2016年03月

2016年03月31日

雑感。たとえ話

埼玉県朝霞市の女子中学生が、2年も誘拐されていた事件。事件そのものに言及することはしませんが、気になるのはメディアの態度です。最近、加害者の家族、親族にインタビューするケースがあります。ただそれは軽犯罪だったり、犯罪ではないものの世間を騒がした人物を対象にします。一方、今回のように重大な事件の場合、加害者の家族は殊更に隠す傾向がみられます。
確かに、家族は何の関係もないのに悪影響が及ぶ恐れもあって、メディアが表にださないようにするのかもしれませんが、それなら軽犯罪、世間を騒がした人物の家族、親族とて本来は、表にだしてはいけないのではないか? メディアがこの事件なら影響が少ないだろう、と勝手に判断を下してしまうことに危険性を感じます。加害者の家族も、コメントを残すという風潮をつくるのなら、すべての事件で行うべきですし、そもそも加害者の家族は関係ないケースが大半ですから、逆にあらゆる事件においても加害者家族を追うことは避けるべきなのでしょう。

GPIFが15年度の年金運用実績の発表日を、7月29日にすると発表しました。理由は10年間分の分析し、保有銘柄の情報開示も検討、としますが、昨年の7月10日より遅らせる理由は参院選に悪影響を与えないよう、との配慮であることは明白です。保有銘柄の情報開示も、恐らくは行われないはずで、逆にいえばそれほど今年度の成績が悪い、ともいえるのかもしれません。
15年度の日経平均終値は16758.67円でした。昨年度は19206.99円なので、13%近くも下落です。年度末ドレッシングが盛り上がらなかったのは、ここまで年金系の下支えがあっても相場が下落トレンドを描いたように、これまでは売り買いの需給が拮抗している中で、年金という新たな買い需要の発生に、市場がそれにつく、という形で押し上げられた面があります。しかし年明けからずっと売り圧力が強い中、年金の買い程度では押し上げ効果がない。ギリギリ頑張って持ち合い、という程度でしかないのです。名実ともに4月相場入り、数日は新年度入りで新規買いもありますが、それが過ぎた後で一体、どんな買いの主体が現れるのか? 今のところ影も形もありません。

クルーグマン教授が国際金融経済分析会合に出席した際の議事メモを、自身のTeitter上に公開しました。安倍首相のオフレコ発言も載せるなど、詳らかにした理由は、自分の発言として勝手に安倍政権がつかうことを戒めるため、自ら明示する必要に迫られたのでしょう。海外から「ウソつき」と見られている安倍政権、海外の研究者からも利用されまい、との警戒を抱かせます。
安倍ノミクスの理論的支柱をになった竹中氏が、慶応大教授から東洋大教授に転身します。経緯は不明ながら、慶応大も安倍ノミクスの失敗を意識し、竹中氏と距離をおき始めたのかもしれません。本田氏のスイス大使転身も同様、安倍ノミクスに関わった人の周囲も慌しくなります。

明日はエープリルフールなので、少し砕けた話を。少し前、居酒屋で友人と話したことですが、安倍氏の周辺をウルトラマン兄弟に譬える、というバカな話です。安倍氏はウルトラマン三、今は2期目なので「帰ってきた」となり、セブンは竹中氏、浜田氏、本田氏、黒田氏、麻生氏、甘利氏、高市氏をまとめて。エースは昭恵夫人、タロウは晋太郎氏、それにウルトラの父は祖父の岸氏を充てると完成です。お酒が入った席なので、ウルトラ、のところは当然「アホアホ」と言い替えましたが、これを並べるとウルトラの岸、ウルトラマン三、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン三、ウルトラマンエース、ウルトラ晋太郎。と関係者がきれいに並ぶ。ただ長兄のゾフィーがいないのでは? との指摘には、ゾフィーはギリシャ語の『知恵』を意味し、安倍政権には『知恵』がないからいない、とのオチがつきます。
M78(マジ、なんか、やばそう)星雲からやってきた、戦うことが大好きで、対話による解決がほとんどできない、偏った能力のもち主。巨大化してしか戦えず、戦うと周辺を壊しまくる、という結構厄介なヒーローですが、最大の問題は、安倍ノミクス光線、黒田バズーカという必殺技を開始早々に撃ちまくり、今はもう打つ手がなくなった状況です。しかもウルトラマン三が戦っていたのは、決して敵などではなかった。敵でもないものに攻撃をしかけ、エネルギー切れとなって、真の敵が現れたときに立ち往生している。真の敵、それは『不景気』です。慌てて海外の経済学者にすがったものの、あえなく袖にされ、今やカラータイマーの点滅が止まりません。最終回には光の国ならぬ、一人の国に帰るのでしょうが、敵を放り出して逃げ帰ることになるのか? ウルトラマン三は正義ではなく、性根が試されている、という状況でもあるのでしょうね。

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2016年03月30日

予算成立後の安倍首相の記者会見

福島原発の凍土遮水壁の運用が決まりました。しかし海側から凍らせる、というのですから、仮に上手く止水できるのならせき止められた水で原発周辺の水位は上がり、原発内に地下水が流入する量が増えるはずです。山側をせき止めて、初めて効果を確認できますが、ただの流体ではない地下水ですから、下手をすると水位は上がったままになるのかもしれません。

安倍首相が予算案の成立をうけ、記者会見をしています。まず最初に感じるのは、安倍氏はよく「民主党政権の3年と比べ…」と用いますが、半分以上は震災対応に明け暮れたあの頃と、安倍政権下の経済指標を比較して「よくなった」などと述べるのは、明らかに誤りです。むしろ民主党政権の頃より悪ければ、震災やリーマンショック級の出来事もない中ですから、むしろ『とんでもなく悪い』となります。しかし実際、GDPの伸びは低いですし、税収が15兆円増えた、などと言いますが、そのほとんどは円安効果で説明できてしまう。実は『とんでもなく悪い』ことを知っているから、「(震災のあった)民主党政権の頃よりよい」とあえて使っているのかもしれません。つまり基準を低くして、自分たちの成果が低くても、少しでもよく見えるように、です。
「最大のチャレンジ」として、長時間労働や働きすぎの是正を掲げます。しかし労働時間が減れば賃金も減りますし、それで仕事を達成する方法は2つ。効率を上げるか、人手を増やすしかありません。これが1億総活躍の実態で、広く浅く労働者を確保させる目的か? もしくはホワイトカラーエグゼンプション(WE)の議論を復活させる気かもしれません。WEだと残業時間には関係なく、成果報酬になる。長時間労働どころか、労働時間の管理からも外れます。わざわざ「最大のチャレンジ」などと用いて、この話をしたところに安倍政権の方向性もうかがえるのでしょう。

「昨年は正規雇用が8年ぶり、26万人に増えた」としますが、これは高齢者の再雇用の影響で、離職を避けるため、不安定な非正規を企業側が嫌った面があります。労働人口の減少はそれほど深刻で、中小零細企業では中々人手が確保できない。これは雇用環境が改善しているのではなく、労働人口が逼迫しているために起こっている現象で、安倍政権の成果でも何でもないのです。
「来年度予算の早期成立こそ最大の経済対策」として早期執行を指示した、としますが、予算を前倒しすれば年度の後半が苦しくなる、安倍政権の対応はいつもこれです。将来の成長の糧を『先食い』するだけで、今を支えている。成長戦略もなく、景気刺激も空振りつづき。今のマイナス金利など、将来、引き締めに転じるときは景気の下押し圧力を強くし、長期低迷を余儀なくさせます。日本は安倍政権が終わった後も、その負債を払い続けなければいけないのです。

「G7の議長国であり、リーダーシップをとって議論」としますが、長期低迷を余儀なくされる施策をとる国に、どこも学ぼうとはしないでしょう。事実、日本の経済政策を学びにくる学者もいなければ、逆に国際経済分析会合などで、海外の経済学者を招聘し、教えを請うほどの始末です。もし経済政策が上手くいっているなら、胸をはって日本の実例をあげて、説明できるでしょう。国際社会には恥ずかしくて安倍ノミクスの成果、なんて説明できない。一方で、国内向けにはやたらと経済政策の成果を強調する。二枚舌どころか、裏表のある舌を使い分けているようです。
凍土壁も、効果はよく分からないけど、やってみれば? という半ば実験的なものです。安倍ノミクスは、実験的に始めましたが、もう失敗していることは火を見るより明らかです。「消費は海外経済の弱さもあって横ばい…」などと述べますが、横ばいではなく、数字からも明らかに減少しているのです。認識のおかしな首相は、どこまでいっても安倍ノミクスの認識は、おかしなままなのでしょう。そのうち、その発言はいつも国民の心を凍らせる、自画自賛に満ち溢れているとして、安倍氏のことを『凍土癖』、などと呼ぶようになるのかもしれませんね。


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2016年03月29日

2月の指標と消費税増税の先送りに関する噂

2月の経済指標がいくつか出ています。有効求人倍率が1.28倍でしたが、問題は求職者数が年度単位でみると前年同月比で3.8%以上の減少をつづける中、求人数は25年度まで2桁の増加がつづいた後、26年度には5.5%に急低下している点です。しかもそんな中、就職件数は右肩下がりで悪化をつづけ、26年度は5.3%の減少になっている。つまり就職が決まっていないにも関わらず、求人の伸びが止まった。退職者の再雇用が増えたとはいえ、企業活動の不活性化もうかがえる内容です。
2月の労働力調査と合わせ、少し気になるのが、労働人口が女性で前年同月比で回復傾向を示したところで、完全失業率が微増になった点です。また正規と非正規の割合が大体6.3:3.7ぐらいの比率であるのに、有効求人倍率をみると6:4ぐらいの比率で、求人がある。この傾向を合わせると、ますます日本では非正規の比率が高まり、ベアも定昇も景気への効果は低くなるのでしょう。

家計調査では広く指摘されていますが、今年は閏年で、その効果を含めると実質で前年同月比1.2%の増となりますが、それを除くと概算で1.5%減になるなど、弱さがみられます。伸びているのが物価の影響が強い食料品、それを除くと保健・医療、そして季節的に教育の分野など、余裕があって増える支出とは大きく異なります。これは勤労者世帯の実収入が実質で前年同月比2.4%減など、半年ずっと2%辺りの減少をつづけるのですから、消費マインドが回復するはずがありません。世帯主の収入が2.7%減、配偶者の収入が8.4%増、実は深刻な賃金引下げ圧力が加わっている。雇用が回復しているなら、ほとんど起こらないはずのことが起きています。これは求人数が減少していることでも分かる通り、企業活動が停滞気味にあることを示しているのでしょう。
今日の株式市場は配当権利落ち日で、一時的には権利落ち分を埋めるなど、比較的強い動きでした。ただこれは配当分の再投資が、昨日から日系の証券会社を通じて入っており、その影響が強いものです。ただ年金による円売り、株買いのドレッシングがある、との見立てが強いのに、それに追随して上げを主導するような主体が、まったく見当たりません。それが上値追いがない現在の市場です。つまりこれは、デイトレのような日計りの取引で稼ごう、という主体もいないということ。むしろ4月に需給が崩れたら売りたい投資家が多い、ということを意味します。外資系の証券会社がコストダウンで日本ウォッチャーの人員削減をすすめていることもあるでしょうが、日本の株式を少しでも買い持ちしたくない、そんな意図が裏では働いているとみられます。

そんな中、少し悪い噂があって、安倍首相が消費税の再増税を再先送りにした場合、今度こそ外国人投資家は、日本国債を売りたてるのでは? とも言われます。つまり日本では解散に関して、首相はウソをついてもいいとの不文律もありますが、税制でウソをついていい、という暗黙の了解、慣例はありません。安倍氏は「リーマンショックや震災」を再先送りの条件としますが、それを破って政局目的で先送りするなら、外国人投資家は「騙された!」と感じることでしょう。
1月の黒田日銀総裁のマイナス金利もそうだったように、安倍政権はサプライズを重視するあまり、投資家にとって最も不都合な「ウソをつく」との認識が広がれば、もう日本に安心して投資しておけない。マイナス金利で、すでに値上がり益を期待した買いしかない日本の国債、その先物市場を混乱させれば、パニック売りが出てくることが容易に想像できます。つまり売り崩しの材料にされる、というのです。外国人投資家が保有する国債を売って、さらにカラ売りを仕掛ければ、そんな事態ともなるでしょう。もし株式が少し好感して上昇したとしても、それをふっ飛ばすマイナス材料になりかねません。そして安倍政権は混乱する国債市場に慌てふためくことにもなるのでしょう。狼少年、というと「狼がくる」とウソをついて混乱させましたが、「狼が来ない」と言ってたのに、実際には襲い掛かられるかもしれない、という不安。サプライズにこだわり、ウソをついていたら、いつの間にかもっと大きな狼の群れに、日本はずたずたにされる恐れも、安倍政権では強まってきていると言えるのかもしれませんね。

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2016年03月28日

雑感。北海道新幹線と国の予算

北海道新幹線の開業、地元は歓迎ムードですが、週末の乗車率は26日が61%、27日が37%と発表されました。格安航空と比べるとさほど安いともいえない価格、移動時間は空路とくらべるとやや長い、駅に近いという利便性、もしくは飛行機は嫌、という人でないと中々積極的に新幹線で、という気にはなれないでしょう。春休みのこの時期、しかも開業から2日目にして早くも試練に立たされた北海道新幹線、インフラをつくっても魂が入らなければ、それは負担ばかり重くなる無用の長物ともなります。海外からは財政出動を促す声が聞こえ、国会では与党内からもかまびすしくなる中で、サミット前にも補正予算の発表がある、ともされます。
しかし未だに震災復興の特需があり、五輪特需もある日本で、下手な財政出動は景気の首を絞めかねない。インフラをつくろうとして魂が抜け、仮死状態に陥る可能性すらにじみます。北海道新幹線が示す、インフラの整備が必ずしも成功するわけではない、という事例をみるにつけ、果たして財政出動による需要掘り起しがあるのかどうか? その議論もないまま、補正予算などが発表されるようなときは、残念な結果にしかならないのかもしれません。

明日には戦後最大規模にふくらんだ一般会計予算が成立する見通しです。ただ1億層活躍社会の実現のための予算が2.4兆円、この意味や効果すら不明な方針に、これほどの予算をつけてしまう大盤振る舞い。しかも効果がでたとて、それがよく分からないばかりか、日本にとって良いことであるとは限らない。女性活躍が今のように不足する労働力への、パートの供給体制をととのえることになっている現状をみても、日本全体を底上げする施策になるとは到底思えません。
明日には安保法制が施行されますが、安倍政権では自衛隊への予算配分は、施行の前後で変わらないとしますが、もし本当にそうなら自衛隊員は過酷な、危険な任務に、装備もととのわないまま送られることにもなります。予算が増えたら増えたで、新たな財政の圧迫要因となる。いずれにしろ日本を破滅へと導く、その一歩をふみだすことになるのかもしれません。

英国の歴史家、パーキンソン氏という方の言葉は、とても示唆的です。パーキンソンの法則としても知られ、第一法則は「仕事がなくても官僚の数は増え続ける」で、第二法則はその説明として「官僚が増えるのは仕事量が増えるからではなく、時間が余ってしまい、何とかそれを埋めようとするから」とします。その原因は大きく2つ、官僚はライバルではなく、無難な部下を増やしたがる、そして官僚は互いのために仕事をつくり合う、を挙げます。実際、これを英国の歴史に当てはめて説明します。日本においても、かなり当てはまるものといえるでしょう。
このパーキンソンの第三法則は「支出額は収入に見合った額まで増加する」です。つまり安倍政権は、税収が増えた、と成果を誇りますが、その分はすでに戦後最大の予算として歳出が決まろうとしている。まさに今の日本でしょう。ただし、その第四法則は「組織が膨張すれば複雑さを増し、複雑さは衰退をもたらす」です。安倍政権で、日本がこの状態に入ろうとしていることは、ほぼ間違いないでしょう。ナゼなら『1億総活躍』と、これ以上ないほどに組織の膨張をはかっているのですから。パーキンソン氏はここで「立派な自社ビルの建築計画は、まさにその機関、組織の崩壊点になる」とも言います。立派なインフラができても、それ以上に発展する余地を見出せなくなった日本、もうすでに崩壊点を越えそうなところには来ているのかもしれませんね。

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民進党の結党大会

民主党と維新の党が合流した、民進党が発足しました。形式的には民主党が存続して維新の党が解党して合流する、存続合併の形となります。また改革結集の会4名、無所属の水野氏を含めた衆参156名と、野党第一党としての威厳は一先ず保てた形です。一部で国歌斉唱がない、と批判的に捉える向きもありますが、昔から保守系は国家や国旗が大好きで、何かというととり上げますが、国際的な場や公式な記念行事でない限り、諸外国ではそれほど頻繁に歌うようなものではありません。日本ではほとんどの公立の小学校、中学校では卒業式で決まりきったように歌いますが、欧米ではそういうケースは少ない。国際的な場ではないからです。政党だからといって、その結党大会で歌うか、歌わないかはその党の考え方次第、で十分なのでしょう。

リポーターが「政権交代のラストチャンスです」と述べていたので、不思議に思っていたら岡田代表がそう発言していたので、2度びっくりです。政権交代可能な政治の実現するため、というのですが、失敗したら民進党は解党して新たな党を立ち上げる決意で…なら、ラストチャンスになりますが、結党大会でいう言葉ではないでしょう。むしろ岡田氏の政治人生で、政権交代可能な政治…がラストチャンスと言いたかったのか? 実際、参院選の全責任を負うとしているので、それなら何となくうなずけますが、どちらにしろ結党大会ですから、言葉を選ぶべきだったのでしょう。
岡田氏は「国民とともに進む、それが民進党」と述べます。「国民の声に耳を傾け、国民と正直に、率直に語ろう」とも述べていますが、それを破ったのが野田政権下で行われた消費税増税だったのです。色々と公約を実現できないことはありましたが、国民にとって不利益でしかない消費税増税を決めたことは、国民の声に耳を傾けた姿ではなかった。しかもその野田氏は、未だにその反省もなく消費税再増税はすべき、と語る。この人物がいると、いつ約束破りがおきるか分からない、と疑心暗鬼になります。国民を説得する前に、まず野田氏に謝罪させるのが先でしょう。消費税増税を3党合意で決めたことは失敗でした、と。そうすれば消費税論争で、一先ず民主党の立ち位置が決まります。今はそこですら曖昧なので、逆に自民がそれを争点にしようとします。

しかし消費税の増税が、景気に与えた影響は甚大、ということは論を待つ必要がありません。安倍政権は積極的に「景気が悪いのは増税のせい」と喧伝しているからです。ただ安倍政権では合わせて円安にしたため、個人から企業へ所得移転がおこり、その打撃も大きくなったのであって、個人は安倍政権の失政により、二重に苦痛をうけることとなったのです。つまり増税の悪影響、プラス安倍政権の失政、という両面を掲げるためにも、増税の悪影響は認めなければいけません。増税が正しかった、との論調をとると、必ずこの武運の論点がまぎれてしまうからです。
もう一つ、昨日もとり上げたように、安倍政権で成果とされてきたものはすべて虚像である、という論理的思考を養い、国民に対してどの政治家であっても、どんなときでも説明できるようになることが肝要なのでしょう。それができれば、自ずと選挙戦も有利に戦えるはずです。今は国会論戦でも、安倍政権が一つの数字をだしてくると、それで追求が止まってしまう傾向もあるようです。しかし数字とは、必ず裏があるものであって、例えばこれまで何度も指摘しているように、失業率の改善や有効求人倍率の改善など、成果どころか弊害、悪化していることを、論理的に数字をだして説明する。地道でも、数字やグラフによって視覚的にそれが誤りとみとめさせることで、国民にも伝わるのです。綱領づくりも国民任せ? といった話もありますが、まずそのHPづくり、安倍ノミクスのウソをどこまで追及できるのか? それを示すべきではあるのでしょう。チャンスとは『好機』という訳とともに『偶然』という意味ももちます。偶然のようなタナボタを待つより、努力したものが成果を得る、その姿を国民にみせる、という姿勢が野党としては大事になってくるのでしょうね。

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2016年03月26日

安倍ノミクスの成果とは?

2月の全国消費者物価指数が発表され、前年同月比でコアCPIは横ばい、コアコアCPIは0.8%の上昇となりました。ただ2月の為替は対ドルで、昨年は平均すると119円、今年は115円ぐらいでしょう。つまり為替面からはデフレ圧力が強まっている。3月の東京都区部のコアCPIが低下しているように、恐らく今の水準がつづくだけでも、4、5月には消費者物価もマイナスになるでしょう。安倍政権がよくつかう「デフレでない」という状態とも異なってくる。まさに7月の参院選は、安倍ノミクスの成果がすべて崩壊したまま、迎えることになります。

1月の毎月勤労統計の確報で、実質賃金が前年同月比横ばい、と速報の0.4%増から下振れしました。速報に比べて確報の方がパート等のデータが正確に反映されるので、下がり易いとはされますが、注目される速報の数字を弄ったのでは? とも考えられます。そもそも1月の数字が改善する、というのは考え難い。確報でも変わらず特別手当の高い伸びが確認されますが、所定内給与は0.1%減となるなど、年末の特需に備えた労働需要の一服感がやはり出た形になっています。
そうなると賃上げ、という果実も安倍ノミクスでは達成されていないことになる。今年の春闘も、安倍首相は「期待はずれ」としましたが、そもそもベアや定昇は正社員の話で、非正規が増えている現状ではベアや定昇の効果も限られます。その上、ベアや定昇が抑えられたということは、非正規の給与も据え置かれるか、下がる可能性が高い。今、安倍政権では同一労働同一賃金を検討しはじめましたが、企業は非正規の比率を上げることで、その余裕分をベア、定昇に回していただけであり、今さら非正規の手当てを上げるなら、負担増に耐えられない可能性ばかりか、安倍政権に強く反発するでしょう。そうした怒りが一斉に噴出することも想定されます。

そして上記の話は、株式市場にも暗い影を落としています。賃上げを企業に促す安倍政権では、企業は固定費を増大させるしかなく、株価にとってはマイナスです。つまり株式重視の姿勢から、国民うけを狙った施策に変えている。これが外国人投資家から不評で、昨年からつづく売りにつながる。安倍政権では自分たちの利益が保証されない、という危惧の方が強くなっているのです。
そのトドメがマイナス金利だったのでしょう。外国人投資家の国債保有比率が上がっていますが、恐らく欧州年金系の長めの資金が多かったはずです。欧州もすでにマイナス金利であり、微々たるものとはいえ日本はプラスだった。それがサプライズでマイナス金利となり、騙されたとの印象が強まった。黒田日銀総裁はずっとマイナス金利を否定し続けたのですから、日本のメディアは容認論が盛んですが、外国人投資家にとっては「ふざけるな!」という話です。しかも、このマイナス金利は企業の年金運用にも響いてくる。企業は従業員の年金が不足すれば、補充しなければならない。これも企業にとって重しであり、株価の上値を重くする。重くするどころか、円安も利かなくなった今、株価を下方に押し下げる力が、安倍政権では強まっているのです。

7月頃には、安倍政権で成果、と誇ってきたものがすべて剥落する。株価、物価、賃金まで含めて、すべてが悪化していることになる。昨日もとり上げたスティグリッツ教授の提言で「安倍ノミクスの全否定」というより、むしろ安倍ノミクスでやっていることは「すべて悪影響」という評価を下していることがうかがえます。市場もそれに気づき始めた。学者も指摘している。いくら日本のメディアが覆い隠しても、そろそろ日本人全員も気づかなければいけないのでしょう。もし衆院解散、衆参同時選挙となったら、それは消費税再増税の再延期、などではなく、その争点は『安倍ノミクスの総括』という重要なものとなってくるのかもしれませんね。

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2016年03月25日

スティグリッツ教授の提言

第1回国際金融経済分析会合において、ジョセフ・E・スティグリッツ教授が行った提言が、官邸HPに掲載されています。内容は示唆的ですが、どちらかというと日本に限定したものというより、世界全体の経済について語ります。ただその内容はかなり辛らつで、これまでの経済政策、規制緩和、などは格差を拡大させるだけで、明確に失敗と位置づけるなどかなり斬新です。内容は大分端折りますし、官邸の和訳も恣意的な操作がみられるとされますが、日本に関係する部分をかいつまんで検討してみます。

世界は「新たな凡庸(The New Mediocre)」「大低迷(the Great Malaise)」「長期停滞(Secular Stagnation)」に差し掛かっているものの、今はまだ危機でない、とします。そして緩慢な成長の果実は一部のトップ層に偏って分配とし、格差は拡大している。その項目で『「公式には」失業率が低いとされる国でさえ、雇用の質や覆い隠された失業には疑問符』としますが、この指摘は日米でしょう。完全雇用とされる日米でも賃金が上がらないのは、緩慢な成長の果実が労働階層まで行き渡らない、と指摘しています。しかも製造業よりサービス業中心の経済構造への転換を促しますが、高齢層ではその対応が遅れるとして『人的資本の陳腐化』とまで評します。
日本は安倍ノミクスで円安となり、輸出が増える、TPPでも同様ですが、いわゆる製造業向けの施策に舵を切ってきましたが、そもそも「先進国では製造業の雇用のシェアは低下」と、その効果をはっきり否定します。代替として教育・健康に改善の余地あり、としますが、安倍政権がやっと保育に重い腰を上げても、遅きに失していると言いたいのかもしれません。しかも法人税減税は投資拡大に寄与しない、間違いだとはっきり指摘し、減税はネットの資本コストを上昇させるので逆効果、とまでします。一方で、消費税増税に反対とは一行も書かれておらず、逆に炭素税、不動産などの相続税、金融規制強化などが有益ともされます。間違ったサプライサイドの改革としてはもう一つ、TPPは悪い貿易協定として米国で批准されない、としますが、そもそも貿易政策はサプライサイドの効果は期待されない、と断言するので、安倍ノミクスで打たれた大半の施策は誤り、という指摘をこの提言ではしていることになります。

さらに、黒田バズーカ第三弾のマイナス金利は「金利を少し下げること(たとえマイナスの領域に入ったとしても)は、機能しない」とします。悪い副作用をもたらす可能性も、とするので、やるだけリスクと指摘します。量的緩和政策は格差を拡大した、と断言した上でリスクのミスプライシング、金融市場の歪みをもたらした。一方で、量的緩和の便益の一つは競争的な通貨切り下げだけれど、ゼロ・サム・ゲームとし、勝者なき競争に陥りかねないとも指摘する。
そうして、安倍ノミクスで拡大した格差、これとは戦わなければいけない。経済ルールの大転換を促します。家賃の上昇は歪みの一端だとし、生産コストより資本コストの上昇が上回る異常事態、とする。つまり日本をはじめ、各国は異常事態であって、その歪みを生んだのが量的緩和なのです。大切なのは需要を拡大すること、そのために格差を縮小することは短期的、長期的にも有効とする。やっと同一労働、同一賃金を言い出した安倍政権ですが、これが自民党内と省庁に揉まれると、結果的に中抜きに利用される恐れも拭えず、そうなると格差はさらに拡大します。

この提言は、日本にサミットなど、世界を変える原動力になって欲しい、という意図の下に提案されたものですが、相手を間違えているのでしょう。安倍政権では米国追従、米国の不利益になるような提案をして、世界を導いていくことなどできるはずもありません。特にドル機軸通貨体制を改め、別の世界基軸通貨を創設するなど、どう考えてもできるはずもない。それでも、その制度の弊害が目立ってきた、これが経済学者の正しい認識なのかもしれません。45頁目『この失敗した実験の断片』として、『経済成長、雇用、経済安定化といったバランスのある視点よりも、インフレの安定化に焦点』とします。まさに安倍政権への痛撃でしょう。この一文だけで、安倍ノミクスはまさに『失敗』と表現するに相応しいものです。というより、日本では未だに「正念場」などと語られますが、これが海外からみた安倍ノミクスの、一般的な評価でもあるのです。3年間を全否定された上、めざす方向性まで全否定された安倍ノミクス、正念場どころか、もう断末魔というところまで来ています。第1回目に迎えられたスティグリッツ教授の痛烈なダメだし、これは提言というより、安倍ノミクスへの退場勧告に近いものでもあるのでしょうね。

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2016年03月24日

政治家になろうとする人間・・・

公明党の山口代表が全国高校生未来会議で、選挙年齢の引き下げについて「学生の本分は勉強。相応しい仕事を得ること。政治的関心が高まりすぎると勉学が疎かになり、未来の仕事をえらぶことに力が入らなくなるという場合も無きにしもあらず」と述べました。学生運動を念頭においているようですが、なるほど現在の政治家がその程度の認識だから、政治家になろうとする人間、現在の政治家の質が低くなるのでしょう。学生の頃から政治の道を志し、様々な社会の動きに関心を払う、これも立派な『未来の仕事をえらぶ』ことです。政治に関心が高いからといって、勉学が疎かになる、というのも偏見でしょう。そういう人が一部ではいた、という事実とそれを全体に当てはめることに合理性はありません。山口氏の言葉を借りると、今の政治家は学生の頃は政治に関心もなく、勉強をしっかりしていた? かのようですが、そうでない事例が散見されます。

自民の大西議員が「自民党のことが好きじゃない」と巫女に言われ、「巫女のクセになんだ」と思った、と細田派の会合で発言しました。その本質には政治家は高尚で、巫女は低劣という意識があるとしか思えない。巫女であろうと国民であり、政治に関心をもつ中で「自民党のことが好きじゃない」という結論に達したのなら、それを説得して理解してもらうか、自らの身を律してこそ、政治家のとるべき態度でしょう。「札幌の夜に誘って説得して…」とも述べていますが、女性を蔑視する意識が強いようです。マスコミ懲らしめ騒動もありましたが、大西某氏はよほど政治家が偉い、とでも勘違いしているようで、鼻持ちならない人物なのでしょう。
高市総務相による「停波発言」に関して、日本外国特派員協会でジャーナリスト5人が会見しています。この問題に関してメディアにもよく登場する行列のできる弁護士が「政治とメディアでバランスをとることが大事」などと、高市氏を擁護する発言をしていますが、そうであるなら総務相の権限ではなく、国会にもたせるべきです。つまり総務相は与党議員であり、政治的公平を保つほど清廉潔白な判断ができるとも限らず、これでは「与党とメディアのバランス」になるだけです。国会にその審査機能をもてば、まだ「政治とメディア」の関係になりますが、それも個人的には反対です。メディアが政治との関係ばかりを意識し、視聴者軽視に陥る恐れは拭えないからです。ひいては癒着、世論誘導などの手法に手を貸すことが、今以上に増えるでしょう。

参院選に自民党から出馬するとの報もあった乙武氏に不倫報道がありました。先のSPEEDのメンバーである今井氏の出馬でも、事実婚状態である男性に児童福祉法違反の逮捕歴があり、女性の敵という見方が強まった。今井氏は「過去に何かあったら、レッテルを貼られて生きていかなければいけないのか?」と述べますが、論旨が異なります。犯してしまった罪は、ずっと背負っていかなければいけない、これは当然です。何も問題ない、本人は何もしていないのに、おかしなイメージを貼られる『レッテル』ではないのです。問題は、政治家という公人であればそれを素直に認めて、それでも有権者にみとめられるのかどうか? です。しかし逆にみれば、レッテル貼りだのという理屈を述べる時点で、残念ながら悪い意味での政治家の色にはどっぷりと染まっている、ということはこの発言からもよく窺えてしまうのでしょう。
経歴詐称のコメンテーター、ショーンK氏を熱烈擁護する意見もあります。しかし「誰も傷つけていない」という意見は論外です。ショーンK氏がコメンテーター枠に入ることで、あぶれた人がいる。また経歴詐称でテレビ局が被った損失は甚大です。それをテレビ局が悪い、と片付けることはできないでしょう。悪い噂ですが、ショーンK氏がアウトという価値観が定着すると、かつて海外の大学への入学、卒業を自身の経歴に堂々と記し、そして後でこっそり削除した安倍首相、麻生財務相をはじめ、政治家が困ったことになるから擁護している、との話もあります。オープンな講義を聴講したぐらいで学歴に記載する、ということはかつての政治の世界でも蔓延していました。しかし勿論これは公選法違反、一部の政治家が問題として追及されたことで、これらの政治家は削除し、追及をうけることなく今にいたっています。学生の頃から稼業として、政治家になることが宿命づけられていたからといって、勉学に勤しんでいたわけでも、清廉潔白な人柄にもなれなかったようです。少なくとも政治家をめざすなら、身を律し、自制心を保てるような人でないと、トラブルで行き詰る政治家ばかり、という事態にも陥りかねないのでしょうね。

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2016年03月23日

3月の月例経済報告

安倍首相が参院総務委員会で「リーマンショックや大震災級のできごとがない限り、消費税再増税する」と、改めて明言しました。昨日の国際金融経済分析会合でも、クルーグマン教授が再増税の再延期を訴え、自民党内でも先送り論が支配的になっていますが、最も効果的なタイミングの発表を狙っているのでしょう。ただ、市場でも再増税の再延期を織りこんで、消費関連を…などの話はありますが、下押しすることはなくなっても、押し上げは期待できません。それに再増税になれば来年度は駆け込み需要が見こめるのであって、今は1年以上も先の下押しを織りこんで下げているわけではない。むしろ現在の需要喪失が、小売関連の重しとなっているのです。

3月の月例経済報告で、個人消費は『総じて見れば底堅い動き』から『足踏みがみられる中、概ね横ばい』と下方修正されました。設備投資や輸出の判断は上方修正、企業収益と企業の業況判断は下方修正、と気をつかった書き方をしていますが、全体判断でも『一部に弱さ』としていたものが、『一部』が消えるなど、悪化を素直にみとめ始めています。これも再増税の再延期にむけた布石、とみることもできます。相変わらず「各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうと期待」との文言がありますが、各種政策の効果? と効き目のある政策が一体どこにあるのか? 悩むほどの自画自賛ぶりですし、海外経済や金融資本市場の変動に留意、と自分たちのせいではない、との抗弁も目立ちますが、株価が上がったことを自分たちの成果としておいて、下がったら自分たちに関係ない、という話は通用しません。総じて子どものイイワケじみています。
しかし月例経済報告をみると、安倍政権の思考パターンも見えてきます。個人消費が横ばい、とするのも家計調査や商業動態統計をみると明らかに減少、悪化を示しますが、政府は需要側統計、供給側統計、として複数の指標を合成して消費総合指数を割り出しており、それだと0.6%増になる、というのです。この『合成』の手法については分かりませんが、需要も供給も落ちこめば、総合してみると経済効果はイーブンになる、ということかもしれません。そもそも民間が発表している百貨店、スーパーの販売額を用いない時点で、個人消費における政府の判断には、重大な瑕疵があるといえるのでしょう。この説明を真に受けると、消費は好調といいだすのかもしれません。

設備投資の上方修正は、そもそも2015年度の計画が高い、ということに帰結します。しかし2016年度は減少が見こまれているのであって、3月の月例経済報告で「増加して行くことが期待」できるはずがない。しかし設備投資を上方修正しないと、基調判断の全体も引き下げざるを得ず、已む無くこの後1ヶ月程度の年度計画に依拠して、上方修正したというのが真相なのでしょう。輸出も「海外経済の緩やかな回復」に依拠し、上方修正するのですが、海外経済の不透明要因を全体判断の懸念材料としているのとは、大きな矛盾ともなってしまっているのでしょう。
企業収益においては非製造業が改善傾向、としますが、これは過度な円安の是正による効果が大きい。ただ今、金融機関では外貨預金をすすめる傾向がありますが、金利差をみて外貨預金にしたら必ず失敗します。今は過度な円安局面が修正する段階であり、しばらくは円高方向を模索し易くなる。外貨預金は円高になれば目減りしますから、金利差ぐらいは軽く吹き飛ぶでしょう。ただ、預金者を逃がさないことと同時に、政府の円安志向とも合致するので、顧客にすすめているに過ぎないのです。金融機関のすすめる金融商品は、こうして信用を失っていきます。

株価のことにも触れていますが、今の株式市場はやたらと17000円を意識する主体がいます。配当権利落ち後、すぐに戻して年度末高を模索するには、ここが落とせない水準ということなのでしょう。しかし原油安で貿易黒字が膨らむ日本では、恒常的にはそもそも円高に向かい易いのです。円高耐久力のない株式市場、そうなってしまったのも、内需の低迷によって日本そのものが円高耐久力を失いつつあるためでもあるのです。「リーマンショックや大震災級のできごと」がなくとも、ゆっくりと自然死のように弱体化していく日本経済、再増税の再延期どころか、再増税をやめる、すべて白紙、というぐらいでないとマインドの改善は期待できないところまで来てしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年03月22日

雑感。為替と不動産と中国

ベルギーで同時多発テロがおきました。仏国同時テロの犯人が逮捕されたことへの報復とみられますが、どこの国であろうと公共交通機関を狙われると脆い。多くの人の出入り、モノが流れる中でチェック体制も整いません。これは日本でも同じ、全日空のシステム障害などもありましたが、1つのシステムをダウンさせれば大混乱を引き起こせる。世界の脆弱さを垣間見せられます。

オバマ大統領が現職の大統領としては88年ぶりにキューバ訪問をしました。ただ会談の内容は米国にとって芳しいものではなく、会談後の会見はかなり荒れました。米株市場はダウだけをみれば7連騰、一見すると好調にみえますが、安易な妥協をしてキューバに恩典を与えるわけにはいかない。すでに政権末期のレガシー作りとはいえ、後世の評価に耐えられる合意をめざしていることが、この辺りからも窺えます。日本のようにメディアが『公平』の名の下に評価を歪める国とは違い、一方的に政権を攻撃するメディアも存在する以上、安易な妥協もできないのです。
米国経済は堅調、というのも怪しくなっています。中古住宅販売は年率換算で7.1%減、しかも全地域で減少しています。原因は販売価格の中央値が前年同月比4.4%上昇と、バブル的な価格上昇もみられる点で、すでにふつうに働いても都市部では家賃やローンを払えません。それでも成り立つのは価格が上がり、資産価値が上昇しているから。ただ、それが2月に減速したのは、10月から導入した新規制の影響というより、ドル安局面に入ったことが影響するのでしょう。つまりこれまでのドル高局面は、海外から米国へ投資しておけば不動産価格ばかりでなく、ドル高によって利益が上乗せされました。ドル高で輸出企業には打撃でも、内需が堅調だったのは、サブプライムローン前の水準までもどす不動産価格の上昇が影響していたことは否めません。

日本でも公示地価が発表され、8年ぶりに前年比0.1%上昇となっています。ただし、三大都市圏は0.5%の上昇、地方都市は0.7%下落、と二極化。商業圏の上昇もめだちますが、問題は大阪心斎橋の45.1%上昇、というようにバブルが発生していることです。マンションは暴騰、戸建ては低迷、と海外からの不動産投資、投機の流れで価格が押し上げられている面が否めず、ふつうに働いている人では中々手がだせなくなっています。そこに今後は円高という要因も加わる。海外からの投資、投機がすすみ易く、それがバブル的な価格の高騰を生みだす要因になっているのです。
不動産価格だけはリーマンショック前並み、しかも今回は米国のサブプライムローンではなく、中国の不透明な資金調達手段によるものなので、いつ弾けてもおかしくありません。中国国営銀行の不良債権比率も徐々に上昇しており、個人の債務も膨らんでいる。借金して投資する、それが当たり前になっている国で、米国や日本、中国国内でもふたたびバブル化を始めた不動産市場で、不意の変動により連鎖的に悪影響をもたらす懸念を、中国マネーは抱えているのです。

人民元安でもまったく製造業が復活する見込みのない中国。これは中国経済がすでに変容していることを示します。モノづくりからカネづくり、錬金術へと大きく経済の成長ドライバーを変えた。なので中国は、低成長に陥っても命脈を保っています。ただ、そんな中国が経済運営に失敗すれば、世界へと影響が波及するでしょう。今の世界経済の脆さは、中国という横車を押すような国が投資、投機という世界経済で、大きな地位を占めている点に重大な問題を抱えているのです。各国の不動産市場の歪みをみるにつけ、中国の存在感と危うさ、その両端が垣間見えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年03月19日

経済学者が評価を避ける安倍ノミクス

少し前、日本製のトラックでも独VWが行ったような、排ガス規制逃れが発見された、との報道がありました。検査のときだけ排ガスを抑制する措置がされていた、と。ただその後の報道がありません。なかったことにして、企業の対応を待つつもりか? 不明ですが、トラックの排ガスがやけに臭い、と感じるものがあるのも事実であり、環境や健康面への不安が拭いきれません。

第2回国際経済金融分析会合にハーバード大のジョルゲンソン氏が出席し、発言しています。氏の論旨は「円高は終焉し、生産性の回復が重要。そのためには規制改革。高齢化・人口減少への対応として女性活用と雇用改革。法人税減税と消費税増税により生産性拡大と、財政の持続可能性を確保」です。安倍政権のすすめようとしていることそのまま、つまり安倍ノミクスの補完として、氏が呼ばれたことは間違いありません。ただ、17年4月に予定された消費税増税は「明言を避けた」ので、すでに意を含まれた上で、メディアのインタビューに応じているのでしょう。
第1回の会合に出席したスティグリッツ氏は、需要不足を主眼にして消費税増税には反対、炭素税などの新しい税制を提案しています。しかし両者に共通しているのは、安倍ノミクスに賛成していること。3年前、スティグリッツ氏は安倍ノミクスを絶賛していますし、ジョルゲンソン氏も主張や内容をみる限り、安倍ノミクス支持です。しかしスティグリッツ氏は3年経った後の安倍ノミクスには、どちらかと言えば期待外れといった印象をメディアのインタビューでは答えていますし、ジョルゲンソン氏においても、方向性は間違っていない、という言い方はしても、成果については評価を避けている印象です。つまり実行性が伴っていない、というのが両氏の実感かもしれません。それは2年連続でマイナス成長が意識される国に高評価を与えることは、学者の立場からは難しいのでしょう。

今週は米株は堅調、日本株は低調、と方向性が大きく別れました。米株はドル安で押し上げられている面があり、逆に日本は円高が重し。昨年の前半まではその逆で、米経済は堅調とされながら上値が重く、日本はマイナス成長でも株高だったのですから、これはいくら嘆いても仕方ありません。株が為替との連動性を強める以上、必然としておきます。問題は日本が円安を仕掛けるだけの力を失い、米国に為替を主導する立場を握られていること。マイナス金利を拡大しようと、日本はすでに為替を操作することができないので、焼け石に水になりかねない。選挙を意識し、4月もしくは6月にも追加緩和、とされますが、失敗すれば選挙では逆のバイアスがかかることになります。そして、その可能性が高くなっていることは間違いないのでしょう。
日本の株価も、17000円を越えてくると割高にみえる。先週辺りから配当とりの個人の買いも増えていますが、今の水準を外国人投資家が割高、とみる以上は上値も重い。そしてさらに配当権利落ち後、新年度に入ってからの買い主体の喪失、という事態を考えると、配当よりも下げ幅にかけておく、といった取引を仕掛けてくる以上は、上値の重さも致し方ないところなのでしょう。日本株は来年度の業績見通しが示される、4月後半でないと中々出直す機会もない。逆に、業績見通しが市場予想より悪ければ、さらに下を叩きに行く懸念の方が大きくなっています。学者すら、その評価には口をつぐんでしまう安倍ノミクス。市場の評価だけは『もう終わった』と、はっきりさせていることは間違いなく、5月のサミットに向けて低迷している日本がどう世界経済を主導するか? そう考えると、実行力のない安倍政権では、まず難しいという評価につながってくるのでしょうね。

20、21日はお休みして、22日から再開したいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年03月18日

原発周辺のモニタリングポストにおける朝日と原規委の対立

川内原発の周辺に設置された線量計について、朝日新聞の報道に対して、原規委が「防護措置がとれないかのような誤った解釈を招きかねない」としてHP上で抗議し、原発賛成派のメディアも巻きこんで朝日叩きをしています。簡単に朝日の記事をまとめると「原子力災害対策指針において、原発から5〜30kmの住民はポストで毎時20μSvが1日つづいたら1週間以内に退避、毎時500μSvなら即退避。ただし、川内原発周辺の48のポストのうち22が80μSvしか計れない。判断につかえない。鹿児島県原子力安全対策課は近いポストで計る、もしくは可搬型のポストを備える、とするものの、県が所有する可搬型ポストも44台のうち30台が毎時100μSvしか計れない」というものです。高浜原発でも41箇所設置する計画のポストが、3、4号機が再稼動した時点で、まだ27箇所が未整備とします。つまり、この指摘は朝日新聞側に完全に正当性があります。

再稼動を焦るばかりに、川内原発も高浜原発も急ごしらえで様々な準備をしても、モニタリングポストという住民を守るものに、落ち度があったのです。田中原規委員長が、朝日の指摘を「無用な不安を煽り立てたという意味で犯罪的」とまで述べ、モニタリングによって判断するのに十分かどうかが問題、とします。しかし考えてみれば分かりますが、500μSvまで計れないものは、即退避の判断には使えない。つまりムダです。確かに計測の範囲が広ければ精度が落ちる面はあるものの、500μSvと480μSvを別けて考える必要はありませんし、20μSvなら1日後に退避でも、19μSvなら退避は必要ありません、などと杓子定規に考える必要は、まずないでしょう。だとしたら毎時500μSvのものをすべて設置しておけば、各所で退避判断ができることにもなります。
それと、可搬型ポストをもっていけばいい、としますが、県の職員が無用な被曝をしてしまうことにもなります。放射性物質の漏洩がおきそう、という段階ならまだしも、すでに気密が破れている場合は、近づくだけで被曝する恐れが出てくる。わざわざそんなことをせずとも常設しておけばよい。ますます500μSvを計れないポストの存在は疑問で、計れるようにしておくべき、と思えます。

さらに、全国でモニタリングポストの設置が500μSvで統一されているとしたら、川内、高浜原発の周辺のみ、適用外にする意図が不明です。各自治体の担当者は「500μSvで当然」と述べるので、恐らく500μSvまで計れない方が特殊、なのでしょう。そうなると、各自治体が過剰スペックなのか? 本当は混在させておけばよかったのか? という問題にもなります。
いずれにしろ「判断に十分な」数があればいい、というのなら、それこそ3つで十分です。一方は海ですから、残り3方で5kmのところに1つずつ設置すればよい。一番危険な場所で、線量が確認されたら全員が逃げた方がよいのですから。緊急時に人為的判断を交えることはミスリードを生み易く、ここは退避、ここは待機、などと別ける方が混乱を生みます。むしろ常設型のポストを細かく設置するのは、退避する際のルートを考える上で重要なのでしょう。こちらは線量が高い、こちらの線量は上がっている、だから線量の低い方に退避する、というケースです。しかしそうなると住民の避難計画そのものが破綻し、渋滞が発生したり、混乱も生じるでしょう。ますますモニタリングポストが大量にあることの弊害、が意識されることにもなります。

川内原発も高浜原発も、その中途半端さが最大の問題です。他の原発立地地域との横並びも含め、必要なことと、不必要なこととの説明が曖昧。それを指摘した相手に対して「不安を煽る」などと述べるところが、規制主体であるからこそ、逆に不安にもなります。安倍政権になってから、指摘や批判に対し、とりあえずカウンターパートとして相手を攻撃する、という機会が増えています。公的機関ばかりでなく、企業も同様、見苦しいまでのイイワケと、説明になっていない説明で言い逃れしようとする。こうした悪意ある対応をするところには『善良計』を設置して、それが国民のためになっているのか? きちんと計ることが必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2016年03月17日

東京一極集中の打破議連?

米FOMCで、金融政策は現状維持、年内利上げを年4回から2回と予想を引き下げ、世界経済の弱さを懸念材料とするなど、かなりハト派な印象を打ち出しました。ただ直近、食糧・原油を除くインフレ率が2.3%に達するなど、直近のドル安がインフレにも影響を与えています。インフレの悪影響は金融政策にも大きく影響を与える。ドル高退治に舵を切り始めた米国にはやや重しです。
日本株は朝高も、円高で一気に崩れました。米FRBの金融政策がハトであれば円相場には逆風であり、そもそも米株がやや上がったとはいえ、朝高が不自然との見方が大半です。楽観ムードを出そう、株買いのトレンドフォローを出そうとして、最近は失敗するケースが目立ちます。これは今の為替水準だと、17000円が高く見えるためです。米株が好調で年初来高値をうかがうのも、逆にドル安だからであって、これからも円高にすすむだろう日本では株が魅力的に見えないのです。

自民党で「行き過ぎた東京一極集中を打破する議員連盟」なるものを立ち上げました。アダムズ方式の採用により、地方の議席が減らされることの反発の面が強いですが、間違えているのは「国会議員は地域の代表」という発想です。「国会議員は国民の代表」であって、地域の実情を代弁する立場にもない。もし仮に、議員が地域性を有した発言をすることをみとめると、あらゆる委員会で地域へ利益誘導しても構わない、となります。例えばこの地域は道路が足りない、保育所が足りない、などとしてそのための法整備、予算執行にも影響します。国会議員は国全体を考えて政治を行わなければ、あらゆる点で歪みが生まれるのであって、地域性は必要ないのです。
特にこれまでも利益誘導のようなことは行われてきましたが、かといって地方が栄えたというケースは滅多にない。一時的には道路、鉄道が整備されて活況にみえても、人口減少やシャッター通りなど、凋落を示す例の方が多いのです。だからといって地方選出の議員を2人、3人と増やしたとて何も解決しないでしょう。それこそ地域ごとに特色あり、特殊性もあり、多数決をとっても意見はばらばらでまとまらず、地方のすべてを満足させる提案などできるはずもありません。

それに、自民は東京一極集中がおきたとしても大都市部に弱く、衰退する地方で強い。つまりこれまででさえ、地方の議員は人口対比でみれば優遇されていたにも関わらず、地方が衰退したのなら、これはもう失敗と断定してもいい。繁栄により評価されていたわけではなく、縁故に頼った選挙をしているからこそ、地方全体が衰退していく。これは「東京一極集中を打破」などではなく、地方をどう繁栄させ、議席を増やすか? という提案でなければならないのです。
石破地方再生担当相による法案読み違えに始まり、林経産相の「勉強不足」など、自民からは「緩み」「弛み」という言葉が聞こえます。しかしこれは明らかに「劣化」です。国会に緊張感がなくなったばかりでなく、そもそも議員の質が落ちたのです。そんな中、少ない有権者しかいない地方で議員を増やしたら、それこそ選択肢も少なく、優れた人材がでてくるのか? 人口対比で議員数を決めるのなら、おかしな優遇や差別といった問題は一先ず回避されるのです。

与党系のメディアは、自民に醜聞がでてくると、すぐに野党叩きに走りますが、与党の質を上げるよう提言をつづけることが、日本のためにもなるはずです。与党がダメだから、野党のダメぶりをアピールしても、政治家はますます「劣化」の道を突き進むだけでしょう。質の低下は、実は与党系メディアもそれに手を貸しているのが現状です。昨日、安倍首相に久留米商工会議所から「椿」が送られました。日本では昔から好まれる園芸用の常緑樹ですが、花が根本からぼとり、と落ちることから武士は庭に椿を植えなかったとされます。商工会議所が何を意図したかは分かりませんが、地方にとっての願いがそこに含まれているなら、春の季語でもある「落椿」のように、春には首相交代ということにもなりかねないのでしょうね。

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2016年03月16日

雑感。国際金融経済分析会合

世界の混沌ぶりが鮮明になってきました。北朝鮮の核弾頭の小型化成功、露軍のシリアからの撤退、中国では全人代でGDPに対して3%の財政赤字にする案で、棄権、反対も含む票が14%近くになった、との記事があります。それぞれ大きな問題を含みますが、日本では記事の扱いが小さいのが気になります。米国ではミニスーパーチューズデーで、民主はクリントン氏、共和はトランプ氏が順当にとれる州をとった。順当、といっても共和はルビオ氏が撤退し、代わってケーシック氏が伸びるなど、さらに混沌としてきました。原油の増産凍結も口先だけで、会合が先送りにされるなど、本気度がみられない。世界で、突発的な急変がおきる確率を弥が上にも高まっています。

そんな中、政府は国際金融経済分析会合を開き、ノーベル経済学賞をとったジョセフ・スティグリッツ氏を招いています。「2016年はより弱い」「消費税増税は先送りした方がいい」と従来の主張をくり返しましたが、その中で「日銀の緩和は限界」と述べた点が目新しいものです。ただ代わって財政出動すべき、はこれまでの氏の主張に沿うものです。しかし最も聞きたい『安倍ノミクスへの評価』について報じるところがありません。安倍首相が「忌憚ない意見を…」と述べているにもかかわらず、その部分を報じない時点で、問題の根深さを感じさせます。
スティグリッツ氏は「需要不足」と述べ、財政出動を促しますが、それをした中国が今、生産過剰で苦しんでおり、その解消のためにゾンビ企業の破綻処理をすすめる予算まで組む始末です。需要不足に財政出動、という意見は経済の教科書にも出てきますが、果たして有効なのか? 一時的な財政出動で穴埋めしても、結局それが常態化してしまえば財政出動ではなく、一般の予算と同じように感じてしまう。特に日本は決まりきったように補正予算を組み、景気対策と称して予算をつぎこんできた。それを財政出動と言い換えてみても、大きな効果がでるとは思えません。

これが一時的な低迷で、すぐに来年には持ち直す、というなら一時的な穴埋めでもよいのでしょう。しかし今は長期低迷が危惧される折、穴埋めではない本格対応が必要なタイミングです。そのとき穴埋め論者を連れてきても、その人選そのものが穴埋め、増税先送り議論を日本で定着させるための、海外の権威を連れてきて理由付けしただけ、としか思われないのです。
トヨタ社長の「潮目が変わった」との発言は、企業業績も今後は伸びない、賃上げもしない、ということでもあります。企業がそうであるのに、政府が潮目を変えなくて良いのか? その議論に、安倍ノミクス支持者ばかりを集めてきて、何か変わるのか? その期待はもてないのでしょう。ノーベル経済学賞が新自由主義者を偏重している、との話もあります。つまりノーベル経済学賞そのものの権威が揺らいでいるのが現在であり、多様な意見を集めるべきなのです。

混迷を深める世界に、答えなき会合。サミット前の勉強会なら、尚更世界がアッと驚く、効果的な提案ができるような中身が必要です。しかし安倍ノミクスの評価でさえ覆い隠し、実体を伝えないようでは打てる手も限られてしまうのです。潮目が変わった国内、海外経済について対応できないようでは、外国人投資家が日本に『塩対応』するのも致し方ない、となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年03月15日

日銀会合は現状維持

日銀の金融政策決定会合、現状維持とMRFへのマイナス金利適用はない、という発表がありました。但し海外経済の動向について、新興国が「幾分減速」とするなど、景気判断を下方修正しました。下方修正でも現状維持にした理由は、マイナス金利で実質金利も低下しており、設備投資や住宅投資に好影響がでる、ただある程度の時間がかかる、とした点です。今は少し下がっているけれど、将来にはその効果で持ち直す、という理屈ですが、首をかしげる材料が増えてきました。
株価下落による逆資産効果、これは個人に限らず、自社株買いをすすめた企業にも及びます。そして来期の業績悪化をみこんで、明日の集中回答日を前にして、企業がだしてくる賃上げ率は昨年に遠く及ばず、来年は個人もインフレに耐えられない。低利だからといって設備投資や、住宅投資を増やす環境ではありません。悪い言い方をすれば、日銀のやっていることに意味はないのです。

ここに来て、最近活況を示している中国の不動産市場について、当局がネットを通じたP2Pによって高利で受けた融資を頭金にして、住宅投資を増やしていると指摘しています。相場が上昇しているうちはよいですが、下落をはじめた途端、破綻するような仕組みです。中国の現状は「幾分減速」どころか、経済が怪しい、危険水域に入っていることを示しており、上海市場が若干の小康状態になっていることを、市場は好感している面もありますが、突然死する材料を着々と貯めつつある、という状況です。個人の負債は低い、国にも財政的に余裕がある、というのが中国への評価として定着していますが、個人の負債額、実はとんでもないことになっているかもしれません。
原油も増産凍結機運が一気にしぼみ、ふたたびWTI原油価格が下がったように、今の世界経済はおかしな楽観に支配されている。露国も中東もそれ以外の産油国も、増産凍結で合意したとしても生産は増やす。そのうち景気が回復して世界の需要がもどる、との見通しで動いてしまう。悪化する収益を増産で補おう、と単純に考えがちですが、これは破滅の論理でもあるのです。どこかが淘汰され、整理縮小となるまでつづく、崖をめざして走るチキンレースになってしまっているのです。

黒田日銀総裁は「(金融政策の)効果がフルに分かるまで(追加緩和を)待たなければいけないものではない」とします。しかし日欧が今、金融政策でチキンレースに陥っていることは間違いないのでしょう。原油相場の崖は整理縮小ですが、金融政策の崖は効き目がなくなること、むしろ景気を悪化させるとして、思惑とは逆の動きをすること。実はもう、日銀は前輪が崖から落ちているような状況です。効果がフルに分かったとき、失敗だったと判明したら、追加緩和をした責任は誰がとるのでしょう? そしてその責任をとりきれるのか? まず不可能でしょう。
質・量・金利で政策を打っていく、というのでETFやREITの増額などが市場では期待されています。しかし昨年末の追加緩和のとき、決められた3000億円のETF増額で、対象となる条件は設備投資、研究開発、人材育成などが基調的に増加している企業です。しかし言ってみれば高コストの生産体制をとる企業のETFを買う、というのですから、将来的にそれが成功すれば高収益体質になるのかもしれませんが、失敗すれば大損するかもしれない、非常に危険なものでもあるのです。信用力に特段の問題がある企業、は対象外としますが、一つの問題で信用力を大きく毀損する例は、枚挙に暇がありません。日銀が打ちつづけている博打のようなリスク投資、マイナス金利という冒険、いずれの評価も芳しくなくなってきました。新興国は「幾分減速」と評価しましたが、黒田氏の手腕、信認については「かなり減速」していることが、一番のネックになってきたのでしょうね。

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2016年03月14日

1月機械受注と市場

民主党の新党名が『民進党』になるようです。新党の名前を広く国民にしってもらうためには『浸透力』=『新党力』が必要です。ただの焼き直し、改名だけでは『新党力』を発揮したことにはならない。綱領もつくる、と述べていますが、そこで有権者にひびくものをつくるか、注目度の高い政治家をつくるか…。単に新党をアピールするだけでは、それこそ『民新党』と名前を間違える人が続出するでしょう。シンは進む、その進む先が何かを示すことが大事です。

1月機械受注がでて、船舶・電力を除く民需が15.0%増と、比較可能な2005年4月以来最大の伸び幅、とします。しかし中身は微妙で、鉄鋼業が928.5%と9倍以上の伸びとなったことが寄与しています。元々、鉄鋼業は船舶・電力と同じようにブレの大きい業種です。溶鉱炉、電気炉などは一つ設置するごとに多額の設備投資が必要だからです。しかし鉄鋼業界は未だに中国の過剰生産性の影響をうけており、設備投資をしても供給超過になるだけ。中国政府が鉄鋼や石炭などのゾンビ企業退治の話をもちだしたのは、全人代前の3月ですし、ますます1月の大きな伸びが気になります。
あくまで推測ですが、電力自由化により鉄鋼業の参入が増えたのではないか? 元々、鉄鋼業では電気炉などで、多量の電気をつかうため発電設備を備えているところが多い。電力自由化で、参入しやすい業種の一つです。意外と人気が高く、発電設備の増設を考えたとすれば、1月の大幅な伸びも説明がつきます。ただ、この理由であれば短期的な要因ですし、そもそも受注総額全体は8.8%減です。官公需、外需ともに20%を大きく超える減少であって、鉄鋼業の大幅増がなければ、船舶・電力を除く民需も小幅にマイナスです。決して好感できる内容でもありません。そもそも産業機械受注も、工作機械受注も1月は20%を越える減少であり、日本全体の凋落傾向は、単に業態拡大による特殊要因だけでは、覆い尽くせないほどのものを各指標が示すのですから。

株式市場は3日続伸、ただ先週末のメジャーSQは3兆円ちょい、今日の売買代金は2兆円、盛り上がりに欠けます。しかも中身もかなり問題です。明日まで開かれる日銀会合で、マイナス金利拡大を期待するような不動産業の買いと、それでマイナスの影響がでる銀行、金融業が同時に上昇する。つまりイイトコどりをしている。その原因は、金融機関のような年金の持分が多い業種が上げていることでも分かる通り、ここ数日は年金の頑張りが目立つ相場つきになってしまっています。
日銀の追加緩和はない、との予想が大半であるものの、サプライズ好きの黒田氏では何をしでかすか分からない。その予防保全のための買いと、上げるときには頑張りたい、という年金の思惑。その2つしか目立たない、ということは逆にいえば、そうした買い需要があるにもかかわらず、それに纏わる取引が増えた形跡もないということです。これは上昇相場にはつかない、という投資家が多いことを示す。どうせ先には下落する、逃げ場が難しいならはじめから取引もしない。これは17000円台が高すぎる、とみる投資家が多いことも影響するのでしょう。いくら株式の配当利回りが国債利回りより良い、といってみたところで今のままでは買えない。もう少し下がってくると、利回りの妙味も上がるのでしょうが、この水準を買ってくれる層がいないので、上昇に勢いがつかない。トレンドフォローの買いも入れてくれない事態になっています。

それを日銀、FRBとつづく日米の金融政策の行方で払拭できるのかどうか? これが今週の大きな焦点です。失敗すればもう一回、年度末までに出直す場面がでてくるのでしょう。機械受注は今回、標準産業分類にあわせ、新たな分類へと改める改定を行っています。しかし電力自由化により、『船舶・電力を除く…』という民需の数に、電力設備の数字まで雑じってきてしまった。そうした部分についての見直しはされていません。船舶・電力を含めた民需は14.3%増で、除いた数字より小幅に低下してきます。鉄鋼業の特殊要因、中国の過剰生産性の解消が中々すすまない中、鉄鋼業界が生き残りをかけたものであるなら、この数字の伸びに騙されてはいけない。むしろ日本全体が騙されることなく、きちんと経済の現状をみつめることが大事なのでしょうね。

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2016年03月13日

安倍首相の党大会における演説

安倍首相が自民党大会で挨拶しました。「選挙のためだったら何でもする無責任な勢力に負けるわけにはいかない」と述べました。しかし自社さや自公が連立を組んだときも同じように批判されたはずですが、自公は未だに連立を組み、政権与党の座にいます。要するに勝った者が正しく、批判を封じることができるのであって、自公なのか、民共なのかは関係ありません。
それに「国会の正常化のために、犯罪すら疑われる政治家を放置しておく無責任な勢力には、政治を任せたい」と思えない。つまりこの言葉で間違えているのは「何でもする」は決して誤りでない点です。自分たちが勝つために「何でもする」は当たり前で、これは与野党お互い様です。「何でもする」を「無責任」にかけたとて、何かを意味するわけではないのです。「無責任」をすっぽり抜けばただの決意表明であって、逆に「無責任」が入ると語彙がとれなくなる。つまりこれが「犯罪すら疑われる…」と具体例を示せば、意味は通じることになります。

演説でも経済についての言及が多い。「デフレ不況によって国民総所得は50兆円減った。40兆円とりもどした」と述べますが、明らかに今は震災による大幅な低下からの回復局面であって、そもそもデフレ不況であれば第一次安倍政権時代からずっと下降トレンドだった、となります。これは倒産件数も同じ。震災により企業は操業停止、倒産に陥ることも多かった。一時的に減って生産、供給体制を取りもどす課程で、倒産が減っているに過ぎません。また安倍政権では金融緩和により、貸出金利が大幅に低下しており、金利負担が減って企業が一息ついている面があります。但しその結果、ゾンビ企業が生き残っている状況は、中国も日本も似たようなものです。
労働人口が335万人減った、と初めて公の場でみとめたようですが、26万人正規雇用が増えた、110万人雇用が増えた、と自慢します。計算が合いませんが、労働人口を外れてもすぐにリタイアするわけではないので、再雇用分もこの110万人には含まれており、335万人も労働人口が減れば、有効求人倍率が上がるのは当然です。労働人口の減少は安倍政権のせいではない、とはいえ、雇用環境の改善も安倍政権のお蔭ではありません。こういう詐術的に自らの成果を誇大広告することを、一般的には『無責任』というのであって、これはデフレ不況、という話も同様なのでしょう。

農林水産物の輸出は過去最高の7000億円越え、というのも成果としてアピールします。しかし円安効果を除くと、実は微々たるものに過ぎません。2012年は4500億円、2014年は6100億円、昨年の確報はまだ出ていませんが、2012年の為替は80円程度だったことを考えると120円の円安になれば単純計算で1.5倍にすれば、2015年は6750億円。つまり増加分は250億円しかないのです。あくまでざっくりした計算ですし、対ドルの計算しかしていませんが、これまで世界がバブル的状況にあり、それで消費が増えた分を加味すると、決して安倍政権の成果でないことが分かります。
安倍政権の成果、とても胸を張って云えるようなものはないのでしょう。むしろ円安にしたから上手くいった、などと言えば米国から怒られる、世界から厳しい目を向けられるから言えない、といった事情も透けてみえます。世界が通貨安競争をはじめるのも、こうした見せ掛けの成果を政治が語り易くなる、といった面が影響しているのです。しかし騙されてはいけないのが、これは単なる見せかけに過ぎない、ということです。安倍政権では2年連続のマイナス成長が意識され、安倍政権下で人口減少社会に突入した。良かれ悪しかれ歴史には名を残す政権であることは、ほぼ間違いありません。後世、自分たちの子や孫の世代に安倍政権の評価を問われたとき、正しく説明するためには、今からきちんと情報を集め、正しい見方を習得しておかなければなりません。それが将来においても恥ずかしくない、責任のある態度といえるのでしょうね。

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2016年03月12日

雑感。7月選挙で確定か?

安倍首相が自民党本部で開かれた幹事長会議で「7月の参院選…」と述べ、慌てて訂正する場面がありました。国会日程からも6月選挙は可能ですが、それだと18歳に引き下げた投票年齢ですが、施行日前なので投票はできない。また国会日程が非常に窮屈になる。官邸はすでに7月選挙で固まっていることが、ここから理解できます。しかし意外と20歳以下の世代に不人気、という調査結果が党内で出ているともされるので、投票人口の増加はどちらに転ぶか、よく分かりません。
安倍氏は参院本会議で「保育所」を「保健所」と答弁し、議場を騒然とさせています。間違いは誰にでもあるとしても、もっとも間違えてはいけない言葉でしょう。上記の7月参院選の話にしろ、心ここにあらず、という感じです。今回の支持率下落は、金融緩和も利かなくなり、唯一の成果でもあった株価のもどりも鈍い。手の打ちようがないという点では政権をとって以来、恐らく最大の逆風が吹く厳しいものです。再度の増税延期は、明確に安倍ノミクスの失敗を意識させますし、争点づくりも難しい。ここに来て、これまで政権が手をつけてこなかった子育て支援でも、今からやります、始めます、などと言い出せばそれこそ怒りが政権に集中する可能性もあります。

民主党は立憲民主党と民進党で、世論調査を行って新党名を決めるとされます。大体、公募をかけた時点で大半が民主、維新の関係者からの投稿になることは想定されましたが、もっとも無難なところになりそうです。しかし無難、というのは訴求力がない、ということ。せっかくの公募なのに、数で決めてしまえば無難にしかなり得ないのです。それが民主主義というものかもしれませんが、突飛でも華のある、センスを感じさせるものにできない点に民主、維新の脆さもうかがえます。
例えば民主党の野田前首相が、生活の党の小沢氏を「民主を壊した、許せない」として排除する姿勢を示します。ただそうなると、野田氏は過去の遺恨で相手を排除してしまう、狭量さを示すことにもなります。相手は同じ政治家、意見の相違があって一緒になれないというならまだしも、私怨で遠ざけるのなら今後、野田氏の周りに人は集まってこないでしょう。なぜなら、常に野田氏との距離をうまく保っていないと、敵対してしまえばもう終わり、との意識が働くからです。

実は、野田氏と同じ理屈をつかうのが安倍氏です。組閣でも、一部では年功序列や派閥の論理をつかって人選しますが、ほとんどは身内、第1次政権を投げだした後もついてきてくれた人ばかりで固めます。しかしそれが甘利前経済再生担当相の贈収賄をはじめ、人間性に問題があるとの醜聞がでた河井首相補佐官、羽織姿でTPP調印式にのぞんだ高鳥内閣府副大臣、パンツで有名な高木復興相、ちょっと思いつくだけで醜聞だらけ、という醜態をさらします。本当にいい人材を見極められない、敵対していてもやる気のある、優秀な人材がこの政権では集まってこないのです。
安倍氏は次の選挙を「自公対民共だ」という言い方をします。しかしこうした敵、味方と別けて考えることは、結果的に国民の総意をつくり得ないのです。必ず少数の、意見を組み入れられない側が不満を溜め、国内を不安定化させる。民主も共産も、同じ国民、日本人です。その主張、意見に誤りがあれば採用しない、一方でよい意見は取り入れる、という姿勢でない限り、国民にとってよりよい政策が実現することはないのでしょう。多数のエリートが…などという仕組みは、失敗してきたのが世界の歴史です。また敵をつくって自身の支持をあげる、という手法の怪しさは今、米国が証明しつつあります。多様な意見を集めきれない政治家の愚かさ、拙さ、危うさ、こうしたものが意識されたとき、次の選挙の帰趨もまた、変わってくるのでしょう。最近、安倍氏の髪型が「鶏冠にみえる」という人がいました。それは3歩すすむと忘れてしまう、同じことしか言わない、という決してよい評価ではない言葉です。次の参院選で自民が擁立する見込みの今井氏に早くも醜聞が発生し、身体検査はどうなっているんだ! と安倍氏は『鶏冠に来ている』との話もあります。鶏頭牛後という言葉は、集団の下にいるより小さな集団のトップにいる方がよい、という意味ですが、小さな集団で日本を回しているだけでは弊害がめだってきた、ということだけは間違いないのでしょう。次の選挙は、小さな集団しか回せない人材ではなく、大きな集団を回していけるような選択をしていかなければいけないのでしょうね。

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2016年03月11日

ECBの金融緩和と限界

東日本大震災から5年。未だに大きな揺れに匹敵する噴火がおきていない。このまま収まってくれるのか。エネルギーを蓄えたままなのか。小幅な噴火、もしくはその兆候だけでエネルギーの放出が終わるのか。安倍首相が自慢げに語るほど、原発周辺地域の復興はまだすすんでおらず、あらゆるリスクに対しても謙虚に、起こる前提で対応を考えていかなければいけないのでしょう。

昨晩、ECBが追加緩和策を打ち出しました。中銀預金金利を-0.3%から-0.4%に引き下げ、利ファイナンス金利を0.05%から0.00%に、限界貸出金利を0.30%から0.25%にそれぞれ引き下げます。資産買い入れ枠を4月から600億€から800億€に引き上げ、高格付けのユーロ建て債券にまで拡大し、買い入れの期限を17年の3月とします。また6月から期間4年で条件付長期資金供給オペを実施します。これらは市場予想を上回る緩和で、一旦はユーロ安株高にすすんだものの、ドラギ総裁の会見での発言で一転、市場はこれを緩和打ち止めとしてユーロ高、株安へと転じました。
「一段の金利引き下げが必要とは思わない」との発言ですが、これだけの緩和策をうちだせば、当面はその影響をみなければいけない。むしろ12月の緩和から3ヶ月で緩和したら、前回の効果への検証はできないことになります。また長期の資金供給オペも含むなど、当面のパッケージはすべて今回で盛り込んだのですから、しばらく金融政策に期待することはできなくて当然です。

しかし今の市場は中銀中毒の状況であって、薬の効果が切れかかるとより強い薬を求め、薬をもうくれなくなると、それだけで悲観してしまう。ドラギ氏が「マイナス幅を望むだけ拡大できるか? NOだ」と述べただけで、中毒患者である市場は失望する。実際、欧州ではこれまでマイナス金利の悪影響を吸収してきた金融機関が、これ以上の引き締めに耐え切れる保証もありません。事実、ドイツ銀はリーマンショック後、発行されたCoCo債とよばれる偶発転換社債の影響で、破綻を意識されて株価が急落するなど、金融機関の弱体化が顕著になっています。
マイナス金利は資金の借り手には優遇でも、貸し手には痛手。金融機関の破綻が相次ぐ、または大手が破綻すれば、その影響は計り知れません。金融政策を実体経済に波及させようとすればマイナス金利は有効ですが、その結果、肝心の金融が弱体化すると資金を貸そうとはしなくなる。結果、資金が回らないということが起こる。いずれにしろ金融政策の限界を露呈しました。

日本では金融政策の限界が主流となれば、金融機関には助かるとして、メジャーSQで大きく下がった株は切り替えした。一部、年金の買い観測もありましたが、SQ通過で愈々、機関投資家も年度末にむけてムチをいれだした、というところでしょう。またECBの追加緩和で、負けじと日銀が緩和に動く、との観測も入った。円買い、株売りに傾けていた層のポジション縮小もあった。ただ、メジャーSQの日にしては異例の、やっと売買代金が3兆円越えという低調は、日本経済への期待が大きく剥落している、それは国内からも、海外からも、ということでもあります。
法人企業景気予測調査も大きく落ちこんだ。マイナス金利で貯蓄から投資へ、という流れを呼びこむつもりが、逆に貯蓄は増える、タンス預金は増える、投資資金は一気に離れてしまった、というのが実体です。日本では黒田日銀総裁が、未だに金融政策の限界を示さず、まだやる、と吹聴しますが、そのたびに投資は先細りになっていくのでしょう。マイナス金利によって、ノルウェーの年金基金が日本国債の持分を大きく減らした、という報もあります。マイナス金利によって日本から逃げだす資金、下手をするとそこで溜まった膿が、いずれどこかで噴出するのかもしれません。金融政策の限界の前に、金融政策の幻覚に酔ったままでは、いずれ死に至る病にかかっていることさえ気づかず、気づいたときには手遅れ、ということもあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2016年03月10日

東日本大震災から5年の安倍首相会見

政府と経団連が共同で、今秋に米年末商戦のブラックフライデーのような、大型のセールを呼びかけることで調整に入りました。冷え込む消費の起爆剤にしたい、というのですが、米国は年末商戦があるから消費が活発なのではなく、経済が好調だから消費する余力がある、というだけの話です。安倍政権のとるチグハグ対応の一つですが、セールの大幅値引きに補助金をだす、などとなったら論外でしょうし、増税次第では秋から冬にかけては駆け込み需要も期待できる折、どんな勘違いをしたらこんな奇妙な発想がでてくるのか? すべて米国型で、米国と同じようになったらハッピーになる、とでも考えているとしか思えないような提案といえるのでしょう。

東日本大震災から5年を迎え、安倍首相が会見を行っています。「復興庁のもと…復興行政を一新し…復興を加速する」と安倍氏は述べますが、復興予算がまったく復興とは関係ない項目に使用されていたことを考えると、何が一新されたのか? 甚だ疑わしいところです。五輪ばかりでなく、船頭多くして…という状況が、復興にも散見される。常磐自動車道の4車線化やJR常磐線の全線開通など、前倒しを決定したとしますが、国交省が関与したとしか思えない事例です。
帰還困難区域で「放射線量が低下…モニタリングで明らか」としますが、空撮によるモニタリングではホットスポットが判然としない。今は雨で流された放射性物質が、水が溜まる場所に集まって線量を高くしています。全体が下がってもホットスポットが出来ていたら意味がありません。さらに食品への風評被害払拭には、外国人が福島に来て、実際に食べてもらうことが何よりの対策としますが、首をかしげます。結局、安倍ノミクス唯一の成果と言われる訪日客の増加を福島へも向ける、ということで東北観光復興元年にするそうですが、放射線における正しい知識と、取組みを説明する方がよほど大事です。食べて美味しいからといって、放射性物質とは何の関係もない。福島付近にいる野生動物に、大量の被曝がみられる現状、子どもの甲状腺がんの増加も認めないような国では、いくら取組みを説明しても懐疑的にならざるを得ないのです。

質疑で、高浜原発3、4号機の運転差し止めに関して、安倍氏は「世界で最も厳しいレベルの新規制基準…」と述べますが、田中原規委員長は「世界で厳しいレベルになり『つつ』ある」という言い方しかしません。『つつ』なので、継続的にそうなっているということなのか? しかし規制基準が世界的に緩和に向かっているわけではなく、日本が規制のレベルを上げたわけでもない。それが新興国の参入によって、甘い基準の国が生まれつつあって、日本の規制のレベルが相対的に高くなった、というのなら、世界はより危険な方向にしかすすんでいない、ということです。
しかも質問者がわざわざ自民のマニフェストに載っている原発は『重要なベースロード電源』と質問したにも関わらず、その文言は使わず、国民の信頼回復に「政府と業者が真摯で十分な説明をつくす」としますが、「世界で最も厳しいレベルの新規制基準」という文言をくり返しつかうだけで、真摯で十分とはいえない説明をくり返すから、不信感が強まっているのです。それこそ世界で最も厳しいレベルなのか、厳しいレベルになりつつあるだけなのか、それが安全なのか、はっきりさせるべきなのでしょう。「東北の復興なくして日本の再生なし」とくり返し使いますが、ということは、未だに日本の再生は果たされていない、ということにもなります。しかも再生した結果、日銀は資産を肥大化させ、国債はマイナス金利に陥り、国民はタンス預金に走る。そんな形で生まれ変わった日本では、今度はそんな日本を誰が『復興』させるのか? という話になります。今度は「日本の復興なくして東北の再生なし」とでも言い出すのか? いずれにしろ国民にとって、安倍政権の発言が、おかしなunder controlにあると見なされているから信を失っているのであり、世界で最も厳しいレベルの監視の目には耐え切れていないのでしょうね。

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雑感。国連の女子差別撤廃委員会

高浜原発3、4号機の差し止め訴訟で、大津地裁が差し止めを決定。運転中の原発が止まることになります。間違えている議論は、原発に100%の安全を求めるか、厳格管理をすれば運転させるのか、という二面性だけを求めることです。先の福井地裁にしても、大津地裁にしても、問題視しているのは現在の基準で安全が担保できるのか? という点です。これは神学論争でも、概念論でもない。普通の技術論で、多くの人々を納得させられるかどうか、それを電力会社ができているかどうか、です。それができていないので、度々こうして差し止め判決がでます。
しかし翻ってみれば、これは住民 対 電力会社の構図であることが不自然です。安全基準をつくったのは原規委であって、その中身が安全を説明するのに足りない場合、電力会社はその基準通りにした、というだけでしょう。この基準で本当に安全である、と原規委が断言しないからこそ、そこに不審が生まれ、裁判所も首をかしげざるを得ない。誰が聞いても安全だ、安心できる、という基準なら、これほどもめていませんし、裁判所の判断も別れていないのです。つまり今の基準でいる限り、判断は二分されるのであって、曖昧なまま再稼動を急げば、こうして運転を停止する原発もでてくる。少なくとも電力会社は周辺住民との係争にきちんと決着をつけてから、再稼動をしていればこうしたことになっていない。すべては原子力ムラの焦り、が根本原因でもあります。

国連女子差別撤廃委員会が、日本の皇室典範にまで男系相続は差別、とする最終見解をまとめ、日本側の抗議で取り下げる、という展開がありました。しかし歴史上、女性天皇は存在するのであって、差別かどうかは別にして、女性が天皇になっても決して不自然ではありません。ある時期から男性ばかり、また明治政府の流れをくんで男系相続を皇室典範に盛りこんだだけでもあるので、日本国内でこの議論をすることは吝かでないはずです。かつてのように妃を何人ももつことができない以上、男系相続で皇室が存続できるかどうかは、運次第なのも事実なのですから。
この委員会の委員は、日本について不勉強、自国の利益のために動いている、などという意見もありますが、もしそういう事実が確証としてあるなら、それは批判し、是正を要求することは当然です。しかし単に日本に不都合なことを述べたから、その批判のためにそういう主張をしている媒体も目立ちます。ナゼなら、その主張の根拠はどこにも見当たらない。安倍首相風にいえば「レッテル貼り」をしているようにしか見えないからです。確証があるなら抗議どころか、委員の差し替えを要求するぐらいの強硬な態度を、日本が示してもよいのでしょう。

中には女性の再婚規定や、夫婦別姓をみとめないことなど、これまでも女性差別と指摘されてきたことが含まれる。女性活躍がポーズだけでないなら、この提案のどこを受け入れられて、どこが受け入れられないのか、きちんと国会で議論してもよいはずです。皇室典範の問題だけで、委員会の立ち位置を悪くいう前に、今後も圧力が強まるのは予想がつくのですから、安倍政権で解決するという態度を示してもよいはずです。何しろ、女性活躍の妨げでもあるのですから。
保育園落ちた、というブログで政権を追及した民主議員に野次をとばし、国民の反発の声が高まるや、自民が慌てて前向きに動き出しました。根っこには女性蔑視の感情を自民議員がもつことは間違いないものの、安倍政権の支持率急落に焦りだした。国民の声を無視していたら、大変なことになる。しかし野次を飛ばした時点で、もうその議員の人柄、思想がみえているのであって、日本の文化、歴史には女性蔑視の発想が含まれていることを如実に示してしまいました。

国連女子差別撤廃委員会が、自国の利益を代弁している、日本について不勉強、という前に、日本の政治家が世界の動きについて不勉強、というのでは洒落になりません。そして女性を貶め続けることが、結果的に自国の不利益を招いているのですから、焦りでばたばたと女性の意見を聞こうとする前に、自身の態度をきちんと見直し、国益に適う議論をしていかないと、まず差別委員会の「Women」を「女性」ではなく「女子」と訳している時点で、差別と云われかねなくなってしまうのでしょうね。

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2016年03月08日

内閣府の統計調査

東京読売ジャイアンツの高木投手に野球賭博の疑いがでて、渡辺恒雄氏が最高顧問を辞任する、と伝わります。あくまで推測ですが、読売Gはまだ関与した選手を抱えていて、今回とて週刊誌の取材から発覚したように、今後も五月雨式に発覚する可能性がある。そうなると責任者として、国会の証人喚問や最高責任者として自らが追及の矢面に立つ場面がでてくる。それを嫌って先んじて辞任したのでは? と考えられます。昨年の高橋氏の不自然な引退と、監督就任は問題を覆い隠す目的だった、とも囁かれますが、こうなるとそれも通用しません。最高顧問の座を退いても、隠然たる影響力を行使するでしょうから、肩書きだけ捨てた、ということなのでしょう。

10-12月期GDPの2次速報がでてきました。-0.3と1次速報より0.1pt上方修正、年率換算だと-1.1と0.3ptの上方修正です。しかしもっともプラス寄与したのは在庫投資が、小幅に減少したとみられていたのが、2次速報ではほとんど減少していなかった点です。在庫が減っていなければ、将来の生産計画を縮小せざるを得なくなり、これは1-3月期の重しとなる材料で、決して好感できません。
しかし昨日発表された1月景気動向調査をみると、一致指数が113.8と前月より2.9ptも大きく改善しています。その中身で、プラス寄与したのは出荷指数や生産指数、つまり7-9月期に積みあがった在庫が、10-12月期でもほとんど解消されていないにも関わらず、1月は生産と出荷が伸びた。小売の販売も伸びてはいますが、卸売りは減っている中ですから、尚更生産と出荷の伸びが気になります。中国の春節前、爆買いを期待して生産を増やした面はあるかもしれませんが、それだと卸売りが増えていないとおかしい。2月の春節対応なら1月から卸売りが増えていないといけないからです。ちなみに先行指数は0.4pt下降、遅行指数は0.9pt下降ですから、尚更一致指数の伸びは気になります。

2月の消費者態度指数が2.4pt悪化の40.1になったことも、1月に生産を増やして大丈夫か? との認識を強くします。消費者マインドは確実に悪化し、判断を下方修正する中で物価も上昇する、が減ってマイナス金利効果がでていないどころか、悪化を示す。むしろマイナス金利の導入で、日本全体が暗いムードに引き落とされた、という認識すら強くするほどです。
その一端は、2月の景気ウォッチャー調査にも強く現れていて、現状判断DIは44.6と前月比2.0pt悪化。家計も企業も軒並み悪化で、雇用は大きく下がった。ミスマッチが強くでているのかもしれません。先行き判断DIは48.2と前月比1.3pt悪化。現状判断では企業は小幅下落であるものの、先行きではかなり厳しい見方をしていることがうかがえ、雇用関連はさらに悪化する見通しです。

内閣府のだしてきた経済指標は、軒並み内容がかなり悪い。マインド面の悪化は著しく、生産面では在庫の積み上がりが気になる。これはマイナス金利の負の影響かもしれません。メディアがマイナス金利の悪影響も伝えることで、日本の景気は本当に大丈夫か? との意識が芽生え始めた。そこに株価の下落、円高という実際の数字からも悪化している状況がみえる。安倍ノミクスへの悪評は、少し海外の記事を調べればわんさか出てきて、国民にも騙されている? との意識も広がり始めているのかもしれません。実際、内閣支持率も大きく落ち込んできています。
GDPの雇用者報酬は1次速報、2次速報とも0.2と増加を示します。しかし12月のボーナスが大きく減った、という記事とも整合しないですし、家計調査などの他の調査とも合わない。何かおかしい…国民が気づき始めた、報道されてきたことと現実とのギャップ。読売Gの社主は、こうした問題からも逃げたい気持ちになってきているのかもしれませんね。

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2016年03月07日

安倍ノミクスは失敗していない?

東京都知事選挙にも出馬した田母神氏が、東京地検から強制捜査をうけました。都知事選前に集めた選挙資金を私的流用した疑いですが、田母神氏はすでに秘書を横領の疑いで告訴しており、自らも選対幹部から告発されていました。事実関係は捜査の帰趨に委ねるとして、このタイミングでの強制捜査は最近、検察に高まる「ナゼ甘利氏を捜査しないのか?」という不満に、検察も一生懸命やっている、というポーズを示すためでもあるのでしょう。参院選に影響せず、政局にも絡まないとイイワケできる時期、小沢氏への陸山会事件の強制捜査も2月末だったことを考えると、逆にいえばこの時期を過ぎれば検察も起訴は難しい、できない、として甘利氏への強制捜査を先送りするつもりではないか? 少なくとも参院選後まで…とも推測できてしまいます。

参院予算委員会で、安倍首相が「安倍ノミクスは失敗していない」と述べました。失敗していない、は成功とは限っていませんが、安倍ノミクス肯定派は「消費税増税のせいで失速した」との意見でも、安倍氏はそれを認めていない、ということなのでしょう。認めていないので消費税の再増税をする、追加の補正予算や、予算の組み替えは行わない、と改めて主張しています。
しかしここに来て再増税延期の影響の検討を開始、とも伝わります。政治的には増税は延期したい、財務省的には増税したい。さらに米格付け機関は続々と『増税延期は財政的に悪影響』と報じはじめた。財務省の鼻薬が効いている印象もありますが、問題は増税だけで財政の悪化を食い止めようとしていること、です。つまり安倍政権では、歳入改善しかすすめようとしていない。歳出は史上最大の財政規模とされるように、一向に悪化をつづけるばかりです。

そんな中、黒田日銀総裁が「マイナス金利は円安・株高にする力をもつ」と発言しています。今は市場が誤解しているだけ、というのですが、この発言が異例なのは、日銀の政策が円安・株高をめざしたもの、と受け止められる点です。もしそうなら、追加でマイナス金利の幅を拡大するとき、G20への報告義務が生じる。こんな発言をすること自体、経済ッ状況についての認識を疑います。追加緩和に含みをもたせましたが、波及経路が相変わらずイールドカーブの押し下げと、預金金利よりも貸出金利の方が低下幅が大きい、という怪しいものでしかありません。イールドカーブはずっと押し下げられてきましたが、効果はでていない。貸出しを増やすには経済環境が悪すぎる、そんな状況下で、いつか状況がブレイクする、それを期待しているとしか思えません。
以前から2月後半から3月初めころから株式市場は反発、と述べてきました。株式市場は4日続伸の後、反落しましたが、当然の調整というより売り方の買戻しが止まれば買い上げる層もいない。今週からはじまるECB、日銀、FRBの金融政策会合の行方と、週末のメジャーSQにむけて思惑が働き易くなります。上昇相場のときだけ声が大きくなる市場関係者が「当然の調整」とつかうときは、こんな日もあるさ、程度の話です。実際は、今回の買いに相場を押し上げようとする積極的な動機がなく、原油価格のもどりも米国の都合であって、信がおけない、というところなのでしょう。

安倍晋三、という名前から引き算を考えて行くと、『3本の矢』が折れ、三が抜けて安倍晋となり、『信』を失い、シン、晋が抜けて安倍となり、『女性活躍』も形だけで、女がぬけてウ倍となり、『1億総活躍』も口だけで、人と口が抜けてウ立となり、立つ瀬がなくなってウになる。安倍政権に携わる人間は『うそをつく』、ウソは『つく』ので、ウだけが残るのかもしれません。消費税再増税の話もそうですが、この政権では景気悪化もみとめず、ウソをつく。「安倍ノミクスは失敗していない」は、最初に書き始めるウ冠と同様に、いの一番にウソと言えるものなのでしょうね。

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2016年03月06日

雑感。聖火台の問題

参院情報監視審査会が、審査結果において特定秘密に関する政府の運用について、判断しない方向を示しました。そもそもこの審査会は、政府の恣意的な運用を防ぐために設置されたもので、判断しないということは存在意義がない、ということ。それどころか、特定秘密保護法自体、監視者がいなくなるのであって、存在理由が満たせるのか? ということになります。報告書は正式決定され、公表されることになりますが、そのときにこの審査会の立ち位置、日本における特定秘密保護法の存在について、改めて議論されることになるのでしょう。

新国立競技場に聖火台がない、という問題が発生しました。森喜朗大会組織委員長は「馳文科相の責任だ」とし、舛添都知事は「JSCが考えるもの」とし、遠藤五輪担当相は「セレモニーの一環で考えるもの」とし、馳文科相は「競技場外になるとJSCは思い込んでいた」とし、JSCは「大会組織委員会が設置、検討」とします。順繰りにいくと、みんなが「誰かの責任」と述べているだけで、当事者意識がないばかりか、責任逃れに終始している。屋根に木材を用いるため、消防法ではその下で火をつかえない。それこそ聖火台が暖炉か、ストーブになれば設置できるのかもしれませんが、周囲を囲われた聖火台になれば五輪初のことになるのかもしれません。
どうしてこんなことになるのか? 明らかに船頭多くして…といった状態が、そうさせるのでしょう。主体的に責任を負う組織がなく、かといって誰もが口をだせる立場にいる。都合よく口をだしても、都合が悪くなると逃げてしまう。責任がないのに口をだせるのですから、五輪が利権にしか見えなくなってくる。そうやって五輪が食い物にされている構図がここにあります。

勿論、これは政府の責任です。船頭を整理するのが政府の役目、責任と権限の所在をはっきりさせていないからです。ザハ案の採用のころから、同じ間違いをずっとくり返しており、修正していない。ザハ案をとりやめ、公募にしたのも政府なのですから、現在の案の責任は政府が負うべきでもあります。きちんと公募の条件を提示していれば、少なくともこうした問題はでてきていないのですから。新国立競技場は、何も五輪のためにあるものではなく、五輪でも使用できるように条件を提示するのは、大会組織委員会か五輪担当相,
の責任でしょう。少なくとも、五輪のためだけに存在する組織、責任者なのですから、その成功のために最大限の配慮、目配せをしなければいけない立場でもあります。この両者には担当能力がないことが歴然です。
以前も指摘しましたが、安倍政権は指導力がある、とされているのに、でてくる問題はどれも『指導力のなさ』を示します。指導力を発揮してザハ案をやめてみたら、この為体なのですから。本当に指導力があって、問題解決能力がある政権なら、少なくともこうした問題をくり返してはいけないでしょう。五輪担当相、大会組織委員会、文科省、JSC、東京都、船頭多くして先頭を行くものなく、問題があると互いに罪をなすりつける戦闘をはじめる。その船を束ねる立場にいる政府が、扇動に躍起となるばかりで実際の能力がない、専横をくり返すのですから、成功の見込みは低くなるのでしょう。すべての組織、立場の選別からはじめ、その存在について精査し、交通整理をしないと、五輪は浅慮により失敗するでしょう。五輪の聖火台=聖・課題になりつつあるのでしょうね。


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2016年03月05日

中国の全人代が開幕

米国ではトランプ氏が保守政治行動会議を欠席しました。保守系が集まる最大の会議で、直前で欠席を決めた、とのこと。この会議には全米ライフル協会など、議会に大きな力をもつ団体も集まる。逆に、ここから嫌われると州、市にいたるまで、ロビイ活動をうけている保守系議員の離反を招きかねなくなります。それらの支持を捨ててでも、優先すべき事情はなく、これは単に党内から吹く逆風に、不利な場面を避けようとする弱腰の心情がそうさせたのでしょう。本当の保守強硬派なら、こうした弱気の態度はとらない。なぜなら弱気は即、支持層が離れるからです。トランプ氏は保守なのか、強硬派なのか、今ひとつはっきりせず、それがまたふわふわした人気につながるのでしょう。右でも左でもないので、一つ一つの政策で個別の人気とりがあるとそれを強烈に支持してしまう、といった傾向が、既成政治家への反発をうけとめる要因でもあります。

中国では全人代が開幕しました。2020年までの5ヵ年計画で、GDPを年平均7%から6.5〜7%に引き下げます。気になるのが、積極的な財政出動の強化として、今年の財政赤字を5600億元増やし、2.18兆元にする点です。供給側の改革をうたいますが、石炭や鉄鋼など、資材関連ばかりでなく、そこに不動産市場も含まれるのか? 上海株式市場が弱含むと同時に、そこから逃げた資金が上海の不動産市場に流れこみ、ふたたびバブル化しているとの話もあります。バブル化しているからといって、住宅の供給量を増やせば、いざバブルが弾けたときの悪影響も大きい。一方で、住宅の供給量を増やさないと過熱した投機マネーにより、住宅価格は天井知らずで上がっていく可能性があり、そうなると価格だけは上がり、暮らしている住民がいない町になりかねません。
台湾でも問題視されていますが、都市部では働いて暮らすには、家賃が高すぎる不動産が増えています。つまり本来、適正な家賃料は給料よりも低くなるはずですが、不動産市場の高騰により、暮らせる人が少なくなってしまっているのです。恐らく上海も同様でしょう。ふたたび過熱しはじめた市場は、中国の投資が未成熟であることを示します。上げるだけ上げて、逃げ遅れた人が損をする。このままつづけば多くの投資家が脱落し、それもまた経済を下押しする要因となります。上海から中間層が去り、中国最大の鬼城になる日は、そう遠くないのかもしれません。

中国というと、軍事費ばかりに注目する向きもいますが、国防予算が7.6%増の9500億元強とします。しかし6.9%も経済成長をしたなら、コンマ数%上乗せしたに過ぎない。しかもその多くが、やたら軍人が多く、人件費の高騰に充てられているのだとすれば、大した増加分ではありません。昨年秋から30万人の兵士を削減するとしますが、人民解放軍は人件費の高騰でつぶれるか、中国共産党が賄い切れなくなって兵士が離反すれば、クーデターになる、という話です。それを嫌がり、兵士の数を減らすのなら、中国が恐れているのは米軍ではなく、人民解放軍かもしれません。
兵器の高度化をすすめれば、兵士を減らして人件費も削減できますが、その段階で陥った「様々な困難と厳しい試練」という状態。そしてこれから急激にはじまる、高齢化社会という負担増の世界。そこに、投資には未成熟な市場という問題もあって、運用により年金などの資産を増やしていくこともできない、経済成長が止まった段階で、ぽきりと折れるほどの脆弱さともいえます。

成長率を引き下げたとはいえ、成長していないと耐えられない国。だから新常態などという概念もでてきます。軍事予算も、人件費の高騰で研究開発費が削られ始め、人減らしをするしかない。しかしそこで余った人材に雇用がないと、軍事経験もあるテロリストを野に放つことにもなりかねない。地方政府がすすめた資材関連の企業の整理にも、リストラが憑きものです。人民にとっては、投資環境の悪化、雇用の喪失、将来不安、という悪材料が一気に襲いかかることにもなる。G20でも、海外メディアに情報統制をするほど、ぴりぴりムードだった中国。国民にとって新常態とは、新常耐という、忍の一字で置き換えられるものであるなら、その不満がいつ爆発するか? 軍事によるミサイルより、国民による爆発に怯える形になりつつあるといえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2016年03月04日

日米の雇用と賃金に関して

安倍首相が辺野古移設工事における裁判所の調停で示された和解案をうけいれる、と表明しました。しかしこれは再び文春スクープででた、首相補佐官の醜聞と無縁ではありません。要するに、話し合いをするポーズを示す、という話です。安倍氏の周りはロクな人間がいない、そう陰口どころか表口をたたかれるようになり、ごり押しではさらに評判を悪くする。参院選の間は辺野古移設問題を沈静化させる、安倍氏が弱気になってきた、これはそんな事情なのでしょう。

1月の毎月勤労統計がでてきました。所定内給与は前年同月比0.1%増、所定外給与が1.3%減ですが、特別に支払われた給与が7.1%増で、現金給与総額を0.4%増に押し上げました。若干の疑問は、ボーナス月でもない1月に特別給与が増えたことで、昨年の業績がよくて年始に手当てを上乗せしたのか? 労働時間は所定内、所定外ともに大きく減っており、今年は厳しそう、という予想も立つ中での大盤振る舞いですから、尚更のこと特別給与の大幅増加には首をかしげるところです。
労働時間の減少はトヨタの操業停止が1月にも影響した可能性があります。実際に工場が停止したのは2月ですが、生産体制に影響のない部品も出荷を減らさなければいけないので、製造業の所定外労働時間が4.6%減で、全体の2.8%減より大きくなった、一つの要因ではあるのでしょう。また年初からの株安、中国景気の鈍化の影響をうけているとすれば、少々厄介なことにもなります。春節前、爆買い対応をしている時期に労働時間が減っているのですから、消費鈍化を意識させます。

安倍氏は最近、安倍政権の時期に実質賃金が上がった、雇用者報酬は増えた、ことを成果とします。しかし毎月勤労統計でみると、現金給与総額はH27年が0.1%増、H26年は0.4%増、H25年は0.4%減、H24年は0.9%減、です。東日本大震災で大きく落ちこんだところからの戻り、であることは歴然です。もうすぐ5年ですが、春闘が終わったタイミングでの震災で、H23年は0.2%減と小幅な落ちこみだったものの、H24年、H25年まで影響は残り、今はその戻りの局面です。しかしまったく戻り切れていない。その間も非正規枠の拡大など、給与の引き下げ方向に政権は舵をきってきたのですから、戻り切れない現状は、政権の政策の失敗とも指摘できるのです。
米国の2月雇用統計がでてきましたが、非農業部門の雇用者数が24.2万人増、1、12月分も上方修正され、失業率も4.9%とほぼ常用雇用といわれるレベルに達しています。一方で、時間当たり賃金は前月比0.1%減と、雇用は改善しているのに賃金が上がらない。グリーンスパン元FRB議長ならconundrum(謎)と称したことでしょう。日本のように雇用改善、と言いつつ実態は労働人口の減少によるもの、と同じように、米国もベビーブーマー世代の大量退職の影響がでているのか? それとも金融業界が苦境で、元々高かった給与の引き下げが起きているのか? いずれにしろ判断を悩ませるところです。3月のFOMCで利上げできる環境はととのった。しかし世界経済の動向、米国経済も後退は避けられそうですが、停滞は明らかになってきているからです。

日米の雇用と賃金の指標が同時にでてきましたが、どちらも内実は苦しい状況も垣間見えます。低インフレ、低成長、それが雇用環境に色濃く滲むからです。そしてそれがまた、経済を悪化させる要因となる。年金、保険、成長を原資として投資、運用してきた経済が成り立たなくなり、家計が防衛的になるためです。世界がこの状況に甘んじざるを得ないとするなら、為政者もしくは為政者になろうとする者が、やたら声高に敵を罵り、攻撃する『威勢者』になる傾向も、日米で似るのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2016年03月03日

雑感。マイナス金利で自社株買い?

民主党の新党名が公募されることに決まりました。無難なところなら『民主新党』『民主結集党』『民主連合』といったところ。大穴だと『国民主権党』、略して民主、といったところでしょうか。これまで安倍首相は、選挙に関して常に弱気、だったにも関わらず、今回は憲法改正を訴えたい、と妙に高めのボールを投げています。ただしそれを語るときは元気がない。景気が変調し、明らかに争点のない選挙にしたら負ける、ただ高めのボールはホームランを打たれ易い。しかも公明が憲法改正を争点にすると、さらに学会婦人部の身動きがとれなくなる可能性もあり、勝ちスジを読み切れていない。衆院解散が通用する見込みも未だに立っておらず、一か八かといった事情がそうさせるのでしょう。

市場は今年初の3連騰で、17000円に接近です。今日は米系が売りを処分した。ここ数日で一気に海外勢は売りの持分を減らしていますが、上昇している割に市場はパッとしません。売買高が2.5兆円と低調なこともありますが、直近売られていた銘柄、業種が上げているだけで、新規の買いが乏しい。個人マネーも新興市場に逃げ、海外勢も短期の上昇相場について利ざやを稼ごう、とは考えていない。今は株価の妥当性、居心地のよい水準が17000円では高いと感じさせるからです。
ここに来て面白い指摘がでてきました。超低金利で資金を借り、自社株買いをすれば企業は儲かるのでは? というのです。配当利回りはこのままいけば恐らく2%は越えるでしょう。1%の利子で借りても、1%の得になる。配当なので企業は出す側ですから、自社株買いをしても儲かった印象はないでしょうが、配るぐらいなら自分で株を買った方が得、というのです。勿論、株価変動における損失を被る恐れはありますが、配当利回りだけなら確実に収益が期待できます。

しかしこの手法のリスクは、不意に金利が上昇したとき、固定金利なら問題ありませんが、変動金利の場合だと一気にリスクが高まることです。また自社株買いだけならまだしも、借りたお金を株式で運用し、利ざやを稼ぐ業態になれば、かつての持ち合いと同じ事態になりかねない。日本経済が悪化していく課程で、ずるずると損失を計上しつづけることにもなりそうです。
マイナス金利の負の側面、お金を借りて不動産ローンを組む、設備投資する、といったことで留まらず、運用しようと考える個人、企業がでてきた場合、大体運用で成功する確率は3割に満たないと言われるので、残りの7割は損をすることになる。借金があって損をする、という事態はかなり危険であり、マイナス金利はそうした個人、企業を爆発的に増やしてしまう恐れを含むのです。

株式市場にまだそうした兆候はありませんが、逆にみられるなら、すぐにでもマイナス金利政策を止めなければならない。中央銀行には物価の安定と同時に、バブルを起こさないよう積極的な態度が求められるためです。そうなると、株価の上昇がバブルの所為でないか、という判断も重視される。予想PERなど、単純に株価の上昇を喜べない事情もでてきたといえるのでしょう。
マイナス金利は株価を押し上げない。押し上げるようならすでに危険、という状態は、やはり上値の重さを意識させます。リスクオンで日本株が上がると、日本のリスクオンのスイッチが入ってしまう。マイナス金利においては、あらゆるものが初めての体験ともされますが、リスクの考え方も同様です。バブル化してから急落するのか、バブルを潰して低迷を享受するのか。安倍政権は夏まではバブル化して欲しい、と考えてマイナス金利を導入したのでしょうが、仮にバブル化しても夏までもたない、という認識がでてきたことが上値をさらに重くしているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年03月02日

米スーパーチューズデイの日本への影響

日本でも株式市場が大幅高ですが、米株市場が米景気は堅調、利上げもある、という状況を飲みこんで大幅高したことで、某日系大手がご丁寧に「米株はWボトムで上放れ、今後も上昇基調」とのレポートと同時に先物を大きく買い、今日は欧州系の買戻しも巻き込んだことが要因です。

そんな米国は大統領選における前半の山場、スーパーチューズデイでした。TuesdayであってChoosedayではない、はよく語られますが、今回はほぼ大統領予備選の帰趨は決まったかのようです。民主はクリントン氏、共和はトランプ氏。獲得議席数の多さ、というばかりでなく泡沫候補から頑張ってきた民主のサンダース氏、共和のクルーズ氏、ルビオ氏の勢いのなさが浮き彫りになってしまった。今後は勝ち馬にのろう、という流れが加速することにもなるからです。
クリントン氏、トランプ氏、どちらかが大統領になった場合、日本への影響を考えてみます。クリントン氏ならこれまでの大統領の流れを継承しつつ、やや厳しい態度をとってくるでしょう。TPPには反対、社会保障の充実を訴えていますが、その財源も必要です。夫のビル氏が大統領の時代、そして国務長官の時代を通して、日本に甘い態度はとってこなかった。シビアに米国益を最重要視する姿勢がみられます。米国も景気後退が囁かれる中では、日本叩きをしたくなるところです。

安倍首相が、オバマ大統領の制止をふり切ってプーチン露大統領との会談を優先するのは
トランプ氏シフト、ともされます。親露的な態度を鮮明にするトランプ氏が大統領になれば、日露会談も後押しされる、との読みのようですが、そう甘くはありません。トランプ氏は元々、民主党を支持しており、しかもクリントン政権時代に展開された日本叩きの息吹を、もっともうけた時代の民主党です。その頃と発想が変わっていないことは、度々の発言でも滲む。日米安保でさえ、さらに日本の貢献、資金拠出を迫ってくることは確実であり、思いやり予算の増額や、日本の事情で停滞する米軍再編についてもクレームをつけてくる可能性がある。移民叩きをしてもお金はでてきませんが、日本叩きをすればお金をとれる、となれば益々そうした行動をとり易いのです。
そんなとき、日露会談の後押しなんて頼んだら、いくら吹っかけられるか分からない。米露が仲良くしてくれることはプラスでも、それが世界を歪ませる可能性も高い。親露派勢力が台頭し、ウクライナもシリアも露主導で決着しかねません。それが米国益にとって、どう作用するかは今後でしょうが、少なくとも北方領土の解決を促すより、露国に明け渡せと迫ってくるかもしれない。窮地の露国に、金持ち日本、という認識でトランプ氏がいる以上、日本側が妥協すべきと考えるはずです。TPPを安全保障の代わり、などという発想そのものが、トランプ氏にはありません。

両氏とも経済政策が中々伝わってきませんが、保護主義の傾向を強めることは確実でしょう。特にG20でも示されたように、円安にする日本への圧力は、相当に高まるはずです。つまり安倍ノミクスの円安は、遅かれ早かれ11月には完全に打ち止めです。しかも、安倍ノミクスが上手くいっている、と喧伝されるなら、日本への要求も強まるのですから、尚更苦しくなるのでしょう。
うまくいっていない、と云われたオバマ政権時代でさえ、事務的に判断してくれる分まだマシだったのかもしれない、と回顧する時代がくるのかもしれません。世界全体の経済がおかしくなってきた中、米大統領の船出も厳しくなると予想されます。ただ、仮にクリントン氏が大統領になった場合、台湾の蔡氏も同様に、世界で女性がトップに立つ流れを加速させるのかもしれません。それが日本の次期首相選びにも…という点が、最大の影響になってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2016年03月01日

1月の経済指標と監督義務

認知症で徘徊した男性がJRの列車と事故をおこし、家族に監督義務があるかどうかが問われた最高裁判決。遺族側の逆転勝訴となりましたが、判決理由でみると、認知症の家族への監督義務はケースバイケース、とされており、今回は妻も介護が必要、長男は離れて暮らしていた、という事情によって義務なし、と判断されているだけです。つまり同様の事例がおきた場合、損害賠償となりかねない。今回とて、長男が同居していたら、恐らく損害賠償が認められたでしょうし、介護事業者なら100%損害賠償を支払うことになる、というのが判決理由です。認知症保険といった話もありますが、在宅介護により収入源も断たれ、保険料を払う余裕が果たしてあるのか? 保険料も払えず、事故を起こし、損害賠償を求められたら、その段階で破産する人が続出する恐れもあります。老老介護の末に自己破産したら、もう自殺しろと言っているようなものです。

『自民がアダムズ方式受け入れ』と報じるメディアもありますが、2020年の国勢調査後という姿勢は変わっていない。アダムズ方式は答申にも入っていたので、採用するのは当然であって、問題は時期であるにも関わらず、それを1面にもってくるのはやはり安倍氏応援メディアです。なぜ2010年の国勢調査で行うべきか、といえば、国勢調査の結果がでる2021年まで、衆院選が一体何回行われるのか? 1回どころか、2、3回も衆院選が行われる可能性もあるためで、そのたびに『違憲状態』に近い比率の政治体制を生み出すことにもつながるからです。
実際、夏に衆参W選挙の観測も高まってきました。ただ、安倍氏は『指導力がある』と世論調査でも認められている割に、与党内をアダムズ方式採用でまとめ切れない。本当に指導力があるなら、答申にも示されたアダムズ方式採用で与党をまとめ上げ、そしてW選挙に突入がスジでしょう。そうできない、というのが安倍氏の弱点です。つまり安倍氏の『指導力』とは、数の力をつかった強行であって、自民内は多数派にならないから『指導力』を発揮できない、というに過ぎないのです。自分たちがやりたいことを数の力で達成することはできても、多様な意見をまとめ上げ、一つの形にするのは苦手。これは自民党内ばかりでなく、経済財政諮問会議も同じような意見の人物ばかりで、多様な意見を集めてはいない。だから一つの形が壊れると、他に手がない、といった状況を生みます。いい流れのうちは、一つの形が成功しているので問題はおきなくても、一つ躓くと悪化を止められない、それが現状であって、経済面は特にそうなっています。

1月の有効求人倍率が前月比0.01pt増の1.28倍、しかし求職者数が前年同月比5.2%減、就職件数も9.3%減。求人数は増えていますが、産業別でみると民泊解禁で湧く飲食・宿泊が高い伸びで、医療・介護、小売などが高いだけで、その他の産業では縮減しています。労働力調査でみると、15〜64歳の労働力人口は7664万人、前年同月比は79万人減で1%以上も減っている。これで有効求人倍率が0.01pt改善した、と言われても成果としては軽微、どころかもの足りないレベルです。
家計調査報告は惨憺たる内容で、消費支出は前年同月比、実質、名目ともに3.1%減。内訳でも余裕のあるとき増える教育、娯楽が減っています。収入も世帯主は減って、配偶者が増えた。配偶者が働きにでるため、買い置き用に大きな冷蔵庫が売れている、という家電の売れ筋とも、これは整合する情報です。2人以上の家庭は、こうして配偶者の収入で世帯主の収入源をまかなえますが、1人暮らしには厳しい状況です。これで消費が伸び、景気が改善するはずもありません。

安倍政権は消費税再増税を争点に、衆院解散する、とも語られます。しかしそうなると社会保障充実は先送り、夏ころにはGPIFの1-3月期の運用実績もでているでしょう。安倍政権がターゲットと狙った3万円を配って関心を買おうとした高齢者層も、離反する可能性がある。何より、あれだけ拘って軽減税率を勝ちとり、学会員に訴えようとしていた公明にとって、あれは何だったのかと不平もでるでしょう。そして、大審院判例で示されたように、自ら介護をしていると監督義務を負わなければいけないという、家族への重い負担。これは日本に新たな姥捨て山ができるのかもしれません。若者も将来世代へのツケを、消費税増税の延期で先延ばしにされたら、たまったものではないでしょう。指導力があるのに、問題解決能力がない、という致命的な欠点に国民が気づいたら、政治への国民の監督義務を思い起こすことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治