2014年04月

2014年04月30日

日銀の金融政策決定会合について

日銀の金融政策決定会合が開かれました。消費税の影響をのぞく14年度1.3%、15年度1.9%の物価目標見通しを維持し、デフレ脱却に自信を示す一方、実質経済成長率の見通しを13年度2.7%→2.2%、14年度1.4%→1.1%に引き下げるなど、ややチグハグな印象をうけました。しかし、名目に直すと14年度で3%に達する勢いの見通しをだすのは、そもそもナンセンスであり、現実路線への回帰ともいえます。今回、初めて示した16年度の物価見通しは2.1%と強気ですが、ここまでは日銀のシナリオ通りにすすんでいるものの、今後については首をかしげる部分も見受けられます。
日銀のシナリオでは、需給ギャップの改善、労働市場の好転による賃金上昇効果、がインフレ期待を醸成する、といった見立てをしています。しかし昨年は増税前の駆け込み、公共工事の乱発、復興需要などで潜在的な供給量を上回り、需要が活発だった面があり、これが相当に数値を押し上げています。需給ギャップの改善と、労働市場の好転はまったく同じ要因で誘発されており、それが長期に亘ってつづくものでない以上、一時的な効果とみてまず間違いありません。

逆にいうと、その効果が切れると一気にシナリオに狂いが生じます。今年、増税前の駆け込みは剥落、一方で無理やり達成率をあげるなどして、公共工事は維持される見こみですが、来年は? 下手をすれば、それを消費税10%への理由とする懸念すら生じさせます。つまり需給ギャップ改善のため、増税をしてインフレマインドの向上につなげる、という恐れがあります。
なぜそうなる予想がなりたつか? それは、最近の安倍政権の経済閣僚から発信される言葉に篭められた、経済成長を目標とするのではなく、デフレ脱却を目標とする、という意味です。実は、日本の潜在成長率が下がりつづけることは自明です。労働人口が減少するのですから、それをカバーする技術革新、新産業がない限りは、日本は経済成長が難しい国となってしまうのです。しかし目標をデフレ脱却におけば、その達成は容易です。今のようにコストプッシュ型であっても、一応の形としてデフレ脱却になるのですから。しかも今の施策が、単にデフレ脱却を目標とするなら、成長が低位のままとなり、財政は改善されず、今の財政出動が長続きしないどころか、将来の負担となって日本に未曾有の混乱を生じさせる懸念すら出てくるのです。

日銀は、成長率見通しの引き下げについて、海外需要の停滞を理由として挙げます。しかし円安になっても、Jカーブ効果が出ないことは、この1年ではっきりしてきました。これは遅延ではなく、製造拠点を移してしまった今、将来にわたっても海外需要は、その国ごとの状況による、といえるのです。つまりそんなものに期待している時点で、日銀の無策を指摘できるでしょう。
それもこれも、日本独自では成長が抑制されているため、そんなことになるのです。成長もしていないのにインフレが昂進すれば、経済への打撃は大きくなる。それでも日銀は今後回復するとみて、物価見通しは変えない方針を、今回もまた示しました。低成長と2%のインフレが、果たしてどういう形で同居できるのか? その説明が尽くされないまま、その状態に一歩近づいた、という認識が示された。まずは日銀の説明の仕方について、成長させるところから始めないといけないのかもしれませんね。

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2014年04月29日

雑感。支持率と経済指標

JTB中部の社員が、自身のバス手配ミスを悟られないよう、学校に自殺を装う手紙を渡すなどの隠蔽工作を行った、という事件がありました。最近目立つ、目の前にあるストレスを除去するためだけに浅はかな行動をする、その典型のような事件です。手配ミスならJTBとしての損失補てんなどもありますが、個人としては始末書で済みます。しかし自殺をほのめかして学校側を混乱させれば、脅迫罪に問われかねません。実際、仮にJTBが組織ぐるみで隠蔽のために、今回の事件を引きおこしていれば騒乱罪、という可能性もでてきます。いずれにしろただでは済みません。

ただでは済みそうもないのが、韓国の旅客船沈没事故です。事故から事件へ、という流れとなり、政権が自己保身のためにも首相を切ったり、船会社の関係者を捜索したり、救助活動に問題があったとして海洋警察や消防本部を捜索するなど、収拾がつかなくなってきました。しかし気をつけなければいけないのが、犯人探しをして処罰感情に訴えても、それで終わりではない、ということ。どう改善させるか、がカギであって、今はまだそこにも至っていない印象です。
さらにもう一つ、朴政権の支持率が急落、とは言っても未だに50%越えである点が注目されます。事件だけで政権の命数が決まるわけではありませんが、これだけ失政を重ねても、50%の規定層は維持している。しかし事実上、レイムダックは確実であり、50%の政権支持率であっても力を失う、という異例の事態です。これは世界全体で起きている支持率の正当性、という問題と重なります。

オバマ氏の訪日でも「安倍政権60%、オバマ政権45%」と、自嘲気味にオバマ氏が語りましたが、45%の支持率でも、オバマ政権は議会対策を困難にしています。つまり消極的支持を含めて、50%という数字がデッドラインになっている。国民の半数が支持、ではなく、半数しか支持しない、という見方であって、世論調査のとり方を含めてそれが世界の主流という形なのです。
翻って日本の安倍政権の支持率は60%、実はデッドラインに近い。メディアの世論調査のとり方が変わりつつある今、過去の常識は通用せず、40%を下回ると…などと言っている状況ではない。安倍政権の閣僚が、株価が下がるとすぐ口先介入するのも、その焦りからだとみると、一貫性があります。さらに投票率が50%以下で選挙に勝利し、国民の支持をえた、と喧伝するのはその50%以下、が全体の傾向を示すものではない以上、同じ理屈で否定できます。つまり50%以下の、強い支持基盤に支えられても、そこに政権の力はない、ということにもなるのです。

最近、世界の傾向としてある数字のマジックは『経済指標が絶妙』という話もあります。期待を裏切り過ぎず、一方で失望を招かない、何とも調整されたような指標が発表される傾向にあります。中国のような、歪な経済の国ならまだしも、米国もそうですし、日本の4月東京都区部消費者物価なども、まさに落としどころとしては絶妙でした。世界の調整された数字の裏、そこを読み解くと、今の世界情勢が見えてくるのかもしれません。そうやって数字を弄ってしまう浅はかさは、目の前の支持率というストレスから逃れたい、という政治家の欲求から起こっているとすれば、その犯罪的傾向に国民が気付く日も近い、といえるのかもしれませんね。

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2014年04月28日

雑感。日本の薄気味悪い状況

昨日の鹿児島2区補選、投票率は45.99%で過去最低。メディアが情報を封鎖し、鹿児島2区補選のことをほとんど報じず、注目度も低くなる中ですから、この結果をうけて与党に追い風と報じるところは、日本の民意とは50%以下の強固な規定票で決まる、とでも言いたいのかもしれません。つまり浮動票など邪魔、移ろい易い民意など、民意ではない。風をつくってきたメディアが、今はその風がおきることを怖れている、そんな風潮を示すのかもしれません。
例えばオバマ氏の訪日時、尖閣にも安保適用、との文言を盛んに報じて「成果」を謳いましたが、米国では「レッドラインを引かない」との報じ方が多い。そもそも安保が適用になっても、米軍が動くかは米国の意思決定によるのであり、絶対遵守の義務ではありません。オバマ氏はこれを「新しい立場ではない」と、中国へ最大限に配慮しており、尖閣にも何ら変化はない、と示しているのです。共同声明に載った、と喜んでいるメディアと政治家の質は低い、となるのでしょう。そして、そんな報道姿勢はグローバルな見方を国民に伝えず、愚民化しようとするメディアの戦略であり、気がつけば日本が鎖国時と同じような『世界情勢に疎い』という事態にまい進させているのかもしれません。恐るべき事態が着々と進行している、それが薄気味悪さです。

薄気味悪いのは、市場も同じです。先に、債券市場では新発10年物国債の見合いなし、という事態に陥った。インフレが順調にすすむなら、国債価格は下落するはずですから、今の水準では買い意欲が少ない。それでも、日銀の追加の緩和策でも打ち出されれば、まだ金利上昇は押さえつけられるので、短期では購入のインセンティブも働く。今の国債市場は、次の急変動を準備するような凪状態であり、そこに来て財政審から奇妙な話がでてきました。
国と地方を合わせた財政の長期資産で、基礎的財政収支を20年度で仮に黒字化しても、60年度には8000兆円を越える、というのです。おや? と感じるのはデフレ脱却すれば経済成長し、財政状況が改善する、が安倍ノミクスの根幹にあるはずです。だから公共工事や選挙の票買いのためのバラマキ、を是認してきました。しかも社会保障費の削減に切り込まねば、と通り一遍の結論も聞かれます。その前に、この公共工事やら地方振興と称した票買いのバラマキを改めるべきだろう、と素直に思いますし、この試算でそうしたものがどれだけ織り込まれたのか? 時の政府がうつ、関心を買うためのバラマキが財政状況のもっとも重い課題、といえるのでしょう。

株式市場も同じ、連休の谷間であり、閑散とはいえ1.6兆円の売買代金は最近の市場としてはそこそこ出来た方ですが、日銀会合への思惑で売り買いが交錯した面もあり、予断をゆるしません。国内の代行返上売りと、海外勢の売りが重なると、一気に下へと水準をブレークする可能性を秘めたまま、今は凪の展開をつづけています。上へと動くサプライズが出難い状況であって、ここで下へ抜けると、それこそ負の連鎖に陥りかねないほど、危ない状態だともいえます。
どうも、やはり企業業績がアナリスト予想とはほど遠い。それは控えめというばかりでなく、金融市場関係者が異次元緩和で浮かれるのと、企業経営者の立っている次元がまったく異なる、という状況にも思えてしまうほどなのです。それでもまだ、凪を保っている薄気味悪さ。日経新聞が、超ブル相場という記事をかくと、市場が急落するというアノマリーをも考えるなら、日本の投資家は新聞から正しい情勢を伝えられず、『世界情勢に疎い』まま、危険にさらされているということにもなるのでしょうね。

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2014年04月27日

鹿児島2区補選について

鹿児島2区補選、自民新人の金子氏が当確と伝わります。全体主義が強まり、警察もメディアも政権与党がやることを指摘できない、と思ったのか、選挙違反にとられかねない行為も散見された、と伝わりますし、今後の判断を待つところです。ただメディアがこれほど重大な政治資金の問題を矮小化しているため、それが争点になりにくかった、という面が大きかったのでしょう。徳州会マネーが、どれだけ政界に広く、深く行き渡っていて、政治状況を一変させかねないか? それを如実に表した動きであり、今回も「安倍政権への信任」という言葉でまとめられるのでしょう。
しかし本当は、徳州会マネー事件における「国民の審判」ではなかったのか? つまり、そう書くと国民は政治の腐敗を是認したことになり、流石にそう書けないから、安倍政権への信任とせざるを得ないのです。徳州会マネー事件でおきた補選なのに、それが争点でない異例な展開、そして結末でさえ、まるで徳州会マネー事件がなかったかのようにしか報じられない。日米首脳会談も異例ずくめでしたが、最近は選挙報道でさえ、異例ずくめと言えるのかもしれません。

TPPですら、正しい内容を報じられない。関税は維持できる、数%だ、という曖昧なものが並び、結果として何が正しいか信じられなくなった。これも選挙戦術だったのでしょう。曖昧だった共同声明も、鹿児島2区補選に直結しかねなかっただけに、甘利氏はあえて合意という言葉を避けた。サトウキビや豚肉、鹿児島2区に直結しかねない項目が多かっただけに、尚更ヒタ隠しにするしかなかった。すべては、支持率を安定させ、国会運営を優位にする目的のためだけに、です。
安倍氏は「誇りをとりもどす」という言葉を使いますが、今日本で起きていることは、薄気味悪さしか感じません。この前、某週刊誌でとったアンケートで、嫌いな男性のトップに安倍首相が選ばれました。女性目線ということですし、政治とは関係ないとはいえ、安倍氏のどこが嫌いなのか? 保守的態度? 違うでしょう。個人的には、この薄気味悪さなのだと思います。

裏では、不都合な事実が着々と進行しつつあるのに、メディアがそれを報じない。言いも知れぬ不安、何となくリスクがあることはわかっているのに、誰も指摘しない。それが潜在的に感じる恐れ、です。さらに選挙になると、安倍政権に追随する利権の構造、そこで増幅する票が選挙を有利にする。公共工事で潤う建設業、特区構想に暗躍する大企業などがその一例です。
まだ得票率などが分かりませんが、一つ云えることは、風のない選挙をうけても安倍政権は順風満帆ではない、ということなのでしょう。今は風を起こせる野党もいませんが、この薄気味悪さから、逃れたいと考える清新な風なのかもしれません。ただし、野党を見回してもその風を吹かせられる人材がおらず、むしろ与党に…と考える点が政治の貧困ぶりを示すのでしょうね。




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2014年04月26日

4月東京都区部の消費者物価

安倍首相が連合の開催するメーデーに出席しました。「デフレ脱却しなければ賃金も上がらない」と発言していますが、それは誤解か、曲解です。経済成長をする社会は、自然とインフレ傾向となり、また成長により労働市場が逼迫するから、賃金をあげて労働者を雇うインセンティブが働きます。物価と賃金には逆相関として、賃上げにより消費する意欲が増し、それにより物価上昇を促すという側面はありますが、逆はありません。通貨がダブつき、ハイパーインフレに陥っても賃金は変わらない、という例もあります。ただそうなると労働者が逃げるため、必然的に後追いで賃金が上がるだけで、デフレ脱却と賃上げに、明確な関係性は認められません。

総務省が発表した4月東京都区部のコアCPIは101.7となり、前年比2.7%の上昇となりました。増税分が1.7%程度とみられるので、実際の上昇幅は3月分と同じ、1.0%とみられます。今回、東京都区部の結果が重視されるのは、4月の全国CPIの先行指数であるためで、3月の全国コアCPIは前年比100.8、前年比1.3%の上昇と、こちらは消費税増税がのる前とはいえ順調であり、そこに1.7%分がのる、と試算されます。ただ内訳をみると、内容に問題のある指標にみえてしまいます。
3月は駆け込み需要を見越して、強気の売り方をしていた家電等の耐久財が4月に値を下げているため、これが指数を押し下げており、実際には便乗値上げの影響でかなり家計には負担が増えています。家事用消耗品とされるものは10%近い上昇であり、増税分以上です。新商品の投入など、ここに来て増税を感じさせないよう、メーカーも工夫しており、同じものでも価格が上昇している。ガソリンもレギュラーがリッター160円を越してくるなど、家計には直撃してきます。

さらに一つ悪い観測があり、昨年度末は官製賃上げの話題も多かったですが、実は増税対応と公共工事の乱発で増えていた残業が、今年は減るという話もあります。つまり実質的な手取りは今年になって減少する。そうなると、このコアCPIの上昇分を家計が吸収しきれなくなる恐れがあるのです。メディアは盛んに消費は堅調、という報道の仕方をしますが、これは4月の経済指標が出揃ってみないと、判断の難しいものであり、まず物価は確実に上がった、ということが今回の指標で示されたことなのでしょう。
4月に入って、株価も元気がない。これだけ薄商いだと、先物で振り回してくる短期スジも出てくるものですが、イースター休暇前の大商いで、ポジションを落としたままでいるなど、出動する気配がありません。すでにGW休暇に入った、などと揶揄されるように、高値圏で膠着している以上、上値を追う気もなければ、下値なら打診買いを入れる程度の関与にとどまっています。

安倍ノミクスの根幹は、株価などの資産価格の上昇を促すこと、です。しかしそれが起きない、その時点で失敗といえます。株価は年初からアンダーパフォームしており、不動産価格も上昇が一服、これでは消費が盛り上がるはずもない。メーデーに出ても、労働環境の悪化を招きかねない施策を並べる安倍氏に、労働者は冷ややか、といった記事もありますが、一つ確実なのは、消費者の財布の中身はかなり冷えてきている、ということだけなのかもしれませんね。

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2014年04月25日

日米首脳会談における共同声明

理研で小保方論文の調査委員長を務めている石井上席研究員が、自身の論文の切り張りを認め、調査委員長を辞任しました。楽天市場で行われた不正な割引価格の表示に伴い、4人の役員を半年10%減棒、と伝わります。どちらも責任ある地位につく人間の責任感のなさ、が目に付きます。価格の不当表示など、犯罪に近い内容であるにも関わらず、処分は大甘ですし、楽天が組織的に関わっていたコンプライアンスの問題であるのに、企業体として何か対策をとっているように見えません。いずれまた価格の不当表示などをしかねない、という不安すら覚えます。
一方で、みんなの党の渡辺前代表への党内調査の結果もでましたが、渡辺氏の供託金で選挙にでた人もいる党がいくら調べても、国民は納得しません。責任のあった人が、その責任を果たせず後衛に隠れている状況では、いくら周りがとやかく言っても、信頼はとりもどせません。

日米首脳会談における共同声明、某紙は『基本合意』と伝えますが、声明を読む限りでは読み解けない。首脳会談後の会見でも気になりましたが、背の高いオバマ氏が口をへの字にして、安倍氏のことを斜にみている。安倍氏は「バラク」とファーストネームで呼びかけても、オバマ氏は「安倍首相」と使い続け、その距離感をまざまざと示しました。寿司外交も、早々に切り出してきたTPPといい、美味しい寿司のネタはTPPでの日本側の妥協、というのは間違い有りません。
麻生財務相が、米批判ともとれる「オバマは中間選挙まで動けない」と発言していますが、実は条件をいくら詰めても、議会からの委任を得ていないオバマ政権では、米議会でひっくり返される可能性が高い。今回、恐らく日本側がかなり妥協して、合意までの道筋をつけた、との文言に至ったとみられますが、昨日も指摘したようにその妥協案でさえ、米国で覆されてしまう恐れが強い。その結果、今の道筋にはさらに先がある、とみておいた方がいいのかもしれません。

今回、よりはっきりしたのは媚びる安倍氏と、突き放すオバマ氏、という構図です。「バラクと最高の日米関係を」とぶち上げた安倍氏を、オバマ氏はスルーした。今回、オバマ氏は諸外国に対して曖昧にしてきた米側の態度を、より鮮明にする。その目的でアジア歴訪を企図しているようです。尖閣への安保適用や、韓国での従軍慰安婦、などの発言に一貫性があります。つまり国内向けに、強い指導者をアピールしたかった。対等かのように「一緒に…」とアピールしたい安倍氏は、正直邪魔だった。だから共同会見でも、ファーストネームでは呼ばず、日本が下で米国が上、それは目線ばかりでなく、態度で示す必要があったということになるのでしょう。
そこでできた合意への道筋に、米側が妥協している余地は、ほとんどないのでしょう。今回の訪日、唯一の成果は「尖閣は安保適用範囲」という文言を先にとった、ということだけです。しかし米側は、それで吊り上げた掛け金をつかい、実をとった。政府内で「共同声明を質にとられた」との発言もありますが、外交上は当たり前の戦略です。欲しい条件をぶら下げれば、相手は条件を呑むのですから。むしろそうした交渉戦略をもたない日本が、単に甘いだけなのです。

尖閣に安保適用、と言ってみたところで、相対的に米軍の関与を減らすのなら、そのうち有事でも米軍が出てこない、といった事態も想定すべきなのでしょう。米軍が世界の警察、という責任から脱しようとする現在、責任ある地位にいる人物の判断が非常に重要となってきますが、すれ違う関係や、押し切られる外交など、その戦略のなさが一番の問題ということかもしれませんね。

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2014年04月24日

日米首脳会談とTPP

オバマ大統領の訪日で、都内は不意の渋滞や、迂回しなければならないなどの混乱もありますが、一番混乱しているのは甘利TPP担当相かもしれません。昨晩の寿司屋でも、オバマ氏は「支持率60%もあるんだから妥協せよ」と、安倍氏に迫りましたが、メディアが政権への忠誠の証として支持率を高めに出しているため、揚げ足をとられた恰好です。現状、牛肉は9%の関税維持、などと報じるところもありますが、実際には何も決まっていないことが、甘利氏の発言でも分かります。つまり関税は低くても維持できる、というのは国内向けにしていることで、米側の要求はもっと高い。それこそ関税はほぼ撤廃、という線を米側は崩していないとみられます。

ここからは憶測ですが、日本側の落としどころは一先ず関税維持、で大筋合意。それで日本が議会を通した後、米側が議会の抵抗でさらに関税撤廃を要求、そこで初めてゼロで合意、といったところとみられます。つまり双方が努力した形を残し、結果としては米側の要求に従う、ということになる。しかしそれではオバマ氏が納得しなかった。「あなたは支持率60%、私は45%」の発言には、議会対策なら日本側の方が容易なはずだろ? との意図を多分に含んでいます。
そこにはしばらく大型の選挙がない日本と、中間選挙を控える米国、との差もあります。さらに首脳会談を終えても、TPPが決まらないので共同声明が出せない。日本側が「今回は合意できないかも…」と流していた予防線を打ち破り、米は妥協を迫ってきた。TPPで成果を出さないと共同声明すら出させない、との強硬姿勢に、甘利氏は休む間もなく対応させられているのです。これら一連の動きは、すべて安倍政権の見通しの甘さ、根回しの悪さが影響しているものです。

日本側が勝ちとったのは「尖閣は安保適用範囲」との言質をとったことです。共同声明に入れば強固なポゼッションになります。ただしこれを得るまでリニアの無償提供や、政府専用機の発注、集団的自衛権の解釈拡大、TPPなど、日本が譲った、もしくは米国に与えた部分は多い。言葉は悪いですが、また安全を金で買った印象です。逆にいうと、共同声明はこの言質を確実にするための質であり、TPPで妥協しない限り共同声明は出させない、と脅されているのかもしれません。
さらに悪い観測は、安倍政権の甘い見通しばかりでなく、メディアが甘い条件を報道してきたせいで、自縄自縛に陥ってしまった。つまりここで関税ゼロで合意となれば、裏切られたとの声が大きくなる。支持率60%の虚構が、それで暴かれてしまう可能性すら出てきたのです。安倍政権とメディアが組んできたタッグ、政府要人がだす甘い見通しを、そのまま垂れ流すことで、国内を落ち着かせるよう取り計らってきた。しかし嘘がすべてばれたとき、それでも支持率が高いとなれば、世論調査の信憑性は著しく低下してくる。そんな事態が迫っているといえるのでしょう。

奇しくも、成長戦略として位置づけられたTPPが、安倍政権の頭を押さえつけている。米国は、米国型経済を受け入れれば安全保障を与えてやる、という態度であって、尖閣への言及とTPPはセットという発想なのでしょう。成長どころか、経済が混乱しかねない状況になってきたTPP交渉ですが、そこはサビ抜きというわけにはいかなかった、ということになるのでしょうね。

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2014年04月23日

黒田日銀総裁の強気発言

韓国の旅客船沈没に際し、日本のメディアが韓国紙の論調を借りる形で、韓国批判を繰り広げている、という話があります。しかしこれはメディアがよく使う手で、大口の広告主の意に沿い、普段は批判を控えているものの不祥事があると一斉に叩く、という傾向によりそうなります。韓国は観光協会を通じた広告以外にも、安価に韓流ドラマを提供してくれる、言わば上客です。そういう相手だけに、面と向かって批判し難い。さらに言うと、安倍政権では韓国に強硬姿勢が目立っていたので、メディアが韓国批判をすれば、さらに関係悪化が加速しかねない。そうした配慮が、今回の件では箍が外れてしまっている、というのが実状なのでしょう。

日銀の黒田総裁が、衆院財務金融委員会で「13年度のCPIは0.7%より上振れ」として、2%の物価目標に自信を示しました。これを受け、日銀の追加緩和観測が秋より後ろ、と時期が後ズレした印象です。少なくとも見通しの変化があって、追加緩和ですから、冬以降でも驚きはありません。
各紙が4月に入って一斉に行った世論調査で、半数以上が支出は変えない、との結果が出たと報じました。しかしCPIが上昇しているなら、同じ支出では購入量が減っているはずですので、全体として消費は鈍化していることになります。また本当に賃上げが各家庭に行き渡っているなら、支出は逆に増えるはずです。各紙は好意的に報じていますが、実はじわりと景気悪化を示唆している。特にガソリンの暴騰など、消費には深刻な影響を与えているといえるのでしょう。

HSBCが発表した3月の中国PMI速報値は48.3と、節目の50を下回るレベルでした。このところ中国では、農村部や低所得層、零細企業などに恩恵のある策を、次々と打ち出しています。中国共産党や富裕層への批判が相次ぎ、已む無くとっている策ですが、景気対策というより共産党への批判を逸らす目的とみられます。しかしもう一つ、預金準備率の引き下げなどの策は、中国経済の減速をうけて流動性供給に迫られた故であり、規模は小さいものの、中国経済の逼迫も示します。
しかし米企業の好業績も、そのほとんどが中国での売上げが占めるように、中国経済の動向は世界の株価を左右しかねない、重要な問題です。最近の中国は、世界の工場から消費地に変化しつつある、ともされますが、消費するための収益をどこで稼ぐか、についてはあまり議論されません。諸外国の製造業が続々と撤退する中、不動産バブルと公共工事で支えられてきた経済が、どちらも頭打ちから減速に陥る今、消費地としての未来にも暗雲が漂います。つまり中国へ進出している企業も、建機関連が軟調になる一方、今はまだ消費関連の企業業績が好調なので、下支えされているのですが、将来的にはその消費ですら悪化する。それは日米の企業業績にも打撃となる。

中国経済の問題は、世界の企業とも連動してくる。シャドーバンキングの問題が破裂したとき、実は日銀の追加緩和のタイミングではないか? 逆に、それまでに打ってしまうと打つ手をなくし、中国の凋落に引きずられて、日本が泥沼になるだけではないか。今、市場ではそういう話が流れています。つまり追加緩和は、そういう非常事態用の策として温存される、ということです。黒田氏の強気発言の裏にある、そうした思惑に市場が翻弄されているなら、今の市場はやはり脆弱である、ということにもなるのでしょうね。

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2014年04月22日

オバマ大統領の訪日を前にした動き

日米によるTPP協議が不調に終わりました。この中で、読売新聞の記者が観測報道を行い、取材拒否にあうなど、異例の展開をみせています。完全オフレコの話を記事にした、という勇み足も糾弾されるべきですが、それ以上に記者に交渉内容を漏らす、その軽率さを諌めないとこの問題は尾を引きます。鳩山政権でも、普天間基地移設の政府交渉担当と、防衛省の担当の意見が食い違い、不審を招きましたが、交渉内容が事前に報じられるなどは相手の信用を失う行為です。
そしてその後、独自、スクープなどとして報じられた内容は、誤報をとるための政府側の手段だった可能性があります。つまり何が正解か分からない状況とし、あれはメディアの憶測報道だった、とイイワケするためのものだった。そんな可能性もあります。いずれにしろ、政府側が目論んだ米側も折れるだろう、という甘い観測はこれで打ち破られた形になります。11月の中間選挙を控え、焦って妥協する交渉とはしない、米側の態度ははっきりしてきました。

しかしここに来て、北朝鮮で核実験の準備、と報じられます。日米韓首脳会談でも、弾道ミサイルを撃った北朝鮮ですから、オバマ歴訪に合わせて何か行動するとはみられましたが、核実験という強硬手段にでる。そのとき、米側のとるオプションは日韓の歴訪予定を変更するか、しないか、ということです。前者なら対北強硬戦略の準備を絡めないと、弱腰との印象を与えます。変更しないなら、余裕を見せつける態度であり、表向きは平静を装って淡々とすすむでしょう。
北朝鮮としては、ウクライナ問題で中国の協力を得たい西側諸国が、強い態度を示すはずもない、と考えているフシがあります。また国内の引き締め、側近の処刑から続く軍部の伸張といった意味でも、強硬な態度をとりやすい。実際、核実験が行われた場合の、米側のオプションが問題となる。それによっては安全保障の協議にも、様々に影響してくるのかもしれません。

そんな中、米知日派のアーミテージ氏が集団的自衛権の解釈変更を焦らない、と発言しています。今は経済に注力すべきだ、とも。米日派の意図は二つあり、国民に幅広く受け入れられない限り、強硬な反対行動がおきて問題がこじれかねない、という懸念と、せっかく誕生した操り人形政権だけに、焦って台無しにするよりは長期のスパンで安倍政権を活用したい、とするものです。
景気に失速感がでて、支持率が低下し始めると、安倍政権のレイムダック化は存外早い。何しろ頼るところは株価、という脆弱さです。与党内、野党、さらに財界ですら安倍政権に好意的な層が少ないのですから、寄る辺を失わせるわけにはいかない。ここで集団的自衛権でまい進し、経済を蔑ろにしていると、それこそ年内で退陣の芽も出てきてしまいます。さらに厄介なのが、オバマ氏が重視する韓国との関係悪化を招き易い。今CIAを握っているのはオバマ氏ですから、安倍政権の退陣工作などを仕掛けられても困る。なので後送りで構わない、ということでしょう。

しかしここで困るのが、安倍政権です。ここまで強硬に党内をまとめてきて、いざとなったら梯子を外されてしまいました。後半国会の目玉が消え、通常国会を早々に畳むかもしれません。結果的に、米国の顔色をうかがいつつ、政権運営せざるを得ない現状では、国会運営でさえ米国次第、ということになってしまうのでしょうね。

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2014年04月21日

オバマ大統領訪日にむけた物々しさ

安倍首相が靖国神社の春の例大祭に合わせ、真榊を奉納しました。これに中韓は反発しています。中韓の反応は、オバマ大統領の訪日を控えて強い態度をみせておけば、日程などに狂いが生じかねない。例えばオバマ氏が、日本側が準備した昼食会、パーティーなどを欠席するようなことになれば、面目丸つぶれになる、というしたたかな読みの下でしている行動です。安倍氏は参拝していないからいいだろう、という考えのようですが、TPPの手土産もつくれなかったため、首相会談も早々に切り上げられるなどの、米国側の冷淡な態度も起こり得るのかもしれません。
そんなTPP交渉で、嘘か真か、豚肉に関しては大幅に関税の引き下げ、という話も伝わってきます。しかしこれは鹿児島2区補選に大きく影響するでしょう。奄美諸島のサトウキビも同様ですが、鹿児島は薩摩の黒豚が有名です。TPP交渉の行方は極めて重要であり、かつ成長戦略の一つとして掲げるだけに、妥結を焦る安倍政権では農産品が犠牲になりかねません。これまでも円安により、飼料価格が高騰して苦しい養豚業界にとって、関税の大幅な引き下げは致命傷になりかねません。鹿児島2区で与党に勝利させると、益々前のめりとなってTPPの妥結、しかも農産品にとっては不利益の多い交渉にまい進するのが確実です。これまでも安倍ノミクスの成長戦略は、工業品などに目配せしたものが多かったのですから、尚更ここで与党を勝利させるわけにはいかない。しかも与党側に選挙違反事例が頻発するなど、安倍政権では度々みられるやりたい放題の姿勢、またそれを報じないメディアの態度、というのも、この選挙では散見されます。

しかも今回のオバマ大統領の訪日、やたらと警備体制の強化、訓練といったものが報じられるのも不可解です。国賓待遇、ということ以上に物々しい。何か犯行予告でも出されているような警戒です。何かあったら大変ですが、まるでオバマ大統領が日本人に歓迎されていない、といった印象すらもちます。もしかしたら、農家がオバマ大統領に直接に苦境を訴える、これは平成の直訴を怖れているのか? そうだとすると、安倍氏は日本という小さなムラの小役人で、農家が直訴すると将軍から首を飛ばされてしまう、そんな立場だという自覚があるのかもしれません。
安倍氏は米議員団との会談で「日米同盟が、アジア太平洋地域の平和と安定に主導的な役割を果たすと発信していく」との立場を示しました。しかしここには、軍事的優位が保てなくなった米国の相対的に下がる地位を、日米同盟という形で維持する、という米知日派との間で約束された態度が含まれています。武器輸出の緩和など、安倍政権がすすめる一連の行動はそこに集約されます。

しかし米国の後塵を拝し、何でも言うことを聞いていれば、日本が平和に、幸福になるわけではありません。それこそ、日本が米国の属州となり、パックス・アメリカーナの下に入ったとしても何も変わるところはありません。米国の地位が相対的に下がる以上、日本への負担が増える。悪代官が、無辜の民から重い年貢をとりたて、せっせと将軍様に山吹色の饅頭を届けるだけなのです。その一つがTPPであり、武器輸出の緩和であり、集団的自衛権の解釈拡大になるのでしょう。
オバマ大統領という将軍様が、パックス・アメリカーナという領地を巡る。ただしこの旅は世直しというより、袖の下集めに、成果を求めるといった姿勢が鮮明となります。それに汲々とし、せっせと貢物を準備している安倍政権。そこに大岡裁きも、遠山桜も出番なし、といったところなのでしょう。西南戦争以来、日本には大きな内乱がおきていませんが、苦境に陥る農家から、国に反旗を翻すことになるのか? 一連の動向をみると、そんな気配も強まってきたのでしょうね。

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2014年04月20日

雑感。日中韓の問題

中国で、商船三井の船が中国の海事法院によって差し押さえられました。1936年に中国側企業が船舶を貸し出し、返還されていないことによる賠償ということですが、88年に提訴なので、まず1972年の日中共同声明で、戦争賠償を放棄したことに反しますので、07年にだされた約30億円の賠償命令の履行も、本来であれば外交的に解決する必要があります。なぜなら、中国に共同声明を破棄するのか? というところから始めないといけないからです。しかし今の日本政府に、これを真剣に中国側と話し合ったような形跡がない。戦時中の強制連行に関する訴訟も増えているため、中国側は打診的に、今回強硬手段にでた。ここで対応を間違えると、今後の強制連行訴訟でも、日本は賠償を払い続けなければいけなくなる可能性があります。
中韓は、明らかに最近は国内における不満を、外へ向けるため日本を標的にしています。なので日本がとる対抗手段は、中韓とは外交文書を交わしても齟齬にされる恐れがある、と世界に向けて喧伝することです。それは国の信用を落とし、将来的に中韓は投資や外交交渉の難しい国、として敬遠される。それが、日本への対応を改めさせるキッカケになるはずです。そして、そうした態度を知らしめることも、中韓が先進国へと踏み出せるかどうか、にもかかってきます。

韓国の旅客船セウォル号の沈没から4日経ちました。初動のミスが重なったことに加え、捜索活動中の兵士が死亡する、修学旅行に行っていた学校関係者が自殺する、などの二次被害も出ています。韓国内でも対応に批判が出ているように、改造時や運行時の荷物の緊縛などに関する規制、過積載などの取り締まりなども、今後の問題点として浮上してくるはずです。船長の希薄な責任意識なども、すべてにおいてマイナスに作用した事故が、被害を大きくしているのでしょう。
この問題で、重要なのが韓国側が日本からの支援を断った、との指摘がある点です。指揮命令系統は複雑になりますが、海難事故において経験の多い日本の支援が、初動においても様々な手助けになったことでしょう。こういうとき、大事なのは様々な知見を集めることです。それが、対日強硬路線をとっているため、支援要請ができないなど、本末転倒となる。つまり国民向けに支持を高めるための対日強硬路線であったものが、逆回転を起こす可能性があるのです。

中国の四川大地震のときも同様、自然災害や大事故のとき、外交的な関係を改善する契機ともなるのですが、それを嫌がり、排外主義に陥ることが結果的に国の態度に不信を与えることにもなるのです。これは日本も同様、外交上の敵をつくり、支持をあげる手法は今後も戒めなければいけませんし、そういう政治家を信用してはいけない、ということでもあるのです。
それでも中国は、今後も戦争賠償を求めてくるのでしょう。中韓の態度が異常である、という認識を世界中に広げられるか? それができれば、逆に中韓の政治的態度も、一定の前進は図れることにもなります。今の日中韓三国は、中韓が経済的に力をつけ、先進国的態度を身につけられるかどうか、という生みの苦しみのような状況でもあるのでしょう。大きな要因が幾つもある中で、変にこじれさせることがないよう、国民が政治を監視する姿勢も大事になってくるのでしょうね。

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2014年04月19日

麻生財務相のGPIF発言

麻生財務相の最近の口癖は、GPIFになったようです。安倍政権では、やたらと経済閣僚が株価対策として口先介入する姿勢が、誕生したときから鮮明ですが、まさに実体ではなく期待に働きかける、そんな態度にしか見えません。以前も指摘したように、GPIFが運用比率を変えても、買い向かうときには上昇しますが、年金は支払いに備えて売るので、下落のきっかけにもなります。
例えば4月第2週、日経平均は1000円を越える大幅な値下がりをみせましたが、外国人売りではなく、国内の売りによるものであることが、売買動向からも明らかです。原因の一つとして考えられるのが、年金基金の代行返上です。改正厚生年金保険法により、4月1日の財政状況が悪化している基金に、解散を促せる。しばらく期間を空けて売却される見こみですが、成績の悪い年金基金にとって、ここが高値なら売り抜けてしまおう、と考えるのが当然です。売買高が盛り上がらず、安倍ノミクスの限界が見えた今、代行返上による売りが加速しても、何の不思議もありません。

今週になり、再び買いが加速していますが、30日の日銀会合に合わせて、また海外勢の買いが散見されます。4月第1週もそうだったように、期待で買われたら、そこが売りぬけのチャンスになってしまうかもしれない。それをくり返すと、海外勢もふたたび売り圧力を強めるでしょう。自分たちが買い上げても、日本の国内から売り立てられたら、パフォーマンスが悪くなります。
そんな海外勢のヘッジファンドも、苦境が伝わります。日本に対しては円安、株高のシナリオが思ったほど広がらず、パフォーマンスが悪かった。正直、期待はずれの声が広がります。米金融機関の決算も、総じて利益率が悪化しており、投資収益が広がっていない。新興国不安による、新たな投資先が見当たらず、日米欧も株高となり、ここから大幅に上がる市場を見つけるのが困難となり、今は資金があっても投資先がない、というのが本音なのでしょう。

これはGPIFとて同様です。安倍政権では、盛んに年金の運用利回りが上がった、と喧伝しますが、昨年までは投資には良好な環境だっただけ、です。今年、同じパフォーマンスは期待できないどころか、高値掴みをしていたら損失を抱えてしまう可能性もある。年初からの株価の下落は、そういうことを示唆しています。さらに、新発10年物国債が見合いなし、となったことで、今後は低い利率での発行が難しくなる可能性がある。そうなると、利回りの上昇と国債価格の下落が、年金には深刻な損失となって襲ってくる可能性があります。日銀が国債市場を支え、政府がバラマキを打った昨年と、逆の効果が出るのが今年となってくる恐れが強いのです。
麻生氏の発言は、あくまで期待による効果であって、実際の株価押し上げ効果はない、というのが本当のところなのでしょう。それ以上に、年金基金の解散などと相殺されるなら、下支えにしかならない恐れもある。しかし今は、それを上昇の材料としている層がいる、というだけのことです。そして日銀の会合前の特有の動きなど、安倍ノミクスによる『期待』だけで右往左往する相場が、しばらくは続くことが、これらの動きからもはっきりしてくるのでしょうね。

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2014年04月18日

ウクライナ問題での4者協議

6カ国協議再開をめぐる米中協議が、物別れに終わりました。北朝鮮が新たな核実験を排除していない、として米側が拒否した形であり、中朝の期待は水泡に帰した形です。この時期から収穫期までが、北朝鮮にとって一番厳しい時期であり、食糧不足が深刻化します。燃料不足により、暖房や発電量が不足する冬がすぎても、北朝鮮の台所事情は一向に暖かくなりません。
そこで日本にも、拉致問題の再調査、朝鮮総連のビル売却を停止させる、という条件をチラつかせ、交渉に引っ張り出します。外交成果を焦る安倍政権は御し易い、との思惑もあるのでしょう。日本は、米国に個別の2国間交渉の了承をえる見込みですが、米国からは「見返りを与えるな」と釘を刺されるでしょうから、厳しい交渉になります。制裁が最大の効果を発揮しているとき、それを相殺させてしまうようなことは、日本からはできないのが現状です。つまり交渉しても、日本が譲れるのは総連ビルぐらいしかない。これでは相手も納得しないでしょう。再調査の形式を整えても、成果なしと言われて終わり。そこは信義としてもそうなってしまいます。

ウクライナ問題で、米、欧、露、ウクライナの外相がジュネーブに集まり、親露派の武装解除と占拠からの撤退が宣言として、出されました。米国は今週末から来週半ば、と期限をきっており、動きがなければ更なる制裁措置を加える見こみです。今はまだ制裁の効果が出ておらず、露国も余裕の態度でいますが、これが効果をもち始めると、露国はかなり厳しくなります。
プーチン大統領は、クリミア半島に展開したのは露軍と認めました。これも国内向けのアピールであり、一連の行動に露軍が深く関与していることを、暗に認めた形です。しかしそうなると、国連としても行動せざるを得ません。いくら露系住民だからといって、他国に軍事介入する正当性がないからです。すると、米欧の制裁ばかりでなく、中国や中東の露国と関係す国々も、何らかの行動を求められる可能性が高い。安保理はまとめられなくとも、国会決議で何らかの措置が決定されれば、それは露国にとって大きなプレッシャーともなってくるのでしょう。

しかも露国が今後、直面するのは、例えば国内にいる少数民族が、武装蜂起して建物を占拠したとき、強硬姿勢をとるのか? とる、とすればダブルスタンダードを国際社会から非難されることです。ウクライナには独立を認めろ、と圧力をかけておきながら、国内では独立は認めない。恐らくそうするのでしょうが、その態度は露国への投資を手控えさせる要因にもなってきます。
恐らく、今回の一連の事件で最大の制裁措置となるのは、プーチン政権の間、民間からも露国へ投資する意欲が奪われた、ということになるのでしょう。つまり見かけの、米欧が唱える制裁より、民間資金が入らないことによる、景気低迷がもっとも露国経済を苦しめることになるのです。中国の景気低迷で、ただでなくとも資源国に投資があつまりにくくなる中、自ら撒いた投資不適格の烙印。時間が経てば経つほど、露国を蝕んで行くことになってくるのでしょうね。

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2014年04月17日

TPP交渉における疑問

韓国の珍島沖で旅客船が沈没した事件、どうもイタリアの豪華客船コスタ・コンコルディア号の座礁事故と、構図が似てきました。定期航路を外れる、船長や船員が先に逃げる、ということがあったようです。さらに事故当初、救助された人数を重複して数えるなど、政府側の対応にも問題があり、首相が水をかけられるなど、遺族の怒りの矛先が政府にも向かっています。
原因はまだ分かりませんが、非常事態にどう対応するか? で、大体の能力も測れます。昨日の、理研の笹井氏など「私はSTAP細胞の研究に、ただ乗りしようとしていました」ということが鮮明です。チェックはしていない、研究ノートの存在も分からない、よくそれで共著者と言えるものだ、と呆れます。この間、表にでてこなかった潔くない態度といい、危機に応じた態度としては最悪です。個人的には、STAP細胞の問題とは、論文の不正確さというより、コツを載せていないため再現実験ができないなら、人類として有用なはずの研究が、一部の人間の出世や名誉欲のために、恣意的に扱われていることだと感じます。あるか、ないか、というばかりでなく、それがいつ頃、人類にとって有用な研究になりうるのか? あるというなら、そのことを早く示すべきなのでしょう。

甘利TPP担当が渡米し、オバマ米大統領の訪日前のTPP交渉を行っています。しかし議論がおかしなことになっており、米、砂糖などの関税は高いままで認められるが、輸入数量の増加を約束する。パッと聞いても、すぐに問題に気づくでしょう。関税はかけるけれど、補助金をつけて米菓メーカーなどに安く卸す。そうでなければ廃棄になります。これは、見かけは関税を守ったように見えて、実態は国内のパイは食われますし、生産者は市場縮小の煽りをうけるのであって、農業には打撃になる。安倍政権はそういう形でTPPの妥結を目指しているというのです。
これは生産者を蔑ろにするだけではありません。国費を投入し、米農業生産を後押しするような手法です。関税をかけて価格が高くなれば、流通量など増えるはずがない。強引にでも流通量を確保してくれるなら、生産者としてこれほど楽なことはありません。しかも以前から、米などは米菓メーカーとの怪しい取引、さらに事故米の流通など、どうも流通過程に問題が散見される。ここで関税は維持するけれど、数量を増やすなどという通常ならあり得ないことを起こそうとするならば、流通過程において更なる問題を抱えることになるのでしょう。

一部の報道では、後は牛肉が問題、とするものもあります。しかし知財の部分など、国民にまだ知らされていないことも、重要なのです。安倍氏は「数字を越えても意味がある」との発言をしています。安全保障分野をにらんで、そういう発言をしたのでしょうが、これも安倍政権が、産業より安全保障重視、という姿勢を鮮明にしています。経済は二の次どころか、今の安倍政権にとって三の次以下、成長戦略ですらなくなってきた、というのが実状なのでしょう。
危機管理は、統治者として必要なことではありますが、それは平時を安寧にできるからこそ、不意のトラブルが発生したときが大事なのであって、平時が混乱すれば元も子もありません。TPPがオバマ大統領の訪日に合わせて一定の合意が図られるなら、鹿児島2区補選にも影響してくるでしょう。国内産業を蔑ろにし始めた、そのツケはそこで払うことになりそうですね。

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2014年04月16日

経済閣僚の発言

徳田議員の公選法違反事件をうけ、鹿児島2区補選が告示されました。某メディアでは、政権運営に影響、TPP交渉に支障、集団的自衛権の議論にも影を落とす、などの文言が並び、強迫観念を想起させる伝えられ方もされます。国政選挙にしろ、地方選挙にしろ、どういう形であれ議会運営に影響がでるのは当たり前です。そうした画一的な報じ方より、よほど各候補の主張をとり上げた方が実のある記事、といえるのでしょう。さらに、徳州会事件の資金の流れの全容解明も怠っているため、地方議員に流れた金、それらが掴めず、情勢が読めません。野党共闘の構図とはいえ、自民王国である鹿児島で、徳州会マネーの影響力の方がよほど大きいという形になるのでしょう。

最近、大人しかった安倍政権の経済閣僚が、またぞろ口先介入を活発化させています。甘利経再担当相の「日銀の緩和に期待し、勝手に落胆」発言に続いて、麻生財務相の「6月にはGPIFの買い」発言もとびだし、その他の要因も絡めて、今日の日経平均は400円を越える大幅高になりました。甘利氏の言葉を借りれば、安倍ノミクスに期待し、勝手に落胆しているのが、今の相場です。というより、市場とは常にそういうものであって、勝手に動くものなのです。
麻生氏の発言には注意が必要です。仮に、ポートフォリオを変更し、株式の保有比率を高めたとしても、GPIFは買いオンリーのマネーではありません。年金支給に備えて売るのですから、一時的に運用比率が上がるとき、買いが膨らむだけの話です。しかも6月に上昇させたいのは、消費税10%に向けて夏場の株価を回復させたい、という財務省の思惑も絡んでおり、そこで余力以上に買いを膨らます可能性もある。それを囃せば、後の急落も意識されることになります。

黒田日銀総裁が、異次元緩和によりボラティリティが高まったのでは? との質問を否定しました。しかし13年ぶりに新発10年物国債が見合いなしで終わるなど、明らかに異次元のことが最近頻発している。その具体的な説明はありません。また安倍首相との会食では緩和について、何も話し合っていないとしますが、今日になり月例経済報告の景気見通しを引き下げてきた政府が段取りを整えるので、日銀も追加緩和をして欲しい、と依頼されたことが明白です。ここで、異次元緩和による悪影響、などと説明すれば、追加緩和ができなくなる。だから論理的ではない、今の市場の異常さを自分たちの責任にしたくない。自己保身も含めてそういうことなのでしょう。
今日はソフトバンク株が大幅高でした。アリババGHの決算がよかったことで、思惑買いが働いた形ですが、米市場への上場を目指す中国企業が、決算を取り繕っていた例は枚挙に暇ありません。そして、買いの思惑が高まるときは、相場が総じて買いに向かう、という最近の例に倣った値動きを、今日の市場はみせました。大きく値動きがでるのはアルゴリズム取引の故ですが、それでも売買が盛り上がらない。今日も売買高は2兆円に乗せ切れませんでした。資金は余っているはずなのに、日本からは資金が逃げている。マネーフローが当局の思惑と、全くずれてしまっているのです。

安倍政権の経済担当による、思惑絡みの発言と、言行不一致の態度。これが市場から資金が逃げて行く原因です。ボラティリティが高すぎて、ロングのマネーが入ってこない。ヘッジファンドなどの短期マネーによる乱高下が、今後も続くことを意識させる展開になってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2014年04月15日

雑感。日米のメディアの違い

ウクライナ問題で、露軍が関与している疑いが濃厚になっています。公式には認めませんが、国章を外した迷彩服をきた兵士が、庁舎を制圧する姿を隠そうともしない。この作戦が、国内向けのアピールに力点を置いていることが、一連の行動からも読み解けます。ウクライナ自体、経済規模は小さいですし、目だった産業があるわけでもない。無理やり東部を割譲させても、露国にとってメリットは多くない。しかしソビエト崩壊のときの失地を挽回する、という大義名分が、プーチン大統領にとって政治的に、ことのほか重要だということなのでしょう。
日本にとって重要なのは、こんな状態では北方領土交渉などすすまない、という点です。米国にアラスカを売却したときと違い、仮に交渉のテーブルについても、経済的価値をみて高い代償を要求してきます。今回の露国の行動は、売価を吊り上げる材料にもなってくるのです。領土掠奪闘争が、国内統治に都合よく利用できる、と味をしめてしまった指導者に、後戻りはできません。

米国のピュリツアー賞を、国家安全保障局(NSA)の情報収集問題を暴露した、米ワシントンポストと英ガーディアンが受賞しました。国家に不都合なことでも、国民にとって利益のあることなら、怖れずに報道する。それがメディアの態度として称賛されます。翻って日本では、鳥インフルの問題が発生しているにも関わらず、安倍首相と日枝フジTV会長がゴルフを続けていました。こんな人物が会長なら、政府の屋台骨を揺るがすようなスクープは、このメディアから絶対に出てこない、と断言できます。首相担当の記者も同様に、政治との距離が近すぎる、また相互利益の関係にある以上、この国のメディアのスクープは国家主導にしかならないのです。
例えば、韓国のサムスンがオバマ大統領を広告に利用した、として米国で問題視されています。どの国でも、企業が政治を利用することに制限がかかりますが、メディアにおいてはその制限が緩くなる傾向もあります。ただし、日本のように首相外遊に際し、政府専用機に記者を同乗させたり、といったことはありません。厳密に区別されているとはいえ、移動中は戦略を練ったり、外交官からレクをうけたりする場であって、記者と懇談したりはしない。例えば、テレビに出ているコメンテーターでさえ、首相と平気で会食したりしているこの国では、メディアやコメンテーターから裏話は聞けますが、それ以上の政府の首をとるようなコメントは絶対に出てこない、というのが現状です。

米紙のスクープでも、日本政府も盗聴されていた、と報じられていますが、この国の政府は抗議すらしません。よくぞ教えてくれた、とスノーデン氏を称えることもありません。残念ながら、この国の情報管理のあり方には、常にもやっとした部分がつきまとう。そしてそんなメディアが行う世論調査にも、首をかしげる部分が増えています。4月の調査で、内閣支持率が微増している傾向がみられるのです。消費税増税、株価低迷、という何も評価できる点がない中で、なぜ支持率が落ちないのか? 某紙など、消費税増税の影響はない、と言わんばかりの結果をだします。
安倍政権を国民の半数以上が支持しているの? と首を傾げますが、恐らくメディア関係者は支持している、ということなのでしょう。日本にピュリツァー賞に比する、メディアを公平、公正に判断する仕組みがない点でも分かるように、一緒にゴルフをするような仲良しこよしの関係でないと、メディアも安心できないのでしょう。昔は料亭、今はお食事会とゴルフ、そんな場所は違えど、この国ではメディアと政治の関係を国民が知れば、そのことでピュリツァー賞ぐらいの大スクープになりそうですが、そういう報道がでることは金輪際ないのかもしれませんね。

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2014年04月14日

G20での閉塞感

今日の日経平均は上値の重い展開であり、反発を期待し、先週末は日経225先物が14000円に切り返して終わっていましたが、非常にもどりが鈍い印象です。原因は、米企業決算における失望、今年の増益見通し、上方修正となる率が低下していること、などが挙げられます。米国経済は堅調でも、グローバル企業が多い米企業にとり、決算には米本国のみの経済情勢では済まない。1株当たりの利益が重視される米株市場ですが、増益基調が崩れると今が高値だけに、上値が追いにくくなります。日本企業も同様の構図なら、やはり上値が重い、となるのでしょう。

先週末G20がワシントンで開かれました。声明の中で、気になったのが「租税回避及び脱税への対処等を通じて財政の持続可能性を維持」という文言です。日本では法人税減税が議論されていますが、タックスヘイブンへの風当たりが強まり、法人税減税競争には、歯止めがかかりつつある。そればかりでなく、日本では法人税を減税しても、代替財源として課税強化が検討されているため、法人税減税は景気対策でもなければ、課税配分の変更というに過ぎなくなっています。見かけの数字を誇る目的なら、むしろ必要のない議論になってきているのです。
G20が象徴的なのは、GDPの2%以上引き上げ達成のような、野心的な目標を掲げるものの、具体策は先送りという傾向です。例えば、世銀グループによる貸出能力を高めるためのバランスシートの活用、という決定を歓迎するという一方、巨大な金融機関の大きすぎて潰せない、問題を集結させる、とします。しかし前者をすすめればバランスシート上、不良債権比率も高まるとみられ、後者の目的と合致しない。両者を同時に達成するために、秩序ある破綻処理のための基金、声明ではクロスボーダー協力としていますが、そこに資金を積まなければなりません。それでも貸し出しを増やすなら、結果的に金融機関は巨大にならざるを得なくなります。

G20でもう一つ、象徴的なのはIMF改革における米国の取り組みを、名指しで批判したことです。IMFが機能し続けるには、資金を積まなければいけない。その場合、米国は巨額の負担を強いられることを嫌がり、未だに改革方針を批准していないのです。自国経済を優先するか、世界経済の安定を優先するか、米国の二者択一ですが、もし米国が両者を達成したいと考えるなら、結果的に世界は巨額のマネーを膨らませつつ、対応するしかなくなってしまうことになります。
経済のパイが膨らまない、高成長は今後数年は難しい、となれば、G20で描く構図はすべて画餅となります。そこで野心的な目標が出てくるのでしょう。2%成長の上積み、それを達成できなければ問題解決は難しい。方法と目的がまったく逆になっており、それだけ今が困難な状況にある、ということを今回も示した形なのでしょう。ウクライナ問題への言及も、IMFと世銀に責任を投げているような部分があり、財務相、金融政策担当部門の仕事ではない、と云われればその通りなのですが、せっかくの国際会議でも道すら見出せない、それが今の限界でもあるのでしょう。

これまでが、世界では債券高、株高、という近年稀にみる好環境という状況だったのであり、今年それを上回るのはかなり困難な状況に陥っている面も、意識しておく必要があります。同時にそれが巻き直される可能性が、実例として少しずつおき始めています。世界が不安定になりつつある中、G20で夢想するモデルケースに、期待すらもてない点が苦境を如実に示すのでしょうね。

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2014年04月13日

集団的自衛権の議論について

熊本で鳥インフルエンザが発生しました。韓国ではすでに流行中で、渡り鳥が運んだとみられます。問題は、安倍首相がゴルフに興じていたこと。英大使とのゴルフ中とはいえ、仮に拡大すれば初動が問題視されます。むしろ、ハーフで切り上げてもどる方が、国のトップとして毅然として、迅速な対応と英大使にアピールすることができ、外交上も利があったといえるでしょう。
ゴルフをするな、とは言いませんが、休日を自由につかいたければ首相はお辞めになる方が国のためです。鳥インフルはすでにマニュアル化された対応ができる、とはいえ、強毒性の変異種の可能性もあるわけです。そのとき、午前中に一報が入っても、ゴルフを切り上げていなかったら、責任論に発展するのです。偶々、運がよかった、悪かった、という話ではありません。首相として、どういう覚悟でことに当たるか、それを問われるのが有事の行動に現れるのです。

しかし最近は安倍氏もストレスの溜まることばかり、というのも事実です。TPPにおける米国の強硬姿勢、韓国への外交配慮、株価の下落、そして集団的自衛権の問題です。自民党の高村副総裁が砂川事件をもちだし、存立を全うするための必要な措置、を最高裁が認めているとの見解を示し、公明をはじめ野党を牽制しましたが、明らかに拡大解釈です。それ以上に、砂川事件における米国からの司法への圧力、が注目されることになり、日米安保の下で行動することが正しいのか? という問題を国民に惹起させたことの方が、後に大きな問題となるのでしょう。
そもそも大審院判例で「個別的」と「集団的」の区別がない以上、それをもって集団的自衛権を認める、という論にはなりません。極端な例ですが、個人が誰かに襲われたとき、身を守る術として反撃は認められていますが、集団で仕返ししてもいい、という判断にはならない。司法が「必要な措置」として自衛権を認めても、いきなり自衛隊として活動していいか、は法解釈上でいうとムリがあります。もし砂川事件の大審院判例を適用可能とするなら、自衛隊は何でも可能、としても一向に差し支えない。歯止めなき行動も得意の『解釈』で可能、となってしまいます。

公明も、朝鮮半島有事における活動や、シーレーンの機雷除去は認める方針、と伝わります。個人的には、自衛隊は警察権と一体となった方がすっきりする、という考え方ですので、この部分解除にあまりよい印象はありません。むしろ、それなら旧戦闘地域における地雷の撤去や、海外の災害時に積極的に自衛隊が派遣される環境をつくった方が、人道的見地からも整合性がとれるでしょう。むしろ米国との関係に限定するような判断が、この問題を複雑にしています。
米軍が活動し易くなるよう、司法にまで圧力をかけてくる米国が、米軍を守るために日本の制限撤廃を要求してくることは、火を見るより明らかです。国内でどんな縛りをつけていても、時の政府がその米国の要求を跳ね返せる力は、日本にはありません。それを踏まえてこの議論は見て行く必要があります。例えば、ウクライナ問題におけるロシアをみても分かりますが、露系住民を守るとの口実に、他国に軍の派遣を匂わせたり、行動に移す国もあります。それが自衛権、とは到底認められないでしょう。しかし露国は自衛的行動と主張する。自衛権とは、実は解釈次第でどうとでもできてしまうほど、立場と状況によって変化してしまうものなのです。今の小手先の議論に、何の未来における責任が見えない。平時においても、この国の政治家たちの行動に、覚悟らしきものが見当たらないのが残念なところなのでしょうね。

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2014年04月12日

雑感。カリスマの憂鬱

給料の 上がりし春は 八重桜。安倍首相が自身主催の「桜をみる会」で詠んだ句です。給料が桜のようにぱっと散る? ぱっと消費しろ? 今ひとつ理解に苦しみます。これは『は』で結んだからおかしくなるのであって、『に』で結べば、季節感を保つこともできます。主語と目的語を『=』で結べば、自らの成果を誇る、いやらしい句にしか見えなくなる。しかも賃上げを政府の要請で達成した、それを誇るとなれば、そこには政治が民に口をだす不自然さしか見えません。

みんなの党の代表が、無投票で浅尾氏に決まりました。渡辺前代表のように、与党との個人的パイプもなく近づけば、使い捨てにされるだけですし、野党にすり寄るときは結いとの確執が問題になる。渡辺氏による執拗な嫌がらせにより、修復は困難です。ほとぼりが冷めるまで漂流するのか、難しい舵取りになるでしょう。第一、渡辺氏が残っている以上は、復権を意識されますので、説明責任が尽くされない状況では、国民はずっと懐疑的な目を向けてきます。極論ですが、むしろ警察の捜査をうけた方がよほど説明がつきます。今は、小保方氏問題における理研の対応のように、内部調査の信頼感は著しく低下しており、党内でいくら調査しても懐疑の目をむけられるだけです。政倫審か、外部委員による調査に委ねた方がまだマシと言えるのでしょう。
そんな結いの江田代表と、維新の石原代表が会談しています。石原氏は「護憲政党」と断じ、表敬訪問と、あたかも自分たちが上との立場をとります。議員数は維新が上なので、国会内の席次としてはそうですが、合併に至るためには『上から目線』では成立しない。石原氏を始めとする、旧太陽側の牽制という見方もできます。しかし逆からみれば、維新はすっきりしたはずです。

乾坤一擲だったはずの大阪市長選で失敗。橋下氏の影響力低下も示唆されますが、橋下氏としては旧太陽と一緒にいても展望が開けない。それは旧太陽、結い、大阪維新と三つ勢力の意見すり合わせに時間と手間がかかる上、どうもこの三者では意見がまとまりそうもない。そこで曖昧な政策にして、有権者の不評をかうぐらいなら、旧太陽とは別れた方が実行速度もあがります。2、3回の会談の後、結いの側から旧太陽側に不平、不満を述べてもらった方が、分裂が容易になるのです。そうなれば橋下、江田という二大代表で若返りをアピール、次の選挙を『脱官僚主義』で戦い易くなる。結いをテコとした維新再編が、窮鼠の打てる唯一の手となってくるのです。
ドイツ人の社会学者、マックス・ヴェーバーは『合法的支配』、『伝統的支配』とともに『カリスマ的支配』を唱えました。ヴェーバーによれば、自分たちの指導者にカリスマ的権威を認めると、自らは選ばれた者となり、カリスマによって定められた儀式、規律をうけいれることになる、とされます。みんなの党は、アジェンダの党と言いながら、実際にはカリスマ・渡辺氏の個人経営でした。橋下氏は、一時期カリスマでしたが、旧太陽と組んだことで急速にカリスマ性をなくし、埋没してしまった。そこには、集団の中でカリスマ的権威を認めない者が急増した、すなわち選ばれし者が相対的に減ったことでおきています。ここでカリスマ的支配をとりもどしたければ、党を割るしかない、むしろマストの条件になってきた、と言えるのでしょう。

しかし保守的勢力の中で、一種カリスマ的である安倍氏は、保守勢力の『選ばれし者』ばかりを徴用する傾向があるように、このカリスマは集団の中で、厄介な面をもつことは否めません。株価の低下が示すように、カリスマ性の低下は一気に存立基盤を崩すことにもなりかねないのです。カリスマが去り、カリスマが再び力をとりもどすのか。永田町では今、このカリスマの扱いが難しくなってきたことは、間違いないのでしょうね。

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2014年04月11日

日経平均の14000円割れ

東電が昨年8月におこしたタンク漏れの際、放射性物質の量を当初8000万Bqとしていましたが、2.8億Bqに訂正しました。実に3.5倍にあたります。こうしたダメージコントロールまがいのことをするので、東電の不信が続きます。最初から高い線量洩れ、と発表してしまうと印象が悪い。汚染水の分析は日常的にしているはずなので、約1年経って変更することは本来、あり得ないはずです。落ちついて計算してみたら…など通用しません。タンク漏れで、且つ高い線量、というと印象が悪い。ばらばらにして報じよう、という意図がミエミエなのです。
折しも、今日はエネルギー基本計画が閣議決定され、原発が重要電源と位置づけられました。正しい情報が何か? それがさっぱり分からない原発が、重要であるという時点で不安を生じます。昼夜問わず、自然環境に左右されないから、隠蔽体質のままでもいい、というなら、この国は安定供給で与える国民への安心、という前に、国民を不安な気持ちにさせていることになります。

日経平均が14000円を割れました。個人的には、3月の時点で14000円割れを指摘していますので、驚くことではないのですが、未だに「割安」と指摘する人がいます。但しその前提は今年度の企業業績が1割増益、というものです。逆に、1割減益であれば12000円台がフェアバリューになってきますので、5月半ばまでの業績見通しの発表によっては、その水準に近づく可能性が高い。
日本の企業は、長年当初見込みは低く、月日がたつと上方修正をくり返す、という形で企業側は対応してきました。しかし昨年辺りから、政府方針に従って企業も高い見通しを発表するようになり、今年を迎えています。しかし今年度、実は減益要因が満載なのです。3月の日銀短観でも、企業の為替見通しは99円台でしたが、今はその水準に近づきつつあります。消費税増税で内需はガタガタ、外需も中露をはじめとする新興国不安、ウクライナ問題とつづきます。

米国は堅調ですが、高成長にもどったわけではない。今年は資産効果の剥落も予想され、さらにここに来て米西部の旱魃が深刻になってきました。寒波の次は旱魃であり、穀倉地帯を直撃、今年の農業収量への不安がインフレをもたらしかねない。欧州で懸念されるディスインフレに対しては朗報でも、世界全体でコストプッシュインフレに陥れば、経済への打撃は深刻です。
これで尚、企業が増益を達成できる、というからには根拠を示さなければなりませんが、消費税増税の影響は軽微、米国は堅調、というばかりです。先週の9連騰中には、年末に18000円予想がまたぞろ頭をもたげるなど、経済アナリストへの不信も強まってきた。リーマンショック以来の1100円下落、の中身は日銀への失望が多分に含まれますが、それでも裏を返せば、日銀頼みの日本株、という構図なのであり、その歪さは値動きを大きくするだけ、でもあるのでしょう。

しかも更なる不安は、仮に日銀が追加の緩和策を打ち出しても、数日しか楽観が続かなかった場合、日銀の市場コントロール機能が喪失した、とみなされる点です。個人的には、そうなる可能性は日々高まっていると感じますが、催促相場に陥ってきた日本市場が本格回復するには、期待や夢想ではなく、現実の果実も必要になってきた。それを意識させる14000円割れなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:50|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年04月10日

雑感。安倍ノミクスは落第点

小保方氏の昨日の会見で生じた違和感は、コツの正体が分からない以上、再現実験ができず、やはりあの論文は紙屑同然。ということと同時に、小保方氏は研究者生命がかかった危機であるにも関わらず、未だに必殺技を隠しもつ、という潔くない態度にあるのかもしれません。弁護士との間で、戦略のすり合わせはしているのでしょうが、釈明会見のはずが何も釈明されていない。立場表明のみで、実際には何の説明にもなっていなかったことにある。昨今増えてきた、会見する意味のよく分からなかった会見、ということがあります。戦略上、早期の解決ではなく、交渉ごとの材料作りに使われた、それが違和感として首をかしげてしまう原因なのでしょう。

日経平均が軟調です。最近、海外では安倍ノミクスの採点を、金融政策A、財政政策B、成長戦略E、これでABEノミクスを呼ぶそうです。合格ラインは前2つで、成長戦略は落第。しかも6月に新たな成長戦略、という話にも期待がもてなくなった。今週はSQで、多少先物の取引も増えていますが、現物にはロングオンリーの資金が入ってこない。短期の取引が、3月末から1000円近く押し上げ、今週に入って1000円近く押し下げた原因です。米国でも、成長銘柄から安定銘柄へと、資金シフトが起き始めているように、また世銀やIMFなどの世界経済の成長率見通しの引き下げが相次ぐように、これまで市場の抱いていた期待に、現実が追いつかないとの危惧が生じています。
TPPにおける日米交渉でも、なぜか米国が妥協と、よく分からない期待を語る人もいましたが、現時点で米国が妥協する必要は一点もありません。歩みよりや、落としどころなんて必要ない。日本が全面敗北すれば、それを国内に喧伝できますし、焦って妥協したことで中間選挙の悪材料にもしたくない。つまり成果しか受け付けない、という姿勢です。日豪EPAなど、何の関係もないのです。ここにも勝手に抱いた期待に、現実が追いついていかない危うさも隠されています。

安倍ノミクスは期待に働きかける、これが最大のリスクです。まだABEノミクスとの評価ですので、E判定は1つだけですが、本来は1つでも赤点なら落第なのです。TPPも成長戦略の1つだった。理研の問題も、科学技術推進として特定法人化も成長戦略の1つだった。それらが次々と頓挫している。すでにE判定の成長戦略ですが、現実にもそれが頓挫していく状況が次々に現れています。
本来、安倍ノミクスはエコノミクスを文字った造語ですが、そこで省かれたECO-は、接頭辞としては『生態、環境』を意味します。期待ばかりを煽り、ありのまま、現実の姿が抜けてしまった安倍ノミクスが、追いついてこない現実に汲々としだしたのが、今現れていることです。実態より、需給に強く反応するようになっている株価も、そうした面の一つの表れなのでしょう。安倍ノミクスが語られだしてから、ずっと生じていた違和感の正体は、その期待を現実にトレースできない、上手くいくためのコツが分からない、ということにもつながるのかもしれません。いつ釈明があるのか分かりませんが、少なくとも政権支持率の根拠のようになってしまった株価、その材料づくりのために、乖離した期待をいつまでも垂れ流し続けるわけにいかなくなってきた、それが今の失望の原因にもなってきているのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年04月09日

ウクライナ情勢について

STAP細胞に関して、小保方氏が会見を開いています。ただ釈明と自らの立場の説明、というだけで、新たな材料は何もありませんでした。STAP細胞をつくるにはコツあり、として次の研究発表で…としますが、ここで研究者生命を断たれてしまうと、その発表さえできなくなります。それに第三者が再現できれば、当然そのコツ、も相手に知れるわけですから、公開できないという理由がわかりません。理研の調査委員会にも不透明感がただよいますが、小保方氏の会見にも釈然としない部分がある。この問題はもう少し長引きそうな印象が強まってきました。

ウクライナ問題も長引く様相を呈しています。ウクライナ東部で露系住民が議会を占拠し、住民投票による露国編入を叫びました。しかし露国外相がウクライナに連邦制導入を示唆するなど、明らかな内政干渉発言をするなど、各国の非難が強まっています。米国は早くも露国の工作員の存在を匂わせ、容認できないとしますし、この内政干渉発言のせいで、逆に露国は手足をしばられそうです。国境線に露軍を配置していますが、これを動かせば露国の重要な企業にまで、制裁措置が及び、経済的損失も大きくなってしまう。すでに経済成長見通しが、続々と引き下げられているように、その打撃は計り知れない影響を伴って、露国を傷めることになるでしょう。
問題は、ウクライナ経済の状況です。すでに破綻状態にあり、支援がなければ立ち行かない。露型の経済体制をとったため、強烈な格差社会となり、未だに国民1人あたりのGDPは近隣のV4(ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア)の4分の1に過ぎません。しかもこの混乱で、さらに投資もすすまず、産業も育たず、破綻を回避する術が見当たりません。しかも東部が露国へ編入されたとて、この状況は一向に改善されません。露国への投資が膨らまないのと同様、東部は更なる貧困に喘ぐことになります。借金をウクライナ本国へ押しつけ、逃げだせば済む話ではありません。もっと言えば、露国からの借入金依存がより鮮明になることでしょう。

それで露国が磐石なら問題ありませんが、露国も転換期を迎えつつある。天然ガスの販売は、伸びが頭打ちになるでしょう。輸入先の多様化と、新エネルギーへの移行はどの国でも喫緊の課題であり、欧州でも露国依存は減っていきます。日中への販路開拓を狙っていますが、日中も状況は同じ、一部を露国へと頼っても大口需要にはなりにくい。それは、今回のようなことを起こす露国と、取引を増やしてもリスクが高すぎるためです。投資も同様、露国はリスクが意識されます。
将来的にみると、露国には経済成長を阻害する要因が大きすぎる。今回の問題が長引けば長引くほど、露国への打撃となって利いてきます。電撃作戦でクリミア編入を決めたときのようには、行かなくなり、状況を見て行動すればするほど露国はさらに苦境に陥る、という構図です。内政干渉発言までしたのも、露国も状況の困難さを意識してのことなら、ここからの長期化は露国にとって最も忌むべき状況になってきた、ということになるのでしょうね。



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2014年04月08日

日銀の金融政策決定会合

WindowsXPが明日でサポート切れになります。やっと使えるWindowsとなり、爆発的に売れたOSが終了する、1つの時代の終焉ですが、今のMicrosoftのOSは悪評の多い8.1が最新なので、買い替えもすすみにくい。すでにAppleはハードに問題なければOSに関しては常に最新のものを提供する、という方針であり、このあたりの考え方は異なるようです。OSの種類ばかり増えて、サポートに割かれるMicrosoftと、常にOSを更新することでサポートの負担を減らすApple。明らかにAppleの方が、長期的視点にたった経営をしている、ということにはなるのでしょう。Microsoftは9型以下の画面サイズのタブレットにOSを無償提供する、と発表しており、シェアの低下による業績悪化を避けたい意向は分かりますが、換わって何を収益の柱にするか? が見えません。将来的には、よほどハードな使用でない限り、みんなタブレットを使うようになるのでしょうが、そのときのOSの選択肢がより広がっていくことになるのでしょう。

日銀が金融政策決定会合を開き、現状維持を決めました。しかし昨日の内閣府発表の景気ウォッチャー調査も、3月は駆け込み需要で好調、先行きは急落を示します。さらにニトリに続き、高島屋の経営陣も「増税の影響は長引く」と発言しており、4月第1週は売上げも昨年比で急減した、と発表しています。明らかに景気の先行きに、暗い影がただよっています。
しかし日銀は、追加緩和はうてない。それが今回はっきりしました。日銀は2%の物価目標達成を『確信』している、と述べた。つまり追加緩和する必要がない、ということになるので、この文言を会見なりで修正しない限り、追加緩和はできなくなったとの見立てになります。しかしこれは円高、株安を促すでしょう。安倍ノミクスは『実態』ではなく『期待』に働きかけますが、追加緩和の『期待』をもたせておくのが、最大の効果です。要はその効果を最大に生かすため、今回強い表現で期待を遠ざけましたが、そうなると市場は催促相場に移行します。4月はもう一度会合もありますが、sell in Mayのタイミングでは14000円を割れてくることになるのでしょう。

日本の経済政策、金融政策は誰が行っても近視眼的で、短期の成果ばかりを誇る傾向にありますが、黒田総裁にもその癖があります。それが『確信』という言葉に表れた。異次元緩和から1年経って、雇用情勢が逼迫しているので、賃金上昇、価格転嫁という循環的なインフレ傾向になりつつある、とします。しかしこの雇用は、復興需要、公共工事の増大、今後の五輪特需を控えたものであり、明らかに一時的要因といえます。一時雇用ではなく、安定的な収入が着実に増えていく見通しが立たない限り、デフレマインドの払拭など到底ムリであり、本来は1年で結果などでるはずもなく、確信できるわけがないのです。
短期的な動きを、長期的な傾向と捉えてしまう愚は、経済政策ではもっともやってはいけないことです。すでに日本はサービス業中心の、先進国型経済に移行しつつある中、円安などの輸出産業ばかりに焦点をあてた政策、公共工事などの建設業ばかりを潤す政策、もそうですが、いずれも一部を優遇するような策です。それで、消費税増税の悪影響で内需が停滞すれば、そのサービス業が苦境に陥り、日本経済全体が低迷してしまう恐れが出てきているのです。金融政策も、昨年の異次元緩和が巨額すぎて、追加緩和を打ちにくくなってしまった。こうした近視眼的政策から脱しない限り、真の日本経済の復権などありえない、ということになるのでしょうね。


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2014年04月07日

外国人労働力について

みんなの党、渡辺代表が辞任を表明しました。借りた資金の大部分は妻の口座にあり、返したことで会見を開いた、ということで、代表は辞任しても議員辞職はしない、とのことです。しかし選挙資金といって借りた金を、ナゼ妻の口座へ? それは資産公開で自身を清貧だと言い張るためだったのか? 妻は『保守的』につかう、としていますが、政治資金として借りたお金なのですから、妻が『保守的』であろうと使ってしまっては、信義に欠けます。妻は政治家ではないのですから、何のために使う? という問題があります。そもそもこの構図、猪瀬前都知事に似ます。
また代表辞任は何のため? 問題ないなら、きちんと説明責任を果たして代表に留まるべきであり、世間を騒がせたことが問題なら、今後もその問題はつづくことにもなります。むしろ一時的に退いておいて、ほとぼりが冷めた頃、復権する気がミエミエです。みんなの党がガタガタで、辞任でお茶を濁し、党勢回復をはかるというなら、国民はかなりコケにされている。この会見ではまったく説明責任も果たせず、『無責任野党』に転落した、これがみんなの党の現状です。

日豪EPA交渉が大筋合意しました。豪国はTPP参加国であり、TPPの進展の前にEPAを合意しておくことに意義があった、とみられますが、これはTPPの援護射撃にすらなりません。年を経て関税を18〜23%に引き下げますが、米国が数%にまで引き下げるよう要求し、それが通ってしまえば、豪国も日本側に更なる引き下げを要求してくる。むしろそうした要件を含みつつ、今回合意したとみられるためです。EPA合意よりTPPの妥結を優先、という一項が入るだけで評価は異なってきます。
安倍氏の経済オンチぶりは、建設業の人材不足に外国人労働者、家事に外国人労働者、などの発言にもよく表れます。景気対策で行う公共工事に外国人労働者を雇えば、国内への波及効果が限定されます。また外国人家政婦を、低賃金労働者と受け止めているなら、米国で起きているベビーシッターの虐待問題を検証するべきです。そうして虐待をうけた子供が、トラウマを抱えてその後の人生が狂えば、誰が責任をとるのか? 全員がそうではないとしても、格差を感じて鬱憤もたまれば、弱い子供が狙われ易いのです。埼玉の事件は決して他人事ではありません。

安倍政権のうつ施策は、企業目線のものばかりです。外国人労働者を使うのは、安価な労働力を、一時的に使いたいとの欲求でしかありません。国民にそれが行き渡らなければ、内需は一向に改善せず、景気浮揚もない。業績が上がっても賃上げへの波及が低いのは、国の施策の方向性が間違っているため、なのです。その反省もなく、安易に外国人労働者を受け入れれば、本国への送金が増えて円安にもなる。この動きには、そんな不純な動機も見え隠れするようです。
労働需要があるなら、国内でどう賄うか? が第一にくるはずです。最低賃金ぎりぎりで働いている人が、育児のため家政婦を雇うなんてムリ。ならば、それ以上の低賃金で雇えばいい、は発想が間違っているのです。責任野党、ともち上げた政党が、次々に安倍政権と距離をおく形になるのも、安倍氏に見る目がない、ということでもあるのでしょう。経済政策でも、成長戦略は落第とされる中、政策オンチはその眼力に問題がある、という見方をしておかないと、今度は国民の眼力が問題視されることになりかねないのでしょうね。


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2014年04月06日

雑感。集団的自衛権の議論について

下村文科相が、北海道の子供の学力低下は北教祖のせい、と述べました。日教組系の中では、北海道は強いともされますが、学力低下との因果関係は不明なはずです。日教組を擁護する気はありませんが、授業ボイコットやストなどを行っているなら別ですが、そうでないなら日教組というより、教員の質や教育への取り組み方が問題視されるべきでしょう。不良な教師でも、日教組が強硬に抵抗して辞めさせない、ということでもあれば指摘も正しいのでしょうが…。
韓国が教科書検定に、クレームをつけています。教育の問題で、内政干渉とは使いたくありませんが、韓国とて歴史的な検証を踏まえて教育を行っているわけではない、ということをこの動きは示しています。双方で見方が異なるのは当然で、逆に一方的な解釈は通用しません。例えば十字軍など、キリスト教国からみれば聖戦ですが、イスラム国からすると侵略戦争をうけた、という話になります。領土問題も同様に、係争地であれば互いの見方が違って当然、本来それをすり合わせて、両国で認識を同じにして、初めて歴史として通用します。韓国が行っていることは、歴史ではなく単なる韓国側の見方。それだけのことでしかなく、他国の教育に口をだすことにより、自分たちがまだ国際社会で認められていない、ということを露呈しているのです。

しかし安倍政権を軍国主義復活、として批判する韓国から、集団的自衛権に関する批判めいた話は伝わってきません。よほど軍国主義には適する話ですが、こちらは韓国側にもメリットのある話です。日本の自衛隊がNATO軍に入ってくれれば、武器補給が容易ですし、在韓米軍が攻められれば、自衛隊も駆けつけてくる。後方支援体制が強化されれば、韓国軍も戦い易くなるからです。
かつては、日本の防衛費拡大を各国が非難、という話を盛んにメディアは伝えましたが、安倍政権では中期防で防衛予算が毎年0.8%ずつ増大と示されても、メディアはうんともすんとも書きません。中韓の一部で、日本の軍事費拡大に懸念、と報じられますが、逆に過去から軍事費問題を指摘するのは、中韓だけだった、ということなのでしょう。国内的にみると、防衛予算に関して談合の問題がでても、今のメディアは盛り上がりもしない。問題は、軍事予算の枠ではなく使途である、という認識もないようです。安倍首相は、集団的自衛権の拡大をしても予算枠は変えない、と答弁していますが、本当にそんなことが可能かどうか、という検証もありません。

当然、今の議論でいけば集団的自衛権を拡大すれば、防衛予算は跳ね上がるでしょう。世界が平和裏に、軍事行動もなく済めば問題ありませんが、露国のように政権支持率に、軍事行動をつかう国が今後とも拡大していくでしょう。世界各地に展開する米軍が、いつどこで攻撃をうけるかもわかりません。今度はPKOではなく、米軍とともに軍事行動するのなら、費用負担を日本が負う可能性は十分にあります。そればかりでなく、通常の軍事行動にかかる予算は跳ね上がってきます。
集団的自衛権の拡大は、今後より米国との一体化が増す、と考えて間違い有りません。つまり米国の正義に、日本が追随しなければならないのです。しかし戦争にしろ、一面的に善である行動はありません。米国益に反しても、正義は存在します。そのとき、法的拘束を逃れた自衛隊が、正しい行動をとり続けられるかは、甚だ不安と言わざるをえないのでしょう。後に、歴史を検証したとき、日本が誇れる行動をとるためにどうすればいいか、という議論ではなく、今の関係性を壊さないためにされる議論では、益々世界に対して日本が説明のできない国、になっていく懸念が拭えなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年04月05日

中銀のジレンマ

トルコのエルドアン首相が、中銀に利下げを要求しました。通貨リラ防衛のため、1月末に上げた分を戻す、ということですが、中銀の独立性を危うくする行為といえます。しかし翻ってみれば、世界各国で中銀の独立性に首をかしげる問題が、そこかしかに現れてきています。

ECBのドラギ総裁は追加緩和に言及、具体策は提示しなかったものの、若干のユーロ安へとふれています。FRBのイエレン総裁は6ヶ月発言で、タカ派の印象を強めたものの、すぐにハト派へと修正するなど、市場との対話に苦労しています。欧州ではディスインフレの懸念があり、米国では労働の質に懸念を生じている。これまで直面していない、中銀の機能拡大という問題が出てきたのです。
中銀には物価安定の役割があるので、ディスインフレへの対応は当然に見えますが、ユーロの特殊性がそれを難しくしています。国債市場は各国個別で、金利も、格付けもばらばら。仮に資金供給をはかるため、国債購入をしようとしても、手が出せません。金融機関に強制的に資金を押し付けたLTROにしても、資本不足を補うことが目的であって、決してインフレ目的ではなかった。むしろそれがマネーストックに回るようなら、極めて問題があったと云えるのでしょう。

イエレン議長が、労働者の個別の実態にまで言及したものの、それが犯罪歴のある人物だったことで、波紋を広げています。しかし中銀が、労働省の機能まで肩代わりするなら別ですが、犯罪歴のある人が就職困難なことを金融政策で賄うことはできません。深刻な労働力不足の状態にあるなら別ですが、そこまで金融政策を拡大すれば、必ずどこかにバブルを生じているはずです。
できないことまで言及し始めた中銀、その問題は日銀にも生じています。追加の金融緩和への期待、です。すでに国債市場の7割を占めるメインプレイヤーであり、それこそ浜田内閣官房参与のように、国債市場から金融機関を追いだす以外、資金供給策はありません。ETFなどの金融商品の購入を増やせば、それは市場対策に資金を放出していることになり、中銀の機能とも反します。今の市場が凡そそうであるように、中銀依存症が強まれば、市場崩壊をより早めるでしょう。

米国の雇用統計が、市場予想にやや物足りないだけで、米株市場は大きな下落に見舞われました。ここまで市場予想よりやや悪い数字でも、すべて好感して上げてきただけに、違和感のある動きですが、逆に市場予想が機能し難くなってきたことを、今回の動きは表しています。つまり予想と、期待という2つの数字があり、期待には願望的な中銀への想いが映されている。今、市場がどちらをみて動いているかといえば、予想よりも期待の方に強く反応して動いています。
中銀がその期待に応えなければ、失望という形で市場に現れる。しかし本来、期待はあくまで夢物語であって、現実とはかけ離れたものであり、数字から導かれる予想でもありません。世界各国の中銀が抱えるジレンマとは、これまで対応してこなかった現象への、道の対策ばかりでなく、高すぎる期待への向き合い方、でもあるのでしょう。15000円台を回復した日本市場ですが、期待ばかりが膨らみ、この水準になっているのであって、夢から醒めたときの反動に震えているところでもあるのでしょうね。

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2014年04月04日

理研の組織マネジメント

国際司法裁判所による捕鯨禁止の判決で、安倍首相は日本の交渉団に対して「叱責した」そうです。それだけ? と逆に聞きたくなります。国益を損なってその程度で済むなら、誰も真剣に仕事をしなくなるでしょう。小松法制局長官が、仏大使を辞す際に挨拶しなかったから、各国大使の見方が厳しくなった、という説を丸々信じることはできませんが、日本は野蛮で危険な国、という見方が広がっているとすれば、今後も国際社会から安倍政権への懲罰的な措置がつづくのかもしれません。それが親日的な国のいない場になると、よりはっきりするのでしょう。

理研の問題が止まりません。小保方氏個人がデータを改竄、理研は見抜けなかった、というダメージコントロールを図っているのがミエミエで、特定国立研究開発法人への指定を規定路線とするため、早期に幕引きをはかっている印象です。例えば、小保方氏の研究ノートが3年で2冊、少なすぎるという指摘もありますが、逆からみれば主任とされながら、小保方氏が主導的に実験、検証をしていない場合は、この程度の分量でも事足りる、ということが言えます。
週刊誌などは、明らかに捏造やネタ記事もあるので、どこまで信憑性があるかも分かりませんが、上層部との個人的な付き合いや、セクハラ、パワハラがあった、研究資金の使い道の不正を暴く、といったものまであり、小保方氏が発言を止められている、とも指摘されています。理研は第三者をいれて検証しているわけではありませんし、一方的な調査結果を鵜呑みにもできませんので、これは小保方氏が記者会見するなり、インタビューをうけるなりして、両者の意見をつき合わせて確認しない限り、何が正しいとは言えない問題です。

ただ先にも指摘した、特定国立研究開発法人の問題が絡みます。独法の一つであったこれまでから格が一つ上がり、国費から研究開発費に充当される分は、当然増えてくるでしょう。そのとき、たった一人の不正が見抜けず、理研をあげて広報体制をとり、ヒロインとして祀り上げるような体質が、それに相応しいかは甚だ問題です。そしてまた、理研利権に群がる文科官僚の策動も見受けられ、安倍政権でこうした官僚の動きを統制できない点が、さらに問題の根を深くします。
安倍政権では、官僚統制ができない。それは国益を損なってさえ、第三者に「叱責した」と自慢げに話すぐらい、人事権の行使ができていないことではっきりします。理研の問題など、本来はトップか役員クラスの辞任、減俸などが措置としては考えられますが、そうした発表もなかった。つまり新法人への移行にむけ、ここで新体制となればタイムスケジュールに遅れが出そう。だから個人の責任に仮託し、早期終結をはかる、という官僚の描く幕引き方法がそのまま、理研にも適用されてしまっている。ここを改善しない限り、官僚統制は一切できない、となります。

それは組織マネジメントとして、防衛的な組織体制であれば機能するのでしょうが、理研は新たな発見、科学的知見を探求する組織であり、攻撃的な組織でなければなりません。組織防衛に長ける必要はない。むしろ膿を早くだし、機能改善を図っていかなければならない組織なのです。理研の官僚的体質が、すべての元凶であり、そうした組織がだした報告に釈然としないものを感じてしまうのは、何を優先すべきかが損なわれている、そう感じる故なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2014年04月03日

日銀の物価見込み

みんなの党、渡辺代表の8億円問題で、選挙資金と認識していたことを示すメールが、また公開されました。渡辺代表のつかう陰謀論は、証拠もなく信憑性もないのに、渡辺氏が選挙資金と認識していた証拠は、続々とでてきます。もし陰謀なら、渡辺氏もメールを開示して証拠を示せばいいだけですし、病気、声が出ない、として国会を欠席するなど、往生際の悪さばかり目立ちます。
難しいのは、渡辺氏も指摘しているように借り受けた資金を政党に貸し、それを供託金としている場合、本人の選挙活動ではないことになります。ただそれは、選挙運動に関するすべての…とされる支出入に含まれるはずですので、記載がなければやはり公選法違反の可能性がでてきます。つまり政党に貸し付けたにしろ、選挙運動につかうという認識があり、また本人が代表を務め、資金の運用に責任をもつ立場である以上、迂回献金の可能性をつぶす意味でも、違反という解釈が通るかもしれません。政党を通して浄財化した後、選挙資金につかうといった手口も考えられるためです。

日銀が異次元緩和を打ち出してから、1年が経ちました。来週の政策決定会合まで再び期待が高まり、日経平均は上昇しています。しかし年度末、年度初の需給が終わった途端、日経平均の売買代金は2兆円を割っており、強い相場とはいえない。今は、流れにつく順張りの取引が活発であり、逆張りがいないために値動きがでますし、買われ過ぎ、売られ過ぎでも止まりません。
日銀の追加緩和の期待を膨らませる原因が、昨日発表された1年後の消費者物価、1.5%上昇の見込みです。目標の2%にはとどかないので、追加緩和を打つだろう、という読みが働きます。しかしこの1.5%上昇の中身が問題です。大企業の製造業、非製造業は1.1%、中小企業は製造業、非製造業ともに1.7%。つまり中小企業の方が見通しも大きいのは、コストプッシュ型のインフレを中小企業は感じていて、大企業では価格転嫁はすすまない、すすませない、という見方をしている、とも考えられます。さらに販売価格は、5年後に下落をみこむなど、ディマンドプル型への移行は見込んでいない。これは賃金の上昇率が、今年でさえ物足りないように、企業に賃上げするというマインドが働かない以上、消費意欲は盛り上がらない、と企業が捉えていることを窺わせるのです。

そもそも、日銀の物価波及経路は、未だにフローでしかないと感じる点が心配です。日本経済は変化しており、今のまま追加で金融緩和をしても、ディマンドプルインフレがおきる見通しはありません。日銀が、効果の検証もなく、闇雲に同じような政策をとっても、数年後に目標が実現できる見通しは、何も立たないのです。ここで1年間の検証をしなければより不安を残します。
日銀が流した資金が、どこに留まって、どうしてインフレにならないのか? 最大の原因は企業で止まった資金が、川下に流れない仕組みが構築されていることです。さらに、それを政治が支援し、解雇や雇用支援に一向に回っていないため、インフレが起きない。これだけ個人から吸い上げれば、物価が上昇すれば財布の紐が閉まるだけ、です。毎月勤労統計をみても、賃金は下落をつづけている。賃上げの動きが広がった、などの新聞報道に騙されず、正しく日本経済の現状をつかめないまま、見当違いの対策をとるばかりになります。政治の浄財化は問題ですが、日銀は正しくお金を流す仕組みの構築を、一刻も早く急ぐべきなのでしょうね。に

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2014年04月02日

安倍外交は失敗つづき

南米チリ北部でM8.2の地震がありました。明朝、今は1m以下の津波がくると予想されています。震源の深さ、などの諸条件が異なると正確な予想も難しいとはいえ、明朝になってみないと分からない、という点が心配です。例えば、最近米国でおきている群発地震の原因が、シェールガスの掘削法にある、という見解が示されています。日本ではほとんど報じられませんが、米国のシェールガス革命も転機にきており、安易に米国の資源に期待してはいけません。地球の深層で起きていることを正確に理解するのが難しい以上、表面での出来事は予測できて欲しいものです。

安倍外交の失態が、また一つ増えそうです。北朝鮮の交渉団が、朝鮮総連ビルの売却に関して言及、日本側が政治と司法の独立を説明したものの、交渉が滞ったようです。露国のクリミア編入により、日露交渉が当面の停滞を余儀なくされる中、急激に盛り上がった拉致問題解決の話ですが、もしそれを押し進めようとすれば、司法への介入という前代未聞の手を打たざるを得なくなった。つまり落札価格が受注業者と、次点では大きく異なる、として不服を申し立てている総連側の意見を認めるよう、司法側に圧力か、指示を出さざるを得なくなってきたのです。
国際司法裁判所の捕鯨禁止命令も同様ですが、地球儀外交と云いながら、安倍政権の外交成果はゼロです。五輪招致と富士山の世界遺産登録がありますが、両者とも長年に亘る積み重ねで、また五輪招致は敵失によるところが大きい。それ以外は、米欧では安倍政権の保守的な動きを牽制する発言が相次ぎ、中韓とは未だに没交渉状態。トルコなどの元々が親日国か、新興国にODAなどを使ってお金をばら撒く以外、実に成果、と呼べるものが乏しい状況になってしまっています。

そして、その理由もはっきりしています。安倍政権は成果を焦り過ぎているのです。1期目が消化不良で終わったせいか、経済はバブル政策を、外交は北方領土、拉致問題、とこれまで課題としてきたものをつまみ食いするように、手を出しては相手に掌を返される、ということを繰り返します。相手に足元をみられているのが明白で、高い代償を払わない限り、交渉がすすまない。国際司法裁判所の件など、交渉能力の欠如が著しい、ということも言えてしまいます。
北方領土交渉でも、拉致問題でも、ただで相手がこちらの要求を呑んでくれることはありません。何が代償となるのか? それを考えないと、地に足をつけた外交はできない。それなのに安倍政権は成果、成果と焦っているため、代償が大きくなるばかりなのです。これが安倍外交の限界、関係が悪くなる度、相手の機嫌をとるようなことをしなければならなくなる。五輪出席や、韓国側に銃弾を撃ちこむ中で日朝交渉する、と周辺国を逆撫ですることにもなってしまうのです。

そして、相変わらず安倍政権礼賛を止めないメディアは、消費税増税の駆け込み需要がかなりあり、また今後も強い、などと言った間違った情報を流したり、外交交渉は順調、といった報道の仕方をします。しかし駆け込み需要は住宅、自動車などは堅調でも、服飾関係では出ていない、北朝鮮交渉とて総連ビル問題が出ているので、本来なら頓挫しているとみるべきなのです。外交まで期待に働きかける安倍ノミクスと同様の手法なのか? 少なくとも、これは科学的なものではないので、メディアはきちんと深層を伝えるようにしないと、逆に失望ばかり強くなる、という結果になりかねません。表面だけを飾って、将来起こることを正しく予見できなくなる行為は、厳に慎むべきといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年04月01日

日銀短観と消費税増税

今日から消費税が8%に増税されます。日本のメディアはこれを「安倍ノミクスの正念場」と伝え、米紙は「批判の強い安倍ノミクスにさらなる逆風」と伝えます。これは、日本では『期待に働きかける』安倍ノミクスを、散々に煽ってきており、それが頓挫したのは消費税増税のせい、という自分たちの報道姿勢への言い訳をするために、予防線をはっているにすぎません。しかし景気指標をみても、昨年夏以降の鈍化は鮮明ですし、海外も同じように見ている。国内だけが、未だに年末株価18000円とか、夏以降に急回復といった報じ方をしていることは、憶えておいた方がよいのでしょう。
そんな消費税増税では、10月以降の住宅需要の急減、自動車販売の急減など、高額品の需要は大きく喚起された後、急減という流れを辿っています。一方、一般の消費はほとんど盛り上がらず、その意味では二極化しています。問題は、増税の理解を求めるために政府が広告をうつなど、ムダ遣いが止まらない点です。全額社会保障費に回します、といったところで、その広告費を一般会計からだしていれば、それもムダです。最近、政府広報が政策への理解…という形の言い訳のために用いられており、メディア戦略上の垂れ流しになっていることです。この壮大なムダな支出をしておいて、一方で全額社会保障…という言葉をつかうことに、矛盾を感じざるを得ません。

日銀の3月短観が発表され、現状の大企業製造業DIが17、非製造業DIが24、中小企業製造業DIが4、非製造業DIが8となりました。しかし先行きは同じ並びで8、13、-6、-4と急減します。中身をみると、ほとんどが消費税増税前の駆け込み需要がある業種が強く、その剥落が4月以降おきることは、確定したような状況であり、特に木材・木製品や自動車の先行きの急減が気になります。
さらに、中小企業については先行きの仕入れ価格の上昇を見込みつつ、販売価格への転換はすすまない傾向が続きます。しかも全産業で、売上高は微増の計画ですが、経常利益はどこも微減を見込む。つまり昨年度の円安効果が剥落したこと、また安売りに頼る形が今後は鮮明になることを、短観は示しています。しかも、今回初めて集計された設備投資見通しですが、大企業製造業は順調に微増ですが、中小企業は消費税増税前の駆け込みが剥落したのか、急減という形です。

雇用人員判断をみると、大企業製造業には過剰感があるものの、ほとんどが不足と示します。しかし求人数は増えず、失業率も小幅改善にとどまる。賃金など低下傾向がつづいています。結局、企業は安価で雇える人材を求めるものの、ムリをして高い給料を払ってまで人は要らない、という考え方をしていることが窺える。ここが日本を長期低迷に導いてきた原因といえます。
しかし安倍ノミクスはここに手を入れず、逆に特区では解雇をやり易くするなど、消費者を減退させる政策ばかりとっています。消費税増税で、国民負担が8兆円とされますが、それだけ吸い上げれば、景気が低迷しないはずがありません。景気の鈍化を、消費税増税の言い訳に使うのか、それとも財務省に阿って、あくまで景気は堅調と年末まで言い続ける気なのか。そのために、メディア対策費もばら撒く安倍ノミクスには、メディアがあおぐ煽り風が吹く一方で、国民の目を中心とした暴風雨、という逆風が吹き付けることになっていくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済