2014年05月

2014年05月31日

相場の噂話

IMFが日本の消費税率を最低15%にしないと、財政再建できない、と声明をだしました。財務省の息がかかるIMFだけに、見事に財務省の意をくんでいます。一方で、国際協力銀行の総裁が、懇談会で「米FRBがテーパリングがすすむ中、日銀がまったく異なる方向に政策をきることは、歪みを与える」と発言し、市場の緩和期待に釘をさしています。国際協力銀行は日本政府と一体の特殊銀行であるため、政府、日銀も追加の金融緩和は難しい、という認識に立ったようです。

5月の株式市場は、小幅ながらプラスで終えました。先週の22日から楽観ムードが漂い、切り返していますが、あくまで噂ベースですが、悪い話もあります。最近、米国で著名投資家やヘッジファンドのマネージャーから、「安倍首相はアジアで1番危険」という発言が相次ぎます。昨年、安倍ノミクスに期待したときとは手のひらを返すようですが、逆に期待の大きかった分、失望からの発言ともされます。しかしもっと意味深長な、戦略的な発言だという噂があります。
最近の切り返し、米系のTOPIX先物買いが顕著です。昨日も日経平均は下落していますが、TOPIXはプラスで終えるなど、とにかくTOPIX型は買いです。売りポジションの解消、という見方が一般的ですが、ここで売りポジションを軽くしておくことで、将来に大きな売り崩しを狙っているのではないか? というのです。つまりそのための「安倍=危険」発言であり、不安心理を現実化させることにより、大きく売りにより下げようとしている。そのタイミングが問題とされます。

これは成長戦略の発表タイミングともかかわります。発表前までに、大きく崩れるなら催促相場であり、発表で買い直される可能性もある。仮に失望の内容であっても、織り込み済みになるためです。しかしこれが、発表後に崩れるようだと、それは日本からの逃避であり、際限がなくなる可能性が高い。どちらに照準をしぼっているかは不明ですが、ここまで売りポジションを解消したことで、6月相場にむけて、メジャーSQ後の自由度がかなり高まった、といえるのです。
最近、安倍政権のPKO活動(Price Keeping Operation:相場操縦)が、市場では公然と語られるようになりました。嘘か真か、公邸には相場を示すモニタが置かれている、などの話もあり、株価連動内閣とも呼ばれます。これだけ相場を気にしていると、相場が下がれば支持率に直結します。そんな中で、海外の投資家から連呼される「安倍=危険」発言は、気が気でないところ。しかも、買いポジションを増やしているわけではない、今回の相場上昇は、昨年とはまったく違う様相といえ、それがさらに不安にさせます。北朝鮮との拉致事件の調査合意も、北朝鮮が2日目の交渉で軟化した、という記事もあれば、逆に日本側が折れた、という話もあり。成果を焦り、市場下落に焦る安倍政権では、後者の話がでてくるのも強ち噂だけでない、というところなのでしょう。

しかも、北朝鮮との接近に対して、妙に米国や諸外国の反応を気にする態度も、安倍氏の弱さを示します。アジアでもっとも危険なはずの北朝鮮と、親密になるということが、安倍=危険、という認識をさらに高めるのかもしれません。安倍ノリスクが現実味をおびるとき、相場の反応がさらにそれを補完することになり、すでに夏のような陽気ですが、背筋を寒くすることにもなりそうですね。

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2014年05月30日

消費者物価と実質消費支出

米1-3月期GDP改定値は、前期比年率1.0%減、と予想外に大きな減少となりました。在庫積み増しの鈍化、貿易赤字の拡大、さらに寒波の影響といわれます。しかし前者は寒波の影響でよいのですが、貿易赤字の拡大は、内需の拡大なのか、生産性の低下なのか、によって読み方が違ってきます。輸入は0.4%減から1.7%増に引き上げられた。実は、輸出も引き上げられているのですが、とにかく輸入が拡大している。これは消費が堅調であるためであって、決して寒波の影響ではありません。つまり今回、米GDPの減速の多くは生産性の低下と、消費を輸入に頼ったため、と指摘できます。
しかし問題は、雇用が堅調である点です。新規失業保険申請件数は、下落傾向をたどっている。生産性が低下しているのですから、本来は下がってもおかしくない。すでに5月で、3月とは状況も違っているかもしれませんが、どうもチグハグです。どうやら、シェールガス革命に始まる、資源輸出国への転換にむけた設備、人材投資といった面が大きいようなのですが、特段の理由もないまま、WTIで1バレル100$に乗せてきた原油をはじめ、資源バブルの追い風が吹く間は、米経済も堅調なのかもしれません。不動産価格に一服もある中で、新たな成長ドライバーは資源バブルに浮かれる新興の富裕層、ということになるのかもしれません。

総務省発表の4月全国消費者物価指数が、前年比3.2%上昇しました。日銀は1.7%と試算する消費税分の影響をのぞくと1.5%とされますが、日銀の2%目標に近づいた形です。しかし今回は特殊要因が多い。調査期間がもっとも増税分の転嫁がすすむ4月10日前後であること、これは小売が増税前に仕入れておき、安売りが終わった段階とも重なり、比較的高くでた可能性があります。
5月東京都区部は前年同月比2.8%増と、4月とくらべて0.1%拡大。拡大傾向はつづく模様ですが、気になるのが家計調査によると、実質消費支出が前年比4.6%減。駆け込み需要の反動減だとしても、物価があがって消費が減っている。これまで国やメディアが盛んに喧伝してきた「想定通り」とは、ちょっと違う傾向を示します。さらに勤労者世帯の実収入が実質前年比で、7.1%減。名目でも3.3%減。賃上げが上場企業の4割、と大きく報じられていますが、こちらの数値はほとんど伝えられていません。しかし消費余力は大きく減少している、この傾向は今後に大きく影響します。

法人税減税が目玉、とされる6月の成長戦略ですが、トヨタが5年間も法人税を納めていなかった、という事実が明らかとなり、益々その効果に疑問が生じます。企業は節税対策をすすめており、法人税率という見かけだけで評価するのは危険です。経産省発表の4月鉱工業生産指数も、前月比2.5%減となり、基調判断を持ち直しから、横ばい傾向に修正しているように、企業に減税の恩恵を与えても、今は内需拡大に寄与することがない。米国のように自社株買いや、株主還元をすすめ、株価対策をするだけで、それは勤労者ではなく投資家層を潤すだけ、に留まってしまいます。
消費余力の減少する労働者に、さらに労働制度の変化が追い討ちをかけそうです。よほど条件をつめないと、請負業者などは際限なく仕事をさせられる可能性がある。つまり成果とは何か、どこまでやれば報酬になるか、による不一致が今後、増えてくることが想定されるのです。それはどの業種、働き方をしていても同様であり、それによっては個人破産などが増えてくるはずです。

メディアは盛んに上場企業の賃上げ、ばかり報じますが、直近の経済指標だけをみても、評価は分かれています。目立ち始めたサービス業、建設業の人材不足、しかし企業が対応すれば、それもまた物価高要因です。海外で稼げる力が減少している中で、円安による業績押し上げ効果だけで、今年は何とか賃上げしても、長続きはしません。正念場どころか瀬戸際、崖から落ちかけている、それが日本の景気だという認識が大事なのでしょうね。

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2014年05月29日

政局と人材派遣会社

北朝鮮との政府間協議で、拉致問題の全面調査について合意、と日朝ともに発表がありました。成果が上がればよいのですが、このタイミング、日本側の焦りが早期再開を実現させたとするなら不安も生じます。なぜなら、国民に不信感を与えている集団的自衛権の議論ばかりでなく、人材派遣会社パソナと、安倍政権との癒着ぶりが報じられ、労働法制の改革をめざす安倍政権に、黄色信号が灯りはじめたのです。ASKA容疑者が覚せい剤取締法で検挙され、俄かに注目されるパソナ−ASKA−安倍ラインですが、一部メディアの報道を信じるなら、新たな疑獄事件を疑われかねません。
しかも北方領土問題で躓き、外交成果が欲しい安倍政権が、ここで焦ることは十二分にありえる話なのです。先に特典を与えても、恩義に感じて親身に対応するような国ではありません。KEDOの失敗をみても、北朝鮮に入り込んで日本側が調査するのでない限り、何も期待できません。夏を越すのも苦しい北朝鮮と、夏の日差しがやけに眩しくなった安倍政権が、国民向けに期待を煽るだけ、に終わる懸念を払拭できるような材料は、今回まったく発表されていません。すでに朝鮮総連ビルで結んだ、という話もあるように、壮大な目晦まし、茶番で終わってしまいそうな気配です。

日本維新の会が、正式に分党を発表しました。旧太陽側は強気でしたが、現時点で10名程度とされ、橋下氏側に30名近くが流れ、残りは新党か他党という流れが報じられます。しかしこれも宜なるかな、旧太陽は石原氏、平沼氏を含めて高齢で、先の展望はない。自民への合流をめざすしか活路はありませんが、自民は議席数ばかりでなく、閣僚、役職クラスでさえ成り手が目白押しであり、旧太陽が入り込む余地もない。さらに旧太陽をとりこむと、せっかく憲法解釈の変更でごり押ししようとしている最中、ふたたび改憲議論に注目が集まりかねません。
橋下氏側は結いとの合流をめざす訳ですが、来年の統一地方選にむけて、名をとって実を捨てるのなら、維新の名は残して、国会運営を結い主導にする、という形になります。今は大阪維新も苦しい。統一地方選で一定の支持を集めないと、瓦解する怖れすらある。反官の急先鋒として、官僚依存の安倍政権との対立軸としても、江田氏を担いでおくことにはメリットがあります。

民主の動きも慌しくなりました。野党第1党の地位が危なくなりそうで、海江田下ろしの渦中、前原氏にもパソナ疑惑が報じられます。安倍政権に協力的な大手メディアが、パソナ疑惑を深堀することは当面ありませんが、週刊誌報道が過熱すると、弥が上にも取り上げざるをえなくなる。そのとき、前原氏や橋下氏など関係が報じられる人間では、前面に立つのが困難となります。
ASKA容疑者と一緒に逮捕されたとち内容疑者は接待係なので、パソナとの関係が取り沙汰された人間は、総じて面識があると看做される。知らなかった、では済まされない。最近バタバタしているのが、パソナと繋がりのあるメンバー、というのは皮肉です。人材派遣会社が、政界に派遣しているのは、名はあっても実が伴わない人間ばかり、ということでもあるのでしょう。チャゲ&飛鳥の名曲『万里の河』の一節に、「どれだけ待てばいいのですか?」がありますが、動かなかった政局が、やっと大きく動き出しました。本人は「SAY YES」とはいかないようですが、政局に『熱風』(万里の河を収録するアルバム)を吹かせたことだけは、間違いないのかもしれませんね。

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2014年05月28日

集団的自衛権に関する15事例

日本維新の会が分裂です。規定路線ですが、そもそも考え方も政治手法もばらばら、合流協議も曖昧で、党首の親密さだけで合流したのですから、初めからムリがありました。今後どういう形で議席が割れるか、維新の異心は何分裂? ということに注目が集まるのでしょう。

自民が示した集団的自衛権の15事例、あまりにチープで政治の劣化に、言葉を失うほどです。グレーゾーンの3事例は、警察権で対応できなければ本来おかしいはずですし、政府高官が対応できる、と述べた後で対応できない、とするなど政府の態度がグレーゾーンです。まず離島等の『等』の意味は、揚陸艦などが本土に接岸し、上陸作戦を展開する事例への対応も含まれることになります。しかしそもそもそれは自衛権で解決するのが当然であって、逆に『等』がないと、警察権で対応できなければおかしい、という類の話です。しかしこの3事例は、警察権で対応できなければ国として怠慢であって、それを集団的自衛権で対応、には極めて違和感があります。
PKO活動への4事例は、戦争参加のための事例です。そもそも『侵略』の定義は困難です。湾岸戦争のようなクウェート侵攻に始まる戦争の場合、侵略は明白です。しかし領土紛争を抱える国や歴史的経緯、民族の定着状況など、国境線の引き方から問題のある場合、侵略自体が双方の定義により変わってきます。これは国同士の正義であっても同じ、それは国連の判断であっても同様といえます。結果的に、米国の判断に従い、戦争に加担するのではないか? その懸念は拭えません。しかも邦人救出のケースで、同意をとって…としますが、一体どこの? ということが不明です。政府が機能していない場合、政府に同意を求めても無意味ですし、相手も正規軍なのか、反政府軍なのか、同意をとれば許可を得られる、というものでもないでしょう。

残り8項目は米軍補助のためのものですが、そもそも宣戦布告があって、戦争状態なのか? ということが不明です。宣戦布告があって、米軍が対応していないとき、という想定でないと成り立ちませんが、米軍より情報量の低い自衛隊が、そこに対処することはそもそも困難です。
仮にそうしたケースでも、米軍の戦争に日本が勝手に参戦する、という形になるので、結果的に日本を戦場にしかねません。それこそ、米艦艇を守った途端、日本本土への攻撃に最大限、注力しなければなりませんが、自衛隊にそこまでの能力はありません。都市部、および全国にある原発に対空、迎撃ミサイルを配置して、洋上にイージス艦を並べれば、それだけで手一杯です。北朝鮮や中国を想定するなら、尚のこと中、長距離のミサイル防衛に万全を期さなければなりません。

グレーゾーン事例で、民間船が襲われているとき、海自艦が近くで訓練…など、どんなレアケースか? と首を傾げますが、それこそ国民の生命、財産が脅かされているのですから、自衛隊の出番です。訓練していなくても、駆けつけなければなりません。日本の領海でないケースでも、公海上なら問題ありませんし、仮に他国の領海でも外交により、可能となるでしょう。なぜ集団的自衛権で議論しなければならないのか? 結果的に、対応しなければならないでしょ? という事例を掲げますが、実際は表層的なものであり、この事例により引き起こされる事態に何の配慮もない、という議論になりかねません。むしろこんな事例しか掲げられないのなら、益々集団的自衛権の議論など不要、ということにしかならないのでしょうね。

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2014年05月27日

不動産市場の動向と世界経済

米独とも、株が最高値を更新して沸いています。ただ今は熱狂なき株高であって、しかも米国では債券高との組み合わせであり、リスクオンでもありません。日本では14000円にタッチすると、切り返すということをくり返していますが、反発力はとても弱くなっています。これで4日続伸となりましたが、引け間際に急落する、先物で仕掛けが入らないと上にも下にも行かない、など非常に味の悪い展開も目立ちます。結局それは、積極的に買うのではなく、売り方が買い戻すタイミングで上げているだけであり、戻り売りが出始めると、全体が売りに傾いてしまう弱さなのです。

以前からの指摘ですが、今の世界株高を支えているのは不動産市場の安定です。米株が4月新築住宅販売が、前月比6.2%増となって沸いたように、不動産市場の動向には極めて敏感になっています。しかし前年比では4.2%減、販売価格中央値は1.3%低下しています。決してよい数字ではありません。悪いながらも踏みとどまった、というに過ぎない。それが米債高の一因であり、米国には株高に浮かれる側面と、企業業績の伸びも悪かったように、景気の停滞感という2つの側面があります。
欧州でもほぼ同様であり、一時期の債券安という局面を脱し、金利低下に安堵して、また日米の金融緩和であふれたマネーを享受し、英国のように不動産高しか経済にみるべき点はない、と揶揄されながらも好調です。つまりすべて資産効果で説明できてしまう好景気であり、そこが反落すれば脆く崩れる。それまでの一時期、甘い蜜を吸うための戦略、が増えてきていると感じます。

中国の不動産市場も、2桁の下落率を示すところも出てきました。今は盛んに海外投資家に門戸を開く形で、投資資金を集めようとしていますが、それすら待てない状況です。中国の高成長は、海外からの投資と資産効果で、その大半が説明できてしまいます。インドのモディ政権に関心が移る今、中国には投資も集まりにくい。破綻が囁かれてから、大分日も経ちますが、インドの動向が中国にトドメをさすかもしれません。英語が公用語であり、また数学に一日の長があるインド。世界全体が成長できるのであれば、インドと中国は並びたてますが、金融機関の新興国投資の資金には限度があり、インドを増やせば中国が減るのは必然の流れとなります。
世界は、しばらく停滞を我慢しなければならない。それが顕在化する前に、今は株高、債券高を享受している状況なのでしょう。日本株も、一部でテクニカルで上昇を示唆、などと語る人もいますが、今はテクニカルなど大して使い物にならない材料です。売りが溜まってくると吐き出す、という流れの中で、買いが増える材料はただ一つ、来月にむけたECBの動向ぐらいです。

ECBはディスインフレ状況に、何らかの手を打つと示唆されています。しかし今回は金融不安ではないので、LTROは使いにくい。QEは債券購入の比重のかけ方が難しい。準備金の積み上げか? とも推測されますが、それにしてもどれほどの効果があるか分かりません。個人的には、金融政策ではなく、雇用状況の改善によるしかデフレを防ぐ手立てはない、と考えていますが、今の世界は不動産市場に頼るばかりで、それは金融政策の徒花でしかありません。日本の不動産市場でさえ、好調と言われながら、買い手不在という言葉が囁かれます。どこかで誰かが、値をじりじりと吊り上げているだけで、買い手が増えているわけではないのです。結局、今のこうした状況は、将来の不況を準備しているだけ、ということになってしまうのでしょうね。

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2014年05月26日

雑感。ウクライナ大統領選

AKB48の握手会で、暴行事件が発生しました。熱狂的なファンが、大好きなアイドルに…という構図でない点が、今回は重大です。まだ正確なところは分かりませんが、誰でもよかったと語っているところからも、無差別だったことが窺えます。米カリフォルニア州でも銃乱射事件があり、女性に恨みがあった、との話もあり、今後は社会不安が増大するかもしれない。それは政治であっても同じで、選挙のときに握手する、人を集めて演説するときも目線を近づけて、というスタンスをとる政治家は、いつ、どこで同じように襲われても不思議でない時代、となります。
しかも悪質なのが、鋸が使われている点です。鋭利な刃物ではないため、殺傷能力は低いものの、傷口が大きくなり完治しにくく痕が残り易い。殺すことより、アイドルとしての相手にダメージを与えることを目的としている。今回の件は、運営側の防犯体制のみならず、これだけの悪質性に対して、どういう処罰を下すのか、も今後に大きな課題を残すことになりそうです。

ウクライナで大統領選が行われ、前政権の閣僚だったポロシェンコ氏が多数を得ました。現状では東部ドネツク、ルガンスク州が親露派の妨害で投票できなかったこともあり、確定ではないものの、勝利宣言が出されています。さらに親露派候補の得票率がまったく伸びていない。これは露系住民の中でも、親露派と一線を隔す流れがおきていて、それは戦闘も辞さない親露派が、テロ組織化してきたことへの警戒、という面も影響しているとみられます。
例えば露国が併合を宣言したクリミアは、今年の観光産業に大打撃があるとして、露国からの旅行に特典をつけたり、役人が休暇をクリミアで過ごすことを推奨、という些かやり過ぎとみられる対策を打っています。逆にみれば、露国としてはクリミアを成功裏に終わらせることがマストの条件であり、併合後に景気が低迷したり、混乱するなら第二、第三のクリミアが出てこないばかりか、クリミアでさえ再びウクライナにもどる、と言いだしかねなくなります。

安い天然ガスなど、エネルギー調達の面ではウクライナにも露国に接近するメリットがありますが、クリミアのような観光産業中心の土地では、露国に併合されるより、休暇を楽しむ傾向のある欧州と接近した方がいい。ウクライナ東部も、主要な産業もない中では、エネルギー調達のメリットは少ない。実は、親露派とよばれる勢力も、展望があって露国併合を訴えているわけではない。ただウクライナの財政不安を煽り、ウクライナ離脱を唱えているだけなのです。
しかしバランス型、ともされるポロシェンコ氏が一先ず大統領になったとしても、混乱はしばらく続くでしょう。反政権デモを積極的に支持したことからも、親露派にとっては天敵に見えてしまうためです。そしてテロ組織と化した勢力が、今後どの程度活動をつづけるのか? その親露派に、露国がどこまで関わるのか? 民主主義の欠陥、少数を生かす政治をしない限り、まだまだウクライナの混乱はつづくことが確実なのでしょうね。

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2014年05月25日

雑感、集団的自衛権の議論

集団的自衛権の議論が盛んです。政府はグレーゾーン事態への対処として、予め首相に判断を委ねる、という案が検討されていますが、それだと首相の個性によって対応が変わりそうです。宣戦布告もなく、迅速に対応しなければならない事態が、どれほどあるかは分かりませんが、閣議決定を経れば少なくとも20名近くの判断が働き、文民統制という観点からは正しいといえるのでしょう。
グレーゾーンではなく、緊急的対応を要するとき、なら分からなくもないですが、1人の判断にゆだねていいのか? 甚だ疑問です。グレーゾーンには機雷除去、などの比較的対応にゆとりのあるものも含まれます。結局、場合分けは無数となり、発散しそうなので首相に任せる、との判断が働いているのだとしたら、政治の力不足は致命的なほどになっている、と言えるのかもしれません。

そんな中、米軍から無人偵察機、3機を購入という話があります。無人偵察機の導入自体はよいのですが、データを米軍と共有する、という点が問題です。つまり体よく米軍の任務を肩代わりすることになり、剰え地上設備も含めて1000億円を、上納金のように米軍に支払う。見返りは、米軍経由で得ていた情報を、日本も気兼ねなく使えるようになる、ということだけです。
さらに、これだけ米軍のシステムに依存すると、仮に米軍がバックドアを仕掛けていれば、必要なときに米軍にシステムを握られてしまうかもしれない。例えば、尖閣に上陸しようとする中国軍に自衛隊が反撃しようとした際、米軍が反撃に反対している場合、バックドアからシステムを牛耳り、自衛隊の力を減殺させることが可能です。米軍の意に添わない行動は、益々とりにくくなる。気がつけば、益々米軍がいないと戦闘できない国、となってしまいかねません。

無人偵察機など、チープなものなら北朝鮮でさえ開発、運用しています。1000億円もあれば国産だって可能でしょう。むしろ攻撃能力も備えた国産の無人偵察機を運用するなら、米軍との情報のやりとりでさえ、有利に交渉することが可能です。共有といっても、一方的に日本側の情報は吸い上げられ、米軍の情報はその一部しか渡してもらえない。これまでそうした関係性が続いており、ここで無人偵察機を米軍から調達しても、その構図に変化はないでしょう。国産できれば、その技術を様々な分野に活用できますし、そうした利点を含めて検討しなければなりません。
あるメディアは、戦争しない前提で様々な制度がつくられていて、集団的自衛権の行使にもまだまだ課題がある、という行使容認に傾いた書き方をし、一方のメディアでは自衛官に不安や戸惑い、と否定的に書いている。中国軍機が、空自の哨戒機に急接近、という話もありますが、最も大事なことは、日本の有事にどう自衛隊が活動し易くするか? ということです。歪んだ考えをもつ人間が統帥権をもち、指揮命令するようなとき、自衛隊には様々な混乱が生じます。グレーゾーンを首相に一任するなら、まず首相の選任方法から見直さないと、それこそ日本を危険にさらすことになる、となってしまうのでしょうね。

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2014年05月24日

米国のゾンビ対策

米国で、ゾンビ対策が検討課題にあがっています。ゾンビといっても動く死者ではなく、仮想敵のことで、原発をはじめとする重要施設をどう防護するか? そんな話です。その仮想敵に、外国やテロリストばかりでなく国内の貧困層が含まれている、そんな噂があります。マクドナルドのアルバイト従業員が、賃上げを求めてデモを行いました。米国で懸念される労働の質の低下問題、それは将来にわたって社会不安にもつながる。オバマ政権は最低賃金の引き上げをかかげますが、今この問題に対して、米国でも大きな論争を引き起こしています。
仏経済学者の書いた本で、労働や生産活動により得られた富と、投資などを通じて得られた富の差が、大きく開いてしまっており、これが社会格差を生んでいる。その格差を是正するためには、資本家に対してより課税する制度を定めなければならない、というのが主旨です。賛否両論ですが、今は世界が格差に対してより敏感になっています。我々は99%、というデモもリーマンショック後にありましたが、もつ者ともたざる者との格差を解消するのは政治の仕事です。

タイではクーデターを起こした軍が、長期に実権をにぎる動きを示しています。反タクシン派と通じている、との話もありますが、軍政が長引くことによる経済停滞も懸念されます。パキスタンでも反政府勢力によるデモが起き、またウクライナでも親露派がほぼ反政府勢力と化しています。親露派がつくる暫定政府の中に、露国の諜報員がまじっており、暫定政府も事実上それを認めている。露国の介入が決定的であり、しばらく混乱はつづくことになります。ナイジェリアのボコ・ハラムも、貧困層出身者が多いとされ、産油国にありがちな貧富の差が、国内問題化しています。
中国でもウィグル族とみられるデモが頻発。中国では、異民族懐柔策も打たれているとされますが、漢族の方が有利であることは間違いなく、また文化、風習などの押し付け、抑圧に反発が強まっています。世界全体が成長する、という夢のようなことを語る人もいますが、その裏では確実に格差が広がっている。もつ者ともたざる者との差、そこに鬱積する憤懣が、世界を流動的にするのかもしれません。それは民族的であったり、元々の貧富であったり、様々な原因があるとしても、世界全体が成長したとしても、そこから零れ落ちる人をどうするか、という問題でもあります。

翻って日本では「資産を増やし、富裕層の消費により経済を活性化する」と公言していた新自由主義の竹中氏が、安倍政権に協力しているので、間違いなく貧富の差を拡大させる方向で、今は動いているといえます。日本の経済政策は、いつも一周遅れぐらいで動いており、実態はそれと逆に、一足早くバブルが崩壊し、長期のデフレになり、低成長に突入しています。安倍ノミクスで変わったのは、もう一度資産バブルを、ということであり、円安により海外資産の増加、黒田バズーカによる株高、債券高、という構図をつくったに過ぎない、ということになります。
一部でGDPギャップの改善を、日本経済の復活に準えるむきもありますが、昨年は駆け込み需要が影響している可能性があり、まだ正確なところは分かりません。人材不足が囁かれますが、メディアが景気が上向き、雇用が改善と煽るため、低賃金、重労働から人が逃げ出しているとするなら、それも効果は限定的となるのでしょう。米国ではゾンビ対策ですが、日本ではサイレント・マジョリティが意志をもって、低賃金、重労働から離れだしたとするなら、これまでユダヤ教のゴーレムのように、従順に使役されてきた側の反抗ということですから、ゴーレム対策になるのか? いずれにしろ、格差問題を真剣に話し合うべきときには来ているのでしょうね。



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2014年05月23日

日本株の大暴落から一年

日経平均が大暴落してから一年。落ち着いているどころか、小動きだけの閑散相場に今はなってしまっています。昨日、今日とで400円を越す上昇でしたが、日銀金融政策決定会合後のあく抜けで、そこまで溜まっていた裁定売り、信用売りなどを崩すため、米系が仕掛けていることが、ここまでの大きな動きにつながっています。中国のHSBC、PMIや米PMIが好調で、世界的に楽観ムードがただようこともありますが、今は仕掛けて踏ませて利益をとる、という形が増えています。
昨日はかんぽ生命の運用で、株投資を増やす、という方針が示されましたが、古くて新鮮味のない話です。安倍政権ではGPIFや、かんぽといった本来、政府の指揮命令が及ばない範囲でも、政府の意のまま、という考えがあります。確かに年金積立金管理運用独立法人は、特殊法人である日本年金機構からの委託で運用しており、厚労省所管ということもあって、運用に対して国の関与は強い。かんぽ生命も、郵政の完全民営化でない以上、国が牛耳っている組織です。しかし国が運用に口を出して、ろくなことになった試しがありません。官製株高ともいわれますが、国の口先介入が利かなくなった今、今後は特殊な要因で動くことがもっと増えてくるはずです。

その一つに、インド新政権誕生があります。モディノミクスとも言われますが、地方都市で成功を収めた手法で、国の経済発展に寄与するのではないか? との期待でインド株式は高値をとっています。日本からインドへ、投資資金のシフトが起きている、という話もありますが、先進国と新興国では、ポートフォリオ上の区分が違うはずで、短期のアクティブ系は動いているでしょうが、まだ大きな額ではない。一方で、インドはまだ投資環境も十分ではないですし、モディ氏には民族、宗教対立を引き起こしかねない前科があります。インドに長期投資が入っているとしても、まだ額はそれほど大きくない、とみています。米系の金融機関の業績が悪化しているように、運用益をだすためにアクティブの比率を少し上げた、その資金がインドに流れています。
インドに資金が流れこんでいる内は、モディ氏も幸せに内政できるでしょう。しかし逆回転を起こしたとき、国内の火種に一気に着火します。宗教、民族対立を起こさず、多民族多言語、多宗教のインドを治められるのか? その手腕は未だに不透明であり、今は期待値だけの話です。

翻って日本は、安倍政権の手腕への期待が剥げ落ち、昨年は15兆円買った外国人投資家は、今年すでに3兆円近くの売りこし。PER13倍台は割安、としても、今年は昨年並みの販売実績、という見通しの下で今期業績は上場企業で2%弱という増益予想であり、金融機関をいれるとマイナスに沈んでしまいます。伸びが止まる、成長が鈍化する、は株価に大きく影響するものであり、13倍だから割安なのではなく、今後も成長できない企業には投資しない、が世界のスタンスなのです。
しかも国内企業でも自社株買いの動きが増えてきました。米株のように自社株買いでPERを高く維持する、といった方向性はすでに手口がばれ、成長力の低下とみなされます。しかし今期、伸びが止まるので株主還元策に頼るしか、株価を維持することができない。それが企業、政府の共通認識であり、それがバレないよう証券系のアナリストは楽観を並べて国内投資家を安心させています。しかし、それが通用するのは国内だけ、外国人投資家はすでに懐疑的な見方を強めています。

外国人はそうした状況を見越して売りを増やしていた。それが行き過ぎたので昨日、今日と巻きもどされたのです。オプションではすでに13500円、13000円辺りのボリュームが増えておいり、何度か試しているように、14000円は攻防ラインではなくなってきているのでしょう。法人税減税やGPIF、かんぽなどに頼る前に、政治としてもっと成長力を高める施策はあるはずです。そこを就任から1年以上経っても、未だに蔑ろにしている。6月の成長戦略次第では、ふたたび大暴落を体験する日もまた来てしまう、それを予感させる事例が増えてきた、といえるのでしょうね。

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2014年05月22日

原発と安全

タイの混乱が、軍のクーデターに発展しました。治安維持が目的であり、政府派、反政府派との話し合いをしたものの不調に終わり、デモや暴徒化の動きを軍が押さえこむ形になります。タイも日本と同じ、国王がいて、首相が統治するという体制です。タイ軍も国王の軍、という意識が高い。なので、何度かクーデターもおきていますが、比較的落ち着いた形に収まります。

昨日の福井地裁による、大飯原発の運転差し止め訴訟について、原発推進派の新聞は一斉に『科学的でない』と反論を掲載。与党からは「原発再稼動は原規制委により決定され、司法判断に従う必要はない」との発言まで。この国では、司法も立法府の人間が牛耳る、という考え違いが多いようで、また司法も立法府や行政の言いなりになってきた、というのがこれまでです。
福島第一原発では、地下水の海洋放出がはじまりましたが、気になるのは水も遮へい物ということです。汚染は基準以下、としますが、水の表面だけを検査していると、沈殿している放射性物質は検出されませんし、流水なら常時監視か、定期的に計測するか、によっても違います。国が語る「安全」が信じられない以上、徹底した情報公開が求められますが、寡聞にしてニュースなどにそうした情報はなかった。ALPSも停止したようですし、今後は高濃度汚染水が混じって海洋に流れ出していた、という話が出てくるかもしれません。それは政府でも検討がはじまった、作業員の待遇不満による自爆テロ、という事態も今後は想定されてくるためです。海に放出する経路がある限り、そこをどう監視していくか、それは放射線ばかりではないのでしょう。

さらに以前も指摘したように、集団的自衛権を行使した時点で、日本の原発も攻撃対象になる、ということです。動いている艦船や航空機は攻撃しにくくても、動かない原発はいつ狙われてもおかしくない。戦争になった時点で、近隣の住民に退避指示をださなければなりません。そうした人々を受け入れる施設、原発停止に伴う電力不足、集団的自衛権の限定行使の検討を与党内ではじめていますが、米国に向かうミサイルを撃ち落としたり、といった項目が乗るなら、米国に撃つ前に日本を攻撃する、というオプションは必ず発生します。そのとき、数発で日本を大混乱させることができる、恰好の攻撃目標が、原発です。北朝鮮がミサイル実験をするとき、首都圏などには迎撃システムが準備されますが、実はもっとも危険なのが、原発ともいえるのです。
漫画『美味しんぼ』の休載問題で、国が圧力をかけた、という話もあります。そうやって国が、原発安全神話をつくりだそうとしても、いざ戦争に巻きこまれるときは、原発は最大のリスクになる。欧米のように、自国が攻撃される危険性が少ない、という国ならばまだしも、北朝鮮や中国のような、どんな無法をするか分からない国が隣にあるような日本では、テロも含めて、安全対策は万全でなければならないのです。しかし安全保障の話で今までそうした話題が出ることは、これまでありませんでした。そうしたものも情報統制で、国は隠しているけれど実は検討している、というならば、国民はいつまでも居心地の悪さを抱えていなければならないのでしょう。この国の為政者が、誰のために政治をしているのか? タイは混乱しているように見えますが、日本が情報を操作して安全と平穏を担保しているのなら、どちらの国が本当にリスクがあるか? その国の安全を、原発を通してみると、あらためて再考させられることになるのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2014年05月21日

3つの判断

今日は3つの重要な判断がありました。まず日銀金融政策決定会合。「緩やかに回復」との基調判断、政策を維持するサプライズのない内容です。しかし日銀がこだわる物価2%も、今はコストプッシュ型で、消費者物価に算入されないガソリン、灯油や生鮮食品は上昇が所得の上昇分を上回っており、以前と比べて消費者負担は増しています。物価が2%になった結果、経済が悪化していたら元も子もないばかりか、日銀の施策に厳しい目がむけられる。これからは質が重要です。
最近では市場でも、2%になった結果、経済が今より悪化していた場合、日銀はどうするのか? との懸念が聞こえます。つまり今でさえ、ディマンドプル型のインフレに移行する気配はありません。それが2%になってもそうだった場合、金融政策は失敗として畳むのか、さらに追加緩和するのか。後者ならさらに状況を悪化させかねず、前者なら景気の落ち込みはひどくなります。成功していないと打つ手が非常に困難になる、それが異次元緩和の後始末として残されます。

厚木基地の騒音被害に対し、横浜地裁が自衛隊機の22時から6時までの飛行を差し止める、旨の判決を下しました。沖縄も同様ですが、厚木基地も住宅街が隣接する危険地帯と言えますが、そもそも米軍の夜間タッチ&ゴー訓練など、地元との調停が約束されながら、米軍はまったく無視して訓練を続けている状況です。沖縄でも、夜間飛行により騒音被害が出ているように、厚木基地もひどい状況とされます。今回、自衛隊機だけですが、画期的な判決といえるのでしょう。
もう一つ、大飯原発の差し止め訴訟の判決が福井地裁で出て、住民側の完全勝訴でした。画期的なのは、地震の影響や安全評価など、裁判所が電力会社側の想定をまったく認めていないこと、即ち自然災害にしろ、人間の想定を越えたときにどうするのか? という判断をしていることです。これまで裁判所は、多くのケースで国や企業側の想定を信じ、判決を下してきました。しかしその科学的、とされる根拠が東日本大震災で崩れた。原発の安全対策は万全でない、と認めたのです。

今回の地裁判決は、あくまで地裁レベルのことで、高裁、最高裁で覆されることが想定されます。しかし最近、ある動きが裁判官の判断にも、深く影響しそうです。それは週刊誌で、愛知の介護男性が列車事故を起こしたケースで、裁判官の実名と顔写真が掲載されたことです。これまで裁判官は、どれだけ歪んだ判断を下しても、何ら責任を咎められることも、批判されることもなかった。しかし実名と顔写真は、週刊誌ばかりでなくネットでも拡散、残ることになる。おかしな裁判官、としてそのつど取り上げられることになります。つまり裁判官にも、個人の尊厳と誇りをかけて、判断を下すよう求められる力が、こうした方面からかかり始めたのです。
必ずしもこうした実名報道を評価はしませんが、しかし国べったり、と言われた司法の世界に、こうした風が吹き込んできたことは画期的です。最高裁は国民審査がありますが、ほとんど国民の選択は機能してこなかった。しかしネットでこんなおかしな裁判官、と騒がれれば、それも今後変わってくるかもしれません。裁判所にも、やっと国民の監視の目が入り始めた。翻って日銀は? その評価は相変わらずメディアや市場でしかありません。日銀が会見を公にし、オンタイムで発信するようになったことは、非常に評価できます。ただ今は、その能力が足りず、市場に余計な変動を与えている面がありますが、これからの判断は、メディアのみによらず、国民全体が監視して行くことが、不透明な結論をださせないための抑止力になりうるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2014年05月20日

オバマ政権のレイムダック化?

昨日、涙の謝罪をした韓国の朴大統領。今日になり、私服警官が犠牲者遺族を尾行していたことが明らかになり、政局的にはさらに与党に逆風となりそうです。そもそも、何のための涙か? 哀悼の意だとしても、葬儀の席で流す涙とは違って、記者会見ではパフォーマンスにしか見えない。海洋警察庁の解体、天下り防止策などを発表していますが、横社会の韓国では、大統領やその親族すら、政権交代すると続々と逮捕されます。どれだけ厳しい仕組み、制度をつくっても、横のつながり、関係性を重視する傾向からも、一度権力の座につくとそこに溺れ、利権として利用してしまう傾向はつづいてしまうのでしょう。西洋の縦社会とアジアは大きく異なります。

米国で、中国の人民解放軍に属する将校5人を、米原子力企業WHの機密情報を盗みとった罪で起訴しています。中国は猛反発していますが、中国では日常茶飯事で情報搾取が行われてきました。古くは孫子の兵法にも『彼を知り、己を知れば…』と出てくるように、敵情を探ることは戦略の一つ、常識なのです。知的財産に関する意識が希薄なのも、ほぼ同様といえるのでしょう。
サイバーセキュリティに関する、米中の作業部会が停止しましたが、この辺りにはオバマ政権の弱体化の傾向が見受けられます。つまりオバマ氏は約1年前、習主席と2日間にわたる会談を行い、ハーグで首脳会談を行う前にはミシェル夫人が訪中するなど、厄介とは思いつつもパートナーと認識していたフシがある。それは露国への牽制であり、大国関係を築けるとの思惑もあったのでしょう。ビジネスライクなオバマ氏にとって、実利優先の中国は好ましく映った。

しかしナイジェリアのボコ・ハラムによる女子生徒の拉致でも対応が遅い、との批判をうけ、またナイジェリア問題の露国、南シナ海問題の中国と、次々と問題解決能力を示さないばかりか、中露接近を許している。日本の安倍首相はなついてくれますが、それ以外、外交成果はほとんどないに等しいのが現状です。比国への米軍再駐留にしても、経費負担の問題もあって、どうにも歯切れが悪い。オバマ氏が外交で成果と呼べるのは、ノーベル平和賞を受賞した原爆削減ぐらいです。
翻って国内でも、オバマケアはやっと順調に動きだしましたが、明らかに中間選挙にむけては弱い。国が支援してまで復活したGMは、リコール隠しで国まで隠蔽に加担した、と疑われる始末。ミシェル夫人との離婚も囁かれ、女性票まで逃げ出しそうです。中国とは話し合いをすすめたいオバマ政権の意向に反し、サイバー攻撃の取り締まり強化に動きだした米国。そこに強い意志と、レイムダック化がすすみだしたオバマ政権、という事情が透けてみえてしまうのです。

米国は縦社会、しかも米国益の最大化が目的であって、政権がそれに添わないときには躊躇なく、政権を切ってくる国です。ウクライナ問題、南シナ海の問題、オバマ政権の判断と米国益とが、どういう形で整合してくるか? それによっては少し動きが出てくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2014年05月19日

雑感。余計なこと

パソコン遠隔操作事件の片山被告が、行方不明となっています。真犯人、と名乗るメールを自作自演したのでは? と疑われてのこと。実は、警察は公判中の被告を尾行してまで『余計なこと』をする知能犯の動きを、じっと待っていました。これまで確定した証拠がないものの、知能犯は自らの犯罪に酔って、さらに警察を手玉にとろうとしてしまいがちです。公判をすすめる中で、不安な気持ちが後一押ししよう、無罪を自らの力で勝ちとろう、と傾く。それが『余計なこと』になってしまうのでしょう。

大手メディアの世論調査で、集団的自衛権の限定使用について、多くの国民が賛成、という伝え方をします。しかし設問に「最小限度の使用…」云々が盛られているものがほとんどであり、最小限度ならいいか…という気にさせる。つまり『最小限度』の範囲が、どういったものか? という説明がない中でとられたアンケートなど、何も真実を伝えていません。それぞれがイメージする『最小限度』に差がある以上、何%という数値を語っても何の意味も、価値もないのです。
安倍氏は中道に位置したはずですが、自公協議は難航しそうです。政治には動くべきときと、動かない方がよいときとがあって、今回は自民が下手に動くと、公明の裏にいる創価学会を刺激し、反発を強めがちです。しかし年内に閣議決定、を焦る安倍氏により、自民もばたばたと慌しい。時間をかけて、じっくり協議すべき課題が、タイムリミット付きですすめられる。解釈変更ではなく、憲法改正という時間を待てば、それだけの検討する時間ももてるのに、そうしない。まさに安倍政権が『余計なこと』を考え、押し進めている時点で、この議論に正当性はありません。

安倍政権の『余計なこと』は、経済面でもあります。安倍ノミクスにはすでに期待もなくなり、6月の成長戦略を待って見限る、という主体も多い。つなぎ留めるためには、相当思い切った施策も必要ですが、今のところGPIFの運用比率見直し、法人税減税、特区構想、農協改革といった経済成長に結びつかない項目ばかりが喧伝されます。欧州系など、早くも先物売りを増やしており、6月の失望を見越したかのようです。円安にしたばかりに日本の経常収支が大きく悪化した。公共工事のバラマキをうったため、人手不足が深刻になった。これで賃金が上昇し、消費が活発になって…という循環になればいいですが、サービス業の業績悪化と、人手不足からさらに製造業が海外移転を引き起こしかねない事態へと直面している。すべて狙った効果と逆の結果がでているのです。
安倍ノミクスは、まさに『余計なこと』の集大成でしょう。もし人口減少を食い止め、社会保障改革を経て、日本全体がもう一度成長できる土壌をつくった上で、財政出動や金融政策を駆使して成長を計れば、少しは違ったのかもしれません。すべての政策は、タイミングと順序が大事です。安倍ノミクスとは、本来一番最後にうつ、高い経済成長が行き詰まり始めたときに打つべきものであり、それがない中で無理やり成長を演出したために、様々な歪が生じ始めている。それが今です。

口が悪い人間は、アホ首相、アホウ財務相、アホリ経済再生担当相と呼び、もう彼らの言葉は信じない、とはっきり言います。かつては絶大な影響力があった口先介入も、今後は通用しなくなるでしょう。人間は苦境に陥ると、『余計なこと』をする。その例に洩れないなら、今後数ヶ月で政府から発信されること、それがそう判断されたときが、大きな売りが出てくるタイミングになってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年05月18日

原発推進と、集団的自衛権議論との矛盾

米ニューヨーク・タイムズ紙が安倍政権の集団的自衛権にむけた動きを「民主主義的な手続きを完全に損なう」と報じたことに、駐米大使が反論文を投稿、菅官房長官も批判しています。独善的な体制、体質をもつ政治をしていると、他国の声に敏感になるのはどの国でも同じです。
中国がベトナムの反中の動きを「避けることのできない責任」と批判しました。中国の言い分は、尖閣も南シナ海も、すべて自分たちのものだから、それに対する反対の動きはすべて悪、という論調です。これが独善的で勝手な言い分であることは論を待ちませんが、中国も国際社会の声には敏感です。後ろめたいことをしている人間は、正論を怖れるか、正論に強弁で対抗する、というのが人間の性です。その一方、自分をもち上げ、チヤホヤしてくれる相手には相好を崩す。蝋人形館として、世界的に展開しているマダム・タッソーが、安倍首相の蝋人形を作成、展示します。フジTVの日枝会長との関係も揶揄されますし、議院内閣制の日本で個人がフィーチャーされるのもどうか? と考えますが、権力者はわが世の春を、像として残すのが大好きのようです。

昨日は『呪い』などとしましたが、原発と安全保障は相反するものであり、その両者を推進する安倍政権は、大きな矛盾を抱えています。例えとして、北朝鮮から日本の民間人がのる米艦船攻撃、そのときでも海自は米艦を守れない、と記者会見で語りました。民間人が脱出のために乗船しているなら、それを通告し、安全に航行できるよう相手に諮ることも可能です。それも無視し、攻撃してくるような相手を想定する、というケースは極めて稀な例といえるのでしょう。
一方で、日本が原子力協定を結ぼうとする越国の場合、仮に中越戦争になったとき、真っ先に狙われるのは原発でしょう。攻撃の費用対効果が極めて高いからです。しかし人道的見地からすれば、そんなことは起きそうにないレアケースです。つまり北朝鮮は、民間人ののる船に攻撃する、中国は原発へ攻撃する、というのは、ともに人道的見地から可能性の少ない話なのです。しかし安倍氏は、一方は起こる可能性を指摘し、もう一方では起こらないと仮定しています。

国際的に緊張が高まっているのなら、原発輸出などできないのです。中国のようなWスタンダードの国と、安倍氏の語る安全保障と原発の話は、Wスタンダードという意味で実によく似ています。そしてそれは福島の双葉町も協力した、岡山大などの調査グループがとったアンケートで「鼻血が多い」という結果が出ていたことも、同様です。つまり学術的にも正式に発表されているデータと、国や双葉町がとった行動には、矛盾が生じている。そうなると、国が無知なのか、知っていてデータを隠しているか、どちらかしか疑われない。今度は、国がそのデータの信憑性や正確さを証明しなければならない状況に陥った、ともいえるのでしょう。逆に、それができなければどうして漫画を批判したのか? ということに説明がつかなくなってしまいます。
国際的に緊張が高まっているのに、どうして原発を輸出するのか? 原発が攻撃されない保証があるのか? それは国内とて同様の話です。民間人をも攻撃する国が、どうして原発を狙わない、と言えるのか? 軍艦だから攻撃される、というのなら、民間船をチャーターするか、赤十字船だとはっきり示して航行すれば済む話です。可能性の軽重をもって政策を変える、というのは最もリスクの高いものであり、そのバランスが崩れたとき、大きな人災を引き起こすことにつながります。

マキャベリの君主論でも、巧言令色の徒を側近にすること、を戒めるべきとします。翻って安倍政権に協力するのは、そんな人物ばかりです。蝋人形をつくられ、喜んでいるばかりでなく、自分の主張することの矛盾、不整合について説明しなければなりません。それがなければ、利権者の操り人形として、使い捨てられて終わり、安倍氏の春はそんな懸念が強まってきているといえるのでしょうね。

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2014年05月17日

アベノノロイ?

インドで総選挙が行われ、インド人民党が圧勝、グジャラート州の首相であるモディ氏が首相となる見込みです。ウクライナ情勢、中越の衝突、世界は今大きな変動期にあり、不安定な状況ですが、一つ思いついたことがあります。今日はくだけた与太話であり、冗談半分に読んでください。世界の不安定要因の原因に、日本の安倍首相が関わっている、しかも呪いではないか、という話があります。いくつかの例をみてみます。
安倍氏は年初、インドのシン前首相と会談し、その中で英独を引き合いにだしたことは記憶に新しい。そればかりか、日印原子力協定の話し合いをすすめ、安倍氏は『共和国記念日』に、日本の首相として初参加しています。そのシン氏からモディ氏に交代するのですが、経済の改革開放路線で期待される一方、宗教、民族対立を加速させる懸念もあって、インド経済が活性化するかは不透明です。しかし安倍氏がシン氏に接近したため、呪いによって政権が交代したのではないか?

露国のプーチン大統領と安倍氏とは蜜月で知られましたが、ウクライナ問題が直撃しています。今は露国内での支持率も高いですが、強引にウクライナ東部を併合すれば、露系以外の住民がテロ組織化する懸念もあり、以前も指摘したようにクリミア住民に与えた優遇措置が、今後どう展開するか分からない。それに、世界からは制裁措置をうけ、苦境に陥ることは必然です。
中越衝突も、中国は安倍氏と距離をあけていますが、越国は原子力協定に前向きで、昨秋には首脳会談を行い、大枠合意をとりつけています。越国の事情で原発に関する話はすすんでいませんが、3月には越国の国家主席が訪日するなど、極めて安倍氏と近い関係にありました。

トルコのエルドアン首相とも何度も会談し、原子力協定にも前向きでしたが、炭鉱事故で政府批判が広がります。元々、政治に宗教色をもちこみ、国民の反発をうけて五輪招致に失敗していますが、この事故は政権への致命傷になりかねません。ここまで指摘してきたように、安倍氏、原発というキーワードが国際社会で不幸を招き寄せる、その元凶のようにも感じられるはずです。
安倍氏と距離をおく欧米は、今のところ平穏です。そして日米韓首脳会談をはたした直後、朴政権はセウォル号事件によりレイムダック化しました。呪いなんて、一つ一つの事象を積み上げていった末に、傾向がみられれば指摘できてしまう程度のものですが、安倍氏が重要なパートナーと位置づけた国々が、悉くトラブルに巻きこまれているという事実は、まさに『呪い』と称してもよいのかもしれません。これでモンゴルにトラブルが起きればパーフェクト達成です。

神など信じてもいませんが、安倍氏が原発外交に積極的になっても、何かの力がそれを防ごうとしている。そう考えると、モンゴルに原発を…などという話がでると、モンゴルも危ないのかもしれません。あくまで『呪い』なんて話は冗談ですが、これだけ重なると信憑性も増してきます。国際社会から『アベノノロイ』なんて評判がたつと、セールストークにも影響するばかりか、日本の信用にも関わってくるでしょう。それが何の力かは分かりませんが、国内の高い支持率の裏側、国際社会における安倍氏の地位低下、ということだけは現実として起こってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2014年05月16日

日本の1-3月期GDPと不安

小松内閣法制局長官が退任し、横畠次長が昇格する、と発表されました。一区切りついたのと、言葉は悪いですがドサクサにまぎれる、といった面もあるのでしょう。病気が判明した時点で、すでに業務に支障をきたすレベルでしたが、執念だったのでしょう。それ以上に我が強く、政治家に喰ってかかるなどの問題もあり、いつ更迭されてもおかしくない面はありました。さらに、メディアは報じませんが、安倍政権に協力する人間の異様さを際立たせた、といったことが実績として残ってしまったのでしょう。

昨日、内閣府から発表された1-3月期GDP速報値は、実質で前期比1.5%、年率換算5.9%と高い伸びとなりました。駆け込み需要が相当にのびたことは、ビール出荷が4月に前年同期比で30%近い急減になるなど、顕著に指標としても現れています。多くの企業は、増税の影響は想定内、7-9月にはもどるとしますが、雇用者報酬をみると0.7%減。つまり実体として家計でつかえるお金は目減りしており、増税後にはさらに影響が大きくなることから、まったく理屈として『もどる』という説明がつきません。4月消費者態度指数をみても、前月比0.5pt低下の37.0と、増税の影響から脱却できる指標は、まだ何も出てきていない状況で希望を語るだけでしかないのです。
実は、世界経済に不安が広がっています。米国でも著名人らが住宅市場のバブル化に懸念を示し、年内に5%程度の下落を見込む、と発言しています。英国も不動産市場の活況だけが、景気を下支えしている形であり、日本も弱いながら不動産市場に上昇がみられる。世界の緩和マネーが不動産市場を押し上げており、バブルが意識される水準まで来てしまったのです。しかも住みたい、という需要ではなく、投機目的が大半とみられる状況に、引き締め懸念が強まってきました。

米政府はその懸念に逆行し、貸し出し基準の緩和などと発言し、S&P500やダウは最高値更新となっていますが、翌日には住宅指標の悪化で大幅下落するなど、不動産市場がネックになってきた。この話題がでるのと時を同じくして、債券市場に買いが増え始めた。つまり過剰マネーが運用先をなくし、債券価格の上昇をみこんで流れこんだのです。債券は安全資産とされますが、リスクが高まったのではなく、短期の運用益をみこんだ流れは、将来不安となってきます。
日本の長期債も長らく維持してきた0.6%を突破、利回りが0.58%台をつけました。メガバンクは昨年、30兆円近くの債券を売りこしましたが、今年辺りはその水準も低下する。日銀が緩和姿勢を維持するなら、今年はさらに利回り低下、価格が上昇する。ただしこれは、将来に流動性が低下した際、大きな売りに見舞われる可能性を示しています。それは新たな問題として、債券市場では意識され始めた。それは全世界規模で、債券が急落する恐れを示しているといえるのです。

米国経済の堅調さも、不動産市場が支えてきたのですから、そこが弱含めば当然、不安となる。製造業の指数も4月は寒波の影響がなくなり、高くなると期待したものの、予想外に悪かった。ここからは不動産バブルの終息のさせ方と、実体経済への悪影響、債券市場という3つがキーワードになってくるのかもしれません。そのとき、どこかが失敗すればリーマンショックのときのような動揺が、全世界規模でおきるのでしょう。うまくいくことを祈りたいですが、当局者の問題意識の希薄さは、対応への不安となって今後の世界経済を揺るがしていくかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年05月15日

安保法制懇と安倍首相の会見

安倍首相が、集団的自衛権に関して記者会見を行いました。まず安倍氏は、安保法制懇を右におき、自身を中道として公明への説得を試みる立ち位置をつくりました。その安保法制懇の報告書ですが、ミジメという他ないほど歪んでいます。国際法に規定があるから、PKOの参加など、憲法に規定していなくてよい、など寡聞にして聞いたことのない論拠であり、そもそも憲法9条は軍隊の保有を否定する条文です。PKOなど、軍としての装備があろうと自衛隊は軍ではないので、憲法を改正する必要が本来であれば生じます。また自衛隊法を破棄、新たに軍隊創設に向けた法整備しなければ、国内でさえ通用しません。国際法があれば、憲法に記載がなくても可能、というなら立法府はもう必要性すら疑念を生じさせるもの、となってしまうのでしょう。

次に安倍氏の会見、危機感を煽り、必要性を訴えるという従来の手法ですが、出してきた例がレアすぎて、首を傾げます。朝鮮半島有事の際、日本人救助の米艦艇が攻撃…という例は、そもそも海自が近くにいるのに、米艦艇に救助させている時点で怠慢ですし、民間人が民間機のピストン輸送すら間に合わない段階まで残っている、ということも考え難い。そもそも北朝鮮を想定するなら、空軍が弱いので、空輸がもっとも安全な輸送方法です。どうしても海上輸送をしなければならない、しかも米艦艇に護衛がない状況で、というのがまったく想定できません。
PKOに参加しながら、救助要請を受けても行けない、という例にしても、PKO活動には様々なものがあり、日本は武器をもたない参加をしています。それを、武器をもつ参加とするなら、救助要請云々は関係なく、初めから戦闘ありきの参加でなければなりません。緊急時だけ武器使用、が最も自衛隊を危険にさらす行動であり、判断を難しくします。安倍氏の語る例は、自衛隊を蔑ろにし、また『自衛隊=軍隊』という前提をもった人間からでる発想ともいえるのでしょう。

日本が再び戦争する国になる、という言葉を「断じてあり得ない」としますが、むしろ逆です。つまり後代の内閣が解釈変更で何でも変えられると、安倍政権が今回、その可能性を広げるのであって、将来は流動的です。しかも「あらゆる事態に対処」できるようになれば抑止力が働く、と古い軍事バランス論をもち出すに至っては、軍拡路線に一直線、といったこともうかがえる。次は、中国に対抗するためには軍事費倍増…という言葉が、ここからも読み解けるのです。
「生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を、政府は最大限尊重するために、必要最小限度の武力の行使は許容」と述べています。しかし突きつめれば、露系住民がいるとして露国がウクライナに侵攻することも、仮に中国人が尖閣に上陸し、その生命を守るため、として中国軍が尖閣を占拠するのも可能、と読み替えることができてしまいます。いくら言葉を飾っても、歯止めが外れれば「力による現状変更が可能」という形しか残らない。最小限度の捉え方次第であり、そこが日本では憲法9条という、軍隊の保有を禁じた条項により担保されてきた、といえるのです。

しかし今回、憲法9条の解釈変更ばかりでなく、滲むのは自衛隊の軍隊化という流れなのでしょう。そうなると、9条が形骸化することになります。しかし自民は憲法改正が党是だったはず、憲法を形骸化することは、結果的に憲法は解釈変更で何とでもなる、という認識を広め、改正を遠のかせるのであって、戦後一度も改正がない、米国におしつけられた、といったタメにしていた議論を、虚しくさせることになるのでしょう。歴史に名を残したい、という一人の人間のわがままに、様々な人間が振り回されている形ですが、それが名声なのか、悪名なのか、といえば、今のところ悪名に近い形にしかなっていない、ということにもなっているのでしょうね。

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2014年05月14日

人口減少に関する話

未だに『美味しんぼ』の波紋が広がりますが、福岡では8倍も子供が鼻血をだす、という話があります。こうしたケースでも、政府は「風評被害」や「差別を助長」とは使いません。PM2.5が疑われるとはいえ根拠はなく、科学的には実証されていないのに、です。何が正しいか、は分かりませんが、地道に調査し、そうした結果がでているなら表現を止める必要はない。原発事故の問題だけ、「風評被害」や「差別を助長」などと使う、それこそ科学的ではありません。
福島TVが実害について報じていますが、別の調査では実害はない、と出ています。調査や統計は、そのとり方により差が出るのは常です。だからこそすべての可能性を潰す、という努力が必要なのです。今はまだ科学的知見がなくとも、将来には今の常識が覆るかもしれない。そのときに備え、すべてに情報を開示し、人々の選択に委ねるといった手法が大事であり、国が「風評被害」や「差別を助長」などと使って、情報発信を封じるべきではない。何より、本当に問題ないなら政治家生命、国が責任を負う覚悟をもって「絶対に安全」と宣言すればいいだけの話なのですから。

経済財政諮問会議で、今のままでは1億2700万人の人口が、2060年には8700万人となる。50年後に1億人を維持するよう、出生率を2.07まで引き上げる必要がある、との目標を掲げました。遅きに失した感もありますが、やっと人口減少社会の弊害に、政治が目を向けるようです。しかし、安倍政権では女性の社会参加を促しており、2人生むとなれば2度のキャリアの中断を強いられます。
最大の問題は、1人目が生まれ、その後で離婚すると女性が生活費を稼ぐので手一杯になり、2人目を生む余裕がないばかりか、違う相手をさがす機会すらない、ということです。実際、デキ婚もそうですが、子供が生まれるときに互いの価値観が変わり、離婚する事例は多い。出生率をあげるには、バラマキになろうと国が全面支援をしなければ、かなり達成が困難と考えられます。

田村厚労相が年金支給開始年齢を75歳に、選択的に引き上げられるよう、制度改正する検討を始めました。しかし現時点で70歳からの支給が1%そこそこなのに、75歳を選択する人はほとんどいないでしょう。しかしこの話には裏があって、75歳は満額、70歳は何割減、65歳は何割減、そうやって減少幅を大きくするために、最高年齢を引き上げようとしているのです。今は75歳、という年齢ばかりが報じられますが、ほとぼりが冷めた頃、メディアの扱いが小さくなった頃、こうした支給総額の引き下げを目的とした議論に遷移していくはずです。つまり今は、75歳というインパクトだけを与えるタイミングですから、これは注意が必要な話なのです。
そもそも、前提となる人口動態が大甘の試算でつくられているのが年金制度ですから、破綻するのは目に見えています。その辻褄を合わせるため、の議論が75歳支給です。平均寿命を越えた支給開始年齢など、損しますと言っているようなものです。経済財政諮問会議でも、労働人口の減少が経済成長を阻害、という観点で議論がはじまっていますが、違います。人口減少社会から脱却しない限り、経済成長など本来はあり得ない。すべてが負の影響しかないのです。デフレ脱却、を至上の目標と掲げる安倍ノミクスは、この時点で間違えているといえるのでしょう。もっとも大事なのは、社会として拡大することであり、それが潜在成長力を押し上げていくのです。政府が人口減少の問題をとり上げたこと、は評価しますが、安倍政権ではまともな対策は出ないでしょう。議論の素地と、目的意識が根本的に誤っているからです。100年安心、と数年前に言っていた年金を、「絶対に安心」と言える政治家、国ではない、ということなのでしょうね。

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2014年05月13日

4月景気ウォッチャー調査について

内閣府から4月景気ウォッチャー調査がでました。消費税増税の影響をみる、最適な指標として注目されましたが、現状判断DIが41.6と、前月より16.3ptの下落となりました。一方で先行き判断DIが50.3と、前月より15.6ptの改善であり、市場は早期改善傾向として、好意的にうけとめています。ただし、これは統計上の癖であって、50.3は横ばいなのですから、消費税増税後の影響はそこまで続く、決してプラス圏ではない、という意味にうけとれます。中身をみても、『変わらない』が49%とほぼ半数であり、増税の影響がある4月から2〜3ヶ月後まで、改善はしていない、と見ていることになります。決してまだ増税の影響を相殺できているわけではありません。

雇用関連が55.9と高水準、といっても前月差では6.9ptも落ちこみます。駆け込み需要への対応需要が一巡した、とみることが可能で、さらに雇用関連の先行きも54.4。前月差では7.3ptの改善ですが、こちらも4月とくらべてほぼ横ばい、ですから、決していい数字ではありません。
最近、時給を上げても人が集まらない、という記事を多くみかけます。明らかに政府が景気回復を喧伝するため、より良い条件の職をさがす、という傾向であり、建設業などの財政出動の恩恵をつよく受ける業種ばかりでなく、飲食業が苦境に陥っている。しかも、これが長期化し、本当に景気が持続的に回復するなら、ここで時給をあげたり、待遇を改善するなどしてもよいのですが、仮に一時的だと、将来にわたって負担が重しとなってくるので、企業も踏み込みにくい。何しろ、今回の回復局面は一時的なバラマキにより押し上げられている側面が否めないので、尚更対応しにくい。しかも食材の高騰ばかりでなく、業績圧迫要因となるので、Wパンチです。

さらに先行き判断DIで大きな問題となるのが、小売関連の50.1、これは前月から24.5ptの改善となり、大きく寄与していますが、前述しているように50は横ばい圏。即ち6、7月も小売は回復していないことになります。小売は3月の駆け込み需要から、4月は大幅値引きで対応していますが、いつまでも続けられるものではない。しかも小売とて、人件費増の影響は甚大です。
つまり、景気ウォッチャー調査の中身を精査してみれば、まだ日本経済が増税の影響から脱却できる、とは全く読み解けないのです。それなのに新聞各紙の字面だけ追うと、早期に回復できるとしか書かれていない。ミスリードが顕著なのです。あくまで7月まではまだ、日本経済は横ばい圏であり、回復していない、そう考えておいた方が間違いも少なくて済むのでしょう。

ミスリードは、財務省発表の国際収支状況の速報でも顕著です。経常収支の黒字が7899億円と、85年以降最小という報じ方が多く、その中で『燃料輸入がふくらんだ』ことが主要因と報じられ、それも原発停止の影響とします。しかし輸入量なのか、輸入費なのか曖昧にしており、前者なら原発停止の影響で構いませんが、後者なら安倍ノミクスによる円安の影響です。安倍ノミクスを悪者にしないため、そうした書き方をしている時点で、安倍ノミクスは害悪でしかありません。
駆け込み需要で輸入増、というのも安倍政権下でおきたこと。即ち、安倍政権で日本が稼げるはずの外貨が、大きく目減りしてしまった、ということを国際収支状況は示しているのです。日本の稼げる力が変化、と報じるところもありますが、今さらそんなことを語る時点で、手遅れということに気づくべきです。そうした負の報道を抑えたいのか、業績発表の話が盛んに紙面をおどりますが、株価は反応していない。5月15日までは、短期売買の多いヘッジファンドの解約売りとみられますが、ここから6月後半にむけて、海外年金などの長めの資金のポートフォリオの変更、が入ってきます。今はまだ、下がると買いのこの資金が、昨年買い過ぎたからと日本株比率を低下させれば、今より大きな売り浴びせが起きてきます。そのとき、喧伝されていたことと違う、と気づく日がくるのかもしれません。何より統計資料でさえ正しく分析して報じられないメディアと、政府によりつくられた景気回復だけに、横ばいのマインド面の影響が今後、懸念されるのでしょうね。

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2014年05月12日

『美味しんぼ』の問題について

各社の世論調査の結果がでていますが、予てより、数値への信憑性が揺らいでいますが、最近ではトレンドでさえ首をかしげるものが目立ちます。政権支持率が、3〜5%上昇しているのです。上がる要因は皆無、それどころか震災をうけ、議員定数の削減まで議員歳費を削減する、としていたものをあっさり撤回、元にもどすという国民との約束破りをする中で、政権支持率が上がる、という国民が約束破りを認めてしまったかのような結果となっていることがナゾです。
野党も時限法の期限切れに対し、放置した責任はありますが、政権政党により重い責任があることは自明です。メディアの扱いが小さく、盛り上がりに欠ける面はあっても、約束破りという実績が残った。結果的に、また一つ政治、メディアへの信頼が落ちる結果にもなるのでしょう。

漫画『美味しんぼ』の件で、様々な動きがあります。しかし作者は表現者として、きちんと取材、調査をしてのことであり、何ら否定されるものではない、と以前も述べていますが、海外でもこの騒動をうけて『福島はタブーか?』との疑問すら生じています。一番の問題は「風評被害がでる」や「差別を助長する」という言葉の裏に、これまでの公害病と同じ匂いがすることです。公害病とて、最初は国も「影響はない」や「因果関係は認められない」として、被害を否定する立場にあった。しかし数が増えてくると、認めざるを得なくなる。後に大きな賠償や、深刻な後遺症に苦しむ人を生んでしまう。そうした経緯の、今は濫觴のような印象をうけます。
福島で事故の影響がない、と証明するためにしてきた努力をムダにする気か! と怒りの声が上がっている、とされますが、逆です。努力が何であろうと、健康被害がでている事例があれば、広く知見を集め、検証しなければいけない。その努力を払うべきときなのです。つまりそうして検証を経た上で問題ない、安全性が証明された、となれば、晴れて努力が報われるのですから。

国にしろ、機関にしろ、短期の利益を優先している言葉が、上記の「風評被害がでる」や「差別を助長する」です。本当にそうした事例があるかどうか、国はきちんと検証したのか? 一部で上がっている声を無視して、逆に被害を拡大させていないか? 公害病の反省もなく、また同じ失敗をくり返そうとしているのではないか? そうした懸念を一つ一つ潰した上で、初めて安全宣言がだせるのであって、今はまだ検証にすら至っていないのが実状なのでしょう。
あえて『濫觴』という言葉をつかいましたが、濫は浮かぶ、觴は盃という意味で、大河も元は盃を浮かべるぐらいの小さな流れ、という孔子の言葉に由来し、『始まり』を意味します。約束破りをする、ウソをつく、そんな政権がいくら大丈夫、といったところで誰も信用しないでしょう。『美味しんぼ』では、お酒をのむシーンも描写されますが、盃にそそがれた今回の話、まだ真実とは断言できませんが、事実であったことは証明された形です。その盃が、どこの大河にたどりついていくのか、これからも波紋は大きく広がっていくことになるのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2014年05月11日

雑感。緊張する世界

ASEANがネピドー宣言を採択し、名指しはしていないものの中国の南シナ海における行動を自制するよう、促しました。中国の資源利権が暴走、という話もありますが、習体制の統制はまだ1年程度は利かない、とみられることからも、今後の中国には注意が必要なのでしょう。明らかに、越国の反発を読み誤っていたふしもありますが、中国から支援をうけている東南アジアの国々や、華僑の多い国でさえ、今度の中国の動きは容認できないという機運が高まった。中国経済の失速と、中国の横暴とが重なるとき、緊張はより高まることにもなってくるのでしょう。

こうした中国の動きは、安倍政権には追い風となります。欧州歴訪でも、力による現状変更は認めない、と演説していましたが、中国と関係の深い欧州の国々からは、ほとんどスルーされていました。しかし東南アジアの国々にとっては、中国と対抗するためにも、日本との関係強化に向かい易くなる。それは自由と繁栄の弧、などの中国を避けて東南アジアから中央アジアへと、中国をとり囲む形で外交戦術を描いていた安倍政権の戦略と、大いに合致するものだからです。
しかしもう一つの側面では、安倍政権に打撃です。今、世界は中国、露国へ厳しい目を向けています。力により現状変更をする国として、この両国が連携する可能性が否めません。元々、同じ共産圏でありながら、仲がいいわけではなかった両国ですが、資源確保に動く中国と、資源を売りたい露国、利権という面では美味しくなくても、両国の事情は接近させやすくさせます。

問題は北方領土ばかりではなく、中露同盟となれば、世界秩序が変わります。ナイジェリアのボコ・ハラムによる少女の大量拉致事件でさえ、米国は軍を動かすことがない。ナイジェリア政府に協力し、対応するとはしますが、中南米に米国民を救出するため、軍を送った頃とは様変わりです。確かにナイジェリア国内の問題ですが、米国の地位低下を示しているともいえます。
中露同盟が厄介なのは、両国とも外資のとりこみが不足しても、国内の富裕層を叩けば戦費がいくらでも捻出できる点です。米軍が益々動きにくくなる中、力による現状変更をもっともし易い、その両国が手を組むことで日本にもマイナスの影響がでるでしょう。それは安倍政権がすすめる集団的自衛権の解釈変更、に追い風ともいえますが、裏を返すと今は有事でも日本は巻き込まれないため、円買いという形で動く金融が、逆回転を起こし易くなる、つまり有事の円売りという形で顕在化するかもしれない。今でさえ、円安は日本経済全体にとってはマイナス、と指摘される中で、急速に為替が変動すれば、企業にとりどういう効果がでるか、分からなくなります。

それに、今の日本は戦時特例債などだしても、誰も買わないでしょう。あくまで日本は今ある財政として、軍事費の増大に対応しなければならないのです。増税、年金支給年齢の先送りなど、国民に負担ばかりを強いる安倍政権は、今から軍事費増大に備えているのだとすれば、それもまた安倍政権にとってマイナスに作用することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | ロシア

2014年05月10日

企業決算の前半ピーク

日銀が今年度積み立てる法定準備金を、通常の4倍に積みます申請をだしました。現在、10年債利回りは0.6%辺りにはりついていますが、仮に日銀の想定通りに消費者物価が上昇をたどれば、利回りは上昇し、その分日銀は損失を抱えます。自己資本の目減りにより、日銀がリスクを抱えないようにするためにも、法定準備金などにより資本を手厚くしておく必要を考えたのでしょう。
しかし、いずれ必ず日銀は大きな損失を負います。自らの描くシナリオ通りなら損失を出す、という大いなる矛盾の中で、今の異次元緩和が行われているからです。問題はその損失をどう処理するか? そのとき黒田氏が総裁に留まっているかは不明ですが、将来世代への最大のツケ回しであり、そのとき法定準備金の積み増しで済むのか? その手法についての問題が噴出するでしょう。

上場企業の決算発表の前半の山場が通過し、今年度の見通しも出てきました。製造業では電機、非製造業では海運辺りが牽引し、前期比で約5%の伸び、というのがこれまでのところです。しかしこれにはちょっと癖があり、電機業種は早くから工場の海外移転をすすめ、円安メリットを享受できなかった。逆に、円高へと動きつつある今、電機には追い風と考えられます。海運は、全体的に荷動きが活発になるといった予想は、現時点ではないのですが、地政学リスクの高まりにより、単価が上がるかもしれない。つまり他業種にはネガティブな意味にうけとれます。
トヨタの決算発表でも、円安によるJカーブ効果を否定したように、現地生産が増えた今、輸出の改善は今後も少ないとみて間違いありません。国内でみると、消費者物価に含まれないガソリン価格の上昇が、賃上げ分を喰っており、これが大きな痛手です。メディアは盛んに影響は軽微、高額消費は堅調、と報じますが、過去の消費税増税時も同じような報じ方をしており、ふたを開けてみれば大きな消費の減退を引き起こしていた、という経緯があります。国内景気は、かなり慎重にみていた方がよいのですが、企業側の見通しはかなり強気な印象もうけます。

米株は最高値更新となりましたが、あまり勢いも熱気もありません。モメンタム株の調整には、一部でアリババ上場に備えて現金化する、という動きも考えられますが、今後の成長に期待していない、という部分も当然あります。米経済は堅調でも、今年度大きな期待はできないでしょう。米金融の収益性低下と、米投資家の成績とは密接に連動します。今後、高速取引の規制が強まれば、益々金融部門には逆風が吹き、消費には期待できなくなっていくことが想定されます。
これまで、金融機関の言い分がまかり通ってきた部分もありますが、今年はそうもいかなくなった。引き金は、金融でさえ国家がしばってきた中国や露国が、自国の政情不安を対外的な圧力によりかわす、という行動をとることにあるのでしょう。つまり自由主義経済の恩恵をうけて、新興国として成長してきたはずなのに、今はその頚木から外れようとしている。金融機関の言い分が通りにくくなった。それが昨今の、市場の動きにも現れているのでしょう。日本市場も、今年度に5%増益が維持できるなら、14000円台はよい水準ですが、本当にそうなるか? 地政学リスクの高まりと、その火中の栗を拾いに行こうとする安倍政権の動きとで、今後の動きはまた変わってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年05月09日

ウクライナ問題の深刻化

『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』という本で、『南京大虐殺はなかった』とする部分は、翻訳者の無断加筆だったことが、明らかになりました。深刻なのは、この本は政治家でさえ引用するほど、巷間知られるものということです。それがジャーナリストの緻密な調査ではなく、一個人の主観だったのですから、STAP細胞の切り貼りどころの騒ぎではありません。
戦前の日本軍の上級士官は、女性との接触すら禁止されていました。国を思えば、女性にうつつを抜かすヒマはない、というのです。この事実が示すのは、軍が高貴で、抑制的行動をした、ということではありません。自らが禁欲を強いられるのに、部下が犯罪的に欲望を充たすことは許しがたく、人間の悪意による抑止効果が期待できる、ということなのです。しかし上級士官の目の届かないところでは、何が行われたかはわかりません。著者も、虐殺ではなく事件とすべき、としながら非常に恐ろしいことが起こった、と指摘しています。南京大虐殺でも、慰安婦でも同様ですが、最大の問題は両国で正しく歴史検証を経ない内に、一方的に事実はこうである、といった報道、教育が行われてしまっていること。そしてそれを政治利用している点にあります。大事なことは検証であり、それを経ないものはすべてプロパガンダ。この『南京大虐殺はなかった』との一文も、単なるプロパガンダにすぎなかった、となるのです。

ウクライナ問題が混迷の度合いを深めています。プーチン露大統領が親露派に、暫定政権との対話を求めたものの、親露派は11日にも住民投票を実施する見込みです。この住民投票に、何の正当性もありません。暫定政権が正当な政権ではない、と主張してみたところで、この投票を実行する主体でさえ、何によってその権利を得ているのか、まったく不明なためです。例えば、かつてのオウム真理教が上九一式村の村役場を占拠し、日本から独立するための投票をする、と宣言したとて、恐ろしくて一般住民は投票にいけないでしょうし、一部の狂信的な信者の投票だけで独立を認めることもできません。武装集団に占拠されたままの民意など、反映が不可能なのです。
プーチン氏の発言には外交の匂いがし、単純に親露派の暴走を抑止できなくなった、と捉えるのは早計でしょう。裏では、強行した上で既成事実化する、というクリミア成功体験で味をしめた部分もあるためです。国境線から軍をひいた、という話もじわりと制裁が利きはじめ、柔軟路線により欧米からの制裁の速度を抑える、との戦略もうかがえます。問題は、親露派の行動に何ら正当性を見出せず、準備も態勢もととのわない住民投票を、世界がどう判断するか? です。

クリミアのとき、世界は意外に米国に冷淡でした。むしろ流れは少数民族の分離、独立を認める方向であり、国家主義の弱体化を示しているようにも感じられます。それはロシアとて同様、国内にいる少数民族の扱いを、変えざるを得なくなるかもしれない。ただし、それが市庁舎の占拠や、身柄の拘束といった武力で成し遂げてよいのか? といった問題に遷移するかもしれません。
そしてもう一つ、プロパガンダによる誘導をどう防ぐか? 例えばクリミア併合の際、露国は破格の条件を示しましたが、それは今後、露国内における住民の待遇格差として意識されるようになるでしょう。クリミアの住民だけが優遇され、自分たちが冷遇されている。今後、露国の経済が低成長、マイナス成長に陥る懸念がある中で、そうしたものが国内で深刻化するかもしれないのです。プロパガンダは武器を使わない戦いですが、それをもって判断する、というのは危険なことなのでしょう。結局は、国民がいかにその真贋を見極めるか、それが民度であったり、成熟度として国を計るバロメーターになっていくのかもしれませんね。


analyst_zaiya777 at 22:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | ロシア

2014年05月08日

雑感。情報の伝え方

漫画『美味しんぼ』で、福島を訪れた人が鼻血を流すシーンが問題、とされます。これに「差別を助長する」という見解を示すのは誤りです。つまりそれが正しいか、作者や記者の体験、経験者からえた証言だったのか、が問題であって、そうしたものである場合、情報発信することに何ら問題はありません。「差別を助長する」から、という理由で事実を捻じ曲げてしまうことこそ本来あってはならず、正しい情報を伝えるという本来の役目を放棄したことになります。
医学的にも、まだ福島で起こっていることを定量的、長期観察により知見がまとまっているわけではないのです。個人的な体験ですが、若い頃に原発の見学会に参加したことがありますが、鼻血が出ました。ただそれは忙しい最中、わざわざ休日に遠出をしたことが原因なのか、よく分かりません。しかしそれも体験であり、何ら否定されるものではありませんし、口を閉ざすものでもないでしょう。被曝地域にいけば、精神的負担に動悸も早まり、血管も破れ易くなるかもしれない。それが原発事故によるものか、はともかく、それを否定したらノンフィクションは成立しなくなります。行うべきは言論封殺ではなく、検証と、風評被害への対策だということです。

STAP細胞の問題で、理研が不正を認めて、小保方氏への懲戒委の設置を会見で明らかにしました。この問題は、理研のプライドに直結しており、STAP細胞の有無は重要視されていない、という情けない話になっています。調査委にも切り貼りの疑惑がでて、05年までは大丈夫だった、などとも語られ、科学界全体の倫理観が問われる事態にまで、問題の根が広がってきました。
さらに、メディアでこのパロディーについて様々な扱いがあります。個人的な見解ですが、口マネ、言葉遊び程度であれば問題はないと考える一方、記者会見全体をパロディー化した場合、それは著作権の2次利用であって、本人への了解と契約に基づく合意が必要と考えます。つまり記者会見は小保方氏がセットしたものであり、その権利は小保方氏側にある、と考えられるためです。小保方氏は著名人になりましたが、あくまで一般人であること、芸能事務所に所属していれば、なあなあで権利関係も有耶無耶にできますが、そうではありません。つまり権利に対して、何も契約がない時点でそれを利用すれば、裁判になれば確実にメディア側が不利となるのです。

上記2つは異なるようでいて、最近のメディアの誤ちの大部分でもあります。規制したらつまらなくなる、という言葉も聞かれますが、個人の権利を侵害してまで追及していいような興味ではないでしょう。福島に行って鼻血、は規制してよく、会見パロディーは規制せずに放送していい、という判断が仮にあるのだとすれば、それが最大にメディアをつまらなくする要因ともいえます。
事実は正しく報じる、一方でそれが他人の権利や名誉を傷つけることになるか? 事実であれば隠さなくていい。事実を脚色して放送する、一方でそれが他人の権利や名誉を傷つけることになるか? それは脚色をやめなければなりません。どうも最近、政府関係者やメディア関係者まで、この違いについてきちんと理解していないように感じます。最近の政府は、事実を脚色して期待を煽る、ということを盛んにしていますから、残念ながら認識も低い、ということなのでしょう。ただしそういう姿勢、態度が将来的には批判の対象であったり、嫌悪という形で健在化することは、これまでも十分に検証されているということだけは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2014年05月07日

安倍首相の欧州歴訪

GW明けの日本株市場は、大幅下落となりました。深刻なのは、欧州歴訪中の安倍首相が、投資を呼びかけ、何度も「改革を怖れない」と発信したのに、欧州投資家は売りで応えたこと、です。原因ははっきりしていて、昨年は期待で買った、今年は結果なり、形で示すべきであり、さらに期待を…と言われてもそっぽを向きます。しかも、安全保障上で中国との対決姿勢を示す安倍氏に、中国との結びつきが強い欧州が警戒した、というのもあります。日中がコトを構えれば、欧州とてタダでは済みません。つまり、安倍氏の態度は総じて欧州投資家にとり、失望なのです。

4月米雇用統計は好結果でしたが、中身が悪い。労働参加率の低下と、賃金の横ばいが顕著であり、雇用者数や失業率では計れない、米労働環境の深刻さを浮き彫りにします。将来的に改善される見込みはあっても、今のFRBのテーパリングを変えるほどではない。ウクライナ問題、西沙諸島での衝突、などの地政学リスクの問題もあって、相場にはリスクオフムードが漂います。
それでも、日本市場の下落率は突出しています。休暇中の注文を処理した部分があり、売買代金は久しぶりに2兆円に乗せましたが、ほとんどが売りです。一部、海外の年金などロングの資金が入っている、ともされますが、これは株価下落により、低下した保有比率をもどすための年金特有の動きであり、今後の戦略によっては日本株の比率を下げるかもしれません。その契機となりうるのが、安倍首相の欧州歴訪となるかもしれない、それほど中身がありませんでした。

以前から指摘していますが、法人税減税も特区構想も成長戦略ではありません。再配分、もしくは付け替えに該当します。日本全体を底上げするような代物ではない。そもそも「改革を怖れない」と言ったところで、「改革する気がない」と、言葉の意味としての違いはありません。政権を担当して1年半、何年までに、どういう形で、ということを述べない限り、新たな期待は生まれません。もう言葉を飾って、人を躍らせるようなタイミングではないのです。
一方で、原発政策や安全保障の問題では、欧州とは価値観を共有できず、懸念として映ってしまう。投資家は敏感に、日中衝突のシナリオも読んでいるかもしれません。今の国粋主義に凝り固まった世界で、『核心的利益』なる怪しい言葉をつかい、国内の支持のためにも衝突をくり返す国々に、日本も参戦する恐れ、です。安倍政権は経済優先ではない、その印象は一層強めたでしょう。

残念ながら、年後半に株高という人もいますが、その頃に買う主体がどこか? それが問題なのです。恐らく業績が10%上昇、という水準はすでに織り込んでしまったので、20%、30%というサプライズでもない限り、安倍政権下で最早株を買う外国人はいないのです。日銀もGPIFも織り込んでいる。後、サプライズをだせるのは政府だけなのですが、その期待を剥落させてしまった。歴訪が、まったく実がとれずにレクリエーションに見えてしまう今回の外遊は、国内には海外と全く異なる見方を伝えるのと同様、さらに海外勢の見方を悪化させることとなり、日本から逃げだす海外勢を増やすだけ、に終わってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2014年05月02日

海外の見方と差を生じる日本

連休の谷間を狙ったように『TPP、実は合意』という記事がでてきました。しかも関税は維持されるものの、輸入枠が増えるため結局、国内のパイが食われる米など、関税の大幅引き下げを向かえる牛、豚。打診的に報じられてきたことそのままであり、自動車に至っては安全基準の引き下げまで、米の言いなりという印象です。しかも以前から指摘しているように、オバマ政権は全権委任されていないので、議会で「より厳しい条件を」という話になれば、ひっくり返される恐れもあります。
一部で、TPPは保留(Pマーク)だったが、尖閣は初めから声明に盛り込まれていたので、交渉材料ではなかった、と報じるところもありますが、TPPで合意できなければ、声明そのものがPマークになりかねなかったのですから、交渉材料で間違いありません。以前も指摘したように、先に「尖閣に安保適用」という言質をとったことだけが今回の成果であって、中身は完全敗北の状態です。

安倍首相は欧州歴訪で、原発稼動に意欲を示します。しかし欧州の記者からは疑問として呈されており、それに安倍氏は「日本は電力を輸入できない」と理由を述べます。ただし火力につかう重油、ガスも輸入なら、再処理がすすまない以上、ウラン燃料も輸入です。説明になっていません。しかも、経済効率という話もできない。なぜなら、独国など経済効率性で原発政策を見直しているからで、下手な説明は墓穴を掘ってしまうのです。独国は、何も電力を輸入できるから原発の停止を決めたわけではない。輸入した方が都合がいいので、そうしているだけなのです。
日本では盛んに韓国の旅客船沈没事故を報じますし、今日も韓国では地下鉄で事故もありましたが、世界の主な関心は日本ではあまり報じられないウクライナです。今回特徴的なのは、親露派の動きが暴力的なことです。デモをする権利は国民にありますが、重要施設を占拠したり、デモをする側を襲撃したり、欧州の監視委員を拘束したり、装備も含めて親露派はやりたい放題です。これは親露派がウクライナでは少数であることを示すと同時に、仮に独立や併合になっても恐怖政治、暴力政治でしか統治できないことを示すのです。これは将来的にも、親露派の動きが世界は受け入れない、だからさらに暴力的にならざるを得ない、ということを表しているのです。

全面戦争にはならずとも、ウクライナは当面、親露派がテロ組織化していく恐れとともに推移を見守らなければなりません。そしてそのとき、露国がテロ支援国となるのか、それは対露制裁にどういう形で影響するか。そうした情勢を、詳しく伝えるメディアはほとんどありません。残念ながら、政府と一体化したメディアでは、プーチン大統領との個別の信頼関係を崩さないため、それ以外の情報に埋没させ、ウクライナ問題を矮小化してしか報じていないのです。
経済も、原発も、そして海外情勢でさえも、日本だけが今、世界とは異なる見方、価値観をメディアから押し付けられている。それはとても危険なことなのです。集団的自衛権にしろ、米国は負担を日本におしつけられるので当然、好意的ですが、では欧州、アジア、アフリカの見方は? ほとんど報じられません。いつの間にか、国民は安倍政権からアベット(教唆)され、世界のアベレージ(標準)から外れる、ということになりかねなくなるのでしょうね。

明日から6日までお休みして、7日から再開したいと思います。


analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2014年05月01日

海外で投資をよびかける前に…

西村内閣府副大臣が、米投資家を前に講演し、成長戦略が足りないことを認めました。安倍首相も独国で、法人税減税の決意を示すとともに、投資を促す講演を行っていますが、この辺りに安倍ノミクスの限界があります。成長するから投資資金が集まってくるのであって、投資資金を集めて成長するものではありません。それではバブルになりますし、失速すると資金の逃げ足が早くなり、打撃が大きくなります。しかも法人税減税などは、投資対象にすらなりません。日本が他国を引き離して減税幅を大きくするなら別ですが、代替財源を議論している時点で、成長戦略ですらないのです。浅い株価対策、と見透かされているので、今の株式市場の低調があります。

4月に入って、思ったほど消費が落ち込んでいない、という声も聞こえます。その原因が3月の毎月勤労統計で判明しました。所定外給与が4.8%伸び、現金給与総額が0.7%の伸びとなった。つまり懐の潤った人が、残業で頑張った自分へのご褒美をしているのです。ただし所定内給与、即ち基本給は0.4%減であり、長期の下落傾向を示している。厚労省は、短期就労がふえたことで所定内給与が下がった、と説明しますが、それだと雇用環境は一向に改善されていないではないか? と疑問に感じます。すべて消費税増税前の駆け込み需要に対応するため、で説明がついてしまうのです。これでは長期や、年後半の消費改善など望み薄、ということになってしまいます。
しかも人材派遣協会の調査で、派遣形態の48.3%が正社員を望むものの、打診は18.1%と発表されています。雇用の安定がなければ、やはり消費が持続的になる可能性は低くなります。安倍政権では『働き方の多様化』を議論していますが、この数字をみる限り、雇用者側が有利な『働かせ方の多様化』にしかなっていないことを、こうした数値が示しているとも云えるのです。

西村氏や安倍氏が、いくら海外で投資を呼びかけても、日本株は14000円台前半の居心地がよすぎて、上にも下にも大きく動き難い状況です。今日は米ADP雇用統計がよく、週末の雇用統計への期待ものりましたが、今期の企業業績予想をみても、3%増益がいいところなので、そうなると13000円台後半から14000円台前半は、落ち着きどころとしてはよい水準です。特に証券会社など、昨年が大商いがつづき、大幅増益となった分ハードルも高い、という傾向もあり、自社株買いなどの株価対策をとるところ以外、総じて厳しい印象です。これも株価の上値を追いにくくさせます。
昨日の米GDPには衝撃もあり、外需の停滞が鮮明だったこと、が挙げられます。米国内は寒波の影響で済みますが、外需の落ちこみは新興国経済の変調と重なるため、これは全世界共通の傾向ともなってくる。日本も同様に、今後の外需の落ちこみをどうカバーするか? それ次第では、やはり増益基調は期待しにくく、国内の成長が抑制される日本は投資対象になりにくい、となるのです。

どうか投資して下さい、とセールストークする前に、構造改革や成長戦略の充実、といった行動を示さないのか? これでは相場格言にある辰巳天井、午尻下がり、を地でいくことになるでしょう。安倍ノミクスの限界は、口先だけで行動を伴わない、虚構への失望ということであって、これは『尻下がり』どころか、『シッポを巻く』展開になってきた、と言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |