2013年09月

2013年09月30日

野党にいる近自民系の退潮

米国の予算案は毎年、債務上限問題はほぼ半年ごとの恒例行事になった感もありますが、また議会がもめています。上院は11月半ばまでの暫定予算を組みましたが、下院はオバマケアの先送りを要求、両法案の成立の目処はたっていません。オバマ大統領はシリア介入、FRB議長選びでも失敗しており、指導力が発揮できていません。ここに来てイランに接近するなど、微妙な動きも示します。
実は、最近のオバマ氏は、米国内にいるユダヤ系を逆撫ですることばかりです。シリアに介入できず、イランに接近すれば、中東での米国のプレゼンスは著しく低下します。米国にとっては好都合でも、イスラエルは黙っていられません。一時期、イランにミサイルを撃ちこむ話まで、実しやかに語られていたほどです。米国が間をとりもって…という話ではなく、核をもった相手が隣人では、イスラエルは嫌なのです。今後、オバマ氏がユダヤ系と距離を開ければ開けるほど、イスラエルの出方が不透明になってくるのでしょう。米国の財政問題と同時に、中東で戦火が拡大するのか? しばらくは融和路線に転じたイランと同時に、融和しない米国、が台風の目になりそうです。

日本の政局も、昨日の堺市長選で少し動き出しそうです。維新は多数になり得ない。これが大多数の見方です。以前も指摘しましたが、安倍氏の政策に近いため、安倍首相が幸運のうちに表舞台から消えない限り、次を維新に…とはなりません。大阪でさえ支持基盤である無党派が離れた結果、全国レベルでも維新への支持拡大は望めません。つまり維新は野党としての立ち位置ではなく、与党に近づくことでしか生き残れない、そんな方向性しか残されていないように思えます。
民主の枝野氏が、某番組で「民主は意思統一ができていなかった。今後は国民に不人気な政策でも積極的に発信することで、信頼をとりもどす」と、半ば責任放棄ともとれる発言をしていました。意思統一ができていなかった、ではなく、民主内の近自民系はマニフェストに書いてあることをやりたくないけど、それで選挙を戦った。多数になって、党首になったらやりたくないことを止めた、というだけです。つまりマニフェストを反故にしたのは近自民系であって、意思統一をする気もなかったのは彼らです。一方で、国民に不人気なこと…とは、社会保障や子供手当てなどの、いわゆるバラマキ批判をされたことになりますが、今の安倍政権は経済対策で、低所得者層に1〜1.5万円のバラマキをしようとしています。野党としてやるべきは、こうしたことへの批判です。

民主党の反省会は等閑でしたが、それ以上に枝野氏は、福島第一原発対策の最前線に関わっていたのですから、何らかの言及があるかと期待していました。しかしそれすらない。国民に不人気なこと…という前に、永田町、霞ヶ関、財界の耳に痛いことでも、当時の反省を踏まえて詳らかにする。そうした態度になれないうちは、民主の出直しもありませんし、野党の軸にもなれないでしょう。
維新にしろ、民主内にいる近自民系にしろ、野党が自民党的である必要はないのです。それこそ対立軸がつくれず、都構想などの個別政策では、有権者の投票行動にはつながりにくい。ここ数年は、野党内近自民系の退潮、といった形がより鮮明になるのでしょう。それは安倍政権の人気の裏、ということでもあります。安倍政権が大コケし、安定を求める意味でも近自民系、という選択肢でもでない限り、次の野党の軸にはおけない。ただそのときは様々な問題によって、すでに政局どころではないかもしれず、結果的に近自民系の野党という魅力は、さらに伝え難くなるのでしょうね。

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2013年09月29日

雑感。日韓のドラマについて

堺市長選、現職の竹山市長の圧勝で、維新の苦境がはっきりしたのでしょう。衆参選挙でも票がのびず、大阪府、大阪市政から出直して勢いを盛り返す、という戦略がこれで頓挫しました。大阪都構想も練り直さなければならず、国政でも安倍氏に近い判断を下すため、存在感を失う。今後、党内部の亀裂が一層大きくなり、分裂気配はより強まってくるのかもしれません。

今年はドラマの当たり年、とされます。あまちゃん、半沢直樹など、TVコンテンツの不況が言われる昨今、視聴率が30%を越えるなど、スポーツイベントに匹敵する数字を稼ぎました。残念ながらほとんど見ていないのですが、少し見た感想と、昨今話題に上がることもなくなった韓流ドラマとの対比、ということで少し考えてみたいと思います。
韓流ドラマもほとんど見ることはないのですが、実家にもどると高齢の母がよく見ており、目にする機会があります。そこで感じるのは、80年〜90年頃の日本のホームドラマに似ている、ということです。人が話すときは斜め45度から映す、スタジオの撮影が多い、やたらと会話で説明する。こうした傾向は、演出不足の結果としてそうなります。画角などを詳細に詰めず、ロケは時間的な制約から困難、映像の見せ方で場面や状況を説明するには時間も手間もかかる。韓流ドラマは週に二回放送されるものも多い、とされますし、いわゆる撮って出し、が多いので仕方ない面はあるのでしょう。しかしこれが結果的に、その頃のドラマを懐かしんで、また違和感なく受け入れられる高齢者や主婦層にしか、韓流ドラマがあたらなかった原因でもあるのでしょう。

半沢直樹などの、過剰な演出には、これも昔の『大映ドラマ』の匂いを感じます。しかし当時は、役者の演技力不足を過剰な演出によって誤魔化していた、といったほのぼの感がありました。しかし今のように演技のできる役者をそろえると、迫力がでます。結果的に、それが人を惹きつける魅力の一つにもなったのでしょう。そしてそれは、演出の妙でもあります。
一方で、あまちゃんに代表される個性的なキャラ設定、なども演出力によるものです。キャラを作りこめば込むほど、作品を壊す恐れもあるため、演出でカバーしなければいけません。翻って、韓流ドラマでは未だに恋愛ドラマのヒロインがツンデレ設定、というお決まりのパターンから脱しきれていないようです。日本ではトレンディドラマで頻発し、厭きられた経緯もあります。日本でも未だにツンデレ設定はあるようですが、他のキャラを立てるなど、工夫があります。

韓流ドラマが一過性のブームで終わったのも、演出不足は厭きられる、という根本的な問題もあるのでしょう。日本の、他のほとんどのドラマが低空飛行なのも、演出上の失敗や、演出を工夫しても演技ができない役者による迫力不足、といった原因が考えられます。そしてまた、一度流れができるとネットの拡散などによって、視聴する番組が偏ってしまう、今の時代の傾向も読みとれるのでしょう。これが全体主義的な傾向の強まりによるブームでないよう、みんなが見るから…という理由だけでない、自分だけの面白さの探求をしてみてもよいのかもしれませんね。

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2013年09月28日

最近の中国の動き

中国で糖尿病の患者が1億人を越えた、という報道があります。発症予備軍も5億人、とも伝わります。欧米型の食事、食べすぎ、マグネシウム不足、など糖尿病の原因は様々ですが、遺伝的に中国人は糖尿病になり易いのか? もしかしたら農薬、化学物質の影響などもあるのかもしれません。共産党幹部には、専用の農場でつくられた野菜、畜産物が運ばれている、ともされます。庶民には薬物まみれの食べ物しか回らない。中国はシャドーバンキングによる不良債権が先か。それとも医療費の高騰、年金などの社会保障によって国が回らなくなるのが先なのかもしれません。

無人機の領空侵犯に対し、日本政府は対処方針を検討しています。これをうけ、中国軍事科学院が「撃墜は戦闘行為」とする見解を示しました。しかし領空侵犯に対し、第一は通信を試み、それに応じなければ撃墜、が国際社会の常識です。恐らく、中国の無人機にはうけた通信を、制御している側におくる機能がないのでしょう。つまり通信機能がない。だから焦っているのです。これだけをみても、中国の軍事技術がまだ成熟していないことが分かります。
そもそも、撃墜されるのが嫌なら、他国の領空を審判せず、自国内で訓練すればいい。今ここで撃墜されれば、中国の無人機の性能が丸裸にされる。それで性能が低いと知られては困る、ということです。東シナ海で国境線が確定していない、と中国側が主張するにしろ、そんなところで、無人機を飛ばす行為については、通常の領空侵犯と同様の対応をすれば良い、ということです。

NYハドソン研究所で安倍首相は講演しています。中国と軍事支出の伸びを比較し、隣国では20年以上10%以上の伸び、日本は0.8%だと安倍氏はしましたが、これはインフレ率や成長を割り引いて考えなければなりません。日本はデフレ、低成長なので1%以上の伸び、中国ではインフレをひくと5%ぐらいで、成長とも合致します。全体像が必ずしも明らかではありませんが、中国の軍事費は国の実情に近いのであって、決して高い伸びとはいえないのが、昨今の状況です。つまり中国は人民解放軍の影響力によって、人件費が高騰する一方で、軍備が最新鋭に追いついていない。中国という賄賂と利権が結びつく国で、必ずしも軍事費で測ることはできないのが、軍事的脅威です。
一方で、安倍氏は「右翼の軍国主義者とよびたいならどうぞ」と、余裕をみせました。実はこの言葉も、的を射ていないことは承知で、あえて使ったのでしょう。安倍氏の問題点とは「戦前的体制への礼賛」であり、戦前的体制といっても、軍国主義を除けば国家統制型の社会になります。日本が軍国主義になるのは、当分先のことであって、まずはこの国家統制型を目指している。国家が様々なことに関与し、言論でさえ管理してしまう社会がまず安倍氏の望む形となります。

ここに来ての中国の焦りは、経済破綻がみえると、軍事力も国際的な影響力でさえ低下しかねない、という懸念からきています。中国が破綻すると、国際社会から支援を受けることもままならない。規模が巨大すぎて、今のところIMFなどの仕組みでさえ、支えるのは困難です。唯一、外貨準備を放出すると脅して、米国にすがるしかありませんが、巨額の債務を抱える米国も、中国を支える余裕はありません。中国が新たな扉を開くかもしれない。それは決して、中国にとって良い未来ではない。だから扉をしめたまま、やり過ごそうとしているのです。中国の諺にあります。「禍福に門なし。人が自らを招くのみ」今、中国は禍に怯えていることは間違いないのでしょうね。

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2013年09月27日

経済政策における波及経路

昨日もとり上げた、安倍首相のNY証取での講演は、米主要紙ではベタ記事1行にもなりませんでした。日本では「Buy my Abenomics」が大々的に報じられましたが、これが米国の現実です。今日のNYの会見でも、日本人記者は内政、海外の記者は外交、と別けた可能性はあるにしても、海外記者の「イランとの関係は?」「中国と戦争するのか?」など、おざなりな質問に終始したのは、安倍政権への関心はその程度、ということです。もし日本への期待が高まっている状況なら、NY証取での講演も、会見でももっとつっこんだ質問をしてくるはずなのでしょう。
確定情報ではありませんが、海外勢は安倍氏が消費税増税を決めた時点で、日本への期待が剥落している、という話もあります。当然、7兆円近くを民間から吸い上げてしまうので、消費に期待できなくなります。金融緩和をした当事国の内需が崩れるのですから、企業業績も来期は期待できません。円安効果も今の水準のままなら来期は剥落しますから、株は買えない。法人税減税の効果も、波及経路が曖昧であり、安倍氏の語ることには今ひとつ信用がおけない、といったところです。

さらに来年度の後半には、日銀の異次元緩和からの出口戦略も問題になってきます。2年の時限措置を延長するのか? その場合、日銀のバランスシートはどれぐらいまで拡大するのか? 消費税増税を断行せずとも、来年後半は金融緩和の効果が切れるので、かなり厳しいと予想できる。増税が決まった方が海外勢は好感する、という見方もありますが、短期スジが多い今の相場でそれはありません。
つまり増税決定は、長期の財政健全化への一歩であり、今の相場は短期の景気、材料に敏感なのです。増税決定で、来期の内需に期待できなければ、売りです。今期の業績改善は織り込んでいる。来期、それが期待できそうもないので「Buy my Abenomics」にも反応薄、ということです。

FRBも賃金上昇が一向に表れず、逆にコアインフレは低下傾向となり、QE3の波及経路に疑問を抱いています。それなのに安倍氏は、最初は「金融緩和で賃金が上がる」、次は「法人税減税で賃金が上がる」と述べます。一つめは米国の実験例でも否定され、二つめも国際競争、という立場から否定される。TPPでさらに国際的な競争にさらされる中、米国でさえ上がっていない賃金を、日本だけ上げる、という判断を企業がするはずがありません。講演では米国型の経済をめざす、と堂々と述べていたので尚更です。米国でおきていないことが日本でおきる、とは誰も信じてくれません。
経済は必ず、一つの事柄がどう波及していくか? その波及経路について考えねばいけません。安倍氏の語る波及経路に疑いがあるのに、記者会見や講演でも答えてくれない。だから無視されます。金融緩和でインフレ、という説明にも今や懐疑的な見方が多い。それは賃金上昇、という根本が崩れているためであり、米国など所定内給与は横ばいにも関わらず、コアインフレが1%を越えているため、持続不可能となっており、だからインフレ率が低下してきているのです。金融緩和で一瞬はインフレにできても、それに慣れると、緩和を終了する時にはデフレ傾向が顕在化してくる。そうした経路でさえ、安倍氏は上手く答えられないでしょう。欧米ではスルーされる安倍氏、それは最近の「By-pass Abenomics」の表れであり、経路の説明に失敗する限り、その傾向は続いてしまうのでしょうね。

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2013年09月26日

安倍首相によるNY証取での講演

今日の日本株市場は、大活況を呈しました。配当権利落ち分の80円を、即日埋める展開であり、強気のサインともされます。ただし上昇の原因が定かではありません。日経が経済対策に法人税減税を明記、との記事をアップしたことともされますが、新規の材料でもありませんし、まだまだ紆余曲折もある話です。NY証券取引所での、安倍首相の講演が好感されたにしては、時間差があります。朝方の大きな下落は配当権利落ち、日経平均採用銘柄の下落、等もありますが、切り返したのは10時です。昨晩未明の講演が、そんな時間帯でじわじわ好感されるはずもありません。
先物の動きをみると、昨日大きく売り越した日系の日経225先物への買戻し、が観測されます。TOPIXは海外勢がタマを打ち合った。一部、日本年金機構(GPIF)の運用見直しへの思惑とも語られますが、今日すでにGPIFの買い観測が語られるなど、何だか眉唾です。恐らく安倍氏がNY証取で、大々的に「Buy my Abenomics」と発言したその日に、大幅下落では恰好がつかない。日経、GPIF、それに一部の民間資金などで、今日は大幅な上昇を演出したかったのではないか? そうみています。

実際、現物株式の売買高はこれだけのジェットコースター相場にも関わらず、やっと2兆円です。本格的な買い観測はありません。一部、配当の再投資分、という話もありますが、大体、昨日の引け後か、今日の立会い前に処理してしまうことが多かった。それをずらしたり、昨日計画的に売っておいて、それを買い戻したり、といった形で今日は上昇させる。安倍氏の講演という日程にむけた、官民あげての演出。財務省離れ、経産省寄り、とされる首相への援護射撃を入れたのが、一体どの主体かは今後分かってきますが、今日のテクニカルな動きに正当性はないのでしょう。
安倍氏のNY証取での講演で、「規制改革こそが突破口」と発言しました。しかし、小泉路線で行われた規制改革は、軒並み失敗しました。競争型になった途端、過当競争に陥り、しわ寄せが労働者にかかり、経済成長には寄与しなかった。安倍氏が語らない、かつての小泉路線にあった言葉は「公から民へ」です。経産省と結びついた安倍政権では、規制改革により、実は公的な関与を強めたいのが本音です。新規産業、既成の市場への参入、という話はすべて経産省の利権と結びついた話です。

それにしても安倍政権では、海外の発言によって事実上公約化し、国内の反対分子を抑えこむ動きが多い。それでいて、米国にいるにも関わらず日米首脳会談は開催されません。国内の支持が高いので、米国も大胆には動いてきませんが、中韓との関係が悪化を続ける限り、米国も安倍政権に協力するつもりは皆無なのでしょう。唯一、会談できたのが米国がシリア攻撃する、支援要請ということであり、日本からの要請には見向きもされていない。それが現実の、安倍外交です。
これまでも海外勢は、安倍ノミクスの提唱から、大きな買いを入れてきました。これ以上の資金を日本においておくには、成長戦略がカギになる。それでいて、第3の矢は未だに飛んでいないとみられています。安倍氏のNY証取での発言が「Bye-bye Abenomics」と聞こえたのは、私だけでしょうか? 海外でも、思ったほど日本の異次元緩和が、世界に対して貢献していないと、一時好調を示した経済指標も、最近では低調なものが目立つようになりました。安倍ノミクスなんて効果ない、世界がそう判断するようなら、海外勢がBye-byeと去って行く日も近くなってくるのでしょうね。

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2013年09月25日

JR北海道のトラブル

JR北海道のトラブルで判明した、異常な経営体質が問題になっています。異常個所を放置し、剰えそれを古い基準だった、データの計算方法が間違っていたから、とするなど、イイワケでさえ迷走中です。人員不足で、技術継承がないという以前に、担当者が関連の法令、ルールを知らず、これまで運営されてきたことが驚きです。通常、担当者は業務に精通しているのでそうなりますし、また知らなければ自分で調べてでも、ルールに熟知するのが当たり前です。
こうした傾向を、労働組合の分裂や、社長人事を巡る暗闘に求める向きもありますが、今日明らかになってきたのは、JR北海道の株式を100%保有する鉄道建設・運輸施設整備支援機構に貸付け、3.5%程度の利回りで黒字化を達成する、という負の部分です。つまり鉄道部門は連続して赤字であり、経営資源を集中させたり、優秀な人材を配置して収益改善をめざす、というインセンティブが働かない部門になっているのです。むしろ、この国鉄民営化時点の経営安定化基金を原資に、資金調達して鉄道部門、以外の分野に再投資するしか、JR北海道の将来性がない事態なのです。

安全性を重視、と口でいうのは簡単ですが、経営の側からみても鉄道部門に注力できない。事故を起こせば大変ですが、起こさないうちはコストカットが重視される。もっと大きな事故を起こす前、こうして状況が詳らかになったことは、逆に好事だったのかもしれません。放置すれば、脱線どころか転覆までの、大惨事すら起こりかねませんでした。
一方で、疑問を生じるのが機構と、JR北海道とのずぶずぶの関係です。民間からの借り入れでは1.5%の利率なので、明らかにJR北海道に優遇を与えている形です。この機構は理事に多くの運輸省出身者をかかえる、国交省の出先機関でもあり、財投も入る独法としてもかなり国に近い形態です。国からの補填とみなされかねません。そうした企業の経営に対して、国は放置していた形となります。

つまり民営化と云いながら、JR北海道はほぼ国の丸抱えで、国が補填して経営が成り立っていた。それでいて安全が蔑ろで、新幹線を北海道まで引っ張ってくることに躍起で、既存のローカル線は廃止、安全軽視が蔓延している。国鉄民営化以降の、国がとってきた施策の大いなる矛盾が、JR北海道という歪な組織をうみだした原因とも考えられます。それでいて菅官房長官が、JR北海道に対して呆れたような発言をしていますが、それは国の統制力不足を自ら認めるようなものなのです。
国交省が特別保安監査に入っていますが、経営責任をとらせる意味で、事業体としてのJR北海道に命令は下せても、組織体質や経営陣の刷新、というところを判断するのはJR北海道や、株主である機構になります。責任を分断し、助成だけを与えてきたツケとして今があるなら、国の責任は大きい一方で、保安上の問題にしか口出しできないジレンマを抱えた、と言うことになるのでしょうね。

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2013年09月24日

雑感。みのもんた氏について

米原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ前委員長が、日本外国特派員協会で「福島第一原発の汚染水は制御不能」と述べました。安倍氏のIOC総会での発言はウソ、と米国側が見ていることが明らかです。というより、脱原発に舵をきった独国をはじめ、日本に対する報道は厳しさを増しており、仏国のメディアによる3本腕、3本足の相撲などは、日本への風当たりを意識したものだったのでしょう。しかし日本人からみると、舌が二枚ある絵の方がインパクトもありそうです。

少し前、セクハラ疑惑がもち上がったみのもんた氏の次男が逮捕され、みの氏も報道系の番組自粛を発表しています。この件に関し、やたらと擁護する発言がめだったり、息子とはいえ大の大人であり、親は責任をとる必要がない、過度な批判はバッシングだとする意見もあります。
どちらの意見にも与しませんが、こうした背景の一つには権力基盤の築き方、という問題があります。歴史的にみても、どのように権力を築き、磐石にしてきたか? そうしたことが、その人物の力が衰えたり、亡くなって代替わりしたときに、その権力基盤の築き方にしたがって反対の動きが起こります。他者を蹴落とし、這い上がった者は逆に蹴落とされる。一部を優遇し、自分の意見に沿わない者を遠ざけた者は、そうした者たちから冷遇される。つまり今の動きは、みの氏がどのように権力を築き、またその影響力を行使してきたかの裏返しであり、今はまだ利用できる、と踏んでいる人間たちは擁護し、そうでない人間からすれば『倍返し』したい状況、ということです。

正直、声が大きい割りに大したことを言わず、また偏った意見も目立つことから、みの氏の番組を報道としてみたことはありません。悪い言葉をつかえば、居酒屋で愚痴をいっているレベルです。有識者やコメンテーターという位置づけが曖昧な人物や、政治家なども呼びますが、司会者の言説が全体の意見を誘導する向きもあり、結論が決まった議論にしかならない。逆にいえば、司会者の意見さえ知っておけば、事足りてしまいます。そういうエンターテインメント番組でしかないのです。
そうして自らの意見を他者に押しつける人間は、権力基盤の作り方にも、ある程度の強引さがあったのでしょう。それに反発する人間はバッシングし、そうでないと阿る。実にわかり易い構図です。しかし、みの氏のセクハラ疑惑はこれまでにも何度かあり、もみ消しや配置転換も囁かれてきたのなら、そこにはパワハラも含まれます。実際まだ利用する価値アリ、とする人間たちは、そうした疑惑に蓋をしてきた。相手がセクハラだと思わなければ、セクハラでない、とする意見は『噴飯もの』で、組織にいる人間がセクハラと訴えられないよう、圧力をかけられている事例は枚挙に暇がありません。みの氏が好かれる上司かは、あの映像からも明らかでしょう。少なくとも、視聴率のため、や広告主のため、とする判断が働いて、様々な動きがある今回は、彼がとってきた行動を知ることができる、という冷めた目で一般人は見ておく方がよいのでしょうね。

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2013年09月23日

臨時国会の日程は?

独国総選挙の結果は、予想通りのメルケル氏率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が41.5%の得票率で、圧勝しました。社会民主党(SPD)25.6%、左派党8.6%、90年連合・緑の党8.4%、自由民主党(FPD)4.8%、ドイツのための選択肢4.7%です。注目されるのは、連立相手だったFPDが、議席確保の5%にとどかず、連立解消となり、中道右派の政権が終わることです。CDU/CSUは630議席中、310議席は確保できるので、小政党との連立も可能ですが、SPDならメルケル第一次政権の復縁となります。
注目されたドイツのための選択肢、ユーロ離脱を掲げましたが、議席の獲得はならなかったものの、一定程度の票数を伸ばしてきました。メルケル氏は南欧の危機対応における手腕が評価されている面があり、これと逆の意味で、ユーロ離脱という命題に、票が集まったのはメルケル批判票を集めたことになります。ユーロなんて要らない、南欧の尻拭いはしたくない、という選択肢です。

日本の政局は、まったく機能していない状況です。それどころか、臨時国会の日程さえまだ決まっていません。与党が押し切れば決めてしまえる議席数があるので、国会はただの消化試合、といった側面もありますが、審議日程をそれなりにこなしてから、採決するという国会の常識でさえ、覆す気かもしれません。というのも、安倍政権がやりたい、とおしたい法案はかなり問題も多く、まともに審議していたら通過が難しいものばかりだからです。
来年4月、消費税増税時の景気対策として語られる、法人税への復興増税の前倒し廃止、法人税減税などは、時限立法ではないのできちんと審議する必要があります。特定秘密保護法案も、極めて慎重な審議が必要な法案でしょう。今のように、レクチャーと称して記者に世論誘導をはかるような記事を書かせる、官僚を処罰するのなら問題ありませんが、これは政府が隠したい情報を流した公務員を処分してしまおう、という目的にも使えます。また記事をかいた記者を、教唆、共犯として処分することも可能であり、下手をすれば公務員は特定できずとも、都合の悪い記事をかいた記者だけを処分する、という形にもなりかねない。情報統制型社会をめざすものともうけとれます。

また福島第一原発の汚染水問題で、特措法を提出する予定ですが、明らかに凍土方式やALPS改良型にしろ、政府の手法でさえ議論の余地があります。それに、特措法といいながら、予算措置などが長期にわたるため、特措法一本で足りるとは思えません。東電という株も上場したままの民間企業に、国が予算を充てるのですから、本格的に審議するにしてもまずは有識者の意見を聴取するなど、かなりの時間を要するでしょう。臨時国会では審議時間が到底足りそうもありません。
この前もとり上げたように、メディアは民主に政府を責めることができるのか、と分断をはかります。野党がまとまると、上記の法案を通すのは困難となり、安倍政権に打撃となるからです。しかし審議も尽くさず、色々と問題のある法案を通してしまえば、その方が禍根を残すでしょう。逆にいえば、自民の失敗の歴史とは、立法措置のまずさにあるのです。それは官僚統制ができなかった歴史であり、法案を真剣に審議してこなかったことの証左でもあるのです。法案に隠された負の部分をしっかり洗い出すには、臨時国会では心許ないところであり、重要法案が並ぶだけに不安もつのるところなのでしょうね。

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2013年09月22日

汚染水の問題

福島第一原発で、今月下旬から多核種除去装置(ALPS)が稼動します。しかし漏水、腐食の問題があり、海水が混じったゴミの多い汚染水の処理には、不安も残ります。逆に、6月の試験運転より、地下水により希釈されているから、大丈夫かも…という甘い期待もあるのでしょう。しかし震度5弱の地震もありましたが、揺さぶられると再び沈殿していたゴミが浮いた可能性もあります。
そのALPSでも取り除けないトリチウムの問題で「健康への影響は少ない。どこでも希釈して海に放出している」として、放出すべしとする意見があります。また、トリチウムを除去できる装置が福井にある研究炉ふげんや、柏崎刈羽原発にあるものの、処理費用の高さや輸送の難しさから、現実的でない、とする意見もあります。しかしどちらも奇妙な意見であることは云うまでもありません。

まずトリチウム、水と同じ性質であり、対内に滞留しないので影響が少ない、とする意見もあります。またβ崩壊なのでエネルギーが弱い、とも。しかし対内でβ崩壊すれば、透過せずにとどまるので、着実に周りの細胞を傷つけます。それに半減期が12.5年と比較的短いので、1日で対外に排出されても、少数でも崩壊する確率は高い。逆にいえば、トリチウムの崩壊による健康被害を正確に把握するのは困難。だから影響が少ないのではなく、影響したかどうかは判別がつかない、が正解です。処理費用の高さは、本来であれば海水に放出される量ではないのですから、東電が負担すべきものであり、現実的ではないなどの理由でそれを否定するのは、東電擁護というだけです。
もう一つ、健康に有為な被害がないので、少数の被曝や線量を気にする必要はない、というのも奇妙です。もしそうなら、主に原発で行われている、管理区域における管理を、一切やめてもいい、となってしまいます。つまり福島第一原発は、安倍首相の重装備でも分かるように、今は環境モニタリングにおいて、施設外に有為な量もれていないことを確認していて、外部も管理区域になっています。ならば、他の原発施設も同じ管理でいい、となってしまいます。つまり、有為な影響がでないのですから、原発の厳重な管理のコストは、すべてムダです。それをやめて、福島第一原発と同じ管理にすれば、かなり運営費が削減できます。福島第一原発に関する部分だけ甘くしろ、は事故を起こしたから仕方ない、という納得だけでしかなく、科学的にも、現実的でもないのです。もしそうした管理で十分だというなら、全原発で同じ管理をする方が、よほど合理的判断といえます。

ALPSの成否は、極めて重要ですが、逆にいえばALPSが失敗すれば、福島第一原発の汚染水処理は行き詰まります。こういうとき、東電は何となくうまくいった、と誤魔化して、後でとんでもないことになっている、ということをくり返してきました。さらにALPSでない処理装置も検討していません。綱渡りどころか、迷路なのに一つの道を選択して、行き止まりならジエンドという状況です。
海外からは、どうして日本、東電は国際的な知見を集め、海外から応援を呼ばないのか? と不思議がられています。しかし今の福島第一原発の現状を、海外の有識者が知ったら愕然とするでしょう。だから海外の有識者を呼べない、情報を詳らかにできないのです。むしろ海外から有識者を呼び、日本式の隠蔽に染まらない技術者たちが実務を担当するとき、どうした判断を下すのか? そのことの方に興味があります。under controlできない技術者の登場が、今は望まれる状況なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2013年09月21日

経済の話。米系の買いの行方

日本でiPhone5s/5cが発売されました。違和感があるのは、一般のニュースまでこの話題をとり上げること、です。逆に、それが日本でiPhoneの占有率が高い原因なのでしょう。ガラケーや日本製のAndroid機ではできていたことが、やっと搭載されたに過ぎず、また来年には6も出る、とされる中、この5S/5Cの位置づけは今ひとつ不明瞭です。最新機種がもちたい、ちょうど交換時期、という人以外にそれほど重要な情報ではありません。大型の冷蔵庫やパソコンの上位機種に手がとどく値段、通信費も他より高い、こうした点も万人ウケではなくなってしまった原因なのでしょうね。

日経平均は今週、大幅高でした。原因はFOMC前に欧州系がポジション落とし、とみられる買いを入れ、FOMC後は米系によるTOPIX先物の大幅な買い越し、が影響しています。日経平均でないのは、銘柄入れ替えなどがあり、動き難かったせいかもしれませんが、とにかく米系だけで数百億規模の買いが、連日で入ったこと。それにより15000円を狙えるところまで上げてきています。
しかし米国ではFOMC後、FRBに対して猛批判が巻き起こったように、金融業界の混乱が続いています。『市場との対話』に失敗した、とみられており、今後の政策決定において不透明感が強まった。直前のハト派理事の講演でも、緩和縮小発言がなされており、もう緩和縮小は基底路線と看做されていましたし、私もそう考えていました。しかしバーナンキ議長の政治力により、発信力が著しく低下しました。ふたたび理事が、10月にも緩和縮小、との発言により米市場は急落しましたが、今後もこうした値動きは増えるでしょう。つまり日本に流れこんでいる、米系マネーの継続性においても、ポジションという点においても、不透明感が強まる状況になっています。

つまり当分、FRBの動向によりボラタイルな展開が予想されます。来年の米国の成長率見通しを引き下げたので、今の株価水準では割高です。当面、好調な市場に資金を置いておきたい。かつては足の早いヘッジファンドしか、素早い資金移動はしませんでしたが、今は長めの資金とて、短期間で移動できてしまう。高速取引の所為ですが、今後の展開にも不安を残すのでしょう。
FOMC後、商品市場も為替も一旦は急変動しましたが、一日で巻きもどりました。日本の株価だけが、高値を追う状況です。9月の権利とり、という話もありますが、売りそびれて損をだすリスクもあり、大きな資金を扱うところほど、逆の動きをするものです。米系が慌ててポジション組み換えに動いているようにみえる現在、日本だけが買い、で継続できるのか? それとも、消費税増税で来年の日本の景気見通しの引き下げも始まろう、という中で、安倍氏の賃上げや法人税減税の指導力にかけているのか? そんな戦略次第で、当面の値動きが決まってくるのでしょうね。

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2013年09月20日

安倍首相の福島原発視察

AppleのiPhone5S、5Cが発売されました。シリと呼ばれる音声認識付き秘書機能がつています。どうやら安倍首相にもシリがついていますが、どうやらそれは後ろに滅裂とつける機能のようです。それは前言との整合をはかるためとり繕う、といった類のもので、決して便利とはいえないものです。

福島第一原発の視察で、安倍氏は「完全にブロック」を強調していましたが、少し前、読売新聞が、汚染水がずっと外洋に洩れ続けていた可能性について、言及しました。原発推進派のメディアですら、東電の対応に苦言せざるを得ないところにあり、「完全に」などブロックしていません。先の台風の前後、線量が確認された水のたまった水路の堰が壊れたけど、その前に水を抜いたから大丈夫、などと東電が発表していますが、除染しない限りその水路を通った水は、すべて放射性物質を含みます。さらに、堰が壊れる前の水の線量を正確にはかったものでもない。もう洩れちゃったから証拠がない、だから水を抜いた、大丈夫とイイワケしてもバレない、というだけの話です。
福島第一原発の5、6号機の廃炉、という話も滅茶苦茶です。今は危険度の高い1〜4号機の対応が最優先であり、実質的に動かせるはずのない5、6号機の廃炉は、視察の成果を高めたい願望と、福島第二、柏崎刈羽を廃炉とする流れを食い止める、その前哨戦です。つまり5、6号機の廃炉を後ズレすると、第二、柏崎刈羽も…という声が大きくなる。今の内に廃炉にしておけば、再稼動への道が開かれるかもしれない。ほとぼりが冷めた頃、再稼動をするための動き、に過ぎないのです。さらに1兆円の積み増しの原資が、電気料金への加算というなら、まったく好感できる話ではありません。

新聞紙面で『賃上げ3%で 法人税減税』という大嘘の文字が踊ります。今、検討されているのは『人件費3%増で、法人税減税』です。これは賃下げでも、雇う人を増やせば減税をうけられる話なのです。しかも、これまで物品費としていた期間工、臨時雇用などの固定費を、人件費に回せば達成できてしまう。メディアは『賃上げ』のイメージ作りに手を貸す、大嘘見出しを並べたのです。
さらに復興増税を法人のみ、1年前倒しで免除。これなど、財界との約束を何とか達成するための苦肉の策です。日銀の資金循環統計をみても、6月末の民間非金融法人の金融資産は前年比11.2%増、これは個人の5.0%増を、大きく上回る数字です。つまり企業に資金が集中している中で、さらに企業に優遇を与える。手元資金を厚くするのが最優先であり、賃上げには回りそうもありません。

最近、メディアでは福島第一原発対策で追求を強める民主に、そんな資格があるのか? といったネガティブ記事が目立ちます。民主が経緯をすべて洗いざらいにし、真摯に反省すれば、追求したとて何の問題もありません。むしろ、そうするよう促すべきです。しかし追求させまじ、とするメディアは、相も変わらず東電擁護の姿勢を貫き、民主への攻撃によって追求を牽制しているのです。
本来、続々とトラブルを起こす東電の経営責任を追及しなければいけないメディア。個人には増税、企業には減税と、景気浮揚に逆行し、株価対策にのみ執心する安倍政権を追及しなければいけないメディア。日本に巣食う病巣は、こんなところに見え隠れします。安倍氏が発する音声を、もっともよく認識し、秘書として機能しているのはメディア。こんな評価になってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2013年09月19日

米FOMCの緩和継続姿勢について

米FOMCにおいて、金融緩和の継続が決定されました。緩和の縮小を織り込んでいた市場は暴騰、米ダウは史上最高値を更新、国債は一気に買われて債券利回りは急落しています。金融関係者も、戦略の練り直しが必要となっており、市場との対話を拒否したバーナンキ議長の思惑に戦々恐々です。
しかし違った見方をすれば、バーナンキ氏が政治力を発揮しはじめた、とみることが可能です。債務上限問題は、米国で喫緊の課題となっています。「債務上限問題で脅された史上初めての大統領」とオバマ氏が嘆くように、議会のねじれの中、経済に打撃となりかねない問題です。今回のFOMCで景気、雇用と並んで債務上限問題をあげた。ここでオバマ氏に媚をうり、バーナンキ氏は議長再任を画策しているのではないか? そのための緩和継続の気がしてなりません。

バーナンキ氏が退任の意向を示したのは、オバマ氏の大統領再任で尽力したサマーズ氏への論功、といった面がありました。つまり論功行賞でFRB議長の座をつかわれれば、バーナンキ氏は下りるしかありません。しかしガイトナー前財務長官も次期候補として浮上していますが、ガイトナー氏は論功ではありません。もう一方の候補、イエレン副議長ではハト派すぎて、議会側に軋轢を生む可能性がある。また副議長の昇格は歴史上経験がなく、また女性も初の議長となります。諸々のリスクを負ってまで、オバマ氏が推さなければいけない候補ではない。オバマ氏が要請する形で退任を撤回することが、議会対策の面からも妥当との見方ができ、バーナンキ氏の政治力、再任に並々ならぬ意欲をみせた。それが今回の緩和継続、という政策だったと推測しています。
年内は後2回、FOMCが開かれますが、10月は議長会見がないため、12月にも緩和縮小か? という見立てもありますが、これが政治力による延期の場合、10月でも緩和縮小はあり得るのでしょう。そしてバーナンキ氏の再任となれば、速い段階でフォワードガイダンスをつかって、縮小時期を明確にしてくる、とみています。資金供給をつづけても、一向に融資には回らず、雇用の質も悪いまま。すでにFRBが構想した景気回復シナリオは崩れており、一方でバブルの兆しは至るところに現れている。早めに異なる政策へと移行する、バーナンキ氏からはそんな思惑も見え隠れします。

日本への影響は、恐らく新興国の景気後退が先送りされたこと。米中でバブル化が進展することで、一定程度の効果は得られそうです。今日は貿易統計も発表になりましたが、相変わらず数量効果による、輸出への好影響はない。一方で、不動産事業が活況など、輸入は拡大している。原発が止まった影響…と未だに語るメディアもありますが、もう止まってから2年以上たち、前年比での変化率に原発云々の話は関係ありません。世界経済の弱さと、日本経済の見かけの好調が原因なのです。
そして恐らく、この短期間の小康があっても、日本の輸出は伸びないでしょう。新興国は高成長という高揚から、一旦は自分たちの立ち位置を見直すべきところに来ています。一方で、中国の不動産価格の上昇など、バブル退治を諦めて、景気浮揚だけをめざす新興国も現れはじめた。米国でさえ、バブル退治を諦めたように見える今回、次の危機が訪れたときの世界経済の凋落ぶりが、より大きくなることを覚悟した上で、しばらく付き合うということしかできないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2013年09月18日

徳州会公選法違反事件

リニア中央新幹線の計画が、明らかにされました。観光の効果も言われますが、それは地元の戦略如何の話であり、リニアが通ったからといって、途中下車してくれるかどうはかは不明です。それより、新幹線通勤などもあるように、岐阜や山梨に暮らしていても、都心まで出勤できる、ベッドタウンとしての効果が大きいはずです。ただし、震災時、帰宅難民がでたように、大きなトラブルに家族の元に駆けつけられない。リニアが動かなければ家に戻るのも大変、という事態になります。
音速を越えるとソニックブームという衝撃波が起こるため、それを避けるよう90%近くが地下、もしくは囲われている。旅情はないので、尚更実用的な面が重視されます。待合室がない、なども同様でしょう。しかし何らかのトラブル、停電によりリニアが地下で停車したら? それはパニックを起こすレベルかもしれません。実用に耐えられるかどうか、今回の計画ではまだ見通せません。

自民党、徳田毅議員の公選法違反の話がでてきました。父親の元衆院議員、徳田虎雄氏が主導して、徳州会グループ抱えで、報酬を支払って選挙運動させたという疑惑です。内部文書、証言が複数でていること、また報酬実態などの証拠が整っていること、などからみても有罪は確実です。
毅氏本人は関係ない、という印象の報道も多いですが、運動員の出自についてまったく頓着しない。そんな候補がいるのかどうか? かなり大きな規模、人数であり、また組織的に動いていることからも、毅氏がまったく知らなかった、という言い逃れも苦しいのでしょう。恐らく虎雄氏が、毅氏の関与を疑わすような証拠を残しているとは思えませんが、選挙民にとってもこれで毅氏は先の女性問題につづくトラブルであり、よい印象は残さないことは確かです。

永田町的にも早期の幕引きをはかるため、与党から離党已む無しの声が出ています。悪い言葉をつかえば毅氏は不良債権であり、親の七光りでしかない。その親が公選法違反に問われたので縁を切れます。むしろ、女性問題のトラブル、政治資金規正法でも迂回献金の疑惑がくすぶっており、与党としてはトカゲの尻尾きりをしたい議員の筆頭であったため、あえて切った、警察の捜査を容認した、といった観測もあるぐらいです。半年以上前の選挙にしては、やたらメディアが証言を拾ってくるのが速い。これはもう、家宅捜索がある、という情報が洩れていたことによるのでしょう。
与党としては、安倍氏の「完全にコントロール」発言で、臨時国会を開きたくない。集中砲火が確実な情勢で、長引かせても得策ではない。谷垣グループという立ち位置も、徳田氏には不利で、先に閣僚を辞任していたことも大きいのでしょう。これほど大掛かりな公選法違反にも関わらず、本人が議員を続けられる、そうしたものも公選法の矛盾として残ります。今回の事件、自民系の無所属議員を1人増やすだけで終わるのなら、政治資金規正法、選挙制度改革とともに、政治家に甘い制度設計をすることに、国民が嫌気をさす事例がまた1つ増えることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2013年09月17日

次期FRB議長候補について

FRBの次期議長に有力視されていたサマーズ氏が、辞退という形でレースを下りました。民主党の一部議員から推され、ホワイトハウスもほぼ固まっていた人事でしたが、シリア情勢に続き、オバマ案件が連続して議会から拒否された恰好です。大物の名、剛腕ともいわれるその指導力に期待してのことですが、クリントン政権時代の緩和政策により、後のサブプライムショックを生んだ、という批判が民主党内にもあり、万人ウケする候補ではなかったことが大きかったのでしょう。
しかしこれで、FRBの議長レースが混沌としました。イエレン副議長が最有力、とみられますが、ハト派ゆえに敵は少ない。一方で発信力の弱さ、政権とのパイプのなさが取り沙汰されています。しかし逆にみれば、既存の経済学はまったく通用しない時代であり、FRB副議長という実務に携わる職にいる人間が、従来の施策を引き継ぐ形しか、万人に受け入れられる候補にならない。泡沫ながら、最適との見方もできます。市場が早くからイエレン氏を推したのは、今の金融相場の継続を望んでのことですが、その期待にも沿う形です。しかし今の米国は、急速にジャンク債市場に資金が流入、それが次の危機を起こすとの警戒から引き締めに走っており、イエレン氏でもその流れは変わりません。

問題は引き締めの速度、規模とされます。月850億$の買い入れ規模を、100〜200億$程度下げるのでは? とみられます。しかしFRBはこのQE3の間に資産を4倍以上、3兆6000億$以上にふくらませており、これを償還まで待つと自然に減少していく仕組みです。ただし、改めて債務上限問題を抱えるように、米国は財政赤字を拡大しており、FRBが償還、再投資に回さないと厳しい現実があります。モーゲージ担保証券(MBS)に回していた400億$は削れても、450億$の国債購入に回してきた分に食い込む段階になると、国債市場は動揺する可能性があります。今回、引き締めの内訳も重要であり、バーナンキ議長が指摘する来年半ば、とするフォワードガイダンスがどう変わるかも鍵です。
日本にも多大な影響がある次期FRB議長ですが、先進国より、新興国が戦々恐々としています。QE3縮小の可能性を示唆しただけで、相場の流れは変わっている。今は新興国より、先進国の安定性が見直されており、この流れに呑みこまれると、破綻する国も出てくるかもしれません。

短期では、日本には為替へのインパクトが大きい。引き締め規模が大きく、金利差が拡大すれば円キャリーの拡大により、円安誘導が起こり易い。一方で、引き締め規模が市場期待に沿わなければ、今の円売りポジションの大きさからみても、円高に巻きもどされる恐れがある。しかし、日本は経常黒字であり続ける限り、恒常的には円高志向が強いのであって、円安になるのは円キャリーや、ヘッジファンドがポジションを積み上げる段階でしか、起こり得ない事象だといえます。
製造業は海外への生産拠点の移転で、海外で利益を保有し続けることが、以前と比べれば多くなっています。これだけの貿易赤字でも、黒字企業が日本に利益を還流しなくても、今の100円の水準は抜きにくい。それらもすべて、経常黒字によって得たインカムゲインは日本に還流される率が高く、それが相殺してしまうからです。毎月分割型や、利益再投資の仕組みを嫌う日本人の気質が、結果的に円安誘導を模索する投資家層にとっては、不利な面があるのです。次期FRB議長が誰になるにしろ、日本の金融相場が進展するには、もっと違う材料が必要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2013年09月16日

北朝鮮に「圧力をかけながら対話」

台風18号による甚大な被害がでています。京都府、滋賀県、福井県に初の大雨特別警報が発令されました。今回も、ダムは貯水率が限界を越えた段階で、治水から脅威へと変わります。流れこむ量以上に放水しなければならず、雨が収まってもその影響は続きます。治水でダム、などという人間は、よほどモノを知らないか、ダム利権者といえるのでしょう。数十年に一度、という特別警報が頻発するような状態で、人間の想定する限界が、如何に虚しいものかを実感します。
東電は大雨でタンクの漏水防止対策用の堰に、雨水がたまり、海に放出しました。ストロンチウムが最大24Bqで、基準より低いとされますが、逆にストロンチウムを含む時点で問題です。タンクから漏水する以外、ストロンチウムは含まないはずだからです。そして、この大雨で地下水はさらに増すでしょうから、今回の海洋放出は、その準備段階とも考えられます。ALPSで放射性物質を低減した、とするのか、計測値を捏造するかは分かりませんが、東電は自分たちが生き残るために、海に流したくてしょうがない。完全にコントロールして海にばら撒く気が、満々です。

拉致問題に関する国民大集会で、安倍首相が北朝鮮に「圧力をかけながら対話」に持ちこむ決意を示しました。しかし、実は飯島訪朝の失敗により、安倍政権は手詰まりに陥っています。飯島氏は地均し、調整のつもりで極秘訪朝したところ、大々的に報じられた。北朝鮮は外交使節の扱いだったのです。それなのに飯島氏は何の交渉材料、条件も示せなかった。交渉は失敗し、飯島ルートの脆弱さが判明し、新たなルートを模索せざるを得なくなりました。通常の交渉なら、2、3のルートを確保するものですが、外交では1つのルートが潰れると、マイナスの影響が他のルートにもでます。
もう一度、外務省ルートを立て直さなければいけない。しかし北朝鮮側で、飯島ルートで交渉を仕掛けた人間が、失脚しない限りは外務省ルートの交渉がすすみません。しかし飯島氏は要人との会談も果たすなど、北朝鮮内の権力構造の上位とつながっていたので、そこが崩れるには時間もかかります。飯島訪朝の失敗は、北朝鮮との交渉において2歩、3歩の後退になった、ということです。

最近の北朝鮮は、予測不能という声を耳にします。開城工業地帯の再開の動きなど、融和かと思えば、原発再稼動の動きをするなど、対立姿勢の構えもみせます。金正恩氏が海外メディアとニアミスする、ロッドマン氏の再訪朝など、オープンかと思えば、建国65周年では演説もなし。未だに金正恩氏の外交姿勢、方向性がみえません。そんなとき、日本は「圧力をかけながら対話」という戦略を踏襲しつつ、手詰まりといった状況を迎えているのです。
安倍氏は「政権のうちに何とかこの問題は解決」としますが、明らかにこれは長期政権をにらんで、願望を述べたに過ぎません。打つ手がなかった野田前政権と、一度の失敗で後退を余儀なくされた安倍政権では、実はどちらも有効な手をもち得ていない、ということがいえます。今の北朝鮮は、中国との外交の綱引きに過ぎないのでは? という見方もあります。中国に媚び、政権の維持に務めていた金正日氏と違って、中国から認められていない正恩氏は、中国に反抗しつつ存在を認めさせようとしている。日本にしろ、韓国にしろ、今のままでは北朝鮮の無軌道な態度に、ただ振り回されて右往左往するだけ、という事態がしばらく続くのかもしれませんね。



analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年09月15日

雑感。プロ野球の記録

スワローズのバレンティン選手が、シーズン通算57本の本塁打をうち、王選手を初めとする55本の日本記録を抜きました。条件が違うので、単純比較も難しいですが、王選手の時代と今年の記録は似ています。後楽園球場、神宮球場とせまい球場をホームとし、圧縮バットと飛ぶボール、という反発係数の高さが指摘される道具の使用。試合数なども同様に、野球の記録とは基礎的な条件も考慮して、本来は比較すべきものです。それでも、今年のバレンティン選手の活躍は、本塁打のみならず、打率、打点でも秀でており、特筆に価する内容ということがいえるのでしょう。

記録といえば、今年大リーグで活躍する上原投手が話題です。抑えとしては二番目に遅い投手ながら、連続してアウトを重ね、さらに与四死球が少ない。三振奪取率が多い、と文句のつけようがありません。今年、元オリオンズの村田投手が、60を越えて130kmをだしたという話もありましたが、昔の投げ方の典型である村田投手と、近代に主流となる投げ方をする上原投手を並べると興味深いものがあります。
かつては遠心力、体から遠い軌道でボールを動かすことが主流でした。村田投手のマサカリ投法など、手を目一杯下にさげて、体に近づけることなく投げ下ろす。球は速くなりますが、細かい変化球は苦手です。一方で、上原投手の場合は体に近い軌道で、体の軸を回転するスピードをあげて投げます。後者も球は速くなりますが、それ以上に打者が感じる体感速度が上がる、といわれます。前者の投げ方は、投手が球をもつ時間が長く、後者だと時間が短くなり、その分タイミングがとりにくい、というのです。大リーグでは体の屈強であるため、前者の投げ方が多く、上原氏のような投手は打ちにくい、といわれます。

実は、それが自然とできているのがダルビッシュ投手、といわれます。高い身長にも関わらず、腕が短いため、体にひきつけて投げることができる、というのです。ダルビッシュ投手も三振奪取率に秀でており、そうした効果もあるのなら、日本人の投手はもっと大リーグで活躍できるかもしれません。
記録といえば、今年はイチロー選手が日米通算4000本安打、がありました。大リーグ内にも国粋主義があって、大リーグの記録しか認めない、という動きがあります。しかし日米の野球は、ソースと醤油ぐらい違う、といわれる中で、日米ともにヒットを重ね、記録をつくり続けるイチロー選手が、すばらしい選手であることは自明のことです。記録はその基礎的な条件をしっかりと考察したとき、その偉大さ、すばらしさが分かるのであって、単純にこれではダメ、や外国人だから気に食わない、というだけの評価では、その面白みがまったく分かっていない、となってしまうのでしょうね。




analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2013年09月14日

福島原発沖の海底調査

イプシロンが打ち上げられました。初号機以後、38億円と安価に打ち上げ可能、とのことですが、恐らく新興国もこの方式を真似てくるため、その賞味期限は短い。その間に、どれだけ信頼性を増し、国際社会に『ロケットなら日本』というイメージを植えつけられるか? が課題です。
二台のパソコンで監視可能、という話題もありますが、アポロ計画でバンバン宇宙船を打ち上げていたころのNASAの機器は、今のラップトップ一台分の性能といわれます。巨大な部屋で、いくつもの計器、画面に向かう人の映像が残されていますが、今はそれをパソコン一台で賄える。ロケットの製造方法のみならず、制御、監視の格段の進歩には今後も期待したいところです。

原子力規制委員会が、福島第一原発沖千平方kmの海底に、ワイヤで計測器を下ろし、約60万点の汚染調査をする方向です。すでに東工大が機器を開発し、運用していたものをやっと正式に採用する、ということです。五輪開催地決定までは、調査すらできなかった。当然、調査中で結果がでていなければ「大丈夫、問題ない」という演説もできないのですから、調査すらできない状態でした。
さらに結果は来春にまとめられるため、その間は魚介類の安全性を担保できません。もし長期の影響が確認されれば、漁業の再開は一層遅れますし、もう諦めるしかないかもしれません。そうであれば、今から別な仕事を探すか、漁場を替えるしかない。そういう判断もできません。つまり保証があるか、ないかをきちんと確認しない限り、漁師は身動きがとれない状況におかれます。これも、調査開始時期の遅れ、五輪開催地決定までの情報封鎖が招いた罪、といえるものです。

陸上は航空機で、一気に測れるという話もありますが、放射線防護の最大の効果は、距離を開けること、とされます。つまり航空機で上空数百mのところから測り、測定限界以下であっても、地面スレスレで計測すれば線量が確認されるかもしれない。逆にこれは、線量が計測されて、初めて地上の数値を逆算できるものです。今回、海底をはかる筒状の計測器は、地上に適用してもいいのでしょう。
制御、監視をする機器の性能は上がっています。しかし人間が計測を怠り、適当にすれば、出てくる数値の信憑性も低くなりますし、きちんとシステムを設計しなければ、やはり結果が伴わなくなります。福島原発の汚染が、完全にコントロールされているか? それは人間の態度によって決まる、といえるのでしょう。今はやっと、そのコントロールするための準備段階に入っただけ、という認識をもっていない限り、放射線管理など到底ムリ、となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2013年09月13日

法人税減税での意見対立

安倍首相の「完全にコントロール」発言で、東電幹部は「コントロールできていない」との発言を「トラブル発生の認識」としました。菅官房長官も東電の認識を示していますが、イイワケが意味不明すぎます。トラブル発生により終息への道筋が見えないことを「完全にはコントロールされていない」と云うのです。最近、メディアは『完全』を抜いて表記しますが、「完全に…」を抜くと、意味が変わってしまいます。IOC委員の意見も確認して、「完全に…」を抜くかどうか、そこに重点が置かれていたかどうかを示した後、そうした記載をするかどうかを示すべきです。
つまり、これは野党がうまくやれば、1ヶ月は審議を止められる、臨時国会が飛びかねないほどの意味を秘めるのです。メディアが勝手に内容を変えていいものではありません。臨時国会の会期中は国際会議も多く、閣僚の出席も滞りがちで、大した内容は審議できない。さらに、政府は福島原発問題の委員会開催すら拒否している現状で、この発言があり、集中攻撃は確実なのです。そのとき、トラブルが発生しても大体コントロールできていればいい、というIOC総会とは違う意味の解釈になりかねない報道をくり返せば、そのうち国際社会から手痛いしっぺ返しを喰らうでしょう。

法人税減税の判断で、麻生財務相と甘利経再担当相との相違がめだってきました。麻生氏の言葉を借りれば、3割しか企業への好影響はないのだから、やっても無意味となります。ただでなくとも個人偏重、法人の税負担が軽い日本で、見かけの実効税率だけを議論しても意味がありません。
例えば、先々週発表された4-6月期法人企業統計では、全産業の売上高は前年比0.5%減でした。小売が堅調、堅調と云われてきた割りに「おや?」という数字です。ビール出荷も多い、とされながら今夏は最終的に前年比マイナスに沈みました。しかし経常利益は、全産業で前年比24%増。これはほとんど円安と、不動産取引の活発化によるもので、非常に脆弱な景気回復といえます。逆にいえば、金融政策の押し上げ効果、という側面が強く、ここで消費税増税をして、消費が減退をおこせば経常利益の回復を打ち消してくるでしょう。さらに円安にならないと、来年は増収効果が得られない点もマイナスです。法人税減税の効果がでにくい、それが来年の情勢です。

しかし9月の月例経済報告では、景気認識を「緩やかに回復」と上方修正されました。消費税増税の前に懸念を示せない、という判断が働いたものと思われます。設備投資が非製造業を中心に回復傾向だから、という理由が示されていますが、この設備投資は建設業、小売の新規出店に伴うものが主で、こちらは大盤振る舞いをした国土強靭化計画の効果、が大きいと思われます。
法人企業統計では、明らかに今の経済は政策効果によって押し上げられた面があり、刺激策が切れた時点で、終了してしまう脆弱さがあります。企業に減税しても、縮む経済環境下では防衛的になることが想定され、浮揚効果はない。もし法人税減税をするなら、今は法人税を支払っていない、損失との相殺で免除されている企業への、税負担を求めるべきなのでしょう。個人から吸い上げ、企業に還元する姿勢では、日本の景気は急落することがほぼ確実でしょう。景気対策で5兆円をばら撒いても、それは同じです。企業間のバランスを調整する、そうした議論にならない限り、今の安倍政権の議論の方向性では、来年の落ち込みは避けがたくなってくるのでしょうね。

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2013年09月12日

消費税増税と景気対策のセット販売

今日になり、各紙が一斉に消費税増税が決定、ただし約2%にあたる5兆円を、景気対策に充てるとする記事が並びました。しかしこれは最悪の記事です。今年初めにうたれた景気対策で、通常なら年末の臨時国会で、税収増の上ぶれ分として計上されるものから、国債整理基金の繰越分にいたるまで、予算をはきだしています。つまり、今年から来年にかけて、補正に回す予算はほぼないのです。
いくら捻りだしても、1〜2兆円がやっと。これが、財務省が安倍政権の動きを牽制する一因となっています。しかし、これは官僚にとって願ったり叶ったり。つまり、もう補正予算に回す分はないので、仮に5兆円の大型の景気対策をうつとすれば、来年の消費税増税による税収増分を充てるしかない。これは付則で示された、消費税増税分を社会保障以外に充てられる、を初年度から達成できます。再来年から、消費税増税分は一般会計として使い放題にできる、という腹をもっているでしょう。

しかもどうして2%分なのか? について、経済ブレーンが1%刻みを主張しているから、に焦点をあてて報道する向きもありますが、実は社会保障費の増分が、年間2.5兆円程度なのです。これは、年金の国庫負担の増分を補える額であり、2.5兆円は下回りたくない。そんな意識が働いています。
つまり、消費税増税分を回さない限り、捻出できない額の補正予算をくみ、党内のバラマキ隊を納得させる。一方、社会保障の単年度分は下回らない額、それが5兆円なのです。しかしそう上手くいくのか? 財務省の試算では、1%で2.7兆円の税収増がみこめますが、恐らく税収は率が上がると右肩下がりになるので、8%だと7兆円は下回るはずです。そのとき、5兆円の景気対策をうつと、結果的に社会保障の増分さえ賄えない、という事態になり、それが財政への懸念を強めるでしょう。

さらに、これまでも指摘しましたが、復興需要、五輪特需、国土強靭化計画など、これまでの景気対策で、すでに浮揚効果の薄い景気対策しか打てません。しかも、これまでの補正予算が大して景気を上昇させなかったのも、官僚の利権に関わる部分に予算を回すため、です。つまり増税して、官僚の裁量できる予算枠をふやし、景気対策で自分たちが肥え太る、という構図が強まる懸念もあります。
何度もいいますが、穴の開いたボールに、いくら上から水を注いでもダメなのです。消費税増税で上から水を注ぐ前に、今の経済構造に合わない、社会保障制度を見直さなければならない。景気対策を打つ前に、官僚利権、政治家のバラマキ、の構図を改めなければいけない。それが、安倍政権ではまったくできていない。旧来の自民と何の違いもない、しかも規模を拡大している、最悪の状況が、この増税と景気対策を一体でうちだす姿勢に、縮図として表れています。将来のためのお金を、施策をどんどんと食い潰していく安倍ノミクスが終わったとき、日本に残るのは焦燥感と危機感、という事態にまた一歩近づいた、と云えるようなニュースなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2013年09月11日

雑感。うそと安倍首相と新聞

AppleがiPhone5S、5Cが発表されました。日本では5Sが199$、5Cが99$からと報じられ、安いという印象を受けるかもしれませんが、これはキャリアとの契約であり、新興国で多い端末単体の価格では5Cで549$と伝わります。本気で新興国市場をとりにきてはいない、安売りすることで、先進国での価値下落を怖れる余り、今ひとつ中途半端な印象です。5Sの売りが指紋認証、というのもがっかりです。
日本では、docomoの取り扱いが正式発表されました。しかしプラチナバンドの対応でみると、au、docomo、softbankの順となり、今後の優劣に差もでそうです。さらに端末を叩き売っても契約増で収益をあげてきたビジネスモデルが、今後通用しなくなる。softbankもauも、Appleとの契約で決められている販売数を下げない限り、ドル箱から重荷になる可能性もある。端末の変更点、Appleの戦略に大きな転換はみられないものの、日本でおこす波風だけは大きくなりそうです。

東日本大震災から2年半が経ちました。そんな中、安倍首相がIOC総会で行った演説が、大きな波紋を起こしています。汚染水の影響は原発専用港湾内で完全にブロックされている」、「コントロールされている」しかしシルトフェンスは細かい目ではあっても、海水は遮断されておらず、放射性物質はとめられていません。つまり「trust me」以来の、国際的なうそつき首相になったのです。
生き馬の目をぬく国際社会で、うそをついても実利がとれればいいのか、メディアはこの件をほとんど報じません。麻生財務相などが度々、国際舞台で消費税増税に言及し、半ば国際公約化した消費税増税でさえ、最近の新聞は軽減税率の導入が間に合わないから、として8%を見送り、3年後に一括して10%増という主張に転じています。しかし新聞の主張通りにすれば、国際的にはうそをついた、と思われるでしょう。あえて言えば『うそつき』になれ、と主張しているようです。

しかし翻ってみると「trust me」は、うそではありません。ただ相手からの信用を落とすだけです。今回は、はっきりと分かるうそです。「完全」とつかえば、「完全でない」ことがうそなのです。「ほとんど」などの曖昧な部分がない。100%でなければならない。英語の方が厳密なので、perfectと訳されてIOC委員も満足したのでしょうが、それが国内でうそだった、と報じられれば、IOC委員からの非難が集中し、政権には打撃となる。だから報道を控えている側面が強くなっています。
安倍氏の今回のスピーチはwhite lie、方便だったと言い切るつもりなのか? 最近では、官邸と宮内庁の対立、五輪招致をめぐる皇室利用の話も、メディアはほとんど報じません。五輪招致のためなら、うそも皇室利用もあり、という先例を今回つくってしまいました。震災で、日本人の価値観は大きく変わった、とされます。しかしそこに誠実さの欠如、うそをついてもいい、といった風潮が蔓延っているのなら、日本は明らかに間違った方向にすすんでいると言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2013年09月10日

中国経済に回復の兆し?

安倍首相が9月中に経済対策パッケージをまとめ、消費税増税による落ち込みへの対策とする方針を、閣僚に指示したと伝わります。しかしここには大きな矛盾があり、増税できるほど景気が強いことが、増税の前提であるはずです。新たに景気対策が必要なほど、回復が脆弱なら、本来は増税すべきではありません。しかも復興需要、五輪需要、国土強靭化計画と財政出動は目白押しで、逆にいえば景気対策が利きにくい環境であることも、このパッケージに懐疑的にならざるを得ません。特に、低所得者に1人1万円? なる案で、何が景気対策かもさっぱり分かりません。
読売が、消費税増税に反対の社説をうちましたが、理由は軽減税率の導入が間に合わないこと、です。しかしこれも大いに矛盾しています。増税だけ先に決め、中身は後で決めるからあのときは賛成でした、は通りません。こういう形でなければ賛成できない、それが正論の主張です。スケジューリングは決まっており、議論が間に合わないことも予想できたことです。自分たちのロビー活動が上手くいかず、新聞に軽減税率適用がないから反対、といっているようにしか聞こえません。

最近、中国の経済指標に好調なものが目立ちます。今日の8月鉱工業生産指数も10.4%増と市場予想9.9%増を上回ってきました。1-8月固定資産投資は前年同期比20.3%増、不動産投資は19.3%増でした。さらに広義の資金調達である社会融資規模は1.57兆元と、前年同月比25%も上回っています。
しかし警戒も必要です。習体制になってから、一時期は不動産投資などに規制をかけ、投機を抑制した結果、想定以上に景気が落ち込んでしまったため、今はその巻きなおしの動きが起きている、とみるのが一般的です。しかし一度落ち込んだ景気が、そう簡単にもどることがないのは、経験則です。中国のような共産主義体制に当てはめるのは危険ですが、今回は中央からの号令で、地方の統計局が好調な数字を報告した結果である、という公算も強い。本当に鉱工業生産が伸びたとすれば、在庫投資の側面が強く、消費の弱さからも国内外において過剰在庫の懸念があります。

もう一つ気になるのが、社会融資規模の伸びです。シャドーバンキングは、個人や中小などが一度手をだせば、通常の金融機関の融資対象とはならない、それが鉄則です。シャドーバンキングの実態はつかみにくいですが、仮に100兆円程度としても、1月で25兆円も伸びれば、融資対象が被っている可能性が高い。つまり金融機関が資産の劣化を覚悟で、ムリして融資したとしか思えないのです。
数字の信憑性が低いので何ともいえませんが、不動産投資にしろ、価格の伸びは一部の回転取引によって押し上げられている側面もあります。いくつかの主体が、買いをくり返して値を吊り上げている。鬼城のように、無人の都市ができている現状で、相対的に価格が押し上げられているとすれば、投機対象としての価値しかなく、値を飛ばすことで双方が資産を増やしている。これは金融取引としては、極めて危険なやり方です。ここもとの中国経済は、回復というより終わりの始まり、としか見えず、実態がみえたときの中国経済は、矛盾だらけで修復不能になりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2013年09月09日

GDP改定値と個人マインドの悪化

今日の東京株式市場は、五輪ご祝儀でわきました。しかし建設、不動産、カジノ構想まで語られるテーマパークなど、これまでも上昇してきた銘柄に、6日の売りの反動がでただけのことです。あまり語られませんが、実は電通がもっとも恩恵をうける、ともされます。政府とも都政とも近く、さらに広告宣伝費の増加、権利関係でもすでに密約が存在する、ともされます。それが、ワイドショーなどでも今回はやたらと五輪開催を煽った、負の側面を伝えなかった原因、ともされます。
日本は情報を隠蔽するのと同時に、報道の中に『国がやること』を批判し、反対する人間を『国賊』として排除する風潮があります。安倍ノミクスもそうですし、五輪招致も同様でしょう。意見は右から左まであって議論になりますが、最近では一方の人間だけ、もしくは一方を論客でない人材を選定し、あたかもそちら側が主の意見、とする印象操作も目立ちます。前回、招致活動費が158億円もかかり、ムダだったとして今回は半額だと公表しています。しかし権利を譲ることで、招致への賛成を募っていたら、それも問題でしょう。今後の放映権料の話、国外のIOC委員へ投票をお願いするためTPPでの妥協、日本のODAの拡大、などの話がでてきたときには、注目です。

4-6月期GDPの2次速報が年率3.8%と上方改定されました。法人企業統計などが好調で、修正は確実でしたが、1次速報から個人消費が下がり、公共投資や設備投資の大幅な上方修正となったことによる改定です。しかし賃金、雇用が改善する、とする一方で、今日発表の8月消費者態度指数は3ヶ月連続低下の43.0。暮らし向き、収入の増え方、雇用環境は低下しています。また8月景気ウォッチャー調査は、現状判断DIで前月比1.1pt低下の51.2で、これは5ヶ月連続の低下です。
これまでも日本の景気は4月に一旦ピークをつけた、との見方を示しています。明らかに電気料金、ガソリン価格などの高騰に消費者が身構えており、マインド面の低下が続いています。それに五輪開催でも、7年も浮かれ気分が続くわけではありません。むしろ生活実感の悪化に耐え切れるか? 公共工事のバラマキでさらに資材が高騰し、それが生活にはね返るとマインドは悪化します。

恐らく、五輪開催決定でも、日本では個人の実感はずっと悪化を続けるでしょう。先延ばしされようと、小刻みな上げになろうと、消費税増税が待っているためです。GDP改定値ではまったく逆の結果を示していても、7、8月の個人の景況感に関わる指標は、確実に悪化しているのです。五輪開催が、電気料金やガソリン価格を下げてくれるわけではなく、逆に上昇要因になりかねません。
今日の株式市場は、久しぶりに売買高が2兆円にのせましたが、朝方の買いが倍になっただけで、実需の買いはそう膨らまなかった。五輪特需、などと語られますが、海外投資家は日本の財政負担、公約化した福島原発の問題に、厳しい目を向けていることが想像されます。五輪開催で、不動産や権利をもっている人間には特需なのでしょうが、個人への恩恵は海外に行かなくても五輪がみられる、といったものに留まることが、マインドの改善の限界、といったところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 社会

2013年09月08日

夏季五輪が東京へ

2020年夏季五輪が、東京に決まりました。喜べないのは、安倍首相がスピーチで福島原発の汚染水は0.3kmの範囲に抑えられている、と述べたことです。これはウソではないのでしょう。ナゼなら、東電が海洋流出を認め、外洋へも流出している可能性が指摘されてから、政府は大規模な海洋汚染の実態を調査していないからです。知らないものは、知っていてつくウソとは異なります。日本風の答弁では「知らなかった」で済まされても、国際社会が今後の福島原発の情勢をみて、ブラジルのように懸念を抱かれる心配もあります。悪い言い方をすれば、安倍ノミクス第4の矢は、汚れた手で掴み取った勝利、無知の知…知らずを知り、知恵者を装って得た勝利だったのでしょう。
幸運は、決選投票がイスタンブールになったこと、です。マドリッドなら二位になった熱狂が、そのまま決選投票にも影響したでしょう。イスタンブールだったことで、シリア情勢や国内の政情不安から、よくやった感が漂いました。7年後も同じ情勢であるかは分かりませんが、シリア内戦の長期化や、中東戦争にまで発展する可能性を鑑みれば、五輪どころではありません。

五輪が決まったことで、様々な影響があります。リニア鉄道の運転前倒し、首都高の改造、築地市場跡地の活用、東京からの闇勢力の追い出し、などなど、考えたらキリがありません。リニアでは、山梨実験線を延長し、東京―富士山間を開通する話もありますし、首都高は老朽化の問題への対応も必要でしょう。いずれにしろ、かなりの財政出動が予想されます。
以前も指摘しましたが、五輪前に天変地異がおきると、日本の財政負担は一気に重くなることが想定されます。福島原発の汚染水対策、廃炉費用にも国費投入という話になれば、税金の使途は際限がなくなります。すべてが想定通りにすすんだとしても、いずれかの段階で警戒値を高めるでしょう。今回はいかにしてコンパクトに既存施設、設備を利用して安上がりに抑えるか、が肝心です。さらに、これまでも東京一極集中が指摘されてきましたが、東京五輪のためまた集中的にインフラ整備などを進めれば、地方からのやっかみも増えるでしょう。それに応える形で、自民議員が陳情うけつけを行い、公共工事をばら撒こうとする動きにも、注意が必要なのでしょう。

株価的には、これまでも建設業、オリエンタルランドなどの上昇が目立っていました。ある程度は好材料と受け止めても、それほど長く上値は追えないでしょう。受注企業が決まらないうちから、業界全体を押し上げるほどではありません。それに地上げの必要もなく、また都内にあると何かと不都合な店、業種は追い出されますので、不動産業の活況という話も眉唾です。建て替え、造り直しが多い今回、新たにホテルを増設する必要はなく、それこそ空いた物件の活用で済みます。
今回の五輪では、如何に予算措置を少なくし、それで効率的に事業をすすめるか、が問われます。しかし今の安倍政権は、公共工事の拡大やら、威勢のいいことを言って、やって景気を煽っており、そうした規律が守られるとは到底思えません。日本が2020年まで、財政出動を拡大する。その原資に消費税増税が待っていることを考えると、決して喜んでばかりはいられないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2013年09月07日

雑感。科学的根拠にもとづく判断とは?

日本の東、1500kmほどの海底6500mのところに、4000m級の火山性丘陵のあることが確認されました。1億4500万年前に活動を停止しているので、噴火する類ではありませんが、太平洋プレートそのものが新しいものであり、この火山性丘陵も拡大する太平洋プレートで、形成されたとみられます。
日本は4枚のプレートが鬩ぎあう、世界でも珍しい場所ですが、もしかしたら5枚目があるのでは? との話もあります。フィリピン海プレートの伊豆半島の辺りは、フィリピン海プレートから分離し、プレート境界面はもう少し東にあるのでは? ということです。それは南海トラフなど、懸念される大地震において、連動して揺れた際により東京に近いことから、揺れも津波も到着が早くなる、となってしまいます。未だに地球科学は日進月歩であり、だからこそ安直に安全などという考えを捨て、リスクサイドで判断する必要を感じてしまいます。

停止する大飯原発で、活断層ではない、という原子力規制委の意見がまとまりそうです。ただし、経緯は極めて問題で、当初別れていた判断が、全員一致となったのは会議の中で唯一の地震学者による、強い否定によるものでした。活断層ではない、という強い主張で全員がそちらに一致で合意形成したのです。誰がみても活断層、という原発立地地域もありますが、誰がみても活断層ではない、というわけではない。この辺りは現在分かっている範囲でどうか? ということになります。
翻って、福島第一原発の遮水壁でも、馬渕民主議員が事故発生当初、凍土方式を検討したけれど、実績もないし、完全にとめられる可能性が低い、として却下していたと明らかにしています。では、この前の対策案で凍土方式に決まったのは、一体いかなる判断があったのか? 巨大な面積で、入ってくる水も出て行く水も食い止める、という実績がないにも関わらず、国費を投入しようとしている。緊急対策とはいえ、どうして金属板で囲まないのか? ここに科学的説明はありません。

韓国が日本の関東から東北にかけて、水産物の輸入禁止としたことを、菅官房長官は「科学的根拠に基づく対応」を求めますが、では菅官房長官は凍土方式の科学的根拠を説明できるのか? 韓国の対応を支持するわけではありませんが、日本はチェルノブイリ事故の際、あるときから突然報道を封鎖し、パニックの拡大を封じています。禁輸などの措置はとりませんでしたが、明らかに欧州産、ロシア産の販売は低迷しており、これは不安にどう応えるか? という問題に過ぎません。
韓国の偏向報道も問題ですが、日本の封鎖報道も問題なのです。そして今、日本のそうした封鎖報道に納得せず、追及してくるのがIOC総会に集まる海外メディアです。日本は大丈夫、問題ない、といっても納得しない。それは予てから日本では、正しいことを伝えないまま安全神話をばら撒いた、という過去を知っているからです。日本の数字はこれぐらいです、といっても調査範囲を甘くすれば、数字などいくらでも操作できてしまう。厳しく全数測定し、それでも問題ない、と言い切れるだけの日本の詳細な調査は、依然として行われていない。だから海外の不安が消えないのです。

不安を煽りたて、その結果国家として対応せざるをえなくなる韓国と、不安を抑えるため、情報を伝えない日本とは、ともに科学的根拠に基づいているとはいえません。日本は他国の批判をする前に、IOC総会という国際社会で、自分たちの主張が受け入れられていない現状を鑑みて、改めて国民にも納得してもらえるような説明、科学を適当な範囲で解釈して捻じ曲げるのでない説明を、今はするべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年09月06日

G20閉幕と米雇用統計

米8月雇用統計が発表され、非農業部門の新規雇用が16.9万人、失業率7.3%でした。改定が7月16.2万人から10.4万人、6月18.8万人から17.2万人に、それぞれ引き下げと、極めて悪い結果でした。失業率の低下は失業者数全体が減った、職探しを諦めた人の増加が原因であり、夏場から低下を示した経済指標の動向とも合致します。ただ、これでFRBの政策運営は不透明になりました。

G20が閉幕しました。シリア情勢が主要議題となりましたが、G20は経済会議であり、その意味で米量的緩和縮小に基づく影響を「注意深く監視」とするに留めました。新興国では景気減速にも関わらず、利上げして通貨防衛にはしるなど、不安定な動きがでており、監視では済まない問題です。さらに経済成長と財政再建を通じて、雇用創出する方向性でも各国が一致しています。しかし先進国の金融政策に振り回され、財政出動なき経済成長の達成、という極めて困難な課題を、あたかも高貴な目標として掲げただけで、具体策も対応もないことを今回も再確認しました。
バーゼル委員会が、少し気になる報告をしていて、マネーマーケットファンド(MMF)も急な解約に備え、10%を超短期の資金で運用するよう、提言するというものがあります。まだ正式に決まったわけではないようですが、米MMFなど巨額の資金運用がありますし、中国のシャドーバンキングもMMFに該当します。国際金融のルールなので、国内のみのシャドーバンキングにまで適用されるかは、また議論もあるでしょうが、米MMFなどが運用方針を変えると、世界にまた変動が起こることは確実です。

8月は世界で製造業景況指数の改善がみられました。米国の自動車販売が好調、ということで今後の景況感の改善をみこして、在庫の積み上げが活発だったのも一因ですが、米国ではパートタイムなど、労働の質の低下が囁かれています。さらに自動車販売も安価なリース販売が押し上げた、という側面もあり、雇用統計の悪化をみても、米国経済も磐石とはほど遠い状況がわかります。
日本も、景気ウォッチャー調査を見る限り、決して好調とはいえない。自動車販売が好調ですが、リース販売なら利益率は低くなるでしょう。まさに、4月の日銀の異次元緩和から5ヶ月で、上げ相場も一服して正念場にきた、といえます。東京五輪が決まれば経済効果…という話もありますが、ただで達成されるはずもなく、そこには財政出動も必要です。数兆円稼ぐのに十兆円以上かけていたら、それは失敗であって、決して良い側面ばかりではありません。財政規律との綱引きの問題なのです。

世界経済も「下げ止まり」とはされますが、それは一時的な小康かもしれない。再び下げ基調に入る怖れは十分にあります。黒田氏はまだ緩和余地がある、と強気ですが、今でさえ懸念される出口戦略を、さらに難しくするだけで決して好感材料ではありません。米FRBの出口戦略が、その試金石になることは確実であり、今回の雇用統計で再来週のFOMCでどう判断を下すのか、そこがターニングポイントとして意識されてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2013年09月05日

雑感。婚外子の最高裁判決について

G20が開幕し、安倍首相が念願だった日米首脳会談が行われます。しかし今回はオバマ大統領の事情で、セールス外交であり、シリア介入への支持の押し売りです。米国と違う路線をとったことがない国、米国がやることは判断を放棄し、盲目的に支持するような国は、国際的にも発言権がない。そのことは、今回の支持表明における世界の反応でも、明らかになるのでしょう。日本が支持しない、となればホットトピックですが、支持すれば今までと同じ、と受け止められます。
日本では東京五輪と、福島原発を絡める報道はほとんどないにも関わらず、海外メディアは必ずそれを質問する。放射線量がパリ、ロンドンと同じレベル、ではダメです。ホットスポットが問題なのですから。相手が納得しなければ、説明を変え、論拠を示さなければ相手は納得しない。それが海外の常識であり、出来なければネガティブに受け止められます。準備された回答を読むだけで、自分の言葉に置き換えていないものはもっとダメで、プレゼン能力がない、とみなされます。

昨日、婚外子裁判で、最高裁が民法の規定を「違憲である」としました。かつては家を基本、家を守ることを基準に、民法も嫡出子よりの規定を設けていたことは事実で、是正されなければいけませんでした。しかし、相続の問題ばかりでなく、様々な面で未だに婚外子にはつらい事情もあり、今後はそうした区別をどうしていくか? これは少子化にも関わる問題のため、重要です。
寡婦控除の問題もそうですが、社会保険の適用を検討してもよいでしょう。今はDNAで判定が可能となったため、不正は防げます。企業としては、婚外子まで保険適用すれば負担も増えますが、逆にそうした社員の態度にも目配せするようになります。これは子供からの申請があれば認める、などとしてもよいでしょう。婚外子をつくる、というのはそれだけ責任を負う、という姿勢が大事です。

仏国が、結婚を前提としない子育てを容認し、そのことで少子化対策となったように、子供にそれだけの権利、保障があれば、形に拘らず子供をもつ女性も増えるでしょう。ただこれは男性にとっては不利な面が強い。家庭の外で遊んでいる人間は、ある日突然社会的にそうした関係がばれる恐れがある。しかし、そうした責任を負ってこそ、自らの行動を考えるきっかけにもなります。
ただ、問題は古い家族制度にこだわる人間が多い、という以上に、実は婚外子などの問題を抱えるのは政治家も同じ、という面があります。近年はさすがに減りましたが、昔から英雄色を好む、として政治家が外で愛人をつくることは、よくありました。しかも政治的配慮から、それを隠蔽してきた。そんな歴史が、民法の改正に後ろ向きだった要因の一つにあります。女性の社会進出、が指摘されて久しいですが、男性中心の考え方が、そうした制度を残してきたのです。こうした結婚と子供の問題にまで踏みこんで、新しい社会の形を築く。婚外子も嫡出子と同様、社会的に様々な不利を撤廃する、という形にすることで少子化が解消されるなら、これほど有用なものはありません。今後も、選挙制度改革のように、司法の側から政治に改革を促すことが増えてくるのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 政治

2013年09月04日

安倍首相がG20、IOC総会へ

安倍首相がG20に向かいました。「財政再建を世界に訴え…」と出発前に語っていたので、消費税増税の腹は固まったようです。今年の4-6月期GDPが良好だった反動、駆け込み需要の反動で、来年の4-6月期の落ち込みは相当にひどい、という事前予想を振り切って、財政枠を拡大してバラマキたい、という党内事情にも配慮したようです。さらに福島原発でも、経年的対策費が必要となりそうです。
昨日の対策案でも、遮水壁の維持、管理費は算出していない、としています。建設費も470億円では不足し、しかも放射性物質除去装置(ALPS)の開発費もかかるため、来年も予算枠をとらねばなりません。さらに、タンクは高レベル放射性廃棄物です。いくら除染しても線量は下がらず、こちらも管理、保存のコストがかかります。原子力施設で、5年が寿命のタンクを建てるなど、論外の対応です。5年経てばゴミとなり、除染するにも作業員が大量被曝します。初めから溶接タンクでなければならなかった、その判断の甘さだけでも、東電の過失はかなり大きい、とさえ言えます。

民営であれば、株主総会や業績開示など、監視の目が働くという意見もありますが、今の東電は存続にむけて策を弄さねばいけないほど死に体であって、隠蔽、捏造、不正など何でもありです。それも、すべて存続を暗に決定しており、それらの事例で破たん処理されることがないため、です。今回、国が関与を決める際、研究、開発に限定していますが、そのうち廃タンクなどの保管、処理にも国費を…という話になるでしょう。放射性物質の再利用、という名目なら、今回のように予算措置ができるためです。野田政権の怠慢が原因ですが、安倍政権の対応もお粗末です。
そんな安倍氏は、G20を初日しか出席せず、すぐIOC総会に向かいます。投票の際、日仏間に密約? という話もありますが、2024年の五輪をパリに、と云ってみたところで、EUが一枚岩になれなかったら、次のIOC総会で支援を受けにくくなります。過去、欧州では連続開催も多く、ハードルは低い。それより、2018年の冬季五輪が韓国の平昌で行われるため、冬、夏とアジアが独占するハードルは高い。今回、消去法という話もありますが、アジアやアフリカの支持の広がりがカギです。

つまり、アジアで連続開催となれば、次に五輪をアジアでやるハードルは極めて高くなります。アフリカ票は中国の意向、猪瀬都知事の失言で期待薄、ロシアも土壇場でどう態度を変えるかわかりません。シリア情勢で、日本が米国支援を鮮明にすれば、尚更支持は期待できなくなるでしょう。さらに、今回の最大の不安は、英国の予想で日本がトップであること、です。つまり、決選投票に持ちこまれた際、2、3位が共闘する可能性が高い構図にある、ということです。いくら遺恨があっても、トルコと欧州はつながりも深い。ここが連携すると、アフリカ、南米票をもっていかれます。
今日の日経平均は、14000円を回復しましたが、五輪期待の短期の先物買いの側面も強いようです。14000円のプットが重く、抵抗も予想される中、あっさりと抜いたのは低調な売買という以上に、どうせ来週には利益確定売りがでる、という読みなのかもしれません。安倍ノミクス第4の矢、とも言われますが、安倍氏の弾丸外遊が功を奏すか? 今日の地震で相場が急落したように、今は天変地異にすら怯え、震災や原発を意識されないよう祈っているところなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2013年09月03日

集中点検会合の報告

日経平均は大幅高でした。シリア空爆が先送りになったこと、及びあまり語られませんが、福島原発の処理に国費470億円がつかわれ、汚染水問題の不透明感が払拭され、欧州系が値をとばした形です。ただ、イスラエルの実験? で欧州が崩れており、このシリア情勢の落ち着きを好感する相場が、そう長くつづくとは思えません。SQにむけた思惑、など振らされ易い展開がつづくのでしょう。

甘利経再担当相が、安倍氏に集中点検会合の結果を報告しました。以前、消費税増税を先送りしても、国債は暴落しないと述べましたが、その根拠は簡単で、尚且つその先にもっと大きな、国債暴落を引き起こしかねない事態が待ち構えているためです。簡単にいえば日銀が債券市場で7割超のメインプレイヤーである間は、格下げになろうと、金融機関も安心してもち続けられます。それに、金融庁から厳しく国債の売り叩きに加担するな、と厳命されるでしょうから、日本の金融機関は保有し続けるしかありません。日本の国債は格付けで動くような状況ではないのです。
債券市場を動揺させる、最大のイベントは日銀の金融緩和終了です。このとき、いくら金融庁が厳しく指導しても、金融機関の体力の問題、また当然、景気回復で金利上昇局面が想定されることから、益々金融機関に国債保有を増やすインセンティブは働きません。買い方が一気に減少する、このとき最大の売り崩しのタイミングが来ます。さらに、消費税を10%にしても、2020年までにプライマリーバランスは均衡していない。もし増税先送りぐらいで国債が暴落していたら、この三重苦を逃れる術はなく、日銀は半永久的に買いオペを通じて資金供給をつづけ、金融緩和することになります。そうなると、日銀のバランスシートへの懸念が、いずれ噴出する次のターゲットです。

2013年度の一般会計予算の歳入でみると、所得税13.9兆円、消費税10.6兆円、法人税8.7兆円、その他13.9兆円、公債金45.5兆円です。消費税を8%にしただけで、税収における最大の規模となります。よく財務省は、国民負担率(対国民所得比)が他のOECD諸国と比べても低く、増税の余地がある、という言い方をします。しかし日本の租税負担率が下がってきたのは、一部では減税の影響などもありますが、所得自体が少なくなっていること、労働人口の減少、などが挙げられます。一方、社会保障負担率は毎年上昇してきました。その結果、国際的にみると低位に見えてしまいます。
また、間接税を増やしても租税負担率には関係ないため、日本は依然として国民負担率が低い国、ということになります。しかし、国民の負担は社会保障費をはじめ、間接税といえど増えており、国民に重税感はことの外重くのしかかります。7月の法人企業統計が好調で、4-6月期GDPの上ぶれが示唆されますが、7-9月期は落ち込んでいるとみられ、反動減以上に景気に一服感も出る、とされます。

日本の税制全体を考える上で、日本は法人税の実効税率は高くても、企業の負担率は低い国である。一方で、間接税をふくめた国民負担は高い国である、ということなのです。法人税に特徴的なのは、毎年こつこつと利益をだす、マジメで優良な企業から積極的に税負担をもとめ、赤字にして税逃れをする企業の方が多い、という現実なのです。国民の所得税、社会保障費はほぼ企業が納めているため、マジメで優良な税負担者となっている。さらに、間接税という負担が重くなることで、この国はきちんと生きている人間がより生き難い、といった国に益々なってしまうことでしょうね。

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2013年09月02日

福島第一原発の総合的対策案?

埼玉から千葉にかけて、巨大な竜巻が発生しました。今年の関東は水不足で悩んでいましたが、雲が発生すれば、急激に発達して竜巻や集中豪雨になる、という不安定さにも悩まされています。まだ海水温が高く、予断を許さない状況がつづきますし、日本全国の今年の天気は異常、ということを認識して、警戒は怠らないようにしたいところですね。

日本原子力学会の事故調が、多核種除去装置(ALPS)でも除去が困難なトリチウムを、十分に希釈して海に放出すべき、としました。トリチウムは水素の三重構造で、対内に蓄積されにくい、とされますが、放射性物質であることに変わりありません。それでも、核生成物としてのトリチウムは、これまでの原子力施設でも希釈して海洋放出、という流れであり、それを今回も踏襲する形です。しかし大量の希釈水はどこから調達するのか? 海水であれば、放出するときの濃度は薄くても、総量としては同じです。薄めるまでもなく放出しても、海で希釈されるという話です。
さらに、対内に蓄積されやすいストロンチウムは、未だに徹底的な調査も行われず、食卓に上がっているという杜撰さです。人間の体内だけでなく、カルシウムと同様の挙動をすることから動物、魚の骨にも蓄積されます。しかし検出には時間がかかり、鮮度を保てないことから、抜き取りでごく少数の検査をしているのみ。しかも確認されたときには、すでに消費されている計算です。

明日、政府が汚染水問題に対して、基本方針と総合的対策案を発表する予定です。しかし霞ヶ関文学で、総合『的』とついたら、それっぽいというぐらいの意味です。しかもご丁寧に対策『案』とついているので、決定事項でもありません。しかも、汚染水の海洋流出への対応は盛り込まれないため、IOC総会前のアリバイ作り、という内容に終始しており、政府の本気度が疑われます。
凍土遮水壁の話も、広範囲に及ぶと効果には疑問、とする意見もあり、実際どれぐらいのパイプを通せば、水の流入、流出を防げるかは分かりませんし、パイプの数が増えればそれだけコストも維持費もかかり、管理も大変です。金を出し渋る政府と、ケチな東電が有効な対策をうてるか? 甚だ疑わしいといえるでしょう。臨時の衆院委員会も、IOC総会に影響を与える、として開けない国会に監視機能を期待するのもムリがあります。そもそも東電を維持したい経産省の管轄である経産委員会では、経産官僚の口車に政治家が太刀打ちできるはずもない、という根本問題もあります。

竜巻は内地の方が起こり易いので、心配のしすぎかもしれませんが、竜巻が福島第一原発を襲ったら、ふたたび未曾有の被害がでるでしょう。今でさえ、汚染水の漏洩が続々と発見される福島第一原発。強まる懸念は、人的な不備、怠慢のみならず、自然災害も含まれることを肝に銘じて、迅速な対応をしなければなりませんが、今の政府、国会にはそうした危機感もないのでしょうね。

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2013年09月01日

雑感。不透明要因の強い9月

今日は防災の日ですが、関電の大飯原発3号機が2日に停止され、15日には4号機も停止されます。定期点検のためですが、これで日本で稼動している原発はゼロになります。猛暑といわれた今夏でさえ、原発は2基で乗り越えました。今後、電力不足という理屈が使えなくなるため、さらに天然ガスや石油の輸入が嵩んで…との理由が実しやかに語られることでしょう。しかし火力発電における鉱物燃料の使用は、高効率発電などのお陰で、それほど多くない。貿易赤字の発表があると、決まって原発停止による天然ガスの輸入増で…と注釈がつけられますが、寄与率は低いことを知っておくべきなのでしょう。あくまで、貿易赤字の主因は円安でも輸出が増えていないこと、が要因です。

9月は経済的なイベントが多くて、不透明要因が強い月です。シリア情勢も、オバマ大統領が議会承認を経る方向を示したため、国内の不支持も高く、議会通過が不透明なことからタイミングが難しくなりました。米FOMCでも、最近の好悪まちまちの材料から、いつが緩和縮小時期かを探るのは、かなり難しい。今月は様子見姿勢が強まりそうです。ただし、売買が少なくなると、先物で仕掛けてくる層により変動幅だけはでる、といった展開も想定しておかなければいけません。
今年も残り4ヶ月ですが、通常の年だと10月頃から上昇を初め、年末にむけて一段高、という展開も多いのですが、今年は上記のように9月に何がおきるか? で大きく変わります。残念ながら、一段高の展開になるためには、かなり難しいシナリオをクリアしなければならず、米景気回復の行方が鍵をにぎるのでしょう。それはシリア情勢で原油高に陥っていますが、ガソリン社会の米国で、消費動向をさぐっておくと、米景気の方向性や、日本の輸出にも影響する数字となるはずです。

日本では東京五輪が決まるか? といった話題も大きいでしょう。ただし、日本では扱いの小さい福島原発の問題を、海外は重要視している点で、不透明要因が強い。東京湾の大腸菌汚染、という記事もありましたが、それ以上に東京湾とて放射性濃度が上がっているはずですが、一向に調査結果が示されません。一部、東京湾でも海に入ることが認められましたが、顔をつけて遊泳するのも推奨されておらず、そこで競技をする計画であれば、そうしたものも懸念されるでしょう。
日本では、東京が一歩リードという報道もありますが、それこそ国内のムードを維持するためのもので、逆に東京以外を推す記事がほとんど報じられない点に、危険を感じます。南海トラフ、直下型地震などの危険性を報じても、五輪期間中にそれが起きたら? という確率は低くても、未曾有の危機になりそうな分析は伝えられない。これだけ盛り上げて、外れたときの失望は相当に大きいでしょう。五輪で株高、なる声も聞こえますが、そうでないときのリスクもあります。ちょうど東京五輪のときは、異次元の金融緩和も終わり、財政出動も頓挫しているタイミング、という条件において、日本が五輪で浮かれていられる期間が短いのも、また意識しておく必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般