2012年07月

2012年07月31日

東電が実質国有化

東電が、原子力損害賠償支援機構にA種優先株16億株、3200億円。B種優先株3.4億株、6800億円の発行、払い込みをうけ、実質国有化されました。A種には議決権があり、これで50.11%の議決権を握ります。一方、B種にも将来において議決権をもつ転換の余地があり、そうなると75.84%まで議決権は拡大します。これにより、銀行団も3700億円の支援を8月には決める予定で、資本不足は解消されます。
しかし破綻させず、社債発行に頼ったため債務削減ができず、8兆円を超える有利子負債はそのまま残りました。さらに除染、賠償費用は確定していないため、追加の出資は必須との見方もあります。よく、この国有化をうけて発送電分離が促進される、といった論調もありますが、総資産が15.6兆円、この半分以上が送電分野とみられ、送電部門を切り離す際には、有利子負債の分担も含めて、相当にもめそうです。何より事業を継続しつつ、負債圧縮をすすめるなら長期にわたる事業計画も含めて、高い送電料金などに転嫁するしかなくなり、結果として利用者の便益にならない可能性もあります。

これは発電部門に原発の廃炉、使用済み燃料の処理費用、などを上乗せさせても同様なのでしょう。来年には柏崎刈羽原発を再稼動する、これが事業計画ですが、近くの活断層が動いて事故を起こしたことは記憶に新しい。その安全対策も見えないうちに、再稼動できるかは、官邸前に集まる反原発デモをみても、国有化・東電には難しいでしょう。野田内閣ぐらい、民意を無視してくれる政治が、今後も続いてくれるのは望み薄。政治が民意につけば、当然のように原発再稼動は無期限延期となります。
東電の値上げにしろ、国民は不満を抱えており、それは総括原価方式に守られた電力料金が、国民にとって決して有益ではないためです。あらゆる分野で改革が必要であり、それは発送電分離に限らず、組織改革できるか? に掛かっています。ですが、財務省主導で国庫に負担をかけないよう、また財界の要請を色濃く反映する野田政権下では、組織改革の前に国民負担、という流れになりそうです。

JALの再上場に対して、ANAから要請をうけた自民が抵抗、一部で民・自による代理戦争という側面を帯びてきました。債権カットしたため、JALは早期に市場へ復帰できそうですが、企業努力のみならず、確定した債権の87.5%までカットした割合など、色々と問題視すべき点はありそうです。結果、ANAに不満がたまり、公的支援をうけた企業の再上場、という部分に疑義をもたれています。
東電の場合かなり事情は異なりますが、問題は、東電は市場に評価されながら国が主導していくこと、です。つまりその中身が市場から評価されない場合、どういった形で、経営との齟齬を埋めていくか? 残念ながらその部分は不透明です。株主の期待に応えることが、企業の存在でもあるなら、大株主の国の意向に沿うことが求められます。しかしそれが市場から拒絶された場合、株価は下落し、再建計画もままならなくなります。そうした方向性が見えないまま、今回の東電の国有化はすすめられました。実際、恐らく今後の動向にはかなり紆余曲折を経ることになるのでしょう。残念なのは、最初から結論ありきの国有化であり、詳細はこれからという点で、野田政権が抱える様々な問題と、同じ部分の問題を内包する形での流れに、今後なってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2012年07月30日

中国の人民元安と囲い込み政策

政府が『日本再生戦略』をまとめました。11の成長戦略と、38の重点施策、公的マネーの活用と大盤振る舞いが目立ちつつ、総花的との見方で正しいものです。悪い言い方をすれば『日本最低戦略』…この最低は、これまでに見たこともないほどの官僚主導、選挙対策のためのバラマキ政策ということであり、国のうつべき経済政策がとことん地に落ちた、という意味になります。

人民元安が、最近一部で話題になっています。これまで人民元は不当に安い、という米国の指摘をうけ、人民元高に誘導してきた為替市場が、年初から人民元安に転換しました。これが欧州の債務不安をうけた輸出の低下で、人民元安に誘導して輸出促進? という国策ではなく、自由な市場で人民元安を志向している。つまり中国からの資金逃避が起きていることになります。
中国政府は輸入物価の高騰を抑えるため、ドル売り介入を行っており、外貨準備は第2四半期で650億$の減少。この現象は、人民元建て投信が先高期待をうけて買い進まれ、それが逃避している面と、富裕層が本国から逃避する面と、二面をもつとみられます。6月になって不動産市場が、米中とも回復か? と報じられたのも、両国とも資金逃避を防ぐ意味をもつのでしょう。但し、米国は投資を引き上げる際は資金が本国に回帰し、ドル高となり、人民元は引き上げられて人民元安となる。その差が、今回の人民元安の背景とみられます。

では輸出競争力がつくか? 中国はそう単純ではなく、賃金インフレが起きているため、これを収束させるのは困難です。しかも、中国ではここ数年、新規投資をよびこむ優遇策ではなく、入ってきた企業、富裕層を国外に逃がさない、囲い込み政策をとっており、その一つに民事裁判の係争中は、国外にいくことを許さない、とするものがあります。中国に入ってきた富裕層は高いホテルに泊まったり、食事も豪華なものをとり、消費をしてくれる。今後、中国に行く人間は、民事で留め置かれるリスクを抱え、裁判で多額の賠償を支払って国外に出るといったことを余儀なくされるのかもしれません。
こうした内向きな施策をとるときは、すでに経済政策は迷走状態にあります。10兆円の公共インフラ整備など、対策を打ち出しましたが、官のみならず民からの投資を募る、としており、これは地方に溜まった負債を考慮したもの、とみられます。明らかに中国経済は負債の多さに悩み始めており、そんなことが政策を縛るのでしょう。そこで世界はヘアカットに怯える状況が生まれます。中国向けに投資してきた資金は、引き上げが起きており、結果的にそれが人民元安、という形になっているのでしょう。

中国に進出してきた企業の、試練のときがこれから始まると考えれば、民事裁判を起こされる前に、早めに脱出が求められます。企業は、中国の囲い込み戦術にとりこまれるか? それとも逃げるか、その二者択一を迫られるのでしょう。これは今後、必然として起きることです。
丹羽大使が9月退任? と話題ですが、商人である以上、商いを最優先にして外交は二の次、という判断しかできなかった。ただしこの失敗も、官僚の思惑通りだったとみれば、丹羽大使は自らすすんで失敗を演じることで、官僚にも配慮したとみることも可能です。政治ではなく、官僚主導の日本ならば、官僚に阿っておく方がよく、これも商売人の判断なのかもしれません。民主党の目玉人事は、悉く失敗していますが、経済政策とともに『先見の明がない』と一言で片付けることもできるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2012年07月29日

山口県知事選が与える国政選挙への影響

山口県知事選、事実上、二井知事から付託をうけていた形の、自民・公明が推薦の山本氏が当選しました。これは民主党にとって、ややショッキングな出来事です。民主党の衆院議員でありながら、県連の意に反して出馬した高邑氏はまったく当落線上にも至りません。自民王国である山口ですから、山本氏が強いのは当然としても、そこに食い込んだのは無所属の飯田氏です。
大阪維新の会、橋本市長と繋がりがあると云っても推薦すら受けておらず、ただの無所属新人です。つまり既成政党に対する一つの力、反原発という主張が有権者に与える影響を、見せ付けた形になりました。しかも、次期衆院選の試金石とされた山口県知事選ですが、メディアへの露出が少なく、風が吹きにくい地方選でこの結果です。風が吹く国政では、この流れはもっと強くなる。選挙戦において、地盤があっても無党派層の流れが結果を左右することが、今回も示されました。

民主・岡田副首相が自民に1月選挙を打診し、断られたようです。3党合意で秋解散、を前提にしていたものを、後ろ倒しにしようとした形ですが、これも民主の危機意識です。民主は候補を立てられませんでしたが、むしろ山口県知事選に候補を立てない、という行為は、党として独自の世論調査をとらないことと、ほぼ同義です。衆院解散まで、党が危機的状況にあることを、党員に知らせないため。つなぎ止めるためには、その前に凋落を示す兆候すら悟られてはいけない。高邑氏はそれに反発して出馬したものの討ち死に。これは人でなく党が追い風をうけ、前回選挙は勝利した形が鮮明になりました。
民主では負ける―。民主党執行部は、衆院解散までこれをヒタ隠しにするはずです。山口県知事選も、あえて候補を立てなかった。党所属議員をつなぎ止めておくには、この事実を徹底的に隠蔽するしかありません。参院で残り1議席、実は2議席なのですが、この数を押さえられると議長を自民からだす形となり、議会運営がままならなくなります。それを避けるには情報を隠蔽するしかない。

ただ、この山口県知事選、自民ですら安堵どころか震撼する内容です。選挙を避けたい気持ちすら芽生えます。しかし遅れれば遅れるほど、橋下維新の準備が整い、戦いにくくなる。民主も自民も判断に悩ましいところです。しかも遅れると民主から離党が増える、自民は落選議員から突き上げられる、いいこともありません。公明を一緒に説得しよう、ともちかけた岡田氏を突き放したのも、自民にも事情があるためです。結果的に、秋解散をより鮮明にしたことになるのでしょう。
脱原発、行政改革、財政再建、社会保障に至るまで、実は支持母体なる存在が、足を引っ張っていることに他なりません。自民が公共工事を訴えるのも、結局そこに利権があり、票に結びつく構造があるためです。しかし、次々と勃興する新政党、地方政党などは、逆に支持母体がないため、こうした施策で大胆なものを打ち出しやすい。支持母体なければ、日本の最大勢力である無党派に訴えることができるのです。既成政党にとっての脅威、それは支持母体がいること、なのかもしれません。
恐らく、この結果をうけて、維新の神通力が弱まった、と一部のメディアは伝えるのでしょう。ただ次の国政選挙、恐らくいつ実施されても無党派の暴風が吹き荒れ、日本の政治が変わるほどの衝撃をうけるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年07月28日

雑感。原子力規制委員の人事

昨日もとり上げた経済財政白書の中で、震災と復興に関する項目では『消費は一部で急速に回復し、一部では震災前を上回った』とするものがあります。沿岸部が壊滅的な被害をうけ、集団で仮設住宅に移り住んでいるのですから、『一部で震災前を上回る』のは当然です。全体としてどうか? という推計はなく、逆に人材流出が起きているともされるため、明らかに被災地の消費は、全体では落ちていることが推測されます。それにどう対処するか? それは集積と、能力向上だそうです。
集積は、いわゆる集中都市化して対応する、ということですが、政策的手当ては特にふれられていません。一方、個々人の能力向上によって人材不足を解消するなどの話は、政府は何もしない、と宣言しているようなものです。しかも事務職などは足りているが、技術職系が足りない、としており、これは復興需要の短期就労にとどまる可能性があり、本当に長期で雇用が確保できるのか? 甚だ疑わしい部分があります。政策としてどう対応するか? さっぱり分かりません。

原子力規制委員の人事がもめています。国会同意人事であり、衆参両院に提示する前に、報道が流れたことで与野党が対立していますが、最大の問題は規制委員なのに、原発反対派がいないこと、です。原発にネガティブな感じをもち、それでも安全上、問題ないという段階にあれば安心できますが、推進派が原発の稼動を容認しても、国民は中々安心できません。安心できないということは、原発反対の声は益々大きくなり、それが政治に対して影響を与え続けることになります。
志賀原発や、大飯原発の直下に活断層がある疑いがあります。地質学者曰く、間違いなく活断層である、としますが、原発推進の立場からは、今から十二、三万年の間に動いたものを『活断層』とする、その定義にまで口出しするかのような意見が述べられ、再稼動に前向きな発言が聞こえます。先に柏崎刈羽原発で、事故を起こした際も近くの活断層でしたが、活断層は原発の近くにあり、いつでも動く可能性があり、それは震災後に益々高まっている状況です。なので十二、三万年という活断層の定義を短くして良い、とする道理はなく、むしろもっとリスクの高い活断層として、定義しても良いのでしょう。

政府が向かっているのは、明らかに原発推進、その意を汲んで関電なども更なる原発再稼動を目指します。残念ながら、原発が大きな災害があっても安全だ、というレベルに達することは今後もないのでしょう。それはコストがペイしないからです。震度6強、という基準すら人間が勝手に決めたものです。岩盤の上に立っているから大丈夫、という理屈も、岩盤すら動けば安全とは云えません。何をどこまで、設計として検討しておくべきか? それを判断するのが原子力規制委員ならば、尚更そうです。安全に資する段階とは、反対派が満足できるレベルでなければならないのです。
野田政権になってから、復興の速度が早まっているわけではありません。むしろ民の部分は生活がかかっているので、早く再生を目指しますが、官庁に頼っていたらこの速度は出ませんでした。それを、経済財政白書ではむしろ自らの手柄、みたいな書き方をしているのですから、我田引水も甚だしいところです。謙虚な態度でない政治、態度は、結果的にコスト面でみると割安ではない、ということを考えれば、原発も実は安全軽視で動かすことによって、割高のツケを支払わされることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2012年07月27日

経済財政白書について

ロンドン五輪が今日、開幕します。ただ活発に開発をすすめたにも関わらず、英国はここ数四半期マイナス成長を続けており、五輪が終わった後の政治、経済は泥沼と云われます。昨晩、ドラギECB総裁が「責務において何でもやる」と発言し、為替、債券、証券市場が大きく反応しました。ただECBのバランスシートは、ドラギ氏になってから拡大しており、中銀中毒とも揶揄される現状で、ECBの『責務においてできる範囲は限られます。一旦、ユーロ高に向かいましたが、本質的にはユーロ安志向であり、打ち出す施策によっては変動を引き起こしやすくなる点は注意が必要です。

内閣府が経済財政白書を発表しました。その中で、再生可能エネルギーの買取制度について高すぎる、見做し公共料金なので改定を、と訴えます。一見すると正論ですが、電気料金の総括原価方式で、最大の問題は高いLNGなどの調達費です。欧州ベースの価格で輸入すると、5000億円以上の調達費の低減が見込めます。1〜6月の貿易赤字が2兆9158億円となりましたが、この内の実に10分の1が、電力会社の怠慢によって国費が海外に渡っている、という状況です。国内で資金が循環すれば経済成長、と捉えることも可能であり、まず指摘すべきはこの電力会社の怠慢です。経済財政白書をまとめた、古川経財担当相の上に仙谷氏がいる、と考えるとこの部分には違和感を禁じ得ません。
さらに、日銀の政策についても苦言を呈し、テイラー・ルールにおける最適金利がプラスになっても、金利を維持することが望ましい、とまで語ります。ただ低金利で、資金が株式や住宅市場への投資に回ったり、といった好循環が期待できない中、マネタリーベースにやや偏った判断に見られます。賃金の低下も、高齢化社会がすすむ中で4%以上の減少、という形我示されているので、高齢者は賃金の伸び率を止めても高所得者であることから、若者の低賃金化が益々すすんでいることが、指標からも窺えます。そこは政策対応で、もっと消費の多い層に対する手当てをするべきです。

イノベーションが重要、といっても、日本でそうした活動が増えないのは、資金面の援助が少ないためです。研究開発投資は高水準、といっても、それは大企業の話であり、逆にそういった企業からのイノベーションは期待できないのが現状です。両論併記のような形で、貿易や投資の自由化で生産性を高められる、としますが、これは逆の効果を促します。現状、日本からは生産拠点の移転、という形が企業ですすめられますが、貿易や投資を自由化すれば益々そうなるでしょう。
残念ながら、この経済財政白書においては、情報の分析、対策、それにより見込める効果に大きな齟齬、問題が含まれています。逆に言えば、民主党政権がここ数年、間違え続けている内容が、ここに多く記されていると云えるのでしょう。即ち、この白書をベースに経済、財政運営をすれば、日本は間違いなく凋落するということです。政府は、情報を一元的に統括する機能をもち、またその機能により経済、財政を運営することが可能ですが、それを扱う人間の資質に問題がある場合、その機能が宝の持ち腐れになりかねない。今回の経済財政白書は、まさにそうした形が顕著なのです。

もう一つ悪いことを言えば『仙谷色』の強い内容、ともいえるのでしょう。まだざっくりと見た段階であり、詳細をみたときにはもっと失望するのかもしれません。それは、政府がここ数十年続けてきた失政を、この経済財政白書では改める気がない、反省がないということにも繋がります。日本は財政リスクより、悪政によるリスクの方が、より懸念される段階にあると云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2012年07月26日

共通番号制度が今国会で成立か?

オスプレイの事故率のクラスがA〜Cまであり、そのB、Cに関して、オスプレイは高い数値であることが示されました。運転ミス構造上の欠陥ではないので問題ない、と米軍はしますが、事故は事故であり、住民の安全性が損なわれることに違いはありません。電車や車の事故でも、構造に問題はなくとも、運転手のミスによって甚大な事故を引き起こし、一般の国民が被害を受けるのですから。

オスプレイも政局化してきましたが、この事故率の情報も、政府が知っていて隠蔽していたかにも焦点があたります。また公聴会を巡り、自公が31日開催を要求、民主が拒否したため審議拒否の可能性があります。公聴会自体、開催の義務はありませんが、民主に要求を呑ませることで、政権の弱腰姿勢をみせることで弱体化を狙う、といった戦術です。公募が必要であるため時期は遅れても、開催するでしょう。質疑も自民に答えてもらう、など民主の保護者のように振舞う自民との関係が途絶えれば、野田政権は寄る辺を失うことが確実で、政権運営が行き詰るのが確実です。
さらに野田首相の政治資金収支報告書の誤記載、これも解散を促す動きと云えます。野田氏の脇の甘さは以前から指摘もあり、このタイミングで醜聞を流すことも計算済み、すべて政権を弱体化させ、秋口に選挙する口実作りです。恐らく官僚はこう囁きます。自民が顔を変え、支持率が上がってからでは、選挙しにくい。代表選を先にやり、その余勢を駆って谷垣氏のとき選挙しましょう、と。

そのキッカケになりそうなのは、特例公債法案ではなく、マイナンバー制度法案と見ています。安住財務相は10月で枯渇、としますが、自民は12月まで財政に余裕があると見ており、それは財務省の言質も得ているでしょう。残る財務省の悲願、マイナンバー制度の導入さえ決めておけば、官僚が情報を一元化して握り、国民統制に生かせる。その法案、今国会成立の目処が立ちました。
しかし福岡県警の情報漏えいが発覚しましたが、過去には社保庁、今でもメディアとの親密な付き合いから情報を流したみられる動きがあっても、処分は軽微でした。野村がインサイダー取引で甘い対応をすれば、市場から除外されて収益機会を失うだけです。一方、マイナンバーを扱う人間が、情報漏えいをしても、内規で懲戒処分をうけるだけ、で済まされてしまいそうです。扱う情報の重要性と、それを蔑ろにしたときの刑罰に、今は大きな差があり、安易に漏洩できてしまうことが問題です。

マイナンバー制度は、確かに行政の効率化を促し、利便性が高まるようにみえて、国民一人一人がうけるリスクは格段に跳ね上がります。今の民自公の協議で、勝手に決めてよいようなものではなく、国民議論が必要だといえるのでしょう。特に、官僚に支配された今の民自公には処分を重くする、といった具体的な踏み込みができるとは、到底思えないのです。日本で拡がる情報、システムの不具合におけるペナルティが、極めて甘くなっている流れの中で、こうした動きが強まる。それを成立させ、さぁ選挙ということなら、マイナンバー制度も選挙の争点として浮上してくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年07月25日

企業年金の運用

関西電力の大飯原発4号機が出力120万kWに達しました。ただ、関電の供給能力は3号機のみ出力していた頃の2455万kWから、2952万kWに一気に拡大しています。関電の揚水発電の能力は500万kW程度とされ、200万kWは原発を稼動せずとも利用できる、と試算されていたため、今回の大幅な能力向上は、どうやっても計算が合いません。関電社長が、他の原発再稼動にエネルギー確保や、安全保障なども訴え、前向きな態度を示しましたが、理屈じゃない、とでも云わんばかりの態度です。

厚労省が企業年金の減額申請を『OBの3分の2の同意』と、『著しい経営の悪化』か『掛け金の大幅な上昇に伴う将来負担の困難さ』と、やり易くする提案を民主党部会に提出しました。この資料は、後に法案作成の際に参考にされるものです。ただ両者とも数値による基準はなく、経営者の判断に任されることは変わりないため、仮に法案や政令が変わっても、使いにくい制度となるでしょう。
米公的年金の運用機関が、運用利回り1%となっています。これは米長期債の利回りを下回る、つまりインカムゲインより低く、キャピタルロスの状態、運用に失敗したことを示します。米長期債の利回りが1.3%台に突入し、国債バブルとも称されますが、これが米国の低成長を示すなら、後に正当化される水準でもあります。つまり長期債は、経済成長との相関性をもっていますが、米国が1%台前半の成長に留まることを暗示する、世界全体が低成長時代に陥ることを示唆するものと考えられるのです。

以前から主張していますが、世界全体が低成長に陥ると、運用が利かないため年金や保険などにしわ寄せがきます。安全資産への逃避は、キャピタルゲインを得られない運用側にとって、インカムゲインだけでも得たい、という思惑も働いた上でのことです。これが日本化と呼ばれる状況の怖さで、年金の問題がじりじりと経済を苦しめる、負の連鎖が世界で始まるのかもしれません。
日本では、ミャンマー投資が活発です。ただ、賃金インフレを抑えない限り、ミャンマー経済はすぐ高インフレと格差問題で、国が不安定化するでしょう。軍政からの転換がすすむとはいえ、社会主義的労働形態をとった中国のように、賃金抑制政策をとり、雇用を優先する形で企業誘致をすすめる時間的余裕があれば、息の長い成長となりますが、そうでなければ短期の成長に留まり、企業は逃げ出さなければいけなくなるかもしれません。また軍政にもどる恐れが十分にあるからです。

日本の企業年金は、廃止した方がいい。それは運用、投資に適さない環境が世界全体に広がることが、現時点では確実だからです。損切りのタイミングを間違え、泥沼に陥ると、年金で企業が続々と倒産する事態となってしまうでしょう。企業の海外投資でも、明暗がくっきりと出るはずであり、それは現在の経済環境下で、投資する先を間違えることによって起こるのでしょう。世界は年金というシステムと、どう向き合うかを考える時期に来ているといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2012年07月24日

雑感。原発事故で刑事裁判は?

民主党がキャッチフレーズを募集しているそうです。キャッチフレーズとは異なりますが、民主党が辿る今後の政局を考えると『ハトが落ち カンが転がる 天下餅 ノダれ死にして センゴク時代』となります。野田政権になって、国会が馴れ合いの場と化しましたが、天下餅を食べるまでには至っていない。小政党乱立という、下克上の時代を迎えたとき、次に長期の安定政権を担うのは、民自公ではないのかもしれない、ということになるのかもしれません。

政府事故調がまとまり、これで国会、民間、東電と4つが出揃いました。それぞれ切り口が異なりますが、炉心内部の状況が分からず、安易に事故の原因を判断すべきでないとした政府事故調、異例の災害を協調した東電事故調、など色は見えます。問題はこの調査報告書でも、はっきりした原因は分からないから、誰の責任も問えないか? ということです。
労働安全衛生法 第22条では『事業者は次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない』として、放射線も含まれています。例えばこの事業者を、東電と読み替えれば、国民を被曝させた罪に問えますし、国と読み替えても同じです。これは事故を起こした原因ではなく事故後の情報開示、国民の誘導に関するものとして、国や東電の不作為、失敗として適用が可能となるでしょう。これは事故時の混乱や、能力不足による失態であっても同様、事業者としての責任として判断が可能であり、罰則の適用まで含めて事業体を処分できる形になります。

傷害罪は難しい、との意見もあります。電力会社社員が、意見聴取会で述べたように、疫学的には証明が困難だからです。しかし内部被曝に関する影響を、広汎に調査したものはありません。また、被曝を定量的に評価してこなかったため、誰がどれぐらい被曝したか? それを証明するものがない一方、影響がないレベルとも断言できない。逆に捉えれば、低放射線量の被曝では、疫学的な知見でからはその他の要因が大きく、断定が困難だとしても、高放射線量を被曝した、と一義的に判断し、処理をすることも可能ということです。これは調査しなかった、という不作為を咎めるものです。
他方、SPEEDIの活用、米国からの資料提供、その他でも放射性物質の漏洩に対し、官邸、行政が理解できず、公表できなかった点も、事業者としての能力不足であり、その責任は追及できます。しかも、これは事業体として国、東電というより、国という事業を請け負った首相、経産相、原発担当相から事務次官クラスまで、また東電で言えば役員クラスまで、事業者として責任を問うことが可能なのでしょう。

労働安全衛生法では、与えた被害に対して弱いので、幾つもの法律を組み合わせ、その中で刑罰を考えていく必要もあるのでしょう。今、安易に原発再稼動を模索する電力会社に、安全第一の意識を植え付けるためにも、福島第1原発の事故で、甘い対応をすることは許されません。事故が起これば、大事な国土に人が住めなくなるほどの甚大な影響、安全な暮らしを妨げられたことなどを鑑みれば、お咎めなし、では許されないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2012年07月23日

岩国基地へのオスプレイの搬入

山口県の岩国基地に、MV22オスプレイが搬入されました。最新鋭機であることを理由に、安全性を訴えたり、10万飛行時間当たりの事故率が1.93で、米海兵隊全体の2.45より低いから安全、と述べるのは原発神話と同じです。通常のヘリコプターと異なり、事故時に乗員を守るため、プロペラは外向きに飛んでいくよう設計されます。つまりプロペラが地面に接触するような事故が起これば、重大な事故を引き起こしかねない。それは不時着のみならず、基地内で離着陸を失敗しても同様です。
現行のCH46ヘリは事故率が1.11だが、老朽化で危険、という森本防衛相の言葉も根拠がありません。老朽化し、事故率が上昇して初めて危険、と云えます。もし事故率という指標をつかうのなら、数値以上に推移を追うべきで、構造的な欠陥があれば、オスプレイの事故率は上昇するか、高止まりするでしょう。

CH46ヘリも最初は事故率が高く、後に乗員の慣れもあって下がったとされますが、オスプレイの事故率が下がるようなら、初めて安全と定義しても良いのでしょう。残念ながら、開発から数年の機種の安全性云々を議論しても意味はなく、むしろ事故を起こしたときの甚大性、脅威が現時点で配備により受けられるメリットを超えるほどの、必要性がない、というに過ぎません。
しかしこの件で、自民が民主を批判するのもスジ違いで、オスプレイ配備は自民党政権時代に決まったことです。自分たちならオスプレイ配備を止められた、というなら堂々と主張すればいい。ただ政局に利用しているだけなら、あまり褒められたものではありません。これは日米同盟にも関わるものであり、地位協定も含めた対米関係という視点から、政治は議論しないといけないのでしょう。

話は変わって、ユーロ安がすすんでいます。スペインの2年債の利回りが急騰するなど、欧州債務不安の影響もありますが、LIBOR不正操作問題で、基準金利として影響をうける資金が4京円、一部では6京円に達すると試算されるものがあり、金融機関が損害賠償請求に備え、引当金を積むべき、との発言も相場を冷やします。影響の全体像が知れたとき、第2のリーマンショックが起きるのではないか? そんな不安に市場が萎縮し、安全資産へと移行がすすんでいるように見えます。
再び金融機関への公的資金の投入、となれば国の財政事情にも影響する。国が支える余力を減らすと、金融機関への格付けにも影響する、そんなイタチゴッコが見えています。残念ながら財政を健全化しようと、歳出削減と増税を同時に執行した結果、マイナス成長に陥っているような失敗をくり返せば、欧州は取り返しのつかない事態となり、それは世界へも波及することになるのでしょう。

日本は、CDSベースでみた世界の先進国60ヶ国中、9位の健全性を保つと発表されました。LIBOR不正操作にも関わっていない、比較的財政事情が良い国、というのが金融関係からの一般的な見方です。財務省とは真逆の説ですが、日本は一周遅れて増税という路線に舵を切ろうとしている。今、急速にすすむ円高ですが、マイナス成長に陥るようなことにでもなれば、増税で円安、という従来から観測されるアノマリーに、今回は輪をかけて悪い形での円安が進みやすくなってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 経済

2012年07月22日

エネルギー・環境政策の意見聴取会

大阪で開かれたエネルギー・環境政策の意見聴取会、関電社員3人が辞退したため、特定の利権者が関わらない形で開催されましたが、混乱したようです。電力会社排除は言論弾圧、素人だけで議論しても意味がない、などの意見もありますが、そもそもこの聴取会そのものに意味がありません。
なぜなら、国民の意見を聞く、ということに意味はないからです。必要かどうか、だけを決するなら、国民投票を実施すればいい。意見を聞いて、政治家が判断するというなら、それこそ衆愚に陥るだけです。科学技術の専門家を集めた方が、よほど実のある議論ができるでしょう。いわば、この会議全体が茶番であり、『国民の意見を聞いた』体を装うために、政府と広告代理店が仕組んだシステム、それがこの聴取会です。意見を聞いた後どうするか? 政治決断で、原発を増やそうとする。これは意見の反映方法すら曖昧なまま、多額の税金を費やして『為にする』議論を重ねているに過ぎません。

関西電力が、原発再稼動後に火力を止め、総発電量を一定に保っている話があります。余分な電力をつくる必要はないので、一見すると正しい判断ですが、問題は真夏のピーク時の推計が正しいかどうか、です。関電は過去5年の最高が3095万kWで、今夏は2987万kWと試算しています。しかし昨年は猛暑がそれほど深刻でなかったこと、及び震災後の混乱から景気が停滞していたこと、及び節電意識が高まったことなどで、使用実績は2800万kWにも届いていません。
他社から融通される電力も、昨年から比べて121万kW増える試算ですが、大口は自家発電に移行していますし、太陽光発電の設置も増えていることから、もっと余力もあるはずです。揚水発電の能力が、原発を動かさないと225万kW低下としますが、これは夜間の火力を動かさないようにすることで、揚水発電に回せる分がない、ということです。つまり100%の発電能力を保つなら、ピークからの乖離をみても、夜間に揚水発電に回せる電力は確保できるはずですが、そうしないと試算しています。

関電は電力の使用状況をネットで流していますが、供給可能に対し、%で表示しています。しかし原発を再稼動しない前提での試算は、2542万kWであったにも関わらず、原発2基が稼動した現在でも、2455万kWを供給可能としているに過ぎません。停電テロ、と揶揄もされましたが、そんなことをせずとも試算を低く見積もることで、いくらでも計画停電を仕掛ける算段は、関電はできているのでしょう。
高校生が太陽光パネルに卵の薄膜を貼ることで、発電効率を上げられる。京大もフィルムを開発し、効率が倍になる、という研究結果を示しています。地熱発電の開発費を増やす、という細野原発担当相の発言もあります。ピーク電力を賄うための研究開発、原子力以外の自然発電方式など、着々とすすんでいますが、そうした科学技術が進展すれば、当然のように原発の比率を下げられることになります。そうした情報をまったく与えず、ただ個人の主観を語らせるだけで、意見聴取会が終わるのなら、この壮大なムダ、茶番劇は結論ありき、としか国民の目には映らないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 原子力

2012年07月21日

経済の話。ユーロ安と五輪イヤー

鳩山元首相の動きが活発です。昨日、反原発デモに参加し、官邸に乗り込みました。現野田政権のことをシロアリ退治が、シロアリになってしまった、と講演で述べています。もっと正確に云うなら、シロアリ退治をすると広告しながら、依頼した国民の家に行って、もっとシロアリが増えるよう湿り気を与え、生活しやすい環境を整えた、といったところでしょう。野田政権は、シロアリを増やせばもっと注文が舞い込む、と思っているようですが、いずれ罰を受ける日がくるのでしょう。
新党大地・真民主の鈴木氏が、鳩山氏の北海道9区に松山千春氏を立てる、と語りました。これは早く民主党を出ろ、と促していることに他なりません。鳩山氏は各種調査でも、落選確実と出ています。一度、凋落した創業家が再び企業内で力を戻すのが難しいように、いくら頑張っても党代表に、自身に近い側近を送り込むのは難しい。むしろ創業家だからこそ、民主党についた悪い評判、その看板を背負って戦えば負ける。こう語ることで、鈴木氏は鳩山氏に温情をかけていると見られます。徹底的に叩く気なら、大々的に発表して鳩山氏との対決を鮮明にするはずです。今、無謀ともとれる反逆を仕掛けていますが、鈴木氏の心を読みとれるか? にかかっているのでしょうね。

ユーロ安がすすみます。スペインのバレンシア州が支援要請し、長期債が7.3%超えになったことを嫌気、とされますが、自治州の困窮は以前から伝わっており、問題は包括的なスペインの支援スキームが、いつまでも決まらないこと、です。1000億ユーロと支援金額だけ決めても、金融や地方まで含めた再建計画を早期に策定し、それに基づいた支援という形でなければなりません。
米英では不思議な株高とされます。これは五輪イヤー特有の動きで、ファンドマネージャーが休暇をとるため、売りの多い短期スジが手仕舞いしている故の所作です。しかし長期の買い方とて、利益確定売りを出したい水準であり、金曜日は下げました。五輪イヤーは夏枯れとなり、売買高が減少する一方、不意の変動で上下動しやすくなります。特に、今年警戒されるのは五輪を狙ったテロです。英国は監視社会ですが、多くの人が集まるタイミングで、治安が悪化している欧州の状況が重なる今回は、特に注意しておかなければいけない。短期も、長期ももち続け難い環境です。

日本は特に、25日線にはね返されたので、やや深刻です。この水準をブレークするために、新たな材料を必要としている。特に米国で緩和期待が盛り上がれば、円高の懸念も付きまといます。ミクロの企業決算では、大相場にはなりにくく、これは欧米の金融緩和か、欧州の包括的な支援策の決定、でも出てこなければ、相場は上昇しにくいのでしょう。為替への口先介入程度では、まるで財務省が投機スジになっているだけで、投機を抑制するどころか、投機を促成しているだけです。
さらに補正予算に言及していますが、今のところ野田政権が、補正予算まで組むことに異を唱える自民・谷垣総裁のように、まだ不透明です。さらにエコカー補助金の延長、などの影響の軽微な対策では、誰も好感できません。昨今の景気対策は、残念ながら景気浮揚効果ではなく、下落を低減する効果しかないため、期待値も低い。逆に、だからこそ『規制緩和』による景気対策が打てれば、とても有効なのですが、官僚支配の強い野田政権では望み薄です。日本の八方塞り、市場には夏枯れどころか、使用制限がかかったような息苦しい展開が、当分続いてしまうことでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2012年07月20日

東電賠償責任は免責されず

大津イジメ事件で、加害生徒側が「遊びだった」と主張しています。しかしこれは何の反論にもなりません。詐欺罪で「騙すつもりはなかった」と述べるのと同じ、被害者の心情、受けた損失が争点だからです。この事件では、被害者が自殺しており、自殺するまで追い詰めたことが問題です。そしてイジメが各地で、次々に明らかとなっていますが、子供たちが『遊び』と思っていることが、社会的には犯罪である、という認識を正しく伝えないと、何も解決しないといえるのでしょう。
『遊び』だからこそ、酷いことができる。犯罪抑止の重要な点は、軽犯罪を減らすことです。『遊び』という軽い気持ちで行う内、重大犯罪のハードルを下げてしまう。その『遊び』と思ってやっていることが『犯罪』だと、教えることが教育界の務めです。野田首相のような「相談して」というばかりでは、被害者の自発性に訴えているだけで、何も問題解決に道を示していないのです。

東京地裁で行われた、東電による賠償責任訴訟、原告は株主でもある弁護士で『異常な天災』であるかどうかを争ったものです。ここで、国が主張する「免責に当たらない」が認められ、東電が賠償責任を負う方向性が示されました。判決は確定していませんが、仮に最高裁まで争っても、判断を覆すことは難しいのでしょう。「未だかつて人類が遭遇したことがない災害」が免責条件、としたことで、活断層による地震はほぼ免責外であり、電力会社は重い枷をかけられた形です。
経済の側面で言うと、電力会社は破綻する可能性が高い企業であり、以前のようなディフェンシブの代表ではなくなった。賠償スキームは造られましたが、日本各地で震災が起き、原発が事故を起こすたび、原子力損害賠償支援機構を通じて負担を求められる。その都度、業績圧迫要因になるためです。逆に、原発をもたない電力会社が増えてくると、そちらの企業価値が高まることになります。

政府は東電の値上げ申請を平均10.28%から8.47%に引き下げ、了承することを認めました。人件費を下げる、調達費を下げるなど、企業努力が必要と報じられますが、値上げ申請前、アラビア石油の社外取締役に『配置転換』した副社長や、カタールと結んだガス調達における長期契約など、すでに契約を結んでいる可能性があり、調達費に努力しろがない、とのイイワケ作りをすすめています。この値上げ幅には原発の維持費用が載っていますが、柏崎刈羽原発の近くにも活断層があり、放射性物質漏洩を疑わせる火災事故を起こしており、維持するだけで発電は永久に不可能かもしれません。
自己資本も過大、との指摘もありますが、総括原価方式の取組みは遅れている一方、値上げだけは決定してしまう。しかも、落とし所は最初から決まっていたような、8%台半ばなら東電はニンマリでしょう。昨年度だけでも、燃料調達費を欧州並とするなら、5000億円も下げられたはずであり、それだけで値上げ分を補えるほどなのです。電力会社が原発の安全性に対して甘い判断を「当然」と考えているなら、震災における「免責に当たらない」判断は、益々妥当性をもって電力会社の経営を圧迫することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 司法

2012年07月19日

民主党で今起きているのは『反仙谷』

橋下大阪市長のスキャンダルが、週刊文春で報じられました。先に永田町でこの伝聞が流れていたこともあり、調査・取材費がどの辺りから出たかは、概ね想像できます。こうした怪文書で注意したいのが、虚実織り交ぜていることです。90%がウソでも、10%の真実が含まれていると、国民に疑念を抱かせます。怪文書の目的は、真実を語ることではなく、この疑念にあると云っていいでしょう。
橋下氏は認めましたが、これと比較し、小沢夫人による手紙に対して、小沢氏は説明責任を果たしていない、と語る人がいます。しかし10%の真実、恐らくあの手紙では離婚の件ですが、それがあると手紙全体について、説明できなくなります。むしろ、それを狙っているのが怪文書でもあるので、内容以前に、怪文書については、その目的を十分に精査しておく必要があります。今回は、明らかに維新の会の醜聞探しで、山口県知事選への影響を狙って、このタイミングでリークしたのでしょう。

民主党で起きている離党の動き、実は『反仙谷』です。メディアは小沢氏を敵視しますが、今国民が最も警戒しなければならない政治家は、仙谷政調会長代行です。菅政権で官房長官に就任すると、小沢氏を抵抗勢力にするよう進言、それが大量離党につながります。中津川氏の離党は、中国漁船衝突事件を不問とし、官房長官会見で『中国様会見』を行ったように、仙谷氏の態度が中国側への甘い対応につながる尖閣への対応が原因です。みどりの会の3人は、元々電力会社に繋がりのあった小沢氏から、利権を奪おうと画策した仙谷氏が、東電処理や原発再稼動にむけて、電力会社の意向を最大限反映させようとしたことに対する、反発の面が強いと云えるのでしょう。
仙谷氏は、かつては権力への色気もみせましたが、今は実権に拘りキングメーカーの地位に留まります。そのため官僚、メディアと組んでライバル視する小沢氏を追い出し、まさに今はこの世の春でしょう。民自公の3党合意にも仙谷氏が関与し、二大政党制を壊して、有権者から選択肢を奪うと発言したのも、まさに増長した態度です。国民が嫌気する政策、全般に携わるのが仙谷氏なのです。
その強権ぶりは、民主党内の決定方法さえ歪めました。『決められる政治』ではなく『決め方の悪い政治』にしたのも、仙谷氏です。野田氏は傀儡であり、仙谷氏が官僚と諮ってすべてを決している。なのに、メディアはそのキングメーカーの存在すら、ほとんど報じない。最悪は中国に配慮する余り、尖閣の対応を本当に間違えてしまいそうな、そんな事態すら想定されかねないのです。

ニッセイ基礎研究所がだした『消費税引き上げによる経済への影響試算(2013〜2016)が話題です。13年は駆け込み需要で実質GDPへの影響は+0.7%である一方、14年度は-2.1%、15年度は-0.1%、16年度は-0.4%となり、14年度以降マイナス成長に突入すると試算したのです。これはあくまで実質であり、消費税による物価上昇分を差し引く名目ベースでは、もっと悪いという試算になるのです。
恐らく、この落ち込みを回避するために公共工事を増やす、といった選択肢をとり易く、それが増税法案の付則に現れます。逆に、マイナス成長になりたくなければ、公共工事を垂れ流す以外なくなる、ということなのです。菅政権時代、彼が官房長官時代に、突然消費税増税を打ち出したことも考えると、仙谷氏の動向によっては、日本が危険な状態になるという可能性が強まるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年07月18日

福島原発の燃料棒とりだし

野田氏が16日のテレビに出演し、大津いじめ事件について発言しています。いつものように、当たり前のことしか言わず、抑揚もない。このため心を打ちません。しかも「見て見ぬふりをしない」と云っても、とばっちりを恐れて口を噤むのは、通常の心理行動であり、相談できない環境は、今の学校側の体質をみても明らかです。最悪は、相談された教師が突き放すような発言をし、生徒を追い詰めたこと。こんな教師では誰も相談しようと思いませんし、それは人格さえ疑ってしまいます。
いくら「相談して」と訴えても、体制側にその能がない。それが最大の問題です。だとすれば、体制側のトップである野田氏自ら、どうすべきかを示すべきなのでしょう。地方自治体、教育委員会の問題としても、文科行政も統括する立場として、他人事発言は『心ない』と受け止められます。

福島第一原発4号機の、未使用燃料棒の取出しが始まりました。未使用とはいえ、放射線を出しているので、本来遮蔽構造物で覆うべきですし、使用済み燃料棒なら尚更、遮蔽が必要となってきます。しかし耐震構造上、今以上の重さに耐え切れる保証がない。なので、一先ず未使用の燃料棒をとりだして、様子見といったところです。つまり燃料棒が減れば、軽くなって構造物が載せられるかもしれない、というわけです。ただ建物補強をしない限り、崩壊の危険性は消えないのでしょう。
北陸電力の志賀原発が、活断層の直上にあるのでは? との懸念が示されました。国民の意見聴取会でも、電力会社の人間がもっと増やすべき、と述べていましたが、日本のどこに原発を設置できる立地があるのか? 大量の冷却水が使え、巨大地震もなく、津波も来ない。100km圏内の住民が少なく、免震棟や変電設備などの、付属設備までも備えられる広い土地をもった場所など、どこにもありません。

造るとなれば、原発の設置基準を下げるしかありませんが、それは国民感情が許さない。さらに使用済み燃料棒は、各原発でも保管場所に困る状況であり、それを原発施設内に造ることでさえ、今は地元の了承をとりつけにくくなっている。原発再稼動でさえ、電力不足を人質にして通しましたが、実は使用済み燃料の問題を考えたとき、いずれそれが再稼動できない条件になりかねないのです。
福島第1原発も道半ばです。立ち入り制限をかけましたが、まだ管理区域を明確に区分できない状態であり、放射性物質が存在する区域で、顔にしろ皮膚を露出して作業するのは、実は異例なことなのです。今年も猛暑で、防護服を着ての作業に難があるとはいえ、空気中に放射性物質が存在する場所では、本来は全面マスクをしての作業が基本、今はまだ異常事態の途上にあるといえるのでしょう。

国民の意見聴取会をみても、今の民主党では、国民を強制移住させてでも原発建設、とでも言い出しかねない勢いです。そもそも政府が決めた原発比率の3パターンでさえ、国民コンセンサスを得ているとは云いがたい状況で、電力会社の人間に25%以上の原発を、と語らせる。以前、KYという言葉もありましたが、野田政権の国民感情の読めなさぶりは、度を越してひどい、と云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 政治

2012年07月17日

オスプレイ配備の首相の発言

民主党から、参院3人が離党し、亀井亜紀子議員と新会派「みどりの風」を設立すると表明しました。政党要件を満たしていないので、いずれ何らかの形で政党になるのか? それともどこかと合流を目指すのか? いずれにしろ民主党の旗では選挙を戦えない、それは一昨年の参院選をみても明らかです。

野田首相がオスプレイ配備を明言しました。野田氏の政治的手法の不味さが端的に現れていますが「配備は米軍の問題。どうこうすべきでない」と述べ、前原政調会長が党として反対する意向を示しています。まず官邸の意向を、党内に下ろしていない。官邸は、党に了承を得るという基本的なことに、汗をかく人間がいます。第二に、たとえ何度米軍からNOと云われても配備延期に汗をかき、それを丁寧に国民に説明する、という行為をとばします。その結果、国民からみれば、野田政権は安全軽視、国民を危険にさらす行為をあっさり了承、という形でしか映らず、不満が溜まります。
消費税増税も同じ構図であったのに、メディアが批判しないので、官邸が気付いていない。結果、同じ失敗をくり返します。このオスプレイ配備、山口県知事選にも影響します。民主は候補を立てていませんが、自公は山本氏を推し、一方で連合はオスプレイ配備に反対の意向を示した。山本氏も一応、オスプレイには反対の意向を示しますが、県民の目は懐疑的で、オスプレイが争点になると、民主票が飯田氏に流れる恐れがある。国土強靭化計画を盾に、山口に公共工事、と盛んに喧伝してみても、民意はずっと前から『要らない公共工事はするな』であり、選挙戦は厳しい。特に、飯田氏が勝利すると維新が勢いづき、民自公は選挙戦略を見直さざるを得ない、という問題を抱えてしまいます。

野田氏は、良くも悪くも体制側の人間です。オスプレイ配備も、それがmustな要件なら諦めもできますが、単なる米国の都合ですから説明がつきません。エネルギー・環境の意見聴取会でも、将来の原発を0%、15%、25%にする3案で、国民の応募は60%、10%、30%ぐらいの割合だったそうです。しかし25%には電力会社関連の人間しか応募していない、と考えられ、この比率そのものも公正ではなく、さらにそれぞれの立場から3人ずつ、という意見聴取のやり方に民意は反映されない。
強いて云えば、三様の意見の違いを確認するという場でしかないのです。電力会社の人間に語らせない、としても25%はプラント関連の人間になるだけです。民意ならランダムにしなければ意味がない。野田政権の手法は、自らが望む方向に議論を集約させるためなら、手段は択ばない。これも消費税増税の議論と同じ手法であり、都合悪くなれば『一任』と叫んで、打ち切りが目に見えています。

さらに今回のオスプレイの一件で『野田氏で選挙』に暗雲も漂う。山口県知事選は29日、24日にオスプレイ配備なので、選挙に影響することが確実です。つまり配慮不足で、選挙戦にも悪影響を与える公算が大となった。それを垣間見せる一事なのでしょう。結論ありき、で議論をすすめて結論をえる形が『決める政治』なら、これほど楽なことはありません。野田政権の物事の決め方が、これほど不味いのなら、決まったことに不備が多いのもむべなるかな、です。問題点を抽出し、正しい対処法を示さないなら、原発で『想定外』を連発したように、不測の事態に対処できないことばかり、今後起こるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年07月15日

雑感。政治を色で喩えてみる

共同通信の世論調査で、小沢新党への期待が16.5%、期待しないが81.8%となりました。これは政党支持率と異なるので、単純比較はできませんが、『支持』は平均点以下でも可能である一方、『期待』は平均点以上を求められる。まだ明確に、党綱領や政策が明確になったわけではないので、『期待』を聞くしかありませんが、『支持』よりハードルの高い選択肢で、しかも支持母体がない状態にしては、まずまずの数字と云えます。小沢氏が従来つくり上げた新党とは高揚感が異なる、追い出されての已む無し新党だ、との声もあります。ただ色のない新党だからこそ『期待』が生じます。
民自公の色は寒色(官職)です。国民の冷めた目、懐を寒くさせる色です。例えば民主党の党旗は、民の力の結合、融合して新しい形を示す赤い円を二つ、上下に重ねていますが、今はそれが嫌味なほど逆に向かっています。菅首相時代から分断、離散をくり返しており、菅氏は以前「雪ダルマ」に喩えましたが、冬が過ぎれば融けて消えてしまう儚さを、党旗は示しているのかもしれません。

前原政調会長が、代表選では野田氏を支持する、と発言しました。前原氏にとっては、中間派が細野原発担当相などを担ぎ、党を分裂させる可能性があること。及び自身のグループで、仙谷が枝野経産相を担ぎ、グループ内での求心力をなくすことを懸念し、先んじたのでしょう。前回、野田グループとは確執を抱えており、今度も凌雲会から候補をだせば、それこそ決定的な亀裂となりかねません。
中間派やかつての小沢派は、色の薄い細野氏に期待をかけたいところでも、仙台で開かれた政府のエネルギー・環境政策で、国民からの意見聴取会において、東北電の幹部やわざわざ東京から招いて発言させたこと、など運営上のまずさが目立ちます。これは原子力行政全般に言えることであり、見た目の爽やかさとは裏腹に、手腕には相当疑問符がついていること。またかつての不倫問題で、女性票に期待できないことなど、代表に担ぐには不安もあります。これは悪いことをしそうもない印象だからこそ、くり返しネガティブ報道されると、イメージダウンに繋がり易いということです。

橋下大阪維新の会への『期待』は、相変わらず50%超えと高い数字です。これも色がついておらず、国民が感じているのは、何かしてくれそうという暖色です。ただ原発問題への意見の変転に、国民はやや失望を感じており、発言していたことを撤回する潔さより、その態度へ不信感ももっており、支持は下がった。石原新党も尖閣諸島の購入以降、高い『期待』を背負いますが、これは自民支持を食う可能性が指摘されており、既成政党離れがこちらに流れる可能性、十分です。
野田氏は対決姿勢をみせ、岩手に視察に訪れました。しかし未だすすまない復興の、多くの責任は野田氏にあります。復興予算が余り、また効果ない事業への支出などが指摘される中、さらに復興予算を積み増すかの発言を、安住財務相がしました。復興という名を借りれば、予算を積み増せるという、その心根に誠実さは感じません。野田政権は寒色でも、それは光としてみれば、紫以上の色、つまり有害な紫外線としか思えない政策ばかりです。

自民のシンボルは、太陽の下に二人がいる構図です。太陽が降り注ぐ愛情を示していますが、太陽は古来より荒々しさ、恵みと同時に旱魃、日照りなどの破壊をも象徴してきました。野田民主は太陽が二つ、暑さに耐え切れず、生物にとっては住み難い環境を表しているのかもしれません。菅政権、野田政権と寒色に染まってきましたが、今は冬で、政界再編という春を迎える過渡期とみれば、こうした官僚依存体質の強い政権ができたことは、必然ととらえる方が良いのかもしれませんね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年07月14日

経済の話。年後半の経済、株価の予想

枝野経産相が、原子力安全・保安院の専門家会議における傍聴人リストを警察に提出した疑いについて、警察から公表を差し控えるよう要請をうけた、と発言しました。警察権力による国民監視が、現実味を帯びる事態です。傍聴人になると、警察から目をつけられるとなれば、安易に傍聴にも行けなくなる。野田政権ですすむ、国民に目隠しした上で政策をすすめる形が、顕著に現れます。官僚、財界人たちで政治をするエリート体制、共産主義体制下の国家のような仕組みが、着々とすすんでいるのでしょう。選挙を無効化したい、という意向をもつ野田政権では当然かもしれません。

年後半の株式市場ですが、恐らく10500〜5000で良いでしょう。実は、今年も不透明要因の多い年です。米国は年末にかけて財政の壁、この対応が大統領選の結果如何で変わります。またQE3には懐疑的で、また仮に実施されてもドル安で他の国が景気後退となり、マイナスとの見方もあります。今年の米国は旱魃がひどく、穀物価格が高騰しており、ドル安によるダブルパンチが日中などの輸入が多い国に打撃となるためです。また流動性が増えることで、投機も増えると予想されます。
欧州債務不安もあります。財政統合は10年先とされ、ESMの権限もどこまで及ぶか分からない。そこで出てきたのが、LIBOR不正操作事件です。08年にはすでに情報を把握していたとされ、今年騒ぎだしたのは、リーマンショック後の金融破たんに耐えるため、当局が摘発をためらっていたためと見られます。しかし金融機関は、四半期ごとの決算でも本業の儲けは低く、引当金の減少など業務外利益が拡大していました。LIBOR不正操作も、業績を好調にみせるトリックであり、欧米の金融機関のほとんどが関与していた、とされます。またEURIBOR、TIBORなどにも調査が広がり、一部では不正操作により、影響をうけた可能性を地方当局が調べるなど、影響が拡大する方向をみせています。

GCFレポを活用するなど、改善策はいくつか提案されていますが、問題は金融機関の収益性にかかってきます。JPMの決算がよく、欧米株価は大幅反発ですが、これも金融決算に懸念が出ていた証拠です。しかしLIBOR不正操作の影響は織り込んでおらず、モーゲージ関連の好調と引当金の減少が寄与する形であり、今後でてくる金融機関の決算が、同様の内容であれば楽観が不安に変わる日も近いでしょう。
JPMはロンドンの鯨の張本人ですが、損失は総額58億$だったようです。欧州破綻にかけた取引でしたが、仮にこの戦略に多くの金融機関がポジションを傾けた場合、本当に欧州は破綻まで引き摺り下ろされていたでしょう。一方で、反対売買を仕掛けていたヘッジファンドは、第2四半期決算が好調で、ほとんどのヘッジファンドがマイナスになる中、飛びぬけて良い成績を上げています。金融機関ではこした優勝劣敗が、今後も鮮明になると予想され、各国政府はその処理にも頭を悩ますことでしょう。

先進国の金融緩和は、基本的にリスクの方が大きいと認識されます。それが、金融機関救済に使われるなら、景気後退とインフレとの戦い、スタグフレーションの解決策を世界は模索しなければなりません。日経平均はそこそこですが、欧米株価はかなり高い水準にあり、それは投資戦略に余裕がない層が、必死に買い支えているといった側面も見え隠れします。日経平均が5000円台、など悪夢のようですが、欧米の対策に失敗が顕著になってくると、欧米株価の急落を映す形で、そうした水準もありえると考えておいた方が良いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2012年07月13日

民主党で選挙をする、とは

野田氏が昨日、衆院予算委で「消費税増税に反対なら公認しない」と述べ、両院議員総会で否定しました。これはいつか見た光景、消費税増税を主張しながら、代表選では一切ふれず、後に押し切った手法と同じです。つまり野田氏は、マニフェストはウソと簡単に撤回しても、消費税増税に関しては我を通す傾向があります。輿石幹事長と野田氏の力関係からみれば、野田氏が押し切る形となり、結果的に選挙では増税を掲げて戦わざるを得ない。これは党の決め方が悪い、といくら口を尽くしても、民主党で戦うとはそういうことを覚悟しなければなりません。
次の選挙のマニフェストでさえ、党執行部は専断し、消費税増税を盛りこむはずです。メディアがこぞってマニフェストは撤回しても構わない、と論陣を張っているので「ウソです」と有権者へ説明することも可能ですが、それでは公認取り消しか、有権者もそんな政治家は信じられなくなります。結果的に、一度ウソをついた『看板』で戦えば、白眼視に耐えなければならない。公約、訴えはもう誰の耳にも届かない、という覚悟をもって選挙に挑む必要が、民主党議員に求められます。

そんな中、鳩山新党の話が出てきました。しかし鳩山氏は当面、代表選にむけて多数派工作を仕掛ける段階であり、話の出元は仙谷氏辺りだと推測できます。つまり鳩山グループを孤立化させ、代表選においても有利に戦う、との戦術です。逆にみれば、民主党内はこうした姑息な戦術が跋扈している、ということです。民主党には綱領がないことが有名ですが、それも自民党と対抗できる勢力となるため、数を集めようとしたからですが、今はそれと逆の動きが起こっていることになります。
野田氏は「理想ばかり追いかけては政策遂行できない。現実ばかり追いかけては政治にロマンがない。幻想なき理想主義は必要である」という言葉を引用しました。これを消費税増税に当てはめているなら、すでに形となった消費税を『増やす』という行為に、理想主義は適応しません。ハイエクの言葉を充ててみます。『もし政治が可能なことに関する技術なら、政治哲学は、一見不可能なものを政治的に可能にする技術』です。つまり野田氏は政治家であり、政治哲学者ではない。むしろ彼がそれを自認するなら、この前段にある『政治哲学者は指導者の地位を僭称してはならない』に当てはまります。

野田氏は重要なことを決定する、強いリーダーだという評もあります。しかし重要な決定権を得るために、ウソをついて集めた議席を、縦横に使えばそれは専横です。野田氏は国難から「逃げない政治をやりたい」と述べましたが、その国難を準備しているのは野田氏です。消費税増税による景気後退、という現実味を帯びる日本の凋落に、自らすすんで身を投じようとしているに過ぎません。
小泉郵政解散のときに、今回を準える向きもありますが、小泉氏は「自民党をぶっ壊す」と述べて実際には再生しました。野田氏の場合、言葉の逆が真意であるなら「民主党をぶっ壊す」と述べないことが、実はそれを志向していると云えるのでしょう。野田氏は8月半ばにも消費税増税法案を通し、10月に特例公債法案を通さないと…と財務省にブラフをかけさせたので、その頃までには解散条件をそろえるつもりです。野田氏は猜疑心が強く、一度弓を引いた相手を許すような度量はない。そんな中、造反議員たちの苦悩は、秋頃までには極限にまで高まることでしょうね。

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2012年07月12日

与野党の公共工事競争

九州で大雨が降って、多くの方が被害に遭われています。問題は、災害に対する備えが過去の経験に基づいて計画されていることで、このため『経験したことない大雨』などになると、簡単に防災計画が機能しないことです。しかし過剰投資は禁物ですし、日本では便益と費用の比率(B/C)が低い、という指摘もあります。そんな中、自民党の主張で消費税増税法案の付則に、防災・減災に関する項目が付加され、消費税増税が公共工事による歳出拡大、につながる懸念が拡大しています。
自民は国土強靭化基本法で10年で200兆円、公明は防災・減災ニューディール政策で10年で100兆円、たち日も10年で300兆円の公共工事をぶち上げ、バラマキ合戦の様相を呈しています。B/Cは、日本では1、海外では3〜4で公共工事を有無を決めるとされ、日本では非効率でムダな公共工事が多い、と云われる中で、さらに政治家の利権主導型のバラマキが、消費税という財源をつかって今後、増えると予想されます。残念ながら、予算ありきで公共工事などを行えば分捕りが始まります。

そんな中、民主党から『日本再生戦略』が示されました。11の成長戦略と、38の重点施策として、多岐に亘る内容であると同時に政策の優先順位を決める、としますが、要するに各省庁から持ち寄られた内容を、ファイルしたというほどの内容です。実効性、有用性が低いものばかりで、また年金基金の活用を盛り込むなど、国の財政以外にもつかえるマネーを探す、ということに主眼が置かれ、正直それで損失を出したら結局国庫負担が増えるだけ、という最悪の内容となっています。
財政が苦しいなら、重点項目をしぼり、B/Cの高いもののみを実施すべきです。38も重点施策があれば、1事業1000億円としても3兆円以上かかり、その中で当たりを探す行為は、まるで宝くじと同じ、10分の1ぐらいの戻りが関の山です。残念ながら、最初に為さねばならないことは少子高齢化対策であり、それは将来の社会保障を支える意味でも、重要です。消費税増税をしても社会保障は充実しませんが、若年層が増え、雇用が増せば社会保障が安定し、安心して消費できる社会ができるのです。

野田政権の下では、再生戦略どころか財政戦略、もしくは再選戦略しか見えてきません。少子高齢化対策では、結果が残らないですし、子育て世代の投票率はそれほど高くない。高齢者は投票率が高く、また建設業は選挙応援などが期待できる。結果的に今の与野党は、政局によって財政悪化を促すような施策を、大盤振る舞いして並べてきた、ということなのでしょう。
野田氏は、消費税増税法案に賛成しない議員を公認しない、と国会答弁で述べました。その後、両院議員総会では否定しましたが、野田氏の心根は前者にあります。野田氏はすでに選挙モード、一方で党内に衆院選の選対チームは、選挙が近いという印象を与えるから、との理由で見送りました。野田氏は民主党の選対が間に合わず、自民党に敗北しても構わない、と考えているとしかおもえません。なぜなら、参院選は1年後でも選対チームを立ち上げたからであり、通常なら同時立ち上げでも良かったはずです。自民党野田派、という形に収まるため、民主の選対立ち上げを遅らせたのではないか? そう勘繰ってしまうほど、野田氏による恨み、自身に反発する人間への仕打ちは根深く、まさに猜疑心の強い宰相という面を露にするのかもしれませんね。

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2012年07月11日

野田政権の尖閣への対応

小沢新党の名称が『国民の生活が第一』になりました。短縮名称だと『生活』になるのか、『国生』になるのか、とにかく長いという印象です。綱領、政策の分析がまだなので、詳述は後回しにしますが、またしても警察はやりました。大津中二自殺事件において、イジメとしては異例の強制捜査を執行です。これをわざわざ新党立ち上げにぶつけ、メディアの注目を逸らそうとする。警察、検察の中には未だに小沢憎し、という動きがあります。しかし政界再編の号砲は鳴りました。今後、永田町は次の覇権をめぐって、新たな枠組みを模索しつつ動いていくことになります。

尖閣諸島を国が保有する提案をしてから、中国が活発に動いています。中国としては、日本は尖閣で領土問題はない、としていることで、国際裁判所への提訴という事態にならずに済む。今年、共産党の再編を迎えますが、弱腰とみられて求心力をなくすより、強気に出て国内の不安定要因を排除しておきたい。すでに景気低迷は顕著ですから、今後治安の悪化、国への不満が噴出することが確実であり、日本に多少強く出ておいた方が、今は国内を統治できるとの思惑が働いています。
ひどい発言を耳にしたので記事にしておきます。元朝日新聞の記者で、現在は大学教授をしながらコメンテーターとしても活躍する某氏が「尖閣諸島は中国、台湾に近いから、領有を主張するのは当たり前」というものです。すぐ隣にいた解説員が、正しいコメントを残して事なきを得ましたが、これは重大な問題です。距離で領土が決まるなら、世界に飛び地はないはずですし、欧州ではアフリカ大陸の方に島をもつ国など、幾つもあります。それをすべて距離の近い国に譲り渡せ、という論調かはうかがい知れませんが、あぁ、朝日新聞だ…とがっかりするような、ひどいコメントでした。

野田政権では『北方領土の再活性化?』問題といい、領土問題は等閑です。しかも、クリントン米国務長官が日本側に説明を求めたように、米政府も今回の動きには懐疑的で、尖閣にも日米安保条約5条が適用、とした従前の判断から後退しました。野田氏は外交に意欲、としますが、多くの政権が行き詰ると外交に活路を求めます。しかし内政が停滞した国で、外交に成功した事例はなく、大抵は相手国の敵視政策という形で不満を逸らそうとします。ただ野田政権にそんな余裕はなく、仮にTPP参加を表明しても、今の米国からは懸念を表明されるだけに終わってしまうでしょう。
野田政権の外交戦術は、自民時代とまったく同じです。それでいて物足りないのは、目新しい戦略を打ち出さないこと、にあります。日米同盟が機軸、は現状でどの政権でも同じですが、東南アジアの成長をとりこむのか? 中央アジア、アフリカの資源獲得なのか? 中東和平に尽くすのか? 柱がないのです。それこそ尖閣諸島を国が保有したら、柱でも立てて自国の領土、と強く示せばそれも一つですが、野田政権にそんな強気の外交は望み薄でもあるのでしょうね。


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2012年07月10日

野田首相のリーダー像

大津市で中二の男子学生がイジメをうけ、自殺した問題が波紋を広げています。学校も、教育委員会も当事者であり、調査機能が低下していることが、最大の問題です。文科省が直接調査などとしますが、ここも広義では当事者であり、調査は不可能です。法務省の人権委員会、という話もありますが、イジメの通報と調査を担当する組織を、消費者庁の外郭としても良いのでしょう。これは虐待と同じで、気付いた側に通報を求めることで、抑止力が機能するはずです。いきなり法的権限をもつ組織より、調査、通告を与えるための第三者機関なら、相談する側もしやすくなります。相談できないことで、追い込まれていく生徒を出さないためにも、ハードルを下げる工夫が必要です。

橋下大阪市長が、野田首相を褒めちぎりました。理由は簡単で、小勢力で選挙に勝利するためには、分散する城を各個撃破するより、民自公で大連立を組ませて1点突破した方がいい。TPPに前のめりになった野田政権をおだて、維新八策に盛り込んだものの、各党との調整が必要そうな項目を前にすすめてもらう、という思惑もあるでしょう。代表選、総裁選を控えて、下手に顔を新しくされて苦戦するより、野田−谷垣ラインなら維新にとって都合よい、という判断が働いています。
日露首脳会談で、日本側が発表した「北方領土問題に関する再活性化」という発言が、会談では一切語られていない、ということがありました。通常、トップ会談はセレモニーで、記者発表内容は事前に相手国と調整するのが一般的です。特にこの程度の内容ならトップの判断は必要なく、これが起きた原因は二つと見ています。野田氏が忘れたか、事務方の調整に不備があったか、です。

最近、野田氏は正直ではないか? と思うことがあります。但し言葉の裏をとる形です。例えば「内閣は適材適所 = 親しい議員がいないので誰が相応しいか知らない」、「最強の布陣 = 最弱内閣」、「大局にたって = 大局、展望のない自分」、「胸襟を開いて = 猜疑心が強く、心が開けない自分」。つまり発言の反面が、そのまま自身に当てはまるのです。この法則でいくと、官邸前のデモでも「大きな音 = 国民の声はまだ小さい」と受け取ったのかもしれません。
野田氏はやりたいことをここ数年で見つけたぐらい、将来ビジョンのない政治家です。なので財務省は消費税増税、米国や橋下市長はTPP、など『野田政権のときにやってしまえ』と躍起になります。リーダーシップの欠如が、逆にリーダーとして都合よい。しかし実は、極めて日本にとって不都合なリーダー像を、野田氏は現しています。彼の周りには、猜疑心が強くておべんちゃらしか言わない、官僚と阿諛追従の政治家しか集まらないからです。誰も野田氏を諌めない、菅氏のように怒りだすことはなくても、周りから憂国の志士はいなくなる形が、野田氏の人物像からうかがい知れるのです。

鳩山元首相への処分が、党倫理委で6ヶ月から3ヶ月に軽減されました。野田氏が強いリーダーではない、ということがこの一件でも如実に現れます。両院議員懇談会で、野田氏は「心から、心から、心から」とくり返しましたが、先の法則を適用すると「心が篭っていない」発言だったと云えるのでしょう。声は大きくしても、言葉は震えない。それでは誰にも心根が伝わりません。これから政界が小政党乱立の、戦国時代に突入するなら、野田氏の役割は今川義元になるのかもしれませんね。

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2012年07月09日

国民生活基礎調査について

内閣府発表の景気ウォッチャー調査で、現状判断指数が43.8と、前月より3.4pt下がりました。好不況の分かれ目が50なので、前月50割れした数字を、さらに下回った悪いものでした。さらに5月機械受注が前月比14.8%減と、05年4月の統計から比べて最大の落ち込みとなりました。1-3月期が予想外に好調で、4月のかさ上げもありましたが、年後半には回復とする市場の期待を裏切る内容であり、俄かに景気に対して、不透明さが増した印象です。さらに、先週発表された日銀のさくらリポートは、全9地域のすべてで景気判断を上方修正するなど、強い内容だったことにも、違和感を覚える内容です。つまり日銀が景気を強くみている以上、今週の政策決定会合でも、対策は出ないだろうという判断が支配的です。一方で、景気の見方が悪化していることは間違いありません。

それを説明する資料に、厚労省の国民生活基礎調査(H23年度)があります。1世帯当たり所得金額の年次推移、として公表される数字で、全世帯の所得額が1994年に664.2万円の最高額をつけ、1998年まで横ばいが続いた後、緩やかに低下を続けて2010年に538.0万円になっています。金額にして126.2万円、約19%の賃金デフレが起きてきたことを、この数字は示します。さらに深刻なのは、公務員はこの間横ばい、大企業もベアを維持してきたため低下幅は小さい、この賃金デフレは、中小・零細企業で大きくなっており、実際の国民生活はこの数字以上に厳しいことです。
そして2015年には消費税増税と、その他の復興増税などで、年収500万円の4人家族だと33万円も納税額が増えてしまうこと。これで実所得は、20年で20%以上減少することが確実なので、これで景気が上向くならそれは奇跡です。さらに役員を除く15歳以上の1人当たり平均稼動所得金額は、男子の正規雇用が471.6、非正規雇用が162.7万円、女子の正規雇用が288.2万円、非正規雇用が104.2万円。200万円以下の世帯が、20%近くになるなど、この結果だけをみれば国民の困窮ぶりがよく分かります。

この状況で、消費税増税という施策が如何に景気にマイナスか? よく分かります。もう一つ、高齢者世帯は1998年で335.5万円とピークになり、2010年は307.2万円と、10%も下落していない。つまり勤労世帯の負担は、高齢者世帯の増加とともに、益々重くなっているのが現状なのです。だからこそ、社会保障改革を先に進めない限り、誰も安心できないことになっているのです。
今年の上期倒産件数は、6311件で前年同期より3.25%減でした。しかし中小企業金融円滑化法やセーフティネット保証などが切れれば、一気に増加することが指摘されており、今後はどうなるか不透明です。また中国の6月消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.2%増と、潜在成長から上乗せされる分を考えても、相当景気が悪化していることを示唆しました。海外要因、という奇跡は期待できない状況で、日本は日本として、どう経済成長戦略を描いていくかが、とても重要となっています。

しかし残念ながら、経済全般を統括する、コントロールするべき基軸がない野田政権では、初めから期待薄なのが現状です。メディアが指摘しないのが不思議ですが、野田政権ではめぼしい経済成長戦略、という話をほとんど耳にしません。増税して景気回復、などの白昼夢は語られますが、実際舵取り役もいないのが現状です。財務省に頼る野田政権は、歳出と歳入という枠でしか経済をみられない。国民の生活が第一、を小沢新党にとられたと騒いでいますが、国民の生活は野田政権でも苦しくなっている、という自虐ネタでない限り、そのフレーズをつかうのが恥ずかしいほどの経済政策しか、していないのが現状なのでしょうね。

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2012年07月08日

消費税の地方税化を考える

鹿児島県知事選で、与野党相乗りの現職、伊藤氏が三選を果たしました。反原発が地方選で大きな争点になりにくいのは、原子力ムラと呼ばれるものに、地元の多くの企業が含まれていることです。代替の産業を提示しない限り、地方選では厳しい。それだけ企業に紐づいている家庭も多いのです。国政選挙なら、原発依存地域でない方が多数となるので、大きな争点にも出来ますが、今回の結果は地方選における、反原発・脱原発の戦い方には一つの示唆となるのでしょう。

先週末、米6月雇用統計が8万4千人増と発表されました。米労働市場の回復は緩慢どころか、鈍化していることが意識され、米株市場は軟化しました。時間当たり賃金は若干増加し、平均週間労働時間も若干増えましたが、これは雇用を抑えて仕事になれた社員に、やや負荷を増した結果と見られます。全体としては悪い傾向ですが、昨今のFRB理事の発言から、この程度ではまだ量的緩和であるQE3などの対策はうちにくい、という思惑が流れたこともマイナスでした。
米国では地方都市の破綻が徐々に現れており、政府部門の雇用のマイナスが止まりません。オバマ大統領再選には逆風が吹きますが、FRBが雇用回復の責任まで負っていることで、今のところ批判は政府に向かっていません。ただ、金融政策で雇用を調整できるはずもなく、本来のFRBは適切な金融政策で、景気回復を主眼とすべきところです。そうでないことで自縄自縛に陥っている状況です。

日本では、不況時の増税という施策に与野党がまい進していますが、消費税を地方税へ、という主張を考えてみます。これに反対する人間は不平等とし、賛成する人間は地域の実情を反映した税体系ができる、とします。大都市圏では、それなりに人口が多く、消費も同時に行うために税収が上がる一方、地方都市では元々の人口のパイが小さく、消費も少ないため低い税収に留まってしまう。税の調整は国が行うしかない、という議論もありますが、橋下大阪市長などは自治体同士で、配分を調整することが可能としています。
現実問題として、自治体同士で配分調整は困難でしょう。しかし国が関与しなくても、配分調整は可能です。人口傾斜に基づいて、逆数による配分調整を決めておけばよい。これは道州制にからみ、例えば関東圏では比率はこう、と地方ごとに変えることで、ある程度の不公平感はなくなるはずです。東京で消費されても、それは近隣諸県から買い物に行った可能性もあるのであり、大都市圏の方が商業施設も多く、有利であることを考慮して配分するという形です。

一方で、大型のモールやドラマ、アニメと連動した地域振興策、ということを行う地域はより消費が拡大する可能性もある。それが直接税収に関係する、となれば努力しろを地方がそのまま受けられる形になります。財務省のいう、安定した税収で老若男女問わずかかる、公平性の高い税金だからこそ、地方に渡してしまう方がいい、という判断は当然できます。消費税を社会保障に充てる、ということだと、社会保障費用の増大に伴って消費税は上昇する、という悪い連想となり、消費を覚ます傾向が顕著となるでしょう。それでは税金のコントロールという考えからしてマイナスです。
そうなると、軽減税率を地方の実情に合わせて、特例として一部に認めても良いでしょう。ただ消費税の地方税化における最大の課題は、国税庁が地方ごとに管理していない、ということでしょう。小売なら、地域で分割できますが、流通過程でかかる消費税や、事業主体が海外となる、今のAmazonの問題などに、どういう管理を用いるかが、まだ具体的に決まっていないこともあります。残念ながら、歳入庁などと一体での議論とならざるを得ず、消費税の地方税化をすぐ、というわけには行かない点で、選挙の争点にはしにくい項目ではあるのでしょうね。

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2012年07月07日

雑感。野田政権の尖閣国有化と、小沢新党の名称を勝手に考える

野田政権が、尖閣諸島を国有化する方針を示しました。これは不人気を託つ政権が、窮余の一策を打った、ということです。しかし買う、という方針が決まっても具体的な戦略がなく、石原氏を訪ねても提案はなかったようです。予算もなく、予備費で賄うとしても、法律的にどういった権限を行使するのか? その検討がまだなのでしょう。通常の国有化と異なり、地権者と第三者、つまり今回は東京都ですが、それが交渉過程にある限り、国は強制的にその交渉に介入はできません。アドバルーンを打ち上げても、年内に交渉できる見込みはなく、手詰まりということです。
さらに云えば、官房長官時代、中国に対してのみ丁寧語をつかい、まるで日本が隷属しているかのように遜った仙谷氏の存在が、尖閣諸島の国有化に陰を落とします。彼が関与する政権では、中国へ配慮する姿勢が続くことになります。残念ながら、中国の政府系マネーが海外の不動産を買い漁る現在、中国マネーに日本の水源などの、根幹を抑えられないようにする施策を打つ方が、実はもっとも大事で、かつ国が為さねばならないことです。尖閣諸島の国有化、という目立つことをしよう、というスジの悪さが、野田政権が保守層にアピールしたい、という焦りとなったのでしょう。

小沢新党の名称が、話題となっています。会派は『国民の生活が第一』ですが、政党名では長すぎますし、それだと比例で短縮名を記載するとき『国生党』などになり、国民新などとも区別がつきにくくなります。『新政党』などの候補もあるようですが、それだとかつて創設した『新生党』と呼び名がかぶり、あまり良い気はしないでしょう。一年しかもたなかった政党名でもあります。
こうしたものは、適当に予想するのが楽しいのですが、個人的には『いっせい党』を推します。漢字を当てれば、一世風靡の『一世』もありますが、『一生』もあります。『国民の生活が第一』の一部を抜粋しており、かつ『一生面』とすると、新しい道、新機軸などを意味します。一気呵成を想起させても良いでしょうし、小沢一郎の『一』もつかっています。『いっせい』が、政治を一新するという意味でも良いでしょう。こうしたものは、隠しワードの多い方が楽しいものです。

しかし民主党で、臨時国会で補正予算をくみ、その後で解散という案が出ているようです。しかし補正予算の景気対策が、効果的である保証は皆無です。その前に、野田政権で臨時国会を迎えられるか? さえ不明です。実際、造反組以外にも民主党内には、不満分子が拡大しており、すでに党分裂で選挙基盤が弱体化し、再選の難しい議員たちが顔を変える方向で動いており、代表選の行方は野田氏の思い通りになることはないでしょう。解散するなら夏であり、それを越えれば新政権が、自民との約束を破っても解散を先送りする、といった形になるのかもしれません。
しかしいずれにしろ、選挙戦になれば、話題の中心は次々と立ち上がる新党にさらわれることが確実です。既成政党は、むしろどれぐらい維持できるか? といった注目でしかありません。それを覆すことは相当に困難であり、尖閣諸島の国有化、と石原新党のお株を奪うぐらいでは、まず注目度は低いといえるのでしょうね。


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2012年07月06日

ポピュリズム批判への反論

上野動物園でパンダが生まれた、と大騒ぎですが、今日になって2年後には中国に戻される話が出てきました。中国は相手国に贈与、売却したパンダが子供を生んだ場合、その国の帰属としますが、基本レンタルの場合の子供の扱いは、すべて中国に帰属させる契約を結びます。中国にとって、パンダも輸出、外貨獲得のツールである以上、これは仕方のないことでしょう。
中国人民銀行が、法定貸出金利を1年物で0.31%引き下げ6%に、預金金利を0.25%引き下げて3%としました。昨晩は欧州のECBも政策金利を0.25%下げて0.75%に、付利も0としました。また英中銀が流動性供給に500億ポンドを上乗せし、3中銀が同時に金融緩和に動いた形です。日米欧でも中国の政府系とみられる投資、マネーが市場を下支えする傾向があり、それはあぶれたマネーの逃避であり、人民元安に備えた動きでもあります。さらにECBの預け入れ資産の金利を0としたことで、市場にマネーがあふれ出すといった観測もありますが、逆に今の市場は不況時の株高、といわれる状況です。つまり下方バイアスが強い状況で、収益至上主義のマネーが流れ込んだらどうなるか? やや警戒も必要です。

仙谷政調会長代行と、石破政調会長が講演で、反消費税増税、原発依存脱却に対してポピュリズム、今日を守っても明日の国民の生活が守れない、と反発しています。しかし東電の値上げ申請に関する有識者会議も、総括原価方式を改めることなく、落とし所を決めた議論に収支しますし、年金一元化の中で議論される公務員の職域加算も、形を変えて残すなど、民主、自民は今日も明日も守ってくれない、という印象を強くします。さらに年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が、昨年度の運用で2.32%のプラスとなった、と発表しました。しかしこれは約束の3%超にも達しておらず、さらに2年ぶりの黒字で、結果的に運用資産は3兆円近いマイナスとなっています。
年金制度を改正しないと、明日の生活は決して守れない。民主はマニフェストの旗を降ろしているので、年金制度をどう構築するか不明であり、自民は変えないとしています。両党とも、有権者で多数になりつつある高齢者に配慮し、『今を守る』ことで票につなげようとする姿勢に、何ら変わりありません。しかし社会保障こそ、今を変えねば明日が守れない、その第一歩なのです。

原発の問題など、国が景気対策として仮設の発電設備をつくり、後に国主導で立ち上げる地熱や波力などの自然エネルギー発電を、事業体として統合させる。その後、国は株式を売却する形をとれば、国は歳出を回収でき、また発電事業が競争時代に突入することで、国民にもメリットがある。極めて優れた施策と思われますが、電力会社に配慮してそこに踏み込まなければ、これも今を守って明日を約束しない形です。民自はポピュリズムどころか、特定の利権者による権威主義へと、誘導しているようにしか見えない。そこに、今の国民の不満が内在しているのです。
ポピュリズムの一つの結果として『政治の自殺』と述べ、アリストテレスの『政治学』から最悪のもの、とする方もいます。その反証として、ソクラテスの言葉を引用しておきます。『財宝を奪い、圧制し、奢侈にふける権力をもつために要職につく者は不正であり、卑劣であり、他人と和合しない者というべき』です。アリストテレスは君主制を唱えていましたが、それは権力闘争という形で、国が滅びることを嫌ったものです。共和制や民主制にも弱点はありますが、少なくとも今の日本には不正で、卑劣な輩が多い、という時点で大衆の向かっている方向性が、それらへの反発であることを知るべきなのでしょうね。

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2012年07月05日

維新の会の八策改訂と、たち日の政策宣言

国会事故調が、報告書を衆参両院議長に提出しました。折しも大飯原発3号機が出力を開始した日ですが、『地震にも津波にも耐えられる保証がない脆弱』な状態、と指摘したことで、現行の原発で耐性のあるものが、どれほどあるかが次の焦点になりそうです。国会事故調は、政府や東電と違い、客観性の高い視点があるので、指摘に妥当性も多そうですが、あくまで過去のまとめであり、今後は対策にむけた取り組みが必要です。また、事故の責任について各々の主張と、第三者の意見が出てきたことで、初めて原発事故の一連の経緯を『事件』として扱う土台が整ってきたのでしょう。

維新の会による維新八策の改訂版が発表されました。民主が維新と組めない点は、公務員労組の選挙活動について、制限をかけようとする点にあります。公立学校の教員を非公務員化が追加されていますが、これだと選挙活動が可能となるので、輿石氏などは有利でしょうが…。ただ公務員の強固な身分保障の廃止、内閣による人事権の一元化など、決して野田路線とは一致せず、これは民主内で接近しようとした前原氏も同様、自身の支持母体を解体するぐらいでないと連携は無理でしょう。
一方で、連携が取りざたされる石原新党に近いたち日も昨日、政策宣言を発表しました。憲法9条についての国民投票、と踏み込んだ維新に対し、自主憲法という従来路線を踏襲、さほど目立つ点はありません。TPP推進の維新とも、『可否を判断』とするたち日は弱い印象です。安全保障や外国人ロビー登録制など、総じて国粋主義の傾向が強い割りに、中身は薄まった。それも平沼氏が、大目的が一致なら、政策は関係なく「連携はありうる」と述べたことに現れているのでしょう。

つまりたち日は、石原新党に吸収合併される過程で、もう一度政策宣言を出す必要が生じます。そのときは連携先と、政策上のすり合わせをする。そのために余計な突出部を削っておかないといけなかった。ただ、石原氏が尖閣諸島の購入がまとまるまで都政から離れられず、年内に総選挙があると間に合わない可能性が強く、その意味でもここで表明しておく必要があったということです。
ただ維新は公務員に、かなり厳しい八策を掲げており、ここと組むなら覚悟が必要です。官僚の協力はかなり限定されるため、政治家個々の能力が問われるからです。マニフェストは破っても良い、などの可笑しな論調もありますが、自身の態度を明確にしておかないと、それこそ官僚に都合よくあしらわれるでしょう。保守が、単に既存の政治・行政の体系を変えないと捉えられたことが、前回の選挙の失敗であるなら、たち日が保守色を強くするなら、もっと政策を前面に出すべきです。

維新も、たち日も、政策を実現するためには連立、連携を組むしかありません。維新は余勢を駆って、さらに八策に上積みしてきた。この条件を呑む党とは連携できる、という強い態度です。実は、行政改革の部分で、自民もこの八策にのると首を締める形となります。行政改革を主眼に、各党に踏み絵を迫った今回は、小田原評定でいうところの七慌八乱、といった形を呈するかもしれません。七転八倒というとわかりやすいですが、どこが転ぶか、倒れるか、という政局を、今後表出させるのかもしれませんね。

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2012年07月04日

米経済と軍需産業

CERNの巨大加速器で、ヒッグス粒子らしきものが確認されました。少し難しい話をすると、ヒッグス場は対称性を破り易く、それによりクォークの物質場が、質量を獲得するために必要な素粒子が、ヒッグス粒子です。これはボース粒子とされますが、パートナーとしてフェルミ粒子があるのでは? とされており、仮定でしかなかったヒッグス粒子が、どれほどのエネルギースケールで獲得されたのか? ただ発見されるだけでなく、実はここから分かることが幾つもあります。標準模型として定義される17の素粒子で、確認されていない最後のもの。人類はここまで来た…と感慨深いものです。

オスプレイの配備に、沖縄では県民大会が開かれます。野田政権に、また一つ『国民の安全軽視』という政策のツケが、国民を反…に駆り立てています。米国はオスプレイ配備を、古い装備の刷新、というロジックを使っていますが、当然売り込みも兼ねた配備です。ただ、米軍需産業の一つが、中国政府に最新鋭軍用ヘリのソフトを渡すなど、容認できない動きもあります。うがった見方をすれば、中国軍が近代化すれば、日本の装備も最新鋭にする必要があり、軍需産業としては兵器競争を仕掛け、高額な兵器を各国に売り渡すための戦略ではないか? と思えてしまいます。
米国では医療保険制度改革が、最高裁で合憲とされ、オバマ大統領に追い風? 逆風? という話があります。政策が通ったことはプラスでも、反対の世論が多く、共和党を団結させるという意味ではマイナス。実際、財政の悪化はオバマ政権で拡大しており、財政面ではマイナスとなります。

米国ではISM製造業景気指数が、予想を超える大幅悪化で、俄かにQE3期待が盛り上がります。しかしどんなに金融緩和をしても、消費が落ち、景気が悪化する悪いパターンに入りつつあり、またFRB理事などもQE3は諸刃の剣、としており、実現性はかなり低い。逆にその政策が打たれたときは、米経済が緊急事態だ、との見方も出来てしまいます。特に、11月の大統領選前に緩和策を打ち、仮に共和党候補が大統領になった場合、FRBへの圧力は高まるので8月FOMCでは策を打ちにくいのでしょう。
米景気悪化は、日本にも直撃します。欧州、中国向け輸出が落ちる中、米国の堅調な消費が日本の製造業を支えてきたため、です。しかし野田政権では、めぼしい景気対策がないばかりか、補正予算を組む前に選挙となりそうな気配です。サマーラリーは7月SQまで、といった観測が語られるのも、政局の不透明要因が強くなれば、海外の投資家は敬遠する。そうしたことも野田政権は、日本にとってマイナスと指摘できるのでしょう。ジャパン・パッシングは日本のことをスルーするという意味ですが、野田政権は、ロシアのメドベージェフ首相のように外交では子供扱いで、コケにされることが多い。重要な国際会議で、個別の会談にも応じてもらえない首相では、投資資金も入りません。

オスプレイもそうですが、日本が配備を計画しているF35を4機、102億円で米国から購入することを野田政権は正式に契約しました。しかしこの4機は平成28年に配備で、残り38機を順次購入する計画であり、その際は更なる価格高騰が予想されています。つまり開発費が上がり、単価は130億円近くとされており、今回は当初から3億円の増額で手を打っても、残りは修理設備などが整い、F35を購入せざるを得なくなってから上乗せされ、高額で契約させられる恐れがあるのです。
国防は大事ですが、だからといって財政が逼迫する昨今、最新鋭とされる装備をどう活用するのか? という計画がなければ、ただの軍事オタクが新しい玩具を求める姿勢と、何ら変わりない行動と云えるでしょう。野田政権では、こうした面でも国民への負担と、実際それに伴う効果に関して、説明不足という指摘ができてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2012年07月03日

オリーブの木構想が成功するには

民主党、常任幹事会で造反議員に対する処分の方針を決めました。最終決定は党倫理委員会で決まりますが、ここから幾つかのことが分かります。離党届をだした37名を除籍、党員資格停止は鳩山元首相が6ヶ月、18人を2ヶ月とし、棄権した12人に常任幹事会名で厳重注意、増税法案のみ棄権の3人を輿石氏による注意、です。民主党代表選は、恐らく9月15〜22日辺りなので、ぎりぎり投票が可能です。しかしそれ以上に、解散日程から逆算すれば2ヶ月とした意味が分かります。
党員資格停止のままでは、公認を受けられず、党からの支援もない。18人にそうした処分を下すと、無所属で出馬するかもしれない。2ヶ月で処分が解除となり、18人を含めて選挙したい、それが党主流派の思惑です。なぜなら無所属では、比例で『民主党』と書いてもらえない。小沢新党の離党で、比例の上積みが厳しくなり、少しでも仲間は減らしたくない。一方、その2ヶ月が自公と約束した解散の期日、との見方もできます。延長国会の会期ぎりぎり、それが解散のタイミングです。

20万人ともされる原発反対の官邸前のデモで、野田首相が「大きな音」と表現したことが話題です。それは国民の声であり、ただの音ではありません。さらに米紙がこれに反応し『政治には従う傾向が強い日本人』が起こした行動に、驚きを伝えています。米国にとっては、日本の政治、財界の首ねっこを押さえておけば、ほとんど要求が通ってきたことが、アラブの春と同様に通用しなくなる可能性がある。この動きを米国が警戒し始めたことが窺えます。米国が生み出したツィッターなどの仕組みで、米が関与できない民間蜂起が日本でも起こり、日本も国の形を変えるかもしれません。
そんな小沢氏が周囲に語っている『オリーブの木』構想、これは日本の細川政権当時と似ています。詳述は避けますが、この構想の最大の難点は、外交です。恐らく今、日本でこの構想を適用させようとすると、右から左まで集まってきます。早期に結果を求める維新の会や石原新党以外にも、社民党などの左派も色気をみせているように、増税、原発再稼動反対では一致できても外交、軍事では調整がつきません。日本でオリーブの木を成功させるには、政策ごとに加重し、この分野はこの政党の意見に従う、などの調整をしておくことが肝要です。それがなければまず失敗します。

民主分裂、という項目がホットニュースですが、実は国民新も分裂したので、与党2党がそろって分裂しています。朝日新聞の社説は、小沢新党に参加する議員をカラーひよこに準え、けなしますが、それは野田政権に従おうと同じ。誰も政党が決めたことに、自分の意見を違えても賛成するというなら、政治家は全員カラーひよこです。政治家が全員、政党から独立して賛否を表明できるなら、一国一城の主として振舞えても、政党という組織にいる限りは「数こそ力」の論理で使い捨てです。これは小沢新党でも、他の政党でも同様であり、この社説は強引にそれを離党組に当てはめているに過ぎません。
オリーブの木構想、日本だから桜の木構想と語る人もいますが、これが野合にならないためには、拘りのある政策には注力し、それ以外は数のためのコマになる、これが求められます。民自公が消費税増税、原発再稼動、公共投資の拡大で一致した現在、それに対抗するにはこうした取捨選択が必要です。恐らく、どの政党も過半数を満たすことがない。第一党が、支持母体の大きさで決まっては、国民の声は相変わらず、ただの『雑音』として扱われてしまいます。国民が動き出した現在、永田町の形をかえるための行動が、政治にも求められているということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2012年07月02日

野田首相が講演で『日本化』に言及

小沢氏が離党届を提出しました。衆院38名、参院12名です。相当激しい実弾による切り崩し工作、という話も聞かれましたので、まとめ切ったと見る方が正しいようです。よく『展望がない』とも示唆されますが、最も『展望がない』のは、造反して党に残る人間です。このまま選挙になれば、党員資格停止処分になると、党から支援がうけられない。民主党色を消す、ということでも表向き、民主党の看板を背負って戦うのは同じです。しかも、何らかの厚遇があれば逆に、党主流派との手打ち、といった形を勘繰られます。いずれにしても、悪い噂しか立ちません。
政策、綱領が立ち上がってこないと、この新党の評価もできないので先に送りますが、メディアは今回、衆院過半数や、参院の第一会派にこだわって、達成できなかったと報じますが、小沢氏はそれほど拘っていない風です。逆に、民主党が脆弱化し、一気に流動化すれば新党の成立が間に合わない。夏解散を視野に入れ、それまでに政党基盤を固めて第二弾、第三弾が撃てれば、そのとき一気に選挙モードといった戦略かと推測します。オリーブの木構想ともされますが、地域政党との連携、それを築くためには二ヶ月欲しい。選挙から逆算したスケジュール、それが今なのでしょう。

6月日銀短観が発表されました。大企業製造業、非製造業とも3pt改善で-1と8でした。先行きも改善を見込むので、景気は上向きと指摘できますが、これも想定為替レートより若干の円安であることも影響します。問題は、欧州不安を織り込んでおらず、あくまで海外経済が安定的に成長する、という見通しであることで、年初にあった年後半は景気回復、という期待もあるようです。
読売国際経済懇話会で、野田首相が講演しました。海外で『日本化』が『決められない政治』をさすこと、とされたことで社会保障・税一体改革にとりくむ契機となった、と述べています。しかし経済で『日本化』といえば、長期の景気低迷とデフレをさします。ナゼ一方にだけ焦点をあて、もう一方を悪化させる方向に舵をきるのか? その説明はついぞ聞かれませんでした。

「増税の前にやることがある」で増税を先送りしてきた、という指摘もありますが、これは全くの誤りです。言葉を換えれば「増税するぐらいなら、他にやることは一杯ある」です。増税は景気悪化を覚悟し、ダウンサイドリスクを考慮し、苦渋の決断として行うべきものであり、要は最終兵器です。今、日本が最終兵器を使わなければならないほど、財政が悪化しているならやるべきですが、CDS市場も、債券市場もむしろ逆をとっています。つまり財務省と、一部の政治家が財政破綻を指摘しますが、その説明は最終兵器を放つほどの内容を伴っていません。むしろ景気を悪化させる、そのリスクに誰が責任とるのか? という方が常に棚上げで、一か八かの賭けを打つべきではありません。
経済懇話会なのに景気、経済政策に関する部分はごく少数。これは野田氏が経済オンチであることを示します。2011年度は法人税が堅調で税収が上ぶれましたが、すぐ補正予算の話がでてきましたが、これなど昨年の3党合意で、復興国債などの償還に回す、とされており、ナゼその部分は今回の合意より低い扱いで、補正予算の話になるのか? それすら不明です。野田政権は、景気への配慮が圧倒的に足りないばかりか、増税という項目だけは遵守し『日本化』をさらに進めようとしている。海外の景気頼みで、国内の景気を考慮しないというなら、『決められない』どころか『決めてはいけない、やってはいけない政治』が、『日本化』の意味づけに新たに加わるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(8)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済