2016年04月

2016年04月30日

雑感。サミット前に何をうちだすのか?

米財務省による為替報告書、日本にとってはかなり厳しい内容でした。為替操作国の認定はなかったものの監視リストに載り、ドル/円は秩序だっているとし、G7、G20の国は為替政策のコミットメントを遵守するように、とのこと。G20では急変に対する介入には余地を残すものの、ではどれぐらいが『急変』なのか? という基準が分からない。例えば22日は対ドルで円は2.5円ほど円安にすすみました。日本政府は介入していないので、この程度は『急変』ではないようです。今回、日銀の会合後に円は急進していますが、2日間で5円と少し、これも『急変』とするのは難しそうです。この2.5円辺りが継続するようだと『急変』としてもよいかもしれませんが、それこそ『秩序だって』ゆっくりと円高に動くのなら、もはや日本政府、日銀に打つ手はないのでしょう。米国は今でさえ円は安過ぎる、と考えているのですから。
しかし他に監視リストに入った中国、台湾、韓国、独国とは明確に温度差があります。中国、台湾、韓国は為替介入を行ったとした上で、その手法について苦言を呈す、といった形です。独国は原油安で潤った分を財政出動に回せ、というお仕着せがましい指摘だけ。このことから中国、台湾、韓国はまだ新興国であり、先進国である日本とは対応に差をつけたことがうかがえます。ただその差は安倍政権、黒田日銀にとって八方塞の状況を生んだともいえ、現状もっとも有効な口先介入でさえ、その効果を減殺させるか、または無効にするだけの破壊力、とさえ云えるのでしょう。

5月後半のサミットに向け、安倍政権は何らかの景気対策をうちだす、と市場では期待されます。しかし実は打つ手が限られる。日本やブラジルのように、一時的に消費喚起のためにお金をばら撒いたような国は、その後深刻な不況に陥っています。これはシュンペーターによる予言、余った財や人が新規結合し、新たな需要をうみだすとした循環を、政治側から崩した結果、とも見てとれます。お金がばら撒かれるだけではダメ、むしろ消費を先食いしてしまうだけ。
しかしケインズの経済学も、フリードマンの経済学も、現時点においては何も示唆を与えてはくれません。日本の公共工事はもう需要でパンパン、金融政策は限界を向かえ、消費喚起の策は一時しのぎで、むしろ景気を悪化させる方向に導く。某討論番組で、竹中氏が「ウーバー」をとり上げ、こうした革新が必要と述べていましたが、ウーバーはタクシー業界の需要を食いつぶすだけで、決して国が成長するような業態ではありません。FacebookやTwitter、Instagramのように、小さかった市場をまとめた上で、さらに巨大化させるような仕組みでもありません。IT産業は一つの注目ですが、だからといって国がでしゃばって上手くいった試しはない。無理やり財政出動の枠を拡大すれば、官僚がうまいこと配分して雲散霧消してしまう。実に景気を押し上げるような手は、まったく見出せないのが現状の日本なのです。

恐らく安倍政権は最後の策、無理やりに額を積み上げて、サミット議長国としての面目を保つつもりなのでしょう。そのために金利が下がっているから、どんどん国債を発行してもいい、などという人もいる。しかしそれこそ亡国の徒でしょう。金利が安いからと言ってお金を借りるような人は、須らく借金地獄に陥るものです。しかもそれが成長に用いられず、一部の硬直化した利権システムの中で回されるなら、尚更です。安倍政権は時折「好循環」を用いますが、実はシュンペーター流の予言した新規結合ではない、既存の枠内での好循環だけをめざす分、景気を循環させるわけではない。それがここに来ての限界にも現れるのです。
スペインの哲学者で、保守主義者とも呼ばれたオルテガは「あり余るほどの豊かな可能性をもった世界は…劣悪なタイプの人間を自動的にうみだす」として、それを大衆だと嫌悪しました。しかし政治家も大衆の一部であり、この言葉をそっくり言い換えると「あり余るほどの豊かな資金をもった政治の世界は、劣悪なタイプの政治家を自動的にうみだす」とも言えます。それが日銀を叩いてでてきた膨大な質的・量的マネーだというなら、尚更それをあぶく銭として、大事にはしなくなります。保守主義者が大衆を目の敵にする、という一つの結果として、オルテガというタイプの哲学者の結論は、中々承服できないところではあります。安倍政権が、サミット前に何をだしてくるか? 最近、この状況を脱却するために過去に目を通した書物をひっぱりだして再勉強をしていますが、安倍ノミクスで壊れてしまった日本につける処方箋は、中々みいだせないのが現状ですね。

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2016年04月29日

日銀の展望リポートについて

昨日の日銀金融政策決定会合における現状維持の決定が、休日の日本をあざ笑うかのように海外で影響を広げています。東京市場では対ドルで108円台だったものが、107円を割る場面もでるなど、海外市場では急速な円高がすすんでいます。追加緩和観測がポジティブサプライズだっただけに、それが実際になかったことがネガティブサプライズになった。元々やらかすことの多いBloombergとは言え、ニュースソースもなく報じるはずがない。誰が一体、あの観測を流したのか? という犯人探しのようなことも始まっています。もしそれが週末の補欠選挙に向けた、相場操縦だった場合、安倍政権は市場から見放されるだけでもあるのでしょう。実際、この急速な円高には市場の怒り、みたなものが垣間見られます。安倍政権、黒田日銀は大きな禍根を残したことは間違いなく、今後はその怒りの矛先がどんな動きにつながるか、なのでしょう。

そんな日銀、4月の展望リポートをだしています。そもそも日銀、この展望リポートではずっと景気認識について「基調としては緩やかな回復」とします。消費者物価については「当面は0%で推移…着実に高まり…2%に向けて上昇率を高めていく」とします。ただし到達時期は2017年度中と、また目標時期を先延ばし。こうした奇妙な認識の背景には、前回の8%への消費税増税の影響を、前回の調査から13年度+0.5→+0.8%に、14年度-1.2%→-1.3%に、15年度+0.3%→0.0%に、つまり駆け込み需要が大きく、反動減が大きかったという計算にしていることがあります。
つまり増税による変動で一昨年度はマイナス成長に陥った、でも「基調は緩やかな回復」とのスタンスです。しかし15年度を消費税増税の影響が消えた、と試算しましたが、1-3月期の状況をみると、年度を通じてマイナス成長に陥る公算が高い。そうなると日本経済は「緩やかな回復」とはいえない状況になる。そのとき、日銀に何か打つ手はあるのか? ともなります。しかも「緩やかな回復」にとどまる状況は、新興国経済の減速とするばかりで、国内経済はその影響で弱含んでいるだけ、の認識なのですから、物価が上昇すれば追加緩和をする必要がない、となります。

即ち、ずっと日銀は物価を「上昇率を高めていく」としているのですから、本来は追加緩和など打つ必要がない。横ばい、もしくは下がる、という認識でない限り、追加緩和をしてはいけないのです。海外経済の不確実性、といってみたところで、それを追加緩和すれば何とかできる、というものではないでしょう。逆に言えば、日銀が追加緩和をするならナゼやるのか? をきちんと説明しなければいけない、ということなのです。このことは日銀が「ボクたちはよくやっている」「金融政策は上手くいっている」と自画自賛する限りにおいて、本当は追加緩和をしてはいけない、ということなのです。黒田日銀も3年を越え、上手くいっているはずがそうなっていないことを、きちんと認めないといけないタイミングには来ているのでしょう。
日本政府のことはよく米国のポチ、と云われたりします。番犬ではなく、尻尾をふって愛想を振りまくだけ。俗にバカ犬と称される類の悪名です。しかし最近は日銀のことをポチ銀と呼びます。政府の顔色をうかがいながら、シッポを振って都合のよいときに「ここ掘れワンワン」と、追加緩和のための財宝を掘り当ててきた。それでいて金融機関には「儲けているから」との理由で吠え掛かる。しかし本来、日銀のHPのトップに「日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を目的とする、日本の中央銀行です」とあるのです。何も「政府の安定と政治による利権システムの安定を目的とする…」わけではありません。誰に向かって吠え掛かり、誰に向かって尻尾をふっているのか? 黒田日銀も、俗にいうバカ犬のレベルに堕しているのが現状なのでしょうね。

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2016年04月28日

日銀の追加緩和見送りと、経済指標

米FOMCが世界景気に対してやや楽観を示し、タカ派の印象も残る中、日銀が金融政策決定会合で現状維持を決め、緩和を期待していた層が一気に失望売りを浴びせ、円高、株安になっています。先週末のBloomberg記事で、一気に盛り上がった追加緩和。熊本地震でやらざるを得ない、などという市場関係者もいて、前場も底堅かっただけにネガティブサプライズになりました。
しかし、わずか3ヶ月での追加緩和だと明白な失敗とも認識される。しかもマイナス金利は不評、量的緩和のETFやREITの買い入れは、額を増やせば出口が見えなくなるばかりで、市場の急変で日銀の経営を不安定にさせる。指摘された金融機関への貸し出しにマイナス金利、などとなれば日銀がただ損をするだけ。条件をつければ効果が限られ、1月のマイナス金利導入のときのように2、3日で効果が消える。いずれにしろ小出しにやっても意味はなく、やっても後一回、しかもそれは一か八かで、失敗なら委員が総退陣して責任をとるぐらいの覚悟でやるもの、でもあるのでしょう。むしろマイナス金利をゼロに戻すなど、逆方向の動きを志向し易くなってもいます。

日銀がめざす物価2%、しかし3月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除く総合で前年同月比0.3%の減少です。しかも項目別でみると支えたのは食料品、はっきり言えばこれが個人の景況感を悪化させています。食料品は誰もが必ず買う、毎月の出費が食料品で圧迫されているから、その他の項目への支出が増えない。3月の家計調査で消費支出をみると、実質では前年同月比、食料品が0.4%減ですが、生活に余裕があると増える被服は12.2%減、交通・通信は12.1%減、教養娯楽が4.5%減。生活に余裕がなくなっていて、支出を控えている。これで日本の景気がよいはずもありません。実収入は実質で前年同月比0.3%上昇、といっても相変わらず世帯主の収入は0.3%減、配偶者の収入が9.1%増、と配偶者がパートなどをして家計を支える構図しか見えないのです。
3月の労働力調査で気になるのは、男性の労働力人口は15〜64歳で20万人減、65歳以上で増減なし、伸びが止まりました。女性は総数で28万人増なのでカバーしている形ですが、これが就業者数に利いていて、男性は減少、女性は増加。やはり配偶者の収入が家計を支える形が鮮明です。自営業者の減少という形でも、これは影響しているのかもしれません。自営業者は男性経営者が多く、廃業という形となり、妻がパートで働きにでる。そんな形が増えているのかもしれません。

3月の鉱工業生産指数は前月比3.6%上昇ですが、同時に在庫指数も2.8%上昇。小売販売額も前年同月比1.1%減。日本ははっきりと消費不況の状況を呈しています。しかも4月には熊本地震の影響がでてくる。日本の景気は深刻な事態です。しかしこれらは金融政策では対応できない。黒田日銀総裁がいうような、マイナス金利で住宅金利が下がる、借り易くなり設備投資が増える、といったものではありません。消費は日々の生活、賃金が増えていかないことには消費も増えない。しかし世帯主の収入が減る一方では、安心して消費していられる環境ではないのです。お金をばら撒いたとて、金利を下げたとて、この傾向を変えることなど到底出来ないのです。
これほどまでの不況にも、政治は無視を決めこみます。何しろ安倍ノミクスは成功した、景気はいい、と未だに言い続けるぐらいであって、不況ではないという認識だからです。しかし消費者物価の低下、水光熱費の減少が大きいといっても、これが消費不況の結果であることは火を見るより明らかなのです。最近では政府内からもデフレ脱却という言葉が聞かれなくなりました。失敗を認められない、愚かな政治によって、まだまだ日本の景気は下方に引きずられるでしょう。そこに来て、余計な口先介入の結果、ますます市場からの信頼は失墜し、市場の暴走を引き起こし易くなった。安倍ノミクスは今や悪ノミクスという印象の方が、強まってきたのでしょうね。

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2016年04月27日

雑感。安倍政権の少数者対策

豪国の新型潜水艦の建造に関して、日仏独が受注競争をすすめていましたが、仏国が受注を獲得しました。アボット首相と蜜月だった安倍首相ですが、ターンブル政権に変わり、豪州が中国に配慮した、などとも伝わりますが、実体はかなり異なるようです。川崎重工が会見し「防衛装備品の輸出は考えていなかった」と発言。また今後も「政府に協力していく」と。つまり国策で売る、と決まればそれに従うけど、積極的に営業をかける気はない、と述べているのです。これでは豪国とて不安になるでしょう。企業サイドのやる気が感じられないのですから。
そもそも安倍氏は武器輸出三原則から防衛装備移転三原則、と言い替えて、禁則事項を外して前のめりになりましたが、企業側はまったく乗り気ではなかった。それは豪国の雇用を確保する、との前提があり、かつ技術も相手に譲り渡さなければいけない。企業にとって旨味が少ないばかりか、赤字に転落するかもしれない。そんな事業には、よほど国の手厚い支援がなければ参画できませんが、それを安倍政権が約束することはなかった。だから渋々と「協力」なのでしょう。結局、安倍政権は自分たちが命じれば勝手に動くもの、との勘違いがあるのかもしれません。安倍政権も黒田日銀も同様ですが、彼らが語る理屈にまったく民間が反応しないのも、民間にとっては利がないからです。逆にいえば、国が利益の代弁者ではない、むしろ逆、というのが現状おこっていることで、この豪国潜水艦の失注につながった、といえるのでしょう。

自民の特命委員会で、LGBT(性的少数者)に対する議員立法を今国会で提出する方向でまとまりました。社会参画を促す提言、などが含まれますが、自民党にはLGBTをディスる議員が多くいます。それでも今回、提言をまとめたのは、自民党の焦りもあるのでしょう。反自民のうねりは、北海道5区補選の無党派の動きでもはっきりした。性的少数者といいながら、実勢はそれを容認、支持する人も含めると膨大な人数に上ります。そういう人の支持を得たい、このタイミングで「今国会で…」と動いたのは、そんな思惑も透けます。しかし注意すべきは、それこそLGBTを侮辱する発言など、与党系議員に多い。その本質が変わらない限り、法整備がすすむことはない、という点です。未だに女性は家庭に入るべき、という古い思想をもつ政治家たちにとって、LGBTを容認することもない。法整備の段階では相当の抵抗もあるはずです。
その体質は、熊本地震は「大震災級ではない」とする、判断にもつながります。つまり今回は、被害者数、規模が東日本大震災より大きく下回るから、増税判断には影響しないとします。被災者は少数だから我慢しろ、とでも言いたいのでしょう。国の大勢に従い、少数は切り捨てる。そんな判断をする政権が、少数者をどう扱うかはおして知るべしでもあるのでしょう。

政府が5月に策定する1億総活躍プランで、保育士は月12000円、介護職員は月10000円程度にする、とします。非正規の賃金水準を正規の8割程度にとどめる、とも。しかし同一労働、同一賃金ならイコールでないとおかしいですし、保育士も介護職員も、その程度では他の業種との賃金格差はあまり縮まらない、と言えます。それで1億総活躍になるのか? 経験や職責で上積みも…といっても、それで経営上成り立つのか? 成り立つよう補助金をだす、ということなのか? であれば社会保障費の伸びを抑えるどころか、ますます拡大していく方向でしょう。
正規、非正規の問題も同じで、非正規の賃金だけが上がる、ということはないでしょう。正規の賃金を下げ、非正規の1.25倍ぐらいにするような下方の動きが見られることは確実です。月1万円程度の賃金の増額では、それこそ消費税が2%上がれば、その分で相殺される分を含めると、大して生活に余裕がでることはないのでしょう。むしろ消費税増税がトドメとなり、日本経済が長期低迷に陥れば、資金繰りが悪化した経営主体が続出する可能性すらでています。日本は1億総活躍どころか、1億総滑落社会が訪れるのかもしれません。少数を切って、大なるものを守ろうとした結果、結局は日本全体が下方へとシフトしていく、安倍政権のめざす方向性、本当は国民にとって利がないことばかりする、という悪しき体質の結果、日本は極めて厳しい時代に突入する恐れが高まっているのでしょうね。

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2016年04月26日

雑感。国債と株と日銀

財務省が有識者会合を開き、国債のあり方について議論しました。15年末で日銀が30%以上も保有し、流動性が低下する一方、外国人投資家も10%台に乗せてきた。しかも日銀が国債市場の健全性を確認する指数も2月に急低下し、健全性が危ぶまれるなど問題が拡大しています。黒田日銀総裁は、マイナス金利はローン金利が下がって国民にも利がある、としますが、個人による国債売買は開店休業状態になる、また預金金利が限りなくゼロに近づくなど、マイナス面も広がっている。安定して保有してくれる投資家が減り、それを日銀が肩代わりするような状況は決して健全とはいえません。国債市場は今、大きな歪を蓄えつつあります。

本田内閣官房参与が米紙のインタビューで「追加緩和は6月以後」と発言しています。先週末、Bloombergの観測記事で一気に28日の日銀による追加緩和観測が盛り上がりましたが、その火消しに走った形です。しかし為替市場はほとんど動かず、火消しが火消しになっていません。追加緩和の期待が燻るから…との説明は、現在の市場の趨勢からは外れています。日銀はマイナス金利導入の際にも「工夫した」と自慢げに語っていた。導入の段階で工夫しなければならないのは、効果が限られるということでもあります。仮に新たな緩和の手法を手に入れたとしても、工夫するのなら効果はない。今はアナウンス効果だけで市場が楽観してくれるほど、安倍政権、黒田日銀に対する信頼はないのです。
むしろ今、日系がこそこそ売っているのは、すでに政府か日銀から、今回は緩和はないと示唆されているのでは? との懐疑も生じさせます。しかしもし本当にそんな事態がすすんでいるとしたら、騙された外国人投資家はいずれ日本に煮え湯を飲ませてやろうと、手薬煉ひき、より攻撃的な戦略をとってくるかもしれない。少し前、中国に仕掛けていた売り浴びせが日本でおきる可能性も捨てきれなくなってくるのでしょう。

ここに来て、生損保が今年度の運用方針について、相次ぎ発表していますが、どこも国内債券を減らし、外債を増やすとします。マイナス金利により、金融機関から生損保まで国債への投資を減らす。流動性の低下とともに、買い手不足の状況がどんどんすすみ、いざ急変したときに誰も買わない、といった自体も想定されます。日銀は枠を決めて応札する形ですが、急変動するときは枠に拘らず、買い向かわなければならない、そんな自体すら起こりえるのです。
株式市場とて、その状況に変わりないのかもしれません。外国人投資家が売り持ち分を増やしてくるのなら、まだまだ下を叩きそうです。28日、日銀の追加緩和がでなかったときに、失望が走りやすい。4月に入って外国人投資家は買いに傾いていますが、それを再び売ってくれば、16000円台の前半までは簡単に落ちるでしょう。むしろそのとき、日系が買い支えに動くため、今売っているとするなら、結局儲けたのは日系となる。そんな露骨な利益誘導をするような国は、いずれ市場から大きなしっぺ返しを喰らうことにもなります。

米国では、トレーダーの報酬について新規制基準が示されています。一過性で儲けても報酬としては保留され、長期的にそれが利益となるなら、初めてトレーダーに手渡される。逆に失敗だったら報酬をうけとれない事態にも直面します。しかも今回示されたのは、これまでと比べると長期化したり、内容も厳しくなったりと、トレーディング部門には厳しい状況が生まれます。そんな厳しい状況だけに、ますます日本のような不透明な状況が生まれる国は攻撃したくなるのでしょう。ナゼなら、そんな国には復讐する、ぎゃふんといわせたくなるからです。
黒田氏は海外でも「追加緩和の手はある」「まだまだやれる」と発言します。それも嘘だったら…。むしろこれまでは出来っこない、と考えていた。しかしBloombergの報道以来、もしかしたらやるかも…に変わった。しかしやっぱり出来そうもない、となったときは、円高も株安も、これまで以上にすすむことになるのでしょう。外国人投資家の国債保有比率10%、意外と侮れない数字として、今後は注意深くみていかないと、ある日突然、市場が暴走をはじめるのかもしれません。日銀は国債ばかりでなく、ETFを通じて株も大量購入している。そのとき、日銀は大量の評価損を出して経営不振、そんな事態が明日おこっても、不思議ではなくなっているのでしょうね。

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2016年04月25日

北海道補選の影響について

東京五輪のエンブレムが決まりましたが、当初からA案優遇などとされ、A案に決まったことでどうにもストンと落ちない決定となりました。1回で過半数を獲得するほど他より突出していたか? そうも思えません。東京五輪は、ずっとこうしたモヤモヤが付きまとうのかもしれません。モヤモヤした形が、あの市松模様に表現されているとしたら、藍色一色というのは、監督者に上から草で蓋をされた状態をさすのかもしれません。草、それは臭いものに蓋をするための香草なのか、イバラの冠なのか。いずれにしろ国民の気持ちは晴らしてくれなさそうです。

北海道5区補選が、与党候補の僅差勝利で終わりました。しかしこれは、与党にとってかなり厳しい結果です。支持基盤はしっかり固めましたが、無党派層の7割近くが野党候補へ投票した。ということは、もし衆参W選挙などに打ってでて、注目が高まると、浮動票が動く恐れがある。その無党派層が、与党へNOを突きつけると、今回とはまったくちがった結果を導くかもしれません。そもそも衆参W選挙は、衆院議員もフル回転して支持を集め、選挙戦に勝利するという戦略です。しかし選挙をアピールすればするほど与党に苦しくなるのなら、むしろひっそりと、国民が寝ている間に選挙をした方がいい。下手に騒がない方がいい、となります。
しかし支持基盤はしっかり固めた、といっても公明と創価学会とのしこりも残る。学会幹部が公明の党本部の決定を支持しても、末端の人々は異なる。何かおかしいことをしている安倍政権に、ここまで協力しないといけないのか。安保法制以来の亀裂が、今後どこまで広がるかは分かりません。衆参W選挙を訴えるなら、憲法改正も争点になるでしょう。そのとき安保法制以来の亀裂に、ふたたびヒビは入るかもしれません。尚のこと、衆参W選挙を敬遠する理由となります。

熊本地震が衆参W選挙をするかどうかの判断に影響する、という話もありますが、ここまで政局優先で日本の未来を壊すことをしておいて、今さら地震そのもので判断を変えることはないでしょう。ただその政局上、解散できるかどうか、だけです。被災地では参院選だけでも大変ですが、野田政権とて震災から2年と経たず解散した。2ヶ月はさすがに早すぎる、といっても、それでも勝てると思えば解散する。それが安倍政権です。ということはサミットや終盤国会によって、まだ判断は流動的といえます。僅差でも勝てた北海道補選が判断を難しくしました。
しかし参院選のみ、衆参W、どちらにしても今回と同じように、与党候補は争点隠しに躍起となるでしょう。TPPを今国会で通そうとしたのも、次の選挙の争点にしたくないため。争点にされると困るから、困る内容が含まれているからでもあります。安保もそう、憲法改正もそう、それを国民に真剣に考えて欲しくない。真剣に考えたときどうなるか? 与党が負けるからです。

今回の補選、野党は政党隠し、与党は争点隠し、という極めて異様なものでした。つまり有権者は政策における争点でも、政党でも選んでいない。日本の舵取り、未来は本当に大丈夫か? 不安にもなります。参院選にむけ、与党は争点隠しがつづくでしょう。野党がそれにどう選択肢を与えるか、与えられるか、によって結果も大きく変わってきます。ナゼなら、浮動票がそれによって動くか、動かないかが決まってくるからです。むしろ選挙を実施するか、しないか、そのイニシアティブは与党にあっても、争点作りに関しては野党が握っているといえるのでしょう。
最後に、京都3区は民進党の圧勝でした。お維の某議員が、国会の委員会で口汚く民進を罵っていたのも、橋下氏を見習った敵をつくる選挙のつもりだったのでしょうが、投票日前に謝罪にいたるなど、明らかに失敗でした。おおさか、の名前が悪いなど犯人探しも始まっていますが、それ以上に橋下氏からポスターも、演説も拒否されたお維の先行きの暗さを示した形です。しかし敵をつくる劇場型選挙は、いつの時代も選挙戦を盛り上げることもまた事実です。野党がどれだけ対立軸をつくれるか? 是々非々などでは当面、与党は安泰でしょう。どれだけ与党の政策を批判し、徹底的に戦えるか? それが実は参院選の争点になってくるのかもしれませんね。

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2016年04月24日

雑感。G7農相会合と気候変動

G7農相会合が新潟で開かれ、共同宣言を採択して閉会しました。宣言では、農家の高齢化に対処するため女性や若者が活躍しやすい環境づくり、耐性菌や国境をこえて感染する家畜伝染病に対処するために、獣医師を所管する当局の連携、温暖化・気候変動への協力した研究・取り組み、などです。しかし日本だけ突出して農家の高齢化がすすんでおり、新興国ではむしろ女性や子どもを、無理やり農業労働に酷使している例もあります。日本で開催するため、無理やり入れられたのだとしても、対策に協調して当たれるようなものではないのでしょう。
問題は二番目、三番目です。中国では相変わらず抗生物質の使いすぎで、耐性菌が続々と生まれる状況です。当初は欧州でドーピング豚が問題になりましたが、二周、三周遅れて中国が大量生産方式の徒花のように、抗生物質を大量につかうことで家畜の健康を維持している。翻ってこれが人間にも影響して、耐性菌の問題を生み出している、とされます。人間の側の耐性菌の問題を何とかしようとしても、家畜で生まれた耐性菌が人間を介して影響すれば、何もならない。これは農業の問題であると同時に、医療の問題でもあるのです。

また、ここには含まれませんが、実は地下水のくみ上げによる農業の限界も、検証が必要でしょう。日本ではあまり意識されませんが、世界の多くの地域で地下水により、農業が行われています。しかし地下水をくみ上げすぎて地盤沈下が起こったり、地下水自体が枯渇したり、といった弊害もでている。砂漠を緑地化し、農地に変えるなどの功績があったものの、計画的にくみ上げるよう措置をとらないと、また砂漠化に逆戻りすることになりかねないのです。
地球温暖化の問題は、最近は主要な経済学者まで筆頭にかかげるほど、重大な問題です。それは経済的ダメージが大きいからですが、食糧問題ばかりか、消費者の行動にまで影響を与えます。海水面の上昇ばかりがクローズアップされますが、実は消費行動の変化も経済には大きな影響を与えるのです。売れていたものが売れなくなり、企業がそれに対応できなければ倒産する、経済の循環が環境変動によってすすみ、それは国家の盛衰にまで影響するものとなります。

週明け、日本の株式市場は先週末のBloombergの緩和観測報道を、もう少し織り込まざるを得ない局面です。円が111円の後半まですすんでいるためですが、113円まで行く、という人もいます。ただ仮に追加緩和をしようと、円買いのポジションをすべて解消し、改めて円売りスタンスになることはないでしょう。そもそも日銀にもう追加緩和の手がない、というのが外国人投資家が円買いをすすめた一因ですが、ここでの追加緩和が、更なる次の手を誘発するとの観測がでない限り、元の木阿弥となるためです。追加緩和はもうできない、そう思わせたらふたたび円高となるでしょう。そもそも日銀による金融機関への貸し出しにマイナス金利を適用、との話は、日銀が一方的に損をする話です。膨らみすぎたら日銀の経営に疑義が生じることにもなり、マイナス金利のように仕組みを工夫すれば、結局は打ち止め観測にもつながります。
気候変動による経済への打撃、それと同時に、中央銀行による金融政策の変動による経済への打撃も、インパクトの大きな問題になってきました。緩和をする、しないも同様に、いつ頃それが打ち止めになるか? 日銀の関係者がいうほど、限界は遠くないのでしょう。気候変動が、一度そうした流れになると中々とめられないように、金融政策も同じです。緩和に傾いた流れ、それはその国の経済を変えてしまうほどの重大な問題、禍根を残してしまうことになりかねないのでしょうね。

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2016年04月23日

安倍首相の被災地入り

三菱自動車による排ガス不正問題、対象車種も広がり、拡大の一途です。欧州ではスズキも排ガスが基準値の20%越え、ただしこれは提携していたVWからディーゼルエンジンの供給をうけていたことが原因で、VWの問題も広がりをみせています。車はもう高級品ではなく汎用品、だからリコールの規模も大きくなります。しかし価格は高級品、むしろその価格はリコール対策の予備費として徴収されているようでもあり、無償交換などと言われてもそれは購入時に支払わされているだけ、と考えた方がいいのかもしれません。自動車取得税の問題など、三菱自に負担させる話も、買取要請に応じさせる話もありますが、燃費を信じて買ったユーザーに対して、走行距離に応じた差額分を支払うことも必要でしょう。ただし、これらも三菱自が破綻しなければ、の話です。倒産して債務減免などがすすめられれば、税金もユーザーの負担分もとりもどせない。国民はふたたび自動車メーカーの存続に、気を揉む場面がでてくるのかもしれません。

コメント欄では議論されていますが、まず民進党の岡田代表の現地視察、これは何の問題もありません。言葉は悪いですが、野党の代表に何かあっても、国の運営には何の支障もないからです。与野党の政治家が、被災地入りすることも問題ありません。多少は現地で対応も必要となるので、物見遊山の被災地入りは非難されますが、東日本大震災のときでも被災地を選挙区とする政治家が、足繁く通って現地のニーズを吸い上げること、これは大きな価値もあるからです。
しかし首相という地位にある人間は異なります。何かあれば国の判断に影響する。今日はそんな事例もありました。北朝鮮による潜水艦からのミサイル実験です。これが実験だったから良かったものの、日本に向けて発射された核ミサイルだったら? そのとき安倍首相が被災地で行方不明になっていたら? 指揮命令系統がぐちゃぐちゃとなり、誰が撃墜命令を下すのか、それすら曖昧になります。明確にその存否が分からない、となれば麻生財務相、菅官房長官が代理として指示をだしますが、混乱中のときに発射されたら、まず撃墜命令がでる前に着弾しているでしょう。安倍政権では北朝鮮の脅威を言う割りに、安倍氏と菅氏が同時に官邸を開けるなど、危機管理に疑義を生じるケースが多々あります。今回とてJアラートはでていませんし、単なる実験だったから良かった、というなら今回も結果オーライだったに過ぎないのでしょう。

しかも激甚災害指定を今日、発表しましたが、遅きに失しています。その間、被災者は不安に苛まれたでしょう。一体どれぐらい自分たちで負担しなければならないのか? と。しかし補選対策としては、今日がベストな発表のタイミングだった。恐らく明日の朝刊は一面でその記事が載り、政府はきちんと対応している、との印象操作ができるからです。被災者のことを考えてのことではなく、自分のため、党利党略のため、恣意的に権力を行使する、だから批判をうけます。
安倍政権寄りのメディアが、今回の被災者支援活動でつかわれたオスプレイの擁護論を展開しますが、オスプレイは長距離輸送には適しても、近距離ではもっと適した機種がある。日本のように、近隣の行政区から物資が続々と集まってくるような国では、実はオスプレイによる輸送は邪魔なだけ。ピンポイントで輸送できないオスプレイが、着陸できるような何もない遠隔地から、陸上輸送のための人と輸送車を割かれるのは、それだけでムダでもあって、必要のない代物といえます。まったく論旨がおかしなメディアに支えられる安倍政権では、その存在自体が『必要のない代物』とされる日も、そう遠くないのかもしれませんね。

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2016年04月22日

日銀が緩和を検討? 報道について

為替市場が109円台前半から、一気に110円の後半まで円安にすすんでいます。株価も13時過ぎから急騰、17500円を越えました。きっかけはBloomgergが報じた、来週の日銀金融政策決定会合で、日銀が金融機関に対する貸し出しへのマイナス金利適用を検討、とのニュースです。規模やその詳細が分からないため、その効果については計り難いものの、マイナス金利で収益が下押しされる金融機関への救済と、新たな追加緩和の手段の登場に、市場が沸騰した恰好です。
しかし実は今日、朝からきな臭い動きはありました。妙に底堅く、誰かが買いを蓄えている印象もあった。昼か後場に何かでてくるか? というところでの報道であっただけに、余計に値動きをよくしました。しかしこの一報に接したとき、安倍政権はここまでやるか、との印象を強くします。それは24日の補選、そこに向けて何らかの手を打ってくるとみられている中で、16日被災地入り、17日にメディア出演と北海道入り、という第1オプションが断たれた後、この22日追加緩和示唆、23日被災地入り、という第2オプションが作動した、とみられるからです。

これが日系のメディアでなく、Bloombergであることも示唆的でしょう。マーケット情報を発信する媒体でもあり、一般紙とは信用度が異なる。日系のメディアならスクープに対して憶測も走り易いですが、外資なら余計な追及もうけない。また「検討」との報道なら、例え追加緩和は見送られても、痛手は少ない。実際に検討されていたのなら、ウソにはなりませんから。それにこのBloomberg、実はかなり曖昧な情報を発信する媒体としても、最近俄かに注目されている。逆にいえば、こうした報道の虚実は、実は藪の中ということでもあります。
しかし円安、株高となり、補選への追い風となったことは間違いありません。28日までと賞味期限の短い情報ながら、週末をまたぐときに株高であればよい。そんな割り切りのよさ、そして余震の続く中、被災地入りする安倍氏への追い風、と情報の出元を想像するに難くありません。朝方からしつこく買っていた層も儲けがでて、まさにしてやったりというところなのでしょう。

今週に入ってから目立つ日銀トレード、しかしナゼか日系の動きが重かった。大幅高しても売り、もしくは中立、売買高も膨らませない。それが奇妙に思っていましたが、今日にそれを回してきたのかもしれません。PKOというと、今では市場の価格を維持するためのPrice Keeping Operationのことをさしますが、このPKOは、Political Keeping Operationになっています。いや、逆に両方を兼ねる目的で流された情報だった、といえるのかもしれません。
その黒田日銀総裁、金融政策に限界はない、などとハト派発言をくり返します。しかしもし追加緩和をするなら、ETF購入でいくら損失が出ているのか、市場から国債を買い尽くす限界はいつなのか、きちんと説明すべきではあるのでしょう。マイナス金利導入から2ヶ月、その効果についての検証も必要です。ローン金利の低下で一般家庭に恩恵が…といっても、不動産市場に弱さもみられ、決してその効果により市場が持ち上げられているわけではないのですから。

個人的には、4月は追加緩和を見送って、6月に追加緩和するのでは? と見ています。それはここで追加緩和しても、7月の参院選のころには賞味期限切れになっている恐れが強いからです。政局に関与した、との批判があっても、メディアでさえPKOに協力する中、日銀がPKOに動いても決しておかしくないためです。選挙のためなら何でもする、例え日本が滅びても…それが安倍政権、黒田日銀の根幹にはあるのでしょう。日銀がハトの鳴き声をあげ続けますが、その声が「ホー、ホー」ではなく「崩ー、崩ー」に聞こえるのは、気のせいばかりではないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(29)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年04月21日

震災の現地対策本部長の交代

年後半にむけた不透明要因の1つ、米大統領選の予備選がここに来て俄かに注目されます。米民主党はサンダース氏の勢いを、一旦は食い止めたクリントン氏が過半数をとれるか? 米共和党はトランプ氏が過半数をとれるか? 市場関係者が期待するケーシック氏は泡沫候補、決戦投票になったとて勝てる見込みもない。米国の次期大統領が誰になるか? それによって市場の波乱要因にもなり得る。益々、外国人投資家は前半のうちに稼いでおきたくなります。
先週の外国人投資家による日本株買いは大きく、現物、先物を合わせて6600億円。これはOPEC会合前のポジション落としでしたが、今は米株高にみるリスクマネーの流れで株価も上昇している。さりとて株価収益率でみると近年稀にみる割高水準にまで米株は達しており、継続性にも疑義がもたれている。リスクのオン・オフだけで売り買いをくり返す今の相場だと、気がつけばかなり割高、割安になってしまう恐れもあって、それが次の急変を引き起こし易くするのでしょう。

4月の月例経済報告書がでてきました。基調判断は「景気はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調がつづいている」です。株価の下落はイレギュラーで、市場は間違っている、とでも言いたげで、政府は「回復基調」とつかい続ける。『回復』というのは以前の状態にもどることですが、一体いつまで「回復基調」なら、政府のいう以前の状態にもどるのか? 大きな謎です。
しかも企業業績は「非製造業を中心に改善傾向」を謳いますが、企業業績は急速に悪化の度合いを強めている。小売のインバウンド消費をみて「改善」としているとしか思えず、この判断には不安しかありません。そして熊本地震についてもふれますが、まだ「早急に把握」の段階です。

そんな中、熊本地震の現地対策本部長の松本内閣府副大臣が交代し、酒井内閣府政務官となります。政府はローテーションとしますが、現地の事情に精通し、汲みとるには1週間では不足です。ローテーションなどしていたら、まずムリです。おにぎり要請事件が交代の原因、などと報じられますが、その説明には違和感があります。推測ですが、屋内退避問題が尾をひいた、結果的に安倍首相の要請を伝えたものの、その日の夜に本震がおきて多くの住民が亡くなった。要請を拒否した熊本県知事の判断が正しかったのですが、その責任問題と現地との調整能力不足に、官邸側がトカゲの尻尾を切ったのでしょう。本当に能力があれば、おにぎり要請ぐらいで首を切ったりはしません。指示をだした側でなく、指示を伝えた側が首を切られる、これはよくあることです。しかしこれらは安倍政権の震災対応の本気度を疑わせるに、十分でもあります。
思えばISILに日本人が人質にとられたとき、ヨルダンに渡って現地対策本部長となった中山副大臣が、盛んにSNSを更新し、また日本から食糧を送ってくれ、などと業務に集中しているか疑わしい場面もあった。そして安倍氏がイスラエルでISIL批判の演説を行った際、イスラエル国旗の前だったことは駐イスラエル大使のミスとして、その大使は移動させられた、など今回の熊本の現地対策本部の対応にも似た、きな臭い動きもありました。実にこの政権、不都合なことがあると簡単に首を切ることもおきる一方、中山氏のように安倍氏に近しい人間は徹底的に守る、といった傾向もみられる。今回の松本氏は前者だった、ということなのでしょう。

しかし上記したように、現地にずっと貼りついているからこそ、実情を理解し、対応についても考えられる。逆にいえば、この1週間はムダに浪費したことにもなるのです。食糧支援の動きを早めたことは評価できても、それが拠点施設に集まっただけで、被災者には中々行き届かない、など必要なところにピンポイントで対応できている風がみられません。それは景気判断でさえおかしな政府では、震災対応の判断がまともにできるとも思えないのです。現地対策本部、住民からの批判、苦情を一身に集めて首を切られる、という怨嗟対策本部、風除けとして機能しているだけなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年04月20日

世界の株式市場の楽観

日本株が急速に戻りを試し、日中で一時17000円を越えました。原油もクウェートのストライキでWTIが41$台にもどし、欧米株は年初来高値の水準ですし、ブラジルなどルセフ大統領の悪材料で株価が急騰するなど、些か浮かれ過ぎともみられる楽観を示します。日本株は乗り切れない、とはいえ、急速に企業業績が悪化しており、日本の実力からすれば今でさえやや高い、とみられます。来週から始まる決算発表を前に、割高にみえる日本株を買う向きは多くありません。

世界的な楽観の原因。その一つに、サウジが国際銀行団から100億$を借り入れる、との報道があります。財政赤字であり、外貨準備も急減する、これだけ読むとマイナスの記事ですが、同時にサウジは国営の石油会社サウジアラムコの株式を上場し、そこで調達した資金を政府系ファンドに振り向け、世界最大の投資運用会社にする、とします。つまりこれまで市場が怯えていた、原油価格の下落と産油国の政府系ファンドの資金引き上げ、という悪循環から、これで脱出できることになります。さらに政府系ファンドの規模が拡大するというのですから、好感しないはずもない。サウジ株式市場では一部で、資金の吸収がおこりますが、世界株式は資金供給が拡大することになるため、こうした報道をうけてリスクマネーが動いていると想定されます。
しかし世界にはもう一つ、おかしな動きもあります。原油価格を決める重要な会合の前になると、必ず「合意」とする事前報道がでて、原油価格が急騰する。発信元不明な、こうした価格操作とみられる報道、世界的に増えているのは、金融機関や投資ファンドなどの運用実績でも明らかなのでしょう。米金融決算をみても投資部門は苦境、価格操作でもしないと、収益が確保できない。しかしこうした手法は、時に大きな変動を起こし易くもし、不透明要因を強めてしまいます。

今年は後半にいくほど、不透明要因が強まります。5月前半にパナマ文書の全体が公開されます。しかしこれはあくまでタックスヘイブンの一法律事務所の情報流出、世界全体のタックスヘイブンからみても、ほんの一部です。ただし、これにより世界全体の課税逃れの枠組みがつくられつつある。この課税強化により企業業績がどう推移するか分からず、また個人投資家の投資マネーもどう動くか分かりません。タックスヘイブンの地域も、国際的な圧力が高まる中で協力姿勢を示しはじめており、今後は資金の変動、状況の変化に留意が必要となってきます。
また英国のEU離脱問題が、夏にあります。EU瓦解も心配される中、タックスヘイブン問題でキャメロン首相が失速したことは、EU残留派にとって大きな痛手。逆に英国がEU離脱となればどんなインパクトがあるか、予想もつきません。タックスヘイブンの問題も、英国のEU離脱の問題も、市場がいくら楽観しようと結果がどう転ぶかは分からない。今、株価を上昇させているのは、将来的な不透明感もあって、今のうちに…という意識が強いのかもしれません。

日本も、日銀が4月末の決定会合で動かなければ、5月のアノマリーである株売りに見舞われる恐れが拭えません。しかしもう消費税の増税先送り、日銀の緩和はほぼ織りこみ済みでもあって、楽観はこれでもか、というほど探しだしてきては市場が組み入れてしまっています。逆に、悲観には目を瞑り、ないことをひたすら祈るばかり。それが今の株式市場となっているのでしょう。
英国では「良い弁護士は悪い隣人」という諺があります。また「牧師、弁護士、医者には隠し事しては何もならぬ」とも。隠し事をして欲しかった弁護士に裏切られ、悪い隣人のススメで始めた税逃れ、それが英国に重大な決断を迫ろうとしている。世界が「上手くやっている」人、組織へ厳しくなるなら、今後は「そう上手くはいかない」時代がくることを予感させるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年04月19日

表現の自由の国連調査

経産省が沿岸部の海底に高レベル放射性廃棄物の保管が可能、とする報告書案をまとめました。しかし英国が低レベル放射性廃棄物を、アスファルト固化して海洋投棄したところ、海水が汚染されて中止されたこともあり、腐食の心配もあることから海水とは直接ふれさせないことが前提でしょう。しかし今回の熊本地震のように、直下型の横ズレ地震ではコンクリの建物でさえ無事ではない。海水が洩れこんだら、極めて対応が困難で、かつ汚染の心配も高まります。確かに海中なら土地の確保は容易ですが、だからといってそこに逃げては安全が担保されません。

4月12〜19日に亘って国連が日本の『表現の自由』を調査し、報告者は「メディアの独立性が脅威」と発言しました。しかも高市総務相は面会に応じず、逃げ回る。結果、報告者は「放送法4条は廃止すること。放送を監督するのは第三者機関であるべき」と発言し、安倍政権の対応を公に批判しました。さらに記者クラブは「廃止すべき。(政府への)アクセス・ジャーナリズムを助長」と結論づけるなど、記者クラブに加盟するメディアの幹部や番記者との懇親会に余念のない安倍政権へ、強烈なダメだしをしました。一方で、ネット規制の緩さについては評価しており、日本の実体をよくみていることが窺えます。ただネットでも特定の層による炎上誘導などが垣間見られる今、ネットの表現の自由も風前の灯というところなのかもしれません。
国会のTPP特別委で、森山農相が重要農産物に対して「何らかの対応」をしたことをみとめ、それでも「影響を最小限に抑えた」と発言しました。しかしこれは明確な国会決議違反であり、政府が曖昧な答弁をくり返すことからも、何がどこまで守れたのか? 疑心暗鬼が広がりそうです。ここに来て、与党が今国会のTPP関連法案の成立を諦めたのも、これ以上やると北海道5区の補選や、参院選に大きな影響がでる、と警戒が強まったためでもあるのでしょう。国会で審議すればするほどボロがでる、しかしすでに疑心暗鬼が広がった今、選挙への影響は必至です。

衆参W選挙について、与党から「ムリ」との声が上がるのも、何も震災ばかりではない。TPPを初め、悪化する景気も含めて逆風が強まっているためです。安倍政権とともに与党が討ち死にする必要はない。衆院選はもっと見栄えのいい政権に移行してからでも遅くない、そんな思惑も高まってきた。参院自民としては、安倍政権で選挙戦に突入するのは忸怩たる思いでしょうが、震災が起こった今は政権下ろしもできない。結果、与党は逆風の中で参院選を戦うことになるのです。
今日の株式は、昨日の下げをとり戻す勢いで、これで昨日の下げが震災の影響ではなかったことが示されました。しかしここ一週間は、震災で急に高まった4月27、28日の日銀決定会合による追加緩和への期待、そんなものも影響します。財政出動も震災復興に回さなければならず、補正予算も検討していますが、政府は激甚災害指定さえ渋るほど、予算措置には神経質になっています。そんな中、もう日銀が動くしかないだろう、という思惑が広がっているのです。しかしこれだけ期待が高まると、予想を越える政策がだせるとは考え難く、28日で材料出つくしになり易い。しかも日本はそこからGWに入るため、どれぐらいポジションを傾けられるかが、ここ一週間の株価の推移には影響するのでしょう。そしてまさに28日、何もなければ失望売りも広がる。そうなったら、もう安倍政権の評価はガタ落ちしていくことになり、参院選を迎えることになるのでしょう。

高レベル放射性廃棄物の処分先も、まさに安倍政権の特質を示します。楽な方に流れる、ということです。しかしTPPもそうですが、本気で国益を守るために体を張り、逃げずに交渉したのか? 今さらながら問われることにもなるのです。メディアの独立性もそう、高市氏は国連の調査員から逃げ回った。安倍ノミクスもそうで、政治はほとんど何もせず、金融政策に頼った。都合の悪いことから逃げ、本気の取り組みをしてこなかったツケ、ツケは溜まると支払いも大変、今の安倍政権はそうした状況に陥っており、独立性の脅威に陥っているメディアとともに、楽な方をさがして右往左往、というのが現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(14)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2016年04月18日

震災の与える影響について考える

今日もまだ大きな余震のつづく熊本地震、前震からは72時間が経過し、本震からも72時間が迫ります。初動は上手くいった、ともされましたが、被害エリアが拡大した途端に対応が覚束なくなった。広域災害ではよほど全体を上手く回していかないと、物資はあるのに届かなかったり、一部に集中してしまったり、が起こります。九州エリアでは巨大震災の経験不足もあるかもしれませんが、だとすれば中央から震災経験の豊富な人材を、震災対応コンサルティングとして送りこまないのか? もしもう送っているなら、逆にそれが機能していないのかもしれません。

この震災時に、国会ではTPPの質疑がはじまっています。米国も大統領選が終わるまでは何も決まらない中、米国との再協議を回避したいからとの名目で採決を急ぐ。それこそ臨時国会を早めに開始すれば、大統領が決まる前に採決できるにも関わらず、TPP審議を急ぐ理由が分かりません。それ以上に、実は様々な影響が今回の震災からでてくる。むしろその心配の方が大きいのです。
まず震災対応で予備費の活用を菅官房長官が言及しましたが、これでサミット前に日本が大々的に財政出動を発表し、議論を主導するという手法がとれなくなった。G20でも各国の事情に委ねる、との決定にとどまり、世界経済はリーダー不在で長期低迷を余儀なくされそうです。日本の場合、2箇所の震災復興と五輪特需と、建設業界はもうオーバーフローの状況です。財政出動の余地も乏しくなり、支出先も悩ましい。そこに来て工場が操業停止に陥るなど、GDPの下押しは相当なもの。昨年度はマイナス成長とみられ、3年連続マイナス成長の可能性も高まってきました。

九州新幹線の脱線で気になるのは、リニア新幹線です。直下の断層型地震が近くでおきたとき、脱線させないよう備えられたガイドには、走行中ならかなりの負荷がかかると同時に、乗客には大きな衝撃が加わる。遠い地震なら停止が間に合うかもしれませんが、今回のように直近でおきると停止が間に合いません。最高速のときならより危険です。乗客は断層型の地震がおきないことを祈るしかないのかもしれません。逆に、本当につくって大丈夫なのか? ともなるでしょう。
東日本大震災のときもそうでしたが、今回も「不謹慎だ」「自粛しろ」などの文言がネットではとびかいます。しかし不必要な自粛モードは、経済を縮ませ、震災対応予算もでてこない、という話になりかねません。SNSは共感を求めるもの、という前提はあれど、人により震災の感じ方、それに対する行動は同じではないのですから、自分とちがったとしてもそれを非難したりしてはいけないのでしょう。それこそ国会ではTPPという、震災とは全く関係ないことをしているのです。それこそ暴言や心無い言葉があれば別ですが、それ以外で他人の行動や発言をしばるべきではないのでしょう。ふつうに経済活動をすることもまた、遠回りながら被災地の支援にもなります。

今日の日本株は大きく下落しました。震災の影響、とも語られますが、実際にはほとんどOPEC加盟、非加盟国会合で増産凍結が見送られたことが影響しています。むしろ震災の影響は今後、じわりと影響してくるのでしょう。それは日本の財政出動が限られる、その制約に対して、期待値の低下が否めないからです。安倍ノミクスの失敗に、ここで起きた震災はまさに日本の景気に対して、致命傷にもなり得るのでしょう。金融政策もなりふり構わぬ対応をとったとしても、楽観に傾くかどうかは不明です。ふつうの経済活動すら滞るようになった日本の現状、震災が与える影響は様々な意味で甚大といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 社会

2016年04月17日

安倍政権の不都合な話

コメント欄では取り上げましたが、安倍首相が16日という奇妙な日程で熊本地震の現地視察を入れていたのは、17日に北海道5区補選のために、現地入りする目的だった。つまり政府の対策本部を空ける理由づけのためだった、ということが判明しました。それが16日未明の本震で、16日の現地視察とともに17日の北海道入りも、日程がとんだ。むしろこれだけの地震がおきて、17日の北海道入りを諦めてなかったことに問題を感じますが、同じように日程がとんだものがあります。
17日、放送予定だった安倍氏の出演番組も、放送がとびました。そもそも、補選の公示があって選挙期間中、全国放送することに大きな問題もありました。高市総務相の言葉を借りれば「公平でないと放送停止」に抵触するものです。しかも午前の放送をみて、午後に安倍氏の現地入りで演説を聞く。有権者にはインパクトのある演出になったことでしょう。だから安倍氏は16日現地視察、17日北海道入り、にこだわったとも言えます。恐らくそれを放送する予定だったフジテレビも、17日の北海道入りを安倍氏が見送ったことに合わせて、放送を延期したのでしょう。放送されるかは内容次第、下手にバラエティじみていると、震災で避難している人もいるのに…と批判も集めます。ただお蔵入りさせないのなら、参院選に照準をしぼって、政権と相談した上で…となるのかもしれません。政権にとって都合がよいなら、『公平』を謳う放送法は無視して。

実はもう一つ、安倍政権にとって都合の悪い話がもち上がっています。それは舛添都知事の高額出張問題です。舛添氏は自民党参院議員でしたが、後に党を離れて、国政からは退いたものの、都知事選に出馬するときは自民都連、公明都本部が推薦しています。つまり自民党が推す候補の品行方正について、疑義がもち上がってしまっているのです。しかし舛添氏、元々参院議員時代から政治資金については疑惑をもたれていた。不透明な資金の融通があったのでは? というものですが、その件は自民党議員のほぼ特権としてスルーされました。また母親の介護をアピールポイントにしていましたが、取材陣にみせるときしか介護していなかった、などの醜聞も報じられるなど、人間性に問題があると報じられていました。また実姉が生活保護をうけながら、自身はタレントとして稼いでいたことが問題視されるなど、とかく問題の多い人物でした。
厚労相の時代には、私論として省内にもはかっていないことを滔々と報道陣に語るなど、周囲を唖然とさせてもきました。そんな人物が、今さら公費を私物のようにつかい、国民を唖然とさせても驚きもしませんが、そんな人物を自民都連、公明都本部が推薦した。この事実は、いやが上にも自民党の推す候補への懐疑を生じさせます。メディアはこの事実を報じたがりませんが、自民党本部には一部に舛添候補を推すことに反対の声があり、党として公認したり、推薦したりはありませんでしたが、都連がバックアップした事実には何の変わりもない。その人物が醜聞まみれで、今後も叩かれつづけることになっているのが、自民にとって都合の悪い話なのです。

しかも、熊本地震でも米軍の力を借りる、と言います。本来、よほど一国のみでは対応できないほどの災害である場合を除いて、他国の軍隊に協力を仰ぐことはありません。しかも今回は輸送です。よほど自衛隊の能力不足でもない限り、本来であれば頼るべきではありません。今回、それでも米軍の支援を受け入れるのは、在日米軍が必要とのすりこみを国民に与えるため。米軍からの要請でもあったのでしょう。しかしその印象操作は、逆に一国のことも守れない自衛隊を、海外に派遣してよいのか? という別の懐疑を生じさせます。安倍氏がこの発表をするとき、歯切れが悪かったのも、そんなツッコミをいれられたくなかったからなのかもしれません。
東京五輪エンブレムのうんざりするような選考も、五輪組織委という利権の温床と、そこに携わる人間のエゴがそうさせます。何か日本がおかしなことになっている、そのトップに安倍氏がいる。そんな象徴としてみられることは、安倍政権にとって極めて不都合なことなのでしょう。なので都知事の問題、五輪組織委の問題など、見て見ぬふりを決めこみます。ただそういう態度は、問題解決能力がない、と見なされることとの裏腹でもあります。裏腹、というより、むしろ腹黒の問題を何とかしないと、日本が一部の金の亡者、権力欲の亡者たちに蹂躙されるばかり、ということにもなりかねないのでしょうね。

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2016年04月16日

雑感。日本株の現状

16日未明にM7.3の地震がおき、熊本地震は新局面に入りました。気象庁は14日は前震で16日が本震、としますが、地震学者の中にはどちらも本震とする人もいます。誘発されたとはいえ、断層が異なれば違う地震、という話ですが、そうなるとまだ大きな地震がくるかもしれません。そうなると再建どころか、安全や安心すら遠のきます。今回の地震は、こうした誘発地震が考えるのなら、特に慎重な判断が必要になりそうであり、長期化も心配されます。余震の多さからみても、地震が力の解放ではなく、堤防の決壊のように一部でも崩れてしまうとそこに水が集中してくるように、14日の地震でここに力がかかり易くなったとしたら、さらに何が起こるか分かりません。今は一刻も早い究明と、見通しを示すことが肝心なのでしょう。今回でも、地震の余地は難しいことがよく分かりましたが、少なくともそのために予算をかけ、研究もしてきたのですから。

米国で開催されていたG20が閉幕しました。「金融政策、財政政策、構造改革を総動員」「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済・金融にとって悪影響」という従来通りの認識を示すとともに「タックスヘイブンはすでに合意している国際的な枠組みの効果的で幅広い実施の重要性」との文言を確認しました。要するに、従来通りのことを確認した、というに過ぎません。
明日のOPEC加盟、非加盟国会合で何が決まるかもありますが、各国とも余裕がなくなり、利害が鋭く対立するようになり、これまでとて国際会議で何かが決まることは少なかったのですが、ここに来てさらに決められなくなった。原理原則は保つ、ということはできても、踏みこんで対策を打つことができない。毎回、それを確認する会議となったのがG20などの多国籍会議です。

最近の株式市場で気になるのは、リーマンショック前なら国際会議や重要イベントがあると、積極的にポジションを構築しようとの動きが顕著でした。しかし今週がそうであったように、今はポジションを落としてイベントに備える、といった動きが起こります。つまり今週の上昇は、弱気相場の戻りを試す動きであって、今はまだ下落局面にある、ということを示しています。
米国では逆に、ポジションをつくる動きもあって、年初来高値をとってきました。原油相場がもどるなら、シェールオイル関連企業の破綻も回避でき、米経済は堅調。米国はふたたび金融政策を緩和する余地もあり、上に行くとの期待しかない。自動車版サブプライムの問題、シェールオイル企業の負債の高止まり、消費が思ったほど伸びないなど、マイナス面はあってもそれを見ない。楽観に支配された相場だからこそ、新たに買いのポジションを構築しようとします。

日本は、日本にとって都合のよい国際合意もとれず、金融緩和は手詰まり。どころか悪材料にすらされかねず、先をみれば円高、株安しかない。しかも不意の変動のときは日本に資金を置いておきたくない。それが今の株式、為替市場を覆っているポジション落としの流れなのです。
日本が陥っている現状、日本人が考えているよりよほど深刻なのでしょう。外国人投資家がポジションを落とすときしか株価が上がらない。外国人投資家が心変わりすれば…といってみたところで、そのキッカケすらつかめません。そしてふたたびの震災。局所的とみられていた段階は、まだ影響も少なかったのですが、今後はその被害の拡大によって財政出動ではなく、震災対応に財政を回さないといけなくなってもきます。G20で示された対策、日本では構造改革ぐらいしか対応できないのですが、それすら安倍政権では困難。それが打つ手なし、下にいくしかない、という外国人投資家の意識をうみだしているなら、構造どころか、発想の改革をしない限り、日本株の凋落は止めようがない、というところまで来てしまっているのでしょうね。

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2016年04月15日

熊本地震について

熊本地震の影響が、1日経って大分分かってきました。揺れは大きかったものの、死亡者が少なかったのは何よりですが、建物被害は大きい。川沿いの住宅の被害が大きいことからも、地盤の弱いところに強いエネルギーが直撃し、基礎から壊れた家が多いようにみえます。直下地震の常ですが、これからは地盤改良の性能を上げたり、ベタ基礎の硬度を高めるなど、住宅建設にはさらなる工夫が必要なのかもしれません。昨日も指摘しましたが、GPS観測によると九州地方は大分が西に、それ以外のところは南へと動いている。熊本はちょうど西からくる力に押される形になっています。その歪みが断層にたまっていたとするなら、この地震は東日本大震災の余波で、大地の動きの変化によって引き起こされた、といえるのかもしれません。

地震の影響について考えてみます。安倍首相が16日被災地入りすると言いますが、まだ余震もつづく中、明らかに早すぎます。安倍氏はできるだけ早く被災地に入る、というポリシーがあるようで、茨城の堤防決壊のときも翌日に被災地に入りました。しかし二次被害を予防するため安全な場所を選んで計画を立てなければいけないことも含め、本来は対応に当たるべき人間を視察に割かれることは、むしろ被災地の対応としてマイナスです。安倍氏が現地入りしたとて、何ができるわけでもない。通り一遍のことを見て回るぐらいなら、官邸でも映像でみられるでしょう。被災地でコメントを残す、という印象操作だけを優先しているようにしか見えません。
企業は工場の操業を停止したりしていますが、サプライチェーンの問題で長引くところはある一方、工場が壊れた報告はなく早期に回復はしそうです。ただ従業員、もしくはその家族が被災していると、労働力という点で問題がでるかもしれない。ボランティアも含めて、復興には時間と同時に人手もかかります。東日本大震災の復興、五輪関連、と建設会社にも人材不足、需要に対して供給が追いついていない面があります。その人手をどう確保していくかも課題です。

さらに九州地方で活発だったインバウンド消費が停滞する可能性がでてきました。日本はやはり地震大国、そういう印象は観光の足を遠のかせます。阿蘇山など、活火山も多い九州地方では連動型の噴火も懸念されます。この地震は様々な意味で日本に対する懸念を惹起させるのでしょう。
その一つ、消費税の再増税の再延期が、これで確実となったことです。しかし安倍政権が合わせて財政再建策をださず、剰え財政出動を唱えるようなら、財政健全化の道は遠くなったと受け止められます。それによる日本への信頼の低下は、国債の格下げや利回り低下となって跳ね返ってくるのかもしれません。震災復興への予算支出も含めて、財政が痛むことばかりですから。

こういう震災のときに感じるのは、ライフラインの復旧に市や県を越えて、電力会社の枠を越えて協力できる仕組みをつくれないか、ということです。人が来ても、それを上手く捌けないと逆に混乱を生じたりしますが、むしろこういうところで訓練を通じ、人を融通して活用できるような、そんな仕組みを構築することが必要と感じます。支援物資の融通に関しては、日本はかなり整備がすすんでいますが、ライフラインの復旧などにかかる人材不足、機材不足に関しては、まだまだと感じます。安倍政権が率先して行うべきは、こういう点でもあるのでしょう。
日本は今後も、震災に関して警戒がつづきます。少子高齢化で人手不足も顕著です。人をどう効率的につかうか? それができなければ、対応もままならなくなってくる。何ごとでもそうですが、人をどう活用するか、人活の総合的な仕組み作りが、1日も早く望まれるのでしょうね。

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2016年04月14日

韓国選挙と株式市場

熊本県を震源とする大きな地震がありました。今回は浅いところを震源としますが、九州の地盤はGPS観測でも渦を巻くように捩れています。東日本大震災後、日本列島には大きな歪みがかかっていますが、九州では大分辺りから北西に向かい、福岡、長崎から南方向に向かい、鹿児島では大きく南東にむけて動いている。これに上下動を加えると、九州では地盤全体に大きな負荷がかかっている状況なのでしょう。同じプレートに乗っていても、そこはガタガタに割れていて、活断層よりももっと深いところにも断層がある、とされます。東日本大震災以後、日本列島の状況は大きく変わったとされ、いつどこで地震が起きてもおかしくない、そんな警戒も必要です。

韓国でも激震が走っています。朴大統領の支持基盤、与党セヌリ党が過半数割れで、第2党に転落です。親朴派に公認を与え、非朴派との対立構図ができたこと、経済は悪化し、失業率も高まるなど国民の不満も大きいこと、など朴政権には逆風が吹き荒れたことが原因でしょう。
問題は、日本では従軍慰安婦合意について履行されるか? が心配されます。ナゼならこれは国家間の条約でも何でもなく、外交上むすばれた協定合でもない。いわば信用の上で成り立つ合意にすぎないからです。つまり一方に履行できない事情が発生すればストップする、その程度の軽さです。事実上、朴政権はレイムダック化し、合意履行は困難でしょう。つまりそんな曖昧な合意をしたからこそ、朴政権の情勢変化で日本が困る、という状況が生まれたことになります。

株式市場が2日間で日経平均で1000円も上げました。しかしこれはOPEC加盟、非加盟国会合を前にしたポジション落としをする海外勢にかこつけて、年金系が押し上げている面が否めません。以前から重要なイベント前、1週間ほどはポジションを落とす動きがみられましたが、円買い、株売りしていた層が反対売買する流れになった。それを加速させたのが露国、サウジが増産凍結で合意、という曖昧な情報です。恐らく露国側が流したリークとみられますが、昨日になってサウジはイランが増産凍結に合意しないと、合意に加わらないとも伝えられる。しかし一旦、楽観に傾いた市場では露国リークの方が力をもち、その流れで日本市場は株買いが広がっているのです。
しかしこの流れで年金が買いを入れていると、高値掴みになり易い。期待にそぐわずともそうですが、期待通りの合意が得られても、材料出尽くしになり易く、ポジションを戻す流れになることが明白だからです。一部、中国の経済指標に改善の兆し、との話もありますが、貿易統計で輸出が増えた、といっても春節の影響が大きく、この時期の経済統計にはブレも大きい。一方で米国の経済指標も強弱まちまち、悲観の見直しだけでは、相場の押し上げ効果は継続し難いのでしょう。何より、OPEC会合は17日、週明けの日本でどう直撃するかは分かりません。

今日は東京でも内陸部で小さな地震がありました。上記したように、東日本大震災以後、日本の地盤状況は大きく変化した、どこで地震があってもおかしくありません。川内原発は問題ない、などとしますが、いつ近傍で大きな地震がおきてもおかしくないのです。むしろ原発が安定した電力の供給源たりうるか? という問題にも直面するのでしょう。震度4で全面点検、5以上だと緊急停止する恐れもあります。火力発電と異なり、緊急停止した後に再稼動するのは、それなりに時間がかかる。実は災害に対してかなり脆い、という原発の特性は、地震が多発する現状では安心して運転し続けることがかなり困難である、とも言いえてしまうのでしょう。
国際的な選挙イヤーの第一弾、韓国では与党が大敗しました。世界的に経済が不安定となった現在、与党にはその政権運営に対して、厳しい目が向くことにもなります。そこに来て大きな自然災害は、景気をより悪化させることにもなります。自民が世論調査を行い、衆参W選挙を今行ったら与党が40、50議席程度減らすとでたことも伝わります。何がおきるか分からない状況、どこかに大きなエネルギーを蓄え、それがいつ放出されるか不安。自然災害も、市場も。そんな状況が今年の世界全体で共通のキーワードになってくるのかもしれませんね。

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2016年04月13日

雑感。黒塗りと黒星

今年、流行語になりそうな言葉が『黒塗り』です。民進はTPPの内部文書に関して「のり弁」などとしますが、おかずはない。お弁当としては貧相にみえますが、TPP交渉の裏では政治家と随伴の記者が夜な夜な宴会を開いていて、そちらは豪勢だったといいます。こうしたことが日本で起きている、多くの問題でも共通していることなのでしょう。文春にUR職員の接待が報じられるとなり、慌てて会見を開いたURも、甘利前経再担当相の問題も黒塗りの資料を提出します。国益に関することではなく、自分たちに不都合な情報は黒で塗って隠してしまう体質。その裏では接待だったり、自分だけが得をしてほくそ笑む。そんないやらしい社会に、今の日本はなってしまっているのでしょう。その黒塗りは腹の黒さ、性根の腐り方を示すのかもしれません。

そのTPPの黒塗り資料より、詳細だといわれる西川暴露本のゲラ、マイクが入ったままの内緒話で、西川委員長が「最初の書き殴った奴」と認め、石原経再担当相が「これで頑張るしかない」と、もうそれが交渉過程を暴露したものと、自ら認めてしまっている。それで頑張るうち、時間切れとなって今国会の後半日程、最重要だったはずのTPP関連法案の審議も止まる、となれば、もう国会は開いていても閑古鳥が啼くばかりです。開いているだけで運営にお金のかかる国会が、ただダラダラとつづいてしまう現状は大いなるムダ遣いの見本市、のようになってきたのでしょう。
政府が第5回国際金融経済分析会合を開き、アンヘル・グリアOECD事務総長が招かれ「経済状況が許せば予定通り増税すべき」と述べました。IMFにしろ、OECDにしろ、日本からの出資が多いところはほぼ財務省の意見の代弁者です。増税賛成の意見であることが分かっていて、あえてここでグリア氏を招いたのは、世論操作の面が強いものです。つまり増税反対、反対、という有識者をつづけておいて、ここで賛成の有識者を入れることで、国民にも懐疑心を芽生えさせる。そうしないと、いざ増税延期を公表しても、サプライズ効果がなくなるためでもあるのです。しかもグリア氏とて「経済状況が許せば…」と、官僚の答弁らしい逃げをつくっている。その部分をメディアはほとんど報じない。これまでとて、海外の有識者は増税よりも、よほど重要な提言をたくさんしているのに、そこはほとんど報じずに消費税のことばかり、メディアが報じてきたのもそのためなのです。逆にいえば消費税再増税の再延期、は政府による世論誘導の進め方からみて、ほぼ確定といえるのでしょう。

そもそもグリア氏、「消費税は15%にすべき」「毎年1%ずつ」など、明らかに財務省のやりたいことを代弁しているに過ぎないのです。ということは、この人物の提言はあまり聞いても意味がない。それこそ財務省に聞けば、同じ答えが返って来るはずです。この会合で海外の有識者を招いても、交通費などの実費以外の報酬は2万円もしない、ともされます。消費税再増税を再延期する、その世論誘導、理由づけをするには割安かもしれませんが、交通費や滞在費を含めて考えれば、決して安くない広告宣伝費です。こうしたものもムダ遣い、といえるのかもしれません。
そもそもこの会合をムダにしないためには、どれぐらいその意見を参考にし、政策を打つか? です。しかし安倍ノミクスのダメだしもちらほら見え隠れするこの提言を受け入れたら、安倍政権は完全に経済政策の方向性を失うでしょう。結局、いくらよい提言をしてもらっても、それを採用する度量と胆力がない首相の下では、すべてがムダになってしまうのです。

安倍政権にまつわる黒塗り資料、オープンなはずの会合でさえ、情報操作のためにその一部の、実は瑣末的な事がらのみ公に大きく報じられてしまう、といった問題点をふくめると、情報の扱い方にはかなり恣意的なものがみられます。そうした政治は、歴史からみると敗者にしかならない、黒星がつくのでしょう。菅官房長官を初め、安泰とみられていた北海道5区補選も苦戦がつたえられ、自民幹部も「民共批判」を強めています。しかし「共産党には任せられない」という批判は、同じ日本国民でも私たちは排除する人間と、排除しない人間を使い分ける、と述べているに過ぎないのです。次、排除される側の立場になったら、安倍政権からは敵として攻撃され、苦渋を舐めさせられるとの不安。『黒星』という言葉、実は『物事の急所』も意味します。安倍政権はその言葉の端々に、排除する人間をつくり、優遇する側をつくる、格差社会、差別主義を如実伊示してしまっており、そこがまさに『安倍政権の急所』でもあるのでしょう。日本死ねブログを初め、排除しようとした側からの攻撃で、焦っている安倍政権の現状は、まさに黒星を重ねる政治といえるのかもしれませんね。


analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年04月12日

雑感。日銀の生活意識に関するアンケート調査

今週に入ってから妙に底堅い株式市場。どうやら欧州系が現物株をリターンリバーサルで買い戻している印象です。その理由は、4月の日銀金融政策決定会合で何かでてくるとの期待か、15700円になると利益確定をしたくなるのか、原油の増産凍結が決定されてオイルマネーがもどるとの期待か、よく分かりませんが、一つ云えるのは売り方のポジションが軽くなると、次のタイミングでは新規売りを出しやすくなる、ということです。この水準で軽くなる、軽くできる、というのが日本市場の弱さです。現状では15600円レベルはPER、EPSなどから売り込みにくいとはされます。しかし日経にも出ていた減益予想の他に、減配などが出てくると、株式価値は著しく低下していくでしょう。米企業の1Q決算、日本の新年度入りで、今年度の見通し。その辺りが出てくると、次の動きも見通しやすくなるのかもしれません。今はそれに向けた準備期間、そんな位置づけなのでしょう。

日銀が3月『生活意識に関するアンケート調査』を発表しました。現在を1年前と比べると良くなった5.5%、変わらない65.8%、悪くなった28.0%、1年後を現在と比べると良くなる6.8%、変わらない55.2%、悪くなる37.7%。DIでみると現状22.5のマイナスと、前回比5.2ptの悪化、先行きは30.9のマイナスと、前回比11.0ptの悪化、と現状も先行きも前回9月の調査に比べて、一気に悪化しています。確かに調査が2月5日から3月3日と、株式市場が乱高下しつつ何とか下げ止まりか、というレベルの段階でとられたもので、マインドの低下は否めなかったかもしれませんが、それにしても大きなマインドの低下であることは、調査結果からも明らかとなっています。
現在の景気水準は良い、どちらかと言えば良い、を合わせて9.0%、悪い、どちらかと言えば悪い、を合わせて50.5%。しかも判断の根拠に、収入の状況を挙げた人がもっとも多く、次に勤め先の経営状況など、実感として悪いと感じている。安倍首相は3年連続の賃上げだ、などと成果として語りますが、国民とのズレは深刻です。むしろ9%の人しか上がって良かった、と感じていない。半数以上は収入が下がったと感じているのですから、政治と実体経済の乖離は異常なほど大きいともいえます。

金利水準も、低すぎるとの見立てが前回に比べて13.2%も増えた。暮らし向きに関しては『ゆとりが出てきた』が微増ですが、なぜかこの数値だけ、DIをみると4回連続で微増が続きます。収入が増えた層もいる分が、その微増の背景なのかもしれませんが、収入に関しても先行きは減る、とみている層がいることからも、今後の推移には警戒も必要です。何より支出を減らした、も増えており、消費減退により暮らし向きに余裕がでた、とするなら景気には著しくマイナスなのでしょう。
しかも、物価が上がることを「困ったことだ」とする層が8割を越え、下落することを「好ましい」とする層が5割に近い。政府、日銀のやっていることは頓珍漢、そんな感想で溢れ返っています。日本の経済の成長力もより低い成長、とした層が増え、物価が下がるとした層が増えるなど、日本経済に関して自身のなさもうかがえる。このアンケート調査で示されたのは、政府の政策の方向性の誤りと、今後にも展望がみこめない、という絶望感にも似た、国民の諦観です。

安倍ノミクスの失敗、という以上に、安倍ノミクスが成功していたら、実は日本は国民にとって不幸な状況になっていたかもしれない。物価が2%、などとなれば景気への打撃がかなり大きくなり、景気はどん底になっていたかもしれないのです。コストプッシュインフレは、結果的に国民にとって何の得もない。そうした意識が滲むのなら、『生活意識』というより、これは『政治活動による意識』つまり『政活意識』に関して、問題だと感じている国民が多いことを示すのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年04月11日

態度をつかい別ける人

最近の話題で、日清のカップヌードルのCMが不倫をおこした元アイドルに批判が殺到し、中止になりました。日本が不寛容になった、などとも言われますが、少し事情は異なるのでしょう。そもそもタレントはイメージを売ることで成り立ちます。特にCMはその傾向が顕著で、商品イメージをタレントに重ねてしまいがちです。今回、微妙なのは明らかにCMが炎上マーケティングを狙った点です。話題になればいい、その結果がマイナスとでた場合、企業はすぐに戦略を転換しなければならない。逆からみれば、企業側は早めに撤収することはある程度想定済み、でもあったのでしょう。だから炎上しそうなイメージのあるタレントをつかった、とも言えます。

バドミントンの2選手に対して、協会や企業の対応について厳し過ぎる、との意見があります。しかし注意すべきは、この意見の背後には純粋な擁護論はあるとしても、2つの腹蔵も隠れている点です。1つはカジノ議連、カジノ推進者。つまり闇カジノとはいえ、カジノは悪とのイメージがつけば、国内への導入が遠ざかる。もう1つは東京五輪の成功を優先してスターを消すわけにはいかない、との思惑です。純粋な擁護論以外は、浅はかな利権主義が見え隠れしているのです。
菅官房長官が、現在の為替市場について「投機的な動きがみられる」とします。行き過ぎた円高、と言いたいのかもしれませんが、米MMFからみても、円売りから円買いに傾いたことは事実ですが、もっとも円売りがすすんだ時期と比べ、規模も速度もそれほど違いがあるわけではありません。自分にとって都合の悪い動きをしたときだけ「投機だ」などと言い出すので、この政権の評判は海外ですこぶる悪いのです。日銀が追加緩和を決めた翌週には1週間で6円ほど円安がすすみましたが、投機ではなかったのか。今回は実質金利の差が縮小するなど、決して材料がないわけではない為替の動きであって、今が投機ならあのときも投機だと批判しなければいけなかったのです。

1社だけ民進党の山尾政調会長を追及する記事を掲げる週刊新潮ですが、記事を読むと実に不可思議な論調に気づきます。まず安倍首相が600万円のガソリン代計上は、秘書は1台ずつ車をもっていて問題ない、菅氏は200万円以上だけれど、選挙区をしっかり回っているとの自信がある、とします。しかし安倍氏のケースは、1人1台を安倍事務所で準備しているわけではなく、明らかに自家用車でしょう。そうなると別の問題が生じます。公私混同、つまり秘書が自家用車で遊びに行くためのガソリン代も、政治資金として計上しているのではないか? 1台地球1.2周分だから問題ない、という新潮側の主張は調べたわけでもないことをあたかもそうであるかの如くに語っているだけで、何の裏づけもない。それは菅氏のケースも同様です。年間5万km、商用車でもよほど走り回ってないと達成されないほどの走行距離を、調べもせずに「問題ない」はあり得ません。
山尾氏の説明とて、全面的に信用できる類の内容ではありません。しかし政治資金規正法は、所詮は罰則の適用がゆるいザル法であることは変わりない。政治家として、イメージは悪くなりますが、それで政治生命を断たれる、といったケースはほとんどないものです。山尾氏のイメージを悪くしようとしたら、結果的にずるずると安倍氏、菅氏など政権の要人のイメージも悪くなった。それを調べもせず「問題ない」と片付け、イメージの回復につとめよう、などとするから、その主張に歪みを感じてしまうのです。一番落ちたのは週刊新潮のイメージなのでしょう。

イメージは一度壊れると中々回復しない。それは自身の行動、決まりを破ったり、相手を裏切ったりすればそうなるのですが、それ以上に問題だと考えるのは、ある事がらに対して態度をつかいわける、そんなやり方でもあるのでしょう。甘利氏の問題で、東京地検がやっと重い腰を上げましたが、もしこの問題が不起訴、無罪などとなれば、斡旋利得に関してもザル、となってきます。その態度の使い分けは、政治の規律の緩みしかもたらさない。そんな態度をとるようでは、イメージどころか最悪の政権との評価が定着することにもなってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(17)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2016年04月10日

雑感。世界にあふれる不安な話

五輪のエンブレムが発表になりました。A〜D案までありますが、気になるのはA案だけ色づかいが特殊、残りが似たような配色であること。またD案は朝顔のイメージですが、こうした象形は国際五輪委から禁止されているのでは? という点です。もし朝顔でもよいのなら、桜や富士山の象形でもよかったはずです。桜や富士山はダメで、朝顔はいい理由がよく分かりません。実は募集要項にも、こうした象形の使用について明確に記載がなく、14000件の応募といいながら、そのほとんどが使用できないものだったのでは? との疑いもあります。五輪組織委の森元首相の顔をみるたび、胡散臭く感じてしまうのは、もうこの手の選別で、いくら透明性を増したとはいっても信用がないためなのでしょう。

世界はふたたびきな臭い話が溢れています。ギリシャの国際債権団が改革状況の審査を中断しました。先にWikileaksが暴露したように、IMFは欧州連合が決めた支援策に必ずしも合意しておらず、火種がくすぶる状況に変わりありません。独国ではタックスヘイブンに資金を移している企業への優遇措置を停止する、といった規制強化案を検討し始めています。税逃れは許さない、という態度ですが、この動きがすすめば企業は減益要因となってきますし、投資マネーも縮減する可能性がある。タックスヘイブンを通じたマネーの流れが停滞し、課税されるとなれば投資を手控える層もでてくるからです。特に企業など、業態を拡大して投資してきた層には厳しいのでしょう。
露国やブラジルなど、一部の新興国は現状、安寧を得ています。一時期より原油安も下げ止まりが見えており、増産凍結の協議がうまくいくことに欠け、資金がもどっているためです。しかし仮に増産凍結で合意できても、合意破りをする国がでてくるのが、産油国のこれまでです。そもそも需要見通しが正しいのか? を含めて、今の安寧は、実は楽観、悲観の循環の一つでもあるのなら、ふたたび資金流出に見舞われる懸念がでてくるのでしょう。そのタイミングは今週の合意内容、その辺りでまた転換点がでてくるのかもしれません。

米国の2月卸売り在庫が0.5%減となりました。2月の小売は伸びていないので、余計に気がかりです。生産調整なら、16年の2Qには生産で好調、となるのでしょうが、今のところ季節調整の影響という評価でまとまっているようですが、これがドル安による海外から米国への出荷を抑制しているようなら、それは米国への輸出の多い国には打撃となっているはずです。米国経済も堅調とされながら、どこか不安も漂う中、ドル安の功罪はこれからなのかもしれません。
さらに世界各国で囁かれだした年金不安。日欧がマイナス金利に陥る中、運用を糧とする年金、保険業などはかなり深刻な打撃となっているはずで、将来の社会不安に直結してきます。ここに来てパナマ文書が5月にも本格的に公開される。政治家の脱税疑惑が、その国の政治を混乱に貶める可能性すら指摘できます。英国のキャメロン首相しかし、中露も同様でしょう。いくら情報統制で抑えこんでも、どこかから情報が入り、国民は知ることとなる。国民には年金不安が、政治家などの富裕層はタックスヘイブンで資産を増やしている、などとなれば間違いなく、怒りの矛先は政治に向かうでしょう。これは日本も同様です。今のところ政治家の名前はありませんが、企業の名前はでています。国民には課税強化、企業は法人税の引き下げ、と使い分ける安倍政権の下、企業への怒りの矛先が向かいかねない。不買運動や利用をしない人が増えれば、それは新たな社会不安ともなってくるでしょう。世界は今、タックスヘイブンの問題から、タックスヘルの時代へと転じるのかもしれません。税制の考え方、よくよく注意しないと今後も政治の混乱を生みかねない問題となってくるのでしょうね。



analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年04月09日

衆参同日選挙の材料は・・・

おおさか維新が足立氏につづき、丸山氏も民進党批判をはじめました。安倍自民への援護射撃と同時に、政党支持率で3、4位にとどまる焦りも見え隠れします。橋下氏が政界にもどらない、と発言すればするほど、お維への期待も萎みます。しかも主張が自民に近く、支持層がかぶる。自公を蹴落として支持を集めることができない以上、民進を貶めて票を減らし、のし上がるしかない。しかしお維は先の分党以来、かなりガラが悪いとみられており、悪態をつけばつくほど下品、野蛮との評価が定着する。今が左派政権なら、思い切り右にふって少ない支持層でもそれを取りこみ、議席を得るという手はあるものの、右派政権でそれをすると、逆の効果がおきかねない。何かしなければ埋没…そんな焦りでケンカばかり吹っかけていると、橋下氏ぐらいのケンカ上手ならまだしも、どの党からも厄介ものと敬遠されるばかりとなるのでしょう。

そんな民進党も迷走中です。さくらの木構想とも呼ばれた比例統一名簿への不参加を執行役員会で決め、また消費税の再増税に対する見解もだせずにいる。岡田代表は野田前首相に配慮しているとみられますが、国民の7割がNOといい、世界の経済学者も否定する中、政治決断というにはよほどの理由が必要です。財政健全化には絶対に必要、というなら財政全体を説き起こし、国民への理解をもとめる態度と行動をとらなければならない。そこまでするなら再増税を訴えてもよいのでしょう。しかし野田氏を初め、そんな説明は聞いたことがない。大変だ、というだけでは理解もできませんし、何より国民は安倍ノミクスで所得移転がおき、苦しんでいる。所得移転なのですから、どこかがプラスになっている、そこからとることを優先させるべきです。
安倍首相は桜を見る会を開き、自身の政権運営を「八重桜のように6分咲き」と語りました。八重桜だろうとソメイヨシノだろうと、桜はパッと咲いて散る。3年経っても6分咲きのはずもなく、参加者も苦笑したことでしょう。むしろ政権運営に暗雲がただよい、少しでも長くつづけたい、との願望がにじみ出たのでしょう。ただ6分咲きだろうと、ぽきりと折れるときは折れる。桜はそれほど丈夫な木ではありません。むしろ比喩がおかしく、儚さを愛でるのが桜なのです。

少し悪い噂を耳にしました。今、消費税の再増税の再延期が、衆参同日選挙の争点とのみたても多いのですが、安倍政権は再増税はする。その代わり、ヘリコプターマネーを争点にする、という話です。規模は推測ながら、国民1人当たり10万円ほど、1年間だけ使えるマネーを発行する。強烈な需要喚起と、インフレ策になりますが、それを争点に衆院解散をするなら、自民に票が集まる。まさに票をカネで買う形になるのではないか? この噂の根拠は、核サミットの訪米時、バーナンキ前FRB議長との会談をもったことで、ヘリコプターマネーを奨められたことだと言います。
日銀がマイナス金利を導入し、政府が国債を発行しやすくなったこと、財務省が紙幣増刷を決めたこと、色々と符合する材料もあります。しかも評判が悪く、発行ミスも重なって利用のすすまないマイナンバーを用いてお金をうけとる、などとすれば普及をすすめたい財務省も合意する。しかも単年度では終わらず、翌年、翌々年と景気回復とインフレを達成するために行う、ということも可能。まさに何でもアリ、とんでもない政策が出てくるかもしれない、というのです。

『1年間だけ使えるマネー』というのがミソで、一般会計にも含まれない、政府が勝手に発行する紙幣ですから、何でもアリなのです。この手法の問題点は、ハイパーインフレが止まらなくなる恐れがある点と、政府への信用がすべてですから、それが崩れたら日本そのものが破綻する恐れのある点です。八重桜の6分咲き、自分の終わりは日本の終わり、華々しく散ってその儚さを愛でて欲しい。そんな強引な手法がまかり通るなら、今度こそ日本の危機と呼べるのかもしれませんね。

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2016年04月08日

消費動向調査と景気ウォッチャー調査

栃木の小1女子児童が誘拐され、殺害された事件の裁判で、宇都宮地裁は無期懲役の判決を下しました。今回は取調べのビデオ映像が証拠として提出されましたが、最低でも弁護士は映像をすべてチェックでき、反論できるようでないと片手落ちでしょう。検察官の威圧、誘導が確認できるかどうかは、映像をすべてチェックしないと判然としない。一部だけ切り取って編集されてはダメなのです。取調べの映像は検察のためだけにあるのではありません。検察、弁護士、双方のダブルチェックがあって、双方が証拠として用いることができて、初めて機能するのですから。

3月の消費動向調査が発表され、項目すべてで改善、指数も前月比1.6pt上昇の41.7となりました。しかし2月に大幅悪化した分をとり戻せておらず、3月は株価の落ち着きもあって判断が改善したものとみられます。株価が上昇を促したなら、4月はふたたび悪化するかもしれません。少し気になるのは、物価見通しで上昇する、と回答した割合がじわりと増えた点です。2%未満の物価上昇をみこむ割合が、ここ半年で最多となっており、低インフレを予想する人が増えてきています。
3月の景気ウォッチャー調査は、現状判断DIが45.4と前月比0.8pt改善。項目別でも小売以外がじわりともどす形です。先行き判断DIが46.7と前月比1.5pt悪化。こちらは項目すべて悪化です。地域別でみると現状は近畿圏以外がすべて改善、逆に先行きは北海道以外がすべて悪化。北海道が改善したのは、新幹線効果を期待した面が大きかった。ただ現状、乗車率が低いなど、思ったほどの効果は上がっていません。全体でみると、3月は株価も小康、為替市場も落ち着き、どこまで落ちていくか、という不安もあった2月よりはかなりマシ、という判断が目につくようです。

しかし今の株価は16000円を割れ、為替も108円台。ただ今日の株価は日系、米系の2社が買い一辺倒でワンツーを決める、という買いの特異日にあたり、マイナーSQなどの諸々が重なって反発したものの、Fリテの急落のように輸出企業ばかりでなく、小売関連の業績にも不安を抱えます。反発力も弱く、マイナーSQを除くと2兆円かつかつの売買代金は、上値の重さを意識させる。為替市場も「麻生財務相の発言で…」などと反発の理由も語られますが、昨日まで政府要人の発言は無視して、今日になって急に意識することはないでしょう。本邦勢による円売りが入って、買い方の利益確定売りがでたに過ぎません。買い方にとって今はまだ本格的にケンカするタイミングではなく、じわじわと円の水準を切り上げておく。本邦勢は年度の切り替えで、為替予約を入れるタイミングもあって、円高は容認できない。奇妙な思惑の一致があっての切り返しです。
ただ2月の国際収支状況は2.5兆円近い黒字。恒常的には円高圧力がかかり易い地合いに変わりないのです。しかし貿易収支をみても、前年同月比で輸出が5.5%減、輸入が14.6%減。確かに昨年の原油相場はWTIで1バレル50$、今年は32$、為替は昨年が対ドルで119円、今年は114円ぐらいですから、その影響があるとはいえ、輸出も輸入も減少するのは、国内経済の低迷を意味します。さらに気になるのが、国際金融収支で対外直接投資が増えていること。今の円高で、この部分が相当に傷んでいるとしたら、内需はさらに冷えこんで行くことも予想されます。

最近、どの統計でも目立つのが需要不足です。景気が悪いことがよりはっきりしてきて、世界全体が情報統制、政府首脳への個人崇拝を高めて国家を引き締めにかかっている。中露などまさにそうです。翻ってこの日本でも、安倍政権はそうした手法が目立ちますが、残念なことに実体経済の悪化が、その悪い夢から国民の目を覚まそうとしています。そうして個人崇拝を高めよう、との試みは国内を引き締めても、外国人投資家は逃げ出していく。マネーの逃避と、政府首脳への信頼と。そのバランスが崩れると日本のように、政府首脳への不審が一気に高まってしまうのでしょう。政府の政策の可視化、それをメディア、国民がダブルチェックできる仕組みがない限り、政治と経済は双方のバランスを崩し易い、ということでもあるのでしょうね。

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2016年04月07日

TPP審議入り

週刊新潮が中吊りで『パンドラの箱を開けた民進党の山尾政調会長…』との見出しをうち、今週号でも山尾氏を追及する記事を載せるようです。ただ先週号でも気になったのは、山尾氏のケースを異常とするものの、他の政治家を調べた形跡がなかったこと。これは山尾氏を狙い撃ちして調べた、としか思えませんが、今週号では菅官房長官も並べてきた。結果、与党も追及しなければならなくなり、むしろパンドラの箱を開けたのは新潮側となります。安倍首相が毎年600万円近いガソリン代を計上していることを『異常』と報じなければ、先週号がウソになってしまいます。最初から比較のために、安倍首相や閣僚も含めて調査し、正常な例として記事をまとめていたら、こんなことになっていなかったのでしょう。もしかしたら新潮が開けたそのパンドラの箱、最後に残っているのは白紙の領収書、になるのかもしれません。

官邸では第4回国際金融経済分析会合が開かれ、ジャンティロール教授が招かれました。氏のバブル代替の理論では、長期金利が成長率を下回る状況は資源が有効に利用されていない、バブルを生み易い状況、とします。その結果、株や不動産でおきたバブルの代替として国債でバブルが起きているのでは? と日本では懸念される。重要なことはバブルはいずれ弾ける、ということです。国債バブルが弾けたとき、金利の急上昇で資金繰りが急速に悪化し、また国も利払い費の増大に財政を圧迫される。遠くない未来、それが起こることを予感させますが、会合は冒頭以外が非公開で、内容が伝わりません。むしろ国民がもっとも知るべき情報なのかもしれません。
そんな知るべき情報がもう一つ、国会審議がはじまったTPPです。黒塗り資料で、会談内容は不明。それどころかタイトルまで黒塗りで、その上に切り張りする、という徹底ぶりです。これでは違う資料を黒塗りで提出しても、わからないでしょう。「公開しないと国と国が約束した」としますが、これは不平等条約を政府がむすぼうとしても、チェックできない前例になりかねないものです。国会が承認するまで内容は非公開、など異常な条約であることがこの時点でも明白です。

米国ではすでにTPP反対が主流です。米国の雇用が奪われる、として国民に反対の声が根強く、大統領候補でも米共和党のケーシック氏ぐらいしか賛成ではない。トランプ氏が過半数を獲得できない場合、すべてリセットして再投票ですから、ケーシック氏が勝利する可能性はあります。ただし、現状ですら泡沫扱いのケーシック氏が大逆転したら、半年に亘る候補者選びは何だったのか? 米国民とて疑問を抱くことでしょう。また民主党のクリントン氏が勝利したら、現実路線に立ち返ってTPP容認に動く、などという観測もありますが、楽観に過ぎます。就任直後から茨の道になる、議会と対立するそうした選択肢をとる可能性は、ほとんどありません。
米国が履行しなければ発効されないTPP条約、現状では政府もやる気がないのでしょう。米大統領選が今の状況になるとは、予想もしていなかった。そんな甘い見通しで通常国会を始めたことが、ここに来て痛撃になっています。しかし安倍政権、こうした見通しの甘さは常のことであり、ここに来てそれが目立ち始めただけのこと。将来を壊すことばかりしているので、過去の情報もだし渋る。時間軸に自信のない政権であることが、すべての根本にある致命的欠陥です。

今日は急速に円高にむかっています。G7前後で、介入できるものならしてみろ、という外国人投資家の自信がそこには見え隠れする。急激な変動には介入できる余地を残すものの、そうならない範囲ではしっかり円高に動かしてくるのでしょう。そして円高となれば、TPPで関税障壁が撤廃されると、続々と日本企業は海外脱出することにもなるのでしょう。見通しの甘い政府による、今が壊れて行く過程。それが起こっているとするなら、パンドラの箱に残されているのは、無謀のツケ、ということになるのかもしれませんね。

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2016年04月06日

今さら「安倍ノミクスを成功させる会」???

安倍首相が代表をつとめる選挙支部が、毎年ガソリン代を500万円以上請求していたことが報じられ、急に民進の山尾政調会長を攻撃していた産経系のメディアが「ガソリン代を100万円以上つかうことはよくあること」との論調を用いだしました。プリカはあまり用いられない、などと苦しい追求をもちだしますが、安倍氏の支部の保有する車は一台だけ、とみられることから、地球13周分もしてしまう。毎年選挙カーを借りているわけでもないでしょうから、選挙の1年だけ230万円を越えた山尾氏が問題であるなら、安倍氏の方がよほど悪質性が高いともいえます。
こうした問題ではいつもそうですが、野党を追及すると、より大きな問題となって与党にはね返ります。その原因は簡単で、与党議員がやっているから大丈夫だろう、と野党議員はこそっと行う。野党議員は違法性が問われると、行政と結託した与党よりも弱い立場にあるので、どうしても規模が小さくなる。与党議員はそうした不安がないので、違法性を問われることなどあまり気にしない。結果、同じ問題でも与党議員の方がより額も規模も大きくなってきます。新潮も産経も、公平ならば同じ疑惑が問われる閣僚にも同様の追求をしなければ、報道人として恥ずかしいと言えます。山尾氏は会見を行っていますが、安倍氏を初め、山尾氏より金額の大きなガソリン代を計上している閣僚は、記者会見すら開かないのなら、政治家として恥ずかしいと言えます。

そんな自民で『アベノミクスを成功させる会』議連なるものが立ち上がりました。3年も経って今さら? と誰でも思いますし、いくら効果に遅効性のある政策だとしても、ふつうなら果実が少しずつでも実感できるはずです。ここで『成功させる』などと言う時点で、もう『失敗を認めた』も同然なのです。言葉を代えれば、これは『アベノミクスを失敗のまま終わらせない会』であって、策を弄して失敗と評価されないような工作を考える、という会でもあるのでしょう。
くり返しになりますが、安倍ノミクスが失敗した原因は明らかです。円安にして輸出増、金利を低くして設備投資、不動産投資を増やす、資金を供給してインフレにする、すべてサプライサイドを活況にして、それを下流へと行き渡らせる、という流れです。しかし結果は企業は内部留保を溜めつづけ、政府から突かれて渋々賃上げに応じます。株や不動産が上昇して資産が増えた富裕層も、積極的に消費はしない。格差は広がる一方で、こうした手法には限界がみえています。

実は、安倍ノミクスを失敗させた原因もまた、安倍政権内部に隠されています。それは小泉政権時代から、竹中氏が米国型の市場経済を導入しようとして推奨した「儲けて何が悪い」との発想です。企業は、政治が勝手に円安にしてくれてラッキー、内部留保を貯えて何が悪い! という発想ですし、富裕層も政府が勝手に株高、不動産高ししてくれてラッキー、ぐらいの考えです。それを労働者に還元したり、消費してばら撒く、などという発想はない。自分だけが「儲けて何が悪い」と、開き直ってしまう。だからサプライサイドで効果が止まってしまうのです。
つまり小泉政権の発足前までなら、企業は公共性や公共の利益を優先する傾向もありましたが、株主重視、利益偏重の時代になって、そうしたものはコストとして疎まれるようになりました。人件費も同様です。リストラや非正規の拡大で、人件費を低く抑えた経営者が評価される時代となり、従業員を大事にする経営者は評価されない。そんな時代になったのに、一生懸命サプライサイドを潤す政策をとるのですから、上流側は潤うものの、下流側は苦しいまま。苦しいまま、どころか増税とインフレで削られまくり、さらに生活は低レベルに陥らざるを得なくなったのです。3年経っても「実感がない」がほとんどの世論調査で70%を越すのも、こうした政策の失敗の影響なのです。つまり第一次安倍政権がつくった負の流れが、第二次安倍政権の今、安倍政権を苦しめている。まさに因果応報、それが安倍ノミクスを台無しにした、といえるのです。

そうはいっても、安倍政権は株価を金科玉条の評価項目のような扱いをするので、結果的には市場経済どっぷりと言えます。企業がコストを抑えて収益を上げることと、人件費などのコスト増を容認することは、実は性格の異なる二兎を追っていることになります。高度ながら、二兎追いが可能となるケースもあるでしょう。しかし安倍ノミクスはそれに失敗した。昨日も、安倍氏が海外紙に「通貨安競争はしない」と述べ、それが円買いの材料とされたように、やること為すこと逆方向のバイアスがかかるようになりました。これは海外で、多くの市場関係者は安倍ノミクスは失敗、とみなしている証拠でもあるのです。何をやっても上手くいかない、そう思われているので、上手くいかない材料探しをされているのです。『安倍ノミクスはまだ成功とか言っているのかい?』、海外からはそうバカにされているだけなのでしょうね。

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2016年04月05日

雑感。市場の下落とパナマ文書

2月毎月勤労統計の速報が発表され、現金給与総額は前年同月比で実質で0.9%増となりました。所定内給与は0.6%増、所定外は0.4%増、特別に支払われた給与は25.7%増です。ただこれは閏年の効果も含まれるので、手放しで喜べません。総実労働時間は0.5%増であり、閏年効果と、トヨタの操業停止の影響がそれを相殺した面もあります。結果、1日増えた割には大したことない結果です。
今回、昨年末の賞与の実績が公表されましたが、調査産業の合計で0.3%減でした。実は安倍政権になってから、2014年に1.9%増だったものの、13年は0.1%減、発足当初の12年は1.9%減です。つまりトータルで年末賞与は、安倍政権下では減少していることになります。製造業だけでみると3年連続の上昇ですが、円安効果が大きいものの、内需への波及がないことはこの辺りからもはっきりします。安倍ノミクスで賃金が増加した、などというのははっきりと数字からも否定されます。

今日の株式市場は大幅下落で、16000円をあっさり割りました。買い方にとっても防衛ラインとしては弱く、円高に伴う企業収益、海外資産の目減りなどを考慮すれば、まだ底値はみえません。昨年の夏場以降、活発に買ってきた日系も新年度入りして戦略を変えたのか、水準感を変えたのか、6日続落にも大きく寄与する売りを見せており、週末のマイナーSQも読みにくくさせます。
昨日から注目されるのがパナマ文書の公表です。プーチン露大統領の親族、中国の習主席の親族を初め、海外の富裕層がタックスヘイブンを利用して金融取引をしていたことが、公表されました。この問題の厄介な点は、違法ではないものの要人たちにとって首を絞めかねない悪評につながることです。国民は税金を納めているのに、要人が租税逃れをしているなんて、退陣要求がおきかねない。事実、そうした動きが起きている国もあります。そして富裕層が安易に素材回避地で運用しようとしていた動きに、楔を打ったこと。これは市場から資金を回収する動きにつながります。富裕層マネーの不活発化、市場が嫌がる材料がここにきて、重なるのです。

そんな中、財務省が今年度に印刷する一万円札が、前年度比1.17倍になる計画です。日銀のマイナス金利でタンス預金が…とも語られますが、廃棄するお金を減らせば、市場に滞留する資金量は間違いなく増えるので、これは禁断の紙幣を刷りまくってインフレにする手法、にもみえてしまう。実際にどうなのか? 今後の推移を見守る必要もありますが、安倍政権ではその禁断の手をつかう可能性があり、要警戒です。何しろ脱デフレを促す手はもうそれしかないのですから。
オイルマネー、チャイナマネーがここまで変調してきましたが、ここに来て富裕層マネーもタックスヘイブン問題で変調を来たす。そうなれば世界はもう一段、下を試しにいくことになるでしょう。日本の要人がタックスヘイブンを利用して、資産運用していなかったことは先見の明なのか、賢明な判断だったのか、それともただの無知なのか。想像できるところは『ただの無知』とみられる点が、この国の経済知識の乏しさ、を政治家からもうかがえると言えるのかもしれません。

日米の実質の金利差縮小で、さらに円高に向かうのでは? という恐怖感。海外の経済学者に聞かないと、何も出てこない経済政策に対する失望。あらゆるものが、相場の下押し圧力を高める事態といえるのでしょう。世界的には悲観の極から楽観に転じて、1ヶ月半も経たずに悲観に巻き戻されるのか? そうなると確実に相場は下落トレンド入りが鮮明になることでしょう。悲観、楽観の循環が速くなりつつある。夏ごろには大きな動きがおきる可能性もでてきました。その動きは、決して楽観方向なものとはならない点も、さらに市場を不安にさせるのでしょうね。

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2016年04月04日

黒田バズーカから3年

週明けの東京株式市場は、何となく底堅かった印象があります。先週末、日銀短観によって急落した反動もありますが、米系大手による日経225売り、TOPIX先物買いで、やけにTOPIXに偏った買いをみせたことも、相場を歪ませた面があります。核保安サミットで訪米中の安倍首相が、世銀総裁やグリーンスパン元FRB議長などを招いた会議で、余計なことでも喋ったか? とも思いましたが、額が少なくてそうした戦略性は感じませんし、現物株は2兆円かつかつ、盛り上がりにも欠けます。一旦は売り過ぎた分を買い戻す流れだったのかもしれません。

そんな中、経済財政諮問会議で骨太の方針のとりまとめに向けた提言案、が明らかにされました。1.国際協調にむけG7で日本が積極的役割、2.定率減税、3.安倍ノミクスの成果の活用方針の明確化、です。まず1は、安倍氏もよく語りますが、G7でもっとも成長率の低い日本が、どんな役割を果たそうというのか? 積極的な財政出動を促す、としても、日本は元々毎年補正予算をくんで、財政出動をしている。それにいくら上乗せするつもりかは分かりませんが、一時的に財政出動すればGDPの下支えにはなっても、景気を浮揚させる効果はありません。むしろ効果のある手を打てる見込みがないのです。額だけ、見栄えだけ飾るならむしろマイナスでしかありません。
2の定率減税は最悪でしょう。富裕層優遇との認識が強まりそうです。そもそも海外の経済学者からも、日本では格差が広がっていると指摘される中、さらにその傾向を強めることにもなる。しかも財政再建に後ろ向き、との認識が強まれば、国債の格付けにも影響してくるでしょう。ひいては日米の金利差がさらに縮小し、円高になりかねない。消費増税の延期や、減税をセットでうちだすことは、合わせて歳出改革をセットで表明し、財政再建路線を堅持しなければ、諸刃の剣になりかねないのです。3はもう論外でしょう。今年度は税収増もみこめず、成果の欠片もありません。

今、不思議なことが起きていて、日銀がつくった『5分で読めるマイナス金利』が、安倍ノミクス支持の経済学者と、ほぼ同じ論調をとっている点です。金融機関は健全だし、これまで儲けてきたから、多少は収益が下がっても大丈夫。こんな論調を日銀がとること自体が異常ですし、安倍ノミクス支持の経済学者と軌を一にすることは、本来は市場をリードする立場にある日銀にとって屈辱でしかない。経済学者の一部の意見を採用することはあるでしょうが、口をそろえて同じ意見、というのは世論操作のための号令がかかったとしか思えない。そんなものを日銀が『5分で読めるマイナス金利』などと、堂々と掲げた時点で、中央銀行の独立性は放棄されたのでしょう。
国際金融経済分析会合で、スティグリッツ氏が指摘した法人税減税は無意味、との指摘は各メディアも無視しますが、定率減税をうちだす前に、法人税減税を停止し、むしろ課税強化すべきでしょう。それに格差問題解消のため、上流側への手厚い支援を止め、下流側をいかに潤すか? それを考えれば定率減税ではなく、定額減税にすべきです。未だに富裕層を潤せば、消費が活発化して…などと考えているから、定率減税や法人税減税がでてくる。効果はないのに、です。

『5分で読めるマイナス金利』、簡単な問答形式の文章ですし、中身は薄いので1分程度で読めてしまいます。ただし、これで本当に読めるのは日銀の底の浅さ、知性の欠落といった重大な問題点です。〆の言葉は「『マイナス』という言葉の響きが悪かったのかも…経済はよい方向に向かっている…この政策はとても強力です。いずれ『プラス』の効果がはっきり出てきて、明るくなってくると思います」です。そのプラスの効果が何か? ははっきり示されておらず、出たトコ勝負のような印象は否めない。不動産投資、設備投資、経済も悪いのに、そうしたものへの投資が増えれば、いずれ不良債権化することでしょう。好循環、とよばれるその最初の循環の一回転目、がそもそもおかしいのですから、明るくなることは一切ないのでしょう。
日銀の黒田総裁がバズーカを放ってから、今日でちょうど3年です。物価は円高効果で、今後もどんどんマイナスへと陥るでしょう。今の日銀を理解する上で『3年で読めた黒田バズーカのマイナス点』を掲載した方が、よほど国民理解はすすむでしょうし、あまりの馬鹿馬鹿しさに国民が呆れ、何かおかしい…という不安感から解放され、明るい気持ちになれるのでしょうけれどね。

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2016年04月03日

安保の議論とギリシャ問題

自民の高村副総裁と、民進の岡田代表が安保関連法廃止案について、高村氏が民進の側から「議論しないでくれ」と言ってきていると聞いた、との話に岡田氏が「誰が言ったか明らかにしろ」と、NHKの番組で激しくやり合いました。それにお維の片山氏が「与党も野党も審議したくないとの噂」と余計なことを言ったので、さらにヒートアップ。まず片山氏は噂なら、ここでもちだすべきではありません。余計に議論をおかしくします。そもそも高村氏は自民国対から聞いた、としますが、名前を出せなければ根拠レスとされても文句は言えません。そもそも、保育園落ちたブログの野次も、国会で根拠レスな情報は取り上げない、との取り決めに違反したから野次った、と自民は説明しています。国会の場ではダメで、公共放送の場では噂レベルの話、股聞きレベルの話をしてもいい、などと使い分けだしたら、国民は混乱するでしょう。国会議員の言うことの、何を信じていいか分からなくなります。しかもそれが民進の悪評をうながす目的だとしたら、余計にその根拠を示さない限り、攻撃されても已む無しとなります。
大きな問題は、高村氏も公明の山口代表も述べていますが、安保法案の議論をするだけで「日米同盟に悪影響」として、議論を封殺しようとすることです。その程度で悪影響をうけるほど脆弱な関係だったら、その方が問題ですし、安倍氏はこれまで何度も「日米同盟は強固になった」と述べます。その程度で悪影響をうけるごとき関係の、どこか強固なのか? という問題にもなります。国内で堂々と議論し、論破してみせると米国に胸を張って、それを米国も頼もしいとみてくれる関係こそ強固です。一方的な関係で、日本が議論すれば関係が壊れる、というならそれはもう上滑りな同盟、敗北主義そのままに媚態を演じているだけ、ともなります。この問題を安倍政権が語れば語るほど、安倍政権は日本を貶めている、そう感じさせるものとなっています。

Wikileaksがギリシャ支援にIMFが参加しない可能性を示す、電話会議の内容を暴露しました。債務減免がなければギリシャを支援せず、IMFがこうした態度を貫けば、ふたたび欧州債務危機の再燃です。これはすでに危機がささやかれるドイツ銀の存続にも影響する話でしょう。債務を減免すれば、ギリシャにカネを貸し込んでいた独銀にとって、負債を抱える話ともなってきます。
堅調と言われつづけてきた独国。製造業は中国との関係を深め、金融業は高い利回りをもとめてギリシャ国債などに投資し、緊縮財政下でも堅調を保ってきましたが、その限界が見えてきた。メルケル政権も国際機関との調整には、正念場を迎えるのでしょう。安倍首相がクルーグマン教授との会議で、余裕のある独国に財政出動を促すには? と尋ねたところ、クルーグマン氏は「外交の専門家ではない」と断った。しかしこれは、独国も今年辺りは危機に陥るのでは? との観測があったとしたら…。欧州は下支え役を失い、一気に下落するリスクを追うのでしょう。

独国の景気が低迷すると、ECBが高い格付けとして買ってきた独国債にも影響し、ひいてはECBの資本にも影響を与えかねません。今年辺り、国債を自己資本から外す流れが本格化するのかもしれない。それは欧州債務危機のような状況になれば、国債の価値すら怪しくなってくるからです。
安倍政権では、G7の前に財政出動を発表し、議論のイニシアティブをとりたいと考えているでしょう。そこに教授に聞いた独国に財政出動を促し、日独で議論をひっぱる、との戦略があったはずです。しかし欧州債務危機が再燃すれば、そんな目論みもふっとぶことになる。しかも、50兆円というバカげた規模の財政出動を行った中国は、今やみる影もないほどに失速し、財政出動にも光陰があることは自明です。世界が陥りつつある、金融・財政政策の限界。互いの思惑が複雑に入り混じり、解決策をみいだせない国際関係。そんな困難な状況に陥りつつある現状で、安保法制を国内で議論するだけで関係が悪化してしまう、脆弱な日米同盟にすがりつく国では、まず舵取りに不安を残す、問いことにもなってしまっているのでしょうね。

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2016年04月02日

核安保サミットの安倍首相

核サミットで訪米中の安倍首相が、記者との懇談で消費税再増税について「適宜適切に判断」と、ついに再延期に言及しました。新年度入りした株式市場が急落するなど、何らかの下支えをしなければ…と考えたのでしょうが、株式市場にはほとんど関係ありません。逆に絶対に増税する、G7や参院選までに言及がなければ、逆に売り材料にはされますが、今の判断は相当に織り込んでいることもあって、フラットです。そもそも、増税延期では景気押し上げ効果がありません。

そんな核サミットですが、安倍氏は演説で「日本は二度と(福島原発のような)事故を起こさないとの決意の下、原子力の平和的利用を再びリードすべく歩み始めた」と述べました。世界でもっとも厳しい規制基準をつくった、と胸を張りますが、送電を開始した途端に緊急停止した高浜原発4号機や、海底の活断層も考慮すべき、として大津地裁に稼動停止命令をうけた高浜原発3号機、それに朝日新聞に指摘された川内原発のモニタリングポストの問題など、日本が世界でもっとも厳しいのなら、世界はどんな甘い基準で原発を動かしているの? と不安にさせる事例が相次いでいます。逆に、本当に日本が厳しいのか? と疑わしいものでもあるのでしょう。
安倍氏は「高水準の透明性をたもってプルトニウムを管理している」「利用目的のないプルトニウムはもたない」としますが、政治が「高水準」などという程度の知れない言葉を用いるときは、大抵は基準が曖昧なときです。そもそもプルトニウムはIAEAの査察事項なので、高水準も低水準もありません。査察を逃れてプルトニウムを所有していたら、それは国際規制の違反であって、国際的な監視対象になります。今の北朝鮮や、少し前のイランと同じです。低水準の透明性でプルトニウムを管理していたら、それこそ国際社会から非難されていることでしょう。

それに日本のプルトニウムは、利用価値がありません。高速増殖炉の計画は、もうほとんど頓挫したも同然ですし、MOX燃料もその処分方法や受け入れ自治体の少なさから、利用はすすまないでしょう。それに最大の問題は、MOX燃料程度の処理量では、今のプルトニウムの量をまったく捌ききれないことです。それこそプルトニウムの平和利用先が新たに開発されない限り、日本はプルトニウムを未来永劫、管理するコストを負いつづけることになるだけなのです。
さらに凍土壁に着手した福島原発。東京五輪の招致時「under control」と安倍氏は述べましたが、未だに放射性物質の漏洩は止まらず、汚染水の処理もすすまず、もはやタンクの新たな設置場所にも困る始末です。下手をすれば福島原発の敷地をでて、避難地域までタンクで埋まって行くのかもしれません。安倍氏は世界がプルトニウムの「完全な透明性の確保」のため、支援して行くつもりだとします。「事故で得た教訓や知見を、世界に広げていくことが日本の使命だ」とも。しかし国民の耳はunder controlしているつもりでしょうが、世界の検証に耐えられるとは、福島原発の惨状はとても思えません。under controlは「制御下」という意味ですが、最近の安倍政権の支持率、世界的な評価をみるにつけ「支配力の低下」にみえてくるのは、単なる間違いという言葉では片付けられなくなってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

3月日銀短観

3月日銀短観が発表されました。思っていた以上に悪い、という印象が強く、相場は急落しています。現状判断DIは大企業製造業で6と、前回より6pt下落。大企業非製造業で22と3pt下落。中小企業製造業で-4と4pt下落。中小企業非製造業で4と1pt下落。先行き判断DIは同じ並びで3と3pt下落。17と5pt下落。-6と2pt下落。-3と7pt下落でした。総じて下落、中身も目ぼしいものがありません。
建設、不動産、木材加工など、住宅関連が伸びたのはマイナス金利で住宅市場が活況になる、そんな期待でしょう。しかし先行きではこれらの業種は軒並み急落、長続きしないと企業側がみていることになります。石油・石炭は先行きで回復をみこみますが、原油市場の落ち着きをみているとしたら、4月の会合後の動き次第で、これらの業種の見通しも変わってくるのでしょう。

企業の判断として、現状は供給超過にあるとみていて、先行きは横ばいとみている。そんな中、在庫も上昇しているので、将来に置いて生産調整がおこることを予想させす。しかし海外の需給判断、価格判断などは先行きに改善をみこみます。今が底で、将来は改善する。そんな期待が企業には蔓延しているのでしょう。そうした判断をする理由は後述することにします。
2016年度の売上高計画、経常利益は、大企業は軒並み悪化をみこみます。設備投資計画も大企業製造業だけ上昇で、3.1%増をみこみます。しかし中小は軒並み20%前後のマイナスをみこむ。大企業の設備投資が伸びるのも、海外の需給判断が先行きで改善をみこむのも、2016年度の想定為替レートが対ドルで117.46円であることが、すべての原因でしょう。現状でさえ112円、先行きはもっと円高になる、との予測もある中で、2月ごろの企業は117円にもどると見込んでいた。結果、この日銀短観はすべてこの前提で立てられたものであるため、信頼度が低い。むしろ割り引いて考えないといけない、という認識が市場にも広がりました。現状が2月の平均である114円から、先行きは117円になると考えているから設備投資もしよう、収益も改善するだろう、と企業が考えているなら、この日銀短観は大甘な見通しが述べられているに過ぎない、となります。

3月米雇用統計がでて前月比21.5万人増、失業率は0.1%悪化して5.0%。時間当たり賃金も0.3%上昇と、言うことなし。ただし、業態別の増減率をみると、やや事情は変わります。ドル安傾向にもかかわらず製造業が2.9万人減、一方で建設が3.7万人増。世界同時不況がみえてきて、需要喪失を恐れて製造業は雇用をおさえ、バブル化している不動産市場に集中している。米国経済も、実はかなり危険水域にあるといえます。不動産市場が崩れた途端、米経済も怪しくなるのでしょう。
しかしそんな米国に頼るのが、日本経済です。国内は総じて厳しいことは、日銀短観でも示された。それを映し、株価も軟化しています。PERが急速に悪化し、17000円がかなりの割高に見える中、日系の主体の見切り売りがでて、相場が崩れた。買い主体が見当たらない相場、それが最大の懸念です。今、市場関係者のほとんどが「最大の景気対策」と考えるのが、安倍政権の退陣です。外国人投資家がもう安倍政権を「ウソつき」と見なし、投資してこない。むしろいつか売ってやろう、崩してやろうとてぐすね引く状況です。その引き金をひいたのは、日銀のマイナス金利導入でした。サプライズのつもりが、サプ-LIAR(ウソツキ)になってしまった。安倍政権の施策は、どれもサプライサイド(供給側)に対するものばかりで、需要の掘り起こしにはつながっていない。法人税減税も、消費税増税も、広義ではトリクルダウンでさえ、まず上流側を潤せば、それが下流へと広がって行くという理論で、すべての施策が打たれているのです。日本の特殊な事情について、あまり詳しくない海外の経済学者ばかりに意見を聞くものの、大して有効な策も示してもらえず、また会議の内容をばらされるなど、裏切られつづける安倍政権。もうすでに日本経済に対するサプリメントもなく、ただただ海外からのサポートを期待するばかり、という時点でもう限界を感じさせるものでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 00:03|PermalinkComments(17)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治