2016年05月

2016年05月31日

4月の経済指標について

甘利前経済再生担当相の不起訴が、正式に発表されました。これで、検察が衆参Wに備えて組んだタイムスケジュール通り、今日の発表となったものの、官邸が衆参Wを見送ったために空振りだった、ということが判明しています。しかし甘利氏は早速、復帰を考えているとの声明を発表、国会は病欠だったのでは? と訝しむぐらいの豹変ぶりです。
消費税増税も2年半の延期と伝わりますが、東京五輪の特需があるから、衆参の選挙を経た後だから上げられる、などとも巷間語られます。しかし仏警察の捜査次第では、東京五輪は贈賄によって開催地を得たと不正を認定され、取り消されるかもしれません。東京は築地移転にもトラブルを抱えているとされ、2年半後は神のみぞ知る、といったところです。

4月の経済指標がいくつか発表されています。一般職業紹介状況で、有効求人倍率が1.34で24年ぶりとメディアの見出しは躍ります。しかし前年同月比でみると、求職者数が減り、求人数が増えた。これまで通りの労働人口の減少が影響しています。さらに最近では就職件数が10.2%も下がっている。雇用のミスマッチ、それに雇用条件の見合いの悪さなどが影響し、有効求人倍率が跳ね上がっているのであって、決して好感できるものではありません。特に、安倍ノミクスで円安となれば、企業は国内に製造拠点を移す、と喧伝されてきましたが、これでは企業は海外に逃げます。新規求職申し込み件数も11.0%減。圧倒的な労働力不足です。
しかも業種別でみると、教育、宿泊・飲食、医療・福祉、卸売・小売、と人材不足が顕著な業種は固定されていますが、ここに来て情報通信の余剰感が顕著になっています。一時期はアプリ開発などで盛り上がったものの、ヒット作に恵まれないこと、また国内のスマホ需要も一巡し、伸びも限られてきた。本来、ここで伸びる企業がでると米国のシリコンバレーのような形で高い成長も期待できるのですが、その部分が剥落しつつある点は、日本全体にとってマイナスなのでしょう。ミスマッチと成長産業の不在、がこの指標から読み解けます。

労働力調査では完全失業率が3.2%、という数字ばかり報じられますが、ここ最近で気になるのは15〜64歳の労働力人口で、男性は5万人減と減少傾向がつづくものの、女性は23万人増と堅調な伸びです。この数字について耳にしたのが、医療・介護、最近ではお手伝いさんの分野に東南アジアから女性を呼び寄せていることが影響しているのでは? との指摘があります。また男性と結婚して国籍を所得し、働く女性が多い、とも。政府にとってこうした動きは有り難く、日本で働く女性は本国に送金する。つまり円安を促す、ともされます。ただ、日本はとっくに移民政策を受け入れている、とも言えるわけですが、政府の課した日本で働く条件が、かなり厳しいことが知られており、新しい奴隷制度とも語られるこうした女性を増やすことが、本当に正しいのか? またそうまでしても労働力不足の現状は、最早国としての形を維持することさえ困難なのでは? とも考えてしまいます。
家計調査報告は、消費支出が実質で前年同月比0.4%減。熊本地震で大きく落ち込むと見られていたものの、意外と堅調な数字でした。前年同月でみて、教育への支出が突出して増えており、もしかしたら人材不足による授業料の高騰もあるのか? このあたりは判断も難しいところです。ただ、この家計調査で重要な点は、家計収支が前年同月比、実質で1.0%増となっており、しかも世帯主の収入が3.3%も上昇している。この流れが今年1年つづけば、人材不足による賃金上昇という形になるかもしれませんが、そうなるとリーマンショック級の危機前、という安倍氏の説明との整合がつかなくなる。これまでの配偶者の伸びで支えられていた家計収支に、今年度に入っておきた変化は、今後要注目です。

鉱工業生産指数も前月比0.3%の上昇と、熊本地震の影響を感じさせない堅調さでした。この4月の指標、全体でみると非常に堅調、震災の影響もなく、リーマンショック前といったこともまったく感じさせない。逆に、急に改善した部分もあり、これがどういう理由かはもう少しウォッチしなければいけないのでしょう。これまで「緩やかに回復」と言っていたうちは指標がかなり悪かったものの、「リーマンショック前」とつかいだしてからの指標の改善。ちぐはぐな経済認識も垣間見られますが、逆に増税シフトを布くために官僚が布石を打ってきたのだとすると、時すでに遅し、となったのかもしれません。それは甘利氏の不起訴と同じ、官僚の意図と安倍政権とのちぐはぐぶり、そう見るなら日本単独で政治がシステミックリスクを起こす寸前、とみなすこともできてしまうのでしょうね。

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2016年05月30日

株式の17000円台回復と、増税延期

甘利前経済再生担当相が、不起訴の見込みだと伝わります。これだけ真っ黒でも、起訴できないという不名誉な事実を警察、検察も抱えることになった。官邸からの圧力があったのかもしれませんが、これほど証拠、証言のそろった事件で起訴できず、真っ黒な人物が政治の世界にのこったら、政治にクリーンさや自浄能力を期待することは不可能、ということにもなるのでしょう。いずれにしろ大きな汚点となる、最悪の結末を迎えそうです。

しかも甘利氏不起訴見通しがこのタイミングででたことは、衆参W選の可能性をうかがわせます。いくら8月が時効とはいえ、不起訴なら国会閉会後でも発表はよかったはずです。起訴だと不逮捕特権など様々な要因もからみますが、参院選公示前ならいつでもよかったのです。これだけ国会を欠席しておいて、参院選のみであっても、神奈川選挙区に入って参院自民を応援する、などということをしたら、ますますこの人物への疑惑が増す。どうせ謹慎状態で、衆院選も行わないなら、むしろ参院選後の発表でもよかったはずなのです。
現在、与党内がもめています。増税延期なら衆院解散で信を問え、というのは先送り反対派が高いボールを投げただけでしょうし、衆参Wをしても議席を減らす可能性があり、反対派もそれほど強く要求するわけでもない。ただ公明など、創価学会を説得してきたのに、いきなり梯子を外されて面子をつぶされた。こうした小さな亀裂、不協和音が目立ちはじめてきたのは、安倍ノミクスは長期化すればするほどトラブルを抱える、そんな事情が影響しています。過去に語っていた楽観が覆され、現状と整合をとろうとするとウソが増えてしまうのです。

日経平均は17000円乗せですが、いつもの日系の頑張りで、欧米の休場で閑散市場の中で上げただけです。決して増税延期を好感したものではありません。円安もイエレン議長の講演の影響、とするものもありますが、そうしたものは27日の米市場で織りこみ済み。むしろ東京市場が開いても、しばらく円が同意づかなかったのに、突然思いだしたように110円後半にするすると動きだした。今日は円安、株高にしたかったのは、週末から本格的に動きだした『増税延期を好感した』というムードをつくりたかったのでしょう。しかも市場で語られ始めた景気対策10兆円、20兆円という話は、もはや夢と現実の区別すらつかなくなったようです。
増税延期は、政治の世界だけでなく財務省を敵に回します。2年半の延期の間でさえ財源不足に陥るのに、景気対策に回す予算などない。財務省はそう突っぱねることが必定です。税収の上ブレ分、と言ってみたところで今年は円安効果の剥落で、111円ぐらいでは減益になる企業も多い。しかも今年から法人税の段階引き下げが始まる方向であり、また賃金の伸びも低いままで、ますます税収の先細り感が強い。外為特会の余剰金など、これまでに手を突っこんでしまったものもあり、隠れた財布をみつけない限り、赤字国債の発行という道に踏みこまざるを得ません。景気対策と同時に、財源は赤字国債となると市場がそれをどう判断するかも分かりません。

4月の商業動態統計では、小売業販売額が前年同月比0.8%減。今後、インバウンド消費も横ばいか、昨年より下がるとみられ、小売業にとっての逆風は顕著になるでしょう。そうなると税収全体が下がる恐れが強いのです。実は、インフレになれば金額にかかる税金である消費税も伸びる。しかし再びデフレマインドが強まる現在、低価格消費の拡大は、消費税収でさえ減っていく方向になるのです。すべてが逆回転を始めた、安倍ノミクスの悪循環の始まりです。
つまり世界で唯一、しかも国民でさえそう感じていないのに、安倍政権のみリーマンショック前の危機だと感じているのでしょう。これまでの高飛車なのに、薄っぺらな経済政策を重ねてきたツケでそうなっているとしたら、これは『傲慢ショック』という日本のみの経済的危機症状だとも言えます。安倍ノミクスの逆回転、安倍ノミクスを逆から読むと『すくみのベア』。市場もあまりの経済の失政ぶりに萎縮して、弱気になる場面が増えることを示唆しているのかもしれませんね。

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2016年05月29日

オバマ大統領の広島訪問「良かった」が98%

自民党が消費税増税延期で揺れています。財務省派とみられる麻生財務相、谷垣幹事長は「延期なら解散すべき」と述べる。そもそも増税は、社会保障一体改革との兼ね合いなので「増税を延期します」で終わりではありません。その間に足りなくなる財源についても説明しなければいけません。そこに来て、1億総活躍プランでさえも財源を示さず、政策が打てるかどうかも分からない。消費税増税を延期したら、ますます財源が枯渇してしまいます。
しかも昨日も指摘したように、リーマンショック前の状況なのに景気対策の話もせず、国会を閉じてしまっていいのか? 増税延期は景気を悪化させない、という面ではその通りですが、政府がそんな危機的との認識なのに、放置して閉会はできないはずです。すると増税延期による、不足する分の社会保障予算の説明、景気対策をしないことの説明、これを行わずに閉会はできませんし、解散もできません。信を問う、以前にこれらの説明を尽くす必要があるのです。

共同通信の世論調査で、オバマ大統領の広島訪問を「良かった」が98%とでました。しかし違和感があるのは、私の周りではそれほど評価は高くなく、世界の非核化に具体策ゼロ、理念しか語っていない、など酷評も珍しくありません。かくいう私も評価は低い。オバマ氏が大統領に就任した直後なら、理念でもよいかもしれませんが、もう退任間近でこの薄っぺらな内容を語られても、だからどうするのか? がまったく分かりません。国民の98%が「良かった」とするほどのものではない。しかしこの結果、最近の世論調査の違和感とも共通します。
最近では世論調査で、携帯電話の番号にもかけるようになりましたが、某社の世論調査で応答があった1400件の携帯電話のうち600件の意見を採用、とするものがありました。土日に未登録の電話番号からかかってきてとることも稀なら、まともに応対していたら20分以上も時間がかかるのに、4割以上が回答する。特に自宅でくつろいでいる時間ではなく、を出先でバタバタする中ですから、尚更すばらしい回答率といえるのでしょう。それこそ営業職の人なら、非通知や見知らぬ番号でも電話をとるでしょうが、世論調査の依頼ならすぐ切るはずです。空振りが何件かは明示されていませんが、いずれにしろあまりに高い回答率に、逆に懐疑を生じます。

最近、日本会議についての解明がすすみますが、ここに来て分かったことは霊友会、立正佼成会、生長の家など、名だたる新興宗教の団体が名を連ねている。これは古参の仏教界でも同様ですが、安倍政権を支えるのは単なる保守ばかりでない、かなりの宗教団体が関わっている。確かにこれらの団体は、一面では自民の支持層でもあるのですが、日本会議のメンバーとなると、話も変わってきます。相当に強い形で、安倍政権を支える団体へと変貌しているのでしょう。
世論調査で分かること、それはよほど強固に答えようとする意志です。ただの政治団体だと、一部の熱心な人を除くと、そこまでの意志はないでしょう。しかし宗教を背景にした場合、上から指示されたことを貫徹しようとする。これに創価学会も加えて、与党系の宗教団体を数えると、およそこうした協力体制、そして世論調査のとり方にも合点がいくことにもなります。

古くは昭和14年、宗教団体法が成立し、日本に宗教団体が誕生します。そして設立された宗教団体は大日本戦時宗教報告会、という戦時体制の協力をもとめられ、それが今に連なる日本宗教連盟の祖形になったとされるのです。つまり、宗教は意外と政治、戦時体制と密接だった、という歴史もあるのです。世論調査の怪、最近では特にそれが目立つのは、こうした戦時体制の協力で一致した、宗教団体の存在もあるのかもしれません。日本の大多数の意見をまとめているように見えない世論調査、どこの意見をとりまとめているか、大方の予想もついてくるのでしょう。ちなみに、上記した新興の宗教団体は、この二本宗教連盟には加盟していません。だからこそ余計に政治に近づき、政治の力を利用したいと考えている、そう見るなら、協力することに力も入ります。こうした関係、「良かった」という人が何%になるか? 興味もわくところなのでしょうね。

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2016年05月28日

雑感。サミット後の市場の動きの不透明感

米国でイエレンFRB議長が講演を行い、経済は引き続き改善、今後数ヶ月で利上げをすることは適切、と発言しました。安倍首相が語った「リーマンショック前の危機」などという認識は示さず、利上げ時期の言質はとらせなかったものの、早期利上げを示唆したために6月の利上げ確率が高まりました。インフレ率も原油高とドル安で解消方向、と楽観的な見通しです。
昨日、閉幕したG7で安倍氏は「一致」としましたが、IMFのラガルド専務理事をはじめ、キャメロン英首相やオランド仏大統領など、とても「リーマンショック前の危機」と、世界が共通認識をもったとは思えない。むしろ言葉は悪いですが、日本の首相がバカなことを言っている、との共通認識では一致できたようです。しかもサミット時に安倍氏が提案した資料は官僚がまとめたわけではなく、安倍氏の私的な機関でもないでしょうから、内閣府で取りまとめたはずですが、あまりに的外れで見当違いな指摘をしています。よほど経済について無知なのか、確信犯で安倍氏に恥ずかしい説明をさせたのか、そのどちらかでしょう。しかし海外紙にまで「増税延期の材料にするための提案」と看破されるなど、本当に恥ずかしい限りです。しかも日本のメディアは面と向かって批判せず、お茶を濁す程度の指摘しかしていないのですから、尚更恥ずかしいといえます。安倍氏が第一期政権で掲げた「美しい国、日本」は、第二期に入って海外から嘲笑される「恥ずかしい国、日本」となって結実した、といえるのかもしれません。

しかし英訳で「柔軟な財政戦略」とされた首脳宣言で、財政出動はほぼ望み薄です。「財政政策」ではなく「財政戦略」としたことで、政策上明示されるものでなくとも、戦略を練るだけでも達成、となるためです。そもそも論ですが、日本ではやたらと「機動的な財政政策」とフィーチャーして報じられますが、3本の矢と言っているのですから、金融政策で今後、どういった手が可能か? を論じてもよかったはずですし、構造改革について議論しないのはおかしい。結果、非常に片手落ちのままサミットは終わり、問題は今後の世界経済において、下支え役もけん引役もおらず、一体何をテーマにしていくのかがとても分かり難くなりました。
今は原油相場の回復傾向を好感する向きもありますが、原油の上昇は経済の下押し要因に違いはありません。原油相場の上昇は資源開発企業や資源国の破綻による、金融のクラッシュは防ぎますが、消費を減退させる恐れがあります。今は不動産バブルで消費も堅調ですが、欧米でも転換点を向かえそうですから、そうなると原油相場はマイナスに意識されるでしょう。

問題は、金融政策が語られなかったように、黒田バズーカもドラギマジックも、市場が期待するようなものはもう出てこない。財政出動も限られ、構造改革はさらに期待できない。新興国は政情不安に陥る国もあり、中国のようにふたたび不動産バブルを加速させ、何とかジリ貧を防ぐ国はあるものの、先の見通しは暗い。今年の後半、何を材料にして景気が回復するか、誰も答えをもち得ない中で迎えなければいけなくなりました。つまり自律的に上昇するような奇跡があれば別ですが、停滞、もしくは下方圧力が強まる状況だとも云えるのでしょう。
奇妙な『危機』説で、世界を主導できなかった安倍氏ですが、この停滞懸念をきちんと説明し、コンセンサスをとっていれば、まだ成果と言えたのでしょう。世界経済が停滞すると、一番困る国でもある日本が、意見集約する機会をみすみす逃がしてしまった。そんな印象を強くします。しかも、これまで政府、日銀が示していた経済の認識について、大きく異なる認識を示した。そんな「リーマンショック前のような危機」なら、国会を閉じずに補正予算なり、景気対策について国会は話し合わなければいけないでしょう。6月1日に閉じたら、早くても臨時国会が開催されるのは9月以後です。実は、もっとも日本が安穏と何の対策もせず、3ヶ月を空費することになるのかもしれません。一番、危機意識をもって世界に訴えた首相であるのに、です。

株式市場は6月、FRBの利上げをにらんで動くことになるでしょう。来週末の雇用統計と、その翌々週のFOMCにらみで動かざるを得ず、利上げによる悪影響と、利上げできるほどの景気回復を、どう市場に織り込むかを図りながら展開せざるを得ません。余計に経済の悪化を意識させた安倍氏、むしろ「バカなことを言っている」という認識で、正解だったのかもしれません。もしそれがコンセンサスになったら、株式市場は大きく下落せざるを得なくなるのですからね。

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2016年05月27日

サミット閉幕と、オバマ大統領の広島訪問

オバマ大統領の広島演説、個人的にはあまり評価していません。弁護士出身で、演説のうまいオバマ氏ですからキレイごとはたくさんあります。唯一、評価するのは「私たちはこの広島の真ん中に立ち…歴史を真っ向から見据えなくてはいけない」という短い一文ぐらいです。全体は戦争の悲惨さを謳うばかりで、核の悲惨さにも、広島がその後辿った苦難にもふれていない。謝罪の印象を強めるから、と判断したなら、別に広島で行う必要はなかった、その程度の内容です。
最大に評価しない点は、8年近くに及ぶ任期で、語られたことの大半に手がついていないことです。言葉は飾れる、しかし行動は隠せません。しかも『恐怖のロジック』が戦争にいたるとしますが、米国が行っているのはシリアの反政府組織に兵器を横流しし、泥沼に陥らせている。ISILの台頭とイラクの混乱をもたらした。それはアフガンも同様です。戦争は恐怖だけではない、兵器を売り、勝者につくことで自分たちの権益を伸ばしたい、その理由でも起こる。米国はまさにそれをしています。そして「人類は平等」と語りましたが、その国が沖縄に駐留する米海兵隊のマニュアルとして、沖縄県民を卑下するが如き内容を教えている。その矛盾を考えるとき、どうしてもこの美辞麗句の裏に隠されたもの、米国益の最大化をはかるための目晦ましをされているような、そんな違和感の方が強く残ってしまいます。中東で米軍により犠牲になっている民間人も含め、行動の伴わない言葉だけの軽さ、それが美しければ美しいほど、個人的には憂鬱さを感じてしまいます。

G7が閉幕しました。安倍首相は「強い危機感を共有した」「安倍ノミクスを再加速」と述べますが、以前も指摘したように欧州はECBと中央銀行が独立しており、3本になりませんし、すでに限界を迎えている。米国は利上げ局面で、そもそも3本は成り立たない。安倍ノミクスが3本の矢と言いながら、実際にはそうでなかったから「最加速」なら肯けますが、そうなると失敗が確約されます。強い危機感を共有、という話にしても、同じ財政出動派とみられた仏国のオランド大統領は、サミット後に早くも「危機ではない」と述べるなど一致とはほど遠い内容です。
しかもメディアでは、首脳宣言の中に『機動的な財政出動』が盛りこまれたと報じられますが、『機動的でない』財政出動などあるのか? さらに英訳は『flexible』であって、直訳なら『柔軟な』です。ニュアンスがまったく異なる。これで財政出動で一致した、などと報じるのは、虚偽に近いのでしょう。3本どころか、各国は1本も日本の望み通りにするとは約束していない、これがサミットの真実です。そもそも経済政策において財政政策、金融政策、構造改革を駆使するのは当たり前で、安倍ノミクス自体が教科書の1頁目に書かれているようなことを、大層に言っていただけ、ということでもあり、かつそれに失敗したということにもなるのです。

『新たな危機に陥ることを回避する』も、至極当然のことを述べているに過ぎません。日本で報じられていることと、世界の受け取り方は大きく異なる。それがこの首脳宣言なのでしょう。もし本当に、安倍氏の意見が採用されたなら、株式市場がこれほど閑散に陥ることはなかった。これまでの国際会議でも散々語られてきた内容、その枠から出ていないので、むしろ失望が広がってもおかしくなかったのですが、今晩に安倍氏から「危機なのに利上げしようとしている」と、批判された形になったイエレンFRB議長の講演があり、待ちになりました。
つまりサミットは材料視されなかった、これが現実です。安倍ノミクスそのものが国際的なマーケットで評価も低いのですから、加速しようがしまいが関係ない、というところなのでしょう。安倍氏はオバマ氏の演説の後で「核兵器の無い世界を必ず実現」と語りました。しかし国連ではそれと逆行する動きをし、尚且つ今は武器輸出の三原則も見直し、防衛装備品と言い替えてまで、兵器輸出にのりだそうとしている。戦争廃絶という大きな枠組みを訴え、核廃絶への言及は少なかったオバマ氏、核廃絶にのみ特化した安倍氏、両者の思惑が微妙にすれ違ったまま、何となくそれに気づかず受け入れてしまっていると、危険なのでしょう。この微妙なすれ違い、どころかサミットでみられた国内向けと、海外向けの情報発信の強烈な違和感、差、これらが意味するものを正しく理解しないと、次の危機は読み解けない、とも言えるのでしょうね。

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2016年05月26日

G7における安倍首相の提案

またアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が起こりましたが、また車はプリウスでした。売れている車、ということはあるとしてもエンジンボックスが大きく、運転手の足元がせまいという構造問題があるなら、販売停止は行き過ぎとしても、注意喚起はしなければいけないでしょう。プリウス、最先端の車ではあるものの、負のイメージがつくのが嫌、というだけでそれを怠っていれば、車の暴走事故のたびにプリウスの後ろ姿の映像が流されることになります。

G7で、安倍首相が「リーマンショック級」との文言をつかって財政出動を促した、という報道があります。各国の説得に自信をもっていた安倍氏の、これが隠し玉だったようですが、はっきり言って的外れです。今はリーマンショック時と同じ、コモディティー価格は55%下落などと言いますが、率で比べても何の意味もなく、当時は需要蒸発、今は供給過多とまったく原因が異なります。しかも現在は、金融緩和により資源開発などに積極投資をした挙句、需要が減ったことと供給が増えたこと、その2つが重なっての価格下落であり、むしろ政策の失敗の意味ももちます。リーマンショックもサブプライムローンという怪しい金融商品を生み出し、その規制が遅れた米政府の失敗ですが、今回は世界全体が間違えた結果として資源価格が下がったのです。
しかも一部が反発した、というのも当然でしょう。ナゼなら米国は今、利上げをしようとする中です。リーマンショック時と酷似、などとみとめれば利上げはできませんし、今の米国の金融政策は間違いだ、とみとめることになります。安倍氏のこの提案、米国にケンカを売ったも同じです。この提案が国際的に受け入れられれば、晴れて消費税増税延期の旗印にできたのでしょうが、内容もおかしく時宜も得ていない、コンセンサスになることはないのでしょう。

これまでもオバマ米大統領は、安倍氏と話をしていても笑顔なく、仏頂面を浮かべたままです。沖縄で米軍属の事件がおきた後でもあり、浮かれた表情を封印している面があったとしても、安倍氏がホスト国として笑顔で対応するのとはあまりに対照的です。そこに来て安倍氏の隠し玉、この提案をどううけとったか。もしかしたら腸煮えくり返っているかもしれません。
今回のサミットで、メディアが軒並み『機動的な財政出動で合意できるか?』との文言を垂れ流すことにも違和感があります。財政出動は短期の下支えにしかならず、むしろ行うべきは構造改革、制度改革だからです。今、世界は不動産バブルが深刻化し、どこがその終息に失敗しても、危機が世界全体に及ぶ懸念はあります。財政出動でその対策を先送りするのではなく、制度を見直して緩やかにそれを収める。その策を提案すべきだとも云えるのでしょう。

これまでも現状の景気認識や波及経路に、安倍政権や黒田日銀は納得のいく説明をしてきませんでした。それがここに来て悪い方向に出てしまったのでしょう。ますます東洋の経済政策に失敗した国から学ぶことはない、と嘲笑を買ったことでしょう。近代型の不動産バブルを最初におこした国として、何も研究していない。提案もないのか? と。しかし安倍氏はこれで意気揚々と消費税増税の延期、を国内的に訴える手形を得た、と考えているのでしょう。残念首相の面目躍如、メディアが正しく批判しないから、自分の間違いにも気づけないのです。
今回の提案で、世界経済の危機として新興国の現状や資金の流入状況なども説明したため、結果的に中国など新興国のプレゼンスを高めた、との指摘もあります。G7では対応しきれない、そう述べたも同然だからです。明日、オバマ氏は広島の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花するといいます。その前に、安倍氏はオバマ氏にケンカを売った。同じ言葉の響きでも、大きな違いもあるのでしょう。日本の提案は、ブレーキとアクセルの踏み間違いを促すようなものです。何に歯止めをかけ、どこを加速させるのか。それを間違えたとき、リーマンショック級の危機が訪れる、ということにもなるのでしょうね。

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2016年05月25日

衆参W見送り報道と、サミット

明日にはサミット開幕ですが、その前に日米首脳会談が開かれています。オバマ氏は明後日に広島を訪問する予定ですが、元米兵で捕虜になった人物らも同行する、といいます。これで日本政府も戦争犯罪について言及せざるを得ず、米国が謝罪するという形を薄められる、というのですが、そもそも原爆が戦争犯罪に当たるのは、民間人に大量の被害がでることを十分に理解した上で、原爆を投下したことです。軍人であれば捕虜になるケースもあるので、これについてオバマ大統領、安倍首相がどういうメッセージを残すかは、注目されるところです。

そんな中、読売から衆参W選挙の見送りと、消費税増税先送りとの一報が流れました。直近の自民党調査で参院選のみでも勝てそうだ、となり、諸般の事情も考慮したというのですが、かなり違和感があります。今回、まだ野党の統一名簿さえ決まっていない、情勢が流動化する中でとった世論調査など、あまり意味を為さないでしょう。増税先送りも国民がどう受け止めるか分からない。サミットも議長国として、何の成果もなく終わりそう。株式連動内閣として、6月とも噂される米利上げがどう市場に影響するか分からない。不確定要因が多すぎます。選挙最優先の安倍政権が、そう簡単にW選挙の誘惑を捨てられるか、も疑問が残るところです。
むしろそう喧伝することで、野党に内閣不信任を出させ、それを大義に衆院解散をする腹ではないか。つまり安倍氏得意の「野党が…」という宣伝文句をつかい、消費税増税も先送りして、野党が提出した増税先送り法を形骸化し、焦点をぼかす。何を焦点にしても安倍政権の失敗をみとめざるを得ない、ならばもう「民共が…、内閣不信任が…」と、政策そっちのけで選挙をした方がいい。今回、公明が選挙に走っていないので、見送りとの認識も高まりますが、野党を油断させる腹かもしれません。サプライズのためならウソをつく。安倍政権の常套手段です。

そう判断させるのは、麻生財務相がルー米財務長官に語った「消費税増税は予定通り」との文言です。読売の報道が事実なら米国にウソをついたことになる。発言自体が虚構であるなら、日米が用意周到に衆院解散の道筋をえがいていることになりますが、オバマ政権に信頼もされていない安倍氏が政権をつづけようとする戦略に、米国が手を貸すとは考え難いのです。
サミットの共同声明の文言には「3本の矢」として金融政策、財政政策、構造改革の重要性が謳われる、とします。しかし欧州は金融政策が切り離されており、そもそも論として3本は成り立たないですし、ECBも限界を認識しています。日本はこれまで金融政策に頼り過ぎ、これ以上は弊害もめだつため、3本にはならない。財政出動の是非ばかりをとり上げ、各国の事情が違うから、などと報じること自体が無意味で、実は各国ともこの3つがもう成立しないから、財政出動だけをやっても効果が無い、と判断するのです。頼みの米国も財政出動は歓迎するけど、自国はやる気なし。大統領選の最中ということもありますが、金融政策が岐路にたつこともあります。

米国の4月新築住宅販売件数は、前月比16.6%増。販売価格の中央値も前月比7.8%増。すでにサブプライムローン問題前の価格を越え、バブル状態です。利上げを遅らせればバブルが深刻化する懸念がある。だから利上げせざるを得ない。そこそこの景気の強さでも、もうこのバブルを何とかするしかない、それが米国です。いくら共同声明で3本の矢などと語ろうと、もう現実は各国が協調することなどできないのです。これは各国の事情が違うからではなく、これまでの世界経済が金融緩和に頼りすぎたため、一部のバブルとそれ以外の分野の低迷と、難しい状況に追い込んでしまった、ということなのです。しかもその困難な状況は、日本でより深刻化している。そんな国が財政出動を求めても、自国の失敗のツケをこちらに押しつけるな、世界経済を良くすることで日本は生き残りをはかる気か、そんな目でみられているのです。3本の矢をうまく使って景気回復をはかることなど当たり前、それがこれまで出来ていない。やって来なかった人物らが集まるサミットで「これからは一生懸命やりましょう」といったところで、誰もウンとは言わないでしょう。論理自体が破綻しているサミット、だからそれを隠すためにも「野党が…」で解散したい、それが安倍政権の本音なのでしょうね。

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2016年05月24日

刑事訴訟法改正とヘイトスピーチ解消法

ブラジルではルセフ大統領が停職となり、テメル暫定政権が誕生しましたが、閣僚であるジュカ企画・予算管理相が自らが捜査対象となる事件について、最高裁に圧力をかけるかのような電話をしたとして、停職になる事態となっています。これをブラジルの特殊な事情と笑っていられない事態が、日本でも進行しているのでしょう。むしろ悪化している、という言い方が正しいのかもしれません。メディアへの圧力発言をする政権与党が、最高裁や警察、検察には圧力をかけない、というほど強い自制心が働くとも思えません。むしろより統制しやすい、と考えるでしょう。もう統制下にあるからこそ、司法への圧力発言がないと思って間違いありません。

国会では刑事訴訟法などが改正されました。司法取引の導入、通信傍受の拡大、そして取り調べの録音・録画の一部義務化、が含まれます。まず懸念されるのは栃木の小1女児の殺人事件でもそうですが、検察の側が有利な裁判資料にするために、録音・録画を用いるのではないか? という点です。全面可視化ではなく、一部である点や、それをどう公判で弁護士がチェック、弁護資料として活用をはかるか、その議論が曖昧に感じる点。そして通信傍受は対象の犯罪が拡大されましたが、運用次第で一般人の行動監視にも活用されてしまうのではないか? という点。そして司法取引は、弁護士立会いの下で行わないと、被疑者の不利な条件を、それと気づかないまま結ばれてしまわないか、という点です。
例えば実際に犯罪にたずさわっていれば話は簡単です。問題は、実際には行っていないのに容疑者にされるケース、つまり冤罪です。罪をみとめれば軽くて済む、そう誘導される恐れは否めないのでしょう。これまでも取り調べの過程で、そうした誘導が頻発しているともされ、罪を認めれば情状酌量、といった話はあった。それが今回の司法取引と、どう線引きされるのか? 司法取引だと思ったら、まったく刑罰が軽くならなかった、というケースもでてくるでしょう。さらに著名人や政治家など、大物弁護士をつけると、より大きな司法取引による軽減が行われるのではないか。それはこれまでも「社会的に制裁を受けた」として、罪一等を減じてきた司法の流れと、大差ないことになるのでは? とも勘繰れます。社会的に制裁をうけるほど、地位や名声のある人間が罪を犯したら、その責任の重さからも、より重い刑罰が必要であるにも関わらず、司法は逆をいっている。その流れが加速する懸念が拭えないのです。

ヘイトスピーチ解消法も成立しましたが、右系メディアは早くも「拡大解釈を懸念」と報じます。元々、国連などの指摘をうけて国会が動いたものであり、罰則がない以上これはザル。見栄え、体裁をととのえたのみです。拡大解釈どころか、行政はそのコストの拡大からも相談体制や啓発活動などの対策をとりたがらないでしょうから、むしろ地域社会にそうしたヘイトスピーチの対象者、団体をおきたがらない、といった排除の理論すら誘発しかねません。
上記の取り締まりの問題は、そもそも市民が対象ですが、舛添都知事の問題をみるにつけ、この国は政治家に甘い体質、法律であることがよく分かります。自分の趣味に税金の一部をつぎこんでも、自宅を事務所として税金から家賃を払っても、犯罪ではないといいます。ただケチ、と批判されて終わり。国民は明日の暮らしすらままならない人がいるのに、政治家はぬくぬくと税金で贅沢三昧。これが今の日本の現状、著名人や政治家などは優遇され、一般人は蔑ろにされている、との一つの結実した形でもあるのでしょう。

東京都民は舛添氏のことを「ケチ添、ハジ添」と呼ぶ人もいるそうですが、少なくともこれだけ報じられても「犯罪かどうか」を立証するのは極めて難しいなど、法治国家としての体裁すら危うくしているのでしょう。質素倹約によるケチであったら、これほど批判はされないのでしょうが、自分の金を使わず、税金で自分の懐を潤すなら、それはもうケチではなく下品というのかもしれない。ただそれ以上に、著名人や政治家が優遇される、というこの国は、ケチがついた、という意味では司法改革や刑罰の考え方を、もう一度再考する時期に来ているのかもしれませんね。

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2016年05月23日

雑感。2017年の人口動態統計

2017年の年間を通した人口動態統計が出てきました。出生数は2117人増の100万5656人で、出生率は8.0と前年と同じでした。29歳以下の出生数が減っていること、婚姻数が8653組減少し、63万5096組になっていることからみても、既婚者が第2子、第3子と増やす傾向も読み解けます。また出生数が増えたのは死産数が903胎減ったことも影響したのでしょう。人口が増えたといっても誤差の範囲であり、それ以上に離婚数が4091組増加するなど、婚姻数の減少とともに、夫婦関係の減少が今後の少子化対策にも暗い影を落とす数字といえるのでしょう。

そんな日本で歪んだ欲望にまつわる2つの事件が立て続けにおきました。沖縄で米軍属による女性暴行殺人事件がありましたが、2〜3時間も女性を物色して車を走らせるなど、異常なレベルの犯意です。しかも米軍関係者が「あれは兵士ではない」と自分たちは関係ないかのように語り、政府関係者が「タイミングは最悪」などと、被害者や遺族のことなど無視し、無責任で自己保全の発言をくり返したことも異常といえるのでしょう。いくら政府が「再発防止」を米国に『要請』しても、確約がうけられないことは必然です。どちらの政府にも当事者意識がないのですから。双方が住民感情をなだめる程度の条件で幕引きをはかろう、としていることが窺え、それも異常なのでしょう。国民を守るという第一義が大きく欠けています。
女性アイドルの刺傷事件もおきました。また警察が動かない、ファンとアイドルとのトラブルぐらいの認識で、結果として重大な事件を招いてしまいました。身近なアイドルが増えた分、勘違いする若者も増えた。明らかに今回は「付き合おう」として接近し、ふられたと感じて腹いせに襲っている。極めて深刻な事件であり、ストーカー防止法の不手際も指摘できます。

あくまで極論ですが、女性が安心して暮らせないと、子どもを生もうとも考えないでしょう。女性は子どもを生むためだけにあるのではない、との批判も聞こえそうですが、女性がいないと子どもが生まれないことも、また事実です。子どもを生みたいと考えるような、女性が安心して暮らせる環境作り、がひいては良い国にもなるのです。女性が安心して暮らせる国は、男性にとっても優しい国でもあるのですから。今回のような事件に、国がどう対処するか、再発防止をどうするか、は本気で取り組まなければいけません。『要求』や『要請』でお茶を濁している場合ではないのです。安倍政権の対応が後ろ向きな点がとても気がかりです。
人口減を促した死亡について、死亡率からみて何がもっとも増えたかというと老衰、です。おや? と疑問に感じるでしょう。確かに高齢者が増えたので、老衰も増えると思われますが、老老介護疲れで無理心中といったケースも耳にします。今後、ますます一人暮らしの老人が増えるとも予想され、いつの間にか亡くなっていた、不審死が増えていくと思われます。実は病死かもしれないのに、老衰に分類されるケースも増えるのかもしれません。結局それは、一人暮らしの老人を放置している行政が原因、という判断になるのかもしれません。

政府は出生率の増加について、2年前は景気がよくなった効果、という説明もしていますが、だとしたら今後はますます期待できないのでしょう。1億総活躍どころか、女性活躍さえも達成していない安倍政権ですが、まずは女性安心社会を構築するところから、対策を打たない限り、日本はますます衰退していくばかりとなるのでしょうね。

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2016年05月22日

自民王国の異変と、政局の話。

和歌山県御坊市で行われた市長選、自民党の二階総務会長の長男で、自公推薦の候補が落選しました。今回は二階氏に近い現職との一騎打ちであり、二階派の分裂選挙ともなりましたが、自公が推薦した候補が敗れたことは決して軽くありません。閣僚や稲田政調会長、小泉進次郎氏まで応援に入っても勝てない。夏の参院選、衆参Wになる可能性も含めて動揺も広がります。

あくまで噂として聞いた話を、少し広げて考えてみます。今回、安倍首相は衆参Wに打って出たい。しかし自民内には反対も多く、その筆頭が菅官房長官といいます。衆参Wにすれば勝てる、いやいやどうせ議席を減らすのだからやらない方がいい、という話ですが、ここで重要なのが衆院を解散する大義です。消費税増税の再延期は、野党の包囲網で打ちにくくなった。リーマンショック級、大震災級、どちらを理由にしても安倍ノミクスの失敗について触れねばならず、すでにメディアでも「安倍ノミクスは失敗」と報じるところもあるように、党首が出演しての討論番組などでも突っこまれるのは目に見えている。経済のことを覆い隠してしまうほどの大義、材料がないと大敗する可能性すらある。安倍氏にその策があるのか? という話です。
そこで出てくるのが、小泉進次郎氏を官房長官に据え、禅譲を約束することだというのです。つまり衆院選挙で今回、勝利を納めれば小泉官房長官の誕生と、次の衆院選までには安倍政権が退陣し、小泉氏を総理として推薦する。この策の肝は、小泉氏に次期首相というニンジンをぶら下げてウンと言わせることと、小泉純一郎氏から推薦をうけ、次期総理の道を開いた安倍氏が、それを返すという日本人が好きな人情話になる点、です。そして自民党のホープである小泉氏が次期首相になるなら…と、自民支持層の基盤固めになる。そして最大に安倍氏が願うのが、自らの存在を脅かすほどの力をもった菅氏を、体よく政権から追いだせる点です。

安倍氏としては後4年のフリーハンドを得られる。支持率が落ちようと、3年後の参院選に大敗する可能性があろうと、居座ればつづけられる。そして4年と期間が限定されることによって、元々やりたい憲法改正のみをフィーチャーして政権運営ができます。面倒なことを小泉官房長官に委ね、自分はやりたいことだけやる。ただし本来、安倍氏は小泉進次郎氏とは反りが合わない。小泉純一郎氏の反原発運動など、腹に据えかねることもあり、できれば禅譲したくない。官房長官就任は、むしろ針の筵にすわらせよう、との腹であることも事実です。
安倍ノミクスの失敗、今後は年金、国債等への波及も懸念されます。諸外国の信用のなさも今回のサミットで露呈しそうです。内憂外患、そんな状態の官房長官就任は、いくら首相への道が開ける、ここで衆院選があれば4期目、そろそろ次の展望も考えたいとしても、安倍政権の泥舟にのるか? そう言われて小泉進次郎氏がうけるか、と言われると甚だ疑問です。何分、小泉進次郎氏がうけてくれないと話にもなりませんが、安倍氏が唯一の打開策とできる策、そう考えると、自民内の内輪もめで圧倒的勝利をえた郵政選挙を模した小泉官房長官、承認選挙として、内外の諸問題を封印する自民内の内輪の話にしてしまうことなのかもしれません。

北海道5区補選から御坊市とつづく、自民王国の異変。「潮目が変わった」国内経済の変調、そして安倍政権では浮揚の目がなくなった閑散の株式市場、つづけるほど苦難が意識されます。大相撲の千秋楽で、総理大臣杯を自らもち、手渡した安倍氏は「(重いものをもって)体調がいい」としましたが、内心は重たい課題ばかりで、体調が悪い、というのが本音だったのかもしれません。相撲の『千秋楽』という言葉は、常に法会の最後に奏された雅楽の曲のことで、終わりを意味するようになりました。安倍氏の周りは『千秋楽』を奏しはじめる中、安倍氏の足掻きがどうでるか? これからの政局はそんな展開も予想されるのでしょうね。

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2016年05月21日

新成長戦略 成長?

仙台で開かれていたG7財務相・中央銀行総裁会議、「重要な決定はしていない」と語られるなど、議長国としての面目丸つぶれです。しかも麻生財務相とルー米財務省長官とは、明らかに為替相場に対する認識が違うことも露呈しました。「無秩序というバーは高い」との発言は、日本が為替介入しても米国はみとめない、というも同然です。暗に認めてくれたこれまでと、大きく異なる。逆にいえば、こんな厳しい米国は近年あまりみたことがない、というぐらいです。オバマ政権がレイムダックとなり、次期政権に課題をひきつぎたくない、ということ以上に、やはり安倍政権への失望と怒りがそうさせるのでしょう。これまで円安を認め、経済再生の手助けをしてあげたのに、まだ円安のままにして下さいと言うのか、と。結局それは、経済成長もなく金融緩和だけに頼った経済運営をしている日本を見限った、ということにもなります。

19日にとりまとめられた新成長戦略、まず観光では32年までに訪日外国人客の消費を8兆円などとしますが、4月の百貨店売上げ高は4%近い落ちこみと、インバウンド消費の変調がみてとれます。中国の規制も厳しくなりましたが、そもそも海外でおきた不動産バブル、資産バブルにより外国人の消費が堅調だったこと、が昨年度までです。しかしもう限界、むしろ昨年度が良すぎたぐらいなのです。まだどこの不動産バブルもはじけていませんし、中国は政府の方針で不動産バブルの再加速の恐れもありますが、いずれどこかで弾けるのであり、限界がきます。
自動運転、ドローン配送なども掲げますが、海外の後追いの印象は拭えません。IoTの活用、ITの導入、小中高校で情報処理教育の必修化、などやたらと情報関連の話題を盛り込みますが、どうもAppleやGoogleの後追いをしようとしているようにしか思えません。正直にいえば、するな、とは言いませんが、それを成長産業に位置づけている時点で、知恵がないと感じます。気になるのは、これまで自動車や建機などの分野は、米企業のお株を奪うほど日本企業が伸長しましたが、情報産業の分野ではまったくそうした動きが起こらないばかりか、逆に差をつけられています。仮に今から追いかけたとして、成長産業に育つかは甚だ疑問といえるのでしょう。

中古住宅・リフォーム市場の活性化や、子育て世帯に既存住宅を安価に貸し出し、なども掲げますが、人口減少社会でそれをすれば、住宅産業には淘汰の波が襲う、新築が売れなくなります。そもそも日本は車にしろ、自転車にしろ、中古市場はガタガタで、それを海外に輸出して、海外でその価値を認められています。それというのも日本が豊かで、新品に価値を見出してきたから。企業もそうした消費性向に適した形で存在しており、住宅市場も同じです。むしろこの施策は、成長戦略であり日本の消費性向の変化に応じる形にしようとしており、逆に日本全体が貧しくなって新品を変えなくなったことを、如実に映す施策とも言えるのでしょう。
規制改革会議の答申も、どちらかといえばもう困っていることを、何とか解決しようという話ばかりです。薬の販売、民泊、バター不足、などは実体に合わなくなり、規制を緩和することで解決する。それはそれで結構ですが、決して目新しいものではありませんし、むしろどうして今まで手つかずだったのか? 今回の答申をうけて解決できるか? が問われるのみです。

成長する姿が想像できない新成長戦略。発表されても市場はスルー、一切の反応もなく評価もされませんでした。日本が成長しないどころか、少子高齢化でどんどんと縮退していく事実。ナポレオンは「私は常に2年先のことをしている」と述べましたが、この成長戦略は2年先でも同じことを言っているのかもしれません。智恵なき政権、海外からも見捨てられだしたことを、再確認するサミットになってしまっているのでしょうね。

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2016年05月20日

雑感。G7財務相・中央銀行総裁会議が開幕

2015年度の毎月勤労統計の確報がでてきました。名目の現金給与総額は前年度比0.2%増ですが、実質は0.1%減。賃金が物価変動に追いついておらず、所得は減少していることが数字からも示されました。官製春闘とも呼ばれましたが、効果は限定的だったようです。この原因をパートタイム労働者の増加に求める向きもありますが、正規労働との比率でいえば前年度比0.54pt上がったに過ぎず、安倍首相はパートタイムの時給は上がった、としますが、もしそうなら比率が上がっても全体を底上げしているはずです。消費増税が致命傷になる、とはこうした統計からも明白なのでしょう。企業業績にも翳りがみえ、今後は企業も防衛姿勢が強まり、賃上げもすすまない。そこに2%が負担として圧し掛かってくるのですから。

G7財務相・中央銀行総裁会議が開幕しました。まずメディアで「今回はG7各国の事情が異なり…」と枕詞のように使うことがありますが、G7各国の事情が同じなら、それは奇跡というぐらい珍しいことです。事情がちがうのは当然で、それでも目的を共有できるか、協調的な行動をとれるか、が議長国の手腕にかかっています。しかし残念ながら、手腕のない日本では意見が集約できず、各国の事情に委ねるといった当たり前のことを決めるだけに終わります。それを隠すため「各国の事情が異なり…」と当たり前のことを仰々しく言う必要があるのでしょう。
安倍氏が元気のない理由も、GWの欧州歴訪でかなり厳しいことを言われたためもあるのでしょう。経済政策がうまくいっているなら、むしろ今回のサミットも主導できた。しかし失敗していると各国から注文が入る。財政出動で意見をまとめ切れないのも、日本の失政を各国の財政出動でカバーする気か? と懐疑的にみられるためです。しかも日本はくり返し大型の財政出動をしたにもかかわらず、大して景気に好影響があったわけでもない。日本の財政出動はどういった分野にするのか? と問われ、公共工事などと言えば笑われるだけ。サプライズならヘリコプターマネーの導入と答えることになりますが、効果を疑問視される。安倍ノミクス、黒田バズーカと異例で異常な策にまで踏みこんで、日本は失敗しているではないか? と。きちんと効果を分析しているのか? と尋ねられ、安倍氏には答える術もなかったのでしょう。

国内向けには適当に誤魔化すことができても、国際社会では適当な説明が通用しない。それが安倍政権の限界です。今や中央銀行の大規模な緩和は、景気には寄与しないという意見が大勢を占め、黒田日銀にも包囲網がかかってきました。麻生財務相や黒田氏のように利かん気の人物なら受け流すのでしょうが、安倍氏は内弁慶で心が弱い。欧米の逆風をまともにうけて、心が挫けた。そんな事情が最近の元気の無さ、答弁の怪しさなどに凝縮されているようです。
今回のサミットで意見集約ができず、有効な策がうちだせなければ、安倍政権の国際社会での立場、立ち位置はかなり微妙なものとなるでしょう。経済政策に失敗した政権、として発言力を失うも同然だからです。それは「世界経済の下押し圧力」では一定の理解をする世界各国ですが、その下押し圧力を強める国の一つに、日本も含まれるかもしれないという見方にもつながるのです。

今、世界は米英を初めとした不動産バブルで、何とか景気を保っている状況です。いつ崩れてもおかしくない。中国では不良債権を証券化して処理する案まででてきた。これはサブプライムより厄介な金融商品をうむ可能性すらあります。世界が何とかぎりぎりで耐えているときにサミットの議長国になったこと、これも政権への逆風となるなら、ツキは完全に落ちたといえるのでしょうね。

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2016年05月19日

党首討論について

昨日開かれた党首討論、安倍首相の元気の無さ、反論の弱さばかりが目立ち、結果を先にかけば完敗だったのでしょう。岡田民主党代表が消費税増税の先送りを提案し、適時適切と従来通りの説明をくり返すにとどまった。逆に、岡田氏は想定通りとばかりにきりこんだ。野党から4つの提案をし、アピールするのを安倍氏はただ聞くばかりとなってしまいました。それは民主党政権時代はデフレだった、と説明するために、安倍政権では民主党のころより成長していない、と自ら認めることになってしまったぐらい実績がないのですから反論しようもありません。
憲法改正でも、平和主義とは? と問われて「侵略戦争しないこと」としか聞こえない答弁となり、岡田氏にそう突っこまれても反論できなかった。「国民の命と平和な暮らしを守るために…真剣に考える」としますが、その答えが「助け合う日米同盟が絆を強くする」という。つまり日米同盟如何によってそれが揺らぐ、とでも言いたいようですが、そうなると米国の都合で「国民の命と平和な暮らし」が脅かされる場面もでてきてしまう。絆が強かろうと、米国が日本を切る決断をすれば、日本は一気に危険にさらされる、ということになってしまうのです。これが「真剣に考え」た結果? と疑いたくもなります。

しかも民進党に「最低限、憲法改正草案をだせ」と迫りましたが、岡田氏に現行憲法で十分、と突っぱねられると、それ以上の策がなくなった。そもそも憲法審査会において、与野党からだされた草案をもちより、何となく議論した、という体で通してしまおうというのが安倍政権の戦略、というのがミエミエで、現行憲法との調整をはじめると反発、反対が多いことは安倍氏も理解しているのでしょう。野党が草案をださない限り、恥ずかしくて憲法審査会も開けない、という弱さでもあります。本気で改憲する気があるのか? 疑問にもなるところです。
さらに共産党の志位委員長に「実質賃金が下がっている」と指摘され、足元の3月は上がった、雇用者総所得でみるべき、と何とも弱弱しい説明に終始しました。1人当たりの所得が下がれば、1人暮らしには厳しいですし、大家族でも1人がダウンすると生活に行き詰る。しかも非正規では社会保障も弱く、それこそ働けなくなったら終わり。そんな不安から消費が拡大しないのですから、むしろ非正規を拡大したことの正否が問われるのです。正規雇用が増えた、などといっても65歳以上の再雇用も含まれるのですから、決して成果ではないのです。

これまでの党首討論では、逆ギレして反論ですらないことを滔々と述べる、ということもありましたが、今回はそれもない。うつ状態なのか、サミットを前にして上の空なのか、いずれにしろ最近ではひどいいい間違い「立法府の長」などと言い出す始末です。本当に大丈夫? と考えたとしてもおかしくない。さらに委員会の議事録の改竄、速記停止とされていたのを、再開と書き換えてしまうアコギな手法まで用い、正当性を主張し始めました。国会の統治能力でさえ完全に壊れ、何でもありの暴走政権に成り下がっているのが現状なのでしょう。
ここに来て、沖縄で米軍属による殺人事件がおこりました。サミットや広島訪問の場で、オバマ氏に対して何も言わないわけにはいかなくなった。「助け合う同盟」のはずが、ここで何も言えなければ米国の小間使い程度の関係性であることを、如実に示してしまうことにもなるのでしょう。政治も「潮目が変わった」。安倍政権にとって不都合なことが増え、安倍氏自身も逆風を感じて心が挫けてきた。切れれば切れるほど人間の小ささを示すことになっている、と気づくぐらい、今自分がおかれた現状の厳しさを感じているのかもしれません。

安倍ノミクスを成功させる会、が消費税の再増税実施を提言しましたが、ここは安倍政権をつづけさせたい会、です。ここまで消費税で野党が戦略的に攻めてきたら、もう延期は安倍政権の退陣につながりかねない。今日で最後となった国際金融経済分析会合でも、増税して財政出動、という結論にしたのも、安倍ノミクスを成功させる会、と同じ流れでもあるのでしょう。本当は増税延期、財政出動とするつもりが、直前になって差し替わった、そんな印象もうけます。
日米同盟が「助け合う同盟」などでないことは、誰の目にも明らかです。そうであるなら自衛隊も米国に駐留し、米国が攻撃されたときは自衛隊が守る、というのでない限りウソでしょう。米国の小間使いになるだけの「絆」では、米国の力によって「助けられたい同盟に」という意識が、より強く働きだしているのが、今の安倍政権なのでしょうね。

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2016年05月18日

1−3月期GDP速報値

日本の1-3月期GDP速報値がでてきました。実質で前期比0.4%増、年率換算1.7%増。名目で前期比0.5%増、年率換算2.0%増。市場予想よりかなり強い数字でした。閏年効果で前期比0.3%増、年率1.2%増ほど押し上げられている、とされますが、それを差し引くとぎりぎりプラス、マイナスかも…という予想より良い。しかし中身をみるとかなり深刻です。今回、実質と名目は大きく中身が違います。寄与度でみると、実質は内需、外需ともに+0.2%ですが、名目は内需-0.2%、外需+0.7%で、内需の落ち込みを外需がカバーした形です。
項目別ではよりはっきりしますが、民間最終消費支出が実質は0.5%増、名目は0.1%減と、まったく景色がちがうのです。物価変動を含み、実感に近いとされる名目GDPですが、前期はともに0.8%減だったので、ここまで差が出ることは通常考え難い。あくまで憶測ですが、強烈なデフレ圧力がかかったとしか思えないのです。住宅投資も実質は0.8%減、名目は1.5%減、設備投資も実質は1.4%減、名目は2.2%減。名目が異常に弱い形になっています。在庫が実質で0.0%減、名目で0.1%増、企業が取引するのは微妙にインフレ、小売には強烈なデフレ、としか思えません。

輸出入も、輸出は実質で0.6%増、名目で3.2%減、輸入は実質で0.5%減、名目で7.2%減。円高と原油安の影響を考慮しても名目の落ちこみは壊滅的です。円は平均すると10-12月期は122円、1-3月期は114円、原油はWTIで1バレル40$、35$となるので、デフレ圧力が強いことはその通りですが、逆にいえばこの円高、原油安で輸入が大きく減ったことで、外需が寄与することになった。日本経済には円高が悪影響、といってみたところで、GDPの計算上はプラス寄与したのです。
しかも、GDPデフレーターも0.1%と、前期の0.3%から落ちこんだ。国内需要デフレーターも-0.5%と、前期の0.0%から落ちこんだ。これが名目の内需を大きく落ち込ませた原因の一つでしょう。ただすべてではない。あまりに差が大きすぎて、主因は別にあると考えた方がいい。断言はできませんが、注目され易い実質を高くみせかけたかった、それが差を生んだ原因かもしれません。

2015年度の実質GDPは0.8%増、名目GDPは2.2%増。何とか2年連続のマイナスを回避した形です。輸入物価が大きく下がっても、まだ消費者にはデフレの実感がないにも関わらず、ここまで実質と名目に差が出た理由、それはこんなところにあるのかもしれません。安倍首相は今日の党首討論で「実質で2.5%、名目で6.4%上昇したから安倍ノミクスは功を奏した」と発言しています。しかし東日本大震災の反動増も含まれており、実質で2.5%はもの足りないですし、名目の大きな上昇も円安による輸入インフレがほとんどで、内需を減退させてしまいました。
しかも民主党政権では「実質で5.7%増、名目で0.7%増で、名実逆転だった。20年近くつづいたデフレ脱却からの大きな一歩だ」と、暗に実質ではリーマンショック、東日本大震災の真っ只中だった民主党政権時代に負けていることを認めてしまった。しかもリーマンショックは金融の縮退があったので、デフレに陥るのはある程度仕方なかったことには一切ふれずに。安倍氏のいう『功』とは、名実逆転を達成したことだと自ら認識しているのでしょう。むしろ減速しているとはいえ、世界経済が大きな破綻やショックもなくもち堪えているのに、この程度しか成長できなかったと突っこまれれば、安倍氏には返す言葉もないのかもしれません。

円安によるコストプッシュインフレを『功』と言ってしまうぐらい、経済オンチということにもなるのでしょう。しかし1-3月期の名目GDPで内需がマイナス寄与したことは、4-6月期にマインド面が悪化することも予想されます。見かけ上の数字だけは改善した今回、逆に将来の深刻さを映してしまったともいえます。安倍氏が政権をつづけるのも地獄、ここで放りだすのも地獄、そんなところから今日の党首討論も元気がなかった、そんな心理だったのかもしれませんね。

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2016年05月17日

『釈然としない』説明

元プロ野球選手の清原氏の公判が開かれました。罪状は認めたものの、覚せい剤の使用はプロ野球を引退してから、回数は分からない、と今風の言い方をすれば『釈然としない』説明に終始しました。すでに現役時代から、との報もあり、また回数は毎日なのか、週何回なのかは答えられるでしょう。つまりすべてをさらけ出し、反省し、再出発を切ろうという姿勢がみられません。これではまたバレるのでは? 追求をうけるのでは? との心的負担から、また覚せい剤へと走らせる恐れもでてきてしまいます。その点がとても残念に思えます。

今、日本で一番釈然としない説明をくり返す舛添都知事ですが、ついに自民からも「見限り」発言がでてきました。自民都連、公明都本部が推薦したことにまで言及され、長引けば長引くほど自公にとってもダメージになる。6月1日の定例都議会において、与党自民からも辞職をもとめる声が上がり、抵抗するようなら百条委員会の設置をもとめられるかもしれません。適当な説明で「有権者の判断に委ねる」と述べましたが、その前に来年の都議選までダメージを残したくない自公の都議の判断が、舛添氏にふりかかることになります。6月第1週なら参院選にぎりぎり間に合うのであり、舛添氏が粘るのか、そうでないのかによって情勢も変わるのでしょう。
もう一人、釈然としない説明に終始するのがJOCの竹田会長です。売り込みがあって、電通に調べてもらったところ実績があるから、と頼んだコンサルタント会社がペーパーカンパニー。要するに一応、事務所をもっているけれど個人経営の実態が怪しい会社。であれば今度は電通の担当者を国会に参考人招致して、どういう調査を行ったのか、その経緯を聞く必要が生じます。実績ばかりでなく、コンサルタント会社の規模、人員構成などを調査しない限り判断もできないわけで、そこで国際陸連会長との人脈を確認できたかどうか。それによっては業務の発注が贈賄としての性質をもつ、との判断もできる。逆に、人脈がないとなれば規模も所在も怪しいこうした企業に、どうして業務を発注できると判断できたのか、が問題となるでしょう。いずれにしろ会長につながる、との判断がない限り、電通もGOの判断ができないのであって、その辺りを詳細に確認してみないことには、今回の件は終われないのかもしれません。

今日、国会では熊本地震に対する復興予算である補正予算が成立しました。明日は1-3月期GDPの発表もありますが、サミット前の景気対策の発表するのに障害が取り除かれた形になります。ただ、日本単独でしか景気対策を打てない現状で、先に発表しても意味がない、との意見も聞かれる。景気対策をうちだすなら、衆院解散の発表と同時でいい、そんな話もでてきました。そこには、どうせサミットはまとめ切れない、国際的に嫌われている安倍氏ではG7各国も協力して何かをまとめようとしないから、ということのようです。サミットでタックスヘイブンを利用した脱税、節税対策も議論するとしますが、まだ端緒についたばかりで意見をまとめられない。スポーツに蔓延する贈賄の問題は、日本がどっぷり足を浸かっていたとの疑惑から、取りまとめは試練でしょう。経済運営は失敗、五輪招致に疑惑、などとかく問題が多いと認識されている日本が、どうにかできる話が極端に少なくなってきたのです。
むしろ安倍氏が「サミットをリードする」という言葉そのものが『釈然としない』のです。率先して自らの身をきれいにし、世界に向けてこういうやり方がある、と誇れないような国が、世界をリードするなどというのは傲慢の謗りを免れない。国民が『釈然としない』のに、世界がそれで納得することはないのです。経済も、政治も、スポーツの世界でさえ、国際社会から日本は一歩ひいてみられている。オバマ大統領がブリグジットの問題に言及すると、英国の独立派の支持が下がり、安倍氏がそれに言及すると英メディアが「自国は失敗しているくせに」とした記事を掲げられる。日本人が『釈然としない』ことに、海外から批判や疑問が投げかけられ、行き詰るということが起こるのなら、今後は『愕然とする』ケースが増えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2016年05月16日

雑感。政府と日銀の動き

昨日もとり上げた中国の経済指標の鈍化、今日になって中国銀行業監督管理委員会(CBRC)が、金融機関に民間企業への融資をするよう命じ、そこに抑制する要因があればとり除くよう指示した、との記事がでてきました。分かり易く言えば無理にでも民間企業に貸し付けろ、ということであり、中国当局の危機感がかなり高いこともうかがえます。言ってみれば強烈に不良債権を増やしてしまう可能性を秘めたことであり、これで失敗すれば中国経済は一気に数十%も規模を縮小してしまう恐れすらある。最近では資金流出を防ぐために元高介入を行っているともされ、今は世界経済の減速をうけて、輸出より資本の強化、集積をはかっている。その一環としての今回の指示ですが、危険な賭けであることは云うまでもありません。

今、安倍政権は市場に思惑を走らせようと躍起です。13日の夜には安倍首相と黒田日銀総裁が会食を行い、臨時の日銀会合があるような印象を植えつけようとする。また今日の午前には浅川財務官をメディアに登場させ「為替急変なら介入」といった発言を報じさせる。午後には財務省・日銀・金融庁の幹部会合を開く。この会合は3月から定期開催となっていますが、月の初旬に行っていたこの会合を、今月はわざわざサミット前にぶつけてきた。初旬にGWが入ったとはいえ、先週でもよかったのにここで開催したのは、やはり一連の動きとして「何かする」との意識を市場に芽生えさせよう、サミット前に株高を演じたい、といった思惑もあるのでしょう。
ただ今の市場は、円売り株買いを仕掛ける層はたまに散見されるものの、今日も後場に崩れたようにそれほどメインのシナリオでもありません。恐らく今日は上記の動きに連動させ、日系が仕掛けた前場の動きだったのでしょうが、追随買いはなかった。むしろ海外勢にとって、日本だけが突出してサミット前に何かを仕掛ける、といったシナリオは想定しておらず、やるなら世界が協調してやらないと意味がない、そう考えている。これは為替も同じです。日本単独の介入なら怖くない。ルー財務長官がG7で通貨安競争の回避を議論する、と発言している以上、日本の単独介入にならざるを得ないのであり、今は発言があっても効果が持続しないのです。

今は為替は108円後半、株式は日経平均で16500円辺りがフェアバリューになっており、上下どちらにも動き易い、とみられています。つまり大規模な財政政策や日銀の追加緩和があっても、少し上にいくぐらいで、大きな損がないという意味です。ただこのフェアバリューは、決して日本経済の実力を示すものではありません。市場にとって都合いい、というだけです。
安倍政権は必死でそれを人為的にもち上げようとしますが、もうすでに市場の信用もない中ですから、効果も限定的です。老子の言葉を用いれば「軽諾は必ず信寡なく、易とすること多ければ、必ず難多し」です。安請け合いは信用をうしなう、また侮っていると困難に当たる、という意味ですが、おかしな口先介入は、安倍政権ではもう通用しないのであって、さらに信用を失うばかりです。いずれ安易に介入などとつかっていると、やがて市場からしっぺ返しを喰らうでしょう。いみじくもトヨタ社長が用いた「潮目が変わった」という言葉が、今の日本にはあらゆるところに当てはまります。老子の言葉をもじると「計画は必ず成果なく、益とすること多しといえど、必ず損多し」として市場から忌み嫌われるだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年05月15日

中国の4月経済指標の悪化

サミットでうちだすテロ対策強化の行動計画、その骨子が明らかとなりました。暴力的過激主義を生み出さない社会のために、貧困対策や教育支援、それにイスラム穏健派の勢力拡大となります。ただ先進国でも格差拡大による貧困層の増加があり、先進国が中東の貧困対策に前のめりになれるか? というと疑問でしょう。教育支援としますが、先進国で教育をうけたイスラム2世が中東にもどってテロリストになる構図をみても、それが寄与するわけではありません。
イスラム穏健派に武器を渡し、互いに戦争をさせることで疲弊させる、弱体化させるという案では、戦争慣れした中東の戦士が、いずれ先進国に襲いかかることになるかもしれません。そもそも米露のように、暴力的解決主義をとっている国があり、中東にちょっかいをだす以上、暴力には暴力の意識を植えつけます。行うべきは、まず欧米の為政者たちの意識改革であり、中東のことは中東で解決できるような、先進国が利害で手をつっこむようなことのない仕組みづくり、そこから始めるべきです。自分は悪くない、相手を再教育すれば事足りる、という発想そのものが、最大に忌むべきことなのでしょう。日本のサミットでこの程度の提案、欧米の意見ばかりを忖度するばかりでは、中東の平和はますます遠のくのでしょう。

中国の国家統計局が発表した4月の鉱工業生産指数が前年同月比6.0%増となり、3月より伸びが鈍化しました。中国ではインフラ投資などをすすめ、景気減速を食い止めてきましたが、効果の息切れが早まっており、景気対策にも限界がみられます。3月まで改善を示してきた指標がここにきて右肩下がりになると、楽観を示してきた市場にも動揺が走り易くなります。ただでなくとも国家統計局が統計結果の不正提供で利益を得ていた、との疑いがあって捜査をうけるなど、統計データに疑問も噴出する折、それでも伸びが鈍化するとなると実態はどれだけ悪いのか? そんな不安が世界を覆うのでしょう。特に4月、米国の投資家にアンケートをとると楽観が支配的だった。その意識が少し変化するだけで下方への圧力が強まることになります。
中国のもう一つの不安は、米国による為替操作国認定です。今はまだ監視対象ですが、新興国という立場を考慮されてのこと。ただ新興国という立場が、いつまで認められるかも分かりません。また英国のエリザベス女王のコメントのように、欧米で脱中国の動きも強まってきました。当然、政治にも長けたエリザベス女王ですから、意図的に発言したものでしょうが、中国に国際社会での立場を弁えろ、とのメッセージが読みとれます。それは為替操作、南シナ海の行動、自国の利益ばかりを追求しているようでは、いつか『無礼』が『武力』に変わることにもなります。

欧米が中国と本気で戦争をしにいくことはないでしょう。ただ、暴力的解決主義を掲げる国にとって、中国国内の反乱分子に兵器を横流しし、反政府運動をさせることなど、造作もないことでしょう。特に景気は減速、必死で下支えに景気対策をしても効果は限定的。どころか失業率が上がり、賃金も下落する過程で物価だけが上がっていくようだと、国内にテロリストを育てるようなものです。中国はこれから、インフラではない国内の基盤整備、テロ対策により時間と予算を割かれることにもなるのかもしれません。またそれが国家を疲弊させます。
中国とて欧米が自分たちに都合よい国家にしたい、という対象にもなりうるのです。そもそも教育を支援する、といってみたところで、国際的な共通の歴史、価値観などというものがない中で、互いの憎悪を煽り、自らの正当性に役立てようとする政治家が、どの国でも跋扈し始めている現状からして、教育の効果には疑問符もつけられるでしょう。まず行うべきは世界共通歴史の構築、それを至上の価値観とするところから始めるぐらいでないと、何も変わらないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2016年05月14日

7月衆参W選挙の可能性

自民党が党所属の国会議員に1000人の党員を確保するようノルマを課し、未達なら罰金徴収という制度が、いよいよ開始したようです。自民も党員減少に悩んでいたので始めたのですが、あまり意味はないでしょう。縁故で名前を貸すのが大半で、党費の支払いがあっても、ほとんど勧誘者が被っているケースがあるとも聞きます。党員だからといって投票してくれるとは限らない。こうしたノルマみたいなことをしていると、逆に党員の間での濃淡、温度差が強くなり過ぎて、統一的な行動がとれなくなる。組織が弱体化していくときは、大抵こうして組織を無理やり拡大しようとするときです。逆にいうと、組織の退潮の表れでもあります。
また地方は縁故が強いので、党員を集め易くとも都市部は異なる。都市部の党員が少ないからといって、地方の声ばかり反映するようになると、ますます都市部で票を集め難くなります。一方で、党員の多い地方の声を反映しないと、何のために党員集めをしたのか? という話にもなるでしょう。本来は支持したくなるような政治家を、政党がどう確保するか、育てるか、という話なのに、今はそれと逆のことをしています。これも組織の退潮を意識させるのでしょう。

日経が来春に予定されている消費税の再増税について、サミット後に見送りを発表すると伝えます。日経の勇み足でないなら、どうしてこのタイミングで洩れたのか? それにサミット前に景気対策を訴えるなら、一緒に増税延期を発表しそうなものなのに、なぜ後なのか? ここから考えられるのは、まだ安倍政権が衆参W選挙を諦めていない、ということなのでしょう。
オバマ米大統領の広島訪問を目玉、のようにメディアは報じますが、ほとんど大した意味はありません。逆に、一国の政治家が行けない海外の場所がある、ということそのものが異常で、それが正常化する。しかも戦後70年も異常な状態だった、というに過ぎません。長文の演説もしないので、簡単なコメントを残すぐらいでしょう。正常化の第一歩はふみだせそうですが、それだけの話です。これを成果として喧伝するには、あまりに他力本願というものでしょう。

そこで消費税の再増税を国民に訴えて衆院を解散する。サミット前に発表した景気対策と合わせ、支持を訴える腹なのでしょう。しかし一方で熊本地震の影響が残っている。ただしこれも、安倍政権にとっては好機と捉えているフシがあります。北海道5区補選をみても、震災時は与党が強い。危機意識が高まったとき、トップを変えてしまうことに不安を感じるためでもありますが、その効果を狙って衆参W選に打ってでる、という戦略を描き易くもなるのです。
しかもここに来て2つの要因がもち上がりました。1つは舛添都知事の問題。メディアも袋叩き、元々自民内に反発もありましたから、都知事下ろしをして衆参Wに都知事選を絡め、都市部の集票効果を狙いたい思惑がある。そしてもう1つは、東京五輪招致における仏警察の動きです。時間が経てば詳細が明らかとなり、五輪招致に関わった人物が検挙されるなり、安倍政権にとってダメージになる可能性がでてきた。早めに衆院解散をしておけば、議席を減らさずに済む、と考えたとしても一向に不思議はありません。7月に選挙をしたい理由が増えてきているのです。

しかしこれは被災地のことを一切考慮していない暴挙です。選挙に勝つためなら苦しむ人がいても無視する、とのイメージがつくことを恐れており、そこで閣議決定で指定した『非常災害』を、『激甚災害』に引き上げるといった策も取り沙汰されるのでしょう。なぜ『激甚災害』に指定しないのか? 絶好のタイミングを狙ってのことなら、まさにこのタイミングとなるはずです。そして1000人党員確保の罰金徴収も、党内の引き締めとしてはじめたなら、まさに7月の衆参W選挙を想定している、との見方もできます。ただ、市場循環でいうと7月半ばは悲観の極に近づいている可能性が、極めて高い。株式連動内閣ともされる安倍政権にとって、唯一の不安材料ともなるでしょう。そのためのサミット前の景気対策、大型にしたいとの意欲がうずいているのが、今の安倍政権なのでしょうね。

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2016年05月13日

雑感。景気ウォッチャー調査と市場

舛添都知事が記者会見をしていますが、首を傾げるのは家族で宿泊したホテルの部屋で、会議も行ったので会議費だ、というのですが、出席者や内容は答えられないとします。しかしホテルに無断で、宿泊客でもない人物を招きいれたら、そこも問題でしょう。しかも受付も通さずに…ということになると、セキュリティー上もホテル側に対して迷惑をかけていることになる。逆に、ホテルの受付を通しているとなると、官憲の調査で詳らかになるのかもしれない。ならば、市民団体なりが告発し、捜査に及べば真実が明らかになる話ともなります。むしろ警察の捜査を経なければならない、という意識が国民に強く芽生えることになるのでしょう。すでにゲス添の相性も定着しつつあるようですが、金に汚いダーティーなイメージが付き纏う以上、いずれはリコールをかけ、改めて問うことも視野に入ってくるのでしょう。

4月の景気ウォッチャー調査が発表され、現状判断DIは43.5と1.9pt低下、住宅関連はマイナス金利の影響か、プラスになっているもののその他はすべてマイナス。先行き判断DIは45.5と1.2pt低下。こちらは項目すべて全滅ですが、中でも飲食関連が大きく落ち込んでおり、自粛ムードが暗い影を落としているようです。判断理由の中で、住宅ローン債務者がマイナス金利で支払いが軽減され、消費に回すという期待も語られますが、実際にはそうなっていません。当初、日銀は貯金するより投資が増える、住宅ローンなど債務のある人には好影響、としていました。しかし実際は貯金が増え、住宅ローンの借り換えはすすむものの、だからといって生活が楽になったという話も聞かない。年金や保険などへの悪影響が、生活防衛に向かわせている印象です。
株式市場は4日ぶりに下落、マイナーSQの影響もあり、4月に急速に市場は楽観に傾き、日本株への投資も増えて外国人投資家は買い越し、その分を今吐き出している印象です。またここ最近、市場で語られるのが18日に1-3月期GDPが発表される。個人的には閏年効果を含めてもマイナスとみていますが、低い数字がでると予想され、そこで同時に景気対策をうちだす。それはサミットへ財政出動を促す意図と、もう一つは当日の党首討論で、景気対策をしっかりやる、というアピールをして煙に巻く戦略だというのです。しかも、その財源には日銀に無利子国債を引き受けさせる、というのですから、国際社会すら驚かせるサミット前の花火になる、と言います。

ただこうした観測、噂が流れるのは、安倍政権がサプライズを重視するあまり、市場原理を忘れていることの嘲笑も含まれます。もし日銀が無利子国債の引き受け、などを決めたら、日銀が体のいい財布扱いとなり、財政破綻が意識されることでしょう。無利子国債の発行などということはしないでしょうが、安倍政権ではそんな愚かなことをしてもおかしくない、外国人投資家の間ではそんな見立てが増えているのです。これは由々しき事態といえるでしょう。
5月半ばから後半にかけて、これまでの循環から市場は弱気に傾く懸念があります。米国ではApple安、雇用不安など悪材料がでてきた。米国の金相場も2%近く動く日が増えるなど、楽観と悲観の引き合いもみられます。18日なのか、それ以後なのか、日本から何も材料がでないようだと、一気に悲観に傾く恐れもでてきた。かといって何か材料がでても、マイナスと受けとられる可能性もある。それは上記したような奇妙な高い予想を張られているのですから、市場が満足する答えは中々だしにくい面もあります。サミットが一つのターニングポイントになりそうです。

注意すべきは、今年の業績見通しが105円の想定為替レートで「弱気」と語られる点です。それでいて、少し円安になると為替予約を入れる輸出企業も多くなっている。実は105円より円高になるのではないか? そんな恐れを輸出企業は抱いていることが、これらの動きからも読み解けます。実は、市場の読みの方が間違っているのでは? そんな懸念もただよいます。
そしてそんな業績を元に算出された相場水準が正しいのかどうか、そうした目が今、試されるのでしょう。今日のSQで16800円台をつけ、日中値幅で400円ほど下落して今日の取引を終えた。市場に悲観ムードすらただよい始めた今、それを転換するのに異常なやり方に手を染めるなら、すでに安倍ノミクスを酷評する海外メディアからは、安倍政権を嘲笑する声が聞こえるかもしれない。日本では安倍ノミゲス、という形で呼ばれることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年05月12日

日産自が三菱自を資本業務提携へ

昨日、取り上げようとして詳細が不明で諦めた、2020年東京五輪招致に関して、東京五輪招致委員会から、電通がコンサルタント契約を結んだ相手を通して、シンガポールの銀行を経由して130万€が国際陸連会長へと流れた、という記事があります。海外紙はすでに報じており、仏国の警察も捜査をはじめた、にも関わらず、菅官房長官は国内では調査すらしない、と明言しました。安倍政権最大の『不都合な真実』が、もしかしたら海外発で露呈するかもしれません。
パナマ文書でもそうですが、民間委員の立場にある人物の名前が挙がったり、自民党と関係の深い企業名が挙がっても、政府は「調査すらしない」と言います。メディアが追求もしないので、政治は調査しなければスルーできる、とみているのでしょう。また、下手に調査して「問題ない」とした後、海外から違反が指摘されると困ったことになる。だから調査しない、というのなら、この国のコンプライアンスは地に墜ちたとさえ言えるのかもしれません。もし仮に、仏国の警察が違法性を指摘したら、東京五輪が立ち消えにすらなるかもしれない。その危機感に、政府の腰の重さは、むしろ悪いことを隠そうとしているのではないか、との疑義も生じます。

日産自が三菱自を傘下におさめる、と報じられます。しかし間違えてはいけないのが、日産自の親会社は現在もルノーであり。正確にはルノー傘下に入る、です。今回、明らかにおかしいのが、まだ三菱自の燃費偽装は全容解明もされていない。つまり賠償、損失額が確定していない状態で買収を決めることは、正確な企業価値を把握しきれていない、ということ。つまり出資する形にしろ、日産自は株価下落などがおきれば、損失になる可能性を秘めるのです。
しかし今回の燃費偽装、日産自の指摘とされますが、不自然です。あくまで憶測ですが、ごく一般的にみれば日産自も燃費偽装の事実を知っていて、黙認していた。ただそれを初めて知った日産時側の社外取締役なのか、経営陣なのか、そこら辺りが公表を迫ったことで、已む無く日産自の指摘で三菱自が公表する形をとった、と考えるのが自然です。逆にみれば、自動車業界にみられるOEM供給ではなく、共同開発という形をとった軽自動車で、燃費計算を三菱自に丸投げ、ということは考えられないのです。つまりその段階から買収計画は両者の間ですすんでいて、三菱自が泥をかぶり、日産自が救済する形で傘下入りすることが話し合われていたのでしょう。

それに今回、三菱自が手に入れるのは資本の厚みだけではありません。ルノーは仏国政府が国策で守る企業、つまり仏政府を通じた政治力を三菱自は行使できる。今回、国交省は買取までふくめた強い対応を三菱自に求める意向すら滲ませていましたが、仏政府の後ろ盾があれば、燃費の補填ぐらいで済むかもしれない。特損を軽くできる可能性を手に入れたのです。
一方、日産自としても上記の件が事実なら、自分たちの不都合を隠せる。また軽自動車の買取は、実害そのものは三菱自に補填させても、販売台数の目減りに直結する問題です。スケールメリットを失い、世界規模での遅れをとることが防げる。そしてさらに今回の件で、三菱自の損失が膨らみ、イメージダウンがつづくようなら、永遠に口を封じた上で三菱自を切れば、日産自としてはイメージダウン、損失、その両方を切れる可能性に賭けた、ともいえるのでしょう。

三菱自の問題は、燃費偽装でしたが、東京五輪招致の問題は、国費偽装といえるのでしょう。何かモヤモヤとした、この国がおかしくなっている、との不審。日産自は今年の業績を、為替の影響も含め10%程度の減少とします。しかしその程度で済むのか? 販売台数は増としますが、軽自動車の失速の影響はあまり考慮されていないようで、むしろ業績不振を強気のコメントでかき消した印象です。全体として、この国にただようのは不信。信のおけない社会の到来、なのかもしれません。偽装の時代、国民の腐心をよそに、組織のトップたちが考えていることは、自分たちの保身、そのための隠蔽であって、いい加減に不信任をつきつけないことには、この国の腐敗はすすむばかり、となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(28)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2016年05月11日

安倍政権の不都合な真実

3月の景気動向指数が発表され、一致指数は前月比0.5pt上昇、先行指数は0.5pt下降、となり基調判断を『足踏みをしている』に据え置きました。ただ一致指数のプラス寄与は生産関連が多く、これはトヨタが2月に操業停止に陥っていた、その反動とみられます。一方でマイナス寄与は販売や出荷関連で、景気の現状は相当に悪いことが窺えます。自動車は在庫が高まり、先行指数に暗い影を落とす。三菱自の燃費偽装の問題もありましたが、今日発表になったトヨタの今年度の見通しで、営業利益が40.4%減。為替差損もありますが、自動車が売れなくなる時代の到来を感じさせます。米国は自動車サブプライムローンなど、ムリして需要を押し上げていた反動で、新興国は景気減速の影響で、逆にこれまでが旺盛な需要を享受してきた、その分の反動がこれからの自動車業界には重しとなって圧し掛かってくるのでしょう。
そこにはじわりと上昇する原油価格もあります。WTIが30$台のときは大型のSUVが売れ筋で、これは利益率の高い車種でしたが、低燃費車に注目が集まると、自動車業界の利益は目減りする。トヨタは想定為替レートを105円とみていますが、これが保守的なのか、甘いのかは判断もつかない。年度末まで、中央銀行や政治の態度如何でどう振れてもおかしくない、企業としても極めて予想の立てにくい状況というのが、むしろ悪影響にすらなっているのかもしれません。

安倍政権でたびたび発生する『不都合な真実』。今度は日銀の岩田副総裁、及び新たに審議委員に就任した桜井氏に、経歴詐称が報じられました。博士課程終了、でも博士号はとっていない、と何とも不可解なもの。しかも桜井氏は他の経歴にも食い違いがあると指摘されており、一言でいえば「みっともない」です。安倍ノミクス、黒田バズーカの容認者として、急に審議委員として名前の挙がった桜井氏ですが、ただでなくともこれから日銀に厳しい目が向く折、素性すら怪しまれては政策の正当性すら疑念が抱かれることにもなりそうです。
以前もとり上げましたが、舛添都知事は泥沼の状態です。自民都連、公明都本部が推薦しており、またかつての自民党議員。今回は新党改革時代の政治資金の問題について報じられていますが、自民党時代からこの人物には政治資金の問題が報じられていた。言ってみれば叩けば埃のでる体です。そしてこの問題は、こんな恥ずかしい人物に東京五輪を任せてよいのか? という点まで拡大します。金遣いが荒い、特に自分のためには公金を湯水のように浪費する、これから東京五輪でいくら出費が拡大するか、という中で本当に大丈夫なのか? そんな危惧も生じます。

さらに萩生田内閣官房副長官にも政治資金の問題がもち上がりました。本当に安倍政権に協力する人物は、大丈夫なのか? というレベルの問題です。そしてここに来て、『日本会議の研究』なる本が出版されて、物議を醸します。悪の組織、ただの民間団体、その両方の評価が誤りだと著者がかたるように、安倍政権に協力する巨大民間団体としての実像が描かれているとするなら、ここに来てその実体が暴かれることは、安倍政権にとって極めて不都合なことでしょう。
日本会議側は、出版差し止めを求めるとする点も、慌てぶりが窺えます。安倍政権を支える側に、次々とおこるトラブル、暴かれる実態、そうしたものは「本当にこの政権に日本を任せて大丈夫?」という、より大きな問題にも直面することになるのでしょう。今年に入って「局面が変わった」というトヨタ。局面が変わったのは、政治の世界も同じなのかもしれませんね。

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2016年05月10日

北朝鮮の党大会が閉幕

昨日の麻生財務相の発言から、109円まで円安がすすんでいます。今日も「さらなる円高は断固として止める」と発言していますが、恐らく106円程度を防衛ラインに設定したのかもしれません。ただ購買力平価からみて現状は105円程度が妥当、ともされます。対ドルで120円以上の円安にすすんだときは、購買力平価からみて10円以上の円安になっていたことは間違いなく、どうしてこの106円が防衛ラインなのか、さっぱり分かりません。むしろ企業業績の悪化が、税収減に響くという理由なら、米国から為替操作国認定をされても已む無し、となるのでしょう。
そんな税収減にも直結する問題、パナマ文書の一部が公開されました。ソフトバンクの孫会長が「海外と同じルールでないと競争に負ける」と発言しましたが、これが租税回避地を利用する企業の本音でしょう。ということは、逆に言えば同じ手法をとらずに海外で競争ができる企業は、節税面では工夫が必要ではあるものの、優秀な営業成績を上げているともいえます。そしてもし、租税回避地への規制がかかるなら、そういう企業への優位性が増す。今回、名前の挙がるような企業は優位性が消失し、停滞する、との見立てもできてしまう。租税回避の問題ばかりでなく、これは企業統治の問題にも直結するものであり、様々な示唆を与えてくれます。

北朝鮮で、共産党大会が開かれ、閉幕しました。背広姿で祖父のイメージを重ねたかと思えば、パレードのときは人民服にするなど、祖父と父親、その両方の権威を継ぐといった形で、自身の権威づけをはかったようにも見えます。核開発と経済再生を同時にすすめる並進路線、など大きな体制転換はなく、自らは党委員長というポストを新設して就任するなど、着実に体制の強化をはかった。恐怖政治ともされますが、ここまでは比較的成功裏に国家運営をすすめていることが窺えます。中国の習近平氏も国家主席という立場と、個人の立場で祝辞を送るなど、中国からの軟化もみられる。それは金正恩体制が当面は安泰であり、崩すのが難しいから一先ず接近しておこう、という中国のしたたかさにもみえる。むしろ、そういう状況まで来た、という意味で、金正恩氏の狙いははまっているともいえるのでしょう。
翻って日本の安倍政権は、ロケット発射で制裁強化を主導したと喜ぶばかりで、着々と体制基盤を固める金正恩政権を、ただ指を咥えてみているしかありません。人材と武器輸出で外貨を稼ぎ、それを国内の開発資金に充てる。この手法がうまくいく限りにおいて、制裁などあまり効果がないにも関わらず、日本は制裁強化を『主導した』。ロケット発射は実際の日本への脅威レベルは変わらないにも関わらず、突出して行動した結果、硬軟を使い分けることができません。安倍政権では、拉致問題解決など絶対に不可能、ということがよく分かったでしょう。

つまり安倍政権の手法では、相手が弱っているときに、それにつけこむしか打開策がないことになります。しかも弱らせようとして、実際には弱っていないとき、ますます関係が悪化していることにもなり、解決の道を遠ざけていることになる。結局、安倍政権では拉致問題の解決が一番ではなく、自身のプライドを守るのが一番で、相手がひれ伏してくれない限り手がないのです。本当に残念外交、というしかないほど、安倍政権の手腕は拙いのでしょう。
オバマ氏が27日に広島訪問、と発表されました。北朝鮮では今、核実験の準備がすすめられている、とされます。下手をすればタイミングを合わせて核実験、ということもあり得るでしょう。そのとき日本はどういう態度をとるのか? サミットで各国首脳が集まっているとき、核保有国と認めていない隣国が、核実験するという事態にどう対処するか? 今から考察しないといけないのでしょう。そのときにはオバマ氏の演説内容にも、変更が加わるのかもしれません。そのとき、日本がただ強硬論だけ振りかざしているようでは、解決能力のなさを露呈するだけでもあります。孫氏の言葉「海外と同じルールでないと負ける」を言い換えるなら、「海外が同じルールにしてくれないと負ける」安倍外交、したたかな外交の舞台では幼稚さばかり目だってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2016年05月09日

経済指標と麻生財務相の介入発言

3月の毎月勤労統計が発表され、現金給与総額は前年同月比1.4%増で、5年半ぶりの上昇率とも報じられます。しかし所定内給与は0.4%増、所定外給与は0.2%減、大きく伸びたのは特別に支払われた給与で19.8%増です。今年に入ってからこの『特別に支払われた給与』の伸びが目立ちます。しかし3月に、わざわざこのような資金を増やすケースは稀で、今回は鉱業や採石業が3000%を越える高い伸びでした。しかし3月は原油など資源価格に多少の持ち直しがみられたものの、臨時ボーナスを払うほどの業績改善はしていないはずで、この動きはナゾといえます。
また今回は所定内労働時間が0.8%増、つまり労働時間が増えて、賃金にも反映されたケースが多いのでしょう。むしろ所定外労働時間が1.8%減、景気がよいなら残業が増えているはずで、こちらの方が深刻です。5年半ぶり…そんな言葉ばかり踊りますが、中身をみれば季節性の要因による押し上げと、景気減速を示唆する内容です。決して楽観できるものではありません。

4月の消費者態度指数も発表されましたが、前月比0.9pt低下の40.8と、収入の増え方が0.2pt改善した以外、暮らし向き、雇用環境、耐久消費財の買い時判断の3つの指標が悪化。一部で熊本地震の影響も…といった推測もありますが、調査の基準日は15日、14日に前震でしたから、多少雑じったとしても本震になって被害範囲が拡大したことからも、影響は軽微といえるでしょう。逆に、3月に全項目で改善、という異例の強さをみせた反動がでた形かもしれません。
しかしこの消費者態度指数で、最も驚くのは消費者が予想する1年後の物価見通し。上昇する予想が4.5pt増えましたが、5%以上上昇するとの予想が3.6ptも増え、全体を押し上げた形です。マイナス金利の導入で、一気にハイパーインフレ予想が増えた、というなら由々しき事態なのでしょう。インフレ予想の改善にマイナス金利が寄与したとしても、行き過ぎれば消費を減退させます。正直、利き過ぎて悪影響が目立つ、ということにもなっているのでしょう。

参院決算委で、麻生財務相が為替市場に対して異例の「介入の用意がある」と発言しました。米国の監視リスト入りにも「縛られない」とし、強気ですが、先進国の為替介入は韓国や中国とは異なります。今、米国は大統領選、オバマ政権がレイムダックだとしても、ここで為替介入などすれば制裁発動に前のめりとなるでしょう。むしろ次期政権を縛らないためにも、オバマ政権の間に為替操作国認定する恐れがあります。それでも意志を示したのは、ここで弱気の態度を示せば円高が止まらなくなる、との警戒が強まったためでもあるのでしょう。
しかし日本では投資が育たない、と政界や財界からも嘆きの声が利かれます。ただ、少し円高に動くだけで、財務相が「投機、投機」と騒ぐような国で、まともな投資家が育つはずもありません。投資家が育たないのではなく、投資環境を育てない、市場の歪みをあえて引き起こすことを政治マターですすめるから、安心して投資できない面もあるのです。ミセス・ワタナベと称される為替市場に参入する個人も、今回の麻生氏の発言で損をした人もでているでしょう。むしろ政治の恣意的な行動が、まともな投資家を市場から排除してしまっているのです。

それは経済指標をまともに伝えないことでも同じ。まともな投資環境とは到底思えないからこそ、投資家が育たない国になっています。今週は決算発表の集中週です。決算発表を後ろ倒しした企業も含め、どういう結果になるか? むしろそれを先んじて口先介入により下支えしておこう、と考えたのなら、麻生氏の発言を試される場面が、この先に現れるのかもしれません。今日の株式市場は年初来最低の売買となり、投資家の日本離れが顕著になってきました。政治が透明度を高め、透視家を増やさない限り、むしろ投機家に暴れる機会を与えるだけなのでしょうね。

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2016年05月08日

安倍首相の外交の限界

4月の米雇用統計は16万人増と市場予想を下回り、失業率も5.0%で変わらず。2、3月も下方修正されました。一方、時間当たり賃金は前年比で2.5%増と、賃金インフレは加速。ただしFRBの利上げ予想が引き下げられたため、米株は上昇しています。日本への影響は利上げ予想が低下したことで円高に向かうはずですが、6日は小幅で留まっています。どうも最近は国内の保険など機関投資家勢が、日本国債での運用を諦め、海外の国債に資金をシフトしているとされ、それが円売りを促しているようです。ただ、それが終わったら本格的な円高時代の幕開けになるのか? それとも国債の暴落が始まるのか? 微妙な判断になるのでしょう。

安倍首相の欧州歴訪、及び訪露、事前予想通りに芳しくない結果でした。英独仏とも財政出動には消極的、各国ともに事情があると、これがメディアによるサミット時の演出でないのなら、軽く一蹴されたことになります。つまり密約があって、サミット時に市場関係者を驚かすような発表をする、というのでもない限り、伊勢志摩サミットも従来通りになりそうです。
訪露は最悪で、領土問題は新たな手法で…こんなことを今、露国がもち出してきたのは安倍政権がもう長くない、と考えたからでしょう。これまで露国は『引き分け』を、領土問題解決のパターンとして中国やその他の国と交渉をまとめてきましたし、北方領土もそうした認識を示してきた。しかしこの『新たな手法』が、単純な分割論でないことは一目瞭然、しかも返還でもありません。どういう形になるか、そこから改めて交渉を開始する。3年経ってゼロからスタート、それは露国が交渉をまとめる気などない、ということをはっきりと示しており、明白な外交の失敗です。訪欧、訪露、GW中で国会が開いていないときに閣僚が外遊するケースは多いですが、ここまで採算ないまま外遊に出発したことは、かなり珍しいとさえいえます。

これまで安倍氏が露国のプーチン大統領と接近するのは、北方領土の解決ばかりでなく、森元首相の後釜を狙っているのでは? と見ていました。ぐだぐだで政権を放り出した割に、政界でそれなりの地位にいるのは一部で海外の要人と親しい、とされて重宝されたためです。特にそれがプーチン氏、露国ルートでもあった。ただもう高齢で、森氏からのアドバイスもあったのか、露国ルートを押さえておくことで首相の座を退いても、政界で力をもち得る、そう考えたとしても可笑しくありません。しかし13回目の会談で『新たな手法』をもちだされるぐらい、信頼がないと分かった。安倍政権での解決は考えていないばかりか、プーチン氏は安倍氏との個人的な付き合いをする気もないのでしょう。人間的魅力に乏しかったのかもしれません。
そんな安倍政権が頼みとした米共和党の大統領候補は、トランプ氏に決定しそうです。米民主党は伝統的に日本に厳しく、また自民が深く付き合う知日派も共和党系、それが異端のトランプ氏となったことから、外交の新たな戦術が必要となります。今は厳しいことを言っていても、いずれ現実路線になるだろう…などというのは甘い見通しです。米大統領は二期目をめざす必要性からも、有言実行が求められる。日本の政治家のように言ったことを守れない、言わなかったことをやり始める、といったケースはあまり見られません。むしろそんな大統領は1期4年で終わります。そもそも、そうであって欲しい、は外交ですらありません。

安倍政権の外交の限界、それが如実に表れたGW。元々、休日がつづくこの期間を映画界が販促のためにつかいだした、とされるのがGWですが、安倍政権にとってはフランス風にいうとゴール・ド・ウィークになってしまったのでしょう。安倍ノミクスに失敗し、外交上も行き詰まり。政権のゴールが見えてきて、サミット勇退論も現実味をおびてきた。きらきらと輝くのではなく、未来の暗さを暗示する、その象徴のような外交になってしまったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年05月02日

円高と株安

日銀が家計調査に代わる新指標を表明しました。これは供給サイドのデータを集めて消費動向を調査する『消費活動指数』となりますが、問題は国際収支統計を通してインバウンド消費は除く、としますが、すべての外国人旅行客が免税店で買い物をするわけではない点です。つまり消費活動指数は、日本人の購買力には一切関係なく、日本で消費される財について統計をとるもの。家計調査とは性質が異なるものです。円安で外国人旅行客が増えれば嵩上げされてしまう。逆に円高になると目減りする。そういう性質をもった指数として扱う必要があります。

外国人旅行客が増えれば、本来は円に替える人が増えるため円高に向かいます。今はGW期間なので、海外旅行に行く人が増えると円売り、という人もいますが、今年の集計はでていないものの、円安にすすんでから日本人の旅行客は極端に減っています。インバウンド消費と相殺されれば、むしろ円買いの方が多いぐらいとなるでしょう。そこに来て原油安で国際収支の改善がみられる。円売り勢は極めて分が悪い戦いを強いられ、またそういう意識が円高をすすみ易くしています。
麻生財務相が2日間で5円の円高を「問題」としますが、黒田バズーカ第2弾のときには営業日ベースで1日で3円、1週間で6円の円安にすすんでおり、この辺りが目安でしょう。このとき介入した形跡がない。日本政府が「急激」と見なしていない水準ともなります。しかも当時は口先介入もしていない。今回の麻生氏の発言でさえ、米政府は苦々しいと感じていることでしょう。何しろ22日の観測記事で2円以上、押し上げられたところからの、5円幅の下落です。黒田バズーカ第2弾を撃ったとき、第3弾を撃たなかったとき、で市場は同じように『秩序だっている』のですから。

株式市場は為替を横目にみつつ、16000円割れを試す展開でした。何とか16000円の壁は守ったものの、シカゴ日経平均ではすでに16000円を割れていました。壁は非常に低いといえるのでしょう。相場循環としては5月半ばが楽観相場の終焉で、ふたたび悲観相場入りするタイミングと見ています。昨年のこの時期辺りから、ナゼかきっちりと3ヶ月ごとの循環を守っています。恐らくヘッジファンドなどが戦略を四半期ごとに変えているせいもあるのでしょう。原油も中国も、そして英国のEU離脱も、それなりに大きなイベントでネガティブ材料がでてくると、悲観相場入りした後はくるりと印象を変える。そんな循環のタイミングが近づいています。
安倍首相が欧州歴訪の最中、「G7版3本の矢」と述べました。しかし欧米でも金融緩和の余地は少なく、むしろドラギECB総裁を独国議会が招請し、意見を聴取するところまで来ています。一応、招請という形ですが、詰問も想定される厳しいものです。欧州に金融緩和する余裕なく、財政出動もできる国は少ない。安倍氏は独国に期待しているようですが、中国の失速で独国とて今後に不安を残す中、安易な財政出動には同意できない。規制緩和にもっとも遅れた日本から言われたくない、という意識も強い。3本の矢はどれも飛ばない可能性の方が高いのです。

安倍ノミクス3本の矢さえ、誰も飛んでいないと思っているのに、世界にそれを訴えても聞く耳すらもってもらえないでしょう。為替とて、日本単独の介入には限界もある。かといって世界に協力してもらうことは、現状では難しいのです。各国の株高も、今や頭打ちの傾向であって、今後は逆資産効果が意識される。そんな中、日本が円高になろうと、株安に陥ろうと、正直にいえば各国ともどうでもいい。日本の現状を理解してくれる国が少ないのは、やはり安倍外交の失敗でもあるのでしょう。だから外国人投資家が売りに傾くということでもあります。
「増税判断はサミット後」とも安倍氏は発言していますが、サミットで対策をうちだすなら同時に示すべきですし、その分企業の対応もまごつくでしょう。あぁ、やっぱり政局優先なのか、と経済界をがっかりさせます。せっかく欧州にいるので、旧約聖書のダニエル書の中に、アベドネゴという人物がでてきます。バビロン捕囚中でもその優秀さから行政長官にまで昇進したユダヤ人ですが、王の像を拝まなかったことで、同じように拝まなかった3人のユダヤ人とともに火の燃え盛る炉の中に放り込まれるものの、無事に生還したという逸話があります。アベドネゴのように硬い信仰をもつならまだしも、簡単に「3本、3本」とつかい、火中に3本の矢を投げ入れるようなことばかりしている安倍氏、3人のように燃え盛る不況という火から無事生還できる見込みは、現時点でも立っていないのでしょうね。

GW期間中は3日から7日までお休みして、8日に再開したいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(34)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年05月01日

安倍首相の訪欧と岸田外相の訪中

産経の記事で、『東南アジアから始まった安倍首相の「地球儀俯瞰外交」伊勢志摩サミットで結実するか』というものがあります。しかしオバマ大統領の広島訪問をその『結実』したものだとするのは、贔屓の引き倒しでしょう。そもそもオバマ氏は任期の最後として核軍縮を訴えてノーベル平和賞を受賞した、その位置づけで訪問するものです。米国でも原爆投下はよかった、という人が多くいるように、決して広島が平和の象徴だったり、核の悲惨さを訴える場だとは捉えていない。今回も謝罪はしないでしょうし、恐らく核軍縮というテーマに沿った演説をするでしょう。これは安倍政権の成果ではありませんし、それこそ演説で米国の退役軍人や核容認論者にむけ、配慮した文言が入るなら、安倍政権の失敗ともなってしまうでしょう。米国も今は大統領選、あえて国論を二分するような演説をするとも思えません。オバマ氏にとっては任期最後の結実になるかもしれませんが、安倍氏の外交が結実したら、政権の末期? と考えられなくもない。安倍応援団である産経にしては、随分な記事にもうけとられてしまいそうです。

そんな安倍外交、岸田氏が訪中して首相、外相、国務委員と相次いで会談を行っています。その中で希望と要求、として4項目。1.誠実に歴史を反省し、一つの中国を守る、2.積極的且つ健康的に中国の発展をとり扱い、中国脅威論や中国経済衰退論をばら撒かない、3.経済面で中国を対等に扱い、互恵を基礎に各領域の協力を推進、4.国際・地域協力で中国への対抗心を捨てる、です。しかしこの4項目、奇妙な点に気づきます。希望と要求としながら、随分と下手にでている印象です。2項など、明らかに今、中国が恐れている景気減速に伴う衰退への道を、日本の協力で回避したいという意図が透けます。3項も同様でしょう。対等に扱い…と、まるで今まで対等でなかったような物言いですが、中国はAIIBなど、日本には出来ていない世界的な経済的枠組みをつくることに成功している。むしろ日本より一歩先に進んだ印象にも関わらず、ここまでへりくだってきたのは、中国のある思惑が見え隠れします。
中国では昔から、「自慢すれば損、謙遜すれば益」とも言われ、大抵は猫なで声をだしてすり寄ってくるようなときは相手をコントロールしたい、との意図が隠れています。それに気分をよくしていると「善人は騙される、良馬は乗られる」とされます。逆に、中国は今、相当に困難な経済情勢にあることがうかがえます。また宴会のスピーチに「酒は知己に逢えば千杯といえども少なく、話は機に投ぜざれば半句といえども多し」と用いられます。知己というほどの人と出逢ったなら大いに飲もう、という意味で、後段は時期に応じた話をしなければ、何の意味もない、ということ。これも中国経済の苦境を物語っているとも云えるのでしょう。この時期、中国が外相会談に応じたのは、逃げて行く資金やAIIBなどの仕組みでさえ上手くいっている様子がない。そんな苦境もあって、日本の助力を得たいという部分が大きかったのでしょう。

韓国が日本と接近したのも、自国の経済が斜陽であること、及び北朝鮮の脅威が高まってきたことが原因であって、決して安倍政権の成果ではない。安倍政権の地球儀俯瞰外交の一体、何が成功なのか? 改めて考えると、本当に何もありません。強いて云うなら世界経済の減速が、弱者連衡のような状況をつくりつつある、ということでしょう。誰も自分が困っていないなら、他人には頼りたくない。困ってくると急に他人に頼りたくなる。そんな状況から、日本に接近してきただけ。それに安倍政権は気をよくして支援などを打ち出せば、相手はほくそ笑むだけでしょう。
そんな安倍首相、訪欧にでかけました。行く前に被災地を訪れましたが、何か後ろ暗いことでもあるのか? 16日の被災地入りのときも17日に選挙応援に行くためだった。別に、本当に必要な外交であるなら、被災地入りする必要はなかったはずです。しかも被災者から増税先送りを訴えられ、スルーした。被災者の声に、まっすぐに向き合えないなら行くべきではなかったのに、です。さらに今回の訪欧の目的も、意味も分からない。サミットで会える相手に、事前に何か根回しするのかと思いきや、さほど重要な会談は含まれていないようです。政権末期の物見遊山、観光の場として欧州を選んだ、その後ろ暗さが、被災地入りにつながったのではないか? そんな見立てもできてしまいます。地球儀俯瞰外交、結実したのは安倍首相の海外旅行好き、というだけのことでしかないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般