2015年06月

2015年06月30日

骨太の方針と成長戦略

東海道新幹線で、焼身自殺と思われる事件がありました。ガソリン? だとするとポリ容器にはまず売らないので、自分の車のタンクから抜いたか? 確信犯的であり、この事件は安全対策面で大きな課題を示してしまいました。もし爆弾で、最高速で走っているときに運転席までやられたら…。テロの可能性を見せつけた、これを教訓にしなければいけないのかもしれません。

ギリシャの債務支払期限が今晩きますが、チプラス首相は払わない、と明言しました。IMFはユーロ圏の話し合いや、国民投票の推移などを見極める方針で、すぐに債務不履行とはならない見込みです。一方、米自治領プエルトリコが財政破綻しました。連邦破産法が適用されない自治領である一方、様々な債券にもプエルトリコ債が組みこまれるなど、影響が拡大する恐れもあります。金融緩和の恩恵が行き届くところは潤沢に、そうでないところは苦境に、金融政策による景気回復とは、一般人の格差拡大と同様、地方自治体でも格差を広げるのかもしれません。
日本では経済財政運営の基本方針(骨太の方針)と、日本再興戦略(成長戦略)の2つが閣議決定されました。安倍政権では『経済再生なくして財政健全化なし』を掲げますが、昨年度は『増税年度はマイナス成長』の例に洩れず、経済指標をみても再生どころか、経済は衰退が一層激しくなっています。求職者数が減っているのは、人口減社会と比例しますが、求人数も大きく減っており、日本経済が拡大しているとは到底思えません。これには助詞が足りないのでしょう。つまり『経済再生をなくして、財政健全化もなし』というのが基本路線になりつつあります。

本文にも「三本の矢の取組により、『デフレ脱却・経済再生』と『財政健全化』は双方ともに大きく前進」との文言が、そこかしこに出てきます。まるで安倍氏が読むから、その精神安定剤のように配されているようです。5月毎月勤労統計でも、実質賃金は0.1%減、気をつかうメディアは「名目では上昇」といった書き方もしますが、生活実感とはかけ離れています。しかし骨太の方針でも、「賃金上昇を定着…」と出てきますが、実質賃金をプラスにする、という目標は掲げない。低い志と、安倍氏を喜ばせるための作文、それが骨太の方針の中身です。
何度か指摘しているように、安倍政権では歳入が拡大した一方、歳出も拡大しているのであって、今後も歳出は膨張する見込みです。社会保障の増加に対する策として、ジェネリックの活用と謳いますが、日本の薬事審査は期間が長く、またコストもかかるため、それを国民がツケ払いのように薬代として余分に払っているのです。こうしたジェネリックの活用をすすめれば、新薬開発への意欲が低下し、結果的に国民の利益とならないことにもなるでしょう。しかし薬事審査を請け負う独法改革は、安倍政権で語られることがありません。結局、この政権には官僚が甘い汁を吸う状況に楔をうつこともできず、日本が衰退していくのを助長しているかのようでもあるのです。

もう一つ、骨太の方針の基本路線を読み替えるなら「経済低迷となりて、財政健全化の形もなし」といったところなのでしょう。三本の矢などすべて飛ぶ前からポキリと折れていて、国債発行は膨張をつづけ、日銀でさえデフレ脱却の目標を後退させている。安倍ノミクスは結果的に、株高しかもたらしてはいないのです。しかもそれが公的機関の買いが原因、というのですから、それは政策でも何でもありません。骨太どころか骨粗しょう症、とは以前から指摘していますが、今の日本は骨のない軟体生物のように、何とか形を保ってはいますが、大きな動きに踏みつけられれば潰れてしまうような、そんな国になってしまったのかもしれませんね。

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2015年06月29日

雑感。ギリシャと中国

ギリシャが昨晩、資本規制の導入を宣言しました。1日60ユーロまでの引きだししか認めない。ということは、その分のお金しか市場に流通しない。経済はさらに失速することになります。しかも1週間、混乱がつづけばさらに長くなるかもしれず、ECBは支援をつづけるとしますが、状況をみて、という但し書き付きです。つまり見捨てられる可能性を残してしまいました。これでは安定にはほど遠く、逆に不安を煽るのですが、ECBも保身を考え出したということでしょう。
例えばリーマンショック後、米国がいち早く立ち直ったのは、金融機関にムダとも思えるほどの巨額な資本を積み、破綻させないとの態度を鮮明にしたためです。これで取引も落ち着き、信用不安に陥りかけていた市場を安心させた。翻って今のECB、ギリシャ中銀の手法ではいずれ潰れるかもしれない、との疑念を払拭できません。つまりギリシャの信用不安にはまったく応えていないのです。バブル崩壊後の日本の小出し対応に似て、危機を長引かせてしまっています。

先週末、追加利下げを発表していた中国では上海株が後場に崩れ、景気対策効果に疑問が呈せられました。実は、ギリシャ問題も色々と云われますが、根っこは『社会主義の体質を引きずる国が、資本主義市場に参入するときが、もっとも経済効果がある』という点が重要です。ギリシャではPASOKによる社会主義的体制がつづき、国民には暗黙の国家保証という概念が根付いてしまった。欧州圏でも高い社会保障を見直せ、というのはこうした歴史からですが、それが国民の安閑となり、楽観が景気を押し上げてきた。これは現在の中国にも当てはまります。
国が何とかしてくれる、そうした意識が経済を押し上げる反面、それが崩れると脆い。これは戦後の日本がバブルを起こした状況とも似ますが、国がどれほど体制の転換を訴えても、国民の意識が変革するには10年以上かかります。未だにギリシャが他の欧州圏と異なるのは、こうした意識の差でもあります。そして中国にも、同じ状況が突きつけられており、国民が現実に気づき始めるタイミングも、近づきつつあるのかもしれません。もう国の保証はないのだ、と。

ギリシャの露国への接近も危惧されますが、元々露国はギリシャ正教と近いロシア正教の国であり、かつ露語にもギリシャ語の影響がみられる。近縁とは言わないまでも、ユーロ圏離脱となれば、次に近づくのは露国であるのが必定です。ユーロ圏が揺らぐ事態すら想定されます。経済的には露国も苦境でも、世界でふたたび存在感を増すことが、プーチン氏の人気をさらに押し上げるのですから、露国としてはムリしてでもギリシャとは接近したいところでしょう。
社会主義的体質を引きずる国が、そろって経済に不安が生じ始めた。そしてその成長に頼ってきた資本主義国も、ここに来て意外と根が深いと気づき始めた。それは信用を毀損する、という最も資本主義では大切にしなければならないことを、経済不安に陥る国が簡単に裏切ってしまう、という事実を目の当たりにし始めた点にあるのかもしれません。AIIBへの調印を、7ヶ国が先延ばしにしたのも、様々な事情があるとはいえ、中国への信用が影響しているのでしょう。

日本でも社会保障の減額、が叫ばれますが、中々すすみません。それは戦後の社会主義的体質だった時代に築かれたもの、その恩恵に浴していた層にとって、見直しは国が嘘つきにみえるためでもあります。ギリシャ、中国ともにその体質では国がもたない、ということを国民に示していかないと、対策を打ちだしても空砲にすらならない。世界同時株安の号砲を鳴らしましたが、そのゴールはまだ見えない点が、さらに不安を煽っているところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2015年06月28日

ギリシャ問題について

ギリシャが7月5日に国民投票を行います。チプラス政権はユーロの緊縮財政への反対を掲げますが、世論調査の結果では緊縮策に賛成47%、反対33%とでてきました。しかし約半年前にチプラス政権の誕生を望んだ国民が、心変わりしたとすればそれは緊縮策に理解を示した、というより半年間のチプラス政権の無策ぶりに失望した、という点が大きいのでしょう。結果的に約束していた緊縮策を見直させ、経済を回復させるという公約は果たせず、再選挙により態度表明をしても、それでユーロ圏を離脱するとなれば、ギリシャの国民も考え直さざるを得ません。
しかし今回、1週間の短期決戦です。何が起こるかは分かりません。特に緊縮財政策を受け入れてしまえば、今よりも生活苦に陥ることは火を見るより明らかです。かといって、ユーロ圏離脱となれば国民生活にどう影響するかも不明です。分かっている苦しい未来か、分からない未来か、その二者択一を7月5日にギリシャ国民はしなければならない、となります。

しかしユーロ圏財務相会合において、6月30日の期限切れとなる財政支援について、延長を拒否。つまり国民投票に関わらず、6月30日にギリシャはデフォルトする可能性が高まっており、デフォルトした上で国民投票ともなれば、さらに結果は混沌とするでしょう。デフォルトした国をユーロ圏が抱えるのか? といった問題とともに、ギリシャ国民は判断しなければなりません。
資本規制についてギリシャ財務相は否定しますが、預金封鎖しないと収まらないかもしれません。ギリシャの金融機関とて、ギリシャ国債の保有比率は減っていますが、預金流出が起きればデフォルトする。ギリシャ金融機関がデフォルトすると、ECB、IMFが損失を被ります。規模が小さいとはいえ、ECBがどういった処理をするか? 今のところ不明です。預金取り付け騒ぎが週明けから起こるのか? 国内が大混乱に陥るのか? 今から不安もただよいます。

日本の株式市場は、こうした欧州の動きで不透明感が高まった中で始まります。ギリシャデフォルト回避、を半ば織り込んでいるだけに、ほとんどデフォルトが確実になった今、先週買った欧州勢の動きが注目されます。しかも今週は、米雇用統計が2日の木曜日に発表され、週末ではありません。思惑的な仕掛けも入りやすく、ギリシャデフォルトとともに、今週も海外要因で振り回される展開がつづくのでしょう。それは為替市場も同様になりそうです。
先週末の経済指標も、パッとしたものがありませんでした。国内経済も停滞、海外も不透明要因が強まってきた。しかも今回、ギリシャや中国といった経済の減速が指摘される国で特徴的なのが、高級品がよく売れる、ということです。経済が減速しているのにナゼ? と思われがちですが、預金をひきだして換金し易い、価値の変わらないものへ代えておく、といった行動原理なのです。日本も今、高級品が売れています。それも経済が減速している中で宜なるかな、ということなら、決して日本も楽観してばかりではいられないのかもしれませんね。


analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2015年06月27日

自民党議員のメディア規制発言

自民党の文化芸術懇話会での、自民党議員の発言が波紋をよんでいます。「マスコミを懲らしめるために広告収入がなくなるのが一番」大西議員(東京16区)、「スポンサーにならないことが一番こたえる」井上議員(福岡1区)、「沖縄のゆがんだ世論を正しい方向にもっていくために、どんなアクションをおこすか。左翼勢力に完全にのっとられている」長尾議員(比例近畿)が厳重注意。懇話会代表の木原議員(熊本1区)が青年局長を更迭と、1年間の役職停止などの処分が発表されています。しかし自民党内からも「安倍首相に近いとされる議員たちが、安倍氏の最大の敵」とも揶揄されるように醜聞つづきで、法案成立を阻む要因となっています。
さらに懇話会に出席していた作家の百田氏が「沖縄2紙をつぶす」と発言し、Twitterで「冗談だった」としますが、冗談でも言っていいことと悪いことがあることぐらい、常識人なら分かりそうなものです。文化も芸術も語る資格のない人たちが集まって、内輪で盛り上がっちゃいました、冗談でした、では済まないのです。盗み聞きするのは卑怯、とも述べていますが、発言を冗談ですます方が卑怯ですし、非公式の場であってもそんなことを云う人間は、卑怯なのです。

さらに『朝まで生テレビ』に、自民党若手議員が出演を自粛。経緯も語られましたが、党幹部から圧力が当然かかったのでしょう。中谷防衛相ですら混乱しているように、党の若手が安保法制の議論など、できるはずがありません。安倍政権でも「海外情勢の変化」を安保法制の必要性として語りますが、それを若手に語らせることは難しい。政治家といっても、一般人以上に海外の情報に精通しているわけではなく、通り一遍の海外危険説では論駁されるのが明白です。
しかも同じ日、リベラル系の若手議員の勉強会は、党から排除されて開けなかった。本当はそうした意見を公にし、党内ではしっかり議論されている、という形を示した方が党のためにもなったはずです。朝生出演辞退も、この勉強会中止も、自民党が歪んだ「メディア統制しろ」という意見に牛耳られ、まっとうな議論すら許されない、全体主義と看做されても仕方ないほどであり、明らかな戦略ミスです。もっとも処分をうけるべきは党幹部なのかもしれません。

百田氏は懇談会の中で、「普天間基地は、元は田んぼ。商売になると思って周りに人が住みだした」や「レイプ犯は米兵より沖縄人の方が率が高い」など、根拠不明な虚偽の発言もしています。まるで自身がフィクションと、ノンフィクションを混同しているような、そんな印象すらうけます。「沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどっかの島でも中国にとられてしまえば、目を覚ますはずだ」などと語っていますが、目を覚まさなければいけないのは一体誰でしょう? そんな奇妙な感覚に陥ります。
安倍政権に近い、とされている者たちが起こす醜聞は、決して看過できるものではありません。ナゼなら、それは冗談のような単なる笑い話ではなく、誰かを傷つける凶器のような言葉が含まれるからです。
沖縄の異例の日に、安倍氏が演説しようとしたところ、罵声をうけました。海外紙はそれを大きく取り上げ、日本の一般紙はまったく報じません。長尾氏の言葉を借りれば「右翼勢力に日本のメディアはのっとられている」とでも言うのでしょうか? 日本の一般紙など、紙面の半分は広告です。ごく少ない記事の中ですら、事実を伝えなくなれば存在価値を失います。誰かを傷つける言葉を放言する議員たち、それを相変わらず正しく報じないメディアもあります。メディア規制を訴える議員たちが、都合が悪くなるとそのメディアにすら出ない。この異常事態、政治家を懲らしめるためには政党助成金や、献金を禁止すればいい、という声の方が、より高まってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年06月26日

5月経済指標について

厚労省発表の5月有効求人倍率は1.19倍と、前月より0.02pt改善しました。しかし新規求職申込件数、新規求人数が前年同月比でともに10.8%減、4.0%減。これは求職数も求人数も減っていて、求職者の方が大きく減ったために改善された、というものです。さらに就職件数が10.4%減。雇用が逼迫、というよりこれではまるで経済が一気にシュリンクしていく際のような、極めて問題のある数字です。失業者で溢れる、といった状況ではないにしろ、働き手も、働き口も大きく減少していて、さらに就職もできない。この有効求人倍率だけをみて、好材料とはいえません。国内の経済規模が物凄い速度で縮んでいるようにしか、この結果からは見えないからです。
しかもパートタイムを除く常用雇用の新規求人数は4.8%減、常用パートタイムの新規求人数は0.8%減。圧倒的にパートタイムでの労働を、企業は求めています。これは外国人を研修と称し、安価な労働力として供給してきたものの、円安により訪日してくれる人が減った。来ても逃げてしまう、といったことと整合的です。労働力不足は、ミスマッチとこれまでの政策の失敗によるところが大きく、決して景気回復を示していないことをこの数字は示しています。

この辺りは、総務省発表の労働力調査でも示されます。完全失業率は3.3%。上記したように求職者、求人ともに大きく減る中、求職者の方が大きく減ったので、失業者も減っていることになります。ただし正規雇用7万人増、非正規雇用28万人増。これが現在の就職状況であり、産業別で見ると医療、福祉の伸びで支えられています。就業者を年齢別でみると、15〜64歳が前年同月比53万人減である一方、65歳以上56万人増。人口動態でみてもこの15〜64歳は100万人以上減り、65歳以上が100万人近く増えているので、傾向としては若年層の減少を、高齢層の就労で補っている形が鮮明です。これはここ数ヶ月、特に顕著であり、注意が必要なのでしょう。
総務省発表の家計調査で、14ヶ月ぶりに消費支出が増加、という記事があります。前年同月比、実質で4.8%増ですが、昨年は8.0%減であり、完全には戻りきれていません。しかも住居を除くと3.7%増。つまり一部でバブル的要素の強まる不動産、賃貸が押し上げている部分が大きい。

勤労者世帯の実収入が前年同月比、実質で1.5%増となっています。しかしこれも昨年は4.6%減。戻りきれていないどころか、世帯主の収入は実質で0.7%減。配偶者の収入が実質で5.3%増。決して賃上げが寄与したものではなく、奥さんが働きに出て稼いだものです。そんな中でも教養・娯楽費が減少したのは、それ以外の出費が増えて、生活が苦しくなった影響かもしれません。
全国消費者物価は前年同月比0.1%の上昇でした。しかしこの数字に含まれない生鮮食品が前年同月比18.1%上昇となっており、これが消費支出を押し上げた側面があります。生鮮食品は必ず買う項目でもあり、それが2割近く上がったら、他の支出を削らざるを得ません。生活実感として苦しい、というのはこの辺りにあるのでしょう。メディアが報じる数字、印象とは異なり、5月の経済指標は未だに回復を示すものはなく、逆に日本経済の縮小を示唆する内容がめだちます。

昨年は上回れても、一昨年には遠く及ばない。それが今回の結果です。就職件数が2桁も悪化していて、雇用環境が改善などと報じるのは、大きな誤りでもあります。五月、Mayはローマ神話の春の女神、Maiaから来ているとされます。原義は「のびる」という意味をもつこの女神ですが、日本で伸びているのは富裕層と、一般層の差なのかもしれません。働けど、働けど、暮らし楽にならず。また働こうにも、条件が一致しない。国民の感じる意識と、メディアが報じる楽観との差、も今は間延びしている状況なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年06月25日

雑感。今の日本は誰得なのか。

昨日のITバブル越えで、閣僚からは「今回はバブルでない」との言葉が聞かれます。しかし最近、よく耳にするのは「株高くして国富まず」、「国破れて(株の)山があり」などという言葉です。日本人が高くて買わないものを、中国人が「安い、安い」と言って爆買いしていく状況は、どれほど日本が貧しくなったのか? そうして国力を落とすのと反比例して、最早外国企業といっても過言でないほど、海外での売上高が大きい企業の業績が上がります。つまりこれが上記のように、株高と国内の景気が必ずしもシンクロしない事態を言い表す言葉となるのです。
貿易統計をみても、円安効果で輸出の金額は増えますが、数量では目減りが続きます。トリクルダウンも起きた気配がない。しかし安倍ノミクスが当初予想したのと、違った形の事象が日本でおきている。それがインバウンド消費で、ホテルや観光地が外国人旅行客目当てで、設備投資をすすめています。しかしこれも、円安がつづかなければ過剰投資になりかねない。安定した国内旅行者の需要ではなく、一過性の需要に頼る。円安に頼った企業業績も同様です。この円安で、外国人労働者がより高い収益を求めて海外へと逃げ、国内での生産体制すら覚束なくなってきた。雇用が逼迫、というのもこうした事情からであり、それを日本人が担うと賃金でギャップが生じる。円安に頼るバブル、一方で円安により疲弊する国内経済、バブルは膨らんで弾けて終わりですが、この状況が行き着く先は『バベルの塔』なのかもしれません。

その象徴となりそうな一つが、新国立競技場です。先進的、前衛的というと、なぜか日本では流線型が持て囃され、新車のスケッチなど使い勝手の悪そうな曲面ばかりです。新国立競技場のアーチも同じ、何をやるにしても影を落とすので、球技では特に試合の阻害要因にしかならないでしょう。それでも見栄えを重視するのは、愚策でしかありませんし、その建設費は大きく膨らみます。そこに見得と、エゴも乗ってきて、今や誰得? の状況となっています。
TPA法案の成立にむけた動きで、TPP交渉が加速と伝わります。これまで洩れ伝わるところでは、当初約束していたことは守れず、日本がかなり譲歩した内容であり、これで本当に国益が守れるか? そんな中、米国でテロ組織との身代金交渉に応じる、と方針転換しました。昨年、邦人誘拐事件では個人が交渉しようとすることさえ、安倍政権は邪魔をしたというのに、これで梯子を外された形です。米国基準に従っていても、米国が方針転換する際には、国内向けに説明も必要となりますが、今の安倍政権ではそれすら蔑ろにしがちです。なぜなら説明つかないからです。

安倍首相とプーチン露大統領が、電話会談しています。制裁に加わる日本に対し、露の200海里での漁業権を日本側に認めないなど、露骨に嫌がらせを拡大しており、露国も交渉カードを着実に積み上げています。もし会談が実現しても、恐らく北方領土問題など、ほとんど議題にもならないでしょう。それより露国は操業権などを材料に、日本に制裁解除を要求してくるでしょう。それでも安倍氏はプーチン氏と会いたい。なぜなら、それ以外でおトモダチと呼べる外国首脳がいない、外交成果がほとんどないからで、プーチン氏から手土産が欲しくてたまらないのです。
上記してきたように、今の日本は一体誰のために、政策を打っているのか分からない状況です。株価とて、外国人投資家の保有比率が高まった今、得をしているのが国内勢とは限りません。新国立競技場も、何のためにアーチをかけるのかよく分かりません。TPPも国内への恩恵はほとんどないでしょう。外交は今、そのタイミングかどうか、といった判断もつかないまま思いつきで行っている印象が強まっています。バベルの塔は、実は象徴的な意味であって、神への挑戦といった意味はほとんどありません。技術革新や繁栄を誇り、驕りたかぶる人間の傲慢さに、神が天罰を下す物語です。「彼らは一つの言葉を話し、一つの民だ。(塔の先が天に届くことも)成し遂げられないこともあるまい。それなら我々は下って言葉を乱してやろう。全地に散らしてやろう」という神の言葉、今の日本にも当てはまるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2015年06月24日

雑感。国会延長と党総裁選

神戸連続児童殺傷事件の犯人が、『絶歌』という本を出版しました。この問題で、表現の自由だから問題ない、遺族感情に配慮すべきだ、様々な意見があります。個人的には、被害者、遺族の合意がない限り、出版すべきではありません。そこには印税収入についても配分を決める。つまり遺族補償として合意できる範囲において為すべき、ということです。交渉を直接本人が行う必要がありませんが、それが出版社として最低限の義務であり、それがなく出版された今回については表現の自由を越えて、遺族の権利を侵害する内容を含んでしまうことになります。
懸念されるのは、文筆家をめざす人物が劇場型愉快犯を演じた場合です。例えばテロを予告、日本全体を巻きこんで大騒動となっても、人や物の被害が少なければ数年で社会復帰できるでしょう。つまり面白そうな犯罪を考え、実行することで売名と、多額の印税収入を数年の懲役だけで得られるとすれば、大いに動機となり得てしまいます。それを防ぐ意味でもフィルターが必要で、このケースでは実害をうけたのは国、ですから国の合意がないと出版できない、となります。
ネット規制の話も同様ですが、規制しても悪いことをする奴はいる、だから自由度を保つ方がいい、法律は要らない、と述べる人がいます。しかし実社会であっても、法律があっても悪いことをする人はいます。だからといって法律がなくていい、という意見は正しくありません。法律とは、道徳も兼ねるのです。人からモノを盗んだら捕まる、だからやらない、という規範。それは愉快犯が出てきても、まったく利がない状況をつくる、というのもまた一つの抑止力であり、規範ともなり得ます。表現の自由があっても、殺人を推奨するようなものが認められないように、どこかで公共の福祉という問題ともぶつかるのです。そこに法律で規範意識をもたせる、ということもまた重要です。何より、それで被害をうける人がいるならば、必ず救済したり、保護したりしなければいけないのも、また法律で行わなければならないのですから。

9月27日まで延長された国会で、反発していた野党が協議に応じ、週末から審議が再開されます。この延長に際して、自民党総裁選の対立候補潰し、との意見もありますが、もし仮に安保法制で国会が混乱していると、安倍氏は党総裁選と国会対応と、二つの大きな仕事を同時にこなさなければならなくなります。そんな状況を生みだすと、党内で反発も強まるから候補に名乗り出ない、というのもまた少し異なります。国会をこれほど大幅延長すると決めたのは安倍政権であり、安倍政権にモノ申せない、という空気を党内に醸成してしまいかねないからです。
対立候補が出てくるかどうか、は支持率40%が一つの節目なのでしょう。これだけ国民に不人気の安保法制を強行採決すれば、支持率が10%は落ちるとされます。衆院で強行採決すれば、高いところでも支持率は40%半ばとなる。その上で国会会期が長引くのですから、会期末には40%割れが見えてくる。対立候補がでてきてもおかしくない、となります。逆に、出て来ないようなら自民党の自浄能力、統治能力への疑義もあって、来年の参院選にも暗い影を落とすと予想されます。

法学、政治学の学者らが安保法制撤回を求める声明をだしました。憲法違反の法律を成立させることは、立憲主義を覆す。さらに、法律は道徳も兼ねるのですから、憲法違反という相反する行動原理を求める今回の安保法制で、国民は混乱、道徳心の欠落すら予想される事態となります。法律により何をしていい、何をしてはいけない、という行動規範が、これまでの答弁をみてもまったく精査されない今回の異常事態、党総裁選における対立候補の行動規範にも、何らかの影響があるとすれば、実は党総裁選が盛り上がってくるのかもしれませんね。


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2015年06月23日

株価が15年ぶりの高値

日経平均株価が15年ぶりの高値を抜いてきました。きっかけはギリシャ協議への進展期待で、欧州系がカラ売りを買い戻す動きを活発化させ、全体も連れ高している印象です。そのギリシャが欧州委に提出した財政再建策は、年金の支給年齢の引き上げや、付加価値税の増税などを含む、とされますが、そうなると国内ではチプラス政権がもたなくなる可能性が高まります。下手をすれば支援を取りつけた後、総選挙に打ってでて、その後にできる政権でちゃぶ台返し、といった事態にもなりかねません。一旦はカラ売りを買い戻しても、玉がなくなれば買いの手も止まります。この2日間の動きは、イレギュラーな部分が多い、ということになります。
さらに韓国のMERS禍で、韓国に行こうとした人が九州へ旅行する、という根拠の乏しい材料で九州に地盤をもつ企業の株が上がるなど、市場は正当性すら疑われる行動を始めています。インバウンド消費も上海株の急落で、中国人旅行客が減れば、また爆買いがなくなれば、すべて消えるほど儚い材料です。円安だって、いつまでもつづくわけではない。今は方向感が円安に向かい易くなっていますが、日銀がいつまでも追加緩和を打てるわけではなく、いつかは止まります。そのとき、一気に円高に向かうことになり、それでもインバウンド消費は消失するのです。

小売関連の指標がいくつか出ています。5月の百貨店やスーパーなど、売上高が軒並み前年比5%近い上昇です。消費増税で落ちこんだ昨年と、今年は天候に恵まれてGWもずっと晴天つづき、という好条件が重なったこと。さらにインバウンド消費が今年は活発だった点が挙げられます。しかもスーパーでは生鮮食品の売上げが大きく伸びていますが、供給不足で値上がりがつづいたことが、大きく影響したのでしょう。売上げが伸びた一方、実質賃金の目減りがつづく国民の懐は直撃しており、決して消費が盛り上がった結果でない点は重要です。
日本ではホテル業などの設備投資が活発です。インバウンド消費と、東京五輪に向けた外国人旅行客のとりこみ、といった側面はありますが、五輪後の動きは読めません。その頃には、黒田日銀総裁の「これ以上、実効為替レートが円安に向かうことはない」との言葉通り、実効為替レートは円高に向かっているでしょう。外国人旅行客は急減し、過剰設備に陥っている恐れが高い。それは今、局所的におきている不動産バブルも同様、いつ崩壊してもおかしくない脆弱な上昇です。住む人がいない、借りる人がいない、泊まる人がいないのに、設備だけが続々と増えているのが現状であり、相続税対策など諸々が相まって将来に不安を残す材料です。

日本株では、先週の下落局面で、日系の一社による先物買いの下支えがみられました。資金の出元は分かりませんが、欧州勢がカラ売りを早々に手仕舞った原因も、この辺りにあるのかもしれません。底堅いのではなく、誰かが底堅くさせている。債券市場の動向からみて、GPIFによる債券売り、株買いの流れが止まったとみられたことも、カラ売りの仕掛けを誘発させましたが、下げさせない勢力の存在が確認され、ギリシャ問題の進展が日本だけ特段材料視されたのです。
しかし週刊誌では、様々な不安材料が語られだしています。上記したように、最早説明がつかないほどの材料をみつけて、株価が上がる。すでにバブルの匂いが様々な市場で、そこはかとなく漂っている状況です。上海株の急落は、需給バランスが崩れたことで一気におきていますが、決して対岸の火事ではありません。金余りで需要ばかり膨らんでいる現在、古代ローマ風にいうと「ダモクレスの剣」というところです。下男であるダモクレスが、主人を羨むと、主人から交代してみようといわれ、良い着物をきて、ご馳走に預かる。しかしふと頭上には剣がぶら下がっているのに気づく。危険の上に保たれる幸福、という意味です。今は、その身分、地位にいるべきでない者が、良い着物をきて、ご馳走に預かっていますが、誰もがその剣に気づいたとき、この楽観市場は終わりを告げることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年06月22日

日韓の動き

日韓国交正常化50年を迎え、外相会談から一気に両国関係が進展、世界遺産登録問題では日本、韓国がめざすものとでともに協力することで一致、安倍首相、朴大統領ともに両国で行われる記念式典に出席、となりました。双方の事情が語られますが、まず韓国は経済失速、失政による支持率低下と、米国を初めとする各国の『韓国疲れ』ともされる、嫌韓離れがすすむ現状で、日韓関係悪化の原因として韓国が名指しで批判されるのを避けたい、といった思惑が働きました。MERS禍も追い打ちとなり、この50年の節目を逃すと関係改善が難しくなります。
日本も、安保法制や洩れた年金情報などで支持率急落が見えており、事実、週末の調査では一部で40%割れも出ています。支持、不支持も拮抗し始めており、何らかの打開策を模索していた。戦後70年談話について閣議決定しない、と一段階ランクを下げることで呼び水とし、さらに先に安倍氏が記念式典に出席する、と伝えることで韓国に妥協を迫った。安倍氏がここまで韓国を呼びこむよう、妥協してでも誘ったのは、米国に対して日本が日韓関係の改善に向け、努力していますと伝えたかったためでしょう。結局、双方とも国内向けには内閣の支持率低下、米国向けには「我こそ!」と言いたい、そんな事情から苦虫を噛み潰して手をにぎった形です。

朴氏は「両国には毛糸玉のように絡みあった懸案」と述べましたが、毛糸玉ならすぐにほぐれます。今はナイロン製の釣り糸が絡まったように、どちらから引っ張ってもほぐれません。しかし少し驚いたのは、百済の世界遺産をめざす韓国の態度です。一時期、三韓の時代を韓国では正史と認めない風潮もありました。しかし韓国内では歴史的な遺物が少なく、また韓流ドラマなどで三韓の頃のことをとり上げるなどし、認知も高まったことから世界遺産をめざすのでしょうが、百済は新羅に攻撃されて滅亡、王族は日本へと移っています。個人的な調査でも、百済は日本との結びつきが強く、後に朝鮮半島を支配した幾つかの国とは、文化的な意味でもやや距離があります。韓国が百済の世界遺産をめざすなら、まず正しい歴史を伝える努力が必要です。
日本では国会が9月27日まで延長されます。しかし国会が開いていると、政権への批判が高まることも予想され、いくら60日ルールで衆院再可決を目論んでいるとはいえ、安倍政権には痛し痒しです。しかも参考人質疑で、歴代法制局長官は「違憲」とし、自民が推薦した西教授は、徴兵制まで「合憲」とする曰くつき。公明推薦の森本氏は、憲法上ではなく国際情勢上の意見にとどまり、結果的に「違憲」とする主張が強く残る形です。ただし民放では「違憲」を先に流し、「合憲」を後に流す、という形で「合憲」が印象に残るよう操作しており、こんなところにも「配慮」がみられます。しかし「丁寧に説明」と述べる安倍氏から、その「丁寧な説明」を聞いたことがない、という意見まで現れており、正しい意見を伝える努力すら感じられません。

日韓双方とも、倭、百済の時代から変わったのは、宗主国が米国に代わった、ということ。日米の蜜月、や日中の2度の首脳会談も流れを変えた、と伝わりますが、以前から指摘しているように日米は、オバマ大統領の親中路線からの転換、それと議会を共和党が握るという追い風もあって、以前と比べてマシになったぐらいで、小泉‐ブッシュ時代の親密ぶりからみれば、スプーン一杯ほどの蜜も溜まっていません。この程度で韓国が焦っているとすれば、それは米国からみて、日本は上方修正、韓国は下方修正、という方向性の違いぐらいの話です。
日韓は国交正常化から50年どころか、倭、百済時代からでも1700年近い付き合いです。懸案とはいつの時代もあり、それを双方が知恵をだして解決してきた。今は双方がその知恵を出し合っていない、という状況です。ちなみに懸案の『懸』という字、一説では『縣』という字が行政区画、即ち日本では『県』と略されますが、そうした使われ方をしたために、下に心を増し加えて用いられた、とされます。『縣』は木に首を吊り下げる象形とされ、『かける』を意味しました。安倍氏、朴氏ともその首が寒くなってきたことで、やっと知恵をだす気になってきた、というところなのかもしれませんね。

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2015年06月20日

自民と維新の事情

経団連が発表した、大手企業の定昇とベアを合計した今春の賃上げ率は、2.52%でした。しかし毎月勤労統計で示された実質賃金は、0.1%減。それもこれも非正規雇用の増加と、高齢者の再雇用による契約形態の見直しがあるためです。そんな中で、衆院で労働者派遣法改正案が可決されました。これ以上、非正規や派遣労働を増やしても、日本全体が成長するわけがありません。企業が円安で大幅に業績をあげても、昨年はマイナス成長だったことに違いがないのです。
民主、生活、社民は採決前に退席し、維新は派遣法成立と引き換えに、同一労働同一賃金法案を成立させましたが、骨抜き法という代物で、維新が何をしたいのか分かりません。法案成立が最終目標でなく、国民生活がそれでどう変わるか、法律が施行された時点でどう評価されるか、が大事ははずなのに、維新はそれすら忘れてしまい、政局に明け暮れるだけの存在に見えます。

その印象を強くするのは、安倍、菅―橋下、松井会談です。あくまで憶測ですが、安倍首相が橋下氏に維新が野党を主導するよう、要請したフシがあります。その晩から橋下氏がツイッターによる発信で、維新の存在感をアピールしだしたのもそんな事情からなのでしょう。しかし安倍氏がやたら維新にポイントをつけようと、民主の質問には露骨にイヤそうな態度を示し、維新には「いい質問をしていただいた…」などとおべんちゃらをいうのは、明らかに逆効果です。安倍氏自身が国民に不人気であり、しかも与党に近づく野党は、確実に政党支持率を落としますので、二重の意味で維新にとって安倍氏の態度は逆風でしかありません。
安倍氏にそれが分かっているのか? 分からず行っているのか? 前者っぽい点が残念ですが、実は維新と自民の事情は極めて似通っているのです。維新では安保法制の対案について橋下氏が批判し、勉強会が開かれ、橋下氏の指摘に基づき修正する方向です。それに関して、橋下氏の『影響力』や『存在感』と報じられますが、維新内で橋下シンパは20人にも満たない、少数勢力です。それでも、維新としては分裂を回避したいので、橋下氏の意向を無視できません。つまり、少数が多数を振り回す構図なのです。これは自民も同じなのです。そもそも改憲が党是なのに、その党是を変更して今、安保法制を憲法の解釈変更で済ませようとしている。そのため、以前の発言や閣議決定してきたことにも大きく反した行動、言動を今、自民党員はとらざるを得なくなっています。安倍シンパは少数であるにも関わらず、安倍氏がやろうとしていることに従わざるを得ず、党自体の存在すら揺らぐ自体になっている、とも言えるのです。

安倍氏、橋下氏、ともにその勢力は党内で少ない。それでも党分裂を回避したい、相手の意見を聞いてあげよう、という大人の対応を周りがするので、今があります。少数の子供な意見を聞くばかりに、周りは迷惑をかけられている、という状況がとてもよく似ているのです。そのせいで、高村副総裁や他の閣僚も、過去の発言をほじくり返され、説明に窮してしまっています。
大人なのに、子供っぽいと好かれる。それは安倍氏や橋下氏に対する、メディア側の反応がそうです。なので取り上げられる機会も多く、そのために『影響力』や『存在感』があると誤解されますが、それらが多数になることはない。もしそんな子供っぽい面々が多数になったら、もうそうした組織は危ないのですから、実は自民も、維新もそれで均衡している、ともいえます。ただ間違えてはいけないのは、それが『影響力』や『存在感』がある、ということは、その子どもっぽい発想が多数を支配してしまう、ということであり、そんな組織を国民の大多数が支持できるのか? ということです。国会が大人の議論にならないのは、こうした事情もあるのかもしれませんね。

明日は1日、お休みしたいと思います。

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2015年06月19日

トヨタ役員の逮捕について

日銀が金融政策決定会合を開き、金融政策の現状維持を決めました。その中で、来年1月より会合を年8回に、展望リポートを年4回に変更します。また会合の中身を「主な意見」として1週間後に公表する、とします。情報発信の数を減らして質を上げる、としますが、質が上がるかどうかは日銀の態度次第です。それこそ昨年の10月のように、薄氷をふむような決定になると、情報発信の少なさは逆に不透明感を増す、という結果につながる。サプライズという手法を使い難くなる一方、FRBのように数ヶ月前から様々な仕込をしなければならない、という枷にもなります。
例えば16年前半、物価が2%に達していれば出口、達していなければ追加緩和、ともされますが、そこから次の手を打つまでに市場理解をすすめない限り、大混乱に陥り易くなる、ということにもなります。ターゲット政策の難しい点は期限を切ってしまうと、いつ、何を、どの程度の規模で行うか、一つの手が検証される前に、次の手を催促されることにあります。つまり計画、実行、検証という課程を丁寧に行いながら、市場に次の計画をどう伝えていくか? それが今より困難になるのであって、上手くいくかは手腕に大きくかかわっていくとも言えるのでしょう。

トヨタの米国人女性役員が、麻薬指定された製剤を小包として米国から輸送、逮捕された事件で、社長が謝罪会見を行っています。不可解なのは、警察がその事実をどうやって掴んだか? またいきなり任意同行もなく逮捕しており、確信的に行動している点です。しかも逮捕翌日に、小包の梱包方法まで詳細に明かしており、世論を一気に有罪確定までもっていこうとしているのが明白です。株主総会の後、という配慮もありますが、警察の強行姿勢が目立ちます。
あくまで噂レベルですが、トヨタの新株発行に対しては海外から懸念が伝えられます。元本保証で5年後には買い戻しができ、しかも国内でしか通用しない。外国人投資家にとって旨みがなく、5%近くまで増えるこのAA株へ警戒がある、とされます。そこで、すでにオキシコドンの中毒症状があることで知られたハンプ氏を刺し、警告を与える目的があったのでは? とされます。

つまり議決権をもつ5%の安定株主を獲得する、などという仕組みを、海外からの圧力で潰す。それに警察も協力している。安倍政権下では、米国の意向が通りやすくなっていることも、こうした憶測を生みやすくします。また先に、急加速問題でトヨタに一罰百戒を与えたはずの米国ですが、結局は無罪放免になったことで、販売面では以前のようにもどってきた。米自動車産業は現在、落ち着いているとはいっても、中国頼みの側面もあり、その中国では上海株が急落するなど、景気の面で不透明さが増しています。改めてトヨタの醜聞を求めていた、といった側面も指摘されます。オバマ政権は民主党で、こうした動きを促しやすい点も指摘できます。
真相は不明ですが、タイミングとしては色々と憶測もできるところです。日本では薬物の定義が変わる、と喧伝することでTPPを促し易くします。日本でも様々なルールが米国基準で運用されていないと不都合が多い、という宣伝にもなるでしょう。様々な点で、このタイミングで出てきた企業醜聞としては、米国にとって都合いいのです。米国が介入するほどにトヨタが巨大化し、国際化した、ということのこれが一つの結果なら、安定株主を増やす以上に、経営の安定を脅かすのは米国の存在、となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2015年06月18日

日経平均が2万円割れ

4月毎月勤労統計の確報で、実質賃金が速報値から下方修正され、前年同月比0.1%減と、24ヶ月連続で減少となりました。つまり安倍ノミクス開始以来、右肩下がりで実質賃金は下がり続けてきたことになります。失業率の低下や、有効求人倍率の改善など、労働環境が改善しているとされても、増えているのは女性のパート職や、65歳以上の再雇用ですから賃金が増えるはずもありません。一部では定年退職の撤廃を取り入れているところもありますが、15〜64歳の就労が減っている現状は、賃金の押し上げもなく、また日本の将来において財政面でも厳しい状況を生むことになります。労働環境は改善、が政府見解ですから、何らかの対策を打つこともなく、このまま放置されるうちに、ますます日本は凋落の一途をたどることになるのでしょう。

注目された米FOMC、利上げに関する言質は与えずに終わりました。ただIMFや世銀が求める利上げ先送りは、経済指標をみて、と述べて否定しています。ただ米国では「米国のことは米国が決める」という大原則があります。他国や国際機関の指摘に、まともに応えることはなく、後でこっそり修正することはありますが、大体は口だしに対して強く否定、拒否するのが常です。
今回、新たに注目されたドットチャートと呼ばれる金利見通しを示すものは、逆に不透明感を増しただけで、FRB内でコンセンサスがとれていないことを示すものでした。経済指標をみて、どころか風をみて、利上げをするか決めてくるのかもしれません。イエレン議長は開始時期に注目しすぎ、と述べて牽制しますが、FRB内で誰が、何を考えて決めていくのか分からなくなった、という点では開始時期の不透明感が強まったのであり、イヤでも注目せざるを得ません。

日経平均は20000円を切り、株式市場が引けた後で円高もすすみます。ギリシャのデフォルトに備え始めた動きですが、ユーロ圏離脱までいたる『グレグジット』を警戒し、高値の間に売り抜ける、というのが外国人投資家の流れです。しかも国内勢が押し目を拾う動きもなく、閑散に買いなしという異常事態。国内にクジラがいても、海外のシャチに襲われれたら一溜まりもありません。
日銀金融政策決定会合前は、金融など内需が上げる、というのが今年に入ってからのトレンドでしたが、それも消えています。円安牽制をはじめた日銀に、最早追加緩和の期待もなくなり、毎月勤労統計が示すように賃金が増えていないのですから、内需拡大も起こらない。海外勢がこれまで期待していたことが、悉く裏切られ始めています。昨日もとり上げたように、円安でも輸出が増えない。日本の景気回復シナリオは、今のところ画餅でしかなかったことになっています。

しかも今、市場を難しくしているのが、為替、株、そして債券までもが過剰流動性の下、異常な水準まで跳ね上がってしまっている点です。即ち適正水準までもどるだけで、急変動になりかねない。そして殊更に悪い情報だと、異常な水準まで下げてしまう恐れを強めてしまっていることです。グレグジットが起きれば、欧州圏の株式は空売りする、と明言するファンドマネージャーもいる。需給で売りが加速してしまう恐れを、しばらく覚悟しなければなりません。日本の株式でも、これまでとは異なる動きが出てきていることは要警戒です。「日本のことは日本で決められない」脆弱な市場だけに、海外勢の事情にしばらく振り回されることになりそうですね。

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2015年06月17日

党首討論について

5月貿易統計が発表され、輸出は金額ベースで9ヶ月連続の増加、輸入は原油安の影響で金額ベースで5ヶ月連続の減少。総額で2160億円の赤字です。しかし数量でみると輸出3.8%減、輸入5.3%減。しかも輸出はアジア、EU向けの船舶が寄与した部分が大きく、一過性の押し上げ要因であり、それがなければ赤字が拡大していたことでしょう。輸出が前年同月比2.4%増、というのも、1年で20%近くの円安となっており、数量ベースの減少が示すようにまったく悪い数字です。国内の景気低迷を映し、輸入も数量で大きく減少している。輸出よりも大幅に下がっているのは、内外の景気情勢をよく表しているのであって、国内景気の深刻さがよく分かります。

党首討論が行われました。安倍首相が「衆院厚労委員会での暴力」に、委員会にでてきて論陣を張れ、と岡田民主代表に述べていますが、当日は委員会採決の日であり、論陣をはることはできません。自民としては、渡辺委員長のダメージをコントロールしたぐらい、これを野党への攻撃材料としたいから冒頭でとり上げたのでしょうが、批判のピントがずれています。
しかもホルムズ海峡の機雷掃海は『海外派兵の例外の例』とし、朝鮮半島有事の際に公海上で警戒監視する米艦の防護、という例をだしました。しかし朝鮮半島有事なら、すでに米国は戦争当事国です。ただの警戒監視でうろうろしているはずもなく、作戦行動中なのであって、攻撃されて然るべしです。外交上でいえば、日米安保にも記載のないことを、日本が単独で、法律までつくって防護する、という。有り体に言えば勝手に「お節介」を焼くようなものです。

そんな中で、安倍氏は「重要影響事態は、わが国への武力攻撃に発展する可能性がある事態」と述べ、そのときは後方支援する、と言います。発展、という言葉の解釈が難しいですが、例えば北朝鮮が核ミサイルを準備している段階で、日本は後方支援でいいの? と疑問に感じます。防衛出動になるのですから、それはもう最前線で戦うべき状況です。安倍氏はその判断は公にできない、そんな国はない、としますが、戦争放棄を謳う憲法をもつ国は日本だけなのですから、他国を例とすることは正しくありません。日本の憲法9条があるから、そこに抵触する恐れがあるから議論しているのに、他国を例にだすのは本末転倒の論陣をはっていることになります。
一方で、岡田氏も「白紙委任だ、そんな国はどこにもない」としますが、実は結構多くの国が「そんな国」です。防衛活動に、一々国会での承認を求めることはありませんし、法律に詳述されているわけでもありません。国会が機能している国なら、答弁や閣議決定などで凡その行動が読み解けるぐらいです。日本が特殊なのは、憲法9条の存在が今回の安保法制と合致しない、違憲という点ですから、他国を例としてひくことは与野党ともに的を射ていない議論です。

全体的に、ツッコミどころ満載で、かつピンボケな印象をうけました。一番ピンボケなのは、松野維新代表から国内向けの説明と、米議会演説とのダブルスタンダードについての質問に、安倍氏が「大変、よい質問をしていただいた」と述べたものの、まったくその質問に答えなかった点です。維新の協力を得たいから、世辞を言ってみたものの、鋭い質問ははぐらかしたい。ずっと興奮し、早口だったことも、多弁の割りに質問とはまったく向き合わなかった点なども、安倍氏の態度がずっと国民の意識から乖離していることを、体現しているといえます。
安倍氏自身、ヤジで謝罪したこともあって「ヤジがうるさい」という指摘を、ピンボケにさせる。閣僚の答弁が、これまでと大きく変遷し、誰もが首をかしげることなども、議論をピンボケにさせます。変えるのなら、変える旨の説明をしなければならないのに、そうしない。できない。安倍氏は盛んに「暴力を肯定するのか?」と尋ねますが、戦争とは国家が行う最大の暴力です。自衛でない、他国の戦争にふみこむという安保法制を議論している最中、「暴力を肯定するのか?」という自身の言葉は、そのまま安倍氏に向かう言葉ともなっているのでしょうね。

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2015年06月16日

雑感。AIIBの出資比率

韓国の古里原発1号機の廃炉が決定しました。日本も原発の廃炉を半ば決定していますが、遅々としてすすまないうちに、韓国に廃炉ビジネスをもっていかれるかもしれません。しかも、日本では廃炉に関して海外メーカーへの発注も検討されています。つまり日本メーカーにノウハウを蓄積し、世界の廃炉ビジネスで有利に立とう、という戦略性も乏しくなってきています。そもそも原発は廃炉まで含めて安価な発電コスト、と喧伝されてきました。しかし海外へ発注せざるを得ないのは、廃炉によりコストがかかり、実は割高ということが判明しつつあるためなのでしょう。日本原電の東海発電所で、廃炉についての研究もすすめられていますが、廃棄物の処理施設もなく、国内で廃炉を達成することさえ困難になりつつあります。
そんな中、米韓原子力協定が改定され、20%未満のウラン濃縮まで条件付で認められることになります。イランの高濃縮ウランも、20%を達成していると実しやかに語られますが、日本はいつのまにか、原発後進国に陥りつつあるのです。原発再稼動だけ一生懸命でも、日本が原発技術を輸出できなければ、単なる金くい虫、国外へ資金を流出するだけの存在となってしまいます。

中国主導のAIIBについて、一部ですが判明してきました。資本金は1000億$、そのうち中国が297億、インド83億、ロシア65億、この3ヶ国が常に理事ポストを得、独国が44億、韓国が37億とつづきます。アジア圏で75%、域外圏からの出資が25%と固定化されますし、中国が事実上の拒否権を発動できる25%以上を1国のみが握ってしまう、という些かバランスの悪い構成です。
バランスの悪さは、中印露と、理事ポストにつく3国が旧共産圏、もしくはそれに近かった国に該当する点です。しかも最近では仲がよくなってきてはいますが、互いに争っていたほどの関係にある。インフラ案件の選定や議事の進め方などで、この3国が互いに協調していけるのか? 不安も感じます。しかも印露が協調しても、中国一国に敵わない。本当に中国による、中国のための、中国にとって最良な方法での運用になりかねない点は、懸念として残ります。

しかもインドはモディノミクスに不透明感が漂います。株価は好調でも、それは世界全体がそうですから、インドに限ったことではない一方、人材の配置がすすまず、政策の停滞も指摘されます。露国は中銀が利下げに踏み切っていますが、一時期より緩和したとはいえ、ルーブル安、原油安がかなり経済にダメージとなっており、未だに原油価格に左右される脆弱な経済構造です。さらに中国は、上海株式の下落がはじまっているように、需給で大きく動いてしまう。最早、経済情勢は正しく反映されておらず、金融緩和に頼っている、こちらも脆弱さを指摘されます。つまり理事ポストの3国が、それぞれ経済に不安を抱えているのが現状なのです。
投資案件の綱引きは、発足当初からはじまることが確実なのでしょう。さらに経済の失速が顕著となった韓国、危険水域とされるブラジルなども30億$以上の出資を余儀なくされ、それに耐え切れるか? と云った問題もでてくるはずです。中国が頑張っているのか、利権を独占したいだけなのか、それは情勢次第で大きく変化する、とも言えるのでしょう。高待遇で国際投資を担う、金融機関を率いることのできる人材を引き抜き、ともされますが、IMFでさえギリシャ問題で苦労する中、AIIBの困難さは如実に、発足当初からあらわれてくるのでしょうね


analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年06月15日

今週の株式市場は身構えか?

政府による月例経済報告で、基調判断は据え置き、設備投資のみ上方修正しました。しかし需給不足はGDP改定値の上方修正で、小幅に改善したものの未だにマイナス。つまり需要が圧倒的に足りていません。予想インフレ率は高まっているものの、需要があってそうなっているわけではない、ということがここからも読み解けます。トリクルダウンが起こらない理由は、これまでも示しているように富裕層は投資収益を、再投資に回す。それを現金化するときは、すでに景気が失速したとき、市場が下落をはじめたときであり、より防衛的となり、消費しない。そういったごく一般的な行動原理で否定することが可能でもあります。
ではインフレ予想が高まっても消費が増えないのは、そもそも日本では耐久消費財など買い替え需要がメインです。壊れてから買い換える、が一般的であり、壊れていないのに買うことはしません。しかも食料品の値上げなど、生活必需品の支出が増えることでより買い控えが起き、需要不足がすすむ。これまで安倍ノミクスで理論的に語られた、景気回復のシナリオは一切が現実問題、実践によって否定されているのです。設備投資が上方修正されても、法人企業統計でみる限り、年前半に多くが集中し、後半は失速します。そのとき年後半、設備投資にかわる別の景気押し上げ作用がない限り、失速することが自明となります。

今週は米FOMC、日銀金融政策決定会合があり、今後の方向性において重要とされます。また手続き上、今週末までに決着しないとギリシャ再支援が間に合わず、6月末に引き伸ばした返済期限で、デフォルトという事態になることも予想されます。今週はいつにも増して株式市場は動き難く、一方で債券市場が振られやすいため、その動きに吊られる形になるのでしょう。
実際、先物市場への動きは一気に細り、薄商いのところを個人の現物買いで切り返した、というのが今日の市場です。日本は債券市場の急変動がおこりにくいので、外国人投資家は資金を傾けてくるか、注目されましたがそれもありません。先週末、メジャーSQ値を超えられず、幻のSQとなっていますが、あえて上昇局面を演出する必要もないほど、今週の様々な情報を待ってから動きたい、といった思惑が強く働いているのでしょう。ただし、それこそ今週のイベントは大きな変動要因となり得るものであり、それを一つ一つ確認する作業となります。

そんな中で、重要なのはギリシャ問題です。欧州では破綻に備えて動きだしましたが、現状では材料が出揃っているわけではないため、どれほど影響が拡大するかはわかりませんが、欧州では危険とされる国の国債利回りが上昇するなど、デフォルトが連鎖する懸念も滲みます。
東日本でも突発的な嵐があり、また旧グルジア、ジョージアでも首都が洪水に見舞われています。天候は最近、瞬間的に変化し、またそれが暴風や雹などを伴う、大嵐となっています。経済の世界も、そうした傾向が強まってきているのかもしれません。投資家が大嵐を避け、雨宿りをはじめると今の世界経済は、一気に萎むことが予想されます。トリクルダウンがおこらない理由、それは天候でいうところのダウンバーストがおきるときと重なるのかもしれませんね。

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2015年06月14日

雑感。韓国のMERSと日本の世界遺産登録

韓国でMERSの猛威がとまりません。ついに院内感染から、2次、3次感染と広がりをみせ、初期の封じこめに失敗したからには、今後は環境衛生をしっかりすることで、拡大を防ぐことしかできないのでしょう。自然に沈静化するのを待つ、などという対応をしていたら政府がもちません。韓国は大陸と地続き、という以上に、疫病に弱い側面があります。それもこれも、韓国政府が突発的事象に対して備えがない。情報収集や対策を講じることを怠っている点にあるのでしょう。口蹄疫や鳥インフルもそうですし、こうした人の感染症でも、まずやられてしまいます。
大事なことは、国民一人一人が病気への正しい対応、防護策を講じることです。韓国では「ムカデは倒れても死なない」という言葉があります。抗日に際しても用いられましたが、全員一丸となって事にあたる、というのが風土です。現代においてどこまでそうした気概が残っているかは不明ですが、初期の封じこめに失敗した後は、政府ではなく国民の意識によってしか、MERS禍は収まらないのでしょう。

そんな韓国と日本の間で協議されているのが、日本の産業遺産登録に関してです。一部では韓国の主張の方がスジが通っている、という話もでているようですが、安倍政権が唱える明治時代の産業革命にしても、それが継続して利用され、強制就労によって操業されていたとすれば、韓国の主張もあながち的外れではなくなります。年代が異なる、としても文化とは継続性があり、その一部分だけ切り取って議論することは、甚だそぐわなくなるでしょう。例えば、米国で広島・長崎へ落とされた原爆を開発したのは、現オークリッジ国立研究所とされますが、そこがその後の国際貢献で平和遺産として登録されたら、日本人としては違和感をもつでしょう。現時点でそうした話があるわけでもないですし、今後もないでしょうが、文化遺産だからこそ負の歴史もまた文化なのです。ただ建物の古さだけでない点が、この問題のキモです。
世界遺産委員会の議長国である独国も、日韓で話し合いを求めるなど、サジを投げています。日本の切り分け登録が認められるなら、今後も続々とこうした申請が増えるかもしれません。それこそ黒歴史があっても、ある一時期の栄光をして文化遺産に登録できてしまうのですから。そこには各国も期待と、歯止めなき状態にならないか、という懸念とが交錯します。なので日韓での解決を求め、その推移を見守る形となっているのでしょう。

しかし韓国は、こんなところにマンパワーをかけている場合か? とは常に感じます。MERS禍で、WHOまで初動のミスを指摘されるなど、今は全力で拡大を食い止めるべきところです。外相の仕事は別、といってみたところで、政府としてどの問題に傾注するか、を国民はみています。もう一つ、韓国の諺を記しておくと「吾がクセ10あるやつが、人のクセ1つを謗る」というものがあります。まず自分の足元から見直さないと、韓国では感染症に脆弱なままの体質がつづくのでしょう。諜報戦、情報戦にかける予算があるのなら、せめてそれと同じぐらい、感染症に対する情報集めをするべきではあるのでしょうね。


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2015年06月13日

雑感。自民党内の財政再建路線の差

安倍政権と自民党内で、財政再建に対する方針の違いが鮮明になっています。甘利経再担当相が成長路線で、歳出削減を渋る中、党の特命委員長である稲田氏が「雨乞い」と批判し、対立しています。安倍政権では、経済成長率を名目3%、実質2%としますが、何度も記すように昨年度はマイナス成長、今年は後半に急回復というのがコンセンサスではありますが、米利上げの行方次第では世界全体の景気も不透明、ということになります。安倍政権のめざす経済成長は、極めて困難であるとともに、来年以降は大きな歳出拡大が待ち構えています。
安保法案が現行通りにすすめば、来年以降は海外派兵の予算まで計上しなければなりません。世界中でPKOなどは行われていますし、買春の問題がでてきた災害地派遣も、今後は自衛隊が主力となれば、行方不明者の捜索まで日本が担うようにもなるでしょう。これまではどちらかというと、医療などのケアが多かったのは、重機をもちこめないといった問題もあるからですが、今後は堂々と海外で活動できるので、重装備ででていけます。恐らく安保法制が通れば、当初はこうした行動で国民の不安を減らすよう、つとめることが予想されます。しかしそれは、財政面では負担が増えるだけ、財政再建には逆行する動きとなることが、ほぼ確実視されています。

経済成長にしても、金融政策による効果は、緩和する前後がもっとも高いと言われます。黒田バズーカ第二弾がサプライズだったため、10-12、1-3月期と効果もでていますが、4-6月期は切れ掛かるタイミングに来ています。特に、金融緩和によるトリクルダウン効果をみると、富裕層や大企業を優遇しても起こらない、ということが証明されつつあります。逆にみれば、それらの層は投資をしているのであって、投資→儲かる→再投資の循環をするばかりで、その収益の一部のみが消費に回ります。つまり効果が低い。かけたコスト分の景気押し上げ効果はない、となるのです。
投資信託協会が、公募投信の純資産が102兆円と、初の100兆円越えと発表しています。6ヶ月連続の流入超、この多くが再投資分であり、新たに投信を始める人など微々たるものです。株式上昇も純資産を押し上げていますが、これらの動きは経済事象を反映したもの、というより資金が流入する市場は上がる、という需給要因が影響します。それが一旦、流出に転じると資産が目減りすることを恐れ、資金引き上げの動きが起こりやすくなる。そのキッカケが、FRBによる利上げなのか、ギリシャ問題なのか、中国問題なのか、いずれにしろ今は正の循環がおきていますが、いつ負の循環に入ってもおかしくない。そんな経済環境でもあり、成長とはほど遠い状況です。

安倍政権の訴える経済成長とは、実はこの正の循環でしか支えられていないのです。それを促すのは追加緩和、ということなのでしょう。緩和をつづけ、正の循環が、負の循環へと転じるのを防ぐ。今はこれしかしていないのです。そして、それしか財政再建の手段をもちえていない。極めて脆弱にして、危うい賭けのようなことをしているのが、現状といえます。
稲田氏は、安倍政権の後釜を狙っているともされます。保守系で、女性活躍を訴える唯一の存在、という流れをつくりたい。今回、委員長として安倍政権に叛旗を翻すのも、自分が政権を担う段階となり、前政権が滅茶苦茶をしていたら、その修正が大変だからなのかもしれません。しかし歳出枠を定めたら、拡大する他の部門を賄うため、真っ先に切られるとすれば、社会保障の分野なのでしょう。経済成長にしろ、歳出枠の策定にしろ、安倍政権で聞こえなくなった「ムダ削減」という言葉、それが示すのは、肥大化する役所組織によって、日本では住みにくい世の中が一層すすむのでしょう。海外派兵の前に、国民が海外に逃げ出そうとする日も、そう遠くないのかもしれませんね。

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2015年06月12日

国会の混乱?

国会が混乱している、と報じられます。民主、共産などが衆院厚労委員会の派遣法改正の採決に反発して委員会を欠席、また安保法制の審議も拒否しています。谷垣自民幹事長が野党の対応を「旧態依然」としますが、数に頼って強引な議会運営をされるようなケースでは、審議拒否や欠席がもっともアピール性のある対応でもあるのは、今も昔も変わりません。逆に言えば、それ以外の手もないのです。維新は「反対のための反対」として採決、審議に応じていますが、これは維新の『終わりの始まり』です。与党とほどよく仲良く付き合って勢力を拡大した野党は一つもない。これも、今も昔も変わらない事実です。公明のように与党と一体化するか、与党と対立して存在感を示す以外では、選挙になると存在感も示せなくなるのです。
渡辺衆院厚労委員長が、頚椎捻挫としてコルセット姿で記者会見をうけていますが、手元に目を落としたり、記者の呼びかけに応じて振り向いたりと、ふつうに頚椎捻挫していたら、コルセットをしてもあれほど動かせるはずがありません。自民としては、国会混乱の映像がくり返しつかわれることが分かっているため、ダメージコントロールとしてあの映像を差し入れたかったのでしょうが、逆効果です。診断書もあるとしますが、政治家の都合が悪くなると、病気をでっち上げてくれる医師は、山ほどいます。まさにダメージをコントロールしてしまったのでしょう。

安保法制に関して、かつて自民党で要職をつとめた重鎮、4名が反対の意を表明しました。憲法審査会で3名の憲法学者が「違憲」としてから潮目が変わり、堂々と反対を表明できる空気が生まれてきており、自民党内からも反対の声がでています。菅官房長官が「合憲という学者はたくさんいる」と述べたものの、2名しか名前をだせず、今日になって平沢議員が10人の名前を列挙し、「合憲と思うが名前はだせない」人がたくさんいる、とも述べています。
政府と見解を同じくするのに「名前はだせない」とは、法学会への配慮? しかし10名は名前をだしているので、だせないとする理由が不明です。しかも、自民内からは「法の番人は最高裁」「自衛のための責務をはたすのは憲法学者ではなく政治家」といった意見も出ていますが、安倍政権でまた矛盾がでています。つまり原発再稼動に関しては、専門家の判断に委ねるとしながら、憲法では政治家の判断を優先する、という。ならば最低でも、原発再稼動も政治家の責務において判断する、といわなければなりません。なぜなら「国民の命と平和な暮らし」に関して、安保法制も原発再稼動も、その本質において何ら違いがないからです。

さらに海外では「法の支配」を訴え、中国批判を展開する安倍氏が「憲法を支配する」と言っているのですから、笑えない矛盾です。それこそ中国が、国際法の解釈を我々はこう考える、として国際法学者の意見を無視したとき、安倍政権は反論もできなくなるでしょう。それこそ言葉の解釈など、様々にできますし、何より訳すだけでも意味が多少は変化してしまいます。
何より、立場や態度をその時々でつかい別けている安倍政権が、いくら約束しても確信がもてない、というのが最大の問題です。同一労働、同一賃金の大原則を外す、派遣法改正をすすめる安倍政権が、集団的自衛権の行使に対しても『自衛』という大原則を外してしまう恐れは、常にあるということにもなるのでしょう。野党が『旧態依然』なら、与党は『及第以前』の話であって、洩れた年金情報の話にしても、赤点レベルです。安倍政権の『終わりの始まり』も見えてきたのかもしれませんね。

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2015年06月11日

内閣府の経済指標

内閣府から発表された3日連続、発表された指標。まず5月消費者態度指数は、前月差0.1pt低下と、2ヶ月連続の下落を示します。暮らし向き、収入の増え方が増加するものの雇用が環境が悪化、耐久消費財の買い時判断、資産価値も悪化と、全体としてよくなる、よくなると喧伝されるものの、未だに国民実感がない、という結果が現れます。これは物価見通しからも導かれるのでしょう。2〜5%上昇と予想する人が40%と最大ですが、これが生活にどう影響するか、が分からない。収入も増えそうだけど物価においつくの? という心配が見え隠れします。
4月機械受注は船舶、電力を除く民需で3.8%増と、市場予想を覆してプラスでしたが、製造業は伸びるものの非製造業はマイナス、外需もマイナスです。一見、製造業は元気なようですが、上記のように耐久消費財の買い時判断に、消費者は厳しい部分があります。積極的な設備投資があっても、それが収益に結びつかないと、過剰設備や在庫を抱えることにもなります。

4-6月期の法人企業景気予測調査は、『貴社の景況』が、大企業は4-6月期に小幅に落ちこむものの、7-9月期には大幅回復、10-12月期も上昇傾向がつづく、とみます。しかし中小企業は4-6、7-9ともに悪化し、10-12月期も横ばいと、まったく見方が異なります。『国内の景況』もこの傾向は変わらず、大企業と中小企業の温度差が顕著です。また売上高、経常利益ともに前期は横ばいか悪化、下期に急回復する見込みであり、それを見こんでか、設備投資も上期に集中、全体では下期でマイナスとなります。ここから見えるのは、上期は多少我慢しても、下期の回復で全体としてみれば今年はいい、というのが企業の考え方の中心でもあるようです。
つまり個人と、企業の間ではまだ見方が別れている現状が、浮かび上がります。設備投資も今年度5.9%増は、市場期待からは大きく下ぶれています。どうやら、この乖離にはやはり円の動向が大きく影響しているのでしょう。円安は、大企業は好意的で、中小企業や個人は悲観的。対ドルで120円台が、中小企業や個人のマインドを下押しするなら、下期の回復というのはやや企業の先走り、思惑先行の期待といった面があるのかもしれません。

昨日の黒田日銀発言で、円と株は急落しましたが、今日になって株価は持ち直しました。明日のSQで、どうしても高く誘導したい主体がある、とみていたところ、どうやら国内勢だったようです。ロールオーバー中心の商いの中で、日系の一社が大きく買いポジションに傾けています。恐らく昨日も買っていたものの、今日改めて買い入れた、というのが真相なのでしょう。
気になるのは、英金融機関HSBCが世界的に人員削減をすすめている点です。中国でも独自に景況を発表するなど、世界規模で展開する同社が、人員削減をすすめる理由は何か? 5月のADP民間雇用統計で、米国では金融機関が人員を増やしている。どうも日米が期待する下期回復、成長加速というシナリオに、グローバル展開する企業の中でも見方が二分されているような印象をうけます。昨日、株式が急落したときより、今日の戻りの方が現物株への買いも少なかった。ごく少数の人々が、下期への期待を高めている状況も見えてくるのでしょう。ウソから出たマコト、という言葉もありますが、政府や日銀が口先介入、判断を上方修正することで、マインドを上向かせることが出来るのか? 今は日銀と政府の蜜月が『唇滅びて歯寒し』にならないことを祈るばかりなのでしょうね。

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2015年06月10日

雑感。ものづくり白書について

黒田日銀総裁が「(実質実行為替レートの)ここからさらに円安にふれることは、ふつう考えると中々ありそうにない」と語り、対ドルで124円台半ばから122円台に、株は20250円から20010円まで一気に動きました。円安牽制発言と受け止められた結果ですが、油断していた市場に冷や水を浴びせた恰好です。実は、今回の円安、株高局面に整合的な説明はできません。ナゼならヘッジファンドなどは、円売りと同時に金融機関など、内需を中心に現物株に買いを入れてきたためです。5月の後半、2週にかけては先物にも買いを入れていますが、行動に整合性がない以上、何かきっかけがあると脆い。週末のSQにむけて思惑で昼過ぎから買いを入れた主体も、あまりに脆く崩れていくので、慌てて売った。というのが今日の粗くなった値動きの顛末です。
そしてそれが外国人主体だった、ということも債券市場にほとんど動揺がなかったことからも明らかです。鯨が泳ぐ海だろうと、そこにはもっと大きな恐竜が泳いでいる。鯨を丸呑みしてしまうほど、暴れだしたら止まらないこの恐竜の存在が、日本の不透明要因になります。

経産省のものづくり白書では、海外に工場をもつ製造業738社のうち、98社がこの2年で国内生産にもどした、とされます。個人的には1割強は多い、と感じますし、白書内でも『グローバル最適地化生産に変化なく、今後も企業の海外展開の基調はつづく』と結論づけられます。しかも、国内生産に戻した理由で「品質や納期など海外での課題」が34%、「円高是正」が24%、「海外生産のコスト増」が24%と、主に海外要因でもどしている。安倍ノミクスで当初語られたような、円安で国内回帰というのは、実際には4分の1の理由でしかなかった、というのが実態です。
しかも海外で生産を行う企業の割合が増えており、最近では伸びが加速している。つまり円安は、国内への寄与度が低いということがはっきりします。貿易赤字が定着してきましたが、原油高の影響と言っても、その原油を利用せざるを得ない構造なのですから、それをイイワケにしていても、何も始まりません。そもそも貿易収支をみても、13年度、14年度と黒字は右肩下がり。つまり円安分を差し引けば、貿易量自体は下がってしまっているのが実情でもあります。

ものづくり白書の中でも、資金配分を高める使途として、国内設備投資52.6%、海外設備投資26.3%、研究開発費25.4%です。人件費はその後、19.3%しかありません。この統計に注意が必要なのは、全産業に聞いているため、国内の設備投資が伸びているように見えますが、実際には海外で展開する企業の割合からすると、海外設備投資への傾注の方が大きいのです。しかも株主配当、自社株買いは10.8%、企業買収は6.8%。今の株式市場は、この人件費や株主配当、自社株買い等を好感してあげていますが、実際にはそれほど企業が積極的でない分野を材料視している形になります。ここにも、実態と市場期待との乖離が見え隠れしているのでしょう。
経産省のものづくり白書で示される、こうした問題への対応は、非常に瑣末的で内容に乏しい。経済財政諮問会議でも、歳出の抑制による財政再建が示されましたが、これでも安倍ノミクスの1本の柱、財政出動はぽきりと折られた形です。円安効果も、ものづくり白書でみる限り、マイナスにしか出ていない。デフレ脱却も、実質賃金がやっと小幅プラス、改定ではマイナスになると予想される中、日本経済への寄与度は低いどころか、悪影響しかないのでしょう。市場が期待すること、そのすべてが細かく見て行くと裏切られていく中で、安倍ノミクスは鯨の放し飼いだけが成果だった、と云われかねない状況に近づきつつあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年06月09日

G7における安倍氏の立ち位置

日経平均が大幅下落です。今の市場は需給要因で決まってしまうため、売りが嵩み始めると脆い。1-3月のGDPで突出して設備投資が多かった、在庫も積み上げた、その割りにここ4、5月の個人消費が弱い、ということなら企業の戦略はここまで上手くいっていない、との想像もできます。また追加緩和の期待も一気に萎みました。今回のGDP改定値の意外すぎる好調さ、が今日の市場にも影をおとしたことは間違いなく、今月のFOMC、ギリシャ問題とともに、不透明感が高まっています。

独国のエルマウで行われたG7で、中国批判を展開した安倍首相が「一定の存在感」や「議論を主導」といった報道が為されます。しかし実は、もっとも懸念していたことが起こっています。安倍氏の中国批判も、唐突な印象が拭えません。今後、日中関係の改善など望んでいないかの如く、G7という国際的な場で突出して中国批判を展開、ほとんど独擅場の勢いでした。
メルケル独首相から促され、安倍氏が中国批判の口火を切った、というのが象徴的ですが、要するに欧州は経済的を連携を強めている以上、中国批判は避けたい。米国は軍事偵察をすすめて実質的には対抗する以上、ここで火に油を注ぎたくない。だから日本を先兵として扱、中国批判を展開させたのです。安倍氏もそれに従って発言している。つまり欧米が描いたシナリオに則って、安倍氏が中国批判をした、なので議論を主導したかのように見えるのです。しかし「強く反対」だろうと、実効性のある対策は何も示されない中で、言葉だけが踊った。実質、中国との対立したのは日本だけ、ババを引かされたのは日本、という話にもなってしまうのです。

その中で、安倍氏が得た実利は「存在感を示した」や「議論をリード」といった、自身に関しての評判だけ。メディアが一斉に、判を押したように同じ文言をつかうのも、統一してそうした文言をつかうよう、政府側から要請もあったためでしょう。要するに、そう印象付けたい、それが先兵になって得た実利だから、というところなのです。しかし相手が参加していない国際的な場で、相手を一方的に非難して悦に入っているような輩は、一番タチが悪いといえます。
日本が中国批判の矢面に立ったのも、宗主国である米国を守り、南シナ海に出て行くための前哨戦というなら、これも集団的自衛権の行使にむけた安倍政権の態度とは、整合的であるのでしょう。第二次大戦の末期、独国に進攻した米ソ両軍がであった地として『エルベの誓い』という言葉があります。人類の敵、ファシズムにとどめをさした、としてこの後すぐ、ヒトラーは自殺し、独国は降伏します。今回、独国『エルマウの誓い』では、欧米各国が気に食わないと思うことを日本に語らせることで、溜飲を下げただけに終わりました。米ソはその後、冷戦へと突入していきますが、今回先兵となった日本がどういう運命を辿るのか? かつては政冷経熱ともされましたが、その熱は両国とも冷めてきています。日中双方とも、お寒い政治状況が映しだされているのなら、これは寒戦ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年06月08日

GDP改定値と景気ウォッチャー調査

内閣府から1-3月期GDP改定値が発表され、実質で前期比1.0%増に、速報値から0.4pt上方修正され、年率換算でも3.9%増と、速報値から1.5pt上方修正されました。上方修正の理由は設備投資が、速報値の0.4%増から2.7%増に大幅に増えたことです。また在庫投資の寄与度も0.5%から、0.6%に拡大したこともあります。速報値から出てきた経済指標で、設備投資が増えることは予想されましたが、これほど大きいとは考えていませんでした。在庫投資は減るとみられましたが、増えた点は奇妙です。その原因として挙げられるのはIoTです。各社、IoTへの対応を迫られ、設備投資ばかりでなく在庫を積んで、直接販売からインターネット販売へ転換しようとしている。そのため設備投資、在庫投資がここに来て一気に増えた。つまりIoTという言葉が独り歩きし、何となく企業経営者が目新しい言葉にとびついたことで大きな伸びになった、と言います。
しかし小売やサービス業は、すでにIoTに対応しているところは対応しています。今さら始めるところは後発です。どこまで伸びるか不明な中、設備投資、在庫投資を極端に増やすことが果たして業績に寄与するのか、不透明です。ホテルなども設備投資が伸びていますが、インバウンド消費を当て込んだにしても、設備投資より英会話などの、ソフト面が大事ではないか? 今回は二次速報であり、改定のときにどうなるか? 2014年度の実質GDPが0.9%減と、速報段階より0.1pt改善していますが、これが単に1.0%減は見栄えが悪いための見せ掛けでないことを祈ります。

例えば5月の米雇用統計が市場予想を大きく上回りましたが、米国では今、利上げにむけたガス抜き期間であるため、利上げ予想を強めたり、弱めたりするために指標を操作している、とされます。そうして市場に『利上げ』を慣れさせ、その上で実施する。その正誤については色々とありますが、戦略だけは感じます。しかし日本の経済指標、首を傾げるものは単に見栄えだったり、政府の心の安寧のためだったり、その手段である傾向が強い点はとても残念です。
5月景気ウォッチャー調査は、現状判断DIが53.3と0.3pt悪化、先行き判断DIが54.5と0.3pt改善です。しかし現状では企業関連が軒並み悪く、先行きでも改善見込みですが、今度は雇用が落ちる。数字以上に斑模様、という印象が強い者です。それは判断理由もそうで、株高や円安、円高などを都合よく判断するところと、都合が悪いと判断するところが混在しています。

日経平均は小幅下落ですが、実体は売買高が大きく減るなど、実体以上に悪い印象です。円安感応度が低下した、とも言われますが、今日はドル高ではあるもののユーロ安でもあって、欧州系の動きが強い今の市場では、素直に円安を好感できなかった事情もあります。しかしSQ週にも関わらず、また先物市場はロールオーバーが活発であるにも関わらず、現物株の売買が低下し、値動きもなかった点は、将来的には大きな変動を予期させるものとなります。
裁定買い残も高水準なのに、現物と先物の間に、意志の差があるのですから、どちらかの思惑が強まったとき、上にも下にも大きく振られてしまう恐れが高まっているのです。特に5月、外国人投資家は大きく買ってきた。この買いは2ヶ月とつづくものではありません。6月になって頭打ちとなってきた株式市場、『下げさせない相場』に安心して買ってきた外国人投資家が、それでも下がった場合、どういう行動をとるのか? 日本のGDPが、外国人投資家の追加緩和期待を冷ますためだったら良いのですが、見栄えを意識するあまりの粉飾だった(Governmental Dcorated Propaganda) 、となった場合の失望感は、相当なものになると覚悟した方がよいのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年06月07日

雑感。サミットについて

独国のエルマウでサミットが開催されています。安倍首相が出発前、来年の日本で開催されるサミットの場所を、伊勢・志摩と発表しました。東南海地震があったら直撃する場所、という点には若干の不安を覚えますが、文化的な意義はあるのでしょう。しかし震災復興の仙台、NPTに盛り込もうとした広島・長崎でもなく、今『伊勢・志摩』? と考えると、些か安倍政権の思惑が透けてみえます。戦前回帰、明治維新を信奉する安倍氏は、やはり神道による国家統治について、何らか含むところがあるのでしょう。国家神道まで格上げすると、公明党が許さないでしょうが、むしろ公明切りを考えているのであれば、嫌がらせ的に神道を保護する政策を今後、打ち出すのかもしれません。維新が労働法制について、採決に応じる方針を示し、一気に採決へと傾きますが、橋下大阪市長に近い維新と組んで、新たな政権の枠組みづくりまでもっていく、とするなら、これがその端緒とみなすことも可能なのかもしれません。
一部右よりのメディアでは、伊勢・志摩を選んだ理由に「日本の心」や「クールジャパン」とも語られますが、伊勢・志摩がクールジャパンとどう絡むのか? さっぱり分かりません。文化も日本食もアニメも、各地で独自に発達したものであって、伊勢・志摩は伊勢神宮を代表とする神道しか発信できません。日本の心、という点にしても、多様性を訴えるなら神仏習合に重きをおいた方がよく、伊勢は逆に神道が強すぎます。上記の通り、神道に軸足をおいて平成維新を成し遂げたい、という方が理解もしやすいのです。これが参院選に影響しないよう、配慮した書き方になっているのかもしれません。ただでなくとも安保法制でぐだぐだ、洩れた年金情報の問題もでてきて、投票率の高い高齢者が、自民離れを起こす恐れがある。安倍自民を応援するなら、下手に神道、維新と結びつけるのを嫌っているのでしょう。

エルマウ・サミットでは、安倍氏は中国の南沙諸島の埋め立てを問題視し、欧州との共同歩調を示したい意向です。しかし安倍政権がこれまで、欧州各国を相手に根回しをして成功した事例は少なく、頼るところは外交巧者の米国次第、といったところです。しかしこの問題が、中国‐フィリピン間の対立軸になっているところに、欧州が積極的に発言しない原因があります。フィリピンを植民地化していたのは米国、かつての支配関係が欧州としては希薄なため、関心も薄い。逆からみると、米国が最近になって言及を強めているのも、フィリピンとの関係が影響する。つまり中国は米中間の問題のみで、欧州を巻きこまないよう動いているともいえます。
AIIBに参加を表明した欧州各国も、中国が倒れてもらっては困る、といった事情があり、一面では過剰生産性を解消させる、南沙諸島の埋め立てにもこれまで強い言及はありませんでした。それを取りこむのは容易ではなく、特に今回、サミット開催国が独国であることからも、どこまで声明に盛りこめるかは不明です。それこそ米国の頑張りにかかっているのでしょう。

独国では「火を吹く者は、その火の粉が目に入る」と言います。人のケンカは煽らない、南沙諸島など、欧州にとって関係ないと思えば、欧州はまず動かないでしょう。中国‐フィリピン・米国間で解決してくれ、と思っているはずです。そこに日本が、積極的に入っていけば、その火の粉がもしかしたら日本に飛んでくる、ということになるのかもしれませんね。

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2015年06月06日

雑感。米雇用統計とギリシャ問題

5月米雇用統計が、非農業部門雇用者数が28万人増、時間当たり賃金ものびるなど、良好な結果となりました。失業率は5.5%と、0.1pt増となり、就業を諦めていた人が就職活動をはじめた、と通り一遍の説明もされます。しかしFRBも注目するU-6失業率は横ばいなど、喧伝されるような状況はみられません。しかも、3月は上方修正、4月は小幅下方修正で、月平均で20万人増をキープするよう、誘導したような印象もうけます。ADP雇用統計でも、金融部門の就労がやけに伸びていますが、米国で何が起きているか、少し慎重にみておいた方がよいかもしれません。

6月5日が期限とされたギリシャの債務返済は、6月中に予定されていた4回の返済を月末に移すことで合意しています。しかしギリシャは国際債権団の支援条件を拒否しており、さらに債務減免の確約を求めるなど、変わらず強気の態度を貫いており、はっきり言えばよくこれで国際債権団が返済の先送りで合意した、というほどです。チプラス首相は「(国際債権団の要望を)踏まえている」としますが、ギリシャ側から提案した内容にこだわる姿勢は変わっていません。
一方で、ギリシャの国内世論は、債権団の提案に賛成が、反対を上回るという結果もでています。ユーロ離脱が現実味をおび、その可否に国民も揺れているのでしょう。チプラス首相が当初約束したことを、実行できていない点でも、信用を失いつつあります。ただし債権団の提案をうけいれれば、政治的には死に体です。そこで、ふたたび総選挙を行い、債権団の提案を受け入れる側と、受け入れない側に別れて争い、その決断に従うという案が出てきています。ただ、選挙にもお金がかかります。債務返済を先送りする国が、多額の予算をかけて何度も総選挙を行う。その大いなる矛盾の中で、ギリシャは残り一ヶ月を過ごすこととなるのでしょう。

米雇用統計をうけて、円が125円台をつけてきました。ギリシャ問題も一先ず先延ばしですが、そんな中、民間エコノミストの予想で、4-6月期GDPが実質で1.7%増と、5月調査の2.26%から0.56ptも急落しています。毎回、高い予想をだしては正式発表されると、その大きな乖離に面目を潰してきた数字ですから、今回もどうなるかは分かりません。これまでも指摘している通り、経済指標はあまりよくなく、本当に1-3月に在庫を積み上げていれば、4-6月にはその反動がでてくるでしょう。いずれにしろ、4-6月期GDPが景気回復を示さなければ、愈々安倍ノミクスの失敗が浮き彫りになってきます。
某証券会社が出している主要300社の経常利益が、2月の16.5%増から13.7%増に、下方修正されています。法人企業統計をみても売上げ、利益が急減しており、その辺りを反映しているのでしょう。景気見通し、企業収益の予想が軒並み引き下げられる中、株価だけが堅調に推移する。いずれ、その乖離を埋めていかなければいけないときがくるのでしょう。ギリシャがそうであるように、いずれ日本も国民に信を問う必要がでてくるのかもしれません。ギリシャの哲学者、アリストテレスは「人間は生まれつき政治的動物である」と述べています。日本人が政治に興味をなくす昨今、明日のギリシャにならないための選択が必要となってくるのでしょうね。

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2015年06月05日

洩れた年金情報について

昨日指摘した、憲法審査会における「違憲」発言について、安保法制を推進する新聞などは一面どころか、政治面での小さな囲み記事にするなど、あまり目につかないよう配慮する書き方をしています。しかし憲法審査会の指摘は重いのが当然で、それを無視してしまえば憲法の専門家をよんで意見を聞く、憲法審査会の意味すら問われかねません。与党が推薦した人の都合がつかず、人選は衆院法制局に一任した、と言いますが、与党推薦の長谷部教授で了承したのは与党です。つまり長谷部氏の意見は、与党の了承をうけた意見ということになるのです。
「人選ミスで自ら墓穴」というフレーズが、某メディアは大好きなようですが、これはそういう問題ではなく、憲法学者のうちどの程度、「違憲」という人がいて、「合憲」という人がいるのか? 「合憲」という人が少ないのに、そう主張する人を連れてきて「だから合憲」という話でもないのです。つまり「人選ミス」ではなく、憲法学者の総体としてどれぐらい意見が割れているのか? そのことをしっかりと調べたものでなければならないのでしょう。

洩れた年金情報は、5月8日にウィルスメールを開いた後から、すでに成りすましがあったのでは? との指摘がでてきました。つまり日本年金機構が調査と称し、対応が遅れている間に、すでに詐欺犯はその情報をつかい、動いていた可能性です。これは安倍政権を直撃します。塩崎厚労相が情報を確認したのが5月28日、安倍首相に伝えたのが29日ですから、公表される6月1日まで3日も開いている。週末だったとはいえ、その3日の間に詐欺に巻きこまれた人がいる場合、首相、閣僚の責任問題に直撃します。少なくとも、すぐ公表すれば被害が出なかったからです。
勿論、日本年金機構がウィルス感染が確認された時点から、28日に内閣に上げるまで時間がかかり過ぎたことも問題です。パスワードが設定されていない件は、内規違反ですが、もし仮に情報が洩れたことを確認した上で、対応を怠っていたとすると、不作為という刑事事件に問われるかもしれません。ただしその場合、警察に通報し、そこで125万件という流出件数が判明した、というのもダメージコントロールになっているのかもしれません。つまり不作為により、犯罪を助長したという事実を隠蔽するため、通報するまでどの情報が流出したか、分からなかったという言い訳のために、そんな情報を流しているのかもしれません。そもそも、日本年金機構が流出した件数、内容を分からないなどということがあるのか? そう考えると、対応の遅れをそうした情報で覆い隠し、自分たちに非はないと、正当化しようとしている可能性すらあるのです。

深読みするなら、本来は政権をふくめて公表するつもりがなかった。しかし実際に被害をうけたとの報告がなされ、公表しないと不味い。そこで今回の事件について、一連のシナリオを決めてから公表したのではないか? 塩崎氏をはじめ、政権幹部にはもっと早い段階で情報が伝わっていたのではないか? そんな疑いすら抱きます。内閣のサイバー対策室が、外部通信があるとして、情報を遮断したとの報道もありますが、その時点で内閣は情報流出があった件を、ある程度はつかんでいた可能性があるのです。詳細はその段階から調べるとしても、内閣室が情報漏えいを知っていた可能性は否定できない、ということになるのでしょう。
洩れた年金情報、きな臭さがぷんぷんです。外部の調査委員の設置、という話もありますが、それこそ政府が選定する委員では、政府に都合いい判断を下し、情報を隠蔽してしまう恐れが拭えません。「人選ミスで自ら墓穴」ということが、この件でも起こることを期待するしか、真実を知る術はないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2015年06月04日

ドラギ総裁と、黒田総裁

洩れた年金情報に関して、新聞やテレビで『不審メールは4種類、100通』という見出しが一斉に躍りました。これは厚労官僚によるダメージコントロールで、これだけ攻撃をうけているんですよ、というアピールです。しかしそもそもこれはサイバー攻撃ではなく、メールの添付ファイルに仕込まれたウィルスであり、重要な情報を扱う機関なら、もっと多くの不審メールが届きますし、メール爆弾やDDoS攻撃など、システム全体をダウンさせようとします。
情報の抜きとりを企図した不審メールに、無防備で脆弱な組織だということが露呈するだけで、種類も数も関係ありません。こうした情報を一面や、見出しに掲げる必要などありません。むしろ安保法制について、憲法審査会において3人の参考人が「違憲」としました。こちらが明日の新聞で、どういう扱いになるのか? 今から要注目といったところなのでしょう。

昨日、ECB理事会後の会見で、ドラギ総裁が「債券市場のボラが高い状態に慣れる」必要について発言し、債券売りが加速しています。それが日本へも波及し、一時長期債が0.5%をつけるなど、まさにボラティリティの高さが懸念されます。しかも債券市場が急変動を引き起こし易くなると、為替市場にも影響します。また債券と株式を反対売買する主体もあるので、株式市場も巻きこまれる。これは全市場が、当面はボラの高い展開になる、と言っていることになります。
そんな中、黒田日銀総裁が本店で講演しました。論点は、非伝統的金融政策の効果と波及経路、原油価格低下と予想インフレ率の関係、先進国の金融政策に違いが生じることへの新興国への影響、ということですが、これら項目より、むしろ最後にピーターパンの言葉「飛べるかどうかを疑った瞬間に飛べなくなる」を引用し、「大切なことは前向きな姿勢と確信」と述べています。つまり、ワカラナイからとにかく前にすすんでいけばいい、と述べているのであって、政策担当者として心許ないどころか、不安にもさせらます。担当者が暗中模索を示唆するのですから。

「出口の先も非伝統的金融政策の役割が重要」と述べますが、それとて効果も分からず行う、と認めた形です。自然利子率など、古い言葉までもちだして中銀の政策を分析してみせるものの、前述したように「前向きな姿勢と確信」だけで、確証はもちえていない。いざその確信が揺らいだとき、誰も急降下して行く経済を救えないとしても、このまま進むとしています。
ピーターパンの言葉があったので、児童文学のサン=テグジュペリの言葉を引用してみます。「人生に解決なんてない。ただ、すすんで行くエネルギーがあるばかり。そういうエネルギーをつくりださねばならない。解決はその後でくる」 個人の人生なら、すすんでいった先に解決がなくとも、本人の責任で後始末をつけねばなりません。黒田氏は日本人すべてを巻きこみ、エネルギーをつくりだした後で、解決策はないとする。その責任は一体誰がとるのか? 万が一失敗だったら、非常に深刻な事態に陥りつつある、ということは明白になってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年06月03日

雑感。沖縄県知事の訪米

第一次安倍内閣を苦しめた『消えた年金問題』が、新たに『洩れた年金情報』となって、安倍政権を襲っています。情報確認から公表まで、著しく遅れていますが、調査していたとするにも125万件とされた情報が、さらに拡大する見こみとするなど、調査がどこまですすんでいるのか? 不信感を煽るものとなっています。しかも塩崎厚労相も5月中には確認していた。つまり官僚の不作為の部分と、安倍内閣としての情報隠しと、その二面がある点も重要です。
コメントでは記しましたが、これはマイナンバー制とも無縁ではありません。その利便性を高めれば、情報漏えいを引き起こし易くなり、セキュリティーを重視すれば利便性が著しく悪化する。最大の懸念は、新たな強盗事件が頻出する可能性です。それこそカードを盗みだせば、個人情報以外にも個人の『信用』を乗っ取れます。盗んだカードでお金を借りまくって逃げてしまう。女性が殺され、預金が抜き出されていた事件もありますが、このカードでも同様のことが可能です。しかも政府による情報隠しは、カード悪用の事例にも本人が悪い、として隠蔽される懸念を想起させます。政府にとって都合悪い情報が、最も隠蔽されやすいのですから。

翁長沖縄県知事の訪米、ハワイ州知事との会談で「国と国との問題」と突き放された、などと報じられ、上手くいっていないかの如くですが、この反応はむしろ自然です。仮に東京都知事が、国防に関して意見などすれば、よほど正論でもない限り袋叩きに遭うでしょう。正論でさえ、越権行為と非難されるかもしれません。そんな愚を犯してまで、わざわざ沖縄の肩をもつほど、強い知事であれば別ですが、そうでないならリスクが高くて距離をおくのは当然です。
米国務省では、日本部長クラスの対応と伝えられ、3年前の仲井真氏訪米時の国務次官補クラスより下がった、という点では米側の戦略転換がみてとれます。オバマ政権は、野田政権や安倍政権とは、ずっと距離をおいてきました。しかし南シナ海での中国の動き、頑なな韓国と、親米服従の態度をつらぬく安倍政権とを比べ、日本の重要性が増してきたことに違いはありません。韓国では中国の抑えにならない。空母クラスの巡洋艦まで備えた日本に、南シナ海の警戒、警備まで委ねる目的もあって、今は安倍政権の困ることはしない、との態度に傾いているのです。

マケイン上院軍事委員長との会談も伝わりますが、タカ派であり、わざわざ日本が負担してくれる基地建設に、反対の意を唱えるはずもありません。つまりこうした諸々の事情により、翁長氏の活動はうまくいっていないように見えます。しかし米国が恐れているのは、日本国民が米軍に忌避反応を示し、米軍排斥の動きへと拡大する点でしょう。安保法制でも反対する国民が多い現状で、安倍政権の支持率や、法案成立の課程を注視しています。なので安倍政権も焦っており、逆に焦れば焦るほど法案の弱点が露呈し、国民の理解がすすまないジレンマがある。米軍としても、安保法制の改正がなければ日本を利用する戦略に見直しが迫られるので、沖縄ともども日本の国民の動きを警戒している、というのが正解です。
日本が手に入れた空母クラスの巡洋艦、その使い道はまず南シナ海になるのかもしれません。フィリピン大統領も来日し、安保法制を評価するのも、日米ともどもフィリピンを含めて、自衛隊による南シナ海への警戒、警備を狙った動きといえます。中国の埋め立てが、日本の沖ノ鳥島を参考にしていることは、ほぼ間違いないのでしょう。しかし日本は公海上で日本の領土を守ったに過ぎず、中国のように領海を争う海域を、開発したものではありません。中国に対して国際社会がどう対応するか。安保法制の行方、沖縄基地問題とともに、考えていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2015年06月02日

法人企業統計と、毎月勤労統計

13日ぶりに日経平均が反落しました。しかしここ数日、ムリして上昇を維持しているようでもあり、2万円を超えた水準でさえ、前場少し下落していると日銀がETF買いをいれてくるなど、官製相場だから上げた、という面が否めません。「青い鳥が舞い下りた」など、上昇相場につくことを指す言葉もありますが、今週に入ってからはそんな動きがあったのかもしれません。

昨日財務省から発表された1-3月期法人企業統計、設備投資額が前年同期比7.3%増、という点が大々的に伝えられます。しかし売上高は0.5%減、経常利益は0.4%増と、10-12月期から急減しています。しかも製造業は円安のメリット、デメリットが業種ごとにくっきりと色分けされ、トータルでは1.3%減となった。つまり円安は日本経済にとってプラスにならないことが、数値としても示されます。経常利益も、円安の寄与度が高い輸送用機械の伸びも落ちてきた。今日は対ドルで一時125円をつけましたが、この水準は日本経済にとってマイナス面が大きいかもしれません。
この設備投資をうけ、企業に前向きの動き、とも報じられます。しかし設備投資計画が、今年度11%という推計も出ていますが、昨年度は期初の計画で15%、結局は5%にも届かなかったのであり、今年の11%がどこまで計画通りにすすむかは、経済動向次第です。また1-3月期GDP速報では、在庫が0.5%も寄与するなど、大きな伸びをみせましたが、法人企業統計では在庫投資が例年になく、大きな減少をみせた。毎年1-3月期の在庫投資は減るのですが、GDP統計で示された在庫増の結果とは、大きな乖離があります。設備投資の情報改定ででGDPも上方修正か、とも報じられますが、むしろ在庫投資の大幅な低下の影響で、下げてくるのかもしれません。

厚労省発表の毎月勤労統計、安倍ノミクス開始以来、下げ続けていた実質賃金が2年ぶりに0.1%増です。賃上げや消費者物価の伸びの鈍化、が理由として挙げられます。しかし所定内給与は前年同月比0.6%増、所定外給与は2.3%減、所定内労働時間が1.5%増、所定外労働時間が2.4%減。つまり労働時間の増加が、賃金に反映された結果とみるのが正しい。しかも特別に支払われた給与、これが14.9%増と大幅に伸びたことで、ぎりぎり実質賃金がプラス転換したのです。
所定外労働時間が延びていないので、仕事が忙しくなったわけでもない。雇用も2.0%増ですが、他の統計と合わせて考えれば、伸びているのは65歳以上。今回の所定外労働時間の減少を、日経などは駆け込み需要の反動と報じますが、4月の統計ですから、増産体制は終わっているタイミングです。むしろ反動減を見越して、生産をしぼっていた前年より落ちてしまった。今年度に入ってから、好転を示すような数字は、法人企業統計と毎月勤労統計からは窺えません。

小売、百貨店の売上げは好調です。ただし、これはインバウンド消費と前年の反動増であり、日本経済の好転を示す数字は、未だにないのが現状です。市場が期待する内需の復活、という話にしても、現状では期待にすら届いていない。もし、日本に舞い下りたのが青い鳥ではなく、以前もとりあげたように青い体には星がちりばめられ、翼は白と赤のストライプで彩られた鳥だとすれば、いつ飛び立って、逃げだしてもおかしくないほど、期待とはほど遠い統計の結果なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年06月01日

安保法制議論の、情報について

日本年金機構が、個人情報125万件を流出させました。しかも添付メールによるウィルス感染という初歩的な攻撃で、です。日本年金機構は、政治家の年金未納問題などを次々と流出させ、組織のガバナンスが問われて再発足した組織です。それが再び甘い、杜撰な管理をしていたことにもなり、大した処分もなく組織改革だけ行われたことが、未だに影響しているのでしょう。
これが深刻なのは、マイナンバー制度が適用された後で個人情報が流出したら、個人がすべて丸裸にされ、犯罪に利用されるばかりか、個人情報が売られてしまうということ。納税額から資産まで推定されれば、生活すら脅かされるほどの影響が出てくるでしょう。米国でも、社会保障番号の流出が度々おこり、詐欺などに用いられている、とされますが、日本の公的機関に高いセキュリティがかけられる、とは思えない中で、制度の利便性だけで前にすすんでしまう危険性を、今回も示したことになります。

安保法制の審議がつづいていますが、安倍首相がこだわるホルムズ海峡での機雷掃海、シーレーン防衛ですが、機雷などばら撒かれずとも、機雷があると主張して自衛隊が出て行く可能性は捨てきれない。というより、そのために拘るのでしょう。イランやイラク有事の際、自衛隊がホルムズ海峡にいて、後方支援につとめることが米軍のメリットになるので、知日派が安倍氏を嗾けてそれを例として挙げているに過ぎません。米国で、ウサマ・ビン・ラディン氏の暗殺について、米軍の成功事例ではなく、パキスタンとの密約により米軍により殺させた。むしろ軍事ヘリが故障し、パキスタンと米軍が合意したシナリオとならず、米軍が勝手にシナリオを組み立てて報じたものだ、というスクープ記事が出てきています。
米軍はウソをつきます。大きなものはイラクの大量破壊兵器ですし、小さなものは数え上げればキリがない。米国の利益になるなら無実の人でも拷問する国です。そもそも、ホルムズ海峡に機雷がある、ということを国際監視団が報告するのか、米軍が発表するのか、によっても大きく変わる。米軍によって発表されるなら、それは自衛隊を呼び寄せるためのブラフになる可能性が高くなります。米国の戦争に巻きこまれる可能性どころか、自衛隊が出動するための基準すら曖昧なら、それはもう機雷掃海という活動以前の問題になります。

自民党の岩屋氏も「自衛隊のリスクが高まる」ことを認めるよう迫りましたが、政府は頑として認めません。「活動する期間、戦闘が行われない場所を指定」と中谷防衛相は答弁しますが、その判断が誤っていたら? そもそも戦闘地域で活動しようとしているのに、その中で「戦闘が行われない場所」を、誰が、どうやって指定するのか? 恐らくその情報源は、最前線で戦い、かつ諜報機関をもつ、米軍の情報に頼ることになるのです。米軍はウソをつく。兵力の足りないところに、自衛隊を派遣して後方支援をさせる。勿論、戦闘になることは考慮し、日本を戦争にまきこむことを企図し、そうした戦略をとることを排除できません。
後方支援であっても、本来は最前線で戦う国の軍隊と、同等程度の情報を独自に得られるのでない限り、それは相手の軍隊に利用されてしまう可能性が廃除できない、ということでもあるのです。中東でも「近くの隣人は、遠くの兄弟に勝る」という言葉もありますが、日本はわざわざ遠くの他人の領土、領海まで出かけていって、隣人に騙されるのかもしれません。米国では『善きサマリア人の法』というものがあります。「窮地の人に良識的、かつ誠実に対応したなら、結果についての責任は問わない」とするものですが、米軍の情報が、情報がなくて困っている日本に対して『善きサマリア人の法』に該当するなら、自衛隊がどうなろうと米軍は責任を負わない、とでも言われかねなくなってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般