2014年08月

2014年08月31日

朝日新聞の慰安婦報道の検証

安倍‐石破会談の余波で、様々な憶測が流れています。総じてみると石破氏の完敗、というものが目立ちますが、その結果は来年の総裁選まで分かりません。今回でも、石破氏が党内から総スカンを食ったわけではない。むしろ、安倍政権との対立軸として確固たる地位は築きました。以前も指摘したように、安倍氏があれだけ安保担当相を要請し、それを蹴ったのに、石破批判の声は小さい。積極的に石破氏を支持する人はいなくても、反安倍勢力の多さは明らかとなりました。
しかも防衛相、安保担当相は江渡氏と伝わります。防衛畑で、副大臣を代々務めるなど実務肌ですが、いわば軽量級です。野党の追及に、答弁が覚束なくなれば、もしかして…との想像をたくましくさせます。勝者なき不毛な党内抗争は、このまま第二ラウンドへもつれこむのでしょう。

朝日新聞の慰安婦検証記事の第二弾。読売、産経などは敏感に反応、朝日に近い主張をすることの多い毎日まで、今回は朝日批判を強めます。記事内で、河野談話には吉田証言は採用されていない、韓国側も元慰安婦の証言が元で、吉田証言を真実と伝え続けても、影響は小さいという論調をしている箇所は、96年に国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告を取り上げておらず、片手落ちと指摘されています。韓国政府関係者の話として、吉田証言は韓国内でそれほど知られていない、などと述べて、朝日の誤報は国際問題になっていない、と主張してみても、すべての吉田証言に依拠した海外の論拠を、一つ一つ検証しているわけでもない。一部の関係者の証言がどうだろうと、クマラスワミ報告などを虱潰しにしているものでもありません。
そもそも、影響が小さければ誤報しても問題ない、などという論調は成り立たちません。様々な検証により、吉田証言の信憑性を失っている段階においても、誤報を認めなかったことが問題なのです。この記事のタイトルを『慰安婦問題 核心は変わらず』としていますが、『朝日新聞 核心は変わらず』とした方が、より本質を伝えられるのかもしれません。

しかも朝日は英誌で、『歓迎されない変化』という記事を挙げ、『右派が元気づいている』『河野談話見直しの動き』と報じ、懸念を表明していると伝えます。自説に正当性を与えるために、海外紙を利用することはよくありますが、英国のこれは経済誌であり、地域の混乱や不意のイベントを忌避する方向の記事をあげがちです。日本の沈黙で平穏が保てるなら、それを望みます。そもそも世界はイスラエルのネタニヤフ首相、ロシアのプーチン大統領など、右派系、強硬路線の伸長がある国による混乱が顕著であり、日本はそう轍を踏むな! と警告している面があります。
さらに右派を牽制する意味なのか、国連人種差別撤廃委員会による、ヘイトスピーチへの法規制を求める記事をあげています。日本だけ、ヘイトスピーチとして国連から勧告されるのは不公平、と述べる人もいますが、ヘイトスピーチは人に向かうから規制が必要なのです。中韓がやっているのは日本という国に対して行われる。米国でかつて起こったのは日本製品に対して、破壊などの行為があった。人に対して向かうものは、どんなものでも批判されるのです。

朝日の慰安婦誤報というのは、人の対立を導いた、という点に重大な問題があります。なくてもいいトラブルを起こした。当初、慰安婦支援団体は北朝鮮系で、対日工作の面があって拡散しており、それを韓国政府が国威発揚と国内の政権支持に利用した、というのが経緯です。検証もせず、慰安婦報道を行った朝日の罪は、実はそこまで拡大し手考えなければ、影響の大きさを考察したことにならないのです。人との対立に、正解などないように、朝日新聞がいくらイイワケしても、誤報が正当化されることはありません。危機管理に長けていれば、当時のことを反省し、出直すという姿勢を示すことが大切ですが、イイワケしている時点でそうした姿勢とは無縁であり、一部で伝えられるように購読者数の急減など、宜なるかなとなるのでしょうね。

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2014年08月30日

安倍ノミクスへの評価

7月の経済指標も総じて悪化し、安倍ノミクスの虚構も徐々に白日に晒されてきました。小泉政権下でも経済政策を主導した竹中路線は、本人が「富裕層を富ませ、その旺盛な消費で景気回復」と述べていた通り、バブル化策であることは間違いありません。金融政策も財政出動も、一過性の景気刺激策にすぎず、長期にわたる成長に寄与する率は小さい。むしろ市場を高騰させ、資産効果が一時的な景気浮揚につながり、それを成果のように見誤りがちです。安倍ノミクスで株価が上がった、円安になった、というのはその部分をさしている人のする論です。
日本で竹中路線を批判する人が少ないのは、リフレ派が多いという依然に、日本ではバブル効果が小さいためです。そこには成長限界、という考えがあり、数年で成長できる余力がない。現在におけるバブルとは、数年、数十年かけて達成するはずの成長を、短期間で成し遂げてしまうことから起きる。逆にいえば、その国がもつ成長予想を基にして、市場が先どりすることなのです。金余りの市場が、それを後押ししているのは間違いなく、日本の量的緩和が海外の不動産バブルを生んだのも、そこまで市場が上がると見込んだマネーの流入、という点が大きかった。

しかし成長予想まで市場が上昇してしまうと、余力もなくなり、マネーが逆流を始める。逆流を始めるとマイナス成長、という悪循環に陥り、巡航速度を逸脱して成長したツケを数年かけて払わされる。世界全体が、すでに成長予想を越えるまでに伸びきった現在、残る市場は米国だけ、としてマネーが還流。今はアンカーである米国市場が堅調、という流れになっています。
竹中路線の副作用は、日本では大きくなく、海外で大きい。だから日本の批判は少なく、海外から批判される流れとなるのです。しかも、その副作用は地政学リスクの高まり、まで引き起こしている。一時的な急成長は、それに伴う人口爆発という問題も引き起こします。幼少時の死亡率が急低下し、大人になっても職に就けない若者が急増。体制への反発と貧困からの脱出をめざし、テロ組織へと若者が流入。実力次第でのし上がれる世界が、そうした闇組織にしかないのです。

何でも竹中路線のせい、という訳ではありませんが、金余りが生んだツケが拡散し、今となっては欧米も緩和策を採用しています。しかしその効果が低くなったのは、世界の成長予想が現状と接近したため、バブル化できる市場がないためなのです。なので、日本が追加緩和を打ったとて、効果は少ない。一方で、米国は資金流入がはじまっているので、それを抑制する必要があり、QE終了という方向性となっている。大枠では、そうした流れで経済、世界は動き始めています。
安倍ノミクスは、多少の株高を演出しますが、長期での成長もしなければ、成長予想は低いままなので市場の上値も限られる。今、市場が上がっているように見えますが、ドルベースではほとんど上がっていません。円安と株高が同時におこったとき、海外勢が買ったという話は、実はドルベースで持分が下がったから買い増す、という意図が影響しているのです。残念ながら、海外勢からの安倍ノミクスの評価は今後も低いまま、それはこうした構造があるため、なのです。アンカーである米国の成長予想に達するのは、実はそう遠い未来のことではありません。そのとき、改めて竹中路線、安倍ノミクスの評価を下しているようでは、もう遅い。ということに早く気づいて、新たな経済基盤の上に経済政策をうたないと、世界の凋落を日本も受けてしまうことが、ほぼ確実になってくるのでしょうね。

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2014年08月29日

7月の経済統計について

今日は7月の経済統計の集中発表日でした。結果は、月例経済報告のときに予想したように衝撃的でした。総務省発表の全国の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比3.3%増。消費税増税分を除くと、1.3%の物価上昇となります。しかしこの1.3%は6月と同じ。つまり騰勢が徐々に弱まっており、上昇圧力の低下を感じさせます。さすがに需要の低下に合わせて価格転嫁が鈍ってきた、ということがうかがえ、ふたたびすすみ始めた円安にも、逆行する動きとなります。
衝撃なのは総務省発表の家計調査で、消費支出が実質で前年同月比5.9%減です。しかも季節調整した前月比で0.2%減。夏ごろには回復、と謳っていた政府、経済評論家の予想を完全に裏切って、低下基調を強めてきました。4ヶ月連続低下の中、6月に数値が改善したのはボーナスの影響であり、政策対応がなければ景気は失速するのがほぼ確実、というほどの厳しい情勢です。

経産省発表の鉱工業生産指数速報値は、前月比0.2%上昇です。ただし市場予想は1.0%上昇であり、これは6月の大幅悪化からの反動が、予想以上に弱かったという結果です。出荷指数は0.7%上昇ですが、在庫指数は0.8%上昇しています。4-6月期GDPでも増加した在庫が、7月にも積み上がっている。これは将来において、生産調整を引き起こす重要な問題となる可能性が高いものです。
同じ経産省の小売販売額が前年比0.5%増でした。小売関連の業種は軒並み、売上高は減少している中で意外感もありますが、これは公共工事の前倒しで、例年にはない調達が増えたこと、が影響しているとみます。しかし経産省発表の数値が改善傾向であるのは、興味深いところです。

総務省の労働力調査は、完全失業率が3.8%と前月比0.1%上昇。雇用者は増えた、と盛んに喧伝されますが、実は『正規の職員・従業員』は7月も6万人減、この数値は横ばいか、低下が続いており、『非正規の職員・従業員』はここ4ヶ月30万人以上の増え方で、7月など60万人増となっている。つまり就労するのは非正規が圧倒的に多く、表にでてくる数値だけをみて改善、とするのは厳に慎まなければいけません。むしろ労働の質は、懸念を指摘される米国以上に悪化を続けており、これが国民の安心につながっていない、消費鈍化につながっている面があるのです。
しかも産業別でみると、公共工事が増えた建設業、スマホ関連の伸びやセキュリティ重視から情報通信、それに運輸の伸びが顕著です。実はいずれも長期雇用につながりにくい業種であり、こうしたものも影響しているのでしょう。つまり政策の打ち方がまずい、長期で安定して働ける職場に、国が重点投資していない、という点が見かけの改善と実態の差につながっている、といえるのでしょう。

7-9月の経済指標も、各証券会社などで下方修正の動きが出てきました。以前から指摘しているように、回復経路が見えないのに、夏ごろから改善といい続けてきたツケですが、金融政策、財政支出などの政策期待が、株価の下支え要因とされます。しかし上記の通り、これまで政策的に誤ってきたことが、この不均衡な改善につながっている、とみるなら、その反省もなく新たな手は打ちにくいですし、打ったとしても効果はないでしょう。概算要求は100兆円越えと華々しいですが、間違った政策経費で国庫を悪化させ、そのツケで更なる増税を余儀なくするなら、いつか国を破綻させるまで国のムダ遣いは改まらないでしょう。そのツケで、国民が財布のヒモを締めているなら、これほど本末転倒なことはない、ということになるのでしょうね。

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2014年08月28日

石破氏の入閣?

デング熱の感染が3人に拡大しています。互いに面識があり、代々木公園にいたことから、そこにいる蚊が原因では? とされます。しかし渡航歴ばかりでなく、過去最高の外国人旅行者を受け入れていれば、感染したまま日本にくる人もおり、蚊を媒介した感染が広がる怖れはあるわけです。これはエボラ出血熱や、マラリアだって同じ。ウィルスをもって渡航してくる人を防ぐことは、現実的には困難です。だからこそ、感染が確認されたときの対応は重要ですが、昨日からの厚労省の対応は『パニックを起こさない』ことを目的として「大丈夫」と述べるばかり。結局、今日になって慌てて感染ルートを探る始末です。むしろ正しい情報でパニックを抑え、その間に万全の対応を築く、ということでないと国への信用のなさからパニックを起こすことにもなります。

明日、会談する安倍首相と石破幹事長に、新たな展開がありました。地方創生担当相への就任を打診、というものです。これは安保担当相と異なり、政策の違いを理由とできないことから、受けざるを得ないとみられており、また地方に強い基盤のある石破氏にとって、さらに地方の票固めができる、恰好のポジションです。しかし権限の小さい、格下の地創担当相なる怪しいポジションだけで安倍内閣に留まることは、飼い殺しともされ、イメージが悪い。そしてもう一つ、これが菅幹事長辺りが描いたシナリオなら、別に罠が準備されている、とみて間違いないのでしょう。
閣僚は18人と法律に決められており、そのため担当相などは兼務、兼任することが常であり、多い人は5つぐらい担当します。人数に余裕がないのに、石破氏が仮に地創担当相のみであるなら、後に安保担当相を兼務させるつもりではないか? つまり、ここで安保担当相に軽量級の議員や、重鎮と目されるベテラン議員がついた場合、通常国会で関連法案の審議入りをする前に、数週間から数ヶ月、病欠させてしまうのではないか? すると、国会審議は停滞するので、そこで改めて『暇な』石破氏に安保担当相を打診、国会審議を担当させるよう、画策するのではないか。

軽量級の議員なら、意を含ませることもできるでしょうし、ベテラン議員なら病欠しても不自然さはない。議員がトラブルを抱えると、長期入院させてくれる病院はいくらでもあり、病名など何とでもできます。つまりどうしても石破氏を安保国会の矢面に立たせ、失言やまずい答弁などで失点させ、次の総裁選にむけて力を殺ぐことが、この地創担当相の要請だとみています。
安倍氏にもリスクがあるのは、仮に安保担当相が病欠すると、健康不安のある人の任命は3件目。内閣改造のない政権、とは言われますが、TPP交渉の重要局面で一時離脱した甘利氏、亡くなった小松前法制局長官、など意外と人事面に危うさを抱えています。度々、病欠者をだせば、悪い噂だと「呪い」などともされるでしょう。さらに、安保担当相の突然の交代は、国会審議にも悪影響になることは確実です。それを犠牲にしても石破氏を蹴落としたい、そんな策とも言えます。

しかし党内の力関係からみれば、石破氏は省庁つきの閣僚にしてもおかしくない。それを担当相クラスで遇するのは、本来であれば礼を失する話です。党内の反安倍勢力は勢いづくかもしれない。幹事長に誰がつくか? もありますが、その動きを抑えきれるかは不明です。安心を与えようとして万全を期すつもりが、組織の弱体化を招くことはよくあります。今回は党内事情からの改造ですが、安倍政権の政策への信用はすでになく、党内への反安倍の感染率を確認する、そんな組閣になるのかもしれませんね。

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2014年08月27日

月例経済報告の下方修正

読売と産経が、そろって『自民党内に石破批判』なる記事を上げました。中身は安倍氏に近い人物が、安保担当相就任を拒絶した石破幹事長を批判している、と大したことがなく、これは安倍氏のタメの記事と分かります。つまり安倍氏も党内の空気を気にしており、そのストレス軽減のため、おトモダチの読売と産経が見出しで慰めた。そんな事情が透けてみえます。しかし考えてみれば失礼な話で、安倍氏だって『党内、の使い方が恣意的』と感じるはずで、その意図に気づくはずです。そのとき、バカにされている…と感じなければ、余程鈍感なのでしょうし、もし読売、産経が気づかれないと高をくくっているなら、その程度とみくびっていることにもなります。

安倍氏のストレスになりそうなのが、経済面です。8月の月例経済報告で「駆け込み需要の反動の長期化」をリスクとして認め、企業収益も「足踏み」に下方修正しました。しかも生産は「このところ弱含んでいる」、企業物価は「このところ緩やかに上昇」の両項目から「このところ」を外した。つまり生産は「弱含み」、企業物価は「緩やかに上昇」を、「このところ」の一時的要因でない、と認めたのです。生産が弱いのに、物価は上昇と、悪い形であることがはっきりしました。
しかも政府がこのタイミングで下方修正したのは、7月の経済指標が集中する今週、予防線を張った、というのが正しい見立てなのでしょう。増税前、7-9月期の経済指標が重要な中であっても、いつかは悪化を認めなければなりません。しかしこれまで安倍氏は景気はよい、と聞かされており、いきなり「実は悪かった」とされ、それも今はストレスになっていることでしょう。

元財務官で、大学教授のリフレ派の某氏がある記事で、スタグフ懸念に対する反証として、需要曲線が昨年は金融、財政政策によって上がり、物価も上がった。今年は消費税増税によって財政が緊縮となり、下がった。今の物価上昇は消費税増税が主因で、それを除くと横ばいか低下しており、スタグフではない、と述べています。ツッコミどころ満載ですが、消費者物価指数は3%を越えており、それだけで増税分を上回りますし、日銀は増税分は2%程度、つまり昨年達成した1%を今年度にも維持している、との見解です。これはリフレ派としても抗弁する必要に迫られ、需要曲線との関係で、今の物価上昇は増税分だけと述べざるを得なくなっているのでしょう。
しかし、その説明を聞かされ続けた安倍氏とて、どうなっているんだ! と激怒するのは必定です。FT紙が1面をつかって安倍ノミクスを酷評しており、見出しは「Off target」です。3本の柱に対して6つの課題がある、など書きたい放題です。今となって「地方再生」「脱デフレ」など、的外れな経済政策の目標を掲げだし、国内経済の低迷を招いている安倍ノミクスに、もう海外の信用はありません。米国がS&P500が終値で初めて2000ptを越えて、米市場が沸いていても、日本市場はお付き合いすらできない。それだけ海外投資家の見方は厳しくなっているのです。

安倍氏がこうした国内のおトモダチによる恣意的につくられた記事、海外の批判記事に対して、自らを律することができなければ、それこそ鈍感、無能との評価が確定することになるのでしょう。新聞の見出しで、心を『乱し』てしまう時点で、安倍氏の弱さを露呈するのです。「第二章」という自らの発言が、どこの新聞の見出しにもならない時点で、もうアベノミクスは終わり、ということを暗に誰もが認めていることに、早く気づくべきなのでしょうね。

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2014年08月26日

自民党人事と石破氏

自民党内が、俄かに慌しくなってきました。安倍首相は来月3日の内閣改造を示唆、その前に党人事が混沌としています。石破幹事長は安保担当相就任を固辞、幹事長に留まる希望を述べましたが、その背景は様々に語られます。しかし一つに、以前であれば再三の首相の要請を固辞すると、生意気、傲慢としてバッシングされるのが常でした。しかし今回、安倍氏側近や閣内からはそうした声が上がるものの、党内でまったく広がらない。これは反安倍の機運が、党内に充満していることを意味し、それに力を得て石破氏も強気に傾いて拒否した、とみられる点が重要です。

安倍氏にとって、石破氏の動向は恐怖でしかない。それは今日の会談でも、ストレスを感じた安倍氏の表情が、よく表しています。石破氏は幹事長留任を希望しますが、金と権限を握らせたままでは、来年の総裁選にむけてよくない。一方で、石破氏以外だと幹事長が難しい。これまでは反安倍であっても、次期総裁と目される石破市と反目できないため、行動を控えていた向きがあります。それは党内の意見より、首相の意向や政権の意思を優先してきた、安倍政権の態度から、党内に鬱屈した空気が溜まっていたのを、石破氏の存在で抑えていた、という面があるのです。
次の幹事長が軽量級の議員だと、反安倍の攻撃の的となり、袋叩きにされます。派閥の力が弱まったため、領袖クラスでも頼りない。麻生財務相ぐらいの重量級でないと党をまとめきれませんが、タッグを組む財務省が手放すはずもない。菅官房長官もソツのなさで任せられそうですが、そうなると党役員でもおトモダチ色がさらに強まり、反安倍を勢いづかせる懸念すらあります。

一部で閣内封じ込めのため、法相や農水相を宛がう? とされますが、権限のある閣僚につけると、地方に強い石破氏がさらに基盤を固めかねない。前回の総裁選は、党内の反石破票をとりこんで勝った安倍氏が、今度は反安倍票により、ダブルスコアで石破氏に敗北しかねないのです。
では今後、党内の意向に配慮した政権運営を安倍氏ができるか? といったら、それも無理です。それこそ安倍氏はストレスを溜め、ゴルフや会食がさらに盛んとなり、批判の対象にされかねません。その状況を打破するため、安倍氏の側近や安倍氏と会食する政治記者などは、10月解散を進言するでしょう。しかし、それも無理です。嫌なことから目を背ける、ストレスに弱い首相であることと同時に、どう考えても今より議席が増えるわけもない。それに大義がありません。新たに組閣したから国民に審判を…なんて、夏休みの宿題が片付いたことを、親に報告する子供でもあるまいし、多額の予算をかけてまで総選挙することに、国民は納得しない。それこそ実感なき景気回復に国民はぴりぴりしており、自分都合のムダ遣い選挙では、反安倍の機運が国民にも広がりかねません。

そもそも安保担当相なる、権限のないポストを準備した時点で、安倍氏は矢面に立つ強いリーダーでない、ストレスから逃れたいだけ…という弱さと、それを他人に押しつけてしまう傲慢さを露呈した。だから石破氏が断っても、石破氏は批判されない、という構図ができてしまった面があるのです。安保担当が『安倍氏の心の保健を担当する相』となっている、そんなリーダーの下には誰も従いたくない。その盛り上がり、自民党内の反安倍の動きが、これまで無風とされてきた永田町で、俄かに政局化しそうな様相になってきのでしょうね。

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2014年08月25日

概算要求と投資

来年度予算の概算要求について、100兆円越えがほぼ確実です。今年度は99.3兆円で、これに社会保障費の増額、成長戦略に基づく重点分野への配分、防衛予算の膨張、さらに消費税が8%から10%に上がれば、予算執行にも増税の影響があるため、その分が上乗せされることになります。消費税分は国にもどってくる、といったところで予算増には違いなく、トータルで100兆円越えです。しかも、安倍政権ではムダな予算執行をチェックしていないため、本当に必要なところにお金が回っているか、不明です。特に、今回は財務省が消費税10%シフトと称し、財界にも賛成するよう働きかけており、見返りの財政手当てが今後、予想される点も歳出圧力となります。
さらに、消費税8%増に合わせて臨時福祉給付金なる低所得者向けのバラマキ、も始まりますが、10%に再増税するなら、同じように低所得者対策をしないと嘘になります。それを軽減税率の導入で補う、としても、逆進性の解消につながるかは議論が必要です。そもそも今回の給付金も、費用対効果を考えると、極めて問題のある対策であり、ただのバラマキでしかありません。

黒田日銀総裁は、ジャクソンホールの会見で「日本の景気は7-9月には回復」と述べ、その理由を「雇用の伸びと世界経済の改善」としました。しかし日本と最大の貿易相手国、中国の景気は依然、不安がただよいます。4月に17兆円とされる景気対策をぶち上げましたが、7月の景況感指数はふたたび悪化、不動産市場は下げ止まる気配がありません。ここにきて、中国民生投資が上海で発足、参加する大手企業59社が500億元を出資し、様々な産業に投資すると言います。これは景気対策の一環である面と、国有銀などは不動産価格が下落しても、5割の担保保証であるため、経営基盤は揺らがないとされても、やはり不動産価格の目減りで資金繰りが苦しくなるのは必定。そこで、こうした民間主導のファンドを立ち上げ、資金繰りを補完する目的もある、とされています。
しかし癒着、汚職の激しい中国で、中民投のような組織が上手くいくはずもない。投資が国、地方行政府の思惑で差配される懸念は強まりますし、融資をえるための裏金は苛烈を極めるでしょう。相手は民間なので、賄賂にもなりません。景気が厳しくなると、こういう組織をつくって、安心を得たいと為政者は考えがちですが、得てして終わりの始まりを告げることも多いものです。

翻って日本も、NISA子供版など、遮二無二投資資金をかき集める姿勢が目立ちます。GPIFの運用比率見直しもそうですが、上昇するときの買い手にはなりますが、永続的に買い主体となるわけではない。特に、国債は今が高値であり、今後はインフレ率などをみて価格が下がることが予想されます。すると、必然的に株を売らなければ比率が合わなくなる。つまり債券安、株安を引き起こす主体として機能する恐れがあるのです。これも、今だけの利益しか考えない、安倍政権特有の動きであって、NISAなど口座数が目減りしていくと、管理コストの方が利益を上回り、撤退する証券会社が増えるでしょう。これも今だけの利益を追求する姿勢、ということになります。
そんな安倍政権で組まれる予算は、昨年度、今年度と公共工事によるバラマキと、歳出チェックのない従来型の予算執行であって、これも今だけ良ければいい、という姿勢の結果です。日経平均は、大博打をうっている米株市場にあわせ、何となく上昇していますし、米MMFで大量のドル買いが観測されたように、米国のバブル的要素にお付き合いして上昇しています。株価維持のためのPKOに余念がない安倍政権ですが、増税判断前に米QE3が終了し、株価が調整局面入りすることを怖れています。歳出におけるムダがチェックできないように、今だけの利益を追求することが、長期で見るとムダなこと、と気づくのはそのときになって分かるのかもしれませんね。

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2014年08月24日

雑感。賃金上昇と物価

米ジャクソンホールで行われている経済シンポジウムで、黒田日銀総裁が、日本は長期のデフレにより構造的に賃金が上がりにくい。労使交渉もデフレ前提であり、日銀の目標とする2%の物価上昇を前提とすべき、と発言しています。相変わらず、自分が正しい、他人が悪い、という意見を曲げないのは流石ですが、これまでの物価上昇が円安を主因とするコストプッシュ型である以上、企業とて資材調達に悪影響がでます。ディマンドプル型であれば、先に消費が堅調という結果がでているため、資材調達が高騰しても、高い需要によりペイできる、と企業も考えますが、今のように需要が蒸発している状況では、企業が警戒して賃金上昇を促すこともできません。
2%の物価上昇があるから、それに合わせて賃金も上げる、というなら経営失格です。企業は自らが永続的に、事業を展開できるよう努めるものであり、国の思惑と同じ方向を向かなければ、というのは社会主義国の手法です。ここで日本の企業のみ、賃金上昇を促すなら、日本は国際社会で、急速に競争力を失うでしょう。大事なことは成長と同時に、消費や経済活動が活発になること。しかし残念ながら、その兆しは現在まったくなく、賃金が上昇する要素はありません。

一つ、人手不足という話もありますが、これはミスマッチであって、仕事の辛さと賃金のつりあいが悪かったり、事務職の応募は多いのに、求人数が少ないなど。これでは賃金上昇を促すには力不足です。米国の労働市場の緩み、欧州の物価上昇率の低下、失業率の上昇など、世界全体は労働力過剰の状況であり、国内事情だけで賃金が上がりにくい、ということも影響します。
労働力過剰の原因は、画期的な発明がないこと、に尽きます。産業革命のような大きな変革がおきず、ネット関連は新分野が創出されてはいますが、それほど人手はいらないため、雇用を拡大するには力不足です。日本はさらに深刻で、旧態依然とした業種が跋扈し、新産業とよべるものはない。それこそ、ネット関連、スマホゲーム関連が賑わう、といった程度のことで、大きく雇用を増やす産業はほとんど育っていないのが現状で、物価上昇は賃金に影響しないのです。

日本では、やっとROE重視の企業経営がもて囃されつつありますが、それも賃金上昇を促しにくいものです。収益率を上げたければ、賃金を抑制した方が見かけの収益性は確保できます。賃金を上げ、社員のやる気を促して…などは理屈的にそうであっても、経営者はまず採用しないでしょう。米国のように高い成長があるなら、ROE重視と賃金上昇が同時に達成できるのでしょうが…。
黒田総裁が、物価が上昇するから賃金が上がる、という意味不明な学説をとっているとしたら、この国の賃金は絶対に上昇しないといえるのでしょう。成長戦略が正しい方向性を示し、この国に新しい産業が創出され、初めて労働力の不足感が賃金上昇をひきおこす、ということになるのでしょう。黒田氏の発言が上滑りし、どこか的外れである中、追加緩和期待ばかりが膨らむのは、ECBによる量的緩和策を打った後、物価上昇率の低下をもたらしたことと同じ轍を踏みそうです。科学の分野では、ノーベル賞学者を輩出しても、この国にはまともな経済学が育っておらず、経済学では受賞できない。そんな事情も影響しているのかもしれませんね。

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2014年08月23日

石破幹事長が安保担当相就任を固辞?

ジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演、労働市場には依然として緩み(スラック)があり、利上げを牽制するとともに、利上げの必要性をみとめつつも、今後の動向に対して実用主義的な対応をする、と何とも微妙な言い回しに終始しました。従来のイエレン氏の意見を踏襲しつつ、利上げ派にも配慮している。言質はつかませなかったため、市場は気迷いを強めています。
しかしイエレン講演を前に、イベントドリブン型の動きが活発化したり、緩んでいた不動産市場が急に活性化するなど、金余りによる資金の流れが顕著となり、その意味で利上げの必要性を、イエレン氏も痛感したかもしれません。ハト派でありつつ、タカの目をもつ、という宣言のようにも感じられ、それは緩和継続への期待を徐々に萎ませることにもつながるかもしれません。

石破幹事長が、安保担当相を固辞する意向と伝わります。紆余曲折している感はありますが、今回の広島土砂災害への安倍首相の対応が、石破氏の固辞につながったとの見方を強めています。メディアが『無役になると求心力低下』などと記事をだし、就任を煽りましたが、これには安倍政権の支持率が高いまま推移し、長期政権になるとの前提が必要です。つまり一度でも反抗する姿勢をみせ、政権と距離をおくと、それだけ無役でいる期間が長くなってしまうためです。
しかし今回の安倍氏の対応は、どう言い繕っても失態です。支持率にも影響するのが確実で、折りにふれ、安倍政権の本質として指摘されるでしょう。支持率が下がれば、自民党内の反安倍勢力が一気に力を増すのが確実であり、そのとき政権と距離をおいておけば、次期総裁への目がみえてくる。閣内にいて燻るより、一発逆転にかけよう、というのが石破氏の思惑としてみえてきます。

しかし国民からすると、保守の後に保守? と自民党の党内事情に付き合わされるだけで、選択的にそうなるわけでもない。 安倍氏が秋に解散する、という話もありますが、それも支持率が影響する。40%台で解散は議席を減らす。それで国民の信頼を得た、というわけにはいきません。嫌なことから逃げる体質の安倍氏に、その決断ができるかは極めて微妙なところです。
よく集団的自衛権の問題で、「ふつうの国になる」という人がいます。逆に問いたいのは「ナゼふつうの国にならなければいけないのか?」。世界でも孤高の『戦争をしない国』であり、それは海外からの評価も高かった。『戦争をする国』からは批判されますが、世界の大多数は『戦争をしない国』であり、むしろ憲法でそれを規定する、稀有な国としてアピールポイントにもなるはずです。「ふつうの国」になって、何かいいことがあるか? あまり思いつきません。

防衛省の予算要求が前年度比3.5%増を計上する方針、と伝わります。しかし日本より軍事予算が少ない国で、脅威に対抗している国は山ほどあります。集団的自衛権の行使で、実際に活動がはじまれば、予算がはね上がるのは火をみるより明らかです。イラク空爆をはじめた米軍も、新たな予算措置を必要としており、レイムダック化したオバマ政権は議会対策すら苦労しそうです。
仮に、安倍政権から石破政権に代わっても、日本は「ふつうの国」になってしまうだけで、海外からみればさらに存在感を失うだけでしょう。ジャクソンホールに、中央銀行総裁が集まっていますが、黒田氏の発言など海外紙で報じるところは、どこもありません。イエレン議長の発言は世界が固唾をのみ、黒田氏の発言は日本の一部でとりあげられるだけ。黒田バズーカを放って「ふつうの国」から「奇妙なことを始めた国」になった後、海外から酷評される。安倍氏の下で「ふつうの国」になって、その後の世界での評判は、安倍氏も聞きたくないところなのかもしれませんね。

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2014年08月22日

日本の成長率見通し

安倍首相が、昨日一旦別荘にもどった理由が「帰京の準備」だそうです。責任者が対策本部につめなければならないのは、不意に決断が必要となるからで、連絡をとる、その1手間で致命的となるケースもあるのです。それが私物なら、家人でも十分でしょうし、それこそ信頼のおける秘書に任せればいい。秘書に任せられない、安倍氏本人が行かなければならないような、重要な資料があったとすれば、逆に私邸である別荘にそんな資料をもちこんだことが問題となります。それに、そんな重要な資料を放ってゴルフをしていたのですから、尚更イイワケができません。
しかも1晩、別荘に泊まって午前まで過ごした、その説明にもなりません。JR東海会長との会談が、土砂災害で苦しむ住民より優先したのか、甚だ疑問です。しかもここに来て、古屋防災担当相や、公明が広島市の避難勧告の遅さを批判し始めたのは、矛先をかわそうという嫌らしさしか窺えません。安倍氏は焦りからか、明後日に現地視察をするようですが、大雨が続き、2次被害の懸念のある中で邪魔なだけです。それこそ古屋氏が「連絡は取れている」から別荘にいても構わない、と言っていたではないか? このタイミングで現地に行くべきではありません。安倍政権の対応には、不誠実さしか感じられなくなってきた、と言えるのでしょうね。

市場は26年ぶりの10連騰? などと囁かれましたが、今日は下落して潰えています。きっかけはイエレンFRB議長による講演で、イベントドリブン型の買いが入る米株上昇に合わせているだけで、日中の値幅も小さく、売買も低調です。円安にしても、米10年物国債の金利は2.5%以下で、金利差よりユーロからの資金逃避と、イエレン期待でドル買いになっているだけで、実体が乏しい。結果的に、今回の9連騰は日本の独自要因がなく、脆弱さを改めて意識させる内容です。
7月スーパーマーケット売上高、ショッピングストア売上高が、ともに前年同月比2.1%減となりました。7月の電力需要は前年同月比3.1%減と、これは国内の経済活動が全体的に停滞していることを意味します。昨日、日本の証券大手3社が、日本の成長率見通しを下方修正しました。野村証券は1.5%から0.9%に、大和総研は1.1%から0.7%に、SMBC日興証券は0.9%から0.5%に。しかしまだこれでも甘い。年度を通すと、昨年の駆け込み需要の反動を諸にうけるため、プラス成長できれば御の字、下手をすれば今年度の日本はマイナス成長というのが、正しい見方になります。

実質賃金が低下しつづける以上、昨年並みに戻るのは家計が無理をするか、財政政策を昨年以上とするか、しかありません。外需に頼れないことは、海外の情勢と日本の構造変化により、期待できないことが鮮明です。つまり、本来は賃金上昇が物価に追いついているなら、やっと昨年並みの成長を維持できるのであって、今はそうなっていないので、もっと下方修正するしかないのです。
しかし、証券会社は安倍政権に遠慮して高めの成長率を示しがちです。メディアは4-6月期GDPをうけて「景気は大丈夫?」と報じ始めましたが、証券会社の対応は鈍い。それが今回の小幅下方修正、という結果です。個人的には、今年はもうマイナス成長を覚悟するしかなく、それは企業業績を含め、日本は試練のときを迎える、ということにもなってくると予想しています。

しかも、大雨被害などで已む無き出費が増え、どこかを削らざるを得ない住民が増えれば、尚更厳しくなるでしょう。おかしな話ですが、公共工事の前倒しを慣行したため、復旧作業の遅延を招きかねない点も、日本経済の下押し要因になるかもしれません。別荘にこもっている場合じゃない、というのは、経済の視点からもそうであり、イエレン講演を期待する1人…もっとも固唾を呑んで見守る1人の中に、安倍氏も含まれているということになるのかもしれませんね。


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2014年08月21日

原発訴訟に重要証拠

やっと安倍首相が官邸にもどりました。2日つづけて同じ書き出しなのは、安倍氏が昨日、別荘にもどり、休暇をつづけようとしたためです。読売などは『ゴルフを1時間で切り上げたこと』を正しい判断としますが、違います。『ゴルフを始めたこと』が問題なのです。今は朝6時ならすでに明るく、目視による状況判断ができますし、広島市などは夜通し対応しており、行方不明者が多数でていることは、朝の時点で官邸も知っていなければならない。それでも『ゴルフを始めた』。
古屋防災担当相などは「死者が確認されたのは朝8時半で問題ない」という言い方をしますが、死人が出ていないなら、あれだけ家が壊れ、泥が堆積していても構わないのか? 激甚災害指定もしていないのに、再び休暇をとる、という神経が分かりませんし、その行動は非難されて当然です。奇しくも天皇家の方々は、静養をとりやめ、哀悼の意を示されました。国民の心に添う、とはまさにこういうことです。天皇家の方々は、指揮命令系統にも入っておらず、むしろ静養しても構わないのに、指揮命令系統のトップにいる人物が、公邸につめて対応、対策にあたりもせず、休んでいる場合ではないのです。言葉は悪いですが、爪の垢でも煎じて飲ませてもらわなければ治らないレベルの人間性の低さ、という言い方すらできてしまうほどです。

凍結工法が困難となり、先行きが不安となる福島原発に関する裁判で、重要な資料が国から提出されました。1997年7月、津波対応WGで福島原発の危険性について、すでに指摘されていた、というのです。しかし電事連などはその資料の公開を渋り、自ら土木学会などに働きかけ、独自の緩い基準を策定しようと画策していた、というのですから東電も確信犯となります。国、東電もこれまで津波は想定外、という言い方をしていたので、これは判決にも大きく影響します。
ここに来て、国が「ない」と言っていた資料を提出したのは、隠し切れなくなったことと同時に、原発再稼動の判断が一つ、山を越えたことがあるのでしょう。逆に言えば、ここまで隠し続けていたこと、自体が問題であり、「ない」と言いつづけた人間は糾弾されねばなりません。

産経が、朝日新聞の『吉田証言スクープ』に対する反論検証を行っています。『慰安婦報道』につづけて…と考えるより、まずこの吉田証言は非公開資料です。産経は政府からのリークで記事を書いており、それは朝日スクープへの懲罰的対応、という点が重要です。朝日も産経も、どちらも偏った主張をするメディアであり、国民にはどちらが正しいか、さっぱり分からない。であれば、全面公開し、国民に何が正しいか伝えるべきですが、政府は未だに拒否しています。
今年2月、国境なき記者団が毎年発表する『報道の自由度ランキング』で、日本は59位と先進国最低、韓国より下、という屈辱的な地位に甘んじています。原発関連の報道で情報公開がすすまないこと、及び政府とメディアの癒着から報道に自由度がない、と世界から認定されている。しかも安倍政権になって53位、59位と徐々に順位を落としている点も問題です。それは今回の裁判に提出されたWGの資料でも、都合いいタイミングにならないと公開されない、そんな事情も影響します。

今年の夏は、真偽不明の情報がでて市場の株高を演出する、そんな株価を維持するPKO。確定でもない、組閣情報を小出しにして内閣支持率を維持するCSO。そんな危機管理ばかりで、国民の安全に関する危機管理は、まったく落第というのが安倍政権の現状です。そして情報が政府によりコントロールされる恐怖、それは原発、放射線に対する情報でさえ、国民は知らされないまま危険に晒されている、という恐れを抱かせるものです。奇しくも安倍内閣、『安全の倍返し』で危険を意識させる、それが真の不安として国民にも浸透しつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2014年08月20日

安倍氏の危機管理?

広島でおきた土砂災害で、やっと安倍首相が官邸にもどりました。驚くべきは朝から2時間、ゴルフをしていたこと。恐らく一緒にゴルフをしていた森元首相から、戻った方がいい、と注進をうけて渋々…という状況がうかがえます。わざわざメディアが、安倍氏は6時半に関係省庁に指示をだし…などと伝えるなど、配慮が滲む報じ方をしており、一緒にゴルフをしていた日枝会長のフジ産経系は、すぐにもどった的な報じ方をしますが、これは極めて問題のある行動です。
もし仮に、安倍氏が知らずにゴルフをしていたとすれば官邸の危機管理が問われますし、知っていてゴルフをしていたなら、国民が塗炭の苦しみに喘ぐ中で、その無頓着ぶりは糾弾されてしかるべきです。いずれにしろ、2時間ゴルフについてはまったくイイワケできません。

産経系のある記事で、『安倍氏をどうしても引きずり下ろしたい人』が、コピペスピーチと批判するが、大事なことはくり返し伝えるものだ』と安倍氏擁護論を報じています。しかし例えば何回忌などで毎回同じことを喋っていたら、親類縁者から笑い者にされます。思い出や記録について語るときならまだしも、冒頭の時候の挨拶や自分の想いを伝えるところで、毎年同じことしか言わないなら、それはその儀式を重視していないか、ボキャブラリィ不足であり、どちらであっても笑い者になります。そんなところで鉄板ネタ扱いし、同じ文言にする必要はまったくありません。これは『どうしても安倍氏でないと気が済まない人』のする論、と云えます。
安倍氏の安全意識に疑問を生じる問題が、もう一つ。シリアの邦人拘束事件です。1年8ヶ月前、アルジェリアでおきた日揮襲撃事件の際、政府からは盛んに自衛隊法見直し、邦人救助の必要性と語られました。今回の件も、とことん還元すれば『危険地帯で企業活動をしていた邦人』であることに、違いはありません。企業の大小で変わるのか、活動内容で差がでるのか、政府から説明はありません。そもそも今回、銃をもっていたり、名刺を渡したり、ネットで活動を公表していたり、と危機管理も何もなく、自己責任との声も大きいですが、海外にいる邦人で、現時点でテロ集団とみられるイスラム国に拘束された、という点は間違いないのです。

では、自衛隊が海外で活動している際、捕虜にされたらどうか? 当然、国が助けるべきだと考えがちですが、身代金を払えば自衛隊への攻撃が苛烈となるでしょう。資金獲得の恰好の目標になるからです。武力でとり返すのか? それには多大な損害と、兵力が必要となります。欧米の部隊に協力を要請しても、自己解決しろとはね返される。実は、中途半端な派兵がもっとも危険です。
米ジャーナリストがイスラム国に殺害されましたが、海外で活動する邦人ばかりでなく、集団的自衛権による活動とは、実はかように難しい問題を孕むのです。そんな中、安倍氏は今回も国民の安全を軽視する態度をとった。それは、平和式典は民間人の犠牲者だから軽い扱いでも構わない。兵士の眠る靖国には最大限の配慮をする。といった安倍氏の偏った価値観を、さらに補完する材料としても意識できるものです。大雨被害でもゴルフを続けるぐらいの価値なのでしょう。

一部週刊誌が報じた『日本会議』の存在。なるほど戦争をしたくて仕方ない、軍隊を道具としかみていない、そんな人間の集まりに見えます。安倍氏の危機管理は、自分のストレス解消には最大限に配慮し、国民の苦しみは人から指摘されるまで分からない。そんな歪みを指摘するはずのメディアが、一緒にゴルフをしているようでは、いつまで経っても安倍氏はその異常さに気づけません。少なくとも、国民の危機に敏感でない人が、集団的自衛権の問題を語り、それで国民の安全が保てるのだ、といってみても信憑性がない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年08月19日

日銀と国債市場

7月全国百貨店売上高は、前年比2.5%減となりました。6月の4.6%減より改善、と報じるところもありますが、単月ベースでは天候要因などもあるため、多寡を論じてもあまり意味がありません。問題は、夏ごろには改善とされていた消費が依然、もどっていないこと。政府、日銀は秋頃に改善、とそろり見通しを修正していますが、実質賃金の低下は年を通すと見られており、回復経路については依然として語られません。希望的観測なら、一般人と同じレベルです。

安倍ノミクスが海外紙で酷評されだしてから久しいですが、最近では日銀の風当たりも厳しくなってきました。黒田バズーカは、動物園(zoo:質的・量的緩和)をたたむと真価が分かる、とも語られます。先週、10年債利回りが0.5%を割りこみ、短期債ではマイナス金利でも取引されるなど、債券市場は機能不全に陥った、との声も聞かれます。市場が日銀に支配され、需給悪化が懸念されるとともに、オペをしても札割れがつづくと、日銀が新たな手を打つことが警戒されます。つまり政府が発行する国債を、そのまま日銀が買い取ってしまう。市場に発行されることなく、国債がやりとりされる、これは財政ファイナンスの懸念を一層強めるものとなります。
さらに、2年で2%の物価目標に対しても、見方が変わってきました。これまで市場では、消費税増税と円安による物価要因が消える秋ごろから、消費者物価も減少してくるため、追加緩和が期待される、というものでした。しかし今起きている悪いインフレをさらに悪化させかねず、また国債市場の更なる混乱を引き起こしかねない。それこそ、後に暴落を準備するようなものではないか? との不安が出ています。遮二無二数値目標の達成をめざすのではなく、実体に即した金融政策が求められる場合、追加緩和期待は遠のき、株式市場にもマイナスとなるでしょう。

こうした意見は米FRBの姿勢を反映しています。米FRBはQEについて、失業率の低下を解除理由に掲げていましたが、ここにきて労働の質、と言葉を変えています。数値が改善しても、中身が期待したものと異なるものなら、それは意味がないと認めたのです。2年で2%の物価目標も、実質賃金を低下させてまでめざすものなのか? 日銀は増税の影響や、実質賃金の低下に関して、これまで整合的な説明を避けています。日銀には今、物価の質、についての考慮が必要です。
株式市場は7日続伸で、過熱感もないとされますが、売買は2兆円に遠く及ばず、個別株も材料株に向かうだけで、市場全体のエネルギー不足は否めません。先物の売買も低調、本来は売って値動きをだしたいのに、PKOにより15000円で下値が固まるため、値動きすらとらなくなった。長期、短期の投資家も日本を見送る。8月半ば、売りが嵩むとみていましたが、逆に売買が低調となって、PKOがやり易くなった面が株価を維持させた。過熱どころか、冷め切った市場となっています。

安倍ノミクス3本の矢は、最大の成功は金融政策といいます。しかし黒田バズーカで開園した動物園は、サファリパークであって、車にのって園内を回るだけ。一通り堪能した後、外国人は二度目の来訪はしてくれません。目をひくアトラクションもなければ、管理されていて野性味もなく、つまらないからです。日銀も、経営戦略を変えるしかないのが現状ですが、黒田氏は自らの考えに固執しがち、それは安倍政権の経済政策にかかわる全般の人材に言えることでもあります。消費税再増税を前にして、政策変更を意識させたくない、との思惑が邪魔をしますが、遅れれば遅れるほど、動物園をたたむ時期は早まることになり、後に残るのは…。黒田日銀も、批判の的にさらされる日は近くなってしまうことでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年08月18日

法王による訪韓

イスラム国に拘束された日本人男性。今分かっている情報では、軍事オタクでも実績のない、場数をふんでいない人物が経験をつむためにシリアに入国した、ということです。危険に自ら身をおいたのですから、自己責任という声もありますが、日本の対応は難しくなりました。
安倍政権のめざす集団的自衛権の拡大解釈では、いずれ必ず起きる事例であり、見捨てると兵士の士気にも影響します。かといって、米国の制止をふりきって身代金を支払い、助けだすのも困難でしょう。また、メディアが大きな扱いをするのも、面と向かって安倍政権を批判できないため、これを恰好の事例としている面があります。イスラム国を国家、とすれば戦時の兵士の取り扱いは国際条約を期待できますが、テロリストの集団とみなせば捕虜がどうなっても不思議はない。安倍氏はのん気に夏休み中ですが、これは集団的自衛権の帰趨にも関わってくるのでしょう。

韓国にローマ法王が訪問しています。韓国にはカトリック系も多い、とされますが、独自の教義を採用していることから、法王庁から異端扱いをうけているともされ、特に統一教会などの、キリスト教系新興宗教には警戒を抱いており、法王としては25年ぶりの訪韓になります。
それでも朝鮮王朝末期の迫害で、殉教した人を聖人に次ぐ福者として認定するなど、韓国側の要請に最大限配慮する姿勢を示しています。元従軍慰安婦の女性がミサを訪れた際、手をとるなども同様ですが、滞在中に慰安婦という発言を行わなかったように、余計な政治への関与はしない方針であり、あくまで弱者によりそう姿勢として、セウォル号沈没事故など、国内が悲嘆にくれる韓国の招請に応じた、という体です。またもう一つ、中韓接近という事情から、韓国経由で中国への打診を試みる、といった政治的な背景もあり、何ともきな臭い流れが背後にはあるようです。

中国はキリスト教徒を監視、監督しており、保護主義を強め、また国内情勢が荒れる中国では迫害の対象とされかねない。それこそ、殉教者を大量にだしかねない事態への憂慮、といったものもあるでしょう。粛清と迫害、中国に今後起こりうる事態を考えれば、早期に中国との関係改善をはかりたい。そこで韓国を足がかりにしよう、そのための最大限の配慮となります。
朴政権は、慰安婦の問題も国際社会にアピールできた、としますが、それこそ法王の政治利用に他ならず、下手に宣伝効果を期待すると、逆に韓国とバチカンとの関係悪化を招く恐れもあります。そもそも、法王が動いて政治解決した事例は、過去ならいざ知らず、現代においては皆無です。この件が何か、特別な意味をもつことはないでしょう。

それ以上に問題は、産経新聞支局長の取調べです。噂話をとり上げたことを名誉毀損、としていますが、明らかに日本の保守系メディア叩きが理由であり、韓国にも言論統制の恐れが強まります。経済が悪化すると、政治のリーダーは保護主義の甘い誘惑に駆られがちで、裏では政治が介入し、世間を操ろうと画策します。支持率低下に悩む朴氏も、まさにそうした愚に陥ったのでしょう。
母がみている韓国ドラマをみて、仰天しました。通常のドラマのセットが、日本のコントで使うレベルだったからです。セットのチープさを意識してか、人物への寄りのシーンも多く、益々演出不足を感じました。こんなところにも、韓国経済の苦境はにじむのでしょう。中韓の接近は、ある面では利用価値があるとみえますが、ある面では警戒心を呼び起こす。ともに苦境に喘ぐ国同士が近づいて、ウィン・ウィンになれるかは、今後の動向次第でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 一般

2014年08月14日

世界の経済不安と安倍ノミクス

安倍政権が、辺野古移設を前提として沖合いに立ち入り禁止を示すブイを浮かべました。米軍も滑走路の長さが不足気味で嬉しくない、沖縄県民が反対している、それなのに強行された。沖縄県知事選での仲井真氏の敗北をおりこみ、焦っているとみられますが、安倍政権に国民の声は届かない、ということが今回でも露呈しています。安倍氏は自分の周りにいるおトモダチとしか話をしない、反対する人間は遠ざけてしまう、だから歪んだ政策に気づかない、そんな欠点があります。

6月機械受注統計は8.8%上昇しました。しかし4、5月と9.1%減、19.5%減だった後であり、反発力は弱かった。そんな中、産経が主要121社にとったアンケートが、まるで笑い話のようです。アベノミクスは「大変評価」「どちらかといえば評価」、合わせて88%。消費税増税の反動減が「ある」は2%。「ない」「想定の範囲内」は75%。ここまでくると微笑ましくすらありますが、少なくとも産業経済新聞社を名乗るなら、経済指標との乖離についての分析も併記して欲しいものです。
市場では再び金融相場にもどった、と語られます。悪い指標がでると緩和期待で上昇し、よい指標には弱含む。このことからも米早期利上げ観測がブラフ、ということが鮮明ですが、円安方向に動意づいています。一部で金融相場の特徴でもある、円キャリーの復活との見方もありますが、かといって大きなトレンドを形成するには至らないでしょう。それは資金調達しても運用先に乏しいからで、小泉政権下の世界同時住宅バブル、ここ数年の自動車販売バブル、とは様相が異なります。

FRB副議長が、世界経済はマイナス成長入りする可能性、を示唆する講演を行いましたが、欧州がゼロ成長に陥るなど、その萌芽は散見されます。最近、世界的に政策当局者のトレンドのイイワケが「地政学リスクなど、海外の不透明要因」が、景気を下押しするというものです。しかし実際は、世界規模の金融緩和でも、緩慢な回復にとどまる、という副議長発言が的を射ています。つまり海外要因で腰砕けになってしまうぐらいにしか、経済政策は上手くいってない、ということです。
そして日本。安倍ノミクスは失敗、がコンセンサスになりつつありますが、その原因はあまり語られません。実は、安倍氏の経済政策のブレーン、そのおトモダチが竹中氏の系譜に集中している、という点にあります。円キャリーで世界的なバブルを生み、その後の大混乱を引き起こした、その反省もなく安倍氏は小泉政権時代のつながりから、竹中氏を経済ブレーンの軸とし、それに近い人材ばかり登用した。その結果、自分がどうして失敗しているのか、よく分かっていないのです。

真実を知れば身震いするような数字を、平気で「想定の範囲内」というのも同様です。彼らは自らの失敗を安倍氏に知られないよう、いかに言い包めるかを仕事にしている。様々な経済ブレーンを抱えているなら、一つがコケても立て直せますが、安倍政権では絶対に無理。それは一つの経済政策しかもてない、宿命だからでもあります。指標が弱含めば景気対策期待、と言ってみたところで、公共投資を無理やり執行を早めている現状で、他に打てる手はほとんどありません。
世界各国が、需要の先食い、消費喚起の策を打ちつくし、成長を先どりした結果、伸び代を失ってしまったのが今です。中東不安があっても、原油が上昇しないのは世界経済の減速を織りこみ始めたため。生産力が落ちていない、というばかりではないのです。中国が保護主義に走っているのも、自国経済不安から。世界は今、急成長時代の置き土産となってしまった低成長、その時代に突入しつつあるのです。そして、安倍政権ではその時代に対応することができない。国民の声が届かない、まったく頓珍漢な対応が、安倍政権下ではこれからも増えていくことが間違いないのでしょうね。

明日からお休みして、18日に再開したいと思います。

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2014年08月13日

4−6月期GDPについて

4-6月期GDP速報値が内閣府から発表され、実質で前期比1.7%減、年率では6.8%減と大幅な落ちこみになりました。しかし市場予想7.0〜7.4%減ほどではなく、市場は消化不足です。中身をみるとかなり悪く、個人消費が5.0%減、民間住宅が10.3%減、民間企業設備が2.5%減と、実質でいずれも軒並み崩れました。一方で在庫が1.0%増と、生産調整にも関わらず在庫が積み上がるのは、将来の成長を先食いした懸念もあって、これは7-9月期も緩慢な回復になる恐れがあります。
下支えしたのは政府支出が0.4%増、後は外需ですが、輸出は0.4%減、輸入は5.6%減、と輸入が大きく減ったためにプラスになっています。GDPデフレーターは2.0%上昇と、増税の影響をのぞくと1%近く上昇しているにも関わらず、これだけ消費が減退している。これは悪いインフレが起こっていることが、数値の上からも鮮明なのであり、日本は未曾有の危機にあると言えます。

しかも注目すべきは、前期の経常収支が赤字になったように、実は外需が寄与したといっても日本が稼ぐ力は大きく失っていることです。それを示す国民総所得(GNI)は実質で前期比1.3%減、年率で5.2%減。国として稼げていないことは、実質の雇用者報酬にも現れており、実質で前期比1.8%減。前年同期比でみても2.2%減。これではどうやっても消費が伸びる見込みがありません。
日経などは、ここに来て猛暑関連消費などを盛り上げようとしていますが、台風11号通過後に、急に冷夏となった。バツが悪いことこの上ありません。確かに7月は回復傾向もありましたが、これは一時金の影響とみられ、8月は再び悪化する恐れもある。実はそれを示す指標が、内閣府から発表されています。消費動向調査ですが、7月の消費者態度指数が0.4pt上昇の41.5。実はこの数字、安倍政権になってから一貫してトレンドは景気の動向と逆。4月まではずっと下向きで、5月から上向きのトレンドが変わっていない。つまり、本来は逆であるはずの、トレンドと景気動向は一致していなければならないはずが、そうなっていないことで回復は緩慢、と示唆されるのです。

内閣府内で「東日本大震災越えはマズイ」として、6.8%減(震災後は6.9%減)となった、そんな噂もあります。改定値でどこまで変わるのか? その頃には7-9月期GDPが注目され、話題にも上らないかもしれませんが、改定値で大きく引き下げ、7-9月期の反動増を大きく見せかけるのでは? とも囁かれ、安倍政権のやることですから、予断を許さないといった声も聞かれます。
甘利経再担当相は、例のしたり顔で「想定の範囲内」と述べていますが、自分たちが「想定する範囲」に収めたのでは? 中には年率10%近い減少となるのでは、ともされていました。ただし、景気の落ちこみは増税先送り、日銀の追加緩和で、市場にはポジティブとされるなど、いわゆるネガポジと呼ばれるもので、決して好ましいものではありません。そのネガポジさえ消した、政府にとって市場予想を上回ったのに、株価が反応しなかったのは想定外だったかもしれません。

今の市場は日米の先物買いの側面があり、上昇しているように見えますが、すでに市場は夏休みモードで、突出して新興市場のスマホ関連株の売買が膨らむなど、異常な状況がつづいています。安倍ノミクスとは、昨年の好調も駆け込み需要ですべて説明がつく、そんなGDPの結果です。それを「想定の範囲内」というなら、安倍ノミクスが虚構だった、と自ら認めるようなものなのでしょうね。

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2014年08月12日

雑感。米軍によるイラク空爆

まんだらけによる、万引き犯への警告文が話題です。期限までに返さないとモザイクを外す、とのことで、いき過ぎだとの批判もあります。この件で、名誉毀損を指摘する人もいますが、それが成立するのはこの人物が万引き犯でないケースです。まんだらけ側が、確たる証拠をもつのなら、事実の告発にあたりますので名誉毀損の適用は難しい。この事例で問題となるのは、肖像権でしょう。当然、本人の同意なくその姿を晒すのですから、民事ならまんだらけ側の敗訴です。
ただし、当然それは本人が訴訟をおこす前提です。刑事では万引きに問われるかもしれない。損得でいえば、万引きしたものの価値に見合うかどうか? 微妙でしょう。しかし常に議論になりますが、警察が容疑者として指名手配できる、そのケースで肖像権は問題になりません。また容疑者の段階、つまり逮捕、連行される瞬間の顔を、テレビや新聞は報じます。それとて今回のケースと、変わる点は何もありません。逮捕されたとて、罪が確定されたわけではないのですから、起訴されないケースでは、肖像権の問題で民事訴訟をすると、勝てるのかもしれません。そこに公益性、という問題をもちこんだとしても、プライバシーとのせめぎ合いになることは確実です。これらはメディアの警察依存、警察が逮捕すれば有罪確定、という古くからの悪しき慣習が、そのまま残るものであり、今回のまんだらけのケースも、この辺りから説き起こさないと、片手落ちになってしまうのでしょう。被害者の顔写真はすぐに報じ、加害者の顔は隠す。死んだ人間にプライバシーを認めないのか、などの様々な条件が絡んでくるはずです。

米軍によるイラク空爆が、4日目になっています。小野寺防衛相が米下院の軍事委員長に「支持」を伝えていますが、米軍から情報開示があったかどうかは不明です。米国内では遅すぎた、との指摘もありますが、フセイン政権打倒の際にCIAはミスリードした。今回もそうでない保証はありません。一番は、混沌としたイラクでどこを攻撃し、どこと手を組むかは難しい問題です。
イラクではマリキ政権に代わり、アバディ連邦議会副議長を、大統領が新首相に任命していますが、マリキ氏側は反発し、軍を派遣するに至っています。一方で、クルド人勢力が独立運動を始めたらどうするのか? イスラム国がイラクを制圧したら? 米国は挙国一致体勢の構築をのぞみますが、これだけ混乱すると人道的立場でしか、各国も行動できないとなってしまいます。

米国はアバディ政権を正当と認めますが、マリキ政権が挙兵したら? 三つ巴から四すくみになるでしょう。そんなところに軽々と支持をすべきではありません。特に、米国はイスラエルによるガザ侵攻の最中、イスラエルの防空体勢に財政支援を約束するなど、中東での戦略は相変わらず一つに軸足を置きすぎる、調和型でない点が、さらに混乱を助長していると言えるのです。
今回、ISISから攻撃されているヤジディ教、イスラム化されてはいますが、七曜に七大天使をあてる、その起源神話を伝えるなど、ゾロアスター教の前、ミトラ神話の流れを色濃く残す、そんな貴重な宗教とされています。イスラム世界では邪教とされますが、こうした他者を尊重せず、滅ぼしたり、虐げたりすることが、今の世界の混乱につながっていると感じます。翻って日本でも、万引き犯をさらすかどうか、に注目が集まりますが、他者を思いやる心があれば、万引きなどしてはいけないことは犯罪であるかどうかの前に、心として誤りであることが自明でしょう。イラクに介入する心無き米国に、ただ追随するだけでは、日本の外交も批判されて然るべき、ということになってしまうのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | 社会

2014年08月11日

安倍政権の危機管理

台風11号の爪痕が大きく残ります。年間の降水量の4割がここ10日ばかりで降るなど、まさに異常事態で、関東では竜巻とみられる被害がでるなど、各地の惨憺たる状況が伝わります。そんな中、安倍首相は休暇に入りました。休むな、とは言いませんが、これだけの事態に対して、国のトップが備えておかなくてよかったのか? 連絡はすぐとれる、と言ってみたところで、地方の防災体制でもすぐに指揮、命令ができるよう、首長は指揮所につめていることが求められ、それができなければ非難されます。なぜか安倍氏に限って、そうした批判は影をひそめます。
オバマ米大統領が、イラク空爆を指示した後、すぐ休暇に入ってゴルフをしていたことが批判に晒されています。今回、安倍氏は約2週間という、異例の長期休暇です。その最初の1日ですら、為政者として対応できないなら、危機管理という点で不安も生じます。やはりストレスに弱く、休まないと公務がつづけられない、弱いリーダーという印象を強めてしまうのでしょう。

そんな安倍政権の支持率が、各社で小幅に上昇。50%を回復しています。7月後半からぽんと株価がもどったこと、が影響した可能性もありますし、今日の東京市場など15000円を割ったところで、安倍政権の指示によるPKO(Price Keeping Operation)が入り、それをみて安心感から買いが広がる、といった展開で、株価は大幅上昇しています。しかしどの調査でも景気回復の実感は「ない」が大多数にも関わらず、経済政策は支持する、が過半数を越えます。これはメディアが盛んに景気はいい、と喧伝するので、自分に実感はなくとも景気がいいところもあるのかしら? との印象をもつことによる影響といえます。こうしたメディアの動きをCSO(Cabinet Supporting Operation)と呼び、これにより政権支持率が50%を維持できた、といえるのでしょう。
しかしその流れも、4-6月期GDPで変わる可能性がある。実質で7.0〜7.4%程度のマイナスとみられており、これは東日本大震災後の落ちこみ以上の悪化といえます。それを起こしたのは人災であり、7-9月期はもち直す、という文言がCSOとして準備されているのでしょうが、経済政策は本当に大丈夫か? との見方を増やすでしょう。先行きの悪化をみこむ景気ウォッチャー調査などもあり、CSOで示される内容と、実態との乖離について今一度考える契機になるはずです。

自民党の土屋議員が、長崎市長による平和宣言での集団的自衛権にふれた部分に対し、「意見があるなら国政にでること」だと批判しました。しかし宣言をみても、至極穏当であり、国民の声に耳を傾けるよう求める内容ですので、国政について言及したわけではない。それなのに強く反発するのは、安倍応援団にみられる特徴的な傾向です。私も安倍氏を批判すると、すぐに左翼認定されますが、個人的には右でも左でもありませんし、右翼であっても安倍氏を嫌いな人だって、当然いるはずです。それなのに、安倍応援団は自分たちと違う意見を攻撃し、まるで自分たちだけが正しい、安倍氏が保守を体現している、とでも言わんばかりの態度をとりがちです。
しかし例えば、自公両党による『緊急事態管理庁』の提言。複合災害に対応する組織作りをめざすものですが、安倍氏も前向きとされます。ただ台風11号の対応をみても、安倍氏にそうした決意はない。異常気象がつづく中、台風程度は緊急事態ともよべない、というのなら、緊急事態管理庁などをつくっても、国民の安全が守られるか? に疑念を生じてしまいます。緊急事態管理が、株価がおちてきたときのPKOだったり、内閣支持率がおちてきたときのCSOだったり、そんなことのためだけに使われるのではないか? そんな懸念を強めてしまうだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年08月10日

米国の早期利上げ観測?

世界は今、エボラ出血熱の感染が拡大しています。米国が感染者を国内の隔離施設にうけいれたのも、自国民だから、や人道的に、といった理由ではありません。言葉は悪いですが、人体実験できるためです。しかし対象者はそれで様々な治療が約束される。未承認薬の投与も、もしそれで効果があれば米製薬会社にとってもメリットがあります。後のパンデミックに備え、どんな反対があろうと、治験を蓄えておくのが国益、との強い意志が見え隠れします。
今回、もっとも危険と思われるのが、中国や東アジア圏などの人口密集地で感染者がでること。潜伏期間が長いため、どこでどう感染し、拡大するかが読めません。邦人の感染者がでた場合、日本は受け入れるのか? 搬送方法は? など、様々な検討をしておく必要があるのでしょう。

8日の米株市場はイラク空爆の影響もなく、大幅高しました。日経平均先物も15000円を回復していますが、今回の下落局面にはちょっと警戒が必要です。米市場の下げの理由として、一部で早期利上げ観測ともされます。しかし個人的には、米国には利上げする材料が乏しくなった、と感じています。以前、私は利上げしなければいけない理由として、住宅市場の投機的な動きを指摘しました。しかし大寒波がすぎても住宅市場はもどらず、落ち着きをみせています。雇用統計も、製造業の指標にしても斑で、以前とくらべても利上げを急ぐほどではない、とみています。
早期利上げ観測が語られる主因は、米国債の上昇ですが、そのきっかけは中韓などの新興国による、外貨準備の増加です。これは米政府が為替誘導に対し、黙認する姿勢をとったことで起きており、それだけ新興国経済に不安があることを意味しています。今のFOMCメンバーをみても、ハト派が優勢であって利上げを説明する材料に欠けます。外貨準備の増加、という動きでテクニカルに米国債が上昇したことを、後付けの理由として早期利上げという説明でお茶をにごしている。なので、行き過ぎれば米高官の口先介入で、中韓などを牽制し、この動きも収まるとみています。

問題は、そのとき中韓が堅調さを取り戻すか? ですが、今のままでは難しい。なので米国も支援のつもりで今は容認します。そして敏感なファンド勢は「早期利上げ観測」を口実として債先買、株先売を仕掛けているため、7月後半から米株市場が調整していますが、新興国から引き上げた資金は、結局どこかで運用せざるを得ない。資金還流をみて、先週末のように米株は上げてきます。
では日本は? 一昨日も示したように、企業決算は一巡しつつあり、しかも内容は微妙なものが多い。資金を引き上げる材料にされかねません。しかも、メディアが如何に報じようと経済指標は悪いものが目立つ。しかも中身はかなり悪い。しかも日銀のETF買いも力不足であることを、今回試してしまった。GPIF報道も、日経平均を100円も押し上げる力がなくなった。上昇を意識させる材料が途絶えつつあり、しばらくは弱含んでしまうことが予想されます。

米早期利上げ観測が、ただのブラフだとすれば、為替相場にも支援材料にはなりません。安倍ノミクスには誰も反応しなくなったように、円安でも輸出が増えないことを「想定外」ということ自体、経済の専門家としては検討不足となります。増税の影響を「想定の範囲内」などと述べるのも同様、過去の指標と比較することで意味づけする向きもありますが、状況の変化を織りこまず、ただ数値を並べて予想することは、実は正しくないのです。
新興国経済の変調、欧州の失速など、世界はある意味デフレ、不況のパンデミックに怯え始めたのかもしれません。そこにエボラ出血熱や、イラク空爆などの不透明要因が重なること、それを受けて大きな変動を起こしやすくなったのです。なので企業の決算がどうだろうと、下げるときは下げてしまいます。それはリスクオン相場と、オフの相場との違いという以上に、世界が刻々と変わりつつある状況に対して、株価という数字がどう動くか、ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年08月09日

雑感。コピペの責任

米国で11月に行われる中間選挙に、民主党のウォルシュ議員が7年前の修士論文にコピペが発覚、選挙戦の中止においこまれました。コピペは事ほど左様に非難をうけるものですが、安倍首相がまたやってしまいました。広島に続いて、長崎の平和式典でもスピーチにコピペ疑惑がでて、しかも被爆者団体との面談でそのことを指摘されると、無視を決めこんだ。これで確信犯、確定です。
集団的自衛権で平和を…と言ってみたところで、当人にその自覚が薄いことが判明し、言葉に力を失いました。次世代の党の石原氏が、実は中国と戦争したがっている、との話もでてきた。これで日本の保守系、全般が『平和軽視』の印象がついてしまった。安倍氏本人は無自覚なようですが、集団的自衛権の問題にも、このコピペスピーチは必ず悪影響を与えることになるでしょう。

コピペで問題となった、STAP細胞問題で笹井副センター長が自殺した件で、理研が声明をだしました。痛恨の極み、などとするもので、自殺が報じられてすぐに異変、異常な事態とするコメントをだした理研の責任について、言及がありません。今回の自殺、どうにも訝しい点ばかりです。確たる情報がないので、憶測のみですが、私のいだく違和感を記載してみます。
まず遺書がパソコンで打たれた文書である、という点。複数の遺書を準備するぐらいであれば、自筆にするはずです。パソコンが打ち慣れていた、といっても、自らが残す最後の文章で、疑惑をもたれる印刷で済ます、という点がどうにも整合しません。さらにディスカッションが成り立たなかった、との証言のように心を乱していたなら、遺書の準備すら覚束なかったはずです。伝わるところによると乱筆、乱文はない。正常な判断が働いていたなら、さらに奇妙な点があります。

死に場所に、理研をえらんだ点。もし理研に思い入れがり、存続をのぞむのであれば、尚更理研に迷惑をかけないよう死に場所を替えるでしょう。理研を自らが作り上げた、その自負でもって死に場所にえらんだのなら、自らの死をもって理研が解体になってもいい、とまでの覚悟が感じられます。しかし遺書にそういう記述がある、といった報道は未だにない。理研に対してどういう感情で、今回の行動にのぞんだか、実に複雑で分かり難いものとなってしまっています。
STAP細胞問題でNHKが指摘したように、特許を取得するために成果を早める必要があった、特殊法人格への昇格を焦っていた、ということなら、笹井氏のみならずSTAP細胞にES細胞をまぜる、といったことを理研上層部も知っていた可能性がある。トカゲのシッポ切り、それに対する抗議なら、理研で自殺した説明がつきます。そして理研がコメントを準備していたかのように、次々と笹井氏の変調を訴えた。まるで自殺しても仕方ない、といった印象を植えつけるかのような。サスペンスに毒されすぎ、とも感じますが、理研が自殺をしくんだ、とのシナリオが強ち妄想とばかりいえないほど、様々な状況が奇妙に収まりの悪いままといえるのです。

最後に、笹井氏が小保方氏にあてたとされる遺書の「新しい人生を歩み直して…」という部分。STAP細胞の実証が確認されれば、研究者の道は閉ざされませんから、この文章はあたかも「ない」と想定しているか、理研としては追いだすことが規定路線である、と認めてしまっているようなものです。笹井氏が死の間際、一体どんな立ち位置にあったのか、まったくナゾですし、それを理研の立場として書いた、とするとこの遺書の書き手の意図も読み解けてしまうのです。
コピペ疑惑から始まったSTAP細胞問題。心を伝える、ということはもっとも難しいものであり、笹井氏の心根は、遺書からは未だに判然としません。一方で、コピペスピーチ疑惑にゆれる安倍氏、心を伝える大事な部分で、それをしなかったことは重大な問題と認識されるでしょう。理研も、これで同情が集まって追求し難くなる、という雰囲気になることをのぞんでいるのかもしれませんが、コピペの疑惑は長引くことになり、それは安倍氏も同じになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2014年08月08日

景気ウォッチャー調査と株価

日経平均は454円安でした。きっかけはオバマ米大統領の、イラクへの空爆容認発言とされますが、これまでリスクを半ば無視しておいて、いきなり気づいたというのはおかしな話です。恐らく最大の要因は、日本の企業決算発表が一巡しつつあること。全体では5%の増収を維持で、好調という話もありますが、裏ではこんな話もあります。本来、1-3月期に計上すべき費用を4-6月期に回すなど、今期はムリして企業は決算をよく見せている。それは4-6月期の落ちこみを最小限にみせかけたい、という政府の要請で、大企業もやりくりしたためではないか、というのです。
以前、トヨタ決算を取り上げましたが、子会社は軒並み2桁減益になる中、親会社の増益基調に違和感を報じるところもある。1-3月期はGDPも示すように、予想外の伸びになったことから、企業としても1-3月期の利益の一部を4-6月期に回すことに、抵抗がなかった。それが4-6月期のマクロと、ミクロの違いとして現れているのでは? というのです。違法ではありませんし、実体は分かりませんが、外国人投資家は日本の企業決算を、見た目より評価していないことは確かです。

7月景気ウォッチャー調査が内閣府から発表されました。現状判断DIは前月比3.6pt上昇の51.3と、節目の50を上回りました。「やや良くなっている」「変わらない」が増え、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が減った。構成比としても問題なく、雇用以外の全部門が改善しています。ただし、先行き判断DIは前月比1.8pt低下の51.5。しかも「やや良くなる」が大幅に減って、「変わらない」〜「悪くなる」が増える。しかも製造業以外、全部門がマイナスとなった。
今まで、メディアは先行き判断DIが改善するから、景気は上向きと言ってきましたが、それと逆のことが今回示されました。しかも地域別でみても、先行きは前月に大幅な落ち込みとなった北関東がややプラスになる以外、全地域が低下を示します。これは消費税増税に伴う反動減から新たなステージ、景気後退を意識させる水準に入った、ということを示すようにみえます。

日銀の黒田総裁が、政策決定会合後に会見を開いていますが、地政学リスクさえなければ順調、と述べています。物価も年度の後半には再加速、とも。もしそれが現実になれば、悪いインフレがさらに加速、実質賃金のマイナスも加速、日銀の語る「需給バランスやインフレ予想が物価を決める」という理屈にも合わなくなります。賃金は年度によって変化するため、インフレ率が低下する以外、実質賃金のマイナスは変わらない。その現状を直視すべきなのです。
しかも1-6月の経常収支が5075億円の赤字。1985年以降初の事態であり、問題はメディアが主に報じる燃料費の増などではなく、前年同期比で輸入(14.7%増)に比べて輸出(8.1%増)と、伸びが低いこと。為替の効果をのぞくと、輸出は数量ベースではマイナスになっているとみられます。依然として円安で輸出増、という安倍ノミクスの当初の目論見は、完全に外れたことになります。

この国際収支はGDPの押し下げ要因です。人口動態の推移によって、潜在成長率が下がる一方の日本は、さらに計上収支の面でも成長を押し下げはじめた。これが、外国人投資家による安倍ノミクスへの評価として、定着しつつある事実です。ミクロの値動きが期待できないのであれば、資金をおいておく必要がない市場、とみられつつある。さらにGPIF報道でも、昨日の値動きは以前と比べて増えなかった。これはワード検索型のアルゴリズム取引から、GPIFのワードが外されつつあることを示します。そして前日の反動がすぐに出たように、今後の安倍政権の年金頼み、には反応しなくなる恐れすらあるのです。株価が下がる、資産効果すら成長率を押し下げる段階になると、地政学リスクの前に、遅政学、恥政学リスクに反応しやすくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年08月07日

安倍政権の年金頼み

最近、市場では「年金で安心をえるのは老後と安倍政権」という話が囁かれます。老後の生活を支えるはずの年金が、安倍政権が気にする株価の下支え要因となっている、という意味ですが、今日も14時からGPIFの運用比率見直し、の報道で円安、株高へと大きく傾きました。内容は予想とおりのもので、中身は乏しいのですが、今は複数のキーワードで株価を操作するアルゴリズム取引が活発であり、GPIF関連の報道でわっと資金を動かす傾向があります。
市場では今日、JPX日経400の銘柄入れ替えがありました。外国人投資家はこの指標に注目している、という報道もありますが、誤りです。JPX日経400に採用されてから、銘柄に組み入れているようなら失業ものです。ただ採用される期待の段階で売買が活況となり、値動きがとれる。ノーマーク銘柄のサプライズや、失望売りなど、そうした思惑で注目するという意味であって、外国人投資家を呼び込むことはありません。指標自体、銘柄ごとのパラメータのとり方によって動きが変わってしまうため、他の指標と組み合わせて取引するにも適さず、使い道はよくありません。

年金で安心を得ている安倍首相ですが、広島の平和記念式典で行ったスピーチが、昨年と同じと話題です。ついにスピーチライターまでコピペを使う、そのこと自体も異常ですし、それ以上に気づかない安倍氏の平和記念式典への想いはこの程度か、ということにも呆れます。少なくとも広島や平和に思い入れがあるなら、事前に原稿に目を通し、自分の言葉を入れるなりするでしょう。特に冒頭部分ですから、そこは個人的な想いを伝える部分でもあるはずなのです。
最近、安倍ノミクス三本の矢、とよばれたものは、実は一本も飛んでいないのでは? とも噂されます。第三の矢、成長戦略が乏しいことは指摘されますが、本来はこれが第一の矢でなければならず、しかも毛利元就の故事でも、矢を束ねることが重要とされる。ばらばらでは脆い。成長戦略に絡め、それで足りない部分を財政出動、金融政策で賄わなければならなかったのに、できていないのだから一本、一本の矢は簡単に折れてしまう。それが今の状況です。

そんな安倍氏が、文芸春秋に寄稿し「アベノミクス第二章起動」とし、「経済成長こそ最優先」という論旨だそうです。大まかには地方振興と人口減対策だそうですが、経済成長どころか、統一地方選目当てであって、何を最優先したいのか、さっぱり分かりません。第二章と云われても、第一章ですら三本の矢はとんでいない。日本の景気は、景気動向調査をみてもはっきり減速を示しており、その他の指標を見ても、一向に増税の影響を脱却していないのに、です。
法人税減税の話も、景気云々より株価対策という面が強い。ここに一つ対案をだせば、今個人では注目を集める『ふるさと納税』を、法人に拡大する。つまり法人税版『ふるさと納税』制度の創設です。東京に本社をおくと、必然的に東京での納税が増えてしまいますが、それを法人が地方の工場のある都市に、一部でも納税する。減税としての機能はなくとも、それでインフラの整備、地方都市でも工場を誘致し、企業にふるさと納税をしてもらえるよう、様々な工夫を考えるでしょう。それに被災地などに、企業が自ら支援の形でふるさと納税する、という形も考えられる。お金では地方の活性化も解決できませんが、成長には本来、一極に集中投資する方が、効率がよいのです。つまり第二章そのものが成長にはつながりにくい、という話でもあります。

法人税版のふるさと納税が実現すると、東京などの大都市圏も、これまで都議会などの生ぬるい体質、都庁などの岩盤の天下り制度、などにも風穴があくかもしれない。すべてが危機感によって、人は知恵をしぼるものです。知恵と知恵を戦わせ、よりよい制度を全員が考えていく。そうしたものが真の成長戦略につながりますが、残念ながら安倍政権は年金に頼るぐらい、古い常識にとらわれる老人のような、そんな政治に陥っているといえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2014年08月06日

朝日新聞の検証報道

朝日新聞による、慰安婦報道に対する検証記事。挺身隊との混同について、当時の研究の乏しさを原因とし、93年以降は両者を混同しないように努めてきた、としますが、公式に誤りを認めたのが今にいたった経緯について、説明はありません。済州島での強制性を訴えた吉田証言についても虚偽とみとめていますが、これも前段同様、かなり以前から食い違いや認識の誤り、当地の人々への聞きとりをしても、裏がとれないなどの問題がありました。30年以上、確認できただけで16回の引用を認めましたが、そのつど何ら検証もなく掲載したことになりますが、その説明についてはありません。
朝日新聞が、ようやくこれらの報道を誤りと認めた、一歩前進という人もいますが、個人的には左に向いていた顔が、やっと少し前を向くようになった程度で、前進はしていないと感じます。しかも、他紙も同様の報道を行っていた、と責任転嫁するに辺り、逆に他紙もその反証記事を載せるなど、子供のケンカのような有様であり、この国のメディアのレベルの低さを痛感します。

そもそも随所にみられる『慰安婦にさせられた』という部分。40人のうち信憑性のある19人の証言から、4人が「軍、軍属の関与」で、多くは民間業者の勧誘、だまして連れて行った、としています。しかし今でも性風俗に携わる女性はおり、中には家族、付き合う男性から命じられて、という本人の意志に反する部分があったとしても、多くが生活のため、貧しさから従事することが一般的です。この19人にそうしたケースがないのは異例ですし、当時の朝鮮半島は貧困に喘いでいたのですから、尚更おかしい。そこに対する検証は一切なく、強制性があったとします。
インドネシアで、オランダ人女性が慰安婦にされた、というケースをだし、強制性の裏づけとしますが、軍関与を示す証拠はない。個別事例として、当地の軍指導部が暴走した可能性は裏付けても、軍としての命令があったか、というのは依然として立証されていません。一部であったから全体としてもあった、という拡張論は、慰安婦問題を語る際によく用いられますが、論拠が不明です。こうしたケースは特に、実証できなければただの類推にすぎません。拡張論は、罪なき人を犯罪者扱いしてしまう、差別主義にもつながるもので、もっとも忌むべきものと云えます。そして『自ら慰安婦になった』ケースを除外しては、検証としては片手落ちともいえます。

朝日新聞では、意に反して『軍が関与した慰安所』にとどまることも、強制性と認定していますが、寡聞にして初耳です。働きたくない職場でも、仕方なく働いていたら強制性と認定できるというのですから、多くの労働者が当てはまるでしょう。辞めると言い出せない、逃げだせない、という形があった、と実証できているなら別ですが、そこはやはり類推でしかありません。
過去のことであり、厳密な意味で証拠をさぐるのは困難です。しかし人の記憶に基づく証言は、如何様にも改竄できてしまいます。それが本人であったり、他人の入れ知恵であったり、様々ですが、記憶は変容するのです。だからこそ、多くの証言をつき合わせ、物証を集めるなどして、実証主義を貫かなければ、こうした問題の正しさは見えてこない。相変わらず、朝日新聞ではその点に欠けます。自ら足をつかって集めた情報、というよりも著作物の引用や研究者の説明、といったものに頼っている。政治問題化している以上、研究者にもフィルターがかかっている恐れは拭えず、それを排除したかどうか、も検証としては不足している、今回はそんな状態です。

軍の関与を示す資料、という部分にしても、研究者でも見方が別れるなら、その全文を掲載するなり、転写して報じるなりして、読者の判断にゆだねればいい。背景を知らないと読み解けない部分があったとしても、その方がよほど親切です。我田引水のいいわけが多く、すべての文書に「だって、こうだったんだもん!」と、少し子供っぽい言葉をつけると、何となく朝日新聞の立ち位置が理解できるのでしょう。しかし実証主義に立脚しないと、やはり立つ瀬をなくすのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:43|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 社会

2014年08月05日

トヨタ自動車の4−6月期決算

理研の笹井副センター長が、自殺しました。科学者として、最後まで真実を追究する、ということを全うできなかったようです。陰謀説もでてきそうなタイミングですし、遺書の存在なども、心療内科に通うほど心神が耗弱していたにしては、非常に思いやりにあふれた内容のようです。下種の勘繰りになりますが、ディスカッションもできないほどに弱っていたなら、4通も遺書を準備したりはできず、また乱筆になっているはず。論文のプロといわれ、最後までその矜持を貫いたのか? いずれにしろ、残した功績とともに、憶測も残ってしまうのかもしれませんね。

トヨタ自動車が4-6月期の決算を発表し、営業利益が前年同月比4%増の6927億円となりました。過去最高益で、一見するとすばらしい数字ですが、詳細をみるとやや不安にさせられます。世界販売台数は0.4%増の224.1万台、北米での伸びが3%増の71万台、欧州での伸びが7%増の20.7万台。米欧の伸びに、為替の円安効果をのぞくと、実は利益率として悪化しているようにみえる。
最近、トヨタ車を購入した友人もいますが、モデル末期もあり、車輌本体価格から2割近い値引きになった、とも聞きます。販売台数で世界一、を維持するためにかなりムリをしている、また国内の販売台数の落ち込みを、何とかカバーしようと努力している様子がうかがえます。

そんなトヨタに、更なる逆風となりそうなのが、米国でサブプライム自動車ローンの調査が開始されたことです。甘い審査でローンを通す、サブプライム不動産ローンと同じような仕組みで、北米の販売台数は異様なほど高い伸びになってきました。ここに来て住宅販売も変調、株価も下がり、資産効果も見こめない中で、サブプライム自動車ローンに対する金融機関への、当局からの調査が入ったのですから、伸びが期待できた北米市場が、一気に崩れる可能性がでています。
このサブプライム自動車ローン、サブプライム不動産ローンより規模も小さく、米金融機関を破綻に導く、世界経済を混乱させるほどにはならない見込みですが、この仕組みが米雇用にも好材料だった可能性があります。サブプライム不動産ローンでもそうだったように、ローン組成企業が次々と立ち上がり、業績をのばすためにさらに審査を甘くする、そんな競争が起きていました。当局も、それが将来的に米経済にマイナスと判断したからこそ、ここで調査に入ったのでしょうが、そうしたローン組成企業はふたたび相次いで破綻する恐れもでてきます。今は全容もつかめていませんが、堅調だった米経済がしばらく停滞する可能性もあるのでしょう。

国内の消費にも不安があります。夏のボーナス商戦が盛り上がらなかったのも、実質賃金のマイナスを補う、という以上に3月にボーナス一括払いで高額消費をしてしまった。それが1-3月期は消費を押し上げたものの、ボーナスの効果がでる7-9月期でさえ、消費が回復していないことを示すのです。それは実質賃金のマイナスが続く以上、年末のボーナス時まで影響する問題となるでしょう。国内では軽自動車でさえ、販売台数の減少がおきています。消費の影響を考える上で、特に世界規模で事業展開する自動車産業は、これから世界経済が停滞することでどう動くか、それを問われていくことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:43|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2014年08月04日

中国の激震

今年の西日本は台風の通り道になっており、四国ではすでに8月の例年の降水量の3倍の量の雨がふっています。さらに週末には台風直撃とも伝わりますし、警戒は怠れないところです。
中国の雲南省で、M6.5の地震が発生しました。四川大地震から、中国の西南部は地震の頻発地帯となっており、耐震性の低い建物が、さらに被害を大きくしています。地球は今、間違いなく活動期に入っており、それは日本も同様に、南海トラフなどに警戒も必要なのでしょうし、口永良部島も噴火したように、今は火山活動も活発になる、との意識も必要となるのでしょう。

そんな中国の激震は、経済面でもあります。中国の主要100都市の住宅価格が3ヶ月連続の値下がり、下落幅も拡大、値下がりした都市数も増加、と本格的な調整局面をうかがわせます。公共工事型の、小幅な景気対策で株式市場は活況ですが、中国で資金繰りが悪化している懸念がある。そこには、青島港問題とよばれるものがあります。中国では、貴金属を担保にして資金調達するケースが多い。ある企業が、偽の在庫証明を発行し、資金調達していたとして、欧米を初めとする金融機関の、訴訟ラッシュがおきているのです。中国国内でも26億$、海外の金融機関も9億$と、巨額詐欺事件に発展しており、しかも国をまたぐため、解決には時間がかかりそうです。
そしてこれは、中国企業全体も同じではないか? 在庫証明は正しいのか? といった不安につながり、信用収縮がおきかけている。つまり資金調達しにくくなっているのです。これは中国企業、特有の問題でもありますが、本業よりマネーゲームで稼ぐことも多く、そのために資金調達は中国企業にとって死活問題です。そこが収縮すれば、中国企業の破綻が相次ぐ恐れもあります。

現在、中国では海外の資金呼び込みに市場開放を行っていますが、上手くいっている様子はない。資源取引にも影響する、今回の青島港問題をうけて、海外でも中国企業への貸し出しは慎重にならざるを得ない。さらにここに来て、中韓などで外貨準備が急増し、過去最高との記事もある。自国の通貨売りを活発化させており、それは経済の停滞という側面も強く、そうした不安も中国への投資を手控えさせる一因です。中国は今、これまでの経済運営でたまった歪、それが一気に濁流となって襲っており、小幅にしか打てない景気対策とともに、回復への道筋を遠くします。
ここに来て、米国債の利回りが急低下した理由もはっきりしました。米利上げ観測というより、中韓の米国債買い、その裏にある景気の低迷という事実は、世界経済の不安としても意識されます。前回のアジア通貨危機に、今回は中国まで加わるかもしれない。中国は無担保の資金調達法、シャドウバンキング問題に加え、担保があるはずの資金調達も、青島港問題で崩れました。

APECで、日中会談という機運を日本政府が盛り上げたのも、米国むけに中国と仲良くしている、とのパフォーマンスと同時に、中国側の苦境という事実も大きいのでしょう。何としても日本から資金調達したい、そんな中国の思惑が透けます。日本はアジア通貨危機のような事態がおきてから対処すべきか、未然に防ぐ方向で支援をするのか、中国でおきる大きな激震にむけて、難しい判断を迫られるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2014年08月03日

株式市場の動き

1日に米国で発表された、7月雇用統計は、非農業部門の雇用者数が20.9万人増と、20万人以上でありながら予想に届かない、強すぎず弱すぎず、という結果でした。しかし失業率は0.1%上昇して6.2%。よくもなく、悪くもなく、絶妙だったにもかかわらず、米株市場は下落しています。
しかも7月の米製造業景況感指数は57.1と、前月比1.8%上昇して市場予想も上回ったのに、です。一つには早期利上げ観測、とも囁かれますが、FOMC声明でも強弱入り混じっており、しかもハト派を意識されるイエレン議長の下で、そう易々と利上げするとは思えない中ですから、どうもこの観測自体が怪しい。賃金の上昇率が低いことや、広義の失業率は依然として改善していないのですから、尚更早期の利上げということを意識する段階か、甚だ疑わしいと言わざるを得ません。

ただここに来て急速にもち上がっているのが、欧州経済の停滞です。経済指標は横ばいや低下傾向を示し、インフレ率も低下してきた。しかもここにきて、露国への経済制裁の影響も勘案しなければならない。欧州に漂う不透明感、それがマネー変調の兆しとなってきているのでしょう。
最近、日本株が好調です。さすがに先週末は続落していますが、材料もなく一気に15500円を超えてきました。ただこの動きには警戒が必要です。今の市場は、マクロの経済指標で強すぎない方が、金融政策の緩和姿勢がつづくため、好感される向きがあります。そして米国がそうだったように、ミクロの企業決算に反応しやすい。マクロの強弱と、ミクロの強さを組み合わせて取引する、名前はまだありませんが、これが今の取引の主流となりつつある動きでもあるのです。

しかも米国がそうであるように、企業決算の発表が一巡すると、売られ易くなる。マクロが強弱入り混じる場合、上昇材料とはなりにくくなった。それが欧州の変調をきっかけとした、何でも楽観して上げられる状況ではなくなった、ということです。マクロの強弱が景気の低迷や後退を意識させる場合、やはり相場としては弱くなってしまう。米経済などは特に、年後半には急成長というシナリオを織り込んでいるため、その見直しだけで下落してしまう状況にあるのです。
日本に資金が集まってきたのも、これから決算発表の山場を迎えるから。だからと言って近い未来に株高になる、との思惑があってのことではなく、値動きを確保できるから。それが今の取引の主流だから、ということなのです。なので、東京市場の取引で15500円を維持したからと言って、決して強いというのではなく、週末のNY取引では簡単に割ってしまうように、今は水準感も通用しない。米株でもS&P500が2000ptを手前にして達成できなかったのも、資金が集中すれば上がり、逃げて行く市場は下がる、という流れの中で水準が決まってしまう、ということになります。

8月半ばには、ヘッジファンドの解約売りが待ち構える。ちょうどその頃に、日本の企業決算も山場を越える。そこがターニングポイントになってくるのでしょう。ジャンク債市場からも、資金が逃げだし始めた。これも何でも楽観できる環境からの転換、を示しています。これからは取捨選択が必要となり、生き残りをかけて目利きする、という市場になってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年08月02日

安倍首相の外遊中に事故

中南米に外遊中の安倍首相の一行が、自動車事故に巻きこまれました。安倍氏ののる車は回避していますが、同行の外務省職員ら12人が軽症を負っています。前の車が急ブレーキをかけたそうですが、車間は? 警備であれば首相ののる車は中央に挟むはずですが、20人の同行者中、半数以上が怪我を負うとはどういう状況か、判断しかねます。ただ、どんなに気をつけても、特に海外では何がおきるか分からないのであり、地球儀外交は危うさと隣り合わせ、ということでもあります。
この地球儀外交を、誉めそやす意見を目にしますが、改めて指摘しておくと、首相が訪問したのに成果がない。日本がお金をだす支援、の話はかまびすしいですが、それ以上のことが出てこない。中南米の歴訪でも、非常任理事国入りに向けて親睦を深めておくのが大事、とレクリエーションの延長のような意見まで出てきます。しかしこの地球儀外交、実は重大な問題を抱えています。

オバマ米大統領は、よほどの事情がないと外遊はしません。通常、重要な外交でも出ていくのは副首相、国務長官クラスであり、それ以外は局長級など担当者レベルです。これは国の制度の違い、という以上に、米国は世界でもっとも力のある国であり、相手の国との格の違いを考えても、副首相で十分との判断、外交上の儀礼としても、吊りあうということでもあるのです。
つまり中南米にしろ、重大な決定を下す必要がないなら、日本も副首相や外相で十分なはずなのに安倍首相は直接赴いている。日本の副首相や外相など、日本人でさえ誰? というレベルの知名度ですが、名誉職であったり、能力的に適していなかったり、元々外交の場にでる力がないことも問題です。しかしそれで首相が外交の場にでることにより、別の問題が生じているのです。

それは首相がほいほい出かけ、結果を伴わない外交をくり返すことにより、日本の首相としての格が低下してしまうこと。外交面で重視されなくなる、ということなのです。そして先進国という立場を考えても、日本は異例なことをしている。例えば中韓が主席、大統領クラスが相手国に出かけても、それは新興国であったり、相手との格でみてもトップセールスが重要でもあるためです。それと、日本は同じことをしている。実は、日本が新興国並みの外交をしている、という意味でもあるのです。つまり首相の格どころか、日本全体を貶めていることになりかねません。
さらに米大統領が、外交にでる機会が少ないのも、内政を重視しているというポーズであり、国内問題を解決することが、第一義と考えられているためでもある。安倍氏のゴルフも同様ですが、多くの国で大統領、首相クラスは滅多にゴルフなどはしません。それは、国民の苦しみを分かっていない、と見られるためであり、内政を蔑ろにしていると見られれば支持率の低下につながる。外交で、国益につながる決断をするなら首相自ら行くべきですが、そうでないなら行くべきでない。将来に……などという息の長い外交は、副首相や外相レベルの仕事でなければならないのです。

安倍氏はこれまで日本が築いてきた、米国に次ぐ世界第2位の経済大国、その格に見合う外交をしていないばかりか、それを安売りして外交をしている。それが地球儀外交なのです。つまり安倍氏が貶めた、日本の首相の地位により、今後の外交では首相でなければモノが決められない、といった誤った認識につながり、外交上苦労する場面が増えてくるのでしょう。ブラジルでおきた自動車事故、前の車が急ブレーキして玉突になったとのことですが、支持率にも急ブレーキがかかりつつある。勢いを失うと、余計なトラブルが増えるものです。頻繁に海外にいく、ゴルフをする、という首相の態度に内政の停滞という事態が重なると、国民が冷ややかな目を向けることとなり、玉突で最後は追いだされるはめになりかねなくなってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年08月01日

集団的自衛権の行使容認の二つの党

台湾の高雄市でガス爆発がおきました。工業用に地下にひいたパイプラインから漏洩したとみられ、大きな被害が出ています。日本でも、こうした例は少ないですが、工業地帯に住宅があるケースは多く、例えば5月に起きた町田でマグネシウム火災を起こした工場も、住宅に囲まれていました。日本では自衛隊や米軍の基地も、住宅街に隣接するなど、今そこにある危機です。
ガスラインがあるのにガス検知器がない、その安全意識の低さは問題ですし、ガス漏れを確認しながら、住民を避難させなかったことも疑問です。日本でも電線やガス管、水道管などをまとめて地下化する計画もありますが、ガス漏れで爆発したら? インフラは一気に破綻します。水漏れで作業に支障をきたしても、復旧に時間がかかります。まとめれば効率的ですが、リスクとの兼ね合いを考えないといけない。それはガス管を住宅街にひいた高雄市も同様なのでしょう。

安倍氏が歴訪先で、内閣改造を9月第1週に行う、と告げました。1ヶ月も前のこのタイミングで発表した意図は、猟官の動きを活発化させたいのでしょう。それは政権への忠誠度であり、決して能力をアピールしろ、というのではありません。官僚主導体制である安倍政権では、個別の政治家の能力より、むしろ失言や政治資金絡みのトラブルを抱えていないか、が重視されます。その上で、集団的自衛権の行使容認に、賛成することが絶対条件となってくる。また支持率低下と、石破幹事長の交代の動きとが重なり、党への締めつけが弱まったことから、しばらくは閣僚就任というえさをチラつかせ、党内を黙らせる必要性も生じているのでしょう。
次世代の党が、石原氏を最高顧問、平沼氏を党首、山田氏を幹事長として発足します。憲法改正や集団的自衛権の行使容認など、極右勢力の誕生です。ただ安倍政権も同様に、集団的自衛権の問題を語るとき、自衛隊員が参加を拒否する、や日本人が死ぬ、といった情緒に訴える反対ばかりがめだちますが、真に必要な議論は財源です。集団的自衛権を行使するには、莫大な財源が必要で、どの国でもその捻出には苦労します。来年度予算の概算要求の検討もはじまっていますが、増税しても来年も赤字。ここに集団的自衛権の行使を足せば、赤字額は大幅に膨らみます。

次世代の党もそこに明確な答えはない。安倍政権も同様です。経済成長すれば…という威勢のいい声は聞こえても、安倍政権下で金融緩和と財政出動をこれだけ行っても、成長率は駆け込み需要があった1-3月期で実質、前期比1.6%増です。これが年間つづけばすばらしいですが、4-6月期には異常な数字が並んでおり、大幅な落ちこみが予想され、新たな財政負担には耐え切れません。
つまり自民党で、携帯電話税などの更なる増税、社会保障費削減などが盛んに議論されるのも、集団的自衛権の行使を訴える党は、必ず財政問題に直面するためでもあります。人口動態や、環境の変化を訴えて、増税の必要性を説明する向きはありますが、それを織りこんでここまで政策をとっていない時点で、そんな理由では赤点です。そしてそこに、新たな財政負担の拡大をともなう、集団的自衛権の行使、という問題がかぶさってきて、増税するしか手がない状態なのです。

安倍政権にしろ、次世代の党にしろ、集団的自衛権の行使にともなう、新たな財政問題に答えをだす必要があるのです。財務省の息のかかったIMFからは、10%の消費税でも足りず、15%にしないと不足と提言するのも、今の財政状況に、集団的自衛権の行使でかかる負担を足せば、当然足りないという結果になるからです。安倍政権では、増税が必須路線であり、増税後の今の異常事態でさえ、言葉を濁して誤魔化そうとします。官僚依存の安倍政権に突きつけられる問題とは、実は増税しなければ自分たちのやりたいことができない、という飽満体質にあり、地面にうまっているガス管と同じように、今そこにある危機と認識すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般