2013年04月

2013年04月30日

日露首脳会談について

猪瀬都知事が、五輪招致に関して他都市を批判する発言をし、謝罪しました。しかも『真意が伝わってない』と反論し、録音があるとされると一転、謝罪するなど経緯も非常にまずい。これで今度の東京五輪はないのでしょう。猪瀬氏はジャーナリスト気質、エリート意識が高いとされ、敵をみつけて追及するときに手腕を発揮する一方、議会とも犬猿、都庁の中でも味方が少ない、つまり友好的な対人関係は不得手ともされます。まさにそのマイナス部分がでたのでしょう。
トルコは親日国として、とても重視すべきパートナーであるにも関わらず、批判するのは喩え雑談であっても、すべきでないのは当然です。安倍首相がトルコに訪問しますが、これは政府の外交にも影を落とす問題です。たかが一首長の暴言、では済まされないのでしょうね。

安倍氏の訪ロ、北方領土の面積等分の方式を提案されていたことが、判明しました。明らかに最近の露国の外交方針ですし、これは2+2に合意したことでも窺えます。元々、北方四島を露国が重視したのは、オホーツク海から太平洋に出るための、凍らない海としての位置づけです。その後、豊富な海洋資源により、日本への漁業権売買に利用されることとなりましたが、そのため発展が遅れ、それを日本がインフラ整備などに手を貸す形もあり、今に至っています。
2+2は外務、防衛の連絡を密にします。露国にとって、日本という壁をとり払い、自由に太平洋に出て行くためには、枠組み、話し合いの場をもっておくに限ります。もし何らかのトラブルがあっても、露国は2+2の凍結を一方的に宣言することで、日本に圧力がかけられます。つまりこれで、露国は太平洋航路を確保しつつ、一方で日本にカードをもった。日本としては話し合いのルートを閉ざされることは、すでに実効支配されている北方領土の解決をさらに遠ざけ、強くでられません。つまり北方領土も解決せず、平和条約も締結されない中で、露国との関係改善をめざした今回の会談、実はマイナスの影響が大きい。それは経済協力も同じ、です。

露国は発電所をつくり、日本に送電するなどと述べますが、ガスパイプラインと同じで閉められたら終わり、それに送電ロスもあります。日本は友好的な関係を築いてから、平和条約締結というシナリオを描いていますが、民間交流も含め、相手の態度が一変したら終わり、韓国と北朝鮮の開城のように、人質にとられるようなものです。欧州が苦しく、露国経済にも深刻な打撃がある中で、どうして日本から何の提案もないのか? 経済界の重鎮を連れて行く、昨今の外交しきたりに則っていても、今の露国にはまだリスキーな部分が多い。それなのに見かけの友好だけが先行し、実は何もとれないうちから、相手にカードを握られてしまったようなものです。
共同会見で、TBS記者の質問を批判する声も多いですが、記者なら当然すべき質問です。記者が権力に阿り、当たり障りのない質問ばかりしても、事実は何も浮かび上がりません。雰囲気を壊すな、という人はよほど安倍外交を闇雲に成功と囃したてたいか、記者のあるべき姿を、政治と上手に付き合うこと、と勘違いしているか、どちらかでしょう。特に露国記者は圧力、暗殺の恐れもあり、それができないのですから、政治家に事実を突きつけるのに、臆病であってはいけません。

今回、北方領土の話し合いが再開されるのは喜ばしいですが、しかし再開、というだけで日本が提供するものが如何に多いか、は安倍氏が成果を焦っている証拠なのでしょう。インフラ、都市計画、食品、医療など、いわば長期的な分野での協力が多い。つまり日本にとって、それを止められたときの打撃も多いですし、技術を奪われる恐れが相当に強いものとなっています。『双方に受け入れ可能な解決策』が何をさすか? それこそ面積等分なら、日本が手土産をもっていって出された今回の共同声明、そのツケをとり戻すには至らない、ということなのでしょうね。

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2013年04月27日

安倍首相の外遊

安倍首相の乗った公用車が、玉突事故を起こしました。原因は、先頭をいく警護車輌がETCカードを入れ忘れ、高速にのるところで急停車したこと。お粗末すぎるものです。もしこれが重大事故で、首相が亡くなるようなことになれば、日本は大混乱です。警視庁警護課の失態ですが、今後どこまで処分されるか? 警視総監クラスまでいかないなら、内閣官房の米村氏辺りがうまく火消しした、とみて間違いないのでしょう。しかし怪我がなくて何よりですが、これで内閣も、ETCレーンの危険性に気づき、対策を考えられる契機になればよいのですけどね。

そんな安倍氏の「脅しに屈しない」発言を、評価する方も多いですが、米国から中韓との軋轢を避けるよう、苦言されたため、こうした発言は今後鳴りを潜めるでしょう。大事なことは、常に一貫した態度、発言を貫くことです。先の円安水準への言及など、明らかに異常であり、国際会議を境にぴたりと止めましたが、こうしたことをくり返すと首尾一貫しない、とみられます。今はメディアも批判しませんし、安倍氏ならこう云ってくれる、という期待に添う形なので、これを好感する向きもありますが、外交という視点でみればこれはマイナスの方が大きいものです。
つまりもし米国から言われて、態度を改めるぐらいなら初めから言わない方がいい。一方で、米国を説得できる自信があれば云って構いませんが、すでに苦言を呈せられたことから、それもない。安倍政権では、この暴走気味に発言し、それを政権の意志だと認識させて誘導する、といった類の行動が目立ちます。円安然り、屈しない然り。国内に称賛されますが、一方で外交に火種を残す。今は支持率が高く、また日本経済が回復してくれるなら、と諸外国も口を閉ざしますが、これで日本経済の低迷が現れると、そのときはマグマのように不満が噴出するかもしれません。

そんな安倍政権では、安倍氏を含む12人の閣僚が、GW中に外遊します。北朝鮮のミサイル発射や、中国が尖閣へ圧力を強めている、このときに、です。まるで政権復帰祝い、高支持率でゆるんだ箍が、そのままこうした行動に現れているようです。安倍氏はロシアと、北方領土関連の話ができるかどうかがカギですが、先行して訪ロした森元首相の話からすると、今回はないようです。
日銀による大量の資金供給で、日本に資金は溢れますが、資源価格の下落と欧州の低迷で、今のロシアは相当に厳しい。安価な天然ガスの供給先、としてロシアと利害が一致する部分も多いですが、それ以上に今のロシアはリスキーです。サハリン2が開発途中で条件変更となるなど、投資先としての安全性に疑問がある以上、民間からの資金は動けない。政府が数兆円にも上る開発資金を、継続して捻出するのも困難ですし、ロシア強硬派も確約がない限り、話し合いすら応じないでしょう。

安倍氏はロシアの後、トルコや中東などに向かいますが、ここは保険、とみておいた方がよいのでしょう。先に原発輸出の話もでましたが、天然ガス、原油の輸入先として、中東と友好的に交渉するためにも、これで米、露、中東という外交の順番となり、重視していると伝わります。ロシアで領土問題が話し合えず、資源交渉も不調の場合、中東とのパイプが重要、ということです。
しかしシリアでサリンが用いられた可能性もあり、イラン、イスラエルの関係など、今の中東は嵐の前の静けさ、といった状況です。まさか危ないところには行かないでしょうし、行くタイミングが今しかない、という問題もありますが、それこそ今の中東は玉突事故を起こしかねない、どこかで爆発すれば燎原の火のごとく、戦火が広がる可能性があります。中東の春で親米系が減った今、中東には資源があるとともに、火薬庫になりかねない危険を、常にもちます。安倍外交が成功裏に終わるかは、むしろ高支持率を背景にしなければならない、しかし一方で、それを維持するためには外交に火種をかかえる。ここにも火薬庫が存在する、ということになるのでしょうね。

明日、明後日とお休みしたいと思います。

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2013年04月26日

日銀の展望リポートとMRI

米資産運用会社のMRIインターナショナルが、金融商品取引法違反で、強制捜査をうけました。米国の診療報酬を請求できる金融商品(MARS)を扱い、年6〜8.5%を謳って、投資を募っていました。経済誌に広告を打つ、また某テレビ局でも番組内でとり上げるなど、被害の拡大なども含めて、問題の根は深そうです。債権回収業は、利ざやがいいとの話もありますが、逆にいえば高リスクだからそうなります。よって、確定した年利を約束できる、というのは奇妙な話ですし、また為替リスクもMRI社が負っていたことになる。実に怪しい金融商品ということになります。
こうしたものに騙されないために、まず知っておくべきは、大々的な広告をうっているようなところは、すでにバブルの兆しです。おいしいところは機関投資家が得ており、個人に売買する段になると、スケールメリットを享受するか、機関投資家が逃げだす前でしかありません。悪い言葉をつかえば、本当にそんな利回りがいい、安全な投資先が、個人にむけて大々的に売り出すことは、ほぼないのです。一方で、電話勧誘にものってはいけません。そんな営業に傾ける人員があれば、通常は運用に人をかけます。自分できちんと調べ、リスクもすべて承知した上で、さらに余裕のある人以外、こうした金融商品などに手をだすのは、正直お奨めできません。

日銀の展望リポートが発表されました。2015年度に1.9%の物価上昇率、のために作文された内容でした。しかし委員の見通しは0.8〜2.3%と割れており、作文の正当性も疑わしい。まず物価上昇の経路に、1.需給バランス改善による賃金上昇、2.中長期のインフレ予想が2%に収斂、3.輸入物価の上昇、を挙げています。しかし1は海外経済の高成長、政府の公共投資増、改革による潜在需要の掘り起こし、という前提があり、いずれも今はそうした動きがない。海外は変調、公共投資は復興需要とのバッティングで、動き出しが鈍い、規制改革などはまだ出てきていません。
2は、2年後のインフレ予想は、民間ベースで2.5%、消費税を除けば1%の前半といったところ。3は、もし賃金上昇が起こらなければ、悪いインフレにしかならない。1が崩れればすべてのシナリオが崩壊する形です。前段で記したように、すでに前提が疑わしくなっており、しかも海外が高成長を維持し、輸出が高水準に推移するといった期待がない限り、賃金も上がりません。

昨今、GWにおいて『国内旅行でぷち贅沢』などという話もメディアで聞かれますが、実は海外旅行より、パスポートの申請費用や旅行用の準備にかかるお金が減るため、全体の支出は減る方向にあります。日の並びが悪い、今は円安で海外に行き難い、ということ以上に、消費はまだ堅調ではないことを示します。その上で、少しの贅沢を上乗せして欲しい、周りがそうするから、あなたもそうしなさい! という詐欺まがいの誘導、威迫のような気がしてなりません。
しかし電気やガス、車の燃料代などが上昇しており、国民のサイフの紐は益々固くなりそうなのが現状です。そこへきて、AIJ投資顧問に続き、MRIという国民の資産に直結するものが、いつの間にか消失していた。これで、本当に需給バランスが改善するのか? 甚だ疑わしいものがあります。日銀の展望リポートが、MRI社の広告と同じで、高い消費者物価の上昇を見込みながら、その達成が難しいとなったとき、日銀がさらなる緩和をして無理矢理、成績をよくしようとするのか? それとも開き直るのか? それが今後を占うカギとなるのでしょう。

双日総研の吉崎氏が、黒田日銀の緩和策は自民党が2011年6月に発表したX-dayプロジェクトにおいて提示された内容だ、として話題です。つまり国債暴落時に備えた、緊急対策を今、国債が暴落していない局面で実施した、ということだと指摘しています。逆にいえばもう奥の手をうった後、しかもピンチのときにうつべき、ギリギリの策だということを政治も認めているのです。
今は90年までのバブルとは、まったく違うという人がいます。しかし当時は高成長時代であり、今は全く様相が異なる。低成長時代のバブルとは、この程度でしかない可能性は十分高いのです。日銀が、この政策は詐欺でない、まだ打つ手がある、というなら、もう少し理論武装しておかないと、世界を巻きこんだ『投資詐欺』、とのレッテルが貼られる日もそう遠くないのかもしれませんね。

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2013年04月25日

経済の話。政府債務と緩和と期待

東証では日経平均で14000円を狙った取引が活発です。一昨日は独国のIfo業況指数の悪化をうけて、来月2日のECBで利下げされる、との思惑で欧州が全面高、伊国の政治状況が改善するとの思惑もありますが、はっきりと示されたのは、今が『不況時の株高』ということです。
しかしECBは現在、LTRO第一弾の資金を引き上げる動きを続けており、金利を低下させても金融機関の資金繰りが、多少楽になる程度です。しかも、ユーロ圏は日米より高い0.75%のリファイナンス金利ですが、ここから25bp下げても、景気の下支え機能はありません。それでも世界的な金融相場で、多少ユーロ高は解消されるでしょう。景気が弱いのにユーロがじり高、という二重苦からは逃れられます。ただ、今の世界的な需要減退は、通貨安による改善効果を阻害します。

日本は日銀緩和をうけ、外債投資が増える、と海外から期待されていましたが、先週まで6週連続の資本流入超、つまり外債の売越しを続けています。一方で、某紙に『生保各社や年金基金が外債シフト』と、逆の記事を載せています。運用計画で今年度、1兆円規模になることを指したものですが、しかしこの額、国内運用が大幅に上昇する中ですから、その中で振り向けたとしては、明らかに低い額でしかありません。決して、相対的に比率を上げたわけではないのです。
同じようなことが、キャノン決算でもみられます。海外の売上げ比率が8割なので、円安メリットの高い企業と期待されながら、1-3月期は減益でした。業績予想を上方修正、としか某紙は伝えませんが、これも下期に世界経済が回復する、と見込んだもの。しかしスタートダッシュでの躓きは、明らかにキャノンの戦略ミスが、今後拡大する懸念を示します。某紙は、日銀緩和の礼賛を続けており、景気をよく見せかけるためのミスリードに躍起、ということなのかもしれません。

しかし三菱自も、円安効果の上乗せだけで、数量ベースで増えていない。逆に、中国経済の減速をうけたコマツなど減益、しかし下期の回復を期待して大幅増益、としますが、これも期待先行の安倍ノミクスと云えるのでしょう。しかし下期、世界経済が回復する見通しは、現時点ではただの期待です。正直にいえば、各国とも景気対策などの財政出動が期待できない今、何をもって回復するか? 理由がないのです。金融政策が、実体経済に与える影響は少ない。底打ちを示唆するものが何もないのに、今の日本企業は下期回復を織りこんだ業績見通しが増えています。
そんな中、『国家は破綻する―金融危機の800年』の著者が、誤りを認めました。これは国家の債務がGDPの90%を超えると、成長率が減速するとの内容で、世界の緊縮財政のバイブル的存在でした。これが誤りとなれば、世界はふたたび財政出動に転じるかもしれない。そんな期待もまた、市場を押し上げる一因ではあります。ただ、ではどの水準まで債務が膨らんでも大丈夫か? 誰も答えがない中で、箍を外せば後に深刻な事態を招きかねない、ということにもなります。

そもそも、3年前にこの著作がでた時点で、日本の債務はとっくにGDPの90%を超えていましたが、成長率の低さは債務より、むしろ構造的な問題にあります。人口減少と高齢化、世界に先んじて日本は突入しましたが、欧米も今後、同様の問題を抱えます。世界経済が、再度高成長にもどるためには、世界全体がこの構造的な問題を、解決しない限りあり得ないのかもしれません。そんな中、日本はやたら期待ばかりが先行し、景気が改善すると喧伝するメディアも多いですが、短期の株高ではなく、構造問題に焦点を当てていた方が、失敗は少ないといえるのでしょうね。

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2013年04月24日

安倍政権の中韓への対応

22日、検察審査会が陸山会事件で、虚偽の捜査報告書を作成した件で、『不起訴不当』の判断が下されました。恐らく、検察への不審をうけて『不起訴』はまずい、一方で『起訴相当』になれば、強制起訴になり、捜査情報が詳らかになることもまずい、落としどころとして『不起訴不当』の判断がでた、とみてまず間違いないでしょう。理由は、公判で明らかにする必要性を訴えながら、その判断を捨て、不起訴不当にする理由は見当たりません。これで、最高検は殊勝な態度を装いながら、幕引きのシナリオが描ける。逆に云えば検察審査会の問題が、今回ではっきりしたことになります。要するに、都合のいい判断を下してくれそうなメンバーと、アドバイザーの弁護士を準備すれば、如何様にも判断を操作できる、ということなのでしょう。
そもそも、裁判員裁判では記者会見をうける人がいて、検察審査会でそれがない、というのも奇妙な話です。むしろ、裁判よりも検察審査会に選ばれた人の方が、堂々と記者会見を開くことが可能でしょう。少なくとも、弁護士はでてきて説明する義務がある、と云えます。検察審査会が、検察ののぞむ方向に結論をだす、今の極めて奇妙な判断が続くのなら、それこそ検察審査会が裏の公訴権として、検察のやりたくない裁判を、弁護士におしつけるツールになりかねません。

安倍氏が、閣僚の靖国参拝をうけて、中韓の反発に対し「脅かしに屈しない、急に態度が変わったことを、ちゃんと調べておく」と述べました。これは不自然です。当然、態度が変わったのはずっと前です。これまで抗議をうけても、日本は理由も、原因も知らずにスルーしていたことになる。今さら何を調べ、どう活用するか、などということ自体、論じるに値しない。むしろ対策を語らなければならないのに、それがないとき、時間稼ぎのための答弁に過ぎません。
つまり中国との間にある、暗黙の了解を破ったのは安倍政権であり、今は中韓が沈静化するのを待つ、が本音です。これは後に、手土産が必要となるかもしれません。そんな韓国も、自国の経済が苦しく、日韓経済協会の代表とは外相も会談しています。韓国は北朝鮮とも対話を打ち出したように、今は経済が深刻な事態に陥りつつあります。GMが生産拠点の引き上げ、を示唆したように、外資まで去れば韓国経済は支え切れません。日本を攻撃しつつ、お土産の上積みを狙う戦略をとるとみられ、外交ルートを閉ざすまでは至らないでしょう。G20でも、韓国は円安を批判する、とみられましたが、直前で引っ込めたのも、日本経済の回復に期待した面もあります。

一方で、もう少し複雑なのが中国です。景気の減速と地方債務の返済能力に、急速に疑義が高まる中で、さらに指導部の交替時期で、権力の綱引きが行われている。日本に融和的な記事が出たかと思えば、削除されるなど、対応が定まっていません。これは靖国に関しても同様でしょう。強硬派は、さらに圧力をかけて妥協を引き出そうとするでしょうし、穏健派は、経済協力による恩恵を模索する。恐らく、どちらのアプローチもあり、日本政府も対応に苦慮しそうです。
安倍氏の答弁は、強行にみえて、外交でそうした態度をとっても妥協点は見え難いものです。しかし保守アピールしないと、支持離れを起こすことが自明であるため、突っ張るしかない。しかし円安発言と同様、最初は威勢よくとも、そのうち発言を自粛していくとき落としどころを探る戦略でしょう。そのときの、日本が準備するお土産が何か? それ次第で、安倍政権の外交の要諦が見えてくる、ということなのかもしれませんね。

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2013年04月23日

雑感、政治家の靖国神社への参拝。

安倍首相は党首討論でも、記者クラブの会見でも雇用だか、求人数が改善と述べていましたが、リクルート社の調査ではむしろ減少していることが、判明しました。昨日も指摘したように、円安、株高は企業の長期計画に、何ら影響を与えません。米キャタピラーが今年の業績見通しを低めに発表しましたが、これは昨今の資源価格の下落と、整合的です。即ち、世界の景気は踊り場入りを示唆しています。これでは日本でも雇用、賃金の改善など期待薄となるのでしょう。
そんな中、ユニクロの世界同一賃金が話題です。あくまで平準化するので、決して同額というわけではないようですが、これは奇妙な話です。世界同一賃金体系、というならまだしも、その国ごとに最低賃金の考え方や、労働条件が異なります。つまり成果を、その国ごとの条件にまで落とし込み、平滑化するなら賃金が同一にはなりません。例えば週40時間しか働けない日本と、そうした制約がない国の労働者と、同じ能力があっても結果が同じになることはないのです。それらをすべて算入するのか、その結果次第では、Fリテは労基のみならず、司法からも断罪されるでしょう。

麻生財務相など、一部閣僚が靖国神社の春季例大祭に参拝し、安倍氏は真榊を奉納しました。これをうけ、中韓は反発し、日韓外相会談は中止、日中友好議連の訪中も中止です。安倍政権では、韓国との連携を強めて中国に対する、との戦略もあったようですが、靖国問題がでてくれば中韓とも、日本と対立します。また168人が参拝しましたが、遺族会からの支援をうけたい、との思惑と、安倍政権の支持率が高い中で、保守アピールを強めたいとの思惑もあって、89年以降最多となっています。ただ、これらも中韓の反発材料にされかねない記事、といえるでしょう。
個人的には、靖国神社への政治家の参拝に反対です。政教分離の原則に反するためです。靖国神社を宗教法人から外し、一公益法人にするならまだしも、この憲法の条文を『私人』という理屈で外す、そのことが問題です。今、憲法改正を議論するのなら、はっきりと政教分離を改める、とすればいい。世界的にみても、政治と宗教を分離している国は少なく、日本が特別である必要はありません。まさに当時、天皇を頂点とする国家神道があり、キリスト教の布教に失敗した国として、おかしな宗教が政治に関わらないよう、憲法に盛られた文言であるなら、まさにこの項目も戦後レジームからの脱却でもあるはずです。今のような曖昧な運用が、結果的に創価学会の全面支援をうける公明、幸福の科学を母体とする幸福実現党、などを許す原因です。

政治家には特権があるのと同様、制約があります。その一つが政教分離であり、政治家は宗教と関わってはいけない。これがすべての基本です。その上で、このタイミングで参拝や奉納など、時宜を逸していることは云うまでもありません。中韓は連携を強め、領土問題で日本に圧力をかけてくるでしょう。さらに、北朝鮮問題においても、日本は蚊帳の外におかれかねません。
安倍政権は国際的にも、国内的にも問題を抱えた。国内的には、問題意識をもたない政治家も多いため、争点にならないかもしれない。しかし憲法改正を主張するからこそ、政教分離の考えを質しておかなければなりません。それこそ政治家が、公人と私人を使い分けられたら、制約がすべて外れます。それを宗教的な面にのみ、認めるという弊害についても議論が必要なのです。

最近、政治家が迂回献金し、脱税していたのではないか? そんな疑惑をもたれた議員が多数います。モラルを保つためにも線引きが必要ですし、それは明確な方がより望ましい。今のように、曖昧なまま私人と公人を使い分け、政教分離のハードルを下げるなら、今後日本に奇妙な思想集団が現れた場合、それを取り締まりもできず、ジレンマに陥るのが必定なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 宗教

2013年04月22日

経済の話。株高、円安が雇用、賃金に影響?

G20の声明をうけ、為替はふたたび100円をうかがい、株価も年初来高値を更新してきました。ただこれは米系が狙った面が強く、幻のSQとなった4月の13608円を抜こう、株高期待を維持しよう、という仕掛けでもあります。先々週は現物株を一気に買い上げ、小泉郵政解散以降の、外国人買越し額を上回ってきましたが、ここからは外国人投資家も余力勝負となってきます。

米国ではApple株の時価総額が、最高値から比べると約30兆円も減少と話題です。某紙に株高、円安になっても企業の雇用計画に影響がない、と如何にも不可解といった書き方がされていましたが、株高、円安を、雇用や賃金に反映させるような経営者は、それこそ失格の烙印を押されます。Appleが1株700$に到達しても、ドル安が進行しても雇用や賃金において、優遇するなどという話は一切ありません。そもそも短期で変動するため、株式はハイリスクと規定されます。そんな変動するものを業績や、雇用、賃金という長期計画に含めることなどあり得ません。
日銀の緩和で、雇用や賃金が改善される、ということも誤りです。先に、超緩和策に舵をきった米国の例をみても、これは明らかです。物価は1.6%ぐらいで張りつき、一方で失業率は高止まり、賃金はほぼ横ばいです。通貨が安くなり、一時的に回復したように見えても、それ以上にドル安にならなければ、成長は止まる。株高、ドル安でも企業の実態はそれほどよくなっていません。恐らく今年から来年にかけては低成長に陥り、新たな対策を必要としてくるのでしょう。

そんな中、米国のGDP算出法の見直しがあります。無形固定資産、つまり研究開発費、著作権料、芸術品などのソフトも計上する、といった変更であり、実はこれが厄介です。大体3%ぐらい、GDPを押し上げるとされますが、過去の統計との違いがはかり難い。即ち比較ができない、といった問題があります。項目が別れれば算出可能ですが、研究開発費などはまぎれてしまう恐れが強く、米国がどの程度の成長したか、ここ数年は曖昧なままとなってしまう可能性があります。
一つ云えるのは、米国にとって低成長に陥りそうな、都合いいタイミングでこの改定が行われることです。そして日本にとっては米国の先行実験、金融緩和による実体経済への影響、といった点を暗くする恐れがあります。それは日銀、安倍政権にとって好都合、とも云えるでしょう。なぜなら米国で影響は過少だった、と判定されたら、日銀にも見直しを迫られることになり、それは政権にとっても痛撃です。しかしここまで見る限りでも、米FRBの超緩和が、雇用や賃金に影響を与えたという統計、データはほとんどありません。それは失業率を金融緩和の目安においている米国でさえ、です。

米国でおきていないことが、日本ではおきる、というのがリフレ派の主張です。実際、円安になっても輸出は減少傾向が続き、一向に改善していません。例えばホンダなど、米国に生産を移管する計画を示していますが、それは短期の円安ではなく、長期の視点で現地生産がベスト、と判断したことによります。逆に云えばこれが経営判断であり、株高、円安は長期の判断に影響しないのです。
円安が成長に寄与する、などと考える人は、経済の素人です。それこそ韓国のような輸出依存なら別ですが、貿易赤字が増していけば、産業ベースでは衰退していくだけです。輸出に、はっきりとした結果が出ていない中で、雇用や賃金に影響する、などと語るようなことは早計、もしくは幻想に近いのでしょう。今の政府、日銀が語ることの何が誤りか? それはムードに伴う統計データではなく、実体として現れる数字によって、徐々に明らかになっていくのでしょうね。

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2013年04月21日

雑感。政治と不公平

女優の剛力氏のごり押しが、話題になることがあります。かわいい、かわいくない、演技が上手い、下手、様々な評価は人それぞれですが、彼女に不快感をいだく人は、総じて分不相応の扱いをうける、不公平感に対する嫌悪だと考えています。つまり露出ほど力が伴っていない、何者かの意向、意志が働き、そうなっていることを人は嫌います。そしてさらに、自分が実力を認められていない、と感じる人ほど、不公平に敏感です。それは嫉妬ではなく、むしろ社会に対する不満、世の不条理への反感、といった面が強いと感じています。しかし芸能以外で、人気商売であるにも関わらず、この不公平感の強い職種があります。それが政治家です。

自民が政権復帰してから、メディアが語らなくなったことの一つに、世襲議員の問題があります。自民は世襲が多く、支持率の高い間は批判しにくい、という面があるとしても、世襲ほど不公平な制度はありません。それが民主の失敗という事態をうけ、世襲の安定感という方向に揺り戻しもありましたが、新たに政治家をめざす人間にとって厳しい、弊害となっているのが世襲です。
もう一つ、メディアが語らなくなったのは行政改革です。IMFのラガルド氏の言葉も、安倍ノミクスについて容認、としか伝えませんが、構造改革を促すよう提言していますし、IMFCにおいても一時的な金融緩和は容認しても、その間に構造改革、財政再建計画をたてるよう提言しています。麻生氏は「消費税増税を達成」としか語りませんが、世界が求めているのは構造改革、それは歳入をアップすることではなく、全体を改善しろということです。日本で、人気商売ではなく、不公平感を強く感じる職種が公務員、官僚であることは云うまでもありません。そして安倍政権では、一向に改革の話が聞こえてこない。これが安倍政権への最大の不審につながります。

名古屋市長選は、減税日本の河村氏が当選確実となりました。国政進出、維新に接近して失敗するなど、河村人気にも陰りがでて、どこまで票を落とすかがカギでした。自民・民主は県連レベルで協力して対抗しましたが、ダブルスコアで敗北です。多少、人気は落としても、それ以上に民主が県連レベルでの支持に留まったことから、恐らく連合の票は集まっていない。また自民とて、今の高い支持率ほど浮動票が動いていないことを、今回の結果は示しています。
来週は山口の参院補選ですが、ここで安倍政権への支持、人気が本当のものか、計れるのでしょう。首相のお膝元、という以上に、候補者自身が古い利権体質の匂いがする。云わば、候補者の選定における手腕がとわれる選挙になります。つまり自民が新しく生まれ変わることなく、選挙に勝利すれば、それは古い体制、制度へのお墨付きと考え、政権もそちらにまい進することになる。夏の参院選への試金石、という以上に、政治にとって重要になるかもしれない選挙です。

安倍政権からは『異次元』という言葉は聴かれても、『改革』という言葉が出てこない。これは今を変えられないから、一足飛びに世界が変わる、という幻想を与えているに過ぎない言葉であり、それでいて日本はまったく変わっていない、変わらないままでしかないのです。安倍氏は雇用制度にまで、政治の圧力をかけ始めましたが、誰かに優遇を与えるということは、誰かが追い出される、つまり不公平を助長しかねない行為です。安倍ノミクスが、資産バブルという格差拡大へと突き進んでいる中で、今後はこの不公平感がカギになるのかもしれませんね。

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2013年04月20日

中国四川省での地震

中国四川省で、M7の地震がありました。三宅島でもM6.2がおきたばかりですし、気になるのが、東南海連動地震です。NHKでは東日本大震災の強震動域が7、南海トラフの強震動域が10以上で、長周期の巨大地震が襲う、と伝えています。それだけの規模が今すぐおきるかは分かりませんが、もっとも怖いのは平野部で揺れが止まらないうちに、津波に襲われることでしょう。
平野部の脆弱な地盤が、揺れを溜めこむというなら、恐らく最初の震源域に近い地域にいると、逃げる間はありません。益々、対策があるかどうかがカギなのでしょう。中国四川省も、先の断層帯の近くであったにも関わらず、対策らしい対策はなかったようです。これが余震の一つかは分かりませんが、耐震性の低い、古い住宅などへの対策は、どこの国でも後回しのようです。

そんな中国で、不穏な動きは規制当局が、地方政府の債務に関して、警戒をだしていることです。これまでも格付け機関、証券会社などが独自の分析に基づいて、ワーニングをだすことはありましたが、中国の当局が拡大し、しかも規模が不明な不良債権について懸念を示すことは珍しい。不動産価格がほとんどの地域で上昇、という情報とは異なり、最も景気減速による不良債権拡大、という事態に怯えるのが、中国当局なのかもしれません。
しかも鳥インフル問題が直撃、明らかに人、人感染がおきていますが、それを否定しているため、対策も遅々としてすすんでいません。まだ感染力は弱いようですが、パンデミックがおきれば、中国経済にとって致命傷になりかねません。渡航制限、移動制限がない中で、もし被災地に鳥インフルが拡大したら…。ただでなくとも、被災地には免疫力が弱まり、病気が蔓延しやすくなります。中国で今、起きていることは、極めて危険な状況だということでしょう。

一方、中国にとって北朝鮮問題が、一旦小康に入ったことは僥倖でしょう。言葉は厳しいものの、交渉条件を提示したというのは、暴発の段階にないと示したことになります。到底のめる条件ではありませんが、最初に高い条件をだしてハードルを上げるのは、どの交渉でも行われることです。そんな中、韓国大統領が訪米後、日本にくるという慣例を破って、中国に行くことが話題です。
しかし当然、北朝鮮問題は今後、中国国内で米朝協議が行われる可能性が高く、日本パッシングというより、重要度からして当然の行動です。逆にいえば、日本が飛ばされるのはその外交力のなさ、北朝鮮対応において、特に日本と調整することはないことを意味します。TPPの事前交渉において、参加国からの了承をとりつける際、カナダの抵抗にあって思惑通り、先週内に米議会へ通知ができませんでした。これも、カナダとの条件を米国の条件と変え、それでいいと勝手に判断していた日本政府の甘さです。安倍政権の外交能力の低さが、得てして露見した形です。

中国の不良債権問題がはじければ、世界経済は一発でアウトです。1-3月期GDPが7.7%と予想に届かなかったことが話題ですが、輸送量、電力使用量からみて、ほとんど成長していないのではないか? これが現在の、経済を通してみる中国です。北朝鮮の暴発以上に、中国経済の暴落に備える、そんな段階に入っています。それは震災や、鳥インフルなども同様に、中国にはしった激震が日本に及ぶことを警戒する、という日本側の対策の有無が今後、問われるということでもあるのでしょうね。

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2013年04月19日

雑感。G20と0増5減

ボストン・マラソンのテロ事件が、急展開をみせています。実行犯とされる兄が射殺、弟が逃走中です。組織犯なのかも不明ですが、ただ少しナゾが残るのは、犯行当日に警察官が5つほどの爆発物を処理した、などと伝わったことです。実行犯が2人、圧力鍋を用いているなら、爆発したものも含めて7つを準備する、というのは不自然です。さらに猛毒リシンが、爆発事件とまるでタイミングを合せるように、オバマ大統領など政治家に送られたこと、も重ねると、まだ犯行グループの規模、何らかの組織だった動きが背景にあるか、は図れないのでしょう。

そんな米ワシントンでG20が開かれています。日本ではあまり報じられませんが、テロ事件が未解明な中で、国際会議を開くのは異例です。米国は広いので、関係ないと云えばそれまでですが、このテロ事件の目的が米経済への打撃なら、G20も標的となったでしょう。sれだけに、テロの目的が分からないうちに、各国の財務相、中央銀行総裁が集まってよかったのか? 今後問題になるかもしれません。少なくとも日本でテロがおきれば、国際会議はとぶでしょう。
麻生財務相が「異次元の緩和に反論なし」を国際社会からの承認、としましたが、内政に干渉する国はありませんから、反論などありません。ただし、それによって各国が受ける影響において、非難、批判を声明に盛りこんでくるか、どうかです。つまり「円安を意図しない」と述べても、結果としてそうなっていれば、それは批判対象です。ただし名指し批判などをすれば、世界経済の不安定要因になるため、各国とも初めからそんなことは念頭にない。問題は、為替の水準感などを語り、当初円安誘導をはかった安倍政権の態度を、新興国が快く思っていないことです。

しかも安倍政権は、今年度に財政再建とは逆行するように、大型の景気対策を打った。これは欧米とも、新興国とも逆行する流れです。これがG20でどう評価されるか、そちらの方がカギです。さらに今日、記者クラブでかたった成長戦略はこれまでと同じ、代わり映えしない内容で、三本目の矢は飛ぶ前からぽっきり折れそうです。安倍内閣の、官僚依存が悪い形で出ており、大胆な構造改革に伴うアウトラインは、この内閣では引けないことがこれではっきりしました。
0増5減も、衆院の委員会で強行採決です。特徴的なのは、伊吹議長が「決まらなかったときの責任を回避する…」旨の発言をしていますが、政権与党が責任から逃げては、何も決まりません。しかも、この国会で定数削減が成立しなければ、民自公で決めたことの約束不履行になるのは明白なのですから、尚更です。経済は大胆にできるが、政治の責任は負わない、では、まるで経済は自分たちに関係ないから、ちょっとぐらい冒険してもいい、と云っているようなものです。

せっかくなので、米国の哲学者の言葉を、安倍内閣の面々におくります。『自信は知恵によらなければ卑しく、致命的である』 今、安倍内閣は高い支持率に自信満々に見えますが、そこに知恵はなく、あるのはただリフレ派と結んでバブルを起こす、というその一点を成果、とみなしていることです。真に知恵のある人は、自らの成果をひけらかしたりはしないものですが、この0増5減の知恵のなさといい、旧来の政治の閉塞感からは何も脱却していない、ということはよくよく認識しておく必要がある、ということなのでしょうね。

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2013年04月18日

安倍首相が賃金上昇を約束?

安倍首相がおかしなことを言い出しています。「賃金上昇は夏を越えれば実感…年末のボーナスまでには…」? まず政治が賃金上昇を約束すること自体、異常なのですが、賃金は年間通して変動するものではありません。業績が上がれば、夏のボーナスに臨時として上乗せがあることはあっても、円安による効果は斑模様ですし、株の値上がりでボーナスを上げるところは皆無です。一部、証券業などが取り扱い手数料の増加で、潤ってはいますが、安倍ノミクス効果、と云われるものが賃金に反映されるのは、早くても来年、逆に輸入業ではマイナスになるでしょう。
安倍氏が経済を知らない、とはこのことでも明白です。昨日の党首討論でも、誰かの受け売りを一生懸命かたりますが、聞かれたことには答えられない。ナゼなら、理屈まで落とし込んで理解していない、自分で影響を考えられないためです。なので「賃金上昇は夏を越えて…」みたいな、頓珍漢な話がでてきます。そもそも、円安で昨年度に収益が上昇した企業は、今年伸び率としてみれば鈍化します。更なる円安にならない限り、業績は向上しないのです。

気になるのが、欧州で自動車販売が昨年に比べ、2桁落ちていること。その中でトヨタが16%以上の落ちこみです。中国向けの自動車販売は回復傾向ですが、パイはまだ小さいので影響も小さい。肝心の米国向けは、原油高に加えてテロが頻発し、マインド低下が懸念されます。じわり歳出削減も効いており、自動車産業をみても、輸出が増える環境でないことは確実です。
さらに気になるのが、米金融機関の決算も発表されていますが、トレーディング部門の収益落ちこみが伝わります。これは以前からの傾向ですが、金融機関の業態は、以前と比べても大きく変化しました。貸し出しの利ざやを稼いでいた古い時代から、積極的にトレーディングで収益をあげる投資銀行部門を拡大させた。しかしリーマンショック後、それすら縮小し、今や金融商品を組成し、その販売、仲介手数料で稼ぐやり方が主流になりました。今はその金融商品のために、一定の資産をもちますが、リスクは投資家に付け替えられている、といった構図です。

まだ正確なデータが集まりませんが、実はこの金融商品の組成が、今の超緩和による金余りの受け皿となり、インフレを起こさず済んでいる、と考えています。例えば不動産はREITに、REITはそれを組みこんだETFに、ETFはそれを組みこむ信託に化けます。すべてではありませんが、こうして幾つもの金融商品に姿を変え、金融という市場が巨大な受け皿となって、金余りを吸収してきました。なので一部新興国など、資金流入を起こしてインフレになるところもありますが、巨大な流動性が投入された割に、世界のインフレが落ち着いてきた一因にあると考えます。
それを安倍ノミクスは壊しているのです。つまり、金融機関から国債が吸収され、日銀に滞留する。金融機関は、今さらトレーディング部門を拡大し、リスクを負って投資するということはできず、もし外債、不動産に投資したとしても、それを金融商品として売りたいと考えるでしょう。しかし、日本人の投資マインドがいくら向上しても、外債や外国の不動産で組成された信託を買おう、とは思わないでしょう。それは需給のミスマッチにしかならないのです。

よって日本からの投資マネーが溢れる、というのは、誤解の上に成り立つことが分かります。日本のマネーが海外の市場を高騰させ、バブルを起こせば当面、安倍ノミクスは成功と囃したてることも可能です。しかしそうでないとき、市場が逆回転を起こしたときの対策は、安倍氏の口から語られることはないのでしょう。なぜなら、安倍氏の頭の中にそうしたことは想定されていないため、です。外国人投資家が、ここ直近の海外の動きを映して日本株を売ってきたら? 賃金上昇どころか、日本は不況入り確実です。それは経済に無知な宰相が、自分の無知さ加減も知らずに自信たっぷりに語る、その浅はかさから起こることなのかもしれませんね。

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2013年04月17日

党首討論について

昨日、書き漏らしたことを少し。昨日、最高裁による画期的な判決がでました。水俣病に関して、行政は複数の症状の組み合わせがなければ、水俣病と認定していなかったものを覆し、最高裁が認定した形です。行政は症状、副作用などを軽視しがちですが、司法の立場で、行政の不作為を指摘し、是正する道ができたことになります。最近、司法からの思い切った判断が目立ちますが、裁判員制度やネットの普及で、国民が広く裁判を注視できることが、好影響なのでしょう。
そしてこれは、日銀アホーリックの副作用においても、広く適用が可能でしょう。つまり国と利害のあるIMFや世銀、国際開発銀行などが、いくらヨイショ記事を発信しようと、副作用による実害がでている場合、第三者機関が総合的に判断しなければいけない。それを司法の場とするか、はまた別ですが、メディアが監視機能を失った今、国が認めたがらない部分に光をあて、議論の俎上とし、きちんと協議し、判断を下せる場の必要性を感じざるをえません。

党首討論がありました。安倍首相は日本の閉塞感、企業の海外脱出、などの話をしましたが、まさにこの傾向は小泉政権時代から始まり、前回の安倍政権はそれを継承したと云えます。小泉政権の前、企業が海外へ生産拠点を移さなかった理由は二つ、海外の条件が悪かったこと、そして国内で余剰人員を抱えたまま、海外に進出してもメリットが少なかったためです。金余りで新興国のインフラ整備がすすみ、国内では非正規の拡大など、労働市場を流動化させたため、国内雇用を減らすインセンティブが生じた。このことで、日本は慢性的な需要不足に陥り、それがデフレ傾向となって現れた。まさに量的緩和により、逆の結果を生じた、ということです。
安倍氏は株高、円安などを挙げ、年金運用が改善したと胸を張ります。しかし今の解雇制度の緩和など、明らかに企業サイドへの優遇が目立つため、安倍政権では業績期待がおこり、外国人投資家が買う構図が続くのです。しかし先の小泉政権と同じ、当時も株高、円安であったにも関わらず、企業は海外に生産拠点を移した。問題は製造コストであり、株高、円安でも製造コストが国内より海外が有利なら、そうします。賃上げをめざす安倍政権なら、尚のことそうするでしょう。つまりさらに需要減退を起こせば、ムード上昇も絵空事ですし、デフレ脱却もままならない。短期の株高、円安などを成果とするなら、こうしたことに目配せできない恐れも強まります。

海江田民主代表も、この辺りの攻めが弱い。経済は表面上のものより、副作用の方が、後に深刻な事態を招きます。例えば、企業が解雇をし易くするなら、逆に経営陣を労働者が交代させ易くする、という相互監視機能をつけなければ、労使関係において一方の力を強めるだけ、となります。現在、経営は重役会などで決められ、株主総会で承認されます。労働者が選択する余地はありません。しかし、企業の実態をよく知るのは労働者であり、そこに選択権がないのはおかしな話です。そして労働者側が、経営者を選ぶようになれば、解雇権の濫用に歯止めもかかります。
一票の格差も、時間切れで攻めきれず、石原維新代表はお得意の国防、憲法論ですが、公明にとって代わって、自分たちと連立を組もう、という意図がミエミエです。渡辺みんな代表も討論するほどの時間がありません。総じて、今回の党首討論は安倍氏の主張をつき崩せない野党、という構図を色濃くしただけなのでしょう。結局それは、メディアが書き立てる礼賛記事と同じ、政治家に専門性のある見解を語らせることに、限界が来ていることの証左なのかもしれません。

IMFが日本の成長率を上方修正、と見出しを掲げるものもありますが、以前も指摘したように公共工事の増額分で、ほとんどカバーできるような差です。それ以上に、超金融緩和による副作用にも言及していて、こちらは伝えない。そんなことをしている内に、日本が重篤な症状に見舞われそうで、この党首討論でも政治の不作為を正す術は、一向に示されなかったのでしょうね。

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2013年04月16日

日銀アホーリック

ボストン・マラソンでテロ事件がおきました。ただ目的が分かりません。イスラム過激派、パトリオットデイを狙った極右、銃規制法案の阻止を狙う勢力、など様々に語られます。しかし爆弾は、見た目ほど被害が大きくなく、また部品などから足がつくことも多いので、テロの手口としては稚拙で、示威の意味合いが強いものです。それでいて犯行声明がない今回、ただの愉快犯としては爆弾の数も多い、ナゾが多い点が不安をますということになります。

そんな米国で金価格が10%近い急落です。中国GDPの弱さ、というのは口実で、1500$を切って損切りをだしたのが背景でしょう。重要な点は、商品市場は需要減退を意識しつつ、株式市場は業績拡大をみている。この方向性の違いが鮮明になったことです。金も工業品としての需要は、それほど多くありません。キプロスの放出計画も、著名投資家による「金の資産価値はない」発言にしても、結果的には需給が崩れたことにすべて起因します。金を欲しいと思う人が減れば、市場は下落する。これがすべての相場のもっとも確かな原則です。
そしてその相場を崩しているのが、日銀です。今日の5年債入札も思ったほど悪くない、という人もいますが、はっきり言って軟調です。国内金融機関でさえ、正しい値決めができず、様子見を決めこむ。日銀は応札をしない方向ですが、市場から吸い上げてさえ、混乱が起きている中で、今後債券市場が落ち着いていくのかどうかさえ、まだ見通せません。さらに株式市場も、ETF購入により指数関連銘柄だけが、上昇する異常事態です。しかも日銀がETF購入の条件を変え、また規模を増やしたため、それを狙って今日も下げ渋る展開をみせました。今は正常とはいえない状況であり、私はこれを『日銀アホーリック』と呼んでいます。意味は『日銀中毒』です。

米株式市場も、日本からあふれたマネーが買う、と盛んに大型株に買いが集まります。しかし実際、それが起きなかったら需給が崩れます。これも日銀アホーリックですが、米株など、今は安易に買ってよい水準ではない。そこにテロが頻発するなら、尚更です。そして相次ぐ中国債の格下げ、見通し引下げなど、世界経済は明らかに中国リスクに備える動きに入っています。
日銀アホーリックの病は深刻です。本来、治療すべき医者が劇薬を渡して、あたかも治ると云うだけです。完治しなければ、もう誰も手出しができなくなります。劇薬の副作用も語られますが、劇薬をやめるときの判断も難しい。デフレ脱却しないとき、景気も低迷したままのとき、日銀が今の劇薬を止めれば、さらに経済に下押し圧力がかかる。そして続けても、財政ファイナンスを意識され、国債が急落しかねない。そのときは『リック』を省いて呼ばなければいけません。

商品市場は、今後も軟調な展開がつづくでしょう。そして商品市場がみせる需要減退を、株式市場がいつ織り込んでくるのか? 商品価格が下がれば、当然インフレ懸念は後退しますが、日銀の方向性とはこれも違っています。日銀による大量の国債購入で、あふれたマネーの向かう先が、商品市場でも、株式市場でも、債券市場でもなく、銀行の金庫に積み上がるというなら、日銀アホーリックの重篤さは、より深刻な症状を今後の日本にもたらすのかもしれませんね。

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2013年04月15日

雑感。市長選での維新の敗北

北朝鮮に対し、韓国が対話をうちだし、またケリー米国務長官の日中韓の訪問にともなって、流れが変わったとのムードが出ています。何か米中で握っているはずですが、それが表だって流れることはないのでしょう。中国が在韓米軍の撤退を要求、という話もありますが、実体としては今の中国に、そうした強い交渉できるカードはありません。もしそれをすれば、北朝鮮を裏で動かすのは中国、との印象を与える。むしろケリー氏も対話をうちだした点からみて、中国が何らかの具体的な行動を示し、米国が静観する構えをみせたのだと考えます。
しかしそれが6カ国協議ではない。中国も同じ失敗をくり返すわけにいかず、米韓とてここで見返りを与えれば、強硬路線を正当化させてしまいます。推測ですが、中朝対話で妥協点が見出せない場合、中国は金体制を見切るということなのだと考えます。そして米国もそのための妥協案は提示している。その折衷案がみいだせなかったとき、ミサイル発射になるのかもしれません。

安倍首相がNATOのラスムセン事務総長と、共同政治宣言を表明しました。協力の原則をうちだし、価値観を共有する国同士で、国際紛争に対処するというものです。一見すると当たり前ですが、明らかに国防軍創設にむけ、布石をうったとみるべきでしょう。協力なのですから、一方的にNATOに守られる立場から、日本の自衛隊も外に出て、行動する立場になることを前提にしない限り、そうした文言になりません。NATOに代表をおくことも、共同の作戦行動をとれるよう、連絡を密にするという意味であり、じわり保守色を出しつつある形です。
兵庫県の伊丹市、宝塚市の市長選で、維新候補が大敗しました。40%そこそこの投票率で風が吹くのも難しいですが、大事なことは関西圏でさえ、維新の失速が鮮明であることです。太陽と合併してから凋落の一途ですが、政策の方向性も安倍政権と近く、自民との対抗馬になりえないことが、この点からも明らかです。維新は今、明確な柱を失った状態といえます。

しかも、維新は選挙協力も自分たちが主導する形を望んでいる。いわば、持て囃された昔の栄光にすがっているのですが、しかしすでに周りは、維新と組んでもあまり得策でないと気づいている。維新だけが、その状態に気づいていない。選挙協力も、どこまで進むか未定です。
自民との対抗馬がなく、安倍政権の内閣支持率も高い状態がつづきます。しかし今はメディアの世論調査の数字に、20%近くメディアに都合のいい数字が上乗せされている状況です。この疑問に応える術は簡単で、メディアが世論調査をする際、市外局番と上から2桁の電話番号を、公表するなら、どれだけランダムに調査をしたかが一目瞭然です。それを継続することで、どんな調査が行われているかを、外部から検証できる仕組みも生まれます。今の世論調査は、検証する過程がないまま、ただ情報を垂れ流すのみで、それが世論誘導に用いられている点が問題です。

夏の参院選にむけ、未だに自民の対抗軸が何か? それが見えないままです。民主は嫌、維新は信頼できない、自民でなくてもいいけど、他に選ぶような政党がない。今の状況はまさにこうした形なのでしょう。論語に『過って改めざる、これを過ちという』とあります。今の日本は、過ちを改める機会すら奪われている。一票の格差、平等の前に、選択権さえ提示されない状況は、不幸以外の何ものでもないのかもしれませんね。

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2013年04月13日

雑感、米小売売上高の軟調

今朝、淡路島で震度6弱の地震がありました。日本は未だに、不安定な状況であることを思い知らされます。阪神・淡路大震災とは別の断層であり、直接の関係はなくとも、間接的に影響した可能性については否定できません。直下で、震源域の浅いこうした地震は、どうしても被害が大きくなってしまいますし、日本中どこにでも起こりえるので、常に心構えが必要ですね。

パソコン出荷が前年比14%近くも落ち込み、タブレットに市場を食われたことが鮮明となりました。タブレットがニッチだと思われましたが、実はノートパソコンがニッチになってしまった。パワーユーザーはデスクトップを使い、ライトユーザーはタブレットを使う。液晶が4〜5年で壊れた昔と違い、今はノートパソコンも10年近く使えます。買い替えサイクルの延長もあるでしょう。
しかし昨年、Windows8が出たときは出荷堅調、などと伝えられました。単に好調さを装っただけ、であり、こうしたこともニュースの裏側にはあります。タッチパネルの遅れ、Windows搭載パソコンのRetina化の遅れ、などもありますが、最大はメトロにしたことで業務用として使うのに、不便だということなのでしょう。Windows7が、業務向けに好調だったことなど、不運も重なりますが、結果的にタッチパネルなどは個人で楽しむ類の、使い方が正しいのです。

米小売売上高が、前月比0.4%減と、横ばいを見込んでいた市場予想を下回りました。2月も下方修正で、給与増税の影響が影をおとします。さらに、ガソリン価格の上昇なども影響したのでしょう。少し気になるのが、卸売物価指数も前月比0.6%低下と、企業ベースで在庫が増えなかったことなどと考え合わせると、米経済は想像以上に踊り場入りを示唆している、ことになります。
さらに直近、ドルが強含む気配であることも、米経済にとって深刻です。FOMCで出口戦略が話し合われ、南欧不安のECB、異次元の日銀と、明確に方向性が変わってきたことで、ドルに先高期待が芽生えている。これは企業業績を押し下げ、今の株高を正当化しない可能性があります。今は、日本のあふれた投資資金が買ってくれる、との期待だけで上げていますが、現実はそう甘くないでしょう。いくら先延ばしされても、金融機関がいずれバーゼル靴鯑各することになるため、リスク投資をするだけの余裕は、そう多くはありません。結果的に、独国債や北欧の国債を大量に増やすだけでしょう。米英には、格下げリスクがあって安全資産とはいえず、米投資には二の足を踏む。それが、今の日本の機関投資家の判断にならざるを得ない、事情です。

某米系証券系の、TOPIX大量買い、なども話題ですが、これまでも日本株は天井示唆のシグナルが出ても、外国人投資家の大量買いで跳ね除けてきました。ただ、ポートフォリオの見直し、というだけでここまで上げてしまうと、次の買い手にも困る水準に今はきています。業績が4割増、などという夢が現実になるなら別ですが、そうでないなら今の水準は明らかに高すぎです。高値掴みに慎重になる、今の日本の機関投資家にとって、極めて手が出しにくいのです。
後は、外国人投資家がいつまで買うか? 黒田日銀総裁からも、当面新たな材料がでることはなく、買い疲れ感もある中で残り資金は? などがカギなのでしょう。円が一気に対ドル、対ユーロで1円円高にふれましたが、これが外国人投資家の息切れだとすると、5月相場はやや厳しい局面を想定しておいた方がいいのでしょう。すでに溢れていた資金が、さらに溢れさせたとて、今後どれほどリスク投資が増えるか? その辺りを注視しておくべきなのでしょうね。

明日はお休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2013年04月12日

日本に広がる一体主義

TPPの日米事前交渉が、合意に達しました。この中で、安倍氏が「安全保障上の意義」と公式につかい、これが単なる経済連携協定でない、と認めました。しかもこの日米合意、交渉としてみると日本の全面敗北です。日本が重要と考える項目は「センシビリティ」、米国の要求は「最大限」です。7月から本交渉に入るため、米議会に通知してもらう期限が迫っていたため、日本が妥協に、妥協を重ねた結果がこれです。安倍政権の交渉能力の低さが露呈したのでしょう。

牛丼店が値下げを発表すると、政府の目指す方向性と違う、と厳しい意見を耳にします。しかも従業員の賃下げや、アルバイト切り、など発表していない項目まで勝手に懸念を示すものなど、値下げは悪、といった印象操作をメディアが繰り広げています。今、日本で起きていることは『ユナニミスム』と考えます。これは二十世紀初頭の仏文学でおきた一潮流で、意味は『一体主義』です。集団の意志、意識を重視して描写する手法であり、日本では社会全体をある傾向へと扇動し、あたかも集団の意図としてメディアが伝えることを、ユナニミスムとしてよいと考えます。
消費税還元セール禁止法案など、その最たるものです。あくまで小売の判断が重視されねばなりませんし、消費税還元と銘打たなければ価格競争を勝手にやる、意味のないものですが、政治と行政はあくまで『消費税 = 悪』という印象をもって欲しくない。当然、それは二段階で上げるため、8%上げて景気が落ち込めば、念願の10%など困難になります。あくまで財務官僚にとって、都合悪いことを封印するためのものであり、自民がそれに加担する構図となっています。

ユナニミスムは、景気判断にも表れます。日本では景気がいい、輸出が増える、賃金が増える、と盛んに喧伝されますが、IMFの世界経済見通しで、米国が2.0%から1.7%へ引き下げられ、世界全体は3.5%から3.4%成長へと下方修正されました。つまり世界経済には減速が意識されています。この中で、日本が1.2%から1.5%へと上方修正されて支えましたが、この数値も曲者です。実は、0.3%はほとんど大型の景気対策を打ったため、達成済みです。つまり消費の伸びは計算されていない。日本が景気いい、といってみたところで、財務省の違憲を反映しやすいIMFでさえ、今年の景気はそれほど楽観ししていない。むしろ明らかに減速、失速方向なのです。
これを裏付けるのがOPECの需要見通し引き下げです。今年の伸び量を84万バレルから80万バレルへ、日欧の需要の弱さを織り込んだ形ですが、1Qを終えて発表された、ということは今後、さらに引き下げられる公算が高い。今年の世界経済は、思ったほど成長しないことを様々な指標が表しますが、今の日本でこれが正しく伝わりません。海外の需要が変調しているのですから、円安になろうと、輸出が増える状況ではない。しかし円安効果ばかりが盛んに喧伝されます。

消費税 = 正しい、円安 = メリット。こうした意見で、国全体が一体主義に彩られています。黒田バズーカにしても、債券市場では初めて日銀による通告で入札が実施されましたが、売り切れなかった証券系などが投げをうち、今日もサーキットブレーカーがかかりました。こうした混乱は伝わらず、未だに日銀の量的緩和を絶賛する意見ばかりが目立ちます。
そして株高にしても、世界経済の見通しが引き下げられ、日本だけが成長する見通しなのですから、海外投資家がこぞって日本を買う、という形です。しかしこれも前段が抜け落ちているため、正しい情報が伝わりません。今の株高が、新興国や欧州からの資金シフトであれば当然、日本以外の国は減速が鮮明になります。今は、日本の機関投資家が外債などを買う、と楽観しますが、世界経済が減速するなら、買うタイミングでないのは自明であり、これも意味がありません。

一体主義は、スポーツなどの分野で、国威発揚であるなら大いに推奨すべきでしょう。しかし軍事や経済でそれをすれば、後の副作用が大きくなってしまうのです。ユナニミスムはジュール=ロマンが主唱しましたが、日本に広がるロマン主義的、幻想を抱かせるような扇動ばかりでなく、現実を直視しておかないと、夢から醒めたときの失望、落胆が大きくなってしまうのでしょうね。

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2013年04月11日

北朝鮮の動き

北朝鮮のミサイル発射への警戒が続きます。可能性は極めて低いですが、最悪のシナリオについて考えておきます。PAC3の迎撃能力が9割ある、とする意見もありますが、それは軌道がしっかりとして、どこに撃つと目標を定めている場合です。逆に性能が低く、軌道が不安定でどこに落ちるか分からない、といったミサイルは、著しく迎撃能力が低くなってしまいます。つまり今回、北朝鮮はまともなミサイルを撃つ必要がない、これが最悪のシナリオの大前提です。
次に、北朝鮮が落とすべき目標は韓国ではない。ナゼなら韓国は、自国内に落ちたら反撃すると明言しており、全面戦争に発展してしまいます。今は食糧事情からも、戦争は否定できます。問題は、日本です。北朝鮮がロケットの打ち上げ失敗、を主張した場合、これが明確な攻撃とはならず、反撃するか議論が大いに割れるでしょう。むしろ、カウンターで反撃できない分、これが新たな北朝鮮のカードとなる公算が高い。つまり国交のある国同士なら、賠償などの交渉もできますが、北朝鮮があくまで賠償を拒否した場合、日本はジレンマに陥ることになります。

さらに、ミサイルではないと主張するため、核弾頭を初めとした通常炸薬も載せられませんが、相手国に痛撃となる素材が、劣化ウランです。弾頭に劣化ウランを用い、相手に撃ちこむ。劣化ウランは固く、貫通力があるため宇宙にむけて飛ばすロケットにも、実はかなり有用な素材です。しかしそれが落ちたとき、相手国に与える被害は深刻です。北朝鮮がそれを、日本のどこかに落としてしまえ。それが威嚇になる、日米に脅威を与えられる、最悪のシナリオです。
東京を狙ったり、原発を狙ったりすれば、軌道が計算できれば後はタイミングだけの問題で撃ち落とせる可能性が高い。しかし無軌道なミサイルが、どこかに落ちたら、ミサイル迎撃システムの信頼性は失墜。さらに日本は次、いつまた撃たれるか分からない、として恐怖が増す。一部で、緊張感を高めたことで韓国経済に打撃を与えることが目的、という記事もありますが、それなら尚のこと、日本にミサイルを落とし、経済に打撃を与えることも目的に含まれてしまうのです。

恐らく、国論は二分されるでしょう。かといって、応射する能力は現時点で日本にない。ミサイルフリゲート艦などが北朝鮮近海まで出向いて、攻撃することはできても内陸にある軍事施設はムリです。それ以前に、海自が北朝鮮の詳細な地図をもって、今の作戦行動についているとは思えず、反撃するまで時間を要し、それが機会を奪うことになる。国会は紛糾、国防軍構想が俄かにもちあがる一方、迎撃に失敗した安倍政権は退陣の憂き目に遭うと考えます。
北朝鮮も戦争は望んでいない。しかし戦争の一歩手前までを演出することは出来る。これが現時点の、最悪シナリオです。そして日本は、第二次大戦以降初めて本土攻撃をうけて、どう対応するかを今後にむけて考えなければならない。それは将来にむけ、最悪の想定はさらに一段レベルを上げるかもしれないため、です。北朝鮮がしかけているロシアン・ルーレットは一発撃つたび、緊張を増すといった類のものです。一触即発の韓国ではなく、日本を否応なく巻きこんでおく。今回、何が起きるか想定も難しいだけに、心構えをもっておかなくてはいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2013年04月10日

原発の規制基準案について

尖閣諸島周辺の漁業権について、日台が排他的経済水域内で、双方が漁をできることで合意しました。領有権問題を棚上げし、中台の連携を阻止するため、とすると聞こえはいいですが、現場の混乱は避けられないでしょう。まず台湾漁船に偽装する中国船を、どう見破るのか? どうせ一時的なものだから、と根こそぎとる漁法により、漁業資源が枯渇する恐れもあります。いかにも現場を知らない政治家、外務官僚的な発想ですが、漁獲高の調整、漁のやり方などの詰めがこれから行われるのか? 今のままでは、現場の悲鳴が大きくなるだけなのでしょう。

福島第一原発の、汚染水漏れが深刻です。貯水池の失敗は、まさに日本の廃棄物処理の失敗を露呈しています。防水シートや防護シートを張り、ゴミの埋設処分をする自治体は幾つもあります。そして、そこから有害物質が洩れている、と指摘があっても、行政が認めてこなかったことも、各地でおきています。信頼性が低いのに、各地の自治体が認めていないため、その手法を踏襲したため、今回の深刻な汚染水漏れが起きた、そうした経緯がうかがい知れます。
しかも今回、かつての保安院、今の原子力規制委員などが今回の貯水池計画をすすめ、漏水に対しても甘い判断をしていたことが指摘されています。東電も技術者集団でないなら、原規委も技術者とは思えない。少なくとも、周囲をコンクリで固めておけば、そこで漏水は止まったのです。二重、三重防護の考え方とは、一つの手法では対応がとれないとき、まったく別系統の防護体制がとれることを意味します。シートが三重でも、決して安全ではないのです。

そんな原子力規制委が、原発の規制基準案をまとめました。しかしこれはあくまで既設の原発を、どう手直しすれば安全サイドに傾くか、を検討したものです。設けなければいけないのは、全停電になっても原発が安全に停止するシステムです。自重で挿入される制御棒、空冷により沸騰した水の温度を下げる設備、つまり外部にトラブルがおきても、原発そのものが重大事故にまで至らず、自然に停止できるようでなければ、真の意味で安全とはいえないのです。
排気塔に送る管にベントフィルターを設ける、停電用の三系統目の送電システムなど、外部でトラブルがあった際、あくまで人が介在し、重大事故に至るまでのプロセスを遮断する仕組みです。これでは真に安全な施設と呼べない。すべてクローズドに陥っても、停止できなければ二重、三重の防護システムを築いたとはいえない、まったく別系統の防護体制ではないのです。

各原発で起こり得る最大の津波を想定としてみたとて、まだ判明していない津波もあり、最大の想定が正しいかどうかも、議論となるでしょう。では将来的に、最大の想定が引き上げられたら、原発を止めるのか? 最大の津波に耐えられる防護壁が築けなければ、廃炉にするかも、判然としません。第二制御室など、あくまで事故が起こった際の対応であり、事故を起こさないために、どう万全を期すかをこの基準では、あまり盛り込まれていない印象もうけます。
あまり大きく報じられてはいませんが、海中で汚染水を遮断していた防護ネットが破れ、汚染水が漏れ出しています。濃度が低いといいますが、風で煽られて海の中がかき混ぜられたなら、まき上がった泥に沈殿していた放射性物質が、外へ流れたことが確実なのです。東電は問題ない、としますが、これも安全サイドに沿った発表ではありません。大丈夫、や問題ない、とどうして現時点で判断できるのか? 原発に関しては、永遠にそうした問いかけが増えるのでしょうが、今回の規制基準案にしろ、そうした国民の不安に応えられるものにはなっていない、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2013年04月09日

日銀緩和策による市場の混乱

橋下維新の会代表が、安倍首相と会談しました。橋下氏は最近、週刊朝日を相手どって訴訟を起こす方向を示しました。バラエティに出演することを焦り、と書いたことで過去の件を蒸し返す形ですが、政治家の名誉毀損裁判は、あまりいいことがありません。勝っても負けてもベタ記事で終わり。これは政治家 対 メディアという構図を、他のメディアが扱いにくいためです。橋下氏はケンカすることで存在感を示してきましたが、今回は政治家という観点でみれば、非常に分が悪い。さらに腹に据えかねたとしても、今回の記事が焦りを指摘しているだけに、まさにそうした焦り、話題づくりとみられる点もマイナスに働く。いいことがありません。

日銀の金融政策決定会合以降、海外投資家の凄まじい買い、円安誘導や日本株買いを推奨する記事が米国で乱発されるなど、お祭り状態です。ただGROBEXで円安、先物高に仕上げても、東京市場では勢いが続きません。つまり外国人投資家と、国内勢の見方が微妙に異なることが分かります。やっと日銀が、金融機関との意見交換会をもち、混乱する債券市場の調整にのりだします。ただ、意見交換会を定期的に行う、とするので、これが日銀による市場操作との懸念もあり、予断を許しませんが、現在の債券市場は明らかに異次元ではなく、異常な範疇にあります。
新発債の7割を日銀が吸い上げてしまうのですから、日銀が登場した瞬間、市場はシャットダウンします。残念ながら、今の債券市場は大混乱なのです。そして、海外ではやたらと邦銀、日本の機関投資家による外債購入の話がでますが、そんな単純でもありません。日本企業による起債の話もありますが、金利の低いうちに資金を調達しておく、と極めて後ろ向きな理由で、これも機関投資家にとって美味しい話ではありません。運用先に困りますが、かといって投資に適した市場もありません。必然、リスク投資が高まれば、次におきるのは不良債権比率の高まりです。

現在の世界経済、不安は中国です。リーマンショック後にうたれた対策により、投資した資金が2012年に破裂する、とみていましたが、そうなりませんでした。理由は金融機関が借り換えに応じたこと、しかしその債権を簿外に移し、金融機関はみかけ健全性を保っています。その債権は投資家に売買されているらしく、この仕組みはまさに、サブプライムローンです。最終的には投資家が損失を被りますが、簿外に移した金融機関の不良債権がどの程度膨らむかは不明です。
中国が、このシャドーバンキングのシステム崩壊を迎えると、恐らく人民銀行が大量の資金を溢れさせ、日本を越える規模の緩和を打つでしょう。3月CPIも2.1%と、緩和策をうてる水準に下落しました。そしてこの時、金融緩和に対する見方が、急速に悪化する恐れが出てくることを想定しています。今、米FRBを超える緩和策を日銀が打っているので、極めて微妙な立場に、日本はおかれるでしょう。金融機関を救済するため、デフレ脱却のためと事情は異なりますが、今は中央銀行が緩和的なところを買え、が外国人投資家の流れですが、巻きもどすときには注意も必要です。

日銀は2年後の物価目標を2%とおきますが、そのとき長期金利が2%になっているとするなら、日銀は恐らく今までと、これから増やす資産のうち、30兆円以上の損失を抱えるでしょう。長期債の保有を増やせば、それは物価連動の面でみても、リスクが高いのです。そうしたマイナス面を意識されるまでの、ささやかなパーティーに付き合う、といったぐらいの感覚でないと、恐らく将来の急落局面に備える、心構えはできないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年04月08日

砂川事件における最高裁判事の態度

東電の汚染水漏出の問題、色々と根深いものがあります。今回の件を事象、としか表現していなかったこと、3月半ばから水位の低下、貯水槽の外側で線量が確認されたにも関わらず、漏出を公表しなかったこと。さらに漏出したSrの量も、低く見積もっていること。これをみても、東電は技術者集団でないことが分かります。通常なら安全サイド、異常があればまず疑う、Srの量も多めに見積もる、これが技術者です。しかし経営者は、インパクトが少ない方をのぞみ、リスクを低めに見積もる。これをみても、東電が事故対応することへの不安が募るのでしょう。
今はまだ、海洋汚染はないとしますが、地下水に入り込んだ後の挙動は不明です。しかも東電は敷地内に、井戸を掘って建屋に流れこむ地下水を、制限するよう試みていますが、その地下水から汚染水が噴き出したら? つまり水位が下がって建屋からの流出が起これば、それは東電が逆の対策をしていることに、他なりません。増え続ける水は濃縮するしかなく、高レベル廃棄物として、六ヶ所の再処理施設にて中間貯蔵するしか、現状の手はないのかもしれません。

砂川事件における、最高裁判事が判決をだす前、米側と会談をもっていたことを示す文書が、米国で発見されました。内容は公判日程、評議の内容、見通しなどを伝え、米国側は「全員一致で」評議をだすよう提案、少数でも意見が割れると世論が揺れる、とまで指摘したと書かれています。これは非常に示唆的で、これと同じような結果が、つい先ごろも起こりました。
日銀の金融政策決定会合で、全員一致での緩和策を承認した件です。しかも、黒田氏は記者への説明のためのパネルまで準備、日銀が一体となってデフレ脱却をめざす、と示した形です。しかし審議委員のうち、これまで緩和に否定的だった委員もおり、突如として意見を翻した背景に、緩和は米国の意向、といった大義をかざしたと推測されます。日本には司法の独立どころか、米国にも服従しており、剰え経済分野も同じように米政府の承認マターなのでしょう。

最高裁判事の件が、単に戦後混乱期の一事象と考えるには、判例がそれを否定します。陸山会事件で、二人の秘書が上告を断念しましたが、一審は推認、二審は追認、最高裁は米国の承認、では勝てるはずもありません。米国にとって都合の悪い政治家を排除してきた歴史は、最高裁の汚点といってよいものであり、それを今回の文書は『公認』した形となるのでしょう。
米国の投資家などが、盛んに円売り誘導発言をくり返しますが、これは円売りを仕掛けても強固に抵抗してきた、日本の投資家・ミセス・ワタナベを売りに転換させ、更なる儲けを出そうと画策する動きです。しかし日本の投資家に、円を売って海外資産を買え、と指摘している割りに、今の日本株を買っているのは外国人投資家です。すなわち、彼らは国内向けに、逆を指摘しているのです。自分たちが円買いすれば、為替差益がでるから日本株を買え、です。黒田日銀総裁が、如何に米国にとって都合いい判断をしたか、それは将来はっきりするのでしょう。

日本は様々なものが、未だに米国からの敗戦国扱いなのです。例えば安倍首相は憲法改正論者ですが、その前に日米紳士協定や、思いやり予算など、戦後の主権回復を祝う前に見直すべき点は、多々あります。そうした問題を後回しに、憲法改正を先に、という考えは胡散臭いものでしかありません。政治、経済、司法に至るまで、米国のお伺いを立てないと前にすすまない、そんな国のまま憲法を変えるのなら、それこそ改悪にしかならない点は残念なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 政治

2013年04月07日

北朝鮮の動き

先週の木曜日で、安倍政権発足から100日が経過しました。ハネムーン期間、などとも言われますが、こんな短期間でトラブルを起こすような政権は、能力に問題があるということです。ただ日本の場合、蜜月をすぎても、いつも妻に悪口を吹きこむ社宅のお節介なオバサン(官僚)が大人しくしている場合、意外と良好な関係を築きます。ナゼなら官僚の云うことを聞く政権は、まるで部下のように使役できるため、悪い噂を吹聴しないのです。逆に云えば、今の安倍政権はどれほど官僚と良好か、メディアとの夫唱婦随が続く限り、それが計れるということです。

北朝鮮の動向が、俄かに緊張を増してきました。日本では、どうせ攻撃してこない、と楽観ムードもありますが、最近の動きは度を越しています。米韓合同軍事演習で、無人偵察機を投入、それに反発したとの見方もありますが、さらに米国が韓国へ、無人偵察機を売却という話も出ています。こうなると、いきなり爆撃されても、相手が韓国なのか、米国なのか分からない。また平壌上空まで無人爆撃機が接近した、との話もあり、金正恩氏も枕を高くしていられません。瀬戸際なのは米国も同じ、退くに退けないチキンレースを米朝とも行っているのです。
今週にもムスダンを発射する、という情報に、日本は破壊措置命令をだしました。当然、米軍から何らかの情報をえての行動です。今週、早いタイミングで発射がある、米国はそうみているとみて間違いありません。そして米軍は、たとえ中距離弾でもこれを撃ち落とす可能性がある。その場合、北朝鮮は二つの対処が考えられます。無視するか、報復措置をとるか、です。

前者は考え難い。国民は騙せても、軍幹部は騙せません。ミサイル撃墜を放置しては、国内がもちません。後者になると規模が問題です。開城工業団地も閉鎖、在外公館も退避させれば、大義名分はたちます。核はまだ実戦配備も先でしょうが、核と同じ効果をもつ攻撃は、北朝鮮にもできます。それは福島第一原発を通常兵器で攻撃すること、です。そして非公式に、拉致被害者が重要施設にいる、つまり人間の盾をつかっていると吹聴する。これまで、日本を攻撃してもメリットがない、と考えてきましたが、日本を軍事的緊張に巻きこみながら、自国の安全を保つ策が一つあるとすれば、これです。そして日本はその対応に、苦慮することになるのでしょう。
ほぼ悪魔のシナリオで、まずこんなことをすれば、北朝鮮の体制は崩壊するため可能性は低いですが、今の北朝鮮は無人爆撃機への恐怖で、暴発しかねない状況であることはほぼ間違いありません。福島第一原発といわずとも、日本を朝鮮戦争に巻きこむことで、局面転換をはかる可能性はあります。ミサイルを日本の山中に撃ちこみ、失敗と抗弁することも想定せねばなりません。

シナリオとしては、日本はそれでも反撃できず、米軍に頼ることしか今はできないのでしょう。しかし無人爆撃機による攻撃がはじまったら、恐らく何が起こっても不思議ではない。引き金をどちらが引くのが先か? 今回、楽観は禁物であり、北朝鮮の動きに警戒しておかなければいけないことは、確実です。どちらも妥協が、政権維持にとってマイナスであることを警戒し、退くに退けない。この緊張の向かう先に、不測の事態を招く恐れが格段に高い。楽観していると、足元をすくわれるどころか、命綱さえ断たれかねない弱みを日本が抱えているだけに、これまでと比べ物にならないぐらいの警戒をもって、注視しておかなければならないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2013年04月06日

雑感。安倍政権の外交

安倍政権の対米に関する交渉姿勢、というものがはっきりしてきています。まず日本が草案として、入れたい文言を載せた形で提示、それに米側が思惑通りの文言を付け足す。これは日米首脳会談のTPP交渉参加にむけた声明や、ルース駐日大使との嘉手納以南の基地返還計画に、明示的です。これは損する交渉の手法です。先に手の内を開示するため、妥協を強いられます。
そのTPPにおける米との事前交渉が、4月半ばにまとまりそうな気配です。しかし議会への提出はそれから、7月の交渉さえ90日ルールでほぼ間に合いません。ということは、交渉にすらできず、日本は参加することになる。これも、安倍氏がTPPの交渉入りを大々的に、国内向けにしたばかりに、参加できないことが政権運営のキズになる。事前交渉でどれほど屈辱的な、妥協を強いられたかは想像に難くなく、それも安倍氏が前のめり過ぎて、いざとなれば撤退する、という交渉ができないためです。

これは先のモンゴル訪問にも表れます。麻生政権時代の『自由と繁栄の弧』の一環であり、東南アジアから中央アジアへと続く、関係構築を図る狙いです。確かに、資源国としてモンゴルは重要であり、親日国ですから、安定供給が図れるならプラスです。しかしレアアースは、採掘はそれほど難しくなく、また地球に豊富であるものの、環境汚染をどうするか? それが課題です。
中国が安価だったのも、環境を無視しているためであり、同じことをモンゴルですれば、日本が批判の対象になりかねません。資源確保と環境を同時に成立させたいなら、コスト高は避けられず、多角化にはなっても価格の安定につながるか、それは不明です。元々小さな市場なので、逼迫感があると買占めがおきる。そちらへの対策も、同時並行でしない限り、同じ問題を抱えてしまうのでしょう。日本は資源確保に前のめりすぎて、足元をみられる。問題の本質を、調達先の多角化から、市場の安定推移といった方向にも、軸足を移す必要があります。

安倍政権の交渉は損して得とれ、どころか得にみせて損ばかり、といった形です。得にみせる部分は「例外品目」であり、「2022年」であり、損はそれに続く、それとは真逆の文言です。これではその言葉自体に意味を失っているのですが、霞ヶ関文学を見抜けない記者では、到底指摘もできないでしょう。むしろ気づいても、批判できないといった形かもしれません。
安倍氏の先に手の内をさらす手法が、外交関係でウィン・ウィンになるのは、親日という前提が必要です。そして安倍氏は、米国、モンゴル、そして中東などのいわゆる日本と良好な国とだけ、現時点では交渉しているに過ぎません。しかし米国は、安倍政権に冷めた目を向けていますし、中東とてガス価格に関しては、日本の足元をみている。相手が親日といえど、利害が違えば関係は壊れてしまうこともあるのです。今後、不都合が増えてきたとき、安倍政権の外交姿勢が問われる局面も、出てくることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年04月05日

日銀緩和による市場の動きと、米雇用統計

嘉手納基地以南の施設返還計画、『2022年度またはその後』と、極めて曖昧な表現になりました。明らかに米軍は、再編計画に基づいて…と主張したのであり、辺野古移設ありきであることは自明です。逆にいえば、日本政府が沖縄との調整に滞ったり、何らかの不特定要因によって計画が遅れたら、それは日本政府の責任、と米政府も逃げを打ったのです。当然、米国とて議会マターの案件ですし、日本がいくら年限を決めると主張しても、どうしようもありません。

今日の日本市場は大荒れでした。朝方、SQかと見まがうばかりに商いが膨れ、13000円台を回復。異常だったのは先物が13200円程度をつけても、現物が追いつかない状況です。さらに、債券市場ではサーキットブレーカーが働くなど、すでに日銀依存を強めた市場が壊れる様、その萌芽を見せつけました。債券を際限なく買っていた層が、日銀のオーダーがないと知ると、一転売りに回った。しかも長期債へのオーダーが増える一方、短期債に関する日銀のスタンスが不明であり、オーダーなしに慌てふためいた。市場の混乱ぶりが、こんなところに露呈しました。
後場はそんな債券市場の混乱、週末要因、米雇用統計を控えて一手売りになりました。これだけ長い上ヒゲをつけると、短期的には天井要因です。日銀は逐次投入しないのですから、今後は効果の検証だけで、新たな対策もでてきません。そして短観をみる限り、企業業績から導かれる日経平均の標準は、10000円台後半がいいところですから、5月の業績発表をみるまでは様子見も強まります。日銀のバブル宣言ですが、PERを大きく超えるには成長の果実も必要です。まず5月の企業による今期の業績予想、そして6月の成長戦略まで、上昇も一服となるでしょう。

そんな米3月雇用統計は、88000人増と10万人にも届きませんでした。歳出の強制削減の影響、ともされますが、ガソリン高もじわり利いています。在庫が高水準で、昨日は大きくWTIも下落しましたが、家計の支出が増えてもガソリンに消え、実際の消費が鈍化している傾向が、雇用統計からも見てとれます。米不動産市場は回復傾向、と報じられますが、住宅建設の見通し悪化を裏付けるように、建設も雇用を増やさない、と今回の結果をみても示されています。
金市場の急落なども、日銀がバブル宣言をした割に、昨晩は鈍い動きでした。海外市場に資金が流れ…と指摘しましたが、海外の金融機関は喧伝するほど、日本の金融機関がバブルを起こすことに、期待していないのかもしれません。バブルに浮かれる層は、二種類あります。バブルを知らない世代と、バブルで恩恵をうけた人たちです。しかし日本の金融機関はこの逆、バブルで痛い目をみた世代が経営陣に多い。安易な投資行動には期待薄と考えているかもしれません。

しかし先に示したように、日銀の異次元緩和により起こる、崩落の兆しも見えました。債券市場では7割のビッグプレイヤーとなれば、日銀が出口を示した途端、債券価格は急落することを示したのです。さらに、そのときのため、ポジションを落とさざるを得なくなる金融機関、保険などの機関投資家も出てくるかもしれない。一時的に評価益をえても、将来の評価損を考えれば、持分を増やしすぎるわけにはいかない。2年後、何が起こるかは予断を許しません。
先にも示したように、株価は一旦天井をつけるとみています。13000円台の板の薄さは、すでに売りも買いも、手探りに陥っていることを示します。円も先安はあるものの、米景気が鈍化する中で、ドルを買い進むことに二の足も踏みます。すでに実体より、需給が重要なのですが、それでも米景気を無視することは難しく、FRBの緩和姿勢強化の流れがでてくるかもしれず、今後の展開は政策次第といったところです。個人的に、今日は疲れる一日でしたが、日銀が2年とした期限も『…またはその後』と続くようなら、今度は逆の動きで疲れさせられることになるのが、心配ですね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年04月04日

日銀の金融政策決定会合について

日銀の金融政策決定会合で、黒田総裁による量的緩和策が明らかになりました。一言でいうと、白川総裁時代の規模を拡大し、金利目標からマネタリーベースに変えることで、分かり易さを狙った、というもの。毎月、日銀と基金から3.8兆円分、買い上げていた国債を約7兆円とし、12年度末には138兆円だったマネタリーベースを、14年度末には270兆円とする。当座預金も47兆円だったものを、175兆円に拡大する。こうすることで、日銀のバランスシートは158兆円から、290兆円に拡大します。また、ETFを年間1兆円、J-REITを年間300億円まで購入します。

規模は異次元ですが、内容は同じです。ただ、例えば財務省発行の国債は、月次で10兆円なので、日銀がその7割を購入する形です。またETFの市場は4.4兆円分しかないので、日銀がその内4分の1も購入します。これが市場形成に、大きなインパクトをもたらすことは間違いありません。事実、長期金利は一時0.425%をつけるなど、いくら買っても日銀が吸い上げてくれるため、ほぼ一手買いの症状になりました。3年債まで、という箍を外したために少しでも金利の高い、年限の長い国債に買いが集中したのです。さらにETF、REIT市場も好感しました。
ただし、これは出口戦略を極めて難しくしました。まず年限の長い国債を、日銀がもてば売却できない恐れがあります。さらに、これだけ市場を席巻し、メインプレイヤーとなれば、日銀が出口戦略に舵をきっただけで、需給が悪化して売り圧力が強まる。つまり2年と年限をつけましたが、逆にいえば2年後の急失速を喚起させます。そうでなく、続けるのなら泥沼です。ただでなくとも、物価上昇率で2%が達成できないとき、新たな戦略を講じなければなりませんが、戦略の逐次投入はしない、と述べるなど、打ち止め感が強まることにも警戒が必要です。

外債購入、付利など、黒田氏も持論は封印しており、まだ緩和策はあると云いたいのでしょう。しかし日銀券ルールを外し、またGDPの半分を占める巨大な中央銀行が、今以上に資産規模を膨らませば、財政ファイナンスどころではありません。自らがこの緩和策を止めるときに相場を急落させ、自動的に損失を被る、破綻プログラムを組みこんだ、ということになります。政府と日銀が一体化し、つぶれるときは同時、そんな時限爆弾が今日、発表されたのです。
それでも、市場はしばらく好感するかもしれません。なぜなら、金融機関が7兆円もの資金を渡され、使途に困った場合、バブルを起こさざるを得ないためです。日本のGDPは月に均すと40兆円、とても7兆円を消化できませんから、当然そのマネーは海外に流れる。どこかでバブルを起こし、それが潰れるまでは楽観が可能となります。これは政府と日銀が一体化どころか、世界経済をバブルで繋いで、一蓮托生で終わりを迎える、レクイエムの鐘を鳴らしたのかもしれません。

今日の日経平均の爆騰は、欧州CTAスジのイベントドリブン、久々のビッグプレイだったことが分かっています。しかしここは長めにポジションをつくらないため、週末を控えた動きには警戒も必要です。今回、日銀の緩和策に対して市場予想が3〜6兆円だったため、7兆円という規模は、一見すると大きいですが、異次元というわけではありません。むしろ次元は同じで、もう一つマネタリーベースというベクトルを追加した、という印象が強いものです。
これから財政ファイナンス懸念について、米国ではマネタリーベースの拡大による物価への影響はない、と指摘されていることについて、黒田氏には説明責任があります。今後、日銀による口先介入が増えるという点において、口八丁でなければなりません。八丁とは、八艇艪という小船が小回りがきき、早かったことから狡賢いイメージをもたれ、八丁という言葉が残りました。ただし日銀が、この八艇艪ではなく、ただの泥舟と知れたら、沈没を見限られるのは早い、と思ってまず間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年04月03日

アップルが中国に謝罪

米Appleが、中国で故障への対応が傲慢と批判され、謝罪する件がありました。Appleは従来から謝罪はしない、やるなら裁判で、といった対応が社風とさえされましたが、今回は異例です。中国での売上げが10%を超え、無視できないから…とも語られますが、事情はもっと複雑です。
ナゼか今回、『サイバー攻撃批判への報復』という見方ばかりが報じられますが、米国で今、起きていることはかなり事情が複雑です。米国は中国製の部品、ソフトに至るまで政府調達品から除外するよう、法整備を整える方向で動いています。つまり中国企業は、米国の官製部門に関する大きな市場を、失いつつあるのです。そんな中、中国で大きなシェアを米ハイテク企業に占められると、甚だ癪にさわる。その象徴的なものとしてAppleが狙い撃ちされました。そうした、いわば国家間対立に巻きこまれ、Appleとしても異例の謝罪をしたのです。

しかし米国とて、米自動車産業がサブプライムショック後、一気に業績を悪化させたときにはトヨタ叩きをしました。公聴会にトヨタ社長まで呼びだした挙句、調査結果はシロ、無罪放免になった経緯があります。しかしその間、トヨタは米国でのシェアを落とし、破綻したGMなどは復活、今では黒字をだすほどになっています。つまり、こうした動きは隠れた保護主義であり、むしろ中国は米国がトヨタにつかった手法を真似た、といった面が否めません。
恐らく、今回の動きを『サイバー攻撃批判への報復』と報じるのは、通商関係における保護主義、といった面を隠す意図もあるのではないか? つまり、日本企業とて、米政府調達品に採用されるよう、中国製部品を手控えざるを得なくなります。サイバー攻撃だけであれば、それは中国が悪者ですみますが、米国とて中国企業排除の流れをとっている。この隠れた保護主義は、どちらも多くの問題を含みますが、媚米、親米のメディアは米国を批判したくない。また保護主義が存在するなどと報じると、自由貿易を推進する米国、という印象も壊しかねません。

しかし、完全なる自由貿易、などというものはありません。関税撤廃をしようと、ルールを統一しようと、こうした相手国の企業を叩けば、シェアを落とすことが可能であり、自国を守りたいなら、国家として捏造してでも扇動する。米中は、政府とメディアの関係が似たり寄ったりなので、こうした乱打戦に陥るということです。そして、どちらの国においても他国の企業が活動する場合、否応なく謂れなき批判に晒されることを、覚悟する必要もあるのです。
ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』には、プロテスタントの禁欲的性質が、まったく意図せざる結果として富を増し、経済を活発にすると指摘します。しかしプロテスタントが多い、今の米国にこの『禁欲的性質』は少ないと云えます。むしろ投資とそれによるリターンで、経済を成長させています。そして、プロテスタントとはまったく関係ない、性質としては正反対であるはずの中国も、同様に投資とリターンを嘱望する社会です。

同時期のゾンバルトは「王侯や大市民の消費欲や戦争が、資本主義を発展させた」と述べます。どちらかと云えば、今の米中両国にはこちらの意見の方が近い、とも言えるでしょう。その両国が、産業面では自国を有利に導くよう批判をくり広げ、我欲によって通商交渉をしようと模索している。Appleという一企業のみならず、これは全世界的な傾向として、企業が抱えるリスクとして捉えておく方が、方向性としては正しいといえるのでしょうね。

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2013年04月02日

失業なき労働移転?

今日の日経平均は大荒れでした。欧州CTAスジがぶん回した、ということは分かっていますが、そのCTAスジは最終的に買い、で終えています。慌てて売ったのは、むしろ国内勢でした。昨日の日銀短観を信じるなら、11000円台前半でも割高で、25日移動平均線を割り込んで慌てたか。いずれにしろ円安効果、安倍ノミクス効果にも、運用側としても見直しが必要になっています。

昨日、国民栄誉賞を送ることが発表され、長嶋氏と松井氏のダブル受賞となりました。しかし相変わらずこの賞は、政権の思惑で決められており、しかも今回は支持率回復ではなく、消費税増税を達成するためのものです。来年増税するには、4-6月期の経済状況が重要ですが、ムードをあげるための出汁なのです。先に、イチロー選手に断られたため、ダブル受賞として断り難くした。松井氏はまだ若く、これから監督、コーチなどの道にすすむには明らかに足枷になる賞です。そう考えると、選ぶ側は栄誉どころか栄耀(驕り昂ぶる)を示す賞といえます。
そんな安倍政権は「失業なき労働移転」という文言で、解雇の金銭解決をみとめる方向を示しました。成長産業へ人材を移す、というと聞こえはいいですが、そもそも成長産業と誰が決めるのか? 会社を移りたい人は自らそう判断するのであり、企業経営者が決めるものではありません。特に、事後なら労使間で話し合えばいい、ということでは現実的には強制的な解雇に陥ります。なぜなら経営側が圧倒的に権限が強い現状で、話し合いが成立するはずもありません。

企業重視型の竹中路線なら必ず起こる話ですが、安倍政権でも日本の国力衰退にむけ、時限装置を埋めこむようです。さらに経済再生本部で、企業が不採算部門を切り離す際の損益を通算し、減税できるよう制度を整備する方針も示しています。悪い話をすれば、企業が解雇したい人材をスピンオフする企業に押しつけ、計画倒産するといった事態も今後は想定されます。
経営者は、解雇しやすくなればこれほど有利なことはありません。そして「失業なき…」が、職安に任せるというのなら、尚更です。もし必要なら、企業が人材を派遣できるよう一部約款を見直し、雇用はそのままで企業間で人を融通すればよいのです。そうすれば人事考課が、直接企業間で共有される形となり、有能か、無能かを直接判断できるようになるでしょう。そしてお試し期間をつくることで、労働者の側が移籍するか、残るか判断できます。それこそまさに「失業なき労働移転」であり、待遇、社風などの悪い企業からは人材が去っていく。真にブラック企業が、人材の流動から判断できるようになります。国はそうした法整備だけすればよいのです。

少しキケロの言葉にふれておきます。『我々は暴君とは相容れない。むしろ決定的に違っているから、彼から財産を奪うことは決して自然に反しない。彼を殺害し…人間社会から追放することは栄誉ある行為だ』とあります。ローマの政治、哲学者だった彼は、とてもモラルを重視し、それを破る暴君のような存在を排除しても、それはまったく問題ないとさえ述べます。
そしてそれに続く言葉に『もはや血が通わず、生命の痕跡すらなく、他の部分に害を為すなら切り捨ててもよい』とさえ述べます。これは暴君に向けて、であり、決して患部として労働者などの弱者をさした言葉ではありません。企業には役に立たない従業員がいることも確かです。しかし、それはやる気をだすよう導けない側が問題なのか、ださない側が問題なのかは、また議論もあるところです。それを一義的に切り捨てる、切り捨てやすくする、という暴論にもちこもうとする側が、暴君と指摘される部類の人間なのです。安倍政権は、企業を遇して経済成長、という路線がはっきりしてきましたので、成長戦略にも期待薄、となってしまうのでしょうね。

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2013年04月01日

3月日銀短観について

オセロ中島氏の問題が、極めて奇妙な形になっています。脳機能学者が「チームを組んで治療した」と話があったようですが、だとすれば共同会見を開くか、チーム? 医師団? として何らかの表明があって然るべきです。洗脳がない、と診断したなら、チームとして会見を開くか、きちんと連名で報告をだし、それに基づいて復帰スケジュールを組むのが自然です。しかし中島氏の話からすると、脳機能学者の個人的主観、といった印象しかうけず、チームが機能したとも思えません。今はまだ明らかに洗脳状態とみえますので、医師団なりの判断がどういう経緯だったか、それを具体的に説明しなければ、出演をさせてはいけないのです。

3月日銀短観が発表されました。大企業製造業は-8(4pt改善)、非製造業は+6(2pt改善)、中小企業製造業は-19(1pt悪化)、非製造業は-8(3pt改善)でした。大企業では自動車、石油、石炭、木材などの素材関連の改善が大きく、これは意外な結果です。ただ石油など、一部円高の頃に輸入した在庫が寄与した公算が強く、今後も継続できるかは疑問です。鉄鋼などは大幅な悪化であり、契約形態の違いもありますが、円安デメリットをうける業種には注意が必要です。
その傾向は中小企業に顕著です。18業種中、改善は5。しかも自動車が0となった以外、ほぼ大企業とシーソーのような関係であり、大企業との契約上、メリット、デメリットが正反対で出てしまった。それは今後、傾きを変えることになるかもしれません。そして多くが悪化を示すのも、円滑化法の行方などに神経を尖らし、抱えた手形の心配も含むのかもしれません。そして大企業製造業の先行きDIが-1(7pt改善)と、大幅な改善を示しますが、これもシーソーです。自動車は12pt悪化、鉄鋼は25pt改善です。これは為替に対する契約の有り様が、業種ごとの結果に反映された、とみて間違いありません。上期は85円との予想で強気にみる向きもありますが、この為替予約など、業種ごとの為替への対応ごとに影響を考えた方がよい、ということでしょう。

東京市場は、新年度いきなり大幅下落に見舞われました。初めに利益確定し、余裕をもちたいファンドマネージャーが…と説明をする向きもありますが、以前も指摘したように某米系証券が、高値の予想をはるときは、大抵が基調転換を前にすることが多く、事実外国人投資家が19週ぶりに売り越し、との情報をえていたため、売り急いだ面も大きいのでしょう。そうなると日銀政策決定会合で、失望売りが嵩む、その前にポジションを整理して次の動きに備えたい、という思惑の方が強かった。この水準から買い上げるのは、外国人投資家しかおらず、年度末のポジション調整で買った層も売り急いだ。売りが売りを呼ぶ展開だった、ということです。
今回の短観、注目していたのが今年度の企業の収益、経常の計画です。実は、2012年度の計画と実績は、収益は軒並み未達、経常は素材が大幅な未達、加工は上昇といった形であり、これが2013年度はすべて大幅改善を見込んでいる。大体、2月末頃のものなので、欧州不安もなかった最も堅調なときとはいえ、大企業製造業は経常が2桁増を見込みます。しかし2012年度も同様、売上げが未達で経常が高いのは、賃金などの固定費をより抑えた、とも云えるわけです

実は、2013年度も売上げの伸びはそれほど大きく計画していません。しかし経常は高い。これも、産業競争力会議などの解雇促進法、非正規の拡大といった方向性を、企業が好感している面もある、とみられます。逆にいえば、計画通りの業績が達成される可能性は低い、と云えるのでしょう。日本の企業は、以前から期初の計画は慎重、と云われましたが、短観からはむしろ強気です。しかしそこから垣間見える実情は、労働者にとって芳しくない方向性をもつ、ということには注意が必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |