしそうな勢いです。国民の意志を反映したほうが、多数派を得るのが議会制民主主義であるなら、どちらに民意があるかは、世論調査でも明らかでしょう。増税法案でクーデターがおきるより、クー・デ・グラース(トドメの一撃)を刺されるのがどちらか? もう一度しっかり考えないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年06月09日

2つの裁判所の判断について

株式市場の6月メジャーSQは8613円でした。ただ急ピッチの上昇を促した要因、その巻き戻しで安く引けています。週末の中国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.0%上昇と4月より低下しており、資源価格の下落などが寄与したようです。ただ今後は人民元安に誘導し始めたことで、輸入物価が懸念されます。一方で、欧州ではスペイン救済が語られますが、無制限ではないでしょうから条件次第、14兆円とされる金融機関の不良債権に対し、どの程度で自己資本が改善するか? などの様々な要因が絡んでくるので、米国のように楽観ばかりはし難いのかもしれません。

今日は2つの裁判の話題をとり上げます。大阪高裁で、小学生が蹴ったボールで転倒してケガを負った事件の裁判で、加害少年の両親に対して、1100万円の賠償を命じる判決がありました。詳細な状況が分からないので、概念的なことを述べれば、まず少年はゴールに向かって蹴っていること。つまりゴールすれば事件は起きていなかった可能性がある。一方で、学校周辺は徐行が推奨されており、速度はどれぐらい出ていたか? それらを考慮しても、1100万円は高額な印象です。
どんなに注意していても、事故を起こせば業務上過失で、賠償は必要です。ただ事故による被害は骨折。その後、認知症がでて死亡するなどの不幸はありますが、あくまで事故後の問題です。例えば、今は医学界でも見方の別れる脊髄液減少症など、もし事故の影響で
症状が出た場合、賠償の対象となり得るのか? これは事故の補償に関わる、重大な問題です。その一方で、高さ1mの門扉の前にゴールを置く。当然、外すこともあるので、それを前提とせず、設置した側にも当然過失が生じています。特に、その先に道路があるなら尚更、対策が必要だった、と云えるのでしょう。

東電女性社員殺害事件で、再審開始が認められました。警察幹部が、もしこの案件で再審が認められたら、他の裁判でもほとんど再審になってしまう、という発言が伝わりますが、まさにその通りです。状況証拠をいくら固めても、直接証拠がなければ弱い。さらに検察が開示しなかった資料の中に、第三者の関与を疑わせる、さらに犯行を否定する内容が含まれていたこと。つまり隠蔽により、有罪と断定できるだけの状況証拠を提出し、裁判を有利に導こうとする作為的なものがある限り、その時点でこの事件は再審し、事実を明らかにしなければならない事例です。
先の事件は、業務上過失です。ただ、過失割合としては低い。なのに民事としては大きな賠償を命じられています。この東電女性社員事件は、検察による故意で、無罪の人間が十年以上の刑罰をうけています。どちらが問題の根が深く、より解決しなければいけないかは火を見るより明らかです。検察が、重要な証拠を隠蔽していた場合は、刑事事件としても良いのでしょう。なぜなら、もしそれで無罪が推定される人間が、刑罰をうければそれも肉体的自由を奪う、という傷害に等しい影響を相手に与えるためです。
内規での処分でなく、刑事罰にしなければいけないのは、現在の警察、検察の甘い体質では、一向に改善しないためであり、警察官、検察官への処分は第三者機関が下す、というぐらいの強い抑止力も必要ということです。検察、警察は新たに出てきた証拠に、紳士に向き合うぐらいでないと、やはり国民からの目は厳しくなりますし、それは昨今の事件に共通する事象として受け止められるということなのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2012年06月08日

大飯原発再稼動に関する会見

野田首相が、大飯原発3、4号機の再稼動について記者会見を開きました。15%の需給ギャップについては、早い段階で臨時発電機を導入しておけば、ほぼ賄えたとの試算もあります。つまり関電は、原発再稼動を促すために、あえて電力不足を煽った。ギリギリまで引っ張って、仕方ないから…と、野田政権では、お決まりパターンをとったわけです。電力不足が、事前にわかっていて、どうして臨時の発電機を手配しなかったのか? その答えは会見でも聞かれませんでした。

経産省で、東電の値上げ申請についての公聴会が開かれました。その中で、従業員の給与を下げるとモチベーションが下がる、人材・技術が流出する、との発言もありますが、ならば低い給与でもモチベーションの高い社員に入れ替えればよい話です。また、東電は技術畑ではなく、管理が主な業務なので、特殊技能のいるものではありません。例えば原子力安全委が、安全指針に全交流電源喪失に関して、対策を盛り込まないでいい理由を東電に作文させた、という件がありました。しかし東電が作文したのではなく、メーカーに作文させ、それを東電が添削したとの事情が伺えます。
発電所などは設計、建設したメーカーが、その後の定期点検などを受注する構図が多いので、東電に技術力は要らない。これは車を買って運転していても、構造を知らないのと同じ、しかも東電はその運転すら直接には下請けメーカーに投げている可能性がある。その場合、東電に技術がないのは当然で、東電社員でなければできない作業は、ほとんどありません。モチベなどを持ち出すのは、よほど東電に阿りたいか、事情を知らない人間でしょう。下請け、孫請けの人間なら、給与の下がった東電に移ったとしても賃金は上昇し、意欲高く作業してくれることを忘れてはいけません。

帝国データバンクが発表した5月全国企業倒産集計が、前年同月比5.1%増となりました。西日本が増加しており、復興が動き出した東北より日本全体へ震災の影響が波及している印象です。さらに問題は、中小企業金融円滑化法をうけた企業が、24件の倒産。これは先に、リーマンショック以降の緊急措置として、信用保証協会が金融機関の融資に、100%保証をつける制度を、今年度で廃止方向となる際の理由であった、役目は終わったとの説明と真逆の状況にあることを示しています。
ただし、この緊急措置は4兆円程度の焦げ付きを生み、すべて国費で賄わなければいけないため、早めにやめるべきです。そもそも、金融機関は融資する際、健全な中小企業までこの保証をつけさせ、倒産リスクを回避するなどモラルハザードが起きていました。一方で、一旦この制度をうけると、経営に不安があるかも…との見方をされ、その後の融資がうけ難くなる、との弊害も指摘されます。これは目的はいいが、手法が誤りなのであり、この措置がなくなると倒産件数も増加します。

金融庁が、地銀に対して有価証券の評価損を組み入れなくてよい特例を、今年度末から2年延長すると発表しました。これも誤りです。スペインの貯蓄銀行も、不良債権をためて破綻懸念が生じ、資金繰りがつかなくなりました。自己資本規制を先送りしても、不透明感が強まり、連鎖倒産を起こし易くします。一つ、破綻すると次の破綻する地銀探しが始まる、悪いパターンに陥るでしょう。
一方で、電力会社などの大企業を優遇するのも間違いです。中小企業は国を支える基であり、大企業はその上にのった上澄みです。上が消えれば、下から新たな企業が伸びる余地を生み、それが市場を活性化します。中小を切り捨て、大を生き残らせる手法が、社会の停滞を生むひとつの要因だからです。正しく生き残る大企業を切る必要はありませんが、失敗した産業、つまり電力業界のような、多様性を失ったものは早晩、改革が必要なところです。電力不足を起こさないことが責務、と盛んに述べていましたが、原発でない電力供給手段もあったはずなのに、その行動をとってこなかった責任は、一体誰がとるのか? その説明から必要だった、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2012年06月07日

雑感AKB総選挙と国政選挙

中国が貸出基準金利を0.25%下げ、1年物で6.31%。預金基準金利も0.25%下げ、一年物定期預金で3.25%としました。インフレが3.4%もあり、目標の4%以下とはいえ高い中ですから、やはり中国の景気はかなり悪化していると見てよいのでしょう。ただし、今の市場は緩和期待を好感する相場です。ただ戻りが早く、これはアルゴリズムが売り買いを支配する今の環境、しかもデリバティブの取引が拡大した中では、仕方ないことです。期待が高まり過ぎる状況ですが、この期待を満足させるだけの資金は、中央銀行としても出しにくいところではあるのでしょうね。

昨日、AKB選抜総選挙がありました。結果に興味はないのでふれませんが、選挙の盛り上がり方をみると、国政選挙にも生かせないかと感じます。ただし、最近の傾向としてブームと呼ばれるものが明らかに以前と比べ、変遷しています。事務所押しで、CMやドラマにでていても、好感度は決して高くない。それはAKBも同様で、ネームバリューはあっても高視聴率を稼げる、キラーコンテンツではない。一方で韓流もブームとされ、昼のBS放送はほぼ席巻していますが、流行ってはいません。
これは『価値観の押し付け』を嫌う流れ、ということです。誰かが意図的に押しつけてくる、そうしたものには拒否感を生じる。これはゆとり教育の影響もあり、価値感は自分で判断したい、という考えが増えたためでもあります。ただAKBと韓流に若干の差があるのは、AKBは劇場で下積み時代があり、ともに成長するアイドルだった面が影響しており、価値観を共有できるため、アンチがいても強い嫌悪を生じない。一方で韓流は、作られたブームとの印象が強く、嫌韓も相当数に上ります。

これは国政においても、同様の傾向が現れています。政治家の声が届きにくくなっているのは、政治家が誰かから与えられた価値観、情報で喋っていることに気づき始めた。それは顕著に、野田首相にみられることです。社会保障費が拡大するから、増税が必要としか述べない。もし本当に、自分がそれを語るのなら、十重二十重に理由を語り、議論を尽くしてくるでしょう。それがないのは、官僚が細かい説明をするとボロが出るので教えない、そのため底が浅く見えてしまいます。
押し付けられる価値観、ではなく、ともに作り上げる政治。これが一つのキーなのでしょう。マニフェスト選挙が、民主の失態により形骸化していますが、もっと広く国民の声を公募し、それを掲示板に張りつけ、議論を促す。今、警察はネット規制に舵をきっていますが、逆手にとればネットを活用し、選挙並みの声を集めることが可能です。最終的にはVOTEによって決め、それをマニフェストとして載せる。これは国民との約束なので、政治家がそれを達成できない場合、轟々たる非難をうけます。

今の政治は、自分たちで決めたことを国民に提示し、支持して下さいと訴えます。しかしこれは逆転の発想、みんなで決めたことを実現するため、支持して下さいと訴える。これは地盤、看板のない政党でも、多数をとれる仕組みである一方、支持母体をもつと足かせとなり、政策の自由度が限られる手法ともいえます。AKBとて、一部の熱狂的な支持により支えられている、とされますが、今の政治は一部の利権者に都合よいよう、支えられているばかりであり、国民目線から乖離している、と見られています。国民の支持が集まれば、それが霞ヶ関を動かす力ともなっていく。意見集約のやり方を変えれば、国民の関心も集まり、政治がよい方向に向かっていくことができるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2012年06月06日

民自公で修正協議入り

民自公幹事長会談で、消費税増税法案の修正協議入りが決まりました。自民の溝手参院幹事長が、輿石氏を「支離滅裂、精神分裂、ヌエ」とまで称しましたが、輿石幹事長の「首相と思いは一致」で、日程を確約されずとも合意した形です。しかし与野党、主流派、非主流派ともに実現性は低くても、仰天プランを検討してみました。これには衆院採決で可決が微妙であることが影響します。

原発再稼動、消費税増税にむけてマニフェスト撤回、自民案丸呑み、これで民主党内の造反は確実に拡がります。最大200が反対に回ると、自民と合わせても賛成は200、公明は最近の山口代表の発言からすると反対なので、この時点で反対が上回ります。そうなると自民内の反対勢力が活気づき、また増税法案成立の最大の功労者、という汚点を背負って選挙戦にはしたくないため、自民党内からの造反も20人規模で出てくる可能性がある。民自とも造反が増えると、双方とも除名や党籍剥奪ができず、また内閣不信任が出せない、という事態になる、これが現時点の与野党の動向です。
主流派にとっても、残り10日では説得工作が難しい。そこで反対派が多数、という印象がつく前に、採決もせずいきなり解散する計画があります。前原政調会長が「衆参ダブル選は民主壊滅」と意味不明なことを述べていますが、ここから1年、民主が失政を続ければそうなりますし、それを述べるのは与党としての責任感すらありません。さらに、公明は創価学会をつかった選挙戦が夏場に立て込んで、自公での選挙協力が弱体化することは、歴史の事実です。つまり民主、自民の主流派は消費税増税を掲げ、対立軸を消費税におかない選挙戦、がもっとも利があるのです。ただ、これは国民の政治不信を増しますし、それこそ第三極を大きく利するだけの戦術、とさえ指摘できます。

非主流派は、党執行部が勝手に敵をつくってくれ、多数派工作をしなくとも、中間派が続々と反旗を翻す状況です。野田政権への不審が、党内に高まっており、衆院採決を早めて消費税増税法案を否決にもちこむ。すると、内閣不信任が提出されるので、それには信任をだす。そして党代表選で野田氏を支持しない、というプランが有力です。これだと造反、即、離党とはならず、○○切りなどという野党の分断戦術にものらない、という形で党代表選にもちこめることになります。
仮に、主流派の多数派工作が奏効し、衆院で法案が可決された場合、今度は消費税増税法に対する無期限延期法案の提出を訴えて、反主流派は戦える。増税を、常に政局の中心に据えることが可能であり、増税反対の国民の声を吸い上げ続ける。増税の実施までは時間もあり、その間はずっと政局にすることもできるのです。すると6月政局ではなく、増税がチラつく限り、有利な材料をもつことになる。それは増税賛成派にとって、国民が諦観しない限り、常に脅威として付きまとうのでしょう。

民自公による15日採決、その結果は非常に不透明感を増してきました。わざと主流派、非主流派と別けていますが、非主流派が多数となりつつある現在、主流派にどれだけ巻き返しが利くか? それは金権政治でしか達成できない、という意味で、主流派のダークサイドの印象が、益々強まってくるのでしょう。修正協議の結果如何によっては、与党の大量造反、という事態すら予感させる。永田町の入梅は、停滞前線というより、主流派にとっては台風並みの暴風を覚悟する、そんな事態になりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年06月05日

TOPIXがバブル後最安値を更新

民自公による幹事長会談、採決の日程を求める自公に対し、輿石氏は修正協議が成立すれば…という回答で、明日も協議となりました。そもそも修正協議の条件が整っておらず、自民が求める社会保障改革の条件などは、民主内ではマニフェストの全廃に近くなり、中間派でも呑めない。今、最大の政治の停滞を生んでいる事情とは、裏で調整して党首に色よい返事を持ち帰る側が、表で交渉している人間との調整は何もしていないこと、です。それは与野党ともそういう状況なのですが、このため党首は誤った認識をもちつつ、ナゼ交渉がすすまない? と不満を溜めます。
つまりこれも、離間作戦なのです。表で交渉する人間に、アドバンテージを与えない。裏の交渉役は、日の目もみずに手柄だけとられては堪らない。さらに元が消費税増税に賛成であり、意見をまとめ易いと来ており、こうした動きに反発する面も、増税反対派が増える原因でもあります。増税派が減るのは、経済動向という面も含んでおり、バブル後最安値を更新したTOPIXなどをうけてもまだ、増税するのか? 経済を知らなくても首を傾げる状況に突入している、ということです。

経済の関連では、今晩のG7電話会談に対する期待が高まり、TOPIXは12pt以上返してきましたが、逆にG7期待が失望に変わると、大きく売り込まれる恐れもあります。今は売り方が重い一方、良い材料でややポジションを軽くし、次の売るタイミングを狙う、といった状況もあります。一方で6月メジャーSQでは、下げが早かった分、やや買いが勝っている状況であり、上がるとポジションを整理したい層も多く、それが当面の上値を抑える要因となりそうです。
G7電話会議は声明を見送り、G20で改めて協議、となったようです。昨今、世界では財政に余裕のある国からの支援、という話が出ています。その国とは独、カナダであり、日本は含まれません。日本はEFSFに30億ユーロ近くを拠出、IMFにも600億$を拠出しながら、財政に余裕はない、と見られています。しかしカナダとて経済規模はおよそ10位、独は5位、財政に余裕があるといっても、どこまでも拠出できる打ち出の小槌ではありません。それはFRB、ECBとて同様です。

ヘッジファンドが5月の運用成績で、2.5%近い下落に見舞われました。これは世界の株価下落よりは良い数字ですが、債券相場の上昇と重ねると、それほど良い数字ではありません。アクティブな運用をする層が、利益を出せないと苦しくなります。一部ではヘッジファンドと金融機関は切り離されていますが、不良債権を抱えた金融機関も依然として多く、それらが投資、運用で利益を出せなくなれば、再びリーマンショックのような突然死する懸念をもたれるためです。
IPOが低調、という話もあります。Faceboookの失敗や市場環境の悪化をみて、萎縮しているためですが、それと同様に巨大な金融機関でさえ、資金調達に苦しむのが現状です。仮に欧州問題が弾けなくとも、今の相場環境が続けば、やはり企業、金融機関の突然死は増えるでしょう。ここで増税を模索する日本、内需を冷やすことが予想されるため、ディフェンシブがそうならない。電力や小売、ネット関連でさえ資金の逃避先にならない日本市場。その特殊要因の中で、実体を映していない、との文言だけで為替市場に覆面介入するような財務相では、まず対応は期待できないのであり、それはG7、G20でも同様、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2012年06月04日

野田内閣の改造人事

野田改造内閣が発表されました。滝法相は意外な人選です。法相は菅グループに近いスジから、それは福島第一原発の事故の責任追及を逃れたい、という菅グループが野田政権を支援する前提、と見られていたためです。しかし滝氏は司法のあり方を検証・提言する議員連盟の会長であり、法務官僚にとっては好ましくない相手です。小川前法相も陸山会事件の捜査報告書捏造に関し、指揮権発動を野田首相に進言したが、却下されたと語っており、野田氏の中で大転換が起こったと見られます。
ここから9月代表選において、野田再選で小沢氏と手打ちした、との見方もあります。消費税増税で自民と合意できるよう、自民案丸呑みやその他の社会保障改革は先送りする、という提案もありますが、現実的に考えて採決にもちこむのは不可能です。民主党内の中間派ですら、すでに野田氏の暴走に厭戦ムードで、自民が賛成しても否決される。それなら採決せず、国会も早めに閉じ、小沢氏に支援してもらって出直し、代表選で再任された暁には政策を転換するとの憶測です。ただし、小沢氏がその提案を呑むはずがなく、そんなことをすれば国民の怒りを買い、選挙はボロ負けです。

次に郡司農水相、これもTPPには慎重で、米国重視だった野田氏の戦略転換に見えます。羽田国交相、中間派である羽田グループの取り込みでしょうか。金融、郵政担当相に国民新の松下氏、国民新枠として金融は重視していないことが鮮明です。そして森本防衛相、民間からの登用ですが、明らかに国防政策は自民寄りであり、自民シフトにみえて、米国にも配慮を利かせた布陣。とみえて、これまでの民主党政権への批判も含めて、これまでの発言との整合性を問われる場面が出てきます。
さらにシビリアンコントロールが利かない、責任の所在が曖昧、という問題が残ります。コトは防衛相という、国外との調整が必要なときに、民間人で政策の継続性が担保できるのか? 自分のやりたいことに専念しないか? といった不透明さが漂います。以上の新閣僚は、沈み行く船に乗ったとしか思えない、特に滝氏は引退を表明しており、年功といった匂いすら漂う人選に見えてしまいます。

この内閣を一言でいえば、八方破れ内閣。野田氏は熟議としますが、スキだらけで政策の整合性さえ疑わしい。しかも党役員人事には手をつけず、レッド・ブル内閣、翼をください、大政翼賛会体制をつくるかと見ていましたが、野田氏は八方睨みで、重大な決断は下せなかった。恐らくこれは増税派も、反増税派も失望する内容であり、八方美人的な悪い形での、意味のない改造です。
これは推測ですが、野田氏も会期末が迫り、自分のおかれた状況に気づいたのでしょう。自民と組んで、増税を通そうとすると民主の造反が過半数を超え、自分がつぶされる。なので小沢氏へ配慮せざるを得なかった。昨日の会談で、野田氏が改造と野党との協議について小沢氏へ事前に説明し、小沢氏が好きにすればいい、としたのも簡単に言えば、そのことで小沢氏が拒絶を示せば、専権事項に口出しした、会談をぶち壊したと糾弾できるものの、やはり野田氏の現状おかれた立場の弱さが、如実に現れた結果でしょう。

増税の旗を降ろせば、通常国会さえ壊しかねない。一方で、増税を押しつける以上は多数派工作も必要ですが、ここまで野田氏が積極的に動くことはなかった。この内閣改造で見えたことは、『モノ足りず』。すなわち会見でもパッとせず、迫力不足で国民に熱意が伝わらない『物足りなさ』。増税では賛成者が少なくて『者足りない』。6月が重要な政局とみていましたが、この内閣改造で明らかになったのは延命汲々、すでにモノクロな解雇主義すら漂う、野田政権の断末魔を彩る布陣、といったところだったのでしょう。翼をください、どころか、誰か助けてください、みなさん協力してください、という悲鳴のようなものすら響く、そんな形になったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年06月03日

雑感、アジア通貨危機の頃と似てきた世界

オウム真理教の菊地直子容疑者が逮捕されました。最近、オウムの起こした事件に関する報道が相次ぎ、一つの契機になったのかもしれません。事件から15年以上経ち、逃亡犯も生活する必要があって、社会と関わりをもつ。油断もあるでしょうが、社会の監視が必要なのでしょうね。
野田首相と小沢元代表との会談、双方が原則論に終始し、一致点は見出せなかったようです。その上で、内閣改造の話が出てきました。一年で二度目の改造であり、人選に冴えはまったくない野田氏、今回は火サスで云えばクライマックス、断崖の告白シーンぐらい、説明を尽くさなければならない。それは残り2週間と少しの国会で、与野党協議にスムーズに入るための必然であり、逆に大義がなければ消費税増税法案でさえ、歪んでみえてしまうことになるのでしょうね。

経済の変動が警戒される水準になっています。もしアジア通貨危機のようなことが起きれば、日本が消費増税などと内需を低迷させる手を打てば、経済の落ち込みは日本を再び金融危機に陥れるでしょう。何より、今はかつてのアジア通貨危機より、多くの投資をアジア全域にしており、製造業による工場移転や、金融機関のポジションも膨らんでいる。特に15年前と比べ、今は中小企業の進出が多く、アジア通貨危機は日本経済の致命傷となりかねない問題となっています。
かつてとは、ドル偏重でない分アジアにも自律性がある、との見方が大半ですが、逆に違った形で起きかねない。今、アジア通貨が一段安になっており、それはインフレの残る経済環境と、中国、インドの不調によるアジア全体の景気鈍化を織り込み始めています。その思惑が、下手をすれば引き金をひきかねない。欧州債務危機がアジア危機に波及したときが、日本にとっても危機です。

日本の株式市場は、6月のSQに向けて8750円にポジションをつくる層も見受けられましたが、米雇用統計をうけ、下方バイアスがかかりました。米国ではQE3期待が盛り上がり、金相場が急騰するという動きをみせました。しかし6月はすでに、ツイストオペの終了に対する、新たな施策が必要であり、QE3と併用させることは困難です。ただし米国債も歴史的な低金利であり、国債の流通量を調整する、という伝統的な手法を外れたことをする可能性も捨てきれないのでしょう。
日本がこのタイミングで、増税することは自殺行為としか思えません。経済のファンダメンタルも弱いのに、増税して景気浮揚するはずがなく、低迷が深刻化するばかりです。それは前回のアジア通貨危機で、緊縮財政を布いたことで金融不安に直結した、過去の失敗から何も学んでいない、ということでもあります。増税で財政再建どころか、金融機関の支援で大量の資金を投入し、未だにその痛手から立ち直っていない銀行もあるほどなのです。日本は同じ失敗をくり返そうとしている、しかしメディアはそれを報じない。過去に学べば、今が増税に必要な条件を整えているとは、とても思えないのです。アジア通貨危機の再来、やや警戒してみておくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2012年06月02日

明日、再び民主党内で会談

シャープが有機ELの新素材IGZOを発表しました。高精細化が可能で、消費電力も低いというもので、今のところ32インチまでの小さな画面ですが、価格がこなれてくると次世代テレビの本命になるかもしれません。久しぶりに日本企業の開発力、良いニュースに巡り会えた気がします。
例えばITでは、iPhone人気に日本メーカーは大きく水をあけられています。Andoroidもサムスンの一人勝ち状態で、世界進出の出遅れもありますが、まったく良いところなしです。日本市場で、iPhoneを択ぶ理由にかわいいカバーという話があります。それを聞くと日本の携帯端末は、根本的に間違えていると思えます。半年でモデルチェンジ、しかも外装が大きく変わるため、サードパーティー製のカバーが出揃う前に、旧型機に転落です。大きなモデルチェンジで目を惹く、という戦略は、巨大戦艦にゲリラ戦を挑むようなものであり、多数はとれないと証明しています。だとすれば、最先端技術をてんこ盛りし、小幅マイナーチェンジで長く、安心してつかえるモデルを投入するなど、戦略を大きく転換する発想が求められているのでしょう。

明日に、再び野田首相と輿石幹事長、小沢元代表との会談が行われます。恐らく野田氏による最後通牒、従わなければ切る、との宣言が出るのでしょう。間違えて報じられますが、輿石氏は小沢派ではなく、悪く言えば八方美人タイプです。いわゆる組織を重視し、統一のなさを嫌う。そんな輿石氏が、増税法案に抵抗するのは、明らかに野田氏の方が『壊し屋』であり、民主党を壊すために暴走しているからです。親野田派であるメディアは決してその暴走を批判しませんが、野田氏が消費税増税を強行すれば、独裁です。ナゼなら野田氏は代表選の際、増税を封印していたからです。
民主党の意志決定過程は曖昧です。党内協議を重ねたと云いますが、最後は議論を打ち切る形で、執行部一任をとりつけようとします。それで全権委任、党議拘束がかかるほどの強い強制力がかかるのか? そこに政権幹部と、党内との温度差があります。ただし、メディアもこの辺りを報じず、増税推進派が正しいと繰り返し報じますので、その差異がまったく国民に伝わっていません。

野田氏の側に権力があるので、分かりにくい部分もありますが、野田氏は王道をすすもうとしても、ゲリラ戦にならざるを得ません。少数勢力を糾合し、党内最大勢力に立ち向かう。その際、消費税増税を理念糾合としなければならず、明らかに不利。そうなるとお金をバラマキ始めます。すでに300万円を議員一人に配っていますが、今後も政党助成金を自身の目的のために、ふんだんに使うのでしょう。つまり1ヶ月で結論を出すには、金権政治に頼らざるを得ない、ということです。
野田氏は、すでに自ら動いて展望を開く覚悟を決めている。こういう心理状態のときは、失敗するとは思っていない。もし15日に増税法案を採決し、国会が混乱すれば、G20においても恥ずかしいことになる。しかし今の政権内に、それを冷静に進言できる人材もいないでしょう。面従腹背の輩は、政権内に多く存在しており、野田氏で面倒な増税法案を通し、後で自分たちが政権をとったときに楽になる、と思っている人間が従うのみです。仮に法案を通しても、ゲリラ戦に苦しむのは野田氏の側であり、後は命運が尽きるタイミングが、採決まで持ち込めるまでもつかどうか、ということでもあるのでしょう。野田氏はここに来て戦略を変えた。その是非は二週間と経たずに明らかとなってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年06月01日

経済の話、為替の変動

円高が止まりません。ユーロが11年ぶりの95円台に突入、ドルも78円台、1-3月はLTRO効果で楽観論が広がり一気に円を売り、今はその巻き戻しがおきているため、振幅が大きくなります。安住財務相は「投機スジ」と呼びますが、日本に流れてくるのは短期スジの資金であり、5月の株価が10%以上下がったのも、短期資金は逃げ足が速いためです。これを投機スジ、と攻撃してみたところで、日米欧で市場に日本のGDP分ぐらいの流動性を供給しており、短期で資金を動かさざるを得ません。
長期の資金は国債へ、自己勘定取引はリスクをとっても、値動きの良い市場へとむける。なので、これは因果応報です。過剰流動性に陥ったのですから、余剰のマネーを抑制するために、さらに余剰マネーを追加すれば、いずれ支えきれなくなる。安住氏は財政の素人なので、この程度の判断もできません。野田首相が、国会答弁で「景気が回復すると、利回りが上昇して財政再建できない」と、頓珍漢なことを云いましたが、この国の財務相経験者には、この程度のことすら教え込まれない。だから増税一辺倒の、マリオネット大臣しか生まれない、ということでもあるのですね。

今日は海外で、重要な経済指標の発表が相次ぎました。肌感覚の景気が現れるとされる製造業購買担当者景気指数(PMI)の改定値が45.1、前月の45.9から低下しました。欧州全体の景気鈍化が、製造業を直撃しており、それが失業率を悪化させる。ドイツの短期金利が0%、金利がマイナスでも独国債を買うしかない。そんな悲鳴が聞こえるほど、債券市場が壊れ始めています。
さらに中国PMIが50.4、前月の53.3から低下しました。新興国経済の落ち込みは、インドも直撃しており、1-3月期GDPが5.3%増、これは市場予想を大きく下回りました。さらに貿易赤字が拡大しており、財政上も厳しいために景気刺激を打てない、との見方が大勢を占めます。欧州の投資家が資金を引き上げており、下手をすれば欧州債務問題が破裂する前に、インド経済の変調が顕在化する恐れすらあります。今年GDP比で6%にも達すると予想されるインドの財政赤字は、持続不可能を示します。

そんな中、円と人民元との直接取引が始まりました。中国との貿易が増え、間接取引の弊害が目立ち始めた日本と、人民元を国際的に広めたい中国との思惑が合致した形ですが、今日の終値は100円=8.1289元でした。ただし、今は景気鈍化をうけた人民元安がすすみ易く、5月にドルベースで過去最大の下落率を示したように、決して良い環境ではない。さらに3兆$を超える外貨準備の運用を、多様化することが至上命題であり、益々円にとっては厳しい展開が予想されます。
今は短期スジが、ギリシャの世論調査を材料に、値動きをかけてきます。しかし調査元によって数字が極端に異なる、世論調査に頼っている時点で、これは投機的な動きとも呼べます。だとすれば、円高のみでなく円安でも反対売買し、値動きを抑えるぐらいでないと、とても対抗できません。日本は売りでしかとらない、そうした思惑が働けば、崩しの戦略が働いてしまうため、です。そのイタチごっこをしている時点で、財務相の力量は知れるのでしょう。
安住氏の名前は、呼び方を変えると『あんじゅう』ですが、その留まり方は決して良いことと評価はされません。為替も、変なバイアスをかけて市場に介入していると、後に最悪の結果を招きかねない。世界経済が全体的に低迷する中で、円が評価されていることをむしろ逆手にとる、ぐらいの戦略がない財務省に、この危機をさばく能力がない、と指摘できてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般