2014年12月

2014年12月29日

雑感。来年について

生活の党が、山本太郎議員を含めて『生活の党と山本太郎となかまたち』になります。政党要件を得たいためだけの合流ですが、再来年の参院選まで、この政党が残っている可能性は低いのでしょう。野党再編で消滅するからこそ、こんなふざけた名前をつけたとみられますし、その再編に小沢氏が参加することもないのでしょう。4年の任期で次の選挙は76歳、引退が過ぎります。小沢氏を嫌う議員も多く、自分が参加したら再編がうまくいかない、と見定めた行動を今回もとっています。矜持は示しましたし、後4年は寝業に徹することが予想され、今回得られる政党交付金は軍資金になるはずです。山本氏と折半し、最後は『なかまたち』への合流なのでしょう。

来年の日本は、相当に大変な一年になるはずです。今日の株式市場は一時、大幅下落でしたが、エボラ出血熱報道で先物主導の動きでした。しかしこれには伏線があって、先々週の投資主体別売買動向で、外国人投資家が現物、先物合わせて大きく売りこしていたのです。これは総選挙後の週ですから、つまり外国人投資家は安倍政権に期待していない。来年は10月がそうだったように、これまで買った分を外国人投資家が吐き出してくるのでは? との不安が漂うのです。年末はアノマリーで高くとも、年初から下落した昨年のことが脳裏をよぎります。
日銀、GPIFが下支えに動いても、外国人投資家が本気で売り始めると、下値を抜けてくる恐れがあります。そこに、原油安による物価の下落をどうするか? 日銀が新たな追加緩和に踏みだしても、外国人投資家は売り時、とみてくる恐れがあります。増税でリセッションを起こした日本の脆弱な経済構造では、いくら金融緩和をしても景気を押し上げないのですから当然です。

脱デフレの目的には、資産効果も挙げられます。つまりインフレマインドが醸成されると、土地、株、債券などが上がり易くなり、そのことで消費が活性化される、そんな目的もありました。日銀がETF、国債を買い上げても、資産の価値が上がれば日銀は利益を計上できることにもなる。しかし現状は原油安でデフレマインドに逆戻りする懸念があり、日銀は自らの資産価値の目減り、と苦境に立たされます。これまでの施策の失敗は、ある日突然それに気づくと、日銀は一気に不安定化する恐れがあります。それが来年、再来年中には起こってくるでしょう。
3.5兆円の経済対策にしても、3%以上の法人税減税にしても、市場は反応していません。外国人投資家は休みだから、といってもそれが好感できれば買いに動きます。そうした内容ではないため、休みモードなのです。先にも記したように、安倍政権には期待しない。外国人投資家のそんな態度が、資産効果を打ち消す方向で働くでしょう。長短の債券の歴史的な低金利は、何かの前触れのような気がしてなりません。安倍ノミクスの不都合な真実が明らかになると、それこそ回復すら難しい状況に陥りかねません。真価が問われる、とはよく使われる言葉ですが、真実か? が問われることになると、日本全体の問題を浮き彫りにすることになるのかもしれませんね。

今年一年、読んでいただき、ありがとうございました。本年はこれで終わります。体調が悪かったり、忙しかったりして記事の質がばらつき、中々一定の記事が書けないことが悩みですが、来年も何とか続けていきたいと思います。新年は1月5日から再開したいと思います。皆さん、よい年をお迎えください。

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2014年12月28日

3.5兆円の経済対策について

来年の日本経済は、かなり大変なことになりそうですが、そんな中で政府による3.5兆円の経済対策が出てきました。しかし政府よりの某紙など、バラマキではないか? と明らかにこれまでと違う論調をとるほど、中身には疑問があります。そもそも補正予算で組むことなのか? 一般会計として、毎年計上すべき内容なのではないか? 予算をとる必要があるものか? などの問題ある項目も散見されるので、ランダムで取り上げてみたいと思います。

まず『火山観測研究基盤の整備、観測体制の強化、国立公園山岳部の安全対策』ですが、整備ぐらいは単年度の予算でできても、それ以外は補正で行うものではありません。『災害復旧』や『災害廃棄物の処理支援』も挙げられますが、これなど一般会計の予備費を充てるべきです。というより、予備費の不足を補正予算で賄うなら、一般会計を少なく見せるための操作、とすら疑われます。これでは毎年、大型の補正予算を組まなければならず、財政規律の不透明感を強めることにもなる。『学校施設等、社会福祉施設等の耐震化』という話も同様に、なぜ補正予算で対応するのか? また『〜等』とはどこまでの範囲か? これまでも市役所、庁舎の出先機関などの耐震化は率先してすすめてきましたが、今回もそちらが優先される恐れもあります。
『地方への新しい人や企業の流れの支援等』という項目など、予算の使途が不明確です。『地域における新たな産業の創出、革新を促す仕組みづくり』なども同様ですが、項目は二つに別れていても、実行することは同じです。また地域によっても異なる対応が必要ですが、項目が別れていると、担当する省庁が異なる恐れがあり、船頭多くして…ということになりかねません。『地域の魅力の情報発信の支援』など、単年度の補正ではなく、国家戦略として長期に亘って行わなければ、効果は限られますし、またほとんど意味を為さなくなってしまうでしょう。

『建設分野における外国人材活用の適正化事業』など、要するに安価な外国人労働者を招いて、公共工事を担わせる、ということですから、内需への寄与度の低下も招きます。そもそも、労働力調査をみる限り、建設分野より福祉の人材不足の方が顕著であり、一方でこれまでも看護分野に研修生をうけいれた結果、試験が難しくて研修を終えると本国に戻される、といったことも起きています。賃金がよければ人材も集まるのに、それと逆行するのは脱デフレにも反します。
原発関連の予算はもっと奇妙です。『原発周辺地域における防災対策の充実・強化』を補正予算で行うのか? 『研修用プラントシュミレータの整備事業』などもそうですし、これから原発を動かすための予算が、なぜ補正なのか? 理解に苦しみます。『水素ステーション、EV用充電ステーションの整備』が入っているのですから、これから需要の高まる水素を、爆発を起こすほどに原発の高温蒸気でつくりだす、などがあれば、経済・エネルギー対策ともなり得るでしょう。ただし、さらに原発は危険、というイメージが定着するのでしょうが、今は何とも宙ぶらりんのまま、なぁなぁで原発を再稼動する、そのための予算まで補正に入っている印象です。

全体的に『プランの推進』やら、『取り組みの推進』などは、予算をかけて行う必要性を感じません。『良好な治安の確保』なんて、まさに補正で行うべきものではないのです。法人税減税3.2%などとも報じられますが、外形標準課税の導入や繰り延べ決算の見直しなど、市場としては反応しにくい内容となっています。そもそも法人実効税率は16%ともされる中で、トータルで増税になる法人も出てくるはずですから、まさに黒字を続けている企業はさらに優遇される、というだけの話になります。方向性と中身の伴わない補正予算による経済対策。しかも金額も昨年よりも下がり、単なる一般会計の『惰性予算』になってしまっているのでしょうね。

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2014年12月27日

来年の政治情勢について

来年の政治情勢について、少し考えてみます。総選挙で大勝? し、安倍政権が安泰のようにみえますが、世論調査の結果はかなりシビアです。解散発表前の数字を辛うじて上回る調査もありますが、改造後の数値には遠く及ばず、読売などは選挙前から微減でした。しかも大勝の理由として、国民は『野党がだらしないから』を9割近く挙げており、決して安倍政権にフリーハンドを与えたわけではない。政権基盤は磐石どころか、極めて脆弱化してしまいました。
これで魅力的な野党が誕生すれば、それこそ内閣支持率は低迷し、風は一気に吹き荒れるでしょう。かといって、民主の代表選でそれが為されるとは思えず、脆弱なのに安定という、極めて奇妙な状況となります。これまでは政高党低、冬型の気圧配置のようなことを言われましたが、これからは爆弾低気圧のように、日本列島に何本もの等圧線が走り、暴風が吹き荒れるような、そんな気圧配置になることも予想されます。ただし、それはあくまで魅力的な野党が誕生すれば、という条件つきです。今のところ、その確率は低いので現実味はありませんが、その可能性を探る上では、組み合わせについて考えるのが最適だと考えます。

総選挙でも1議席減だった維新。橋下氏が国政に出れば…という党内の声もありますが、実はこの追い上げは江田氏への期待票だったとみています。言葉は悪いですが、行政経験のない、手垢のついていない代表は、江田氏ぐらいのものです。自民は嫌、民主はもっと嫌、橋下氏の大阪市での振舞いは嫌悪感がある。共産党が票を伸ばしたように、無党派層にとって、行政手腕のわからない相手にしか、期待がもてない今、最後の最後で維新が浮上した。それは橋下氏が、国政進出を表明しなかったことから、土壇場でそう考えた人が多かったものとみられます。
かといって江田氏がトップに立つ、もしくは江田氏を中心に、というのではありません。だからこそ組み合わせが必要となります。民主のもつ基礎票900万は魅力ですが、実は連合内部もかなりがたがたしており、特に円安で利益の上がる自動車、電機などの労連は今回の選挙もかなり慎重だった、と伝わります。ただ中京で行った安倍首相の演説で、一気に形勢が逆転、民主支持に傾いたとされます。自分の力で経済が復活、と語った安倍政権への反発がそこにはありました。つまり積極的な民主支持でなくとも、反安倍では連合がまとまる可能性は残されます。

そこで民主の代表選ですが、恐らく現状では岡田氏有利ですすむのでしょう。ただその結果が重要ではありません。個人的には、その後の分裂の流れが重要なのだと考えます。つまり国民の反民主の意識は強く、覆しようもないため、今後も浮動票のとりこみには苦労します。そこで、それこそ閣僚経験のない人物らが、民主党をとびだして新党をつくる。そこに弱いながら連合の支持をとりつける。今の民主なら、政治家個人が動けば、そこに票、支持団体もくっついてきますから、そうして基礎票を固める。その上で維新の江田氏と連携し、あわよくば合併し、清新さを売りにして浮動票のとりこみを図る。これで政局がかなり面白くなるはずです。
恐らく、岡田氏が代表につけば、古臭い党という印象が強まるでしょう。安定感はでても、それこそ浮動票のとりこみはできませんし、民主党のイメージは変えられません。そこから飛びだす勢力、それは党を半分に割るぐらいで、政党交付金の一部をとれるぐらいの勢いで分裂すれば、きっと政局は大きく転換します。今の日本は、梅雨前線、秋雨前線のようにじめじめ、むしむしとした嫌な天候がつづき、国民は居心地の悪さを感じているところです。何となく嫌だけど、受け入れざるを得ない。そんな空気を吹き飛ばしてくれる何かは、だらしない野党でも、たらしこむ与党でもなく、まったく新しい何かを作るしか、今は手がないのでしょうね。

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2014年12月26日

11月経済統計の集中発表日

理研の調査委員会が、STAP細胞とされたものはES細胞だった、と認定しました。陰謀説なども囁かれますが、まず重要なことはES細胞なり、STAP細胞なりの管理があまりに杜撰である、ということです。ごく一部の人間だけで、極秘にすすめられたプロジェクト、と紹介されていましたが、誰でもすり替え、混入できる可能性があった、とします。世界最先端の研究だったのでは? それがこんな管理をしているようでは、科学立国の看板にもキズがつきます。日本は性善説に基づき、科学者が不正するはずない、という認識でいるようですが、常にロックをかけてごく一部の人間のみ、扱えるなどしないと今後も理研のデータは信用ならない、となるのでしょう。

今日は11月の経済指標の集中発表日でした。全国消費者物価指数は前年同月比2.7%増、前月は2.9%上昇でしたので、インフレ率の低下がみられます。しかも先行指標ともされる東京都区部の12月分は2.3%の上昇ですから、さらに下がるとみられます。原油安の影響ともされますが、家計調査をみると実質消費支出が、前年同月比で2.5%減ですから、明らかに消費減退により価格転嫁がすすまなくなっている傾向がうかがえます。小売販売額は前年同月比0.4%増ですが、消費増税分、物価上昇分を除くとマイナスですから、消費減退という話とも整合します。
毎月勤労統計をみると、さらに深刻です。所定内給与は前年同月比0.2%増ですが、現金給与総額は1.5%減、実質賃金は4.3%減です。総実労働時間が下がっていますから、仕事がなくて残業代がでなかった、とも読みとれます。しかも、産業別でみると建設業の『特別に支払われた給与』が前年同月比124%も伸びており、この下支えがなければさらに大きな下落だったはずです。

労働力調査では、完全失業率3.5%ばかりが注目されますが、11月は正規雇用が9、10月と合わせて43万人増と改善傾向をみせましたが、11月は29万人減。一方で若干減ってきていた非正規雇用が48万人増。しかも9月から減少傾向にある自営業主・家族従業者が、11月には20万人減でした。正規と自営業者で減少した人数が、そのまま非正規雇用に置き換わった形です。しかも相変わらず伸びはスマホ関連の伸びる情報通信、介護職の増える医療・福祉、後は建設業などですから、雇用情勢の変化は少なく、ただ非正規ばかりが増えて行く構図がつづいている状況です。
しかも安倍政権では、介護報酬の減額を決定しましたから、デフレマインドをさらにすすめるつもりのようです。大企業には賃上げ要請し、公務員も震災以後、下げていた報酬をもどしたのに、介護職員の給与は下げるという。その理由が、介護事業者が内部留保を蓄えているから、というのですが、企業だって同じ構図のはずです。それで法人税減税は決めているので、政策に一貫性がないとも言えます。むしろ今後も増える、介護職員の賃金が上がって行く、という期待があれば、インフレマインドの醸成にも役立つはずなのに、そうした意識もないようです。

安倍政権は脱デフレを掲げますが、それがうまくいかなくとも、その責任をある程度日銀におしつけられる、という側面があります。そうして安全地帯にいて、逆行する政策を平気でする。地方で30万人の雇用といってみても、地方で多い自営業者がこれほどばたばたと倒れていく中で、都市部からの移転を促すばかりでは、日本全体でみて雇用は増えていない、ということでもあります。その矛盾が、来年はさらに大きくなりそうであり、この経済統計を信じる限り、リセッションの深化がより問題を大きくしそうな、そんな状況にもなってきたのでしょうね。

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2014年12月25日

市場の話。今年の反省と来年

明日が経済発表の集中日ですが、今年一年の反省もこめて、市場の話をします。昨年の12月、今年の日経平均の株価予想を16000円から14000円、中国などでクラッシュがおきると5000円まで下げる、としていました。しかし今年の株価は現状、18000円をつける勢いで、ここまで上がっています。残念ながら、大きく外してしまいました。大きな原因は想定以上に円安がすすんだこと、及び黒田バズーカ第二弾で一気にはねたこと、などが挙げられます。
さらにGPIFが年後半から、本格的に買い主体として浮上したことも影響します。毎年、外国人が休みに入る時期か、3月の年度末が活発に売買するタイミングでしたが、今年は株式の比率をあげるため、動きだしが早かった印象があります。逆に、債券の比率は下げていますが、金利は0.31%をつけるなど、損をしても国債買いという流れもあり、債券市場に崩れがありません。

一部では、地銀も債券取引を縮小させ、高リターン投資を模索する話もあります。債券利回りの低下で、収益性の悪化が懸念されており、一部を株式で運用するというのです。しかし信託に運用を委託するとしても、どこまで収益が確保できるかは微妙です。何しろ今年、ファンド勢もピンきりで、しかも悪いものの方が多い。株式市場は上がっても、商品市場は悪いですし、債券市場もここに来て利回り低下が目立つ。それは世界的にそうであり、全体的にかなり運用成績が悪いのです。来年、株価の上昇とは相反して、金融機関の収益性は相当悪化しそうです。
来年は前半に欧州で、ECBの量的緩和が意識されており、金融緩和が意識されて市場は堅調でしょう。ただし、今年の前半もそうだったように、ECBの緩和後に欧州市場が弱含みましたが、来年も起こることが予想されます。ドラギマジックは、期待を煽るだけ煽るので、必ず出尽くしとなってしまうためです。その後、日銀の追加緩和が意識されますが、それはFRBの利上げと軌を一にするタイミングとなるため、半ばでしょう。恐らく1〜2月で一山、4月ごろにもう一山つけにいくかもしれません。FRBの利上げも、それだけ米経済が強い証拠、とむしろ好感するはずですが、問題は市場の期待とは異なり、実体は相当にその影響が出て、9月頃に谷が襲うと判断しています。

難しいのは、株式市場は今、資金流入で湧きますが、それがそう長くは続かない点です。むしろ上がりきった後、逃げだし始めると支える要因を失います。日銀とて、来年分の市場介入資金に手をつけ始めており、早期に使い切ってしまう恐れもあります。年金も持分を増やした後は、売り買いをくり返すだけ。買い上がる主体は外国人頼み、という構図です。消費も外国人旅行客頼み、株価の上昇も外国人投資家頼み。両者が手を引いた時点で日本株の上昇は終わりです。
恐らく、ふたたび安倍ノミクスに厭きるのはかなり早いでしょう。今年の秋、外国人は逃げ出し始めていたところ、黒バズ2で盛り返しただけで、安倍政権の継続でも繋ぎとめるのはかなり苦労します。そうなると、上値は重くなると想定されます。業績の伸び具合からみて18500円を上に、13000円程度を想定しておくのがよいのでしょう。ただし、この下値は中露などの変調がない、という前提ですし、米国も7-9月期をピークに、一旦は調整に入るとみられることから、今後は追加の金融緩和次第で、さらに上値を追えるかが決まるものです。むしろ金融相場は、中央銀行の腹づもり次第という意味において、もうその腹の探り合いということになりそうです。ただその腹づもりでは、お腹いっぱいになるところが少なく、来年の市場は中央銀行の材料出尽くし、という飢餓感との戦いになってくるのかもしれませんね。

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2014年12月24日

安倍政権のこの1年

昨晩発表された、米7-9月期GDPは年率換算で前期比5.0%増、と強い伸びを示し、市場はそれを好感してダウは18000$越えを果たしています。なるほど、これだけ経済が強ければシェールガスが多少影響をうけても大丈夫。露国、イスラム国対策として原油安を米国が主導した、と云われても納得がいきます。在庫投資の増加が気になりますが、前向きな投資ともみられます。

安倍氏が第97代首相に就任します。政治資金の問題があった江渡氏が辞任、防衛相に中谷氏が就きます。この1年の安倍政権の通信簿をつけてみます。まず外交、先週末から北朝鮮へのテロ支援国指定の検討が米国で始まっており、これで拉致問題は完全に暗礁に乗り上げました。従米外交をとる以上、テロ支援国となった北朝鮮との交渉を、米国に逆らって行うのは困難です。
政府も、メディアも沈黙しますが、これで北方領土、拉致問題と国民の期待を煽りに煽った結果が何も出ていません。しかも選挙の勝利で政権基盤が強まり、中韓は苦虫を噛み潰している、などの意見もありますが、外交巧者の彼らは「安倍は危険な右翼思想」などと欧米メディアに語らせ、包囲網を敷いています。外国政府は表向き、何も言いませんが、欧米の世論は確実に『安倍は危険人物』とみなしており、外交上の妥協が困難となります。つまり苦虫を噛み潰すのは安倍政権の側で、今後も外交成果を得られない状況がつくられつつあるのです。安倍政権になって、一部でロビイ活動などに力を入れる方針も出ていますが、能力も実績もない外務省に任せている時点で成果は期待できませんし、そこに安倍政権自らが政治力を発揮した形跡もない。TPP交渉も難航、外交面では唯一、豪国にもっていった手土産が好感されたぐらいで、地球儀外交も結果的に何の成果も示せていない。行った、という実績だけで、全体では赤点、落第です。

経済面では円安不況が囁かれます。安倍氏が「東京五輪まで(公共工事で)大丈夫だから、放っておいてもいい」と述べた、と伝わります。もう安倍政権にまともな経済政策、景気刺激策は期待できないのでしょう。黒田バズーカと官製相場で、NT倍率の高まりなど、先物などの指数の商いが拡大しているのが今年です。リセッションでも株価だけは高い、という異常な状況が続きます。将来に亘って改善の見込みがない、この状況が変化するときは最悪しか待っていない、という意味では点数をつける以前の話で、評価すべき点は何もありません。
政治力としては年末総選挙で4年の任期を得た、とされますが、選挙後の世論調査で内閣支持率が総じて微増。むしろ解散前からは落としています。強い政権基盤どころか、脆弱になりつつあります。前々回の総選挙の公約も達成率は数%であるように、衆院で与党3分の2の状況は何も変わらずこれですから、今回も期待はできません。むしろ公約にないことを優先すれば、ここからは支持率を落とす方向でしょう。40%を切ると危険ゾーン、来年の自民党総裁選は分かりません。

野党がだらしないから政権が磐石、安倍氏はツキがある、という言い方もされますが、メディアを駆使して世論誘導するような政治が、どういう末路を辿るかは歴史が示しています。ヒトラー然り、ムッソリーニ然り。それは夢から醒め、現実を知ると、それが如何に歪んだ状態だったか、に気づくためです。こうした偏った形は、一部で熱狂的な支持も得ますが、大多数の意見にはなりにくい。それを強引に、メディアをつかって統制するのですから、いずれにしろ歪むのです。内政、経済、外交、いずれもまったく評価できない中で、未来の評価は芳しいものとはならないのが必然です。悪名を残すことをツキ、とするなら、ついている部分からすでに歪んでいる、ということになります。歪み、という字が示すのは『不正』であり、それが安倍政権の評価、ともなるのでしょうね。

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2014年12月22日

消費は8ヶ月連続減

11月スーパーマーケット総販売額が0.7%減、全国コンビニエンスストア売上高が1.7%減、百貨店売上高が1.0%減、3者とも前年同月比ですが、8ヶ月連続減です。恐らく年間を通じて1%程度、ずっとこの傾向がつづくのでしょう。一部で、外国人旅行客が消費してくれるから…という期待を述べる向きもありますが、そんな他人任せでこの国は本当に大丈夫か? 不安になります。
米国や英国は、年末商戦が好調と伝わります。双方とも原油安でプチ贅沢といった、ガソリン価格の下落が実質的な減税効果、という状態を享受しています。しかし実は米英とも産油国です。そのマイナスの影響が巡るまでのタイムラグの間は、こうして幸福のうちにあるのでしょう。

政府の地方創生案、が新聞紙面を踊りますが、安倍政権では目標の数字ばかり過大で、結果が伴わないこともしばしばです。しかも、その目標を達成しなかったからといって、誰も処分されませんし、政策の失敗を認めることもありません。だから誇大広告のように数字だけが踊ります。地方に企業を移すための優遇税制、という話にしても、どれだけ税で優遇すれば、不便な土地への移転を決めてくれるのか? それこそ日本の企業の過半数が負債の繰り延べなどで納税していないのですから、減税ではインセンティブがありません。それこそ、麻生財務省が認めたように、法人実効税率15%ぐらいなのですから、それこそさらに優遇するなら、来年検討されている法人税減税とともに、最悪は法人税を納めなくてもよい、ということになりかねません。
3.5兆円の補正予算も、住宅エコポイントなど、従来の焼き直しが多い。こうしたものは常態化すると、それが終わった段階の増税感により、消費の減退を招きます。だから終了、再開をくり返さざるを得なくなる。悪い循環に入っています。商店街のだす商品券にポイントをつける際の補助、燃料費の補助などは、消費喚起にもほど遠い施策です。総じて今年の景気は諦めた方がよい。一方で、軽自動車にもエコカー減税、という話もでてきましたが、これも需要の多い地方への配慮なのでしょう。自工会の会長が、海外の需要に対応するため、国内の設備を活用してもよい、といった発言をしていますが、あくまでそれは海外の需要拡大の一部を、国内生産に振り向けるという話です。逆に、海外の需要が伸びなければ立ち消え、そもそも設備投資せずとも、国内の既存設備でできるからそうする、という話であって、決して喜べる話でもありません。また円安で、安倍政権に協力的な自工会ならではの発信であり、実現性は未知です。

補正予算の規模と内容から、前述したように今年の日本の景気はもう期待できない、マイナス成長を覚悟する段階に来たようです。円安倒産が増え、国内産業が壊滅して行く中、グローバルで活動する企業は恩恵をうける。そして稼いだお金を、また海外投資へと充てる、その循環だけは確実におきています。米英の消費の堅調さなど、まさにそうした事実に裏打ちされます。
今年、流行語の候補にも入りながら、私がつかっていない言葉が『トリクルダウン』です。起こるとも考えていない理論を、真面目に考察する必要性を感じないためです。富裕層を富ますと、景気の好循環がおき、下流へとお金が流れる。以前のように公共工事で建設業を…というのと似た発想ですが、現実にはその間に格差が広がり、その一部しか恩恵が広くは行き渡らない。世界でおきている格差問題は、まさに新自由主義の必然でもあります。今年どろころか、日本は安倍ノミクスが続く以上、来年も景気、雇用、消費のトリプルダウンとなるのかもしれませんね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2014年12月21日

雑感。民主代表選について

民主党代表選が来年1月18日に実施され、細野氏が出馬表明、岡田氏が前向きと伝わります。その中で細野氏は野党再編志向、岡田氏は党再建志向、と報じられますが、それほど明確な線引きができるのか? また本当にそれが争点で次の選挙までいくなら、民主党が政権政党になる日は遠い、と言えるのでしょう。過去3回の総選挙で分かった、自民1700万、公明700万、民主900万の基礎票、これをベースにして選挙戦術をくみたてなければなりません。
民主が小選挙区で自民に勝つためには、1000万票の浮動票を上乗せする必要があります。09年の選挙では、自民に危機感があったこともあり、自民は1900万票近くを集めています。この時の民主は浮動票を1500万票近く集めた。それが政権交代を促したのです。はっきり言えば、反民主票が未だに根強くあり、当時と同じぐらいの票を集めるのはほぼ無理としても、その3分の2を集めないといけないのです。票がとんとんになって、初めて互角の勝負にもちこめるのでしょう。

維新の票は、関西以外ではほぼ浮動票です。残念ながら、野党再編で民主とくっついたとしても、この浮動票がそのまま新政党にのるとは思えません。これは、党再建をしても同じで、国民に根深い反民主を覆すことは容易でないでしょう。特に岡田氏や枝野氏など、失敗メンバーがどう党再建をするか? また党再建したとて浮動票がのるか、と云われれば答えはNOです。
民主は選挙戦のCMで「夢は正社員」として顰蹙を買いました。一部では自民支持層の批判もありますが、夢とはそういうものではない、と誰もが考えます。それと同じ、目標設定がおかしいのです。民主が立てるべき目標は、自民にできないことを国民に提示する、です。自民にもできる、できそうなことを公約に掲げ、それで戦っても対立軸にはなりません。安倍ノミクスが失敗なら、対案としての経済政策を掲げる。一応、前回の選挙では中間層の拡大を掲げましたが、では具体策は? というと何もありませんでした。これでは相手の土俵、安倍ノミクスが是か非か、に乗るしかありません。つまり安倍ノミクスではない政策が、民主にないからです。

自民にできないこととは行政改革、構造改革、既得権益を打ち破ることです。政権交代で民主に期待したのはまさにそこ、なのに野田元首相など、ただの愚鈍に成り下がり、官僚の掌の上で転がされただけ。NO GAME六人衆の失敗メンバーも同じです。官僚、既得権益に嫌われている小沢氏がいたからこそ、民主にそうした期待も乗ったのに、それを追い出して、結局自分たちの力不足で官僚と戦う前から降参してしまった。それでは、野党再編だろうと、党再建だろうと、結果は変わりません。維新の江田氏と組めば、ある程度そうした期待を集めることもできますが、江田氏の政策手腕は未知数ですし、何より民主は江田氏に全権を委任するつもりもないでしょう。
自民にできないことをする、というのはそれこそ日本再建ぐらいの覚悟で挑まなければなりません。野党再編や、党再建でも自民が自滅するときには、政権がとれるかもしれませんが、そんな果報を待つのなら細野氏や岡田氏でなくとも、誰でもできます。野党としての立ち位置にこだわって代表選をするなら、1000万票の差を埋めることすら叶わないのでしょう。「夢は野党第一党」というのでは、将来にわたって野党暮らしです。「夢は政権政党」というなら、自民ではできないことを掲げ、自民とは違う政策を打ち出すしか、国民にも選択のしようがないのです。この代表選、野党再編、党再建などを基準にして戦い、それで選ぶのなら、夢すらみれないほど、現実の厳しさを知ることになるのでしょうね。

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2014年12月20日

金融フレンドリーな相場が継続

経団連が冬のボーナスの平均妥結額が前年比5.26%増、と発表しました。しかし従業員500人以上、157社の集計ですから、全体像でないことは云うまでもありません。しかも伸びているのは公共事業で潤う鉄鋼、セメント。円安で潤う自動車産業などですから、安倍ノミクスの恩恵をもっともうける業種です。逆に、公的年金の支給総額は前年度比0.2%減。人数は増加しているので、この減少はもらいすぎの削減分、つまり1人1人に換算すると受給額は大きく下がった、となります。中小企業の従業員や年金受給者の生活はインフレで苦しくなる、これが安倍ノミクスです。

日銀が政策決定会合を行い、現状維持を決めました。下がる消費者物価に対して、追加緩和なりの示唆がある、と見こんでいた層もいましたが、会見でも言及はなく、拍子抜けといったところ。しかしサプライズ好きの黒田総裁だけに、あえて示唆するようなことをするはずがありません。問題は「日本でインフレは2%でアンカーされていない」と述べますが、本当にアンカーされる日が来るのか? それこそインフレ期待が漂流する懸念すら最近では漂います。
18日の米株市場は2日続けての大幅上昇でしたが、露国ルーブルの落ち着き、とも語られますが、その原因はボルカールールの適用除外の拡大、が米金融市場を刺激した面が否めません。ローン担保証券以外にも猶予期間を設け、来年以降も取引ができる、とFRBが発表しました。ヘッジファンドやプライベートエクイティなど、これで来年も安心して相場を転がすことができます。来年にはボルカールールにより、銀行部門の自己勘定取引は停止されますので、激変緩和措置にはなりますが、2017年までは米国の金融は猶予を得た形になる、それが相場を押し上げたのです。

日本でも同様ですが、経済が本当に堅調なら、これほど金融フレンドリーな政策を並べる必要はありません。今の経済が如何に金融で支えられた歪な構図か、ということに政策担当者は気づいています。来年の景気について、強気な見方をする向きもありますが、個人的には来年は、かなり厳しい状況が待っている、そう感じています。来年の予想はいずれ出したいと思いますが、予言者ではないので、限定するのもおこがましいですが、9月頃に異変が訪れる気がします。
仮に、FRBが6月に利上げすればそこから3ヶ月、ボルカールールの適用で7月に自己勘定が禁止されてから2ヶ月、米予算の年度切替え時期、日本では自民党総裁選が予定されるなど、イベント盛り沢山。しかもそれまでに、米国では自動車サブプライムローンなど、懸念される資産担保証券も増えることになります。まさに弾ける直前まで、歪が溜まるタイミングが9月、とみられます。それまでに露国、中国の経済の動向も気になりますし、欧州、日本の景気も気がかりです。

金融フレンドリーを続けるのも、もう限界に近づいています。日銀とて、黒田バズーカ第二弾の効果はほぼ株式市場に限定され、原油安がインフレに影響する、と認めています。これで追加緩和などを打ち出せば、恐らく日本の資産の多くを日銀が買い占める、という形になり、それを市場が好感するかは分かりません。現状からみると、追加緩和するかどうかは夏までに何らかのアクションもでてきそうです。金融フレンドリーなこの時期、一生懸命稼ごうとして、株式は年末のドレッシングの思惑も絡めて加速しています。昨年は「今でしょ!」が持て囃されましたが、今年は「今のうち…」が市場のコンセンサスになっており、来年は「今はもう…」にならないことを祈るばかりなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2014年12月19日

小渕議員のドリル

理研がSTAP細胞は再現できなかった、と発表しました。しかしこの問題、ここからがスタートです。STAP細胞はES細胞では? との疑惑が予てより提起されていますが、実際に論文ではキメラマウスの作成に成功した、とされます。STAP細胞がないのなら、作成にはES細胞なり、何か別の細胞が使われたということです。誰がそれを行ったのか? 亡くなった笹井副センター長か? それとも別の人物か? そして論文作成の際にも、単なる間違いではなく、データを捏造した可能性も指摘されます。それはES細胞と、STAP細胞との違いを隠すためにも行われたはずです。では、それを指示したのは誰か? また実際に作成した人間がそこに疑義をもたなかったのか?
理研は以前にも検証していますが、STAP細胞様のものが確認された事実は残るのですから、その事件性について改めて検証しなければ、理研の信頼は取り戻せないのでしょう。1500万円以上かかった今回の検証作業。再現できないことが確認された上で、その実をとるためにも、さらにもう一歩踏みこんだ形での検証が必要となってくるのであり、幕引きにしてはいけません。

公選法違反で捜査をうけている小渕議員が、家宅捜索の前にハードディスクにドリルで穴を開け、隠蔽工作を図っていた疑惑が生じています。小渕氏側は「パソコンの交換時期」としますが、誰も信じません。であれば廃棄したパソコンの使用履歴、また廃棄する前にデータを移し替えたはずですから、その新規のパソコンの購入時期と中身、電動ドリルの購入、それは10年来つづけてきた、ということですから、それらについてもきちんと説明が必要です。またこの問題が、1ヶ月半も警察庁が隠蔽していたことも、問題のある行為だったといえます。
穿った見方をすれば、すでに解散を前提に女性2閣僚を切った、とされる安倍政権が、警察の公表を止めたのではないか? とさえ勘繰れます。1ヶ月半前なら、まだ解散について宣言されていませんから、警察はいつ発表しても良かったはずです。しかも警察は、こうした反抗的態度をとる容疑者の行動については、すぐに公表することも多い組織です。その口を1ヶ月半、止めていたのは政権側としか思えません。小渕氏ともども、安倍政権も疑惑の塊のようになってきました。

しかもこの問題を、政治資金収支報告書における政治資金規正法違反、として報じるメディアも多いですが、補填となれば有権者への供与になりますから、規正法違反になると同時に、公選法にかかわります。捜査の入り口と、出口は異なるのですから、そのことも合わせて報じる必要があります。これだけ明確な違反にしては、メディアが及び腰なのはやはり安倍政権への配慮が滲む、といった部分も見え隠れする。この国は本当にどうかなってしまったようです。
ソニーピクチャーズエンタテインメント(SPE)が、北朝鮮の金正恩氏に関するコメディー映画の上映を中止しました。サイバー攻撃で情報が流出、信用が失墜していますが、さらに上映中止で米国から批判をうけています。テロに屈する国、世界は日本に向けるそうした評価を、また強めたことでしょう。日航機ハイジャック事件の超法規的措置に始まり、日本といえばテロに屈する国、と見られています。SPEは厳密には日本企業と言い難いですが、ソニーと一体的に扱われており、また米国でもそのように報じられます。そのような国が、武器輸出に補助金までだして、国全体で注力して本当に大丈夫か? 色々な意味で不安にさせられてしまいます。

しかし日本で最も、情報流出するととんでもないことになりそうなのが、警察です。政治の介入など、暴露して欲しいという考えが湧くほど、その暗部は注目されます。今回の経緯についても、もやもやしたまま真実が明かされることはないのでしょう。北朝鮮からも与しやすい、とみられている安倍政権では、北朝鮮のサイバー攻撃もないのかもしれません。ただメディアが情報操作する国では、誰かがドリルで穴を開けて真実を覆い隠している、そんな疑いが一層強まるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | メディア

2014年12月18日

米FOMC声明で市場が急騰

米国とキューバが、国交正常化交渉に入る、と電撃的に発表されました。50年以上の対キューバ制裁の見直しであり、大転換です。詳細は今後ですが、気になるのは最近の政治、経済政策の手法としてサプライズが多用される点です。インパクトは十分ですが、マイナス面も意識されます。それは広範な意見を集め、その良否について十分な検討、検証をせずに決定事項だけが発表される、ということ。キューバの人権問題等、解消された上での交渉入りなのか? そうでないなら、オバマ大統領の任期が迫ってきて、功を立てるのに焦って…ということにもなりかねません。北中米の安定化は好ましいですが、ねじれている議会との関係からも、米国内の合意を得るのに苦労しそうです。

そんな米国でFOMCが開催され、「相当な期間」と「忍耐強く」の二つの文言が入り、市場はそれを好感して上昇、日本の株価も押し上げられました。しかし必ずしもハト派な内容でない点は、注意が必要です。「忍耐強く」の解釈として、これから2回のFOMCではゼロ金利解除はしない、ということとイエレン議長が述べているので、4月以降の利上げタイミングを探る形です。会見で、議長が会見するときでないと上げない、ということではない、と微妙な物言いで、4月の利上げを否定しなかったように、市場に言質を与えず、時期についてはフリーハンドを確保しました。
しかし来年の年央に利上げするスケジューリングをFRBは元々有しています。それにハト派の1人が反対し、今回の決定はタカ派2人とともに、反対が3になりました。さらに今回の露国危機の影響は軽微、として米経済に自信は示しましたが、世界経済の減速なども含め、楽観的すぎないか? との意見もあります。07年ですら、FRBが楽観的見通しで利上げを開始するものの、後にリーマンショックを引き起こしました。中央銀行の監視、管理外のところで危機は醸成されるものであり、波及的に金融部門がクラッシュする可能性は、本来まだ除外するべきではないはずです。

「相当な期間」という言葉すら、その意味は変容した。今回のFOMCの決定はそういうことです。エネルギー確保のため、多くの国が過剰投資に陥っています。それも、金融緩和で市場に資金がダブつき、資源神話のように投資資金が流れこんだため、でもあるのです。そこで米国が引き締めに舵をきれば、米国に資金が還流します。そのとき新興国は耐えられるのか? いくつかの資源国がクラッシュした後、今度は供給不足が起きたら、世界経済はパニックに陥るのではないか? そんな懸念すら、今回のFOMCは「問題ない」と一蹴したのですが、本当に大丈夫か?
今日の欧米市場は、下げのピッチが早かったので、自律反発の入り易いタイミングだったこともあったのでしょう。そして気になるのが、FOMCの声明発表前、早い段階から買いを入れていた主体があったかもしれない、ということです。またしてもFOMCの情報が、一部の金融機関、ファンドに洩れていたのでは? そんな噂も囁かれます。サプライズもこれからの検証を難しくしますが、事前に一部にだけ情報を漏らす、といった優遇、冷遇といった差をつけることも、情報の扱い方に疑問を感じてしまいます。次の危機は、こうした情報の信憑性への疑義から、信用にキズがつく、といった形で顕在化するのかもしれません。そこに「忍耐強さ」はなく、資金が逃げだすのも「相当な期間」ではなく、一瞬にして起きる、となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年12月17日

露国危機

吉野家の牛丼が値上げされました。通貨安によるコストプッシュインフレが、経済に悪影響を与える中、政府の賃上げ要請など、焼け石に水でしょう。世界で経済が不安定化する中で、日本だけどんどん賃上げがすすむような経済状況ではありません。安倍ノミクスの優先順位のつけ方が、まず脱デフレで、賃上げは好循環の一環、としているのですから、そもそもおかしいのです。

露国が通貨、ルーブル安に苦しんでいます。きっかけは原油安ですが、どの産油国もここで減産などを決めたらシェアの低下、価格決定力の喪失など、悪影響が出ることが分かっています。世界の需要が増大し、価格も上昇している間は供給サイドの増加を甘受できたものの、需要の減退によって今は過渡的に供給過剰になっています。露国とて減産すればよいのですが、そうはできない。減産はそのまま歳入不足を意味し、海外への借金返済さえ滞る恐れが抱かれかねないためです。
OPECが減産しなかったことをシェール潰し、との意見もありますが、実状は上記の通りです。ただしOPECの方が、生産については弾力的に対応が可能でした。露国にしろ、ベネズエラにしろ、国の経済と資源価格が密接すぎるのです。OPECなら王族や一部の富裕層の懐具合が痛むだけで、国全体には波及しないケースが多い。生産コストとともに、そんな事情が資源価格の下落、といった問題を複雑にし、対応を困難にするのであって、シェール潰しといった単純な話ではありません。

ルーブルは今年、対ドルで50%も下落、ここ数週間で20%の大幅下落です。一方で年初の外貨準備が約5000億$、今は4000億$に減っている、とされます。通貨防衛のため、為替介入が活発化していることから、もう少し減っているかもしれません。国の経済規模に比べてやや大きい外貨準備もありましたが、ここからは一進一退、外貨準備を減らしすぎれば売り崩される恐れがあり、露国危機が再来します。特に、今は制裁で外貨調達が難しくなっており、売り方にとって恰好のターゲットにされる恐れは拭えません。プーチン大統領は投機の動き、として報道統制もかけ、国民に安心感を与えていますが、実はここからの投機の動きの方が、よほど怖いのです。
露国とて、通貨安で高く原油、ガスが売れる輸出国ですが、対外的な借金の支払いはドル建てが多い。ここに日本との違いがあります。日本は円安になると、見かけの所得収支が増えますが、露国はそうでないのです。中銀が6.5%の利上げをしても、5%の歳出カットを命じても、為替介入しても不安を与えるのは、債務国である点が最大の問題なのです。資源価格の上昇など、経済が好調なときに改善しておけばよかったのですが、これはプーチン政権の失政、という形になります。

露国では、資本規制が起こるとの予測が膨らんでいる。それがまた、投資資金の引き上げを招いている。まさに悪循環です。露国の諺に『貧は罪ならず、ただし罪よりなお悪い』とあります。プーチン政権もこの危機でどうなるか、分かりません。『罪と罰』の中ではこの諺を文字って『貧は罪ならず、ただし赤貧は罪』と皮肉っていますが、露国が赤貧に陥ったとき、それを罪として、いつまで投機スジに責任転嫁できるか? プーチン氏の正念場が近いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 経済

2014年12月16日

総選挙後に分かったこと

昨日、コメントにも記載しましたが、ここ3回の比例投票先をみる限り、自民1700万、公明700万、民主950万というのが、各政党のもつ基礎票で、ここからほぼ動いていません。そうなると自民は国民の20〜25%程度しか、投票先として選ばれなかったということです。事前の世論調査では、安倍政権の支持率が50%近かったことから考えても、かなり違和感のある数字と言えるでしょう。これは世論調査が間違っているか、自民圧勝の流れで支持母体の動きも鈍ったか、その両方か、というところですが、3回の数字に変化がないことからも世論調査の側に疑義が生じています。
世論調査が、ランダムで電話をかけているものなら、結果は変動が大きくなるはずです。何しろ、国民の半数以上が無党派なのですから。無党派で安倍政権支持、という人も中にはいるでしょうが、自民支持でも安倍政権は嫌い、という人も合わせると、50%に近い政権支持率は異常な数字です。無党派層が、圧倒的に政権を支持していることになってしまうからです。一方で、政党支持率でみると自民30%、民主8%、公明5%ぐらいを平均とすると、この得票率とも合致しません。自民の数字に合わせると、凡そ民主14%、公明9%近い支持率がなければなりません。メディアのとる世論調査と、実態との乖離は、単なる議席数とは異なる形で、如実に示されたといえるのでしょう。

民主は海江田代表が落選、代表選のやり方でもめていますが、上記の数字を考えなければなりません。民主は3回の選挙でほぼ同数の得票なのですから、このままでは自民には未来永劫、勝てません。基礎票が二倍近く差をつけられているのですから、浮動票を集めなければいけないのに、出てくる名前は昔、杵柄すらとれなかったメンバーです。野田氏、岡田氏、玄葉氏、安住氏、前原氏、枝野氏を並べてNO GAMEと称していますが、これでは戦いにならない。浮動票にどう訴求し、自民との基礎票の差を埋めるしか政権への道はないのですが、まだそれを間違えています。
間違えているのは、安倍氏も同じ。安倍ノミクスが支持された、としますが、安倍ノミクスの前、2012年の総選挙に比べ、100万票しか上積みできませんでした。これは支持母体がもどった部分であり、浮動票はまったく乗っていない。つまり国民の支持はありません。年内に経済対策…というのも、経済政策が成功しているなら、こんなことにはなっていません。しかも安全で低廉なエネルギーを…と語りますが、原油安によって火力の存在感が増しました。つまりもっとも安全で、低廉なエネルギーが火力に置き換わったのであり、高リスク、高コストの原発を慌てて動かす大義はありません。むしろ原油安のメリットをもっとも受けるのが火力発電なのですから、それを享受せず、あえて原発を動かすことはデメリットでしかありません。

総選挙後、市場は2日続きの大幅下落です。原油安に伴う海外要因も大きいですが、最大は日本の買い材料がなくなった。安倍ノミクス推進、とは言いますが、構造改革や規制改革について、安倍氏は何も言及していません。一方、憲法改正など自分がやりたいこと、恐らくそれを始めたら、日本はそれ一色になることを前のめりに語りました。これで外国人投資家も見切りをつけ始めたのです。コモディティ関連の損失を日本株の売りでカバー、というばかりでなく、17000円を超えても日銀、GPIFは大量の買いを見せた。また自社株買いも増えた。逆にここから大きく売りこめば、減損処理が必要となり、日本株崩しという戦略もここからは想定できてしまうのです。
つまり日銀は国債の利子を、これまで国庫に返納してきました。しかし損失を抱えればそれもできなくなり、財政ファイナンスの循環が崩れます。そうなると景気対策に使う予算も減り、緊縮財政を迫られ…と、日本が悪循環に陥ることにもなる。再びETF買いを始めた日銀の危機感は、相当なものなのでしょう。今回の選挙、自民大勝というばかりでない、様々なことが判明したという意味で、実は安倍氏にとって今後のマイナス面が増えることともなりました。議席数だけではない、裏の意味。それを知ると外国人投資家も売りたくなる。日本から逃げ出したくなる。政労使会議で、2年つづけて政府が賃上げ要請するような国で、事業をしたくない、となるのです。安倍氏が殊更にこだわった「安定した政治」を崩すのは、実は今回の解散によって暴かれた数字、それを知って動く様々な勢力、ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年12月15日

12月日銀短観について

昨日の衆院選、最終的には次世代の一人負け、草刈場となっただけという結果です。しかし比例票をみると、自民は大敗した2009年から下がっており、組織票頼みが鮮明です。安倍ノミクスと言ってみたところで、浮動票は離れたまま。これは民主、公明も同様で、逆にいえば基礎票で選挙をすると小選挙区制の下ではこうなる、というシミュレーションの確認だったのでしょう。
しかし唯一、憲法改正を掲げた次世代が崩壊し、掲げていない自民が選挙で勝ったから憲法改正、というのは甚だ違和感をもちます。それならきちんと公約に書けばいい。演説で語ればいい。「謙虚に」という言葉は、党内にむけて安倍下ろしを始めるなよ、という牽制であって、国民にむけたものではない。国民は騙まし討ち、公約に書かなくても選挙で勝利すれば何でもやってよい、という考えが透けてみえます。次の世論調査ではご祝儀もありそうですが、その次の世論調査で、内閣支持率がどうなっているか? 問題閣僚も留任ということですから、国会というより、週刊誌などが活況を呈しそうな状況となり、それが新たな風となって永田町に吹き荒れるのかもしれません。

12月日銀短観が出てきました。大企業製造業DIは12、前回より-1ですが中身は衝撃です。石油・石炭製品が-27、前回が0なので急落です。原油安でロシア、ベネズエラが苦しい、などと報じられますが、国内産業も高い在庫を抱えてかなり苦しい。これは鉄鋼、金属製品なども同様で、資源関連がかなり悪影響をうけています。中小企業製造業DIは1、前回より+2ですが、これは悪かったものが資源価格の下落で小康を得た形です。しかし先行きは大企業、中小企業とも-3、-6と悪化をみこむので、製造業に関しては右肩下がりが止まらない、ということが短観から分かります。
大企業非製造業DIは16、前回より+3、中小企業非製造業DIは-1、前回より-1ですが、建設と情報通信という二本柱で支えた形です。先行きは大企業、中小企業とも-1、-3と悪化をみこみますが、小売は改善するものの年末商戦期待、という面があって、実態がどうなるかは分かりません。しかも全体、先行きはすべてマイナスであり、改善傾向はこの短観からはまったく確認できません

気になるのは売上高の計画は微増、もしくは微減という中、経常利益はほとんどの業種で計画より増加する見こみです。ただし、売上高経常利益率という数字があって、今年度の上期は小幅上昇であるものの、下期は軒並みダウン。これは純利益も同様で、上期は上昇するものの、下期の計画はダウン。今年度の下期は、回復どころか企業は悪化するとみていることになります。
為替が103円台と保守的であるものの、逆にみれば円安の悪影響がじわりと企業を襲っていることが窺えます。設備投資計画は上期はほとんどが計画よりダウン、下期に改善する見通しを立てていますが、計画だけで未達になる可能性が高い。それは消費税増税の悪影響が抜けない中で、国内投資計画が不透明であることによります。日銀の短観でみる限り、全国の津々浦々まで安倍ノミクスの恩恵をとどける、どころか、ほぼグラグラ。下期の方がより悪化する、という結果になっているのです。これでは、これまで好調だった業種でさえ悪化していくことになりますから、津々浦々どころの騒ぎではなく、即手当てしないと景気後退が深刻化する怖れすらあるのです。経済はすでに風邪をひき、慢性化しかねない症状を呈している中、永田町で笑っている人たちは本当に実情が分かっていない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2014年12月14日

第47回衆院選挙について

第47回衆議院選挙が行われました。当ブログを書いているときはまだ半ばで、結果は予測が雑じることをお断りしておきます。各社の出口調査で、自民300、公明35、民主70、維新30、共産20、次世代10程度、と出ています。自民、公明、民主が微増、維新、次世代が減、共産が倍増、ということになりますが、自民はこの結果を圧勝として捉えています。ゆり戻しがなかった、という意味ではその通りですが、わずか2年で行われた選挙で、ゆり戻しがない、と喜べるのかどうか? またさらに戦後最低を更新した投票率に対し、何の責任も感じないのか? 自民が低投票率でしか勝てない政党に成り下がった、という意味で、本当に国民の支持が得られているといえるのか? 様々な問題を投げかける選挙、ということにもなるのでしょう。

まず野党は、この結果をうけて党執行部への不満が爆発するでしょう。かといって、執行部を刷新したぐらいで、流れを変えることもできません。民主はマニフェストをとり上げたときにも述べましたが、対抗勢力をめざす、という海江田代表の志の低さからして問題がありました。選挙協力をとりつける目的で、過半数の候補を立てなかったこともありますが、政権をとるためにどういう戦略を立てるか? それこそ日々検討していれば、突然の解散に焦ることもなかったはずです。その怠慢もさることながら、目標設定の低さが士気を下げる、これが致命的です。
維新は橋下共同代表が「民主とは組まない」と発言、それでは維新に投票しても意味がない、と野党候補一本化を台無しにしたことが問題です。選挙期間中、露骨なバラマキを主張しましたが、財源問題はクリアしているものの、実行性については民主党政権に交代したときで、国民は懲りています。それに対して大阪府、市の実績をアピールしますが、仮に橋下氏が選挙に出て「私はこういう実績があります」と言うならまだしも、そうでないなら意味がありません。橋下氏の我の強さが、悪い方に、悪い方にと転がっている印象が強く残ります。

次世代は存在意義すら問われました。悪目立ちばかりで、田母上氏の離婚問題、公明排除発言から始まり、偽者選挙応援まで。共産は逆に、自民も嫌、民主もダメ、維新も選びたくない、という層からの票を集めた。逆に存在意義を認められた形です。永田町は国民に占める割合とは大きく異なり、右系が多くなっていますが、共産がその対立軸になったのです。また低投票率で基礎票の強さも影響したでしょう。ただ、共産の候補は高齢者が多く、それはこれまで落選しても出馬し続けたことの裏返しでもありますが、これからが大変そうではあります。
与党ですが、中盤戦では自民単独で3分の2、ともされたときから大分押し返されました。しかも低投票率でしか勝てない、となると風が吹けば一気にオセロの駒はひっくり返される。安倍首相が自分のやりたいこと、国民の意見を無視し続ければ、それこそ魅力的な政党がでてきた時点で、自民は大きく議席を減らす。この失敗を教訓に、野党は4年後などといわず、すぐにでも再編にむけて動きだすでしょうから、次の選挙に勝てる自信はなくなります。それこそ、その頃には安倍ノミクスで日本は大きな苦境にたたされているでしょうから、尚更危機感も高まります。それは公明も同じ、基礎票しかとれない政党は風に弱いのですから、トカゲの尻尾はいつもびくびくと怯えなければなりません。風のない選挙が今後もつづくなら、公明不要論も出てきます。

公選法違反が問われる候補も当選していますが、自民党政権がつづけば検察は不起訴、審査会でも、補助の弁護士が不起訴誘導することが確実です。それで安泰、ということならこの国は中国を笑えないほど、腐敗が蔓延っていることの証左にもなります。腐敗と政治の貧困が語られる韓国でさえ、国民の怒りで検察が動くというのに、です。大雪や寒波も与党有利に働きましたが、この国でもっとも風を避け、国民が風邪をひいているぐらいがいい、と思っていたのが官邸だったなら、ビタミンC不足の解消にはウルトラCぐらいないと、この国の政治は変わらないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年12月13日

ドルでみた日本のGDP

総選挙の期日前投票が、12年総選挙と比べて10%以上も増えています。史上最低の投票率、などと危惧されましたが、意外と投票率が伸びる展開が予想されます。ここ2日間で、急速に野党が盛り返す、といった報道も出てきましたが、自民圧勝のアナウンス効果で、さらに投票率を下げる狙いが崩れたのかもしれません。それが国民の危機感なら、明日の結果は事前予想と大きく変わってくるのでしょう。それを促す、もう一つの要因として、株価の急落も挙げられます。
火曜日から始まった調整局面、日経平均は600円近い下落です。昨日は切り返しましたが、騰落率では下落銘柄の方が多く、TOPIXは小幅、日経平均先物だけが突出して買い上げられた印象です。日銀が買いスタンスから一転、様子見を決めこむ中で、木曜日からGPIFや公的機関の買い支え、なども噂されています。しかし金曜日の米株は大きく調整しており、週明けはふたたび17000円割れを試す、そんな流れになっています。世界同時株安に近い状態なので、安倍ノミクスのせいばかりではありませんが、この超金融緩和の状態が長く続くわけではありません。しかし安倍自民は「この道しかない」というのですから、長く続ける、と言っていることになります。それは将来に対する不安、今の株価の変動がそうした流れを喚起しているのかもしれません。

一つ特徴的なのが、GDPがドル換算すると大きく目減りしている、といった話があります。安倍ノミクスが始まってから、円が対ドルで80円から120円になりましたが、GDPはほとんど変化がない。確報値が出てきましたが、平成24年度が520兆円、平成25年度が531兆円、その間の円の対ドルでの下落は82→94円、94→102円、ですからドルに換算すると一貫して右肩下がり。景気後退は海外からみると安倍ノミクス開始以来ずっと、しかも今年はそれが大幅になる、となるのです。
円安で日本が成長したなら、少なくともこんな結果になりません。これは増税による影響ではありません。増税は26年度、それ以前は駆け込み需要を含む数字であり、GDPは増えるどころか、逆にドルベースでみると減っているのです。結論は一つ、日本は安倍ノミクスで大きく景気後退した。世界はドルでしか評価しませんから、これが海外からみた日本の正しい評価なのです。

しかし日本はお金の出し手、その点での評価が高い。先週は現物株を大きく買い越すのと同時に、先物は大きく売っています。裁定解消とみられますが、流動性を供給するので、市場からの評価が高い…としても、世界が同時に調整すれば、日本売りを加速させる可能性が高い。それは実態との乖離が、一番大きい市場でもあるからです。一貫して景気後退しているようにみえる、日本市場は円換算した企業業績だけで支えられている、といっても過言ではありません。
これで国内から怒りの声が上がらなければ、日本は凋落を国民が甘受した、とうけとられるでしょう。まだまだお金をバラマキつづけるのは「この無知(な国民)しかない」と、海外勢は考えるはずです。今年はすでに102→118円まで円は下落し、GDPはマイナスを続けています。今年の景気後退は、ドルベースでほぼ20%ぐらい下がってしまうのかもしれません。世界からみた日本、この大きな景気後退の渦の中で行われる総選挙、日本がどうなるか、とても大切なものとなってくるのでしょうね。

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2014年12月12日

雑感。今年の漢字は『税』

今年の漢字に『税』が選ばれました。どうせなら『高』の方が広汎で、株高、物価高を言い表せます。ノーベル賞受賞で『青』が入るかと思いましたが、そんな晴れがましい気分でないのか、10位にも入らなかったようです。個人的には『落』を推しますが、これは景気の落ちこみ、円の下落、原油の下落。正規雇用の減少と非正規雇用の増加、という歪み、国民に広がる格差、落差。国債の格下げはムーディーズ以外でも、続々と検討が開始されるように、日本の信用の失墜。増税でないと財政再建できない、という風潮がこの国に広がることを、格付け機関も感じとっています。つまり、成長戦略が欠落している。マレーシア航空機の撃墜も今年でした。そして最後に、日本では総選挙による当選、落選がでてきます。

安倍首相は演説で、民主の頃は企業が海外に逃げた、という言い方をしていますが、民主は産業界からの要請で、それを助成していたのですから、むしろ逃げたのではなく国策で海外に工場移転をすすめていたのです。その成否はともかく、これは国民を誤解させる嘘です。しかし安倍ノミクスとて、国内に工場を新設する計画はほとんどなく、既存設備の活用、に留まります。大仰に語ったApple社の開発拠点も数十人規模であって、雇用の問題解決にはなりません。
賃上げにしても、2%上がったのは統計をとった企業の一部が回答した段階であり、その後の追調査の結果は公表されていません。調査に即答できるのは自信のある企業だけで、賃上げ2%はそうした数字です。実体は実質賃金が3%近く下げているように、賃上げの広がりはありません。つまりこの辺り、安倍ノミクスの成果を強調しても、語るに落ちるといったものです。

今年は昭和に活躍した著名人が多く落命しました。高倉健氏、菅原文太氏などの名優が12月に相次いで亡くなったことはとても印象に残ります。女性閣僚は公選法違反の疑いで評判を落とす。かつて権勢を誇った政治家も落ち目となる。栄枯盛衰は世の常ですが、以前なら権力闘争に破れて身を退く、もしくは勇退といった形が多く、今のような華々しさもなく、ただ消え去るのみ。といった侘しさに落涙する人もいるでしょう。
安倍ノミクスの成長戦略は落第、国債が落札されない、といった異常事態がおこったのも今年です。国民はすでにそうした経済政策に落胆する。『落』の一字でそれだけの意味が篭められます。『税』という字の左は、よろこぶの『悦』など、よい意味にも用いられます。一方で『脱』は脱デフレなどとも使われる。校閲の『閲』になると、特定秘密保護法とも重なってきます。
最後に、ミレーの『落穂拾い』を思い起こすと、あれはルツ記にある物語で、未亡人になったナオミと、寡婦となったルツが、貧しいながら落穂をひろって生活する一場面を描いたものです。日本も、落穂をひろうぐらい生活に困窮する人が増えましたが、当時のようにそれを権利として、落穂を残すような風習は日本にありません。それこそ国でさえ、社会保障費の削減に躍起になっている現状です。このままいけば、日本は先進国から『脱落』し、落日を迎えるのかもしれません。誰を落とすか、よく考えないと日本の未来には零落しか待っていないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2014年12月11日

雑感。原油安でメリットがあるか?

ノーベル賞ウィークということも考慮して総選挙の投票日を決めたのか、はたまたメディアの萎縮がそうさせるのか、選挙そっちのけでノーベル賞の話題がもちきりです。水をさす気はありませんが、気になるのが青色LEDで小さな虫が殺せる、という研究結果が出てきたことです。波長の短い光は網膜に悪影響、ということは知られていますが、遺伝子を壊すのか、小さな虫の成長を阻害することもできる。拡大して考察すると、人体にも影響する兵器ができるかもしれません。
例えば戦場で、敵兵にむかって青色LEDを照射しつづける。すると目の機能が壊れ、戦意を喪失させることができるでしょう。銃の中には、レーザーを照射して照準をしぼるものもあり、それを青色LEDに換えるだけでもできてしまいます。科学の発展には、常にそれを悪用する誘惑がつきものであり、人道上の危機ともなりうる兵器の監視の目を緩めてはいけないのでしょう。

10月機械受注が発表されました。船舶・電力を除く民需が前月比6.4%減。内閣府では7-9月期に伸びた反動としますが、前年同月比で伸びたのは7-9月期だけ、ということの裏返しでもあり、ここにも増税の反動減がまだ残っています。さらに機種別では鉄道車両が大きく伸びて下支えしたものの、他が悪い。中々、将来を見越した投資の部分が伸びていないのが現状でもあります。
ここに来て、原油安が景気を押し上げるといった話があります。しかしレギュラーガソリンが1ℓ、100円から170円になった悪影響には目を瞑り、170円から150円に下落したときだけ好影響、というのは奇妙な話です。日本では揮発油税などがあり、元々原油安の還元効果が小さく、また円安でもあるため下がりにくい、といった状況があります。2月には電気料金値下げ、といった話もでてきましたが、これも選挙前の情報操作なのか。随分とタイミングのよいことです。しかしその下げ幅は、決してこれまで上昇してきた分を越えないのですから、効果は限定的です。

原油が下がって値下げが…などと語る人もいますが、これまで円安、原油高に耐えてきた業種に、下がったからすぐ値下げ、などとするのは実情を知らない意見です。少し下がったとはいえ、円はまだ118円、原油安を消費者に還元できるほどの恩恵は、それらの業種に行き渡っていません。多少の小康が得られるぐらいで、燃料価格の上昇をそのまま転嫁する電力、航空ぐらいしか、今のところ価格を下げることはないのでしょう。しかも、海外旅行の需要は円安で大きく落ちこんでいるのですから、それこそ国民へのメリットが少ないことを忘れてはいけません。
機械受注をみても、石油・石炭製品は7、9月に2倍、5倍と大きく伸びる一方、8、10月はほとんど受注がない、といった大きな変動をみせています。これも原油など、資源価格の急変動により、水準感がつかめず振り回されている証拠なのでしょう。円も株もふり回され始めましたが、円安だから、株高だから安心できるのではなく、安定するからこそ安心して経済活動もできるのです。原油安も同様、安値で安定してくれればメリットも大きいですが、今のようにどの水準で落ち着くか、また投機マネーで急反発するのではないか、という状況では、簡単に値下げなどできませんし、メリットを享受できるのはまだずっと先、と心得ておくべきなのでしょうね。

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2014年12月10日

株価下落でも日銀動かず

昨日発表されたAppleが横浜に開発拠点をおく、という話は、どうやら数十人規模ということのようで、これだと機種を丸々開発、設計するような規模ではなく、ソフトなどのプログラムのみの開発になりそうです。アジア最大の開発拠点と云われても、元々が米国メインの開発体制ではあったので、数十人のうけとり方は微妙ですし、雇用への寄与は少ない。選挙戦の最中、自慢げに語るほどの内容ではありませんし、詳細は発表がないので、まだ条件面で折り合いがつかず、検討段階なのかもしれません。それこそフライング発表の影響が今後でるのかもしれません。

東京株式市場は大幅下落しました。昨日、中国が担保基準を厳格化した、とは場中に伝わっていましたが、日本の市場が閉じてから中国株市場が大きく下落。ギリシャの選挙前倒し、ベネズエラ国債の急落、など一気に悪い材料がでてきた印象もありますが、実はこの程度の話はこれまでも出てきたのであり、最大の原因はいきすぎた楽観に黄色信号が灯ったことなのでしょう。
中国は、中央経済工作会議の開催に当たり、先の利下げのように緩和スタンスが打ち出される、との期待がありました。それが株式市場を急騰させ、バブルの懸念がありました。この担保基準の厳格化は、短期資金の借り入れに低格付け債は認めない、地方政府が窓口企業を通じて発行する債券が、ほとんど使えなくなります。しかしその規模が5000億元、約10兆円と大きく、その引き締め効果が大きい、ということがじわじわ伝わって大きく中国株が下げました。今後、低格付け債の発行が難しくなり、資金繰り懸念も生じます。今後は地方政府が直接、債券を発行できるため、その地ならしとの見方もありますが、窓口企業の破綻が相次ぐ可能性もあります。

日本の株高も、上海株高に引きずられていた面も指摘されます。利下げ後の2週間で26%も上げた。その間、日本も5%近く上げており、高値圏からオーバーシュートした原因ではないか、ともされるのです。しかも今日は日銀がETF買いに動かなかったことも、下げを誘引しています。
年末まで、日銀のETF買いは残り266億円。来年分を取り崩すか? と見ていた関係者もそれがないと知るや、売りを加速させました。一部でコモディティ関連の損失の穴埋めに日本株を利食いした、ともされますが、下支え要因の一つが消えたことで、今後も売り方優位の立場がつづく可能性があります。何より今が高値圏にあり、今回のように売りで大きな値動きがだせるのです。

自民党勝利で外国人が買う、という論調もありますが、政治の緊張感が失われれば逆に売ってくる公算も強い。個人の余力があるので押し目買いが期待、という話にしても、下値不安があると買えません。過剰流動性相場の中で、適性水準の見分け方も困難な中で、中国の流動性に不安が生じた。それが昨日から今日にかけた動きです。流動性の落ち着き具合と、水準感を試す、そんな動きが想定されますし、何より日銀の動きが不透明であって、予断を許しません。
安倍政権は公共工事など、予算を前倒し執行してきましたが、日銀もここにきて息切れしました。『今』をよく見せるために、『未来』を食いつぶすのか? 日銀の判断も重要となってきますが、それ以上に、増税判断の先送りを決めた安倍政権への、財務省側のささやかな抵抗が始まった、とするとこれは興味深い動きです。日銀が原理原則を建前に、株価下落を容認する、となればそれこそ売りを勢いづかせ、更なる下落を引き起こす恐れすらあります。中国も重要な経済の節目を前に、売りが嵩んだように、日本も選挙の前に売りが出てきた。イベント通過、というタイミングが意味するものは、SQ週の水曜日という以上に重要な内容を秘めるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:50|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年12月09日

雑感。総選挙の中盤戦

米Apple社が横浜に開発拠点を設置する、と発表しました。安倍首相がフライング発表したように、政府からの強い要請をうけたこと、及び日本での販売実績をみた決定でしょう。選挙戦の最中、露骨すぎるタイミングですが、雇用創出効果は限定的です。Appleはいくつか開発拠点をもっていますが、製造は中国や台湾、部品も多くの国から調達しています。研究開発のみならそう大きな規模ではなく、どの程度まで日本で行うかにもよりますが、最大でも五百人に満たないでしょう。
気になるのは、最近のAppleはトラブル続きで、アップデートで動作せず、といったことを起こしています。企業マネジメントが落ちてくると、こうし公的機関にすり寄るのが、企業の常でもあります。誘致のためにどれだけの恩典を与えたのか? それは後々明らかになるでしょうが、フライング発表を許したことからみても、相当に研究開発費として助成が出るのでしょう。その分を日本で製造、開発するメーカーに回せば、もっと国内には効果もありそうですが、それではアピール力不足だからAppleに頼る。お金の使い方としても首を傾げることになりそうです。

選挙戦も中盤をすぎ、後半に入っていますが、相変わらず麻生副総理の舌禍がとびだしています。「生まないのが問題」と、色々と弁明していますが、明らかに票田である高齢者によい顔をしようと、少子高齢化の責任、高齢者の社会保障の費用負担の増加を、若い女性が子供を生まないこと、のせいにして押しつけた物言いです。先の「運がない。能力がない」に続き、根底にある弱者を嬲る、といった精神構造がこの人物にはあり、それが舌禍となって露呈します。
しかし今回、史上最低の投票率が予想され、自民圧勝といわれます。投票率が50%で、そのうち自民への投票が40%でも、永田町を自民党議員に占拠される。まさに今回は『占拠』です。ただ、これも維新の凋落で、それがそのまま自民に議席が流れるというのですから、大問題です。維新の失敗は明らかで、橋下代表が「民主とは組まない」と明言するので、せっかく野党候補を一本化しても、連合の協力も得られない。民主支持層も投票しない、となります。これほど選挙に無知な代表がいれば、凋落しても致し方ないのでしょうが、関西圏でも勢いが衰えているのが致命的です。

生活、社民の政党支持率が上がっていますが、選挙戦になり、討論番組に出席することによる露出効果が大きいのと、自民との対立軸が鮮明である点が評価されているようです。それは共産も同じ。また次世代や新党改革は、逆に支持を落としています。これは民主の一部にいる近自民系にとっても、予想外でしょう。投票率が下がれば下がるほど、浮動票が動かないほど、自民と似た政策をうちだすと票を喰われてしまう。対立軸がないと見向きもされないことになります。これは現状の民主も同じ。ただCMやキャッチフレーズなどが的外れではあっても、公約にみるべき点がなくとも、支持母体があるから議席が上積みできそう、ということになります。
一方で、圧勝とされながら政権支持率、自民の政党支持率は右肩下がり。政治を知れば知るほど、関心をもてばもつほど、安倍政権、自民から離れていく。これも予想外の動きでしょう。大量の議席を獲得すれば基盤が安定する、というのと今回は大きく変わりそうです。選挙に勝つと、政権支持率は上がるものですが、何も変わらない、という失望が国民に広がり、支持率が下がり、逆に与党内の政局が活発化する恐れがある。その境界線は政権支持率40%、というところと見ています。

自民の議席を増やせば成長戦略が…といってみたところで、来年の予算はもう決まっていて、何もできません。官僚との対決も、これまで億尾にも出していない行政改革を、多少議席が増えたぐらいで始める、ということはありません。安倍政権がつづくなら、日本の景気は失速をつづけ、行政改革はすすまず、社会保障は削減がつづき、財政赤字は拡大しつづけます。2年間で端緒にすらつけないことを、次の4年でできるはずもないのです。
自民、民主ともに選挙が終われば、党首が弱体化していくことになるのでしょう。今でさえ緩み始めた自民党議員が、党内抗争に入ることが自明、その先鞭となるのが麻生氏の発言なのです。それは「運がない、能力がない、生まない」のが悪い、とはっきり述べているのですから、党首がそういう存在であると認識されれば、弱者として切り捨てられるだけに終わるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:46|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2014年12月08日

GDP改定値と景気ウォッチャー調査

7-9月期GDPの二次速報値が出てきました。実質、名目とも前期比0.1pt下方修正の0.5%減、0.9%減。年率換算では実質が0.3%減の1.9%減。名目が0.5%減の3.5%減でした。ほとんどが法人企業統計をうけ、上方改定されると見ていた中で、期待された設備投資が期待値よりも低かったこと、及び中小零細企業を含めると、大きく落ち込みました。公共投資も前倒し執行が見込まれていていたところ、下方修正されました。しかも国民総所得(GNI)も0.1%下方修正と、速報からは悪いことずくめです。
同時に発表された2013年度のGDP確報値も、実質、名目ともに下方修正されて2.1%増、1.8%増です。安倍氏は国内企業の設備投資『計画』が、今年は2桁にのぼる、と選挙戦で述べていますが、未だに昨年度の計画の話をもちだすところに、実態との乖離があります。前半を終えて進捗率をみればマイナスを続けており、2桁どころの騒ぎではなく、昨年並みの維持すら困難です。円安で企業が国内に投資する、などというのは幻想であり、まったく的を射た話ではありません。

11月景気ウォッチャー調査も発表されましたが、こちらも衝撃です。現状判断DIは先月大きく落ち込んだ飲食関連が若干もどしたものの、雇用関連も含めてすべてマイナス。しかも『良くなっている、やや良くなっている、変わらない』が、軒並みダウン。変わらないが49%、やや悪くなっている、悪くなっているを合わせて39.1%。ほとんどの人間が現状の景気が悪い、と考えていることになります。先行き判断DIは全滅。マイナス幅も拡大傾向で、構成比をみても現状と似ており、やや悪くなる、悪くなる、が伸びており、リセッションが顕著に数字で現れています。
地域別でも、先行して落ちていた中国、四国地方は改善傾向ですが、先行きは東海地方が僅かにプラスであるものの、ほぼ全国で下落。日本は全国津々浦々までリセッション、というのが現状です。10月の国際収支も発表されていますが、第一次所得収支が大きく延びて黒字転化しましたが、今後もGPIFが外債、外国株投資をすすめるため、この分野が伸びる可能性がある一方、今回は円安で嵩上げされた面があり、今後も黒字を維持できるかは微妙なところがあります。

これほど悪い数字が出ても、市場は上昇して引けています。円安と、自民大勝をすでに織り込んだ、とされますが、今週はメジャーSQの週であり、ロールオーバーがすすんでいますが、いつもと比べて規模が小さい。動きだしが鈍い印象があります。景気悪化と株高と、市場関係者でも見方が異なり、2万円までいくと語る人もいれば、ダウ越え後の変動を意識する向きもあります。しかし一つはっきりしているのは、日本のリセッションは疑いようもない、ということです。
来年には税効果が剥落し、実質賃金が改善する、といった見方もありますが、現状をみる限りでは賃金に回復傾向はありません。労組は恩恵を労働者に、といってみたところで、これだけ大きく落ちこむ国内で、賃上げをすすめるメリットがないのです。景気の好循環どころか、すでに崖を下り始めている。安倍自民が大きく勝利すれば、それこそ成長戦略がすすむ…という意見にしても、その大勝の理由が組織票であるなら、その組織に阿った政策になるのが必定で、支持母体を潤している限り、成長戦略にまわる予算などないのです。そもそも、来年度の予算はすでに省内で決しており、今から政治で左右できる問題でもないのです。それでも市場は、有りえないシナリオを実しやかに語る。市場と現実の乖離は、落ちつづける安倍政権の支持率と、自民への政党支持、という結果と異なる占拠予報と同時に、国民が首をかしげる水準まで大きくなってきた、ということになりそうですね。

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2014年12月07日

中韓は安倍ノミクスで苦しいのか?

安倍ノミクスが始まって以来、中韓は苦しい。円安で苦しめられている、という報道が為されますが、その理由として日本が円安で輸出競争力が増し、シェアを奪っていると語られます。しかし日本からの輸出数量は増えていませんし、海外でシェアを奪うほど値下げ合戦を繰り広げている、という話はとんと聞きません。実際、安倍ノミクスで中韓が苦しんでいる、というよりは中韓それぞれの事情によって、経済が谷を迎えているというのが実体のようです。

中国は不動産バブルの崩壊が愈々懸念される事態であり、かつ国民の不満をそらすため人件費が高騰するので、投資資金が逃げています。人民銀が利下げを開始し、通貨安競争に参入するばかりでなく、将来の金融不安に備えて量的緩和も視野に入れ始めた、とも噂される。過剰投資で支えられてきた成長だけに、金融不安に陥ると、一体どれぐらいの不良債権が出てくるか、わからないともされています。安倍ノミクスそのものと、これらの動きは関係ありません。
韓国も、企業の不祥事が相次いで発覚。米国での信用が失墜し、中国でもブランド力の低下と、元々の韓国嫌いが重なり、売上げが落ちた。そこにセウォル号の事故など、国内でも安全、安心に対する疑義が勃発。元々、家計の負債が多いお国柄だけに、消費が減退を始めると止まりません。外需に頼りたくとも、落ちたブランドを支えるだけの抵抗力はないのが現状です。

恐らく、安倍ノミクスで関係するのは日本への輸出です。それでも日本は消費大国、日本でモノを売れば、円高で人民元、ウォンに換算したときには大きく見せかけることができました。しかし円安だと見かけの業績が悪化する。日本の輸出企業でうけている恩恵が、そのまま中韓では逆になり、その分が苦しい。それでも、日本製の部品が安く買えるのでその分は相殺もできますが、数ヶ月、もしくは数量で契約する部品の原価安効果が現れるのは数ヶ月先、それよりは単純に最終製品の売上高が、円安で大きく目減りしてしまった。これが現状の中韓の苦境です。
そこに、上記したようにそれぞれの事情が加わる。一部で通貨安は自国から投資資金を引き上げられる、という論調をとり、中韓が通貨安に誘導できない、といった話もありますが、間違いです。ナゼなら、その論調なら今、日本からは外資が続々と引き上げられねばならないからです。通貨安だから逃げ、通貨高だから投資する、などといった行動は有りえない。それこそ金融機関の営業拠点なら、その程度の判断で動きますが、製造業のような分野ではそう簡単に動けないのです。

安倍ノミクスで中韓が苦しい、と書けば、中韓を敵視する保守系にはウケもよいのでしょうが、円安でシェアを奪う、という旧来の円安効果でまとめてはいけません。今は、日本からの輸出は増えておらず、明確にシェアを奪った証拠はないのですから。海外で中韓のシェアが下がった分は、復活した米企業や欧州企業に喰われ、未だに日本製品は増えていない。全体が増える中で、日本企業もその御相伴にあずかる、と云った程度の効果しか確認されてはいないのです。
更なる問題は、日本の内需が急速に縮小していること。日本でモノを売りたいなら、外国人旅行者が集まる、百貨店しかない。しかし中韓は、それらへの販路がない。中韓から来た人が、日本で自国製品を買う、という矛盾を知って行動するはずもない。この点で、中韓は何重もの意味で、日本でモノを売ることに苦痛を感じているのでしょう。円の実力が過去40年で最低、という話もありますが、自分を貶めてまで勝負に勝っても、喜べるかは甚だ疑問です。むしろ日本でモノを売りたい、という企業が減ることは日本にとって損失ともなるでしょう。国内企業が、国内でのシェア回復ということであっても、その国内企業が海外で生産している現状は、どっちが勝っても内需への寄与が少ない、という時点で国民には感心がないことなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2014年12月06日

雑感。米雇用統計

麻生財務相が「株価は上がった、円安にもなった。大企業は利益がでている。出ないのは運が悪いか、能力がないか」と言い放ちました。これ一つをみても、安倍政権の経済運営には疑問符がつきます。これほど急激な円安、特に政府、日銀がバイアスをかけてまで円安に誘導するのを「運」で片付けられては、たまったものではありません。安倍政権に垣間見える、弱者は「運がない、能力がない」といって切り捨てる、そんな意図まで読み解けてしまいます。
昨晩の米雇用統計は、驚くべきよい数字です。非農業部門の雇用者数が32.1万人増。過去のデータも上方修正され、尚且つ時間当たりの賃金も上昇。ほぼ全業種で上がっており、力強い回復そのものです。失業率だけは5.8と前月と変わらず。ただ今後、この数字は悪くなることが見込まれます。全米を襲う猛烈な寒波は、昨年でも生産を大きく落ちこませました。また今回、金融取引も大きく伸びていますが、金融機関はリストラをすすめているはずで、かなり違和感もあります。

しかもファンド投資家が、今年1年の運用成績をみて、乗換えを検討するところが多数に上ります。米国のファンド勢も優勝劣敗、それが来年には顕著に出てきそうです。しかもこの動きは、投資行動の変化を伴いますから、全世界規模で不穏な動きがおき易くなる。例えば今年、コモディティ関連は壊滅的ですし、株式も裁定取引を主とするところは悪い、と伝わります。日本株も11月の最終週は、外国人投資家が現物、先物を売りこしていますが、これは日本株投資からの資金流出、という話と整合的ですので、12月はもっと売りが増えている可能性があります。
ファンドに投資するのは、年金などの機関投資家も多いですが、今後は低リスク投資が難しくなるのが現状です。FRBが量的緩和を終了した後、通常なら債券は売られ、利回りが上昇するはずですが、まったく逆になった。これでゼロ金利解除になっても金利が下がりつづければcnundrum。グリーンスパン元FRB議長がつかった『謎』ということになります。債券は有効な、安全な投資先になり難くなったのです。コモディティも当分、回復の見込みはない。株を買うしかない、だから株が上がるのであって、今の株高は決して経済政策の成功ではない。逆に失敗を意味しているのです。

経済政策が成功していれば、コモディティも上がり、金利も上がるはずです。そうではなく株価だけが上がる異常事態は、いずれ見直しを迫られます。正しい経済の循環から外れているからです。それこそ今の株高はコナンドラム、説明がつきません。不況時の株高を支える自社株買い、GPIF買い、日銀のETF買いなど、いわゆる信託経由の買いが支える現状は、決して市場の高値を維持できない。証券各社が、円安による業績改善効果を色々とだしていますが、1%ぐらいの上方修正というのがコンセンサスなのですから、数値的な根拠は現状の株高にはまったくないのです。
日本の長寿アニメでもある『名探偵コナン』があります。謎をとくものですが、彼でも今の株高を説明はつけられないのでしょう。「見た目は子供、中身は大人」がキャッチコピーですが、今は「見た目は大人、中身は子供」の人間たちが、経済政策を担っているのであって、こうした状況をつくりだしても反省もせず、功名を誇り、それで被害をうけている人にむかって「運がない、能力がない」と言い放つなら、早晩この国は謎解きが終わった時点で、ジ・エンドになってしまうのでしょうね。

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2014年12月05日

円が対ドルで120円を突破

円が対ドルで120円を越える円安になってきました。安倍ノミクスで日本の経済が壊れ始めており、外国人投資家など、歴史的な水準までドル買い、円売りを溜めています。国内勢も右へ倣え、強い方につく動きもあって、止まる気配がありません。円安倒産がすでに三桁を越し、今後もますます拡大するとの指摘もあります。中小企業は今後もダメージから回復できない状態がつづきます。
小泉政権時代から、日本は分厚い中間層を切り崩すことで、企業を栄えさせる経済政策をとってきました。第二次安倍政権の時代になると中間層も少なくなり、それでも労働法制の変更を目論見ますが、企業を潤す効果は限定的。そこで出てきたのがデフレ脱却、円安志向というまやかしです。円安により大企業は潤い、一方で賃上げ率は現状をみても低いまま、実質賃金は目減りをつづけ、家計には徹底的に打撃となる。今は中間層から、日本で暮らす人、すべてから搾取するために打っている施策、それが脱デフレ、円安という方向性にすぎません。円安は外需企業への利益の付け替えであって、私は嫌いな言葉ですが、これは『所得移転』という形になるのです。

嫌いな理由は簡単で、経済とは自給自足のケースを除いて、ほとんど富の移転により起こります。しかし消費が減ったからといって、所得と考える人はおらず、一般的な感覚的とは合わないのです。今回の円安も、国民はモノを買うときに多くを支払い、その分が海外にモノを売る企業につけ代わっている。賃金上昇を…と言ってみたところで、それはごく一部の輸出企業に限られ、儲かっていない内需、輸入企業には更なる打撃となります。だから円安倒産が増えるのです。
一部で、原油安が内需に寄与するといった話もありますが、リッターで160円を越す、ということそのものが異常であって、決して楽にはなりません。しかも円安で相殺されれば意味がない。円安値上げが止まらなくなってきて、一部で在庫が足りない、とされるバターも輸入するという。輸入飼料の高騰で、畜産業が打撃をうける中、さらに高くなった輸入バターをつかう。この大いなる矛盾に今、日本は直面しています。行き過ぎた円安で、日本は世界の中で安いものを売る国、として世界から見られている。しかし国民はそれを買えるお金もない、となっているのです。

次世代の党から出馬している田母神氏の離婚問題が、某週刊誌で報じられました。これに田母神氏は反論、結婚する相手を守る、として『いいね』が2000件以上ついているとされます。しかし離婚する妻、家族は守らないのか? 沖縄の女性は蔑視する発言をしていましたが、それも守らないのか? 右系の人物に総じて感じるのは、おトモダチ、身内は守るけれど、それ以外には極端に冷たい。むしろ敵視し、攻撃するといった人間性です。それは円安も同様、それで潤う大企業は守り、中小零細企業、個人は守らない。むしろ排除するといった思考が読み解けます。
米雇用統計がサプライズで、さらに円安がすすんだようです。昨晩のECBの、量的緩和先送りもあって、外国人投資家がどれだけドル買い、円売りを溜めるのか? それ次第で円安がさらに加速する怖れもあります。株式市場は、完全にGPIFや日銀に主役が変わり、外国人投資家は見送りか、利益確定の売り、といったスタンスを貫くようです。このギャップ、円売り株買いの戦略をとってきていないことからも、一段の円安に対して、外国人投資家の思惑は、日本のそれとは大きく異なっているのでしょう。官製相場となっている円安、株高ですが、いつどこに大きな陥穽が待っているか? その恐怖心の中でも上がるという異常事態がつづくのでしょうね。

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2014年12月04日

米国からの警鐘

米国における黒人男性への暴行、死亡事件が二件とも大陪審により不起訴と決定され、デモが拡大しています。米国に未だ根深い人種差別問題、というばかりでなく、訴訟大国でもある米国の、裁判制度の危うさも感じます。陪審員制度の大きな問題は、人によってミスリードが起こりうる点にあります。日本でも、恣意的な判断が働いたのでは? と疑われる事例もありますが、助言をする弁護士等をふくめて、今一度見直す必要があるのかもしれません。

タカタのエアバッグの問題が拡大しています。実はメキシコ工場を立ち上げる際、大きな事故があって生産が遅れたため、その挽回をはかってフル操業した、という事情が影響するとの話があります。タカタの不幸は、ちょうどそのころ上場を控えており、生産遅延は発表しにくかった。実験しても再現性がない、とされるので、もしかしたらその頃の生産番号を追いかけると、不具合のあるエアバッグが見つかるのかもしれません。しかし同一条件で事象を追えるはずもなく、その結果として原因不明となる。タカタとしても原因を内包するだけに否定もしにくいのです。
米国は、一度『これが正義』と思いこむと、法を捻じ曲げてでも圧力をかけ続けます。そのパワーは今回のデモも同じ、自分たちは正義を履行するのだから、という意識が強くなるのです。ファーガソンの事件も同じ、そして行き過ぎれば暴動に発展します。タカタもまさか自動車の一つの部品で、米議会から圧力をうける、とは思わなかったのでしょう。複合的な要因ではないのか? と文句をいっても、恐らく今の米国は止まらない、と思い知るのかもしれません。

そんな米国で、オバマ大統領が「米経済も日欧の景気減速に足を引っ張られる恐れ」と述べました。シェールガス開発に翳りがみえ、賃金の伸びも低く、インフレ率も上がらない中で、失速してもオバマ政権のせいではない、というイイワケにも聞こえますが、一方で強くなりすぎる安倍政権への楔、という点もありそうです。オバマ氏は右派系政権との折り合いが悪く、イスラエルのネタニヤフ政権、日本の安倍政権のことを毛嫌いしているふしがあります。
各社の情勢調査で、自公300議席と出てきました。各社の世論調査でも、大いに関心、関心が前回の衆院選より低下しており、投票率が50%を割る恐れまで指摘されます。歴史的低投票率でも、選挙で勝つことに変わりなく、それで安倍政権が強固になると、オバマ氏としては余計な心配が増えてしまう。安倍氏が日中会談を行って、若干の小康が得られたとしても、選挙後に中国とトラブルになってもらっては困る。そうした牽制の意図も含まれていると感じられます。

増税と物価高のダブルパンチで、もっと怒りの声が高まるかと考えていましたが、日本人は物分りがいいのか、このままでは坐して死を待つ、そんな状態になりかねません。二年後、日本は大変なことになると分かっていても、あえてつきすすむ特攻精神に近いのかもしれません。米著名投資家や、大統領から投げかけられる警鐘は、日本人には届かないのかもしれません。いずれ、日本でもデモなど、国民が声を上げるような状況が頻出するのかもしれない。それは危機感ばかりでなく、本当の危機を体験しないと、国民が目を覚まさないということかもしれませんね。

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2014年12月03日

年初来高値を更新しつづける株式市場

連合が来年度のベア要求を2%としました。しかし消費税増税で3%上がり、物価も3%の上昇を示す中、賃金の伸びがそれ以下でいいのか? 結局、全産業ベースでみると収益の悪化が顕著なところもあり、妥協した数字と言えるのでしょうが、これでは来年度の消費も期待はできません。

日本は年初来高値を連日更新、など誰もが説明のつかない株価の上昇をみせています。円安で業績が伸びる、といってみたところで、ある調査では110円以上の円安はマイナスと答えた企業が50%、プラスと答えた企業が5%、これを市場は無視した意見です。増税先送りで…という意見も眉唾です。マル政マネーと、円安でドルベースの目減り分の再投資、上がるはずがないのに上げるため、踏み上げ相場の様相を呈している、というのが実態のようです。年末高の期待といってみたところで、昨年と同じように年初から急落する恐れもあって、決して楽観できる状況ではありません。
海外から少し不安な動きもあり、米国のシェールガス開発において、鉱区の申請が大きく減少しています。これは昨今の原油価格の下落で、採算割れを怖れて止めたのであり、米国の設備投資が落ちこむ懸念が出てきた。シェールガスはコストダウンが難しく、縦掘りから横掘りに移り、採掘量を増やしますが、通常の原油、ガスの採掘に比べて一鉱区から採れる量が圧倒的に少ない。古い鉱区を閉鎖し、新たな鉱区を掘って、収益を確保するしかありません。つまり常に設備投資が必要であり、金融機関は6000億$もの貸し出しを行っている。それが止まれば、オイル開発企業は破綻するしかなく、貸出の一部が不良債権化する恐れが出てくるのでは、というのです。

米国は間違いなく、FRBのQEで回復したのではなく、シェール革命で景気が回復しました。まさに新産業の創出であって、雇用の受け皿、設備投資の増加に大きく寄与してきた。原油価格の下落は減税効果、消費には追い風、との論調もめだちますが、長い目でみれば米エネルギー関連企業の動向が、今後の米経済にとってのカギにもなってくるのでしょう。昨晩は、バリュー投資が好きなバフェット買い、として米市場はエネルギー関連株がにぎわいましたが、かなりリスクの高い投資であり、逆に米ファンド勢も今年はかなり苦しい運用成績なのでは? と推察されます。
今の円安には、中国が利下げから通貨安競争に参入した、との思惑も含まれている、とされます。人民元安が円安を促す、という整合的な説明はつきませんが、市場はそうしたものも織りこむものです。中国もそれだけ苦しい。欧州のPMIも発表されましたが、来年ふたたびマイナス成長に陥る恐れを示す、極めて厳しいものです。これで企業業績だけが、本当に市場の期待に添うほど上がるのか? その答えを誰ももってはいません。ただ、投資先が他になく、日銀とGPIFが下げを嫌うから、ふわふわと株価だけが上がる。危機はこういうときに準備されるものです。相場の格言では、午尻下がりなどともされますが、黒田バズーカ第二弾で最後に蹴り上げられた恰好です。しかし蹴られた後、最後は地面に墜落し、痛みでうずくまるしかなくなります。暴れ馬のようになってしまった今年、大掃除の前ですが、来年の後始末の方が大変なことになりそうな状況なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2014年12月02日

総選挙の公示

総選挙が公示されました。今回は風がない、争点が曖昧、とも言われますが、ここ数日で大きな争点が浮上しています。それは自民党による『公正中立』を騙り、メディア統制をすすめる態度です。きっかけは、安倍首相が出演した番組で、一般市民へのインタビューを「偏っている」としたことですが、どの世論調査を見てもアベノミクスに実感がない、は90%に迫る勢いです。10人に聞けば9人が否定するのですから、残り1人を見つけるのは大変です。なのに、安倍自民はそれを見つけ、同じ程度に放送しなければ『公正中立』でない、とします。すでにいくつかの番組編成が変わっており、日本がついに中国ばりの言論統制国家に堕した、とさえ思われます。
しかもここにきて、外国特派員協会による選挙前の党首会見を、自民、公明がキャンセルしたのです。「党を代表する役職の人がみつからない」ということですが、明らかに厳しい質問がくるため、逃げたのです。安倍氏はNHKの番組で「安倍ノミクスに一定の評価があり…外国の信認は高い」と述べましたが、それなら協会で話をすればいい。ずっと外国人は安倍ノミクスに批判的であるのと同時に、昨日のムーディーズによる日本国債格下げは深刻な問題を投げかけています。

安倍政権では、潜在成長率が上がっていない。逆に下がっている。だから増税すれば景気後退に陥るのは自明。本来、国債の格下げですから緊縮財政を求めてもおかしくありませんが、ムーディーズがそうしないのは、日本で今もっとも伸びているのは建設関連、つまり公共工事です。ここで財政出動をとめれば、日本の景気はボキリと折れ、急失速するのが自明です。景気指標からも、安倍ノミクスの失政は、外国人にとっては当然の判断、ということになるのです。
安倍氏は民主への攻撃で「あの3年3ヶ月、日本は衰退した」としますが、数字からみても民主時代の方が成長しています。リーマンショックや東日本震災など、変動要因が大きな事象がおきて、数字的にはアテになりません。しかし民主時代は欧米が弱体化し、日本一強時代に陥り、空前の円高が襲った。つまり日本自体は強く、逆に円高を反映して株安になった。安倍ノミクスでは日欧が弱体化し、米国一強時代になり、空前の円安となっています。つまり日本の国力を下げることで株高、が本質です。安倍氏を応援する右系のメディアは、中韓の経済崩壊を殊更に強調しますが、その中韓より日本の国債の方が格が下。いくら安倍ノミクスは成功といってみたところで、中韓の経済が苦しかろうと、これが国際的な安倍ノミクスへの評価なのです。

12月に入り、日本の株式市場では珍しく、国内勢の買いが散見されます。感謝祭で外国人投資家の参加が減る、と見越して買ったのは日銀やGPIFともされます。昔から、選挙前にはマル政マネーが市場に流れこむ、と噂されます。かつては選挙資金を稼ぐため、短期の利ざやを狙ったものですが、今では政権の評価のため、株価を上げておくためのマネーです。しかも安倍政権では日銀、GPIFなど公的資金による下支えなど、やりたい放題にできます。株価のみを自身の評価点、とみなす安倍ノミクスの自己都合解釈に、とても都合よく利用できる体制が整っているのです。
某紙の論説副主幹の方が、9、10月と正規雇用が増えている。好循環が始まったのでは? と語っていますが、業種別の検討をしていない意見です。雇用の増加も建設関連、スマホゲーム関連がメインです。スマホゲームも転換点を迎え、今はクリアより時間つぶしが主流で、収益性の低下が囁かれます。公共工事は止めたら終わり、そんなチキンレースをしているだけなのです。

日本の識者は、海外で通用しない。物理、化学ではノーベル賞が受賞できても、経済学賞の受賞はない。それは安倍ノミクスの評価でさえ、政治家、経済の評論家が誤っているのですから、どうしようもありません。10月の毎月勤労統計が出てきましたが、実質賃金は2.8%減です。その中身も問題で、給与が下がったのは建設業。これは建設業に雇用のピークアウト感が出ているのか、若年層を積極的に採用したか、どちらかです。前者なら最悪ですが、後者とて今の公共工事頼みの中、安定雇用につながる保証はありません。こうしたことも、日本の識者は伝えない。安倍自民が国内メディアのインタビューはうけ、出演しても、海外メディアから逃げ回るのは、結局こうした問題点の指摘が嫌、説明できないという事情だけなのです。それなのに、さらにメディアに『公正中立』を求め、統制しなければ心安らかでいられない。今日は公示日というより、安倍自民にとっては、好餌(巧みに騙して誘いよせるもの)日というのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2014年12月01日

日本格下げと法人企業統計

台湾の統一地方選で、与党国民党が大敗しました。国民党は親中で、中国による台湾戦略の転換も想定されます。これは日本にとってプラスであり、中台合同で東シナ海の圧力を強めてくる構図からの、脱却を模索できます。今はまだ統一地方選であり、総選挙を待たなければなりませんが、中台関係の変化をうまく捉えることが重要なのでしょう。

ムーディーズが日本国債をAa3からA1に、一段階格下げしました。理由としては1)財政赤字削減目標の達成可能性に関する不確実性の高まり、2)デフレ圧力の下での成長促進策のタイミングと有効性に関する不確実性、3)それに伴う中期的な日本国債の利回り上昇リスクの高まりと債務負担能力の低下、です。1)は消費税増税先送りに関するものですが、2)は安倍ノミクスそのものへの批判です。財政政策、金融政策をうったタイミング、その有効性が不確実というのですから、リセッションを意識される日本経済に対し、経済政策そのものへ疑義を唱えていることになります。
一方で「安定的」とし、日銀が量的緩和をつづける限り、国債市場にリスクがないとします。しかしこれはさらに日銀の出口戦略を難しくします。一方でムーディーズは赤字削減に向けて『一段の措置』を求めますが、それが上手くいかない場合、日銀は緩和をとめられない、そう判断せざるを得なくなります。今は量的緩和策はコストより利点が多い、としますが、いつそれが逆転するか? それが逆転する日がくるのか? そのときはもう終わりではないか、との懸念もあります。

今日の市場は、法人企業統計を好感しましたが、設備投資が5.5%増で、8日のGDP改定値が
上方修正されるという期待です。しかしプラス転換するほどではなく、また設備投資の大きな伸びは、製造業では金属製品がほぼ2倍、後は情報通信、電気機械とつづきます。非製造業では不動産業が大きく伸びる一方、建設業は大きな下落です。これらは公共工事の伸びに対応し、金属製品は建築資材の増産、建設業は設備投資よりも受注工事をこなす、といった背景を想定できます。
また売上高、経常利益ともに大きな伸びは建設業と建設資材関連、それにスマホ関連の情報通信ばかりで、日本経済の片肺飛行が深刻な状況になっています。安倍氏は地方への好循環、と述べますが、業種間でも格差が広がっており、横断的な広がりはありません。今日の党首討論でも、安倍氏は「安倍ノミクスがつづく限り、経団連が賃上げを約束した」と、とんでもない暴露をしていますが、政官財の癒着が懸念されるところであり、今後も政策による景気回復への期待は、政府と手をくんだところだけ、恩恵があるということになりそうです。

ムーディーズばかりでなく、他の格付け機関も、これから格下げの動きとなるでしょう。スタグフ懸念すら漂う日本に、財政という重い課題が突きつけられました。結局、公共工事のバラマキでも景気が浮揚しないと分かった今、新たな策が求められます。しかし各党の公約に目立った成長戦略はなく、さらに自民は公共工事の項目ばかりが並ぶ、そんな危機的状況にあります。
11月、日本の株式市場が上昇する中、実は日本向けの投信からは資金流出がおきていました。新自由主義の識者は株式をドルベースでみる必要はない、としますが、日本市場は6割以上が外国人投資家が売買しており、ドルベースで収益とならなければ資金の引き上げが起こる、、そんな市場なのです。今日は年初来高値をつけましたが、円安でほぼ説明がつく程度の上昇です。海外勢が評価を下げる日本市場、このままの政治体制でいくと、必ず崖に直面するという中で、日本でも選挙結果が、そうしたものの重要な判断材料ともなってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般