2014年06月

2014年06月30日

北朝鮮のミサイル発射

イラクで政府軍と戦闘しているスンニ派過激組織(ISIL)が、指導者バグダディ氏をカリフと定め、イスラム国の樹立を一方的に宣言しました。元々、シーア派はムアーウィアの党派、という意味であるように、カリフをムハンマドの血筋に限定する派で、スンニ派はカリフの血筋にはこだわらない、という傾向があります。しかしカリフ制が廃止され、空位だったことから、それを利用し易い状況がすでにありました。新興勢力であるからこそ、例えばイスラム原理主義のように過去を礼賛、利用することで、自らを権威づけしようとします。しかしイスラム世界は、国境線の問題がいずれ国家分裂や、新たな国家樹立の動きを招くだろう、と予想されてはいました。今後、弱体化したイラク政府がどう対応するか、国際社会がどう反応するか、予断を許しません。

北朝鮮が日本海側に2発の短距離ミサイルを発射しました。当然、この動きには7月3日から行われる中韓首脳会談への牽制ですが、もう一つの意図が含まれるとみています。牽制なら3日の近傍で撃つはず。6月29日での発射には、明らかに日朝局長級協議を睨んだもの、といえるのです。
交渉にはマイナスでは? との見立てもありますが、日本政府は協議を選んだ。つまりこれによって、ミサイルを発射しても国際社会に容認された、と北朝鮮は喧伝できることになり、体面を保つことができる。これがもし協議後であれば、日本側の面目がつぶれ、次の協議まで影響しかねません。つまり協議前に撃ち、日本がそれでも協議に応じる、という事実が重要だった。
そして日本も、明日の集団的自衛権の閣議決定にむけて、周辺に軍事国がある、という事実を国民に知らしめることができ、メリットがあります。発射した29日ではなく、今日になって通り一遍の談話を発表したのも、派手に叩くと協議入りの説明がつかず、何も反応しなければ不自然さを指摘される。そして日本の反応に、北朝鮮が反応しないことでも、下手をすれば北朝鮮と日本は合意の上で、今回のミサイル発射を実行した、予定調和だった可能性も出てくるのです。

例えば今日になって、28日に露海軍の3艦が対馬海峡を通過、なども発表されています。国際的に問題のあるものではありませんが、事情を知らない人にとっては、やはり集団的自衛権が必要だ、と誤った認識をもつ恐れもある。某右系メディアの世論調査は、相変わらず「必要最小限度」の文言が残り、世論調査の体を為していませんが、52.6%で「全面使用」の11.6%と合わせて、63.7%が行使容認と伝えます。統計学を学んだ人間でなくとも、この調査の不自然さに気づくでしょう。
日本側が北朝鮮への制裁解除に、国際社会の理解が得られないのでは? とのコメントばかりが載りますが、そもそも調査再開ぐらいで制裁解除するようでは、結果を相手にコントロールされても、文句が言えない状況になる。双方が納得できる状況になって、はじめて制裁解除でなければ、スジが通りません。安倍氏はシンパシーを感じるのか、独裁者に接近することが多い。ともに国を牛耳り、独断で何でも決めてしまえる、という驕りがそうさせるのなら、北朝鮮のミサイル発射で、金正恩氏が見学していたとの話もありますが、安倍氏も久しぶりに官邸に残って過ごした週末で、ほくそ笑んでみていたのかもしれませんね。

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2014年06月29日

年後半の市場

明日で今年の前半が終わります。今年前半の市場は、昨年末の16000円台から、4月に一旦14000円を下抜けるなど、騰落だと7%程度の下落となっています。未だに年後半、株高を唱える人もいますが、現状でさえ年金系の買い支えにより値を保っているのに、後半に何かすばらしい材料がでる、とはとても思えません。もしあるとすれば、2010年代最後のバブル、となるのかもしれません。

米商務省が発表した1-3月期実質GDP確定値は、2.9%減と衝撃でした。改定値より1.9%の下方修正であり、これで今年の米国は、3%成長がほぼ絶望的になった、と言える内容です。すでに世銀の経済見通しでも、米成長率を2.8%から2.1%へ引き下げていますが、それすら残り3四半期の高い成長が必要でしょう。新築住宅や中古住宅の販売は堅調と伝わりますが、実は住宅ローン申請件数の伸びと合致していない。投機マネーの買いが相当数あるとみられ、下落を始めると案外脆い市場です。恐らく、米FRBが利上げ局面に入るまで、もしくは日欧の金融緩和の継続状況をみて、マネーは引くでしょう。それは英独も同じ。住宅市場が活況で、バブルの懸念すらもたれている。つまり今、先進国でキャピタルゲインを得られて、安全な市場が不動産として、資金が大量に流入している。そしてそこには、崩壊しかかった中国の富裕層マネーも入っている、とみられます。
中国は主要都市で、不動産市場の値下がりが始まりました。すでに不動産に投資し、それを貸し出しても預金金利を下回る利益率、と指摘されている。一方で価格下落も始まれば、中国の不動産市場は根底から崩れかねない。年後半には、何らかの動きがでるでしょう。それは計画型にもどるのか、それとも不動産バブル崩壊を放置することで、未曾有の金融危機に陥るか? です。

先週末の株価下落は、TOPIX先物を大量買いした米系の、反対売買の側面もありました。つまり13000円割れしたときから、売り方の崩しを決めた米系も、今回は諦めた。今の日本は年金の買いで売り崩せない一方、買いの戦略も描き難い。成長戦略が物足りないからです。さらにここに来て、年金の買いも6月いっぱいで一巡するのでは? との懸念が浮上しました。半期で運用を見直すため、一時的に急拡大した株の持分を調整する必要に迫られるのかもしれません。
しかも今回、インフレ昂進が顕著になれば、日銀も緩和解除の流れになるかもしれない。そのとき、債券価格の下落が、自動的に株式の配分比率を高めてしまう恐れがでてきて、逆に年金が売り方に回る恐れもある。追加緩和ではなく、時間軸政策の導入議論が、必要となってくるのでしょう。そうした不安定さは、様々な市場へと波及してきます。逆に言えば、この半年はこれまで存在を高めてきた、先進国の中銀が、どういう態度をとるかにより決まる、と言える状況なのです。

とにかく今年後半は、バブルが深化すれば株価は高値を維持できますが、どこか一つでも崩れると、ジェンガのように一気に世界経済が崩落する恐れもあるのです。米国の中間選挙の影響、イラク情勢、ウクライナ情勢、等の海外要因もいつかは織り込まなければなりません。株価は当面15500〜14000円を推移するのでしょうが、年金の支えを失うと、14000円台が中心となってくるのでしょう。ただ、諸々の影響により、上には行き難く、下には落ち易い相場であることには、注意も必要となってくるのでしょうね。

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2014年06月28日

雑感。セクハラ野次の余波

集団的自衛権の問題で、公明党が県代表懇談会を開いていますが、地方幹部からは懸念が相次ぐ、と報じられます。自民保守系に屈した、とのイメージは党全体の弱腰、選挙でも公約が守られないなど、悪い方向で作用することは間違いなく、統一地方選などを控えて地方から異論がでるのは当たり前です。政権のブレーキ役どころか、世論がふらす批判の嵐をかわすための、ワイパー程度の働きでは、存在意義もありません。メディアのようにターボをかけて安倍政権を後押しする存在もどうか、と思いますが、そもそも安倍政権にはハンドルをつけた方がよいのでは? とも感じます。そのうち、自動衝突回避装置も必要になるのかもしれません。

しかし都議会のセクハラ野次問題で、もっとも貧乏くじを引いたのは、みんなの党でしょう。自身の議員のことなのに、党中央が政権よりで、早くから幕引きを模索した。都議会にだされた議案も、発言者の特定には消極的で、問題を解決しようとする姿勢とは遠かった。その結果、党そのものが改革政党から、政局政党というイメージをつけてしまった。今回は国政レベルの協力姿勢とは切り離し、追求した方が党運営としても正しかったはずなのに、執行部の無能を露呈した形となってしまったのです。これで、みんなの党は解体政党になってしまうのかもしれません。
それにしても今回、特徴的なのはメディアが二極化したこと、です。塩村議員の過去や人格を中心にして揶揄するセカンド・セクハラに突っ走る週刊誌、テレビと、それを指摘するメディアです。以前であれば、人格や品位すら汚す報道で、物事の本質を有耶無耶にするといった手法が、政権への攻撃を緩和する手段として成立しましたが、今は異なります。逆に、それが政権とそれに協力する層の異常さ、問題として認識されるようになりました。これはネットの発展とともに、海外の報道機関がもつ価値観、を共有する層が誕生してきたことが挙げられるのでしょう。

外国特派員協会で早くから指摘され、メディアの一部ではセカンド・セクハラの問題が意識されていた。それでも突っ走るメディアがあったのは、自民が強固な利権で結びついた組織だから、です。自民党執行部が指示せずとも、利権を守ろうと考えれば、独自で動いてくる。しかし今回、それは異常、と海外に伝えられ、日本の人権意識がガラパゴス化とみられてしまった。これは政治の失態でもあり、セカンド・セクハラはさらに問題の根が深い、と認識されています。
今回の集団的自衛権の問題でも、政治に力があれば外交努力により、周辺諸国や世界各国との協調により、集団的自衛権など行使することなく、解決できるのです。つまり、それにまい進すること自体、安倍政権の力不足を露呈しているといえます。首相の外遊は多いですが、外交成果は少ない。国会が閉会し、議員が視察と称して海外へ行くことも多くなりますが、それで成果があった、という話は一つも聞きません。むしろ、この国のいつまでも改まらないセクハラ行為が、如実に海外のことを何も分かっていない、海外に行っても何も学んでいない、それを示すのです。安倍氏の外遊は、ほとんど『遊』だという話も聞きます。国内ではストレスがたまるため、多額の税金をつかって海外に行って羽をのばす。石原環境相のダイビング問題も、その延長にあります。政治家の遊びのために、またセクハラ発言をする議員の高給といい、日本という車に必要なのは、今は存在していないドライバー…なのかもしれませんね。

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2014年06月27日

家計調査と雇用

総務省発表の5月消費者物価指数(CPI)が、前年同月比3.4%上昇となり、32年ぶりの高い伸びとなりました。2%が増税分とみられますが、エネルギーコストの上昇など、円安に伴うコストプッシュ型のインフレが厳しくなってきました。日銀のシナリオ通り、として追加緩和期待がさらに後退。むしろ早期引き締めが視野に入ったとして円高となり、株価は大きく調整しています。
同じく発表された家計調査で、消費支出は実質で前年同月比8.0%減。これが異例なのは、増税前の駆け込み需要の反動減、と説明されてきた消費減ですが、4月の4.6%減から大きく拡大した。住居関連の落ちこみも大きいですが、自動車などは増税前の駆け込み需要ではなく、円安修正に伴う海外メーカーの購入の減少が大きかったのでしょう。5月の小売業販売額が0.4%減と、前回増税時の5月より落ち込みは緩やか、としますが、CPIが3.4%上昇しているのですから、当然その分は販売額が上ぶれしています。つまり前回増税時とは状況が違うのですから、取り除かなければなりません。そもそも、勤労者世帯の実収入は4.6%減なのですから、消費マインドは確実に悪化しているにも関わらず、総務省の基調判断が「このところ持ち直している」は異常です。

メディアはこちらに大きく反応ました。厚労省発表の5月有効求人倍率が1.09倍と、約22年ぶりの高さ、というものです。しかし求職者が減って、求人数が増えた面もありますし、正社員の求人は少ない。そもそも22年前は正社員を求人していたのであり、数値だけ比較しても無意味です。総務省発表の完全失業率で、前月比0.1pt低下の3.5%となり、16年ぶりの低水準、と伝わります。しかし当時との比較で、男性雇用者数が97万人減、女性雇用者が278万人増となっており、この辺りが雇用のミスマッチにつながっている。つまり女性は事務職を希望し、現場作業や深夜作業には向かない。このため企業が求人をだしても、集まらないことが最近の傾向としてあります。
しかも正社員でなく、短期の労働力を増やしてきた企業は、急な経済環境の変化に弱くなってしまった面も影響しています。つまり契約の切り替え時、よりよい条件の職に移ってしまう。そのため同一条件で募集をかけても、人が集まらない。労働力の使い捨てが、いざというときに対応能力のなさ、を露呈してしまったのが、現在です。ただしこれが賃金上昇や、待遇改善にはつながりにくい。デフレモデルを引きずっており、今回の統計でも示された内容は、企業をより防衛的にさせるでしょう。それが『消費の蒸発』という恐ろしい事態です。

昨年の税収が1.6兆円上ぶれ、と伝わります。甘利経済担当相が「法人税減税の原資に」と述べていますが、単年度の要因で財政を考える、という短絡的発想です。そして最も警戒すべきは、昨年は円安駆け込み需要、増税駆け込む需要、とダブルの要因で消費が上ぶれた面が大きい。そして今年、両方が剥落するばかりか、実質の収入が大きく下がっているように、消費拡大は見込めない。益々、インフレ負担が重くなり、今年の『消費の蒸発』を促しかねない状況です。
発表される統計をみても、コストプッシュ型のインフレ傾向であることが鮮明です。これを「日銀のシナリオ」通りだとするなら、日銀は打つ手を失うのでしょう。つまり追加緩和しても、円安がすすめば消費が萎み、引き締めると円高となり、株価下落と金融資産の減少を招く。どちらに振れても芳しくありません。今日の株価下落は、週末要因と高値による益だし、との見方もありますが、そもそも半期のドレッシングを控えて、このタイミングで益だしすることが、今の水準の落ち着きどころのなさ、を示すのでしょう。経済指標から読み解ける、今年の消費の傾向。それはより投資家層を警戒させるに十分、ということになるのかもしれませんね。

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2014年06月26日

韓国でおきた訴訟

日本維新を分党した石原氏側の党名が、『次世代の党』に決まりました。政治家のセンスは国民から乖離している、と感じることも屡ですが、これほど首を傾げる党名も珍しい。英語にすると『Next Generation Party』と、何となく締まりますが、口が悪い人間だと『爺世代の党』と揶揄されかねません。党員の年齢層は幅広いですが、主要ポストをベテラン勢が占める構図は、世代交代を訴える、と云われても悪い冗談にしか思えません。これが『辞世の党』にならないよう、少なくとも表舞台にベテラン勢が出るのを控えなければなりませんが、出たがりの議員が多い中、どうやって世代交代をイメージとして定着させるか、は課題となってくるのでしょう。

韓国で、セウォル号沈没事故の対応の不味さの責任をとり、辞意を表明していた鄭首相が留任する、という事態になりました。首相候補だった元検察官、最高裁判事の安氏が弁護士としての高収入問題で、元中央日報の主筆の文氏が親日的で、ともに辞退という異例さです。日本とて大して閣僚選びに、精細な身辺検査をしているわけではありませんが、仮にも首相指名をするにあたり、どういう調査をしたのか? 朴大統領が独断で決めた、と伝わりますが、それにしても指名する際に、どの機関も調査していない、というのが戦時体制をとる韓国では異例、といえます。
つまり北朝鮮のスパイだった場合、国を誤らせる恐れすらある。そういうケースでは国情院が制する、というのかもしれませんが、ではナゼ今回、安氏や文氏はスルーしたのか? 必ずトラブルになりそうなのに。すでに朴政権のレイムダック化を見越して、動かないという判断が働いているのかもしれません。そこに来て、韓国で大きな動きがあります。それは、米軍慰安婦が国に対して賠償請求訴訟を行ったのです。予てより指摘のあった話ですが、これまでは韓国ではタブー視されてきた。それが訴訟の動きとなり、国際社会にも喧伝される形となります。

米国でも、朝鮮戦争やベトナム戦争当時、慰安婦があったことは確認済みです。但し当時の聞き取り調査で、強制性はない、との結論に至ったとされます。しかし韓国での訴訟次第では、強制性のある慰安婦の恩恵を、米軍もうけていたと認定されかねない。それこそ米国に建てられている慰安婦像の意味が、違ってきてしまう恐れすらある。これまで性奴隷にされた女性の象徴、であったものが、米国自身がその行為に加担した、ということになるのですから。
意外と米国は、米国の悪口を気にします。誤った歴史を検証するに吝かではありませんが、他国から表立って批判されることを極端に嫌います。慰安婦像は、まさにその象徴になりかねない。性奴隷を買っていたという事実は、国内からも批判にさらされる。今後の動向には注目です。

以前から、日本統治以降も慰安婦制度は残っていた、と指摘されてきました。河野談話の発表前、日本の聞き取り調査に応じた女性は、はっきり日本が敗戦した後で慰安婦になった、と語っているとされます。それが今回の訴訟で、はっきりしてくるのでしょう。ただし、日本への訴訟では国際的な合意すら無視してきた韓国で、この訴訟がどう決着つくかは分かりません。ただ一つ言えるのは、韓国が日本を攻撃する材料に、事欠くようになったことだけは間違いないのでしょうね。

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2014年06月25日

雑感。成長戦略に対する報じ方

昨日発表された成長戦略、骨太の方針。国内メディアや評論家の間からは「評価、期待」との言葉が並びますが、海外メディアは辛らつな記事ばかりです。実際、見栄えのいい項目を並べて実体を隠すことを官僚は得意としており、今回も例に洩れません。法人税減税でさえ、中小企業への課税ベース強化の方針が示唆されており、多くの労働者が中小企業に勤める中、大企業優遇姿勢を強める安倍政権らしさ、は顕在化していますが、日本全体の成長に寄与するとはとても思えません。
しかしここで問題なのは、国内メディアと海外メディアの評価の差、です。安倍政権になってから嘘をついて、捏造してでも、上げ潮ムードを壊してはいけない、といった風潮が目立ちます。サッカーW杯も同じ。散々メディアは期待を煽りましたが、直前の試合で一体、何失点したのか? 守備が崩壊していることは明らかだったのに、主にトップを誰にするか? ばかり報じていた。大久保選手の選出で攻撃陣が目立ち、注目度もあつまり易いのかもしれませんが、それでは正しい報道と言えません。期待を煽った結果、誰もが頬かぶりして責任もとらず、企業がW杯関連の消費で潤う、というためだけに国民を欺く報道をつづける、ということになっていたのでしょう。
すでに成長戦略後に市場が下落しなかったことを好感する人もいますし、某米系が昨日TOPIX先物を大幅に買い越したことを、昨年の爆騰の再来、と語る向きもありますが、昨年は売り方の買戻しを引き出す戦略だったのであり、今年は年金の買いのせいで売りも溜まっていません。実際、昨日も買いは続かず、今日になって現物株の売買高が急落した。まったく成長戦略を評価していない、ただし売り立てても年金とケンカすることになるのでしない、というだけになっています。

英国で、中国の李首相を厚遇、エリザベス女王との面会も果たしています。これにキャメロン首相が、ダライ=ラマ14世と会談し、関係が悪化した中国への配慮、と伝えるメディアもありますが、ちょっと見方が異なります。英国は今、タックス・ヘイブン化し、投資を集めて成長をめざす、というスタンスをとっています。そのとき、共産党独裁で肥大化した富裕層のいる、中国を無視できません。多額の資金を動かす、富裕層をとりこむことが至上命題になっているのです。
しかし一方で、中国の人権問題を無視した、という批判もうける。ロンドンの不動産市場など、上昇基調にある英国全体からみても、桁違いに爆騰しており、英中銀が引き締めの可能性を示唆するなど、すでに歪が溜まっている。逆にいえば、引き締めになっても中国の富裕層に、資金を引き上げて欲しくない、との思惑が、今回の異例の厚遇という形で現れたのでしょう。

しかし英国でも、メディアが政権を批判する、という構図は経済が歪んでいてもまだ健全です。未だに尾をひくセクハラ野次問題、一部で野次には適切な返しをすべき、という論調をとる人もいますが、一般質問は討論の場ではありません。不規則発言に、不規則に応じていては、一般質問がちぐはぐになります。質問者も、応じる側も、事前にすり合わせた原稿を読んでいるだけなのですから。一般質問をする側は議事録に残り、野次は議事録に残らない。それでは議事録がおかしくなります。また外国特派員協会で講演したことを『売名』とする意見もありますが、議員はあらゆる行動が売名です。特に、外国特派員協会での講演は、出演を依頼されて、無償ででるといった類のものであり、名誉…言い方を換えると売名でしか、出席することはないものです。
東京五輪を前にして、国内での報じ方、意識のもち方、そうしたものに注目が集まるからこそ、膿を出し尽くして国際標準のあり方を学ぶ、という謙虚な姿勢が大事なときです。それを覆い隠し、批判や悪材料を抑えつけて、無理やり上げ潮ムードをつくっても、結果が伴わなければ意味がないのです。セクハラ野次問題とは、そこに日本の異常さを嗅ぎとったからこそ、海外メディアも大きく報じている。それを批判したり、無視したりしていると、本当に日本が『おかしな国』として海外から認識されることを、キモに命じておかなければいけないのでしょうね。

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2014年06月24日

成長戦略と骨太の方針

国会が閉会し、それに合わせて2014年度成長戦略、『骨太の方針』が示されました。しかし早くも米紙では、安倍首相が「固い岩盤規制に、ドリルで穴を開ける」と述べたことを揶揄し「彫刻刀でけずるぐらい」とします。しかし毎年、骨太どころか骨粗しょう症でスカスカ、と表現してきましたが、彫刻刀でもまだいい方で「ペンキで色を塗り替えるぐらい」の政策といえます。
昨日、スーパー売上高が発表され、前年同月比2.2%減、これは4月の5.4%減より改善、反動減から回復、と伝えらます。しかし消費税増税で2%程度、価格が上ぶれしていることを考えれば、売上高の減少は数量ベースでの相当な落ち込みを意味します。畜産品5.5%増、惣菜3.3%増が、まさに買いだめもできず、以前と同じ量を買うとそれぐらいの出費になってしまう、ということなのです。つまり、まだ増税後からの消費の回復はみえていない、買いだめできない分の消費がもどってきた、ということのみを示すのです。売上高が、前年同月レベルにもどっても、税引き後の小売の利益は確実に下がっている、ということは間違えてはいけない点です。

まずGPIFの運用見直し、6月に入り、年金とみられる資金が株価上昇局面で持分を増加したため、現時点でさえかなり株式の配分が高まっている、とみられます。正式決定する頃には、すでに株の配分は増やせない事態に陥っているでしょう。実際、今の株価も売り方が年金の下支えを警戒し、動いていないとみられ、今日も成長戦略発表で下落するわけにはいかない、という強い意志が感じられました。官製相場の色彩が濃く、上げられず、下げられずの展開といえます。それを日柄調整、という人もいますが、売買高が2兆円にとどかない現状では、調整とも呼べません。
労働市場の改革は、明らかに企業寄りの発想ですし、法人税減税も同様です。しかも法人税減税を対内直接投資の切り札、的なとらえ方をしている時点で、甘いといえます。GDPに対する直接投資が、日本は3.8%で、英国の54.3%、米国の16.9%、韓国の12.4%と比べて見劣り、とします。しかし法人税減税より複雑なシステム、互助会的な業界の慣行、といった分かり難さ、やり難さが多分に影響しており、また成長率の低さが、投資対象にそぐわないのですから、岩盤規制に穴をあけるのなら、むしろ制度や仕組みを替える、といった提案がなければ嘘になります。

ロボット市場を2020年までに2倍、という方針も的外れです。ロボットが人に近づけば近づくほど『人でない』ことが目につきます。市場は拡大が見込まれますが、成長に大きく寄与するほど、拡大するわけではありません。現在、パソコン市場もXPからの買い替え需要がある程度ですが、技術が高度になっても、便利になっても、マン−マシンインターフェースを外れたところに、市場はありません。お金より、アイデアが必要であって、官の余計な関与は逆効果になりかねません。
ECBが金融緩和策をうったときも、小口で材料を並べ、一定の評価をえましたが、日本の成長戦略も同じ、中身はなくとも項目さえ並べればいい、といった雰囲気が漂います。しかし『彫刻刀』と揶揄されたように、これが『凋落の一途』になりかねない懸念を、いずれ市場も織りこむでしょう。バブルを引き起こす政策、安倍ノミクスが終わりに向かうに従って、必ず不具合を生じてくるためです。それを覆すことができるのは成長戦略なのですが、その岩盤をペンキを塗り替えるだけで、益々表面を分厚く塗り固め、中身が腐って壊れていく以上、一旦崩れはじめると脆い、ということになってしまうのでしょうね。

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2014年06月23日

セクハラ野次で名乗り

都議会のセクハラ野次問題で、自民党の鈴木章浩都議が名乗りでました。しかし当初は自身の発言を否定するなど、極めて不誠実さも目だつ。そこにきて、この問題はこれで終わりません。日本はこの問題に鈍感ですが、欧米では女性蔑視への視線が厳しくなっており、慰安婦もその延長で捉えられています。米紙でもとり上げられたように、一地方議員の問題ではありません。
それはこの発言が保守系議員である点です。保守系議員の中には、国政レベルでも女性は結婚して家庭に入るべき、と述べる人がいます。つまり、かつての家父長制に基づく価値観、男尊女卑の発想があります。それを後ろ盾とする安倍首相を、オバマ大統領は元々嫌いですが、さらに警戒を強めるでしょう。保守系の人物が、早速擁護論を展開していますが、そういうことをすればするほど、米国はみる目を厳しくします。むしろ当人を断罪し、日本は女性を尊重する社会である、とアピールする方が米国の警戒も解けるのです。しかしそれが出来ない。そこには保守系議員の、おトモダチ感覚が影響しているすれば、尚更根が深い問題と意識されるでしょう。

さらに報道の少ない日曜ではなく、月曜に記者会見を開いたこと自体、本人の意志ではなく、誰かに指示された可能性を示唆します。しかも成長戦略発表前に、ケジメと考えているなら、自民の浅はかさを露呈しているのでしょう。前段でも示したように、軽い処分で済ますなら、海外から安倍政権への評価を悪化させます。国内で、なぁなぁで済ますことはもう出来ないのです。
政府が集団的自衛権に関する閣議決定案において、「集団安全保障」の明記を公明への配慮で見送り、と報じられます。しかし安倍自民に『公明への配慮』はありません。あるとすれば、米国に尾を踏まれたのです。ただし安倍氏がつながるのは、米共和党系知日派であり、オバマ政権ではない。その知日派が、オバマ政権の懸念を嗅ぎとり、安倍氏に突出した行動を避けるよう促した。これ以上、オバマ氏との距離が開くと修復も困難になる、との思惑が影響したのです。

つまりオバマ政権にとって、日本が米軍の軍事行動を肩代わりしてくれることには賛成でも、それで中韓との摩擦が増えては困る。ここ数週間、異例のGPIFによる株買いで株価も上げた。世論の追い風もある安倍氏にとって、一気に決するのに吝かでないタイミングだった。そこにブレーキをかけられるのは、ただ一つ。米国の意向です。そして今回のセクハラ野次は、そこにすら影響しかねない問題となった。それは「金め」発言で福島に陳謝に行った、石原環境相がかつて911同時多発テロを「歴史の必然」と発言し、問題視されたのと同様のケースといえるのです。
今回のセクハラ野次でも、それを糾弾しようとする議員が、脅迫をうけたとの話もあります。安倍政権を初めとして自民党が、如何に不誠実な部分とつながっているか、を示す動きでもあるのでしょう。舛添都知事も、この野次で笑っていたとの話もあります。元々、女性蔑視発言をしていた経緯も、下手をすれば海外でとり上げられ、日本はこんな可笑しな国、と喧伝されるのに利用されかねません。少なくとも発言者をすべて特定し、処分し、厳正な対処をして幕引きしなければ、意外なところから火の手が上がることにもなりかねないと、留意しておいた方がよいのでしょうね。

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2014年06月22日

雑感。政治家とイメージ

日本維新が、正式に解党を決定しました。トップダウンで合流しただけに、トップの戦略に齟齬がでれば、もう組織を維持できません。一方で、みんなの党がさらに分裂する懸念を生じています。浅尾代表の党運営についていけない、という者も多く、党そのものが存在感を失った今、党に残ってもメリットが少なくなった。渡辺前代表が雲隠れしているうちに、党そのものが雲散霧消してしまう恐れすらあります。江田氏が離れれば公務員改革という旗がどうしても見え難くなり、クリーンさも献金隠し疑惑でふっ飛んだ。党のトップは如何に大事な存在か、よく分かります。
例えば民主党、玄葉氏や前原氏が海江田代表下ろしを画策しましたが、失敗しています。党内にも、世論にも広がりがないため、です。誰がやっても、今の民主に起死回生の策などないのに、党内抗争を繰り広げていては、さらにイメージが悪化する。そんなことをしても支持が集まるはずがありません。玄葉氏や前原氏が間違えているのは、トップのイメージは大事でも、そのトップを狙う野心をみせた時点で、自らも組織マネジメント能力を問われることになる、ということです。今このタイミングが正しかったのか? 時宜を得ていない、とはこのことなのでしょう。

自民では、安倍氏のイメージが先行しており、今や党内でも集団的自衛権への貢献競争、といった様相まで呈しています。しかし安倍氏を急進的に推す勢力には、極端な保守系もいます。それこそ昨日とりあげた、女性の社会進出を平気で阻む「女性は家庭に入って…」などと、公然と語る人物もいます。安倍政権で、女性の活用を謳うのは米国からの要求、といった側面が強く、実際にはそうした勢力への配慮からできないことがわかります。つまり安倍氏が首相である以上、またそしてそうした勢力を支持母体とする以上、戦前賛美がつづくのが現状なのです。
しかしメディアがつくり上げてくれたイメージ戦略で、安倍氏は非常によいイメージが築かれています。危機対応でゴルフを止めなかった件や、失言にしても、民主党政権の成立前なら、袋叩きになっているところですが、今はメディアもそうしない。読売がTPP報道をスクープし、出禁になったことから新聞も怯えている。自民で検討されている携帯電話をもつ人間への課税も、同じ電波使用ならTV局も同じです。そうした毒をみせて、メディアを統制下においている。そうやって高めた名声により、安倍氏は組織統率にも利用でき、ウィン・ウィンの関係を築いているのです。

組織のトップのイメージは大切ですが、それが虚構である場合、とても厄介です。ナポレオンの評価が今もって定まらないように、またヒトラーでさえ未だに称賛する人がいるように、そのイメージを信じてしまった人間が、虚構を上塗りしていき、やがて実体を見え難くしてしまう。
しかし現実には、結果が残ります。もし携帯電話課税をし、TV局への課税を見送るなら、歴史から糾弾されるでしょう。今でさえ、集団的自衛権の問題で、後にどんな結果を招くのか、分からない状況です。歴史の評価が二転、三転することは、自らの河野談話検証でも明らかにしていることです。自分の行った行動の結果、日本が混乱に巻き込まれでもしたら、安倍氏が悪魔のような評価になることだって、有りうるということです。本当にそこまで斟酌し、今の態度をとっているかは不明ですが、ただメディアと組んでいるという時点で、後の評価は悪くなることだけは、確実なのでしょうね。

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2014年06月21日

米国による日本の人身売買報告

米国務省の年次報告書で『joshi-kosei osanpo』が、児童買春との懸念が示されました。また成長戦略の中で、拡大の方針が示される予定の外国人研修生制度が、パスポートを取り上げる、低賃金など、強制労働に近いとされています。日本は「基準を満たしていないが改善の努力がみられる国」に、10年連続で分類されるなど、不名誉極まりない状況になっています。
日本はやっと児童ポルノの単純所持が規制されるなど、こうした問題への対応が遅い国です。それは政治家が、議場でセクハラするぐらいのモラルの低さですし、地方議員などには児童買春をする者もいる。役人も盗撮で逮捕される者が相次ぎ、性モラルの低さは致命的ともいえるでしょう。

外国人研修生制度は、それなしでは農家や中小零細企業、介護分野が成り立たなくなりますし、安倍政権で企業よりの成長戦略になる中、重要ポイントに位置づけられています。しかし米国から懸念を表明されている以上、何らかの対策を打たないと、制裁措置をうける。規制では抜け穴ができますし、管理・監督を強化するぐらいなら、制度を廃止した方がマシというレベルです。
外国人研修生制度は、そもそも待遇面での問題や、研修とは名ばかりで使い捨ての労働力としての扱いが疑問視されてきました。また外国人が研修を終えた後、国に帰らず、不法滞在する可能性もあり、日本の評判を貶めるばかりか、治安悪化すら招きかねない事例も現れている。ここに一つの私案を示せば、シングルマザーを地方の役所で臨時に雇いあげ、繁忙期の農家や、中小零細企業で人材不足のところで働いてもらう。つまり地方で保育や支援制度を充実させ、子育てしながら働ける環境をととのえる。そうすれば、生活保護ではなく、労働の対価として賃金をえることになり、またシングルマザーが地方に定着し、過疎化対策にもなる。老人ばかりの集落に、若い人が集まれば、それだけで活性化されることにもつながってきます。

しかも住居は空き家を活用すれば、住宅補助費も安上がりで済みます。さらにそうやって依頼をうければ、役所からの賃金が割り増しになるなら、頑張っている人にお金が溜まり、体にムリが利かない人でも調子のよいときに働けばいい。逆に、名ばかり登録をする人も仕事を請け負う率で判断でき、生活保護の不正受給より、役所としても管理できることになります。
最大のメリットは、今はシルバー人材の活用などをすすめる地方もありますが、そのシステムを少し拡大すれば、シングルマザー人材を活用できる点です。これをパソナ、などの企業に任せてはいけない。何故なら営利で行うと、必ず不都合がでてくるからです。これはあくまで、役所の一事業として地方の企業、農家などの個人事業主とのマッチングを目指す形がベストです。

実は、都会の方が仕事がみつけにくい、という話もあります。出生率も都会の方が低い。地方で子育てできる環境が整い、そこで再婚できれば、さらに子供を産もうと考えることもあるでしょう。そこまでいけば少子化対策にもなります。日本にうずもれた人材、それは高齢者でも、主婦でもなく、実は子育てと仕事を両立しなければならない、シングルマザーかもしれません。女性蔑視を押し付ける議会に、こういった対策は思いつかないのかもしれませんが、女性活用を謳う安倍政権からこうした提案がない時点で、政治の発想力不足を思い知らされる部分でもあるのでしょうね。

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2014年06月20日

雑感。政治の失言

東京都議会で「お前が結婚しろ」、「産めないのか」というセクハラ野次がありました。恐らく自民都議とみられますが、自民都連は発言者を特定することもなく、都議会も火処分者の氏名がない、として処分要求をはねつけています。しかし発言者の周囲にいた人物は知らないはずもなく、セクハラは実際に行った者も、それを黙認した者もセクハラに加担した、という視点でみると、自民都連がセクハラ議員の集まり、と断罪されてしまう可能性もあるわけです。
しかし自民都連が沈黙するのは、都連会長である石原環境相の舌禍も影響している、とみられます。これまでも舌禍騒動をくり返してきましたが、「金め」発言は致命傷です。ここで自民都連からセクハラ議員をだし、責任論が及べば、石原氏の政界での発言力は一気に低下します。ただでなくとも先の総裁選で『もってない』ことを示してしまった。安倍政権でも傍流で、内閣改造でリストラ対象とされるだけに、庇う発言も少ない。不信任を粛々と否決し、閉会中に交代させるという流れが出来ています。パパ石原新党の存在感があれば別ですが、パイプ役にもなれず、石原氏はすでに『終わった政治家』という見方で一致している。自民都連と同時に、石原氏も『終わった』のかもしれません。

河野談話の検証チームが、聞き取り調査終了前に文案作成、韓国との調整という2点を発表しました。前者は調査が杜撰だったことを示し、後者は韓国との外交文書に准じる、ということを示します。外交文書であれば、双方に何らかの合意があり、合意履行を覆した可能性がある。これは表向き、日本の単独調査に韓国側は協力しただけ、というスタンスでしたが、それが覆されるかもしれない。今回の検証チームだけで、正しいかどうかは不明ですが、継続調査が必要なのでしょう。
韓国が竹島沖で射撃訓練を実施していますが、強い反応である点が、この検証に強い危機感を抱いていることの表れ、なのでしょう。密約については、日本は情報公開が整備されておらず、韓国側も情報統制下にあるため検証不能ですが、両国の反応は興味深いところです。

一方で、朝鮮総連の競売に対し、最高裁が異例のストップをかけました。北朝鮮との拉致再調査合意から、規定路線であるのは言うまでもなく、政府が司法に介入したことは自明です。この国では外交になると、途端に口が重くなるばかりか、超法規的な手法がめだちます。ことは国益をかけた話なので、ある程度許容される、という認識が裏にあるのは間違いなく、それが実は危険だということに気づいていません。特に、安倍政権がすすめる集団的自衛権の問題は、法整備もすすまないうちに実行し、抗弁して逃げてしまうという傾向が顕著にみられるのです。
河野談話も、結局のところおかしな合意を密約的に結んだことが、禍根を残すことになりました。沖縄返還時の、不透明な資金の流れも隠蔽され、後に判明したことです。セクハラ議員を隠したり、問題発言をスルーしてみせたり、政治が何をもって正しさ、とするかが今は問われています。起こりえないレアケースを並べたり、個別的自衛権と集団的自衛権を混ぜて、議論を混乱させたりする今の安倍政権に、少なくとも正しいことを行う、という認識に欠ける点が、政治における問題の根深さ、を示しているのでしょうね。

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2014年06月19日

FRB議長の会見

日経平均は大幅高になりました。トヨタなどの大型株が活況で、久しぶりの売買を伴ってきましたが、きっかけは米FOMC後のイエレン議長会見です。FOMC声明文でもなく、FOMCそのものでもなく、議長の発言に反応したことがやや異例で、それが今回の大幅上昇の理由でもあります。
今回、FOMCではタカ派発言がでる、との予想がありました。CPIが2%を越え、失業率もリーマンショック前に近づいた。異例の緩和をつづける理由がないため、です。それを覆したイエレン議長会見は、(1)FF金利が正常水準を下回ると、参加者がみていることと整合的、(2)低金利継続と、縮小ペースは経済動向次第、(3)物価は想定通り、(4)市場のボラティリティ低下は懸念要因、(5)賃金は上昇するのではないか、(6)株価は割高とは思わない、(7)高利回り債は注視、です。

重要なのは1と6、リップサービスとはいえ、市場にフレンドリーな発言でした。つまり市場参加者は正しい、異常な水準ではない、とFRB議長からのお墨付きをえて、債券買い、株買いのプログラムが走った。疑心暗鬼に陥りつつあった、市場参加者が自信をとり戻した点が大きい。
一方で、日本でも外国人投資家が、これまで弄っていた新興株や小型株から大型株に資金シフト、FOMCでタカ派発言がでると見込んで売っていた、売り方の買戻しを巻きこんで大幅高となりました。日本でも、すでに割安といえない水準にあり、一層の相場上昇に懐疑的な見方も多かった中で、FRB議長の発言が背中をおした形です。しかしこの流れに継続性があるか、不明です。

問題は、FRBが米国の今年の成長率見通しを大幅に下方修正したこと。2.9%程度から2.2%程度と、第1四半期の悪化を反映したとされますが、米国で異常気象はつづいている。まだ下がる可能性があります。一方で、ボラティリティの低下、独英でも低利すぎて住宅市場の高騰を招き、懸念要因とされるように、今後の金融市場は引き締め方向ではないか、という懸念を封印してしまったこと。これが過度なリスクテイクを招く恐れをFRBは認識しつつ、何も対策を示していないこと、があります。つまり市場フレンドリーすぎて、中銀としての役目、手綱を握っていないように見える点が、今後の市場でリスクがおきたとき、責任問題に発展する可能性があります。
金融相場の間延び、という言い方をしていますが、6月に入って外国人投資家が日本のポートフォリオ引き上げる、との見通しを増やしています。これは日本株が割安になったのではなく、欧米市場が高値で行き詰まり、相対的に日本の持分を増やす、という流れです。つまり割高でない市場を買う、これが間延びした部分であり、経済情勢をあまり注視しない動きにもなってきています。

そのためボラティリティが低下する。大きく下げない、高値は維持する、結果として値動きが悪くなる。これを「市場は正しい」と言い切ったイエレン議長に、市場は一旦好感して、株高の流れになっています。しかしリスク要因が様々に増えてきている現在、安易に楽観にふれてしまうと、後の反動を大きくするだけです。市場コントロールを放棄したFRBに依存する傾向が、益々強まるのかもしれません。しかしそれは、下支え役の不在を意味しており、今後に懸念を残しそうな内容となったことは、間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2014年06月18日

日銀の資金循環統計について

日本百貨店協会が発表した5月全国百貨店の売上高、前年比4.2%となり、4月の12%減から改善と伝わります。しかし4月も同様ですが、これは前年比での統計であり、消費税増税前の駆け込む需要の反動、というのとは少し異なります。昨年4-6月は急速にすすむ円安で、輸入ブランド品を価格転嫁する前に購入する消費が活発化しており、減少の原因は円安駆け込み需要による反動減です。
気になるのは5月貿易統計速報で、金額ベースで輸出が前年比2.7%減、輸入も3.6%減と、日本経済全体にシュリンクがみられる点です。これは一過性、とする分析もありますが、前年比で示される数字が、昨年並みにもどる見こみは現時点で何もありません。逆にいえば昨年、安倍ノミクスで煽りに煽った反動が、今年は強く出てくる。株価も為替も頭打ちなので、それは仕方ありません。問題は、むしろ輸出の落ち込みです。世界経済も同様に、株も不動産も頭打ち傾向が強まってきた。賃金は上がらず、またイラク情勢の悪化によるガソリン価格の高騰なども含めて、世界規模で消費の増大が望み薄になってきていることが、数字からも読み解けます。

日銀による2014年1-3月期資金循環統計が発表され、日銀の国債保有残高は201兆円と、前年比57.2%の増加となっています。黒田バズーカと称される質的、量的金融緩和(QQE)で、保険業を抜いて日銀が最大の国債保有団体となりました。保険業も0.3%増の193兆円ですが、国内銀は18.1%減の130兆円、中小金融は7.8%減の159兆円と、銀行系の保有が大きく落ち込んでいます。一方で海外が2.5%増の84兆円と、国外の保有比率は着実に上がっており、これは黒田日銀の動きに、順張りする傾向の強い外国人投資家、特有の動きであると推測されています。
まれに、日本の国債が暴落するリスクを指摘する向きもありますが、外国人が売りたてても10%未満であり、レバレッジをかけてもまだ影響は限定的です。代わって国内銀ではなく日銀が20%と存在感を増す傾向は、安定保有を意識させます。ただし、暴落はせずとも金利が上昇すれば、じりじりと日銀が損失をためこむことになり、徐々に起きるというより、決壊のような形で、暴落は起きるのでしょう。ただし、現時点ではかなり低い確率と言わざるを得ません。

一方で家計の金融資産残高が3.3%増となりました。現金・預金が2.1%増ですが、この大半が株や為替などの運用益を現金化したもので、リスク性資産の残高も増えていますが、3月末までに現金化した残りとみられます。企業の金融資産残高も9.8%増ですが、これは日銀の緩和効果というより、駆け込み需要による手元資金の増大、という面が大きい。円安による海外保有資産の増加を、現金化しておく流れもあったのでしょう。しかし上記に指摘したように、好循環は昨年度まで、今年は今以上に資産が増大する、という根拠は何も見出せないのが現状です。
安倍クロ、と称される政府、日銀の施策により、もつ者ともたざる者の格差が、一段と開いたことは間違いないのでしょう。賃金は一貫して下落をつづけ、それでも金融資産の増加が、消費を支えてきた。それは全世界で同様の傾向です。しかし今の市場は株にしろ、不動産にしろ、上値余地は少ない。これは『金融相場の間延び』であり、今年はその反動に世界全体が苦しみ始めた。金融相場をこれ以上、活況にする材料は何もありません。日米とも、年後半に景気は加速、という論調が未だに支配的ですが、その材料は現時点の経済統計では、何も示されていないことは憶えておいてよいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年06月17日

エネルギー白書について

22日の会期末にむけ、国会が慌しくなってきました。会期中に閣議決定をめざす自民と、時間稼ぎをして一定程度、抵抗したというスタンスをとりたい公明と、時間軸の勝負となっています。国民の権利が根底から覆される『おそれ』…の部分で、『おそれ』だと時の政府により解釈が変わる、などと語られますが、『日本の存立が脅かされ』や『他に適当な手段がない』、『必要最小限度』でさえ、主観に頼った判断になります。時の政府が無能なら、他に適当な手段がなくなりますし、必要最小限度も銃を一発撃つのか、ミサイル一発撃つかもそれは判断です。
例えば、日本では警察官が発砲すると、その是非について警察から「適切だった」と発表されるだけで、検証機関はありません。自衛隊も、武器使用について一々軍事裁判を開くことはないでしょうから、必要最小限度を判断するのは、主に現場となるでしょう。過度に怖れれば武器の過剰使用が懸念されますが、全員が口を噤めば、証拠もなく行為そのものが『他に適当な手段がない』、『必要最小限度』だった、と発表されるでしょう。この文言では恣意的にならざるを得ないのです。


閣議決定されたエネルギー白書、自民の見方が強く反映されています。LNGなどの輸入費が震災前とくらべ約10兆円増、とする一方、原発停止による穴埋め火力による増加分は3.6兆円と試算します。つまり6.4兆円は円安のせいで増加した、と読みとれます。それを端的に示すのが震災前と比べ、足元をみられたLNGのドル建て価格は1.4倍、円ドルはその間に1.3倍なので、量ではなく価格で約1.8倍になったと試算されている。しかも電気料金はその間に2倍、新規火力の導入ばかりでなく、動かせない原発維持費まで国民負担に回っている、ということが白書から読み解けます。
だから原発を動かさなければ、という論調で彩られており、しかもウランも自給ではないのに、エネルギー自給率が悪化としています。価格で比較すれば、上記のように輸入が増えたように見えるため自給率は悪化しますが、エネルギーを国外に頼る構図は原発を稼動させても変わりません。再処理が動けば別ですが、そのコストを考えると、逆に自然エネルギーや再生エネルギーでも十分ペイできてしまう。原発再稼動に、まともな正論は垣間見られない白書になっています。

CO2排出量の問題も、日本は発電時の脱二酸化炭素装置も海外に売り込んでいる。古くて設置できない設備もあるでしょうが、新たに設置できるのなら装置を組みこめばいい。原発が解決策では決してないのです。北米でもエネルギーが自給できるようになったのは、価格の高騰で、内製する方が安くなったから。今後も円安が継続するなら、国内でメタンやバイオマスを活用した方が、安上がりになる可能性もあり、その場合は自給率も改善するでしょう。
ソフトバンクが米ベンチャーと組んで、電力小売にのりだします。原発が本当に割安な電力か、それは自由化がすすめば、益々国民の目が厳しくなるでしょう。今でさえ嘘で固められた原発神話には、安倍政権の手法と似通うものも垣間見える。真実に堪えられる内容でないのは、エネルギー白書も同様です。化石燃料の可採埋蔵量は示しても、ウランの埋蔵量は併記しない。そんな形では、一向に原発の必要性は感じられない、となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 政治

2014年06月16日

雑感。市場の下落とメディアの態度

昨日のW杯日本−コートジボアール戦、フジTV『とくダネ!』と日テレ『スッキリ!!』がTV観戦していない人に「なぜ?」とインタビューする特集が話題です。奇しくも安倍政権と近く、世論誘導競争を繰り広げる2社、というのが興味深いところです。例えばW杯で盛り上がれば、その消費も期待できますし、TV中継も視聴率が上がれば広告収入が上がる。何で見ないのか? と質問すること自体、TV側が自分たちの都合で傲慢な意見を押しけているだけ、に見えてしまいます。
毎回こうしたメディアの態度に思いますが、TVや新聞が煽れば煽るほど、結果が伴わないことが多い。この国のスポーツ文化の低さ、はメディアの責任にもあるのでしょう。一方で、試合後にゴミ拾いをしていたサポーターが話題ですが、民間レベルでは称賛できても、それを伝える側がネット情報でこうした行為を知り、何で見ないの? などと質問してそれを放送している。奇しくも両番組とも『!』がつきますが、TVの常識と違うことをする人に一々驚いているようでは、国民目線との乖離や、放送される情報の質の低下も宜なるかな、となってくるのでしょう。

今日の市場は再び15000円を割れました。結局、13日の金曜日に安倍首相が法人税減税に言及という情報が流れ、一段高したときから行ってこいの展開になりましたが、これは非常に由々しき事態です。これまで、市場では「安倍に逆らうな」が合言葉で、短期の売り方以外にも一段高を志向する展開でしたが、それが1日しかもたなかった。安倍相場の崩れるサインかもしれない点です。
最近、TOPIX型が強いことを「相場の強さ」とする向きもありますが、見方は少し異なります。信託経由の年金なら、恐らく分配型で現物株を買うので「安倍に逆らうな」で、より広範な銘柄を組み入れているTOPIX型に、大きな売りは入れない。一部銘柄に指数寄与度が偏った日経225型は、その分操作し易いので、13日はTOPIXより日経225が2倍近く上がっており、今日は2倍以上下がった。相場全体に、信託経由の買いと、先々週のように一気に外国人が買う以外の勢いは感じられません。

以前から指摘しているように、成長戦略に失望すれば、外国人投資家は一気に離れていくでしょう。MSCIの投資先格付けで、韓国と台湾が先進国入りを見送られ、日本からの資金流出が一先ず先延ばしになりましたが、投資先としての日本の魅力は、確実に低下している。年金さえ崩せる目処がつけば、成長戦略の前か、後で売り立ててきても決しておかしくありません。当然、成長戦略が期待のもてるものなら、売りは出てこないでしょうが、今は年金と外国人投資家の、一進一退の攻防というのが、少ない売買高の中での市場の先行きを決める材料なのでしょう。
石原環境相が、中間貯蔵施設の受け入れについて「最後は金目でしょ」と発言しました。その言葉は奇しくも安倍政権、全体の態度を示しているようです。株高、円安にしておけば文句ないでしょ、と言わんばかりで、逆にそれで支持率が落ちるようなら「何で?」と国民に問いかけるのかもしれません。どちらの番組をみても、得だと思うこともなければすっきりもしませんが、国民目線と乖離した態度をとられると、もやもやすることは間違いありません。安倍政権も同じ、市場さえ保っていれば国民はサイレント・マジョリティーのまま、とでも考えているなら、市場からその欺瞞を暴く日はそう遠くない時期にくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | メディア

2014年06月14日

イラク情勢の緊迫化と、日本の集団的自衛権

イラク情勢が緊迫化し、米国がイランに接近するなど隔世の感もある中東情勢ですが、オバマ米大統領は地上部隊は派遣しない、空爆も拒否と、今のところ米軍は動かさないとだけ伝わります。シリア情勢の膠着化で、シリアへ遠征していたスンニ派過激組織がイラクへともどり、攻勢をかけていると伝わりますが、中東に国境線はない、ということを示すようです。いくら選挙をしても、中東では民主主義が根付くはずもなく、混乱を助長させてしまうだけ。中東には選挙より、族長の話し合いの方が平和をもたらす、欧米の余計な価値観や、介入は必要ないのかもしれません。しかし兵器を手にしている以上、国際社会が何らかの手を打たなければなりません。
ただしシリアも同様ですが、アサド政権が続く方がいいのか、イラクではマリキ政権が続く方がいいのか、まったく不明です。エジプトでもシーシー氏が大統領に就任しましたが、前モルシ政権派とみられるテロが頻発している。今後、数年は中東情勢は混乱するとみておいた方が、間違いないのかもしれません。恐らく、どんなに民主的な選挙により政権が交代しても、前政権派が面白くなく、武力により現状変更を起こそう、混乱してしまうのが必定です。実は、イランがもっとも民主的な選挙により、政権交代できているというのが、中東情勢を考える上では重要な示唆を与えてくれるのでしょう。イランは独自で民主主義を取り入れてきた、宗教指導者と政治指導者の区別、などの権力の分散を考えていくのが重要なのでしょう。

日本に関係しそうなのは、原油です。WTIで1バレルが104$をつけ、今は様子見をしている状況ですが、イラク混乱が中東へと波及していくと、原油、天然ガス価格に影響するでしょう。そしてさらに、日本の集団的自衛権の問題にも直結します。今はまだ、オバマ政権のオプションは「検討中」とのことですが、何らかの関与をしなければ、中間選挙への打撃となるのが確実です。
もし米国が参戦するなら、日本にも支援を求めてくることが確実です。無人機による空爆や、ペルシャ湾からの遠距離ミサイルなら問題ありませんが、地上戦になれば後方支援部隊が必要となるからです。今はまだ、日本でも閣議決定していない段階であり、ムリだとしても、日本が参戦できる要件を備えれば、必ず日本にも派兵を求めてくるでしょう。なぜなら、イラクでも日本企業が権益をもつ油田があり、高村氏私案の「国民の幸福追求の権利」が、侵害される恐れがあるため、十分に派兵条件を充たすと判断されるためであり、もはや言い逃れできません。

しかもオバマ政権がそうであるように、イラクに介入したとて米国が得られるものは少なく、一方で負担は莫大です。さらに介入しなかったときのマイナス面も大きい。その綱引きで判断しなければならない。安倍政権なら、安易に米国に追随する、と判断するのでしょうが、後の政権が財政との兼ね合いを考えたときには、非常に難しい判断になるはずです。しかも、先に記したようにマリキ政権が、今後もつづくかどうかは介入しても不透明で、次の選挙では負けるかもしれない。そのとき、日本が戦った側が政権についたら、目も当てられなくなります。
なぜか、日本では今回のイラク情勢の緊迫化と、集団的自衛権の議論を重ねる論調が少ないと感じるのも、やはり集団的自衛権の議論が、非常に歪んだ形ですすめられていることの証左なのでしょう。ペルシャ湾の機雷掃海、という矮小化した議論に目を向けさせているばかりでは、今回の議論は不足していることが、ほぼ間違いないのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

2014年06月13日

集団的自衛権の議論

場中に、安倍首相による法人税減税へ言及、という話が流れて市場は15000円を越えてきましたが、ぶら下がりで決意表明しただけ。何の確約もなく、国際的な講演でも言及していたぐらいですから、それを改めて確認したに過ぎません。15000円を割れると、官製相場で上げてくる。底堅い、という声も聞かれますが、底が柔らかいからこそ政府が口先介入で維持している。もしかしたら、今日も年金の買いが入った可能性もあり、決して強くはない。そもそも代替財源の確保がどうなるか分からないまま、イラクの緊張を覆せるほどの材料ではないのに、大幅上昇するのはおかしな流れ、と言わざるを得ない。決して好感できる状況ではないのでしょうね。

中国軍機との異常接近で、中国側が映像をだしてきました。しかしスクランブルには見えませんし、距離もある映像で、しかもいつ撮影されたかも分からない。自国に都合悪くなると抗弁で交わす、いつものパターンであって論評にも値しませんが、昨日も指摘したように安倍政権では経済統計に、歪んだ見方をもちこみ、情報操作する癖があります。今はまだ、過去の事例を鑑みても中国側の情報操作、捏造の可能性が強く疑われますが、安倍政権が続けば続くほど、日本が国際社会をだます、そんな情報操作をする疑いが国際的にも認識されていくのでしょう。著名投資家が「安倍氏はアジアでもっとも危険」と発言する裏には、多くのブレーンを抱え、情報を分析する著名投資家にとって、安倍氏は嘘をついている、と気づいている面も影響します。
集団的自衛権の問題で、公明が妥協点を探り始めました。中国と関係の深い、創価学会がバックにいる公明が折れたのは、政教分離をチラつかされた、世界的にカルト教団指定を受けかねなかった、などの話も伝わりますが、中国との折り合いがついた点もあるのでしょう。現状、中国は対外的に危機をつくりだし、国内統治に利用するといった手法が目立ってきた。中国軍が暴走し、政府が後から反論づくりに忙殺されても、その方が都合いいので黙認する形です。よって、日本が軍拡にまい進していると喧伝できることは、中国にとっても利益があることになります。

自民、高村副総裁による三要件など、何の意味もありません。「必要最小限の実力行使」としても、相手が宣戦布告とみなせば戦争です。最小限だから…などと言っても通じません。最大限に厄介なのが、米艦防護で自衛隊が敵艦を攻撃した時点で、日本が宣戦布告をせず、攻撃したとみなされる点です。戦争におけるルール破り、未だにとかく問題視される真珠湾攻撃のときと、同じ轍を踏みかねない。それは敵が基本ルールを無視して反撃してきても、文句が言えなくなる恐れすらあるのです。ルールなき戦争ほど、悲惨なものはない。そこに一歩近づいた形です。
そうならないためには、日米安保では明らかに力不足です。すなわち日米軍事同盟を結ぶ。安倍氏は首相就任中、そこまで目指しているのかもしれません。軍事同盟を結び、相互に防衛義務を負う、と明記すれば、宣戦布告せずとも米艦防護で敵を攻撃することが可能です。しかしその場合、『必要最低限』など消し飛ぶでしょう。そもそも敵を攻撃しておいて『必要最低限』など、単なるこちら側の気持ちの問題に過ぎないのです。

しかし法制懇のメンバーが、ラジオ放送でキレる場面がありました。安倍氏のおトモダチはみんなキレ易く、逆にそういう人たちが国防を議論している、ということに不安を感じます。大人になりきれない、子供に兵器というオモチャを握らせたら、使ってみたくもなるでしょう。世界各国で財政が逼迫する中、世界的な緊張という流れで軍拡をすすめていくのは、チキンレースに似ています。日本がもっともその余裕がないのに、軍拡をめざす安倍政権に、経済・財政に対する基本姿勢は、国民から搾取する、ということになってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2014年06月12日

経済統計の虚偽と、金融市場

世界銀行が2014年の世界の経済成長見通しを、1月の3.2%から2.8%に下方修正しました。毎年こりもせず、下方修正をくり返すのは、一つに突発的事象を考慮していない、織りこむべきではないとして排除してしまう、そんな体質にあります。米国が0.7%の大幅な下方修正で、寒波の影響としますが、西部の旱などの影響を今後織りこむなら、まだまだ下がるとみて間違いないのでしょう。
しかし数字の信憑性については日本も同じで、安倍政権になって、特に酷くなったのが経済統計の操作であり、表向きの数字が信じられません。有効求人倍率が1.08倍となり、海外で安倍首相も「成果」と述べています。しかし産業別では増税前の駆け込み需要対応で3月までの期間工が多く、新規で4月から募集をはじめた製造業が突出して高く、宿泊・飲食、建設、卸売・小売と続きます。ワンオペの過酷労働で定着率が悪い飲食や、公共工事の増えている建設業など、明らかに求人に偏りが大きい。特に今回、寄与したのが求職者数が前年同月比10%以上減少しており、端的にいえば仕事探しを諦めた人の増加です。しかも求人はパートタイムや臨時、期間工が多く、これでは労働参加率の低下や、労働の質の低下が寄与、という形であり、決して誇れる成果ではありません。

以前とりあげた、景気ウォッチャー調査も、50が景気判断の別れ目、という言い方がされますが、詳細をみれば現状判断DIは3月から4月が「悪かった」が多く、4月から5月は「変わらない」が増えた。「変わらない」が増えたので、数値は改善しているように見えますが、4月の駆け込み需要の反落の月と「変わらない」なら、現状維持なだけですが、それでも「改善」と報じられます。
経産省の発表した、東証1部上場企業1762社の賃上げ状況の調査、908社が回答し、今年は46.7%が何らかのベア実施、と報じられます。しかし分母が子会社重複回答による927ではなく、引き上げた、引き上げると回答した855であり、908社なら44%、東証1部上場企業全体からみると23%にすぎません。官製賃上げの効果は4分の1しか出なかった、が正しい見方です。経産省が鉛筆を舐めた結果、半数近くとなりましたが、実質賃金が3%以上下落したことをみても、23%の方が整合性があります。むしろ発表された統計を付き合わせると、ボロが出る形となっているのです。

証券会社や、大学教授などが集まり、日本の投資を活発化させるには? とのシンポジウムを開いていますが、NISAの活用など、どれも的外れな印象です。個人的には、情報を正しく分析し、それを顧客に提供していくサービスが著しく劣化していることが問題と考えます。政府発表、財界の思惑に沿った意見は目立ちますし、とり上げられ易く、証券会社などがそちらに流れている。結果、騙されたと感じた投資家が市場から撤退していく。もっとフラットな判断に基づく、正しい見方を伝えていくことで、市場の魅力を伝えていく努力が欠けている、と感じます。
米系証券大手が証券業務の縮小をすすめる方針です。世界的にボラティリティが低下し、市場で稼げなくなったことが原因です。日本の中小証券会社は、相場操縦や業務改善命令をうける始末。相場の透明性どころか、健全性を危うくする事例が増えている。昨年は業績改善で湧いた証券業界が、今年は一気に苦境へと陥りかけている。それは政府の垂れ流すウソを、一緒になって伝えていれば、そうなるでしょう。政府が健全性を欠いているなら、市場から催促する機能が求められますが、今はそれすらできない。金融相場にも関わらず、金融市場が盛り上がらない今、証券業界にも生き残り競争が始まっていますが、一番生き残りにせこい手をつかっているのが、安倍政権という事態が、もっとも危惧すべき状況ということになるのかもしれませんね。

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2014年06月11日

ホワイトカラー・エグゼンプションについて

中国軍機が、再び東シナ海で自衛隊機に急接近する事例がありました。日本の集団的自衛権の議論が活発になると、中国軍の動きもそれに呼応し、危機感を高めてくる。これは中国軍にとって、自衛隊の脅威を訴えることで、自国内での立場の強化や予算獲得になるとの思惑があってのこと、です。奇妙な話ですが、安倍氏の訴える集団的自衛権の議論と、中国軍とは軍拡という点で相互扶助の関係にあります。安倍氏が東アジア情勢を訴えれば訴えるほど、実は危機が高まります。
中越関係の悪化で、人民解放軍が越国国境付近に集結している、という話もあります。キッカケがあれば中国軍は、越国へとなだれ込むでしょう。中国共産党にそれを抑止する力もなく、追随せざるを得ない。そんな事情も中国軍を助長させています。むしろ集団的自衛権より、そのとき日本がどういう制裁を中国に対し、国際社会に求めて行くか、が重要となってくるのでしょう。
党首討論でも、安倍氏が持論をふりかざすケースが目立ちましたが、米艦防護の話ばかりが目立ちますが、中国艦が日本人をのせ、北朝鮮から攻撃をうけたらどうするのか? 最近、中朝のすれ違いも目立ちますが、米艦のケースもレアなのですから、事例としては有りうる話です。そのとき、日本は中国艦を守るのか? 同じレアケースとして議論の俎上にのせてもよいのでしょう。

ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)とされる残業代ゼロ、成果による報酬という契約を認める制度ですが、その労働者側の条件が年収1000万円以上、高い職業能力に限定される方向になりました。労働者が厳しい条件で契約させられ、使い捨てられる、という懸念と同時に、新たな懸念も浮上してきます。それは新たな天下り、官と民との癒着を促す恐れ、です。
まだ条件が不明瞭ですが、例えば官民交流で受け入れた官僚を、WEで特別待遇とし、特に仕事も与えずに遇しておくことが可能です。これは退官した官僚でも同じ、これまでの天下りでは役員や、特別管理職などで待遇するため、逆に目だってきました。しかしWEを利用すると、一般社員にまぎれさせ、尚且つ厚遇することができる。自発的に辞職し、民間企業に一般職としてつく場合、どこまでを天下りとするか、線引きが難しい。そうした隠れ蓑になる可能性があります。

高度専門職、が一体何をさすのか? 一部では例も示されますが、元官僚は、官僚側の言い分では高度な専門知識を有する、ということになるでしょう。法人はそうした理屈で官僚を受け入れてきました。今回、WEを適用すれば1000万円以上の年収が確実に確保されるのです。この議論が当初、産業競争力会議で示された「管理職手前の総合職」から、厚労省の抵抗で条件が変わった時点で、これは労働法制の問題から、官僚の天下りへと問題が摩り替わった印象です。
こうしたことは、本来政権が見抜かなければなりません。しかし安倍政権に、それはできない。元々、官僚とは一蓮托生、相互扶助の関係にあるからです。安倍政権のうちだす成長戦略で、一体何が成長するのか? 厳しい目でみていかないと、益々官僚天国になりかねない、そんな形になってきましたね。

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2014年06月10日

成長戦略の骨子案について

日経平均が15000円を割れてきました。週末のSQにむけ、買いが重かった面も要因ですし、急速にすすむユーロ安も気になるところです。スペイン国債の利回りが、米国債利回りを下回るなど、世界が異常な金融緩和に陥る中、複層的な要因とはいえ、説明のつかないことが多過ぎます。史上最高値に沸く米株、独株など、売買高が著しく低下しており、まったく熱気がない。本当に、将来の経済成長を期待しているのか? というと懐疑的で、それでも上昇しています。VIX指数の低下、ボラティリティの低下、次の変調を予感させる傾向も垣間見られています。
そんな中、日本の急落には一部、政府が示した成長戦略の骨子案が影響したのでは? との見方があります。安倍首相が強い意欲、と伝わるJA全中改革は、自律的に新たな制度に移行、と表現を和らげ、ホワイトカラー・エグゼンプションも調整中。そもそも、ここが成長分野か? ということにも疑問がありますし、施行には正負両面があります。残念ながら、今の政府、官僚にマイナスのシミュレーションを行い、穴を塞ぐような対策は期待薄ですから、悪法になりかねません。

50年後に1億人の人口をキープ。としてみても、女性の社会進出を促せば、子育てが覚束なくなる。幼保一本化も道半ば、ベビーシッターでも事件があったように、需要と供給にミスマッチがある。そこに対して、どうやって? という項目が完全に欠落した状態です。第3子以降の重点支援、としてみたところで、今はデキ婚してすぐに離婚、子供を抱えて生活費を稼ぐため、働きにでる女性が多い。第2、第3子とつくる余裕はありません。それに第3子ともなれば、女性はほぼキャリアを諦めなければならない。いずれにしろ、今まで上手くいっていないのですから、新たにどうするか? というものがあって骨太のはずですが、まったくそれがありません。
民間投資を喚起し、対日直接投資を促進、そのための法人税改革としますが、今は需要に応じて供給側も工場を設置します。例えば今、新たなタックス・ヘイブン化しているのが英国で、英企業買収の話が活発なのも、英国に拠点をおく企業への税優遇が顕著で、そのための動きが出ているのです。では日本が、英国と争って企業優遇競争に陥るのか? そして米国は、英国のそうした動きに切歯扼腕している。日本は米国からシッポを踏まれるため、当然競争には負けます。新興国から日本へ進出してくる企業は稀でしょうから、一体どこと競争し、対日直接投資を求めるのか? すべては需要が減る日本には、法人税減税ぐらいでは魅力がないこと、なのです。

しかも安倍ノミクスが成功すると、必ずいずれ急激な円高局面を迎えることが、対日投資を控える要因となります。日銀の量的緩和が終わったら、金利上昇に伴う円高。インフレが昂進しても円高。無理やり金利を抑え、流動性を供給しても100円と少しの水準なら、将来的には70円を切ってくることも想定しなければなりません。そんな国にあえて投資する企業があるとは思えません。
安倍ノミクスは将来的に成長する分を、今先どりした政策です。逆にいえば、今以上に成長を促すことはあり得ません。円安によるコストプッシュインフレが、いずれ消費を減退させることが確実です。消費が減少していく国から、消費が増大する国に変える、それこそ真の成長戦略のはずですが、人口減対策は乏しく、企業優遇ばかりを考える安倍政権では、ハナから背伸びするぐらいの成長しかできない、ということかもしれず、以前も指摘したように海外勢が売りたててくるのか? 成長戦略のはずが、デッドラインになりかねない、そんな状況でもあるのでしょうね。

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2014年06月09日

5月景気ウォッチャー調査

サッカーW杯が後3日と迫りますが、ブラジルでは反対デモが起こるなど、治安への不安が付きまといます。米国の金融政策に左右されてしまう脆弱な経済下で、家電購入などに補助金をばんばん使いまくり、気がつけば国家財政の困窮が襲っていた。そこにW杯、五輪と重なる公共工事が重しとなり、安価な工事の発注、それが安全軽視、手抜き工事へとつながっている。泥沼というほどではありませんが、泥縄で次々に対策を講じざるを得ない、そんな状況です。
中国でも、預金準備率を0.5%引き下げる、と発表しました。効果は低いとみられますが、金融機関が融資を渋り始めた傾向に、当局が危機感をもっている、というアピールを狙ったものです。BRICsともて囃されたのも今は昔、経済成長が一服したところで、投資資金はBRICsよりも成長していない、新興国へと向かう。ここから10年は、ここまでの10年を如何にうまく経済を運営してきたか、それが問われることになります。バラマキや、過度な不動産投資に頼った経済では、破綻が意識されることにもなってくるのでしょう。

1-3月期GDPの二次速報が発表され、一次速報より0.1%上方修正され、前期比1.6%成長に。年率換算で一次速報より0.8%上方修正し、6.7%となりました。高い伸びですが、増税前の駆け込みが想像以上に大きかったことは各指標に表れており、それが反映された形となりました。
一方で、5月景気ウォッチャー調査が発表され、現状判断DIが45.1と3.5pt改善でした。この結果に、上昇したと喜ぶのは早計です。個別には住宅や飲食が落ちこむ一方、小売が堅調でもどり、と報道されますが、構成比をみると『悪くなっている』が大幅に低下する一方、『変わらない』が増えたため、DIが改善したのであって、4月の増税後から改善は道半ばだと示しているのです。

先行き判断DIは53.8と3.5pt改善です。こちらは悪くなる、やや悪くなるが相対的に減り、『ややよくなる』が大幅に増えたため、改善した面が大きい。これだけメディアで増税の影響は限定的、夏ごろに回復、と伝えているので、期待感がのった可能性が高い。全体としては、消費税増税の影響を払拭できたような、そんな材料はなかった。あくまで横ばいが正しい見方です。
日本の株式市場は、大型株が見送られ、中小型株に売買の中心が移っています。これも今が健全な相場でないことの、証左なのでしょう。15000円にのせると、フェアバリューになってしまい、高抜けし難くなる。米系が先物に積極的なため、シカゴ日経平均先物は高く返ってくるものの、ここ数日は鞘寄せはしてもその水準が抜けず、後場ダレる。年金の買いもこの水準からは期待できない点も、上値を重くするのでしょう。オプション市場をみると、15500円の水準が重くなっているので、週末のSQに向けては15000円との綱引きを演じるものとみられます。しかし日本とて、安倍ノミクスが始まってから公共工事や復興支援によるバラマキ、金融緩和に頼った経済を重ねてきたことも確かです。今はまだ、楽観が支配する相場ですが、VIX指数がリーマンショック前の水準にもどった、という話もあり、過度な楽観のときほど警戒しなければいけない、そうした状況には来ているのでしょうね。

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2014年06月08日

野党は野合に向かうのか?

日本維新の会が分党し、橋下氏に37名、石原氏に23名という結果になりました。石原氏側は『自民とのパイプ』を誘い水に、切り崩し工作をしたと伝わりますが、そういう誘いにのった人間が、後で「騙された!」と騒いで、新たな火種になります。石原氏は公明を追い出して、自分たちが連立に加わりたい、と色気をみせますが、すでに自民内では公明、創価学会票に頼って選挙している議員が多数を占めるのであって、石原氏が票をもっていない以上、その誘いは無意味です。
今、安倍氏は支持率という追い風をうけ、党内にも強気の態度でいますが、安倍氏の勢力は、元々多数派ではありません。前回の総裁選でも、石破氏が党内で嫌われていたから、安倍氏に票が集まったのであって、支持率が下がればすぐに見限られる。だから、メディアも必死で支持率の高止まりに努めます。安倍氏が党内の反対を押し切って、世論がどう動くか分からず、また創価学会票離れを起こしてでも、石原氏の新党にすり寄ることは絶対にありません。

そんな中、民主党内で代表選の前倒しにふれ、前原氏など維新と結いが合流した新党への参加を「100%」と述べるなど、野党で新たな動きが出そうです。前原グループが離れ、維新・結いに合流すれば、野党第一党になれます。前原氏は党代表になり、民主党丸ごと合流したいのでしょうが、民主内の旧社会、民社系が快く思いません。ふたたび党内分裂の火種を抱えるようなものです。
海江田氏は結い、みんなの代表と相次いで会談、しかし結いの脱官僚、みんなのアジェンダと、どう考えても民主の政策は整合しない。政策の旗を下ろし、他党の政策を丸呑みするぐらいの度量は、残念ながら海江田氏にはない。逆に、それをして党内をまとめ切れるスケール感のある政治家は、民主に見当たりません。言葉は悪いですが、サラリーマン政治家しか残っていません。

こうして野党の再編の動きが活発化してきましたが、どれも数合わせ、野合との批判もあります。しかし実は自民とて野合です。集団的自衛権の議論で党内から異論がでるのも、右から左まで揃う、党内事情が影響します。しかし自民は利権で強固に結びつくため、自らの利権を壊さないよう、最後はまとまる、という違いしかありません。利権を築く前に壊れた民主と、そこが異なります。
そもそも主義、主張のそろった人間が一つの党に集まり、多数を占められるほど絶対の理念を唱える政治家など、皆無です。メディアは大絶賛する安倍氏の主張も、党内では少数意見、国民の理解も低いなど、まさにその端的な証拠といえるでしょう。つまり日本のような国では、理念や理想論ではなく、国民の支持をえて次の当選をちらつかす、という形でしか、党内をまとめ切れないのです。

野党は今、利権がないので野合という形が浮き上がる。しかし自民が政権にもどった途端、防災対策、五輪開催、高速道路建設やら、リニアまで、やたらと利権につながる施策を打ったのも、まさに上記のように利権で結びついた組織だから。だから野合に見えないというに過ぎません。野党、野合というと何となく語呂がよく、またそう報じられると何となくそうかな、と思いがちですが、この国でもっとも組織固めできるのが利権で、政治家がもっともそれを重視している、ということを知れば、この国の政治がどこへ向かうかも、自ずと知れてきてしまうのでしょうね。


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2014年06月07日

「力による現状変更…」の不備

政府が閣議決定した『子ども・若者白書』で、15〜34歳の俗にニートとされる層が、3万人減少したと発表され、その理由として景気の改善と、地域若者サポートステーションが貢献、と分析しています。しかし早速この分析に異論がでており、世代による人口動態を考慮していない。つまり35歳になって外れた人口から、新しく15歳になって加わった人口を引くと約50万人。つまり人口に占める割合が、たった0.1%しか減少しなかったように、実は横ばいであって、景気の改善も、地域若者サポートステーションも効果なし、というのが正しい見方だというのです。
最近、講談社の発行する漫画誌の編集後記で、小保方氏に対して「ブスは嘘をつくが美人は嘘をつかない」などと記し、大きな問題になっています。記者の勝手な主観を、勝手に述べただけで論評にも値しませんが、この言葉を文字るなら「政府は嘘をつくがメディアはその嘘を拡散する」としてもよいのでしょう。『子ども・若者白書』でも、政府はやたらと成果を自慢しますが、数字を追うとその嘘が見えてくる。しかしメディアは検証もせず、ただその嘘を横流しします。

G7でも、日米首脳会談を申し入れたものの、米国から断られた話があります。G7で、円卓にあつまったときでも、安倍氏はぽつんと1人、周りをきょろきょろするばかりで、談笑にも入れませんでした。メディアに公開されたのは、会談前とはいえ何とも情けない限りです。英会話ができないためですが、会議を主導する立場の人間とは、とても思えません。そして成果として発表された、中国を念頭においた「力による現状変更…」の文言も、実は何の成果でもありません。
中越、中比の海洋権益争いが激しくなったのは、ここ最近です。つまりG7でも、ここにきて言及する必要性が生じていた。そこで仮に、日本が提案して「力による現状変更…」の文言にしたなら、将来に大きな禍根を残しただけです。つまり一度、力による現状変更を完了してしまえば、その後どう国際社会から非難されようと、その国の法律が支配してしまう。チベットでも、力により支配してしまえば、その後は中国の内政問題として他国は干渉できなくなる。つまり現状だけでなく、力による封じ込めに反対するか、もしくは二国間、及び民族間の紛争解決法を提案し、新たな国際司法裁判所の活用についてまで言及できれば、それは成果を誇ってもいいのですが、今はただ現状を追認したに過ぎない、それが「力による現状変更…」の文言です。

最近の政府は、ナゼか1つの文言を気に入ると、それを使い続ける傾向があります。しかし「力による現状変更…」ほど、意味を為していないばかりか、マイナス面が大きいものはありません。二国間による領土、権利争いに対して道を示せば、当然のように尖閣も俎上にあがるでしょう。しかし竹島や北方領土解決へ道をつけられる。日本政府に自信があるなら、むしろ今の国際司法裁判所への提訴のあり方を変え、力による争いをやめる、そう提案しなければならないのです。
しかしそれができない背景には、単に日本政府の弱腰、というばかりでない。親米体質である安倍政権では、「力による現状変更」をくり返してきた、そして今後もくり返すかもしれない米国に、その愚を面と向かってつきつけることなど出来るはずもない。また武力以外の解決法を示す、ということは軍隊の必要性も低下してくる。集団的自衛権の議論をすすめる安倍政権で、「力によらない問題解決法」を示すことは、相反する命題を抱えるようなものなのです。当然、問題解決法をつくってもそれに従わない国もありますから、自衛のための軍は必要です。しかし国内で余計な議論を巻き起こしたくない、との思惑から、また「力による現状変更」があるから、集団的自衛権が必要、という議論に摩り替えたい。だから今、政府は何とかの1つ覚えのように、そしてメディアもそれにのって、この文言がくり返されている。政府の吐く言葉には嘘がある、それをこうした文言からも知ることができるのでしょうね。

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2014年06月06日

ECBによる金融緩和策

米5月雇用統計が、非農業部門雇用者数で21万7000人増と、市場予想とほぼ一致。失業率は6.3%と変わらずでした。先月、急低下した労働参加率も小幅ながら回復、時間当たり賃金も微増という形で、回復は順調と印象付けた形です。ただ市場はもうこの材料を織り込み済みであり、史上最高値を更新し続ける米株が、今以上に押し上げる材料とはならないでしょう。それは昨日発表された、ECBの実質的な量的緩和策が、市場では消化不良に終わっていることにも現れます。

ECBのドラギ総裁は、これまでもマジックと称される手法で、市場に安心感を与えてきました。しかし昨日、2回に別けて発表された緩和策は、政策金利の0.1%引き下げで0.15%に、マイナス金利の導入、不胎化オペの停止、上限金利の限界貸出金利を0.40%に引き下げ、TLTROの開始、ABS購入にむけた準備、等です。この中で、TLTROとは期間4年で4000億ユーロを目処に、貸し出しを増やす金融機関へ供給するオペであり、不胎化オペの停止とともに金融機関へ資金を積む、量的緩和に近い効果をねらったものです。また資産担保証券(ABS)の購入は、規模や内容は示されないものの、これも金融機関から買取る形ですから、民間に資金はジャブジャブになります。
ただ米株市場以外は反応薄で、効果をはかりかねています。経済が悪化する中、金融機関に流動性を供給したとて、貸し出しが増えることはない。逆に、資産バブルを発生させる懸念ばかり強まり、その結果一時しのぎどころか、後で大きなしっぺ返しを食らうことがこれまでの経験からわかっています。今、金融不安が起こって、どうしても金融機関が資金を積まなければ貸し出せない、という状況でもない中、これだけの小幅な量的緩和策を積み上げても、成果がでるとは限らない。金融相場と言われる中でも、さらに資産価値への投資を増やして大丈夫か? というのがコンセンサスです。実際、貸し出しが伸びれば好感できますが、まだその評価は定まりません。

日本では田村厚労相が、年金基金の運用見直しの前倒し、などと発言していますが、市場では14000円付近、及び14700円付近での信託経由の買いが、年金によるものでは? と指摘されており、実際に市場が停滞していたときに信託経由の買いが急拡大しています。恐らく先物では米系が、現物では年金基金が、互いに結ぶ形で直近の急上昇を演出したことがほぼ確実です。実は前倒しどころか、すでに年金の株式の運用比率は拡大しており、後づけの議論のようにすら感じられます。
今回、欧州系は踏まされただけで面白くありません。売買高が増えていない点をみても、水準への強い拘りがなく、黙って踏まされたことになり、若干の不自然さも感じます。日本市場に興味がないのか、それとも以前も指摘したように、米系はいずれ売りでとると見て、今は様子見なのか、どちらにしろ盛り上がりに欠ける点は、急上昇という結果からも違和感を生じてしまいます。

今や中国の不動産バブル崩壊が、中国国内からも公然と語られるようになりました。いつそれが中国の金融不安へと結びつくのか、世界は固唾をのんでいるところです。もう世界は買いを増やし、リスクテイクするような環境ではなくなっている。日本の年金基金だけが必死にリスクをとっている今の状況は、英国のことわざ風にいうと『向かい風に小便』であり、いずれそのツケは大きくなって自らの身に返ってくることに、なりかねないのでしょうね。

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2014年06月05日

雑感。ECB、G7、韓国統一地方選

ECB理事会が開かれ、政策金利を0.1%引き下げ、0.15%に。また利率0.1%のマイナス金利にすることで、市中に出回る資金を増やす政策を導入します。現状分かっているのはこの範囲で、LTROや資産買入れなどは行わない見通しです。日本型デフレには陥らない、という強い決意の下、日銀が2001年から行った当座預金残高を増やす、量的緩和策はとらない、ということのようです。
ただこのマイナス金利には注意が必要で、ECBに積まれる余剰資金に付利したところで、貸し出しが増えるわけではない。逆にいえば、現在のように不動産投資に偏るかもしれず、また最近米国でも問題視されている、甘い査定で自動車ローンがくまれる、第二のサブプライムローンともされる方向に、貸付資金が回るかもしれません。そして再び不良債権比率がふえれば、金融機関の体力が削られ、次の危機を準備することになりかねない。経済環境が悪くて、労働環境も悪化する中で、無理やり貸し出しを増やそうとしても限界があるのであって、効果は限定的です。

ロシアが除かれ、G7が開かれました。ロシアへの制裁、力による現状変更に反対、としか日本では報じられませんが、米国の地位低下が鮮明です。ロシア制裁強化は一致できず、力による一方的ないかなる試みに反対…という話も具体策はない。クリミアでも国際社会が微妙な立場をとったように、二国間で解決すべき、という空気が流れている。さらに安倍首相が強く求めた、とされる文言も、例えば中国が南シナ海の開発をすすめた後になってしまえば、この文言自体が形骸化しかねない。つまり今、中国が強硬なようにみえますが、ここで現状変更さえしてしまえば、将来は『一方的ないかなる試み』をするのが、相手国になってしまう恐れがあるのです。
安倍氏は安倍ノミクスは順調、という言い方をしますが、終了後の会見で、外国人記者から指標をみると減速している、と指摘され、有効求人倍率を引き合いにだして問題ない、という回答をしました。しかし正社員への求人は低く、さらに外食や建設業など、求人が非常に偏っている。全体的な広がりではない見かけの数値を誇り、本質ではないゴマカシをするので海外勢の不信が高まり、そうした質問がくるのです。現状をみすえれば、増税後の回復には何らかの景気対策が必要ですが、すでに大盤振る舞いをしてしまった後だけに、対策が打てない。先細りの懸念を海外勢は抱いており、今のように下落率が高かったので買い戻し、というだけの値動きに留まってしまいます。

韓国では統一地方選が行われ、沈没船事故による影響が懸念されましたが、与党は大敗ではなく惜敗程度にとどまりました。韓国の国民性で問題なのは『流される』点です。最近では指摘も増えましたが、メディアは犯人、被害者関係なく事件を追いかけ、捏造してまでその風潮をトレースした報道をします。選挙でも、与党への不信が高まったと思えば、与党支持層の反発をうけて、選挙結果が変わってしまう。いずれも本質が何か? どうすれば良い方向になるか? といった視点ではなく、そのときの流れと、それにどう抗するか、という形で国や国民の態度が決まります。
それは非常に危険で、かつ幼稚といえます。しかし実は、安倍氏のすすめる国づくりも韓国型を目指しているように感じる。経済評論家の三橋氏が明かした、安倍政権のブレーンである竹中氏が、韓国の李明博前政権のブレーンだった、という話もある。韓国で規制緩和をすすめ、その結果船長が責任のない1年契約の雇用になった、といった問題を引き起こしている。翻って日本でも、小泉政権下ですすめた規制緩和で、中間層が壊滅した。彼が携わる規制緩和には、地雷がしこまれているのであって、安倍政権にもその懸念は常につきまとうのです。安倍氏は個人的にも、韓国との近さが指摘されているところですが、ブレーンも含め、一体この国をどこへ導こうとしているのか? 見極めないと、海外からの指摘でないと気づけない、そんなことにもなりかねないのでしょうね。



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2014年06月04日

人口動態統計の出生率

児童買春・ポルノ禁止法改正案が委員会で可決、今国会中に成立する見込みです。栃木女児殺害事件でも、女児への興味が示唆されていますが、単純所持でも処罰できるようになったことは、やっと世界標準に近づいたという形です。TPPでルールを統一する話も大事ですが、こうした児童ポルノや薬の認可、公害の問題など、もっと世界がどういった基準で考えているか? をしっかり考えないと、制度としてのガラパゴス化がすすんでしまいます。
例えば栃木女児殺害事件でも、偽ブランド品販売での逮捕、勾留期間で関与を示唆、と伝わりますが、実際は別件逮捕で、初めから女児殺害事件を本命で捜査していたのでしょう。家宅捜索で児童ポルノなどが発見されれば、勾留期間の延長など、捜査し易くもなります。別件逮捕など、本来はあまりやるべきではありませんが、任意での証拠提出が難しい場合、特に事件から時間が経ったものでは、手立ての一つにはなるのでしょう。

人口動態統計が発表され、特殊出生率が1.43と、前年比0.02pt改善となりました。しかし出生数は7000人以上の減少。女性の数が減少して出生率が上がっただけで、好材料ではありません。人口動態は、昨日の年金の推計でも重要ですし、経済成長にも重要です。しかし自民、民主政権を通じて、ここに目立った対策はない。正直、すべての元凶はこの少子高齢化にある、といっても過言ではないのに、です。しかも厚木でおきた保護責任者遺棄致死事件でも判明したように、子供の行方が分からなくなっている事例が、多数散見されています。虐待での逮捕も増えていますが、出生数が減少するばかりでなく、子供自体が事件に巻き込まれ、命を失っている事例が多すぎます。
子供は有権者ではないので、政治家が見向きもしない。省庁も利権になりにくいため、予算をとりにくく、積極的に動かない。残念ながら、それが子供たちを守る、という基本をこの国ができていないことにつながっているのです。五輪や山手線に新駅、という報道は大々的でも、少子高齢化をどうするか? はあまり報じない。それは政府から積極的な策がないばかりでなく、どうすれば改善されるか? という道筋すら有識者でももっていないのであり、そこに不幸を感じます。

話は変わりますが、維新が分党し、石原氏の側が22人程度になりそうです。意外と増えた印象ですが、中間派の切り崩しに成功したようです。石原新党の頼みは自民との連携ですが、是々非々とします。しかし真の軸は石原氏でなく、平沼氏です。自民としても、石原氏は我が強く、トラブルメイカーなので要らない、平沼氏の復党なら受け入れる方針でしょう。平沼氏もそろそろ引退なので、後継する際に自民党の後ろ盾が欲しい。思惑としても一致しています。また石原氏側となる22人も、ほぼ自民との合流を視野に入れているので、権力志向が強いとみていい。
ただしそう上手くはいかないでしょう。小選挙区制の下、選挙区がかぶる候補は何人も要らない。平沼氏など、比例で遇するのならまだしも、新人議員ではそれも必要ありません。結局、石原新党の一部が合流し、後は足きりか、次の選挙では推薦もうけられない事態になるのが必然です。年内選挙の話も囁かれますが、次の選挙のときの泣き笑いは、このときの判断によって分かれてくるのでしょう。以前から、保守系議員の幼児性、という指摘をしていますが、永田町でイスとりゲームをして、幼児性をもつ議員でまとまるばかりでなく、子供を守るといった大局にたった、日本の将来を考えられるような議員の登場が、今は待ち望まれるところなのでしょうね。

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2014年06月03日

毎月勤労統計で、実質賃金は3.1%減

日経平均が15000円を越えてきました。ただ昨晩、発表された米ISM製造業景気指数が、日中に2度も変更となるなど、米国は異例ずくめの展開でした。ミスとのことですが、あくまで噂として『実験したのでは?』と囁かれます。つまり市場がどう反応するか、それをみるために数字を弄った。指数は当初の小幅下落から、最終的に前月より小幅上昇となりましたが、季節調整に誤りがあって、すぐに判明するなど、実際にはありえないミスと経緯です。以前から、米経済指標に疑義を生じる場面はありましたが、最近では何が正しいかを悩む場面もふえてきました。
米紙では、1-3月期の減速は大雪の被害ではなく、中間層の所得が増えないことが原因では? との論評もでています。米国も低いインフレ率とはいえ、そこに賃金上昇が追いついていかない。堅調と言われながら、米国経済が脆弱なのは、日本で90年代に起こったことをまるでトレースするようだから、です。欧州のディスインフレも鮮明になり、欧州の経済指標にも、悪いものが目立ち始めた。それでも今は、悪材料と好材料が混在する、ゴルディロックスに市場が沸きます。

日本でも、重要な経済指標が発表されました。厚労省の毎月勤労統計です。現金給与総額は、前年比で0.9%増の27万4761円ですが、物価変動を考慮した実質賃金は3.1%減であり、大幅な悪化です。しかも10ヶ月連続のマイナスであり、生活実感は益々苦しくなっている状況にあります。さらに所定内給与は前年比0.2%減と、23ヶ月連続で減少。それを補ったのが所定外給与で、これは前年比5.1%増。つまり毎月の手どりはじりじり下がり、それをボーナスで補っているのです。
前年比で、正社員は1.3%増、パートタイムは0.8%増、これが人手不足の要因ですが、問題は総実労働時間が前年比0.6%減と、駆け込み需要への対応に一服感がでた。今後、雇用は低迷することを示唆します。しかも正社員数の伸びに比べ、現金給与の伸びが低い。つまり官製賃上げにより、給与を引き上げたとしても、非正規の増加により全体を抑制する傾向がみられる。結果的に、日本のインフレは円安による効果だけで、消費の減退が目の前に迫っている状況なのです。

年金部会が財政検証を示しましたが、とんでもない数字が並びます。運用利回り4.2%は、ほとんど実現不可能です。年金財政は破綻、ということを言わないために言い繕ったにすぎません。しかも運用資金の取り崩しがすすめば、益々運用益は出なくなります。しかも年金は、所得代替率が50%を約束しています。しかし、所定内給与が減れば、益々年金の受けとりも下がります。
インフレですべてうまくいく、デフレは悪、とする論調を政府、メディアはばらまきますが、実質賃金が下がり続ける中、インフレが昂進すれば経済には大きな打撃となり、ひいては年金制度すら破綻しかねなくなります。経済が順調に成長し、賃金が上がって、初めてインフレ圧力を経済が享受できるようになる。その認識すらもてない政治家、金融政策担当者により、今は日本経済が真綿で首を絞められるように、苦境へと近づいている。年金制度も100年安心どころか、5年前より益々高い運用利回りにならないと、破綻してしまう制度となっている。この国は、いつか誰かがもうムリ、と言い出すまではおかしな制度を続けるような、正しいことが何か? をまともに語れない国になってしまっている、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年06月02日

第一生命の米保険会社買収

今日の日経平均は大幅高しました。久しぶりに日経225型に買いが入り、NT倍率も拡大しています。ただ月曜日ということを差し引いても、2兆円にとどかない売買代金では、単に先物を弄って値を動かす層が、4日のECB期待を上乗せしている、としか見えません。よく米国市場が上昇すると、米経済への堅調さ、という説明をされる方もいますが、そうしたものはすでに織り込み済みであり、上昇した理由が見当たらないため、理屈をこじつけているだけです。今日の日本市場も、色々と理由を当てはめてみても、むしろ高転びしそうな水準まで上がった、というしかありません。

一つきっかけになった、5月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が、50.8と節目の50を上回ってきました。中国国家統計局発表のPMIは国営や大企業中心であり、政府の個別景気対策ともよべるものが、そこに集中した懸念はあります。つまり波及効果がどこまであるかは、先に発表されたHSBCのPMIが参考になりますが、49.7です。4月より大幅改善ですが、50は下回っており、未だに底打ちではない。あくまで景気循環の中で、好指標がでたというにすぎません。
しかし現状、他に材料もないので、そこに依拠して値を動かします。一方で、米ミシガン大消費者信頼感指数は81.9と、前月より2.2も低下した。米景気も、中国景気も斑模様。欧州ではEU離れが加速するような投票結果が相次ぎ、世界がさらに不安定化していく。しかし金融相場は、そうした不安定だからこそ金融緩和が必要とし、そこに理由をつけて投資環境を改善させようとします。今はそうした動きで、ほとんど説明できてしまうのが現状なのでしょう。

第一生命が、米保険会社プロテクティブライフを買収、という話があります。株式市場はこれを好感するのではなく、増資懸念から下落してきました。確証のある話ではありませんが、P社は買収で大きくなった中堅、あまり契約案件がよくない、ともされます。つまり個々の契約は、元々の保険会社で結んだものであり、それを束ねても管理が大変なだけで、時価総額経営をしてきたツケがあるのではないか? しかも良質な契約が多ければ、そもそも買収されてもいないわけで、この案件は第一生命がミソをひいてしまったのではないか? というのです。
しかも、こうした買収が成立する際、米国では助言会社の介入が当たり前です。今が売り頃、と判断されたのだとすれば、そこには裏があるとみていい。不動産価格にも一服感があり、米経済が当面、横ばいになるのなら、保険会社としてはこのタイミングで身売りしたとしても、好機とみえる点です。米国の好調が織り込み済みなら、運用益も上がりにくい。第一生命も、縮小する日本市場から、拡大する米国市場に活路をえたいところでしょうが、このタイミングが妥当だったかは、もう少し先にならないと評価も定まらないところなのでしょうね。



analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年06月01日

中韓の接近

今週のG7を前に、アジア安全保障会議が注目を集めています。講演した安倍首相に対し、人民解放軍の高官が「中国、朝鮮人を多く殺した」旨の質問をしていますが、少なくとも朝鮮半島は併合であって、戦争したわけではありません。犯罪で処罰したケースはあっても、日中戦争を戦った中国とは事情が異なります。しかしこの発言で読み解けるのは、中国軍が韓国との連携を強く示唆していること。同列視している、という点です。しかしこの発言により、欧米各国は益々中国離れを生じます。中国に関わると、末代まで恨み、つらみを並べ立てられ、その都度、賠償や謝罪を要求される。そんな国と関わるのは、ずっと良好な関係を保てるはずもなく、将来に禍根を残すだけなのですから。

しかし今、アジアで孤立化を深める中国が、韓国と結ぶのは至極自然な流れです。アジア相互協力信頼醸成会議(CICA)で、米国の関与を嫌って「アジアのことはアジアで解決する」と意気込んでみたものの、南シナ海で東南アジア諸国と、東シナ海で日本と対立する中国は、四面楚歌に陥りつつあります。つまり「アジアで解決」にしても、中国が主導できない。すでに『中国のやり方』は東南アジアで警戒されており、調整型でない中国の外交では限界がみえています。
韓国も事情は同様、最近では韓国との関係を悪化させる東南アジアの国が多く、韓流の輸出で融和ムードもありましたが、すでに退潮気味です。アジアで厄介者扱いをうける中韓は、手を結ぶしかありません。しかも、互いの国の構成はよく似ています。国の息がかかった大企業が優遇され、メディアは国営か、大本営発表を垂れ流すのみ。共産党と、曲りなりにも選挙のある部分では異なりますが、経済や体制といった点では、驚くほど中韓は相似しているといえるのです。

中韓の接近が北朝鮮の焦りを生み、日朝の拉致調査合意に至った、というのはその通りでしょう。朝鮮半島の統一、金正恩氏に十分なお墨付きを与えていない中国にとって、韓国主導ですすめても、中韓が接近するなら願ったりの状況です。しかも、その方が中国にとっても負担が軽い。日米が韓国支援に動いてくれるためで、北朝鮮の破綻処理と、今も支援しなければいけない負担とを、一気に解消できるのです。中韓には領土問題や、密漁の問題を抱えても、諸外国との圧力を考えれば、手を組んでおく。中国式、『将来の世代で解決』策といえるやり方です。
しかも中韓は、互いに経済の失速から破綻懸念を抱えます。先に、経済は両国で相似している、としていますが、輸出型で内政に問題があるため、内需主導に移行できない点で、世界が低成長に陥ると一気に歪がたまります。そしてその歪が、益々両国を近くする。それでも中国経済に頼りたい韓国と、アジアで唯一の友好国として韓国を位置づける中国、事情は非常に似通います。

中国の諺に「よい鉄は釘にせず、よい人は兵にならず」があります。昔から農地が荒廃し、農民は賊に落ちぶれ、それを糾合した者が天下とりに成功してきた。つまり正規軍になる前は、匪賊だったとの認識からの言葉です。しかし今、この言葉は前者の意味でも、より信憑性を増してきています。よい建材を使っていない、それは乱開発も同様に、鬼城とよばれるゴーストタウンが生まれ、人民解放軍の暴走、ともされる事例が頻発しています。よい鉄を釘にしていない、よい人が兵士になっていない、中韓で不良住宅が増えているのも、軍が暴走したり、救出活動すらまともにできなかったり、両国の近さはそんなところにも現れているのかもしれませんね。


analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治