2013年06月

2013年06月29日

雑感、自民の最も訴えたいこと?

東南アジア諸国連合地域フォーラム閣僚会議の議長声明に、北朝鮮への敵視政策をやめるよう、盛り込まれる見通しになっています。日韓は米国の橋渡しで、外相会談をする見通しですが、北朝鮮への世界からの圧力が、徐々に風穴を開けられているように感じます。裏では中国が動いているのかもしれませんが、親北の国もあり、必ずしも東南アジアも一枚岩ではありません。
南沙諸島では、中国と対立していても、国内に多くの華僑をかかえている国では、人民元での取引も可能なように、ASEANが徐々に中国よりになっている。遠交近攻策の安倍政権ですが、実は足元から崩されているのかもしれない。ASEANに、日本に振り向いてもらえるような策を打ち出さない限り、アジアの盟主としての存在感すら失われそうです。

最近、ネットやメディアが主催する討論会が開かれることが、多くあります。ただ運営、議論のすすめ方には従来の悪しき部分、弊害が見え隠れし、議論が深まらないと感じます。時間で切る、というやり方をすると、全員に意見を語らせることはできますが、本音は出てこない。上滑りの議論なら、討論会ではなく、全員が弁論大会のように壇上で語るようにすれば済むことです。
関西プレスクラブの主催する討論会で、自民の石破幹事長が訴えたいこととして『日本を取り戻し、実感をその手に』としました。『日本をとり戻す』が、以前からの主張でしたが、『実感をその手に』を追加した。それだけ実感なき景気回復、との声が大きく、それを意識したものでしょう。しかし残念ながら『実感をその手に(渡せない)』という諦観も見え隠れします。

安倍政権は、経団連と距離があるとされます。中国に配慮を求める経団連と、対中外交でひけない安倍氏がケンカし、また産業競争力会議などには従来の、財界に力のあるメンバーではなく、三木谷氏などの新興勢力を集めている。また薬のネット解禁など、従来の販路から安倍政権に協力する、こうした新興勢力への利益シフトを促している。それでも、経団連側は悲願の法人税減税を、自民が公約に盛り込んでくれそうなので、一応は支援する方向と伝わります。
しかし安倍政権がちぐはぐなのは、全体で3割ほどしか法人税を納めている企業がない、また設備投資減税を行うため、そうした法人税を納めている企業からの税収さえ、減らそうとしている点です。自民の政策は、こうした矛盾だらけで、公約にバラ色の未来をえがくだけです。目標は掲げますが、その達成への道筋は示さない。やればできる、私たちに任せて下さい、というばかりです。

しかし4年前、これと同じ主張を有権者は耳にしています。それは民主党のマニフェストです。やり方を間違えて、達成できなかったばかりか、マニフェストに書いてないことをやり始め、今となっては消滅の危機ともされます。自民の公約も、こうした点が垣間見え、参院選だけ乗り越えればいい。トラウマさえ克服できればいい、という姿勢がみられるのです。自民は、民主よりもう少し上手くやるでしょうが、国民は道筋のない目標には、注意してみておくべきなのでしょう。それこそ実感が『うそをつかれた!』ということのないように…。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2013年06月28日

経済の話。年後半の市場のみたて

最近、無差別で子どもを襲う事件が増えています。経済が好調だと社会が安定、などと言われますが、しかしムードだけが高まって恩恵を感じられないと、とり残されたと疎外感をもつ人がいるのも、また事実です。性犯罪も増えているようですが、それこそ「いつやるの? 今でしょ!」と、犯罪のきっかけにする人がいるかもしれない。実体なきムード先行の景気刺激では、残念ながら刹那的な事件が増える傾向にあるのかもしれません。

今日の日本株は強かった。期末ドレッシングへの期待、買い方が多い、という意識が働くだけで、板が薄い中では大きな値動きをしてしまいます。日本は特殊で、今晩の欧米株が高い、つまり向こうも期末ドレッシングが入るだろう、高く帰ってきてくれる、という安心感が相場を押し上げました。しかしヘッジファンドが、ヘッジをしない実弾の買いを入れるなど、あくまで短期の押し上げが見られた点で、年後半への期待感の低さが意識される点は、不安といえます。
では年後半の相場を考えると、今の水準辺りを高値とするのではないか、とみられます。今、米FRBが意識しているのは雇用でもインフレでもなく、バブル発生です。中央銀行の大事な役目は、バブルの発生を未然に防ぐこと、です。過剰流動性を供給した結果、明らかなバブル発生の兆しがあった。つまり株価も、これから上値を追うと、米FRBの規制強化を促しやすくなり、上値が限られるなら売ってしまおう、という意識が働く。米ダウは15000$より下、を模索しやすくなります。

5月CPIは、前年同月比で横ばい。東京都分は+0.2%と、デフレ脱却が見えてきました。しかしこれは輸入物価の上昇を反映しており、サービスが上がってこないと、国民は恩恵を感じていない傾向を示します。つまり消費は減退し、お金を使おうと思っていないのに、物価だけが上がるようでは、国民生活の点ではマイナスなのです。それを色濃く現すのが5月家計調査で、消費支出が実質で前年同月比1.6%減、5ヶ月ぶりに減少です。ただ、今度はそれと逆に、5ヶ月ぶりに増加したのが5月小売業販売額で、前年同月比0.8%増でした。消費支出と小売販売額は、本来同じ動きになるはずですが、ここまで逆になると統計のクセではなく、総務省と経産省の小競り合いにも思えてしまいます。
5月有効求人倍率が0.90倍と、約5年ぶりの0.90倍台ですが、今年は予算の組み方から補正の動きだしが早く、また大型である点の影響とみています。鉱工業生産指数も前月に比べて2%上昇していますが、これも同様の理由です。ということは、政府の財政出動が終われば止まってしまう。脆弱な基盤であり、そこにきて来年度は増税が来ますから、大きな落ち込みが意識されます。

ECBが、米FRB型の量的緩和を否定し、欧米株が下落しています。期末ドレッシング期待が剥落し、週明け日本株には冷や水を浴びせられるでしょう。年後半は今の水準から下、14000〜8000円が目処になるはずです。下に広いのは、中国を初めとする新興国不安、そして今年は大型の補正予算が組みにくい。財政の余裕がなく、せいぜい税収の上ぶれ、組めても2兆円とみられます。来年の落ち込みを意識するのが早まれば、年内にも下を追う公算が高い、とみています。
日本も同様、5月までの指標はバブルの萌芽でもあり、どこの国も好調なのです。問題は6月以降の債券安、株安という世界的におきた流れで、これまで磐石だった債券、株の仕組みファンドなどが損失を被っていること。それは年金など、各国の機関投資家を直撃してくるかもしれません。その流れが強まるなら、金利上昇という負の効果以上に、金融不安を起こしかねないという点で、注意しておくべき材料といえるのかもしれませんね。

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2013年06月27日

雑感。安倍政権と米中韓

各紙、やはり昨日の国会の混乱の責任を、やや野党に問題あり、という社説を打ってきました。しかし繰り返しますが、重要法案を廃案にしたのは自民です。憲法63条に、意見を求められたとき、閣僚は『出席しなければならない』とmustの記述があります。委員長の独断だから、という理由は成立しません。自民が党として欠席しても、閣僚は出席しなければいけなかった。憲法違反をおかし、あえて問責を提出するよう仕向けた。問責を先に採決させ、民主が賛成せざるをえない立場に追い込んだ。自民の腹づもり一つで、法案をいくらでも通せたのに、そうしなかったのです。
ここに来て、週刊誌がそろって佐田議運委員長と、西村内閣府副大臣の買春を報じました。きな臭い動きですが、自民の女性票を減らすには、十分なインパクトとタイミングです。しかも佐田氏は解任ですが、西村氏は役職にとどまるようです。これは何が正しいかではなく、常に攻撃対象となる点で自民にはマイナスです。自民にはまだまだ脛にキズもつ人物も多く、参院選まで某国の対日工作が活発化するようだと、今後も自民へのネガキャンが増えてくるのかもしれません。

そんな米国の最高裁で、同性カップルにも異性間と同様の権利を与える、という判決がでました。米国の選挙では、常にこの同性カップルの権利、が争点になってきましたが、この最高裁判決で流れは一気に同性婚容認になりそうです。うがった見方ですが、TPPに参加すると、米国は日本にも同性婚を認めるよう、圧力をかけてくるかもしれません。それはブライダル事業などの拡大になり、投資機会を得られるので、同一ルールとして要求してくるのかもしれません。
中韓の首脳会談が開かれています。安倍政権では、遠交近攻策で中韓とは距離をおいてきました。その結果、国民レベルでも仲が悪く、また領土問題をかかえる中韓が接近することとなり、日本外しを画策している。安倍政権の外交が見えないのは、予てよりASEANなどを束ねてアジアの中軸となり、国連などの発言権を高める戦略を日本はとってきたはずです。しかし中韓が接近し、アジアにおける発言でも力をもてば、日本の主張は通りにくくなる。アフリカ開発会議も注目されましたが、これは以前より続けてきたもので、それでも中国に出し抜かれてきた現状があります。

安倍氏の外交といえば、トップセールスでご満悦ですが、ほとんど成果がありません。通常、トップセールスといえば実をとってこそ、契約の最終段階で決断する、という立場なのですが、本当にただのセールスマンで終わっている。事前の調整不足はありますが、明らかにタイミングとしては間違えている。参院選を前に、積極外交を目指した結果は、何も残ってないのです。
さらに危惧した通り、原子力規制委員会に対し、国会の監督権限を強めるよう自民の議連が提言しました。自民は、自分たちの手で何でも決める、自分たちの意に沿わない余計な口出しを排除する傾向を示してきました。原子力を積極的に海外に売り込みながら、国内で規制を厳しくすることに、自民はイラだち始めている。結果的にそれは、安倍外交との齟齬を埋める作業でもあるのです。

しかし米中韓は、対日包囲網を引き始めています。ここが揃うと、欧州やアジア全域にその傾向が伝播する恐れもあります。遠交近攻策が成功するか、はたまたヒザを屈することになるかは、もしかしたら参院選のネガキャンとも通じるのかもしれません。安倍政権がガラパゴス化、と云われないためには、実りのないトップセールスではなく、実をとる努力が必要なのかもしれませんね。

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2013年06月26日

ねじれ解消が参院選の争点なのか?

第183回通常国会が閉会しました。最後のドタバタを、簡単に記しておくと、自民は参院選をネジレ解消選挙、と印象付けるための策を弄し、法案をとばしても参院議長不信任、委員会への閣僚欠席、という暴挙にでた。ただ、これは明らかに与党側の失点です。それでも支持率が高く、メディアが味方である内は情報操作、印象操作によって有利に展開するとの読みでしょう。
最もお粗末だったのは民主で、法案成立で自公と合意していたのに、最後に『問責を先に採決』と自公から梯子を外されたため、問責に賛成せざるを得なくなった。もし問責に反対してしまうと、安倍内閣を信任したことになり、対立軸を失って益々選挙が苦しくなります。自公に振り回された挙句、結果的に一番貧乏くじを引かされた。政局に対する手腕が不安視されます。

では、ねじれ解消が争点か? 市場の面からいうと、一部で安定政権を望むのは財界よりの発言であり、一瞬は好感しても長続きはしないでしょう。よく小泉政権時を比較にしますが、小泉政権は当時の経済の主流、新自由主義の流れを汲み、市場に有利な政策を打ち出してくれる、という期待が相場を押し上げました。今の安倍政権は、一部に新自由主義の竹中氏もいますが、メインはリフレ政策です。この評価は割れており、リフレ派の政権が安定多数となっても、必ずしも市場は反応しない恐れがある。特に消費税増税という、景気を冷やす材料があるので尚更です。
海外からも、最大に懸念を抱いているのは米国です。安倍政権の政治姿勢、外交に不安をもち、長期化することを嫌っている。中韓などは、逆に仮想敵国として日本の攻撃材料に活用できます。ただし、破綻も囁かれる中なので、支援を要請できるような、日本の政権を望むといった面はあるかもしれません。これはねじれ、安定に関わらず、安倍政権が続く限り攻撃に利用してきます。

では国民向けにはどうか? 安倍政権ではマイナンバー法案や、国家安全保障会議の関連法案など、国民統制型の政策がめだつ。安定政権となれば、その傾向がより強まるでしょう。例えば共同通信、朝日新聞などが、偽メール事件の容疑者のメールボックスを覗き見していた件など、各社も奇妙な理屈を並べて自己正当化していますが、米国も同様に、二本でも国家が国民の情報をチェックできるような法案が、いずれは提出されるかもしれません。安倍政権は、中韓への高圧的態度が目立ちますが、実は国民にむけても不信感をむけており、批判する相手は糾弾する、という方向性をもちます。それは監視、管理型に陥りやすい傾向をもつ、と云えるのです。
安倍政権が安定しても、誰に対してもあまりいいことはない。財界にとっては陳情、要請がしやすくていい、といった点はありますが、安倍政権は緊張感を保っていない限り、暴走し易いこともあって、ねじれ解消は決してプラスに働かないのです。安倍氏は会見で「問責こそがねじれの象徴」的な発言をしていますが、「問責をうけ易い態度こそ、安倍政権の本質」である点が重要なのです。ねじれ解消が、決して国民にプラスでない以上、それが争点になることはないのでしょうね。

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2013年06月25日

中国経済の混乱

都議選の結果、参院選で自民が勝利し、安定政権ができるとの期待が市場を押し上げる、との話も聞かれますが、安定政権を望むのは市場関係者より、むしろ財界です。市場関係者は、安定政権ができて政治の気が緩むと、景気対策が疎かになる恐れもあり、評価はフラットです。むしろ安定政権ができて市場が上昇する、と半ば根拠のないことをいう場合は、財界とつながっているか、投資資金を呼び込みたい時に限られます。議会がねじれている米株が最高値を更新し続けたことを、これらは説明しない。日米の違いはありますが、安定政権で株高、に根拠はありません。

そんな日本市場は、無理やり中国市場に連動する形となりました。そんな中国の中央銀行、中国人民銀行が資金不足に陥った金融機関に、一時的に資金供給した、今後も行うと発表しています。銀行間取引に用いられる短期金融市場が乱高下し、その対応ですが、これはシャドーバンキングなどの、影の金融市場を締め付けるため、市場化を促すのと同時に資金供給を絞ったことに起因します。逆にみれば、資金供給が必要となった金融機関があった、というのは驚きであり、短期金融市場の混乱は実体を反映していた、今後も起こりうることを示しています。
中国の金融機関は、ほぼ当局の統制下にあり、97年にはノンバンクの信託会社を計画的に破綻させています。当時と異なるのは、金融再編がすすみ、大手は株式を上場する企業であること。今、海外紙は「リーマン破たん前の、ベアスターンズ破綻時に似る」と中国を評しますが、仮に計画的に金融機関をバッドバンク、グッドバンクに別けて前者を破綻させ、損切りを行うとしても株式市場は混乱します。シャドーバンキングの規模は300兆円を越えるとされ、そのすべてが負債でないとしても、仮に10%が焦げ付くのなら金融機関が2つ、3つは破綻することになるでしょう。

しかも中国は、積極的に対外投資を行ってきました。米国債が値下がりを続ける中、中国の外貨準備の行方、が不安を煽ります。さらに、今は中国の景気減速が相場の流れですが、今後は中国系の株主の多い企業が、狙って売り叩かれるかもしれません。資本市場の安定より、自身の収益性を重視する中国系の投資は極めて不安定なものであり、その分の下落が今、おきています。
問題は、やっとバブル退治に重い腰をあげた中国が、世界でも類を見ない初の成功国になるか? 統制と自由市場、という本音と建前を使い分けたとき、中国から逃げ出す企業、人がどれだけ増えるか? その辺りの行方によって、世界はもう一段の下をみる展開もでてきそうです。

中国は否応なく市場化に、向き合わざるを得なくなった。日本は逆に、市場への口先介入がふえ、まるで統制経済へと逆戻りしているかにみえる。安倍首相は「安倍ノミクスは評価」と喧伝しますが、それは40兆円の景気対策をうった当時の、中国経済への世界からの礼賛と、何が変わるのか? 金をばら撒いて市場を統制する国を、他国はよくやったともち上げますが、そのバブルが弾けたとき、中国から逃げ出そうとするように、世界は安倍ノミクスバブルが弾けたとき、日本を非難し、逃げ出していくことでしょう。
西武vsサーベラスの対決は、西武に軍配が上がりそうです。安倍ノミクスで海外投資を呼び込み、どころか今回の一件は、結果的に日本の閉鎖性を海外に喧伝しただけ、に終わるのでしょう。外国人の考える株主と、日本の株主の考え方は違う。海外では、株式会社に公共性は要らないのです。そんな微妙な差、評価という言葉の裏に隠された思惑に、今後は注意した方がよいのでしょうね。

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2013年06月24日

都議選と参院選2

都議選を少し詳細にみてみます。議席数だけでみれば、自公は立候補者が全員当選という快挙ですが、得票数は前回から伸びていない。これを自民圧勝の予想で、支持層も投票に行かなかった、と分析する向きもありますが、今回は参院選へとつなげるため、自公はてこ入れを図ってきました。安倍首相は地方の議会選としては異例の、30以上の街頭演説をこなすなど、支持団体に対して引き締めてきた。それが、いくら圧勝の予想としても投票を回避する選択があったのか?
世論調査で60%以上、40%以上の支持率をそれぞれたたき出すにしては、自民の得票率はすこぶる低いのです。むしろ支持層が須らく自民に投票した場合、無党派層はほとんど自民に投票していない、という結果なのです。安倍ノミクスが70%以上の評価を得ているのなら、市場関係者、金融業界の多い東京の特性として、もっと得票数が上がってもおかしくない。むしろこれは、安倍ノミクスは票につながっていない、と端的に示すのです。投票率が10%以上も下がり、基礎票としての自公の強さが際立ちますが、決して安倍ノミクスへの評価は高くないといえます。

実は、参院選にむけてこの都議選は、多くの示唆を与えてくれます。安倍ノミクスは票の掘り起こしになっていない。むしろ対立軸を鮮明にした共産が、無党派の受け皿として機能した。民主、維新など一部では協力の姿勢を示す勢力は、軒並み票を自民へと奪われる形となった。猪瀬都政との関係で、オール与党になるのなら民主、維新でなくても自民で十分。つまり選挙とは争い、戦いなのですから、わずかな差でちまちまと論戦していても分かり難く、基礎票の多い政党が断然有利になる、ということです。すなわち民主も維新も、大胆な選挙戦略の練り直しをしない限り、参院選も危ない。それがより鮮明になった戦いだったといえるのでしょう。
維新はみんなより得票数は多い、との声も聞こえますが、二倍の候補をたてれば得票数が上回るのは当たり前です。むしろ候補者数でいえば共産と近いので、維新はこちらと比較しなければいけません。しかも基礎票をもつ共産に、自民批判票が上乗せされ、共産には追い風が吹いた。この風を、次の参院選でどこが奪うのか? それは、今のままでは民主でも、維新でもない。開票がすすみ、ぎりぎり滑り込みの多かったみんなが、今のところは候補として挙げられます。

自民の敵は『慢心』という人もいますが、とんでもない甘さです。自民の敵は『風』、もしくは『投票率』です。特定の政党に風が吹かなくとも、投票率があがると、自民は基礎票だけで上積みがない。前回の衆院選のときに、前回の大逆風選挙時のそれと変わらないという状況とは異なります。政権を担って半年以上、自民への評価は投票行動だけをみると、芳しくはありません。同日行われた山口宇部市長選では、自公推薦の候補が敗れています。相変わらず、地方選では弱い。都議選でも得票数は上がらなかった。これが自民の最大の弱点として、浮上するのです。
東京新聞の社説に『下馬評』の話がありました。馬を下りて社寺をいく主人をまつ間、供の者が退屈しのぎにした評判、が下馬評の由来ですが、次の選挙は人(メディア)の尻馬に乗らないようにしないと、判断を誤ってしまいそうです。自民は何度下野しても、『馬の耳に念仏』で、相変わらず国民の声が届いていないようにみえています。『馬にはのってみよ、人には添うてみよ』とも言いますが、少なくとも政党に添って、後でそんなつもりじゃなかった、というのも遅きに失しています。今度の参院選は、何が争点かを一人一人が考え、『馬が合う』政党をさがす、そんな動きを期待したいところですね。

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2013年06月23日

都議選と参院選

都議選で、自公が過半数を超す勢いです。しかし投票率が、前回から10%以上落ちそうであり、組織型、支持母体の強い党がそのまま勝つ、といった流れになりそうです。地方選は国政と違って、注目度も低くなりがちですが、今回は争点も曖昧なまま、国政レベルの演説がつづき、地方選らしからぬ地方選へと終始したことで、有権者も投票する意欲をなくしたようです。しかし憲法96条を改正し、国民の手に憲法をとりもどす…という主張をする政党が、都民の意識の低さによって第一党になる、という齟齬には釈然としない部分も禁じ得ないところがあります。

共同通信がとった世論調査で、参院選の投票先として自民が28.8%、民主が8.2%となっています。この数字、支持母体に所属する人数と、大体合ってくるようです。政権をとりもどしたことで自民に回帰した団体、組織は数知れません。自民はふたたび陳情、党詣でが活発となり、逆に民主は閑古鳥が鳴いている。その状況を、そのままこの数字があらわしています。
しかし一部でとられた世論調査で、政党支持率が自民は40%を越えるものもあり、それにしては投票行動に結びつかないようです。この辺りを解くと、自民の政策、主張には同意できないという、政党とは利権で強く結びついても、個人としては投票しないといった点にあると考えます。

経済政策を評価する、といった意見も多いですが、これだけ市場が壊れた動きをする中、評価するのは経済を知らず、新聞をよんで経済を知った気になる人ぐらいでしょう。個人投資家も、先物でふらされる値動きに、投資を手控える傾向がみえ、売買高も落ちてきています。今後、上昇余地も限られてきて、急速に興味を失っているのかもしれませんが、市場を壊したのもまた安倍ノミクスです。自民が政権をとったときからは、まだ高い水準にありますが、民主の無策で押し下げられていた分を、自民の功績としてカウントする必要はありません。
そんな中、生活の党の小沢氏が動いて、やっと民主との選挙協力が一部で成立しそうです。野党が協力しない限り、磐石な組織票をもつ自民に対抗できない。今回の都議選も投票率が下がった結果、まさに自公の一人勝ちの様相となりました。これで危機意識をもたなければ、政党としては消滅の方向でしょう。民主を出て行った人間と手を組むのか? という意見もあるようですが、安倍氏からラブコールをうける民主党議員と、どちらを重視すべきか? 都議選のようにオール与党になったら、国会という場では三文芝居しか見られなくなってしまいます。

維新、みんなも都議選では存在感を示せなかった。参院選にむけ、各党とも戦略を練り直さなければなりません。東京という地域性はありますが、共産が議席を延ばしてきた。やはり組織の強いところが勝つ選挙なのです。しかし自民もこの勝利に浮かれていると、足元を掬われるでしょう。何より、自分たちで憲法改正という、ある意味で国民の興味をひく争点を自ら掲げてしまった。憲法改正ではなく、96条改正には多くの国民が疑問をもっている中で、あえてそれを掲げたため、投票率が上がってしまいそうです。各党の選挙戦略がどう変わるか? 参院選にむけて時間も短い中、ここから選挙に強いといわれる小沢氏の動きが、自然と目立ってくるのかもしれませんね。

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2013年06月22日

安倍ノミクスとは何なのか?

富士山が、三保松原も含めて世界文化遺産に登録されました。自然遺産ではなく、文化遺産なので、富士山という景観のみならず、それと合わせて認知されている土地までを含める、というコンセンサスを各国がもってくれたことが嬉しい限りです。ただ、自然を守るためには入山制限など、人と切り離しておくことが求められますが、これは文化としての登録なので、それを守るために入山制限などをしてしまうと、文化という部分には合致しないように感じます。しかし景観を守り、文化という心の問題を守っていく、というのは些か難しい課題に思えます。だからこそ、改めて富士山との向き合い方を考えていかなければいけないのでしょうね。

安倍ノミクス、G8でも評価された、と盛んに喧伝されますが、米FRB議長の発言、FOMC以降の世界経済の混乱によって、日本市場は乱高下、新興国は大幅な調整局面に見舞われています。中国はシャドーバンキングの存在から、金融機関の破綻が囁かれ、短期金融市場は大混乱しています。ブラジルも高インフレと経済低迷、その他の国も通貨安、債券安、株安とトリプル安に見舞われているところが多く、投資資金の引き上げによる影響が、広く世界を覆っています。
安倍ノミクスとは何だったのか? 結局、バブル発生装置に過ぎなかった、というのが今の結論です。4月の日銀金融政策決定会合以降、盛んに喧伝されたのが、日本が外債を買う、海外に投資する、といった話でしたが、今日に至るまでそうした形跡はありません。逆に、そう喧伝することでヘッジファンドは世界の市場が上がる、そう煽って投資資金を集めることに利用した。架空のマネーが世界で踊り、一気に市場を吊り上げ始めた、というのが実績として残ります。

実際、日本に資金調達に訪れたファンド勢は多かったようですが、どれも芳しい成果は得られていない。つまり喧伝された話がうそ、と誰もが薄々気づき始めたとき、出てきたのがFRBの緩和縮小です。つまり世界は、二重の資金消失に怯えているのです。うそだった二本マネー、そして米国の資金引き上げ、これにより世界の多くが混乱しているのです。そんな中、日米は比較的堅調ですが、逆にいえば巨額のマネーが滞留する国、として金融不安が起こりにくいためなのです。
米国は内需の国、滞留したマネーを経済成長に生かせます。しかし日本はまだ輸出の比率が高く、世界が混乱すれば直撃をうけてしまう。そこが米国と日本の差です。さらに言えば、日本の金融機関は世界的にみても、貸し出しに渋い。これでは内需も活性化しません。日米が世界経済を支える、というのは幻想であり、新興国の混乱は日米にも直撃するでしょう。どこが、どのようにして新興国の混乱を食い止めるか? それを真剣に話し合う段階に来ています。

そんな中、日本の安倍首相は「安倍ノミクスは評価された」と、盛んに喧伝します。これでは対策など考えてもいないでしょう。仮に、世界経済が混乱するときは、政府が基金をつくって金融機関から拠出させ、その基金を用いて欧州ESMのような仕組みを作らざるを得なくなる、そんな懸念すら想起させるにも関わらず、です。安倍ノミクスとは、ここから本格的に阿呆ノミクスになっていくのか? 今が正念場にきている、ということで間違いないのでしょうね。

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2013年06月21日

雑感。自民の参院選公約

今日の日経225先物への大口買い、某日系の手口であることが判明しています。昨日は20日締めの決算のため、現物が引け間際に急騰、そのヘッジとして先物を売った、とみられていますが、先物だけを倍近い額、買い戻したというのが真相のようです。ただ、都議選にむけたパフォーマンス? との見方もあり、マル政マネーとの噂が絶えません。中国の短期金融市場が急落から急騰へと転換し、その安心感とも囁かれますが、日系の取引の薄いそうした市場の動きで、日系がそれほど大きく反応するとはとても思えません。いずれにしろ不自然な値動きをしたことになります。

政府内から補正予算の話がでてきました。G8でも、すでに消費税増税を規定路線の如くに語った安倍首相ですが、参院選公約に安倍氏の強い意向で、法人税減税をもりこみ、また今年度に成立させる補正予算を、来年度の駆け込み需要の反動減を補うためにつかう。消費税増税は、一体何のためにするのか? 疑うばかりの対応です。G8の声明でも、財政計画が大事と苦言を呈されたばかりであるにも関わらず、財政の大盤振る舞いはつづけるという、決意表明のようです。
しかし、そんな決意とは裏腹に、衆院の選挙改革は手付かずのまま終わりそうです。定数削減を先送りし、0増5減を先行させた時点で、すでに約束違反なのですが、政治家の決意とはこの程度の軽さか、という再現VTRをみるようです。みなし否決で、衆院再可決の予定ですが、これではふたたび違憲判決がでる可能性が高く、何の解決にもなっておらず、決められない政治の典型です。

自民の参院選公約は、衆院選から1年も経たないのに、大きく様変わりです。TPPは反対から賛成へ。党内決議では交渉からの脱退も示唆されましたが、総合政策集にはあっても、公約には載せない。原発は曖昧な記載だったものから、地元の理解をえられるよう最大限の努力、として半ば再稼動は規定路線。基礎的財政収支に関しては、2020年までの黒字化を堅持しましたが、道筋は示さず、そこにきて法人税減税や補正予算の話がでるなど、明らかに逆行しています。普天間基地問題も、辺野古へ移設を明記、沖縄とのねじれを抱えています。
結果的に、自民がこの約6ヶ月で態度を大きく変えたことを、参院選公約は示しています。民主の約束違反を、メディアは散々に叩いてきましたが、自民の公約違反、態度の豹変には沈黙します。そしてこの参院選公約も、ある意味では本性を現した面もありますが、まだ票欲しさに、虚言を並べています。GDPも実質で2%を掲げますが、成長戦略が乏しかった以上、達成の見込みは今のところありません。これは財政と同じで、目標だけを掲げて目をひくだけに留まります。

正直、自民の参院選公約は古い自民のやりたいことを、そのまま書き起こしただけのものです。一度政権交代で否定されたのに、選挙で勝利すると元にもどってしまう。それはかつての政権交代時と同様、また自民ではダメ、という国民の見限りを待たない限り、ふたたび政権交代の機運は高まらないのかもしれません。同じコトをくり返す、再現VTRを何度見なければいけないのか? いい加減、再放送には飽き飽きとでも思わない限り、この国は変われないのかもしれませんね。

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2013年06月20日

米金融緩和は解除の方向へ

世界が注目した米FOMC、年内の金融緩和縮小が打ち出され、世界には動揺がはしっています。ただ年内に規模を縮小し、来年半ばに終了というタイムスケジュールは、バーナンキFRB議長の退任時期をまたぎ、若干の緩慢さは否めません。恐らくバーナンキ氏も、このタイミングでの緩和縮小は、4月まで想定しておらず、それが後ズレしている原因とみられます。4月からFRBを警戒モードにしたのは、日銀の異例な緩和にともなう世界のリスクオンが、バブル懸念を生じさせたため、です。逆にそれがなければ、緩和を続けたまま次期議長に引き継いでいたことでしょう。
ただ、あくまで資金の供給量を減らすだけで、引き締めの時期は言及していません。完全雇用、という表現を用いていますが、そこまで至らずとも引き締めはある、としていますが、逆に拡大したFRBのバランスシートを改善させるとは言っていない。償還に伴う目減りはあっても、市場に売りに出すことはない。それが市場を安定させています。予想外に、米経済に楽観的な見方を示したことも、好感されたでしょう。しかし本格的な影響は、じわじわとやってくるはずです。

ジャンク債市場から、急速に資金が引き上げられたように、南欧の国債にふたたび売り圧力がかかります。ESM、OMTなどの仕組みがあるため、以前ほど混乱はしないでしょうが、景気低迷と債券利払いの高止まりで、南欧財政をさらに苦しめます。それは欧州全体の低迷を、さらに長引かせる問題となるでしょう。これは世界全体が低迷すると、さらに負の材料になるはずです。
世界の多くで債券、通貨、株のトリプル安が起きていることも、これで説明できます。投資資金を縮減させる際、リスクの高い方から手仕舞う。経済がさほど強くない中、投資資金が流入していた新興国、低成長なのに株高だった欧州、そうした分の嵩上げは吐き出さなければなりません。最大の懸念は、嵩上げ分の剥落が、更なる世界景気を悪化させる可能性について、です。

日本も債券、通貨、株のトリプル安でした。債券は米債の動きと歩調を合わせるのが最近のトレンドですが、通貨はやや意外でした。103円から、94円まで下げる中、米MMFベースの円売りは大して減っておらず、未だに高水準です。投資マネーの縮小で、この規模が下がると見ていましたが、さらに円を売り増したかもしれません。それは米国と同様、日本の景気もいい、と世界がみているためで、日本にも資金を置いておける状況があります。しかし日本の実体経済には不安もあります。
5月コンビニ売上高は12ヶ月連続の、前年同月比割れで-1.2%です。これはスーパー販売額も同様、2ヶ月連続の前年同月比-1.2%でした。安倍ノミクスで小売が堅調、と云われていた割りに、生活に密着する部分での消費は明らかに減退気味です。天候要因、日柄などもありますが、プチ贅沢どころか、民間は生活防衛にはしっている。その傾向が顕著になり始めているのです。

FOMCで不透明感が払拭された、などという人もいますが、FRBの行動は透明性を増しても、異例の緩和を解除した後の、世界経済の不透明感は増しています。日銀が量的緩和を解除した後に、世界の不動産市場がはじけたように、今回は新興国バブルの崩壊に、懸念も必要です。ブラジルが先んじて、インフレと低成長による生活苦で、五輪開催すら危ぶまれています。中国のHSBCの発表したPMIも、48.3と前月から低下しています。世界中、どこも成長しない、もしくは低成長に留まる状態、これが近未来の予想図として、今浮上してきています。それでもFRBは緩和を解除する方向に舵をきった。今後、新興国の動向には注意を払っておいた方がよいのでしょうね。

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2013年06月19日

各政党は分裂気配

今日の日経平均は大幅高でした。先の日銀政策決定会合の際も、更なる緩和策を期待した事前買い、が入ったように、今は先んじて利をとることが常態化し、極めて不透明な値動きが続きます。今晩のFOMCにおいて、どんな決定がされるか? 明朝に判明しますが、9月にも縮小が囁かれるのは、オバマ大統領もふれたように、バーナンキ議長の退任時期とも絡んできます。
グリーンスパン前FRB議長も、フラットな状況でバーナンキ氏に引き継いだ。つまりQE3を続けたまま、次の議長に引き継ぐことはしないだろう、との思惑が働くためです。経済はまだまだ弱い、不透明要因がある、といったところで、異常で異例な緩和を続けるには、史上最高値にある株価、回復しつつある住宅市場など、道理が通りにくい。緩和をつづけたまま引き継ぎ、バブル化していたら、バーナンキ氏にとっても不名誉です。来年1月に退任するなら、9月頃から徐々に緩和規模を減らし、年内にQEを終了させる必要がある。その言及がどうなるか? が重要です。

維新が揺れています。石原氏が、橋下氏に「大迷惑」とまで述べ、かなり辛らつに酷評しています。実は演説もろくに出来ず、歩く姿もよぼよぼ、長い都政もあって都議選の顔になると期待したら、思ったほどの人気がない石原氏も、党内にとっては「迷惑」な存在であることに変わりありません。ただこの迷惑な二人が、旧維新と旧太陽とのノリであり、この二人が分裂すれば、維新が股裂けになることを知っている。なので、今は二人とも隠忍自重していますが、先に堪忍袋の緒がゆるい、石原氏の方がキレはじめた、といったところが今の状況なのでしょう。
一方で、安倍首相がG8の場においても、改憲勢力は民主にもいる、として民主の股裂けを狙ってきました。安愚楽牧場の起訴など、この都議選に合わせたことと、この発言を重ねることで、仮に股裂けにできなくても、民主が分裂気配にあると印象付ける狙いがあります。しかし福島県連が高市氏に反発し、沖縄県連も独自の参院選公約を掲げる動きもあり、さらにTPPに関しても不評なことから、地方では党本部とは異なる説明を準備する動きすらあり、自民も分裂気配です。

安倍氏の股裂き策が、機能しそうにないのは、改憲、96条改正が国民理解を得られていないこと。つまり政局的、としか見られないことです。一方で浮上してきた原発再稼動。新基準により認められれば再稼動し、それが成長戦略の一つ、と自民はしますが、この新基準は『原発が暴走するのが前提』のものです。つまり原発はトラブルで暴走する、それを如何に抑制的にするか、を念頭にしており、地域住民は危険に晒したままです。それこそ成長戦略なら、発送電分離が先に来なければおかしく、もし一般家庭も電力の供給元を選択できるようになれば、供給元として原発が選ばれるかどうか? そうしたところからの議論もまた、必要となってくるのでしょう。
政党の股裂けは画策しても、電力会社などの原子力ムラとして、強く結びついてきた企業、団体の股裂けはできない。それが安倍政権の弱点です。早くも政権内から内閣改造話がでてきたように、風向きが変わってきたことは、自民内でも感じているはずです。自民、民主、維新と、衆院の三大勢力はともに分裂気味です。自民は利権で、民主は理念で、維新は醜聞で、とそれぞれ事情は異なりますが、政界再編への道は、意外と早く訪れそうな気配になってきましたね。

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2013年06月18日

安倍政権は短命になるのか?

今朝から安倍ノミクスはG8で評価、と閣僚から発言があり、相場は若干ながら反応をみせました。しかし声明文を読むと、三つの政策m三本の矢によって「(日本が)支えられる」と記されており、これは事実確認にすぎません。声明に日本のみの項目をもうけて記される、というのは稀有ですが、この項目が示すのは、日本は株価も上がり、為替も安くなり、支持率も高くていいね! というのが中身です。その傾向は個別の各国の反応からもみてとれます。
伊国のレッタ首相は、財政赤字はGDPの100%を越え、対外債務も課題であり、日本のように起死回生の策を求めている。安倍ノミクスが参考になれば、と好意的です。仏国も親中から日本に回帰し、当面は日本を支持しますが、産業が活発で世界経済をにらむ独国は異なります。日本が財政赤字をコントロールできず、また通貨安によって影響をうけるため、日本には厳しい見方を示します。ロシアも極東開発、天然ガスの売却先に、日本を見据えている。カナダも状況は似ています。そうやって、今の高い政権支持率、経済も一見すると好調にみえるため、日本に縋りたいと思う国は、総じて甘い判断を下してくれます。ただし米国は異なります。今はドル高容認ですが、そろそろ自動車業界の悲鳴が、米政府を動かしてくる。個別会談がなかったように、夏の参院選で自民が多数をとると、米国のコントロールが利きにくくなるため、この夏には何らかのネガティブな動きを仕掛けてくるかもしれません。

そんな中、自民の高市政調会長の「原発事故で死者はいない」発言に、党内外から批判が集まります。相場が乱高下し、政権攻撃をし易くなった面があるとしても、メディアに支持率落としの号令がかかった可能性があります。自民党保守系議員叩きの、幕開けになるかもしれません。
つまりこれは米知日派にとっても、オバマ政権との距離が開き、日本叩きが始まるのは困るのです。せっかく自民党政権になり、ハンドリングの利く相手になったというのに、また政権交代が起こったら堪りません。米知日派にとり、安倍氏は都合のいい相手でもありますが、別に安倍政権でなくても一向に構わないのです。麻生氏でも、菅氏でも、米国うけのいい相手、強い主義、主張に凝り固まっておらず、柔軟性があれば誰でもいい。安倍ノミクスの期待を潰さないうちに、円満に政権を譲渡させたい。それには都議選、参院選で自民が敗北するか、病気による勇退という形が望ましい。それが米知日派としての選択肢として、浮上しつつあるのです。

安倍氏の攻撃性が話題です。そして休みもほとんどとらない。これは今、躁状態にあるということです。この場合、何かのきっかけでがくっとくれば、説得は容易い。またしても病気退陣になれば、政治家としては終わりですが、支持率がそこそこ高いうちなら、同情も集まる。これだけ政党支持率が高いのに、地方選で自民が負け続ける怪、という事実と照らすと、安倍政権の円満退陣への道が、着々とすすみつつあるように感じます。
実は、安倍政権は追い込まれつつある。味方をもとめてさまようのも、敵をみつけて攻撃するのも、焦りとみれば今の安倍政権の現状が分かります。米オバマ政権も支持率が下がり、起死回生策を打ちたい。しかし伊国、仏国と違って、すり寄るということはせず、日本叩きをすることで、回復をはかるかもしれません。オバマ氏は、安倍氏のFacebookをみても、決して『いいね!』とはしないでしょう。むしろ『もういいよね!』のボタンを押したがっている。そんなタイミングが、近づいてきているのかもしれませんね。

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2013年06月17日

雑感。G8が開幕

安倍首相がG8に参加する前、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー(V4)の首脳と会談、共同声明を発表しています。エネルギー分野の協力を謳いましたが、日本がよほど革新的技術を提示しない限り、原子力にしろこの地域からの受注は難しい。それはEU圏内であり、西欧との結びつきが強いこと。またODAという手法が使えず、日本製を受注するインセンティブが低いためです。
安全保障面での協力にしろ、EUとしての姿勢と大差ない。かつての共産圏時代、中国や北朝鮮と近かった、といっても、今はもう重要情報をやりとりする間柄ではありません。北朝鮮からの出稼ぎ、留学を受け入れるぐらいで、EUに情報が洩れることを怖れた中朝側から、深い関係を築こうとも思えない。関係を深めておく、ぐらいの成果と考えておけばよいのでしょう。

G8が始まります。初めに、日米首脳会談は開かれない。オバマ大統領は相変わらず、安倍氏が嫌いなようです。電話会談をしたから、ではなく、電話会談で済まされた、というのが正しい認識です。本来、十分でも会談し、握手するのが日米同盟を伝える意味でも必要なのですが、それすら拒まれた。日本は立ち話でも…と食い下がっていますが、待ち伏せして偶然を装う、といった手をつかっても…が日本側の本音です。米国の仏心がどの程度かを、このG8で知ることができます。
図らずも注目されるのが情報分野です。昨年後半だけで、米政府からFacebookに約1万件の情報提供を求めていた。さらに元CIA職員による、他国の情報をハッキングしているとの証言もあり、世界全体で情報の扱い方が議論されます。そして多国籍企業における、課税の問題。これは声明の草案がすでに洩れており、国別で課税額を当局に報告することを、義務化するとの内容までは踏みこまない、となっており、どうも今回のG8では結論が出そうにない問題となっています。

オバマ氏は日本とは懸案がない、としますが、実はこの情報に関しても調整が必要です。例えば、日本が米政府の意に反して動いていないか、監視する目的で、日本をハッキングしていたら? 仮に中国をハッキングして、重要情報が分かった場合、日本と共有してくれるのか? もう確認している可能性はありますが、今後も米政府は情報収集をやめないでしょうし、それが極秘裏に行われるからこそ、トップが会って確認しておく必要があります。今はそんな信頼感すら、日米では築けていません。恐らく米民主と日本の自民は、今後もこうした関係が続くのでしょう。
課税の問題にしても、日本ではすぐ法人税減税の話になりますが、欧米はむしろ逆で、企業の租税回避を防いで税収を上げる方向です。民間でも、租税回避をしていた企業の不買運動を行い、企業を徹底的に糾弾する。社会的責任を果たすよう、働きかけていく流れです。今回は結論が出そうにありませんが、将来的には差額分を納税させる、といった方向性になるかもしれません。

注目はされても、今回も決めきれない国際会議に終始するのでしょう。チェコでは昨日、内閣官房が首相の妻を、軍を使って監視したとの醜聞により、首相が辞任しました。情報の扱い方一つが、国や政府の信頼感にも直結する。安倍首相のFacebookでさえ、米国の監視対象かもしれない。そう考えると、今はIT戦争の真っ只中にあり、日本が出遅れていることに危機感をもつべきなのかもしれませんね。

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2013年06月16日

安倍政権と官僚との付き合い方

復興庁に出向していた職員の、Twitterの問題があります。この人物が勘違いしているのは、どんな媒体にしろ、向こうに相手がいる、という認識をもつべきであるということです。実生活でも、愚痴や不満を云える相手はいるでしょうが、大多数にそれを言えば、批判や攻撃ととらえられます。攻撃は、必ず自分の身にはね返るものです。それを間違えると、この職員のように処分されたり、別な方面からの攻撃にさらされるようになります。

毎日新聞に載った元外務官の田中氏の記事に、安倍氏が反応。外交を語る資格がない、とまでFacebook内でふれています。北朝鮮融和派の田中氏と、安倍氏が水と油なのは理解できますが、今回は安倍氏の狭量さを示しただけなのでしょう。まず官僚との付き合い方において、意見の対立は当然のようにあります。官僚は自分の推す政策を、手を変え、品を代えて説明し、それを政治家に納得させようとします。逆に言えば、政治家がうんと云わなければ政策は前にすすみません。
小泉訪朝時のことを問題視しており、確かに安倍氏は官房長官で最終決定者ではなく、田中氏とは対立する立場にあった、と云えるでしょう。しかし自分と対立する意見、政策を排除していくと、身の回りには阿諛追従の輩しか残りません。それは政治の暴走を許し、国としては弱体化する方向です。つまり小泉訪朝ですら、対北融和派がいたからこそ実現できたことであり、もし強硬路線の安倍氏の側が優勢だったら、北朝鮮は交渉にすら応じていなかった可能性が高いのです。

対立する意見、相手でも、活用するぐらいの度量が政治家には求められます。しかし安倍氏は、安倍ノミクスでも同様、最後まで突っ張り通してしまう。失敗が顕著になってきたときは、恐らく病でダウンするはずです。それは自分の非を認められず、ストレスを溜め込むことによってそうなる。中国包囲網にまい進しても、経済面で不都合が生じると、態度を転換させなければなりませんが、それすらストレスを感じるでしょう。安倍氏はこういう狭量さが目立つため、病にやられ易い状態に自らを置いているのであり、それを病だから仕方ない、ということはできません。
安倍氏は同じ意見、態度の人間に囲まれていないと、不安で仕方ないのでしょう。だから意見が違う人間、合わない相手を攻撃してしまう。今はメディア戦略も上手くいっているようで、麻生財務相の写真を拡散させるなど、自民応援団的動きもみられます。しかし写真の角度、画質からみても、準備したようにしか思えず、インターネットによる印象操作の懸念すら抱かせます。

安倍氏は防御になると、途端に脆さを発揮する。それはこうした気質面からも指摘できてしまいます。安倍ノミクスに陰りが見える中、世論調査は未だに好調で、それが心の支えになっているのでしょう。しかし共同通信の世論調査で、都議選で自民に投票するとしたのが26%と、政党支持率より遥かに下です。これが何を意味するのか? 元官僚でも、対立を始めると何がおきるか分かりません。政権内の、出るはずもない醜聞の記事が踊りはじめると、危険水域に入っていくのでしょうね。

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2013年06月15日

経済の話。日本市場の行方を決めるFOMC

今日の番組でも、橋下維新代表が自身の発言に支持が集まったことを「小金稼ぎのコメンテーターとは違う」と発言し、物議を醸しました。橋下氏が誤解しているのは、発言が正しいかどうかで、民意が離れたわけではなく、人を傷つけるような態度が政治家に相応しいか、が問われるのです。政治は、裁判と違って勝ち負けの問題ではありません。時には不都合なことでも押し進めていく。しかしそのとき、少数の弱者に目配せしなければ、強者の論理となってしまいます。
橋下氏は日韓基本条約を見直し、国家補償の対象とする可能性にまで言及します。コメンテーターにも挑発的に「補償に言及できるか」と訊ねますが、これも強さではなく、傲慢さに映ります。何らかの証拠があってそう発言するなら別ですが、それを政治が公言するのは奇妙です。本来、政治ができるのは調査機関を設ける、まで。つまり突拍子もなく実現性が低く、いくつもの条件をクリアしなければできないようなことを、発言すること自体、それは政治家としての資質を問われるものです。結果的に、『正しさ』によって橋下氏はまた株を落としたといえるのでしょう。

14日の日本株は反発しました。しかし米株の上昇分のみで、日中はSQを意識した取引に終始、反発力は弱いものです。来週のFOMCを睨んで、方向感が見出し難く、ボラティリティが高いことも重なって売買が減少、実需ベースの取引が極端に減ってきています。それがさらに、短期スジの思惑を誘うといった展開であり、これはFOMC後もつづく可能性があります。今回のFOMCで、はっきりと緩和継続、縮小について言及することはない。それは、ここまでの口先介入により、ジャンク債市場から巨額のマネーが退出したように、効果が上がっています。それをわざわざ、またリスク取引を活発化させる必要も、その効果を無にすることもないためです。
今のFRBはインフレより、このリスク取引の拡大、縮小が金融政策の方向性を決めるといった状況です。米国のインフレは落ち着いており、むしろ消費が活発とされる割には、低下傾向にあります。それでも縮小が必要なのは、リスク取引が拡大し、その逆回転がおきたときの反動を大きくしたくない。バブルの芽を早期に摘む、そのための縮小です。なので労働市場すら、その状況が落ち着いている限りは、バブル退治を優先する。それが中央銀行の第一の役割なのです。

しかし日本は状況が異なります。デフレを解消するため、中央銀行があえてバブルにすると宣言した。まさに株価もバブル的な動きを示しています。上昇が急ピッチだから調整も当然、という人もいますが、それこそバブル症状と云えます。急ピッチな上昇も、急落もバブルによって生み出された。つまり日本株も、リスク取引の拡大とともに上昇し、終焉とともに下落しているのです。
FRBが潰したがっているバブルと、日本株が連動している。これが今の相場です。なので反騰、反転にはリスク取引の再開が必要か、それとまったく別の環境を準備するしかありません。そこで政府が、郵貯の運用ルールを見直し、株に投資することを模索しているとされます。郵政は未だに国が大株主です。市場をコントロールしたい政府が、そのマネーを活用したいとする誘惑に、抗しきれるはずもありません。しかし金融機関の自己売買を縮小させる、世界的な流れとも逆行しますし、何より郵貯に預け入れる預金者に、説明も必要となってきます。つまり株主の意向のみで、運用ルールを変えてよいわけでなく、リスク取引については利用者の理解も必要なのです。

さらに郵政の運用担当の脆弱さ、も指摘できます。体制整備に時間も必要ですから、政治の思惑通り、参院選に間に合わせて株価上昇となるかは、疑問と云わざるを得ません。思い切って海外資産を買わせ、円安誘導するといった手にしろ、先にGPIFが運用ルールの変更を発表した後、円高になった状況を鑑みれば、効果は薄いといわざるをえないのでしょう。日銀が始めたバブルを、FRBが潰しにかかる。この構図の中で、日本株の反転を考える上では、やはりFOMCを確認しないことには、言及することもできないということなのでしょうね。

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2013年06月14日

自民の『日本を、取り戻す。』は何から?

米中首脳会談において、日本の政府筋から、米国が尖閣に対して「同盟国である日本が中国の脅威にさらされることを見過ごせない」と述べた、と伝わります。実はこの報道、五月雨式に、幾つかのメディアがバラバラに報じていることから、世論誘導の類とみられます。会談後の公式会見ではふれられず、日本に非公式に伝える、ということは可能性としてあっても、そうした情報は本来秘匿しなければなりません。それを政府筋が洩らせば、信を失ってしまう事態です。
しかしこれは日米の緊密さ、を喧伝する材料になる。もし仮に、中国側がこの報道内容に抗議しても、政府の公式見解ではない、と逃げられる。一方で国民にそう伝われば、親米を模索する政府としても利がある。有り体にいえば、政府のうそ情報でも流して、世論を都合よく操作できる発信源が『政府筋』です。政府が公式に認めない、こうした情報は疑った方がよく、オバマ大統領が言ったか、言わないか、でいえば言わなかった可能性の方が高い、とさえ考えられます。

都議選が告示されましたが、それに合わせて成長戦略が閣議決定され、安倍首相がネットで情報発信しました。しかし成長戦略の評判が悪く、閣議決定の前に早くも第二弾の話がでるなど、安倍政権も市場の乱高下と同じで迷走中です。これは参院選の選挙公約も同様であり、辺野古移設を明記するか、しないかでもめ、原発も「地元自治体の理解」と、決め切れません。その中で憲法96条改正については「国民に参加する機会を得やすくする」として残されるようです。
しかしこの自民の憲法改正案、総じて非常に『おしつけがましい』ものです。ある方の指摘で、この憲法改正案は、憲法を一般の法律と同じレベルまで貶める意図が、自民にあるのではないか、とされます。本来、憲法に書くべきでないもの、書く必要のないもの、例えば家族間の扶養や、国歌、国旗への尊重まで並べます。つまりこれが、憲法を理念、理想という大項目から、殊更に矮小化した形とし、さらに改憲をしやすくすることで、政治の力で変えられる一般法と同じ扱いにしたいのではないか?

そして、自民がポスターでも用いる『日本を、取り戻す。』とのフレーズ。これを自民党の憲法改正案をみると、自民は『日本の主権を、国民から自民党の手にとり戻す。』と述べているように聞こえます。政治がすべてを決め、国民はその命に従っていればよい。その傲慢さが、この憲法改正案にみられる、自民の態度なのです。その萌芽は安倍政権でも幾つもみられ、市場に一々口をはさむ経済閣僚、政策でも民間に任せるのではなく、活力の爆発を政策によって促そうとする態度、まるで政治の力添えにより、それが達成されるかの如き発想が、今の自民には目立ちます。
小泉政権時代、それを引き継いだ安倍政権も、小さな政府路線だったはずですが、いつの間にか政治力を前面に押し出すようになった。これは公共工事のバラマキも同様です。大きな政府を目指し、保守だったはずが、保身を第一に掲げている。そして憲法改正案をみれば、民主主義だったはずの自由民主党が、権威主義に変わってしまった印象すら受ける。成長戦略をみれば、既得権益者に最大に配慮する姿勢しかみられない。自民にとっては、こうした点はすべて悪材料となります。一体、何から何をとり戻して、日本をどうしたいのか? 今のところ、自民の掲げているのは上記の通りであり、それは国民にとって不幸な国づくりとしか映らないのでしょうね。

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2013年06月13日

市場の急落

日本野球機構(NPB)の統一球隠し問題があります。不祥事と思っていない、という加藤コミッショナーの発言が不祥事です。規格が変わったら、公表しなければならないのは当然ですが、当初の規格以下という事実を隠すため、うそを重ねた。しかし反発力が違えば、結果が変わるのですから、一目瞭然になることぐらい初めから想定できたはずです。野球の記録は、道具やルールの変更によって変わるため、過去と比較することにあまり意味はないとされます。しかし結局、昨年の結果は正しかったのか? という全体の問題にまで波及することを、隠蔽して済ますことは認められません。
しかし加藤氏は、元外務官僚とされ、まさに不祥事のもみ消し、イイワケは官僚の手法そのものです。国民がなぜそれにいら立ち、不満をもつか、分かっていない。分かっていても、組織防衛の論理を前面におしだす。NPBという組織が、如何に顧客重視の経営でないかを、今回の件でも如実に露呈してしまったようです。

今日の日経平均は800円を越える、大きな下げとなりました。今日は悪材料が重なり、米ダウが今年初の3日続落、連休明けの中国株の下落、日本はSQ前のポジション調整がすすみ、4-6月を高値でとってきたため、売りが嵩んだ。そして安倍政権で、成長戦略第二弾が早くも議論され始め、さらにそれが投資減税を目玉としたことで、今後の政策に期待できないとの思惑が高まりました。
ここ半年はずっと日本株のパフォーマンスが、世界を上回ってきました。その逆回転がおきれば、こうして下落率が高くなってしまう。今日はアジアが総じて安かったのですが、日銀の金融政策決定会合以降、新興国の通貨、株の下落が顕著であり、それがさらに世界経済のシュリンクを意識させます。そしてこの動きの一部に、中国リスクを意識するものも含まれていると感じます。

中国の5月貿易統計が、前年同月比で輸出1.0%増、輸入0.3%減と、市場予想を大幅に下回ってきました。香港との裁定取引の監視が厳しくなり、実態に近づいたことも一因ですが、日米欧への輸出がそろって減少するなど、中国型の経済に限界がみえている。ソーラーパネルメーカーの破綻など、大量生産、薄利多売で市場占有率を高め、世界を席巻していくという戦略が、世界経済が縮小する中で通じなくなった。いずれ鉄鋼メーカーも同様のシナリオになるかもしれません。
中国の懸念は、過剰設備、過剰投資、なので景気刺激や緩和をすると、さらに過剰感を増してしまう点にあります。結果的に、バブル崩壊の崖を大きくするだけ。これは日本も同じです。設備投資減税など、既存の製造業などは海外に工場移転をすすめる中、国内の設備過剰は否めません。それなのに投資減税を打ち出しても、効果は限られます。これは、消費税は増税したい。法人税減税は避けたい。規模の小さな投資減税でお茶を濁した、というのが実体であり、それも官僚の口車に、安倍氏がとびついた、ということが明らかなのです。

G8で、安倍氏は安倍ノミクスを喧伝するそうですが、世界をリスクオンにしたため好感された安倍ノミクスも、今や批判の的にさらされるでしょう。世界経済のボラティリティーを高めた結果、急落という事態を起こしやすくさせた。グローバル化により、世界が統一ルールに走り出そうとする中、反発係数をこっそり変えて、市場の反騰を望もうと画策しても、打ち返すバットでさえ、FRBのQE縮小というルール変更に怯えてできなくなっている。今の世界は、まさにグローバル化というルールの中で、世界同時〜という事柄に敏感に反応しやすくなっているのでしょうね。

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2013年06月12日

雑感。警察の不祥事について

サッカーW杯出場を決めた夜、渋谷駅のスクランブル交差点で、演説により混乱を回避したとしてDJポリスなる愛称をつけ、称賛する向きがあります。しかしそれを覆して余りあるほど、警察不祥事が相次いでいます。証拠品、証言の捏造、剰え公判における偽証に発展するものまであり、さらに盗撮、猥褻や買春など、ニュースにならない日がないほど、警察官による不祥事があふれています。
しかも大手メディアがとり上げないか、とり上げても小さな記事なのが、国連の拷問禁止委員会で人権人道大使がキレた件です。これも、日本の警察捜査における問題点を指摘するものです。容疑者の長時間の拘束、また取り調べ、弁護人の立会いもないままとられた調書を、証拠採用する。これらは、海外から「中世」とまで称された。日本の警察官の捜査手法は、前時代的だとバカにされたのです。それでも取り調べの可視化に否定的だったり、警察は内部改革がすすまない。証拠、証言の扱いが杜撰だったり、モラルさえ低下している。今さら、DJポリスを前面にたて、警察のイメージを改善しよう、という思惑を働かせる前に、きちんと警察改革をしなければいけません。

国連の拷問禁止委員会をとりあげないメディアも、結果的に司法権との癒着を匂わせます。これは陸山会事件でもはっきりしましたが、警察はメディアに自らが考える事件のシナリオを語り、世論をそうした事柄が、あたかもあったかのように錯覚させ、有罪というムードをつくりだす。裁判も世論に左右されやすいので、こうした手口がこれまで横行してきました。未だにその関係は続いており、メディアは司法に配慮して、国連の報道は手控える。一方で、米国の意向にも沿う慰安婦に関するものは、すぐにとり上げる。どちらも重要度は同じはずなのに、です。
日本の警察の歪みは、実はドラマにも現れます。鑑識は下、刑事が上、そんな形で描かれます。現実とは違う、とはいえ警察内部でも、この意識は変わらないでしょう。刑事が考える事件のシナリオ、それに基づいて証拠を集めるのが、ごく一般的です。証拠が先で、それに基づいてシナリオを組む場合、当然のように鑑識の地位はもっと上昇しているはずでしょう。そして米国のCSIなどは、明らかに証拠を集め、分析する側と警察官がほぼ対等で描かれます。証言に頼れなくなれば、そうせざるを得ないのです。しかし日本はそうならない、していないことが問題です。

そんな中世のドイツでは、聖フェーメ団と呼ばれる民間の、自警団が存在しました。未だにエンタメでは影響を与えており、死刑になると木に吊るされ、そこに判決文をナイフで止める。そんなシーンは、この聖フェーメ団の活動によるものが投影されています。当然こうしたものは治安の乱れ、警察や司法が信じられなくなり、民間がつくりだした組織です。日本はこうした状態だ、とまで指摘されたのです。これで警察が改善にむけて動かなければ、本当に民営の自警団が必要な時代が来てしまうのかもしれません。
警察に改革を任せていては、遅々としてすすまない。今のメディアも、警察寄りの意見しか述べないので、改革を促すことができない。ならば、国会が動いて法改正をするしかありませんが、今の自民党も警察組織を利用してきた側面があり、それも難しい。結局、国民が警察に呆れ、信を失ってからでないと、本格的な改革にはならないのかもしれません。DJポリスの話術でも、警察不祥事をかくすことはできません。自浄能力がないのなら、その内本当に日本でも聖フェーメ団が必要になってしまう。そうなったら不幸以外の何者でもないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | メディア

2013年06月11日

日銀政策決定会合はゼロ回答

今日の日銀政策決定会合、まさかのゼロ回答でした。0.1%の固定金利オペの期間延長も、議論されながら見送り。背景には、最近改善されてきた景気、物価も上昇傾向にあり、ここで新たな弾をうつ必要がない、ということです。そして、戦力の逐次投入はしない、と宣言していた黒田総裁の矜持を保った、ともいえます。4月の異次元緩和以来、失敗とも評される今の金融政策に、多少の変更を加えることすらなく、維持を決めたことで、市場は反落という形になりましたが、一方では底堅く推移してもいます。ただしさらにナイトでは13000円を一時的に切り、今晩の米株市場次第では、明朝にシカゴ日経平均先物が13000アンダーで返ってくるかもしれません。

4-6月期法人企業景気予測調査は、大企業全産業で+5.9%、先行きも2桁回復を示唆します。しかしこの調査、5.23以降の市場変動は織り込んでおらず、何でも上手くいっていたときの統計です。昨日発表の1-3月期GDP改定値も、前期比+1.0%、年率換算4.1%と、速報より上方改定されました。しかしこれも過去の数字で、市場が混乱し始めてからの傾向は、何も示していないことになります。
昨日の5月景気ウォッチャー調査は、0.8pt悪化しています。目安となる50は上回っていますが、5月からマインドの低下は現れ始めた。各社の世論調査でも、景気回復の実感がない、は80%に迫る勢いです。一方で、物価はじわりと上昇を始めており、個人の景況感は確実に悪化している。そしてそれは、市場が乱高下を始めた次の6月の指標から、一気に織り込む形になります。

さらに、ここにきて週刊誌、各エコノミストらが掌を返したように、安倍ノミクスに疑問を呈し始めた。これは意趣返しであり、調子がいい間は批判もできない、またメディアにも登場できない、そんな反リフレ派の人間に対して意見を求めるようになった。その結果、一気に不満、疑問点を吐露しはじめた、ということです。そこには広告主からのプレッシャーもあったでしょうが、市場が喧伝されている事実と違う、と突きつけたことで、公然と批判しやすくなったのです。
今の市場は壊れていますし、今日などは桁違いのロールが出ています。メジャーSQを前にしても、これだけ大きなロールは近年稀です。逆にいえば、6月の解約にむけた動きが少なく、それだけファンド勢が市場に資金を置いておけた、ということなのでしょう。そして今日の市場の動きも、これに振り回されただけで、実体はもう少し下げたかった、というのがナイト取引にでています。

黒田氏は、自分の立場、態度にこだわった。「改善傾向にある実体を反映し…」と、市場の落ち着きへの期待を述べましたが、壊れた市場が、黒田氏を「壊れている」と感じ始めている。壊れている同士で、対話などは土台ムリな話ですが、最初に市場を「壊した」のは黒田日銀です。壊したのだから、正常化することが義務なのですが、今はそれを時間が経つことで、収束してくれることを望んでいる。自浄能力で修復することもありますが、壊れた市場は暴走する恐れもあります。それを主体的に止めない、ということなら、黒田氏への評価は著しく低下することになっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年06月10日

米中首脳会談について

今日の株式市場は大幅反発をみせました。しかし日銀政策決定会合で、購入する債券の年限を弾力化するのと同時に、何らかの緩和策がでるという期待を織り込んだ形跡があり、明日の内容次第では、売り戻される可能性もあります。一方で先物、オプション市場はロールが大きく、傾きは確認できないのですが、一部では今回の下げ、米国による日本叩きの一部、との見方があります。
私はその説に与しませんし、そうであればソロス氏のファンドが円売、株買を始めたといった報道すら、規制されたでしょう。しかしオバマ大統領の日本嫌いは相当なもので、米中首脳会談で出てきた内容は、かなり気がかりなものが含まれます。それは尖閣諸島に関して「外交チャンネルを通じて対話」を、米国が語ったことであり、施政権への言及もなかった。つまりこれは、領土問題は存在せず、という日本の立場を揺るがし、中国と領土交渉を始めるよう促されたものです。

これは安倍首相にとっての危機です。対中包囲網が成功しつつある、というのが有識者の見方ですが、その結果として中国が見栄を捨ててまで米国に赴き、領土交渉に入ることの賛同を得た。もし日本が、領土問題は存在せず、と突っ張ろうとしても今度は米国から睨みを利かされます。一方で、領土交渉に入ることを表明すれば、これまでの支持層は離れ、安倍政権は弱体化します。そこで『緩やかな外交チャンネル』という形で、議員や元議員などの密使を送る、という戦略もあります。ただし、日本は先ごろ訪中した野中氏を始め、親中派に転じた議員、元議員も多くいることから、人選は厳しいですし、先の飯島訪朝と同じで、うまく利用される可能性が高い。
どちらにしろ、国際司法裁判所などの機関に委ねる形となりますが、今のままだと日本の外交力が低いために失敗する恐れもある。日本が国連におくりこんだ人権人道大使が、キレた件にしろ、日本の司法制度、取調べの可視化や弁護士立会いがないことを審査する、拷問禁止委員会でおきたことです。つまり日本は、国際的にみて司法後進国と見られており、それすら説明できない。「中世の名残」とまで言われ、キレたのです。日本の立場を説明できなければ、領土を奪われる。そんなギリギリの交渉を、日本ができる公算は今のところ、それほど高くないといえるでしょう。

中国はTPP参加まで匂わせ、米国型経済へのすり寄りをみせた。これが実現することはまずありませんが、そこまで米国に阿った。日本では「小異を捨てて大同につく」という言い方をしますが、中国では「大同を求めて小異を存す」といいます。つまり中国は、大目標に向かうとともに、小異も認める。差不多(大して違わない)だから、一旦棚上げしてもそれを忘れることがない。今回の米中首脳会談でも、まさに米中の二大大国論により、太平洋を分割、世界を米中によって決めよう。その大目標のために、見栄は一旦捨ててでも交渉に臨む。尖閣問題も捨てないのです。
折しも米国も、元CIA職員が、国家安全保障局(NSA)が国民の通話記録やインターネットの情報を収集していた問題が発覚、サイバー攻撃で中国に強く出られなくなりました。国内で情報収集している国が、外国の情報にもアクセスしている。そんな疑いから、中国が「我々は被害者」とする主張を否定できなくなった。この職員は現在、香港にいるといったきな臭い部分もありますが、事実ですから、米国も否定しようがない。中国の周到な準備をうかがわせるものです。

パームスプリングズの保養施設で2日間、8時間の交渉、会食も含めるともっと長い間、話し合われた。これを安倍氏の1.5時間、共同会見もなし、と重ねる気はありません。それだけ話し合わなければならない課題が、米中間は多いのですから。しかしまたしても滲んだオバマ大統領の、日本に対する距離感。菅官房長官は「まだ連絡はない、いずれ首脳同士で」などとしていますが、本来は安保の適用範囲に関わる問題であり、日本と調整があって然るべきものです。安倍政権が、オバマ大統領から嫌われている、そして中国がそれを見越して、米国と日本を外した形で接近しようとしている。今回の米中首脳会談は、それを色濃くしたことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | アジア

2013年06月09日

世論誘導と政治

自民党と電通の関係が取り沙汰されることも、最近は増えていますが、地域需要創造型等起業・創業促進事業に関しても、電通に発注されている事例が確認されています。これは総額300億円、1件につき上限700万円で、起業、創業したい人が中小企業庁の認める金融機関を保証人として、助成額の3分の1を借りて応募できる仕組みです。その東京都の審査分を、電通が受注したというのです。
この事業での電通には旨みが少ない、とはいえ、電通関係者が起業・創業する際に優遇することも可能ですし、何より小規模とはいえ、組織に睨みを利かすことが可能です。これは周知、徹底もされず、知っている人も少なく、2次募集は締め切られましたが、今後もどれだけの募集があるかは不明です。さらにこの動きが、東京都議選をにらんで、その貢献度に応じて審査基準を緩くする、などの動きが起きないのか? その辺りにも警戒しておくべきではあるのでしょう。

電通は、第一次安倍政権時代にも、タウンミーティングを通じて政府から事業を受注しています。そのタウンミーティングが、世論誘導をはかる目的だったことは記憶に新しい。今でも自民から、安倍ノミクスを喧伝するようステマを受注している疑念があり、政党交付金の使途が曖昧な中、電通とのつながりは、税金による政治浄化のための資金を、一企業との癒着の目的で行使している懸念を想起させます。その目的が、世論誘導なのですから尚更恐ろしいとさえ言えます。
元々、安倍ノミクスは期待に働きかける。つまり広告、宣伝効果を必要とするものでした。なので「いつやるの? 今でしょ!」を流行らせ、一般投資家にタンス預金を吐き出させる形で、投資するよう促した。ただそれが効き過ぎて、急騰、急落を演じてしまったのが今です。「もうやった! 失敗したでしょ?」に変わってしまった。慌てて、安倍首相が都議選の応援とは言いませんが、都内で演説しているのも、地方選で敗北続きという以上に、この広告、宣伝の失敗という面が大きい。世論を動かして風を吹かせるつもりが、それが竜巻になってしまい、安倍ノミクスで損をした人間が増えてしまった。広告、宣伝に頼れなくなった、というのが真相でしょう。

そして安倍自民は、何としてでも都議選に勝利し、ひいては参院選につなげたい。野党でも維新、みんなは協力的とは言え、参院の過半数はとりたい。しかしそれが、世論誘導の結果としてそうなるなら、それはかなり危惧すべき事態です。東電の広告量が多く、それが原発を推進する有識者を、政府が電通と結びつき、TPPや安倍ノミクスの礼賛者を、メディアが用いやすくなる。そうやって創られた民意で、政治が決まるのなら、資金力のある一部に社会が牛耳られてしまいます。
そもそも、最初の事業も『〜等』がついている時点で、何にでも使えてしまう予算です。そうした事業を認め、また一営利団体にその審査を任せてしまう、まったく事業の監視、法律の執行という時点で力不足を露呈しているのが、今の政権与党、自民です。それはこの資金が、被災地の復興、支援とはまったく無関係であり、そちらでは別に、民間で募金という形で事業再開を目指す動きがある、と知ると、さらに違和感を生じます。『〜等』をつけるぐらいなら、被災地の復興支援に回して、残りを全国に配分した方が、よほどすっきりするはずです。

安倍政権の不都合な真実、それは世論誘導をはかって、それに失敗しつつあるというお粗末過ぎる展開なのかもしれません。市場をコントロールしようとして、失敗を露呈しつつあるという実績とともに、世論をコントロールしようとする。その試みは失敗すべきですし、もしそれが成功してしまえば、日本には巨大な、新たな集票マシーンとしての電通が現れてしまう、という意味において、深刻な事態を招きかねないことなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年06月08日

米雇用統計と市場の動き

週末にかけて、色々な経済の動きがありました。まず注目された米5月雇用統計は、非農業部門で17.5万人増、失業率は7.6と予想より少しよい程度でした。これを好感し、米株式市場は緩和縮小懸念が後退とみて、200$を越える上昇となり、為替は緩和縮小をおりこむ形でドル高に向かいました。同じ数字を、違った解釈をして『いいとこどり』した印象をうけますが、最近の市場は経済指標のおり込み方に首をかしげるものが多く、それがまた市場に不安を与える結果になっています。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用方針を見直し、国内債券を67%から60%、国内株式を11%から12%、外国債券を8%から11%、外国株式を9%から12%にします。これは非常に疑問な内容です。日銀のバランスシート拡大に伴い、国内債券は処分先がある状況です。しかし安定保有者が減り、国債市場にはマイナスでしょう。株式の配分は、大型投信の2、3本で賄えるぐらいなので、大して市場に影響しないでしょう。問題は外国株式、債券の比率を大幅に高めることです。
GPIFが株や債券のリスクと同時に、為替リスクも負う。二重のリスク管理が必要である点と、日銀の異次元緩和により、世界でおきたことはリスク投資の拡大です。ジャンク債級の債券が買われ、利回りが20%近い水準から、一気に5%まで低下したものまであります。この急激におきたジャンク債バブル、これによりリスクテイクが一気にすすみ、株や不動産に資金が流入し始めた、という背景があるのです。つまり今の外国株式、債券はバブルの波及効果で高い面があり、仮に今回の円高局面でキャリー取引の巻きもどしが起これば、一気に資産価値を目減りさせてしまう可能性が高いのです。

逆に言えば、政府がまたしても外国の顔色をうかがい、GPIFに外国資産を買え、と促したのかもしれません。今の政府は円安信奉者が多いので、円安効果を狙ったのかもしれません。いずれにしろ、今がバブルならいずれ弾け、損失を拡大させる恐れがあります。そしてそれは今の市場動向からも、はっきり読み解けるのです。整理すると、円キャリー取引が起きる、リスク投資が活発化する、各市場が高騰する、という流れです。それが逆回転を起こすと、市場下落、リスク投資の縮小、円キャリー取引の終わりで円高、と二重、三重に損失を拡大させてしまう形になるのです。
今回、一気におきた円高局面でさえ、円キャリー取引を雇用統計発表前に、一旦手仕舞う動きがあり、それがまた少しもどったから米株は上昇した。そう考えるのが妥当なのでしょう。そしてある水準を抜けると、リスク投資も一気に巻きもどされ、欧州の債務不安が再燃する、といったシナリオも十分にあり得ます。ECBは金融政策の現状維持を決めましたが、リスク投資の行方次第では、ECBは更なる緩和策を求められるかもしれません。それは日銀、FRBとて同様だということです。

しかしリスク投資を活発化させると、バブルの懸念が付きまとう。だからFRB地区連銀総裁などは、緩和縮小を示唆しています。口先介入だけで、リスク投資を縮小させようとしている。その結果が、今回の大幅下落の背景だとすれば、それはリスク投資の縮小に伴う実体経済への鞘寄せ、という流れであり、実際に緩和縮なのか、継続なのかは、実はそれほど重要ではない、ということです。
日経平均は、ナイトでも13000円回復、シカゴ日経平均先物も、13000円をキープしたので、一旦は反発も期待できそうです。しかし海外のリスク資産、ジャンク債級の動向には注意しておいたほうがいいのでしょう。結果的に、マネーを巻きもどす流れを、日本が大きくしているのも、日本がバブルの一翼を担ったためであり、それは政策の結果として起きたことでもあるのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年06月07日

雑感。日仏、米中首脳会談

日仏首脳会談が開かれ、2+2、外務、防衛閣僚会議を開催すること、及び防衛輸出管理で合意しました。防衛装備品の開発を通じて関係を深め、中国への着艦装置の輸出など、仏国がすすめてきた親中路線を見直す契機にしたい、というのが日本の意向です。ただオランド大統領が、中国より日本を重視し始めたのも、東アジアにおける中国への警戒というだけでなく、中国経済の崩壊を睨んでいる面もあります。中国との取引量をふやすと、ダメージコントロールしにくい、一方で別の貿易相手をさがしたとき、日本との関係を深めておきたい。原発大国、仏国は世界に原発を輸出しようとする安倍政権との親和性も高く、だから訪日したという面も否めません。

そんな中国の習近平国家主席が、訪米しています。プライドに拘り、あくまで中南米を訪れた最後に、ついでに寄るという形をとりましたが、中国の主席がわざわざ米大統領に会いに行く、というのは異例です。一部で尖閣上陸を、米国に認めさせるために出向いた、などという意見も目にしますが、中国はそんな条件を引き合いにするような国ではありません。しかも今回、サイバー攻撃の問題など、米国から様々な攻撃材料が懸念される折です。やはり、中国経済が深刻な状況であり、その打破にむけて米国からかけられている疑念を払拭したい、これが最重要案件とみています。
しかし警戒しておくべきは、日米間に隙間風が吹く今、中国が米国と距離を縮めようとする行為は、最終的に尖閣諸島の問題にも波及する点です。つまり安倍政権は、米共和党系の知日派と近すぎて、オバマ政権とは距離がある。一方で、安倍政権は中国包囲網を築こうと躍起です。これが風穴となり、中国包囲網がくずれたとき、日本は孤立無援になりかねない状況を迎えます。

中国にとって喫緊の課題は崩壊間近とされる経済です。だから北朝鮮の制裁にも合意し、妥協を示した。米国と話し合える環境をととのえた。そして米中の経済がより緊密となり、中国経済が回復すれば、そのときは領土問題で米国を抱きこみ、日本に圧力をかけてくる公算が強い。米国としても、中国の外貨準備を吐きださないよう、釘をさすことができますし、経済規模で1、2位の国が手を結べば、それは強力なパートナーとなる。中国は韓国の対米戦略をみて、学んでいる部分があり、いずれは米議会で習主席が演説、などという待遇まで期待しているかもしれません。
今回はまだ警戒すべきレベルではありませんが、今後の米中の接近は、日本の懸念となり得るものです。しかもここに来て、国連において日本の人権人道大使が、上から目線の発言をした、と報じられます。世界で安倍政権が危惧されているのは、保守的傾向により対外的に、高圧に出ること。この大使はまさにそれを体現した。米国が日本に嫌気がさし、距離をおくことを正当化してしまうような行為です。日本は根本的に、外務官僚、大使などの人選を見直さなければなりません。それなくして国益など到底守れない、なのに安倍政権ではこうした対応に手付かずの状況です。

為替の急変動、株価も4月日銀の異次元緩和発表からの上昇分を、吐きだす流れとなりました。それに甘利経再担当相が「外的要因」と述べるなど、無策を露呈した形です。経済がグローバル化した結果、外的要因も含めて織り込まなければ、到底経済政策とはいえません。外交では失敗ばかりの安倍政権が、今回の米中首脳会談を、ただ指を咥えてみているだけなら、仮に中国経済が崩壊したとき、日本はその荒波をまともに被ることにもなり、より深刻な事態を招くのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年06月06日

市場の期待と安倍政権

SMBC日興証券社員による、認知症女性の資産運用事件がありました。昨年5月に認知症と認定された後、7、8月に他の証券会社の投信を解約させ、自身の証券会社の債券購入に充てさせるなど、悪質極まりないものです。気づかなかった、と説明しているようですが、その時点で瑕疵があり、言い逃れできません。しかも実弟に成り済ますなど、実行部分にも関わっており、母さん、助けて詐欺と半ば同様の構図をもちます。こうした取引は、これまで何度も確認され、事件になってきましたが、厳罰化しないと高齢化社会の中で、さらに被害が拡大することになります。

某ジャーナリストが、某週刊誌において「株価は期待で上がるもので、各新聞社が株価下落で『期待先行の危うさ』というのは間違い」と指摘しています。しかし一面は正しいですが、この意見は誤りです。株価は基本的に企業の価値を示すものです。それを市場化しているため期待、失望の思惑で動く、というだけです。期待先行は、企業価値と乖離したために起こることであり、それはやはり危ういのです。実体との裏づけがないため、市場が今、乱高下に巻きこまれています。
この人物は、最近政府に近づきすぎたためか、意見に首を傾げるものが多い。飯島氏の訪朝を「日本が動いたことで、拉致問題が動き出した」と述べるなど、まったく逆の意見が目立ちます。北朝鮮は韓国に対し、開城工業団地の再開など、対話を求めてきましたが、北朝鮮が対話路線に移行する、その最初の交渉相手に拉致問題で妥協点のありそうな日本を選んだだけで、飯島氏はそれに利用されただけです。安倍氏は「交渉は始まったばかり」と述べますが、先に飯島氏は「安倍首相の決断次第」と述べるなど、政権内でも意見が食い違っている。つまりこれは、飯島氏が持ち帰った条件を日本はのめず、交渉が頓挫したことを示すのです。この人物の言葉を借りれば、「日本が動いたと思ったら、拉致問題は暗礁にのりあげた」ということになります。

最近の市場では、参院選で勝利すれば安倍氏は強い基盤をきずいて、やりたい政策を始める、といった意見を耳にします。しかしそれは望み薄でしょう。選挙で約束もできない人物が、選挙後に強権を発動すれば、日本もトルコと同じようにデモがおきるでしょう。参院選で、何を約束するかが大事ですが、今のところ政権で打ち出したもの以外、盛り込まれない方向です。それは利権団体に縛られ、官僚に阿った施策であり、それを選挙で勝ったからといって打破できるはずもありません。安倍氏にとっては有権者より怖い、政権基盤を崩すことにもなるからです。
安倍政権は、民意をムードで盛り上げるため、利権団体による誘導が欠かせなくなっているのです。メディア、経団連など、声の大きな組織が安倍政権を評価してくれれば、民意はついてくる、と考えているフシがあります。改憲も95条先行改正で躓き、国防軍も民意はそれほど支持してくれない。つまり安倍政権のやりたいこと、は国民の意志と乖離しているのです。だからこそ、利権団体から支援を受けられなければ、総批判にさらされる。それが怖くて堪らないのです。

市場は間違えます。今も、上昇波動は崩れていない、という証券系のアナリストも多いですが、残念ながら次に下げ止まり、上昇するためには円安でも、成長戦略でもない、新たな材料が必要なのです。つまり次の上昇波動にのるための変化、が必要なのです。しかし安倍政権がつづく限り、それが出てきそうにない。市場の思惑とは、そうやって変化していくものであり、その波を上手く生かさない限り、やはり「期待先行は危うい」ということを証明するだけ、なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2013年06月05日

安倍政権の成長戦略第三弾

昨日はサッカー日本代表がW杯出場を決めました。そして今日の昼、首相が講演で成長戦略の第三弾を発表。まるで中身がないことを、事前に織り込んでこの日に講演を設定したようです。そう勘繰りたくなるほど、今日の講演は失敗であり、市場は期待していた原発再稼動、年金機構(GPIF)の弾力運用などがなく、講演スタートと同時にイベントドリブンをかけて買い上げようとした層が一気に売り戻し、それをうけて13000円近辺まで急落しました。しかも引け間際、はね返したはずが再度売られ直すなど、売り方の強さが目立ち、今後にもしこりを残しそうな雰囲気です。

その成長戦略ですが、まず「国民総所得を10年後に150万円増」としましたが、誰もが「きっとその頃には、消費支出が200万円増」と思ったはずです。名目3%、実質2%の成長を謳いますが、そこにはインフレ率が含まれますし、所得が増えるとインフレを加速させます。国民総所得は、単純に国が儲けた額を国民で割っただけなので、実際の所得ではありませんが、仮に所得増なら、それを越えるインフレとなり、資産運用しなければ家計としては苦しい社会となります。
キーワードは『民間活力の爆発』だそうですが、よく考えても意味が分かりません。爆発による瞬間的な効果を期待するのか、過剰投資によるバブルにしたいのか、それとも爆発後の焦土を望むのか? 会見では、岩盤に発破をかける意味でつかったようですが、それを民間にさせるのか? PPPやPFIの仕組みは、相当に困難であり、手法を間違えれば民間が手をひき、行政が負債として引き継がなければならなくなる。これは三セクでも同様です。仕組みは以前からあれど、成功例が少ない。しかし大体、毎年の政府の成長戦略に入ってくる、という厄介な代物です。それを意味不明な言葉をつかうだけで、手を代え、品を代え、している印象しかしません。

これは国家戦略特区も同じ、成功した例が少ない。だとすれば、どう制度を替え、上手くいくよう整備するかが問われますが、そこに言及はない。建物の容積率緩和、といったところで都心はもう緩和済みで、逆に地盤の弱い地域を緩和し、高層ビルを建てれば震災に弱い都市になります。薬のネット販売解禁は、販売店の優勝劣敗がでるだけで、成長戦略ですらありません。
成長戦略第一弾は、女性と子どもにフォーカスした『性徴戦略』。第二弾は農業を中心にした『生長戦略』。そして第三弾は、従来からの官庁持ちよりの施策を束ねただけの『整調戦略』。この三本目の矢は、鏃も矢羽もついていない、ただの棒にすぎないことが分かりました。これで安倍ノミクスは金融政策頼み、政治の活力は爆発しない、と判明した。掛け声ばかり、煽りばかり、まさに安倍ノミクスは仮想の『声調戦略』でしかなく、実行力が伴わないことが知れたのです。

危機感をもったのは、行革推進会議では特会の検討をはじめました。しかし慰安婦問題にしろ、95条先行改正案にしろ、安倍政権は都合が悪くなると口をつぐみ、態度を変えることが知られています。つまり安倍政権が約束すること、やろうとすることに、必ずしも信がおけない。これが安倍政権への最大の不審です。強い日本、と宣言していた人が、態度をころころ変える弱さ、変節漢でしかない。安倍政権がやるべきは、まず『政庁戦略』であり、官庁に阿っている限りは、結局これまでの政治と何も変わらない、ということを今回の講演でも如実に示したのでしょうね。

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2013年06月04日

橋下氏の慰安婦発言への民意

円が昨晩から100円を割れてきました。米ISM製造業景気指数が、予想外に景気判断の分かれ目である50を割ったことが引き金、とされますが、一部には日本株買いのヘッジとしてもっていた円売りポジションを、株価下落により吐き出す流れもあります。保有株の目減りで、ヘッジの持分も減らさざるを得ない。そうした需給面も、今は相場を動かす材料です。
今日の東京市場は切り返しましたが、昨日は欧州CTAスジが売っていた側面もあり、買戻しを狙った流れもみられます。来週のメジャーSQにむけて、オプション市場での13000円のポジション崩しが起こるか、買い方が耐えるか、この辺りの綱引きがしばらく相場の流れを決めそうです。

アントニオ猪木氏が、維新から出馬との報道があります。北朝鮮にのりこんだり、政治的には物議をかもしますが、商売っ気も強い人物です。維新からは他にも投資会社代表など、利をみて動く人が集まっている印象です。参院選にむけて、慰安婦発言の影響をこの辺りの人物が、どう計算して出馬を判断したのか? まだまだ予想外の人物が名乗りを上げそうです。
そんな中、関西ローカルの番組で行われた電話投票で、橋下氏の発言を「問題なし」とした意見が8割弱となったことが話題です。大阪で人気も高い橋下氏への支持で、発言そのものを支持していない、という意見もありますが、多くのメディアがとる世論調査ともかけ離れていますし、もし日本全体の意見と違うというのなら、関西圏以外の人はすべて「問題あり」だった、としか考えられないぐらいの差です。しかし見方を変えれば、メディアの世論調査は正しいのか? という疑問に突き当たります。最近、中国の経済統計に疑問を呈する記事も目立つようになりましたが、メディアの世論調査も同等程度の信憑性、と考えておいた方がよいのでしょう。

メディアの世論調査は、ナゼか海外の批判を反映しやすい面があります。橋下氏の発言はこれまでの安倍首相のそれと同じ、だから安倍氏の代わりにスケープゴートとされ、逆に安倍政権の閣僚はだんまりを決めました。こうなると、安倍政権の6割を越える支持も、橋下氏の発言に賛成していなければ、奇妙なことになります。橋下氏の発言がNOであれば、安倍氏の立場にもNOでなければならない。それなのに、安倍政権を支持する。確かに経済面など、様々な要因はありますが、政権支持の高さと、橋下発言への不支持の差は、なぜ海外の批判に敏感か、というクセとともに、統計のとり方への不審にもつながるものです。
安倍政権誕生以来、メディアが一気に政権を応援しているのも、官房機密費を広告宣伝に利用している、と疑われる部分がある。つくづく民主党政権が、官房機密費の30年情報開示義務を見送ったことが悔やまれます。流行語にしろ、これがステマの一環として安倍政権の広告、宣伝をしかけた結果なら、日本の世論誘導は、安倍氏のめざす戦前へと先行して逆戻りしているようです。

関西の番組は、視聴者が電話をかけて支持を表明する。即ちメディアの世論調査より、電話代をかけても支持したい、という点で信憑性が高いといえます。いみじくもメディアが大騒ぎしたことにより、逆にこの問題が、メディアの世論調査への信憑性を疑わせた。自民だけが40%を越える政党支持率をほこる、異常事態ですが、気をつけておかないとそれもステマかもしれない。民意がどこにあるか、きちんと把握してないと、参院選の結果も予想外になりかねないのでしょうね。

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2013年06月03日

横浜開発会議について

人気ドラマの「ガリレオ」の新ヒロインが不評、と話題です。見ていないので具体的には分かりませんが、これは同じ言葉、行動でも人によって不快に感じたり、そうでなかったり、といった意味で実生活にも当てはまるものです。個性はそれぞれ異なるので、それを背景として何を語り、どう行動するかによっては、容認されたり、批判されたりします。
そんな中、安倍氏のやることはすべて肯定する、という姿勢のメディアも目立ちます。これは判断力の放棄です。私は安倍政権がよいことをすれば、当然賛意を示すつもりですが、現状では皆無なので批判ばかりになります。そもそも、まだ成果は何もありません。それこそ株価が下がったら、この半年で乱高下を招いただけで、それはマイナスの要素でしかなくなります。

第5回横浜開発会議(TICAD)が閉幕しました。日本は今後5年でODAを1.4兆円、民間支援も含めると最大3.2兆円の支援を約束します。中国は5年で2兆円の支援を約束とされますが、かの国は内でも外でも賄賂、裏金が横行するので、つかっているのはもっと膨大な金額になります。つまり相手の政府に食い込むのに、相当のお金をかけている。それに対抗できる術は日本にありません。
外務省には内閣官房と同じで、機密費が存在しますが、残念ながら官房機密費と同じで、有効に用いられることはほとんどありません。相手の政府に食い込んでタフな交渉をする、という能力が元からないのです。そもそも、今は好調にみえるアフリカ経済ですが、それも中国からの資金流入が潤沢、という面が強い。それが途絶えると、途端に傾く恐れも高いのです。そうなると、元からある民族対立、政情不安などがすぐ顕在化する。世界経済の動向とリンクして、リスクが高まってしまう不安定さが、もっとも嫌われるところです。それを日本の3.2兆円で穴埋め、というほどではない。今のアフリカは中国経済とリンクする、という意味では深刻さを増しています。

さらに安倍氏は5年で1000人の若者を企業が受け入れ、を約束します。命令権もないはずの民間企業に、数値目標をたてて受け入れを約束する。その違和感とともに、5年間で3万人の就業と、国内でもできていない目標をたてた。その前に、国内の雇用をどうやって増やすかの施策が必要なはずです。日本の財政が苦しいから、増税するとしている最中にアフリカには大盤振る舞いする。いくら「最後のフロンティア」とて、開拓が失敗したときのリスクも考えなければいけません。
アフリカが難しいのは民族問題、政情不安とともに、今後も減少が予想される水の確保の問題です。砂漠化がすすむ以上に、大量の水をつかう業種は活動が困難、非常に歪な産業構造にならざるを得ないのが、現状なのです。資源確保のため、使い捨てる気の中国とは違う、とはいえ、資源を無視してアフリカの開発はあり得ない。それを日本としてどう向き合うか、が問題です。

流行語として「いつやるの? 今でしょ!」があります。しかしこれも、以前から用いていたのもの、安倍ノミクスの広告宣伝効果を高める政府の意向で、あえて流行らせたという噂もあります。しかし安倍政権のうちだすものは、「今やったら、それで将来どうするの?」というものばかりです。安倍氏の云うことなら何でも許される、ではなく、この政権のやることを精査し、将来どうなるかを予測しておかないと、とんでもない未来を導き出す可能性が高い、という意味では、より注意深くみておかなければいけない、ということなのでしょうね。

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2013年06月02日

経済の話。市場の動き

5月23日の急落以降、乱高下がつづく日本株ですが、政権交代以降10ヶ月つづいた連続騰勢が途切れ、目先の調整局面入りが濃厚です。先週末の米株の仕上がりが悪く、シカゴ日経平均も13500円割れとなるなど、Sell in May(5月売り)から、Confused June(6月混乱)となりそうな雲行きです。
日本株は、Appleの裏番組として騰勢を強めてきました。注目が集まり、ポートフォリオに組み入れなければ、という理由でいくつものファンドが組み入れる。そのため上がりすぎ、過熱感などの警戒シグナルを無視し、ほぼ一手買いの様相を呈してきたのです。ここに来て、調整一巡や下がりすぎ、下げ一服のシグナルなどと述べる場合もありますが、これまで無視してきたそうしたシグナルを、突然思い出すというのはナンセンスです。むしろそうしたシグナルは無視した方がいい。それよりApple株の動向が、日本株にとっても示唆を与えてくれることになります。

Apple株は700$をつけた後、特に目立った悪材料があったわけではありません。Android端末などとの価格競争、ジョブズ亡き後の製品開発への懐疑、といった問題はありますが、700$に至る前の段階で、すでに存在した話です。株価が二倍になったり、半分になったりするほどの材料ではありません。結果的に、やはり需給の問題に帰結してしまいます。買いたい層ばかりとなったため、そこまで上がり、買いたい層がいなくなれば買った層が処分売りせざるを得なくなる。
日本株も今、同様のことが起きつつあります。日本年金機構(GPIF)が運用を弾力化する、との報道に期待する向きもありますが、株を数%増やしたとて、兆に届くかどうかですし、何より債券の保有比率を低下させれば、今度は金利上昇を招きます。GPIFの報道がでたとき、一瞬円安に向かいましたが、外債を増やす可能性はほぼゼロでしょう。政府が100円以上の円安を望まない以上、GPIFが逆行するはずもない。それ以上にここまでの円安で、損失が膨らんだ外債を買い増すといった説明はつきにくい。今後、円高に向かうなら買いですが、読みきってはいないでしょう。

日本株を買ってきたファンド勢が、その流れを転換させた。それが23日から始まった急落局面です。一部では押し目買いも散見されますが、買い上がっていく力強い投資家層が、今は見当たりません。ポートフォリオへの組み入れが終わり、誰も今以上に日本株をもつ必要がないのです。
日本とて、まだ悪材料と言えない範囲ですが、買いを止める材料はあります。成長戦略が期待薄、黒田日銀総裁による弱気発言、つまりこれは、Appleの価格競争激化に伴う成長期待の剥落、リーダーの資質への懐疑、と同様の傾向を示しているのです。結果的に、買いの手を止めるに十分な材料であり、それが日本に資金を置いておくことへの懸念、として意識され始めたのです。

証券系のアナリストが、13000円を下値目処、といった言い方をする場合がありますが、この買い手不在が解消されない限り、今のところ下値は際限がなくなる恐れが強い。それは需給によってすべて決まる、とさえ云えるでしょう。西武株にTOBを仕掛けていたサーベラスの失敗など、海外勢の腰が引ける案件もあります。日本は保守的、そんな意識が強く働き易い状況なのです。
混乱を意味するconfusionと似た言葉に、Confuciusがあり、意味は孔子です。孔子の有名な言葉に「人、遠慮なければ必ず近憂あり」とあります。遠慮は『深慮遠謀』ということであり、将来をみすえていないと、すぐ憂慮すべき事態になる、という意味です。Confused Juneを迎える日本は、「遠慮なくして金融混乱す」となりそうで、市場の動向に一喜一憂する展開がつづくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年06月01日

国防軍について考える

大阪市議会での問責提出のごたごた、橋下市政としてみれば、問責否決で一安心でしょうが、日本維新の会としてみればマイナスです。出直し市長選で橋下氏が大勝すれば、都議選には間に合わずとも、参院選には好影響があったはずです。当然、敗北すれば目も当てられず、維新は雲散霧消することになりますが、起死回生の策でもあったはずです。しかし松井幹事長が潰しにかかり、結果的に市議会全体が出直し市長選に躊躇した。これで得をしたのは一体誰なのでしょう。
橋下氏は禊が済まず、今後も火種をくすぶらせます。参院選で維新が大敗すれば、責任問題に発展するでしょう。そうなると国政の維新は太陽の党に乗っ取られ、地方政党に逆戻りです。市政が混乱しなかった大阪市民としても、もやもやした気持ちのまま議会運営をみていかなければならない。大阪市議会もこの為体ぶりで、市民にうけも悪い。国政では維新の力が衰え、他の野党は息を吹き返しそうですが、参院選は自民圧勝の評もあり、焼け石に水です。結果的に、橋下氏が評判を落としただけ、に終わった。出直し市長選にかけていれば、まさに乾坤一擲の勝負でしたが、そうできないところに国政への意気込みが低い、といった点が見え隠れするようです。

シンガポールでアジア安全保障会議が開かれています。米国ではハッキングにより、中国に機密情報を盗まれた、との情報もあり、より具体的に中国軍の封じ込め、について議論がすすむか、注目されます。そんな中、日本では自民が国防軍を企図していますが、常設軍になれば軍事費増大も懸念される一方、それを活用する機会も少ない。いくら憲法を変えても、国民が海外で兵器を使用してまで治安維持して欲しい、と望む国民が半数を越えるとは、到底思えません。軍にしたら解決する、という問題でも、軍事費を増やせば国が必ず守れるというものでもありません。
私論ですが、軍事費を削減した上で、現行憲法のままで他国に脅威を与えず、国防力を落とさない策があります。陸自をもたず、その役割を増員した警察官の一部で担う。平時は警察官、ローテーションで一時的に軍事訓練に参加し、兵器の扱いに慣れておく。つまり戦時は、国の治安を守るという任務を拡大、攻め込んでくる敵軍と戦うのです。当然、それを拒否する警察官もいるでしょうから、あくまで希望とし、訓練に伴い手当てなどをつけるようにすれば、不公平もありません。

海自も解体し、海上保安庁の一機関とする。武装した船があれば、海保の連絡体制の中で武装した軍艦を派遣することもできる。つまりこれらは軍隊を警察権の一部にもどす、という案です。人的には平時の負担を減らし、能力も維持できる。空自はスクランブルなどの緊急対応が必要なので残す。それに、無人の爆撃機をもてば、核武装せずともピンポイントで相手国に打撃を与えられる。これが戦争抑止には役立つはずです。そうした機能も空自としてもつべきでしょう。
また災害時の派遣、国際的にも救助部隊として機能するべき部隊は残す。当然、有事にはこれらの部隊が最前線で戦います。米国のように、世界の警察として振舞うので、軍事費は膨大になります。これは有事の際にのみ、機能する部隊しかいないため、他国に部隊をおくる機能を極力カットし、軍事費を抑制でき、部隊を編成しない限り軍事力を行使しないため、他国に脅威も与えません。

また永世中立国のスイスのような国民参加や、徴兵制をとると、国民負担が増えるという点も、警察権の一部とすることで抑えられます。軍になれば誇りをもつか、はまた別です。米軍の犯罪が多い点をみても、国防軍になったとて兵士の士気は高まらず、喜ぶのは軍事マニアぐらいでしょう。それより防衛費を削減しつつ、警察官にも国の治安を守る、国を守るという高い目的を与えることで、相乗効果も期待できます。色々な仕組みを考えた上で、国防軍がベストというならまだしも、今はただ保守系の軍事マニアが、趣味を達成したいために唱えているお題目としか感じられません。国防軍になっても何も変わらないなら、こうした仕組みや制度を根幹から変える、そうした知恵が政治には求められているはずなのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般