2015年04月

2015年04月30日

日銀の金融政策決定会合について

安倍首相による米上下両院合同会議にて行った演説、中韓の自画自賛や反省がない、といった批判は的外れです。これは米国がやっていることは正しい。日本は米国についていく。高らかに『米国礼賛、媚米主義』を宣言したものであり、極めて遜ったものだからです。だから米議員も評価した。これだけ米国をもち上げ、米国に従う、と述べているのですから批判もできません。第1次政権のとき、戦後レジームからの脱却を掲げましたが、実は安倍氏がもっとも負け犬根性のもち主だった、というのがはっきりする演説です。中身を分析しようと思いましたが、あまりにスカスカのため、割愛します。少なくとも、米国留学から説き起こすなら、もう少し英語が上達していないと、何のための留学だったの? というところから疑問も湧くところです。

今日もう一つのイベント、日銀の金融政策決定会合は期待を煽った一部の思惑を裏切り、現状維持だったことで、日経平均は大きく売られました。その前に、米1-3月期GDPの悪化もありましたが、主因は欧州です。欧州全体では経済指標が悪化し始める中、独国の物価が上昇し、デフレ懸念が後退。独国債が売られて利回りが上昇し、欧州株価が大きく調整しています。
それを受けた米株は、FOMC声明をうけても利上げ見通しは曖昧、1-3月期GDPの悪化も「一時的」との見方で、消化難に陥って小幅下落。しかしGDP悪化は、設備投資の減少が影響しており、かつそれは原油安に伴うものであり、WTIが1バレル70$に届かなければこの状態は改善されない、ともいえます。FRBは知っていて嘘をついているのか? 判断に悩むところでもあります。

日本ではすぐ先物主導、という文言が並びますが、今日の下落は全体的にアンワインド、現物株の大きな取引ほどに先物が扱われた形跡はありません。欧州系が一社、大きな売買を行っており、ほぼ一手買いの状態でしたが、他は買いに傾きすぎたポジションを落としただけ、に過ぎません。つまりイベント前に積み上げたポジションを吐き出した。それが欧米の見通し悪化で、より大きな形になって現れたのが実相です。理由もなく先物が暴れたわけではありません。
黒田日銀総裁の会見も、強気の見通しを継続しますが、15年度の物価見通しを0.8%と、1月より0.2pt落とすなど、シナリオの狂いが指摘されます。物価だけをみれば、原油安効果が剥落する頃、物価は急上昇するという見立てをしますが、同時に円安がすすんだタイミングであり、輸入物価との兼ね合いからも楽観的すぎる見立てです。追加緩和せざるを得ない、との指摘もありますが、それにはリスク資産に手をだすしか方法がないのであって、その手法をシミュレートすると、ますます出口を難しくするばかりか、市場の歪みを大きくしてしまう可能性も高まります。

またここまで発表された、企業による今年度の業績見通しも、市場期待に届かないケースが多い。期初は慎重な見通しが多い、ということ以上に、今年の経済が年後半から加速する、という見立てを企業がもっていないことも、影響します。何より安倍氏が米議会で約束した安保法制を夏までに…となれば、国会はそれ一色となり、景気対策も年明けぐらいに後ズレすることになります。
安倍ノミクスが期待に働きかける政策なら、期待を裏切るとしっぺ返しも大きくなる、ということを市場の大幅下落が示してみせたのでしょう。FRBも、日銀も、実体経済から目を背け、ひたすら自分たちを正当化するためだけに、論を講じているように見えます。それは政治家も同じ、世界が虚構に溢れていると誰もが気づいたとき、裏切りへのしっぺ返しがどのようになるか? 日銀もそのシミュレートに恐れ戦いている、そんな状況になっているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2015年04月29日

雑感。日米首脳会談について

日米首脳会談が行われ、共同会見、共同声明が出されました。そんな中、共同会見の途中で用意してあった想定問答の紙がとぶ、というハプニングもありました。この件が日本のメディアにはほとんど取り上げられないのが不思議で、逆に韓国で盛り上がっている、という事態には、安倍首相に不都合なことは報じない日本と、それを報じたい韓国、といった色分けもできそうです。
そんな中で、米記者の質問がボルティモアの暴動に時間を割き、日米間の問題にあまり関心がない様子もうかがえた点が気がかりです。しかも日本に対する直接の質問ではなく、日本が行動することによる東アジア、中国や韓国の反応を気にしたものが多い、という点にも、米記者がみているのは日本ではない、ということが窺えます。辺野古移設も、翁長沖縄県知事は反対しているが、政府は辺野古で揺ぎない、と伝えたところ、オバマ大統領から特に反応がなかった。どうやら米国は、安倍氏がこの件で苦境に陥る、間違えると見ているフシもあります。下手な同意も、反応もなく静観するのは、安倍政権の対応を疑問視している証拠なのでしょう。

異例の歓待、とも称される今回の訪米、国賓クラスの待遇なのである程度はサービスもあって然るべきですが、気になるのは主菜が和牛、乾杯は山口県産の日本酒・だっ祭。これを歓待の証明、とみるむきもありますが、日本にいても購入できる食材をあえて使うことには、別の意図もありそうです。確かに、米国には高級で、メジャーなお酒はあまりありませんが、牛肉は今後も米国は販売拡大を狙いたいはずです。夕食会で饗されるなら、日本で話題になるのですから、それこそよい広告、宣伝にもなるのです。あえて日本産に拘ったのは、それこそTPP推進で一致したことからも、米国産の購入拡大をみとめた安倍氏へのサービスなのかもしれません。つまりわざわざ広告、宣伝をしなくても米国産を多く購入してくれる日本に配慮して、夕食会は日本産をアピールしてあげる、ということになったのかもしれません。
オバマ氏が夕食会で詠んだ俳句「春若葉 日米友情 和やかに」も、微妙に意味深にとらえることができます。友情、というのは時に拳で殴りあって得られるケースもあるようですが、一般的には『和やか』だから結ばれます。これは上の句、春若葉でも同じで、若葉といったら春です。つまり季語として二つ重ねているので、俳句教室でこれを発表したら、まず手直しされるでしょう。一つの区で、二度も意味をくり返しているので、逆にそう強くアピールしなければいけない理由があったのではないか。そう勘繰りたくもなってしまいます。

確かにこれまで、オバマ氏は安倍氏に冷たかった。しかしオバマ氏にとっては、外交上親密ぶりをアピールできる国はありません。今年になってから、キューバとの関係改善に動きだしたように、政権末期にきて、仇敵に塩をおくって只管、外交上の成功を自らの成果として残したくなってきたのではないか? そんなことも想像できます。堅調だった経済も、今日発表された1-3月期GDPが、年率で前期比0.2%増と急減速してしまった。誇れる成果が乏しくなってきたのです。
さらにオバマ政権は、これから他国に迷惑をかけてでも、自国の経済をふたたび成長軌道にもどすための政策を打つ、というこれは号砲になるのかもしれません。つまりドル高牽制に舵をきり、原油相場も今より高い水準へと誘導する。つまり日欧と、米英との利潤構造に大きな差ができてしまった以上、米英が自国経済を優先すれば、日欧の経済に打撃となることが必定です。今回の『異例の歓待』と言われるものも、米国がにこにこ笑って他国を優遇するときは、裏で相手にマイナス面を押しつける、といった形になることが多いものです。単に仲良くなれた、と喜んでいるだけでは、米国の深慮遠謀にしてやられるだけになってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2015年04月28日

雑感。3月の小売販売額

ネパール大地震、レンガ造りの耐震性の低い住宅が、被害を大きくしています。気になるのは、ネパールはプレート境界上にあり、大きな地震も多い国です。それなのに地震への備えが低い。経験が引き継がれていないのでは? と思われる点です。中国の四川大地震でも感じましたが、地震について万全の備えをしようとする日本との差は一体何なのか? 経済的な面ばかりでなく、文化的、思想的にも、この辺りは一つの研究対象になり得るのかもしれません。

日米ガイドラインで、自衛隊の役割を拡大する案がでています。米国は負担減、日本は負担増、というのですから、国賓待遇とされる今回の安倍首相による訪米を歓待するのは、むしろ自然です。また言葉は悪いですが、これまでリードはつけていてもほぼ放し飼いにしていたポチに、今後は世界を散歩するときに連れて歩かなければいけなくなったので、トリミングやシャンプーなどを施し、見栄えをよくしているような印象です。つまり日本の地位の高さをアピールすることで、同時に米国が今後とる行動にも権威づけができる、ということです。日米が共同作戦をとるにも、一方の国際的な地位が低ければ、作戦全体の価値すら毀損するのですから。
そんな中、小渕衆院議員の問題で、秘書の二人が政治資金規正法違反で在宅起訴されました。小渕氏本人は嫌疑不十分、ということですが、そもそも論として観劇会などにかかった実費を、参加者が払っていなければ公選法違反に問える事件です。収支報告書の虚偽記載、というのは辻褄あわせの話であって、末端のことがらです。これで幕引きかのような報道も目立ちますが、参加費と人数、それと経費の差額が一体いくらか? 見かけ上は数千万円の差があったはずなので、その説明がない限り、この事件は終わりません。その程度なら数日で結論がでるような話であり、半年も捜査する必要はありません。小渕劇場はこれからが見せ場になるはずなのです。

3月の商業動態統計で、小売販売額は前年同月比9.7%減と、過去2番目の下げ幅となりました。駆け込み需要の反動ですが、3%の引き上げはことのほか大きかったことが、これでも示されました。今後、4月は落ちこんだ数字を基準とするので、プラス転換する可能性もありますが、年間を通して2%程度を落としてきた、ということは水準自体が下がった可能性もあります。今年度の1年は、それを確認することにもなるのでしょう。賃上げによる消費増も期待できない中、日本全体がどれほど地盤沈下しているのか? それによっては成長率にも関わってきます。
一つ言えることは、日本は『備えの文化』がかなり行動に影響する、ということです。耐震基準もそうですし、増税前の駆け込み需要もそうです。未来を予測し、先回りして安寧を得たいと考えることが、行動原則にもなっているのです。ただ、安保法制の見直しなどで起こることを、次に予測して行動するのは不得手です。それは未体験、という面もあるのでしょう。財政悪化にしても同様ですが、その最悪の結末が顕在化したとき、すでに日本の屋台骨が腐っていた、と気づくようでは遅いのでしょう。建築基準は定めていても、財政健全化の道筋も定められていない、それを担うはずの政治家が、自分の政治資金すら管理できない、その資質もない、というのでは、脆さばかりが目だってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2015年04月27日

日本国債の格下げ

統一地方選の後半が終わりました。自民、民主の対決は2勝2敗、市長選の平均投票率は過去最低を更新し、50.53%となっています。安倍政権になってから、急速にすすむ投票率の低下。野党がだらしない面はありますが、安倍首相がでてくると秒単位で減る、と言われる視聴率のように、これが支持率ではなく投票率を下げて行くのなら、国民の政治離れは深刻なのでしょう。
そんな中、東京地検特捜部が小渕前経産相に事情聴取していたことが、今日になって判明しました。当然、統一地方選に影響しないよう、時期を遅らせたはずですが、半年もかかることには違和感もあります。今回、構図はかなり明快ですし、起訴できるだけの証拠は家宅捜索から半年もかかるほど、隠れていたということもないでしょう。ドリルで穴を開けたHDDも、データが取り出せるかどうか。という話ですから、数日もあればはっきりしたはずです。解散総選挙、予算成立、統一地方選を終え、ここから6月の群馬県議選、高崎市長選の前まで、ということなら、むしろ国会開会中の不逮捕特権が問題となるはずです。通常国会開会前に、どうして捜査を詰められなかったのか? 安保法制にむけ、延長含みの国会だけに、この事件はまだ紆余曲折しそうです。

そして格付け機関フィッチが、日本国債をA+からAに格下げしました。見通しは安定的ですが、消費税増税先送りによる代替財源が示されないこと、が格下げの理由とします。しかし本質は、増税以上の税収増がないばかりか、公共工事偏重による歳出増、景気もマイナスに陥ったことで歳入増が期待できない、ここで増税まで止めたら財政健全化など絶対に不可能、というところなのでしょう。要するに、安倍政権が経済財政政策を見直さない限り、今後も格付けは下がりつづけることになります。何より、安倍政権がすすめる安保法制の見直しには、莫大な軍事、防衛予算の拡大を伴いますから、それを穴埋めする策がない限り、財政的に維持は不可能な代物なのです。
しかし債券市場は日銀プレイの最中であり、変動はないでしょう。しかし日銀プレイが終わる日、格付けに基づいて利回りが急上昇するはずです。Bクラス入り目前の日本国債ですから、低金利ではいられない。そのときはバーゼル委の提言など、国債保有リスクの高まりと共に、日本暴落シナリオを煽って、売り立ててくる主体が現れることにもなるのでしょう。

安倍政権になってから、一貫して国際的な評価が下がりつづけています。それは格付けもそうですし、海外紙にとり上げられる機会も増えました、悪い意味で。今回のネパール震災でも、言葉は悪いですが、安倍政権にとっては千載一遇のチャンスだったはずです。バンドン会議で、災害にも「共に立ち向かう」と演説したのですから、日本が世界を驚かすような支援、救助体制をくんでも良かったはずなのに、それができません。政府専用機ですら、使用中で民間機での移動となった。それで空港に降りられず、出直しを余儀なくされるなど、後手ばかり踏んでいます。
最近、市場関係者ですら安倍政権のことを白眼視するようになっています。英ファンドリポートで、4月の日銀緩和が示唆され、買いあがった層ももう厭きたのか、日経平均も2万円を割ってきました。最近では、安倍政権の閣僚のことを「Liar」という発言も耳にします。秒単位で下がる支持率、そればかりか、秒単位で信用をおとす安倍政権。タカだと思っていたら、実はオオカミで、しかも後ろには少年がついていた。安倍政権のそんな実相に、世界各国も気づき始めている中での訪米。世界の評価を知ることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年04月26日

安倍首相の訪米

ネパールで大きな地震がおきました。春の雪解け時期だったことも、被害を拡大しています。チリのカルブコ火山も54年ぶりに噴火していますが、巨大地震から3年以内に起きる、とされている東日本大震災後の噴火が、未だにこの日本では起きていません。エネルギーを溜めているのか? 今は世界全体が、天変地異のおき易い周期にあたるので、注意が必要であると海外のこうした事実が知らせてくれます。地震にしろ、噴火にしろ、起きるという前提で備えておくことが必要なのでしょうね。

安倍首相が訪米に出発しました。日米首脳会談、議会演説、など、前半は日程がつまっていますが、後半は経済関連の視察など、首相でなくともできる項目が目白押しです。すでに体調不良が伝えられ、昨年のように欧州歴訪といった旅が難しくなり、米国内をのんびり回るのが、後半の目的なのでしょう。首脳会談といった緊張する場面より、視察の方が心的負担も少ない。
そんな中、大統領の私邸や別荘ではなく、国務長官の私邸に安倍氏が招かれることが分かりました。前回、訪米時は夕食会も開いてもらえず、今回も大統領からお誘いもなかったことで、米国としても流石に無碍に扱いすぎる、との判断が働いたのか。それでも国務長官クラスというのが、米国における安倍氏の評価なのでしょう。この件が日本で大々的に報じられないのも、小泉元首相と比較され、格下扱いが喧伝されるといったことを気にしたものと思われます。

そんな中、ホワイトハウスで記者会主催の夕食会が開かれ、オバマ大統領のジョークが話題です。「ベイナー下院議長は、私の葬式でネタニヤフ首相に演説するよう招待した」というものです。イスラエルのネタニヤフ首相が議会演説する際、大統領を通さなかったことを当てこするものですが、議会演説は米政府とは関係ない、ということがこうしたことからも読み解けます。議会演説は、ここまで米共和党系の知日派の言うことを慎ましく聞いて、その通り行動してきたことへの答礼といった意味合いが強く、日米の親密ぶりを示す事がらでは有りません。
むしろ、安倍政権は議会、共和党対策は熱心なものの、民主党対策は怠ってきた面があります。しかしそれをTPPで一気に覆すために、首相決断によって合意するとの計画が、すでに洩れ伝わります。そのご褒美が、国務長官の私邸への招待なのでしょう。閣僚級の会談で、初日は和やかだったのに、二日目からは情勢が急変したのも、この日米首脳会談で合意するシナリオのため、二日目には調整がつかなかった、という演技をしたものとみられます。しかしそうまでしてサプライズ演出をしようとする中、情報がダダ漏れではどうしようもありません。この辺りに安倍政権の手腕への、お粗末ぶり。周辺の口の軽さが災いしている、といえるのでしょう。

今回の訪米、これも海外から伝わる天変地異の一つなのかもしれません。しかしこれは予想の範囲内です。不意におこる問題ではありません。日米がTPPで合意する、内容はかなり米側に譲歩している、という前提で考えていかなければならないのでしょう。そのために大々的に行ってきたキャンペーンが、この訪米で完結する、という悲喜劇であったのなら、最後にシェイクスピアの言葉を残します。「おお、諸君。人の一生は短い。だがその一生を卑劣に過ごすとしたら、長すぎるのです」

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2015年04月25日

雑感。日銀プレイ

日経平均が2万円を維持しています。ただし、最近では一部オプション市場は活発ですが、先物は低調な展開も多く、手口としては現物株の売買を増やしているようです。個人的な推察ですが、先物やオプションのリスクの高まり、つまり市場が急変動しやすくなっているため、ヘッジとしての先物、オプション市場の魅力が著しく低下しており、変動幅の小さい現物株を志向する傾向が強まっている、と感じます。今や日経平均一日で三桁の変動など、当たり前になっています。オプションの刻み値である250円幅など、一日で超えてくる。しかも夜間、シカゴの取引で大きく動いてしまうため、日本で商う必要性も薄れています。現物株としては、流動性の高い大型株を商う傾向が強まり、日経225が優位の展開となっています。これが2万円越えの真相であり、日銀プレイと呼ばれる、30日の日銀金融政策決定会合までの現物株買い、という流れになっています。

今回の上昇局面で、業績期待なる言葉が盛んに用いられましたが、わずかに出てきた企業の今期見通しは、どれも期待に添うものではありませんでした。円安にすすんだわけでもなく、政府の景気対策が出てきたわけでもありません。今期15%増益、これを越えるような何か特別な材料もなかった。業績期待などは、株価が上がった理由としては使い易いものですが、実際は異なります。
日銀プレイ、というのが今の相場です。しかし早めに追加緩和期待を盛り上げすぎたため、金曜日には失速してしまった。日銀プレイで一週間も買い上げられるほど、強気にはなれない、ということです。しかし今、一つの手口が分かると、それを先回りしようとする流れとなります。今回、まさに一週間以上も前に入った買いがそれです。来週はもう一度、日銀の追加緩和を囃す流れになるかもしれませんが、追加緩和自体がどういう結果になるか、は未だ不明です。

黒田バズーカ第一弾から1年半で、第二弾は打たれました。これで第三弾を半年で打つ、となると明確に日銀の政策の失敗を意識させます。効果がでないから次々と緩和する、というのでは、政策の検証もできません。第二弾も大規模に国債買入れ額を増やしていますし、それで効果がでなかったから、さらに規模を増やしても効果がでるかどうかは不明です。しかも、すでに債券市場は日銀プレイに支配されており、追加緩和の手段も限られています。
日銀プレイ、プレイというのは遊びです。今の市場は、日銀というコマをつかってゲームをしているようなもの。日銀が遊びの道具になっている、それが日本の実情です。ここまで期待が盛り上がってしまうと、どういう結果がでても、急変動を引き起こし易くなってしまうのでしょう。年金やゆうちょ、かんぽが買う間は、現物株が買い手も多くて楽、そんな思惑で現物株の売買が注目されるのなら、それはもう日本の市場全体がプレイ、遊びの道具として、マネーの力に振り回されるだけになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年04月24日

バンドン会議での安倍首相の演説

アジア・アフリカ会議(バンドン会議)における報道は、相変わらず各紙、政府広報のような有様で、日中首脳会談は『両国は改善の方向』と伝え、安倍首相の演説には『文言に気をつけた』とも。どちらも外交なら当たり前で、何も評価するべき点はありません。前段の日中首脳会談は、中国紙では二面でしか報じられず、扱いも小さかった。国内向けとも報じられますが、そもそも外交で絶対に会わない、話もしない、などという態度を貫くことは不可能です。それは好材料、悪材料、ともに国際社会での調整が必要だからで、冷戦時代の米ソでさえ、話し合いはもっていました。時に密に、時に疎に、日中だけで解決しない、様々なことを話し合わなければならないのです。改善した、などという方向性は、はっきり言えばどうでもいい話です。
そのとき必要なこと、何を話し合ったかが重要ですが、会談の内容については一般に報じられません。そこで安倍首相の演説『Unity in diversity〜共に平和と繁栄を築く』から色々とさぐります。「共に生きる」60年前のスカルノ大統領の言葉を引用し、テロリズムの拡大から最後に「共に立ち向かう」と、反対の結論になった前段。これは意味深です。立ち向かうのは相手があるからであり、相手とは「共に生きない」と述べている。「バンドンの先人たちの知恵は、法の支配が大小に関係なく、国家の尊厳を守るということ」と述べていますが、その法が国ごとに違い、衝突するからこそ争いがおき、その法に従えない人間がテロリストとなり、国境を超えた環境破壊もその違いから起きるのです。『価値観外交』は外務省の省是のようなものですが、価値観でさえ国ごとに違う。「共に立ち向かう」などという、極めて都合のいい同盟、協力関係は、それこそ時々刻々、常に変化する形でしか成立しないものでもあるのです。

その後、『国際紛争は平和的手段によって解決する』と、バンドン会議の原則を述べていますが、それと真逆なことを安保法制で行おうとしています。そして「平和と繁栄を目指す…先頭に立ちたい」として、これからは「援助」ではなく、「成長のパートナー」になる、と述べます。仮に「援助」であったとしても、相手を目の前にして言うべきか? 悪い言葉をつかえば『上から目線』がこんなところにも出た、とさえ言えます。パートナーとして、友人として手伝ってきた、手を差しのべてきた、で良いではないか。先頭に立ちたい、という驕りとともに、日本の伝統的な謙譲の精神、気遣いはこうした言葉からは感じられないのです。
TPP、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を、アフリカまで拡大する意向も示しましたが、日本単独でできることではない。日本としては、人材育成を前面にうちだしています。お金がなくなったから、援助ではなくパートナー、お金ではなく人で貢献、ということですが、中国のマネーパワーと対抗するには、心許ない「先頭」と言えます。

多様性という言葉がいたるところに出てきますが、政権中枢に多様性をもった人材をそろえていない安倍氏に、それこそ多様性をもつ国々をまとめあげる力は、そもそもありません。しかも外交関係を、米国の後ろ盾により成立させようとする態度では、恐らく半分もまとめられないでしょう。中国のように、有無を言わさぬ不変の価値、『お金』と『軍事力』をチラつかせるような国には、到底敵うはずもありません。今のままでは日本はアジアで『先頭』どころか、孤立化する懸念すらあります。日本独自の外交戦略が、あまりにお粗末すぎます。
恐らく、この演説でどの国も心を動かされることはないのでしょう。お詫び、に言及しなかったことなど、この会議の目的とも反するので、そもそも重要ではありません。大事なことは、中韓以外の国が、この演説でどう日本を評価するか? です。残念ながら、何も心に残らない、ということにもなるのでしょう。国際会議で、演説の文言、一言一句に気をつけるのは当然です。むしろ心を籠める、という大事な視点が抜けおちたままで、人材による結びつきを求めても、心がつながらない、ということだけは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年04月23日

電源構成比の中の原発

東京豊島区の公園で毎時480μSvという高い線量が確認されました。昨日の官邸ドローン事件でも、放射性物質が用いられており、関連性も疑われます。理由は分かりませんが、ただ原発に限定するまでもなく、日本では医療、検査装置でも放射性物質が用いられます。通常なら管理もしっかりしているでしょうが、そうした企業が倒産したら? 処分に困って捨てることも考えられるでしょう。それこそ会社がつぶれたことで、社会に恨みをもって…と、フィクションにはありがちなケースも想定されます。かなり高い線量だけに、もしこれがテロだった場合、日本はあらゆる場所で定期的に線量をチェックする、といった対策も必要となりかねません。

そんな中、経産省が2030年の電源構成比として、原発を20〜22%とする案を提案しました。これだと寿命を迎える原発以外、すべて動かすことになりますし、仮に経済成長をつづけて電力需要が増えるなら、原発を新設しなければ達成しない、ということにもなりかねません。一方で、省エネ対応がすすむなら、原発を稼動せずとも国内の電力を賄える可能性もあります。そもそも、2030年には超高齢化社会を迎え、国内の生産性は低下しますし、高齢世帯でそれほど活発に電気をつかうか? という問題にも直面します。電源構成比とともに、必要電力量がカギです。
しかしいくつか新技術も出てきています。水素元年とも呼ばれますが、太陽光発電は日中しか発電できませんが、その電力で水素をつくり、夜間はその水素を電気に変える。そうした発電方式が、災害時の非常用として発売されるのです。これだとエネファームと同様に、廃熱を利用してお湯がつくれるため、システムの効率化が図れます。一般的な住宅用の発電で、水素燃料車を年間1万km走らせる程度の水素がつくれる、とされますから、家庭用としては若干もの足りないかもしれませんが、悪天候や不足分のみ電力会社から購入する形になれば、家計も助かるはずです。

今、住宅用の蓄電システムもありますが、電池は劣化の問題もあり、必要性の面からも一般には購入し難い。しかし水素の形で溜めておけば、くり返して利用しても劣化はしませんし、それこそマグネシウム電池と組み合わせれば、家庭ですべての電力を賄えるようにもなるでしょう。すでに非常用で発売されたことからも、常用の発電として活用できるはずです。むしろ、これを売り出したのが原発メーカーであるだけに、非常用に限定したのも電力会社との馴れ合い、といった面があるやに推測されます。しかし技術があるなら、いずれ新興国に真似さえ、安価に一般家庭向けが入ってくるかもしれない。そのときは原発など不要になるかもしれないのです。
原子力発電は、経産省としても肝の利権の一つです。電源構成比などで、原発を最大限活用する、などとだすのもその一貫でしょう。しかしそんなことに拘っていると、日本は世界の競争に出遅れるだけであり、再生エネの先進国としても見劣りし、国家百年の計を誤るともいえます。原発に嫌悪感がある日本、さらに放射性物質がテロに利用されるとき、ますますその管理の厳格化が迫られ、高コストの発電ともなっていくことでしょう。原発やめますか? それとも再生エネの技術革新を止めますか? という二者択一にしようとしている経産省に、日本の経済や技術の推進役は相応しくない。電源構成比ではなく、経産官僚の脳内構成比を変えない限り、こうした提案がくり返されることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 原子力

2015年04月22日

日中首脳会談について

3月貿易統計速報がでてきました。輸出は金額ベースで前年同月比8.5%増、輸入は14.5%減となり、貿易収支は2年9ヶ月ぶりに約2300億円の黒字です。数量ベースでも輸出は3.3%増、輸入は10.3%減ですが、実は対ドルで円は17%程度下落しており、そこから比べると金額ベースでは見劣りします。一方で、数量ベースの変化は中国の事情が大きく関わっています。中国向けは金額ベースで前年同月比、輸出3.9%増、輸入19.6%減であり、春節で2月に輸出できなかった分が、3月の出荷になった。一方で生産活動が停滞した中国からは、3月分の輸入が減った。この突出した動きにより黒字化が達成されましたが、財務省も黒字が継続することには懐疑的です。

官邸の屋上に、小型のドローンが侵入しました。白い機体を黒く塗っていたこと、及び放射性物質を搭載していたことなど、明らかにイタズラではなく明確な意図、目的をもっていたことになりますが、問題は防ぐ手立てがないことです。常時妨害電波をだすとしても、最初からプログラミングした機体は防げません。プログラム上、都心は飛ばさないとしても、改造されたら終わりです。機体番号をつけ、登録を義務づけたとしても盗まれたり、機体番号を消されたら捜査できません。今回は放射性物質でしたが、それこそ毒ガス、生物兵器の可能性もあるわけです。侵入した時点でアラームを鳴らす、レーダー網ぐらいしか対策もないのが現状です。
放射性物質を搭載していたことからも、原発再稼動への反対が目的でしょう。容器周辺で毎時1μSvですから、年間8mSvと高線量です。ただし、今の日本では放射性物質も入手が簡単なだけに、今後もテロに利用される恐れがあります。それこそ一昨日、騒がれたGoogleマップの書き換えとの関連は? 何やら日本にもきな臭い、テロの匂いのしてきたことに不安を覚えます。

アジア・アフリカ会議で日中首脳会談が開かれました。日本は安倍首相の訪米前、日中の友好ムードを演出するため、中国はAIIBに日本を引きこむため、と双方の思惑が一致した形での会談です。恐らく日本側から打診した面が強く、AIIB参加にむけて前向きに検討、とでも条件をだしたのかもしれません。一方で、ADB改革なるものの検討を始めましたが、明らかに後追いでAIIBの仕組みに近づけるものであり、正直頷けません。同じ仕組みで、2つの組織ができたら、明らかに競争型になり、融資にむけた審査も甘くなりがちです。棲み分けではなく、競争をめざす時点で、この前まで批判していたAIIBを認めてしまったことにもなり、政権の態度にも首を傾げます。
中国の春節に貿易統計が振り回され、中国人観光客の爆買いに小売も依存し、安倍政権になってから急速に中国依存度が高まっています。中国がクシャミをしたら、日本も風邪をひく。隣国だけに、無視や単なる批判だけでは済まない関係です。しかも中国外交はしたたか。軍を動かすことさえ厭わない国です。そんな国と、競争型で対抗できるのか? 個人的にはムリと感じています。むしろ日本の強み、利点を伸ばし、中国とは別の形で国際社会にアプローチしていくことが、求められるのでしょう。しかしADBという財務省、外務省利権の中枢だけに、日本が負けられないと意地をはるなら、余計な国費をただムダにするだけ、ともなるのでしょう。安倍政権の外交オンチぶりに、習氏の笑顔があるのだとしたら、足元ばかりか骨までしゃぶられることにもなりかねない、そんな会談の裏側が透けてみえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2015年04月21日

資金需要とスーパー売上高

「粛々と」を使いつづける安倍政権に、『上から目線』との声もあり、右ななめ上からの高圧的な態度として指摘されますが、経済の分野からすると『安倍から目線』という、奇妙な状況がおきています。これは2014年度の毎月勤労統計で、1月以外はずっと所定内給与が前年割れだったことで、官製賃上げと持て囃された昨年、そして今年と、4月になると賃上げを誇る安倍首相の態度から、何か違う数字をみているのではないか? 別次元の話をしているのではないか? との憶測から、『安倍から目線』とは、経済指標とは真逆のことを言う、もしくはそれに基づいて政策を決めようとする態度、として用いられます。
確かに調査対象の入れ替えがあり、厚労省も認めているように、倒産した企業が退出している過去データと、これから倒産しそうな企業を含む、新たなデータでは数字が低めにでる、といったこともあるでしょう。しかし安倍政権はずっと倒産は減った、と言いつづけてきたのであり、倒産を下方改定の原因とするのも、実は発言の整合性を失うことにもなっています。

3月全国スーパー売上高が、前年同月比8.6%減と、衝撃的な数字がでてきました。住宅関連が19.2%減、家電が24.8%減。駆け込み需要の反動という面があるにしても、大きすぎる落ち込みであり、通年でも前年度比2.5%減と、激しい消費減退がおこっています。一方で食品スーパー売上高は、3月は前年同月比4.4%減と、11ヶ月ぶりのマイナスでしたが、通年でも前年度比0.1%減となっています。今も天候不順で生鮮野菜が高騰していますが、1%以下とはいえ、すすんだインフレにより食料品の購入に回す額が多くなり、前年より下がった給与に必死でやりくりした結果、食料品以外の落ち込みが大きくなった、という原因がここからも読み解けます。
日銀が銀行に実施した主要銀行貸出動向アンケート調査で、個人向け住宅ローンDIは+3(前回+4)と、小幅に悪化したものの、一方で消費者ローンDIが+7(前回+1)と、大きく資金需要が増えた。これが前向きな消費でないのは、スーパー売上高をみても明らかです。生活苦により消費者ローンが増えている現状、それが各種指標を通してみると非常によく分かる結果となっています。

企業の資金需要は、製造業の大企業向けDIが±0(前回+3)、中小企業向けDIが-3(前回+3)、非製造業の大企業向けDIが-1(前回+4)、中小企業向けDIが+1(前回+4)と、総じて資金需要が停滞している。大企業は内部留保もあり、また市場から資金調達し易くなっている、という面があるにしても、中小企業まで借りない現状は、経済活動の停滞、もしくは下降を示すものです。低金利でも、借りて設備投資をしても売れないから、借りない。15年度は辛うじて資金需要は増加傾向でしたが、今年度は減少に転じるかもしれない、そんな下落トレンドを描いています。
今日の日経平均は大幅高でした。中国版バズーカとも言われますが、0.5%刻みだった預金準備率の引き下げを、1.0%に拡大した。逆にいえば、それだけ景気に不安がある証拠ですが、金融相場には恵みの雨です。ただ、それだけではなく、日銀の金融政策決定会合前に買いを溜める、いわば日銀相場が今回、早めに入った印象です。TPPで合意できなかった日米、安倍氏の手土産にも困るところですから、何かサプライズを準備しないといけない。米国の経済指標も悪化し、早期利上げ観測が後退しており、日銀が緩和し易い環境が整いつつある、ともいえます。技術的には難しくとも、さらなる緩和マネーへの期待が、海外の好材料と合わせて市場を押し上げた形です。しかし資金需要が停滞する中、いくら資金を流してもダブつくだけ。そしてそれが株式なり、資産価値を高める方に向かう、という異常な循環だけが、ここには生まれているのです。『安倍から目線』には、これが株価上昇、景気好調と映っていることでしょう。『安倍から目線』はド近眼に、かなり乱視がまじっている、ということだけは国民の目からはっきり見えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年04月20日

メディアが政権批判をすることの意味

今日の東京株式市場は落ち着いた取引でした。19日、中国人民銀行が預金準備率を1.0%引き下げ、市場に融和的な態度を示し、上海市場が落ち着いていたことも影響するのでしょう。先週末の空売り拡大も、機関投資家など一部にその権限が与えられるだけなら、これらはヘッジの空売りをしても、市場を暴落させるような売りは出さない、と推測されます。それ以上に、預金準備率を下げたことで余剰マネーが市場に流れ易くなる、との思惑が先行した形です。
なぜか、ギリシャ懸念についてはほとんど材料視されませんでしたが、もう食傷気味なのかもしれません。しかしEU再編など、ギリシャ問題の影響がどこまで拡大するか、実はまだまだ不透明な部分が多いものです。7月までにギリシャ政府が折れるのか、EUが見放すのか、いずれにしろ答えが出るのでしょう。そのときは今融資をしているIMFふくめ、不良債権下するのかも考慮して、経済の影響を考えていかなければいけないのでしょう。

あるブログでNHK、テレ朝が自民から呼び出された件を取り扱った記事で、『メディアが政権批判をすると国民にウケる。人気が出る』と述べられ、それを前提に論理が構築されている点が、少し気になりました。実はこの『メディアが政権批判を…』の論調は、安倍政権支持の方に多いのですが、まったく論拠がありません。むしろその背景を考察すれば、簡単に論旨が覆ります。
政権批判がウケるのは、国民が相応しくない、政治家の資質も劣っている、と思っているからこそ、その意に添う論調には同調が集まるのであって、逆に政治家としての力量もあり、かつ国民の声に応える政権なら、メディアが批判するにもリスクが伴います。つまりメディアが政権をどう評価するか、ではなく、国民が政権をどうみているか、が政権批判が国民にウケるかどうかに、深く関係するのです。そしてそれは政権に携わる政治家の行動、言動によって決まるのであり、決して批判のための批判が面白いから、国民がそうした番組、記事をみるわけではないのです。

例えば、山場を迎えたといわれるTPP交渉。中国主導のAIIBが、交渉加速の流れをつくったともされますが、本質は安倍氏の訪米前、手土産にしたいからこそ今ここで焦って交渉しています。貿易協定と、投資銀行ではその中身があまりに違い過ぎますし、環太平洋とアジアと、多少の地域的な重なりはありますが、枠組みも目的も異なる。それに双方へ参加する国も多く、AIIBとあえて重ねる必要はありません。それこそ『粛々と』交渉し、双方のメリットを話し合えばよく、安倍政権の焦りは国益を損ねかねない、妥協の産物になりかねない懸念の方が強くなります。
安倍政権に外交手腕があるなら、AIIBの流れを読み間違えることもありませんし、また国民の声を聞くなら、TPPには参加していません。しかもこのタイミングでTPPを加速させても、米議会ですら大統領貿易促進権限(TPA)が提出された段階で、まだ成立はしていないのですから、どうなるかは不明です。日本側の事情、特に安倍政権の未熟さが露呈した結果として、このTPP交渉をここでまとめようとするなら、国民はその不誠実さに批判的な気持ちを抱くのです。そしてその意を汲むからこそ、それをズバリと言ってくれる人間、番組、記事に称賛を与えるのです。

卑近な例をあげれば、小泉政権のときに政権批判が力をもち得たか? と考えれば分かり易いでしょう。今でも特に、小泉政権が特に優秀で、すばらしい政策を打っていたとは考えていませんが、当時は国民がすばらしい、と思っていたからこそ、その意に反する報道はできなかったのです。世論調査でも、暮らし向きが悪化した、は過半数を大きく超えます。それなのにメディアは景気が好調や、安倍政権を称賛する記事ばかりを垂れ流し、国民が悶々とした気持ちを抱くのです。今こそ、政権批判が力をもつのに、それを人為的、無理やり止めているような状態です。
G20でも、麻生財務相が香港紙の記者を嘲り、笑ったと報じられます。財務省としては既得権であるADBの脅威となるAIIBなどができて、中国が不倶戴天の敵にみえるのでしょうが、国際社会からみて麻生氏の態度は、非常に危惧されるもの、と映ります。そしてそれらは国民も見ているのです。この政治家たちでいいのか? 日本の代表として相応しいのか? 自分たちの暮らしを託せるのか? それがNOであった場合、『メディアが政権批判をすると国民にウケる。人気がでる』のです。少なくとも、そうしたことを必然と誤解してしまうのは、日本の政治が劣化し、国民からみてNOである政権がつづいている、ということが影響しているのでしょう。少なくとも、安倍政権も国民からみてYESではありません。それを人為的に、特定の層により守られているのが、今の安倍政権です。国民の不満の高まり、鬱屈した気分が高まっているからこそ、その流れを変える何かがあると、がらりと変わってしまう予感もしています。それが海外から来るのか、国内で芽生えるのか、その差でしかないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2015年04月19日

雑感。日経の世論調査

最近、Appleが大規模な広告戦略にうって出ています。Apple Store前の行列がトラブルとなり、今後は行列をつくらせない、と表明したことが影響するのでしょうが、行列が広告戦略の一つだったとしたら、それはサクラの存在を疑わせるものとなります。逆に、お金をかけない広告だったのなら、今回はかなりコストアップを強いられる、ということにもなります。日本の飲料メーカーも出荷停止をくり返す、飢餓感商法が問題視されていますが、ある意味でこうした商法にも転換がみられるように、世界は今、大きな転換点に来ているのかもしれません。

日経新聞の世論調査で、景気回復を実感しているか? との問いに78%が「実感していない」と答えています。しかも増税から1年たち、1年前と比べて生活は? との問いに「変わらない」が60%、「悪くなった」が37%、「良くなった」が1%と、衝撃的な内容です。この1年、一貫して実質賃金が下がりつづけたのですから当然ですが、昨年もこの時期は賃上げ、賃上げと好意的に取り上げてられて、この結果というのが重要です。さて、今年も安倍首相が、賃上げを桜前線に準えましたが、まさに桜のように春だけ大騒ぎするだけでは、まったく意味がありません。再来年の消費税再増税も58%が反対と、この結果をみても経済政策の失敗がうかがえます。
しかも集団的自衛権、辺野古移設、原発再稼動まで、安倍政権の政策には悉く反対の方が多い。日経なので、経済意識の高い層の回答が多い、とみられますが、それでも政策全体にまで反対するのは、安倍政権への評価がそれだけ低い、ということの表れなのでしょう。ただ、政権の支持率は50%超え。ただし支持する理由で、もっとも多いのが「安定感がある」というのですから、要するに支持率の高いことが理由であって、ここには奇妙な好循環が生まれている形です。

以前から、世論調査には懐疑的な見方も強いですが、支持する→安定する→だから支持する、という流れで支持率が高いのなら、政策自体の評価が低くても納得できます。安倍政権でなければいけない、という積極的支持ではなく、安定する政権を支持する、ということです。
しかし世論調査にはサクラもいる、とされます。それこそ同じ家に何度も調査して、前回と同じ結果を導こうとしているのでは? とも囁かれるものです。つまりその方が全体の意思を確認する、という世論調査の意味合いが変わり、傾向の変化を読み解く、といった形にもなるからです。確かにそれだと視聴率の調査とも同じです。同じ家庭がみる番組が変わったら、それは趣味嗜好の変化を知る、との意味もあるのでしょう。ただし、世論調査としては正しくありませんが…。

安倍政権では広告宣伝費が拡大しており、それもメディア統制の一つ、とされています。中国をもちだし、危機感を煽って集団的自衛権や辺野古移設の必要性を説いても、電力が足りないと原発再稼動を訴えても、国民にはまったく伝わらない。Appleの広告宣伝戦略も転換しましたが、安倍政権の行っているちぐはぐな広告宣伝戦略は、まったく的外れであり、失敗している、とも言えるのでしょう。安倍政権の支持者が過半数なのに、政策はまったく支持しない、という流れは、政治への飢餓感の方がより高まっている、といえるのかもしれませんね。あk

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2015年04月18日

株式市場の下落。

ワシントンで開かれていたG20が、共同声明を採択し、閉幕しました。その中で「ユーロ圏と日本の経済見通しが改善している」と好意的に書かれていますが、おや? と感じます。なぜなら『改善』ということは、『悪化』もしくは『停滞』していたのであり、政府はこれまで認めてこなかったのですから。IMFやOECDも日本の成長率をややプラスから1%程度に改定していますが、一般企業でいえば経営者が、株主に気をつかったようなもの。出資比率の多い日本の意向にそった見通しを示したに過ぎません。昨年がマイナス成長なら、今年はその低い水準から比較されるので、プラス転換する可能性もありますが、海外からまた悪材料が出てきました。

中国が空売りのための貸し株を容認します。これは不動産市場に投資の魅力がなくなり、株式市場への資金流入がつづき、バブル化が懸念されています。経済は停滞、企業活動も停滞しているのに、株価だけが上昇する。それを抑制するためですが、中国の資産価値が停滞することも予想され、改めて経済成長の鈍化を意識されます。それでもバブルよりはマシ、との判断が吉とでるかは、AIIBの行方とともに中国経済の動向次第というところなのでしょう。
そしてギリシャ問題の再燃です。もうギリシャを離脱させるしかない、というEU関係者の諦めの発言も聞こえるように、経済低迷と緊縮財政に国民の不満が限界へと達しており、EU、IMFとの調整がつきません。債務返済の先延ばし要請など、ギリシャ政府から聞こえてくるのは借り手として相応しくない話ばかり。EUの堪忍袋の緒が切れ掛かっており、EU離脱が見えてきました。その影響度が分からないため、市場にはふたたび不安が襲い、欧米株価は下落しています。

週末の東京市場で株価が下落したのは、上記の原因ではありません。米系の日経平均先物売り、TOPIX買いのNTショートという形で、日経平均が大きく下げ、TOPIXは下落幅を縮めていますが、大幅下落の主因はチャート形状の乱れでしょう。16日、しばらく19840円を抵抗ラインンに反発してきたチャートが、一時崩れました。その日は切り返しましたが、翌日には戦略の練り直しを迫られた。米系の手口も、しばらく日本株の上昇はないとみて、組み換えを行ったために起こったのでしょう。上記の悪材料を織りこむのは週明けから、となります。
3月後半から4月2週目まで、外国人投資家の現物買いが大きかったものの、これは配当権利とりと、その配当の再投資分であり、3週目からの取引が重要となります。そこでチャート形状が崩れた。月末の日銀会合が接近してきたこともあり、溜めこみ過ぎていた買いを処分する必要もあったのでしょう。何より、日本の成長率が引き上げられるのなら、追加緩和を必要がなくなります。金融相場の好材料は、決して株高にならない。その裏返しが来ているのです。

しかも中国、欧州が躓いても、日本が追加緩和する理由になりません。当面、日本に資金を置く理由が薄れてきました。今後でてくる業績発表への警戒もあるのでしょう。市場期待が高すぎるだけに、円高にすすみ始めた為替、原油高など資源価格の上昇もじわりと効いてきます。昨年度までの好材料を、今年は剥落する過程にある点にも、注意しなければなりません。
安倍首相は桜を見る会で「桜前線が北上するように、15年ぶりの賃上げを実現できた」「景気回復の温かい風を、全国津々浦々までとどける」と述べています。デフレ脱却や、賃上げをターゲットにし、それを成果とする愚は、安倍政権の経済政策オンチぶりを如実に示します。官製インフレ、官製賃上げ、官製株高という生ぬるい風に、誰もが気持ち悪さを感じる中、海外からは寒気団が迫ってきました。冬型の気圧配置は西高東低ですが、今の経済環境は政高民低という状況であり、決して春めいた陽気ではありません。むしろ強引に暖房をたいて、温かくしているような形です。居心地が悪くなりだした株式市場、それは生ぬるい風ばかりでなく、生ぬるい対策しかだせない、もう対策すら出てこない安倍政権への失望という面が、強くなってきたことによるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年04月17日

安倍首相、翁長沖縄県知事との会談

米国のアンケートで、日本の首相の名前を言えるか訊ねたところ、7割以上が「知らない」と応じました。これは安倍首相の知名度がない、ということでもなく、例えば日本で中国の首相の名前を訊ねても、恐らく習近平国家主席の名前をあげる人が多く、李克強首相と答えられる人がいないのと同じです。米国でカストロ議長の知名度が高いように、日本でも悪い意味で目立つ、韓国の朴大統領の知名度は高い。つまり格下で、米国にとって毒でも有益でもない安倍氏のことは、米国人にとってどうでもいい、ということです。日米は蜜月、などという人もいますが、少なくともオバマ政権にとってもどうでもいいから、言及が少ない点も留意が必要です。

安倍氏と翁長沖縄県知事の会談が行われました。冒頭のカメラ撮影を、予定の5分から3分程度で打ち切ったのも、政府としては予定通りの行動でしょう。沖縄側の語ることを、黙って聞いている時間をなるべく減らし、安倍氏の心的負担を減らそう、との意図です。またいくら訪米前、ポーズとしても一度会談しておく予定だったとしても、「唯一の道」と述べた時点で、政府には代替案がないのですから、沖縄が強く反発するのは当然で、むしろ関係悪化を強く印象づけます。これまでの自民党政権なら、訪米直前に会談し、その後は訪米のニュースで一色にし、翁長氏の行動を抑止するような戦略をとったことでしょう。むしろ今日この、訪米まで時間のあるタイミングで会談を打った、その理由が別の形で判明することになりました。
一部週刊誌、及び某安倍シンパの新聞で、時を合わせるよう翁長氏と中国との関係をうかがわせる記事が並んだ。要するに、翁長氏にスポットが当たり、ネガティブな記事に注目が集まるよう、あえてこの日にしたのです。しかしすぐに別の週刊誌が反論の記事をあげるなど、どう考えてもこのネガティブ記事の信憑性は低く、論拠の浅さも見え隠れするものとなっています。しかし偶然としては、出来すぎたタイミング。公安なども翁長氏の醜聞集めに動いていた、とする指摘があることからも、この会談と醜聞記事の掲載日との、奇妙な符合は見逃せません。

自民がクロ現のやらせ問題でNHKを、報道ステの古賀氏の問題でテレ朝を、それぞれ情報通信戦略調査会によんでいます。また外国人特派員協会に呼ばれ、会見した古賀氏に、会見が終わった後で、日テレ、フジの記者が政府側にたった質問を浴びせ、話題になっています。これほどメディアと政治の癒着がすすむ中で、いくらネガティブ記事を上げようと、その裏が透けている以上、大した効果もありません。今回の会談も、安倍シンパのメディアが都合よく報じてくれるのでしょうが、いくらなんでも政府がやっていることに国民の多くも気づくでしょう。
安保法制の話もでてきていますが、最近では『文民統制』という言葉は、『文(新聞、週刊誌などのメディア)を民(自民)が統制すること』という意味でもつかわれるようです。最後に、米著述家の言葉を記しておきます。「欲するものがすべて手に入りつつあるときは警戒せよ。肥えていく豚は幸福なのではない」 今、安倍政権はメディアまで手に入れて、有頂天になっているところでしょう。しかし米国では名前すら憶えられていない、日本の首相にできることは、国内で空威張りするぐらいです。「肥えていく豚」にならないためにも、謙虚にならないと、それこそ醜聞でつぶされるのは安倍政権、ということにもなりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年04月16日

雑感。中国経済とAIIB

昨日、ECB理事会後のドラギ総裁の会見に、独国出身の女性が乱入し、紙ふぶきをまき散らしました。背景はよく分かりませんが「独裁をやめろ」と叫んでいたことからも、ECBの量的緩和に反対する行動なのでしょう。反金融緩和の波は、日本ではおきていませんし、何より金融緩和の先進国でもあってピンと来ませんが、世界では確実に広がりを見せています。

独国のメルケル首相が、安倍首相との電話会談でAIIBの参加を促した、とされます。一部でメルケル氏は、日本の参加で中国に運営体制の見直しを迫りたい、との憶測記事がありますが、的外れでしょう。独中の蜜月ぶりはこれまでも顕著です。輸出依存の強い独国の貿易相手は、主に中国であり、中国経済の堅調が、独国にとっても必須なのです。しかし中国の過剰生産体制は、他のアジア諸国の成長をとりこみ、そこに資材を供給する形でなければ、すでに捌ききれない水準に達しています。つまりAIIBの成功がmustであり、そのためには中国より格付けの高い日本、米国が参加することにより、投資基盤を安定させたい、との思惑が透けてみえる形です。
しかし残念ながら、私には中国の行動がネズミ講に見えてしまいます。成長するといいことあるよ、とアジア諸国を誘い、その儲けの一部をキックバックの形で中国がうけとる。そうした形で中国は成長を維持しようとしていますが、必ずいずれ限界を迎えます。成長できる国がなくなってもそうですが、途中で躓いても終わりです。中国がそうしたビジネスモデルの先頭なので、ある程度上手くいっていますが、2巡目、3巡目の国々はそれだけ苦しくなっていく。その姿はまさにネズミ講、世界がいつまでも成長し続けるかのごとき前提でなければ、成立はしないのです。

昨日、中国の1-3月期GDPが7.0%となりましたが、数字的に操作された上で、目標の7%程度というのがより深刻なのでしょう。生産者物価が下落、一方で人件費は高騰、原油価格の下落だけでは説明のつかない事態が起きています。米国債の保有比率で、日本が中国を抜いた、との報道もありますが、米国債をかなり手放したのは運用の多様化というばかりでなく、資金の流れが大きく転換したことを意味します。利上げ局面で、米国債の保有が多いことはマイナスでしかありませんが、それ以上に外向きにつかうお金を増やした面があると考えています。それは内需の停滞、消費大国への転換の失敗という面を、外需に頼ろうとした部分があるはずです。
公共工事を増やしても、過剰投資にしかならない。過剰生産の現状では、中国国内でお金をつかうのは、ほぼ不可能なのです。金利の引き下げや、投資基準の緩和など、小幅の対策は打っていますが、不動産販売が10%近くも落ちる現状は転換できないでしょう。しかも一度始まった不動産市場の凋落は、長期化する恐れすらあります。外貨準備をつかい、対外工作をすると同時に、諸外国を成長させて、一緒に自分たちも成長しよう、との戦略に転じた中国。仲良しの独国と組んで、G7、G20などでも積極的に宣伝をしていくことになるのでしょう。中国の第1四半期は、歳入が減って歳出が増えた。必死で経済を下支えするものの、歳入の低下がもし格付けにも影響してくると、AIIBの保証も変化してくることになります。そのとき、AIIBは泥舟になる。今は中国経済の動向と、AIIBの成否とはほぼ重なるのであって、注意が必要ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年04月15日

雑感。高浜原発差し止め訴訟

昨日、東電福島第一原発1号機の格納容器内に投入されたロボットが、3時間で停止した件。東電の説明は、グレーチングの隙間にはまった、とのことですが、これには違和感があります。機器はキャタピラー方式に見えるので、かなり大きな隙間となりますが、それだと地震の際、すでに外れていたか、水素爆発の際に格納容器内に大きな圧力がかかったことになります。前者だと地震で炉心が損傷していた可能性まであり、事故の原因が地震となるため、これまでの東電の説明とは異なります。後者だと他のグレーチングまで影響している可能性があり、2機目を安易に投入してしまって大丈夫か? という東電の判断に疑問符がつきます。
英紙で、高放射線の影響とするものがありますが、可能性としては耐放射線性能の低い部品がつかわれていた、といったことが考えられます。その場合は、投入された2機目が答えを出してくれるのでしょう。いずれにしろ、想定不足により壮大なムダになったばかりか、一つの侵入経路を不意にしたことにもなります。最初からグレーチングの上を走らすのではなく、まず内部の状況をファイバースコープのようなもので確認していたら、こうした事態は回避できていたかもしれない。つくづく想定の甘さ、技術者の能力不足を感じさせる事例といえます。

福井地裁が高浜原発3、4号機の再稼動を差し止める仮処分を決定しました。基準地震動は地震における最大の揺れを意味せず、それを上限として設計されること自体、意味がないこと。また耐震補強もなく、基準地震動だけが引き上げられたこと。多重防護の考え方も1重目が貧弱であると指摘したこと。高浜原発のみ、基準地震動を超える地震がこないとはいえないこと。使用済み核燃料の保管については耐震クラスBであること。重要免震棟の設置に猶予期間があること。そして新規制基準が、緩やか過ぎて合理性を欠く、とまで言及し、住民の人格権が侵害される恐れ、被保全債権の存在をみとめ、原発再稼動は認められないという判断にいたっています。
原規制委も反発していますが、そもそも原規制委は「安全」を約束していないので、安全上の問題を争った公判に言及することはできません。「この新規制基準で安全だ」というなら反論に意味もあります。原規制委の新規制基準と、真っ向反対の判断だからです。しかしこれは対立しない、平行線の議論であって、新規制基準とは今ある原発を動かすための基準です。政府も原規制委も、「国際的にもっとも厳しい基準」という言い方のみをして、絶対に「事故を起こさない」、「安全」とは言わない。そんな逃げ口上しかしないのなら、絶対に再稼動すべきではありません。

「国際的にもっとも厳しい基準」だろうと、国際的にみてもっとも地震の多い国である日本の基準が厳しいのは当然で、逆にいうとこれまでそうでなかった方が問題です。またそれを金科玉条の如く連呼されても、安全は担保されないのですから、尚のこと規制基準とは名ばかりで、ことのほか悪いものです。それにこの判決は一石を投じた。その意味は大きいのでしょう。
関電は大飯原発の運転差し止めを決めた樋口裁判長が、今回の公判も担当したことで交代を求めるなど、かなり露骨な行動に出ましたが、新規制基準自体を否定されたことで反論も難しくなりました。基準地震動など、それこそグレーチングを支える梁に支持があり、もし福島原発で、地震でグレーチングがずれたのなら、根本から設計を見直さない限り、福島原発の二の舞が起こりかねない、ということでもあります。福島原発がどのようにして事故を起こしたのか? それすら分からずつくられた新設計基準に頼ることは、限界があります。少なくとも、政治家や原規制委が「安全」と言わないような施設を動かしてはいけない、ということだけは確かなのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 原子力

2015年04月14日

浜田参与の発言

独紙記者として特派員をつとめていた人物が、特派員協会の機関紙に、安倍政権によるメディア圧力に関する記事を上げています。安倍政権を批判すると、本社まで総領事官がのりこんできて、名誉毀損ともとられかねない抗議をし、圧力をかけた、というのです。これは海外向けに英字で発信されていること、また特派員協会の機関紙、という言わば業界人向けですし、日本のメディアはごく一部が報じたのみに留まります。しかし安倍政権に無視は許されない。反論なり、反応しないと、これが事実として海外に拡散、蔓延することになるからです。
しかし、言わば告発文を上げたのですから、記者も何らかの証拠を握っている可能性があります。下手に騒ぐと、問題を大きくする恐れもある。しかも洩れ伝わる、国内メディアにとっている圧力と手口が似通うことからも、事実である公算が高い。それでも反論しないと海外から批判されることになるのです。今日、産経の元記者が韓国から出国できましたが、日本も韓国と同じように、メディア統制する国との認識が広まらないためにも、逆に広く国民に知らしめ、その上で堂々と反論をし、相手を負かすぐらいでないとこの問題は収まらないと言えるのでしょう。

直近の市場は、浜田内閣官房参与の発言に振り回される状況です。昨日のBSの某番組に出演した際、「購買力平価でドル円は105円」と発言、しばらく様子見だったものの、その後に円高へと振れました。しかも今日になり、別のインタビューで「120円限界」ともとれる発言をし、さらにそれ以上になると購買力平価からの乖離により投機筋の仕掛けがある可能性、とまで言及。これは市場関係者が、年末までに出している対ドルで125円予想を覆す内容でもあります。
浜田氏は米国の新自由主義の息のかかった人物であり、ここには最近増えた米要人によるドル高牽制発言と、歩調を合わせる意味もあるのでしょう。しかし市場関係者がだす15%増益の予想も、さらなる円安を含んだ数字であり、これは株式にも影響する話です。一方で追加金融緩和にも言及した上で、副作用も認めています。「株で儲けている人もおり、債券で損をするかどうかは2次的な話で、目をつぶっていい」とも。要するに、インフレになると債券価格が下落し、今市場を支えている日銀、年金、郵貯、かんぽなどが総じて損失を抱えることは「目をつぶる」というのです。インフレになってないからいい、というのは政権の目標とするところを否定しており、逆に政権目標の2%インフレが達成されたらどうするのか? ということについては語られません。

間接税としての消費増税には賛成、一方で法人税減税には言及するものの、同じ直接税である所得税にはふれない。企業の国際競争力、という言葉の裏には『米国からみた』企業の姿しか興味ない、と言いたげです。「消費増税するなら金融緩和をして景気を回復させる必要」との言葉には、米国でも懸念されている日本の財政。それを改善させるためには国民が苦しんでも構わない、とお意図が透けます。しかも副作用を認めながら、「技術的に追加緩和は困難」と認めながら、さらに緩和をする必要性に言及する姿に、日本のことを本気で心配する姿はありません。
マネタリーベースを上げても、インフレにはならなかった時点で、浜田氏を始めとする新自由主義による壮大な実験は『失敗だった』と認めるべきなのでしょう。いくら圧力をかけても、今後は海外からの逆風が安倍ノミクスには吹き荒れます。円安が封印されれば、益々インフレ率は低下し、デフレへと逆戻りします。最近、菅官房長官の言葉の軽さを揶揄して「嘘つきで菅」とも言うそうです。政権が嘘をついている、そう思われないためには事実を認め、それに代わる対策を示してこそ、その責任を果たすのです。浜田氏の言葉に市場が振り回されるのも、米国の意思を気にし始めた。安倍政権のことは素通りし始めた外国人投資家の思惑が、さらに複雑に絡みつくことによって起こるのでしょう。政権が「危機で菅、何か?」と惚ける前に、新しい手を打つ必要がでてきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年04月13日

雑感。統一地方選、前半戦

統一地方選の前半戦、結果は与党の圧勝という形です。しかし知事選の投票率が47.14%と、前回と比べて5.63pt、過去最低だった03年と比べても5.49ptも下がった。つまり異常なほどの低投票率により、組織票が際立った形です。元々、地方選にはメディアも冷たいもので、ほとんど報じられることもありませんが、今は特に、安倍政権に気をつかっているメディアが選挙関連のニュースを報じないことにより、有権者の投票行動に結びつかない点も大きいのでしょう。
この解決策は一つ、例えば直近三回の選挙の投票率の平均から、2%より大きく低下した場合、メディアにペナルティを科す。数字や手法については、色々と考慮の余地もありますが、政府広報がなければ選挙に関して報じない、という態度がメディアの公平中立な立場と言えるのか? それを問うことです。つまり、メディアには報道の自由が与えられる一方、取捨選択、裁量権により『報じない』という選択も可能です。今回のように、報じないことで低投票率を促し、与党に加担することが可能なら、そこにもメディアとの癒着、政権との距離感を疑われる事態ともなります。一方で、一度の選挙戦を煽り過ぎれば、その次の選挙ではペナルティとなりかねない。抑制の利いた、その上で積極的な選挙報道を促すためには、これしかないのかもしれません。

大阪維新の会は、大阪府議選、市議選で何とか第1党を死守。来月の住民投票にむけては、一定の力となりそうですが、今回の統一地方選のときでさえ、メディアは争点化を避けてほとんど報じない中ですから、投票率も下がる可能性が大きい。予算をつかって広報を活発化すれば、それすら批判の対象になりかねず、難しい舵取りになります。今のメディアは政府、自民の志向する方向を正しい、と報じがちですから、退潮を示す維新の勢いとともに、尚更その意義をどう訴えていくのか? その戦略次第では、橋下氏の国政進出にも大きな足枷となります。
問題は民主です。枝野幹事長など、記者会見では責任回避ともとれる発言に終始し、有権者を唖然とさせた。これでは民主の党勢回復など、到底この執行部でははかれない、ということを示します。北海道も大分も、与野党対決となった知事選では、事実上地方組織しか対立候補を支持しておらず、責任逃れをしようとしていたことが鮮明です。勝てそうな選挙区だけ重点的に支援する。聞こえはいいですが、結局は不戦敗を増やし、党全体としては地盤沈下しています。

与党、安倍政権からは、信任をうけた。安倍ノミクスへが評価された、などとも語られますが、自民が得票を増やしたわけでもなく、またここには公的マネーで先週末、『日経平均2万円のせ』という報道をメディアが、ばんばん打ったことなども影響しています。一昨日の記事でも指摘していますが、2万円に乗せようと新規資金が流入することはなく、逆に歪みの大きな市場からマネーは逃避する方向です。しかしそう報じられることで、選挙戦では与党有利に働いています。
低投票率で、与党勝利などという政治家がいること自体、この国の政治の劣化を示すのでしょう。支持された、と言いたいなら、少なくとも自民の得票率を上げてから語るべきであり、単に議席数が増えたことで勝利とするなら、これほど民主主義が機能しないことを見せつける事例もない、と言えるのでしょう。例えば、無投票で当選にならないよう、議席と立候補者が同一、もしくは少ないケースでは、立候補者数‐1の議席を奪い合う、といった選挙制度も必要なのでしょう。有権者の代表、といった形をとりもどさないと、一部利権者、思想、宗教のための選挙、政治がより強まることにもなり、日本の危機をより近づけることになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年04月11日

日経平均で2万円到達

三井住友銀が、共働き夫婦が共同で借りる住宅ローンに対し、どちらか一方が亡くなった場合に住宅ローンを全額免除する、保険型のローン商品を販売します。金利は上乗せですが、返済が滞って破綻という事態を回避できます。ただ、新たな保険金詐欺にも利用されかねず、ノウハウを保険会社から学ぶなど、対策も必要でしょう。住宅需要が下がったままで、金融機関も需要を掘り起こそうと躍起ですが、投機マネーが価格を押し上げている現在、ローンを組んで住宅を購入しようとする層を喚起するのは、相当に厄介です。

昨日、日経平均が2万円をつけたことを、各メディアは好意的に報じています。多く語られるのが、日経平均が最高値をつけた頃、もしくはITバブルの頃と比べ、未だにPERは17倍前後だから割高ではない、というものですが、経済環境の説明が抜け落ちています。高い経済成長が期待できた時代と、成熟から衰退へと向かう頃の時代では、PERの数字の捉え方が異なります。高成長国ならPERが40倍でも正当化できますが、今の経済環境で17倍は、かなり割高に映ります。それ以上に、今年度15%程度の増益をみこむ今の市場は、日本が高成長国にもどったような錯覚に陥らせます。
問題は企業の稼ぐ力がついたかどうか? 実はここが重要ですが、日本企業は3極化しています。内需系は需要減退により、今年も厳しいでしょう。輸出企業は先進国主体、新興国主体とに別けられます。新興国で成功したユニクロのように、需要拡大をとりこめる企業はまだ期待できますが、米国の好景気を享受してきた自動車産業など、今年は苦しくなることが確実です。欧州は緩和マネーの状況次第、というところもありますが、恐らくは昨年並みとはいきません。

つまり昨年と今年では、企業の稼ぐ質が変化するはずです。また新興国も中国など、PPIの落ちこみは明らかに需要減退と、過剰生産に喘ぐ構図が透けてみえます。中国はAIIBなどで、新興国の需要を取りこみにいきますが、残念ながらそれが間に合わなければ、中国から崩れていきます。新興国主体に輸出、または進出している企業にとって、中国の動向が極めて重要となります。
恐らく、今年それほど企業業績の上乗せは期待できない、というのが真相でしょう。やたらと賃上げで…、株高で…、今年は消費が上向く、と喧伝されますが、そんな甘い話はまやかしと考えた方がいい。これまでと同様、口先で期待を煽る戦略に過ぎません。賃上げ効果は昨年も語られましたが、一昨日も指摘したように残業が減って、手取りが減れば意味がありません。個人投資家の裾野は、日本では2桁にすら届かない。年金に恩恵…とも語られますが、運用に成功しようと、401k型の年金制度ならまだしも、一般の年金は受給額は変わりません。しかも年金のうけとりは数年から数十年先、今年の景気にはほとんど影響しません。つまり国内の改善は期待できない。海外も、今年は米国の停滞がどれほど続くか? どれほど波及するか? によって、大きく変化する。証券会社がそろって15%増益、というほど楽観できる状況には、内外ともにないのです。

それでも成功する可能性は残されるのでしょう。欧州緩和マネーが、基軸通貨であるドルの膨張から縮退へと変化する、それを補う程度に世界中にばら撒かれれば、の話ですが…。日欧の株価が堅調なのも、この悪条件が金融相場には適しているから、という話に過ぎません。株価2万円到達で、年末までの予想で22000円、23000円などとも語られますが、それだけしか上値余地がないなら、新規資金は乏しいという話の裏返しになります。すでに高い期待を乗せた水準であることを認めるなら、現実の推移を確認しておく方が、よほど市場を映すのかもしれません。4月の1週、2週は再投資のための投信設定などもあって、好調であることも多いものです。そのタイミングでつけた2万円、ということを見誤ってはいけないのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年04月10日

雑感。サッカーボール訴訟について

日経平均が15年ぶりに2万円、と報じられます。しかしマイナーSQが20008円で決着し、幻のSQにしないため先物で頑張って買い上がった結果、20000円にのせたのであって、すぐに失速。シカゴ日経平均先物が20085円をつけていたことを考えれば、今日の市場は弱かったのであって、決して強さは垣間見られません。TOPIX型は朝から弱含んでいましたし、強い相場であれば、日経平均2万円、TOPIX1600ptはすぐにつけているところです。というより日経平均が2万円で、TOPIXが1600ptというのは明らかにバランスを欠いています。日経平均が優位になったり、TOPIXが優位になったり、今は先物で左右される相場であり、決して健全な、素直に喜べる相場つきではありません。
報道ステに対し、政府が安倍ノミクス効果についての報道に、クレームをつけた話が出てきています。どうせなら安倍ノミクスを酷評する、海外メディアにも注文をだせばよいのですが、それはしないようです。官製相場とも言われますが、今は官製クレーマーの存在にも注意した方がよいのでしょう。政府がメディアにクレームを入れる際につかう『公平中立』は、『公正』とは異なります。公正なら『正しさ』が求められますが、公平中立なら『ウソ』でも構わない。バランスさえとっていれば、文句は言わない、という仕組みです。要するに、ムードを壊すようなバランスを欠いた報道は許さない、批判するならそれと同じぐらい、よい話もしろ、ということなのでしょう。毀誉褒貶もまた、安倍政権下では公平中立でなければいけないようです。

昨日、サッカーボール訴訟について最高裁が新判断を下しました。監督責任について、通常の活動を逸脱しない限り、事故などの予見性がない、しつけも怠っていないとして親の損害賠償を認めない、とするものです。注意しなければいけないのは、これは学校の校庭での場合だ、ということです。つまり道路などで遊んでいて、通りがかった人に怪我を負わせた場合、この判決の範疇にはありません。即ち、例えば認知症の方の事件、事故についても適用されるか? と報じられますが、ごく一般的な管理監督責任の線引きは、未だに曖昧な部分が多い、となります。
動物なら檻に入れておけますが、人間をそうすれば虐待です。しかし相手が人間だけに、鍵の開け方も知っています。そんな中で、管理監督責任をどこまで負うか? 実際には個別事案による、といえるのでしょう。ただし、ここで示された判断は、子供が無邪気にふるまうことすら手控えさせる、そんな司法の風潮に一石を投じたことだけは確かだと言えます。

司法の場も、公平中立に動き出しました。公平中立は、先にも示したように『正しさ』は約束しません。あくまでバランスの問題です。今回も、加害者側の不作為を認定した形ですが、この事件には被害者もいます。死への責任、という意味では、今回のケースは直接的な影響でない点も、判断には考慮された可能性があります。しかし公平中立になれば、その判断も加害者側、被害者側、双方がバランスの範囲で考えるようになるのでしょう。それがよいことかどうか、それは市場と同じように、それぞれの受け止め方で変わってくる、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2015年04月09日

日銀会合と景気ウォッチャー調査

昨日、日銀金融政策決定会合で現状維持が決まりました。物価は増税分を除くと0%程度としたものの、予想インフレ率は低下していないとする、極めて都合よい解釈を示したといえます。昨日の株式市場が現状維持でも下落しなかったのは、月末に控える会合まで期待を持ち越したためでしょう。実際、黒田バズーカ第2弾が撃たれてから、先物で高水準の買いポジションを維持する主体もあり、半年たっても崩さない強固な姿勢が買い安心感を生んでいる一方、いつポジション整理するのか? という不安も醸成させます。しかもここ最近出てきた経済指標では、日銀に都合の悪いものが垣間見られます。

まず日銀が公表した需給ギャップは10-12月期で-0.1%、7-9月期の-0.4%から改善しているものの、未だに需要不足の状況がつづきます。予想インフレ率が下がらず、需要が不足しているのですから、これはマネーフローで解決するのは難しいばかりか、消費減退を引き起こしかねない事態です。つまり価格上昇を意識して先回りで買おう、となりにくくなっているのです。
遅れていた2月の毎月勤労統計の発表ですが、実質賃金は前年同月比2.0%減、意外だったのは総実労働時間は昨年並みですが、所定外労働時間は0.7%減、一方で常用雇用は前年同月比2.1%増、パートタイム労働は3.8%増。これを見ると、雇用を増やして残業を減らす、という体質に日本企業は変わったように見えます。実質賃金が目減りする以上、消費は盛り上がらず、薄く広くとなっているため、パイの拡大効果を期待するしかありません。しかも製造業に限っての所定外労働時間が、前年同月比では同水準だったものの前月比の季節調整済みで3.7%減となるなど、下向きのトレンドを示し始めた。昨年の2月は増税前の駆け込み需要に対応していた設備稼働が一巡したタイミングであり、その頃の水準と一致している、という点にも大きな問題を感じます。

昨日発表された3月景気ウォッチャー調査、現状判断DIが52.2と前月比2.1pt改善。先行き判断DIが53.4と、0.2pt改善。他の指標とも合わない改善ぶりですが、中身をみると飲食関連、サービス関連が突出して改善しており、いわゆるインバウンド。春節休みの中国人観光客をとりこめるところが、改善したという形です。原油安効果も地方によって区々であり、賃上げ期待などの意見もありますが、需給ギャップをみても、毎月勤労統計をみても消費改善に期待できる数字はありません。先行きはこの二つが落ちこみ、さらに製造業も落ちこむとの見通しであることからも、数字より中身は悪い、というのが景気ウォッチャー調査の結果となります。
米紙で、安倍ノミクスは失敗、とはっきり書かれました。喜んでいるのは中国人旅行者だけ、とも。最近、日本の投資家は悲観的、一方で海外の機関投資家は楽観的、という報道が増えています。ROE経営に積極的など、投資できる環境が整ってきた、というのですが、本当に海外の機関投資家が買いのタイミングと思っているのなら、日本のメディアに積極的にでて、そう語ることはありません。安い時期に仕込めなくなるからです。むしろそう語るときはそろそろ売りたい、と考えているのであって、相場が下落しないよう個人投資家を呼びこもうと画策している、ということが読み解けます。未だに高水準の買いポジションを維持する欧米系。今日なども値下がり銘柄数の方が多いにも関わらず、140円以上日経平均は上げてきました。要するに、先物が上げ、値嵩株の商いだけが増える、という極めて歪みの大きな相場になっています。歪みが大きい、ということはいずれその修正が入る、ということです。今はそのタイミングの見極めが大事であり、海外紙で酷評される安倍ノミクスと、機関投資家の意見の食い違いの方が、より警戒されるところでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年04月08日

社説と抄

最近、産経が飛ばしています。かつてはもう少し配慮もありましたが、今は安倍政権擁護と、保守的の旗幟を鮮明にしており、突飛な論理には首を傾げます。維新の党を除名された上西議員の件で、ある番組で女性コメンテーターが「化粧が癇にさわる」と述べた、と揶揄する論調の中で取り上げていますが、本来は他人の容姿を侮蔑するような意見を、公の場で述べる人物を批判しなければいけないのが、新聞の立場です。これまでも比例議員が離党する、除名処分されても議員をつづけることは有りましたが、今回ほど攻撃を向けてはきませんでした。
安倍政権となり、政府、政治批判を封印され、鬱屈した気分が攻撃対象をみつけると、一気に爆発しているような印象です。今回の件より、よほど捜査対象になっているパソコンのハードディスクにドリルで穴を開ける方が問題と感じますが、事実を『粛々と』伝えたに留まります。

読売も、菅官房長官と翁長沖縄県知事との会談について、『批判にも相手への配慮』とし、翁長氏の政府批判を「疑問」と伝えます。記事の要旨は辺野古移設を受け入れろ、というものであり、政府の側に立った見解に沿う社説をあげています。どちらが提灯で、どちらが太鼓をもっているかは知りませんが、両紙が安倍政権の露払い役であることは間違いありません。『批判に配慮』する前に、『沖縄で示された民意に配慮』すると言えないメディアなのでしょう。
同じ社説で、読売は『官民で賃上げの動き広げよう』と、あたか賃上げすれば好循環が生まれる、が如き書き方をしています。しかし賃上げし、経営が傾けば元も子もありません。明日の職場が確保されなければ、それこそ消費は活発化しないでしょう。よく読むと「環境整備が重要」といった文言が最後に出てきますが、本来は賃上げできる環境を政府が整えるよう、求めねばなりません。政権発足から2年半、中小企業は苦しくなっただけです。経済指標を見ても、まったく改善していないのですから、まず『賃上げできるような施策を』と訴えるべきです。

産経にもどって、産経抄で『週刊誌をにぎわす醜聞の数々』というものがあります。どう考えても最近、週刊誌をにぎわすのは安倍政権の閣僚や、元閣僚の方が圧倒的に多くあるにも関わらず、「社会人としての基本ができていないお粗末な議員」としてとり上げた例は、野党議員のものばかり。政治資金規正法や、公選法違反で訴えられた件など、「政治家としての基本ができていない」のであり、単なる醜聞では済まない話です。今はまだ疑惑であって、断定しにくいとしても、不倫や国会欠席がそうした疑惑に先立って取り上げるべき内容とも思われません。
同じ産経抄で、『どんなに細かい『やらせ』でもウソである』と、NHKクローズアップ現代の問題をとり上げます。「同じ報道人としては色眼鏡をかけることなく報告を待つ」とします。あれ? と思うのは、同じ報道人だろうと独自に調査し、記事を上げるのが報道人としての務めではないか? 検証の結果が首をかしげるものだった場合、改めて調査するのか? なぜ待ちの姿勢なのかが分かりません。しかも籾井会長は、すでに別件の検証で検証委員への高額報酬が問題視されているところです。むしろ『同じ安倍政権応援団』だから、批判しないで待つ、ということではないのか? とすら思えてしまいます。その前に、『同じ報道人』だから『色眼鏡をかけない』ということなら、他のものごとは色眼鏡をかけてみているの? という素朴な疑問も湧いてくるところです。『どんなに細かい…』は、日テレの紀行番組に携わった人の言葉ですが、産経には『どんなに細かく、分かりにくくしても政権をヨイショする記事は、ウソくさい』という言葉が、今はよく似合ってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 一般

2015年04月07日

日銀の金融緩和から2年

2015年3月末で、外貨準備が1.25兆$となり、前年比で2.7%の減少です。為替介入は昨年度通じて行っておらず、減少の原因は金価格の下落やユーロ建て債券の下落、国際協力銀行(JBIC)への貸付としますが、中身には首を傾げます。項目別にみると、その他とされる部分以外、軒並み減少しているからです。もしかしたら、地球儀俯瞰外交により安倍首相が新興国を渡り歩き、その都度支援を約束した。その分、国際機関を通じて日本の外貨準備を流出させることになったのかもしれません。額面で預金や証券などが下がっているので、目減りは顕著であり、これは貸付に回したという単純な話ではないのかもしれません。

今日の日経平均は大幅上昇でしたが、個別項目をみても追加緩和期待を囃すものであり、日銀の金融政策決定会合の結論がでる前に、買いポジションを積み上げる動きです。一昨年の黒田バズーカから約束の2年であり、増税分を除くと物価はマイナスも意識される水準です。4月は月末にもう一度、決定会合が開かれますし、そこで追加緩和などという議員のリップサービスもあり、期待が盛り上がりつつあります。そこには先週末、発表された米雇用統計をうけ、休場明けの米市場が途端に業績相場から、金融相場にもどったことと、無関係ではないのでしょう。
しかし緩和から2年、政策の妥当性や検証を経ずに、しかも黒田バズーカ第2弾からわずか半年で、追加緩和を強いられたとなれば、それは黒田日銀の信用にも関わってくる問題です。4月、安倍氏の訪米に合わせて追加緩和、となればサプライズはありますが、規模や内容が小幅にとどまると、こうして会合前に買いポジションを膨らます市場では、期待にそぐわなかったとして売り叩かれる恐れがあります。それほど危険な賭けを、安倍氏も黒田氏もしにくいところです。

しかも気になるのがバーゼル委員の動きです。金融規制の一つとして、今後は価格下落圧力の高まる国債を、安全資産から外す動きがあります。もしそうなれば、国債保有比率の高い邦銀は、さらに国債を手放そうとする。すでに金融機関への調査で、国債投資を手控えると答えるところが多く、日銀が出口を検討することすら難しくなっています。今後、追加緩和を仮にすれば、それはさらに出口のない袋小路に迷いこむ恐れすらあります。事実上、追加緩和は封じられており、しかしそう言い出したら売り叩かれる、そんな恐れに怯えている状況でもあります。
最近、日銀は物価2%の未達をうけて、インフレ期待は継続していることをイイワケに使い始めました。確かに各調査でも、インフレ傾向とみていることは間違いありませんが、国民はそれを『悪いこと』と捉えています。『インフレ期待』なのか、『インフレ予想』なのか、言葉尻も安倍政権では変化させましたが、日本の現状は『インフレ懸念』と呼ぶ方がいいのかもしれません。インフレになることを国民は怖れているのに、政府、日銀はそのインフレに向かって政策を打っています。こうしたことも日銀の追加緩和を封じる要因なのでしょう。低インフレをディスインフレと呼んだりしますが、日本のインフレは、国民にとってDeathインフレになりつつあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年04月06日

雑感。菅官房長官の言葉

菅官房長官が上から目線と指摘された「粛々」を今後、つかわないと表明しました。「粛々」は沖縄の声を聞かない、ということですから、話し合い自体意味がないのと同義です。「唯一の解決策」も同様、解決策を安倍政権は提示しない、ということでもあります。このとき、沖縄に代替案を示せ、という意見は大きな誤りです。沖縄が代替案を示せば、沖縄県内で別の場所を探せ、ということに他ならないのですから。米軍との交渉もできず、他県に頭を下げて回らなければいけないことを、なぜ沖縄にさせるのか? これは国が調整力を示さなければならない問題なのです。「粛々」も「唯一の解決策」も、調整力不足を露呈した結果、でてくる言葉であることは間違いありません。これはすれ違いや平行線ではなく、本来や安倍政権が、米軍や日本各地、また諸外国との関係をにらんで、沖縄との間で糸を縒るようにして、一枚の大きな布にしていかなければいけない話なのです。それができない安倍政権に、安保法制などできるはずもありません。集団的自衛権など、それこそ世界各国との間で糸を縒るような、繊細な作業になるのですから。

高市総務相に醜聞がでてきました。秘書で実弟が、農業法人の国庫融資に関与した挙句、融資が焦げ付いたと一部週刊誌で報じられています。本人は否定、法的措置も検討と伝わりますが、気になるのは、菅官房長官や安倍首相が「問題ない」とするのが早すぎる点です。恐らく本人に聞いた結果、ということでしょうが、もし実際にやっていても「やっていない」とするのが当然で、本人の言葉ほど信用できないものはありません。内閣、自民が独自に調査した結果、「問題ない」と述べたわけではない。下手をすれば官房長官がウソをついた、という話になります。
高市氏はこれまでも、醜聞には最初に強い反発を示す一方、その後の行動は伴わないケースがあります。裁判をするならすればよいのですが、沖縄にしても、政府は裁判をすれば勝てると思っているぐらいですから、裁判には絶対の自信があるのでしょう。ただすべてが白日の下に晒される。それができるかどうか? という話です。しかも発売日当日になって反論した、ということは週刊誌側も本人にアポをとらなかった。醜聞つぶしに衆目を逸らすような、大きな記事を準備できなかったという意味では、政府の素早い反応には焦りも見え隠れするのかもしれません。

教科書検定の話もでてきました。内容については細々書きませんが、何が正しいか? については様々な見方があります。例えば意見が割れるようなものに、政府見解のみを書けば誘導になる。見解とは、まだ明確になっていない事例、ということでもあるのですから。そして正しいわけでもない。正しさとは、実に難しい問題でもある、という認識が大事なのです。
辺野古移設にしろ、政府はそれが正しい、と思っていますが、沖縄県民はそう思っていません。正しくあること、というのは明確な数字で示されるものでさえ、互いの認識の違いにより受けとめが異なるように、実に難しいものなのです。安倍政権では、自分たちだけが正しい、という認識をもっているようですが、政府見解ですら絶対ではありません。TPOにより簡単に変えてしまえるようなもの、なのです。ここに来て、やたら菅氏の言葉が軽く感じられるようになりました。正しさ、を軽々しくつかう。自分で調べてもいないのに断言する。「粛々」も「唯一の解決策」も、政治家としては落第。言葉が軽いから、上に昇って上から目線になっているのだとしたら、それは驕り、という言葉で言い換えられるような代物なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年04月05日

雑感。今週の市場

菅官房長官と翁長沖縄県知事との会談、気になるのは産経の見出しに『菅官房長官「辺野古移設が一番の解決策」 翁長知事は移設反対を主張、首相との会談要求』とある点です。明らかに菅氏の主張が正しく、翁長氏がわがままを言っている、という印象を強めるような書き方をしています。翁長氏は「粛々」と述べる菅氏に、そんな上から目線では県民の心が離れる、と語っているようですが、実は上から目線で物事を定義づけようとしているのは産経、ともいえます。
例えば『要求』を『要請』に代えるだけで、印象は大分和らげられます。『主張』という言葉も『訴え』に変えると、県が国にお願いしているイメージになる。そもそも菅氏の言葉だけ囲みで、これこそ唯一の策と言わんばかりの扱いにする点に違和感があります。菅氏が会見でももち出す放送法では「公平な」扱いを求めていますが、産経の見出しは作為的に印象を操作しようとする意図が透けてみえます。政府の提灯もち記事を書けば批判しない、ということならそれも「公平」ではない、となるのです。言葉とは武器になり、使い方を間違えれば暴力になります。今の安倍政権と、それに阿るメディアとは、言葉と態度でその暴力をふるっている状態なのかもしれません。

先週末の米雇用統計をうけ、今週の東京株式市場は動きの読みにくい展開となりそうです。米景気減速を素直に織りこめば売り、グローバルな資金移動となれば、米国から逃げた資金がどこに流れるか? 米国はドル高是正を目論んでおり、ある程度の資金移動は容認するでしょうから、調整色を強める株価と同様、市場も弱くなる可能性があります。一方で、利上げ観測は後退しており、それが下支え要因にはなりそうです。その影響が東京市場にどう影響するか? 日経平均先物は100円近く下げていますが、イースター休暇明けの海外市場が分からないまま、一番早く開くのが東京市場、という点ではまったく読みきれない状況となりそうです。
4月に入り、恐らく欧州グローバルマクロ系とみられる資金の買いが、日本株を下支えしていますが、これまで勢いのよかった米系の買いはぱたりと止まりました。恐らく米系は需給をみており、欧州系はグローバルなフローをみている。米系は買い需要が多い市場には資金をおこうとする。欧州はバランスで、どこかの市場が上がると比率の関係から資金を別の市場にも流す、といった投資を行っているようで、欧州が最高値を更新するうちは日本にも資金をつぎ込む、といった関係があるようです。3月はECB緩和の詳細が発表されてから1ヶ月なので、その余力が2万円まで近づけた主因ですが、米系が降りた途端に18000円台へと落ちてきました。

いくら信託経由の年金が買おうと、郵貯がリスク投資をすすめようと、圧倒的なボリュームを占めるのは外国人投資家です。外国人が売れば値下がりする。しかもそろそろ米国では15年の第1四半期の決算が出てきます。1-3月期の減速をある程度みたとしても、今の株価水準はやや高すぎる。一方で日本は、今年度の業績が10%の増益をすでに織り込んでしまっています。日米ともにスタートのハードルがかなり上がっている状況でもあるのです。
恐らく期待は欧州しかないのでしょう。ECB緩和効果で、今年の前半を好調のまま乗り切れるなら、今の株価にも説明がつく。日本では欧州経済についての情報が少ないのですが、グローバルな資金の流れでいうと、当面は欧州系に期待するしかないのかもしれません。しかし資金供給、という言わばお金の暴力のような状態で景気を無理やり上向きにしている現在、そのバランスが崩れた時点で、この好調さも終わります。資金需要の『要請』が『要求』に代わるようなときは注意が必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年04月04日

安倍政権と北朝鮮と米国

米3月雇用統計が衝撃の数字でした。非農業部門が前月比12.6万人増、予想の25万人増の半分です。しかも1月、2月も下方修正され、時間当たり賃金は上がったものの、労働時間は減った。これらは明らかに業種別の変動が大きかったことも影響していますが、原油安で鉱物関連、寒波で建設業などが大きく雇用を減らした。その結果、低賃金の職種への就労が減って、賃金も改善された。やはりというか、1、2月はどうも高すぎた印象があり、減ったのはむしろ納得できます。
これを受け、6月利上げ観測が後退し、ドル高も改善された。元々ブレの大きな指標ですが、ただ今回の雇用統計はFRBが利上げしないためのイイワケに準備されたような、そんな印象です。ドル高、原油安が米経済にも直撃しており、これまで米経済は堅調として資金流入を囃すスタンスから、様子見姿勢に転じようとしている。その転機となるような雇用統計の結果なのでしょう。

月末に安倍首相が訪米します。ただその前に、日米を取り巻く外交の状況に変化も生じています。まず北朝鮮による声明。拉致被害者家族会と、安倍氏が会う直前の発表は明らかに北朝鮮が挑発している傾向も読み解けます。その引き金は朝鮮総連議長の自宅を、家宅捜索したことですが、逆にどうして日本政府がこの時期、北朝鮮を挑発したのか? 理解に苦しみます。何か勝算があってしていることならまだしも、安倍政権が得意とする『やっつけ外交』のようです。
地球儀俯瞰外交と称し、新興国に出向いては支援を約束するだけ。そうした国々が感謝し、答礼のために訪日してくれることもありません。その場限り、後に続かない外交です。そして今回の北朝鮮は、機敏に反応してきた。家族会でどう語るか? と思っていましたが、特に何らかの戦略があるようではありませんでした。中国が主導するAIIBに、先進国が多く参加することで、日本の目論見が外れ、安倍氏が激怒したという話も伝わりますが、今回も相手の反応を考えず、やっつけ外交をした結果、安倍氏は激怒しているのかもしれません。

米国ではイラン核協議で共同声明をだし、6月末までに最終合意する見こみです。まだ紆余曲折ありそうですが、遠心分離機の稼動を3分の1、地下施設を当面は凍結、といってみたところで、イランは堂々と核関連施設を動かすお墨付きを国際社会から得た形であり、満足できる内容です。一方で不満なのがイスラエル、及びイスラムのスンニ派勢力であり、イランで主流のシーア派の力がついている現状、シーア派のみ核武装できる状況にはまだまだ一悶着ありそうです。
安倍氏の訪米も、日程がスカスカとの話が伝わります。議会演説は、米共和党の協力で達成できますが、オバマ大統領からは嫌われていて、国賓待遇でありながら冷遇される、という奇妙な状況です。AIIBでも恭順を示し、米国と同様に創立国に名を連ねなかったものの、米国の出方は未だに分かりません。下手をすれば、米国が日本より先に、AIIBに参加するかもしれません。

オバマ政権は、敵対していたイランとも協力し、核開発にお墨付きを与えるなど、外交姿勢は柔軟で、逆にいえばこれまでの米国の常識とは異なり、何をするか分からない側面があります。安倍氏が訪米する前に、菅官房長官が沖縄県知事と会談するなど、着実に足場を固めているように見えつつ、沖縄がGW前に、安倍政権に叛旗を翻せば今回の北朝鮮と同じことになります。『やっつける』はいい意味なのに、『やっつけ仕事』になると途端にマイナスイメージが強くなります。安倍政権は『やっつけた』気でいるのかもしれませんが、まったく相手にされず、逆に仕返しされて苦境に立たされる。それも『やっつけ仕事』ゆえなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年04月03日

雑感。維新議員の病欠問題?

維新の党の上西議員に、病欠旅行疑惑? と報じられます。しかし前日の国会予算案の採決を、診断書を提出して欠席。翌日から旅行したとされますが、旅行したとてあまり問題は感じません。仮病なら大問題ですが、病名が分からないため何とも言えませんが、さしこみのようなものなら1日で治りますし、軽度うつという症状も周期次第では翌日、旅行にでることも可能です。本人が旅行を否定するので、これで本当に旅行に出ていても大問題になりますが、それ以上に橋下大阪市長の対応に首をかしげます。確かに、統一地方選を前にした醜聞に、ぴりぴりする心情も分からなくはないですが、逆に統一選を前にしたからこそ出てきた醜聞に見えます。
先に述べたように、採決に欠席した後で旅行に出ても、それだけでは問題になりません。維新の国会議員団は問題ない、とする中で、橋下氏一人が大騒ぎをして問題を大きくしているのです。維新はスキャンダルに即応する、厳正に対処する、という姿勢のアピールなのか。しかし内紛となりそうなだけに、むしろ統一地方選にむけ、橋下氏の行動はマイナスに作用するでしょう。あくまで憶測ですが、橋下氏の反応には些かきな臭いものを感じないではありません。

橋下氏は早く大阪都構想に道筋をつけ、国政に出たくて仕方ありません。維新の国会議員団が力をもち、橋下氏の影響力が低下することに、イラだちすら感じています。しかも大阪都構想に失敗すれば、ますます政治力は下がります。今回の上西氏の醜聞は、自民の女性議員に醜聞が相次ぎ、自民党から厳命が下って野党の女性議員を徹底的に洗った。その上で出てきただろうことは、タイミングからも推測できます。しかし大した話ではなく、問題とは思えない。橋下氏の大騒ぎはむしろ自民を利する形です。ここに一つの可能性として、橋下氏が裏で自民とむすんだのではないか? 上西氏をさす、橋下氏が大騒ぎをして話を大きくする、結果として統一地方選で弱体化しても、自公が大阪都構想で賛成に回る。橋下氏が国政に転出する。大阪都構想の成立まで2〜3年、次の衆院選は3年半の後ですから、十分に間に合うタイミングです。
安倍首相と橋下氏は、昵懇の間柄であることは周知の事実です。自民としては、維新の国会議員団が民主に近づくことを警戒している。橋下氏が力をとりもどし、国会議員団にも意見できるようになるのが望ましい。そのために大阪都構想で賛成に回るぐらい、造作もないでしょう。制度設計に関与すれば、利権すら期待できます。橋下氏もこれで一役買っておけば、自民に恩を売れる。大阪都構想の成立という実績をあげ、堂々と国政に出られるばかりか、安倍政権と協力し、行く行くは総理大臣ポストまで狙う、という腹づもりすらあるのかもしれません。

上西氏を庇う気はさらさらありません。ただ現状、伝わっている状況だけで、取り立てて大騒ぎする内容ではない、ということです。今後、分かってくる情報次第では、上西氏が議員辞職する可能性はありますし、その前に党から除名される恐れもあります。しかしこうした動きの裏に何かがあるのかもしれない、と考えるなら、上西氏はスケープゴートとなるのでしょう。
橋下氏は何か上西氏に含むところがあるのでは? とも囁かれます。詳細は不明ですが、議員辞職まで示唆し、追いつめるなど、いくら比例復活当選で党としては痛くない、とは言え、無情とも思える裁定です。ワイドショーもこぞって取り上げるなどしますが、先に指摘したように現時点では、扱いの大きさほどの問題は何ら感じず、これも安倍政権に気をつかうメディアによるものなら、そこにもきな臭さを感じます。法案採決に欠席する議員など山ほどいます。それが『枯れ木も山のにぎわい』というぐらいの議員たちというなら、与野党ともに同じということです。ただ、この問題に限らず『山高きがゆえに貴からず』のように、本質で何が問題かを理解しておかないと、自民党の思う壺ということにもなりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年04月02日

日銀の生活意識に関するアンケート調査

参院外交防衛委員会の委員長である片山議員が、二度目の遅刻をし、涙ながらに謝罪しました。2分だけですが、そもそも遅刻の理由である「欧州議会幹部との会合を、外務省から依頼され…」に違和感があります。委員長は中立の立場であり、また閣内でもありませんから、外務省がどうして片山氏に依頼するのか? 以前も政府側の答弁資料をもちこむなど、政府とずぶずぶの関係なら、少なくとも委員長は辞めるべきです。委員長の職責が全うできないからです。
しかも遅刻癖は怒られようが、反省しようが改まらないのが人間です。なぜかこの癖は再発する悪い癖で、治療法はありません。片山氏の委員としての肩書きが必要だったなら、少なくとも外務省が切り上げるよう、促さなければなりません。結局、日本の外務省、外交がこうした瑣末的な問題でも、配慮が行き届かない悪癖を抱えている、ということを露呈しただけです。

日銀の「生活意識に関するアンケート調査」が出ています。個人景況感DIが四半期ぶり改善、と見だしに踊りますが、良くなったは前回5.9から7.0と、1.1ptしか増えておらず、変わらないが増えて、悪くなったが減ったことで改善に見えるだけです。3四半期大きく落ちこんだ結果、一旦底に達しただけで反転の兆しはありません。一年後のDIは良くなるが前回7.3から11.2と、3.9pt改善しますが、変わらないが6.5ptも増えているための改善です。現在の景気水準を聞いても、12月調査よりは改善ですが、数字的には9月調査に近似しており、改善傾向は見えません。
暮らし向きも『ゆとりがなくなってきた』が50%前後で推移するなど、改善はありませんが、なぜかメディアでは収入が改善、と伝わります。しかし増えたは前回9.2から10.2と1ptしか改善しておらず、この程度は誤差範囲です。逆に、支出は減った、減らすがじわじわと増えており、また雇用環境も不安と感じる人がじわっと増えてきた。この調査で好材料をみつけるのは困難ですが、メディアでは改善と伝える。DIの見方はよほど注意しなければいけないのに、です。

今日の株式市場は、珍しいことが起きています。売買高が約23億株、売買代金が2.7兆円、桁は異なりますが、通常は『売買高×100≧売買代金』であり、これは大型株が主導した株高だったことを意味します。TOPIX先物をほぼ一手買いした欧州系に引きずられた上昇でもあり、これが新年度入りした上での新戦略なのか、昨日も別の欧州系がTOPIX先物に大きく買いを張っていますが、先高期待でもない、材料もない中での上昇には違和感ももってしまいます。
安倍首相は政労使会議で、中小企業にも賃上げを要請しました。価格転嫁し、賃上げできる環境を、と述べますが、価格転嫁して物価が上がると、さらに暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」という層が増えます。4月以降、増税の影響が消えて、実質賃金が増えるのかどうか? 仮にマイナス、もしくは横ばいだったとき、国内景気への期待感の剥落から、欧州系の見切売りが増えるのかもしれません。アジアの株式市場に資金流入、という記事も出ていますが、グローバルマクロ系が暴れ回っている印象であり、株価が上がれば何でもいい、どんな手もつかう、と思っている政府の悪癖をついた取引が、今後増えてくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年04月01日

3月日銀短観について

3月日銀短観が発表されました。大企業製造業の現状判断DIは12月と同じ12、先行き判断DIは10と悪化、市場予想を下回ったばかりか、先行きに悪化をみこむのが汎用機械-9、生産用機械-1、業務用機械-6と、設備投資にからむところが軒並みなので、ムードを悪くした形です。
大企業非製造業の現状判断DIは19と12月から2pt改善。しかし先行き判断DIは17と2pt悪化をみています。中身としては小売が改善しているのは好感できますが、昨年度末の増税前駆け込み需要における、ボーナス一括払い分が12月で終わり、若干の消費のもどりがあるのかもしれません。ただ先行きの改善が賃上げを理由としているなら、やや期待値が高すぎる印象をうけます。

中小企業製造業の現状判断DIは1と3pt悪化。先行き判断DIは0と1pt悪化。下方トレンドを示します。大企業もふくめて、自動車が先行き悪化を見込みますが、軽自動車増税の影響が出ているのでしょう。年度を通じ、自動車販売は小幅に悪化したものの、これは増税の影響ですが、今年度は維持費の増にむけた駆け込み需要の反動が出そうです。日本では売れ筋の軽自動車ですから、よほどのことがない限り、今年度は自動車産業が日本景気の足を引っ張りそうな気配です。
中小企業非製造業の現状判断DIは3と2pt改善、先行き判断DIは-1と4pt悪化です。建設業の悪化が目立ちますが、戸建て住宅の頭打ち感が影響していそうです。大企業は公共工事の積み残しもあり、悪化も小幅にとどまりますが、個人消費の動向が先行きに大きく影響しそうです。

売上高の計画は、今年度に中小企業非製造業以外、軒並み小幅ながら改善をみこみます。しかし純利益は、大企業は悪化が目立ち、中小企業は改善をみこみます。賃上げ負担が重しなのか、円ドルで120円が今年フル寄与するなら、大企業こそ純利益でも改善しそうですが、これが慎重な故のかどうか。見方も割れそうです。ただ設備投資、土地投資など、今年度の企業の積極的は投資計画は、軒並み悪化するなど、今年は企業にとって厳しいとの認識が広がっているようです。
恐らくこれは、設備は過剰、人員は不足、供給超過の状態はつづく、といったバランスの悪い状態に、企業の警戒感が強まっている影響もあるのでしょう。一言でいえば「作れども利益上がらず」といった形です。しかも作るための作業員が足りない。これが利益を押し下げる原因かもしれません。考えている以上に今年は厳しい、そんな状況がこの短観には滲みます。

株価はこの短観をうけ、大きく反応しました。金融・業績相場ともされますが、景気悪化が金融緩和に直結できなくなった今、悪材料には素直に下落で応じています。ROE経営が持て囃されますが、肝心の業績が改善しなければ、PERも改善せず、株価の妥当性も失われる恐れがあります。債券市場も流動性の低下と、魅力の低下で乱高下する状況であり、株式市場も乱高下がつづきます。企業も、供給超過が意識されますが、金融市場の供給長かも深刻となっており、しばらくは思惑相場がつづきますが、この供給過多を脱しない限り、展望が開けない状況はつづくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般