2013年07月

2013年07月31日

雑感。公演中止とデータ改ざん

『誓い〜奇跡のシンガー』の舞台が中止になった問題、原作者と製作者の主張が真っ向から対立する事態になっています。しかし、こうした問題は今に始まったことではなく、フジテレビが『海猿』の原作者ともめ、続編がつくれないなど、枚挙に暇がありません。これは製作者側の驕り、誠実さの欠如から、原作者とのトラブルに発展するケースが多い、とみられますが、実は最近、日本全体でこうした問題が頻出しています。確認もとらずにすすめ、後にトラブルや事件になるケースです。
最近では権利について、多くの人が考えるようになり、きちんと契約書なりの書面でかわすケースが増えています。しかし一部で、慣例、従来のやり方、として物事を推し進めようとする。結果、後に大きな問題を抱えます。契約までの手法が猥雑化し、それを省こうとする、もしくはそもそも契約までの手順を知らない。古い人間は新しい手法に馴染まず、新しい人間は新しい手法があること自体、理解していない。世代間断絶と、順応性のなさ、がそうさせるのでしょう。芸能に携わる人間は、総じて慣習を重視するとも言われますが、製作者側の会見で「ラストシーンを主演がいう通りに変えてやった」などと、上から目線で発言している時点で、このケースの問題もうかがい知れます。

ノバルティスファーマ社の降圧剤ディオバンの問題が拡大しています。京都府立医大につづき、慈恵医大でもデータ改ざんが発覚、元社員が解析者として、データの捏造にかかわったとされます。ノバ社は関与を否定、しかし臨床データをとった医師に、高額の研究費を渡すなどしており、それは謝礼であったとしても、突出した額には違和感があります。海外で確認されていない状況が、日本の臨床研究として発表されたことで、問題発覚につながっていますが、逆に企業からみれば、そんなデータを発表してくれた人間を称賛、買収とは言わないまでも心づけだったことは事実でしょう。
こうした不正をなくすためには、行政命令として同一の効果がある降圧剤との差額分、それを企業の責任において患者に返金させる、とするのが効果的でしょう。一見、厳しいようですが、患者の命に関わる問題になる恐れもあり、データを捏造したい企業の誘惑を断ち切るためには、一罰百戒の対応が必要です。そして大学側には、研究者に対して臨床研究への業務停止、大学側にはデータの保管、管理を義務付ける。つまり甘い審査を下し、企業から多くの臨床研究の業務をうけたい、という教授の欲求を防ぐ意味でも、また学内でチェック機能を働かせる仕組みづくりが必要です。

日本は奇妙なところで馴れ合い、暗黙の了解、といった関係性がみられますが、確固とした契約やデータの正確さ、といった点では不都合極まりないものでしかありません。それこそ、TPPで市場解放になれば、契約社会の米国流が導入されるため、トラブルだらけになるでしょう。
そして上記の2例とも、特殊な閉鎖された世界の中で起こった、ということが問題です。そしてその閉鎖世界には、特権階級意識がつきまとう世界でもあります。仕組みを自分たちで決め、後から入ってくる者にも、慣例や慣習だから、とその特殊なやり方を押し付けたり、ごり押して物事をすすめようとする。まずそうした意識を捨てて、データをすべて開示する、閉鎖性をなくすところから始めないといけないのでしょう。コンプライアンス意識の低下、これが常態化すると、日本が世界から信を失うことにもなりかねません。行政も改善にむけた施策を打っていく必要があるのでしょうね。


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2013年07月30日

韓国における入国拒否問題

日韓サッカー戦で、横断幕が掲げられた問題で、今日もまた動きがあります。下村文科相が「民度が問われる」と発言し、韓国外務省が当局者論評として「国民への無礼な発言で遺憾」と応じました。閣僚が脊髄反射するのもどうか、と思いますし、民度の問題ではないでしょう。
ただ、韓国紙が報じる、一部に旭日旗を掲げる者がいて、注意したところ3分でしまった、奪われた、とする記事には違和感があります。恐らく、それが問題視されることは覚悟して、そうした行為に及ぶほどの極端な思想の持ち主が、簡単にしまう、もしくは奪われてしまう、ということが起こり得るのか? 強い信念に基づくなら相当に抵抗するでしょうし、それは暴力事件になっても可笑しくないレベルです。行動に至る決意と、結果に大きな乖離がみられる。韓国でマナーに問題があると、必ずこうした記事を付加するのもよくみられることなので、注意も必要です。

そんな中、韓国出身で日本国籍をもつ呉善花教授が、韓国への入国を拒否される事件がありました。原因は、呉氏が『ハングル至上主義により、漢字を書けない若者が増加し、大韓民国、朴クネ大統領の名も書けない。文化が断絶し、過去の資料が読めなくなっている』とする論調の文章を寄稿。それが韓国側の反発をうけた、とみられます。呉氏は韓国に厳しい論調で知られますが、こうした動きには、危険なものを感じます。それは思想、文化の自由を認めない、国の方針とちがう、批判する者は徹底的に排除する、排外主義に陥っているのではないか? ということです。
米国の映画『THE WAVE』で描かれたのは、1960年代に実際に高校でおきた事件です。ある教師が、ナチスの実態を教えるために、クラスの生徒たちをたった3日で洗脳、組織化してしまった実話に基づくものです。ここで描かれた、洗脳の手法は(1)グループの明確なルール、役割の策定、(2)自分たちは特別だという意識の植え付け、(3)ルールから外れる者の排除、です。独自の挨拶、シンボル、着衣などをルール化し、それに酔ったように高校生たちがのめりこみ、ルールに従わない者への制裁を始める。そこで教師が種明かしし、生徒たちは自分たちが洗脳されていたことを知る、という内容です。

怖いのは、これはどの組織、団体、企業、学校でも起こることです。しかし洗脳によって一義的に突き進む集団と、一般の組織とは何が違うのか? それは(3)が起こるかどうか、なのでしょう。排外主義に陥り、ルールから外れる者を徹底的に攻撃、仲間はずれにするなどグループから排除する。そんなルールに従うのがイヤでも、組織からの離脱が可能なら別ですが、不承不承従わざるを得ない。大多数が洗脳され、方向性が決まってしまうともう逆らうことも出来なくなります。
最近の韓国の懸念は、相次ぐ戦時中の強制労働への賠償請求、戦時中に日本に協力した者の財産没収、などの動きです。日韓基本条約で、戦後賠償を放棄した韓国ですが、司法が国際ルールを無視している。これが自分たちが決めたルール、反日の流れでそうしているのなら、常軌を逸した流れに陥り始めている。それが洗脳状態に入っているというなら、とても危険な動きといえます。

呉氏の入国拒否、それが『韓国のルール』を否定する者は排除する、ということなら危険です。批判的な意見と、それを肯定的にとらえる意見があって、はじめて制度としての有効性、リスクが語れます。それを拒否したところに、正しい議論は生まれません。これは反日の動きも同様に、本来なら反日、親日の両方の意見が戦わされて然るべきなのに、そうした声が聞こえてきません。
賠償請求、財産没収などの動きが、困窮する国家財政への補填、というならまだマシなのでしょう。しかし慰安婦にしても、日本の民間団体からの賠償をうけとった人間に、苛烈な攻撃をして返金させる、などの動きが起きるのも、韓国が全体主義に陥っている危険性を感じます。選択の自由が、そこに与えられていないからです。今後の韓国が、国際社会の中で、国際ルールを無視する国、異常性が語られるようになる前に、自らの行動を自省できればよいのですが、もし洗脳がすすんでいるのならそれも難しく、今後の動きには注目しておいた方がよいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 社会

2013年07月29日

日銀総裁の講演

山口県周南市の連続殺人、放火事件について、憶測で語るのは危険ですが、一つ云えるのは地域の結束が固く、特に容疑者の両親が地域に深く根ざしている場合、その地域コミュニティに息子が入るのは、至極大変だったのでしょう。それは誰々の息子、という目でみられ、見下されるとは言えずとも軽く見られがちです。その境遇に反発すれば、地域で孤立していく。さりとて、50歳を越えると自分を変えようもなかったのでしょう。事件を起こしたことは悪いことですが、軽軽に善悪を論じるのも難しい、それは地域コミュニティの難しさ、として全国でもみられることです。

株式市場が大荒れです。先週25日から3日で1000円をこえる下落、フリーホール状態です。しかも、今回は明確な理由がない。FRBが緩和を継続するとの思惑で、円高になるから、という理由は後付に近いと感じます。米国ではサマーズ元財務長官が、次期FRB議長の最有力候補として挙がっていますが、やや引き締め方向ではないか? と囁かれます。今週のFOMCで動きがないとしても、その僅かな差で、これほど急落する理由にはなりません。参院選後の急騰を期待してポジションを組んでいた層が落としている、との見方の方が正しいと見ています。それは為替も同様なのでしょう。
そんな中、経済面でもう一つ語られるのが、消費税増税の影響です。浜田内閣官房参与の観測気球で、分割引き上げがあるのか? と囁かれますが、これはどちらの材料にもとれます。景気としてみれば、引き上げない方が確実ですし、ここまで閣僚が世界にむけて消費税引き上げを公言しているので、すでに国際公約となっている。上げなければ信認を失う、という見方です。どちらも正しいですし、これは株価や為替の材料とはなり難い。見方が割れるものほど、一方向に傾け難いのです。

そんな中、日銀総裁が講演の中で、従来の二段階引き上げに対して賛意を示す発言を行いました。同時に、円安・株高による金融の好転、企業・消費者の心理の改善による期待の好転、CPIの上昇などの経済、物価の好転が、今のところうまくいっている、と発言しました。しかし、まさにこの3つの好転が安倍ノミクス、日銀のリスクであり、問題を含んでいるといえます。
今すすみ始めた円高、株安、これによる金融関係の悪化。内閣支持率の低下にともない消費者マインドも低下し、企業も対策がないことによる失望。CPIが上昇しても賃金が上がらないことによる、更なる景気悪化。そんな事態になると、日本のマインドは一気に壊れます。個人的に怖れているのは、安倍ノミクスバブル崩壊による、このマインド低下が日本を長期停滞に導くのではないか、ということです。

つまり早期に萎むなら、土地も株もそれほど上昇しておらず、資産価値としての目減りはある程度防げます。しかし長期になれば、このバブルの収束、日銀が緩和を引き締めるだけで大きな景気悪化を伴うことになり、資産価値の目減りもかなり大きくなります。しかし早期なら、マインドの低下だけで済む。ただし、日本は異次元で失敗しただけに、打つ手をなくす、閉塞感が強まります。
残念ながら、ここまでマインドを上げてしまうと、ある程度の調整があっても、気持ちが萎えるだけで市場には悪影響を与えます。ヘッジファンドが処分売りをだしただけで、大幅下落につながるのは、長期保有が少ない。マインドで持ち上げられている部分が、相当に大きいため、なのでしょう。大きな材料もなく、ここまで下げる相場は、やはり本来の実力からかけ離れた部分が大きい、とも言い換えられます。伊国のことわざを借りれば、希望で袋いっぱいにはならない、希望により生きる者は飢えて死ぬ。というものがあります。期待でいつまでも株高を続けるわけにはいきません。今ここでファンダメンタルズが崩れると、一気に期待も萎むでしょう。そのとき、安倍ノミクス、日銀の真価が問われるのであり、その時期は近づいているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年07月28日

雑感。日韓サッカーの横断幕

日韓のサッカー東アジアカップで、韓国側応援席に『歴史を忘れた民族に未来はない』との横断幕が掲げられました。あまり脊髄反射しても良くないですが、『歴史を捏造する民族にも未来はない』のであり、この言葉は日中で賛同も集まるかと思われます。韓国は何でも自分たちが発明した、起源だ、と述べるウリジナルもありますが、韓国ではそれが誤っていようと、ウソと半ば気づいても、常に外向きに何かを発信し、それを認めさせることを国是としているふしがあります。

韓国では日本の戦前、軍国主義を殊更に悪くいう面もありますが、以前も指摘したように、実は現在の韓国自身が、この戦前の日本に倣った手法をとっていることが問題です。鬼畜米兵、と叫んでいた日本。日本のやることは許せない、と叫ぶ韓国。それは競争相手、目の上のたんこぶを叩こうとするときに、つかう手法です。しかし韓国では、朝鮮戦争以後、50年以上の長きにわたる反日教育があり、中々この傾向を改めにくい点が、さらに厄介といえるのでしょう。
日本では、隣組制度をつくって近隣の相互監視機能を強めました。韓国ではそれをネット監視、という形で行っている。個人の相互監視ばかりでなく、世界にむけて売りだせるとなれば、国家が支援してYouTubeのクリック数をあげるように、国家規模でネットを活用し、監視に利用している。国家の方向性と違う意見は、徹底的に排除される仕組みが働いており、外部からみると冷静な意見交換が為されていない、と映る。それも戦前の、日本の言論統制に近いものを感じます。

日本人が韓国にいだく嫌悪感は、一部には誠意が通じないこともありますが、一部には戦前の日本の体制、手法を悪とする教育があり、韓国をみてそれが想起されることもあるのではないか? 民族の成立を偽ってでも、選民思想を高める。朝鮮民族なるものが、世界の古代史、文献に登場しなくても構わず、自分たちは古代からあったと主張するのも、それが国の基になる、という軍国主義に他なりません。戦前の日本がそうだったように、この流れを変えるのは大変なことです。
日本でも、安倍氏の影響か、ヘイトスピーチなどが起きています。何かを嫌い、排除して解決するような問題では、これはありません。むしろ、韓国に対して戦前の日本と方向性が同じ、手法が同じことをしている、ということを伝えていく。一度、こうしたものを刻み付けられると、中々人間は変えられませんが、それでもいずれ韓国内から、冷静な意見が出てくるのを待つしかない。対抗し、それと同じ行動、言動をとることは、自分が嫌う人間と同列になることを意味します。

ここに、同族嫌悪というような概念を持ち込みたくはありませんが、韓国では戦前の日本を嫌いながら、それと同じことをしている。日本でも今、韓国を嫌いという人が、韓国と同じことをしようとしている。それでは問題は解決しないばかりか、対立の根を深めるだけです。日本は敗戦により、すべてが転換しましたが、韓国にもそれぐらいの精神的ショックがない限り、今の態度を改めることはない、と半ば諦めつつ、毅然とした態度をとり続けるしか、今はないのかもしrませんね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 社会

2013年07月27日

防衛大綱の中間報告について

防衛省が『防衛力の在り方検討に関する中間報告』、いわゆる防衛大綱の中間報告を発表しました。2010年、民主党政権で一度、防衛大綱は発表されていますが、わずか3年で見直しです。しかも年初から策定に着手するなど、安倍カラーをみせたい官邸筋の意向によってつくられたものです。

島嶼部における防衛で、機動展開能力や水陸両用機能、いわゆる海兵隊的な機能の確保が重要、とする点をメディアは一斉に報じました。しかしこれは、何も海兵隊に比す必要はまったくなく、島嶼部への上陸作戦を仕掛けてきたとき、ハード面でどう対応するかは自衛隊のもっとも必要とすべき能力です。しかも今は、人的に制圧してとり返すことが必要なのか? それこそ絨毯爆撃で兵力を減殺してしまえば、弄せず奪還は可能なほどに、今の兵器は威力が増しています。
つまり海兵隊的機能とは、住民がいる島に敵兵が上陸、住民を人質にとるような場合にしか機能しないのです。それこそ尖閣を想定、などとする報道は完全に誤りで、尖閣に上陸されても沿岸から攻撃できれば解決します。真に上陸、奪還が必要な戦闘を、果たして人質をとられた状態で実行できるのか? それこそ今の政府に、その決断を下せる政治家はいないといえます。

この防衛大綱の真の狙いは、軍事力強化。それを他国を脅かす、中韓の反発をうける、などという批判は誤りで、いわゆる防衛利権の拡大を企図しているところにあります。これは自民に浸透する米知日派、米軍事産業ともつながる勢力にとって、如何に都合よくまとめるか? にあります。日米同盟を、世界全体の安定と繁栄のための「公共財」とまでもち上げ、米国がアジア太平洋地域への関与、プレゼンスを維持、拡大する傾向、と指摘します。しかし現在のオバマ政権に、そうした意図はありません。まさに米共和党的発想で、この防衛大綱はつくられているのです。
そして在日米軍の再編をすすめ、在沖縄米軍基地の整理、統合、縮小、基地負担の分散等により沖縄の負担軽減、とまとめます。しかし米軍再編は、日本に常駐する米軍の一部を豪州などに振り分けるもの。米軍がこの地域でプレゼンスを拡大したいなら、逆行する流れです。さらに、自民は公約で辺野古移設をうたった。基地負担の軽減をはかるなら、グアムなり、国内でも別の地域へと移設する方向を模索するでしょう。あくまで、米軍と合意した再編計画は崩さない、としているのです。

そして気になるのが、域内の多国間安全保障協力・対話をすすめること、です。ADMMプラス(拡大ASEAN国防相会議)や、ARF(ASEAN地域フォーラム)等の多国間枠組みを重視する、とします。しかし日本の自衛隊は、あくまで平和憲法にしばられた、他国と戦争できない部隊です。どれほど話し合おうと、協力関係を築こうと、第3国が攻められた場合、助けることができない。それが憲法の規定であり、限界です。つまり日本の参加は情報だけもらって行動は示さない、都合よい姿勢に映ります。
外交的戦術により、域内パートナー国との関係強化、連携をすすめることは必要です。この防衛大綱の中間報告では、ODAの拡大など、外務省利権とも絡んで企図されている。そうした利権の構図を、端的に示すのは防衛生産、技術基盤の維持、強化をうたう点でしょう。防衛省が、企業とくんで利権をむさぼってきたことは、これまでの多くの事件で判明し、今は自粛中です。そんな中、この防衛大綱で防衛産業の拡大をうたえば、また癒着が生まれる。他国の脅威を殊更に喧伝することで、自分たちの利に結びつけるのが、軍事利権の特徴ですが、宇宙防衛にしろ、島嶼部防衛にしろ、新たな能力や機能の開発というときは、その利権の構図からチェックしておかなければ、組織的に腐敗がすすむことにもなります。それを強く懸念させる内容なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年07月26日

日本は悪性インフレに突入か?

今日の東京市場は大幅下落となりました。欧州系が大商いだったものの、最終的に傾きはなく、円高が要因とする意見もありますが、最近の為替と株式の市場連動性は薄れています。結論としては、日本市場への見方の変化が、じわりと影響し始めた点が、今回の動きに含まれています。

総務省発表の6月消費者物価指数が、コアCPIで前年同月比0.4%上昇、と14ヶ月ぶりにプラス転換しました。電気代、ガス代、ガソリン代の大幅上昇などが要因であり、これはコストプッシュ型の悪性インフレです。しかも、小売売上高などは今年上期も前年割れ、貿易統計をみても、金額ベースでは円安で上昇しているものの、数量ベースはマイナスが続いています。輸出産業も数量が増えて、始めて従業員への賃金や雇用へと反映させる、インセンティブが働きます。つまり、今は企業が国内に設備投資せず、ましてや賃金など労働環境の改善にもつながらない事態が、進行中なのです。
これが懸念される安倍ノミクスの悪循環、『デフレ脱却 = 景気悪化』シナリオです。デフレ脱却を、景気回復の最優先においている安倍ノミクスですが、そこで悪性インフレが起きることにより、消費鈍化、生活困窮といった事態になる。悪性インフレと認識されると、家計も企業も防衛的になり、景気悪化の溝を深くしてしまう。今、そんな段階に入りつつあります。

キャノン、信越化学、日産などの決算が嫌気された、とするのも、円安による金額ベースの輸出採算性の改善を、数量ベースの減少が相殺した。業績回復に懸念が強まったことが要因です。日本企業は、世界レベルの株価収益率でみると桁違いに悪い、と言われます。これを、労働市場が流動化していないこと、に原因を求める論調もありますが、私は与しません。欧米の失業率にくらべ、日本は確かに低いですが、小泉改革以降、労働市場の流動化をすすめたものの、企業の株価収益率は改善しませんでした。失業率の低さは人口減社会では当然です。日本企業の病巣はそこではありません。
よく共産党などは、企業の内部留保を賃金に反映させろ、と主張します。問題は、内部留保を活用するインセンティブが企業にないこと、です。従業員のやる気をだすなら、賃金への反映でもいいですし、株主還元策なら配当や自社株買いがあります。企業買収や設備投資でもいいでしょう。そうした目的もないのに、企業は溜め込む。それは年金や保険などの長期投資家にとっても、企業の突然死を防ぐ意味で都合いい。つまり経営者の保身のために内部留保が存在し、利益を生み出さない死に金を大量に保有していることが、日本企業の収益率が悪い原因となっています。

特に、ディマンドプル型の良性インフレに移行したいなら、尚更労働市場への打撃は避けるべきときです。安倍政権の、労働市場の流動化など、日本にとってまさに致命傷になりかねない愚策です。そして問題は、リーマンショック以降は縮む先進国にかわって、新興国が成長することで、世界経済は保たれていましたが、それは欧米の金融緩和がもたらした効果であり、金融主導の側面がありました。米FRBが緩和縮小に言及しただけで、ステージが変わった。さらに、米国一国が堅調でも、新興国全体が同時に低迷する景気には、対応しようがない。ここから、世界全体のパイの縮小による、長期の景気低迷が懸念される段階にきています。
そこにきて、労働市場を流動化させれば長期失業者をうみ、労働の質の低下をおこし易くします。そして縮む経済のパイに対応するため、企業は設備投資へも消極的になる。実は、今回の景気のピークは5月につけたのではないか? と囁かれるのも、米緩和縮小によるシミュレーションをみて、金融政策による経済拡大の限界を、企業が感じ始めた点が挙げられます。日本は最後発で金融緩和のステージを上げた、その結果として起きつつあることは、景気悪化を助長しかねない悪性インフレであることは、より示唆的なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年07月25日

野党のごたごた

日本郵政がアフラックと業務提携し、がん保険の販売、と週内にも発表される見通しです。早くもTPPの前哨戦で、日本が一歩妥協した形ですが、これを米国は配慮とはうけとらないでしょう。自由競争が当たり前、国が100%出資する国営企業など、米国では公益企業のみです。アフラックと提携し、ようやく民営に近づく、というだけに過ぎません。しかも巨大資本とくんで、アフラックはにんまりですが、日本国内の生保には打撃です。一体何を守りたいのか、よく分かりません。
7月のTPP交渉が閉幕しました。まだ決定していないから交渉の余地がある、との言葉はうそです。これは先に、東京新聞のスクープした後発国は不利になる、との条件を読めば明らかですが、二国間の細目でもめていても、大枠は変えようがありません。大枠とは、関税は原則撤廃、です。守るべきところは…などと云っても、守れないものは守りようがない、というのが原則なのです。

民主につづき、野党各党は大荒れです。みんなの党は、維新との選挙協力を解消した辺りから、渡辺代表と江田幹事長の関係が悪化。アジェンダ派と、野党再編論者の争い、という言い方もできますが、今のまま野党各党も再編はできません。維新は自民を越える保守勢力を抱え、民主は旧社会、旧民社系を抱える。しかも、それらの勢力をきってまとまっても、自民と対抗軸がありません。民主の細野氏、維新の松野氏と江田氏では、若干の保守的傾向がにじむ。保守勢力の自民と、そのおこぼれを拾う形の野党連合では、自民が厭きられたときにしか政権交代できなくなります。
自民に対抗するには、対立軸を鮮明にする必要があります。今は『行革に前向き』ということを軸にするようですが、メディアが行政の怠慢、不備を報じなくなった今、それだけでは票が集まりません。社会保障、財政、天下りなど問題山積みであるにも関わらず、メディアは内閣、省庁、政党からの情報封鎖を恐れ、指摘できなくなった。今の自民、メディアスクラムを崩すには、もっと明確な対立軸を掲げ、ワンイシューでもいいのでぶつけていくことが必要なのでしょう。

野党共闘で大事なのは、自民と異なる支持層を獲得すること。米国を例にとれば、富裕層につよい共和、中間層につよい民主、といった形です。そして国防や外交を、あえて軸にしない。これは、政権交代のたびに防衛、外交が大きく変わってしまうと、その時点で混乱を生じます。米国を例にとれば、共和で始めた戦争を、民主で終わらせる、といった防衛の基本戦略はありますが、米軍をどう扱うか、は国防省などの長期戦略に委ねられており、政府は時に応じて若干の関与をするのみです。現在の日本の革新勢力のように、大胆な変更は好まれない、ということです。
では、どういった勢力を支持層とするか。それは、今の自民が市場主義にケインジアンを混ぜた、特殊な経済政策をとるなら、逆に保護主義を主張する。最近では、米国型市場主義が国内にも蔓延しており、保護主義というと悪い印象を与えがちですが、どこの国でも国内産業の保護と、振興は政府の手にゆだねられています。TPPより各国との個別FTA、EPAにより利潤追求をめざす。こうすれば対立軸ができます。経済に国民の目が向きやすいだけに、そこでどれだけ魅力的な提案ができるか? それこそ、政権交代をめざす新勢力としての、野党再編のカギとなるのでしょう。

もっと単純化すれば、野党再編の柱は法三条で十分、といえます。三条とは、経済、憲法、社会保障、ここで大枠の合意ができれば、それで新勢力として機能させる。法案などの細目におとしこんだとき、仮に反対を唱えても議員を処分しない、つまりこれは執行部優勢の現状の体質を捨てる、ということを意味します。これは米国型の政党体制であり、個別政策では、議員が造反することは当たり前、といった認識を日本がもつべき段階に来ていることを示します。何でもかんでも、一緒の考えで政党を組むわけではない、ということをよくよく認識しないと、自民のように歴史と伝統を建前にした政党に、敵う術はない、といえてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年07月24日

民主のごたごた

財務省発表の6月貿易統計、輸出金額が前年同月比+7.4%、輸入金額が+11.8%、円安効果による嵩上げ分が、20%以上のっているはずなので、実際には減少しています。数量指数でみると顕著ですが、前年同月比で輸出は-7.3%で13ヶ月連続の減少、輸入は-5.3%で2ヶ月連続の減少です。つまり円安になっても、輸出は数量ベースで増えておらず、逆に国の富が流出する事態を招いています。
これだけをみても、安倍ノミクスによる円安誘導は失敗、と断じられます。政策はタイミングが重要ですが、海外景気が悪いとき、輸出による景気回復をはかっても、効果がないことは火をみるより明らかです。しかし日銀の異次元緩和で、米国ではバブルが起きている。そのブーメラン効果がでるのはいつか、それ次第では更なる富の流出が起きることを懸念すべきなのでしょう。

民主党が大荒れです。菅元首相が、公認を見送った候補を支援したことで、自発的離党か除名処分を検討する一方、本人は拒否しています。細野幹事長の辞任は、泥舟にのり続けて経歴にキズをつけたくない、という面もあります。そもそも、反党行為の定義が曖昧なままであり、執行部の決めたことは絶対、という執行部至上主義が招くトラブルが、遠心力の一因となっています。
かつての自民は金や利権を約束し、反対意見を黙らせた。最近では派閥の領袖が意見を集約して、反発を抑えた。そうした知恵が民主にはありません。意見がばらばらなのに、執行部が強行突破しようとする。浅知恵も、猿知恵も、悪知恵もありません。小学生の話し合いでも、もう少しまともな調整をします。生活の党の分裂時も同様ですし、この手法に頼る限り、大所帯は捌ききれません。だから野党第一党、としても取りまとめ役には不向きと見られてしまうのです。

山本太郎議員が、早くも公選法違反などと報じられますが、今回の参院選は違反だらけです。創価学会員が、選挙当日まで近所まわりをしたり、渡辺美樹氏の社員へのビデオメッセージ、挙げたらきりがありません。ネット選挙解禁でも、有効に利用した候補はいませんでした。FBにしろ、Twitterにしろ、議員名でやっているのは秘書なのですから、本人の人柄を知りようもありません。
もっともソフト面に注力したのは共産でしたが、政党は目だっても各候補は目立たない。個人発信が低調なのは、結局政党への縛りが強く、公約以上のことを語れない、それがネット選挙でもマイナスの影響を与えています。選挙のときだけ、情報発信しても、フォロワーはつかないのでしょう。ただし、日頃から自分発信を強めるなら、現職や有名人がさらに有利になることは否めず、ネット選挙の活用法については、もっとドラスティックにすすめる必要を感じます。

先の民主も同様に、日本の政党は組織を重視するあまり、個を蔑ろにする傾向が強すぎるのです。候補者個人の主張、考え方が見え難い中、選挙で候補者名をかくのは結局、政党をみて決めるか、縁故しかなくなってしまいます。これではネット選挙の有効性はありません。今回の選挙も、やたら自民の広告宣伝が目立っていましたが、まだ政党助成金の受けとりが一回で、資金力がない中でもそうするのは、メディア戦略としてバラマキをしておけば、批判も受けにくいとの算段からなのです。
自民には悪知恵、猿知恵、ノウハウが蓄積されている。支持組織のみならず、こうした面でも野党は見劣りしたのでしょう。選挙特番で、当たり前のこと、国民が聞きたいことを質問している池上氏が、もっとも評価されるのは、政治に対する腰砕けのメディアが、如何に多いかを露呈する事柄です。自民のこの悪知恵に対抗できる戦略をもたないと、自民、メディアスクラムに、いつまで経っても野党が敵うはずもなく、民主は物事の決め方からまず変えて、大人の対応に移行すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年07月23日

7月月例経済報告で『回復』もりこむ

英国ではロイヤルベイビーの誕生です。男の子の名前が話題ですが、伝統的、とされるのは意外と保守的な名前が目立ちます。アングロ・サクソン系の古英語に属す名前だと、Ed-や意志を示すWill、富を示すRichの入った名前が一般的ですが、フランク族に由来するものがあったり、聖書関連のヘブライ語由来のものがあったり、結構アバウトな印象です。プロテスタントの国などは、もっと名づけも自由ですが、こうした名前からも英王室の複雑な歴史が垣間見られるのでしょう。何になるかは楽しみですが、キリスト教国で採用される名前は、数としてもそれほど多くないため、ある程度予想もついてしまうのが、逆に羨ましく思えたりします。

7月月例経済報告で、10ヶ月ぶりに『回復』の文言が復活しました。しかし、これはほぼ安倍内閣が誕生して以来、主張していた内容を丁寧になぞっただけであり、その判断には危うさも感じます。日本チェーンストア協会の6月売上高が、3ヶ月ぶりに前年同期比で2.7%増、ということばかり報じられますが、昨日もとりあげたように13年上期は、前年同期比で1.5%減、半年でみればマイナスです。それでも家計消費は持ち直している、としており、この月例経済報告はあくまで企業の状況に重きをおいた判断を下している、とみられる点が挙げられます。物価も横ばい、としますが、円安によるコストプッシュ型であり、デフレ脱却に対する裏の面をまったく評価していません。
そんな中、麻生財務相が消費税増税にむけて、年明けにも補正予算と言及しました。大勝の緩みが早くもでたのか、大盤振る舞い宣言です。もし景気の落ち込みが今から予想されるなら、補正ではなく通常予算として計上すればいい。予算の通過から、実行までにタイムラグがあるとはいえ、何も一般予算と補正予算を、同時に審議する必要がありません。財務省としては、一般予算はすでに目的化し、身動きできないので補正で組みたい、という事情を露呈しているに過ぎません。

しかも来年4月から2017年まで、時限的に総量表示ではなく、税抜き表示が認められるため、店舗ごとに対応が異なれば混乱が確実です。値段をみて買える、と思っても消費税がかかると買えない。そんな例が増えそうです。むしろ、この混乱への対策に万全を期すべきであり、補正をやって公共工事を増やし、企業への利益誘導をはかるぐらいなら、システム整備が急務といえます。
年次経済財政報告書もだされましたが、エコポイントもつかっていないのに消費が増えた、マインド改善効果だ、とまとめています。しかし今は、明らかにコストプッシュインフレに備え、家計が防衛的になっているのが現状であり、消費税増税の駆け込みが終わると、落ち込みが大きくなる見込みです。仮に、補正予算でエコポイントなどを検討するなら、本末転倒でしょう。

働いても、生活保護を下回る例が散見されますが、自民は最低賃金の改定に後ろ向きで、それどころか生活保護の受給用件の厳格化や、支給額の引き下げを検討しています。家計より企業、支援より財政、という国の形が、今後のこの国の消費に、好影響を与えるはずもありません。企業を優遇し、法人税減税などをすれば、株式市場としては好材料ですが、その財政不足を消費税増税で補うなら、国内経済を犠牲にしていることを、よくよく意識するべきなのでしょうね。

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2013年07月22日

政治のいいわけ

今日、東電が福島第一原発の汚染水が、海に洩れていることを認めました。汚染水は港湾内にとどまっている、としますが、一番とどめたのは参院選への影響を考慮し、この時期まで発表しなかったことです。米加州では、サンオノフレ原発の蒸気発生器で漏れを起こし、機器を納入した三菱重工に対して、電力会社が138億円の賠償請求がだす予定です。廃炉による利益機会の喪失、のみならず、放射能漏れによる恒久的影響を勘案した金額とされますが、「世界一安全」として政府が原発輸出をすすめる中、仮に事故を起こした場合は、国にまで賠償が及ぶ恐れすら感じさせます。

昨日の参院選、多くで指摘があるように、得票率では野党が上回る一方、獲得議席数では自民が圧勝。これは野党票が分散して、死に票が増えたことを意味します。早くも一票の格差の問題で、続々と裁判が開かれる予定ですが、違憲であることは確定しているものの、無効になるかが焦点です。今回の選挙結果で、与党はねじれが解消してイイワケできなくなった、という人がいますが、これは誤りです。例えばこの一票の格差問題、安倍首相の会見でも、第三者機関に委ねる、と発言しているように、この問題は与党としての問題解決を放棄しています。原発の問題でも、規制委員に再稼動の判断を委ねる、などというのは、責任を丸投げにすることを意味しています。
政治はこれまでも、補助金や研究開発費、という名目で有識者をしばってきました。政治決断ではなく、専門家、有識者に承認された、とすればイイワケできてしまいます。政治は説明責任、ともされますが、説明とは裏返せばイイワケです。それに国民が納得すれば説明、納得しないならイイワケとなります。イイワケになるかどうかは、行動と言動との兼ね合いといった面が大きいのです。

今日の安倍氏の会見は、特にみるべき点はありませんでした。安倍氏の達成感、満足感はよく伝わりましたが、それ以上の話はない。側面的には、市場は若干上がりましたが、先週末のシカゴ日経平均先物の値は下回っており、実質的には売りが多かった。売買も低調で、引け間際にするする上がったのは、むしろ今日下げるわけにはいかない、といった国内勢の安倍ノミクス支持派の要因だった可能性が高い。安倍氏は経済を国力の源泉、強い経済の創出という言い方をしますが、成長戦略に見劣りがする中で、新たな施策をどう打ち出すかによっては、失望を生じさせます。
例えば日本チェーンストア協会が発表した、今年上半期の売上高は1.5%減。天候、野菜の高騰など様々な要因はありますが、これで17年連続の前年割れです。やはり消費はそれほど伸びていない。円安による輸入品高騰前の駆け込み需要、消費税増税前の駆け込み需要が、一時的に押し上げている部分もありますが、消費全般においてはまったく活況さが窺えない状況となっています。

それでも国際公約となった消費税増税は、やらざるを得ません。そしてこの問題こそ、政治が決断といいつつイイワケになるか、説明を国民が納得するか、その差が大きくなるのでしょう。「まずはデフレ脱却」と述べた中、消費税増税による消費減退がおきたとき、安倍政権はイイワケせざるを得なくなります。黄金の3年、と呼ばれる選挙のない無風の政治期間ですが、政治のイイワケが風を起こすことも、過去何度もあることから、決断のときは要注意となるのでしょうね。

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2013年07月21日

参院選について

参院選、自公の圧勝という形になりそうです。今回、与党の勝利は確定していましたが、勝ち方が問題とされました。外国勢の見方は、そこそこの勝ちで好感、勝ちすぎると東アジアに緊張が生まれる、と伝わっていたので、安定多数までいってしまいそうなこの勝ち方は、マイナス面を意識されそうです。メディアは中韓のみを報道し、むしろ対決姿勢ばかりを強調することで、側面支援する形も多いですが、米国を初めとした西側諸国でさえ安倍政権への危惧は高めています。

政治的には、各委員会の委員長を独占し、議論を優位にすすめられます。これにより野党の戦術は限られ、与党の押し進める政策が、すべてを決する形になります。改憲議論も前向きな維新、みんなと組めば、96条改正も衆参の3分の2で通せるでしょう。ただし、国民の反発も考えられることから、恐らく提出は安倍政権末期、乾坤一擲の勝負にでるときしかできないでしょう。その前に、国民投票で否定されたら政権は退陣せざるを得ない。リスクの大きい勝負となります。
TPPも、議会の承認さえとれれば通せるので、歯止めをかける勢力がありません。米国がTPPに傾いたのも、新自由主義の席巻により、米国型経済を世界へと拡散させた米国が、リーマンショックによる失敗で米国離れを起こす、それを防ぐため、また世界での主軸に立つために、経済のみならず制度、政策まで統一的ルールを世界に拡散させる、新たなツールとされます。しかもこの米国型経済の伝播の試みは、仮に失敗に終わったとしても米国へのダメージが少なく、一方で米国型に転換しようとした国に、より大きな打撃をうけるものだとされます。日本もその矢面にたつことになります。

問題は経済で、安倍ノミクスを転換する機会が失われました。3年間はどこかでバブルが弾け、失敗が確定する以外、とめようがありません。当事者である安倍政権が、失敗を認めるのは容易ではなく、またそのときは総退陣です。つまり成功裏に3年を経過する他ない。しかしその前に重大な転換を迎えざるを得ないでしょう。今は、かつての日銀による量的緩和の時代と違って、圧倒的に速度が増している。3年を安穏とすごせる時代ではなく、そのことは年内にも訪れる公算が高い。
世界の日本をみる目も変わってきます。スーパーマンの恰好をした安倍氏が、颯爽ととぶ姿を載せた英紙は、株価急落を起こした後、それを墜落させる姿に変えました。安倍ノミクスは飛ぶ鳥を落とす勢いである一方、墜落の恐れを比ゆ的に示したのです。そして先進国ではもっとも与党基盤が厚くなった今、さらなる負担を日本に求めてくる。資金の出し手としての期待と、どうせ使い捨てるという打算。都合が悪くなれば、中韓と連携すれば日本を追い込める。今の安倍政権は、海外勢の味方も少ない中で、金の切れ目が縁の切れ目といった状況であり、不安定になるでしょう。

野党は明らかに戦術ミス、お山の大将たちが我こそはと立ち、連携を避けた結果、政権交代を託せる相手を国民から奪ってしまった。橋下氏などは、まだ年若く野党の糾合などを訴えますが、今回の選挙でみせた戦術のまずさ、失言の多さ。政治家としての力量に疑問符がつきました。野党が糾合しても、右過ぎて柱になれない維新では、どうしようもありません。民主は与党ボケしたまま、明確な対立軸もうちだせず、これでは政権交代しても何も変わらない、と国民を失望させた。みんなも多数をとるほどの、魅力的な提案はない。他の党はおして知るべしでしょう。
自公の勝ちすぎにより、市場は一旦は好感するかもしれませんが、材料出尽くし、さらに東アジアとの緊張を考慮すると、下げてとってくるかもしれません。そもそも自民の公約に目ぼしいものはなく、安定多数とはいえ、国民の期待を裏切ることをすれば、選挙期間中の支持率低下もあって、安定的な政権運営はできません。消費税増税を決めるタイミングが山となるか、その前に景気減速を意識して、山をつけるのか? いずれにしろ、資金の流れでさえ、欧米の意向を反映しやすい中で、勝ちすぎた自民への目は相当に厳しいものとなることは、覚悟すべきではあるのでしょうね。

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2013年07月20日

G20閉幕

モスクワで開かれていた20ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が閉幕しました。金融緩和に伴う負の影響を注視する、との文言は盛り込みましたが、具体策はありません。というより、緩和を続ければインフレ、バブル症状がつづくことになり、新興国経済にとって打撃となる一方、やめれば急速に景気が悪化させる。いずれ通る道なら、長引かせても景気の落ち込みを大きくするだけ。つまり、対策はないけれど、もうやるしかないところに来ているのが、金融緩和の縮小です。
昨日も指摘したように、米FRBから直接供給されるマネーは、ドルから新興国へ直接流れます。しかし日銀の緩和マネーは、直接には新興国へ流れない。円キャリー取引により調達しても、それは欧米への直接投資にしかならず、そこで資産を増やした一部のマネーが新興国へ流れ込む、という手順になります。これは日銀が01年から行った量的緩和でも、やっと05年頃にならないと、新興国や日本へのマネー流入が起こらなかったことでも分かります。今は少し早まったとしても1、2年先になるでしょう。それまで新興国が耐えられなければ破綻、耐えるとふたたびバブルがおきます。

この流れを止めることはできません。唯一いえるのは、緩和なんてしなければ良かった、ということのみです。緩和を解除すれば、マイナスの影響がでる。それまでに経済が巡航速度になれば、解除も可能なんていうのは希望的観測にすぎません。バブルを上手く制御しつつ終焉させることが困難なように、緩和縮小のマイナスの影響を減じる手を、今の経済学は有していないのです。
米経済の主流となった、シカゴ学派は世界を席巻しており、市場原理主義が世界で蔓延しています。そのため、どこの国でもバブルを抑制する策を失っています。それに毒されていない国に中国がありますが、こちらは利益第一主義で、すでにバブルがおきているため、その抑止にはしっている。正直、歯止め役がどこにもない。だからG20に具体策がもりこめないのです。

今の経済学の、これは限界です。そして今後も、国際社会は今の経済に対応する術がない。日銀総裁が異次元、という言い方をしましたが、今はまさに従前の経済学では対応しきれない事態であり、緩和とその縮小による痛みが、今後どの程度広がるかを確認する作業となるのでしょう。
参院選を、安倍ノミクスへの審判と報じる各紙もありますが、経済学が国民によって評価できるはずもありません。それは一時期の好、不調においての判断であり、安倍ノミクスが正しいわけでもない。それは、今の経済学が対応していない以上、後世の判断にゆだねるしかない問題です。そしてバブル発生装置と化した日銀の異次元緩和は、米国をバブルにし、そのお零れを日本へと導く段階になって、初めて国民は実感するという話であり、それは数年待たなければいけないのです。

G20で、もっと米金融緩和の縮小について、懸念を示すとみられましたが、それがなかった。これは米国が、緩和縮小へのコンセンサスをすでにG20各国にとったことを示します。秋なのか、年末なのか、そのタイミングでの経済の変調は、今回のシミュレーション結果をみても、どのぐらいの影響があるか? 米国一国では世界経済を支えられなくなった後だけに、今後の動向には注意も必要なのでしょうね。

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2013年07月19日

バーナンキ議会証言とデトロイト市の破綻

昨晩のバーナンキFRB議長の議会証言、緩和縮小は指標次第、と当たり前のことを言っただけですが、各々の市場が都合よく解釈して株高、ドル高、債券高と、米国の楽観に拍車をかけた形です。格付け機関ムーディーズが、米国債の見通しを「安定的」に引き上げるなど、楽観一色とみられる中で、出てきたのがデトロイト市の破綻です。しかしこれも、シナリオ通りとの見方があります。
拡大していたジャンク債投資の中には、当然のように財政破綻が懸念された、デトロイト市の債券も高利回り品としてあった。バーナンキ氏が緩和縮小をうちだし、ジャンク債投資は一気に巻きもどされ、金融機関への打撃を減らす。その上で、緩和縮小を先送りし、格付けも引き上げ、デトロイト市の破綻でも楽観ムードを壊さないよう、配慮した。破綻はもう数ヶ月も前から定事項、ここまで引き伸ばしたのも準備期間が必要だった。FRB、格付け機関、そしてデトロイト市、ともにシナリオに沿って行動したのです。しかしデトロイト市でおきたことは、未来の日本の姿です。

人口減少、高齢化社会になると、生産人口が減るために、国の経済規模は縮小します。しかし今の日本は、それを効率化、個々のスキルアップで対応し、さらに財政出動による公共工事、金融政策で賄っています。しかし効率化やスキルアップには限界がありますし、公共工事は将来に借金を付回しているだけ。金融政策による膨張は、財政規律の低下によって破綻を強く意識させます。
国の基は、人口増加型の社会にもどることなのです。しかし各政党とも、今回の選挙公約では通り一遍の女性活用、子育て支援、と余り効果がなく、今後もそう大勢の変わらない施策ばかりが並びます。人口減少により、インフラは過剰設備となり、社会保障は負担ばかりが重くなる。この悪循環を断ち切るために、自民などは戦前回帰が顕著なのですから、生めよ、増やせよ政策をうちだすべきなのでしょう。しかしここは利権とならず、どこも低調な議論に終始します。

今日の日本株は欧州系が売り買いで対立、これは選挙後の見通しに対する相違であり、上下値幅が大きくなりました。先物で買いポジションが重たいのは米系、ここは株式ミューチュアル投資への資金流入の影響で、買い意欲が強い。しかし今日の急変動で動きは少なかった。14000円台では儲けが出ている、とみられます。ただ、米緩和縮小によって資金調達法が変わると、投資先に変化もでます。円キャリーでの調達になると、為替で二重にリスクをとるわけにもいかず、米国内投資が増えます。新興国の変調、米国内不動産取引の活発化、には資金調達法の違いがあるのです。
バーナンキ氏が議会証言において、日本を「為替操作ではない。評価する」と述べたのも、不動産市場の回復で引当金を減らし、また資金流入による市場の活発化で、金融機関が一気に息を吹き返したからです。これもデトロイト市破綻への布石になった。破綻による金融機関の損失も、今回の利益で賄えるのです。米国にとって、日銀の緩和はとても都合よかったので、評価したのです。

人口減少社会は、財政負担も重くなり、結果的に行政サービスを低下させることになる。それなのに、今の日本はさらに行政機能を拡大させようとしている。消費税増税とは、そういうことです。足りないから歳入を増やす、という安易な発想では、そのうちデトロイト市と同じ道を、日本もたどるのでしょう。デトロイト市のジャンク債は10%越えでした。そんな利回りになれば、日本が耐えられるはずもありません。債券市場の混乱も一時期よりは収まっていますが、今後もいつ動意づくか分からない爆弾であり、国のめざす未来の姿との兼ね合いで、いつ破裂してもおかしくないことを意識するべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2013年07月18日

参院選について

山形では大雨により、多大な被害がでています。農村部などでは畑、田んぼに近いところに家があり、水害に弱い面があります。しかも土砂崩れが頻発するなど、山の上でも決して安泰ではない。火山灰が降り積もる、日本のような地形ではどうしても水害の被害が大きくなります。

参院選が、少し面白くなってきました。期日前投票が好調で、高い伸びと示されたその日に各社の情勢分析で『自公で過半数』などの記事もでて、投票率を下げさせたいのか? とも思われましたが、意外とそんなつまらなくなりそうな選挙でも、投票には参加する人も多いようです。ここで浮動票の投票が増えるのなら、選挙結果は意外なことになるかもしれません。
さらに終盤にきて、9条改正に関する発言がでるなど、自民内でも危機感が高まってきたようです。急速に悪化した内閣支持率、自民党支持率は、選挙戦の最中であるだけに重大な影響をもちます。支持基盤である保守勢力を、がっちり固めておきたい。そんな思惑が透けてみえます。選挙期間中に防衛白書をだし、中韓の反発も想定内。むしろ保守アピールに最適、と利用されたふしもあります。それだけに、ここにきての内閣支持率低下は、想定外の出来事だったはずです。

しかし野党に風が吹いているわけではない。それは各社の調査でも証明済みです。民主幹部が「浮動票が少ないと苦しい」と述べていますが、浮動票をえるためには、無党派層にアピールする政策、公約が必要であり、今の民主にそういった施策はありません。今の浮動票は、一部のJAが支援を決めた共産など、与党との対決姿勢が鮮明な方へと動くのであり、自民との違いが見え難い今の民主では、票の上積みを期待することはできない。安倍ノミクス批判なら、代案を必要とするのでしょう。
しかしTPPの新たな動きとして、知財関連への関心が高く、都市部でもTPP反対の機運が広がってきたことがあります。自民は離脱も有りうる、といった書き方をしていますが、米国まで乗り込んで参加を決めた以上、自民に離脱の道はない。交渉も来週、少しは参加できますが、内容の変更はほぼ難しい。反対を表明するなら、明確に反対を表明している政党に投票するしかありません。

経済も、政府や日銀は回復、上向きなどの文言を並べますが、世論調査でも『実感がない』が8割近く、国民の肌感覚に近いとされる景気ウォッチャー調査も3ヶ月連続の悪化、この政府と国民との乖離が、支持率低下につながっているとみています。国民は、自分たちと感覚を共有できない相手を、危険視する傾向があります。今の政府、自民はそのジレンマに陥ったのでしょう。
成果をアピールしたい。一方でそれは、国民の実感と異なる。選挙が近くなり、自民候補者が「景気回復を頓挫させるな」と述べるたび、頓挫も何も、本当に回復しているの? と国民が感じてしまう。実際、企業は賃上げ、雇用拡大に後ろ向きであることが判明し、益々国民にとっては実感しにくい中ですから、この支持率低下は、選挙が起点となっておこった現象、となります。

自民批判票をどこが集めるのか? 投票率と同じぐらい、それは注目されるのでしょう。安倍氏は保守のホープ、として期待する向きもありますが、逆にそれが共産の伸張といった効果を生むのか? もしくは野党戦国時代となり、その中から糾合し、次に天下をとる政党を見つけるのか? いずれにしろ、どうせ自公の勝ち、と選挙結果を諦観するのではなく、次の次の選挙への道しるべとなる参院選、として投票するのが、正しい政治との付き合い方になるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年07月17日

最近の韓国の動き

キューバから北朝鮮へと向かう船舶に、ミサイル9発が積まれていた、とパナマ政府が発表しました。キューバは補修のため北朝鮮に送るだけ、として輸出、輸入を禁止した国連決議違反を免れようとしていますが、しかし補修なら費用がかかり、その取引も含めて国連の制裁決議に抵触しないのか、チェックすべきでしょう。北朝鮮は同型の地対空ミサイル200発を実戦配備中とされますが、1950年開発の旧式ミサイルに頼っている、北朝鮮の通常兵器による迎撃に、みるべき点はありません。

韓国では戦時作戦統制権の、米国から韓国への移譲を2015年12月の計画から、伸ばす方針です。北の核開発、哨戒艦撃沈、延坪島砲撃、などの事態をうけて、まだ米軍の作戦能力に期待したい。一時期、もりあがった反米機運で決めたことが、情勢の変化に抗し切れなくなっています。
韓国は、アシアナ航空機がSF国際空港でおこした事故の際も、米運輸安全委員会(NTSB)が航空機に異常はない。運転ミスを匂わせる発表をしたことに、韓国内で批判的な報道がありましたが、NTSBが米ボーイング社に肩入れすることはないでしょう。確かに主力、777型にトラブルがあれば、787型で遅延、不具合を起こしているボーイング社には打撃ですが、それで検査を甘くすると、後に大きな事故を起こして更なる打撃となる。事故や不具合には、比較的厳しいのが米国という国です。

SFの放送局KTVUが、操縦士の名前を、事故を揶揄するものとしたのは、NTSBによる失態と報じられますが、うがった見方をすると、韓国ロビイストからの圧力に、NTSBの不満といった背景があるのかもしれません。一方で、韓国の放送局チャンネルAが、死亡者2名が中国人でよかった、旨の発言をしていますが、韓国人の考え方をよく表しています。しかし中国の方が、賠償に関しては厳しいと思われ、アシアナ航空的には操縦士のミスにして欲しくない。結果的に、米韓双方に事故の原因によって得失が生まれる、それがこうした感情的、扇情的な発言、行動に陥る原因なのでしょう。
韓国人は働きすぎ、と云われてきましたが、今は余暇を楽しむといった風潮が生まれてきています。しかしこうした情報は、実は景気後退期に起こり易い。企業にとっては仕事も少なくなり、解雇もできないため、余暇に注目してもらった方がいい。日本でもそうだったように、こうした報道が出るということは、韓国経済は現状、相当に厳しい状態に陥っていることを意味しています。

韓国への観光旅行は、激減しているとされます。観光資源も少なく、またぼったくりが横行する中、韓国旅行によって得られる満足感は少ない。ウォン高という以上に、韓国という国の資質が今、問われ始めているのでしょう。燃え上がると戦時作戦統制権を、米軍からとりもどすほどの行動力を示す一方、いざ不都合になると、すぐに態度を転換させる。それは柔軟性というより、行動により次に起こる結果にまで、考えが及んでいないことの証左でもあるのでしょう。
輸出が滞り、経済に陰りもでてきた韓国。北朝鮮がキューバと武器の受け渡しをしている、という中で開城工業団地の再開などを協議している場合なのか? 国連の制裁決議違反、と認定されると、交渉すら頓挫しかねません。北朝鮮とどう向き合うか? そのことにすら、考えが浅いままでいると、今後も足元をすくわれて打撃をうけるのは韓国の方が大きい、ということを考慮しておくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 一般

2013年07月16日

消費税増税の段階的引き上げ?

各地で海開きも行われていますが、注意することが一点あります。それは、陸地に降り注いだ放射性物質が川で流され、そろそろ海にとどくという事実です。放射線量を確認している、というのは空間線量であったり、海水中の放射性物質の濃度のみです。海は砂浜ばかりでなく、海底に留まる放射性物質は、海水が遮へい体となって、検出値は低くなってしまいます。例えば最近、高線量の欠片が発見されたりしていますが、海底にそれがある場合、確認はとても難しい。
今の政府は原発輸出を推進、再稼動にも前向きで、こうした情報を隠蔽するインセンティブが働きます。少なくとも、今行われている線量調査は、サンプル抽出により全体を把握する試みです。ホットスポットがあっても、それを見逃す可能性が高い。特に海底はそうであることを、きちんと理解しておくべきです。砂浜の形成過程を考えれば、山に降り積もった放射性物質を、徐々に集めていくことが確実であり、定期的な調査、検査が必要なことに変わりないのですから。

テレビ朝日の世論調査で、内閣支持率が50%割れしました。この調査で注目すべきは、1000のサンプルに対し、回答率が50%という点です。週末にとる世論調査としては、これでも高すぎるぐらいですが、この回答率の低さは、まじめに世論調査をしている姿勢をうかがわせます。逆に、回答率が高い世論調査は、相手を選んで調査している可能性を捨てきれず、信憑性が低い。この回答率50%で、内閣支持率の50%割れは、そういう意味で非常に驚くべき数字ということになります。
安倍ノミクスを脅かす数字は、海外からも聞こえてきます。WTIで原油価格がふたたび100$ラインを突破、北海ブレントと取引量で逆転した、とされるWTIの価格は、日本が輸入する原油、天然ガスにも影響します。円安で景気回復、を柱の一つとする安倍ノミクスでは、燃料費の高騰はそのまま電気、ガス、ガソリン代に転嫁される。国民負担は、益々増すことが確実な情勢となっています。

ここにきて、リフレ派から消費税の段階的引き上げ、が主張されます。国際会議で大見得をきったばかりに、国際公約と化した消費税増税を達成し、尚且つ景気をいためない策として、1年で1%ずつ引き上げる、という策で、浜田参与などが主張を始めています。しかし企業のコスト負担、さらに脱税に対する監視の複雑さ、百害あって一利なしです。自民の候補は、景気回復を確かなものとする…と発言することも多いですが、安倍政権は自縄自縛に陥ったのです。国際会議での発言で、消費税増税はやらなければ国債の信認が失墜する。一方で、リフレ派の懸念するように、消費税増税をすれば景気の落ち込みは相当なものになります。安倍政権がつづく限り、このジレンマとなり、結局それはどう転んでも景気を冷やす要因になる、ということです。
東証、大証のシステムが統合され、混乱もなく取引がスタートしました。参院選にむけてなのか、TOPIX型の板が厚くなっており、この水準を維持したい買い方と、この水準なら売りたい層との綱引きです。しかし安倍政権では、消費税増税は確実、来年度の景気は確実に悪化することを考慮すると、今の水準は高すぎるぐらいでしょう。参院選後、安倍政権が更なる成長戦略をうちだす、との期待もありますが、影も形もないものへ期待することを、誇大妄想といいます。

米国では、中国のバブル崩壊が叫ばれる中、FRBが緩和を縮小できるはずもない、この悪材料は株価にとって好材料、という話も伝わってきます。しかし実際に中国でバブル崩壊が起きれば、その悪影響は覆いがたいものとなるでしょう。これも、中国でバブル崩壊がおきても軽微な影響でとどまる、という楽観の所為であるなら、今の相場全体が誇大妄想に陥っているといえます。そんな市場の動きを、自身の成果だとする安倍政権も、誇大妄想に陥っているといえてしまうのでしょうね。

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2013年07月15日

雑感、選挙活動で、党の方針と違う主張をする候補に感じること

中国の4-6月期GDPが発表され、前年同期比7.5%の成長でした。しかし中国の統計は、未だに信憑性が低く、実はもっと低かったのでは? と噂されます。GDPは伸び率で評価されますから、現状維持でゼロです。香港との金融取引まで貿易統計に含めていた、その監視を強化しただけで輸出、輸入とも減少に陥ったように、今後の数値には注意も必要です。今年、7.5%という目標をたてただけに、そこに鞘寄せするよう数値をいじるかもしれない。中国ではゴーストタウン、鬼城が話題になることもありますが、中国そのものが鬼城のように、架空の統計で支えられているとすれば、それはホラー以上に肝を冷やす場面が今後訪れることを意味するのでしょう。

参院選、各党の選挙公約をみてきましたが、争点のぶれに各党とも苦慮している様子がうかがえます。そんな中、候補者が政党の意向と異なることを主張する場合、注意が必要です。例えばTPP、政党としては「離脱も有りうる」などとチラつかせても、賛成であるのに候補者が「反対」という場合、その言葉はほぼ守られないと考えて、間違いありません。日本の政治が主に衆参のネジレを問題視するのは、党議拘束という議員活動を制約する条項があり、それに違反する人間を処分する、という極めて排他的なやり方をとっているのが原因です。
党の方針に違反すれば処分される、つまり党の方針を否定して選挙活動をするような場合、仮に当選してその主張を貫けば、党内で冷遇され、政界で力が果たせないことを意味します。結局それは死に票となる。党で力をだすためには、選挙時の約束を破るしかありません。そしてこれを各党が実践する限り、議会内での多数派工作が、そのまま離党、分党にむけた政界工作となる。なので一旦ねじれると大変なのです。そして、党議拘束をやぶってまで選挙時の約束にこだわる硬骨漢なら、現執行部から危険視される。よほど政界で力がない限り、うずもれることが必定です。

つまり選挙活動で、政党と違う方針をうちだすような候補は注意すべき、ということです。実際、昨年の衆院選でTPP反対を訴えた自民候補は、党執行部が賛成に傾く中で、完全に沈黙しました。現執行部が、党議拘束をかけてまで事案をすすめる場合、それに逆らうことはほぼ不可能なのです。逆に、政党でさえウソをつく日本の選挙活動で、各候補の主張に信はない、といえるのです。
最近は、色々な機関でも各党の公約を落としこみ、質問に答えるだけで自分に近い政党がわかる、というサービスを行っています。候補の主張より、そちらでマッチングを探した方が、失敗は少ないといえるのでしょう。益々、何のために各候補が走り回って、演説などをしているのか? それも和を重視し、組織を重んじる日本という国が、党議拘束などで議員をしばるためにムダとなっているのです。だから政党は数を集めたい、ねじれ解消、などと訴えることになります。

郵政解散のとき、小泉元首相は反対者を切りましたが、今は個別政策では反対のことを訴えながら、切られていない。それは最終的に、党の決定に従うとしているから切られない、もしくはそれでも数を集めたい、という政党の都合によります。有権者はそうした意見に耳を傾けず、党の現執行部が何をめざしているかをみて、投票行動を決めてないと、下らない三文芝居の結末に、国民は肝を冷やすことになりかねないのでしょうね。

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2013年07月14日

社民、みどりの風の政権公約について

社民党の政権公約、ダイジェスト版をみてみます。驚くのが、3分の1を安倍政権批判、3分の2で社民党の約束、とする点です。そして自民の施策を「強い国」、社民の施策を「やさしい社会」と区分けし、自民と社民との違いを強調しています。しかしこの提言は奇妙です。本来、その両面を国はもたなければなりません。対外的には強く、気高く、利害の不一致を埋め、互いに共存できる国と手をとって、繁栄しなければなりません。一方で、国民の利益を最大化するよう、やさしく接しなければならない。時に突き放すことがあっても、それはあくまで大多数の利益のため、一部にそうしたことが必要、ということであって内政は常に、国民のためであるべきです。

社民党の施策は護憲、に代表されるように、社会的変革に乏しいものが並びます。恐らく独自の取り組みとしては、最低賃金を1000円、地方公務員給与の削減には反対、参院選挙のブロック単位への移行、ぐらいです。消費税増税に反対、TPP反対、道州制にも拙速議論に反対、社会保障の充実と、性的マイノリティへの偏見解消、差別禁止なども盛り込みますが、恐らく社民が関わっても、国の形は変わらない。これが、国民に閉塞感がない状態なら、現状維持でもいいのでしょうが、そうでない現状ではマイナスです。さらに財政問題にはまったくふれていません。
行政改革もなく、社会に変革も与えない。しかしこれでは、社民党はどこの党とも組めません。社民党の立ち位置を「やさしい」にした結果、政治の場では、非常に「やさしくない」と映る。民主との連立政権でも、自身の立場を貫く余り、離脱してしまった。やさしさは、時としてとても相手を傷つける。「やさしい」などという人間ほど、逆に信用してはいけないのが世の常です。

そんな社民と、似た施策なのがみどりの風です。特色は、自然、ふるさとにこだわり、変革にも前向きな点です。しかしその変革も、年金には提言がない。枝葉末節の項目は多いものの、日本の全体像を変えるほどの、目新しい提言がありません。個別には政治のムダ削減、としてペーパーレス化や国会の常時中継など、面白い提案がいくつもあります。生物多様性を謳うなど、独自性もあります。
消費税増税は凍結、であるものの導入時には軽減税率、原発ゼロと云いながら、2023年までに廃炉着手、と10年間のブランクの位置づけも、曖昧さを残します。フレキシブルは他党との連携を示唆している面もありますが、主張に弱さも感じさせます。ただ、社民と同じ「約束」を使いながら、個別の施策への落とし込みもあり、その点では期待感をもたせるところなのでしょう。

ただし、みどりの風の最大の弱点は、外交に関する提言が少ないことです。リベラルと指摘される政党に共通なのは、外交の基軸がみえないこと。自民のように従米主義でなく、対話と発信により諸外国と仲良く、というだけでは、どうしても弱さが目立ちます。外交の基盤をどこにおくか? 生活のように、対米従属をやめると宣言するのか、そうした方向性が必要なのでしょう。社民、みどりとも、目玉政策がないだけに、ワンイシューにも持ちこめない。そんなジレンマが、自民との対比にはしる社民、総花的になってしまったみどりの風、という形で現れているのでしょうね。

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2013年07月13日

生活の党の政権公約について

生活の党の政権公約について、みてみます。小沢氏押しで、ゴールキーパーとして生活を守る、というアピールをしていますが、今ひとつ伝わらない。ナゼならキーパーは失点を防ぐ役割であり、得点を稼がないため、負けない戦いしかできないからです。野党としては得点を挙げなければいけない。しかしTPP反対、脱原発、家計収入の増大、など与党の政策に対して反対と、旗幟は鮮明ですが、攻めるほどの強い材料はそろっていないのが現状なのでしょう。
日本では福祉、社会保障の充実を唱えるとナゼか左に分類されがちで、生活の党も例に洩れませんが、年金制度に提案があるのはミニマムインカムを唱えるみんなと、生活の党です。ただ、所得比例年金という漠然としたもので、無収入だった専業主婦などがどうなるか、よく分かりません。ベーシックインカム制度は検討、としており、社会保障制度の全体像は不透明なままです。

注目されるのは会計検査院を国会の付属機関とし、また国会の少数者調査権など、国会による行政監視を提言していること。自民、維新、みんななどの政党が、むしろ内閣の機能強化を謳うのとは正反対です。ただ、三権分立の原則にたてば、監視機能を働かせる方がよい反面、会計検査院の能力、資質に頼るのは現状ムリがあります。バランス感覚を欠く、との指摘もある会計検査院ですが、国会の統制下におけば、逆に最大多数である与党の使い走りになる可能性もあり、法的な位置づけをよほどしっかりしないと、逆効果になる恐れも強まってしまうのでしょう。
特記されるのは、特別会計の全面見直しを提案することです。よく指摘される財源問題を解決する策ですが、ただ民主党で出来なかったことを、生活の党に変わってできる、ということを証明できないと、やはり理屈としては苦しい。官僚の抵抗のもっとも激しいところを、政治の力で突破するには、剛腕・小沢ならできる、と明確に云わなければならないのでしょう。

可処分所得を1.5倍、という提案にしろ、中小零細企業への対応にしろ、自民との違いはみられますが、具体策に乏しい。すでに中小零細企業への法人税は20%台であり、多少下げたとしても効果がない。中小企業同士のマッチング、販路の拡充をはかる制度、などが待たれますが、それらは地方が行う仕事です。国が関与しても、大企業としか付き合わない経産省にノウハウはなく、下手に行えば基金等の天下り団体をつくるだけ。むしろ地方分権の一項目であるべきです。
非正規労働を正規労働へ転換、としますが、企業は非正規労働を都合よくつかってきた。自民と企業が癒着した結果、労働者は蔑ろにされてきた一方、企業は甘い蜜を吸ってきた。この関係を崩すのは、相当程度に難しいのでしょう。天下り禁止など、官僚と大企業にはかなり厳しい内容を並べた。この政権公約が意味するところは、きっとメディアうけが良くない。生活の党、小沢氏を毛嫌いしてきたメディアに、ふたたびケンカをうるような内容と言えなくもありません。

政権交代をはたしたときの、民主の主張に近いものも多々ありますが、問題はこれだけの政策を成し遂げようとすれば、数に頼らざるを得ず、数を頼れば近自民系の人間もとりこまなければならず、そうなると結局、利権とつながって公約に反することをし始める人間もでてきます。水は低きに流れる、人は安易な方に流されるのです。それを意識すると、この公約の達成にはかなりハードルも高く、その分の人的担保が少ない中では、実現困難ということになるのでしょうね。

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2013年07月12日

米中戦略・経済対話について

米中戦略対話が行われました。米国はバブル抑制に必死、一方で中国は宴の後、理財商品などの、シャドーバンキングに頼った結果、引き締めに躍起となる。そんな両国の経済対話という面で注目されます。サイバー攻撃や、尖閣の問題は双方ともここで語るべきではない、小さな問題と捉えています。逆にいえば双方ともに言い分があり、ここで解決しようとは思っていません。
中国は、米国からの投資を促し、失速する経済、金融機関の不良債権で滞る投資を補いたい。米国としては、中国に市場を開放させ、情報を開示させ、透明性をはかることで真の実力をはかりたい。双方にとってメリット、デメリットがあるだけに、慎重かつすすめたいのがここです。

仮に今、中国が市場開放しても、外国人の投資は慎重にならざるを得ません。不良債権を正確にはかる術はなく、金融機関がいつクラッシュするかも分からない。実際、ノンバンクの破綻は起こりうる状況で、そこに4大銀行がどの程度のポジションをもつかも分からない。中国の最大の懸念は、会計基準の国際基準への適合が遅れており、誰も損失が分からない点です。しかもシャドーバンキングなどの問題があるので、投資する場合の引当金の積み上げは相当なものになります。
中国では、中銀が無担保で融資する、などの噂が広まり、国民が中銀の支点の前に殺到する、などの事件もおきています。残念ながら、国民の認識がその程度の国で、金融が正常に機能するはずもありません。米国はアニマルスピリット、投資に前向きな国とされます。しかし中国はそれ以上、無知ゆえの野放図な貸付が横行し、知り合いの知り合いに貸した、などと平気で述べる人もいる。そして貸した相手に逃げられ、破綻する。米国流の投資に耐えられるような国ではありません。

しかし対中投資の面で、米国が出遅れているのも事実であり、逆に対中投資が多いのは欧州です。それが逆に、欧州金融機関の新たな不良債権問題となっている面があり、中国経済がクラッシュすると、これが顕在化しかねません。もし中国が市場開放しても、米国は中国経済がクラッシュした後、捨て値になったところを買おうとするでしょう。ただ、それでも中国にどれだけ優良資産が残っているかは、探してみないことには何とも言えない状況で、爆発的に増えるわけではありません。
つまり中国は、バブル崩壊後の支え役として期待するものの、米国は中国の底値を待つ、といった戦略の違いがあります。一方で中国の外貨準備は多く、ドル建てによる投資なら呼び込める、という戦略もあるのでしょうが、今の新興国で起きていることは、起債に厳しい環境です。資金が集まらない。起債を諦める企業が相次いでおり、それはQE3縮小懸念ばかりでなく、新興国のクラッシュを予期して、投資を手控える傾向が、先進国で鮮明になっていることが影響しています。

中国では、人民元建て投資も新たにロンドン、シンガポールの投資家に認めるなど、資金の呼び込みに躍起です。しかし貿易統計が示したように、今年の中国は低成長がみこまれ、投資できる環境ではない。好調なときに開放するのではなく、苦境になってからの開放が、最大の失敗ともいえるのでしょう。今の米国のアニマルスピリットは、FRBの顔色をうかがう、飼い犬レベルともされますが、ビーストになって中国を食い尽くすのか、当面は俯瞰しておき、死に絶えるまで待つハゲタカになるのかで、中国の今後の形態も変わってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2013年07月11日

日銀の会合と米FOMC議事録

米FOMC議事録で、緩和縮小に賛成が半数、雇用などの状況に配慮すべき、が多数になったと判明し、米FRBが緩和縮小に後ろ向きとみて、新興国株が上昇しています。しかし緩和縮小に前向きな意見が半数であることに変わりなく、9月に緩和縮小と予想していたものが12月に伸びたとて、大した違いはありません。問題は、米国の失業率は今後も高止まりが予想されること、です。
米国では労働者が、スキルアップのために大学に通うなどして、一時的に労働市場から撤退することが一般的です。そこがバッファとなり、雇用環境の悪化で逃避した労働者が、経済の好転で労働市場にもどり、失業率は一向に改善しない、といった傾向があります。失業率を目安にすると、その間に他の市場でバブルがおきる。それがFRBのジレンマです。バーナンキ議長の緩和縮小発言以後、ジャンク債投資などが一気に巻きもどされ、若干余裕はありますが、折をみてバブル退治用にタカ派的な発言が必要であり、その度に市場は動揺することになるのでしょう。

日銀の政策決定会合で、「緩やかに回復しつつある」と2年半ぶりに『回復』を盛り込みました。15年度のCPI2%にも自信を示します。しかしこれは政治的な見方であり、実際には今日発表の経済指標で、簡単に否定できてしまいます。日銀が発表した6月企業物価指数は101.6、前年同月比1.2%の上昇です。明らかに円安による影響で、悪性のコストプッシュ型のインフレに陥っています。
円安による好影響をもっとも受けている、と思われるトヨタ社長が、国内設備投資、賃上げは難しいとの見通しを示したように、自民や日銀が盛んに喧伝する『賃金への反映』は起こっていない。そして将来的にも起こりようがない。内需の縮小がつづく限り、賃上げしようがないのです。それを金融政策で達成するのは困難、波及経路において、まったく理論的な証明のできない話です。

内閣府発表の6月消費者態度指数でも、前月比1.4pt低下しているのに、基調判断を「改善している」に据え置きました。しかし景気の実態をもっともよく表す、とされる景気ウォッチャー調査も6月は足元が3ヶ月連続の低下、先行きも2ヶ月連続の低下、指数自体はすでに景気が踊り場、もしくは低下傾向を示しています。つまり日銀、内閣府とも4月頃の話をしているようであり、参院選にむけた政局的な判断を下している、そう断じてよいほど、国民の意識とは乖離しています。
非常に危惧されるのは、政府、日銀とも想定していた経済効果が出ていない。そのことを国民に伝えていない点です。しかもそれを『うそ』で糊塗し、気づいたときには景気がどん底、という事態に陥りかねないことを今の政府、日銀はやっている。日銀の金融緩和はバブル発生装置、としていますが、今のところバブルが発生しそうにない。それどころか後退に陥るとき、日銀は打つ手を失いますが、それと同時に好調、好調と言い続ければ更なる緩和の手は打てません。どこかで自分たちの失敗を認めない限り、日銀からは新たな施策がない、そう思われるときが危機になります。

政府、自民から盛んに喧伝される「賃金が上がる」という言葉、これほど軽く、うそをつく政府、政党を見たことありません。猛暑で経済効果がある、と云う人も、うそをついています。これだけ暑いと外出を控え、さらに電気代が嵩み、消費が活発になるはずがありません。安倍政権は都合の悪い報道をするメディアを叩き、出入り禁止にするなどして、メディア統制を強めています。経済の分野でも、やがて統計資料でさえ、中国と同じで信用できなくなる。そんな国に日本がなってしまう恐れを、今の政府、自民の動きからは感じてしまうのが残念ですね。

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2013年07月10日

原発再稼動について考える

前回の衆院選もそうでしたが、今回の参院選も、なぜか原発政策に争点が当たりません。メディアが嫌がり、とり上げないためにそうなっていますが、ここに来て原発にスポットライトが当たる事例が絶えません。福島第一原発の、汚染監視用井戸で高濃度の放射性物質が確認されています。東電は、事故直後の4月に立て坑から洩れた残り、という論調を崩していませんが、新規に洩れがある、と認めてしまえば東電の対策、解体までのスケジュールは大幅に遅れることになります。逆に、そういうバイアスがかかっているだけに、東電の発表に信憑性はもてません。
規制委も3、4号機付近でも放射性物質が確認されること、海水中の汚染は広範囲、ということから新たな汚染水の漏洩を疑っています。しかし仮に東電の説明がうそだとすると、そんな事業体が原発の処理を行い、柏崎刈羽原発を再稼動させようとしている。そんな事業体を信用できるか? という問題に直面します。しかも、もし東電の説明が真実だとしても、立証は弱く、根拠もないのに甘い見通しを立てていることになる。東電幹部と経産省のメールのやりとりが暴露されていますが、原発再稼動にむけて猛暑をのぞみ、国民の健康、農産物の被害など二の次で、自分たちの利益だけを考えている組織、ということになります。そんな組織が原発を握っている。そのことが恐怖です。

自民は公約でも、高レベル放射性廃棄物の線量を低減する、貯蔵期間を短縮する技術の研究開発、を謳っています。しかし放射性物質は、崩壊しない限り線量は下がらず、また崩壊に伴って周辺を汚染します。新たな施設をつくり、崩壊を促進させるよう運営すれば、その施設がまた廃棄物になるのです。そしていくら崩壊を促進しても、核種が代わるだけで崩壊してできた物質が、新たな放射性物質になる。放射性物質でない、線量が出なくなるまで、すぐに促されるわけではないのです。
そんな技術に、高いお金をかけるのは愚かです。米国が、一時期ヤッカマウンテンに燃料棒のまま、捨てようとしていたのは再処理にお金がかかり過ぎるためです。さらに、米国では厳しい規制により、原発のコストが他の発電施設より高く、ペイしないために閉鎖が続いています。日本だけが、原発がコスト的にも割安、どんどん動かそうとしている。さらに輸出まで推奨している。世界において、原発政策は今、二枚舌になっているのです。米国などのシェールガス革命がある国と、日本は違うという意見もありますが、日本と米国の監視、規制が違う点には留意も必要です。

改めて指摘しておきますが、今の安全基準は、原発は事故を起こすことが前提で、その際に水蒸気爆発が起こらないよう、ベント弁にフィルターをつける、免震重要棟などの監視できる機能を別けておく、等がさだめられています。逆に、炉心溶融が起こり、建屋をつきぬけて地下から漏洩することに対しては、処置のしようがない。それこそ炉心を交換するしか手がない。しかしそれをすれば、原発の再稼動は5年以上遅れ、また莫大なコストがかかる。だからやらない、となっています。
原発の安全を高めることは、技術的には可能です。しかしコストとの兼ね合いで、そうしていないだけ。危険なまま、その処置を先送りして動かそうとしているのが、今の再稼動の流れです。国民は危険を甘受するのか? 地元は再稼動に前向き、ともされますが、安全と安心を引き換えにして、得られる生活基盤が磐石なのかは、今一度認識すべきなのでしょう。原発を動かすな、というのではなく、安全、安心に資するものになって、初めて稼動すべきだ、ということです。そして今の経産省、電力会社にしろ、その任に足る組織でないことが、明らかとなっています。原発は、所有媒体から改造しない限り、残念ながら安全も、安心も保証できないまま、となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2013年07月09日

日本維新の会の政権公約について

福島第一原発の事故当時、所長だった吉田氏が死去されました。当時の証人として、まだまだ語ってもらわなければいけないことが多く、それは今後の原発政策も含めて、大事な人だったといえます。東電は吉田氏の被曝は70mSvで、食道がんとの関連はない、としますが、過酷な作業、ストレス、そして高線量という環境が、体にいいはずがありません。労災を認定してもいいほど、体調を悪化させた原因は企業にあります。その犠牲は残念ですが、ご冥福をお祈りします。

日本維新の会の政権公約をみてみます。維新の挑戦、としていの一番に『選挙目当てでものを言わない』としますが、旧太陽の党など、選挙目当てで活動してきた政治家ばかりで、痛いところを先に否定してしまう手法とみられます。既得権益に支持された政党では改革できない、しがらみのない日本維新、と述べますが、どう考えても石原氏を初め、旧太陽の党はしがらみ塗れの人材ばかりです。選挙目当てで集まってきた公募候補も含め、言っていることは常に逆の印象です。
『日本を賢く強くする』が、お題目ですが、8頁の政権公約で、1頁の見出し、2頁分の基本政策、3頁分の実例集と、中身はほぼ一緒です。これに表紙、あらましを含め、何と薄っぺらい政権公約か。実際には全部で5頁で済み、賢いやり方とも思えません。レイアウトに凝るわけでもなく、無駄な見出し、基本政策、実例集などは『賢く』短くまとめるべきでしょう。

中身にみるべき点も少ない。道州制、首相公選制、衆参合併、言っていることはこれまで政治の場、民間で語られたことをまとめただけ。維新としての、新たな魅力的な提案はありません。法人税減税も盛り込みますが、日本の実質的な税率は20%強、つまり先進国、新興国でみてもかなり低い、という指摘があります。そもそも3割しか法人税を納めていない国で、これ以上の減税をする意図が分かりません。所得税減税もうちだしますなど、選挙目当てでは? との疑念を濃くします。
例えば原発政策は『脱原発依存メカニズム』です。脱原発・依存なのか、脱・原発依存なのかで印象は異なりますが、書いていることは原発依存、まだまだ原発を使います、ということで、前者の色彩が濃い。こんなところで『賢く』書くと、国民からみて信がおけなくなります。

高齢者に支持される自民との対立軸として、現役世代を狙った施策をうつ、という方向性はみられますが、それも選挙目当て? と思わせます。総じて『賢く強く』ではなく、政界で長く生きてきた人間の悪知恵によって『ずる賢くせこく』書かれた、そんな印象を強くします。
慰安婦発言より前に、自民補完勢力である維新の立ち位置は、自民人気が高まれば総じて低下するのが常です。もっとも右に位置した結果、自民から毀れてきた票をとる、という戦略をたてていますが、そもそも毀れるほど投票率が盛り上がって来ない。組織の統率に疑問符がもたれている、二大党首の顔を表紙にすえましたが、その人気に頼っている時点で『選挙目当て』、として有権者をうんざりさせるばかり、ということになるのでしょうね。

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2013年07月08日

安倍ノミクスについて、改めて考えてみる。

安倍ノミクスについて、今一度考えてみます。安倍ノミクスにおける金融緩和は強烈なバブル発生装置です。成長戦略が乏しかった今、一過性のバブルで終わる可能性が大です。今日発表された6月景気ウォッチャー調査でも、現状判断DIは前月比2.7pt下がって、53.0でした。しかも企業や雇用が弱く、賃金などの人件費に、まったく波及していない現状が明らかとなっています。
原因を梅雨に求めていますが、関東は空梅雨で、逆に過ごしやすい日が多かった。さらに企業部門では、円安によるコスト高による負担、輸出も増加しておらず、見かけの円安効果では産業界全体へ波及しない、と示しています。高額商品が堅調なのも、円安による価格転嫁がすすむと、一気に萎むでしょう。つまり消費は鈍化、企業は慎重、それが6月で現れてきた印象が強い。株価の乱高下もマインド低下の一因、とされますが、乱高下の原因をつくったのが、まさに安倍ノミクスです。

米国の6月雇用統計で特記すべきは、時間あたり賃金の上昇です。月単位なら100$近く上昇しており、ディスインフレ化では異例な伸びでした。しかし失業率は改善せず、職探しを諦めていた人が、改めて労働市場に復帰し始めている、とされますが、逆にそれでも賃金が上昇した。詳細は未確認ですが、米政府の情報監視が明らかとなり、サイバー部門の雇用、専門性の高い分野の人材不足が起きているのかもしれません。7-9月期の業績予想をみても、金融部門は金利上昇で好調でも、製造業は芳しくない。この段階で、賃金に波及する要素は皆無です。特殊な事情以外、考えられません。
これは日本も同様です。政府は盛んに賃金に波及、としますが、企業がグローバル化した今、日本だけ賃金を上げるはずもなく、また雇用に不足感がでて初めて賃金に波及する。ここからみても、安倍ノミクスによる国民への還元はほとんどない、と断言できます。成長戦略にみるべき点がなかった時点で、安倍ノミクスは終わり、国民にとって害しか残らないことになります。

安倍首相は党首討論のとき、挙動不審に陥ります。野党から攻撃されると、目はきょときょと落ち着きなく、早く反論したくて「違います」や「誤解があります」から切り出す。これは公明が語るとき、その挙動不審さが止まるので、尚さら顕著な傾向として安倍氏を印象づけます。心理学的にみれば自分に自信がない証拠、反対の意見をそのままにしておけない、寛容さを失った状態です。
例えば『原発輸出』に際し、過酷事故を体験した日本が安全を…と安倍氏は述べますが、事故の原因も判明していない中で、この意見はおかしい。しかもくり返しこのフレーズが出てくるので、自分で自信がない、誰かに言わされていることが鮮明です。株価にしろ、政府は自分たちの成果だ、と述べますが、それも可笑しい。市場のことは市場で決めるのです。さらに卑近な例としてコマツの名を挙げますが、コマツが建機で回復したのは企業努力であって、政府とは何の関係もない話です。安倍氏の語ることは、どこか上滑りで、心が篭っていない。だから自信もないのです。

安倍ノミクスはマインドに訴える、と云われます。しかし、もっともその効果を疑念しているのは、実は安倍氏本人かもしれません。理論的裏づけもなく、リフレ派の云う通りにやってみたら、一旦は上昇した株価も乱高下、円安による悪影響の方が目立ち始めた。早くもスタグフの傾向を示しつつあります。自信のない首相が、虚勢をはって声を張り上げても、国民もそろそろ見抜くでしょう。安倍ノミクスは、バブルの走りだった春に天井をつけた、すでにトレンドは下落傾向、そう気づいたときには、すでに国民は取り返しがつかないことに思い至るのでしょうね。

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2013年07月07日

みんなの党の政権公約について

みんなの党は、アジェンダという言い方をしますが、政権公約をみてみます。野心的なのは衆院180減、参院142減、という議員削減をうちだすこと。ただし、これは地方分権に伴う国家権限の割譲であり、むしろみんなの党が主張する、地方分権が成立した場合、これでも多すぎるぐらいかもしれません。議員特権の廃止、企業・団体献金の禁止などもありますが、政治改革にもっとも前向きな政党といえます。これは行政改革も同様で、地方分権にともなう利点を、スリム化につなげる算段です。公務員人件費の削減など、具体的にうち出している数少ない政党です。

みんなの党の強みであり、弱みは三権分立を大きく崩す、内閣機能の強化にあります。国家戦略局機能、これに100人を登用とするので、国会と対立できる規模に内閣が昇華されます。しかも首相公選制を謳うので、極論すると国会とまったく無関係の人物が、首相に選ばれることもあり得る。今は、議院内閣制なのでムリですが、法改定まで視野にいれれば可能です。将来的には、新たなねじれの構図を生みかねず、強くなった内閣と国会の対立も起こりえるといえます。
さらに経済政策は、評価の難しい問題です。言っていることは、今の安倍ノミクスに近く、成長戦略に乏しく、金融政策に頼る形です。バブル発生装置と化した安倍ノミクスの成否は、9、10月天井とも揶揄されます。つまり消費税増税を断行するとき、景気は天井をつけ易く、最近の短観や企業の動向をみても、年内に景気減速とみる向きが大半です。バブルがはじけると、景気の冷えこみは一段と日本経済を深刻化させるでしょう。それと同じ手法をとろうとするみんなの党では、安倍ノミクスが破綻した後の経済政策を任せられるものではない、そう感じさせます。

名目成長率4%や、賃金5割増、というお題目にしても、国の基盤が拡大していないのに、投資や資金供給で拡大してしまえば、その頃のインフレ率は軽く賃金上昇を上回ってしまうでしょう。実は、そのための社会保障改革は、あまり多く語られない。例えば年金は積み立て方式に移行としますが、高額所得者に有利な制度です。積み立てる余裕もない人、一度制度から零れ落ちた人、を救済する手立ては不明です。ミニマムインカムも提唱しますが、詳細は不明なれど、その制度が導入されると年金そのものがいらない。余裕のある人は、自己責任で運用し、将来への備えとすればいい話です。ベーシックインカムにしろ、その制度を成立させる主因は、組織のスリム化です。複数の組織を乱立させては、効果は半減します。総じて、社会保障改革に野心的なものは感じられません。
経済政策で、自民との差を感じるのは、原発ゼロをうちだす点です。同時に、脱化石燃料をうたいますが、抜本的にその策はない。科学技術は日進月歩なので、あらゆる可能性を残す点ではその通りですが、某原発推進メディアなど、盛んに対案を示せ、と報じる部分でもあり、ここが曖昧なのはメディア戦略上もマイナスでしょう。

みんなの党の英語表記は、Your Partyですが、中身をみると首相一人に権限を握らせるOne and Only Partyになっている感もあります。維新と切れて、政策が鮮明になった点は好事ですが、その結果浮き上がったのは、政権をとるための野党協力をどうとりつけるか、その戦略です。アジェンダが一緒なら組める、ということは逆にいえば、個別政策の違いをどうすり合わせるのか? みんなの党が、政権政党になれる道を示さなければ、国民の期待も盛り上がらないでしょう。じっくりと党勢を拡大する、その戦略で時間が間に合うのか? 野心的な取り組みも多いだけに、その成果がでるまでにも時間がかかります。その間の世論の動向をふくめ、今回の参院選での存在感の薄さは、気になるところでしょうね。

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2013年07月06日

共産党の政権公約について

日本共産党の政権公約について、みてみます。冒頭で、堂々と「安倍政権の暴走に立ち向かい…」と、もっとも野党らしい主張の目立つのが、共産党です。安倍ノミクスに反対、消費税増税に反対、原発に反対、TPPに反対、日米安保は破棄、現在の社会保障制度を替える、そして護憲。これほど見事に自民と反対であることが、先の都議選における躍進にみられるように、反自民の票をとりこむ原動力です。エリート主義ともされますが、かつてほど共産主義に傾倒するエリートもおらず、むしろ今の反自民票は現状に不満、不安をもつ層という形になっています。

気になるのが、衆院選における小選挙区制の廃止、すべて比例代表制とする点です。基礎票をもつ共産がこの制度を推進することは、自らの利を考えてのことです。配分の仕方で1票の格差は解消できますが、政治が人ではなく、政党により決してしまう。選ぶ相手に信がおけなくても、政党を応援する場合は、票を入れざるをえない。逆に、政治家が政党にしばられる形となり、政党をころころ替えたりといったこともなくなり、分かり易くはなりますが、政治家が小者化する恐れもあります。組織力が重視されると、政治への興味が薄れ、益々国民が投票しなくなる点に留意も必要です。
日米地位協定の破棄、在日米軍基地の全面撤去、など野心的な提案ですが、それによる代替案が、日本がイニシアティブをとって東アジアの軍縮促進、というのが難点です。中国、北朝鮮とも軍事と政治が密接です。政治制度の抜本改革か、経済破綻による混乱がない限り、両国に軍縮はありえない。それを平和裏にすすめることは、ほぼ不可能です。これは代替案ですらありません。さらに、日米安保を破棄し、日米軍事同盟に替える、という提案も、軍事同盟とは一方をただ守ってくれるものではありません。米軍が戦争するとき、同盟軍としての参戦を要請されるでしょう。それを断り切れるはずもなく、結果的に日本の海外軍事活動を助長する。軍縮の主張とは、根本的に相容れないものがあります。この辺りの齟齬は、共産党の主張のもっとも弱い点でしょう。

さらに、先の大戦を侵略戦争、植民地支配と位置づけ、「負の遺産の清算」として慰安婦に公式に謝罪、個人補償が不可欠、とします。共産党が、慰安婦という制度を日本がとり、現状その被害を主張する方の正当性を証明したのでない限り、この主張は共産党への票を減らすでしょう。領土問題にしても、不当に占拠した土地とそうでない土地を別け…と、しますが、それはすでに国際社会の中で、きちんと線引きされています。今から日本が改めて行う作業ではありません。というより、戦後70年以上経って、今さら日本が見直しなどすれば、喜ぶのは周辺諸国だけで、日本にとっては何のプラスにもなりません。国益とは何か? を真剣に考えているとは思えません。
この点は、社会保障制度にも当てはまります。詳細にはふれませんが、大盤振る舞いのオンパレード。これを国民の権利、としています。財源問題や、世代間不公平、一部にのみ優遇が過ぎる、といった問題の解決策は示されていません。経済面でも、企業の内部留保を攻撃材料とする場面がみられますが、基本的な経済政策は、はっきりしないのが現状です。雇用、就労に関する厳しい規制を課すとする、この大企業への攻撃姿勢は、本格的な景気回復の足枷になりかねません。

野党らしい野党として、もっとも左に位置した、それが今の共産党の立ち位置です。そこには同意できる部分と、許容できない範囲がある。それを各個人が判断し、投票するかを決めることになるのでしょう。他の野党が総与党化する中で、旗幟が鮮明なのは見事ですが、その旗の下に一体どれぐらいの票が集まるかは、むしろ不安と期待といった面を強くすることになるのでしょうね。

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2013年07月05日

経済の話。最近の市場の動き

自民党がTBSの取材をうけない、と表明しました。しかし問題とされた番組の内容をみても問題ありませんし、自民の高飛車な態度しか感じられません。むしろ自民とTBSとの遺恨を逆手にとり、既存メディアと敵対することで旧体制との対決、進歩性をみせたいという自民の戦略でしょう。しかし楽天が、企業アナリストを取材禁止とするなど、安倍政権の周辺はどうして狭量で、高慢なのか? 政治にしろ、企業にしろ、それを冷徹な目で監視する側であるメディア、アナリストを排しては、暴走を許すことになってしまいます。内容に問題があるならまだしも、自分たちにとって好ましくない、というだけで統制をかける態度には、危険なものしか感じません。

昨晩、ECBがフォワードガイダンスを導入し、時間軸における低金利、さらに将来的な利下げも示唆したことで欧州株が一段高、日本にも波及しました。ただECBが動けないのは、欧州の失業率の高さ、経済が縮小する中、緩和を続けざるをえないことは自明でした。金融機関が安心を買った、というだけのものです。FRBの緩和縮小をうけた措置、とみられますが効果は限定的でしょう。
米国の6月雇用統計は19.5万人増、失業率は横ばいでした。市場予想より若干高めで、今晩の米市場がこれを好感するか、緩和縮小を織り込むかはまだ分かりません。最近は、経済指標がよくても上昇、悪くても上昇、ととにかく上げたい層が多く、市場はリスクオンとも囁かれます。しかし実体は、それほど安易な話ではなく、売買高が低迷するように5月とは違った動きが観測されます。

6月の最終週から、一気に13000円以上押し上げたのは、どうやらアジア株投信のリバランスではないか? とみられます。中韓に不安を生じ、バッファ部分における各国の配分を変えた。つまりアジアから逃避した資金で、日本の現物株を買い上げた。日本はまだ好調なのでウェートを少し引き上げた、これがヘッジもかけない現物株が、6月後半から大幅に増えた原因です。
しかし安倍ノミクスは、海外要因に敏感です。ナゼなら円安、日銀による資金供給がドライバーですので、資金の使い道が限られた途端、景気は萎みます。逆にいえば、円安による輸出増を越える分の海外投資がなければ、すぐ円高にもどってしまう。海外景気の減速で輸出も減、二重三重に悪影響を被りやすい体質です。内需促進策は、従来の公共工事でしかないため、非常に脆弱です。中韓がもしクラッシュすれば、日本は中韓以上に景気の面では苦境に陥ることが明白です。

今の市場は、5月の急落を過ぎても、あくまでリスクオンのまま。しかし売買高が伴わないように、ステージが変わった。それが『少しでも良さそうな国へ』というリバランスの流れです。それは世界の債券市場が急落し、投資資金の余裕がなくなったファンド勢の懐事情が影響している。つまりリスクオンの上昇局面の特徴、引け間際に上げて、翌日の株高を演出する工作はみられますが、迫力のない理由がここに現れています。一部には新規資金の流入もありますが、多くはありません。
6月末の資金流出は、ほとんどなかった。しかし7月からの資金流入は、あまり多くない。14000円台はしこりも少なく、上げ易いとされますが、逆に真空地帯に入ったのに値動きが減った。ECBのフォワードガイダンスも、FRBの緩和縮小に見合う内容ではありません。資金調達方法に新たな局面がない限り、ボリュームの拡大には心許ない部分があります。ふたたび円キャリーを増やしたのも、そんな思惑かもしれませんが、今後もこっそり上げながらネガティブ材料で大きく下げる、そんな局面を覚悟しながら、市場と付き合わないといけないのかもしれませんね。

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2013年07月04日

公明党の政権公約について

先週末、メディアの世論調査で非常に意外な結果がでています。それは投票に行く、もしくは行くつもりだ、と答えた人が80%を越えていたのです。逆に、ここからはっきりしたのは、世論調査が高齢者か、ある特定の政治思想をもつ人を、より多く対象としていることです。そう考えると、週末の昼間家にいて、尚且つ世論調査に協力する、という調査対象世帯の傾向にも合点がいきます。低投票率が予想される中、多少は見栄もあるでしょうが、選挙への参加意欲の高さには、それなりに理由が見出せる、ということになります。

今日、参院選が告示されました。自民や公明が、選挙戦において「ねじれ解消」を訴えるのは、読みかえれば「政局的なお願いをします」というようなものです。本来、ねじれを解消した後、何をするかが重要です。ねじれを解消した後、政策をフリーハンドにしたい。下手なことを言って、うそつき呼ばわりされたくない、というひ弱な主張が「ねじれ解消」ということになります。
そんな公明の政権公約ですが、小学生とは言わずとも、中学生の作文レベルです。もうすでに語られ、実行しようとしていることを並べるだけで、特記すべきものが見当たりません。端的にいえば、公明に任せるとねじれない、社会のあるがまま、何の変革もない。現状に不満、不安がある人の声には何も応えない内容です。賃金、雇用を確保するといいながら、道筋はまったく示されていない。文字数は多くて、書いた気になっても内容は伴っていない、というのが実態です。

例えば道州制、国民会議を開く、というだけで公明からの提案はない。政治は意見集約ですから、確かに国民会議も大事ですが、その形を示さないのは政権公約、としての体を為していません。これは自民にも共通ですが、道州制は官僚にとって不都合も多く、逆に都合よく制度を創ってしまうことも可能です。だから政権公約に示さず、国民会議にもちこむ。そんな政治の都合が見え隠れします。独法改革も、ムダ削減というばかりで、何の道筋も示していません。
総じて、非常に消極的で、野心的なとりくみは一切ありません。驚くほど今の社会を変えない、と云っているにすぎない内容です。なるほど、街頭演説で、必死に縄を振りほどいて「ねじれ解消」としか言えないわけです。公明の役割は、右に寄りがちな安倍政権の手綱を締めることでしかありませんが、その役割すら感じられない。今はただ、創価学会の防波堤にすぎない、ということかもしれません。改めて、公明党の役割は何だろう? そう感じさせる政権公約になっています。

原発はゼロ、といいながら、原発輸出は推進、消費税には軽減税率を、という自民との違いもありますが、このままでふたたび自公が政権交代したとき、公明の価値は著しく低くなってしまうのかもしれません。自民との連携も10年を越え、自民との差をどう表現するかに悩む、そんな公明の苦境がこの政権公約なのかもしれませんね。

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2013年07月03日

民主党の政権公約について

最近の市場はよく分からない、という声を耳にします。100円/$をこえて、株高になるかと思いきや、下落する。4日間で1000円以上あげているので、反動安という話もありますが、新興市場はあげるなど、整合性がない。この上昇でさえ、中国リスクが一旦収まったとはいえ、今回は企業が起債を減らすなど先送りであり、また起こる問題です。爆騰させる理由にはなりません。
為替にしても、円キャリーを仕掛けても投資先が乏しいので、収益は見込めない。それなのに大量の円売りが観測されます。株価の14000円も、為替の100円も、仕組まれた感はありますが、残念ながら主体がみえません。5月に大量の債先売/株先買をしかけた米系が、一部からんでいるようですが、裏にはヘッジファンドの思惑があるかもしれません。参院選で自民が大勝して爆騰する、とのシナリオを先食いした、という話もありますが、昨日もふれたように、自民の経済政策に目ぼしいものはなく、どちらかといえば市場に厳しい内容です。投資を呼びこむ、とはしても市場に開放するわけではなく、政府が司令塔機能をつくる、言わば市場統制型なので、ファンド勢にとっても好ましくありません。
ポルトガルの政局混迷で、欧州市場が混乱していますが、明日辺りに思惑買いの真相がうっすらと分かるのかもしれません。大量に溜めた買いを、どう動かしてくるかが注目されます。

民主党のマニフェストをみてみます。1頁ごとに漫画を挟む、しかもプロの漫画家に依頼するなど、お金をかけている印象です。しかしその分、各項目の内容は薄くなっており、読み易いけれど、政治に精通した人間からみると物足りない。しかも全体の論調が、自分たちの成果により、暮らしはよくなった。自民はこうしようとしている、それでは不安、心配という論調に彩られています。
しかしこれでは有権者へのアピール度は低い。民主党政権は、衆院選で否定されたのです。そこに率直な反省と、出直す際に、ではどうすればよかったか? どうしたら公約通りに実現させられるのか? という主張がないと、国民は納得してくれません。つまりまた民主に任せてみよう、と思わせるような内容ではないのです。都議選でも示されたように、自民批判票は共産に流れている。これは民主内に、近自民勢力がいると自民批判票のとりこみに弊害になる、ということです。公約通りに実現させるための道筋、とは、逆に公約と違うことをし始めることへの制約、裏切らないという約束が、この政権公約であるべきなのですが、それはまったくないのが問題です。

そこで内容をみると、TPP、消費税増税は自民と同じような主張であり、争点になっていない。憲法改正、地方分権、行政改革には対立点をおきますが、国民には伝わり難い。さらに福島の再生、をトップ項目に掲げますが、復興予算の流用という下地をつくったのは民主です。本気度が疑われますし、そもそも震災は東北全県、関東にまたがります。その他地域の疎外感を助長しかねません。
経済に関して、「ブラック企業」対策として求人票に離職率を明記、などが特記されますが、正社員の多い企業なら、それでもよいでしょうが、契約社員や非正規が多いと問題が浮かび上がりません。さらに、インフラのパッケージ型輸出、など自民と同じ方向性をうちだしており、TPPと合わせ、自民との対立軸が安倍ノミクスによる、悪いインフレだけでは、国民はこれから実感することであり、争点になりにくい点も挙げられます。総じて違いは何か? に悩まされるところです。

いのちを大切にする社会、未来へ、人への投資、とも掲げますが、民主党政権の3年半で、国民は三行半をつきつけた。いくら実績を主張しても、国民に伝わることはありません。自民になって苦しい、という実感を得るのはまだまだ先のことです。『反省なき出直し』はあり得ない、というごく基本的な認識をもち、かつ体質、体制を大きく転換させていかない限り、自民との対立軸どころか、補完勢力と看做されてしまいます。海江田代表への批判がでないのは、参院選敗北の責任をおしつけるため、ということでこのマニフェストでも、海江田氏を全面に押し出します。そうした態度でいる限り、民主党の基礎票は離れ、非自民票のとりこみもままならない、ということになり、復権への道筋はまったく不透明、とこのマニフェストは示すのでしょうね。

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2013年07月02日

自民党の政権公約について

自民の政権公約を検証します。まず感じるのは、ねじれを解消し、安定政権となって権力を『その手に(握った)、実感を。自民党』という色が見え隠れします。三本の矢など、これまでもふれてきた点は割愛し、逆に公約において気になった点についてふれます。
まず経済の項目では、法人税減税、設備投資促進税制、所得拡大促進税制、研究開発税制、交際費課税特例、などの大盤振る舞いが目立ちます。それでいてプライマリーバランスは2010年度比で、2015年度に赤字を半分とし、2020年には黒字にすると謳います。実現可能性はゼロですが、その方法として立地競争力の強化、国家戦略特区など、手垢のついた政策を並べるだけで、特に知恵がないのですから尚更ムリです。さらに総合科学の司令塔機能、医療分野の司令塔機能(日本版NIH)など、やたらと政府関与による、国が主導した形での成長を模索する。自民党が政権に復帰し、利権構造が『その手に(もどってきた)、実感を。官僚』ということかもしれません。

最先端の知財立国、という項目は、まさに楽天がめざす方向性と一致。楽天の利権構造化がめだちます。資源・エネルギー大国への挑戦、という項目で気になるのは、次世代への責任をはたす、として「大幅な有害期間の短縮、毒性の低減化」として高レベル放射性廃棄物への研究開発をうたいます。これは、原子力ムラへの新たな利権誘導であり、核燃サイクルが頓挫し、縮減が予想される原子力ムラが、100年メシの種になる項目です。しかし1万年の保管期間が、仮に千年に短縮できたとしても、それで核廃棄物が10倍になったら、処分地の確保もままなりません。原子力技術の輸出に積極的な自民は、原子力ムラとの強い結びつきを断ち切れない、とこれは示します。
中小企業・小規模事業者を応援、という項目では、地方産業競争力協議会(仮称)、地域企業支援コンシェルジュ(仮称)などの創設をうたいますが、これなどまさに利権の集中、癒着の温床になる構図です。監視・監督などの機能が必要ですが、自民の政策はこれまでも不具合、トラブルが頻発しないと対処できない形ですので、これも同様かもしれません。個人保証がなくても融資できる枠組み、のガイドライン策定としますが、金融機関の不良債権比率を高めたいのか、そうでないなら機能はしないでしょう。現在も、国が保証する形で融資を促していますが、いずれこうした制度は破綻します。根本的には、中小企業も保証をもつ形で融資をうけるのが望ましく、そのためには景気回復を中小企業・小規模事業者が恩恵をうけるようでなければなりません。

外交・防衛分野では、国家安全保障基本法、国際平和協力一般法の制定をもりこみますが、要するに海外で自衛隊が活躍できる場を増やす、ことに他なりません。米知日派の要求にそった項目です。沖縄の負担軽減、といいながら辺野古移設は『日米合意』だから変えない。半年の実績として、日米首脳会談でオバマ大統領との『強い絆』を復活させた、と述べますが、むしろ『強い鎖』を首輪につけられました、という方が近いように感じます。
安心を取り戻そう、という項目では、治安をうたいますが、最近頻発する弱い子どもをねらった無差別な犯罪。警察機能はまったく対処できていません。最大に不安を与えるのは「自助・自立」を第一に掲げ、「共助・公助」を第二とする、社会保障の国家負担を減らし、国民負担を拡大する方向性を、自民がもっていることです。それができる人はいいですが、共助、公助が必要な人は、それを生命線としています。厳しい査定が、生活の困窮や犯罪を助長しやすくなる。この部分のバランスを崩すと治安は悪くなります。今は特に犯罪の多様化、無差別化がおきやすい地合なのです。

自民の政権公約は、総じて中央集権型であり、利権集約型であり、国家統制型です。官僚が策定に関与した匂いがしますし、実際にこれは官僚が喜ぶ内容が多くあります。それでいて政治改革には後ろ向き、比例定数の30削減しか盛り込みません。道州制の導入、を謳っても国・地方の役割分担の再検討で、国家関与を多く残したら意味がない。地方に大都市をつくる制度を謳うなど、まさに統制しやすい、官僚型の国づくりだといえるのでしょう。最後に、憲法改正について盛り込みましたが、自民は改正案を発表しているのですから、前文載せればいいのに、そうしていません。結果的に、見栄えのいい内容を並べました、ということでは、この公約の裏にある自民が手にした権力を、国民が実感する頃には生き難い社会が構築されていることになるのでしょうね。

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