2014年03月

2014年03月31日

日経平均の上昇率

日本の調査捕鯨に対し、豪国が中止をもとめて国際司法裁判所に提訴した件で、国際捕鯨取締条約違反、として日本に捕鯨の中止を求める決定が下されました。担当者は「慢心があった」と述べているようですが、裁判は法に従っていれば勝てる、というものではありません。心証や戦略が極めて重要であり、結局その慢心のせいで国益を大きく損なった。これは安倍政権の失態です。

最近、浜田宏一内閣官房参与、本田悦朗内閣官房参与、黒田東彦日銀総裁を合わせて、安倍政権の三ダメンズ、とする意見を耳にしました。黒田氏は少し立場が異なりますが、日銀は政府の債務をすべて引き受けることができる、と述べる浜田氏、安倍氏の靖国参拝を称賛、とする記事を米紙に報じられた本田氏、緩和にまい進する黒田氏、いずれも問題児ばかり、という意味です。
今日で年度の取引が終わり、日経平均の年度を通じた上昇率が19%で、評価できるとする声もありますが、しかしここ数年は、期末要因や年度初めの新規資金の要因などで、4月の第1〜2週めでピークをつけることをくり返していました。しかし昨年は、黒田バズーカとされる質的、量的緩和が4月4日に発表され、そこから株価の上昇波動、第二幕が始まった。逆に言えば、これは質的、量的緩和の効果であって、決して安倍ノミクス効果ではない。それも含めて安倍ノミクスなら、やはり三ダメンズに黒田氏が入っても、何も違和感はない、となってくるのでしょう。

日銀の緩和により、年間で84兆円が市中に出回りました。これは日本の一般会計予算に匹敵する規模ですが、その結果としてインフレはまだ1.3%程度で、その大半はコストプッシュ型という有様です。マネタリーベースの拡大は、流した資金量にくらべると軽微な上昇に留まりますし、金融政策の効果としてみると極めて物足りない、という程度でしかありません。
株価も一時は上昇率が30%にまで達し、その後11%下落した、と考えるとピークアウトという見方もできます。それも年末という特殊性に支えられた上値だった、と考えるなら、ここで19%だからといって、決して正しい評価とはいえません。つまり実体としては、15%ぐらいが質的、量的緩和により上昇した分、ということになります。これが84兆円の効果としてみるなら、評価も変わる。正しく資金循環が起きていれば、本来はもっと資産効果が出ていてもおかしくはないのです。

日銀の緩和と補正予算とを合わせると、この1年で100兆円近くがばら撒かれたことを考え合わせると、さらに政策効果としての評価は低くなります。安倍ノミクスはバブル発生装置、という言い方をしてきましたが、そのバブルの結果としてこの程度で、今後下がることを予想するなら、三ダメンズが如何にこの国を間違った方向に導いたか、ということがわかります。政策効果の検証もなく、さらに追加緩和をすれば、日本は出口戦略で相当に苦しむことになるでしょう。三ダメンズが歩いた後、日本は打つ手をなくし、長期低迷に陥ることまで含めるなら、この年間19%という騰落率の見方も、変わってくることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年03月30日

中国も過去依存症

韓国の現代自が、米国でふたたび燃費の偽装表示の疑いがもたれているようです。懲りないというより、そういう体質と思った方がいいのでしょう。サムスンのスマホシリーズ、Galaxyシリーズにバックドアがあり、端末をメーカ側に操作される可能性、を指摘するハッカーもいます。韓国製品に対して世界全体が厳しい眼を向け始めており、そのチェックに耐え切れなくなりつつある、ということなのでしょう。現代自の雨漏り問題など、モノづくりにおける基本すら損なっている。逆に、日本製品にふたたび脚光を集めるチャンスでもあります。ただ今の日本メーカーに、そのチャンスを生かすようなチャレンジングな行動力は期待薄なのが、残念なところです。

昨日もとり上げた、韓国が過去志向である、という話は中国にも適用できます。独国での講演で、南京事件の虐殺者数を30万人、と発言しています。明らかに、裏には中国経済の変調によって、批判を外に向けたいという流れの中にあり、中韓が手を結ぶのも、国内状況が似通っているせいもあるのでしょう。輸出偏重の中韓経済にとって、世界経済の減速や自身の製品における信頼性の低下、ということが政治にも直撃している。世界において製品の信頼性が高い、日本のヒンを落としておこう、という思惑も、こうした動きの背景には見え隠れしています。
そして独国でも、経済優先で他の事象には目を瞑り、向き合ってきた中国との関係を見直し始めました。これも、中国経済の失速をみて、そろそろ封印してきた批判を解く、という流れにあります。これまでは米欧の失速でも、中国経済は堅調だったのでそれに乗っかる形できましたが、世界全体が中韓との付き合い方を見直しつつある、そんな動きがここで出てきています。

独国が、ウクライナ問題で中国を引き込みたい思惑で、協力拡大を共同声明にした、という話も伝わりますが、独国が本気で露国への制裁に前向きなら、その考察でもよいのでしょう。しかし、もしそうなら逆に経済政策に限定し、関係を保っておいた方が、自由に動けます。むしろ人権問題、環境問題など、正面からぶつかると困難な問題を話し合うのは、つばぜり合いを激しくするだけ。ウクライナ問題をその俎上にのせることも困難なのですから、本末転倒です。
そんな中国の観艦式に、日本の海自艦が呼ばれていません。中国の思惑としては、国際観艦式を盛大にTV中継するとき、海自艦が映っていると体裁が悪い、というところなのでしょう。国の態度として反日を強める昨今、海軍が仲良くしていては示しがつかない。しかしこういう矛盾は、中国国民とて見透かしているでしょうから、それが吉と出るかは微妙なところです。

結局、過去を蒸し返すのは現在、未来が苦しいと自覚してのことです。つまり国民に、今の幸福と明るい未来を約束できないから、過去にすがり現在を見栄えよく見せようとします。これは日本の安倍政権も同様、昨年末から急速に、靖国参拝など保守的傾向を強めてきたのも、安倍ノミクスが早々に頓挫する恐れが出てきて、過去を蒸し返すことで見栄えをよくしようとしている。これは、裏で経済が厳しいということを暗に認めていることになるのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2014年03月29日

雑感。日米韓首脳会談と泥

俗に、袴田事件とされるものの再審開始が決定され、保釈されましたが、検察は執行停止や即時抗告と、徹底抗戦の構えをみせます。検察が間違えているのは、かつての審理、判決を守ることで権威を保つ、いわば過去官僚に陥っていることです。つまり検察、裁判所がグルになり、杜撰な捜査と取調べによって築かれてきた、有罪の山を崩されないよう努めている。取調べの全面可視化に反対するのも、検察の問題点を詳らかにされる、という恐怖のようなものがそうさせます。
再審なのですから、検察も裁判の中で堂々と戦えばいい。捏造とまで指摘された証拠を徹底的に調べ直し、反論すればいい。ただ下手をすれば、シャツやズボンについている他の血を最新のDNA鑑定をすると、被害者とも一致しないかもしれない。被害者家族、唯一の生存者が亡くなったことを考えると、早くそうした捜査に着手すべきと考えます。過去を守るのではなく、未来にむかってどういう形で警察、検察が信頼を勝ちとるか? それがないままでは警察、検察の威信は地に墜ちたまま、ということになってしまうでしょう。一昨日も指摘しましたが、過去を守っても組織は維持できない。未来志向のない組織は潰れるか、軽蔑されるかのどちらかです。

日米韓首脳会談の後、記者会見で安倍首相が韓国語で朴大統領に話しかけ、朴氏が頑なに俯いていた、という話があります。これを友好を演出しようとした安倍氏、という見方をするのは間違いで、安倍氏は皮肉りたかった。自分はここまで骨を折って、首脳会談までこぎつけたんだぞ、と。さぁ、記者の前で応じてみろ、ということです。原理主義者である朴氏は、当然パフォーマンスとしても応じられない。骨を折らされ、完敗だったところ一矢報いた、というのが真相でしょう。
そしてそれは、あえて記者会見の場で、オバマ大統領の目前で実施したことに意味があった。日韓関係の悪化は、むしろ韓国が引きおこしている、とオバマ氏に刻みつけることができたからです。つまり今後、日韓関係の悪化に関する日本バッシングは緩和される方向となった。外務官僚がここまでの策を練っていたなら大したものですが、結果オーライだったのかもしれません。

韓国の恨の文化は、言ってみれば過去に拘泥する、ということです。世界をみても稀で、外交関係においては害悪でしかない。何しろ、現在の利益を最大化しない可能性が高いため、です。こちらと手を組んだ方が利もある、でも恨みで組めない、相手が過去をすべて清算しない限りはムリ、という考え方で外交をすれば、必ず行き詰まります。それを打破するために中国や、米国に姑息にすり寄りますが、逆に米韓FTAや中国依存の強まりによって、国としての立ち位置すら危うくしています。米中がコケれば、韓国など簡単に吹き飛んでしまうような状況です。
では安倍氏はどうか? とみれば、実は過去に拘泥するタイプです。靖国参拝や戦後レジームからの脱却、などの強い信念などと呼ばれるものは、すべて過去の清算をしようとしているにすぎません。図らずも、日韓ともにトップが過去への拘泥者、であることが日韓関係悪化、と呼ばれるものの本質です。つまり未来志向の人間は、過去を知識として理解していても、現在そして未来をどう生きるか、に重きを置く。そうでない点が問題なのです。

中国の神話の中に、人間の起源として、黄土を捏ねてつくった者と、泥に縄をたらし、それを振って撥ね飛んだ飛沫からつくられた者がいて、これが身分の差になった、とするものがあります。拘泥、という字にも泥が入るように、泥縄になってきた日韓関係。その原因は、やたらドロドロとした過去へのしがらみが生む、権威主義者たちによってもたらされる害悪、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2014年03月28日

新年度入りで厳しい経済環境

ファミリーマートが韓国事業からの撤退を表明しました。規制強化で24時間営業ができず事業継続に難、ということですが、明確にはしていませんが、昨今取り沙汰されるOINKである可能性もあります。Only in Koria、韓国でしか起こりえない事象で、韓国事業から撤退する企業、組織は多くあります。株を売却して撤退ということであり、ベースができれば日系企業を叩いて追いだし、自国の資本で賄おう、という動きが裏にあることも十分に予想されることです。
さらに中国では取りつけ騒ぎがありました。今日になり、中国では仏系金融機関に融資枠を付与、という話も出てきましたが、下手をすると国全体が資本不足に陥っている可能性が高い。それを外資参入を促すことで賄おうとしている。全人代のデフォルト容認発言とは、即ち国全体の限界を示している、ということかもしれません。最初は国民の懐、次は外資、という浅慮をみると、中国がバブルを抑制的に収束させることは、ほぼ不可能なように思えてしまいます。

日本市場は一見すると堅調ですが、配当権利とり、銘柄入れ替え、配当分のTOPIX先物への再配分、ドレッシング買い、など期末特有の動きが支えている形です。しかも、証券系では未だに来期の企業業績は10%増、などの予想をだし、それに基づいてPERは割安、とするなどの些か妄想じみた話もあって、今の水準になっています。しかし法人企業統計では、経営者は来期減益とみている。また中小企業の賃上げ回答が2割を切るなど、国内は極めて厳しい状況といえます。
さらに4月から消費税増税、年金引き下げ、介護保険料増、復興特別税の加算、高齢者医療費負担増、ガソリンへの環境税、など消費減退意欲につながる項目が目白押し。ましてや電気、ガス代も上がります。年度末、予想ほど駆け込み需要がおきていないと話題ですが、これは早くも生活防衛体制とみられます。消費を減らす、減らさざるを得ない、というのは1月でさえ、平均賃金が1%以上低下している現状を、端的に示しているのかもしれません。2月の消費者物価は1.3%の上昇ですが、大企業の賃上げ分はぼほこの上昇分で相殺できる点も、重要なのでしょう。

さらに海外投資家によるドル円相場の予想値が、これまでの107円から105円に見直されました。これは今以上に円安になりにくい、ということを示しており、輸出企業とて増益は望み薄となります。数量効果がのれば別ですが、日本の貿易は現在、中国がトップでもあり、中国の変調をまともに受ければ数量効果はでません。これで内需、外需ともに総崩れとなるのが新年度です。
これだけの悪材料を、目詰まりしている公共投資でカバーする、というのが安倍ノミクスです。しかも人材不足を海外からの実習、研修生で賄うなら、国内経済への寄与度も低くなる。国民に恩恵が行き渡らないので、景気対策かどうかも疑問視されます。本当に的外れのことばかりで、これで新年度相場への期待、を語る人もいますが、これだけの問題を抱えつつどこに期待を抱くのか、理解に苦しみます。欧米経済の堅調、を材料にしたくとも、先進国が急成長するわけはないので、上積み効果がない点を考えれば、やはり期待は抱き難いといわざるをえないのでしょう。

海外要因、国内要因ともに悪材料が増えてきた。特に、日本では政治リスクが顕在化してきました。経済オンチのブレーンを並べた安倍ノミクスが、頓挫するリスクです。国家戦略特区も明らかになりましたが、大きな経済圏を並べて容積率の緩和、などの規制改革程度では、焼け石に息を吐きかけるぐらいの代物です。安倍政権がつづく限り、日本売りしたい外国人投資家による昨年の換金売りが、止まることはないのかもしれませんね。


analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年03月27日

野党の動きが活発になるか?

俗に、袴田事件とよばれる静岡県清水市でおきた一家殺傷事件の、再審開始が決定されました。DNA鑑定で明らかになった血痕の違い、などから「捏造の疑い」とまで踏みこんだ判断であり、ほぼ無罪確定という状況です。しかし逆にみれば、捏造をした警察官などを追及しない限り、この事件は終わらないとも感じます。捜しだして罪に問え、というのではなく、そうでない限り警察の信頼はとりもどせないからです。つまり捏造を生みだす根底にあるのは、起訴したら有罪、そのために足りない証拠は捏造をしても作る、追いこんで証言さえとれればいい、という警察の負の歴史を改善しなければ、今警察官として働いている人間にとっても、いたたまれないからです。
そして裁判でも、自白の証拠価値、をこれからはもっと引き下げていかなければいけません。日本の取調べは、人権上も精神学上も問題があり、科学技術の発展とともに、そうした方面での見直しも必要な時期なのです。証言の信憑性を判断するのが裁判官しかいないのも問題で、もっと客観性、科学的な観点からの証拠価値を高めていかなければ、同じことが起きてしまいます。

こちらは記者会見で、まともな問答をできなかったのが、みんなの党・渡辺代表です。諸々の出費と使途を明確にせず、ボロボロの会見で、何を言っているのかさっぱり不明です。しかしあくまで憶測ですが、みんなの党が分裂したとき、思った以上に人が残ったと感じてはいましたが、自民党でいえばモチ代を配り、それを求心力としたなら大体の想像がつきます。そして渡辺氏が分裂のとき怒り心頭だったのも、金を配ったのに…ということならゴネ方も納得できます。
しかしこれで野党内の動きがすっきりしてきました。維新が結いに近づき、何とか大筋合意に漕ぎつけました。これまで維新は、安倍政権の補完勢力と看做されてきましたが、結いは比較的、反安倍政権の立場です。今の安倍政権は、官僚依存が強まっているため、相容れないからです。維新と結いが統一会派などにすすんでいくと、自民との協力体制には踏みこめません。

自民も渡辺氏が今の説明をつづける限り、手は組めません。せっかく徳州会マネーの報道を封じているのに、金にダークなイメージが再燃しかねないからです。すると、みんなは漂流をはじめ、残ったとしても凋落します。ただでなくとも安倍政権に近づき、政権が変わるときは凋落するのですから、尚更逃げだす政治家もでてくるでしょう。もう渡辺氏にお金を頼れない点もマイナスです。5.5億円の借金を、凋落する政治家が集めるには相当苦労することも想定されます。
これでお尻に火がつくのは民主です。ただでなくとも維新と結いが合流すれば、野党第一党の地位をすべり落ち、政権交代を訴えることもできなくなる。国会でも議論を主導できなくなる。みんなから零れ落ちてくる議員を糾合したくとも、今度は離党のさせ方に頭を悩ませます。数だけ集めても、元の木阿弥と思われてしまえば逆効果、しかも渡辺氏からのモチ代を政治資金収支報告書に記載していたか、などの身辺調査も、徹底的に行わなければならなくなります。

しかし自民協力政党が次々と姿を消せば、自民の国会運営にも変化を生じてくる。今はまだ野党が一枚岩になりきれませんが、消費税増税が転機になれば、どういう政治を国民が求めているか、それも明らかとなってくるでしょう。そのとき、どこが糾合していくかによって、次の選挙時期も変わってくることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年03月26日

みんなの党、渡辺代表の醜聞

みんなの党、渡辺代表に対して8億円を選挙資金として渡した、こう週刊誌でDHC会長による告発がありました。最初の3億円は利息付で、借用書もあって約2.5億円は返済済みとされますが、5億円については借用書もない。選挙資金なら公選法違反、政治資金なら収支報告書違反、といずれにしても、政治家生命を断たれるほどの問題です。個人的借り入れ、としていますが、この構図はまったく猪瀬前都知事と同じ。しかし今回は、貸した側が実名告発しており、やりとりまで詳細に語っていることから、渡辺氏がいくらイイワケしても、起訴要件と照らして十分に立件できます。
つまり猪瀬氏の場合、提供元である徳州会側が選挙資金と認めており、この時点で猪瀬氏がいくら否定しても起訴は成立します。例えば陸山会事件など、関係者では唯一、事件については元社長の証言のみ、が有罪とする根拠であり、他のすべての関係者が否定する中でも推認、追認で有罪判決がでています。この前例を踏襲するなら、たった一人でも疑わしき証言をし、それが十分に根拠があると認められた場合、起訴、有罪にできるという形でなければ、司法判断が崩れてしまうためです。しかもこれは告発であり、極めて精緻な証言である点も見逃せません。渡辺氏が否定し、個人的な借り入れとしても、今度はそれを立証する義務が、渡辺氏側に生じるのです。

しかし猪瀬氏にしろ、略式で済まそう…との意図が、検察側にもあります。徳州会マネーは政治家、特に自民系議員に多く流れており、問題を大きくしたくないためです。猪瀬氏としても、ここで抵抗して勾留され、取調べをうけることは望ましくない。双方の思惑が一致しています。
ただ渡辺氏が同様の構図となり、仮に抵抗した場合は、猪瀬氏の事件にも影響してくるでしょう。つまり渡辺氏の事件と、猪瀬氏の事件との違いを見極め、その理由に基づいて検察も動かなければならなくなるからです。そして渡辺氏は、どうしても抵抗しなければならない事情もあります。みんなの党は、すでに渡辺氏の個人パーティーになっており、トップの刑事訴追は解党にまっしぐら、となってしまうためです。さらに渡辺氏は、陸山会事件のときや、猪瀬氏の事件でも批判をくり広げ、さらに都知事選にでた細川元首相には「猪瀬氏と異なり、(1億円の借り入れは)桁が違う」と批判していたほどです。自身は桁ばかりか、返済もしておらず、借用書もなく、また規模も桁違い、という事態で、ブーメランとしてはかなり大型化して返ってきた形です。

告発者のDHC会長も指摘していますが、安倍政権にすり寄り、かつての改革政党の色が薄まり、期待できないとしています。みんなの党のうけるダメージは、代表交代という以上に大きくなった。スポンサーと名声と、一気に失ったからで、さらに疑惑政党という、これまでのクリーンなイメージを一変させかねない事態です。だからこそ、渡辺氏は徹底抗戦するしかありません。
そしてさらにダメージをうけるのが、安倍政権です。みんな党が瓦解すれば、野党との協調路線が崩れます。さらに、安倍氏の周りにいるのがNHK会長や経営委員、法制局長官などで、質の問題が取り沙汰されている昨今、安倍氏に協力しようとしていた渡辺氏に醜聞続きとなれば、それも悪いイメージとして定着してくるでしょう。安倍氏が出演した『笑っていいとも』の名物コーナーに準えれば、「おトモダチのおトモダチはみな何か問題を抱えたおトモダチ。政界に広がる不透明なお金の輪」となってきます。渡辺氏の問題が、選挙資金の問題に拡大されれば、イレクション・ショッキングとして、前のフレーズをつかい、名物コーナーとして確立されることでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:39|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法

2014年03月25日

自民党の武器輸出方針

自民党の防衛装備移転三原則に関するプロジェクトチームで、一定の方針を示されました。そもそも、この名称自体『武器輸出』でない点など、極めていかがわしい部分もありますが、内容はもっと首を傾げます。(1)国際的な平和及び安全の維持を妨げる場合は移転せず、(2)移転を認め得る場合を限定、透明性を確保しつつ厳格審査、(3)目的外使用、及び第三国移転について適性管理が確保される場合に限定、が柱だそうです。しかし武器の輸出は、大抵が新興国などの自国生産がままならない国です。例えばタイにしろ、台湾にしろ、政治が機能不全を起こすほど国民の怒りが高まっています。かつては安定しいていたので、武器を輸出できた。しかし後に情勢が変わったとき、その武器が国民に向かう可能性は高まる、ということになるでしょう。つまりいくら情勢を分析し、厳格審査しようとも、それが上記の三条件を充たす、ということを確約することは困難であり、TPOを踏まえればまず、上記の三条件は充たせない、となります。

その最大の例が、ウクライナです。親欧州系の前政権が不正で倒れ、ゆり戻しとして親露系のヤヌコビッチ政権が成立しました。しかし親露の態度を鮮明にし、国民がデモを起こした。当初、平和裏にすすんでいたデモが一変したのは、ネオナチ系の極右勢力が加わってからです。それにヤヌコビッチ政権は武力で鎮圧に向かった。もし日本が、ウクライナ政府に武器を輸出していたら? その武器は大多数は平和的な国民にむけて、使用されたかもしれないのです。
稀に、米欧系の情報機関や西欧資本の動きが、ウクライナの政変に手を貸した、という説も耳にしますが、個人的にそう判断する材料はありません。まず希少金属については、ボトムである需要が拡大しておらず、また価格が高騰すると代替材料が開発されるなど、決して将来的に亘って、安心できる投資材料ではない。中国が希少金属の輸出をしぼった結果、逆に市場についての理解がすすみ、投資家も興味を失っているのが今です。ウクライナが親露系の国になることを防ぐ、といってみても、中央アジアの民族的、対立の構図に手を突っこんでは失敗してきた歴史もあり、米欧にとって基本的にはノータッチ、がこの地域における原則という部分もあります。

親欧州系の政権をえらんだのも国民なら、親露系の政権をえらんだのも国民です。そして親露系の政権を打倒しよう、と思ったのも国民なのです。どの時点でも、上記三条件には合致するはずですが、どの時点でも問題が多い、と言えるでしょう。新興国とは、どの国でも何らかの問題を抱えます。地域、民族、宗教、地理的、歴史的経緯、など様々なことがあり、国が永続して同じ体制、体質で推移する保証は、極めて低いと言わざるを得ないのでしょう。
米国でも、自分たちの輸出した武器が、米国を攻撃する兵器として用いられることが問題とされています。武器は人を選べず、一度わたしてしまえば、どう使われても文句は言えません。文句を言ったところで、通用しない状況であり、むしろそんなことをすれば関係をさらに悪化させかねない。わざわざそんな愚を犯し、武器を輸出する必要があるのか? 正直、国連に移転先を限定するなら、こんな疑念を抱かなくてもよいのです。悪いことをいえば、米軍への武器供給元として自衛隊を機能させたいなら、はっきりそう謳えばいい。その結果は、否応なく米軍との一体化がすすみ、後方部隊であっても自衛隊が攻撃対象として敵から看做されることになります。今回のようにとても中途半端で、かつ拡大解釈が可能であるこの方針で、一体何をしたいのか? 輜重輸卒が軍人ならば、トンボ、蝶々も鳥のうち、そんな言葉もありますが、憲法解釈だけで、隊員から軍人へと拡大させようとしている今の安倍政権なら、トンボ、蝶々も鳥だと言い切ってしまう。そんな懸念を抱かせるような方針が示された、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年03月24日

日米韓会談の前提?

大阪市長選、橋下氏は怒りをメディアに向けますが、今のメディアは新聞媒体は軽減税率導入をおねだりしている最中ですし、TVは現役首相の出演、という果実を得ようと躍起です。橋下氏のために、大阪市長選を大々的にとり上げたり、論戦を報じたりはしません。むしろそんなこと、始めから分かっていて選挙戦に突入したのなら、大甘だったということなのでしょう。
例えば低投票率をアピールしたいメディアは23%と報じますが、投票率は23.59%なので四捨五入をしていません。23の方が24よりインパクトがある。メディアはそんな報じ方が多いものです。全部推測でしかない、マレーシア航空の件は盛んに報じても、大阪市長選は今の安倍政権にとって無視すべき、であればそうします。大阪都構想を、大阪vs都抗争と断じましたが、維新が分裂しようと、メディアにとって予想される未来なら、大して興味がない、ということなのです。

これは橋下氏が安倍政権に協力しなくても、今の安倍政権は磐石、という認識があるために、さらに補完されます。つまり橋下氏に力があり、安倍政権と協力して国政をすすめる方が得策、となればメディアも強力に橋下氏を推したでしょう。そうしなくてもいい、そのタイミングで市長選に打ってでた、これは戦略上の問題です。そんな安倍首相は核サミットに向かい、日米韓の会談を行う予定です。しかしここでおや? と思うのは米中、米韓会談は聞こえてきますが、日米会談は? 話し合うことがないほど、互いが親密であれば問題はないのですが、TPPにしろ、クリミア問題にしろ、日米がすり合わせておかなければいけない課題はてんこ盛りです。
一部では、日米韓会談で韓国側が米国から怒られて…と流すメディアもありますが、明らかに日本側から矢継ぎ早にタマを投げていることから、怒られた度合いは日本の方が大きい。やむなく日本が会談の条件を整えた…というのが正解です。問題は、ナゼこのタイミングで、これほど慌てて日米韓の会談をセットしたか? 北朝鮮の暴発懸念? というのは古くて新しい話で、直近で危機感が高まった形跡はない。むしろ日本など、局長級会談をセットしているぐらいですから。

そこで出てきたきな臭い話は、アジア経済金融協力国際会議で財務省の高官が、日韓スワップ協定の再開を検討、と発言し、後に菅官房長官が否定した、という話です。官邸との調整もできていなかったようで、単純にみるとマヌケな官僚の勇み足、ですが、もう少し深読みすることもできます。韓国が不快感を示す教科書検定の結果公表、の後ズレなどと重ねあわせれば、官僚の協力がないとできない話ですし、河野談話の話が官邸ででると「政治家が口を滑らせた」と発言する外務官僚の話など、どうも官僚が積極的に、日韓の接近を画策しているように感じます。
ここからは憶測ですが、外務省チャイナスクールが動いたか、財務省の通貨スワップ利権を狙う動きか、いずれにしろ米国側の日韓関係改善の方針をうけて、安部官邸を裏から動かしたのは、官僚スジなのかもしれません。その背景は、中国のシャドーバンキング、企業破綻などの信用不安の懸念をうけて、韓国の経済基盤を安定させておかなければ、という思惑が働いた結果、とみることができます。それが米国発か、官僚の先読みかは、また色々と推測もできますが、中国経済がコケると、韓国経済もコケる。その不安が急速にここ最近で盛り上がってきたことだけは、間違いないことです。やはり中韓の経済の下支え役として、日本は立ち位置をつくるのか? 今回の日米韓会談、表向きは歴史認識などをとりあげず、さらっと顔合わせするだけ、にみえますが、裏側の思惑はもっとどろどろとしたものであることは、ほぼ間違いないところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2014年03月21日

安倍政権の国際公約の動き

オランダのハーグで開かれる核サミットで、安倍首相が核燃料サイクルの推進を表明する見通しです。高速増殖炉もんじゅは、再稼動が困難なばかりか、ウィルス感染で情報漏洩など、コンプライアンスへの疑いがあります。青森の再処理工場も、未だに稼動の目処が立っていません。福島第一原発のALPSは、放射性物質を除去できずにタンクに送るなど、原子力技術全般に不信感が募る中、何を根拠にしているのか? 恐らく、安倍政権では目立つ、国際的に発言してしまってから、国際公約だからと強引にすすめる、ということを今回も適用したいのでしょう。
しかしその結果、起きているのは不都合なことばかりです。国内の有識者からもコンセンサスがとれていないことを、一部の学者、有識者の論を採ってすすめるには、半ば国際公約にしてしまうのが手っ取り早い。そもそもコンセンサスがないのは、不安や疑義があるためです。そして早くも、そんな不都合が顕在化してきたのが安倍ノミクス、すなわち経済政策です。

外国人投資家が、週ベースでリーマンショックに匹敵する売りを入れたことが話題です。単にウクライナ問題というばかりではなく、法人税減税を政府要人が公言する中で、この下落が起きたことが深刻です。つまり外国人投資家は、安倍政権の発言や政策に期待しなくなった。日本に置いていたポジションを軽くする必要性に迫られた。閑散に売りなし、とは言われますが、今は『閑散に買いなし』といった状況です。消費税増税を控え、外国人投資家は逃げ出し始めた。配当課税などが議論の俎上にのぼったことも、ここで株売りを加速させる要因でしょう。つまり企業減税の代替財源が、配当課税となってはもう投資していられない、というわけです。
しかも株売り、円売りのダブルパンチでした。債券は比較的落ちついていますが、これは日銀の市場占有率が高いためです。外国人投資家が今後、どれぐらいポートフォリオを見直すのか? それ次第では株、為替、不動産のトリプル安が襲うかもしれません。安倍ノミクスはバブル発生装置ですが、そのバブルはすでに弾けている、外国人投資家は日本をそう看做し始めたのです。

機関投資家の換金売りが止んだ後、期末ドレッシングがどれぐらい入るか、もありますが、4月以降は日経平均の水準が14000〜10000に切り下げられそうな気配です。これは需給要因であり、その他の要因が重なると、もっと下げるかもしれない。外国人投資家はもう買わない、それ以上に売りたいのですから、安倍ノミクスという宴の終わり、とでも考えているのかもしれません。
つまり安倍氏がいくら国際的に発言しても、誰も信じない、公約とならなくなったことを意味します。ナゼなら実現性が低い、と看做されるためです。TV出演で、長続きの秘訣を聞いていましたが、政権が長続きすることではなく、発言に責任をもち、その持続性をもって信頼、信用をかちとるべきなのに、政権延命のための小手先の策を弄しようとしているようにしか、今回のTV出演はみえなかった。その軽さが、逆に鼻につき始めたところでもあるのでしょう。

しかし市場が急落すれば、政権に大きな打撃となるのが必定です。消費税増税を国際公約にして、規定路線化しましたが、その消費税増税が安倍ノミクスにトドメをさそうとしている。理論的にも危ないことを、国際的に約束してしまうことが如何に危険か? その愚をしっかり意識していないと、原子力政策にしても、経済政策にしても、国際社会から日本は『笑っていいとも』という目でみられることになってしまうのでしょうね。

明日、明後日はお休みしたいと思います。


analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 原子力

2014年03月20日

来年度予算の成立

安倍首相が『笑っていいとも』に出演するそうです。日枝フジTV会長と昵懇であり、凋落する視聴率の挽回を狙って、また落ちてきた支持率の回復を狙って、と双方の思惑が合致した形です。閉会中ならまだしも、会期中に現首相がバラエティにでるなど異例で、人気とりとの批判すら生じそうですが、メディアは自分のところにも…と考え、批判もできないのでしょう。
来年度予算が成立し、記者会見も開かれましたが、笑みを浮かべて話し始めるなど、ソフト路線の強化とみられます。集団的自衛権の問題など、強硬路線が定着することを恐れ、イメージだけでもソフトにしておきたい。逆にいえば、就任当初は強気で、誰彼ともなく噛み付いていましたので、政策的にもそれと同一の路線をとり易かったのですが、それを一新して外交も柔軟に、という路線に転換した。その原因は、米国に怒られた、という点が情けないのですが、集団的自衛権問題でまい進したくとも、米国に尾を踏まれて前にすすめなくなった、ということもこの路線転換には見え隠れするのでしょう。虎なら尾を踏まれると怒り狂いますが、安倍氏は猫なで声をあげて、尾をふんだ相手にすり寄ることで安寧を得たい、ということのようです。

国会が与党ペース、という話もありますが、国会答弁で安倍氏がうまく反論できているよう、NHKで編集された問題。NHK会長、経営委員、法制局長官などの人事面の問題など、メディアがまったく腰砕けですので、やりたい放題が止まらない、というだけです。野党内の与党協力党の存在なども、国会をスムーズにすすませる原因です。結果的に、国民は『監視役のいない国会』を選択した、と言えるぐらい、保守系に票を与えてしまった、ということなのでしょう。
コメントにもいただきますが、選挙で選ばれた政権だからといって、政治家はフリーハンドで何でもしていいわけではありません。広義でいえば、北朝鮮も日本と同じで選挙で選ばれた代議士により、金正恩氏が元首の地位につきます。しかし誰も、金氏の独裁に正当性がある、とは考えないでしょう。それは選び方に問題があるからで、必ずしも選挙が万能ではありません。選挙でえらばれた正当な政権、というならナチスも同様です。だから国民が文句も言わず、その決定に従え、ということなら、今後の世界は独裁、戦争が頻繁に起こることにもなるのでしょう。

安倍氏の問題で考えれば、異次元の金融緩和と、公共工事とダブルのバラマキをしたために、瞬間的に景気がよくなったように見えましたが、もう失速が鮮明です。安倍氏は賃金の上昇が6000円などと述べていますが、また都合よく大企業で、ベアと定昇の合算が大きくなるところを引っ張ってきて、自らの成果のように語りだしました。しかし全産業でみると、3000円台に留まるところが多く、中小が出揃うともっと下がる、と見られます、これでは恩恵どころか、負担ばかりが増えることとなり、さらに景気が悪化することにもつながりかねません。
世界経済のリスクは、中国ではなく日本、というコラムニストまで現れました。同意はしませんが、中国リスクが顕在化したとき、日本はより景気鈍化の影響を受けやすく、長期低迷に陥りやすいことは間違いなく、それを引きおこしたのも安倍ノミクス、ということはいえるのでしょう。それも国民の選択、といえばそのとおりですが、そのとき国民が声を挙げられないようでは、国民はいつまで経っても搾取されるばかり、となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年03月19日

中国不動産企業の破綻

ウクライナ問題をうけ、日露投資フォーラムへの閣僚の参加が見送られています。露国のような、共産主義体制を引きずる国では、官のお墨付きがなければほぼ事業はすすみません。逆に、官の庇護がないと取り締まり対象として、常に怯えていなければならず、これでは露国に投資しよう、と考える人間はいません。むしろ、経済制裁の影響を見極めなければいけません。
例えば、制裁が露国の富豪の保有資産にまで及ぶようだと、世界全体から投資資金が引き上げられます。あの手この手をつかって、回収に動くのでしょうが、その際に相場に大きな変動が訪れるのは5月半ば、ヘッジファンドの解約時期と重なるかもしれません。2月後半に慌しくなったウクライナ問題ですが、ちょうど解約に間に合わなかったタイミングであり、露国投資家はやきもきしているかもしれません。今、米系が影響は軽微、との情報を垂れ流すのも、露国投資家に逃げて欲しくない、という事情が影響している。そう考えれば、制裁の規模が実際に明らかになったとき、どのような影響が出るかを改めて考察しなおさなければならない、となるのでしょう。

中国の中堅不動産業者が破綻しました。全人代閉幕で、デフォルト容認発言を行った通り、救済はされないのでしょう。気がかりなのは、破綻容認発言から数日で、こうした動きが出てきたことです。つまり暗黙の政府保証で延命されていた企業が、それが受けられる見通しが経たなくなり、破綻したのなら、これは連鎖破綻の引き金になりかねないものです。つまり現状、同様に延命されていた破綻同然の企業が、続々とでてくる恐れを大いに含むものとなっています。
ここにきての人民元安も、輸出企業への配慮というばかりでなく、海外から投資資金を呼び込んで、破綻処理をすすめたい、との思惑もあってのことかしれません。しかし現状、中国への投資意欲は低く、ハゲタカも寄りつかない。何より官僚による干渉が多い国では、いくら善意を持ちこんでも意味がなく、逆に利を求めて動けば糾弾されかねない。外資の活動しにくい環境が、破綻処理を潤滑にすすめられないジレンマとして、中国経済をさらなる苦境に陥れるでしょう。

強制連行の損害賠償請求訴訟が、中国の裁判所に受理されましたが、これもマイナスと意識されます。国際的な常識の通用しない国には、安心して投資できない。中国が坂を転がり落ち始めると、下支え役がいない、というのはこのためです。そしてさらに連鎖破綻の恐れが強まるのですから、尚更その傾向は強まる。不動産業の破綻が出始めると、存外早く現実化しそうな流れです。
しかしここに来て、ウクライナ問題がでたことで、ちょっと情勢が変わりそうです。ロシアは孤立化を恐れ、中国に働きかけ、欧米も中国をとりこんでロシアを孤立化しようと狙っている。欧米が切り札にするのは、破綻しかけた中国を下支えするマネー、しかありません。そして、その出し手として日本が挙げられるのは、ほぼ確実な情勢です。つまり今度の核サミット、G7で対露への声明をだすために、日本がダシに使われる可能性が高まってきたのです。一方で、北方領土問題で、露国への配慮をしたい日本は、その狭間で露国から対露投資を要求される可能性もある。まさに金を毟り取られる構図が、この核サミットで鮮明になりそうです。欧米の後追いでいい、などと自民党ではのん気に語られているようですが、下手をすると領収書はすべて日本に回される可能性まで出てきた。外交下手が、さらに国益を損なうことになるのか? ここ数日の動きは、非常に重要となってきているのでしょうね。



analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2014年03月18日

ロシアによるクリミア編入

ロシアのプーチン大統領が、クリミアのロシア編入を宣言しました。その意義について、独国における東西ドイツの統合における民族的統一や、米国の独立宣言や自由を尊ぶ気風に今回の件を準えていますが、似て非なるものです。ロシアが一切の介入をせず、クリミアがウクライナ側と協議し、合意形成をはかった上でなら、その主張も正しかったのかもしれません。しかし事実上、軍事制圧下におき、工作員とみられる部隊まで派遣し、拙速に行った住民投票に何の根拠もありません。現ウクライナの暫定政権の正当性、ということを問題視していますが、それとこれとはまったく別問題です。政権の正当性がないから他国が手をつっこんで国を分断していい、という話ではありません。

経済制裁という話の前に、米FRBに保管されている外貨準備などの、海外の保有米国債が、ここ1週間で1000億$以上も目減りしています。売却はされていないので、凍結前に露国が大量に動かした、とみて間違いありません。一時、一気に増やした米国債も、資源価格の下落をうけて減らしてきた経緯があります。しかし外貨準備を凍結されれば、ルーブル不安にも直結しています。プーチン氏が制裁への対抗として「米国債を売りたてる」という話もしていますが、このルーブル不安に直結する恐れも考えれば、どこまで減らせるかは微妙といったところなのでしょう。
問題は、露国がとった手法はどこでも国が分割できてしまう、その可能性をみせたことです。民族的に分断のある国、移民の多い国、ある日突然、住民投票をして独立を宣言できてしまう。中央アジアの未承認国ばかりでなく、世界全体がこの動きに震撼することになります。逆に、その動きを警戒し、移民排斥や少数民族への攻撃が激化する恐れもある。だからこそ、欧米は露国に対して強硬にでなければならない、ということであり、経済制裁もその延長にあります。

政府要人などの渡航制限、資産凍結がオプションです。影響は少ないとされますが、露国と関係する、この動きを支持して支援する人物、団体へも対象を広げる、という話にもなっているようです。そうなると、露系企業も標的になりかねない。海外に展開している露系企業は、戦々恐々でしょう。さらに露国は一握りの強烈な資産家も、怯えることになります。一部、英国の不動産市場では、露系の投機資金がかなり入り込んでいる、とされており、ここを凍結すると露国も痛むばかりか、英国にとっても痛撃となりかねない。株価より、よほど脆弱な現在の経済環境で、資産バブルが消滅してしまうことは、欧米ものぞんでいない面があります。
そのため対象の人、団体を狙い撃ちする形で、資産凍結をすすめるかもしれません。つまり自国経済に打撃とならないような人物、団体をピックアップし、そこから制裁となるかもしれない。つまりタイムラグのある制裁、となるのかもしれません。今の市場は、制裁も小規模で影響も軽微、として楽観しているフシもありますが、ここからは一体どこまで制裁範囲を広げるか、の議論で右往左往しそうです。編入を決めたロシアは、もう最後のカードは打ち尽くしました。むしろ、制裁など小出しになるより、一気呵成に決めてしまうのが戦略なので、その通りに事態は推移しています。今後、制裁範囲が露国の想定通りになるのか、欧米がそれ以上の制裁へと舵を切るのか、それ次第で今回の勝者、敗者の判断も右往左往することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:58|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 政治

2014年03月17日

雑感。安倍政権の手法

北朝鮮の拉致事件で、横田夫妻が孫とモンゴルで面会を果たしました。ここで、北朝鮮が動いてきたのは、No2とされた張氏を処刑し、新たに日本ルートの構築をする必要性に迫られたこと。さらに日韓関係が揺れる中、韓国へ揺さぶりをかける目的もある、とみられます。太陽政策の見直し以降、韓国からの大規模な支援もなく、そろそろ実が欲しい。究極的には米朝交渉により、存在を認めさせることを目的としますが、今は明日のパンさえこと欠くありさまです。
日本では、安倍政権下でモンゴルルートを強化しています。中国、韓国ルートは関係悪化で使えないので、当然といえばそうなります。しかし日朝交渉が困難なのは、クリミアの住民投票のように、北朝鮮も核やミサイルなどで交渉を止める国ということです。いざというとき断固とした態度をとりつつ、妥協をひきだすようなタフな交渉は、究極的に日本は下手です。ロシアでさえ、クリミア問題で後手を踏む安倍政権が、戦略的に拉致問題解決への道筋をつけられるか? 甚だ不安といわざるを得ません。今回でさえ、面会というだけでどれだけの対価を払ったのか? 単に局長級会談をセットするためだけに、北朝鮮が応じたと思えないだけに、しっかり見ていかなければいけないのでしょう。

自民党が9年ぶりの総務懇談会を開きました。集団的自衛権における憲法解釈について、党内の慎重論のガス抜きとはならず、逆に安倍氏は自身の下に機関をおき、話し合いの場を設けることを示しています。若干、安倍氏の側に党への配慮がにじみだしたのも、NHK、法制局長官等、安倍政権がすすめる人事が失敗つづきで、メディアによっては支持率50%割れが目立ち始めた点があるのでしょう。危険水域にはまだ遠いものの、一期目と同じおトモダチの問題であり、嫌な記憶も蘇る。党内にも目配せしないと…、そんな水準まで危険度が上がった認識もあるのでしょう。
安倍政権のすすめる全体主義の動きは、沖縄県竹富町の教科書選定に関して、沖縄県教委へ是正要求を指示したことにも現れます。教科書選定は町教委ごとに自由に行えますが、周辺の教委と合わせるよう示されます。しかし罰則がなく、竹富町のように一つの地域だけ異なる教科書を選定しても、何の問題もありません。それでも全体主義に流れる安倍政権は是正を要求します。

実は、安倍政権の手法はこうしたものが目立ちます。賃上げに応じない企業は公表する、と脅したり、自分たちの意に沿わない相手への高圧的な態度、制裁も辞さない姿勢は、恐怖政治にも似ています。クリミア問題で、支持率を高めるプーチン氏のように、報道で世論を誘導し、それがいいこと、必要なこと、という認識を国民にもたせることで、支持を高めてきた。今回の世論調査の結果も、安倍政権支持のメディアは、横ばいというところが多いのも、誘導に力を貸してきたメディアにとって、ここでの支持率低下は容認しがたい面が影響しているのでしょう。
つまり消費税を10%に引き上げるまで、安倍政権の支持が高い状態でいてもらわなければ困る、これが本音です。経済ももうギリギリ、成長が維持できているレベルで、支持率低下によりマインドが悪化すれば、トドメになりかねない。そんな思惑で、今の安倍政権は維持されています。残念ながら、日本が極めてロシアや北朝鮮のような、強権体質で、報道をあやつる共産圏のようなことをしてまで、支えられているのが現状なのでしょう。欧米との関係が悪化する中、ロシア、北朝鮮と近づく安倍政権の本質とは、やはり独裁にシンパシーを感じる、ということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2014年03月16日

川内原発の安全審査、その前に

川内原発の安全審査を優先、と原子力規制委員会が決定しました。基準地震動を540ガルから620ガルに引き上げ、基準地震動では問題ない、という判断を下されたことが大きかった、とされます。しかし16日のNHKスペシャルの放送は、衝撃でした。炉心溶融をした後、格納容器まで破壊される恐れ。ベントをすると、放射性物質を多く含んだまま大気中に放出されてしまうこと。東電がいうベントでは、0.1%まで低減した状態で大気に放出するので、問題ないという説明まで否定されたのです。つまりこのままでは、どの原発でも過酷事故の際、ベントをすれば大量に放出されてしまう可能性を指摘したのです。その場合、ベントの仕組みを見直さなければ、ベントをするときには住民が避難していなければならない、となってしまいます。
しかし避難計画は道半ばの自治体も多い。それこそ住民避難に、特攻隊をくんで救出しなければならない、となりかねません。自分や、自分の家族でさえ避難が必要なとき、住民救出に割ける手があるのか? それも永続的に、となるとさらに難しくなるでしょう。ベントをするようなときは緊急ですので、尚更もう原発が事故、となった際には逃げだす準備が必要となります。

しかも、エネルギー基本計画で示された「原発の運転コストは低廉」とされた根拠、民主党政権時代のコスト等検証委員会で示されたキロワット辺り8.9円は、福島第一原発事故の対応費用を5.8兆円と試算した上でのことですが、自民党の原子力災害対策本部がまとめた昨年のデータでは、賠償5.4兆円、除染2.5兆円、汚染土の中間貯蔵1.1兆円、廃炉2兆円となり、10兆円を越えます。しかももっと費用がかかる可能性もある。その場合、コスト等検証委員会の試算、石炭火力10.3円、LNG火力10.9円、風力17.3円も上回ってくる。つまりここから分かることは、原発の安全基準が低ければ、低廉に抑えられますが、高い安全性を考慮した途端、原発の運転コストは他の発電方式を優に上回ることとなり、決して経済性では原発を選択できない、となるのです。
そこでNHKスペシャルのメルトダウンで示された、炉心溶融で格納容器損傷の可能性、ベントで放射性物質を大量放出の可能性、について、各原発は対策をしなければなりません。ナゼなら、原発は絶対に炉心溶融しない、というシステムではないからです。炉心溶融する前提で、封じ込めを考えられていたのに、封じ込めを否定されれば、溶融しないようにするか、新たな封じ込めたい策をしなければならない。それも、原発再稼動にむけた新たなコストとなり、キロワット辺りのコストは、17円どころか20円を越える水準にまで跳ね上がってくる可能性があります。

原発再稼動には、大義も何もない。火力発電にかかる輸入額の上昇、と言ってみたところで、新たなウラン供給元と期待された中央アジアで政変がつづけば、ウランとて高騰するかもしれません。再処理しない以上、今はかつて輸入したウランで賄えますが、将来的には同じことのくり返しで、輸入額の上昇要因となってしまう。結果的に、唯一の大義は原発関連の特許をもつ日本企業が、再稼動や原発輸出をすすめると潤う、という程度のことでしかないのです。
昨今増えている、自爆的な悪質事件。アクリフーズで起きた農薬混入事件のようなことが、原発に携わる作業員でおきたら、一体どんなことになるのか? 今はベテラン作業員の被ばく線量が上がり、休職を余儀なくされているという中で、作業員の質は保たれているのか? 甚だ不安です。今、東電で「単純ミス」と語られていることのいくつかが、待遇に不満をもつ作業員だった場合、これは自爆テロにも等しくなてきます。それが定期点検の原発でおきたら? 大事故につながったら? そんな不安にも直結してきます。原発政策は、根本から考え直さないと、本当の姿というのは見えて来ないにも関わらず、再稼動にまい進する安倍政権の姿勢には、本気で不安を感じてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 政治

2014年03月15日

雑感。河野談話の踏襲

安倍政権が、河野談話の踏襲を表明し、作成経緯を検証する、と国会で答弁しました。ここ数日、韓国にわたった大洋州局長にしろ、オバマ大統領の訪日にむけた地均し、逆にいえば米国から訪日して欲しければ日韓関係を改善しろ、と厳命されていることから、焦っていることが手にとるように分かる行動です。しかし局長の渡韓が、予定より短縮されて日帰りになったように、成果はまったくといっていいほど上がっていない。むしろ河野談話踏襲は、明らかに協議が決裂した際、日本側の誠意をみせろ、という韓国側の要求に屈した感が否めません。
しかし米国にとって、もう安倍政権は終わりです。いくらこれから心を入れ替えます、という真摯な態度をみせても、根っこでは強烈な国粋主義者で、一生変わることがないmと米国では考えられているからです。ただ恭順な態度を示したことで、米紙を通じたバッシングも少しは止むかもしれませんが、やりたいことが封じられた今、安倍氏は何のために首相を続けるのか? という根本が今度はおかしくなります。安倍政権の周りにいる、右系の人たちを納得させられなければ、彼らの気持ちが収まりません。政権をとって1年経ち、急に保守系の動きを強めたのも、そうした人たちからの突き上げがあってのこと。靖国参拝もその延長上にあります。
これからオバマ政権退陣まで、2年以上も自説を封印する気か? 卑屈に政権にすがりついてまで、その2年で何をするのか? 今は薄氷どころか、ダイラタンシー効果をつかった、一生懸命足踏みしていないと溺れてしまうぐらいの勢いで、やりたくないことをやり始めた、というところなのでしょう。結局、深慮遠謀には辛抱が足りなかった、という何ともお粗末な結果です。

経済面でも正念場です。安倍ノミクスに倣って中国は李克強を文字ってリコノミクス、韓国は朴クネを文字ってクネノミクス、などと中韓もよばれましたが、両国とも物凄い勢いで失速しそうです。日本も夏場から急失速、駆け込み需要がなければ1-3月期はマイナス成長もありえるほどです。ベアの話にしても、政府が上場している企業の賃上げの状況を公表する、という社会主義、統制経済のようなことを言い始め、企業側も「今年は特別」と述べるなど異常事態です。
さらに米国でもダウは史上最高値と言われますが、流通する株式が増えて今の水準なら、大変喜ばしいことですが、流通する株式を減らした上で、今の水準ということを考えるなら、本当に経済が成長しているのか? 甚だ疑わしい。株価対策に執心してきた結果であり、最高値の価値は著しく低いのです。米国需要の弱さが意識されると、日本は総崩れになりそうな気配です。

ここから安倍政権は中韓に媚び諂い、外交成果でもアピールするつもりか? 安倍氏のやることだと、無条件で支持しようとする保守系の人物もいますが、そうした方を『中毒の人』を意味する接尾辞-aholicをつけて、安倍アホリックとよんでもいいのかもしれません。しかし安倍アホリックの人にとって、中韓への低姿勢はことのほか喜ばしくないことでしょう。
さらに中韓が経済面で崩れたとき、日本が下支えしなければならないようだと、卑屈の限りを尽くす、ということにもなりかねません。今回踏襲した河野談話ですが、実は日本が中韓の経済政策の失敗、そのドロ舟に同舟させられた、ということになると、安倍ノミクスの脆さ、政権基盤の脆弱さが露呈することになり、安倍アホリックの人がどこまで支持するか、に政権の命数もかかってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年03月14日

クリミア不安で市場の急落

STAP細胞の論文で、コピペや切り張りが悪いことと思わなかった、というコメントが伝わりますが、若干ニュアンスの修正も必要だと感じます。主任研究員は30歳とのことですので、ちょうどWindowsXPが発売され、家庭にも当たり前にパソコンをおくようになった頃、大学に入った組です。つまりネットで調べ、コピペで論文をだす、という手法を取り入れ始めた頃です。その頃はそうすることで評価され、着実に地位を上げることができたのであり、悪いことと本人は意識していなかった。当時はそれを注意する人もいなかった、ということなのでしょう。それが学内や、倫理委員ではなく、一般の科学誌に載り、不特定多数から検証されるに及んで、その手法が批判された。これは日本の大学教育、その全般に対する問題ということがうかがえます。コピペが問題視されだしたのは4、5年前、その前に卒業してしまった小保方氏にとって、批判されたことのないコピペが問題視されるなんて、思いもしていなかったのが本音でしょう。
かばう気はさらさらありませんが、技術立国を標榜するなら、まず大学改革から着手しないと、こうした研究員の質の問題は改善しないでしょう。教授との縁故や気に入られ具合で、研究室に残れる、残れないが決まる今、優秀な研究員を育成するシステムが大事になります。

日経平均は大幅下落です。クリミアで住民投票が開始されますが、その後にロシアへの制裁が発動されるか? そうしたこともあり、売りが嵩んだ形です。すでにロシアからは500億$が流出、とも伝わります。制裁により、資金移動が難しくなる前に、海外に資金を移動してしまおう、という動きが加速すれば、ロシア経済は未曾有の危機に陥ります。逆に、今は欧州が制裁に同意するのは困難、とみられていることが、実際そうなったときのインパクトの大きさを意識させます。
翻ってクリミアの問題とは、例えば中国軍が日本の島嶼部に上陸し、自衛隊の動きを封じた上で、島民に住民投票させて帰属を中国にする、というのと同じです。中国もこの動きに反発するのは、ウィグル族やチベット族など、中国が抱える少数民族で同じことをされれば、領土を切りとられるとの懸念もあるためです。いくら露語を話そうと、民族的同一性を訴えようと、今回のクリミアの住民投票を世界が受け入れることは困難です。制裁の規模、内容はオプションもあるのでしょうが、これで露国が併合などをすれば、ほぼ発動されるとみて間違いありません。

困るのは日本です。やっと外務省が、欧米が制裁に動いたとき、日本がとれるオプションについて調査している段階で、後手を踏んでいます。恐らく安倍政権では、クリミアの住民投票後も露国は動かず、曖昧なまま事態が推移してくれる、日本式解決を願っているのでしょうが、今のプーチン大統領が思い止まる形跡はなく、また日本がそれに独自で汗をかくこともないようです。
クリミアがウクライナからの独立を宣言するのは、ほぼ間違いないでしょう。破綻しかけたウクライナに残っても、いいことは皆無ですから。露国がどう動くか? 日本市場は月曜日ももやもやした展開がつづく、だから売っておけるものは売っておこう、として売りが嵩んだのです。露国からの資金引き上げが、短期的にでもGDPで10%、20%に達したとき、露国経済がどの程度混乱するのか? それを見極めないと、今後の世界経済についての見通しも立てられない、そんな展開になってしまいそうです。クリミアはナイチンゲールが活躍した戦場としても知られますが、今は誰も手当てすることができない、そんな事態でもあるのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 22:45|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | ロシア

2014年03月13日

雑感。安倍政権の人事の失敗

浦和レッズサポーターが『JAPANESE ONLY』なる旗を掲げ、日本サッカー協会が処分を下しました。安倍政権の右傾化が中韓のみならず、欧米各国の見方として広がる中、さらに日本の見方を悪くするものと言えます。レイシストといっても、日本ではピンとこない人も多いですが、海外においてこの言葉はかなり悪い印象で語られます。これまでは島国、表向きの人種差別という事態に疎い部分もあってのことですが、安倍政権の右傾化にのって流されていると、国際的に通用しない人間になってしまう、ということはよくよく考えておいた方がよいのでしょう。
面白い記事がありました。喫煙者は、喫煙をポジティブに報じる方に強く反応する、という研究結果がでた、というものです。しかし喫煙に限らず、自分の信念にまで昇華させた思想、行動は、それを否定されると強く反発してしまいがちです。しかし大抵、そうした反論は理論武装が脆く、ポジティブな面は強く主張しますが、ネガティブな面はまったく無視、といった傾向があります。安倍政権のおトモダチにも多くいますが、大抵その行動や思想の根拠、理由をきくと、短絡的で画一的なたった1つの理屈でしか語らない。喫煙という習慣性のあるものと、思想、行動という強固な習性に基づくものとが同じ反応である、というのは大変興味深いものです。

安倍首相が肝いりで任命した小松内閣法制局長官の発言が、与党でも問題視されています。共産党議員とのケンカ寸前のやりとり、など長官としての質が問われており、与党内では辞任已む無し、の方向です。しかし官邸が渋っており、それは辞任ドミノになることを怖れている面も強いのでしょう。つまり第一期と同じ、続々と問題点が噴出するおトモダチを、一々切っていたら内閣はもたない。特に、小松氏は病気をおして、集団的自衛権の憲法解釈に関して、安倍政権下で何とか成し遂げたい、として復帰したことを安倍氏がことの外喜んだ、という曰くつきの人事です。安倍氏の考えに同調するのは、議員、官僚内にもごく少数で、その内の一人という事情もあって、後任が決まるまでは小松氏で引っ張りたい、が本音のところでしょう。
しかし私は父が癌で、闘病を体験していますが、治療を続けている間はとてもイライラした様子でした。痛みばかりでなく、周りの無理解がイラつく原因のようでした。すると、今の小松氏の短慮、短気も理解できます。国会質疑は、野党議員は追及のため、あの手この手をつかって相手を苛立たせようとするのですから、堪忍袋の緒がキレ易い人物ではもつはずがありません。結果的に、余計なトラブルをおこし、それにより益々イラつくことのくり返しです。

安倍政権の人事の失敗は、小松氏やNHKばかりでなく、実は飯島参与もそうです。訪朝しても実はなし、靖国参拝前に訪米し、米国の反応は限定的との感触をつかんで帰国、などまったく失敗つづきです。そもそも、小泉政権時の縁故に頼っても、今ではどの国でもトップが代わり、細いルートでしかないのですから、そこから情報を探っても間違うことは必定です。そもそも、財務省との調整役が期待されたものの、財務省サイドは麻生氏にのり、飯島氏は見限った。やることがなくて密使のような役目を仰せつかるものの、失敗しているのがこれまでです。
取り巻きが悪い、というより、安倍氏が付き合ってきたのがトラブルメーカーばかりで、注目が集まると耐え切れない、というのが正しいのでしょう。一人で騒いでいる内は害も少なくて問題視されませんが、注目度の高い組織のトップとなれば、害がめだって問題が大きくなる。そのうち、無観客どころか国民が総スカンとなり、政治への無関心が広がってしまうことになるのかもしれません。しかし投票率は低くても支持率が高い、として政権は磐石、などという愚かなことになれば、レッドカードで退場させられるのはプレイヤー、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年03月12日

春闘と蠢動

春闘の集中回答日でした。総じてベアに応じるなど、好調な交渉結果ですが、最低2%が定昇を含めるとぎりぎり達成できる程度ですので、消費税増税分は担保できそうです。但し円安によるコストプッシュインフレ分は吸収できないので、価格転嫁すれば消費は鈍化します。しかし現状、中小企業がそれを吸収している形もみられるので、益々中小企業には苦しい経営がつづくことになるのでしょう。むしろ政府主導で、経団連傘下の企業が賃上げに応じるのは、法人税減税とセットでのことであり、政府への忠誠の尽くし方で税制議論が決まる、という言わば脅しが利いているため、起こることです。これで政府、財務省は消費税10%への布石が打てた、とニンマリしているのでしょうが、海外から怪しい話がいくつも伝わってきました。

今日の日経225が大きく下落したのは、中国不安です。銅価格の下落は、中国企業が担保として使う銅の需要減退を見込んでのことですが、逆にそれが担保価値の低下という、現在は健全とみられる企業にまで影響してくる。一つ転びだすと、崖をすべり落ちる中国経済の危うさが、こんなところにも露呈しています。中国企業初のデフォルト、シャドーバンキングのデフォルト、等がここ直近で重なるのも、国が暗黙として与えていた信用の崩壊であり、今後まさに試練を迎えます。
中国は『過去の社会主義体制』の信用を、これまでは担保としていました。社債にしろ、債券にしろ、国が保証すると暗黙裡に考えられていたからこそ、安易な投資が横行していた。そこにメスが入れば、今度は資金調達に窮するところが続出します。ここに来て、預金金利の自由化、という話も国家保証を暗に否定します。要するに、投資家、資金の貸し手となるところは、自らの裁量権により投資先を決め、損失も自ら引き受けなさい、と言っているのです。

ここに来て、それでも米経済は堅調、と語る向きも多いですが、個人的にはそう考えていません。米国は投資型社会であり、ここ数年は日米欧の株高、債券高、そこに来て米国では不動産市場の急上昇、という要因で消費が堅調に推移してきました。しかし新興国不安が顕著となり、先進国の市場もすでに高値圏で、この先は伸び悩むことが想定されます。投資型社会で、停滞は減速と同じです。つまり投資先がない、投資しても逆資産効果になる、となれば当然、消費も鈍化します。資金が巻きもどり、ドル高を志向しやすくなる点もマイナスでしょう。
ここに来て、GMの長年にわたるリコール隠し、巨大債券運用会社PIMCOの内輪もめ、等は米企業にも風向きの変化を感じます。特にPIMCOのケースは、損失計上からの投資戦略上の違いが露呈した形です。米国の運用会社にも選別が必要となり、安易に運用先を決められない、というジレンマを抱えた中で、投資型社会が成長できるはずもありません。しかも次に危機が訪れるときは、新興国経済が総崩れ、先進国は金融緩和の手を打ち尽くした後の、未曾有の危機となります。

中国の崩壊が意外と早い、むしろここまでよく引っ張ってきた、というレベルです。特に今の習体制は、腐敗撲滅を世論へのアピールとして利用しているため、企業倒産もそうした流れの中でもおきてきます。それが崩壊を早め、銅価格の下落、資源価格の下落、それに基づく新興国経済の変調、そうした形はすでに豪州で始まった。春闘で浮かれ気味に報じるところもありますが、明らかに今後、世界経済は試練にむけてすすんでいるのであり、政策対応を一歩間違えると、泥沼に陥ります。これが春闘どころか、景気低迷への蠢動なのか? 見極めることが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年03月11日

日銀会合と年金の財政検証

日銀の金融政策決定会合後、黒田総裁が会見していますが、若干不安の残る内容でした。輸出については下方修正したものの、設備投資、生産については上方修正するなど、直近の経済指標を正しく読み取っているのか? ということです。しかも輸出の下方修正も、米国寒波や中国春節の影響、など一過性としており、混乱する新興国経済の影響は、半ば無視している印象です。
つまり政府の景気見通しと極めて整合的であるものの、それは消費税増税を正当化するための口実なのですから、日銀があえてそれと同じにする必要はなかった。むしろ同じにしたことで、日銀の判断に不安を残す、という結果です。さらに昨日発表されたGDP2次速報でも、GDPデフレーターはマイナスのまま。つまり輸入物価の上昇を、価格転嫁できていない現状も浮かびますが、それも日銀は一過性で、自然と価格転嫁がすすみ、インフレに至るという見通しももつようです。

しかし消費の鈍化、さらに過剰供給の状態にあれば、価格転嫁すればさらに売れなくなるため、できるはずがない。こうした構造的な問題にまで日銀は踏みこんでいない。今日の総裁会見では、放っておけば輸出も、生産活動も回復し、日本経済はよくなる、と述べているようです。それらもすべて、政府が景気見通しを引き上げ、またインフレを是として政策をすすめることに整合し、その論理が崩れたときへの論理武装を何ももっていない、ということを示しています。
そこで気になるのが、始まった年金財政検証のための会議です。5年に1度、年金が持続可能かどうか、経済前提と給付などのバランスがどうか、を検証するための会議なのですが、その経済前提が政府の示す2%の物価上昇と、ここ10年の成長率が実質で2.1%というものなのです。すでに2013、14年度はこの見通しを下回る、とみられますが、この会議ではこれを用います。勿論、それより悪いモデルケースもありますが、数字を舐めればいくらでも年金制度の持続性について正当化できてしまうのは、従来からくり返されてきたことです。逆にいえば、上げ潮派が政権にある限り、ずっと経済成長して将来は安泰、と言う結果にしかならないことを示します。ナゼなら、これは結果に基づく反映ではなく、希望的観測に基づく推計になるためで、上げ潮派は自分たちの行動を正当化するため、常に経済成長をその希望的観測にすえる傾向があるためです。

これは昨今のベア議論にも関係します。ベアをすれば企業は年金の負担も増します。逆にいえば、年金財政自体には好材料です。今のように、為替差益による業績改善を賃上げの理由とした場合、為替差損がおきた際には賃下げの動きが起こりかねない。円高で年金財政の逼迫、などという事態も起きかねません。つまり経済成長と同様、ずっと円安を志向していないと苦しくなる、と何ともおかしな話になりかねない。将来的には、それを根拠として円安を正当化するような議論すら、起きかねないのが今の政府の態度には、含まれているといえるのでしょう。
さらに、政府の方針に従って、年金の運用弾力化が度々話題に上がります。しかしこれも経済成長する、という前提があってのことで、本当に経済が成長するなら、確かに株式など、成長を享受できる投資をすすめる必要がありますが、ここ2四半期の成長率をみる限り、それは必要ないレベルの成長しかしていないのです。逆に、ふたたび低成長に逆戻りするなら、運用リスクの方が高くなり、株式投資は不適ともいえる状況になるのです。政府が示す経済成長見通し、正当性すら疑わしい、そんなものが一人歩きして、経済、金融、財政政策を蝕んでいる。昨今はじまったいくつかの議論で、これまで抱えてきた日本の病巣が、さらに深刻化していることが示される。これが、潜在的に感じる不安として意識されるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2014年03月10日

GDP2次速報と景気ウォッチャー調査

今日発表された10−12月期2次速報は、ちょっと衝撃です。年率換算の成長率が1次速報の1.0ptから0.7ptに下方修正され、その主因が設備投資だったためです。円安によるJカーブ効果が出ていないことは、1月の経常収支で1.6兆円という最大の赤字を記録したことでも明らかですが、企業の生産活動は拡大する気配がない。設備投資は1.3ptから0.8ptに下方修正されていますが、この程度の数字だと、古い設備の置き換えとして十分に説明できてしまいます。
さらに問題なのは、企業の賃上げの動きです。国内生産が活発になっているなら、特に問題はありませんし、むしろ好感すべきですが、企業負担にしかならない今回の決断は、法人税減税をめざした経団連の意向により、余力のない企業まで賃上げせざるを得なくなっている。今後、円高になった途端、企業経営が苦しくなることが必定です。それを2次速報は示しているのです。

内閣府は、1-3月期は消費税増税前の駆け込み需要があるので、消費が堅調との見方を示します。しかし住宅建設は10月をすぎてガクッと落ちており、また寄与度の大きい自動車販売などは、納期の関係ですでに打ち止めになっています。冷蔵庫などは堅調、という話もありますが、エコポイント制度と同様、消費の山と谷ができてしまうので、これとて景気ではマイナスです。夏で景気はピークをつけた、という話が現実味をおびてきたことに、統計上もなっています。
上記の傾向は、すでに2月景気ウォッチャー調査にも現れており、現状判断DIは1.7pt低下の53.0、先行きDIは9.0pt低下の40.0でした。景気は明らかに下向き、駆け込み需要の反動減というばかりでなく、景気の谷にむかって今は転げ落ちている状況です。安倍政権では補正予算で公共工事バラマキは続いており、劇的に上昇することはない。このままだと4-6月期の前に、マイナス成長に陥る恐れすら生じているのでしょう。引渡しの終わった住宅、自動車などの高額消費が、どの程度1-3月期の期待と乖離するかで、そうしたことも判明してくると思われます。

震災復興に関して、安倍首相は「ハードからソフトへ」という言い方をしますが、安倍ノミクスは「ソフトからハードへ」の転換期にきています。このソフト、ハードはマインド面から実績へ、ということであり、ただの期待だったものが、現実にどうなったか、を見極めるタイミングに来ているのです。しかし、経済指標をみても期待とはほど遠く、実績は伴っていない。それでも各社の世論調査をみても、経済政策の評価はいい、というのが日本の現状なのです。
今から断言できることは、来年度の日本の経済は、かなり混迷の度合いが深い、ということぐらいでしょう。今後、でてくる経済指標で悪いものが増えても、メディアがほとんど報じず、無視する形でまだマインドに働きかける気か? そうやって、いつまでも国民を目晦ましをしていると、PM2.5で視界不良の中国同様、日本の先行きも暗い、と感じる国民が一気に増えることにもなりかねません。防潮堤の見直しという話もありますが、今は何が蟻の穴になって、政治、メディアのスクラムという堤が崩されるのか? その行方次第で、日本のマインド転換が訪れることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年03月09日

米雇用統計と日本市場

マレーシア航空機が消息を絶ちました。懸念されるのは、中国で全人代が開かれる中、北京をめざす航空機がテロの標的になった可能性、です。これは911を想起させますし、何より中国幹部に与える影響は甚大でしょう。偽造旅券の使用という話もありますが、世界全体で、ふたたび警戒レベルを上げることにつながるかもしれません。まだ情報が乏しくて何とも言えませんが、仮に判明しても公表されるか定かではありませんので、これがただの事故なのか、そうでないのかはしばらく判然としないのかもしれません。

7日の米2月雇用統計は、非農業部門の雇用者数が17.5万人増、と市場予想を上回ってきました。ただ前日に発表された新規失業保険申請件数などで、すでに雇用環境の改善は織り込んでいたため、米株市場はそれほど好感することもなく終えています。最近の雇用統計の癖として、労働時間が増えていないにもかかわらず、時間あたりの賃金が跳ね上がって発表される、ということにあります。ただ速報からは下がったりもするので、本当に労働市場の改善がすすんでいるか? やや疑問です。労働時間に寒波の影響がでているなら、賃金にも影響するはずだからです。
しかも今、米国の喫緊の懸念材料は、つみ上がった在庫の処理です。このタイミングで全産業で雇用が増えるのか? 前月は建設業が大幅な伸びを示しましたが、今月も増勢は保ちました。しかし全米で住宅価格を調査している協会は、しばらく住宅価格は上昇しないのでは? との観測も示しています。逆にいえば、FRBも住宅価格の上昇にバブルの懸念を抱いており、その封じ込めにテーパリングへ舵を切った、といえるのですから、米国全体で住宅バブルを抑えるための、口先介入をしていることは考えられます。それに反して住宅建設がさらに伸びるのか? 建設業への就労が増えるのか? このあたりのせめぎ合いが今後、考えられるところです。

為替市場は、順調なテーパリングへの方向性をみて、ドル買いにすすみました。先にECBが現状維持を決め、ユーロ高へとすすんでいたために、円が安くなった形ですが、この流れもそう長くはつづかないでしょう。次に為替市場を大きく動かすのは、人民元の動向だと睨んでいますが、そのとき円が安全資産として買われるのか、連れ安するかは読みにくい面があります。しかもその円安はあまりよくない形であって、日本経済全体への信頼性にも影響するかもしれない。中国との取引量の関係からみても、人民元の急変動による影響というより、取引量が問題となってきます。むしろ円高にすすんでくれた方が、好感できる流れにはなるのでしょう。
日本の株式市場は、週末のSQにらみで動いている側面があり、高いところのポジションをつくった層が、上へと押し上げている印象です。今のところ、下を叩くより、3月ドレッシング期待もあって上へ、というところで、一旦は外国人投資家のポジション調整も終えていますが、今後の動向はまだ読めません。ロールオーバーするのか、処分するのか。今週末の動向をみると、短期的な流れも読めてくる、そんな形なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年03月08日

雑感。維新の原発政策

日本でもやっとChromebook搭載のパソコンが発売されます。それ自体、まだ大ヒットするほど認知度が高いわけではありませんが、世界から出遅れていた部分に、やっと追いつくという点では評価できます。日本のメーカーは未だに15.6インチクラスのWindowsパソコンをメインにすえますが、今の日本ではほとんどが買い替え需要しかとりこめません。新規の市場を開拓する、という気概に欠けており、Chromebookのような安価でそこそこの性能でも新市場開拓の期待はあります。
ただ今のパソコン市場は過渡期で、現時点で最新の第四世代Coreiより、すぐに出てくる第五世代が30%の省エネ性能や、来年には次のWindowsが噂されます。消費税増税の駆け込み需要といったところで、当分は安価で性能の高い新Atom搭載のタブレット端末が噂になるぐらいでしょう。

維新の石原代表が、党の方針に反対して原発推進を訴え、党内の亀裂が深刻です。石原氏は代表なので、学級崩壊というより、生徒が全員一致で『鶏を飼う』と決めたのに、先生が『俺はそれを食う』と言い出したようなものです。耄碌というよりは、蒙昧という形であって、福島原発の事故で既設の原発の危険度は自明になったのですから、仮に原発推進を訴えるなら、事故を起こしたときにどうするか、の対応ではなく、事故を起こさないような原発に造り替えるべきなのです。今の規制基準は、ベントや防潮堤など、原発自体が事故を起こすことを暗に認めており、そうしない、もしくはそうなっても被害を最小に、という対応でしかありません。
現在の技術であれば、仮にトラブル、事故があっても自然冷却し、原発自身が人の作業を介さず、電力さえ失った状態でも安定状態までもっていく仕組みに変えることは、可能なはずです。古い原発にはそういう仕組みがなく、事故を起こす可能性が高く、また起こしたら甚大な影響をもたらすので、再稼動してはいけないのです。もしかしたら、これから新設する原発には、そうした仕組みが導入されるかもしれない。しかし今の規制基準ならまずムリです。それは既設の、安全性の低い原発を再稼動させよう、とするからそうなるのであって、そのため原発の危険性は一向に除去できない、となってしまうのです。

震災から3年が経ち、福島原発は未だに1日400tの汚染水が増え続けています。これでも放射性物質除去装置ALPSが稼動し、正常に処理できてのことであり、できなければ800tの汚染水がでます。しかもそのALPSは停止が目立ち、安定的に処理できているとは言い難い状況にあります。さらに汚染水漏れは、定常的にくり返されており、それがなければもっと汚染水は増えていたのですから、未だに持続可能な状態にある、とはいえない状況でもあるのでしょう。
維新にしろ、自民にしろ、原発再稼動に前向きな勢力は、今ある現実にさえ目を向けようとしません。原発は決して成熟した技術ではない。むしろ古臭くて、最新の安全技術からはほど遠い施設になってしまっているのです。維新とは『すべてがあらたまり、新しくなること』という意味ですが、維新から『異心』がでて、『威信』が損なわれるというのも、既設の原発という古臭いものを礼賛するその姿勢が、すでに時代遅れというところから来るのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2014年03月07日

ウクライナ情勢と日本の対応

佐村河内氏が記者会見しました。大した事件とは思っていませんが、騙されたメディアの扱いは大きくなるようです。それよりもウクライナ問題で、米欧が制裁を発動という記事の方が、よほど世界と日本に与える影響が大きく、それを差し置いて流すほど、佐村河内氏の事件が大きいか、というと首を傾げます。そんなウクライナ問題は大きな転機に差し掛かっています。

まずクリミアがロシアへの帰属を求める投票を、前倒しで実施との報がありますが、米国は反対しています。クリミアに露軍がほぼ駐留する形で実施しても、正しい結果は残りませんし、今は露系の情報機関が扇動家として入り込み、世論を煽っているふしもあるので、益々選挙を急ぐことは正しくありません。プーチン大統領は露系住民を守る、としていますが、クリミアで危険にさらされれいてるのは、むしろウクライナ系住民です。国連の大使を露系住民が追い出したのも、よほど不都合なことをクリミアで実施している証左ともいえるのでしょう。
しかしウクライナの露系住民も、ソビエト崩壊当時は経済が崩れ、ウクライナに帰属しよう。今はウクライナが経済危機となり、資源国として好調な露国にもどろう、という節操のなさです。しかもそれが、露国式の権力集中、富の集中をすすめていたヤヌコビッチ政権の崩壊後に、露国にもどろうというのですから、一握りの富裕層に入れなければ、貧困がつづくということすら理解できないようです。そして今回の露国への制裁により、経済がどう転ぶかはまったく不明です。

今のところ、露国への制裁は政府系の個人、関係組織の資産凍結と、海外渡航禁止が語られますが、範囲も不明であり、影響がどの程度広がるかは読めません。ただ一つ云えるのは、これが金融機関の取引にまで影響するようだと、経済的には全面戦争の様相となります。そのときは貿易も止まり、金融取引が行われないためガスの元栓を閉める、という事態になるのでしょう。
問題は日本です。電話会談後、米国は『認識は一致』と発表したにも関わらず、日本側がそれを覆しました。はっきり言って、最悪の選択と言えるでしょう。ここで米国に恩を売りたいのか、露国に恩を売るのか? その中道をいったとしても、どちらも日本を支持してくれません。本気で北方領土問題を解決したいなら、むしろ米国に今回は申し訳ないが…と伝えるしかなく、米国との関係改善を望むなら、露国との関係は切る。もう一つの道としては、露国を説得してみせる、として自らプーチン大統領に連絡し、翻意を促すという手もありますが、そのいずれでもありません。最後の案が、もっとも男をみせる場面になりますが、そういう度胸、度量も安倍氏にはないことが、これで露呈した形です。中途半端な判断が、もっとも国益を損ないます。

安倍氏が復権したとき、日本のメディアは好感する報道をしましたが、米国ではすでに安倍氏の思想、行動については分析、検討が一度済んでおり、スムーズに安倍政権との距離をおく、という戦略をとることになりました。昨年の訪米時の冷遇は、そうして起こったのです。しかしこうしてみると、なるほど米国の分析、判断は正しかった、と言わざるを得ないのでしょう。重要なときに決断できない、行動できない。その人物が憲法の解釈だけで、内閣の承認により自衛隊を動かそう、というのですから、何をか言わんや、です。米軍が黒海に展開し、軍事衝突も有りうる事態になってもまだ、どっちつかずの判断しかできないリーダーでは、心許なくて仕方ありません。日本の首相は、直接選挙でえらべませんが、住民投票にしろ国民の意思をもっと明確に示せる形がないと、いつまでも脆弱な人物がこの国のトップでありつづける、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2014年03月06日

雑感。メディアのつくるムードとの逆行

今日の日経平均は大幅高でした。先物買い、というより木曜日連続安にベットしていた層が、慌てて買い戻したことで引きおこされた、とみるのが正しいようです。午前中GPIFの運用弾力化などのニュースもあり、後場に戦略を変えた。それが大幅な意外高につながった、そんな思惑で右往左往する展開だったのです。一部で、日本株の戻りが弱く、それを買いの材料とする向きもありますが、年初の株価水準が正しいかどうか、が問題です。PERも自社株買いが活発な今、企業価値を正確にあらわす指標ではありません。イエレンFRB議長が盛んに「株はバブルではない」と発言するのも、どの国でも株価上昇への理由づけが困難であることが影響しており、それは日本も同じです。

しかしメディアが楽観を流す割りに、日本では凄惨で残忍な事件が、ここに来て増えています。個別には様々な事情があるにしろ、社会に本当に前向きで、よい風が吹いているなら少なくともマインド面を悪化させる原因は小さい、ともいえます。政府やメディアが喧伝するほど、現実にはまだよい影響は出ていない、とみるのが正しいのでしょう。特に社会保障の切捨てがすすむ中では、益々そうした事件、事件にならずとも悲惨な事例も増えることが想定されます。
一つには、昨日もふれたように、外国人投資家が求めることの一つに、移民の受け入れ、外国人労働者の確保、の問題があります。つまり日本は人口減社会なのに、その対策を何もしていない、というのです。しかし安倍氏を支える保守層にとって、これは看過できない問題です。女性は家で家事、子育てをしろ、などと家父長制の時代錯誤の主張まで出てくる始末ですから、まず実現性は低い。では子育て対策は、都知事選でも争点になっていましたが、国ができることをしていないのも事実です。未だに成果が出ていないのですから、イイワケもできないでしょう。

一部で、日米関係の悪化を『靖国神社の参拝から』として報じるところもありますが、日米関係は安倍政権発足以後、ずっと悪いままです。強いていえば、靖国神社の参拝でトドメをさした、もしくはダメをおした、といったところ。これはメディアの報じ方が問題であり、それまでメディアは日米関係が良好、といった報じ方をしており、その整合をとるため、靖国神社を転機にしているだけです。そして、それは保守系にとって殊更に好ましくない報じ方になっている。つまりメディアを操作し、事実と違うことをいくら吹聴しようとしても、後でしっぺ返しを食らうのは操作した側、となるのが世の常であり、それが今続々とおき始めているのです。
日産がベア、一時金の満額回答、と報じられました。ただし日産はゴーン体制の欧州方式、儲ければ還元するが、損失には切る、が当たり前です。特に会長は、日本企業の経営者としては異例の高額報酬であり、日本式の賃金の考え方を当てはめるのはムリがあります。それでも賃金が上がる、というムードを醸成するため、あえてそうした報じ方がされます。そして、昨年は全産業でみると賃下げであり、今年多少それを戻したとしても、労働者の生活は苦しくなっていることに、何の変わりも有りません。メディアがつくってきたムード、それが壊れ始めて、メディアがイイワケに様々な事情をこじつけてくるのでしょう。それが正しいか、否かも含めて、情報操作を主導してきた側に、何のお咎めなしということでは、この国は益々暮らし難い国になっていくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2014年03月05日

中国、全人代が開幕

最近、メディアでも相次いで安倍ノミクスへの懐疑的見方、を伝えています。その中で、外国人投資家の言葉として「経済優先なのだから、中韓との関係改善を」と伝えるものがあります。ただ外国人投資家には、中韓の経済を日本が下支えして欲しい、という思惑があります。今のウクライナ情勢も同様ですが、投資家は少しの間でもいいから、安心させてくれ、安寧できる材料を与えて欲しい。今のままだと、近いうちに中韓で経済ショックもおきますが、その際日本が支援を申し出ても、中韓は屈辱的として拒否するでしょう。そして底が抜けることを怖れているのです。
米国が危ないときはFRBが、欧州はECBが、ウクライナもIMFや西側諸国が、下支えの態度を示して安泰だ、との意識も広がりますが、中韓が崩れたときには支え役がいないのです。日本にその役割を担わせ、自分たちはその間、安心して投資できる環境を享受する。それができないなら、安倍ノミクスは経済第一と言えない、そんな言葉が裏に隠れていることは忘れてはいけません。

そんな中国で、全人代が始まりました。今年の成長目標を7.5%と高めにおき、市場の安心を買いましたが、リーマンショック後の景気刺激策はバブルしか生んでおらず、実は対策を打つにしても非常に困難な面があります。つまり7.5%を目指すには、新たなバブルを生みかねません。PM2.5対策として、コンクリ工場を爆破するパフォーマンスを、全国規模で報じていますが、少し前にはコンクリバブルがあり、過剰な設備投資が横行していた経緯があります。今、地方政府主導のコンクリ工場などもあり、それを守るために民間の工場をつぶす、という動きをPM2.5対策と偽っているだけ。つまり蓋をする臭いものの対象が、説明とは異なっているのです。
これは不動産分野でも同様、主要20都市でほとんど上昇、とされますが、地方政府が率先して土地ころがしをするので、そうなります。逆に、土地が下落して景気低迷が鮮明になると、官僚の出世にも関わってくるために、嘘でも転がし続けるしかありません。しかし杖もないまま転がし続ければ、いずれ伸びきった市場は急落するしかない。飛ぶ鳥をおとす勢いだった経済成長が、飛んでいる鳥が落ちるぐらいの急降下、になりかねません。それが全人代で改革路線を鮮明にすれば、起こる可能性がありました。それを7.5%の成長目標が、一先ず払拭した形になります。

軍事予算が12.2%増に注目が集まり、危険が増す、との報道もありますが、逆にこれだけ軍事に予算を傾けていれば、中国の財政が危険、という見方もできます。経済成長の分を増額してきましたが、経済成長が鈍化しただけで、この国防費を維持するのは困難です。むしろ軍事によって中国は潰れる公算を、この数字は示しているのでしょう。確かにやっと空母をもち、陸軍偏重から空、海と軍備を充実させる過程で、お金がかかるのでしょうが、それを達成する頃には大きくなり過ぎた人民解放軍が、共産党から人民を解放する日がくるのかもしれません。
始まったシャドーバンキングの清算。これは国民、金融関係者の経済IQが低い段階で、欧米型の金融商品の仕組みを導入したこと、により起きています。そしてここまで、その恩恵を享受し、成長してきた中国経済は、明らかに実態よりも間延びした経済になってしまっているのです。中国の諺に「禍福に門なし」という言葉があります。つまり災いも、幸せも自らが招く、という意味ですが、ここまで幸せに時を過ごしてきた中国が、自ら蒔いたタネを刈りとる時期は、かなり近づいてきていることは、間違いなくなってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2014年03月04日

ウクライナ情勢の緊迫化

ロシアのプーチン大統領が、ウクライナの正当な政権はヤヌコビッチ氏にあり、ウクライナからの要請で軍を動かす決議をした、旨の発言をしています。一見正しいようにみえて、実は大きな問題があります。エジプトにおけるアラブの春でも同様に、国民にはデモをする権利、選挙を要求する権利があります。ウクライナが内戦状態に入ったとしても、二国間の話し合いで軍事介入することは、国際法で認められていません。ナゼなら暴政、圧政に苦しんで国民が武装蜂起した場合、国の指導者が他国の軍を動かして鎮圧する、ということが常態化してしまうためです。
つまり、国連の調停による平和維持として軍を動かすならまだしも、暴政をくり返す首長を生き永らえさせるだけの軍事介入には、正当性がないのです。エジプトでも、米国は親米政権が倒れ、アルカイダ系の政権が誕生するときでも、口出しすることも軍を動かすこともできなかった。弁護士出身のオバマ大統領ですから、原理原則に固執してしまう面もありますが、それが国際的な流れでもあるのです。ロシアはそうした慣例に染まず、国連の同意すらないまま、他国へ軍を動かした。これを、米国は国際法の概念をもちだして非難している、ということになります。

欧州はロシアとの結びつきが強く、一時は投資も活発でした。欧州債務危機でかなり引き上げたとはいえ、未だにロシアでポジションをもつ層も多い。それでも、米国は経済制裁にむけ、議論を始めています。ただ米国も苦しいのは、ロシアは外貨準備としての米国債の保有も多い。ロシア資産の凍結をすすめると、米国債を売り立てて、当座の資金回収を急ぐでしょう。非常に考え難い手ですが、ロシアのもつ米国債を紙屑にし、米国債をもつ他国、投資家にむけては新たに発行する、というウルトラCもありますが、手間と実現性ではかなり低いとみます。
翻って、欧州はさらに経済制裁には後ろ向きです。先にも記したように、ロシアへのポジションの大きさは米国の比ではありません。ガスラインも同様に、立ち直りかけた欧州経済の打撃ともなってきます。それに、日本も欧州と似たようなものです。安倍氏が親露の方針を示し、何度も財界を連れて詣でていましたし、裏では投資話もかなりすすめていました。実際、動きだした案件もありそうですし、市場としてのロシアに魅力を感じて進出した製造業もあります。表向きの凍結はなくとも、ロシアへの逆風が吹けば、景気低迷による打撃をうけるのが必定です。

ウクライナによるクリミア割譲で手をうつのでは? との見方もありますが、ウクライナにとっては損失ばかりとなり、代償もないのでは合意できません。もしIMFや西側諸国から補填するのであれば、その資金の捻出元も必要です。きな臭いのは、この捻出元に、ロシアへの支援金を準備していた日本が挙げられそうで、まだそうした動きはありませんが、今後の話し合いの過程でこうした案件が浮上するようだと、日本は相当に損をする場面もでてきそうです。
日本の株式市場は反発しましたが、売り方の買戻しが中心でした。これもポジション落としというなら、その通りなのでしょう。また3月のメジャーSQが近づき、昨日辺りからロールオーバーの動きも活発になってきました。高いところでポジションを作った層も多く、ここでポジションを落とすのか、ロールオーバーするのかで、来週まで値動きが決まってくるのでしょう。しかしウクライナ情勢は、しばらく不安材料として浮上したことは間違いなく、ロシアへの制裁でコンセンサスがとれるか? そうした材料で暫く右往左往することになってしまいそうですね。

analyst_zaiya777 at 22:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 経済

2014年03月03日

経済のリスクの考え方

ウクライナ情勢による経済的な影響について、福岡県ぐらいの経済規模なので、大した影響がない、という人もいますが、そんなことはありません。国家債務が14兆円とされますが、これだけの規模だとデフォルトした瞬間、金融機関のいくつかは資産から負債にカウントされ、目減りした分の資本を補うため、リスク資産を償却し、優良資産へと切り替えるなどの対応が必要となります。その際、機械的に売られるリスク資産により、まったく関係ないところで急落といった局面を迎えます。その市場が急変に堪えられないと、連鎖破綻という事態になるのでしょう。
今はG7の声明で、デフォルト懸念は回避されていますが、いずれ何らかの形でウクライナはその債務を清算しなければなりません。ギリシャのように、再建計画と借金棒引きで済ますのか、この軍事問題が解決した後も、ウクライナには問題山積であることに違いありません。

中国経済の方が懸念、というのはその通りです。ここで一つ気になるのが、中国の企業向けに売られていた金融商品があり、それが人民元の上昇に伴い利益をえる、といったタイプのものでした。しかし最近の人民元急落で追証が発生している可能性があり、新たな企業債務として意識されだしました。つまりこの商品は、人民元高のヘッジの側面があったものの、ヘッジにヘッジをかけてはいないため、カバーし切れない。未だに中国人民銀行による、人民元の弾力化というだけなのか、よく分からない人民元安ですが、意外なところに影響がでそうです。
日本ではウクライナ情勢で円高、株安となっています。今のところ、不透明感が強いためポジションを落とす、といった流れを先物が助長しているだけですが、今は欧州系が粛々と処分売り、米系が強気、という構図もあるようです。しかし米系のハゲタカファンドとよばれたところが、粛々と資産を処分するなど、日本から逃げ出すかのような動きを続けるなど、米系といえど、安倍政権の賞味期限は意外と早く切れる、ということを意識し始めた傾向もみられます。

安倍首相は、円安で海外に生産拠点を移すなんておかしい、と述べますが、その単純さが最大のリスクです。内閣府の調査で、将来的にも企業は生産拠点を移す方向にある、とされますが、その原因は日本で生産する必要がないからです。TPPとなれば、益々人件費と輸送費のコストが意識されますから、最大消費地の近くで生産する、という流れになるのが自然です。為替の変動の大きさは、それだけでリスクになりうるものであり、円安方向だから…との理屈にはなりません。
ウクライナのリスクも同様ですが、真のカントリーリスクとは、政治の無能に人々が気づくときにおきます。そういう意味で、ウクライナ問題に言及した途端、ロシアに侵攻されたオバマ米大統領もリスクを意識されたことになりますが、それ以上に、経済政策の基本的な考え方に問題があり、またロシアの非難もできない日本の腰砕けぶりに、日本リスクという問題も、外国人投資家は意識することになったでしょう。米紙の安倍政権批判は止むことがありませんが、安倍ノミクスから安倍ノリスクへ、日本の転換は静かにおきつつあるのが、最大のリスクということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2014年03月02日

ウクライナ情勢の緊迫

ウクライナ情勢が緊迫しています。ロシア系の住民が多いとされる、国会沿岸のクリミア半島では、空港や議会が占拠されており、一部ではロシア軍を名乗った、とされます。すでにロシアでは軍を動かす議会決議が得られており、実際にはすでにロシア軍が多数、ウクライナに入っているとみられ、一部では常駐するウクライナ軍にロシア軍に降るよう、迫ったとされます。

ガスのパイプラインを閉める、という経済的封鎖より、武力行使という事態に至った背景にはいくつかあります。ロシアがつかうウクライナにいる露系住民を守る、は詭弁です。ソ連崩壊後、露系住民がウクライナにとり残された事情もありますが、国として独立した以上、内政干渉は赦されておらず、軍事侵攻は暴挙となります。しかしロシアとしては、最近のシリアなど、政権側を支援するも悉く失敗しており、外交で成果とよべるようなものが一切なかった。
プーチン大統領としては、ソチ五輪も終わり、重しがとれたこともあって、ここでウクライナという要衝を西側にとられるわけにもいかず、また露系住民が多いことからも扇動し、無政府状態におくことは容易だった。そこで治安、安定を名目に、軍事侵攻することは、五輪のときから規定路線だったのでしょう。だから抑圧されてもいない内に、行動に踏み切ったのでしょう。

そしてソチ五輪のテロ警戒として、黒海に派遣されていた米艦が座礁、故障してしまい、抑止力に欠けたことも原因です。西側が軍を動かす大義名分をえるにも、まだ時間がかかる。ロシアの電撃作戦は、ヤヌコビッチ氏の脱出とも歩調を合わせていたのかもしれません。逆に、ヤヌコビッチ氏救出が当初の名目だったのかも…との見方もでき、時宜は得ていたとみます。
問題は欧米、それに日本の対応です。ウクライナはNATOではないため、安全保障上の制約はない。しかしここで手を拱いては東欧諸国も怯え、続々とロシアに靡く可能性があります。地下資源という以上に、ウクライナが今後の東欧の試金石にもなりかねず、米軍の動きの緩慢さは気になるところです。しかし黒海に軍を動かせば、さらに緊張を高めてしまう。欧米は政治力で対応するしかない、ということで、今は国連での非難決議などに尽力しているようです。

問題は日本です。これでは日露会談もとびます。未だに正式な表明を先送りするのも、せっかく欧米の白眼視に耐え、五輪開会式にまで出席したのに、北方領土交渉はすべて白紙になってしまうからです。しかし今回の露側の行動、国際社会からも非難されれば、日本も追随するしかありません。さらに問題は、気が合う…とされるプーチン大統領の本質と安倍氏の本質とは同じ、軍事侵攻も厭わぬその態度、とみられる点です。日本でも他国にいる日本人を守る、という名目で武器使用の軽減議論がすすめられますが、その行き過ぎた形が、今回の露軍の動きになるのです。
どの国でも、他国の軍が入ってくることは望まない。もしそれを容認するとすれば、すでに内政は崩壊し、治安維持ができなくなったとき、です。そんなときはイヤでも武器をもって乗り込むしかありません。ただ今回のような行動は拙速であり、露側の事情としては時宜をえても、国際社会はそれを赦さない。軍を動かすとは、国際社会の信任という事情がない限り、中々難しいものなのです。恐らく、安倍政権下でそれをしようとしても、決して国際社会は赦さない、ということになりかねないのです。露側のとった行動は、日本にも枷となって跳ね返ってくる。今回、日本の、安倍政権の対応は極めて難しくなったことが、ほぼ確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 政治

2014年03月01日

雑感。はじまった値上げの動き

集団的自衛権の行使にともなう諸法案を、秋の臨時国会で改正する方向で、安倍政権は動き出しました。あくまで閣議決定に拘り、国会審議は経ずに、質問があれば答弁するということで押し通す安倍政権ですが、国家安全保障基本法という理念、骨格をつくるより前に、関連法の整備にかかるようです。ただ先の報道のとおり、内閣改造を夏にするなら、この関連法は踏み絵として、閣僚になるためにはその法案をのむ、ということが条件となりそうです。

すでに始まっている消費税増税前の値上げ、これは明らかに便乗であり、価格決定権は供給側にあるとはいえ、不透明感の強いものとなっています。しかし政府は、この動きを増税後の景気のおちこみをカバーできる、として容認する姿勢です。この一月の増税に関係ない値上げは、増税後におちこむ企業の売上げもカバーするのなら、騙されているのは消費者、となるのでしょう。
共同通信の世論調査で、原発30km圏内の自治体で、再稼動容認が2割との結果がでました。未定も4割ですが、地元の同意という大義名分は剥落した形です。事故を想定した場合、退避経路を複数準備しておかなければなりませんが、元々が過疎地に原発は立地されているため、そんなところに道路を何本もひくことは、現実的ではありません。空中搬送にしても、風向きによりヘリが汚染される可能性も考慮すれば、ヘリポートも複数必要になってくる。それもまた費用対効果で否定できますし、そもそもそのヘリポートまで行く足も問題となってしまいます。

原発再稼動をしないと電気料金が上がる、というのは嘘です。今でも原発が動いていないので、これ以上の上乗せはなく、原発再稼動をした場合、電気料金が下がるのかどうか? です。しかし電力会社はそれを約束しません。本当に下げられるなら、電力会社ももっと大々的にそう喧伝しているでしょう。ナゼなら、それが原発再稼動の近道だからです。逆にいえば電気料金は下げたくない。ただでなくとも廃炉費用の積み立て不足で、それを補わなければならず、また再処理費用、核廃棄物の処理費用もあって、原発再稼動をしても電気料金は引き下げられないのです。
人間は、価格が上がるときには敏感ですが、下がるときには鈍感です。良い材料より、悪い材料に反応しがちなのは人の性でもありますが、すでに上げ始めた消費税分の価格も同様に、電気料金も決して下がる方向にはない。上がると言われると身構える、それを利用して、国民に政府、企業にとって都合のいい形でのすり込みを行っている、というのが最近の流れとしてあります。もう上がってしまったから、4月の増税のショックは緩和される、電気料金も仕方ないと諦める、というのなら、今後も国民は政府、企業に騙され続ける構図はつづいてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 原子力