2015年10月

2015年10月31日

おおさか維新の結党大会

おおさか維新の会が結党大会を開きました。松井府知事が会見で「自民党でもない、野党大連合でもない政党が必要」と述べましたが、こうした主張をする政党は遠からず消滅してきたのがこれまでです。たかだか衆参あわせて20名程度の小勢力ではできることも少なく、議員の少なさはそもそも組織力に関わりますから、組織を抱える自民、民主などと比べても選挙では埋没しがちです。風がない選挙は負け戦、だから話題づくりに散々、維新残留組を罵ってきましたが、その維新残留組からは刑事、民事告訴される事態にまでなっています。

党員名簿と党の口座をめぐる争いですが、一つ奇妙な話もあって、大阪都構想での住民投票の敗北後、党の代表として松野氏を提出するにあたり、共同代表だった橋下氏、江田氏の連名で届け出がされたにも関わらず、江田氏はそれを知らない、というのです。そうなると橋下氏側が単独で党の代表を届け出て、その松野氏に対して「代表権がない」と言っていることになる。自己矛盾、というより党内手続きを蔑ろにしていたのは、むしろ大阪側ということになるのです。
そもそも、維新は一般の党員にも1人1票を割り当てることを決めており、松野氏を選出するにも本来なら投票する必要があった。それが国会が9月まで延長され、代表選どころではない、との理由は党で共有されていたはず。それを代表権がない、という理由で勝手に解党を決めたその手法に、更なる矛盾が加わった形になります。党規を無視したのは大阪側なのですから。

しかも、この1人1票のために、実は大阪側が党の中で主流派となることは、もうほとんど難しかったという事情も明らかとなってきた。つまり大阪側のクーデター、というのが事の顛末であり、それを主導したのが松井氏だったのでしょう。会見でも、橋下氏の立ち位置が曖昧で、暫定代表といったり、共同代表は国会議員団で決めて、といったり、法律政策顧問といってみたり。関わる意思はないけど、そう言わざるを得ない、といった空疎さが滲みます。規約や綱領を決めた、と言っていますが、その前に代表の立ち位置をしっかり決めるべきなのでしょう。そうでないと、有権者が選択する際にも困惑するだけなのですから。
一方で、ダブル選挙にむけて自民党大阪府連は柔軟です。共産とタッグを組み、反維新で共闘する。民主がぐだぐだと国民連合政府に二の足を踏んでいる間に、府連レベルとは言え、選挙に勝つためには共産とも組む。この柔軟さが自民の特徴でもあり、長いこと政権を担ってきた理由でもあります。官邸が大阪府連に圧力をかけても、まったく動じない。むしろ府連会長の醜聞がでてくるなど、党の絞めつけに反発し、腰砕けの国会議員よりよほど気骨をみせます。民主が共産と共闘することを批判する与党系のメディアが、大阪府連の動きを批判しない、というダブルスタンダードもありますが、自民党的にいえば「勝てさえすれば誰とでも組む」が常識なのです。

こうした政党の離合集散をみるにつけ、常々思うのが古代ギリシャの『陶片追放』の制度です。タイラント(非合法的な独裁者)が現れないよう、陶片にタイラントになりそうな人物を書き、投票する。一定数を超えると、その人物は10年間国外追放になる、という制度です。しかしこの陶片追放の制度、政敵を追い出したり、不都合な人物を遠ざけるために不正が横行した、とされます。維新のごたごた、どちらがどうとは言いませんが、日本ではこの制度のことを『かいがら追放』と誤訳され、広まっています。どちらの『維新』が誤っているのか? 司法の場というより、選挙における盛衰の方が、より決着をつけるということになるのかもしれませんね。

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2015年10月30日

日銀の金融政策決定会合は現状維持

塩野義製薬がインフルエンザの増殖を直接抑える新薬を開発、平成30年には市販したいとの発表を行いました。画期的な新薬で、厚労省も前向きに審査する、とのことでこれが実現すれば世界的な価値ある新薬、となります。一方で米国では、ウィルスをつかって癌を治療する薬が研究開発されています。ウィルスは細胞に入って増殖、細胞を壊しますから、癌細胞だけを標的として増殖するウィルスがあれば、それは癌治療の画期的な進歩ともなります。もしかしたら塩野義の新薬と、この癌標的ウィルスとの組み合わせで、新たな治療も可能となるかもしれません。

日銀の金融政策決定会合が開かれ、現状維持、物価見通しを16年度後半に後ズレ、となりました。株価は急落するも、急速に切り返して上げ幅が240円を超えるなど、上昇して引けています。ただこの動き「やっぱり」との声が出るほど、予想通りでした。日経225先物の買い方は、日系2社がワン・ツーを決める。政府は補正予算の概要を示す。日銀が緩和見送りすることを予期して、予め知って、政府と証券会社が下支えすることを画策していたことが顕著だったためです。
実は最近、黒田日銀総裁の評判はすこぶる悪い。サプライズ効果を求めるため、ボラティリティーが高まり、市場に安心して資金を置いておけない、それは売りも買いも。外国人投資家がヘッジ目的で先物、オプション市場に資金を置いておくことさえ、憚られるというのです。結果、日系の動きが目立つようになり、市場のイニシアティブをとれるようになり、今日のような動きも演出できる。ただこれはFOMC後の米株動きとまったく同じ、まるで示し合わせたかのようです。

黒田氏は「原油価格が緩やかに上昇」で、2%物価目標は達成されるとしますが、はっきり疑問です。例えば昨年7月31日のWTIは100$程度、ドルは103円です。昨晩のWTIは46$、ドルは121円。原油価格の急落を円安が相殺しており、逆に今後円高がすすむなら「緩やかに上昇」ぐらいでは吸収してしまうでしょう。円高がすすむ原因は、もし仮に原油高がすすむとすれば、日銀の追加緩和期待が萎むため、です。市場の調整機能が働いてしまうのです。原油高でもデフレがすすむなら、そもそも日銀の想定する波及経路がおかしい、となってやはり追加緩和期待は萎みます。
また黒田氏は「物価だけ上がればよいわけではない」と述べますが、最近の政府と歩調を合わせて賃上げ要請、という異例の発言をくり返す。自分たちの政策がおかしかったからと言って、他人にその辻褄合わせを依頼するのは恥ずかしいですし、またお願いする態度でもない。そもそも物価だけ上がったから生活苦となり、リセッションを二度も起こす可能性が高まるなど、任期中の金融政策に疑問符がつけられる事態となるのです。それはもう波及経路がおかしい、初めから、ということでもあって、バズーカの照準が狂っていたとしか思えない。「物価だけ上げる」目標しかもたなかったからこそ、「物価すら下がってきた」現在の状況が生まれているのです。

確かに9月コアCPIは-0.1%、コアコアCPIは1.2%なので、原油安の影響というのもその通りですが、ならばどうして市場で期待が盛り上がるのか? 一部には年末、年度末に2万円超え、という予想を立てた市場関係者が、自身の成績に直結するので日銀に助けて欲しい、という思惑もあるでしょう。しかしこれは市場との対話に失敗した姿、とも言え、「躊躇なく」をくり返すだけに、市場に資金をおくことを「躊躇する」という市場関係者がここ最近、一気に増えているのです。
黒田氏は、暗に『物価高』ではなく『株高』を目指していたことは、周知の事実です。その暗黙の目標は今回、政府、金融機関の助けで何とか維持できた。しかし肝心の外国人投資家は去り、上昇に弾みがつかず、ボックス相場から下方への圧力が強い状態となりました。これも市場との対話の失敗なのでしょう。黒田バズーカは癌細胞と同じ、市場にも一気に異常な考えが蔓延しましたが、景気後退期の物価高、というスタグフ症状が出てその増殖も止まりました。日本の金融政策にも、画期的な治療法が必要なのですが、まだその病根が残っている限り、中々切除も難しいため、悪影響はまだまだつづくことになってしまうのでしょうね。

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2015年10月29日

FOMC声明文はタカ派

昨年、米国で流行したエンテロウィルスD68が、今年日本でも確認されています。小児では麻痺をおこすこともある、と。実はここ数日、私も風邪気味で大変なのですが、最近特に新種のウィルス性の病気も確認されており、それは検出精度の向上も理由の一つでしょうが、ウィルスの多様性という面も見逃せないと感じます。こうした新種に人類は弱いので要注意なのでしょうね。

米国の7-9月期GDPが公表され、年率換算で1.5%に減速しました。輸出、設備投資とも前期比で減速していますが、前期に積みあがった在庫の解消という面も大きく、むしろ4-6月期GDPの年率3.9%増が、余計に押し上げられていた面もある。前期と均せば2%の成長は維持した形です。
昨日、FOMCの声明文が発表されましたが、かなりタカ派な印象です。新興国不安という文言を削除し、12月のFOMCを示唆した。もう利上げすることは、ほぼ規定路線と考えて間違いないのでしょう。そうでなければ「次回のFOMC」などという文言は使いません。市場に準備しろ、と伝えたかったのが今回で、実際に市場でも12月利上げ予想が急騰しており、メッセージは正しく伝わったことに、FRBとしてもほぼ満足でしょう。ただFRBが満足できないのは、弱い経済指標です。FRBは世界がもう低成長の時代に入った、ということを半ば認めつつあるのかもしれません。

世界全体が低成長に陥る中、米国のみが高い成長を維持することは難しい。それはインフレ率も同様です。上がらないものを、上がらないからといって異例で異常な金融緩和を続けても、効果は限定される。ならば正常化しておく、というのも一つの選択です。機会損失により、金融機関が弱体化していくぐらいなら、利回りを改善しておく。それがFRBの選択に思えます。
しかし12月にはECBが追加緩和を示唆しており、日本にも追加緩和期待が燻る。FRBが利上げに転じれば、ドル高はさらに一層、米企業を苦しめるでしょう。ただしドル高がより一層すすむなら、米国には投資資金が集まる。ここでのドル高を暗に容認したように見える態度は、かつての強い米国、強いドルを再び体現するようでもあり、低成長時代に最も魅力ある国、として存在感を示す。そんな裏返しにも思えます。ただこの動き、米国の忍耐がつづく時間は短そうです。

米国は大統領選、この間隙だからこそ政治の圧力をかわせます。新政権が誕生し、経済政策をみて対応するためのフリーハンドをもっておく。そのための利上げなら、12月にやるしかありません。結果的に、それは政局的な意味合いを含むということでもありますが、バーナンキ前理事長以来、中央銀行の独立性を捨てたFRBとしては、ぎりぎりの判断ということになります。
明日は日銀の金融政策決定会合ですが、政府からは円安牽制発言もあり、動けるかどうかは予断を許しません。何より、世界が低成長、低インフレに陥る現在、日本だけが高成長、2%インフレを目指す、という方向性が正しいのかどうか? 最近では市場の黒田氏の評判もよろしくない中、FRBとの方向性の違いについて納得ある説明があるかどうか、がカギなのでしょう。米国が始めることは世界に伝播する。それはエンテロウィルスもそうであるように、米国が先、日本が後、ということなら、追加緩和どころではない、ともなりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2015年10月28日

雑感、大阪ダブル選と思いやり予算

明日から東京モーターショーが一般公開されます。自動運転が注目ですが、ハッキングや責任問題など、巷間言われること以外で、気になるのがセンサーの精度が低下するようなケースです。ドロがついたり、水が入ったり、接続が緩んだりしてセンサーが機能せず、事故を起こした場合、一義的には所有者の責任になるのでしょう。しかしセンサーの感度を測る手段を所有者がもたない以上、事故を回避できないことになりかねない。はっきりエラーが出ればよいですが、グレーゾーンになると、事故の責任問題が宙に浮きかねない事態ともなります。
車検でセンサーの感度を確認する、などとなれば車検の点検費用も上がり、負担が生じかねない。さらに運転しようとして、センサーのエラーでエンジンがかからない、となった場合、すぐにディーラーなり、JAFに連絡するしか手がないのか? ふつうに運転できる間はよいのでしょうが、こうしたエラー対応はかなり深刻です。また通常の使用でも、渋滞中に空いている追い越し車線に入る、といった選択は、自動運転はとらないでしょう。その場合、手動にするのなら、今度は自動、手動の勘違いで事故を誘発することもあるでしょう。こうした切り替えはヒューマンエラーですが、機械の故障については、責任問題の所在に苦慮しそうです。

菅官房長官が、松井大阪府知事と会談しました。おおさか維新が官邸との近さをアピールする絶好の機会は、公示前のこのタイミングしかない。しかし自民党大阪府連は当然のように反発しています。官邸はいつも邪魔ばかり…との声も聞こえますが、谷垣幹事長が「知事選は維新、市長選は自民」を模索したことを暴露しています。結果的に断念し、対立候補を容認した建前上、この段階で暴露するのは? 党幹部でさえ大阪府連の邪魔ばかり…との声も上がりそうです。
某世論調査では、前回のダブル選挙に比べて「大いに関心」が減り、「少しは関心」にシフトする傾向がみられます。関心の高さは浮動票を動かしますが、これだけ維新の党と大立ち回りを演じて、それでも「大いに」が減ったことはある意味、劇場型選挙の限界を示すものでもあるのでしょう。おおさか維新に期待する、と答える人も多いですが、分裂をめぐる動きは評価しない、が多い。橋下氏が目立てば目立つほど、党勢は橋下氏頼みという政治家でもない、裏方の人物に委ねられる。選挙のたびに敵をみつけ、目立つのならますます仲間はいなくなり、孤立化していく。おおさか維新の生き残りは、まさに綱渡りといった状況がつづくのでしょう。
しかもこの菅‐松井会談の問題は、おおさか維新側が提出した解散決議に、総務省への官邸からの圧力を想起させる点です。現在、まだ決議だけで総務省への提出は書類がととのわない状況で、かといって書類がそろったとて総務省としても困惑している。少数の側が勝手に決議して党の解散を決められるなら、他の政党でも同じ動きを誘発しかねないからです。しかしここに官邸からの圧力で、おおさか維新に理がある、として総務省を動かしてしまうのではないか? その懸念を想起させたという点で、このタイミングでの会談の意味があるのかもしれません。


話は変わりますが、財務省は米軍への思いやり予算の減額を検討しています。財政が厳しいから…は表向きで、実は沖縄への締め付けの意図が強いのでしょう。何しろ、思いやり予算は米軍基地内で働く日本人への人件費も含まれるため、減額すれば沖縄の雇用に大きく影響します。米国へ絶対服従の安倍政権が示す、この思いやり予算減額の裏側は、かなりの腹蔵が含まれていそうです。
辺野古三地区への振興費もそうですが、沖縄を分断させ、基地がなければ困る、といった状況をつくりだす目的なら、安倍政権のめざすのは地方分権ならぬ地方分断であることが確実です。それは大阪府連と、おおさか維新との対立を煽ることも同様に、対立を煽ってそれぞれへの敵意から自らへの批判をかわす、という手法であるなら、安倍政権のめざす競争型社会とは、対立型社会と言い換えてもよいほど、社会不和という形ですすんでいくことになるのでしょうね。


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2015年10月27日

南シナ海の緊張とSDR

米イージス艦ラッセンが、中国が埋め立てをすすめる南シナ海を航行しました。米軍はこれを『航行の自由作戦』と名づけ、12海里以内を航行を継続する意向を示します。米中首脳会談以後、またオバマ大統領の任期が1年を切り、また対中姿勢が弱腰と批判されてきたこと。及びこの対中弱腰が、ライバルを育てることにつながった、といった評価もあることから強気に転じた、といった見方もありますが、もう一つ中国が5中全会を開催中といった事情も大きいのでしょう。
経済政策の5ヵ年計画をたてるのが、この5中全会です。先週、突然金利引き下げを表明したのも、この5中全会を見据えたものですが、ここで南シナ海で軍事的緊張が高まれば、それは中国の海上貿易にも大きな影響を与えます。中国は監視、追尾、警告を与えたとしますが、それらの対応にも軍事費がかかり、何重にも南シナ海の緊張は、中国経済にも悪影響を与えることになるのでしょう。まさに5中全会を根底から否定する、そんな米国の思惑すら透けてみえるのです。

先ごろ、IMFが特別引き出し権(SDR)の構成通貨に、中国の人民元を採用する検討をはじめた、といった話があります。中国の悲願に、中国資金をアテにしたい欧州が後押しをしているものですが、日米は態度を保留しています。IMFは日米の出資が多く、未だに最終判断としては予断を許しませんが、中国としても人民元改革をすすめてきたこともあり、このIMFの見直しのタイミングで採用されないと、また5年も持ち越しともなるため、ここでの採用を強く希望しています。
この人民元のSDR採用は、日本にとっても影響のある話です。今は危機になると安全通貨として円が買われ易い状況です。それは欧米の経済と、日本の経済は関連性が薄いためで、先進国では欧米で危機になると円しか買えなかった。それが人民元も加わることになり、欧米の投資家は二択になるのです。しかし人民元と取引量は多い国もあるものの、事業として展開している企業、組織は少ないので、人民元として資金を置いておくのもメリットが少ない。何より、政治により通貨の強弱が変更させられるので、非常に扱い難い通貨であることも変わりないのが現状です。

安倍首相が中央アジアを歴訪していますが、まさにこの地域は人民元の取引が多い。自国の経済は弱く、また中国との貿易が多いので、必然的に人民元が第二通貨のような形になっているのです。そんなところで、ODAなどのバラマキという一方通行の外交しかできない。行く先々で中国牽制発言をくり返していますが、貿易量が増えるような施策もなく、これでは中国との関係に楔を打つ事も難しい。安倍氏は米国は南シナ海で、自分は中央アジアで挟撃、などと安直に考えているフシもありますが、日本外交のお粗末さを今回も露呈しただけに過ぎないのでしょう。
TPPに参加を表明したインドネシア、検討する韓国とも、実は経済的には苦境に陥りつつある国です。構造的問題もそうですが、中国との貿易量が多く、人民元安誘導が追い討ちをかけた。国民に、新たな夢を見せないと納得を得られない、といった事情がTPP参加の事情なのでしょう。TPPは対中包囲網、そんな評価もされてきましたが、それが中国との関係で零れ落ちそうな国をかき集めた、弱者連衡になっては元も子もありません。米国が対中強硬路線、『航行の自由作戦』を展開する以上、米国が中国バブルの崩壊に本腰を入れるかもしれない。そうなれば、この地域はますます経済的には苦境ともなってくるのでしょう。中国のバブル崩壊と、その余波をうける国々、特別引き出し権どころか、特別引き当て金を準備しておく必要性の検討を始めた方がよいような状況になりつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:52|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2015年10月26日

辺野古三地区への振興費

フジ・産経の世論調査で支持率が微減したことを、菅官房長官に質問した産経の記者がいますが「一喜一憂しない」と応じています。日経がとった世論調査ではまったく逆の結果でもあるので、それこそ新聞各社に一喜一憂するのは馬鹿らしい、ということでもあります。というより、産経が自らの世論調査だけを指して質問することこそ馬鹿馬鹿しい、となるのでしょう。
しかも相変わらず政権支持の理由は首相の『人柄』『指導力』がトップ項目ですが、個別政策はすべて反対が上回る。数字どおりに解釈するなら、「間違った指導力で間違った政治をしている」となります。そもそもこの世論調査、ミスリードが多い。例えば野党の選挙協力に対して「各党には政策にズレがある。選挙協力は望ましいか?」や、消費税の10%増税は規定路線として、軽減税率のことを聞いていたり、増税停止や延期はハナから質問項目にすら入れていない。特にTPPでは「関税撤廃」を示唆した上で、「TPPは日本経済の活性化に役立つか?」など、賛成が増えるような聞き方をするなど、中立性とも乖離します。そんな世論調査を成果の如く、自慢げに質問されても、一髪千鈞をひくようなもので同意を得るのはむずかしいのでしょう。

安倍政権が辺野古移設に関して、名護市辺野古の三地区に振興費を直接渡す、ということを地元代表に伝えました。行政自治が認められたわけでもない、ただの地区に直接支出するなど、異例で異常です。政令指定都市のように、行政区であればまだしも、行政権はないのですから振興費を渡されても、結局は国かその出先機関が肩代わりして公共工事をする以外にありません。地方分断どころか、これは地方自治にも大きな禍根を残す、異常事態ともなります。
例えば、やっと遮水壁が設立された福島原発ですが、未だに除染廃棄物の中間貯蔵先が決まりません。仮に、同意する一部の地域の人間にお金を渡す、などとして貯蔵先を決めてしまうことも、この手法では可能となります。基地にしろ、除染廃棄物にしろ、周りに迷惑をかけないなら小さな区画の枠内で収めることも可能でしょう。しかしそうでない以上、より広汎に意見を求める必要があり、決して一部の意見だけが優先されてよいはずもない。これは民主主義の否定にもつながり、より僅かな意見だけで施策をすすめる、という最悪の選択でもあります。

為政者のあるべき姿を述べる言葉に『一張一弛』があります。弓の弦を使うときに張り、使わないときは弛める。そうした厳格さと融和をさした言葉ですが、三地区への振興費は『緊張必至』の状況を生みます。むしろ余計に地元を混乱させ、辺野古移設を遠ざけることでしょう。何より、行政不服審査に関して、違法だという声が高まっている。安倍政権はやること、為すこと、異例で異常。そんな評価が高まりつつあり、その一つに今回も数えられることでしょう。
もう一つ四文字熟語をあげると、『一曲一直』というものがあります。ぼうふらの動きに喩えられますが、物事は曲がったり、真っ直ぐになったりしながら進む。しかし安倍政権は曲がりっ放しです。誰に入れ知恵されたのか、これまで使ったことのない手を用いて、自身を正当化することに躍起で、それが後世にどう評価されるか? ということに思い至らない。こういう法律を捻じ曲げてつかうことを『一知半解』とも言います。なまじおかしな知識があっても、半分の理解しかしていないので、学者には総スカンを食らいますし、国民に説明することもままなりません。

安倍政権はまさに一髪千鈞をひく状況を、至るところに生み出している、とさえいえます。世論調査でも安倍ノミクスの評価はガタ落ち、安保法制でさえ理解されていない。『一喜一憂』どころか、『一殺多生』という言葉もありますが、安倍政権の施策が『多殺一生』(わずかな者だけ喜ばし、多くは排除する)である以上、『一葉の秋』を感じ始めてきた木枯らし一号、となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(23)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2015年10月25日

雑感。TPPと農業

菅官房長官が講演し「TPPを機に攻めの農業にしたい。農地集約化がすすむよう税を含めたインセンティブを…」と語っていますが、必要なことは農家の法人化です。つまり今は農地が個人所有となっているため、所有者が亡くなると相続税が発生する。子供が多いと分割され、全員が農業をやるわけでもないため、相続した土地が遊んでしまったり、貸すにしろ地元から離れてしまえば管理も行き届かず、そうやって農家は徐々に解体されていく仕組みになっています。
仮に、話し合いで農家を継ぐ人間一人に相続したとしても、今度は多額の税金がかかる。これが農家が高齢化していく一つの原因です。しかし法人とすれば、個人が亡くなっても税金は発生しないばかりか、農家を継ぐなら経営権の譲渡という形になります。しかしこれは財務省がもっとも嫌がる策です。相続税収が減るばかりか、法人税減税などとなれば尚更、農家の収入も低い税制に合わせられる。大企業は20%台に下げることが検討されていますが、中小零細企業は今でももっと税制は低いのですから、農家の収入をそちらに合わせると減税効果がより大きく働くのです。

TPPの大筋合意した内容が発表されていますが、さすがに全容は見きれていませんが、農林水産物で81%、工業品は100%の関税撤廃、と伝わります。しかし気になるのが『大筋』合意である点で、それにしてはやけに詳細です。日本だけやけに農林水産物の関税撤廃率が低いのに、よくこれで合意がとれたもので、裏を返せばまだ何か明かされない条件が潜んでいるのでは? と勘繰りたくもなる。関税は撤廃しないけれど、お米のように輸入枠を設定するなど、最終的な合意の段階で分かることがまだまだあるのではないか、との疑いすら抱いてしまいます。
そもそも、TPP合意で「安くなる」と盛んに喧伝されますが、日常的に買う製品で安くなるものは、ほとんどありません。お米は枠を拡大しただけですし、小麦は米、豪、カナダに枠を設定しますが、国家貿易の枠内で輸入差益を9年かけて45%削減となるだけで、その分が国民に還元されるのか? 単純に関税撤廃、その分を国民に還元、という仕組みではないのです。そもそもですが、関税を撤廃すれば国民には減税効果も期待できますが、国としては税収減であり、今の財政規模を維持できない、となるのですから、どこかで帳尻を合わせなければいけません。消費税増税は増える社会保障費に…というなら、国が歳出削減をするか、新たな増税を模索しなければならないのであって、決して「安くなる」とはいえない可能性の方が、十分に高いのです。

農家を法人化するメリットは、例えば大規模集約化にも役立ちます。法人間の契約で土地の賃貸ができるからで、個人で契約すると、その人が亡くなったときに改めて契約を結びなおす、などの手間がかかりますし、それこそ相続でもめたら借りていた側は手出しできない、ともなりかねない。もし経営者が亡くなっても、法人との契約は継続するのですから、そうした弊害もなくなります。農家それぞれを法人として扱うことには、メリットの方が多いといえるのです。
ただそうなると、JAは解体せざるを得ない。農家個人をJAとして管轄する意味がなくなるからです。むしろJAが企業化し、農家と契約を結ぶような形態に変わらざるを得ない、とも言えるのでしょう。ただ、安倍政権がそこまでの決断ができるか? といったら無理でしょう。何より、先に示したように財務省にとってメリットがないからです。麻生財務相が「河野太郎とかけて釧路ととく。その心は湿原(失言)が多い」となぞかけをしていますが、麻生氏は「口は軽いが、税率を軽くする(軽減税率)のは嫌」という御仁です。そんな財務省に命運を握られている安倍政権では、改革なんてできるはずもない、という意味では湿原どころか実現も難しいとなってしまうのでしょうね。

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2015年10月24日

維新の党の解党? 宣言

大阪系の旧維新の党の党員が、維新の党臨時党大会を開き、馬場氏を代表として選出した上で『維新の党』の解党を宣言しました。しかし出席したのは中間派を含めて20名、維新の党に残る人数よりも少なく、数の上では不利。そこで松野氏に代表権限はない、としましたが、当時の共同代表だった橋下氏も松野氏の代表就任をみとめており、ケンカの材料にはなりそうにない。恐らく総務省にもその旨、届けでているでしょうから、尚のこと大阪系の敗北は濃厚です。
それでも強気なのは、自分たちに正当性がある、と主張しなければ大阪ダブル選挙に勝てないからでしょう。橋下氏が党の顧問弁護士をつとめる、や復活を示唆するのも、結局のところ関係性を保っていないと組織が瓦解する、が分かっているから。未だに大阪では橋下人気が高いように、逆から考えるとその他の議員だけ、になってしまえば、人気も凋落するのが必定です。後ろに橋下氏がいる、そう匂わせないと『おおさか維新の会』は空中分解してしまうでしょう。

しかし今回、維新はいくつもウソをついた。まず大阪都構想の住民投票でつかったお金を政党交付金から支払う予定であり、解党しても国庫に返納するお金はほとんど残らないどころか、赤字とも伝わります。さらにもし国庫に返納した後、返済日が来るのなら、その支払いは『おおさか維新の会』側、ともなりかねない。自分たちが維新の党、として正当性を主張するのですから、当然これまで維新の党として支出した分で、年末に支払いがくるものはすべて『おおさか維新の会』が責任をもたなければなりません。正当後継ならば当然の義務ともいえますが、払えるのか?
さらに橋下氏が政界引退を明言しながら「もどることも…」と発言したり、代表の件もそうです。つまりウソと虚飾に塗れている、と喧伝してしまった。お金に汚い批判に「国庫に返納」と脊髄反射したこともそうです。場当たり的に行動し、発言の修正を後付けでくり返している印象が拭えません。政界に長く身をおく片山氏など、最近は表にでてきませんが、さすがに橋下氏側の行動、言動に呆れているのでしょう。それでも橋下人気にすがるしか選挙に勝てない、と思うからその下についていますが、こんな解党の仕方はどちらにとってもマイナスにしかならない。それを主導する橋下氏に、うんざりした気持ちを抱いている議員も多くいることでしょう。

しかし国政進出から3年で、これほど離合集散をくり返す政党も珍しい。しかも旧太陽の党とくっついたときも、別れたときも不透明感が残りましたが、結いとくっつき、今回分裂するときも不透明感を残す。民主との協調が嫌、という大阪系の議員の主張を最大限、配慮した結果としても、橋下氏の態度、言動には一貫性がみられない。結局、そうした橋下氏の優柔不断な態度、決断すると猪突猛進する態度が人を引きつけも、また離れ易くさせる原因でもあるのでしょう。
維新の『維』という字、糸偏の横にある『隹』という字は、『吊り下げる』を意味することから、『つなぐ』を意味する『維』という漢字になったという話があります。しかし政党を『維持』することもできない、という意味では、橋下氏は自らにぶら下がる人間しか面倒をみきれない、ということをも表してしまうのでしょう。そして『吊り下げる』とは『墜』の字につながる、とされます。これで『維新』が墜ちていくなら、橋下氏の政治手腕そのものが、『つなぐ』ことのできないもの、という見方が定着するのでしょうね。


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2015年10月23日

欧州、中国の追加緩和

昨晩、ドラギECB総裁が年末のECB理事会で追加緩和を検討、と伝わり、世界同時株高の商状になっています。インフレ率低下を追加緩和の理由としますが、その手段では逆効果になりかねず、一種の賭けです。まず現在、月額600億€の国債買入れ枠を設定し、2016年9月までと期限を決めています。預金金利は-0.2%、ドラギ総裁はこれ以上引き下げない、と明言していました。
まず預金金利をこれ以上引き下げると、預金を引き上げる動きが加速する恐れがあります。その引き上げられた資金が投資に回る、ということもない。タンス預金になるか、米銀などに資金を移すかもしれない。国債買入れ枠を増やす方は、欧州銀から優良な債券を吸い上げ過ぎてしまうと、欧州銀の経営が安定しなくなり、結果的に金融機関の監督という中央銀行の責務を果たせないことにもなります。後どれぐらい、ECBが買える資産があるのか? という問題は識者により水準も様々ですが、ここからの追加緩和は劇薬が激変を引き起こす、という意味で注意が必要です。

中国人民銀行が政策金利と預金準備率の引き下げを発表しました。1年物貸出金利は0.25bp引き下げて4.35%。1年物預金金利は0.25bp引き下げて1.50%。銀行の預金準備率は0.50%、適格行にはさらに0.50%引き下げて17.50%にします。五中全会を前に、政策フル動員という印象を強める目的と見られますが、土日でも平気で政策変更を発表してきた中国が、欧州市場が開いている間に発表したのは、高まる欧州の不安、習主席の訪英や欧州各国首脳との会談を控えて、一定の配慮を示したかった点もあるのでしょう。李首相の金融緩和発言から間髪入れなかったのですから、週内に発表、という話がかな急に決まったのかもしれません。もしかしたらそれは、欧州中銀の発表に焦ったのかもしれません。
欧州、中国と金融緩和競争のような状態になってきました。自国の景気が悪い、ということと同時に、通貨安にして外貨を稼ぐ、が至上命題のようにもなってきた。しかし一方で起こる低金利の問題。企業は資金を借り易くなりますが、国民が銀行に預ける、という選択肢をとりにくくさせます。それは日本でも議論があるように、預金金利の低下は、結果的に国民に回るはずのお金が行き渡らなくなる。預金とて、広義では投資として分類できたものが、今や預金はただの資金移動の手段にしかならなくなった。給料が振り込まれる、カードで買うときの引き落とし先、といった使い方にしかならなくなれば、少しでも経営不安に陥った金融機関は、即預金とりつけ騒ぎとなり、破綻という道を辿る、そんな不安定さも生んでしまうのでしょう。

この競争に、FRBも利上げしにくくなったのは事実です。タカ派の理事でさえ、年内利上げは難しい、と意見の修正を行ったように、ここで利上げし、米経済が低迷すればその責はすべてFRBに押し付けられる可能性があります。何より米経済が停滞の傾向を示しており、低金利をつづけるマイナス面を補って、利上げを優先させる理屈を編み出すのも、困難になりつつあります。
では、日銀はどう動くか? 緩和競争への参入は、米為替報告書をみても厳しくなってきました。為替誘導を目的としない限り、実は金融緩和の効果は少ない、というのがここ最近の動きで明らかになってきたことです。景気の悪いところが追加緩和する、それに追随して他のところが緩和してしまえば、悪いところは悪いまま。結局、効果を相殺し合って、いつまでも経済は低迷し続ける、とも言えるのでしょう。今は米国がその競争を我慢してきましたが、その堪忍袋の緒も切れ掛かっています。ドラギマジック、黒田バズーカ、金融政策には奇妙な別名もつけられてきましたが、そのうちイエレンサンダーという米国の雷が落ちるのではないか? その合間に、金融緩和を囃すというのが、現状の動きでもあるのでしょう。株式だけ、やたら好感しますが、実体経済にはほとんど影響しない金融緩和の賞味期限、意外と短いのかもしれませんね。

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2015年10月22日

貿易統計と訪日外国人

先週行われた経済財政諮問会議で、ちょっと面白いやりとりがありました。麻生財務相が総務省所管の『家計調査』に「経産省所管の『商業動態統計』と異なる動きをしている」と苦言を呈し、高市総務相は「商業動態統計にはサービス品目が含まれていない」と反論している。正直、どっちもどっちの議論ですが、政府内でも統計に一喜一憂し、切歯扼腕している状況がうかがえます。
家計調査は各家庭で家計簿をつけてもらう、という調査の手法であり、商業動態統計は小売業などの売上高から算出します。前者は対象とする家庭の状況が大きく影響し、後者は外国人旅行客の消費も含まれる一方、対象とする小売業からサービス業の一部が抜け落ちている。そうした特性を踏まえて統計とは見なければいけない。しかしこお会議で重要なのは、政府も統計の正確性について疑問をもっている、ということです。単純に、自分たちの思惑通りにコトが推移していない、というので苛立つばかりでなく、統計の正確性とは何か? を追求する必要性があります。

9月訪日外国人旅行客数が発表され、前年同月比46.7%増の161万人となりました。言ってみれば短期的に日本の購買層が昨年と比べても0.5%以上も増えたのですから、消費が旺盛になって当然です。しかもこの増えた購買層は耐久消費財の購入も多く、積極的な消費者なのですから尚更です。商業動態統計の小売販売額にも、大きく影響し、数字を押し上げたことでしょう。
しかし気になるのは中国人旅行客が6、7、8、9月と2.7倍、2.1倍、2.3倍、2.0倍と鈍化してきており、景気後退の波は着実にこうした数字にも表れています。また9月に入ってからドル円では120円を超える日が少なくなり、中国の人民元安誘導もあって、為替面での魅力が低下しつつある。国慶節が10月初旬だったため、10月までは堅調とみられますが、浚渫にしろ、一つの節目を越えると流れが変わる可能性もあります。今後の中国人観光客の行方は、日本の消費に大きくかかわります。

9月の貿易統計は、季節要因もあってプラスとみられながら、金額ベースで1145億円の赤字でした。前年同月よりは下がりましたが、数量ベースは輸出3.9%減、輸入2.0%減と、外需、内需ともに低迷を示唆します。欧米向けに自動車は堅調、しかし鉄鋼などの素材関連は世界的に二桁以上の減を示すなど、これは将来の生産計画にも大きく影響します。つまり素材関連を加工して売る、という形態が今は停滞しており、今の最終製品を捌いた後の推移が警戒されるのです。
特に、ホンダが中国工場の新設を見送りましたが、中国向けの鉱物性燃料が77%、自動車部品が20%近く、金属加工機械が34%も落ちた。部品も加工機械も、生産性の低下を意味するものです。中国は明らかに様子がおかしい。7-9月に6.9%も成長した国とは思えないほどであって、金額ベースでさえ輸出は3.5%も減少した。中国には今後も警戒せざるを得ない点が示唆されます。

2つの統計を合わせると、中国へ輸出するのではなく観光に来てもらって購買、というのが一つの形となっていることが窺えるのです。もし今後、円高に向かっていくなら金額ベースの輸出は減少、観光客も減少、とダブルパンチになりかねない。日本は必要以上に、円高が悪影響を与える国になってしまった、というのが読み解ける。これは今後を考える上でより重要です。
株式市場は18400円を突破し、買いに弾みか? と昨日は盛んに報じられましたが、いつもの日系1社に、別の主体がのっかって水準を突破したので、今晩から始まる先進国中央銀行の会合ウィークに合わせ、買いポジションを溜める動きとみられます。来週の日銀金融政策決定会合がそのシメとなりますが、統計を正しく読み解けない中央銀行、官庁の動きという意味ではどう転ぶか、予断を許さないところであり、ケンカしている場合ではない、となるのでしょうね。

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2015年10月21日

雑感。横浜マンションの問題

ラグビーW杯の日本代表が官邸を表敬し、安倍首相が五郎丸選手のキックポーズの伝授を求めました。しかし筋骨隆々の五郎丸氏が行うので画になりますが、貧弱な人が行うと腰の曲がったお爺さんがリハビリしている姿にしかなりません。安倍氏は「精神統一のときに…」と述べますが、為政者は精神を統一するのではなく、広く意見を求め、その中から最善の道を求めるのが仕事ですから、あのポーズをとる暇があったら、多様な意見を取り入れる工夫をするべきです。

横浜市都筑区で、三井不動産レジデンシャルが販売したマンションが傾いている事件があります。旭化成建材が行ったくい打ちが、硬い地盤に届いていなかったことが判明、データも改竄されていますが、原因は未だに判然としません。色々と噂レベルの話をまとめると、少し分かってきたのが、実は杭が硬い地盤に届かない例は意外と多いのではないか? ということ。ただ、何本か打っているので、他の杭がバランスを保っている限り沈下などはしていかないので気づかないこと。などが業界では常態化していて、多くのマンションのデータを虱潰しにすると、実は杭が届いていない、というケースは頻出するのではないか? ということなどです。
しかし検証は難しい作業です。このマンションは10年以上前に建設されましたが、ちょうどその頃からHDDの大容量化、価格も安くなり、企業も紙やフィルムに焼き付けて保存していたデータを、HDDなどに残すようになった端境期にあたります。紙の場合はコピーしたりすると、加筆されたり、切り貼りされたりすると判然としなくなる。他の紙媒体のデータと付き合わせるなどしても、検証作業がすすむかどうかは分かりません。日時まで印字された紙が残っているかは、企業の側に委ねられるものであって、ないと言われてしまえば追求も難しくなってしまいます。

当初から「震災の影響で傾いた」という説明がされたように、これも建設業界のお決まりのクレーム対応だった。とすれば、全国のマンション、すべて再検証しない限り、マンション価値の低下は否めない、となるのでしょう。今傾いていなくても、杭が届いていないだけで傾くのなら、もっと大きな揺れがくると、一気に傾いてしまいます。さらに、今回でもとり上げられますが、建て替えが困難という問題も、マンションを遠ざけることでしょう。住民の話し合いがすすまなければ、建て替えか、補修かも決まらない。多数決で押し通せば、それこそ住民の間で亀裂を生じますし、財産権の侵害として裁判にもなる。最近、補修のための積立金でさえ、運用がもめるケースもあるように、意外とマンションにはトラブルがつき物で、それを意識するとマンションは手控えたい、とする層もこれから増えていくのかもしれません。
さらに問題は、投資物件があるケースです。販売された部屋のうち、いくつかが投資物件として設定されていた場合でも、話し合いは顧問弁護士など、専門家を立ててくる。そうした相手と、住民は交渉しなければなりません。さらに投資しているのが中国人など、海外の場合はさらに交渉も複雑となり、時間も手間もかかる。マンションの所有形態も複雑化しているため、余計にこうしたトラブルになると、負担となってしまうケースが、今後も頻出してしまうのでしょう。

この問題で不思議なのは、旭化成建材に発注した孫請け企業が、どうして杭打ち工事に立ち会っていないのか? という点です。元請けが工事全体の管轄として、現場責任者を置いてもよかったのでしょう。一つ一つの作業がぶつ切りされ、紙やデータのやりとりになれば、自ずと不正も増えてしまうものです。人の監視の目が働いていれば、少なくともデータ改竄の前に、現場で異常には気づけたはずなのです。これが業界全体のやり方だとすれば、マンションの安全性に疑問符が残り、資産価値は著しく低下してしまうでしょう。責任問題のなすりつけ合いではなく、業界の膿を洗い出すようでないと、疑惑は残りつづけることになる。業界全体が腰を折って、遠くをみつめて精神集中するぐらいの気構えで挑むべき問題となってきたのでしょうね。


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2015年10月20日

中国の為替操作

1年前に経産大臣だった自民党の小渕議員が、辞職した1年後にやっと記者会見を開きました。小渕氏が依頼した第三者? 委員会の報告をうけたものですが、秘書への地裁判決が出た後、という調査の遅さもお粗末ですし、判決で「裏金捻出が目的」と指摘されたことについても、また使途不明金があることすらも何も分かっていない。調査自体もお粗末と言わざるを得ません。
後援会から「群馬のために頑張れ」と言われ、身を粉にして働く、と決意を述べたそうですが、この認識からして謝りです。国会議員は国政を担うのであって、群馬のために働くのではありません。後援会に先に説明したことも、国民より身内、と国会議員の資質としても疑問符を生じるものです。高木復興大臣も、週刊誌で報じられた下着ドロの件で記者会見していますが、臨時国会を開けないのは、こうした安倍政権に携わる、携わった人間たちの資質に問題があることが、そもそもの原因なのでしょう。しかし疑惑が報じられ、きちんと説明できないようでは、「身を粉にする」どころか「プライドを粉々にされる」ということを肝に銘じておくべきなのでしょう。

中国の習近平国家主席が、英国を訪問しています。仏国主導の原発建設に中国は33.5%を出資、その見返りとして新設の原発計画に、原子炉を収める契約を勝ちとるなど、シンガポールの高速鉄道計画受注と同じように、なりふり構わぬ受注獲得をすすめます。勿論これは中国が過剰設備に陥り、少しでも輸出しないとさらに景気が下押しする、負の連鎖に陥りかねないためで、英国もそれを重々承知した上で、安価な中国製をつかうとの決断をしたものと思われます。
しかし中国に関して、米国で複数の報告書がでてきました。米中首脳会談でサイバー攻撃はしない、とした中国は未だにサイバー攻撃をつづけている事実。そして為替報告書で、中国は9月だけで1200億$近くを売りこし、人民元安に誘導した、とされます。さらに8月だけで2000億$の資金が流出した、とされるなど、中国景気の減速を色濃く報告書内に盛りこんだ。サイバー攻撃と合わせると、中国を為替操作国と認定できる材料は、米国も整ったことになります。

一方で、この為替報告書で韓国にも為替介入の抑制をもとめ、日本の円も過小評価としています。その中で、日本は債務削減目標に固執すれば、景気回復とデフレ脱却を脅かしかねない、と注釈を加えるとともに、柔軟な財政政策で『金融政策や円安による外需主導の成長への、過度の依存を避けられる』としています。つまり日本は金融政策、円安に『過度に』依存している、と認めていることになり、日銀の金融政策にも重石になりかねない文言とも読み解けます。
為替操作はしていないものの、円は過小評価されている、とするのも日銀にとっては逆風でしょう。為替報告書は政権も重視するものであり、日銀が動くと、米にとっての心証も悪くなる。そしてここで警戒すべきは、米国が何らか、中国へ圧力をかけるケースです。為替操作国認定がされ、米国が中国の貿易に制限をかければ、それは中国景気をさらに減速させ、ひいては日本にも波及する問題となるでしょう。中国が底抜けしてしまう懸念は高まってきてしまいます。

カナダの総選挙で、政権交代となります。今のところ新政権側はTPPに関して、あまり良い印象をもっていないと伝わり、批准にも逆風です。『過度に依存する』外需主導の成長、その象徴がTPPということなら、安倍政権にはダブルで逆風ともなってきます。米国で高まる中国への圧力、欧州ではそれでもまだ中国の成長に依存しようとする。その間で、日本も中国との付き合い方を考えていかなければいけません。そうでないと、中国の減速で日本経済も木っ端微塵にされてしまう。『外需』に過度に依存していれば、そうなってしまうことが警戒されるのでしょうね。

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2015年10月19日

中国7-9月期GDP

米軍普天間基地の辺野古移設に関して、環境監視等委員会の委員4名が、関連業者から寄付をうけとっていた、との問題がもち上がっています。仲井真前沖縄県知事が、移設埋め立ての承認の条件として設置されたものですが、それがお手盛り、というとんでもない話であって、菅官房長官が「法的な規定はない」と述べる言葉は法律、規定ををつくる側がお手盛りで構わない、と容認していたことを示すものであり、決してそれで問題がないわけではありません。
寄付をうけていた委員が「判断に影響ない」と述べても、そういう疑いをかけられた時点で、すでに委員の資格は失効しています。「法的な規定はない」も、馳文科相の献金問題のときも同じ説明を菅氏はしていますが、法律を決める側がそういう説明をした時点で、すでに議員の職責は果たしていない、といえるのでしょう。憲法でさえ形骸化するのですから、今さら法律に規定があろうと、なかろうと関係ないのかもしれませんが、国民の「判断には影響する」問題です。

中国の7-9月期GDPが発表され、前年比6.9%成長と事前予想の6.8%よりやや良い、という絶妙な数字でした。しかし4-6月期GDPでさえ、すでに5%台との指摘もあるように、減速傾向は鮮明ですし、何より中身は深刻です。1-9月の固定資産投資が前年比10.3%増、と予想の10.8%増より悪く、9月鉱工業生産は前年同月比5.7%増と、市場予想の6.0%増より悪かった。それをカバーした9月小売売上高は、前年同月比10.9%増と、予想の10.8%増を上回ってきました。株式をはじめ、固定資産投資まで減速傾向にあり、生産も落ちてきたのに個人消費だけが堅調。賃金が目だって上がったわけでもなく、就職率が上がったわけでもない中で、この消費の数字が奇異に映ります。
そんな中国で、株式市場がふたたび活況です。売買高と売買代金が週ベースで100日平均を突破、すなわち7月からの混乱局面は脱する勢いで、売買が膨らんでいるのです。しかし大口の機関投資家が好むETFに資金流入が少なく、個人の売買ももどっていない。政府系の資金流入により、売買を活発化させよう、という意図があるとの見方で中国国内でも一致しています。何より、まだ高値から3分の1ぐらい下落したところをうろついていて、上抜く勢いはでていません。

中国の政策当局者は「成長は鈍化したが良い方向に向かっている」とコメントしていますが、どこかで聞いたような言葉です。どうも日中の政策当局者は、同じ言葉、同じ施策を選んでつかっているのではないか? と思われるほど、最近の日中の経済政策の担当者、その認識と発言は似てきています。中国は世界の工場と言われ、投資資金と製造拠点を集めてきましたが、消費主体の経済に移行するため、3、4年前から賃上げ容認の方向に舵をきった。さらにリーマン後の景気対策で、設備投資を一気に加速させ、今では過剰設備に陥って、成長の足枷となっています。
安倍ノミクスも、いつのまにか賃上げ要請、設備投資の要請、携帯電話料金は値下げ要請、と社会主義国のような政策が増えてきました。官製相場だけが安倍ノミクスのオリジナルですが、後の要請の部分は中国を3、4年の後を追いかけるようにして、しかも命令権が弱いまま政策を打っている印象です。逆に、本当に安倍政権の要請が、企業に通ってしまえば今の中国のように、賃上げで企業が逃げ、過剰な設備投資で強烈なデフレ圧力を世界にばらまき、政府介入により価格を動かす、不公正な市場が新規参入企業を遠ざけることにもなるのでしょう。安倍ノミクスは今だけ、見かけだけ改善と見せかける、が特徴となってきましたが、それも中国GDPの真似であるなら、「法的な規定」はなくとも重大な問題を安倍政権は引き起こしている、ということになるのでしょうね。

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2015年10月18日

雑感。日本の経済、金融政策は独自路線?

米経済の見方が微妙です。10月ミシガン大消費者信頼感指数速報値が、92.1と前月の87.2から大きく上昇。ガソリン安の反映とみられますが、個人消費が堅調になるとの期待が膨らみます。9月鉱工業生産指数は0.2%低下。前月が0.4%の低下から、0.1%の低下に上方修正されていますが、製造業は在庫調整の影響もあって鈍い。設備稼働率は前月の77.8%から、77.5%に低下するなど、製造業の弱含みはかなり深刻です。先進国はどこも同様に、中国減速の影響をうけて製造業は弱く、サービス業などの内需に期待するしかないようです。しかしそのケースにしても、日本では臨時所得が下がり、実質賃金が目減りしたように所得が増えない中で、どう消費を回復させるかがカギとなりますが、その一つの手段として株高などの資産効果が考えられます。
今、株式市場では急速に10月末に日銀が追加緩和する、という観測が拡がっている。黒田氏が否定すると、サプライズ効果をだしたいだけでしょ? と見られ、期待値が下がることがありません。郵政関連の上場を控えて相場を上げたい、との思惑と同時に、ふたたびデフレに陥る懸念を抱え、日銀は動かざるを得ない、といった理由が実しやかに語られています。

しかし日銀は物価目標の達成時期を先送りした前科があります。今回も中国など、外部環境の変化を理由とし、達成時期の先送りをする可能性がある。何より、黒田日銀総裁にとって必須は、郵政関連の上場を成功させることではありません。消費税10%を達成することです。10月に追加緩和すれば、年度切り替えまでにはその効果も息切れするでしょう。増税の先送りはない、という確約があれば別ですが、軽減税率を導入すればその制度設計も間に合わなくなりそうなど、増税時期を先送りする懸念は拭えず、ここで最終兵器をつかってしまうかは、依然として微妙です。
さらに公然と「効果はない」と言う人もいるほど、手段が限られる。打つ手を間違えればマイナスにしかなりません。郵政関連の上場が成功するどころか、追加緩和を失敗する可能性も高い。特にこれだけ期待が高まり、市場が織り込んでしまうと、材料出つくしになってしまう。日銀の苦悩はここにあります。黒田氏が盛んに上手くいっている、というのは最早、市場との対話に失敗しつつあり、それでも何とかして効果をだしたい、との思惑から出ているのでしょう。

米国では、年内の利上げ見送りで株式市場も上げています。しかし米国は減速傾向といっても、消費者態度指数が良好など、景気は好調です。それなのにFRB当局者は弱さを協調する。日本の場合、どう見ても景気は低迷、回復の兆しすらないのに、当局は強気の発言をくり返します。それで起きているのが、追加緩和期待と、利上げ見送り。その両面をうけて株式市場は上げている、という何とも奇妙な状況でもあって、10月末までの動きはこの思惑で動くのでしょう。
中国の五中全会で、景気刺激策が打たれるとの期待もあって、上海市場も好調ですが、日本では臨時国会の開催を見送り、補正予算すら検討されない。つくづく、世界と逆行しているのが日本と言えるのでしょう。甘利経再担当相が「7-9のGDPをみてから…」と述べていますが、臨時国会を開かないのですから、見ても対策を打つのは来年、と言っているようなものです。リセッションに陥ってから、対策を打つなどしているので、日本の経済は景気の波を大きくし、その弊害によって縮退してきた、とも言えるのです。政府の経済政策、日銀の金融政策、ともに独自路線をいっているのが、日本の美点ではなく汚点になっている時点で、外国人投資家が一気に逃げ出して行く流れを止めるのが、難しくなっているのが現状なのでしょうね。

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2015年10月17日

維新の泥仕合

消費税増税に関して、軽減税率の導入が規定路線となっています。党税調の野田会長が更迭され、財務省案から一気に巻き戻されましたが、公明の選挙公約を優先せざるを得なかったのは、創価学会の支援がないと次の選挙は大変、という自民党側の事情も大きかったのでしょう。さらに山口公明代表が「新聞、書籍も軽減税率…」など、メディア対策も余念がない。しかし、これで税務省は完全に安倍政権を『敵』と看做します。悲願である消費税10%は導入できますが、軽減税率ばかりか、インボイス制度まで簡易式でいい、など、財務省は煮え湯を呑まされつづけています。
臨時国会を開かない、補正予算の検討をできないのも、財務省にそっぽを向かれている今では、財源の捻出すら覚束ない。しかもマイナンバー不正事件が厚労省で、各自治体ではシステム整備が追いつかず、トラブル続き。悲願が次々と達成され、我が世の春と思っていた財務省にとって、ここ数日の出来事は青天の霹靂、財務省にとっては腸煮えくり返るほど、ネガティブな材料ばかりと言えます。安倍政権が敵に回した官庁では最強の財務省が、今後どう動くかが注目されます。

維新の党も大揺れです。敵対しておいて分党しろ、など通用するはずもありませんが、新党への参加を表明した衆院議員9名と、地方議員153名を除名にしたことで、国会議員の勢力が12名も減りました。大阪系は中間派、とよばれる議員を集めた会合を開くなど、大阪系の馬場氏が「泥仕合」とするように、まさに仁義なき戦い。党規約によると代表は不在、として処分は不当、との法廷闘争まで示唆する事態です。後戻りすることは絶対にないほどのケンカ別れです。
しかし大阪系は、野党共闘は絶対にできない体質です。組めるとすれば次世代ぐらい、逆に言えば、かつて別れた旧太陽のメンバーであって、その構図も分かり難い。むしろ与党と連立を組みたい、と考えているぐらいです。しかし今回、公明に精一杯配慮したように、自公の選挙協力はもう切っても切れません。今回の組閣で、安倍政権は統一教会系の流れが強まった、ともされますが、集票力という点では創価学会の右にでる宗教団体はない。選挙が厳しくなると、頼るのは橋下人気より、公明党という自民の思考が変化するのは困難、といった状況です。

しかもおおさか維新は、早くも年内に府市ダブル選挙でその命運が決まってしまう。ここに来て政治と金の問題も噴出、さらに先月の東大阪市議選で当選した8人のうち、3人が居住実態がない、と異議申し立てされている。ネガティブ材料には事欠かない状況で、選挙の行方すら危ぶまれています。維新との対立も、銭ゲバ闘争にしかみえず、やればやるほどマイナスの影響があります。ダブル選への注目度が高まっても、そのネガティブ面を覆せるかは微妙な情勢です。
さらに橋下氏にとっては、安倍氏との個人的な近さが頼みの綱ですが、歴代政権でも財務省と敵対して、長命だった政権はありません。安倍政権の命数を考えると、おおさか維新が国政で影響力をもち続けるのも、かなり微妙といった形です。民主など、他の野党とも組めず、いずれ自民に吸収される勢力を選ぶか? 大阪ダブル選挙の行方は、実は選択肢の乏しいものとなってしまうのかもしれません。まさにおおさか維新は、橋下氏の威信にかけての戦いですが、異心を起こされるほど、態度が硬直化してきた。ダブル選で負けてしまうと、その遺臣は立場をなくす、という意味では、必死になってくるということなのかもしれませんね。

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2015年10月16日

雑感。政治と柿

政府と企業経営者の間の意見交換、としてはじまった官民対話ですが、設備投資を促すなど、早くも頓珍漢な方向にすすみだしています。中国が過剰設備に陥り、疲弊に喘いでいることを知らないはずもありませんが、需要を踏まえて生産計画を建て、そのために設備投資をするのがスジで、内部留保があるから設備投資するのではありません。また供給超過、生産過剰となればデフレ圧力がかかる。安倍政権は一体、どちらに向かっているのかも不明です。賃金も同様ですが、政府が圧力をかければマイナス面が強くなる。本当に経済に無知だとしか思えません。

安倍政権は臨時国会を開かない方針と伝わります。安倍首相の外遊を理由としますが、景気に不安がある現在、補正予算を検討してもおかしくないタイミングなので、外遊は関係ありません。TPPにおける経済、農業への影響など、審議してもし足りない項目が多く、いかに安倍政権が本気で国難に立ち向かおう、国政に真面目に取り組もうとしていないかが、この一事でも分かります。
馳文科相にも政治と金の問題が出てきました。県の補助金をうけた企業が、2年間に232万円の献金をしていたとのことですが、国政に携わる政治家は政治資金規正法で、国からの補助金を受けると違法とされます。しかし多くの国会議員は、その出身都道府県で政党支部をもち、その代表をつとめます。政党支部には県議も所属しており、補助金の対象を国に限定する時点で、政治資金規正法の抜け穴といえます。県政にも影響を与える政党支部への献金をうけとる時点で、問題のある行動です。違法でない、は決して問題がない、ではないのです。

安倍氏が官邸で『奈良の柿』を食し、「柿食えば、さらに良くなる奈良の町」と句を詠みました。何を食べてもジューシーとしか感想がない、と噂されていたのを気にしたのか、句で誤魔化していますが、しかしセンスがない。前文と後の文とのつながりがなく、意味が通じません。みんなで柿を食べれば、消費が活況になって…ということにしても、柿の名産は奈良だけではありませんし、柿を買う分、他の食料品を減らせば消費全体のパイは変わらない、ともなります。
昔から「柿は乞食に剥かせよ」と言います。これは皮の下がもっとも甘味が強いことから、丁寧に薄く剥いた方がいい、という意味ですが、中の種も大きくて、それだけ外側を残すという意味でもあります。安倍氏は柿を食べて「癒された」そうですが、安倍氏の剥く柿は皮が分厚くなり、ほとんど食べるところがない、というのが現在の経済状況です。「百栗三年柿八年」と言われるように、結実が遅い果物としても知られますが、それとともに枝が折れやすいことでも知られます。安倍政権で植えた柿は実をつける前に、もうぽきぽきと折れてしまったのかもしれない。国民は「癒される」ことなく、苦境だけを感じているのが現状なのでしょうね。

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2015年10月15日

日経平均の反発

安倍首相がJA全中で挨拶をした、との報道は多いですが、そこでヤジをとばされた件について報じたところはごく一部。見事にそろって報道規制がかかったようです。TPP合意をうけ、JA内に高まる不満が噴出したとしても、一向に不思議はありませんが、それすら安倍政権下では禁忌扱いをうけるようです。それが政権への配慮なのか、TPPで恩恵をうける大広告主への配慮なのか、は不明ですが、事実も報じられないようではマスコミとしての価値もないのでしょう。
安倍氏は産業競争力会議でも挨拶していますが、成長戦略が「新たなステージに入る」とし、「カギは生産性革命」として人材やITへの積極投資を促すそうです。しかし安倍ノミクス旧3本の矢の成長戦略は「なかった」のであり、「新たな…」どころか、いつ始まるのか? がカギです。生産性革命どころか、成長戦略をどうつくっていくか、その成長戦略を産みだすのに革命が必要なほど、硬直した思考、発想しかない。今さら人材やITなど、手垢のついた話をもちだす時点で、何の期待ももてないことが明白です。しかもまた「デフレ状況ではなくなりつつあり…」という話をもちだしましたが、生産者物価の大幅下落など、明らかにデフレに陥りつつあります。

日経平均が急反発しましたが材料もなく、理由が不明とされます。ただこれは単純で、最近の動向は日系の大手証券1社の動向で決まることが多い。昨日、一昨日はそこが日経225先物を2000枚以上売ったので下がり、今日は2000枚以上買ったので上がった。買いの筆頭、売りの筆頭に名を連ねることがここ数ヶ月で一気に増え、しかも決まって1日の傾きが2000枚から2600枚に収まっている。ここ数日の上げ局面で堪った買いをはきだし、ポジションが軽くなったので、今日は買いの余裕がでた、となります。朝方からしつこく買ったのはこの主体で、ほぼ間違いありません。
しかし為替は欧州市場で一時、118円割れを試しにいくなど、ふたたび市場が不安定化していることが顕著です。昨晩は米小売売上高が予想外にマイナスと、世界全体に消費不況の波が襲いつつあり、輸出入など貿易の停滞も意識される水準に来ました。為替市場が先にリスクオフの動きに傾くのも自然な流れです。最近、株式との連動も薄れましたが、今は米国のスニーカー市場のように、一部の投機的市場は活況という二極化を示している。金余り下の不況、という状況によって、新たな動きが出つつあり、その一環として株高も維持されているのような状況といえます。

米企業決算も始まりましたが、米小売大手のウォルマートが見通しを下方修正したように、より消費者に近いところから苦境を感じ始めているのでしょう。金余りでデフレ、これが世界の新常態になりつつあり、投機的には上げたくても、実体経済の悪化がそれを許さず、そのことで市場が弱含み、投資を減退させて市場全体が地盤沈下を起こしかけている。日本でも短期の動きが活発でも、売買高がまったく伴いのは、長期の資金が逃げているため、というのが現状です。
日系の大口資金が、首をかしげる局面で反対に動くことで、やたら値動きを大きくしている。VIX指数が下がっても、日本の不安定感はつづくのでしょう。成長戦略なき安倍政権により、日本市場でも少子高齢化がすすんでいます。本来、成長すべき子、つまり新興企業が大事にされず、老体になって機動力も失った大企業が、安穏と生き延びる。新陳代謝を失った市場をまず革命しないと、日本にとっての成長は想像しえないのでしょう。とはいえ、その古ぼけた大企業は自民党の献金元であり、切ることができない。人材やITに変革が必要なのは、実は国会なのかもしれませんね。

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2015年10月14日

森山農水相の醜聞

森山農水相が、鹿児島県発注の海上工事にまつわる談合により、指名停止措置をうけていた複数業者から、3年間で約700万円の献金をうけていたことが発覚しました。しかも談合の違約金36億円を請求され、裁判所による調停の結果、半額になった。つまりその間、献金をうけ続けており、県への口利きの疑惑まで持ち上がる事態です。700万円で18億円が削減できたのなら、企業は御の字でしょう。森山氏側は「問題ないと考えていた」としますが、明らかに問題があります。
規制する法律はない、としますが、行政に影響力を行使し得る自民党支部に、係争中の一方から献金をうけることは、圧力を意識させるのです。最近、裁判でも判決理由に「社会的制裁をうけている」が増えてきています。以前もとり上げたので簡単に述べますが、社会的地位の高い人が事件をおこし、制裁をうけるのは当たり前です。仮に無職の人が死刑になるような事件で、同じ事件をおこした会社の社長が、「社会的制裁をうけた」から無期懲役、などとなったら罪の軽重に歪みを生じていることにもなる。むしろ社会的地位が高い人間は、その責任も重いのであって、罪はより重くしなければ責任を果たしたことにならないのです。

こうした司法の歪みが、ここ数年で再び増えてきたのは政治の態度も大きいのでしょう。それこそ小渕氏の秘書が政治資金規正法で有罪判決をうけましたが、本来は公選法違反にも問える事件です。政治が著しく司法を歪め、罪を罪として問えない風潮が強まり、剰え社会的地位の高い人間が、その罰を逃れることがつづけば、司法が重い罪を与えることを躊躇い、「社会的制裁をうけた」ことを理由に、罪を軽減しようとする動きがさらに強くなってしまうのでしょう。
自民党の外交部会で、南京大虐殺をユネスコが世界記憶遺産に登録したことに関し、分担金を停止するよう決議文をとりまとめました。しかし世界では日本のこの動きを「脅迫」と伝えられ、日本のイメージダウンにつながっています。米英が拠出金を停止したことがある、を根拠にしていますが、米英は日本より国際貢献も多く、また国際的に関係の深い国も多い。日本とは比べ物にならないぐらい、国際的な圧力をかわすのが上手い国です。日本とて観光に利用するため、ユネスコを積極的に活用してきましたが、それすら失うのか? よく考えれば損得など自明でしょう。

月例経済報告で、1年ぶりに見通しを「一部に鈍い動き…」から「一部に弱さも…」と下方修正しました。9月の企業物価指数は前年同月比3.9%下落しており、強烈なデフレ圧力もかかってきました。一部どころか、全体に弱さがみられる。いくらメディアをつかい、景気は良好との認識を広めようとしても、実感もないどころか、数字にもはっきりと景気の弱さが示されてきました。
メディアに圧力をかけ、報道を捻じ曲げようとすることもそうですが、ユネスコなどの国際機関に圧力をかけ、歪んだ価値観を押しつけようとしても、歴史の検証に耐えられるはずもありません。メディアが歪み、司法も歪み、国際社会を歪ませようとしても、その圧力に日本の国益が損なわれていくのが明白です。世界の動向、風潮に「鈍い動き」でいては、ますます日本が「弱さ」を露呈することにもなるのでしょう。早くも始まった安倍政権の閣僚の醜聞まみれ、その「弱さ」とは能力もない、倫理観も欠如した政治家の存在、ということになってきているのでしょうね。

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2015年10月13日

世界で強まるデフレ傾向

中国税関当局が発表した9月の輸出入の状況で、輸出は前年同月比3.7%減ですが、輸入が20.4%減と、大幅な減少となりました。日独などで輸出が急減していたので、中国減速の影響が大きいと見られていましたが、ちょっと驚きの数字です。しかも五中全会を前に、これだけ悪い数字を出したのだから、として景気対策期待もありますが、前回の対策がバブルを助長し、現在に至っているのであって、何が出てくるにしても好感できるかどうかは微妙なところです。
日本では9月消費者態度指数が発表され、前月から1.1pt低下の40.6で、全項目がマイナスです。この中で重要なのは、インフレが上昇との予想は0.8pt増加、低下は減少するなどインフレ予想が高まっているにも関わらず、景気の見方が悪くなっている点です。つまり物価上昇と景気悪化が同時に起こる、スタグフレーションを国民が意識し始めている、となります。

欧州でも物価は低下し、マイナスになるところも出ています。ECBが量的緩和に踏み切ってから半年と少しで、デフレに突入した。最近、欧州で語られだしたのは低金利の功罪で、年金運用などに影響があり、低金利をつづけるべきでない、とするものです。日本は年金運用まで株式などリスク資産への投資で賄おうとしていますが、欧州では金利正常化の議論が早くもはじまったのです。これはマネーサプライを高めればインフレになる、という日本の政策との方向性の違い、としても意識されますし、何より年金が大幅減になる日本の危険性としても意識されます。
日銀の金融政策決定会合の議事要旨でも、異例の賃上げ期待が語られていることが、判明しました。マネーサプライを増やしても、企業が業績を上げても、賃上げするかどうかは企業判断です。政策の方向性が間違っていたことを、圧力によって成し遂げようとしているのが、日本の現状なのでしょう。結局、原油安にしろ需要不足から起きていることで、それがあらゆる消費の場で起きてきた。それがデフレ傾向を強める一方、円安で物価高だけはすすむ、日本にとって二重、三重に景気下押し圧力を強めてきた。それが消費者態度指数にも現れてきています。

菅官房長官が、消費税導入と同時に軽減税率、という話に言及しています。明らかに選挙が厳しくなり、公明、創価学会の協力をとりつけたい、との思惑が滲みますが、その創価学会自体、安保法制でぐらぐらになってしまった。恐らく次の選挙は婦人部も面従腹背、協力姿勢はとらないでしょう。軽減税率により負担を増す中小企業、小売なども含めて、実はそれほど国民に好感される施策ではない。消費税増税を先送りした方が、よほど選挙には影響してきます。
しかしIMF、OECDの口を通して、財務省が消費税増税に賛意を示させ、外堀は埋まってきた。景気後退期に増税などをすれば、下押しが激しくなるにも関わらず、安倍政権はもう後戻りできないところに来たのでしょう。deflationの動詞、deflateには『自信をなくさせる』という意味もあります。世界が金融政策に自信をなくし、安倍政権は経済政策に自信をなくし、そのdefect(欠陥)が目立ち始めたということなのでしょう。このdefect、動詞になると『党から離反する』という意味ももちます。欠陥政権に、党の方針からも離反する動きが、そろそろおき始めても可笑しくない。そんなタイミングになってきているのでしょうね。

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2015年10月12日

『南京大虐殺』の世界記憶遺産登録

安倍政権で、またしても外交において屈辱的な事項がもち上がりました。ユネスコによる『南京大虐殺』の世界記憶遺産への登録です。歴史的に事実かどうか、は審査基準としては関係ないため、これが真実であると認定されたわけではありませんが、しかし『南京大虐殺』という言葉が独り歩きすれば、間違いなく海外からの日本の印象は悪くなります。外務省は、ユネスコには「政治利用になる」、中国には「抗議している」、登録直後には「一方的な主張に基づき申請されたもので、中立公平ではない」との声明をだしていますが、残念ながら敗者の遠吠えにしか聞こえません。
登録されたのは、新華社通信によると「1937-38年の虐殺時期」「1945-47年の中国国民党による軍事法廷における戦犯への裁判」「1952-56年の中華人民共和国の司法機関が記録した資料」です。言ってみれば、『南京大虐殺』という事件に対して中国側はこういうことをした、という事実を登録するわけですから、日本も面と向かって反対し難い面があります。ただし、何が真実かを検証し、双方が合意の上で提出しない、とする道筋を立てるのが外交です。提出された時点で負け、という代物で、一部の保守系メディアが「ユネスコへの拠出金を停止しろ」などというのは筋違いも甚だしい。逆にいえば、自分たちに不都合なことをされたら、逆ギレして国際機関への負担金を停止する、などということなどをすれば、日本は世界から大バッシングを浴びるでしょう。

上記したように、これは中国が『南京大虐殺』という事件をどう取り扱ったか、という記録の登録です。もし日本がこれを逆転させたければ、『南京大虐殺』という事件で何が起きたのか? それを日本独自に検証し、何が真実だったか、を明らかにすることです。そうすれば、如何に中国側の検証作業がお粗末だったか。事実と辻褄が合わないことで裁判を行っていたか。その異常性を浮かび上がらせるとともに、中国の司法の限界を示すことです。そうすれば、国際機関に登録された内容が中国側にとって恥ずかしいものだ、と国際社会に喧伝することができます。
つまり、そのときはユネスコを逆に日本が政治利用すればよい。そういう話です。菅官房長官や外務省が、殊更に「ユネスコの政治利用」などというのは、逆に国内への説明に「政治利用」しているようにしか見えません。国際社会では、落ちている石ころでも政治利用し、自国に有利なよう取り計らうのが当たり前です。今の安倍政権、外務省の態度は、言葉は悪いですが、自分の主張が通らないと駄々をこねて逆ギレする、ただの子供にしかみえません。

残念ながら、安倍政権には外交の軸がない。対米追従だけで、世界と渡り合う戦略がないのです。韓国との戦時徴用の問題も、何が大事で、何を守らなければいけないか、という基本的な部分がはっきりしていないから、おかしなところで妥協してしまう。安倍氏にその情報が伝わっていないのか、伝わっても尚そうなのかは分かりませんが、安倍政権、外務省ともに能力不足と指摘できます。安倍政権で日本が失うものが数多い。そして上記したような逆転を安倍政権がとれるか? もまた、能力不足である以上、望み薄である点も問題なのでしょう。国際会議の場になると、安倍氏はいつもぽつんと一人でいます。英語が喋れないだけでなく、人とのコミュニケーション能力が不足しているからこそ、社交の場が苦手なのでしょう。それが外務省との間でもおきているとすれば、外交の失態はまだまだ増えることが懸念されるのでしょうね。

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2015年10月10日

雑感。露国によるシリア爆撃

米世論調査会社が、大統領選の世論調査から撤退する意向のようです。固定電話が減り、また携帯電話は番号が通知されるのが基本のため、相手が分からない電話はとらない傾向がある。調査対象が『固定電話をもつ家庭』に限定される以上、一般的でない、との判断となる。これが米国の現状なのでしょう。携帯電話の普及に伴い、社会全体が変化していくことを示唆します。
翻って、今回の内閣改造後にとられた世論調査、平日の昼間に無作為抽出された家庭に電話をかけてとられた、にしては回答率も土日にとられるものと、大して変わらなかったようですし、日本の世論調査は一体、どんな層を無作為抽出しているのか? 日本もそろそろ『固定電話をもつ家庭』が一般的でなくなっているなら、調査方法を変えるか、調査そのものを止めるか、どちらか選択した方がよいのかもしれません。内閣改造自体を評価していないのに、内閣支持率が上がるなど、数字の傾向を読み解くのも困難な結果に、正直首をかしげる部分も増えてきているのですから。

露国がISILへの攻撃として、シリア領内に空爆や巡航ミサイルを撃っています。米CNNはイラン領内にも落ちた、と報じますが、露国やイランは否定。米国がこうして誤爆を報じたい理由としては、先に病院を誤爆して謝罪した経緯もあるのでしょう。一方で、イランにとってISILはスンニ派の過激組織であり、天敵です。多少の犠牲があっても、ISILへの攻撃を黙認するケースも考えられる。ただ問題は、核合意で親密さを増したように思えた米、イラン関係が以前と同じように、険悪な状態にもどってしまうことでしょう。イランも当初、米国にISIL対策で期待していた面がありましたが、米国がもたもたしている間に一気に露国がその立場を掻っ攫った印象です。
つまり露国はシリアのアサド政権支援、という以上に再び中東で存在感を増してきた。それは将来的にも、OPECとの連携を含めて、原油や天然ガスなどの価格調整といった方向で利いてくるのかもしれません。また露国は、自国の軍事兵器を見せつけ、中東で売り込みやすくなった、とも言えます。経済が苦境の露国が、ここまで前のめりでシリア問題に踏み込んできたのも、当然のように自国にとって有利な展開を考慮してのことでしょう。オバマ政権の躊躇いが、露国を伸張させることとなり、米国にとっては戸惑いへと変化しているのかもしれません。以前であれば、こうした露国の行動を世論操作によって批判的に、世界の潮流をまとめ上げてきた米国の、手詰まり感がにじみでるような展開です。

TPPも、米国では不評の声が多い。オバマ政権は残り1年、レイムダック化が激しくなるのでしょう。むしろ政権が力を失ったので、シリア情勢への介入も限定的となり、今回の露国空爆により、反政府勢力までやられてしまった。中東での地位低下は、短期的にはかなり米国にとって大きな問題となるでしょう。イランが中東戦争の頃と同じように、露国側につくなら、イラン産の原油、天然ガスなどの開発においても、欧米メジャー企業の参入は難しくなるのかもしれません。
日本だけがTPPに浮かれ、外交はすべて上手くいっている、としか報じられません。しかしそうした偏った報じ方しかされない以上、それが誤りだということがよく分かります。外交など特に、すべて成功などということはあり得ない。勝ち、負けの分野があって、トータルで国益に寄与したかどうか? が問われるのです。その冷静な分析、報道がない日本のメディアでは、信憑性が問われるのです。そんなメディアがとる世論調査。トランス脂肪酸の規制も、米国でははじまりますが、日本ではまだ規制の議論すらありません。世論調査のとり方も同様、米国が先、日本ではまだ議論すらありません。これでは国の態度自体に首をかしげることが多くなるのでしょうね。

明日は一日、お休みします。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(23)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | ロシア

2015年10月09日

雑感。TPP合意は・・・?

内閣改造をうけて、各社の世論調査が出てきましたが、支持率がおよそ5%上昇、不支持率がおよそ5%下降、と判で押したような結果となっています。ご祝儀でも50%台まで切り返せなかった結果は、かなり厳しいでしょう。それこそ一部を除いて『期待しない』が『期待する』を上回った。重要閣僚は留任なので、それこそ現状に不満があれば『期待しない』となるのが必然ですが、TPPでは合意が『良かった』とする意見の方が多い。これは危険なことだと感じます。

農産物に関して、TPPの合意状況の一部が出てきましたが、関税撤廃品目がかなり多い印象です。その中で、メディアの街頭インタビューでは「税金がなくなる、安くなる」と聞き、コメントに「それは良いこと」というニュアンスの答えを引き出す工夫がされています。しかし、これは下手をすると逆の結果を招きかねません。恐らくそれでも国産を買いたい、という一般消費者は多いでしょう。しかし関税が撤廃され、安価な農水産物が入ってくると、真っ先につかうのが加工食品の分野です。原産地表示が不要なので、消費者はそれと気づかずに海外の農水産物を買うことになる。それでも価格が下がれば、それは消費者にも恩恵があるでしょう。
しかし国内の生産者は、加工食品の分野に卸す量が減り、収益が低下して廃業するところが出てくるでしょう。色や形がよいものは一般消費者へ、少し崩れたものを加工食品へ、と回していた後者が消えるわけですから、生産者が減って供給不足から値上げとなるか、収益を維持するために一般消費者へ回す分を高くせざるを得ない。すると、やがて国産品は高級品として贈答用などに、店舗には海外産品が並ぶようになるでしょう。多くの農産物がそうした経路をたどっているので、TPPが発効されれば間違いなく国内の生産者には大打撃となるはずです。

気になるのは生産者が5次産業化をすすめる過程で、厳しい競争に曝される点です。これまでも海外に進出しようと、加工食品にして輸出することを進めてきました。しかし今回の関税撤廃では、その加工食品も含まれる。輸出が上手く拡大すればいいですが、失敗すれば一気に設備投資が負担になる。生産縮小ばかりでなく、その負債が破綻へ向かう原因となりかねません。
現状でさえ、自営業者は毎月10万人以上の廃業を迫られている。農水産業は零細企業も多く、体力もありません。いくら補助金をだしても、それこそ潰れるべきところを存続させていても、赤字を垂れ流すだけとなり、いずれ破綻となることが見えています。TPP推進者は構造変化が必要、と述べますが、構造変化できるだけの体力すらないのが現状です。その構造変化の原資が、税金から出てくるようなら、このTPPにはメリットが少ない、ともなってくるのでしょう。

安くなればいい、誰に聞いてもそう答えるでしょう。しかしその裏で、国内製品が高くなって買えなくなったら? と聞けばどう答えるか。そもそも、安倍政権で目指していた、今ではその成果をやたらと誇る『脱デフレ』の方向性さえ、高くなって良かったですか? と聞けば、その答えも自ずと分かるでしょう。自分ばかりでなく、周りも含めてTPPが与える影響を考えていかないと、良し悪しなど判断できるはずもありません。TPP合意を「良かった」と答えることが、本当に良いことだったのかどうか。世界の動向をみてから判断しても遅くはないのでしょうね。

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2015年10月08日

機械受注と景気ウォッチャー調査

8月機械受注統計が発表され、船舶・電力を除く民需で前月比5.7%減となり、これで6月7.9%減、7月3.6%減につづく3ヶ月連続減で、7-9月期のプラス転換は困難で、GDPの2四半期連続マイナスも現実味を帯びてきました。元々、年後半の設備投資計画は低調とみられていましたが、予想をこえる落ちこみになりそうです。さらに外需が26.1%減と、急減になっている点が気がかりです。
9月景気ウォッチャー調査は、さらに深刻です。現状判断DIは47.5と前月比1.8pt減で、家計動向も企業動向も、雇用関連もすべてマイナス。構成比でみても「やや良くなっている」が大幅減で、景気を上向きに捉えている層が一気に減ったことを示します。先行き判断DIは49.1と前月比0.9pt増と、回復を見こみますが、家計動向が総じてプラス、つまり今がこれだけ悪いから、3ヶ月経てば回復しているはず…という想いが結果に滲むようです。しかし企業動向は先行きでも総じてマイナス、企業の肌感覚はまだ回復の見通したたず、という結果になっています。

しかも先行き判断には、プレミアム付き商品券の期限があり、年内に消費されるとの期待ものっている。逆に言えば、現状では消費がすすんでいないことを意味するのでしょう。結局それはムダ遣いをしない、という意識が働くため、小出しにしか使わない。そんな傾向も読み解けます。
そんな中、8月国際収支状況は、経常収支で1.65兆円の黒字となりました。貿易収支が3261億円の赤字と、5000億円以上改善していますが、それと同時に第一次所得収支も5000億円以上、黒字を積み上げた。これだけ円安になっているのに、日本企業を買収しようという外国企業は現れず、日本からは海外企業の買収が活発化した。さらに年金基金等、外国債券、株への投資を増やしたことで、利子や配当の受けとりが増えたことを意味するのでしょう。しかし別の観点からみると、日銀がいくら金融緩和をして民間に資金を流しても、海外投資ばかり増えてしまえば、国内の資金循環がすすまず、国内景気を温めないとも言えます。稼いでいるのだからいい、という人もいるでしょうが、例えば金融緩和で1兆円を市場に流しても、すべて外国株に投資されれば、短期的には配当分ぐらい、1%程度しか国内のマネーサプライには寄与しない、ということになりかねないのです。これが効果を減殺する、一つの要因ともなっているのでしょう。

独国の8月貿易統計で、前月比5.2%減と金融危機以来の大幅減、と伝わります。最近、金融危機以来…という文言をよく見かけるようになりましたが、世界で今、とんでもないことが起こり始めていることは間違いありません。逆に、株や債券が落ち着いているのは、当局の政策期待でまだ何とかなる、という楽観があるためでもあります。しかしリーマンショックの頃は、各国は不動産バブルに浮かれて財政も健全化し、金融政策も正常な状況にありました。しかし今は財政は疲弊し、金融政策は異例の緩和状態、どの国も余裕がなくなっていることは間違いないのです。
打てる手も限られ、打つ力すらも失いつつある。実際に何らかの対策が出てきたとき、失望の色を濃くすることにもなるのでしょう。日本でも今はまだ、日銀が追加緩和を打つ。緩和はない、と黒田日銀総裁が発言しても、市場期待を抑えてサプライズ効果をだしたいだけでしょ? として、市場がゆがんだ目を向けている。これは非常に危険な状態にあるといえます。プレミアム付き株高にも賞味期限があります。政策期待というだけで世界全体が楽観視するほど、危険なことはない。金融危機以来…の言葉が意味するのは、実は深刻な問題をはらんでいるのでしょうね。

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2015年10月07日

安倍改造内閣と、日銀会合

第3次安倍改造内閣が発足しました。安倍氏曰く『未来へ挑戦する内閣』だそうですが、留任が9人もいるので、今さら挑戦、と言われてもピンと来ません。細田派から4人、腹心の加藤氏を1億総活躍担当に据えるなど、身内優遇が目立ちます。この読み方には二つあって党内の反安倍の動きに対応するためには、身内で固めたいとする内向きか、もう一つはどうせ1年ともたない政権だから忠誠を尽くす人に役をつけておこう、とする温情か。しかし後者と思えないのは、丸川環境相を入閣させたいために細田派を増やしたり、初入閣組には鬼門と言われる経産相に、国家公安委員長を歴任した林氏を充てるなど、醜聞潰しともいえる動きが散見される点です。
そうなると政権しがみつきの思惑が、色濃く滲んだとも云えるのでしょう。麻生氏、岸田氏、石破氏など寝首を掻こうという派閥の領袖は閣内に抱えっ放しにした。二階派や額賀派の要求には最大に配慮した。この組閣は自民党の組織論としては、とても『保守』的に見えます。安倍氏の思惑としては『未来へ挑戦…』ではなく、『長期政権に挑戦したい組閣』とも言えます。
質疑でも3年で憲法改正議論を…と述べているので、参院選を越す気満々。これを参院自民がどう捉えるか? 政局的には自民党内の動きが活発化しそうな気配です。しかしいつのまにか出生率1.8%に『希望』がつき、実績ベースで1.8%にする、という目標から後退させました。子供が欲しい、と答えた人が1.8%になっても、少子高齢化が解消されるわけではなく、目標自体からやる気がみられない。また「TPPをピンチではなくチャンスに…」と述べていますが、チャンスだから合意したのではないのか? これから様々な対策をしないとピンチだ、というなら外交の失敗を内政で挽回しよう、という話に過ぎません。挽回できるかは農政族の重鎮、森山氏に託すということですが、これまでの農政を守ってきた人が、古希をこえて挑戦する気になるか? 甚だ疑問です。

日銀の金融政策決定会合が開かれ、現状維持が決まりました。日経平均は売りとなったものの、恐らく昨日売っていた分を買い戻す、日系の動きで切り替えし、130円以上上げて引けています。内閣改造の日、下落となったら市場期待が低い、とみられるのを回避したかったのでしょう。
しかしここ数日、資源価格や小麦などの食料品価格が切り返してきており、これが楽観ムードをより高めている、とされます。市場に資金がもどりだした、それを好感した動きが株にも入っている。しかし今日の黒田日銀総裁の会見は、そうしたものに冷や水を浴びせる内容です。

日銀展望レポートで、景気や物価見通しを下方修正する方向ですが、デフレマインドが解消傾向にある限り、追加緩和を打つことはない。黒田氏の発言からはそう読み解けます。追加緩和の本命は次の会合となる30日、短観でも展望レポートでも、景気が悪化していく方向であっても、追加緩和はしないのでは? これはもう経済指標から、金融政策の先行きを読むことが難しくなったことを意味し、また元副総裁や政治家の追加緩和を期待させる発言でさえ、信がおけない、ということとなったのです。これは市場が嫌がる不透明感という形となってしまうのでしょう。
安倍政権の経済閣僚も、ほとんど留任で変化が期待できません。黒田氏もいつのまにか、物価目標をなし崩しにして、ただただ消費税10%を前にして、余力を残そうと画策し始めた。安倍政権も、黒田日銀もイイワケのためのアリバイ作りに躍起となっているようにしか見えないのです。『未来から嘲笑される内閣』と、『未来には帳面合わせに苦労しそうな日銀』と、それぞれが一つの転機を迎えた、それが今日だったのかもしれませんね。

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2015年10月06日

日経平均の5日続伸

今日はノーベル物理学賞に東京大宇宙線研究所、所長の梶田教授が受賞しました。しかし翻ってみると、物理学の世界ではどうか分かりませんが、行政は神岡炭鉱跡地の再利用、ぐらいの感覚でいたものが、今やカミオカンデ、スーパーカミオカンデという施設で小柴教授とともに2人目のノーベル賞受賞となっています。結果的に最良のリサイクル事業だったと言えるのでしょう。
ニュートリノも、ありふれた素粒子でありながら観測が難しい。ありふれているのに価値があって、それがまだ活用されていないものが日本にもまだあるのでは? そんなことも感じます。しかしそれを見抜く目も、活用する術も、もたないのが日本の現状です。それは五輪エンブレム問題でも、お抱えデザイナーに固執するようなことをしていては、埋もれた人材を発掘するなんて不可能。今は価値のないものでも、価値を見出していく努力、それが真の成長戦略といえます。

大筋合意と伝わったTPP、しかし市場では農機具など、TPPそのものというより今後拡充されるだろう農業関連の補助金目当て、とみられる企業の物色がすすむばかりで、評価は低い。何より自動車など米国の関税撤廃まで25年と、その頃には自動車産業も大きく様変わりしているだろう、という長期スパンの話です。自動車株はほとんど反応しない、など業種によっても区々で、安倍首相がいう「TPPは国家百年の計」という話も、100年も経ったら国家の在り様すら様変わりしている、という話です。むしろTPPが全面履行される頃には、世界の在り様すら今と違うはずです。
ここ数日、日経平均が上げているのは、9月日銀短観以来、急速に盛り上がった10月の日銀追加緩和観測で、外国人投資家が緩和に備えて先物で買いのポジションを組んだ、といった点が大きい。イベントドリブン型の短期資金であり、今日になって日系がこぞってやれやれ売りを入れたように、日銀会合を前にして様々な思惑が重なっている。その上で市場の7割を超える取引の外国人投資家が買いに傾いたから、上げたということです。欧米が米FRBの利上げ観測の後退をうけて上昇基調にあることも重なり、1000円以上の切り返しとなりましたが、明日また違う動きが出るのでしょう。

実は明日の日銀会合で、追加緩和が打ち出される、とされる一つの理由として、内閣改造に目玉がないから、大きな記事で覆い隠したい、といった思惑があるとされます。しかしここ数日、ノーベル賞の話題やらTPPの話題で、メディアの注目度も低くなった。併せて日銀が何かアクションをとる必要性も薄れた、というのが、今日の日系の売りにつながったとされます。要するに、政府や日銀は景気そのものより、景気の気の方しか見ていないということを市場が意識していることになります。経済指標に楽観コメントをつけてだすため、景気の悪化をみての経済対策、追加緩和が打ちにくくなり、余計にイベント的要素を強めているのが、現状なのでしょう。
スーパーカミオカンデでも、観測事象に予断や憶測を交えたら、その時点で結果も正しいものが導けなくなる。それと同じで、経済の分野でもおかしな評価を交えたら、数字が捻じ曲がって伝わり、有効な対策も打てなくなる。科学の分野では、ノーベル賞を排出しても、経済学では日本人は見劣りする。ノーベル記念経済学賞に、日本人の名がないことが端的にそれを示します。科学の分野を見直そう、という動きがあるのと同様に、本当のことが言える経済学者を育てておかないと、日本は沈み行く船にしかならなくなってしまうのでしょうね。

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2015年10月05日

TPPが大筋合意へ

ノーベル医学生理学賞を、北里大の大村特別栄誉教授が受賞しました。嬉しいのは、日本人の受賞というばかりでなく、日本にいる放線菌のだす成分、という点です。米国は熱帯雨林などから新しい成分をさがすことに躍起で、その分野では日本は出遅れていますが、身近にいる微生物にもまだまだ可能性がある。それはある意味、日本の可能性を示しているようだからです。

一方で、TPPが大筋合意と伝わり、がっかりしています。しかも今回、洩れ伝わってくるところでは日米がかなり前のめりだったか。それは任期が1年となったオバマ政権が、成果を挙げたいと焦っていたこと。また安倍政権も、安倍ノミクスの成長戦略との位置づけで、成立に焦っていたこと。日米の担当者がそろって会見し、成立にむけた意欲を示すなど、かなり異例ともいえる熱の上げ方で、まい進していた印象がある。その結果、かなり妥協したのでは? とも勘繰れます。
例えば自動車の原産国表示は、40〜50%で域内の調達で合意とされますが、日本が主張していた40%に近いものです。しかしその背後で、事実上域内の調達を増やすことで折り合っているのでしょう。結局それはタイやフィリピンなど、今でも部品調達が多いTPP未参加国を、TPP域内に引き寄せる、という効果があります。つまりメキシコやカナダの部品メーカーをつかうことは、長期でみてメリットがあるのです。結果的に、今はTPP域外からの調達が多い日産やマツダも、暫定措置として40〜50%を当面維持しながら、やがて域内の部品をつかうようシフトさせるのでしょう。

今回、日本は2国間協議をほとんどせず、行事役に徹したとの話もあります。それで大筋合意したなら、日本は不利な条件を呑まざるを得なかった、とも言えます。ナゼなら行事役になるとワガママを言えなくなる、が世の交渉の常です。つまり日本は、自ら主張を封印しなければ行事役とはなり得なかった。このことからも、如何に安倍政権がTPPの成立にむけて前のめりだったか、を示す事例といえ、今後中身が詳らかになるにつれ、妥協の範囲についても判明することになるのでしょう。
ただ今後、この参加12カ国がどれだけ残るか? 各国がもち帰って議会にはかったとき、選挙で国民に問うとき、批准しないという選択がありえるからです。日本製品を売り易くなる、とばかり喧伝されますが、同時に日本にモノを売りつけ易くもなるのです。勝つ業界、負ける業界、その色分けが出てくるはずで、国民も二分される。中身を知って、その範囲が各国とも賛成が勝る、という可能性は極めて低いのであって、各国すべてにメリットがある、などという条約、経済協定などないのであって、国民が愚かでないならそれを冷静に見極め、賛否を決することにもなるのです。

安倍自民は「聖域なき関税交渉には参加しない」として選挙を戦った。次の選挙では争点にもしなかった。それで禊がすんだ、というものでは決してありません。そして恐らく、日本はTPP参加による大きな問題に直面します。それは現在が超金融緩和状態にあり、今後それは長くつづかない。協定が発動する頃には金融緩和停止、引き締めの状況になっており、円高になっていることが想定されるからです。税率で調整できない中、為替の強弱が輸出入に大きく影響する中で、日本は独自の円安手法をとれなくなる。そのデメリットが最大に懸念されるところなのでしょうね。




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2015年10月04日

雑感。安倍政権の人事

外務省が来年4月、国際テロ情報収集ユニットとして4班(北アフリカ、中東、東南アジア、南アジア)を新設する方向であることが判明しました。しかし違和感があるのは、テロ組織の定義がすでに曖昧である点です。欧米、東アジア、南アフリカが抜けているのは、明らかにイスラム圏を狙い撃ちしているためであって、イスラム過激派のみがテロ組織とでも言わんばかりです。しかしキリスト教過激派も、時おり重大な事件を起こしており、中国のウィグル族にも過激派が入り込んでいる、とされます。国をまたがなければテロ組織でない、と定義づけされているようです。
しかしバングラディッシュで殺害された日本人が、ISILの仕業であると声明がだされたばかり。渡航先の邦人安全確保も外務省の仕事であるなら、この地域別の考え方自体に、そもそも問題あることが分かります。むしろ安倍氏がエジプトで行った演説でISILからつけ狙われるようになり、そのために情報収集が必要、と考えているようにしか見えない。これで安保法制により、自衛隊が中東で活動するようになれば、さらに日本は狙われることにもなる。安保法制を成立させて安泰、というわけでは決してないことが、この一事からでもとてもよく表れています。

7日に予定される内閣改造について、メディアは一面をつかって報じますが、ほとんど留任という記事なら、報じる必要はありません。内閣改造に注目させ、支持率回復を図ろうという露骨な手法ですが、何か一つ二つはサプライズをもってこないと、それこそ失望が支持率回復を阻むでしょう。小技なら、景気回復が期待できない中で、経産相に石破氏を充てる、などがあります。勿論、景気失速の責任をおしつけ、対立候補つぶしを画策する狙いです。しかし地方創生担当相としてほとんど仕事をしておらず、石破氏が対立候補としての実績を残しているか、は甚だ疑問です。石破派成立時、閣僚就任について派の人間と意見が割れたように、もし閣僚に就任したら、その時点で石破氏は次期総裁レースから脱落することになるのかもしれません。
大技なら、民間議員の登用です。竹中氏や本田氏など、現在も安倍政権に協力している人間なら中技ぐらいですが、百田氏や櫻井氏などのメディアに露出する機会の多い著名人を、今や法相と同じぐらい名誉職になりつつある経産相に充てれば、大きなサプライズになります。かといって注目度が高ければ、袋叩きに遭う確率も上がる。安倍氏のおトモダチは政治家から民間の人間まで、こぞって失言癖のある人間ばかりで、百田氏や櫻井氏もその例に洩れません。

報道圧力勉強会を開いた木原議員に下された役職停止1年の処分が、3ヶ月に軽減され、実質解除されたことが発表されました。内閣改造に合わせ、何らかの役職につける、という事実上の宣言なのでしょう。こうして処分が、処分として機能することなく、政権の都合だけで差配されてしまうという事実が、安倍政権の限界を示すのでしょう。要するに、人事掌握術、組織の統制力が、安倍政権への忠誠で示さない限り発揮されない、極めて問題のある組織にしかならないのです。
実績を上げるより、国民のためになるより、安倍政権の言うことをこなす、言う通りの結果を報告することで、人事考課が変わってくるなら、ウソや誤った報告が、安倍政権では頻発することになるのでしょう。そのウソがばれたとき、強烈な怒りを買いますが、そうなるまでに逃げだせばいい。とても今の中国と似た、不正や不誠実なことを助長する組織作りにしかならないのでしょう。国際テロ情報収集ユニットなど、まさにその温床になりかねないものなのです。君主論を記したマキャベリも「真実を告げられても、君主が気分を害さない、という保証を示す」ことが、正しい情報と苦言を呈してくれる部下をもつ条件としますが、安倍氏の猜疑心の強さと、意外と短気と言われる部分が、そうした手法をすべて否定するのが残念なところなのでしょうね。

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2015年10月03日

雑感。公平、公正な報道?

昨晩の米雇用統計をうけ、米ダウは200$上昇して終えています。8月は季節要因で上がり易い、とみられていた過去データまで下方修正され、利上げ観測が遠のいたとの見立てです。しかし失業率は5.1%と横ばい。低成長である米国で、雇用だけが伸びて行くことはありません。FRBは最近、米経済から世界経済までカバーする範囲を広げたように見えますが、失業率が5%台である以上、利上げしないという選択が本当にあるのか? 当面は利上げなし、という判断を市場は下しましたが、FRBがそんな市場の思惑を巻き戻しにかかるまでの、ささやかな時間だけ好感する、という形になるのでしょう。

維新の党の分裂騒ぎについて、何ともお粗末な展開です。ケンカ別れし、散々相手のことはこき下ろすけど、分党にして金は別けろ。通常の組織、子供のケンカでもありえない駄々っ子ぶりです。しかしおおさか維新にとって、天下分け目ともいえる府市ダブル選挙では、大阪市長に衆院議員の吉村氏が立候補する見通しです。先の衆院選では小選挙区で落選、比例復活は果たしましたが、選挙に強い候補とは呼べない状況です。維新の党との対立を煽って記事にしてもらい、注目を集めるしかダブル選に勝てる戦略がない。円満分党では記事にもしてもらえません。
それに、選挙をするにも金がない。前国対委員長で大阪組の馬場氏が散財した、という話も出てきていますが、大阪の中小企業ももう維新にお金は出してくれない。資金集めに苦労する以上、分党資金をアテにするしかない一方、注目を集めておかねば…という両面が、誰の目からみてもただのワガママにしか見えず、何とも収拾のつかないことになっているのです。

産経など、安保審議をメディアがどう伝えたか、という記事を載せます。要するに、安保法制に反対する意見が大半だった、という検証をしているのですが、いわば公平、公正をメディアに要請した自民の主張通り、安保法制に賛成する意見も取り上げろ、というのです。しかしここには矛盾があります。例えば、公平、公正ということなら、どうして日本では社会主義や、共産主義についての賛成意見をメディアが報じないのでしょう。少数意見だろうと存在する以上、公平、公正にとり上げる必要があります。また国会では、議員数に応じて発言、質問時間の多寡が決まります。公平、公正なら同時間を与えなければ変ではないか? 国会すらそうやって数により分量に傾斜をつけているのに、国民の6割以上が今国会での成立に反対、という法案であれば、反対意見が多くなって当然です。隗より始めよ、国会こそ公平、公正な態度をとるべきだと言えるでしょう。
そもそも論評をくわえるケースで、おかしなものはおかしい、と伝えることは偏ったものではありません。むしろ、おかしい法案をつくった側に問題があります。おかしい部分が6割、問題ない、正しい部分が4割のケースでは、批判的な報じ方が6割になるのは自然です。検証するなら、そこまで含めて記事、伝え方について論じなければならず、何でもかんでも公平、公正という言葉で50対50、とくくるべきではないのです。さらに例えるなら、どうして産経新聞は自分たちに批判的な識者の言葉を、等分に載せないのでしょう? 多くのメディアが自分たちの主張に適した識者の言葉を扱います。その割合がきっちり50対50になっているか? その検証からはじめるべきです。

維新の分党騒ぎでも、橋下氏の発言の方が圧倒的にとり上げられる機会が多いのです。確かに目立ちますし、実際に多く発言しているためですが、だとしても松野氏ら、現執行部の声も等分に取材し、記事として載せないとウソになります。検証するたび、自らボロがでる。自分たちの態度を改めてから、他者を批判しないと、産経よりはじめよ、と云われてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(25)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2015年10月02日

8月経済指標と、米雇用統計

総務省から8月家計調査速報が発表され、消費支出は前年同月比、実質で2.9%増、ただしこれは6月2.0%減、7月0.2%減の反動であり、また連続して猛暑日を記録するなど、8月の季節要因といった面が強い。住居を除くと1.9%増なので、都心部の賃貸上昇が大きくなっていることを示します。
勤労者世帯の実収入は前年同月比、実質で2.2%増。ただしこれも昨年の8月が5.4%減となったことの反動で、まだ一昨年の水準には届いていません。それに内訳をみると、世帯主の収入は実質で0.7%減である一方、配偶者の収入が14.7%増と、賃上げの効果ではなく、夫婦共働き世帯が増えたことによる影響で、今年度に入ってから実収入の上昇分はすべてこうした形なので、逆に言えば雇用改善も、この共働き世帯の増加によって成し遂げられている部分がほとんどとみられます。

労働力調査でよりはっきりしますが、15〜64歳の就業者は男性33万人減、女性3万人増、65歳以上は男性21万人増、女性24万人増。女性は年齢問わず増加する一方、男性は高齢者の就労が目立つ。ほとんど労働力人口の推移と、就業者の推移が同じなので、構造変化といえばその通りですが、一人一人の収入のパイが減れば、それは将来の年金不安にもつながります。またこうした高齢層の就労が増えていく事実をみて、安倍氏が1億総活躍社会と言っているのなら、日本はすでに構造的に老若男女が働かないと立ち行かない国家になっている、ということなのかもしれません。
正規職員は24万人増ですが、これは高齢層の再雇用がかなり増えた結果でしょう。非正規職員は派遣法改正をにらんだ動きか、派遣社員が20万人増となった。産業別でみると医療・福祉が36万人増と突出して多く、運輸17万人増と人材不足が顕著なところが伸び、一方で製造業、建設業、小売業が大きく減った。内需も外需も根幹のところで労働力が減っている現状は、芳しいものではありません。しかも今年度ずっと同じ傾向なので、日本は曲がり角どころか斜陽とも指摘できます。製造業の人材過剰は、設備の過剰とも直結し易く、設備投資計画すらままならないからです

有効求人倍率が1.23と前月に比べて0.02pt上昇です。しかし有効求職者は前年同月比4.9%減、有効求人数は5.9%増、つまり人が減っているから改善にみえる、というこれまでの流れの中にあります。黒田日銀総裁が「完全雇用と言ってもいい状態なのに、賃金が上がらない」と賃上げ要請ともとれる発言をしましたが、今は国内だけでなく国外の状況もみて賃金を決めています。日本で労働人口が減り、賃上げするようなら海外に工場を移す。賃上げして競争力を減らすより、そうした選択に傾き易いのです。社会構造の変化を読み解けない、そんな総裁では心許ない。政策まで間違った認識で打たれるかもしれない、との懸念を想起させるものとなっています。
米9月雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数が14.2万人と、市場予想を大幅に下回りました。時間当たり賃金、製造業労働時間も小幅ですが減少し、ここに中国減速の陰がじわりと襲っているなら、やや問題の根は深くなるのでしょう。中国減速は、中国の過剰設備、過剰生産のみならず、世界全体もそれに対応した規模にしていたのですから、過剰設備、過剰生産に陥り易いともいえます。勿論、中国でもっとも悪影響になることは確実としても、日米ともやや気になる数字が出始めてきた8、9月の指標、どこまで拡がるか注視しておいた方がよいレベルなのでしょうね。


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2015年10月01日

9月日銀短観について

9月日銀短観が発表されました。現状判断DIが大企業製造業で12(-3)、大企業非製造業で25(+2)、中小企業製造業で0(0)、中小企業非製造業で3(-1)。先行き判断DIは同じ並びで10(-2)、19(-6)、-2(-2)、1(-2)となります。メディアは少しでもよい箇所をみつけようと、大企業非製造業の25がバブル期以来、などと報じます。しかしバブルの兆候がみられる建設、不動産、中国人の爆買いがつづく小売も好調ですが、対個人サービスが現状判断DIで35(11)、先行き判断DIで23(-11)となり、これが現状判断DIの押し上げに大きく寄与したのであって、特殊要因にすぎません。
しかし製造業は深刻です。自動車が現状で+3という点は一安心ですが、先行きは-3。しかもVWの影響は考慮されていない時期に統計がとられているため、先行きはもっと悪化する可能性があります。ハイブリッドやプラグインが得意な日本車はVWが失速すれば有利、などともされますが、長期でみればそうでも、短期では自動車不審が販売にも影響するはずですし、VWから日本車がシェアを奪えるかは分かりません。原油安で、米国では大型車が売れており、日本車が伸びているわけではない。それより株安など、逆資産効果が意識される水準まで来ています。欧州経済の崩れも意識され、中国ともども世界経済に不安の中で高額消費がどこまで伸びるかは予断を許しません。

短観で気になるのは、仕入れ価格の現状判断DIが大企業製造業で4、非製造業で13と上昇を見込むのに、販売価格判断DIが製造業-7、非製造業4と、仕入れ価格の上昇に追いついていない。これは強烈なデフレマインドが働いており、価格転嫁できない状態であることを示します。これは企業の経常利益の判断にも影響しており、今年下期は軒並みマイナスの修正率を示します。世界経済の混乱というばかりでない、国内のデフレ圧力が企業収益にも影響を与えはじめたのでしょう。
中国の国家統計局発表の9月PMI速報値は49.8でしたが、財新の9月PMI確報値は47.2となり、好感されました。財新は英民間調査会社のもので信頼度も高いとされますが、速報値を小幅に上回ったとはいえ、8月確報値47.3より小幅に下がっており、決して楽観できる数字ではありません。

今日の株式市場は、本田内閣官房参与による海外紙への発言、自民党・山本氏、岩田元日銀副総裁など、安倍ノミクス旗振り役らによる一斉、追加緩和、補正予算による景気刺激策発言などがあり、2日大幅続伸しています。一斉に行ったのですから、市場を動かす気満々の戦略的行動ですし、相変わらず日本株が大幅上昇するときは、日系の証券会社が先物買いの上位に並ぶ、いつものパターンとなっています。要するに仕組まれた上昇であって、これは安倍氏の講演以来、上昇させようとする強烈な官製エネルギーによる上昇とみて、ほぼ間違いないのでしょう。
しかし外国人投資家の動きは鈍く、追随する動きはない。市場で7割のボリュームを占める外国人投資家がそっぽを向いているので、この日系の証券会社が堪らず反対売買をすると、一気に下げるということをくり返します。市場の2倍の動きをするETFも上場されていますが、まさに市場を2倍以上、大きく上下動させる原因、ボラタイルな展開をつくっているのは、日系の証券会社なのです。そしてそんな展開が、市場を敬遠する遠因ともなっているのですから、始末におえません。口先では上昇を促しつつ、手癖の悪さからそうした効果を相殺する。手も口も大体悪いコトをする慣用句になり易い。今の安倍ノミクスの旗振り役たちは口八丁手八丁ではなく、割ったり、後ろに回ったりすると困るようなことをしている、ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |