2015年02月

2015年02月28日

最近の市場の上昇理由?

中国人民銀行が貸出と預金の基準金利を25bp引き下げると発表しました。1年物の貸出基準金利は5.35%に、預金金利は2.5%とし、預金金利の基準を1.3倍に引き上げます。来週から始まる全人代を前に何らかの対策を打つと見られていましたが、先行して出てきました。全人代では成長率を引き下げ、ニューノーマルと呼ばれる中成長型経済への移行を促すとみられています。
しかし問題は、それ以上に経済の落ちこみが激しく、バブル崩壊に伴いマイナス成長に陥るのではないか? ということです。それを防ぐ手はいくつか聞こえてきますが、気になる話もあります。企業は収益力が低下したため、それを補うために業態を拡大しているといいます。製造業まで金融業、不動産業に手を染める。そうしたマネーが今、世界中に流れており、世界同時株高を演じている主因ではないか? というのです。こうしたものは確たる証拠も出てきませんし、中々分かり難いものですが、日本株については明らかに1月の3週目から、大きな変化が出ています。

投資主体別売買状況をみると、先週は外国人投資家の大幅な買い越しとなっています。しかも1月の3週目からはずっと先物は買い越していますが、昨年末から一貫して現物株は売り、1月の3週目から計算しても売り買いはほぼ均衡です。この時期は、2月末でもそうですが、3月末の配当権利とりで現物株を買っておくのがこれまででした。逆に、先物は売っておいて権利落ち後に先物を買い戻すことで下落を防ぐ、というのが一般的な戦略です。しかし今年はそれと逆になってしまっているのです。これから現物株を買う、ということは考え難い。先物で値段のつり上がった株価で、買うことになってしまうからです。先高期待、というのはこの辺りから出てくる話ですが、それにしても現物株を放置している今が本当に期待感をもった行動なのか?
残念ながら、今のこの状況を正確に読み解くのは困難です。一部、噂であった日本の金融関連の資金が流入している、としてもごく一部です。先物で2兆円以上買う、というボリュームをすべて説明できません。もしかしたら、ここに中国系マネーが雑じっているのではないか? そんな話も出てきました。しかもそれは、ただの運用ではなく、先高期待などでもない。一つには世界経済を下支えし、合わせて中国経済を盛り返そうという意図もありますが、もう一つは世界経済の首根っこを押さえることで、影響力を行使しようという意図もあるのではないか? そんな話まで、噂レベルでは実しやかに語られるようになっています。

中国が、仮に崩壊したときの下支え役はありません。あまりに中国経済が肥大化してしまったため、IMFや世銀でも不可能です。日米欧が資金を出し合って、何とか処理できるかも…というレベルです。しかし今のままでは、日米欧はその要求を呑まないでしょう。中国の構造改革やウィグル族、チベット族の問題に介入してくるかもしれない。それこそ人民解放軍の規模も、縮小されるかもしれない。そんな危惧から、今のうちに先物を大量保有しており、いざとなったら「売るぞ」と脅す。それが嫌なら、中国経済を破綻させるなよ、そんな材料に使う目的ではないか?
市場の噂なんて、根も葉もないものから、根拠らしきデータがあるものまで、様々にあります。しかし最近の市場は、そうしたデータすら無視した動きが顕著であり、憶測まがいの話まで出てくる始末です。正直、私も信憑性がどこまであるかは怪しいと考えていますが、中国が国家レベルで世界を『爆買い』している、となれば、国内で失った投資先ばかりのことではない、という説明には説得力もあります。これまでの投資家とはまったく異なる思考、発想で動いている今の市場に、新たな投資家層の登場を当てはめてみたとき、必ずしも噂と片付けられない話になってくるのでしょうね。

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2015年02月27日

1月経済統計の集中発表日

今日は1月の経済指標の集中発表日です。消費者物価指数は前年同月比2.2%の上昇ですが、市場予想は小幅に下回りましたし、下落傾向に拍車がかかってきました。原油安の影響もありますが、前年同月比では10%もの円安の中での水準ですから、どこかに歪みが溜まっています。
鉱工業生産指数は前月比4.0と、市場予想を上回りました。一部のメディアはこれを好意的に報じていますが、前年同月比では2.6%の減少です。まだ駆け込み需要に対応していた時期からの回復は遠い。在庫は前月比0.6%減、在庫率も3.5%減で、低下傾向ですが、前年同月比でみるとまだ高い水準にあり、在庫調整はもう一段すすまないと厳しいのでしょう。さらに2月は前月比0.2%増ですが、3月は3.2%減であり、先行きに低下傾向である点も注意が必要となるのでしょう。

労働力調査では完全失業率ばかり注目されますが、1月は正規雇用31万人増、非正規雇用33万人増とすばらしい数字なのですが、首をかしげるのは産業別就業者の数字と、この数字がまったく合致していないことです。毎月ズレのある数字ですが、形態別の雇用者の増減とまったく合わない、ということはありません。産業別就業者数は17万人増で、形態別の64万人増との乖離は、実に50万人近くあります。就業者数の47万人増と、計らずも合っていますが、自営業者の21万人減を加えなければいけませんので、これほど数字に首をかしげる統計もない、といえるのでしょう。
有効求人倍率は1.14と横ばいですが、12月は求人数、求職者数ともにほぼ同じ割合で減る、という離れ業を達成し、有効求人倍率は大きく変動しませんでしたが、今月もほぼ同じ割合で増える、という業は健在です。しかも今年に入って、ほぼ一定で倍率は横ばい、しかも求人数の方が高い状況はつづくのに、名目でも賃金は上昇しておらず、人手不足であるはずなのに異例な事態となっています。さらに労働力調査の高い就業者数に比べ、こちらの就職率は34%で横ばい。数字の整合性がつきません。ハローワークと労働力調査とでは、別次元の話をしている感覚です。

家計調査をみると、消費支出は実質5.1%減、名目2.4%減。実収入が実質2.3%減、名目0.4%増です。しかし労働力調査をみても、正規、非正規ともほぼ同じ割合で増えているので、これまでのように非正規が増えたから、収入が減少したという説明は通用しません。しかもこの消費支出と、商業動態統計がまた整合性がつかない。小売業の販売額は前年同月比0.2%減と、前年を下回るのは7ヶ月ぶりです。家計は小売業だけで消費するわけではありませんが、家計調査と、商業動態統計もまた、別の国の話をしているようであり、統計にすっきり肯けません。
2014年通年では、名目の実収入も0.7%減なので、家計はより苦しくなっています。唯一よかった鉱工業生産も、実はリニアの竣工に備えて立ち上げがすすんでいる面があり、それにより押し上げられている、という側面もあるようです。どの調査が、日本の真実を正しく報じているか? それを見極めるためにも、横並びでみてみる必要もありますが、今はそれをしても不透明で、また説明もつきません。一体、この国で何が起こっているのか? 経済統計にまったく信がおけなくなったせいか、日本の経済指標などはまったく無視して、株式も為替も動きます。ふわふわとした中で、溜まっていく歪みがいつどこで弾けるのか? それだけは正しく読みとらなければいけませんが、今はそれすら困難な時代になっているのかもしれませんね。

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2015年02月26日

雑感。政治と原発の問題

国会は今日も『政治とカネ』の問題です。西川前農相や、下村文科相への追及もでていますが、とばっちりは小渕前経産相でしょう。せっかく隠忍自重し、沈静化したと思っていた「ドリル優子」の異名まで、ふたたび取り沙汰されてしまう始末です。説明責任を果たしているわけではなく、責任論がもち上がれば再浮上する話となります。堅忍不抜という言葉は、じっと我慢して心を動かさないことですが、堅忍不罰となるかは安倍政権のクリーン度ともかかわってくる問題です。もし小渕氏、松島前法相、西川前農相がシロなら安倍政権が『政治とカネ』でクリーンなイメージを失うのであり、そのために誰が生贄になって、安倍政権のイメージ作りで政界を去ることになるのか? そのために穴を掘って頭を隠しておきたい心境なのでしょう。

しかし東電が汚染水を外洋に排出していた件も、1年近く東電は事実を交渉していなかったばかりか、原規制委も報告をうけ、そのままになっていたことが判明しました。当事者意識の低さ、一般の感覚との乖離は指摘するまでもありませんが、しかし一方でもしこの雨水とされる汚染水を東電が溜め込んでいたら、とっくにタンクが許容量を越えていたのかもしれません。つまり東電は、計画的にこの汚染水を外洋に排出することが、地下水のバイパスより重要だったのかもしれません。地下水のバイパスで海洋放出を初めてから、何度か海水のトリチウムの濃度も上がりましたが、もう一つこちらから汚染が出ていたのなら、経路は複数あったことになります。
しかも原規制委は「排水溝は雨水などがあり、コントロールできない」と認めました。菅官房長官は記者会見でも、むきになって「コントロールされている」と否定しましたが、原規制委の言うように、敷地内にもホットスポットがあり、それが雨で洗い流され、外洋へと流れてしまうことをこれまでも規制して来なかった。ノーコントロールだったわけですが、約1年公表が遅れた原因として、安倍政権に配慮した可能性があります。なぜならそれを認めてしまうと、制御できないことを認める、安倍政権の顔に泥を塗ることになると、東電側が気を使った面があるのではないか? そんな疑いさえ、今回のことは想起させる内容といえるのでしょう。

ここもと日本では、安倍政権の批判はするな、がメディアの合言葉のようになっていますが、東電とてそれは同じです。安倍政権が困ることはするな、それが汚染水の外洋排出を「公表すべきことと思わなかった」というイイワケにつながるのでしょう。最近、注目もされませんが、福島原発の事故から4年、山間地に降った雨で流された放射性物質が、川をたどって海へ、それが河口から浜へと打ち寄せているタイミングです。計測値をどこも公表しませんが、継続したモニタリングが必要ですし、こうして度々外洋放出があると、尚更その必要性を感じます。
農水族の西川氏、文科族の下村氏を、それぞれ大臣にすえ、顔を立てたつもりだったのが大失敗だった。顔に泥を塗らないよう配慮したつもりが、逆に政権にとって福島原発の問題を再考させるきっかけとなり、原発再稼動でさえ正当性を失いつつある。そんな安倍氏は首相として、日本の顔なわけですが、ヤジで沈痛な面持ちで昨日は答弁に努めていましたが、「面目次第もない」というぐらい、お粗末な内容ばかりが政界をはじめとする日本全体に今、広がってしまっているのでしょうね。



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2015年02月25日

戦後70年談話の議論について

内閣府の試算で、10-12月期の需給ギャップが-2.2%となりました。14年を通じてのGDPギャップは-1.6%であり、13年の-1.1%より増えています。これをみても安倍ノミクスは失敗しているのであり、かつこの水準で賃上げや、設備投資が増えるはずもない、と言えます。トヨタなどは昨年を越えるベア、一時金も満額、と伝わりますが、円安と外需に依存したものであり、極めて脆弱です。円高となり、海外経済が弱含むと、トヨタの経営は一気に苦境となるでしょう。
それを見極める意味でも、イエレンFRB議長の議会証言が昨晩行われましたが、予想通り言質をとらせず、利上げ時期は明確になりませんでした。経済指標をみて…というのは当然であり、かつ仮に利上げが開始されても小幅にとどまるなら、それほど意識する必要はないのかもしれません。ただ、歴史的な意義という点において、その時期を知りたいという人間的欲求からしか、今やこの問題は興味をもてないのでしょう。3月決算が、予想通りに過ぎたとして来年度7、8%の増益を達成するためには、1ドル130円の円安か、それだけ売上げを伸ばさなければなりませんが、その目処は立っていません。米国経済が堅調なら…といっても、昨年以上の伸びは望み薄です。

安倍首相が21世紀構想懇談会の初会合で、戦後70年談話に関する論点を提示しました。20世紀からくむべき教訓、戦後日本の平和主義などへの評価、日本が戦後歩んできた中国、韓国などの国々との和解の道、21世紀のアジアと世界のビジョンと日本の貢献、戦後70年の日本の施策、の5項目です。しかし一々項目を別ける必要はなく、最後の項目に「…と未来」とつければ、すべて網羅します。当然、これは戦後70年の談話ですから、対外関係の中で語るべきものですし、評価や和解の道などと指示すれば、具体的にはなりますが、議論の幅を初めから狭めてしまうことになりかねない。むしろ幅広く議論し、それを官邸が集約し、まとめればよい話です。
そんな中、東日本大震災の4周年にあたり、「国民の皆様へ」という談話が発表されました。これをみると、上滑りな印象を拭えません。「政府は復興をさらに加速するとともに、貴重な教訓を最大限生かし、常に最新の英知をとりいれながら…災害に強い強靭な国づくりをすすめてまいります」 冒頭と追悼式のお知らせを除くと、これだけの内容ですが、「教訓」が70年談話の論点と、かぶっていることに気づきます。しかし福島原発で汚染水漏れを発表しなかった東電をみても、教訓はまったく生かされていませんし、相変わらずNo Controlの状況と分かります。

最新の英知をとりいれたはずのALPSは、未だに綱渡りで停止を繰り返します。施設内の片付けすら手つかずです。東日本大震災から4年、というのは福島原発事故から4年です。災害に強いどころか、一時期の危険な状態からは脱したとはいえ、何もすすんでいないばかりか、ここに来て情報隠しをする始末です。防潮堤についても、住民コンセンサスが必ずしもとれているわけではありません。この「国民の皆様へ」を読むと、欠けている視点があります。それは住民の幸福、住民の満足を最大限に尊重する、という本来なら最大限に配慮すべきものが、抜け落ちているのです。
戦後70年談話がどういうものであろうと、恐らくは安倍氏と、21世紀懇のメンバーの幸福、満足をみたすものになる可能性が相当に高いのでしょう。それは国民の意思とは必ずしも合致しないのかもしれません。わざわざ中国、韓国を名指ししましたが、フィリピンやポリネシアも戦中の日本と、深くかかわった国々です。アジアとの関係で考えればよいものを、中韓に限定して何が出てくるのか? 少なくとも、歴史的な意義において良否ともども今後に「教訓」だけは、与えてくれるのかもしれませんね。

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2015年02月24日

安倍首相による外国人投資家向け講演

西川農相の問題で、国会は紛糾しています。真相究明のための資料提出と、基本的質疑について首相出席の上でやり直し、を求めています。当然、首相出席が終わった途端に辞表提出で幕引き、では都合がよすぎます。首相が2、3日火達磨になっても耐える、その決断ができなかったのは、ISILによる人質事件の追及とダブルでは精神がもたない、という官邸側の判断だったのでしょう。しかし結果的にそれが予算審議を遅滞させ、年内成立すら危ぶまれる。元々、解散、選挙で時間が切迫していたにも関わらず、余計な配慮がさらに時間を空費させる結果です。

そんな中、東証では日経平均が5連騰で15年ぶりの高値です。しかし今日などは、典型的な官製相場で、さらに前場の小幅安をみて官製の買いでじりっと上げたところ、18500円のコールを売っていた層が慌てて買い戻したことで一段高を演じたのであって、指数寄与度の高い銘柄が上がる先物相場だったともいえます。しかも昨日辺りからTOPIX先物型ではなく、日経平均先物型に戦略がシフトしてきました。ここまで上がればETFを保有する日銀としては満足なので、以前の形にもどした、とも言えます。というより、内需が拡大する観測は現状なく、限界だったとも言えます。
しかもここに来て「先高期待」と株高の理由も語られますが、10-12月期の決算をみる限りは市場予想に届かない企業も多い。原油安の影響は1-3月期からのりますが、そんなものはすでに織り込み済みです。今、改めて出てきた話でもありません。そこにきて、日経新聞では「実体と合わない経済指標」という記事をだしてきました。イイワケとしか読めませんが、少なくとも日経新聞とて他紙と同じで、各府省がだす報道用資料を元にしてしか記事を書いておらず、自ら調べたり、検証したりを怠ってきたことは事実です。「実体と合わない」ことを、紙面に載せてきたのですから、2年ぐらいの経済指標を丹念に追い、何が起きているかを明らかにする必要があります。

安倍氏が外国人投資家向けに講演し「エンジン全開の日本を買わない手はない」と、投資を呼びかけました。昨年には米国で「buy my Abenomics」と講演し、「bye-bye Abenomics」と揶揄され、実際に黒田バズーカ第二弾が発表されるまで、売り越しを続けました。
今週に入ってやっと日本企業への大型TOBが出てきました。雪国まいたけがそれですが、これは創業家の影響力低下を狙い、融資する銀行などが同意したもので、友好的なものです。ただ、現状の円安でも海外投資家が日本企業を積極的に買ってこない。株式市場でさえ、先物が主力で個別株には興味ない。この状況は、明らかに日本経済に対して不信をもっていることを意味します。外国人投資家が評価しているなら、この円安でバーゲン状態の日本企業を、それこそ爆買いしているはずです。メインバンクの力も弱まり、従米主義の安倍政権では、政界、財界の妨害も少ないでしょう。大企業はムリでも、新興企業や2部銘柄などは、簡単に買収できるぐらいの資金を外国人投資家は有しています。それでも買わない。日本経済が信用できないからです。

今、日本はエンジンをフルスロットルで吹かしているが、すでに息切れ、燃料切れ、あとは落ちるだけ、が海外の合言葉です。官製相場が崩れれば、日本からはいち早く逃げ出す算段もできているでしょう。「先高期待」というカタログスペックだけを上げて、燃費などが実際と乖離している、などはよくみられるケースです。それは日本の経済指標と、実体との乖離と同じで、そんなものだと諦めるか、そこに見切りをつけて買わないか、と言えば外国人は「買わない」という手しかないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年02月23日

西川農相の辞任

西川農相が辞任し、林前農相が再登板となりました。西川氏は辞表を提出し、自ら辞めたとアピールしますが、そうしないと政治家生命すら危うい、という判断が官邸、西川氏とともに働いた末のことです。しかも今回、安倍首相がヤジをとばし、そのヤジの理由として民主議員が補助金をうけている日教組の運営する、教育会館から献金をもらっているのは同じ構図だ、といった答弁をしたことが間違いだった、という事情もあります。つまりこれが、西川氏の問題から、安倍氏の問題へと拡大し始めた。この火消しに、今日の辞任へといたったのです。
しかし一部のメディアでは西川氏は悩んでいた、や苦悩していた、といった報道もありますが、少なくとも会見の姿を見る限り、そうしたものは微塵も感じません。むしろ先週は擁護する姿勢をみせていたのに、安倍氏の失言により自分が追いこまれた、という苦虫を噛み潰すような思いが滲むものです。そもそも辞任を決めた時期を聞かれ「とっておきましょう」というのは、後々何かの機会に暴露するかも…というニュアンスを含ませた。それは安倍官邸、自民党への、党要職として遇せ、もしくはTPPに深く絡ませろ、という恫喝じみた言葉にすら聞こえます。

しかもこの問題で、産経新聞が西川氏の問題を追及した、民主党の玉木議員の醜聞としてだしたグループ会社8社から280万円分、政治資金パーティー券の支払いをうけた、というものが、まったく違法性がないものであり、また西川氏自身が「玉木氏の醜聞」について事前に洩らしていた、と伝わること。さらに玉木氏が記者から「上からの命令」「問題ないが…」と云われていたことなどを明らかにし、産経による醜聞つぶしのための醜聞だったのでは? との見方もできるなど、問題が大きくなる気配もありました。もし玉木氏の件がアウトなら、自民党議員の大半がアウト、というものですから、産経の報じ方には明確な意図が読みとれます。それは官邸とメディアの癒着を、事ほど左様に明らかにするものであり、くり返し掘られたくない話題です。
つまり今回の件が、西川氏の問題から自民の問題へ、拡大する前に対処する必要に迫られた。菅官房長官らしい決断ですが、そもそも守りの苦手な安倍氏の心的負担を早めに減らす、というのが最大の理由かもしれません。安倍氏が嫌がっただろう、予算委の議事録訂正を認めさせたのも、事実と異なることを、しかもヤジで発するなどの失点を重ねた挙句、長引かせるようなことをしては、政権がもたないという菅氏の判断があったものと思われます。

しかしこれで、安倍改造内閣では3人目の閣僚辞任です。任命責任について安倍氏は言及していますが、『責任』とは「悪い結果となったときにうける損失や罰」についても用いられます。つまり任命責任とは「任命する責任」を負うこと、ではありません。安倍氏は淡々と「任命責任はある」と述べながら、その果たすべき義務については何も語らないばかりか、義務がないかのような態度を貫きますが、任命した人間に問題があった場合、責任をとらなければならないのです。
西川氏についても説明責任を果たしていない、と安倍氏本人が認めました。これは説明という義務を負うことですが、説明が果たされなければ、そこには「損失や罰」が生じます。それが単に、大臣の辞任で済むことなのかどうか? 安倍政権では、自己責任論ばかり語られますが、リスクのある人物を閣僚として起用したことは責任から除外される、任命した閣僚が3人も、半年も経たずに辞任するにも関わらず、責任もとらないのであれば、この国で『責任』について考えるとき、国民は誰も『責任』をもたない、もてないことになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年02月22日

雑感。使用済み燃料棒の中間貯蔵に関する提言

福島第一原発で、港湾へとつながる排水路に、高濃度の放射性物質が流れる警報が鳴りました。一部は流出した恐れがあるとされます。東電は上流で泥をとりのぞく清掃をしたことが原因、としますが、そうなるとそこの泥には元々高濃度の汚染があったことになります。作業計画はどうなっていたのか? 被曝の管理からも明らかとなるはずですが、そうした情報は出てきません。それに、泥にそれほど高い汚染があるなら、施設全体のサーベイをもう一度やり直す必要があるのではないか? 線量管理の杜撰さによって、毎回こうした排出騒動をおこすようでは、漁をする人もたまったものではありません。外海に洩れたかどうかは確認できませんが、風評被害ばかりでなく、実害としても放射性物質が度々漏れ出しているのですから。

日本学術会議の検討委員会が、使用済み燃料棒を電力会社ごとに一箇所以上、保管場所を確保し、当面は地層処分を見合すよう、提言しました。事実上、地層処分については再処理すらめどが立っていない状況ですが、使用済み燃料棒を50年、空冷で管理するという提案も、若干の不安を感じます。燃料棒の被覆管も劣化しますから、空中で湿気にさらされると、その分酸化がすすみ、脆くなります。水中なら酸化は遅いので、被覆管の劣化という面では有利です。また燃料棒の間を広くとらなければならないなど、施設の大きさも問題となってくるでしょう。
一方で、水冷だと福島と同じように汚染水の問題が残ります。トラブルがおきて漏洩した際の影響は甚大です。空冷だと揮発する可能性もなくはないですが、フィルターを設置すれば防げるなど、トラブルの対応は楽になります。一長一短ありますから、慎重にする必要があるのでしょう。ただ問題は、原発の敷地以外で保管施設をつくれば、地方自治体への補助金も大量に必要となるでしょうし、それ以上に安全な立地があるのか? という問題があります。原発よりリスクは高くない、といっても未だに明らかとなっていない活断層があったり、噴火の危険が高まったり、とどこも安全を担保しつつ設置できる場所がありません。

また地元の理解が得られるか、という問題がつきまとうでしょう。原発なら関連産業で街の活性化が図られても、保管施設ではそうした恩恵は微々たるものです。福島原発からでた汚染土の中間貯蔵施設でももめたように、単なる貯蔵施設にはリスクに見合うだけの補助金がないと、受け入れるメリットがない、という問題がつきまといます。結局、そうした施設をつくれば、原発はさらに高コストの発電方法となり、続ける意義も失われます。そうまでして原発を使い続けるのか、という問題との兼ね合いから議論しなければならないのでしょう。
原油安で、火力を使う方がメリットも高まりました。原発の再稼動を急ぐ必要性も薄れたのです。安全対策をすればするほど高コスト、という現状を考えると、安全をほどほどにして動かさなければいけないほど、日本のエネルギー需要が逼迫しているわけでもなく、兼ね合いで考えるなら、今は火力で十分という話になります。福島原発で度々おきる漏洩の問題を考えると、安全対策をきちんと行った上で作業するより、ほどほどの対策で少し洩れるぐらいなら仕方ない、という考え方が透けてみえます。原発のコストが低いのは、安全性が低いから。そうしたバーターで発電を正当化するなら、リスクの高騰によって、原発関連施設の建設は、住民から拒絶される原因ともなってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2015年02月21日

ギリシャ支援延長で合意?

中国のレノボ社が発売したパソコンに、重大なセキュリティーホールが発見されました。NECとパソコン事業で提携するなど、世界的な巨大企業に成長した企業としては、あまりにセキュリティーがお粗末です。かつて台湾メーカーも深刻なトラブルを抱えましたが、パソコン事業は新規参入が意外と容易なだけに、メーカーの選別もまた、商品選びには重要なのかもしれません。ただ、ソニーから分社したVAIOがプロ仕様のパソコンを発表したように、安価でネット接続と簡単なオフィスが使えるようなものと、本格的な分野と、二極化がすすむのかもしれません。
心配なのは、世界的な大問題に発展しているにも関わらず、日本政府の反応が伝わってこない点です。政府機関に導入されていたら? 職員がもちこんでいたら? 民間企業でも同じように、機密情報が抜き取られる恐れがあります。こうした点にもお役所仕事、情報を得てから国民に発信するまで、時間がかかる体質が見え隠れします。国民に注意喚起することなく、これも自己責任で済ますなら、この政府の怠慢は、重大なセキュリティーホールと言えるのでしょう。

ユーロ圏財務省会合において、ギリシャ支援が4ヶ月延長されることで、ギリシャと合意がすすみました。週明けまでにギリシャから提出される財政計画案を欧州委員会、ECB、IMFのトロイカが認めれば…という条件つきですが、これを好感して欧米の株価は上昇しています。しかし正直にいえば、ギリシャの提案が満足できる内容、とはとても思えません。ギリシャ政府は緊縮策を含む内容を提示すれば、ギリシャ国内で暴動がおきるかもしれない。政府は転覆するかもしれません。一方で、緊縮策のない内容でもトロイカが認める可能性があります。4ヵ月後、その進捗をみて再判断する、という形ですが、その場合だと違う国に飛び火する可能性があります。
スペインも今年、選挙を控えています。ギリシャが甘い条件で支援をうけられる、となればスペインの反緊縮派を勢いづかせます。それはユーロ圏を崩壊させかねず、反ユーロ勢力すら育てかねなくなります。さらに、世界が一義的には通貨安、ひいてはバブルを起こそうと異常な金融緩和い舵をきる中、財政出動をくり返せば、いざバブルが崩壊したときの痛手は国すら破綻させるでしょう。万に一つの可能性にかけるなら、危険なギャンブルのようにも見えます。

しかしギリシャには切迫した事情がありました。資本規制導入が噂され、国内銀行の預金流出が起こっており、またギリシャ国債の担保価値の喪失から資金繰りに行き詰る。銀行倒産から、国内企業の連鎖倒産にいたる恐れすらありました。ただ仮に4ヶ月先送りしたとて、その状況に変わりないでしょう。独国をはじめとした、欧州圏はウクライナ問題でも合意を焦り、今回もまたそうなった。停戦合意が守られず、未だに火種がくすぶるように、安易な合意による時間稼ぎは、いずれ問題が深刻になったときは手遅れ、という状況に近づくだけです。しかし欧州の首脳とて政治家、言ってみれば国民から負託されたとは言え、仕事でやっているに過ぎず、問題を解決するよりは事なきを得ず、という方向でまとめたくなるのかもしれません。
しかしこの合意をうけ、市場が上昇したのには違和感があります。不透明感の払拭、といってみたところで、これまでギリシャ問題の悪材料でもみ合っていたならまだしも、各国の市場とも高値圏にあり、解決することを前提にそうなっていたからです。しかし例えば米国でも、原油安にも関わらず石油関連企業の株価は下落していないように、実情との乖離が顕著になっていることは、間違いありません。ギリシャを自己責任と切り捨てなかったユーロ圏。ただ、そこにぽっかりと空いたセキュリティーホールは、極めて深刻なトラブルを後に起こすことがほぼ確実なだけに、時間稼ぎの代償は今後、高くつくことになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | 政治

2015年02月20日

雑感。安倍首相のヤジ

経済財政諮問会議において、黒田日銀総裁が5分以上にわたって国債のリスクについて説明したものの、それは議事録から削除され、箝口令まで敷かれていたと報じられます。日本国債は、昨年末に一部格付け機関から格下げされていますが、中韓より信用力が低い、という位置づけです。国債がリスク資産へ、今のギリシャなどがそうですが、そうならないよう求めた黒田氏の意見を、市場に影響をあたえる可能性があるから、と議事要旨にも載せない。オフレコと断っているようですが、重大な指摘であれば、むしろ膝をつめて話し合うべきなのでしょう。
日銀はすでに国債の大量保有を果たし、今後も増える見込みです。しかも、本当にインフレとなるなら、その国債の価格が下がり、日銀は大きな損失を被ります。国債は安全資産どころか、自由に売買できない買い切りのやり方では、それ自体がリスクとなりうることを意味します。そこに、格下げによる価格下落が起きると、日銀の資産に懸念がつく。そのときは日本国債、日銀ともども、仲良く二人三脚しながら奈落の底へと駆け足で落ちていくことになってしまいます。

安倍首相による「日教組」ヤジ、その理由が本人から語られました。西川農相の「精糖工業会と精糖工業会館とは別法人」との説明を追及する民主党議員も、日教組が補助金をもらって教育会館から献金をうけている、と指摘するためのものだそうです。しかしその考えでは、相手がやっているから自分たちもやっていい、と聞こえます。追求する資格がない、ブーメランだという話なら、安倍氏は物事の本質をわざとずらしていることになります。しかもヤジで。事の善悪について論じるのではない、という点に不誠実さと、厭らしさしか感じません。民主も同様ですが、この件がセーフなら補助金をうけている企業、団体は献金し放題になります。別法人や団体をつくれば、迂回献金ができてしまうのですから。結局、安倍政権では政治資金の透明性について、本気でとり組む気がない、ということがこの一事からでもはっきりします。
このヤジで双方を諌めた大島委員長を「大岡裁き」などと、一部メディアはもちあげますが、ちなみに大岡越前守は大岡裁きとよばれるものは、実際には行っていません。すべて芝居上のことです。江戸時代の芝居にルーツをもつ時代劇はすべてフィクションであり、水戸黄門などは旅と勧善懲悪をくみあわせた、現代でいえば二時間ドラマと同じプロットの作品です。生類憐みの令の折、ネコを殺して橋にかかげ、庶民から人気がでた副将軍を主人公に据えただけの話です。実際の大岡裁きのように、ヤジを注意するぐらいが関の山で、委員長としての職責を果たしただけです。墜ちた首相の品格は、そんな報道ぐらいで回復することもないのでしょう。

NHKの籾井会長は、民主議員の挑発にのって激昂する場面が報じられます。安倍氏のために山口県、女性で決めた大河ドラマ「花燃ゆ」が視聴率の悪化で、オーバーな演技、演出が横行している、という話を耳にします。大河は歴史と人との関わりをみるもの、という従来路線を逸脱し、男女間の内輪の話に終始し、つまらないという話も聞きます。上が現場に口出しすると失敗する、そうした例に今回のケースも該当するのでしょう。経営上は失敗ですが、NHKにそれを是正する力もありません。経営委員もお友達ばかりで、一つのメディアが簡単に牛耳られてしまうことを、今回は露呈しています。キレ易い会長、というイメージもまたNHK離れを促します。
トップはその組織の顔です。人柄でさえ評価されるからこそ、高い給与をもらうことも正当化できるといえます。人をヤジったり、激昂したり、そんな人間の人柄が、その組織を映すとしたら、下にいる者はうんざりするばかりです。今では生類憐みの令も、現代日本につながる命を大事にする、そうした道徳心を喚起した善政だった、との評価もあるほどです。もし歴史に学ぶなら、北町、南町と奉行所を別け、それが交代で江戸の政治を担当したように、政治を抜本から変える努力をしないと、安倍政権は歴史上の敗者になることがほぼ確実な状況なのでしょうね。

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2015年02月19日

14年9ヶ月ぶりの株高

1月の貿易統計が発表され、1.1775兆円の赤字でした。予想は1.7兆円程度の赤字でしたし、前年同月比では赤字幅が57.9%も減っています。輸入が9%の減で、これは原油安の好影響とみられます。しかし一方で、17%も増えた輸出には注意も必要です。欧米向けに自動車が増えたことは原油安の影響ですが、欧州、アジア向けに船舶がのびています。船舶は納期に応じて計上されるもので、特殊要因です。予想との乖離もこれで説明がつくため、いわば今回は予想通りといった内容になります。しかも原油を輸入しない、生活用品が多い中国からの輸入も、6.9%減です。米国からの大豆の輸入も19.4%減など、内需に明るさはまったくみられない点は要注意です。

今日は話半分ぐらいに読んで下さい。市場の噂話です。2月に入ってから、いきなり市場の売買高が増え、今日は14年ぶりの高値をとってきました。メディアはその理由を様々に語りますが、ほとんど旧聞にあたり、目新しい材料はありません。期待を盛り上げるような材料もありません。相変わらずマクロの指標の改善は鈍く、ミクロはすでにドル/円で120円程度の業績改善は、織りこみ済みです。欧州の問題も、ウクライナの問題も、ISILの問題さえ一向に解決できない。日銀の追加緩和でさえ、今となってはできるかどうか、曖昧となってきています。実はメディアも、今回の株高に説明がつかず、後付けで旧聞をもちだして語っているに過ぎないのです。
そこで、でてきた噂があります。今回はほとんど米系のTOPIX先物買いで説明がつきますが、その資金の出元が、日本の金融関連だというのです。あえて金融機関とは書きませんが、日系の証券会社に委託すると目立つので、米系の証券会社を介してTOPIX先物を買っている。その理由は、日銀に損をさせないため、というのです。つまり日銀が今、TOPIX先物のETFを大量に買っていますが、3月末でこれが損失をだしていると、日銀が11月にうった追加緩和の妥当性が問われます。さらに追加緩和を打ちづらくなる。年度末に日銀が黒字を計上することが、日本経済を支える上で絶対に必要。その号令の下、TOPIX先物の大量買いを続けているというのです。

その情報を聞きつけ、欧州系なども動いており、一大騰勢相場が演出されているというのです。日本の金融関連とて、それで損をすれば元も子もありませんが、TOPIXが上がれば指数寄与の高い金融機関の株を、買わざるを得なくなります。それはポジションの再構築を巻きこみ、一段高となる。金融関連もウィン・ウィンです。そして下がれば日銀が買う。官製相場に、満を持して登場したアンカー。それが日本の金融関連であり、「日本が一つになって…」株を買い上がる、という構図の最終段階に来ているのでしょう。あくまで噂ですが、それを裏付けるとみられるデータもあり、中々にして信憑性が高い話なのかもしれません。何より、日本の金融機関も収益機会が奪われ、運用先に苦しんでいたこともあるので、尚更真実味を帯びています。
気になるのが、プットの下の方を欧米系が買っていることです。ポジションの巻き戻しか、ヘッジか、見方は様々ですが、どうせこの買いは続かない、と見てのものなら警戒も必要でしょう。さらに今は、各国でも金融機関の自己売買について、規制の先送りをしていますが、金融機関がリスク資産を蓄えることはあまり好ましいことではありません。サブプライムローン問題以後、結局は手つかずの金融機関の自己資本に対する規制は、次の危機を準備しているとも言えます。

あくまで噂の域を出ない話ですが、安倍政権の下なら、こんな話も実しやかに語られます。情報番組のプロデューサーが「安倍政権批判はしないでくれ」とコメンテイターに依頼するなど、韓国よりも『報道の自由』がない国、と海外から評されるほどです。しかも安倍政権になってから、順位を下げている。そんな国では、金融関連が日本の株を吊り上げるために資金を出していても、一向に不思議はありません。全体主義による株高、そこに透けて見えるのは、実態と乖離していくことであり、浮かれているばかりではいけない、ということなのでしょうね。

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2015年02月18日

日銀の金融政策決定会合について

東北電力の東通原発で、敷地内に活断層があるとの報告が、原規委でもほぼ妥当とされました。それでも再稼動の審査をするというのですから、恐ろしい話です。東北では震災の余震とみられる地震もありましたが、日本では原発が稼動している間、何ごともなく平穏にすぎて欲しい、と願いながらでないと、原発を動かしてはいけないのかもしれません。

日銀が金融政策決定会合を開き、政策の現状維持を決定しました。黒田総裁は会見で、輸出と生産に「持ち直し」とし、消費については「駆け込み需要の反動の影響」という文言をやめ、「底堅く推移しているが、一部で改善に鈍さ」という表現に改めました。まず輸出についてですが、12、1月と米個人消費が弱含んでいます。どうも、米国では冬を前にして買い溜めが起きているのではないか? との観測があります。今年も米北東部には寒波が襲っていますが、氷点下に達するほど厳しいものです。冬の前の買い溜め、これが9-11月の消費を大きく押し上げ、それが日本の輸出にも寄与した可能性があります。年明けかが米製造業のマクロ指標が弱含んでいるように、消費の先食いによる反動減の影響が残っているなら、決して輸出が堅調に推移する、ということもないのでしょう。そうなると、日本の生産も今後落ちていくとみられます。
しかし毎月勤労統計(確報)をみると、昨年の賃金は前年比0.8%増、実質では2.5%減です。しかも製造業の雇用は0.3%減。これでは消費が伸びるどころではありません。生産も増えているなら、製造業の雇用も増えているはずです。その辺りは家計調査でもはっきりと現れていて、総世帯の消費支出は前年比、実質で3.2%減です。2014年を通じてみると1-3月期1.5%増、4-6月期5.7%減、7-9月期5.3%減、10-12月期3.3%減なので、改善してきているとはいえますが、反動の影響が消えたわけではない、と示しています。日銀の判断を変える材料になる、とは言い難いものです。

中国は春節に入り、日本にも旅行客が殺到していますが、日本の消費はほぼ外国人旅行客によって改善している、といえるほどです。日本は安倍政権になって、とても恥ずかしい国になってしまった、と言えるのでしょう。国民が高くて買わないものを、外国人が買い漁るのですから。それも円の価値が下がった結果、日本が安売りしている、とみられているためです。
黒田総裁は円安で輸出が増える、としますが、それに反して企業は海外M&Aに躍起です。製造業は雇用が減り、総労働時間も減っている。これで輸出が増えるなら、かなりの効率化を達成しないとムリ。黒田氏の判断は、どうにも承服できません。もっとも訝しいのは、追加緩和について「マイナスの効果はない」とする点です。為替にも、債券市場にも悪影響が出ている。これは間違いありません。自身のイイワケに終始した、そうとしか思えない会見だったといえます。

昨年の消費支出で、もっとも大きく減ったのが教育です。元々金額は大きくありませんが、実質で前年比8%も減っています。子供にしわ寄せ、という悪いパターンであり、教育格差はますます広がる方向なのでしょう。黒田日銀が、遮二無二インフレを目指す結果、実質の数字は減少がほとんどですが、問題は名目の数字でも、減少がめだってきたことです。家計がますます苦しくなり、日本は経済的にも、どこに活断層がうまっているか分からない。いつ激震が襲ってもおかしくない、そんな状況なのでしょうね。

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2015年02月17日

安倍首相による代表質問への答弁

ユーロ圏財務相会合が、ギリシャへの支援を協議したものの、ギリシャは拒否しました。市場はどうせ解決する、と楽観しますが、もしギリシャが現在の支援プログラムを受け入れるなら、政権は崩壊し、再選挙となります。一方でEUが妥協を示せば、他の支援をうけている国々も条件の見直しを要求し、反EUの動きにつながりかねず、落としどころが極めて難しい問題です。

日本の国会は、安倍首相の施政方針演説に対する代表質問が衆院で行われています。その話の前に、安倍氏の取り巻きは醜聞つづきです。一昨年、安倍首相直属の教育再生実行会議のメンバーだった曽野氏が、アパルトヘイト容認とみられるコラムを産経に掲載、内外から批判をうけています。内容は詳述しませんが、国が命じて住居を別ける、など極めて差別的な内容だけに、海外メディアもこぞってとり上げるなど、炎上しています。日本の教育実習制度さえ、海外からは奴隷契約とも言われる状況ですから、尚のこと騒動は広がり易くなっているのでしょう。
同じ作家の百田氏の小説が原作のドラマが、テレビ東京の開局50周年記念番組として大々的に広告をうちながら、大惨敗と伝わります。痛キャラ、とも揶揄されるようですが、発言や態度が物議をかもし、人間性に疑問がつくことで作品も魅力をなくす。あまり作家ではみられないパターンですが、作家自身が前面にでるようになると、歌手や俳優などの人間性を重視する人気職業と、同様の形がみられるようです。NHK経営委員も退任するなど、まさに凋落の一途です。

西川農相が、国から補助金をうける精糖工業会館や木材加工会社から献金をうけていた問題。これは政治資金規正法上アウトです。西川氏は弁明しますが、農相の能力がない、と述べているようにしか聞こえません。補助金がどの団体に流れているか、を全く知らないというのですから。自民党の石井議員には日歯連から、政治資金規正法が禁じる年間5千万円以上の寄付を迂回献金で果たすなど、法に抵触するのは明々白々です。それでも安倍政権は擁護します。なぜならこの政権に遵法意識や、規範を守る意思は初めからありません。憲法は改正する、経済はうまくやったもの勝ち、の新自由主義。自分たちを批判する者は攻撃し、排除する。これで政治家の政治資金だけ、清廉潔白を求めていたら、それこそ違和感が先に立ってしまうでしょう。
なので、首相の答弁も殊更に自身の態度とは真逆のことに終始します。21世紀こそ人権侵害のない世紀に、頑張れば報われる社会に。いずれもそうでないから、発言せざるを得ないのです。格差について問われても「色々な指標があり…」と述べ、否定しますが、その色々な指標の一部を抜き取って、自らの成果のように語るのは安倍氏本人です。これだけ自分に都合よく、解釈を捻じ曲げていたら、それこそ本来は貫かれるべき『正義や道徳』も歪むのでしょう。

靖国参拝では「国のために尊い命を犠牲にした方に冥福を…」と述べますが、人質になって犠牲になった方は、首相としては一顧だにしないようです。兵士だけが英霊として祀られる、これでは「人権が尊重される成熟した社会」など、到底ムリです。誰もが等しく、同じ権利をもち、同じように扱われる社会。戦争で亡くなった人なら、誰でも同じように祀られるのなら、首相が参拝することにも意味があるのかもしれません。命に色がついているようにしか見えない、この政権では答弁すればするほど、その態度との乖離が腑に落ちなくなります。欧州は落としどころがみえませんが、日本は色々な問題に、落とし前さえつけられない状況に陥っているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年02月16日

10−12月期GDPについて

日本の10-12月期GDP速報値が発表され、実質の季節調整値で前期比0.6%増、年率で2.2%となりました。市場予想の3%台後半をかなり下回る数字であり、エコノミストの面目は、次第になくなってしまうのではないか、といった状況です。これで2014年は通年で見るとゼロ成長、14年度はマイナス成長に陥ることがはっきりしてきました。さらに今回は中身がよくありません。
消費は前期比0.3%増ですが、一部で言われていたような増税先送りによる需要や、原油安に伴う需要はおきていないことが示されます。増税先送りによる需要はない、とは以前から述べている通りですが、原油安とて安倍政権の発足当初から比べると、ほとんど下がっていません。その間、実質の賃金は目減りを続けたので、実は0.3%増にほとんど吸収されている、と言えるのでしょう。逆にそれがなければ、消費もマイナスだった可能性が高いとみています。

民間住宅は実質で前期比1.7%減ですが、最近では広告も増えたように、供給サイドは活発であるものの、投資対象になりにくい物件の買い手はないようです。住宅エコポイント制度が復活しますが、駅近や利便性にすぐれる物件と、不便な物件との価格の二極化が深刻です。その原因はマネーの暴走であり、住民がいないのに価格が高い、という状況に陥りかねません。公的需要も増税対策で4-6月期に大きく上がった結果、金額は膨大な額を維持しているのに横ばい圏で、成長への寄与度が低い。公共工事の目減りは、今後マイナス寄与度を大きくする要因です。
今回、もっとも伸びたのは外需です。輸出は2.7%増、輸入は1.3%増。輸出は米国向け自動車、中国などへのハイテク部品の伸びが寄与していますが、米国は12月から消費が減速傾向ですし、恐らく今後は中国から格安スマホ、格安パソコンが大量に出荷されます。世界中で原油安の好影響はまったく見られていない、という中ですから、今回は一時的とみて間違いありません。むしろ世界が陥っている需要不足を、原油安は加速させるのではないか? との観測もあります。

国民総所得(GNI)が実質で前期比1.7%増ですが、これは2期連続マイナスだった反動と、一時的な輸出の伸び、それに原油安による輸入額の減少が大きいのでしょう。雇用者報酬も前期比0.1%増ですが、4-6月で大きく下がった水準からは、まだ遠い状況です。世界は原油安によるディスインフレ、デフレを怖れていますが、実は賃金デフレによる影響の方が大きくなっています。しかも見た目の賃金ばかりでなく、失業率も合わせると、世界全体が需要蒸発の状況なのです。
最近、安倍ノミクスと安倍氏本人も使わなくなりましたが、今では安倍ノミステイクというのが評価として定着しています。それと同様、エコノミストがGDP予想を外すのをエコノミステイクとよびます。実は、GDPを予想するときにもっとも大事な、賃金デフレを過小評価しているのでは? と噂されます。つまり日本はこれまでデフレ状況でしたが、賃金デフレは緩やかだったのに、安倍ノミクスが開始されてから賃金デフレが急激になってしまった。それは円安の影響で、物価高を招いていることが影響しており、原油安ぐらいでは回復が困難になってしまっているのです。つまり生活が苦しい人は、すでに自動車を手放していて、恩恵が少ない。地方でも燃費のいい軽自動車などが増え、それも原油安効果を出にくくしているのであって、根本の賃金がインフレ状態になって、数年が経たないとこの国の経済は本格的に回復しないのではないか? とさえ見られます。ミステイクをしているのに、誰も見直さない。ミステイクを指摘することさえできない、という日本では、最も改革しなければいけないのは為政者の経済に対する考え方、というところから始めないと、失敗し続けることになるのでしょうね。

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2015年02月15日

雑感。水素社会と原発

政府が水素発電所、液化水素用の輸送船、石炭からの水素抽出、などを支援する方向を示しています。2030年までに自家用発電や、事業用発電を導入する見こみですが、気になるのは石炭から水素を抽出する点です。これだと化石燃料を使っているのと同じなので、水素社会を実現しても、二酸化炭素の排出量は増えてしまいます。実際、発電するときは水しか出さずとも、その分の石炭を地中から掘り出さなければならないのですから。日本には多くの『使える樹木』があるのですから、バイオ技術などをつかって、水素を抽出することを研究した方が、より環境への寄与も大きいはずです。安価で水素が抽出できるとなれば、より安く製造できる新興国などに技術移転がすすむ恐れもありますが、環境破壊となる森林伐採には、国際的に一定の歯止めをかける。そうした合意をつくるまでが、日本の務めでもあるのでしょう。

高浜原発の3、4号機の安全審査の合格証にあたる審査書を決定しました。微妙な言い回しなのは、これで再稼動できるわけではないためです。関電だけに、今後の手続きに遅れが生じる可能性は否めず、秋ごろを目処とする再稼動もどうなるかは分かりません。ただ、電力会社には今、かなりの追い風が吹いています。それが原油安です。火力発電用の燃料価格が大幅に下がったため、実は今後、原発を再稼動しなくても収益は自然と改善していきます。今はまだ高値で契約した分をさばいていますが、春ごろにはその効果も出てくるはずなのです。
しかし、電力業界からも最近、原発は高コストとの発言が相次ぎます。1年間に1度は定期検査をしなければならない。実は、政府が公共工事を乱発したため、原発作業員が激減しており、しかも福島原発の処理で、多くの作業員が被曝量をオーバーしそうなほどで、今年から再稼動などをすすめても、来年の定期検査をうまくこなせるか? といった不安が残ります。どんどん再稼動をすすめても、1年後に続々と止まるようでは、それこそ高コスト運転となるでしょう。

さらに、原発はウラン燃料を用いますが、再処理を日本で行えば、それもまた高い燃料費となります。技術の進歩で、それこそ水素社会が実現すれば、原発の高コストは浮き彫りとなるでしょう。しかも高レベル廃棄物は溜まる。低レベルの中間貯蔵施設でさえ、あれだけもめるこの日本で、高レベル廃棄物を今以上に増やしても、処理できるとは到底思えません。それこそ一体どれぐらいの処理費用がかかるのか? これは原発につきまとう業です。福島原発では、トレンチの埋め立てもすすみますが、凍土壁の前提としても、その凍土壁ですら成功するかは不明です。汚染水処理施設ALPSも、トラブル続きでぎりぎり運転している状態ですが、原発は完成された技術ではなく、常に新たな事象に対処せざるを得ない点も、高コストと言えるのでしょう。
水素社会が実現するまで、とりあえずで使うにしては、原発はそれに見合うレベルの発電方法ではない、というのが現状です。一時期さわいでいた原発輸出が頓挫しているように、世界も原発へ懐疑的となっています。原発に利用されるウランは、極めて重い原子ですが、それがもっとも軽い原子である、水素に置き換わる。物質も崩壊してより軽く、小さくなっていくのなら、水素を効率的ににとりだし、有効に利用できる社会が、軽くてソフトな社会という物事の本質にはあっているのでしょう。そうした社会をいち早くつくることが求められるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 原子力

2015年02月14日

株式市場の動きと、円安の持続性

昨日、あえてとり上げなかった米国ですが、ISILへの武力行使容認決議案が議会からの反発をうけています。中途半端な介入は意味がない、というのですが、実は中東にはもう一つ、イエメンの混乱があります。ヨルダンでもそうであるように、民衆蜂起の素地は整っており、政府の弱体化がすすめば反政府組織が容易に政権にとって代わる。日本の戦国時代のように下克上がおき易くなっているのです。米軍を配置しても、どこでオセロのように味方が敵にひっくり返るか分からない。孤立化する危険もあって、大部隊の投入は困難なのが実情です。

そんな米国では予想外のことがおきています。米雇用統計が堅調で、原油安もあって消費が活況…とはいかず、2ヶ月連続で小売売上高が低下しました。賃金は、米各地ですすんだ最低賃金の見直しで上昇しても、本来消費に活発な中間層が、それほど恩恵をうけていない。もしくは自動車サブプライムローンや、家賃の高騰などが、消費を抑制的にしているとみられます。
米消費の鈍化は、世界経済に影響します。QE3などの金融緩和と、産油国としての急成長が米景気を押し上げてきましたが、その両輪に翳りが出てきた。雇用が堅調でも、消費への波及が少ない。ドル高の弊害も目立ってきた。そこで、G20でも通貨安を牽制し、さらにドル高は国益…としながらも、ドル高を容認しない姿勢を米高官が示し始めました。これは米要人から原油安牽制発言が出てきてから、原油が下げ止まったように、ドル高になりにくくなったことを意味します。

その流れが、実は日本株の堅調につながっています。12日の大幅高は、日経平均先物に欧州系、TOPIX先物に米系の大口買いが入ったことが影響します。円安、株高を狙った動きですが、週末の米取引で、日経平均先物が18055円をつけています。円安でもないのに株高、意外なようにみえて、米高官がドル高牽制発言に舵をきったことで、今後はドル高になりにくい。つまり円高志向が強まります。今、安いうちに株を仕込んでおけば、利幅がとれると米系はみているのです。
これは米投資ファンドによる、温泉旅館チェーンの買収にも現れます。上場を目指すとしますが、上場せずとも円高になったときに売れば、儲けが大きい。当然、高く売れる前提をもつ事業を買収する、が基本ですが、円安から円高への転換を見抜いている点が、こうした買収につながります。日本は改めて、投資ファンドなどの草刈場となった。株買いにもこうした背景があります。

某証券大手が、若者向けの投資セミナーで「バブルの頃より日本企業の収益が倍。だから外国人が注目する」旨、発言したようですが、円がその間、どれぐらい強くなったか。安倍政権になってから、どれぐらい弱くなったか。そうした前提の説明が抜けています。株はバブルの頃と比べて半分、としてみたところで、環境がまったく異なるので、比べること自体ナンセンスです。
では株高はつづくのか? 極めて懐疑的です。日銀は失敗を認識しつつあり、追加緩和は打ちにくい。それ以上に、米国の圧力もあって事実上、緩和は打てなくなりました。10-12月期の企業決算は出揃いつつありますが、一見好調ではあるものの、予想には届いていません。特に内需系は減益決算がめだち、原油安による減損処理ばかりでない痛手が見られます。ここにきて、最近の株式市場では内需系が活況であることも、今後の円高を見据えた米系の動き、とみると説明がつくのでしょう。円安で好調だった外需系から乗り換える動きにより、今の株高が起きているなら、それはローテーションの範疇と弁えた方がよいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年02月13日

混乱の度を深めてきた世界

日本では冬の竜巻もありましたが、世界は今、大荒れの状況です。ウクライナでは停戦合意したものの、実効性がありません。停戦までの鞘当で、戦闘激化とも伝わりますが、停戦合意に至ったとしても、条件闘争から戦闘は継続する怖れがあります。そのときは、米国も兵器供与に踏み込みますから、米露の代理戦争の様相をさらに一層強くするのでしょう。
ウクライナが破綻しないため、IMFが4年間で総額400億$の支援を決めましたが、戦闘が継続すれば、ウクライナには返済する力がありませんから、経済面でもチキンレースが始まっています。露国が制裁でルーブル安の中、中銀が介入を諦めました。今は停戦合意で小康状態でも、合意が破られれば再び売り浴びせられるかもしれません。それもまた、米国の戦略オプションの一つでもあるのですから。露国破綻が見えてくると、経済がどれぐらい激震するか、分かりません。

ギリシャ問題も深刻です。緊縮策の履行をせまるEUに対し、ギリシャは大戦時の賠償として、22兆円を独国に要求しました。明らかに言いがかりですが、1年間のGDPに匹敵する額を得られれば、ギリシャは小康を得られます。市場では、破綻の道は双方も択ばないだろう、と楽観視しますが、ことはそう簡単ではありません。ギリシャが破綻し、国債がデフォルトするとリーマンショックの2乗の影響、とする試算まであり、その行方が注目されます。市場では16日を山場とみており、そこで何らかの解決策が出ないと、世界に動揺が広がることになるのでしょう。
ベネズエラでも反政府運動が激化、原油価格の下落で経済は混乱、破綻すら意識されるレベルですし、そうした経済の混乱が反政府運動の引き金でもあり、内戦に近い状況です。ミャンマーでも少数民族の武装派勢力と、国軍が交戦しています。中国の後ろ盾、という面も疑われる勢力であり、もしかしたら第二のウクライナに発展するかもしれません。この少数民族は漢族の流れをくむ、とされますから、親中派でも名乗ると、まさに二の舞になるのでしょう。

中東では、イスラム国の機関紙により人質事件の理由が語られました。傲慢な日本政府は辱めるため、身代金がとれないことは分かっていた、安倍氏の中東歴訪まで日本は攻撃対象になっていなかった。これらの理由は後付けの可能性も十分ありますが、そう考えることも『曲解』かもしれません。特に、メディアがこの情報を小さく扱うか、必ず「日本を混乱させる目的で…」という枕をおくのには、注意が必要でしょう。というより、テロリストが「混乱させる目的」以外で行動するはずもなく、そんな枕は不要です。問題は今後どう出てくるか、を読みとらなければならず、そのときに情報を小さく扱うのは、国民を無知にしているだけなのです。
アジアも深刻です。中国の貿易量が輸出入ともに激減しています。原油安の影響もあるとはいえ、景気の低迷を示します。また韓国経済について、IMFが今年は不透明、と表明しました。毎年、楽観的見通しを示すIMFが示した韓国への厳しい見方は、愈々懸念されていた問題の深刻ぶりを感じさせます。中国が崩れれば、韓国も巻きこまれる。両国は今、どちらがその引き金をひくか、といった問題にまでなっているのでしょう。そしてそれは、日本にも影響してきます。

問題は日本です。この世界の混沌ぶりにも、安倍政権は『俯瞰』するばかりで、何ら行動を示していません。『積極的』平和主義は、一体どうなっているのか? この事態に行動を示せないなら、尚のこと何もできないはずです。特に、今は日本が得意なはずの経済の混乱が引き金となっている問題が多いにも関わらず、です。軍事的行動だけに『積極的』なら、日本でも国内の混乱の引き金になりかねない、そんな状況なのでしょうね。

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2015年02月12日

安倍首相の施政方針演説について

日経平均が2ヶ月ぶりに18000円にタッチしました。しかしこれは2月マイナーSQ前の仕掛けであり、円安、株高の演出です。円安は米金利の上昇を理由に挙げる向きもありますが、現状では米金利は2%、日本金利は0.4%であり、夏ごろの2%台後半、0.7%だった頃と比べ、金利差はむしろ縮まっています。方向性が違うといっても、日本の追加緩和は遠のき、米金融引き締めは規定路線であって、当時とそれほど差はありません。円ドルで120円に乗せる力は本来ありません。
しかも今回は、ドル高より円安です。日本に悪材料があったのか、経済面でリスクオンの材料がなければならない。一部、ギリシャとEUが協議で合意、との誤報も流れましたが、未だに決着はついておらず、その材料では円安になりません。米雇用統計で、米景気の堅調ぶりは示されましたが、それなら9日の月曜から材料を織り込まなければなりません。いずれも今回の18000円到達は恣意的なものであり、短期スジが一発儲けようとして仕掛けたもの、と示していることになります。

安倍首相が施政方針演説を行いました。冒頭で「日本をとり戻す」として、国民とともに戦後以来の大改革、と述べましたが、どう読み解いても「戦前の日本に逆戻りする」と述べていることになります。吉田松陰の言葉「知と行は二つにして一つ」をとり上げ、批判の応酬ではなく、やるか、やらないか。と改革の断行を迫ります。しかし国民向けに、発足当初は経済が上手くいきそうなときに、批判的なことを言うな。人質事件ではテロリストを利することになるから、政府を批判するな。という世論操作を行う政治に知も行も期待できません。批判的精神があって、議論を戦わせてこそよりよいものができますが、それすら否定する。「国民みんなが心を一つに…」など、翼賛体制そのものであり、多様性を認めないところに進化はありません。
経済は好調、雇用が増えたとしますが、以前からの指摘通り増えたのは非正規であり、15年間で最高の賃上げ、といってみたところで、実質賃金は最大のマイナスです。ドルベースのGDPは大きく目減りし、成長どころか経済は縮小してしまった。増税の悪影響というなら、増税は延期ではなく停止であるべきなのに、この演説でも18ヶ月延期した、と述べるだけです。18ヵ月後、日本は長期低迷の扉を開けるのですが、その処方箋については何も示されていないのです。

吉田茂元首相の「日本国民よ、自信をもて」を引いていますが、この『自信』を『疑念』に変えると、国民の多くが抱えるもやもやと合致するのでしょう。例えば福島原発で被害をうけた浜通りにロボット関連産業の集積を行う、としますが、甲状腺の問題など健康面に不安を感じて人が集まりにくい。住民ですら減っているので、尚更です。さらに日本近海の地震ばかりでなく、太平洋で大きな地震があるとき、津波の恐れもある。高台や堤防でも、その不安を超えるメリットで誘致しなければならない。正直、目玉というだけで一体いくら税金を投入するつもりか? それ次第では、まったく日本にとって利がない話にもなりかねません。
農協改革にもふれていますが、あくまで噂ですが、農協の金融部門を肥大化させ、株を買わせるのではないか? それで双方手打ちしたのでは? とも囁かれます。今の農協は保険、金融部門が収益の大部分を占めるので、年金、かんぽなどと同様に株を買わせて株高を演出する。公的マネーで下支えする中ですから、この甘い囁きは双方に蜜のような響きがあります。噂だけで根拠はありませんが、安倍政権の「国民みんなが心を一つに…」して、株を買わせる体制は着々とできつつあるのかもしれません。岡倉天心の「変化こそ唯一の永遠」もとりあげていますが、ならばどうして安倍氏は当初の目標を「変化」させないのか? 戦前の日本にもどることは、変化ではなく退化では? そんなもやもやした気持ちも抱きます。「国民みんなが心を一つに」することも、また変化するのなら、安倍政権を見限るのも早い、となるのでしょうね。

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2015年02月10日

新ODA大綱について

トルコ経由でシリアに渡航しようとしたジャーナリストがパスポートの返還か、逮捕を迫られた事件で、ある芸人が「台風のときに川の様子を見にいくことや、自由と勝手は違うって先生に習わなかったのか」と呟き、称賛されているとの記事があります。しかしこれは誤りです。川の様子を誰かが確認しなければ、いつ溢れるかも分からず危険です。住民がすべて退避していれば放置でも構いませんが、それまでは消防団や警察が、川をチェックしているのです。つまりこれは、先生は生徒に向かって発言しているのであり、その裏では常に監視する人が必要、という話です。問題は、このジャーナリストにそうしたリスクを踏まえた上で、安全に配慮して行動できるだけの慎重さがあるか、その資質があるか、です。中東から日本人が誰もいなくなり、また中東と一切関わりをもたず、日本が自立できるなら監視する人がいなくても何ら問題ありませんが…。
政府はパスポートを取り上げましたが、法的根拠は一切ない特例です。法治国でこのような特例が許されるなら、この国は愈々国家主義により、国民の自由は制限される恐れを強めた、と言えます。自由と勝手は違いますが、勝手な国家運営もまた、自由を束縛すると言えるのです。

政府がODA大綱を改訂し、軍事的用途は禁止する一方で、軍隊であっても非軍事分野では支援する旨を明記しました。『国益の確保』や『非軍事』など、国民の目を晦ます文言を見出しに使うなど、メディアも最大の配慮を示しますが、野戦病院や物資輸送のための車輌などを支援すれば、それは軍事支援も同じです。大枠でみても、軍が本来はそうした装備に使うはずだった予算を、銃弾やミサイルの購入に回せば、それは軍の充実になるのですから、軍事支援と同じ効果です。安倍氏は人質事件がネットで公開されて以降、人道支援をアピールしていましたが、これは真逆の対応であり、日本が軍事支援する国になったと明示したことになります。
先のカイロ演説で表明したISIL対策としての2億$も、8割以上が人道支援と報じられますが、残りは避難民に対する職業、教育訓練、国境管理、法制度整備など、と伝わります。しかし例えば職業、教育訓練でも、本国にもどっても職にありつける可能性は少なく、下手をすれば軍事訓練も含まれるかもしれない。つまり軍隊、反ISILの部隊を要請することも可能です。また国境管理など、軍事関連の支援を疑わせます。好意的にみれば、ふつうの職業訓練かもしれませんし、国境の鉄条網を整備するだけかもしれませんが、軍事転用される恐れは拭えないのでしょう。

そして恐ろしいのは『国益の確保』とは一体何か? という定義の問題です。多くの国民が、日本は平和国家として存続するのが国益、と考えたとしても、政権の考えが異なれば、例えば深刻化するウクライナ情勢で、米軍の後方支援をするかもしれません。その場合は、日本も戦争に加担する形になり、いつのまにか加わったとされるISILに対抗するための有志連合のように、いつ日本が敵国として攻撃されるか分からない。そんな事態になりかねません。
日本のODAが非軍事とはいえ、後方支援と看做されれば、間違なく日本は否応なく戦争に巻きこまれる国になります。かつて『輜重輸卒が兵隊ならば、蜻蛉、蝶々も鳥のうち』と言われましたが、輜重輸卒だって敵からみれば兵隊なのです。蜻蛉、蝶々は飛ぶものであっても、鳥ではない、という説明をしてみたところで、銃をもった相手を説得できる可能性は低いのです。まさに「戦争放棄を謳った憲法って、先生に習わんかったんかい」という言葉が、安倍氏にむけてつぶやきたいところなのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2015年02月09日

1月景気ウォッチャー調査

農協改革が、結局は骨抜きになりました。安倍政権は改革した、という形をつくり、農協は骨抜きして満足、で手打ちです。これは統一地方選にむけて、農協の協力を得たい地方議員と党内の声に押されたものであり、岩盤規制に穴を開けるどころか、最初の意気はどこかにすっぽ抜けてしまった。こんな変化球をつかうぐらいなら、初めから手をつけない方がよかったほどです。
各社の世論調査が出てきましたが、安倍政権の支持率が微増、不支持が微減、中東歴訪は支持しないものの、人質事件の対応は支持する、と何とも不可思議な結果です。人質がいることを知って歴訪しているので、歴訪自体に問題があれば、それは対応全体の評価を落とすはずなのにそうなっていない。大手メディアの論調に添う、極めて模範的な調査結果が並んだ、という印象です。ジャーナリストの池上氏が「罪を償わせる」を、ISILが誤解したと述べていますが、米紙も『誤解』するのなら、それは日本人の感覚が海外の反応と乖離していることを意味するのです。つまり安倍氏は、日本人が考えている以上に『危険、極右』的な人物と捉えられており、同じ行動、言葉でも人によって印象が変わるように、そうした認識の差がいわゆる『誤解』とするのなら、日本人は安倍氏のやること、言うことに関して、世界の見方からはずっと『誤解』と看做され続けます。これは誤解を生む原因まで考察しなければならず、ISILや米紙をただ誤解した、と責任を押し付けるだけでは、相互理解という最も大事なことが欠けたまま、となるのでしょう。

1月の景気ウォッチャー調査が出てきました。現状判断DIが45.6と、前月比で0.4pt改善。先行き判断DIが50.0と、前月比で3.3pt改善し、早くもメディアからは「好転の兆し」と報じるところが出ています。しかし現状判断では、やや悪くなる、悪くなるが減り、変わらないが増えたための改善であり、これは横ばい意味する『改善』です。先行きは悪くなる方向から、良くなる方向に大幅に増えましたが、これは原油安の影響です。来年度のベアへの期待、製造業のラインが国内で復活することで、設備投資が増えることへの期待、などもコメントとしては載りますが、多くは原油安で消費が一服つく、という期待に支えられての改善であり、あまり好感できません。
一部では、これから急激にすすんだ円安により売価が上がる、というコメントもあり、昨年9月以降にすすんだ円安の悪影響が、これから出るとするものがあります。日銀はインフレ目標を2年で2%から引き下げましたが、ここからは原油安とさらにすすんだ円安と、その両面への目配せが必要です。そしてはっきり物価高、客の戻りが鈍い、とするコメントなどが並ぶのを見るにつけ、今の日銀の政策が本当に正しいのか? ということに懐疑的にならざるを得ません。

雇用関連が、現状で54.8と5.8pt改善。先行きで57.1と5.9pt改善と、好調さが目立ちます。これは新卒採用時期と重なることからも類推できますが、人材派遣大手には国から事業が発注されており、この回答には注意も必要です。一部コメントでは求人数が減少しているなどもあって、二極化しているのか、職安の審査が甘いことを知り、ブラック企業の求人が増えたのか。いずれにしても、他の指標との整合性があまりないほどの改善傾向である点は警戒すべきでしょう。
相変わらず目立つのは、外国人旅行者がくるところは追い風、という現状です。円安でも企業は日本から輸出するのではなく、日本に輸入する部分を内製しよう、という効果しか出ていませんが、外国人旅行者の大量消費、という点に極めて大きく寄与しています。それだけでは景気ウォッチャー調査を押し上げる効果は低く、原油安効果の継続次第、というところでもあります。

消費動向調査も出てきましたが、1年後の物価が『上がる』と考える人は87.4%もいる一方、消費者態度指数は39.1と低いままです。下げ止まり、とはしますが、消費に改善傾向は見られません。これで、各社の世論調査でも安倍政権の経済政策は『評価する』が多数を占める状況ですが、世界からみると日本人はこれも『誤解』している、と映るのかもしれませんね。

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2015年02月08日

最近の市場の動き

昨年の日本企業による海外子会社の配当収益の還流が、4兆円を越える規模と報じられています。6兆円の投資収益のうちの4兆円ですから、まだ少ないとみられますが、来年度から当事国で課税されない分は、日本で課税する方針となったことも、還流を促進したとみられます。問題は、4兆円分の円買いが起こったにも関わらず、それを越える規模の円売りによって、今の円安が維持されている点です。先週末の米雇用統計をうけ、米国の早期利上げ観測が浮上、ふたたび円安方向にふれていますが、そもそも論としてFOMC声明でも、FFRBはタカ派を維持しており、利上げ時期について右往左往しているのは市場ばかり、という問題もあります。ただそれ以上に、米国の景気が為替に影響し、ひいては日本の景気にも影響する、というのは大きな問題です。

内閣府が12月の景気動向指数を発表し、前月比1.5ptプラスの110.7となり、基調判断を『改善』に引き上げています。しかし『下方への局面変化』からの改善幅が小さく、これまでの判断と比べても『改善』とできるか、微妙なところです。しかも、各種統計でも示されるように、自動車と電子部品などの携帯電話、タブレット関連の伸びに支えられた改善です。自動車は原油安で、米国市場の伸びに支えられ、携帯電話、タブレット関連は格安スマホと呼ばれる、新興国向けが伸びている。つまり通常の景気改善に伴うものとは、かなり異なる状況です。
米国でもやっと賃金の伸びが見られますが、労働時間は増えておらず、またここに来てシェールガス関連の人員整理が相次ぎます。本来なら、ここから賃下げ、失業率の高まりが起きてもおかしくない局面で、むしろ雇用統計では逆の動きがみられる。これはドル高で減益になる企業が相次ぐことも同様に、ここから米国で賃金が伸びるなら、急速に世界からみて競争力を落としますし、ミクロの伸びに鈍化がみられる中で、賃金が伸びるという現状にはかなり違和感があります。

日本でもそうですが、マクロの悪化と比べ、ミクロの堅調さがとても異質に映ります。海外収益が寄与している、といっても世界全体でみて景気がいいのは米国ぐらいで、稼げる市場はそれほど多くありません。米国のマクロも怪しい数字が増えていますが、それでもミクロが好調かどうか? この違和感だらけの数字に、しばらくすると何かの答えが見えてくるのでしょう。
日本の株式市場は、2月に入ってからじわりと売買高が増えており、また先々週の主体別売買動向をみても、外国人投資家が先物を大きく買い越しています。日銀が想定を超える規模で買いの出動をする今、買うことに安心感がある点が大きいのでしょう。ただそれが現物株へは波及せず、相変わらず買うのは年金系などの公的マネーです。最近、グローバルマクロ系の動きが活発ですが、各市場ごとに再分化された理屈をとって、売買しているようです。それが債券市場と株式市場の見方がまったく逆になったり、商品先物系でもそうです。その思惑の差は極めて分かり難く、また恣意的だと言えるのでしょう。それが次の危機を準備しているのかもしれません。思惑違いで溜めてしまった買いや売りが、ある日突然、反対売買で出てくる。そうした不意の変動が、また市場の値動きを大きくし、急変動といったことを起こし易くするのでしょう。露国が為替介入について、当分見送る方針と伝わります。こうして公的マネーの支えを失った市場が、どういった洗礼を受けるのか? 日本も他人事ではないだけに、よく注視しておく必要があるのでしょうね。

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2015年02月07日

雑感。政府広報について

政府広報の北方領土のCMが、評判が悪いようです。啓発というより、警告に近い内容であるだけに気味が悪い、ということですが、安倍政権では最近インパクトを強めようと、文言にも過激なものを加えます。「罪を償わせる」や、カイロ声明も官邸主導と伝えられますし、そもそも中東歴訪さえ、官邸が外務省の懸念をおしきって強行した、という話があります。しかし外務省はこれを虚偽、として報道したテレビ朝日の報道ステーションにのみ抗議する、という異常事態です。
本当に虚偽の報道なら、それを報じたすべてのメディアに対して、同様に抗議するのがスジです。外務省はテレビの影響力の大きさ、としますが、訂正しなければそれが真実として残るのですから。一罰百戒、などという理屈は通りませんが、外務省にそうする気はないようです。このことからも、官邸から外務省に雷が落ち、またこれを普段から政権に批判的なメディアに対して攻撃する材料とする、との意図をもって動いていることが分かります。しかも現状、週刊誌はほとんど安倍政権批判にまい進しますが、ここを攻撃しないのは、日本がきちんと批判をゆるす、言論統制社会ではないと示すためなのでしょう。それこそ影響力の大きさ、で週刊誌なら安倍政権批判をしても、影響が少ない、とでも考えているのかもしれません。

そんな中、韓国で与党セヌリ党の次期首相に指名された李完九氏が、記者を脅して自身への批判記事を封じた、ということが暴露され、問題となっています。韓国が興味深いのは、北朝鮮との戦時体制下における言論統制を布きながら、こうした醜聞をスクープするメディアが登場することです。それはナッツリターン問題も同じ、財閥系の力が圧倒的に強い中でも、一旦それを攻撃し始めると徹底的に叩き続ける。朴政権への批判を逸らす目的があったとしても、国民感情の盛り上がりを、ある時期から制御できなくなり、国すら揺るがすことが多々あります。
そんな韓国で、競泳の富田選手が窃盗事件についての裁判を行っています。違和感があるのは、その裁判資料であるはずの映像が、一部の日本メディアに流れた点です。お蔵入りの映像とはいえ、全面的に公開する資料というわけではなく、スクープで流される。明らかに何か裏がありそうですが、一時韓流を押していたメディアだけに、そのルートを勘繰りたくなります。

韓国ではそうして次期首相候補だろうと、スクープで叩かれますが、日本ではそうならない。朝鮮総連の転売問題でも、北朝鮮がまったく騒がなかったことから、密約説が囁かれますが、それを追求するメディアもありません。ISILによる人質事件でも、安倍首相が「運がいい」とまで言い放って中東歴訪した、人質がいることを知りながら、ということが分かっていますが、それを批判もできません。剰え、シリアに渡航した朝日新聞の記者を、こぞって叩く始末です。この国では、ジャーナリストは国のいうことを聞くものだ、という認識でももっているようです。
かの国では、政治家が記者を脅しますが、この国では必要ないようです。政府の意向を斟酌して報じてくれる『影響力の大きい』メディアが、山ほどありますから。この国はいつからこんなに腐臭が漂うようになったのか? メディアが漂わす悪臭でも、それに慣れてしまえば感じなくなります。北方領土の日、日本の領土なのに住めない場所、という前に今、住んでいる人が腐った政府とメディアの関係を見せつけられる状況は、住み難さを感じさせる、といえるのでしょうね。

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2015年02月06日

雑感。ギリシャ問題の再燃

あまり大きく報じられませんが、イスラエルのネタニヤフ首相が解散、総選挙を表明しています。安倍首相の中東歴訪で、軍事関連も含めて外交をしたのですが、この解散、総選挙では左派連合が有利とされています。左派連合政権が誕生すれば、強硬派のネタニヤフ政権より軍事予算も削られるはずなので、日本の兵器輸出、もしくは共同開発なども頓挫するかもしれません。
元々、安倍政権では日本の兵器輸出に前向きですが、輸出できる相手がいません。米露の横流し品や、今では中国製もあるかもしれませんが、紛争地域は貧乏であり、高い兵器を買う予算がないのです。しかもどちらか一方に肩入れすると、外交関係をおかしくするかもしれず、また反米勢力に渡れば米国から何を言われるか分かりません。米露の軍事産業は強いので、イスラエルぐらいが輸出先として浮上しますが、その政権交代になれば事実上、兵器輸出は不可能となります。左派連合には、極右政党も参加する見込みなので、帰趨は読めませんが、世界でも数少ないシンパシーを感じる首相が、これでまた一人消えることが、安倍氏にとってショックなのかもしれません。

ギリシャ問題が再燃しています。チプラス政権が誕生し、反緊縮路線をうちだすと、ECBはギリシャ国債を担保とする特例措置による融資を解除、代わって緊急流動性支援枠として600億€を設定しました。これにより昨日は20%まで上昇した短期債利回りも、17%台へともどしていますが、まだまだ高い水準にあることは否めません。そもそもこの支援枠は、2週間ごとに報告が求められるなど、極めて使いにくいものであり、かつ抱えたギリシャ国債のデフォルト懸念もあって、ギリシャ金融機関にも波及しています。金融不安が国の信用まで落とす、その悪循環に陥りかけており、態度を変えないチプラス政権とともに、まだ情勢は流動的といえるのでしょう。
ユーロも対円では2円近く、1日で動いてしまう状態です。ギリシャがデフォルトになっても経済規模からみて影響はない、とされますが、今は反EUの流れに直結します。しかも、今は超緩和状態であり、金融の肥大化がポジションの拡大を促している。今は経済規模よりも、そうしたポジションのまき戻しによる変動が、更なる問題を引き起こします。帰趨は見えませんが、欧州でも続々と行われる選挙、そこで反EU勢力がどこまで伸張するか? その影響も懸念されます。

今年、欧州ばかりでなく豪国も政権の支持率が低迷し、危機的水準にあります。日米でもマクロの経済指標がパッとしませんが、ミクロが好調で株価は堅調です。しかし世界的にみるとマクロも、ミクロも悪いところが多く、政治不安に直結しているのです。ヨルダンがISILへの空爆を再開しましたが、パイロット殺害でヨルダン政府に向く批判を、ISILへと向けるためには戦争という泥沼に陥るかもしれずとも、攻撃するしかありません。今、世界はこうした政治リスク、批判、不満を外向きにする。こうしたリスクが一段と高まっている状況といえます。
米国の1月雇用統計が発表され、非農業部門の雇用が25.7万人増と、市場予想を上回りました。時間当たり賃金も上昇と、これ以上ない数字です。しかし労働時間は横ばいですし、残業時間は微減です。仕事が増えている感じはないのに、雇用と賃金が増えている。ややこうした動きに首を傾げるところです。U6失業率が小幅に上がっていることからみても、実はあまり職の質は改善していないのかもしれません。米国のミクロも、一部では家電小売大手が連邦破産法を申請するなど、米国内向けだけのところは苦境に陥っています。マクロとミクロの差、とともに浮かび上がる、何かすっきりしない状態。ゴルディロックとも言われますが、ちょうどいいけれど、なぜこの水準にいるのか? を正確に知っておかないと、次の変動の波がどこで起きるかは予測できない、ということかもしれませんね。

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2015年02月05日

毎月勤労統計について

あまり知られていませんが、イスラムでは砂漠を通る商隊などを襲い、奪った掠奪品を分配することが認められています。これは預言者ムハンマドが、財政が苦しいときに行ったことに由来し、預言者に5分の1、残りを参加者で分ける掟になっています。今回の人質事件も、もしかしたらヨルダンとISILの間で、この分配を巡る駆け引きが行われていた可能性があります。ISILはバグダディ氏がカリフを名乗るので5分の1を、残りを分配しようとした。ヨルダンはバグダディ氏をカリフと認めないので、半々を要求した。盛んに後藤氏が国境線まで連れて来られていた。後少しで解放される見込みだった、というのも、日本から掠奪した品をどう分配するか、でもめていたなら、何となく話がすっきりします。ヨルダンが兵士の生存でごねたのも、ISILが期限が切れた後も、何度も要求をくり返したのも条件闘争、駆け引きだったのでしょう。
イスラムではアサシン(暗殺)というと、短剣が重視されるため、火炙りはイスラム世界を敵にした、という意見も眉唾です。そもそも飛行機でビルにつっこんだり、人ごみで自爆するのも本来の教えに反します。それでもアル・カイーダなどは現存し、支援する人間がいます。ISILの残虐性を強調しようと、そうした言説を広めるのでしょうが、カリフなり指導者を自称する人間たちにとって、シャリア(法、規範などをまとめたもの)を自らの手で捻じ曲げることなど、造作もないことなのでしょう。そしてそれは、イスラム世界の多様性の中で認める人もいる、ということでもあります。安易な言説に惑わされず、何が起きているかは冷静にみる必要があります。

日銀審議委員に、リフレ派の原田氏が起用される見込みです。昨今、政府や日銀と歩調を合わせるように、早期インフレ目標の達成に慎重な見通しを示しており、またおトモダチを就任させるようにみえます。そんな中、毎月勤労統計の昨年分速報がでてきました。現金給与総額は、前年比0.8%増であるものの、実質では2.5%減です。インフレ率に見合う上昇率は確保されていません。この水準が今年もつづくとすると、消費税増税の影響が消える4月以降、実質でも横ばいになると思われますが、それを許す経済情勢かどうか? というと心許ないところです。
気になるのは平均月間総実労働時間で、前年比0.3%減と、2年連続の減少となっています。雇用で見ると、一般労働者が1.0%増、パートタイム労働者が2.7%増なので、その影響ともみられますが、人材不足となれば本来、労働時間は増えていくはずです。逆にみれば、雇用の堅調さは、細かく時間をくぎって働く、総人件費を増やさないために企業がとっている戦略による影響が大きく、国内の景気がよくなったわけではないことを示すのかもしれません。国内が活発なら、小売や卸売り、運輸などが活況なはずなのに横ばいか微減、というとことにそれが現れています。

円安による効果だけなら、賃上げ効果にも限界があります。そして以前も指摘しましたが、海外展開する企業には安全対策という、新たな影響が加わります。人件費の安い地域というのは、総じてリスクも高いものです。東南アジアなど、イスラム過激派の跋扈する地域もありますし、ISILと共鳴する動きも散見されます。日本がテロの対象となれば、そうした企業は対策をとらなければならない。また現地駐在員の保険料の高騰なども、日本企業には重しとなるでしょう。
安倍政権になってから、NHKなど経営委員におトモダチを送り込み、日銀でさえ黒田氏というリフレ派で占められるようになった。しかし、今後は安倍政権に近いほど、リスクの高まりを意識しなければいけないのかもしれません。それはテロというばかりでなく、改憲に対して積極的になった安倍氏の支持率、という面でも強く意識されます。言葉は悪いですが、国民から掠奪した税金の分け前を、おトモダチの中で分配する。それはピケティ氏の言うように、お金持ち、大企業で分配していると、そのうち国民からの反発がおトモダチ全体に向かうのかもしれませんね。

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2015年02月04日

ヨルダン兵殺害からみえること

パソコンの遠隔操作で、複数の罪に問われていた片山被告に東京地裁は懲役8年、を言い渡しました。しかしこの事件で最も重要なことは、警察による冤罪をうみだすシステムが、悉く現れているです。しかもそれらの警察官は刑事事件で問われることはありません。裁判が行われない、それは即ち経緯が詳らかにされないのであり、警察の闇は一向に晴らすことができません。

ISILによる人質事件で、ヨルダン兵パイロットが1月初旬に焼き殺されていた、と公になりました。しかもヨルダンのアブドラ国王の訪米中という、もっとも効果的なタイミングを狙ったといえるでしょう。しかもヨルダンはその情報を、確証はなくとも掴んでいた形跡があり、仲介力どころか、ヨルダンは日本とISILを天秤にかけ、人質交渉をすすめていた可能性すら浮上しました。つまり、ヨルダンはすでにヨルダン兵が亡くなっているなら、日本から金銭的補償をうけた上で、死刑囚を釈放すればヨルダンは利が得られる。国民感情さえコントロールできていたなら、もしかしたらそんな商魂による打算が、ヨルダンにはあったのかもしれません。
死刑を執行しても、ヨルダンには何の得もありません。国民感情が赦さないとしても、数年も獄に縛っておいたのはテロ組織との交渉材料になる、と計算した可能性もあります。事実、交渉材料になった。それはISILと、日本を股にかけるネゴシエイト。まんまと日本はISIL、ヨルダンという中東のタフな交渉を糧としてきた相手に弄ばれただけ、だったのかもしれません。

安倍首相が人質2人が殺害されたことへの責任について、やっと認めましたが、これはダメージコントロールです。殺害直後だと、くり返し謝罪の場面が用いられる。事件から時間が経てばメディアの報道の仕方も小さく、少なくなり、影響が少ない。そんなことばかりに長け、大事な国民への説明や、被害者遺族への配慮に欠ける、安倍政権で時折みられるパターンです。しかもここに来て、現地対策本部に入った中山外務副大臣は、広報しかすることがなく、暇に飽かせて自分が映ったシーンをネットで配信するよう、日本の自分の事務所に連絡ばかりしていた、という報道も出てきています。ヨルダンとの交渉も外交官任せ、これでは政府がいくらベストを尽くした、といっても誰も納得できません。ISILばかりか、ヨルダンにまで騙されているのですから。
しかも、すでに民間団体からヨルダン兵殺害の情報が出ていた、とされますから、それすら知りえていなかったのか? 外務省の情報収集能力にも疑問符がつきます。それなら初めから交渉が上手くいく可能性は少ない。やはりトルコに対策本部を移し、成功したルートに賭けるのがベストだったのでは? こうして情報が明らかになるにつれ、そう思わざるを得ません。

安倍氏はカイロでの声明が問題では? と問われて「私はそう考えていない」と答弁していますが、安倍氏がどう思おうと、実は回答にはなっていません。人質・誘拐事件で警察署長が不用意に犯人を刺激した際、「私は刺激したと思わない」と言っても許してはもらえず、処分されます。当事者がどう思おうと、それで問題がないわけではない。単に自分の立場を説明した、というに過ぎないのです。しかし日本で問題なのは、メディアも有識者とよばれる人たちも、政府を追及する気がない点、つまりどんな第三者検証委員会を立ち上げても、それが国民に有益となる、正しい判断を下してくれる、という期待をもてない点にあります。
最高裁でも、裁判員裁判の判断を否定し、これまでの司法判断に準ずる、との判断が示されました。国民の意思を反映するより、自分たちがやってきたことにお墨付きを与え、国民不介入の立場を示したのです。これでは高いお金と国民の時間を割いて、裁判員裁判などする必要がありません。裁判が行われても、国民の意思とは乖離した判断がまかり通る。警察権、調査権が正しく機能しない。裁判すら国民の意思が反映されない。日本がかかえる闇の中で、ほくそ笑むのは問題をかかえる人間たち、そんな状況では国内でもテロリストを育てているようなものなのかもしれませんね。

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2015年02月03日

日本に高まる『過度』なリスク

国債市場では10年債の入札が不調で、円債相場が荒れました。豪国の利下げもありましたが、債券価格の急落にあわせて円高となり、株式市場も急落しています。国債を応札し、それを僅かな値上がりで日銀に売る、いわゆる日銀トレードが通用しなくなり、新発ものを買うインセンティブは、金融機関にもほとんどありません。株も日銀や年金が買っても、上値を追う動きにはならないため、買う気になれない。ここに来て、REIT市場も続落するなど、金融資産への逆方向の動きが見え始めており、その動きを助長しているのが外国人投資家です。
各国が金融緩和に向かい、先頭を走っている日本の魅力が、相対的に低下してきた。つまり日本は引き締めもしていないのに、各国が緩和することで相対的に引締めのような状況に陥っているのです。これにより需給が悪化しつつあり、外国人投資家は逃げだし、また取引が薄くなったところで大きな動きをだそうとして、仕掛け的な売買が入る。日銀、年金が買うことで、水準感が見え難くなっていることもあり、オプション市場が低調となるために、ますます値動きが荒くなる。値動きが荒くなるから、さらに長期投資家が逃げるという悪循環に陥っているのです。

では日銀が追加緩和する、としてもこの流れを止めるのは難しいでしょう。まず債券市場や株式市場のボラが高くなり、安全な運用が難しくなっているためです。売買が低下している中でのボラティリティの高まりですから、尚悪い。しかも日銀がさらに市場介入すると、この動きはさらに加速するかもしれない。日銀の運用枠は決まっており、1月には今年運用する分の10分の1以上、使ってしまった。昨年末の前倒し執行と合わせ、9月には使い切ってしまう。それを後、数兆円増やしても1日の枠を今以上に上げることは難しいでしょう。市場を沈静化させるほど、資金の投入ができないのなら、値動きを荒くして稼ごうとする人間ばかり跋扈することになります。
しかも悪いことに、ピケティ氏が登場して新自由主義の手法にも、懐疑的な見方が増えてきました。すでに『異次元』の緩和状態にある日本が、世界中に広がる緩和の流れに追随したとしても、効果のほどは知れていますし、その手法自体が問題視されることでしょう。落ち着きどころを失った市場と同様に、慌てて対策を打てば、その焦りがさらに不安を生じさせます。

安倍首相は人質事件について「過度にテロリストに気配りする必要ない」と述べますが、まったくその通りの意見ですが、これは単なる議論のすり替えです。「人質がいることに気配りし過ぎることはない」のです。通常の誘拐、人質事件でも警察は情報公開に慎重ですし、メディアも配慮します。それを、一国の首相が「犯人に気配りする必要ない」からといって、刺激してよいはずがありません。気配りする相手が違うのです。安倍氏はわざと議論のすり替えを行い、剰えさらに追求すると、「ISILを批判してはいけないと言っているように聞こえる」と、世間の風潮が「安倍政権を批判してはいけない」に流れていることと同調するような反論の仕方をしました。
一国の首相が、こうした議論のすり替え、中身のない答弁をする。これは人質事件に限らず、経済も同じです。もしかしたら、日本企業が海外事業にリスクを感じ、国内に生産拠点を移してくれたら…などと、この政権では本気で考えているのかもしれません。そもそもこれで海外進出している企業の安全対策にかかるコストが、大幅にアップとなります。金融市場の混乱で稼げなくなった金融機関。円安で苦境の国内中小企業、そして海外展開する大企業もリスクが高まった。正直、不穏な動きがそこかしこで起きる、そんな状況になってしまったのです。何ごとでもそうですが、あらゆるものごとに配慮し、バランスよく政策を打つことが大切なのです。それを「過度に…」などと言っている時点で、安倍政権のバランス感覚は明らかにおかしく、それが日本のリスクを助長する原因、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年02月02日

雑感。21世紀の資本

ISILの人質事件について、安倍政権を批判するのはテロリストも思う壺、という意見があります。しかしISILにとって与し易い政権でい続けることも、また思う壺なす。正直、ISILにとっては有志連合に入っていない日本の政権が交代しようと戦況、大勢に影響はありません。「ISILと戦う国に支援」と述べた安倍政権が退陣すれば、一定の成果とするでしょうが、それ以上のことはない。それよりも安倍政権が続くことで、有志連合に揺さぶりをかけ続ける方が重要であり、逆に「中東で苦しむ人々に支援」という政権に代われば、日本を攻撃対象にできなくなるのですから。
またこの件で「ISILは人道支援と知っていた」や「現地対策本部がヨルダンでも、トルコでも変わらない」と述べる人物にも注意が必要です。前者はISILの公式発表でもないことを知りうる、そんな太いパイプがあるのなら、今まで何をしていたのか? むしろ積極的に情報収集をし、もしくは人質解放交渉だってできたはずです。要するに、その人物に確たる裏があって話しているのではないことが分かります。これは当初、ISILが「曲解した」と述べていたのと同じ構図です。曲解したかどうかは、誰も確認してはいません。そんな太いパイプがある人は、公安の監視対象に入っているはずでもあります。後者は某紙に「ヨルダンの仲介力にかけた」との記事もありましたが、日米欧と近い、仲介を生業としてきた国だからこそ、ISILとは遠いのです。そのことについての具体的な説明は一切ありませんでした。明らかに対策本部はトルコにあった方が有利で、それを覆すメリットを語るものでない限り、一切はただの抗弁に過ぎません。

先週発表された、10-12月期の米GDPが年率換算で前期比2.6%増と、市場予想を下回ったことが尾を引いています。個人消費は4.3%増と牽引したものの、元々10-12月期は年末商戦で前期比でみると伸びるのであり、昨年の年末商戦も、思ったほどには好調ではありませんでした。またドル高の悪影響がじわりと米国の企業決算にも響いており、今後もユーロ安、ドル高の流れからこれが継続します。民間設備投資も1.9%増と減速傾向であり、こちらは原油安が利いてきた。輸入が増え、輸出が減ったことも同様に、米経済のスローダウンが顕著にみられます。
日本では『21世紀の資本』の著者、トマ・ピケティ氏が来日していました。残念ながら、未だにあの分厚さに手を出しかねていますが、気になるのは安倍氏と会談しなかったことです。民主代表とは会っているので、恐らく調整はしたのでしょう。しかし新自由主義とは真っ向から対立する主張だけに、安倍氏の側が嫌ったのかもしれません。成長がすべてを覆い隠す、経済が上手く回る、という新自由主義と、それでは格差が拡大する、というピケティ氏ではかみ合わないのが明白です。しかも今、日本はまさに『富をもつ者』として年金、日銀が続々と資産である株を買い上げており、ここから資産課税などに舵をきれば、安倍ノミクスの根幹が揺らいできます。

最近の日経平均の底堅さも、日銀のETF買いと年金、かんぽなどの公的マネーに支えられた動きです。一方で、債券市場に不穏な動きがあり、株式でもオプション市場が閑散となるなど、水準におちつきがなくなっています。ミクロの企業業績にしても、円安効果はすでに織り込み済み、さらに好材料を上積みしないと売り叩かれる恐れもあり、水準感が醸成されにくい状況です。
しかし外国人投資家は明らかに今年の日本はイコールか、アンダーでポジションを組んでおり、それはテロのリスクとも重なることになるのでしょう。海外で不穏な動きがあれば円買い、という流れを変えてくる可能性もあります。そのとき、円安が止まらなくなる恐れも考慮に入れておく必要があるのでしょう。都合の悪いことには目をつぶり、嫌いな、自分と異なる意見の相手とは距離をおく、という政権では、どんな悪いことがあっても不思議ではありません。日本のポジションを下げつつある外国人、嫌われる日本へ、の道をひた走っているのだとすれば、『21世紀の日本』の姿としては、極めて好ましくない方向へ日本がすすんでいるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年02月01日

ISILによる人質事件について

今朝になり、ISILによる人質事件が最悪の結末を迎えたことが、YouTubeによる動画で明らかにされました。結局、48時間以上も何の声明もなかったのは映像編集の時間であり、これまで通り要求が通らなければ人質殺害、という行動自体に変化はなかったようです。昨日指摘した後藤氏を生かしておくのなら、日本人の価値を認めたことになる、ということはこれで覆されました。彼らにとって、日本人は敵となった。そしてそれは、各国で広がるテロと同様、世界中どこにいても、日本国内であってもテロの標的になり得る、ということを示したのでしょう。

今回、『自己責任』という言葉が独り歩きしている懸念もありますが、官邸の対応も湯川氏殺害のときと、後藤氏のときでは明確に態度を別けていると感じます。しかし『自己責任』を突きつめれば、無政府主義や個人主義にまで行き着きます。山で遭難しても、海で漂流しても探す必要はありませんし、殺されても自己防衛しなかった側が悪い、という話になります。国が、個人を守る必要がないのですから、国ですら不要です。勿論、これは極論ですが、今の『自己責任』論が、安倍政権の責任の切り離しのためだけに用いられている点に、大きな危惧を感じます。
早くも「政争の具にすべきでない」や「国政を停滞させてはいけない」と述べる人が現れましたが、安倍政権に人質事件への対応能力がない、誤った対応をした、ということなら責任論になりますから、必然的に退陣かどうかが問われることになります。そこで安倍氏が居座れば政局になりますが、その原因が野党なのか、与党なのか、は程度問題です。政権が退陣すべき失態があれば、与党が原因で政争ですし、そうでないのに攻めれば野党が原因です。その区別もなく、単に「政争の具に…」として議論を封殺するのは、むしろ政治を堕落させます。能力不足の人間が首相となり、首相としての経験を積むうち…という話になれば、成長を待つ間に不利益をうけるのは国民です。その間に失われる国益を考えれば、そんな首相は交代すべき、となるのです。

安倍氏は「非道、卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚える。許さない」としますが、ムスリムの米軍などの誤爆で家族を奪われた人も、同じことを言います。テロとの戦いはテロを増殖させるのです。それなのに安倍氏は「罪を償わせる」と言います。米軍の罪を問わず、ISILだけを追求するから、日本もテロの標的になるのです。そもそも安倍氏が人質事件を急展開させる引き金をひいたのですから、その罪はどうなるのか? それこそ検証の結果として、安倍氏の問題が浮き上がれば、自ら「罪を償う」のか? 罪の判断に自己都合の雑じる点が、対立を生む原因なのです。中東の諺、『獣が君を脅す前に、君が獣を脅すことだ』では、問題解決能力がないのです。
今回、遺体引渡しでさえ金銭を要求してくるかもしれない。まだ先の長い話であり、決して終結ではありません。そのときに対決姿勢を鮮明にすれば、交渉のカードが吊り上げられるのですが、それすら安倍氏は理解していないようです。北朝鮮の遺骨問題はすすめる気でも、ISILに残る遺体は放っておくのか? そうやって自己都合で態度を使い分けることが、まず首相としての能力を疑わせます。日揮事件のときも同様、今回も国民の不幸を利用して安保問題をすすめるつもりなら、どちらが「政争の具」にしているかは、よく考えなければならないのでしょう。

中東の諺をもう一つ。『自分から学ぶ人は賢人、他人から学ぶ人は才人、何ものからも学ばない人はバカ』です。何ものからも学ばない、学べないようでは、すでにそれが政争の具になるのです。安倍政権では『国民が政治に何かを突きつける前に、政治が国民を脅すこと』だと考えているかもしれない。今回の事件の情報には、よくよく気をつけなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般