2016年07月

2016年07月31日

都知事選について

東京都知事選、小池氏の圧勝、2位に増田氏、3位に鳥越氏という形になりそうです。しかし今回、かなり異常なことが選挙期間中から起こっており、色々と考えないといけません。まず鳥越氏の『淫行問題』、新潮が13年前の女性へのインタビューを載せましたが、やはり文春が報じた経緯とは異なる印象です。キスをしたのは別荘に行く前、すでに別宅としてつかっていたマンションが初めてで、別荘に行って裸になり、一緒にベットに入ったとします。いくら憧れていて、盲目的に信頼していたからといって、キスや裸で一緒に寝る、もしこれが「世間知らず」のゆえだとしたら、残念ながら無防備すぎです。鳥越氏でなくとも、いつか誰かに騙されていたことでしょう。田舎から出てきた、としますが、まるでフィクションの世界の箱入り娘、超お嬢様キャラの設定のようで、まるで現実味がありません。まるで新興宗教の教祖様に身を捧げようとした、という方が理解しやすいぐらいです。
文春が13年前の事件を、わざわざ都知事選の告示期間中に報じた理由を説明していますが、調べたことを報じるのは義務、出馬したのが告示日直前だったから、こんな人物を都知事にしていいのか、などと羅列しますが、すべてイイワケです。行うなら全候補者の素性、素行を調べ、有権者に過不足なく情報を与えないといけない。この候補だけ、あの候補だけ、という判断をした時点で、それは選挙に有利、不利な状況を与えていることにもなる。調べたことを報じるのは、メディアとして当然だとして、その題材を1人に絞った時点で、そこに恣意的な判断が含まれてしまう。最後の理由など、まさにそうでしょう。『こういう人物を都知事にしていいのか?』それは有権者の判断することです。文春がそれを言った途端、有権者にネガティブな印象を意図的に与えた、となってしまうのです。

終盤になって、いきなり主要3候補以外をとり上げるメディアが増えました。『公平』を謳うなら必ずしなければいけないことですが、問題は今後、供託金を広告費とばかりに、名を売るために出馬する人物が増えそうな点です。政見放送もできる、報道番組でもとり上げてもらえる、出馬するのは誰でもできるので、どこかに線引きも必要となってくるでしょう。ますます、恣意的でない身辺調査が大切ですが、メディアがそれを包み隠さず報じる姿勢がもっとも大切なことです。例えば、この人物は米CIAと親交があるから報じない、一方で中国の政府高官と通じているから報じる、と判断に手心を加えてはいけない、ということです。
さらに今回、小池氏は自民都疑団との対決姿勢を示して、劇場型選挙を演出しましたが、当選後には「都議団とうまくやっていきたい」と語りました。今回、自民と対立しているようでいて、必ずしも醜聞、ネットでも叩かれていないのは、自民が小池氏となら手打ちできる、と踏んでいたから。石破氏を推す小池氏としては、安倍政権とは対立しても自民と対立する気はない。鳥越氏の演説には、わざわざ非難するプラカードを準備して乗りこむ、といった言葉は悪いですが、お金も時間もかかるネガティブキャンペーンをしても、小池氏には一切そうした動きがない。人気のある小池氏を腐すと、より反発が強まるといったことはあれど、敵対する相手なのに鳥越氏は積極的に落とそう、小池氏はノータッチ、という自民ネット部隊の態度の使い分け、も今回の選挙の特徴だったのでしょう。

今回、鳥越氏の発言が大きくとり上げられるケースも目立ちました。例えば鳥越氏が小笠原諸島などで消費税を5%にする、と発言したら、タックスヘイブンと絡めて批判する人がいたり。鳥越氏がタックスヘイブンにまで踏みこんで発言したなら批判は妥当ですが、そうでないなら勝手な妄想で批判しているだけです。これは国税である消費税を、都知事候補が言及する点が問題であって、都知事としてできる範囲を越え、論点をすり替えているから問題なのです。鳥越氏を批判する人、残念ながらあまり言論人としては能力の劣る人が目立った点も気がかりです。むしろ発言には多くの問題があるとは思いますが、正しく批判できていない。批判のための批判の論陣を張っているだけに、恣意的なものを感じました。
今回でもはっきりしたことは、自民と敵対する、という勢力に対してはネット、メディアを通じて攻撃が苛烈になる、という実体です。候補者の発言の一々を捕らえて、あげ足をとる、みたいなことはこのブログではしていませんが、それは全候補者の発言をすべて調べ上げるのが難しいためです。1人をするなら、他候補についても問題はないか、チェックして報じないと偏りが生まれる。そこに公平性の問題がでてくるのです。しかし特定の候補に偏って、やたらと報じ、批判してみたり、公平とは無縁の記事がめだったことも事実なのでしょう。そうなると、メディアだけに公平を押し付け、ネットは放置でいいのか? という問題もでてくる。都知事選、結果云々ではなく、色々と考えさせられる点が多かった選挙ともいえ、逆に国政選挙ではなかった分、分かったことも多かったと言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(29)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年07月30日

米GDPと欧州ストレステスト

米国の2016年第2四半期GDP速報値が、前期比で年率1.2%増となり、市場予想である2.6%増を大きく下回りました。これがFRBの年内利上げ観測を後退させ、ドル安円高になっていますが、中身をみるとやや気がかりな点がうかがえます。個人消費は4.2%増と好調、家計の可処分所得はインフレ調整後で140億$の増となっており、年初から加速する勢いです。在庫は減少、輸出は増加、一見すると絶好調です。一方で設備投資は3.5%減、構造物の投資は7.9%減です。シェールオイル関連が軟調で、このあたりは改善傾向もありません。
問題は個人消費で、フィアット・クライスラーが新車登録で飛ばしをしていたのではないか? との報もあります。日本でいうと軽自動車で、スズキの会長が「お行儀の悪い売り方」と述べていた販売店で登録し、そのまま中古車店に売却してしまう手法です。これで販売台数を嵩上げしていたのではないか? とされている。一社だけの問題か、続報はありませんが、米国の新車販売が各社同じように嵩上げされている可能性もある。そうして溢れた中古車を、日本のように海外に流す、といった戦略に転じたのなら、輸出の増というのも何となく肯けます。勿論、シェールオイルの輸出にも舵を切りましたが、輸出する産業の減少には懸念もある。また米国経済にも何となく不安が漂うのは、絶好調だった住宅投資が6.1%減と9四半期ぶりの減少となっており、いよいよ住宅バブルにも翳りか? とみられる点です。金融センターとしての英国の変調、中国の住宅投資抑制策などもあり、世界の住宅バブルが今後、どう推移して行くかは警戒しつつ見て行く必要もあります。

そうした動きとも密接に絡むのが、ECBにより発表された欧州銀行のストレステストです。イタリア銀行大手のモンテ・パスキが、中核的自己資本(コアティア1)比率が2.44%、アライド・アイリッシュ銀行が4.31%、この2行が昨年の基準5.5%を下回りましたし、7%を維持できなかった銀行も3行ありました。しかも、モンテ・パスキは急に再建案を発表、50億ユーロの増資と92億ユーロの不良債権の売却。これで破綻懸念を回避し、市場の売り叩きを回避するのと、取り付け騒ぎを起こさないように、といった工夫もされています。
ただ問題は、いくら厳しいシナリオを適用した、といっても、このストレステストに対して信用もない点です。目安にはなりますが、それ以上の金融不安に巻きこまれると、自己資本すら毀損して行くのであって、国債でさえ今や安全資産とは言えない、しかも低金利という問題を抱える中、運用面を重視すれば必然的にリスク投資を増やさざるを得ない。中核的自己資本を手厚くしていけば、それは収益性を犠牲にしていることにもなり、どちらを優先するか、という話になりかねない。今はその線引きが非常に難しいのです。

日本も、超優良の安定株とされていた東電が、東日本大震災で一気に破綻懸念を生じたように、安全とされる株や社債とて一寸先は闇です。特に、世界全体が低成長に陥ると、突然死する企業が必然的に増えてきます。無理に設備投資などを行う、企業の買収に走る、低下する収益性を補おうとして動く。そうした企業が増えるためです。これは国でも同じで、公共工事を増やすために国債を大量に発行し、価値を低下させることで、さらに利払いに苦しむといった構図もでてくる。米国でも設備投資が減少しているのは、こうした今は無理する時期ではない、との判断が雑じるのなら、世界全体が自粛モードに入りつつある、とも言えます。
それでも金融機関が破綻するのは、その国が支えきれなくなったときだけです。イタリアなのか、ECBなのか、EUなのか、経済に与える打撃を考えて救済するか、破綻させるか、を判断します。なので、金融機関の破綻によってトラブルを生じるのは、むしろ金融や政治の担当者が「大丈夫」と楽観していたのに、予想外に影響が拡大して、混乱を生じるようなときなのでしょう。なので、尚更ストレステストの位置づけは曖昧でもあります。

ただし、今の市場はこうした報道に一喜一憂し、またそれを利用して自身を利することを常に考えています。金融機関の収益性の低下、それがもたらす先は破綻にかける取引ともなるのでしょう。伊藤忠が企業の不祥事に投資する米のグラウカスに狙われ、売り叩かれていますが、これからの企業は不誠実なことをしているだけで、リスク資産の位置づけにもされてしまうのでしょう。世界が陥りつつある低成長の時代、これまでと違って少しの判断ミスも命取り、それは国も含めたものであり、尚のこと経営者や為政者選びに失敗したところは、市場からの退場を余儀なくされるケースが出てきてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:47|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2016年07月29日

日銀会合と年金と6月経済指標

日銀会合が開かれ、追加緩和としてETF買入額をを年3.3兆円から6兆円に増額となりました。市場期待に届かず、乱高下するものの支えられたのは、1つに9月会合までに「新たな枠組みを検討」と伝わったこと。物価2%の目標は変えないものの、総括的な検証といい、その具体策に疑心暗鬼がただよった点が、市場に気迷いを与えました。そしてさらに壮観なのが、こぞって日系の証券会社が先物買いに走った。日銀は今日、ETFの買いに入っていませんが、昨日はこそっと売った日系の下支えをするよう、ETFを買っている。日銀と日系の証券会社が、まるで相談して決めていたような見事な連係プレーです。
今日は欧州系のCTAスジが日経225先物の買い方トップですが、ここは先物ぶん回しが得意なところで、日系の強い買い需要もあって、買いでとったとみられます。なので、来週以後はこの妙に底堅かった動きから、一転する可能性が高い。何より、新たな枠組みが市場にとって不都合なものとなるかもしれない。経済規模からみても、米FRBを上回りつつある日銀の金融資産の保有、それはもう異常な水準に入っているのであって、買い入れを社債や地方債まで枠を広げるにしろ、さらに資産を拡大できるか? が議論の対象になるはずですから。

GPIFが昨年度の運用実績を発表。既報通りに5.3兆円の赤字。国内株式が3.5兆円、外国株式が3.2兆円、外国債券が0.7兆円の赤字。国内債券が2.0兆円の黒字。金利低下で債券価額が上がったこと、またマイナス金利の導入が1月だったため、昨年度中はあまりマイナスの影響を受けなかったこと、などで国債がプラス寄与しましたが、今年度から短期債などはもろにマイナス金利の影響をうける。高値圏にある外国株は、今以上に上がることは難しく、また円高の影響をうける。国内株式は露骨な日系の買い支えがいつまで続くか、日銀の『新たな枠組み』によっては一段安もある。そうなるとすべて赤字に陥る可能性も高まります。
今回、14年度の株式保有銘柄も発表されましたが、やはり大型株が多く、メガバンクや輸出企業が多い。そうなると、年金としては金融ジャブジャブや円安になっていないと、運用面から困る、ということにもなる。しかも相場全体が下落すると、大型株はもろにその影響をうける。年金のようなアクティブ運用が難しいところは、相場全体の軟調が極めて厳しい結果をもたらすのです。運用割合を見直したこと、正しかったのか再度の検証が必要でしょう。

今日は統計の集中発表日です。有効求人倍率が1.37倍ですが、前年同月比で求職者数が6.5%減、求人数が7.7%増、就職件数が6.3%減。求職者数の減少に合わせて就職できる割合も低下、その結果として求人が残りつづける、といった悪循環により、求人倍率が増えている、ということで、悪い言い方をすれば雇用する気がないのに、求人を出しつづけているところがあるのでは? とさえ勘繰れます。人手不足でも、高い給与を払うぐらいならいない方がマシ。そんな意識も読み解ける。労働力調査でも、完全失業率は前月比0.1pt低下の3.1%。就職率が低下している割に、なぜか新規雇用は77万人増と絶好調。半分以上は非正規ですが、この数字のマジックについてはいずれ詳細に見ておかないといけないのかもしれません。
しかも、やはり家計調査からみる実収入は名目-0.3%減、実質は消費者物価が0.5%減になったこともあり、0.2%増ですが、昨年は堅調だった配偶者の所得が6ヶ月ぶりに減少、代わって他の世帯員の収入が大きく上がりました。いよいよ子供まで働かせているのか、引退した高齢者が再就職したのか。いずれいしろ、世帯主の収入は一向に上がってきません。その結果、消費支出が名目2.7%減、実質2.2%減。いよいよ節約志向が強まっているように感じます。

景気対策として、低所得者への1.5万円の給付も盛り込まれる見込みですが、スズメの涙でしかありません。経年的な対策でないため、消費を喚起するわけでもない。日々の生活の補填にしかならないのでしょう。日銀のETF買入増額も、下支えに機能しているわけでもなく、日々の取引の中で買いの補填、ぐらいにしかなりません。政府の景気対策も小出しなら、日銀の対応も小出しになった。家計はさらに節約モードに突入なら、日本経済全体が縮小していく形しか、今は見えなくなっているのでしょう。ゼロ回答が嫌だったから、ちょっと上乗せしてみました。その程度なら、お得感はまったくないのであって、9月会合までは日銀ならぬケチ銀となり、ちまちま対応するしかなくなったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年07月28日

雑感。景気対策と米FOMC

昨日発表された政府の28兆円規模の景気対策、早くも今日には市場は失望して反落です。参院選のときから20〜30兆円と報じられていたこと、及び政府系金融機関の融資に、それに関連する事業をまとめるなど、規模ばかり膨らませたものの、実際の財政出動、真水は6兆円程度で、しかも単年度ではない。実際の景気押し上げ効果は低い、とみられても致し方ありません。政府がこれだけの景気刺激策を発表したのだから、日銀も動かざるを得ない。そう見なされているので、まだ値を保っていますが、実際の財政出動規模がこの程度なら、むしろ日銀が動かなくても責任論は回避される。ただし、市場がもう「ほぼ追加緩和する」との想定を織りこんでいる以上、ゼロ回答は日銀の失敗を意味する。市場との対話ができていないからです。
安倍氏は景気対策のキーワードを「未来への投資」としました。個人的には「未来の借金のための投資」と言葉を付け足したいところです。その借金を引き受ける日銀、市場との対話ばかりか、政府との対話にも失敗しつつある。どちらも過度の期待をかけ、日銀に対応を迫ります。最近、高齢者の孫疲れといった言葉も囁かれますが、日銀も緩和疲れ。つまりもう無い袖はふれなくなっている。みんなが貧しくなっていく、そんな構図が展開されてしまうのか。明日の昼休み、何が発表されるかは要注意なのでしょう。

その前に開催された米FOMCは、ほぼ現状維持。ただし、英国のBrexitをうけて、引き締め姿勢を転じると見られていたため、ややタカ派な印象もうけます。しかし逆にいえば、Brexitがどう米国に影響するか、を正しく論じたものがない以上、それを考慮する必要はありません。確かに英国経済にはいくつか、気になる指標も出ていますが、FRBはまだ軽微とみているフシがあり、それが今回の声明文にもみてとれます。FRBが意識するのは『設備投資の軟調』と『インフレ期待の指標はここ数ヶ月、変化なし』ということ。逆にいえば、それ以外は『緩やかな速度で拡大』とみており、労働市場の力強さがつづけば、インフレ期待も上昇するとみている。これまでと見通しに変化がないことから、利上げの可能性を残した形です。
しかし世界的に『設備投資の軟調』と『インフレ期待の低下』がつづくのに、FRBの見通しは楽観が過ぎるとも感じます。WTI原油価格が、ふたたび40$割れに近づいてきたように、インフレに関しては厳しい状況がつづく。すでに原油は、多少のテロやトラブルで供給が細っても、洋上にあるタンカーには原油が貯蔵され、しかも滞留している状態であって、価格動向には一切変化がない。そうした認識が広がり、上値追いが難しくなりました。労働市場の回復も、賃金の傾向にはあまり影響ない。米国では多少、時間当たり賃金の回復もみられますが、世界的に見て賃金傾向は横ばい。日本などは家計所得がマイナスを示す国もあって、これでは消費が盛り上がるはずもありません。インフレには極めて厳しい環境です。

中央銀行にできること、できないこと。今、不足しているのはこの議論なのでしょう。米国では雇用最大化と物価安定がFRBに与えられた使命です。景気に目配せするのは雇用の最大化が必要だから。景気が悪化すると、雇用環境が悪くなるからみているだけです。翻って日本は、雇用については責務ではない。物価の安定と金融システムの安定が、その責務なのです。
しかし物価は今、0〜-1.0%で安定しつつある。無理やりインフレにしようとするからおかしなことになりますが、この水準で安定するなら、それは1つの結果です。しかも、金融システムの安定は、逆にマイナス金利によって脅かされている。金融機関は収益機会を奪われ、無理やり高金利の外国債などに投資し、高い円調達コストを支払わされる。これでリスク投資などを増やせば、下手をすれば不良債権を溜めこむことにもなるでしょう。それが金融システムの安定か? というと首をかしげざるを得ません。明日、何がでてくるか? それ次第では日銀の存在自体、揺らぐ結果すら想定されてしまうのでしょうね。

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2016年07月27日

株高と都知事選と組閣

米WSJ紙が日本の景気対策規模が27兆円と報じ、日経が日銀の追加緩和観測を報じ、昼にフジが28兆円規模の景気対策と報じ、安倍首相が会見して28兆円の経済対策を来週、閣議決定と発表しました。27兆円と報じられた先行の期待を下げることなく、1兆円を上積みして期待をつなぐ。50年債の国債発行でヘリマネ期待をつなぐ。よくできたシナリオですが、ほぼ既出の内容で、驚きもありませんが、市場は右往左往しました。今週に入ってから売っていた国内勢が、まるで今日のタイミングを待っていたように買い上げた。景気対策の発表で上げておかないと、市場に失望されたと見なされるために、協力した点もシナリオ通りでしょう。景気対策の内容については追ってふれますが、週末まで株式市場を高値で維持したい理由は、都知事選と同時に、来週ともされる組閣とも関係するためです。

今日になって安倍首相が増田氏の応援にビデオ映像で登場。舛添前都知事の醜聞報道の際、安倍氏、山口公明代表との3ショットを使われたことがトラウマ、とも報じられ、背後関係の怪しい増田氏とのショットをとられたくない、といったことでビデオでの応援演説になったのでしょう。しかし先の参院選でも、重点区として安倍氏が応援に入った1人区は1勝9敗などとも報じられますが、安倍氏は徹底的に有権者から嫌われています。ナゼか? 答えは簡単で、自民党内でも党員の支持が低いことは、前回の党総裁選でもはっきりしているからです。つまり党総裁選は、国会議員による決戦投票になったやっと勝てたのであり、議員以外の党員もふくむ投票では石破氏に敗れていた。それが選挙でももろに出てしまうのです。
一つには、3年半以上政権を担当していても実績が評価されていないこと。農村票はTPPで壊滅、都市部の複数区でも集票率では野党4党を合計すると、その後塵を配する場面がめだった。党員からの支持も低いのに、また景気回復の実感がない、という国民が多いのに選挙に強いはずもない。そしてこの状況がつづくと、次の党総裁選にも影響してきます。

党総裁任期の延長が俎上にあがるように、安倍氏は次の党総裁選にも出る気満々です。しかし実績がなければ負けます。安保法制や憲法改正で喜ぶようなのは党員の一部、多くは自民党の利権とつながりをもつのですから、安保や改憲などに現をぬかす党総裁は替わって欲しい、と思っています。ここに来て、石破氏が入閣を拒否する意向を示し、次の党総裁に出ることを匂わせた。勿論、勝てると見こんだからですが、この流れに都知事選もある。つまり、小池氏を応援して党から除名されても、自分が総裁になったら復権させてあげる、という説得工作ができる。逆に、小池氏を応援してくれた、としてより高い地位へのステップアップもある。都知事選でも、意外と党内が割れているのは、実は安倍派、石破派の代理戦争になっている面が強いのです。そして小池氏が有利、というのが端的に安倍氏の国民からの不人気ぶりを、みごとに象徴してしまっているのです。
鳥越氏に対して年齢や健康不安を煽っていたら、谷垣幹事長が頚椎損傷とみられる状態となり、国政の重要な役職に健康問題がもち上がった。岸田外相と幹事長の打診とみられる打ち合わせを行ったのも、党内融和のためには右の安倍、左の幹事長、という体裁を崩したくないためでしょう。しかし都知事選で小池氏が勝利すれば、党内では選挙に強そうな石破氏へと傾く流れが、一気にできるのかもしれません。そして、そんな流れを覆すためにも都知事選前には、自身が唯一成果と語れる株価を維持しておきたい。そのためにメディアと金融をつかって、今日は壮大な茶番劇を演じてきた、が日経225の大幅高の真相かもしれません。

政治家の選ぶ党総裁と、有権者が期待する党総裁とのねじれ。それは米国を初め、世界の潮流としても起こっているように、日本でも政治家の間では安倍、自民党員の間では石破、という形で起こっている。都知事選がその前哨戦となっているなら、2年後を見据えた動きがすでに始まっている。街頭にたって有権者に訴えるのではなく、支持者を集めたビデオメッセージにしたことは、その弱気ぶりを示した、とも言えるのでしょう。国民からそっぽを向かれても、自民党総裁以外の首相になってもらっては困る、その意識が内閣支持率の最大の理由「他より良い」になっているなら、党総裁選になって「安倍より良い」が選べるようになると、またちがった結果が見えてくる、ともなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(22)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年07月26日

雑感。剥落しつつあるヘリマネ期待

神奈川県相模原市の障害者施設で、元職員が入所者を殺害する事件がありました。19人が死亡、26人が負傷、と単独犯としては平成に入って最悪の事件です。しかし今回、残念なのは明確な犯行予告がだされていたにも関わらず、防げなかったことです。しかも犯行予告にはフリーメイソンやイルミナティなどの文言が登場し、明らかに思想的な歪みがあったとみられます。障害者に税金が使われることの不満も口にしていた、といい、革命と称して障害者の安楽死も求めていた、といいます。この歪みはかなり大きいものです。
また精神疾患だとすると双極性儀疹祿押躁状態が強くあらわれ、自分の行動を否定されることを嫌う、ということにもなるのでしょう。衆院議長の公邸まで二度も訪ねるなど、その行動力には目を見張りますが、躁状態なら説明もつくのでしょう。この病気は入院加療より薬物療法がよく効く、ともされるので、一旦病院に入った、とされるときにどんな治療がされたのか? 単なる経過観察なら、むしろ症状を悪化させただけとも言えるのでしょう。様々な点で防ぐ術、タイミングがあったような気がしてなりません。

今日の株式市場では、ついにヘリマネ期待が剥落してきました。6兆円の景気刺激策、などがでてきたものの、単年度では1〜2兆円と、市場が期待していた内容にほど遠く、財源不足を意識させた。逆に、財源が不足しているからヘリマネをつかって財源を確保し、大型の景気対策を打つ。それが安倍ノミクスを「ふかす」という公約だと考えていた層にとっては、裏切られたと感じるのでしょう。ホラを「ふかす」だったのか、と見えます。
しかも今年から日銀は米FOMCと歩調を合わせ、金融政策決定会合を年9回とし、日程も近づけた。その結果、波乱要素が強くなっており、先に始まったFOMCは無風とみられますが、9月の緩和について言及があるかどうか、その様子見も強まっている。結果、市場が動きづらくなっており、またその霧が晴れた後に、どちらに動くかを予想して取引するなど、リスキーな動きも散見されます。かつての日銀トレードは、日銀の思惑通りの取引をする。緩和方向なら上昇、という流れでしたが、昨年末の補完措置からその状態が崩れ、補完措置、マイナス金利導入など、上昇が長続きしないようになってきた。こういうトレンドは一度根付くと、しばらくくり返す傾向もあります。もし今回、仮にヘリマネを導入したとしても、市場予想に届かない場合はやはり売られる可能性がある。導入しないときはより大きな売りに晒される恐れもある。そんな動きの予想が増えてしまっています。

米国は最高値圏、といっても企業業績に裏打ちされています。一方で、日本ででてきたのは企業年金の債務が91兆円、という記事です。マイナス金利で運用が思うように行かず、企業は積み立て不足分を補填しないといけない。安倍政権は企業の業績が上がった、などと喧伝しますが、企業のコストは間違いなく上がっていて、売上げ高に比べて経常利益が上がらないケースも目だってきました。マイナス金利の功罪、詳細につめないと悪影響の方が目だってしまう。ヘリマネどころの騒ぎでなく、マイナス金利をどうするか? についても議論の対象となり、インフレ目標と同時に、今回の日銀会合は、今後の金融政策を決める上で、様々な方向性を示さないといけなくなった、ということなのでしょう。
市場では日銀会合後、日経平均は15000円割れ、対ドルで100円割れ、といった予想も散見されます。事前に織りこみがすすめば、そこまでの急激な動きは回避できるでしょうが、今の市場はどんな材料に、どんな反応を示すか分かり難くなっています。黒田日銀の打つ金融政策のことを、黒田ノミクスなどとも呼ばれますが、クロ頼みクスという当たるも八卦になっている時点で、今の株式市場には正常な判断力を期待するのも難しくなってきてしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年07月25日

小池氏、増田氏の醜聞についての所感

昨日、都知事選に立候補している鳥越氏の醜聞をとり上げましたが、今日は有力とされる小池氏、増田氏についてもとり上げます。最初にお断りしておきますが、私は今、疑惑として報じられていることがすべて事実、と仮定すると、その影響度は、小池氏>増田氏>鳥越氏、だと考えています。つまり鳥越氏のケースは、仮に女性問題であっても都知事を辞職するまで問題が拡大する可能性は低い。一方で小池氏、増田氏のケースは一発で都知事を辞する可能性すら滲ませます。あくまで事実なら、との想定ですが、その醜聞をみてみます。

小池氏の件、まず産経が報じた東京10区選挙区支部の事務所費問題は、相場の半額とされましたが、相場通りの価格設定です。逆に、条件の悪い事務所を借りて、一体どんな政治活動ができたか? という疑問は残るものの、違反ではありません。一方で、日刊ゲンダイが報じた、選挙区支部がM-SMILEという企業に「調査費」名目で3年間支出し、その企業は後にオーダースーツ事業に転身、さらにその代表が都議補選に出馬、肩書きは小池氏の元秘書、となっており、こちらは重大な問題をはらみます。まず調査の実態がなければ、その支出は寄付とみなされる可能性もある。しかも代表が「元秘書」ですから、秘書在職期間中であれば調査そのものが業務であるはずで、ダミー企業へ支出し、裏金づくりをした、と見なされる可能性もある。代表ではあるけれど、運営は別の人物が行っていた、という説明をするかもしれませんが、それほど規模の大きな企業とも思えないだけにそのイイワケはかなり苦しいものです。
しかも小池氏の陣営から出馬する、というのですから尚更疑惑が深まる。選挙資金を「元秘書」のためにプールしてあげた、と見えるからです。寄付と見なされるだけで一発アウトですが、3年間で210万円の支出、これが補選へ出馬するための供託金、そう考えるのが単なる邪推か、それとも…。いずれにしろ、都知事になってから爆発すれば大問題です。

増田氏のケースは岩手県知事時代、借金2倍。1.4兆円の負債という話が広がりますが、さすが自民党ネット部隊。Wikipediaをみると『それは小泉政権時代、公共工事が縮小されるかもしれないから、先に行った。プライマリーバランスは改善した』とシレッと書いてある。Wikipediaのような、誰でも編集できるからこそウソを書いてもいい。自民党ネット部隊が、増田氏の醜聞つぶしの一貫としてWikipediaを編集したのでしょう。しかし今ごろ、Wikipediaだけをみて、判断する人がどれほどいるのか? むしろ余計なことをしただけで、逆に疑惑を深める結果になるのでしょう。触れられたくないほどの問題なのだ、と。
しかし問題は、週刊新潮が報じた岩手県知事時代の競馬組合の問題です。知事が管理者であるにも関わらず、借金を拡大させた責任から増田氏は給与のカットを申し出た。しかし退職金の返納を迫られると、そのまま知事を辞職した。問題は、借金を拡大させたその経営手腕のなさ、という部分もありますが、それ以上に給与カットをもうし出た点。一旦カットを申し出て、そのまま受け取ってしまうと、もらえないはずの利益を受け取ることになる。どこまで話がすすんでいたか、詳しい話は分かりませんが、いずれにしろお金にまつわる問題はクリーンさとはほど遠い。

さらに小沢氏の陸山会事件の際、盛んに岩手や東北の公共工事に小沢氏が絡んでいた、差配していた、と報じられましたが、結果として何も出てこなかった。では岩手県知事だった増田氏は公共工事を増やしましたが、云うまでもなく県知事という直接の発注者であり、権限をもっていた。利権にまつわる話は山のようにでてくるでしょう。どうして県発注、国発注の工事に直接の権限のない小沢氏のとき、あれほど大騒ぎしておいて、岩手県知事だった増田氏では騒がないのか? そうした問題も付き纏います。
増田氏のことを政治家でないから選んだ、という人もいますが、知事や大臣経験者はすでに政治と関わっているのであり、単に『民間出身』という肩書きにかわるだけです。政治とカネの問題はついてまわる。そして増田氏にも、どっぷりと政治とカネの臭いがする、という点において、後に爆発すればやはり大問題となるでしょう。

都知事を辞するほどの問題か? という視点で捉えれば、別に演説が少なかろうと、年齢がいっていようと、健康不安があろうと関係はありません。女性問題も、よほど酷くなければ謝罪すれば済むでしょう。一方で、政治とカネの問題はまったく別です。一発で辞職に至る可能性が高いのです。それなのに、今のメディアはやたらと女性問題の方をとり上げるのが好き、と来ています。都知事が3代つづいて政治とカネの問題で辞職したら、もの笑いの種でしょう。醜聞だらけの3人が有力候補、という時点で苦笑するしかありませんが、たとえ当選できて高笑いしても、都知事選の茶番ぶりは笑い種にしかならないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年07月24日

鳥越氏の醜聞記事についての所感

やっと週刊文春の鳥越氏の淫行記事を目にする機会がありましたので、感想を交えて考えてみます。要点をかいつまんで説明すると、2002年に大学で講義を担当していた鳥越氏がメディア志望だった大学2年生の女の子と親しくなり、誕生パーティーと称して別荘に誘い、そこで無理やりキスをし、関係を迫った。しかし女の子は拒否、帰りの車中でも誘ったものの拒否。女の子はそのことを周りに相談しようとしたところ、鳥越氏に醜聞を流されてショックをうけた。その後、彼氏が鳥越氏と話し合いをもち、TVへの出演を辞するとの確約をうけて決着した。という流れです。ずっと既視感に苛まれていましたが、記事にも週刊新潮が先につかんでいた、と認めており、文春側は都知事選への出馬をうけ、これが社会正義だと改めてその男性を直撃。女性への取材はしないことを条件に、記事にすることを同意した、とします。

まず疑問なのが、男性は鳥越氏が都知事に出馬したのが許せない、目にする機会も増える、ことが記事の掲載に同意した理由としますが、鳥越氏はこれまでもTVへの出演を続けており、またCMにも出ている。東京五輪があるとはいえ、都知事になった方が逆に、目にする機会は減るでしょう。ニュースをよく見る、東京五輪の関連ニュースに注目しているなら別ですが、これまでは「TVに出演しない」という約束を破っていたわけで、急に都知事選に出馬するから、といって怒りが増す、ということもないでしょう。逆に考えると、文春側がこのネタはいける、と判断して追記事になろうと突っこんだとき、インパクトが弱いことに気づく。そこで「淫行」や「怒り」を付加して報じたのではないか? と推測されます。
しかしこうして報じられれば、いくら文春が奥さんには直撃しない、と約束したからといって、他のメディアの記者は当然、奥さんに話を聞きに行く。文春が記者のすべてを牛耳っているわけではないからです。しかも騒がれれば、嫌でも奥さんの耳に入る。トラウマを抱えているのなら、尚のこと記事にすることを断固拒否するべきでした。逆に、そうした事態になっても許せない、とするほど怒りがあったのなら、それは奥さんを守ることが第一ではなく、自分の感情を優先したことにもなる。奥さんのことで怒っているはずなのに、奥さんは蔑ろ、という些か行動に整合性がない点もあります。そうなった原因は文春側が、インパクトを欲したのか? それとも男性が記事の掲載料に目が眩んだか、どちらかなのでしょう。

価値観は様々ですから、キスや迫られてトラウマになる女性もいるでしょう。しかし解せないのは別荘からの帰り、車に一緒に乗っている点。トラウマになるほどショックを受けたのなら、近場の駅までは送ってもらっても、そこから一人で帰ろうとするはず。もし顔も見たくないほどなら、タクシーを呼んでその場で帰るはずです。ナゼならそんな好色男と一つ屋根の下にいる、一晩過ごすことすら不安なはずですから。それまでいくら信用があった、信じていた、といってもその段階ではそこまで崩れていなかったのなら、そもそもドン・ファンが、生娘を騙してモノにしようとした、という構図までなら、まだ女性による鳥越氏への信頼が崩れてはいなかった、ということになるのでしょう。
では鳥越氏が話し合いをもった、TV引退まで示唆した、とは何があったのか? 推測ですが、実は事件の構図として重要なのは、『隠蔽工作をはかったこと』なのではないか、と見ています。単に女性に言い寄って失敗した、というだけで、TV引退までもち出さないでしょう。強引に関係を結んでしまった、というなら肯けますが、それだと逆にTVから引退ぐらいで男性側が手を引いた理由が説明つきません。強姦罪で告発することも考えられますし、慰謝料を請求することもできた。コトを荒立てたくなかった、というなら、前回、今回と告発記事を掲載したことの説明がつかない。女性を貶める形で隠蔽工作を図ろうとした、それを男性側から追及された、というなら公人という立場を辞すことを提案し、男性も納得した、という構図がすっきりと肯けます。つまり公人の立場を利用したからこそ女性を誘え、隠蔽工作にも真実味をもったのであり、そこを外すことが最大の目的だったと考えられます。

つまりこの事件、扇情的に文春が書いた構図とは、趣をコトにするのではないか? そう考えると、すんなり受け入れることができます。つまり『淫行事件』ではなく『隠蔽事件』です。女性を口説こうとすることは、男性なら多かれ少なかれある。失敗することもある。そこまでは問題ない。しかしその事実を隠そうと、自らの地位、立場を守ろう、保身に走ったとき、女性側を悪人にして自らを正当化しようとする。そんな構図であるなら、この事件で問われるべきこと、も違ってきます。これはあくまで憶測ですから、実はまったく異なる事実が隠れているかもしれない。文春の続報でもでれば、また事情が変わってくるかもしれない。しかし今回の記事、文春の暴走ともみられる煽り記事により、逆に分かり難くなってしまっているのでしょう。もやもや感しか残っていませんが、今週で何か事情が変わるのか。もし上記の内容なら、都知事選への影響も含めて文春側のいう社会正義とは、少し異なる構図も見えてきます。文春が、新潮側から「引用」した記事、「陰謀論」とも相まって、まだまだ真実が分からない部分が多い、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(31)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | メディア

2016年07月23日

都知事選、中盤戦

G20財務相・中央銀行総裁会議が中国の成都で開幕しました。英国のEU離脱でも、国際社会は十分な準備ができている、と声明をだす一方、英国とEUに緊密な協調関係を要請するなど、言葉は悪いですが、G20が「全然大丈夫。全然平気」とするのが、やせ我慢にしか見えません。動揺を悟られないよう、平静を装う。逆にそれが危機感の強さを示すのでしょう。
独国では単独犯と見られるテロがありました。ISILとの関係、というより日本でも最近みかける自暴自棄による犯罪、とみられます。ただ日本では銃の入手が困難なため、大きな被害がでなかった。今回の独国の事件は、犯人が銃を入手したため大きな被害がでた。その差しかないのでしょう。日本でも銃や爆弾といったものが入手し易くなれば、いずれ同様の事件がおきてもおかしくない。ナゼなら世界中で景気はいい、と威勢のいいことを為政者は語る一方、自分たちに恩恵はなく貧しいまま。そうした不満を溜める層が拡大しているからです。為政者が事実を認めないから、貧困対策がすすまず、将来を悲観して犯罪に走る。どこの国でも起こりうることで、日本では増える一方なのかもしれません。やせ我慢をして「景気がいい。我々は大丈夫」と言い続ける限り、我慢の限界にきた人がでるのは必然なのですから。

都知事選が後半戦に入っています。参院選と異なり、メディアがそこそことり上げているので、注目度も高いのですが、序盤の流れを変える材料は鳥越氏の醜聞、ぐらいでしょう。ただしコメント欄ではとり上げていますが、「淫行未遂」については14年前の事件であり、また私の記憶が正しければ、既報の内容だったはずです。都知事選への出馬でネームバリューが高まり、再掲したのか? それは分かりませんが、その影響がどこまで出るかは分かりません。一部で、ジャーナリストなのだから自ら潔白を証明しろ、説明責任を果たせ、という話もでていますが、これが事実ならそれもできますが、捏造だと潔白の証明が難しいばかりか、本人には身に憶えがないので説明もできない。文春はこの事件について「自信がある」とはしますが、事実認定の難しい話であり、水掛け論にしかなりません。
小池氏の選挙活動が、前々回の都知事選に出馬した黒川氏とそっくり、との話もでています。緑のイメージカラー、透明の選挙カー、クルーザーによる選挙活動、といった具合です。恐らく選対には黒川氏の選挙にかかわった人が入って、戦略を練っているのでしょう。でなければ、これほど似ることはありません。興味深いのは、落選した選挙戦術を採用している点で、もしこれで当選すれば、黒川氏と何が違ったのか? という分析にはうってつけです。先だしジャンケン、劇場型選挙、と昔とった杵柄なのか、すべてがどこかで見たことのある内容だけに、都政でも何か新しいことを打ち出せるのか? 新規性や斬新さ、といったイメージは湧きにくく、既存の政治家の姿そのものともいえます。

驚くのが増田氏。知名度が低いことを自覚してか、積極的に有権者と写真をとり、ツイッターやフェースブックなど、ネットにアップして、とお願いしている。しかし大して知名度のある人でないだけに、会ったからと言って嬉しい、という声も聞かない。わざわざ自分の顔まで晒してネットにアップする人がどれほどいるか、は微妙です。それに、そんな写真をみたからといって、増田氏に投票したくなる人がいるか? かなり微妙です。
政策、政策と訴えていたのは、自民都連をバックにつけているから、政策論争なら自民都連からのレクチャーもあるので有利、といったところだったのでしょう。しかしメディアの討論会でも、微妙な回答が目立ったこともあって、知名度選挙に傾かざるを得なかったのでしょう。ただ結果的に、自らの知名度がないことが最大の弱点になっている。頼みの組織も小池氏に大分もっていかれている、ともされるので、浮動票をとるしかなくなった。そんな空気を『忖度』し、メディアが都知事選をとり上げやすくなっている、というなら、この都知事選の報道には『与党の事情』しかうかがえない、とも云えるのでしょう。

しかも、その報道ではこの3者以外、まったくとり上げない。「他にも都知事選には…」と名前の一覧が報じられるだけです。三者の対決であることを暗に示唆しており、これが公平というものなら、メディアの報じ方には結局、第三者が納得するような公平さはない、とも言えるのでしょう。それは「私たちは正しい」と語るメディアへの強烈なアンチテーゼとして、先の参院選からの一連の流れとともに、不公正さしか垣間見えないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:59|PermalinkComments(20)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年07月22日

雑感。ポケモノミクス

ポケモンGOの日本配信が始まりました。ポケモノミクスとも語られますが、個人的にはそれほど期待する波及効果はない、と感じます。基本は歩き回ってポケモンを探す。課金をする店の周辺には、レアポケモンが出やすくなる、などともされますが、だからといってお店に入らず、出入り口で溜まってポケモンをしているだけでは、店の収益にはならない。逆に営業妨害ともなります。これは提携したマクドナルドも同じ。GPSの精度、店のWi-fiの通信範囲も含めて、消費はせずに済ましてしまうケースが多いでしょう。そもそも、それだけ熱心にポケモンを追いかける人が、一箇所にとどまって消費する、ということは少ないはずです。それ以上に、事故や犯罪に巻きこまれるなどで、保険にはマイナスかもしれない。これは人が一箇所に定着し難いシステムなので、消費には大した寄与がないのです。

毎月勤労統計の5月確報で、実質賃金が前年同月比+0.4%と、速報の+0.2%から上方修正されました。実質賃金は4ヶ月連続の上昇ですが、ちょうど円高が進行し、デフレになった時期と連動しており、5月は名目賃金は-0.1%であるように手取りの金額自体は減っています。さらにこの動きと連動するかのように、小売の百貨店、スーパーの売上げは下落をつづけており、物価は下がったといっても金額は据え置きであるケースもあるので、名目賃金の目減りによって、家計がより慎重姿勢に入っている可能性があります。特に今、食料品は好調とされますが、食料品の価格高騰によってそれ以外の消費が減退する、非常に悪い形の節約であり、エンゲル係数の高まりは日本人の貧困をより強く示唆するものです。
政府の景気対策として20兆、30兆円などという話もでてきましたが、今のところでてきたのはリニア新幹線だったり、と大型公共工事の話ばかり。財投は借金にカウントされない、といってもきちんと返済が計画通りにすすまない可能性があり、人口減少社会でのインフラ整備に一体どこまでの効果があるか、分かりません。残念ながら、自民党は参院選でもそうだったように、既存の利権体制への還元という方が優先なのかもしれません。

恐らく、ポケモノミクスでそちらに課金などが集中すれば、日本では他の消費が抑えられることになる。それもこれも、賃金が上がっていないのですから仕方ないことです。参院選で、安倍氏がCMに出て訴えたのは「3年連続で賃上げ」というだけ。賃上げが行われても、ボーナスなど一時金が下がれば、家計所得は減る。賃上げは決して家計を潤さないにも関わらず、そこしかアピールできなかった。ということがそもそもの限界なのです。
消費のバランスが明らかに日本が貧困へと向かっていることを示す中、政府だけがどこか別次元のように、放漫財政をしている。しかも景気への寄与が低いことは、これまでの安倍ノミクスでも低成長、マイナス成長が頻発するように、公共工事と金融緩和を組み合わせるだけでは効果がないにも関わらず、です。東証や国会、官邸でもポケモンが出現した、という話があります。しかしそこには金くい虫、というモンスターしかいないのかもしれません。今、日本に必要なのは大型の景気対策ではなく、減税です。それはNHKの受信料などを含め、固定費として意識されるもの、それを下げることで家計に安心感を与え、消費しても大丈夫という意識を芽生えさせることです。来週はいよいよ日銀Week、ヘリマネを含む追加緩和の有無が意識されます。そのモンスターボールから何が生まれるか。歩き回って、汗をかいて見つけたものではないだけに、そのモンスターは『フアン』という名前になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年07月21日

露国のドーピング問題

欧州中銀が金融政策について、現状維持を決めました。一部で、英国のEU離脱をうけて英中銀と歩調を合わせ、緩和に傾くといった観測もありましたが、大方の予想通りの内容です。来週の日銀会合にむけ、中央銀行関連の動きが気になりますが、一旦は円安傾向にも歯止めがかかった。しかしここから一週間は、日銀にらみの展開も予想されます。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)が、ロシア陸上選手の出場停止を決めた国際陸連の判断を妥当とし、ロシア選手団の訴えを退けました。国際陸連の定める個人資格での出場資格を満たせば出場できますが、多くの選手が出場できなくなります。またCASの判断も考慮し、国際オリンピック委員会がロシア選手団全体の出場についても、これから検討するとします。露国は露国で、五輪に参加登録せず、事実上のボイコットをするのではないか、との観測も浮上し、まさに泥沼の展開へとはまりつつあります。
しかし安倍政権にとって厳しいのは、外交成果として唯一残せそうだ、としてこだわってきた北方領土交渉が難しくなった点です。国際的に孤立すれば、妥協をひきだすチャンスである一方、ウクライナ問題も膠着し、欧米の監視の目も厳しい中で、露国に接近すれば日本も厳しい批判を浴びかねない。北方領土の問題一つだけを抽出すれば、米国の大統領選がトランプ氏に決まった方が追い風、ともいえます。先のソチ五輪の開会式にも、欧米の批判の中で参加した安倍氏ですが、リオ五輪で再会するという希望ももう灯火。米国に尾を踏まれながら、交渉を継続できるか。ここからは覚悟が試されるのでしょう。

しかしそのリオ五輪を開催するブラジルは、ルセフ政権が事実上更迭され、今は暫定政権です。原油高のとき、国民に家電購入補助金などを配って支持を集めたものの、その後の原油安で国家財政が一気に疲弊、インフレなども手伝って一気に国民の支持を落としました。露国も、原油高で経済が潤い、強い露国の復活としてクリミア併合などをおしすすめ、国威発揚と云った方向でさらに国民の支持を高めた。その延長に今回のドーピング問題があるのでしょう。
しかしクーデター未遂事件がおきたトルコも、中低所得者向けに住宅をあてがう、といったことでエルドアン政権の支持は高く、今回のクーデターでも国民に「立ち上がれ」と立ち向かわせた。実に、この三国に共通するのは、購入補助や住宅の供給などで国民の人気を高め、政権基盤が強かったということです。その中で、国家財政がいち早く悪化し、倒れてしまったルセフ政権の下に、多くの国が集まって祭典が開かれる、というのが皮肉なのでしょう。

翻って、日本もほぼ同じです。上記の三国に共通するのは、あぶく銭を掴んだ、ということ。露国、ブラジルは原油高、トルコはEU加盟観測と混乱する中東におけるプレゼンスで資金が増えた。そして日本は、日銀という無尽蔵の財布に頼って景気を上向かせようとした。そして来週、さらにそれを加速させるかどうか、という判断が下されます。これらの国は経済で支持を得て、独裁、強権政治へとつなげてきた点も実によく似ています。
あぶく銭を掴むと、人は財布の紐がゆるみ、放漫財政に陥りがちですが、今日出てきた景気対策20兆円、などという話はまさに放漫の極みなのでしょう。実際、真水でそこまで出せるとは思えず、すでに通った予算などを含めた額なのでしょうが、もしこの金額がそのまま景気対策で出てくるなら、間違いなくヘリマネの導入を予感させるのでしょう。過剰流動性というあぶく銭、次にルセフ政権の二の舞を演じるのは、一体どこの国なのか? リオ五輪に注目も集まりますが、それらの国の政権の脱落レースもまた、注目が高まるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(29)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 政治

2016年07月20日

川内原発と大飯原発

自民党がHP上で、参院選における「学校教育における政治的中立性についての実態調査」を6月25日から実施、自民党は「公選法に抵触するような明らかな事例も含め、相当数集まった」として、7月19日に閉鎖しました。しかし違和感だらけなのは、まず記名投稿であり、具体的な内容を入力するよう求めていたこと。これは独裁政権が行いがちな、秘密警察の前身になる可能性が高い。つまり密告社会の到来を予感させます。投稿者には素質あり、として自民は連絡をとり、こうした若者をネット巡回させて自民に厳しい意見をする者を報告させ、また自民に都合よい情報をばらまくための人材として育成、組織する気かもしれません。
次に、公選法では教育者の地位利用の選挙運動の禁止、があって、選挙運動ができない決まりである一方、啓発はしなければいけない、という矛盾があります。模擬選挙などを行う場合でも、教員が助言しただけで選挙運動と見なされかねない。逆に言えば、公選法を盾にとり、政権に都合よい教育をした場合のみ、罪には問わないとする流れを助長する恐れがあります。余計なトラブルを起こしたくなければ、与党のいうことに従えよ、という無言の圧力となって教育現場を覆う。安倍自民は日本を息苦しい国にしたいのか、とさえ感じます。町を歩いても、どこに密告者がいるか分からない北朝鮮のような国にする気かもしれません。

その参院選と同時に行われた鹿児島県知事選挙、テレビのコメンテーターを務めていた三反園氏が当選、川内原発を停止する公約を掲げていたことから、8月中にも再点検を含めて一時停止を申し入れる見込み、と伝わります。三反園氏自身、原発に対して反対とはみられていませんが、県知事選における野党共闘として、反原発を掲げる候補の主張をとり入れて、統一候補として立っていただけに注目されていました。「再点検すれば信頼性を増す」という意見は、明らかに公約を優先したもので、停止に対する思い入れはないのでしょう。しかも10月には停止して定期検査を行う予定であり、これは夏場の電力需要を考えてのこと、それを覆して2ヶ月早めに停止し、夏場の暑い時期をどう考えているのか? その判断には疑問を感じます。
そもそも川内原発は熊本地震でも注目された、列島を横断する活断層群の西端に近く、また日本でも有数の巨大噴火をおこした地帯でもある。さらにトラブル続きで、九州電力に安全に運営して行く力があるのかどうか、すら疑われる。再点検で一体、何をどう改善させていくのか、その具体策はよく分かりません。鹿児島や熊本県民の避難計画とて、中々安全に誘導できる案が策定できていない現状で、一旦止めるけど再稼動を前提、という立ち位置で本当に大丈夫か? そんな不安を禁じえません。

しかも原子力規制委員会の島崎委員長代理が、関電の大飯原発に対し、関電の計算方法では垂直に近い断層の揺れを大幅に小さく評価する、と指摘。しかもその後、原規制委が再計算した結果、関電より低い数字だったとしたものの、再度の島崎氏の指摘により、再計算はムリにだした数字だった、と認めました。つまり島崎氏が執拗に計算方法がおかしい、と言い続けなければ、関電の過小評価を、原規制委が追認しようとしていた、という異常な状態発覚しています。これは看過できない問題で、そもそも関電の計算式が誤りであるという以上に、それを規制する側もその能力を有していない、という重大な問題を含みます。原発の再稼動にむけて、原規制委のお墨付きなどザル、ということを示したのです。
原規制委員長の田中氏は「改めて協議する」と述べていますが、その前にお手盛りの計算をした、その職員と指揮命令系統について、しっかりと調査して詳らかにし、再発防止策を講じる必要があるのでしょう。そうでない限り、原規制委の存在自体が電力会社の追認機関であって、お墨付きは安全を意味しない、という認識が広まるだけです。安倍政権では「学者の判断…」云々と、原発再稼動の判断はあくまで科学的知見に基づくもの、という立場です。しかしその学者が任にふさわしくない、能力不足と同時に、恣意的に結果を改竄するのであれば、それはもう論理として破綻しているのです。教育機関における政治的中立性をいう前に、学識経験者、有識者におけるその知識の欠乏、能力的欠陥、そして政治的中立性を保って判断できる高潔な態度、そんなものが不足していることが、この国では顕著になってきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(19)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2016年07月19日

日経平均の6日連続上昇

日経平均が6日続伸、この間の上げ幅は1600円を越えます。いくらヘリマネ期待があるとは言え、何が起きているのか。5月から3ヶ月ごとに悲観、楽観をくり返す相場を脱し、上につき易くなりましたが、その後の展開は見えていません。ファンド勢は高い、だけでは面白くない。つまり相場の値動きが乏しいと、収益がとれないのです。そこで英国のEU離脱でも高い欧州、米国とは違って、ヘリマネなどの材料を当てこんで日本株に仕掛けてきた。要するに、日本株全体を新興国や新興企業と同じ、材料株として扱いだしたのです。
任天堂、Fリテなど、個別の企業でさえその動きが垣間見られます。日経平均全体は、市場規模も大きく動かし難いけれど、任天堂など一気に3万円を突破してきた。いくらポケモンGOが人気、といっても、収益がどこまで押し上げられるのか? それが分からなくとも、材料が出れば買う。日本株全体も、ヘリマネの材料が好感されるうちは買う。そんな流れです。

Wikileaksがトルコのクーデターに関して、情報を公開すると宣言。詳細は明らかになっていないものの、エルドアン大統領にとって不都合な内容も含まれる、とされます。しかしWikileaks側は、トルコからとみられる攻撃をうけている、と公表しており、この問題はまだまだ根深いものを含み、尾を引きそうです。トルコが投資不適格の位置づけになり、シリアへの米軍機による空爆拠点であったものが見直されると、世界全体にも動揺を与えることにもなります。今後、トルコの動静には要注意なのでしょう。
日本では経済財政諮問会議が、真水で8兆円規模の景気対策が必要、との試算をだしました。ただ、参院選期間中に読売がだした10兆円より低く、市場期待を少し下げて、いざ対策が出されたときのサプライズ感を演出したい、といった思惑であって、8兆円自体が問題ではありません。政権のポチ、とも呼ばれる榊原経団連会長が「前例にとらわれない大胆な財源確保」と述べ、ヘリマネ期待をつないだように、都知事選までは期待を繋ぎたいようです。しかし具体的な投資内容として、IoTや港湾整備など、経団連の能力不足が顕著でもあって、そうした世界全体で競争が起きているもので、勝ち上がる見込みもないまま、ほどほどの予算をかけても将来的にはすべてムダに終わるだけでしょう。

IoTではソフトバンクが半導体大手、英ARM社を3.3兆円で買収すると発表しましたが、個人的には失敗だと考えます。すでにスマホ、タブレット需要は成熟化し、IoTによる家電への半導体組み込みが期待されても、そもそもそんな未来を望まない人も多い。家電がすべてつながると、ハッカーによる一度の攻撃で家電すべてを買い換えるか、修理する必要に迫られます。また個人情報がすべて抜かれる可能性もあり、しかも下手にマイナンバーが絡んだ情報を含むと、修理すら断られる可能性がある。便利である一方、価格も高くなりますし、対応も難しくなる。そんな家電を必要とする家庭は、さほど多くないでしょう。
しかし日本の家電業界は青息吐息。そんな電機メーカーを救いたい、との思惑は経団連も政府も一緒のようです。東京地検が、不正会計事件をおこした東芝幹部を、証券取引等監視委員会は「立件できる」との見解を表明、異例の対立構図が生まれています。牙も爪も政府から抜かれた東京地検に対し、証券取引等監視委員会が気骨を示した形です。しかしこれほど明確な粉飾決算に対し、起訴できない為体は、斡旋利得が明白な甘利氏を起訴できなかった構図と極めて似ます。つまり安倍政権は、悪いことをしても自身との距離感、近さで立件しない、といった恣意的な運用があまりに目だってしまうのです。

正直、だからこそ市場がアクティブに、日本株の材料で急激な上げ、下げをする運用を仕掛けてきた、とも言えるのでしょう。つまり不正が白日の下にさらされた瞬間、大きな売りにも晒される。ヘリマネも同じ、実態が詳らかになった瞬間、破綻懸念を抱かれるほど売り込まれる可能性を感じ、相場が狙いだした。今は買いでとり、将来は売りでとる。値動きの大きさで、日本株で儲けようというのです。もし仮に、日本の実体を暴くWikileaksの暴露記事があれば、恰好の売り材料にされることでしょう。おかしなことを隠している間だけ、上昇するといった市場に、日本株はすでに堕しているのが現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(34)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年07月17日

雑感。日銀の06年議事録

トルコのクーデターで、為替市場は夢から醒めたように、円安傾向に歯止めがかかりました。楽観が現実に引き戻された形ですが、先週末、株式市場はLINEの日米同時上場に沸きました。しかしLINEも認めているように、最早無料通話の市場は成熟してきており、新たな市場の開拓は難しい。新サービスなどにより顧客を集める、といったパイの奪い合いを演じなければならない。これまでのNTTや郵政などのように、上場後にどれだけ上昇するか、それはこれからです。
一方で、任天堂がポケモンGOで活況です。これまでのバーチャルリアリティ(VR)の技術がどこか方向違いに感じるのは、ヘッドセットと呼ばれるもので視覚を覆い、没入感を楽しむといったものです。しかしそのまま動き回れば部屋の中のものを壊す可能性もあり、ケガをすることも考えられる。しかしポケモンGOのように、現実世界との融合でVRを愉しめるなら、使用者のリスクは小さいですし、すべての3Dを作りこまなくてもいいので開発費も抑えられる。ただ、町に出かけてポケモンをさがすと、犯罪を発見しやすくもなりますし、犯罪に巻きこまれる可能性も高くなる。どこで線引きするか、規制が今のところない点が課題なのでしょう。その規制が業界に広がったとき、どこまで業績を伸ばせるか、がカギです。

日銀が06年、量的緩和解除前の金融政策決定会合の議事録を公表しました。物価が3ヶ月連続で上回り、条件がととのった、として解除に踏み切っていますが、同時に物価の目安を0〜2%と定めることで金利の急上昇を抑える、といった工夫をしたことが窺えます。しかし現在、当時は60数兆円だった日銀の国債保有残高、現在は400兆円を越えてきた。しかもまだ2%の物価目標すら達していません。そもそも、もし物価が2%前後なら長期金利が2%であっても決して不思議ではない。今、-0.3%という長期金利が、日銀が緩和を停止するのと同時に急上昇することは想像に難くありません。これは、現在の緩和ペースを減速させるだけでも同様の流れを生じます。量的緩和解除の当時は、金利がゼロでも勿論、ゼロ金利にはなっていなかったので、物価の上昇率を0〜2%に固定する、と宣言することで市場に上昇期待が生じることを防ぎましたが、今はちょっとしたキッカケでも上昇しやすい地合いが生まれています。
そんな中で、日本ではヘリコプターマネーの導入が噂されていますが、ヘリマネでも金利が上昇する恐れがあります。市場に出回らない国債がある、隠れ借金がある、とは市場がもっとも敬遠すること。特にヘリマネの場合、それを一旦国庫に入れる意味がないので、景気対策なり、一般会計の予算としてすぐに計上されます。つまり隠れ借金なのに、その額がバレバレ。逆に、余計なことをして調達した資金の総額を隠すと、余計に市場に疑心暗鬼を生みます。ヘリマネは、それで経済が上向くことが確信できるとき以外、絶対につかってはいけない手だといえます。

しかも、日本でヘリマネ期待が高いのは、安倍政権、黒田日銀がサプライズ狙いをしてきたから。やらない、と宣言しても、期待値が高まってしまいがちです。しかし月末の日銀会合でヘリマネをやらないとなったら、市場は急落する可能性が高い。実際にやったらやったで、国債市場に与える動揺も大きいでしょうし、やらないならやらないで株式市場に与える動揺も大きい。量的緩和の解除のときも、日銀は相当に苦労した様子がうかがえますが、マイナス金利つき質的・量的緩和の解除には、常人では検討もつかないような様々な工夫をしない限り、金利急騰といった負の作用を引き起こしかねなくなるのです。
今の日本は、まさにVR、仮想現実のような金余りの環境にあります。個人にはまったく恩恵がないので感じ難いですが、現実にはすでに国債の8割がマイナス、という異常事態に陥っている。しかも金利がマイナスのため、国内では運用先がなく、資金が逃避して行く方向です。それでも金利差の縮小や、日銀の限界によって為替は円高方向になっていく。トルコのクーデターで楽観に傾きすぎていた市場が、冷静さを取り戻すのかどうか。そうではなく、さらにまた二度寝のように夢をみだすのなら、その仮想の世界から現実にもどってきたとき、あまりの酷さに落胆する場面が出てきても、仕方ないとなるのかもしれませんね。

明日は一日、お休みします。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(32)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年07月16日

雑感。民主的体制とクーデター

トルコで軍によるクーデターがおきました。エルドアン政権の強権的な手法は、イスラムの厳格適用にまで及び、世俗派を自認する軍隊としては看過できない、として蜂起した。ただ政権側からは掌握と伝わり、首謀者は拘束ともされるので、クーデターは失敗したようです。しかしこの一連の流れ、日本にも当てはまる部分が数多くあります。まずエルドアン政権は先の選挙で50%以上の支持をうけ、国民の負託をうけたとして中央集権体制をすすめていました。しかも国民の支持が高いのは、経済政策への評価といいますから、実に現在の安倍政権に似るのです。しかしトルコは軍のクーデターによる政治の変革が、当たり前に起こってきた国。そこだけが大きく違う部分でもあるのでしょう。
しかし今回、エルドアン氏は国民にむけてクーデター軍に向けて「立ち上がれ」と呼びかけた。銃をもつ相手に国民を立ち向かわせた、極めて問題が大きい対応だったといえるのでしょう。自分が先頭に立って反抗する、のではなく、自分は後方に隠れて国民を盾にした。クーデターを鎮圧し、政権基盤が固まった、と考えているなら、この非情なやり方への国民の不満、怒りが向かうことにもなるのでしょう。今回、クーデター軍は国民に向けても発砲している。しかしクーデター軍は淘汰され、残っているのはエルドアン政権。それに国民がどう判断を下すのは、落ち着いてからということです。それにしてもエルドアン政権、早速裁判官を解任するなど、その強権ぶりがさらなる反発を招きかねないのかもしれません。

安倍首相は、トルコのクーデターをうけて「民主的体制の尊重を」と語っていますが、クーデターは世界的にみてもかなり頻繁に起きていて、それは民主主義の限界を示しています。先の英国による国民投票で、EU離脱を決めた際に、日本では「民主主義の欠陥」などと報じるメディアや、そう語る有識者もいましたが、民主主義は万能の剣ではありません。民主主義から独裁は生まれ、民主主義が圧政を生みます。多数を喜ばせるために少数を抑圧し、さらに人気を得る。近い例でいえば、日本のヘイトスピーチもそうです。韓国などを敵視し、国内にいる少数の韓国系を攻撃し、溜飲を下げさせる。多数のみがそれを為しえますが、その多数が選挙においては有利であるからこそ、政治が黙認しがちです。
政治が腐敗しても同じです。腐敗とは癒着もそうで、癒着した側が多数を占めるような状況なら、利権を守るため『民主的に』腐敗政治を選択します。ギリシャなど、まさに癒着と腐敗の温床でしたが、それでも『民主的に』政治は選択されていました。しかも、政権維持のために財政状況にウソまでついていたため、今では破綻すら囁かれます。民主的な体制だからといって、必ずしもベターな選択とはいえないのは、洋の東西を問いません。

今、日本では東京都知事選が行われています。小池氏に対して、自民党時代にわがままな振る舞いをしていた、等の記事もある。鳥越氏に対して、年齢や病気の問題を取り沙汰するメディアもある。しかしこれらは勝手な憶測も含まれるのと、恣意的な報道も垣間見えます。一方で、増田氏の岩手県知事時代の話、公共工事を増やして借金2倍、は事実でもあります。噂や憶測の類より、事実を重視すれば増田氏にとって不利。だからそうした与党が推薦する候補以外に対してネガティブ報道を垂れ流し、増田氏を側面支援しよう、という流れも起きているのでしょう。
そうしてメディアがおかしな同調を見せ、与党に有利な報道だけをとり上げるようになれば、それも民主的な状態とはいえないのです。独裁をめざす政治は、まずメディアを掌握しようと努める。それは情報を操作すれば、国民の判断を鈍らし、自分たちの都合よい結果をひきだすこともできるからです。それが「民主的体制」か? 甚だ疑問なのでしょう。例えば、いくら鳥越氏の年齢を揶揄しても、自民は78歳だった石原慎太郎氏を都知事として推薦している。選挙活動していない、といっても、青島元都知事は出馬表明した後、海外旅行に行っていて、ほとんど選挙活動していなかった、という前例もある。いくら異常、といってみたところで、すでに前例が批判を覆してしまっています。そして都民は石原氏も、青島氏も選択した。これも民主的な選択だったのです。もし日本で、自衛隊の権限が拡大され、軍機能が強化されていくと、そのうち政治の腐敗に対してクーデターを起こすかもしれません。問題は、そのときの国民が政治へ不満があるか、選挙をしても変えられない、と嘆いているかで、その行動の正当性というのは決まってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(21)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

2016年07月15日

雑感。仏国テロと中国経済

南仏のニースで、革命記念日の花火をみる群集にトラックが突っこむ、というテロがありました。詳細はまだ不明ですが、フランス革命は1789年、バスティーユ監獄にいる政治犯の解放を求め、市民と将兵の間でおこった戦闘が発端です。そのとき、ルイ16世が「叛乱(レヴォルト)か?」と訊ね、傍らの貴族が「革命(レヴォリューション)です」と答えた話が有名です。しかし今回をテロ、と決めつけていいのか?
仏革命でも「自由か、死か」を行動のより所としましたが、これは元々米国の政治家、ヘンリーの言葉です。英国から独立しようとするとき、「今は自由のために武器をとるべきだ」と演説、その言葉に励まされて米国は独立し、仏国は革命を果たした。今のテロリストも、訴えるところは「自由か、死か」であって、違いは権力に向かう集団の行動原理か、単独犯による国民に向かうか、です。言い換えると「自由でないなら死を」が行動原理になっているなら、テロの脅威や非難を訴える前に、まず国内の不満や対立をうむ構図を改めない限り、彼らがこれを叛乱や反抗ではなく、革命と考えている以上、供給体制がつづくことにもなってしまいます。

ASEMでは日本と中国が激しく対立、などとも伝わりますが、残念ながら日本の外交力など大したことがありません。中国はすでにASEANの動きも抑えており、今回も名指しを避けた議長声明で、お茶をにごすぐらいでしょう。中国が怖いのは、米国が多数派工作を仕掛けてきたときで、日本のように他国をまとめる力がない国に脅威は感じません。ASEANの諸国では、経済的結びつき以上に、華僑の力も大きいので政治力を行使できる。今回の仲裁裁判所でも、話し合いをしようと言っていたのに開発を止めなかった中国に業を煮やしたフィリピンが訴えを起こしましたが、もう当時とは政権も変わっている。仲裁裁判所の判決を無視して中比の二国間協議に持ち込もうとするのも、勝算をみこんでのことです。日本は外野、という中国の発想は、ASEANに政治力を行使できるのは自分たちだ、との自負がそうさせます。
中国はすでに一帯一路構想など、人、モノを通じ、また人民元を第2の通貨として流通させるなど、結びつきを強めている。ひるがえって日本は相変わらずODAだけで、親日国とされるバングラディッシュでも日本人がテロの対象になったように、世界からの信用が落ちているばかりか、どんどん行動範囲を狭められている。米国追従路線である日本が、米国への敵意を合わせて受ける形となり、かといって米国の先兵として動くにも、米国からの絶対的な信頼をうけているわけではない。中途半端に悪い形で外交力のなさ、また恨みを買ってしまっている、というのが安倍外交です。

そんな中国の第2四半期のGDPは前年同期比6.7%増、前期比でも1.8%増となりました。しかし消費の伸びの寄与率が7割越えで、資本形成は4割弱、一方で純輸出が1割減となるなど、消費に頼った成長だったことがうかがえる。その消費を促すのが、公共投資と不動産価格の上昇であり、また日本のインバウンド消費が消失したように、海外旅行の爆買いが減って国内で消費するようになった点、なのでしょう。内需を促す要因は心許なく、さらに内向き経済になれば、そのうち中国の外交力も減少して行くことになります。
ウルトラ…というと、日本ではウルトラマンがそうであったように、好意的に受け取られる言葉ですが、元々は過激な、を意味します。世界に拡大する過激な思想、行動。仏国ではかつてウルトラモンターニュ、仏王とローマ教皇との争いに際して、ローマ教会至上主義の立場をとる、国内勢をそう呼びました。つまり仏国からみて山向こうの人の立場、という意味です。19世紀にはウルトラ・ロイヤリストなる超右思想も生まれた。今の仏国にはウルトラ…の思想が広まりつつあります。そして中国とて、経済に傾きがみられる中、国内には深刻なテロ事件も起きている、とされます。「自由か、死か」そんな言葉がふたたび21世紀の現代、脚光を浴びている今、大国病に罹りつつあるのはどこの国でも同様であり、治療法もないのが現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:51|PermalinkComments(13)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | アジア

2016年07月14日

ヘリコプターマネー期待が広がる市場

東京都知事選が告示されましたが、早くも若狭衆院議員が小池氏の応援に駆けつけ、自民の一族郎党除名、という縛りに綻びが見えました。下手に違反者の数が増えると、除名によって3分の2、の議席を割るかもしれません。これらの動きに興味津々なのはお維と日本のこころ、です。自民を除名になったら、是非うちへ。そうした勧誘が活発になりそうです。

日本の株式市場が活況です。今日になると、最近は特に相場操縦っぽい報道の多いBloombergが本田内閣官房参与が4月に訪米した際、バーナンキ前FRB議長と永久債について議論した、と報じて1$105円に急進しました。今週はバーナンキ氏の来日で、日本では急速にヘリコプターマネーの期待が高まります。外国人投資家が、セルからホールドに態度を変更したことで上昇相場になっていますが、ただ様相が異なるのは、11日の月曜日はほぼ日本勢の一手買いだった。月曜日はまだ休暇中の外国人投資家も多い、といってもアクティブに日本株を手がけるヘッジファンドなどは動いており、それでもヘリコプターマネーの話は盛り上がりませんでした。12日から、それこそ思い出したように外国人投資家が主役に踊りでたのです。
では外国人投資家が期待するヘリコプターマネー、どんな手があるか。バーナンキ氏の主張によると2つ、例えば10年債など、年限の決まった国債の金利を固定することを通告し、その金利を越えると日銀が買い付けてしまう。しかしこれはすでに日銀の国債買取がすすんでおり、効果は限定されそうです。もう1つは日銀が専用の口座をつくり、そこに資金を貸し付け、後は政府が自由につかう。永久債に近い形ですが、返済するかどうかは政府次第、といった非常に問題のあるものですが、中央銀行の独立性が担保されているなら、中央銀行が必要と思ったところに資金を供給する、いわば中央銀行の政策として機能するでしょう。

しかし問題も多い。前者は、金利固定化によって金融機関の収益機会は大幅に減少、固定された金利の近傍に貼りつき、鍔ぜり合いになれば、ますます国債市場から脱落する金融機関が増えかねません。後者は今の安倍政権、黒田日銀の関係性からも、政府の要求通りに貸し付けが増えかねない。特に、12日から外国人投資家が盛り上がったのは、大型の景気対策を打つためには、このヘリマネを使うしか財源がないだろう。つまり事実上、安倍氏の会見はヘリマネへの布石を打った、との見方が広がったためです。世界初のヘリマネ政策の実現、それが円安と株高を演出するだろう、そんな見立てが増えたのです。
しかし今、日本の金融機関、生損保など、海外の社債まで含めて、高利回りのものを求めて資金をシフトしている。それでも105円程度までしか円安がすすんでおらず、明らかに流れは円高傾向です。また海外ショックにより海外にもちだした資金を引き上げるとき、円高がすすんでしまうのは安全資産だからではない。日本から海外へと流れている資金が増えて、海外発のショックだとその資金を円にもどそうとするから起こるのです。つまり金融の流れからみると、円高になり易い傾向はむしろ国内勢の動き如何、といったところなのです。

しかし日本発のショックがおきたとき、どうなるか? 日本から脱出する海外勢の資金、国内勢の資金、双方が大きな円安、株安を促す可能性も否めなくなるのでしょう。ヘリマネなどに踏みだせば、最早日本の財政は日銀と一体です。日銀に破綻の懸念が生じても、日本の財政に破綻の懸念が生じても、どちらもショックを招きかねなくなる。つまり歯止め役がいなくなる公算が高まるのです。ヘリマネ、一部ではHelicoidが『螺旋』という意味で、それに-pter『翼』がつくから、ヘリコプターは『旋回する翼』でとぶことができる。略称にするならヘリコマネーだ、という人がいます。しかしヘリマネにしろ、『翼』を失った略称になっていることは、示唆的です。ヘリコプターマネー、これが人口に膾炙し、一般の人々にもヘリマネと呼ばれるようになる頃には、翼を失って墜落、といったことになりかねない金融政策になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(19)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年07月13日

国民生活基礎調査について

天皇陛下が生前退位の意向を示されました。そのお気持ちは忖度するしかありませんが、不肖ながら思うところは、改憲への牽制もあるのではないか、と思われます。自民の改憲草案をみる限り、天皇は自ら議論に参加することもできず、お気持ちを伝えることもできないまま、政治家によって勝手に『元首』に祀り上げられようとしている。それを好しとしなければ、何らかの行動にでる他ありません。参院選が終わったこのタイミング、政治が改憲へと前のめりな発言をくり返す中、もし皇室典範の改正となったら、天皇家の存在も含めて、議論が惹起されることでしょう。それが国民、世論を喚起することにもなる。改憲に対する天皇陛下の意思表示、それがこのタイミングでの表明なのかもしれません。

人口動態統計で、昨年末までの日本の人口が1億2589万1742人となり、7年連続の減少。減少幅は27万人超と、過去最大です。昨年は大きな自然災害もなかったので、多くは自然減とみられますが、少子化が根本原因であることもまぎれもない事実です。人口減少社会は様々な弊害を生みます。安倍政権は3年半、この問題はまったくの手つかずで来ています。
国民生活基礎調査でみると、少し景色が変わります。18歳未満の子供がいる家庭は1200万弱と、2年ぶりに増加しています。これは出生率の増加も影響しますが、昨年の平均世帯人員は2.49人と、右肩下がりから横ばいになったぐらいである一方、世帯構成をみても単身者が減り、未婚の子供がいる家庭が増えた。しかし昨年の出産年齢が上昇しているように、結婚せずに成人しても両親の家にとどまる子供が増える一方で、30代、40代になってやっと結婚をし、子供ができた。そんな事情もうかがえます。児童のいる世帯が微増していますが、子供1人がもっとも増えており、初産の高齢化という問題も透けてみえます。

安倍政権になってから不思議な政策の1つとして、3世代同居を促す住宅補助金、なるものがありましたが、昨年をみる限り3世代同居は急減です。また65歳以上の世帯が急増しており、高齢者の孤立化が目立つ。1、2年では同居を促しても結果が出ていないとしても、そもそも今後、3世代同居が増えるか? それは疑問です。安倍政権では介護予算の削減を企図し、3世代同居をすすめても、配偶者の収入が拡大の一途であるように、面倒をみられる人が家庭からも枯渇しており、減少傾向に歯止めはかからないのかもしれません。
そして、この調査でもっとも注目されるのが、生活の意識調査です。安倍政権になってから大変苦しい、苦しい、が60%を切ったことがない。しかも高齢者世帯より、児童のいる世帯で顕著に「苦しい」と感じています。ただ平均所得をみると、高齢者世帯は2年連続の減少、児童のいる世帯は2年連続の上昇です。それでも苦しいのは、恐らく配偶者が働きにでることによって、逆に子供が淋しい思いをしないよう習いごとなどをさせるため、余計な出費があるためかもしれません。

ただ、国民生活基礎調査でみても、実は昨年度の平均所得額は541.9万円、一昨年度よりは上昇しましたが、民主党政権の3年間にはまだ達していない。つまり国民の所得は減っているのであって、これはどの調査でも一致しています。国民の総所得が上がった、という文言をつかいますが、安倍政権のいう総所得は、富裕層の資産であったり、株主配当であったりというものであって、平均すると下がっているなら、やはり低所得層が物凄い勢いで拡大している、ということが裏付けられるのでしょう。
しかしこうしたマイナスの情報、参院選が終わった途端、続々と発表されています。今年度のGDP見通しの引き下げ、も同じです。人口が減り、子育て世帯が苦しいと感じ、高齢者は孤立化している。詳細に読んでいくと、この国民生活基礎調査から分かることは、日本が急速に疲弊している、という状況です。しかも各種数字で、民主党政権のころより改善しているならまだしも、多くで悪化している。昨年度、少しもどったという数字もありますが、それは一昨年度がかなり悪かった、その反動という面が大きいのです。娑婆、というと刑務所や留置場から出たとき、ふつうの生活にもどることをさしますが、元々は煩悩や苦しみに満ちた世界、という意味です。日本の娑婆、生き難さという意味ではまさにその通りの世界になってしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(21)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年07月12日

東京都知事選について

参院選が終わった途端、政府は今年の成長率見通しを実質+1.7%から+0.9%に、名目+3.1%から+2.2%に下方修正しました。消費税増税先送りに伴い、駆け込み需要が剥落するから…としますが、前回の増税時には1.1%の押し上げ効果があった。今回は引き上げる税率も小さいですし、前回から3年程度ということもあって、むしろ大して押し上げの期待は少なかった。0.8%の変化幅は、むしろ安倍ノミクスが上手くいっていないことを意識し、見通しを大幅に引き下げた、とみられます。しかしこれだけで済むのか? むしろ前年度の0.8%成長を確報の段階で引き下げて、今年度の嵩上げに利用するのではないか? とすら考えています。
市場は2日つづけて大幅高ですが、英国でメイ内相が次期首相に内定したことを好感し、楽観が広がっていることが大きく、今日は欧州系が押し上げたため、昨日のような売買高が2兆円かつかつ、といったこともなく2.7兆円に増えました。ただし、ここには来日しているバーナンキ前FRB議長が安倍首相、黒田日銀総裁と会談したことで、ヘリコプターマネーへの期待も乗っています。参院選で勝ったんだからやり易くなった、と巷間語られるこの政策、もし安倍政権がふみだせば『終わりの始まり』となってしまうのかもしれません。

都知事選について、概要が固まってきました。自民は増田元総務相を推薦し、自民党から出馬する小池元防衛相を支援する党員に対して、除名を含む厳しい対応をとるとします。野党統一候補にはキャスター・ジャーナリストの鳥越氏が急遽、出馬を表明する形となり、民進都連が出馬を要請していた古賀氏は、鳥越氏の支援に回るとして、記者会見の席に登場するなど、演出にも一役買っています。さらに出馬を表明していた元日弁連会長の宇都宮氏も、出馬について調整するとしており、見送る公算が強まってきた。そうなると票とりとしては劇場型の小池氏、組織票の増田氏、浮動票の鳥越氏、という構図になります。
今回の都知事選、参院選よりよほど注目度が高い、という異例の展開がつづいています。そうなると投票率が上がってくる公算が高く、増田氏には厳しい。元々、東京に限ってみれば潜在的な与党支持勢力と、野党支持勢力は拮抗、ともされており、ただ都議会が自公勢力が大半を占めるのは、都議会議員選挙になると低投票率であって、組織力のあるところが強いから、とも言われます。増田氏はあまりに自民べったりで、傀儡の印象が強い。組織票以外の浮動票が得にくいとなれば、華のなさと相まって非常に厳しい戦いとなるでしょう。

小池氏は元々の地盤である東京10区の支持者、及び自民からイジメられたとの印象が強く、同情票を集めやすい。しかし自民都連、都議会との全面対決を示唆しましたが、それを有権者がどう判断するか、微妙なのでしょう。しかも浮動票をとり合うとみられる鳥越氏は癌を何度も克服するなど、同情票という意味では奪い合いになる。しかも病気に打ち克つ希望の星、という面も有するとなると、女性票ですら逃がす可能性が高まります。
自民にとって最強の対抗馬、と目されますが、鳥越氏にも弱点はあります。高齢であることと、病気の再発懸念。そして東京五輪にむけて、政府との一体感をどう演出していくのか。がちがちの利権構図をもつ東京、しかも五輪という巨大利権、そこにジャーナリズムとして切りこんでいけば、恐らく精も根も尽き果てるほどの激務となるでしょう。
これまでの都知事といえば、仕事は官僚任せで自分は趣味の世界に没入していれば、事足りた。しかしジャーナリストである鳥越氏は、そんな仕事ぶりに飽き足らないばかりか、不正には黙っていられない。問題ばかりの築地移転、東京五輪のエンブレム問題、新国立競技場問題、かなり多いとされる天下り。ジャーナリズム魂がこれらを追及せずにいられなくなるのなら、それは鳥越氏にとって大きな負担となるのでしょう。

しかし逆からみれば、それは大きなアピールポイントにもなります。政治との癒着がこれまでなかった分、クリーンでもある。モヤモヤした問題にも、鋭く切りこんで解消してくれるなら、かなりの期待も集めるでしょう。まさに問題だらけで、何代にも亘って怠惰と無能な首長を排出してきた都知事に、まったくちがった光をさすこともできるのですから。
昔から、長所は短所と紙一重ともいいます。高齢で癌克服、という自身の弱点は、この身を賭してコトにあたる、という決意にも聞こえます。『往生』というと、一般的には死ぬことを意味しますが、元々は極楽浄土に生まれ変わること、であったのであり、転じて酷い目に遭った、といった『立ち往生』のような場合にも用います。都知事選の出馬がそういった酷い目に遭う、となるのか、それとも激務によって疲弊してしまうのか、昨今の日本ではすでに絶滅したとされるジャーナリズムの、その本分が問われている、ともいえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(50)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年07月11日

安倍首相の会見「未来への投資」?

参院選の結果、様々な余波も生まれていますが、自民が比例で2000万票とり、小泉旋風以来と話題です。どうやら10〜30代が比例で自民に投票しており、それが嵩上げしたようです。若者の保守的傾向、という以上に政治についてよく分からないし、現状を変えることに臆病になっている傾向も見受けられます。英国民投票のように、よく分からないまま投票するとろくなことにならない。今が多少不満でも、大いに不満でなければそれでいい、ということなのでしょうが、英国の離脱派のようにウソをついていたのが、日本では保守政党だった、というのが皮肉なのでしょう。結果は両国ともウソをついた者勝ちになりました。つまり政党の公約だったり、発言だったりを信じているうちは、ウソをついた者が有利になってしまう。正しい情報、正しい判断を促すことが如何に大切か、を示すのでしょう。

参院選では改憲勢力が3分の2、と伝わりましたが、新党改革は解散し、日本のこころは政党要件を失いかねない瀬戸際です。お維は議席を伸ばしましたが、週末の8、9日に狙ったかのように大量のTVCMを流した。自民はすでに着々とTVCMを流していたので、維新も真似して大量出稿といった行為に打ってでたのでしょう。しかし例えば、都知事選へ出馬を検討していた石田純一氏が、取りやめを発表しています。選挙の事前準備になりかねず、出演していた番組の差し替えなど、大きな影響がでたとしますが、出馬するか、しないかですでに番組がとぶのに、選挙期間中のCMが認められる? CMのインパクトと、番組出演では明らかにCMの方が高いにも関わらず、そちらを規制してしまうのは奇妙でもあります。
つまり番組に出演しても、選挙や政治の話をしなければ影響は少ないですし、都知事選なら地方ローカル番組であれば問題はないでしょう。それより全国規模でCMを流せば、それは広告であってインパクト大なのです。新聞への広告は細かく規定もあるのに、TVCMについての規制は? 今回ほど奇妙な選挙戦というのも珍しいといえます。そして、TVCMの大量出稿をしたところが議席を伸ばした、というのも象徴的だったと言えるのでしょう。
むしろ
来月に内閣改造と伝わりますが、そこで改憲内閣なのか、経済内閣なのか、目指す方向性もわかります。ただ明日にも経済対策を準備、と伝わり、市場が一段高したかのように今日の株高は見えますが、日経225の先物をみる限り、日系と日米合弁系がワンツーで大量買いをみせた。つまりご祝儀を演出する意図が最初からあって、そのタイミングで円安にすることも最初からシナリオとしてあったのでしょう。今日は最初から米雇用統計をうけて250円高で始まることは予想されており、600円高まで行ったことに驚きはありません。
では安倍首相の改憲で語られた「未来への投資」は、極めて問題も多い。ハブ港湾の建設、リニア新幹線の前倒し、整備新幹線、農林水産物の輸出対応型施設、すべて大型の公共工事であり、従来型の悪しきバラマキです。保育・介護の受け皿整備もそうです。保育士や介護士の支援拡充、年金受給資格期間の短縮、無利子奨学金、非正規という言葉を国内から一掃、と公約に謳われていたことは並びましたが、財源の確保されていない大風呂敷です。恐らくこれらの政策を行うと、どこかの政策の予算が減る。例えば年金受給資格期間の短縮などをすれば、全体の給付を引き下げ、バランスをとろうとする。つまり財務省的な調整の結果、『やったような感じ』に終わることが必然です。バラマキの公共工事は、復興や他の公共工事ともバッティングし、労務費だけで多大なコストアップ要因となるにも関わらず、そこしか出てこないぐらい、安倍氏の『未来』は狭窄しています。

安倍ノミクスが評価された、などというメディアもありますが、その結果でてきたのが大量の公共工事なら、安倍ノミクスとは結局、旧来の自民党が行ってきたバラマキで、景気の押し上げ効果はほぼない、という評価に落ち着くのです。もしそれを評価した、というのなら、それはやはり建設業界などの組織票を手堅く固めたから勝った、ということにもなるのでしょう。そして、この程度の内容を「評価した」として上昇した株式市場もそうです。株価が上昇したのに、国債がやや買われるなど、決して楽観に傾いたものでもない。安倍氏のいう『未来への投資』、どう考えても『地雷への投資』、将来的に踏めば政権がふっとぶような、重大な問題を抱えるような内容としか思えないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(46)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年07月10日

参院選の結果について

参院選挙、かなり微妙な感じで推移しており、記事を書いている時点では改憲勢力が3分の2か? という段階です。しかし期日前投票を含めて、前回の52.61%前後の投票率とみられることからも、低投票率にとどまってしまった。このことから与党の組織票が強く影響したともいえ、その意味では与党大勝ともいえます。ただし、自民は前回を下回る数字である一方、公明は票を伸ばしている。民進は議席数こそ減るものの、前回よりは議席を伸ばしており、野党統一候補は一定程度の成果があったとみることもできます。
今回、草刈場となったのは改選前の民進が多いものの、それより明確に減ったのは日本のこころ、新党改革などの右派補完勢力で、その分はお維に流れたとみられます。一方で、野党統一名簿をつくれなかった社民、生活も苦戦しており、小政党が次々に淘汰されていく形になっている。逆からみれば、組織票の弱いところが沈んだといえるのでしょう。

安倍政権にとっては、福島の岩城法相、沖縄の島尻沖縄・北方領土担当相など、現役閣僚が討ち死にしており、決して安倍政権が支持されているわけではない、ということを示してしまった。逆からみると、組織力の弱い地域では勝てない、ということです。無党派の比例投票先が自民と民進で拮抗したように、民主時代と比べると、嫌悪感が薄らいでいる。というより、自民への嫌悪感がかつての民主党に匹敵するほどになってきた、ということも意味するのでしょう。まだ怒り、というほどの風は吹いていないことは、投票率の低さからも分かりますが、嫌悪から忌避へと変わる境は非常に低い、ともいえます。つまり安倍政権をみる目も厳しくなっており、それは改憲より経済や社会保障にそそがれるのでしょう。
一つには、すでに昨年度の税収が見積もりを下回ったように、これからは景気対策に埋蔵金をさがして来なければいけない。社会保障も増税延期により不足がでる中、財源を景気に回すには説明も必要でしょう。景気に目配せするのか、社会保障に目配せするのか、両方ということは難しくなった今、どちらの声を反映させるか、そのバランスに失敗したときは怨嗟の声が集中することになります。どちらも満足行く結果はありえないのです。

今回はまだ、安倍ノミクスは斜陽といえ、数字的にはあまり目立った点はなかった。しかし今後、景気はつるべ落としのように悪化の一途をたどるでしょう。Brexitの影響ではなく、安倍ノミクスでは金融緩和を速度違反なほど、一気に拡大した。経済はその方向性によってプラス効果、マイナス効果を生じます。緩和のペースが鈍化するだけで、引き締め効果がでてくる。つまりすでに日銀の緩和はマイナス金利導入後、引き締めの効果が出始めているのです。それが円高、株安でもあって、日銀のスローダウンが今後もつづくのであれば、さらにそれがすすむ。これは予想以上に波及効果もあって、年金積立金の目減り以外でも、株主配当課税の減少、売買高の減少も追い討ちです。企業の自社株買いが活発でしたが、資産価値の毀損で減益となれば、法人税にも影響してくる問題になるのです。
安倍政権の速度違反により、今後はその巻き戻しがおきる。悪循環はすでに出始めており、今はまだそれが顕著でなかっただけ、でもあります。しかし今後、続々と景気に関する悪い情報が増えるでしょう。そしてそれは社会保障の負担すら重しとなってくる。今回の、自民党への支持のスローダウンも、徐々におきている厳しい視線がそうさせているなら、次回はもっと大きな波を引き起こしてくるでしょう。次の選挙はもう『安倍ノミクスの是非』などは問えない。逆にもっと大きな大義で目晦ましするしかなくなるはずです。

下り坂になっても、何となく上っている感覚になる。これは一般的な坂でも稀におこることで、縦断勾配錯視とよばれるものですが、今の日本経済はまさにこれです。一般にはまだ上っている、そう見えているかもしれませんが、実はもう下り坂に入っているのです。しかも速度違反でとばしてきたにも関わらず、それを「ふかす」のですから、下り坂を崖を転がるようにすべり落ちていくことでしょう。政治家の錯視、国民の錯視、その狭間での自民の勝利、しかも3分の2には薄氷といえる状況で、そのまま氷を踏み破いてしまう勢いですべり落ちてしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(56)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年07月09日

明日は参院選投票日

明日は参院選の投票日ですが、日経にテレビなどの報道が以前と比べて2割減、という記事がありました。これも『忖度』の結果なら、国民の選択に関する問題まで、判断材料が狭められていることになります。時間だけ確保すればいい、というものでもありませんが、後半に党首討論を行わないなど、与党は議論の機会さえ奪っている。真に国民のことを考える政治家なら、たとえ自分が負けようと堂々と議論を受けて立ち、その判断を国民に委ねようとするでしょう。それこそ民主主義の根幹であり、政治家の本分でもあります。今はより特定の支持層ばかり意識し、野党を批判し、自分たちの行ってきた政治について正しい情報を与えずに、支持してもらおうとする。そんな政治になってしまっているのでしょう。

ただ、あまり選挙戦が盛り上がらないのは、野党の戦術にもあると考えます。憲法改正を最大の争点に掲げますが、政治意識の高い層にはその争点は響いても、元々そういった層は投票にも行く。それでも支持基盤の多さでは与党が圧倒的であり、政治意識の高い層だけを相手にして戦っていては、与党の方が有利となってしまうのです。しかし政治家の周りに集まってくるのは、政治意識の高い層ばかりです。市民団体、利権団体、宗教団体等々、そういった層の主張を聞いているばかりでは、どうしても改憲がもっとも重要なテーマと錯覚してしまうのでしょう。
しかし本来、野党が勝利するためには政治意識の低い層を掘り起こさないといけないのです。つまり改憲をしてもどうなるか分からない、自分にとってどんな影響があるのか想像もつかない、といった層にどう訴えかけるか? それこそ無責任な高齢者は、改憲しようと、戦争しようと、どうせ自分には関係ない。それこそ明日の自分の生活だけが心配、という人もいる。そういう人間にとって、明日の生活が壊されるかもしれない、大変なことになるかもしれない、と思えば投票に行く。勿論それは、与党の政策に不満があるのであって、政権批判票として機能することにもなるのです。ここをどう掘り起こすか、が重要なのです。

要するに、生活に関する問題をどう争点化するか。それは年金であったり、福祉であったり、子育て世帯には保育園の問題だったり、といった形で今、政権ができていないことを訴えるべきでもあります。安倍政権は消費税増税の再延期で、社会保障にもできないものがある、と明言した。何を? ということは語っていませんが、これが削られるかもしれない、あれが不足する、しかもこれからはもっと悪くなるかもしれない。そういう形で争点として語るなら、政治意識の低い層にも不安として、より意識されることでしょう。そして国民の関心がそういう方向にむけば、与党も反論せざるを得なくなってきます。
そうして国民に不安として広がれば、メディアもとり上げざるを得ない。国民が関心あるのに、メディアが報じないとそのことで批判が高まるからです。かつての『消えた年金問題』など、まさに自分の年金が消えているかもしれない、といった不安が高まり、国民の知りたい気持ちがメディアを後押しし、連日報じられた。年金が消えていたことは事実であり、これは『忖度』によって報じない、ということもできず、また偏向報道といった批判からも免れることになります。今、メディアが『萎縮』しているから、といってそういった問題提起がない、と嘆いてばかりではいけませんし、野党がそれを口をあんぐりと開けて、待つだけではいけない。野党は自分たちからそういった政権の重大な疑惑、不安、不満、それらを掘り起こして行く努力が欠けているように感じます。

何が争点なのか、ボケたまま投票日当日を迎えようとしています。しかし国民が、いずれ将来に訪れるだろう未来を考える、そうしたキッカケになるのも、こうした選挙でもあります。年金の積み立てはこれからも取り崩しが増えるでしょう。少子高齢化が食い止められていない今、社会保障も削られる公算が高い。増税によって賄える税収は少なく、景気悪化による税収減が今後、襲うことにもなるでしょう。そういった短期、長期の未来を考えたとき、どういった選択をすべきか。そんな選択が国民に委ねられているのでしょうね。

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2016年07月08日

賃金と雇用と、倒産と『忖度』と『萎縮』

米6月雇用統計が発表され、28.7万人増と予想を上回りました。しかし5月が3.8万人増から1.1万人増へと下方修正されるなど、平均すると非常に低い伸びにとどまります。時間当たり賃金も増加していますが、失業率は0.2pt悪化の4.9%などかなり評価が難しいものです。

日本では5月毎月勤労統計が発表され、現金給与総額は前年同月比0.2%減となりましたが、物価が下がったことで実質だと0.2%増です。問題なのは、労働時間が所定内も、所定外も減っていることです。しかも労働時間はどんどん減っているのに、常用労働者が1.9%増になっている。仕事がないのに雇用が増える、といった矛盾が今、日本で起きています。これが将来に成長する、というなら良いのですが、どうも政府から要請で雇用意欲は高いものの、回す仕事がないので労働時間が減る。結果、給与も引き下げられるといった悪循環を起こしているようにみえます。まさにデフレ時代に逆戻り、といった印象です。
6月の景気ウォッチャー調査もでてきましたが、25日から月末にかけて調査する統計であり、見事にBrexitを反映し、現状判断DIは前月比-1.8と全項目がマイナスになりました。先行き判断DIは前月比-5.8と、かなりの大きな落ちこみです。Brexitにより株安、円高になることを心配する声も多く、また現実としてそれがすすんでしまっています。15日前後に集計した消費動向調査がほぼ横ばいだったことをみても、マインドは深刻ようです。

東京商工リサーチが発表した上半期の倒産件数は、前年同期比で6%減。しかし実は09年を一旦の山に倒産件数はずっと右肩下がり。東日本大震災があっても、熊本地震があっても、民主党政権時代もずっと減ってきたのです。これは倒産させない仕組みができつつあり、特に今は低金利で利払いに行き詰る企業も少ない。そして今、金融機関にとっては倒産させるより、存続させた方がいい、そんな事情もあります。それは『忖度』です。
ジャーナリストの池上氏が、安倍政権によるメディアコントロールについて、政権に不都合な報道をすると何度も問い合わせがあったり、呼び出しをうけたりして、やがてそれが面倒くさくなって政権に配慮した報道をはじめる、といった現状を説明しています。また第一期のときもそうですが、安倍氏が政権をとると電凸が増える。「非国民」や「売国奴」といった電話が何本もかかってきて、その対応に疲れて萎縮してしまう、とします。つまり直接、間接で政権側にとって「疲れさせられる」ことで、メディアをコントロールしているのが安倍政権です。それは金融機関であっても同様でしょう。

直接、安倍政権でなくとも日銀や財務省、金融庁などを通じて、倒産させる企業を増やすと面倒なことになるから、といってしない。低金利なのでリスクも少なく、危険度が高まれば休業といった形で凍結してしまえばいい。その流れが忖度です。空気の読めない安倍政権が、周りに空気を読ませることによって統治に利用している。それがメディア、金融機関に蔓延している状況なのです。しかしその言葉を言い換えると、それは『萎縮』となります。
つまり安倍政権では、誰もが『萎縮』してしまい、経済が活性化していないとも云えるのです。例えば賃上げも、安倍政権では異例の言及をしました。それを忖度した企業は応じたものの、一方では非正規を増やしてコスト圧縮につとめた。その結果、全体のパイは上がらず、実質賃金は下がりつづけました。恐らくそれは雇用を増やせ、という号令を忖度したこととも合致したのでしょう。しかし結果として、低賃金労働が拡大したとも言えます。

『忖度』により『萎縮』がおきるなら、経済のパイが増えなくて当然です。昔から経済の世界では、官による関与は減った方が経済は活性化する、が常識です。つまり安倍政権では政権の意向を『忖度』させることにより、社会全体にまで『萎縮』がすすみ、景気を悪化させる方向に舵を切ってきた。ただその間、強烈な金融緩和を実行していたため、それが食い止められてきただけなのです。しかし金融緩和が力を失った今、安倍政権のとっている手法だと経済が弱含むしかない。誰もが『萎縮』によってマインドを押さえつけられており、消費も活発にならない。それが雇用回復、と言いながら賃金は上がらず、消費は減退する、といった通常の経済法則では説明できない事態を引き起こしているのです。
残念ながら、やはり安倍政権では景気回復はムリでしょう。東芝の不正会計問題に対して警察が事件化は難しい、といった方針を示したと伝わります。不祥事をおこしても政権の云うことさえ聞いていれば、お目こぼしをしてもらえる。こうした事がらでも『忖度』によるメリットを感じるところなのでしょう。云うことを聞く人間ばかりいい顔をし、はむかう人間は徹底的に攻撃する。今の小池元防衛相がそうです。政権の意向を『忖度』し、『萎縮』している日本では、今後も経済には何の期待ももてないとなってしまうのでしょうね。

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2016年07月07日

自民改憲草案・前文、一章をみてみる

週末には参院選がありますが、ここに来て公明党の山口代表が「改憲は否定しないが、自民とは違う提案」と、改憲勢力である旗幟を鮮明にしてきました。公約にもふくめず、沈黙を守っていた公明ですが、選挙後に「ウソつき」呼ばわりされるのを避けるため、ちらちらと発言を修正してきたのでしょう。つまり与党や改憲に前向きなお維、こころをふくめた3分の2が議会で得られれば、もう改憲は規定路線とさえいえ、公明もそれに抗することはしない、ということがここからも読み解けます。

では自民の憲法改正草案をみてみます。まず前文から、自民の草案は違いがあります。現行憲法は『国民主権』を謳い、『国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する』という文言をかかげる、非常に崇高な理念にもとづいて国政とは何か、を談じます。
自民の草案は『国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される』とします。つまり『国民主権の下』という文言は入っていますが、三権分立は『国民の厳粛な信託』『権威は国民に由来』という位置づけを外れ、独自の権威に基づき、独自の意思決定をしても構わない、という意味に変わります。悪いことを言えば、政治家が「国民より偉いんだぞ」と言っても、憲法でそれを保証されることにもなる。さらに『福利は国民が享受』という文言も外れるので、国が正しいと思うことは国民が不利益を被っても、通してしまうことをこの草案は保証します。例を上げれば、辺野古移設も国民が反対しようと国がすすめて構わない、という憲法に変わる、ということです。要するに辺野古移設法などを通せば、超法規的に反対派を強制的に排除し、沖縄県の合意も得ず、すすめることをも可能とする法律をつくれる、ということです。

つまり国民主権の下、とはしますが、国民の為すべきことは曖昧です。基本的人権を尊重し、和を尊び、共助をもって国家を形成する、これが国民の位置づけに変わり、立法、行政、司法への具体的な関与は示されないのです。現行憲法は、閣僚も政治家も裁判官も、すべて『国民の代表者』として行使する立場です。しかし自民の改憲草案では、それらが国民の代表者でなくても構わない。極論すれば、いきなり米国人がやってきて閣僚、政治家、裁判官の地位についても憲法には違反しない、となります。現在でも閣僚には民間人を起用できますが、国民でなくとも構わないのですから、国籍がちがってもOKなのです。
さらに大きく異なるのが諸外国との関係で、自民の草案では『平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と反映に貢献する』の一文のみです。しかし現行憲法には『諸国民との協和』『諸国民の公正と信義に信頼して』など、短い前文にも何度も『平和』を用い、『戦争の惨禍』について語る。自民の草案では、平和の名の下で戦争しても構わない、と読める。それこそ他国にいるテロリストに攻撃を仕掛けても、敵対する国を攻めても構わない。日本が攻撃されそう、平和が脅かされそう、となったら先制攻撃も辞さず、と読み解けるのです。
そして、前文につづく一章で天皇が規定されますが、現行憲法だと日本国、日本国民統合の象徴、という位置づけですが、自民草案だとはっきり『元首』と記述されます。これをゆるせば、仮に政治が戦争をしかけたケースでも、その責任は天皇に帰される可能性がある。つまり元首は、行政権の最高首長の位置づけであり、これをもって政治の責任を天皇に押しつけることも可能となってしまうのです。悪いことを言えば、象徴の地位から堕して、戦後に行われた人間宣言以上に、天皇の地位を貶めるような改憲草案だといえるのでしょう。

正直、自民党の改憲草案の前文は、平易で簡素で、悪い言い方をすれば稚拙で深みも何もない。しかも前文と一章だけをみても、上記のように問題点がいくつもみつかる。これを隠して、実は憲法改正を目指しているなど、狂気の沙汰とさえいえるのでしょう。自民の草案ではばっさり切られていますが、現行憲法では『政治道徳の法則は…自国の主権を維持し…他国と対等関係に立とうとする各国の責務』と記されます。自民に欠けているからこそ、恥ずかしくて『政治道徳』を書けなかったのなら、道徳心の欠如した政治もこの草案では容認する、ということなのでしょう。しかも国民が憲法の目的達成誓う、という記述もすっぽり抜けた。国民不在で、道徳心も欠如した政治、という現行追認の憲法に変えようとしているなら、改悪とされても仕方ないほどの内容だといえるのでしょうね。

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2016年07月06日

市場の急落と英国への不安

自民・小池氏が東京都知事選に出馬を表明しました。しかし違和感があるのは、と議会選挙や舛添氏の疑惑解明などを掲げ、いの一番の公約とした。結局、自民党内の権力闘争の話をしているだけで、一向に都民の方を向いていない点です。自民都連の改革が都民のため? そんな腐った組織なら、改革ではなく解体して出直した方が早いではないか。なぜ遅々として時間のかかる改革なのか。結局それは自民内の内紛話にすぎない、ということになります。同情票をとりにきた、とも見えますが、自民という同じ車輌にのってきた同乗者たちの罵り合いをみさせられて何が楽しいのか? 都民もそんな気分にさせられるだけでしょう。

今日の東京株式市場は急落でした。前場に500円安となったところから切り返し、底堅いなどという意見もみられますが、残念ながら今の金融思惑相場において、底堅さを演出することなどよくあること。売り方も本気で勝負をかけておらず、決戦はまだ先になります。
きっかけは英国の不動産ファンドの解約停止です。今の市場は須らくドル、ユーロを基準として考えざるを得ず、ポンドが急落した英国は株価などはもどっているようにみえてもドル、ユーロベースでみると急落なのです。それは不動産市場も同様、しかもEU離脱後の投資環境がどう変化するか分からず、資金引き上げが起こっているなら、不動産市場には下押し圧力がかかる。さらに不動産はREITなどでもない限り、市場で簡単に売れるものではない。つまり流動性が低いのであって、今さらながらサプライズBrexitにより慌てふためく投資家が多かった、ということを意識させられました。投資家の油断、これが今の市場において不透明要因を高める結果になっています。そして軌を一にしたようにイタリアの金融機関に、不良債権問題がもち上がった。英国の不動産市場でも下落がつづけば、日本のバブル崩壊やリーマンショックと同様、英国の金融機関にも不良債権の問題が浮上する。そうした連想を抱かせたことも、相場の急変のキッカケになったのでしょう。

驚きすぎた反動から上昇した相場も、これからは現実を直視することになります。投資資金が引き上げられる英国、金融で肥大化した国だけに、それは深刻な影響を与えます。しかも今回はポンド安によるインフレを伴うため、安易な金融緩和の手も打ちにくい。英国は金融大国、財政出動も利きにくい。非常に対応が困難であることも不安を煽ります。
そして悪い噂もあります。つまり欧州の金融機関が、英国を破綻にまで追いこみ、EU離脱を阻止する戦略を練っているのではないか? というのです。破綻せずとも金融不安を引き起こせば、支援を要請する先はIMFより先に、EUとなるでしょう。そのときはEU離脱の撤回を条件にされるかもしれない。今、保守党の党首選では残留派のメイ内相が大差でリードと伝わり、その動きを後押しする。しかしEU残留の大義のために、また英国への懲罰的な意味もこめて、一旦は英経済が底を見に行く、見に行かせるようEU域内の金融機関が動く可能性が否めない。それがこの素早い英不動産市場の動きに現れているのかもしれません。

ただしこの英国発の金融不安、もし仮に制御不能となった場合、世界の打つ手も限られる点が厄介です。日欧ともに金融政策は手詰まり、堅調とされる米国も辛うじて不動産市場の好調で支えられており、英不動産市場の流動性の低さからも、敬遠されればそのバブルも終わる。金融引き締め局面、といっても利上げは一回だけ。仮にふたたび国債買取などを始めると、ドル高、不動産安が直撃する恐れもあって、深刻な内需低迷を引き起こすかもしれない。リーマンショックから立ち直っていない世界が、ブリテンショックに見舞われたら、もう世界規模の長期低迷、不況入りを余儀なくされかねないのです。
そもそも、不動産市場が右肩上がりになったり、最高値を更新し続けたり、というのは新興国では稀に起こりますが、先進国ではあり得ないのです。上がるから買う、買うから上がる、という好循環をくり返して、いつの間にか実体とは大きく離れたところまで来てしまった。それで経済が好調に見えていただけ、というに過ぎなかった。英国のEU離脱が一つのきっかけとなって、そこに懐疑的な目が広がること、それが今回において危惧される点であり、いずれは起こることが今、起き始めているということにもなります。EUという同じ車輌にのっていたはずの同乗者たちの仲間割れ、それは安定を崩す要因でもあって、安定という楽観に乗っていると、いずれは部外者であっても痛い目をみる、そんな教訓を示唆しているのでしょうね。

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2016年07月05日

石原自民都連会長と、小池氏の会談。

日米地位協定の見直し―。そうした見出しで記事が流れましたが、露骨な参院選対策に感じます。いわゆる軍属の規定の明確化、といったことで決して見直しではない。言ってみればグレーゾーンをはっきりさせただけです。米軍としても軍属などとされ、米軍と一体化されても困るのであり、日本としては参院選のタイミングでこの見出しが流れると、政府の成果と国民に伝わる効果がある。ただ、ここまでグレーゾーンのまま運用されていたこと自体が問題であって、これは異常な状態からの正常化に過ぎないのです。

自民党都連の石原会長が、都知事選への出馬を表明している小池氏と会談しました。参院選後に決定、としますが、正直決定していないはずがありません。いくら後だししようにも、3週間で選挙カー、ポスターの手配等が間に合うわけがないからです。ただ参院選に影響がでるので、発表は後で双方が合意した、ということでしょう。そしてそれは小池氏が下りる、下りないに関わらず、自民は推薦をしないと伝えたことを意味するはずです。つまり都知事選についての報道が増えると、有権者も選挙を意識するので参院選の投票率が上がる可能性があります。安倍政権としてはそれを避けるため、早めに都知事選の候補者を決着して沈静化したい。それが先送りで合意したなら、自民は分裂覚悟で小池氏を切ると腹をくくったのでしょう。
しかし小池氏には早くも政治とカネの問題が噴出。しかもこれらの身体検査は、与党系、野党系のメディア双方からのもので、しかも安倍政権に敵対しての出馬なら、警察の捜査も甘くないかもしれない。つまり小池氏がよほど、政権の命運をにぎるようなネタをにぎっていない限り、醜聞でメディアに叩かれまくり、警察の追及もうけるといった四面楚歌に陥ることにもなります。都議会でも、与党の自民都連との関係もうまくいかない。それでも出馬する、というなら、小池氏がネタをにぎっているか、ネタをにぎる人を味方につけたか、そのどちらかなのでしょう。そのネタを会談で披露した、とは思えませんが、自民と小池氏の暴露合戦、となるなら結果以上に興味深いものとなるかもしれません。

一方で、民進は長島元防衛副大臣を軸に検討、と伝わります。民進内では超右の筆頭でもある長島氏を体よく国政の場から遠ざけられれば、共産との連携もスムーズにすすむかもしれない。こちらはそんな思惑も見え隠れしますが、さらに自民を支持しそうな保守層のとりこみもできる。自民が分裂選挙となれば、ますます流動化した自民支持層が、保守系の長島氏に流れてくるかもしれない、といったメリットも考えられます。
ただもう一つ踏み込めば、民進党都連の松原会長は当初、増田元総務相の相乗りに前向きだったように、その迷走ぶりが目立ちます。本当は勝ち戦のそろばんがはじけない都知事選に、同じ保守系の長島氏をだして討ち死にさせたくない、そんな思惑が働いていたのでしょう。ただここまで迷走すると、もう誰も引き受け手がおらず、会長の責任論になりかねない。盟友でもある長島氏に頼らざるを得なくなった、そんな事情も透けてみえます。

しかし自民にしろ、民主にしろ、都政をどうするのか。東京五輪をどうするのか。そういった視点での人選ではない。課題に対するカウンターとしての人選ではないのです。人材不足の面と、好き嫌いだったり、過去の軋轢だったり、そんなもので候補選びをしている時点で、都民は蔑ろにされている、とも言えるのでしょう。築地移転の問題、待機児童の問題、五輪以外でも東京の抱える課題は多いにも関わらず、3週間足らずでその課題を精査し、都民に方向性を示して理解してもらう、などは到底できない。結局、後だしジャンケンという戦略は、都民を愚民としてあつかっているに他ならない手法なのです。
都知事選の報道があると、何となく参院選のことも忘れ難い。英国のEU離脱も、米国の大統領選も、選挙イヤーであるとの意識を高めます。そして都民には、おかしな人物を選べば、結局都政の停滞だったり、ムダ遣いだったりといった自分たちの不利益に跳ね返ってくるのだ、という体験をすでにしている。選挙イヤーに降って沸いた都知事選ですが、意外とそのことで有権者にとっての政治監視の役割、という大事な目を覚まさせることにつながるのかもしれませんえ。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(14)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年07月04日

参院選一週間前の世論調査

バングラディッシュのダッカのテロ事件で、犯人が裕福な家庭の出身で高学歴だった、という記事があります。バングラディッシュは高成長、といっても進出している外資系企業が求めるのは人件費の安さであって、こうした若者が必ずしも報われるわけではない。外資は人件費が高騰すれば逃げて行き、その後は自国経済をどうするか? それを考える知識層の若者にとって、愕然とするばかりです。つまりグローバリズムの中で、使い捨てられる途上国、そんな怒り、恨みも犯行に走らせる一因ともなっているのでしょう。

参院選まで一週間を切り、各メディアから世論調査がでてきました。まず各社とも投票に「多分行かない」「行かない」を合わせても10%程度。「期日前投票に行った」「必ず行く」「多分行く」を合わせると90%程度。この数字が正しいなら投票率は90%越え、とすばらしいものですが、現実は50%と少ししかありません。つまり世論調査に答える層は、異様に選挙、政治意識の高い層ともいえるのです。逆にいえば、組織票の一つとして組みこまれている割合が高い層です。なので、投票率が下がるとこの組織票の動きによって、世論調査通りの結果になる。一方で、投票率が上がるとふだん世論調査にも答えない浮動票がのり、結果も世論調査とは乖離してくる、となります。与党が単独過半数、と報じるところもありますが、世論調査の結果通りとなるかは、投票率によって大きく変わります。
では野党による無党派層の掘り起こしが成功しているか? といえば懐疑的でしょう。攻めどころが憲法改正なのか、反安倍ノミクスなのか、年金問題なのか、原発なのか、外交安保なのか、今ひとつはっきりしないのです。なぜ攻めきれないか? 簡単に言えば、キャッチーなフレーズがないのです。例えば民主党が大勝した衆参選挙では『消えた年金問題』という言葉に、多くの有権者が反応した。自民が仕掛けた『刺客』や『郵政民営化、是か非か』もそうですが、単純で分かり易いフレーズがない。世論調査ではどれも反対の方が多いにも関わらず、争点化できていないのは、国民の不安や不満を一言にできていない、危機意識を抱かせるような『つかみ』がないのが問題なのでしょう。

確かに安倍政権は、この言葉による『つかみ』を恐れています。安保法制の改定を「平和安全法制」と言い替えてみたり、安倍ノミクスは成功とは言わず「ふかす」と、道半ばの印象を強める表現をしてみたり、年金問題は「38兆円増えた」と、民主党政権のころの上昇分まで含めて訴えてみたり、原発や外交では「ベースロード電源」「地球儀俯瞰外交」と意味不明な造語をあみだしてみたり、涙ぐましいまでの言葉遊びを尽くしてきました。
しかし内情を突きつめて考える層にとって、それは非常に不誠実で、ウソに見えてしまう。有効求人倍率の話もそうですが、労働人口が減っていることで、改善しているように見える、といったレトリックをつかって「改善は安倍ノミクスの成果だ」と言われればもう怒りしか感じない。日本が凋落していくことを示す数字が、安倍ノミクスの成果だというのか? 人口増というボーナスを失った日本が低成長、マイナス成長になるのは必然でもあります。つまり有効求人倍率を成果、とする限り、日本の成長率は右肩下がりにしかならない。成果だから対策も打たれず、国民に危機意識も生じないからです。

安倍政権とは、きちんと政治をみない層にとって都合よい言葉のレトリックで支持されているだけ、とも言えるのでしょう。だから世論調査でも政治意識が高く、自民支持としながらも個別政策においては反対の方が上回る、という逆転現象もおきています。しかし有権者は政治意識の高くない層が、やはり多いのも現実です。そうした層を後1週間で、キャッチな言葉によって心をつかめるか、それが鍵ともなってくるのでしょう。
世界では、知識層ほど現状に不満を高めている。それはテロリストが貧困層から生まれるわけではない、ということでも明らかです。英国のEU離脱も、米共和党のトランプ氏の躍進も、学歴もある人による既存政治への不満がそうさせている側面もある。一方で、富裕層や既得権益をにぎった層は、現状維持を強く希望している。国民投票を危険視し、ポピュリズム批判をくり返します。世界は今、こうした層と層との対立が鮮明になりつつあるのです。それを踏まえてキャッチな言葉を考えるなら「報われない一般労働者のままでいいですか?」なのかもしれません。国民の大多数が報われない、安倍ノミクスの恩恵がない、が多数を占める国で国民を動かす言葉、今はそうしたものが求められるのかもしれませんね。

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2016年07月03日

ダッカにおけるテロ事件

バングラディッシュの首都ダッカで立てこもり事件があり、日本人7名が犠牲になりました。「私は日本人。撃たないで」と言った話が伝わりますが、その訴えは届かない。安倍首相が高らかに十字軍入りを宣言したあの日から、ISILのテロ対象国に日本が入っているのですから、日本人は攻撃対象です。むしろ日本人は、真っ先に殺されるのかもしれません。それほど安倍氏の演説は、中東における日本人への見方を変えたのです。安保法制の改定も含め、これから自衛隊が世界に出て行く、そんな高揚感がさせた演説だったのでしょうが、その結果として海外で活動する邦人を危険にさらすことになりました。
中東で日本が評価されてきたのは、日本赤軍がパレスチナ解放戦線などと共闘したことも一因です。つまり中東の味方、仲間という認識です。第2次大戦で、欧州列強と極東の小さな島国が戦える、ということをみせた以上に、そこには繋がりもあった。しかし安倍政権以後、日本は中東に徒なす国となった。日本赤軍も高齢化によって弱体化し、重信房子氏の逮捕などもあって、解散しています。そんなことからも、中東でテロをおこすグループにとって、日本を特別視して対象リストから外す、というインセンティブがなくなったのです。

テロが発生した当日、安倍氏は北海道の演説を取りやめましたが、菅官房長官は新潟に演説に行きました。安倍氏も岸田外相もいるし、萩生田官房副長官が代理をつとめているから問題ない、としますが、そんなことを言い出したら誰もいなくても問題ない、となってしまいます。国内でできることは少なく、発表は副大臣や内閣官房ぐらいで構わないからです。しかしこれは体制を整えたからいい、という問題ではなく、人が亡くなっているときにどう向き合うか、その意識、感受性の問題です。しかも対応する側、した側が「問題ない」などと高慢な態度で言うものでもありません。簡単な例をあげれば、遺族にむかって葬儀社が「責任者が足りないけど問題ない」などと言えば、嫌悪感を抱かれるでしょう。人が凶刃によって亡くなる、という重大事件にどう向き合うか、が問われるのです。
しかも日本は、これから安保法制の改定によって自衛隊が海外で活動する機会も増えるでしょう。その際、事件より選挙を優先しました、などという前例ができれば士気にもかかわる。政治がそんな意識で隊を動かしたのか、との意識も働くからです。今回、建設コンサルなどと言いつつ、ほとんど名前を聞いたこともない企業なのは、ODAの請負がメインのところだからでしょう。JICAと組んで、ODAを専門で扱うなら国が大いに関係する業者でもあります。こうした企業がいなければ、ODAも遅々としてすすまなくなる。そんな相手に政府は万全の体制もとらずに、危険な地域に行って調査してくれ、などと口が割けてもいえなくなるのです。

しかしここには自民の焦りもある。最近、自民の応援演説が苛烈となり、公明の山口代表の絶叫もめだちます。長野では民進から出馬している杉尾氏を中傷するビラが、かなり広範囲でばら撒かれていた。これも与党の焦りがそうさせます。しかし今、警察が本気になればかなりの確率で、ビラを配った人間は逮捕できるでしょう。各家庭を回って、防犯ビデオの映像を提出させればすぐに特定できるからです。以前から選挙期間中は、こうした誹謗中傷のビラがばら撒かれるケースもあった。しかも取り締まりが難しかったのですが、今はこうした犯罪はしにくくなったのです。それなのに手を染めざるを得ないほど、与党には焦りがあるのでしょう。いくら警察に圧力をかけ、捜査しないようにできたとしても、こんな手を使えば与党への見方がさらに厳しくなるにも関わらず、です。
特に、安倍政権では『地球儀俯瞰外交』として、新興国に行っては大量にODAなどを約束してきた。しかしその新興国で、日本の評判が落ちている。安倍政権が中国包囲網として重視する東南アジアでも、イスラムは多いのです。テロリストとイスラムを同列視することは危険ですが、イスラム圏でも日本に対して懐疑的な見方が増えてきたことには、間違いないのでしょう。安倍政権で失ったもの、日本の安全もその一つです。安倍氏への攻撃はテロリストを利するだけ、という意見もありますが、その意見は安倍政権を利するだけ、でもあるのです。政策や対応に失敗したことは、素直に指摘し、そう認めさせる。そうでないと、誤りを正す機会を失ってしまいます。誤りを誤りとみとめない政治、それが日本をもっとも危険に晒している、といえるのかもしれませんね。

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年金に関する間違った説明 by 公明党・太田前代表

公明の太田前代表が横浜の応援演説で「年金が潰れる、壊れる、と言われなくなったのは民主党政権で株安だったから。安倍政権で株価が上がったから。38兆円も運用益がでている。昨年度5兆円減ってもまだ30兆円以上の余裕がある」と述べましたが、大きな誤解と間違いがあります。かつて公明が「100年安心プラン」として喧伝していた年金制度改正により、国庫負担率が3分の1から2分の1に上がりました。これで年金は制度上、破綻しにくい仕組みになったものの、財源措置は為されず延期されたまま。それが民主党の野田政権時代に3党合意が為され、消費税増税が決まってやっと財源問題が片付いた。だから安定したのです。

GPIFの単年度の運用実績でみると、24年度が9.56%、25年度が8.23%、26年度が11.62%。これだけみるとすばらしい成績です。しかし積み上げても36.6兆円、38兆円は民主党政権の頃の23年度の上昇分を少し借りています。これが2つめの間違い。そもそも安倍政権は24年度の途中、12月から政権を担当するので、24年度分は含めるべきではありません。すると本来は25年度からの25.4兆円が、安倍政権の実績ということになります。巷間語られている27年度の実績が、5兆円強のマイナスというなら、安倍政権は20兆円の余剰でしかありません。
そして最大の間違いは、株高は年金運用において基本ポートフォリオを策定し、これが改定をくり返されてきました。22年度から26年度の10月まで、国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%です。26年度の10月以後、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%です。逆にいうと、25年度までは株式より国債の価格動向が運用には大きく影響した。その国債は、黒田バズーカにより今やマイナス金利となり、価格は上昇、すでにバブルともされます。昨日、長期金利が-0.25を越えましたが、ここまで国債価格が上昇したことが、実は運用成績には最大に好影響を与えているのです。つまり25年度の8.23%の運用実績は、実は黒田バズーカによる国債価格が大半を占めるのです。

26年度後半から、というと株価は17000円オーバー、円は107円から一気に1120円越えまですすみました。それを促したのが、黒田バズーカ第2弾だったのです。つまり悪いことを言えば、黒田バズーカのタイミングで年金が国内株式、外国債券、外国株式を買ったので、非常に高値づかみをさせられたことになるのです。そして現在、株は15000円台、円は103円ほど。つまり年金運用の観点で見ると、国内株式も、外国債券、株も、どれも運用が悪化した、ということでもあり、27年度の5兆円超の運用損などかわいい方で、今年の6月末までですでに、それ以上の大きな運用損がでていることにもなる。安倍政権でえたバッファ分の25兆円など、もう飛んでしまう勢いで減っていることにもなるのです。
ちなみに、安倍政権の第一期、平成18年度から19年度にかけては、運用実績は-3.53%でした。この頃は株価は小泉政権のころの好調さを引きずっていましたが、逆に国債は売り圧力が強く、そのため運用成績が下がったのです。しかしその後、景気が悪化していることが顕著となり、やがて東日本大震災がおきて景気は低迷、国債も格下げなどもあって運用成績が下がった、ということになります。そして、安倍政権では国債が未だにバブルをつづけているにも関わらず、基本ポートフォリオを変えたため、その恩恵をうけられないばかりか、黒田バズーカ第2弾以後の好環境が潰えた今、その悪化分を一気に織り込み始めている、ということになるのです。

そしてこの傾向は、今後もつづきます。それ以上に問題なのは、国債のバブルが弾けた途端、年金はもう破綻まで一気に突き進むかもしれません。破綻、というと言葉は悪いですが、年金収支は収入が給付を下回る、常に原資を取り崩すような状況です。運用がマイナスになったらダブルで年金財源の枯渇がすすんでしまう。そうなるとさらに国庫負担割合を増やすか、給付を減らすしかない。実際、安倍氏は給付にも手をつけると、衆院予算委でも言及しているのです。その懸念が現実になる日も近いのでしょう。
今回、年金の運用が暴露されたのは、GPIFが財務諸表を厚労省に提出したから。厚労省絡みのリークだったのでしょう。官僚としてはダメージコントロールのつもりだったのでしょうが、この財務諸表が出たのなら、本来はいつ発表してもいい。それを先延ばしにしている時点で、年金問題は隠したいといった政府の思惑が見え隠れするのです。そもそも年金で、運用実績だけを積み上げて「余裕がある」などという公明の太田氏の認識、そのものが大きな間違いです。収入と給付の差額とふくめて、年金原資が増えたかどうか、その一点が、将来に亘って安定できるかどうか、という判断において必要なのです。年金について語ること、政治家の言葉に騙されてはいけないのでしょう。100年安心プランが1年と経たずに頓挫したように、自公の年金制度の設計は、100年後には影も形も残っていないほどに杜撰、ということだけは、今回からもはっきりしているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 00:17|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2016年07月01日

日銀短観と5月の経済指標

6月日銀短観で、大企業製造業の現状判断DIが+6、先行き判断DIも+6とともに変化なし。大企業非製造業の現状判断DIが+19と前回調査から3pt低下、先行き判断DIが+17と2pt低下。中小企業製造業の現状判断DIは-5と前回調査から1pt低下、先行き判断DIが-7と2pt低下。中小企業非製造業の現状判断DIは0と4pt低下、先行き判断DIが-4と4ptの低下です。数字はともかく、前回の調査からも現状から先行きにかけても『低下』がめだつ結果となりました。
熊本地震、円高、軽自動車の燃費不正などがあった割りに底堅い印象もありますが、回答日が6月13日、つまりBrexit前であり、現状をどこまで反映されているかも微妙です。3月から比べると大企業の販売価格判断、在庫判断なども改善傾向ですが、価格は下落するが依然多く、在庫も高水準がつづきます。一方で中小企業はほぼ横ばい。大企業が中小企業に負担を押しつけ、改善としているケースも多い、そんな結果になっているようです。

気になるのが今年度の売上高計画、経常利益計画とも、年前半は大きく落ちこむものの、後半に回復するシナリオを多くの企業がもっている。しかしBrexitにより年後半も落ちこむ可能性が出てきたことで、年度を通じても下がると見られていた水準が、もう2つ、3つ低下する可能性が高まったのでしょう。今日の株価は上昇していますが、水準感でいうと日経平均で13000円ぐらいであっても、短観からみると正当化できてしまいそうです。
設備投資計画も大企業は意欲が高い一方、中小企業は低い。ただし5月の鉱工業生産指数が予想に反して低下したように、期初の計画を実行段階へと移す際、ためらいが生じているのかもしれません。新設の住宅着工は好調である一方、企業の土地投資は低い。路線化も発表され、リーマンショック以来の上昇と報じられますが、企業のコスト抑制圧力が今後の不動産市場にも影響するかもしれません。何より今年度、企業は業績の落ちこみが顕著だからです。

5月の家計調査をみても、消費支出が実質で前年同月比-1.1%低下しましたが、実収入が実質で0.3%低下したことからも、消費は抑制傾向です。5月は消費者物価も前年同月比0.4も低下し、これで3ヶ月連続の低下で、しかも拡大してきた。もはや脱デフレどころか、デフレ状態に逆戻りです。円高要因が大きいとしても、需要不足も顕著であって、非常に悪い形でデフレに陥ってしまうなら、次はより脱出が難しくもなってくるのでしょう。
一般職業紹介状況も出ていますが、求職者数は右肩下がりがつづく一方、ここ数ヶ月は一気に求人数が跳ね上がった。ナゼなら就職件数も右肩下がりだからです。求人をだしても採用に至らない、一方で求職者は減っていく、採用条件と職を求める人とのミスマッチがかなり深刻です。就職件数が年度ベースで毎年5%ほど減っていくのですから、今は再雇用で賄えても、将来的に日本は深刻な労働力不足に陥ることが必定です。この国から企業はどんどん逃げだしていく傾向となってしまうのでしょう。それはふたたびデフレに陥り、内需にもみるべき点がない。これが安倍ノミクスでも国が衰退して行く、ということなのです。

最近、安倍政権がつかわない『脱デフレ』『好循環』。そして、最近つかい始めた『道半ば』『ふかす』という言葉。実は前段が未達であり、デフレに逆戻り、悪循環がはじまっている、ということを隠すために後段は用いられているに過ぎない。つまり安倍政権も、安倍ノミクスはもう失敗だ、と認識していることははっきりしています。年金が5兆円超の損失、と伝わりますが、日本株ばかりでない、円高で外債、外国株の価値も目減りしているはずで、今は株価がもどっていますが、外債、外国株が下がり始めると円高と合わせてかなりの損失が拡大することが予想され、ここにも悪循環がみられます。『道半ば』は『バカな道』と読み替えましたが、『ふかす』も『ぼかす』と読み替えることができるのでしょう。景気悪化を『ぼかす』ために、選挙では都合のよい数字だけを切り取って喧伝している。これからも安倍ノミクスを『ぼかす』、そうやってフェイドアウトを画策している、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(29)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般