2013年08月

2013年08月31日

雑感。集中点検会合について

米国におけるシリア化学兵器使用に関する報告書。戦略的重要拠点で、シリア化学兵器開発部門が活動していたこと。政府側が攻撃した後で、化学兵器による被害がでたこと。事情に精通した政府高官が攻撃を認め、国連調査団に証拠が入手される懸念を表明した、との通信を傍受したこと。が、主な証拠のようです。しかしどれも間接証拠で、しかも通信傍受はCIAの十八番ですが、捏造、偽造の疑いもあります。どうしてそこまでの情報を集めておきながら、シリア政府側が攻撃した、直接の兵器からの化学兵器の痕跡を提示しないのでしょう? 反政府側が、シリアから証拠をもちだすことは可能なはずです。国連の調査で、どういった証拠が集められたのかは判然としませんが、以前は反政府側が、化学兵器を使用した、としている報告もあります。
ロイター記者による、米軍の原爆投下も、国際法違反になるのか? との問いは的を射ています。当時、ハーグ陸戦条約の付属書 陸戦の放棄関連に関する規則第22、23条に違反する、として日本が抗議しているためです。米国は、米国益のために動く。断じて、シリア国民が非人道的な兵器で犠牲になったための作戦ではない。そうした疑念があるため、米国には直接証拠の提示が求められます。残念ながら、今回そんな疑念を払拭できるほどの報告書ではないのでしょうね。

消費税増税にむけた集中点検会合、という茶番が終わりました。7割が賛成、3割が反対。この結果以上に、消費税増税に賛成としながら、自分たちには軽減税率や税優遇を訴える財界人が目立ちました。一人の持ち時間が10分未満とされるなど、自身の立場を主張する場、として機能したようです。質疑も少なく、質問しても政府側から回答がない。言いっ放し、という壮大なガス抜きであり、しかも人選が偏っていることから、明らかに消費税増税容認にむけた地均しです。
財界人は、法人税とセットなので増税派。財務省に近い人間は財政再建派なので、こちらも増税派。地方自治体の首長などは税収増をみこんで増税派。研究所の人間や学者でも、財務省と財界に近い人間は増税派、経済成長重視であれば増税反対派。消費者目線の有識者は増税反対派。参加者の大体の色分けをみても、今回の会合が都合よく増税派を増やし、少数の増税反対派をいれて議論が百出したようにみせて、実は初めからシナリオができていたことを窺わせます。

シリアでは毒ガスを使ったことを非難され、日本では増税反対派と、増税容認でも自分たちは免除して欲しい、という人間のガスを抜いて、平穏にコトをすすめようとしている。日本のガスは、人を殺しはしませんが、国内に滞留する不満となって燻ります。消費税増税が半ば国際公約化したのは、安倍政権の責任ですが、それをもって財務省側の人間が、改めて国際的に信を失い、国債が暴落するという懸念について、発信しています。しかしもし国債が暴落したら、それは安倍政権の責任ですが、そこまでは財務省も追い詰めていない。それは、今はまだ麻生財務相、甘利経再担当相が財務省側の味方だからです。
財務省としては、現時点ではシナリオ通りです。そして、財務省は国債暴落など起こりえない、ということを知っているのでしょう。4、5月と債先売を仕掛けた主体も、崩せずにポジションを巻きもどしたように、国債の国内保有比率が高い日本では、そもそも外国人による売り叩きには限界があるのです。日本ではガスが抜かれる一方、こうした毒ガスのような風説が流されている。残念ながら、この国はいつまでも官僚の手の上で、死ぬまで踊り続けさせられるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2013年08月30日

潘国連事務総長の発言

英議会がシリア介入を否決し、残る米仏は単独介入をさぐります。9月5、6日のG20期間中は困難であり、今週末か来週末という可能性が高い。それをうけ、株式市場は週をまたいでポジションをもたない動きが加速、お盆の間に上昇すれば、8月は上昇で終えるとのアノマリーや、月末ドレッシングを飲み込んで下落しました。買い意欲の弱さ、を8月は強く感じさせた月だったのでしょう。

国連の潘基文事務総長が、歴史認識問題で、日本へ反省を促した自身の発言に対し、「日本で誤解があり残念だ」と述べ、「3カ国の政治指導者らが強い意志をもって解決すべき」という意味だとしました。日本政府はこれを受け、問題視しないと表明。ここに日本外交の最大の誤りがあります。間違いなく、潘氏は事務総長を退任後、そのネームバリューと立場を利用して、日本に対する圧力を強めることが確実です。明らかに国連の立場に反し、どちらかの国の肩をもつ発言をしたのですから、そこは国連で動議を提出すべきです。潘氏の発言からは、自分は悪くない、誤解した日本が悪い、というようにしか聞こえません。真意ではなく、それが正しい行動なのかどうか、を正しく判断する場を日本が求めていかなければ、いつまでも日本は文句を言えない国になります。
企業に対し、戦時賠償を求める韓国へ、日本は国際司法裁判所に提訴する方針をにじませました。韓国の同意が必要なので、恐らく裁判は開かれませんが、これを国際社会へのアピールだと日本は考えているようです。しかし提訴する、しないは二国間の話であり、アピールというなら、国際会議の場でコトあるごとにくり返し発言する必要があります。しかし潘氏への対応を見る限り、日本にそうした胆力をもつ政治家はいません。それは対韓強硬派、とみられる安倍氏も同様です。

韓国では、打ち上げに失敗したイプシロンを、軍事転用可能という論調もあるようです。しかし極論すれば、ロケット技術はすべて軍事転用可能です。それこそ韓国のロケットさえそうでしょう。問題は、40億円近くかかるミサイルを撃つことは将来的にも現実的でない、ということです。しかもイプシロンは、安倍政権とはまったく関係ないので、批判の矛先が違います。
G20でも、日韓は立ち話さえしないようです。双方の政権とも国内の支持が高く、相手の妥協もない中で、会談をもつ必要もないのが今です。しかし韓国経済の脆弱性、抱える不動産バブルの負の遺産、など韓国の屋台骨も弱いのが現状です。日本も安倍ノミクスで一見好調ですが、これは時限的な効果であり、将来には不安も残る。今後、日韓が会談なり、手を結ぶ機会があるとすれば、どちらか、もしくは双方が危機に陥ったときでない限り、難しいとさえいえます。相手だけが誤解、間違っているという論調でいる限り、関係改善などありえない、と早く気付くべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月29日

人口減少社会と、デフレ

日産が自動運転車、を2020年までに販売をめざす、としました。しかし非現実的な面が否めません。例えば事故をおこした場合、自動で標識、信号をよみとる装置をつけたメーカーの責任なのか、それとも自動運転に任せたドライバーの責任なのか、読みとり難い標識、信号を所管する自治体の責任なのか、非常に曖昧となります。販売員は責任をとりたくないため、責任を負わない旨の説明をするでしょう。すると、ドライバーとしても怖くて使えません。自治体も、かすれた文字、見え難い標識、人なら判断できる範囲で整備してきたこれまでと異なり、再整備や維持管理の負担が重くなってしまいます。
それを搭載することで、唯一幸せになれるのが運転するはずだった人、です。それ以外の誰もが不幸になる、こうしたシステムが普及するはずがありません。自動運転車、ではなく、補助としてのアラームや速度超過を自動で抑える、といった形の技術なら話も分かります。むしろ、そんな技術の研究開発費のせいで、車が高級品であり続けるなら、日本のモノ作りは新興国に負けるでしょう。

昨日、総務省が日本の総人口が3月末時点で前年同月比0.21%減、1億2639万3679人と発表しました。65歳以上が24.40%で過去最高、生産年齢人口が62.47%、年少人口が13.13%でともに過去最低です。フォーブスに面白い記事があり、日本は失われた20年どころか、人口減社会にも関わらず、企業の収益は伸びているし、緩やかなデフレは良い傾向で、類稀な成功国家だ、と載っていました。
全面的に賛成はできませんが、安倍ノミクスが唱える『デフレは悪』説とは、真っ向から対立する意見です。近代的成長理論の創始者として知られるソローは、経済成長率の半分は技術進歩で説明できる、とします。しかし日本のここ20年でみると、技術革新は目覚しいもののGDPはほぼ横ばいであり、ソローモデルから外れています。むしろ日本は技術進歩、流通改革などを消費者に還元するスタイルであり、それがデフレの原因でした。ただし、その流れは小泉改革で変わっています。

労働市場の流動化により、賃金デフレが始まり、慢性デフレに陥ってしまった。さらにその対策が金融緩和だったため、解消されずに来ています。安倍政権は賃金がもうすぐ上がる、という言い方をしますが、金融緩和と財政出動では絶対に不可能です。その国の経済が悪いので、金融緩和するのであって、設備投資がすすまない。企業は海外の成長をとりこもうと海外に移転、それが収益の伸びとなって反映されます。財政出動は技術進歩とは無縁です。ソロー氏の語る労働と資本でいえば、労働人口の低下に伴い、技術進歩で補う一方、資本だけ大量に供給しても、意味がありません。
日本は食糧危機や、労働力の過剰に早くからとりくむ、すばらしい国だとフォーブスの記者は持ち上げます。しかし労働体系や、食糧危機には対応できても、むしろ対応できずに悪化の一途をたどるのが、従来型の社会保障です。つまり日本は、人口減少社会であり続ける限り、いつかは社会保障に革新的な変更を必要としますし、それができないなら人口増加社会に転じる必要がある、ということなのです。自公政権は、その失敗の歴史をくり返している、とさえ云えるのです。一方で、その対策として増税による歳入増を模索する、という知恵のない人間がもっとも陥りやすい失政を犯そうとしている。それが現在の日本です。そこを読み誤ると、失われた20年ではなく、失われるのは成長の原資、という根本的な問題を引き起こすことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2013年08月28日

シリア情勢の緊迫化

米ネバダ州でオスプレイが着陸に失敗、と報じられます。詳細は明らかにされていませんが、基地外の公有地、ということから通常の着陸ではなく、緊急着陸だった可能性が高いとみています。そうなると、事前に何らかのトラブルがあったと想定され、それが日本でおきた場合、基地近くの住宅街で起こることも、想定されます。日本ではオスプレイ配備の拡大を企図していますが、日本の基地は近くに市街地を抱えるところも多く、いざ事故になれば大惨事になると、改めて痛感します。

シリア情勢が緊迫化しています。米国は、明らかに追い込まれているのでしょう。化学兵器の使用を越えられない一線、として軍事オプションに踏みこみますが、国内の支持もなく、英仏の支持は得られそうですが、国連は距離をおきそうです。米英仏による単独行動となれば、イラク開戦の構図に近く、それは後方支援のない状態を意味します。短期間の空爆、という戦略が想定されますが、その効果は後に、大きな禍根を米国に残す。それが分かっていてもそうせざるを得ません。
政権側をイランが支援、という話もありますが、イランとて財政的には厳しく、協調はしているでしょうが、支援はむしろロシア側でしょう。しかし反政府側へ武器を流しているのは欧米だったり、アルカイダ系だったり、複雑化していますが、どちらも支援があって戦闘を継続しているので、イラン云々の話は付け足しに過ぎません。問題は支援の如何に関わらず、軍事介入後の動きは、欧米の望む通りには決してならないだろう、ということです。

仏国は反政府側と会って、支援する意向が強い。しかし反政府側は一枚岩ではなく、小勢力が連携する形であり、しかもアルカイダ系がまぎれている。アサド政権を倒しても、今度は主導権争いで内紛になるでしょう。政府軍の弱体化により、戦局を反政府側に有利にするため、ともされますが、反政府側はそれを貸しと思わず、むしろ欧米への反発を強めるだけ。アルカイダ系が主導権を握れば、それこそそうなります。つまり一旦介入すれば、自分たちが望む勢力が主導権をにぎるまで、介入をつづけなければなりませんが、その財政的余裕は欧米にもないのです。
ドバイ産原油が1バレル110$を越えてくるなど、長期化と拡大、という方向を市場が模索し始めており、それは全世界的にも経済的不安を増すことにもなるのでしょう。それは財政再建を模索する、欧米にとっても負担となる。本当に、介入しても何もよいことはないのが現状です。

安倍首相は「アサド政権は交代…」と述べていますが、抽象的ながら米国支持をうちだすようです。しかし内政干渉にもなる、こうした発言をするなら、もっと旗幟を鮮明にすべきでしょう。曖昧が一番、国際的な立ち位置を失わせます。出口戦略はないのに、入り口だけはぽっかり大きな穴が開いている今回、そこに飛び込むなら覚悟も必要です。日本はその覚悟もないのに、米国に言われて渋々ついていく、ということなら、事故に目をつぶってオスプレイを受け入れるのと同様、外交上は米追従で独自路線なし、という失敗をまたくり返すことになるだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | アメリカ

2013年08月27日

概算要求が100兆円越え

今日の東京株式市場は、先物系が上値を試すものの、追随がなく後場に失速、という後味の悪いものとなりました。買い方がそれほど多くない、と改めて意識したことになります。上値を重くしたきっかけは、米国によるシリア介入が現実味を帯びてきたこと。中長距離砲による遠隔攻撃、無人機の空爆、など戦略オプションは色々と語られますが、いずれにしろ破れかぶれになったシリア政府側が、イスラエルへの全面戦争を仕掛け、政情不安のエジプトも抑止ではなく、同調する可能性を否めず、そうなると中東の全面戦争に突入する懸念さえおきてきます。
米国が、化学兵器の使用を断定しましたが、イラクでもそうだったように、米国の断定に信はおけません。米CIA、イスラエルのモサドなどが、米軍介入のために仕掛けた罠、という見方も可能です。国連は政府側、反政府側双方の使用を疑っていますが、米国が断定する根拠を示さない限り、日本は米国側にのってはいけないのでしょう。安倍政権にはできるはずもありませんが…。

月末に概算要求の締め切りを控え、予算が特別会計に計上される復興予算と、一般会計をあわせて100兆円を越える見通しであることが判明しました。しかも消費税増税が決まると、社会保障費の追加もみとめられることから、まさに青天井の状況です。野田税調会長が、消費税は社会保障に…と述べていましたが、付則があるので事実上、社会保障以外にも転用が可能です。
復興予算は4.5兆円と、今年度と同等になりますが、これにも裏があります。被災地以外に使われた、いわゆるムダ遣い事業が債務負担行為、つまり経年的な事業であり、予算削減ができないのです。つまりムダ事業を盛りこんだ各省庁は、不正が暴かれても予算措置がとめられないよう、細工をした。だから予算が削れず、毎年同じ規模の予算を必要とするのです。各省庁では手続きの猥雑化や、信用にかかわるとして一般会計への組みいれを拒否しますが、イイワケなのは自明です。

復興予算は、野田政権の管理不足により、こうした不正が横行した形ですが、安倍政権はそれにお墨付きを与えています。明らかにムダ遣い、不正なのですから、担当者を処分しなければおかしい話です。しかし安倍政権はそれをせず、予算要求を認めている。これでは官の不正、ムダ遣いは止まりません。こうしたことから、官僚との一体化、族議員の復活なども含めて、安倍政権、自民党に官僚の統制はムリ、という懸念を想起させます。人事権を放棄しているからです。
そして、消費税増税議論も活発ですが、復興予算の流用をゆるしているように、消費税増税も流用が可能なので、同じようになるとの懸念を感じてしまいます。安倍政権は官の責任をとらせない、とらない。そうやって官僚との関係を築く限り、安倍政権のすすめる行財政改革に、期待できるものはなくなってしまいます。中期財政計画でも、歳出の上限を決めないなど、誰もが安倍政権下では予算分捕りができる、と意気込んでいる。それが景気の気、ということで活況の様相を呈すことに役立っているなら、安倍政権下で国の歳出から無駄遣いは消えない、ということが、今回ではっきりすることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月26日

安倍内閣の支持率回復?

各社の世論調査で、少し奇妙な数字がでました。内閣支持率が約5%程度、上昇しているのです。参院選後、なら選挙の勝利を好感したものと考えられますが、このタイミングでは材料がありません。まるで消費税増税の判断を後押しするかのようですが、一方で過半数は消費税増税に反対です。日経が、消費税増税容認7割、と明らかに数字を操作したものを見出しとして掲げてきましたが、中身は容認2割弱、先送り、規模縮小が5割ですから、大半は14年4月の増税には反対、ということです。
では、支持率上昇の要因は何か? 靖国に参拝しなかったこと? 福島第1原発対策に政府がのりだしたこと? フジTVの日枝会長とゴルフしたこと? 最後は半ば冗談ですが、イチロー選手の4000本安打に謝辞をおくったこと? とまで勘繰ってしまいます。株価も13000円台、円も90円台後半、経済的にも見るべき点はない。法人税減税に言及したこと、とするのもすぐ否定したことで、一般の国民にはただ迷走しているようにしか見えないでしょう。とにかく材料がないのです。

福島第1原発対策にしても、茂木経産相が現地にのりこんでいますが、対策が廣瀬氏を本部長とする対策本部の設置、強固なタンクの設置、など抜本策ではありません。原因が不明なので、仕方がない部分はあるとしても、国費の投入という事態に対して、誰も責任をとっていない。百歩ゆずって事故の原因は東電の責任でないとしても、対応を始めてから、放射性物質の漏洩を食い止める責任は、東電にあります。それが果たせなかった。東電なのか、監督官庁である経産省なのか。汚染水漏洩、という重大な事故にも関わらず、責任論は棚上げにされてしまったかのようです。
さらに、その能力不足の東電に、改めて対応を委ねる。国が前面にでたからといって、その構図が変わったわけでもありません。悪い言い方をすれば、茂木氏は現状を確認し、現状のままでいい、と云っているようにしか聞こえないのです。有識者を集めて対策を練る、人員不足なら補充をする、といった具体策が聞こえてこない。そして、目視で確認していた、という東電の説明を鵜呑みにするのも疑問です。高線量の汚染水があるところに、計測器ももたずに歩かせる、という危険を冒しているのであり、空間線量を計れるように計測器は常備させるべきだったのでしょう。そうすれば、もっと早くに漏洩を確認できたかも知れず、そうした追及も茂木氏はできていません。

よく安倍政権は安定し、思い切った施策を打つ、という人もいますが、これは誤りでしょう。安倍氏はまだ、党内基盤が弱いため、です。世論の支持を失えば、党内から倒閣運動が起こります。小泉型をめざす安倍氏にとって、改憲、国防軍などのやりたい施策を通すのは、小泉チルドレンが誕生した後の小泉政権のように、もう一回選挙で勝たないといけません。郵政解散は、大きな賭けであって、失敗すれば水泡に帰す。それぐらいの大勝負であり、今の安倍氏にはまだムリです。
思い切った施策をして欲しい、消費税増税、法人税減税などを望む人間たちが、逆に安倍氏に決断を促す意味で、そう発言しているに過ぎません。しかし消費税増税を先送りすると、改めて法律を通さなければならず、国会が紛糾する。3党合意から、民主はまだ完全に離れてはいませんが、増税政党の汚名をかぶる必要もないことから、野党の総攻撃を浴びるでしょう。消費税は、上げても現状維持でも、安全運転はできません。安倍政権の支持率回復、その理由は判然としませんが、他よりいい、が主要因だとすると、この国はまず政治の劣化の酷さを嘆くべき、なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月25日

消費税増税議論と、中期財政計画

共同通信の世論調査で、来年4月に予定通り8%、は22.5%。引き上げ幅の縮小、は22%。引き上げの先送り、は22.7%。現行維持、は29.1%となりました。過半数は、来年4月の引き上げに反対しており、10月ともされる判断に影響を与えそうです。明日から有識者による集中点検会合が開かれますが、参加する60人のうち、アンケートに回答した20人の半数が、予定通りに引き上げるべき、としていますし、経済界、財務省よりの判断をくだす有識者も多いことから、実態は過半数を優に越える有識者が、この点検会合でも賛意を示すとみられています。
しかも、中期財政計画では毎年3%成長を続けて15年度で10年度比で半減、20年度でプライマリーバランスを黒字化する、という目標を立てています。しかし、この閣議決定ではなく了解、とされた中期財政計画は、歳出の上限を決めない、極めて問題のあるものです。つまり、いくら支払いが増えるかわからないけれど、経済成長で歳入が増えるから、黒字化するでしょ、というものです。もっと奇妙なのが、国債の利払い費の増大が、この中期財政計画ではまったく織り込まれていない。毎年3%成長をつづければ金利が上昇し、利払い費は20兆円以上増えると見込まれます。日銀の異次元緩和は、2年の時限措置であり、金利低下を促すような手は打てないのですから、尚更です。

しかも、消費税増税を前提としない、としますが、今のシステムでは社会保障費は膨らむのですから、さらに不可解です。年金とて物価スライドなので、インフレになれば支払いが増えます。インフレで薬価が上がれば、保険料も増えますし、混合診療を認めても同様でしょう。さらに国土強靭化で、公共工事をすすめる計画ですが、それとてインフレになれば工費が増えることは、目に見えています。3%成長で財政再建、というのは歳出と兼ね合いで議論しなければ、意味がありません。
さらに、消費税増税で落ち込む景気を、財政出動で補うという方針を麻生財務相が示しており、増税が財政再建に寄与するとは思えません。さらに、法人税減税などの対策をとれば、税収は落ち込みます。TPPで関税撤廃になっても、税収はさらに下がる。今、政府内で語られていること、全体を中期財政計画に織り込まなければ、実効性はまったくないとさえ言えてしまうのです。

当然、政策や方針が途中で変わることは往々にしてあります。しかしそれは、そのときに改めて計算しなおせばいい話です。中期財政計画を、意味もないまま公表したり、それを閣議決定でなく、了解で済ませたりすれば、明らかにおかしいのです。消費税増税の判断を後でするから、は理由でも何でもありません。もしそれなら、増税を織り込んだバージョンと、そうでないバージョンの二つを発表すれば済む話です。
今の政府は、増税派と反増税派があらわれ、どちらにも材料を与えたくないため、あえて意味のない中期財政計画を発表せざるを得なかった。その時点で、政治としてはおかしいのです。明日から集中点検会合が始まり、本格的な議論に入りますが、その前段階として政府の弱腰姿勢がみてとれます。中期財政計画も、まともなものが作れない政府が、プライマリーバランスの改善など、できるはずもない、と言えてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月24日

野党の内紛の話

民主党の大畠幹事長が、民主党の信頼喪失の要因として「政策議論をして決めたことが守られず…常任幹事会で多数決で決め、内閣で決定するよう規約を改正する」と述べました。完全に間違えているのは、それは組織のガバナンスの問題であって、国民の信頼喪失とは、直接に関係しません。もし規約を改正するなら、こう一文を付け加えるべきです。「国民と約束したことは破らない」

つまり、今の民主は仮にマニフェストを公表しても、選挙後に常任幹事会の多数決で、マニフェストと違うことを決め、内閣で決定してしまう。国民との約束は簡単に破られる、という疑念が付きまとうのです。マニフェストだって、党の方針として決めたはずなのに、その扱いがあまりに軽すぎて、誰もが公約を信じられないのです。一度、約束をやぶったら信頼をとりもどすのは苦労するものです。だからこそ約束は破らない、という誓いが必要なのは洋の東西、男女間、政治の場を問いません。地域との連携、地方組織からの再生を謳っていましたが、的外れです。
いくら頑張っても、自民の組織力に敵うはずもなく、浮動票に頼らざるを得ない。だから公約が大事なのです。党が分裂するかどうか、が問題ではなく、約束をやぶって説明もしない、党が苦境のときには影に隠れ、嵐が過ぎ去るまで待つ、といった態度でいる政治家を追い出せ、ということなのです。そんな人物がいると、また約束が破られるかもしれない、そんな疑念を払拭しばければ、党再生などありえない。自民のような歴史ある党と戦うには、あまりに心構えが低すぎます。

みんなの党も分裂気配です。江田議員の側近、柿沢議員に今回の騒動の戦犯として離党届をかかせました。こちらもガバナンスの問題で、本当はすべての反対派を粛清したいものの、そうすると組織が割れる。そこで反対派の二番手をきり、力を殺ぐ。最小の流血で、最大の効果をねらったつもりでしょうが、政治で独裁は嫌われます。創業者一族が支配する非上場企業なら、それでも問題ないでしょうが、純化路線をする政治家を、国民は決して好感してはくれません。
ガバナンスが働いたからといって、それが国民の利益を最大化してくれるかどうか、が問題です。みんなの党は、あまりに安倍政権と経済政策が似すぎていて、安倍政権が倒れるときに、ではみんなの塔、という選択肢にはなり難い。みんなの党は早期に、独自の経済政策の策定がもとめられるのでしょう。その上で、垣間見せた分裂の火種について、国民に説明していく必要性に迫られたのでしょう。説明ができないなら、それは民主党と同じで、凋落していくことになります。新興勢力が、自民という老舗に対抗する前段階から、すでに内紛を起こして、組織力の脆さを露呈している。3年という期間が、自民が安定政権でいられるという以上に、そこで野党が再編、もしくは再生できないようだと、日本の利権構造の膠着化が、不安として台頭することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月23日

為替市場の動き

ブルネイの首都バンダルスリブガワンでTPP交渉が開かれ、共同声明をもって閉幕しました。個別交渉はつづきますが、議長を開催国ではなく、米通商代表部が担うなど、異例ずくめのものであり、共同声明をみると日本の苦境がにじみます。2013年妥結にむけ…との文言が入り、各国とも政治的にも年内合意を強いられます。方策をさぐった、未解決な問題も協議した、最適な方法を議論した、など中庸的な内容ですが、米中間選挙にむけて焦る米国が、土壇場で離脱する可能性まで含めて、日本側が相当の妥協を強いられることは、半ば覚悟しておく必要があるのでしょう。

昨日、米国では7月FOMC議事録が公表されました。年内の緩和縮は、ほぼ織り込まれたものの、規模やタイミングについて、言質を与えなかった恰好です。ほぼ想定通りの内容でもあり、今日になって楽観が支配しています。それ以上に、中国、欧州、米国とPMIが発表され、それがいずれも市場予想よりよく、好感された形です。しかし中国では在庫の積み増しが顕著など、これが将来的な景気回復をにらんでの動きならよいですが、継続性があるかは今後の指標を待たないと、判断できません。
日本では円安がすすみます。一部で、黒田日銀総裁が某紙のインタビューで、更なる緩和に言及したことを材料視、と語られます。しかし今以上の緩和をしても効果がない、ということは全員が認識しています。恐らく円安にもならないでしょう。今は、円安にするための方便につかわれているに過ぎません。ただ、日本では金利差をみて為替市場に参加する個人も多く、その点で今は円売り、という捉え方が多いのも事実です。しかしこのタイミングでの円安は、米系のファンド勢が保有している大量の円ショート、そのポジション整理につかわれることになるのでしょう。

以前も指摘しましたが、金融緩和による効果とは、国内に資金循環が起きることではなく、好調な他国への投資が拡大、そのことで他国でバブルがおき、その余波によって景気を回復させること、です。欧米の金融緩和で、新興国がバブル化しましたが、それが緩和縮小で逆回転を起こしている。日本の金融緩和で、米国の不動産がバブル化しています。資金移動が起こっているはずなのに、為替市場にはその波が伝わらない。それは様々な仕組み、組み合わせによるものであり、金融緩和による円安効果は、ないに等しい状況です。金利差拡大も、今はメインの取引材料ではありません。
むしろ世界経済の好、不調の波が、ポジションの拡大により為替市場に大きく影響する、といった状況なのです。世界的にPMIがよさそう、世界経済は底堅い、これが今の円ショートの流れには含まれるのでしょう。そうなると、米QE3の行方と同時に、各国の製造業指標などで、今後も大きく振らされる展開が続くのでしょう。株式市場も、欧州2社の振り回しで右往左往しているような状況ですが、円債市場も大きくふれ易くなっている。これも金融緩和効果、というのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年08月22日

内閣法制局前長官の会見

イチロー選手が日米通算4000本安打を達成しました。すばらしいのは、夏の甲子園も行われていましたが、最近では高校生でさえ、自打球避けに足の甲にカバーをつけます。しかしイチロー選手はデッドボール避けのヒジ当てしかしていません。バットコントロールの優秀さを示すものですが、それで故障も少ないのですから、体調のコントロールも優秀なのでしょう。
最近、悪ふざけ写真の投稿で、現実社会でも損害賠償や退学といった事態を引き起こす若者がいます。小さい子が、大人の関心をひきたくて「見て、見て」という姿に重なりますし、悪ふざけ、悪のりはやっているときは気分が高揚し、後先を考えずに踏み外してしまいます。自分をコントロールする力に乏しい、それは今後の生活、就職でもマイナスに作用する事例です。勉強より先に「ノリ悪ぃ」などと言われても、自制する力を身につけることを学ぶべきなのでしょうね。

前内閣法制局長官が、最高裁判事への就任会見で、集団的自衛権の行使容認について、改憲が必要との認識を示しました。これに、安倍内閣の補完勢力であるメディアは反発、菅官房長官は「非常に違和感」と述べています。確かに判事が公判でもない場で、発言したことには違和感もありますが、司法には違憲審査権があり、発言そのものには違和感がありません。そもそも論として、法制局長官が変わっただけで、憲法解釈が変わるようでは法治国家ですらありません。
法制局長官の交替の話が持ち上がってから、法制局へのネガティブキャンペーンが始まっています。官庁で出世できない、組織のアウトロウの集まり。各省庁には内閣法制局の対応マニュアルがあり、変人を納得させるのにへとへと…など。しかし、これはどの組織でもあることで、別に不思議なことでも何でもありません。設計と品質管理など、チェック機関に該当するところが甘い審査をしては、製品、法案の質に疑問符がつきます。逆に、内閣法制局で躓くような仕事しかできない人間が、管理部門を批判するのです。裏を返せば、内閣法制局への批判とは、各省庁の能力不足を露呈する事実といえるのでしょう。

政治の側から、前長官が左遷に見えないよう、最高裁判事に栄転させたのに、という批判が聞こえてくるのは、政治の傲慢さを露呈します。人事権を行使して、官僚への統制を強めたい、というのが政治の悲願ですが、それは不都合があるから人事権を行使する、であってはいけません。能力不足、失態、悪意のある捏造、等があったときに断固とした措置を講じるべきで、そのことによって行政側の不正をなくす、綱紀粛正するといった形でなければ、今度は政治が暴走をはじめます。
日本は三権分立でありながら、政治が表立っている反面、行政などの官僚組織は政治の無知を利用し、自分たちの権限を拡大してきました。そんな中、司法は政治への配慮から機能不全を起こしていた、という状況です。最高裁が政治と距離をおき、違憲審査権などを行使して、暴走を抑止する力と捉えれば、前長官の発言も前向きにとらえられるのでしょう。コントロールが利かなくなり、暴走する政治、官僚をどう抑止するか? それが近代政治史の大きな課題だったともいえます。最高裁判事も、多数決の原則があるので、決して一人の意見で変わるものではありませんが、少なくとも内閣と対立してでも自説を唱える硬骨漢が現れたことは、前向きな評価をしてもよいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法

2013年08月21日

雑感。福島第1原発の汚染水漏洩

独連銀の報告書で、安倍ノミクスの効果により、13年度はGDPを約1.25%押し上げるものの、14年度の消費税増税を機に失速し、15年度は逆に足枷となる、と記されました。藁に火をつける、とパッと燃えてすぐ消える、瞬間的な効果だと指摘されています。燃えて跡形もなくなるのではなく、燃えカスの処理など、後代にまで禍根を残すような施策、それが安倍ノミクスです。海外の見方は、すでに安倍ノミクスに否定的であることを、日本はもっと真剣に受け止めるべきなのでしょう。

福島第1原発で、タンクから汚染水が洩れていた問題もそうです。海外でも取り上げられ、懸念を示されています。政府が海洋への汚染水流出に対し、支援を表明していますが、そもそも凍結という手法で、すべての流出をとめられるとは、到底思えません。地上から1.5mまでの範囲は不可能である、という以上に、汚染水は放射性物質であるため温かく、熱により溶けやすい。また放射化は構造物のみならず、凍結土でさえも脆くするでしょう。凍結のための薬剤を投入するパイプでさえ、長期にわたれば脆くなり、次々と交換が必要になってくることが想定されます。
タンクからの漏水も、原因は不明ですが、パッキンからの水漏れであれば周辺環境の線量が上がり、すぐに気づいたはずです。タンクの下部、そこに受け皿があるかどうかは不明ですが、それらに穴が開いていた場合、直接地面へと流れこんでいる可能性があります。そうなると、すべてのタンクをもう一度、点検し直さないといけない。本来、漏洩のチェックをしてから運用しなければなりませんが、そこが出来ていたのかどうかさえ不明です。場当たり的対応のツケ、とも言われますが、その場当たり的対応の設備で、何十年とつかい続けること自体、ムリなのです。

東電は柏崎刈羽原発の再稼動を目論んでいますが、運転する人員があるなら、原発の専門家を福島第1原発に充当し、対応にあたるべきなのです。経営を続けながら、事故対応にあたるので、場当たり的になるのは当然で、今注力すべきは事故の影響をこれ以上拡大しないこと。それが出来ないなら、経営責任を問う、というぐらいの強い態度が必要です。結果的に、国が支援をするのに経営責任は問わない、そんな曖昧な態度が、すべての元凶になっているのです。
安倍ノミクスに対する、世界の見方も悪化しているように、原発処理にも懐疑的な見方が増えてきた。それは、安倍政権の手法への疑問符です。中東を歴訪し、放射性物質の影響で日本製品の輸出が止まっている国に、理解を求める考えです。しかしそれすら今回の件で頓挫した。また五輪開催地の問題にしても、原発事故の収束が見えないことでマイナス面を大きくしたのでしょう。

さらに、安倍政権がすすめる原発輸出でも、事故対応すら後手後手で、新たに汚染を広げる日本への不審、として世界へと拡散することになりました。火に油をそそぐ、というと悪い意味で用いられますが、安倍政権がつけた藁の火、それが消えたようになる日も近いのでしょう。それは、海外からの逆風でそうなるとみています。すべての物事にも当てはまりますが、対応、対策ができないようでは、責任者としての質が低い、とみられることが常識なのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2013年08月20日

米国経済は変調か?

日経平均は大幅下落でした。相変わらず欧州系2社の大商いは続きますが、最終的には傾けておらず、今日の下落にはお盆休み中が上昇だと、8月は上昇で終えるというアノマリーを買った層の投げ、が大きかったと思われます。9月FOMCが近づき、米新規失業保険が改善や、住宅指標も堅調で、益々緩和縮小の足音が近づいたこと、なども囁かれます。新興国からのマネー流出などは、まさにその通りですが、米国では少し違った事情も見受けられます。

昨日、財務省が発表した7月貿易統計で、金額ベースは1兆240億円の赤字ですが、輸出が数量ベースで14ヶ月ぶりに上昇したことで、Jカーブ効果と囃したてるメディアもあります。Jカーブ効果とは、通貨安により当初は輸入が増えても、やがて輸出の伸びが大きくなる、というものです。しかし米国向けの自動車輸出が好調で、金額ベースで約32%、全体への寄与度も2%となるなど、ほぼこの一業種で支えた恰好です。しかし米国向け輸出が、今後も伸びる可能性は低い、と云わざるを得ません。
米国ではQE3の終了に伴い、金利上昇が懸念されています。実際、長期金利は3%に近づいており、住宅や自動車などローンを組んで購入する、高額消費への影響が心配されます。実は、7月はその駆け込み需要だった可能性が高く、実際に米住宅着工、許可件数の伸びも鈍化しており、消費者信頼感指数も急速に低下。つまり消費マインドが冷えてきたことがこの数値から想定されます。

雇用の持ち直しも、パートタイム労働の増加が支えており、賃金も上昇せず、正規雇用でないため再び失業率の増加を招きかねません。米株市場は2つの見方が、市場を支えてきました。年後半には景気が回復する、一方で雇用はもどらないため、緩和は継続する。この2つが両方とも崩れ始めている。緩和は終了し、景気回復も緩慢。それでも規定路線化せざるを得ない、そのジレンマがリスク投資からバリュー投資へ、安全思考への流れを加速させているとみています。
日本では、消費税増税をしたときの景気の落ち込みを、どれぐらいの補正予算を組めば成長が維持できるか? という話が金融機関を中心に語られます。しかし日本経済は、考えている以上に米国との連動性が高く、消費税増税と米景気の停滞が重なれば、補正予算でも景気の落ち込みは防ぎきれないでしょう。そして米経済の変調は、マイナス成長から脱しつつある、とされる欧州や中国にも、影響してきます。さらに経常赤字国でもある新興国が、大きく売り叩かれている現在、世界経済をどこかでクラッシュさせる要因が、山積みになってきた、とも言える状況なのです。

日本株市場も、海外勢の売りこしが目立っており、資金流出が懸念されるところです。消費税増税、という不透明感と、世界経済の変調の兆し、この両方を止める術は今のところないのでしょう。米国からの好材料が聞こえてこないうちは、下方への圧力が強まることを意識しておいた方が、間違いは少ないということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年08月19日

中国証券大手の誤発注

鹿児島の桜島が噴火しました。今年に入って頻発していたとはいえ、火山灰の処理は大変そうです。M9クラスの地震があると、3年以内に近くで大きな噴火がある、とされますが、鹿児島ではプレートも違いますし、関連はなさそうです。もし噴火が被災地でおきると、さらに復興が遅れますし、大都市圏が噴煙で覆われると経済的な影響も大きそうです。火山灰の除去、貯蔵のシステムがある程度確立されている鹿児島ですら、今後に大きな問題を残しそうな点が、心配ですね。

中国の大手証券、光大証券で誤発注が相次いでいます。株式先物の買い注文を大量に出して相場が急騰、その後マイナス圏にしずむなど、16日の乱高下の原因でしたが、今日になり国債でも金利を高くし、ディスカウント価格で売買したことが判明。株は国から反対売買も禁じられており、損失が確定しない状況です。公表では、株式先物で30億円、債券でも2千万円ぐらいが損失とされ、資産売却などで穴埋めする方向としています。
米証券JPMが、中国共産党の高級幹部の子息を雇った件で、米証券取引委員会が調査する意向を表明していますが、それが光大証券の会長の息子とされます。中国では賄賂を贈るか、高級幹部とつながることでシェアをとることが一般的ですが、中国以外では通用しません。中国ビジネスのリスクを露呈しており、日本企業とて対岸の火事ではありません。それこそ中国でビジネスを拡大するため、共産党と結びつけば、TPP後には米国からの訴訟リスクに遭いかねません。不正なビジネスで競争を阻害している、そんな提訴事由が想定されます。中国の拡大を阻害したい、という米国の意図とも合致するため、政治的なリスクを負うことになってしまう、ということなのです。

中国では国により、不動産価格上昇への警戒が示されますが、地方政府が経済を好調にみせるため、規制を緩和して投資をつづけさせるため、未だに価格が上昇を続けています。逆にみれば、上からの統制が利いていない状況です。バブル崩壊も、国の財政が潤沢で支えられる、というのが一般的な見方ですが、実はすでに国が支えられる水準を越えているのでは? そんな不安もあります。
そして、光大証券のような大手が、損失の穴埋めなどで資産売却をするようなとき、危険だとも言えます。売りを吸収できるだけの買い手が現れないとき、不動産への失望が広がり、パニック売りを引き出すためです。今は投機目的でしか取引されておらず、住民のいない町が拡大しています。循環売買が利かなくなったとき、価格下落は実需に拠らないだけ、未曾有の規模となるのでしょう。中国経済の凋落にも歯止め、という話が専らですが、いつ噴火しても可笑しくないマグマは、中国で溜まり続けているといえます。今後はその噴煙が日本を覆わないよう、中国ビジネス離れを日本企業に促して行くなど、日本も行動を求められるときに来ている、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2013年08月16日

雑感。原発事故の不起訴判断

エジプトの混乱で、米国にエジプト軍への支援金に対し、批判が上がっています。しかしここで、米国が支援を止めると、その怨嗟がイスラエルに向かう恐れがある。米国としても苦しい状況です。外国への支援、協力というのは風向き、事情が変わった途端に、支援国をも含めて問題を抱えます。だから慎重に、やるときは断固とした決意で行うべきですが、今の安倍政権は対中包囲網のため、安易に周辺国へ支援しているようにみえます。エジプトの問題は、外国との付き合い方に対する一つのテーゼであり、日本とて対岸の火事と思わない方がいいのでしょうね。

先週、福島原発第1事故に対する、業務上過失致死容疑などで告発された菅元首相をはじめとする40人に対し、検察は不起訴とする方向と伝わります。検察は「当時は津波の高さに統一的見解がない。事故の予見性はなかった」とする見立てですが、この見解には異論があります。自然災害に対して、そもそも統一的見解はありません。過去のデータを集め、そこから想定するものであるため、平均値ではないのです。研究者によって差がでるものであり、全員が集まって統一見解を決める、といった類のものではない。だからこそ、対策を講じるものは最悪を想定し、より高い危険度に対応できるシステムにしなければなりません。それができたかどうか、です。
菅氏は事故時の対応について、ですが、当日の視察云々の話より、SPEEDIを利用せず、国民に無用な被曝をさせた罪の方がより重い、といえます。SPEEDIは新聞、テレビなどでも度々指摘されており、知らなかったは通用しない。信頼性が低い、といっても何にも基づかない独自の判断の方が、よほど信頼はできません。その点を検察がどう判断するか? それでも不起訴の判断なら、検察は裁判という場を活用せず、独自判断を用いていると指摘されても仕方ないのでしょう。

しかし日本では、検察を監視するシステムがないに等しい状況です。検察審査会も、ヤメ検弁護士が補助でつけば、骨抜きも同然です。陸山会事件で、虚偽捜査報告書の作成で当時の検事がふたたび告発されていますが、今回も捜査は検察が担当します。本来、公安委員会が機能すべき場面ですが、政治も警察、検察と一体となっており、馴れ合っているため監視には適しません。
エジプトでは、国民の信頼が高かった軍が、強制排除によって信を失いつつあり、それが混乱の長期化を想定させます。日本では、政治もそうですが、検察、警察などが信を失っており、それは今後の国民の行動にも関わってくるものになりそうです。エジプトでも『弁解は過ちより悪い』という言葉があります。原発の事故、という重大な過ちを犯したのに、弁解だけで済ませようとしたり、検察のおざなりな捜査で、自分たちの手法の誤りを隠してしまったり、それがもっとも信を失う行動といえます。白日の下、堂々と公判で白黒つける、ということでない限り、これらの事件について国民が納得することはないのでしょう。検察の捜査、判断が信用できなくなった今、検察の語る理由すら詭弁に聞こえるようでは、抜本的に司法システムを見直す時期にきたことを、これらの問題は強く意識させることになっているのでしょうね。

明日、明後日はお休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2013年08月15日

法人税減税での迷走

エジプトで、モルシ前大統領派のデモ隊を、治安部隊が強制排除にでて戦闘状態となり、混乱がつづいています。ムバラク政権の経済失政にはじまり、次に選挙でえらばれたムスリム同胞団系のモルシ氏が、1年で経済が回復しないからと引きずり下ろされ、混迷の一途となっています。短期で経済を回復させないと、国民の支持が移ろいやすい現在、どの政党が政権を担っても同じでしょう。それが分かっていても、閉塞感を打破するために行動せざるを得ない、苦境が見え隠れします。
原油相場が右肩上がりですが、イランで穏健派の政権が誕生したものの、中東がふたたび混乱する、その材料で買いが膨らんでいる状況です。米国が原油採掘を増やしている現在、供給懸念は低いのですが、投機マネーは材料がある方向に傾く。エジプト情勢の混迷は、まさに投機マネーの材料として、今はもっとも熱い視線が注がれているのでしょう。

日本株が大幅下落です。菅官房長官や麻生財務相が、安倍首相による法人税減税については、まだ指示すら出していない、効果に疑問、と述べたことで、ここ2日ばかりの上げを帳消しにした形です。財務省の反発が凄まじく、政権側が腰砕けになった形ですが、ここに来て面白いデータがあります。法人税の実効税率は、米国に次いで日本が高い、が語られていましたが、2011年1月時点で、GDP比での法人所得課税負担率は、日本が1.9%、英国が3.6%、韓国が3.9%というのです。つまり、国として生み出された利益からみると、日本企業は如何に税負担を逃れているか。数字として表れている、というのです。
一部には、2000年代前半に処理した不良債権により、金融機関が繰越欠損金を抱えていた、という事情もあります。しかし日本が抱える問題は、法人税の実効税率の高さより、国の経済活動における法人税収の少なさ、であることがこの数字で分かります。小泉政権下で、繰越欠損金の年限を延ばしていますが、こうした仕組みを改めて見直し、税収アップに務めた方が、財政への寄与も高い。消費税は景気を冷やしますが、繰越欠損金の年限を短くしても、景気は冷やさない。むしろ、こうした経済政策の方が、安倍ノミクスの目的に合致しているといえるのでしょう。

エジプトは、短期の成果をもとめる余り、国が荒れています。安倍政権は、短期の成果をだしたので評価されている面もありますが、安倍ノミクスは長期間、継続できるようなものではありません。むしろ、長期になればなるほど弊害が目立つ、といえる経済政策です。そして、日本の世論調査をみても、未だに経済政策がお願いしたい政策のトップに挙げられるのは、国民に実感がないことの証左です。このタイミングの消費税増税が、景気を冷やすことは語るまでもありません。
経済政策で迷走をはじめた安倍政権、ガソリン価格の値上がり、賃金上昇がない中での物価高騰など、国民の悲鳴が怨嗟に変わるとき、政権を引きずり下ろす動きが、国民の中から上がることにもなるでしょう。今日は終戦記念日ですが、霞ヶ関との開戦日として、今後の政権運営に暗雲も漂い始めたのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2013年08月14日

韓国議員団の動き

安倍首相は明日の終戦日にあわせ、靖国神社に私費で玉串料を奉納するようです。中韓への配慮、というより欧米の懸念に対する配慮で、参拝はしないようです。一方で、韓国の野党、民主党の議員団が明日、靖国で声明を発表する目的で、来日しています。昨日の竹島訪問をした韓国民主党議員団といい、ノ・ムヒョン元大統領が媚北外交をした、その失態をとりもどすべく、反日の態度を強めているようにみえます。政治家が忌むべきは、他国へのネガティブな行動により、自国の支持をとりつけようとする態度です。もっとも安易に支持率を回復させますが、後に外交上の遺恨をのこす。極めて深刻な事態に、日本のみならず、韓国側も突入しているようです。

以前、コメント欄ではとり上げましたが、慰安婦についての最近の報道は、首を傾げるものが多い点で問題です。まず「泣きながら連行」という証言ですが、人身売買の場面でも、子供たちが泣き叫ぶという話は聞きません。子供の生存本能として、親や頼るべき相手がいない場面では、感情をなくしたように大人しくなるのが一般的です。特に、泣き叫ぶ女性を無理やり慰安婦にするような鬼畜の兵士ばかりなら、殺されるとの怯えから、黙って指示に従ったと想像されます。つまり泣いて誰かに助けを請う、という場面を想定するには、条件からして困難な面があります。
もう一つ、規律を重んじる軍が、抵抗する女性を雇っておく道理がありません。それこそ寝物語でもされ、一緒に脱走する兵士がでる事態は、もっとも回避したかったはずです。従順に従事してくれる女性に困っていたなら別ですが、当時は日朝ともに貧しく、納得して従事する人も多かったでしょう。つまり、無理やり連行しても、軍としてもまったく有り難くない。特に、当時の日本軍の上層部は、国のことを思えば女性にうつつを抜かすはずがないとして、女性経験があると士官学校にも入れなかったほど、そうした面には厳しかったのです。下級兵士の性処理のみ、野放図に許していた、ということも考え難い。

そして十代の慰安婦の続出、の件です。朝鮮半島では、本貫による父系血族を重視し、本貫が同じ者は結婚できないほど、血族意識が高い国柄です。十代で働きにでるには、両親も同意していた可能性が高く、両親ともども騙されたことになる。しかし誰かが一言洩らしていれば、それは血族中に広がり、また一般にも噂として拡散したでしょう。そうした形跡がない。それこそ数万単位、一族を含めると数十、数百万の単位がみんな口を噤んでいた、とは想像しにくい点があります。
危惧しているのは、起こる可能性が極めて小さい、少ないはずの事例を、全員がまるで判を押したように語るのは『振付師』の存在をうかがわせる点です。つまり被害を過大に訴え、賠償金を高くせしめよう、と考える人間がいる。日韓の仲が悪い方が、都合いい連中がいる。そうした人間に唆され、事実とは違うことを、あたかも真実として語る。人の記憶は常に変化し、特に数十年前の記憶は、後に補完されたことで大きく捻じ曲がっているのが常です。そして、人はうそと思っていても、一度ついてしまうと、自己保身のためにもそれを真実として語るようになる。それをくり返すことで、真実と思いこむのです。振付師は、そういう人間の性質を利用し、同じようなストーリーを吹き込み、悲劇性を増すことで、利益を得ようとしている。そんな想定ができるのです。

そしてこれは、十代の慰安婦にも当てはまるのでしょう。朝鮮戦争当時も慰安婦が存在していた、という話があります。本当は朝鮮戦争当時の記憶でも、日中戦争当時として語る際、年齢が合わなくなる。そこで十代の慰安婦、という形にした。それも振付師の仕業と考えられるのです。
もっとも忌むべきは、そうした振付師による改竄で、事実の解明が困難になっていることなのです。それは、慰安婦として働いた方を、二重の意味で被害者にしている、ということでもあります。そして我々は、通常起こり得ないことを見定め、振付師による虚構を見抜く目を養わなければなりません。国が苦しくなると、扇動家、振付師などが胎動をはじめます。そうした人間たちに惑わされ、国が行く道を誤らないよう、両国とも国民は冷静に、扇動家や振付師に騙されないよう、事実を見極めるよう努めることが大事になってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2013年08月13日

法人税減税の検討を指示

今日の株式市場は大幅高、一気に円安に向かいました。きっかけは、安倍首相による法人税減税の検討報道です。法人税の実効税率は、国税23.71%、地方税11.93%、これに復興特別税が2.37%のって、38.01%です。復興特別税は2014年度までの時限措置なので、実質は35.64%となります。
安倍氏がこの話をもちだしたのは、消費税増税が不可避になったため、との話が専らです。衆参のネジレ解消で、永田町的には軍配が上がった感もありますが、霞ヶ関的にはおもしろくない事態が進行中です。それが安倍政権による、公務員幹部人事の掌握であり、秋の臨時国会にむけて、党内に打診済みともされます。これに官僚が反発、クーデターも辞さず、との強硬的な話もでています。

官僚のクーデターとは、すなわち醜聞のバラマキです。麻生財務相は、すでにナチス発言で死に体ですが、それが米国からの圧力を招いている、とされます。短期では、日本株を上昇させてヘッジファンドを儲けさせる。長期では、日本の財政を安定させて、米国債への飛び火を回避する。9月のG20にむけた、そんな手土産を要求している。できなければ、麻生氏を国際会議で孤立させる。元々、国際金融を牛耳るユダヤ系を怒らせたので、麻生氏が財務相であり続けることには、かなりムリがあります。そこを認めてもらうためにも、法人税減税が必要と判断した。
しかし米国はそれで納得しても、財務省は納得しません。法人税減税は無意味、としてきた麻生氏の資質にもかかわりますが、麻生氏の首をとってもどちらも美味しくありません。甘利経再担当相は、気持ちの悪い間でしゃべり、市場介入発言も多くてつぶしがいもありますが、消費税増税容認論者なので、財務省としても温存したい。ここに、経済担当の大臣なのに、最近まったく影の薄い人物がいます。茂木経産相です。赤ら顔で委員会に出席する、政治資金規正法に引っかかりそうな修正を何度かしている。醜聞を集めるのにこれほど事欠かない人物もいません。特に、安倍氏は財務省を遠ざけ、経産省に接近しているふしもあり、財務省にとっては遺恨の相手です。

安倍政権の、政権運営における3本の矢はメディア統制、官僚の従属、米国の後ろ盾です。その2本がぐらつき始めている。そして官僚からの情報をメシのタネにしているメディアも、官僚が流す醜聞をそのまま垂れ流すことになります。メディア統制には、裏に内閣支持率を高く維持したい、との思惑もありますが、それすら崩れそうな雰囲気です。ネジレが解消した途端、これまでの発言、態度で先送りしてきた問題により、安倍政権の統治体制は足元からねじれてきたのです。
秋の内閣改造は見送り、とされていましたが、消費税増税を断行するのと同時に、法人税減税を示唆したことで辞任、更迭となる人物もでてきそうです。それは政権を弱体化させ、結果的に短命に終わらせることとなり、悲願の憲法改正もできなくなる。安全運転をめざしてきたがために、行き詰るというパターンであり、内紛状態を露呈すると存外早く、退陣の道もでてきそうです。

法人税減税をしても、賃金に反映されることはないでしょう。企業は内外の賃金格差を問題視しており、賃金を引き上げるインセンティブは低いため、です。これまでも1980年代から、法人税は引き下げられてきましたが、企業の国外流出をとめられていない、という現実もあります。効果が低いとされる政策でも、一時的には市場も好感できるでしょう。ただ、永田町のみならず、霞ヶ関を巻き込んで混乱を招くことが、長期的には市場の悪材料にもなりそうです。法人税減税がもたらす効果は、もっとも永田町、霞ヶ関で大きくなってしまいそうな気配ですね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2013年08月12日

4−6月期GDPについて

日本の4-6月期GDPが発表されました。実質で前期比0.6%(年率2.6%)、名目で0.7%(年率2.9%)でした。市場予想は3%台でしたので、期待を裏切った形ですが、その背景としては思ったほど設備投資など、企業マインドの好転が低かったことが大きいものです。伸びへの貢献度は公的需要が0.3%ともっとも大きく、民間需要は0.2%の貢献ですが、個人消費の伸びと在庫の積み上げが相殺した形です。外需は0.2%の貢献と、輸出がそれほど伸びていないことも示しています。
総じて、思っているほど安倍ノミクスは景気への寄与度は低いのではないか? それを想起させる内容です。つまり円安、株高、公共工事が安倍ノミクス3本の矢の本質であり、それが潰えると脆い。様々な指標から、景気は一旦春にピークをつけた、と主張していますが、今は踊り場の状況であることをこのGDPでも示しています。それは円安、株高が腰折れした現在、公共工事が支える構図である、ということになります。4-6月期より円高、株安がすすむ現在、景気全体が腰折れする懸念すら出てきている、それを如実にあらわす数字となってしまったのでしょう。

安倍内閣発足から、そろそろ8ヶ月です。マインドに訴えかける、として発足前から円安、株高に推移してきましたから、そろそろ実体経済への波及がなくてはいけません。3四半期もマインドのみで上げられるほど、経済は気長でいられないからです。その中で気になる数字が、雇用者報酬の伸び率が、前期比で実質0.4%、名目0.3%のびている点です。しかし様々な調査から、賃金のベアをふくむ伸び率は、前年並みということが示されています。一時金は自動車を初めとして、上乗せがあるものの、全産業を押し並べてみれば賃金の伸びは限られているはずです。内閣府の調査は、国民生活に関する世論調査、も同様ですが、どこか国民感覚とのズレを感じてしまいます。
政府の成長戦略にも記載されている、国民総所得(GNI)を1人あたり150万円増やす、としていたそのGNIは、前期比で1.4%の伸びとなりました。これはGDP+海外からの実質純所得+公益利得で示されますが、公益利得はほぼゼロなので、GDPの0.6%をひくと、海外からの実質純所得の上乗せが大きい。逆にいえば、円安寄与が高かった項目です。そしてこれらも今後、円高へと向かえばマイナスに寄与していくかもしれない。年金基金など、運用比率の見直しを発表していますが、これらの動きが海外資産の購入、という形で向かうのなら、プラスを継続できるでしょうが、そうなるとさらに為替変動に弱い国になってしまいます。日本は経常黒字国である以上、円高に向かいやすい。その傾向がつづく限り、海外からの実質純所得、という数字は悩みの種になりそうです。

今回のGDP速報値を、消費税増税の判断基準とする、というのはムリがあるでしょう。増税派、反対派、どちらも都合よく解釈できる数字です。改定値でどう変わるか? というのを待つ必要もありますが、その前に他の指標をよく点検してみるべきでしょう。今後も継続的に景気が回復していく、という期待がそれほど盛り上がっていないことは、幾つも現れています。
しかし一方で、景気対策と称して公共工事をつづければ、財政的には苦境に陥ります。今の安倍政権の景気対策が従来型である以上、ここに不安も生じる。踊り場に入った後、打てる手が限られているのです。安倍ノミクス3本の矢が、もう墜落しそうになっている今、伸び率が低下していることを示すGDPで判断するのは、景気対策をうつかどうか、ということでしかないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年08月11日

みんなの党のお家騒動

国の借金が1000兆円を越えた、という報道がありました。消費税増税をしないと、財政がもたない、という説明のためとは言え、財務省にとっては都合よいタイミングだったといえるでしょう。行政のムダ削減はすすまず、天下りは民主政権でむしろ拡大した。その失敗の結果、国民が厭世的になり、できないものだという認識が広まっています。民主政権が残した最悪のツケです。しかし国民がそれを求めていかないと、いくら税収を増やしても穴のあいたバケツに水を注ぐようなものです。
日本の財政が苦しいのは、何も低成長だからでも、高齢化社会だからでもありません。高成長時代と同じビジネスモデルを続け、それに紐づいて天下り団体が蔓延る。政治は業界と癒着し、補助金や公共工事を垂れ流す。そんな構図だから財政に負担がかかるのです。増税による歳出入改革は、過去の例をみても失敗が多い。そのことを弁えない限り、この問題に解決はないのでしょう。

みんなの党の幹事長だった江田氏が更迭されました。アジェンダ至上主義を唱える渡辺代表の方針では、野党共闘は難しい。みん党が野党第一党となり、各党を糾合する形でない限り、連携もできない。そう考えた現実主義者の江田氏と、あくまで創立時の理念を掲げる渡辺氏。党が割れるときというのは、党の運営方針の違い、ということが多く見受けられ、まさにそのパターンです。
金の問題が語られる場合、ほとんどがどちらかのネガティブキャンペーンです。本当にムダ遣いや、私的流用があったのなら、裁判に訴えてでもとり戻すべきで、実際そうするでしょう。それが最大のネガティブキャンペーンにもなるからです。そこまでしない、できないという段階で、金を問題視するのは、結局は運営、手法への批判、対立といった面が滲みます。それでも選挙で勝てるのなら、口を封じられますが、勝ったとは言え、みん党の議席程度では内紛の火種になります。渡辺氏が強気なのも維新と連携、協力していたらもっと議席が少なかった、維新との協力をきった自分の判断は正しかった、という自負によります。次の世論調査で、内紛劇による評価がどうでるか、で今後のみん党の形がいつ、どう変わるかがまた分かってくるのでしょう。

例えば民主からは、未だに人が逃げ出します。メディアは岡田氏、前原氏、野田氏に連なる辺りの人材をつけたいため、海江田氏の更迭論を推します。しかし民主を壊したのは海江田氏ではなく、今は誰がやってもどうしようもない。3党協議の離脱を非難する向きもありますが、そもそも自公民の3党ですべてを決めてしまう、という運営方針自体がおかしいのです。それに、そんなものがあれば野党共闘もできません。野党として、対立軸をうちだすためには、自民を上回る提案をしなければならない。それなのに、協議で提案をすれば横取りされるか、骨抜きされるかのどちらかです。3党協議に残れ、などというのは、政策協議に関わって旨みを享受したい政治家か、自公を利するよう仕向ける方針のメディアか、そのどちらかしか唱えないような話なのです。
党の方針、手法に反対するというより、もうその壊れてしまった方針、手法を改めてどう構築するか? それが民主には問われます。一方で、金だけは党の金庫に積まれているので、それが人をつなぎ止めておく唯一の砦になっています。みん党には、そこまでの資金力はありません。そしてみん党も、渡辺氏の方針に従うのか、江田氏の戦略にのるのか、で党分断という形を模索しやすくなるのでしょう。ほぼ旧太陽の党に乗っ取られた維新といい、野党の為体はもうしばらく続いてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月10日

国民生活に関する世論調査について

内閣府が『国民生活に関する世論調査』を公表しました。現在の生活に「満足」「まあ満足」が昨年より3.7pt増の71%となり、18年ぶりの7割台と話題です。年単位の調査なので、昨年と比べれば株価も上がっていますが、調査対象の6月には乱高下していたときです。しかも資産として株をもつ人も少ない日本で、満足と答える人が多いのは意外というほかありません。
資産・貯蓄への「満足」「まあ満足」が5.1pt増の42.5%。所得・収入が3.7pt増の47.9%。資産に関しては株、不動産の上昇もあるので、概ね理解できますが、収入の伸び率はほぼ前年並み、自動車業界では一時金に上乗せされている部分もありますが、この調査時期では重なりません。数字で示されていないものが、アンケートには反映される、となると
ムードで流された結果、と考えられます。しかも1万人にアンケートして6割の回収率。とても効率のよい調査といえます。

しかし、昨日発表された指標としては、内閣府の消費動向調査に注目しています。7月分は消費者態度指数が前月比0.7pt低下の43.6。景気ウォッチャー調査は3月がピークでしたが、消費動向調査も5月がピークで、低下傾向を示します。やはり日本の景気は春にピークをつけた公算が高い。株価は需給要因で下がった、ともされますが、実は景気の波とはぴたり一致しています。郵送方式のアンケート、というピンポイントに狙ったものだけに、マインドの悪化は確実に春からはじまっている。マインドを表す株価だけに、これらの調査を如実に反映しているといえます。
さらにマインド面を悪化させそうなのが、異常気象です。梅雨は早くあけたものの、気温は西高東低がつづき、さらに集中豪雨による被害が、各地で多発しています。それなのに国土強靭化を謳う安倍政権からは、一向に対策が示されません。ダムは集中豪雨に弱く、堤防の嵩上げも費用対効果に疑問があります。しかも深層崩壊、とよばれる土砂崩れがおきたら、ダムや堤防をつくっても何の意味もない。被害をうけた方への支援は勿論ですが、今後の生活をまた同じ土地で送るのか? それとも移転などを考えた方がいいのか、復興支援と同じように悩ましい問題が立ちはだかります。

安倍政権では消費税増税の是非、ばかりが語られますが、実は春にピークをつけた景気への配慮が必要なタイミングなのです。それは米国も同様、不動産市場にも一服感が広がりつつあり、しばらく好調なニュースは聞こえてこないでしょう。米国の雇用や消費も、劇的に改善する期待はなく、あくまで改善するとしても緩慢な伸びが予想されます。ここにきて、欧州、中国に改善の兆し、という報道もありますが、日米の景気が頭打ちになっても支えられるほどの強さはありません。
日本では、補正予算の効果がしばらく続くとしても、持続性はあっても押し上げるほどの力はない。日本は、ここからが正念場です。そんなとき、消費税の議論をしなければいけない、今の安倍政権の見通しの甘さが、今の日本における最大のネックになりつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2013年08月09日

雑感。植物と日本

秋田、岩手を『経験したことない』豪雨が襲いました。今年、高気圧の縁辺で豪雨被害も多く、これは日本のどこでも起こりうる災害です。逆にいえば、今後の土地の価格にも、影響してくる問題かもしれません。低地で水害の発生しやすい地域、土砂崩れのおき易い地域、などこれまでの危険マップとは、また一段と厳しい判断で色分けされることにもなるでしょう。
農作物は低地が必須のものもあるので、ある程度の水害は仕方ない面もありますが、人が暮らすような場所は、少なくとも水害のおき難い地域、これは津波のみならず、川でも同様に安全を考えて高台などに移住、移転するような全体の設計が必要となっているのでしょう。これは一過性のものではなく、数年にまたがって天候不順の影響がつづく、と考えた方がいいはずですから。

日本は亜熱帯気候になった、とも言われます。尾瀬のミズバショウは、元々亜熱帯性の植物だったのに、高山気候の尾瀬で生きるため、あえて根が上に伸びようとする茎を下へと引っ張り、成長点を地面に隠すことによって、冷たい外気にふれないようにする、とされます。昨日、今の経済を浮き草に喩えましたが、欧州、アジアが変調を来たし、寒風が吹く中では、むしろこのミズバショウの生存戦略に、日本は学ぶべきなのでしょう。一見、米国は好調なように見えて、不動産バブルに沸く脆弱な構造のままです。成長点をあえて低くおき、苦しい中を生き延びる。そんなしたたかな戦略が、氷河期をくぐりぬけたミズバショウという植物に学べるところです。
東北の豪雨被害があっても、安倍首相は10日間の夏休みに入ります。休むな、とは言いませんが、被害の規模すら分からない内に、指示もださずに休むことが妥当かどうかは、今後問題になるかもしれません。TPP日米並行協議では、米通商代表部が「包括的」と強調したように、例外は認めない態度を滲ませます。その報告すらうけたかどうか疑問であり、せめて休日入りを一日遅らせる、程度の配慮は必要だったのかもしれません。広島、長崎の原爆忌で、それぞれの市長の言葉は心を打つのに、安倍氏の言葉はまったく心を打たない。それは米国への過大な配慮が滲むため、でもあります。

日本には世界でもっとも多くのツツジがあります。昔から特に有用ではなく、庭に植えて愛でる程度の植物でしたが、アスファルトの高温にも強く、また空気を浄化する作用があることから、今では道路脇にもっとも多く植えられています。これも生存戦略です。低木で、枝ぶりはいいものの目立たない存在ながら、しっかりと生き残り、シェアを広げる。それは見習うべきものです。
地盤が弱く、山崩れを起こしそうな土地を、昔は竹林にしたものです。根を張るので、地震があったときも竹林に逃げこむ、とも言われました。竹林は20年ぐらい経つと、花をつけて枯れる、ともされるので、気象が荒れているここ最近では、防犯の用途として見直してもいいのかもしれません。米国の方ばかり見なくても、日本にはいいところ、見直すべき点がたくさんあります。それを世界に発信していく、という気概のない人間に、日本をとり戻すことなど、到底できないのでしょう。タンポポは、昔は葉や花先に丸みのある和種が一般的でしたが、今では西洋タンポポが一般的になりました。タンポポは万葉集にも登場しないので、渡来は不明ですが、日本に馴染んできたものが西洋のものにとって代わられる。TPPにしろ、グローバル化で日本のよさをなくしていくことが、本当によいことかは今一度、じっくり考えないといけないことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2013年08月08日

景気ウォッチャー調査と東京株式市場

ここ一週間ほど、東京株式市場は大荒れです。8月1、2日は米系が日経平均先物を9000枚近く買って、800円近く上昇。6日は場中に200円近く下げたところから、欧州系の買いが入って130円高と、日中に300円以上の値動きをみせました。7日は1、2日に買った米系が、TOPIX先物を5000枚以上売って、500円以上の下げ。そして今日は、200円以上あげたところから急落し、引けは200円以上の下げを記録しました。値幅が大きい割りに、売買は盛り上がっておらず、閑散大商いといった具合です。
欧州系の2社が、連日の大商いを演じていますが、最終的に傾きはかけていない。今日は特徴的で、前場は日銀の追加緩和への期待で買い、14時以降は、景気ウォッチャー調査をうけて一気に売りました。その景気ウォッチャー調査、4ヶ月連続の悪化で前月差-0.7の52.3でした。家計の悪化が顕著である一方、企業部門が支えた形であり、これが今の日本の実情を端的に示しているといえます。円安で潤う企業と、波及しない家計。先行きは前月と同じ53.6ですが、ここでも家計は悪化、企業は好調という形です。このままでは早晩、内需が低迷して景気の落ちこみが確実な状況です。

最近の相場は浮き草に例えられます。水の量によって水面がもち上がり、水準も高くなっている。石を投げ込まれたり、かき回されたり、水面が波打つと変動が大きくなってしまう。水の量さえ変わらなければまた元の位置にもどりますが、根を張っているわけではないので、不安定で危なっかしい。そして、水の量ばかり気にして、水面の高さが正しいかどうかさえ、分かっていない。
オプションの権利行使価格が125円刻みとなったため、今はSQでも水準調整が難しい、とされます。一方で、15000円を狙う層が多く、14000円のポジションは少なかったために、大した抵抗もなく上下に抜けてしまいます。今は株買い、円売りでとっている層が多く、その反対売買をひきだすために値動きを大きくしている、との声もあります。ヘッジファンドが収益性の悪化で、夏休みをとらずに売買している、ともされることから、荒れた相場はしばらく続きそうです。それは、誰もこの水準が正しい、と思えないことから、落ち着きどころを見失っている、ともいえます。

景気ウォッチャー調査の現状、先行きとも地域別ではトヨタが好調な東海、それに中国、四国、九州、沖縄がいい。これは補正予算により、ストップしていた道路建設の再開が期待される面が強いのでしょう。逆にいえば、補正効果がきれた時点で終わり、という弱い回復です。消費税増税時、補正予算を組むという論調もありますが、景気の落ち込みをとめるほどの補正は組めないのが現状です。
安倍政権で、成長戦略第二段で法人税減税も検討されるようです。オバマ大統領が法人税減税に前向きとなり、日本だけが突出して法人税の高い国になる、という論調がつかえるためです。成長分野に重点投資する、というのはよくある戦略ですが、好調な企業をさらに支援しても、雇用や賃金に反映されるわけではありません。ナゼなら、今の好調な輸出企業は、海外での設備投資、買収を優先するため、国内への成長にはほとんど寄与しないためです。大手企業のボーナスが約5%上昇、最低賃金も14円上げ、といったところで、円安によるコストプッシュインフレよりは低い伸び率です。

株も不動産も伸びが限られてきた。資産効果もこれからは見込めません。景気ウォッチャー調査のピークが3月であったことは、示唆的なのでしょう。そして、株高、円安をみこんで高いポジションをとっている海外勢が、今後どう動いてくるか。そのタイミングの見定めが肝心です。日本のファンダメンタルズは好調、との報道が多いですが、実は斑模様だと気づいたときが、売り時として意識されるのかもしれません。そしてそのときが、消費税増税を決定するタイミングと重なってくると、より大きな下押し圧力を意識しておかなければいけない、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2013年08月07日

情報源に関する意識調査

臨時国会が閉会しました。その日、自民の溝手参院議員会長が「バカでもチョンでも議員になれる…」旨の発言をしました。誤解を与える…と釈明してすぐに撤回していますが、このような差別用語がでてくる時点で、誤解よりも政治家としての資質が問われます。麻生財務相にしろ、緩みきったタガで、本音がぽろぽろ洩れている、というなら、与党圧勝の参院選も、少しは価値があったのかもしれません。欧米では一発アウトの失言を、なぜか日本では擁護する人が出てくる。その包容力が、結果的に資質のない政治家を国民が受容している、という誤った印象を与えるのでしょうね。

経団連の下にある経済広報センターが、情報源に関する意識・実態調査をだしました。予めモニターとして登録した人に回答、自由記述を求めるもので信頼性には欠けますが、少し面白い結果です。『情報源の利用』で、60歳以上の94%が新聞、とするのに対して、20代では44%です。これはテレビも同様に、60歳以上の90%がテレビ、とするのに対して、20代は64%であり、これは両者が衰退産業である、ということを示します。無料のテレビはバラエティ、ドラマなどで生き残れても、新聞に未来はない。インターネットが全世代に平均して利用されているのとは、雲泥の差です。
しかも『情報の正確性』では、新聞は『とても正確』が12%、『やや正確』の44%と合わせてダントツの信頼性です。しかし、20代では4割が新聞は読まない、月4000円近いお金をかけるほどではない、不正確でもネットやソーシャルメディアで代用する、という形が拡大しており、それは今後も継続して行く流れでしょう。モニターは経団連関連の人間が多いとみられ、それでこの数字であるのなら、一般に無作為でとられた調査では、もっと新聞への信頼は低下してしまうのでしょう。

米アマゾンのベゾスCEOが、ワシントン・ポスト紙を2億5千万$で買収する、と報じられます。実際の価値は1億$もしない、と云われますから、かなりぼったくられたと噂されています。しかし政治力をつけ、情報発信の媒体として企業の宣伝を自由にできる、その力を手に入れたとすれば、これは広告費としてペイしそうですし、それこそベゾス氏が今後、政治家をめざすなら、これは一つのツールとなります。新聞は衰退産業ですが、利用価値があると判断する人もいる、ということです。
日本の場合、クロスオーナーシップであるため、新聞もテレビも情報源は同じですし、一部では記事や写真などの映像を互いに融通したりしています。新聞は正確で、テレビが正確でない、という論調にはなりにくい。これは、テレビは娯楽の部分がある、というその一点においてのみ、正確さを落としていると言えるのです。この調査をもって、一部の新聞は嬉々として数字を伝えますが、実はその分析自体が「あまり正確でない」とも言いえてしまえるのです。

活字文化議員連盟で、出版物に軽減税率を、と要望する団体があります。新聞などは盛んに新聞に軽減税率を、と切望します。それは両者とも、衰退産業であるためです。しかし以前から指摘してきた通り、新聞も情報源を偏らせている以上、その報道はかなり偏向されているのであり、正確さには疑問をついてしまうのです。経団連という、大きな傘の下で自画自賛しているうちは、本格的な改革機運も生まれない。新聞もネット媒体のうちの一つになる日は、そう遠くないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2013年08月06日

原爆忌と福島原発

今日は広島の原爆忌です。広島市長が、原発輸出に前向きな政府に苦言を呈し、原爆は絶対悪とまで言い切った。まぶしいせいか、安倍首相の目を細めている顔が、苦々しく映りました。原発に言及はなかったものの、原発の技術は原爆にも転用できる。原発で使用することで、プルトニウムを抽出しやすくする。そういった意味で、原発は原爆の補完技術ともされます。原爆が『絶対悪』なら、原発はそれに手を貸す小悪、となってしまっていないか? そんな事態が福島原発で進行中です。

東電がやっと、遮水壁を越えて、汚染水が海へと流れている可能性を認めました。地上付近まで遮水壁を上げると、水が逃げ場を失って福島原発全体が、汚染水で浸される可能性がある。ひいては、原発の地下階にも汚染水が上からも流入、作業ができない事態に陥りかねません。それだけではなく、今の短時間集中豪雨が福島原発周辺でおきれば、それこそ崩壊した壁、屋根から雨が侵入、さらに汚染水が増加することになりかねない。極めて深刻な事態に陥っている、といえます。
気になるのは、原規委の指摘から一ヶ月後、やっと認める東電の姿勢というばかりでなく、国有化している国の動きの鈍さ、です。国会事故調の調査を、一担当官の誤認という形で阻まれた後、国会は対応状況、深刻さについての確認が緩慢で、他人事のように感じられます。巨大与党が原発推進、経産官僚も原子力ムラの住人なのでアテにできない、となれば、国会がふたたび事故のみならず、対策状況についての第二回調査機関を設け、原規委に引き継いだ、とされる未解明の部分に関して、改めて調査をすることが求められているはずです。

国はこの日、原爆症基準の改定に、前向きな姿勢を示しました。しかし例えば、福島原発の対応で、汚染水に水をつけて作業していた人間が、多大な被曝をしたことなど、これからも放射線による事故、被曝の割合は増えていきます。原発以外にも、レントゲンや非破壊検査などで、放射性物質を人は扱い続けなければいけないからです。しかしそうした事故、被曝の程度について、明らかに日本は報道、公表を忌避している向きがあり、一般に伝わっていない現状があります。
放射線に対して、フルオープンの報道を続けることが、実はもっとも強い抑止力として機能するのです。短期間に強い被曝をすると、骨が変形して元にもどらなくなったり、皮膚が再生機能を失ったり、と多大な影響を被る。原子力は怖い、という印象を与えないため、そうした報道を控えてきたことから、日本の原子力への認識が、著しく偏ってきた面は否めません。柏崎・刈羽原発の地元市町村が、再稼動容認の姿勢を示しました。今のまま、偏った知識で運転をすることは、やはり危険と向き合う覚悟という意味で、極めて問題も大きいのでしょう。正しい被曝に関する知識、情報を国民にむけて発信するためにも、国会ができる役割はまだあるのですが、国会議員からしてその知識が欠如している人が多い点で、この国の原子力政策は歪められてきた、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2013年08月05日

民主党が3党協議から離脱

米軍のキャンプ・ハンセンで、救難用ヘリとみられる機体が墜落、炎上しました。オスプレイ追加配備の最中、機種は違えど、これは懸念を呼び覚ますに十分な事故となります。日米の軍事関係者は頭を抱えているでしょうが、米軍基地内であると、日本側に消火活動もさせてもらえない。大学構内にヘリが墜落したときも、事故現場に立ち会うこともできない。その異常性が、ふたたび露呈した形であり、これは両国政府の説明が不足してきたことが、大きく影響しています。
安倍首相は、急に中国との首脳会談に前向きな発言をはじめましたが、米副大統領と会談した直後の変節であり、露骨さは相当に厳しい会談だったことをうかがわせます。いくら強い日本、日本をとり戻す、などと云っても、米国によって態度が左右されるなら、リードにつながれた飼い犬程度の強さ、に過ぎません。今回のヘリ墜落、安倍政権の対応が問われるのでしょう。

民主が社会保障制度改革をめぐる、3党協議から離脱の方針を示しました。3党合意を踏まえていない、というのが理由ですが、そもそも論で言えば、このような協議を設置したことが愚かです。自公はこれまでも、社会保障制度改革に後ろ向きでした。むしろ既存の制度維持を望んできた、それは官僚の意向に沿ったものでした。民主が議論を主導する、といっても官僚の協力も得られず、孤立化するのはわかっていたことです。この点でも、当時の野田政権の無能ぶりがうかがえます。
政治は、政権をとっている側が圧倒的に強いのです。それを、何を間違えたか、野田政権は自民に阿った。税制は3党協議に残る、としますが、残ったとしても何もできないでしょう。選挙制度改革にしろ、悉く合意を破られても、民主は何もいえない。政権の座にある者が、合意を履行するか、破るかを決められるのです。除霊とも言われますが、民主の場合、政治家として真の実力がない人間が、軽々と代表の座に就いてしまう、その体質を改めない限り、復権はないといえます。それこそ『弱い政治家、政治家が代表に戻ってくる』となれば、国民はドン引きすることになるでしょう。

自民への攻め手はいくらでもあります。例えばメディアとの関係、これまでもネットなどでは問題視され、民主は記者クラブ改革なども掲げていた。だから政権交代に期待する層もあったはずです。一方で、安倍政権もその流れに気づいていて、メディアを批判する一方、情報の出し入れをすることで、メディア統制に利用している。政権に不都合な情報を流すメディアには、情報を渡さない。つまり本来、メディア改革とは公平性、透明性の確保が目的であったはずなのに、安倍政権はそれと逆。むしろ政権に阿諛追従するメディアの選別に、利用している側面があるのです。
山本太郎氏が支持されたのも、一面ではメディアと企業との関係、そこを訴え続けたという点も大きいのでしょう。民主はまた政権にもどったとき、を考えて、参院選でも大胆な改革を打ち出せなかった。メディアが歪める情報、偏向報道などにも切り込めなかった。だから凋落するのです。除霊の前に、まず『政権にもどる』などという幻想を断ち切らないと、解党しか道はなくなるのでしょう。擬似自民勢力と決別するには、まず3党協議からすべて離脱し、自民とは違う独自の路線、すべての政策、方針を打ち出す。それができないうちは、民主党の存在意義はありません。3党協議を残し、民自公の巨大与党路線を追っているようでは、凋落の一途から抜け出せないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月04日

雑感。ハイテク関連の記事

米国務省が、テロ警戒情報をだしました。アルカイダ系の組織が攻撃を計画している、中東、北アフリカの在外公館を臨時休刊する、というものです。ただこの辺り、スノーデン氏がロシアに1年間の滞在が認められたのと、タイミングを合わせるように出されており、真相は不明なものの情報監視は適切、というアピールにも感じられます。なぜ独立記念日を狙わず、しかも夏休みをとる外交官も多いこの時期、わざわざアルカイダが攻撃するのか? 真意がよくわかりません。

そんな中、豪州や英国の情報機関が、中国のパソコンメーカー、レノボ社製のパソコンは脆弱性が組み込まれており、遠隔操作される可能性があり、使用禁止にした、と豪紙が伝えています。これは日本にも関係ある話で、政府機関のパソコンの使用状況もそうですが、NECがパソコン事業の提携をすすめ、携帯電話事業の提携が見送られ、スマホ事業からの撤退を発表したところだったため、です。もし豪紙の発表がその通りなら、スマホも遠隔操作の可能性があるのでしょう。そしてすでに提携しているNECのパソコン事業は大丈夫なのか? そこに不安も生じさせます。
さらに華為技術など、先に米国から禁止されたメーカーばかりでなく、パナソニックから売却された三洋部門が、Hiaerに移っていますが、家電でさえ今はスマホと連携が当たり前ですから、中国製品全般に何らかの仕掛けがあるのではないか? 深読みしすぎですが、そう勘繰りたくなるほど、今の中国製品には懸念が付きまといます。日本の大手メディアはほとんど伝えませんが、中国製品の安全性について、政府からの公式見解をだして然るべき段階には来ているのでしょう。

NECがスマホから撤退するのも、docomoのツートップ戦略が影響した、と云われます。Samsung製とSony製のスマホのみ、割安で提供する販売戦略によって、日本のサプライヤーを減らす魂胆、とされます。しかしAndroid製スマホは均質化されており、違いは見出し難い。その中で、価格に差がつけば打撃を被るメーカーも出てきます。さらに他メーカーが欲しいユーザーにも面白くない。docomoも流出が増えて打撃です。どこにも全く得がない戦略であり、この戦略はナゾだらけです。
さらにSamsung製のスマホには、電池の発火などが報じられます。非正規品のバッテリー、ではないか? ともされますが、原因は不明でSamusung製品はトラブルが多い、とされます。Appleへの対抗で、グローバルメーカー2社を選別した、といっても日本人がその2社の製品を必ずしも欲しているわけではない。シェアを落とす中で、機種を絞るのはスリム化としてはありがちですが、スマホなのにスマートなやり方ではない。ガラパゴスで生き残っていた種を、人間が無理やり絶滅させるような手口に思えます。

しかし電子機器、ハイテク製品の差別化が難しくなってきた今、むしろ日本が積極的に製品の性能情報を発信してもよいのでしょう。つまり脆弱性、安全性、壊れ易さなどを厳密な製品検査を行って、世界に発信する。そこで、日本製品の優秀さが証明できれば、これほどの宣伝はありません。逆に、それに耐えられないような日本製品であれば、絶滅も已む無しということになるのでしょう。
海外から聞こえてくる、中国製品の使用禁止。ただ、日本製品といっても、製造は中国の工場に委託されている場合、日本とて無風ではいられないのでしょう。組み立て工程での不正の混入は難しい、とされますが、この前結審した毒餃子事件でも、日本の製品監視の目をくぐりぬけて、毒が混入されました。企業までが国家ぐるみの犯罪に加担することもあるあの国で、何が起こっても不思議はないでしょう。日本製品が再び世界で脚光を浴びるためには、企業の戦略に大きな転換がみられるかどうか、そこにかかっているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2013年08月03日

雑感、内閣法制局人事

昨日、とりあげた米経済の件ですが、米労働省発表の雇用統計では賃金が低下していましたが、米商務省発表の賃金、消費支出では賃金が上昇していました。雇用統計とだけ例示しましたので、誤解をうけたかもしれませんが、指標は調査対象により、異なる結果もでますが、この辺りの見方を誤ると、今の米経済の読み解き方も変わってくるのかもしれません。

安倍政権で早くも動きがあります。内閣法制局人事を、官邸主導で決めました。内閣が官僚に対して力をもつ、というのは悲願ですが、実はもっとも手をつけてはいけない、やってはいけないのが内閣法制局です。本来、内閣法制局は『内閣の良心』とし機能しなければならない、政治の暴走を止める役割があります。そこに人事権を行使し、政治家と結託すれば何でもできてしまいます。
今回、新たな長官は集団的自衛権の行使に前向き、とされます。しかし過去に、湾岸戦争時の「自衛隊の海外派遣は違憲」として突っぱねた。人が変われば、法の解釈まで変わってしまうのか? その度ごとに、他国の戦争に介入できるかどうかが、変わってしまうのか? そんなことをすれば、日本が信用を失います。憲法を替えるのではなく、解釈を変える、程度問題ではすまないほどの打撃を被るでしょう。今回、安倍政権は憲法改正に、国民が批判的と見て態度を変えたのか? それは定かではありませんが、安倍政権の自制心のタガは緩いことが、今回でも明らかです。

政府の社会保障制度改革国民会議、の報告書案が示されました。国民の負担増のオンパレードと、政府の支出削減が鮮明であり、これは壊れそうな社会保障制度の延命策に過ぎません。自制心のタガは緩くても、財布のヒモは固い。その逆に、公共工事の大盤振る舞い、法人税減税に前向き、というギャップも感じさせます。国民の懐は痛めても、企業には儲けさせる。この仕組みの中で、賃金アップが負担増に追いつかなければ、国民の懐は冷えていくばかりとなります。
参院選の勝利で、政府の気も緩んでいますが、軍国主義、戦前回帰への決意は固い。それこそ、米国へと向かうミサイルを撃ち落せば、次にその照準は日本に向かいます。憲法の解釈を変えれば、日本を先に叩いておこう、とのインセンティブによって、むしろ攻撃するなら同時、もしくは先となります。米国を守りたいのか、国民を守りたいのか? 安倍政権では国民を蔑ろにする傾向が、益々強まったと云えるのでしょう。今、安倍政権は全体主義をめざす傾向が強い。それこそ国民は全体へと奉仕する、コマのような扱いにも感じられてきます。

社会保障制度も、すでに成長型の経済モデルをベースとするものは、見直しが必要なのです。安倍政権では、来年度の経済見通しを1%増の成長、としましたが、民間ではマイナスとの見方が多い。どんなに金融緩和をしても、公共工事をしても、過去の高成長時代をとりもどすことなど、不可能なのです。それを弁えず、制度、体制を維持したままの小手先の議論に終始する。一方で、その時代を飛び越して、戦前へと国の体質を変えたがっている。そこに潜む大いなる矛盾、それを安倍政権は徐々に露呈し始めているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年08月02日

米雇用統計と4−6月期GDP

昨日から、日経225先物を米系が9000枚も買い越しており、株式市場は大幅高になっています。一部では債先売との反対売買、とみられますが、現物の売買が盛り上がっていないように、ヘッジとは思い難い。夏休み前のポジション調整、とも考え難い。8月は、9月期末の解約にそなえた45日ルールもあり、現物を売るための事前準備、という感じもします。いずれにしろ先物でこれだけ動かされる市場に、株価収益率などの説明を当てはめても、あまり意味はないのでしょう。
米FOMCで、米景気見通しが若干下方修正され、それが緩和縮小の先送りを想起させた、という話も眉唾です。これは次期FRB議長人事と絡むものであって、どちらかと云えば、緩和継続をめざす議長候補が優勢になったかどうか、で判断すべきものです。今はそれを、相場を動かす材料にしているに過ぎません。緩和が続いても、市場に流入する資金量が劇的に増えるわけではありません。

そんな中、7月米雇用統計が発表され、非農業部門の新規雇用は16.2万人増、失業率は7.4%になりました。事前予想より低い内容ですが、個人的に注目していたのは賃金で、0.5%と高い伸びになっています。最近気になるのが、米経済が堅調ときいて、ふたたび流動化する労働者が、米国に流れこんでいるのではないか? そういう不法移民は米雇用統計上は現れませんが、安価な職を米国民から奪っている。その結果として、賃金上昇が起きているのではないか? ということです。
米国では、製造業の指数にも改善がみられますが、昨日発表された4-6月期GDPをみても、輸出は5.4%と高い伸びですが、これは前期の減少分が嵩上げされた数字です。それ以上にGDPとしてみれば、輸入が9.5%増とマイナス寄与であり、こちらは米景気が好調である点を示したのでしょう。

少し分からない点が、米国ではディスインフレが懸念され、それはGDPでもコアで0.8%の上昇と、前期の1.4%上昇からは下がっています。その中で、賃金の上昇が加速している。この意味するところは、住宅関連の急激な上昇で、一部の賃金が改善されたのかもしれません。しかし低インフレと賃金上昇、という好環境がいつまでも続くわけではありません。先に示したように、労働者の流入に対して如何に対応するかで、今後の米経済の見方も変わってくるのでしょう。
FOMC声明が示したように、住宅関連の回復が一服し、景気見通しを引き下げた。年後半は歳出削減の影響が薄れ、ふたたび高い成長にもどるとされますが、金融が拡大しない限り、今の米国の成長は支えられない。そこにFRBの政策転換の難しさがあります。労働市場が、以前の状況にもどることはないでしょう。それは全世界的にみても、溢れた労働人口を捌く術がない、ということに帰結します。好調な国には金も人も集まってくる。不調になれば逃げる。その循環の中で、しばらく米経済は堅調とみられるだけで、長期の成長は約束されない。今の米国の指標から見えるのは、先進国が陥っている低成長時代の縮図、ということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2013年08月01日

麻生財務相の舌禍

麻生財務相の舌禍、相変わらずの低レベルです。発言を撤回し、ナチスには否定的、としていますが、文脈からは『ナチスは否定しても手法は参考にすべし』としか聞こえません。それがリップサービスでも、悪意にしか聞こえない人もいる。そういう配慮が著しく不足しています。
これで麻生氏の首相返り咲きの目は、完全に断たれました。何しろ、米国で力のあるユダヤ系団体に火をつけてしまったからです。麻生氏が総裁選にでるだけで、米国からは懸念の声があがり、それは米知日派にとっても看過できない問題です。こうしたものは撤回しても、また蒸し返される。そして問題は、喧騒の中で決めてはいけない、と語る本旨が、ナチスが全権委任法を通すことに準えられると、自民は国民に知られぬよう、こっそり独裁政治体制に移行したい、と云っているように聞こえます。例示が誤りなのではなく、本旨として根底にあるものが、もっとも危険なのです。

麻生氏は靖国問題にもふれ、メディアが靖国参拝と騒いだから、諸外国が騒ぎ出した、としています。一面そのとおりですが、なぜメディアが騒いだのか? ということに触れなければ、議論としては足りません。政治家が問題行動をとったとき、それをメディアが報じなければ怠慢ですし、政治家との癒着を感じさせます。これを先の文脈に重ねると、メディアが黙っていれば、こっそり憲法改正できるだろう。メディアもコントロールしたい、と述べているように聞こえます。
例えば山口県周南市の事件で、当初メディアは容疑者が農薬を撒かれ、「殺す気か!」と逆ギレしたと伝えました。これに違和感もあったのですが、どうやら「犬を殺す気か!」が正しいことだったようです。しかも家の裏庭や犬の散歩コースに除草剤、農薬をばら撒かれれば、愛犬家なら怒るでしょう。それ以外でも、地域で差別的扱いをうけていたことが、報じられています。当初の、残忍で粗暴な犯人、というメディアがコントロールしようとした印象は崩れた。今、分かってきた真相は『村八分への抵抗』という事件の構図であり、コミュニティの問題だということです。

メディアには上記のように、多くの問題があります。政治への阿り、官僚や企業との馴れ合い、誤報、印象操作、世論誘導、数え上げればキリがありません。それでもメディアが政権監視をしなければ、それこそナチスのように国民を熱狂させ、間違った方向にすすめることも、容易にできてしまうことになります。靖国問題は、政教分離の問題なのです。それが海外から、外交カードのようにチラつかせられるようになった。そういった話であって、国内でさえ説得できない政治家の責任も大きいのです。報じなければ丸く収まる、といった麻生氏の見解は誤りなのです。
さらに『喧騒』と『活発な議論』とは、極めて近しい関係にあります。憲法をこうしたい、という人間にとって、反対意見は喧騒にしか聞こえないでしょう。しかしそれこそ議論を戦わせなければ、よいものは出来ません。それこそ、ねじれ解消すれば政治が機能する、などという誤った認識を自公がとるのも、自分たちのやりたいことに抵抗する側を、『喧騒』としか看做していない、政治を討議の場ではなく、馴れ合い、予定調和へと貶める見解であり、それが麻生氏の舌禍、今回の問題の根深さを示しているといえます。

日本のメディアは、テレビ、新聞はほぼ総崩れですが、一部の週刊誌、夕刊紙、ネット配信のみのメディアに、まだ気骨のあるものがあり、議論としては保たれている、と云えます。しかしそこが崩れれば、それこそ『喧騒』のない、静かな国へとなるのでしょう。それは一部の人間の思惑通りにすすむ、という意味で不幸な国になることを覚悟しなければなりません。麻生氏に限らず、安倍政権は一部の人間に、熱狂的に支持される方向性をめざしているようにみえる。そんな人たちに率いられた国は、諸外国からナチスのよう、と見られる可能性を今回示してしまったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア