2013年03月

2013年03月31日

経済の話。日経平均が23%上昇

日経平均が年度末12397.91円となり、実に前年度末から22.9%もの上昇でした。これを好感できるか、は微妙です。まず前年度末の為替は約82円、今は10%以上もの円安であり、それを差し引いて考える必要があります。つまり、正味10%の上昇と考えておいた方がよく、これはFRBのバーナンキ議長も、米ダウの最高値更新を評して、通貨の価値との相関でとらえることを示しています。
その米国株市場は、S&P500が史上最高値を更新です。復活祭の前、それを成し遂げるところに米国らしい演出を感じます。リーマンショックから、自分たちは完全に復活した、ということです。ただし、米国とて同様、ドル安により嵩上げされており、それは企業業績といった面で顕著です。米企業はドルが強かった時代に海外進出を果たし、今はその遺産でが複利を生み、堅調な面があります。つまりドルが安くなれば、その分海外の業績がよくみえ、株価に反映されます。ただ今、米国経済が本当に自律的回復に入ったか、そこが株価の正当性を映すかがカギです。

ミシガン大消費者信頼感指数が、3月前半の速報から大幅上方改定となりました。現時点でこれは、安倍ノミクス以来起きている世界同時株高と、不動産価格が上昇に転じるなどの資産効果、それと投資の好機としてムードが高まっていることが考えられます。個人消費が前月から0.7%増と、インフレ調整後でも0.3%を維持するなど、ガソリン価格の高騰を除いても伸びています。
米国にとって最大の弱点は、マインドが低下することです。今、イケイケどんどんで投資を拡大させ、世界の市場を膨らませ続けていますが、マインドが低下し、世界経済全体が萎みだすと、逆資産効果によって苦境に陥るのが必定です。残念ながら、今の世界経済はこの米国のアニマルスピリットで支えられている、といっても過言でなく、それは世界の失速につながる問題です。

その引き金になりそうなのが欧州、中国です。実は、欧州は南欧の問題ばかりが取り上げられますが、欧州全体の減速と英国などで広がるスタグフの懸念の方が、より深刻です。その対策が定まっておらず、どんな手を打つか分からない。ただし、米国では英国も日本のような「異次元の対応」をとることを、期待するのかもしれません。日本は景気は横ばい、デフレという環境で金融政策に依存、という道を選びました。英国は財政出動と金融引き締め、という道をとる怖れもある。その効果は、やってみないことには分からないのかもしれません。
日本は安倍ノミクスにより、メディアは経済は好調、という伝え方をします。しかし一般人の肌感覚とは大きく乖離し、また米国人が考えるように、投資の好機と捉える人も少ない。一部、投資家層は盛り上がりますが、全員参加型にはなっていません。それは所得の上昇が、思ったほど見込めない点に集約されます。残念ながら、通貨政策による物価高が先にくるため、日本の景気回復は、今回も実感する頃には終わり、という道を辿る可能性がかなり高いといえます。

明日から新年度入りですが、期待に添う形で現実が追いついてくるか? その見極めが大事です。今、割高感は相当に強く、日本は長い円高の時代も、海外企業の買収などに積極的でなかった。この内向き思想により、円安の効果というのは思ったほど出ないのです。日本には耐性があっても、攻勢はない。アニマルではなく、フェレストスピリットにより変動には強くとも、チャンスには弱いといえます。ただ、動物は長い目でみると増減も激しい一方、植物は長い年月をかけてじっくり育っていく。そう考えて、日本経済を再評価する方が、わざわざアニマルになるより、正解ということなのかもしれませんね。



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2013年03月30日

維新の党大会

オセロ中島氏が、TVに久しぶりに出演しました。しかし明らかにマインドコントロールが解けておらず、出演させた局に疑問を感じます。脳科学者は否定した、としますが、肩書きは精神科医でも臨床心理士でもありません。殊更に「相手のため…」という、献身を導きだす時点で、精神的に自律できていないのであり、相手に悪いとくり返すことが強くその傾向を示します。
例えば、彼女に借金をしていた…としますが、彼女に驕らなければ…と続けたことで自らが破綻し、代わって支払ってもらったことを「借金」とするケースもあります。悪い宗教にはまって散財するパターンですが、こうしたものを検証せず、右から左に流すことが必ずしも正しくはないのです。特にこれは、詐欺に関わるかどうか、一般の人間にも関係するのですから。

維新の石原代表が、軽い脳梗塞だったと公表しました。引退しない、と強気ですが、石原氏のようなタイプは一度がくんとくると、急速に衰えるタイプです。後遺症はない、としながら党大会にも出られず、療養を余儀なくされるということは、代表としての任に相応しくない。引退とは云わずとも、第一線からは退く形がよいのでしょう。しかし維新は分裂気配で、橋下氏の旧維新と、太陽の党とのノリとしての石原氏がどうしても必要、という苦しい事情もあります。
そんな維新は、党大会で自民との違いについて既得権益、としました。しかし民主が政権をとったとき、たった数ヶ月で既得権益と手を結んだことを考えると、今の維新の議員の質からみても、すぐ既得権益と手を結ぶでしょう。太陽の党など、まさに既得権益と手を結んできた自民党出身議員が多く、対立軸にすらなりません。さらに改憲派で3分の2議席、と方針を示しました。

しかし、そんな改憲を目標とする安倍首相が、憲法学者の芦部氏を知らない、と述べたことが話題です。大手メディアは無視し、産経などは民主・小西氏の予算委での質疑の後半部分だけをぬきとり、子どもっぽい質問と談じますが、対応した側も大人でなかった、と判明した形です。立法府が、如何に憲法や法律を知らずとも務まる、と露呈し、少なくとも改憲を主張する根拠、正当性が著しく薄れました。つまり大人で、行動に責任をもつならまず憲法学者の意見など、きちんと調べてから自身の立場、方針を示すべきで、今のままだとただの子どものワガママ、やりたいからやる、という理屈にしか見えず、改憲の中身さえ危ぶまれる、ということです。
さらに、TPP交渉参加を表明した後も各国の動きが鈍く、日本が7月会合に参加できるか微妙な情勢です。つまり、各国とて日本に貸しをつくり、妥協を引きだすためには遅れれば遅れた方がよい。さらに9月会合にのみ出席させ、議論すらさせずに交渉を終わらせたい。そんな思惑が出るのは当然です。もうこの時点で、交渉ごとは負け、日本に不利な条件がついているのです。

大新聞は相変わらず、上記は無視し、安倍政権礼賛を続けます。そして維新も改憲、TPP参加という方向性をもち、安倍政権にも協力姿勢を示します。しかしそれが逆に、維新という立場をさらに悪くする結果に、今後なっていくのでしょう。明治維新を迎えても、日本は諸外国との不平等条約の解消に、かなり苦労した経験があります。維新という言葉が、そうした懸念を惹起させつつあり、それは安倍氏が今後直面する、諸問題とともに維新への逆風ともなるのでしょう。自民との対抗勢力のはずが、自民と維新は政策という面では一蓮托生、という状況は、政局の上では極めて不都合でしかない、ということが今後も増えてくるのでしょうね。

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2013年03月29日

雑感。最近のニュースの深読み

最近のメディアの動きについて。昨日、東大地震研究所が立川断層の活断層、としていたものを誤認、と発表しました。案の定、原発推進派のメディアは活断層調査などアテにならない、挙句は活断層型の地震は1000年に一度、などの文言をつかって、原発再稼動への理論武装をはじめています。しかし個々の調査、内容が問題なのであり、かつ活断層がいつずれるか、その検証もなく千年に一度だから、原発を動かしている間はずれない、という論拠はありません。

日中韓FTA、日欧EPA交渉に入ったことを、あたかもTPP参加表明に呼応した動きである、と伝える向きもあります。しかしどちらもTPPに参加表明する以前から、事前に準備されてきたものであり、むしろTPP参加表明を、米議会への通達の事情で早めたため、交渉入りが後になっただけの話です。さらにTPPと絡めて、日本が率先してルール作りを…といった論調も目立ちますが、FTAもEPAも個別交渉であり、それぞれの国情にあうよう調整されます。世界にむけた、統一ルールという話ではなく、どちらも多国間になりますが、国益をかけて個別にルールを決めるのです。
さらに、日中韓FTAとなれば、TPPで中国を外して…という世界標準ルールに中国をまきこむ、といった動きとまた違った展開にならざるを得ません。仮に、TPPが米国型経済への移行であるなら、中国製機器への導入制限など、今米国が行っているようなことを、FTAを結んだ後で中国にとることが可能なのか? つまり個別のゾーンごとにルールが異なれば、その調整についても考えなければならないのです。TPPは単純な世界統一ルール、というのではありません。早くも、ソフトバンクが米携帯会社の買収する案件に対し、米国は中国製品を使わないことと、米政府への情報提供、という条件をだしたようです。日中韓FTAでこうしたことが障害になる恐れもあります。

先週は南鳥島沖で、レアアース鉱床という話がありました。しかしこれが新年度の価格、供給量の交渉のため、あえてこの時期を選んで調査、発表したという話もあります。つまり水深5000mなど、先のメタンハイドレートの採掘に成功というのと同じ、商業ベースで採算がとれるとは、到底思えないのです。日本には資源がある、だから高値で買う必要がない、ということを諸外国にむけて、喧伝する目的でここ数日、こうした報道が目立っているということになります。
別にそれ自体、間違った報道ではありませんが、ニュースにはそうした裏がある、ということには留意が必要です。沖縄の普天間基地の問題でも、政府が辺野古埋め立て申請をだしたことで、米国が嘉手納以南の米軍基地を返還する、その交渉に入るよう態度を転換させた、という報道もあります。しかし元々、米軍再編の中で、嘉手納以南の返還という話があり、辺野古移設が動きそうだから、その計画通りにすすめる方向になっただけで、決して政府の手柄、という話ではありません。むしろ、辺野古移設とセット、辺野古移設ありきの話だ、ということです。

メディアは明らかに、自分たちが望む方向に、都合よく記事を見せかけるような演出を加えている。しかしどれも、本質を知ると大した話でなかったり、逆に不利益となりそうな話が内在していたり、とメディアが伝える内容とは違った中身が見えてきます。メディアが考える『ルール作り』が、国民に不利なことを含む場合、それをしっかりと監視していかなければなりません。日本はメディア監視をする機関がなく、国民の目でしか勝手なルールを監視できないのですからね。

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2013年03月28日

日銀と長期債

北朝鮮の、軍事演習を捏造した写真が話題です。これで見てとれるのは演習するための燃料さえ、今の北朝鮮は捻出困難、ということでしょう。サイバー攻撃に傾注する割りに、写真の加工技術が低い、という笑えない話もありますが、ミサイル演習でさえ1日で終わるなど、その窮乏ぶりは目を覆うばかりです。ただ少々厄介なのは、核戦争より生物兵器の方でしょう。シリアの保有していた化学兵器が、ヒズボラに流れているとの情報もあり、世界が怖れるのは核による相討ちより、使った相手を特定するのが難しい、生物兵器の方なのかもしれません。

キプロスの銀行が営業を再開しました。取引には制限もあり、混乱は伝わりませんが、預金課税の詳細が判明しません。10万ユーロ以上に課税、といっても99999ユーロは保護され、100001ユーロに30%の課税、というわけにはいかず、加重されるはずです。それ次第で最高税率はいくらか、また税として徴収できる総額はいくらか、といったことが決まってきます。
伊国も再選挙の見通しとなり、日本の株式市場は大きな下落となりました。これは、昨日までに配当権利落ち後の再投資による先物売買が終わり、日本株の一段高に対する期待が剥落した面もあります。すでに円安、株高のシナリオは頓挫しており、円高方向にはやたらと敏感な値動きをする、そのリスクヘッジも必要な水準となり、上値を重くする材料となっています。

黒田日銀体制が動きだし、俄かに注目されるのが長期債です。金利は現在10年債で0.5%台であり、03年の30年債でさえ1%割れした水準をめざす、とまで囁かれています。それを促しているのが、黒田氏の「異次元」の対策であり、中長期ゾーンへ購入枠を拡大するとの思惑、株式の上昇に伴うバランスから債券投資も増やす形で、機関投資家が動いてきましたが、今後は買い遅れた地銀など、利回りが低下しているため、少しでも長めの債券の購入を促すとみられます。
問題は、今の水準が適正なのかどうか、です。デフレなので、金利がゼロでも大丈夫、という意見もありますが、物価が2%になる中、長期債が1%割れの状況では金融機関が損失を抱えます。独国では、それでも債券投資が活発なのですが、それはユーロ圏という広い経済圏の中で、各国で経済に強弱があるためとの見方もでき、日本がその水準に耐えられるかは微妙なところです。

日銀は2%に達するまで、と金融緩和に時間軸効果をもたせる方向です。しかし米国とて、長期債への再投資はツイストオペ、と流動性は供給しない方向であり、これまでの黒田氏の発言から、長期債を3千億円規模で購入するとみられ、発行枠からすると1割の規模とされます。その水準で、流動性を供給し続けると、それでも長期債に再投資する層が出てくる恐れもあります。
日銀の『異次元』は、今のところ不明です。独国のことわざで「知っていることのすべてを語るな、聞いたことのすべてを信じるな、できることのすべてをするな」というものがあります。この三節目、日銀が今「やれることは何でも…」と前のめりになる中、ほどよい水準を模索することを考慮しておかないと、異次元を目の当たりにしたとき、国民の失望の方が強くなる怖れは、依然として強く残ってしまうのでしょうね。

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2013年03月27日

北朝鮮の動き

昨日、ベトナム(越国)漁船に対し、中国海軍が発砲したと越国側が発表、中国は信号弾だとして反発するといったことがありました。今、中国は南シナ海の領有権問題で、フィリピン(比国)から仲裁裁判所に提訴されたことをきっかけに、敏感になっている事情があります。ASEANでは行動規範を策定したい意向ですが、中国側はこれを拒否。よって領海侵犯における警告、という説明で、今回の発砲についてもうやむや、捏造として強く反発しています。
実際、行動規範は領土の確定、といった具体策に踏みこむ内容ではなく、あくまで南シナ海における各国の対応について取り決めるものです。それでも、中国にとって漁民を配し、海軍を派遣して居座る、といった高圧的な態度を改めねばならず、行動規範が足かせになりかねない。それでも今、ASEANとの協議に応じる姿勢を示し、提訴の動きを抑制しようとするのは、それだけ中国側にとって、自国の領有という主張に自信のない表れ、とも云えるのでしょう。そして海軍の発砲問題も、日本の海保へのレーダー照射でも同様、海軍が勝手に行った可能性があり、中国共産党が虚偽の公表をしている疑いは濃い。中国の焦りは深刻、との見方ができます。

北朝鮮の動きが活発です。国内では1号戦闘勤務態勢をとっていると宣言、月末には党中央委員会総会を招集し「重大な決定」とまで公表し、瀬戸際外交を極限まで高める方向です。ただ公表しているぐらいなので、直接行動に結びつくかは微妙ですが、先に休戦協定を破棄したことといい、何らかの決定を行わないと、逆にカラ元気と国内でみられ、求心力を失くします。北朝鮮という国なので、何が決定されるかは微妙ですが、恐らく米韓のみならず、世界にむけて、何らかの発信をするとみられます。それは、春を過ぎれば国内の食糧事情が深刻化する事態が避けられず、世界的に何らか行動を促したい、といった事情が想定されるためです。
すでに、国内にむけても瀬戸際でないと、崩壊が避けられない。食糧事情が急速に改善する見込みはなく、各国の支援に頼らざるを得ない。恐らく金正恩体制が崩壊しても、軍事政権に移行するなら、各国の支援はすぐ受けられないため、この点では金正恩氏と軍部の利害は一致している。国内の崩壊を防ぐには、一時的に戦闘状態になっても、その後で支援をとりつけられるよう取り計らう。それこそ延坪島砲撃のような、派手で被害が少ない行動をとりかねません。

どうも今回、韓国の動きの鈍い点が気がかりです。対話を求める、としていますが、軍通信線も遮断された上、対話は相手が応じるものであり、そこにリーダーシップはありません。それでいて、境界線の緊張が高まっており、手榴弾を誤って投げるなど、軍規すら犯しかねないほど兵士に負担がかかっている。これで砲撃などあれば、軍がどう行動するかは予断を許しません。
そして中国にとって、北朝鮮が暴走することで、対外的に不利になることを怖れる動きもまた、西沙諸島でのトラブルに、中国が敏感であることに含まれるのでしょう。中国が領土問題で軍を動かすことに、北朝鮮が戦争をはじめれば批判も強まる。それこそ尖閣諸島への民間船の派遣とて、抑制されかねないとして、中国としても何とか北朝鮮を抑えたい。ただ、先に記したように、北朝鮮が中国をふりきって暴走しているのは、それだけ国内がシビアなのでしょう。

日本の動きも鈍く、それは先のミサイル発射のとき、米海軍が日本海や東シナ海へ展開する艦艇が少なく、それは日本の対北戦略においても重大な問題であるはずなのに、です。北朝鮮が日本を攻撃してもメリットが少ない。だから今は安全、と高をくくっているならお粗末とさえ云えるのでしょう。やたら緊張を高め、暴走を助長するのは問題ですが、こんなときに朝鮮総連本部のビルを競売にかけ、宗教法人に売却といった、実は融和的な対応をとることも、違和感があります。さらに安倍氏が訪朝により、さらなる支持率アップを狙うと伝わるなど、どこを向いているかも分かりません。瀬戸際内政になった北朝鮮に、交渉の能力は著しく乏しいのですから、まず今は国際的なトラブルに巻き込まれないよう慎重な対応が望ましいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2013年03月26日

選挙無効の司法判断について

敵対的TOBに発展している西武HDと、米投資会社サーベラス。西武HD側を擁護する意見に、公益性や公共性を指摘するものもあります。しかし米国では、公益性や公共性などは公的機関が担うべきであり、企業はあくまで収益性の拡大と価値向上を目的とする、という考えです。そしてTPPに参加すれば、日本の意見など簡単に覆され、TOBが成立することは言うまでもありません。
経団連など7団体が連名で、緊急提言をだしています。中身は集団訴訟制度の導入に反対する、というもので、米倉会長など「景気に冷や水」とまで述べます。しかし企業が広く消費者に損害を与えておいて、集団訴訟ではなく個別で、というのは論に合いません。これもTPPに参加すれば、米国では当然の制度であり、日本は受け入れざるを得ません。TPPの不利益が徐々に見え始め、企業側に焦りもあるようですが、官僚と謀って都合よい部分だけを導入したい、と企業が考えてもそれは無理です。米基準に耐えられない企業は淘汰の憂き目に遭うのですから、提言などで政府を動かすより、TPPに反対するか、参加しても問題ないよう企業が備えないなら、経営者として失格です。

広島高裁岡山支部で、一票の格差訴訟で「違憲で無効」との判断が示されました。しかも0増5減では不足、と選挙制度改革まで踏み込んできました。先の大審院判例で、すでに違憲との判断は出ているので高裁の違憲判断は当然ですが、政治家は「踏み込みすぎ」など、三権分立の原則を忘れたかのような反応が目立ちます。司法には違憲審査という権限があり、今回の不平等に関する判断など、司法判断が重視されるのです。政治家の増長がこんなところに顔をだします。
立法府の動きが遅いなら、今後は最高裁が区割りを決める、といった形でもよいのでしょう。その際、人口比率に応じて県ごと、若しくは道州制における区割りごとに議席を比例配分する。選管もそれに応じて選挙区を、選挙ごとに見直す。人口が減っているところは選挙区が統廃合され、拡大していく一方で、増えるところは選挙区が縮小される。こうなると、今のように後援会員の獲得に躍起、といった選挙活動は効果が低くなります。選挙区が大幅に変わってしまう可能性があり、従来型の選挙運動ではなく、よりネットの活用といった無党派の獲得が重視されます。

大胆な改革としては、人口50万人に対して議員1人、と決めてしまう。それで小選挙区は200議席超となり、残りは比例で100。これで一気に150議席減です。数は一例ですが、人口比率で議席が決まる形となれば、議員も数を増やしたければ少子化を何とかするしかない。地元に無駄な公共工事を引っ張ってくるより、市民が定住してくれるような産業を、誘致しようと努めるでしょう。それは県や市単位でも、住民サービスの向上を促し、住民票獲得に努めるようになります。
今は企業が工場をつくっても、すぐに閉鎖、移転などが起こり易い環境となっています。真に住民を増やすためには、どんな施策が必要か? 今一度、議員が考えるべきなのでしょう。それが、明日が我が身の危うさ、と差し迫れば必ず人は行動を起こします。選挙区への利益誘導に陥る懸念はありますが、むしろその選挙区自体が、次の選挙で変更してしまうとなれば、尚更市民の獲得を本気で考察するでしょう。自浄作用とは、そういう形で発揮されねばならず、今のように0増5減で留まっているようでは、真の意味で選挙制度改革などムリなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法

2013年03月25日

安倍ノミクスは格差拡大型

キプロスへの支援問題が、あっさりと合意しました。いつもユーロ圏財務相会合において、相手国の国会で合意がない、内容が不足などの異論が出るのですが、今回それもありませんでした。10万ユーロを超える預金者に40%程度の課税、不良銀行の整理と海外支店のスピンオフ。この内容で求めていた58億ユーロの資金を、キプロスが確保したとは到底思えませんが、どうもキプロスにはタックスヘイブンに打撃を与え、ユーロ圏は溜飲を下げて終わりのようです。

安倍ノミクスを批判すると、実生活でもうけが悪いのですが、お花見にかけてやたらと安倍ノミクス効果、なる言葉が出てきますので、今一度批判しておきます。安倍ノミクスは必ずスタグフを引き起こしますが、もう一つ重大な問題は、格差の拡大を引き起こします。つまり資産効果をうけられる人と、そうでない人によって恩恵が異なる。しかも輸入物価が拡大しても、所得の上昇が追いつかないため、益々低所得者との間に大きな乖離が生じる傾向があります。
これは小泉構造改革時代と同じ、むしろ当時より拡大すると想定されます。当時も富裕層による消費で、経済成長するシナリオが公然と語られました。ただ当時は中間層が消えつつある中、経過的な段階でしたが、今は賃金、社会保障にすでに差がついており、生活の困窮が深刻化する恐れがあります。さらに解雇の簡素化、派遣の拡大などの竹中路線が強化される可能性が強く、景気の山谷によって安定した職ではなく、時流の産業に就労する人が増えれば、就職難民が固定化してしまうこともあります。お花見の場で、安倍ノミクスの効果などを聞いても、余裕のある層へ訊ねるばかりで、日本全体を反映しているとは思えない。都心でインタビューするなら尚更です。

家計の純資産が4.4%増、との報道もありますが、金利が下がって不動産価格が上がる予想があり、住宅投資を増やせばローンが拡大します。逆に、ローンを組める層は投資としての住宅を志向し、さらに資産効果を得られる。しかし住宅を購入できない層は、益々賃料が上がり、生活が苦しくなる。今後は勝ち組と、そうでない層の二極化がより強く鮮明にでると予想されます。
日銀短観も好結果、との予想がでていますが、それでもマイナスの予想です。最近、経済指標もやたらと安倍ノミクス効果、と喧伝されますが、数字は大したことがありません。それでもメディアがそう報じるのは、官庁からのレクを鵜呑みにして、数字を分析することもなく右から左にしているだけです。まさに消費税増税までは何でもやる、五輪招致にも注力し、ムードを高めたい。WBCで日本が準決勝で敗退したのを一番悔しがったのが財務省、との話もあるほどです。

安倍ノミクスに投資する、ベットすることを『abet』と呼ぶ向きもあります。アベット、意味は『唆す』です。安倍ノミクスは景気の気を変える、というのですから、まさに唆された人が参加するレース、なのです。ただし、日銀の黒田総裁が、未だに税制による効果以外に消費者物価を2%にする、と言明しないことでも分かるように、虚言が多いのも安倍ノミクスの特徴です。つまりもし消費税を含めると、会見でも示した2年後には物価が5%になってしまう。本当にそんなことになれば、生活が破綻する人も続出するでしょう。安倍ノミクスの何が正しくて、何が間違っているかをきちんと別けて考えないと、国民は『唆される』ばかりとなるのでしょうね。

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2013年03月24日

雑感。韓国仏像盗難事件について

対馬の観音寺にあった仏像が盗まれ、韓国が返さない問題で、祈祷師集団が対馬を訪れたり、昌原市議会議員が訪れて「対馬は韓国領土」との運動をする計画があるなど、韓国らしい対応が目立ちます。証拠がなくとも、国際的なルールに抵触しても、自分たちが述べることが正しい、としてそれが相手に通じないと、他人の迷惑も顧みず人の庭にやってきては喚き立てる。米国でもロビイストという形で、入れ替わり立ち代わり、自分たちの正当性を主張する。これはもう韓国が、民族性として抱える一側面と捉えるしかなく、日本はそんな隣人問題を抱えます。
朝鮮民族は、世界的にみても民族として成立した歴史は浅く、そうした経緯もあるのでしょう。檀君神話など、他国の歴史書にも登場せず、遺物すら発見されていないものを正史として認めないなら、少なくとも朝鮮民族が、その民族的なまとまりを築いたのは13世紀です。元に侵攻され、元の文化が栄える中で反動的に、朝鮮民族としてのまとまりが生まれ、歴史書が編まれた。民族とは、他の民族とは異なるよう起源、来歴などを記して初めて民族性を確立するものであり、朝鮮民族がその頃までそれをしなかったことが、一つのトラウマになったと考えます。

つまり正当性を声高に訴えるしか、自分たちの存在を周囲に認めてもらえなかった。しかもそこに、他国の歴史書を引用している、としながらその記述自体が虚構だった場合、尚更うそをついたのは自分たちではない、と主張するしかなくなる。竹島の問題や、仏像盗難事件にみられる韓国の対応は、必ずといっていいほど、この法則に従います。個々人ではそれが奇妙で、おかしいと気づいていても、全体になると民族として築き上げた性質が強くでるのでしょう。
しかも韓国では性接待疑惑、スポーツ界の賭け試合問題など、自らの文化にキズがつく事実が次々と明らかになり、尚更内向きになってしまう反感を、外に向けるしかない。自己批判はしにくく、他者への攻撃に振り向けることが起こり易いタイミング、と云えます。韓国窃盗団は、日本の仏像や古美術を狙っているとされ、恐らく今後もこうした国外に持ち出される事例が増えるのでしょう。その場合、韓国にもちこまれたら返ってこない恐れが強くなります。

韓国経済もウォン高で苦しい。格差社会の拡大などもあって、益々内向きの不満を対外的にむけるでしょう。しかもウォン高の原因が安倍ノミクス、ということにしているため、日本を標的にした攻撃が正当化されやすい。さらに、政権支持率が発足当初から50%を切るなど、弱体化した政治が劇場型に移行し、敵を攻撃することで支持を得たい、と考える水準にもあります。
しかし韓国にとっても、北朝鮮が暴発する懸念を抱えた中、あまり日本を攻撃もできない。そのジレンマが、民間団体や地方議員団レベルでの、高圧的な態度、姿勢というものに顕在化されるとみています。日本は、朝鮮民族が民族として目覚めてから統治する形となったため、根深い反日意識となり、不条理な行動を目の当たりにすることが多くなります。それを許容するのではなく、毅然として正論で受けてたたない限り、改まることはないのかもしれませんね。

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2013年03月23日

キプロス問題について

大学による調査で、11年6月から1年4ヶ月で17兆Bqの放射性セシウムを含む汚染水が、福島の海に流出している可能性がでています。東電は地下水が流入、とは認めますが、流出は認めておらず、継続して調査している様子もありません。原発の最下層が、地下水位より上にあれば、当然のように流出の方が多くなります。海の汚染について、もっと抜本的な調査と、それに伴う対策が必要なのでしょう。東電の無責任体質に任せていては、いつまでも解決しない問題です。

欧州の小さな島国、キプロスの問題が尾をひいています。25日が期限とされる中、キプロス政府は的外れなことばかりしています。まず基金の創設、政府すら破綻している中、何を担保として資金を集めるのか? これを成立させるには、ユーロ圏かECBによる保証が必要となりますが、その保証をとるための材料に基金の設立、では本末転倒です。10万ユーロ以下の預金者には課税せず、という対応では、先に議会に提出された内容と同じですが、それでは規模が小さく、ユーロ圏と合意できるか微妙です。さらに年金基金を国有化し、財源の穴埋めにつかう案もでていますが、これは国民反発も大きく、将来不安を引き起こすので難しいでしょう。
ここからは、多少効果がありそうな話ですが、まずキプロスの銀行が海外支店をスピンオフし、規模を縮小する。またバッドバンクを設立して、破綻する金融機関を整理、一部の健全行に集中させて残す、といった形を模索しています。ユーロ圏としても、自国内のキプロス銀の支点が閉鎖、といった事態がなくなりますが、単純に預金のみが切り分けられるわけではなく、スピンオフする際の不良債権の持分、などが問題となる恐れがあります。さらにバッドバンクとして不良債権の受け皿をつくっても、そこに公的資金を注入しなければならず、政府が当てにならないため、やはりユーロ圏やECBに頼る形となります。支援をうける条件なのに、支援が前提の方法論で、小手先の対策に終始している印象は否めません。

ロシアとの調整が不調に終わり、日本は円高、株式市場は大きく下落しました。欧米は支援がまとまる、との楽観で小幅反発、しかし今のままだと、キプロスへの支援に合意できる見込みはありません。ドイツも選挙を控え、さらに与党が苦戦と伝わる中ですから、尚更です。通貨切り下げの切り札が使えないキプロスにとって、債務の圧縮が急務となるのですが、今は経済規模を縮小する話ばかりで、債務の扱いは支援頼みです。ドイツもこれでは合意できません。
今もっともありそうなシナリオは、期限の先延ばし、です。ユーロ圏は何度も、危機に陥った国との調整で、期限を延ばす措置を行ってきました。その間、各国も国内の合意をとりつけ、当事国もユーロ圏の要請に近づけるよう、国内の説得を行う。恐らく今回も、同様のパターンをたどるでしょう。その先に、薄氷の合意を得られるか、それはむしろ、国民の反発と政治決断との狭間で、どういった折り合いがつくか? それに関わってくるのでしょう。

未だに解決していない、国際的な問題としてtoo big to failがあります。大きすぎて潰せない、キプロス銀行の問題は、まさに国の規模を優に超えるだけの資産を、金融機関がもっていたこと。それによって、国ではどうすることもできない状況に追いやられたのです。そして量的緩和により、超ジャブジャブになった先進各国でさえ、同様の問題を抱えているといえるのでしょう。日本でも安倍ノミクスにより、実体経済を超える規模の金融肥大化が懸念されます。資産価値の拡大に浮かれていると、南欧の問題の波及も懸念されるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2013年03月22日

神奈川県の企業税は違法

政府が辺野古埋め立てに関する申請を、沖縄県にだしました。日米首脳会談でも約束していますし、沖縄に政府、自民の関係者が入って名護漁協に補助金をだすと、約束をとりつけて提出する方向、と伝わっていました。安倍氏は「最低でも県外」発言で、沖縄の心が傷つけられたと云いますが、大きく違います。自民と米軍が組んでやろうとしてきたことが、傷つけられ、沖縄の民意が盛り上がったのです。嘉手納以南を返還、という話にしても、それは米軍再編の話で先に決まっていたこと、日本が率先して辺野古移設に動き出しても、米軍が動くとは到底思えません。米軍にとっても沖縄は利権であり、簡単に手放すことはないからです。

最高裁で、神奈川県が01〜08年まで、過去の赤字により減免された法人税を特例により徴収した件において、違法との認識を示しました。つまり今後、地方が法定外税として条例を制定しても、税法上の問題をクリアしない限り、返還する事例が多発することを意味します。しかし、それでも条例を制定し、法定外税をとる動きは止まらないでしょう。それだけ財政が疲弊している地方が多く、今が凌げればいい、と考える地方議会も多いためにそうなってしまいます。
しかし今回の大審院判例が重要なのは、これが民主党政権だったら、判決が違っていた可能性もあるため、です。今は安倍ノミクス、企業に恩恵を与える竹中路線であり、司法もそれを慮った面があります。二審で県側が勝訴した判決では、「欠損金の繰越控除をする前の所得に課税」することを理由とし、県の企業税を認めています。これは法解釈上、非常に難しいのですが、法定外税を認める以上、そこに幅がなければ適用できません。あくまで税法が優先、ということなら法定外税をかける対象は、ごく限られることになるためです。地方分権に前向きだった民主党と、企業優遇をすすめる自民党と、こんなところにも差が出ているのかもしれません。

TPPもほぼ同様の考えで適用可能です。TPPのメリットを訴える際、輸出企業が恩恵をうけるとしますが、円安メリットを享受する、貿易規模が大きい企業は3大都市圏に集中します。農業は地方に多い、もし政府試算でいう3兆円近い貿易収支の改善があって、3兆円の農業へのダメージがあれば、それは富がより都市部に集中することを意味します。そして辺野古移設のように、補助金づけにして合意をとりつけても、地元の人々まで恩恵を受けることは少ない。それは失う収入以上に補助金が多かったら、そんな事業はもう辞めた方がいいとさえ云えるからです。
米FT紙が、安倍ノミクスは高齢者から若者へ富を移転、として賞賛する意味不明の記事をだしました。インフレになると、貯蓄する高齢者より、支出が多い若者へのメリットが大きい、という意味ですが、しかし価値が目減りしようと、貯蓄のある側が優位であることに変わりありません。年金改革に後ろ向きで、企業が解雇しやすくするよう、制度改正しようとする政府は、決して若者に優しいわけではありません。地方への態度と同様、安倍政権はこれまで自民が築き上げてきた、古い日本の体質、制度以上のことは何もやっておらず、若者対策に手を打ったということもありません。米国にとって都合いいことをすると、米紙までもち上げてくれます。

ただ、自民が築き上げてきたものに、閉塞感が高まっていたことも事実です。安倍政権が、今目指している先に何があるか? それをしっかり判断しておかないと、地方の疲弊と若者の雇用不足が深刻になってからでは遅い、ということになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2013年03月21日

黒田総裁就任と米FOMC

黒田日銀総裁が、就任会見を行いました。4月の政策決定会合の前、臨時会合を開くという期待もあるようですが、それはないでしょう。白から黒に代わって、いきなりすべてリセットできるものではありません。問題は手法であり、これから根回しして、会合で多数派とならない限り、黒田氏の手法を通すことはできません。それには2週間ぐらいかかるでしょう。
問題は手法です。年限を1〜3年の縛りをやめるのか? リスク投資に舵を切るのか? 無制限の国債購入を前倒しではじめるのか? しかしいずれもインフレ期待を上げるような効果がない、が現在のコンセンサスです。先進国の流動性は、他国に流れてインフレ期待は上げない。物価2%目標に「何でもやる」と述べたからには、金融封鎖でもして、金融機関が海外へ資金をもち出さないよう規制し、基準を緩めて貸し出しを増やす、といった手法が必要ですが、さて?

米FOMCが開かれ、現行の政策を継続する旨、声明がでています。米国も微妙なのは「緩やかな成長ペースにもどった」としますが、雇用も一進一退であり、ロールオーバーでは回復が緩慢なまま、ということです。では雇用がもどったら、出口戦略に舵を切れるか? となるとまた別問題でしょう。緩和継続は示唆しましたが、それ以上の策はない。今は海外でバブルが起き、それに引っ張られて米国も回復して欲しい、即ち2001〜06年の日本の状態を望んでいます。
公示地価が発表され、下落傾向に歯止めがかかる数字が並びました。米系、中国系などの投資が活発になり、REITなどは下値から大きく改善しています。今から日銀がリスク投資としてREITを買う、というならそれはバブルを助長するだけです。しかし米国が望むことなので、リフレ派はそれを是としてしまうかもしれない。投資で値が釣りあがり、いずれ下がるかは、バブルの継続期間にもよるでしょうが、今の環境がそう長く続くとは到底思えない点があります。

キプロスの問題が欧州で持ち上がっています。金融資産がGDPの7倍を超え、国では不良債権を抱えた金融機関を支えきれない。一方で、OMTなどの国債買入れプログラムでも、国が支えられないのですから、国債購入をしても大して意味がありません。そこで、タックスヘイブンとしてロシアの個人資産120億$、法人資産190億$、ともされるキプロスの口座に税金をかけ、資産を目減りさせてから救済する、それが今の欧州の意図です。つまりキプロスから、金融資産が逃げ出して、崩壊寸前になったところで支援する。国の経済規模が小さいため、できることであり、欧州要人は「特別」を強調し、その方針を堅持する見込みで、キプロス議会は否決しました。
もしキプロスが、これを受け入れれば議会がもちません。国民がユーロ離脱を選択するかもしれない。恐らくユーロ圏は、それでも条件を変更しないでしょう。これはチキンレースで、金融機関から資金が逃げ出し、適正水準になるのが先か、キプロスがユーロ圏を離脱するのが先か、という問題です。さらに、通貨切り下げ、という非常措置ができない中で、他のユーロ圏諸国がこれを前例とし、ユーロ圏離脱を国民が選択したとき、ユーロ圏は崩壊をはじめるのでしょう。

今、米系投資家層は、そのシナリオがあったとしてもまだ先、としてリスク投資を改める気はありません。流動性相場を最大限享受しよう、として日米欧の株高を演じます。しかしこれは期限のある投資期間だ、ということには留意しておく必要があります。米国が態度転換をするとき、それは4月半ばを一つのターゲットとして、業績相場に移るタイミングが関わると考えています。欧州PMIが予想に届いていないように、実体経済を流動性相場がどこまで押し上げるか、その見極めをそこですることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2013年03月20日

雑感。韓国で大規模サイバーテロ

韓国で、大規模なシステム障害により金融機関、3つの放送局を含むシステムがダウン、未だに混乱が続いています。米韓軍事演習に反発して、短距離ミサイルの演習をするなど、北朝鮮の関与が疑えますが、これもまだ分かりません。しかし重要インフラとして金融機関を、しかも20日という決済日にぶつけてきた点は特筆ですが、もし都市機能を麻痺させるなら道路、上下水道、消防・救急などのシステムが無傷、という点が気がかりです。つまり大掛かりで、高度な技術をつかっている割りに、今回はまるで愉快犯のような影響にとどまっているのです。
しかし、これは日本とて対岸の火事ではすみません。もし犯人が北朝鮮なら、日本も同様に狙ってくる可能性があり、しかも日本はセキュリティが甘い部分が多々あります。日本のシステムを麻痺させたければ、造作もないでしょう。米国でも、政府要人が米企業への被害に対して、直接中国には言及しないものの、苦言を呈するといった動きがあり、また米セキュリティー企業が『人民解放軍の関与』について、公表しています。中国のみならず、北朝鮮や韓国内からのハッキングが、一部に含まれているとすれば、これは多元的に敵が増える形となってきます。

しかし米国とて、イラン核施設へのサイバー攻撃に関与した、と噂されており、イスラエルと共に中東では攻撃する側にあります。イスラエルはシリアの軍事システムをダウンさせ、空爆を行った実績もあり、重要施設であろうとセキュリティが甘ければ、誰でも侵入が可能です。結局、この問題は『行うは易し、防ぐは難し』である点で、誰でも加害者にも、被害者にもなり得てしまう。そして日本は、この部分で大きく遅れているのが、現状だといえます。
2ちゃんねる創設者の西村氏を、東京地検が不起訴としました。元々、起訴理由がよく分からず、一罰百戒の思惑で逮捕された面もあった。ただ、不可解なのは最近、2ちゃんねるが積極的に覚せい剤関連の書き込みを削除している、ことが不起訴の理由とする点です。もしその場合、同様の書き込みに対処しなかった場合、再び逮捕することへの敷居が高くなっている。つまり一度、不起訴処分をした事件を、もう一度逮捕して捜査、ということは困難であり、今回の不起訴理由は明らかに、見せしめだったことを意味します。ただそうしたことで、一罰百戒どころか、ネット犯罪への取り締まりに対して、警察の不備を露呈する形となってしまいました。

日本では、警察がネット犯罪の取り締まりを行いますが、先の成りすまし事件でも具体的に有罪とできる証拠、それは示されていません。広域犯罪に弱い、さらに国際犯罪にも弱い、ネットへの知識も低い、といった面が指摘されており、警察とは別の捜査機関を設ける必要性も感じます。逆に云えば、そうでない限り、今回の韓国のような事態が明日、日本で起こっても対応も、対策もできない。この脆弱さに、海外のハッカーが気づけば狙い撃ちされそうなほどです。
米国がサイバーテロへの警戒を強める中、日本では相変わらず出遅れています。一時期、企業がターゲットになりましたし、官庁もDDoS攻撃など、頻繁にうけてHPが改竄されたりしています。本格的に、ネット知識を駆使した捜査機関を、国際的に設立するような動きを示してこそ、安倍氏の好きな『世界的なルール作り』が可能といえるのでしょう。むしろその部分に、何の手も当てない点で、日本の施策は官僚が考えているのがミエミエで、これでは出遅れても当たり前、といえてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 社会

2013年03月19日

白川日銀総裁の退任会見

WBCで日本は準決勝で惜しくも敗れました。ただWBCの問題をみると、TPPにおける日本の立場にも、暗澹たるものを感じます。NPBは不平等ともされる利益配分について、MLBと交渉する意思すらなく、今回は選手会側が不参加も辞さず、という態度を示してやっと交渉に至りました。また高額なチケットなど、マネジメントにも疑問符がつく内容で、運営の力不足を感じます。
今、日本の交渉をリードする年齢層は、押し並べて敗戦主義が染み付いており、若手が尻を叩かないと腰もあげません。TPPとて、すでに交渉できる期間はほとんどなく、また交渉する気概もない人間たちが主導します。安倍政権の交渉の責任者は甘利氏ですが、答弁でも甘利氏は「事務局だ」と言い切ってしまう辺り、責任逃れともとれるもので、無責任さがにじみ出ます。

日銀の白川総裁の退任会見が行われました。5年の任期で、評価できる点はリーマンショック後の対応で、動揺を起こさなかったこと。評価できない点は、常にFRBやECBの政策を後追いする形であり、主導的でなかったことです。その結果、資金回避地として円が買われ、工場を海外に移転させる流れが定着するなど、グローバル化への対応としても後手を踏みました。また市場との対話を否定、粛々と政治に突かれないよう、無難な態度に終始した点もマイナスです。
さらに、安倍政権が誕生してからは日銀プロパーを守るよう奔走、ノンポリのように政策を転換させたことも、風見鶏的だったといえるでしょう。真に確たる政策の芯があれば、後追いや政策転換などせず、堂々と主義、主張を貫けばいい。そうしなかった点で、白川氏の能力の限界を露呈します。よくも悪くも組織型の人間として、5年間をソツなくこなした印象です。

オセロのように日銀総裁が白から黒に代わります。白川氏は黒田氏に関して「危うさ」と指摘しました。市場を重視するあまり、円キャリー取引による海外の不動産バブルを放置し、緩和解除が遅れたことをリフレ派は「間違い」と指摘します。しかし規制に舵を切らず、さらにバブルを助長すれば、市場には優しくとも弾けたときのショックはより大きくなります。「期待に働きかける」とは、まさに崖を高くし、実体経済との乖離を大きくしてしまう手法です。
某米系証券が、日経平均の15000円予想をだしましたが、ここは以前から頭打ち感がでてくると、実体と乖離した高い水準を示し、誤誘導するクセがみられます。その水準になると、来期でかなりの増益を達成できなければPER20倍を超えます。そんな状態がいつまでも維持できるはずもなく、市場もいずれは適性水準にもどろうとする。水準が高くなることで急落が準備されます。

オセロのように、いきなりすべての石がひっくり返って、白から黒に代わるわけではありません。しかし黒田氏の手法では、ブラックスワンが起こるとより大きく反応する、脆弱な経済へと変貌を遂げるでしょう。それはここ数日の、市場の急変動でも明らかで、期待は実体にそぐわないとき、失望と、それ以上に強い警戒と不信を生み出しやすい点には、注意も必要となってきます。
WBCは重盗の失敗が、敗北の要因として何度も報じられています。経済の面では、重ねて盗む、そんな企てをもつ市場関係者がより増えてくるのが、実体経済と乖離した今のような環境です。日経新聞など、最近では枕詞のように「安倍ノミクスの効果で…」と、記事につけてきますが、それも騙しの手口です。何が正しいかを見定めておかないと、いきなりすべての石がひっくり返る、そんな展開も多くなる。今後の日本は、そんな展開も増えてくることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年03月18日

南海トラフ地震の想定

ユーロ圏財務相会合でまとめられた、キプロス支援策によって、市場は混乱しています。銀行預金者に一回限り、10万ユーロ以上に9.9%、それ以下に6.7%の課徴金をかけるとするもの。以前から、キプロスはタックスヘイブンとして敵視され、さらにロシアとの繋がりが深いことからも、ユーロ圏としては強硬な姿勢を示した、という形です。100億ユーロの支援の材料として、GDP以上の預金を抱えるキプロスの預金を吐き出させる。結果的に、それが市場に懐疑を生みました。
しかし楽観しすぎた市場には、いい薬にはなりましたが、またほとぼりが冷めれば上昇にもどります。ただ、これは引き金になりかねない点で、ふたたび楽観にもどっても、上値追いは慎重になるはずです。ユーロ崩壊へのプレリュードは英国が奏でます。欧州連合でありながら、ユーロ圏ではない。その曖昧な立場が、逆に国民の中に距離をおくことを容認してしまう空気を醸成します。スタグフ懸念を生じている英国の動きが、これに連関してくると危険なのでしょう。

TPPに関連し、ウルグアイラウンドの農業補助金、6兆円が話題です。すでに今回も、農業関連団体とは補助金や支援金名目の、金額調整が行われているとされますが、そうした手法では個々の農家に恩恵は少なく、農業は衰退していくだけです。しかし、安倍首相が対策について明確に答弁できないのは、経年的に補助金をつける、といったような対策だと米国から競争阻害だとして却下される恐れもあり、TPPの詳細が分からない限り、具体策を策定できないのです。
福島第一原発で、停電があった模様です。廃水が溜まり続けている、との報道もまた海に放出するための、世論誘導ではないかとの見方もあり、福島第一原発の事故が終息にはほど遠い状況であることを伝えます。米国でも、深刻な話があります。ワシントン州ハンフォード核施設で、汚染水が洩れています。ここは兵器用の核施設であり、古くからあるタンクからの漏洩が、年間1000ℓ程度あるとされ、汚染の程度や放射線量の変化についてはまだ示されていません。

福島第一原発のタンクも、放射性物質の閉じ込め装置は老朽化が早く、これまでもパイプからの漏洩など、頻繁に起きてはいますが、いずれタンクそのものからも漏洩がおきるでしょう。敷地内にタンクを作り続けても、いずれタンクから抜きとり、濃縮をすすめてどこかに処分するしかありません。タンクのまま、というのは米核施設と同様、漏洩の危険があるためです。
南海トラフでM9クラスの地震がおきたとき、経済的な被害で220兆円、との試算が内閣府から出されました。しかし首をかしげるのは、警戒すべき東南海の連動地震ではなく、南海トラフのみ、ということです。これはこれで意味があるとは思いますが、東南海連動地震になると、天文学的数字になるため、まだ検証が先になるなら、これで驚いているわけにはいかないのでしょう。そして浜岡原発などが、事故を起こしたときの試算が、これに加わっているとは到底思えず、東電の賠償費用もどれぐらい膨らむか? 想像もできない中ですから、さらに上がる可能性もあります。

今回の、南海トラフ地震の試算についても、国土強靭化の理由づけとして用いられることでしょう。そもそも、東南海の想定をすると東京にも関わり、五輪招致に影響するとでも考えたのか? それとも、東京より地方を優先し、減災による公共工事で選挙でも有利に取り計らうつもりか? そんな疑念もつきまといます。地震で揺れる前に、まず自分たちの利権のため、政策の正当性を訴えるために国民を脅し、揺さぶるといった行為が、政治でも増えていることが今の最大の懸念として、強く意識されるような今回の発表だとも云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2013年03月17日

雑感。TPPと自民党

TPP交渉に関して、自民党大会前に決めるため、首相のリーダーシップによって…という報道が多くありましたが、経緯は東京新聞に詳しいです。実は、先月22日に参加表明するつもりが、米国から事前協議をするよう待ったがかかる。これは米自動車業界と近い、民主党政権ならではですが、日本は今月22日から米議会が休暇に入ってしまう前に、通告を済ますためにも、ここが一つのターゲットだった。逆に、米国は焦る必要がなく、終始議論をリードしたとのこと。
共同声明をだせたことが成果、と安倍氏は述べますが、共同声明にはしっかり自動車と保険が組み入れられ、当面の自動車の関税維持まで約束させられた。そこに日本のリーダーシップはありません。しかも、議会への通告を遅らせ、さらなる条件を提示されたら? 安倍政権では断る術もないでしょう。さらに通告から90日、とされる交渉参加の期日にしても、議会が参加を承認しなければ終わりです。それまでに、さらなる条件を上乗せされた場合、日本でこれだけ大々的に報じてしまったために、妥協せざるを得なくなる。不利な上に、さらに不利な条件を付加される可能性が、極めて高くなります。最大の問題は、米議会もねじれており、財政の崖第三段を控えて、それどころではないことです。日本のTPP交渉参加さえ、政争の具になりかねません。

自民党内も、決して一枚岩ではありません。前回の選挙で、TPP反対を訴えた議員も多くいます。政権支持率70%でも、今は信用に足りません。野田政権の支持率は、最後まで30%近くを維持したのに、衆院選の結果は大惨敗でした。得票率でみても、20%程度は何らかの要因で上乗せされたとみられ、安倍政権も、野田政権の政策をほぼ踏襲するところからみて、この上乗せ要因が働いているとみられます。株価上昇による嵩上げと足しても、選挙結果がどう転ぶか分かりません。
自民党幹事長会議でも、同様の声が多くあがります。1人区は農林水産業が主であり、「農業を守る」と述べても具体性がない、との意見が専らです。支持母体離れを起こせば、それは野田政権と同じ轍をふむことになり、支持率に関係なく大敗する。今後の選挙にはその恐れが常につきまとうのでしょう。なので、TPP反対と未だに表明する自民議員も多くいます。

ゲーテの詩の一節に『自由と平等の二つを約束するものは、立法者であれ、革命家であれ、空想家かいかさま師だ』とするものがあります。TPPとは、自由と平等を約束するものであり、まさにこの言葉と符合します。なぜそうなるかは簡単で、両者を並存させると、必ず齟齬が生じるためです。TPPはルールを統一し、貿易における障壁までなくす制度である一方、経済規模や司法判断の面など、明らかに平等とはいいにくい面を有します。逆に云えば、不自由で不平等な制度です。
安倍氏が、ただのロマンティストなのか、それともペテン師なのか? 残念ながら、TPPのよい面ばかりを強調する限り、後者とみなされます。農業が3兆円分衰退する、という話をネガティブだとする意見もありますが、それ以上に、例えば日本の総合商社である卸売業など、解体されるのではないか? と考えます。米国では、そうした中間マージンをとってモノをやりとりするだけの業者は少ない。貿易産業としてならまだしも、国内で卸売業などが介入すると、外国企業が参入する際に卸売業を通さなければならず、参入障壁となってきます。

本当に、負の部分を検証し尽せたとは思えないうちは、ペテン師の方が色濃くなってしまう点で、今の支持率に騙されているのが誰なのか? それは野田政権のときと同じ、その本当の意味がわかってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年03月16日

経済の話。米市場と日本市場

NYダウが11日ぶりに下落、逆に云えば最高値更新からも、上げ続けたのは凄いことです。その一因でもある2月小売売上高をみると、首をかしげる部分も多くあります。前月比1.1%増と、給与減税の打ち切りや税還付の遅れがあった割りに、消費支出は高い伸びです。ただ中身が建設・庭用資材は1.1%増なのに、家具・家財道具は1.6%減、見栄えよく家はつくっても、誰もすむ人がいないかのようです。飲食業・スポーツ関連は0.7%減、0.9%減と、ともに大幅減。個人が自由につかえ、余暇にあたる部分の支出は、逆に減っていることが窺えます。
その原因は、昨日発表された消費者物価指数(CPI)でわかります。前月比0.7%上昇、前年同月比2%の上昇です。大半はガソリンの9.1%上昇分ですが、コア指数でも前月比0.2%上昇、前年同月比で2%上昇となり、これが小売売上高を押し上げたのです。これまでと同じ生活を送ろうと思えば、支出は増える。一方で、趣味や外食につかうお金は減っている。これが米国の現状です。それでも株高、不動産高で補える部分はあるでしょうが、株も不動産も売らなければお金にはなりませんから、市場にある先高期待が萎めば、そこで終わることになるのでしょう。

それでも、米市場が底堅かったのは、GDPに寄与する部分が好調、という側面があります。1月の米企業在庫も1%増と大きく、小売売上高と合わせて1%近く、GDPを押し上げるとみられます。ただ在庫は景気の先食いであり、順調に消費が伸びていかないと、負の資産になりかねません。3月のNY製造業業況指数は9.24と、前月の10.00を下回り、在庫も従業員数も鈍化した。さらに3月M大消費者信頼感指数が、急激に低下したことなど、ガソリン高が相当に米経済に重しとなっている現状もうかがえ、斑模様どころか、米経済にも不安が漂います。
一方で、CPIはまだ2%とFRBが目標とする水準内であり、安心感もあるのでしょう。しかし今の好循環が、そう長く続くとは思えない点で、米経済もいずれ試練を迎えるのでしょう。FOMCを前に、、調整売りが膨らんだのも今のCPI、リスク投資の拡大をFOMCが許容できるのか? という懸念があるためです。金融資産の減少は、米国の致命傷になりかねない。ただバブルにより水準がもち上がると、その後の調整による失速が大きくなる。そのジレンマがあります。

一方で、日本の株式市場はリーマンショック後の高値を抜けても、騰勢は衰えません。外国人投資家の買いが旺盛だから、ですが、円安にして買い場を漁り、持ち分を高める動きのようです。日銀総裁人事が、衆参で可決されたことなど、事前にわかっていたことでも上げるための材料とする。FTSEのリバランスに伴う買い需要はかなり高水準でしたが、それを見越して買い上げた。実勢として、来期の増収増益を見込んでもPERが15倍を超えるなど、今の水準には大きな疑問があります。それでも、金融資産としての株価は、米経済にとって必要です。
市場が逆回転を起こすことを、今誰よりも怖れているのが米国であり、一方でリスク投資の拡大にも、懸念を抱いているのが米国です。日本も安倍ノミクスから投資対象として浮上し、外国人投資家が『相場上昇』を演出している。日本の個人投資家は、どうやら塩漬けになっていた株を売る、絶好の機会ととらえていることは好感できますが、今の水準で買っても、米国人投資家の動向次第で、割高水準でつかまされる恐れもあり、再循環といくかはまた別問題でしょう。

一時期、WTIが投資ファンドの破綻、などの材料が流れて1バレル100$付近から、90$まで急落しましたが、ふたたび盛り返してきました。『相場上昇』を模索し続けられなくなる水準がいつか、それを冷静に見極めることが、今の相場の先をよむポイントになってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年03月15日

TPP交渉への参加表明

対馬市の観音寺から、観世音菩薩坐像が盗まれで、韓国の浮石寺が元は自分たちのもので盗まれたから返さない、としている問題で、韓国僧侶の話が興味深いです。それは韓国が主張する、常のものだからです。関係悪化を懸念、という言い分も、日本が自分たちの主張を認めてくれないから、という枕詞がつきます。自分たちが配慮することはない。一方で、仏の教えに従って…と述べていますが、そんな教えは寡聞にして聞いたことがありません。韓国で造られた、と云っても売ったものかもしれないし、盗まれたとする根拠すら薄弱で、相手が妥協してくれることのみを期待する。韓国の民族性がよく現れている事件だといえるのでしょう。

TPP交渉参加を、安倍氏が表明しました。会見中に安倍氏が主張したのは2点、『ルール作りに間に合わない』と『世界第3位の経済大国だからリードできると確信』です。後段は安倍氏の希望的観測であり、小国であっても議論をリードすることは可能ですし、むしろ日本がリードして国際会議をまとめた経験は、ほとんどありません。それは京都議定書のように、日本が率先して努力しろを示したときぐらいで、逆に日本はCO2削減で、大きな枷が嵌められました。
前段はもっと悲劇的で、ルールはすでにできています。後は細目、統一したルールの導入や関税撤廃までの、タイムスケジュールやをどうするか? という協議がすすめられているのみです。さらに、すでにカナダ、メキシコの交渉参加条件でも分かるように、日本が入って改めてルール交渉をするなら、大混乱に陥ることが必定なのですから、何をかいわんやです。

昨日、広島のカキ養殖会社で中国人の外国人研修・技能実習生が、8人を殺傷する事件を起こしました。これで3K仕事は若者がやらない、などの発言をする人もいますが、それは異なります。1月数万円の仕事で将来出世する見込みもなく、厳しい肉体労働をするよりも、生活保護をうける方が待遇がよいので、やらないのです。逆にいえば、つらい仕事でもそれに見合う賃金が支払えるなら、立派に産業として成り立ちます。今はそうなっていないのが問題です。
この現状で、日本の農業を守るや、世界で高くても売れる、などと述べる安倍氏はよほど現状を知らないのでしょう。研修制度がなくなれば、農林水産業は自立していけない。これは待遇を改善しても同様です。そうした産業構造を、補助金で懐柔するというなら、農林水産業の衰退は止まらなくなります。農林水産業だけではありませんが、研修生は14万人以上いるとされ、そのほとんどが社会保障もなく、安価な労働力と化している。もしTPPでここが問題視されれば、それこそ補助金を払っても、産業としては成り立たなくなる可能性も高くなります。

相手の産業を潰せば、それだけ自国産業に有利となるのが、TPPです。ルール作りどころか、相手国のルールさえ変更が可能であり、しかも裁判所は欧米の基準しか知らない。日本固有の事情など、考慮もされません。国際的なルールとは、常にそうやって決まるものです。
甘利氏の試算で、輸出は2.6兆円増、消費が3兆円増、と首をかしげる数字が並びました。輸出で企業が稼いだ以上に、日本の消費が拡大するとは? 安い製品が入ってきて消費が拡大するなら、輸出以上に輸入が増えることにもなり、日本から富は持ち出されることになるので、消費が増えるはずもありません。いつもの通り政府試算は甘くて、都合よく数字を並べただけです。
安倍氏は「過度な恐れをもって何もしないこと」が恐れ、とします。しかしTPPとは別の道を検討したかどうか、そこに『過度な恐れをもって何もしなかった』のではないか? その過度な恐れ、とは即ち米国へ反抗することに対するものです。米国の顔色を窺いながらTPPという、規定路線に踏みだすことは、決して勇気ではありません。何もないところに道をつくるのが、真の勇気なのです。TPPというフォーマットに頼った時点で、安倍氏の臆病ぶりを知らしめることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年03月14日

コンクラーベと日本の選挙

3月第1週の、外国人投資家による日本株買いが、1兆113億円と初の1兆円超えとなりました。ただこれもドル高、円安を映した側面もあり、買い易くなったバブル懸念のある株を今の内に買っておこう、という動きでしょう。いずれ円高反転すれば、為替差益だけでも収益となります。今の米国で、長期運用を推奨する動きは少なく、あくまで短期で利益をとりに来たとみるなら、この逆回転がおきるまでの時間軸でしか、好感することはできないのでしょう。

ローマ教皇が選出されました。キリスト教は腐敗と、それを浄化しようとする動きをくり返し、現存してきました。今回も腐敗が取りざたされ、それを浄化する流れとして、欧州出身者以外の、中南米出身の枢機卿がえらばれる歴史的なものです。気になるのが、教皇に関する予言が、今回の教皇までで終焉していることや、マヤカレンダーによる終末予言も、本来は2015年9月とされること、ピラミット予言も2015年7月を終わりと刻むことなど、何かこのスケジュールに合わせるかのように、世界が慌しくすすんでいるように見えてしまいます。
1つ羨ましいのは、教皇選出のためのコンクラーベ、その手法が確立していることです。日本では選挙制度すら、話し合いの最中です。自民案では比例を30減、優先枠を60とすることで中小政党に配慮、とします。小選挙区の区割り見直しについては、まだ聞こえてきませんが、1票の格差の問題をどう解消するか? それに民主は70削減を示しており、紆余曲折ありそうです。

一部で、民主の前原氏がグループを率いて分党、という噂がでています。しかしナゼ前原Gのみ、分党になるかの明確な理由は示されません。分党は一度認めてしまうと、なし崩しになりますし、これまで党を割った議員との、差も曖昧になります。むしろ一部のメディアが分党のススメ、として促しているとみられ、問題はそれに応じるかどうか、でもあるのでしょう。
細野幹事長が、衆院選の野田氏推しは失敗、と認めました。しかし本質的には、公募による候補者選定が問題です。公募は、癒着やこれまでの利権構造とは異なる、清新な人材集めには適しますが、能力や党への忠誠度が低い。分裂懸念に陥るのも、すぐ党を移る流れになるのも、すべては政治家を育てるのではなく、政治家にしてから育てようとの矛盾にあるのです。

自民の大勝で世襲もあり、といった空気もありますが、世襲は大いに問題です。ただ政治家をみて育ったら、政治家としての資質をなる前から備える、といった面では優位です。まさに小泉進氏などその典型でしょう。一方で、政治塾などが活発ですが、講演を聞いたり、レポートを提出したりと、教育機関としての意味すらない内容ばかりで、真の政治家が育っていないことは、松下政経塾出身者の大半が、その能を充たしていないことでも証明されています。
ローマ教皇の選出のように、神父から始まって枢機卿となり、その中から選出される形であれば、教皇としての資質に問題はないのかもしれません。つまり日本の政党政治が破綻しかかっているのは、政治家選出がただなりたい、という自己欲求の発露によって、そうなっている部分が大きいのでしょう。党員として、下積み時代からはじめることは、米国でも行われています。日本ではそうした政治、行政の勉強を経るところから、改革が必要だといえます。

自民の石原宏氏に、公選法違反の疑いがでています。日本の選挙制度は雁字搦めで、奇妙な規制も多いですが、議員になろうという人間が、そういう点に気を配れなければ、その時点で議員になる資質は頗る低い、と指摘できてしまいます。維新やみんななども、公募が多いのですが、これではやはり不安を抱えてしまうのでしょう。日本の政治の質が低いと嘆く前に、候補者になる段階での選抜方法から変えていかないと、政治が変わらないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2013年03月13日

春闘の動きについて

扱いが小さくて逆に驚きますが、陸山会事件における東京高裁による判決がでました。資金移動が公判で説明できなかった、として裏献金を認定。それを隠す目的だったとして有罪判決をだしました。驚くのは、資金が渡った証拠もないのに、それを認定してしまうことです。あたかも、被告側に立証責任があり、資金移動について証明せよ、そうでなければ罰する、との立ち位置にみえ、法曹界のゆがみがこんなところにも見え隠れします。本来、水谷建設側の資金移動が明確であり、裏献金の事実があれば有罪でも問題ありませんが、それはありません。
被告は、小沢氏側の資金について明らかにすればよく、それは検察の捜査でも4億円以上の公金が手元にあったことは立証済みです。それでも、裏献金と認定する根拠とは一体何か? 相変わらず推認ということなら、司法はどんな人間でも有罪にできてしまうことを、この裁判は証明するのでしょう。そして、散々大騒ぎしたメディアが、この判決を報じないことも、この事件における立ち位置がわかります。論評すると、矛盾が大きすぎるため無視するしかない。この裁判の経緯を追うと、司法とメディアの問題に、常に突き当たってしまいます。

今年の春闘は、ボーナスなどの一時金の増加を満額回答する、自動車関連などが目立ちます。しかし企業はまだ円安の恩恵をうけておらず、これは内部留保の吐き出しであり、応じられるのは余裕のある一部大企業のみです。しかし今回、円安で苦境に陥るとみこまれる企業にも賃上げ、ボーナスアップがみられるなど、異様な光景もみられます。あくまで噂ですが、消費税増税が達成した暁には、法人税減税を約束しているともされ、企業も協力的とされます。
これには国内大手銀が、愈々法人税を納める段階にはいったことも、影響しているとされます。財務省としては、法人税減税による税収減を、不良債権の処理によって減免されていた銀行からの税収で賄える。法人税減税にむけた基盤が整ったことで、企業に減税を約束し、国内の需要喚起に協力してくれ、と要請をだした。一時金なのもそのためで、要するに1、2年ムードをよくしておけば、消費税増税、法人税減税のレールが敷ける、ということになります。

しかし米国でも、消費に鈍化傾向がみられます。ガソリンの高騰、増税により家計が支出を控えています。賃金の伸びは低く、住宅市場が回復という話も、シェールガス革命により新たな土地、地域が活況となっただけで、既存の都市にまで恩恵はまだ訪れていない。デトロイト市が破綻を警戒されるなど、地方政府の財政難は継続しており、それほど手放しで米経済の回復を楽観できる状況ではないのです。そしてこれは、日本にも当てはまる状況といえます。
日本では長期金利の低下も話題です。年金基金が、保有株式の上昇により、運用の割合を調整する関係から債券も購入、長期金利が0.5%代を窺うところにきています。しかしすべて良い方向にいく、という経済は、逆に考えれば、逆回転をはじめると負の連鎖がおきる経済でもあります。株価が下がれば、国債も売られて金利が上昇、企業の資金調達にも支障がでる、ということです。安倍ノミクスのリスクとは、まさにそこにあります。リスクコントロールが利きにくい、それは金融という、実体とは違う部分に頼るからで、仮想の部分は変動も激しいのです。

現在の金融相場、そして先進国が今後どう展開するかは、課題でもあるのでしょう。金融をじゃぶじゃぶにしても、インフレも起こらないばかりか、金利はさらに低下する。結果的に、世界が抱えるリスクも、またそこにあります。リフレ派が主張するような事態が、本当に成立するのかについて、きちんと検証しておくことが、今後を考える上でも大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 司法

2013年03月12日

ネット選挙解禁へ

海底からのメタンハイドレートの採掘に成功しました。市場はこれを好感し、海洋開発関連が活況でしたが、コスト的には割高で、安全保障上のエネルギー確保の一つ、としてしか意味がありません。せいぜい100年と云われる量では、安定供給には程遠く、実用性はまだまだです。昨日もふれた、マグネシウム電池による発電なら、安価で送電ロスもない、スマートグリッドが可能となります。こうしたものは、既存システムの残存期間に確保しておくべきもの、というに過ぎません。

TPPに関して、西川氏と尾辻氏が激しくやり合う、という場面がメディアではくり返し流されています。しかしこれは小芝居であり、自民としては苦渋の選択、という演出を施したのです。一方で、予算委では前原氏が「民主政権時代、車と保険に妥協を迫られ、その条件を呑まなければ議会にかけない」と云われていたことを、暴露しました。当然、自民になっても同様か、それ以上の条件をもって、日本の参加を認めることになるのでしょう。つまり、以前も指摘しましたが、参加を表明して交渉に参加するのではなく、始まる前から『交渉すら聖域』ということです
一方で、先に米韓FTAを結んだ韓国は、法案の改正などが63、それ以上に様々な規制、制限は米企業の参入に弊害として、クレームがつけられているようです。これが規制緩和ならよいのですが、米企業の参入障壁の撤廃なら、日本にとっては好材料ではありません。TPPが成長戦略などではなく、海外企業とて日本で活動しやすくなる。そして米企業にとって、それは有利に働くのですから、むしろ日本の産業は縮小する可能性すらある、と指摘できてしまうのでしょう。

選挙が大きく変わりそうです。自公、維新が公選法改正案を提出、次の参院選から、ネット選挙が解禁される見込みです。ネット上で投票依頼、支援を呼びかけられるとしますが、メールは送信相手の同意が必要、とするものが何をさすのか? 例えば、今でも縁故、ご近所付き合いで後援会に入る形がありますが、そのときメール送信に同意、という項目も付加されるのでしょう。そして名前、住所のみならずメールアドレスを記載、そこに送る。郵送代は減り、日本郵政には痛手、選挙資金は減る方向なので、候補者には有利とみられます。ただ、逆に有害メールなのか、判別がつきにくくなることから、詐欺的な行為やウィルスのばらまきなどに注意も必要です。
一方で、有料バナー広告を政党に限って認める方向です。これは全く必要ありません。現在でも行われていますが、政党の資金力により差がでますし、やるなら選管が選挙広報として、一括して投票をよびかける広告を打てばいい。そして選管のHPに誘導し、そこに各政党にジャンプするバナーを貼り付ければ済むことです。それこそ、大政党に有利な制度となってしまうことでしょう。

もう一つ、なりすましには実刑、公民権停止まで含めた重い処分、とされますが、禁固刑では抑止力がありません。厳罰化しても困難かもしれませんが、国政を決める大事な選挙なのですから、なりすましには無期刑も含めた処分でもよいのでしょう。不特定多数に、大量にばら撒けるだけに、それこそ影響はこれまでの非にならないぐらい、甚大です。有害メールすら取り締まれないのに、なりすましを特定するのは困難です。むしろ犯罪が増える懸念に応えなければなりません。
選挙は利権とも大きく関わるだけに、鉄砲玉を立てる可能性、ネガティブキャンペーン請負業者などが存在する可能性、様々に考えられます。それによって、有能な議員が落選させられ、利権に優しい議員たちばかりが当選するようになってはいけません。その期待に、この改正案では物足りないのですが、それも政治家や公務員が、ネットに詳しくない現状では、不具合が出ないと対応できない、ということになってしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年03月11日

震災から2年

今日で、震災から2年が経ちました。安倍首相は記者会見を行いましたが、追悼と復興にむけて努力する、といった程度の内容です。復興が斑模様、という話もありますが、実際には個人や企業で頑張れる人が、頑張って回復させている状況で、行政の出遅れが目立ちます。減災を優先したため、防潮堤を急いでいるという話も、建設業と官僚の馴れ合いの体質が透けて見えてきます。

安倍氏は会見の中で、福島沖に風力発電の建設、という話に言及しました。しかし防潮堤と重ねて考えれば、百年に一度くるか、来ないか、ということは風力発電もその条件を考慮するのか? つまり津波に負けない強度が必要だとすると、構造はかなり制限されます。インフラなので強度は必要ない、とするのも奇妙な話です。風力発電には低周波騒音の問題がありますが、海に生きる魚介類にもストレスになるのか。どうも検討が道半ばで計画だけが、先走っているように感じます。
発電に関しては、夢の技術が出てきました。難燃性マグネシウムと塩水による発電です。これは家庭で賄うには十分な発電量と、リサイクル可能で、しかも地球に豊富な素材ということで注目されます。しかも、各家庭にプロパンガスのように、媒体を運ぶ形から送電網も必要なくなる。それこそ災害のときも、送電線の切断による停電、というリスクが大幅に減少するということなしの、新たな発電方式です。しかし残念ながら、日本での普及は相当遅れそうな模様です。

何しろ、送電網が負の資産となり、電力会社には痛手ですし、輸送などを含めて別会社が担うとすれば、電力会社は破綻へと一直線です。一方で、電力会社が担うとしても、従来より大幅なコストダウンが可能となるため、事業体としてみれば規模は縮小、退職者への年金などのコストにより、やはり破綻します。さらに原油、ガスなどと結んできた契約も見直され、原発も不用となり、利益構造から日本の社会構造まで大きく転換できるため、それに抵抗する勢力が必ず現れます。
iPS細胞に、やっと補助研究費の増額が決まったように、日本はこうした新規分野への、特に産業界の変革を起こすようなものには、極端な忌避反応を示すことが多々あります。マグネシウム発電も、海外で有効性が示され、日本人が発見したのに出遅れた、との記事が出てこないと一般への普及はすすまないでしょう。日本の、特に行政機関は、殊更に臆病になってしまったということです。

ウォルト・ディズニーの言葉に「人間は困っている問題を解決するために、もう一組の新しい問題が必要である」とあります。すべてがそうではありませんが、日本は震災復興に関しても、困っていない人たちが、利権を目当てにして決めていっている面があり、もう一組の新しい問題とは、社会的な欲求が高まったとき、というのが問題です。行政が需要を汲みとって、しかも日本にとって有用であるから、として進める事業は、残念ながらほとんどないのが現状です。
震災を忘れたように、原発再稼動にまい進する、今の政府にも疑問です。被災地に防潮堤を急ぐのと、原発に津波の想定をせず稼動を急ぐのと、どちらが重要か? そこにある矛盾には、中々答えをだしません。震災で大きく変わる、はずでしたが、日本は相変わらずの官の肥大が続きます。「もう一組の新しい問題」が出る前に、ここに変革が必要なのですが、まだ難しいようで、残念ですね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 行政

2013年03月10日

安倍政権と既得権益

今日の空にはびっくりしました。北関東の畑などの砂が運ばれた…とされますが、ということはスギ花粉も、一緒に運んだことになります。関東地方は史上最速で夏日となりましたが、春を通り越して夏になったのなら、スギ花粉も飛散が終わってくれればよいのですけれどね。

麻生財務相が、11年8月に導入された『円高対応緊急ファシリティ』を「発展的に改編する」と述べました。これは、円高を利用する目的で、企業の海外展開を促進するためのものですが、名称を『海外展開支援融資ファシリティ』とし、対象範囲を拡大するとのこと。これは「財務省が一度にぎった新しい財布を手放さない」といった意味であり、名称を変えて実体はそのまま、というのは省庁がよく使う手です。つまり利権であり、円高は是正されても利権は抱えたままなのです。
安倍ノミクスの三本の柱、成長戦略が期待できるか? 上記をみても懐疑的と云わざるを得ません。よく規制緩和、という言葉が用いられますが、最近では小さな政府、という言葉は聞かれません。即ち、規制緩和によって政府機能は、より拡大する方向になることが分かったためです。規制緩和により、参入組が増えて競争が生まれ、価格の低下とサービスの向上にむすびつけばよいですが、今はインフレ志向であり、価格低下は望み薄です。サービス向上も未知数で、実際は過剰サービスが懸念されます。それでいて、政府機能は拡大するので、行政はコスト高、いいことがありません。

しかも、前政権からの持ち越しであった電波の競争入札を、安倍政権では完全に葬り去りました。電波は総務省の利権であり、特定業者に審査した上でわたす、これにより総務省の天下り団体が潤う形です。財務省にしろ、総務省にしろ、安倍政権は本気で規制改革する気はなく、むしろ行政の監視、管理が必要として更なる利権拡大に陥る恐れがある。それでは、この国は相変わらず官の肥大が続くだけです。原発もそうですが、安倍政権は既得権益者に甘い、と云わざるを得ません。
個人的に、安倍政権に期待できないのは、まさにこの点です。安倍氏は、補正予算で公共工事を増やすため、セメント工場を国で作ることも検討するようです。終わったら売ってしまえばいい、というのですが、何も分かっていません。足りないのは工場ではなく、材料です。川砂を集めるのは大変ですし、海砂をつかって塩分を含めば、コンクリは弱くなります。砂を輸入するしかありませんが、円安でさらにコスト高となりますので、そうした方面への対応でなければなりません。

コンクリ工場も、経産省の天下り先? との懸念もあります。急激な円安によって、損失を被る中小企業への支援を検討、との話もあります。それとて『何トカ基金』なるものを作れば、やはり経産省の利権と化すでしょう。さらに、円安によって値上げの春が訪れようとする中で、復興増税もかかる国民には何の支援もありません。ナゼなら国民への直接支援は、利権でないからです。
既得権益者に、これだけ甘い蜜を舐めさせる安倍政権が、今からその態度を改めるのは相当困難でしょう。裏切りに厳しいのは官僚、メディアのスクラムで歴代内閣が潰されてきた歴史、そのものです。しかし逆に、そうした層に媚びて、阿っているなら、改革が利権にむすびつく改悪にしかならないのです。安倍ノミクスで株価は好調ですが、春を通り越していきなり夏を迎えてしまった感があり、今日の天候のように視界不良です。啓蟄で湧き出てきたのが、利権に集る虫たちであるのなら、安倍ノミクスが照らす光には、たくさんの虫が集まってくることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年03月09日

世界同時株高について

昨日、節目であった95円を突破、好調だった米雇用統計をうけ、一時96円台後半をつけてきました。その2月雇用統計は非農業部門で前月比23.6万人増、失業率は7.7%で、前月より0.2%低下しました。内訳で特徴的なのは建設部門の4.8万人増で、これはハリケーン・サンディからの復旧需要と、住宅建設の増加が寄与しています。また小売が2.5万人増、これには説明がつきません。製造業の1.4万人増も、独国、中国などの鉱工業生産指数が鈍化する中で、おや? という数字です。

米調査会社によると、3月4〜8日の週に株式ファンドへ71.4億$の資金流入があった、とのこと。これが世界同時株高となって現れています。一方で、新興国から資金は逃避しています。即ちこれまでリーマンショック以降、先進国の低成長、新興国の高成長、という構図により資金を新興国に流していましたが、それを先進国にふり向ける流れが、今のダウ最高値、日本でもリーマンショック後の高値、欧州も高値をうかがうところまで来ている、その主因と考えられます。
これが極端な需給相場で、バブルであることは論を待ちません。日本などPERでは20倍を超えており、明らかに期待先行で業績を反映した相場ではない。円安で業績が好調…などと述べる人もいますが、想定為替レートはすでに上げており、業績面で寄与する部分は大きくない。むしろ生産コストの上昇や、逆輸入製品の利益率が圧縮され、円安がマイナスに寄与する部分が大きいとみられます。それでも、資金が流入している限り、市場は上がります。メジャーSQは12072円に着地しており、配当権利により嵩上げされた数字とはいえ、それを上回って8日は取引を終えました。今度はそれをいつ下回るか、この上昇相場にいつ終わりがくるか、という点が問題となってきます。

米雇用統計からみると、時間当たりの賃金上昇が0.04ドル、月に直せば5$程度しか手取りが増えてない計算です。物価は2%の上昇なので、米国民の生活は徐々に苦しくなっています。シェールガス革命も、昨年から価格低下が顕著だったため、今年分の家計への寄与率はかなり低い。今年から給与税減税も失効しており、だから投資で稼ごうと資金流入が活発、という裏の側面もあります。
ただ問題は、起こってしまったバブルを中銀がどう捉えるか? です。ジャンク債ファンドへも19億$の資金流入とされ、米FRBのタカ派理事からは、過剰なリスク投資に懸念を表明する意見が出ています。つまり、ここに歯止めをかけるような対策が、近々FRBから発せられるかもしれません。これはバーナンキFRB議長の態度とは異なりますが、FOMCで意見が割れる事態を避けるため、何らかの文言は含めてくるでしょう。その辺りで楽観ムードも、一旦は沈静化するかもしれません。

債券ファンド全体でも、45億$の資金流入です。これが、先進国の金利が低く抑えられる原因ですが、逆に流入が止まったとき、つまり景気後退に伴って、するすると金利が上昇するかもしれません。すでに政策金利ベースでの、誘導効果は低くなっており、需給で金利も決まってしまうのですから、尚更です。今の楽観が、悲観に変わったとき、深刻な事態が訪れることは覚悟しておく必要があります。それまで、一時的なお祭りを楽しむぐらいで付き合うのが、ちょうどいいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年03月08日

北朝鮮への安保理決議

昨日の、外交文書の公開で明らかになった米進駐軍による蛮行の記事は、ほとんどのメディアで報じられませんでした。またTPPに関しても、維新の松野氏が国会でもとり上げましたが、ほとんどのメディアは報じず。しかも松野氏はTPP推進の維新であるため、追及が弱い。こうした条件が突きつけられたとき、政府はどう応じるのか? それを徹底的に確認しなければなりません。政府は責任を放棄しようと、明確な回答を拒報じられない。のが常ですが、言質をとれれば儲けもの、ダメでも議事録に残れば、その事案に政府が何も準備せず臨んだこと、そのものが後に糾弾できるためです。
今回でもはっきりしているのは、未だにメディアが米国に臣従する、その態度です。TPPに関して米告発番組でとりあげた『TPP草案』の内容さえ、報じません。交渉なのでテーブルにつかないと…という理屈でさえ、聖域化された『事前に合意した条文は原則受け入れ』で、交渉自体が不可能であることも、報じることはありません。米国にとって不都合なことは報じない。メディアのそうした態度、不文律によって、国民が親米へと誘導されていることは間違いありません。

北朝鮮に対する安保理決議が、国連で可決されました。今回は中国も賛同したため、国連憲章7条41項、すなわち法的拘束力のある制裁となります。抵抗はしても、中国とて北朝鮮に対して手詰まりであることに変わりなく、粘ったのも北朝鮮にむけて、まだ中国は見捨てていない、とのアピールだった面があります。今回、重要な点はまさに7条41項の適用だったわけですが、これに違反した国は国連から制裁をうける。それは中国とて同様です。つまり、北朝鮮が中国ルートで交易をはかった場合、禁輸品搬送に抵触するなら、中国はそれを止めなければならないことになります。
北朝鮮は、朝鮮戦争の休戦協定を白紙とすることを表明、朝鮮半島ではいつでも戦争ができる状態になりました。つまり開戦を通告せずとも、いきなりミサイルを撃てるのです。恐らく、北朝鮮とて理由もなくそんなことをすれば、中国からも見限られますが、ミサイル発射から核実験までの経緯は、軍部が主導しているとみられ、政治的な抑制は利きにくい状態が続いているとみられます。

個人的には、北朝鮮は何らかの攻撃はしかける、と見ています。ただ全面的な戦争は困難であり、食料も春には枯渇するとみられることから、米韓軍事演習への面当てとして、違う海域でミサイルを韓国側に撃ちこむ、などが想定されます。ただ、もっとも怖いのは核による先制攻撃は、自爆覚悟でやるものなので困難でも、劣化ウランを弾頭とし、市街地にむけて撃たれることです。
劣化ウラン弾は、イラク戦争で米軍も使用しており、後に関係ない国民が多量の被曝をした経緯もあります。逆に云えば、米軍が使用を公にしていないため、北朝鮮にとって甚大な被害を与えつつ、米側が隠蔽してくれる最適な兵器、ということです。しかも北朝鮮にはウラン鉱床があり、核実験をするより手軽に、しかも貫通弾としての威力は倍増なのですから、云うことありません。

よく北朝鮮に対抗するには、米軍が必要との認識もありますが、米軍でも対応は不可能です。核が現実的に配備する段階に入って、攻撃するのはリスクが大きいためです。以前も述べましたが、米軍が圧力をかける中、中国が北朝鮮を守るとの名目で進軍し、そこで中国軍が主導する形で、金正恩体制の崩壊を促すしか手がないのでしょう。北朝鮮が暴発する可能性を秘めつつ、日本はバブルを迎えました。暴発しても、被害が及ばないと考えているなら、早計でしょう。上記では海域としましたが、もしそれが日本に向かったら…。シミュレーションをしておく段階には入ったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | メディア

2013年03月07日

TPPと主権と

労使交渉を2月に終えていたファミマが、甘利経再担当相の名指し要求により、賃上げを決めました。昨日は、新たなロビイスト活動としましたが、これだけ産業界が安倍政権に気をつかうと、安倍政権が交代したり、自民から政権交代した後の政権に委ねられたとき、安倍ノミクスには従って、どうしてオレたちの云うことは聞けない! と露骨に嫌がらせされかねません。時流にのる、ということだったとしても、政治と近づけばそれだけ企業はリスクを負うことも忘れてはいけません。
一部では、今の経営者の動きは自民に対して禊料を払っている、とするものもあります。長年、自民に献金をし、集票マシーンだったものが前々回は裏切って民主に近づいた。しかしまた自民と仲良くしたい、そのために禊料を払って復縁をせまる。そう考えると、安倍氏や甘利氏、麻生氏が強気な理由もわかります。悪い云い方をすれば、ショバ代をせまるヤクザのようなものです。

TPPに関して、驚くべき内容がわかりました。一昨年11月、遅れて交渉に参加したカナダ、メキシコが『交渉打ち切りの権利は先行9ヶ国のみ』『先行9ヶ国で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない』という項目を、追加で受け入れた上で参加していたのです。つまり今から参加しても、ほとんど交渉の余地もないということです。日本では除外品目が1割確保できるか、などが話題ですが、もうそんな段階ではなく、ほぼ言われるがままに受け入れざるを得ないのです。
しかも今から参加表明しても、米国側の条件から日本が参加できるのは6月や9月とされます。年内妥結を目指していることから、多少遅れたとしても、再来年初めには何らかの形となるでしょう。つまり、日本が交渉して…などという話自体が通用せず、聖域なき関税撤廃ではない…どころか、交渉すら聖域だった、という話です。しかも、政府はこの情報を事前につかんでいたはずなのに、明らかにしていなかった。今後、もし交渉参加を表明するなら、もめるかもしれません。

安倍氏はサンフランシスコ講和条約発効日の4月28日を、『主権回復の日』として、政府主催の式典開催を明言しました。しかし、もう一つ忘れてはいけないのが、外交文書で明らかとなった、進駐軍が日本で行った犯罪です。主権が回復するまでの間、日本は敗戦国として屈辱的な扱いを受けていたこと。メディアが統制されたため、それが伝えられなかったこと、です。
安倍氏は「日米は強い信頼、絆を回復した」と述べますが、米国にとって不都合な内容を報じない、伝えない関係では、それは信頼や絆ではなく、従属です。しかも、実は「強い信頼、絆」とはまさに戦後日本の形であり、安倍氏が「回復」と述べるものは、決して未来永劫に亘って日本をしばる、恒久的な規範というわけではありません。主権回復以上に、戦後の自虐史観に対して、どういった形でとりもどすのか? 安倍氏は「強い日本」と述べますが、従米主義をとる中で、トラの威を借りるばかりではその意味にそぐわないでしょう。著作権の戦時加算など、未だに残っている日本がまず行わなければいけないのは、米国に頼らずとも自立していける主導権回復、なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年03月06日

ダウの最高値更新と日本市場

米国でNYダウが14286.37$と、終値で史上最高値を更新しました。誰しも歴史的な瞬間に立ち会いたい、という欲求があり、財政の崖を一段転がり落ちても、ひたすら上を目指してきました。きっかけはISM非製造業景気指数が56と、前月の55.2から上昇して高水準、一方で雇用が57.2と前月の57.5から低下、すなわち雇用が悪化している限り金融緩和が続く、一方で景気がいい、とイイトコドリした形です。そして米投資熱の高まりが、世界同時株高、商品市場の高騰を演じて見せています。

日本の株式市場も上昇しましたが、これは週末のメジャーSQを控え、思惑が働いていることによります。週初は前場に期先を買って上昇させ、後場に期近を処分するロールオーバーが活発で、魔の水曜日と称される今日は後場にも買いを入れ、逆張りを崩してきました。SQは若干売り超とされること、及び12000〜12500の思惑が働きやすく、そこに鞘寄せする動きも影響した形です。
しかし最近の市場は先物、オプション市場が活発な割りに、現物の売買代金はやっと2兆円にのせる程度。実体として相場は尻すぼみであるものの、Fリテなどのような指数寄与度の高い銘柄によって、嵩上げされているのが現状です。恐らくこれは米系の日本向け投資が、ETFなどの指数関連に集中していることも、影響するのでしょう。奇妙な話ですが、緩和によって大量の資金が流れこんでいるにも関わらず、証拠金取引ではなく、レバレッジ取引を活発化させる。行き過ぎた楽観が、かなり市場を押し上げているとみられ、こうした取引では逃げ足も速い点には注意も必要なのでしょう。

日本では賃上げに応じる企業が現れ、来年度は1.3%の所得上昇が見込まれる、とのこと。これは内部留保の吐き出しであり、一部で好感できるものの、配当引き上げ要求など、6月の株主総会はかなり荒れそうです。株価上昇により、配当性向が低下している点も挙げられ、企業ごとの体力次第では来年度の配当アップもありそうです。ただこれが、一部で企業による政府へのロビイスト活動の一環として、用いられているのではないか? との懸念もあります。企業による献金が再開される流れもあり、例えば小売なら軽減税率の導入を阻み、コストアップを防げるなら、と応じた可能性があります。
一方で、1%少々の所得増では電気、ガス料金の高騰で消えてしまう、という意見もあります。消費増税ともなれば14年4月から3%、物価が上がるのですから焼け石に水です。実質的な所得以上に、負担が増えることが確実な状況です。こうしたものを好意的に報じ、マインドを上昇させる意図が顕著ですが、企業が2年後には3%、さらにその先に後2%上乗せしない限り、日本全体の消費余力は低下傾向にあるのですから、今が極端な楽観にふれると、実際の国民生活はその後、須らく苦しくなります。

昨日、コメント欄ではふれましたが、スタグフレーションは確実におきます。それは物価上昇を、賃金上昇が上回ることは、ほぼないためです。逆に、それが起きるのは海外の需要をとりこみ、日本が儲かる場合ですが、それはどこかが損をする話です。バブルが起きて、債務への感応度が低下してしまえば別ですが、日米欧が巨額の債務を抱え、格下げリスクもある中で、そうはなりません。
世界は金融緩和で浮かれますが、雇用がない、有効需要が低下していることに変わりはありません。そして雇用を金融政策の指標とする限り、緩和はつづく。バブルを引き締めるための施策は、打たれないことになる。これが、今のバーナンキブーストです。再来年の任期いっぱいまで、緩和を継続するのか? それともバブル退治に舵を移すタイミングがくるのか? FRBを初め、各国の中央銀行の態度如何によって、今の相場が動かされるといった傾向がつづくことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年03月05日

中国で全人代が開幕

明日から、オスプレイの低空飛行訓練が、オレンジルートつまり四国から紀伊半島で行われます。注意すべきは、通常の飛行モードでも爆音がするでしょうが、ホバリングモードに移ったときは、風圧で民家や作物に被害がでる恐れがあること、です。昼間は高度150m、夜間は300mとされますが、米軍がこうした約束を守った試しはありません。そして被害がでても、米国と直接損害賠償をする道はせまく、日本政府へ対応するよう、要請するしかありません。できればデジカメなどで、事前に家の状態を撮影しておくなどし、被害がでた場合の備えとしておく方がよいのでしょう。
後は、飛行時間を記録しておく。慣れない場所をとぶ場合、往々にして高度、ルートを外れることがあります。沖縄でも、約束をやぶって市街地でもホバリングモードで飛行しているようですし、何かあったときの備えとして、対応しておかないと後のトラブルの元ともなるのでしょう。

中国では全人代が開幕しました。習近平体制の本格スタートであり、その前後で様々な動きがあります。先の中国中銀による、短期資金の吸収策はやはり不動産投資の抑制策、その一貫だということが分かりました。景気が停滞する中、緩和すると不動産価格だけが上昇する。これは非常に緩和の効果が利きにくく、危険な状態です。シンガポールの景況が悪化したように、中国の減速は周辺国へ波及します。今は底打ち、とされますが、もう一段下をみておいた方がよいのでしょう。
国防費を約11兆円としますが、実態は分かりません。しかし全人代の前日公表、という慣例を破りました。これは、先に純軍事部門として強大な権力を有してきた、鉄道省の解体が決定したように、中国共産党と人民解放軍との力関係に、微妙な差が生じつつあると見ています。先の尖閣近海におけるレーダー照射のように、軍部が情報を中央に上げない。不平、不満のたまる軍部が、暴走する懸念を生じたため、弱体化させて共産党側に権力をもどす、ということだと考えます。

鉄道省もそうだったように、中国ではスキャンダルによって、政敵を葬る手法が一般的です。今後も、中国でスキャンダルがでるときは、政治的な思惑があるとみて間違いありませんが、逆に軍部がそれを許すか? 人民解放軍に近い、共産党幹部などに処分が及ぶ前に動くのか? といった辺りがカギになるでしょう。10%近い国防費の増大、とはいえ多すぎる兵士の人件費を、高騰する物価に合わせるのは相当困難を伴い、この程度では軍部も納得しないかもしれない。東、南シナ海で緊張を高めることにより海軍、空軍を増強するのも、人民解放軍を外向きの軍隊に改変する目論見もあります。
一方で、環境対策費に約5兆円を計上しますが、中国ではまともに対策には回らない。儲けにならないことは、中々手が回らないのはどの国も同じですが、中国ではそれが顕著です。石油企業に近い幹部がいるだけで、省エネに後ろ向きな国では、その幹部がスキャンダルで刺されない限り、環境対策は不可能なのでしょう。さらに、環境悪化による医療費の高騰が、環境対策と相殺してしまう怖れもある。この辺りに、中国の矛盾が見え隠れしています。

中国は一人っ子政策を見直すか? といったことが話題です。労働人口は今後、急速に縮小していくとされる中、増える高齢者を支える若者が必要だからです。そして、環境汚染は深刻な障害児を生むともされます。そうなると子どもを捨てる、殺してしまうなどの社会問題も、今後ますます増加していくのでしょう。中国という国家体制が、歪みの中で後、どれぐらい保つのかは、人民解放軍と共産党とのパワーバランスをみておくと、そのタイミングを図れるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2013年03月04日

日銀総裁候補の所信聴取

北海道の暴風雪が、深刻な被害をだしています。低気圧が二つできて合体し、威力を増したとされます。非常に怖いのは急変であり、等圧線もない無風状態から、一気に暴風雪になったということ。どんなに気象予報が発達しても、こうした被害は起こってしまいます。普段から天気予報をみるときも、等圧線の並びなど、注意して見るよう個人でも気をつけなければいけないのでしょうね。

国会で、黒田東彦前ADB総裁が所信を語りました。2%の物価目標は国際標準で、できるだけ早期に達成。日銀として為替介入はしない。財政ファイナンスは考えない。といったところが主だった内容です。市場が期待していた外債購入などの発言はなく、期待からリーマンショック後の最高値を更新後、アジア株の軟調に押される形で上げ幅を縮小しました。しかしこの外債購入は曲者です。
日本の金融機関も一部で外債をもってはいますが、短期金融市場での調整弁の役割はなく、流動性供給ではなく、為替介入の恐れを抱かれかねないものです。さらに、短期では円安誘導でも、利息の収入が膨らめば円高要因に転じます。そして外国の国債市場に変動を与えるため、他国から売らないでくれ、と要請された場合、金融緩和の解除が難しくなる。国債価格が低下すれば、損失を被りますし、円高になっても同様です。百害あって一利ぐらいしかない。それでもナゼか、日本では金融緩和や円安の一計として、頻繁に語られます。こうした内容を伴わないものは、総じて他国からの働きかけで誘導されている面があります。他方、財務省は為替介入の利権を手放したくないため、黒田総裁になれば御の字、ならなければネガティブキャンペーンを打つことになるのでしょう。

安倍ノミクスへの評価が、大きく二分されるのは、バブルへの態度がそうさせます。リフレ派はバブルは抑制できると考え、賛成ですし、バブルの途中でそれに気づくことができない、と考える人は反対です。しかし着々と政府内、日銀にリフレ派の牙城は築かれており、安倍ノミクス推進の流れができています。しかし、安倍政権が早期に倒れた場合、どうなるか? 安倍ノミクスが早期にバブル化し、抑制方向に舵を切らざるを得なくなるか、もしくは安倍政権が別の要因で倒れた場合、リフレ派の布陣だけが残されることになります。前者なら経済、金融政策の大幅な見直しが必要ですが、その布陣で可能か? 後者だと、非常に厄介な問題をはらむのかもしれません。
強いリフレ派の日銀では、施策もなく、金融政策が漂流しかねません。それこそ財政ファイナンス、との受け止めも増えるのでしょう。失敗ではないのに、政策の転換をスムーズに行えるか? そしてそれに変わる、何か策があるのか? その辺りに大きな問題を抱えてしまうのでしょう。

安倍ノミクスに、強いエンジンが続々と積まれます。その重なりが大きなうねりとなり、実際にデフレ脱却、成長ができれば問題ありません。しかし一方向に走った挙句、失敗だったときのツケは、国民が被らなければいけません。所信を聞く前から、賛否などを表明する政治家は論外ですが、経済は昔から水物で、予想が当たった試しがありません。リフレ派だからいい、財務省出身者だからダメ、というのではなく、真に人物をみて判断できない、将来すら見通せない政治家に推戴されて安倍ノミクスへの賛成者ばかりが集まっている。今は非常に危険であり、国民はその等圧線により風向きがどう変わるか、ということに注意していないと災害に巻き込まれかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2013年03月03日

雑感。東京五輪の招致に関して

IOC評価委員が来日し、明日から現地調査が行われます。招致委の調査では、五輪招致の参加への支持が70%を超えたそうですが、はっきり云って疑問な数字ですし、個人的には反対です。その理由は、先に日光で起きた断層型の直下地震、関東地方では東日本大震災の影響で、地盤のひずみが大きく、どこで地震が起こってもおかしくありません。さらに今、箱根で不穏な動きが観測されています。山体膨張を初めており、噴火の前兆現象である可能性があります。このまま沈静化することもありますし、まだ7年も先なので大丈夫、との楽観もあります。ただ、世界各国から人々が集まったとき、地震や噴火がおきたら…。取り返しがつかないことになります。
電力不足の問題は、7年も経てば環境が変わっているので大きくはありませんが、震災は人間にはどうしようもありませんし、これは長期的な問題です。日本はもてなしの心をもって、客を遇するのですから、あえて招かないという判断も必要でしょう。もしくは北海道、山陰地方などを第二候補として挙げておく。都市単位なので難しいですが、震災の影響が少なそうな場所を、7年の間に震災がおきた際の代替地にしておくなども、また必要なのでしょう。特に、東京五輪はコンパクトを謳うので、せまい地域に多くの人が集まり、震災がおきたら…尚更その被害は甚大となるでしょう。

ただ、不安を助長する恐れもあり、この提案にも好悪両面あります。しかし今は招致活動を優先するあまり、震災に対する警戒の声が疎かになっている気がします。3.11がくると、東日本大震災から二年が経過します。それでも、未だに復興は途上です。震災への警戒は常にもつべきでしょう。
さらに、東京の再開発と五輪招致をからめた考えもあります。こちらの問題も大きいはずです。首都直下型の地震がきたとき、道路や橋が耐えられるか? 逆に、五輪までにすべての設備を刷新するなら、莫大な予算と短い工期によって、後に不都合も生じるでしょう。現状でさえ復興により、資材不足が懸念される中ですから、尚更です。資材も、人も足りず、それでもムリするなら復興が後回し、などということにもなりかねません。復興には十年以上が必要なのですから、それを待ってからでも本来であれば、遅くはないはずなのです。

今回、石原氏が都知事の時代に、広告代理店とくんで名乗りを挙げたものですが、こうしたものにも、一度走り出したら止まらない、日本の悪しき体質が見え隠れします。しかし冷静に考えれば、日本がかなりムリした上で、さらに安全性の低い状態でしか、賓客を招くことができない現状がみえてきます。日本が真に、真心をもってお客をもてなすなら、日本は大丈夫と胸を張れるようになってからでも、遅くはないと考えます。
中国では大気汚染が深刻ですが、北京五輪にむけて川砂を大量に採掘し、生態系の変化などの影響が、今後でてくる懸念があります。日本も慌てて五輪招致をするのではなく、大事なことは来てもらった人に楽しんでもらう、そんな五輪をめざすべきでしょう。戦後の復興を誇っていた時代とは異なるのですから、そこに焦りは必要なく、さらに一部の首長のわがままに左右されるのでもなく、達成されるべきだといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2013年03月02日

マイナンバー制度の導入について

PCの遠隔操作事件で、片山容疑者をハイジャック防止法で再逮捕しました。今回、勾留期限の延長が認められにくいこともあり、こうして再逮捕をくり返すしか警察も手がありません。逆に云えば、米国のサーバーに容疑者の勤務先が残されていた件も、簡単に偽装が可能であり、確たる証拠になりえないことは、多くの方が検証しています。
これらはすべてメディアに情報が洩れ、焦って逮捕し、取調べでオトすことに傾注するつもりが、録画、録音の要請によって頓挫したことを示すのでしょう。実際、この事件は有罪を認定するだけの証拠が集めにくい事件です。逮捕に踏み切らざるを得なかった、そこに警察の情報管理能力に問題があり、ムリして拘留期限を延ばして証拠集めをするか、強引に起訴して公判で明らかにする、という態度しか、警察にもとりようがないのでしょう。この事件、まだ警察の迷走は続きそうです。

マイナンバー制度導入にむけた4法案を、今国会中に成立するよう、閣議決定がされました。納税や年金などが、一つの番号で確認でき、利便性が高まるとの良い面ばかりが強調されますが、マイナス面も当然大きいものです。情報漏洩の問題については、行政機関を監督・監視する特定個人情報保護委員会の権限を拡大を検討、とされます。しかし罰則や、その他については後回しです。
一方で、成りすましや悪用の懸念もあります。外国人など、かつて暮らしていた人間の情報を用い、他人が日本に違法滞在する、といった犯罪も起きるでしょう。不正受給などの犯罪が減らせる、と考えているようですが、逆に本人とどう結びつけるか? それによっては犯罪を助長しやすい。本気でやるなら、DNA情報などを登録する以外、本人確認に信憑性をもたせることはできないのでしょう。悪い予想をたてると、昨今の犯罪でみられるように、被害者を脅して暗証番号を聞き出し、銀行から預金を引き出す犯罪と同じように、マイナンバーと暗証番号を聞き出し、犯罪に利用される恐れを防ぐには、利用するすべての官公庁に監視カメラを設置するなど、対策を立てる必要もありそうです。

さらに、昨今の行政の情報処理関連の無知ぶりは、上記のPC遠隔操作事件における、警察の対応にも現れます。また、特許庁による利便性向上のためのシステムの発注に、暴力団が絡んだ企業が関わっていたのでは? という疑惑があり、それを特許庁は主契約の企業に任せている、と放り投げる姿勢をみせています。そうしてシステムにウィルスが紛れ込んでいても、行政は気づきようがない。もし、情報が流出しても、責任をたらい回すだけに終わる可能性が高いといえます。
内閣情報政策監に、法的権限をもたせ、インフラ投資のムダを減らすとしていますが、それ以上に、漏洩した場合における責任、システムの不備についての罰則を明示しておくべきといえるのでしょう。今の行政機構は、すべてにおいて同様に社会で起きていることに疎く、事前にどういった不都合が生じるか、利便性向上に向けて何が必要か、といったことが疎かである点が、多々見受けられます。マイナンバー制度の利便性を訴えるだけの、メディアにおいても同様でしょう。だから逆に、不安が増す、ということを忘れているようでは、その点からもマイナンバー制度のように、個人情報の扱いを一元化し、国に任せて大丈夫か? と国民から懐疑的にみられるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 社会