2014年07月

2014年07月31日

アルゼンチン・デフォルトと米国の強行姿勢

厚労省発表の6月毎月勤労統計、所定内給与が0.3%増の24万3019円、2年3ヶ月ぶりに上昇とこちらばかりが大きく報じられますが、現金給与総額を物価の上昇をさしひく実質賃金では、前年同月比3.8%減でした。4月3.3%減、5月3.8%減、6月3.8%減と、家計の余力は下がっていく一方であり、極めて厳しい数字です。一方で、所定外給与が1.9%増ですが、複合サービス業や飲食業の伸びが大きく、これは人手不足を残業でカバーした形となります。ただし、6月は鉱工業生産指数が大きく下がっているように、今後の製造業は人手に余剰感が生じる可能性も否めません。
しかもこの毎月勤労統計の速報値は、パートの算出が少ないため、確定値になると引き下げられる傾向もある。実はもう少し実体が悪い、ということになります。経団連は今日、夏のボーナスが平均7.19%の上昇と、こちらも大きく報じられますが、昨年好調で春闘でも示されていた製造業が11.03%増である一方、非製造業は6.39%減です。電力各社の減額も大きいですが、それ以上に経団連が製造業偏重、しかも大手企業が多く、この数字は決して国民全体に恩恵が行き渡るものではありません。さらに製造調整が余儀なくされる製造業は、このままいけば来年は減額です。成長が右肩上がりにならないと、家計が防衛的になる恐れもあり、一時金の増も決して喜べません。

昨晩、米FOMCが開かれ、タカ派、ハト派の硬軟を使い分ける形となり、市場はややいいとこどりという形でした。ただ早期利上げ観測がでて、米短期金利が上昇し、円安になるという日本の株式市場には好材料だった。株はそれを期待してあげてきた面もあり、個別の企業決算が悪かったこともあって下落に転じています。今日は月末で、投信設定が多かった面もあり、そこに期待して買っていた層が、月初からの売りに備えた、といった面も大きかったのでしょう。
さらにアルゼンチンと米ファンドの話し合いが決裂、債務不履行が不可避となりました。しかし市場は混乱していません。これはアルゼンチン国債が新発ものがなく、取引が不活発という以上に、支払い能力はあると看做されるためです。一時的に債務の返済に回さなければならないのですが、それが済めば利払いできる。債務者は利払い延期に、色をつけて対応してくれるのを待っているフシがあり、それが混乱を防いている面が否めません。しかしアルゼンチン政府にとっては、余計な費用負担になることは間違いなく、交渉次第では改めて混乱するかもしれません。

現状、日本株に資金を流入させた原因として、米国の金融機関への司法判断がある、とされます。昨晩もバンカメにサブプライムローンの件で、1300億円の罰金が命じられましたし、先頃は仏大手のBNPパリバが、制裁対象国との取引で9000億円の罰金を命じられています。さらにここにきて、スイス大手のクレディ・スイスもダークプールの問題で、当局から調査中であり、米投資家から訴訟を起こされていることが、明らかとなりました。ダークプールは私設取引ですが、不透明との指摘があり、そこにメスが入り、今後の収益性の低下は否めなくなりました。
米国でもコンマ数秒の情報取得の差で、利益をあげる取引が問題とされる。実に、欧米は今、金融当局による規制、訴訟の嵐が吹き荒れているのです。そんな中、日本ではまったくそうした情報がない。おかしな話、規制強化とは無縁であり、それが安心して資金を置いておける環境を生み出している、とも言えるのです。しかしそうした資金の足が早いことは間違いありません。規制に出遅れる日本、それは当局の能力のなさと、問題意識の低さを意味するのでしょう。そんな中、日本の金融決算は芳しくない。もうけ方が分からないので、法人税減税に頼るしかない、という歪な構図が、今回の株高を演じているということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2014年07月30日

最低賃金と鉱工業生産指数

2014年度の最低賃金が決まり、前年実績で16円高い780円としました。これに安倍応援メディアはすぐ『年間1万円も手取りが増える』といった、奇妙な主張を見出しに掲げますが、これでは2%強、消費者物価が3.3%も上昇する中ですから、実質賃金はマイナスです。デフレ下であれば2%強は評価できても、安倍政権のめざす脱デフレ下では赤点です。生活は益々苦しくなる。安倍政権へ、最近高まる不満とは、実はこうした政権のめざす方向性が、国民の幸福に結びつかないのではないか? といった不信感により醸成されているといっても間違いありません。
今日発表になった6月の鉱工業生産指数は、ちょっと衝撃でした。速報値で96.7%、前月比で3.3%の大幅な低下となり、1%程度の低下をみこんでいた市場予想も、大幅に下回ってきました。しかも出荷が鈍り、在庫が積み上がる。経済活動全体の低下を意味するものです。7、8月は2.5%、1.1%の上昇をみこみますが、5月の水準にはもどらない。つまり夏場にかけても消費税増税の影響は払拭できない、となり、長期化する傾向すらうかがえます。実質賃金の目減りは、消費全体を抑制させるのですから当然ですが、外需も悪化しているため、こうした大幅な低下につながっています。

しかし今回、特徴的なのはマクロの悪化が、ミクロと逆行している点です。ホンダの好決算など、小型車が牽引と伝わりますが、実は小型車の売れ筋、フィットなどのエンジン制御系にトラブルがあり、リコールがくり返される異常事態です。軽自動車は好調ですが、輸送用機械の悪化を、ホンダだけは無視しているような今回の決算には、やや意外感すらただようものです。
証券系アナリストからは、4-6月の増税の影響は軽微、として業績予想の上方修正が目立ちます。しかし上述したように、マクロでは悪い数字が並んでおり、政府のいう『想定通り』どころか、リーマンショック以来や、震災直後、といった低下を示している。一方でミクロはファナックなど、好調が目立つ。これは愈々、日本企業と云いながら、海外で稼ぐ傾向が強まってきた、ということです。それは安倍政権がめざしてきた円安の効果は低い、ということを示しており、これも安倍政権の方向性に、国民が懐疑的となる原因なのでしょう。円安にすればコストプッシュインフレが起こり、国民は不幸になる。そうした認識が広がってきていることも影響します。

米国の4-6月期GDP速報値が発表され、年率換算で前期比4.0%増となりました。個人消費が2.5%増と牽引した形ですし、民間設備投資も在庫投資も大幅に増えた。ただし在庫投資は将来の需要を先食いしたこともあり、住宅に関する指標に軟調なものが目立ち始めた現在、米国の先行きにも多少の翳りが見受けられます。1-3月期の大幅な落ちこみは、これでカバーできたようにも見えますが、7-9月期にも試練を迎えるかもしれない。それは米国の賃金上昇率にかかってくるのでしょう。
日本の企業も、日本のマクロに影響されず、こうした米国の好調さに引きずられて、好調な決算をだすのなら、益々経済まで米国に牛耳られる傾向を強めている、とも言えます。結局それは、自民党や官僚がめざしてきた国づくりが、自立自存の道をめざしてこなかった、という方向性の誤りの結果でもあるのでしょう。日本の4-6月期GDPの民間予想は、前期比2.0%減、年率では8.0%減と試算されています。こんな落ちこみでも企業決算が好調なら、企業もジャパン・パッシング、日本という市場に目を向けなくなり、外需依存度を高めてしまうだけです。実質賃金が低下をつづけ、鉱工業生産が大幅な低下を示す中、そうした事態が近づいており、安倍ノミクスという方向性の誤りを、如実に示す結果という言い方もできてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:49|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月29日

雑感。中国の権力争い

長崎県佐世保市の女子高生が、友人を殺害した事件。よくこうした猟奇的事件で、心の闇などとも表現されますが、本人にとっては闇などではなく、ごく当たり前の欲求であり、そういう形の道義心しかもてなかった、というのが実相なのでしょう。親子関係も取り沙汰されますが、母親の死で変化…とも伝わりますが、それはきっかけであり、ストレスは本人が意識しないうちに蓄積されます。教育熱心な親、というのは過干渉の裏返しでもあり、時折こうした事件が報じられる。それが親子でも、お互いの距離感を間違えると、道義心すら希薄にしてしまうのでしょう。

中国の習近平政権が、前政治局常務委員の周永康氏の取調べ、を発表しました。身柄の拘束は昨年末、上海閥の大物で江沢民派の大物であるため、慎重に捜査したともされますが、確証をつかんだというより、証拠を積み上げたという方が正しい。捏造であったとしても、ぐうの音もでない材料をつきつける。それは中国共産党内の実力者への根回しにも利用され、今に至ったというところなのでしょう。腐敗撲滅は、国民向けのパフォーマンスともみられましたが、習近平政権は、逆にそれを支配体制の確立に利用している。腐敗撲滅に「ハエもトラも叩く」という言葉が、いずれ別のトラによって支配される、そんな懸念すら抱きかねないほどの強権ぶりです。
そんな中国、最近の経済指標は堅調です。日本株の上昇も、中国株の堅調さを映しているのでは? と語られるほどですが、実体は公共工事の大盤振る舞いであり、不要な道路や建物が増えるだけで、彌縫策にすぎません。改革路線の間は、政権が力をもつためにも経済的には堅調に推移させる。その強い意志が、却って国の負債を増やし、国家を弱体化させる道につっこんでいるようです。サブプライムローンに匹敵する、それ以上とも言われるシャドーバンキングの問題を弾けさせないよう、中国は今、必死で時間稼ぎをしているタイミングかもしれません。

日本にも習近平体制の強化に伴い、影響はあるでしょう。ウクライナ問題がおこり、中露外交で有利に資源獲得ができた中国は、後顧の憂いが経済ぐらいです。南シナ海では強硬路線で失敗しつつあり、海外の圧力が少ない東シナ海に目をむけることが確実です。ただし、今が一時期より圧力が減っているように、次はより戦略的に動いてくるのでしょう。そのタイミングは秋以降なのでしょうが、力ある習近平体制になれば、かなり厄介なことになってくるのでしょう。
ただ「ハエもトラも叩いて」いたら、いつの間にか習氏自身がトラになっている可能性もあります。食品の問題など、米資本の子会社としてメディアも叩いていますが、利益を第一として安全性を二の次にするのは、中国の国民性として存在することです。それを変えられない限り、虎頭蛇尾(竜頭蛇尾と同じ意味)のままです。見かけは立派でも、シッポは蛇のように細い。トラの尾を踏んでみたら、実は蛇だった、ということになるかは、共産党の派閥争いでみるのではなく、経済の行方にかかっている、ということになってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2014年07月28日

安倍氏の地球儀外交

最近、朝日新聞が原発関連でスクープを連発しています。吉田元福島第一原発所長の証言から、関電元副社長による歴代総理への裏金献金を報じました。朝日る、という言葉があるぐらい大手紙としては特異な傾向をもつ新聞社ですが、政府や原発に否定的だからこそ、こうしたスクープが集まってくる。極端に右、左のメディアであっても、存在意義があるのはこうした点なのでしょう。政府べったりのメディアばかりだと、暴露記事をもちこんでも、もみ消される懸念がある。政府に批判的なメディアのあることが、その国の健全性をはかる指標なのかもしれません。

安倍首相がカリブ共同体(カリコム)加盟国との首脳会談を行って、ODA対象国以外にも財政支援を拡大する意向を示しています。安倍首相の外遊を、地球儀外交などともち上げるメディアもありますが、今はただ海外旅行が趣味の人が、公費で海外にでかけているだけに過ぎません。さらに相手国に受け入れてもらうため、多額の援助という、お土産まで準備する。ODAはあくまで貸付で、返済義務もありますが、今回の財政支援の仕組みが分かりませんが、下手をすればただのバラマキに終わる可能性もある。ムダ遣いにもなりかねませんが、今は外務省もそれを後押しします。
外務省悲願である、非常任理事国入りに各国の同意が必要であり、安倍氏を海外に連れていって支援を約束する、という形が都合いいからです。しかし金で票を買う、ということにもなり、しかも実際に投票してくれるかも分からない。お金より、親密度をあげる外交が必要なはずですが、外務省がそれを怠っていれば、これが本当にムダ金になりかねません。すべては外交です。

昨日のコメントにも書きましたが、安倍政権が集団的自衛権を解釈変更で行使できるようにするのは、外交力のなさを軍事力でカバーしよう、というものに過ぎません。日本のヘイトスピーチが国際的に問題とされ、中韓の反日行動が問題視されないのも、外交力の差です。それを、中韓への批判や攻撃にすり替えるメディアもありますが、すべては日本の外交が力不足で、国際世論をまとめる力がないために起こります。逆に、中韓はそれができているからこそ、ヘイトスピーチや慰安婦でも、国際的な非難の発言をとりつけることができている、ということなのです。
安倍政権の支持率が、日経の世論調査でも50%割れしてきました。今日の株価上昇も、支持率の低下で株価対策を期待したものでは? との話もありますし、法人税減税までは企業も協力せざるを得ず、業績見通しを悪くだすはずがない、として思惑買いとの見方もあります。いずれにしろ、安倍政権の力が衰えれば衰えるほど、様々な思惑が交錯する。それが、安倍政権の情報発信力の限界であり、ネガポジという奇妙な状況が、この日本に現出しつつあるのです。

外務省がめざす国連の非常任理事国入り、安保理改革も、シリアやウクライナ、ガザ侵攻とこれだけ国連の無力さを見せつけられ、今さらの感があります。それより国連のもつ、日本を適性国とする条項を見直させ、大戦前の国際連盟化しつつある、今の国連との距離感を考えるべきかもしれません。何より国連で力をもっても、外交力がない中で、米国の追認国となるだけなら入らない方が、国際的な非難も浴び難いといえるのでしょう。
安倍氏のめざす地球儀外交、地球儀が初めて登場したのは、紀元前のキリキア人クラテスの作と伝わります。クラテスはストア派、ストア派は「憤怒、羨望、嫉妬から解放されること」を解き、道徳的、倫理的幸福をめざす学派です。安倍氏の地球儀外交、安倍政権のめざす方向性は、ストア派のものと真逆、ということは記憶しておいてよいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年07月27日

9月解散はあるのか?

安倍首相がテオティワカン遺跡の太陽のピラミッドに登り、願い事をすると叶うといわれて願ったことは「デフレ脱却、地方再生」だと言います。しかし違和感があるのは、デフレ脱却を目指し、金融緩和しているのは日銀で、政府は円安誘導によるコスト高で、悪いインフレを目指している。また地方再生にしても、これまで公共工事のバラマキ、また特区にしても地方の代表都市であるため、農村部など過疎化した地方への波及は少ない。農協改革を柱としたいのかもしれませんが、TPPに参加すれば農村部への打撃も大きいのですから、尚更この言葉が相応しいのか? むしろ『再生』なのですから、徹底的に壊す、という前段があってのことなのかもしれません。

安倍氏が9月解散に打ってでるのでは? との話もありますが、個人的にはその確率は高くない、と見ています。よほどの材料がない限り、今以上の議席確保が難しい。いくら野党が怠慢とはいえ、勝たせ過ぎたという国民の反省、公明との距離感、集団的自衛権や原発再稼動でも国民への説明責任を果たしていない、という暴走とも思える態度。これらからも300議席には届かないはずです。
内閣改造を行っても、大した材料とはならないでしょう。無条件で信任を与えるのは、安倍政権の2年の実績が邪魔をします。北朝鮮から拉致被害者をとりもどす、という話にしても、成果と受けとられるか、失敗ととらえられるかは難しい。景気も秋には分からない。さらに沖縄県知事選、福島県知事選、統一地方選などを控えて、勝てば弾みはつきますが、議席を減らせば退潮とみられ、一気に安倍下ろしの風が吹きかねない。権力の座にある者は、そこまでの冒険はできないもの。小泉元首相のような郵政民営化ワンイシューとは違い、安倍政権信任選挙では心許ない、というのが実状です。また安倍氏にそんな決断力があるとは、到底思えません。最近、政権内で力をもち始めた財務省も、そんな賭けをして失敗したときのリスクを負わせないでしょう。

しかし自民以外の投票先が少ないのも事実です。31日に両院議員懇談会を開く民主党にしても、党の予算を握りたいばかりに暗躍する野田氏、岡田氏、玄葉氏、安住氏、前原氏、枝野氏を6人衆、として近自民系のメディアはもち上げますが、その頭文字を並べるとNO GAME。戦う前から縁起が悪い。そもそも細野氏や馬淵氏など、次世代といわれた政治家が入らないのも、違和感があります。NO GAMEの6人衆は、失敗した面々であり、自民的政策をとっても票は集まらないでしょう。
しかし海江田氏でも不安があります。今は野党が頼りなく、自民も大人しいですが、選挙が近づけばまた安愚楽牧場で、メディアをつかって一大キャンペーンをはってくるでしょう。自民も一時下野していたとき、谷垣氏という安定型をかついだように、選挙が近づけば攻撃型、国民の前にでられる、人気の高い党代表も必要となりますが、今はまだその段階ではありません。逆に、そういう人物を使い捨てで、ここ数年うずもれさせておくのは党としても損、といえるのでしょう。

結いと維新の合流も、今のところ野合との懸念に応えていない。特に、橋下大阪市長が主導権をにぎれば、安倍氏との近縁と見られる恐れもあり、江田氏なら改革路線には見えますが、人を率いたことがない人物だけに、マネジメント能力に疑義もあります。他の野党は押し並べて特色をうちだすのも大変でしょう。社民の集団的自衛権にNOとのポスターは、扇情的すぎて一般受けはよくない。反対のための反対では、今の有権者は見向きもしてくれません。
今、政治家の能力が著しく低下し、選択肢がないと嘆く前に、その政治家を選んだのは国民である、との自覚が大事なのでしょう。相次ぐ地方議員の醜聞など、いかに人物を見抜く目がないか、その反省が大事です。そして投票にいく。それで国民が意志を示さない限り、政治の暴走、政治家の劣化という問題に対する解決策はない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年07月26日

雑感。世界の経済潮流

25日の東京株式市場は、14時から先物買いで大幅高しました。昨晩の米株市場でも、ダウは123$安してにも関わらず、日経平均先物は大して下落しておらず、25日に限っていえば日本だけ、異様な強さだったと言えます。色々と原因は考えられますが、一つには露国への制裁へと欧米が傾く中、日本だけが蚊帳の外であり、制裁を前面にうちだしておらず、そのため逃避的に日本買いが入った、とも言われます。つまりここで露国に恩を売っておけば、後に天然ガスや北方領土で見返りがある、そうした流れも予想できるため、日本への資金比率を増やした、というのです。

先物の取引も、最近では欧州系が若干は多いものの、全体の傾きは少ない。25日に関しては日経ミニへの取引が増えたことで、先物全体の取引が増えたものと見られます。確証はありませんが、最近の相場には少し変化があり、それは『21世紀の資本論(仏経済学者、トマ・ピケティ著)』が欧米で爆発的に売れているように、経済学全体が流動的になりつつあり、新自由主義後の、新たな世界の体系を模索する動きではないか、とみられる点にあります。
21世紀初頭は、2つの体制を内在した国が伸張しました。経済は資本主義、政治は全体主義(国家主義)です。代表例は中国、露国、韓国など。かつての共産国と、軍事体制をひきずる国、としてみると傾向は分かり易い。しかしここ最近、それらの国に疑義を生じる事例が増えています。中国は不動産バブルの崩壊と、テロなどの頻発。露国はウクライナ問題への介入、韓国の成長型経済の頓挫、などです。つまり21世紀型の、高成長国モデルが崩れ始め、投資先もそれに応じて転換を迫られる、という意味で、この動きは今後の投資行動に大きな変化をもたらすものです。

これらの国に明確な名前はありませんが、新社会主義とでも呼ぶなら、ハードな新社会主義に限界がみえ、ソフトな新社会主義をうちだす国に資金がシフトしている。ソフトな新社会主義、つまり日本です。新社会主義の傾向をもつ国は、総じてメディアは全体主義的です。メディア統制のよく利いた国は、経済もコントロールし易い。一方で、行き過ぎれば愛国心の高まりから、軍事路線に走ったり、他国に攻撃的になったり、はっきり言って投資適格からは外れてきます。
ソフトな新社会主義は日本に限ったことではなく、ミャンマーやカンボジアも入るでしょう。国家が崩壊しない前提であり、かつ投資家を保護してくれるなら、この新社会主義をもつ国は投資に最適です。外国人投資家は、日本への投資を増やす、という回答が多かったともされますが、それはこの傾向と合致します。2014年はハードからソフトへ、という路線転換の年でもあるのです。

しかし日本がソフトな新社会主義路線をひた走れるか、甚だ疑問です。なぜなら、安倍政権の支持率低下がおきており、それは日本のメディアに、まだ政府批判を行う健全性をもつものがあり、さらに懐疑的な国民性からも、全体主義の恐ろしさについて教訓的に染み付いたものがあるため、です。政府が煽っても、景気が低迷しはじめた。政府の煽りに踊らされないだけの、懸命さもうかがえます。日本の新社会主義が成功しない、となると投資は増えない。株価連動内閣支持率、とも揶揄されますが、株価対策に余念がない安倍政権に見えてきた、全体主義でコントロールできない国民性、それが最大のネックになってきているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月25日

韓国・朴大統領と舛添都知事の会談

安倍首相は中南米へ外遊、経団連を引き連れての経済外交ですが、これまでもあまり成果が上がっていません。原因は、韓国などの経済外交が成功したのは、国の保証や支援が明確だからです。日本の場合、今ひとつ責任の所在が曖昧で、国のバックアップ体制が少ない。予算ありき、各省庁の縦割りから改めないと、経済外交も後手を踏むことがこれからも起こってしまいます。
そんな韓国の朴大統領と、舛添都知事が会談しています。地方の首長レベルなら、言いたいことを言っても外交問題にならない、最近の支持率低下で焦りのある朴氏と、売名、自大傾向の強い舛添氏との思惑が一致。さらに日本政府としても、韓国と融和ムードを生むことで米国の懸念を払拭したい、との思惑がある。安倍政権、舛添都知事、朴大統領が三方一両損、でつくりだした、演出という見方で正しいのでしょう。舛添氏はメリットだけのようにみえて、従軍慰安婦の問題に反論、理論武装できない点でいえば、今後の政治力にも影響してくるはずです。

そんな韓国の苦境は、4-6月期GDP速報値にも現れます。前期比0.6%増、通年の成長率予測も4.1%から3.7%へ引き下げました。これをセウォル号事件で、消費が低迷したから、と原因が説明されますが、やや異なる見方をしています。サムスン電子や現代自で相次ぐ減益決算など、代表的企業に支えられる構造だけに、大企業の変調は大きい。さらに、今日の東京株式市場は、値嵩のファナックが大幅高しましたが、その決算にもサムスン電子の今後に不安な影が見受けられます。
スマホなどに用いる微細加工の機械が好調、と発表されましたが、すでにスマホ、タブレットの普及期は過ぎた、との指摘もあります。ここに来て、微細加工の機械が普及しているのは、即ちスマホの低価格化により、新たな市場開拓を目指してのこと。日本でもSIMフリー化が議論されますが、そうなると低価格スマホに注目が集まる。新興国でもスマホが普及するには、低価格が求められる。今後、サムスンの柱であるスマホ事業は構造転換を求められる可能性が大です。

しかも中国における若年層への低賃金、重労働の疑いも出て、コストアップ要因が増えるにも関わらず、です。サムスン電子の高成長時代は、もう過去となりつつあるのです。現代自も燃費の改竄、雨漏りなど品質上のトラブルから、販路の縮減を迫られている。外貨を稼げなくなった大企業と、それで国全体が低成長に陥ることにより、これまで潤沢だった自由に使える予算も枯渇し、外交的に成功を納めることも難しくなる。韓国の負の連鎖が始まりつつあるのです。
だからといって、本屋に行けばあふれる『韓国崩壊』みたいな論調には与しませんが、これまでと、これからでは韓国は大きな構造転換が図られることは、間違い有りません。その結果として、失敗すれば再度IMFに支援を要請するでしょうが、それはまだ先の話です。構造的に、外需依存である韓国は、これからの世界経済の低迷を諸にうける、そこが危機の発端になるはずです。

ウォン高も要因とされますが、韓国とて日本と同じ、工場は海外が多い。結果的に、ウォン高により見かけの企業決算が悪化する、という点も見逃せません。「正しい歴史認識」と朴氏は述べますが、その前に「正しい経済政策」を行わないと、一両損では済まない事態に直面することになってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2014年07月24日

上半期の貿易統計

中国の鶏肉問題、今さらかの国の食品管理について言葉を足しませんが、気になるのがファミリーマートの対応です。社長が「中国だから輸入しないということはない。信頼できる相手をみつける努力…」と述べていますが、これでは危機管理がなっていません。正直な人なのでしょうが、中国製食品に急速に不安が広がる中では「中国との取引は白紙」ぐらいに言っておくのがよく、これからも中国製品を扱う、との印象を抱かれたため、不買の動きが広がりかねません。
以前から、ナゲットはクズ肉でもできる、と評判でした。期限切れどころか、死肉が混ぜられていても、別の動物の肉でも、味が調整され、着色されているので気づかない、とも言われます。そういうもの、として食べるしかないのでしょうが、そういう事情をきちんと消費者に伝えているかどうか、が問題です。中国製品かどうか、それは企業判断でしょうが、マクドナルドのように調達先を複数もつ場合、自分が食べるものがどの国でつくられたか、も判然としません。逆に言えば、マクドナルドは危機管理として、調達先を複数もつことは有効でしょうが、消費者が危機管理の意識をもてば、正直さに欠けるとして不買運動にもつながりかねない、とも言えるのです。

財務省がH26年度上半期の貿易統計を発表し、約7.6兆円の赤字となり、過去最大となりました。輸出は3.2%増の35兆円、輸出は3.6%増の42.6兆円、と報じられますが、事情はもう少し複雑です。輸出は数量ベースで0.2%減、つまり伸びたように見えても実体は減少しており、金額で伸びたのは円安による押し上げ効果です。輸入は、相変わらず原発再稼動推進メディアからは『天然ガスの輸入増』などと、ステレオタイプに語られますが、日経ではわざわざ『輸入額』と表記されているように、金額ベースでは11%増、これは為替の影響を除くと数量ではマイナスを示唆しています。
つまり、貿易統計で過去最大の赤字となったのは、すべて円安のせい、ということになります。輸出が伸びないのは、例えば自動車など、米国向けではメキシコ生産比率を上げており、構造的要因が大きいとされますが、そればかりではありません。バルチック海運指数が最低ラインにあるように、世界全体の荷動きが悪い。欧州ではディスインフレから、デフレ懸念まで台頭してきたように、世界経済が年後半、不安定さを増してきていることが最大の要因になりつつあります。

そんな中、安倍氏は経団連のフォーラムで「増税の影響は一時的、我々は経済の好循環を…」と述べています。これは誰も正しいことを伝えていないか、安倍氏の理解力が足りないか、どちらかでしょう。菅官房長官も「輸出は徐々に持ち直し」などと語っていますが、こちらは確信犯で、兆しすらないものを、希望的観測を述べたに過ぎません。年後半の景気の加速、はこれまでの世界経済のメインシナリオでしたが、今はその修正を迫られており、多くの国、機関で今年の成長率見通しの引き上げ合戦が始まっています。輸出が増えるような情報は、皆無なのです。
中国の6月HSBCPMIは、速報値で52と節目を上回っていますが、無理やり貸し出しに回しているため、多少資金繰りが改善した影響もあって、実体経済が本当に好調にもどったか、は不明です。今、世界はどんな毒饅頭を食べさせられているか、分からないまま、とりあえず死にはしない、健康被害はない、として過ごしているような状況です。その毒が全身に回って、突然死してしまうのか、それとも毒に耐性ができて、何も感じなくなってしまうのか? しかし少なくとも、本来は危機管理を高めなければいけない、各国政府が先に毒で痺れているような状況では、国民が知る頃には前者のような症状になってしまう、そんな恐れを強めてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月23日

政権支持率と中韓の動き

最近、政府から経済指標の発表のたびに「想定の範囲内」「想定通り」といった文言が並びますが、昨日の経済財政諮問会議において、昨年度末に出された14年度の実質GDP成長率の予想を0.2pt下方修正し、1.2%としました。駆け込み需要の反動減が予想より大きい、としていますが、「想定の範囲内」であれば、下方修正する必要はありません。麻生財務相などは、指標発表との整合性から「外需の落ちこみ」としていますが、明らかに今の経済動向は、政府からみれば「想定外」の状況と云え、だからこそGDPを下方修正せざるを得ない、との判断に至ったのです。
6月食品スーパー売上高が、前年同月比0.4%増でしたが、これは決してよい情報ではありません。税引き後の利益になると、前年同月比ではマイナス、小売はまだ増税ショックから脱け出せていないことを示すからです。一般食品は2.9%減、非食品は5.9%減、惣菜や日配の食品が伸びていますが、こちらは生活の変化で起きていることであり、全体として増税ショックが透けて見え、依然として日本経済に回復の兆しはない、と言える状況になっています。

舛添都知事がソウルを訪問、中国からも打診があり、アジア大洋州局長レベルで会談が開催される見込みです。舛添氏など、国政レベルでの交流の先触れ、的な発言をしていますし、外務省の出向組を引き連れての会談なので、益々その傾向を強めます。ここにきて日中韓の動きが活発になってきたのも、それぞれの国情が影響しています。セウォル号沈没事故の会長が変死体で発見されるなど、ぼろぼろの朴政権の反日姿勢と逆行する動きにより、裏で日本と手を結ぼうとしている。中国は「アジアインフラ投資銀行」の設立に、何としても日本を引き入れたい。しかも日本の影響力が高まっても困るので、出資ではなく保証という形が望ましい。そのために日本に打診を入れたい、外務省チャイナスクールへの口利きを計っている、そんな動きとなります
日本は、安倍政権の支持率低下によりサプライズが欲しい。一方で、電撃訪朝という動きが米国に拒絶された。核開発の放棄、も明言していない北朝鮮に、日本が突出して近づき、経済支援などをすれば国際社会の包囲網が崩れる。安倍氏が訪朝すれば、必ず見返りで北朝鮮に手土産を渡さなければならない。それを米国も警戒しています。そこで、中韓との連携を保っている、と外形的に示しておきたい。首脳会談とはいかずとも、外相会談の道筋をつけたい、との思惑です。

フジ・産経の世論調査でも、支持と不支持が並んだ。株価が15000円台を維持する中、支持率が株価を離れ、下落を始めたことになります。これは政権にとって深刻です。来年度の予算枠で、4兆円を特別枠とする、としていますが、これまでも名称は代わっても使い道は同じ、といった予算執行が相次いできた。この特別枠、という手法では本当に必要なところに予算は回りません。
安倍ノミクスの実感を地方へ、と諮問会議でも語られますが、そもそも都市部でさえ実感のある人は少ない。安倍ノミクスはバブル発生装置といい続けてきましたが、支持率バブルも終焉した感があります。そこには経済の失速と同時に、オスプレイの佐賀空港への配備打診など、説明不足のままごり押しする態度に、政権への不信感が募りだした面も大きいのでしょう。「想定の範囲内」が、想定外になるときに大きな悪影響が予想される。そのときの支持率は「想定したくない」として、現実逃避してゴルフ三昧、外遊三昧という姿勢がそもそもの不支持につながっている、それを知る夏になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2014年07月22日

東証の取引時間

脱法ハーブの新名称が『危険ドラッグ』だそうです。『危険』と『ドラッグ』の意見が多く寄せられた、といって二つを合わせるセンスは呆れるばかりです。薬はどんなものでもリスクがあり、だからこそ用量、用法を正しくして飲みます。安全と危険、の線引きは曖昧です。しかし幻覚作用や中毒性のあるものは、危険ではなく禁止ということを強く打ち出すべきでしょう。むしろ頭文字を並べて、新たな言葉を作った方が浸透性があるのかもしれません。

今日の東京株式市場は100円を越す大きな上昇ですが、先週末の下げ分をもどしたに過ぎません。そんな中、刻み値が変更となる銘柄があり、銭単位での取引も可能となりました。みずほなどの低位株は、先週から4倍近い取引量を示しましたが、これは決してよい話ではありません。
売りも買いも出合い易くはなりますが、値動きが粗くなり、高速取引とよばれるアルゴリズムの独擅場、一般投資家では手が出せなくなります。市場では、株主総会の会場には出席者としてパソコンが並び、電子音が静かになる中、経営者の説明でアルゴリズムが株価を大きく動かしてYES、NOを示す、とも言われます。これは笑い話ですが、その株主総会では笑いも起きないのでしょう。

東証が研究会を開き、取引時間の1時間延長、夕刻取引、夜間取引、の3案に分けて導入を検討しています。しかしこれも個人を蔑ろにしたものです。24時間、べったり張りついて取引できる人間は少なく、取引時間、日をまたいで保有する人は減るでしょう。益々日計りの取引が増えます。夜間ならサラリーマンが家に帰ってから取引できる、とする意見もありますが、今の取引量では冗長さを増すばかりです。そもそも、外国人投資家が6割近い取引をしており、しかも不透明な値動きも多い。サラリーマンがお小遣い稼ぎをできる環境整備が、そもそも整っていません。
今回の一連の動きは、アルゴリズム取引を助長するばかりで、一般投資家はその狭間で翻弄される、その傾向を強くするだけです。取引時間を増やせば、取引量が増える、そんな単純な理屈は通用しません。下手をすれば流動性が低下し、日本市場全体の魅力を失うかもしれない。経済が活況で、市場も拡大していくときに取引時間もそれに合わせ、増やすのならまだしも、今はまったくそのタイミングでもない。アルゴリズム取引が活況になっても、2兆円に届かない売買代金を、もっと重く受け止めるべきなのでしょう。

イエレンFRB議長が「モメンタム株の割高」を指摘しましたが、日本でも材料株ばかりに取引が集中し、割高圏にあります。結局、値動きのよさを求めも、よ過ぎると手出しができなくなる。その落としどころを弁えていない議論、ということなのでしょう。昼休みを30分短縮しても、取引量は増えていない。その現実を踏まえれば、東証のセンスも疑わしいところであり、東証の取引が『危険トラック』に陥りかねない懸念が漂っている、ということなのかもしれませんね。


analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年07月19日

政府、日銀の経済見通しと叛旗

昨晩、米株はマレーシア機撃墜のショックから立ち直り、下落分をほぼとり戻す勢いでした。昨日も指摘したように、世界経済が減速、もしくは下落トレンド入りしていたとしても、世界で唯一堅調なのが米国であることに変わりありません。ジャブジャブの流動性はそれでも堅調な市場へ、と向かうしかない。好材料をみつけては、運用先を変えていかざるを得ないのです。
世界経済の変調の原因を、イラクの紛争、ガザ侵攻などの中東情勢に求める向きもありますが、個人的な見解としてはECBによる量的緩和ではないか、と見ています。いくらECBが追加緩和を示唆しても、今以上の好材料は出てこない。そこが天井、経済の上向き波動の終焉を意識させた。そこに中国が国内向けには金融緩和策を打つと同時に、海外へと資金移送する道を断ったことから、資金供給の頭打ち感が台頭、不動産市場に変調をきたしていることが原因と考えています。

日本でも重要な経済指標が発表されました。5月毎月勤労統計の確報値で、所定内給与が0.0%増、いわゆる微増です。なぜ重要かは、速報値では0.2%増とされており、それですら実質賃金はマイナスであったものが、確報値ではマイナス幅が拡大した。賃金ベースではデフレ圧力が大きくなった、ということを示すからです。厚労省は、ベアの広がりはあるもののパートタイムなど、低賃金労働も増えているため、と分析していますが、飲食業などの人手不足から、時間給は上昇したのではなかったか? つまり仮にパートタイム労働が増えても、相対的に待遇面、特に時間給が改善しているなら、全体に底上げ傾向となり、所定内給与も上がっていてよいはずなのです。
ここから分かるのは、人材不足は起きていない。実はブラック企業、労働環境が悪い、賃金が低い、といった口コミ情報が広がると、忌避効果が働き、急速にそうした企業が人材不足となって騒ぎだす、全体が人材不足になっているわけではない。情報の伝播、拡散の形が変わったために起きていることであり、全体の賃金を底上げするには力不足、ということになります。

安倍政権は、月例経済報告で「増税の反動も和らぎつつある」として、基調判断を上方修正しています。6月の日銀会合の議事要旨をみても「持ち直しの動き」とされます。しかし6月の百貨店売上高が前年同月比4.6%減、5月の4.2%減から減少幅が拡大しています。前回の反省を生かし、セールの前倒しなど、百貨店も対応する中ですから、悪影響は相当大きいとみて間違いありません。
最近、日経系のメディアで「円安より円高」と、これまでとは180度異なる見解を示し始めました。これは円安にしても輸出に効果なく、逆に円安による内需企業への打撃が大きくなり、円高になった方が良い、ということを暗に示しているのです。安倍政権の円安礼賛姿勢に、こっそり反発し始めた。経済では一家言をつけたい日経が、先んじて安倍ノミクスに叛旗を翻している、ということでもあるのでしょう。最近の日経は、こうした記事が目だってきましたが、一方で原発推進派の読売などは、原発停止で電気料金が2割上昇、などと型通りの報じ方をします。しかし原発停止前と、停止後では2割以上の円安になっているのですから、原発停止の影響は割合からすればゼロです。そもそも電力会社が赤字に陥っている原因として、止まっている原発の維持、管理費がかかっているのであり、それを緩和するための議論で、読売の論調は完全なミスリードともいえる内容です。

世界経済は変調している。そんな中で安倍政権、日銀は依然として見通しを変えていない。このことも経済運営に影を落としている、と言えるのでしょう。ミスリードをくり返してきた挙句、自らの失敗を認めない。これからは経済政策の失敗が、致命的なミス、回復の遅さに直結してくる中で安倍政権、日銀の何とも心許ない対応が続くのであれば、これからも益々こっそり叛旗が増えてくるのでしょう。国民はそれを束ねて真実を予測する、ということになってくるのかもしれませんね。

明日、明後日はお休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月18日

海外の不安な動き

マレーシア航空機の墜落事件、概形的には親露派勢力による攻撃、との見立てになりそうです。露製地対空ミサイルをウクライナ軍側から奪取した、との記事を削除したこと。親露派の将校がウクライナ軍機撃墜をネットで発信、すぐに削除したことなど、誤射による攻撃で、相当に焦って情報操作をしていることが読み解けるからです。一方でウクライナ政府が、通信傍受や通話を次々と発信していますが、なりすましも可能であるため、信憑性としては低い。ただし今回、米国の情報発信に関しては、露国よりも信頼性が高そうである点で、米側の情報が重視されます。
米国としては、クリミア併合における外交の失敗が相当の痛手で、国際的な信頼回復に必死です。ここで情報操作の疑いをもたれたら、米外交は10年以上の停滞を余儀なくされます。しかし信頼のある情報で、露国側を追い詰められたら、これほどの得点もありません。そもそも『親露派』などと呼ばれますが、ふつうに表現すれば『分離・独立をめざす武装組織』であり、言い方を変えると『テロリスト』です。親露派が迫害をうけていた、という事実もない中で、正当性を訴えるだけの材料も乏しい。そこに、民間人を攻撃対象にした、たとえ誤射でも…となれば、行動全体への疑義が国際社会にも広がることになります。今後、『親露派』から『武装組織』へと、メディアの呼称が変わるようなら、情勢の変化、露国への配慮が働きだした、とみて間違いないのでしょう。

イスラエル軍がガザへと侵攻しました。この動きを支持する国は米国だけ、という状況ですが、強行した背景にはネタニヤフ政権の支持率低下と、軍需産業への思惑がある、とされます。エジプトの調停案をハマス側が拒否したのは、更なる好条件をひきだすため、ともされますが、結果的にイスラエルに恰好の口実を与えた。しかし更に言えば、中東で拡大する武装組織への攻撃を、イスラエルに招きかねないものであり、第5次中東戦争への引き金になりかねない事態です。
市場はこれら地政学リスクの高まりに大きく反応しましたが、今は高所恐怖症で、落ち易い状況であるという以上に、実は最近の欧州経済指標の悪化、が背景にあるとされます。欧州の主要国の製造業、消費などが軒並み弱い。中東情勢の悪化が影響との見方もありますが、景気循環でみると山を越えた、これから世界経済が停滞していくリスクを感じとっており、それが高値警戒の強い市場に現れた、との見立てです。国債に資金が集中したのも、地政学リスクよりも世界経済の動向を映した流れであって、今後の株式投資を減らす可能性がある、ということになります。

今は、欧州の経済指標が悪化していることと、さらに米国でも不動産市場に一服感があります。寒波をすぎ、春からもどるとみられた需要が増えていない。価格も頭打ちで、先高期待も煽りにくい状況です。その背景に、実は中国マネーという話がある。最近、中国でマネロン防止として、海外送金を停止する動きが増えており、それが欧米の投資活動を停滞させた。つまり中国富裕層の行動として、海外で投資し、さらに資金を増やすということが最近の経済の好調さを維持してきましたが、元を締められた途端、世界経済が変調を来たしてしまった、という展開なのです。
今後、本格的に警戒すべきは国家の弱体化、それに伴う武装勢力の跋扈になるのかもしれません。ブラジルでも、中国でも暴動や政府批判の動きが強まってきた。露国、中東のみならず、経済が崩れることで世界全体が不安定期に入りかねない、今はその入り口の動きであると見ておいた方が、間違いは少ないといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 海外 | 経済

2014年07月17日

雑感。父子関係における大審院判例

ベネッセの顧客情報流出事件で、システム管理委託先の派遣社員が、逮捕されました。情報を漏洩した理由は借金を返すため、とされますが、人生の取り返しがつかなくなった。損得勘定では絶対に起こりえない行動です。しかし人間は、将来のことは考えず、目の前のストレスを取り除こう、としてしまいがちです。安倍政権が情報操作を行い、政権安定を図るのもほぼ同様の理由です。将来の悪名に考えも及ばず、目の前にあるストレスから逃れるため、礼賛記事を欲します。
例えばこの事件でも、当初より『派遣社員』との報じ方が減りました。差別意識を助長する、という以上に、日本が派遣社員を増加させてきたことで、社会の安定性を損なっているとの印象を与えたくない。それは間接的に政府、企業批判にもつながりかねないのです。当初から、ベネッセ側への意識が批判的だったり、擁護的だったりといった記事が色分けされる事態でしたが、今は統一的に政府、企業を擁護する方向へ、そして名簿販売業への規制、という形でガス抜きしようとしている。批判は避けよう、という心理が働いているのが、如実に分かる形になっています。

最高裁で、父子関係における重要な判決がありました。いずれも父と子に血縁関係がなく、2例が母親が子の代理となって、1例が父が、それぞれ父子関係の取り消しを求めた裁判であり、判決は『取り消しは認めない』とされました。元々、民法では婚姻中から離婚300日以内に生まれた子は、父親の子として認められます。嫡出否認は夫から、出産から1年以内と規定されていて、今回の判断は民法にそった、いわゆる解釈で変更はしていない判決だと言えるのでしょう。
この問題で、子供の幸せを最大限に、という意見は尤もですが、もう一歩踏みこむと出生した段階で、子供の幸せを踏みにじっていることに問題がある、と言えるのでしょう。婚姻関係がありつつ、別の男性と関係をもつ。事実上、婚姻関係は破綻といってみたところで、民法上のトラブルになることは初めから分かっていることです。しかし一方で、DVなどで家を出た女性でも、この民法の規定では離婚する前に生まれてしまうと、DVをする男性が父親に認定されてしまう。これでは子供の幸せ、という意味で民法の規定がそぐわなくなっている、とも言える状況なのです。

個人的には、民法の嫡出推定を、執行停止にできる制度があると、後者のDV夫との父子関係を外すことができる。難しいのは前者で、離婚調停中なら尚更、妻の側も条件をよくしようとして別の男性との交際を隠そうとする。父子関係があっても、養育費などの面倒は見ない、と言われてしまいかねないからです。もし浮気を夫にも打ち明け、嫡出推定を停止しているなら、こうした問題はおきないのですが、そうした判断をそのとき下すのは、かなり難しいのでしょう。
遺産などの問題にも絡みますが、子供の幸せとは、安定した生活を与えてくれ、愛情をそそいでくれる親がいること、です。DNAは血縁関係を明らかにしてくれますが、上記のいずれも保証はしません。大人の態度が血縁のあるなしに関わらず、すべてを決めるのであって、法律に規定できない、一件一件の状況次第によって異なる判断になるのでしょう。子供がストレスのないよう、生活するために何を優先すべきか? 大人同士がその判断もできず、裁判にもちこんでいる時点で、子供の幸せの最大化は蔑ろ、ということになってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2014年07月16日

政治日程と川内原発

自民党、神奈川県議が逮捕されました。先月、現行犯でそのとき確認された薬物が、違法と認められたため、今月に入って逮捕されたとのこと。その間に辞職願が受理されており、前職となりますが、またしても自民の緩みが露呈した形です。これは憶測ですが、薬物使用が確認されたのが6月26日、それから20日もかかっての逮捕、というのは些か首をかしげてしまいます。
どんな薬物かは分かりませんが、違法として登録されているなら、早々に成分は判明したでしょう。6月末から、政治日程的には集団的自衛権の問題、それに滋賀県知事選などが重なり、しかも閉会中の集中審議もあった。それが終わった途端、逮捕というのは出来すぎたスケジューリングに感じます。しかも30日に提出した辞職願を8日に許可され、晴れて前職となってからですから、尚更この日程が先にありき、の逮捕には疑問を感じるところです。しかし情報操作に余念のない安倍政権ですから、当然のように、政治日程を睨んだ逮捕だった、ということかもしれません。

九州電力川内原発が、事実上の再稼動容認となりました。原子力規制委は、安全審査ではなく基準審査だ、と述べており、基準そのものの不誠実さを追求はしない、と断言したことがまず驚きです。基準地震動の選定にも問題がある、とされ、日本有数の活火山が並ぶ地域にも関わらず、火山への対応の甘さ。さらに、原規制委の審査対象ではない、避難計画さえもない状態です。
さらに地方行政が、避難計画策定を、民間の個々の対応に委ねてしまった。これは原発周辺のさらなる過疎化を促すものです。つまり個人であろうと、事業者であろうと、避難経路を自ら決め、その手段を有しておくことはコストアップであり、土地の価値は目減りします。さらに手段のない人は暮らせない。リスクを自ら被る覚悟をもたないと、暮らすこともできません。

福島で、がれき撤去により新たな汚染が拡散され、基準値を越えるセシウムが米から確認された、と7月14日に農水省から発表されました。しかし今年3月には確認され、東電に対策を講じるよう要請、とされるので、約4ヶ月も事実が伏せられていたことになります。これは重大な問題であり、今後も福島原発の作業次第では、新たな汚染が発生する可能性がある。それは除染を行った地域でさえ、定期的に線量を確認しなければならない、ということを意味します。さらに検査する食品はいいですが、原発から20km以上離れていても、自家用に野菜を育ててはいけない。検査していないで基準値を越えた野菜を、すでに口にしてしまった人もいるかもしれません。
そしてこの日程にも意味があるのかもしれない。そもそも、先々週には原規制委の安全審査を通過、という話があったものの、先送りがあったとされます。滋賀県知事選に影響しないよう、との配慮があったのではないか。福島原発の再汚染の話も同様に、政治日程ありきで発表が遅らされている。情報封鎖、情報操作の疑いを強くします。そして今後も、都合の悪い情報は伏せられ、国民に不利益が降りかかるかもしれません。先にも示したように、すでに汚染された食品を食べた人もいるかもしれない。原発再稼動でも、実は危険であっても動かし続けるかもしれません。そういう疑念を抱かれざるを得ない中での、再稼動です。原発は再稼動すれば電気を生みますが、安倍政権の支持率低下も、再稼動しかねない。そんな動きになってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2014年07月15日

日銀の金融政策決定会合

日銀の金融政策決定会合が開かれ、金融緩和は現状維持、14前年度の実質GDPを1.1%から1.0%に小幅引き下げ、消費者物価指数を14年度+1.3%、15年度+1.9%、16年度+2.1%とし、成長率は15年度+1.5%、16年度+1.3%としました。日本の中央銀行が異常なレベルで楽観的、という形です。
これまでも指摘してきましたが、前回の消費税増税より実質賃金の落ちこみ、消費低迷は大きいのであり、6月になっても黒田総裁の言う「次第に緩和」という状況にはなっていません。もしかしたら、このまま低位で安定しかねない。一部で、携帯電話料金の引き下げが寄与、ガソリン価格の高騰が相殺、などと物価についての見方は分かれますが、成長率については多くのエコノミストも下方修正を余儀なくされています。日銀だけが0.1%の小幅下げをつづけている状態です。

最近、気がかりなのが中国で貸し出しが異常なほど、高い伸びになっている点です。6月末の半期で、融資残高が前年比で14%の伸びとなっており、公共投資もここ数ヶ月で急激に伸びています。数ヶ月前に、多くの都市で不動産価格が下落局面に入った、と報じられたときから、嘘のような状況ですが、中国といえば鬼城などのような、ゴーストタウンが各地に点在するなど、効果的な公共投資がもう困難になっている国です。そこで融資残高が伸びている。一体どこで、何に使っているのか? 非常に不安であり、遮二無二融資を積み上げれば、不良債権化し易くなります。
そこに来て、最近中国で目立つのが、金融機関による海外送金が違法なマネーロンダリングに利用されており、サービスを停止するというもの。実は違法なマネロンではなく、富裕層が海外に資金を移そうとサービスに殺到しており、それを阻害する目的ではないか、との噂もあります。中国が沈み行く船であることは誰しも感じており、国営金融機関による融資の伸びも、資金ショートを起こしそうな企業を救済する目的であるなら、これは非常に危ない事態といえます。

一方で、米国でも金融機関への制裁が目立ちます。仏銀BNPパリバは違法送金で90億$、シティはリスク説明もなく金融商品を販売した件で70億$、他にも何件か控えており、まるで罰金で稼ごうとしているかのようです。米経済は堅調、罰金を課しても逃げださない、業務も縮小しない、という自信があるからこその対応ですが、そんな米国ではイエレンFRB議長の議会証言が行われます。
ここ数日の市場の堅調さは、まさにイエレン氏から市場に優しい発言がとびだすことを、期待してのものです。緩和縮小を粛々とつづける中、口先介入で市場を支えている議長は、議会証言に先駆けて「低金利の長期化」を語っており、早期の利上げ観測にクギを刺している。今の市場は、悪い言い方をすればイエレンママにおねだりして、安心を買うという形が常態化しており、これも異常です。実は今、経済が堅調と云われる国ほど、異常な状況がまかり通っています。

翻って日本は、情報操作をする必要から、日銀が楽観をばらまくといった形であり、これも異常です。しかしどこの国も、PERでみても割安でない。株価対策としての自社株買いが批判され、配当を増やす企業が増えており、それを狙って配当取り投資、が活発になってきました。金融機関は、ボラティリティの低下で収益性が悪化、少しでもリターンのある配当投資、が唯一の稼ぎ場になっている。本来、これは景気動向によらず、安定投資の手法であり、本当に経済が堅調であるなら、異常な行動とも呼べるものです。市場が、今の経済環境を異常と捉えて行動し始めている。そのことは、十分に意識しておいた方がよく、日銀に騙されてはいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月14日

滋賀県知事選について

昨日、投開票があった滋賀県知事選。投票率が前回より11%以上おちて50%そこそこだったにも関わらず、自民が敗北した。しかも創価学会票が、まったく動いていない。これは集団的自衛権の問題ばかりでなく、飯島参与が米国で行った講演で、政教分離の原則を見直し、創価学会と公明の分断を匂わせたことで、多くの創価学会票が自民離れを起こしたこと、が原因とみられます。つまり、これは安倍政権の致命的ミスであり、党内に大きな禍根を残した、と見られます。
これまで投票率が下がると、組織票の強い自公連携の独擅場でした。しかしそこには多くの創価学会票があり、自民の組織は弱体化していた、ということを露呈したのです。つまりしばらく、創価学会は自民への投票を控えます。当落ぎりぎりの議員にとって、この動きは致命傷になりかねず、安倍政権が集団的自衛権の問題で突っ走った結果、として認識されます。しかも今回、圧勝を噂されながら、2週間でがらりと選挙情勢が変わってしまった。そんな選挙に弱い政権では、いくら支持率が高くても党内がもちません。しかも、その支持率も着実に下がってきた。株価は公的資金で何とか下支えできても、支持率の低下へつける特効薬、サプライズは現状ありません。

一方で、当選した三日月氏は徹底した民主党隠し、と報じられますが、前民主党国会議員であり、また事実上の支援体制を民主党はつくっている。そのぐらいは県民も気づく、要は隠し切れません。最近、読売などは民主党の前原氏、岡田氏、野田氏、玄葉氏、安住氏、枝野氏を6人衆として、海江田代表下ろしに迫力不足、と尻を叩くような記事をあげています。明らかに民主を近自民系の代表に交代させ、安倍政権に協力させよう、という腹が透けます。しかし今回、事実上支援した滋賀県知事選に勝利したことで、益々そうした動きにブレーキがかかった、と言えます。
今回、自民の方が打撃も大きく、全面支援の結果の敗北ですから、党執行部の責任論にまで及びます。ただし、秋の内閣改造、党執行部の交代で挙党体制になるか? は甚だ疑問です。これは自民内で強烈な保守層は必ずしも多数でない、という以上に、落ち目になった安倍氏が、その時点で調整型に転向できるはずもなく、心の弱さからも尚更、おトモダチを周りに集めたがるはずです。そうなると、益々反主流派は面白くなく、安倍下ろしが起きる。それがまた心的負担になり…と、第一期と同じ轍を踏みかねなくなってくる。その分岐点はまさに内閣改造となりそうです。

しかし今回の滋賀県知事選、維新は自民候補にのった。野党も一枚岩になりきれていません。ただし、内閣改造で自民内の動きが変わってくると、野党も反自民でまとまるかもしれない。自民とてバラバラ、烏合の衆である点に変わりなく、支持率や利権を中心にまとまっているとはいえ、担ぐ旗で政策がころころと変わることにでもなれば、野党のよい攻撃材料になります。
さらに、今回の知事選で大手メディアから語られないのが、『消費税増税の影響』という理由です。数箇所はみつけましたが、多くが『集団的自衛権、失言、自民候補の知名度』という話ばかり。国政選挙ではない、と言えばそれまでですが、であれば集団的自衛権も同様です。国民はインフレ、消費税増税で実質賃金の低下に苦しむ中、その影響もでてきたといえるのでしょう。大きな国政選挙がない中、福島県知事選、沖縄県知事選、統一地方選とつづく中で、自民がバタつくのか?  琵琶湖の水は自民にはしょっぱく感じられた、ということかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:58|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年07月13日

国際女性ビジネス会議での安倍首相の発言

安倍首相が国際女性ビジネス会議で「日本が発信源となり、女性が輝く地球を実現…」と語っています。しかし以前、指摘したブログ『SHINE!すべての女性が、輝く日本へ』などを見る限り、本気度には疑問符がつきます。これは霞ヶ関文学の最たるもので、本来こんな短文に句読点はいりません。しかし句読点を打つと、『輝く』は『すべての女性が』にかかる形容動詞から切り離され、『日本』にかかる形容詞になります。つまりこの文章、極端な例を示せば『すべての女性が(虐げられても)、輝く日本へ』としても、意味的には通ることになっています。
つまり『すべての女性が』の動詞は何でもいい。言いたいことは『輝く日本へ』であり、自民保守派への配慮から、政治家なのか、官僚なのか、分かりませんが、女性を支援する体で、実は保守派が喜ぶキャッチフレーズをつくった、ということが分かる仕組みになっています。首相の言葉でも「女性が輝く地球…」と、枠組みが随分と壮大になりましたが、今度は『すべての』が外れたため、日本の女性は家に引き篭もっても、海外の女性が輝けばいい、という文面になっています。

育児休暇を3年とれるよう、仕組みを改めるというのが安倍ノミクスの女性活用法ですが、3年も現場を外れたら、一線級のキャリアへの復帰はかなり困難になります。しかし安倍氏の取り巻きである保守層は、3歳まで母親が家庭にいて面倒見るべき、という古い考えに固執しているため、それを女性のため、と喧伝しているに過ぎない。本気で女性を活用する気は、初めからないのです。
また国家公務員の採用で、女性を3割以上とする目標は、翻ってみれば天下り先の確保をしなければならないキャリアを減らしたい。女性なら早く職場を離れる率が上がるため、高齢まで面倒をみずに済む。今でさえ、キャリアの玉突きが起きているので、女性が増えればそこが解消される、との目算が働いています。また社会の指導的地位に占める女性の割合を3割以上、としているのも、公務員として採用した女性を、天下り先に押しつければ達成できてしまう。悪い言い方をすれば、国として女性を雇用する、払い下げる、そうやって結果だけ数字を調整することが可能なのです。

次の内閣改造で、女性閣僚の大量生産という話もあります。セクハラ野次や、海外からの批判をうけて、安倍政権では女性を重視している、というアピールをするためです。しかしこの事例からも、安倍政権の女性活用の胡散臭さ、を嗅ぎとることができます。本来、閣僚の選定は能力主義でなければなりません。女性だから、という理由ならば、逆に女性を特別視していることにもなり、機会の平等や公平性の観点からも、問題があると言わざるを得ないのでしょう。
つまり自民党内に優秀な女性政治家がいるなら結構ですが、これまで社会党のマドンナ旋風、などに煽られて設えられた、お飾りのような扱いだったのであり、能力第一主義ではない。もうこの時点で、安倍政権の歪みが見え隠れする、とも言えるのでしょう。つまり数や割合を決めて、方針として掲げれば、それだけで利権、権益となってしまう。それは結果的に国としても、組織としてもマイナスでしかないのです。そういう政策を掲げる時点で、安倍政権に女性活用はムリ、と指摘できてしまうことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年07月12日

雑感。脱法ハーブと個人情報

脱法ハーブによる事件、事故が多発しています。これに、法整備が追いつかない、という声もありますが、身近なところにヒントがあります。それは消費者金融を再編へと追い込んだ、グレーゾーン金利の問題です。それまでグレーゾーンとして、法定金利以上の金利を得ながら取締りを行っていなかったのに、突如として規制され、利息返還請求に応じなければならなくなった。つまりこれと同じ、グレーゾーン薬物として、大雑把に『幻覚作用をもつ薬品』として、規制対象にする。つまり後で規制対象として指定されても、過去に遡って製造者、販売者、所持者などを取り締まり対象にする。何が規制されるか分からないため、販売側にブレーキがかかります。
実効性を担保するため、定期的にハーブ販売業に対して調査、サンプル採取する。そこで何らかの薬品が発見され、幻覚作用をもつことが判明すれば、遡って逮捕できる。まさにグレーゾーン、これでは怖くて対面販売できません。抜け道としては、ネットなどの裏取引がありますが、ハーブのネット取引は全面規制、もしくは届出制とする。それでも規制の目をくぐり抜ける業者はあるでしょうが、商売がやり難くなり、犠牲者を減らすことが今は大事なのでしょう。

一方で、通信教育大手ベネッセによる、顧客情報の流出事件。まず個人情報保護法が、完全にザルである点が問題です。個人情報の削除を、申告制にしている。しかし転売が横行する名簿業者では、一つを削除してもイタチゴッコです。これを規制するには、個人情報を売買する場合、個人への了承をとることを業者側に義務付けなければ、規制などムリです。そしてそれは売る側、買う側、双方の義務とする。つまり売る側は、個人へ二次利用の許可をとらなければならず、買う側は販売業者が正規に、許可をとったルートであることを確認する。買う側が確認するのは困難ですが、逆に怪しげな業者から買えば、相応のリスクを負うとの認識をもつことが重要です。
つまりこれにより、転売は不可能。名簿業者も存続はできますが、ハードルが高くなるので販売価格も上がる。簡単に売買ができなくなります。こうなって初めて、個人情報保護の名目にも合致するのです。そして犯罪に利用される、例えば詐欺に遭った人の名簿などを取引したケースでも、それだけで摘発できる。名簿一つ一つに、業者がそれに掲載される個人、すべてに許可をとるようにすれば、おかしな名簿は裏でしか取引できない。そして裏取引は、すべて犯罪となります。

名簿業者が成り立たなくなる、という指摘に対しても、逆にいえば子供のデータはプラチナ、などという以前に、個人情報はすべて価値があるのであり、それを勝手に利用することは個人の権利とも相反します。逆に、一件一件の価値が上がるので、使えるデータをもつ業者はそれだけ有利、競争原理で優位に立てる、ということにもなり、純粋な淘汰の話に過ぎなくなります。
そもそも、いきなりDMが送られてくる、という現在の環境が異常なのです。企業も安易に名簿業者に頼り、自分たちはリスクを逃れられる、との認識は捨てなければなりません。今回、ジャストシステムの株価は大きく下がりましたが、まさに名簿に頼った結果として市場からノーを突きつけられたのです。最近、アプリでも安易に個人情報を集めたがる傾向もあるようですが、例えばシステム上、関係ない個人情報を収集した場合、罰則を設けてもよいのかもしれません。個人情報とて、個人が有する財産である。そうした認識にたって、第三者による利用に制限をかけなければ、益々国民の不安は募る、といったことにもなりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:42|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2014年07月11日

安倍政権の支持率低下は…

昨晩、ポルトガルの銀行最大手、バンコ・エスピリト・サント(BES)が短期債務の返済を延期し、経営不安に陥ったとして欧州は混乱しました。筆頭株主のさらに親会社、ESFGの不正会計が5月には判明しており、それが銀行本体にも波及した形です。日米への影響は軽微でしたが、これまでは国やECBが支えた金融機関でも、これからは株主、預金者にその責任がかかってきます。経済が低迷を続けていけば、金融業界にも淘汰がおきる。リスク投資として欧州の低格付け債への投資が活発化する中、日米も決して対岸の火事ではいられないことだけは、間違いないことです。

日本株式は5日続落。これは安倍ノミクス始まって以来であり、ムードが変わってきました。菅官房長官が、某番組で最近の支持率低下を「集団的自衛権の議論の進め方と、セクハラ野次が影響」と発言していますが、明らかに最近の経済の変調が、大きく影響しています。これまでも株価連動支持率とされ、株価的には公的資金により大きく下支えされているとは言え、景気は明らかに落ちこんでいる。国民も肌感覚で、安倍ノミクスへ違和感を抱き始めているのです。
最近、政府要人からも「デフレ脱却」という言葉を聞きません。それは現実的に、デフレを脱却したからではなく、脱却した途端に、生活苦に喘ぎだした。デフレ脱却=悪、との認識さえ抱きかねない状況です。つまり経済政策の失敗、政府の方向性の過ちを国民は感じとっており、政府としても使い難くなった。成長が後回しになった結果、デフレ脱却が国民に打撃となり、実質賃金の低下を招いている現実が、その言葉を使えなくさせた、というのが実態です。

そこに集団的自衛権の議論が重なった。景気を蔑ろにしている、セクハラ野次にしても傲慢になっている、と映る。国民の声が届かない、そこに号泣議員が現れ、特権階級としての議員へ、再び悪感情がもち上がった。税金をつかって自らの懐を潤す、切手購入には自民県議も関わっていた、とされることから、益々安倍政権への目が厳しくなる。こうした負の連鎖が始まった。
これを逆回転させるのに、北朝鮮拉致を目論んでいたところ、識者から「最大にして最後の好機」などの発言が相次ぎ、国民の期待は一気に高まってしまった。100点でなければ失敗、50点では非難轟々となるのが必定であり、官邸も慌て始めた。このまま進めて、日経スクープの『名簿に30人』程度では国民が納得せず、制裁解除すら失敗と糾弾されかねません。景気対策も人手不足で打ちにくく、追加の金融緩和も効果のほどは低い。NISA枠の倍増をもちだしたのも、株価下落の焦りからです。しかし株価上昇で追い風があった昨年と異なり、今年改めてNISAをやろう、と考える人はいませんし、NISAで大きく儲かった、という話も聞きません。元々が小額投資、老後の蓄えぐらいにしかなりませんが、今の投資家層は高齢者が多く、今からやるメリットがあまりないのです。

今、海外で経済に変調が起こって欲しい、ともっとも強く願っているのは安倍首相なのかもしれません。それは打つ手が限られてくると、益々自分のせいではない、安倍ノミクスが悪いんじゃない、とイイワケしたくなるからです。しかし日経でも『年金の納付率、実は4割』などの、ネガティブ記事が目につきだした。安倍政権と一蓮托生で、メディアも沈没するわけにはいかない、として正しい報道を少しずつ始めた、そんな経緯もあるのでしょう。ポルトガルの銀行も不正会計がキッカケですが、数字を操作して見かけをよくする、そんな不誠実さは安倍政権も同じです。対岸の火事ではなくなる日も、そう遠くないということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年07月10日

米FOMC議事録の中の日本

昨晩、発表された6月のFOMC議事録には、少し衝撃的な内容が載っていました。10月には量的緩和を終了、利上げ時期に言及はなく、FRBが保有する証券の再投資について、利上げ後にも行う、つまり新規の買いは10月で終了しても、再投資分は利上げ後も継続させる可能性がある、と言及し、米国ではそれを好感した株買いとなりました。しかし、ある理事の発言として、世界経済の不透明要因の中に、中国と日本の景気が挙げられたのです。それは不動産バブルの崩壊が指摘される中国と、日本が同列に扱われた。これは非常にショッキングなことだと言えます。

それを示唆するのが、5月機械受注統計で、国内民需が19.5%減と比較可能な05年4月以来最大の落ち込み幅、となりました。あらゆる調査でも、今年度の設備投資計画は昨年より増加する、とされていましたが、実態はどうも計画通りでないらしい。官公需は22.4%増と支えたものの、外需は45.9%減。外需については4月が大幅高で、反動減の面は否めませんが、それにしても4-6月期は家計、企業ともに総崩れの様相であり、これを一時的とするには理論武装が足りません。
一方で、6月消費動向調査で、消費者態度指数が1.8pt改善し、41.1になったことを消費マインドが強い、と指摘する向きもありますが、これは何度も言うように「良くなる、やや良くなる、変わらない、やや悪くなる、悪くなる」と五択であるため、前月から悪くなるから、変わらないが増えたら、それだけで数値が改善します。事実、前年同月比では3.2pt減であり、昨年並みの水準にもどったわけではない。しかも、これだけメディアが好調との記事を流せば、ムードに流されて回答してしまう恐れもある。経済の専門家でさえ、国民を誤誘導しているのが現状なのですから。

最近、リフレ派の識者がやたらと自分たちの成果、を誇る記事を目にします。これは自分たちは成功した、ただし消費税増税により失敗に終わった、という理論武装を始めたためなのでしょう。しかし昨年とて、円安駆け込み需要、増税駆け込み需要の二つが乗った結果であり、リフレ派の語る成功は、その二つがなければ効果は限定的だった、と指摘できるものです。そしてこれは全体に当てはまり、昨年はすべてが上手くいく流れであって、今年はその逆回転が起きている、ということなのです。なので、米FRBからも「不安」という指摘がされてしまうことになります。
日本では6月末までの公的年金買いが顕著で、市場を下支えしましたが、7月に入ってからは日銀のETF買いが下げを拒否している。しかし市場の健全な動きとは異なるため、いずれ大きな変動を生み易くさせている、と指摘できてしまいます。FOMC議事録でも、ボラティリティの低下を懸念要因、として挙げるほどであり、日本ではそんな認識もなく、ボラティリティが低下しても市場を高く誘導させておけばよい、といった悪しき認識で、日銀や年金が行動している、異常事態です。

内閣府は消費動向調査について、判断を上方修正しています。経済指標をみても、リーマンショック後と同じ、東日本大震災後と同じ、比較可能の中では最大の…といった悪い経済指標が並ぶ中、のん気に景気は良好、いずれ回復する、と唱える日本政府と、ボラティリティ低下を望んで市場を高値誘導する、日銀をはじめとした公的資金が、日本の最大の不安要因として米国でも認識されているのかもしれません。中韓の手法を真似ることの多い安倍政権が、中国のような経済指標を操作する、といった禁断の手法に手を染めることも、今後起こりうるのかもしれません。株価を気にして、操作する政権だけに、徐々に経済指標への信憑性が揺らいできた、と言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月09日

安倍首相のオセアニア歴訪

安倍首相のオセアニア歴訪で、日豪共同声明が出されました。経済連携協定(EPA)に署名、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の早期締結にコミットメント。集団的自衛権に支持、防衛装備品など、技術移転、共同研究、開発。力による現状変更による試みに反対。北朝鮮には核放棄と人権侵害を非難。一見すると、とても日本の主張が通った内容ですし、日本の首相としては初めて、豪議会で講演する。アボット首相との会談後の共同会見では、互いにファーストネームで呼び合うなど、蜜月ぶりを大いにアピールしました。

しかしこれは安倍首相のスネ夫外交が、顕著に現れた結果です。本当は米議会で講演し、オバマ大統領ともファーストネームで呼び合う会見をしたかった。しかしいずれも拒絶され、その悔しさから外務省に代わってできる国を探すよう、おねだりした。豪国は最近の良好な関係からも、ふさわしいとして打診しており、それが今回の歴訪となった最大の要因なのでしょう。
しかし間違えてはいけません。議会での講演も、本来は上位にある国が、下位にある国の長を遇し、その主張を聞くというのが一般的です。日豪は経済規模でみても日本が何枚も上であり、わざわざ講演するまでもなく、豪国は相手の主張、戦略を知っておかなければなりません。日本の首相として初になったのも、これまではそうする必要がなかった、というのが原因です。

以前からの指摘ですが、安倍氏は韓国の手法を真似る傾向があります。日豪の関係を、米韓関係に見立てて行ったのも、その一環なのでしょう。しかし先に訪問したNZで、早くも齟齬が露呈しています。それは日本の主張する関税維持に『理解を示す』という相手の態度で、はっきり分かります。理解は示しても賛成はしない、支持しない、という裏返しにすぎません。日本語だと何となく受け入れられた、というニュアンスが強くなりますが、外交の場で『理解を示す』は、積極的に反対しない、という程度の意味しかないのです。つまり状況は何も変わっていません。
集団的自衛権にしても、豪国などは特に、米国に付き合って出兵することが多いので、その肩代わりを日本がしてくれるなら歓迎です。それをもって、世界から肯定的に受け入れられた、というのは誤りで、米国も軍に近い人間は諸手をあげて賛成しますが、米政府は淡々と認めるにすぎなかった。それによる中韓の反応を鑑みて、米国はほとんど態度保留の姿勢をとったのです。

台風8号による大雨被害が予想される中、わざわざオセアニア歴訪にでかけたのは、仲良しのおトモダチと会って、自分の行動を認めて欲しい、という幼稚な発想もあったのでしょう。しかし土石流被害などが出ている以上、最高責任者である首相が日本を離れている、というのはいかがなものか? 外交日程を優先した、といっても焦って行く必要があったのは、豪議会の都合上、そこで講演するというただその一点にすぎません。言葉は悪いですが、格下の国相手に、一体どれぐらいのことを約束して、今回の最恵国待遇をとりつけたのか? 国民の痛みが分からない首相だけに、特別警報で混乱する気象庁の責任を、どうつけるのか? 自分が現場指揮にいなかったことですら、説明を避けてしまうのかもしれません。都合のいいとき、自分が主張したいときだけ会見を開く、そんな首相のおトモダチ探しの旅が、オセアニア歴訪なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | オセアニア

2014年07月08日

6月景気ウォッチャー調査について

内閣府が発表した6月景気ウォッチャー調査、現状判断DIが2.6pt改善し、47.7となりました。回答の傾向をみても、やや良くなっている、変わらない、が微増し、やや悪くなっているが減った。内閣府は基調判断を「緩やかな回復、駆け込み需要の反動減も薄れ…」と6ヶ月ぶりに上方修正しています。中身をみると、家計動向で小売、飲食がもどり、企業動向は非製造業が牽引した。一方で、雇用関連が悪化していますが、全体的に現状判断は良好な結果といえます。
ただし、先行き判断DIはやや良くなるが減って、変わらないが増えたため、0.5pt減の53.3でした。中身をみると、現状判断では回復した家計動向の小売や、企業動向の非製造業が落ちる。つまり現状、先行き判断をみると、今は少しもどったけれど、将来は現状維持か少し悪い、と考えていることになります。判断の境目が50で、先行きはそれを上回っていると言ってみたところで、何度も言いますが、反動減からの『変わらない』が増えているのなら、昨年並みの好況にはとどかない、という意味になるのです。そしてそれはその他の経済指標にも色濃く現れています。

7日、内閣府から発表された5月景気動向指数は、先行指数が0.8pt低下の105.7となり、4ヶ月連続の悪化です。重要なのは消費者態度指数のみ改善で、それ以外は軒並み悪化。特に、これは5月鉱工業生産指数でも示されていましたが、出荷が4ヶ月連続で減少しているにも関わらず、在庫が積み上がっている。これは将来的に、生産調整を余儀なくされる動きといえます。
しかしこれは世界的な傾向であり、英独の5月鉱工業生産指数が急減しており、懐疑的な見方も強いのですが、どうも生産の側に急ブレーキがかかっていることは間違いない。それは米国がほぼインフレ率と同水準の2%しか賃金が上がっていない。中国消費が不動産市場の悪化からガタ落ちしている。日本の駆け込み需要の反動、といった世界的要因と無縁とは、とても思えません。

日本では公共投資の前倒し、設備投資の増加、一時金増による消費回復、がシナリオとしてすでに組みこまれていますが、5月の雇用関連が悪化していることでも分かりますが、人材不足と在庫の積み上がりが顕著な中、企業に設備投資を積極化させるインセンティブはありません。一時金の増も、どこまで実質賃金の減少を補えるか? 公共投資の前倒しでも、人材不足から入札不調が乱発されれば、前倒しどころか停滞で。そうなるとこのシナリオはかなり楽観的、と指摘できてしまいますし、民間の4-6月期GDPは、下方修正が相次いでいるのが現状です。
このタイミングで、景気ウォッチャー調査の基調判断を上方修正する、内閣府の思惑は次のところにあるのでしょう。財務省悲願の消費税10%への引き上げ判断、これを下すために増税の落ち込みを支える、との名目で、景気対策としての追加予算を秋の臨時国会に提出する、そんな目算なのでしょう。これは異例の対応ですが、今は何としてもムードをよくするため、景気は好調と喧伝しておきたい。その上で、どうせ下がるのなら先に景気対策を打つ、ということで自民党内を納得させる。これは軽減税率導入議論が始まったことでも分かるように、規定路線なのです。

しかしその景気対策では、決して国民は潤わず、自民の利権団体を潤すだけに留まるのでしょう。4-6月期の落ち込みから、7-9月期に回復しなければ景気後退も覚悟しなければならない、そんな声も聞こえます。状況判断もできない政府では、そうなっても宜なるかな。そして4-6月期GDPが1-3月期GDPの6.7%増を大きく下回っても、増税につっこむようだと、もうこの政府を見放した方がいい、となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月07日

雑感。福島原発の凍土壁

11月の沖縄県知事選を巡り、自民執行部と県連レベルの齟齬、が見えてきました。自民執行部は高齢であり、また基地容認を鮮明にした仲井真氏では勝てない。県連は仲井真氏を推す、という構図です。ここで仲井真氏を切れば、辺野古移設のために使い捨てにした、として沖縄自民は窮地に陥ります。地縁の強い結びつきがある沖縄では、ドライな判断は逆効果になりかねません。
滋賀県知事選も投票日をひかえますが、地方選の結果次第では、安倍政権は集団的自衛権解散を狙っているとされ、今後の国政についても確実に影響する選挙となってくるのでしょう。最大の注目は、公戦党となって創価学会がどう動くか? このまま安倍政権に協力し続けると、自分たちがこれまで行ってきた主張とも、大きく食い違ってしまう。地方選レベルでは、動員をかけてまで激しい選挙戦をするケースはあまりありませんが、今後の動きによって国政選にも関係してきます。

福島原発で、凍土壁工法が行き詰っています。配管用トンネルを凍結、水の流入を防いで汚染水を抜く、という凍土壁の設置前にして、すでに上手く凍結していない事実が明らかになっています。同じ手法ですから、配管用トンネルの凍結より、広大な面積を止水しなければならない凍土壁では、より困難なことが必定です。汚染水の流入を食い止める、唯一にして最良の手法だったはずが、着工から二ヶ月たって、未だに成果を上げていないということになっています。
元々、凍土壁にはムリがあるとの指摘があり、それが俄かに露呈した形です。この動きで重要なのは、凍土壁が完成しないなら、地下水の流入が止まらず、タンクに限界が来てしまうことです。汚染水浄化装置(ALPS)も、動いたり、動かなかったりする中で、タンクの限界がいつくるか? 実はそれを気にするのは、これまでも何度か後数ヶ月、という発言を耳にしつつ、未だにタンク容量に余裕がある点です。魔法でも使わない限り、水が処理能力をこえて減ることはないので、海洋放出しているのではないか? との懸念すら抱かれかねなくなります。

結局、タンクの限界という話は、地下水をバイパスして海洋放出する理屈として利用しただけで、余裕があるのではないか? そんな勘繰りにもなってしまいます。原子力規制委が、原発の安全審査に関して、電力会社が協力的でなかった、と発言しています。これは根拠の資料が不足していたり、説明が説明になっていない、などが相次ぎ、審査に齟齬を来たしている、という意味であり、再稼動できない事情を電力会社がつくっている、という話です。安全対策費が2.2兆円に膨らんだ、と報じられますが、だからといって原発が安全になったわけでもありません。
小泉元首相が、避難計画について不完全であると指摘しています。それにもう一つ、大型台風が近づきますが、福島原発にも直撃する恐れがある。直接水が流入するばかりでなく、地下水の量も増えてしまうでしょう。今後も自然災害で、安全が脅かされる状況が続くことは間違いなく、そんな中で再稼動にまい進する姿勢は、やはり説明がつかないのでしょう。集団的自衛権選挙をした安倍政権も、原発、経済などが複雑に絡みあうのが、次の選挙となるはずです。地方議員もそうですが、そろそろ国民がきちんと政治家を選ばないと、世界から物笑いの種になるばかりであり、凍土壁にこもって恥ずかしさに身をちぢこますことになるのは、国民ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年07月06日

雑感、安倍首相のオセアニア歴訪

兵庫県の野々村県議の号泣会見が話題です。しかしテレビで活躍する芸人が、おもしろいと発言するのを耳にするたび、だからテレビはつまらなくなるのでしょう。どうみても演技にしか見えず、またキャラは立っていますが、それは相手が正常な判断ができるという前提のある場合であり、一般とは乖離した反応が常態化していれば、もうパロディーとして通用しなくなります。
芸能評論風にいうと、元の映像を越えるものでなければ、真似するだけ損をします。小保方氏のケースと異なり、公人ですから二次利用もある程度は可能でしょう。しかしそもそもテレビに出てはいけない、議員の資質に欠けた人物である場合、テレビで取り上げるだけでも問題になりかねない。後に政務調査費などで偽装、詐欺的行為がみつかり、有罪にでもなれば、犯罪者を取り扱ったケースになってしまいかねません。以前であれば、パロディーは真剣な場面をきりとり、それを崩すことで面白みをだしましたが、元がおもしろいからと言ってとり上げることはありませんでした。テレビは面白いことの後追いであってはいけない、面白いことを自ら作っていくぐらいでない限り、テレビをみたい、と思えるようなものにはなっていかないのでしょう。

しかしこの動画が、世界で嘲笑されている事実は忘れてはいけません。日本でも多い海外の面白動画、の一つとして喧伝されてしまいかねません。これは恥ずかしいこと、という認識が大切です。そしてセクハラ野次も同様に、そうした議員を選んだのは自分たち、ということを弁えるべきで、例え県議であっても、きちんと人柄や人物像をみて、選ぶことが大事なのです。
そんな中、安倍首相がオセアニア歴訪にでかけます。集団的自衛権の説明、と伝わりますが、豪国などは現在、資源国として資金が流出した結果、人件費高騰から自動車メーカーが豪国から撤退する、という事態になっており、経済的にはかなり苦しくなっています。米国に付き合って海外派兵する、ということも多い豪国ですが、日本の自衛隊がその肩代わりをしてくれるなら、これほど助かることもない。一方で、その負担は日本の国民や財政に跳ね返ってきます。

しかし歴代首相と比べ、積極的に海外へ行く首相ですが、歴代首相と比べて一向に外交成果がない。今回もTPPで早期妥結をめざし…と伝わりますが、その程度なら外相レベル、事務方クラスでも十分です。首相が出向く、という重さがまったく感じられない。本来、首相が相手と会うのは最終段階、何らかの調整が済んで、調印だったり、何かを決めるときのはずです。しかし安倍外交にそれはなく、結果として首相がよく外遊にいく、という形だけが増えています。
安倍外交を、スネ夫外交と評しましたが、スネ夫は少なくとも上手く立ち回って、クラスでも自分のポジションを築いています。しかし安倍外交にそれはありません。安倍首相が出向いたのに、お土産も渡してくれない、それが安倍外交の真相です。SHINE!で嘲笑をうけたように、敬意や親密さを感じる相手ではない、安倍氏がそう見られていることの証左なのでしょう。地方議員ばかりでなく、首相レベルでさえ海外から軽くみられている、それが日本の現実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | オセアニア

2014年07月05日

中韓首脳会談

中韓首脳会談がソウルで行われています。今回、特徴的なのは中韓FTA交渉の加速など、互いに成果を焦っている点です。今回、中韓が歴史認識で共闘し、日本を攻撃しようとしている、とばかり伝わりますが、重視すべきは2点。むしろこちらがどう動くかで、歴史認識など両国ともふっ飛びます。その一つは習主席が示した『アジア安全観』。これはアジアの問題は、アジア人の手で解決するというもので、これに協力すると、韓国は中国に事実上軍事権の共有化をせまられます。
つまりアジア安全観を成立させるためには、アジアで最大の軍事予算をつかう国との協力関係が、絶対条件になります。これまでの米韓軍事関係は見直しを迫られる。韓国としては、北朝鮮を中国が抑えてくれるなら、米軍の傘から脱しても安寧を得られます。しかし世界最大の経済規模をもつ米国から睨まれれば、貿易面で米市場は諦めざるを得なくなる。今でさえ、車は燃費データの不正などで、携帯電話事業もバックドアの存在を指摘されて芳しくありませんが、リーマンショックの影響から脱して好調とされる米国、不動産に翳りのみえる中国、天秤にかければどう考えても米国からは脱せられない。アジア安全観に、今ひとつ乗れない事情があります。

もう一つは中国が提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)です。これは米国や日本の影響力が強い、アジア開発銀行(ADB)、世銀などに対抗して、中国が主導してつくる国際金融ですが、韓国もこれには乗り気です。なぜなら、韓国は国の経済規模に対して、金融が圧倒的に弱い国なので、資金調達手段が増えるとの思惑もある。しかし韓国が誤っているのは、AIIBの規模と参加国によっては、韓国が二番手、三番手で出資を求められる点です。ADBにしろ、世銀にしろ、日米の影響力が大きいのは、それだけ出資しているためです。中国が最大の出資国になるとしても、それだけで資金が賄えるはずもなく、参加国で経済規模の大きい国に出資を求めることになります。
逆にみれば、経済規模に対して出資額が決まる以上、韓国には重い負担になりかねない。中銀などがウォン高牽制発言を行ったものの、さらにウォン高がすすみました。すでに介入の手を米国から見透かされている韓国に、ウォン高に対抗すべき手がない、と見透かされているのです。これは韓国金融が脆弱であり、中銀の介入がない限り、為替操作は不可能ということになるのです。

しかしアジア安全観、AIIBともに中国主導の、新たな世界秩序というべきものですが、その負担に堪えられる状況では、中国もありません。不動産バブルの崩壊がはじまり、金融不安、地方政府の財政不安に直結しはじめると、中国国家財政にも影響してきます。それは高負担を伴う両施策への責任をはたすことが困難になり、頓挫しかねない。習体制がすすめる痛みを伴う改革の結果、中国はコントロール不能な経済状態に陥る恐れすらある。いくら就任以来、5回の会談を重ね、蜜月ぶりをアピールしたいとは言え、韓国も安易に乗っかるのはリスクを伴うのです。
金融システムは、作るときは簡単ですが、壊れるときはつくるときの何十倍、何百倍の打撃を伴ってしまう。AIIBへの参加は、まさに今、中国経済をどう占うのか、各国の見識が問われるとも云えるのでしょう。今回の中韓会談、歴史認識で一致としてみても、双方とも教育として与えてきたものも異なり、国の上層だけが一致したとて、国民レベルでは首をかしげるものが多い。そこに双方の弱みもあり、だからこそ中韓FTAなどの期待を煽る以外に、国をまとめる術がない。両国とも経済が壊れ始めているだけに、経済で夢を与え、一方で対外的に敵をつくる、といった手法に依存しているのでしょう。大事なことは、両国の経済動向をよくよみ、その上で両国がどこまで蜜月をつづけられるか、という点にかかってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2014年07月04日

日銀の生活意識に関するアンケート調査

米国ではダウが17000$を上抜けてきました。雇用統計の数字自体は良かったのですが、賃金は2%と依然低い伸びで、労働参加率も悪い。斑模様が『ちょうどいい』として、金融引き締めもなく、現状の環境がつづくとの思惑が働きます。次はS&P500の2000ptに向けた仕掛けも期待され、17000$は通過点との見方が広がったことも、17000の抵抗が弱かった原因となっています。
日本市場では、俄かに年金系の資金に注目も集まりますが、昨年度のGPIFの運用益が10.2兆円と発表されました。今は世界規模で債券高、株高と、運用には絶好の時期でしたから利回り8.64%でも驚きはありません。むしろ株式に限ってみれば、年間通じて日経平均で20%ぐらい上昇しているので、運用成績自体は悪い。債券比率が6.17pt下がり53.43%、株式比率が1.83pt上がり15.88%となっていますが、今後に禍根を残しそうです。今年、株式も数%の値上がりですし、債券価格も頭打ち。事実、1-3月期はすでに損失となっています。つまり昨年度は、4-12月期に大きく稼いだ、その貯金でプラス圏を維持できたのであり、今年に入ってからの運用成績はもっと悪化している可能性があります。そして米国債も利上げ懸念で、今以上の金利上昇がおこると、さらに外国債券の損失が増えてしまう恐れもある。株も、債券も、これからは厳しい運用となるはずです。

こ辺りは、昨日発表された日銀の生活意識に関するアンケート調査、でもはっきり示されています。景況感の判断指数DIが、-10と3月調査時より3.8pt悪化しています。収入についての判断DIは-30と、前回から横ばい。収入が増えた、と回答した割合が9.2%と、高水準になる中で横ばいですから、減ったと答えた割合も高まった。連合が発表した昨年度の春闘による賃上げ率は2.07%増でしたが、他の指標と整合的にみても、賃金の下落傾向に歯止めいずれがかかっていません。
実質で賃金が3.4%、3.6%と下落している。つまり賃金状況からみると日本には今、強烈なデフレマインドが働いていることになります。しかし今回はコストプッシュ型のインフレであり、消費活動に関係なく、インフレがすすむ。これではいつ消費が減退してもおかしくありません。アンケート調査の景況感悪化も、まさに今、日本が景気減速に陥る、その瀬戸際にあることを示します。

日本のメディアは、日銀短観をうけた記事でも『日本経済は堅調、波乱要因は海外』としか書きません。しかし日本経済もぎりぎりであり、これはいざ日本の景気が崩れたとき、増税のせいではない、というイイワケをするため、メディアがこぞってそうした記事をあげているに過ぎません。しかし今年、実質賃金は3%減ぐらいで推移するのが確実であり、その影響は無視できません。
日銀もその辺りに気づいて、今年の物価見通しを若干下方修正してきた。賃金が上がらない以上、このまま2%にインフレ率が近づけば、それだけ家計には打撃となることが確実だからです。つまり日本は欧米と違い、実はインフレを抑制しなければいけない、そんな金融政策が必要になってきている。これに海外投資家が気づき始めると、一気に日本株から逃げて行く可能性があります。

いずれこれまでの逆回転、債券安、株安の時代が到来します。そしてそのとき、実質賃金がマイナスを続ける日本は追加の金融緩和ができず、やれば逆に景気を冷やす、という事態に陥りかねないのです。最近、脱法ハーブの問題がさらに深刻になっていますが、日本経済も今、中銀中毒の状態に喘いでいます。気持ちよく酔っていると、そのうち暴走を始めて、多くを巻きこんで不幸にしてしまう。そんな懸念が強まってきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年07月03日

すべての女性が、輝く日本へ?

安倍政権のスネ夫外交で、日朝交渉で北朝鮮に特別調査委員会が設立されたことで、日本側から独自制裁の一部解除、が示されました。しかし特定失踪者問題調査会からすでに指摘されているように、委員会は北朝鮮の面子のため、政府が否定するリストもすでに日本に渡されている。糾弾すべきは、TPP交渉の読売や、今回の日経の記事でも、政府の情報管理体制の甘さと、さらにスクープを報じたメディアへの報復措置、です。政府の意図しないスクープを報じたメディアは出禁、接触禁止で追いこみ、統治体制にくみこむ。情報を恣意的に扱う、安倍政権の態度です。
最近では、Twitterなどで『安部死ね』と書くケースが多いようです。これは『安倍』でないのは無知だから、と分析するところもありますが、情報統制をかける政権が、ネット監視をしないはずがない、という観点でいえば、検索にかからないようアングラの行動とも指摘できます。

内閣府の男女共同参画局のブログに、安倍氏の笑顔と『SHINE!すべての女性が、輝く日本へ』と記載され、海外で翻訳すると、安倍氏が女性に死ねと言っている、と笑い話になっています。英字と日本語を混在させたために起こったことですが、大事なのは海外で、安倍氏は笑い者になっている事実です。G7でも安倍ノミクスに批判的な独国が議長国になり、包囲網も狭まってきた。北朝鮮交渉に前のめりで、ジャイアン米国に相談していないことから、米国から懸念が伝えられている、という話もあります。スネ夫外交は、母親から「スネちゃま」と言われるほどのお坊ちゃま外交で、周りがまったく見えていない。本当に大丈夫か? 不安にさせられます。
さらに国会の衆院総務委員会で、維新の議員に対し、自民党会派周辺からセクハラ野次がとんだ、との話もあります。shineには、俗語として『いたずら、騒ぎ』といった意味もある。女性に野次をとばし、どっと笑い声をあげる、といった下品さは国政レベルでも変わらないのでしょう。保守系議員に漂う戦前回帰、家父長制に基づく男尊女卑、といった思想は、長年染み付いたものであり、そう簡単には変わらない。忘れた頃にでてきては、日本が海外から笑い者にされる、ということをくり返してしまうのかもしれません。例えばブログの文言も、変なところで句読点が入っているため、『すべての女性が』と『輝く日本へ』が切り離され、文体として別々に扱われているように見える。前段はどうでもよく、後段だけ強調する、といった態度にも見えてしまいます。『すべての女性が輝く、日本へ』でない。つまり日本にいると女性が輝くのではなく、輝く日本へ女性が集まってこい、ということが言いたいのでは? と感じてなりません。

話は変わりますが、米国で6月雇用統計が発表され、28.8万人増と市場予想を越えてきました。これにより金利は上昇、円安へと傾いています。ただし賃金上昇ペースは緩やか、週の労働時間も増えていない。新規失業保険申請件数は小幅に上昇、とつかみどころのない結果です。不足感があって雇用が増えている、というより人員の定期入れ替えの印象が強い。本当に米経済が強いのか? もう少し見極めも必要でしょう。そこには何より、イエレンFRB議長が講演で、住宅バブル容認ともみられる発言があったように、マネーの回る市場との間で、二極化がみられる。
米国でも、上がらない賃金がインフレ率を越えず、消費が活性化する要因は低い。ただし今は自動車ローンなどの審査が緩くなっているため、消費を支えています。それも第二のサブプライムローンの指摘があり、今後の動向には注意も必要なのでしょう。緩んだ金融に対し、サジを投げ始めた中銀の態度が、後の急変動を招く要因になりかねない。米国の動きも警戒すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2014年07月02日

雑感。内閣支持率の低下

共同通信の世論調査で、安倍内閣の支持率が47.8%、不支持40.6%と拮抗してきました。集団的自衛権の行使容認には54.4%が反対と、賛成34.6%を大きく越えています。読売、産経が集団的自衛権に対し、賛成、反対以外に『必要最小限度の使用』の項目を設け、高い賛成と報じており、米国でも一部メディアが日本国内でも高い支持と伝え、逆に一部のメディアは官邸前の抗議活動を示して、拒否反応が強い、と報じています。
以前も述べたように『必要最小限度』や『限定』とつくと、抑制のきいた活動を想像しがちですが、閣議決定の内容に抑止効果はありません。日本特有の曖昧な表現が並び、それこそ時の内閣の判断に大きく左右されてしまう。つまり首相の個性、政権の態度に依存してしまうようなものに、抑制を期待するほど愚かなことはありません。つまり読売も産経の設問の作り方では、非常に不親切で問われた側の受けとり方で、大きく結果が異なる。それでは世論調査の意味がないのです。

共同通信の世論調査は歴代政権も気にしています。ここに来て支持率が下がっても、北朝鮮から拉致被害者をとり戻すことで、支持率回復が見込める、との話も浮上しています。ミサイル発射でも協議をつづけ、すでに帰還者名簿をうけとった、との話もある。しかし注意しなければいけないのは、これは安倍政権の成果ではない、ということ。中韓接近や毎年の自然災害で、資金不足、食糧不足に陥っている北朝鮮側の事情が大きい、ということなのです。しかも、交渉前後にミサイルを撃たれる。それでも日本は交渉の席から下りることがない、北朝鮮から足元をみられているなんて、逆にみれば非常に屈辱的とも言える交渉状況になっているのです。
安倍首相にとっては、露国との北方領土交渉にウクライナ問題で行き詰まり、北朝鮮との交渉に狙いを定めた。しかし相変わらず前のめりで、戦略性もなく、札びらばら撒けば上手くいく、といった態度をつづけている。集団的自衛権の問題も、外交能力が乏しいからこそ、軍事や米国に頼らざるを得ない。能力不足だからこそ、前のめりと言えるような状況なのです。

読売では、愛知県でおきた小3少女がイジメで身代わりになったことにかけて、日本も集団的自衛権の行使で、これでトモダチが助けられる、と意味不明なこじつけをしています。米国はむしろイジメる側です。露国にしろ、中国にしろ、他国を圧する軍事力を過信する国は常に、他国をイジメる立場になるのであり、日本は一緒にイジメる側に立つのかどうか、が問われるのです。
一部メディアで指摘もありますが、日本が集団的自衛権を行使できるのなら、そもそも日米安保の見直しを一緒に議論しなければならない。それがないなら、単にこれは日本が米国に貢物をささげて安寧を請う、ということにしかならないのです。トモダチを助けるどころか、貢物をあげないと関心も買えない。むしろジャイアンとスネ夫の関係にしか見えないのです。お金をばら撒いて、海外の関心を買う姿は、まさにスネ夫の生き方そのものと言えるのでしょう。スネ夫の苗字は骨川ですが、まさに安倍氏は日本の骨も皮もしゃぶり尽くして、自らの支持を上げる、という態度が鮮明になってきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年07月01日

6月日銀短観

今日は自民党が自戦党になり、公明党が公戦党になった日です。集団的自衛権の問題で、閣議決定が行われました。まだ様々な関連法の改正、新法の成立が必要ですが、これほど憲法を蔑ろにする決定もありませんし、一人の人物の思いこみで、憲法など如何様にも変更ができる。ナチス時代のドイツを彷彿とさせかねないもの、と感じます。麻生財務相がいみじくもワイマール憲法について語ったこともありますが、平和憲法もいとも容易く変わってしまいます。

6月日銀短観が発表されました。大企業製造業DIは前回より5pt悪化の12、非製造業DIも前回より5pt悪化の19、先行きは製造業が3pt改善の15、非製造業は変わらず。中小企業製造業は3pt悪化の1、非製造業は6pt悪化の2、先行きは製造業が2pt改善の3、非製造業が2pt悪化の0です。
相変わらず大本営発表をくり返すメディアは、先行きは改善、消費税増税の影響は限定的と報じますが、しかし以前から指摘しているように、これはアンケートの癖です。短観のアンケートは『良い、さほど良くない、悪い』と3つの項目しかなく、良いから悪いを引く。つまり先行きでも悪いが減って、現状維持の『さほど良くない』が増えても、数値としては改善します。それを示すのが現状で大きく落ちこんだ建設、自動車が先行きで小幅の変化幅に留まっていること。実は、これだけで数値的には『改善』という結果が出てしまう、ということになるのです。

しかも最大の注目点は、景況をもっともよく反映する中小企業非製造業が、先行きも悪化していることです。大企業は、財界から法人税減税の引き換えに、ムードをよくしろ、との大号令がかかっており、アンケートの回答にも影響を与えていますが、中小企業非製造業は肌感覚に近い。
しかも今年度の売上高計画は小幅増をみこむものの、経常利益はほとんどの業種でマイナスを計画します。期初の慎重な判断があったとしても、昨年並みの利益計画は立てていない。設備投資計画が12.7%増、と言ってみたところで、その通りに実施されるかは不透明です。それを判断するための指標、5月の毎月勤労統計が発表されましたが、これを見ると期待薄であることが分かります。

所定内給与は前年同月比0.2%増、現金給与総額も0.8%増でした。気づいたかもしれませんが、ベアで1%以上を労使交渉で勝ちとったのではないのか? しかもこの上昇幅では増税分も賄えず、さらに物価上昇も加わった実質ベースでみると3.6%減。実は4月の3.4%減より悪化しているのです。
以前も指摘したように、国内では『消費の蒸発』への道を着々とすすんでいる。急速に生活苦がすすんでいる状況です。夏ごろには国民の怨嗟の声が高まることは間違いなく、それでも国内で設備投資する、という判断ができるとは思えないのです。短観でも人員判断は不足感が台頭している。しかし企業は賃金をあげない。なぜなら、国際的にも賃上げに消極的な中、日本だけ賃上げがすすめば、急速に競争力を失うことを知っているから。法人税減税があっても、国内から企業がにげだす根拠にすらなりかねない。賃金と物価は今、世界中で深刻になりつつあります。

今日の株価は上がりましたが、月初の新規マネー、しかも海外勢が動かしたものであることが判明しており、日銀短観は材料視されませんでした。それはこの短観、よく読むと先行きにも期待できないため、です。金融緩和で物価だけが上がり、賃金がついてこない。路線価の下げ止まり、といったところで、消費を押し上げるほど価格が上昇したわけではありません。この問題を考えていかないと、いずれとんでもない事態に直面しますが、自戦党も公戦党も自らがとってきた安倍ノミクスにこだわらざるを得ず、対応ができません。自銭、公銭になっても困りますが、一人の人間の思い込みで、この先日本が窮乏に陥ることはほぼ疑いなくなってきた、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般