2013年05月

2013年05月31日

雑感、アップル製品の値上げと消費者物価

Appleがアップストアで一斉に値上げしました。20%近い値上げになるなど、非常に上がった印象ですが、この間の為替の変動幅とほぼ同じなので、為替予約が切れ、日本への輸出品の原価がそれだけ上がったということになります。これをみてパソコン製造メーカーなども、安心して値上げできそうですが、今はパソコン需要減退の真っ只中です。Appleのブランド力でさえ、影響はでるはずですが、日本メーカーが追随するには相当ハードルも高いと云えるのでしょう。
今日発表された5月消費者物価指数(コアCPI)で、東京都分がプラス転換し、6月の全国分もプラスとなる予想があります。つまりデフレ脱却の兆しです。大幅に値上げされた電気料金が主な要因ですが、その他でも価格転嫁の動きがみられます。安倍ノミクスの目的であるインフレ予想の上昇、が早くも達成された形ですが、これが経済全体に好影響であるかはまだ不明です。

例えばパソコンは今後、Retina化と呼ばれる高精細化、新CPUの搭載、新たなWi-Fi規格の搭載など、新機能が目白押しです。今焦って買うとすぐ古いモデルになりそうです。テレビも4Kが持て囃されますが、すぐに8K規格のロードマップがあり、かつHDMI端子はまだ4Kにすら対応していません。この1、2年で焦って買う必要がない。白物家電も壊れそうなら値上がり前に買う、という選択はあれど、先のエコポイントで買い替えていれば、まだ故障の心配もないでしょう。つまり消費者の側から需要を喚起する要因は、まったく見当たらないのが現状です。
昨日、経団連が大手企業の夏のボーナスが、平均で前年比7.37%増と発表しています。しかし自動車業界が14.15%と突出しており、13業種中5業種は減と、優勝劣敗が鮮明です。さらに大企業は円安効果を満喫する中、中小企業には価格転嫁しないよう働きかける動きも散見され、日本全体に影響が波及するかは不透明です。今回の消費者物価のプラス転換は、あくまで生産者側の事情によるコストプッシュ型で、インフレ予想が高まったとしても、購買意欲に結びつく保証は今のところありません。何より電気料金、復興増税などの負担が重いのですから尚更です。

しかも海外からは、TPPに為替操作の項目を入れるよう、提言があるなど、明らかに日本叩きと見られる動きも出てきている。株買いのヘッジで入れていた円売りを、海外投資家が吐き出す動きも出てきており、1ドル100円割れも視野に入ります。円安の賞味期限は短く、今回でも分かった自動車産業の為替変動リスクの高さは、次に円高に向かうときにはマイナス要素も強くなりそうです。
今年度はプラス成長を維持できそうな日本ですが、かといって少子高齢化など、経済全体のパイは今後も縮小を示唆しています。そんな中で、生産が活発になって労働者を潤し、インフレ予想の高まりが、リフレ派の述べるように消費に影響を与えるのか? 今後の経済をみていく上でカギになるのでしょう。4月の小売売上げなど指標の鈍化が、5月にも継続しているようだと、それは値上げの影響による消費減退ともうけとれます。

奇しくもAppleが値上げしたことで、さらに消費者物価の高まりを意識させられます。今後の景気動向をみる上で、消費がどう推移するか? 安倍ノミクスの正念場であり、悪化が見込まれるなら、安倍ノミクスを改変する必要もでてくる。そのとき、市場がどううけとめるか、来週の成長戦略とともに、こうした動向に注意しておく必要があるのでしょうね。

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2013年05月30日

日印首脳会談と原子力行政

今日の東京市場も急落でした。先物主導ともされますが、実は今日の大口売りは日系で、売り崩したというより水準ブレイクに伴う、踏み相場だったとみられます。買いの持分を処分したのであり、ここまで先物主導で上げてきたことの、反動の動きです。外国人投資家は先週、小幅に売りこしていますが、今週は踏まされて投げを打つ局面が多い。大量に株先買/債先売を仕掛けていた層が巻きもどしており、この辺りの失敗組が、今後どう動くかがカギなのでしょう。

政府がまとめる成長戦略などの骨太の方針、その骨子案が示されましたが、内外から大きな批判を浴びています。中身は歴代の政権の焼き直し、太く見えても骨粗しょう症ですかすか、というのが誰の目からみても明らかです。これが市場にも暗い影をおとし、金融政策頼みとの懸念を与えています。そんな中、日印首脳会談でもトップセールスとして、安倍氏の売り込みに期待をかける向きがありますが、原発輸出など核拡散防止条約(NPT)にも加盟していない国に、二国間の合意だけで原発を輸出するとなれば、核保有に歯止めが利かなくなる恐れを強くします。
安倍氏は「世界一安全」と述べますが、加速器実験施設(J-PARC)で起きた事故は、原子力の限界を示しています。ただしこれは特別ではなく、検討されている原発の新基準においても、屋外へ放出するためのベント設置を義務付けるなど、いざとなれば放射性物質を環境に放出する、というのが基本路線です。つまりJ-PARCは、原子力行政的には『環境に放出したこと』ではなく、『放出しながら運転したこと』が問題であり、逆に汚染拡大は罪でないことになっています。世界一安全なはずの原子力行政が、この国では周辺の汚染を是とすることになるのです。

福島第一原発での汚染水問題では、遮蔽をつくって地下水の流入を防ぐ、とします。しかし地下水の水位と、建屋内の水位が合っているため抜くから流入する、そう考えると、周りに壁をつくれば今後は浸透圧の関係で、周辺の土壌へ染み出していく恐れがあります。しかもそれだけの流入があり、汚染濃度が変わらないなら、相当量の核物質が水に溶け出しているとみて間違いなく、この辺りも放射性物質の環境への放出を、むしろ容認している部分が垣間見えてしまいます。
世界一安全な国の原発は、周辺の環境を汚染しても「人体に影響ないレベル」としか述べない、評価に値しないほどの安全基準が低い国でもあります。特にインドは地震、サイクロン、テロが起きる国です。いざとなれば環境に放出してもいい、という考えが、どこまで許容されるか? それ次第では、日本製品の性能全体に、大きな懸念が生じる可能性は否めないのでしょう。

トップセールスだからこそ、それは日本全体の評価へと転嫁される。インドの諺を借りれば「1つのウソを証するため70のウソをつく」です。言葉とおり、一度「安全」と云ったからには、その信用がゆらいだとき、ずっとうそをつき続けなければならなくなります。もう一つ、インドのことわざに「神の杖に音なし」というものがあります。天罰は何の前触れもなくやってくる、という意味です。安全という定義が揺らぐ日本が、他人に「安全です」などと云える立場かどうかを、もう少し考えて発言しないと、そのうち音もなく天罰に見舞われることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 原子力

2013年05月29日

甘利経済再生担当相の乱気流発言

財務省の巻き返し、とみられる財政再建路線が政権内でも語られるようになり、方向性が見え難くなった安倍ノミクス3本の矢。昨日は甘利経再担当相が「当機はまもなく乱気流を抜ける」と語りました。言葉を変えると「投機はいつも乱高下を好む」のであり、高速取引で儲けられる間は、今の相場つきを望むはずです。さらに飛行機は、最高高度にある間は乱気流に巻き込まれることはなく、着陸前の高度を下げたとき、乱気流に遭うことが多いものです。今から機首を下げ、着陸態勢に入っていくなら、それは相場が下がるという宣言にもうけとれます。

昨晩、米長期金利が2.1%をつけ、日本の債券市場も懸念されましたが、拍子抜けするほど安泰でした。日銀が月8営業日程度の買い入れ、としていたものを10営業日とし、市場安定を期待した動きかもしれません。しかし国債の入札日に、日銀が買い入れすれば、それこそ財政ファイナンスの懸念を生じます。今のところ、好感する意見も多いですが、一度不信感を増すと沈静化には苦労しそうです。そんな中、アジア各国では債券安となり、資金の逆回転が懸念されています。
それを引き起こしたのが、米住宅価格が10%超もの急騰となり、高いところでは前年同月比で20%を超える地域まであります。投機資金の流入が主要因であり、金融政策を引き締めざるを得ない状況に陥り、これが世界市場を震撼させています。つまり世界全体で、投機マネーが縮退している、これが日本を始めとした変調の原因で、東京市場にはこの流れが直撃しているのです。

そんな中、国交省が発表した地価動向報告でも、商業地、住宅地とも上昇が半数を超えています。実は、米国と動向は似ていて、投資資金の流入による一括買い上げ、それを賃貸に回す形での取引が多い。それが市場を押し上げている側面が否めません。決して個人の買いが入って、価格が上昇したわけではない。これが今の、世界の状況です。逆にいえばあらゆる市場が空中戦、今後の乱高下を予感させる値動きをしている、ということになるのです。
甘利氏は何の推計もなく、勝手に「まもなく抜ける」との観測気球をあげました。しかし板はまだ薄く、23日以降、特に変化もありません。よく水準感が重視されますが、13000円台前半ぐらいになると、押し目も強く、板も厚くなるとみますが、今はまだその段階にありません。米FRBの緩和解除により、どういった影響が生じるか、その影響を把握しない限り、最適な水準というのが見えない。だから今、市場は落ち着きどころを失い、乱高下する形になっているのです。

インドネシア中銀が債券市場に介入しましたが、日銀も債券市場の急落をみると、買いを入れるパターンがこのところ増えています。投機マネーが資金をひくと、代わって中銀が資金を供給する、という歪な状況が世界で行われています。そうやって米FRBに代わる分の資金供給が為されたとき、やっと市場が落ち着くのかもしれません。その前に、痛みにより負の連鎖に陥らなければ、という前提においては、今もっともあり得るシナリオがこういった形なのです。
甘利氏はパイロットでも、乗務員でも、ましてや管制官でもありません。彼が乗っているのは『調子』であり、「年度末に13000円」などと述べ、それが『甘利越え』なる言葉を生んで市場参加者から評価されたことから、口先介入を強めているに過ぎません。市場をコントロールすることは、日銀でさえ不可能。何の運転する術ももたない部外者が、勝手な観測を語ったところで、今の市場をさらに混乱させるだけに過ぎず、投機により嵐に導かれるだけなのでしょうね。

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2013年05月28日

自民党憲法改正草案について 第三章

今日も東京市場は乱高下しました。後場の上げに関しては、一部国債の入札が低調だったことで、債先売/株先買を入れたことも影響しています。これが楽観に基づくリスクオンでないことは一目瞭然です。ここにきて、財政再建を第4の矢とするよう、民間議員から提案があった点もマイナスでしょう。今年度は大型補正で成長に寄与しても、歳出削減になれば景気には悪影響です。結局、安倍政権の矢はどこに向かって飛んでいるのか、さっぱり分からなくなりそうです。

自民党の憲法改正草案、第三章についてみてみます。その十二条、国民の責務の中で『公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ』という文言を、『自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない』と変える方針です。『公共の福祉』は、読みかえれば『社会全般の幸福』となり、価値は曖昧ながら一つの目的として機能します。
一方、自民案の『公益』は『社会全般の利益』ということとなり、これでは様々なことが憲法で規制されてしまう。これは『公の秩序』も同じ、デモや国の施策に反対する行為は、すべて利益に反する、秩序を乱すとして規制できることを、憲法が規定することになるのです。利益とは、最も大きい集団を利する行為であって、少数の声を消せる、ということです。つまり『社会全般』としながら、その母体の大きい側が得した方がその言葉に適う、ということなのです。

十四条の3では、栄典の授与に関して『特権を伴わない』としていたものを、あえて外します。将来的には、特権を付与する気かもしれない。国防軍と重ねるなら、軍功を称えて特権、ということかもしれません。さらに二十条、信教の自由では宗教団体が『政治上の権利を行使してはならない』の文を外した。これでは宗教活動と政治活動を一体で行っていい、公明に配慮しつつ、自身も立正佼成会、遺族会などの支援をうけたい、といった意図とも読みとれてしまいます。
二十一条の表現の自由でも、『公益及び公の秩序』で縛ろうとします。その一方、二十一条の二を新設し、『国は国政上の行為を国民に説明する義務を負う』とする。奇妙な話、その説明が正しいかどうか、それは規定しておらず、公益及び公の秩序のためなら、うその説明でも義務は果たした、と言い逃れできるのです。これは説明不足でも同様、別に咎められることはありません。国民の知る権利は、『公益及び公の秩序』によって阻害される一方、国の発信はゆるゆるです。

残念ながら、自民の憲法改正案は『政治に甘く、国民に厳しい』内容です。世界では、多くの国で宗教が政治を邪魔することもありますが、それすら規制しない。そもそも二十条で、宗教団体に『特権を与えてはならない』と規定しながら、税法上の優遇は同じ法人格と比べても、個人と比べても『特権』でしかありません。それが政治介入も可能、国を動かすことさえ、この改正案ではできてしまう。その不釣合いな価値観が、最大の問題をはらむとさえ言いえてしまいます。
自民の国家主義は、個人を抑圧しても尚、団体、組織などのより大きな規模の利益を優先してこそ、その価値を見出すということかもしれません。自民の改憲にむけた思想は、極めて歪んだ形で顕在化しており、この憲法改正案に従うなら、国民はより生きにくい憲法を受け入れざるをえない、ということになってしまうのでしょうね。

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2013年05月27日

企業への課税強化と株価

東京市場は今日も大きく下落しました。買い支え、とも指摘されますが、外国人投資家がほとんど休みの中で、売りに押されたことは相場の見方をさらに悪くします。安倍ノミクスへの期待は変わってない、と指摘する人もいますが、明らかに変わりました。期待から真贋の見極めへ。そのステージの中で、居心地のいい水準を探す作業が、これから始まります。まだ板が薄く、誰もこの水準で納まるとは思っていない。ただ、スピード調整が必要であり、14000円を一気に下抜くだけの力は、まだない。底堅い、という評価はまだ懐疑的に見ておいた方がよいのでしょう。

衆院では資産報告が公表されました。株価上昇も一部では寄与していますが、そんな中で各社の世論調査がでています。内閣支持率は6〜8%の下落、これが23日の急落の影響なら、恐らく今後も下落すると考えられます。それは市場が下落するためではない、安倍ノミクスへの懐疑的な見方が増えるためです。期待とは、言葉を変えれば信用です。信用は一度傷つくと再生が難しい。支持をしなくなった8%が、また支持することはなく、一度下落をはじめると負の連鎖を起こすのが、信用という問題です。菅官房長官は「調整」だとしますが、実はその調整がなかったからこそ、ここまで高い支持を得ていたのであり、調整局面入りしただけで信用は傷つくのです。
G8では課税逃れのための、国際ルール策定について、議論されます。Apple、Googleなどの米企業が、租税回避地に拠点をおくことで、課税逃れすることを問題視します。しかしこの流れは、一つには市場に痛撃です。株価は企業業績が主に、価値の基準として用いられます。つまり課税対象が増えるだけで、業績悪化要因となり、株価を通してみる企業の価値は低下する。この流れの背後には、税収に苦しむ先進国、という以上に、株価などの企業価値を通じた本国への貢献が、実体経済へ波及しないことへのイラだちが含まれていることを、見逃してはいけません。

日本より、個人の運用が多い米国でさえ、投資に影響がでても税収を優先する。国家財政が苦しいのと同時に、それは富裕層への圧力であり、格差問題への対応の一つでもあるのです。そして米企業、としての地位を最大に利用しながら、本国の雇用への寄与度が低い企業へ、懲罰を与えることで国民の溜飲を下げさせる。世界の流れは、企業重視から国家主義的な側面を強めているのです。
日本だけがその流れに反する、ということはありません。円安も海外生産、売上げ比率が上がった中で、本国に還流しなければ日本の成長には寄与しない。ただ企業が儲かっただけ、という話です。世論調査でも、まだ安倍ノミクスへ期待、という人も多いですが、実は株高、円安でもそれに見合った制度、体系になっていないのであり、国民への恩恵はほとんどないのが実態です。

株高により儲かる議員がいる。もつ者と、もたざる者との差が、こんなところでも意識される。もたざる者へ、どう波及させるかは世界的な検討課題であり、国外における企業活動への課税は、その一つともなり得るものです。日本がそれに出遅れないようにすれば、それもまた株価下落につながる。今後、世界的な潮流が企業叩きになるのか? その場合の株価は? ここからが真の意味で正念場、ということになってくるのでしょうね。

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2013年05月26日

安倍首相のミャンマー訪問

橋下維新共同代表が、慰安婦に関する見解を発表しています。端的には誤報、また真意が伝わらずにうけた誤解、という釈明の会見です。ただ、橋下氏は明らかに喋り過ぎで、尚且つメディアに責任転嫁し過ぎです。メディアはこれまでも発言の一部を抜き取り、不都合な政治家を舌禍として攻撃してきました。それは橋下氏も知っているはずですし、分かって戦略を練らなければなりません。小泉元首相がワンフレーズといわれたのも、そうしたメディアの特性、見出しとなる言葉をうまく使った、という面があります。橋下氏は一つのことを説明するのに、二つも三つも重ねてくる。その一つが、米軍への風俗活用発言だったと記憶します。記者は目立つところを記事にする、結局こうした喋り過ぎを改めない限り、また同じ問題をくり返すこととなります。
橋下氏がメディアを利用したいのか、敵対したいのか、で言えば前者でしょう。だとすれば、記者が記事にしたいような発言を意識する、それで党代表は務まるのです。この辺りは他の野党も同じ、メディアの扱い方が上手ではない。それを見越して、安倍氏のパフォーマンスばかりが報じられるのです。参院選日程が確定に近づき、焦ってだしたのでしょうが、橋下氏の戦略ミスを解消できるほど、新しい何かがでたわけではない。一旦は幕引きしても、またぶり返す問題です。

安倍首相がミャンマーを訪問し、債務免除と910億円のODAを表明しました。ミャンマーとしてみれば、カモがネギ背負って、出汁までもってやってきたようなものですし、これが中韓との会談が開けず、急遽決まったミャンマー訪問なのですから、尚更です。成長戦略第二段でも、インフラの海外輸出を掲げましたが、ODAという枠組みを活用する以上、外務官僚の思う壺。それはODAが活発だった時代でさえ、経済成長とは無縁のものであり、潤すのは官僚の懐だけ、だったからです。
つまりこれが、中国と関係の深いミャンマーへの楔、北朝鮮との武器取引を遮断する狙いがあったとしても、ODAという仕組みでは相手国に必要なインフラ整備が可能なわけではない。さらに工期が長いため、途中で政府間にトラブルがあった場合、工事自体が止まってしまう可能性がある。例えば、北朝鮮との武器取引が今後も継続していた場合、日本はふたたびODAを止める判断が必要です。政治に左右される、しかも官僚へのキックバックや地元への貢献を求められるなど、企業としても決して旨みの多い仕事ではないのです。やはり成長戦略とは無縁、と考えておいた方がいい。

さらにミャンマーに対し、これだけ恩典を与える形となれば、今後関係が悪化したとき、今以上の見返りがないと関係改善につながりにくい。今回も、安倍政権は今だけ最大の効果をもたらす、という戦略が垣間見えてしまいます。将来に亘ってミャンマーと関係を築いていくなら、人的、質的交流が求められます。ただそれには、今の外務省では役不足ともいえます。
今回の訪問でも「法の支配の強化」で、価値観の共有も謳いましたが、その法を安倍政権では変えようとしている。それはミャンマーとて同様、法律はいつでも政権の都合よく変えてしまえる可能性をはらみます。価値観にしろ、国の成り立ち、民族や宗教問題なども異なるのですから、完全に一致することはない。そんな国と、人的、質的交流を行っていくには柔軟性も必要なのですが、安倍政権にあまりそうした面はみられません。これが長いこと軍事政権下にあった国と、将来の国防軍など軍備強化をにらんでシンパシーを感じる、ということでないならよいのですけどね。




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2013年05月25日

雑感。参院選にむけた動き

日本原研の加速器実験施設J-PARCが、放射能漏れ事故を起こしました。問題は一部で、崩壊が短いとして積極的に外部へ放出していること、です。その上で、各所への連絡が遅れている。研究員が内部被曝した作業管理の甘さと、このいざとなれば外部放出もありうる、という考え方自体が、日本原研への不審につながります。加速器は今後も、様々な分野への応用が期待されており、こうした研究所の軽率な行動が、そうした研究の足枷になるようであってはいけません。

政府与党幹部が、通常国会を延期しない方針を示し、6月26日に会期末、7月21日に参院選が行われることで、ほぼ確実となりました。今国会は委員長解任など、椿事もありましたが概ね遅滞なくすすんでおり、延長する理由も見当たりません。そして参院選が7月にくることで、衆参ダブル選挙という選択肢もとりにくい。改憲を旗にかかげて選挙する、といった理屈も通りにくい。ナゼなら、96条改正に国民は乗り気でなく、自民の掲げる主張が受け入れられていないからです。
そんな中、日経平均の急落が、ある意味で影響してくることは間違いありません。関係ない、まだ安倍ノミクスへの期待は崩れていない、という人もいますが、これが影響するのは安倍政権で株高を成果、として語る閣僚が多かったためです。特に田村厚労相など、株高で年金運用は改善した、とまで述べたので、下がり始めるとその逆のことが言えてしまう。これは安倍氏をはじめ、他の閣僚も同様、株高を景気の指標のように発言していたので、身から出たサビということです。

安倍ノミクスの化けの皮、という言い方が適切とは思えませんが、期待に働きかけるとはこういうことです。期待に届かない、裏切られた、と思えば基調が一気に転換してしまう。これも一つの安倍ノミクス効果です。今の水準で円安、株高を続けても乱高下に巻きこまれるだけ。それは経済を不安定化させ、結果的に打撃となる。安倍ノミクスは株価を上向かせるだけではない、これが本質であり、国民がそれに気付けば、必然的に選挙にも影響してくることになります。
さらに、株価の再上昇には成長戦略が必須なのですが、安倍政権では官僚のもちより、既存の体制下での内容しか出てこない。幾つかつくられた民間、有識者を含めた会議も、すべて中身は昔議論された内容の焼き直し、挙句の果てに猪瀬都知事が2時間時計を早める、と自慢げに語る始末です。世界の一番最初に市場が開けば、世界をリードできるなど市場を知らない人間の言です。むしろ世界の荒波を一番初めに引き起こす、それが今回の乱高下でも顕著に現れたことです。

TPPの7月会合でも、日本は最後の3日間しか参加できません。通常、10日以上開く会議の残り3日など、次回会合の調整や、慰労のための期間であり、実質的な話し合いなどほとんどできません。むしろ米国は、それを狙って議会通知を遅らせた、としか思えないのです。TPPも日本の主張が通らず、成長戦略もない。円安効果の限界や、4月の百貨店、スーパー売上げが落ちたのも、安倍ノミクス効果が消費に波及していないと気づかれると、それは株安につながり、さらに支持に影響する。
円安、株高を成果としてきたからこそ、安倍政権のアキレス腱が経済なのです。ここまで外国人投資家が買ってきたからこそ、利益確定売りではなく、見切り売りが活発になると、その流れは止まらなくなる可能性が高い。夏の参院選、株価の状況次第では、自民圧勝どころかかなり違った結果を招くかもしれない。いくら夏で暑くても、選挙は冷め切っているのかもしれませんね。

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2013年05月24日

朝鮮半島での安倍政権への報道

今日の東京市場も大荒れでした。とにかく先物の板が薄く、少しでも傾いたポジションが出てくると、一気に相場の基調が転換します。アルゴリズム取引の結果、板に張るのは見せ玉で、それより1段階違う水準で取引している。実は、今の水準は真空地帯で、水準感がつかみにくいのです。なので流れに乗るアルゴリズム取引が活発となります。15000円をつけて達成感で売り、13000円台に入って買い、そんな取引条件の設定が、今の相場を決めているといえるのでしょう。

中央日報が、コラム欄で原爆投下を『神の懲罰』と記しました。論旨が破綻しているので、論評にも値しませんが、では朝鮮戦争の初期、北朝鮮にほとんど押し込まれた韓国も同様に『神の懲罰』をうけた、ということになるのかもしれません。被災地視察で、731番の空自機に安倍氏がのったことを指摘していますが、その軽挙さに反発し、妄動するほど愚かなことはありません。
首相が乗る機種は、事前に精密な整備がされるため、機種番号まで含めて意図があるとみて間違いありません。国民栄誉賞授与式での、96番もまさにそうです。つまりこれでは安倍氏が戦争賛美者、という印象を与えることは容易に計算できたはずです。中韓の反発は覚悟した上で、あえてそんなことをするのは、国内で右よりの支持をとりつけたい、との意図しか考えられません。

北朝鮮も、韓国メディアの論調を借りる形で、安倍政権を揶揄する報道をはじめました。ここからも安倍訪朝はない、飯島訪朝は失敗、という様子がうかがえます。2人の特定失踪者の返還を北朝鮮が提案、と韓国紙が報じ、飯島氏が妨害工作としていますが、事実として北朝鮮は飯島訪朝に対して、何らかの手土産は準備したはずです。条件はともかく、飯島氏がそれを呑めなかったからこそ、北朝鮮は日本ルートの支援を諦め、中国にすり寄るという素早い転身をみせました。安倍政権で、いくら拉致問題の進展を訴えても、外形的にはもう失敗ということがうかがえます。
大阪府生野で、韓国籍の男性が「日本人を殺す」という通り魔事件がありました。精神科に通院歴がある、ということで報道を抑えたようですが、ここに違和感があります。双極性障害を患い、躁状態の人と話すと、ある段階までは正論であることがあります。ただその態度、行動は明らかに異常なほど高揚、自分を正義の味方やスーパースターのように表現する。この韓国籍の男性は『日本人』を嫌悪し、日本人を殺すことを正義ととらえて犯行にいたった可能性があるのです。その場合、これは深層心理において与えられた道徳、価値観が問題であり、たとえ病気ではあっても深刻な事態といえるのでしょう。つまり韓国紙のように『神の懲罰』などという報道が、そうした事件の遠因としてあり、またそれを助長する行為だといえるのでしょう。

今は安倍氏もあえて挑発する、といった行動が目立ち、また韓国もそれに敏感に反応しています。しかし裏を返せば、双方とも国内のナショナリストに訴えるのに、好都合という面も否めません。あえて緊張を煽る、こうした行為がいずれ冗談や、笑い話ですまなくなったとき、それはどちらにとっても不幸なこととなります。国民はこうした動きの裏にある意図、そうしたものに警戒しておいた方がよいのでしょうね。

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2013年05月23日

日経平均の急落

80歳の三浦さんが、エベレストに登頂を果たしました。高齢でも元気で、とてもすばらしいことですが、日本では介護施設での不審死などの記事もあります。高齢になっても、自らの身を処せるよう、自戒の念もこめてこの偉業を称えたいと思います。

バーナンキFRB議長が議会証言し、相場の流れが一変しています。優しかったベンが急に冷たくなった、といった発言も聞かれるなど、緩和継続と引き締め、両方に配慮した文言により、米FRBの緩和解除が早まる、との思惑が強まっています。一時ドル高を模索した市場ですが、追随がないこと、引き締めのタイミングが早まることなど、一方的にポジションを傾けておける状況でない。こうした思惑が強まり、日本市場でも多くのポジションをもつ短期スジが投げを打った状況です。
株先買/債先売を仕掛けていた米系が、10年債利回りが1%に達したことで、達成感があったことで反対売買に至ったことも影響します。それに欧州CTAスジが対抗する、という珍しい相場つきでした。ここ数日、指数だけが上げる相場だっただけに板も薄く、売るに売れないと焦った投機スジの投げも観測されています。さらにサポートラインとみられていた水準をあっさりブレイク、それがアルゴリズム取引の売りを呼んだ。積み上がっていたコール市場、先物などの短期スジが好むと様々な要因で大きな下げになっています。

そんな中、中国のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.6となり、減速を意識されたことも影響します。中国のシャドーバンキングの問題など、やっとメディアも報じ始めましたが、もう一つ燻るのが中国は巨大な外貨準備を抱える、純債権国であるとの見方への疑問です。つまり中国は景気刺激策の背後で、優良資産はすでに抵当に入っており、中身がすかすかではないか? そして今後、成長率見通しの下方修正が目立つ中、景気対策を打つ際、外貨準備などの資産を吐き出すのではないか? その辺りの懸念が、中国が抱える莫大な金の市場にも影響しています。
中国がドル資産を吐き出せば、当然のようにドル高ではなく、ドル安局面に転じます。米国が最近、欧州に緊縮財政をやめ、バランスを保つよう要請するのも、ひいては欧州向け輸出の多い中国の景気鈍化による、米国への影響を懸念した部分もあります。中国のバブルが弾けたとき、それは米国のサブプライム問題、リーマンショックなど比にならないほど、世界経済へのインパクトがある。それは完全回復していない米国を道連れにする、という意味になります。

日本市場も頭を冷やすタイミングだったのでしょう。水準感としては、まだ日経平均で12000円がぎりぎりで、仮に今期の収益が目論見通り改善しても、円安による収支の上ブレでは評価のしようもない。しかも為替予約を入れた水準と、企業の想定為替レートがそれほど大きく乖離していると思えず、この辺りの見立てもやや慎重にみておいた方がいい。期待値がのったとしても、13000円台がいいところとみています。
最近の日本市場はスカイツリー効果です。指数組み入れ、インパクトの強い銘柄の商いが強い。注目の集まった業種だけに資金が集中する、しかし周辺への波及が少ない。目だって突出し、それを好感する報道が相次ぎますが、ディーラーとしては旨みのない市場になり下がっていた。そんな冷めた目が、急変動につながったのです。人は高い山を目指したくなるものですが、日本市場の山を高くしても、谷を深くするだけで、実体経済との乖離に気をつけておかないと、こうした落とし穴に嵌ることが多くなる、ということになるのでしょうね。

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2013年05月22日

日銀政策決定会合について

米オクラホマ州で起きた竜巻が、大きな被害をもたらしています。竜巻発生地域では、地下やお風呂場をシェルターとしていますが、それでも規模はEF5と最強レベルであり、堅固な建物さえ倒壊するほどです。米国は産業を優先し、地球温暖化に後ろ向きな国でしたが、東海岸を襲ったハリケーンや、竜巻の規模も大きくなるなど、自然災害の影響が顕著になり始めました。
そんな米国で、Appleの税金逃れが議会にとり上げられています。米国という国は、国民の怒りを背景に企業を追求することが多々あります。Apple株は最高値より半分近くまで下落、多くの機関投資家が損失を抱えました。Apple叩きで溜飲を下げる、議会の流れはそうなっています。トヨタのブレーキパッドの問題も同様、目立つ企業を叩き、租税回避の流れを回避するとともに、損失を与えた企業から利益を吐き出させる。AppleのクックCEOはトヨタのように頭を下げることはないでしょうが、落としどころを探り、いずれ議会とは和解し、出直すというパターンを辿るのでしょう。

これは日本も同様です。今は株高で米投資家を潤しますが、株価が下がれば難癖をつけてくる、それがTPP参加後なら、ISD条項などをもちだす可能性もあります。そんな市場の方向性を占う、日銀政策決定会合が開かれました。金融政策は現状維持ですが、問題は黒田総裁の会見です。自己正当化のためか、国債の金利上昇はあり得る、との見方を示したため、これが市場に影響しそうです。弾力的に運用も示唆しましたが、4月に入札回数はすでに増やしており、今以上に規模を縮小して回数を増やすなら、逆に日銀に売れない業者が市場に吐きだし、急変動する懸念を生じます。
問題は、保有国債の残存期間を7年としたことで、出口で必ず躓く恐れが消えないこと。そのため国債暴落懸念が消えず、保有に慎重となっていること。長短金利差が縮小し、イールドカーブがスティープ化せず、金利差による収益性を失わせたこと。など、今回の黒田氏の手法には様々な疑問が生じていることです。それに対する回答、ヒントは何も示されませんでした。

債券市場では「黒田バズーカは我々に向けて撃たれ、市場から追い出そうとしている」との評価があります。日銀はそれが外債、社債、貸し出しなどのリスク型に配分される、とのシナリオを組みますが、内外金利差は縮小しており、外債の妙味は円安にしかありません。社債発行は先送りする企業がでるなど、金利上昇によって貸し出しにも影響が出そうです。つまり日銀が金利低下、と描いていたシナリオが崩れた時点で、すべてが思惑と違ってしまっているのです。
黒田総裁は債券市場を壊した、その評価が定着しつつある。今日の金利上昇容認、といった発言をうけて、10年債の利回りは1%を超えるとみられます。こうして価格が下がることで、益々売りに拍車をかける。まさに株価の「上がるから買う、買うから上がる」という構図と逆の現象が、債券市場に起きているのです。そして、黒田総裁は自らの手法を見直すことがないだろう、そう思われていることも、日銀の政策の柔軟性をなくし、市場を混乱させる一因となっています。

今のところ景気に影響しない、黒田氏はそう述べますが、10年債の利回りが1%をゆうに超えてくると、株高でさえ萎んでしまう懸念もある。株高で聞こえぬ批判が、日銀に集中するとき、それは米国からの声も大きくなることには覚悟も必要です。日銀がおこした春の嵐、それは自然災害と諦めがつかないだけに、今後の金利動向によってはすべての景色を一変させることになりかねない、ということになるのでしょうね。

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2013年05月21日

飯島参与による訪朝の報告

最近、市場では某米系の債先売/株先買が膨大だ、として話題です。日本がインフレに向かうなら、当然の流れなのでその動きを先読みした、というのが解釈ですが、それにしてもポジションを傾け過ぎ、このままメジャーSQまで突っこむ気か? その真意をはかりかねています。日本でも投信の売れ行きが好調なように、裏をよめば米系による日本向けインフレ連動ファンド、などの資金流入が活発で、収益性を無視して買い上げているのかもしれない。今日もTOPIXから切り返しましたが、この辺りの動向が、今後の流れを決めることになるのかもしれません。

飯島参与が、安倍首相に報告しています。菅官房長官への報告から日をおきましたが、継続して効果的に宣伝する、という目的かもしれず、このあたりの動きに意味はないのでしょう。最近、某紙の主張には目を丸くさせられることばかりです。飯島参与訪朝時の『異例の厚遇』が、圧力路線の結果、というのです。東アジア、特に中国、北朝鮮の外交の基本は『慇懃無礼』です。訪問者を歓待しつつ、自らの尊大さを誇示する。訪朝時に撮られた映像、写真もすべてそうした工作の下、行われます。圧力をかけ続けた結果、軟化を促すという論には決してなりません。
例えば、習近平国家主席とオバマ大統領との、米中首脳会談が米加州にて6月に行われると発表されました。異例の早さですが、問題は中国が中米歴訪のついで、として最後に米国に立ち寄ることです。訪米を目的とし、頭を垂れて会うわけではない、というスタンスをとります。中朝は自身の権威づけを目的とした外交をする、決して厚遇は友好にむけた態度ではないのです。

安倍首相が「拉致問題は他国がやってくれない。日本主導で解決する」と述べます。その通りですが、日本が単独で動ける状況でもない。なぜなら拉致問題解決を目的として、日本単独で、国連の制裁決議をやぶってまで支援できるわけではないからです。だからこそ米韓が、日本抜きですすめようとしている対北対話路線の枠組みに日本が入り、そこで日本が動く、という形でなければならない。そうすれば、米主導で国連の制裁決議の除外、として認められる可能性が高くなります。
しかし極秘訪朝を企図し、米韓への不信感を増してしまった今、その道は頗る通りにくくなった。これは米国による安倍ナショナリズムへの警戒もあり、日本が枠組みに入ることは困難な状況です。そうなると、日本が単独で動かざるを得ず、そして制裁決議の除外をしてもらうためには、戦略的に諸外国へ根回しする必要がある。しかし今回の飯島氏の行動は、そうした動きすら制約しました。世界からも、米韓、日本と2つの交渉ルートをもつことは北を利する、との見方が強まります。重ね重ね、極秘訪朝を暴露されたことが、マイナスに働くこととなったのでしょう。

安倍政権ではマイナンバー法案をはじめ、今日も甘利経再担当相が「円は日本の基礎体力に見合った水準で…」と、市場への口先介入を強めましたが、国家統制型の考えが強いようです。そして安倍氏の最近の露出ぶり、小泉政権型をとるとみられましたが、実は小渕政権型の、安倍氏が目立つことでその間、国民に不利益、評判の悪い施策をどんどん通してしまおう、という戦略が目につくようになっています。それがひいては秘密主義、といった路線をとり易くするのでしょう。
安倍政権を賛美するメディアには目を丸くさせられますが、このまま安倍政権がつづけば、目を盗まれ、目が覚めたときには、目をむくような事態になっていることでしょう。国民が目を凝らして、光らせておかないと、気づいたときには目もあてられない、ということになりかねないのでしょうね。

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2013年05月20日

雑感、市場と安倍政権の勘違いぶり

終末の甘利経再担当相の円安懸念発言で、朝から円が乱高下し、日中は黒田日銀総裁の金利上昇容認発言で、金利が上昇しています。要人発言からうかがえることは、米国との間で、対ドルの許容範囲は100円前後、そこから大きく踏み出せば、批判的な内容が米政府から発せられる。それを懸念しているもの、と想定できます。さらに1-3月期GDPでも分かる通り、輸入の増加が輸出を上回っており、さらなる円安は日本から富が流出し、マイナス面が大きい点があげられます。
政府の月例経済報告は、『緩やかに持ち直している』と上方修正されています。しかし株価は急騰しており、緩やか、どころではありません。株は先をよむものだとしても、企業の収支が円安で修正されても、経済波及効果は低い。そんな中で、甘利氏が行った奇妙な提案が波紋をよんでいます。企業経営者との間で会合をもち、賃金に関して要請する場を設けたい、というもの。安倍政権に透けてみえるのは、政治が民間に口出しする統制型の社会をめざす、ということです。

4月の百貨店売上げが発表され、前年比0.5%減でした。休日が一日少ない、天候不順などもありましたが、高額品は売れても全体のパイは減少している。これは以前から指摘しているように、消費税増税前の駆け込み、円安による輸入品の値上げ前の駆け込み、といった面が強く、4月には早くも反動がでている。ドルは100円、ユーロは130円に乗せており、もう安価とはいえない水準にきている。不動産の売上げも減少しており、これは消費の基調も転換しているのかもしれません。
重要なことは、政府がこうした見方をしていない、ということです。経済は堅調、景気は持ち直し、というだけです。実は今年、景気が落ち込み始めると、対策費の捻出に苦慮しそうな材料が山積みです。つまり景気対策が打てない環境にあるのです。年後半、それこそ欧州、中国の減速が直撃するなら、日本の景気とて鈍化する懸念がある。しかしそのとき、政府、日銀に策はない。だからこそ国民を勘違いさせたまま、年を乗り越えようと画策しているとしか思えないのです。

今日の市場では、国内の運用主体が動いてきた? と話題でした。米系の長めの資金も入っている、との観測もありますが、この水準で長期資金を日本に入れてくるなら、Apple株に投資して失敗した、その二の舞となりそうです。ただ21日のバーナンキFRB議長の発言を前にして、ポジションを米国から振り向けたいのかもしれません。恐らく発言はフラットになる公算が大きく、緩和、引締めの綱引きとなりそうです。そのとき、米国の成長は鈍化せざるを得ません。
しかも、米政府に漂う『3つの失敗』。AP通信の盗聴、内国歳入庁の保守系団体への調査、在リビア大使館襲撃事件への対応、などの問題で、オバマ政権がレイムダック化すれば、さらに米国への不透明感もあります。ヘッジファンドなどは、日本買いを一巡させましたが、こうした米国への信頼感の低下が、株式では影響している可能性がある。その場合はあまり好材料といえません。

安倍政権とて、民間に積極的に介入しようとする、誤った政治主導が国民に少なからず影響を与えるでしょう。安倍政権の考えているような国づくりは危険。それは為替にしろ、賃金にしろ、積極的に口出しする、その勘違いぶりに端的に現れています。次々と現れる日本買いの主体、しかしそうした主体でさえ、安倍政権への期待が勘違いかもしれない。そう意識されるようなときは、日本の危険水準が一気に引き上げられる、ということになるのでしょうね。

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2013年05月19日

橋下氏の発言とネット選挙

橋下維新共同代表が、今日もメディアに出演し、活発に発言しています。正論が含まれますが、橋下氏が勘違いしているのは、米国は例え正論でも他から批判されることを嫌います。特に、米国では人権問題を嫌いますので、そう報じられた時点でアウトです。米国は第二次大戦後でもベトナム、アフガン、イラクで行った人権侵害でさえ、内省による収束、という形をとる。対戦時にそういうことは各国でもあった、と主張したとて、橋下氏が相手に証拠をつきつけ、承服させたわけではありません。その場合、米国は橋下氏を単なる米国への批判者、とみなします。
橋下氏は読解力不足、という文言をつかいますが、異なります。親米、媚米メディアにとって『米国の敵』は排除なのです。これは、日本では小沢生活の党代表への、徹底的な攻撃でも顕著です。被攻撃者が態度を変え、恭順を示せば米国は鷹揚にうけいれますが、突っ張る政治家は、徹底的に叩きにきます。橋下氏も、今は国民むけにそうした主張をくり返しますが、浸透してくればいずれ態度を変えるでしょう。しかし都議選、参院選には間に合わない。維新は候補者に公認料をとっていましたが、それを払ってまで出馬する人は相当に少なくなってしまうのでしょう。

橋下氏の発言をうけ、渡辺みんなの党代表が、選挙協力を拒否しています。組めばデメリットしかないので、代表としては当然の判断ですが、みんなの党も股裂きが懸念されていたこともあり、親維新派への戒めもあります。問題はこの動きにより、野党が候補を一本化できず、組織票の影響力が強まってしまう点です。これは自民を有利にしますが、一つ次の選挙において不透明なのが、ネット選挙の解禁です。よく安倍氏はネットで絶大な支持、という表現もされますが、以前からネトウヨと称される勢力が、選挙において大きな力になったことはない。票読み段階に入ると、ネット支持に比べて得票率が上がっていない、という結果がでているのです。
アラブの春でも、ネットが国家すら転覆させました。しかし日本では、どうやらポジティブな支持より、ネガティブな批判の方が強い効果をもたらしそうです。つまり『いいね』の数より、不快に思う人の数が影響する。その意味でも、橋下氏の行動はネガティブ視されやすいのでしょう。残念ながら、今の日本はネットより、メディアへの信頼の方が強いため、親米、媚米のメディアにこぞって批判記事を載せられると、その流れがダイレクトに得票に利く、ということです。

原規委が敦賀原発直下を活断層、として運転を禁じた問題で、原電は「科学的でない」や新聞もこぞって原規委を批判します。しかし原電も「科学的に反論していない」ですし、新聞の感情論も誤りです。ニュージーランド地震も、未発見の活断層による地震であり、科学的に活断層でない、と立証できないなら、動かすべきでない。多分…という判断がもっとも危険な行為です。
しかしこうしたものも、メディアのネガティブな報道が続くと、原規委が間違っているのでは? と国民が錯覚します。どちらが科学者集団なのか、何が正しいかは国民に伝わり難い。以前も指摘しましたが、海外では研究所やシンクタンクのだす報告書の方が、よほど信頼性も高いものです。メディアは情報収集をするだけで、検証、分析集団ではないというのが評価なのです。

日本のネット選挙が、新たな流れを生むか? これはダイレクトに有権者に語りかけることができる。メディアの客観性を排除した形の、新たな選挙となります。その結果如何では、新たな情報の取り扱い方が、日本に根付くかもしれません。橋下氏はネットに強いといわれますが、今後もつづくネガティブ報道にどう対応するか、その辺りもカギとなってくるのでしょうね。

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2013年05月18日

安倍ノミクスの成長戦略第二弾

安倍ノミクスで消費が活況、というのが最近の枕詞になっていますが、高額品が売れているなら、それは円安による輸入物価の上昇や、消費税増税を見越した消費でしかありません。今のメディアはabet、教唆、扇動が仕事になってしまったかのようで、画一的な報道しかできない。今の経済は安倍ットメントによって支えられているといえます。そして安倍ノミクスの3本の柱、成長戦略の第二段がでてきました。

10年で農業・農村の所得倍増のため、農林水産業・地域の活力創造本部を立ち上げます。約20年後までに農林水産品の輸出を1兆円、耕作放棄地を農地集積バンクに集約、貸し出す制度もつくるといいます。お題目は勇ましいですが、実効性はないでしょう。まず農地の問題は、相続時に農地で納めるとよい土地から国が占有します。農地が分断され、非効率になるため、益々農業のみで収益をえるのが難しくなる。それは農地集積でも同じ、効率化しない限り、国際競争力などありません。安全、安心というだけで海外が買ってくれるわけではない。効率化のためには、相続を含めた国の態度を変え、また平成の農地改革ぐらい、大胆なものでなければ不可能です。
しかし恐らく、それをすれば農家にも優勝劣敗が生じる。特に、農業開拓ファンドなどで投資資金が投入されることになれば、それを受けた生産者と、そうでない生産者に差が生まれます。この仕組みでは農業で所得倍増、どころか就農者が減り、その分け前を残った人間たちで山分け、という形にしかならないのでしょう。国内でさえ2割以上も安い輸入品がある現状で、倍近い価格になる輸出品が売れるとすれば、それは安倍ットメントによる宣伝効果に頼るしかありません。

インフラシステム輸出戦略など、これまでのODAと何が変わるのか、不明です。外務省が小躍りして喜んでいることでしょう。集中投資促進期間とするそうですが、以前も指摘したように、過剰設備になれば企業の重荷でしかなく、短期の成長にしかなりません。そもそも国が投資を促すための減税、緩和などはこれまでも実施しましたが、どれも実績は上がっていません。
行動なくして成長なし、が題目ですが、問題はその行動を決める意思決定機関が、最大の利権団体である政府、それを束ねる官僚である点です。ファンド、基金などの仕組みを活用している時点で、この成長戦略は機能しないことが自明となります。新たに電力事業者が参入する際、既存の電力会社から高い送電敷設費を要求されたり、拒否されたりということがしばしば起こるのも、法案に盛り込まれた電力会社を優遇する項目のためです。もし仮に、上記の様々な仕組みにそうした官僚と、それに連なる組織が優遇される条項が盛り込まれれば、これまでと同じとなります。

安倍政権の成長戦略とは、日本にある病巣に手当てしないまま、どんどんと栄養剤を打つようなものです。そのカンフル剤が切れた後、深刻な事態になることを、まったく考慮していません。デフレという病気だから、健康にする。それが安倍氏のいう「日本をとりもどす」なのか? しかしパソコンなど、輸入部品の高騰により、夏モデルは値上げしての販売を模索することを企業は鮮明にしている。テレビにしろ、国民が滅多に買わないものを消費者物価の指標と考えている限り、病気の診断からして誤りだといえます。安倍ットメントにより、洗脳までされるというなら、この劇薬の名前はそれこそ『麻薬』ということになってしまうのでしょうね。

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2013年05月17日

飯島参与の訪朝

飯島官房参与の訪朝に関して、記者会見は開かないようです。飯島氏のことを擁護する意見もありますが、飯島氏にとっても予定外のことばかりで、この時点で外交としては失敗です。極秘会談にするつもりが、北朝鮮に暴露された、それは飯島ルートが信用に足らないことを意味します。

まず日本には拉致問題があるのだから、独自で外交するのは正しい、という意見は論外です。例えばこれが、北朝鮮の民主化にむけた諸外国との競争なら、出遅れてはいけませんが、拉致も含めて非核化のプロセスがあります。仮に、拉致問題解決のため、北朝鮮に食料支援を約束するなら、それは北朝鮮包囲網を弱めることになり、米韓が黙っていません。つまり独自に日本が何らかの手を打てないにも関わらず、突出して外交しても足元をみられるだけです。
今回、北朝鮮側が新体制となり、拉致問題の再調査を約束する代わりに、支援と安倍首相の来朝を要請してきた場合、日本はどう答えるのか? 支援は米国が認めるはずもない。安倍首相が訪朝し、手土産もなく帰るわけにもいかず、さらなる支援の上積みを求められても、応じざるを得ない。仮にその要求を蹴った場合、安倍政権での拉致問題進展の道を閉ざされ、しかもお金を惜しんで拉致被害者を置き去りにした、とのレッテルが貼られます。今回、飯島氏は会談内容を公表しませんが、北朝鮮が上記の条件を明らかにしても、同様に安倍政権が非難されることになります。

日本が独自に動いて、拉致問題のみならず、非核化まで達成できるなら動くべきですが、そうでない。ならば米韓との連携の中で、どのようにして拉致問題のグレードを上げさせるか? それが戦略の第一でなければなりません。しかし今回、デービース米政府特別代表が、日中韓を歴訪するタイミングに合わせ、しかも事前に連絡もなく行ったことで、益々不信感が米国に渦巻きます。これで、日本がわがままを言い出した、と米国に受け止められたら、拉致問題のグレードは下がり、解決は遠のきます。これでは北朝鮮の思惑通りに、日米韓の協調を崩しただけです。
デービース氏の歴訪も、韓中日と日本は最後、重要視されていないことがわかります。韓国とて拉致問題を抱えるにもかかわらず、それを交渉に含めず、露骨な日本外しに動いていました。それは米国も同じ、そして日本が独自に動いた。恐らくこれを米国は日本の造反、と捉えるでしょう。ナショナリストとして警戒され、さらに米国の意に反して動く、警戒すべき人物、として安倍政権は意識されます。それは日本の意志が通りにくくなったことを意味するのでしょう。

橋下維新代表も、慰安婦発言で米国に逆らう姿勢を示しています。日本の保守は危険、米国からはそんな見方が体勢を占めます。日本が独自に外交することも大事ですが、北朝鮮問題は協調でなければ、解決が難しい。今回、どうして安倍政権が隠密行動に拘ったか、意図が不明です。朝鮮総連の売却問題があった、ともされますが、そうなるとこのタイミングは交渉の端緒ではなく、最終段階でなければならない。最終段階に近いなら、米韓に極秘だった理由が不明です。
恐らく、朝鮮総連の問題はあまり重要でなく、それ以上に北朝鮮側に請われ、よい感触が得られそうだとして、探りに行くというのが日本側の思惑だったのでしょう。それがいいように利用され、さらに日本と米韓との溝を深める結果になった。やはり安倍政権は外交下手、著しく戦略性も、先見性も低いと言わざるを得ないのでしょう。一体、どこに軸足をおきたいのか、まったく不明な中で、今回の件は拉致問題解決を遠ざけた形にしかならなかった、ということなのでしょうね。

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2013年05月16日

1−3月期GDPについて

日本の1-3月期GDP速報値が発表されました。実質で前期比0.9%増、年率換算で3.5%増と、非常に堅調な数字です。ただ中身をみると、首をかしげる部分も多くあります。雇用者報酬の伸び率が、前期比で実質0.5%増、名目で0.4%増です。多くの調査をみても、報酬に関して上がった、というものは少ない。0.5%でも上昇すれば、実感があってもおかしくありませんが、そうなっていません。
家計最終消費支出も、実質で0.9%増となっていますが、高額品が売れている、という話は聞きますが、全体として消費が増えたという気前のいい話は、まだ多くありません。エコカー補助金の打ち切りに伴う反動減、その反動増があった、とされますが、各種調査では逆の結果もでています。最近のガソリン高で、燃費のいい車に乗り換えるパターンは出ているでしょうが、自動車の国内販売がそれほどのびてはいない。民間住宅は実質で1.9%増、名目で2.5%増ですが、住宅設備メーカーに話を聞くところ、被災地の復興需要やマンションの建設ラッシュが一巡し、2月頃に一旦山をつけた、とも聞きます。1、2月の好調さがのったとしても、高すぎる数字といえますし、REIT指数の落ち込み等をみても、住宅投資が1-3月期でこれほどのびたとは思えません。

さらに国民総所得(GNI)が、季節調整済みで前期比、実質、名目とも0.4%増でした。GDPと海外からの実質純所得、それに交易利得を足してだされるこの数字で、海外からの実質純所得は0、交易利得は-0.5です。ここで問題になるのが、輸出入の動向で、輸出は実質3.8%増、輸入は実質1.0%増、伸び率は輸出が大きい。前期が大きくおちこんだ反動もありますが、ここまで一連のことをみると、矛盾を感じざるを得ません。
家計最終消費支出が0.9%増、それほど消費が堅調なら、日本は輸入が拡大する傾向にあるはずです。しかし輸入はそれほど伸びていない。輸出で稼いだ、といっても海外からの実質純所得は0、交易利得は-0.5なので、実際に外貨を稼いでいるわけではない。この1-3月期GDPが示すものは、ごく簡単にいってしまうと、内需の堅調さを国内生産で稼いだ、という結論にいたるはずです。しかし内閣府による分析では自動車、外食、衣服、娯楽が堅調とのこと。自動車は国内生産も多いですが、その他はほとんどが輸入であり、結論とは真逆のことを云っていることになります。

輸出入の数字に関しては、前期に在庫を積み上げておいた、などの要因があるため、ズレが生じることはあります。円高のとき、輸入しておいた在庫を捌いた、ということならそうなります。しかしその効果が剥落した後、一気に輸入物価の上昇を、価格転嫁に織り込まざるを得ない、ということにもなります。設備投資が0.7%減、と足をひっぱりましたが、円安にして国内への設備投資がすすまない現状は、外需がそれほどのびる、とはまだ企業が考えていないことを示します。この辺りの感覚の差、海外からの実質純所得がさらに減ることも、今後はあり得るのでしょう。
GDPデフレーターは前年同期比-1.2%、円安で輸入デフレーターが上昇すると、デフレーターを押し下げますが、生活実感としては逆で、むしろ物価上昇圧力を感じているはずです。消費者物価とは違う、このインフレ期待が今の消費を押し上げたとするなら、今後の堅調さは期待できないのでしょう。何しろ、国民総所得は上がっているはずなのに、賃金にはまだ反映されていない。ただし、このGDP統計を信じるなら、すでに報酬は0.5%ものびている、ということになります。ここに生じる違和感を、さらにこのGDPは強める結果を示した、とはいえるのでしょうね。

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2013年05月15日

日経平均が15000円を回復

日経平均が、ついに15000円を超えてきました。ここ最近、米系が先物を買い上げ、またオプション市場で低い水準のプット売りを仕掛けるなど、露骨に上げていましたので、一度は上抜いてくると見ていましたが、予想以上に早い突破です。今年、Sell in Mayが起きなかったのは、米系が先高期待、日本経済が堅調と喧伝することで、解約売りが膨らまなかったことが原因です。
米国では四半期ごと、運用成績などにより資金移動がありますが、多くは半年で見直すところも多い。つまり日本向け投資が好調、と楽観をばらまけば、年後半にむけた資金確保ができます。ヘッジファンドのそんな思惑、そして上昇を続ける日本株をポートフォリオに組み込まないと、相対的にパフォーマンスが悪くなる、という焦り。これが今の日本株の強さとなって現れています。

企業の今期予想が、大体出揃ってきましたが、23%の増益をみこみます。想定為替レートが低いため、まだまだ上方修正余地がある、という話は眉唾です。素材の価格転嫁、電力料金の値上げ、コストによって相殺される部分が多く、円安の効果はここからそう大きくない。そして最大は、国債の利回り上昇に伴い、資金調達が益々難しくなってしまうため、設備投資がすすみにくい。企業はキャッシュリッチとされますが、そうした優良企業はごく一部であり、しかもそれらの企業は今さら設備投資する必要がない。資金調達が必要なのは、これから打ってでるための、構造改革をすすめる企業であり、そうした企業にこの金利高は重荷となってくるのです。
その国債の利回り上昇は、政府の説明では株買/債売だとのことですが、実態は地銀が売りをすすめたのが原因、とされます。高値圏で上昇余地もなく、利回りも低い。しかも日銀が市場を壊したため、価格形成が阻害されている。しかも債券に先安懸念がおきると、売りが売りを呼ぶ可能性があり、日銀が通告をだして売りに歯止めをかけにきています。しかし安定していません。

さらに問題は、今日中に予算が成立する見込みですが、大型の補正をくんだとき、債券利回りが上昇した際のバッファ分を、そちらに投入しているため、もし利回りが上昇したとき、赤字国債が拡大する懸念を生じます。それが更なる債券売りを呼びかねない。メディアは国民向けなので、住宅ローンに話も集中しますが、実はこの負の連鎖シナリオがもっとも恐ろしいのです。
為替も、債券も、政府の想定を超えて動きだした。恐らくこれは株式も同様です。こんな上がるはずじゃなかった。バブルであることは疑いようもなく、止めたくても、実際に動き出していることは少ない。成長戦略さえ出していないうちから、引き締めるわけにもいきません。しかしここから1円刻み、0.1%の上昇でさえ、政府の危機意識が高まるとみて、間違いないのでしょう。

米金融情報サービス、ブルームバーグによる情報閲覧問題があります。90年代から行われていた、との話もありますが、バブルがおきるとこうした歪みも大きくなります。米系の高速取引の問題も、市場の歪みですし、今の買い一辺倒の相場も同様です。株式市場がこれほど強く、企業業績が回復するなら、金融緩和を続けている意義は失われます。消費が堅調でない、雇用が弱い、製造業が回復しない、そんな懸念が、今はないかのような相場つきとなっています。
ただヘッジファンドも90日ルールを過ぎ、さすがに一服してくるでしょう。リスク投資が活発となり、米当局の監視も強まっています。実体と乖離した投資が、いずれバブル崩壊とともに多額の負債となって跳ね返る。今の市場は一進一退、それは実体経済とバブルとの綱引き、という意味での目配せが必要なのでしょう。しかし最近、意図せず米国に逆らってばかりにみえる安倍政権、意図せぬ『異次元』まで相場が動いてしまった現状、打つ手もないのかもしれませんね。

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2013年05月14日

日米の情報の扱い方

飯島内閣官房参与が訪朝しています。しかし国内では朝鮮総連ビルの売却問題、北朝鮮内では金正恩氏の暗殺事件があった、人民武力部長が交代した、とされる微妙なタイミングです。元々、飯島氏は官僚との付き合いが深いこと、後は北朝鮮への対応で参与になった人物であり、訪朝に並々ならぬ意欲、という前にそれしかやることがありませんでした。
今は米韓演習中であり、また中国が北朝鮮との取引口座の凍結、中朝国境付近で取り締まり強化、と対北包囲網を狭める中ですから、国際社会との連携という点でも、日本がやや突出してしまった感があります。恐らく飯島氏は、自ら突破口になる、という気持ちでしょうが、弱っている北朝鮮の体制維持に利用される怖れもある。その境界で、安倍政権がどう判断するか、なのでしょう。

米国が情報で揺れています。まず証券業界で、高速取引を利用して多額の利益を得ているとして、調査が行われています。アルゴリズム取引の一環ですが、コンマ数秒の差で確実に儲かる、おいしい手法です。しかし設備の能力によって収益率に違いが出るなら、同じ業種間だけのことならまだしも、一般投資家にとって不利益にしかなりません。不正取引として禁止するか、税収不足に悩む米国なら、高い課税をかけて歳入不足を補う形で決着させるかもしれません。
そんな米政府も、AP通信への電話盗聴で揺れています。通告もなく膨大な通話記録を収集していた。ネットも電話も、特定のワードによっては一般人とて、監視されているのが常識ですが、情報源を知るために行った捜査としては、異例です。最近のボストンマラソンテロも、シリアの大量破壊兵器使用疑惑にも、はたまたトルコのテロ事件にも、実は米CIAが関与している、との噂もありますが、米国の情報の扱い方には背筋を寒くさせるものがあります。国益のためなら違法行為も、人命すらも軽く扱うのが米国です。一連の事件はその一端と云えるのかもしれません。

その点、日本の情報の扱いは稚拙です。石川議員への捜査報告書を捏造した検察審の補助弁護士が、元検察官という利害関係にある立場で、かつ小沢生活の党代表の高校時代のクラスメイト、と二重、三重の利害関係にあったことが、参院法務委員で暴露されました。しかし大手メディアはこぞって無視を決め込みます。検察と弁護士会との癒着、不適切な関係まで疑えるだけに、事実関係をつかめば大きなスクープとなりますが、追求する気もないようです。
政府が、100円を切ったとたん、警戒する発言をはじめましたが、それと歩調を合わせるようにメディアも円安へのマイナス要因を報じはじめました。今のメディアは政府の広報機関と化しており、政府が盗聴してでも欲しい情報など、メディアからは決して出てこないのでしょう。

橋下日本維新共同代表の発言が、大きくとり上げられています。安倍氏が弱気発言に転じたとき、橋下氏が突出すればより目立ちますし、安倍政権への目晦ましにもなる。賭けとの見方もできますし、一方で援護射撃との見方も可能です。つまりメディアにとっても、橋下氏を大きく扱っておけば、保守勢力は何となく溜飲を下げられ、安倍政権への批判も集まりにくい。双方とも利害が一致しているからこそ、この発言を大きく取り扱うことにメリットもあります。
最近、メディアの取捨選択が著しく国民の知る権利を阻害している、と感じます。それでいて、自民の憲法改正草案における第二十一条、表現の自由の改正には不満を表明するものも多くあります。そんなことをせずとも、今のメディアは政治の思惑を伝えるだけの、一広報機関にすぎないのですが、これも自民がめざしている憲法の現実に近づける、ということなら罪深いといえるのでしょうね。

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2013年05月13日

自民党憲法改正草案について2

米議会調査局による『ナショナリズムは米国益にとって害』の記述で、安倍氏は「理解されなくて残念」と述べました。米メディアでは尖閣問題がこじれた際、日本は在日米軍で強気になるため、撤退した方がいい、との論調まで出ています。一部では、米議会調査局は一シンクタンクで大した影響はない、との見方を示しますが、日本と違って米国ではシンクタンクの方が、議会や政府に強い影響を与えます。新聞等のメディアより、よほど専門家集団だからですが、日本ではこの逆で、世論への影響という点でメディアの意見の方が大きく扱われたりします。
日本維新が、急に慰安婦を認めたりするなど、日本でも米国による『ナショナリズム』発言は影響を与えています。今後、数年は米国から『保守は危険』のレッテルを貼られるのですから当然です。そもそも、もし安倍政権が倒れた場合、再び保守である維新を国民が望むか? という問題を考えれば、維新が急進保守の位置でいることが、戦略的に誤りであることが分かります。維新は安倍政権と協力するしかありませんでしたが、この『ナショナリズム』発言により、安倍政権からも敬遠される。安倍政権が保守の旗を捨てるとき、同じ保守と組むはずもないのですから。

自民の憲法改正草案、二章をみてみます。項目の名称を『戦争の放棄』から『安全保障』へと代え、九条の二、三を追加しています。まず一に関して『永久にこれを放棄』とする現行から、『用いない』とし、一の△箸靴董慇鑪呂亙飮しない』『交戦権を認めない』としていたものを『自衛権の発動を妨げ』ないと変えています。
現行憲法の問題は、憲法とは変更可能であると自ら規定しているのに『永久』としている点です。現行憲法が適用されるうちは、本条により規定もされますが、憲法が変更された時点で『永久』ではない。時間的制約は、何の意味もありません。さらに△あるため、日本は軍ではなく、自衛隊という位置づけにしてきました。また交戦権を認めないため、他国を攻撃された場合、自衛隊は活動できないという制約がかかってきました。交戦権は認めないものの、自衛の範囲でのみ戦える、というのが解釈であり、外向きの活動を縛ってきたのがこの△任后

自民の改正草案では、九条の二、国防軍を規定します。ここで国際社会の平和と安全を確保する活動、いわゆるPKOや、先のテロ事件での日本人の輸送の問題にもあがった『国民の生命若しくは自由を守る』活動を規定します。しかし『武力による威嚇及び武力の行使』は、九条の一で否定されているため、この草案では武器は海外にもちだせないことになります。これは艦艇、空軍も同様となり、日本の領海、領空から出られない、と定めているも同様です。ナゼなら『威嚇』かどうかを判断するのは、相手だからです。自衛隊が海外で活動することにすら、威嚇と感じる場合、この草案はそれを否定する。むしろ現行憲法より厳しい運用を迫られます。
逆に、日本の憲法だから『威嚇』かどうかを決めるのも日本だ、というなら何でもアリ、なのでしょう。つまり強弁が可能というわけです。極端な話、核武装しても相手は威嚇と感じていない、と強弁すれば保有できるということです。憲法にどこまで書き込むか? という問題では、現実路線にあわせているはずの自民の草案は、逆に曖昧さを増している。概念的な現行憲法なら、この辺りを解釈で逃げられそうですが、書いてないことは従う必要なし、との論調も可能です。

わざわざ、憲法に軍事裁判の規定まで盛りこんでいます。それこそ、憲法ではなく下位の法律で規定すれば良さそうなものなのに、です。それは逆に、軍事的には何でもできてしまう、ということを憲法で規定しまう形でしかありません。そして九条の三、として『国民との協力』により目的を達成する、との文言は、よくある批判では兵役を規定した、とも読みとれるのでしょう。
自民案は、奇妙なところで細かく、変なところで大雑把です。本当に威嚇、武力行使が禁止なら、自衛隊はただのセールスマンと同じ恰好で、各地で活動しなければいけなくなるでしょう。なぜなら軍服でさえ、威嚇と感じる相手もいるからです。変に細かいため、そうしたものを一々とり上げざるを得なくなる。現状に合わせつつ、やりたいことを盛り込むための齟齬、と考えるなら、書き手側の能力の問題も大きいのでしょうが、これではナショナリズムどころか、誰もが首をかしげるような内容でしかない、と云うことにしかなっていないといえるのでしょうね。

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2013年05月12日

自民党憲法改正草案について1

振り込め詐欺の新たな名称が『母さん、助けて詐欺』だそうです。他がニセ電話詐欺、親心利用詐欺、となぜか文章系で、どうにもピンと来ません。私は応募していませんが、てっきり『なり済まし詐欺』しかない、と考えていました。多くの詐欺が、困った、助けてとは言わず、窮状を訴えることで相手から支援をひきだします。その意味では、親心利用になるのでしょうが、実の子女とて親心に甘えるのですから、これも今ひとつです。詐欺は基本的に何かになり済ますものですが、父親だって詐欺被害に遭うのですから、警視庁の基準もよく分かりませんね。

自民党の憲法改正草案、昨今議論が活発になったのでとり上げますが、長いのでまず前文と天皇の条のみ、考えてみます。まず高市政調会長が、某番組で誤記や誤訳があるから…と、96条改正の正当性を訴えますが、誤記や誤訳を放置しているのは、政治家の責任であって、そうしたものは3分の2の発議要件を達成できないのなら、怠慢以外の何ものでもありません。
草案の前文は、非常に平易となっており、読みやすい一方、とてもつまらないものです。昨今の自民の主張と同じ、それ以上のことはありません。現行憲法は、国民主権を『人類普遍の原理』とまで踏み込んでおり、また世界と日本との関係、という点に多くふれています。それと、草案では『国と郷土』と別けていますが、郷土は国の一部です。それを『気概と誇りをもって自ら守り』と述べますが、国を体制、郷土を領土と読みかえるのであれば、結果的に国防軍を前文でもりこみ、かつ体制維持を国民に義務付けるかのような内容に読めてしまいます。

第一章に関しては、天皇を『元首』と規定しています。元首とは行政権の長であり、象徴天皇とは異なります。それでいて、憲法に規定する国事行為については変えていない。これには二つの見方ができ、元首という言葉に置き換えることにより、人間宣言以来の、行政の一機関に堕したとするものと、現状に合わせた、というものです。つまり象徴制であれば、そこにはまだ神格化が残り、人間の行為とはまた一線を隔した存在とみなされますが、元首にそれはありません。
実は、草案を通じて現状に合わせる、という書き方が散見されるのですが、それを憲法で規定すべきことなのか? そこに疑問も生じます。しかも第一章に、国旗、国歌の項目をもりこんだ。天皇は『国民の総意に基づ』いて、地位を約束される一方、国旗、国歌は憲法において、尊重すべき対象とした。若干、歪んだ見方かもしれませんが、国旗、国歌の方が上、つまり主権者たる国民の尊重すべきであるのですから、総意との間では地位に差がついてしまったとも看做せます。

さらに天皇が『国、または地方自治体その他公共団体』の式典に出席を、憲法に規定した。奇妙な話、公共団体であれば「ふるさと祭り」でも、天皇陛下の出席を要請することができそうです。さらに、そうした利用がしやすくなれば、詐欺的行為も助長しかねないといえます。つまり天皇の出席を、予め喧伝して人やカネを集める、そういった行為も起こりかねません。
第一章をみただけで、自民の憲法改正草案には、これだけの問題があります。そして現実路線という名を借りて、天皇陛下を恣意的に扱えるよう、読めるものまである。これが保守本流と考えると、やや保守という枠組みも二分されるのかもしれません。オレオレ詐欺は「母さん助けて詐欺」に代わるのかもしれませんが、自民の「成り済まし」の方が、よほど禍根を残しそうな点では、この憲法改正にのると、大変な事態が待っているということになるのかもしれませんね。

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2013年05月11日

安倍政権は今を、民主党は過去を

安倍政権が来週にも発表する、とみられる緊急構造改革プログラムで、設備投資をの総額を3年間で10%増の、70兆円とする目標を立てるようです。そのための規制緩和、ベンチャー投資への減税、などが盛り込まれるようです。しかしどうも安倍政権では、本来打つべき経済政策と、逆行するような手法が目立ちます。設備投資をしても、それが過剰投資にしかならないなら、企業は踏み切れません。国内の設備投資を手控えるのは、少子高齢化がすすんで、内需が縮小するからです。
仮に今から少子高齢化対策をし、成功しても結果がでるのは10年以上経ってから、です。それを後回しに、設備投資だけ増やそうとしても、企業が応じるはずもない。欧米景気が堅調で、円安がつづくなら輸出すればいい、という話もありますが、そんな見通しも立てにくい。安倍政権は本当に『今』だけよければいい、という政策が目立ちます。成長戦略とは、日本が継続的に上昇軌道に復するような、そんな施策のことですが、一時的ならただの景気対策に過ぎません。

G7が閉幕しました。麻生財務相は「批判的な意見はでなかった」としますが、ルー米財務長官など、日本の金融政策を「注視する」と述べるなど、海外からの見方は厳しくなっています。円が対ドルで100円を切ってきましたが、ドル高は米経済を冷やす材料です。米景気の回復期待、とはいえ、今後のドル高次第ではそれも頓挫する。今後の綱引きは難しいところです。
特に、米自動車業界など日本のTPP参加を断固拒否、とまで宣言しており、米民主党のつがなりが深いだけに、円安に対して裏ではかなり厳しい意見も出たことでしょう。しかしそれ以上に、為替レートを目標にしない、という宣言は、もしこれからさらに一層の円安がすすみ、国内にコストプッシュ型のインフレが襲っても、日本は口先介入もできず、放置するしかない、ということでもあります。円安に対して、メディアからも輸入物価の上昇に対して懸念が報じられるようになったのも、政府の見方と一致します。ただし、こうした手法でさえ今後やりにくくなった。今を好調にみせようと、日本は円安をしかけてきましたが、逆に為替介入などをすれば、米債券に動揺が走るかもしれない。今の好調ですら担保できなくなるのかもしれません。

一方で、民主党は公開大反省会、と過去を省みています。一部で、鳩山元首相や小沢元幹事長がいない、と批判もありますが、菅元首相、野田前首相の就任の際は、支持率が上がっているのですから、衆院選大敗の原因とするには弱い。民主党政権になってからの統括、であればそうすべきですが、これは反省会です。反省とは、自分でするもの、つまり民主党に残った人間でやるべきことです。ナゼなら次があるから反省をするのであり、次がない、民主党に残っていない人間は、やる必要のないことです。言葉の使い方を間違えてはいけません。
しかし反省で統括できるか? はまた別問題です。昨今の政治は、小泉劇場型以来、国民も感情によって左右されやすくなっている。統括とは、常に引いた目線で情勢分析できることが大事ですが、それを国民との質疑で行うのは、単に意見聴取にすぎません。それを反映させる際も、きちんと冷徹に行わなければ意味を為さない。今の民主党にそれができるかは、懐疑的です。

民主党の失敗は、明らかに『うそ』をついたことです。消費税増税のみならず、行政改革も手つかず、年金改革もすすまず、結局それは背信でしかない。一度信を失ったら、それをとり戻すのは困難です。国民との信頼をとりもどすのは、対話ではなく行動でしか示せないのです。ただし、それには十年以上を要する。そこまで党の体制が残っているか? 安倍政権は今を大事にするあまり、将来に大きな禍根を残しますが、民主党が未来に残っているかは不明なのでしょうね。

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2013年05月10日

円が対ドルで100円を突破

為替で対ドルが101円をつけてきました。ここ数日、為替市場が動かないと話題でしたが、力を溜めてNY市場において、一気に壁を抜く。ヘッジファンドで売りを仕掛けていた層の悲願であったこともあり、日本市場が開いていないうち、しかもSQで買い気配が多いことを意識して、戦略的にこのタイミングを狙ってきた、といったところです。米景気指標が良好で…というのは、やや説明不足です。つまり今後、さらに円安にすすむという予想がたてば、これも期待値が高い日本の機関投資家が、外債購入をすすめるだろう。そんな思惑が、思惑をよんでの円安です。
安倍首相が間違えているのは、円安で業績が押し上げられても、企業は賃金を上げない点です。円高に巻きもどったとき、高い賃金では競争力を失ってしまう。市場の動向で、固定費をあげる経営者はいません。しかもこの円安で、利益率が高くなる企業というのは、逆にみれば為替ヘッジが下手ということです。今期、為替予約をどの水準でいれるかは、経営判断としても難しいところでしょう。

しかも閣僚が100円程度、としていた水準を抜いたことで、政府としても苦しい判断をせざるを得なくなります。それはすでに始まった値上げラッシュ、燃料費増で悲鳴をあげる農水業、円安に伴うマイナス面が今後、政府対応を余儀なくされる。賃金増になるのは、小泉政権時代の円安局面をみても、数年後に海外バブルによる数量効果がでて、初めて達成されるのが確実です。しかもその間、消費税増税がくる。すでに4月景気ウォッチャーをみても、企業は好調ながら、消費に陰りが出ている。天候要因、としますが、じわり値上げが利いている印象もうけます。
それを如実に示すのが、小売業の業績が一向に改善しない点です。ネット販売に顧客を奪われた、目玉商品がない、という以上に、今後のインフレに備えるなら、本来は先に買っておこうというインセンティブが働くはずですが、それ以上に賃金が増えないため、防衛に走っている傾向が見受けられます。プチ贅沢がとり上げられますが、実体として本当にそれが起きているのか? もし本当なら、どうして小売業の経営が厳しいのか? 検証も必要となってきます。

今は投機マネーがどの水準を狙っているか? 不明であるため、円安がどこまですすむかわかりません。今日も債券市場では、サーキットブレーカーが発動しました。日銀が午後のオペを通告しないとき、こうして急変動がおきるのは、市場が水準感に悩むからこそ起きます。円が切り下がっていくとき、債券の動揺も大きくなるかもしれません。そしてそれがさらに円売り材料とされ、市場が止まらなくなる怖れもある。今はまだ、機関投資家のマネーが海外に流れる、という思惑が強いですが、債券市場を材料視するようなときには注意も必要となってきます。
株価は天井ナシの様相になってきました。今日の上昇分のうち、SQ値を超えようとの思惑もありましたが、需給が緩まないうちは歯止めがかかりません。ただ実体を反映しているか、は微妙です。今日は集中日でしたが、今期営業利益が5割増との予想もありましたが、海外からの部品調達を増やした企業、海外に工場を移した企業、それぞれ事情は異なりつつ、そこには届かない印象です。そもそも日本全体でみれば、30%しか輸出企業はないのですから当然といえば当然です。

G7でも為替は議題にならないようです。それは各国、通貨安競争に陥る金融緩和へすすむ懸念を抱え、G20のように被害を訴える国もないからです。ただ、通貨安によるコストプッシュインフレで、苦しむのは中小零細企業です。株価、景気指標に現れないところで、今年は倒産件数が増える恐れもあり、この二極化の中で次の動きを見極めねばならない、となってくるのでしょうね。

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2013年05月09日

米国で広がる反安倍政権

日米韓の力関係が、微妙な状況になりつつあります。安倍首相は先の日米首脳会談で、オバマ大統領と「ケミストリーが合う」とまで述べましたが、共同会見もなし、夕食会もなし、冷遇でした。今回の米韓首脳会談では、上下両院議会で朴大統領が演説をしました。これは李前大統領も行っていますが、日本の首相はまだ誰も達成していない中、韓国は二代続けての演説を実現しています。そして当然、内容は事前に米側から了承済みのはずです。つまり名指しを避ける形であればふれてよい、と米国からお墨付きを得ていることが、ここからも窺えます。
米議会調査局のリポートも同様、日本を批判する内容であり、米政府の方針とも一致します。つまり米側は、安倍政権の態度はNO、韓国が正しいと考えているのです。これは長年の韓国によるロビイスト活動の結果であり、日本が米国においてその努力もなく、日本国内で保守的姿勢を強めているからこそ、こうしたことが起こるのです。媚米、恭順の態度を示しつつ、米側から距離を開けられた形の安倍政権、今後はネガティブな報道が増えるのかもしれません。

今の米側にとって、重要度は韓国、日本、中国の順です。先にFTAを米側に都合よい条件で結んだ韓国は、今のところ親米国として最恵国待遇。安倍ノミクスで金融国家・米国を潤そうという日本はその次、バブル崩壊を懸念される中国は最下位。それが対東アジアにおける位置づけです。安倍氏が間違えているのは、Facebookなどで親安倍派を束ね、一見すると居心地のいい場所をつくったようでいて、米側から否定され、その態度を転換せざるを得ないとき、一転してこれが政府批判の先鋒になりかねない。政治や外交は、時に隠忍自重したり、意に染まぬことをしなければならない、そのときこうした仕組みは足枷でしかなくなってしまう、ということです。
しかもこれが、憲法改正議論にもつながってきます。占領軍から押し付けられた、8日で創られたものだ、という主張は米批判にしか聞こえない。改憲勢力は、総じて米の敵に陥りかねません。これも、しっかりロビイスト活動していない結果であり、米の理解が得られていないことが問題です。改憲勢力は親米が多いのですが、内弁慶的な面があり、米国との関係を構築できていない。改憲は、こうした力により消失の憂き目にある、というのが現状なのでしょう。

そもそも、歴史認識の問題をもちだすのは、戦後に反日教育を行った中韓のみです。つまり自分たちの教育と、事実とが整合しないとき、自分たちの教育に事実を整合させようとしている。この点を正しく米国で発言する日本人もおらず、国内でのみそうした主張をすれば、当然日本がナショナリズムによってそうしている、と映ります。安倍氏が先の日米首脳会談で、どれだけ歴史認識や憲法について、米国で説明したのか? TPPについての共同声明は出せても、多角的な外交むけの声明は出せていない。それが安倍外交の弱点であり、限界といもいえます。
米韓共同声明はほとんどが北朝鮮問題でしたが、経済に関してもFTAを発展させる、と盛り込み、一定程度の成果を得られたとみられます。これも、日米首脳会談の共同声明よりもマシな内容です。安倍氏が封印されてしまった保守的態度、オバマ大統領は後三年以上の任期があり、安倍首相の任期中に、もうナショナリズム的傾向をとるのは不可能になったのでしょう。結果的に、きちんと周囲を固めてから動けない、その戦略性のなさによって安倍氏とオバマ大統領とのケミストリーとは、分離、反発する傾向を強めてしまった、ということになるのでしょうね。

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2013年05月08日

環境委員長の解任決議

トヨタ、富士重が決算発表しました。概ね良好でしたが、事前予想には届かない印象です。これも控えめ、として好感してしまうのが、今の相場です。ただし、今は米機関投資家の『ポートフォリオに組みこむ』流れと、欧州CTAスジが爆騰させているだけで、実体との乖離が目立ちます。以前も指摘しましたが、今の日本株はApple社の流れと同じ、急に買い手が増えたために上昇している、需給相場です。Appleが700$をつけた後、400$水準まで下落したように、需要が萎めば調整してしまう、脆い相場といえます。今はそのタイミング探しなのでしょう。
安倍首相が、なぜか株価を景気指標のように、成果として語りますが、株価はあくまで企業の価値を映すものです。金融相場は、貧富の差を拡大してしまうのと同様、企業といえど法人格をもつものであり、大企業と中小零細企業との差が、さらに拡大する傾向にあります。指標が映すのは大企業であって、決して中小零細企業の実体は映していません。つまり大企業の業績が回復しても、それが中小零細企業に波及しないなら、今回の安倍ノミクスは失敗となるのです。代表的な指数ではなく、実体経済の中でも特に、中小零細企業に目をむけた方がよい、といえるのでしょう。

国会では、川口参院環境委員長の解任決議が行われる見通しです。自民を擁護するメディアもありますが、これには色々と伏線があり、民主政権時代、石井一委員長が東南アジアでゴルフ、という指摘があり、委員長は会期中、国内にいるよう取り決めた中には自民も含まれます。それでも海外に行く案件があれば、認められることになりますが、自ら開催を決めた委員会を飛ばした。シビアな日程を組んだ、スケジュール管理の甘さと、もし川口氏でなければ果たせない、重要な案件だったとすれば、環境委員長という職に就かせた点がそもそもの問題の発露です。委員長は国会開会中、海外に行くのが難しいことは、最初からわかっていたことなのですから。
ただ野党も、これを得点としにくいのは、海外要人との会談スケジュールという点です。ただ自民の稚拙な応対で、予算委を与党が欠席、という事態を招いたことで、一定程度の効果はありそうです。しかし自民が早期に幕引きをはかるため、解任とはなりそうです。色々と憲政史上初、という事態になりそうですが、痛み分けという形であって、どちらも得失点はゼロです。

そもそも野党が責めあぐねているのは、議員が経済のことをよく知らず、やはり株価などをみて景気がよい、としているためなのでしょう。リフレ派の弱点は、賃金上昇にいたる経路に、古典経済学を混ぜている点です。公共投資による景気浮揚、賃金上昇といったことは2000年代前半までの失敗で、すでに否定されています。金融緩和も、先の日銀の量的緩和による景気浮揚は、海外景気に引っ張られた面が強く、実体経済への波及は小さかったことがわかっています。その両方を同時に行うと上手くいく、という理論的な説明は、今のところ一切ありません。
株価が上がった、円安になった、などという市場を指標と考えている限り、景気は読めません。アンケートなどで現れる指標も同様です。輸出入、機械受注などの実体経済の分野での改善をみる必要があります。ただ今日発表のあった中国の4月貿易統計ですが、輸出は前年同月比14.7%増、輸入は16.8%増、と市場予想を上回ってきました。しかし以前からこの統計は、疑わしいとレッテルが貼られており、各国の貿易統計とも合致しません。貿易の支払いに見せかけた、資本流入とされますが、香港との取引は倍以上の差がでるなど、それだけでは図れないものがあります。こうした指標で、今日の株式市場も好感し、上昇していますが、実体との乖離が否めません。

数字をつき合わせ、確認できるものでない場合、すべては疑惑をもつべきであり、特に株や為替など、需給要因の強いものに正当性を求めるのは困難です。そしてそれを成果、とする安倍政権にも、懐疑的にならざるを得ない。指標を細かく追えば、攻め手はいくつもありますが、今のところ野党もそうできていない現状があります。このまま、都議選や参院選を迎えるようだと、見かけ上だけのことで結論をだすようなものであり、実体との乖離がいずれ、現実路線へと復帰する際の、最大の障害になりかねなくなるのかもしれませんね。

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2013年05月07日

米国防総省の年次報告書

日経平均が約5年ぶりに14000円をつけてきました。米雇用統計が良過ぎず、悪過ぎず、ゴルディロックス症状が継続する、さらにECBも追加緩和に含みをもたせ、さらに金融緩和が飽和する。そんな思惑も走りました。最近、これをホースプレイと呼ぶ向きがあります。野球の封殺ではなく、馬が遊ぶと書いて『バカ騒ぎ』という意味です。ヘッジファンドは常に楽観シナリオを探り、金融緩和状態を満喫しよう、として市場を跳ね上げている。これは金融が肥大化した米国が特にそうであり、トラジディーの幕間で、思考停止してただ騒いでいる状態をさします。

そんな米国の東アジア戦略が、変わりつつあります。米国防総省の年次報告書で、不適切な直線基線で、尖閣領有を主張していると盛り込み、中国への牽制を強めてきました。米中会談においても、微妙なすれ違いをみせていましたが、中国の主張を拒否したのも、中国への警戒が強まっている点が挙げられます。さらに地方政府による不良債権問題により、今後の中国経済へ暗雲もただよう。中国に期待することが少なくなった分、高圧的態度をとり始めました。
先の中国製ハイテク機器の締めだし、ハッキングなどへの中国軍関与の指摘、も一連の行動とみられます。ただ、これを必ずしも好感できない部分としては、不良債権問題が破裂した中国に対し、日本の尖閣領有を認めさせる代わりに、支援をうけさせよう、と米国が下準備をはじめたようにもみえる点です。中国は言いがかりをつけ、追い銭を奪うようなものですが、IMFが南欧問題に関わる中、中国という巨大な国に支援するためには、IMFもさらに拠出金を増額するしかない。米国はその拠出金を負担したくないため、日本単独で中国支援をさせたい。その布石として、尖閣は日本領と鮮明にしておくことで、中国に主張を放棄させる下地をつくり始めているようにみえます。

さらに日本がTPP参加を決めたことで、同一経済ブロック圏となり、中国封じ込めにむけた尖閣の重要性が増した。安倍ノミクスにより、凋落する中国経済より、日本に目が向きやすい点などもあるでしょう。日本にマイナスとなる材料をだし、景気に冷や水をかける必要もない。米の投機資金が大量に日本へと向かう今、日本を支援する材料が整っている、といえます。
しかし裏を返せば、米国は相手国を使い捨てる、ということでもあります。中国が好調な間は、為替操作国の認定も見送りつづけ、尖閣にも特定の立場をとらない、としてきました。しかし中国が凋落すれば、中国が嫌がることを平気でする。これが悪い、というのではなく、米国がいかに戦略的に動いているか、ということです。安倍首相は訪米し、米に臣従を誓ったからには、守ってくれる。米国の利益が最大化するよう、政治を含めて戦略的に動くのが、米国という国です。

米韓首脳会談も開かれますが、一つは北朝鮮問題ですが、もう一つには経済問題もあります。韓国経済にも陰りがみえ、米の関心が薄れる中で、朴大統領は親密さをアピールしなければならない。今回、北朝鮮問題だけの声明なりが出されるようだと、朴外交の失敗となるのでしょう。
野球のフォースプレイとは、打者走者により追い出された走者が、先の塁にボールをもった野手がいることで封殺されるということです。ホースプレイにより、日本にどんどん投資資金をつぎ込んでくる米国ですが、安倍ノミクスが失敗となれば、一気に資金を引き上げてくるでしょう。BRICSともて囃され、中国が先に走者となっていましたが、日本という打者走者に追い出され、米国によって封殺される。このバカ騒ぎに浮かれているだけだと、次に打者走者においだされ、封殺されるのが日本。それはゲームセットになりかねないリスキーな状況に今の日本はある、と弁えておかないと、米国という固い守りに、生還すら難しい、ということなのかもしれませんね。

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2013年05月06日

憲法改正議論と自衛権

日本では憲法96条を改正し、その後で9条を改正し、国防軍を創設しようとする動きがあります。しかしこの議論の前提に、中朝の軍事力拡大を危惧するものや、米軍への攻撃を自衛隊が妨害できない、といったものがあります。しかし前提をそこで止め、すぐ国防軍というのは飛躍しすぎの論理です。以前も指摘しましたが、宣戦布告がある場合、自衛隊とて敵地にのりこんで、戦闘することは現行憲法でも可能です。問題は、自衛隊にその能力がないこと。そういう条件を設定していないこと、です。
米軍への攻撃云々の話は、例えば米国が宣戦布告をうけ、戦争状態にあるとき、自衛隊が共同行動しているのは奇妙です。宣戦布告もなく、米軍が突然狙われることはあり得ても、その場合は日米とも防御は困難ですし、何より米軍より先に日本が迎撃体制をとれるはずもありません。条件として、米軍が宣戦布告もなく攻撃され、それを日米とも情報をつかんでおり、米軍の対応が間に合わない場合、ということになりますが、そのときは米軍から日本政府へ正式に協力の依頼があるでしょう。それは時の政府の判断により、自衛権の範囲で米軍が攻撃をうけないよう戦闘することは、現行憲法でも可能です。今の国防軍の議論は、非常に稀有な条件を、誇張してすすめられる点はとても危険に感じます。

自衛権を考える上で、重要な事態がシリアでおきています。イスラエルがシリアの首都近郊に空爆しました。ヒズボラにイラン製ミサイルを運ぶ、車列を狙ったというものですが、シリアを空爆などしたら、今度はシリアから反撃されます。ヒズボラより、正規の軍隊をもったシリア軍の方が、数段危険といえるでしょう。今は反政府軍との争いで、人手を割かれていますが、これでシリアが反イスラエルで一本化されれば、それは将来への禍根が大きくなります。
この数日前からシリア政府により化学兵器が使用された、との話があり、それがシリア空爆への正当性を訴える捏造だった可能性があります。国連調査団は、反政府軍が化学兵器を使用した可能性を指摘しており、もし米軍、イスラエルが反政府軍と結んだのなら、これはイスラエルによる反政府軍の支援だった可能性が高い。そうなると、国連調査団の語るように、反政府軍が米軍から渡った化学兵器を少量使用し、政府軍の非道さを訴える目的だと考えられます。

シリアにも自衛権があります。攻撃しそうだから、武器が国内を通過しているから、といって他国から攻撃をうける道理はありません。これを宣戦布告とみなし、イスラエルと戦争することができます。ただ、勝てないし、今はそれどころではない点で、シリアはそうできない。
翻って、日本で自衛隊の車列が「攻撃されそうだから」と、某国から攻撃をうけた場合、当然反撃できます。防げなかった、と泣き寝入りする必要もなく、相手の基地を叩けばいい。しかし今の日本はそうしません。きっと補償を求め、相手国と交渉しようとするでしょう。それは国防軍があっても、です。日本は戦争ができない国、ではなく、戦争しないようにする国、なのです。憲法でも、軍事力でもなく、それが日本の政治体制だと云えるのでしょう。

必要だと思うなら、憲法改正もありなのでしょう。しかし今の議論は、前提も極めておかしなところで止まっていますし、国防軍の前に、政治制度を変えない限り、軍はもっても戦えないのは同じ状況です。北朝鮮がミサイルを準備しているとき、日本がイスラエルのように撃てるのか? 国防軍の前に、政府が戦争状態に陥る段階で機能できるか、そちらの方がより、議論をし尽くすべき対象といえるのかもしれませんね。

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2013年05月04日

雑感。日トルコの首脳会談

小沢生活の党代表が、平成3年にロシア側と、北方領土の買取交渉をしていた件を明らかにしました。それ以前のソビエト崩壊時には、歯舞、色丹の二島返還と平和条約をむすび、国後、択捉の交渉を継続する、という話も非公式ながらあった、とされます。このときは外務省が4島返還にこだわった、とのこと。この頃の外務省の態度はある種の権力闘争の側面もあり、外交戦略上の大きな失態を犯すほど、それは激しかったといえるのでしょう。
鈴木宗男氏は、2島返還を先行させようとしていたので、この辺りの権力闘争も、その後の外務省と鈴木氏の暗闘につながるのでしょう。小沢氏は財務省を説き伏せ、買取にむけて動いていたのものの、今度はロシア側の態度が豹変したとされます。実は、北方領土交渉は日本外交の失敗の歴史であり、これが現代にも続く宿題となってしまったことは、まさに当時の政治、外務省の責任に帰されるところが大きいのでしょう。

そんな中、安倍首相のエネルギー外交が話題です。トルコと原子力協定で合意、シノップ原発の受注へむけて優先交渉権を得ました。しかしどの国でも、政府が望むことと、国民が望むことは異なります。産業の発展をめざす政府の思惑以上に、地元による原発への忌避意識がどこまで高いのか? 原発は過去に三度、大きな事故を起こしています。福島原発は震災の影響とはいえ、トルコとて絶対に地震のおきない国ではありません。
トルコにあるカッパドキア遺跡は、かつて地上で核戦争がおきたとき、地下に逃げるためのシェルターだった、という説があります。あくまで都市伝説の類ですが、人間は過去にも放射能に怯えていた、と考えれば、強ち地下都市というのも現実味が高いのかもしれません。それは今後、日本でも21世紀後半には竜巻が増える、との予想をだしましたが、天変地異が増えることにより、人が安住できるのは地下だけということなのかもしれません。

しかしトルコとの共同宣言で、医療、農業、インフラ、通信衛星などの輸出、技術提供なども約束しています。しかしトルコとてイスラム圏、猪瀬都知事の言葉を借りれば、信じるのはアラーだけ、相争っている国です。トルコは政情不安ではありませんし、決してイスラム圏でも争いの絶えない国ではありませんが、トルコへの技術輸出が、回り回ってイスラム過激派にわたる可能性もない、とは言い切れません。すでにインド、パキスタンが技術を得ており、関係ないかもしれませんが、トルコへの輸出において、そうした懸念はどうしても付きまといます。
個人的にはトルコやサウジアラビアなど、中東諸国との関係を緊密にしておくことは、欧米の経済が崩れた後においても、エネルギー確保や成長のために必要、とは考えます。ただそのとき、技術とは必ず暴走し、悪用がおきることも、想定しておかなければなりません。ロシアで躓いたように、外交とは常に相手国との距離感があって、その中で戦略をめぐらせなければならない。中東、トルコと今は緊密ですが、今後も含めて関係構築をしていくことが大事なのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2013年05月03日

欧米の中央銀行の声明

GW後半ですが、今年ぷち贅沢がメディアで盛んに喧伝されましたが、ある調査では例年と支出は変えない、という人が大半のようです。海外に行くより、国内で済ます人が多いので、その分のGDPへの寄与は高いのでしょうが、庶民感覚は賃金も上がらないうちに、しかも燃料代、輸入品などの値上げもあり、そう贅沢もできないのが本音です。ムードを盛り上げよう、との世論誘導でしかなく、やはり国民の肌感覚と、メディアが煽ることとは大きく乖離しているのでしょう。

欧州委員会で、13年の実質GDPの見通しを0.4%と、0.1pt下方修正してきました。失業率がさらに悪化し、消費減退が顕著となるなど、年間通じての回復が見えない状況です。昨日はECBが0.25%利下げし、リファイナンス金利を0.5%としました。さらに下限金利をゼロからマイナスにする「技術的準備が整った」とまで発言。追加緩和策にふくみを残す形となりました。
一昨日は米FOMCにおいて、金融政策を「引き締めることも緩和することもある」と、タカ派、ハト派双方の意見を両論併記するような、奇妙な発言もありました。景気が低迷する一方、住宅市場は今年に入って急騰、リスク投資も拡大するなど、金融バブル的な兆しがあり、両面を織り込まざるを得ない、複雑な事情もうかがえます。しかし欧米ともにディスインフレ症状であり、金融緩和の余地はでてきていますが、過去に巨大な流動性供給を行った両国が陥るインフレ率の低下。これは後に深刻な事態へと発展しそうな、懸念を生じさせます。

ECBでも利下げによる波及経路は疑問、と認めています。FOMCでも中銀の役割をバブル退治か、景気浮揚かで、悩みを抱えます。年内にFRB、ECBともに行き詰る公算が高まった。今後、理論的裏づけのないまま、行き当たりばったりの政策をFRB、ECBともにとらざるを得なくなるかもしれない。それは金融政策を打ち尽くした挙句、意味のない、逆効果かもしれない対策をうつかもしれない。日本がGW中にでてきた欧米の中銀の発表は、実に不安を抱える内容です。
さらに今の世界は、新興国の高成長を期待できない。BRICsの凋落は、まさに高成長モデルの見直しを迫られており、その展望もありません。今の世界経済が、先進国の金融政策に頼る中で、そこにも限界が見え始めた。今週のFOMC、ECBはそうした意味をもつのでしょう。

ただし株価はリスクオンが継続です。今は買う材料だけを探し、ベストシナリオのみを追求する。注目された米雇用統計は、4月16万5千人増と、市場予想の中央値である14万5千人を上回ってきましたが、ADP雇用統計が低くでると、労働省の発表する雇用統計が高くなる。そんなクセもありますが、昨今の景気指標とも逆行する形の、4月雇用統計の堅調さは、そんなベストシナリオを補完する材料となりそうです。ただし、そのシナリオ通りにいかないと判明したとき、その反動が出てくるまではこのまま桃源郷にいるような心地を、続けるのかもしれません。
日本も、黒田総裁の異次元緩和により、実体経済へ波及するというベストシナリオを、今のところ崩していません。ただし、欧米が陥りはじめたディスインフレに対し、日銀は理論的に整理しておく必要は生じます。金融緩和が、実体経済に影響を与える経路が、単なる円安だけなら、早晩そのシナリオに見直しも必要です。桃源郷とは、晋の時代に秦の乱を逃れて移り住んだ人々が暮らした地、とされ、その間の歴史的な推移は全く知らない、という場所のことです。リーマンショックを経験したこともないかの如く振舞う、今の市場が現実に気づく、実際の時間的経路にもどってくるタイミングが、変移を迎えるタイミングとなるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年05月02日

憲法改正議論について

富士山が、国際記念物遺跡会議から、世界文化遺産に登録するよう勧告がありました。これが自然遺産なら、保全に強く傾注しなければなりませんし、文化遺産ですから、今度は世界に恥じることがないよう、保全していかなければなりません。ゴミの問題、モラルの問題、などの高い倫理観が求められている、と気を引き締めることが大事なのでしょう。三保の松原の除外や、鎌倉の勧告見送りなどもありますが、富士山も山体崩壊が懸念される昨今、これを後世にどう伝え、残していくかを真剣に考えるべきときに来ているのでしょうね。

明日の憲法記念日を前に、色々とかまびすしい議論が起こっています。まず戦後、米国に押し付けられた、8日間でつくられたものだから、変えねばいけないと主張する人がいますが、これは暴論です。日本人100人が、1年間かけてつくっても中身が伴わなければ意味がありません。日本のことは日本人が決める、といった偏屈な考えでないのなら、重視するのは中身です。
まず改憲の要件である96条を改正し、議員の半数で発議できるようにすることが、自民から示されています。しかし仮に、歪んだ改憲勢力が多数派を占めただけで、憲法改正の発議ができれば、それは改憲権の乱発につながりかねません。また国民投票のハードルを下げ、国民的な議論を喚起するとしても、国民投票もタダでできるわけではないので、乱発になれば無駄な歳出が増えてしまいます。最大に懸念されるのは、国民投票で改憲にNOが突きつけられた後、ふたたび内容を小幅に修正し、改憲しようと目論む勢力がないか? 改憲できるまで、発議をくり返すような事態です。

日本では戦後、70年近く憲法改正がないことを異常、現代と乖離している、との論調もありますが、憲法はすべての基本であり、改正に伴って多くの法律が改正になる、ということを忘れてはいけません。逆にいえば、憲法が改正されても、法律が改正されなければ生活は何も変わらない。それは解釈さえこじつけられれば、法律を変えずとも済む、ということでもあります。
さらに米国や独国でも、憲法改正には国会議員の3分の2が発議要件とされる中、日本の発議要件を下げる理由に、上記のような「米国に押し付けられた」、「70年も改憲がない」という説明が為される。それは決して正当な理由ではありません。堂々と、3分の2の議員の賛同を得られるような憲法を示して、多数をとればいいのであって、変える理由がまったく不十分なままです。

今、最大に懸念されるのは、政治家の質の低さと、それを報じるメディアの阿諛追従の姿勢だといえます。つまり検証機関がない、またいくら中立に検証しても、それを国民に広く周知する術がない。メディアの意に沿わないと、記事にすらならない状況があります。それこそ100人の政治家がつくった憲法が、改悪になる場合でも、メディアがそれを検証できない限り、そのまま通ってしまう可能性が高い。それこそ政治家、官僚、利権団体がこっそり権利拡大のための文言を仕込んでおく、といったことも可能なのです。それは原発の国民議論が、電力会社社員たちの意見表明の場だった、といったことも起こりうることを注意しておかなければなりません。
この議論は、まず96条改正の理由が不明。そして改憲をめざす政党は、事前に改憲の中身を示しておく必要もある、ということなのでしょう。それによって、例えば何条の改正はいいが、何条はダメ、という判断が国民にもできます。憲法も文化の一翼を担います。高い倫理観に基づいて、憲法を論じない限り、山体崩壊どころかモラル崩壊に陥りかねない懸念もあるだけに、雰囲気に流されることなく、自分の目と耳と、感覚を養った、腰を据えた議論が必要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2013年05月01日

安倍政権のアキレス腱

山口参院補選、自民公認、公明推薦の江島氏が、元法相の平岡氏をダブルスコアで下しました。山口は自民が強い地盤ですが、平岡氏は民主、みどりの風も推薦どまりで、組織票が固められず、風をつくることもできず、元法相の肩書きも意味を為しませんでした。民主政権では内閣改造が乱発され、年間三人も交代する閣僚があるなど、閣僚の価値が著しく低下している。脱原発が争点にならないことは、前回の衆院選でも証明済みでした。メディアが原発依存を強める中、民意に浸透しにくい。それは安倍ノミクスも同様、世論が誘導されている面があります。自民は参院に追い風ですが、安倍政権に死角はないのか? 少し考えてみることにします。

昨日公表された統計資料で、まったく異なった結果が出ました。まずメディアが伝える総務省の家計調査では、消費支出が前年同月比5.2%増、勤労者世帯の実収入は前年同月比1.8%増、消費支出は7.6%増でした。これはすばらしい数字ですが、一方で経産省の商業販売統計では、商業販売額が前年同月比1.2%減、卸売は建築材が10%近い増、食料も微増の仲で0.2%減、小売は自動車の15%近い減少が響いて1.4%減です。つまり、消費支出は5%以上増えたはずなのに、販売は1%以上減少した。この矛盾は、統計のとり方にあります。商業販売統計でも大型小売、百貨店、スーパーは好調であり、家計調査は単に家計へのききとりによって出てきた数字となります。
しかし今日発表された厚労省の毎月勤労統計も、家計調査を否定します。現金給与総額は前年同月比0.6%減、所定内賃金は0.8%減、所定外労働は労働時間が2.8%も減少しており、3.7%減です。家計調査では実収入が1.8%増なので、逆行しています。これには説明がつきません。毎月勤労統計では、0.3%の雇用増も謳うので、賃金面ではより厳しい環境となるはずです。しかも連合の発表も、厚労省の統計と整合的なので、総務省の家計調査には疑義が生じますが、経産、厚労の統計は記事としての扱いも低い。しかし肌感覚は、家計調査とかけ離れていることになります。

さらに、ここに来て欧米の失速が顕著となり、FRB、ECBが緩和策を継続、または推進する形となり、円安も一服しそうです。日銀が異次元だと思ったら、FRB、ECBも追随し、異次元でなくなるかもしれない。先に大型景気対策を打ったこともあり、安倍政権で新たな景気対策もうち難く、円安以外の景気浮揚策はないのが、現状です。景気回復の期待が支えだけに、逆にここが崩れると政権への打撃が大きい。実は世界経済の変調、それが安倍政権のアキレス腱です。
そして統計資料に表れるクセ、それを読み解かず、垂れ流しているメディアと、国民の感覚との差。これは背信となり、国民の離反を招きます。しかも他の統計と付き合わせるだけで、差が明確なのですから、これは致命的です。朝日新聞が安倍首相に謝罪し、提灯記事を掲げることを、某週刊誌が抜いていますが、こんな政治にべったりのメディアは不用とさえ云えます。

そして米英などで増える、安倍政権への苦言、これは保守を鮮明にすることで、東アジアのパワーバランスが崩れることを意識してのもの。そしてこれは公明の離反も招きます。自公政権ができて14年、選挙協力面で生じる大きな亀裂は、組織票に強いといわれた自公の屋台骨を揺るがしかねない。さらに、ここにきて面従腹背の財務省が、勝ちすぎて暴走することを恐れ、そろそろ仕掛けを打つかもしれない。それはIMF、世銀などからの苦言として現れるかもしれません。
安倍自民に対抗する風、としてはまだ微風さえ吹いていません。しかし薫風の5月、Sell in Mayとなり、株式市場が調整すると、結局それは安倍ノミクス効果で株高になったわけでない、という評価ともなります。経済面で逆風が吹き始め、それが熱波となり、参院選を襲うかもしれません。家計調査でも、勤労者世帯の実収入が実質1.8%増である一方、消費支出は7.6%増です。つまり収入以上に、支出が増えている現状は、家計から富が散逸していることに他なりません。こうして統計を読めば、家計が苦しくなっていることが判明する、それが不満となったときが、アキレス腱のみならず、屋台骨という骨格から崩れていく原因となっていくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済