2015年07月

2015年07月31日

米GDPとFOMC、日本の家計調査

米4-6月期GDPが発表され、実質2.3%増となりました。個人消費が2.9%増の伸びで、民間設備投資の0.6%減をカバーした形です。しかしこの個人消費には注意が必要で、自動車サブプライムローンの問題が解決しておらず、金余りでローン組成のし易さが寄与している面が大きい。米政府もこの信用の低い層への貸付を規制してしまえば、自動車販売に大きく影響する。特に、米民主党政権では規制に後ろ向きで、景気が好調な間ならまだしも、一つ躓くと再びサブプライムローン問題として、浮上してくる可能性があります。貯蓄率も5.2%から4.8%に低下するなど、ムリして高額消費をすすめているのなら、この伸びは長く続かない可能性があります。
昨日のFOMCでは、事前にFRBが5年後に公表するはずの内部文書が洩れ、利上げ見通しが大きく後退していました。実際には何の言質も与えませんでしたが、株式市場は利上げ先送りを、為替市場では早期利上げを織りこむ、といったチグハグな動きが目立ちます。どちらかは確実に間違えているので、いずれ修正もかかりますが、それはどちらの方向性であっても、日本の株式には重しです。一方で、米1-3月期GDPが上方改定され、年率2%近い成長を維持できる見込みとなった。これで、利上げを先送りする理由が消失し、昨晩の米株は上値を押さえられています。

最近、株式市場の懸念として語られているのが、企業の業績見通しの楽観です。これまで企業は保守的な見通しを公表し、後に上方修正する形をとってきました。しかし今年、日本企業の見通しは強気、8%半ばの増益見通しを掲げます。市場では9%から10%を越える予想まであり、さらに強気ですが、企業の見通しとそれほど差異がない、ということは極めて珍しくなります。
そんな中、不安な材料が出てきました。6月家計調査で、実質の消費支出が2.0%減。これは勤労者世帯の収入が、実質で2.8%増となる中ですから、余計に深刻です。しかしその理由は収入の内訳にあり、世帯主の収入が実質で0.1%減、それを臨時収入・賞与の1.1%増がカバーした形で、さらに配偶者、その他の世帯員がそれぞれ実質で12.3%増、13.0%増と大きく伸びたことで、収入が改善した形です。つまり世帯全体が働くようになり、何とか家計を助けていることで、家族で出かける機会も少なくなり、また世帯主の収入が減るという危機感から、極めて家計が防衛的になっている。そんな傾向が、この一連の行動からも読み解けるのです。

今年、企業が強気の業績見通しをだしたのも、政府からの要請。海外M&Aをすすめるのも、円売り要因を増やしたい政府の要請、そんな陰口も叩かれます。実際、米国景気が堅調、中国景気の減速は織りこんでいても、そこまでひどくない、が今年の前提です。それが崩れたら? 事実、上海市場の暴落など、前提が崩れつつあり、ファナックや東エレなどの業績下方修正のようにスマホ需要だけ特殊要因、とする些かムリのある説明も増えてきました。そんな奇妙な話でさえも、政府による要請で喧伝されている、といった噂すら立つほどです。
ある想定で、企業が今年8%の増益なら19000円台前半、10%近い増益なら21000円、という話も出てきています。つまり市場は、すでにかなり楽観的なシナリオの水準に、現状でも来ている。市場でさえ強気すぎる、というのが懸念として浮上しつつあるのです。すべてが金余りの結果ですが、米GDPも推計手法を見直し、これまでの数字が低すぎるとして、数字を高めに改定する動きが出てきています。俄かにこうした動きが活発化するのは、数字をいじって楽観ムードを維持したい、という人間の欲望に絡むものなら、バブルではなく今の市場にはデビルが潜んでいるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2015年07月30日

雑感。東京五輪のエンブレム問題

東京五輪のエンブレムに盗用疑惑が出ています。素人目からみても似ていますが、知財に関する部分は少しの変更でも、それを認めるといった風潮があり、右肩の赤丸で問題ないとするか、は微妙です。ただベルギーの劇場のロゴは、TとLを重ねたデザインなので、右下のはねは理解できますが、東京五輪に右下のはねは必要ない。デザイン上、必要ないものを付加したのですから、その意味は何かあるはずです。それがインスピレーションに関するものなら、これは盗用ではなくオマージュなのでしょう。しかしオマージュを東京五輪のエンブレムとして採用した、などとは面子や体面からも言いたくない。そんな事情が透けてみえるようです。
ただ一つ気になるのは、中心より右に位置する日の丸のシンボル、すでに子午線を超えているようにみえます。デザイン的な意味で右上になったのだとしても、五輪がピークでその後下り坂、というなら、暗めの配色とともに何か示唆的でもあるのでしょう。組織委員会は「商標は確認した」と述べますが、著作権は確認していないようです。新国立競技場の問題もそうですが、事務方の不作為や怠慢で、東京五輪にケチがついてしまった。エンブレムの右下にある灰色の三角形、燃えカスのようにも見えるのですが、燃え尽き症候群にならないことを祈るばかりです。

TPP交渉が大詰め、と伝わります。米国のオバマ政権が力をもつうち、年内に決めてしまうには最後のタイミングということですが、メディアがここ最近、TPPによるプラス面しか伝えていない点が気がかりです。日本産牛肉の低関税枠を協定発効後、すぐに200tから3000tに、などとして輸出拡大につながるとします。一方で、米国産牛肉は10年以上かけて関税率を引き下げていく。何とも日本が有利なように見えますが、10年後には日本で消費される安価な牛肉はすべて米国産に置き換え、高級な牛肉を米国へ輸出する、といった業態に変化していることでしょう。つまり日本人は、一部の富裕層を除いて和牛を口にすることはほとんどなくなるのかもしれません。米国の戦略は、日本市場の占有であって、それまでの時間的猶予を与えたに過ぎないのでしょう。
お米など、輸入枠の拡大が議論されていますが、こうして枠が嵌められている以上、自由貿易とは名ばかりの、国益をかけた交渉、調整であることを示唆します。しかしそれが、米国の都合で事実上期限が切られているのなら、本来は有利な交渉が可能なはずです。しかし今、洩れ伝わってくる情報では、日本は芳しい結果を残せそうにない。妥協や打算の結果にしかなりそうもありません。ナゼなら、日本の方が安倍政権のうちに…と焦っているからです。

はからずも東京五輪のエンブレム問題で露呈した、日本の知財管理の甘さ。模倣やアレンジには比較的寛容で、今やコミケというオタク文化さえ世界に発信します。しかしこの東京五輪のエンブレム問題で、日本のメディアが総擁護論のような状況にあっても、国際社会の判断は、また異なってくるのでしょう。今のデザインは、まるでニコイチ、二つの海外のデザインを統合して出来上がったようにすら見えてきます。模倣に寛容な民族性は、TPPが導入されればイヤでも改めざるを得ないのかもしれません。
TPP交渉が妥結しても、国内合意が得られるかは不透明です。現在の安保法制をみても分かる通り、政府の説明は都合いいところばかりで、不都合なことは隠してしまう恐れはぬぐえないのでしょう。五輪カラーでもなく、黒と赤、それに金と銀があしらわれたジャパンカラーとは何かそぐわない部分、日本が伝統よりも変化を期待する、そんな傾向を示すのなら、このエンブレムが示唆するのは金権主義と、中央のどす黒い縦棒が利権に群がる層を意味するようにも見えてきて、日の丸が脇に追いやられたようにみえるのは、気のせいであって欲しいと思うばかりですね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2015年07月29日

安保法制をめぐる公明の動き

6月の小売業販売額が前年同月比0.9%増となりました。しかし季節調整済みで前月比0.8%の低下と、インバウンド消費が乗ったにしてはかなり弱い数字です。最低賃金を全国平均で時給18円上昇、と厚労省の小委員会で決まりました。おトモダチメディアはトップ記事の扱いですが、定昇とベアをあわせた正規労働者の賃上げ率2.2%より、0.1%高い2.3%の達成率で、非正規に手厚いとの印象操作がしたいのでしょう。内閣府は最低賃金レベルで働く労働者は約300万人、20円上がれば700〜900億円の効果、としますが、甘くて杜撰な試算です。そもそも、本当に雇用環境が逼迫していて、労働者有利の状況であるなら、300万人も最低賃金レベルで働いていること自体に、矛盾を感じます。もっと条件のいい職場に移っていてもおかしくないからです。
最低賃金で働かせる企業は、基本的には業績が悪く、高い賃金を支払えないか、もしくはブラック企業です。前者は仕方ない面もありますが、後者はサービス残業や労働者に自己負担を押し付けたり、教育や研修と称して働かせたり、などを平気で行います。これまでも企業の監視、監督ができているなら、これまででも効果は労働者に還元できていたでしょう。正規、非正規とも労働分配率が上がり、恩恵が行き渡らなければ決して好循環などは生まれてこないのです。

最近、安保法制に関して公明の動きが注目されています。平和を希求する党が、安倍政権と一体になって安保法制を通そうとしている。反対、抗議デモに創価学会員が参加していることで、圧力になっているというものですが、ここに来てもう一つ、創価学会員の感情を逆撫でするのが、安保法制の必要性をとく敵性国家として、中国を名指しするケースを安倍政権が増やしている点です。創価学会は、池田名誉会長が中国と昵懇で、それこそいくつも賞や勲章をもらっている。中国と対抗することを明示する安倍政権と協調路線が歩めるか、微妙になっています。
参院選挙制度改革でも自民と対立し、またIR法案についても審議入りを拒否するなど、公明も独自色を打ち出そうとしている。そんな中、今日の国会で重要な話がでてきました。自衛隊の武器使用に関して、罰則規定がないというのです。中谷防衛相は「不断の検討」とし、今回の法案とは別途としましたが、それこそ安保法制が施行され、武器使用が未整備のままなら、自衛隊が海外で大量に住民を殺しても、処分すらできないという事態に陥ります。自衛隊の内規には違反するので、自衛隊としての処分はできても、国としては手出しできないという不可解なことにもなりかねません。法的安定性どころか、制度の安定性すら損ないかねない重大な瑕疵です。

労働法制にしろ、これまで弱者の味方を謳ってきた公明にとって、ここ最近の安倍政権との距離感により、明らかに変質が意識されている。そして安保法制が、さらにトドメのように創価学会の公明離れを引き起こしているのです。政権与党の旨みを知り、離れられないと思われて公明が、ここ最近みせる抵抗は、創価学会婦人部の活躍がない限り、埋没、消滅すら意識されかねない党勢であることが大きいのでしょう。学会員以外、公明に投票する理由すら失いかけているのであって、それは選挙応援で各家庭を回る、婦人部にとっても負担となりつつあるのですから。
創価学会は、その布教活動を『広宣流布』とも称します。広く宣伝し、活動を知ってもらうという程度の意味ですが、今は公明と一体化することで『好戦流布』と看做されがちです。中国を敵に回す自民、安倍政権との距離感、それが問われると参院採決、60日ルールによる衆院再可決でも、公明の動きが変化してくるのでしょう。国民の反発の声、自衛隊が海外にいくと法的には武器制限のないまま、可決してしまうという危うさ、これらを勘案したときの公明の判断は、平和を掲げた党是を守るのかどうか、という意味でも重要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月28日

内閣支持率と株価

昨日から上海株が急落、今日も乱高下しました。官製下支え策をつづける、と中国は発表し、一旦は落ち着きましたが、それを狙ったように日系の某証券会社経由で、日経225先物に大量の買いが入る、といういつものパターンで日本の株式市場も切り返し、小幅安で引けています。ただしこの日系某証券、なぜか日経225に毎回、2300枚程度の買いを入れてきますが、TOPIX先物にはほとんど仕掛けてこない。こんなことをしているので、日本も官製下支え相場、などと揶揄されます。決まった手口で、決まった金額をかけているのですから、個人や金融機関の自己売買とも思われず、何らかの決まった金額を急落時に市場に投入する、との決められた動きにしか見えないのです。

最近、市場でも安倍政権の支持率急落をうけ、株式市場にも悪影響がでるのでは? と語られるようになっています。支持率は関係ない、という人もいますが、最もこの政治的安定性が損なわれることを嫌うのは、外国人投資家です。情報が少ない市場に資金を投入するケースでは、どうしても高いリスクをかけて資金を置いておくことが憚られる。短期の取引を重ねるスジには関係なくとも、長期投資家はどうしても政治の安定性を気にする面があります。
現状、欧米の投資家は夏休みモードで、売買高も減っており、大きな動きとはなっていませんが、外国人投資家は安保法制にかまけている安倍政権への不信感を募らせています。所詮は金融政策だけ、それが安倍ノミクスの実相だと語られ、景気対策すら打てなくなれば日本に投資する必要性はありません。企業業績は堅調、という話もありますが、今年は年後半の業績回復を、多くの企業が見込んでいます。中国景気、欧州景気、そして利上げが待ち受ける米国景気など、今ひとつ不安材料があるにも関わらず、年後半の企業業績が本当に伸びるのか? 市場関係者も固唾をのんでいるところです。

安倍氏は参院審議で「安保法制の国民理解がすすまない理由」を問われ、「国際法と憲法などとの兼ね合いが難しい」と述べましたが、何も難しいことなどありません。国際法で禁止していることを、憲法が容認していたら大変ですが、国際法で認めていることを、憲法が禁止している場合、憲法が優先されるからです。なので、憲法に限定して説明すればよいのであって、合憲というだけでその理由が出てこない。何百人といる憲法学者の内、合憲とする人は片手で足りる。だから国民は憲法違反ではないのか? と感じているのにその説明が相変わらずありません。
市場も、安倍ノミクスが金融政策だけ、景気を浮揚しているのは円安効果だけ、と気づいている。安倍政権の生命線は株価、という認識があるので、まだ日本市場に資金を置いておきますが、もう残りの生命線は短い、となったときに日本に資金を置いておく理由を失う。それが内閣支持率と、株価の関係です。株価を上げようとするインセンティブも、その能力も失うのですから、期待する市場ではなくなる。先進国投資のうちの配分の変更を余儀なくされてしまうのです。

安倍氏は「一国では国を守れない」と述べますが、ほとんどの国が自国を単独で防衛できるよう考慮しています。逆にいえば、これまでの日米安保で守れなければ、今までの日本は、実は自国防衛すらできなかった、という裏返しともなります。対外関係の変化に、中国のことを持ち出す機会も増えてきましたが、中国の海軍力など、少なくとも10年以上戦争できるレベルに達することはありません。なので民間を装い、既成事実化をすすめているのが中国の戦略なのです。
株価におけるPKO(Price Keeping Operation)は、単独でも今のところ機能しています。しかしこれとて、「一国では株価を守れない」状況が、いずれ訪れるでしょう。それを中国が先んじて示しています。このPKOは、その効果が逆回転をはじめると歯止めが利かなくなる恐れも強いものです。市場を安定化させるつもりが、逆に不安定化させる。今の平和の議論と重なる点からみても、人為的な介入によりPKOなどを行う人間の浅はかさをあざ笑うような事態が、中国と同じように、この日本でもいずれ顕在化することになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年07月27日

雑感。読売の衝撃と、産経の弁護

調布飛行場から飛び立った小型飛行機が民家に墜落し、住民が死亡する重大事故がおきています。捜査は警察に任せますが、これは政府、国交省には打撃となります。横田基地へのオスプレイ配備への反対運動が激しくなりますし、羽田空港の飛行ルート変更について住民説明会を行っている最中です。これまでは米軍の監視空域でもあったため、羽田から海側にでるルートが主でしたが、今後は住宅のある陸地方向への離着陸ができるようにする計画でした。しかし事故確率が上がることは間違いなく、騒音問題ばかりか、事故の説明も必要となります。
火災保険の負担割合が、日本全国で大幅に見直されます。自然災害の多発が主な原因ですが、飛行ルート上にある家屋の危険度も、これでより強く意識されるのかもしれません。今回の事故は、小型飛行機の安全性とともに、影響は多岐にわたって様々な問題を意識させます。

読売、日経の世論調査で、内閣支持率が低下、不支持が上昇しています。読売は『衝撃』などと報じますが、すでに各社の調査で示された内容なので、仮に『衝撃』をうけたとすれば、それはこれだけ世論誘導しても効果がなかった、おトモダチの世論調査でさえこの結果、ということのみです。つまり読売の幹部のうけた印象が見出しになった、政治も、国民も、その結果には何の『衝撃』もうけていないのに、という何ともお粗末な形となっています。
国会では参院本会議で、安保法制についての趣旨説明と質疑が行われました。安倍首相は「丁寧な説明」と述べますが、与党の質疑時間を大幅に増やし、馴れ合いにしてしまえば国民には余計に伝わりにくい。そんな中、礒崎首相補佐官が安保法制に関して「法的安定性は関係ない」と述べ、波紋を起こしています。解釈変更より、一歩踏みこんだ発言であり、立憲主義すら蔑ろにしかねない。礒崎氏は「発言を切りとられた」「説明すれば理解してもらえる」と述べますが、前後の文脈をみても発言を捻じ曲げて拡散された形跡はありません。どうせ党総裁選後、内閣改造との思惑で不問にふすようですが、そのとき安倍内閣がつづいているかどうか? 保守政治家の質の低さにうんざりし始めた国民の反発がさらに強まれば、改造ではなく首相交代です。法的安定性ばかりか、政治的安定性を欠くことにもつながるような発言となります。

産経は『支持と不支持が逆転、それでも支持率4割』など、自己弁護のような記事も書いていますが、第一次安倍政権も今と同じぐらいの支持率で、参院で大敗した。民主への期待が高かった時期ですが、第二次安倍政権でも政権与党の得票率は上がるどころか、むしろ下がっています。自民イヤ! の怒りが無党派層に上乗せされれば、選挙で逆転されることは確実です。さらに『「独裁」「クーデター」と野党がレッテル貼り』とも産経は書きますが、『レッテル貼り』というレッテルを貼っているようだと、結局は批判しているはずの野党と同じレベル、と看做されます。
最近、安倍氏のことを祖父の岸信介元首相の亡霊に取り憑かれているのでは? との指摘が相次いでいます。安保闘争を例にひき、後に正しいと認められた、と述べるなど、安保法制とそれを重ねた発言をくり返す。岸氏が語ったという「安保改定が理解されるまで50年」という言葉を意識しているのでしょう。しかし今回の安保法制は、50年経っても理解はされません。それこそ法的安定性を欠くからです。意味じくもここで側近が指摘したことは、まさに安保法制の弱点なのです。それを関係ない、と言ってしまえば、安倍政権はまさに不安定化する。安倍氏は「安保法制は合憲」と述べますが、これも憲法学者の意見を無視し、レッテルを貼っていることになります。衝撃なのは、立法府にいる者が法的安定性を無視しているという事実、さらなる支持率下落の要因は、野党の追及ではなく、与党議員の躓き、から起きるのでしょう。不支持率5割超えは、安倍嫌い、与党嫌いが国民の半数を超える、ということです。この数字すら無視していると、岸氏の亡霊に呪われ、二の舞を踏むことにもつながるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月26日

中国経済とコモディティ

7月中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表され、48.2と5ヶ月連続で景気判断の別れ目である50を下回りました。上海株の乱高下から、中国経済への不安が世界全体を覆っていますが、コモディティ関連には売りが嵩み、米市場での金は1000$割れを試す、とも囁かれ、WTI原油価格も48$割れ目前となっています。一部で、中国人投資家からの売りが出ている、とされますが、この動きを読み解くことはかなり困難です。中国は国家統制型の経済で、これほどの大きな動きが個人単位で出てくることは、あまり考え難いためです。
一つは、中国経済の減速は報じられている以上で、それを敏感に察知した中国人投資家が売っているのでは? ともされます。また、上海株で被った損失を穴埋めするため、保有していたコモディティ関連の資産を売却した、ともされます。しかしどちらもピンと来ません。

一つの可能性として浮上したのが、中国で打たれた株価下支え策。金融機関にも株買いを命じていますが、そのヘッジとして世界経済の減速を織りこむ必要があり、株を買うのと同時に、コモディティ関連に売りをだしている、というものです。つまり中国株が下がっても、そのときは世界経済の減速をより意識させ、コモディティ関連はさらに下値を叩きにいく。中国の金融機関はリスクをヘッジしておく意味でも株買い、コモディティ売りを入れているのではないか。
これは米国にも深刻です。シェールガス、シェールオイルの採算ラインは、少し下がってもWTIで60$台ともされます。原油価格が下がってもリグの稼働率が下がらないように、企業としては収益低下を恐れて掘り続ける。今やチキンレースのような状況です。資源関連の業績が下がると、設備投資も減り、雇用にも影響してくる。コモディティ関連の下げは世界経済全体を失速させかねない、諸刃の剣なのです。それでもコモディティ関連に売りを出さざるを得ない、とすればそれはテクニカル的な問題と捉える必要があるのかもしれません。

実際には、こうした動きの背景を読み解くのは、非常に困難です。手口がもっと分かってくると、色々な推察もできますが、ここ数週間の流れで正確性を帰すのは困難です。ただ中国経由で出てくる売りに、国家が関与していないとすれば、それは出さざるを得ない売りだったということでもあります。もし仮に、中国が国家で関与しているなら、むしろ売りではなく買い、それは中国が資源獲得に動いてきたことでも、それを今さら逆回転する必要がありませんし、何しろ最近仲のよい露国が再び苦境に陥る。そんな売りを出すはずがないのです。
もしこのコモディティ関連への売りが、上記したようにヘッジなら、そろそろ止まるのでしょう。株価もある程度落ち着き、ヘッジをかける必要がないためです。ただきな臭いのは、中国証券金融が資金調達計画を先送りしたり、200億$の株式投資に回った資金が、ただの見せ金ではないのか? など、今後も当局の強引な手法と、現実との整合性を問われる局面が何度もあらわれる点です。外国人投資家は、すでに香港株式市場から資金を引き上げ始めており、それが中国経済をさらに下押しすることでしょう。本当に世界経済破綻への引き上げを、中国が引くことになるのか? 見せ掛けと現実と、中国の『実態』経済がどの程度なのか、中国経済の行方は世界全体の問題になりつつある、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年07月25日

雑感。公邸に集まるミツバチとスズメバチ

安倍昭恵首相夫人が、公邸に二ホンミツバチの巣箱を二つ設置しました。ミッシェル米大統領夫人に触発されたものですが、蜜がたくさんとれるセイヨウミツバチではなく、日本固有種にしたとされます。しかし二ホンミツバチはそれ以外にも、毎年巣を変えるといわれ、養殖に不向きと云われます。それ以上に、公邸で暮らしていない安倍夫妻では、観察しようにもわざわざ公邸に出向かなくてはならず、留守を預けている形になるのかもしれません。
安倍氏は「刺さないか?」と気にしたとされますが、ミツバチは一度刺せば死んでしまうので、滅多なことでは刺しません。ただしミツバチを捕食するスズメバチが集まってくるようだと、スズメバチには刺されます。いみじくも今の安倍政権のことをさしているようです。

安保法制の反対運動はさらに拡大しつつあり、丁寧な説明や、どうせ衆院で強行採決すれば国民はすぐに忘れる、といった安倍政権が描いていた構図には、なりそうもありません。新国立競技場の見直しで、下村文科相をスケープゴートにする、と決めたらしく、自民党も安倍政権も集中攻撃を浴びせ、メディアも文科省が悪いといわんばかりの報道です。しかし以前も指摘したように、省庁は予算獲得が評価される、一般とは異なる価値基準をもつ組織です。新国立競技場の予算がかかればかかるほど、文科省の担当者は省内での評価を上げたことでしょう。それを見抜けなかったのは安倍氏を初め、下村氏も同様ですが、森氏だって同じです。そして文科省の官僚を処分できない限り、安倍政権として問題の根を絶ったわけではありません。
参院選における自民・維新などが提出した10増、10減案について、参院自民から合区とされた議員6名が、採決で造反しました。しかし自民は処分を決めかねています。民主や公明が提示した案では、1票の格差が約2倍にまで縮まりますが、自民・維新案では3倍。実はこれが司法で違憲判決が出ない、とは限らない。つまり賛成したことが、後に問題とすらなりかねないので、単に自民党の党規に違反したからといって、処分するのが正しいか? 微妙な判断を求められます。

そんな安倍氏が、台湾の李登輝元総統と極秘会談をしたことが、波紋をよんでいます。中国は訪日ですら「厳重な懸念と強烈な不満」としていたぐらいで、それが現首相と会談までしたのなら、黙っていられません。そもそも極秘会談が洩れたのは、会談をセットした安倍氏に近い側からのリークとされます。つまり成果をアピールし、対中強硬路線を印象づける狙いがあるようですが、安倍氏としては大迷惑です。27日から開かれる予定の経済パートナーシップ協議すら、開催が危ぶまれますし、谷内NSC局長が訪中した際、李克強首相と会談するなど、融和ムードの演出を狙っていた中国に、泥を塗る形となったことが確実だからです。
中国とて景気減速が鮮明で、日本にすがる思いですり寄ってきた。安倍氏も70年談話ばかりか、北朝鮮の拉致問題でも中国の協力を得たい狙いがあった。しかしそれが、リークによって水泡に帰した。中国は、台湾問題で妥協が許されないからです。安倍氏は、身の回りによく働き、従順なミツバチのような人間を集めている、と思い込んでいるのかもしれません。しかし安倍氏の周りには、保守というスズメバチがいて、ミツバチから利権をかすめとろうとしたり、また安倍氏が自分たちの都合が悪い方に行こうとすると、ちくちくと後ろから刺してきます。山本参院議員による「トップバッター」発言など、委員会設置前に口をすべらせたとしたら、驚くほど幼稚です。安倍氏にダメージを与えるのは、甘い蜜を集めるミツバチではなく、それを狙ってくるスズメバチ、ということをよく認識しておかないと、いずれ致命傷を負うことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月24日

日経による英FTグループの買収

IMFが日本に対する年次審査報告書で、日本は0.7%で安定成長、ただし日銀には追加緩和、政府にはアベノミクスに追加策、労働市場改革、規制緩和、財政健全化、など様々な取り組みを求めました。半ば矛盾しているのは、安定成長なら改革や緩和などは必要ないはずで、それを成し遂げたとてより高い成長を約束しているわけではない、ということです。昨年度のマイナス成長、そして4-6月期も統計上の在庫を積み上げない限り、マイナスと予想される中、安定成長としている時点で、この報告書は訝しい。財務省とのつながりが強いIMFは、毎年高い経済成長予測をだして、その後下方修正をくり返す、ということをつづけてきました。今回も『安定成長』は財務省との約束でもりこみ、そこから本来の要求をつきつけた、という形なのでしょう。
概算要求基準もでてきましたが、上限なし、キャップなしで社会保障費の伸びを3年間で1.5兆円に抑え、特別枠として3.9兆円を捻出します。しかし安倍政権は新国立競技場という無駄を、世論の反発をくらうまで放置した政権です。一般予算に関してもチェック機能が働くとは到底思えません。遠藤五輪相が、某番組で日本の物価は高い、だから建設費も上がった、と述べたようですが、とんでもない誤解です。米英など一人暮らしでふつうに生活しても、食費だけで月10万円ははるかに超える。ちょっと贅沢をすれば20万円になります。今が強烈な円安なのでかなり上乗せされていますが、日本の物価は安い。高いのは人件費です。しかもそれは景気回復ではなく、労働人口が崖を落ちるように減っている。そこに公共工事、復興事業が重なって、建設に携わる作業員のパイを奪い合う形となった。言ってみれば安倍ノミクスで第一の矢、財政出動という余計なことをしたからそうなったのです。認識が正しくないと、対応も間違える。この政権で、本当にムダ削減や効率的な行政運営ができるのか? 改めて疑問に感じます。

日経新聞が、英経済紙FT紙を発行するFTグループを1600億円で買収という話がでてきました。すでに業務協力はすすめており、独企業との買収争いの結果、日経が全額キャッシュで買収という案を提示。土壇場で日経に決まった。という内幕をFT紙も報じています。日経社長はBtoB、つまり日英の情報交換や人材の流動化による効果を期待しているようですが、そもそも論として最近の日経がそれほど質の高い記事を書いているのか? 経済指標の見方など、官僚のペーパーをそのまま右から左に流しているだけで、独自の分析を示すといったこともありません。
最近では、企業も日経に優先して情報を流す、といった暗黙の慣例すらなくなり、経済専門誌としての地位を落としつつあります。デジタルコンテンツでは両紙をあわせると世界最大、ともされますが、実はこれまで新自由主義の台頭、金融緩和などで経済の分野でも特に、金融が大きく拡大してきた。その恩恵をうけてきた部分があります。しかし海外金融機関ではリストラが始まっており、金融部門を縮小する動きがつづいている。経済誌の存在感が、薄れて行く端境期にある、とも言えるのです。それこそバブルを起こし、潰すといったことをくり返すうち、世界全体の金融部門が縮小していく。消費とて増えない中で、経済のパイ全体の縮小を意識しているようです。

明治安田生命が、米中堅生保のスタンコープフィナンシャルグループの買収を発表しました。こうした大型の買収案件が相次ぐときは、大抵が浮かれた景気の転換点を迎えるとき、とされます。日本企業は海外のM&Aなどにおいて、情報収集や交渉能力が劣っているとされ、高値掴みをしやすいためです。つまりここがピークで、苦境になるなら、海外企業にとって一旦は高値で買収されても、いずれ安値で買い戻せばいい、との計算が成り立ちます。
米経済誌バロンズが、日本株を買い推奨にする特集記事を書いています。しかしこれも、かつては日本株の転換点になったケースが多い。つまり今、保有している株を売りたいと考えた大口投資家が、売りをだすために買いを煽る記事を書かせているから、とも噂されます。経済誌の信憑性、それがこうして情報化社会の中で、どれぐらい担保できるのか? こうした双方向の情報がある中で、経済誌の立ち位置も問われており、FT紙の文化がよい方向で作用することを期待するぐらいしか、今回の買収劇が成功とよべるような効果は得にくいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | メディア

2015年07月23日

森元首相の会見について

ソユーズ宇宙船の打ち上げが成功し、油井宇宙飛行士がISSに到着しました。米国では大見得なのか、何かはよく分かりませんが、火星移住計画なども語られますが、人類が宇宙へと飛びだすためには、高い放射線被曝の問題と向き合わなければなりません。また火星移住となると、地球とは重力が異なりますので、生殖活動でさえ影響があるかもしれません。無重力では種の誕生が困難ともされますが、重力と被曝の問題は、地球環境に適応した人類にとって、それ以外の環境にどう順応していくのか? 宇宙開発を考える上では極めて重要な課題ともなってくるのでしょう。

東京五輪・パラリンピック組織委員会会長である森元首相の会見が、昨日行われました。自己弁護に終始し、新国立競技場とは一切ノータッチ、という説明ですが、スポーツ利権をずっと握っていた森氏が、五輪招致でも動いていないはずはなく、無関係とすることで逆に関与が強く疑われる形となりました。つまり、すべてをグレーゾーンとしたことが、逆にふれられたくない部分が多い、と自ら証明してしまったのです。「クラウンに乗っていたら、五輪というセンチュリーがやってきて、一緒に乗りなさいと言われて乗ったらパンクして、ラグビーだけ下ろされた」と述べていますが、そのクラウンにもセンチュリーにも『森』という同じエンジンが積まれており、文科省という車輪で走っていたら、世論というトゲにパンクさせられた、と言いたいのかもしれません。
森氏はまた「五輪でつかう施設を総合すると、国が一番安い」と述べましたが、新国立競技場一つが、他のいくつもの施設より高かったら、よほど問題です。しかし東京都の見積もりも、お手盛りだったことが続々と発覚しています。地盤改良が必要、道路も敷設が必要、水光熱の整備や今ある施設を撤去する費用など、見積もられていないものばかりで、当初計画から3倍近くになっている、とされます。現段階でこれなら、少なくともおよそ倍近くはさらに費用負担が増えるのでしょう。コンパクト五輪どころか、予算面に関してはインパクト五輪になっています。

舛添都知事が、新国立競技場の協議に都の職員をおくりこむ、と意気込んでいますが、東京都のこのお手盛り予算をみせられると、どこがエキスパート? と疑問に感じます。ここぞと文科省叩き、下村文科相叩きをしていますが、舛添氏とて厚労相時代、記者の前で自説をひけらかした挙句、コンセンサスがとれていない、として周囲を唖然とさせた逸話のもち主です。有言不実行の人物であり、五輪の競技場を見積もったタイミングでは都知事でなかったとはいえ、このお手盛りで五輪招致に成功した、その後始末には今後の手腕が問われている、ともいえます。
さらに関東全域にばら撒かれた放射性物質が雨に流され、東京湾に溜まっている可能性も指摘されます。東京湾は内海で、海流の循環もない。さらに富栄養の状態であるため、微生物が多く、体内に溜めこんでいるともされます。海底に溜まっていれば、かき混ぜなければ大丈夫、とは環境省も用いる説明ですが、事前に台風が来たら? ボートでかき混ぜられたら? 実はよく分かりません。海底をすべて攫って線量の確認をすれば、安全と宣言してもよいのでしょうが、現状ではそれもない。埋立地では環境汚染物質の調査も、再度必要となるかもしれません。

今回、五輪の問題で露呈しているのは、日本が随分といい加減で、平気でウソをつく。ムダ遣いをしても誰も責任をとらない、そんな無責任な体質です。宇宙空間でも、五輪でもそれは人々にとって『夢』を与えるものでなければなりません。それがこうした人間たちの我欲に塗れた光景を見せられると、夢が壊されるというものです。クラウンも、センチュリーも高級車ですが、多人数は乗車できない車です。そんな高級車にのって、金銭感覚すら庶民とは大きく乖離した少数の人間たちが、物事を決めているといった状況が、この国の問題として浮かびあがってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月22日

安倍首相の火事の例え話

日中中間線の、中国側の公海上でこれまでの4基に加え、12基のガス掘削施設が確認されたと発表されました。当然、これは安保法制の援護射撃をするために、中国側の圧力をアピールするために出されたものです。中国は勿論、とんでもないですが、16基も建設されている時点で、日本政府の対応もお粗末にすぎます。監視をつづけていた、としますが、監視するだけで抗議してきたのか? そのときの話し合いはどうだったのか? それらの情報も合わせて発表されないと、ただ中国を盗人国家、という印象操作だけのためのものとしか受け止められません。

安倍首相がTV出演し、安保法制について説明した資料が話題です。最初にお断りしておきますが、私は番組自体を見ていないので、外形的な事がらとしてみています。米国の母屋が火事のときは消しに行けないが、離れが火事になっていて、日本に延焼しそうなときは日本の消防士が消しに行ける、としました。米国の消防士に、安全な場所で消火器を渡せる、とも。まったく理解できないのは、まず火事の原因が語られないこと。米国は消防士どころか、放火犯の可能性もあるわけで、そのとき延焼しそうだからといって、放火犯と協力するのが正しいのか? むしろ日本は延焼を防ぐことに徹し、米国の離れの火事とは距離をおく方がよほど正論で、国際社会としての正しい身のふり方ではないか? その点の説明が抜け落ちています。
さらに言えば、米国の離れどころか、米国は出張していって火事を起こしたり、消火したりといった活動も行います。ホルムズ海峡の機雷除去なども、言ってみれば米国が出張先でおこす火事です。日本の原油、天然ガスを依存しているから、としますが、そもそもそんな危険な海域を、わざわざ民間船が通ることはしないでしょう。少しお金はかかってもパイプラインなどを使い、ホルムズ海峡を経由しないところまで輸送してから、積みこむはずです。米‐イラン関係が改善し、例として用いられなくなった、という以上にはじめからムリのある話なのです。

さらに、そもそも論ですが、米国の離れの火事が日本に延焼するのは、日本がその離れを敷地内で貸しているからです。日本の敷地近くで火事がおこれば、当然米国の離れも火事になる。敷地内にあるのですから、もうそれは日本の火事といってもおかしくありません。つまり安倍氏の火事に例えた説明は、そもそも前提がおかしいのです。日本の敷地にある米国の離れは無事で、周りにうろうろしている米艦だけ襲撃される、という特殊な事情でもない限り、米国の離れの火事は日本の火事でもあるのですから。結果的に、出演者にも納得されず、党内からも不評を買う。丁寧な説明どころか、低俗な例により余計に説明不足が顕著になってしまっています。
なぜか、安保法制反対論者はアポロ陰謀論者、というおかしなレッテル貼りをしている人もいますが、個人的にはアポロが持ち帰ったという月の石は、大気も磁力もない月の表面上にあるのですから、太陽風により強く放射化されているはずです。それに関して説明がない、検証すらされないので、本当に月の石? と個人的に疑っている部分はあります。地球にある石に、ヘリウム3を吹きかけたぐらいの量でしかないのですから。これとて説明が尽くされるのなら、疑惑が晴れます。陰謀ではなく、説明が尽くされないものは疑ってみる、というに過ぎません。もしかしたら月には太陽風を防ぐ、何らかの作用が働いているのかもしれない。こうした疑惑、疑問からすべて知の探求は始まります。これは安保法制も同じ、説明が尽くされず、知りたい情報に応えないから、反対も強まっているのです。安倍氏は火事に例えましたが、お尻に火がついて、やっと行った説明がこの程度なら、日本は『飛んで火に入る夏の虫』ということになり、戦場に行っても焼かれてしまうことになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月21日

雑感。東芝と中国の粉飾

東芝の不適切会計問題、歴代トップ三人を含む役員8名に及びます。08年4月から14年12月まで、1518億円が水増しされていた、とされますが、噂レベルではこの問題、まだまだ根深いとされます。安倍政権に協力する形で、副会長が産業競争力会議などに携わり、安倍政権からも市場への影響もあるので上場廃止にするな、とのお墨付きを得ている、ともされます。悪質性は低い、などと報じられることも同様、ダメージコントロールが始まっています。以前のシャープと同様、破綻させない、上場を維持する、という何とも不可解な結末になるなら、日本のコーポレートガバナンスなど、信頼性は著しく低い、という認定もされてしまいそうです。
あまり語られませんが、東芝は二つの苦境があります。買収したWHは原子力産業の今後を見据えたものでしたが、福島原発事故以後、世界は脱原発に向かっています。原発が続々と建設される状況なら、特許料収入も見込めますが、今は重しでしかありません。もう一つはHD-DVDの失敗です。今ではBlu-Ray一色になりましたが、DVDの特許料収入が減ることを危惧し、最後までHD-DVD規格で抵抗した。そんな負の遺産が積み重なっており、今や東芝は青息吐息、主要行に支援継続を要請などとする記事が先行したのも、実は上場廃止どころか、経営難から破綻すら警戒されるレベル、というのです。つみ上がった負債、のれん代等を含めて、会計監査の在り方すら問われている。この問題は、軽々しく扱うのも困難なほど根深いものが隠れているのでしょう。

全国百貨店協会が発表した6月売上高は、前年比0.4%増。昨年、駆け込み需要の反動減から手控えられた家電や大型のものが好調であることと、未だにつづく中国人観光客の爆買いが、売上げを押し上げた形です。問題は、すでに中国国内では影響も出ている高額商品のキャンセルなど、中国人観光客の消費が7月以後、どうなるか? 米国の消費も芳しくない中、中国人の消費傾向がどう変化するか、が実は日本経済にとって非常に機微に関わる問題となっています。
そんな中国の経済指標をみると、首を傾げるものばかりです。4-6月期GDPで7%などは明らかに造られた数字ですが、1-6月の中国への海外直接投資が、前年比8.3%増。しかしこれは商務省の発表で、政府ウェブサイトには8.0%増とされています。ただそもそも論として、減速が意識される中国に海外からこれだけのお金が集まる、ということが本当にあるのか? そこから疑問です。

中国では10月の五中全会に向け、何らかの対策が出てくる、と期待するむきもありますが、妙案もないでしょう。今回の株価吊り上げと、暴落による痛手は深刻です。発電量などが下げ止まっていますが、これも株価バブルの影響なら、7月以後はふたたび下げ基調になるかもしれません。中国にとって苦境なのは、一旦バブルに頼って成長を促してしまうと、そのダメージがいつかは出る、とのときに打つ手をなくすことです。なりふり構わず株価対策を打ち出しましたが、証券会社や金融機関に負の問題を抱えさせただけで、次に暴落が起こると、対策すら失います。
東芝の粉飾決算の問題、中国の粉飾統計の問題、根っこは周りの評判を気にして、悪い方へと転がり落ちることを防ぐ、そんな恣意的な人間の態度にあります。それを人為的に、市場から退場させることを妨げていると、いつまで経っても不正が改まらない、といった問題にもつながる。内部では熾烈な権力闘争があった、とする点も、両者の似るところなのでしょう。中国では『根が正しくないと苗が歪む』とも言います。東芝の場合、芝が歪んでしまったのなら、すべて植え替えるぐらいの心構えで企業改善をすすめないと、枯れてからでは遅くなってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年07月20日

原発、使用済み燃料棒の処理は国に移管か?

安倍政権の支持率が、各社世論調査がでそろったところ、凡そ支持37%、不支持50%ぐらいになっています。しかも今後、政権にとって厳しいスケジュールが並ぶ。70年談話は、中韓に厳しい形の談話とすれば、中韓との関係改善はおろか、米国からもにらまれます。保守層への支持を勝ちとることも困難で、逆に失敗すればさらに支持率下落を招きかねない。川内原発の再稼動問題も、反対運動が広がれば、それも政権への打撃となる。株価も中国バブル崩壊が直撃すれば、18000円ぐらいは簡単に割ってくる。米国で相次ぐ消費意欲の減退の記事も、米中という二大消費大国の失速は、株価という面ではじわじわと利いてくることにもなるでしょう。

そんな中、さらに政権の打撃となりそうなのが、電事連による下北再処理施設の運営を、国に所管して欲しいという話です。すでに総事業費は3兆円を越えているとされながら、一向に稼動する目処すら立たず、事業体としての収益が見こめない、それが下北再処理施設と云われます。これほど無駄で、金くい虫の事業がこれまで包み隠されてきたのは、まさに電事連が出資し、経営されていたからで、民間事業体としての位置づけだったからです。しかしそれが、国が出資するのか、経営に参画するのか、どういう形になるかは分かりませんが、そうなれば国会での審議、決議という国民の目にも広く晒される形になります。原発再稼動に前向きなところは、この無駄で、金くい虫の事業体の扱いに、頭を悩ませることになるのでしょう。
これまで原発容認派は、すでにある使用済み燃料棒をどうする? 原発技術が停滞するから原発政策はつづけるべき、が合言葉でした。しかし再処理が確立された技術でなく、また膨大な予算がかかる、となれば、国民の反対論が一気に噴出しかねない。こっそり電気代として徴収されてきた再処理費用が、税金負担となった途端、原発容認派への逆風が一気に強まりかねません。

燃料棒を再処理する理由は、原発を再稼動することが前提です。再稼動しなければ、再処理してウランをとりだす理由がない。一方で、国の方針一つで負の事業となりかねない再処理施設を、抱えておく余裕もない。しかしそのせいで、再処理施設の存在そのものが白日の下に曝され、事業計画が頓挫しかねない。苦境どころか、死に体のような状況で国が引き取ることになります。
深地層への核のゴミの処分の目処もたたず、再稼動する。その無責任さは、将来への不安を解消できない、政治力の欠如をさらに印象づけます。安倍政権ではそれを嫌がり、ますます電事連との話し合い解決を先送りし、かつ核のゴミの問題も封印するでしょう。報じられないことは、国民も知らないからです。しかし地下へと隠すはずの核のゴミの問題が、原発の高コスト体質を浮き彫りにします。やりたくないことからは逃げ出したい、安倍政権の体質が、ますます問題の根を深くする。原発再稼動が、安倍批判を再稼動させる恐れとなり、闇へ隠そう、隠そうとしていたものが表に、まさに白日の下に曝されたときは、安倍政権も批判にさらされます。

電事連が投げたサジを、政治が拾ってすくうスープの味は、毒の味しかしないのかもしれません。青森県とかわした雇用の問題等も含めて、再処理施設とは銘打っていますが、この施設そのものは処理も再利用もできないものです。機雷処理には積極的な安倍政権、自らのすすむ航路にばら撒かれた不支持増大という機雷の処理に、ひどく腐心することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2015年07月18日

安倍政権の支持率凋落

共同通信が17、18日に行った世論調査で、安倍政権の支持率が37.7%、9.7%も下落し、不支持は51.6%、8.6%も上昇しました。17日はすでに新国立競技場の見直し、が伝わっていたこともあり、それでは政権浮揚にはつながらない、ということがはっきりしました。今日には遠藤五輪相の事務所やその付近で『日本の恥 安倍晋三』との落書きもあり、明らかに流れが変わった。政局が雪崩をおこしたように動き出している、といった緊迫した状況になっています。

自民はきっかけを新国立競技場の問題、安保法制が追い討ち、ぐらいに考えているかもしれませんが、事情は少し異なるようです。まず国民は収入が減り、支出が増える中、何とかやりくりして日々の生活を営んでいるのに、新国立競技場は歳入も決まっておらず、ムダ遣いばかりしている。それが批判を加速させています。また安保法制の強行採決など、国民の理解がすすまないうちに、政治で決めてしまう、その自分勝手さにもうんざりしている。しかし流れは世界遺産登録の『forced to work』からすでに変わっていた、というのです。
中韓に強い態度で挑み、対抗する強いリーダー、それが保守系の支持層が描いていた安倍氏です。しかし結局、韓国の思惑通りの結果となり、従軍慰安婦と同じ轍を踏むこととなった。これがそれまで安倍氏を支持していた右翼層の怒りを買い、「裏切られた」として擁護する側から、攻撃する側に回った。最近、安倍政権擁護の論調をとる著名人への攻撃がはじまったのも、その結果だといいます。つまり保守層の支持離れ、それが支持率凋落を招いているのです。

しかしそもそも、安倍氏が保守なのか? 安倍氏が保守に目覚めたのは、小泉政権時の官房長官時代、北朝鮮に対して強い態度をとったことで支持者が増えた。それに気をよくして保守の態度をとり始めた、とされます。翻ってみると、安倍氏の態度は保守? と首をかしげるケースも多い。地元では朝鮮系の人物との付き合いがある、ともされる。そう、「裏切られた」どころか、自らが権力の座につくために保守層を利用した。つまり保守層は「騙された」のです。
実際、安倍氏の語ることはウソが多い。五輪誘致の際、「福島原発はunder contorol」とした。原発にしても、ロンドンで「世界一厳しい基準」とし、稼動させると言明した。安保法制も同じ、米議会で勝手に夏ごろ成立を約束した。まだまだ幾つもこうした事例が存在します。これらを総合して安倍氏の人物像を勘案すると、虚言癖があり、周りにいる人物にいい顔をしてしまうタイプ、と言えます。小泉政権時代に親交を深めた、知日派にいい顔をするから、親米となってしまう。保守層が周りに集まってきて、その支持層をつなぎ止めるため、保守的な主張をする。一方で、周りにいる人間は、安倍氏の虚言癖を、現実にするために骨を折ることになる。原発もそうですし、安保法制もそうです。まさにこうした人物像に、そろそろ多くの人が気づき始めた。だまされている、と感じ始めた。これが安倍政権の支持率凋落の原因です。

新国立競技場の設計見直しも、安倍氏が「2000億円以下にしろ」と命じた話もあります。1000億円以下にならなければ話になりませんが、そうした機微が分からない点も、以前と同じで空気の読めなさ、を感じさせます。祖父、父と続いた世襲の家系で、人が初めから集まってきた。そうした人間たちにいい顔をして、繋ぎ止めておくことには長けていたのでしょう。その結果、本人はいつのまにか他人のふんどしを絞め、八百長相撲ばかりに興じるようになってしまったのでしょう。その虚構、仮面がはがれかけてきた。こうなると、独り相撲になる日も、存外近いのかもしれませんね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月17日

新国立競技場見直しと、安倍ノミクス

安倍首相が「新国立競技場の建設計画をゼロベース、白紙で見直す」と発表しました。しかしまったく評価できないのは、2520億円まで膨らんだ建設費のまま計画をすすめ、すでにその計画で発注までした、その責任について何ら触れていない点です。結局、これまで用いられた『国際公約』や『工期が間に合わない』と言っていた説明が、すべてウソだった。ではそのウソをついていたのは誰か? ぎりぎりまで建設費について詳細を発表しなかったのはナゼか? など、ここまでムダになったこと、ラグビーW杯やプレ五輪さえ間に合わなくなる、といった失態を招いた原因を詳らかにする意欲が、まったく見えないのです。国民に怒られないと改められない、安倍氏がリーダーシップで止めたのではなく、安倍氏がリーダーだから、こんな事態にまで追いこまれ、多くがムダになった。その反省と謝罪が一切ない、これではいずれ同じことをくり返すばかりか、ぎりぎりの工期でさえ間に合うかどうか、不透明になってきました。
秋ごろに条件提示…というのも怪しい話です。安保法制が採決され、自民党総裁選を終えてから…という意図が透けてみえるからです。国際コンペは難しい、とするなら国内で以前にコンペに参加したところに発注すれば、すぐにデザインが出てくるはずです。建設費を抑えるなど、多少条件が異なると仕様変更となるので、以前とは多少変わりますが、それ以外の条件は詰めてあるので、問題ないはずです。時間がないはずなのに、秋まで待つ、という悠長な態度には、相変わらず安倍政権の厭らしさ、ダメージコントロールしか考えていないようにしか見えません。『日本のために』というなら、すべてを擲って、政権が泥に塗れても成し遂げる、政局なんて考えずにまい進する、そんな覚悟を示せないようではリーダーですらありません。『五輪のための決断』『国民のための決断』ではなく『安倍政権延命のための決断』にしか見えないのです。

安倍政権の支持が急落、急速に安倍政権離れがすすみますが、これで幕引きとなりそうにないのが、株価です。中国の歯止め策、ギリシャ問題の進展で、株価も一気にもどしましたが、7月第1週、2週と大きく売った外国人が、買い戻したことが理由でしょう。その間、個人や投資信託が支える構図で、利益を得た投資家も多かったでしょう。しかし今、市場では奇妙な話が流れています。3月末のGPIFの運用比率が発表され、株式は22%、目標まで3%しかないはずですが、市場では12%もある、と語られています。±9%という運用幅の上限をとって、そう喧伝されているのです。
そんな都合いい解釈が流れるときは、すでにバブルであることを示唆します。ここ数ヶ月、円安になっても上昇するのはディフェンシブ株、いわゆる景気後退に強いとされる株です。誰もが株高に自信がなく、一方で株価は上がる。朝から上昇する局面では売買高が下がり、下落する局面になると売買高が増える。今は押し目を拾う動きが活発ですが、それらもこのGPIF12%の買い、ゆうちょ、かんぽの買い、日銀の買いを期待する国内勢という構図が、鮮明になりつつあるのです。

しかも為替市場では、日米の金利差から想定される円の実力は110円台前半、と述べる人もいる。債券市場は日銀によりすでに市場機能は崩壊。つまり日本は、株、為替、債券市場のそれぞれが異なる事情で、バブル化を引き起こしている状態なのです。市場をじゃぶじゃぶにする日銀緩和により、市場機能が壊れていることの、これが結果なのでしょう。1$110円などとなれば、企業業績にも影響し、PERからみた株価の割安感が一気に崩れる可能性も高まっています。
安倍ノミクスが始まってから、景気回復の実感がない、は一貫して高水準で推移してきました。支持率低下を、新国立競技場の問題だと考えていたら、大間違いなのでしょう。それはキッカケに過ぎず、今までの不満が噴出しているのです。当初、安倍ノミクスで公共工事を増やす、とされたときは、それが景気回復を促すと期待されましたが、新国立競技場で莫大な建設費という話がでた途端、一気に批判が渦巻いたのもそんなやり方ではダメだ、と国民が気づいたためです。つまり安倍ノミクスそのもの、安倍政権自体にNOを突きつけるようになったのが、今回なのです。それこそ株価がゼロベース、利益が吹き飛んでしまうようなら、愈々安倍政権のトドメともなるのでしょう。中国のバブル崩壊と同時に、日本でも漂うバブル崩壊への懸念。今から経済政策を見直す、白紙にもどす、というわけにはいかないこちらの方が、安倍政権にとっての生命線になりつつあり、白紙委任ともいえない状況に陥りつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年07月16日

雑感。新国立競技場に関する安藤氏の会見

建築家の安藤氏が、新国立競技場について会見を行いました。細かい設計は見ていないから、建設費は算出していない、と述べますが、それだと何のために建築家がチェックしたのか? イメージ画像をみて判断するだけなら、素人でもできます。この時点からすでにムダが隠れていて、能力のない人間が審査委員長に就任していたようです。記者会見でも「日本ならできると思っていた」と、何とも他人任せな、無責任な意見で決めてしまっていたようです。
産経がこの問題で、自民を追求する民主に『ブーメラン』だと書いています。設計が決まったときは民主党政権だから、という理屈ですが、コンペによりザハ案に決定したのは12年11月。安倍政権発足は12年12月。決定した段階では選挙モードですし、それまでは政治マターの話ですらありません。唯一、民主党政権時代に瑕疵があったとすれば、能力のない安藤氏を審査委員長に択んだこと、及びアイデアコンペの段階で設計者、審査委員から責任を切り離してしまったことです。だから今日の会見でも「私は知らない」を連発します。こういう人物に共通するのは、責任がないことは「知らない」としてしまうことであり、そんな人物が一体いくらで審査委員長に就いたのか? そのすべてがムダな出費にすら思えてしまいます。

ただしその後、基本設計に移った段階でいくらでも見直すタイミングはありました。建設費用が膨らんでいくまま、ザハ案を貫いたのは安倍政権の責任です。しかも、それが『国際公約』という言葉に頗る弱く、またその言葉を錦の御旗のごとくにつかうことも多い安倍氏が、五輪招致の席で新国立競技場をアピールしたことで拘ってきた面が強いのですから、尚更に問題です。
いつ頃、建設会社から1650億円や、2520億円といった見積もりが出てきたのか? そこでなぜ見直さなかったのか? その検証を行わないまま、設計費用を下げる検討を始める時点で、問題解決能力のなさを露呈します。このままでは「見直せません」というタメだけの時間稼ぎ、議論にしかならないのでしょう。ナゼなら、ここまでザハ案で突っ走ってきた、それをここで見直せばすべてムダとなる。そのムダを明らかにし、改善する努力をする意志が伝わらないからです。

安藤氏が1300億円が1650億円になったと聞いた時点で、物価高で1800億円になるのか、と語ったとされます。もうこの時点で設計としての実力不足なのですが、さらに安藤氏は、「日本のためと思ってゼネコンも努力しろ」と述べます。ならば安藤氏は一体、いくらモチダシでこの仕事を請け負ったのか? また足りない建設費はネーミングライツや寄付を求める、とするのですから、一体いくら拠出するのか? 「日本のため」と思って、著名な安藤氏なら億ぐらいのお金を出す必要も出てくるのでしょう。建設会社にだけ負担、はおかしな話です。
昨日の安保法制の目晦ましで、新国立競技場の見直しの話がでてきた。台風に合わせるよう、安藤氏が記者会見をセットした。どこもかしこも、自らのダメージコントロールには長けていて、責任を被りそうになると、とことん逃げてしまう。そんな人物たちが、この国の行く末を決めているのです。トヨタの元米女性幹部が、起訴猶予となったとき、その理由として「社会的制裁をうけている」というものがありました。本来、社会的に地位のある者は、それだけの責任を負っているのであり、事件を起こせばその責任をとるのが当然のことで、罪一統を減じる免罪符になるわけではありません。この国では、そうして責任のある者が、罪を逃れる体質をずっと引きずってきました。この新国立競技場の問題は、本来は責任ある立場にいる者たちが、その責任に相応しい行動をとっていない、ということを如実に示すものです。この設計を「日本ならできると思っていた」と安藤氏は述べますが、日本ならでは、の問題をいくつも詳らかにします。日本というグランドデザインから設計し、造り直さないと、こうした問題はくり返されるということを、嫌というほど思い知らされる事例だといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2015年07月15日

安保法案の強行採決

安保法案が、衆院平和安全法制特別委員会で、強行採決されました。各紙の見出しは読売『安保法案、緊迫の採決…野党怒号飛び交う』と、強行採決にはふれず、あたかも野党が悪いような書き方です。産経など『安保法案 衆院特別委可決』と、国会の混乱にはふれず仕舞いで、毎日も同様です。朝日は『安保法案 衆院委で可決 与党が強行採決』、日経は『安保法案、衆院特別委で可決 与党単独に反発』となり、主要5紙で『強行採決』と明記したのは朝日だけ、という状況です。これが如何に異常かは論を待たないでしょう。怒号が起こったことは結果であり、その原因は強行採決にあるのに、それを報じないことで各紙が示し合わせているからです。

しかも安倍首相は「国民理解がすすんでいない」ことを認めており、それでも強行採決する前例をつくった。つまりもう安倍政権では、どんな法案でも歯止めがない、という形になります。つまりこれ以上、最悪な物事の決め方もないので、他のどんな法案でも決められてしまう。こうした物事の決め方に、メディアが反対姿勢も示さず、批判もないのですから増長してしまうことが確実です。しかも参院の60日ルールを今から喧伝し、国民を馴れさせておいて、仕方ないという空気の醸成にも余念がない。誰のためのNHK? とさえ言われる某国営放送は、特別委を生中継しない、徹底ぶりです。政権のメディアコントロール、してやったりというところです。
しかしそれを覆すのが、世論調査の結果でしょう。支持と不支持が逆転し、さらに強行採決、これでも国民が諦めずに不支持を示せば、安倍政権は行き詰まります。その焦りからか、新国立競技場の見直しに着手する方針を、安倍政権は示しました。しかしこれで以前の安倍氏の答弁はウソ、となります。今からだって見直せるのなら、ここまでずるずると引っ張ったことこそ、安倍政権の失態なのですから。努力したけどダメだった、というパフォーマンスのためだけなら、支持率はさらに下がります。盛り上がる批判、反対の声を一時鎮めるだけのものなのですから。

安倍政権が頼みとする金融政策、その日銀の金融政策決定会合で、現状維持が決まりました。驚くべきは、GDP見通しを15年度1.7(2.0)、16年度1.5(1.5)、17年度0.2(0.2)。物価見通しを15年度0.7(0.8)、16年度1.9(2.0)、17年度1.8(1.9)。括弧内は4月の見通しですが、ほとんど変えなかった点です。もう達成はほとんどムリであるにも関わらず、7-9月は景気の弱さがつづくと思えない、と根拠のない楽観を示す。日銀は何の手立ても打っていないのに、勝手に回復すると述べているのですから、楽観の日和見であって、言葉は悪いですがオメデタイ発想に過ぎません。
しかし日本経済研究センターが発表した5月世界景気インデックスは-4.7と、前月より0.7pt悪化しています。世界全体が悪化する中、日本は-7.7と0.3pt改善。しかし日本は「嵐」と表現されるほどの景気悪化の状況であり、傘も差せなかった状況から何とか外出できる程度になった、ぐらいの改善です。株価が正確に経済を映す鏡ではなくなりましたが、日本は景気後退寸前の状況で、何とか踏みとどまっているぐらいの状態でもあるのです。

政治にしろ、経済にしろ、一部の人間たちが狂わせてきた。それをメディアが指摘できない状況もつくり上げてきた。今回、如何に国民が声を上げないと、そうした人間たちに恣意的に日本が壊されていく、と気づかされたでしょう。国民が政治へと関心をむけるキッカケとなれば、次の選挙で流れは変わります。政治が変われば、違憲審査などの行方も変わる。そこまで国民が気づかないと、このまま日本は滅びの道へ向かうことになってしまうだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年07月14日

雑感。イラン協議の合意と日本

自民が安保法案で、強行採決することで腹をくくったようです。頼みの維新も党内が割れており、対案を提出して1週間での採決に応じれば分裂しかねません。「議論は尽くした」という言葉も聞かれますが、議論をすればするほど、国民の反対が多くなっていく現状では、いくら議論しても国民理解がすすまないのですから「万策尽きた」が正解でしょう。安倍氏が出演した自民ネット番組も、意味不明なたとえ話や、話がつまらない、という安倍首相の特質もあって、右肩下がりで視聴人数が下がるなど、八方塞になってきたことが自明となっています。

ギリシャがサムライ債を償還しています。公的機関なら合意がなくても延滞、で済みますが、民間では即デフォルト認定されるため、優先して償還したものでしょう。ただ15日にギリシャが仮に法案を通せても、そこから法的整備が必要な欧州各国が、ギリシャ支援に関する法律を議会にはかります。下手をすれば、そこで反対ともなりかねず、まだまだ予断を許さないのでしょう。
一方で、イラン核協議が合意にいたっています。ISILの封じ込めにイランの存在感が高まっており、シーア派イランが、スンニ派ISILと戦ってくれることを欧米が期待し、徐々に経済制裁を解除します。一方でイランは核開発を大幅に抑制、IAEAの厳しい査察も受け入れます。

しかし北朝鮮と同じ轍は踏まない、中東の核開発ドミノは絶対阻止、という命題からはややずれたように感じます。それがISIL対策なら、イランはより武装化がすすみ、兵も精鋭と化していくでしょう。一時の核武装の遅延だけで、イラン軍が強固になることを放置しているなら、それは将来に禍根を残すことになります。今やソ連崩壊で流出した核技術者や、北朝鮮経由で技術はいくらでも買えます。下手をすれば濃縮ウランも買えます。自国開発にさえ拘らなければ、いつでも核武装が可能な世界になってしまっているのです。精鋭の部隊、数発の核ミサイル、経済制裁で苦境だったイランが、ふたたび中東の主役に踊りでるキッカケにすらなりかねません。
しかしこの協議に、日本が参加できていない点は重要です。イランとの良好な関係もあって、日本こそ橋渡し役になるべきでした。それは手放した油田の権益もそうですし、莫大な原油、天然ガスを埋蔵するイランとの関係改善に、真っ先に手をつける権利を得られたからです。軍事ではなく、話し合い、調整で解決できる国、としての存在感すら見せることなく、改めて軍事で世界に打ってでようとしている、それが安倍政権です。千載一遇の外交チャンスを、みすみす逃し続けている。安保常任理事国と、どうして独国だけが参加できたのかは、よく考える必要があります。

ギリシャの支援でさえ、会議は踊っても国際合意を得る方向性をずっと模索してきた欧州には、知恵があります。向こうは外交巧者で日本はそうでない、と言って尻ごみしていては、何も変わりません。「日本をとりもどす」がスローガンの安倍政権は、戦争をできる国にはもどしても、欧米列強と肩を並べて外交する、という明治の頃の先達が行ってきた外交態度は、とり戻す気すらないようです。コメント欄には記載しましたが、祖父の岸元首相は「妖怪」と呼ばれましたが、安倍氏は「幼怪」。妖しくて怪しい、なら畏怖も与えますが、幼くて怪しい、では単に危ない子供です。世界に関与することもできず、国内でさえまとめ切れない首相が、明日の安保法制を強行採決する。欧州の会議は踊りますが、日本では首相が独り相撲をとっている。滑稽な対比でしかないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | 政治

2015年07月13日

雑感。15日に何かあるか…

NHKの世論調査で、安倍政権への不支持が支持を上回ってきました。安保法制への説明不足に加え、安倍ノミクスの評価も大きく悪化しており、20000円を切った株価も影響したのでしょう。今日は2万円台を回復しましたが、そのキッカケはギリシャの支援合意です。最近、EU首脳会合は互いの頭が冴えているうちは合意できず、深夜でナチュラルハイになって、やっと合意する、と陰口を叩かれてきましたが、今回は朝までかかりました。しかも徹夜明けの朦朧とした意識の中で、正常な判断が働いていたのか? というとやや疑問が残る内容です。
今回はあくまで支援条件の合意であり、ギリシャが15日までに法案整備できなければ、元の木阿弥です。ギリシャでは緊縮策受け入れで議会の合意を得たときでさえ、与党から造反がでました。今回は更なる緊縮策であり、一つ一つ法案整備をしていたら間に合わない。そればかりか、世論は国民投票をした結果が反映されていない、としてチプラス政権に厳しい目を向け始めました。支持率の高さ、世論の声を追い風としてEUと対峙してきたチプラス首相が、世論の逆風にさらされてはじめて議会運営をする、という形になります。今週、世論の動向とともに、ギリシャ議会が台風の目になるのか、再び返ったボールを打ち返せるのか、要注目です。

日本株がギリシャ問題の前進を好感して夜間で上昇していますが、ギリシャ問題で下げた訳ではなく、特に米株市場などはすでに織りこみ済みの内容であって、決して上げるような材料ではありません。問題は、今週の政局です。15日にも委員会で採決、と噂されており、且つそこで衆院議長による補充審議で、維新を懐柔、24日に本会議採決、などともされています。
しかしその15日、日銀の金融政策決定会合が行われていて、ちょっとした噂ですが、ここで追加緩和があるのでは? とされています。注目されていない分、サプライズ効果が出せますし、不足しつつあるETF、REITの購入資金を充足させ、市場に安心感を与える意味でも、実はこのタイミングが都合よいのではないか? 米国が利上げした後で日銀が緩和すると、円安誘導との批判を招きかねませんし、それこそ政局が混迷してくると、政権への援護射撃か? と日銀への攻撃が強まる恐れもある。ここならその心配がない一方、最大の効果としては『自民、強行採決』の記事のインパクトを薄め、新聞の一面を『日銀、追加緩和』で埋めることができるのです。

経済指標をみても、消費者物価は0近傍へと接近、企業物価はマイナスです。つまりデフレ脱却がターゲットなら、ここで追加緩和しても差し支えない内容が並ぶのです。ただし、仮に追加緩和をしても、これまで誇ったような規模の追求はできません。債券市場への資金投入は、すでに限界を超えており、ETFやREITなどの買入れ枠増額しか提示できない、とみられるためです。
その布石なのか、日銀が今年の成長率見通しを、中国の景気減速を理由として下方修正する見通しです。つまり中国株の乱高下で、相場の混乱を下支えする、という理由としても追加緩和をし易いのが今回なのです。ただ、懸念はすでに支持率が低下した安倍政権の援護射撃では? という議論は今回ですら起きるでしょう。それは日銀の黒歴史として記録されることにもなります。また規模でサプライズ効果を出せなくなると、日銀限界説にも結びつき易い。かといってETF、REITに大量に資金投入すれば、最早市場に資金を流すことでインフレにする、という説明が通用しなくなってしまうのです。

あくまで噂段階の話であり、何を仕掛けてくるかは分かりませんが、意外なほど市場関係者から語られていないものの、かなり条件としては整ってきた15日の追加緩和。安倍ノタメノNHKを標榜する某国営放送とともに、安倍ノタメノ日銀が、ふたたび市場介入姿勢を強め、官製相場をさらに加速させるのか? 15日は7月の中日という以上に、日本の分岐点ともなりうる材料が色々と出てきそう、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:32|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2015年07月12日

雑感。安倍ノミクスの痛み

NHKスペシャルで、腰痛の改善について特集していました。慢性腰痛の多くが、脳の誤解から生じるものだということです。個人的に賛同できるのは、個人的な話になりますが、幼少期から十代ぐらいまで、大抵はどこかに痛みを抱えて生活していました。スポーツをしていたせいもありますが、その頃にふと痛みはコントロールできる、と気づきました。痛くなりそう…と意識すると、そこばかりに意識が集中してしまい、過敏になる。痛くなりそう、痛くなりそう、が本当に痛みとなって襲い、日常生活すらままならなくなります。しかし痛くなりそう、の段階でコントロールすると、痛みにまで発展することなく済みます。お陰で私は歯痛までコントロールしてしまうため、虫歯も気づき難くなっていますし、ここ20年は医者に通ったこともありません。
ただ、これを人に説明してもできるはずがない、と云われます。しかし脳でコントロールすることで健康な生活をとりもどし、医療費を節減できるなら、国は積極的にこの方式を学び、国民向けに喧伝することも必要なのでしょう。社会保障費が増える、とばかり喧伝され、その対策にジェネリック薬の活用としか記載しない厚労省は、ぜひ導入を検討すべきなのでしょうね。

EU財務相会合が中断された、と伝わります。ネックは債務減免なのでしょうが、増税による景気悪化も、再建計画にはマイナスです。そんな日本では、相変わらず安倍ノミクスが頓挫したのは、消費税増税を理由とするものが目立ちます。一般紙は財務省に気をつかって報じませんが、昨年度のマイナス成長も増税のせい、という論調が週刊誌などでも目立つようになりました。
しかし実質賃金は20ヶ月以上マイナスをつづけ、増税後は2%を優に越えていた。安倍政権発足後から、ずっと賃金は下がってきているので、増税の影響がなかったとしても消費不況はおきています。さらに昨年10月の黒田バズーカ第二弾以後、企業物価はマイナスを示しており、金融政策でインフレに向かう当初計画とは大きく乖離する状況です。一言でいうなら「金回りが悪い」。円安の効果で物価高になっていなければ、外形的にはデフレといっても差し支えないような状況です。これで安倍ノミクスが成功、というなら、その人は経済の専門家ではありません。

円安でも輸入増にならない原因は、日米欧が緩和したにも関わらず、バブルが局所的に一部の市場しか押し上げていないこと。しかもその効果が波及していません。恐らく、リーマンショック前までなら、不動産、株式を所有する個人が資産効果もあって、消費を押し上げたのでしょう。しかし一時の混乱から、不動産など多くは企業や投資ファンドが保有するようになり、資産効果が得られにくくなった。一部はREITなどを通じ、個人にも行き渡りますが、効果は限定的です。
さらに不動産などを押し上げているのが、中国富裕層の爆買いなのですから、国内に波及しないのも当然です。その結果、日本の輸出も伸びない。円安が、単に海外の資産や売上げを押し上げるだけの効果にとどまってしまったのです。その結果、安倍ノミクスが当初想定していた効果は、ほとんどなくなってしまいました。国内にも波及しませんし、政府の要請で年度の前半に集中する設備投資計画も、この内外の情勢では一過性でとどまってしまうのでしょう。

肉体的な苦痛は脳でコントロールできても、経済的な苦痛はやりくりするしかありません。しかし17年4月には再増税が待ち構えており、景気はますます失速していくことにもなるのでしょう。ギリシャをみて、明日は我が身、という記事も増えてきましたが、そのときに言葉だけの経済成長や、増税に頼るといった、現在の安倍ノミクスのような対策しか出ないのであれば、古代ギリシャの哲学者タレースの言葉を重ねることになります。世の中で一番難しいこと→自分自身を知る。世の中で一番易しいこと→他人に忠告すること。一番楽しいこと→目的を達すること。我が身も知らず、ギリシャの心配ばかりして、自分のやりたいことだけをやっているような政治では、日本の明日は日も昇らなくなってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2015年07月11日

GPIFの昨年度末の運用比率

ギリシャが再建策を提出し、EU側も肯定的に評価している、とされます。ギリシャ議会も承認しており、後はEUの承認待ちですが、問題は支援したからといって再建できるかどうか分からない点です。これでギリシャから多くの国民が脱出し、経済規模が縮んでしまえば例えプライマリーバランスが改善しても、返済計画が滞ることになります。債権カットをどの程度EU側が認めるのか? ただでなくともこれまでの緊縮策で、規模が小さくなった経済で、今の借金を返すことはほとんど不可能でしょう。債権カットの問題となったとき、EU側も政治的な決断を必要とすることになります。明日にそれが決断できるか、その辺りがカギとなってくるのでしょう。

中国株も落ち着きをとりもどしたかに見えますが、今回は一旦の小康であって、問題は何も解決されずに先送りされただけ。シカゴ日経平均は2万円台を回復していますが、日本はギリシャ不安で株価が下げたわけではないので、週明けも中国株の動向に注視する展開がつづくでしょう。
そんな官製相場の日本市場で存在感を増す年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が、3月末時点の運用比率を発表しました。14年度末の国内債券39.4%(53.4%)、国内株券22.0%(15.9%)、外国債券12.6%(10.7%)、外国株券20.9%(15.0%)。カッコ内は13年度末の数字なので、国内債券を大きく減らす一方で、国内、海外の株を大きく買ったことがうかがます。運用益は15.3兆円規模にふくらみ、これを成果と捉える向きもありますが、見方を変えるととても危険です。

外国株を大きく増やす一方、外国債券は微増の域です。これは外国債券を買うと、金利差が縮まって円安に誘導できない。またこれだけ外国に資金を移しているのですから、GPIFだけで円売り需要がかなりあった、ということになります。つまりGPIFは外国債券を買えず、外国株だけを買う、という構図には強烈な円安誘導をはかっていた、という疑いすら生じてしまいます。
甘利経再担当相などは「意図的に円安に誘導したことはない」と述べますが、GPIFの運用だけみても円安に誘導していたことは明らかです。安倍政権で運用比率を35%、25%、15%、25%に変える、と決めたのですから、まさに円安誘導をはかったのです。そして恐らくこの水準はさらに目標に近づいていて、夏場以後のGPIFは逆張り運用しかできなくなった、ということもわかります。

そしてこれは円安要因が一つ消えた、という為替市場の動きも読みとれるのです。目標まで残りの運用比率で考えると、外国債券は2.4%、外国株券は4.1%、つまりこれだけをみても、今までと同じ円安要因が生じ難い、ということもうかがえる。米利上げなども想定されますが、需給要因の一つが剥落した、という事実が円の下値を抑える要因ともなってくるのでしょう。
リーマンショックと同じ規模の株価の調整がおきると、GPIFだけで30兆円の損をだすといった試算もありますが、中国で400兆円が吹き飛んだ、という報道も対岸の火事ではありません。個人の損なら自己責任で済みますが、年金の損はさらに税金投入を促そうとする政治的圧力にもつながりかねません。2万円割れとなった日経平均、これが今以上の円安が見込めなくなり、業績の重しともなってくれば、さらに調整してもおかしくない。まさに悪循環に陥る懸念すら出てくるのです。GPIFがクジラから撤退した、この事実を短期で運用している主体がどう捉えるか? 木曜日には1日で700円以上の急変動をおこしましたが、下支え要因が消えつつある日本、ギリシャの年金カットも、明日は我が身と思っておいた方がよいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2015年07月10日

安倍政権の支持率下落

安倍政権の支持率が、一部調査では不支持が支持を上回ってきました。安保法制に関する国民理解がすすまない、ということ以上に、結論を先にいえば『若者を不幸にする』政権という認識が広がりつつある点が大きい、と考えます。まず安保法制、自衛隊への入隊が減っている、という話があります。安保法制の改正で、業務における危険性、心的負担が増すにも関わらず待遇は変わらない。これは、これまでの自衛隊員と、将来の自衛隊委員では将来の自衛隊委員が損をしている、という形になります。待遇を変えれば解決しますが、安倍政権では防衛予算は増やさない、と明言しており、防衛装備負担が増える中、人件費増が見込めるはずもありません。

次に新国立競技場の問題。巨額の建設費には財政上の裏付けもなく、また昼間でもアーチにより、コートに日向と日陰の部分ができるため、それを避けるには屋根を閉めて照明を点灯しなければならない。そうなると使用料が高騰し、借りにくくなることが必定です。東京ドームの使用料もべら棒ですが、巨人戦というドル箱のコンテンツを抱えてさえそうなら、新国立競技場はもっと高くなるか、安くしてその分をどこかが負担しなければならない。維持費に税金、となることが必定であり、将来の世代に負担をつけ回す、従来のハコモノ行政にしか見えません。
安倍氏が新国立競技場について「今からコンペをして、19年のラグビーW杯に間に合わすのはムリ」と述べましたが、設計とは工期も鑑みて組み立てるものですから、ムリなことは一つもありません。間に合うような設計にするのですから。しかも施工業者に発注した後、下村文科相が文句をつけだしましたが、明らかに世論が批判的なのをうけて、政府も距離を開けた形です。しかし本来、いつでも政治力を発揮して口をだす機会はあったのであり、むしろハコモノ行政を認めたのは安倍政権です。官僚答弁をそのまま口にする時点で、将来の無責任さを露呈します。

中国の官製相場が話題ですが、日本の安倍ノミクスとて官製相場である点に違いありません。6月の消費者態度指数が出てきましたが、前月比では3ヶ月ぶりに改善も、増税で大きく落ち込んだ前年同月比でみると、4、5月よりも改善幅が縮小した。これは構成する各指数で同様の傾向であり、マイナス成長だった昨年並みにもどってきている。今でさえまったく成果が上がっていないばかりか、将来に負担をつけ回す経済政策であり、金融緩和終了後には激しい景気の落ちこみがあることを考えれば、決して若者にとってメリットのある政策ではないのです。
これはTPPも同様、大企業は海外展開をすすめており、同一制度であることにはメリットもありますが、国内産業には痛手しかない。貿易の推移をみても、FTAやEPAを結んで貿易量が拡大するのは経済規模の小さい国が多い。二国間ではなく、多国間となるTPPはもっとそうした傾向を強めるでしょう。米国ではTPPで労働者が不利益を得た場合、補償する制度を創設しますが、日本ではそうした制度すら検討されていません。これも将来の労働者である若者を蔑ろにしています。

安倍自民は、古い自民の体質を改善するのではなく、改悪した上に、さらに規模を拡大して将来につけ回す施策が多いのです。ハコモノ行政、成長戦略なき経済運営、そして国際的なリスクの増大。将来に負担と、リスクとを大きく負わす、こうした点をみて、若者が安倍政権を支持することに違和感を生ずる人が増えてきたのでしょう。「今からコンペをしても、19年までに日本の凋落を防ぐことはムリ」なんてことはありません。すべては想像力と、やる気次第です。その想像力を失っている安倍政権に任せていたら、将来は安倍ノmiseryになる、そんな不安の方が上回りつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月09日

中国株と日本株のPKO

日経平均が大荒れです。朝方600円安となったものの、上海市場が開いた10時半すぎから一気に切り返し、後場も中国株をにらみつつ、引け間際にはプラス転換しました。しかし日系の2社が先物の買い方上位2社に並んだ日経平均のみプラスで、TOPIXはマイナスで終えていますし、市場の3分の2は下落するなど、全体としてはかなり弱い印象です。連日の日銀によるETF買いが入っていますが、気になるのはこれまで1日に370億円入っていた規模が、7月に入ってから324億円に縮小している点です。この変動期、上場投資信託の資金が枯渇する懸念が生じており、規模を縮小せざるを得なくなった。日銀の見通しの悪さが、ここに来て下支え要因としての力不足感を生じさせそうです。

そんな乱高下の発端、中国では共産党の中央宣伝部が、メディア向けに緊急通達をだしています。1.株価の変動を冷静、客観的に報じる、2.理性的に予想できるよう世論を誘導、3.権威ある部門の専門家のコメントを掲載、4.株式の動向を政治と関連づけない。1.は当たり前ですし、通達がなくても本来はメディアが努めなければいけない義務ですが、2.以降は中国共産党が何を恐れているか、よく分かるものです。上昇も下落も、当局の責任ではない。一方で下落に歯止めをかけるような報道をしろ、という何とも都合いいことを要求していることになります。
今日の上海市場は5%以上上昇しましたが、売買停止銘柄が多く、流動性の規模が一時的に小さくなっているため、変動幅がさらに大きくなっています。さらに中国の乱高下をみて、資源価格が急落していますが、これも中国には痛い。国策で資源確保してきた面があり、かつ地方政府は製鉄所などを3セクのような形で建設。資源価格の急落は、それら企業を直撃します。悪い循環に入っているものを、改めて好循環へと導く難しさは、バブル崩壊への対策に失敗してきた、世界の歴史が証明しています。今は株価に注目が集まりますが、これが中国企業の信用問題、さらに金融不安へと直結してくると、問題が一層膨らむことにもなるので注意も必要です。

今回の中国株暴落は、一旦は収まるかもしれません。しかし次の危機を今回、準備してしまったと言えます。つまりいくら政府が下支えしようと、実態の伴わない価格は、いずれ調整する可能性がある、と国民に広く周知されてしまった点です。また政府がこれだけ株価維持(PKO)に執着するのは、それだけ弱点にもなり得るということ。そしてこの急落で様々な対策を施した後、再び急落の局面が訪れると、今回以上の株価対策を必要とすること。そのとき、完璧に投資家から見限られることにもなり、暴落に歯止めがかからなくなることが、想定されるのです。
今後起こりうる危機、それに今から日本も対処する必要もあるのでしょう。しかし一方で、日銀がそうであるようにGPIF、郵貯、かんぽなどのリバランス、債券売り、株買いにも一巡感が出ており、株価対策としての買い余力が、ここにきて著しく低くなってきています。日本のPKOが力を失いつつあるタイミングでおきたギリシャ問題、中国問題。日中ともに外部要因にすり替えつつ、国内向けにはPolitics Keeping Operationになりつつある点が、次の危機といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年07月08日

6月景気ウォッチャー調査と中国

日本株が今年一番の下げを記録しました。いつも大きく下げるときは、日系の大手証券の日経225先物買いが入っていたものの、今日はなかった。下支え要因が剥落し、脆さを露呈した形です。すでに商品市場にはリスク回避の売りが入っており、日本だけ強いといった異常事態だったのであり、中国株の軟化をみて商品市場がさらに悪化、日本株も遅ればせながらやっと織りこみにいく形です。ギリシャ問題、中国問題が落ち着かないうちに下値目途はつけられませんが、今年すでに10%程度の増益予想を市場は織りこんでおり、それが剥落するだけで18000円台に落ちこむでしょう。企業は年後半に収益拡大、と見込んでいたもののこの混乱でどうなるか? 市場全体が読みにくさの中で、右往左往する展開がしばらく続いてしまうのかもしれません。

内閣府が6月景気ウォッチャー調査を発表しました。現状判断DIが51.0で2.3pt悪化。今年度上期に集中する設備投資で、製造業だけが好調ですが、家計動向関連は全滅。インバウンド消費は早くも失速です。先行き判断DIが53.5で1.0pt悪化。家計動向関連は飲食関連が辛うじて0.0であるものの全滅。製造業も伸びシロは弱く、現状、先行きともに総じて悪い数字が並びます。
一部でプレミアム商品券に期待する意見もありますが、バラマキの一過性であり、メディアの関心も薄れてしまった。それ以上に問題なのは、7月に入って全国的に天候不順がつづいており、さらに景気が悪化する懸念を強めていること。また中小企業は原材料の上昇を価格に転嫁できていないこと。雇用のミスマッチを訴える声があっても、失業率や有効求人倍率の改善に浮かれる政府からは対策らしきものがなく、雇用関連が急落していること。など様々な問題を内包しており、数字以上に6月の調査は将来の日本に不安を投げかけるものとなっています。

一昨日発表された景気動向調査でも、一致指数が109.2と1.8pt悪化、先行指数が106.2と0.2pt悪化。4月の年度切替えに伴う期待の高まりが、早くも剥落してしまいました。マインドは悪化、さらにこれらの統計がとられた後、発生したギリシャ問題、中国問題がさらにマインド低下を招く恐れが強く、7月以降の景気見通しをさらに一層、悪化させる要因となり始めています。
景気動向調査の先行指数では、2月以降ずっと株価がプラス寄与してきました。しかし株価の下落は、日本の景気全体をも悪い循環に陥らせます。中国では400兆円が吹き飛んだことが話題ですが、日本とてそれは同じです。まだ3%、十数兆円程度が吹きとんだだけですが、株価により見かけの経済規模が膨らみ、それを基にした経済が崩れることは想像以上に問題を膨らませます。

中国の個人、企業の投資傾向は、イナゴに喩えられます。金余りで不動産に流れていた資金が、規制がかかると株式へ流れた。信用を膨らませることで株価が急騰し、規制に転じると資金を引き上げてしまう。みなが同じ傾向で、その場にあるものを食い尽くして去っていく。そんな傾向が攻撃性を増したイナゴに似ている、というのです。イナゴは密集し始めると、少しでも自らが生き残るため、食欲と攻撃性を増して生き残る、とされます。中国で用いられる「天道是か非か」という言葉は、歴史書を記した司馬遷の言葉です。天道是か非か、その不満が、攻撃性を増した中国国民の行動につながるとき、中国内に激震が走ることにもなり、経済面だけでなく大きな変動の波が襲う。そんな不安すら想起させる事態に陥りつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年07月07日

雑感。ちょうへいとちょうよう

民主党のパンフレット『いつかは徴兵制 募る不安』が、回収騒動になっています。党内調整がつかないまま、支部に発送してしまったとされますが、印刷前に推敲を重ねているはずで、その説明には疑問符がつきます。保守系メディアは情緒的で、扇情的としますが、中身はよく分からないので評価しようがないものの、手続き上は極めて不手際があったということです。
しかし自民にも『いつかは徴用工』の問題がおきました。文化遺産の登録をめぐり、『forced to work』の文言が入ったことで、これが強制労働をさすのではないか? と国内から激しい抗議がおき、自民党は外務省をよびだす構えです。しかしこれは外務省の問題ではなく、安倍政権の問題であって、岸田外相が『forced to work』で認めています。いくら「強制労働ではない」と、岸田氏が述べようと、英訳するときは『強制労働』になることが通常であり、『forced to work』がいつかは『徴用工』と訳されるようになるかは、まったく未定の状況です。

保守系メディアなどは『自民が反撃』として、これから国際社会で『徴用工』であることを発信して行く、としますが、攻撃されて敗北したから反撃するのであって、最初から『drafted worker』で押し切っておけば、何ら問題なかったはずです。それが世界遺産登録という実を焦り、『forced to work』で妥協したからこそ、後に膨大な問題を抱えることになった。まさに安倍外交の敗北、これまでと同様、見かけの成果にこだわった結果とも言える惨憺たる状況です。
「慰安婦問題と同じ」との指摘も、まさにその通りでしょう。韓国内の裁判どころか、今後は強制労働の碑、なる石像をかの国は世界各地で建てようとするかもしれません。菅官房長官は「ハイレベルで合意している」ので、問題ないとの認識を示しますが、外相会談の内容など公にできるはずもなく、また外相が代われば知らぬ存ぜぬ、で通せます。世界遺産の声明に残った『forced to work』がほとんどすべてであり、韓国はこれを盾に様々な嫌がらせも可能です。

安倍首相が自民党のネット番組にでて「テレビに出たいが、呼んでくれない」とボヤいていました。しかし何度も、くり返し同じ説明しかしないので、話がつまらない。下手に鋭いツッコミでもすれば、それこそ自民党から抗議をうける。ツッコミを入れなければ、視聴者も見てくれない。いずれにしろリスクが高くて、さらに秒単位で視聴率が下がると評判の首相をよべば、それこそ広告がつかなくなる恐れが高い。民放ではまず呼ばれないでしょう。
最近、安倍ノタメノNHKを自認する某国営放送なら、出演できるかもしれませんが、それこそ以前の自民党の抗議、「与野党を公平に扱え」に従えば、与野党各党首を呼ばざるを得なくなる。安倍氏が単独で出演し、説明することも安倍政権がこれまでメディア操作に用いてきた文言で、抑制されてしまったのです。若手芸人や地下アイドルだって「テレビに出たいが、呼んでくれない」のであって、自分の都合で今は出ます、出たくありません、を差配しようとしてもムリ、それが喩え日本の最高権力者であっても、ということでもあるのです。

韓国に強い態度をとっていたものの、能力不足なのか、しっかりとしたチェックを怠って『forced to work』を盛り込んでしまった愚により、結局は腰砕けになってしまった。これまでメディアを規制しようとしたことで、国民に理解の広まらない安保法制の説明をしようにも、自主規制がかかってしまった。まさに今、自業自得で安倍政権は追い込まれつつあるのです。徴用にはもう一つ、commandeerという単語もあります。今はcommandant(指揮官)の指導力不足が顕著となってきて、いつかみた凋落の道を、ふたたび辿り始めた、といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(14)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月06日

ギリシャ国民投票はNO

今日は安倍政権が期待していた、2つの出来事が裏切られた日です。まずなでしこJAPANの敗退。安保法制を覆い隠すため、また国内のムードをよくするため、優勝を期待していたとするもの。そしてギリシャの国民投票です。即日開票され、緊縮財政に反対61%、賛成38%となり、チプラス政権は勝利宣言、財務相を交代して新たにEU側との交渉に挑むことになりました。麻生財務相や黒田日銀総裁は「直接的な影響はない」と火消しに躍起ですが、間接的にはいくつも影響があります。安倍政権はどうせ賛成が勝つ、として政権よりのメディアも「賛成が広がる」といった書き方で楽観を煽ってきましたが、まさに梯子を外された株式市場は急落しています。

チプラス政権は資本規制で賛成に傾く国民を引き止めるため、国民投票明けには資本規制を解除、公共交通機関は乗り放題、といった発言で国民を安心させ、尚且つこれはユーロ圏離脱を決めるものではない、と争点を国内問題にすり替えた。反対に投じれば強い力となり、EUとの交渉が上手くいく、とも述べて反対すれば明るい未来、とのすりこみに奏効しました。国内問題であれば、失業率の高さと年金カットへの不安が、老年層ばかりでなく親の年金に頼って生活している若者にまで、反対へ傾く動機となった。予想外、意外という声も多いですが、むしろ当たり前の帰結として反対が優勢となり、今回の結果を導いたともいえるのです。
次の山場は7日のEU財務相会合や、20日のECBへの返済期限、ともされますが、いつのまにかIMFへの返済期限は先送りされたかのようです。当然、見守るという選択肢しかないようですが、それではギリシャ破綻を指をくわえてみていなければならない、日米などIMFへ多額の出資している国は面白くありません。次の危機は、IMFが融資基準を厳格化し、かつてのアジア通貨危機のように、厳しい財政運営を課すよう転じることです。すると、EUでも苦境にある国はIMFではなく、ユーロ内での安全網に頼らざるを得ず、見せ掛けに積み上げた資金が枯渇する恐れすら出てきます。
解決策は、ギリシャをデフォルトさせ、債務を減免した上で経済を再生させるしかありませんが、それではEU各国が合意できない。この問題は政治マターと、経済マターの判断が複雑に入り混じる点で、解決を遠くしています。楽観論の人は、ほとんどどちらかしか見ていない、とも言えます。チプラス政権はこれまでも、国民ウケのいい政策をとってきて支持率も高い。そんな政権だからこそ、世論誘導も極めて効果的に利く。そんな政治的考察と、経済的な合意を得るにはこれしかない、という道が必ずしも整合しないのですから、答えなき道をすすむようなものです。

またギリシャと同時に、中国株が朝高後、すぐに弱含んだことも懸念を高めました。ありとあらゆる株価対策をしても、ギリシャ不安が襲った面はあるとしても、3割も下落した先週までの流れを食い止められなかった。日本に対する間接的な影響は、中国経由がもっとも深刻なのかもしれません。中国が崩れれば、内需も外需も総崩れ、それが今の日本の実態です。
さらに先週末、日銀の買いがない中で株式市場が切り返した主因、とされる大量の先物、オプション買いを入れた某日系の証券会社が、今朝にシステム障害をおこし、売りをださせないようにするためか? ちょっとした話題になりました。楽観にかけた買いが、一転して売りに回ると大きな下落になる。中国の下落もそうですし、日本の下落もそうです。中国を対岸の火事と笑えないのは、日本の官製下支え相場が機能しなくなったとき、中国以上の下落がおきる可能性を捨てきれない点です。安倍政権の支持率がますます落ち、世論誘導も利きにくくなってきた日本。それは未来の楽観をふりまいても、誰も信じないということでもあります。政治マターと経済マター、遠いようで実は密接であるこの二つが波乱要因になりつつあるのは、世界共通なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年07月05日

雑感。フジテレビと日韓関係

日本年金機構が、パスワード設定をすべて「完了」と報告していたことが発覚しています。機構側は「虚偽報告か、確認不足か分からない」としますが、すべての部署が総じて行っていたことから、組織的犯行とみて間違いないでしょう。洩れた年金情報の問題から1ヶ月、この程度のことがこの段階で出てくる、という点には組織的な問題しか感じませんが、未だに処分者がでていない、ということも追及の甘さを感じさせます。五月雨的にしかこうした負の情報がでてこないのは、まさに官僚的対応と言えるのでしょう。しかもこのパスワード未設定の問題が、土曜日に出てきたことが、ダメージコントロールを最優先する官僚的なやり方です。不誠実な対応がつづくこの問題が、改めて政治問題化していくことになるのでしょう。

日本の明治産業革命遺産が、登録の見通しとなりました。外相会談で合意後も、韓国のロビイ活動が収まることはありませんでしたが、合意に至ったとされます。ただ文言がどうなるか、細かいところで合意に至った経緯が分からないと、評価しようもありません。そもそも今回の産業革命遺産、地域が分散されすぎていて、観光としてどこまで利用できるか、不明なこともあります。素直に喜べるかどうかは、詳細を待ってから判断するしかないのでしょう。
フジテレビが日韓関係について池上氏の番組で、捏造報道をしたことが話題です。インタビュー映像につけた訳と、語っていた内容が異なっていた件で、フジ側は「実際にはインタビューで語っているが、違う部分の映像をつかってしまった」とします。しかしその実際に語っていた部分の映像、が出てきた話はありませんし、仮に映像がなかったとしてもインタビューした相手を探しだし、本当にこの内容を語っていたか、その検証をしたという話も聞きません。あくまでフジ側が「あった」と主張しているだけで、実際にどうだったかはよく分からないままです。

韓国では未だにMERSの問題が燻り、今年の経済成長予測も3%半ばから2%台ではないか、2%でさえ到達が難しい、と引き下げも相次ぎますが、韓国株価は年初から7%の上昇、マンション価格も2%以上上昇、と実体経済とは乖離した動きをつづけています。それでもプラス成長では? とも言えますが、家計債務は悪化の一途であり、経済成長を達成できなければ、すぐにでも負債でつぶれるほど脆弱で、成長で目隠しするか、家計債務を圧縮するしか破綻を回避する手立てがありません。デフレにでもなれば、それこそ見かけの債務が増え、潰れてしまいます。
池上氏が、番組内で韓国は米国の事情で「タナボタ的にできた」と述べていますが、タナボタだったのは当時の韓国政府の要職についた人間たちです。北朝鮮に対抗する政府の存在を必要とした米国の都合により、タナボタ的にその政権の中枢の座を得られたのですから。朝鮮では、貧乏や乞食に関することわざが、世界各国どこよりも異例なほど多い。タナボタを期待してしまうのも、家計債務が増えてしまうのも、国が貧しかった頃の事情、そんな歴史もあるのかもしれません。また朝鮮半島では両班や下人など、役人に関することわざも多い。フジ側が「あった」と主張するインタビューと、韓国が世界遺産で主張する「強制労働があった」という主張、微妙にシンクロしますし、二つの組織に奇妙な相似性もうかがえますが、どちらも経営的には苦境、権力に近づいて利を得ようとする点なども、似る部分なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | アジア

2015年07月04日

中国市場の暴落

政府が会社法の新指針として、役員が業務上賠償責任を負う際に、訴訟費用や賠償金を企業が負担できるよう、見直す方針です。しかし企業に損失、損害を与えた、として株主代表訴訟を起こされているのに、それを企業側が負担する、という奇妙な事態にもなりかねません。また同族経営である場合、バカな息子ほどかわいい、として企業に損失を与えても守り続ける、といった意識にもつながり易い。百害あって一利なし、こんな制度を導入する必要がありません。
しかし安倍政権では、トヨタもそうだったように外国人役員の導入を促したい事情もあります。そしてその障害になることはとり除きたい。気持ちよく日本企業の役員になってもらい、本国に帰って欲しい。これも『おもてなし』だと考えているフシがあります。但しくり返しになりますが、企業に損失を与えて損害賠償を起こされ、それを企業が負担するとなれば、二重、三重に企業は負担が増すのであって、百害あって一利なし。仮に経団連からの要請があったとしても、企業私物化の一環に他ならず、政府が指針としてお墨付きを与えるような話でもありません。

中国の上海株式市場が急落をつづけています。先週末、追加利下げを発表しても下げ止まらず、30日には公的年金基金による株式投資が解禁され、2兆円近くが流入すると報じられても反応せず、昨日には保険会社によるインフラ投資で、6兆円の基金創設も発表されました。今日になって大手証券21社による2.4兆円の資金投入も発表されています。とにかく矢継ぎ早に、資金投下を当局が発表しても、来週以降の市場の動きはまだまったく読みきれない状況です。
その原因として考えられるのが、信用取引により押し上げられた株価、その巻き戻しです。ある試算では40兆円ともされる信用取引の規模は、日本の10倍以上、市場規模が小さいのに信用取引だけが桁違いに大きい、という異常さです。一度下がりだすと、信用取引の損失は追証を迫られますし、追証がないと強制的に手仕舞いになります。ほとんど投売り状態となっているのも、この追証、手仕舞いという連鎖がおきていることが主因、とも語られています。

相場操縦の調査を始める、とも発表されましたが、主因が信用取引である以上は効果もなさそうです。ただし、中国では犯人をみつけた、としてスケープゴートが立てられる可能性もあります。つまりもう市場は急落しない、との印象操作により相場を下支えすることも考えられるのです。中国証券金融(CSF)の資本を240億元から1000億元へ、適格外国機関投資家の運用枠を800億$から1500億$へ、それぞれ引き上げるなど発表されていますが、見せ金の積み上げが、信用で肥大化しただけの市場で、どこまで縮めば効果がでるかは予断を許さないところです。
日本では、今年前半は外国人投資家につづいて、日銀が買い手の2番目になっています。ETFの買いだけで、1.7兆円まで膨らませたのは、買うだけで売らないためであり、介入する日は1日370億円程度の買いをつづけ、年金よりも買っている計算になってしまった。これは非常に危惧されるものです。信用取引で、上昇がつづくうちは堅調だった中国が、崩れだすと一気に暴落したように、日銀のように買うだけの投資家の存在が大きくなってしまった今の日本市場は、明らかに歪んでしまっており、危険性が増しているのです。こうした日銀の存在は、百害あって、一利あるとすれば今だけ株価が高い、ということぐらいでしょう。ギリシャ問題でも、中国問題でも崩れない日本市場、鈍感さはいつのまにか、致命傷をうけていることすら気づかないまま、突然死する可能性すら秘める問題となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年07月03日

雑感。なんか自民、感じ悪いよね。

安倍首相が自民党若手の勉強会で、報道への圧力発言があったことを謝罪しました。しかし当初から、安倍氏は当該議員の処分に否定的とされ、また未だに木原議員の役職停止1年は重すぎる、言論封殺だ、という声が党内で上がるなど、自民党が反省しているとは思えないフシもあります。国内外の批判が相当に高まってきたので、やっと渋々反省したというのが実態です。
安倍氏は「本当に萎縮しているなら報道機関にとって恥ずかしい」としますが、ならば全て恥ずかしい報道機関、となります。これまでも度々、報道機関への牽制を文章、口頭で行っていますが、それをまともに報じた機関は一つもありません。文章で局に抗議文が送られたなら、その検証を行うぐらいの態度が各局にあって然るべきですが、一社として実行してはいないのです。

「正式な記者会見から、どこかの社を排除したことはない」としますが、記者クラブに加盟している記者しか入れない会見なので、排除しっ放しが事実です。フリーの記者を入れろ、とは言いませんが、少なくとも海外メディアは数社入れないと、安倍政権では報道の自由の世界ランクが下がり続けることになります。さらにオフレコ懇などで、記者クラブ加盟の記者と夜な夜な食事会などを開き、おトモダチを増やしている。言葉を変えるなら「正式な記者会見には、初めからおトモダチしか参加できないようにしている」というのが正解なのです。
石破地方創生相が「なんか自民、感じ悪いよね」というとき、自民が危機になると述べていますが、権力にいる側はいつも「感じ悪い」のです。ただこれまでの自民は、保守が「感じ悪く」なると、革新が力をもち、革新が「感じ悪く」なると、保守が力をもつ、といったバランスをとることで長期政権与党を担ってきました。しかし安倍政権がになると革新の勉強会をつぶしたように、党の一体感を強調するあまり、非常にバランスが悪くなった。「なんか安倍政権、感じ悪いよね」といったら、自民党がすべて「感じ悪く」なるといった状況を生んでいるのです。

北朝鮮が拉致再調査を「しばらく時間かかる」として、期限を延長しました。もう北朝鮮は、安倍政権で拉致問題を解決する気はないのでしょう。北朝鮮の国内事情はあるとしても、米国依存の安倍政権では、日本単独で支援してくれる見こみも立たない。日本を介して米国との会談をセットすることもできない。直接、米国との交渉ルートをもつ方が重要と考えたはずです。
「なんか北朝鮮、感じ悪いよね」としても、安倍政権ではどうしようもありません。働きかけを強化、などとしますが、これは手詰まりのときに用いる言葉です。安倍政権は、外交力がこれまでの政権と比べても圧倒的に弱く、従米路線であるため日本が素通りされる状況となっているのです。外交問題に独自路線もとれず、米国に気兼ねして「本当に萎縮しているなら、一国の政府として恥ずかしい」。そんなことでは解決など永遠にムリだと断言できるのでしょう。

国民の高まる不満の声に、やっと謝罪した点も、感応度の悪さを指摘できます。「感じ悪い」は、主語がはっきししなくとも起きますが、国民の声を「感じ難い」では、主語がはっきりしてきます。安倍政権が国民の声と乖離すればするほど、支持率はその溝に落ち込むように、一気に下がることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年07月02日

ギリシャ問題と米雇用統計

自民党の大西議員が、記者の質問に応える形で会見を行っています。しかし政治による圧力では? との質問に「まったくそんな考えはない」としますが、自身がどう考えようと世間がどう受け取るか? それを斟酌して発言するのが、政治家です。説明をして納得を得られないなら、違ったルートから説得を試みる。いくら誤解、捏造といっても、それができない政治家は資質に欠けるのです。政治とは如何なる場面においても1対多を意識しておかなければならない。多数はうけとり方も様々であり、その内の一部だけを喜ばせても政治としては落第なのです。

ギリシャ問題が佳境をこえても、なぜか平穏に過ぎています。ギリシャが妥協案を提示したことを好感し、昨日辺りから株式市場は戻り歩調ですが、こうしたものはチプラス政権が一生懸命やっている、合意を阻んでいるのはEU側だ、というイイワケをするために為されたもので、国民投票が決まっている以上、何ら意味をもちません。むしろ、チプラス政権の目はEUとの合意より、国内の政局に向いてしまっており、解決に向けた努力を否定しているような状況です。
それを市場が好感し、上昇したこともギリシャにとって都合いい。市場を混乱させるのか、という圧力にもなるからです。一部世論調査では、緊縮策に反対、が過半数を超えてきた。聞き方の問題で、結果もころころ変わる状況であり、まったく予断を許しません。すでにギリシャ緊縮策受け入れ、で市場はまとまっていますが、その楽観論は極めて危険なのでしょう。何より、それこそギリシャが望む状況であり、ギリシャがカードを多く抱えた形でもあるのですから。

6月米雇用統計がでてきました。22.3万人増、しかし5月が28万人から22.1万人増に、4月が22.1万人から18.7万人増に、それぞれ下方修正されるなど、異常なほど強かった5月と比べると見劣りするどころか、やはり下方修正されました。時間当たり賃金も横ばいと、米経済は巡航速度ではあるものの、強さはまったく感じられません。さらに今回、労働人口が大きく減少に転じており、6月は年の切り替え時期ではあるものの、これが失業率を改善させる皮肉な結果となっています。
なぜか、米国ではプエルトリコ債のデフォルトに関して無視を決めこみますが、債券を束ねた証券化商品には高利回り債で安全、とされて多く組み込まれています。実際、危機を訴えただけでデフォルト認定はまだ、という事情があるにしろ、ギリシャ問題と同一視されることを危惧し、あえて報道を抑えている印象ももちます。しかし証券化商品の価値の毀損とともに、遅くとも7-9月期決算では影響が出てきます。また地方債発行にも影響してくるでしょう。決して無風で終わる話ではなく、時間経過とともにじわじわと影響が拡大する問題となってくるはずです。

米雇用統計も、5月の異様な強さを今回修正したように、世論を如何に抑えこむか、世界全体がそれに腐心している傾向もみてとれます。ギリシャ問題も、プエルトリコ問題も、すでにデフォルトであるものの、そうは言わない。数日の猶予、という何やら都合のいい言葉で誤魔化しているだけです。本来、市場関係者もこれらの問題に対し、複数の見方を提示しなければなりませんが、そうはしない。政治は1対多、ともしましたが、今はその1に報道、有識者なども加わって多数による世論操作で、国民という多数を導こうとする姿勢が世界のそこかしこでみられる点に、非常に危うさを感じるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2015年07月01日

6月日銀短観について

昨日発表の5月毎月勤労統計、現金給与総額は0.6%増、実質では0.1%減。しかしこの数字以上に気になるのは、所定外労働時間が1.7%減となっていることです。仕事が増えていて労働環境が逼迫しているなら、残業で対応しているはずですが、そうではない。これまでも指摘していますが、国内では仕事が減っているものの、労働人口の減少がそれを上回るペースでおきている。つまり安倍政権でなくとも、雇用環境の改善は必然的に起きていたのであって、むしろ景気対策が無策であるから、ほどよい改善に見えている、というのが実態だということになります。
賃金の伸びも、バブルが起きている金融・保険、建設業がそのほとんどを占め、雇用が伸びているはずの医療・福祉は前年比0.5%しか上昇していません。最近、政府は『ゆう活』なる目標を掲げ、CMも流しています。定時で仕事を終え、アフター5を充実させよう、という話ですが、これも今、必然的におきていることです。こんなものを掲げて、目標を達成した、などというまやかしに騙されてはいけません。国内の仕事が減る中で今、すでに起きていることなのですから。

6月日銀短観がでてきました。現状判断DIは大企業製造業が15、3pt改善。非製造業が23、4pt改善。中小企業製造業が0、1pt悪化。非製造業が4、1pt改善。素材関連が落ち込むものの、小売の改善が目立ちます。先行き判断DIは同じ並びで16、21、0、1となるので、ほぼ横ばいを示唆します。この数字以上に好感されたのは、設備投資計画が大企業製造業で、18.7%増の計画が示された点です。しかしこれまでの統計からもこの傾向は示されており、年度上期に設備投資が集中、逆に下期は設備投資計画も一巡し、中小企業では一気にマイナス幅が拡大する見込みです。
しかし他の部分は、これまでの統計と整合しません。例えば在庫は、GDPでは積み上がっていたはずが、横ばいを示唆します。販売価格判断など、むしろ下落が増えた。これは国内での製商品・サービス需給判断でも、供給超過となっているので、需要不足により価格下落を企業が予想していることになり、これはデフレ脱却を成果としてきたこれまでと、大きく異なるものです。

この短観が示すのは、今年上期がピークという不思議です。米利上げ局面でもあり、年度後半は慎重な見方を示しているだけ、ともいえますが、この短観の集計がとられた後、ギリシャ問題が再燃するなど、年度後半にむけたきな臭さは、無風だった4-6月期と比べても強まっている状況です。しかしこれは海外要因ばかりではありません。例えば売上高の計画をみても、輸出は前年度比2.8%増をみこみますが、内需関連は1%にも満たない増加幅をみこみます。経常利益は、素材関連が前年度比8.2%増をみこみますが、これは原油価格のもどりを見込んでいます。一方で加工関連はマイナスですし、中小企業は総じてマイナスをみこんでいる状況です。
円安以外で、日本を押し上げる要因は各種統計からみても、ほとんどないというのが現状です。雇用環境の改善が、人口減社会の中の必然としておこっているなら、円安も国内経済の縮小という問題の先どりとして、起きているのかもしれません。人為的な要因としての日銀緩和などもありますが、経済が成長して行く見込みのない日本を買う、という必然性はまったく感じられないのです。となれば、官製相場が終焉した途端、日本は売り浴びせられることにもなるのでしょう。昨日の骨太の方針、成長戦略をみても、目ぼしいものはなく、期待のもてない内容ばかりでした。このままでは、日本の凋落まで必然として起きてしまうことが、危惧されますね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般