2015年12月

2015年12月29日

申年は「騒ぐ」

日経平均は2日続伸と、やっと掉尾の一振の買いも入っていますが、秋から頑張ってきた日系、日米合弁系がまた買いを張っており、それが個人の売買を巻きこんで後場、上げ基調になっている形です。ただ今日はTOPIXに郵政3社が組み入れられるイベントの日、買いすすまれるかと思えば、逆に郵政3社は大幅に下げました。今やこうしたイベントは速く動いた者が勝つ状況で、当日は材料出尽くしになってしまう。今や二手、三手どころか、勝負が始まる前から詰みまで読みきっておくような、そんな相場つきに追随できた人だけが儲けを得られる、そんな形になっています。

しかし来年、不安は海外でより大きなうねりを起こしそうです。サウジが今年の赤字と、来年の赤字が10兆円を越す見込みです。原油安の影響で、国債発行を検討としますが、これは産油国の投資マネーが本国に還金される、といった流れを生むでしょう。そして政府系金融の経営危機が囁かれる露国、五輪を控えるブラジルも、すでに国債は投機的に格付けされており、資金調達もままならない。原油安がつづけば、産油国不安が世界を震撼させることも起こり得るのでしょう。
今年の上半期には、邦銀の海外投融資残高が、英国を抜いて1位となりました。しかしこれは欧米の金融機関が手を引き始めたのに、邦銀が出遅れた結果であり、決して好感できる材料ではありません。そして邦銀まで手を引けば、新興国に景気不安が起こるのかもしれません。新興国、資源国、その不安の波が先進国を揺さぶる場面が、来年は増えてくるのかもしれません。

世界経済の問題は、政治も揺さぶるでしょう。英国のEU離脱問題も、来年後半には出てきます。日米ともに選挙年であり、経済が混乱してくると結果にも影響します。極右政党の伸張は、既存の政治への失望の裏返しでもあって、戦後はその失望が共産、社会主義へと向かったように、極端な変化を期待するようになる。米共和党の大統領候補、トランプ氏などまさにその典型です。各国の選挙をみても、戦後つづいてきた政治体制に大きな変化を求める流れは、今後も大きな潮流であって、政治変動が世界に大きな動揺をおこすこともあり得るのでしょう。
すべては既存のシステムの限界が近づいていること、経済にも、政治にも当てはまります。経済は金融緩和という劇薬で、何とか命脈を保ってきましたが、それすら効かなくなったことが、日欧の失敗でみえてきました。そうして経済の成長が止まれば、各国とも国民の生活が苦しくなり、年金システムが崩壊し、社会不安へと直結する。来年、それがすぐ起こるとは思いませんが、見定める年にはなるのでしょう。不測の事態を、今や予測せざるを得ない時代なのかもしれません。

安倍政権を極右とみなせば、日本は世界に先立って政権交代という大きな流れを起こし、失敗した結果として、大きく右にふれた、ともいえます。しかし安倍政権は、既存のシステムを引き継ぐものであり、日本の問題は解決されるどころか、悪化の一途をたどっています。むしろ三段とびぐらいの勢いで、崖を下りるが如く急速に悪化している、とさえ言えるのかもしれません。
相場格言では、申年は「騒ぐ」です。騒ぎ方には何通りかありますが、決してはしゃいで騒ぐような状況ではありません。むしろ「ざわつく」、「騒然」という形が増えることにもなるのでしょう。不測の事態を、どう織りこんでいくのか? 経済も、政治も、その判断次第では「騒動」「騒乱」にまで拡大してしまうことも、起こりえるような状況とも言えるのでしょうね。

今年は今日で終わります。来年は1月4日から再開したいと思います。よい年をお迎えくださいね。

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2015年12月28日

日韓外相会談で、慰安婦問題が決着?

日韓外相会談が開かれ、慰安婦問題で「最終的かつ不可逆的に解決される」との認識で合意し、「国際社会で非難、批判を控える」ことを確認しています。そのために韓国政府が財団を設立し、岸田外相は「日本政府は責任を痛感」と述べ、安倍首相によるお詫びと反省の表明も今後行われる、と発言しています。しかし物理や化学の分野でよく用いられる『不可逆的』なる言葉までつかって、双方が合意できる文言とした、その苦心の跡は滲みますが、火種は残します。
不可逆的、とは同じ経路をたどって元の状態には戻らないこと、です。ひねくれた言い方をすれば、元の状態にさえ戻らなければ良いので、慰安婦少女の像ではなく、慰安婦少女の碑を世界にばら撒けばいい、となります。こんな金にも票にもなる材料はないので、これを成果としたい朴政権は来年の選挙にむけ、当分は動きを控えても、国内の材料として政局に利用されることでしょう。それが大きなうねりとなり、また活発化させることが確実です。

安倍氏は会見で「謝罪し続ける宿命を背負わせない」と述べましたが、10億円は賠償ではない、と岸田外相も述べた通り、日本は態度をはっきりさせていません。何のために反省し、何のために謝罪するのか? 単なる従軍慰労金で10億円、というわけではないでしょう。つまり「最終的かつ不可逆的に解決」しても、次は日本政府の罪を認めさせる、というステージに移行するかもしれない。両国が面子を保って当面の冷静を保つため、日本は何が間違っていたかを認めず、韓国はお金をせしめる。これが今回の「最終的かつ不可逆的に解決」の中身です。
そもそも今回の内容は慰安婦に限定されていますが、韓国では戦時下における企業の責任として、企業向けの裁判が頻発しています。対象を広げすぎると合意に至り難い、という事情はあったとしても、この問題を無視して「謝罪し続ける宿命…」云々を語るのは片手落ちに過ぎます。それに「国際社会で非難、批判を控える」だけで済むのですから、韓国国内の教育は変えなくてもいい。韓国の世論の沸騰は抑えなくてもいい。今回、わざわざ岸田外相の方から訪ねたように、お詫びする気持ちがあったとしても、韓国に都合のいい合意になったことは間違いありません。

国内の右系からは早くも反発が、逆に左系からは称賛の声が上がる。これがこの合意内容を端的に示すのでしょう。安倍氏の政策、態度には保守に相応しくない内容が目立つ、これもその一つです。これは安倍政権の支持層にとって承服できないことであり、逆に韓国の朴政権にとっては、やや好感できる。今年、選挙を控えた二つの国の明暗がどうでるか? そういった面でも興味が湧くところです。そして選挙が終わった後も態度が変わらないかどうかは選挙の結果次第、というところでもあるのでしょう。経済的に、少し余裕のある安倍政権が譲歩した、ということなら、そのツケが選挙までもつかどうか、なのかもしれません。
年末に、慌てて会談した内容が、前回の首脳会談のときに提案を予定していた内容にとどまった。恐らく安倍政権は想定通りの決着に、胸を撫で下ろしていることでしょう。しかし国内の受け止めは、安倍政権の想定通り、とはいかないはずです。むしろ、これまでの安倍政権の支持層を捨て、さらに公明支持層にすり寄った、とも思えるこの内容、「謝罪し続ける宿命」の対象を変えて、継続することになるのかもしれません。これで韓国にしてやられるのは二度目、その戦略性のなさ、弱さに失望する層が増えるのなら、誰に対しての歳末大盤振る舞いだったか、年末の大掃除で明るい年明け、というわけにもいかなくなってくるのでしょうね。

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2015年12月27日

雑感。五輪ロス

露国の政府系銀行、開発対外経済銀行(VEB)が政府に支援要請し、その額が露国の国家予算の1割、1.3兆ルーブルともされます。ソチ五輪に2210億ルーブルを拠出しましたが、その8割が焦げ付き、また鉄鋼関連企業への6000億ルーブルも焦げ付くとされます。しかも政府系金融として、政府の体のいい財布と化し、毎年赤字を垂れ流す。欧米の経済制裁の対象となり、海外からの融資も期待できない。そのために、政府にすがるしかない、という本末転倒の状態に陥っています。
しかしこれは対岸の火事ではありません。政府の体のいい財布となり、株を買わされた機関は山ほどあります。さらに東京五輪でも膨らむ予算は、ソチ五輪でも当初予算の4倍に近い規模となり、東京五輪もどこまでかは分かりませんが、当初予算は優に越えてしまっています。コンパクト五輪を標榜していたにも関わらず、計画が杜撰で、気づいたらインパクト五輪になっていた。1500億円の新国立競技場も、大半がTOTOの収益金ですが、本来は国民の運動など、スポーツ振興に用いられるものが新国立競技場の建設費に当てられるのですから、今後は数年、スポーツ大会などの予算がけずられるなど、弊害が出ることにもなるでしょう。そうして膨らむ予算、主体である東京がどう捻出するのか? 国が付属の施設をどうやって整備していくのか? それによって、日本にも債務危機が襲ってくるのかもしれない。それは遠くない未来の話です。

日本に危惧されるのが、五輪ロスの経済です。公共工事偏重に逆戻りさせた安倍政権ですが、リニアの工事はまだ続くとしても、北海道への新幹線の延伸が終われば、大型の公共工事は見当たりません。またそれ以外の建設工事をみつけても、経済効果が低いことはここまでのGDPの低迷をみても明らかです。一方で、その他の成長産業が育っているわけでもありません。五輪までは高揚感が保てる可能性はありますが、すでに景気低迷に苦しむブラジルの例をみても分かる通り、五輪まで景気がもつかどうかも不明。そしてさらに五輪ロスになれば、深刻な事態となるでしょう。
実は、その萌芽は表れていて、株価低迷もそうですが、不動産市場にも限界説が囁かれているように、逆資産効果が今後、日本経済を低迷に導くのではないか? 不動産を押し上げてきたのは、中国を初めとするアジア系の投資が主体で、世界全体の不動産市場を活況に導いてきました。しかし中国の失速と、人民元安により投資の元手の資金も出なくなってきた。米国の不動産市場でも一服感が出ており、新築住宅や着工許可件数などが斑模様で、強さが見られなくなってきました。日本も五輪にむけて不動産の爆買いがみられましたが、すでに小売の面では中国人の勢いに翳りが出てくるなど、これが日本の不動産市場にも及べば、一気に消費が冷え込む懸念もあります。

直近、五輪を開催したところにみられる景気不安。英国だけは堅調に見えますが、不動産のバブル症状など、決して楽観はできない状況です。翻って日本も、過剰流動性に頼ってきた部分が、今後は逐次剥落していくことでしょう。日銀の限界と、FRBの利上げは世界のマネーの流れを変えます。
露国の政府系金融の経営危機、五輪後の日本においても、起こりうることなのでしょう。世界から過剰流動性が消えるとき、景気は間違いなくその分、下押しされることにもなります。そこに日本は五輪ロスが重なる。年金などは株価低迷により損失をだし、政府系金融どころか、年金不安が被ってくるのかもしれません。来年どころか、今後の経済動向については数年、数十年にかけて低迷を迎えるかもしれない。来年は申年ですが、申は柿の実がなる姿の象形として、この字が当てられたという説もある。安倍氏は桃栗の後の柿まで食べたいようですが、官邸にある柿と同じで、来年は渋みの方が強い年になってしまうのかもしれませんね。

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2015年12月26日

安倍政権の3年

安倍政権発足から、3年が経ちました。安倍首相は「桃と栗は何とか収穫できた。官邸の庭の柿は渋かった」と述べました。しかし果実がつくとされる3年目、収穫する前に枯れてきたのが現状であって、株価は6月が最高値、今はそれより日経平均では2000円も低いレベルです。25日が年内受け渡しの最終売買日で、節税売りがあったとはいえ、ここまで安倍政権は12月が高値をとってきました。昨年は黒田バズーカ第二弾などもありましたが、今年は補完措置が不発に終わり、ここからいくら頑張っても最高値に届かない。収穫は今年で終わり、なのかもしれません。

国会議員にも育児休暇を、という話がでてきました。しかし国会議員は常用雇用ではありませんし、何より国会が開いていないとき、国会法では議員をしばる条件は何も付されていません。つまり何をしていてもよく、召集詔書があれば、その期日までに国会に集まるだけです。それこそ委員会に入らなければ、国会の開会に合わせて数日、顔をだせば済むのであって、子育てならできるのです。例えば病気になって、国会をお休みしていても病欠ではなく、単に国会に出てこないだけ。酷いことを言えば、サボっていても国会議員は身分保障のある立場なのです。
それを公的に「休み」と認めるか? という話であって、逆にいえば、非公表のまま国会をサボっているよりは、公にしてしまった方が有権者の選択の理由になる、ということかもしれません。育休をとった、という議員を有権者が支持するかどうか。その選択になるのなら導入する必要性があるのでしょう。ただ、国会議員は兼職が禁止されているだけで、基本的には暇を託つこともできる。委員会や、地元のために動き回っているのなら別ですが、そうではなく、本当にぐうたらで仕事をしていない人もいる。その線引きをどうするか? も合わせて考えないといけないのでしょう。国会議員には出席簿も、テストもない中で、優良な人材を見抜くためにも、国会はあらゆる情報をオープンにしていかなければいけない時期に来ているのです。

安倍氏がつけた果実の一つは、恐らく憲政史上初の、首相によるヤジ問題です。法律を通してもらうよう、政府は国会にお願いする立場であるにも関わらず、その相手に向かってヤジを飛ばす。国会まで支配したかのような、増長した気持ちが招いたことであり、我が世の春に結実した、一つの形でもあるのでしょう。国会軽視として、審議どころか国会すべてストップしても可笑しくない事例であるにも関わらず、これをあまり大きく報道しないメディアがいることは驚きでもありました。
もう一つ結実したのは、最近よく耳にする「決まったことだから…」という言葉です。決め方を間違えていたり、決まったことが正しくなくとも、「決まったこと」として批判も、反論もできないというなら、とても息苦しい国になった、ということです。新国立競技場でも、五輪があるから…、間に合わないから…、として反論できないのなら、仮に今後トラブルが出てきたとき、何が問題だったのか? も検証できなくなります。特に、安倍政権になってから、こうした理由も、説明もなく「決まったこと」に押し上げてしまう風潮が、より強まったと云えるのでしょう。それは上意下達、上からの命令に下の者は文句も言わず、つき従え、ということを国民へ刷り込もうとしているようにしか感じられない。メディアでも、ネットでも、盛んに使われるこの文言には、強い危惧しか感じない。ただ、政権側としてはそういう社会になることを望んでおり、それが着々とすすんできた、ということは言えるのでしょう。

桃は、実が熟す前のものは青酸化合物が含まれ、食べ過ぎると中毒症状を引き起こす、とされます。柿も、タンニンが含まれ、それが渋みとなります。栗は古より日本人が食してきた、縄文人の常用食ともされるものですが、実はその木自体が硬くて、建築材として古くから用いられるなど、人との生活に近いものでした。桃栗として収穫したのが、どちらかは分かりません。少なくとも、国会のヤジも、決まったことを批判してはいけない、という風潮も、どちらも根付かせてはいけないものであることだけは、間違いないことなのかもしれませんね。

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2015年12月25日

家計調査と有効求人倍率

11月の経済指標がいくつか出てきました。一般職業紹介状況で、有効求人倍率が1.25倍と前月比0.01pt上昇しました。これは有効求職者数で、前年同月から100万人近く減り、前月からも75万人減った。一方で有効求人数は、前年同月から160万人以上増え、前月からは14万人減った。前年同月比からみると求職者が減って、求人が増えたので改善することになりますが、問題は求人が前月から減っている点です。しかも、就職率は季節調整済みで34.0と、前年同月比0.6ptしか改善していません。そこにはまだミスマッチが存在しているのでしょう。
ただし、業種別でみるとかなり臨時・季節雇用を減らしているものが目立つ。代わって常用雇用を増やす傾向がある中で、就職率が増えていないのですから、賃金が抑えられているか、労働環境が悪いのか、福利厚生がととのっていないか、要するに条件面での折り合いがついていない。もし常用雇用に年齢制限をかけているのだとしたら、それがミスマッチの原因かもしれません。

家計調査はかなり深刻です。勤労者世帯の実収入は前年同月比、名目で1.4%減、実質では1.8%減と、3ヶ月連続の悪化で、消費支出は実質で2.9%減と、こちらも3ヶ月連続の悪化。しかも、支出面では暖冬なので被服が下がっていますが、全体的に住居費の伸びが重く、これは都心部などのバブル症状で、賃貸などが影響していると思われ、相対的に消費を悪化させています。
しかも、収入面はもっと深刻で、実収入は下がっていますが、それ以上に世帯主収入は名目で2.8%減、実質で3.2%減であり、それを補っているのが配偶者の収入で、こちらは名目で5.8%、実質で5.4%の増加です。1人当たりの賃金は下がり、それを配偶者も含めて複数の収入でカバーする傾向が、より鮮明になっています。これは有効求人倍率の上昇と真逆の動きであり、ここからも労働条件と、求職者とのミスマッチが感じられる所以となっています。

生活苦を、何とか配偶者が働くことで補っている。これがもし若い夫婦であれば、それこそ子育ての時間もない、となってしまうのでしょう。つまりこの傾向は、少子高齢化を食い止めるどころか、さらに加速する流れであって、安倍政権ではそれが加速してしまっている、と言えるのです。希望出生率1.8に設定していますが、単なる有効求人倍率の数字に喜ぶ前に、実体をきちんと見ないと、対策もとれない。少なくとも、配偶者が働くために求職者数が上がったり、就職率が上がったりする現状は、決して正常な経済環境にあるとは言えません。
補正予算で「安倍ノミクス再点火」などと、日経は煽りますが、この経済指標で読み解けることに対する方向性を変えるような内容は含まれません。残念ながら、再点火どころかこの補正予算、そして来年度予算は、別のところに着火するのかもしれません。それがお尻なのか、台所の車なのか、いずれにしろ来年を明るく照らすような光にはなりそうもないのでしょうね。

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2015年12月24日

今年をふり返ると…

高浜原発3、4号機に関して、福井地裁は4月にだした再稼動差し止めの仮処分について、取り消す決定を下しました。以前も指摘しましたが、原発を再稼動させる目的は、原発事業をつづけない限り青森にある再処理施設が負債となり、電事連、ひいては電力会社が破綻するためです。海外でつくられたガラス固化体を一部、受け入れていますが、それ以外に収益のない六ヶ所再処理施設は施設の建設費、事業費を合わせるとすでに兆を越える額に膨らんでおり、再処理が止まればそれが全額負債となります。電力会社は国策で原発、再処理事業を推進したのだから、再処理施設は国が買い取ってくれ、と言い出すかもしれない。原発は動き続け、再処理もすすめる。ガラス固化体を埋める場所も決まっていなくとも、そう訴え続けない限り、沖縄を除く電力会社はすべて破綻、というシナリオにベットしたくなるのです。
なので司法も協力体制をとりますし、原子力規制庁も今の原発を動かせる規制にとどめてしまう。今ある原発が動かせない規制基準など、死活問題なのであって、電力会社、国、ともに必死です。安全は置いてきぼり、これは最近の政治、行政の動向とも一致するものです。

TPPの経済効果が14兆円との政府試算が出てきましたが、もう笑い話になるぐらいのベストシナリオです。効果の上限を示したに過ぎず、下限はマイナスもあり得ます。甘利経再担当相が、日経のインタビューで「賃上げ要請には民間介入と批判もあるが、デフレの重力件から脱却する瀬戸際だから…」と、正当化する発言をしています。しかし、一体いつまで瀬戸際の気分なのか? しかも賃上げが達成されても、デフレ脱却するかどうかは不明です。それ以外の景気対策の手もなく、過度に賃上げに依存してしまっている現状では、デフレ脱却はまず無理でしょう。
最近の市場では「安倍ノミクスの化けの皮」という言葉がふつうに使われます。もう瀬戸際は越えていて、安倍ノミクスは退潮期に入った、が常識なのです。今日の株式市場は、米株は2日間で300円以上も上げていますが、棹尾の一振を期待して買いポジションの多かった日本株は売り。ドル買い、円売りが多かった為替は円高に。原油も売りポジションが多かったので反発、と年末にむけたポジション整理が活発で、上にも下にも期待が上乗せされ過ぎているため、説明のつかない値動きを起こし易い。来年は「安倍ノミクスが被っていたのは雄牛の皮で、剥いでみたら熊だった」となれば、売りが加速してしまうようなケースも出てくるのでしょう。安倍政権は株価対策に必死でも、実体は置いてきぼり、というのが経済政策の動向です。

岸田外相が緊急で訪韓しますが、外交に見るべき点のない安倍政権、朴政権で何をどう合意できるのか? しかも韓国がいくら慰安婦問題で約束をしようと、慰安婦問題は表向き民間団体の動きですし、さらに世論につき動かされれば、ころりと態度を変える。民間の顔色をうかがうのは政治、司法とも同じであり、さらに政権交代すれば反故にする。日韓基本条約を今さら司法の場で審議するような国と、何かを結びにいく。これも本当のところは置いてきぼりで、米国の顔色をうかがって日韓は仲良くやっています、という態度をとりたい両国の事情でしょう。
マイナンバー、安保法制、労働法制の改定、どこか大事なものを失くしながら、政権は必死で突き進み、国民の声は置いてきぼり。そして、決まってこうした大きな動きの後で聞こえてくるのが「決まったことだから」もう文句を言うな、という声です。決め方を間違えていても、決めた理由が間違えていても、もう反論できない、というのなら、国が「戦争する」と決めたら、終結するか、全滅するまで誰も文句を言えないことにもなってしまうでしょう。必要なことは、その文句が正しい指摘かどうかであって、文句は言わない、ということではないはずです。置いてきぼりにされるものの方が、実は大事なこと、という方が多いのも事実です。1年をふり返ると、大事なことを置き忘れてきた年、そう悔恨するよう思い出すことも、多くなるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(36)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2015年12月22日

来年度予算と、経済成長見通し

新国立競技場がA案に決まりましたが、そもそもこの2案しかない時点で、二者択一の意味がありません。計画上の些細な違いしかなく、国民からみればどうでもいいからです。高いとされる建設費も、今は円安で材料費が高い、公共工事のバラマキで人件費がかかる、と人災の面が否めず、そのツケを国民の税金から払わされているに過ぎません。そもそも論で言えば、旧国立競技場をつぶす理由があったのか? 補修・改良でよかったのでは? という点に帰結します。

2016年度の予算案が決まりましたが、総額96.7兆円。税収が57.6兆円、国債発行が34.4兆円で、残りは税外収入です。公債依存度は35.6%に低下した、安倍政権で税収が15兆円伸びた、などとして成果を強調しますが、例えば23年度から26年度までの一般会計税収を見てみると42.8兆円、43.9兆円、47.0兆円、54.0兆円、そして27年度見通しが54.5兆円。26年度からは消費税8%分が乗るので、7兆円程度上乗せされていますが、震災復興から緩やかに回復していた時期と重なるので、緩やかに回帰が回復、という割に税収は増えていない、ということになります。円安効果でも、安倍ノミクスでも税収は復興からの回復程度の伸びに留まっている、のが実態です。
公債依存度の低下にしても、リーマンショック前の19年度にさえ届いていない。そのころは50兆円以上の税収があったのですから、この程度は自律回復のレベルとさえ言えるのでしょう。安倍政権でなくとも、経済政策が無策でも、経済はこの程度なら自律的に回復できるものです。消費税増税分をのぞくと47兆円、というのは8年以上経っても、まだその水準に回復していない、ということでもあるのです。東日本大震災もありましたが、誰も成果を褒めてはくれないでしょう。

来年度の経済成長見通しを、実質で1.7%、名目で3.1%とすることが閣議決定されました。消費税増税前の駆け込みを織りこむ、としますが、軽減税率もあって食料品は盛り上がらない。日用品は増えるでしょうが、耐久消費財などはすでに5から8に上がるときに購入しており、3年程度では寿命にも達していない。今回は、想定よりは駆け込み需要も少ないと見られます。何より、企業も今回ほど読みにくい消費動向もなく、経済的には斑模様をつよくするのでしょう。
すでに四半期ごとにもマイナス成長が散見されるように、来年はもっとその傾向を強くするかもしれない。株高が終われば、資産効果も途切れます。不動産市場もここまでの都心部など、一部の上昇もマネーの変調の影響がくるかもしれない。そうなると個人消費にはまず期待できなくなります。賃上げも、結局は正規社員にしか好影響がありませんが、非正規が拡大している、また高齢者の再雇用で低賃金労働が増える中で、実際に寄与する層は数%にも満たないかもしれません。残念ながら、インバウンド消費が伸びてくれないと、国内の小売には厳しい状況がつづくのでしょう。

11月の小売のデータが、8ヶ月ぶりに低下が目立つようになりました。つまり、日銀の黒田バズーカ第二弾が始まって、インバウンド消費が伸びはじめた頃と一致しており、今後もこの傾向がつづいてしまうかもしれない。今年の消費が、インバウンド消費で押し上げられただけに、来年は今年との比較になるのですから、そもそも厳しいのです。来年の成長、マイナス成長が危惧されるところなのです。これで為替の変動などがあれば、さらに厳しくなるかもしれない。国立競技場は新しく建て直しもできますが、日本経済の建て直しだけは、この政権では難しいということが、よりはっきりする1年になるのかもしれませんね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2015年12月21日

来年の政局について考える

年末となり、風物詩ともなってきた新党の動きが活発化してきました。次世代の党が「二本のこころを大切にする党」に党名を変更しましたが、江口参院議員が離党して4名となりました。昨年の衆院比例で得票率2%を越えており、政党要件は満たしていますが、最早風前の灯です。与党に近いけれど連立に入っていない、こうした政党は注目度も低く、石原氏がいた頃はまだ知名度もありましたが、その知名度を捨てて、新党名にするという選択をするほど窮地なのでしょう。そもそも極右とみなされがちなこの党が、「日本のこころを大切に…」など、悪い冗談です。残念ながら、党名を言い換えるなら「自分たちのいごこちを大切にする党」にしか見えません。
維新を分裂した5人が、「改革結集の党」を立ち上げます。保守系改革路線だそうですが、党名が場当たり的で、何をしたいのか、さっぱり分かりません。改革で何をするか? 結集してから何をするか? が大切ですが、党名からは読み解けない。しかも、相変わらず与党に近く、是々非々という保守系がつかうありふれた文言も、結局は与党に与していながら、都合悪いときには逃げるよ、という逃げ口上にしか聞こえない。しかし得てしてそういう人は、金や地位、名誉をエサにして釣られるのが常であり、だとすれば与党に投票すればいいではないか、としか有権者には見えない。永田町的な都合よい立ち位置は、有権者からみれば不都合な存在でしかないのです。

安倍、菅―橋下、松井会談が話題ですが、前回もそうだったように橋下氏がおべんちゃらを言い、安倍氏が気持ちよく飲み食いする場、でしかないのでしょう。協力依頼ぐらいはしても、おおさか維新も小さくなった。関西の自民県連、府連をつぶす覚悟なら、おおさか維新にその地盤をゆずる、という判断もできるでしょうが、安倍氏にそうした決断ができるはずもありません。上意下達で連立、合併をすすめたとしても、人の心は離反していく。橋下氏の手法は、それだけ遺恨を残すのであって、修復には相当の時間か、見返りを必要としてしまいます。
そんな中、夏のW選挙が取り沙汰されますが、安倍氏が政権をつづけたい、と考えるならやるしかありません。今回、財源論も棚上げ、安保法制関連の法案ですら、先送りするなどと非常に弱気、バラマキ補正予算もその一貫でしょう。1年前に大勝したとは思えないほどに、もう藁にもすがる思いで選挙への勝利条件を積み上げています。逆に言えば、つづけたいけどもう心、体、もしくはその両方が悲鳴を上げていて、心の安全保障は限界に近づきつつあるのでしょう。

原因は、18歳から投票権が付されますが、安倍政権は若者に不人気。安倍政権を支持するのは新聞しか読まない情報弱者という見方、また若者向けの施策に乏しく、高齢者に手厚いなど、初めてということで注目されるこの層が、こぞって投票に動けば結果がどうなるか分からない。
安全保障法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合、が立ち上がったことも脅威でしょう。これまでネットは友達、ネトウヨに支持されている、と安倍氏は考えていましたが、世界遺産登録で韓国に妥協して以来、どうも旗色が悪い。そこにネットにも長けた若者も参加するこの動きにより、安倍批判がネットでは席巻するかもしれない。W選挙になれば注目度も上がる。ネットをチェックする層も増える。これが安倍氏には恐怖としか思えないのでしょう。

さらに、橋下氏との関係は地雷です。橋下氏が自民党よりになれば、自民に有利というのは大いに間違いで、実は橋下氏が自民に接近してくると、ポスト安倍争いに波風が立つのは確実です。民間人閣僚にでもなれば、次の衆院選は確実に選挙にでてきて、禅譲という形で政権をゆずりうける。ここのW選挙には出ずとも、その芽が残されている限り、自民党内は安穏とはしていられない。橋下氏は首相への野心を隠しておらず、おおさか維新のままそれを達成するのは困難。だから自民をのっとる、その目的にまんまと安倍氏は悦に入って、自分から慰労会をしたい、と東京に招くのですから、これは自民党にとって由々しき事態であり、党内抗争に発展しかねません。景気は低迷、屋台骨もがたがたしてきた安倍政権、一番の恐怖は、橋下氏が接近した人間は、一時は安寧を得られても、悉くその後、凋落していくというアノマリーです。次世代然り、維新の党然り、新壊し屋・橋下氏の威力は、一緒になってみると分かります。来年はそうして橋下氏が自民の疫病神となるか、そんな政局が最大に注目されるところでもあるのでしょうね。

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2015年12月20日

来年の市場予想

そろそろ来年のことを考える時期ですが、利上げ局面に入ったFRBは一先ず成功、追加緩和をうったECB、補完措置を行った日銀は失敗、と二極化されました。これはすでに緩和の手を打つのが難しい、ということ以上に、すでに高値圏にある市場にとってさらに上値を追うためには、政策支援が喉から手がでるほど欲しい。少しでも緩和の話があれば、大きく膨らまし、買いの材料として相場を上げる。異様に高い期待値を背負ってしまう、といった事情も存在しています。
18日の株式市場も、『追加緩和』との誤報もありましたが、アルゴリズム取引を行う主体が一斉に『買い』の条件を設定し、内容をみて失望して『売り』の条件に切り替えた、という事情が大きい。緩和は『買い』が市場の主流であり、全員が同じ動きをすることで相場の動きが大きくなり、些細な期待値からのズレさえも失望を大きくする。逆に、利上げではそうした期待値がそもそもない。今回は祭りとなりましたが、次回がそう反応することはほとんどないのでしょう。

しかしこれでECB、日銀の打つ手は大きく制約されました。これまでドラギマジックや、黒田バズーカなどと評価されてきた2人が、そろって評価を落とし、次の手を打つことを難しくした。逆に云うと、もう追加緩和はできないのでしょう。ECBもバランスシートの拡充は難しいので、マイナス金利を導入していますし、日銀は今以上にバランスシートの拡大カーブを大きくすると、もう元に戻すまでのオーバーシュートを考慮すると、かなり早いう段階で手仕舞いせざるを得なくなり、バブルの兆候がみられたら、もう手遅れといことになります。
特に今、政府や日銀がいうように、景気が回復基調にあるなら、もう緩和状態を徐々に解除していなければならず、それでは誤謬となる。デフレのみをターゲットにしても、緩和をつづけることで将来のバブルを生む可能性があるなら、日銀はそれを止める責務があります。バブルの兆候では手遅れ、それがFRBの利上げであり、日銀だけが『非伝統的』という言葉をつかって、バブルを見過ごすことは許されないのです。つまりもう『手詰まり』であり、日銀は詰んでいるのです。

それを踏まえ、来年はかなり厳しいと言わざるを得ないのでしょう。為替市場はすでに年3回程度、FRBの利上げは織り込んでいるため、それが4回になったとて、大幅な円安へは向かいません。為替の上乗せ分が消えるので、業績は今年並みかそれ以下でしょう。何より世界の景気が悪すぎる。米国も利上げ局面では自動車販売などの面で、マイナスを生じてくるはずです。
参院選前に対策が出る、という話もありますが、財源を置いてきぼりにした軽減税率を踏まえれば、どんな景気対策も後の増税を意識させます。それに補正を組む時期でもありません。景気が悪ければ対策を、となりますが、それを認めていたら安倍ノミクスの失敗を喧伝することになる。できることは企業のボーナス上乗せと、前倒しぐらいで、打てる手が他にありません。

来年の株価は、3月ごろに一旦頑張ったとしても、低空飛行をつづけることになるのでしょう。米国が原油の輸出に舵をきり、下手に産油国の経済が破綻したり、それこそ中国の金融不安が襲ったり、ということになれば、それこそ下は1万円程度まであるかもしれない。上値は、米利上げ局面では日本株は高くなる経験則を唱える向きもありますが、これまでは明確に米景気の回復がみとめられましたが、今回は雇用は回復、賃金は上がらず、製造業も低迷中という斑模様の中での利上げです。その混乱の影響は当然、日本も受けざるを得なくなります。
上値はアバウトで年初の水準、下値は14000円が、来年の市場の幅ということを予測しています。年初の水準を3月ごろに回復し、後は見所もないのではないか? とさえ考えています。何より、もう世界は何に頼って景気が上向くのか? ということすら、実は誰も説明できないのです。今年、多くのファンドからは資金流出が相次ぎます。来年もその傾向はつづくのでしょう。今年が高すぎた、来年はその修正局面、実体経済へと寄せる動きが、マネーの失望を生む展開になるのでは、と考えます。手仕舞い、手遅れ、手詰まり、そんな言葉がキーワードともなってきます。「神の見えざる手」と言ったのはアダム・スミスとされますが、実は国富論には『of God』の部分はなく、神はいませんでした。来年は政策当局者の「見えざる手立て」が、市場を混乱させることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2015年12月19日

補正予算案について

補正予算案がまとまりました。しかしこの補正予算、あまり補正の体を為しておらず、本来なら本予算に含まれていないとおかしい経費が目白押しで、災害復旧や防災、復興加速など、景気対策ではない内容です。今年も豪雨で堤防が決壊することなどありましたが、そうした災害対策費は毎年本予算として計上されており、足りなくなったという話も聞かない。むしろ防災、減災などというと、遅れている省庁やその他関連施設の耐震工事を優先させる、との懸念すらでてきます。
しかも補正予算規模が3.3兆円と伝わりますが、新規の国債発行枠を4447億円減額したり、税外収入が3466億円減っていたり、と4兆円分あった歳入が、かなりダウンしています。詳細には検証していないのですが、もしかしたらこの歳入の調整、日銀が資本を積み増したり、また日銀からの国債利払いの返還分が減った、その影響かもしれません。国債市場が日銀によって占められ、ますます引き受け手が減り、発行に滞る場面がでてくるかもしれない。日銀の金融政策の変動でも、国債市場が動揺するかもしれない。それに備えたというなら、愈々財務省内にも警戒感がでてきた、ということになるのかもしれません。歳出側に生じる、規定経費の減額が何を意味するかは分かりませんが、見た目以上に様々な調整の跡が滲む、そんな内容になっているのでしょう。

しかもこの補正予算の中に、日中植林・植樹国際連帯事業なる90億円も含まれます。中国で植林する予算を、補正に含める。効果は、中国で森を増やしてCO2を減らす? という何とも曖昧なもので、しかもなぜGDPで日本を越した中国の植林を、日本の予算で行うのか。小渕政権時代にはじまったことを、延々とつづける。これが官僚機構の予算の取り方であり、それを抑制することもできず、補正に含めてしまう辺り、政治の無力さを感じさせるものと言えます。
さらに「地域における結婚にむけた活動支援」など、国がやるべきことか? やっている地方自治体は、すでに婚活など始めており、国の予算があればあり難い面があったとしても、予算分捕り合戦で地方自治体が総務省詣でをしなければいけなくなるかもしれない。3世代同居や、近居支援なども、国がやるべきことか? と疑問に感じます。同居や近居にしておけば、介護離職をせずに済む、とでも考えているなら大間違いで、むしろ近いからこそ相手の状況がよく分かり、辞めざるを得なくなるかもしれない。日本人の美徳である思いやりがあるなら、事情を知って、見て見ぬふりはできないでしょう。片手間に介護、などができればよいですが、職場の理解を促す、またはそうした制度作りの方が喫緊の課題であり、急がれるところです。

さらにバラマキ批判のある低所得の年金受給者に、3万円の給付。事務費だけで100億円以上を計上しますが、子育て世帯に配っていた特例給付を来年度は停止するので、その分の人員をそのまま回せば、特に事務費が増えることはなくて済むはずです。特例給付にも事務費を合わせて計上していた、というなら、その差について検討、検証する必要もあるのでしょう。
民主党政権の頃、散々子供手あてを「バラマキだ!」と批判していたメディアが、このバラマキ補正予算に対して、「バラマキ懸念」や「バラマキとの批判を拭えない」など、どこか他人事のような批評しかしていません。中身をつめると、実はもっと怪しい支出があるかも知れず、本来はメディアがそうしたものを検証し、政府と問い詰めなければならないのでしょう。補正予算の財源は、主に税収の上ブレと前年度の剰余金ですが、これは来年度どうなるか分かりません。財源を置いてきぼりにして決まった軽減税率など、税収の目処が立っていないからです。来年辺りは補正予算もくめず、罪源論が活発になっているかもしれませんね。




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2015年12月18日

日銀の補完措置と、産経支局長裁判

市場が黒田日銀総裁に呆れた日、今日はそんな1日です。以前、FRBの利上げで市場が混乱すれば、緩和の可能性ありとの記事を上げましたが、昨日は世界同時株高の様相で楽観ムードが広がった。動くべきときではなかったのに、動いた結果として市場は急上昇、急落というジェットコースターを演じました。追加緩和を期待した結果、補完措置という曖昧な決着に失望したのです。
設備、人材投資に積極的な企業に対するサポート、としてETF枠を新たに3000億円追加。REITの買い入れ限度額は、発行枠の5%から10%に拡大。貸し出しを増やした金融機関へ低利融資する貸出支援基金は受付を1年延長。国債の平均残存期間を長期化。日銀がうけつける担保に、外貨建ての貸付債権や住宅ローン債権も認める。ただしマネタリーベースを年80兆円で調整する規模は変えない。以上が日銀の『補完措置』ですが、マネタリーベースを変えないので、これは『補完措置』ではなく『組替え』です。しかも、今回も一部の決定では6対3、8対1と票が割れた。そして最大に疑問視されるのは、このタイミングで全措置を見直したので、半年はもう追加緩和の手は封印されたも同然です。「追加緩和を打つときは思い切ってやる」と強気の態度を示しますが、会合メンバーでさえまとめられず、またその手腕にさえ疑問符のついた黒田氏で、本当にできるのか?
さらにFRBは、マネタリーベースも増やさず、利上げしてインフレにする、と宣言した。世界でも類例をみない規模で、マネー供給をつづけ、インフレ率が上昇しない中で、さらに規模を追い求めようと、組替えを行おうと、達成できるかは不明です。早くも『ポカン措置?』と揶揄されるように、言葉は悪いですが、打つ手のない総裁への『補導措置』の必要性すら感じさせます。

産経のソウル支局長への判決が、ソウル中央地裁で出されました。韓国外務省からの異例の配慮要請文も読まれるなど、異常な裁判ですが、結局は無罪が言い渡されました。世界各国で懸念が表明され、韓国も詰んだ。日韓関係の改善ではなく、世界に向けて韓国が異常な国家、と喧伝されることを嫌った面があるのでしょう。他人の記事を引用し、面白おかしく書き立てる程度の質の低い記事ではありますが、起訴するような事例か? それが問われる、ということは韓国の報道の自由が試されているのであり、日韓関係より韓国にとっては重要となってきます。
ただ韓国より、今の日本は重症です。報道の自由はあっても、それを行使しない。むしろ批判する自由がない、といった方が正解でしょう。安倍政権や、黒田日銀のやることに批判的な記事をだしてはいけない。むしろおべっかを使い、軽減税率を勝ちとったように、ただの圧力団体と化しているだけではないか? かつては日米密約を暴露した記者を、スキャンダルなどを捏造して徹底的に叩いた日本と、今の韓国は手法はちがえどやっていることは似通っています。

安倍ノミクスにしろ、黒田日銀にしろ、世界的にみて異例で、異常なことをしているのが日本です。長く続ければ続けるほど、ボロが出る。今回の『ポカン措置』でさえ、政府の要請だったのでは? と噂されます。ETF買取枠に、政府が掲げる設備投資の拡大、賃金上昇など、方向性を同じにする策が含まれていたように、また麻生財務相、甘利経再担当相などが日銀を擁護したように、政府が狙ったのは年末株高、年金などの資産を維持する『保険措置』だったのではないか?
メディアは本来、こうした安倍ノミクスや黒田日銀に対して、冷静に分析し、その成否を明らかにしなければなりません。なのに、事実関係を伝えるのみで論評は加えない。男女間の密会どころか、政府、日銀の軌を一にした動き、密談はよほど報じる価値があるはずです。今のメディアは『幇間(太鼓もち)措置』をとり、日銀の『ポカン措置』とともに政府の愚かな策に、阿諛追従するというなら、安倍政権には『奉還(返すこと)措置』を願いたくなってくるところなのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | メディア

2015年12月17日

FRBによる利上げ

昨晩、米FOMCにおいて0.25%の利上げが決定されました。FRBのバランスシートに変更はなく、償還を迎えた債券は再投資し、流動性を維持したままで利上げだけする形です。さらに来年は4回ほど利上げを計画しており、市場予想の中央値である3回より、ややタカ派な印象です。
世界は米株をはじめ、同時株高の様相ですが、市場がこれを祭りとして扱い「anything buy」(何でも買え)と号令がかかったように、別に金融政策の正常化そのものを評価したものではありません。金融政策の正常化というイベントを買ったのであり、この祭りは1日で終わりでしょう。問題は来年以後、タカ派の利上げペースにより米経済はどうなるか? 新興国からの資金流出は? コモディティ関連は? といった経済の実体に焦点は移って行くことになります。

今回のFOMCで特徴的なのは、FRBが利上げしてもインフレ目標は達成できる、と自信を示した点です。その理由は語りませんでしたが、恐らく暗にECBや日銀への批判になることを避けたのでしょう。つまり「米国は利上げしてインフレ目標を達成する」と説明すれば、その逆をしているECB、日銀が困ることになるからです。しかも、困らせないよう配慮したのは、決して気をつかったのではなく、ECB、日銀が低金利である方が、米国にとって都合がいいためにそうしたのです。
今の経済は、金融市場が拡大、グローバル化したため、流動性を供給してもその一部しか国内にとどまらず、ほとんどが運用で海外に流れてしまう。それが通貨安を引き起こし、製造業が回復…というシナリオも、日本の失敗で起こらないと分かった。米国がそうであるように、ドル高でも景気は好調。これは流動性を集める国が経済を回復する、というお手本のようなシナリオです。即ち、中央銀行にとって必要なのは資金を供給することではなく、この流動性の波をどうつかむか? なのです。そのとき、ECBや日銀が追加緩和などの流動性を供給してくれ、またゼロ金利という債券市場が壊れている状態の方が、よりそこから逃避した資金が、金利が正常な国、米国に集まってくることにもなります。FRBは金利を正常化させ、資金が集まることで経済をさらに好調にし、インフレにする。そう宣言してみせたのが、今回のFOMCということです。

しかし副作用は勿論でてくるでしょう。新興国は、逆に資金が流入して経済が好調に推移していましたが、米FRBが利上げを匂わせてから、どうにも思わしくないのも、自身が行ったわけではないのに資金の波が押し寄せ、そして引いていく。これは自国の金融政策を難しくします。さらに香港も0.25%の利上げをしましたが、ドルペッグ、もしくはそれに近い体制をとる国は、景気動向に関わらず、経済が引き締められてしまう。9月にFRBが利上げを見送ったのも中国不安というのが大きかったですが、まさに以前と比べて拡大した新興国経済の動向が、世界経済すら揺るがすほどの変動をおこすかもしれない。その不安がいつ破裂するか、というところです。
日本の株式市場は、思っている以上に動きませんでした。昨日は秋から頑張ってきた日系、日米合弁系が久しぶりに買いを入れ、態度を転換させたかとみられましたが、今日は総じて大人しかった。先物、オプションの商いは伸びず、現物株の商いは多少増えたものの、ポジション整理の売り買いにとどまります。想定の範囲内とはいえ、熱気の全くない相場でした。理由の一つに、円安がすすみにくいこと。裁定買い残の高さや、円売りポジションの積み上がりなど、上に行っても頭を押さえられる要因が多く、安心して買える状況でない点が大きいのでしょう。市場が動揺すれば、日銀が明日の決定会合で追加緩和を打てる余地がでてくる、と考えていましたが、この株高では動けないでしょう。しかもFRBに突きつけられたダメだし。いつまでも流動性を供給する側となっても、インフレは達成できない。金融政策の不透明感も、今後の日本にとって不安要因となってきてしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2015年12月16日

夫婦における民法規定判決

民主党政権時代の2009年7-9月期から2012年10-12月期まで、GDPの伸び率は5.7%なのに対して、安倍政権の誕生から2015年7-9月期までのGDPの伸び率は2.4%、との内閣府の試算がでてきました。これを増税の責任にすることはできないのでしょう。ナゼなら、増税の正当性を訴える理由の一つに、国民がつかう分を国が代わってつかうだけで、GDP上の変化はない、とあったのですから。理由は、円安になっても輸出が増えず、国内の生産活動は低迷したままで、さらに円安の悪影響で輸入品が値上がりし、消費が減退。国内総生産という指標に、それがはっきり現れたのでしょう。
円高を害悪のように語られましたが、当時は自民党政権時代にはじまったエコポイント精度の影響もあって消費は堅調、輸出で苦しんでいたのは自動車産業です。逆に今は、自動車産業は絶好調の一方、グローバルに家電販売をしてきた東芝、シャープは斜陽、決して円安メリットが全産業にあまねく行き渡っているわけではありません。むしろ自動車産業は、金融緩和でローンが組み易くなったり、自動車サブプライムローンなどの影響もあるため、円安がどれほど日本にとって恩恵があるかは、今後の議論でもあるのでしょう。ただこのGDPの数字は、決して安倍ノミクスが成功したわけではない、その数字の根拠として今後も用いられることでしょう。

最高裁で、夫婦同姓と離婚後100日経過するまで、次の結婚ができないとする民法の規定を問われた判決で、夫婦同姓は『合憲』。再婚禁止期間の規定は『違憲』との判断が下されました。再婚禁止については、DNA鑑定のなかった古い時代のもので、むしろ現代においては選択的に、子供のDNA鑑定は行うべきかもしれません。これはDNA的なつながりがなくとも、養子をとる人がいるのと同じで、事実は事実として確認しておく。その後どうするかは夫婦の話し合いで解決する。曖昧なままでいい、というならそれでもいい。そうした選択があっても良いのでしょう。
夫婦同姓の問題は「旧姓使用で不利益は緩和される」としましたが、あくまで『緩和』であって、解消はされません。逆に、制度により不利益がある、と認めたわけです。子供の姓選択の問題にしても、親が離婚すれば姓が変わってしまうケースもあるのですから、柔軟に捉えればいい。それこそ家庭内では姓がちがっても不都合はなく、学校に通い始めるまでに決まっていれば、社会的にも問題は少ないはずです。子供に選択できるようにするなら18歳、選挙権を得るときに、改めて選択をしてもいい。親の都合で姓が変わってしまうこともある以上、被扶養者である間、ずっと固定化しておくことにも大した意味があるわけではないのです。

保守系メディアは、早くも夫婦別姓を指摘した国連の提言について、日本の別姓を求めるNGOなどが、大量に資料を提出したことで歪められた、というニュアンスの記事を上げ、外務省も「注意が必要」と述べたとして批判しますが、中身をみてそう判断しているわけではないようです。別姓を求めるから歪んだ資料を提出する、という定義からおかしいのですが、国際的な常識からもずれていることが問題です。特に今、夫婦別姓をみとめる流れの中、日本だけが出遅れるとなれば、国際的な逆風が今後より一層強まることでしょう。つまらない価値観の固定化で、国益を害していいのか? という話とともに同姓を求めることに、個人の不利益がある点も問題です。
LGBTに対して、差別的なツイートをする政治家もいますが、夫婦別姓でもし社会に差別的な意見があるとしたら、その方が問題でしょう。社会は多様性を認めた方が、必ず上手くいきますし、発展もします。価値観を固定し、または旧態依然とした制度を存続させることが、逆に不利益であり、社会の発展を阻害する要因にもなる。子供を生めない関係は異常…などと述べる前に、子供を生める関係であっても子供を虐待する親と、どちらが異常かは火を見るより明らかであって、生むか、生まないか、ではなく、子供に対してどう向き合うか? それを改めて考える必要があるのです。夫婦別姓を選択し、不利益があったとしても、それは個人の選択の結果ですから、受け入れられもします。しかし夫婦同姓を制度によって強制されたとき、不利益があるとすれば、それは制度の側がおかしいのです。保守系の安倍政権下で、最高裁もぎりぎり違憲、合憲と判断を別けたのでしょうが、判決理由が理由になっていない、という根本的な問題を考えれば、この判決も差別的、という表現でまとめられるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2015年12月15日

雑感。今年の漢字は『安』

日本漢字能力検定協会が、今年の漢字を『安』としました。菅官房長官は安倍の『安』だと喜んでいますが、安保法制や新国立競技場の問題など、悪目立ちはしていますが、決して安倍政権の1年ではありません。むしろ円安、原油安、そして株価も高値から下がってきて株安、国債も日銀の爆買いで債券安、デフレマインドの払拭どころか、安さが目立つ1年でもあります。
さらに、とにかく明るい安村氏が目立った1年です。安心して下さい、軽減税率に入ってますよ、と言ったかどうか、今回軽減税率の線引きをみても、安心していられません。持ち帰りで8%、店舗でだしたら10%、ただし出前は8%なので、器に関しては厳密でない。となれば料理にラップをかけて、持ち帰り可能とすれば8%でいい、という話になります。余計な包装をかけさせ、エコでない方向に社会全体を誘導しようとするかのようで、これはエコカー減税とはまったく逆の話になります。財源をかけてエコを促す、財源をけずってエコでない方へ社会を導く。安心しないで下さい、日本のもったいない精神からは、離れていきますよ、ということなのかもしれません。
安倍氏は『安』を倍増すれば、安倍と述べていますが、元々『倍』という字は『背く』が原義です。それが『陪』の『ます』という意味が加わり、倍増などの言葉になっています。今でも漢和辞典などでは『倍反』に『そむく』という意を当てます。これは反対が倍加する、という形ではなく、倍も反もそむくであり、それを重ねて熟語にしています。安心が倍増するのではなく、不安が倍増しても、安心に倍反してもらっても困る、という話になります。

不安が高まってきたのは、中国の人民元安による資金流出懸念。官民あげて、過剰流動性を輸出により捌こう、と躍起になっている中国ですが、資金の流出だけは止められません。無理に止めようとすれば、逆に資金流出が加速するでしょう。さらに原油安による産油国経済、オイルマネーの変調。株価はまさに今、その不安が直撃しています。今日の市場は、昨晩大幅下落した米株がもどりを試す、として買った層が反対売買を入れ、大きく下がりましたが、株式市場にも資金を置いておけなくなった。これは社債市場の変調により、資金確保を迫られるファンドなどが、値上がりしている株を売るのではないか? パリバショックの二の舞がくるのでは? そうした不安から、買いポジションを組みにくくなっているのが、現在の不安相場です。
内閣府は、中国景気に不安と述べていますが、これまでは中国の成長に依存し、日本もその恩恵をうけてきたからこそ、中国経済の変調が直撃してしまうのが、日本経済の現状です。残念ながら、この点で『不安が倍増』が現状です。さらに来年は、日本でもテロがおきる可能性に注意する必要があります。警戒しなければならないのは、ヤクザ、暴力団の解体に今、警察などは躍起となっていますが、組を解体するとき不要となった銃、爆発物などを横流しすることです。一般人も簡単に武器が入手できるようになれば、ISILに感化されたか、そうでないかは別にして、社会への不満から暴走するかもしれません。今、安倍政権を信奉する層と、逆に敵視する層と、二分化されており、しかも両者が苛烈化しつつあり、これは安心に倍反する動きとなるのでしょう。

『安』は心を安んじるという意味とともに、安請け合いなどの軽んじる意味ももちます。さらに形成としては家の中に女性がすわる様であり、安倍政権で語られなくなった『女性活躍』とも、微妙に関係するのかもしれません。今、世界では安閑としていられない状況がおきつつあり、安逸では国民の不安は取り除けません。かといって、打つ手ももちえていない。『倍』の古字は人偏に『否』を当てる、とされます。『安』には甘んじる、という意味もありますが、人を否定したところに甘んじていては、いずれ大きな不安によりこの国はつぶれてしまう、安泰ではない、ということが、今年から来年にかけての事情ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2015年12月14日

日銀短観と、日銀会合

12月日銀短観が出てきました。現状判断DIで大企業製造業が12、非製造業が25とともに横ばい。中小企業製造業が0と横ばい、非製造業が5と2ptの改善です。先行き判断DIは大企業製造業が7と5pt悪化、非製造業が18と7py悪化。中小企業製造業は-4と4pt悪化、非製造業は0と5pt悪化です。一部で内需に底堅さ、などとも報じられますが、現状判断DIをみると明らかに原油安によって余裕がでた運輸だったり、在庫の評価益が高水準になる石油・石炭製品や化学などの分野への恩恵であって、小売や卸売は、大企業と中小企業で判断が別れるなど、内需の強さばかり目立つものではありません。むしろ現状判断は斑模様、先行き判断の低下の方が気になります。

設備投資計画も大企業で15.5%と好調などとも報じられますが、前回と比べて2.7%も減少しており、しかも上期の修正幅が12.7%減、下期が6.1%増、計画の後ズレが目立ち、しかも計画が実現するかも分かりません。業種別でみても生産用機械は大企業、中小企業ともに現状判断、先行き判断を大きく落としており、短観全体を大きく押し下げる原因となっています。この結果を見る限り、設備投資は当初計画通りには達成しそうにないし、今後も増える見込みはない、となります。これは国内の製商品・サービスの需給判断が、供給超過と判断していることからも窺えます。企業は国内において、設備投資するコンセンサスをもてない状況でいる、ということです。
販売価格判断も製造業、非製造業とも下降をみこむ。仕入れ価格判断も、円安でこれまでは上昇傾向でしたが、原油安が利いてきたのか、下がってきた。デフレマインドの脱却どころか、デフレ入りすら懸念される数字が並びます。企業の下期の売上高、経常利益も軒並み悪化がめだつ。上期の上方修正もありますが、計画からの悪化はやはり年度下期の設備投資の伸びは期待できないことを示すのでしょう。全体は停滞、むしろ上期をピークに減退する傾向を、短観は示します。

米国で俄かに警戒されるジャンク債市場の混乱。今はまだその影響が推し量れず、市場も戦々恐々です。そんな中、FRBは今週のFOMCで利上げするとみられ、来年も3回程度の利上げを市場も織り込み始めた。しかしこのジャンク債市場が混乱し、シェールオイル関連企業の破綻が相次げば、米国のエネルギー調達は混乱するでしょうし、何より設備投資も滞るため、米経済全体を悪化させる恐れもある。これまでが超楽観で、資金調達ができた環境で様々な歪みを溜めてしまった。今後はその歪みが修正されていく課程で、不都合な真実が暴かれることも想定されます。
問題は、今週には日銀の金融政策決定会合が開かれることだと考えています。実は今回、追加緩和があるのでは? と考えています。何より規模が追求できないため、サプライズ効果をだすしかない。しかも米FOMCをみてから対応できる、数少ないチャンスです。市場が油断しているとき、小幅に緩和をしてサプライズ効果をだし、尚且つ「果断なく」として追加緩和を匂わせる。今、物価は下落傾向を示しており、景気も低迷しつつある。来年の夏ごろ、景気を浮揚させ、消費税再増税の機運を弱めないためにも、今回と来年、二回の追加緩和は十分に可能性がある話です。

しかしやるとしたら、今年は途中で資金が不足し、お休みしてしまったETF購入額の引き上げ、ぐらいでしょう。クジラの買いも止まり、来年はますます市場に厳しいタイミングで株価を下支えせざるを得ない、といった事情もあります。追加緩和から1年と少し、半年と少しで追加緩和をせまられたECBと歩調を合わせ、またFRBの利上げで混乱する市場に資金供給する、そんな理屈も成り立つ。
年末高は、年金の運用損を考慮しても達成しておきたい、が政府の発想でしょう。下手をすれば年金の損失が、安倍政権への逆風にすらなりかねないのであって、消費税増税を成し遂げるまでは何としても安倍政権であり続けたい、が黒田日銀総裁の本音です。今、軽減税率で決着としますが、NHKの世論調査では増税に反対の方が多い。安倍氏のいうように軽減税率が「最善」だと、国民は誰も思っていないのです。軽減税率で二の足を踏んで、むしろ財務省が怒りに任せて安倍政権下ろしに走る、という可能性もなくはないですが、世界経済の混乱も予想される来年、事前対応の好きな黒田氏が、先にカンフル剤を打つかどうか、来年を見通す上でも、今週は重要なイベントが並んでいるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2015年12月13日

雑感。中北関係に緊張

中国が北朝鮮への石油支援を中止する、との話があります。北朝鮮は女性音楽隊の「牡丹峰楽団」の公園を中止し、中国は国境付近に増派、と何やら中北関係がきな臭くなっています。これまでも金正恩体制に中国側は不満をもっていましたが、愈々石油支援という根幹の部分に手をつけるのなら、中国は本気で金体制をつぶしにかかる、ということかもしれません。金氏の水爆保有発言から、風雲急の東アジア情勢。中北の小競り合いぐらいは起こりえる状況です。
しかも、もし中北で衝突が起こり、金体制が崩壊したとしても、お隣の韓国には一つも面白くない決着となるでしょう。恐らく朝鮮半島統一どころか、中国にとって都合いい政権ができて終わり、です。何より北朝鮮は一つの国家であり、しかもイラク戦争でもそうだったように、戦争に勝利した側が次の体制作りに手を入れることになります。今、中韓関係が良好とはいえ、朝鮮半島統一のような形に、中国が手を貸すとはとても思えません。ただ現状、中韓とも戦争をするだけの体力もなく、またそれが与える負の影響も鑑みると、中々一筋縄ではいかない状況です。

一部で、中国経済の減速に下げ止まりの兆し、といった報道もあります。しかし日本以上に経済指標に信用がないのが中国です。投資、小売の悪影響が止まった、と言っても中国の貿易統計が悪化をつづけている以上、小売の改善には首を傾げますし、投資は政府系がさらにすすめるなら、負債がどこかに溜まっている可能性があります。またAIIBを成功裏にすすめるためにも、今は余計な出費を増やしたり、国際関係を悪化させたくはない。中国から望んで中北戦争は起こしたくない。
韓国の方が、もっと事情は複雑で、経済は低迷。ヘル韓国などという言葉が流行るぐらい、朴政権の信用は失墜しています。そこにきて最大野党に分裂騒動がもち上がります。野党である新政治民主連合は内紛をおこしており、元共同代表が離党を表明したことで分裂する可能性がある。その結果は分かりませんが、野党が頼りなくて、与党に不満がありつつ支持率が40%を越えるのは、日本と似ているのかもしれません。ただそんな政治状況であるため、軍事傾斜したときの影響も読めない。仮に、朴政権が北朝鮮への侵攻を表明したとき、国民からは中国の後塵を拝すことや、戦争の大義について反論がでるかもしれない。逆に、政敵をつくって支持率を高めることに、成功するかもしれない。これは朴政権の手腕により、まったく逆の結果を導きかねません。

中韓とも、今戦争はしたくないけれど、北朝鮮の暴発は止めようがない。小競り合いが戦争まで発展するか、その小競り合いすら起こさず、封印できるかは中国の態度如何によるのでしょう。関係改善のさきがけとなるはずだった女性楽団、その失敗が与える失望が、北朝鮮にとってどれほどショックだったかをこれから探ることになり、それ次第で拡大するかどうかが決まります。
翻って日本は、北朝鮮との関係は停滞中です。あれほど絶好の好機だ、と報じられたにも関わらず、拉致問題は一向にすすみませんし、日本が制裁解除しただけ、という損ばかりしている。今回も、この機に乗じて何らかの戦略を立てることも可能でしょう。孤立化する北朝鮮に、秋波を送ることもできます。ただ安倍政権では、そうした戦略がないことは前回でも証明済みです。しかも、北朝鮮が苦境に陥らないと、外交が動かせないといった弱みももちます。前回も、自ら動かしたわけではない日朝関係、打つ手も限られている以上は進展も期待できないのでしょうね。

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2015年12月12日

GDP改定の原因? と軽減税率

あらゆる方面からナゾと指摘されていた法人企業統計について、その説明なのか、昨日になって経産省発表の商業動態統計で、9月速報値に集計ミスがあった、と発表されました。大規模卸売店の、期末商品手もち額で、速報値が42044億円、前年同期比10.8%減、確報値が47324億円、前年同期比0.4%増。その差は11.2%もある。差がついた理由は、速報値では未提出分の報告値を推定し、集計しておかなければいけなかったものを、怠っていたというものです。
違和感があるのは、この商業動態統計の9月分の確報値がでてきたのが11月13日、約1ヶ月も経って修正、というのはおかしな話ですし、上記は経産省の説明そのままですが、確報値を修正したのではなく、速報値を修正したに過ぎず、速報値が発表されたときから数えると、1ヶ月半もかかってやっと修正した、となります。この商業動態統計はGDPの1次速報にも用いられる大事なもの。しかもGDPの2次統計を発表した後、ギャップに驚いて調査したかのようですが、悪意をもってみれば、GDPのギャップを埋めるため、あえてここで訂正してきたとさえ勘繰れます。しかも、もしこの話が正しいとするなら、1次速報はブレが大きく正確でない、とした最初の説明がおかしかった、となります。こうなると1次速報も2次速報も近い値になるのですから。統計について、公務員は数字を操作するなど、不正を働かないよう罰則があります。今回は単純ミスでは済まされず、担当者を処分する必要が生じるのでしょう。逆に、それがない場合、数字の辻褄あわせをするため、訂正した可能性が高くなる。またそういう目でみられることにもなるのでしょう。

昨晩の米株は大幅に値下がりしました。原油安の低下、人民元安など、世界的な景気不安が再燃、サウジ通貨庁の大幅なポジション調整ばかりか、石油株をもつ投資家が、他の銘柄を売ってキャッシュを確保する可能性が、世界的に資金ショートの懸念を発生させ、関係ない株まで連鎖的に売られる、悪い循環です。そしてこの下落により、シカゴ日経平均先物は18750円まで急落。昨日は、SQ値である18943円を上回るため、断続的に買いを入れていた主体もありましたが、この下落で戦略の転換を迫られそうです。当面、下を叩く動きが活発化する恐れすらあります。
自公でもめていた軽減税率の品目について、外食を含まぬ形で落ち着きました。恐らく、議論の途上でこれは財務省によるクセ球で、議論を長引かせるために、外食まで含む形を提案したのか? といった疑心暗鬼になったことからも、外食を除こうという意識が働いたのでしょう。しかし一番線引きが難しいのは、素材を買って店内で調理してもらうケースです。調理はサービスだから無料、とすれば、実は外食のほとんどは軽減税率の対象にできます。客が勝手に店内で食べているだけ、とすれば良いのですから。それこそ一部の国のように、ハンバーガーショップはすべてお持ち帰り、として店内で食べることが日本でも一般化するのかもしれません。

例えば、コンビニでもスーパーでもお惣菜も、ご飯も売っていますが、今の議論によると軽減税率が適用されるでしょう。それを店内で食べても、問題ないはずです。店内で食べるか、店外で食べるか、という線引きをするなら、屋台はセーフで、店舗はアウト、となりますが、そうなると店の窓をとりはらって屋外です、と言い張ることだってできるでしょう。大手の外食チェーンではそんなこともできませんが、個人店舗では工夫次第で税逃れも可能、ということです。ナゼなら、店舗でだしてもすべて出前だった、としてしまえば済むのですから。
商業動態統計で統計ミスがあっても、誰も処分されないのに、税金を少しミスしただけで追徴課税となる。企業は決算を訂正しても、株式市場で叩かれ、急落を引き起こしてしまう。数字の扱いとしては、よほどGDP統計にも用いられる統計の方が重要であるにもかかわらず、失敗の責任のとり方は大きく異なっている。この国の数字についての考え方、公的機関がルーズで、個人の方が厳しいということなら、個人の工夫で軽減税率をうまく適用させ、それを厳しく取り締まったとしたら、国民の不満を高めるだけ、ということにもなるのでしょうね。

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2015年12月11日

安倍首相の訪印

靖国神社のトイレに爆弾を仕掛けた、として逮捕された韓国人、再来日時も荷物の中に爆発物を所持していた、などと伝えられています。もしこれが事実なら、日韓密約で犯人引渡し説は薄まりますが、逆にこの引渡し説を薄めるため、あえて荷物の話が出てきたのかもしれません。
しかしナゼかあまり指摘もないのですが、まず爆発物を通してしまう韓国の空港の警備体制、そしてそれを通してしまう日本の空港の監視体制、どちらも課題を抱えていることが、今回の事件の最大の問題です。もし機内で爆発できたら、いくら貨物エリアだとはいえ、機体に穴が開けば墜落です。韓国の空港はテロリストの狙い目になるでしょう。日本の空港も、もし逮捕されていなければ二度目も素通りした可能性が高い。テロリストが易々と入りこめる体制といえます。露旅客機の墜落で、エジプトの空港がザルと世界中に知れ渡りましたが、お隣の韓国の空港もザルです。そうした監視体制の甘い国からくる旅行客を、チェックもせずに通していたら、国民の安全を守れない、という話となり、安保法制で国を守る、どころの騒ぎではないはずです。

安倍首相がインドを訪問しています。インド高速鉄道に日本方式を採用してもらう、その調印が主目的ですが、安倍氏は8年前に印国会で演説した『2つの海の交わり』で述べた「日印関係は世界でもっとも可能性を秘めた…」をさらに確信し、日印関係の深化、劇的に発展させたい、とします。しかし2次政権も3年が過ぎ、未だに可能性にとどまり、劇的に発展するぐらい発展していない、ということの方が問題です。しかもその間、印国はAIIBに参加し、過去の因縁をぬぐっても中国と接近しており、安倍氏が主張する「自由で平和な海」を実現するための中国包囲網から、零れ落ちてしまった。3年間で、むしろ関係は退潮しているのが実態となります。
しかしそのAIIB、気になる話があります。AIIBの債務保証は中国が行うため、AIIBの発行する債券の格付けは、中国国債の格付けより低くなる。そのためジャンク債とまでは言えないものの、Bランクぐらいにしかならず、国際金融機関としては異例の低さとなります。それを嫌い、格付けを付与しない方針というのです。そうなると、金融機関はまず手を出すことができず、一部のファンドなどが中国の信用、約束を信じて投資する形にしかならない。予定通りに資金調達できるか? 不透明感がただよいます。しかも露国、ブラジルなど経済危機が叫ばれる国も参加する。あくまで公共事業への投資をする金融機関で、破綻処理は含まれていませんが、投資した先がインフレなどに見舞われたとき、事業そのものが継続できるのか? 追加出資が必要となったとき、その度に格付けのない債券が発行されるのなら、やはり引き受け先に悩むことになるのでしょう。

安倍氏は印国でもう一つ、原子力協定を前進させる意向です。しかし福島原発がNo Control状態であり、未だに原因不明の放射能濃度の上昇がおこったり、漏洩したりをくり返す。日本の原子力の安全性の評価は、今や著しく低くなっています。さらにCOP21がパリで開かれていますが、火力発電所を輸出する日本の態度に、あまり好意的な目は向けられていません。かといってCO2削減に原発、というのも時代遅れで、むしろ効率的でCO2を出さない新エネルギーを開発し、輸出する国、企業が次の発電事業の潮流をにぎる、とさえ噂されるほどです。
日米欧で、原発の新設がほとんどなくなり、今や新興国頼み。事情を知らない相手に押しつけ、赤字の原発事業を抱える日本企業を存続させるため、輸出に活路を見出している、に過ぎないのでは、相手の理解を得るのも難しいでしょう。日本の福島沖は『自由で平和な海』ではなくなってしまった。未だに大規模なテロや、犯罪が懸念される印国で、原発が本当に適しているのか? それこそ原発を狙ったテロが起こった際、インド洋も『自由で平和な海』ではなくなってしまうかもしれない。東芝の原発事業の巨額損失もあったように、斜陽の産業に早めに見切りをつけず、いつまでも「もっとも可能性を秘めた…」などと考えていると、いつの間にか足枷となり、負担ばかり重くなってしまうことにもなるのでしょうね。

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2015年12月10日

雑感。景気予測調査と日本株

10-12月期法人企業景気予測調査は、大企業の現状判断が+4.6となりましたが、7-9月期の+9.6からは大きく下がった。1-3月期の見通しは+5.6と改善しますが、4-6月期の見通しになると+1.3とさらに低下します。しかも前回調査時、10-12月期の見通しは+7.7だったのであり、明らかにマインドが低下傾向になっています。この調査は企業に景気が上昇か、下降かを問い、その引き算で出てくるものですから、未だにプラスで考えている経営者が多いとは言うものの、安倍政権、経団連の榊原会長の指示で、無理やり高めに回答しているところを除くと、実質はマイナスかもしれません。
それより酷いのが中小企業の現状判断で-7.7、前回調査の見通しでは-1.4だったので、大幅に悪化です。この1年を通してみると、中小企業はずっとマイナス。つまり下降と考える企業が多い、ということです。さらに国内の景況判断を問うと、現状判断で大企業は+5.6、中小企業は-8.3と差がさらに大きくなる。設備投資も大企業では増加が、減少を上回りますが、中小企業では減少が、増加を上回る。しかも、この設備投資に関して、年度上期は前回調査で14.1%の増加としていたものが、8.5%の増加にとどまり、下期は0.0%としていたものが、6.5%に増えている。年度を通じると6.1%の増加から、7.5%の増加になっていますが、計画が後ズレしている印象があり、かつそれが下期に実行されるかどうかも分からない、ということが指標からも読み解けます。売上高も、経常利益も、下期はマイナスを見込んでいるところが多く、景気に加速感はありません。

日経で報じられた、サウジ通貨庁が大株主となっている企業が、9月末時点で30社と約半分に減っていたことが話題です。安倍政権はデフレ脱却の旗を下ろし、原油安を干天の慈雨として、景気にプラスと発言するようになっていますが、裏では投資資金の減少という波が襲っていた。9月末、まさに株価が下がっていたときであり、オイルマネーの変調が一因だったと読み解けます。
今週に入り、急に原油安や中国不安を思い出したように、株式市場は下落に転じていますが、これは買いの循環が終わった、とみることが可能です。最近は買い、売りの循環がはっきりしていて、8月半ばにつけたピークを底打ちしたのは、9月末、そこから2ヶ月の上昇局面が終わった。買いはゆっくりとすすむものの、下落は急、というのが時間の長さには現れていますが、約2ヶ月で循環するというのがミソです。最近の市場は需給がより重要となっており、運用側の事情が強くでます。12月末の解約対応が終わったのが、このタイミングだとすれば、それまで無理して買い上げていた、その反動が出ているのでしょう。

来年にむけた、年末ドレッシング期待ものるタイミングですが、今年に関して日本株は他の先進諸国に比べ、ベストパフォーマンスを示しており、よほどの事情がない限り、ドレッシングは必要ない水準です。しかも今年、ベストパフォーマンスということは、来年も続くとは到底思えない。間違いなく外国人投資家は、来年にむけて日本株のポジションを落としたい、と考えるでしょうから、尚更日本株を好調にみせておく必要がない、とさえ言えます。
それでも国内勢としては、安倍ノミクスへの協力の視点からも、日銀、年金の事情からも年末高、来年も上昇局面という話を煽りたい。ドレッシングで一段高、という絵を描きたいところです。今日も、明日のSQをにらんで19000円割れ、絶対阻止の強い意志が垣間見られましたが、マネーが変調したら下支えすることは困難なのでしょう。企業はどんどん見通しを悪化させ、計画も後ズレさせ、景気浮揚にも疑問をもつ。そんな中で、来年は日本株のポジション外しが活発化することになります。来年は確実に米国が主役、その米国の利上げの状況と、その影響次第では、さらに日本株への注目度は下がるでしょう。景気予測が示す日本株の見通しは、今日の安倍氏個人のHPのように、見通せなくなっていると言えるのかもしれませんね。

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2015年12月09日

自公の税制議論

自動車を購入する際、かかっていた取得税を廃止する代わりに、燃費性能に応じて普通車なら0〜3%、軽自動車・営業者なら0〜2%が取得価格に応じてかかります。これで200億円規模の減税、というのですが、勘違いしてはいけないのが、自動車の消費税も8%から10%に上がります。今は消費税として大枠で5兆円以上の税収規模、と見込まれているだけで、そこには自動車の購入時の増税分ものっているのです。決して200億円が減税になったわけではない、ということです。
しかもVWの燃費不正問題のように、日本でも不正が行われていたら? カタログ燃費がリッター30kmを越えていても、実用では13kmという話はよく聞きます。それでは省エネへの寄与は低い、と言えるでしょう。さらに、海外ではSUVが売れセンですし、日本ではワンボックスが人気です。これらの車種は車重もあって燃費は悪い。そうなると税制により、日本だけが特殊な消費形態になる可能性が、ますます高まってしまうのでしょう。省エネをターゲットにすると何となく理解を得られ易い、といったことはあっても、国民の消費傾向をますます縮退方向へすすめる策、とも言えます。例えば、新技術搭載減税などとして省エネに効果のある工夫をした車種、グレードに減税をかければ、企業は頑張って研究開発に力を入れ、設備投資もすすむかもしれない。そういう形で、税制から経済を回すことの方がが大切なのです。杓子定規に燃費基準をとるより、その判定は難しくとも新技術で省エネ化の達成率、の方がよほど全体への効果が見込めるのでしょう。

軽減税率導入に関して、自公の税制がもめています。一部で軽減税率導入で決まり、という話もありますが、官邸と公明は安保法制の成立にむけて、すでに軽減税率の導入についてはにぎっているので、財務省とにぎった自民党との綱引きだけです。しかし法人税減税や、自動車取得税の減税では財源議論が問題視されず、軽減税率に加工品を含めるかどうか、で財源議論でもめる、というのはかなり異常です。確かに加工食品まで含めると8000億円の税収減となり、規模は大きめですが、法人税減税などでは景気対策になる、と謳われ、軽減税率を導入しても景気対策、とは言われない。日常、買う金額が減れば家計には恩恵になるはずなので、景気対策と主張してもよさそうですが、そう言わない、言えないのはだったら消費税は増税しない方がいい、という議論にまで拡大されそうだから。しかし法人税減税とて、景気対策かは疑わしいところです。
つまり安倍氏が、自民党税調の人事に手をつっこみ、財務省排除をはかったものの、その結果として今回のごたごたを見る限り、税制が政局につかわれているだけで、国民目線で幸福度や、景気とはまったく関係ないところで議論されてしまっているのです。財務省が入っていれば、まだ財政規律への目配せが利きますが、それすらない。結果として、安倍政権はますます日本破綻の悪い方向へと舵を切ったのではないか? との懸念をいっそう強めてしまいます。

補正予算とて、低所得高齢者への3万円支給、他にも低所得で苦しんでいる人がいるのに、なぜ年金者だけなのか? 介護、保育従事者への支援がもりこまれますが、本来ならこうした介護、保育補正予算ではなく、一般会計に計上されなければおかしい。1億総活躍のお題目に合わせて計上されたことが自明で、これだと介護、保育従事者も安心することができない、という話になります。
税制が、政局化すれば間違いなく規律がゆるみ、政局マターで動くことになる。それは景気浮揚効果などなくとも、減税や補助金の話が噴出することになるのでしょう。来年辺りは宗教団体に補助金を、などでもめているのかもしれません。自分たちを支持してくれる団体、組織にお金を払って票を買う。もしくは減税して恩恵を与える。そんな形に近づいている。それを感じさせるのが今の税議論であり、安倍ノミクスの失敗とともに、いずれ国債の信用も揺らぐ事態を想定しておく必要すら、感じさせるのでしょうね。

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2015年12月08日

GDP上方修正と景気ウォッチャー調査

安倍首相が日経新聞グループ主催のエコノミスト懇親会に出席し、GDP600兆円は達成できる、明日からそう紙面に書いてくれ、という旨のスピーチをしています。しかし誰もが「GDPの算出基準を調整するからでしょ」と考えており、冗談めかして言ったので、愛想笑いと苦笑が入り混じる微妙な空気になっています。今日、7-9月期GDPの2次速報がでてきましたが、実質で前期比0.3%増、年率換算で1.0%増と、1次速報の前期比0.2%減、年率換算0.8%減から大幅上昇しました。
改定の理由は設備投資が1.9%の上方、住宅投資が0.1%上方、民間在庫が0.3ptの上方改定、一方で、個人消費は0.1%下方、公共投資が1.2%下方改定です。端的にいうと、在庫は4-6月期の大幅増から減少したとみられたものの、実は減っておらず、なのに個人消費は下がったので、生産が落ちているはず。なのに設備投資は大幅増だった、ということです。日本経済が好調か、そうでないか、まったく方向性は見えず、企業の動向でさえ説明がつかない、というのがこのGDPの2次速報です。

設備投資に関しては、1次速報が『供給側基礎統計に基づき推計』、2次速報が『法人企業統計により推計される需要側、供給側を統合して推計』とします。しかしこれだけ大きくブレていては、1次速報の信憑性が大きく揺らいだ、とも云えるのでしょう。需要にしろ、供給にしろ、本来であれば数字は整合されなければならない。片方だけを調べても、両方を一緒に調べても、数字は近いものでなければならない。信用が低い、と今さらながら説明する向きもありますが、だとしたら1次速報なんて意味がない、という話になる。逆にどうしてそんな信頼性の低い数字を発表するのか? という話にもなるでしょう。奥歯にモノが挟まった説明にしかなっていません。
11月景気ウォッチャー調査が出てきましたが、現状判断DIは2.1pt減の46.1。節目の50も下回り、さらに悪化傾向であることは、先行き判断DIも0.9pt減の48.2。深刻なのは、家計動向は現状も先行きも住宅関連以外はマイナス。企業関連も現状は回復ですが、先行きは弱含む。全体として回復がみこめない点にあります。景気ウォッチャー調査全体を通してみると、7-9月期はGDP改定値のような回復などの要素は一切なく、むしろ7月をピークに悪化している傾向が読み解けます。

GDP2次速報に関して、甘利経済再生担当相が「市場にはサプライズになった」と述べましたが、サプライズ効果を台無しにした張本人がいう言葉ではありません。それに、今日は昨日の上昇分を帳消しする下落幅で、むしろネガティブ視された面があります。日系、日米合弁系と7月から、まるでリレーのように買いを入れてきた株式市場ですが、まるで弾を撃ち尽くしてしまったかのように、ぱたりと買いを途絶えさせた。その結果、買い方が不在となり、急に脆さを露呈する市場に転換した、という形です。今はSQにむけたロールオーバーのタイミングなので、市場が見えにくくなっていますが、今より上を買おうという主体はまったくいない状況です。
それはGDPでこれだけブレてしまえば、もう市場の信頼性はありませんし、何より閣僚が口先介入するため、安心して投資できる環境でもない。中国不安が再び意識され始め、その影響を被り易い点も、日本回避に動く原因でもあるのでしょう。原油がWTIで40$割れとなり、オイルマネーの変調も意識されます。過剰流動性相場は、より需給に影響されることとなりますが、日本に襲い始めたいくつもの不安。それは政府が市場の楽観となるよう躍起となる一方、実体経済がついて来ない、その数字が信じられない、といった点も大きくなりつつあります。これは安倍政権の信頼性とも深く関係してきます。需給が崩れた市場、それは設備投資の怪しさと同時に、株式市場にも襲いつつある事象なのかもしれませんね。

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2015年12月07日

10月景気動向調査の楽観傾向

オバマ大統領が執務室から演説を行い、テロとの戦いで国民に団結を訴えました。違和感があるのは、ISILや過激思想に染まった者だけがテロリストなのか? 銃犯罪のように、人々が防ぎようのない犯罪もテロだとするなら、今回は過剰反応なのではないか? 確かに今、欧州でもホームグローンと呼ばれる、自国生まれのテロリストの存在が問題視されていますが、過剰反応すればするほど、テロリストを醸成していくことを忘れてはいけません。例えば仏国の地方選で、極右政党が躍進していますが、そうして対立の構図に傾けば傾くほど、阻害された人間がテロリスト化するのであって、こうした動きは問題解決を遠ざけている、と言えるのでしょう。
テロリストと話し合え、というとキレイごとだと批判する人もいますが、テロリストになりそうな人にも目配せし、過激思想に走らないよう手当てすることもまた、政治の役割です。それができない、能力の低い政治家が政治をすれば、社会に不平不満を溜め、過激思想に染まる人が出てくる。国民に団結を訴え、テロと戦う、などと言っている政治家は、自らの無能ぶりをそう主張することによって包み隠しているに過ぎないのです。敵を作り、自らの支持を高めるというやり方は安易で、楽です。国民の一部にのみ目を向け、それらを喜ばす施策をとれば、固定の支持層も獲得できるでしょう。しかし国民全体に目を配り、困難な道であっても全体のことを考えられる政治家を選ぶようでないと、対立の芽が国全体を不幸へと導くことになりかねないのです。

10月景気動向調査、一致指数は114.3と前月比2.0pt上昇。先行指数は102.9と前月比1.3pt上昇。遅行指数は114.4と前月比0.3pt下降、となりました。一致指数は2ヶ月連続の上昇ですが、この調査は判断が機械的なので「足踏み」にとどまります。ただその中身は、ちょっと驚きです。
生産、出荷などが前月と比べて軒並み上昇する中、有効求人倍率のみ低下。しかも先行指数では消費者態度指数の改善もあって在庫が減、東証株価指数も上がって、新規求人数も大幅改善、とバラ色の未来が描かれます。簡単にいうと、今はいっぱい作っても将来はバラ色だから問題ないよね、というのがこの景気動向調査の結果なのです。しかし10月といえば中国の景気不安も一服し、株価も上昇をはじめたタイミングで、気分が暗から明に転じたときに当たります。年末年始にむけてマインドが上がっていた時期、と考えるとこの結果も理解できるのでしょう。

しかし肝心の株価は頭打ち、メジャーSQの週で、月曜とはいえ売買代金は2兆円割れ、まったく商いが盛り上がりません。ロールオーバーがすすむ中でこの水準、ということは実態の取引は相当ボリュームがない状況です。株価は上値どころか、下も叩きにいけず、それこそ『粛々と』ポジションを整理しているだけ、といった取引です。ECBが市場予想には届かなかったとはいえ、追加緩和したことはしたので、ユーロキャリー取引が拡大する、といった観測もありますが、FRBの利上げも見えてきて、先が見通せなくなったことで、積極性を失ってしまった印象です。
つまり市場は今年、なるべく人より先んじて取引しよう、という流れが主流でした。直近では年末高を狙って10月から買いを溜めてきた主体もある。そうして2ヶ月後、3ヵ月後を予測し、ベットする取引で稼ごうとしてきた。しかしヘッジファンドの成績が今年ふるわないように、みんなが同じようにベットしてしまうと、変動を大きくするばかりで逃げ切れなくなることも多い。来年は、この欧米の金融政策の方向性の違い、がもたらす影響から、こうした先行投資的な手法はますますリスクが高く、収益性も低くなってくる、と言えるのでしょう。

景気動向調査で、楽観的に生産を増やす傾向もみられますが、その通りにいくかは分からない。何より、この調査にECBの追加緩和が予想通り、という思惑がのっていたとすれば、その予想と違う結果を、今後は織り込まざるを得なくなります。将来が見通せない、先が予想しにくい、そんな時代はますます株式投資から、投資家を遠ざけてしまうのでしょう。来年も企業は10%増益、などと見通しを立て、株価は2万円台などと予想する人もいますが、まずその前提が信用できない時代、ということになってきているのでしょうね。

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2015年12月06日

政治献金と企業

また安倍政権の滅茶苦茶ぶりが露呈しました。甘利経済再生担当相が、7-9月期GDPの上方修正について言及したのです。市場にも影響を与えるこうした数字は、通常閣僚が事前に漏らすこともありませんし、これまでは事務方も当日の朝まで閣僚にさえ伝えない、というほど厳格に管理されていたはず。それをメディアで語るなど、最悪の相場操縦とさえ言いえてしまうのでしょう。まさに法人企業統計のみ良かった設備投資の数字を、GDP算出に用いるなら、上方修正されることは間違いないのでしょうが、閣僚が発表前に言っていいような話でもありません。
腑に落ちない法人企業統計の数字、それは自民党の政治資金団体「国民政治協会」への企業献金が13.3%増、という話とも整合するのかもしれません。さらに自民党の政党支部への献金も、昨年度は13年度から7.6億円増の35.9億円となるなど、お金が自民党と企業との間で還流する仕組みができつつあります。それこそ株価が厳しいタイミングで、経済閣僚が相場操縦のような発言をし、株価を上げることで企業を支援する。そのお金を自民党に還流する。もしかしたら、企業の内部留保をはきだすのは政治献金、という流れが今後も拡がっていくのかもしれません。

そのご褒美で、法人税も実効税率で32.11%から29.74%に下げることとなった。その財源は欠損金の繰越控除制度の見直しで賄う、としますが、そもそも小泉政権時、金融機関が損失を処理せずに先送りしつづけることを改めるため、損失を処分させると同時に国費を投入するのと同時に、この欠損金の繰越を9年まで認める、と拡張されたものです。つまりほとんどの企業にとっては何ら実害がなく、法人税減税という実をとれる。一部の巨額損失をだしてきた企業にはマイナスに働きますが、9年という異例で、異常の長さの繰越が改まるだけ、に過ぎないのです。
しかも今、米FRBの利上げがほぼ確実視されていますが、この利上げの理由の一つに、本来は倒産させるべき企業が低金利によって生き残っている、というものがあります。そうやってゾンビのように企業を存続させれば、経済の新陳代謝にはマイナス、というのが米経済界の常識なのです。翻って日本は、倒産件数が減った、とあたかも成果のように語る人もいますが、本来は潰れるべき企業が生き残り、新陳代謝が落ちているのではないか? さらに日本はゼロ金利、質的量的緩和という状態にあり、潰れるべき企業が生き残ってしまっている状況ともいえます。

新陳代謝が悪いのは、法人住民税を大都市から、地方自治体に回す額を29年度までに6000億円から1.4兆円に増やす、という話でも明らかです。行政の態度によって企業が振り回され易く、依存状態がおきる。そのため地方でも県庁所在地や市役所機能の集中しているところに、本社を置きたがる。地方発の新興企業が育たない風土があり、税の再分配という形にしかならないのです。
日本には長寿命の企業が多い、ということも、実は新陳代謝の起こり難さと深く関連しています。よく日本経済は低成長型、ともされますが、それもこうした問題に根ざす部分が大きいのです。そしてその最たるものが、企業献金にも現れるのでしょう。行政に依存し易く、企業と政治が密接に絡まり合い、もたれ合う社会が、日本という構図においては重要とさえ言えます。

潰れるべき企業…東電然り、東芝然り。別に倒産をしても、再出発できるところはそうする、というのが海外の発想です。しかし日本では倒産すらさせず、国までこぞって生き残りにまい進する。その間、国が資金まで拠出するケースも多い。余計に企業は国と癒着しようとするでしょう。こうした社会環境で、経済統計を事前に漏らすといった経済閣僚が現れるのであって、海外からはさらに日本が異常な社会に見える事態となってしまっているのでしょうね。

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2015年12月05日

衆参同時選挙? の動き

昨晩の11月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が21.1万人増となり、失業率も5.0%で横ばい、市場予想の20万人を上回り、米株はダウで2%を越える上昇となりました。しかしこれは雇用統計を好感した、というより不透明感の払拭、これで利上げにむけたモヤモヤもなく、すっきりと利上げできるといったことが大幅高の原因です。今回、市場予想を上回った理由は政府系の雇用が増えたことであり、時間当たり賃金は25.21$から25.25$へと上がり、一見好調にはみえますが、FRBが重視するU6失業率はじわりと上がるなど、若干の不安も残す。これが居心地よかった面もあるでしょう。

日本では急速に、来夏の衆参同日選挙の機運が高まっています。噂の出元は参院自民、火消しに躍起なのは安倍政権、公明はカンカン、とても分かり易い構図なのも特徴です。参院自民としては、衆参同時なら衆院議員も選挙活動をしてくれるので、自身の選挙運動が楽になる。さらに野党共闘がしにくくなる。仮にオール野党の体制が組めても、例えば衆院は民主、参院は共産の候補ともなれば、有権者としては戸惑います。選べなく棄権するか、もしくはどちらかのみ野党に投票し、もう一方は白票ともなれば参院自民としては有利な展開ともいえます。
公明は創価学会婦人部のフル回転を、これほど頻繁にしていれば不満も溜まる。特に今回は、安保法制成立後の、初の国政選挙です。説得に時間がかかる上、全力投球を要求するとなると、公明のハードルが上がります。それこそ自主投票、などとなれば大阪W選挙の二の舞になりかねない。だからこそ自民に余計なことを言うな、という感情が強い。安倍政権も、安保法制で協力してもらった借りもあり、また公明の板ばさみを生み出したのは自分たち、という感情も相まって、軽減税率容認に傾斜した経緯もある。今のところ、公明の肩をもちたいと考えています。

しかしこの問題、実は安倍政権の寿命とも大きく関わってきます。現状は支持率がもどって一安心、といったところでしょうが、ECBがマジックに失敗し、FRBは利上げ確定。今回の支持率も、株価の上昇と軌を一にしていることからも、株価が大きく影響することが確実です。来年の経済情勢にも不安を残し、特に5、6月は例年通りなら株価は弱含んできます。支持率が低下したところで参院選、となりかねず、参院選で惨敗したら、安倍政権はその時点で終わります。
サミットを花道に、禅譲という形で幕引きをはかる、とも報じられましたが、支持率がもどっている現状では、参院自民も4月辺りから閣僚の醜聞を頻発させ、安倍政権を退陣においこみ、選挙は新政権で戦うといった戦略もとり難い。しかし安倍政権では国民に不人気なので、野党に少しでも追い風が吹くと、一気に議席をさらわれる可能性も高い。安倍政権が負けて退陣になるのか、選挙前に退陣させるか、その圧力は残り半年の安倍政権のうちだす政策、支持率の推移などによって、強まったり、弱まったりといった形で自民党内に吹き荒れるのでしょう。

仏哲学者アンリ・ベルクソンの『創造的進化』の中の一節に、今の自民をよく表す言葉がありました。「生命は種から種へ移行するとき、ひたすら増大する行動をとる。ところが生命の通りぬけていく種は、いずれも楽をすることしか念頭にない。もっとも骨の折れない方に向かう。自分のなろうとする形態に溺れ、種は半ば眠りこみ、自分以外の生命全体のことにはほとんど知らぬ顔である」 参院自民も、安倍政権も、種であることに変わりなく、楽をし、自分のやりたいことだけを押し通し、自分以外の人がどれほど迷惑を被ろうとほとんど気にかけない。
ただ一つ、この言葉に当てはまらない部分は、増大する行動をとったとしても、結果がそうなるとは限らない、ということです。今のところ、衆参同時選挙は可能性が低くとも、安倍政権が種から種への移行を拒絶し、さらに支持率が落ちているなら、間違いなく誘惑に駆られることでしょう。ナゼなら「自分以外の生命全体のことにはほとんど知らぬ顔」であって、公明に無理強いしてでも衆参同時選挙をしたくなるからです。しかしこんな短期間に衆院選挙を連発されたら、国民全体がどう判断するか? 有権者も眠っているわけにいられなくなったら、そのときの結果は『創造的進化』となるのかもしれませんね。

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2015年12月04日

雑感。ECB追加緩和と、パソコン事業の統合と

ECBによる追加緩和、ドラギ総裁の会見でもマインドは転換できず、世界同時株安の様相です。市場が期待値を上げ過ぎていたせいですが、ドラギショックともされる今回の原因、噂ですが、ドラギ総裁はもっと緩和したかったけれど、ECBの事務方が分析したところ、マイナス金利を拡大しても貸し出しは増えず、国債に地方債を含めて購入する金額を増額しなかったのも、リスクの低い債券が早めに枯渇してしまい、時期を延長するとECBがリスク資産を溜めかねない、といった反論がでたため、とされるのです。つまりECBによる追加緩和の期待を語る人もいますが、根本的に今の仕組みでは追加緩和が難しい。これがドラギ氏のこれまでの発言と、今回の追加緩和という落差の理由であれば、もう期待することすら難しい、ということにもなるのでしょう。
そしてこのドラギショック、実は日銀にとっても足枷となるのが確実です。今、黒田日銀総裁は緩和を煽る発言をくり返していますが、市場の期待値をどんどん上げてしまうと、黒田ショックを引き起こしかねない。これまでは追加緩和をバズーカともされましたが、それがクラッカー程度とみなされれば、一瞬は音に驚いてもすぐに失望される。それがもたらすのは円高、株安であって、それは日銀の失敗というばかりでなく、安倍政権を直撃する問題ともなるのです。

しかも今回、ドラギ発言から欧州系が楽観に傾き、株買いを入れてきたことが株高の背景でもありましたが、それが逆回転を起こしそう。さらにこれまで頑張ってきた日系、日米合弁系が、明らかに弾を撃ち尽くして売りに傾いた。日本の株式市場は当面、買い方不在の状況がつづいてしまいます。さらにここに来て、ヘッジファンドなどが年の取引を終了し、来年の取引に転換しつつある。45日ルールなどとも言われますが、これからは来年の第1四半期の取引に向けて、動きだすタイミングです。来週のSQもありますが、これからは動きの軽くなったヘッジファンドが、来年の水準をさぐりながら、上下動させる展開すら予想される中、悲観が拡がりだしたのです。
11月の米雇用統計は堅調さを示し、利上げの障害はなくなりました。今回、利上げしてもすぐには影響が計れないでしょうが、徐々に様々なことが起こってくるのでしょう。中央銀行の手法にも限界がみえたと意識された今回、米国の利上げをカバーするにはもの足りなかった規模で、世界がどう動くのか? 来年に向けて不安定感が増したことだけは確実なのでしょう。

話は変わって、東芝、富士通、VAIOがパソコン事業の統合交渉をすすめる、と報じられました。日本製メーカーは、同一性能の価格比で、外国製の1.5倍以上するものがザラであり、魅力が低下していた。以前なら安全性、保証などで優位な面もありましたが、外国製も企業努力をすすめて差が少なくなったこと、また価格差が大きく影響するようになり、スケールメリットによる価格低減効果に期待するしかなくなった、という深刻な状況です。そこで不正会計問題で青息吐息の東芝、初のスマホでブランド名を傷つけたVAIO、ヒット商品のない富士通が組む。残念ながら弱者連衡としか映らず、どんな展望をもっているかも分かりません。
統合するなら海外展開を視野に入れないとダメで、そのためにはMicrosoftや中国、台湾メーカーとガチの勝負をしなければならない。TPPで「攻めの〜」というのなら、パソコン事業もそうしなければならないのでしょう。この3社が統合すれば、国内はNECとの寡占化がすすみ、独禁法の問題も浮上する。だからこそ海外で戦う姿勢もまた、必要ということになります。日本のメーカーは使い勝手などを重視し、デザインは弱い。東京五輪のエンブレムでも、この国のデザイン力が貧弱であることが露呈しました。日本人が不得意な大きな規模でのグランドデザイン、それを磨くところから始めないと、いくらスマホをハンドソープで洗えても、この国の製造業は雲ってしまうばかりなのでしょうね。

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2015年12月03日

ECBの追加緩和

露国のプーチン大統領が、年次教書演説を行っています。トルコ批判を強め、ISILからトルコへ原油が密輸され、それはトルコのエルドアン大統領も関わっている、とも。その映像も公開しましたが、残念ながらこれでは証拠にならない。ISIL支配地にある石油掘削施設、もしくは製油所から運搬している、確かな情報ではないからです。車列も映し出されましたが、これも同じです。物資の運搬との違いが分からない。昔のKGBなら、あんな不鮮明な空撮映像ではなく、確かな証拠がありそうなものですが、今ひとつすっきりしない説明に終始しています。
一方で、露国経済の悪化も認め、今年は-4%を越えるマイナス成長の見通し、とします。インフレ率も10%を越え、破綻の一歩手前のような状況です。トルコへの経済制裁は、まるで自国がされたことを他国にし返す、そんな態度に見えてしまう。ただこれは諸刃の剣で、トルコの経済規模はそれほど大きくないとは言え、自ら資源販路を縮めてしまうことにもなります。資源供給の一部は止めるものの、その他の経済協力は停止しない、なども露国の弱みと映るでしょう。プーチン氏は「課題に立ち向かうには団結」と、どこかの国と同じようなことを述べていますが、その団結の旗がプーチン氏の下でいいのか? ということが大いに問題となってくるのでしょう。

英国もシリア爆撃を決めましたが、実は英国も経済的には苦境です。不動産価格の上昇にも翳りがでて、インフレ率も低下、小売もふるいません。原因は様々ですが、その一つに米利上げに伴う資金還流があって、英国への投資が滞っている、とされます。経済が苦境に陥ると、対外的に攻撃的になる。仏国へのテロが契機とはいえ、その決断には様々な思惑もありそうです。
欧州ではECBが追加緩和を決めました。しかし緩和の期間を2016年9月から半年延長、マイナス金利を0.2%から0.3%と、小幅にとどまった。この記事を記載している段階では、ドラギ総裁の会見が伝わっていませんが、一段の措置を発表とはするものの、市場予想にとどかなかったためユーロ高、円安になっており、今後の予断をゆるしません。ドラギマジック不発、と受け止められれば、今後の欧州への政策期待が萎み、市場全体への悪影響も懸念されるところです。

英国や独国の11月のPMIが発表されていますが、概ね好調です。これは購買担当者に景気動向を尋ねる形であり、ドラギ氏の追加緩和発言で、マインドが上昇していたことが背景でしょう。しかしこの不発は、そのマインドすら悪化させかねない。欧州も露国への経済制裁に参加していますが、これも欧州にとって諸刃の剣です。世界は低インフレ、ほどよい景気上昇のゴルディロックスの状態だともされますが、こういう状態のときはどこかに歪みが堪っている状態でもあります。
ECBがこの程度しか緩和の規模が増やせないのも、その歪みが中央銀行に堪る、という構図を恐れたためでしょう。世界は管理、統制された自由主義経済に向かう、との観測もありますが、逆にその歪みを解消させるには、半ば強引にでも政府、中央銀行の介入が許容されるということでもあるのでしょう。国民に結束を呼びかける国々、それはやがて管理、統制された経済、社会に移行する前段階のように見えてしまいます。露国ではどんな困難でも「ニチェボー」(何でもないさ)というほど、大らかな気質だとされますが、かつての体制にもどってしまうなら、そう云うことすら憚られる社会に逆戻り、となってしまうのであって、欧州もそうした社会に近づいている。それがテロによって促進された、と考えると現状が少し、理解しやすくなるのでしょうね。

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2015年12月02日

辺野古埋立訴訟の意見陳述

辺野古埋め立て代執行訴訟、最近、野党議員への身体検査を始めた産経が、相変わらず飛ばしています。『辺野古移設を土地強制接収になぞらえる、裁判長は弁護団を一喝』という記事で、翁長氏が意見陳述を終えると『2時間近くひとごとのようにやりとりを聞いた』などとしますが、民事裁判ですから当人が出廷する必要はありません。意見陳述から弁護士に任せてしまうケースも多く、それこそ会話に入る余地はないのです。『ひとごとのように…』とあえてつけている時点で、この記事は沖縄側を貶める目的で書かれている、ということがつぶさに分かります。
裁判長から一喝、という話にしても、弁護士は言いたいことが山ほどあるので「発言をやめてください」と裁判長がいうことは、よくあります。裁判長との会話がかみ合わない、などともしますが、意見陳述の場ですから、大体言いたいコトを言い合うのであって、もし裁判長と意見がかみ合わないとしたら、それは裁判長が安倍政権側に立っているケースです。通常は、沖縄県と安倍政権との意見がかみ合わないものであって、もしそうなら裁判所が中立でない、となります。

安倍政権の主張は、交有水面埋立法は受益的処分であり、取り消しには公共の福祉に照らして不当とされる場合とし、移設により普天間基地の危険除去ができない、日米の信頼関係、これまで投じた473億円が無駄、一方で辺野古の騒音被害、環境破壊といった不利益は小さく、これが公共の福祉により正当だとします。また承認に法的瑕疵はなく、米軍施設の配置や安全保障に関する重要事項は、沖縄県知事に適否を判断する権限はないことを、取り消し撤回の理由とします。
まず473億円が無駄、などという話は理由にすらなりません。次に、普天間の危険除去という話にしても、辺野古でなくとも移設できればよいので、辺野古埋立承認問題とは、一切関係ありません。日米の信頼関係、という話にしても、そもそも辺野古をごり押ししたのは日本政府であって、受け入れられるといった前提もなくそうした。だから信頼関係が崩れるのだ、は順序が逆です。まず沖縄県との信頼関係を築き、受け入れられる候補地をいくつか選択した上で、米国と交渉すればよかっただけのこと。物事を決める順序がおかしくなって、今さら引っこみがつかないから…では、瑕疵があった側が開き直っている、というようにしか見えないのです。

沖縄県が承認したことに法的瑕疵があるかどうかは、政権の知る範囲ではなく、否定する話ではありません。沖縄県の第三者委員会の調査に準じて、その調査の正当性を評価するのが、この裁判の目的です。米軍施設の配置にしろ、沖縄県知事の知ったことではない、などと言うから、「銃剣とブルドーザー」の話が出てくる。政権が決めたことだから、県は従うしかない、などという法律は、実はどこにもありません。だからこれまでも、基地問題は県知事の同意、承認などが必要だったのであって、それをいきなり齟齬にする、というような理屈が通るはずもないのです。
政権は1968年の最高裁判例を前面にだし、取り消す、取り消さない、の不利益を訴える戦略のようです。しかしすでに動きだしたものは、当然のように予算もかけており、取り消す不利益の方が大きいのは当たり前です。逆にいえば、行政はどんな反対意見があろうと動かしてしまえばもうこの利益、不利益の議論では有利に立てる、ということにもなる。これでは動き出したら止まらない、行政の悪しき体質を司法の場が追認していることにもなり、司法の存在は薄くなります。

あえて提訴したのは『国』ではなく、『安倍政権』という書き方をしています。しかしこの問題は防衛省、外務省、沖縄開発局など、様々な国側の利害が絡む問題でもあって、それに寡勢の沖縄が対立する形になっています。しかし決して、沖縄と対立するのは国民の総意ではない、という意味で『安倍政権』としました。産業廃棄物などを埋め立てる場所のことを『夢の島』と言いますが、この埋め立ては沖縄の『夢』を壊すものと言えるのでしょう。観光地、リゾート地として魅力を増しつつある『夢のある国』を壊すこと、その不利益まで含めて判断できるかどうか、司法の良心が問われてくる、ともいえるのでしょうね。

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2015年12月01日

7−9月期法人企業統計の・・・?

露軍機墜落で露側の発信がころころ変わります。最初はシリア領内からの対空ミサイル、次にトルコに背中から撃たれた、今度は露軍機はISILの運ぶ石油輸送車を狙っていた。しかしここに来て、米国から根拠は示されないものの、露軍機がトルコ領内に浸入しており、かつ警告を無視していた証拠がある、と発信されました。米国が無視に耐え切れなくなったのか、露国によるトルコへの経済制裁で、米国も黙っていられなくなったのか。いずれにしろ、経済制裁は露国への打撃も大きくなるので、露国はどんどん風呂敷を広げ、それを畳むときに自分たちが我慢して受け入れる、という態度をとって、この事件の幕引きをはかることになるのでしょう。

日経平均が終値で2万円を越えてきました。欧州系のイベントドリブン型であり、水準ブレイクに伴う買いを引きだす戦略でしょう。ただ気になるのが、昨日久しぶりに日米合弁系が大きく売ってきた。大きく…といっても、買い向かっていたときの3分の1ぐらいですが、ここで溜まった買いポジションを吐き出してくるなら、年末にかけて相当に上値も重くなってくるかもしれません。
新語・流行語にも入った『爆買い』ですが、インバウンド消費について少し考えます。観光局によると1〜10月の訪日外国人旅行者は昨年より290万人増、1週間滞在するとして週割すると7万人が昨年より週ごとに上積みされた計算です。労働力調査によると、日本の15歳以上の人口は1.1億人、就業人口を考えると6600万人、これが日本の基礎的な消費人口です。7万人の外国人旅行者は、0.1%程度になりますが、国内の基礎的な消費人口の中には学生もおり、アルバイト、パート、65歳以上も含まれます。活発に消費する世代で考えると、これが0.5%を越えてくるはずです。しかも外国人旅行客は、生活に必要なものしか消費しない国内の消費人口の数倍の消費を、この短期間ですることになります。0.5%の外国人旅行者が、4倍の消費をすれば小売売上高の数値、2%程度の上積みの説明となり、10倍ならGDPの個人消費の押し上げ分に相当することになります。

財務省発表の7-9月期、法人企業統計がでてきましたが、設備投資が前年同期比11.2%増と、2%台とみていた市場予想を大きく越えてきました。麻生財務省が、個人消費に関して統計のバラつきに苦言を呈していましたが、個人消費のバラつきは上記で大体、説明がつくはずです。しかし設備投資に関する統計も、これだけバラつきがあると、何が正しいか? さっぱり分かりません。
法人企業統計は、企業の仮決算計数をまとめたものですから、予定していたものが後ズレした場合、今回の数字には上乗せされている恐れがある。そもそも、今年度は前期に設備投資が集中し、2桁増で推移すると見られた中、前期が5.6%だったために、その後ズレ分がのったのかもしれません。しかし実際、計画通りすすんだとはとても思えず、売上高が0.1%しか上積みがなかったように、年後半の事業計画でさえ見通しもついていない、その中で本当に設備投資が増えたのか? 推移を追う必要もあるのでしょう。ただ、これはGDP算出にも用いられる統計なので、GDPの上ブレが意識され、株価はそうした面を意識して、イベントドリブンが働いたのでしょう。

しかし米国では年末商戦の雲行きが怪しくなり、必ずしも世界経済に楽観が拡がったわけではありません。昨日、黒田日銀総裁が「躊躇なく」をくり返し、円安に導いたことも大きかったのでしょう。これも、その手法がいつまでも通用するはずもないのです。年末高を志向しても、実体が伴わなければ年初から下落する、1990年のような相場となってしまうだけでしょう。来年、もしかしたら新語・流行語に「本当のところ、どうなの?」という言葉が入るのかもしれない。誰もがそんなもやもやしたまま、年末を迎えることになってしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般