2015年11月

2015年11月30日

雑感。省庁、日銀の来年の計画?

経産省が核燃料サイクルの見直し案として、事業を監督する認可法人を新たにつくるとしました。しかも再処理とMOX燃料への加工費を、電力会社に支払いを義務づける、とします。しかし肝心の原発は動いているものが少なく、また活断層などの問題もあって動かせないものもある。上記の前提は、あくまで原発が動き、MOX燃料をつかうことです。日本原燃という組織、もんじゅ、それらを維持するために法的拘束力をかけ、電力会社に負担を押し付けるなら、それは利用する国民の負担として跳ね返ります。大事なことは、原子力事業サイクルがすでに頓挫し、MOX燃料も、プルトニウムも使い道がない。そのとき、将来的な計画をどうするのか? ということです。小手先ではなく、抜本的に何かを変えないといけない段階まで来ているのです。

農水省が来年度の米の生産数量の目標を8万トン減らし、743万トンにします。価格安定が理由としますが、TPPが始まれば有無を言わさず外国産の米がより多く入ってくる。自ら競争力を落として、自由競争に晒す気か? そもそも減反政策は見直しではなかったのか? ユニセフがマンスリー・サポート・プログラムとして、アフリカの子供たちの栄養不足を賄うため、募金をつのっていますが、日本でつくったお米、余った分を寄付すればかなりの額になるはずです。また、強い農業をめざす安倍政権ですから、お米を輸出産業として成長させる、といった戦略ともなれば、生産は減らすどころか増やす、という話にもなるはずです。お米だけ『強い農業』から洩れるのだとすれば、今後もますます弱体化がすすんでいくことにもなるのでしょう。

日銀の黒田総裁が、講演で「必要があればいつでも躊躇なく政策を調整する」と、4回もくり返したことが話題です。物価2%の達成時期を2016年後半と半年先送りしましたが、どう考えても黒田氏が「必要」とするのは、消費税再増税にむけた地均しのタイミングでしょ? という認識が高まっており、しかも今回「調整」としたことで、大きな追加緩和はない、と見られています。金融緩和が長期化してしまったことで、すでに日銀の資産はふくらみ、元にもどすことすら困難。ここからさらにペースを上げれば、出口どころか泥沼化する恐れすらあります。「調整」の幅は残り少なく、「できることは何でもやる」の「できること」も、ほとんどない状態です。

年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が、7-9月期の運用実績は7.9兆円減、収益率は-5.59%と発表しました。民間試算より若干よかったのですが、大きな損失です。気になるのは、6月末から9月末にかけて、小幅に円高になった。つまり外国株式のもち分が見かけより下がった。円安のときに買い向かう、ということをしたため、今以上に円高になると為替差損が大きくなってしまうのです。また国内株式では、2万円以上でクジラが大きく潮を噴き上げていた分、下落幅も大きくなった。これは株式の購入時の価値からみると、ずっとマイナス寄与するものですが、年金などは9月末で一旦リセットする、といった計算方法なので、10-12月期は回復、とするのでしょう。しかし今日も中国不安が直撃したように、世界経済が不穏な中、株式などの資産を増やした判断、そのものが正しかったのか? という視点も必要となってくるのでしょう。

国の態度、方向性について年末の折、色々とでてきますが、総じて言えるのはすでに仕組みが破綻しているものを、何とか辻褄あわせをしようとする態度が目立つ、ということです。辻は、縫い目が十字に合うところ、褄は、着物の裾の左右があうところ、です。日本はそれが合わなくなっているのですから、着心地が悪い国、居心地の悪い国になった、ということなのでしょうね。

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2015年11月29日

雑感。金、原油市場の落ち着き

最近少し気になっているのが、トルコによる露軍機撃墜など、世界が不安に陥ってもおかしくない局面で、金市場、原油市場がほとんど反応しないことです。為替ではよく安全通貨として円が買われる、などとも言われますが、金も原油も、資源価格もまったく動きません。逆に、株式市場の下落の理由として「リスク資産としての株売り…」などという説明をする人もいますが、それだと株式市場だけ織りこんだ、という不可解な事態になってしまいます。
日本の株式市場は、日米合弁系の動きが止まり、急速に上値の重い展開となりました。これが感謝祭に伴う休暇によるものか、それとも手もちの弾を撃ち尽くしたせいなのか、どちらかによって相場の読みは大きく異なります。さすがに円売り、株買いのセットだったことと、一度に大きな売買だったため、後者であるとの見方も多く、ここ元の動きにも勢いのなさを感じさせます。

日経平均はここ最近、12月の成績が突出してよく、ほぼ下落がない。しかし逆にみると、10、11月は弱含むことが多くて、その反動という面も大きかった。今年はこのままいけば10、11月はプラスで終わります。この水準で、さらに上値をめざすという動きになると、来年の増益を信じたものとなるはずですが、よほど強気のアナリスト以外、来年は増益基調が鈍るとの見通しです。
これは為替相場の見方が分かれていて、来年は1$で130円に近づく、という人は強気、110円に近づく、という人は弱気、との見立てが多い。結局、円安頼みという構図です。ただ気になるのが、来年の世界経済の見立てに関して、あまり言及がない点は気がかりです。何となくどこも破綻することも、世界経済に激震が走ることもなく、平穏無事な中で円安に向かう、ということなのか? 

しかし中国は都市部の不動産が高値で推移する一方、株価は急落するなど、相変わらず官製相場の賞味期限切れが大きな要因となって、変動を大きくします。これまでも力技で不穏な動きをねじ伏せてきた中国ですが、今年おきた変動は必ず来年、もう一度振幅を大きくして襲うでしょう。来年は中国にとって、最大の変化の年になるはずです。いい意味でも、悪い意味でも。
それは日本も同じ、官製相場の賞味期限切れ、という問題が襲います。日銀が追加緩和を決めても、年金、郵貯、かんぽなどの買いが止まり、買い方不在の状況に陥る。そこに来て国内はマイナス成長、まさに頼るところは円安しかないのです。まさに正念場、逆にここ年末高になどなれば、来年は一気に下落傾向が鮮明となり、それはバブル崩壊後の1989年の株価の動きと似るのかもしれません。規模は半分程度ですが、下支えをする要因が何もないからです。

「供給は需要をうみだす」といったのは古典経済学者のジャン=バティスト・セイです。しかし今、中国は生産過剰という製品の供給問題を、日本は日銀の金融緩和というマネーの供給問題を抱えます。それでも、需要は何も生まれていない。中国はバブルの状況を脱しきれず、日本もデフレを脱しきれていません。残念ながら、2016年は難民問題という人の供給問題、軍事傾斜という政治による扇動の供給問題など、様々な問題が立ちはだかっているというのが、現在の見立てです。
もし金価格、原油価格が、実体経済の悪化を映して、たとえ危機の増幅などの懸念に陥ったとしても、価格が動かず低迷したまま、というのであるなら、実は供給サイドである資源価格がもっとも冷静に今の状態をみている、という見方もできてしまうのでしょうね。

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2015年11月28日

安倍首相の焦りか?

民主党、小見山議員が政治資金でRIZAPに通っていた、といった問題がもち上がっています。「肉体をしぼる体験で、スポーツをしている人と身近になれ、スポーツ振興に…」といった説明は意味不明ですが、健康増進や見栄えをよくする、といったことは政治家にも必要でしょう。ただRIZAPはエステなどと比べても高額で、公費で賄うのは倫理的に問題もあります。しかし間違えてはいけないのが、安倍政権の閣僚にもち上がっているような政治資金規正法や、公選法違反を疑われる事例とちがって、大騒ぎする問題でもない。右系のメディアは大きく取り上げますが、倫理上の問題であれば有権者が一票を投じるときに、その可否について判断すればよい話です。
読売、産経に特定の人間を名指しして批判する意見広告を載せた「放送法遵守を求める視聴者の会」が、記者会見を行っています。要するに、安保法制に関して批判的な報道が多く、偏向している、という意見ですが、当時の世論が9割反対、1割賛成であるなら、わざわざ1割の賛成意見を、時間を割いて報じなければ偏向になるのか? 逆に、安倍首相や安倍政権の閣僚が説明した映像を流したら、その分の反対意見を流さないとおかしい、ということにすらなりかねません。TPPの反対意見だって、取り上げるメディアは少ない。最大の問題は「偏向報道だ!」と騒ぐ人間ほど、思想が偏向している、ということです。賛成意見だろと、反対意見だろうと、両論が併記されていれば特に問題はありません。それこそ報じ方、その多寡は色々とあるでしょうが「偏向している」とまでは通常言いません。自分の意見が偏向してしまっているから、それに準じないものは「偏向している」と騒ぎたくなる。しかも、ご丁寧に仲良しの保守系メディアのみ広告を打つ、という内弁慶ぶりは、共通した行動原理をそこに垣間見せています。

しかしこの動きの意味するところは、安倍政権の焦り、保守系の焦りが背景にあります。最近、携帯電話料金の話にしろ、1億総活躍の緊急対策の細かな数字にしろ、安倍政権のツルの一声で、見直しの会議が開かれたり、数字が変わったりします。人は焦ってくると、何かをしなければ…という強迫観念にかられる。安倍氏もそんな状態に陥っており、それを感じた保守系の人間が、意見広告などの行動に出た、というのがここのところの動きになるのでしょう。
安倍氏が会長の超党派議連「創生日本」の会合で、「占領時の仕組みを変える」と憲法改正に意欲をみせたとされます。しかし変えた後が「属国扱い」では、何のためにそうするのか? まったく理解できなくなります。占領時の仕組みで、もっとも変えなければいけないのは、米従属型の政治であって、憲法は二の次、三の次です。押しつけられた、と騒ぐのなら、未だにそれが変わっていない現状の方をまず変えるべきであって、それができない人間が改憲を殊更に取り上げても、誰にも響かないのです。

安倍政権の焦りは、一部週刊誌で報じられた体調問題、政権内の内紛問題など、内情を良く知る人間のリークがあるためでは? とも語られます。つまり獅子身中の虫がいる。今は財務省を疑っているようですが、官邸内でも安心して過ごすことができない。それがまたストレスとなり、余計に口出ししたくなるのでしょう。その心理は、予算委の質疑でヤジをとばすのと同じです。
「ツルは昔クビナガドリと言われていたが、あるときツーと飛んできてルと止まった。だからツルになった」は落語です。実際は、鳴き声が「ツー、ツー」と聞こえたところからのようです。これは犬と同じで、犬の鳴き声は、今では「ワン、ワン」ですが、昔の人は「イン、イン」と聞こえたから犬となった、という説もあるのです。耳が違えば、動物の鳴き声も違って聞こえる、というのは外国人の聞く動物の鳴き声が、日本人ではまったく理解できないのと同じなのでしょう。「ワン」でも「ツー」でも良いのですが、誰かの意見は、聞く人によってはまったく受け取り方が違う。むしろ違って当然で、私にはこう聞こえた、と言って騒ぐような人間に正当性はありません。ツルの一声を連発する安倍氏、そのクビが長くなくなってきた、ということの焦りなら、その一声を聞く側への聞こえ方も違ってきた、ということになるのでしょうね。

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2015年11月27日

10月経済指標の危機的状況

厚労省発表の10月一般職業紹介状況、月間有効求職者数が前年同月比6.0%減、新規求職申込件数も4.0%減、求人数は4.9%増で、有効求人倍率も1.24倍となっています。しかし就職件数は8.2%減、求職が減って求人が増えているのに、就職が決まらない。では業種別に傾向をみてみると、意外なことが分かります。建設業は前年同月比0.1%減、人手不足が懸念されていた業種の求人は、実は減っているのです。製造業では業務用機器、情報機器、輸送用機器などが減っている。業績好調、とみられている業種の求人が減っています。代わって32.5%増と、突出して増えたのは公務員です。
外務省が、海外情報分析官をとんでもなく厳しい条件で、薄給で求人をかけたことが話題ですが、実はこうした求人の嵩上げが、数字を押し上げているのではないか? もしくは最近の記事でも取り上げたように、国が…国が…という施策が続々もりこまれ、官の肥大化により中途採用を増やす、ということか? いずれにしろ就職が決まらないのは、こうした条件設定のおかしな求職がまぎれているのかも知れず、額面どおりに数字をうけとるのは危険なのかもしれません。

総務省発表の10月労働力調査は、完全失業率が3.1%に低下していますが、製造業、農林業、建設業、運輸業、卸売業、小売業が軒並み就業者数を減らした。モノをつくり、運び、売るといった基本の産業が数を減らし、サービス業が大きく伸びたのです。輸出で外貨を稼ぐ、といった方向性とも異なります。これは医療、福祉、教育や学術研究などを除き、インバウンド消費で稼ぐ、といった傾向を顕著に示すのでしょう。宿泊や飲食の伸びが高まっています。
この傾向は、家計調査からも読み解けます。実質の実収入は前年同月比0.9%減、名目でも0.6%減と、労働環境がいいはずなのに、賃金の低下傾向が拡大してきた。それを映すよう消費支出は2.4%減、前月比でも0.7%減で、下落傾向がつづくのです。消費の内訳をみても食費、住居、家具などは伸びる一方、その他の項目は総じて減った。教育や娯楽など、節約傾向がより強まっています。しかし10月の小売の売上高は、百貨店、スーパーマーケット、コンビニを含めて2%以上は増えている。これに、統計上問題がある、との指摘もありますが、私はそう考えません。これはインバウンド消費が、家計調査では現れないから、というのが実体だとみています。

最近の海外旅行客は、九州や北海道など、より地方へ分散しています。都市部では百貨店で爆買いといった形ですが、地方では観光も含む。バスで移動するとき、パーキングエリアとなるのが、地方では大型のスーパーやコンビニになるのです。地方のそうした店舗は駐車場も広く、バスやトラックも止められる。単にトイレを借りるだけではなく、飲み物や食べ物、スーパーでは土産物を買ったりもするでしょう。その効果が、小売の売上高の堅調さに表れているのです。
日本は今、就業者が増えているにも関わらず賃金が、上がらないどころか下がっている、という危機的状況です。この問題をどのメディアもとり上げないことも、すでに異常事態ですが、雇用増と同時に賃下げが起こっているのは、どこかに歪みがあるためなのです。その歪みの解消を、時間軸で成し遂げるのなら、その間の損失を大きくするでしょう。今、インバウンド消費が消えたら、それこそ日本は立ち行かなくなる。米国では感謝祭、ブラックフライデーが始まりましたが、日本では消費が壊滅的に低迷する、ダークフライデーの状況になっているのです。

そんなとき、補正予算ででてきたのが低年金者への3万円支給、という一過性のただのバラマキです。選挙対策に余念がなく、バラマキ策ばかりを並べ、上記したような国家の危機的状況を解決するための施策には、一向に手をつける様子すらない。仮に円が100円台になっただけで、深刻な状況が露呈するかもしれないのに、です。最近の株高も、外国人投資家がドル買い、円売りを仕掛けていて、その堪りすぎたポジションの解消に向かうかもしれない、といった観測もあります。経済指標の不整合、などと麻生財務相が指摘する前に、数字に含まれる真の意味にすら気づけないようなら、政治家、官僚の無能ぶりが日本を破綻させる、といったことが現実味を帯びてくるのでしょうね。

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2015年11月26日

雑感。1億総活躍の緊急対策

昨日、最高裁による昨年の衆院選、一票の格差について『違憲状態』の判決がでました。政治が小手先で、少しいじっただけで押し通してしまう、その状態に最高裁ももう呆れている様子がうかがえます。最高裁判事の2人が合憲の判断を下していますが、法曹界の安倍応援団。2人が違憲無効の判断を下していますが、法曹界の反安倍。残りが中間派で『違憲状態』が多数なら、国民の大多数も『違憲状態』と考えていても、何の不思議もありません。政治からの改革は無理、という弁護士の意見もありますが、政治の自浄作用が期待できない点で、問題を感じます。

官民対話で、榊原経団連会長が昨年以上の賃上げを、会員企業に要求して行くと表明しました。元々、榊原氏は安倍氏と近く、経済界としては米倉前会長時代に崩れた安倍政権との関係改善を狙って会長に就任した経緯があります。ただ、今は経団連と榊原氏との距離が開いています。
1億総活躍緊急対策では、最低賃金を3%ずつ上乗せして1000円にする、と打ち出されますが、現在798円ですから1000円までは大雑把に80年ぐらいかかる計算です。しかも、経済成長を超える賃金上昇率ですから、余計にバイトを雇わず、少ない人間で回すブラックバイトの問題が拡大するかもしれません。さらに今年、夏季ボーナスを出し渋ったように、企業は決して儲けているところばかりではない。輸出産業偏重、大企業偏重の傾向が強まっており、それを無理やり国内産業に適用すれば、中小零細企業にはしわ寄せがいき、倒産する企業が増えるのかもしれません。

設備投資を30年度に80兆円、と10兆円上積みする案にしても、経済成長がセットにない中で数字だけを飾った。50万人分の保育サービス、48万人分の介護サービスの受け皿、というのも同じ。数字が踊るだけで、具体策が何もない。保育士や介護従事者の待遇を上げるなら可能かもしれませんが、そうなれば福祉関連の予算は跳ね上がります。全く計画性、実現性が感じられないのです。
所得分配政策は、民主党政権時代に逆戻り、との指摘もあります。企業には負担感が圧し掛かり、株価が低迷した。それと同じ時代になった、との認識が拡がりつつあるのです。さらにそのときより統制型経済の側面が強まった、との指摘もあります。賃上げ要請、設備投資要請など、能力も責任もない政治家による経済介入が招くのは、誤った経済による国家破綻への道です。

『1億総活躍』は『1・悪・葬・害・厄』だという人もいます。直前で数字目標を上積みするような、見通しもなく思いつきで政策をうつ人物が、それこそ目標だけ、見栄えをよくすることに躍起となり、中身はすかすかで具体策ももっていない。それこそ数字を辻褄あわせするだけで、国民にとってよいことなど一つもないような状態です。これまでは見かけ上、株価も上がって何となく経済は好調、とみられてきましたが、所得再分配政策をこれだけ打ち出せば、企業業績にも影響してくるでしょう。多少売上げが上がるぐらいではカバーし切れないことになりそうです。
もう一つ『1億総活躍』が『国民総活躍』でないのは、資本金が1億円以上の企業に恩恵があるから、などとも揶揄されます。国民全体にとって、決してメリットばかりでない策が続々と並び、将来的には財政負担がどれほど膨らむのか分からない。春先に米議会で「経済成長分を軍事費に回す」などと、とんでもない約束をしてきたから、国民全員が頑張ってくれないと、その約束を達成できない。だから『国民総動員』という言葉を『1億総活躍』と言い換えているだけなら、安倍政権は存在自体が『違憲状態』という状況になりつつあるのでしょうね。

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2015年11月25日

TPP政策大綱について

かつての村上ファンド、村上世彰氏に対して、相場操縦の疑いで証券取引等監視委員会が強制調査にのりだしました。詳細は不明ですが、株価を強引に下げ、水準ブレイクに伴う換金売りを引き出させて儲ける形を一歩すすめた、とも噂されます。株価が下がったところで今度は自分たちが買いを溜める。短期と長期で、両方で儲けを出せるとしますが、それが成功するためには、株式保有の状況について、かなり精緻に知っておかなければならず、そうでなければまず成功しません。大口の対抗組織がいない、という前提が必要だからです。まだ手口について、詳細には分かっていませんが、この噂が真実なら、もの言う株主が、どこかから情報をもらっていた可能性、モノをもらっていたことが、監視委員会に目をつけられた原因なのかもしれません。

安倍政権がTPP政策大綱を決定しました。「TPPのメリットを最大限生かし、強い経済をめざす」として『新輸出大国』を掲げます。しかし何度も指摘しますが、関税障壁がなくなれば、人件費や税金などの固定費負担の少ない国へ、工場を移転した方が企業にとってメリットがあります。先進国より、新興国側にメリットが大きいもので、日本にはデメリットの方が多いのです。
そんな大綱の中に、中堅・中小企業の60%が海外市場の販路開拓などの成果、としますが、販路どころか工場を移転していまうのが手っとり早い。官民連携組織を設置し、窓口利用者の60%に満足感、などはそもそも海外進出に成功しそうな企業を選別し、窓口へ誘導する。そうでない企業は入り口にすら立てない、という事態が想定されます。円借款手続きの迅速化で30兆円のインフラ輸出、などはインドネシア高速鉄道の失注などをみても、決して楽観できる環境にない。さらに国内企業にはドル調達コストの上昇が、今後どれぐらいつづくか? それによっては海外展開へのハードルも高くなるのであり、円の信任が今後も大きく影響するのが確実です。

米の無関税輸入枠の設定に伴う、国が備蓄米として同量買い入れる、など結局は国が損をかぶっているだけです。備蓄米は、一時期不作のときに活用といった話もありましたが、一部はカビが生えていて廃棄せざるを得なかった。さらに一部は、米菓子メーカーとの不透明な取引で備蓄量を調整している、といった実態もある。今以上に備蓄米を増やすことは、不作などへの対応ではなく、単なる農家への補填であって、褒められた話ではないばかりか、入ってくるお米の価格が日本のお米より低ければ、競争になったときは常に負け、といったことにしかならないのです。
牛・豚肉業者への赤字補填の増額など、これもバラマキであって、決して『強い農業』をめざす施策とは思えません。結局、新輸出大国どころか、この大綱で謳っているのは新保護大国に過ぎないのです。国家が手伝って、海外に販路を増やす。国がかなりの量を買い上げる、国が赤字を補填する。国が…、国が…、というばかりで、これは官僚にとってはおいしい、官製ビジネスの拡大しか感じさせないのです。逆に、こんな大綱では、TPPはデメリットでしかありません。強い経済どころか、自立できない弱体化した産業ばかりが国内に増えるなら、これは官がより強く関与することによる強烈な官僚社会、新腐敗大国への扉をひらく、ともいえるのかもしれませんね。

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2015年11月24日

賃上げ3%? とD-SIBs

トルコが露軍の爆撃機を、撃墜しました。トルコ軍、露軍の言い分は食い違いますが、恐らく最近の露軍の傾向からして、領空侵犯をしたことはほぼ間違いないのでしょう。その心根は定かでありませんが、あわよくばトルコの軍事施設をチェックする、との思惑もあるのかもしれません。仮に露国の思惑通り、シリアでアサド政権が存続できたとしても、トルコから支援をうけた反政府武装組織が生き残っていては、露国としても面白くない。国境付近のトルコ軍の軍備を知っておくことは、将来的にも必要です。どさくさにまぎれた行動をやり過ぎ、撃てるはずがないと高をくくっていたところ、トルコ軍の逆鱗に触れて撃墜、というのが想定されるシナリオです。
露国としては、ISILとの戦闘で突出したくない、との思惑とともに、戦後のシリアの処理にも関わるためには、ここで席を立つこともできない。内心、腸が煮えくり返る思いでしょうが、大人の対応をしているのはそのためです。双方、遺恨を残す形で、表面上は何ごともなかったかのように、共闘の議論がすすむことでしょう。むしろISILがいなくなったら、その火種に点火するのかもしれません。クリミアへの送電の鉄塔がテロ組織とみられる攻撃で倒されましたが、国内に多くの火種を抱える露国にとって、次々と敵をみつける外交戦術は、もう止まらないのかもしれません。

最近、安倍首相や経済閣僚から賃上げ3%という目標が掲げられます。賃金は企業が決めるもので、単なる期待値にすぎませんし、命令権もないのに具体的な数字をかかげ、それをメディアで公表するなど論外です。安倍ノミクス失敗が囁かれる中、それぐらいの上昇率を維持しないと、国内経済が支えられない、という単なる責任の擦りつけであることも問題と考えます。
10月のコンビニ売上高は2.5%増、スーパーマーケット販売額は2.8%増、百貨店売上げも好調、と一見すると小売は堅調にみえます。しかし生鮮食品は2%の物価高であるため、実質的には大きく落ちこんだ昨年もあり、中々消費がもどっていない、というのが現状です。インバウンド消費も11月になると、やや沈静化しているとみられることからも、ここからは正念場です。

そんな中、金融庁が国内のシステム上重要な機関(D-SIBs)、として野村HD、大和證券G、三井住友TH、農林中央金庫の4つを選定する方針と伝わります。これは国際的な金融安定理事会が選定するG-SIBsとして、日本では3メガバンクが選定されていますが、国内でもバーゼル靴鯏用する、そのための4行の選定です。これに選定されると、自己資本比率の上積みを求められ、金融ショックがおこっても健全性を保てるようになる、というための制度です。
しかし上積み幅は0.5%とも伝わりますので、これで健全性を保てる、とはとても思えません。リーマンショックのような事態となれば、グローバルなシステムが停止し、安全とされる自己資本でさえ毀損する恐れがある。今や国債とて不安定化し、安全投資とは言えない時代です。結局、金融システムが健全さを保てるかどうかは、国というシステムが健全かどうかがカギなのですが、そこに日本は不安がある。それは円の価値という意味でも同じです。安倍政権ではまったく財政再建がすすまず、また成長してもプライマリーバランスが改善する見通しが立たない。いくら金融機関に健全性を求めても、隗より始めよ、でなければ誰も従いません。

もし賃金が3%上がっても、インフレ率が2%に達すればたかだか1%の上積みでしかありません。しかも消費税増税が自動的に2%、のるのであれば、その時点で実質賃金がマイナスにしかならないのです。それで消費が活発化する、などは暴論にすぎないのでしょう。失敗のツケ、一生懸命それを他人に穴埋めして、ともちかけますが、誰も響かない。D-SIBsで国内の健全性を保とうとしても、仮に漢字を当てるとしたら『出-渋s』、『出し渋り』となるのが皮肉なのでしょうね。

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2015年11月23日

大阪W選挙について

大阪W選挙の結果、意外なほどの大差がついておおさか維新がW当選を果たしました。今回で判明したのは、自民が考えている以上に不人気、ということです。反大阪維新として共産、民主まで自民候補にのる選挙でしたが、肝心の自民支持層がもっとも自民候補に投票した割合が低い。支持層を固めきれていない、そんな致命的な事態が、今回明らかになったのです。
国政では安倍ノミクスの失敗もありますが、このW選挙で大きいのは、大阪府民、大阪市民に夢のある提案がまったくされなかった。大阪維新を否定するだけで、自分たちの政策がないのですから、大阪維新は嫌、という理由だけで票を集めるしかなく、積極的な支持にはならない。しかも大阪維新は元々、自民系の議員が多いことからも、心情的に自民支持者も大阪維新に投票し易い。大阪の自民勢力は、ほぼ壊滅に近いほどの影響を意識させたのが今回です。

しかし大阪維新も今回、大きく傷を負いました。維新の党との訴訟合戦を匂わす発言など、国政では野党共闘路線には乗れなくなった。しかもこうした劇場型の選挙、特に悪役であっても声の大きい方がウケがいい、というのは大阪に限ったことで、全国的にみれば評判が悪い。より地方政党としての色を濃くすることとなりました。これは橋下氏が国政に進出しても、同じでしょう。味方ならいい顔をしますが、敵と看做されると罵声を浴びせられ、弁護士の肩書きをつかって訴訟すらされかねない。悪徳弁護士そのままで、こういう人物、組織とは関わらない方が身のため、そんな意識が強く働きます。つまり橋下氏に全権委任して、唯々諾々とその意向をうけいれるぐらいの人物、組織でないと、橋下氏にはもう関わりたくない、と思わせたのです。
しかも、大阪都構想に弾み、などとも語られますが、そうは上手くいかないでしょう。そもそも、今回は棄権した人でも、都構想の住民投票だと反対票を投じる人もいる。今回、大阪維新は『都構想』を掲げましたが、自民候補が掲げたのは『大阪維新府政、市政へのNO』であり、都構想反対ではありません。つまり論点がずれており、大阪維新の側から新しい都構想でも提案され、それが受け入れられない限り、改めて反対が上回る、という事態すらも想定されます。

安倍官邸は、橋下維新との連携を目論んでいる、とされますが、恐らく橋下氏が仮に国政に進出しても、橋下維新の票は伸びないでしょう。それは国政政党の名前が『おおさか維新の会』だからです。今回の件をみても、大阪には独自の価値基準がある、と知れました。逆に、大阪に日本を牛耳って欲しくない、という意識がそこはかとなく全国で湧くことでしょう。国政で、全国区を目指すなら、まず『おおさか維新の会』などという地域政党を意識させる名前は論外で、この時点でセンスを感じさせません。参院選までに名前を変えるのか? その辺りから『おおさか維新の会』の動きははじまる、といってもよいのでしょう。
しかも、おおさか維新はより安倍官邸との協調路線にすすまざるを得ませんから、支持層はバッティングします。大阪で自民が失う議席を、維新が補うことができるでしょうが、全国区になって自民と維新が仲良く分け合う、という構図は考え難いのです。恐らく自民党内では、安倍政権の間に、おおさか維新との合併をすすめ、安倍政権退陣後に自民党大阪府連を懐柔し、組織力を強化したいと考えている面もあります。ただそうすることさえ、今回の橋下氏の攻撃性は否定してしまった。大阪の保守分裂とともに、公明がいないと立ち行かない自民、そうした構図がより複雑化した形で露呈したのが、今回の大阪W選挙の結果、ということでもあるのでしょうね。

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2015年11月21日

日銀と賃上げと、ドル調達コストの上昇と

日銀の白井委員が米SF連銀主催の討論会で、2%の物価目標に近づくと、家計にはそれ以上の負担感となり、受け入れがたいと感じる可能性を指摘しました。その原因として家計が収入の見通しを厳しく見積もる傾向がある、としましたが、それが現実です。日本では家計の収入は右肩下がり、厳しく見積もるどころか、現状維持さえ許されずに下がってきたのですから、厳しく見積もっても尚、家計は苦しんできました。安倍政権になってもそれは変わっていません。
日本ではエネルギー価格を含むコアCPIを重視してきましたが、世界では生鮮食料品、エネルギーを除くコアコアCPIが重視されます。というより、日本ではコアコアCPIというものが、世界ではコアCPIというのです。9月の消費者物価指数をみると、コアCPIは0.1%減であるもののコアコアCPIは0.9%増。エネルギー価格の下落が大きく影響した、ということはうかがえますが、総合では0.0%です。車や冷暖房費など、エネルギーを多くつかう人には恩恵があった一方、コアコアCPIがこれほど上昇していれば、そうでない人には負担感が増した。家計調査でみれば実質賃金が1.3%減、これで負担感が増さないはずがありません。2%の物価目標に近づくとき、家計の実質賃金が下がっているなら、見通しどころか現状の生活環境が著しく悪化していることになるのです。

最近、日銀まで企業の賃上げに期待する発言をしますが、自分たちがついてきたウソを真実にするため、そうしているに過ぎない。ある番組に、第一次安倍政権時、経済ブレーンとして携わり、未だに安倍ノミクスの理論武装を発信している某大学教授が出演していましたが、雇用が増えている、安倍ノミクスは失敗ではない、とします。さらに将来、人材不足で賃金も上がる、と。
すでに番組内で「失敗じゃない」とは言うけど、「成功」とは言わない、との指摘もありましたが、安倍ノミクス唯一の成果は『雇用』としか言えないのでしょう。しかし今は企業も、高齢者の再雇用で、知識も経験もある人材を、再契約により安価に雇えるので潤っていますが、本当に人材不足で賃金が上がって行くなら、間違いなく海外に工場を移転します。賃金が上がらないぐらい、雇用と労働人口が均衡して、はじめてその動きが止まる。今の中国におこっている危機と同じことが将来、日本にもおこるに過ぎないのです。将来賃金が上がる、といったことは夢想です。トリクルダウン理論と同じ、現実にそうしたことが起こった験しはありません。

週末、株式市場は引け間際に急騰しましたが、英系の売り方が3連休を前に手仕舞いの買いを入れたことが原因です。一見、強い相場に見えますが、買いを溜める日米合弁系の動きからしても、買いは重く、売りは軽くなっている印象です。今は楽観が支配し、悪い材料も好感してしまう環境にあるため、仕方のない面はありますが、逆回転をおこすと下押し圧力を強くするでしょう。
問題は、その逆回転する原因の一つにテロ組織による油田、製油所への攻撃も想定されることです。証券系のアナリストが、来年の市場見通しをだしていますが、好環境と述べます。しかし今年こそ円安、原油安、と新興国不安はありますが、国内としてみれば絶好の環境だった。これ以上の好環境が来年訪れるとは考えにくく、むしろ逆回転をおこす可能性の方が高いのです。

そして懸念されるのは、ドル調達コストの上昇です。有事の円買い、とはならず、パリの同時テロでも円は売られた。米利上げ局面という以上に日本は景気後退、日銀は国債を買い溜め、まったく見るべき点がない。そればかりか、安保法制を見直したため、有事になると日本にも火の粉がかかる、そんな不安も円売りの材料とされかねないことが、今回露呈したのです。そしてドル調達コストの上昇は、間違いなく企業収益にとってマイナスに働くことでしょう。1億総活躍…かつて戦前の日本が唱えたように、老若男女が総動員で国難に挑もう、というお題目にしか聞こえない。その国難を招いたのは、経済政策の失政である、ともなれば、国民には負担感ばかりが押し付けられる、という現状が今後、さらに拡大してしまうことにもなるのでしょうね。

明日は1日、お休みします。

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2015年11月20日

南シナ海への派遣検討?

安倍政権が、国連人権理事会の特別報告者の来日を延期するよう要請していたことが発覚しました。表現の自由について、特定秘密保護法による影響や、メディア関係者、市民団体に聞き取りを行うとのこと。それを「予算編成に忙しい」として断ったのです。理由になっていないことは一目瞭然。断った理由は二つ考えられ、先の「日本の女子高生の援交13%」の発言も、人は違いますが国連の特別報告者のものであり、その意趣返しだった可能性。もう一つは、特定秘密保護法が『表現の自由』の国際評価として耐えられない、と認識した上で先延ばしした可能性です。
前者なら狭量、で笑い話ですが、後者だと問題です。そもそも12月1〜8日と日程まで公表したのは、日本との合意を得た上だったはず。それを急にちゃぶ台返ししたのは、誰かが『懸念』を安倍氏か、菅氏に伝えたからに他なりません。後者ならその懸念を日本政府が認識しながら、特定秘密保護法を成立させ、改正もしていないことになるからです。最近、国際社会が安倍政権に冷たいことを察し、安保法案成立後のこのタイミングでの、更なる政権への打撃となることを恐れたのなら、この政権は国民のことを考えて政策を行っているのではない、その証しともなるのでしょう。

安倍氏は比国のアキノ大統領と会談し、防衛装備品・技術移転に関する協定をむすぶことで大筋合意しました。昨年4月に閣議決定した武器輸出の解禁に伴う措置で、まずは海自のTC90などを供与する見通しです。しかしそんな中、露軍の最新鋭戦闘機Su35が中国へ24機、2400億円で売却されます。技術の盗用を恐れて交渉が中断されていましたが、経済制裁で外貨の欲しい露国と、空軍力の強化が迫られる中国との思惑が一致した形で、合意に至ったという次第です。
このSu35は航行距離が長く、南シナ海、東シナ海での活動範囲が拡がる。そこで、安倍氏は南シナ海への自衛隊の派遣を検討する、と言い出しました。世界の警察でもない自衛隊が出ていって、何をするのか? もし仮に中国の艦船が接近航行してきたとき、どう対応するつもりなのか? 強引に航行妨害などされ、停船、検閲などという事態になったらどう対応するつもりなのか? 米軍なら威嚇射撃ぐらいして、強引にすり抜けるでしょうが、自衛隊にそれができるのか? 領海でもないところで、明確な攻撃もないうちに果たして撃てるのか? 甚だ疑問です。

苦しむ米軍、オバマ政権を助ける、というと聞こえはいいですが、どうも安倍政権は思いつきで発言し、詳細な制度設計、行動規範の策定は官僚に丸投げ、という態度が目立つ。今回とて、上記のような事態となれば、海自の掃海能力だけで逃げ切るしかない、という話です。東シナ海なら領海内での話ですが、南シナ海では段違いに対応が難しくなるのです。比国との集団的自衛権、といってみたところで、単独航行ではその限りではない。それも対応を難しくします。
経団連が就活の開始時期を、6月とすることを正式決定しました。昨年、安倍氏の思いつきで8月に変更され、その弊害が目立つことで見直す。今年など、経団連以外の中小企業が2、3月から説明会をはじめるなど、逆に長期化させてしまった。大企業が後ろ倒しされれば、大企業が決まって、その後であぶれた学生を中小企業が採用する、という順番が崩れたのが原因です。これも、どこかの誰かが「学生が勉強するはずの時間を、就活に割かれている」と『懸念』を表明したことで、こんなことを始めたのでしょう。制度設計をするとき、影響の出方を考慮できない、それは官僚がそういう事態に対して経験がない、なので何がおきるか、といったことに空想力が働かない、といった点に問題があるのです。政官の間だけで決めてしまうこと、そこに最大の『懸念』があって、危機対応においても不安しか生じさせないのでしょうね。

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2015年11月19日

日銀の現状維持

フィリピンのマニラで開かれているAPEC会合で、日米首脳会談が開かれました。米国がどこよりも長く時間を割いたのは、米外交が行き詰っているからでもあります。ISILの対応では露国と手を組みましたが、アサド政権の存続で一致したわけではないでしょう。そうなると、ISILをつぶした後はアサド政権と、反政府組織との戦争になる。新たな米露代理戦争の構図にもどるだけです。どの国もテロを恐れて突出することを避ける一方、ニワカ同盟でお茶を濁しているに過ぎません。
当初、オバマ政権は親中路線をとり、助長をゆるしてしまった。今、中国の封じこめに転じてみれば日本を巻きこんで、圧力を日米で分かち合おうとする。外交の失敗のツケを日本に押し付けるため、の友好です。会談後の記者会見で、安倍首相が語るときに厳しい目で見つめていたオバマ大統領。友人を温かく見守る、という目ではなく、余計なコトを言わないか、監視する目つきでした。この辺りに想いのすれ違いが顕著に現れます。安倍氏がぽろっと日米同盟を「利用する…」と口をすべらせましたが、こうした点、双方が利用するということだけが一致したのでしょう。

日銀が金融政策決定会合を開き、現状維持を決めました。わずかな変化としては、各種指標で予想物価上昇率が「弱含んでいる」とみとめた。また黒田総裁は16年度後半に予定通り物価が2%に達しても「もう少し緩和状態がのびても」問題ない、としました。一方で財務に影響があったとしても「追加緩和しないことはない」と、あくまで目標達成を最優先としましたが、非常に危険なことです。欧州債務危機でもそうだったように、危機とみなされればどんな対策も通用しなくなる。逆にいえば、市場に不安が生じる前に勝負を決しなければならないのに、財務への影響に懸念が出ても…という認識を総裁がもつことは、リスクに歯止めが利かないと示した形にもなります。
CPIが0%でも金融緩和の効果が出ていないということでは「全くない」と強く否定しましたが、否定せざるを得ないほど効果が出ていない、ということでもあります。すでに3年半もやって、効果が出ないものを続ける、拡大する、などという行動に正当性がないのは論を待つ必要がないほどです。さらに引当金制度の導入を公表したように、日銀は出口に向かっている、との認識を市場も強めています。もう効果がないのだから止めるべき、と考える人も多いのです。

市場関係者の間でも追加緩和のタイミングは来年の4月以降、との予想が増えています。しかしだからこそ、12月に追加緩和をすればサプライズ効果がでる、との話もあります。日銀は間違え続けているのだから、今回とて間違えないはずがない、という根拠のない話すら吹聴されるほど。今や日銀は、相場に変動を与える要因としかみられていない。仮に追加緩和をしても、以前ほどに相場を上昇させる力はなく、ふたたび円安、輸出企業の業績改善、という経路だけなら、早晩その効果が剥落することが確実です。なぜなら上積みにしかなっていない、全体へ波及しないからです。
今日の相場も、日米合弁系の強い買いで支えられる一方、朝高後に上値の重さを意識させました。中国が貸出金利を引き下げましたが、中国の景気の弱さをより強く印象づけます。米国は利上げを『米景気は強い』と好感して上昇しましたが、楽観市場だからこその解釈です。日銀が追加緩和をするようだと、今後は日本経済の弱さ、を意識させるのかもしれません。2四半期連続のマイナス成長、リセッション入りを強く意識させる日本が打つ追加緩和、今後はマイナス面を強く意識させる局面も出てくるのかもしれませんね。

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2015年11月18日

雑感。仏国の動きと国際社会

維新の党を離党した小沢鋭仁氏らが、日本を元気にする会の山田氏と、政治団体を結成しました。民主党も解党でごたごたしますが、年末にかけて新党の動きが活発化する時期でもあります。そんな中、SEALsが政治団体の届け出をしたことに対し、一部の政治家や有識者が「国際的に通用しない」と批判の声をあげます。しかし、そう批判する人が総じて「国際的に通用していない」というのも、何だか笑い話のようです。保守層にありがちですが、これが国際的な常識、と自説の正しさを主張するケースが多いですが、大抵それは米国の常識であって、国際的? という広がりは感じられません。しかも米国がそれを日本にして欲しい、というのとは、ちょっと別です。むしろ米保守系の常識を『国際的』と銘打っているに過ぎない、とすら感じます。

仏国ではテロ容疑者のアジトを急襲するなど、今日も動きがあります。航空機へ爆弾を仕掛けた、との通報で混乱するなどもみられます。テロリストが秀逸なら、例えば今回のように一方のアジトを急襲され、治安部隊が集中しているときに別の地域でテロを起こすでしょう。また航空機、列車などへの脅迫をくり返し、実は何もなかった、と狼少年とみなされたとき、初めて本当の爆弾を仕掛ける。それが最大の効果を得る形になります。テロとの戦い、簡単に言いますが、こうした徐々に、徐々にダメージが蓄積して行くようなやり方は、国にとって深刻な影響を与えます。
仏国と露国が、ISILへの攻撃で一致しました。昨日は露国が航空機の墜落をテロ攻撃とみとめましたが、両国とも警戒しているのは、自分たちがテロとの戦いの先頭に立っている、と看做されることです。テロ攻撃の対象とならないためには、陰に隠れているに限る。露仏ともその認識では一致します。いつもは先走る米国が、今回は目立たないのもそんな思惑が強いのでしょう。

経済面では、欧州など景気が減速したら追加の金融緩和や景気対策、などを織り込んで株式市場は一段高しています。しかしまだ減速するとは限らない中、景気対策をおりこむなどは明らかに先走った印象です。ECBを前にして、金融機関には資金がじゃぶじゃぶ溢れる。独国債などはすでに高すぎる。仕方なく株式に資金を流すしかなく、不景気でも株高にせざるを得ない。そんな思惑で、テロという事態にも動揺しない、些か歪んだ形で相場形成がされているようです。
日米合弁系の買いも、欧州系ヘッジファンドでは? との憶測も流れます。国際的なリバランスの流れだ、ともされますが、この日米合弁系は欧州系の金融に強いわけではなく、仮に欧州系だとすれば新規の契約を獲得したことにもなる。今ひとつすっきりした説明ではありません。ただ、今週は日銀政策決定会合が開かれ、日銀の追加緩和期待が益々遠のく、といったことになればユーロ安がすすみ、資産を海外におくことも正当化されるかもしれません。それは今のところ、もっともテロの起こりそうにない国に資産をためる、という道筋かもしれず、そうなると安倍政権がもしテロとの戦いに前向きとなれば、逃避して行くような資金なのかもしれません。

フランスの詩人、ボードレールが「パリ、今やなし」と嘆いたのは、今から約150年前のことです。当時は道路が狭く、大規模な都市計画を実行、大きくて広い道路をつくろうとすることに反発し、昔を懐かしんだときの言葉です。しかしその効果は、市民がバリケードをつくって政府に抵抗する際、軍隊による排除を容易にした。今回、大きな道路に警察車両が何台も並び、銃声が響く。「パリ、今やなし」という言葉を改めて感じます。最後にナポレオンの言葉を引用してみます。「幸福とは、人間の希望と才能にかなった仕事のある状態をいう。不幸とは、働くエネルギーをもちながら無為な状態にあることをいう」 ナポレオンは約200年前の人物ですが、この定義が正しいなら「パリ、今やその状態になし」ということが、テロをうみだす土壌にもなっているのでしょう。むしろナポレオンの定義を『国際的』に常識とすることが、必要なのかもしれませんね。

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2015年11月17日

雑感。仏国テロへの対応

株式市場の大手仕手集団を率いてきた、加藤氏が逮捕されました。今回も資金の出し手について供述を拒否するのか? 暴露すれば政界の不正マネーの摘発につながるともされますが、恐らく本人は墓場までもっていくつもりでしょう。ただ今回、家族まで逮捕されており、顧客との信義か? 父子の情か? かといって、政治家の名前をだしたところで警察にもみ消されそう…というのが実状なのかもしれません。仕手に利用されたサイト、実はネット取引が活発になったからこそ、真偽不明の情報に踊らされ易いといえます。当ブログが積極的に企業のことを取り上げないのは、こうしたサイトと誤解されたくないためで、相場全体のことは言及しても、企業に関することは不祥事など、一部にとどめるようにしています。
そんな株式市場、大幅高しましたが、昨日売ったいつもの日系の反対売買であって、今日は大人しかった日米合弁系と、主役交代のように目だっていました。以前から指摘しているように、資金の出し手、ただ儲けるためとは思えない今回の動き、その真相は依然としてナゾです。

海外では、自爆テロのことを『カミカゼ』と表現することが、少なからず日本に波紋を広げています。しかし西洋ではありがちなことで、例えばアサシンは『暗殺する』を意味しますが、元はイスラムの一派のことです。マルコ・ポーロの東方見聞録で、扇情的に描かれてその名が広まりますが、シリアのアサシン派はマムルーク王朝の手で滅ぼされ、言葉だけが残りました。
アサシンは暗殺はしても、首尾よく逃げることができればそうした。突っこんで自爆することが必然、という点がカミカゼと異なります。よく神風特攻隊は軍人しか狙わない、自爆テロは民間人、と別けても仕方ありません。アサシンとて、当時は指導者、リーダー階層しか狙っていない。それが誰でも極秘裏に殺す意味になったのは、行為そのものを重視する西洋の傾向と、無縁ではないのでしょう。表音文字による特性、といったことなのかもしれません。

仏国のオランド大統領が「戦争」と発言し、ISILに連日空爆を行っています。しかしこれが虚しく聞こえるのは、仏政府の怠慢、ミスが大きな被害につながったと見えてしまうからです。サッカー場の爆破予告はあり、ただ警備を厳重にしたため、周囲で自爆テロを起こす、といったことにつながっています。爆破予告を犯人が行ったのか? それは不明ですが、一つ一つの情報を精査してテロの封じ込めをしていたら、これほどの被害にはならなかったのかもしれません。
そしてもう一つ、テロは確かに忌むべき犯罪ですが、東京でおきた女子高生殺害も自暴自棄になり、やりたいことをやってみよう…ということで人を殺した。被害者の数、目的は異なりますが、どちらも人命を軽くあつかった重大な犯罪であり、命の軽重、多寡に関わらずに判断するなら、仏国テロも東京の事件も、無辜の民が殺されたという意味で何の違いもありません。

国が勇ましさを強調するとき、必ず裏では犠牲になる人が出ます。そして犠牲の原因が国の怠慢、ミスである場合、一体その勇ましさとは何か? 自分の失態を隠すためにそうしているのではないか? とさえ勘繰れてしまうのです。最近、仏国テロへの哀悼の意を示す、として様々な行動がみうけられますが、米国の銃乱射事件にしろ、本来であれば同じように行動することが必要なのでしょう。単に今、それをファッションのようにそれをしている点に、問題を感じます。
相場も意外な強さをみせましたが、「テロに屈しない」の合言葉で、余計に肩に力が入った印象です。ただ、テロの影響は大なり、小なり今後には影響してくることでしょう。強気の裏にみえる問題点、それをきちんと認識しておかないと、対策がみつからないということにつながるのは、如何なる事がらでも同じなのでしょうね。

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2015年11月16日

7−9月期GDPについて

日本の7-9月期GDPが発表され、実質で前期比0.2%減、年率換算で0.8%減となりました。名目でも年率0.0%増、年率換算で0.1%増と、市場予想を下回る悪化です。しかも、中身はかなり深刻で、個人消費は0.5%増ですが、前期に0.6%減したことの反動であり、かつ猛暑関連や大型連休効果もあったことから、見かけより押し上げられた印象です。また民間住宅は1.9%増ですが、マンションの杭打ち問題が深刻化する前の数字であり、今後は低迷することが予想されます。
設備投資も1.3%減、前期も1.2%減なので、2期つづけてマイナスに陥ったことになる。しかし一方で、日銀短観でも設備投資計画は2桁増がみこまれていた。もしかしたら、企業側は政府がうるさいから計画は立てるものの、計画通りに設備投資する気は初めからないのではないか? そう勘繰れるほどの鈍さです。理由は世界経済への不安、などとも語られますが、上記の推測が正しいのなら、設備投資計画を元にした推計の、ほとんどが間違いとなるのかもしれません。

輸出から輸入を差し引いた外需は0.1%増ですが、輸出は2.6%増(前期4.3%減)、輸入は1.7%増(前期2.8%減)、輸出も輸入も戻りきれない中、前期の落ちこみが大きかった輸出のもどりが目立ち、全体では増加したに過ぎません。輸入は原油安の影響もあるので、戻りの鈍さは理解できますが、輸出のもどりが鈍いのは、世界経済の減速傾向を示している。これが日本単独のことでないのなら、世界全体が不況の波に覆われつつあることを、これは示しているのかもしれません。
在庫が0.5%押し下げましたが、これは2期連続で在庫を積み増した、その反動であって、逆に見れば4-6月期のGDPは大きく押し上げたのですから、均してみると影響はないと云えます。ただし、一部の統計では7-9月期も在庫を積み上げたとみられる数字もあることから、改定値ではGDPを押し上げてくるかもしれない。ただ間違ってはいけないのが、在庫はいずれ調整されるので、消費の伸びが限定される中では今の動きはGDPの変動要因になっているだけ、に過ぎないのでしょう。

気になるのは、2014年度のGDPが0.9%減となり、2015年度も2期つづけてマイナス。テクニカルリセッション、などと恰好をつけてみても、景気後退であることは間違いなく、2年続けて、となればイイワケもできない。政府は企業側に責任をおしつけようとしていますが、臨時国会も開かず、2ヶ月も後ズレさせれば補正予算の効果がのるのは早くて4月、遅くなれば夏頃にしかならない。つまり今年度、景気後退はほぼ確実ということにもなる。政治の怠慢の方が、よほど罪が重い。
さらに国民総所得(GNI)が前期比0.4%減、年率換算で1.6%減です。日本の稼ぐ力が大きく低下している。2014年度が0.3%減だったのは、GDPの低下が大きかったのですが、2015年度に入ってからはGDPの低下に加え、海外からの実質純所得も、交易利得も減っている。日本がどうやって稼ぐのか? その手段が政治からは見えないのですから、今後も改善して行く期待がもてません。

今日の株式市場では、相変わらず日米合弁系の証券会社が、さらに大きな買いを入れてきた。より強い買いのポゼッションを構築してきました。この主体が一体いつまで買い続けるのか? 相場が下がり始めたら、大きな損失を被ることにもなり、相場変動を大きくする予感がします。日本の稼ぐ力とともに、金融市場の奇妙な動き、稼ぐ力が試される時代とも云えるのでしょうね。

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2015年11月15日

雑感。野党再編?

自民党が結党60年を迎えています。日本民主党と自由党の合併から、という歴史ですが、その綱領に「自主独立の完成」を掲げていることは、正直驚きです。むしろ小泉政権以後、安倍政権にいたっては米国従属姿勢をより強めており、自主独立どころの話ではありません。敗戦という時代背景もあって、そうした綱領になったのでしょうが、60年後の現状は逆行とも指摘できるのでしょう。
一方で、自主憲法の制定にばかり重きをおかれた報道もされますが、自主独立とは何も自分たちで憲法を改正したら、達成されるものでもない。米国からの要望書を受け入れ、それを元に政策立案をしているようでは、憲法とて米国の都合よく作り替える、という作業にしかならないのでしょう。結局それは、米国が行うことを補完する国へと、憲法で保証する国でもあります。

そんな自民党と対抗する民主党は、お家騒動が勃発しています。前原氏、細野氏が維新の江田氏と会談し、民主党を解党して新勢力をつくろう、との動きに対して、岡田執行部はそれを否定します。まず前原氏が、テレビに出演した際「共産党はシロアリ」とし、外交・安全保障は政権交代があってもそれほど変わらない、と安保法制の見直しも否定する考えを示した。つまり、国会前であれほど反対デモがあったことさえ、もうなかったことにする、という話になります。
前原氏が勘違いしているのは、共産党を支持する人もいる、それを悪し様にいうと、それらの支持を逃すことにもなるのです。つまりこれまで共産党は全選挙区に候補者を立てる、ということに拘ってきましたが、今後はそうする方針を変えようとしている。そのとき、共産支持者が前原氏の新党に投票する気になるか? この発言でそうした期待を消失させた、と言えるのです。

しかも生活の党代表の小沢氏が、民主党に加わったとき「軒先を借りて母屋をとる」思惑だった、とするなど、一体何と対立したいのか分からない。正直、これだけ狭量ぶりを見せつけられ、組織を大きくする、などと示されても、要するにおトモダチだけで固めた組織作りをして、その上に自分は君臨したい、と述べているようにしか聞こえない。結局、前原氏のかたる新党構想とは、自民党的な野党をつくる、と述べているに過ぎず、国民に選択肢を示したわけではない。自民党政権が嫌、と思っても、前原氏らの新党に投票したいと思う国民はいないでしょう。だったら自民党のままでいい、がこの60年という歴史を重ねた、自民党という政党を支えた本質です。
自民党の補完勢力になりたいのか? それなら自民党に入った方が、よほどすっきりします。自民党的な野党は、すべからく淘汰されてきた。なぜなら国民が必要性を感じないからです。しかも、少数でも国民の中にいる勢力を、切って捨てるという判断をするようなら、ますます国民全体に支持が拡がり難い、ということにもなるのでしょう。かつて『言うだけ番長』とも揶揄されましたが、この動きも今ひとつ政界に広がりが感じられないのは、実現性、将来性に疑問がもたれるためでもあるのでしょう。共産党はシロアリ、と卑下しましたが、政界再編に関しては、前原氏はシロウト、同じシロでも、こちらは白けた意味での白なのでしょう。ちなみに、日本では家の柱を食べるシロアリしかいませんが、海外では塚をつくり、枯れ草を食べて他の動物たちのエサとされることも多い、有用なシロアリがたくさんいます。国内での勢力争いばかりにかまけていると、海外、特に米国からエサにされる存在にしかならない、という意味では、自民党の補完勢力は、対米従属主義の延長ということにしかならないのでしょうね。


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2015年11月14日

仏国のテロ事件

仏国のパリで、テロ事件がありました。ISILによる犯行声明がでましたが、依然として犯行の全体像は分かりません。仏国では、情報監視に対して議論が巻き起こっており、容認論さえ出ているとされます。米英に比べ、諜報機関としての活動が乏しい仏国を狙ってのことなら、理由は分かります。そして今回が露国ではなく、仏国だった理由もやはり、KGBという諜報機関を抱えているかどうか、なのかもしれません。シャルリ・エブド襲撃と今回と、二度も国内でテロを起こしてしまった仏国、情報力の差を監視強化で埋めるなら、観光産業には大きな打撃となるでしょう。
翻って日本も、安倍政権がテロとの戦いに突入しようとしている。情報戦でもっとも劣っている国として、スパイ活動すら禁止されていない国として、狙い放題といったことにもなるでしょう。後方だろうと、金をだすだけだろうと、テロとの対決姿勢を示すことは、否応なく危険にさらされる、ということでもあるのです。しかも、問題は仮に安倍政権がテロ事件で引責辞任することになったとしても、それで幕引きとはならず、日本が狙われ続けることになる、ということです。政治家も、国民も、その覚悟があるのか? それを理解した上で、安保法制や安倍首相が中東で行った演説を支持するのか? 改めてその覚悟が問われることにもなるのでしょう。

明日からトルコで開催されるG20も、主題が世界経済の減速から、テロ対策に割かれそうです。かといって、ISILが仮につぶれたとしても、テロとの戦いは終わらない。今回の仏国テロでさえ、その分派がおこした可能性を指摘されますし、露国の航空機撃墜も、シナイ半島のISILという分派がおこしている。ISILに空爆をしても、分派までつぶせるわけではありません。それこそ一人でもテロは起こせてしまう。各地にいるテロリストを殲滅しない限り、戦いは終わらないのです。
そして、これは経済的にも重要です。まず軍事費として、各国はテロ対策費用の上積みを迫られる。情報監視、諜報機関の拡充など、予算は膨らむばかり。国内でテロがおこれば、人命が失われるばかりでなく、経済活動も止まります。フィギュアスケートの仏杯が中止されたように、国際的な大会、会議すら行えなくなる。様々な面で打撃となり、それはテロの効果としてもっともテロリストが期待するところともなるのでしょう。つまり相手国の混乱です。いくら虚勢を張り、テロと戦うといっても、政権基盤が揺らぎ、国内が不安定化する。政治的、経済的、そして軍事的な面で、テロとの戦いは不毛で、生産性のない戦いとなってしまうのでしょう。

プーチン大統領はバカなことをした…国際的に、こうした認識も定着するでしょう。すでに政権基盤の揺らぐアサド政権に肩入れしたばかりに、自国が危険にさらされるのですから。ここに来て、プーチン氏が国際共闘を訴えたのも、テロリストに狙われたくない、という小心から来ています。それは自分のみならず、自国が狙われるだけで、自身のダメージになるのですから。
日本はどうするのか? 米国に従って、その不毛な戦いに足を踏み入れるのか? 難民受け入れには消極的なのに、テロとの戦いには前向き、という人道的にもどうか? という政治判断の中で、国民に覚悟をせまったこともない。真の危険を伝えず、今のままテロとの戦いに突入すれば、大きな混乱が日本におこることでしょう。安倍ノミクスで経済を壊した安倍政権が、安全な国家というイメージまで壊してしまうのか? ここから何が起こるか、仏国のテロ事件が日本に投げかける問題は、相当に厄介で、身につまされるものとなってくるのでしょうね。

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2015年11月13日

株式市場の動き

原子力規制委が、高速増殖炉もんじゅに対する勧告文を馳文科相に手渡しましたが、当初は原規制委が手渡しを要請したものの、文科省側は局長がとりにいく形で応えた。それを馳氏がひっくり返した、という経緯だったようです。文科省が「とりに行く」としたのは、手渡しになればニュース映像となり、原子力行政についての報道が増える。それを文科省は嫌がったのでしょう。
報道ステでは、もんじゅを廃炉にすると原子力行政全体の見直しにつながる、という話もあります。もんじゅに1兆円かけても事業化のめどが立たない、とされますが、もっと大きな癌は、再処理工場はすでに数兆円かけても、事業化のめどが立っていないことです。ただし、もんじゅは独立行政法人のJAEAですが、青森の再処理工場は電事連から委託されたJNFLという民間が行っている。だから数兆円かかっても、騒がれずに済んでいますが、電事連のお金とはそもそも電気料金ですから、決して看過できるものではない。3兆円以上がムダとなるのか、それとも事業化まで後どれぐらいかかるか、本当に事業化できるか分からないまま、予算をつぎこみ続けるのか。溜まったプルトニウム同様、報じられてはマズイ話が、原子力には山積しています。しかしそれを隠蔽し、未来世代に手渡しすることは最早ゆるされない状況まで来ている、とさえ言えるのでしょう。

今日の株式市場はマイナーSQの算出日でしたが、約19500円となりました。最近、市場では米系で、日本の大手銀系列の証券会社との合弁会社による、先物一手買いが話題です。ここ2週間ほど、時折休みをはさんで、ほぼ4000枚以上の買いをみせる日も多く、それに欧州系も雑じって、ここ最近の相場の上昇、下げても切り返す、異様に強い相場が形成されている、といった状況です。
それに伴って、8月から頑張ってきた日本の大手証券系の先物の動きが、ぴたりと止まった。資金の出し手が、日系の大手から日米合弁のそちらに乗り換えた? とまで勘繰られるほどで、先物市場での主役交代となっています。しかも今回、売りがほとんどない。日系の動きは相場が意外な強さをみせる、といったイメージをコントロールするのがメインであったのに、今回は明らかに上昇相場を演出する、といった思惑がみてとれる。いつ頃その反対売買が出てくるか? がカギです。

ただし、今年に入って春先から米系大手がそうだったように、買い切りでしばらくロールオーバーをつづける、といった形もあります。反対売買をだせば、相場に大きな変動要因をつくることが確実で、さらに一段高するような、相場を待つという戦略です。ただそれにしても、ここ2週間ぐらいで大きな買いを溜める必要はなく、むしろこっそりとすすめなければ、他社から警戒される。この日米合弁系の動きは目立ちすぎですし、何より金額が大きすぎて相場に与える影響も大きい。今後、その継続性にも注目が集まり、日銀のETF買い以上のインパクトが出そうです。
その日銀、相場が急変していた10、11月にお休みしていたため、12月を余裕ある状態で迎えた。そんな日銀、引当金制度の拡充を財務相に申請しました。要するに、将来は国債価格の下落が、損失となることが確実なので今のうちに引当金を積んでおこう、という話です。制度設計はこれからですが、これは日銀が国庫に納める分が今年度から減る、ということでもあって、来年度の予算編成にも影響してくる問題となるのでしょう。来年度から円安メリットが減り、企業の収益性も悪化し、法人税の伸びも期待できない、とされる中で、さらに法人税減税が検討されている。安倍ノミクスの終わりには、必ず負の影響が拡大する。今から始まった議論には、将来世代にはとても手渡すことができない、マイナスの情報が山積している、その議論がはじまった、ということでもあるのでしょうね。

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2015年11月12日

雑感。露国ドーピングなど

9月機械受注が発表され、前月比9.5%増となりましたが、8月の14.6%減はカバーできず、7-9月を通してみると船舶・電力を除く民需で、前期比10.0%減となりました。9月は普段足をひっぱる官公需が大きく伸びており、前月比57.6%増となっています。今年度の予算が動きだしたのか、それとも企業への設備投資要請をしている中、自分たちも…となったのかは分かりませんが、外需は8月の26.1%減から、9月は4.8%増ともどりが鈍い。荒波を脱した感じはまったくしません。
10-12月期の見通しは船舶・電力を除く民需で、前期比2.9%増とでてきましたが、計画が後ろ倒しになった分が出てくるか? しかし世界経済の減速傾向は、より鮮明となってきており、中々設備投資はすすみにくい環境がつづく。中国の過剰生産の影響で、素材関連への逆風が強いのです。中国では11月11日が独身の日、としてネット小売に爆買いが集中しましたが、一度消費経済の興奮を味わうと、まるで中毒のように何でも買ってしまう。今後、懸念されるのは地方政府の破綻とともに、買い物依存による個人破綻も、中国では視野に入ってくるのかもしれません。

最近、日本では暴力団と関係のある人物などが、続々と組織から追放になっています。プロ野球の読売巨人軍の3選手、日大名誉教授、さらにJICA関係者まで。暴対法が強化され、組織としての関与を疑われる前に、怪しい人物の身辺調査をすすめる、といった流れが活発化しているのでしょう。もし所属したまま逮捕などされれば、企業、組織への強制捜査も入る。そのダメージは計り知れず、組織が自浄作用を働かそう、そんな意識が垣間見えます。
この辺り、露国のプーチン大統領の行動原理にも似ます。ドーピングを認めた上で、組織的関与はない、個人の問題、と事件の矮小化につとめている。しかしその発表が遅すぎる。指摘から反応が遅くなればなるほど、ダメージコントロールを計ったことが窺える。検査所長の辞任、独自調査などを示していますが、調査されていることは事前に把握していたでしょうから、むしろ反ドーピング委員会が厳罰を勧告する、というところを読み切れていなかったのでしょう。

露国には今、圧力をかけられ易い地合いがある。経済制裁もそうですし、再び下がり始めた原油相場、弱体化している露国を叩いても、反撃ができないとの読みです。シリアへの空爆で、強い露国を示したものの、テロによるイメージ悪化も重なる。プーチン氏がAPEC参加を見送ったのも、露国に吹く逆風、経済的にも、外交的にも、今はその戦略作りに腐心しているのでしょう。
最近、中国は破綻しないのでは? との見解が示されることも多いですが、それが与える影響はかなり深刻です。日本型のバブル崩壊後の処理をみても分かるように、破綻せずに経済を回していけば、長期にわたって処理するしかなく、長く低迷を招いてしまう。今は好調だった頃の余力で、爆買いする余裕もありますが、長期低迷となればそれも徐々に消失していくでしょう。中露はかつての怨恨も超え、経済的にむすびつきを強めてきましたが、双方の経済に暗雲がただよってきた。それは日本にも直接、間接にも影響してくる話です。資源関連はつくりすぎていて割安感を強めるものの、つくっても売れないから、つくらない。これは今の市場にも似た傾向なのでしょう。お金は中央銀行からじゃぶじゃぶ流れてくるものの、運用先がないから、借りても仕方ない。わずかなメリットを見つけ、株式市場では欧州系がここ数週間、大きく買っていますが、これはドル高、ユーロ安、円安局面において、円ユーロはフラット。ドル高円安の恩恵を受けられそう、というところで買ってみた、というのが実相です。ドルの調達コストが上がり、日本企業が悲鳴を上げている、という話もありますが、様々な市場が壊れ始めている。黒い部分を早めに切り捨てられるところが、優位に立つのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 経済

2015年11月11日

日韓首脳会談、局長級会談へ

国会では、閉会中審査が行われていますが、臨時国会は依然として開かれるか、不明の状況です。高木復興相の公選法違反の問題は、完全につんでいる状態で、どこからどうみても説明責任では足りず、公権による捜査が必要です。各メディアが確認をとっても、関係者ははっきりと高木氏の説明とは異なる証言をしているのですから、もう説明では何も解決しないのです。どちらかがウソをついている、それを物証によって確認していくしかないのです。国会が開会していないので、不逮捕特権も使えないので、公選法違反が疑われるのですから、すぐに捜査を開始しなければ証拠隠滅の恐れもある。それこそドリル小渕の二の舞になる恐れすら漂います。

日中韓首脳会談で、特に日韓首脳会談の内容が洩れ伝わります。非公開とした場の発言を、日本側が洩らしている、として韓国でも問題視されます。これは文化の違いもありますが、日本はオフレコ、として記者に語った内容も記事にされます。奇妙な話、政治家が自慢げに語ったことを記事にするかどうか? は記者の側で決める、というのが一般的なのです。会談での発言を記事にしたところはおトモダチ系ですから、恐らく気軽に話した内容でもあったのでしょう。
韓国は外交ルートを通じて抗議したようですが、外交問題になるかどうかは、双方の話し合い次第です。その会談の中身、従軍慰安婦の問題で、安倍首相は「日本国民が感じていることを疎直に言う」として、「法的な問題が決着した後も、人道的観点から色々ととりくんできた」として、ソウルの慰安婦像の撤去も含めて要求した、とされます。一方で韓国の朴大統領は「被害者が受け入れることができ、私たち国民が納得できるレベルで早期に解決」とし、思い入れをぶつけた、とされ、双方で「我々できっちり最後に」「この記念すべき年に」で納得したとされます。

これに先だち、日本では慰安婦問題をこれっきりにできるなら、政府による民間基金への賠償金の補填、首相による謝罪表明など、いくつか妥協点を準備していた、とされます。しかし勘違いしているのは、例えばこれで条件面で折り合い、安倍氏と朴氏が合意したとしても、それは朴政権下での幕引きであって、日韓の火種としては残り、解決するわけではない、ということです。
難癖など、どうにでもつけられる。金銭解決をはかっても「足りない」と言い出す。謝罪しても「気持ちがこもっていない」と言う。朴政権が退陣した後、追及される段階になると、朴政権下で決められたことは見直される。これはその同じ轍を踏むだけです。日本の政治文化が韓国と異なるように、韓国の政治文化も日本とは異なる。外交的な合意事項を、解釈により覆すことを韓国はくり返してきた。微にいり、細をうがつほど詳細につめたとしても、抜け道をさがして、また国内の人気とり政策として利用する、それが韓国の政治文化なのです。

まず問題は、韓国の教育が変わらなければ、対日感情とて変わらない。挺対協のように利権団体化しているところが問題を蒸し返し、国内の世論を盛り上げて、ふたたび外交問題としてとり上げるよう迫る。韓国国民が納得できるレベル、というのは、慰安婦一人一人に対して賠償額を上げる、ということでは済まされない。貧困に陥れば、それこそお金をもらった慰安婦さえ、妬みの目でみるのが、韓国の文化なのですから、韓国国民にお金を渡さない限り、解決は不可能です。
まず行うべきは、安易な妥協ではなく、歴史的経緯とその検証を、双方の国できちんとすり合わせること。つまり双方が、歴史を今後の外交問題としないためには、きちんと事実関係を同じくすることが大事なのです。それがなければ「我々できっちり最後に」なるはずもなく、むしろ「我々がきっちり最期に」なるような合意、になりかねない懸念をただよわすだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2015年11月10日

街角景気と、国際収支

10月景気ウォッチャー調査が発表されました。現状判断DIは48.2と、前月から0.7pt改善。家計動向は住宅、飲食が改善するなど全項目がプラス、企業動向では非製造業がマイナスになったものの、概ね好調です。ただ、特徴的な判断理由とは整合しません。『プレミアムつき商品券効果』や『10月は天候がよかった』との回答なら、本来は企業動向の、非製造業がプラスになっていなければならない。これは家計動向への回答ですが、家計の判断する良好と、企業の判断する良好は、まるで真逆です。構成比では、良くなっているが減り、やや良くなっているが大きく伸びた。全体が上向きというより、思っていたよりは良い、が本音なのかもしれません。
先行き判断DIは49.1と、前月と変わらず。家計動向ではサービス関連がマイナス、企業動向では非製造業がマイナス。こちらも構成比は良くなるが減り、やや良くなるが増えた。また特徴的な判断理由に東海地方の百貨店の「大手企業の賞与の増加で消費期待」が盛りこまれますが、明らかにトヨタの特殊要因です。現状判断DI、先行き判断DI、ともに気になる非製造業の悪化は、内需の低迷を映しているとしか思えず、また判断の別れ目ともなる50は依然として下回っていることからも、プレミアム付き商品券とインバウンド消費の効果しか感じない、といったところです。

年度上期の国際収支状況が発表され、8.7兆円の黒字と前年同期比の4.3倍です。全項目改善、と申し分ない数字ですが、中身は首を傾げます。輸出は2.8%増ですが、20%も円安になっているのですから、その割りに少ない。輸入は7.4%減少と、金額ベースでみると原油安の影響は大きいものの、原油、ガスはドル建て決済が多いため、円安効果は乗らなかった。旅行収支は過去最大の黒字ですが、円安で日本人が海外旅行をしなくなった影響もあるのでしょう。
第一次所得収支は前年同期比18.1%増ですが、年金が外国株の持ち株比率を上げたのですから、当然増えます。しかも、国内の設備投資は計画通りとはいっていませんが、対外直接投資、つまり外国企業の買収は順調に伸びている。内需の低迷は今後もつづくので、外国に打って出る、もしくは外国企業を買収し、その収益を連結として組み入れるしか、成長していく絵がつくれない。これは海外企業、外資による対内直接投資、対内株式投資などがマイナスとなっていることからも、日本を買おう、という積極的な動きは、上期においては見受けられませんでした。

今、相場は上昇していますが、楽観、悲観の強く現れる今の相場において、ECBの追加緩和や中国の景気刺激策への期待から、楽観にふれた。こうなると、アルゴリズム取引が強気とインプットされ、買いに傾き易くなる、という流れです。逆に悲観となると一気に売り込まれる動きもありますから、今の相場を『地合いが強い』とは決していえないのでしょう。今の市場をさすなら『皆がアルゴリズム取引で楽観をインプットした』ので、強気局面にある、となります。
10月、景気ウォッチャー調査が高くなった理由の一つに、ハロウィン効果も含まれるのでは? と見ています。ハロウィン仮装も、普段は抑え気味の消費を喚起する。凝れば凝るほど、お金もかかる。一人一人の消費金額は少なくとも、これだけ盛り上がればマインド面も押し上げたでしょう。ハロウィンは、日本では仮装パーティーの様相ですが、元々はトリック・オア・トリート、貧しい子供たちが「いたずらか、お菓子か」といって各家を練り歩く、といった風習でもあったとされます。内需の低迷、それが色濃く映る、最近の経済統計をみるにつけ、日本でもトリック・オア・トリートの風習の方が重視される、そんな日が近づいているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年11月09日

安倍政権の反論体質

『ジューシー安倍』とまで揶揄された、何を食べても「ジューシー」としかコメントしなかった安倍首相が、福島県楢葉町町長からお米と鮭を贈られ「鮭は脂が乗っていて味わい深い。お米も一つ一つが輝いている」とコメントしました。こんなところにもスピーチライターを使ったのか? それとも自ら考えたかは分かりませんが、少なくともお米は「一粒一粒」と表現すべきです。しかも両方とも、味についてはコメントしていない。「味わい深い」は、言葉を変えると「赴きが深い」と同義であり、お米については見た目です。食レポではNGレベルで、せっかくアナウンス効果を期待しているのに、笑い話のネタにしかならないのでは贈りがいがありません。

谷垣自民党幹事長や菅官房長官が、NHKクロ現問題への自民党への対応に、BPOが「圧力」と批判したことに対し、反論しました。谷垣氏は「新聞と違って電波資源をつかう」NHKに「ああしろ、こうしろと申し上げたわけでない」と述べますが、菅氏は「調査報告書に放送法に抵触するから所管省庁から必要な対応」と述べます。谷垣氏は自民党によびだしたこと、菅氏は総務省の文書注意のことを指していますが、これは複合技を決めたのと同じです。NHKに限らず、放送法により事業を運営している他の媒体まで、同様の行為を可能とするものであり、政治権力の介入を指摘されても致し方ない。ヤラセに限らず、政治的中立性を楯にすれば、経営者をよびだして説明させたり、総務省の注意文書がとどく。政権批判すらできない風土をつくろう、との意図が明確です。本来はBPOがその役割を担うはず、という意見にすら反論する始末です。
ユネスコによる南京大虐殺の登録で、ユネスコを批判していた件でも、日本は「外務省と文科省が連携し、ユネスコに人材を派遣」とします。しかし人材派遣もただではありませんし、それこそ日本の主張がすべて受け入れられるわけでもない。何より、ユネスコは方針の見直しを示唆していますが、それこそ国際問題になりそうなことは忌避する、というのなら、日本に有利な申請も却下されるでしょう。不利なものを抑止することだけが、国益とは限らないのです。むしろ有利になるものを積極的に登録し、活用する手もあったはず。そうした手間を惜しんで、喜ぶのは外務省と文科省でしょう。これでユネスコ登録は日本も激減することになるかもしれません。

外務省が国連の特別報告者が「日本の女子中高生の13%が援助交際」と述べたことに、抗議しています。事実と違うのなら抗議して正解ですが、問題は日本の子供の貧困率が拡大していることです。13%は過大としても、そういうことに手を染めている子供もいる。大学に通う学費を稼ぐため、水商売をする女子大学生の話も聞く。生活水準により、学力格差が拡がっている、ともされます。抗議するのと同時に、どうしてこういう実態に手をつけないのか? むしろ援助交際のない国にする、という高い目標を掲げて行動することも、必要なことのはずです。
批判されると、脊髄反射で反論しますが、安保法制にしろ、高木復興相の問題にしろ、都合が悪くなると説明から逃げる。本来、こうしたものこそ正しい反論があって然るべきで、逃げることは許されない。まるで勝てそうなところだけ強気、という何とも後味が悪い展開しか、今のところ起きていないのです。味についてコメントできない安倍氏、どんなものでも後味を悪くして、不快感しか残さないという意味では、ジューシー(一部の訳では『天気のじめじめした』を意味する)なのかもしれませんね。

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2015年11月07日

9月の景気動向指数は『足踏み』?

昨日、内閣府から発表された9月景気動向指数は、先行指数が2.1pt下降して101.4、一致指数が0.3pt下降して111.9、遅行指数が1.1pt下降して114.0となりました。実はこの景気動向指数、基調判断の目安が示されていて、そこで用いられるのが3ヶ月後方移動平均と7ヶ月後方移動平均です。それぞれでみると先行指数はともに3ヶ月連続で下落、一致指数は3ヶ月後方移動平均が2ヶ月ぶりに下落、7ヶ月行動移動平均は3ヶ月連続で下落、遅行指数は3ヶ月後方移動平均は3ヶ月連続で下落、7ヶ月後方移動平均は2ヶ月連続で下落。数字ばかりで分かりにくくなりましたが、要するに一致指数のみの3ヶ月後方移動平均が頑張って、2ヶ月ぶりに下落となったことから、基調判断は『足踏み』となりましたが、そうでなければ3ヶ月連続で下落、という数字が並び、基調判断は『悪化』、すなわち景気後退を示す可能性が高い、という判断となります。
しかも7ヶ月後方移動平均は、そろって3、2、2ヶ月連続で下落と、マイナス幅が1〜3ヶ月分緒標準偏差を外れている場合は、『下方への局面変化』であっても決しておかしくない。これは薄氷の『足踏み』であって、景気後退を示唆しているといっても、決しておかしくない数字でもあるのです。しかも一致指数へのプラス寄与が、生産関連が多いにも関わらず、マイナス寄与が販売面や有効求人倍率といった項目が並ぶ。つまり国内では7-9月期も、つくってはみたものの販売が低調で在庫を積み上げてしまったケースが想定され、4-6月期もそうだったように、在庫による押し上げ効果は、将来の景気の足枷になる可能性を秘めています。現時点でさえ、景気後退一歩手前、といった状況で、将来の足枷になる項目が散見される、これはかなり危険な兆候です。

9月は株価も下落、乱高下をくり返しており、マインド面を悪化させた可能性はありますが、その株価は現時点でももどりきれていない。一部で、日本株は出遅れ、という人もいますが、8月からの下落局面では、確かに日本株は戻りきれていませんが、年初来のパフォーマンスはもっとも良かった。つまり年初からみれば、日本株はまだまだ高い。企業業績も、下期の押し上げ効果は現時点では姿形もなく、このまま下期も増益が期待できないのなら、割高の水準にまでいたることも想定できます。米雇用統計のサプライズ効果で円安がすすみましたが、この水準を維持できるような状況とも思えない。何より、円安がプラス寄与する業態と、そうでない業態のバランスで考えるなら、ここからはプラス面、マイナス面、双方に目配せが必要です。
しかも気になるのは、恐らくクジラは年度いっぱいで打ち止め、株を買える資産が枯渇するとみられている点です。持ち株比率を増やす段階で、買い一辺倒だったこれまでから、売り買いによる従来の運用にもどる。需給がより影響し易い金余り市場で、日本は買い手不在の状況を迎えるのです。どうやら夏の参院選は、株高で迎えられそうもない。逆に、ここで年末高、年度末高、などを狙うと、夏には大きな下落に見舞われる可能性もでてくるのでしょう。すでに景気後退を示唆する兆候が指標からも見え隠れする中、それでも外需にしか頼れないようなら、愈々来年は本格的に日本の景気が沈むことも想定しておく方がよいのでしょう。薄氷で『足踏み』していれば、一気に水底まで沈んでいく、そんな事態が近づいているのでしょうね。

明日は一日、お休みします。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年11月06日

10月米雇用統計

郵政3社が2日騰勢した後、反落しました。すでに割高の水準にあり、利益確定が出易かった面もありますが、一番は投資家が厭きてきた。不動産の活用や、海外展開を打ちだすといった施策が求められますが、海外展開は競合他社が多すぎて、なまじ打って出ると失敗する可能性も高い。保有不動産の活用も、今でも不動産はバブルが懸念される状況で、国の持ち株比率が高い今、そう簡単にバブル助長につながる施策も打ちにくい。安倍政権ではやってしまう恐れもありますが、民業圧迫との批判もうけ易い。それらをかわして有効な策、というのは相当に難しく、難しいからこそ出てきてみないと評価もできない。安く売り出した分の修正が終われば、すぐに上値の限られるような銘柄です。

しかし日経平均は堅調、3日続伸です。ただいつもの日系1社が月曜に大きく売り、その分を3日で買い戻した、また世界に奇妙な楽観が支配しはじめた点も大きい。中国では財政次官が「政府債務のGDP60%でシステミックリスクの高まり、という慣行は見直すべき」と発言するなど、景気刺激策を打つことを示唆したとみられています。中国株は節目の3500ptを超え、上昇基調ですが、官製マネーとこの景気対策期待が、中国経済の崩壊を下支えする、との思惑があります。5中全会でもGDP6.5%成長が示されましたが、そのためにはなりふり構わぬ手を打つ可能性もあります。
日本では郵政3社上場の日に、補正予算3兆円の話がでてくるなど、官製相場の様相を強めた。需給がより強く影響する今の市場で、官製相場というのは下支え期待につながる。ただ、ここまでの7-9月期決算でも、増益幅は小さく、市場期待にはほど遠い状況です。下期は伸びる、が今年度の市場の見立てであったものの、年度を通じたEPSは上がるどころか停滞しており、下手をすれば下がりそうでもあって、企業業績は株価を押し上げる要因にはなりそうもありません。

そんな中、発表された米10月雇用統計は市場予想を大きく越える、27万人増でした。これでFRBが利上げを躊躇する理由はなくなりました。後一回、雇用統計はありますが、仮に下方修正されても20万人平均であれば、利上げしない理由にはならない。気になるのは、米債券市場の利上げ織りこみが、他市場と比べて遅れている点です。逆に、中国不安、欧州不安などがあって、米債券に買い需要が発生していた面はありますが、金利上昇は景気の下押し圧力にもなります。
時間当たり賃金も0.4%上昇と、満点の結果となった雇用統計。ただ中身は建設、小売の伸びが大きいので、クリスマス商戦への期待や住宅市場への期待が乗った可能性もあり、特殊要因なのかもしれません。ただ、期待が拡がるほど非製造業が絶好調、というのが今の米国です。日欧、それに新興国も景気が低迷、米国に資金が集まりやすいことが反映しているとみられますが、その恩恵を最大に、この雇用統計は反映したのでしょう。しかし原油安に伴う、シェールオイル関連企業の苦境を映しておらず、そうした点では意外感すらただようものとなっています。

米国の指標も操作されている、という指摘は随分あります。これが利上げ後押しなのか、本当に米経済が堅調かは、見極めも必要でしょう。何より輸出企業や、海外展開する企業は他国と同様、苦しんでいるはず。IT株など、広告収入が絶好調ですが、企業の広告宣伝費をそれだけ喰えば、きっと他企業の業績にも影響しているはずなのに、それはほとんどみられない。何かモヤモヤとしたものが残る米経済の好調ぶり、それが次の不安にもつながるのかもしれません。日本郵政も、IoTで広告宣伝で稼ぐ、といった方がよほど成長戦略とみなされる。世界的にはそういう流れなのかもしれませんね。

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2015年11月05日

TPPの協定案、公開

エジプトで墜落したロシア機が、ISILのテロの可能性が米英から示されました。恐らくこの問題は露国においてインパクトが大きい。アサド政権を支援するプーチン政権が、ISILの怒りを買い、露国がテロ攻撃の対象になった、強い露国を支持してきた国民にとっても急に自らの生命、財産が狙われることとなり、政権への怒りに転嫁されかねない。テロ組織を攻撃すれば、テロ攻撃の対象になる。それは後方支援であっても、ということでもあります。軍事強化を声高に主張する人間は、一見すると勇ましく見えますが、その背景にある対立の構図には必ず犠牲がつきまとう、という裏返しでもあり、その代償分がそう見せているだけでもあります。そう主張する人間は前線に出るわけでもなく、命を狙われてもSPに囲まれていたりします。今回も狙われたのは無防備な国民、安易に『強さ』を支持すれば、どこの国であってもこの代償を払うことになります。

TPPの協定案、全文が公開されましたが、締約国から要請があれば、関税撤廃時期を再協議によっては前倒しできる条項があり、数年後などと報じられていることは、単なる目安に過ぎないことがはっきりしました。また米国、カナダ、豪国、NZ、チリとは7年後に自動的に再協議に応じること。また自動車では米国、カナダとそれぞれ2国間委員会を設け、協議することも記載されます。
この協議、というシステムは現時点で報じられるTPPの内容、すべて見直される可能性を示唆するものです。しかも、日本にとって好転する期待は一切ない。むしろ関税撤廃率が他国と比べて少ない分、最初から交渉条件は悪いのであって、妥協せざるを得ない部分が多くなる。下手をすれば関税撤廃率でさえ、他国と同等にまで膨らむかもしれない。重要品目でさえ、手がつく可能性を滲ませます。つまりこの協議というシステム、政治的な激変緩和措置、すなわち国内で説明した上で協定発効まですすむ、プロセス作りのために設けられたとしか思えないのです。

水産庁の室長が、TPPの影響について「誰一人死ぬ人がいないというわけではない」と発言しています。会見の中で「特段の影響が見込みにくい、と言い切れるほどの確信もない」と発言を訂正していますが、簡単な言葉に言い換えると「影響があるけど、それほど酷いものとは考えていない」というものですが、「影響で人が死ぬこともある」との前言からして、水産漁業は壊滅するけど、死ぬことはないよね、というのと同義です。水産庁も深刻ととらえているのでしょう。
しかしその発言からみても、国民軽視の姿勢がうかがえる。人の生き死にをあまりに軽く考えている。庁内レベルでは、恐らく前言のような会話が交わされていたため、こうした発言になったのでしょう。それは監督官庁なのに水産漁業者を守る姿勢に欠ける、ということでもあります。

例えばTPPで輸出で稼ぐ、という場合でも、国内販売と並存するケースでは、恐らく国内の価格下落と収益が相殺するか、下手をすればマイナスとなる。全量を輸出できるか、数量効果がでなければ、国内的にはマイナスの方が大きいのです。しかし全量を輸出できるほど需要が高いはずもなく、数量効果をだすためには生産体制を強化するなど、設備投資も必要。それに耐えられる農林水産業者が、一体どれぐらいいるか? それこそ水産庁は「廃業すればいい」との考えなのでしょう。
TPPにしろ、国際的に打ってでる、というと勇ましく聞こえます。しかしそれで失敗する人が多いのも現実です。しかも国内では安売り競争にさらされ、一度の失敗が回復すらできないほどの痛手となってしまう、という裏側は見逃されがちです。勇ましさ、強さを求めても、それに耐え切れない大多数を無視して政治をすることは、単に国民を危険にさらすだけでもあります。条件の見直しが可能と分かった今、国内への影響を試算してみても、前提通りでないことの方が多い、ということを踏まえ、国内の産業をどう維持していくかを考えないと、代償は大きいのでしょうね。

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2015年11月04日

日本郵政3社の上場

7日に中台首脳会談が開かれます。中国経済が低迷し多角的外交になった、習体制の基盤が固まり余裕ができた、など様々な理由が語られますが、一番は親中派の国民党、馬総統の後方支援という側面が強いのでしょう。馬氏は支持率も低迷、残り7ヶ月の任期であるためレガシー作りの側面が強いとしても、親中派を支援しておけば、選挙でも親中政党が勝利する可能性が高まる。協定への署名も、共同声明もないことから「会ったことが成果」という、日中韓の三ヶ国会談のような形ですが、習氏が会う、という点で親中派への色を別けた形なのかもしれません。
ASEAN拡大国防相会合は、共同宣言の採択が見送られました。東南アジアの複雑な事情、海に面する国と、内陸で中国に頼らざるを得ない国、の差が複雑に絡み合った末、綱引きになって対立構造によりしこりを残すより、採択せずとなったのなら、この問題は尾をひくことでしょう。いずれは何らかの決着が必要なのに、誰もが尻ごみすれば、長期化せざるを得なくなります。

日本郵政、3社が上場しました。公募、売り出し価格を低く抑え、初値から高く推移させ、投資資金を呼び込んで上値をめざす、今日は3社とも上昇し、かんぽ生命などはストップ高で引けるなど、一旦は成功したかに見えます。しかしかんぽ生命の売り出し株数は6600万株と、他2社の実に7分の1しかなく、小規模の株に大量の買いが入っただけ、というのが真相です。
また終値ベースで、すでにPERは日本郵政20倍強、ゆうちょ銀19倍強、かんぽ生命24倍強とすでに成長株でもないために割安感はなく、配当利回りは前2社が2%台、かんぽ生命は1%台と高い。このPERは割高、配当利回りは割安、というのが財務省が仕掛けた罠です。つまり一側面からではすでに割高でも、割安だから買い、とどこかが喧伝できるようにした。しかし本来、配当は企業の収益に見合う規模であるべきで、利回りが高いという時点で、成長するために資金をつかう気がない、と看做されます。その時点で株価の上昇も止まるとみて間違いないのでしょう。

しかも、この郵政3社は安倍ノミクス始まって以来の強烈な官製相場を意識させます。そのため、今日は新興市場が閑散、郵政3社に売買が集中した。ただ3社で売買代金では全体の6分の1ぐらいなので、普段は新興市場でデイトレしている個人投資家が集中して商いした、が真相でしょう。年末にかけて指数組み入れなどの思惑も入りますが、それ以上の思惑は、下がったらGPIFや官製マネーが買い支えてくれる、との思惑が、株価を下支えする要因となるはずです。
また、これは成長株ではない一方、安定株の側面もあるので、相場が不安定化すると逃避買いの需要も発生しそうです。ただ、郵便ポストの固定費免除など、諸々の優遇もある中での日本郵政、その安定感が国の後ろ盾というなら、この株価が上がって行くことそのものが、すでに国策だという指摘もある。値の落ち着きどころが難しい日本郵政株、最大の懸念は国が保有している株を不意に売り出すとき、という点も、余計な不安定さを内包しているともいえます。国の予算が足りないと、常に槍玉に挙げられるでしょうから、政局リスクを考えるなら誰もが尻ごみする、誰の元にも吉報をとどけるわけではない、という意味では扱い難くもあるのでしょうね。

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2015年11月03日

雑感。賃上げにインセンティブ?

菅官房長官が、企業が賃上げや設備投資を活発化させるのに、何らかのインセンティブが必要、と述べました。不条理なのは、派遣の固定化などこれまでも企業にインセンティブを与えてきた上、さらにインセンティブを与える、ということ。さらに正社員の賃金が上がっても、非正規労働が増えている今、景気に与える効果は低い。必要なことは低所得層の底上げ、それによる中間層の拡大です。すでに中間層である正規社員の賃上げを促すことに汗水流しても、何もならないなら、むしろ同一労働、同一賃金、即ち正規と非正規の条件の均一化、にインセンティブをつける方がよほど効果があります。というか、インセンティブではなくそう法律で決めてしまえばいい。社会保障など、企業が正社員のために負担している分は、非正規社員の派遣元にも払い、その分は派遣元が非正規の社員の待遇とするよう、決めてしまえば底上げが図れます。
大事なことは、わずかな手段で最大の効果を上げること、です。一見、企業には負担が増えるようになりますが、非正規は企業側の調整弁となり、儲かっている業態、企業への転籍を促し易くする。派遣元の企業とて、社会保障費の負担があるので、抱えている社員を遊ばせておくことはせず、より積極的に企業に働きかけて、派遣受け入れを要請するようになりますし、そのためにより優秀な社員を抱えようとする。実は、労働人口が急速に減少している日本ですから、こうした制度を導入し易いタイミングともいえ、企業も能率アップが図れるなら、優秀な社員を派遣してくれる方がありがたい、ともなるのです。人材の活用にスポットを当てない政治の態度が、多くの元凶にもなっているのであって、パソ中とも揶揄される竹中氏が政権に協力することもあって、派遣企業の責任も回避しがちですが、派遣先、派遣元ともに責任をもつことが大事なのです。

小泉政権以来、つまり竹中氏が経済政策に関与して以来、日本の経営者にも高額報酬が増えています。しかしその金額に見合うほどの仕事をしていないことは、東芝の不正会計事件でも明らかです。また、旧経営陣に対して賠償訴訟を計画しますが、そんなことをせずとも役員報酬は全額返金した上で、企業に損害を与えた分は私財から負担する。勿論、賄えずに自己破産することになりますが、経営者にはそれだけの責任があると法的に決めてしまえば、こうした不正は減るでしょう。
逆に、そうした国であると世界に喧伝することで、日本は安心して投資できる国として外国人投資家の評価も高まる。つまり不正が起こりにくいので、長期投資に向く。安倍政権では海外に行って「投資して下さい」と言うばかりで、今や安倍ノミクス開始以来買った分を、すべて吐き出すほどの勢いで売っている状況です。金融緩和だけでは成長しないので、外国人投資家は円安と相殺してしまうため、投資しても旨味が少ないと分かってきた。VWがポルシェやアウディでも不正、と報じられますが、VW株暴落で打撃をうけたオイルマネーが世界的に売りをだした、というように、不正、不祥事という行為が投資にとって大敵で、経営陣に如何に責任に見合う負担をかけるか、という仕組みづくりが今後、日本を成長させる鍵ともなるのでしょう。

恐らく、自民党政権にまったく期待できないのは、自民党政権では上記のようなことができないため、です。支持基盤や、これまでの政策の優先順位をみても、まったく真逆なことをしているのであって、結果的に安倍ノミクスという異例で、異常な手をつかってまで現状の体制を維持させようとまでしても、結果はマイナス成長に入ってきた。このままさらに労働人口が減れば、日本は急速に経済規模を縮小せざるを得ない、そんな国になります。その危機意識もなく、小手先の対応に終始するだけの菅氏の発言など、失望すら生じさせるものでもあります。日本が成長する施策を打てる政治家、にインセンティブを与えるところから始めないと、この国は縮小していく一方なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年11月02日

日中韓首脳会談について

日経平均が大幅反落でした。しかし先週末、余計に上げた分を考慮すると、実は追加緩和見送りの影響としては妥当な下げ、とも見られます。少し話題になったのが、今日の大幅な下げを主導した日系の大手証券会社からの先物売り、先週末も買っていたので、いつもの反対売買とみられますが、その売りに傾いた枚数分が日系の証券2社から出た買いと、ちょうど相殺する、という話です。売り方みえずの買いなので、実数は分かりませんが、まるで相対取引をしたような印象です。いずれにしろ日系が主導してボックス相場に誘導しているようでもあり、上げられないけど下げたくない、が今の相場の動きをすべて説明しているのかもしれません。

日中韓首脳会談が開かれています。まず「会うことが成果」という言葉が、日中韓のそれぞれの担当者から聞こえるなど、それぞれの事情により『会わざるを得なかった』会談というのが今回です。日韓は米国に怒られて、中韓は急速な景気悪化に見舞われ、日中は緊張の高まる中、ということですが、さらに日韓は来年の選挙を見据えた部分もあり、韓国の朴大統領は慰安婦の年内解決を標榜していただけに、何とか形だけでも動かした、ということを見せたい。安倍首相は参院選を控え、公明への配慮もあって中韓と仲良くしている形をつくりたい、といった事情も透けます。
中国は、こうした日中韓の首脳会談を継続し、日中韓FTAを成立させ、ゆくゆくはTPPにも楔を打ちたい、との思惑もあるのでしょう。中国がTPPに参加…という話は、今の中国の制度を大転換しない限りはムリで、それこそ中国共産党の基盤すら揺るがすことにもなりかねず、現実味がありません。それよりまず、日中韓FTAの成立が、中国の喫緊の課題として存在しています。

会談の裏話は、後に洩れ伝わってくることもあるでしょうが、安倍氏の問題は慰安婦について、どこまで妥協したか? ということです。今回も「未来世代に障害を残すことはあってはならない」と安倍氏は述べますが、ここで決着、とするためには日本側にも妥協が必要です。民間レベルで補償は行っていますが、それが国レベルに格上げするのか? それとも天皇陛下の謝罪、という事態になるのか? つまり安倍氏が任期中に「障害を残さず」解決の道筋をつけるためには、必ず安倍氏の支持層に不都合な内容とならざるを得ない、といった事情があります。
北朝鮮の拉致問題が一向にすすまないのも、安倍氏にとって不都合な合意には至れないから。話し合いに応じただけで、制裁の一部撤回を決めるなど、妥協のカードをもたずに調整するため、日本は剥き身で挑まなければならない、といった事情も垣間見えます。「会うことが成果」という言葉も、地球儀俯瞰外交でふらふらと外遊しては、バラマキして帰ってくるだけ、という外交にも共通する傾向です。実は、安倍政権の外交は一貫していて『一刻千金』です。本来は「わずかな時間でも大事」というほどの意味ですが、安倍外交の場合は「ちょっと会うだけで千金を払ってくれる」という意味となる。払えないと事態が進展しない、というのがこれまでの傾向でもあるのです。今回、会うだけで終わりましたが、日中韓FTAの妥結になる頃までにはどれほどの「千金」を払ってくるのか? 安倍ノミクスという、未来世代にツケを残すことばかりしている安倍氏が、禍根を残さずに外交問題を解決できるか? 中韓の正念場ということばかりでなく、安倍政権の正念場ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(23)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2015年11月01日

雑感。補正予算と高木復興相

高木復興相に、公選法違反疑惑が報じられます。慶弔費や供花代を収支報告書に記載していた、とのこと。当選6回、細田派、というだけで大臣になれたような人物ですが、メディアの身体検査には耐えられなかった。そもそも安倍政権では、復興担当相はお飾りの名誉職ですが、不名誉な実態が次々と明らかになり、通常国会までに更迭が確実となったのでしょう。

30日、突如報じられた補正予算、事前に検討の報はありましたが、日銀の金融政策決定会合で、現状維持に合わせるよう市場が予想した規模より少し大きめに、といった念の入れようです。新規国債の発行なしに3兆円規模、としますから予備費や税収の上ぶれ分などを用いるとみられますが、恐らく昨年度までは税収が上ぶれしますが、今年度からはそうもいかない。企業の想定為替レートが、120円ぐらいになっているためで、下手をすれば為替が減益要因になりかねません。これで法人税減税などすれば、Wショックで税収は目減りしていくことでしょう。
問題はその使途で、介護施設の充実や大都市圏のインフラ整備、TPPの国内対策費ですから尚のこと景気刺激に乏しい。大都市圏のインフラ整備は、東京五輪関連も含まれるとみられますから規定路線ですし、介護施設を充実させたとて介護離職が減るわけでもない。介護報酬が増えない、また年齢や経験を重ねると給与が増える、といったことでもない限りは介護従事者が報われることがないので、人材の使い捨てのような状態はつづきます。TPP国内対策費は「攻めの農業」という言葉だけが踊り、具体的にどうすればそうなるか? ということが語られない。小手先の改善では、もう立ち行かないことが自明ですから、その具体策が出るまで評価は不可能です。

早くも出てきたのが、1億総活躍という名目でどう予算をとるか? という省庁の動きです。1億担当部署などができ、予算分捕り合戦が活発化している。安倍政権では、特にこうした看板がぽんと出るので、その名称に応じて予算はとるものの、実はまったく別のことにつかう予算がまかり通っている。政策効果がないばかりか、本来ならそれを監視する政治家の能力もない。それは自分の政治資金さえ、公選法違反の疑いがある支出を堂々と記載するぐらいのどんぶり勘定です。
しかも船頭が多くて、1億総活躍も、結果的にどの省庁が責任をもって担当するか、未だに不明です。横断的に…といっても、担当大臣の能力不足が顕著な中、担当大臣まで予算の分捕り、縄張り争いにかまけていれば、実行性が現れるはずもあありません。安倍政権の病巣である、この責任の所在が不明という事態が、ますます悪化しているのですから補正予算もただばら撒く、というだけで終わるのでしょう。先週末、米株の仕上がりが悪く、シカゴ日経平均先物は19000円を100円以上下回って、返ってきます。株価維持には日系の頑張りにかかってきますが、日銀の非協力ぶりと補正予算の実態をみるにつけ、年末2万円予想は儚くなってきた、というところなのでしょう。閣僚の首がころころすげ替わる安倍政権では、1億どころか閣僚2、3人でさえ活躍させるのが難しい、ということなら、株価の復興は成し遂げられないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済