2015年01月

2015年01月31日

人質事件における政府の対応3

ISILによる人質事件は、長期化の様相を呈してきました。指定された24時間経過後、沈黙しているのはヨルダン兵殺害の映像編集の時間、とみていましたが、ここまで遅れると違うようです。女性死刑囚以外に、ヨルダンが交渉をすすめているとの話も出ていますが、とにかくイスラム国の行動が、これまでの事件と異なっているため、先の読めない展開がつづきます。
もしかしたら、ヨルダンは米主導の空爆作戦、その有志連合からの離脱を含めて協議しているのかもしれません。恐らくそれが、ヨルダンが提供できる最大の譲歩だからです。国内がガタガタになり、このままでは国家体制すら危うくします。ヨルダンにとって、兵士の解放が成し遂げられないことは最早、親米国としての立ち位置すら危うくなっている、とも言えるのでしょう。

そんな米国が、人質交渉を容認する意向を示しました。というより、米国の立場を押し付ける方に問題があり、各々の国の事情を優先すればよいのです。人質交渉をするとISILを国と認めざるを得なくなる、という話も出ていますが、これまでも米国はテロ組織、犯罪組織との交渉はしてきました。ただそのときの事情で、表だっては「交渉しない」としたり、黙認したり、と変化するだけです。米国に振り回されず、日本は日本の態度を貫けばよいのですが、恐らく今は無理です。安倍政権はこの事件で、自衛隊の海外派遣を正当化するつもりですが、日本一国で行動できないことは明らかで、米軍に頼るしかない。結局それが人質交渉を阻害する、と何とも歯がゆい事態になっているのです。安倍政権の思惑がすべての元凶、とも言えるのでしょう。
そんな中、民主党の岡田代表が自衛隊の海外派遣について、議論するのは構わない、と容認する意向を示しました。ただし今回はリスクが高い、と。しかしそれも奇妙な話です。危険地帯でないなら、民間機でも構わないので、議論する必要はありません。そこそこリスクが高いところなら容認、という曖昧さでは運用に支障をきたします。もし本気で自衛隊による邦人救出を議論する気なら、危険は避けて通れないのであり、武力行使まで含めて議論しなければ、自衛隊をより危険にさらすことになるのです。それは改憲まで含めた話になるのです。

人質解放の場所として、トルコ国境付近を指定してきたことから、急速にトルコの重要性が高まってきました。しかし最初からトルコでなければならなかったのです。イスラム国の物資、人の流出入にトルコが関わっているのですから、もっとも交渉に適した国であり、また親日国としても協力的なはずなのです。有志連合にも加わらず、独自路線を貫くからこそ、交渉できるのです。結果的に、ヨルダンに対策本部をおいたことでヨルダンの国情を不安定にさせ、大きな貸しをつくってしまいました。円借款以外に、今後その代償を払いつづけなければならないのでしょう。そして今後、中東の国は人質事件に関して、日本に非協力的になるのかもしれません。そうしたことも含め、24時間をすぎたからこそ大きな戦略の転換をする必要があります。
今回の件で、ISILも日本人の重要度を認識したでしょう。悪い意味ですが『日本人はつかえる』のです。後藤氏の命をとる、という文言が徐々に薄れていき、最後の声明には何の言及もなかったように、生かしておく方向性があるのかもしれません。だからこそ、改めて日本政府は戦略を転換しなければなりませんが、今のところそういった情報はありません。後手後手、打つ手なし、それなのに、日本国内ではISILを利することになるから、安倍政権を批判してはいけない、と言います。無為無策の政権を担ぐ、日本の安全が今、一番脅かされている、といえるのかもしれませんね。

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2015年01月30日

12月の経済指標について

米FOMCの結果をうけて、市場は気迷い商状に入りました。ただ米株式は最近の弱い経済指標をみて、引締め先送りを見込んでいたため、米債市場と逆の動きになりました。しかしFRBの文言自体は大きく変わっていないのであり、市場が深読みして失敗した、というのが今回でした。

日本では12月経済指標の集中発表日です。まず厚労省発表の有効求人倍率が1.15倍で、22年ぶりの高水準と伝わりますが、求職者数が前年同月比で6.9%も減少しており、これが寄与した形です。しかし総務省発表の労働力調査では、前年同月比で38万人の就業者数の増加がみられますが、正規雇用が18万人、非正規雇用が49万人も増えていて、一方で自営業者が23万人も減っています。中小・零細企業によりしわ寄せが来ていて、離職率が高くなる傾向が見受けられます。また今回は卸売、小売が12月の年末特売のためか、大きく数を増やしたことが寄与しており、一過性のものか、見極めも必要となります。
最近、少し気になるのが堂々と求人をだし、また事務所も構え、ホームページも準備し、事業内容もまともであるにも関わらず、実態は詐欺組織だった、というケースです。労働者もそれが詐欺組織と気づかず、働いていて、ある日突然経営者が消えてしまう。売っていた金融商品、不動産が架空だった、無価値だった、という事件が増えているのです。中国では実際に銀行の店舗ができ、預金を集め、金融商品を売り、ということを数ヶ月行った挙句、突然に閉鎖してしまう。それが金融業として登録もされていない詐欺だった、そんな事件も起こっています。日本でもブラック企業が問題視されますが、ブラックどころか犯罪組織の片棒を担がされてしまう。そうしたケースでも就業者が増えているのではないか? そんなことも疑えるのでしょう。

実質の消費支出は前年同月比で3.4%も下がっています。減少幅は改善した11月から再び拡大方向となっており、9ヶ月連続の減少です。その理由としては実収入が実質で0.8%の減少と、物価上昇に追いついていない実体があります。原油安でガソリン価格が下がった影響があるとしても、これだけ消費支出が下がる中で、総務省が基調判断を「このところ持ち直している」で維持している点に、違和感をもちます。消費支出は前月からは0.4%増だから、というのがその理由ですが、元々一時金や、年末年始で消費が増える時期であり、前月と比べることがおかしいのです。
鉱工業生産指数は前月比1.0%上昇で、「緩やかな持ち直しの動き」に基調が上方修正されました。しかし前月比でみている鉱工業生産指数ですから、増減するのは当然なので、この流れが続くのか? が重要です。11月は確報値で前月比0.5%減だったのであり、まだ継続性からみて、良好な結果だったとは言い難い。1月が大幅に上昇する予測であることを踏まえたものだとしても、安易に好感はできません。中国の春節が2月半ば以降なので、1月まで中国向けの輸出が増えるのだとしても、それをもって「持ち直し」かどうか、を考えるのは早計だといえるのでしょう。

気になるのが、日本の国債市場に不穏な動きがあることです。右肩上がりで買いを膨らませておいて、一気に売る。利回りが歴史的に低水準であるように、今何がおきてもおかしくない、そんな危険水域にある、ということでもあります。日米とも、株式、債券市場の暴走が引き起こす不測の事態、それに備えないとリスク管理もできない事態が、ますますおき易くなっているのでしょう。最近、ネットで流行の『自己責任』ですが、今の市場は極めてリスクが高まっており、そんな市場に関わっていたから、日本がダメになっても仕方ない、ということにならないよう、警戒しなければいけないのでしょうね。

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2015年01月29日

人質事件における政府の対応2

ISILによる人質事件が、山場を迎えています。ISILの狙いははっきりしていて、ヨルダンが女性死刑囚の解放をすれば、後藤氏を解放する。その後、日本からヨルダンに補償があるだろうから、その補償金を渡せばヨルダン兵を解放する、となるのでしょう。つまり二段階の交渉を踏まえています。しかし4回目とされる要求では、日没までに解放されなければ、ヨルダン兵の方を殺害するとしており、後藤氏への言及がありません。これには二つの見方があって、もし交渉に失敗しても後藤氏は生かしておき、交渉材料がなくなったヨルダンから他国に交渉相手を変える。つまり後藤氏の解放について、別の国との交渉に切り替える意図があるのではないか? もう一つは、交渉が失敗した後、もっとも効果的なタイミングで次の手を打つのではないか? つまり時期について言及せず、しばらく保留、長期戦になるかもしれない、ということです。

衆院予算委でも、議題に上がりますが、私は今回の経緯をこう推測しています。多分に憶測が雑じりますし、正解ではないかもしれません。まず8月に湯川氏が拘束されたとき、ISIL側は日本という国を相手に交渉する気はなかった、とジャーナリストの常岡氏が明かしています。機関銃を手にしていた湯川氏を公正な、といっても疑わしいですが、裁判を行って処分する意向だったのであり、イスラム法学者の中田氏とともに、実際に渡航する計画があった、とします。
しかし大学生がISILに渡航しようとした事件で、中田氏、常岡氏とも公安の監視対象となり、渡航もできず、また空爆が激しくなって裁判も開かれなかった。この後、後藤氏が渡航して、捕まります。ここから、ISILは急速に金銭要求を強めます。あくまで憶測ですが、後藤氏は以前もある番組で言及していたように、保険に入っていたのでしょう。ISILと、その支払われる保険金で解放交渉をしたのではないか? ISIL側もそれに合意。しかしこの段階においてもISILに日本という国相手に交渉しよう、との意図がなく、個人間交渉に留まっています。ここで保険金が下りた形跡がない。もしかしたらISILに資金が渡ることを怖れた政府により、保険会社に圧力がかかり、支払いがストップしたのではないか? 公安が動いているならあり得る話であり、これでISILも二人の人質の扱いに困るのと同時に、日本政府に不信感を募らせることになった。

そこで行われたのが、安倍首相の中東歴訪です。恐らく、安倍氏は『ISILは日本を相手に交渉してこない』と、高をくくっていた形跡があります。解放には中東支援と同じ額の要求、というのはISILの怒りのほどが伝わります。あくまで個人として処理しようとしていた問題が、国家レベルに引き上げられた経緯はこうしたものだったのでしょう。これは外務省にも油断があったとみられます。早い段階で後藤氏の拘束をつかんでいた、という菅官房長官の話は眉唾に思えますが、情報収集はしても、個人で解決するなら手は出さない方針だったとみられます。だから現地対策本部に、政府関係者はいなかった。慌てて中山外務副大臣が対策本部に入ったこと、中東歴訪中に外務大臣も外遊中であったことなど、意表をつかれた感じがこの辺りに滲みます。
政府はISILを敵視するあまり、何度か解決するタイミングを失ってしまった。剰え怒りを買い、事態を複雑にしたばかりか、犠牲者をだしている。しかも、それを自衛隊の海外派遣の口実にしようとしている。それこそISILと、面と向かって交渉すらさせてもらえていないのに。

TPP交渉で前進、と伝わります。米豚肉業界も日本の参加について容認に転じるなど、日本がかなり妥協したとも考えられます。これもテロとの戦いに臨むに辺り、米の後ろ盾をより必要として、国益を蔑ろに交渉したなら、それもまた今回の人質事件の余波とも言えるのでしょう。安倍政権の間に失われる命と、国益と。かつて福田赳夫首相は「人命は地球より重い」と述べましたが、安倍政権の下では「安倍氏の言葉と人命は羽毛より軽い」となってしまっているのでしょうね。

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2015年01月28日

人質事件における政府の対応

日本株がダウの壁を突破し、好調です。今晩のApple好決算をうけて、米株が堅調になるとの思惑があったとしても、その裏腹としてMicrosoftの苦境ぶりがあり、アジア中心に広がる格安スマホがあり、と中々全面的に好感もできないところです。しかし露国では国債がジャンク債に格下げされ、350億$の景気対策が打ちだされ、バッドバンクの創設まで検討しています。
米国でも最近の経済指標には弱いものが目立つなど、昨年とは異なる流れができつつあります。そんな中、日本では個人向けのネット証券系が度々、先物で大きな傾きをみせるなど、首を傾げる動きもみうけられます。最近、日本株が堅調なのは業績期待、という話もありますが、どうやらTOPIX先物での傾きが多いことから、連日の日銀のETF買いに絡んだ思惑の取引があるようです。今年に入って2日に1回という、驚異的なペースでETF買いに走る日銀。このままでは秋ごろには買取り枠上限に達しますが、それまでには追加緩和を打つ、との思惑も働いているようです。

ISILによる人質事件で、24時間という期限が切られました。しかも女性死刑囚と後藤氏の、1対1の交換をヨルダンに要求。そうでなければヨルダン兵パイロットから殺す、と極めて理不尽な要求となった。しかしこの期限に『焦り』は感じられません。何しろ、湯川氏の拘束から5ヶ月、後藤氏の拘束から3ヶ月も経っているのですから。むしろこれまでもそうですが、映像による要求は最後通牒であり、その期限が切れると容赦なく殺害してきた、という経緯があります。ISILとしては、要求のハードルを上げる代わりに、クセ球を投げてきた、というところでしょう。
ヨルダンの動きもクセ球を投げている状況で、どれが正解とも言い難いですが、日本の動きは間違いだらけです。政権幹部は「あらゆる手段を…」と述べますが、今は逆にヨルダンルートに絞って交渉するのが正解で、それ以外のルートにかける時間も、手間も必要ありません。もう一つ政府はISILに対して「残虐、非道」と使いますし、メディアの一部にはそれに言及せず、政権批判をすると、非国民扱いする向きもありますが、テロリストに位置づけている時点で「残虐、非道」なのは当たり前で、それ以外の行動をとる方が驚きです。政府が沈痛な面持ちで語るほどのことでもありませんし、一々その認識を確認しながらでないと話もできないのか? とも感じます。ISILを称賛するのでない限り、批判は当たりませんし、言及しなければ批判する、という行動は理解に苦しみます。

後藤氏の母親、石堂氏が安倍首相への面会を求めたものの、拒否されたという話があります。その判断自体は否定しませんが、問題はそれをほとんどのメディアが報じない点です。政権の行うことに逆らってはいけない、政権を批判する芽となりうるものは先に摘んでおく、政権の醜聞は報じない、という風潮とこのケースは整合的です。テロリストは残虐、非道という認識を共有させ、そうした敵と戦う安倍政権、というムード作りに、子を想う母との対面を差し込まなかったことも、むしろ『敵』のイメージをさらに悪くするため、犠牲を求めているのではないか? とも勘繰れてしまう。その思惑があるからこそ、報道できないのではないか?
今、政権批判により足を引っ張るべきでないのはその通りですが、何でも肯定する、という話でもありません。また政権のつくるムードに、国民全体が倣う必要もありません。大事なことは、最良の結果を導くためにどういう手を打つか? 打ったのか? を後に検証して、失敗をくり返さないことなのです。逆にそれを阻害するのが、何でも政権の為すことを肯定する、批判してはいけない、というムードなのです。これでは安倍政権はいつまで経っても子供のまま、成長もできない過保護政権と成り下がるでしょう。昨晩の緊急会談も、安倍首相ではなく、菅官房長官が対応しましたが、こういうところにも過保護ぶりが見え隠れしているのでしょうね。

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2015年01月27日

通常国会がはじまる

昨日から始まった通常国会、首相による所信表明もなく、ふわっと始まった感じであるのは否めません。しかし代表質問で判明したのは、政府はISILの人質事件で、約5ヶ月も情報収集に費やした挙句、何のルートも構築できなかったばかりか、湯川氏の殺害という最悪の結果にまで至っている、ということです。しかも相手側の映像公開で表沙汰になった。ずっと相手にペースを握られている。悪い予想ですが、人質事件では相手を疲弊させ、冷静な判断力を低下させることが、解決への一つの道でもあります。ISILが夜に入った段階で、情報発信すれば日本は真夜中。その度にアクションを迫られる日本政府は、みるみる内に疲弊していくでしょう。不幸中の幸いは、ISILがイスラムの教義を掲げる国家の体裁をとる以上、そこまで露骨に日本政府叩きをしてこない、というだけです。残虐な人質事件の犯人なら、痛めつけた映像なりを発信したり、体の一部を送りつけてくる、そんな恐れすらあるのですから。

トヨタが若手の工場従業員の賃金を見直すなど、このところ賃上げの動きが報じられます。しかし新浪方式とよばれる、賃上げしても全体の給与総額を下げる形式を知った企業が、手法を真似てくることは当然です。例えばトヨタは、年功を圧縮するなど、全体のパイを極力増やさない方向での改定になるようですので、それが経済に与える影響は軽微といえるのでしょう。
しかも原油安で、日本経済に好影響と語られていましたが、商社による大幅な減損が発表されるなど、マイナスの影響もみえています。建設受注額は昨年3%程度のびていますが、官公庁が38%近くものびており、民需は逆に10%を越えるほど、大きく減少している。真に経済のパイが拡大しているのなら、民需が伸びていなければなりません。官公需により圧迫された部分があるとしても、今は健全な経済環境では決してない、ということを示しています。

そんな中、連合はベアを2%、定昇2%をめざすとします。しかし昨年実質の賃金が大きく目減りした分を考慮し、さらに日銀がめざす2%の物価目標が達成するのなら、これではまったく足りません。しかしそんな中、甘利経済再生担当相が2%の物価目標に対し、達成時期を曖昧にしてきました。これにより日銀の追加緩和の見方が揺らぎ、債券、為替市場などに影響しています。
一方、安倍氏は代表質問で「経済団体が賃上げを約束」と、政治が言及すべきでないことまで答弁しています。経団連労使フォーラムでも賃上げに言及するなど、昨年と同様、賃上げでムード維持をはかる動きが鮮明ですが、昨年と同じなら、実質的な賃金は減少傾向となるのでしょう。株の取引の低迷が示すものは、この国の経済の熱は、すでに冷めてしまったということ。官製相場で高値は維持していても、出てくる数字はすでに景気後退であったり、長期の低迷を示唆するものばかりです。この環境で、賃上げなどできるはずがない、というのが実体です。

安倍政権では、人質事件は5ヶ月、無策のまま放置しました。経済は政権発足当初こそ口先介入を盛んにしましたが、今や経済団体とつるんで、賃上げします、しますということしか言わず、実際の対策は皆無に等しいものとなっています。補正予算など昨年より規模も縮小され、内容も乏しいのに、それが好循環をうみだす、とします。その見通しの悪さと戦略性のなさ、がこの政権の特徴として一貫しているだけに、対策はないのでしょう。凪で始まった国会ですが、そのままいくとは思えません。今年の波乱を予感させる、そんな静かな幕開けでもあるのでしょうね。

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2015年01月26日

ギリシャ選挙、ダボス会議、貿易統計など

イスラム国について、政府が『ISIL』で呼称を統一するようですので、当ブログもISILとします。しかしこの報道で、相変わらず違和感があるのは『ヨルダンが板ばさみ』とか『ヨルダンが苦境』という表現です。ヨルダンは日本からの見返りとして、十分な補償があるならそうするでしょうし、ないなら自国のパイロットを優先するだけです。親日国ですから、無碍な扱いはしませんが、ヨルダンが困ることは一切ありません。ただし日本の現地対策本部が置かれていることで、余計な仕事が増えたこと、については困ったと感じているのかもしれません。
むしろ困ったのは日本です。直接交渉が拒否されたようなものですから。問題は、仮にヨルダンに補償金を払い、女性死刑囚が釈放された場合、その補償金の一部がヨルダンからISILに渡るケースです。つまり、これまでの要求金額より上積みする必要が出てきたのかもしれません。
もう一つ、米英が日本の対応を支持している、と好感するむきもありますが、米英にとっては日本がテロとの戦いに前のめりになることが好ましいのです。自衛隊派遣は期待していなくとも、支援金が絞りとれる。これはクソコラ画像を送りつける行為も同じ。これを『表現の自由』などと囃したて、好感するのは、それでISILの怒りを買い、日本でテロが起きれば否応なく、日本もテロとの戦いに巻きこまれます。そうした裏の思惑にも思い至らず、ただ評価された、とだけを好感してはいけません。直接交渉すらできず、テロの標的になることは、より他の国や国際社会の助けが必要となる、極めて危険な状況におかれるのと、同義でもあるのですから。

ギリシャ選挙の結果、急進左派が過半数を獲得する勢いです。反緊縮派であり、財政再建路線の転換を訴えますが、EUからの離脱は否定しています。ただ財政出動の動きをEUは認めないでしょうし、それでさらに財政が悪化したら、どんなペナルティがあるかも分からない。短期では不透明感が薄れて材料出尽くしですが、今後も息が長く、市場の懸念材料として残ります。
週末には世界経済フォーラム、ダボス会議が開かれていましたが、ドラギECB総裁は出席せず、比較的コンパクトな開催となりました。しかしその中で重要なのは、どれほど金融緩和をしても成長しない、縮小へと向かいつつある世界経済に対して、悲観的な人が増えている、ということです。金融緩和の効果を信じられた昨年とは様変わりし、地政学リスクの高まりや暴走しだした市場、米国頼みの片足立ち、など不安材料には事欠かない事態に、表情も暗かったと伝わります。

そんな中、日本では12月の貿易統計がでてきました。輸出が前年同月比12.9%増ですが、ほぼ円安が10%以上ですので、整合的です。ただし数量ベースで3.9%増となり、市場はこれを好感しました。しかし原油安で自動車が伸びた北米、中国を初めとするアジアへの半導体が伸びたのであり、一時的要因にみえます。国内生産回帰の流れも、輸入するより内製する方が得、という判断によるもので、それを輸出する計画にまで至っていない。それは円安の継続性に疑義があるためです。
しかし、輸入の数量が前年同月比1.8%減。これは内需の低迷を示しており、小麦、大豆、牛肉などの必需品の多い米国からの輸入は、円安以上に増えており、逆に完成品の多い欧州からの輸入は減少しています。今後、ユーロ安に向かうとこれがまた変化するかもしれませんが、その一つの傾向として、欧州からの液化天然ガスの輸入がはじまり、代わってアジアからの石油製品の輸入が減った。円安により、新たな動向が垣間見られる貿易統計になっていますが、そこにダボス会議でも示された、世界経済の悲観論がどう関係してくるか。そこには金融緩和の正当性も関わりますし、日本と同じように反緊縮派の政権にとって代わったギリシャの動向も関わってきます。世界経済は正念場、今年の政治リスクも織り込まざるを得なくなっている、といえるのでしょうね。

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2015年01月25日

人質事件における政府の対応

昨晩から、イスラム国による人質事件が新たな展開を迎えました。湯川氏の殺害映像と、後藤氏の解放にヨルダンに拘束されている女性の解放と、その二つがYouTubeに映像として公開されています。ただし、イスラム国正規の発表ではない。これには二つの見方ができて、上からの命令ではなく湯川氏が殺されてしまった。そこで新たな条件を付加しても、公式発表という形をとらなかった。つまり本意でない、と伝える意味です。もう一つは日本政府を困惑させる目的です。政府は映像を本物、と判断しているようですが、仮に映像すべてが加工であっても、イスラム国はシラを切れます。悪い想像ですが、例えば湯川氏が殺されていたとしても今後、正式な発表として『生きている』とし、さらに要求を上積みしてくる可能性も考えられます。つまり、この件はすべてなかったこと、にイスラム国はしてくる恐れすらあるのです。

しかしもう一つ判明したのは、政府は夕方の時点で殺害の一報をうけていた。そこから再びYouTubeにアップされるまで、手を打たなかったことです。情報確認に手間どった、ということはあるかもしれませんが、すべて日本政府は後追い、イスラム国の発信に慌てて対応する形になっているのです。昨晩の官邸への緊急招集もすぐに終わったのは、いわゆるポーズだったとみられます。映像をみて、間違いないだろうと確認し、後は映像の解析を依頼したに過ぎないのでしょう。
そしてもう一つ、安倍政権はシリア反政府組織とつながっていることが、今回はっきりしました。確かに戦場で、接触ルートが限られているとしても、シリア反政府組織に頼ったら、有名無実化しているとはいえシリア政府を半ば蔑ろにしていることになります。そして今後、シリア反政府組織が政権交代に失敗し、シリア政府が残った場合どうするのか? さらにそのシリア反政府組織がテロ化したら? 非常に危惧するところです。そしてそれが『あらゆるルート』なら、恐らく交渉は失敗続きだと分かります。シリア反政府組織はイスラム国の前身と、ともにシリアで戦っていましたが、すでに敵対している。そのか細いルートだけでは信頼を克ち得ることなど不可能なはずです。アラブ諸国で必要な、信義が圧倒的に足りていないのでしょう。

国会が始まりますが、与党からは野党に人質事件で「協力を」と述べます。しかし当面は補正予算、また来年度の予算案の審議で、実質的に関係閣僚が対応する場面はありません。強いてあげるなら首相、官房長官ぐらいでしょう。今回の件ではっきりしたのは日本版NSCが機能していないことです。昨晩の映像をみるまで、みてから、政府が効果的な対応をしていないことは、一目瞭然です。すでに犠牲者が出てしまったのですから、そのことも含めて、安倍政権の対応はまったく機能していない。そんな中で、国会の対応すらままならないというなら、安倍政権のリスク管理、危機対応能力は絶望的なまでに機能不全、ということも言えてしまうのでしょう。
ある世論調査で、安倍政権の人質事件への対応を『評価』が6割、と出ています。これだけメディアが情報を捻じ曲げていれば、ふつうの人ならそう思うのかもしれません。しかし結果が伴わないものはすべて評価できないのです。「よくやった」はスポーツならそれで良いですが、人の命がかかったものに「よくやったけどダメでした」では、もう落第なのです。特に、今回とても「よくやっている」とは思えない。この政権に命を預けることは危険である、と示してしまいました。日本にいるイスラム国と連絡がとれる人物、交渉に成功したトルコ、などのルートに手をつけた形跡がない。安倍政権のそうした態度を『評価』しているようだと、次の危険を国民全体が負うことになるのかもしれませんね。

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2015年01月24日

日米の中東との付き合い方

イスラム国による人質事件が長期化する様相を呈しています。イスラム国は期限について自分たちが決める権利がある、としており、安倍政権を脅し続ける気です。安倍政権は「あらゆる手段」と述べますが、先にイスラム国と関係のあった元教授、ジャーナリストらを敵視し、距離をおいているのであって「あらゆる手段」には反します。そういう政権だからこそ、逆に長引かせて苦しめる方が、彼らにとっては利もあります。交渉を最初から拒絶する米英などは、見せしめに殺害する。日本は与し易いので長期化により、新たな戦略を練るつもりでしょう。
問題は、日本のネットユーザーがコラージュ画像などを相手に送りつけることです。正直、彼らの怒りを買い、日本で自爆テロが頻発するようになったら誰が責任をとるのか。例えばケンカをしているとき、周りで煽った人間も罪になるように、日本と敵対する相手に嗾けるような真似をすれば、それも罪になるかもしれません。はっきり言って、それを取り締まらない政府もどうかしていますし、犯罪という認識もなく、武器をもった相手を煽る人間もどうかしています。

米国が日本人の人質救出に、海兵隊を投入か? と語るむきもありますが、そんな愚かな真似を米国はしないでしょう。そもそもどこに拉致されているかも不明です。また仮にその情報をつかんでも、作戦に失敗して米兵が捕虜となれば、責任問題です。イスラム国は国際法に従わないため、ひどい拷問をうけるかもしれない、無残に殺されるかもしれない。米兵をそこまでの危険に晒して、日本人の人質を救出するだけのメリットを、米国は感じていないはずです。
一方で、少し気になるのが3月頃に、イスラエルのネタニヤフ首相が米議会の招請で渡米する計画があるものの、オバマ政権は面会せず、との方針と伝わります。イスラエル選挙に影響しないため、と理由を語りますが、明らかに保守系のネタニヤフ政権が継続するのを嫌っています。議会は共和党系で、こちらは強硬派のネタニヤフ政権を支持している。早くもネジレが顕在化しています。一方で、米要人が原油相場に言及し、切り返しを示唆するように、米経済への打撃も見受けられ、そうしたものは中東への支援となりますし、それはイスラム国も同様となります。イスラム国の原油掘削施設を空爆し、一定の成果がでたためか、いずれにしろ原油相場は極めて難しい局面にきている。オバマ政権の中東政策にも、気迷いのムードが漂います。

米国がシェール革命により、天然ガスや原油の掘削をおしすすめたのも、一部に技術の進展もありますが、新エネルギーの創出により、化石燃料の需要がこの先減退する恐れがあり、国策で燃料を掘るより買う方がいい、という戦略から転換した部分があります。それで世界経済が高い成長を示している間はよかったのですが、今は供給サイドが過大になり過ぎて、価格が暴落してしまった。日欧の金融政策が実体経済を底上げしない以上、そう簡単に原油価格がふたたび100$程度にもどるまでは、まだ相当に時間もかかるでしょう。米国の中東戦略の難しさは、原油相場と米経済の兼ね合い、そこにイスラム国が絡む、より複雑な構図となっています。
イスラム国封じに一定程度の成功をおさめていますが、そこにもイランの協力があります。イランがイスラム国をバックアップするようだと、その力は中東の弱体化した国を一気に呑みこむ可能性すらあったのですから。そんな中、イスラエルとの付き合いに米国も苦慮している。日本の安倍首相が、のこのことイスラエルに出かけ、剰えそこで人質映像をみて人道支援、と言葉を切り替えた。中東情勢の難しさや、複雑さを理解していたとは到底思えません。それこそ、知日派とよばれる米ロビイストたちから、イスラエルとの関係強化を促される流れにあり、それは米議会の招請と軌を一にした、とも読み解けるものとなっています。その結果、人質にとられていることを知りながら、その身を危険に晒したのですから、米政府ほどのインテリジェンスももち得ていない、とも指摘できてしまいます。イスラム国とつながりのある人物を排除し、一方通行で情報発信する、という行為といい、この国の外交はとことん米共和党系とのコラボレート(共働)でしかなく、コラプス(崩壊)している、といえるのでしょうね。

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2015年01月23日

ECBによる量的緩和

ECB理事会で、欧州でも量的緩和の開始が決定されました。月額600億€を16年9月まで、効果がなければ継続、と無制限を示唆し、市場は好感しています。ただ実際には既報であった500億€に、既存の民間資産の買い入れと金融機関への低利融資を組み合わせたものに、プラスアルファする形で計600億€となります。また各国の国債購入は発行の33%まで、価格下落などのリスクは、20%をECBが、80%を各国中銀が負う、としました。月ごとの緩和規模は既報に近かったものの、このリスク管理の明確化と、無期限に近い緩和の継続ということが好感された向きがあります。
しかし早くも、この緩和規模では目標とする2%近いインフレには達しない、という見方が出ており、追加緩和を求める声が高まるかもしれません。さらに問題は、ECBの負うリスクが20%だということです。各国の国債、特に独国を初めとする優良資産の金利は、すでに歴史的な低水準にまで落ちこんでおり、景気がもどり、金利が上昇するだけでその損失の8割を各国中銀が被らなければならない。通貨発行権のない中銀が、国家の発行する国債の価格下落の8割負担を強いられるのは、景気回復の足取りを鈍らせる恐れがあります。総じて言えることは、ECBとしては体面を保った形でも、各国にとって素直に喜べるほど、この緩和は甘くない、ということになります。

しかも日本の例をひくまでもなく、量的緩和がインフレ率を高めた経験を、人類はもっていません。日本は円安インフレを招き、それが経済に打撃となり、逆に需要減からインフレ率が低下してきています。欧州も高い失業率や、賃金の伸びの低さに直面しており、インフレ期待が高まりにくい。そして量的緩和は、格差拡大を促す施策ともされます。これは失業率を高止まりさせ、低賃金は改善されない、という意味であり、需要の回復が遅れる恐れもでてきます。
市場予想の500億€から、600億€と発表し、サプライズを誘ったことはドラギマジックですが、これでは夢から醒めるのも早いのでしょう。世界同時株高の商状ですが、これは材料出尽くしで売られるとみた層が、意外と底堅いことをうけて買い戻す動きに過ぎません。発表がでた後はじまったNY市場が、朝方には弱含んだのも、この内容では好感できないためです。日本でおきている5年物までマイナス金利、長期債が0.2%割りこむ、となれば弊害も出てくる。量的緩和の負の部分も散見される中で、今回のECBの判断は一つの賭けのように思えてなりません。

ギリシャでは野党が優勢を拡大している、との世論調査も出ています。ギリシャはすでに発行の33%の国債を保有しているため、ECBの買い入れには入りません。償還分を再投資はできますが、規模が限られる。今後も各国が苦境に陥り、国債が売られだした後、ECBの保有が上限に達したら、その後どうなるのか? 一気に市場が崩れる恐れも出てきます。結局、この枠が今後どうなるかも分かりません。ギリシャのようにユーロ圏の離脱を議論したり、それこそ各国が分裂し、国の規模が変わってしまうと国債の価値がどうなるかも分からりません。ECBはリスクを切り離し、そうした政治の混乱の影響をうけないよう配慮しましたが、その結果ユーロの形も流動的になっている印象を、今回の金融政策で抱いてしまうこともまた確かです。
独国中銀をはじめ、ECB理事の1名を含めた5人が、今回の決定に反対票を投じました。独国では『金があるところ、悪魔がもう一山ひりだす』とも言われます。ECBは無尽蔵にお金を供給する、と宣言しましたが、各国中銀からすれば今のECBは悪魔に見えているのかもしれません。そのお尻からひりだされた金が、浄財なのか、不浄なのかも分からないまま、欧州はその使い道に窮する、というのが今後起こりうることなのかもしれませんね。

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2015年01月22日

イスラム国による人質事件の報道について

イスラム国による人質事件、その報道の仕方について疑問を感じます。まず盛んに報じられた「映像が加工された可能性」については、あまり重要ではありません。いつ撮られたかも分かりませんし、口だって覆っているので、台詞だって後付けかもしれない。映像そのものにほとんど価値はなく、インパクトをだすために演出されたもので、そこから判明する事実はほとんどありません。政府がそれを解析するのは吝かでなくとも、何度も報じるほどの重要度はありません。

菅官房長官が、安否について「確認していない」から「承知していない」に変わりましたが、これは確認できたことを意味するのでしょう。ただそれを明かせない、というだけです。しかし問題はその情報源の正しさ、です。今、政府は各国に協力要請していますが、大半がアリバイ作りです。どの国も交渉ルートをもっていません。その中で、唯一トルコが交渉の実績もありますが、なぜか日本の現地対策本部はヨルダンにあります。なぜトルコでないのか? ヨルダンに現地対策本部があることによるメリットは? まったく判然としません。
しかも安倍首相は中東にいたのに、現地対策本部の設立に携わらなかった。中山外務副大臣に一任する際に、引継ぎすらせず、むしろ日程を切り上げて日本に帰ってしまった。緊急対応なら、現場の近くにいた方が指揮もできます。現地の付き添いでいた外務官僚も、また安倍政権の閣僚でさえ、首相はその能力がない。と看做して呼び戻した、としか思えないのです。

さらに気になるのが、メディアが中東への2億円支援について「曲解した」と伝えるケースが多い。しかし実際に、曲解したかどうか、誰もイスラム国に確認したわけではありません。日本政府がそう言い張っているだけです。むしろ外務省の安倍氏のスピーチの英訳をみると、ストレートに「中東の安定のために2億円出す」と読みとれます。イスラム国と対立する国々に『平和と安定のために』出すのなら、それはイスラム国が消滅しないと有りえない。イスラム国が対立、と受け止めるのは自然です。人道支援を強調し始めたのはその後であって、曲解ではないのです。
安倍氏のスピーチ、英訳にはShow the Flag、安倍氏が誇らしげに日本がテロとの戦いに協力する、といったことを内外に喧伝する意図が含まれていたのでしょう。それはGW前後ともされる訪米前の地均しであった可能性が高い。人質になっていることは政府も承知の上だったはずです。しかしまさか歴訪中、on timeで身代金要求される、とまでは考えていなかったのでしょう。国会開会中の身代金要求なら、むしろ安倍政権にとって好都合だったのかもしれません。多少、日程に穴があいても巨大与党で日程はこなせますし、遅延してもそのイイワケにつかえるのですから。

そして仮に、人質が殺されれば「テロには屈しない」ことを建前に、またテロへの憎悪を掻きたて、集団的自衛権議論をすすめる気だった。安直な保守系の考えそうなことですが、今はそのアリバイ作りのため、必死で動いているように見せているだけ、に過ぎないのでしょう。何より、テロとの戦いを鮮明にし、身代金を払わないとする米英と協議しているのですから、最初から答えは見えています。今、身代金を払うと後が大変、と喧伝するのもアリバイ作りです。
政府の広報紙と化したメディアが、アリバイ作りに手を貸すのも道理ですが、なぜイスラム国と対立する国と、これほど接近するのか? について政府に問い質さない姿勢は問題なのでしょう。むしろ中東の各国と緊密に連携し、対応する方が人質の解放には有利なはずなのに。それこそ安倍氏が日本にもどってきたのは、ここぞとばかり、疎遠な米英と親しく話ができるから、といった自己都合によるものと見えてしまう。無価値な報道があふれる中、政府の行動にも疑問符がつくのであって、それが後の検証に耐えられるのか? 甚だ疑問に感じるところなのでしょうね。

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2015年01月21日

日銀の金融政策決定会合

イスラム国人質事件をうけ、ネットでは『自己責任』という言葉がつかわれます。しかし突きつめて考えると、時化の海に漁にでた漁船が沈没しても、雪の日に荷物を運んでいて遭難した人も、自らの商いのために危険に身を晒したのであり、自己責任であるから国は何もする必要がない、となります。それこそ国が渡航制限をだしていない国で誘拐され、人質になったら保証するのか? 線引きも曖昧です。特に後藤氏などはジャーナリストであり、また湯川氏の安否を確認にいく、と国がしていないことを自ら行っていた、人助けの精神に基づく行動だった可能性もあるのです。
海外で活動する一般人を安易に切り捨てれば、日本は危険地域の情報の一切を海外に頼る、インテリジェンスに著しく劣る国となります。逆に、それを国の命令で行えば膨大な予算も必要となる。安倍氏が掲げる『積極的平和主義』を掲げれば、必ず今回の問題はでてきます。米英ぐらい日本が情報にお金をかけるなら、身代金は一切払わない、自己責任で切り捨てることもできるでしょうが、そうでない以上は一般の、危険地帯に携わった人間からの情報提供に頼らざるを得ません。自己責任をつきつめると、街で行き倒れている人を助ける義務すら消失します。もし伝染病で亡くなったのなら感染の危険がありますから、近づいた方が自己責任です。少し前、中国で死んだ子供が放置されつづけた事件もありましたが、日本がそういう国になりたいのなら、自己責任を推奨してもよいのかもしれません。公助を限定すれば、必ず人々の道徳心にも影響する。身代金を払うかどうかは別にして、できることをする、ができなければ『国民の生命・身体・財産を守る』という国家存立の大元さえ揺るがす、ということにもなるのでしょう。

日銀が金融政策決定会合を開き、現状維持を決めました。14年度のGDP見通しを、10月の0.5%増から0.5%減に下方修正、逆に15年度のGDP見通しは、10月の1.5%増から2.1%増に引き上げました。明らかに鉛筆を舐めて差し引きゼロ、にしたのが分かる数字です。また15年度の物価見通しを増税の影響を除き、10月の1.7%のプラスから1.0%のプラスに下方修正しています。こちらも16年度を2.1%のプラスから、2.2%のプラスに鉛筆を舐めた。元財務官僚らしい数字の丸め方です。要するに、見通しを引き下げたけれど政策対応しない、というイイワケづくりをしたのです。
しかし原油見通しを1バレル70$としましたが、根拠はありません。昨年末、世界の原油在庫が増加しており、当面の上昇材料はありません。米国では要人が原油相場に対して「急騰する」「100$はいく」と、口先介入を始めましたが、これは米企業にも悪影響が出始めたことを意味しています。さらに黒田総裁は賃金上昇に期待感を示しますが、米オバマ大統領も演説で「賃金は上昇し…」と述べ、批判をうけているように、日本ではベアを行っても従業員の総所得は下げる、ローソン社長の新浪氏の名前をとって『新浪方式』とよばれるものが横行し、まったく経済にプラスになっていない。ひいては物価上昇に寄与しない形が鮮明となってきています。

しかも黒田氏の会見を「歯切れが悪い」「真価が問われる」と、ネガティブに報じるところが驚くほど増えた。確かにここ数ヶ月の企業間取引での物価下落に、原油の急落が含まれていることは間違いありませんが、マネタリーベースがこれほど増加しても、物価上昇率がこの程度にとどまる、となるとB/Cが極めて悪く、それは政策の失敗すら意識されるものともなります。
菅官房長官が、海外が意識するドルベースの日本のGDPが、安倍政権で大きく下がった、との指摘に「円でみることも大事」と、まともに答えられませんでした。海外からみると、日本は驚くべき勢いで経済が縮小している、と映ります。国債も5年物までマイナス金利となり、長期債も0.2%割れで、最早将来のゼロ成長、マイナス成長を織り込んでしまったかのようです。安倍ノミクスも黒田バズーカも、失敗が意識される中で、政策当局者の苦しげに応じる姿が、さらにリスクを感じさせます。政策当局者に自己責任があるなら、国民負担は避けるべきですが、否応なくそのツケを国民が払わされるのですから、リスクのとらえ方も様々、ということになってしまうのでしょうね。

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2015年01月20日

イスラム国による人質事件

2日間で日経平均は大幅高ですが、日銀の金融政策決定会合、ECB理事会を前に、欧州CTAスジや米系も買いを溜める、ポジティブサプライズに備える動きにより、引き起こされています。特にECBは量的緩和をすすめることが確実視され、スイス中銀につづき、デンマーク中銀まで利下げに動いています。しかし逆にみると、市場にはもう織り込み済みであり、その内容が市場期待に副わないと下落する可能性が大です。ドラギマジックが再来するか、が注目されます。

イスラム国が、2億$の身代金を払わなければ、日本人2名を72時間で殺害する、と発表しました。明らかに安倍氏の中東歴訪がイスラム国を刺激したのであり、日本政府の対応が難しくなりました。以前も指摘しましたが、アルジェリアでおきた日揮襲撃時には、自衛隊機の派遣まで政府は検討していました。しかし今回人質となっている湯川氏が拘束されたとき、日本政府の動きは鈍かった。そのツケも、今回巡ってきているのであり、二重三重に安倍政権の失敗を意識させます。
日揮襲撃事件の後、日本政府は安保法制懇で『国民の生命・身体・財産を守ることは国家の責務』とまで述べています。まさに今回、責務を果たせるか? が迫られます。しかし外務・防衛大臣も外遊中、安倍氏は中東にいます。下手をすれば現地に留まり、陣頭指揮という話にもなるでしょう。当然、現地にいた方が情報収集、指示、指揮もとり易いのですから。逆に、日本にもどってくるとなると誰が残るのか? どういう体制をとるのか? それ次第では責任論に波及します。

安倍氏は歴訪の前「中東の平和と安定は、日本にとって死活的な問題」とまで述べましたが、一方に肩入れすれば一方は面白くない。それが過激派・イスラム国です。一方に2億$を渡すなら、俺たちにも。それがイスラム国の論理であり、この判断が働く限り、まだ日本に対する親近感は残っているようです。一方で、以前の過激派なら部族長、リーダーなどに話を通すと、人質の解放交渉ができましたが、イスラム国にそれは通用しません。仏国は人質を解放するために身代金を払った、とされますが、どういうルートを用いたかも不明です。また日本が、米国の制止をふりきって身代金交渉できる、とも思えません。頼るべきは日本人に対する親近感がイスラム国にどれだけあるか、ですが、そのことも不明といった状況で、まさに八方塞です。
中東の平和と安定なら、すでに崩れている。それを一方に支援することで成し遂げるなら、必ずこうした問題はおこる。いずれにしても、今回の件は安倍政権の失敗が招いたことです。今はまだ対応が優先ですが、すべてが終わった後、26日から始まる通常国会はこの問題が議論されるでしょう。その際、安易に自衛隊派遣の議論にすりかえられないように、注意も必要です。自衛隊が派遣できるからといって、解決できるものではありませんし、圧倒的な武力で相手を屈服させる以外、兵器は無力です。米国など、多くの国民がイスラム国に拘束され、殺されています。米軍に解決できない問題が、自衛隊で解決できるわけでもありません。

米議会報告書でも、安倍氏はナショナリストとされ、従来の日本人とは異なるイメージをもたれています。つまり安倍政権に対しては、それほど中東の人々も親近感をもてない、ということにもなります。積極的平和主義にしろ、要するに国際問題に対して、積極的に介入していくという意味です。そして今回の件は、その試金石にもなるのでしょう。地球儀を俯瞰しているだけで、国内に逃げ帰ってきて失敗するようであれば、それこそ安倍政権の『死活的な問題』となってしまうことでしょうね。

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2015年01月19日

中国株の急落

上海株式市場が大荒れです。緩和期待、信用取引の拡大に伴う投機的な動きに対して、証拠金取引に違法行為があるとして、大手3社の証券会社の口座開設を3ヶ月停止すること。及びシャドーバンキングの一種を監督強化すること、などが発表され、一気に冷や水を浴びせられた形です。今年、李首相が認めるように、中国経済にはかなりの下振れ圧力があります。12月の新築住宅価格が4.3%下落。販売は9%近くも伸びているので、これはかなり投売りが出たことも読み解けます。
少し前、中国の不動産ディベロッパーが突然破綻懸念に直面しました。きっかけは、当局から販売停止をだされたことで、それまで健全とみられていただけに、意外と受け止められています。しかし中国の不動産開発が、自転車操業に陥っているとすなら投売らざるを得ない、といった事情となる。とにかく僅かでも資金を得なければ、会社が停止してしまう。それが販売が9%近くも伸びる原因なのでしょう。まさに崩壊前夜のような、そんな兆候もうかがえます。

昨年は人民元が対ドルで2.4%も下落し、衝撃を与えています。日本だと通貨安を好感するむきもありますが、どの国でも通貨安は危険信号とうけとめます。中国でもドルで起債した債務が悪化し、企業が苦しんでいるように、輸出国であっても決して一概に通貨安を望んでいるものではないのです。そこにきてシャドーバンキング規制が強まり、また信用取引というマネーゲームにも監視が強まった。今年、中国企業のクラッシュが散見されるのかもしれません。
それは中央銀行の態度にも影響されます。スイス中銀ショックが未だに尾をひきますが、中銀への信用で保っていた取引がガタガタになれば、今の世界経済は総崩れになります。今週のECBの動きに注目も集まりますが、この注目、依存がすでに危険である、とも言えるのです。

そんな日本も、ある調査では、企業は円安をデメリットが46.2%、メリットが7.2%と考えています。円安がデメリットだから、国内生産を増やす、と判断するものもありますが、それこそ円がフランのように動いたら…。その恐怖の方が大きく、またそうした動きは円高で起き易い。日銀が異次元緩和をいつやめるか? そのとき市場との対話に失敗したら、間違いなくフランの二の舞を演じます。その危機感は、時間が経てば経つほど強まってくるともいえるのです。
最近、金融緩和をすると格差が拡大する。それが景気回復したように見える効果がある、といった研究もでています。日本も二極化、都市部では地銀もこぞってREITを買うなど、都市部では好調。しかしその効果は、地方へは波及しません。市場の選別により、また地方ではREITが起債されないため、価格が上がらないのです。12月の百貨店売上高は前年同月比で1.7%減。外国人旅行客の消費で、単月で100億円を越えましたが、逆にいえば個人がそれ以上に『勝ってない』という形が鮮明です。日本の景気はもう下り坂、後はどこで底打ちするか、ですが、そこにきての急変動が示唆するものは、日本の明日にも見受けられます。中国では『一万を怖れず、万一を怖れる』という言葉もあります。日本の『万一』への備えも必要になってきているのでしょうね。

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2015年01月18日

民主代表選について

昨日は阪神・淡路大震災から20年という節目の日でした。あれからも震災は各地で起こっていますし、その度に大きな被害が出ています。日本の耐震技術がいくら優れているとはいえ、地震の被害から完全に守ることは困難なのでしょう。そんな中、未知の活断層が引き起こす地震に注目も集まります。原発再稼動でも、散々に活断層か、そうでないかを議論していますが、未知の活断層があったら終わり、という話かもしれません。もし仮に3秒周期の地震がおきると、現在の耐震基準をクリアしていても高層ビルは倒壊する、といった話もありますが、地震の秘めたるパワーを制御できる、と慢心するのは厳に慎まなければいけないのでしょう。

民主代表選は岡田氏に決まりました。一回目は細野氏が若干上回ったものの、決戦投票では岡田氏が上回った。この結果は予想通りとはいえ、党が後ろ向きの思考をもっていることを露呈したのでしょう。細野氏が代表となれば、長期に亘って細野体制が維持される公算もあって、代表を狙う第2、第3世代にとっては面白くない。長妻氏を支持していた勢力も同様に、岡田氏にのったのもそうした理由からです。つまり民主党の議員の大半が『長くない』岡田氏に投票したのです。
岡田氏が『長くない』のは、年齢ばかりでなく、その選挙弱さにあります。自身が代表となって初の参院選で勝って以後、郵政解散で敗北、野田政権時の副総理でも敗北し、政権を自民に明け渡し、自身が選対本部をつとめていた参院選三重でも敗北、と勝つことの方が珍しい。自身は血筋による強力なバックアップで勝てても、組織として勝てない。これほど選挙に弱ければ、長期で代表をつとめることは難しく、そのため次期代表を狙う政治家にはちょうどいい、ということです。

右系のメディアが早くから岡田氏有利と報じたのも、この選挙弱さがあります。これだけ選挙に弱ければ、安倍政権は国政選挙で組織票が機能している限り、まず負けません。岡田氏には浮動票をとりこむ戦略がないからです。まさに民主党のため、と思わない人たちにとって、とても魅力的だったのが岡田氏だったのであり、後ろ向きの代表選だったといえるのでしょう。
かといって、細野氏になっても自民に近いので、安倍政権の弱体化を待つしか戦略がありませんが、維新との連携はすすんだでしょう。長妻氏は組織作りが下手、組織の動かし方が下手、と一長一短どころか、短い方しか目立たない代表選であったことが、そもそもの不幸です。

しかし自民の方から不協和音が響いてきました。安倍首相と菅官房長官との軋轢です。実は安倍政権も、国政選挙では勝てても地方選は惨敗つづき。それを主導した菅氏に対して安倍氏の側が不信感を募らせている、といいます。しかし安倍政権を支えているのは、間違いなく菅氏です。土砂災害がおきても、さっさと別荘に帰ってしまった安倍氏に代わって仕切りましたし、暴走を止め、支持率を維持できているのも菅氏のお陰です。しかし権力者にとって諫言者は疎ましく、甘言者はとても友好的に見えます。最近、菅氏がメディアに登場する機会が多いのも、安倍氏のテレビ出演が好ましくないばかりでなく、存在感を増したい菅氏の事情が含まれている、とするなら、早晩この政権の屋台骨が崩れてくるのかもしれません。
しかし民主がファイティングポーズをとりつつ、事実上長期戦しか考えていない以上、当面の政局は凪であるのでしょう。しかしそれこそ未知の活断層のごとく、安倍政権に激震が走るのか? 統一地方選にむけて、自民も民主も選挙に弱い指導部による、どちらがよりダメなのか? 選挙で負けるのか? を競った後の動きは、それこそ内部の亀裂から始まるのかもしれませんね。

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2015年01月17日

米金融決算の不調

昨日も指摘した、家庭に水素を配る方式、実は様々なメリットがあります。都市ガスから水素をとりだして発電するエネファームも、廃熱を給温水として利用します。送電線は不要となりますし、大規模停電も起こりにくい。家庭に一つの水素タンクを設け、月に一度の供給で、使用した分だけを補えばロスも少ない。水素タンク、温水タンク、蓄電システムがあれば家庭のすべてを補える可能性があるのです。問題は、水素の生成に現在は化石燃料を用いていること。これさえクリアできれば、実にクリーンエネルギーとしての意味も付加できるのです。
一つの可能性は原発です。爆発した福島原発のように、高温となった被覆管に水が反応すると水素ができます。発電するよりもコンパクトなシステムで運用可能ですし、廃炉となった後、建物を解体すれば大量の放射性廃棄物がでます。古い建物をつかって水素をとりだす設備をつくれば、コスト的にも地方対策としても有効です。安全を担保できるなら様々なメリットがある。電力会社が、水素供給会社に業態転換すれば、それもまた一つの形ともなり得るでしょう。原発でなくとも、高温と反応により生成できるのなら太陽熱も使えそうです。水素燃料自動車の効率性を考えると、一家庭ぐらい賄えそうですから、検討する余地は十分にあるのでしょう。

スイスフランの急騰で、海外のFX業者の破綻がでており、金融機関からも損失の計上といった話がもち上がります。中銀の態度に安心しきって、ぬるま湯の運用をつづけていたツケですが、個人レベルにいたるまでその余波はまだ出てくるのでしょう。米国では10-12月期の金融決算も出てきましたが、芳しくありません。資源価格の下落、市場のパフォーマンスの悪さなど、金融機関にとってはかなり厳しい面があり、その傾向は日本も同様に起こることとなるのが確実です。
日本で起きる大きな変化は、債券の取引が低調であること。すでにマイナス金利で、運用には適しませんので、その引き受けや手数料収入も低調です。株式も売買が低調となり、手数料収入が減ります。最近、海外の企業買収がないため、アドバイザリー部門も低調。昨年、上場企業の倒産がなかった、という話もありますが、実は国内の大型買収も低調でした。

唯一、好調なのがJ-REITですが、最近は地銀、信用金庫なども国債の運用では収益性が悪いため、REITの運用にのりだしている、という点もあるのでしょう。しかし逆にみれば不慣れな運用であって、市場が二極化している点に不安も残します。金融機関の収益性の悪化は、次の危機を準備しているのかもしれません。米国の自動車サブプライムローンのように、収益を上げるために不透明な取引でも手をつける。そんな状況が、日本国内でも始まっているのかもしれません。
成長産業を見つけられなければ、いくら金融緩和をしても、公共工事をしても効果は限定的、ということがよりはっきりとしてきました。ならば、日本がうちだす道は『水素燃料の活用』です。水素を効率的にとりだし、それを社会全体で利用していく。その形ができれば、それこそ日本が世界をリードする、シェール革命を超えるエネルギー改革を成し遂げられるのです。安倍政権は未だに原発再稼動に注力し、自然エネルギーの活用にも消極的ですから、こうした発想はないのかもしれません。しかし原発の再利用、としての水素の生成ができるなら、原子力ムラを説得し易くもなるでしょう。金融機関の膨張にも限界がみえる今、世界は最大のリスクを目の前にしているのであり、いち早く様々な手を打つ必要性、対策が求められているのでしょうね。

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2015年01月16日

安倍首相の中東歴訪

スイス中銀の決定の余波がつづき、日経平均は一時500円を越える下げとなりました。昨日のECB期待、米ダウがそろそろ切り返すのでは? という期待を裏切り、投げを呼んだ形です。しかしスイス中銀の失敗は、日銀の明日である可能性も高い。コストに比べて効果が薄い、と日銀が判断しても、政策転換は容易ではありません。それがネガティブインパクトを与えれば、市場から大きなしっぺ返しを喰う。フラン急騰、株価急落、そんな現実を目の当たりにして、ますます金融政策に頼る今の危うさ、を痛感させられることにもなったのでしょう。

年末のNHKの番組で、サザンオールスターズの桑田氏が行ったパフォーマンスへのデモ、批判をうけ、所属プロ、桑田氏の連名で謝罪文がでてきました。この結果に、賛同者、批判者双方から批判的な意見もでますが、今回の騒動でもっとも損したのは日本です。海外から政府批判もできない国なのか? と懐疑の目でみられるためです。表現の自由が叫ばれる昨今、「反日、売国」などと叫び、政府批判さえ許さない人が多いことは、それこそナチス親衛隊が溢れたかの国を想起させた。ヘイトスピーチも同様に、安倍氏の応援をしているつもりが、実はもっとも反日的、反安倍的な行動をとっていることになる。結局、安倍氏が何をやろうとしても、そうした層に支持されているため、常に危険視され、何をやるにも足枷となってしまっているのです。
そんな安倍首相が中東歴訪に向かいます。以前も指摘しましたが、「積極的平和主義」の割りに各国の首脳クラスがシャルリー・エブド襲撃のデモ行進を行いましたが、安倍氏は「積極的」に参加しませんでした。「中東の平和と安定は日本にとって死活的に重要」と述べますが、死活的? あげ足をとる形になりますが、シリアやイスラム国など、中東の「平和と安定」だけならすでに崩れています。非常に低いレベルの「平和と安定」なのかは分かりませんが、中東が崩れたら日本の死活問題になるなら、そんな脆弱な国づくりでいいのか? と疑問もわきます。

例えばトヨタが開発した水素燃料自動車。水素が安定的に、安価に供給できるようになれば、実は家庭にも水素ボンベを配れば、すべて自家発電で賄えるオール電化の住宅が可能となります。そうすれば中東に依存せず、燃料の多くを自給できる形となるのです。しかも水道が止まっていても、発電により生成される水で、多少なら確保できるのですから、一石二鳥です。トヨタが特許を公開しましたが、国が積極的に活用してもよいですし、それこそ死活的な問題が解消されるのですから、国策で水素生産の研究に全力を傾注してもよいのでしょう。
今回の地球儀俯瞰外交も、ヨルダン支援など、いわば海外にお金をばらまいて関心を買うといった形で、決して「積極的平和主義」の評価は高まらないことが確実です。国内では安倍氏の外交の足をひっぱる勢力が、安倍氏を支持している。海外でも、お金をくれる日本にしか関心がない。お金をうけとれない先進国は、常に安倍氏に批判的、という構図が鮮明となっています。最近、安倍氏の主治医交代を報じるメディアもあり、選挙前から健康問題も浮上していましたが、自らの政策、外交の失敗を認めたくないため、継続して海外にでかけざるを得ない、お金をばら撒かざるを得ない「支給、義務感外交」なら、誰からも評価されないことになってしまうのでしょうね。

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2015年01月15日

スイスの追加緩和と機械受注

日経平均は大幅高でしたが、ダウが200$近く下げたにしては、朝からマイナス圏に落ちることもなくプラスを維持、しかも右肩上がりの展開でした。きっかけは原油が4日ぶりに反発したことですが、それを誘引したのが米国の12月小売売上げ高の低調で、売り方の買戻しが活発化したことであり、景気回復への自信でもなかった。日本の株式市場は、売り方の買い直しではなく、昨年の買いもちポジションを年初から解消してきて、ポジションの軽くなった外国人投資家が、改めて買い入れた、というのが今日の真相のようです。どうも需給のシーソー、景気の良し悪しを各市場で勝手に解釈し、独自に動いているような印象であり、方向感がつかめません。
そんな中、スイス中銀がフランの無制限介入を終了し、対ユーロの上限を撤廃すると発表されました。また政策金利の手数料徴収を0.25%から、0.75%へと引き下げ、つまり利下げを行い、マイナス金利を拡大させました。これによりスイスフランは対ユーロで一時30%ほど上昇、スイス株市場は10%の下落など、混乱を呈しています。理由が分かりませんが、ECBが理事会で追加緩和を決めることを踏まえ、通貨防衛を介入から金利誘導に切り替えたのでは? とも囁かれ、これがネガティブインパクトを与える形となっています。本来、ECBの追加緩和は市場も好感するはずですが、追加緩和の効果が疑問視され始める中で、中々素直には喜べない、というところです。

これにより、日経平均の夜間取引ではふたたび16000円台に沈んでいます。せっかくECB理事会を前に積み増したポジションの、解消の動きとなっています。日本のファンダメンタルズは無視、需給のシーソーだけの値動きであり、だから大きくなります。買いが多いと思えば買いに倣い、売りが多いと思えば売りに倣う。なので水準感すら関係なく、容易に突破してきます。ただ抵抗が増える、と思うとそれに倣うので、今はそれ以上の動きがないだけ、なのです。
内閣府から発表された11月機械受注統計も、民需の受注額は、前月比では1.3%増だったものの、10月が6.4%減だったことの反動であり、さらに前年同月比をみると14.6%減です。駆け込み需要の反動減はむしろ拡大傾向であって、政府や日銀のいうところの「緩やかな回復」どころの騒ぎではありません。日銀が発表した14年の企業物価指数は3.1%の上昇と、消費税増税の影響を除いて1.0%の上昇と発表されましたが、12月に限ると前年同月を0.9%も下回っています。原油安の影響とはいえ、企業活動の停滞、消費の低迷もその一員であることは間違いありません。

こうした内需の低迷も、市場はほとんど見向きもしません。経済指標で動かない市場には不安も漂います。中国でも気になる動きがあり、不動産ディベロッパーの破綻で、ジャンク債市場が急騰しているのです。これは健全とみられていた企業が、地方政府から販売を停止されたことにより、破綻懸念に陥るという中国特有のリスクを意識し、発行される債券の信用が著しく下がっていることが影響しています。需給のシーソーが大きく傾いたとき、そこから転げ落ち、さらに傾きが大きくなることも予想され、そこに政治リスクが絡むというのが、2015年の傾向となってくるのかもしれませんね。

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2015年01月14日

日本の表現の自由とは?

テロをうけた仏紙シャルリー・エブドが発行されました。しかしムハンマドの風刺画をふたたび載せており、賛否が割れています。政治家に対する風刺なら誰も否定しませんが、宗教になると話は別です。キリスト教だろうと、イスラムだろうと、過激思想者を刺激します。偶像崇拝を禁止し、世界的に重要だった岩窟仏像を爆破、破壊するほど、イスラム過激派にとって預言者であるムハンマドを掲載することは、ふたたひ混乱の火種をばら撒いた、というだけです。

そんな仏国のパリで行われたデモに安倍首相は参加しなかったばかりか、国内の仏語学校で開催された追悼会にも参加せず、ゴルフをしていた、という話があります。米国のオバマ大統領がデモに出席せず、また重要閣僚も派遣しなかったことから米国内で批判をうけていますが、日本で安倍首相を批判する論調はありません。積極的平和主義を掲げ、世界の紛争に武力介入する姿勢を示すのですから、何らかの行動があって然るべきでした。仏大使館には弔問に訪れましたが、世界各国が一致して行動しているときに、些か軽率な行動にみえます。米国が軽視しているから、日本も…ということなら、米国と同様に、日本国内でも批判されるはずなのに、そうなっていません。
佐賀県知事選で、自公推薦の候補が敗れた戦犯に、安倍氏のスパム電話という話も上がっています。電話をとると有無を言わさず、安倍氏の肉声テープが流される。迷惑極まりないもので、選対の愚策ぶりが顕著です。人は言葉をかわして意思疎通をはかります。占拠の応援演説で、手を叩いて喜んでいるのは支持者だけで、そういう人物は電話などかけなくても投票してくれます。逆に、態度未定だった有権者にとっては、迷惑千万のことをされたのですから、批判も含めて対立候補に入れたくなります。安倍氏は不人気、という自覚をもう少しもった方がいいのでしょう。

市場では、佐賀県知事選をうけて安倍政権への不信感が高まりつつあります。農協改革が頓挫すれば、構造改革なども停滞し、成長戦略もでてこないのではないか? 地方選で負け続けるのは、本当に指導力のある、国民に支持された政権なのか? そんな懐疑も高まっています。
そんな日本で、最近では封印されてしまったのが、政治風刺漫画です。かつては大手紙の政治面には必ずといっていいほど、風刺漫画が毎日掲載されていましたが、最近ではほとんど見かけません。シャルリー・エブドは「宗教にも表現の自由を」と宣言していますが、日本では「政治への表現の自由」さえ、自粛しなければならない。先進国とは思えない対応です。米国で、NYT紙の記者がCIA元職員の公判での証言を求められない、との判断が示されました。情報漏えいによるメディア統制への批判も強く、オバマ政権も自粛を余儀なくされた形です。

政治資金規正法、公選法違反として告訴されていた渡辺元みんなの党代表と、松島前法相を東京地検が不起訴処分としました。これを認めていたら抜け道だらけとなってしまい、法が形骸化しますが、東京地検も自粛ムードがただよったようです。ただ、検察審査会行きとなるでしょうし、どう転ぶかは分かりません。相手のことを慮る、日本人の美徳のように言われますが、心の弱い安倍氏のために政権に打撃となるようなことを言えない、できないということなら、この国は表現の自由どころか、表現の自粛ばかり目立つのであって、堅苦しさ、息苦しさからそこに掲げられた偶像、虚像を壊したくなる、という動きも出てきてしまうのでしょうね。

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2015年01月13日

12月景気ウォッチャー調査について

今日の株式市場も上へ、下への大騒ぎですが、売買代金は2兆円を少し越える程度で、商いが膨らみません。外国人投資家が買わないと上がらない日本市場ですし、日銀、GPIFなどの公的マネーで下げると買ってきますが、この売買代金では存在感も増します。上にも下にも行けない、そんな相場は実体との乖離も大きくします。
そんな中で、12月景気ウォッチャー調査がでてきました。現状判断DIは3.7pt改善し、45.2。先行き判断DIは2.7pt改善し、46.7となっています。しかし間違えてはいけないのは、このDIは方向性を示すだけで、改善といっても決して景気が上向いている、ということではないことです。11月は景気判断の分かれ目となる50を大きく下回る、30台の項目が多かったことから、多少のもどりがあっても高いDIとなってしまいます。例えば、現状判断で『良くなっている』『やや良くなっている』を合わせると16.7%、『やや悪くなっている』『悪くなっている』を合わせると、31.5%。11月はこれが11.9%と31.9%だったため、12月の数字が改善しているようにみえるだけなのです。

判断の理由の項目をみると、今回の改善した原因がみえてきます。「年の瀬でお正月の商材が売れた」「急に気温が下がったため衣料が好調」「消費増税の先送りで不透明感が解消された」。最後などただの期待だけですし、先送りで逆に先行きに対しては再延期なのか、強制執行なのか、その不透明感が強まるのですから、メディアの情報を丸写ししているような意見です。しかし意外なほど、ボーナス月であることを意識した意見が少なく、一方で「一時金が上がらないので…」という、マイナスの意見が散見される程度で、それで消費が増えた傾向はないようです。
また目立つのが「節約志向が強まった」「消費者の目が厳しい」「昨年の駆け込み需要の反動減で、ここ2、3ヶ月は厳しい」といったものです。メディアはほとんど報じませんが、判断の理由として掲げられるものは、景気の現状をよく表しています。むしろメディアとは真逆の意見が多いのです。特に、「消費増税の先送りで…」として挙げた意見とは全く逆に「不透明感が強まった」「再びの駆け込み需要が期待できなくなった」とするものまである。理由のコメント欄をみる限り、景気はさらに悪化するのではないか? という不安の方が強く打ち出されています。

民間エコノミストが10-12月期GDPの予想を年率で前期比3.4%の上昇、と発表されました。毎回、実体との乖離が問題となり、民間エコノミストの能力が疑問視されますが、今のところ10-12月期に改善した部分はない、と見受けられます。輸出を上方修正していますが、実はこの原油安で、日本にとって少し厳しい展開も予想されます。それは米国で、大型車が売れていることです。
日本が得意なのは燃費のよい小型車、大型車が売れ出すと、これまでの円安で業績改善効果の大きかった自動車産業が、一時的に停滞するかもしれません。国内では軽自動車の販売が4割を占めるなど、ますます採算のとりにくい市場になっていることもあり、景気低迷が不安視される欧州、バブル崩壊が囁かれる中国と、日本の自動車産業にとって期待できる市場が皆無となってしまうかもしれません。景気ウォッチャーの判断理由をみる限り、すくすくと育った『フケイキ』という木が今、国民の多くを日陰に追いやり、冬にますます身も凍えるような思いを強めている、そんな状況もうかがい知れるのでしょうね。

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2015年01月12日

雑感。来年度予算について

政府・与党は一般会計の総額を96.34兆円とし、過去最大とする方針を固めました。基礎的財政収支の赤字幅は13.4兆円と、4兆円程度圧縮される見通しです。ただ、来年度の成長見通しを1.5%程度と、今年度より成長するという見立ての上でのこ見通しですから、達成できるかどうかは不明です。しかも中身をみると、消費税増税をして、社会保障費が増えるのかと思いきや、どうやらそうではない。それは介護報酬の2.27%減にも現れており、社会全体の方向性となっています。
これは全体で2.27%の減少であり、内訳をみると事業者報酬が4.48%減、職員給与を月1.2万円増やし、良好なサービスを提供する事業者への加算を0.56%とする、という流れにより決まっています。これは昨今の流れ、ローソンでも起こっている、賃上げしても全体の報酬は一時金、残業、手当てなどを下げてトータルでは減額となる流れと、完全に一致するでしょう。事業者の利益が圧迫されるので、介護労働者も同様に、トータルでは手取りが目減りしてしまう恐れが高いのです。

あくまで概算要求ベースですが、実は昨年より急激に増えているのが、要望額を含めると国交省です。この要望額、一般会計には含まないので、全体を見え難くしていますが、要望額を含めると昨年から増加したのは国交省がトップにくるのです。しかも厚労省が31兆円の事業規模に対して1兆円の増加、国交省は6兆円の事業規模に対して1兆円の増加、ですから、如何に跳ね上がっているかが分かります。確かに東京五輪など、公共工事が増えるのは理解しますが、安倍ノミクスで建設業を潤す、という形が鮮明であり、国交省の悪のりとも見えるわけです。
一方で、防衛省も5兆円の事業規模に対して約0.2兆円の増となっており、防衛予算の拡大が見受けられますが、これも要望額です。実はほとんどの省庁が、一般会計として計上される予算は小幅に削減されていて、一方でこの要望額を足すとほとんどが昨年より増額になっている、という始末です。この要望額を加えると、来年度の予算は100兆円越え、というのが真相です。

介護報酬にしても、03年度の引き下げが2.3%だったため、それを越えないよう2.27%に調整しています。この一般会計予算も、実は100兆円越えなのに要望額、という切り分けをして96兆円にしている。安倍政権では、すべての数字を操作し、見栄えだけをよくする工夫が多く、今は一般会計、特別会計、それに要望額という第三の予算が誕生した、という印象すら抱きます。
昨年の11月、経済指標の集中発表日に私が取り上げなかった項目に、有効求人倍率がありました。結果は前月比0.02pt上昇の1.12倍と改善していますが、実は求人数は4%も下がっており、逆に求職者数が7%以上も下がったことから、有効求人倍率が改善した、ということになっています。この原因が未だに不明で、説明はできないのですが、求人の減少は景気低迷を映すものだとしても、求職の減少は労働人口の低下なのか、若者が職探しをやめたのか、高齢者が増えて職自体を探さなくなったのか。いずれにしろ、この有効求人倍率だけが改善、という結果は、政権にとって都合よく丸められたものという受け止め方もできます。つまり有効求人倍率を改善させるために、数字をいじったのではないか? 今の予算にしても、一般会計と要望額と、分けていることから見え難くしている部分が多くなっているのです。安倍政権ですすむ、情報の見え難さに関して、さらに内閣府がインターネットセキュリティーで予算をとるといいます。数字すら正しく国民に伝わっているかどうか? 予算の使い道をしっかりみておかないと、それこそ景気低迷で減った分を国債で補填する、と言い出しかねず、この予算案もまともにうけとってはいけない、ということになってしまうのでしょうね。

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2015年01月11日

雑感。表現の自由について

保守分裂となった佐賀県知事選、相当に激しい選挙戦となっているようです。当記事を書いているときは、まだ結果がでていません。自公推薦の前武雄市長、樋渡氏が敗れれば地方選にも影響するとして、自民は異例の応援となりましたが、しかし逆にみればこれだけの力をかけても勝てないと、安倍政権の力不足と断じられることにもなります。ここまでもまったく地方選では冴えない安倍政権ですが、組織票の動きが鈍い地方選、ということを含めても弱すぎる点が、安倍政権のスネになりそうです。

サザンオールスターズが大晦日の紅白歌合戦に出場し、ちょびヒゲをつけて安倍政権をヒトラーに見立てて揶揄した、として所属事務所にデモが行われたようです。最近、気になるのがネットの動きが、以前とは変わってきている点です。以前は例えば問題ある行動を投稿した人物を特定し、晒すといった正義感の行動が目立ちましたが、今は根拠なき誹謗、中傷といった形をとるケースが散見されます。特に、芸能人に対するものは苛烈で、
根拠の疑わしいもの、虚言に該当するものなど、正常な判断が働けばすぐ見抜けるはずなのに、そうなっていません。
以前、スマイリーキクチ氏も同様の被害に遭い、一斉摘発という事件もありましたが、モラルの欠如というより、信じたことに疑いをもたない。情報過多の時代にあって、他の情報を排除し、自分の信じる情報だけを受け入れてしまう。まるで宗教の、過激派のようです。翻って今回のサザンのケースでも、そう断定するに足る根拠は不明です。本人がそう断言しているわけでもありませんし、あくまで受けとり方、という面もあります。疑わしい、というだけで行動に移してしまう。それこそ仏国の事件との類似性を感じてしまうところでもあります。

日本でも表現の自由があるのですから、自分と意見の違う人がいることも受け入れざるを得ません。それを排除し、暴力的、過激な行動で言論を封じてしまうなら、その国の表現の自由は著しく害されている、と言えます。ヘイトスピーチも表現の自由、ということも言われますが、生存権の方が強い以上、他者を排除する論理も決して野放図につかえるものでもありません。
非常に偏った見方、思いこみで行動しても、それは自身の偏狂さ、偏屈さを露呈するばかりで、決して一つも得になることはありません。それでもそうした行動に投じる、ネットで募られると乗ってしまう、という人が以前に比べて増えているように感じます。特に安倍政権を応援する人に多い、という点が世界からも危険視されています。ユーラシア・グループの十大リスクの番外として、アジアのナショナリズムが挙げられますが、来年にはトップ項目にくるのかもしれません。

先ほど、佐賀県知事選で山口氏に当確がでたようです。これで自公推薦候補が3連続で敗れました。少数であると、行動が過激になるのはどこの国、民族間の対立でも同様です。安倍政権を応援するのが少数、ということが安倍氏にとっても悩みの種でしょう。しかも行動が過激化していけば、それに追従して安倍氏も容認せざるを得なくなりますし、その意に沿うように行動してしまうことも考えられます。地方に弱い安倍政権と、安倍政権を応援するために一部で過激化する集団と。日本の中でも二極化がすすむこと、しかもそれが安易に行動してしまうこと、しかも目立つ相手、主義・主張を通しやすい相手にむかってそれをしてしまう。新年からこの国でもきな臭い動きが増えてきた、ということなのかもしれませんね。

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2015年01月10日

昨年の投資主体別売買状況

米12月雇用統計が出てきました。非農業部門雇用者数が25.2万人増、失業率は5.6%と、前月より改善した形ですが、平均週間労働時間、時間当たり賃金がともに減少。U6と呼ばれる職探しを諦めた人や、正規雇用をのぞみながらパートタイムで働く人をを含めた失業率も小幅に改善傾向を示す中ですから、尚更にこの労働時間の減少と賃金の減少は、とても奇異に映ります。
しかし逆にみれば、世界全体で失業率が高くなり、賃金低下に陥るのですから、仮に米国だけの労働環境が改善されれば、移民も流入するでしょうし、急速に競争力も失うことになるでしょう。これも市場の調整弁の結果とするなら、一国だけが安穏と好景気を享受できるわけでもない、ということになるのかもしれません。そしてシェール関連企業の破綻が出てきましたが、これが続くようだと米雇用情勢も、そして金融でさえ不安定となるのかもしれません。今年の世界は米一人勝ち、という状況が本当に訪れるのか? それをあらゆる指標から読み解いていき、それ次第で上にいくか、下にいくかが大きく変わる、そんな状況なのかもしれません。

東証が昨年一年間の、投資主体別売買状況を発表しました。信託経由の買いが現物、先物とあわせて約2.7兆となり、事業法人の約1.1兆円、海外投資家の約0.7兆円の買いとつづきます。一方で個人投資家は約3.6兆円の売りを筆頭に、生損保の約0.4兆円、投資信託の約0.3兆円の売りとつづきます。信託経由は年金系、GPIF、それに3共済も一元化を前に買いをすすめたとみられ、かんぽ生命の買いもあったのでしょう。これは今までにない傾向です。2013年は信託経由は3.6兆円の売りだったように、株式市場が上がれば、債券などとの比率を維持するために売っていたのであり、昨年はそうした意味でも異例つづきの1年だった、と云えます。
一方で、個人の売りは一昨年と同様ですが、家計貯蓄の目減りと整合的です。つまり税負担や補助の削減などで、増える支出を賄うために貯金を取り崩し、株式も売った。利益確定売り、というだけではない。今後、個人投資家はもどってくるのか? その分水嶺にもなってきます。

外国人投資家も、昨年の最終で買いとなり、何とか買い越しに転じましたが、売り越しで終わったと見られていました。ドルベースの日経平均は5.7%の下落。恐らく保有比率を維持するため、買い増した分で買い越しという状況であり、決して積極的な買いが入ったとはみられません。今年、個人的には外国人投資家は日本株を売り越してくる、とみています。円安で業績改善、というばかりでは外国人投資家にとって少しも嬉しくありません。景気後退で内需に期待できない日本に、資金を置いておく必要はない。ポートフォリオの見直しだけで、数兆円の売りが出てくるはずです。年金系の買いも、今年は減少するでしょうし、個人にも期待できない。外国人投資家でさえ売ってくれば、頼るところは自社株買いの事業法人です。しかし株価全体が減少すれば、企業とて減損処理を必要とするかもしれません。かつての株持ち合いの悪夢がよぎります。
安倍氏は財界の年頭の会でも、「安倍ノミクスの果実を皆さんに食べていただきたい」と述べますが、種を蒔いていないのですから、芽吹きもしませんし、実をつけることもないのです。日銀がじゃぶじゃぶと水を撒いても、そこに草木は生えません。しかも水を含んで脆弱になった地盤が、いつ地すべりを起こすか分からない。それを公共工事でつくった堤防で食い止めようとしても、不可能なのです。むしろ、安倍ノミクスが始まってから、すくすくと育ったのは『フケイキ』という木です。これは食べられるような実をつけませんし、他の草木を枯らす、という厄介な代物です。これは『みたことのある木ですから、みたことのある結果』という果実を、国民はふたたび食べさせられることになるのかもしれませんね。

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2015年01月09日

民主党代表選が告示される

仏国で風刺を掲載する週刊誌シャルリー・エブド社が、テロリストに襲撃されました。凄惨で野蛮な事件ですが、ただこれを単に表現の自由で捉えていいのか、には疑問があります。宗教も風刺できて然るべき、旨をかつて代表の人物が語っていますが、この週刊誌がキリストを揶揄する風刺画を掲載すれば、キリスト教徒の過激派に襲われる懸念もあったはずです。互いの価値観、立場により風刺であるか、そうでないかは大きく異なり、それを表現の自由で一括りにすれば、怨嗟の連鎖という問題に直面するでしょう。キリスト教徒もムスリムも、互いのことを尊重する気持ちがあれば、尊厳についてどこまで踏みこんでいいか、その判断も変わってくるはずです。それがないなら、単に炎上商法をとっていた、というに過ぎないのです。
つまりムハンマドを嘲笑し、それでキリスト教徒は溜飲を下げ、ムスリムは怒りを覚え、ということで発行部数を稼ごうとするなら、必ずこうした問題は起こります。それは逆も然り。しかも今は、経済が悪化し、社会不安が蔓延している時期です。残念ながら、表現の自由という言葉の下で、リスクを冒すほどに重要な内容だったのか、には疑問が残ってしまいます。

民主党代表選が告示されました。長妻氏、細野氏、岡田氏が立候補し、三つ巴の戦いとなります。下馬評では岡田氏有利、細野氏が追う、という構図ですが、民主党代表選は何が起こるか分かりません。強固なグループ、派閥がないために最後の演説で情勢がひっくり返ったりします。政策の違いもみえにくく、野党再編なのか、党再生なのか、についても分かり難くなっています。
そんな中、岡田氏が細野氏とかわした密談を暴露、維新との合流を模索していたと発言、細野氏は維新から関西を切り離す、との話があって…と発言し、後に訂正しています。維新側は静観するようですが、これは岡田氏、細野氏ともに、維新に貸しをつくってしまった形です。しかもその背景に、岡田氏が代表選の前の網膜はく離の手術をうけ、健康不安が囁かれて焦りがある、というのですから、尚たちが悪い。しかも岡田氏を支持するのが、50代のネクスト世代で、細野氏が代表になると自分たちも一世代古くなってしまう。そうなると自分たちの代表の座が遠のくから、というのですから、尚更たちが悪い。げっそりと痩せて、人相の悪くなった岡田氏と、その背後にいる人間たちの思惑にどす黒い部分しかみえない、という告示から波乱含みの展開です。

しかも岡田氏の陣営は、党員・サポーター票では負けるが、決選投票なら勝てる、とみています。要するに岡田氏の次を狙う政治家が、票をとりまとめてくれる議員票に賭ける、ということなのですが、そんな理由で代表を決めていいのか? との疑問も残ります。4年は政権交代がない、と見定めていたとしても、その間の統一地方選、参院選は捨てるのか? 代表選後のことがまったく見えません。早々に『岡田氏有利』と報じられたのも、非常に胡散臭くさえあります。
このネクスト世代、政権失敗の戦犯であるのと同時に、官僚やメディアにとって都合がいいといった面があります。それに担がれた岡田氏と、その後にネクスト世代が代表となれば、まさに官僚、メディアにとっては望ましい体制がつづく、となるのでしょう。『岡田氏有利』との報には、ネクスト世代の思惑とともに、官僚、メディアの思惑がのっていたことになります。

日本では『火中の栗をひろう』という言葉もありますが、仏国では『火の中に手を入れる』という言葉があります。13世紀ころまで、仏国では妬けた鉄製の棒をつかみ、布でつつんで3日後に開いたとき、火傷の痕がないと無罪、とされた故事により『無罪を証明する』という意味で用いられます。立候補した議員は、万年野党となりそうな民主の『火中の栗をひろう』と考えているのかもしれませんが、その前に『火の中に手を入れる』覚悟を示さないと、仮に決戦投票になるとしても、意外な形で迎えることになるのかもしれませんね。

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2015年01月08日

悪化する生活意識に関するアンケート

今日の株式市場は反発しましたが、6日連続で下げたことの反動と、明日のマイナーSQ、米雇用統計への思惑とが大きく関わるなど、大幅高も素直に好感できない地合いです。そんな中、ちょっと衝撃的な世論調査がでてきました。日銀の生活意識に関するアンケート調査です。景況感は1年前と比べて、よくなった5.9%(11.1%)、変わらない54.7%(56.9%)、悪くなった38.8%(31.5%)。一年後は、よくなる7.3%(10.9%)、変わらない54.6%(56.9%)、悪くなる37.8%(31.7%)。かっこ内の数字は前回、9月の調査ですので、軒並み悪化です。安倍ノミクス開始前の12年12月には、よくなったから悪くなったを引くと、50を越えていたこともあったので、差し引き32.9はまだ余裕があると言えますが、3月以降は景況感が悪化の一途をたどっています。

しかも景気水準について、よい0.3%(0.8%)、どちらかといえばよい7.2%(12.0%)、どちらともいえない35.4%(40.0%)、どちらかといえば悪い44.3%(37.8%)、悪い12.4%(9.1%)ですから、悪い方の判断を合わせると50%を越えている。そして衝撃なのはここから、現在の暮らし向きDIは、ゆとりが出てきた3.9%(4.4%)、どちらともいえない44.9%(46.9%)、ゆとりがなくなってきた51.1%(48.5%)。ゆとりがでた、からなくなったをを引いた47.2は、12年12月の47.1を越えて、ここ2年では最悪の水準。すなわち、数値上の単純比較では暮らし向きに関して、民主党政権のときよりも悪化した、と感じる人が増えたことになるのです。勿論、安倍ノミクスでこれまで暮らし向きが改善した、高い水準からの落ち込みならよいのですが、この差し引きした数字は30を割り込んだことがなく、一貫して悪化している。それがここ1年は悪化の度合いが強まっている、となるのです。
この傾向は収入、支出の状況からも明白です。収入は、差し引きで『減った』の方が30以上多い状態がつづき、支出は『増えた』が一貫して『減った』より多い。しかも6月から差し引きで20を上回る状態がつづく。つまり収入は減り、支出が増えているのですから、暮らし向きがよくなるはずがありません。しかも現在、1年後、5年後と物価は『かなり上がる』と『少し上がる』で8割越えにも関わらず、1年後の支出を『減らす』と答えた人が50%を越えている。インフレで家計が防衛的になる、非常に危険な状況に陥りつつあり、日銀のインフレ目標の失敗すら意識される水準です。

これは家計貯蓄が昨年、3.7兆円も減少したように、今年はもっと深刻な貯蓄の取り崩しがおきている可能性が高い。国民目線では、安倍ノミクスは失敗ということが明らかなのです。急速に悪化する景況感、急速に悪化する暮らし向き、その判断は収入の状況や勤め先の経営状況から、判断されているのですから、財界の楽観発言よりも、よほど切実な意見といえるのでしょう。
すでにリセッションに入っている日本経済ですが、この世論調査をみる限り、10-12月期も期待薄なのでしょう。それは始まった1-3月期も同じです。初売りが好調、とも伝わりますが、外国人旅行者と転売屋がめだった、という話は聞きますが、国民全般に手控えムードも広がる中、国内的な盛り上がりはなかったようです。生活意識の悪化が加速する今、日本は長期リセッションの入り口に立っている、そんな認識も必要になってきたのでしょうね。

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2015年01月07日

財界の発言と企業の対応

家電メーカーが国内生産に回帰する、という報道があります。一見すると国内雇用増、と思いますが、これは円高なら海外で、円安なら国内の既存設備をつかって生産する、という意味なので、為替により影響される不安定な雇用が増える、ということでもあります。そうなると熟練工のいらない、単純な組立てぐらいしかなく、セル方式の生産体制を整えるだけなのでしょう。

マクドナルドの問題が拡大しています。個別事案には言及しませんが、コスト削減による管理体制の緩み、抜けといった原因が考えられます。現地でも臨時雇用が増えれば、責任感の欠如や、職業倫理の問題がもち上がります。例えば異物が混入していても、生産ラインを止めて、除去するよりもそのまま流してしまった方がいい。これは作業員の単位でもそうした意識が働きます。余計な仕事を増やしたくないためです。生産量の確保を掲げれば、尚のこと従業員の注意力は散漫となり、手元は疎かになる。臨時雇用なら、長く勤めるわけでもないため、企業を守ろうとも考えない。異物混入で会社が潰れたら次の会社に移るだけ、だからトラブルも増えます。
例えば、日本の官僚が省益を優先するのも、天下り、渡りなど、終生にわたって官僚の立場を守ることが身の安泰につながるためです。竹中氏の発言から正規雇用、非正規雇用の話題ももち上がりますが、実験的に公務員をすべて非正規雇用とすればいい。それこそ特定秘密保護法ができたのですから、省内の情報を洩らす恐れも小さくなったはずです。ただし組織を守ろう、という意識は、組織への依存度と強く結びつくのですから、非正規を増やせばトラブルも増えるのです。それでもいい、という社会にするなら食の安全や、情報漏えいなどに関しては二の次、と覚悟すべきであり、それこそ企業、組織はトラブル対応に追われることになるのでしょう。

年初にあたり、財界人が集まる場が開催されていますが、総じて「今年の日本は大丈夫、海外に不安」と口を並べます。経済評論家なども異口同音ですが、判でおしたような意見が並ぶ原因は、御手洗経団連名誉会長の言葉にあります。「悪くではなく、よいことを考えよう」 つまり経済に関して悪いことをいうのは自粛、というムードが蔓延しているのです。これは某お笑いコンビもNHKの番組のネタみせで、政治家の名前をだすのを止められた、というように財界を初めとし、メディアまで政権批判を封じられる流れの一つであり、今年の景気は悪い、賃上げしない、などと言い出せば、どんな仕打ちをうけるか分からない、という恐怖心に支配されているのです。
しかし例えば昨年、ローソンの新浪社長は真っ先に賃上げを表明、威勢がよかったものの昨年の実績は、平均給与は10万円以上下げています。一時金の見直し、残業代の削減などと減少の理由を語りますが、これが今の日本の実態です。表向き語られることと、かけ離れた現実がある。すべてが面従腹背、財界も官僚も、政権に協力する姿勢を示しつつ、それとは真逆のことをしている。その悪影響は、すべて国民にかぶってきます。3.5兆円の経済対策を打ちながら、給付金を減らす。賃上げしてもトータルでは給与を削減する。これで景気などよくなるはずもなく、国民の使えるお金が減って、国の政策経費が増えた、というだけの話になっているのです。

背に腹は変えられぬ、という言葉もありますが、仕返しを怖れて面は従っても腹の中では背を向けている。そのうち、国民は言っていることと現実が違う、と気づいて、安倍政権に背を向けることになるでしょう。企業のコスト削減により、実質賃金の目減りにより国民の腹が満たされない、また食の安全にまで関わる現状は、社会の歪みがどこで暴発するか、その背中合わせとも云える状況なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:50|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2015年01月06日

日経平均の大幅下落

日経平均が3%以上も下落し、17000円を割れました。きっかけはギリシャ政情不安、原油安などと挙げられますが、急激に情勢が悪化したわけではありません。昨日の大発会も一時大きく下げましたが、欧州系が昨年末に買いを積み残していた分をはきだした結果であり、年末年始のご祝儀相場期待が剥落したことによります。しかもこの傾向、今年一年のトレンドになりそうです。
昨年、外国人投資家はやや売り超となりました。黒田バズーカ第2弾で一旦は買い上げましたが、買いは一ヶ月しかもたなかった。そして仮に第3弾があったとしても、さらに買いの期間は短くなると想定されます。サプライズ効果も小さくなり、また規模も限られ、瞬間風速が吹いたとしても1〜2週間しかもたない。そしてそれ以外の週は、総じてポートフォリオの見直しで、一昨年買った分を吐き出してくると予想されます。15兆円の半分としても日銀、GPIF、かんぽ生命などの公的な買い支え分を超えてきます。つまり外国人投資家の売りが焦点となってくるのです。

一部で、原油安は日本にとって神風、なる言葉も聞かれますが、大きな懸念は米国経済です。米国は、金融緩和とシェール革命の二本柱でリーマン後に復活してきましたが、それが今年は二つとも剥落します。米国がそれに耐えられなければ、日本の輸出企業が苦境に陥ることになり、超金融緩和と公共工事、それに円安に伴う輸出企業の業績改善で支えられる日本も同じように失速します。米国も産油国になったのですから、原油安は功罪ある材料にすぎません。
また欧州系金融機関による、産油国への貸付、その焦げ付きも意識されます。これは資源獲得に、なりふり構わず金をばら撒いた中国も同様。資源の資産価値の低下は、思わぬ事態を引き起こすことになるのです。それは神風どころか、暴風となって世界全体を襲うかもしれない。その恐怖心が落ち着くまではもう少し時間もかかりますし、解消される頃にはふたたび原油が騰勢を強めているかもしれない。1$80円のころの1バレル100$と、120円のときの50$では、実は手放しで喜べるほどの効果は出ない、ということも考慮しておかなければいけないのでしょう。

市場関係者の間では、今年は2万円という声が大半です。しかし今年、ユーラシア・グループが発表した十大リスクは欧州政治、露国、中国経済減速、金融の兵器化、イスラム国、指導力のない指導者、戦略部門の拡大です。ばらばらのようでいて、根っこは同じ。超肥大化してしまった金融により格差が広がり、欧州ではナショナリズムの台頭と独立機運が、露国、中国などの新興国は金融の動きで揺さぶられ、金融制裁などの武器とともに世界は極めて脆弱になりつつあります。その間隙に、イスラム国などの新たな勢力が入りこみ、猛威を振るっている。今年、こうしたものの一部でもクラッシュすれば、世界は未曾有の混乱に陥りかねません。
個人的には、成長を期待されていた分野が、逆に足枷となってくる。それが今年最大のリスクだと考えています。それは金融に始まり、資源であったり、新興国であったり、これまでの牽引役がそうでなくなることでもあります。日本も株高を背景に、指導力のある指導者とみられてきましたが、株安がつづくと十大リスクの仲間入りとなってしまう。官製相場の持続性とともに、外国人投資家の見切り売りの水準を見極めることで、日本のリスクも浮き彫りになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年01月05日

安倍首相の年頭会見について

本年もよろしくお願いします。

竹中氏が某討論番組で「正規と非正規を同一条件にするには、すべて非正規にするしかない」という旨の発言をしています。この御仁、政権と距離をおかれると国民にとって耳ざわりのいい発言をし、政権に近づこうとするといった癖もありますが、今回は首を傾げます。パソ中とも揶揄され、会長でもある人材派遣会社を念頭においた意見でしょうが、口をすべらせたようです。
そもそも竹中氏が関わった政権は、ろくな政策を行っておらず、言葉よりも行動により彼の理論がそもそも誤りだと示しています。そもそも非正規で40代、50代で職を失うと再就職も難しくなります。すべて非正規の働き方が広がれば、零れた人を救済するため国の社会保障負担は膨大となり、韓国型の脆弱な経済構造となるでしょう。非正規を望む人もいるのは事実ですが、それは安定収入の夫がいる家庭など、条件が限定される話です。今、日本で最大に問題なのは、働き方を雇用の側からしか決めていない、という状況であって労働者側から選べないことなのです。

安倍首相の年頭会見でも、首を傾げるのは「15年もつづいたデフレで自信を失い…」という点です。想像力不足なのか、どうしてそうなるのか分かりませんが、さしずめ今は「値上げで国民の心が萎縮し…」となるのでしょうか。デフレは需要不足により引き起こされるものであり、将来に亘って生活が安定し、賃金が上がっていく自信があれば、消費も旺盛になります。その自信がもてないから、今は消費が減退しているのであって、インフレになれば自信をとりもどす、ということでもありません。これは原因と帰結がまったく逆のことを語っていることになります。
改革断行国会だそうですが、先の総選挙で示されたように、自民は支持母体に頼らなければ選挙に勝てません。浮動票がまったく自民に投票しなくなったからです。よって6月には成長戦略を示す、としますが、それも期待薄です。2年間で何もできていないことに、誰も期待はしないように、安倍政権が改革できる、とは誰も考えていません。支持母体、既得権益を崩すことなど、自民を壊す覚悟がないととてもできません。改革断交、改革とは無縁の政権運営にならざるを得ない、というのが本音であって、女性活躍法案を廃案にしたように、この政権は政局第一、と今後はみなされることが確実です。改革談合なら、既得権益をさらに肥え太らせるだけなのでしょう。

戦後70年で新たな談話発表に意欲をみせますが、天皇陛下のご感想が出されています。その中で『満州事変』にふれていますが、不遜にしてその心を推し量れば、戦争は些細なことや、数名の人物の思惑などをきっかけとして始まってしまう、努々慎重に…ということだと考えます。これを政局にするのは誤りで、それこそ天皇陛下が最大に配慮された、政治に関与しない範囲のお心を踏みにじるものですが、安倍政権がすすめる安全保障政策などには痛手となるはずです。
「世界の平和と安定のために貢献…」とも述べますが、そこに戦争へと巻きこまれる火種があります。今は中短距離ミサイルの精度が上がり、新興国でさえ装備している時代です。どこにいても撃ち返さない軍隊は、的でしかありません。撃ち返せば戦争となり、日本は否応なく再び災禍に襲われるかもしれない。『貢献』という耳ざわりのいい言葉で誤魔化してはいけません。

安倍氏は未年は『味』であり、果実に味がついてきた…という意味のことを述べていますが、ニュアンスが若干異なります。『滋味』が加わる、即ち熟れることであり、食べごろであると同時に陰気がのび、陽気が退く年とされます。つまり全国津々浦々どころか、ここで恩恵をうけられないようなら、もうその効果は届かない、と覚悟した方がいい。デフレで自信をなくすのではなく、安倍ノミクスに自信を失いかけている今、暴風で実が落ちる恐れの方が強まっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般