2016年01月

2016年01月31日

甘利氏の後任人事のナゾ

共同通信の世論調査で、安倍内閣の支持率は4.3pt上昇し、53.7%になりました。しかも甘利前経済再生担当相の辞任は、当然が67.3%あるにもかかわらず、安倍首相による任命責任は「ない」が50.1%。この結果からみると、甘利氏は何かよく分からないうちに経済再生担当相などになっていただけで、安倍氏が選んだわけではない。だから閣僚が辞任しても安倍氏に責任はない、と国民が判断していることになります。呆れるというか、本当? と疑問に感じてしまいます。
しかし市場は正直で、辞任の翌日には米株高を好感し、高く始まりました。その日のメインイベントである日銀会合の前に、売りを溜めておく動きですぐに下げましたが、100円安ぐらいで前場は推移、甘利氏の辞任は完全スルーです。メディアは甘利氏辞任を『安倍ノミクスの正念場』などと報じましたが、市場は閣僚の動向など関係なく、それほど期待もなかったことが分かります。

しかし甘利氏の後任、石原氏へは不安がいっぱいです。誰もが首をかしげるこの人事、どうして起こったのか? それを読み解く一つの鍵は、一昨日急に『岸田外相に存在感』なる記事が、各メディアで踊ったことと無縁ではないでしょう。外相とはいえ、安倍政権では傍流の岸田氏が急に取り上げられた理由。それは安倍政権の命運、寿命とも大いに関係があるはずです。
安倍氏と塩崎厚労相、石原氏が甘利氏の醜聞がでるタイミングで会食し、その席で安倍氏から後任を打診した、などとも伝わりますが、そのとき条件をつけないはずがない。安倍氏は次期総裁選、石原派を安倍支持でまとめてくれるなら、として閣僚就任を打診した。つまり政策手腕ではなく、党内の派閥の論理で閣内入りを要請した。そう考えるとこの人事、すんなり理解できます。

面従腹背にみえるメディアも、党内を強固にする安倍政権がおもしろくない。この『岸田氏に存在感』という記事を、おトモダチの読売まで掲げたことは驚きですが、甘利氏が去り、答弁に窮した安倍政権が失速していく場合、安倍政権の裏側まで知り、かつ政権で重要な地位を占めていない、右よりになり過ぎた状況を変える意味でも中間派で、控えめな岸田氏を推したくなってきた。メディアのそんな事情が見え隠れします。もしかしたら、そこには米国の意向も含まれているのかもしれません。もう安倍政権の継続は難しいだろうし、米国も望まない。その引き金は、欧米が圧力を高め、追いこんでいる露国のプーチン大統領と電話会談し、訪日を調整するなど、逆行する態度をとり始めている安倍政権が疎ましくなってきているのかもしれません。
その一つには、通貨安競争をまた仕掛けてきた、という不審も影響するのでしょう。米経済が堅調なら、意外と米国は懐も深く容認してくれますが、米経済が弱含むと態度が一変する。10-12月期のGDPをみても、米国も苦しいことが伝わり、もう日本の滅茶苦茶な経済政策をみとめているわけにはいかない。通貨安競争の代償は、安倍政権の交代を米国側から仕掛けてくるのかもしれないのです。そして、外相として米国との交渉経験もある岸田氏なら気心が知れている、というわけです。

急にかつてのNAISの頃の関係が取り沙汰され、安倍氏と石原氏は親密、などという報道もでていますが、甘利氏の問題では「怪しい告発者」と盛んに報道されたものの、その「怪しい告発者」と甘利氏は随分と親密な関係だったことが明らかになりました。今度は、疎遠だったはずの二人の関係が、随分と「親密」と報じられるものです。しかしいくら円満な関係を喧伝しようと、能力不足で答弁もままならない人物を「親密」と報じてしまえば、任命責任がより強くかかってくることにもなります。共同通信の世論調査も、もし週末の日銀によるマイナス金利、相場が上昇したことを好感したものなら、そのことで米国との間に吹く隙間風、という逆転現象に、安倍政権は苦しむことになるのでしょうね。

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2016年01月30日

12月のマクロ指標

昨日は12月の経済指標の集中発表日です。まず一般職業紹介状況で、有効求人倍率が1.27と24年ぶりの高水準、などと報じられます。しかし有効求職者数が求職者数が前年同月比で3.2%減となったことが大きい。また求人数は前年同月比7.8%増と、大きな伸びですが、その原因は就職件数が3.7%減となっており、企業は求人をだしても思うように人集めができておらず、それが後ズレして求人数だけが伸びてきたことが、この要因です。しかも今回、顕著になってきたのが臨時・季節工の減少です。そうした雇用形態では人が集まらず、常用雇用に切り替える動きが全産業でおきている。これは非正規でも継続して雇用できるよう、派遣法の変更があったことも影響するのでしょう。それでもミスマッチが起きているのは、雇用条件を変えてでも人集めをするよりは、休業や廃業してしまった方がマシ、と判断しているのなら深刻なのでしょう。

労働力調査は、従前通りに15〜64歳の労働人口が男女計16万人も減り、65歳以上が38万人増えた。雇用者数の伸びが49万人増なので、退職後の再雇用分がそのまま上乗せされた、とみることができます。また医療・福祉の伸びが相変わらず高く、製造業も伸びてはいますが、産業形態的には日本全体が成長している印象は、労働力調査からはうけません。完全失業率が3.3と、前月と変わらなかったのも、上記したように就職件数の低下が大きく響いている部分ではあるのでしょう。
有効求人倍率や、完全失業率ばかり注目されますが、家計調査は深刻の度合いが異なります。実収入が前年同月比、名目で2.7%減、実質で2.9%減。消費支出は名目で4.2%減、実質で4.4%減。収入がこれほど落ちれば、消費もしない。食料品が名目で2.5%増となるなど、インフレに含まれない値上げが響いた反面、暖冬で衣服、原油安で水光熱費が下がったことで何とか支えられた印象です。今回、配偶者収入が9ヶ月ぶりに減少したように、パート収入も頭打ち傾向になったのなら、インフレになると家計は耐えきれず、デフレ脱却が正しいのか? との議論にもなるのでしょう。

鉱工業生産は前月比1.4%の低下と、市場予想を下回る悪化でした。実は、同日発表になった生産動態統計をみると、前年同月比では製品ごとに軒並み減少という傾向を示す。商業動態統計をみると、前年同月比で商業販売額が2.9%減です。これらの数字すべてを通覧するなら、12月は著しく景気は悪化、減速を示す、ということがはっきりします。10-12月期は、7-9月期のように確報値がでた後、速報値を修正するというトリッキーなことをしない限り、マイナス成長で間違いないのでしょう。7-9月期、無理やりにでもプラスにしたかった理由は、これで判明したとも言えます。
米国の10-12月期GDP速報値は、年率換算で0.7%増と急減速です。気になっていた7-9月期の在庫積み上げを、ここに来て解消に動いたことも影響し、通年では実質で2.4%増を維持できたものの、今後も消費支出の伸びが抑制され、米経済も景気の山はピークを越えた感が強まるのでしょう。

翻って日本でもここまで在庫を積み上げ、何とかプラスを維持といった状況です。昨日のマイナス金利導入を、米国では歓迎して株価も上昇していますが、金融相場の脆さはすでに実証済み。相場を下支えしてくれた、と歓迎ムードでも、弱気に傾けば今度は「日本は大丈夫か?」の論調であふれることでしょう。安倍ノミクスもそうだったように、異常で異例なことをする、それが新自由主義の提唱する金融政策の調整である限り、一旦は市場も好感してくれるものです。しかし、実体経済の悪化はマクロ指標に顕著であり、金融政策ではどうにもならない、のも現実です。弱気、という言葉が、実は「現実に立ち返る」ことを意味し、その間は妄想のような楽観に支配されているとしたら、今は市場全体が悪い夢にうなされている、という病気のような状態でもあるのでしょうね。

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2016年01月29日

日銀によるマイナス金利の導入

日銀がマイナス金利の導入です。ただし、現状の当座預金は付利0.1%は変わらず、経済成長で上積みされる分はゼロ、新たに積み増す分が-0.1%の付利です。その効果は、日銀の当座預金に積み上げるのではなく、市中の貸し出しに回す、国債の金利低下により円安を促す、程度ですが、副作用も勿論ある、いわば博打です。こんな政策をとった理由は色々と考えられます。
メディアなどに報じられた『ETFに含み損』『日銀の買う国債は後2〜3年で枯渇』などの記事で、限界説がでたことも要因でしょう。ここで動かなければ、日銀は自縄自縛になる。ただし補完措置から約1ヶ月、ここで動けば先の措置は失敗と自らみとめることになる。その揺れ動く中で、昨日の甘利氏の辞任がトドメとなった。官邸から何とかしろ、と連絡があって、腹心の理事をまとめ上げ、会合にはかったので5対4というギリギリの決断になった。しかも、今日の株式市場は乱高下しましたが、終わってみれば先物の買い方にずらりと日系、もしくは日米合弁系の証券会社が並んだ。この日銀の決定を市場はプラスで捉えた、という雰囲気をつくるため、日系が一生懸命にがんばってヘッドライン取引で上昇、その後効果を疑問視してマイナスになった市場を、ふたたび大幅高まで引き上げた、というのが今日の値動き、乱高下の真相となります。

為替も同様です。長期金利が0.1%を割れましたが、対ドルで2円も動く材料ではない。MMFをみても、一部で円買いを積み上げていた層がいて、マイナス金利に慌てて売った、ということもありますが、円売りを仕掛けた。ナゼなら、マイナス金利の導入でもっとも影響がでて欲しかったのが、為替だからです。ECBが追加緩和を示唆、FRBも昨日のFOMC声明文をみると、3月の利上げが難しくなった。限界説も囁かれる日銀が緩和負けすれば、一方通行で円高がすすみかねなかったのです。
しかしその原因は、先に大幅な緩和に踏み切り、一方通行で円安にしたことが遠因です。今回のマイナス金利導入も、日銀の限界を示した、との声が早くも上がるように-0.2、-0.3と増やせるわけではない。マイナス金利の枠を拡大すれば、その分を金融機関は引き上げるだけで、それが市場に回ることはありません。金利の低さと経済失速で、貸し出しを増やせばリスクを増すだけ。なので次に金融機関が考えるのは、預金金利をマイナスに引き下げることです。欧州でも実際に検討されていますし、取りつけ騒ぎすら招きかねませんが、金融機関とて慈善事業ではありません。日銀の金融政策による弊害を、ただ被るだけでは耐え切れなくもなります。

今日の市場では金融機関が国債を買うしかない、として国債が上昇。不動産やノンバンクに有利、として不動産株などに買いが向かいました。しかし、不動産市場はすでにバブル崩壊が意識され、国債も価格下落が打撃となることを恐れ、金融機関も積み増しには消極的。国債は価格が下がり始めると、誰もが焦って投売りし、暴落に至る恐れがあります。すでにその経験もあり、日銀が買わなくなれば間違いなく暴落がおきる、とも予想されています。そんな市場が今回、高騰してみせたことは、さらに異常で、異様な経済状況になったことを示すのでしょう。
国の金融を人間の体に置き換えるなら、日銀が心臓で、金融機関は腎臓だと考えています。日銀がおくりだす血を、キレイにして細胞に渡す。その腎臓が徐々に弱っていく劇薬がマイナス金利であって、投薬をつづければ健康を蝕まれていく。やがて大きな病を患うことが確実です。日銀がすでに薬漬けで、正常な判断力も働かなくなった、それが今回なのでしょう。

物価の2%達成も17年度前半に後ズレさせましたが、原油安をその理由とします。では、原油安がつづけば17年度前半も達成不能、ということにもなる。マイナス金利にする理由に物価の未達成をもちだしても、誰も信用できないのです。しかも黒田日銀総裁は、これまでもマイナス金利を否定してきた。この人はサプライズを起こすために、平気でウソをつく。市場を騙す、と意識させたことも、今回は失敗だったと言えるのでしょう。口先で介入する前に、血液ドーピングで大量の血を送り込まれてしまった肉体が、瞬間的に心肺機能を高めることにはなるのでしょう。しかしそれを処理し続ける腎臓が疲弊し、つづければそのうち透析治療が必要になるかもしれない。日本は今、非常に不健康な状態に陥っています。その前に、心臓が突然停止してしまう可能性も含めて考えれば、一番の病はそれを判断している脳機能の著しいレベルの低さ、という点にあるのかもしれませんね。

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2016年01月28日

甘利経済再生担当大臣の辞任

甘利担当相が記者会見を開き、閣僚を辞任。後任には石原伸晃氏がつくことが発表されました。しかしこの説明、逆に疑惑を増すだけです。まず秘書が弁護士に説明した内容の中で「総務担当は内容を説明していた」という件です。文春によると、甘利氏の秘書がヤクザまがいの圧力をURにかけた際「この件は大臣も承知している」と言った、とする内容を裏付けるものです。
次に秘書は「総務担当者は封筒や手土産を渡した。…大臣からしっかり処理してくれ、と言われて受けとった」という件。手土産を「処理してくれ」などとは言わないので、間違いなく現金と認識しています。陳情があって、現金を渡され、それを大臣から直接「処理してくれ」と秘書が指示をうけたら、それは単に政治資金収支報告書に記載するばかりでなく、URとの調整をしてくれ、と理解するでしょう。そこで文春の記事、口利きにつながってくる。そして異例の高額な補償金が支払われた、という事実につながるなら、甘利氏の関与にもとづく斡旋利得、斡旋収賄となります。UR側が「調査中」というだけで、明言を避けている点がすでに怪しく、本当に圧力がなかったのなら「ない」と言えばいい。URが空気を読むのは、政治への配慮に他なりません。

気になるのは安倍首相が留任した、甘利氏が自ら辞任を申し出た、という点です。しかも官邸スジは「甘利氏は説明できる。国民も納得する」と観測を流していた。昨日から今日発売の文春のコピーは永田町に出回っていたので、それが辞任の理由ではない。何がそう決断させたか、です。個人的な推測ですが、TPP調印式に甘利は来るな! と米国から言われ、存続させる意味を失ったのではないか? 米国としては、晴れの舞台に疑惑まみれの大臣が来てもらっては困る、ここで甘利氏以外、別の閣僚を行かせるぐらいなら辞任。そう官邸がひっくり返ったのかもしれません。
後任の石原氏ですが、言葉が軽く、答弁や発言のトラブルも多い。言葉は悪いですが、安倍氏のおトモダチ、ノンポリのボンボン、という点はよく似ています。ただ、新銀行東京の件では秘書の口利き疑惑があり、口利き疑惑で辞める甘利氏の後任として、まったくふさわしくない。野党の追及を避けるため、早めに辞任した、と言われても、次の閣僚まで追及ネタが豊富、というのでは何で辞めさせたのか? 理解に苦しみます。むしろ選別するだけけの時間がなく、空いていたベテラン、で選ばれたとしか思えません。通常国会は荒れることが予想されます。

国会日程がタイト、という話もありますが、ここで経済閣僚が変われば、当然のように経済演説はやり直しでしょう。明日からの予算委員会も、当然日程はとびます。そもそも参院選ありき、で日程がタイトと言ってみても、経済財政、それにTPPまで含め、重要案件が新閣僚になってどう変わるか、それを確認してみないことには、国会審議など始められるはずもないのです。
対米追従、官僚の利権にも最大限配慮し、メディアもコントロールし、まさに我が世の春だった安倍氏。しかし事態は一気に寒風吹き荒ぶ冬に突入です。甘利氏が担当していたことを石原氏が答弁できるはずもなく、安倍氏に質問が集中する。安倍氏とてすべて答えられるはずもない。雑駁な答弁が増え、追求され、苛立ちを増す。これまででさえヤジをとばす、また苛立ちを隠せない場面がめだっており、今後はそれが増えることでしょう。そうなると、当然国民からの印象も悪くなる。さらに石原氏も突けば埃のでる身ですから、それも苛立ちにつながるでしょう。任命責任は私にある、と安倍氏は述べますが、責任はあっても自らは何ら処分をうけないのか? といった批判にも、安倍氏は敏感に反応する可能性があり、冬の寒風は安倍氏の身にきつそうです。

そもそも甘利氏に対し、説明責任を果たす、説明責任を尽くす、という言葉も聞かれましたが、それ以上に「事実を解明する責任」を負うのです。これは単なる疑惑ではなく、証拠のそろった事実関係を、どう整合をつけられるか、です。甘利氏はそれに失敗し、未だに責任を果たしていません。録音テープや写真にドリルで穴を開ける前に、週刊誌に暴露され、物証を抑えられた。それが閣僚に穴を開けることになったのなら、安倍政権でやたらと軽くなった「責任」という言葉、責めをその去り行く背にうけた「背任」が、甘利氏には相応しい罪なのかもしれませんね。

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2016年01月27日

金融株の下落

日本の株式市場は1日で400円単位で動いてしまう、乱高下の商状です。原因をつくっているのは日系の某証券会社経由の取引で、海外勢の取引も細っている中、先物で毎日大きな枚数をかけ、トレンドフォローの大相場を演じている。昨日は先週の買い分をすべてはきだすレベルの売り、今日はそれを買い戻す、といった荒っぽい展開となっており、先物ぶん回しの得意な欧州系とともに、落ち着かない市場の立役者ともなっています。しかも現物との間の裁定取引や、投信による自己売買とも思えず、損をださぬよう上昇相場をつくるため、暗躍しているように見えます。
甘利氏の疑惑でも「安倍ノミクスの正念場」などと報じるメディアがあります。経済の重要閣僚だから、というつもりかもしれませんが、経済財政諮問会議も形骸化、経済の舵取り役として、何ら機能はしていませんから、甘利氏の去就一つで「正念場」になることはありません。しかし米紙などはシャープに対する産業革新機構の動きに対し、「日本株式市場がふたたび」と報じ、安倍首相は「Buy my Abenomics」というが、日本はそれに逆行することばかりしている、と酷評します。台湾の鴻海精密工業の方が、多額の支援を約束しているにも関わらず、産革機構による護送船団方式を重視する。そんな態度が日本への投資を手控えさせ、ひいては市場からも資金が引き上げられる。日本株の下げがきついのも、今や1日の現物株の売買代金が2兆円を少し越える程度なのも、日本が投資先として向いていないと海外勢が考えているために起こっていること、いわば必然なのです。この方がよほど「安倍ノミクスの正念場」といえるのでしょう。

さらに今、金融株の弱さが市場では話題です。マイナス金利は金融機関にとって、決して望ましい状況ではない。それどころか今後の金融緩和は、金融機関にとってマイナス、そんな認識が広がりだしています。これまでの金融緩和で、安全な融資先にはもうほとんど貸し出しがされており、これ以上に流動性のある資金を押し付けられても、融資にはまわらない。また市場が弱含み、運用先にも困る状況で、低金利やマイナス金利で収益機会も奪われ、損失さえ被りかねない。さらに米国のハイイールド債のような、リスク性の高い融資先は、この景気減速をうけてどうなるか分からない。シェールオイル関連企業ばかり取り沙汰されますが、景気が低迷すれば体力の弱い企業は、それこそ淘汰される恐れをより強めてしまうことにもなります。
景気に連動し易い金融株が、これほど弱いのですから市場に上昇期待が盛り上がるはずもありません。むしろ、市場は先の景気を悪化を織りこみ始めており、それが金融株に現れている、とみた方が正解なのでしょう。金融緩和が景気にマイナスに働く、ということが端的に示すのは、政策の手詰まりどころか、政策を打てば打つほど泥沼、を意識させてしまうのです。

中国人民元の先安懸念を、投資家のソロス氏などは示します。早くも人民元の安値をみこんで投資をはじめたファンドなども、ちらほら現れていますが、中国破綻へのベット、と看做すことも可能です。中国は否定しますし、多くの市場関係者もあり得ない、とします。しかし、今後の金融緩和は、こうした『破綻への投資』をする層に、資金供給をしてしまう恐れは否めないのでしょう。破綻にベットし、それに添う投資行動をとることで、本当に破綻させてしまう。今でも資金量は抱負、それは国の一つぐらいつぶしてしまえる額を、市場は運用先もないまま抱えています。
中国は外貨準備も多いことで、売り崩しは通用しない、という見方もありますが、ここ最近の介入額をつづければ、早晩つかいきる、との見立てもあります。リーマンショック後、壊れた経済を建て直したのもマネーの供給量なら、世界経済をつぶしてしまうのも、マネー供給なのかもしれません。日本でもGPIFによる年金運用で、数十兆円にもわたる損失をだしているのでは? との話もありますが、世界同時株安という状況は、世界中で年金不安を引き起こしかねない事態でもあります。日本ではさらに、GPIFに直接運用させる、という恐ろしい案まで検討されている始末。運用を旨とする主体の先安懸念、世界を混乱に導くのは、もしかしたらこうしたところから現れるのかもしれませんね。

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2016年01月26日

甘利氏のイイワケと、貿易統計

甘利経済再生担当相の斡旋利得疑惑、一部では官僚側も甘利氏からの接触をみとめているようですが、最近は自民党主流派から「罠に嵌められた」、また本人もそう述べます。しかし勘違いしているのは「罠に嵌められた」のなら、本人が有罪確定だと認識している、ということです。「罠に嵌められそうだけど、ぎりぎり堪えた」ではなく、斡旋利得の罪に貶めよう、という意図をもっている相手に罠に嵌ったのですから、本人はもう有罪をみとめている、となります。
罠に嵌ったかどうかは、有罪か、無罪か、の判断には関係ありません。告発者がどれほど悪党だろうと、どんな意図をもっていようと、警察、検察の捜査には一切の関係がないのです。罠に嵌ったこと、が影響するとすれば心証面ぐらいで、実刑ではなく執行猶予になるかどうか、程度の話です。どうしてそんなものを主流派が声高に、イイワケとして主張するのか、甚だ首をかしげます。しかも、記者会見でも記者から秘書について、質問がとびますが、秘書が個人的に金銭を授受していたなら問題ですが、この告発者は本人にも渡している証拠を提出していますし、秘書が甘利事務所としてうけとっていたら、すべては甘利氏の責任になるのです。甘利氏を擁護する論調は、むしろ甘利氏が有罪確定、と認めていることは間違いないことなのでしょう。

国会の代表質問でも、安倍氏は相変わらず「デフレでないところまできた」、「日本のファンダメンタルズは強い」と述べます。しかし昨日発表になったH27年分の貿易統計、輸出金額は前年比3.5%増ですが、数量ベースでは1.0%減。輸入は原油安の影響もあって金額は8.7%減、また数量ベースでも2.8%減となりました。この結果から分かることは、輸出するための製造業の現場は、1.0%減が示すように活発ではなく、消費も輸入数量の減少から低調。つまり日本経済の低落を、円安が覆い隠した構図です。ファンダメンタルズが強いどころか、日本の経済の縮退をこの貿易統計は示す、とさえ指摘できるのでしょう。
しかも輸出の伸びの主因は自動車、金額ベースで10.3%増と伸びも大きく、寄与率は1.5にもなります。そんなトヨタ、ベアを抑え気味の交渉になると労組が明らかにしました。グループ企業が軒並み減益決算、本体とてそれに倣うしかない、という事態です。安倍政権がめざす賃上げも、どの業種でも渋り気味。むしろ今年度、減益決算の企業が続出する可能性もあり、来年の増益もみこめない、となれば、益々賃上げを見送る企業が増えることにもなるのでしょう。

日銀の追加緩和の手段に、マイナス金利も囁かれますが、仮に導入すると金融機関の大きな減益要因になる。しかも日銀から超過預金分を引き上げ、貸し出しに回そうにも上記したように、日本経済自体は輸入、輸出数量が減少しているように、企業活動が活発ではない。設備投資しよう、という意欲もなく、貸出先にも困ります。しかも世界は今、バブルからの脱却で市場はどこも下落。自己売買に回そうにも環境がよくありません。結果、景気を下押ししかねないのです。
この貿易統計が衝撃なのは、数量ベースでみると、ギリシャショックが小康状態のEU向け以外、軒並み悪化。つまり世界経済が減速していることを、如実に示しているのです。しかもこれは昨年の数字、今年に入ってさらに混乱が加速している恐れは拭えません。1月の経済指標がでてくれば、それがはっきりしてくるのでしょう。ファンダメンタルズが弱くなったとき、安倍政権がどんなイイワケをするのか。そのときには経済閣僚の顔が変わっているのかもしれず、説明がつかないのかもしれません。むしろ「罠に嵌った」と、言い出すのかもしれません。しかし市場経済で罠に嵌ったら、それこそ国家破綻まで直結する事態ともなるのです。甘利氏の拙いイイワケを聞くにつけ、この国の経済閣僚の質の低さに、国全体を罠に嵌めよう、という大口投資家が現れないことを祈るばかり、となってしまうのでしょうね。

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2016年01月25日

雑感。中央銀行の失敗

マクドナルドが新製品を一般公募する、と発表しました。日本マクドナルドの凋落は、本国でも問題視されているようですが、マクドナルドの最大の問題は、基本のバーガー類がおいしくないことです。噛んでも肉汁が出てこない肉の塊。旨味すらなく、それを無理やりタレで味を誤魔化している感しかなく、温かくなければ100円でも食べる気がしません。肉汁が出なければフライパンは汚れないので、回転効率はよいのでしょうが、それは安売りの飲食店がすることです。その割りに高い、と感じるから客が離れていく。高級店をめざすのか、安売りをめざすのか、どっちつかずでどちらの層を求める顧客からも、見向きもされていないような状況です。
ユニクロを展開するファーストリテイリングも、業績が悪化してきましたが、暖冬の影響とします。しかし値上げで客離れを引き起こし、安いけど品質がそれなり、というお店ではなくなった。値段はまずます、品質もまずまず、それでは魅力がなくなるのです。両社に共通するのは成功体験後、新たな姿を模索していく段階での迷走であって、失敗しているマクドナルドは未だに光すら見えません。Fリテがそれに続くのか、振り切るのかが今後のカギにもなるのでしょう。

今日の日本の株式市場は、買い方が買いを上積みし、17000円をキープする、という展開でした。週末の日銀追加緩和を期待して止まない、そんな動きですが、最近の市場では中央銀行の失敗、が俄かに囁かれます。ECBは12月に緩和したにも関わらず、1月には追加緩和の示唆に追い込まれるなど、政策の失敗が顕著です。3月は独国代表の議決権がないから追加緩和できる、とも吹聴されますが、欠席裁判のようなことをすれば、ECB内の亀裂が深刻になり、それも失敗といえます。
日銀も12月の補完措置で、限界を露呈したともされ、それをここで払拭できれば成功、限界を意識させれば緩和競争からリタイヤ。さらに引き締めすら意識させ、失敗どころか破綻すら意識させます。それを先延ばしするか、ここで決着つけるか、そんな重要な決断となります。

米FRBの利上げは失敗、ともされますが、それを判断するのはこれからです。問題は中国でしょう。人民元の先安懸念と、為替介入とで戦いをくり返していますが、インフレ率の低下、景気減速で利下げをすれば、さらに人民元安を引き起こす。ドル建て債権の問題もあって、そうそう人民元安を容認できない中国人民銀行にとって、景気なのか、通貨防衛なのか、どっちつかずの状況に陥っています。通貨の基準の引き下げのたび、市場の暴落をひきおこしている、とまでされる人民銀行が失敗をくり返していることは自明であり、今後も波乱要因となるでしょう。
金融緩和、という成功体験後の状況、実は誰もそれについて理論的に引き締め、巡航モードにもどれると証明したことはないのです。むしろ金融緩和が成功だったのかどうか? さえ不明と言えるのでしょう。日銀はかつてゼロ金利解除に失敗し、すぐに金融緩和に引き戻された経緯もあります。今、市場がFRBに期待するのもそれですが、そうなると金融緩和の解除は事実上、誰も成功したことがない、ともなるのです。ましてや質的、量的緩和にまで至り、巡航モードにもどすことができるのか? 甚だ疑問とさえ云えるのでしょう。実は、金融緩和をすること自体、失敗だった。そんな認識が将来、当たり前のようになるのかもしれません。噛んでも肉汁さえでない肉らしきものの塊、中央銀行がそんなすかすかで、味気ないものとして市場が政策をうけとるようになったら、凋落が止まらなくなることだけは理屈が通ってしまうのでしょうね。

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2016年01月24日

雑感。お金のつかい方

沖縄宜野湾市長選、現職の佐喜真氏が当選確実となりました。しかし佐喜真氏は選挙期間中、普天間基地の辺野古移設については一切ふれないにも関わらず、メディアには移設賛成派とされるのですから、これは選挙の公約にしないことも当選すればやっていい、主張していいと、メディアがお墨付きを与えていることにもなります。逆に、今後は政治家が公約に掲げず、政策を実行してしまうことを今後、メディアは批判できない、ということにもなるでしょう。
しかし政府は名護市の辺野古受け入れ賛成団体、なるものに予算をつけているのですから、そうした予算がこの宜野湾市にも、どう流れているかは分かりません。今後も沖縄ではお金と、理念と、諸々のことが錯綜し続けるのでしょう。その原因を政府がつくりつづける限り、ということになるのでしょうが、残念ながら本来、政府というのはそうしたものの調整役をつとめるべきであって、混乱の当事者になってはいけない立場です。今後も公判などで対立がつづくのでしょう。

今週、28、29日に日銀の金融政策決定会合が開かれ、市場に今以上のお金を流すかどうか、が決まります。ECBの追加緩和示唆、で悪い流れを食い止めた、と市場関係者などは大喜びですが、これだけ期待を上乗せした状態で3月以降に失望がでるようなら、ECBの判断は誤りだった、と非難することでしょう。ECBにはもう少し余力がある、とはいえ、規模を拡大していけば緩和の寿命を縮めるだけ。そしてその懸念は、すでにFRB、ECBより規模を追求する日銀により強くあります。
2%の物価目標である16年度後半には、日銀の資産はGDPに近づいてきます。黒田総裁が就任前に抱えていた分があるとはいえ、仮に2%の物価目標を達成した途端、緩和を停止するわけにもいきませんから、オーバーシュート分で確実にGDP越えを達成するでしょう。逆に考えれば、だからGDPの算出方法を変え、600兆円に近づけるようなテクニックが必要なのかもしれません。要は、日銀はまだ緩和余地がある、というバッファの確保の意味がGDP600兆円ということです。

ただそんな小手先のテクニックをつかったところで、日銀が本来であればもう出口戦略に向かわなければならない段階なのは、自明です。ここで追加緩和をすれば、さらに出口を難しくし、出口までに何段階も経なければいけない課程の中で、トラブルに見舞われることも多くなる。FRBの利上げを失敗、とする人もいますが、では日銀が利上げまで至ることができるのか? その道筋が描けているのか? 描けていないのなら、それもまた失敗と評することができます。景気が改善せず、インフレにもならず、出口もみえないのなら止め時すら難しくなっているのです。
以前も述べましたが、トリクルダウンとは成金消費の言い換えです。では、社会に成金をうみだせば消費は伸びる、という話にもなります。あくまで極論ですが、1年限りの低年金の高齢者に3万円を給付し、そのコストが莫大にかかるというなら、300億円を宝くじにして1等賞金を1000万円〜3000万円ぐらいとし、当選者数を増やして国民に配分する方が、プチ成金を大量につくれ、消費にも寄与するでしょう。売上高を地方自治体などに配分する必要がないので、コストをけずった分はすべて賞金に回せる。国はコストをかける必要がないので、300億円がそのまま効率的に国民に配分されます。300億円で1000人、売上げから賞金に回す分を含めれば、恐らく2000人ぐらいがうけとれます。2回当選しても無効、1親等以内で1回、と決めることで広く分配されます。

日銀にしろ、政府にしろ、お金が正しく使えていなければ、政策効果は皆無。それどころかマイナスすらあり得るのです。今、すでに限界に近づきつつある日銀に、無い袖をふれ、と言っているのが市場と、安倍政権です。しかしそんなワガママは、もう2年とつづかないのです。お金の使い道を工夫し、経済に寄与する方向で活用できないなら、遠からず日本は危険な状態に突入するでしょう。それこそ国民が飢えていても、辺野古移設だけは「粛々と」すすめる、なんてことがないようにしなければいけないのでしょうね。

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2016年01月23日

安倍首相の施政方針演説

馳文科相が「公営住宅のある地域の小中学校は、家庭が混乱し、日常生活が混乱し、子供たちが授業に向き合える状況にない」と発言しました。特定の家庭を貶めるような意図はない、と述べていますが、家庭環境に問題のあるケースを『公営住宅』に特定する必要はありません。どうして安倍政権、自民党の政治家と言い代えてもいいでしょうが、視野が狭く、ものごとの一側面しか捉えようとしないのでしょう? これでは対策がうまくいくはずがありません。ネグレクト対策、貧困対策など、公営住宅のある地域に特定しても効果は限定的となるのでしょう。

安倍首相による施政方針演説、初めに小栗上野介の言葉を引用し「どうにかなる」ではダメで、野党に対案を示せ、と迫ります。しかしこの認識がすでに過ちです。まず野党は対案など示す必要がありません。与野党で政策をすり合わせた結果、それで実行された政策の成果を「手柄」とするのは、すべて与党です。政策を混ぜ合わせた結果、ここは野党の主張が通っただの、アウトラインをつくったのは与党だ、などと主張し合っても、得をするのは与党です。対案をつくる時間があったら、与党の政策を点検し、検証し、徹底的に追及していけばいい。政策実現力は与党にしかないのですから、野党は与党や政権の提出した法案の審査と追及、また与党が問題視していない分野への注力と法制化、につとめれば与野党で棲み分けができる。同じ問題で、与野党ともに法律をつくる、などしていら時間のムダ、それこそ非効率社会の推進ともいえます。
この演説、やたらと「挑戦」がでてきますが、『世界経済の新しい成長軌道への挑戦』では、あからさまに中国排除の姿勢をうちだす。それでいて多様性、三人よれば文殊の知恵を1億総活躍の意味だとします。多様性なら、移民をうけいれてグローバル化が必要ですし、中国を排除するのはそれに反する。おトモダチだけで新しい枠組みをつくる、は多様性でも何でもありません。

TPPはチャンス、という言葉もやたら出てきますが、政府の試算には多くの有識者も首を傾げる。その指摘に耳を貸さない、では多様性どころか単一、固執です。安倍ノミクスの果実、として名目GDPは28兆円、国民総所得は40兆円増えた、としますが、それを実現するためにかけたコストは、日銀の200兆円以上のバラマキと、最大を更新しつづける財政出動というのでは、笑えない現実です。外国人旅行客が増えた、のもこのコストの結果であり、ここにも非効率がうかがえます。
政権を担って3年、今から挑戦することは、残念ながらその間放置、もしくは悪化した部分ですし、実は「やります」というだけで具体的な施策すらでてきません。だから野党に対案をださせ、自分たちの手柄にする。そんな小ずるいことへの「挑戦」としか、この演説は読み解けない。日米同盟を『希望の同盟』とし、長々と割きましたが、日米の関係改善には『挑戦』しない。紳士協定や思いやり予算など、日本が不都合な内容には一切の『挑戦』をしないのが、安倍政権です。

最後に、野党を「棚上げ」とし、「堂々と論戦しよう」と呼びかけたのは、臨時国会を開かなかった自分を堂々と「棚上げ」したからこその発言です。「挑戦する」をくり返し、「責任を果たす」と言いますが、そこに具体策は何もなく、野党によびかけて対案をだせ、今から自分たちと論戦しよう、というのでは、それこそ結果が「どうにかなる」と言っているのと同じです。それこそこういう目標に、こういう道筋で、こういうやり方で達成する、それに反対があるなら堂々と受けて立とう、というのが道を示す政権政党のトップたる政治家のとるべき態度です。
自分の立場を「棚上げ」し、野党に「対案をだせ」「論戦しよう」というだけで、何も示さない政治家には「挑戦」などしてもらっては逆に困るのです。気づいたときには、日銀の資産が日本のGDPを越えそうなところまで来てしまった。そんな日本の破綻へと「挑戦」するような政治家、それで内政、外交で成功した、などと一側面からしか自分を評価できないようでは、挑戦する前に多面的な見方を養うことから始めなければいけない、ということにもなるのでしょうね。

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2016年01月22日

ECBの追加緩和示唆と相場の急騰

軽井沢のスキーツアーバス事故、なぜか新聞には一斉に『ギアがニュートラル』と出ましたが、事故時に運転手が足を突っ張ってクラッチを踏み、ギアが外れた可能性は捨てきれず、注目するほどの材料とは思えません。それより個人的には運転手の優しさ、数分前の運転をみても、眠っている乗客を起こさないよう、慎重に運転している様子がうかがえます。そうなるとブレーキを多用する必要があり、フェード現象を起こしてブレーキが利かなくなった可能性が高いとみます。
新聞が一斉に『ギアがニュートラル』と打ったのは、もしかしたらバス製造会社への配慮だったのか? 運転手やバスの管理会社、ツアー会社の責任にしておけば、一先ず広告出稿の大企業は守れます。しかしこの問題、小泉内閣で行った規制緩和から始まり、小規模のバス管理会社が乱立し、経営が厳しくなり、しわ寄せが運転手に行っているのであれば、その責任はどこにあるのか? 未だに新聞ではまともな論調もなく、メディア報道の暴走が目立ちます。

今日の日本の株式市場も暴走です。しかし900円以上も上げた原因ははっきりしていて20、21日と大きく売った日系が、今日はそれを大きく上回って買いを入れてきた。逆に20、21日と大きく買った欧州系が、その一部を売ってきたため、2日間の下げた分までは切り返せなかった。結局、この2社を除くと、トータルでは売り圧力の方が大きかった、となります。欧州系はまだ買い持分を残しており、日系は新たに買い持分を抱えた。それでも3日トータルでは100円下げているからです。
欧州系はふり回して利ざやを稼ぐタイプですが、日系は底打ち期待をださせよう、との取引が今年に入って散見されます。つまりECB追加緩和示唆、原油高、ここしかないと狙ったものでしょう。しかしこの3日間、これだけ値動きが激しかった割りに、売買高は膨らまない。セリングクライマックスもない。こつんと音がしない、底打ち感がまったくありません。いくら16000円で切り返した、という実績をつくっても、上昇相場への期待はまったく膨らんでいません。

世界的な上昇相場を演出したドラギECB総裁ですが、「我々には行動する力と意欲、そして決意がある」「制限はない」としましたが、決意をもってやるほどの悲壮感、ともいえます。デフレ懸念を緩和の理由として挙げますが、中国の人民元安、ロシアのルーブル安等は輸入物価の上昇を促しても、ユーロ安で相殺されます。本質は原油安とともに、消費意欲の減退であって、マイナス金利を拡大すれば金融機関にダメージが残り、資産買い入れ枠の拡大は、ECBの資産膨張を加速します。いずれにしろ副作用がでれば、失敗のまま政策をとじなければならない、瀬戸際です。3月以降としましたが、根回しで失敗すれば先送りになり、失望が広がり易くもなるのでしょう。
日銀の追加緩和期待も盛り上がりますが、追加緩和をすれば緩和期間、寿命を縮めるだけで、一瞬は好感できてもすぐに失速するでしょう。そもそも追加緩和しても効果はありません。日本の長期金利もこれ以上下がりようがなく、日米の金利差は広がらずに円安要因ともしにくいので、最も経済効果の高かった円安にすらならないなら、する必要もない。ETFやREITの買い入れ枠拡大を期待する向きもありますが、これ以上やれば相場操縦と、世界からも非難されるでしょう。

これまでも日銀によるETFの買い入れで株式市場を2500円押し上げた、との試算もでています。しかし逆からみれば、この市場下落で日銀も大きな損を抱えている。買い入れ枠を増額したとて、世界的な大波が襲えば効果がないばかりか、日銀の資産の毀損という重大な問題を孕むことにもつながります。すでに7兆円、この上昇カーブをさらに上げていけば、中央銀行の経営の健全性にも関わる深刻な懸念を伴うことになります。日本だと瀬戸際ではなく、徳俵に足がかかった状態です。
世界中でリーマンショック以後、政策を吹かしまくってきたので、ここまでの好調さが演出されました。しかし吹かしている途中ですでに速度が落ち、空回りを始めてしまったのが、相場の急落です。フェード現象、実は世界中で起こりかけており、中国の景気減速、オイルマネー、そして日欧の中央銀行と、危険な状態で下りに突入してしまっているのでしょうね。

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2016年01月21日

甘利経済再生担当相の醜聞

2015年のスーパー売上高が0.7%増です。食料品が好調で「賃金増や雇用回復が…」などと理由を語りますが、全く異なります。生鮮食品が今年は天候不順やコスト高で、強烈な値上げとなり、同じ数量を買っても売上げが押し上げられた。しかし食料品にかかったコストのしわ寄せは、百貨店売上高に顕著に現れており、消費全体のパイは決して増えていない。一つの数字だけをみて、軽々とした判断を下すことは厳に慎まなければならず、判断を誤らせることにもなります。
今日の株式市場は乱高下でしたが、昨日大幅な買いを入れた欧州の分回しを得意とする主体と、昨日大幅な売りを入れたいつもの日系が、朝から一致して買い向かった。円安にもして、楽観をばら撒いて反発を促す、そんな戦略だったのでしょう。しかし金融の弱さ、アジア株等々、分が悪いとみて後場は戦略を変えた。この日系の最近の動きは、売りを溜めて買いの余力をつくる、というケースが多々みられます。底打ちを印象づける狙いでしょうが、値動きを大きくするだけで、逆効果です。短期で大きく売りを溜めたこの主体、週をまたぐかは明日の様子次第なのでしょう。

自民党の山東参院議員が、甘利氏の斡旋利得疑惑について「告発者は『ゲスの極み』。両成敗でなければ…」と述べましたが、政治家に口利きを依頼するのはゲス、それを受ける政治家が『ゲスの極み』です。ゲスのもちこんだ案件をほいほいと受けてしまうのですから。甘利氏は録音やカメラなど、目的は? と疑問を呈しましたが、甘利氏が信じられないから、証拠を残した。さらに甘利氏の対応に不信感があって告発した、ということなら何の不思議もありません。もし仮に、告発者に嵌めようとの意図があったとしても、嵌った甘利氏がやはり『ゲスの極み』です。断ることはいくらでも出来た、それをせず、現金をうけとってしまっているのですから。
以前、述べたこともありますが、参院選を安倍政権では戦えない。この認識を参院議員も多くもっているでしょう。何しろ、安倍政権がちらほら憲法改正までチラつかせ始めた。自分たちを出汁につかって、自分のやりたいことをする、参院自民からそんな不満がでても不思議ではありません。財務省主導なら、春ごろから醜聞がでて、消費税先送り選挙をさせないよう牽制する狙い、とも考えられましたが、ここで重要閣僚をつぶしたら、予算案の成立が遅れる。TPP関連法など、予算とも絡んで甘利氏が担当するのですから、むしろ甘利氏を貶めることはマイナスです。

しかし参院自民の事情は少し異なります。もし仮に春先、醜聞がでてもサミット関連の話題でかき消されてしまう。特に、サミットが成功すれば安倍氏が調子に乗って、憲法改正で選挙を戦う、と言い出しかねない。今から追い込んでいってサミットで勇退、選挙は新政権で戦う、がもっともシンプルで分かり易い必勝法です。つまり安倍政権の重要閣僚を嵌めたい事情は、野党よりもむしろ与党の非主流派、その参院議員側に多い、ということです。新政権で衆参W選、というシナリオもないことはないですが、2年と経たず選挙をくり返すと支持者の負担も大きいので、やりたくはないでしょう。やはり新政権で粛々と参院選勝利、これが自民のベストシナリオです。
今回の甘利氏の醜聞、自民党内も甘利氏も辞任已む無し、だったものを押し返したのは官邸と伝わります。辞任ドミノにつながりかねず、庇えば庇ったで9年前の悪夢が蘇る。それでも庇わざるを得ないのは、通常国会の審議が滞るため。あまりに政権内で様々なことを担当させたため、居なくなれば答弁も覚束ない。2年2ヶ月前といえば、もう閣僚についていた時期。また、その頃から仕込めるとすれば、当時戦略も定まらず、ぐらぐらだった野党よりは与党、という推測も成り立ちます。

ネタを握っていて、披露しなかったのは安倍政権である方が都合よかったから。しかし株価も下がり、憲法改正の野心を現してくればもう用済み、脇の甘い甘利氏、略せば脇甘の爆弾ネタを披瀝した。右よりの週刊誌にネタをもちこんだ点も、用意周到さを感じさせますし、これが不動産、建設という自民の利権ずっぽりの部分で起きたことも、尚更に自民の側の事情をうかがわせます。脇甘を重要閣僚、側近においた時点で、安倍政権も脇甘、といことになるのでしょうね。

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2016年01月20日

トリクルダウンが起きなかった原因

甘利経済再生担当相に、超ド級の醜聞がもち上がりました。実名で、証拠が残っている範囲で1200万円の賄賂を本人に渡した、という週刊誌の暴露記事です。まだ記事をみていない、とした上での釈明は自分は政治家として正しいことをしてきた、というだけ。最近目立つ自民党議員の脇の甘さが甘利氏にも及んでいた、とすれば、本人も政治家生命が一発アウトと自覚しているのかもしれません。庇えば国会が紛糾、かといって辞職させれば安倍首相の責任問題となる。特に、これを右よりとみられる文春が報じたことは、安倍政権への逆風を意識させるのでしょう。最近、右よりの人からは「裏切り者」呼ばわりされる安倍政権、支持者だった媒体も安倍政権を叩いてくる構図が、こんなところで鮮明となって表れてきたのでしょう。
最近、おトモダチの読売が「岡田民主党1年『左傾化』で支持は広がらない」と、暗に自分たちの仲間になるよう、誘惑するような奇妙な社説が載りました。安倍自民への援護射撃に、野党の左傾化を防ぐ、という意図かもしれませんが、いずれにしろ政権が苦境に入ったことを意識しているのかもしれません。株価は終値で昨年来安値を切ってきた。安倍ノミクスは正念場や試練という段階をすでに越えている。安倍氏は「景気回復の実感を国民にとどける…」と今日も発言していますが、甘利氏の醜聞も重なり、むしろ景気後退を国民に意識させそうです。

今日の日本株は脆かったのですが、要するにここまで買いの主体だったところは、今年の経済見通し、市場見通しをやたら高く張ってきたところです。下がっても底抜けを防ぐよう、買いを入れていましたが、そのポジションを見直さざるを得なくなった。そうなると買い手不在、落ちるに任せる相場になってしまった、ということです。原油相場の下落は景気にプラス、という人もいますが、今は製品をつくっても売れない。プラス効果よりオイルマネーの変調の方が、市場にはダメージも強いのです。需給で上がってきた相場で需給が崩れた、だから深刻なのです。
需給という面でみれば、竹中氏らが提唱してきたトリクルダウンがおきなかった原因、それは先進国の富裕層が、賢明になったためです。今回は金融によるバブルでしたから、富裕層しか儲からない。新規で富裕層の仲間入りする層が、極端に少なかったケースです。死語になりつつありますが、いわば『成金』による派手な金遣い、というのがトリクルダウンの真相です。中国の爆買いもこの『成金』によるもので、ムダ遣いとしか思えない消費、これが一部の新興国でしか起きなかったのです。結果、消費の伸びは限られた。それなのに中国はリーマンショック後の景気対策で、生産性を高める体制をつくってしまった。それが今、さらに景気を下押ししています。

安倍政権では企業に設備投資を促しますが、企業の判断は正しかったのです。消費の増えない景気回復、もしここで設備投資を増やせば、一周遅れて日本は中国の景気後退の後追いをするだけでしょう。何より中国をはじめとした「成金」が、今後世界で増えていく仕組みが見当たらないためです。「成金」は逆資産効果に脆い。資産が増えて金持ち気分になり、消費するような層は今の市場で干上がっているでしょう。今後も消費が拡大する見込みは皆無といえます。
実は、この成金消費の傾向は、世界でSUVが売れていたことでも分かるのです。米国では伝統的に四駆、ピックアップトラックが強いですが、少し前はハイブリッドなどエコカーが売れていた。SUVや四駆など、生活に余裕があって贅沢をプラスできる車が売れるとき、というのは実はもう景気は山です。米国では株、不動産で資産が増え、俄か成金が増えたことがこの原因なのでしょう。

日本では相変わらずの軽自動車が強かったものの、増税で腰折れしましたが、今売れているのはトヨタのプリウスやシエンタ。エコやファミリーカーで、決して景気回復期の消費ではありませんでした。日本の景気の実態はこういうところからでも窺えるのです。経団連はベアにこだわらず、企業に賃上げ要請しましたが、株価下落も逆風で、自社株買いの含み益もここからは減益要因につながります。そしてさらに、甘利氏の醜聞で安倍政権の命数もみえてきた。マインド面を上げる要素はなく、むしろ支持率ダウン、株価もダウン、景気は一気にダウン、そんな様相すら呈してきます。トリクルダウン、日本ではトリプルダウンすらおきかけている、そんな事態なのでしょうね。

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2016年01月19日

中国のGDP

マイナンバーを扱う総務省の外郭団体、地方公共団体情報システム機構が、システムの故障を発表し、個人番号カードを発行できなくなりました。外部から入り込めないから個人情報洩れはない、としますが、USBメモリやSDカードで内部の人間がもちだせば、漏洩も考えられる。総務省の天下り団体でもあるこの組織のガバナンスが劣っていることは、火を見るより明らかでもあって、ガバナンスが機能していれば、そもそも無駄な役員など雇っていないはずです。それが逆にガバナンス、というのなら、総務省の統治、支配は行き渡っている、ということなのでしょう。いずれ大きなトラブルが起きる、それを予感させる事象と考えられます。

中国国家統計局が発表した10-12月期GDPは前年同期比6.8%増となり、通年では前年比6.9%増となりました。ただ、同じ日に発表された2015年の発電量は前年比0.2%減、これは明らかに中国経済の減速を示す数字です。前年に比べ、社会が効率的になって電気をしようしなくとも経済活動が活発であれば、確かに発電量は減っても6.9%の成長を達することはできるでしょう。
しかしそれは相当、困難な道ですし、またそうしたことが為された様子もない。逆に、一昨年が非常に非効率な形で電気をつかっていた、とでも言うのか? いずれにしろ、発電量から見える中国経済は、最早7%どころか1〜2%、下手をすればマイナスでも驚きはない、となります。中国人民銀行と商業銀行が、12月の外貨取引で大幅な売りこし、つまり資本フローの流出超だと発表しました。中国国内から逃げだすマネー、しぼむ株式市場、そしてオフショア市場への介入により、ますます国内で枯渇する人民元、と三重苦のような様相を、今の中国は呈しています。国内経済を縮小させる材料が盛り沢山、それでも上海市場は介入で株価ももち直しましたが、不動産市場がひえこめば、国内の資本消失が深刻となり、消費の蒸発がおきることが必定なのでしょう。

過剰生産性、過剰投資、逃げだすマネー、今の中国にはつける薬が見当たりません。対策期待、なども語られますが、誰も何をどうしていいのか、答えをもっていないのが現状です。しかし日本の甘利経済再生担当相が、株安について「日本の努力でどうにもならない」と述べていますが、年金などに株を買わせ、努力してここまで上げてきたのに水の泡になって、どうしようもない、というのがこの言葉の背景です。外生的要因、としますが、内生的要因には打つ手もない、むしろ消費増税という、さらに景気を冷やす材料がこの先に待っているのであって、上がりようがない、が実態です。どの国も、低成長では満足しない政治情勢であるのに、低成長どころかマイナス成長に陥り、それを強引にメディアコントロールで凌いでいる、そんな状況です。
IMFが世界経済の見通しを下方修正したこの日、内閣府も2018年度の基礎的財政収支の財政赤字の額を、下方修正しました。甘い見通しをだし、その時期が近づくと先送りしたり、見通しを下方修正したり、と世界の趨勢はほぼ、こうした政治の事情によって経済指標が恣意的に扱われている。その際たるものが、中国の経済統計、ということも言えます。日本の経済指標も、最近は中国化しているとも言えますが、中華の経済指標は『註解』の方が大切、という点ではより深刻なのでしょう。官僚の暴走する国は、遠からず滅んできたのが世界の歴史です。中国ばかりでなく、日本でも一向にすすまない天下り団体の問題も含め、官に国の財産が食い潰され、滅んでいくのをただ黙って眺めるしかない、両国の事情はとても似通ってきてしまったのでしょうね。

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2016年01月18日

雑感。美しくない国の諸問題

沖縄県宜野湾市の市長選挙が告示されました。与党支援の現職は、徹底的に辺野古移設を隠す、という戦略のようで、自分たちの政策を堂々と主張できない貧弱さしかうかがい知れません。週刊誌による検証で明らかになった、某巨大掲示板に安倍政権の政策の疑問点について板を張ると消される、という事象もあるように、日本は政治が「こそこそやる」美しくない国へと、安倍政権になって変貌してしまったようです。そもそも当初「美しい国、日本」を掲げていたはずですが、国会でヤジを飛ばす、言論統制で批判は封じる、閣僚の醜聞は警察沙汰にせずもみ消す、と本当に「美しくない」ことばかり。五輪招致ですら賄賂疑惑が報じられるなど、裏側のドロドロさ加減をいくら覆い隠して表面をかざってみても、美しくないものは、美しくないのです。

日銀の地域経済報告(さくらリポート)で、東海地方を「緩やかに拡大」とし、近畿地方は「緩やかに」を加えた回復と、判断が別れました。回復よりも強い拡大、とした理由は自動車や部品などの生産、及び雇用が強いこと、としますが、昨年の国内新車販売台数は、前年比9.3%減と、著しく伸びを欠いた状況でした。確かにトヨタは12月にプリウス効果で前年同月比3.1%増でしたが、どうも近畿の悪化を、東海の好調でカバーするために判断を上方修正した? と勘繰れるほど、中身の薄い「拡大」判断です。しかも「緩やかな回復を続けている」と、国内景気について語りますが、生産の引き下げは近畿、北海道、東北に及び、設備投資、個人消費は全地域据え置きです。
2015年の全国百貨店売上高は、前年比0.2%減。インバウンド消費が2.6倍と伸びたにも関わらず、通年で減少したのは極めて深刻です。特に一昨年は、駆け込み需要があった1-3月期も含むために通年で考えると少し事情も異なりますが、消費税増税で消費蒸発、とさえ言われた年です。その一昨年を、結局は昨年も下回ってきた。東京地区は前年比2.2%増なので、それ以外の土地ではかなり深刻な事態にもなっているのでしょう。様々な指標からうかがえるのは、インバウンド消費は東京では百貨店に、地方では観光に、と集中した形で配分されているものとみられます。

しかし自動車や百貨店の売上高が、前年を下回ったことは事実です。黒田氏は国会で物価の低迷について原油安に原因を求めますが、数字として消費が弱いことが示された。デフレの原因は消費減退、改めてはっきりしたのです。さくらリポートでは、個人消費は「据え置き」などとしていますが、その判断自体が誤り、とも言えるのでしょう。そのさくらはいつまで経っても咲きそうになく、リポート自体の欺瞞が「拡大」と判断を下方修正せざるを得ないようです。
話は変わって、男性グループのSMAPが、事務所に残留すると発表がありました。詳述はしませんが、事務所と記者、メディアとの関係と、その報道の仕方により善悪の色分けが為され、本人が語らなければ実際に洩れないようなこと、洩らさないようなことまで記事になるなど、この顛末は不透明感しか残していないのでしょう。悪とされた側が負け、大きなものに巻かれていく姿、これが暗に日本の現状を示している、という目でみると示唆的でもあると考えます。

軽井沢でおきたバス転落事故も、格安ツアーに集まってしまう若者、そして零細企業は管理体制も杜撰で、何とか儲けをだそうと無理をしている構図。そして高齢者の、非正規のバス運転士。これが日本の現状でもあるかと思うと、深刻さを映しているようでもあります。「美しくない国、日本」それが安倍政権になって、より顕著な傾向となっており、ネット時代になって「こそこそ」やっていると、浅ましさや意地汚さばかり目立ちます。安倍政権がその体現者である限り、『曲学阿世の徒』が蔓延るのでしょう。『曲』は曲がる、の意ですが、SMAP問題をみると、歌謡界の闇も深刻、そう感じてしまいますし、似た文字でSTAP細胞問題の『学』と重ねて考えると、より一層『曲学阿世』の文字が今を象徴している、そう感じてしまうのでしょうね。

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2016年01月17日

現在の経済環境について考える

金曜日の米株市場はダウが390$安となり、週明けの日本の株式市場でも昨年来の安値を下回って始まりそうな気配です。テレビや雑誌でも、現在の経済環境を理解しているとは思えないものが目立ちますので、整理のために現状と今後について、少し考えてみたいと思います。

米欧の量的緩和、日本の質的量的緩和により、株や不動産がバブル商状になっていたことは間違いありません。米国はいち早くバブルに気づき、量的緩和を停止しましたが、それでもバブルは収まらずに利上げしたのが昨年12月です。一度の利上げでここまで影響が拡大してしまうのは、今がバブルで、その継続性に疑義がもたれたためです。よく利上げはFRBの失敗と評する人もいますが、米国はバブル崩壊によるマイナスを、いち早く利上げすることで余裕を得た、逆に出遅れた日欧はすでに緩和状態、景気悪化を食い止める術が限られる、深刻な状態でもあるのです。そのときはFRBの失敗ではなく、先見の明を讃える意見があふれていることでしょう。FRBを批判する人は、短期的な視野しかもてないか、今をバブルと認めたがらない人、となります。
しかしこのバブル、消費には結びつきませんでした。トリクルダウン推進者だった某経済学者も認めましたが、重要な点は、どの国も雇用が堅調なのに賃金が伸びていないこと、です。これはソフトだろうと、ハードだろうと、何かを作って売っても売れないから。売上げが伸びないから賃金も上げられない。一部の金融資産を扱うところは好調でも、製造業からサービス業に至るまで賃金が伸びないから消費がすすまず、また賃金も上がらない、そんな悪循環だったのです。

資産のみ膨らみ続けたバブル、危険性を感じとったFRB。これでこのバブルからは空気が抜けていきますが、一気に、というわけではありません。時折ゆり戻しながら、徐々にその循環を早くしながら、ある日突然崩壊します。ただ、それが米国のハイイールド債なのか、中国のドル建て債権なのか、それとも他にあるのか、実はまだ分かりません。ただ人民元安を中国が必死に食い止めようとするのも、中国企業のドル建て債権が、人民元安で膨れ上がるため、とされます。原油安がつづけばハイイールド債の破綻が、金融不安に直結するかもしれない。独英とて、中国に頼った経済政策のツケで、想定以上に脆い経済実体であることを今後、露呈するでしょう。産油国や新興国の破綻が相次げば、IMFの支援能力が問われ、世界秩序が破綻するかもしれません。
中国が統制型の経済に戻れば、中国不安は解消される、原油安はいつまでも続かない、などの根拠不明な楽観論もありますが、膨らみすぎた資産価値が収縮していく過程で、予想していなかった事態がおき、右往左往してきたのがこれまでの経済事情です。楽観よりも警戒、が正解で、これは人間の想像力が試される問題ともなってくるのでしょう。個人的には上記に加え、緩和状態のまま景気後退を迎える日欧の金融、経済政策の失敗、も意識されるところだと考えます。

ただ、それもまだもう少し先でしょう。今は悲観の極、だと考えがちですが、景気循環的には夏から秋頃、4巡、5巡ぐらいした後で底抜けするタイミングが危険、と考えます。勿論、それまでに有効な対策が打たれれば、危険は回避できるでしょう。ただ、これまでの人類史は、それに失敗してきた、その繰り返しです。根拠なき楽観はもたず、慎重にものごとをみていく感覚、が試されるのでしょうね。

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2016年01月16日

AIIBの開業式と台湾総統選

米ミシガン州で、水道水トラブルが起きています。住民が減少して行政サービスが低下している町で、水利権を惜しんで近くの川から水道水用の水をひくよう変更したところ、腐食性の高い水のため鉛管を溶かし、基準の数倍も高い鉛が検出され、住民は鉛中毒の可能性が疑われます。米国では水道水を飲料用とすることは滅多にありませんが、町にはスーパーもなく、匂いもきついけれど仕方なく飲んでいた。苦情を言っても、行政は聞き入れなかった、ということです。
これが対岸の火事でないのは、日本にも鉛の水道管は多く、また温泉の近くの川は酸性度が高いところもある。過疎地の問題、行政の対応など、将来の日本でも起きる可能性の高いものだからです。鉛毒症は酷ければ死にますし、精神障害や幼い子供だとIQの低下や発育障害など、様々な弊害もあるものです。日本でも昭和50年代頃まで鉛管が多く用いられていたこと、また行政は個人の土地にある水道管は鉛管でも交換しない、としている点など、いずれは起きる問題です。

台湾総統選挙が行われ、民進党の蔡英文主席の勝利が確実となりました。事前の世論調査でも大きく他候補を引き離しており、またヒマワリ学生運動の流れを汲む時代力量との連携を表明するなど、磐石の体制を築いた末の勝利です。立法委員選挙でも、民進党、時代力量は議席をのばすとみられ、台湾はほぼ民進党により国政は安定する、という形です。国民党は馬前総統が、中国の習近平主席と会談するなど、中国との近さをアピールしましたが、逆に本省人からの警戒を強めてしまった。戦後、台湾に渡ってきた外省人も、国民党があまりに弱いために期待感すらもてなくなり、他の党に票が流れた。中国への態度が今回の結果に大きく反映されています。
この台湾の事例は、今後の世界の趨勢になるとみられます。中国からの投機マネーで台湾の不動産は高騰、最早都市部では、ふつうに働いてもまともに暮らせない有様です。これは英国も同様、米国の不動産市場も、日本でも都市部には同様の中国マネーで不動産市場は活況でした。しかしそこで生活する人が暮らせない不動産価格など、バブル以外の何者でもありません。これまではそれが景気を押し上げてきましたが、ここからは違う。不動産市場が傾きだすと、中国人は逃げ、中国への嫌悪感が一気に高まってしまう。中国との関係を、どの国も考えだす時期にあるのです。

中国ではAIIBの開業式典が開かれました。「国際的な経済システムの改善」と習氏は述べましたが、この不動産バブルを世界の都市部で生んでしまう中国マネーの実態は、明らかにシステムの悪用です。自由な市場で、買うから上がる、上がるから買う、の右肩上がりが上手くいっている間は機能しますが、躓くと途端に下げが加速する。中国国内の不動産価格の暴落は強引に押さえ込んでいますが、台湾をはじめとする世界で、株安の波及により不動産価格が弱含めば、中国の成長も止まる。そんな右肩下がりの経済を演じる可能性が、現時点では強まっているのでしょう。
独国でも、中国へのネガティブ報道が目立ち始めた、との記事があります。各国でも、メディアは最早、報道内容そのものに妥当性を欠いてでも、経済界の意向を反映させる傾向が顕著ですが、これまでは中国の高成長に依存し、企業は中国に進出することが良で、中国との関係をよりよく保つことが是とされました。しかし欧州でも、徐々に中国の低成長で、逆に中国との関係の深さがリスクと捉えられるようになり、それに伴い中国をネガティブ視して報道しても、良いとする空気が醸成されるようになった。これまでは南シナ海の問題など、欧州は見て見ぬふりでしたが、米国のように欧州も追求する機会が増えるのかもしれません。

台湾総統選、実は中国に対する世界の見方を変える、その端緒ということも言えるのでしょう。AIIBは一帯一路構想の補完という意図を含みますが、ローマから中国へとつづくシルクロード、欧州から中国をみる目が変わりつつある今、人とお金の流れも変わりつつあるのでしょう。そもそもシルクロードは一本ではなく、複数の交易ルートの総称でもあります。一帯多路、しかもそれは盗賊を避け、安全に交易するための道でもありました。今、余剰マネーによる投機という問題により、各国に焼け野原のような惨状が呈するのかもしれず、安全な道は少なくなっていく方向ではあるのでしょう。AIIB、焼け野原に道をつくる、というより、焼け太りした中国が世界市場の炎上とともに焼かれてしまうのなら、その運用は火の車、となるのでしょうね。

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2016年01月15日

雑感。国会の税議論

黒田日銀総裁が国会に出席し、「現時点で追加緩和する考えない」と発言し、円高がすすんだ一方、「躊躇なく金融政策を調整する用意」で元にもどった、と日経が報じ、『市場が過敏』としていますが、ヘッドライン取引が主流の現在、過敏でも何でもありません。結局のところ後の発言はこれまでのくり返しでもあり、瞬間の変動と、その後じわじわと実勢をはかり取引する中で、前の発言が重視されたことにより円高になった、というのが今日の流れです。

国会では麻生財務相が「論理上、消費税10%以上はありうる」と述べました。軽減税率の導入で歳入確保が難しくなり、また財政が厳しい、という理由ですが、安倍政権ではムダ削減に一切きり込んでいないので「歳出規模を維持し、また政府が自由につかえる予算を確保するため」という事情が見え隠れします。ただでなくとも少子高齢化で経済規模が縮小し、歳出規模が維持できなくなるから…ということで増税容認してしまう、これがこの国の現実の政治なのでしょう。
菅官房長官や麻生財務相はくり返し「日本の足腰は強い」「ファンダメンタルズは強い」と発言しますが、今日の株の下落はいつもの日系とはちがう、二番手で頑張ってきた日系が堪らず売りを入れた、が真相です。足腰が強い、どころか、屋台骨を支える金融機関まで買い負けしている。安倍ノミクスで買い溜めた海外勢の売りは、ここから本格化する、とも見られる中で、まったく頼りない状況です。ファンダメンタルズの実相はこれまでもくり返し述べてきましたが、喧伝される数字とは真逆の内容で、かなり悪い。現在の株価の正当性を裏付ける内容ではありません。

しかも、甘利経済再生担当相が軽減税率の財源議論に「税収の底上げ」という、意味不明な見通しを示し始めました。底、の定義も分からないまま、上げるか、割れるかの議論をしても無意味です。特に黒田バズーカ第二弾で円安がすすみ、底上げされた今年度をピークに、今後税収は目減りしていくことが顕著となるでしょう。インフレは経済成長や税収押し上げに効果もありますが、円高と需要減退により、デフレに逆戻りしつつあり、そうした面からも税収減が意識される。つまり、今後は底割れが意識される水準であり、その場合財源がない、となります。
日経新聞が、FT紙との連携でFTによる日本経済の分析記事を載せましたが、その中で増税による弊害の部分が削除されていた、という話もあります。消費増税10%を省是のように考える財務省に配慮した、とみられますが、他のメディアにしろ増税の弊害について論じるところがない。これもまた偏向なのでしょう。増税賛成、反対の両論併記でないことが、すでに経済や景気、国民生活よりも財務省や政治などへの配慮であり、正しく議論がすすまない一因ともなっています。

もし国民が、今のような政府答弁で満足、もしくは仕方ないと諦めてしまうなら、増税はさらに検討され、実施されることでしょう。塩崎厚労相は、臨時給付金を外国人にも適用する方針を示しましたが、きちんと年金を収めていたかどうか、多少でも日本で働けば適用されるのか? よく分かりません。臨時給付金は下流老人対策で、年金とは関係ない、ということなら、もう制度としてあらゆる部分が破綻している、ということなのでしょう。またその穴埋めに、また選挙対策にバラマキがくり返されるなら、増税禍により税収の底割れはより深刻になるのでしょうね。

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2016年01月14日

雑感。円高と株安と政治

11月の機械受注統計は船舶・民需を除く民需の受注額で前月比14.4%減、市場予想を大きく下回りました。9、10月がプラスだった反動、といっても7-9月期は大幅なマイナスでしたし、10-12月期はプラスを見込む中、10月を大きく上回る下げ幅となれば、2四半期連続のマイナスも意識させます。7-9月期の大幅なマイナスは計画の後ズレ、などともされましたが、ズレた分はまだ表れていないようです。9、10月と頑張った非製造業の落ち込みは、インバウンド消費の一服と内需の弱さを示すものなら、低迷は長期化するとみておいた方が間違いは少ないのでしょう。
今日も日経平均は乱高下し、一時17000円も割れましたが、ほとんど昨日の上昇分を消して終わりました。先物の仕掛けが…などとも語られますが、それを主導したのは昨日、大幅買いを入れた日系で、恐らく朝方に大きく売り、日銀のETF買いを期待して後場、買い上がったのではないかとみられ、結局のところ昨日の買い分をすべて解消し切れずに終わっています。底打ち、強い市場を演出したいのでしょうが、どうも思惑外で上手くいっていないようで、逆に相場の波乱要因となっている。余計なコトをしているとしか思えないのは、昨日の記事の中国と同じなのかもしれません。市場の混乱期に、1、2社の抵抗ではどうすることもできないということです。

補正予算が衆院予算委を通過しましたが、これは景気対策ではなく、1億総活躍社会の実現のための予算が3分の1を占め、後はTPP対策が主です。政府は「景気は回復」と使い続けているので、景気対策の大型補正予算は打てない。夏ごろに選挙があるから…と言って、市場関係者も夏場の株高を夢想しますが、選挙前に景気悪化を示唆することは得策ではなく、また補正予算の時期でもない。もし仮に景気悪化が顕著になって、景気対策がでてくるようなときはもう株安になっているので、市場関係者の期待はただの誤謬でしかありません。逆にいえば選挙ネタしか株高になるシナリオを描けない、また安倍政権はそれじゃ困るでしょ、という自虐的な意見にみえます。
そんな折、意外と為替は抵抗しています。詳細がでてこないとはっきり言えませんが、これは9月のGPIFの運用実績で、海外の持ち高が配分見直しに比べて少なかった。つまり125円の黒田ラインや政府からも円安牽制発言があったことから、海外への運用を見送った結果とみられます。ただ、ここで円高となったことで安心して海外債券、株の比率を高めることができる、として円売りを入れている。それだけではないでしょうが、海外への運用にも不透明感がある中、大口の円売りを入れられる機関投資家は、機械的に売り買いする年金ぐらいしかないのでしょう。

そして日本株の下げが海外に比べてきつい、という話もありますが、ドル建てなら先進国と変わらない下落幅です。結局、こうした国内の視点しかもちえていない意見では、物事の判断を見誤ります。安倍首相は「ドルで給料をうけとるわけでないから、ドル建てのGDPは関係ない」という意見のようですが、海外に行って「Buy my Abe-nomics」とアピールするなら、ドルの視点はもつ必要があります。いくら国内で「デフレでない」としても、ドルベースでみた購買力平価からみて、今の円の実力が過小評価されているなら、物価も為替作用の方が大きい、と結論付けられるのです。
最近では「Die by Abe-nomics」が日本では懸念される。もしかしたら、もう過去形なのかもしれない、そんな警戒感すら漂うのでしょう。映画でも有名になった「Die Hard」は最後まで抵抗する人、という意味の他に、頑固な保守主義者、という意味ももちます。未だに安倍ノミクスに試練、などと報じるところもありますが、もう安倍ノミクスなど失敗が鮮明なのであって、最後まで抵抗してそう報じることは決して正しくありません。どうしてこの熟語が二つの意味をもつのか? 最後まで抵抗する人=頑固な保守主義者、というのなら、バラマキしてでも、メディアをコントロールしてでも、政権にしがみつく人がそう、という現状と合ってくるのであって、この難局においても対策も打てない弱みばかり意識されてしまうのでしょうね。

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2016年01月13日

中国、人民元相場の不安定さ

日経平均が大幅に反発し、今年初の上昇でひけました。しかし場中から下げのトレンドになると強引に買い上がる主体がいる、と話題でしたが、引け後にやはりいつもの日系の先物大量買いが働いた結果、と判明しました。しかし買いのトレンドフォローは少なく、昨日に比べて今日は取引量も減少した。特にこの主体、最近では買いばかりでなくポジション整理の売りも目立つ。初日はでましたが、とても喜べるような状況ではなく、むしろ買い手の少なさ、売りポジションを少し整理しただけに終わったこの上昇は、事態が深刻なことを浮き彫りにしただけなのでしょう。

中国税関総署が発表した12月貿易統計、輸出が前年同月比1.4%減、輸入が7.6%減、貿易収支は約600億$の黒字。いずれも市場予想を上回って好調で、これが相場安定を促した一因です。市場予想を覆した原因、それが昨年末に、中国が人民元安容認姿勢をとったことではないか? ともされますが、しかしここ数日、人民銀行が行ったとされるのはドル売り介入。昨年の8月も人民元の切り下げを行った挙句、9月に介入することになりましたが、今回はそれ以上の規模ともされます。
政府が人民元安に誘導、容認すると世界市場が動揺する。中国はそのつど、高いコストを払って市場安定化につとめる、この繰り返しです。しかも介入によって流動性が消失、人民元の調達コストが上がり、ますます中国で活動しようという企業が逃げだす。日本でもドル調達コストの上昇が問題とされましたが、通貨が調達できない事態は、企業にとって最も嫌なことでもあるのです。

中国が輸出を促すために人民元安に誘導しているなら、ドル売り介入はしないはず。また本当に貿易黒字であるなら、人民元は強くなっているはず。この…はず、なのにそうなっていないことが、不透明感につながります。あくまで個人的な感想ですが、オフショア市場で人民元を売ろうとしている層は、中国破綻にベットして売り仕掛けているのではないか? 今はまだ小幅に様子見し、中国もドル売り介入で対抗には成功していますが、これまでも通貨では絶対に崩されない、とみられた市場を、大口の投資家が崩してきた歴史もあります。人民銀行を屈服させるだけのマネー量を、もし慎重にはかっているのなら、遠くない未来に驚くことが起こるのかもしれません。
世界市場の不安をうけて、日本国債が買い進まれています。日銀により管理された市場でもあり、安定性が評価されている。逆にみれば、ますます日銀は逃げ出せない、異次元の緩和をつづけざるを得ない構図、が出来上がりつつあるのです。追加緩和をすれば、異次元緩和の寿命は、間違いなく縮まるでしょう。日本のGDPを越えて、日銀が資産を蓄えるなどという事態が通用するはずもなく、この異次元緩和も後2〜3年。その頃に市場が安定していれば、緩和の停止もおだやかにできるのでしょうが、そんな見込みもありません。中国の人民元相場は管理されている、などと批判していたら、いつの間にかそれ以上に日本国債の管理の方が、より強烈だった。そしてそれが機能する間だけ幸せ、というのはこれまでの中国がそうだったのかもしれません。人民元の国際化をすすめた結果、中国経済の実体を暴き始めた人民元、日本も対岸の火事とみていると、管理相場からの脱却で苦しむ日は、そう遠くない未来に訪れることを忘れてはいけないのでしょうね。

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2016年01月12日

株式市場の6日続落

12月景気ウォッチャー調査がでてきました。現状判断DIは前月比2.6ptの上昇の48.7、これは飲食、小売関連がよいように暖冬で外出の機会が増え、また年末要因で忘年会やボーナスでの買い物が増えた結果、でしょう。先行き判断DIは前月と同じ48.2。これも現状判断指数が改善したのは、12月という特殊要因だった可能性を裏付けます。さらに、12月は株が戻り歩調だった点もあるでしょう。
しかし12月、株高にした反動で、年初から6日続落という記録を更新中です。年初からの下落幅は…、などと語っても、その年末の水準が実力に見合っているか? から議論しなければ的を射ていません。中国不安が…、原油安が…、などという理由にしても、中国との取引が多い、また原油マネーの流入が多い欧州は何日かは反発しており、米国も2日かは上昇している。日本だけが連続安である状況について何も説明しておらず、年末の株価水準の妥当性が改めて問われるところです。

世界経済への不安、これを端的に言えば『投資資金の消失』です。オイルマネーが取り沙汰されますが、世界全体でこれだけ株が下がれば、年金、保険、金融機関の自己売買なども相当痛んでいることが予想され、やがては不動産市場にまで波及するかもしれない。そうなると、企業は株や不動産などの保有資産により拡大してきた含み益も、逆資産効果によりマイナスに転じるかもしれない。これまで株高を支えてきた企業業績、これが崩れれば株高も終焉します。
日本はさらに深刻で、円安による業績改善効果がここに来て剥落してくる。逆資産効果と円高による業績悪化、このダブルのマイナスの影響が日本には圧し掛かっている。さらに日本の機関投資家はあらかた昨年までに買いを終えた。買い方不在、という現状がさらに重しです。

市場に限ってみれば、今はトレンドフォロー型が主流であるために値動きが大きくなります。下げたら下げ続ける。8日のように買い方の日系、日米合弁系が頑張っても、抵抗むなしく下げる。ここも含み損を抱えているとみられ、抵抗用のタマを準備するためにはある程度処分をすすめなければならず、今日のように総崩れになる。誰もが下げにつく、それは信用売り残の多さにも表れますが、だからといって反発材料にならないのは、トレンドフォローで循環が働くためなのです。
しかしこのトレンドフォロー、本来は投資資金の少ないところがとる手法です。資金が潤沢であるなら、この流れを断ち切って一攫千金を狙う、という投資手法もとれますが、そうした主体がない点も『投資資金の消失』を意識させます。市場に参加している主体が、細々とでも儲けを出そうとトレンドフォローに頼る構図は、どうしても市場の縮小を意識せざるを得ないのです。

しかもこの流れ、約3ヶ月はつづくのがこれまでの流れです。それと反発のタイミングを考えると、恐らく企業業績が出揃わないと難しいのでしょう。実際、どれぐらい業績が悪化するのか? 今年の見通しは? といったことを確認した後でないと動きにくいのです。なので本格的な反発は2月後半から3月の初め、この頃になると日本では年度末への思惑が働き始め、機関投資家の買いが増えるために、トレンドフォローが上向きを目指しやすくなるのでしょう。短期的には下げ過ぎサインをきっかけに反発はできても、大きな流れは当分下向き、これは仕方ないところです。
きっかけは中国、原油安でも、それがこれまで市場を覆い隠してきた鍍金を剥がしてしまった、というのが今回です。鍍金が分厚かった日本は、それが剥がれるとサビついた本体がどうしても目についてしまう。海外では安倍政権、安倍ノミクスなどももう酷評の嵐なので、真っ先に売られてしまう。それを見誤って、中国が…、原油安が…というだけの考察では意味がないのです。日本に塗られた鍍金、一番分厚いのが安倍政権の面の皮、と海外勢が考えている時点で、ここから売りが本格化することも予想されるので、深刻な段階に来ているのでしょうね。

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2016年01月10日

安倍首相のNHK出演

NHKの番組に安倍首相が出演し、デフレ脱却にむけて全力を尽くした結果、デフレ時代に失われた50兆円のうち40兆円を取り戻した、旨の発言をしています。しかし日銀は異次元緩和により年80兆円も毎年市場にお金を垂れ流しておいて、40兆円とは随分と効率が悪い。しかも一体何の試算で50兆円失われた、と述べているのか分かりませんが、未だに銀行にお金を預けても金利がつかず、安倍政権になってさらに深刻になっている分は、まったく考慮されていないようです。
日経でも、安倍氏は「もうデフレではない」と「道半ば」を使い分けている、と指摘されています。しかしどちらも間違いで、一時の円安インフレにより脱却しかかったように見えたものの、実質賃金の目減りでデフレに逆戻り、が正解です。コストプッシュ型のインフレは、所詮長続きはしない、の典型であって、もしここからインフレが昂進するようなら、まさにスタグフレーションの症状を呈するのでしょう。つまり「もうでふれでない」「道半ば」だとしたら危険で、またデフレにもどった、のなら安倍ノミクスの失敗、誇れるような話ではない、となります。この3態はいずれも安倍氏にとって都合悪く、だから前の2態を使い分けますが、結果はすべて赤点です。

税収が民主党時代より増えた、としますが、消費増税分とほとんどが円安による企業業績の改善だけで、貿易統計をみても数量は減っていますし、国自体の経済成長もほとんどしていない。そもそも、どうして税収を政権の成果とするのか? ということが不明です。本来、政府は国の成長を成果とすべきであって、企業が海外で稼いだものは政府の成果ではありません。そもそもインフレになれば税収は増えるものであり、それで横ばいだったら大問題なのです。そしてここから円高となり、税収減となるなら、安倍政権の成果とは? 改めて問われるのでしょう。
安倍氏は軽減税率について「痛税感をなくす」と決まり文句のように述べますが、ではどうして5→8%にするとき、軽減税率を導入しなかったのか? 8→10%にするときだけ、どうして考慮するのか? には答えていません。社会保障は軽減税率導入でもけずらない、としますが、財源についても答えない。公債発行を減らした、というのもすでに消費税を増税しているので当たり前の話です。安倍政権の成果でも何でもない。そこに突っこまない質問者もどうかと思いますが、聞きたいことはまったく回答がない、国民もどう判断するのか迷ってしまうところでしょう。

北朝鮮問題では、拉致被害者家族会の意向を「…だったと思います」と述べた辺り、重視していないことが鮮明です。日韓関係では「最終的かつ不可逆的に解決した」をくり返しますが、何が? どう? 解決したのかはよく分かりません。慰安婦像にしても「韓国側が適切に解決」と述べますが、韓国は単に努力しろを示したに過ぎず、安倍氏が余計な言葉を足している印象が拭えません。正式な外交文書もないので、言葉は悪いですが「言ったモン勝ち」的なのです。
安保法案に関しては「説明を続けていきたいと思いますが、大切なことは…」と、日米同盟の重要性を述べます。しかし、大切なことはそれを国民に伝えて理解してもらうこと、そのために説明が必要、という点です。日米同盟を前提として、何ができ、何ができないかをきちんと説明していない。「大切なこと」の論点がすでに間違えています。これはすべての面において、同様といえるのでしょう。何を「大切にして」、何を「切り捨てる」のか。その判断をするのが、政治家の使命です。拉致被害者家族会の意向もそう、消費税増税の痛税感もそう、経済政策も、財政も同じです。デフレ脱却を第一に掲げた挙句、国民にはインフレが痛値上げ感として、広く認識された。これも何が大切かを弁えていない、政治の失敗でもあります。失敗を、都合のいい数字だけをまとめて成果、とするのも何が大切かを弁えていないことによるのでしょう。全般、この安倍氏のインタビューからみえたのは「日米同盟が大切」ということだけ、それ以外は説明にすらなっていない、という痛首相感がただようものだったのでしょうね。

明日は一日、お休みします。

analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(16)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年01月09日

ゆ党と憲法上の職権と

国会の予算委で、民主党の階氏が安倍首相に対し「憲法上、野党議員には予算案の国会への提出権はあるか?」と質問し、安倍氏は「提出には特定の条件をみたしていなければならない」と応じました。しかし正解は「提出権はない」であり、安倍氏は「予算関連法案について、と思った」とイイワケしましたが、残念ながら何年国会議員をやって、何年首相を勤めているのか? というレベルです。予算案と予算関連法案とはまったくの別物ですし、何より毎夏から予算編成をやって、通常国会に提出しているのは内閣しかできないことです。もし野党が予算案を提出できるのなら、省庁を呼びつけて予算案を編成させることも可能であって、一般人とてこの程度のことは知識としてもっていなくとも、すぐに気づくことでしょう。産経でさえ『首相はばつが悪そう…』と書くぐらい、恥ずかしい一場面であったことは間違いありません。

おおさか維新の会が、国会で浮いています。代表質問で「与党でも野党でもない」と述べるなどしたため、どちらからも爪弾きとなり、質問時間が与えられないのです。民主党に対して「重箱の隅を突く」など、恨みぶしも述べますが、身からでたサビであり、同じことを自民にも愚痴らなければなりません。「連立に入っていないから野党」などという説明が通用するはずもなく、法案によって与党側に立つと宣言するのなら、野党としての質問時間が、与党の質問時間として割かれる、ということを意味するのですから、法案ごとに与党側の質問として組み入れてもらえるよう、自ら調整すべき話です。しかも重箱の隅を突くようにして維新を虐めて、大阪W選挙を勝利したツケをこれから払う場面が、度々出てくることも覚悟しなかればなりません。
「や」でも「よ」でもないから、ゆ党などとも呼ばれますが、漢字を当てるとしたら女偏に喩の右の字を当てる『婾党』になるのか。これは「悪賢い、一時しのぎ」を意味する言葉です。態度を曖昧にしておくと、様々な場面で都合いい、などとして人はよくその立場に身をおこうとしますが、そんな人間が人から評価されることはなく、また信頼もされない。おおさか維新はまさに今、一時しのぎの状態から旗幟を鮮明にするよう、与党からも野党からも迫られています。

しかし宙ぶらりんの状態で困っているのが、お隣の韓国です。経済が絶好調だった中国へと接近したものの、北朝鮮の核実験では中韓で共同行動はとれず、米国から叱責されてやっと結んだ日韓の慰安婦合意では、国内が混乱中です。都合いい、として色んなところにいい顔をした結果、誰からの信頼も失ってしまった。八方美人のつもりが四面楚歌、というところです。
しかしこの日韓の慰安婦合意、合意とは言いながらこれほど解釈でもめていれば、これはもう合意ではありません。安倍支持者は「これは韓国の問題」と切り離そうとすればするほど、日本側に何か隠しておきたい事情があるのでは? と感じさせます。本当に成果であるなら、もっと声高に喧伝しているでしょうし、安倍支持者の中でも反論がある中で、詳細な説明すら避けています。双方で文言の調整もできていないうちに合意、と言ってしまったのは、今は韓国の方が米国から睨まれており、責任を転嫁しやすいからそうしているのでしょう。しかし、前述したように合意内容でこれほど解釈の違いが出る時点で、それは双方の外交が中途半端に「都合いい」落としどころをさぐった結果、実は何も決まっていないという外交手腕の稚拙さを露呈した、とも言えるのでしょう。憲法上、「内閣総理大臣は…外交関係について国会に報告」する、という職権に関する規定が第72条にあります。韓国に文言の解釈の齟齬に関する責任をおしつけ、国会で何も報告しない、ということは通用しない。何がおきたかを明らかにする責任は、ばつが悪いからといって回避できるようなものではないのでしょうね。

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2016年01月08日

日本のファンダメンタルズは強い?

国会では予算委員会で開かれました。その中で、安倍首相は雇用が増えた、賃金が増えた、と述べていますが、ちょうど今日は11月の毎月勤労統計がでてきました。現金給与総額は前年同月比で横ばい、内訳は所定内給与0.5%増、所定外給与1.1%増、特別給与が8.6%減です。特別給与はボーナスですから、12月に後ズレした可能性はありますが、さらに産業別でみると、この横ばいと言う結果の意味が分かります。
事業所規模5人以上で、決まって支給する給与が前年同月比、建設業3.3%増、情報通信業1.9%増、建設業4.3%増、不動産・物品賃貸1.7%増、飲食サービス業1.4%増、金融・保険業1.0%増、どれもバブルの匂いがします。情報通信はIoTやマイナンバー対応、復興・五輪特需の建設業、また都会の不動産価格の上昇もあります。飲食サービスは元々給与が低く、またインバウンド消費への対応もあるでしょう。そして株高で浮かれる金融・保険業です。つまり政府がうみだしたバブルが賃金を押し上げますが、水平方向への広がりがない、これがこの結果からは読み解けます。

円安で業績好調なはずの製造業は0.7%増しかなく、消費が堅調なはずの小売・卸売は0.2%増と、微々たるもの。一方で、人材不足が顕著である医療・福祉は増減なし、と雇用の逼迫が必ずしも給与増につながっていない。以前から指摘しているように、雇用の増加といっても景気が回復した上でのことなら、賃金には反映されるはずです。そうでないことがこれらの動きでも分かり、労働人口の減少を補う意味での雇用回復、バブルが過ぎれば巡航速度にもどす、という企業側の意図が明白であり、こうしたものは何の自慢にもなりません。それこそバラマキの結果、公共工事であったり、日銀の金融政策であったり、一部の業種が潤ったに過ぎないのです。これは所定外労働時間が0.9%減からも分かり、景気がよいなら残業が増えているはずなのです。
内閣府が11月の景気動向指数を発表していますが、前月比で一致指数は1.7pt下がり、先行指数は0.3pt下がり、遅行指数は0.4pt下がった。基調判断は機械的に「足踏みを示す」となりますが、10月にイレギュラー的に上昇した点を除くと、実は「下方への局面変化」、「悪化」との判断になっても決しておかしくないほど、ほとんどの項目がマイナスに寄与する異常事態です。

米12月雇用統計が出てきましたが、非農業部門の雇用者数が29.2万人と市場予想を大きく上回り、10、11月も上方修正されるなど、良好な結果でした。ただし時間当たり賃金は0.01減と、雇用が良好なのに下がり、また人材派遣が伸びていることからも、年末の商戦に向けた人材確保が主因だったのかもしれません。ただメイシーズが発表した年末商戦は、前年比で4%以上下がるなど、芳しい結果ではなかった。米国も暖冬で、衣料関係はどこも厳しいですが、数だけで良好と判断するには、中身としては拙いレベルだというのが日米ともに共通する事象となっているのでしょう。
これは新年祝賀パーティーで榊原経団連会長が述べたように「日本は未曾有の危機」という言葉が正解なのかもしれません。それは安倍ノミクスが失敗し、景気はどん底、その入り口に差し掛かっている、という意味で。しかも、そうした認識もない首相が「景気がいい」「雇用は回復」と自負するに至り、改善する見通しが立たない点が深刻なのかもしれません。実質賃金が目減りしても、平気な顔で賃上げがすすんでいる、と言ってのけてしまうぐらい、国民生活には何の思いも至っていないのでしょう。麻生財務相は「日本のファンダメンタルズは強い」としますが、景気動向指数などをみても、明らかに「弱い」のです。麻生氏に言わせれば、今は「未曾有有の危機」と「有」が一つ増えてしまうぐらいの危機、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年01月07日

円高局面入りか?

サウジがイエメンにあるイラン大使館を空爆し、イランが非難しています。サウジは反体制派が拠点にしていた、と説明しますが、真偽は不明です。こうした中東における緊張は、原油高要因になりかねませんが、現実にはそうなっていません。むしろ中国の景気不安から、需給バランスが崩れている面が、市場には暗い影を落としており、原油安に歯止めがかかりません。
中国が人民元の基準をさらに下げ、それが景気不安となって朝からサーキットブレイカーが発動。終日、株の取引が停止されていますが、それを補完するように中国の外貨準備が昨年末で3.33兆$と、年間を通じて5000億$以上減ったことが明らかとなっています。8月以降、資本流出に対抗するため、外貨準備をとりくずす形が鮮明ですが、ここに来て更なる取り崩しを強いられていることは想像に難くなく、中国のいう余力は確実に目減りしつづけている、と言えるのでしょう。

そんな中、円が対ドルで117円台に入ってきました。一部ではリスクオフの円買い、という話もありますが、それはステレオタイプの判断と言えるのでしょう。北朝鮮の核実験で円買い、というのはリスクオフの観点からは不自然です。一部では118.2円を防衛ラインとし、突破されると逆三尊、つまり弱き相場入りになるとみていましたが、そこをあっさりと抜け、弱気ムードが台頭した、というのも若干説明には弱い。むしろこの円高は、我慢の限界という面が強いとみます。
まず原油安は円高要因です。貿易赤字が解消され、円買い需要が強まるためですが、原油が高値から3分の1になるまで、為替に影響はなかった。またこれまで円安で増える海外売上げの見かけの効果にしても、円買い需要は広がらなかった。日米の金融政策の方向性の違い、というマネーの事情があったにせよ、ここまで円安一辺倒になるほど、実需の取引は弱くなかったのです。

海外の売上げを円に還元しない、また海外M&Aにつかう。年金のように海外市場に投資する額を増やす、という行動により円安が維持されてきました。しかし政府からは設備投資、賃上げ要請が増え、国外の資金をもどす必要が生じた。また年金は弾を撃ちつくし、海外経済の不安定さから投資を増やすこともなくなり、円売りの実需の玉が減り、逆にマグマのように溜まり続けてきた円買いが、チャート形状からもこの先の円安が見通せず、今の内にと我先に、と出てきたことがこの円高局面なのでしょう。それはリスクオフではなく、モラルオンなのかもしれません。
円安の方が都合いい人たちが、こぞって円安のままでいるよう、円買いを止めていた。しかしこの先、円安にならないなら、出遅れは見込んでいた収益が目減りすることを意味します。3月いっぱいの為替予約はもう済んでいる、ともされますが、半年後を見越して円買いを入れておくことは避けられません。円安大相場の終わり、は意外なほど脆かった、ということかもしれません。

昨晩はFOMC議事録が発表となり、予想外にハト派な印象だったことも、日米の金融政策の違いが見出しにくくなった一因でもあるのでしょう。日銀は、次に緩和を打っても五分五分、もしかしたらもう少し悪い確率で、失敗が濃厚です。FRBも利上げペースが緩慢となれば、年4回の利上げを織りこむ市場からみると、期待外れとなります。円安要因の剥落は、企業業績の悪化につながり、株価にも悪影響となる。3ヶ月程度の循環で、楽観と悲観をくり返してきており、9月以後の強気相場の分を一気に吐き出している。それは円買いと同じで、我慢してきた層にとって、都合の悪いことが次々と起きていることが要因となっています。中国の人民元安誘導を、輸出の増加を目的に…などと説明することも、最早ステレオタイプと言えるのでしょう。通貨安が貿易量に与える影響は、それほど大きくないことは日本の事情からも明白であり、マネーの流れから見える通貨の価値は、今ほど見え難くなっていることだけが、これらの動きから分かることなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年01月06日

北朝鮮の核実験

北朝鮮が水素爆弾の実験に成功した、と発表しました。太陽がそうであるように、核融合は強大なエネルギーを生み出しますが、今回は規模からみてもその反応をおこす起爆装置としての核分裂反応、とみられます。起爆装置ができれば、水素の調達自体は容易ですので、仮に今回が成功だったのならほぼ完成とみてよいのでしょう。そうなると小型化が容易ですので、周辺国には脅威です。
安保理で制裁決議も行われるでしょうが、問題は拉致被害者の帰国です。安倍政権はここ1年半、交渉の進展もなく無為に時間をすごした結果、ここで制裁強化となれば3年は解決まで遠のきます。安倍政権の外交無策が招いた結果とはいえ、安倍氏の電撃訪朝も囁かれていた中での北朝鮮の暴走は、日本外交が如何に調整能力を失っているか、その証明でもあるのでしょう。歯止めになるような材料も提示できず、拉致問題を解決するなど到底できない、とも言えるのでしょう。

ここで北朝鮮が実験に踏み切ったのは、孤立化がより鮮明したためでもあるのでしょう。中国も北朝鮮には距離をおき始め、韓国も経済がふらつき、中国と米国の間で北朝鮮どころではない。日本も中韓との接近をはじめ、露国も泥沼の中東問題に両足をつっこんで北朝鮮どころではない。米国は大統領選ですし、日中韓、それに露国も含めて経済はガタガタ、北朝鮮に支援してくれる状況でもありません。すでに制裁はうけており、今さら制裁を恐れる状況でもない。まさに今、危機的状況を高めておくことは将来の融和の動きにむけた地均し、という面も否めません。
しかもISILやテロ組織などは、北朝鮮と交流したい誘惑に駆られる。今、テロ組織が力をもち、欧米諸国と対立する構図は、まさに北朝鮮としても絶好のタイミングに見えます。つまりそういう組織と結びつけば延命がはかれる、またそうした動きをチラつかせ、欧米を交渉の席につかせる。原子力爆弾や水素爆弾、そのものよりその技術を有している、と喧伝できた、それが事実か否かは別として、今回の北朝鮮にはそんな意図、思惑すら感じさせます。

国会では与野党の代表質問が行われましたが、安倍氏は「断固たる対応」と、判で押したような答弁で終わりました。拉致交渉再開のカードだけで、ほいほいと制裁を一部解除してしまう安倍政権など、北朝鮮からみれば軽くあしらえる程度なのでしょう。米国依存を強める安倍政権では、米国に合意さえとりつければ日本が動くのですから、あえて直接交渉する意味がありません。日本は「断固」と思っていても、北朝鮮にすれば「断交」でも全然構わないのです。
安倍氏は臨時給付金について「一回限りの措置だからバラマキには当たらない」と、バラマキ批判を否定しましたが、一回限りだからバラマキなのであって、恒久的なものなら歳入と歳出をバランスさせなければならず、また選挙のない年にも配られるので、バラマキではなくなります。同じ説明、答弁をくり返すなど、相変わらず誠意のなさも目立ちますが、それ以上に言葉でさえ正しく用いられない、意味をまったくはき違えている点など、残念な首相との認識をより強くします。

北朝鮮からは「一回限りの実験だから爆弾には当たらない」という言葉も聞こえてきそうです。金正恩氏の誕生日直前、5月党大会にむけて金正日越えを果たしたい、などいくつかの国内事情も見え隠れしますが、国際社会にむけて説明ができない点などは、どこの為政者も似通っているのかもしれません。独裁による弊害、あらゆる国でそれを感じる点も似ているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2016年01月05日

選挙イヤーの風

緊張の高まるイラン、サウジですが、サウジは今回のシーア派宗教指導者を処刑すれば、イランがどう動くかを予想し、スンニ派サイドの対応を協議していたフシがあります。要するにイランが核合意をうけ、米国と接近するのを快しとせず、中東の主導権争いを仕掛けてきた。さらにISILも旧フセイン政権の残党が主軸に残っていればスンニ派ですから、ISIL掃討に手を貸すイランが、疎ましくもあった。イランの国際社会復帰は、中東にとっての火薬庫になりつつあります。
クリミア問題で経済制裁をうける露国が、調停役として名乗りを上げていますが、上手くはいかないでしょう。中東の主導権争いに、宗教問題がからむのですから、これは1500年近くに亘る遺恨です。露国はこれを機に天然ガス、原油など資源価格を、資源国でコントロールする仕組みをつくりたい、といった思惑もあるのでしょう。ただ世界は集約より混沌に向かう傾向が今後も強まるのであって、簡単な調整程度では失敗し、むしろ信用を失う結果に終わりそうです。

安倍首相が夏の参院選で、与党の勝敗ラインを「過半数」としました。自公で13議席減らしても勝利? という弱気な目標で、安倍政権の特徴的な傾向をこれは示します。とにかく責任をとりたくない。ハードルを下げ、予防線をはり、負けてない、失敗してないとイイワケする。
桃栗3年、柿8年の後は「柚は9年の花盛り、梅はすいすい13年、梨はゆるゆる15年、りんごにこにこ25年」とつづく、と安倍氏は述べますが、寡聞にして初耳です。というか、前段と後段の赴きがまったく異なり、意味が変わっています。私の知るのは「柚は9年で生りかかり、梅はすいとて13年」までで、これだと前段と意味がつながります。梨とりんごは蛇足とも言えるのでしょう。

民主党と維新の党が、春にも解党的出直しで合意していたことが判明しました。野党協力にむけ、共産も国会の開会に出席するなど新たな動きも出てきて、受け皿づくりがやっとすすみ出した恰好です。さすがに過去3回選挙で大敗し、民主党にも反省が出てきた。これを加速させたのが前原氏、細野氏、江田氏による受け皿づくりの動きだった、というのが皮肉ですが、あえて公にして会合を行った結果、国民からも総スカン、批判が集中して力を失い、野党連合にむけた障害が消えた。野党内保守の凋落により、やや左寄りの野党という、右よりの与党との対抗軸がしっかりとできた形です。そしてこの形なら、安保法制反対の民間団体との連携もスムーズになります。
実は、橋下おおさか維新が野党から離れ、与党への協力を強めたことも好事となったのでしょう。野党が主導権争いをくり広げ、過去の自民のように内紛で支持を落としていた、それが年内に解消され、ここから余計な動きをする政治家は非難の的となります。前原氏らの動きは、野党協力体制をつくる上で、まさに絶好のタイミングだったのかもしれません。まさか前原氏らが、自ら望んで失脚する道を選んだとは思えませんが、そう思えるほどの効果が発揮されつつあります。

安倍氏の懸念も、まさにここにあるのでしょう。経済界の交歓会、祝賀パーティーで「参院選前に景気対策が…」といった話もでていますが、7月は補正には早すぎ、経済政策を転換するには新3本の矢を打ち出したタイミングからも、また補正がそれに絡むものが多かったことからも、何かうちだすこともできない。財界などは法人実効税率の引き下げのお返しで色々と語る人もいますが、実は誰も夏ごろ日経平均2万円越えを信じている人などいないのです。そうなっていたらいいな、もしくはそうなっていないと安倍政治が厳しいでしょ? と単にプレッシャーをかけているに他なりません。「桃、栗、柿、柚、梨、りんごを収穫できるのは、自民党だけ」と安倍氏は述べますが、今の安倍政権の施策なら、誰がやっても結果は同じにしかなりません。むしろこれらの果実、秋にしか実をつけないものばかりです。夏の参院選、時期が悪いという以上に、3年周期という相場観からも、今年は実をつけることがないのであって、与党への逆風、暖冬なのに自民党には北風が強まっていることは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年01月04日

年頭会見と、市場の大幅安

大発会で日経平均が大幅下落しました。サウジとイランの対立など、朝方から上げる要因がなかったものの、ご祝儀をひきだすための買いが9時台には入っていましたが、中国の財新が発表したPMIが予想を下回り急落、サーキットブレイカー導入初日に発動するなど、不安定な相場になってご祝儀どころではなくなった。そこで年末高を演出した某日系などがそろってポジションを落とさざるを得ず、これが大きな変動を引き起こしました。つまりマネーの事情で19000円台で大納会となったものの、リアルの事情がそれを打ち消した、というのが今日の事情です。

今日は大発会と、通常国会の開会が重なる珍しい日です。安倍首相は年頭会見で「7つの県で有効求人倍率が過去最高」と述べましたが、青森、秋田、徳島、高知、福岡、熊本、沖縄は少子高齢化のすすむ県であり、雇用の好環境がどういう原因か? これは端的に示します。雇用が110万人増えた、と述べますが、労働人口が急速に減少しており、それを退職者の再雇用という形で補っているに過ぎず、日本は急速に経済規模が縮小する、その端緒といった状況です。
ここに来て株価が下落し、運用比率を変えた年金に不安を引き起こしそうですが、実は中国、台湾、韓国など、周辺国も続々と高齢化社会に突入し、年金不安が囁かれます。いくら国内のメディアをコントロールして年金不安を報じさせないようにしても、海外で動揺が拡大すれば、国民も疑心暗鬼となります。これは今日の東京株式市場と同様、国内を強引に抑えこんでも、海外の事情を国内に照らしみたとき、不安をかき立てられる。国内が本当に強ければ下支え、反発もできますが、虚構であるだけに意外と脆い、そんな流れが今年、あらゆる場面で頻発しそうです。

60年前の丙申の年の経済白書『もはや戦後ではない』、300年前の丙申の年の徳川吉宗の財政改革、桜の植林をとり上げますが、実はどちらも安倍政治では真逆なことを行っています。戦後以上に米依存が強まり、財政改革はすすまず、植林どころか日本という大木が枯れかかっている。下町ロケットの『挑戦の終わりは挑戦の始まり』を取り上げましたが、安倍ノミクス旧3本の矢は、終わりどころか飛んでもいません。何もできていないから、新しいことを始めざるを得なくなった、が新3本の矢です。しかも町工場を讃えますが、円安で極端に中小企業の業績は悪化してきた。国と地方を合わせて税収増、という話にしても円安で儲けた企業の恩恵が一部、還元されている程度で、国自体はまったく成長していない、これが安倍政権3年の紛れもない実態です。
120年前の丙申の年は日清戦争が終わり、台湾鎮定により日本の領域が拡大し、戦後賠償により軍備を拡大、日露戦争への契機となった年です。円安で得た資金を軍事予算に回し、安保法制により海外へ派兵できるようになった今の日本と、その部分では重なるのでしょう。しかし当時と比べ、政治家の質の低下、覚悟のほどは雲泥の差があり、しかも戦後賠償などの臨時収入が期待できない中、このまま突き進めば日本は財政面から、戦時特例債などの発行も余儀なくされるかもしれません。冒頭、南スーダン、アデン湾の自衛隊PKO活動を取り上げたことが、この政権がめざす方向性をよく示しているのでしょう。

奇しくも240年前の丙申の年、アダム・スミスが『国富論』を示しました。竹中氏が、神話番組でトリクルダウンを否定するなど、安倍ノミクスの経済政策の柱が、ぽっきりと折れたことを年初から明らかにしました。経済が大きく転換するとき、新たな潮流にのれない政治、それが日本における最大の懸念です。海外の不安要因と、それに引きずられる弱い日本、市場は申年「騒ぐ」と言われますが、政治的にも経済的にも、大騒ぎな一年であることを年の初めから示した、これが今年の事情ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(16)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済