2016年06月

2016年06月30日

雑感。BrexitとBregret

英国のEU離脱、Brexitの問題で、安倍首相は「世界経済や市場にリスクを与えないように対応」と述べます。しかし残念ながら、何が起こるかも分からない中、対応できるかどうかは未知数です。例えば英株式市場がBrexit前の水準にもどしたことを、市場の落ち着きと捉える向きもありますが、ポンドが急落したままですから、英国のFTSEはドルベースでみるとまだ回復していないのです。円高になった日本株はいいところまで戻ってきましたが、6月末のドレッシング買いが一旦は終息します。明日の短観、米雇用統計など重要指標の発表を控えて、実体経済で何が起こるか、を見定める展開に変わっていくのでしょう。

では安倍氏は「G7で連携して対応」としますが、対応できるか? 極めて懐疑的です。恐らくもっとも困難なのは、すでに米英など不動産市場がバブルで沸騰している状態にある点です。特に今回、震源地が英国であり、英不動産市場がポンド安をうけて、海外からの投資家はかなり痛んだ。今は設備投資関連で、今後は英国への不動産など、市場への資金流入が細る、という報道が多いですが、英不動産市場からの資金逃避の方が、実は深刻なのです。それは企業がEU域内へと設備を移す、といったことでも不動産市場には不利になる。英不動産市場がこけると、それは金融機関を通じて全世界へと波及する問題になってくるはずです。
上がるから買う、買うから上がる、これがここまでの不動産市場でした。英国で損をだすと、他の市場で穴埋めしないといけない。それは米国や中国など、成長のけん引役を不動産市場に求めていた国に、深刻な影響をもたらすでしょう。米英中、金融、投資マネーを国の経済規模を越えて、世界全体で活用する国に起きていた不動産市場のバブル、金融緩和により肥大化したからこそ、金余りがそうした市場に向かっていた。そこが最大の問題です。

実は金融で肥大化したバブルをつぶすと、金融緩和をした国がもっとも深刻な被害をうけるのです。ナゼなら金融緩和は劇薬、いつまでも続けると副作用が増える。また劇薬でも症状が改善しない場合、より強い薬を求めるか、外科的手法に切り替えるか、どちらかしかないからです。日本のように3年経っても改善しないばかりか、副作用がめだってきた国は、行財政改革といった大鉈が必要なタイミングなのですが、そこに襲ってきた海外のバブル崩壊の足音。安倍ノミクスの結果、日本は打つ手をなくしているのが現状なのです。
安倍氏は「G7で対応し、経済成長する」と述べます。しかしG7の2大国が不動産市場でバブルを抱えていた。両国とも自国の対応に手一杯で、世界市場に回す余裕もないでしょう。そんなG7に安倍氏が頼ろうとしていることは、先のサミットでもわざわざリーマンショック前、という言葉を用いて財政出動を促したことでも明らかですが、財政出動する前段階である、金融の安定の方により足をひっぱられるのであって、景気は二の次になりがちです。

世界経済は、よくて景気悪化、悪くすると不動産市場のバブル崩壊で大不況が襲います。しかしそれは景気循環でもあり、仕方ないことでもあるのです。しかし安倍政権は、常に右肩上がりでないと維持できない経済構造をつくってきた。年金然り、日銀然り、リスク投資を増やしても、機能を維持できるのは市場が安定していることが原則であって、変調には極めて弱い。ましてや市場が暴走すると止めようがない、といった状態にまで日本を貶めてきたのです。Brexitと同様、最近英国ではBregret(英国の後悔)といった言葉も聴かれます。しかし日本も安倍ノミクスなどを採用したことへのJaparegret(日本の後悔)が、すでに生じ始めているのが現状なのでしょうね。

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2016年06月29日

雑感。森山農水相の献金問題

自民党の小池百合子衆院議員が、東京都知事選挙への「崖っぷちから飛び下りる覚悟で」出馬を表明しました。ただし、これには違和感があります。衆院議員として辞職をとどけ出たわけでもなく、党としての了承も得られていない、とします。しかるべき人には相談している、と言いますが、スタンドプレーの感じは否めない。石破派が暗躍している、ともされますが、言葉は悪いですが『にぎやかし』の類であり、本気度が感じられません。
本当は都知事選に出るつもりはないのに「出る」といって注目を集め、都知事選を自民党主導ですすめるための、戦略にも思えます。つまりここで官僚の桜井氏の辞退が固い、となれば自民は目玉候補を失う。自民党が泡沫候補をかつぐわけにもいかないので、自民党内の派閥争いに収斂させれば、注目度も上がり、自民都連と公明都本部をフル回転しての選挙になる。あわよくば自分で出るつもりでしょうが、そうでないとしても、党への貢献度が上がる。安倍政権には不評でも、次の総裁選を見据えれば、冷や飯を食わされるだけの安倍政権より、次の総裁にかけて媚をうった方がいい。そんな思惑が見え隠れします。

森山農水相が自民党のTPP対策委員長だった昨年9月、日本養鶏協会から20万円の現金を授受し、2月に返却した、といった話が浮上しました。同じくTPP対策委員長代理だった宮腰氏、西川元農相も現金を授受したことを認めています。TPP会合に行く直前、ということでまさに利益団体からの献金だったことになりますが、さらに養鶏協は国から補助金もうけている、とのこと。ただしその補助金は養鶏農家に配るためのものだから、補助金の交付対象の団体ではない、という苦しい言い訳と、2月に返したから問題ない、という見解を安倍政権はしています。
しかし補助金をうけて配るだけだから問題ない、としたらほとんどの団体、協会が献金をできることになるでしょう。すべて運営費で消える、といったことでもない限り、執行段階では資金を配分する協会や団体も多いからです。辞任した舛添都知事にしろ、政治資金規正法のザルぶりが報じられ、またこうした抜け道的手法で「問題ない」という。政治資金のムダ遣いさえ改められない政治家が、国の予算のムダ遣いを減らせるはずがありません。それは利益団体から献金をうけとる政治家も同じです。それで公平な判断が下せるか、甚だ疑問といえるのでしょう。

西川氏はTPP暴露本の出版がどうなったのか? といった話もあります。ほとぼりが冷めるまで出せないのなら、その爆弾は与党にとって不都合な内容を含む、ということが明らかです。舛添氏の豪華出張が問題になりましたが、夜な夜な随行の記者との宴会にふけり、交渉にも大して力を入れていなかった、といった話も記載があるとされます。費用対効果で考えても、TPPに随行した政治家のコストといった問題もあるでしょう。まさか政府の交渉担当でもない、自民党議員を公費で連れていったわけではないでしょうが、あまりにTPP交渉の場への与党議員の随行が多いので、そんな疑問も沸いてきます。
英国のEU離脱は、難民、移民問題とからめて語られることも多いですが、もう一つの焦点はエリート主義です。特権階級が優雅な生活をおくるために、様々な優遇を自分たちにかけている。EUというエリート主義は、貴族文化が色濃くのこる欧州といえど、国民の反発を招きはじめている。いわゆるブルーカラーにとって、難民や移民がその生活をさらに苦しめている、その制度を押し付けてくるのが、裕福な暮らしを送るEUだ、というのが強い反発を招く。エリート主義への反抗、それは世界全体でおきつつある潮流でもあります。

では日本、メディアがそうした動きを察知し、ポピュリズム批判をくり広げることで防ごうとしている。ナゼなら、世襲の多い自民党は間違いなく特権階級であって、裕福な生活を公費でおくっている、と見なされ易いためです。そんな自民とつながるメディアほど、ポピュリズムによる意思決定が怖くて仕方ない。国民のための政治ではなく、特権階級が決めて国民に押しつける政治、その方が自分たちにとって都合よいためでもあるのです。
20万円をうけとって「忘れていた」という議員。TPP交渉という国益をかけた外交に立ち会うために海外出張したのに、宴会に明け暮れる議員。エリートが単に頭がよい、というものではなく、特権階級としてのみ機能し、さらに質の劣化したエリートたちにより国が運営されていく、という不安。日本でも低賃金労働が拡大していく中で、いつか世界の潮流に巻きこまれることになるでしょう。メディアの必死の防戦が、余計にその流れへの恐怖を感じさせます。ケチ、せこい、として辞職した前都知事もそうですが、今問われているのは『自分のための政治をする政治家』を選んでしまうことにより、国民が不幸に陥っているのではないか、ということです。『自分のための政治をする政治家』を見抜く術は、『自分のためにならない政治家』を殊更に攻撃する、という点です。メディアの執拗なポピュリズム批判と同様、自分大事な政治家ほど他者を攻撃する、その傾向を知っておくことが大切なのでしょうね。

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2016年06月28日

雑感。税収と市場

今日の株式市場は底堅かったですが、6月末は半期の成績がでるヘッジファンドや年金などの大口投資家からみると、ドレッシングに動き易いタイミングです。15000円割れは何としても避けたい。昨年末から3月末まで10%以上の下落、3月末から6月末まで再び10%の下落に見舞われれば、運用担当者は泣きっ面に蜂です。外資などでは早くも運用担当者のリストラなどがすすみ始めるでしょう。何より日本株は当面魅力がなく、積極的な運用先ではないのですから。

2015年度の一般会計の税収が56.3兆円と、1月時点の見通しを1400億円ほど下回りました。安倍政権では税収の上ブレ分ですべて賄う、というのが参院選でも語られますが、上ブレがいつまで続くか、不透明であることを改めて示した形です。例えば13年度の税収は47.0兆円、消費税が3%に増税された14年度は54.0兆円、15年度の見通しは56.4兆円でしたし、16年度は57.6兆円を見こんでいます。しかしこの株価低迷、さらに内需の落ちこみ、外需の不透明感からみても、16年度がどうなるかは予断を許さないところです。
1-3月の推移でみると、法人税収が9100億円下回り、所得税が2200億円、消費税が3100億円上回っています。株など資産を売り逃げしたことで所得税が上がり、インバウンド消費が継続したことで消費税も上がったのなら、4月以後の剥落も予想されます。法人税は円安要因の剥落とみられることから継続する。16年度の税収、見通しよりかなり下ブレが予想されるのです。そうなると、自公が掲げる「税収の上ブレ」が消え、あらゆる政策を打つための財源が枯渇する恐れが出てくる。関東では水不足により取水制限も始まっていますが、安倍政権では財源不足により政策経費の制限も、深刻になるかもしれないのです。

まずは秋にも予定される、大型補正予算ともされる財源がない。熊本地震で一度、補正予算を組んでいるため、1-3月の税収が重要だったのですが、それが下回ってきた。さらに消費税増税を先送りしたため、財務省が予算を捻出することも及び腰ですから、小型にしかならないかもしれない。安倍ノミクスを「ふかす」どころか、税収からみる限りすでに腰折れです。ここに来て市場は年2回の追加緩和を織りこみ始めていますが、秋の大型補正予算はすでに織り込まれている。もしここが崩れると、市場はもっと下を試す恐れもあります。
これが安倍ノミクスの悪循環です。株価が下がると、配当の引き下げも増える。そうなると所得税も下がり、税収が減ったことで対策を打ちにくくなる。対策がないから株価が下がり、配当が引き下げられ…。その連鎖はもう始まりつつある。参院選になると「道半ば」や「ふかす」と使い、「好循環」を用いなくなったのも、もう悪循環がおき始めていてウソになることを自覚してのことでしょう。だから見かけの「雇用」「賃上げ」しか成果として語らないのです。

しかし2015年の非正規雇用は10年前から比べ2割も増えた。安倍政権では雇用が110万人増えた、賃上げが達成された、と言いますが、実質賃金で目減りしているということは、物凄い勢いで低賃金労働が増えていることの裏返しでもあるのです。簡単に言えば、1人が行っていた仕事を2人で行えば、雇用は増えますが、決してそれは国民にとって幸せな方向ではない。広く浅くなっただけで、全体のパイが増えることはないからです。それが消費の減退を生み、さらに国内経済を悪化させている。こんなところにも悪循環が窺えます。
内閣府から、東海地震に関する抜本見直し、という話が出てきました。このタイミングでだしてきたのは震災を意識させ、「政治の安定が必要」との意識を国民に芽生えさせる算段かと思われます。北海道5区補選で味をしめたこともありますが、英国のEU離脱でもこの「政治が安定していないと…」と、何かと安定していないと何もできないかのような発言をくり返します。むしろこの言葉は「安倍氏の心が安定していないと…」政治の手もつかない、ということを意味するのかもしれません。しかし市場の不安定が、すでに税収という国の屋台骨まで不安定にしはじめてきました。その屋台で「ふかす」のが、バブルという泡だけのものなら、早晩日本では商売のしにくい環境が生まれるだけなのでしょうね。

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2016年06月27日

英国離脱の報じ方

未だに英国のEU離脱が世界を動揺させていますが、まず署名が離脱反対の署名が370万人集まった、残留派の声が大きい、という見方は誤りです。今回の結果は、残留派に不満や怒りを溜めることになった。だから声が大きくなり、満足した離脱派は声が小さくなったに過ぎません。逆の結果なら、逆の行動がおきたでしょう。ただ恐らくそうなると日本のメディアの扱いは小さくなり、離脱派が何かごちゃごちゃ言っているけど…的扱いになったはずです。
若年層は残留が多く、老年層は離脱が多い、なので若年層にコメントを求め「私たちの未来が奪われた」的な報道にも注意が必要です。日本は高齢者ほど投票率が高く、まさに高齢者が未来を決めている状況です。しかし「奪われた」とは言わない。それが民主主義だからです。どんな問題でも、若年層はかつて若年層だった人間たちがつくった今を、何とかして生きていかなければいけない。例えば、もし安保法制に10代の大半が反対だったら? その声をとり上げて「未来が奪われた」などと報じるか? 答えはNOでしょう。メディアが自分たちに都合の悪いことを、世論を盛り上げるためだけにとり上げているに過ぎないのです。

ただ離脱派がEUへの負担金を週480億円としていたものが、実は160億円だったなど、ウソだったことが次々と明らかになっています。しかしポンドはユーロより下落率が高く、離脱が正式に決定するまで、ポンドベースでみると負担が重くなるとみられます。ウソが現実になってしまうのかもしれず、かつ負担金だけで当面、財政を圧迫する要因になりかねない。ひいては財政政策などにも影響する恐れがあり、景気には深刻かもしれません。
ただしそれとてウソをついたからといって、再国民投票ということになり難いのは、それも民主主義だからです。だからこそ、何が正しいのか? といった報道機関の監視が重要だったのですが、英紙は離脱、残留で2極化された。そうなると離脱派は離脱派の新聞を、残留派は残留派の新聞を、それぞれ読むようになる。結果としてどちらの派も煽りのような記事に流され、視界が狭められてしまう。むしろそれが民主主義の危機でもあるのです。国民が冷静な、客観的な視点で分析された記事を目にする機会を奪われる。それで正しい判断ができるか? かなり難しいといわざるをえないのでしょう。

翻って日本のメディアはどうか? 最近では中道のメディア、記事をみつけるのが大変です。個人的には色がついていても見抜ける程度のものですが、国民全体に色のついた記事かどうか、判断するのは困難でしょう。まさに民主主義の危機を迎えているといえます。例えば今日の株式市場、メディアが楽観を煽り、英国の離脱派を不利に、残留派を有利に報道するためか、日経平均は大幅反発しました。しかし先物の動きだけをみると、日系が24日に売った半分を買い戻した形であり、悲観の極から奇妙な楽観へとまきもどった印象です。
しかしこれは長期に亘って影響するもので、しかも残留派が動いたとて、事態を変えるのは中々容易ではない。市場の動揺を収めよう、とする動きかもしれませんが、奇妙な楽観をばらまけば、ふたたびショックを大きくしてしまいます。そうしたショックをくり返すと投資家が減り、さらにショックを受けやすい市場環境になる。これも投資家に正しい情報をどう与え、判断に生かすことができるか、という点ではとても重要なのでしょう。

今回の英国の国民投票をポピュリズムとする向きは、結果的に民主主義に大切な、正しい情報を与える、という役割を放棄していると感じます。総じてそう報じるメディアは、安倍ノミクスを「道半ば」とし、これから何か良いことがあるのか、といった印象を与える報じ方をします。しかし道半ばで、すでに株価が15000円近辺で推移する。上がったものが下がってきて、再浮上する目があるのか? といったことを報じようとしません。市場関係者が安倍ノミクスを「ふかす」と言われても反応しない。それはもう道半ばであろうと、斜陽であることを誰もが意識しているからなのです。正しい報道のない国には、それこそ「未来はない」のです。「道半ば」後半をひっくり返してよむと「バカな道」、それが現状の安倍ノミクスという方向性であることは、正しく報じないといけないのでしょうね。

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2016年06月26日

雑感。選挙に関して

参院選について、少し客観的に考えてみます。今日は自民党のテレビCMをみました。しかしTVCMはお金がかかり、政党の優劣が出やすいものです。裕福な政党はTVCMの出稿も増えるでしょうし、お金がなければ打てない。これは本来、選挙において公平性を保つ理念とは真逆な話です。何のために選挙スタッフを無償のボランティアに限定するのか? それは金持ちの候補者が、大量のスタッフをカネで雇い、有利になるのを防ぐためです。しかし金持ちの政党が、大量のTVCMを打っていたら本末転倒でしょう。選挙理念の崩壊です。
さらに新聞の広告も同様、お金のある政党が1面をつかい、広告を打つならお金のある政党が有利、となる。より政治がお金儲けに走り、金権政治が蔓延することになります。さらに多額の広告をだしてくれる広告主、としてメディアもそんな政党をヨイショするようになる。まさに今の日本の政治情勢そのもの、と言えるのかもしれません。大企業と組んで献金を荒稼ぎし、そこで得た資金を広告という形でメディアに還元、牛耳るという形。例えば、それを防ぐ手は中央選管が広告を一括管理し、政党要件を満たす政党に枠を配分する形があります。政党要件を満たす基準をもう少し厳しめにすれば、今のように9党といったカオスな党首討論も防げますし、小政党に分裂しようとする動きにも歯止めがかかるかもしれない。むしろカオスのような状況を、与党は望んで現状の形のまま、放置しているのかもしれません。

安倍首相や公明の山口代表が、英国のEU離脱に関して「国難だから政治の安定が必要」と意味不明なことを選挙戦でも訴えます。しかし肝心なことは国難に対応できる能力があるかどうか、ということ。残念ながら昨日も指摘したとおり、安倍政権は不適格です。国難に際して対応できない、不適格な政権のいること、それは人災とも呼べるもので、さらに問題は安倍政権がつづく限り、安倍ノミクスという不都合な政策を見直すこともできない点です。金融緩和とはそもそも経済状況が悪いときに行うもので、良いときに行ったらバブルを生み、景気にはマイナスとなるものです。しかし金融緩和しているときに、さらに悪い状況が降りかかったら? 打つ手がない。しかも金融緩和という手は、景気が悪いときに他に打つ手がないから行うのであって、安倍政権がつづいても他の手があるわけではないのです。そもそも選挙公約は、安倍ノミクスを「ふかす」であって、他の手があるわけではない、ということをすでに露呈しています。そんな政治が「安定」したら、景気はさらに悪くなるでしょう。
スペインでも選挙が行われていますが、EUと距離をおく急進左派勢力がどこまで議席を伸ばすか? が試されます。国民投票にしろ、選挙はすべてポピュリズムです。一票でも上回れば、多数の意見が通ってしまう。英EU離脱でも、少数となった残留派が不満を溜め、やり直しの請願やスコットランドは単独でEUに残る道を模索していますが、多数決、民主主義の原則には反する行為と言えるでしょう。例えば、参院選で自民が勝利したとして、それに不満をもつ有権者が多数になる県が独立運動をする、といったようなものです。しかし日本で、こうした報道をするところはないですし、むしろこうした運動を暗に肯定する向きもある。それは英国がEUに残留した方がいい、と思っているからその行動を批判しないのです。しかしそれこそ絶対的な価値ではなく、自分に都合よく状況に応じて価値や基準を変えているに他ならない。まったくもって意味のない意見でもあるのです。

選挙は常に大衆迎合です。大衆にもっとも都合のよい政党が選ばれる。ただし、日本では投票率が低いのが問題で、本当に大衆としてそれを選んでいるのか? というと甚だ疑問のあるところです。政党が広告を打つ前に、まず選挙に行くことを促すよう、様々なメディアを通じて選管のような中立の第三者が広告を打つことが大切なのでしょう。そして選挙に行く、が大衆の行動の最優先原理になったとき、始めて大衆に訴える政治が機能する、ともいえます。今は、それが極端に利権の側にふれてしまっている。18、19歳でも選挙に「興味ない」が54%と出ています。まずこうした状況をうみだす時点で、選挙をする上で失敗と意識されるところでしょう。選挙という、大きな予算をかけて多くの人々が携わってする行為なのに、その効率がすこぶる悪いとなれば、まずそんな状況を変えるところから始めないといけない。今の日本は、そんな状態でもあるのでしょうね。

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2016年06月25日

英国のEU離脱に対する日本政府の対応

英国によるEU離脱の余波が、まだまだつづきます。しかし英国民投票をポピュリズムだ、と批判する向きには注意も必要です。その論調は自分にとって都合の悪い結果を批判するためのものです。民主主義は須らくポピュリズムです。極論すれば、安倍政権もポピュリズムの結果誕生し、当選後に政治家が国民から付託をうけた、として勝手にエリート主義を標榜する、というに過ぎません。あらゆる物事を民主的に解決しようとすれば、実はすべて国民投票にした方が民意の反映、という意味では正しいのです。ただそんなことをすれば煩雑なのと、コストの面から大変なので代議員制を布いているに過ぎない、ということでもあります。

金融庁、財務省、日銀が臨時会合をしていますが、これはパフォーマンスです。ナゼならまだ何も起こっていないから。市場は急変動しましたが、それは市場が事前に残留という楽観を織りこみ過ぎていたからで、金融システムに何らのトラブルが発生したわけではありません。市場に介入するなら別ですが、当局にできることは何もない。現状を確認するだけなら、電話やメールでも事足ります。何かやるかも、とのアピールのためです。
しかし為替もすでに安定し、対ドルで102円台で推移していますし、株価もシカゴ日経平均先物は15100円台に切り返している。急変動で介入、というイイワケも通じず、当局ができることは何もない。しかしもう1つの理由は重大です。それは安倍政権が残留で決まり、と油断していたため、安倍首相も菅官房長官も官邸を離れていたことで、急変動でも何もできなかった。昨日のような為替の急変動を起こしても介入できなかったことは痛恨です。為替なら対ドルで一気に7円幅で動いても急変動でない、と政府が認めたことになるからです。次に介入するときは、この水準が一つの基準となり、それを変えるには説明も必要です。つまり今回、残留で決まりと高をくくっていたため、ケースを想定した対策をマニュアル化する、といった準備もされていなかった。指揮命令系統の不在と、対応も決まっていなかったことで、動揺する市場を放置した。安倍政権の状況想定能力のなさ、稚拙な対応が、今後の市場においても大きな禍根を残した、とも云えるのです。なので、それを失態、失敗と見なされないため、臨時会合を開いて「やるぞ」と見せかけなければならなかったのです。

しかも安倍政権の関係閣僚会合が夕方になったのも、遅きに失した感じもある。麻生財務省や石原経済再生担当相は東京に残っていたものの、大した声明もだせず、市場の乱高下に任せてしまった。これが危機管理能力のある政権か? というと首を傾げざるを得ないのでしょう。それは安保をはじめ、周辺事態においても同じです。中国や北朝鮮の脅威を謳う割りに、簡単に首相も官房長官も官邸を空けてしまう。対応も決まっていないのに、です。もし官邸にいても対応がつかないのかもしれませんが、実はこれまでの歴代の政権の中で、もっとも危機管理能力に欠けているのが、安倍政権と云えるのかもしれません。
しかも「金融システムの安定を…」「G7と協力し…」などと、会合後に安倍氏は語っていますが、実は日本がもっとも悪い影響がうける、とされているのに、日本単独では対応ができないことを示しています。それは、日銀はすでにマイナス金利、国債の大量購入と資金供給量には限界もある。株価にしても年金や郵政などの資金はすでにつっこんでおり、下支え役が不在なのです。つまり安倍ノミクスの結果、日本は危機に際しても対応のできない、非常に脆弱な状態になってしまったのです。これからも市場に弄ばれても、何もできずに海外に頼る、といったケースが増えてしまうのでしょう。そんな日本市場だからこそ、悪影響も大きいといえます。英国のEU離脱、という新たな世界の形を求める中で、日本が主体的に行動することもできず、また世界を支えるといった存在感を示すでもなく、むしろ助けを請う、といったケースもでてきてしまうのかもしれません。ポピュリズムは大衆迎合主義、とも訳されますが、その対極にはエリート主義があるとされます。そのエリートたちが決めること、意外と大したことがないばかりか、間違いも多い、というのが改めて意識されるのでしょう。その結果、大衆の怒りが変革へ向かう、ということにもなるのでしょうね。

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2016年06月24日

英国選挙でEU離脱派が勝利

英国の国民投票でEU離脱が51.9%で多数となり、離脱が決まりました。今回、為替や株式が大きく変動しましたが、これはリーマンショック級の出来事がおこったわけではありません。証券会社や経済評論家から、残留で決まるだろう、との希望的観測で市場は溢れていた。その結果、個人投資家にいたるまで円売り、株買いと残留にかけた取引を蓄えており、結果が異なったことで慌てて反対売買を行った結果、相場は乱高下し、また買いポジションの大きさが、結果的に大きな値動きを導いた、というに過ぎません。
つまりミスリードで極端に楽観的シナリオに乗っかりすぎたのです。ブックメーカーの賭け率が残留優勢、などと煽りに煽った市場関係者に大きな非があるのであって、今日の先物をみても日系の狼狽売り、欧米の買戻しと二極化された。サーキットブレイカーが発動しても止まらなかったのは、売りの主体が個人投資家だったから、とも言えます。プログラムのヘッドライン取引なら、サーキットブレイカー後は戦略を変えることも多いのですが、個人は売れないとさらに売りたくなるものです。為替は対ドルで100円を割るとふたたび円売りを仕掛ける、といった動きもありましたが、為替の方が流動性が高く、個人向けということが改めて意識されたのでしょう。では今回、株式はどこまで下落するか? 企業の解散価値を示すPBR1倍割れまで後300円だから、ここから大きな下落はない、という人もいますが、これもミスリードです。日経平均が8000円のころは、PBR1倍割れの企業がごろごろありました。日本のように企業買収をしにくい市場で、解散価値を割れたからといって買う、という投資家も少ない。つまり日本は構造的に、PBRが下支え役にはなりにくいのです。

残留を訴えていたキャメロン首相が辞意を表明、しかし10月まで留任して後任に渡す、としますのでEUとの交渉はそれから、となります。今回、英国は大変だ、という意見が多いですが、実はEUの方が深刻な事情を抱えます。英国は分担金も多かったのに、それが消失すれば欧州安定メカニズムなど、ギリシャ支援や財政不安のある国への支援が滞る恐れもあります。英国の方が、EUとの自由貿易協定などを結べれば、移民の流入や分担金もなくなり、むしろメリットが多いのです。当然、交渉次第ですが、巷間語られるほど英国に不利でもない。ただし、国内に残った遺恨とスコットランド独立の動きなど、総合的にみるとマイナス面も目立つ。ただそれはあくまで国内問題。国際問題はこれから、です。
世界の金融市場に影響がでてくるのはこれから、です。ただそれも英国による交渉次第、中身で大きく違ってくる。今は単に楽観に傾きすぎた市場が、ゆり戻す動きに過ぎません。すぐのすぐ、ショックがおきるわけでもない。ただ楽観の水準を見慣れた側にすると今の水準が淋しく、もの足りなくみえるというにすぎません。問題は原油安でオイルマネーが巻き戻され、市場が震撼したように、ここで損失を被った側による手仕舞いなどの動きが余波のように何度もゆり戻しがくること、ということになるのでしょう。金融で肥大化した英国だけに、そこから流れでるマネーの量も多い。英マネーの動向次第で変動も予想されます。

日本は大変です。今回、為替介入できなかったとなると、事実上の急変動に対する発動のハードルは高くなります。しかも下手に円売りドル買いを入れると、金融機関のドル調達コストはさらに高まりかねない。FRBはドルの供給用意がある、としますが、日本の円の信認低下と、原油安による貿易統計の改善による実需の円買いの多さ、そして円高傾向になることによって外国への投資が目減りすることによる円売り要因の剥落と、FRBの利上げ観測の後退と、何重にも円高を促す要因が横たわり、かつドル調達コストの高止まりが日本企業を苦しめます。
政治的にも大変です。株安、円高は年金による株式投資、外債・外株投資のいずれも大きく目減りしたことを意味します。いくら英国のせい、と言ったところでリスク投資を拡大したのは安倍政権です。数十兆円が消えた…選挙戦でも、これまで与野党ともにこの話題にふれませんでしたが、野党のよい攻撃材料になるでしょう。リスク投資を増やせば、リターンが得られる機会もある一方、こうしたリスクを被ることにもなり、そのリスクを政治も負うのです。そして投票率の高い、高齢者層に年金原資の目減り、という情報はインパクトも大きい。麻生氏が「いつまで生きているんだ」と言った高齢者への風当たり、安倍政権に「いつまでやっているんだ」という怒りに変わる、そんな風が英国から吹き始めるのかもしれませんね。

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2016年06月23日

安倍ノミクスの成果とウソ

英国の国民投票がはじまっています。結果はともかく、今回目立つのは離脱派も、残留派もウソが目立つ点です。過激な活動とともに、双方に大きな禍根を残すことになるでしょう。決してこれがゴールではなく、混乱の始まりとみることもできます。パンドラの箱、その蓋は器とあっておらず、簡単に外れてしまう恐れを強く意識させます。
さらに今、市場では極端な楽観をおりこんでおり、残留の見通しで動いています。むしろこうした楽観が支配する市場が、危機を準備しているとも言える。リーマンショックを予想し、投資家に警戒を訴えた経済評論家はいないように、危機は予想外の事態がおこることから始まります。英ブックメーカーの予想が一番当たる、などとも言われますが、お金を賭けるので真剣に分析することはあります。ただ、お金を通してみているだけに、祖の目を曇らせることもある。誰もが賭けで勝てるわけではない、ということでもあります。
米投資会社グラウカスが、日本株の投資を開始する、と発表されました。この会社は企業の不正会計、不祥事などをみつけてカラ売りを仕掛け、リターンを得るタイプの投資を行います。日本に投資機会がある、と思うほど企業不祥事が頻発しています。不正会計で業績が傾いた東芝には、GPIFが10億円近い損害賠償請求訴訟を起こしました。まだ一部ということで、どれぐらい請求額が拡大するかは分かりませんが、不正会計が発覚する前には誰がこんなことを予想できたか。そこにウソが含まれ、それが発覚したとき、与える影響は甚大です。

安倍首相が熊本で行った公示後、初の演説をみてみます。民主党政権の3年間、最低賃金は23円しか上がらなかったのに、安倍ノミクス3年間で41円上がったとします。しかしリーマンショックの余波と東日本大震災があったときと、米国が不動産バブルにふたたび沸いている今と、比べるにはあまりに状況が異なります。むしろ成功した、という割にこの程度か、ということが驚きです。日本ではインバウンド消費などに海外のバブルの恩恵もありますが、米国では時給1000円では不当に安い、とストが起こるほどにも関わらず、そこにすら達していないのです。決して最低賃金は自慢できる話ではありません。
一方、自民のHPにはアベノグラフィックスとして、安倍ノミクスの成果と目標として20項目を掲げます。その中に最低賃金は50円上昇とある。あれ? 41円じゃ…と素朴に疑問を感じますし、以前は税収増を13兆円、と発言していましたが、HPでは21兆円に増えている。それこそリーマンショックの余波と東日本大震災のころと比べて上がった、というなら笑止でしょう。当時は企業も短期で負債が拡大したため、税負担を減免されていたためです。比較対象を低いところに設定し、高くみせかけているだけなら意味がありません。

企業収益が過去最高、なども掲げますが、政府の成果ばかりではありませんし、共産の公約で掲げられているように、法人税収が下がっているのですから、税負担が減った企業の見かけの収益が高くなるのは当たり前です。税引後なのか、税引前なのか、言及はないので分かりませんが、円安による円の価値下落と比べると見劣りするレベルですし、企業の独自の努力に帰する部分まで、政府の成果とすることにも違和感があります。
安倍ノミクスの成果、と語られるものには、こうしたウソと詐術的な部分が多い。しかも国民総所得が36兆円増えた、今年にはリーマンショックで失った50兆円をとりもどす、としますが、正直これはウソです。円高になったら数量が同じでも輸出額が減り、輸入額が増える。すると国民総所得は下がってしまいます。今年に入って10%以上の円高になっている現状は、もう達成困難ともいえるのです。しかも、ここには触れられていませんが、最近警戒されているのが、ドルの調達コストの高止まりです。これは金融機関や企業の収益にも悪影響を与える。マイナス金利や円に対する信認の低下、それは増税延期なども含めて、日本国債の格下げ懸念が、邦銀などの格下げにもつながり、こうした海外で活動し難い状況にもなってくる。つまり、もう安倍ノミクスの成果は今年、一気に剥落することにもなるのです。

そこにウソが含まれている、となれば状況は一変する。安倍氏が成果として語ること、それをウソだと思っているから外国人投資家は、日本株を買わなくなった。むしろ、グラウカスのような破綻にかける投資会社の日本進出、安倍政権でこうした動きがあること自体、日本リスクとして意識されている、ということでもあるのですね。

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2016年06月22日

安倍ノミクス 是か非か?

参院選が公示され、7月10日までの選挙戦がスタートです。「安倍ノミクス是か非か」と見出しをつけるメディアもありますが、金融緩和が手詰まりに陥ったからこそ、財政出動に舵を切ろうとしている。つまり安倍首相とて、もう限界であることを感じています。仮に是だと思って投票してもすぐ終わる。その儚さは、邯鄲の夢どころではありません。

では安倍ノミクスの評価について、今一度みてみます。5月の百貨店売上高は前年同月比5.1%減。これだけでも衝撃ですが、訪日客の単価は26%減と、インバウンド消費の終焉をうかがわせます。スーパー売上高は前年同月比1.3%減で、3ヶ月連続。しかも売上げが上がっているのは値上がりのつづく食料品で、衣料品は7%近い減少としわ寄せが来ている。例えばスーパー売上げ高は消費税増税された14年4月は6%近い落ちこみ、15年4月は6%程度回復したものの、今年は0.7%減。つまり増税前より下がった。つまり増税が経済に悪影響を与えた、という以上に悪くなっている。生活実感に近いスーパーでこの数字ですから、内需は深刻な状態です。
これは家計調査における消費支出からも明らかで、ここ2年で前年同月比を上回ったのは2015年5月、8月、2016年2月の3ヶ月のみ。しかも2月は閏年効果で押し上げられているので、実質2ヶ月だけ。14年度は消費税増税の影響があったとしても、15年度もそれを下回る月が圧倒的に多い。つまり雇用が増えた、賃上げがあった、といっても消費者はずっと財布のヒモを締めつづけているのです。実収入をみるとここ2年で上昇したのは2015年の4〜8月、16年の3、4月。しかも16年4月は電力・ガスの残業代の増加が大きく寄与しており、熊本地震のインフラ復興関連で、残業が増えた影響です。しかも世帯主収入はずっと右肩下がりで、配偶者の収入が右肩上がりでも、この程度の結果です。これで消費など増えるはずもない。政治が、もし仮に企業業績をあげることを成果とするなら、円安株高になったことで達成ともいえます。しかし安倍ノミクスでその『好循環』がおきたことは一度もない。そして内需が徹底的に縮小してきて、企業業績にも悪影響がでる『悪循環』がおきつつあるのです。

安倍氏や公明の山口代表が、雇用が増えた、賃上げがあった、というのは、実は自ら内需へ波及していない、という好循環が起きていないことを、俄かに認めてしまっていることにもなります。もしそれが達成していれば、消費が増えた、日本経済が活性化した、と言うはずですから。自動車販売台数も減少がつづき、衣料品にまで節約志向が広がってきた。本当に雇用が改善し、賃上げされたなら、こんなことは起こらないはずで、つまり内需からみると、はっきりと安倍ノミクスは失敗、そう断言できてしますのです。
また法人企業統計や、その他の指標からも企業の設備投資が、かなり高水準で計画されています。これとて、労働人口が急減していく日本国内から、海外へ生産拠点を移そう、ということで計画されているなら、日本は空洞化をおこすことにもなるでしょう。設備投資は生産能力の向上ばかりでなく、雇用拡大という側面をもつ、とされますが、今の日本で起きている設備投資はそれと逆の可能性が高いのです。これから円高へと向かう日本、労働力の不足が顕著で、人件費高騰も予想される日本、企業が逃げ出そうとするのも当然です。ここから安倍ノミクスをつづけたところで、日本が成長する見込みはないのです。

「安倍ノミクス 是か非か」といって迫る前に、安倍ノミクスの成否を正しく示せば、失敗であることは明白です。しかもこれから、その失敗のキズをどんどん深くしていく、そんな状況なのです。しかもこれから安倍ノミクスの成果として、税収増分を社会保障や景気対策に当てる、と述べます。しかし実は、安倍ノミクスの成果とは、マイナス金利によって予定していた国債の利払いが減少し、余ったお金をつかうというのですから、もし不意に国債の利回りが上昇して行くと、一気に財源を失う恐れのある博打のようなものです。しかも、それは経済成長で得た果実でもなく、政策の失敗を一時的に活用できる、というまるで労働人口の減少で、雇用が改善したようにみえるトリックともこれは似ています。
安倍ノミクス単体の評価なら、時間軸でみてももう買える国債が市場から消えてしまうタイミングを考えても、2年ともたない。一方でマイナス金利を深堀りしても、効果は限られるどころかマイナス面が強くなる。つまりもう安倍ノミクスは行き詰まり、限界でもあるのです。是としても終わり、非としても終わり、それが安倍ノミクスの寿命です。そんなものを選挙の争点だと掲げるのは、もう見識不足の謗りは免れないのでしょう。むしろ是が非でも、他の項目に目をむけられたくない、ということで安倍ノミクスを争点に掲げている時点で、国民に不誠実であることは明らかで、是非もない、として与党を支持する根拠には欠ける、ということにもなるのでしょうね。

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2016年06月21日

野党4党の選挙公約

残りの野党4党の参院選における重点政策をみてみます。まず生活の党と山本太郎と仲間たち。特筆は子供手当て2.6万円の実現と、可処分所得1.5倍です。可処分所得については、子供手当てと雇用の安定で、というのですが、雇用が安定しても賃金が増えるわけではない。安倍政権では雇用が増えた、と言いますが、実質賃金は上がっていない。つまり働き方の多様化として短時間労働を増やした結果、低所得労働者が増えた、といった矛盾を抱えます。
では生活にどんな手段があるか? 一つに最低保障年金と、ベーシックインカム制度の導入があります。高所得者を優遇するより、低所得者に手厚くなれば、可処分所得の上昇率は高まるからです。ただし、財源は? というと政策経費27兆円と補助金30兆円のムダ削減で、とします。民主が政権をとったとき、ムダ削減に失敗した。民主を離脱する前、生活の議員はほとんど政策には携わっていませんが、それが生活では出来る、という展望を少なくとも示し、国民に納得してもらう必要があるのでしょう。
社民党のキャッチフレーズは「アベ政治の暴走を止める」です。中身は野党共通政策の対案パッケージを大きく超える提案はなく、大枠は民進、共産、生活と同じです。トリクルダウンではなくボトムアップ、としますが、具体策はない。小政党として、中々提案しにくいとしても、キャッチフレーズからして反対のための意見、とみられがちになります。

新党改革は家庭ノミクス、共助力を訴えますが、市場原理一辺倒ではなく、新たな価値観の模索、とします。それを「時代はいつも過渡期」という言葉でまとめますが、新自由主義に失敗した、と言えない部分が最大の弱点です。特筆は、参議院改革を訴える点です。ただ「国民の熱狂が国論の暴走を生み、国民自らを苦しめた歴史に学ぶ」と言い、二院制はいいこととしますが、それで安倍政権に近い態度をとることとの整合がつきません。与党は耳を貸すべきだ、と他人任せなのが気がかりです。議員立法の発議数1位、を常に功績のように語りますが、中身が問題です。そもそも舛添前都知事の問題について、何も語らないのなら、政策通の前に政治資金の問題について、もっと真摯な反省が必要でしょう。寄付文化の推進や社会インパクト投資など、どうしても新自由主義の匂いしかしない。医療大麻の研究推進など、自民よりもやや米国型社会をめざす、という方向性は鮮明です。一方で超・原発社会として原発政策は一線を画す。年金通帳や健康倶楽部など、変なところに細かくて、安倍ノミクスを評価する点はやたらと大雑把。理由も示さず、半ば思い込みで価値を決めているようで、家電エコポイントを実現したことも評価、としますが、その結果として需要の偏りをうみ、液晶テレビをはじめとし、家電産業を衰退させた責任は語らない。どこまでいっても、新党改革は「過渡的」な印象をうけます。
日本のこころを大切にする党、「独立自尊の精神を養い、愛国心を育む教育」とうちだす唯一の政党です。超右の政党ですが、例えば経済政策は公共投資の拡大、異次元の財政出動など、危なっかしくて仕方ない。いくつかの項目に「現行憲法の枠内で」と但し書きをつけて見直し、としますが、最終的には改憲をめざす政党でも、その間は解釈変更で様々なことを実行する気は漫々なのでしょう。「日本国及び日本国民の尊厳と名誉を守る」と述べますが、まずその尊厳と名誉の基準が、かなり右にある点は要注意なのでしょう。

駆け足で野党4党をみてみましたが、これは今回の選挙に限らず、ですが、与野党の政策の中にはかなり似通ったものがあります。ただ、与党には政策の実現力について責任があります。では自公の実現力は? 甚だ劣っているといえるのでしょう。今年の通常国会の法案成立が低迷しましたが、昨年も安保法制で安全運転に徹した挙句、法案成立が少なかったですし、臨時国会も開かなかった。安倍政権では、今のところ政策が実現するとの期待も少ない、といった問題もあります。ただ掲げられた政策の良し悪しばかりでなく、それを実現する、そのための能力、本気度があるかどうか、を見て行く必要もあるのです。それを知るのは街頭演説や、テレビの討論で何を語るか、それを冷静に見極めることも重要となってくるのでしょう。
与党しか政策実現力はない。その政策について、野党が攻撃することはあるでしょう。ただし与党が野党の政策を批判しても、特に政権選択でない参院選では大した意味はないにも関わらず、それに時間を費やそうとする。そんなところも見て行くことで、真に国民の方をむいているかどうか、それを判断することも大切なのでしょうね。

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2016年06月20日

英国の国民投票と日本への影響

一部の世論調査で、自民支持が急減、政権支持率も5pt落ちるところもあるなど、選挙戦序盤とはいえ、かなり与党に厳しい結果がでています。舛添都知事の問題を、疑惑も解明せずに幕引きする自公、ということもありますが、安倍官邸が読み違えたのは消費税増税を延期し、景気に配慮したら、選挙で重視することが「社会保障の充実」だった点です。増税延期で、社会保障も一部執行の後ろ倒しとなるなど、逆行する形となった。安倍政権は安倍ノミクスを「前に」と争点にしようとしたら、有権者の判断はまったく違った、ということです。
財務省の代弁者、とみられることも多いIMFは消費税増税15%まで引き上げるべき、としました。一方で実質実効為替レートは現行が妥当、と日銀や政府とも異なる判断を下した。英国離脱なら介入も辞さず、といってみたところで、国際社会からまた一つ梯子を外された恰好です。今日の株式市場は大幅高で、英国によるEU残留観測といいます。ただ、今はそれを材料にイベントドリブンの動きをしているだけで、実態とはほど遠いところで市場が右往左往しているだけです。そんな英国の動きが日本に与える影響を考えてみます。

結論を先に書けば、離脱でも残留でも短期ではほとんど変化がありません。仮に離脱になったとしても、EU側との交渉が待ち構えますが、残留派のキャメロン首相が交渉の任に当たるわけにはいかないので、選挙になる可能性が高い。そこで残留派が政権をとり、EU側と交渉しますが、例えば通商政策は現行通り、となれば経済的な打撃はほとんどないでしょう。つまり交渉次第で、様々なパターンが想定されるので、いきなり23日から関係が変化するわけではありません。つまり経済、財政にどんな影響が出るかはその交渉の行方をみる必要があります。ただ、もし仮に甘い条件で英国が離脱するとグレグジット、ギリシャを初めとするEU離脱を画策する各国の国民、政党を勢いづかせるかもしれません。
仮に残留となった場合、これだけ国論を二分する罵り合いになれば、嫌でも遺恨が残ります。すると次の議会選挙で、離脱派が大躍進する可能性があります。そして離脱派が勝てば、離脱派主導で改めて国民投票の実施でしょう。今、残留派の国会議員が殺害されたことで、残留派が有利とされます。しかし容疑者はネオナチの思想に染まり、銃の製造方法を検索、とする情報が流れるなど、かなりの危険人物であったことになります。そんな人物が銃を入手し、議員を襲うなど、実はキャメロン政権の危機管理能力が問われるはずでもあるのに、そうした議論がおこらない。これは当初から残留派に都合のよい情報だけが真偽不明のまま垂れ流されるなど、残留派のキャメロン政権が、残留に都合よいよう世論誘導をかけている可能性が高いのです。しかし離脱派が政権をとれば、逆に離脱派に都合よい形で情報が操作される可能性が高くなる。離脱派が勢いづくことにもなるのです。

短期では、上記のようにすぐのすぐ、何か影響がでるわけではないのですが、長期に亘ってこれは尾をひく問題になり、離脱派、残留派、どちらが勝っても経路がちがうものの混乱はつづくでしょう。では、日本に与える影響、実は経済面だけの話ではありません。
国民投票の混乱、それは安倍政権を震撼させます。何しろ憲法改正には国民投票が必要です。特に憲法改正はハードルが高く、また国論を二分する問題になりかねない。政権が2、3とぶことは覚悟する必要もある。安倍氏は保守層の繋ぎ止めに、ネット討論では憲法改正に言及しましたが、英国の事情をみるにつけ怖くて仕方ないでしょう。安倍ノミクスという禁断の手をつかっても、この程度の支持率で、憲法改正には届かないぐらいの勢力にしかならない。しかも時間軸でみればもう限界、憲法改正の発議から国民投票までの期間を考えたら、もたないことは自明です。英国の大混乱は、事実上安倍政権の改憲をしばったとみることも可能であり、むしろふれられたくない事がらなのかもしれません。

さらに市場、という意味では23日をすぎるとアク抜け感といった話もありますが、上記したようにどちらに転んでも大きな情勢変化がない限り、また起こる問題です。つまり残留によるメリットを、どこの国も感じ難くなった。残留派が勝っても現状維持、それでは満足しない。一度、離脱を経験してそのメリット、デメリットをうけてからでないと収まりがつかなくなっているのです。なので、今後も市場を大きく揺り動かす問題になることが確実です。
イベントドリブン型の市場の動きは、金融緩和によって力をもった面があり、特に日本で変動率を高めているのは、海外の長期投資家を手控えさせているからです。安定的な投資とは縁遠くなり、安倍ノミクスを「前に」どころか、市場は上に、下に、と大騒ぎになるのでしょう。しかも上より、下につく方がメリットも増えてきた。民主主義における選択の誤謬、安倍政権の誕生そのものも民主党政権の批判が発端でしたが、その結果として安倍ノミクスという愚かな経済政策を行い、より市場を弱体化させたのですから、英国の国民投票を笑ってみることもできない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(21)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 欧州

2016年06月19日

民進党の重点政策

NHKの日曜討論で各党党首による討論会が行われました。安倍首相は「G7では日本がリードし…」「4年前に比べ…」など、会話に耳ざわりな言葉を挟んでいましたが、よほどの情報弱者でない限り、G7を各国がどう報じたか、4年前と経済指標がどう変わったかについて、安倍氏の説明を鵜呑みにする人はいないでしょう。G7で意見がまとまった、などというのは当然で、もし議長国が意見をまとめられなければ国際的な恥です。しかし国内向けと国外向けと、まとまった文言について微妙に訳にも差がある。経済指標とて、毎回倒産件数が減ったことを自慢しますが、個人事業主が毎月数十万の単位で減っている。後継者不足もありますが、これは廃業や休業をする零細企業が如何に多いか、を示すものです。安倍政権の下では、零細企業に恩恵がなく、事業をつづけることが難しいと判断しているのでしょう。そんな国を自慢げに話すぐらい、経済については無知とも言えます。
さらに、民進党と共産党について、やたらと執拗に「一緒になるのか?」と尋ねていましたが、共産は連携に前向き、民進は後ろ向き、ということを際立たせようとしたのですが、正直「そこは重要か?」と感じます。同床異夢、という言葉もありますが、今回の選挙で重要なのは、政権選択でもない参院選で、連立の枠組みを議論することではない。どうやら安倍氏は、衆参Wを想定していた頃からの選挙戦術を、参院選のみとなったのに採用している、としか思えない。一国の首相が野党攻撃に執念を燃やす、という余裕のなさしか窺えませんでした。一方、早口でまくしたてる生活の山本太郎氏には、憮然とした表情で返す言葉もなかった。今回、もっとも得点をあげたのは山本太郎氏となるのでしょう。

そんな民進の重点政策をみてみます。キャッチフレーズは『人からはじまる経済再生。』です。国民を「あなた」と読ませ、国民と進む。を掲げますが、民主党時代に遠心力を働かせ、人が離れていった歴史もあります。そもそもマニフェストという言葉を壊し、重点政策という言葉で選挙公約を掲げざるを得なくなった、その反省は読み解けません。国民の声を聞く前に、どうして仲間の声を無視して消費税増税を強行したのか? それで今、増税延期と赤字国債発行、と言われても、マニフェストのムダ削減はどうなったか? 素朴に疑問です。行政のムダ削減はもうムリなら、そこは明示する必要があるのでしょう。
経済政策は、人への投資、働き方革命、成長戦略、とのことですが、自民が政権政党なのにできていない項目を掲げ、クリンチ戦術をとっていることから、違いは見出し難い。唯一は軽減税率ではなく、給付付き税額控除をかかげる部分でしょう。マイナス金利の撤回も掲げますが、有名無実化したとはいえ、中央銀行の独立性を考えるなら公約に掲げるべきではありません。文中には「うながします」と出てきて、要請とも読めますが、見出しをみる限りでは命令です。印象操作の疑いももたれてしまうでしょう。

チルドレン・ファーストを掲げますが、高校授業料無償化を保育園・幼稚園から大学まで広げ…と、授業料の無償化が広がるのか? と思いきや、給食費などの家計負担を減らす、とどこまで横展開されるか分かりません。保育士の給与は全産業ベースより11万円も低い、としながら5万円の賃金アップなど、どうしても一歩足りない感が否めません。
最低賃金1000円、男女同一賃金、年金嵩上げ、年金の安全運用、など、各項目をみると『自民党よりちょっといい』ぐらいの感想しかない。大きな差は9条改正に反対、という点なのでしょうが、一方では国を守り、世界に貢献する、とする中で「専守防衛を前提として自衛力の整備、日米同盟の深化」などを掲げ、党内にいる保守勢力に配慮したとしか思えない項目もでてくる。安保法制を白紙化とはしますが、日米地位協定が出てこないなど、政権を担当し、米国の裏工作に屈して表立って米国からの反発を招く項目は掲げない、という弱腰の姿勢もみえてくる。全体的にふみこみ不足、積極的に民進党に投票したい、と思わせるような公約ではない、ということしか感じられないのです。

一度政権を担当してみて、より現実的になった、ということかもしれません。しかし消費税増税という大きな約束破りを犯している、その反省に立てば、もっと真摯にできることとできないこと、その選別をして示すことも必要なのでしょう。その上で、できることをより深化させ、国民に訴えることができるか? 今回もそれは道半ば、といったところです。『あなた』という言葉は単複同形でもつかえますが、『国民(あなた)と進む。』というなら、共産とも他の野党とも、ともに進むことをめざしてもよいのでしょう。あなた、の中でも選別をするなら、どうしてもかつての遠心力を思い出さざるを得ないのでしょうね。

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2016年06月18日

共産党の選挙政策

共産党の参院選、選挙政策をみてみます。キャッチフレーズが『力あわせ、未来ひらく』と、助詞の『を』が入っていないのですが、そのことで日本語としてはリズムがいいとされる7音ではなく、6音になっている。言い切りの感じは出せますし、句点まで含めると5文字ずつに別れ、字面がよくはみえますが、奇を衒っている感じは否めません。野党共闘、国民運動との連携を積極的におしすすめてきた自負なのでしょうが、『ひらく』であって『つくる』でない点に、その効果も読み解けます。つまり連立は約束していないので、現状を変えるだけで、『つくる』段になったらまた別、そういう意味になるのでしょう。

現行憲法を堅持、安保法制の廃止を掲げ、北朝鮮とは対話を、中国には南シナ海行動宣言(DOC)の遵守を求める、として『北東アジア平和協力構想」を掲げます。北東アジア規模で友好協力条約を締結、としますが、中身が分からないため評価しようもありません。しかも北東アジア全体が、利害を一致して協力できるとは思えない。軍事的緊張を高める方が有利、そう考える国がある以上、画餅になりかねない構想です。気になるのは日米関係は別の項ででてきますが、日米地位協定の見直しと辺野古中止、普天間の無条件撤去は求めても、日米安保についての言及がない。北東アジア〜の中で米軍がどういう位置づけになるのか、不明です。もし仮に条約をむすぶとしても、北東アジアで最大の米軍駐留のある日本を他国がどう判断するか? 日本に有利な条約と見なされれば締結も難しいのです。
社会保障は拡充、として年金削減をストップ、公立保育所の増設、保育士の賃料を10万円アップ、子供の医療費無料化、大学授業料を10年間で半額、雇用ルールの強化で非正規から正規へ、最低賃金は1500円をめざす、などの項目が並びます。共産党が稀有なのは、こうした施策の財源も示している点でしょう。『消費税に頼らない別の道』として別立てで掲げるほど意欲的です。中身は消費税で327兆円の税収増になったのと同時に、法人3税は270兆円減、所得税・住民税は261兆円減、とします。不況は勿論のこと、法人税減税や富裕層減税があったから、とし、その減税分を元にもどす、資産課税、証券税制の引き上げ、などを通じて22.3兆円の財源がでてくるとの主張です。それ以外に2%台の名目成長で10年間で20兆円以上の税収増、としますが、実はこれが弱点です。経済成長を促すような項目がない。確かに、これだけ社会保障を充実させれば、一面では国民の収入アップにつながりますから、消費を押し上げることはできるでしょう。ただ一方では富裕層増税と大企業への増税が与える負の面もある。その両面からみた評価も必要なのでしょう。

TPP反対、原発はゼロで再生可能エネルギーに代替、秘密保護法を廃止、などの自民党が行った施策への反対姿勢は鮮明です。恐らく、共産党が政権をにぎったら、大企業から中小企業、個人へと手厚くなり、自民党政権時代とは違った国の形をめざす、ということはよく分かります。一方で、グローバル化がすすむ世界で、中小企業で世界と対抗できるか? そのためには国が支援し、国がより関与する形で世界と戦っていかなければいけない。その選別には当然、政治家や行政機関がかかわります。そこに利権の発生する余地がある。それをどう防ぐか? についての具体策はありません。このままだと、共産主義という一見優れた制度にみえる一方、人間の本性に照らすとまったく不都合な制度だった、という本末転倒な問題を引き起こしかねない、そういうリスクを意識されてしまうでしょう。
それは最後に出てくる「国民連合政府」構想にも現れます。相違点は横におき、一致点で合意形成をはかる、という原則で、政権運営が十分可能だとしますが、合意できない法案は否決される公算が高まる。そうなると、政策の実現力が著しく低い政権、ということにもなりかねません。目標は立派で、掲げる項目には納得できても、その手法や具体策には大いに疑問が残る、そんな政策集になってしまっているのでしょう。「力あわせ、未来ひらく」のフレーズは、そのまま「未来非楽」と読めてしまう点に、答えが必要なのでしょうね。

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2016年06月17日

東電第三者委の報告書

英国で残留派支持の野党議員が、射殺される事件がおきました。痛ましい事件ですが、不可解なのは、残留派にとって都合いい情報が真偽不明のまま流布された点です。悪い想像ですが、残留派のスケープゴートにされたのではないか? 悲劇の犠牲者をだすことで、残留派の支持を高めようと考えたのではないか? 実際、残留による利権の維持、規模からみれば人1人の命など軽い、そう考える連中がいても不思議ではありません。米国もそうですが、優秀な諜報機関のある国は、国家存亡の危機に際して『悲劇の犠牲者』をだしてきた、そんな歴史もあります。まだ詳細が分からないので何ともいえませんが、英国の黒歴史が一つ、増えたことになるのかもしれません。

東電の第三者委員会から、「炉心溶融」の言葉を官邸からの要請でつかうな、と指示があったと推認される、との報告書がだされました。結論を先に書けば、舛添都知事の『厳しい第三者の目』と、似通った匂いしか感じません。まず当時の官邸のメンバーを考えると、菅元首相にこの話をしたら瞬間沸騰して「発表しろ」と喚くでしょうから、菅氏に話が通っていたとは思えない。恐らく今になって暴露しない、といった口の硬さもないでしょう。枝野元官房長官も炉心溶融についてその可能性を示唆していた。あえて東電の口から語らせない、といったことをする必要性もありません。海江田元経産相は経産省の意向を汲む可能性はありますが、それだと官邸からの指示には当たらない。他の内閣官房が菅氏や枝野氏に了解もとらず、勝手にそんな指示をするはずもないのです。
しかし不可解な動きは、むしろ周辺でありました。3月13日、記者会見でメルトダウンの可能性を示唆していた、原子力安全・保安院の審議官が交代させられ、新しい担当は否定も肯定もせず、と態度を曖昧にしました。14日のTV会議ではメルトダウンの言葉が飛び、武藤副社長もそれを認識していた。それが武藤氏の記者会見の場で渡されたメモで、炉心溶融が禁止された。つまりすでに炉心溶融について、何らかの圧力は12日ごろから確認されており、メモは最終決断だった可能性が高い。その判断は誰が下したのか? です。

報告書では4月10日に官庁連絡班からのファックスで、経済産業大臣からの指示で「炉心溶融はつかわず燃料ペレットの溶融に統一」と、チャイナシンドロームの不安を拡大させないようにした、旨が書かれていたとされます。そして5月24日に炉心溶融をみとめることになる。これについて、報告書では「不当であったとは言えない」とし「より早期にみとめることも可能であったとの見方もできる」とも併記します。また「避難指示等にほとんど影響しなかったはず」とする一方「地元の自治体への説明としては不十分だった」と、両論を併記する形で曖昧にしている。どこか「違法でないけど不適切」とした、舛添第三者の報告と似通うものを感じるでしょう。依頼主である東電の体裁は守りつつ、責任は誰かに転嫁しよう、という意図が強くにじんでしまっているのです。
しかも当時の官邸側には、一切の聞き取りをせず、東電の一方的な聞き取りを重視している姿勢も、舛添第三者に似ます。なぜこれで「推認」できるのか? 小沢生活の党代表の陸山会事件における推認裁判にも似る、とさえ言えます。一方の意見に偏り、判断を下しているだけで、その正当性については誰も保証していない。そんな報告書でしかない。仮に政治家には聞き取りが難しい、としても海江田氏はすでに公人を外れています。聞き取り調査をしても何の不都合もないでしょう。

では誰が、判断を下したのか? それは原子力安全・保安院のきな臭い動きからも、経産省の誰か、であることは自明です。当時の官邸が、保安院の審議官の人選まで判断できるような状況でもない。4月10日の指示をみても、それ以前に海江田氏が指示をだしたことはないのでしょう。むしろ経産省の事務次官辺りからの説明で、その言葉通りを指示としてだした様子もうかがえます。つまり経産省の原発利権、それにまつわる判断が「炉心溶融とは使わず」と、3月14日に正式決定した。それ以後、誰の口の端にも炉心溶融という言葉がでなくなったことからも、この日を境に徹底された、ということなのでしょう。
この報告書、異常なのは指示をうけたはずの清水元社長が「憶えていない」ということを周りに聞き取りして判断した、というこれも舛添第三者の、ホテル三日月で会談したとされる出版社社長への対応とも似ることです。ここまで似ると対応マニュアルでもあって、それに従って弁護士が報告書を作成しているのではないか? そう勘繰ることさえ否定するのが難しいのでしょう。そして東電や中電は、地元で原発PRのためのCMを復活させています。舛添氏は「せこい」「ケチ」と批判をうけましたが、こちらのずる賢さ、抜け目なさは舛添氏の比ではないのでしょう。経産省の原発利権を擁護する安倍官邸、そして原発問題で自分たちは「違法ではないけど不適切」で、当時の民主党政権の責任におしかぶせて切り抜けようとする東電と、それらが合致した報告書であるのなら、これらに関与した人間たちは福島やその周辺にいる暮らしていた人々を「悲劇の犠牲者」にして、原発を肯定しようとしているとしか見えないのです。原発利権の存亡の危機、とでも考えているなら、早晩国民の怒りが原発にも向かうことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

FOMC、日銀の現状維持

北海道の函館で震度6弱の地震がありました。震度の割りに被害が少なくて幸いですが、ちょっとした噂があります。震災は政権与党にとって都合がいいことは、北海道5区補選で証明済みです。つまり今回、震度を高めにだして国民に震災を意識させたのでは? という噂があるのです。震度は職員の体感でだしていたりもしますし、後で変更も可能です。実際は分かりませんが、震度6弱というインパクトと、実際の被害と。その2つを見比べる必要もあるのでしょう。

日米の中央銀行が金融政策決定会合を開きました。まず米FOMCは現状維持、ただし今年と来年の成長率見通しを下げ、また金利見通しを示すフォワードガイダンスも年1回が前回の1人から6人に増えるなど、かなりハト派な印象です。FRB理事らによる5月から急速に6月利上げを織り込ませる動きもみられましたが、5月雇用統計や住宅市場の減速など、利上げできる環境が遠のいたことも要因ですが、最近FRBは口先介入でバブルをつぶすことを目的にしており、実際に利上げできる環境でないことは気づいている。しかし口先介入の効果をもたすために、年末に利上げするのでは? といった警戒も広がるのが現状です。
日銀も現状維持、ただし住宅市場は「持ち直しに一服」から「再び持ち直し」に上方修正し、年度末にかけて物価は上昇する予想を維持するなど、ややタカ派な印象を強めました。この日米の現状維持は、2つの意味で市場にバイアスをかけました。つまり5月からFRBが利上げ観測を流したことで、一気に外国人投資家が円の買いもちポジションを減少させたこと、また日本では2割ほど、とされますが市場には緩和期待があった。円高がすすみ易くなっており、黒田日銀総裁が以前106円台の円は「高すぎる」と発言したことから、動くのではないか? とする期待です。つまり2つの期待が一気に消失したことで、円売り・株買いのバイアスが強くかかったのであり、これは投機的な動きでも何でもありません。強いていうなら市場との対話に、日米の中央銀行が失敗した結果、といえるのです。

しかも日本は深刻です。安倍政権ではもう外国人投資家は株を買わない。安倍ノミクスへの期待が剥落し、興味すらない。一方で、ブレグジットの問題でポンドからの資金逃避が起きており、英国の影響が軽微な円のポジションを増やしておきたい。そんな思惑も働いています。つまり市場としては円買い・株売りはまさに直近の思惑に添うものなのです。
さらに日銀によるフォワードガイダンスの失敗、も影響します。つまり黒田氏はサプライズを意識する余り、市場との対話は下手です。そのことで思惑でのポジションを構築する短期スジが、イベント通過後に一気にそのポジション解消と、新たなポジションの構築に動く。このことで変動を大きくしており、ますます市場の健全性が薄れ、長期投資家が敬遠する、という悪循環を生んでいる。まさに安倍政権、黒田日銀がいることによって、今のように市場がおかしなことになってしまっているのが、現状といえるのでしょう。

舛添都知事の辞任で、米FT紙による「せこい」の報道ばかりとり上げられますが、AFP通信は「東京五輪は不祥事続きで、都知事の辞任は恥の上塗り」と、もっと辛らつな記事を書いています。つまり舛添氏の「せこさ」という個人的な問題ではなく、日本全体が「不祥事続き」という目で外国人投資家からは見られており、投資資金が集まりにくくなっているのです。しかも「恥」を「上塗り」するのは、重ね塗りなのですから重症です。
経済指標でさえ、速報から確報へと数字を弄ることが可能です。数字によるインパクトという意味では、15000円台前半の株価、103円台の円というものが、安倍政権に与える影響は大きいのでしょう。株価連動内閣ともされてきただけに、その通信簿として参院選にも影響してくるのは確実です。フォワードガイダンスに失敗する黒田日銀、日本の将来に明るい展望の示せない安倍政権、どちらも期待に関わるだけに、それを保証できないという点では株価も為替も『投機』というより『当然』といった水準になってきているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 00:05|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2016年06月15日

舛添都知事の辞職

中国の情報収集艦一隻が、鹿児島県口永良部島沖の領海に侵入しました。ここ最近、中国海軍の動きが活発ですが、これは対中強硬路線をとる安倍首相にとって選挙に有利となるよう、中国が協力しているかに見えます。しかし実際そう、という話もあります。本来、親中政権を誕生させ、経済が苦しい中国への投資を促す、というのが本筋の中国の動きのはず。しかし今の日本で中国への協力姿勢をとると、政権基盤すら揺らぐかもしれない。結果、支援もとれないことが中国にとって危惧です。ならば、対中強硬路線でありながら米国に尾を踏まれ、具体的行動のとれない安倍政権でいる方が、中国にとって利があると言えます。
今回も日米の演習と合わせ、情報収集を行っていることからも、意図的でしょう。つまり具体的行動のとれない安倍政権であれば反発もできないのですから、その間に実績、前例を積み上げておく。日本が反発すれば敵国政策をとり、日本を非難することで中国国内にうずまく不満を逸らすこともできるます。つまり味方にできないのなら、敵のままで、しかも身動きもとれない安倍政権が、今の中国にとって最も望ましい日本の政権、ということです。

舛添都知事が辞職を願いでて、21日付けで辞職する見込みです。しかし今回、目だったのは舛添氏というより、自民都連の迷走ぶりです。GW頃から急速に盛り上がった舛添叩きの動き。舛添氏は記者会見を見る限り、当初強気、中盤弱気、第三者による証言前になると余裕、それを過ぎると低姿勢、ところころ態度が変わりました。個人の判断だけで、これだけ気分が変わっていたら、異常なレベルです。恐らく誰かと相談し、知事をつづける算段を話し合っていた。それが自民都連幹事長を中心としたメンバーだったのでしょう。最後の泣き落とし、議会解散を匂わせたことまで含めて、9月まで舛添、がメンバーの総意だったはずです。
共産からの百条委員会の設置要求を蹴ったのも、自民都連です。つまりこれが舛添氏との手打ちの条件だった。1.辞職願提出後は追及しない、2.再就職先の世話、3.いずれかの段階で名誉回復、です。2.は9月辞任がちょうどよく、半年後にほとぼりが冷めてから大学の教授に復職させることで話はついていたでしょう。3.は、いずれメディアにも登場させ、今回の騒動の顛末を語る機会をもうける。当然、そのために1.をさせてはまずいわけで、疑惑は疑惑のままでいる方がいい。書籍にまとめるとしても、疑惑のままの方が売上げも見込めるのです。

自民都連と舛添氏、双方の利害が一致した、それが9月までの留任でした。それと同じように辞職を21日付けとしたのも、20日に集中審議をくんだ自民都連に配慮したものでしょう。つまりずっと自民都連と舛添氏は調整していたことが、こんなところからも分かる。舛添氏が中々辞職しないと文句をつけたところで、自民都連の判断が大きかったと言えるのです。
しかも自民都連は1.を約束しているので、疑惑解明については徹底的に阻止しようと動いてくるでしょう。本来、何があったかを詳らかにすべきであるのに、です。むしろ自民党議員にはこの手の話はてんこ盛り、政治資金規正法違反なんて罰則もないので、やりたい放題。そういう面からも、自民都連は1.は絶対に避けなければならなかった。だから集中審議のときも報道ベースの追及で、質問時間も余らせる、といった失態を犯したのです。

最近、安倍氏が定型文のようにつかうのが「気をつけよう、甘い言葉と民進党」です。しかし自民党議員の政治資金規正法違反は枚挙に暇がありませんし、舛添氏に第三者、として佐々木弁護士をつけたのも、自民党でしょう。そのことから小渕元経産相の公選法違反容疑の第三者委員を務めたことにさえ、疑問符がつけられた。そして甘利経再担当相の疑惑。自民党議員に対する様々な疑惑に、蓋をしてきたのは自民です。その言葉、そっくりそのまま自民に返すなら「気をつけよう、甘い追及の自民党」です。
舛添氏は自民党議員時代から、今のように公費の公私混同問題を抱えていたでしょう。そして疑惑の解明にも及び腰の自民、というイメージが定着してきました。参院選を控え、東京都以外でも自民党議員に対し、舛添氏を辞めさせないと投票しない、といった批判が殺到したといいます。言葉どころか、身内に甘い体質に対し、国民がどう判断するか? メディアの舛添バッシングに対し、辞職になった途端、声を上げる人もいますが、これも沈静化を早く促そう、とする動きに他なりません。しかし疑惑のまま放置され、誰も納得する人はいないでしょう。舛添問題とは、生活の苦しい国民にとって公費で甘い汁を吸う政治家に対する怒りである、その認識をもたないと、確実に自民党にその怒りの矛先は向かうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(24)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年06月14日

株価の下落と英国のEU離脱

今週に入ってから英国のEU離脱確率が高まり、世界にリスクオフムードが広がります。日本株も2日間で日経平均が750円ほど下落、16000円を割れてきました。朝方は16000円を底堅い、と見せかけるためか、シカゴ日経平均先物に鞘寄せするも急速に16000円に切り返しましたが、後がつづかないとなるとすぐに下落に転じた。日本株の弱さを改めて意識させられた形です。弱さの原因ははっきりしていて、外国人投資家が買わないから。しかもその原因は、参院選を通過しても安倍ノミクスがつづくのなら期待もない、ためです。海外では悪評まみれの安倍ノミクスを日本がつづける、と言っているのですから、外国人投資家は様子見を決めこみます。
さらに昨日、4-6月期法人企業景気予測調査の結果が悪かったことも影響します。現況判断指数は大企業が全体で-7.9、中小企業が全体で-16.9。深刻なのは、前回調査の見通しの時点ではそれぞれ-2.2、-6.8と、予想より大きく悪化した点です。7-9月期の見通しは上昇すると企業は予測しますが、根拠レスである点は否めない。安倍ノミクスが始まってから顕著な動きとして、企業や証券系のアナリストは見通しや先行きには楽観を示すことが多いのですが、今回のように見通しに届かないことが増えているのです。これも外国人投資家を遠ざける要因であり、日本の指標などは信憑性が低い、という評判にもつながります。特に、この調査で経常利益は全産業で-4.6。これも下期回復をみこんでおり、前回の調査からは引き下げられました。こうした楽観的な見通しが増えたため、サプライズも起こりにくいのです。

それは企業の想定為替レートが対ドルで110円、などと出していたら、いくらEPSやPERが割安を示しても、それを根拠に買いには動けない。よほど為替予約をうまく入れていない限り、減益要因でもあります。こうして「日本には信がおけないよね」が、今や外国人投資家の合言葉になった。安倍政権、企業ともに懐疑的な目を向けられては浮上の目もありません。
そんな中、英国のEU離脱の影響を考えてみます。概念的には英国はEUの準加盟国で、通貨もポンドをつかうなど、独立しても影響は少なく感じます。しかし英国のいるEU、EUの後ろ盾のある英国、という肩書きがとれることで、双方の保証が切れる。そのことで投資資金の流れが変わってしまうことが、もっとも懸念されるところなのでしょう。信用とは必ず前提がつく。英国のいるEU、EUの後ろ盾のある英国、それを前提にして信用が成り立ち、投資が行われてきた。ロンドンの不動産バブルなど、労働者がふつうに働いていると賃料を払えないなど、異常な水準まで達してきました。その流れが転換すると、何がおきるか分かりません。

第2次大戦後、高福祉国を目指して「ゆりかごから墓場まで」をスローガンにしました。今や「世界をゆり動かし、墓場まで導く存在」として、世界を震撼させています。やがて英国病とよばれる景気停滞が、20年以上つづきました。それを脱したのがサッチャー政権です。しかし地方や疲弊、一方で金融マーケットは成長し、ロンドンを中心として経済を復興させ、今やEU内でも独国、仏国に次ぐ3位、その資金の流れが変わったとき、どんな不測の事態がおきるかは、予断を許さないところでもあります。正直、私もまだ推定できていません。
しかし翻って日本の状況は、意外と戦後の英国と重なるのでは? とも考えます。バブル景気以後、ずっと景気は低空飛行、サッチャー主義ではありませんが、アベクロと呼ばれる日銀プレイにより、景気を回復させるとして安倍政権が誕生しました。しかし現状は景気は低迷、マインドが大事と楽観ばかり振りまきますが、もうそのウソには誰も見向きもしません。今や日本は『日本病』もしくは『安倍病』というぐらい、深刻な病の症状を呈しているのでしょう。英国のEU離脱は、世界経済をゆるがすほどの問題とされる一方、日本経済の失速には誰も目を向けない。安倍首相の言葉には耳を傾けない。日本は世界から見向きもされていないのに、国際的にリーダーシップをとった、と自慢する奇妙な人が首相の座にいるのに、誰もおかしいと声を上げられない。安倍病は内向きで残念な病、といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年06月13日

おおさか維新の会の政策資料

舛添都知事が都議会総務委員会で、1問1答形式での質疑に応じました。内容は従来の答弁と同じで驚きはありませんが、驚いたのは自民が辞職を求めなかった点です。自公の追及が弱かった点も、今後の参院選には影響してくる可能性があります。そんな中、舛添氏は「しがみつくわけではない」としながら、給与も辞すからリオ五輪の閉会式に出たい、としました。しかし舛添氏にとっては、2ヶ月ほどの給与など、東京五輪まで折りにふれてリオ五輪の閉会式の様子が放映され、肖像権でとれるお金の方が高額だと知っているから、給与を辞してリオ五輪閉会式、という選択をしただけでしょう。しかもメディアに顔と名前がでることによって、メディアからの仕事が増えることも見込めます。損得勘定に長けているだけにそう判断し、泣き落としと同時に議会の解散をチラつかせました。
しかし不信任案が提出され、議会の解散に打ってでれば、それこそ東京五輪を前にして混乱することをあえてする、ということにもなります。解散しても舛添氏が都知事として残る可能性はゼロ。解散は議会の判断と、自分の判断のどちらが正しいか、都民に信を問うということです。何のために? 議会解散の判断には首をかしげるしかありません。

おおさか維新の会の2016政策資料をみてみます。キャッチフレーズは『古い政治を壊す。新しい政治を創る。』ですが、身を切る改革、徹底行革を謳う割りに、でてくる項目は国会議員の定数・歳費の3割削減、18歳からの被選挙権付与、国・地方の公務員総人件費2割削減、と『壊す。創る。』と大上段にふりかぶるのも恥ずかしいものばかりです。国の現状と大阪の改革実績、を並べて比較しますが、いきなり首長となり、議会も多数を占められた状況とも異なります。行革や身を切る改革は、どの政党も政権をとった途端にその旗を下ろす、といった傾向もある。ではそうならない保証は? というと何もありません。
唯一『壊す。創る。』にふさわしいのは憲法改正ぐらいですが「戦後70年を経て、時代に合った憲法に手直ししていくことは当然」としますが、憲法に過不足、支障があって国民生活にまで影響している、という話ではありませんし、安保法制ですでに憲法を形骸化できることを国民は知った。「当然」などと胸を張って言えるような話ではないのです。「安保国会の不毛な議論」と述べてしまうほど、その「当然」の考え方が偏っているなら、「身近で切実なテーマについて改正を発議」と言われても、「身近」の部分は置いておいて「切実」なテーマに注力するのは目に見えています。自衛隊を壊して軍隊の創設、なのかもしれません。

それは外交・安全保障に色濃く、集団的自衛権の厳格化として、日本周辺の同盟国軍に限定、とします。しかし韓国や豪国とは同盟を結んでいるわけではないので、これだと日本の近海にいる米軍のみを想定した形になる。しかし自民が成立させた安保法制で、すでに米軍はアジアや中近東における自衛隊との連携を前提に考えており、それを後退させる案です。「現実的な外交・安全保障…」と言い、安保国会を不毛としながら、実はとても中途半端で、米軍を納得させるのが難しい路線といえるでしょう。TPPに賛成、日米地位協定の見直しも、何が現実的なのかよく分からない。むしろ空想的にも感じます。
それは『維新ノミクス』というよく分からない言葉にも端的に示されます。東京・大阪の二極体制から、多極分散型としますが、それが経済にどう影響するのか? 多様な働き方を導入、としますが、その結果賃金が下がったら? 憲法で教育を無償化、としますがその財源は? どうして憲法で規定するの? 等々の中身次第ではむしろ景気を悪化させかねない項目も含まれる。維新ノミクスは新しい時代を拓く、そうですが、「徹底した競争政策」など、悪い方の扉は開けそうである一方、大した成長戦略は打ち出せていません。

自公、民共の間に維新を並べ、「他党とここが違う」としますが、中身は新自由主義型の経済性政策、小さな政府路線、競争原理、市場開放といった路線で、世界では徐々にその失敗が意識されつつあるものを継承する、というに過ぎません。唯一、評価できるのが教育制度で、バウチャーの導入や無償化など、積極性がうかがえます。しかし上記した通りどうして憲法に規定しなければいけないのか? 財源を小さな政府による歳出カットで賄うつもりかもしれませんが、巨大与党にでもなり、しかも全議員を統制するのでもない限り、小さな政府路線を推し進めることなど到底ムリです。手腕自体が疑わしく、その成立までに時間がかかるのなら、教育制度改革も相当程度に遅れが生じることにもなるでしょう。新自由主義の深化、といった面が色濃いだけに、おおさか維新による「身を切る改革」の身は、政治家ではなく国民の懐かもしれない、ということを想起させてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年06月12日

日銀の決算と安倍ノミクスの対案

安倍首相は街頭演説で安倍ノミクスについて「野党は批判ばかりだ」「対案をだせ」と述べます。しかし安倍ノミクスを終わらせるには、途方もない労力と時間を要し、かつ景気の下押しをしないように景気対策を打ちつつ、です。対案どころの話ではありません。安倍ノミクスなどという経済政策は、無限につづけられるわけでもない。寿命は様々に議論されますが、日銀の国債買取は2年ともたない、とも言われる。市場に流通する分と金融機関が保有する分を合わせると、日銀の買える国債がない、というのです。そんな事情は日銀の昨年度の決算からも透けて見えます。

日銀の2015年度決算で、総資産残高は8282.05兆円増えて405.65兆円になりました。このうちこのうち国債が79.40兆円増えて349.20兆円です。年間で80兆円のペースで国債を増やしつづけたら、後2年で500兆円越えです。1000兆円の負債を日本が抱えていようと、市場に流通する分と金融機関が日銀に預け入れる分を除くと、その半分以上を日銀が抱えてしまえば、国債の市場が機能不全をおこす。特に、今は日銀が買いとっているのは市場からで、政府発行の国債を直接買い入れているわけではありません。市場が機能不全をおこせば買取もできなくなります。
さらに今回から、債券取引損失引当金繰入額なる損失を日銀は計上し、その額は4500億円にもなる。将来的に債券価格の下落によって生じる損失のために積み立てておく、といったものですが、350兆円のうちの4500億円なんてスズメの涙です。恐らく金利上昇局面を迎えたら、数%〜10数%、金利次第では数十%の損失を抱えるでしょう。通常の金融機関ならばすぐに売ってしまう、という選択もできますが、日銀ではそうもいかないばかりか、500兆円の国債が市場に放出されれば、さらに価格下落圧力が襲います。日銀は売ることもできず、市場の下落を放置せざるをえず、数十兆円の単位で損失をだすことにもなります。

すでにその萌芽は損益にも現れていて、昨年度の経常利益は9510億円減の7626億円。半分以下に減りました。勿論、国債下落に備えた引当金の計上もありますが、もう一つが為替差損を生じたこと。4083億円の損失で、為替取引の引当金を2042億円を取り崩しました。今はまだETF等に損失はみられませんが、株式の下落によりいずれ損失をだすかもしれません。資産規模としては小さいかもしれませんが、いずれETFやREITについても引当金を積んでおいた方がいいかもしれません。そうなると日銀の利益はふきとぶかもしれません。
日銀は剰余金の使い道も、法律によって決まっています。昨年度は3905億円を国庫に返納しましたが、昨年は8000億円程度は返納していたはず。今後、日銀が損失を抱えつづけるようだと、国庫への返納が減る。国の歳入が減り、事業すら立ち行かなくなるかもしれません。そもそも、日銀がいくら国債を抱えても大丈夫、とする新自由主義者の意見は、中央銀行は国債の利回りを国庫に返納する義務があるから、結果的に国にもどってくる、ということが前提でした。それが崩れると、巨額債務が政府を苦しめることにもなります。

そんな日銀は今週、金融政策決定会合を開きます。株式市場では緩和の手法についてかまびすしいですが、三菱UFJ銀がプライマリーディーラーを下りたことが、むしろ緩和の手を難しくしたともされ、日銀との連携プレーだったとする意見もあります。ただその場合、他行などが追随すると話が変わってくる。日銀が国債を大量に保有することにより、引当金を積まなければいけないように、金融機関とてそういう日がくるかもしれません。そのとき、名誉的なPDに留まることが得策か、金融機関も頭が痛いところでしょう。ただそれ以上に頭の痛いのが日銀です。金融緩和のヤメ時が、暗中模索といったところなのです。
日銀の緩和姿勢が打ち止めになったら、安倍ノミクスも終焉です。つまり次の衆院選までは微妙に継続できない可能性もある。さらに『ふかす』のなら、より短命にもなります。実は安倍政権の経済政策の方が、曖昧模糊としていて中身がないのです。この道は、もうすぐ先に崖がみえる。ではその崖に落ちないようにするために、いつ停車し、後退をかけるか? その道を安倍政権は全く示しておらず、その後退がいつ終わり、巡航速度で走りだせるのか? それはまだまだ遠い未来の話、でしかありません。対案どころか、安倍ノミクスの終わらせ方について、与野党ともに考えなければいけない時期に来ているのです。日銀には先に訪れた斜陽、これは日本経済にとって暗い影を落とします。安倍ノミクスそのものが「批判」どころか、もう「悲惨」な状況に入りつつある中、対案の前にすべきことがある、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2016年06月11日

自民党の参院選公約3 その他

自民党の参院選公約で、GDP600兆円実現とあります。しかし安倍ノミクスでもGDPそのものは増えていませんし、どれもこれも項目で掲げられていることに具体性はなく、目標は遠からじ、といった印象です。例えば訪日外国人を2020年に4000万人、旅行消費額8兆円と数字を掲げますが、インバウンド消費は低下傾向。モノよりコト、体験を今は重視するようになっていますが、日本の体験を本国にもち帰って事業化することは、当たり前のように行うでしょう。つまりコト、体験もしばらくすると中国でもサービスが始まる可能性が高いのです。また農林水産物を2020年に輸出額1兆円としますが、同じ数量が売れるなら円高は効果がありますが、高級路線化するなら数量はみこめません。特に今、各国でもバブル症状であるので高級品も売れますが、いつまで続くか不明です。残念ながら2020年までこのバブルが継続することはないでしょう。

上記のGDP600兆円が重要なのは、1億総活躍のための財源はすべて『経済のパイの拡大』という、極めて曖昧なものだからです。逆にいえば、歳入が増えなければ施策はすべて実行不可能です。思えば小泉政権時代、年金の100年安心プランとして国庫負担割合を3分の1から2分の1に拡大したものの、財源は先送りしたままとなり、社会保障費に不足が生じた。その穴埋めとして財務省に説得された野田前首相が消費税増税を言いだし、10%への引き上げが決まった経緯があります。つまり安倍首相は第一次政権時代から、財源のないまま年金制度を放置した確信犯であり、前科があるのです。また今回も、成長やら拡大といった曖昧にしていい加減な財源を示し、やりますといわれても無責任としか感じません。
女性活躍、という項目は異常です。女性の政治への参画拡大、起業の支援、指導的地位の女性を3割、町内会やPTAなどの方針決定課程への女性の参加、などなど出てきますが、根本が間違えています。男女は同権であり、そうでないことが問題なのです。「女性の処遇改善やスキルアップを支援」としますが、改善や支援という言葉に騙されてはいけない。男女で処遇が異なるなら、それ自体が問題なのです。女性だけを特別視し、改善しますというのは明らかに男性目線の発想であり、改善であって同権にならないなら、やはり問題が多いといえます。しかも、配偶者控除や第三号被保険者制度を見直し、中立にするというのですから、家計にとって負担増になるところも多く、経済にとってマイナスの施策です。むしろ女性が働かざるを得ない社会にする、というなら女性活躍どころか、女性圧力社会です。

地方創生の項目では『地方創生なくして日本の再生なし』を掲げますが、経済でもとり上げたように『再生』が頻出する。政権を担当してから3年も経って、未だに再生が必要なほど壊れたまま、一体どんな形なら再生が達成するのかも分かりません。項目をみても本社機能の地方移転、行政の地方移転、などと出てきますが、企業の本社を移転させることを公約に盛り込むことは不自然ですし、行政の地方移転はこの前大モメしたばかりです。それ以外、ほとんど目ぼしいものがない時点で、一体いつまで『再生』できないのか、疑問になります。
今回、びっくりするほど項目に割かれていないのがTPP。「TPPをチャンスとして…」と一文でてくるだけ。あたかももう成立し、国際的にもすべての国が批准するから選挙公約にしない、とでも云うかのようです。しかも『農林水産業』は27項目割かれていますが、そのうちTPPと出てくるのは2つ。「TPPの…不安払拭」と「TPP…米の輸入量の増加分は…国が買い取り」という2つ。TPPを活用して何か、という提案は一切ない。むしろ買取などにも言及している通り、TPPは農家にとって打撃と自ら認めているようです。秋の臨時国会から集中審議するというのに、この隠蔽ぶりは政府への農林水産業の不信感を増すところでしょう。

子育て支援や教育支援も、これから何かが変わるといった期待感はゼロです。理念等々は色々と書かれていても、保育士の待遇改善案が「7%待遇改善してきましたが、今後新たに2%改善し…」と、これまでそれでも保育士が職場にもどっていないのに、たった2%上げたところでどうなる? というレベルです。これで保育の質の改善、などというのですから、他の項目とて推して知るべしでしょう。自民の参院選公約、悪い言い方をすれば「何も変わりません」と言っているのと同じです。安倍ノミクスはつづけ、社会制度も変化なし。そもそも『この道。力強く、前へ。』は、一切の変化を否定しているのです。国民が不満をもち、不安になっているのに、堂々と『この道を行くのだ』という空気の読めなさ、現状への無知。第一次の頃も言われていたように、国民の生活について全く知らない、思いも至らないことが、安倍氏の最大の強みにして弱点でもあります。理想や理念が崩れてきて、生活にすら立脚できない政治。国民もその虚構に騙されていると、いつまで経っても不満は解消されない、問題は解決しないことを、覚悟しなければいけないのでしょうね。

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2016年06月10日

次期都知事候補?

米国では共和・トランプ氏、民主・クリントン氏でほぼ固まりました。民主ではサンダース氏がまだ降りない、と発言していますが、ここまでがんばってきて手応えも感じ、また次はないのですから粘るのも分かりますが、トランプ氏への援護射撃をするつもりか、との党内の声は日増しに高まるでしょう。カリフォルニア州の予備選前、クリントン氏で決まり、という報が一斉に流れたのも、民主党内でサンダース降ろしの動きが加速したことが原因です。
しかし社会にある閉塞感に、何とかしたいと考えていたら、いつの間にか嫌われ者の2人のうち、どちらかを大統領に選ぶしかなくなった。米大統領選、その候補者選びには意外な弱点が含まれていそうです。1つ指摘されるのが、米メディアが大統領選の広告欲しさに、候補者の批判を控えてしまう、という点。大統領選の広告出稿は、利益減少に悩むメディアにとって、数少ない確実な収益源であり、どんな問題があるか? それを国民に伝えきれていない。日本も同じですが、広告を握られるとメディアは脆い。それがどんなにひどい主張でも、意見がおかしくても、嫌われ者でも、生き残ってしまう原因なのかもしれません。

舛添都知事が定例の記者会見をし「死んでも死に切れない」と、続投の意向を明らかにしていますが、ここで退けばもう政治家としては『死に体』が分かっているから、続投したいだけです。13、20日に1問1答形式の質疑とされますが、高飛車な態度を改めだしたのも打つ手なし、の焦燥感でしょう。第三者の厳しい目、がまったく不発に終わり、自ら疑惑を晴らすための資料も、これまでのいい加減なイイワケを覆すことになり、逆に疑惑、怒りを高めるだけ。これまでの成功体験がすべて否定された驚き、焦り、そんなものが滲みます。
ここに来て、次期都知事に谷亮子参院議員が浮上してきました。五輪の金メダリスト、政治経験もあり、悪い噂といえば父親の出自があまりよろしくない、といった程度で、本人はクリーンです。参院選に生活の党からの不出馬のコメントからも「柔軟」を用いましたが、こうした物言いは知事職、トップに就きたいときに使うものです。東京五輪の顔、として世界的にも名前が売れている谷氏に白羽の矢が立ったとしてもおかしくありません。自民としても、小沢氏から離れてくれるなら御の字。逆に、変に自民の手垢のついていない方がいい、との判断もあるでしょう。自民で築いた利権をそのままもちこみ、都政の利権と対立を深めたりすると大変です。がっちりと利権構造を守る都政だけに、でしゃばりでない政治家の方が都合いい。つまり橋下氏や東国原氏などのように、俺が、俺が、では困るのです。

石原伸晃経済再生担当相も色気がある、との話も持ち上がりましたが、閣僚を辞任するのは困難です。小池百合子氏や蓮舫氏も、五輪を目標とする今度の都知事選には大義がありません。自民内で資格がありそうなのは橋本聖子氏ですが、アイススケートの高橋氏とのキス写真で失速し、イメージが悪い。中々めぼしい人がいない中ですから、谷氏も与野党相乗りで立候補、を画策しているのでしょう。ただ、ネックは谷氏には政界で実績がない点です。民主党政権が短命で、かつ小沢氏に従って離党したため、政権与党だった時代は少なく、また委員会などでも目立った発言は聞きません。スポーツ振興に注力したい、とスポーツ出身の選手が必ずいう台詞はありましたが、実績を上げたかは首をかしげます。
しかし谷氏の五輪金メダリスト、の肩書きは今のところ最有力候補になりうるものです。与野党ともに不満がない点もあるでしょう。後継候補が固まると、存外早くに舛添氏に引導が渡されるかもしれません。五輪時に選挙? という話があるとしても、特例で半年なり任期を延ばしてもよい、と法律をつくれば済む。何より自民としては、舛添批判が自公への批判に転ずるのが怖くて仕方ありません。オバマ氏の広島訪問を「良かった」が98%、舛添都知事は「辞めろ」の声が97%。もしこれが本当なら、日本はいつから大衆扇動に引っかかる社会になったのか? と気持ち悪くもなりますが、全員が「これ」と決めてしまうような社会体系は、いざそれが自分に向かうと…という警戒すら惹起させます。自民とメディアが仕掛けてきたこと、とはいえ、その効果に誰もが怯えているのでしょう。

「最低でも金、最高でも金」「田村でも金、谷でも金」と、目標を有言実行してきた谷氏。今回は隠忍自重するのも、インパクトを狙っているためでしょう。すっかり政治の色に染まったようですが、政治でいう『金色』に染まらないのなら、メディア受けもよいことといい、五輪のときの都知事としては、今のところ最適ということになってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(39)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

2016年06月09日

自民党の参院選公約について2 経済再生

中露の艦艇が尖閣の接続水域内を航行しました。なぜか中国の報道が大きいですが、昨日もとり上げたように自民の公約では、露国と平和条約締結交渉をするといいます。露国とは今、そんな環境か? 明らかに挑発行為をくり返す露国と、安倍首相だけが個人的に親密、と思っているだけなのではないか? 今回も露軍の行動のみ抑制的に報じられますが、中露ともに今は警戒すべきです。ナゼなら自国の経済的苦境を、他国との緊張を高めることで、国民の不満を逸らそう、という意図が働き易くなっているのですから。

4月の機械受注が船舶・電力を除く民需で、前月比11.0%減となりました。大型案件が減った事情もありますが、1-3月に設備投資を増やすよう政府から要請があった、その反動とみています。1-3月に弱い指標がでると、年度を通じたGDPがマイナスとなり、2年連続のマイナス成長となる。安倍ノミクスは成功、参院選を前にしてそう謳うためには、設備投資を押し上げる必要がありました。閏年で消費には押し上げ効果があり、後は民需が重要だったわけです。
5月の景気ウォッチャー調査もでてきましたが、現状判断DIで4月から製造業の落ち込みが激しい。これは他の経済指標でも同様に、ここに来て製造業の弱さが異様に目立ちます。先行き判断DIはもどる見込みですが、大きく落ちたからもどす、という範疇でしかない。これが需要の消失を意味しているなら、今後はこの悪影響が拡大していくことでしょう。

上記をふまえ、自民の選挙公約の経済政策をみてみると、相変わらず「経済の好循環をさらに加速」として、成果を語ります。国民総所得が36兆円増えた―これは円安となり、交易利得が増えたためであり、あえてGDPではなくGNIをもってきたのは、GDPベースでは成長していないためなのでしょう。雇用関連はすべて労働人口が減ったことが原因で、安倍のミクスの成果ではない。就業者が110万人増―という話も、短時間労働のパートが増えれば就業者も増えます。給与も3年連続で2%の賃上げ、とあえて家計所得でも、雇用者報酬でもなく賃上げ率を示すのは、これらの数字が悪いためです。賃上げしても残業カット、手当のカットがあれば所得は減る。労使交渉で決まった賃上げをとり上げざるを得ないのが、実感のない安倍ノミクスの実体なのです。倒産件数が少ないのは、廃業や休業が多いためとされる。その他はすべて円安で説明がつくのと、税収増もその間に増税しているので、その効果を割り引かなければいけません。
気になるのが『ゼロ金利を活用し超低金利活用型財政投融資』という文言です。金利が低いからといって、多額のお金を借りるのは愚の骨頂。金利が上がるとすぐに利払いに苦しみます。実はこれ以外、従来から公約に謳われながら実現していないものばかり。つまり政治がこれまでできていないことを再掲しただけで、目ぼしいものが見当たりません。

政策バンクのところの経済の書き方で気になるのは、見出しの項目が『経済再生』である点です。安倍ノミクスも3年以上経って、まだ『再生』? 実際、上記したようにこれまでと同じ項目が並び、また実感がない、とする景気を「行き渡らせる」とはしますが、どうやって? がない。項目羅列型で、実効性に乏しい面は否めません。目に付く新しい言葉にとびつき、IoT、ビッグデータ、最先端ICT、Fin Techなどとでてきますが、正直意味が分かっているの? ということさえ疑わしくなるほど、言葉だけが踊っている印象です。
肝心の規制改革は「ダイナミックなイノベーションを創造するため、終わりなき規制改革を果断に断行します」この一文のみです。5W1Hがまったくありませんし、やる気もない。経済政策の本気度が疑われます。金融政策について、1行もでてきませんが、上記したように「ゼロ金利の活用…」する気は漫々、一方で赤字国債は発行しない、という。財政投融資という名でバラマキをするなら、項目を変えただけでしかないのに、あえて見栄えに拘っている印象しかしないのです。

唯一、前向きな提案はFin Techにおける国際標準の主導、という項目ですが、他の目新しい言葉にしても、すでに外国では始まっているか、手のついていることばかり。日本初で何かをする、というわけでもないので、成長も限られますし、下手に注力して海外勢にすべてを攫われると、損失にさえなりうる懸念もあります。『再生』という言葉は、今から新しくする、ということ。『この道を。』と安倍ノミクスをこれからも押し進める、というのに、出直しを示唆する辺り、自民内にも失敗が意識されつつあるのかもしれません。安倍ノミクスはもう壊れていて、今から『再生』させます、というなら、この公約に掲げられた項目の乏しさ、目新しさのないことからみて『力強く、前へ。』どころか、『力なく、ダメね。』となってしまうことが、ほぼ確実視されるのでしょうね。


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2016年06月08日

自民党の参院選公約について1

三菱UFJ銀行がプライマリーディーラー(PD)の資格を返上する話が持ち上がりました。マイナス金利により、常に4%の応札を義務づけられることさえ、最早応じられない。名誉職的な扱いだけに、名より実をとることにしたのです。しかし3大メガバンクの1つがPDを返上すると、他も追随する可能性があり、マイナス金利の深堀りはそれを加速させる恐れもある。応札が減る、ということは国債の受け入れ先が流動化する、ということ。日銀が大量の国債買いを止めようとしても、引き受け先がない、という事態を誘発させかねない事態です。「影響がない」と言い続ける日銀に対し、メガバンクが食らわしたカウンターパンチは、かなり強烈なボディーブローであり、日銀の政策どころか、安倍政権にさえダメージを与えるのでしょう。

やっと自民が選挙公約を公表しました。自民は選挙ごとに20頁強の公約を掲げますが、今回は色々な意味で興味深いので、何回かに別けてみていきます。まず『この道を。力強く、前へ。』が表題です。しかし文体がおかしい。すぐに気づきますが、『この道を。』で一旦文章が切れますが、どの道だか分からない。しかも後段の『力強く、前へ。』が何をさすかも不明です。文章としてこの2行は互いに切れ、無関係ですし、双方ともに意味のない文言です。
自民党の上に、今回から『政治は国民のもの』という言葉が小さく書かれています。今まで散々、国民の意見を無視して国益に適うものだ、と安保法制などを押し通してきて、今さら? 恐らく舛添都知事への国民の怒りをみて、いつそれが自分たちに向かうか? そんな警戒が自民にも高まっているのでしょう。そしてこれは一番最後に記載される憲法改正にも関わり、「国民の合意形成に努め、憲法改正をめざす」という一文に集約されるのでしょう。いくら政治が暴走しようと、国民投票というハードルのある憲法改正を通すためには、国民にすり寄る以外ない。シレッと乗ったこの一文に、むしろ安倍氏の本気度がうかがえます。

1頁目にオバマ氏との広島の2ショット写真。5、6頁目にG7のときの写真と『世界をリードする日本』の見出し。プーチン露大統領との写真と『ロシアとの平和条約締結交渉の本格化』の見出し。しかしG7では、各国メディアから日本の提案には酷評が相次ぎ、具体策は何も決まらなかった、がコンセンサスです。特に政策バンク、とする項目集のいの一番にも「G7伊勢志摩経済イニシアティブに基づき、機動的な財政出動を…」と書かれますが、原文の英語はflexible(柔軟な)であり、機動的とはほど遠い。さらに露国は北方領土を特区指定し、領土交渉には応じないとするなど、どう考えても平和条約の話ができる状態ではありません。領土交渉抜きですすめる気なのか? これら以外にも、外交交渉はどこも上手くいっていません。
国の基本、という項目にも『地球儀を俯瞰した積極的平和外交の展開』とでてきますが、その中で「北朝鮮や中国の動向をうけ、安全保障環境に地殻変動』と危険を煽りに煽る文言がでてきます。しかし危険な国に武力で対抗します、としか読めないのであって、危険を除去するためにどう外交を展開するか、という施策は一切ありません。唯一、拉致問題に関して「あらゆる手段」と出てきて、外交的な働きかけを語りますが、その項目は「米議会で拉致関連決議の採択を要請」「米韓との連携強化」「国連への働きかけ」と、何とも他人任せな項目しかでてこない。これで「あらゆる手段」なのか? と疑わしいものがあります。

この道を。力強く、前へ。の言葉通り、全体をみるとまったく目玉のない、『この道』はこれまでの政策を押し進める、という意味になるのでしょう。しかし童謡『この道』は、いつか来た、と過去にたどった記憶、その情景を口にします。この公約を見る限り、安倍氏が『この道』で思い出すのは、第一次政権のときの参院選なのかもしれません。大惨敗して、結果的に退陣することになったあの記憶。選挙のときに候補者につける花、それがあのときの自民は閑散としていましたが、もしかしたらアカシヤの花だったのかもしれない、そんなことを示唆するなら、寓意的なものとなるのかもしれませんね。

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2016年06月07日

雑感。安倍ノミクスのエンジンをふかす?

舛添都知事から「第三者の厳しい目」とされたヤメ検弁護士、猪瀬前都知事の政治資金疑惑の弁護、小渕元経産相の政治資金疑惑の第三者委員も担当し、検察官時代はマムシと称された、とされます。そのことから巷ではこういうそうです。「政治家疑惑に『違法でない』とお墨付き、中国服にも『お墨付き』。ドリルと虫食いで調査の実態は穴だらけ」。政治家に「問題ない」とお墨付きを与えるのがこの弁護士の仕事で、舛添氏もこの人の実績を十分に承知し、またこの人ならと勧められ、「第三者の厳しい目」として選任した。つまり一番「厳しい目」を向けていたのは、舛添氏による弁護士の人選、となるのです。

自民党は参院選の公約を発表、と言いながら中々HPには載せませんが、安倍氏の会見からは「安倍ノミクスのエンジンを最大限にふかす。デフレからの脱出速度をさらに上げる」とします。しかし昨日発表された5月消費者動向調査は、消費者態度指数は40.9と、前月に大幅に下がったこともあって0.1pt改善しましたが、消費者が予想する物価見通しは、上昇するが3.4pt低下し、低下するが0.8pt上昇した。4月とは逆の動きでもありますが、そもそもこの調査は1年後の物価見通しを聞くもので、4月は消費税増税を織りこんだとするなら、5月の低下は何か? 増税見送りの予想が増えたためだとしても、まだ決定ではない段階であり、もし円高や小売の安売り攻勢をみていたとしたら、デフレからの脱出速度は間違いなく減速傾向です。
4月の景気動向調査も内閣府が発表していますが、これが驚いたことに一致指数でマイナス寄与はゼロ、しかも出荷関連や小売、卸売から有効求人倍率まで、すべてプラス寄与です。熊本地震の影響はまったくなかったどころか、九州地方の下がった分をすべて他地域でカバーした、との良好な数字がでました。しかし他の統計資料とも整合がつかず、まるで別の国の指標をみているような気分になります。逆に、熊本地震で一気に物資が九州地方に流れ、他地域はその補充に動いたことが原因なら、一時的要因と言えるのでしょう。

安倍ノミクスのエンジンを吹かす、どころか、すでに景気は斜陽。G7の中でもっとも低い成長率ですし、これまでがエンジンを吹かしまくって金融緩和を異例な速度ですすめてきたのであって、そのスピード違反から米国により円安誘導へのけん制が入る始末です。これからは安全運転どころか、燃料切れでいつ停車するか分からないですし、最大の問題は、安倍ノミクスではアクセルを踏んでもギアがつながっていないので、日本が前にすすむことができない点です。ギアというのは制度、政策であり、社会を動かすために、お金を上手くタイヤに伝える役目があります。しかしここに構造上の問題を抱えたままで、まったく効果が出ないのです。
デフレからの脱出速度、どころか、今年に入ってからふたたびデフレに巻き戻っており、今後はさらにデフレがすすむでしょう。増税延期をしたことで、物価見通しが今後より下がるはずですので、むしろデフレの泥沼に嵌りこんだ、速度を上げるどころか、デフレ方向にむかって加速する印象です。いずれも安倍政権の経済政策の失敗であり、安倍ノミクスも脱デフレも、実はもう成果どころか失敗との結果が出ていて、それをさらに押し進めるのか? という点に、最大限の不安が生じてしまうのでしょう。

安倍ノミクスのエンジンを最大限にふかす、どころか、増税延期をまるで減税効果のように語ったり、マイナス金利は効果があると言ったり、月例経済報告で『回復基調』をつかいつづけたり、指標ではすでに確報が出ているのに、速報を見直してGDPの大幅改定の説明をしたり。安倍政権で起きてきたのは『安倍ノミクスの効能をうたうために、最大限にホラをふかす』ということです。そのホラに踊っていたら、いつのまにか日銀の保有する金融資産や年金などが、ホラーのような状況となってしまった。壊れた車に乗った、暴走する可能性のあるエンジンをさらにふかそうとする、ホラー、サスペンスに近い演出を施そうとしているようにしか、自民の寸劇は見えなくなってきているのでしょうね。

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2016年06月06日

舛添都知事の会見

通常国会が閉会した途端、甘利前経済再生担当相が活動再開の記者発表を行いました。睡眠障害で国会を休んでいた割りに、ワイシャツの首元にはたっぷりの贅肉がのり、ややふっくらしたようにも見えるなど、肌つやもよいようです。本当に病気なら国会を欠席しても仕方ありませんが、国会と言えば議場や委員会の場でも居眠りする議員がめだつほどで、全員が睡眠障害と診断できそうです。逆に甘利氏など、あれだけ首周りに肉がつけば睡眠時無呼吸症候群になりそうで、休暇をとっていたことで病状が悪化したのかもしれません。今日を復帰会見にぶつけたのも、舛添都知事の会見で自分のニュースが流れ難い、と判断したとするなら、睡眠障害だろうと判断力が衰えていたとは思えず、ますます病欠の理由が不明となります。

そんな舛添氏の『厳しい第三者の目』による記者会見。危惧していた通り、『厳しい第三者の目』ではなく、舛添氏に雇われた弁護士としてこの問題を沈静化するために、という形での調査報告にとどまりました。不適切だけど違法でない、という指摘にとどめることで責任論を封印しよう、そんな形です。最大に疑問が残るのは、自宅を事務所として妻を代表とする会社に政治資金として賃料を払っていた件。相場は30万円ぐらいで、諸経費を込みで44万円は高いと言えない、という報告ですが、問題は金額が適切かどうかではありません。政治家の事務所として、自宅がそれに適しているか、実態があるかどうかです。
例えば、ごく一般の政治家なら自宅に秘書を招いたり、来客があったりするでしょう。支援者がくることもある。しかし、だからといって事務所になるか? これまでの政治の世界の常識では、これはNOです。自宅や自宅脇の小屋を事務所、としてきた政治家は悉く叩かれてきました。それは上記したように、政治家の常識として自宅も政治活動の一部であるものの、事務所費を計上すると税金が入っている可能性があり、批判にさらされたからです。

今回の指摘でも、家族旅行を会議としたその打ち合わせ相手は出版社と言います。しかし以前の記者会見では、選挙の前で…と説明していたはず。選挙と出版物がどう関係するかまで詰めた様子はない。当事者には話を聞けなかったけれど、周りから…と曖昧な説明にとどまっており、話の内容にまで踏みこんで弁護士も確認したわけではありません。会ったらそれだけで打ち合わせ、会議になる、というものでもないように、誰かが訪ねてくればそこは事務所だ、公費で賄えるのだ、という感覚そのものが今回、問われているのですが、不適切だけど違法でない、ですべて済ませていてそれ以上の説明が一切ありません。
箱根の別荘を売却、という話もでてきましたが、明らかに今が不動産バブルのピークで、タイミングもいいから売ってしまえ、という判断でしょう。公用車の件の報道がほとんどありませんが、私用でタクシー代わりに利用していたなら、その利用料も払わないとおかしな話です。違法ではないけれど不適切、というばかりではなく、公私混同疑惑には公用と私用の区別についても、本来であれば精査しなければいけないのですから。

しかしこの舛添都知事の問題は、参院選にも影響してきます。自民都義は引きずり下ろすのは9月でいい、と考えているようですが、この会見でも都民の不満が収まらないと、追及できない自公へと批判の矛先が向く。それは参院選の投票先として自公を外す、という行動になりかねません。東京都の参院自民、かなりの苦戦も予想されるのですが、この問題は、さらに次期都知事候補として名前が挙がる人物らにも降りかかります。例えば橋下氏、もし都知事に立候補を決めたら、おおさか維新は大阪の地盤を失うかもしれません。結局東、京都知事になりたかったのか、裏切られた! という感情が大阪府民に芽生える恐れもあるからです。しかし橋下都知事は安倍政権にとっても願ったり叶ったり。本来は参院選を越した上で、五輪のときも新たな都知事でいるためにも、9月以後に都知事選を行いたい。しかしそれだと、参院自民の東京選挙区は、壊滅的になるかもしれないジレンマを抱えます。
「違法ではないけど不適切」どころか、「異様なほどに不適格」であることを露呈した舛添氏、その処遇に誰もが頭を痛めるのは、組織の論理より自分の利益を優先する舛添氏のねばり腰が分かっているためです。不適切どころか、その不敵ぶりに辞めさせどきすら見失い、自公にとって不都合な判断を下さざるを得なくなる。ねずみ男と揶揄されることもありますが、むしろ自公にとって疫病神的な存在になりつつあるのでしょう。甘利氏を初めとして疑惑まみれの自民、都市部で嫌われるこうした不誠実な政治家の存在が、自民にとってもっとも「不適切」な事情といえるのかもしれませんね。

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2016年06月05日

世論調査と支持率と

沖縄県議選が行われ、辺野古移設反対派が多数となる見込みです。大勢はもう少ししないと分かりませんが、今日になって米兵が飲酒事故を起こすなど、司令官が基地外での飲酒禁止を命じたにも関わらず、統制がとれていないことも明らかとなっています。日米両政府は地位協定の見直し、という話をもちだしましたが、あくまで軍属の問題についてのみをとり上げる公算です。米軍は「あれは軍属だから…」と、当初から及び腰だったように軍属まで面倒見切れない、との思いがあり、日本側は「日米地位協定を見直す」というアナウンス効果を狙いたい。両者の思惑が一致したものの、肝心のことが見直されない、中途半端な見直しでは、抜本改正の機会を遠のかせる、との沖縄県民の思いはくつがえされなかったようです。

最近、内閣支持率に関する議論が多いので、今一度ふれてみたいと思います。共同通信の世論調査で、支持政党が「ある」と答えたのは38.2%、そのうち自民58.9%、民進15.2%、公明10.8%、共産7.3%、お維3.1%…となります。つまり支持政党をもつ人の、約6割が自民という結果です。しかし比例の投票先をみると自民28.9%、民進10.9%。一気にその差が縮まります。この結果からみて、支持政党のない人はほぼ拮抗とみてよいのでしょう。
しかし問題は、世論調査で支持政党が「ある」と答える人がどれぐらいいるか? ということです。創価学会の人なら「公明支持」とはっきり答えるでしょう。世論調査からすると全人口の4%弱が創価学会員、かなり多い気もしますが、何となく肯ける数字です。自民になると全人口の22.5%が自民党支持層になる。多いように感じますが、以前もとり上げた日本会議の面々をみる限り、名だたる古参の宗教界、及び新興宗教が名を連ねており、しかもそれ以外の団体も含めると、これでも少ないのです。恐らくそれらの団体が公表している構成員、檀家の数を含めていくと、全人口に近づくことにもなりそうです。

つまり自分は支持政党がなくとも、所属している団体、組織が自民を支持しているケースが相当に多い、ということを意味するのです。それらの人は支持政党はなくとも、質問に答えるときには何となく所属する団体、組織の意向を意識しがちです。これが安倍政権の支持率を支える最大の要因でしょう。しかし投票の段になると、必ずしも世論調査通りにはならない。それは自分の意見だったり、生活だったりを優先するためで、これが選挙結果にも影響します。
直近の衆院選でも、野党が統一候補を立てていれば勝てた小選挙区が多い。政権支持率が5割を越えていても、自民の政党支持率が民進の3倍以上あろうと、自民の得票率が飛び抜けて多いわけではない。政権支持率や、政党支持率を信じていると、結果はまったく異なったものとなるのも、消極的に支持することと、実際の生活に影響することを考えて投票することでは、行動も異なってくるのです。それでも、低投票率になれば自民支持層が22.5%という結果が利いてくる。投票率が40%台になると、強い支持層である22.5%の効果が高いためなのです。

支持政党がある割合でいうと、自公を合わせると7割。本来、こうした数字であればどういう形であれ、与党が選挙では圧勝してもおかしくないのですが、そうならない。英国でも世論調査の信憑性が疑われ、今月のEU離脱に関しても結果が詠みにくくなっています。日本も同様なのでしょう。圧倒的に有利であるはずの与党が、これまでの選挙でもかなり苦戦する事実。世論調査の消極的支持と、投票行動と、その2つの意味の違いをよく考えた上で数字をつかわないと、結果を推し量ることは難しくなるのでしょうね。

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2016年06月04日

公明の参院選公約

公明党が参院選にむけて重点政策を発表しました。『希望が、ゆきわたる国へ。』がスローガンですが、霞ヶ関文学でいうと『希望が』の後に句読点を打つと、一旦そこで文章が切れる、となります。つまり『ゆきわたる国』の主語に別の言葉をもってきてもいい。そこには『創価学会の教えが』という文言が隠れていそうです。そもそも、希望は叶えるものであって、希望がゆきわたるだけで終わり、と望みがあっても叶わないとの印象すら受けます。公明党はあくまで自民の補完勢力であり、希望を抱いたとしても実現するかどうかは分からない、という読み解き方をするなら、かなり自虐的なスローガンともいえます。

4つの重点政策を掲げ、1つは『景気に力強さを。実感を「地方」「中小企業」「家計」へ』とします。しかし『実感を』というぐらい、実感がないことを自覚する中で、地方へは観光と農林水産業の所得向上、とありきたりな話しかない。中小企業には取引条件の改善のみ。家計には収入アップとして同一労働同一賃金や、非正規の待遇改善、正社員化、最低賃金1000円などと自民とほぼ同じ内容を掲げますが、同一労働同一賃金は本来当たり前なのに、これまで出来ていない。その道筋を示さず、やりますというだけで説得力がありません。非正規の待遇改善をすすめるなら、非正規の正社員化をする必要がない。これは同一労働、同一賃金も同じです。しかもこれまで自公は働き方の多様性をもつ、として非正規の拡大を容認してきた背景がありますし、安倍首相は最低賃金を上げて、待遇改善した、と成果を語っている。増えた非正規の票をとりこみたい、としてニンジンをぶら下げても、これまでとの言行不一致と道のりを全く示さない中で、希望が抱けるような提案にはならないでしょう。軽減税率の円滑な実施、とこっそり書いていますが、それこそ希望的要請なのかもしれません。
2つめは『若者・女性が活躍できる希望社会へ』ですが、これこそ『希望』だらけで、これまで実現していないものの羅列です。仕事と子育て、介護の両立や、待機児童ゼロ、返済不要の奨学金、など実現性も不確かなバラマキ政策のオンパレードです。野党案の丸呑みも多いですが、与党としてその実現性について何も示さないのは、むしろ無責任との批判もうけそうです。希望ではなく、実現にむけたプロセスを示す必要があるのでしょう。

3つめは『保育・介護に安心できる社会へ』ですが、2つめと被るためか、あくまで人材確保に重点がおかれています。4つめは『東日本大震災、熊本地震からの復興へ』ですが、災害につよい国づくりとしてインフラの長寿命化を掲げるなど、自民と似た政策を示す。また福島第1原発の廃炉・汚染水対策などをかかげますが、これまで公明がこの問題で積極的にかかわった形跡がない。むしろ傍観者然として、提言すらしてこなかった。学会から突き上げられ、盛り込んではみたものの、中身の薄っぺらさは否めない部分もあります。
全体として、自分の頭で考えたとは思えない。自民をはじめ、野党の政策をそのままぱくり、羅列しただけで、具体策ゼロ。やる気ゼロ。与党なのに法案提出のタイムスケジュールもゼロ。重点政策としていても、言葉と態度の軽さばかりが目立つ公約です。少なくともこれまで出来てこなかったこと、手をつけていなかったのなら、その反省と出直しに向けた決意、ぐらいはきちんと示さないと、冒頭に書かれた「責任をもって政策を前に推し進めます」と書かれていることすら、責任とは何か? という根本から問われることになるでしょう。

まさにこの参院選の公約は、公明の『希望的観測』を羅列しただけに過ぎず、実現にむけて何の確約もない、期待ももてない、となるのでしょう。そもそも日本が抱える現状は、この重点部分以外にも多くの問題が顕在化しつつあるのです。子育てや介護の話はあっても、少子高齢化への具体策はない。安保の話はゼロ、憲法改正の話もゼロ。露骨な争点隠しは、この公約が重点なのか、軽点なのかすら不明にします。『希望がゆき、わたる国へ。』と、句読点の位置を変えると、希望がもてなくなり、その日暮しで綱渡りをする国とも読み変えるられますし、人手にわたる国、とも読み変えられます。公明の考える『希望』は、決して国民の総意ではない点に、この公約の問題のすべてが集約されている、と云えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(31)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年06月03日

日米の雇用指標

北海道で行方不明になっていた小1男児が、自衛隊駐屯地で発見されました。今回で気になるのが、駐屯地に子供が入り込んでしまったこと。実弾演習中なら事故も予想されます。そして駐屯地内の宿舎の施錠管理です。悪いことを考える人間がいたら、イタズラをしたり、それこそ自衛隊員を殺めようと爆発物を仕掛けられるかもしれない。自衛隊の管理の杜撰さです。そして子供が見つかったことはとても良かったのですが、恐らく今回かかった経費は、両親に請求されるでしょう。1週間ならかなりの額です。子供の躾けのため、として置き去りにした結果、親が一番の勉強をさせられる結果になったのかもしれません。

自動車会社スズキの燃費偽装で、国交省が立ち入り検査を行いました。スズキは法規上の測定方法をした結果、燃費がよくなったとしますが、この事件で気になるのはスズキが法規を確認することなく、社内規定の積み上げ方式で燃費を計算していたこと。逆からみるとスズキは他の部分でも内規を優先させているのではないか? ということです。しかも問題発覚からこれだけの短期間で法規上の検査ができる、できたにも関わらず、それをしていなかったのですから、尚更ナゼ? と疑問もわきます。法規を確認する、法令を遵守する、といった基本を怠る社風があるとすれば、他の問題でも…との疑念もわきます。

4月の毎月勤労統計がでました。実質賃金は前年同月比0.6%増。ただし消費者物価が0.3%下落したおかげで押し上げられており、名目は0.3%増です。上昇した最大の要因は電気・ガス業が4.9%増、しかもこの業種は全産業別でみて唯一、現金給与総額が50万円を超えており、2位以下は30万円台からなので、桁違いに優遇された業種です。そこの伸びが高かったために全体を押し上げたのです。他に伸びが高いのは不動産、金融などですから、今の日本がどういう形で経済が動いているか、この辺りからも想像がつきます。
ただ電気・ガス業も伸びているのは『特別に支払われた給与』で、残業時間の伸びも高い。もしかしたら、熊本地震の影響でインフラ復旧のための特別手当、という側面が強いのかもしれません。人材不足が懸念される医療・福祉、教育、飲食サービスなどは横ばい、もしくは現金給与総額が減少したところもあります。飲食サービス業など、12万円台なのですから、人手不足も当然です。最高の電気・ガス業の4分の1以下、労働時間が3分の2程度しかないとはいえ、給与格差の問題に手をつけないと、日本の格差社会はますます深刻になるのでしょう。

5月の米雇用統計が出て、非農業部門の雇用者数が3.8万人増と、市場予想を大きく下回り急減となりました。通信大手ベライゾンのストで、4万人近くが失業とみなされた、といった話もありますが、それを加えても低い数字です。失業率は低下、時間当たり賃金も伸びるなど、申し分ない結果と、この3.8万人増という数字との整合がつかず、市場も判断に迷っているようで、円が対ドルで急騰してしまいました。米利上げが遠のく、との思惑もあり、また日銀の追加緩和期待の剥落など、為替市場には逆風が吹き荒れています。
日本の毎月勤労統計でも、少し気になる数字が常用労働者が1.9%増と、一見すると増えているように見えますが、実は入職率が0.07%減。これは労働者が離職しないことで、労働者が増えている、ということを示しているのです。退職者の再雇用などが活発で、そのことで押し上げられてはいますが、日本の労働市場はいずれ高齢者の引退が相次げば、構造的な人材不足に陥る恐れを、常に内包している状況といえます。安倍政権は労働市場の改善を成果、といいますが、後2、3年もすれば間違いなく腰折れするでしょう。それは企業の海外逃避という形ですすみますから、余計に深刻な問題をはらんでいるといえます。

日米の雇用状況を示す指標、ナゼかそろって問題が散見される結果となりました。今、世界的に起きている資産バブルの兆候、労働市場に与える影響を軽視していると、ある日突然失業者が街に溢れ変える、そんな事態も想定されるほどに危うい、ということを示すのでしょう。世界で一番気にしなければいけないこと、なのに誰も対策の手を打たず、放置されている現状が、もっとも危険ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年06月02日

雑感。税収の上ぶれはあるのか?

昨日の安倍首相の会見が波紋をよんでいます。政治的にみると『約束』『断言』の扱いが軽くなり、今後は安倍氏が何を発言しようと、国民に約束しようと「新しい判断」で覆される、との疑念が渦巻きます。これは選挙においても同様で、公約を「新しい判断」で覆してくる可能性がある。そんな政治に何を期待するか? とても悩ましい問題です。しかも一般社会であっても、首相がこんな態度なら約束を破りを「新しい判断」だった、と言い逃れする人がでてくるでしょう。負の意味で、今年の流行語にノミネート確実かもしれません。

消費税増税の再延期による穴埋めに、税収の上ぶれ分、という話もありますが、興味深いデータも出ています。まず所得税に関して、4月末時点で前年同期比6.1%増という数字。5月分がでて確定ですが、このままだと5%増以上は確実でしょう。ただし所得税といっても賃金が伸びたわけではない。各種指標からみても、配偶者所得の伸びが高いですが、その増加分と、扶養を外れたりしたことで、伸びた可能性が高い。また株の売買が黒田バズーカ2以後で活発となった、日本でも不動産バブルがじわりとすすんでおり、2015年の不動産売却益が、確定申告ベースで12.2%増となるなど、こうした様々な面で税収が伸びたことが影響しているのでしょう。
しかし株式は今年に入って2兆円割れが目立ち、売買は低調。不動産も都市部で変調がみられる。賃金に関する指標はまだ出揃いませんが、一部では良好な数字もあるものの、これが年間を通して継続するかは不明です。今のところ、所得税の増加は昨年度がピークという印象を強くします。

1-3月期の法人企業統計がでてきました。設備投資が前年同期比4.2%増で、GDPは上ぶれか? という記事ばかりメディアに踊りますが、売上げ高は3.3%減、経常利益は9.3%減です。しかも製造業の経常利益は20.4%減と衝撃的。ただ実は2015年10-12月期も製造業の経常利益は21.2%減、円は120円以上で推移していたので、為替の影響というより、製造業は2015年4-6月期をピークにトンネルに入ったようです。それを支えていたインバウンド消費などによる収益の高かった非製造業が、1-3月期に入ってマイナスに転じた。逆にインバウンド消費も伸び続けるわけではないので、昨年度が高い伸びを示した以上、それを越えるのはかなり困難です。法人税減税の議論もありますが、法人税収も今年度の伸びは期待できそうにありません。
今日の株式市場では『佐藤ショック』という言葉も聞かれました。日銀の佐藤審議委員がマイナス金利拡大に否定的な見解を示し、物価目標も2%に拘る必要がない、としたことで追加緩和の期待が大きく殺がれました。元々マイナス金利には反対派ですが、黒田日銀総裁も財務省の意向を忖度すれば、当面の追加緩和は打たないだろう、との見立てを補強した形です。つまり日銀も「新しい判断」で追加緩和は当面打たない、とする見方が強まったのです。

株式市場にとっても、この法人企業統計をみる限り企業の利益の伸びは期待できない。「新しい判断」として、水準感が悩ましくなってきました。世界で酷評をうける昨日の安倍氏の会見からも、外国人投資家が積極的に買うことは当面ありません。上値を追う主体がいないのですから、勢いは下向きに強くなります。OPEC総会の行方、英国のEU離脱問題、市場が期待する方向で決着がつけば御の字、もし期待が裏切られたら…。市場の下す「新しい判断」により、どのぐらい下にいくかは、今のところ予断をゆるさないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

安倍首相と舛添都知事の発想

通常国会が閉会し、安倍首相が記者会見をしています。会見が始まるとするすると円高、株安がすすみ17000円を割れました。増税延期の正式発表を、市場は不安視したことになります。昨日までは5月決算のヘッジファンドの買い需要もあって下支えされてきましたが、今後は6月決算のヘッジファンドがどう戦略を描くのか。それによっては上下、どちらでも振れやすい。円も買いポジションを一気に縮小させ、売りポジションまで入っていたか、と見られていたものが、ふたたび転換するのか。どちらにしろ増税延期で株高、は夢想だったことが、今日の動きからも確実となりました。

安倍氏の会見は「新しい判断」とし、世界経済のリスクが増税延期の理由とします。しかし経済の状況を「悲観していない」と述べるなど、終始一貫していない。さらに政府の月例経済報告ともまったく異なる判断であり、政権内不一致も見られる。どうも市場はこちらを嫌ったようです。しかもリーマンショック前、という話をサミットのときに各国首脳にした、という話まで、今日になって旗を下ろした。驚くことに、サミット後の記者会見のときの認識でさえ変えてきた。そのあまりに一貫しない態度、言動に、市場も嫌気がさしたのかもしれません。
秋には大型補正予算、という話もでてきましたが、財源は? 一部で「できないものがある」とした社会保障は、財源を「安倍ノミクスで増えた税収の上ぶれ分」とします。しかしこれまでそれは補正予算に消えており、それを社会保障に回すなら、埋蔵金をさがす以外になくなる。しかし財務省はもう協力しない。そもそも、骨太の方針も1億総活躍プランも、すべて「税収の上ぶれ分」です。固定された予算に手をつけられないから、上ぶれ、上ぶれ、と何でもそれに頼りますが、今年度から円安効果が消え、かつデフレマインドの復活により、税収減が見込まれます。もしかしたら社会保障の予算さえ確保できないかもしれません。

今日は都議会が開会し、舛添都知事が所信表明を行っています。ふと気づいたのは、安倍氏と舛添氏、思考パターンがとても似ているということです。安倍氏は「批判はうけとめる」としながら「選挙が民主主義」として、判断を国民に委ねるとします。舛添氏は「第三者の厳しい目」ですが、実はどちらも自身の立場をその一事で変えるものではありません。衆参Wを見送ったので、参院選のみなので安倍氏は退陣する必要はない、弁護士の判断も同じです。実は二人とも、自分では何も判断せず、他者の判断にゆだねるとしながら、その実、責任をとるまでの権限をその判断する側に与えていないのです。結果について自身で判断する、という二段階の余裕をみている時点で、とてもよく似ています。
また安倍氏はデフレ脱却、雇用改善、賃金上昇、と成果を語りますが、データは示していない。一方で舛添氏は、母親の介護をメディアをつかって大々的に宣伝しましたが、実際にしていないばかりか、実際に介護していた実姉がその報道を止めようとすると、威圧する文書を送付するなどした。人を騙そうとする人間は、自分を誇大広告でうりこみ、美辞麗句で飾ります。成果や中身、といったものは一切語らず、美味しい部分だけつまみ食いして、それを喧伝する。もし実際にそれが達成していたら、誰も不満や批判などしていないのであって、そうした疑問にはまっすぐに答えない点も、よく似ています。

安倍氏は今回の参院選の争点を、安倍ノミクスを加速させるか、後戻りさせるか、と述べました。止めるという判断はないようです。そのときは自身が退陣するとき、とでもいうのか? つまり参院選の結果如何でも私は辞めませんよ、と明言した形になります。しかしすでに失速し、墜落寸前の安倍ノミクスをつづけなければいけない、というのは悲劇でしかないのでしょう。またこの増税延期判断、2年半後と先があるため、日銀の追加緩和期待も遠のきました。つまり黒田総裁としても、もう協力する必要はないですし、むしろ安倍氏のいう危機を回避するため、引き締めに転じてもおかしくない。今を大きく景気を引き下げた方が、二年後にもう一度上昇基調に乗せやすい、といった判断も働くかもしれません。
さらに今回、2年半後に「絶対上げる」と言わなかった。条件設定もしなかった。財務省としては安倍政権でない方が都合いい、との判断に傾いたとしても当然です。都の職員を敵に回した舛添氏、官僚を敵に回した安倍氏、諸事情までよく似てきました。自民内でも次の都知事を誰にするか、首相を誰にするか、頭の痛いところなのでしょう。安倍氏は「民進、共産は(安倍ノミクスの)対案をだせ」と、意味不明のことを述べていますが、連立するとは言っていない相手に、一緒になって対案をだせ、との頓珍漢ぶりを示しています。サミットでの説明も、実は「リーマンショック前なんて言っていない」と、記者説明とも、サミット後の会見とも異なることを言い出した。本当にもうこの人は「何を言っているの?」レベルの酷さになってきたのでしょう。それも安倍氏、舛添氏、似ているといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 00:08|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般