2013年01月

2013年01月31日

雑感。政局について

国会が始まりましたが、政党内、政党間の動きが活発化しています。自民では無派閥連絡会なる、事実上の石破派が37名で立ち上がり、一方で青年局では小泉氏が82名を集めました。青年局は、小泉派といった類ではありませんが、今の自民は安倍氏が、周辺議員をひきで閣僚にするといった人事を行ったため、派閥化するのは閣僚になる、一つの道でもあるためです。中小派閥でも、総裁選の協力次第では閣僚になれますが、その場合は派閥内でかなり上位にいなければならない。それより将来有望な、総裁になれそうな人物の下に参集しようとして、派閥化するという流れになります。

維新とみんなの党の関係は、さらに複雑です。維新は、太陽の党との合併で不鮮明になった色を、みんなと合流することでとり戻したい。しかしそうなると、維新は党内に維新、太陽、みんなと三つの勢力を抱え、民主以上の弱い結合にしかならなくなる。みんなの所属議員も、渡辺代表の動きには反発しても、維新とくっついても得策とは思えない。なので、基本項目の合意程度で、選挙協力という形で緩い連携を模索しますが、渡辺氏にとってはそれすら面白くない面があります。
渡辺外しをして維新とみんなが合流すれば、安倍政権はより強力に補完されます。橋下氏、平沼氏などは媚態をみせ、連立政権入りしたいと云わんばかりです。メディアが一斉に渡辺バッシングを開始し、みんなの党分裂を画策するのも、安倍政権をバックアップする思惑が働いています。是々非々と云いつつ、あくまで対決姿勢の渡辺氏は邪魔、安倍政権に阿諛追従する勢力を増やし、巨大な与党に寄りかかって自分たちに都合いい政策、経済の方向性を目指している。この離間策に、みんなの党もはまりかけており、ここで結束が崩れるならみんなの党も消滅の憂き目に遭うでしょう。

民主も連合の古賀会長から怒られましたが、それぐらい労組系が強い一方、前原、野田グループも閣僚経験者を多く抱え、抵抗している。むしろリベラルで固めた方が、野党として存在感も増しますが、それでは橋下氏が述べたように、民主の一部議員が離党して、維新に合流するでしょう。ただ、その方が党の色もはっきりし、綱領も決められるはずです。しかし海江田氏は自身も裁判という問題を抱えそうですし、それ以上に決められるリーダーではないため、体制としては脆弱なまま、低空飛行を続けることでしょう。仰天プランは、陸山会裁判終結後に小沢氏を招聘する、といった形で、民主と生活が合流することですが、そのときはまさに党の方向性は決まることになります。
しかし、先に指摘したように、メディアも野党勢力は維新へ集中させようとしている。それは一方で、安倍政権を擁護する形にもなるためです。100日はハネムーン期間とされますが、それ以上に安倍ノミクスに代表される、安倍政権の施策へは好評なものが多く、メディアもこんなところに安倍政権との付き合い方を見出しているようです。官僚と仲良くしよう、という政権には協力的なのです。特に、旧来の自民の施策をスケールアップした、今の安倍政権には、旧来の利権構造の復活に沸く、メディアもそんな思惑をもって、安倍政権の支援体制を続けることになるのでしょう。

つまり今の政局は、安倍政権(維新も含む) VS その他(石破派、民主リベラル、みんなの党など)といった形になりつつあり、その他のまとまりがない以上、益々安倍政権に有利な構図になっているのです。これではメディアも批判しにくい。朝日の態度豹変も話題ですが、結果的に日本全国、総安倍政権礼賛体制と云えるのでしょう。ただ、逆に云えば安倍政権が悪政を働いても、監視する勢力がない、といった形に陥っているともいえます。今の政局が向かう先に、新たな二大政党制があれば別ですが、そうでない以上、この動きの先には期待を裏切られた喪失感と、政治には期待できないという虚無感が、日本に蔓延しそうです。新たな対立軸探しには、当面苦労することになるのでしょうね。

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2013年01月30日

経済の話。市場の動き

今日、為替が一段安へとすすみ、株式市場は大幅高となり11000円台を回復しました。しかし海外からの、日本の見方は厳しさを増しており、米財務省のブレイナード国際担当次官が「ゲームのルールが守られると信じる」と、微妙な発言を匂わせています。このブレイナード氏、ガイトナー財務長官が去った後、事実上の通貨政策の担当者と目されており、同氏の発言だけに、ついに米国も円安に対して苦言を呈し始めたとみられます。日本では95円、100円と囃したてられますが、もしこのまま達成してしまうと、中国より早く為替操作国の認定が、日本に向けられるかもしれません。
その一つが、米国内における韓国ロビイストの強さです。米国とて、国益に適わない限り、安易にロビイストの意見に流れませんが、円安には米韓の利益が重なってくる。そこに欧州、中国が同調すれば、日本に味方はいなくなる。そして最大の懸念は、2ヶ月で15円、1日2〜3円程度の円安がすすんでも、為替介入していないことです。つまりこれまで日本が訴えてきた為替介入の大義『急激な変動』のハードルが、これで上がってしまった。つまり上記の変動では、為替介入の大義がない、となってしまうことで、今後円高が進行したとき、打つ手がなくなるのです。逆に、今度その程度で介入してしまうと、水準調整とみなされ、益々日本への逆風が吹くことにもなるのでしょう。

株式市場にも、何やらきな臭い話が聞こえます。日系で最近、まるで欧州のCTAスジのように大量の傾きをかけ、相場を動かす向きがいます。あくまで噂ですが、財界がシンジケートを組んで、相場を上に仕掛けるよう動いている。それこそ最近話題のファンドマネージャーの一部が、最近の相場上昇をみて、急遽顧客から投資を募って相場操縦を始めた、などとも囁かれます。いずれにしろ相場を活発に見せかけ、自分たちはその間に収益を得ようと、市場に有象無象のマネーが戻ってきました。
その象徴的存在は、竹中氏でしょう。彼が政権に関わっている間、マネーゲームが横行し、ライブドアショックを引き起こした。日本ではその検証、反省がほとんどないため、象徴的存在が、マネーを引きつける作用を起こす。ただ問題は、来期の業績回復はすでに織り込んだ市場が、さらに上を目指すことに、どれだけの大義があるか? です。恐らく今は、マネーゲームに傾けて、実体経済とは程遠いポジションを組んでいる。それが後どれぐらい続くか、そこが問題となります。

毎年、アノマリーとして節分天井となるのは、2月中旬にむけて、ヘッジファンドの90日ルールで需給が緩むためです。今年は、それを補おうとして動きだしたのが、先の日系になるのでしょう。ただ、買い遅れたとされる海外勢が、後どのぐらい残っているかによっては、アノマリー通りになるのでしょう。15日に日銀総裁の人選に目処がつく、ともされますが、リフレ派であることは織り込み済みなので、誰が選ばれても差がない状況であり、そこに期待をかけにくい面があります。
株式市場が40年ぶりの連騰という話も、円安の継続度合いによって、今後の動きが決まるのでしょう。米国の態度転換が鮮明になれば、閣僚が世界的にみても異例の為替水準に言及する、といった動きも見直さなければなりません。市場原理主義の竹中氏がいるのに、市場を操作するといった強引さをみせる今の安倍政権にとって、やはり米国の意向には逆らいにくいということになります。

昨日、予算案が閣議決定されましたが、緊急対策費や金利見通しを引き下げ、さらに税収増を見込んだため、来年度は補正予算をくむ余裕が、著しく低くなってしまっています。当然、景気が堅調なら補正を組む必要はありませんが、その余裕まで先食いしている現状で、下振れ懸念が強まってくると、日本に対する見方も厳しくなることは確実です。財政規律を保って、それでも景気対策を打てるか? 日本は来年度、相場を操縦しようとする勢力の動向とともに、試練であることだけは、間違いないのでしょうね。

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2013年01月29日

安倍氏の態度と米国

昨日の所信表明で、「自信をとりもどす」「強い日本を創る」とします。しかし「緊密な日米同盟の復活」と述べ、これほど媚米主義を鮮明にされると、安倍氏のめざす国はドラえもんでいうところの『スネ夫』的地位に日本がなることなのか? と勘繰りたくなります。ジャイアン…米国の後ろで、お金持ちキャラとしてほくそ笑む。国民の中にも、安倍氏に抱くイメージと、行動や言動から推測される実状との乖離に、首を傾げる人も増えているように思えます。
それは領土、領海、領空は守るとしながら、個別の領土問題にはふれなかった点のみならず、バラマキの予算案もそうです。15ヶ月予算としつつ、1-3月期の政府予算は昨年で計上済みであり、一時的に補正と合わせて105兆円にもなる予算を単年度で組んだ、その暴挙にも疑問を生じます。財務省も、消費税増税を行うため、一時的なバラマキに手を貸したのであり、財政規律の問題は今後に暗い影を落としそうです。つまり税収がアップしなければ、来年はかなりの緊縮財政を覚悟せざるを得ません。強い日本どころか、急激な景気の山谷が、日本経済を痛めつけることになりそうです。

そんなジャイアン…米国の態度も、豹変が懸念されます。マリ、アルジェリアやシリアへの武力介入には消極的であり、それは演説でも「平和的に解決する勇気」と、あくまで軍事力を行使せず、の姿勢を示しました。北朝鮮の核実験には、強い懸念と態度をもって…と述べますが、これとてブラフである可能性を捨てきれず、世界の警察としての地位を、返上するかの如くに内向きです。
平等を訴え、同性愛者を理解し、移民の受け入れにも積極的で、オバマ・ケアの継続を訴える一方、戦争の10年は終わりつつあるとします。格差の解消や、財政問題に忙殺され、軍事力ではなく「背後にいて導く」しか、今は対外的にうつ手がない。米国の財政問題は深刻で、日本は世界最大ともされる赤字ですが、米国は先進国でも異例の速度で、財政悪化がすすんでいるのです。最早、ちょっとした紛争への介入ですら、戦時特例債扱いで発行するしか、手がないのが現状といえます。

日本との関係で言えば、尖閣諸島をめぐる日中の衝突で、米国が出てくるか? が語られますが、恐らく出ては来ないでしょう。中国は米国債を握り、米国は中国共産党幹部が溜め込んだ金融資産を、凍結するというカードがある。まさに背後で導くやり方で、紛争解決の道をさぐってくるはずです。小幅な衝突があっても、米中ともに本格的な対立を望んでいない以上、米国は出てこない。逆に、中国も戦端を拡大することは望まない。昔なら戦争が経済対策ともされましたが、今や戦争は経済にとってマイナス効果しかなく、失うものが多い以上、二の足を踏むといったところです。
ここで、北朝鮮の核実験に対する、米国のオプションが問題になりますが、中国が容認すれば米軍がピンポイントの空爆を仕掛ける可能性は、残されるのでしょう。そのときは、北朝鮮内部の動揺を誘うことが目的であり、軍事施設を破壊した上で、圧力をかけて金体制を脱却させる。恐らくその場合は、中国が主導して次期政権を誕生させることになるのでしょうが、そのとき日本も、拉致問題を初めとした諸問題を、解決する道が出てくるのでしょう。

安倍政権が幸運なのは、ロシアが極東の開発に日本を活用すべく、北方領土の話し合いに応じそう。北朝鮮も崩壊寸前で、後一押しがあれば体制転換があり得る。そこに好機を見つけやすい点が挙げられます。ただ、経済では日銀の四次元ポケットに期待し、未来の道具をとりだそうと躍起ですが、外交には知恵と工夫が必要なので、そこに戦略性をもたないと、安倍氏の「強い日本」がただの虚勢となってしまいます。スネ夫ではなく、少なくともリーダーならONE PIECEのルフィのように「海賊王になる」ぐらい云わないと、その後ろについていきたいと思えない、となってしまうのでしょうね。

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2013年01月28日

通常国会が開会

第183通常国会が、開会しました。所信表明演説は、これまで発信されていた内容と同様です。参院選まで安全運転、ともされますが、内閣支持率が上がったとメディアで報じる向きもあります。ただ、これは円安、株高の要因が強く、また開会前は自ずと与党や政府からの発信が増える面もあり、特段の不思議はありません。重要なことは今後の、見方が厳しくなる転換点がいつか、です。

安倍ノミクスが、ダボス会議で批判されなかったと甘利経再担当相が発言しています。しかし裏では、通貨政策に関して侃侃諤諤があったはずです。円の適切な水準、などを政府要人が語るため、そこに相場を誘導しようとしている、と世界から看做されています。それに対して麻生財務相が「日本は文句を言わなかった」と、頓珍漢な発言をしていますが、日本とて諸外国が相場の水準、などを語れば非難してよいのです。米国は「強いドル」と云って、金融政策によりドル安へと誘導した。そういう形でなければ、必ず批判されることを、安倍政権は理解しなければいけません。
安倍ノミクスの転換点は、浜田参与が政権を去るときです。麻生氏、甘利氏の発言は、驚くほど浜田氏の発言と酷似しています。逆に、経済政策を見直すときは、浜田氏を切る必要が出てくる。そこで竹中氏に経済の舵取り役を変更し、対日要望書に沿った経済政策に舵をきるのでしょう。海外の投機家にとっては、円キャリー取引容認の竹中路線になることで、円売りが正当化される。ハッキリ云えば、安倍ノミクスの本質は海外バブルの創出と、それに依存して一息つく先進国、という構図の中で、次のショックを模索することでしょう。その後、バブル崩壊が用意されています。

アルジェリアのテロ事件の対応でも、安倍政権の対応を評価する向きが多い。ただこれも、昨日もとり上げたように、メディアが横並びで政権と意見を一つにしたので、当然の結果です。しかも「日本人が狙われた」と、テロの暴力性ばかりが喧伝されますが、それがどうして起きたかを報じない。そして安倍政権の対応で、日本人が危険に晒されていることも報じない。これでは、国民が予見性をもって、今回起きていることが将来、何を引き起こすかに気付けないことにもなります。
安倍政権のやっていること、やろうとしていることの本質が何か? それを国民が、何となく気付くタイミングが、政権の見方への転換点になるのでしょう。そもそも、今回の短い所信表明演説に、行政改革といった基本的な部分が、まったく語られない。安倍政権が、この部分に力を入れていないことは明白で、さらに不思議なのが、規制緩和が抜け落ちたことです。イノベーションと制度改革、に含まれるのかもしれませんが、この通常国会中には、やはり浜田流の財政出動による景気対策の方が大きく、規制緩和などの半ば逆行する施策は、とらないというのが本音なのでしょう。成長戦略が6月に先送りされ、その間は規制緩和などの諸施策は出ない、とみて間違いはありません。

安倍政権は、危機突破やロケットスタートを意識しすぎて、非常に高い景気の波をうみだす一方、その反動も大きくなりそうな気配です。政府は来年度の消費者物価は0.5%上昇、実質GDPで2.5%と見込みます。かなり高い目標ですが、ロケットなら一般人には見えない位置まで撃ちあがらないと、それはロケットではありません。高い目標を掲げても、到達しなければ失敗、そんな綱渡り状況だけに、口を出したくなる焦りも安倍政権には見受けられますが、今のままだとすぐガス欠、という事態になりかねず、成長戦略もないまま軌道修正もできなければ、存外墜落は早くなり、見方だけではなく、墜落現場を目撃することになってしまうのでしょうね。

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2013年01月27日

アルジェリアのテロ事件における報道

橋下大阪市長が大阪市立桜宮高校の問題で、市教委が学科募集を中止しない場合、出直し選を指示していたことが明らかとなりました。この問題で、橋下氏は「報じられていない様々な問題がある」とし、自分の行動を正当化した上で、詳細を訊ねると「批判につながる」、「ネットをみてくれ」と述べます。ネットのような不確かな情報を元にするため、誹謗中傷がおきますし、もしそんな「様々な問題」があるのに、それを公表もせず改善を目指したとて、上手くいくはずがありません。情報をすべて開示した上で、どういう方向を目指すか、を示さなければ改革ではないのです。
例えば、企業が不祥事を起こせばトップが交代します。それは方針、体質を決定するのがトップであり、不祥事を起こした部署すべての人間が辞職するのではなくとも、ある程度改善の効果があります。そしてもう一つ、もし教師自身に問題があるなら、学校から追い出しても教員免許は残るため、それは問題を拡散させることになります。橋下氏が問題とすることを公にしなければ、益々その懸念は強まるでしょう。少なくとも、隠蔽したままの大鉈では、誰も納得しないことは確かです。

アルジェリアの人質事件の被害者報道が、問題視されています。朝日新聞がスクープを焦り、被害者の実名を公表、後はなし崩しにされたようですが、各局とも遺族の憤りや悲しみを伝える、といった画一的なものとなりました。メディアの問題はこれまでも語ってきましたが、今回はやや違った視点も窺えます。それは、アルジェリア政府を非難する政府の行動と、軌を一にしている点です。
世界各国も、アルジェリア国内も、アルジェリア政府を非難する声は少ない。人命優先は当然として、テロに甘い態度を見せればつけ込まれる。だから強硬策をとったアルジェリアを、表面的にでも非難してはいけないのです。しかし日本政府だけは違います。アルジェリアの対応を疑問視し、それに苦言を呈す。メディアも、当初は誤爆報道などを盛んに報じましたが、人間の盾となっていたため、誤爆ではなく確信犯だと知れた。それ以後、メディアも方向性を失い、政府と一体になって人命優先を喧伝することで、正当性を訴え始める。それに、遺族を利用しているように見えます。

メディアが恣意的に、遺族を扱うことにも問題があります。スクープとは常に、誰かを踏み台にしないといけない。それはどういう形であれ、出し抜かないといけないため、です。メディアも商業主義であり、経営的判断や、名誉を得たいという欲によって、モラルを踏み外すことは容易に起こってしまいます。それは、誰かが箍を外すと一斉にそれに追随してしまう、といった臆病な人間が、誰かの後でないと前へ進めない行動にもはっきり現れている。そしてそれが、自己を正当化する材料でもあるなら、尚更です。しかも、国の態度と重なるのですから、憤り、悲嘆といった映像をこれでもかと伝える。しかしテロを非難することと、遺族を殊更に取り上げることは、必ずしも合致しません。
むしろアフリカで起きていることを、もっと正しく伝え、それに欧米がどう対応したか。日本人がどうして巻き込まれるか、といった具体的な情報の方が、よほど有益で国民のためになります。もし日本政府が、テロへの対策を本気ですすめたいなら、そうした情報を国民に詳らかにした上で、どうすべきかを示すべきです。問題が起きたとき、情報を公表しないで対応することは、改善という手法の上ではマイナスでしかないのです。何が問題で、どう対応すべきかを広く国民に伝え、議論していけるようでないと、情報の有り方としては正しくない、ということなのでしょうね。

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2013年01月26日

東電の旧経営陣は裁かれるか?

東電の旧経営陣に対して、検察が事情を聞いたようです。容疑は津波の想定と、その対策を行わなかったことによる、業務上過失致死の告発をうけてのものです。想定を超える津波は、大震災前から指摘されており、問題は対策を遅らせたことによる責任が、企業体に課せられるかどうかです。企業は新たに得られた知見で、それが危険を伴うものである場合、どこまで対策をとらねばならないか? これは今の道路補修にも関わりますので、刑事事件として司法判断をうけるのが正しい。
司法判断は難しいですが、予見性はあるため責任は存在します。例えば、明石歩道橋事故の裁判があります。多くの人が集中し、事故が予見されたのに、警察は適切な警備を怠ったことへの司法判断であり、まだ確定していませんが、つまりある事例が起こることが、相当程度に想定される場合は、対策をとらないことが問題となる。そうした判断に照らせば、宮城沖に巨大な地震、津波がくることは想定され得るので、罪に問うことも可能でしょう。大事なことは、責任ある地位にあり、その責任を果たさない場合は過失となる、という根本的な刑の考え方です。
ごく簡単には、車を運転する者には責任があり、事故を起こせば業務上過失致死になる。事故を起こす可能性が低い場所であり、予見性が著しく低くても、罪に問われる場合もあります。それは確率ではなく、責任の度合いによって変わるのです。検察は、今のところ告発されたことを事務的にこなす、といった態度ですが、警察不祥事を覆い隠すため、事件化する可能性もあります。先に指摘したように、道路も地震が起きた場合、倒壊すると指摘されれば同じ問題が発生します。これは司法が、管理責任を明確に指摘するべきであり、検察の態度はより重要となるのでしょう。

そんな原発の問題では、敦賀原発の近傍にあるのが活断層か、ズレかでもめています。科学的判断は、研究者にしかできませんが、例えば上記の問題はここにも適用が可能です。活断層の可能性が、50%以上なら廃炉、50%以下なら再稼動、などという問題ではありません。活断層の可能性が相当程度あるのに動かせば、そこに責任が発生します。つまり予見性があり、事故を起こす可能性があるのですから、その確率が高かろうと低かろうと、必ず責任はついて回るのです。
問題は、その責任の多寡により無罪か、執行猶予か、実刑かの判断が別れるのであり、今はその最初の判断を検察がしている。それが正しいのかどうか、です。検察審査会制度もありますが、それとて検察が不起訴とした問題のみが審査され、検察が告訴をうけても却下すれば、何もできません。また検察審査会も、検察が集めた捜査資料で判断する以上、偏った結果を導く可能性も指摘される。捜査全体が、ある特定のシナリオに沿って行われるため、そのシナリオに基づく部分のみ、捜査が深堀りされるため、どうしても審査する側に先入観がついてしまうとの問題もあるのです。

原発の問題は、必ず事故を起こさないよう、リスクを最小化しなければ動かさない、という判断が必要なのです。しかし、安倍政権は原発再稼動に前向きで、原安委もそちらに傾き始めたとみられます。ただ、今回も活断層の疑いが拭えないなら、それで再稼動のお墨付きを与えることは、責任をもってすべきです。そしてその責任が、もし間違っていれば事件として裁かれる、との自覚が大事なのです。それこそ慎重に、科学的な検証をうけるという態度につながるのです。司法の判断がどうなるかは不明でも、責任があり、それによって多大な被害をうけた場合は、きちんと法廷という公の場を活用することが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2013年01月25日

雑感、税制改正大綱について

公明党の山口代表が、中国の習近平総書記と会談しました。当然、これは中国との関係が深く、いくつも表彰、勲章をもらっている創価学会の池田名誉会長の威光が、強く働いてのものです。尖閣の棚上げ論、などで訪中前に注目されましたが、ハッキリ言えば、棚上げにのって手を拱いていれば出遅れになるのが明白です。あえて中国側が安倍氏を「高く評価」としたのも、前回の安倍政権は強硬論を封印したためです。しかし前回と比べ、緊張は明らかに高まっており、何らかのキッカケで火薬庫に火がつきかねない。公明が緩衝材どころか、着火剤になりかねないほどです。
中国の国家統計局が、ジニ係数が0.47と発表しましたが、民間の大学教授が試算すると、0.6を超えている。ジニ係数は、不平等を表す一つの指標ですが、ブレも大きいとされます。どちらが正しいかではなく、中国の指標は信頼されない中で、0.4を越すと危険とされる数字を中国が発表せざるを得ないほど、格差が拡大しているという背景です。中国は不満を逸らす悪役を必要としており、それは常に日本です。創価学会は、中国で事業に参加したり、基金などを通じて社会貢献などしてきましたが、それにも日本叩きが向かったとき、それは中国との新たな対立軸になるかもしれません。

自公による税制大綱が決まりました。軽減税率は自民が主張する10%段階から導入、道路特定財源の復活案は削除、など話題です。考え方は古い自民そのままで、論評にも値しませんが、その中で雇用増や賃金アップをした企業への減税、という案が盛んに報じられます。しかし実態としては、さほどこの制度は活用されないでしょう。まず上場企業なら、人件費増はネガティブ材料ですし、それより設備投資でも減税効果があり、同じように企業買収、自社株買いなど、企業がそれらの要請を蹴ってまで、人件費を増やすのなら、かなりの高成長を株主に約束しなければなりません。
さらに問題は、安倍政権に労働市場の開放をすすめた、竹中氏が参加していることです。自分たちの政策を失敗だと認め、転換するとは到底思えない。あくまで安倍政権が企業に行うのは依頼であり、命令ではない。それなら前の自民政権、民主政権でも行われたのであり、効果はなかった。円安で…などとも語られますが、円安はメリットもあればデメリットもある。日本企業すべてが潤うわけでもありません。輸出型の企業は多少賃金をあげても、輸入型の企業の賃金が下がれば、トータルは変わりません。メディアが喧伝するほどに、効果はないと断言できてしまうのでしょう。

富裕層には最高税率を45%に上げる、相続税も上げる、などとしてみても、贈与税は恩恵がありますし、住宅や自動車などの購入は減税をうけられるなど、富裕層にとってメリットの大きい項目も並ぶ。安倍政権の考え方としては、個人資産からの出費を促したいといったところですが、住宅や自動車はそう何度も購入するものでもありません。景気対策ならあまり意味がなく、むしろくり返し出費するようなものに、減税の恩恵を与えた方がいい。ただし、そうすると消費税増税という、大義が消える。なので、何となく目に付きやすい高額出費に減税した、という印象です。
安倍政権は、竹中氏が参加していることにより、経済にむけた態度が不鮮明になっています。市場原理主義でいくなら、今の為替操作のような要人発言は異常ですし、管理型で市場を誘導するなら、今のメンバーではまず無理です。しかし参院選までは、管理してでも無理矢理、市場を自分たちの思惑通りに誘導したいなら、反動も大きくなるでしょう。安倍政権の経済政策は、集めたメンバーと手法に、明らかに乖離がある。その中で税制、補正予算、などから窺えることは、旧自民党の焼き直しといった程度です。国民が一度NOといった政党が、どうして同じやり方でまた国を治めようとするのか? その疑問に答えないままだと、市場のしっぺ返しの方が早く訪れるのでしょうね。

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2013年01月24日

安倍ノミクスは海外で酷評

ここ数日、安倍ノミクスへに対して、海外紙の酷評が続いています。米紙では『公共工事は無意味』、『金融緩和の1年猶予は時間の空費』などです。安倍氏はネガティブ報道に対し、これは日本の反安倍勢力が、海外紙をつかって批判している、という論調をとるようですが、それは異なります。海外紙に寄稿したり、資料代わりに記事を送ることはしますが、載せるか、載せないかは海外紙の判断であり、かつそれが国益に適う、紙面として成立するかが記事になる要件だからです。そして、日本のメディアや個人においても、海外紙を自由に動かせるほどの力はありません。
つまりこれは、海外からみて安倍ノミクスが不都合だ、と判断され始めている証左なのです。日銀の展望リポートでも、実質経済成長を2014年度で0.8%です。日銀が流動性を供給し、財政出動をしてもこの程度なら、むしろ安倍ノミクスは失敗。やらない方がいい。日本が経済成長し、内需が活性化して海外からモノを買う、というシナリオならまだしも、円安にして輸出を増やす、と政府要人が次から次に発言するため『通貨戦争』との文言まで飛び出し、日本を牽制し始めています。

独国要人発言に、甘利経再担当相が英FTに反論を寄稿しています。甘利氏は、日銀会合の翌日に市場が下落したことを「誤解している」と述べるなど、積極的に発言していますが『早くて不正確で不躾』です。FTの寄稿文では、ユーロ安で恩恵をうけた独国が文句をいうな、と言わんばかりですが、独国は望んでユーロ安にしたわけではなく、タナボタではあっても日本のような、政府要人が「ドルで100円が妥当」などと発言してはいません。甘利氏の反論は、いわば逆ギレです。
正しくない批判に対しては、正論で反論すべきです。しかし正しい批判は、真摯に受け止めるべきです。日本が市場を口先介入でゆがめようとしている、だから懸念が広がっているのです。そしてこれは、国内向けに「景気の気は気分の気だから、批判めいたことは云うな」という論調にも、同様に当てはまります。正しくない批判であれば、正論で返して論破すればいい。暗に言論封殺するような、そうした風潮を醸成する兆しが、逆に安倍政権に対する強い不満として顕在化するのです。

安倍ノミクスは、海外紙から酷評される、日本に都合のよい経済政策にしか映っていない。これでは安倍氏が前回、散々批判されたKYでないと、世界と顔向けできないぐらい関係悪化が進むのでしょう。そして国内メディアも、海外の批判を伝えないなど、異例の対応を続けることも世界からみればKYに映る。景気の気は気分の気、ではなく、世界の空気は日本に厳しいものとなります。
甘利氏が市場に言及したことも、当然のように報じられますが、海外では異常時しか市場へは介入しない、が原則です。今の日本の株式市場が極めて低い水準であれば正当化されますが、このタイミングではまったく必要ありません。まるで子どもが、自分の望む通りにいかないので駄々をこねているようにしか見えない。安倍氏、麻生氏、甘利氏は世襲議員であるため、経済政策や今回の対応にみられるのは、まさにお坊ちゃま的な、非常に我田引水的な傾向というところなのでしょう。

今日になり、北朝鮮が核実験を準備など、円安のステージが少し変わってきました。安倍政権の課題は、海外に向けても脊髄反射し、的を射ていない反論をし、海外から白眼視されることです。それが緊急時、そして今回の北朝鮮への対応においても、日本外しにつながるのではないか? 海外からも協力を得難くなったとき、安倍ノミクスどころか、安倍 No Mix(安倍を混ぜるな)と海外から言われないようにしないと、それこそ危機のときに誰も助けてくれない、なんてことになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2013年01月23日

安倍政権は危機管理内閣なのか?

昨日の日銀政策決定会合の内容、欧米経済紙などからは酷評で、独国の要人などから円安警戒発言がでるなど、円高にすすんで日経平均は大幅下落に見舞われました。2014年から年間10兆円しか、日銀の資産は膨らまないのですから、とても緩和したとはいえない。逆に、どうして政府がこの程度の日銀の態度で、納得したかの方が不思議です。市場からみると、2月半ばのヘッジファンドの90日ルールにむけて、しばらく弱い展開を覚悟しておいた方がよく、10000円割れを試すかもしれません。

安倍首相が、テロ事件に関してアルジェリア首相と電話した内容などが、明らかとなっています。残念ながら、本当に「人命優先を要請」したようで、外交上の手練手管はまったく感じられない、ストレートな依頼でした。しかもメディアでアルジェリアを非難する、そんな話しぶりです。安倍氏の間違え方は、2通りありますが、どちらかは分かりません。1つはアルジェリアを下にみて、居丈高にそうした無茶な要求をした。もう1つは本当に外交オンチで、何も考えずに要求した。
前者だと、事件の後始末や、犠牲者の移送、被害者の治療などをアルジェリアと協力し、また頼らざるを得ない状況で、そんなことをすれば相手の気分を害し、まともな対応をしてもらえなくなる可能性があります。また、今後も事業展開を考える日揮にも、弊害となるでしょう。今後の日・アルジェリアの関係を悪化させる必要が、どこにあるのか? 米国でさえ、責任はすべてテロリストのせい、とアルジェリアとの対立を避けているのに、です。後者だと、救いようがありません。

さらに最悪なのが、日本は人命優先を叫びすぎて、今も中東で活動している日本人のことを、テロリストが恰好の人質対象とみることです。今回の事件でも、日本人を人質にしておけば対応が遅く、身代金をとれるのでは? とテロリストが考えた可能性を、指摘されています。つまり安倍政権は、今回の対応でテロリストに甘い国、という印象を強く与えてしまった。小泉政権が、イラク戦争に加担したと看做され、中東での日本の優位性を下げましたが、安倍氏はさらにそれを押し下げたことになります。今後、日本人を狙うテロが活発化するのか、これは注意が必要です。
皮肉なことを言えば、外交力が低すぎて、諸外国も日本の要請を受け入れないため、まだマシなのかもしれません。もし日本が外交で、強行突入などを制せられるなら、日本人が関与するプロジェクトばかりが狙われることでしょう。むしろ外交力がなくて、逆に助かっている面もありますが、そうなると大型のプロジェクトより、個人で活動する人、旅行者などが、危険に晒されることになるのかもしれません。その方が、日本と直接交渉に持ち込みやすい面があるためです。

安倍政権は『危機管理内閣』を掲げました。しかし、情報収集などに課題を残し、かつこうして日本人を危険に晒すような対応ばかりする。今のところ『危機拡大内閣』にしかなっていません。日銀との協調でもそうですが、目の付けどころはよいと思います。ただ対応、対策には能力不足を露呈しています。それは政治としての、真の意味での実力のなさを、晒していることにもなるのです。
すぐに日本版NSCの創設が議論されるのも、同様でしょう。つくるな、というのではなく、時間がかかることから始めるのではなく、出来ることからやっていくことが政治としては正しいのです。外務省による情報収集能力の強化、これを進めないと、渡航制限などを邦人に通達することもままなりません。そしてもう一つ、国民向けに『人命優先』を訴えることが、テロリストからは『恰好の的』になる。そんな基本的なことから、安倍政権は情報の扱い方を考え直さなければなりません。NSC創設の前に、まず安全保障が何かから、安倍政権の閣僚は認識を改めなければならないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

2013年01月22日

日銀の金融政策決定会合と、共同声明

日銀の金融政策決定会合が開かれ、政府との共同声明がだされました。今回、発表された対策では2014年から資産買取で短期国債10兆円、長期国債2兆円、1兆円でETFやREITなど、毎月13兆円を無期限で実施します。付利については見直さず、13年末で切れる現在の緩和策を、拡大して延長することと『オープンエンド』で行う、とした点がカギですが、今回、日銀は大分おし戻したようです。
恐らく日銀は共同声明の文言調整として麻生財務相、甘利経再担当相と、個別に会い、説明することで経済に疎い両氏の説得に成功したのでしょう。それは会見の中で、白川総裁が「エコノミストがいう予想インフレ率が上がるか点検し…」と述べ、チクリと嫌味を言っています。私はそう思わないが、エコノミスト(リフレ派)の云う通りにやってみるけど、そうなるかな? とのこれは余裕です。

共同声明の中では、さらにそれがハッキリします。『成長力と競争力の強化にむけた幅広い主体の取組み』により、物価が上昇すると述べるので、『幅広い主体』つまり物価が上がらないのは、日銀だけの責任じゃない、とイイワケが盛り込まれています。しかも日銀はそれを『認識』し、『2%の目標』とします。一応『早期に実現をめざす』とはしますが、他の『主体の取組み』が足りないから、物価上昇率が上がらない、と出来る。これが2014年から、という長い時間軸上の対応に留まった、原因でもあるのでしょう。結果的に、当面は何もしなくて大丈夫、と述べているに過ぎません。
安倍氏がメディアで、景気対策で株が上がり、年金の運用利回りが上がると述べていますが、とんでもない誤解です。もし物価が2%になれば、国債利回りが上がり、国債の価格が下落します。年金基金は6割以上が国債で運用されるので、むしろ深刻な赤字に見舞われることでしょう。円安になれば、見かけの外国債、外国株の評価益は出ますが、国内株と合わせても3割もない資産運用より、よほど国債の価格下落の方が利いてきます。株価は、業績や保有株式の評価益にはなりますが、安倍政権では大企業優遇が顕著なので、そうした面では利がある、という方が正しい言い方なのでしょう。

市場は乱高下しましたが、日銀の内容はコンセンサスがあったわけではありませんが、期待には程遠いものでした。海外勢も、日本がジャブジャブ流動性を供給して…という戦略は、見直しが必要です。4月の日銀総裁選びに向けて、期待は継続といった見方もありますが、2014年のことまで先に提言してしまった。後1年、何も材料が出ないなら、期待は早期に剥落してしまうのでしょう。
しかも、米国では早くも緩和見直しが一部のFRB理事から提言されるように、米国が金融政策を見直すと、日本に対して苦言が多くなります。つまり米が解除、日本が緩和だと、ドル高が進みやすくなるため、圧力をかけてきます。そうなれば、政治も金融緩和に対してハードルを下げざるを得ない。日銀としては、時間軸を伸ばすことで、米国の圧力を期待できる面もあるのです。

正直、安倍ノミクスの3本の矢のうち、一の矢は悪く言えばへなちょこでした。二の矢の財政出動も、復興需要があって、建設業も無理して受注をとる必要はない。むしろ、経験不足による不良工事、海砂をつかった劣化コンクリート、材料不足による手抜き工事などに警戒する場面といえ、大した効果も上がらないでしょう。三の矢は、6月の成長戦略にかかってきますが、1、2本目が的にも届かないのですから、3本目でよほど勢いのある矢を放たないといけないのですが、今回の共同声明を、成果のように誇らしげにする姿をみると、期待するような点はほとんどない、となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年01月21日

雑感。大阪市教委による入試変更

大阪市立桜宮高校の入試問題で、体育系2科の募集は中止し、普通科の定員を増やし、体育系2科と同じ入試科目にするとのこと。生徒が自殺した4日後に、遺族へ新人戦に出ていいか、校長が訊ねるなど、学校内に歪んだ空気はありますが、この対応は問題が多いものです。詳細が不明ですが、普通科で2通りの入試体制となる場合、クラスも別けねばなりません。それは能力に差があるため、授業に支障をきたすからです。一方で、普通科がすべて3科目入試となる場合、生徒個々の合否に影響します。苦手科目か、そうでないかで優劣が変わってしまう点が、生徒の人生を大きく左右してしまいます。
無責任に「他の学校を受ければ」という人もいますが、そうなると競争倍率があがって、本来なら合格するはずの生徒が落ちたり、影響はさらに拡大することとなるでしょう。スポーツで秀でることを目指し、努力してきた生徒が、将来に不安を抱きながら受験する。通常でもプレッシャーがかかる中、その不安に押し潰されなければよいのですが…。

橋下市長は、報道以上の問題がある、としますが、こういうことができる人は、自分の行動の結果として、最悪を招いた経験がない、若しくは経験しても気にしない人、なのでしょう。誰もが道を切り開けるほど、強くはありません。特に、子どもにとってレールから落ちることが、どれほど負担になるかは、イジメをうけても学校を辞められない、という事例でも明らかです。そのレールが、大人の都合によって無理矢理、軌道を代えられる。それは不幸以外の何者でもありません。
橋下氏は、受け入れ体制ができていないのに、受験させることはできないとしますが、体制も体質も、大人の努力によって変えられます。そこに多少の時間がかかるかもしれませんが、ナゼ今回、子ども側に負担を押し付けるのか? 体罰は、生徒側の問題ではなく、教員側の問題なので尚更です。橋下氏が、教育制度について見直そうとしてきたのは、誰のためなのか? 大いに疑問が残ります。
政治は常に誰のために行うのか、が大事です。体罰をした教師は大いに問題ですが、体罰をしていない教師を、どうして移動させるのか? それこそ、新たに来た教師が体罰をふるったら、また全員移動させるのか? 一罰百戒のつもりかもしれませんが、それでは指導の継続性を願う生徒の気持ちを踏みにじります。大事なことは、悪いことをした人間、責任ある立場でそれを見逃した人間、等に処分は必要ですが、マジメにやってきた教師と、生徒に負荷を与えるべきではないのです。

麻生副総理が、終末期医療に関して個人的な感想を述べ、議事録を削除する事態になっています。死の問題は、個々人によって向き合い方は異なり、だから一概に語ることは困難で、対策も難しいのです。正解はない。その中で、何が一番国民の多くを幸福にするか、が判断材料となります。
では今回、橋下氏は誰を幸福にしたかったのか? それは生徒ではないのでしょう。看板の架け替えに過ぎない、ともされますが、橋下氏は体育科全体の有り方にも疑問を呈しており、学校改革の一環ととらえているフシがあります。しかし個性や特徴のある生徒を育てる、という目的で、高校でも様々な選択が行えるようになったもので、これは一つの結果でもあります。もう少し広汎に意見を集め、議論を尽くしていかないと、誰も橋下氏の行動に賛意は示せないでしょう。政治は誰のために行うか? 教育改革は、子どもたちが最大幸福になれるよう、考えねばいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2013年01月20日

米国の対中態度が変化?

アルジェリアのテロ事件は、強行突入による最悪の結末を迎えたようです。米国はこの事件に対し『人命優先に配慮するよう要請』と伝わり、日本は『人命優先を要請』と伝わります。この微妙なニュアンスの違いが、外交巧者であるかどうかに関わります。前者なら配慮したがダメだった、とイイワケできますが、後者だと人命が失われた場合、依頼を達成できなかったことになります。同じようでいて、こうした一文が、後に外交で友好的に振舞えるかの試金石にもなってくるのです。
こうしたことは外務省も充分承知しているでしょう。メディアが単に、防衛・外交で積極的にリードする安倍政権、というイメージをつくるため、『配慮』という言葉を抜いているだけかもしれません。ただ、外交とは人付き合いに似て、一言で関係をダメにしてしまうこともあります。オバマ大統領の会見も、テロリストを悪役とし、今回の被害についてもテロリストの責任としました。前回も指摘しましたが、日本もこうした外交儀礼について、間違えないようにしないといけません。

日米外相会談で、尖閣諸島の施政権を認める発言をした米国に、中国が反発しています。中国重視のオバマ政権ですが、尖閣を突破されると、太平洋上の防衛ラインがかなり後退してしまうこともあり、この一点では安心ができます。ただ、これがクリントン国務長官の花道で、その後態度が改まってしまうことには、注意が必要でしょう。さらに、この流れの一つには、米製造業が国内回帰をすすめている流れもあります。つまり中国叩きをすると、Appleなど製造拠点を中国だけにおいた企業に打撃となり、それは株価下落につながり、投資資金、年金などが痛んでしまい、米国において負の連鎖を起こしかねない。しかし製造拠点を分散化すれば、企業もダメージを軽減できます。
そして、10-12月期GDPが7.8%を発表された中国の、経済成長の鈍化にも米国は着目しています。数字には信憑性がなく、もっと鈍化しているかもしれない。中国が相対的に、経済的なプレゼンスを今後落としていくことは自明であり、中国に軸足をおいていると、オバマ政権の4年間は足を掬われかねない。そこで中国に、多少強硬な態度もとり始めたというのが、米国の本音なのでしょう。

米国では、債務上限問題を3ヶ月先送りする案が、浮上しています。これは本来、オバマ政権が示すべき歳出削減策が、議会に受け入れられていない点が問題です。ブッシュ減税を、富裕層に限っては失効し、約数百万が増税対象とされます。これは歳入増になりますが、歳出を削減しないと、米国の債務はそれこそ際限なく膨らみます。オバマ政権は、健康保険の拡充などで歳出圧力が強く、人口が増えてもベビーブーマー層が続々リタイアする現状では、歳出改革が喫緊の課題なのです。
さらに苦しいのが、各市場が高値圏にある中で、資産効果による景気浮揚が計り難い。だから今はサブプライムショック後、低迷している不動産市場を活性化させたい。逆に云えば、資産効果を期待できるのは、不動産市場ぐらいしかない。今後も、何かと不動産市場の好調さを伝える報道が、続くことでしょう。ただ、その声が大きければ大きいほど、米国の苦境も伝わってきます。
そこに安倍ノミクスがあり、流動性相場をさらに加速し、米不動産市場を引き上げる、との連想がのっています。しかし米国にとっても、安倍ノミクスで日本を再評価するかどうかは、まだ未知数です。日本の債務問題が拡大すると、それは米国にも波及するためです。日米とも、財政問題に懸念を残す中、また失速していく中国への対応という問題を抱え、互いに距離感に悩みながら、様子見をつづけるような展開が、しばらくは続いてしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2013年01月19日

円安と安倍ノミクス

円安がすすみ、石破ラインとされる85〜90円を突破し、浜田ライン95〜100円に移ったとされます。ただ、90円水準に近づくと欧州、ロシアなどから警戒の声が上がり、自民党要人発言などで上下に振られる展開となっています。欧州は景気後退とユーロ高、という二重苦であり、独国でさえマイナス成長が意識されます。そんな欧州への輸出が滞り、苦しむロシアという構図があります。通貨戦争が叫ばれるのも、通貨の強弱が国にとって如何に大事か、ということの証左でもあります。
よくTPPを成長戦略のごとく語る人がいますが、先に米国とFTAを結んだ韓国では、貿易は伸びておらず、今はウォン高に苦しむ構図です。このことから明らかに、ルールを統一し、関税を撤廃してもそれだけで成長するわけではありません。むしろ海外の景気動向や、通貨、人件費やエネルギー調達などのコストにより、貿易の強弱が決まります。TPPそれ自体では成長戦略ではないのです。

では、日本にとって円安が本当に有利か? そう考えると疑問があります。日本はエネルギーを海外に依存するため、製造コストは上がるためです。日本はこれまで、省エネ技術を発展させることで、円安を有効に活用してきましたが、これからは省エネ技術にも行き詰まりが感じられます。さらに部品メーカーにシワ寄せすることで、大企業は輸出で稼ぐ、という構図で国を発展させてきました。なので円安を望む声は大きく、それが国を成長させるという意見が大勢を占めます。
しかし今後は異なります。それはTPPに参加すれば、益々強まるでしょう。ナゼならハイテク化は、最終的な組立工場をどこに造っても、ほぼ同じ品質を保証するようになったためです。つまり為替が弱く、製造コストの安い国に工場を移した方が、大企業には有利に働きます。ルールが同じであり、関税がかからないのですから、大企業は新興国に工場をおきたがり、国の成長への寄与率は低くなる。通貨安でも調達コストが上がる日本のような仕組みでは、円安だけでは上手くいかないのです。

残念ながら、今は円安容認の風潮なので、円安にして株高、いずれ株を売った後で円を買い戻して、その間に自国に戻せば大きな利益がでる。この簡単な儲けの仕組みを見つけたから、今は円安、株高にしようと投機家が動いています。だから要人発言で、円安が規制されるとなると、慌てて株を売る。これは投機家だからこその値動きであり、今はまだ長期資金は少ない状況といえます。
しかも、円安になっても調達コストを中小企業にしわ寄せする大企業と違い、その害を被るのは国民です。ハウス栽培の野菜、漁船、物流でも燃料代の高騰を、価格転嫁できないために苦しみ、一方で価格に転嫁されると国民は物価高に苦しみます。国民生活に軸足をおくなら、円安の水準を低く考え、企業活動に軸足をおくと今以上に設定する。これは企業経営者の発言とも合致しますので、政治家に当てはめてみればいい。そうすると、政治家がどちらを向いているかがすぐに判明します。

残念ながら、安倍ノミクスはロケットスタートと云いながら、エンジンが載っていない状況です。しかも燃料は金融緩和と財政出動、という現金であり、投機家が跋扈するように、非常に拝金主義に陥りやすいともいえるのでしょう。日本ではライブドアショックがあり、拝金主義はなりを潜めましたが、安倍ノミクスがそれを復活させた。しかし現金という燃料の調達コストが上がると、やはり苦しむのは真っ先に国民となるのでしょう。その時間軸上のギャップは、今後もスタートしないロケットに、いつエンジンを積むかでも変わりますが、そのエンジンの調達先は、今のところ見つかっていないといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2013年01月18日

アルジェリア、テロ事件への日本の対応

アルジェリアのテロ事件、強行突入による軍事解決をはかり、多くの犠牲を払いながらも事態としては収束へと向かっています。ただ、今回は幾つか興味深い問題を提起しました。まず、シェールガスの純輸出国になろうか、という米国は今回の事件にあまり興味なく、積極的に動かなかった。一方、仏国はマリ空爆の領空通過を認められていること、及びマリに駐留する仏軍の後方支援のためにも、アルジェリアの行動を容認していた。蚊帳の外におかれたのは日英だったということです。
さらに、日本はアルジェリアに対して人命最優先を訴えましたが、要請の仕方次第では内政干渉、他国を批判することにもつながりかねません。ガス採掘施設の保持を最優先した、などとも言われますが、テロ対策は各国に委ねられます。もし仮に、日本が何らかの要請を外交ルートを通じて正式にする場合、対案を示せと返されるでしょう。そうなると、身代金を払うとでも云うつもりか? いずれにしろ、何もできない国は、相手国に何も訴える権利はない、ということです。

一方で、日本のインテリジェンスの低さは致命的です。むしろ、日揮は独自に情報網をもっており、かつ冷静な対応に努めており、苦虫を噛み潰したような閣僚の会見とは雲泥の差を感じます。しかも作戦が早かったのでは? などの批判めいた発言をすれば、今後の外交問題に発展するでしょう。悪い言葉でいえば、日揮は大人で今後のビジネスを考えていた、政府は子供のように駄々をこねるばかりで、独自の情報網もなければ、米軍が興味なければ情報すらとれないといった状況です。
そんな米国は、テロリスト殲滅を訴え、マリの政情不安に懸念を表明していますが、ここには追随しない方がいい。極論ですが、テロリストが政府を転覆させ、国家機能を果たすと、いくら懸念をもっても内政に口は出せませんし、軍事力で解消しようとすれば、それはもう戦争になります。
つまりマリ北部がテロリストに支配され…とも言われますが、これが独立戦争の様相を呈すると、それはもう他国が口出しできないのです。欧州が勝手に国境線を引いたために、民族が分断されたり、それまでの生活圏が分断された。その歪みをテロリストがついているため、安易に非難もしにくい面があるのです。何もできず、的確な情報もない日本が、余計なことを云うべきではありません。シニカルな言い方をすれば、米軍はテロ掃討には興味あっても、アルジェリアとマリのことには興味がない以上、日本が勝手なことをして、関係悪化になると企業が困る、ということです。

この事件で、安倍首相の外遊日程が変更になり『開かれた、海の恵み』という、安倍外交の方針が記者会見での概要発表にとどまりました。内容は割愛しますが、媚米体質が鮮明であり、尚且つ「海は法とルールに支配」とし、米国にそれを守ってもらいたいとする。少なくとも米国が法とルールを守る、という前提に立たないといけませんが、米国がそれを破っただけで、日本はウソつきになります。米国が逃げ込んだ重要な犯罪人を追って、他国の法律を無視して活動することは常識ですが、海でそれをされたら、オープンで平和な海どころではなく、米国が無法者扱いされるのです。
しかも「海に向け、自らをもっと解放」と、TPPを推進したいと暗に示しましたが、日本は領土を他国と接しない国であり、海か空でしか繋がれないのですから、言わずもがな、です。一言でいえば「私は媚米で、米国には平身低頭しますから、皆さんもさぁご一緒に」と云っているようにしか聞こえないものです。ASEANでのプレゼンスを高める、とでも云えば、軍拡の懸念などにも波及しますが、それこそ決意としては正しかったのでしょう。海の恵みどころか、米国のお恵みで動いているような日本を、安倍氏が目指したいのなら、外交で主張できるような点は何もない、と云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2013年01月17日

雑感。大阪市立高校の体罰

アルジェリアの問題が、短兵急になっています。アルジェリア軍が強行作戦をとっているようで、それは話し合いではなく、武力で解決しようとしている。その場合、人質の安全をある程度犠牲にしているとみられます。そしてそれは、仏国など国際社会とも連絡をとり合っているはずで、もしかしたらマリの作戦における補給路として、アルジェリアでのトラブルを嫌った側面かもしれません。いずれにしろ難しい局面であり、それは事態が解決した後も続くことになるのでしょう。

大阪市立桜宮高校の体罰問題に関し、橋下市長が体育科の入試中止や、顧問教諭の全員を別の学校へ移動させるなど、かなり高圧的な処置をとって、問題解決をめざす姿勢を示しています。これは橋下氏得意の、ハードルを上げておいて、相手に決断を迫る手法の一つですが、問題はもう受験を決めている中学生たちが、不安なまま受験シーズンを迎えるのであり、これは早期解決が望まれます。
まず体罰を容認する意見もありますが、教師と生徒、クラブの顧問と選手にとっては、厳然たる立場の差があります。生徒や選手が上に平手打ちを食らわせれば、それは暴力や反抗として処分されます。一方で、教師や顧問がそれをすると体罰であり、処分をうけることはほとんどありません。一般の社会では、パワハラも犯罪という認定がすすむ中で、学校という場においては自己の優位性を生かした、こうした圧力や暴力を容認する、というのは些か歪んだ社会といえるのでしょう。さらに大人同士、社会であっても暴力で相手にものを教える、指導するなどということをすれば、訴えられれば犯罪です。大人と子どもの関係でのみ、暴力が安易に容認されるものではありません。

問題は、生徒たちに不安を与えないよう、体制を刷新する手法です。簡単には、体罰があった場合は議会マターとする。これは市立の高校なので、教育委員会を飛ばして、議会での証言を教師に義務付ける。そこで、はっきりとした説明ができない場合、処分を下すとすれば、体罰に歯止めがかけられます。これは暴力を振るっても教師、顧問側に処分が下らない、その安易な発想が、こうした問題を助長する背景でもあるのです。きちんとした説明ができるなら、体罰であっても受け入れられます。あくまで理由なき体罰は、暴力だという認識を、教師が共有することが大事なのです。
橋下氏も、今週ぐらいでは問題を収束させないと、受験生を混乱させることになります。スポーツ強豪校であれば、当然のようにそれを目指し、努力してきた生徒もいるはずで、混乱が長引くと人生が狂う子どもも出てくる。橋下氏の掲げたハードルが、壁になってしまっては生徒がそれを超えられなくなってしまいます。大人は、子どもたちが健全に育成できるよう、最大限の配慮をすべきであり、そこが歪むと、次に批判の対象となるのは橋下氏となりますから、注意が必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 地方

2013年01月16日

中国が増やそうとするもの

アルジェリアで、ガスプラントで働いていた日揮社員が、イスラム武装勢力に身柄を拘束されたようです。隣国、マリで仏軍が治安維持のための戦闘を行っており、その報復とみられます。恐ろしいのは、途上国でチェックの甘い空港から飛び立った飛行機が、ハイジャックされて仏国の原発に落とされることです。仏国はほとんどが原子力で発電しており、独国に売電するほどであり、そこが攻撃されれば欧州の致命傷になりかねない。それは景気後退に陥る中でユーロ高になる、という二重苦の独国を、さらに苦しめることになりかねず、それはESMなどの格付けにも関わってきます。

テロ警戒レベルを上げる必要性を感じるタイミングで、ボーイング787型機のトラブルが相次いでいます。これまでは幸運にも、航空機が市街地に落ちて、大惨事になるといった事態が避けられています。今回、準国産といった贔屓目ではなく、不具合は徹底的に洗い出すぐらいでないと、それこそ大事故を起こして、日本の航空機関連産業は数十年立ち直れない痛手を負うことでしょう。
原子力も、航空機の製造も、日本が成長産業と見据えて力を入れてきた業界です。仏国で原発にトラブルがあれば、世界は二の足を踏むことでしょう。航空機も、新興国が航空業界に参入し、LCCなどが運賃引き下げ競争に陥っていく中で、安全性を担保していかなければならない。この両翼に今後、大きな動きがあったときは、日本にも跳ね返る問題として意識すべきなのでしょう。

鳩山元首相が、中国に招かれ、そこで『係争地』と認める発言をしています。政府の特使でもなく、何の効力もありませんが、中国側の宣伝活動に用いられることは必然でしょう。目の前の相手を喜ばせる、といったサービス精神は、時に国家の長期の戦略を誤らせる恐れがあります。
そんな中国は、戦争の準備といった報道が相次いでいます。これは中国国内に、対外的な緊張を高めることで結束をはかる戦術と、南シナ海における『領海』において、潜入してくる船舶を拿捕する条例を、中国側が設定したことから、小幅な衝突を想定したものでしょう。当然、中国のいう『領海』とは、中国が勝手に設定したもので、東南アジア諸国との係争地になっています。かつて、国際司法裁判所では、軍事支配における領土を設定した例もあり、中国は強行に南シナ海で自身の立場を示すことで、裁判を有利にしようと狙っています。つまり実効支配を鮮明とし、数年後には他国との間で裁判になっても、軍事的な支配権を示して領土、領海という主張する戦略と考えられます。

中国でも今後、拡大する航空需要に応えるため、低燃費で航続距離も長いボーイング787を41機も発注し、認可待ちの状況です。しかし注意すべきは、世界一危険ともいわれる香港の空港だったり、70箇所も予定される新空港だったりと、中国の空港、管制やセキュリティレベルの問題をどう解決するか、です。中国は常にテロ警戒が必要であり、そこに拙い運営や、癒着を起こしやすい体制側の問題が重なったとき、空の安全性をかの国が担保できるかは、今後の課題でもあるのでしょう。
直近では、やたらとリスクを無視する傾向が世界的にありますが、世界経済のけん引役だった中国、成長が期待されるアフリカ諸国には、潜在的な危険が内包された状態です。中国では現在、15基の原子炉が稼動しており、これが数年後には50基以上となり、総発電量は40GWとなる計画です。腐敗した中国政府がすすめる、こうした航空、原発などに日本が頼るようなら、手痛いしっぺ返しが、いずれ訪れることでしょう。それは軍事的緊張を高めないと、国内の統制がとれない現在の中国を考えたとき、極めて重大な問題となることを覚悟しておく必要もある、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 原子力

2013年01月15日

雑感。補正予算の話など

補正予算が閣議決定されました。気になるのは、日本経済再生本部の実権を経産省がにぎっており、それは首相秘書官に二人も経産省の官僚がおり、首相補佐官にも経産省OBがつく、といった形の中で、やたらと官民ファンドが多いことです。経産省の利権主導で、投融資が決められた場合、それは『効果』よりも天下り受け入れなどの『貢献』によるのではないか? つまり経産省との繋がり、経産族議員との結びつき、により差配される恐れが極めて高い、ということにもなります。
一方で、日銀総裁人事に関して、官邸で行われた会議では上げ潮派ばかりを集め、しゃんしゃんで済ませたようです。どうも安倍氏は、耳に痛いことをいう人物を遠ざけてしまう傾向があり、それはFBなどの活用にもみられることです。人事案件なのですから、広汎な意見を集めた方が利もあります。こちらは日銀と、財務省との権力争いの構図ですが、上げ潮でなければ安倍政権に参画できない、となれば、多くがそちらに靡き、検証という大事な作業を遠ざける結果にもなるのでしょう。

安倍ノミクスから、相場は上昇基調です。ただ、米国のApple株が500$割れを試すなど、日本株はApple株の裏と化している面があるようです。つまり年金やファンドなどが、ポートフォリオを組む際、日本株を組み入れなければ、という焦りからみんなが一斉に買う、需給相場になっているということです。Apple株は9月後半に700$をつけた後、調整局面に入っており、日本株は11月中盤から上昇局面に入りました。需給で上げれば、それが止まれば後は下げるだけで、実体経済を反映する局面に入ります。それが日銀の金融政策決定会合後なのか、もう少し先なのかがカギとなるのでしょう。
今日は甘利経再担当相の発言で、円安基調が一気に崩れましたが、これが需給相場です。ファンダメンタルを反映したものでないため、非常に脆いのです。Apple株が弱含んでいるのは、液晶パネルの発注を低下した、という面があり、結果的にそれは成長期待の剥落です。安倍ノミクスへの期待に、首を傾げざるを得ない局面がきたら、それは売りシグナルとなってしまうのかもしれません。

話は変わりますが、東京地裁で国松警察庁長官銃撃事件で時効が成立した際、オウム真理教信者による疑いを会見で述べた警視庁、東京都に重大な違法性を有する、として名誉毀損が認められる判決が下されました。最近の、歪んだ警察の正義の一端を、司法の側から指摘した判決です。警察は今、社会的に危険と認識される組織は、徹底的に糾弾してもよい、という風潮にあります。それは暴対法であったり、2ちゃんねる管理人の拘束だったり、そして今回のオウム真理教でもあり、その中の一つには陸山会事件もあったのでしょう。つまり危険だから、何をしてもいい。自分たちが正義で、相手が悪であり、悪を退治するのだから何が悪い、という開き直りにみえます。
しかし本当の罪、実体を捉えなければ、今は警察が正義なのか悪なのか、そこが揺らいでいるといえます。捜査情報を漏洩した刑事、資産家夫婦を殺害した刑事、わいせつ事件を起こす刑事、今は警察官でも犯罪人となる率が上がっており、それは聖職でなくなったことの、端的な証明ともなってしまっています。そこへきて、組織としての正義感の歪みが、冤罪、不適切な取調べといった面に現れている。これでは警察が、権力をにぎった暴君、そう国民から見られてしまいます。
いい加減、警察は組織的体質を見直し、出直さないと国民からの不信感は一層強まり、警察に非協力な人が増えてしまうのでしょう。時に、批判や非難の声に耳を貸し、違った血を入れるぐらいでないと、組織的な問題を改めるのは難しいのです。耳に痛いことは、実は一番自分のためになる、ということを十分に弁えていないと、暴走も増えてしまう、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 司法

2013年01月14日

軽減税率と物価と為替

今日は大雪でした。出かけるのは諦めましたが、大雪は停電をもたらすこともあり、備えも必要だと、改めて痛感します。例えばオール電化住宅では、太陽光発電もできませんし、すべての暖房がダウンしてしまう。複数の、暖房設備を準備しておくことが求められるのであり、ただの備えは普段の生活にとって邪魔なだけでも、緊急時にそれがあるか、ないかで大きく違うのでしょうね。

軽減税率の話で、自公が隔たっています。公明は8%段階からの導入で、生活に必要な穀類、麺類、生鮮食料品、水などを帳簿方式で、としていますが、自民はインボイス制を主張し、8%段階からの導入には後ろ向きです。ただ、消費税増税が実現しないときには、この手の議論は無意味となりますので、あくまで実現を前提にした議論であることは、云うまでもありません。
ただ日本の場合、特殊な事情も存在します。例えば流通過程で、3%が上乗せされていく場合、最終的な製品の価格が、単なる3%の値上げでは済まないものも、出てくるはずです。それは日本の消費税が、モノの売り買いには必然的にかかってしまうためです。部品を買う際に3%、それを組み立てて部品をつくって3%、それを組み込んだ製品にも3%と累積するものも存在する。単純に計算はできず、それがまた、消費者には分かり難い仕組みになるのかもしれません。例えば、お豆腐屋さんが業者から大豆を買って3%、売るときに3%を増やすなら、単純には6%の税が上乗せされます。

今、2%の物価目標を政府と日銀とのアコードとするか、でもめていますが、単年度でみると消費税を増税すれば達成できます。当然、税効果は差し引いて考えねばなりませんが。軽減税率が多岐にわたると、単純に物価を計算するのが困難になります。むしろ、数字的には達成したと虚勢をはかることもできる、といった点では、物価と増税には注意も必要となってくるのでしょう。
さらに今、円安がすすんでいますが、これは輸入物価を確実に押し上げます。例えば1000円のものは8%になっても1080円ですが、1100円になれば88円になる。増税効果は、円安になればさらに増してしまうため、負担感は相当のものとなります。実は、日本には今後、相当の支出増大を見込まなければならない日がくるのかもしれません。ここで問題なのは、食料とエネルギーは大抵、消費者物価の計算から外されること。計算はされますが、コアを指標とするため、国民の負担とは必ずしも実態が合っていないことが上げられます。例えば、米国は2%の物価と成長を達成していますが、シェールガスによってエネルギーコストは下がっており、これが国民にとって、賃金が伸びない中で2%の物価でも不満がでない背景であり、好循環をうんでいるといった面があります。

しかし日本はエネルギーのほとんどを輸入に頼るため、物価2%を達成すると、極めて深刻な問題を生むかもしれない。政府は対ドルでも三桁を防衛ラインと定めているようですが、この隠れ物価を何とかしないと、国民の不満は高まるばかりとなります。つまり円安、増税による物価押し上げが、日本の消費をどん底に突き落としかねない懸念は、今後ますます増してくるのでしょう。
しかも、企業の賃金上昇率は物価と必ずしも相関しておらず、業績に連動します。これで増税による負担増を、企業がかぶるなら益々、賃金は据え置かれるか、下げられることでしょう。日本の物価が上昇する際、こういった面に目配せが必要なのですが、今の軽減税率議論を見るかぎり、早くも対象品目といった細目に移っており、大枠で日本の経済をどうするかは、考慮されていないように見えます。増税と物価と、それに為替も含めて、日本が抱えている問題を一つ一つ切り分けて議論している以上、これらへの対応は失敗に終わる可能性が極めて高い、といえてしまうのでしょうね。

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2013年01月13日

雑感。復興予算の増額?

安倍首相が多用している「古い自民党からの脱皮」という言葉、これがヘビやバッタのような、不完全変態を意味するなら、嫌いな人はそれが大きくなることを意味するので、嫌悪感が増します。脱皮、は必ずしも良い方向性を示すとは限らず、蝶々などのように完全変態するものは蛹の過程で、一度どろどろに溶けてスープのようになり、その後で体を再構成します。自民にそうした過程があったとは思えず、不完全変態に留まるなら、古い自民党がスケールアップしただけ、となります。6年前は、清新さと青臭さが同居しており、その点がメディアの攻撃材料とされましたが、今回はやや小ずるくなって既得権益、それは自民党にとっての支持層に重なりますが、そこに妥協してしまった印象があり、それが安倍政権にとっての不安要因、攻撃対象となり得てしまうのでしょう。

安倍氏が復興推進会議で、5年間で19兆円とした復興予算を、増額する方針を示しました。ムダ遣いをした挙句、誰も処分もされず、不足するから増額という悪いパターンに陥っており、かつ被災地からは利便性が悪い、と酷評されています。復興庁を福島へ、という話もありますが、問題は復興まで縦割りの行政区分で、それを復興庁で一元管理するとしても、どこまでが復興かの線引きが困難なところです。地元の要望を受け入れるのは、地方自治体でもよい。問題は、そこから各省庁回りが始まる点であり、これは短期で決着するものなら復興庁にもちこんでも、長期に亘るものはこれまでの付き合い、維持・管理などを含めると監督官庁に回ってしまう。そうした弊害を止め、復興庁で一元管理するためには、政治力が極めて重要ですが、今はまだそこまで至っていません。
例えば、国会でムダな予算と認定された場合、担当職員を処分する、という通達をだす。そうすれば、恐らく萎縮して各省庁も予算分捕りや、権益争いにしり込みするはずです。そこで復興庁は復興に関する予算、権限をにぎる。逆に、復興庁の職員には大胆な予算執行を認める、と通達すれば、萎縮もしません。これは復興に限るからこそ出来るものであり、通達一つで復興予算のムダ遣いが改まり、復興庁に権限を集めることが可能です。むしろこうした仕組み作りが肝心なのです。

13年度の予算で、19兆円を突破しそうだから増額する、というのではいけませんし、むしろ財源論に問題を残します。10兆5千億円は復興増税で賄う計画ですが、それを延長すれば、一先ず財源は捻出できます。消費税増税分を回す、という手もあるでしょう。しかし、それでは財源問題を解決しても、国民負担にムダ遣いのツケを回しているだけで、行政の問題は先送りとなります。
しかも、今はまだ概算要求に残っているムダ遣いもあり、そこに来ての19兆円枠の拡大ですから、問題も多くなります。霞ヶ関文学で『〜など』と付けば、ほぼ何でも流用が可能であり、執行に柔軟性をもたせるという目的も、復興には関係のない話です。むしろ、復興予算に『〜など』と付くなら、すべて削除でもよいのでしょう。そうした点を見抜けないようなら、安倍政権の能力に疑問がつくことにもなるので、こうした点では野党時代の不適切使用の追求をどう生かすかもあります。

安倍政権では、経済政策に力を入れる分、逆にいえば予算執行に対する目が厳しくなります。ムダ遣いでは経済が回復せず、それは経済を見る目としての、安倍政権の能力として評価されてしまうためです。ただでなくても予算策定が遅れており、短期で成立をはかるなら、丁寧な説明も必要となってくるでしょう。それが安倍政権の試金石ともなりますので、復興予算の問題だけでも、丁寧な仕組み作りをすすめ、ムダをカットすることが求められるのでしょうね。

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2013年01月12日

雑感。一般医薬品のネット販売解禁

ラスベガスで行われているCESで、日本の電機メーカーは続々と4K2Kテレビを発表しています。ただ、テレビはすでに白物家電と同じ、一家にふつうにあるものとして考えた場合、高ければ売れません。今はRetinaディスプレイなどが出てきて、画素密度には関係なく、画像エンジンの差のみがフルHDとの差となりますが、数十万円の開きはあまりに大きく、これでは優位性は低くなるでしょう。
そうこうする間に、中韓の電機メーカーが安価な4K2Kテレビをだし、市場占有率を高めてテレビなら何、といった称号を得ることになるのでしょう。どうにも歯がゆい限りです。研究開発費を早めに改修したい、赤字のテレビ事業を黒字化するため、高級品志向にしたい、という路線は理解できても、それでは商売としては失敗です。汎用の部品さえ組めば、今はある程度のものは出来てしまいます。パソコンより出来ることが少ないテレビは、白物家電のように研究開発費に予算は割かず、つくって売るに徹した方が利益率も高いのかもしれません。CESでも日本メーカーは酷評のようですが、日本の製造業復活には、経営者のマインド転換が必要なのかもしれませんね。

昨日、最高裁で一般用医薬品を省令で規制する件について、ネット販売を事実上認める判断が下されました。医師などの意見を踏まえ、省令で規制をかけることには一定の理解を示したものの、職業活動の自由を奪う点を重視、ネット販売でも対面販売と、同様のサービスを行えるといった原告側の主張が受け入れられ、原告二社に認めると同時に、大審院判例が適用されることから、全面解禁です。
ネット販売への不安は、実は対面販売でも同様のことが起こりえるものです。症状について正しく伝えられるか? 不正販売が増えるのでは? 薬物依存に陥る危険性は? これらは店頭販売でも起きえることで、問題は『安易さ』によりそのペースが加速するかどうか、です。恐らくこれは起こりますが、一方ではその利便性のお陰で、助かる人もいるのですから、どちらに重きをおくか、です。ただしネット販売会社に薬剤師の常駐を義務づけたり、購入者からの問い合わせへの対応などを、常に監視することは必要ですし、不正業者への法整備なども必要となってくる点は注意が必要です。

これは規制緩和の一つとなりますが、緩和しても取り締まり、監督は増える、ということを端的に示します。つまり緩和が『小さな政府』にはつながらず、国民が安心して利用するためには、監督官庁のの必要性が増すことを意味します。しかし利便性が増せば、その分の市場拡大は期待でき、一方で淘汰される業者も出てくるでしょう。医薬品も、そうした取捨選択を国民ができることによって競争型になる、市場原理に委ねるということなのです。その場合、監督官庁がその任を果たせない場合においても、監督官庁に責任をとらせる、といった仕組みも必要かもしれません。
日本の置き薬制度が、世界では重宝されています。薬を買いに行く、病院に行くのも大変な村でも、常備薬があるという状況が平癒に役立っているためです。例えばネット販売でも、登録しておいた薬を、交換時期がくればお知らせしてくれたり、量の増減を管理してもらったり、といったサービスが生まれるかもしれません。それは市場に委ねることによって、生まれるものであり、人々がどういった形態でそれを利用するか、も選択的であってよいのでしょう。何より、日本でも高齢者が増え、医療過疎地があるのが現状ですから、こうしたサービスを積極的に活用する、といった態度が必要となってくるのかもしれませんね。

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2013年01月11日

安倍氏の会見

昨晩から為替市場が、一段の円安となっています。ECBの利下げ見送り、日本の11月経常収支が赤字、などの材料とされますが、今は何でも円安支援と受け止める現状があります。経常黒字でも、円高になりにくいとされるのは、収益が上がっても現地に積み上げておく、というのが常態化しており、これは二重課税の問題などもあって還流がすすみませんでした。さらに役員報酬が、新株予約権などの現金を必要としない点も、慌てて国内にもどさなくてもよい理由です。ただし赤字はいつまでも積み上げておけない、経常赤字になると今後、円売りが増えるとの思惑が働くことになります。

安倍首相と橋下維新代表代行と会談しました。これが異例なのは、自民の総裁が、維新の代表代行という一格下の相手と、直接会談する点です。石原代表は東京にいるのだから、いつでも会える。それでも橋下氏と会う。これは維新の股割きを狙ったものです。竹中氏が安倍政権に参画し、維新はブレーンをとられた形です。それでも維新は文句も言わず、自民に協力するという。いつか安倍政権と連携したい、という思惑が滲む中で、今回の会談がセットされたのでしょう。
一方、維新の片山氏が国民新に参院の統一会派を打診するなど、旧太陽の党は竹中氏との遺恨もあって、安倍政権とは組みたくない。むしろ石破政権になって、離党組を厚遇する政権になってから協力したい。竹中氏が楔となって、安倍氏は従米、親維新、ただし嫌太陽の党という姿勢を示すことができる、と踏んでいる。用意周到でありながら、これだけやれば公明は面白くありませんし、自民内でも反発がでます。元自民議員は権力闘争に慣れているので、慌てて動きはしませんが、いずれ支持率が低下すれば、一気に安倍下ろしを活発化させることになるのかもしれません。

緊急経済対策が発表されました。『次元の違うレベル』『安易なバラマキではない』『古い自民党から脱皮』と、言葉だけが踊りますが、これは逆にすると今回の件を言い当てます。ヘビは脱皮しても、見た目は同じ。考えた結果、やっぱりバラマキとなるけれど、少し成長して次元の違う大きさになる分、建設国債分の5兆円を増やしました、と云っているに過ぎません。
そもそも、国道整備のために緊急点検する、としますが、定常作業でも地方整備局が行っていることを、同じ主体がやるなら無意味ですし、そこで補修要となった場合、これまでの点検は何だったのか? となります。予算がつきそうだから、続々と補修道路が増えるなら、短期的には工事が増えて物流が滞る恐れもあります。しかも大規模補修なら、期間は長くなり短期の効果は減殺します。

しかもプライマリーバランスの黒字化と明言しており、富裕層増税となれば前回の竹中路線時の、富裕層を増やしてそれにより経済を活性化する、という戦略を根底から覆すことになります。しかも、消費税増税を規定路線化するような話であり、これでは国民から税として搾取した分を、国が大盤振る舞いで企業収益の向上に努める、としているに過ぎません。それでは国が果たすべき機能としては逆で、労使関係が歪んでいる現在では、むしろ逆の方向性でなければならないのでしょう。
さらに官民ファンドをつくり、企業がお金を借り易くする、損失は国が肩代わりする、といった甘い審査で貸し付ければ、国の負担は増すばかりとなってしまいます。『次元の違うレベル』=『歯止めなき』、『安易なバラマキではない』=『官僚が裁量権をにぎって、差配できるバラマキ』、『古い自民党からの脱皮』=『脱皮に失敗すれば死ぬ』という読み替えでない点を、もっと明確にしない限りは、これまでの失敗のくり返しを、さらに大型になって見せられることになってしまうのでしょうね。

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2013年01月10日

中国の動きと自由と繁栄の弧

中国の動きが、俄かに怪しくなっています。南方週末の記事を改竄した上、環球時報の社説を転載するよう求めた件で、中国共産党への批判が殺到する事態となっています。ここに来て、尖閣への強硬な態度をつよめるのも、国内の不満を対外的に逸らそう、との意図が透けてみえます。こうなると、日本の打つべき手は簡単で、中国共産党を激怒させても、中国民衆を喜ばすような口先介入ができれば、中国は内部から崩壊していきます。問題は、そのときの経済への波及効果、短期的な影響です。それは国内のみならず、世界経済に亘って試算しておくべきなのでしょう。
中国の税関当局が、12月の輸出が前年比14.1%増と発表しました。冬物衣料などが北半球で伸びた影響かもしれませんが、米国の年末商戦も前年比で2%半ばと、あまり伸びてはおらず、俄かには信じがたい面があります。通年では輸出が7.9%増、輸入が4.3%増なので、額面通りうけとれば高成長です。しかし新規融資は伸びておらず、マネーサプライの伸びも低い。端的には、貿易黒字が国内経済へ、さほど良い影響をもたらしていない、ということが数字の上からは読みとれます。

中国は習近平体制になってから、経済政策は期待値が剥落した面があります。住宅価格が下げ止まった、ふたたび上昇傾向に入ったとの報道もありますが、これも信じがたい。住宅市場は以前から供給過多の状態であり、投機的な購入しかない。もし仮に、投機家が自信をとり戻したなら、上昇といった局面もくるかもしれませんが、一度はじけたバブルの後は、選別の目が厳しいはずです。
今の中国の経済指標は、信頼性が極めて低い。問題は、そうやって覆っている間に、国内から聞こえてくる生の動きは、深刻さを伝えてきます。記者は、留学経験もあるインテリが多く、報道規制などに従うことを屈辱、ととらえ始めている。そればかりでなく、そうした動きをしても、民衆の支持が得られる、という記者の自信のようなものも感じられるのです。今年はメディア主導で、第二の天安門事件のようなことが、中国では起きるかもしれない。それはこれまでの限られたインテリから、より幅広い層へと拡散し、アラブの春ならぬ中国の春となるのかもしれません。

安倍政権は、ふたたび『自由と繁栄の弧』なる対外政策に、活路を見出すようです。東南アジアから南アジア、中央アジア、中東から欧州までと友好する。そうして中国包囲網を築くといったものですが、この戦略の最大の懸念は米国です。6年前は米国は共和党政権、今は民主党政権です。軸足は中国に移っており、日本が中国崩壊に手を貸すことは、米国が望んでいない面があります。
最初の外遊に、米国を望んでいた安倍氏ですが、今のオバマ政権にとって、あえて安倍氏に近づく必要はない。それより二期目に入って人事、財政の崖問題などを抱え、内政に専念したいときです。そこにきて、安倍氏が中国経済を揺さぶるようなことになれば、米国も黙ってはいない。それは世界経済の成長率を著しく下げ、金融を膨らませた米国経済を揺さぶる可能性すらあるのです。

中国の外貨準備は3兆3千億$、その多くがドル建てなのですから、中国共産党が打倒されるなら、必ず米国債市場は大きく変動します。それが短期的な動揺で収まるか、世界経済を凋落させるキッカケになるかは、現時点では判断もつきかねますが、米国がオバマ政権である以上、それを望まないのは確実です。残念ながら、安倍政権が従米主義でいるなら、日米首脳会談の後で、すぐにでも『自由と繁栄の弧』の旗は、『中国の安定を請う』と変わることになるのでしょう。
ただし、日本が引き金をひかなくても、中国の自由化は民衆の力で、すすむかもしれません。それは世界経済の変動要因として意識しておくべきであり、安倍政権がそのとき、どういった対応をするかは、今からシミュレートしておく必要がある、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2013年01月09日

安倍政権の税制改正

大阪市立高校で体罰をうけ、自殺した問題があります。スポーツの強豪校ほど、1人の選手につらく当たり、それを見せしめとしてチームを引き締める、といった行為が頻発します。ただしそれに耐えられる相手でなければ、潰されるのが必然です。さらに学生では、毎年のレベルを維持するのが難しく、昨年できたことが出来ない。そんな苛立ちが、指導者に重なっていなかったか? 結果を求めすぎると、双方がストレスを抱え、こうした不幸が起こってしまうということなのでしょう。

今日は経済財政諮問会議の初会合も開かれ、矢継ぎ早に色々な情報が出てきます。まず祖父母から孫への教育費を、1500万円まで非課税にする案。これは端的には富裕層減税であり、1500万円もぽんと、孫のために出せるのは高齢者でも限られます。さらに、これまでも必要に応じて援助する場合は非課税であったことから、逆に云えば簡素化した結果、抜け道が多くなったことを意味します。つまり教育費、として一括で渡しても、本当に教育費用としてかかるかは分からない、ということです。資産移転を促す、としても、教育費用という限定ではあまり意味がありません。
雇用促進税制では、雇用を増やすだけでなく、賃金の上昇に伴って法人税を減税する、というもの。ただしこれも抜け道が多いものです。まず、赤字企業は法人税を払っていないので、関係ありません。黒字企業のうち、臨時雇用や非正規の人件費を雑費として扱っていた企業が、人件費として新たに計上すれば、非課税枠に入ってしまいます。さらに、どの時点で雇用の基準日を設けるかによって、大幅なリストラと、新規雇用をくり返すことにより、減税枠を維持することも可能です。つまり黒字になりそうな年、人を増やして減税をうけ、翌年には人員削減し、次の黒字のときはまた人を増やす、といった行為が増えるのなら、労働力が流動化し、国民の安心には寄与しない恐れがあります。

さらに、上昇分の1割が減税とされますが、その程度だと毎年の累積げが負担となるため、企業にとってインセンティブのある話ではありません。それこそ大企業で従業員も多く、ベアによる定昇が減税となるなら、それを維持する方向にはなるのでしょう。これは法人税減税と、ベア維持を両立させるためのものですが、詳細次第ではマイナス面も大きく、導入には慎重となるのでしょう。
自動車所得税、重量税の撤廃など、威勢のいい話も聞こえますが、上記はいずれもこれまでも議論されてきたことで、目新しい材料ではなく、しかも歳入減となるものです。富裕層増税と軽減税率を公明は主張しますが、自民は積極的でない。この中で、富裕層増税だけが唯一、歳入増となりますが、その程度ではプラス効果も低く、全体としては歳入の減少は避けられないのでしょう。

景気回復で、歳入増というシナリオを安倍政権はとりますが、雇用や賃金がふえれば所得税には寄与しても、全体の景気にはあまり効果がないのでしょう。欧米が増税策をとる中で、日本の景気だけが改善する、とは到底思えないためです。これは雇用でも同様で、安倍ノミクスによって一部の業界だけは雇用が増えても、全体の経済のパイが増える施策は今のところないので、それも一時的なものに留まってしまう恐れがある。それでは安倍ノミクスは失敗、となってしまいます。
欧米の緊縮策に対し、日本だけが超緩和策へと移行する。これが安倍ノミクスに諸外国が期待する背景ですが、日本の財政出動によって景気が上がるなら、今度は逆に諸外国から日本への輸入圧力が強まることも想定されます。規制緩和が、単なる市場開放で諸外国の製品をよびこむことなら、日本国内への寄与度は低くなってしまう。こうした目配りが必要な中で、安倍政権の陣容には、そうした詳細設計をできそうな人材に乏しい。世界経済に、緊縮財政というストレスがかかった結果、早期に結果を求めることは、逆に云えば不幸を招くことにもつながるので、注意が必要なのでしょうね。

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2013年01月08日

安倍政権の補正予算

昨日、経団連、経済同友会、商工会議所が祝賀パーティーを開き、そこである経営者が「長期安定政権を築き、日本をよくして…」と、政治に要請していました。実は、この言葉の裏側に安倍政権への不安、不審の根が見えてきます。本来、日本をよくすることによって政権が安定し、在籍日数が長期に及ぶのであり、目的と結果が逆になってしまっています。つまり、安倍政権もこの言葉と同じ、まず長期で安定政権になることを目指しており、そのために日本をよくすることが、目的達成の手段に見えます。それが先に米国、財界、官僚と仲良くする、という戦略に見え隠れしており、結果が同じなら…とも云えますが、その結果がでるまでは不安、不審は続くことになるのでしょう。

日本経済再生本部が、初会合を開きました。来週にも策定される補正予算の拠出分は13兆円超に膨らみ、民間分も含めると20兆円超とされます。気になるのが、復興予算と被る事業が多いこと。これは事業規模が大きいように見えて、すでに市場は織り込み済みです。さらに電気自動車の充電インフラ整備にしても、チャデモ方式が世界で主流とならなければ、日本が充電方式でガラパゴス化するか、世界標準にあわせるなら改修、ということになります。実に難しい判断だといえるのでしょう。
さらに設備投資に補助金、としますが、中小企業金融円滑化法の延長と、それに伴う財源は示されません。設備投資できるほど、余裕のある企業は内部留保が多く、資金繰りに苦しむような企業は、設備投資をする余裕もありません。しかも、事業内容に色がついているため、これでは自由な企業活動を促進するには、至らないのでしょう。例えば、省エネ対策に予算をつけるなら、創エネでも補助金をだす。そうして電力事業に参入を促せば、エネルギー事業は大きく進展するはずです。

産業競争力会議のメンバーでもある竹中氏が、ある番組で「2000年代前半は格差が縮小した」と述べています。それは90年代から拡大した公共工事の結果であり、それを小泉構造改革で、労働の市場化をすすめたため、小泉政権後に格差が拡大した、という経緯があります。規制改革も叫ばれますが、東電もJALも実質国有化されるなど、今は政府関与も増えています。今、必要なことは行政裁量権の縮小であり、それに伴うルール作りです。野放図に市場に委ねてしまえば、結果的に国が多くのツケを払い、その尻拭いをしなければならない。それ労働市場に、端的に現れており、景気が回復しても賃金上昇は2、3年後とする経営者が多いように、長期成長でないと賃金はもう上がらないのです。
例えば、公共工事ならすべての事業の算出根拠となった数値を公開する。そうすれば、民間がその数値を元にして是非を判断できます。行政が御用学者をつれてきて、事業推進のための根拠を補完し、後でその算出根拠に問題が発覚しても、誰も処分できないといったこともなくなる。行政裁量権を縮小する、とはそういった形で、情報公開というツールだけでも可能なのです。

今回の補正予算も、公共工事や補助金など、いわゆる行政の裁量権によって予算が決定してしまう項目が多く、また短期の効果しかないものばかりです。規制改革を謳うなら、こうした予算執行に伴う点も整備して然るべきなのでしょう。今は景気後退に陥った可能性があり、その底上げにはなっても、日本が成長軌道にのるような期待のもてる施策は、この補正予算からはよみとれません。
安倍政権は『金融政策、財政政策、民間投資をひきだす成長戦略』を三本の矢としますが、残念ながら金融も、財政も余力がない中で、知恵をもって成長戦略を見出すしかない、状況です。三本あっても、矢柄が弱っていれば折れます。今回の補正予算にはその知恵がなく、成長戦略も曖昧なまま、です。安倍政権は、短期で成果をだすことに焦りすぎて、日本をよくすること、を疎かにしているように見えてしまう。この不安、不審に応えることは、今のところできていないのでしょうね。

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2013年01月07日

核燃料サイクル事業のコスト

安倍政権が、正式に動きだしました。国土強靭化で、公共工事が増えるとの思惑もありますが、八ツ場ダムの建設根拠となった、利根川の流量が毎秒17000立方Mとした根拠が揺らいでいる、と報じられています。積算根拠が曖昧で、利根川治水計画をすすめるため、鉛筆を舐めた数値だというのです。国が防災、減災を謳って公共工事に挑むとき、こうした慣習、甘い試算によるムダ事業についてどう歯止めをかけるか、は不明のままです。残念ながら、公共工事をやる、ということは威勢がよくても、ムダ削減にかける意気込みは、安倍政権からは一切感じられません。

安倍政権では、原発再稼動や、新設に意欲をみせるなど、原子力関連に前向きな姿勢が示されています。しかしまず手をつけるべきは、除染作業におけるずさん管理の問題です。現状でも川から海へ、汚染物質が拡散し続けていますが、今年から来年にかけて少しずつ沿岸部の汚染濃度が上がる、とされています。今、大型の魚は水銀汚染が懸念され、食べすぎはよくないとされますが、放射性物質についても、大型の魚などに蓄積がすすめば、今後は警戒が必要かもしれません。
よく誤解されるのが、これを食べても基準の何分の1だから問題ない、とするものがあります。しかし放射線の影響は累積であり、かつ人は1品目だけを摂取するのではありません。複数の品目をすべて足して、さらに毎日の累積を計ってみないと、実際の被曝量は測れないものなのです。

さらに、安全保障上の問題として韓国など新興国の原発を日本で受け入れ、再処理する案が検討されているようです。しかし日本の再処理施設は、ガラスに固める施設でトラブルがあって、稼動できていません。ここが稼動できないと、廃棄物として返すこともままならず、一方でとりだしたプルトニウムの処理にも困るでしょう。順調に稼動でき、かつ経済的にもペイするなら受け入れ、という話もあるかもしれませんが、安全保障上ということは経済的側面は無視かもしれません。
東京新聞に、核燃料サイクル事業が過去から現在までに10兆円規模に膨らんだ、という記事があります。再処理費用に2兆5千億円、高レベル放射性廃棄物費用に8千億円が積み立てられており、高額な電気料金のからくりの一端にこうした費用計上があり、国民が負担してきたと云えます。しかし逆にみれば、再処理せず保管、管理することを長期的に実施するによって、この積立金は取り崩しが可能です。実は、国の施策次第ではもっと電気料金が安くでき、それは経済対策にもなるのです。

しかし、安倍政権は既得権益に阿っており、こうした資金に手をつけるようなことはしないのでしょう。高速増殖炉など、40年もやって実を結ばない事業は、すでに見切りをつける決断も必要ですが、それもしないのでしょう。その間、新たな発電システムが生まれ、効率が悪いと批判もされますが、実は高速増殖炉と再処理は、今現在においてもっとも非効率なシステムになっています。それも安全保障上や、原子力技術の流出、衰退という理由だけで維持するというのなら、それこそコストをどう考えるかは、国が算出根拠を明確にした上で、国民に提示するという仕組みが必要なのでしょう。
公共工事も同様ですが、安倍政権がこうしたことをせず、ただ推進というだけなら、やはり国民から見放される日も早い、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2013年01月06日

雑感。今年の政局

ソウル高裁が、靖国神社放火犯を政治犯と認定し、犯罪人引渡し条約に基づき、日本ではなく中国へと送還する旨が、額賀特使の派遣前に下されました。まさに政権交代期のどさくさで、韓国世論に迎合的な形となりましたが、これで分かるのは、韓国では靖国神社を政治的な問題と捉えている、ということです。逆に云えば、日本でも政教分離を謳いながら、極めて政治と宗教が分かり難い線引きとなっていることも、影響しているのでしょう。
憲法改正が議論される折、むしろ政教分離を厳格に適用するよう、検討してもよいはずです。今は、特に政治が靖国に寄っていけばいくほど、結果的にこうして諸外国からは、政治と靖国が同一視されることにもなってしまいます。伊勢神宮は、古来よりの神道のより所として、諸外国から認知されています。そうした位置まで靖国を上げるのか、それとも政治と切り離すのか、その線引きを曖昧にしたままでは、中韓との融和路線をとろうとする安倍政権の、脛になってしまうのでしょう。

今年の政局で重要なのは、野党の動きです。昨年末に未来が分裂、嘉田氏は代表の座も下り、未来は短命で終わりました。ほとんど国民の生活が第一の議員ばかりなのに、嘉田氏がイニシアティブだけとろうとしても、それは土台無理な話であり、独裁や専横と呼ばれます。結果的に、嘉田氏はリーダーとしてもっとも必要な、明確な目標、柱を立てられなかったことになります。
重要なのは、民主の海江田氏の動きでしょう。野党共闘を唱えますが、今のまま全選挙区に候補を立てるなら、必ず他の党とぶつかります。選挙区を絞れば、議席は益々減ることになるでしょう。野党第一党、を自負してリーダーシップをとろうにも、先の衆院選での比例得票数は3位、すでに組織としては退潮しており、迫力がありません。海江田氏が野党をまとめようにも、維新は共闘を望まないはずで、結果的に第3極としての連立のリーダー的立場、となってしまいます。

維新も、石原代表の動きは複雑で、長男の伸晃氏が環境相となり、政権与党を攻撃し難いばかりか、公約も自民と似ているため、ケンカのしどころがありません。党首討論の場に石原氏が立つなら、益々それは政治の先輩としての苦言、程度に留まる恐れがあり、こちらも迫力がありません。
今の政局は混沌としすぎていて、実は与野党の線引きが曖昧なまま、です。参院選の結果が大事で、与党が多数を占めれば安定政権へ、というばかりではなく、野党として与党と対していく勢力がどこか? それが問われる選挙とも云えるのでしょう。実は与野党遍く分裂してしまった方が、よほどわかり易いほどに、政党の価値が揺らいでいる状態にある、と云えるのかもしれません。

今年の政局は参院選が一つのカギですが、実はどこが勝っても、内紛を引き起こすという事態になりそうです。結果的にそれは、権力闘争であったり、主張の違う者同士が単にまとまっているだけの脆弱な集団だったり、といった組織的な問題へと帰結していくのでしょう。今年の政治は、蛇が脱皮するように新たな局面に向かって欲しいところですが、むしろ混沌を深めそう、という点で国民の失望はさらに広がることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年01月05日

経済の話。今年の市場の動き

今年の大発会は、300円に迫る大幅高となりました。年末、米国で財政の崖が先送りとなったことで、大幅高となったことへの打ち返しです。これは即ち歳出削減をどう実施するか、が市場にとって重要であり、国の借金がGDPで100%を超えた以上、何らかの手をいつかは打たねばなりません。しかしその対策が打たれると、景気は悪化する。2月まで景気が崖から転がり落ちることはない、それが市場の反応です。そして内容次第では、景気の一段の低迷が予想されるため、2月末に何が出てくるかが非常に大事であり、さらに先送りされるのであれば、今度こそ市場は悪材料と捉えるでしょう。
日本の市場は、期待だけで一段高となっていますが、逆に云えば欧米、新興国も上値が限られており、さらに歳出削減圧力がある中で、日本だけが異なる施策をとろうとしている。それが資金を集めています。ただ、昨日も指摘したように、安倍政権から次の手が出てこないと、期待が剥落するのも早いでしょう。むしろ、今年の市場はジェットコースター並みの上下動に巻き込まれる公算が高い。それは過剰流動性の世界で、大きな潮の満ち引きを、日本が引き受けてしまったためです。

下りに入る懸念は、2月の米財政の崖と、伊国の選挙です。伊国の選挙が重要なのは、仮に歳出削減に反対する勢力が勝利すると、伊国の国債格下げ圧力がふたたび強まる恐れがあり、それは日本にも同様の圧力がかかることを意味します。つまり財政出動による、景気回復での財政再建という道への試金石になる恐れがあるのです。さらに欧州での問題は、ユーロ圏離脱を訴える勢力が多数派を占めたり、そうした勢力との連立政権となった場合、ユーロ圏そのものが揺らぐことです。これは9月の独国選挙や、政権崩壊となって急遽、選挙する場合にもその恐れがあります。
さらに中東では、イスラエルの動きがカギです。中東の春により、周辺に親米国が減っている現状でイランに攻撃をしかければ、第5次中東戦争へと発展するでしょう。それは原油、天然ガスの問題となって世界に波及しますし、米国が中東へ派兵すると、それに呼応して北朝鮮が動きだす恐れが高い。米国には二正面作戦をうてる余裕がないため、反米国はやりたい放題になるはずです。その場合、北朝鮮抑止としての中国の立場が、益々重視される可能性が高く、世界全体のパワーバランスにも関わってくる。実は、2013年にはかなり大きな問題が控えている、と見ることが可能なのです。

市場はそれに応じて右往左往することでしょう。日本は昨年11月まで、リスクオン・オフの間隔が短くなっており、解散が決まってからはずっとリスクオンの状態です。サイクルを上放れした、という認識も手伝って、上昇を続けていますが、これが半年も続くことはないでしょう。補正予算の規模と内容次第によって、2月までには一服するはずで、早ければ1月には外国人投資家のポジション調整が終了し、新たな買い方を探さなければならない。だから今、個人を呼び込もうと躍起なのです。
日本の投資家のやれやれ売りが終わると、次に買うか? という問題もあります。日本市場は円安で嵩上げ、輸出企業は円安で収益改善、などと云われますが、1万円を大きく超えるほどの実力はない。それはPBRが1倍程度にもどっても、成長を期待できなくなれば、それ以上に買う材料にはならないためです。そして海外要因、景気の低迷がつづくと、どこも国内の不満を外向けに逸らそうとして、トラブルを増やします。今の中国など、かなりそうした動きに近いものもありますが、そうした状況が世界を不安定に導くのでしょう。巳年は上昇とも言われますが、一方で巳年には大きな変動も起こりやすい。大きなうねり、蛇行する相場を考えておくべき年になる、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年01月04日

安倍政権の賞味期限

2013年も始まりましたが、いくつか気になる記事があります。まず除染作業において、出た廃棄物を捨てた問題。これはいくつかのゼネコンがまとまった事業体が受注、それを幾つかの下請けを経て作業する形であり、責任の所在が不明です。こうした仕組みにしたこと自体、すでに誤りであり、直接雇用した企業のみが受注すれば、被曝管理や廃棄物管理において、問題があれば経営陣に責任が及びますが、今はそうなっていません。これは構造的に、必ず問題が生じる仕組みです。
また農水省にハッキングがあった、とされる問題です。これは明らかに、安倍首相の訪米前に農水省の動きを抑制するものであり、TPP推進派が握っていた情報を、一部メディアに流したものです。省庁のサイバー管理は杜撰で、情報流出は日常茶飯事とされており、公になるタイミングだけが違いです。逆に云えば、誰かに都合のよいタイミングでその事実が公表され、動きが牽制されている間に、その省庁に都合の悪い施策が通ってしまう。それが日本の現状とさえ指摘できます。

安倍氏の年頭記者会見において、少し気になる点を指摘しておきます。「経済再生をロケットスタートで」と述べ、日銀に2%の物価目標を迫りますが、肝心の経済成長について、何ら数値的な目標が示されません。逆にいえば、物価が2%、経済成長がマイナスに陥っても安倍政権は約束を履行した、と開き直ることが可能です。つまり政治的な目標として、本来あるべき経済成長に関して、安倍政権は何ら目標をもっていないのです。悪いことをいえば、日銀がコストプッシュインフレを起こし、景気を悪化させても同じで、目標は達成した、と開き直ることもできてしまいます。
すでにその萌芽は生じており、円安によってエネルギーや食糧価格に、上昇圧力があります。これは日本の富を増やさないため、非常に問題があります。さらに民主党政権時代のムダ削減で、予算を重点化、と選挙時に謳っていた財政出動にはふれませんでした。公共工事を、歳出削減で達成するなら、財政出動ではなくなり、GDPにも寄与しない恐れが強い。つまり日本の経済成長は、インフレによる嵩上げ分と、安倍ノミクスに基づく株価上昇による資産効果にかかってきます。

日米同盟の最重要とし、訪米に意欲をみせますが、早くも無人偵察機やオスプレイの購入計画がもち上がるなど、手土産の話が出ています。保守系として中韓にモノが言える政治家、を期待されても、米国には媚を売る。正直、これが日本の保守とされる政治家の、限界を示しています。
残念ですが、日本では政策の中身によって評価されるべき政治家が、保守、リベラルという線引きで好き嫌いが別れてしまっています。ただし、安倍氏の最大の過ちは、日本にリベラルな態度を望む米国、財界、官僚に対して、完全降伏してしまっており、すでに手足は縛られたことです。年末年始にかけて出てきた情報だけでもそれが推測され、そうした観測は、安倍氏を支持している層にとって、裏切りにも近い目をもって、安倍氏に注ぐことになります。つまり保守、リベラルという線引きにこだわるなら、今の安倍氏の態度、言動は『狼の皮をかぶった羊』としてしかなく、そのギャップに国民が気付き始めることが、安倍政権にとっての最大の懸念となるのでしょう。

つまり、中韓に強い態度で臨んでくれそうな人物、という目で安倍氏はみられがちですが、実はそれをするには米国、財界、官僚とケンカできる人材でなければならず、現在の安倍氏にそれは望み薄なのです。これは経済面も同じ、安倍ノミクスが単なる財政組み替えで、公共工事に回すことで終わるなら、90年代の自民党とまったく同じで成長は低いままです。そのことに市場が気付き始めると、安倍ノミクスへの期待は一気に萎み、大きな売り叩きが起こってきます。
安倍氏が、今のまま米国、財界、官僚に媚を売り続けるなら、国民や市場からみても安倍政権の賞味期限は短いでしょう。そして国民が、いつそれに気付くかによって、参院選の結果も変わってきます。アーベリアン・グループというと、数学の可換群のことですが、逆もまた真なり、というだけで国民が納得する、と甘い期待を抱いているようなら、政治家の中にもいるアーベリアン・グループへの審判は、より厳しいものとなってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般