2016年08月

2016年08月31日

7月経済統計について

昨日、7月の経済統計の集中発表日でした。まず一般職業紹介状況、なぜか有効求人倍率しか注目されませんし、求人数、求職数も前月比でみる傾向もありますが、むしろ前年同月比の方が重要です。求職者数は前月比だと0.4%増ですが、前年同月比だと6.9%減、新規は約1割の減少です。求人数は前月比だと0.7%増ですが、前年同月比だと5.4%増、ただし新規は1.1%減。求人数が前年同月比で大幅に増えたのは、就職率が前年同月比0.3%減になったことと無縁でないでしょう。ミスマッチで人が集まらず、求人を出し続けているのです。
産業別でみると、前年同月比で求人数が増加したのは宿泊・飲食、教育・学習支援、医療・福祉、学術研究などに集中しています。賃金が低く、また臨時ないしはパートタイムの多い職種であり、人手は足りないけれど、高い賃金もだせないといった業種が有効求人倍率を押し上げているなら、数字より相当に悪い状況を示すのでしょう。つまり有効求人倍率や、前月比でみるのでは、まったく見えない光景、景気悪化を指標は示しています。

ただし、労働力調査でみると少し景色は変わります。久しぶりに自営業がわずかですが増え、就業者数も前年同月比98万人増えた。完全失業者も19万人減で、完全失業率は3.0%。前月より減っています。労働力人口も15〜64歳の数が、男性は5万人減ですが、女性は27万人増。65歳以上の伸びは相変わらずですが、良好な結果にみえます。
しかし産業別就業者でみると、こちらも景色が変わります。学術研究、宿泊・飲食、医療・福祉、生活関連、教育・学習、サービス業の伸びが高く、逆に製造業は辛うじて横ばい、小売・卸売が1.4%増となっていますが、情報通信、不動産、運輸、建設、金融など、つまり上記したように、賃金が低く、臨時ないしはパートタイムの多い業種の就業者が高く伸びている。特に、小売は7月に夏休みに入った学生のアルバイト、パートも含まれるとみられ、見た目ほと改善はしていない。また労働人口でも女性が急拡大しているように、パートが増えているなら、低賃金で働く労働者が急拡大している、ともみられるのです。

家計調査をみるとはっきりするのは勤労者世帯の収支は前年同月比、名目2.2%減、実質1.8%減。世帯主の収入も下がり、昨年は伸びていた配偶者の収入も下がってきた。それに合わせるように消費支出は前年同月比、名目0.9%減、実質0.5%減。そのために小売業販売額も前年同月比0.2%減。日本全体が減退している傾向が鮮明です。こうした労働実態と、個人消費との関係も分からず、有効求人倍率は1.37倍で高水準だ、完全失業率も3.0%で、完全雇用状態だ、などと持て囃すのが、いかに愚かなことか分かるでしょう。
米国では8月消費者信頼感指数が前月の改定値より4.4pt上昇し、高水準になっています。利上げ局面にある米国が、消費堅調。さらなる金融緩和をめざす日本が、消費低調。これは単に景気が堅調だから、という事情ばかりではなく、金利が正常化すれば、それだけ利息も増える、資産も増える、といったマインド面の改善もあるとみられます。政府による景気は緩やかな回復、などという絵空事のようなコメントではない、実感があるから消費者も消費を増やす。大事なことは言葉だけでマインドを改善する、などという虚構では、消費は動かない、ということなのです。日本の状況は、より深刻といえます。

そんな中、自民党では配偶者控除の廃止、がまたぞろ議題に上がってきた。正社員の女性との差、独身者との差、など様々な理由も語られますが、であれば逆に正社員の女性や独身者に、その差を埋めるような減税をすることで、消費喚起しようとどうしてできないのか? 結局、それが増税効果をもたらし、また消費低迷を招くのなら、税収にとっても逆効果ですし、ますます景気も悪化させます。自民党、最近では縦書きすることもなくなりましたが、『自』を横にむけて縦書きすると『罠』党にみえる。国民をいつまで罠にかけようというのか。『自』という字は元々、鼻を象ったともされますから、鼻を曲げるような臭い話に蓋をするのではなく、正しい情報、正しい状況説明をしないと、日本はいつまで経ってもこの雇用堅調で消費低調、という罠に嵌ったままとなるのでしょうね。

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2016年08月30日

日露外交について

小池都知事が築地移転を延期する方針、と伝わります。ちょっと気になったのは、そんな小池氏に記者が「都知事、会見はいつ?」と問いかけたことです。国民にとって会見時間はどうでもいい。記者が、記事の締め切りやテレビの放送スケジュールを優先し、それを第一声として聞く、という点に、今の記者が国民の方を向いていない、と感じます。
台風報道も、相変わらず海岸などに行ってバックに波を捉えながら、といった映像を伝えますが、それで映像が乱れたり、中継の音声が途切れたり、といったことが起きます。臨場感は伝わりますが、リスクをとって行うほど貴重な映像か? というとそれほどでもない。固定カメラに実況を被せてもほとんど変わらないでしょう。今回、迷走したことといい、東北の太平洋岸への上陸が初、しかも沿岸を舐めるようにすすんだこと、及び水害がつづく北海道にふたたび接近するなど、日本をあざ笑うかのようにすすみました。台風10号、色々な意味で今後の日本を暗示したのかもしれません。
新潟県の泉田知事が、県知事選への不出馬を表明しました。新潟日報の記事が影響、としますが、東電は新潟のメディアに広告を大量出稿するなど、影響力を強めていた。柏崎刈羽原発の再稼動にむけ、障害をとり除いておきたかったこともうかがえます。今回、どういう経緯かは分かりませんが、東電としてはしてやったり、でしょう。

安倍首相が来月、ウラジオストクで露国主催で開催される東方経済フォーラムで、プーチン首相と会談、と伝わります。12月にはプーチン氏が訪日、とも合わせて伝わりますが、同時に5月に提示した8項目の経済協力案を、領土問題の進展なく実施する方針、とも伝わります。どうもここからは、北方領土の解決を諦め、平和条約締結を優先する政府の方針も見え隠れする。つまり北方領土は、尖閣における日中の合意と同じ、未来に解決するとして問題が残ることを意識しながらでも、平和条約を結んでしまえる、との判断です。
最近、急に田中角栄氏の話題が取り上げられることも増えましたが、まさに同じ流れにあるのでしょう。田中内閣で日中共同声明が、後の福田内閣で日中平和友好条約が調印されましたが、安倍氏もこれを踏襲することを画策している。むしろいきなり日露平和条約を結ぼう、という魂胆かもしれません。しかし問題は、北方領土だけでなく、露国による第二次大戦末期の侵攻や、シベリア抑留も含まれる。つまり日露間では戦争というと、露国側に非がある割合が高く、それらを何の言及もなく、いきなり平和条約を結べるか、という点にあります。しかも、交渉入りの段階で最大のカード、経済協力をうちだしている。日本としてそれ以上のカードは切りにくいですし、経済協力をとりつけた露国が、わざわざ日本と平和条約を結ぼう、という意思は湧きにくい。あるとすれば、プーチン氏が安倍氏との個人的な関係において、援護射撃を考えるケースですが、そこには自民党総裁任期の問題もあるのでしょう。つまり、今後も安倍政権がつづくのなら、露国としても安倍政権との交渉を継続できますし、安倍氏に少し手柄を立てさせよう、との気分になります。

しかしここで平和条約を結べば、もう日本として北方領土交渉は諦めた方がいい、とも言えます。中国がそうであるように、外交で尖閣を交渉のテーブルにつけさせることは困難で、漁船や公船を派遣して嫌がらせをします。日本は北方領土に何もできず、交渉入りを促しても聞いてももらえない。平和条約をむすんだ以上、経済的に新たな巨額の提示でもなければ、また露国がよほど困っているのでなければ、露国は交渉するインセンティブがないのです。
露国の諺に「酔っ払いは醒めるが、馬鹿は醒めぬ」というものがあります。日本でいえば「馬鹿につける薬はない」となるのでしょう。しかし酔っ払いと対比している点に、露国らしさも垣間見られます。寒冷地で濃度の高いアルコールが必須ですが、酔っ払いの愚と馬鹿を対比している。一方で、日本は馬鹿は病気みたいなものだけど、直せない、としている。しかしどちらも愚かな真似をするような人間は、何度もくり返す、という点に違いはありません。平和条約交渉を優先し、北方領土交渉を蔑ろにする。今の政権では、領土問題はいつも置き去りです。露国の諺をもう一つ「酔えば海も膝まで。水溜りは耳まで、酔いが醒めれば豚を怖がる」。酔って気が大きくなると、海も膝までの深さしかない、となりますし、逆に水溜りは耳まであるのでは? と警戒したりもします。中国をやたらと牽制し、露国にはすり寄る、どちらが豚か、どちらも豚なのか、安倍氏が何を怖がり、どう対処するか、それは酔っ払っていると勘違いするほど、頓珍漢になってきているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:48|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | ロシア

2016年08月29日

日本株の大幅高

日テレで24時間テレビが放映されましたが、個人的には毎年やっているこの番組、ほとんどみたことがありません。感動の押し売り、障害者ポルノ、などとも揶揄されますが、出演者は出演料をもらい、テレビ局は広告を流す一方、それを支援に回すこともない。啓発という意味では役立っても、そこで描かれるものは慈善ではなく、偽善の匂いしかしないからです。番組を行い、視聴者、国民には慈善を訴えても、やっている本人たちがそれをしていないのなら、やはり偽善です。ドキュメンタリーなのに、ドキュメンタリーではない、などともされますが、偽善と欺瞞の相乗はどうしても見る気になれません。

日本株が大幅高していますが、様々な要因もありそうです。先週末にイエレンFRB議長の講演を前に、ポジションを手仕舞いした層がいたこと。またファミマとユニーの経営統合に伴いファンド勢が銘柄入れ替えを行い、売り需要の発生によってショートポジションを組んだ。その巻き戻しがおきたこと。そのポジションの巻き戻しが起きています。また円安もロングポジションが増えていたことから、その巻き戻しが起こった。このことが日本株に追い風になりましたが、他のアジア株はむしろ米国景気への懸念が広がりました。日本株の特異性、また今回も顕在化した形です。
しかも問題は、日銀がETF買いを入れたにも関わらず、26日は大幅安した。つまりいくら日銀の買いを囃しても、下げるときは下げる、ということを証明した形です。こういうことをくり返すうち、日銀のETF買いは恐れるに足らず、といった認識が広がり、効果を減殺していくことでしょう。そもそも銘柄入れ替えにおける売り圧力は、1400億円ともされましたから、719億円の日銀のETF買いではその半分、焼け石に水とは言いませんが、初めから下支えにすらならなかったのです。

さらに問題は、ボラティリティーの低下を市場の安定、と好感する向きもありますが、日銀のETF買いで下げにくくなり、妙味が薄れた。日本株で商いする意味を失い、売買高も低調になっている点です。売買高の低調は、証券会社の収益悪化につながる。結果、金融機関はマイナス金利とダブルの逆風となり、これがまた株式の上値を重くします。下がらないけれど、上がらない市場。日本株のおかれた現状は深刻です。
しかも気になるのは、日系の証券会社が日中立会いで売り、買いの傾きを大きくする点です。先物市場はすでに外国人投資家が8割を占めますが、外国人投資家は日計りで、大量に商いをだしても最終的にはトントン、で終わるケースが多い。しかし国内勢は売り、買いに傾き、オーバーナイトしてしまう。国内勢が夜間の状況の変動を先読みし、賭けのような取引をしているわけではないでしょうが、ずっと日系の売り、買いの傾きが目立っている。今日も得意の日系の某証券会社の順張りが大きく、指数を押し上げた形にあっていますが、最近では数日で売りを出すことも多く、今日の上昇も一時的なのかもしれません。

経済フォーラムでは、黒田日銀総裁がマイナス金利は深彫りできる、と盛んに喧伝していましたが、こちらは材料視されていません。技術的にできることと、効果からみてできない、という判断は異なるからです。資金需要が…などとも語っていますが、明確に増えたという材料もない。むしろ設備投資、個人消費にも暗雲が漂い、借り換え以上に不動産ローンの需要が喚起されたわけでもありません。ボラティリティーの低下とともに、ボリュームも低下し、ボランタリー(自由意志)まで低下してしまった市場。偽造と疑心の相乗効果が渦巻いているようでは、誰からも見向きもされなくて当然なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

厚労省の概算要求

埼玉県の東松山市でおきた殺人事件、未成年が加害者となっていますが、その内の1人が「その場にいたけど何もしていない」と証言していますが、実は何の意味もありません。その場にいたら、実際に手をだそうとだすまいと、罪は同じです。心証面でそれが通用するのは、加害少年らを諌めようとしていた場合だけで、口をださなくても、笑ってみていても罪は変わりません。未成年の事件では度々、見かけるイイワケですが、きちんと学校でも見ていただけでも同じ罪です、と教育しなければいけないのかもしれません。

厚労省が来年度の概算要求で31兆1217億円、前年度比2.7%増と公表しました。しかし消費税10%が先送りされたため、低年金者への最大5000円の月額上乗せはなくなり、低所得高齢者への介護保険料の軽減措置も不明、とします。元々、消費税増税分は全額社会保障へ、が原則でしたから、先送りすれば当然、社会保障の増額もないわけです。さらに保育士や介護従事者への待遇改善は、関連事業費を年末まで調整とする。つまり何も決まっていないのと同じであり、それでどうして概算要求が弾けるのか? 追加予算が通りにくいことは初めから分かっているはずで、第三次補正でもアテにしているのか、それともこの概算要求から捻出できるほど、他の事業に無駄な上乗せがあるのか、疑問に感じます。
保育所の整備促進事業に712億円、としますが、これはあくまで促進事業であり、この予算で実際に保育所をつくるのは、多くは民間や地方自治体です。つまりこれは保育所をつくるための調査費や広報、宣伝費だけでも消えてしまう恐れもある。決してこれで待機児童問題が解決するわけではありません。年度の途中からでも保育所に預けることができる「入園予約制」を導入する自治体への補助として126億円、としますが、そもそも年度の途中でしか受け入れない、という発想がおかしい。就職がいつ決まるか、など誰にも分からないのであって、保育所に預けたいとき、預けられないことが問題につながります。定員に余裕のあるところは、いつでも受け入れればいい。転勤や転居によって退園する児童がいれば、募集をかけてもよいようにすればよいのです。正直、制度の不備を予算によって補っているとしか思えません。

非正規労働者の待遇改善には支援センターの設置と、コンサルタントによる個別相談で573億円。ないよりマシ、といったところですが、そもそも非正規の待遇が悪い、という時点で問題があるのであって、例えば企業側への罰則を強化すれば、非正規の待遇も上がります。役員に無償で社会奉仕を義務づける、などとすれば、嫌でも待遇を改善するでしょう。年間50時間、河川のゴミ拾いや草刈りを行う、とすれば行政はコストを抑えられるし、非正規の待遇も改善されるなら一石二鳥です。安倍政権は正規、非正規の差をなくすと参院選の公約でも掲げていた、その答えが支援センターでは、ただ行政のコストが増えただけで、しかも結果は何も保証していないことになります。
年金が受給できる資格で、加入期間を25年から10年に引き下げる提案も、年末までの調整とします。逆にここは、年金で給付するのか、生活保護として給付するのか、という差でしかないので調整も利くのでしょう。どちらが国にとって損か、得か、というだけですから。そして社会保障の自然増は6400億円を見こみますが、分かってきたことは、日本の医療費は高い、ということ。ジェネリックの活用など、日本の医療費抑制はどこか頓珍漢な気もします。最近、週刊誌でも盛んなやっていい手術、やってはいけない手術、飲んでいい薬、飲んではいけない薬、政府が本気になって調べれば、色々なことが分かってくるはずで、そうしたことを調査し、国民に知らせることに予算をかけた方がよいのかもしれません。厚労省、厚生労働の業務を担当しているけれど、実際には何もしていない。未成年の加害者がよく行う言い訳、厚労省に言わせないようにすることが、まず喫緊の課題といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 00:00|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年08月27日

イエレンFRB議長の講演

ケニアの首都ナイロビで、第6回アフリカ会議(TICAD6)が開かれます。日本政府が主導しているため、安倍首相が出席し、その基調演説で「力や威圧とは無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として育てる」と語り、3年で100億$、民間をあわせると300億$をアフリカに振り向ける、とします。また3年で5万人の若者に職業訓練を、2023年までにアフリカから常任理事国をおくりだしているべき、として日本もともに常任理事国をめざすとします。
まず、中国を念頭においた基調演説ですが、中国とて力や威圧でアフリカに進出しているわけではありませんし、法を破っているわけでもない。政府高官や王族につけとどけをして、事業を受注していることさえ、その国で認められているケースが多いのです。しかも評判の悪い日本の職業訓練。安価で仕事をさせ、使い捨てるとして有名で、またそれが本国にもどって実になるケースはほとんどないのでしょう。ナゼなら設備の整った日本で訓練をしても、設備の整わない本国にもどってしまえばやり方がまったく異なる。創意工夫をしながらなら、最初からアフリカで働いていた方がスムーズにすすむはずです。3年で100億$、と金額を決めた支援もおかしいですし、民間の金額なんて確定しているはずもありません。最大の問題は、アフリカから常任理事国を、などとしても、ではどこの国が常任理事国に入るのか、で大きくもめるでしょう。順番に担当するのだとしたら、逆にそれ以外の常任理事国が確定していることに、疑問も生じるでしょう。アフリカは経済規模だけで計れない。国内に大きな自然公園を抱えていたり、砂漠があったり、諸事情が異なっているのであって、アフリカが一枚岩になれる見込みはまったくない、とも言えます。

米国のジャクソンホールで行われたイエレンFRB議長による講演。市場はもうこの話題で数週間、様子見をつづけただけに、講演の途中から急変動しました。金利は正常化できる環境にある、とするものの、講演の際に配布されたチャートでは、2017年末で金利が3%に達することも、ゼロに逆戻りすることも7割の確率、とします。つまり利上げ時期の言質は与えなかったものの、利上げ方向にすすむことは間違いない一方、下手をすれば元にもどるかもね。という何とも頼りない、不透明感の強い結果になった、ということです。
講演をうけ、市場は急変動したものの一旦おちつき、ふたたびフィッシャー副議長がCNBCのインタビューをうけ、ふたたび変動を強めました。しかし短期金利先物相場は、9、11月の利上げ確率が低下し、12月は変化なし。むしろ年内の利上げ確率は低下したようにみえます。しかし為替市場は利上げ確率が高まったとうけとめたのか、円安がすすみました。米株はダウは下落、NASDAQは上昇するなど、まちまちの動き。市場はまだ受け止めきれていない、とみられます。これまでも債券市場、株式市場など、利上げにむけた動きを逆にとらえる向きがあったので、今後どちらに整合していくかはまだ不明といえます。

今回、FED・UPと呼ばれる集団が、FRBの総裁らと会談をもったことも特筆されます。FED・UPは金融緩和をつづけさせよう、という集団であり、どちらかといえば金融関係者というより、金融の恩恵を末端までとどけよう、とどくまで緩和をつづけさせよう、というリベラル派です。逆に、タカ派の意見は利上げをして、その金利収入を増やしたい金融機関の意を汲んでいる、ともされる。今の米国は、金融緩和に対する姿勢が、緩和継続が庶民派であり、引き締めがエリート層、というよく分からない構図にもなっている。それが米国で株、債券市場のうけとめが、まったく逆をむいている点にも現れるのでしょう。
しかも、この問題が難しいのは利上げした方が有利なのか、不利なのか、様々な議論を経ても結論がでていない、という点です。一概には利上げすると景気にはマイナス、とされますが、利上げをすると金融機関は利子収入が上がり、株価にも好影響かもしれない。日銀がお得意のイールドカーブの議論にしても、先々の金利上昇をみこんで、今設備投資などをしておこう、という積極的な企業活動を促すかもしれない。利上げが景気にマイナス、というステレオタイプの批判がしにくくなっている点で、気迷い状態になっている、ともいえます。

困ったのは日銀です。さらに金利差が開けば円安になるかもしれない、との淡い期待がある一方、低金利が継続する日本はマイナス成長すら意識される。米国が利上げ局面に入ったのだから、シレッと日銀も引き締めに転じるなら、金利差は維持されるので、打撃も少ないとして引き締めに転じる機会なのかもしれない。結果、9月の総括的検証において何を打ち出すか、すらも難しくなったのです。FED UPは直訳すれば『太らせた』です。中央銀行によって太らされた世界が、食事を供する側の態度が転換したことで、スリム化できるか、それともさらに太ってしまうか。まるでヘンゼルとグレーテルが、魔女に捕まり、太らされた上で食べられそうになる、という話と似通うものを感じます。最後に魔女は子供たちから竈につきとばされ、焼かれて死にますが、中央銀行の最後がそうなるのかもしれない。これはかなり怖い想像、おとぎ話どころか、脅し話にもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:55|PermalinkComments(13)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2016年08月26日

4−6月期の年金基金の運用損

イタリア中部でおきた地震、未だに被害が拡大しており、心配されるところです。元々ギリシャからイタリアにかけては火山や地震が多い地域ではありますが、日本ほどではないせいか、耐震などの対策には積極的ではありません。被害地域をみても、レンガづくりの家があったり、鉄筋作りでも壁が崩れているところからみて、水を多く含んだ軟弱なコンクリのようにみえます。災害に対する備え、改めて意識させられます。
どうしても経済を通してみてしまいますが、イタリアの金融機関は今も不良債権の処理に苦しむところが多くあります。このような災害が起こると、金融機関には打撃となり、不良債権問題が蒸し返されるかもしれない。2重、3重に備えの大切さを感じます。

年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が4-6月期の運用実績を公表しました。国内債券は9383億円の運用益、残りはすべて運用損で、国内株式は2兆2574億円、外国債券は1兆5193億円、外国株式は2兆4107億円となり、トータルでは5兆0463億円の運用損です。国内株式だけをみても、基準日となる3月31日の日経平均終値は16758.67円。6月30日は15575.92円。約7%の下落なので、やや成績が悪い程度です。しかし3月の昨年度末に比べ、損失が膨らんだのは4-6月期は配当をだす企業が少ないため、もあるのでしょう。外国株、外国債券もダウをみても3月末と6月末はほぼ変わらないので、為替の影響が大きいとみられますが、112円と102円なので、約8%の円高とみるとトントン。しかし逆に米国株などは4半期ごとに配当をだすので、運用成績が悪い、と見なした方がよいのかもしれません。
国内債券だけはマイナス金利の導入で、運用益となりましたが、日銀が9月の総括的検証を表明して以来、金利は上昇傾向にあるため、債券価額はマイナスの傾向が強まっている。株式は16000円台と、やや持ち直してはいるものの、日銀の6兆円砲の影響で下支えされているだけで、実体との乖離が大きいともされる。年金運用としては、こうした危うい状態であり、為替もさらに円高がすすむなら、株、債券、国内、外国ともすべて損失をだす期間が近いうちにでてくることも考えられます。

GPIFが損失の原因についてBrexitを挙げましたが、外国株はすぐに戻していますし、日本株だけ出遅れた、といっても英国選挙の前後で比べると株も為替も2〜3%の下落でしかない。影響があったとしても1千億円前後といったところでしょう。やはり運用方針の見直しで、リスク性資産の割合を増やし過ぎた。また株も為替も、年金は高値掴みをさせられた。つまり株も為替も、頭打ち感がでてきて、安倍ノミクスの成長戦略の一環としてダボス会議で打ち出されたのが、年金資産のポートフォリオの見直し、です。つまり年金がこれほど買うから、外国人投資家にもっと買って下さいね、というアピールだったわけで、年金資産が運用益をだすかどうか、は二の次だった。むしろそれで外国人投資家が日本株を買い、円を売ってくれれば年金も収益をだせるだろう、という甘い試算だったのであり、一言でいえばアテが外れた。政権の見通しの甘さが招いた運用損なのです。
しかもこの高値掴み、まだまだ底値がみえないことから、損失が拡大する恐れもあります。GPIFは「年金の受給には影響しない」と述べていますが、当たり前です。年金の受給はマクロ経済スライドによって変動するだけで、運用成績によって変わるものではないからです。影響があるのは、年金基金の原資が予定より早く枯渇する、ということ。つまり将来的には、年金として集める分だけでは足りず、税金の補填割合が高まる、ということ。そのときには運用に回す資金はなくなり、年金は自転車操業に陥る、となります。

もっとも警戒すべきは、まだ長期では1%以上の利回りのある米国債へ投資しても、大きな損をだしている点です。恐らく安倍ノミクスをつづけていれば、やがて社債や地方債などの利回りの高い金融商品へと手をだすよう、ポートフォリオの見直しが行われるかもしれない。そのときは安倍政権に忠誠を誓う企業の社債や、政権幹部の親族企業の社債など、露骨な利益誘導が行われるかもしれない。ナゼなら為替変動におけるリスクヘッジさえできない年金基金が、さらに市場規模が小さく、情報の少ない社債や地方債でまともに運用できるとは思えない。運用先が分からないから、政権の意向を『忖度』しやすくなる、とも考えられるからです。
米雇用統計も、Brexitも、年金基金のイイワケでも何でもない。そういう諸外国の変動要因によって、国民の資産ともいうべき年金が目減りした、が今回の結果なのです。そのうち年金基金のことを『燃金飢饉』と書くようになるのか。燃えてお金が焼け、国民が飢餓で苦しむように、懐からすべてのお金が毟り取られるのか。災害に対する備え、日本では別な意味でも必要となってきているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(19)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2016年08月25日

雑感。教員定数について

米国の不動産市場で、少し興味深い動きがあります。新築住宅販売が好調、中古住宅販売が不調、と明暗が分かれましたが、価格の中央値は新築が5%以上の減、中古が5%以上の増でした。つまり新築は値引きで売って、中古は値上がりで販売件数が減った、ともみられるのです。勿論、そう単純ではなく、都市部より地方で売れれば価格全体は下がりますし、米国では中古住宅の方が人気で、在庫が減っていることで価格は上昇、販売件数も減少する、といった傾向はあるでしょう。しかしリーマンショック時を越えて価格が上昇をつづけてきた中、新築の価格下落にはあらたな動きも感じます。
サブプライムローンは低所得者向けだったため、高価格帯のボリュームゾーンは盛り上がりに欠けましたが、今は新富裕層が高価格帯を買い漁る傾向が強い。新築が人気ない、といっても新築もやがて中古住宅になり、人気化しますから、投資としては向きます。その新築の価格が下がった、ということは投資家離れがすすみ始めた。つまり中古になるまで長期で保有するより、短期の価格上昇を狙った取引が増えた、とみえるからです。不動産市場が崩れると、世界経済全体がおかしくなる。今後も不動産市場の動向、特に米英中の動きからは目が離せません。

文科省が教職員の定数を、10年で3万人増をめざす計画です。しかし教科書選定における接待、便宜供与の問題などをみても、この時期に教職員を増やしたい、というのは些か時宜を逸している感は否めません。元々、少子化で教職員は自然減となる見込みであり、文科省の動きは激変緩和措置のために、自分たちの領分を維持したい、との意図としか思えないのです。
個人的には、学校教育の多くの問題は閉鎖性にある、と考えています。文科省や各都道府県や市町村の教育委員会など、同じ流れで指揮命令系統がある限り、不祥事は相互に隠蔽しようとする。学校にも外部監査のような仕組みを導入すべき、と考えます。つまり文科相以外、例えば地方を監督する総務省などが、学校の監査を行う。学校に対する苦情や問題の指摘なども、そこが一括して引き受ければ、不祥事をおこした学校に調査として入ることも是認されるでしょう。教員は苦情の受付など、業務以外の仕事から解放される一方で、おかしなことをしていれば監査によって調査されます。より緊張が高まり、質の高い教育をするようになるでしょう。さらに部活動は、部活動の専門の教員を採用してもよいかもしれません。指導したい、という教師の意向は尊重すべきですが、専門家でもない教員が、部活動の指導に当たる、というのがそもそも問題あると考えます。

北海道で行われた振りこめ詐欺の撃退法として、犯罪に利用されている番号に電話をかけつづける、といったことが導入され、成果を上げたとして全国で導入予定、といいます。相手が電話をとったら自動音声で警察への自首を促す、とします。これを拡張していけば犯罪に利用されている可能性のある番号に、本人確認を携帯電話会社に義務づける、としてもよいでしょう。もし携帯電話会社が怠れば、罰金を課す、となれば本気になるはずです。そうなれば、安易な本人確認で携帯電話を売ることもなくなりますし、様々なメリットがある。国がわざわざ電話をかけまくる、などという手間と予算をかけるのではなく、もう少し考えれば様々な手が打てるはずです。
教員定数の問題も同じ。ただ人数を増やす、というのではなく、透明性を高めて教員への信頼をとりもどす、といったことも大切なはずです。ただでなくとも安倍政権では教育への介入が取り沙汰されます。参院選でも18歳選挙権で、自民党が独自に調査したりもしている。教育の場に、政治が口出しを強めようとしていますが、これでは外部監査にもなりはしません。少子化になれば、嫌でも個々の能力を上げるしか、国を維持することも難しくなりますが、今はそうした議論ではなく、単に予算獲得にむけた議論でしかない点をみても、むしろ官僚への教育、も必要ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:49|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年08月24日

日中韓外相会合

日中韓の3ヶ国の外相が今、東京に集まって会合しています。そんな中、北朝鮮が潜水艦から弾道ミサイルを発射しました。米韓軍事演習中であり、核先制攻撃も辞さず、と強い反発を示す中ですから、規定路線の反発とはいえますが、日本が独自で指定した防空識別圏に届いており、今回も日本政府の対応は後手を踏んだことになります。すでに常時警戒態勢という、自衛隊員に多大な負荷のかかる命令を下している中ですから、ミサイル防衛はできるかもしれません。ただし撃たせてしまったこと、及び事前にJアラートを出せなかったことなど、日本側の対応には不備も感じます。
潜水艦からの発射になると、人工衛星で発射深度まで浮上してきた段階で捕捉し、ミサイル発射に伴う急速な熱量の上昇を探知して、アラームをだすしかありません。しかしそれでも近海にまで接近されていたら、もう撃ち落とすことは難しい。これが本気で核ミサイルだったら、もうアウトということです。なので、撃たせないよう外交するしかないのですが、安倍政権は相変わらず国連決議違反だ、とくり返すばかり。制裁もほとんど効かないのに、それに頼るしかない点も、対北朝鮮への対応は手詰まりといえます。

そこには日中韓の思惑のズレ、統一感のない対応も原因の一つです。中国は北朝鮮の暴走を苦々しく思っても、擁護の姿勢を崩さない。北朝鮮を存続した方がメリットがある、それは南シナ海、東シナ海で中国が緊張を高めても、北朝鮮がいれば危機が分散され、目立ち難いためです。北朝鮮もそれが分かっているから、強硬策をとれる。核実験だけは中国も擁護できませんが、それ以外の緊張を高める行動をとっても、中国が守ってくれるので安心して暴走できます。
日韓も協調できない。朴政権も末期の様相を呈し、日本と連携し…という道がとり難く、日本も安倍首相が支持層を意識し、韓国とは微妙に距離をおくため、米国を通してしか会話できません。その米国も大統領選で動き難い。北朝鮮がもう一段、危機を高めて実績づくりをすることも想定され、北朝鮮の動きは今後も警戒が必要なのでしょう。

日中韓外相会合の目的は、来月のG20で首脳会談ができるか、そこで何を話し合うか、ですが、興味深いのは日中の経済認識の差です。中国は「新常態」という言葉を使い、高成長から安定成長へ、いわば景気減速を織りこんで報じている。一方で、日本は安倍ノミクスを「道半ば」と伝え、これから高成長になる、かのように報じている。しかしそんな日本は中国景気が失速すると、自国だけで経済を支え切れず、より下方へと引きずられる。つまり日本の方が足腰が弱いのです。
国民の受けとめも、中国では「政府がそう言っても高成長になるだろう」と楽観が支配し、日本では「政府がそう言っても恩恵はないよね」と悲観が支配する。中国の経済統計など信用できない、といっても国民は中国政府を信用しており、それが中国経済の意外な底堅さにつながっています。住宅価格も上げたり、下げたり、といったコントロールをしてもバブルが崩壊しないよう気をつかう。そんな中国の打つ施策、対策に中国の国民はまだ信用を寄せるのです。

日本はいくら安倍政権が「安倍ノミクスは道半ば」と言っても、誰も信じない。中国共産党の一党独裁時代が長かった、とはいえ、日本とてほぼ自民の一党独裁で来たのであり、この差を生んでいるのは、まだバブル対策に失敗したことのない中国政府と、何度もバブル退治に失敗してきた日本、といった厳然たる差があるのでしょう。
東京五輪・パラリンピックの記念硬貨の発行が発表されました。額面千円に対し、価格は9500円。つまりふつうに硬貨として使うと1000円の価値しかないのに、最初からプレミアムがつく、といった通貨の価値すら危ぶまれるものとなっています。どうして発行段階から10000円の価値にして、10000円で交換としないのか。5万枚強の発行ですが、微妙にデノミの匂いもするこの記念硬貨、北朝鮮が行って大混乱に陥ったことも記憶に新しいですが、日本政府の経済運営に対する信用の低い日本で、詭弁硬貨にならないことを祈るばかりなのでしょうね。

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2016年08月23日

雑感。日銀と株式市場

第2次補正予算で農業関連が6千億円弱、そのうち3.5千億円がTPP対策とします。しかし米国は共和党のトランプ候補が反対、民主党のヒラリー候補も採用に否定的。このままだとTPPは雲散霧消します。米紙でも「TPPが頓挫し、一番困るのは日本。TPP以外、安倍ノミクスでは成長戦略がないから」と日本をこき下ろします。しかもTPPが頓挫したケースで、この投資が有効に活用されるか? というと懐疑的です。輸出拠点の整備や農地の大区画化、としますが、TPPという黒船を利用して強引に押し進めよう、という国の魂胆が通用しなくなり、理念なき資金のバラマキに陥りかねないからです。
台風が関東を直撃し、東日本をなめるように北上。収穫期を迎えた農産物への被害が心配されます。いっぱい作って余剰分を売ればいい、単純に考えるとその通りですが、TPPのような関税障壁がなくなると、流通量が重要な価格決定理由になります。台風などの自然災害で流通量が変動することは、ある意味リスクを高める結果にもなり得るのです。何でもかんでも自由競争にもっていけば解決する、そんな安倍政権の単純な発想にこそ、『成長』戦略が必要なのかもしれません。

リオ五輪が終わって宴の後、をかもすメディアですが、株式市場にも宴の後、といった空気がただよいます。週末のイエレン米FRB議長のジャクソンホールでの講演で、利上げに関する言及があるか。それをみて今後の動きを決めよう、という投資家も多く、身動きがとれなくなった。また円高で株安に誘導したいけれど、日銀の買いがそれを食い止めるので売り方の仕掛けもできない。上にも下にも行けず、取引に面白みもない。今日も日銀がETF買いを入れる、とみて買った層が弾け間際に売った。最近では日銀による市場支配が問題視されますが、そんな状態を嫌気し、まさに閑古鳥が鳴く状態になっています。
今週は外国人投資家にとって、夏休みの最終盤ということもあるのでしょうが、日本市場が魅力を失っていることも一因です。それは海外メディアにまで「TPPしか成長戦略がない」などと酷評されては、株価も上に行きようがありません。しかも、日銀の態度について株式市場は緩和期待、債券市場は緩和見直し、と逆の思惑を膨らませており、日本は急変動を引き起こしやすい、脆弱な状況に陥っていることも投資を手控えさせます。日本の株式市場は、日銀と一蓮托生。その日銀がもう泥船なので、いつまで乗っていられるか? という問題が重要になってきた。いつ沈んでもおかしくない、そんな状態なのでしょう。

そんな泥船・日銀の次の一手を個人的に予想すると、ETF購入は6兆円を上限とするものの未達でも構わない。規模を維持しつつ、実際には介入回数を減らす。国債も80兆円の枠を維持するものの、金利動向によっては80兆円を上限とし、未達でも構わないとする、いわゆる規模を維持しつつ、実際には介入の額を減らすしか手がない、と考えています。今の状態を数年つづけるのは、ほぼ不可能です。規模を減らし、緩和の延命措置をはかるしかない。これは引き締めになりますが、激変緩和措置として処理していかないと、後にそれこそ突然死するぐらい、急激な引き締めに転じざるを得なくなるからです。
さらに問題が、今のまま緩和をつづけたとて、将来に強い経済成長を達成したり、インフレになることもない、ということです。つまり引き締めに転じるとき、本当は引き締められるほど経済が強くない可能性が高い。だからこそ尚更、徐々に緩和を見直していくしかありません。そもそも9月21日に追加緩和をするなら、あらゆる手段を模索する、という従来の主張を見直す必要もなかった。総括的検証、という言葉には正負両面ある。これも激変緩和措置にむけて、マイナス面を意識させよう、との苦心の言葉にしか思えないのです。

日銀がフィンテックを後押しするため、会合が開かれました。フィンテックの良い点は、資金の融通がつき易い、利便性が上がる、などがありますが、仮想通貨が増えると見かけの経済規模が増える、という面もあります。つまり日銀が発行する銀行券以上に、フィンテックなどの仮想通貨によって取引される財が増えると、そこで経済が回る。フィンテックをGDPに参入するのは難しいですが、波及効果は期待できます。見かけ上、流通する貨幣が増えればインフレにもなり易い。ただし、日銀がコントロールし切れないほどに仮想通貨が肥大化してしまうことはリスクであり、制度上の精査が欠かせない、とも言えます。
しかもIoTや、自動運転技術にもセキュリティーという話がでてきましたが、セキュリティーがあっても突破される恐れは常にある。フィンテックも同じ、仮想通貨は現実のマネーとは異なり、抜かれても気づきにくい面もあるのです。そんなものに頼り、経済を運営することは危険でしかないのでしょう。不足する部分を補う、という面では必要ですが、日本のように現金が当たり前のように通用し、未だに現金社会である国では、フィンテック自体が浸透し難い環境もあります。それに依存するしかない日銀、そんな日銀に頼るしか成長戦略もない安倍政権。今やこの国は『一蓮托生』ならぬ『日銀託生』、日銀に生死を託した状態になっている。日銀が失敗したとき、新たな危機に直面することにもなりかねないのでしょうね。

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2016年08月22日

リオ五輪の閉会式

リオオリンピックが閉会しました。しかし不思議なのは、どこのメディアでも、丸川五輪担当相でさえ宴の後、4年後の東京に向けて…と語る。これからパラリンピックがあるのですから、当然それに向けて盛り上げていかなければいけないのではないか? 障害者に優しくない、日本における根本的な問題を垣間見るようです。その閉会式で、東京五輪をアピールするため、安倍首相がマリオに変身し、地球の裏側であるリオに行く、という映像の後で、実際に自分が登場してみせる、という演出がありました。以前も指摘したように『リオゴリン』の中をとると『オゴリ』。目立ちたがりの安倍氏としては、晴れやかな演出のつもりだったのでしょう。丸川氏は「安倍マリオ晋三」と名乗れば、すぐに世界の皆様に分かってもらえる、と述べていますが、恐らく世界中から「誰?」というレベルの扱いにしかならないでしょう。
ちなみに、マリオという名前はイタリア系で、元はローマの軍神マルスに繋がり、マルスはギリシャ神話のアレスに繋がります。アレスは主神ゼウスと正妻ヘラとの間に生まれた子なのに、ゼウスから「あいつは戦闘のことしか頭にない、神々の中で一番気に食わない」とまで蔑まれました。アレスのマヌケな話を一つ、鍛冶神ヘパイストスの妻、アフロディーテと浮気していたアレスは、浮気がばれてヘパイストスの造ったクモの巣にアフロディーテもろとも捉えられ、神々の笑い者にされ、ほうほうの体で本拠地のトラキアに逃げ帰った、とされます。そんなアレスもマルスとなったローマでは崇拝され、ローマ建国の父であるロムルスの父とされたこととも相まって、人名としても盛んに用いられました。安倍マリオ晋三より、安倍アレス晋三、もしくはアレス晋三と名乗った方が的を射ている、と感じるのは私だけではないかもしれません。

映像をすべて見ていないのでよく分からない部分もありますが、リレーされた赤い球、何でリオに届けたのか? リオで渡されたバトンを東京へ、という流れとは逆。閉会式に届けたのですから、慰労を兼ねた何か? であるなら分かりますが、赤い球に何の意味があるのか、よく分かりません。むしろ演出としては逆、リオにいた安倍氏が姿を消すと、東京に現れて、その熱気を国内に行き渡らせて東京五輪を盛り上げます、という方が意味としては伝わります。安倍氏がリオに向かったことは先刻報じられていますし、サプライズでもない。これでは東京五輪の演出にも、期待がもてないことになりそうです。
しかもキャプテン翼、ドラえもん、マリオと登場させましたが、安倍政権になってから日本はクール・ジャパンの輸出には消極的でした。安倍氏とつながる利権は公共工事が主流で、アニメや漫画は利権構造すら異なる。そもそも国内では一部の有名なアニメを除いて、大半は早朝や深夜にしかアニメは放映されておらず、国内の扱いでさえ低い中、それを輸出して…というのも甚だ違和感があります。偶々、海外でヒットしたアニメやゲームのキャラを採用し、アピールに利用しているだけでは、政治としては他人の褌で相撲をとっていることにもなります。アニメ大国であることのアピールにはなったでしょうし、首相までコスプレするのか、という意味で注目は集めますが、ビジネス的にはこのアピールを如何に日本の戦略と融合させるか、そこまでもっていかない限り、逆に首相の軽薄さを印象づけるだけになってしまうでしょう。

今回、メダル41個と日本勢の活躍がめだちました。しかしロンドン五輪の当時、競技団体の役員がファーストクラスで、選手がビジネスクラスで移動している、ということも話題になったように、当時は選手の強化よりスポーツ利権に集り、食い物にする人間が多くいました。リオ五輪の結果をうけ、それこそ甘え、驕りがでて、ふたたび選手強化より団体の意志が優先されるようになれば、この41個というすばらしい結果そのものが、負の遺産にもなりかねなくなります。
イタリアの哲学者、ダンテが書いた『神曲』の中で、愛欲の罪ゆえに刑罰に服するリミニのフランチェスカの言葉「みじめな境遇にあって、幸せなときを思い起こすほど哀しいことはありません」となるのか。東京五輪にむけては、改めて気を引き締めなければならず、今回のリオ五輪を幸せなとき、としないよう『オゴリ』を捨てて謙虚に、着実に4年間を鍛錬に充てない限り、結果は逆ともなるでしょう。その先頭をいく首相が、意味不明な演出のためにリオに出向く、といった『オゴリ』体質であることが、一番の不安とも云えるのかもしれませんね。

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2016年08月21日

雑感。米大統領選でのトランプ氏の失速

米大統領選、トランプ氏への逆風が止まりません。これまでも暴言、失言はありましたが、ここに来て現実問題としてこんな人物を大統領にしていいのか? といった懐疑が生まれている。支持が白人中流層から富裕層に限られており、こうした層はそれなりに学歴も高い。盲目的に支持する、ということとも異なり、戦没者遺族への中傷がかなり心証を悪くしたことは確実です。しかもトランプ氏は17日に選対の体制を刷新し、20日にはこれまで参謀を務めてきたマナフォート氏を解任するなど、かなり右往左往している様子もうかがえる。マナフォート氏はウクライナでの疑惑が報じられるなどしましたが、元々かなり強硬的な主張を推していたともされ、事実上の方針転換による解任とみられます。

トランプ氏の間違いは、これまで米国 is No.1を標榜し、米国に流入してくる不法移民、またムスリムなどを攻撃してきました。これまではそれがウケ、彼こそ強い米国をとりもどしてくれる、との期待を集めてきました。しかし戦争遺族への攻撃は、米国そのものへの攻撃です。たとえそれが民主党攻撃の一環だったとしても米国民、とくに戦死者は米国のために戦った愛国者であり、その遺族を貶すことは米国 is No.1の態度とは大きく異なる。むしろその逆、自分 is No.1、そのために米国すら貶めている態度に見えます。
しかも、ここに来て黒人層へのすり寄りを始めましたが、逆に白人層にとってその態度は裏切りにみえる。未だに白人至上主義が根強く残り、KKKなどが存在する米国では、どうしても黒人を一段低くみる層がいます。米国 is No.1とは、白人が優越的地位を与えられていた時代、それと同一視する向きもいる。キング牧師の公民権運動の前、冷戦時代の米国がもっとも輝いていた、そう考えるからです。万人ウケする主張を始めれば、これまでの支持層を失う恐れもある。しかしトランプ氏が迷走しだしたのは、逆に大統領という地位が現実に見えてきて、守りに入ったことも影響するのでしょう。しかし守りに入った人物に、米国 is No.1の姿は重ねられない。トランプ氏も負の連鎖に陥っているのでしょう。キング牧師の言葉を借りれば「I have a dream」という演説、私には夢があるという言葉が、トランプ氏はその夢が現実になりそうになって、急に萎縮したのかもしれません。

そもそも米国は、第二次大戦中の議会教書で、ルーズベルト大統領が「4つの自由」を唱えました。言論・発想の自由、礼拝の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由。これが後に世界人権宣言へとつながりました。「人間は生まれながらにして自由であり、かつ宣言と権利とについて平等である」という文言につながった。つまり米国が自由と人権など、平等という概念の輸出を担ったのです。だからこそ米国は西側諸国の盟主となった。何も経済力ばかりでなく、そうした主義・主張において優れていたからこそ、世界の多くの国を従えることができたのです。
しかしトランプ氏のめざす米国像は、それとまったく逆。どちらかと言えば閉鎖主義、米一国主義とも呼べるもので、これではいくら自分がNo.1だと言い張っても、誰も認めてはくれないでしょう。しかし米国民がそこまで理解し、判断したかどうかとではなく、単にトランプ氏個人の能力不足、器量の不足で凋落してしまうことは、ある意味で米国が出直す機会を奪われた、ともみてとることができます。冷戦の終結が、ソ連の自滅という形で終わったことで、新たな秩序を構築するのに冷戦構造のまま、あらゆる制度が残ってしまった。今はその後始末に苦労しており、米国が徐々に世界でその地位を失っていくのも、新たな世界を率いて行くポリシーが感じられない点が、米国の迷走にもつながっているのです。

米国が陥っているのは「I have a dream」ならぬ、アメリカンドリームがすでに現実的でなくなっている社会において、新たな理念、人々を率いるだけの希望、それを見出せないことにあるのでしょう。新自由主義もその限界、失敗が意識され始めてきたことで、自由に因らず、新たな理念をトランプ氏に求めたのだとしたら、出てきたカードはジョーカーだった、ということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:54|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2016年08月20日

雑感。核をめぐる日本の態度と、五輪

今、3つの台風が発生していますが、1960年には5つの台風が同時に発生し、ローマ五輪の直前だったことから五輪台風と呼ばれたことがあります。逆からみると五輪の時期は台風シーズンであり、東京五輪も台風が直撃する可能性が高い、と言えます。屋外競技もそうですが、さらに問題は人の移動に支障がでる点です。コンパクト五輪どころか、今やエクスパンド五輪(膨張五輪)とさえ言われ、会場は千葉、神奈川にまでまたがる。さらに会場が分散される可能性もあり、そうなると移動だけで日程が滞ることも考えられます。東京五輪と台風、もしかしたら難敵なのかもしれません。

米WP紙が報じた、安倍首相がハリス米太平洋司令官に対して米国の核先制不使用についての懸念を伝えた、という内容を安倍氏は「全くなかった」と否定しました。しかし核軍縮に関する国連作業部会で、2017年から核兵器の法的禁止を交渉する、という報告書についての議決で、日本は棄権しました。言葉より態度がすべてを物語る。むしろ「全くない」と全否定した安倍氏は、ウソをついたことになるのかもしれません。逆に、どこかに線引きがあるのなら、そのことに言及することが必要かもしれない。日本は直接的な核保有国でないため、比較的自由にモノが言える立場です。
米国の核の傘の下にいるから、気を使って何も言わない、というのなら、唯一の被爆国というアピールも同時に止めるべきでしょう。ナゼなら、核使用をみとめ、被爆国として広島の惨状を訴えることは、世界中に核による恐怖政治を受け入れさせようとする試みにも見えるからです。核を保有する国には敵わない、服従するしかない。恐怖心を煽り、そういう機運を高めようとするために、被爆国として広島や長崎への訪問を各国に訴えかけているのではないか。事実、日本は被爆国としてその惨劇を知り、核アレルギーの強い国となっています。世界で核アレルギーが強まり、核への恐怖心が植えつけられれば、核をもつ国への依存、服従といった思惑も高まる。むしろ安倍氏はそんな世界にしたいのかもしれません。それこそ核を躊躇わず撃つ国、米国を崇める、といった方向性を安倍氏からは時折感じるからです。

しかも参院選を通過し、今月から安保法制が施行されることから、駆けつけ警護や宿営地の防衛に関しても可能となります。つまり自衛隊が、実際に海外で武器を行使することも可能となるのです。すでに内戦状態とされる南スーダンにおいて、最初に訓練を開始することが政府関係者からも明らかにされており、今後はこの動きがどんな波及効果を生むかは分かりません。日本も連合軍入りした、として益々テロリストから狙われるのか。安保法制についての評価が、これから様々にでてくることになるのでしょう。
そんな安倍氏が、リオ五輪の閉会式に向かいます。五輪は開会式、閉会式に各国の首脳が集まるケースもあり、そこで簡単な首脳会議をできる可能性もあります。しかし今のところ、そういう予定が聞こえてこないので、今から調整するのか? しかもこれから国連総会や、G20など国際会議がつづく。五輪閉会式にわざわざ出席する必要性は、あまり感じません。事前調整のつもりか? そうだとしても安倍氏自ら行って、成果があるとはとても思えません。ナゼなら、世界から全く評価されていない首相だからです。コンパクト、という単語には『密な』という意味の他に『協定』という意味をもちます。五輪を会合の場、協定をむすぶ場と考えているなら、実は安倍氏のその試み、悉く失敗してきています。ソチ五輪の開会式に出席した挙句、露国には媚を売りましたが、西側諸国から総スカンを食らった。そのダメージを回復させるために、多くの時間を費やし、未だ道半ばであるのが現状でしょう。リオ五輪、リオゴリン、端の文字をとると「オゴリ」。五輪をめぐり、様々な思惑をめぐらせているのでしょうが、その腹には支持率が高く、何をしても大丈夫だという発想があるのだとしたら、ただの観光旅行気分なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:59|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年08月19日

不動産市場の変調

4-6月期GDPでも高い伸びを示した住宅投資、ここに来てその変調が目立っています。7月の首都圏マンションの販売価格が2ヶ月連続で下落、発売戸数は前年同月比30.7%減、契約率は63.3%と、好不調の分かれ目である70%を下回っており、明らかに潮目の転換をうかがわせます。いくら低金利だからといって、高値掴みはしたくない。しかも今、売れるからとどんどんマンション建設を増やしてきたため、供給過剰の懸念もでてきた。今、不動産市場で囁かれるのは『低金利バブルの崩壊』です。
住宅を買うばかりでなく、建てる際も低金利で資金を調達できた。しかも米英を初め、中国の不動産バブルに代表されるような不動産投資家の世界的な暗躍とが重なり、日本にもそのお零れがあって億ションも売れてきました。しかし7月は英国も1%強の値崩れを起こしており、米国も伸びが鈍化、中国もふたたび引き締めに転じたらしく、販売価格が下落した都市の方が増えている。つまり今、世界的に不動産市場全体が大きな転換点を迎えつつある。それは不動産投資家にとって、すでに世界全体で個人が買えないほどの高値まで不動産市場が釣りあがっており、自分たちの循環取引でしか成り立たなくなり、下りるタイミングを間違えた投資家が損をする。つまり保有がリスクになりかねず、売りが売りを呼ぶ悪循環に入りつつあることを意味するのでしょう。キッカケはBrexitですが、この流れを食い止めないと、それこそ不動産市場は世界的にバブル崩壊により壊滅的な商状を呈すことになるのかもしれません。

そんな中、直近の日本では日銀、財務省、金融庁などが盛んに会合を行い、麻生財務相と黒田日銀総裁の会見後、麻生氏は「40年国債の増発」に言及するなど、事実上のヘリマネともとられる発言をしている。しかしこれらは為替睨みの発言であり、日本にはまだ追加緩和の手が残されている、という喧伝のため。円高を食い止める策を話し合っているためです。ただ7月のFOMC議事録がでて、9月の利上げ機運が後退。ふたたび円高圧力が強まっており、日本の小ネタのような対抗策など、大きな流れには全く対抗できていません。
さらに問題は、円高そのものは日本経済の重石になるものの、リスクは小さい。その一方で不動産市場の変調は、景気を間違いなく腰折れさせるだけの破壊力をもつ。どちらが問題か? 考えるまでもなく不動産市場の動向に、より目配せするべきでもあるのです。

しかし日銀は不動産市場をバブル化する策ばかり打ってきた。マイナス金利も量的緩和も、不動産市場をバブルに誘導してきた。しかしイールドカーブがフラット化したため、値上がりする不動産の魅力が低下、金利が低くても購入しない層が増えた、とされます。供給サイドはマイナス金利の前から建設に着手したため、ここに来てミスマッチが増えてしまった。つまり世界的な不動産市場の変調と同時に、日銀による政策のミス、という二つが重なる。バブル崩壊どころか、日本はダブル崩壊といった状態にあるのです。
しかも不動産投資の厄介な点は、一物件に対する投資額が大きいため、損失が破綻へと直結する可能性が高い。それが溜まると金融機関の経営すら圧迫する。担保には不動産が多いため、価格の上昇局面であれば融資を増やせる一方、下落局面では融資を躊躇する。それどころか一部でも回収しておかないと、リスクが高まる。金融機関の内部基準に照らせば、引く手も早くなるのであって、これまで安倍政権では倒産件数の減少を成果のように語ってきましたが、不動産市場の変調はそれすらウソにする可能性が高いのです。

日銀が9月の『総括的検証』で、仮に金融緩和の手段を改めるとなれば、ますます他の市場への動揺が広がるでしょう。18日の株式市場で、日銀のETF買いが入ると見越して前場買った層が、後場に失望売りを浴びせましたが、ここに来て日銀が打つ手を渋る、ということは総括で政策が見直されるのでは? との懸念も生じています。総括…かつて連合赤軍がこの呼び名で、リンチをくり返しました。日銀の総括、投資家にとってリンチのような大打撃を与える可能性もあります。bubbleと書くと『泡』の意味ですが、babbleと書くと『ムダ口』などの意味になります。日本のバブル崩壊、日銀、財務省、金融庁などが寄り集まって何を話し合っているかは分かりませんが、口先で何とかする前に、行動を示さないとこのバブル崩壊は、より深刻な事態を招きかねなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年08月18日

安倍首相のキューバ訪問報道

福島原発の凍土壁、凍結開始から4ヶ月半経って99%が零度以下になった、としますが、下流側でくみ上げている地下水は以前からまったく変化がない、と言います。たかが1%のスキマで地下水がこれまでと同じ量流れこむ、というのは不自然であり、これは過冷却が影響しているのではないか、とみられます。水はゆっくり流れると零度以下でも凍らない。真冬の川や湖も、表面が凍りついていても底の辺りは凍らない。逆に、温度を計測するためにセンサーを埋設しているようなところは、水の流れが乱れているので凍りやすいだけで、実際には多くの箇所で過冷却のような現象が起きているのかもしれません。そもそも99%が凍結した、が成果ではなく、下流のくみ上げる水の量が減らなければ何も意味はないのです。凍土壁、これが壮大なムダ遣いだったとしたら、設置を主導した東電や政府の肝だけは、すこぶる冷やしたのかもしれません。
同じように、民主党政権のころから続く話として、リオ五輪のメダルラッシュも挙げられます。ロンドン五輪の大惨敗をうけて、スポーツ界にも危機感がありましたが、民主党政権で予算を大胆に組みなおした。実は、スポーツ振興財団やら、公益財団など、その役員には多く上流階級に属する人物が名を連ねます。こうした財団にお金を落とし、中間搾取した上で選手やスポーツ大会などに配る。これでは選手強化の予算が少なくなり、結果としてロンドン五輪の惨敗になった。民主党はこうした上流階級との付き合いは薄く、予算を組替えて、選手強化に回し易かったのです。さて東京五輪、このリオ五輪でメダルラッシュとなり、また甘えの体質がでるのと同時に、自民党政権下のスポーツ振興予算。果たして結果は…4年後が怖くもあるのでしょう。

安倍首相が国連総会に出席後、キューバ訪問を検討と報じられます。『日本の首相として初』という言葉が大好きな安倍氏だけに、相当にごり押ししたことも想像できます。国連総会出席後、米国と国交を回復したキューバに訪問したい、という首脳も多いでしょう。相当に支援を約束し、その枠を勝ちとったことが今回の発表です。また公明経由で創価学会の力を借りたのかもしれない。中国をはじめ、共産国に独自のコネクションをもつ創価学会は、キューバにも進出しています。ソビエト崩壊前後のロシアに、オウム真理教が進出していたように、政治の締め付けが強く、心の解放を求めるところには、言葉は悪いですが宗教はつけこむ傾向があります。そうしたコネを使った可能性もあります。
キューバは地下資源も豊富、とされます。石油もでますが、ブラジルからも買っていないように、パナマ運河経由の輸送を考えると、タンカーでは難しい部分もあります。一方でレアメタル、レアアースなどの鉱物は、輸入先の多様化という面でも関係強化をしておきたい。また中南米の珍しい物産なども取引できますし、意外と親日国ともされます。これまではキューバ革命以後の米国との緊張で、表立った関係は築けなかったこともあり、これからは期待できるところではあるのでしょう。

ただ、今の中南米の景気低迷は深刻です。原油高で潤っていたとき、放漫財政に陥ったツケで、リオ五輪を開催するブラジルなど、経済危機の一歩手前という段階でもあるのであって、キューバとて同様です。米国との関係改善をすすめたのも、景気の悪化を食い止めたい一心であり、日本マネーへの期待もある。逆に言えば、そういった外資からの資金流入がない限り、今後も経済に関しては不安定さが付き纏うのでしょう。
しかし日本も実は、中南米の心配をしているどころではない。一方は原油高に浮かれ、一方は金融緩和に浮かれ、と事情は異なるものの、どちらも五輪開催まで景気がもたなかった、もちそうにない、からです。五輪の前年辺りは、公共投資が増えて景気が好調、などと語られますが、ブラジルはそうならなかった。日本も今、公共投資が活発であるということは、それを4年もつづけてはいられない。どこかで腰折れ懸念もでてきてしまいます。原油バブルが弾けた中南米、金融緩和バブルがはじけるかもしれない日本。そこには五輪という共通点まであります。東京五輪でも、メダルの数はリオ五輪並み、施設の運用などソフト・ハードの整備面はロンドン五輪型、というのが理想かもしれませんが、安倍政権の政権運営では、まったく逆になる公算も高いのです。この不都合な真実は凍らせておきたいところでしょうが、99%は凍っても、1%の抜け穴から真実がもれだせば、安倍政権の心胆を寒からしめるところでしょうね。

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2016年08月17日

雑感。海外企業の対日投資と訪日外国人客

政府が海外企業による対日投資を促すため、規制や手続きを見直す方針を示し、有識者会合が立ち上がりました。また有識者会合を一つ増やす、と安倍政権では有識者会合が花盛りです。しかし規制や手続きが猥雑だろうと、儲かるところには企業は進出するものであり、今の日本では収益が見込めないから進出してこないのです。最近、Appleが日本の雇用に貢献した、などと盛んに喧伝するのも、日本社会における企業活動の難しさを示します。嫌われたら客が離れていく…特に今、Appleは魅力的な商品をうちだせなくなっており、情に訴える戦略をとり始めた、ということになるでしょう。
そんな中、7月の訪日外国人客が前年同月比19.7%と、大幅な伸びをみせます。大型クルーズ船の寄港などもありますが、一つには欧州で頻発するテロへの不安が、テロの不安のない国へと夏休みに旅行する理由となっている。ただし、日本でも自暴自棄になったテロが散見されるのであって、相模原の障害者施設の襲撃犯や、新幹線での焼身自殺などもありました。日本は安全、その前提は大きく崩れてきており、そのイメージが通用するのも残り僅か、かもしれません。しかも、今は爆買いといった形より、今後も円高が懸念される日本に今のうちに行っておこう、という記念旅行のような形なので、数が増えても寄与度は昨年にとどかないでしょう。中国、韓国の伸びが大きいですが、欧米に行くほどの余裕もなくなった、その結果としてなら、これも節約旅行の一つの形なのかもしれません。

円安と円高の関係について、一つ注目するのが前年同期比で、今年上半期の輸出額が8.7%減、輸入額は17.2%減、という数字です。しかも対ドルレートの平均が113円強といった形での結果ですから、余計に深刻といえます。さらに原油価格の低下が輸入額を大きく押し下げた、などと言っても昨年上半期はすでにWTIは50$台、実はこの輸入額の減少は、円高と内需の低迷のダブルパンチ、という点も大きい。政府は「海外経済の変調」「海外経済の不安」という文言を用いて、景気低迷を説明するケースもありますが、輸入額の減少の説明にはなっていません。すでに原油価格の動向は、寄与率への影響が大きく低下しており、前年同期比でみると為替は7〜8%の下落なので、輸出は大体それに沿った動きであり、逆に輸入の方はそれ以上に悪化している。そこには内需の問題が大きいのです。
かつては、水は低きに流れる、として経済におけるマネーの流れも説明されましたが、今では米国という高いところに集まっている。しかし米株市場など、すでにPERではかなり割高、将来の企業業績の伸びは相当に織りこんでしまっています。さらに米企業の自社株買いは年初から7月までで、前年同期比21%減となっている。株高により自社株買いをする必要性がない、という面と、将来にむけた成長が読めない。自社株買いとて投資ではありますから、高値掴みをするわけにはいかないのです。米株にも限界が意識されますが、かといって他に投資先もないから、米株は最高値を更新しつづける。連銀総裁の9月利上げ発言などもあり、ドル円も落ち着きましたが、米FRBの利上げは決して経済が好調だからではない、バブル潰しの色彩が強いことだけは、間違いないことなのでしょう。

17世紀のフランスで、ルイ14世の頃に活躍したコルベールは、財務総監として重商主義を掲げました。商業とは「貨幣戦争」であり、海外のものを買わず、逆に国内産のものを諸外国に多く売りつけ、外貨を稼ぐ。「金のなる木を育てよう」という言葉は有名で、産業を盛んにし、ルイ14世の時代の仏国は大きく繁栄しました。
翻って日本、日立のかつてのCM曲「この木何の木」では、「見たことのない木」は「見たことのない実をつける」と歌われていました。見たことのない日銀の緩和は、見たことのない結果を招く、ということの示唆なのかもしれません。「金のなる木」は全く育っておらず、むしろここ掘れワンワン、とばかりに埋蔵金探しに勤しむ。その結果、日本はどんどん富が枯渇し始めており、これまでは個人の貯蓄が潤沢だから、という安心感があったものの、今ではそれすら語られなくなってきました。「この木何の木」なぜかこの曲名が「この危難の期」に読めてしまう。こんな国では投資したいと思う企業も現れませんし、そのうち訪日客の足も遠のいてしまうことになりかねないのでしょうね。

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2016年08月16日

戦没者追悼式での安倍首相の式辞

今日は午後から一気に円高がすすみ、株も大幅安です。日銀砲は前場の終値をみて介入するので、午後から動きがでても何もできない。そんな運用側をあざ笑うかのような動きです。きっかけはポンドの急落ともされますが、実際にはよく分かりません。米FOMC議事録の公表前の仕掛けだったのか、いずれにしろミセス・ワタナベの防衛ラインをふたたび突破してみせたことで、今後の為替市場は流動的になるのかもしれません。
しかし昨日のGDP発表でも分かることは、為替と株式市場、日本経済全体の動きです。円安→海外展開する企業の業績上乗せ、輸入物価の上昇→株高、日本経済は低成長。円高→海外展開する企業の業績下ぶれ、輸入物価が低迷→株安、日本経済は高成長。つまり株式が実体経済を反映するものではなく、企業の収益動向と日本経済とのリンクが薄まった。しかし円高で高成長、といったところでたかだか1%と少し。潜在成長率の低さとともに、毎年くり返される補正予算による押し上げ、日銀のバズーカなどによって日本経済の実力そのものが見え難くなっている昨今、瑣末的な問題にとらえられていると大きな誤りにもなりそうです。ただ、安倍政権のめざす企業を潤せば、個人にも恩恵が行き渡る、といったトリクルダウン理論は根底から覆されており、この点に見直しが必要なことは間違いありません。

昨日行われた戦没者追悼式、安倍首相の式辞は、第2次安倍政権発足後に「誰のため、何のために開くのか」と疑問を呈し、反省や哀悼が消え、不戦の誓いもなくなった。不戦の誓いは復活したものの、「歴史と謙虚に向き合い…」という歴史観を述べるにとどめています。確かに戦没者の慰霊のための式典ではありますが、では戦争に関する認識を述べる場が他にあるか? というとない。戦後70年、などの節目では語る機会もありますが、毎年の終戦記念日のこの式典のみが、政府の認識を語る場になるので注目を集めます。
しかも、安倍氏がそうして式辞を変えたことで、天皇陛下によるお言葉に「深い反省」が加わった。そもそも安倍氏の式辞で述べた「歴史と謙虚に向き合い…」では、その結果何を感得したのか? ということが重要ですが、一切ふれていない。もしかしたら安倍政権では「戦争万歳!」と言い出すのかもしれない。天皇陛下がわざわざ「深い反省」を述べ、戦争の災禍をくり返さない、と付け足さなければいけないなど言語道断といえます。本来、そういう言葉は天皇陛下の語るべきものではなく、為政者が率先して語るべきものでしょう。こうした点にも安倍政権の唯我独尊、天皇家に対する本心がみてとれます。

稲田防衛相は観光気分でジブチに向かった、といったことが話題になっていますが、終戦記念日に靖国参拝は見送りました。しかし今年も高市総務相、丸川五輪担当相などの閣僚が参拝しています。かつては保守でもなく、また戦争に対して何の思い入れも語っていなかった人物が、批判を承知で参拝するのか? といえば、靖国の背後にいる支持層への訴えかけとともに、先の大戦を主導したエリート層、そうした家柄、血脈が未だに日本の政治・経済に隠然たる影響力をもつためであり、そことコネクションをもちたいがために、わざわざ出向くのです。参拝するから保守思想の持ち主か? というとそんなこともない。むしろあざとさ、計算高さしかない。そんな態度をする政治家を支持する人がいる、というのは正直、思考の停止、本質をみていない、ということにもなるのでしょう。
そんな中、米紙が「安倍氏が米の核先制不使用の方針に反対」と伝えました。米国はピンポイント爆撃等、核ミサイルで焦土化せずとも敵の核能力を減殺できる、と考えるからそうした方向性をもつのであって、別に抑止力が低下するわけでもありません。これは核抑止力の問題ではなく、核攻撃も辞さない『暴力的な米軍』との印象、そのものが抑止力と考える側が批判、否定するのであり、安倍氏もその例に洩れない、ということなのでしょう。そして安倍氏の意見は、軍事を肯定する側の人間ということも意味する。結果、それは戦争否定、戦前否定をしてしまうと、今の日本の中枢にいる数多くのエリート社会を敵に回す、ということになる。対外的には敵をつくり、内部をがっちり固めよう、そのための軍事力の肯定、政治権力の構築の仕方が、今の安倍政権では随所にみられます。

しかし経済面ではすでに敗戦、焦土化がすすみ始めており、戦時特例債を溜めこんだ日銀が青息吐息になるのも、時間の問題なのでしょう。緩和が円安を意味せず、バズーカは不発になりつつあります。軍事にしろ、経済でバズーカなりを使うにしろ、適宜適切に使用してこそ効果もありますが、それを使用する人間の質が低かった場合、むしろ逆効果になる。抑止力どころか、即死力は格段に高まってきたことを懸念すべきなのでしょうね。

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2016年08月15日

4−6月期GDP速報について

週明けの株式市場は閑散、売買代金も1.5兆円を越える程度で、目安とされる2兆円を大きく下回りました。下げ幅が限定的で、日銀砲が入らないとの思惑もあり、円高で上にも下にもいけない膠着感が強まります。また今朝方発表された4-6月期GDP速報値もそれに拍車をかけました。実質で前期比0.0%、年率換算で0.2%成長と低調であり、名目で前期比0.2%成長、年率換算で0.9%成長です。
実質ベースで民間最終消費支出が0.2%増、住宅投資が5.0%増、設備投資が0.4%減、公共投資は2.3%増、輸出は1.5%減、輸入は0.1%減。内需が0.3%増、外需が0.3%減。低成長ですが、閏年効果により1-3月期押し上げられた分より消費はさらに増えた。マイナス金利効果で住宅投資も好調、とします。安倍ノミクスで公共工事は目白押しでこちらも高い伸び、設備投資が低い点は気がかりだけど、まずまず好調。これが楽観論者言い分です。

しかし黒田バズーカで建設ラッシュとなった不動産市場、今がちょうど稼ぎ時、ピークでマイナス金利はほとんど関係ありません。ピークなので今年の秋を終える頃には一巡するでしょう。そして今回、大きな変動要因となっているのが、熊本地震をうけた推計方法の変更です。影響の大きそうなものを幾つか上げますが、鉄道輸送は本来、4月の結果を基にして5、6月分を推計します。データが間に合わないので仕方ないのですが、今回4月に熊本地震がおきたので、その分を補外推計しています。つまり実際の値とは大きく乖離している可能性があります。
次に民間最終消費支出は、4月15日以後、人口推計から熊本地震の死亡者、避難者を控除し、国勢調査の一世帯当たり人員で除した世帯数を乗じて推計しています。元は家計調査にただ世帯数を乗じて推計していますが、このやり方だと一人暮らしが多い大都会を含めた一世帯当たりの人員で、家族単位で暮らすことの多い熊本地震の被災者で減った分を、補っていることになる。確かに被災者といえど、消費がゼロではないでしょうが、この推計方法には首をかしげます。実際には消費種出はもっと少ない可能性が高いといえます。

民間住宅では、熊本県分の4月推計値に7/30を乗じて、それを4-6月期の全国分から控除します。確かに進捗ベースで推計されるものですので、4月分を約4分の1にする、というのは分かりますが、5、6月にも影響が出ているはずです。そもそも建築物着工統計の工事予定額に、構造物ごとの期間をわりだして進捗をだし、推計します。このやり方では、4月は一部が止まったけど、5、6月は予定通りすすんでいる、となる。これも見た目より実際は低かった可能性があります。特に自身は広域被害なので、尚更九州地域全体の見通しが、地震の前後でどう変化したのか、これではまったく織りこめていないのです。
政府最終消費支出にはH28年の第一次補正予算が組み込まれており、さらに公的固定資本形成では、熊本県における公共工事は停止している、として建設総合統計から、27年度の出来高ベースの熊本分をだし、4月分で熊本分に16/30を乗じて、指数を算出しています。つまり4月だけ約半分になった、としていますが、県庁の被災状況などをみる限り、熊本の公共工事はほぼ停止したとみなすべきでしょう。さらに、応急仮設住宅については計上されている。政府最終消費支出にくみこまれた一次補正予算と、公的固定資本形成にくみこまれた応急仮設住宅は、二重計上ではないか? との疑念もでてくるところです。

一次速報なので仕方ない面があるとしても、やたらと推計が多い。しかもそれがすべて実勢より多くなる方向で計算されている。見た目以上に、今回のGDP速報値はかなり上ブレするよう、予め調整されたもの、と思っておいた方がよいのでしょう。GDPは速報値の注目度が高いので、こうした調整をした、というのなら、本当はマイナスになってもおかしくなかったのかもしれません。元々、日本は3月にセールなどでGDPが上昇し、4-6月期は前期比でみるとマイナスに陥る傾向があるのですが、何とかしてそれを回避したかったのかもしれません。GDP、今やGovernmental Deffensive Positionを示すために、いくらでも統計を弄っていい、そんな形にしかなっておらず、株式市場どころか経済活動も閑散、それ以上に国民の心にも閑散の白けムードが漂ってきた、となるのかもしれませんね。

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2016年08月12日

雑感。稲田防衛相のジブチ訪問と、改憲

リオ五輪で日本のメダルラッシュがつづきます。そんな中、柔道選手の「銅でもうしわけない」という発言に、他競技に失礼との声があります。しかしどの競技であっても自分の実力に基づき、目標を決めます。メダルを狙うのか、入賞を狙うのか、それとも底まで届かないけれど、頑張るのか。偶々、柔道は金メダルを全員狙える実力があり、そこを目標にしているのです。スポーツの世界ですから、上位を狙える選手が上位をとれなかったことを悔やむ、となっても当然です。他の協議や、国全体のことを考えて、わざわざコメントする必要もない。もしそんなコメントばかりになったら、日本はつまらない国になるだけです。画一的なコメントで満足するなら、コメンテーターに任せておけばいい。その世界でトップを目指す人間は、その世界で自分の実力と結果について、コメントすればよいのでしょう。
五輪のメダル獲得数で、株式市場は上昇する、といったジンクスもあります。ただそれは関連銘柄を買う、といった連想買いで、終わったらすぐに戻る程度のこと。いわば材料株が増える、ということだけです。問題は、今日も日経平均の上昇に比べ、TOPIXの上昇が低い点。日銀トレードという、怪しげな言葉も飛び交い、さらに日銀が緩和縮小に転じる機会を遠ざけています。日銀…名前には『銀』がつきますが、『金』の力で市場を支配している。そうした態度は『どう』なの? との懸念が高まり易くもなっているのでしょう。

稲田防衛相が15日の靖国参拝を見送ります。ジブチ訪問と、もっともらしい理由をつけて回避したのは、諸外国から懸念を表明されたため、でもあるのでしょう。接続水域への中国漁船の侵入が圧力で、それに屈したとの印象は中国漁船の沈没を海保が救助したことで、大分和らいだ。まさに渡りに船、だったのかもしれません。しかし13日の渡航が今日発表されるなど、ドタバタ感もあります。さらにジブチで自衛隊が行っているのは海賊対処活動、国内の接続水域で中国漁船にやりたい放題やられ、一義的には海保の対応だとしても、日本政府の対応にはちぐはぐ感もあります。
稲田氏がジブチを訪問したとて、何が変わるわけでもありませんが、G20で日中首脳会談を画策する安倍政権にとっては、秋季例大祭まで我慢させるのに、自衛隊が活動するジブチ訪問が、『渋ちん』の稲田氏を説得する唯一の策だった、ということになるのでしょう。

日本国憲法の9条は、1946年当時の幣原首相側からの提案だった、とする新資料がでてきました。57年の憲法調査会において、会長の高柳氏がマッカーサー元帥に手紙を送った、その返信です。『戦争禁止の条項は幣原から』『世界に対して精神的な指導力を与えようと意図』ともあり、戦争放棄以外の戦力不保持、交戦権の否認についても、幣原氏からの提案と考えられる、とします。『精神的な指導力』というからには斬新な提案をした、ということでもあり、戦争放棄は諸外国にもみられることから、それ以外と考えるべきなのでしょう。
天皇陛下のお言葉をうけても、安倍政権はあくまで特例法で対処する方針をもっていたようですが、各社の世論調査では皇室典範の改正を求める意見が大多数。お言葉を真摯にうけとめた国民も多いようです。しかも上記のように、日本国憲法がGHQに押し付けられた、慌ててつくられた、という改憲論者の主張する意見とは、まったく違う姿がみえてきて、改憲の正当性すら揺らいでいる。それでも改憲を推していくのか? そのためにはお言葉すら蔑ろにしてよいのか? そうした問題も横たわるのでしょう。幣原氏がめざした『精神的な指導力』、国内の保守派はまったく指導されなかったようです。リオ五輪でもメダルラッシュの柔道、組み手をくまなかったり、投げ逃げをする選手には『指導』が与えられますが、正しい情報に基づくまともな議論から逃げているようでは、ますます改憲議論には『指導』が与えられることにもなるのでしょうね。

明日、明後日とお休みしたいと思います。



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2016年08月11日

中国漁船の沈没

明日は日航ジャンボ機の墜落事故がおきた8月12日ですが、当時の米検事が米ボーイング社に対して日本の検察の捜査に協力するよう促した、とする証言がでてきました。当時から米政府はボーイング社を擁護し、情報をださなかった、などとされましたが、そうした推測とは逆の情報です。米政府が公開した公文書でもないので、信憑性については乏しいものですが、このタイミングでこうした証言が出てくる、米政府の思惑が重要です。
最近、大統領選でトランプ氏の発言がめだちます。対立するクリントン候補へ、銃保有者に暗殺を促した、とされる発言や、ISILはオバマ大統領がつくった、クリントン氏はその片棒だ、とするものなど。どうもネットの陰謀論を真に受けたような、間の抜けた発言をくり返しています。まったく無名の共和党員が、大統領選への出馬を表明したり、支持率でもクリントン氏に離されつつあり、苦境に陥っているように見えるトランプ氏。クリントン氏のメール問題に対して、露国の諜報機関にハッキングをするよう促す発言をしてから、どうも旗色が悪い。露国から支援をうけている、ともされ、トランプ氏が大統領になれば、米国の有する財産が露国にかすめとられるのではないか? との懸念も生じはじめた。まだアノニマスやスノーデン氏にハッキングを…といった方が、火消しもできたのでしょうが、トランプ氏のハッキング発言は歴史上稀にみる失言だったのかもしれません。

尖閣付近の接続水域で、中国漁船がギリシャ船籍の貨物船と衝突、中国海警の公船は接続水域をでていき、日本の海保が救出に当たりました。恐らく中国の公船は、不測の事態に対して何も指示をうけていなかった。もし中国の公船が救出活動を行えば、ここが中国の施政権が及ぶ地域だ、と主張することになり、日本の主張とガチでぶつかる。そこまでの事態の緊迫化は想定外、むしろ望むところではなかったとみられます。今回、中国の大使が述べているように、漁場としての確保が目的だったなら、以前もあった赤珊瑚の闇操業のように、中国も経済が失速してきて、漁民への利益誘導をはからないと不満が鬱積しつづける、といった危機感もあるのかもしれません。
もう一つは海外から食糧を買うことにも限界がある。企業物価は下がっているのに、消費者物価は上がりつづける中国にとって、国民負担も限界に近づいているのかもしれません。安価な食糧を供給するためには近海で操業しなければならない。中台がこぞって秋刀魚を千島列島の周辺までとりにいき、日本に下ってくる秋刀魚が減った、という話もここ数年で増えましたが、遠洋漁業にはお金もかかる。日本では秋の旬には一尾100円もしない秋刀魚ですが、中国では高級魚の位置づけなら、それだけ国民の懐は傷んでいることにもなります。

ただ、そうなると益々中国は尖閣周辺を欲しい、となるでしょう。軍事的な問題、国内の世論誘導の問題、それに食糧確保のためにも領海を広げたい。南シナ海の問題にしろ、中国の主張が世界的には受け入れられないことには、中国も薄々気づいてはいる。なので中国は公船が救出活動をできなかった。今回のことは、様々な中国の事情を垣間見せるのでしょう。
しかし日本が、ただ中国漁船の操業をゆるしてはいけない。赤珊瑚のときのように根こそぎ奪いとられるようでは行政の怠慢、そんな謗りも免れないでしょう。中国の諺に『山に近ければ山を食い、海に近ければ海を食う』があります。地産地消、合理的なものの考え方ですが、他人のものを盗んで食う、とは言っていません。日本では8月11日は『山の日』。国破れて山河あり…では困るのです。中国の略奪的手法に対抗する術を、そろそろ身につけるべきであって、こんな略奪をゆるしていたら、日中共倒れになるでしょう。山の下に、財貨を意味する貝を並べたところから、生まれた『朋』をつけると、『崩』になります。まさに今、財の奪い合いで両国が疲弊していく様が、今回でもあるのでしょう。漁船の沈没が映したのは、朋友の姿とはほど遠い、両国の関係ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(23)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2016年08月10日

雑感。沖縄振興予算と夏休み

尖閣諸島周辺の接続水域に中国船が現れ、外交上の緊張状態がつづく中、安倍首相が2度目の夏休みに入りました。安倍政権の重要度って一体…? 改めて考えさせられます。南シナ海でもそうだったように、こうした問題では外交的圧力、国際協調により中国側に行動を断念させることが大切です。外務省や防衛省に丸投げし、首相が休んでいる場合ではありません。欧米、アジアの各国に自ら連絡を入れ、これまで築いてきた信義に基づき行動してもらう、ということをしないでどうするか? こういう場面で首相の力量、付き合いの広さなどが問われますが、組閣はおトモダチで固めても、海外におトモダチはいない、ということを露呈しているのでしょう。
国際会議の場でも、1人ぽつんと手持ち無沙汰にしていることが多い安倍氏。こういうところでトモダチの少なさが見事に外交上、マイナスの要因となって日本を襲っているのでしょう。舛添氏の言葉を借りれば、別荘にいても執務はとれる、と言いたいのかもしれませんが、これで中国が尖閣上陸など、強硬手段をとったらどうするつもりか? むしろ口では遣り合っているようにみせて、裏で中国と握り合っているのではないか? 二階幹事長の就任祝いに中国の大使が訪れ、裏で何らかの合意が為されたのではないか? そんな懸念すら想起させる、安倍氏の夏休み入りなのでしょう。

菅官房長官が沖縄の振興予算3000億円について、基地移設とリンクすると語って問題になりましたが、官邸で翁長沖縄県知事と会談、従来通りの3000億円を確保する、と説明しました。菅氏のリンク論がまったくスジが通らないのは、普天間基地を移設しようがしまいが、沖縄の基地負担は変わらない。元々この3000億円という額は、13年にまとめた基地負担軽減策なのですから、基地負担に変化がないなら削減すべきものではない。普天間基地から辺野古に移設できないと、沖縄に米海兵隊がいない空白の時間が生まれるのなら、菅氏の理屈も通りますが、そうでないなら理屈が通りません。
しかし沖縄に限らず、安倍政権がやっているのは自分たちの意にそぐわない相手の頬っぺたを札束で引っぱたくようなもので、一番トモダチになりたくないタイプです。そして株式市場にも、そんな嫌なタイプがいる。それが日銀です。今日も707億円の買いを入れてきましたが、上昇に勢いがつかなかったのは後場どうせ日銀が買う、と思って朝から買いを入れていた層が、後場に売ったから。円高でもあり、企業業績への懸念が高まるのに底堅い。日銀が自分の意にそぐわない市場の動きに対して、頬っぺたを札束で引っぱたくようなマネをして、無理やり高値に維持するためにこれは起こっています。こちらもおトモダチになりたくないタイプ、と言えるのでしょう。

そうこうするうち、国の借金は1053兆円です。札束で相手の頬っぺたを引っぱたいていたら、そのうち自分は借用手形、国の場合は国債で、頬っぺたを叩き返されるような事態といえるのでしょう。そのうちの半分近くを日銀が握っていますが、嫌われ者同士が裏でお金でつながる、そんな関係にも見えてしまいます。ただし、正直日銀が買えるのは500兆円ぐらいが限度とみており、政府と日銀の蜜月関係も、もう終焉に近づきつつあると考えています。そしてお金がばら撒けなくなったとき、両者は真の嫌われ者になるのでしょう。
安倍ノミクスは金融緩和と公共工事、つまり政府と日銀によるお金のバラマキで、国民の頬っぺたを引っぱたき、黙らせてきたのがこれまでです。経済が好調なら文句ないだろう、と。その手がこれからは使えない。財政にも余裕がなくなり、日銀の増え過ぎた資産は、日銀が赤字を垂れ流す可能性すら含むものだからです。安倍氏の夏休み、その宿題は多いといえるのでしょう。しかし、それは赤点をとりつづけてきたからこそ、ここに来て宿題の量がハンパでないほど増えてしまった、ということです。宿題を手伝ってくれるおトモダチもいない。夏休みの宿題は、早く終わらせる子供の方が、将来大人になっても自己管理ができる、とする研究もあるようです。しかし自分で増やした宿題、片付けられずに放りだす、といった懸念が高まっており、その宿題の束に頬被りして逃げだすようなら、やっぱり一番おトモダチにはしたくないタイプ、になってしまうのでしょうね。

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2016年08月09日

景気ウォッチャー調査と、株式市場

長崎の原爆の日、安倍首相による挨拶は昨年と同様、広島で行ったものとほぼ同じでした。広島、長崎の間である山口を地盤とする安倍氏ですから、原爆に何かしらの思い入れがあるかと思いきや、何もない。そんな安倍政権が最近、力を入れているのが原爆外交です。これは最近、各国の首脳クラスが全く日本に訪れてくれない。なので、被爆地を訪問して欲しい、と各国に呼びかけることで、そこで外交交渉をする、という腹蔵が隠されています。その成功事例がオバマ米大統領で、サミットの後に広島を訪問した。しかし他の各国首脳からは総スカンだった、というのが印象的だったように、オバマ氏の二番煎じ、埋没してしまうことを嫌がり、当面は各国首脳も訪れてくれる期待は高くありません。しかしそんな条件をぶら下げないと、誰も日本に来てくれない、という現状は哀しい限りであって、少なくとも原爆外交をするなら、日本が反原爆の旗手として率先して活動するなりしないと、誰もがまったく聞く耳をもってくれないことにもなるのでしょう。

7月の景気ウォッチャー調査がでてきました。現状判断DIは3.9pt改善、先行き判断DIは5.6pt改善、と非常に高い改善を示し、内閣府は基調判断を「弱さがみられる」から「持ち直し」に、早速切り替えてきましたが、中身をみるとまったく異なります。これは6月が現状判断DIが41.2、先行き判断DIが41.5と、異常に低くなったことが原因で、切り替えしたというにすぎず、景況感の節目となる50は依然として下回っている。統計のクセで、景気ウォッチャー調査は大体その月の25日から月末にかけてアンケートを実施するので、Brexitによる警戒感から6月が異常に下がった、というだけで、基調判断を変えるような材料では決してありません。内閣府の判断の方が疑問符がつくものとなっています。
しかも好調さが目立つのは建設業など、ごく一部。円高株安の一服を評価する意見も多く、株価のもどりで消費の落ち込みが回避される、とみているのですが、その株価について日経平均ベースでみると、2000円以上のプレミアム状態、との指摘もあります。金額については様々な分析もありますが、外国人投資家も今の日本はプレミアム状態、と認識している。本来なら売りでとりたいところですが、日銀による1日707億円のETF購入というテロにより、売りでとることも出来ない。結果、様子見、夏休み、として日本市場はスルーといった状態になっています。国内勢が買うと上がりますが、まったく上値を追う気配がない。プレミアム状態だと高値掴みするので、買いすら慎重にならざるを得ないのです。

しかし日銀の7月金融政策決定会合の『主な意見』をみると、日銀が深刻な政府の阿諛追従機関になっていることが鮮明です。「海外初の不確実性」「民間主体の経済をサポート」「円高による物価下ブレリスク」を追加緩和の理由としましたが、どれも「ではどうしてETFを購入すれば、それが解決できるのか?」という根本的な理念、思想がない。追加緩和をしなくてはいけない、でも手があまり多くない、だからETFの購入額を増やす、という三段論法に、正当性はまったくありません。説明のつかないことをしているので、効果の検証もできない。今は中身なき株高に推移しており、市場の歪みが深刻になっています。
日銀がこのまま毎年6兆円のETF購入をつづければ、10年後には60兆円ものリスク資産を抱える。そのころには国債も1000兆円に近づいているでしょうから、とんでもない規模の資産をもつ中央銀行の誕生です。しかも巨額損失をだす恐れが高い。これも米国の知日派、ジャパンハンドラーたちの戦略であるなら、日本を破綻させて米国の傘下にくみこむことが、その目的かと思わせるほどの酷い状況に、日本は向かっていることになるのでしょう。日経平均とTOPIXとの差をNT倍率として現しますが、その乖離が市場では話題です。日銀が日経225型の先物ETFの方を多く買うことで、それに沿った取引が増え、日経平均の方が大きく上がってしまう。そんな置いてきぼりのTOPIXですが、今日の終値1317.49という数字が『悲惨非難。死苦』と読めてしまうのは、強ち悲観的な見方とも言えないのかもしれません。原爆により、一瞬にしてあらゆるものを失った日、次の終末的な事象が株式や国債市場で起こらないことを祈る、そんな日にもなってしまっているのでしょうね。

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2016年08月08日

天皇陛下のお言葉

天皇のお言葉が伝えられました。「天皇の高齢化に伴う対処の仕方」が、国事行為を歪めてはならない。つまり高齢だからこの行事は簡素化しましょう、削除しましょう、などということは無理がある、とはっきり仰られた。摂政をおいても、天皇がその務めを果たせないことは『象徴』という立場ゆえに、『象徴』の務めを果たせない、とも仰られた。これらの言葉は、現行憲法に則った上で、皇室典範の改正が必要ではないか? そんな思いを暗に示された、と思われます。今回、特例法で解決しようとの動きが自民内でもありましたが、それではお心にそぐわないことがハッキリしたのでしょう。

しかし生前退位には3つの問題がある、とされます。1つは2重権威の問題。ただしこれは退位した天皇の権能を制限すればいいですし、そもそも摂政でさえ2重権威です。つまり今上天皇と退位後の天皇という二つの立場と、今上天皇と摂政という立場の違いにきちんと線引きし、意味づけすれば済む話です。もう1つは外部から退位を迫られるのでは? とされる問題ですが、生前退位の発議は今上天皇から皇位継承権の順にする。これで皇室内で話し合った結果として、発議されることになります。そして脳梗塞など、突発的な意志の表明が困難になった場合以外で発議はみとめられない、とすれば歯止めがかけられる。
3つめの問題、恣意的な退位をどうするか? つまり今上天皇がまだ元気なうちにもう退位したい、とするケースですが、それは本人が元気なうちでしょうから、皇室の中で皇位継承権のある者が話し合い、決めればよいと考えます。それ以前に、今は皇位継承権が自動的に決まってしまうのであって、本人が実力不足だと思っても、皇位を継承してしまうシステムです。つまり病弱で、高齢以外でも公務をつとめるのが困難、という場合でも関係なく皇位が継承されてしまう。そのシステムを変えない限り、恣意的というより本人のご意志による退位という形にしかならない。逆に、皇位継承権を恣意的に扱えるようにすれば、そこに問題も生じてきますが、皇室の総意という形で決めていく形が、お心に沿うのではないかと考えられます。

一番の問題は、宮内庁に派閥がある、とされる点なのでしょう。東宮家派か、秋篠宮派か。一時期、週刊誌をにぎわせた雅子妃へのバッシングも、こうした派閥争いの結果、秋篠宮派が流したとされます。女系天皇をみとめる動きは、東宮派がすすめている。こうした宮内庁内にある派閥争いが、むしろ天皇家を私的に利用しようとする。政治利用ばかりでなく、不逞の輩はこういうところにも隠れています。宮内庁がおかしな形で関与しないよう、罰則等を設けてもよいのかもしれません。大事なことは、皇室のご意志がきちんと反映される形です。
皇室典範が改正になると、恐らく改憲などをしている場合ではない。上記のような問題をどう解決するか、それだけで委員会は侃侃諤諤、国会の審議に移ってもどんな形がよいのか、について意見が錯綜することでしょう。しかも、その議論を適当に切り上げたり、中途半端な内容でとどまるようなら、与党への風当たりは一気に強まる。法整備すらままならないのか、という能力不足以上に、天皇家に対する尊崇の気持ちが足りない、ということで国民の心を離れさせるからです。今回、言葉を慎重にえらびながらも、きちんと意志を伝えた天皇陛下。それにどう答えをだすか。国会議員の能力不足も昨今、目だっていますが、これが宮内庁に壟断されたりしないよう、官(東宮家派)官(秋篠宮家)ガタガタと言わせないよう、国民もこの問題はしっかり見ていかなければいけないのでしょうね。

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2016年08月07日

中国公船の領海侵入

杉並でお祭りの列に火炎瓶が投げこまれた、との報道があります。情報は錯綜しており、未だに事実が分かりませんが、日本でも無防備な人を狙うソフトテロが拡大しているのか? 相模原の障害者施設を襲った事件もあり、懸念されるところです。

中国海警局の公船が昨日7隻、今日は6隻も尖閣周辺の接続水域にあらわれ、そのうち2隻は領海にまで入りました。これで尖閣国有化の直後、2012年9月18日に入った12隻を越え、最大数を更新しました。合わせて漁船も引き連れていることから、中国はここも自分たちの領海だ、権利があるのだ、と主張する目的もあるのでしょう。ただそこには多くの計算がある。まず安倍改造内閣が発足し、稲田防衛相になったこと。お手並み拝見、といったことは早い方がいい。その後の戦略が立てやすくなるからで、稲田氏が防衛相に就任、という観測記事が報じられてから、すぐに中国も動いたものと推察されます。
中国が動き易かった理由、その中には稲田氏が世界各国から警戒されていることもあります。極右、とされる稲田氏がここで海自などを派遣すれば、世界からは『危険人物』とのレッテルが貼られる。すぐに軍事に動く、と認識されれば、今後は逆に動き難くもなってきます。日本への圧力が高まり、さらに中国が活動しやすくもなる。極右の稲田氏だからこそ、逆に動き難い。そんな状況を中国は逆手にとっているので、日本は外務省を通じた抗議しかできない。何もできなくなっている、というのが現状なのです。

さらに中国にとっては、今の日本が世界からネガティブな印象でみられていることも、強気にでられる理由です。安倍ノミクスに失敗し、これから日本は凋落していく。中国とてバブルが弾ければ大変ですが、どれだけ経済が失速しても、人口12億の消費にはまだまだ魅力があります。日本と中国、天秤にかければ間違いなく世界は中国を支持する。そうした確信があるので、今の中国は強気にでられる。ここには日本が親米路線に傾斜していることも影響する。ナゼなら、日本が米国に阿り、さらに米国が力を肥大化させることが面白くない。米国以外にはまったく支持されないことを日本がする以上、世界は日本の力が削がれても一向に構わないのです。むしろ、その方がバランスがとれると考えています。
何度か指摘しているように、地球儀俯瞰外交なるものが成功していないのは、日本と直接外交するより、米国を通じて日本にモノを言ってもらう方が通じるから。日本を動かしたければ米国に、となっている。ただし今回は、領土・領海の問題になり、米国としても直接の口出しはしにくい。双方で解決する、が原則で、第三国が口を出す問題でもないからです。結果、安倍政権は何もできないまま、民主党政権の頃に対応できなかった、と文句をつけていた公船の侵入、その最高記録の更新をされてしまった、ということです。

ここで、もし安倍政権が中国の脅威に対抗するため、として自衛隊の拡張や安保法制のさらなる改正、改憲に手をつけて戦争できる国にすれば、国際社会はますます安倍政権に警戒を抱く。つまり元々、左よりの政権が中国の脅威に已む無く…といったことなら国際社会にも説明をできますが、右よりの政権が、稲田氏を防衛相に迎えることによってさらに右傾化を意識され、それによって軍事強化に走ることは国際社会への理解が得難くなってしまったのです。中谷氏のように無能を意識される防衛相時代にそれをしなかったことにも、それなりに理由が見出せるのであって、バランスを欠いた人事が招いたことでもあります。
むしろ、安倍政権が目指していたことが、ここに来て様々なトラブルを抱え易くなっている。その一端が今回なのでしょう。日本単独では国際社会を説得することができない。米国に頼るしかない、それは外交・軍事、両面でそれが強まってしまったのです。むしろ米国の知日派、と呼ばれるジャパンハンドラーたちの策略にまんまと嵌った、とも言えるのでしょう。もう米国なしでは日本が単独での存続が難しい。骨抜きにされてしまった、ということなのです。安倍政権がめざした『地球儀俯瞰外交』、いつの間にか諸外国から見向きもされていない『地球(上のすべての国から)総スカン外交』になっていた。そんなタイミングを見計らって、中国が仕掛けてきた。安倍政権にとってお腹の痛い話がまた一つ、増えてしまったのも、自らの態度の結果ということにもなるのでしょうね。

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2016年08月06日

民進党代表選に蓮舫氏が出馬表明

リオ五輪が始まりました。今回あまり興味をもてないでいるのは、ブラジル経済の陥っている現状が、五輪を祭典とは意識しにくい。大気汚染、水質汚染、ジカ熱の問題など、何も解決していない中で行われる点です。さらにロシアのドーピング問題など、時間が迫ってきたので、やっつけで始まっている時点で、何か五輪の矛盾を垣間見せられるようでもあります。東京五輪にむけ、盛り上げたいメディアはあまり報じませんが、こうした矛盾を抱えた中で行われる祭典とは? 世界が改めて考える必要もあるのでしょう。

農水副大臣や政務官に、経産省出身者がずらりと並んだことが話題です。農業法人の立ち上げや企業化を含め、TPPの成立を前にして農業の産業化をすすめよう、という安倍政権の意向が滲みます。しかし米大統領選ではトランプ氏がTPPに反対、クリントン氏が賛成、という形になっていますが、元々はクリントン氏も反対。国民の大多数は反対、という状況ですから、成立する見込みはかなり低い。TPPに関わらず、農水産物の輸出には産業化が必要、という考え方もありますが、円高によって今後の輸出には期待ができなくなっている中で、難しい選択を迫られます。
法人化、産業化、輸出には大規模化が必要という考え方がある一方、産業であれば破綻することもあり、事業継続が難しくなった場合、農地が放置されることになりかねない。さらに農業は事業の転換が難しく、不良採算の事業を切り捨てることも困難です。もし企業にするとしても、従来の考え方を適用するのは必ずしも妥当ではありません。むしろ農業には宗教法人のように、法人格だとしても一般の法人とは異なる適用をしなければいけないのでしょう。

人事面では、民進党の蓮舫氏が出馬の意向を表明しました。正直、早すぎるかな、という気もしますが、政治は勢いと時宜で、人事をつかみとっておかないと、好機が逃げてしまうということも多い。台湾の馬総統、英国のメイ首相、米国のクリントン候補など、世界は女性がトップに就く流れになっています。二年後の自民党総裁選から選挙が立て続けにあり、政局が動くことも考え、蓮舫氏もここで満を持したつもりなのでしょう。
しかし今、民進党は警察すら敵です。参院選のとき、民進党の施設に警察が監視カメラを設置していたことが発覚、警察は「監視対象がいた。民進党の施設とは知らなかった」としますが、もし警察の言うことが正しければ民進党に監視対象者が接触していた、となります。それを警察が「知らない」となれば、警察の怠慢なのか、無能なのか。むしろ最重要でその背後関係を洗う必要がでてくるでしょう。明らかに民進党の施設と知って監視カメラを設置しており、では何のためか? それが問題です。しかも違法捜査まで犯して。

もしこれを違法捜査でない、とするなら国家転覆など、重大事件の捜査対象とするなら安倍政権で改正された刑事訴訟法でも可能かもしれません。盗聴、通信傍受の対象が拡大されたためですが、要するに自民党が、野党を「国家転覆をめざす組織」と認定したら、通信傍受やカメラによる監視なども行えてしまうわけで、もし警察が早くもその運用を始めたのなら、この問題は恐らく一大疑獄事件にまで発展する可能性があるものです。
それを知ってか、一般紙ではほとんど扱っているところはありません。一部、テレビで事実関係を報じたのみ。それぐらい、根深い内容を含んでいる可能性があり、民進党としては徹底的に追及したいところなのでしょう。ただし、今は衆参でも野党勢力は3分の1以下。地元の警察署の担当者を証人喚問しようにも、与党がゆるさないでしょう。何しろ、すべてバレたら大変なことだからです。しかし民進党は、こうした警察の監視により会った人間まで丸裸にされ、そして民進党よりの人物には圧力がかけられる、といったこととも戦いながら、今後の政局を考えていかなければいけない、ということにもなるのです。

一度どん底まで落ちたら、後は這い上がるのみ。株式などの市場ではよく言われることですが、それは消滅という形のない世界の話です。政党のように、消滅の可能性がある場合は、下がった先には消滅もある。これからの民進党の道行きは、とても1人の人気者で何とかできるようなものではない、茨の道でしょう。リオ五輪の開かれるブラジルも女性大統領のルセフ氏でしたが、五輪前に更迭されました。女性のトップは一時期わっと人気が出ることもありますが、失速するのが早いケースもあります。ドイツのメルケル型になるか、それともブラジルのルセフ型になるか。それを決めるのは、政府の嫌がらせをどういなしていくか、といった度量にかかっているのかもしれません。今は「男は愛嬌、女は度胸」という言葉がふさわしいのかもしれませんが、そこに度量という懐の大きさま、見せなければいけない、そんな時代になってきているのでしょうね。

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2016年08月05日

雑感。年金と働き方

年金積立金が4年ぶりに減少です。先に5.3兆円の運用損は発表されていましたが、厚生年金の納付が45兆円、給付が43兆円。国民年金の納付が4.2兆円、給付が4.1兆円になったことが判明し、トータルで3.2兆円の減少と判明しました。ここで問題になるのが、10月から年収106万円、勤務先の従業員が501人以上などのパート社員にも、厚生年金と健康保険の加入が義務付けられる、という点です。大手などは501人の従業員を越すところが多々あり、そうなると余計に105万円以下に抑えようとするか、年金受給者なら尚更、中途半端に働くぐらいなら退職する、という選択肢もとり易くなる。条件によって受けとり額が増える人、減る人、様々なので一概には言えませんが、年金が破綻しないよう、納付を増やすことばかりを優先しているのです。しかし納付は右肩下がり、給付は右肩上がり、という現状は何も変わらない。一方で、マクロ経済スライドとして物価が上がっても低成長なら実質的に年金は目減りしていく、という構造問題も抱える。今の安倍ノミクスではまさにそういったことが起きているのです。
厚労省は年金納付者を増やそうとすることを考えるあまり、景気へのマイナス面を意識していない点も問題なのでしょう。年後半から景気が上向く、という人も多いですが、こうした負担増になる家計が増えるのですから、どうしてそうなるのか? 理解に苦しみます。高齢者でも余裕のある人は株や為替などで運用してきた。それも、もう右肩下がりの悪循環に入りました。7月の米雇用統計がよく、円安にふれてはいますが、大きな流れは当面円高であって、株高局面になりにくい。日系が買わないと上がらない、という現状は極めて上値追いには厳しい状況なのです。パートの社会保険料負担、国内の消費には悪影響になることが確実です。

6月の毎月勤労統計がでてきました。現金給与総額は前年同月比1.3%増、ただし所定内0.1%増、所定外0.1%減、もっとも増えたのが特別に支払われた給与で3.3%増。12月までは円安がつづいていたため、2-3月に行われる春闘でもボーナスの妥結額が増えたことが影響しています。しかし企業業績は、東証1部の上場銘柄の平均では10-12月からマイナスに入っており、1-3月期、4-6月期とマイナス幅が拡大している。来年のボーナスは目減りが確実でしょう。気になるのは労働時間が減少していること。特に所定外が減っており、不景気に伴い、仕事がなくなってきている。そうなると雇用面にも問題が波及していきそうです。
しかも賃金の伸びは業種別でみると不動産、鉱業、建設業の順で伸びが高く、不動産などはちょうど建設ラッシュで販売が増えたタイミングでもある。要するに特需です。鉱業は原油高、建設業は公共工事、復興需要と考えると、今の成長がどこに偏っているかもうかがえる。景気敏感の業種が押し上げたわけでもありません。実質賃金指数も前年同月比1.8%と伸びていますが、こちらは消費者物価の悪化がプラスに寄与しただけ。景気が継続的に伸びて行く兆候は、まったくこの統計からはうかがえないのでしょう。

6月の景気動向指数も出てきましたが、一致指数が前月比1.3pt上昇、先行指数が前月比横ばい。生産や出荷はプラス寄与ですが、販売に関してはあまり芳しくない。どちらかというと、在庫を増やす方向で6月は推移したのではないか、とみられます。またこの統計はあくまでBrexitを完全には織りこんでいない、6月の指標だということです。今は落ち着いているBrexitも、長期的にみるとマイナスの影響があるもので、今後はどう織りこんでいくか、日本の経済指標でもそれを見ていかないといけないのでしょう。
これまで、家計調査でも伸びてきたのは配偶者の収入です。夫が退職したり、再雇用によって給与が削られる中、妻がパートにでることで支えられてきた。そこに降って湧いたのがパートへの社会保険料負担の拡大、です。一箇所で働くと、負担を強いられることになるので2社、3社と働き先を増やすことでそれを回避するなら、雇用としては改善したように見えても、賃金の低下はより鮮明になっていく。日本の陥っている現状は働き方の多様化どころか、働き先の多様化であり、政府がそれを社会保険料の負担という形で後押ししているのなら、今後はより働き方の複雑化がすすむでしょう。そして、その中のどこかが従業員の社会保険料の負担を怠っていたら…。将来、年金をうけとるとき、こんなはずでは…という人が増えることになるかもしれず、余計に不安が増してしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:46|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2016年08月04日

日銀のETF買いと英中銀の緩和

小池東京都知事に対して、290万票をとったのだから批判するのはおかしい、という意見があります。しかし何千万票とろうと、批判はしなければいけない。問題はその論拠、批判に妥当性があるかどうかです。民意を得たからすべて正しい、といったことはなく、民意が間違えている可能性もあるのです。民主主義では何万票とろうと、それ以上に多く得票した人が勝つ、これがルールですが、だからといって正しい人が選ばれているわけでもない。残念ながら、そうした民主主義の欠陥がある限り、得票数など何の意味もない。要するに正しいことをしているのかどうか、それを見ていかなければいけないのです。

ついに日銀砲が炸裂、昨日より約倍増させた707億円をETF購入に当て、投資に積極的な企業を支援するETFを毎日買っている分も含め、719億円も購入してきました。後場にしつこく買う層がいて、日銀の動きを疑わせましたが案の定、といったところです。これで分かったことは、二段階の介入方法を準備しているのではないか? 相場を下支えするときは347億円、という従来型。切り返すまでもっていくときは707億円、という大型の介入。しかしここまでやってしまえば、PKO(相場操縦)であることは明白です。日中の東証一部の売買高に照らせば約3%、後場だけなら5%も日銀が買っている。あまりに異常です。
例えば長期運用を基本とする年金など、株式は危なくて買えません。今は日銀が買ってくれるから価格は維持されるけれど、健全な価格形成が阻害されているので、高値掴みをさせられる可能性が高いからです。日本のGPIFは国内株式の運用が義務づけられているので仕方ないとしても、海外の年金運用担当者からすれば日本株は外しておこう、となるでしょう。もし一部を日本株で運用したとしても、日銀がETF買いを中断した途端、大量に売却することにもなる。国債でも同様に、株式でも日銀は止め時を失いかけているのです。

そんな中、英中銀が7年ぶりの利下げを実施し、25bp下げて0.25%としました。国債買入れも600億£拡大して4350億£に。投資適格級の社債も100億£買い入れます。英中銀の決定がそれでも健全性を保とうとしているのは、国債は6ヶ月、社債も18ヶ月、と期限を切って対策を実施していること。当然、延長もあり得ますし、途中で方針転換により緩和幅を拡大することもあるでしょうが、止め時が事前に分かっているために市場が備えやすい。日銀のようにサプライズ狙いで政策を打っているわけではない、ということです。
同時に英経済成長率見通しをだしていますが、16年は2.0%で据え置き。17年は0.8%に大幅下方修正。18年は若干持ち直して1.8%。今年を据え置いたのは上半期の結果がよかったからで、年後半は悪化をみこむ。ただしこれも金融センターとしての地位を失わない、という楽観シナリオに則ったもので、EU離脱の協議の結果次第では、さらなる下方修正もありえます。その場合、英住宅バブルがどうなるか、分かりません。すでにその萌芽として各国で国債の利回りが上昇しており、安く借りて投資に回すスタンスが崩れてきています。

Brexitをうけて金融緩和へと舵をきった英中銀。安倍ノミクスは好調といいながら、どんどん金融緩和を深彫りする日銀。一概に何が正しい、ということはできませんが、より説明のつかないことをしている日銀、ということは一目瞭然でしょう。しかも、このままではJapanexit、日本の国債や株から外国人投資家が手を引いてしまう、そんな現象が顕在化するかもしれません。今の日銀が高値に維持しておけば、海外勢が食いついてくれる、といった分かり易く、現実的でない妄想のようなことを抱いているなら、結果は逆となるはずです。
最近、物議をかもす発言の多い石原経済再生担当相が、日銀の金融政策を「間違っていない」と発言しました。これで日銀が金融政策を見直したら「日銀のせい」とでも言い出しそうです。すでに日銀の金融政策を支持する人は少なく、今は悪影響の方がめだっている。誰もが支持していない、マイナス面が多い、それでも批判しなかったらどうなるか? 政策を見直せなかったらどうなるか? 『多数に支持された』安倍政権の行う安倍ノミクスにも、点検が必要なのです。今日も日系がこぞって日経225先物を買い、相場は上昇しましたが、この多数に支持されているから文句を言うな、という風潮の向かう先は、多数の死屍しか残さない、ということにもなりかねないのでしょうね。

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2016年08月03日

第三次安倍改造内閣について

日銀のETF買い、昨日の財務省・金融庁の認可をうけてどう変化するか? と思っていたらこれまでと変わらず347億円。そもそも1日347億円も内部ルールであって、いつでも変えられる。逆に変えないことで、枠を使い切るにはほぼ毎日、買いを入れることも可能です。ただしそんな無手勝流で市場に介入をくり返せば、市場の価格形成機能を阻害するだけでしょう。
さらに今回、国債の不安定化や円高を引き起こした要因に、29日の金融会合で決まったドル資金供給オペの担保となる国債貸付制度の新設、ドル資金の供給枠を120億$から240億$に増やしたことが影響したのでは? という見方もでています。年初から邦銀のドル調達コストの高止まり、が懸念されていましたが、その緩和措置です。しかし逆に、邦銀が多くコストを支払っている、ということは逆からみれば外銀はその分儲け、その分を円債へ投資してきた。つまり儲けが得られなくなった分、国債を売り、金利差が縮小して円高になっている、というのです。しかし金利上昇は世界的な流れです。日本がその影響をもっとも強くうけるのは、金融緩和のトップリーダーだった日本が、態度を転換するのではないか? そんな懸念からなのでしょう。壮大な実験場、日本が失敗を認める、それが金融市場の動揺をさそいます。

第3次安倍改造内閣が発足しました。第一印象は小粒感、重要閣僚は留任で、大した仕事もしていないけれど、過不足のない閣僚は配置転換。そして安倍政権への論功で入った人が多数。安倍色が強く出るだろう、ということは窺えます。経産相に世耕氏、地方創生担当相に山本幸三氏など、二階幹事長まで含めて、何ごとにも介入することが是、と考えている政治家たちです。メディア、市場、たびたび口先介入をくり返し、二階氏など西松建設から献金をうけるなど、建設業界の受注競争にも介入してきた、と噂されます。言ってみれば健全性を蔑ろにしてでも、自分の意思を通そう、という考えをもった政治家です。
さらに稲田防衛相、加藤一億総活躍担当相など、おトモダチの再任、留任もありますが、これが「安倍ノミクスをふかす」なら、言葉は悪いですが「ヘソで茶を沸かす」レベルです。そもそも海外ではすでに「安倍ノミクスは失敗」と報じられており、面子が代わらなければ失敗をさらに押し進める、とマイナスに受け止められる。安倍色が強くでるなら、ますます何も変わらない、政策を見直す機会もない、となります。その一方で、確実に日銀などは政策の見直しに傾いており、安倍ノミクスをつづけることすら難しくなっているのが、現状です。その中で変わらないメンバー、むしろ閣内に入って、より強化されようとしている。一体、何ができるか? 逆に何かしたらマイナスではないか? そんな不安もあります。

さらに、法務や環境など、明らかに仕事を期待してなったわけではなく、年功でなった閣僚に一体何を期待しろ、というのか? これまで成果もなく、悪弊の目立つ財務、総務、外務の三大臣が何をしてくれるのか? 特に今日も北朝鮮がミサイルを発射、日本の排他的経済水域に落ちました。通告もなく、また日本政府もこの動きを掴みきれていなかった点も問題でしょう。さらに「毅然と対応」と、安倍政権はいつも同じ言葉をくり返しますが、一体何回「毅然」としたら、北朝鮮の態度が改まるというのか? むしろ打つ手がないのに、国内向けに「偽善」をしているようにしか、見えなくなっているのです。この三閣僚には「務」が入りますが、正直何の務めも果たしていないとしか思えません。
内政も外交も、実は何一つ上手くいっていない安倍政権。経済すら不規則な動きが増えてきて、国債バブルがはじけたら、一気に坂道を転がり落ちるように景気が悪化する恐れも出てきてしまいます。安倍氏は会見で「最優先会談は経済」「政策通・重厚な経済閣僚」などと述べますが、一言でいえば経済のダイナミズムも理解しておらず、恣意的に動かせる、と考えている勘違い、重厚どころか言葉の軽い閣僚たちです。本当に何の期待も抱けない、としか思えません。北朝鮮が撃ったミサイル、日本が放ったバズーカ、いずれも国際社会からみると、厄介モノにしか見えなくなってきました。国際社会から日本も「毅然と対応」される日がくるのも、近いのかもしれません。第三次…大惨事に読めてしまうのも、強ち勘繰りすぎとは思えなくなってきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(22)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年08月02日

麻生財務相・黒田日銀総裁の会談

国際通貨基金(IMF)による対日審査の年次報告書、マイナス金利について代替策をとるべきだ、と厳しく糾弾しました。安倍ノミクスも「物価上昇の推進力を失った」、金融政策も「大規模緩和が長引けば、急変動などシステム不安が高まる」とします。まるで日銀の「総括的な検証」を後押しするかのようです。消費税は「15%まで段階的に引き上げる」旨を載せたのは、財務省の意向が色濃く滲んだ結果でしょう。今日も麻生財務相と黒田日銀総裁が会談していますが、最近では政府、日銀は接近しすぎという意見と、すきま風が吹き始めた、という意見の2つがあり、どちらも正解のようです。
麻生、黒田会談後、麻生氏が40年債の増発について検討、と表明しました。要するに、露骨な『簡易ヘリマネ』の導入を次回会合で検討してもらう、として市場期待をつなごうとしたのです。しかし結果は逆、国債は金利が急騰し、為替は円高にすすんでいます。これはマイナス金利の見直し、といったことが強く意識された結果です。緩和縮小は黒田氏も明確に否定しますが、「総括的な検証」の中で、マイナス金利は見直されるだろう。特に、より長めの国債を引き受けるとなると、余計にマイナス金利が邪魔をする。金利がつかない長期国債は、もっていても収益性に寄与しない。むしろ収益にはネガティブでしかないのです。
銀行の収益が4-6月、大きく悪化したように、日銀とて金利差により利ざやを稼ぐ体質であることに何ら違いはありません。それが企業や個人なのか、金融機関を対象にしているのか、だけのことです。マイナス金利の効果は限定的、むしろ悪影響が目立つ。だったら、ゼロ金利にもどした方がいい。すでに金融機関のリポートでもそういったものが目立つようになっており、麻生、黒田会談はそうした意識をより強く惹起させたのでしょう。

政府が第2次補正予算を発表しました。事業規模は28.1兆円とされますが、真水はこれまで報じられていたものより1.5兆円上積みし、7.5兆円。単年度ではたった4.5兆円です。政府はGDPを1.3%押し上げる、としますが、しかし15年度の補正予算は3.3兆円。たった1.2兆円の上積みでしかありません。昨年は臨時国会が開かれず、年初の補正予算成立になりましたので、短期間に補正予算が組まれることにはなりますが、それにしてもGDP押し上げ効果などは金額ベースでみても0.2%の押し上げ効果ぐらいのものでしょう。
それ以上に問題なのは、1.5兆円の上積みを一体どんな財源から捻出したのか? です。詳細は不明ですが、年金の利払い負担の減少を財源としたのなら、ここに来ての金利急騰は逆風ともいえます。建設国債が大半のようですが、最近、政府で語られるのは外為特会や国債利払い負担の減少、などマイナス金利に依拠した歳出の目減りをその財源として活用する意見ばかりです。その逆回転がここに来て鮮明になりつつあるのなら、今後は政府が景気対策に回す予算も、枯渇して行くかもしれない。緊縮財政を迫られるかもしれないのです。

安倍政権ではプライマリーバランスの改善方針に、高成長を組みこんでいますが、実際には安倍政権になって低成長。むしろ遠のいたといえるのでしょう。そして、これまで日銀とタッグを組み、余剰資金を景気対策に回してきた、いわゆる好循環が、ここに来てひっくり返ろうとしている。その萌芽がここにきて、顕在化しつつあるのです。
日銀としても、政府といつまでも付き合っていたら、一緒に批判の的にされる。財務省としては政治を盾に逃げることもできますが、黒田日銀は政策の失敗について、直接つめ腹を切らされる立場にあるのです。政府に協力しつつ、政府とは立場を異にしよう。そんな態度が「総括的な検証」に含まれるなら、日本経済は大きく下方修正を余儀なくされる局面にきている、といえるのでしょうね。


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2016年08月01日

都知事選後と自民党内人事

今日の東京株式市場も強い動きでしたが、やはり日系しか買わない。先週末、買い過ぎた一部はポジションを落としていますが、国内勢の買いが相場を支えています。今日も日銀は動かず、6兆円に増額したETF購入の戦略も見えませんが、大体立会いは年間200日なので、毎日買いを入れても300億円がつかえる。これまでは1日で300億円強を、前場で下落した局面で入れていましたが、それがどう変わるのか? そこまでは国内勢の囃し買いが相場の下支え役になりそうです。しかし海外勢は一向に様子見、むしろ日本の担当者は夏休みに入ってしまったようで、それだけ注目度も下がってしまっている、ということなのでしょう。

昨日の都知事選後、安倍政権に近いメディアからは野党連合の限界、といった報道が出ていますし、今日になって民進党の長島氏が共産との連携を見直す、として代表選への出馬を示唆しました。都知事としても推されない人が、代表選にでたとて支持を集められるとはとても思えませんが、安倍政権に近いメディアは歓迎ムードで報じます。逆にいえば、それほど野党連合が怖い、民進と共産が連合して欲しくない、と考えていることがうかがえます。今回の都知事選でも、野党相乗りでなければ惨敗していたはずで、それほど酷いネガキャンが展開されていたのです。野党が今後、考慮するのは野党連合の見直しではなく、ネガキャンへの耐性をもった人を選ぶ、ということにもなってくるのでしょう。心が弱い人では自民に敵対する、といった途端に人格攻撃までされ、社会生活すら危うくなるのですから、社会の手の平返しに耐えられるはずもありません。
小池氏が都知事になったことで、早くもおおさか維新が都議選で、小池氏を担いで新党をつくる、といった話がでています。日本会議にも近いとされる、超保守系の小池氏なら、お維と組んでも何の不思議もありませんし、むしろ安倍首相と橋下氏が会談したことからも、小池氏をお維で囲って自民との共闘を模索する展開を、官邸側が描いていることもうかがえます。極論をすれば、これで日本会議に国体も首都も牛耳られる、ということになりました。その結果、何がおこるかは議員、有権者さえ予想できてはいないのでしょう。

自民党の党内人事も固まってきました。幹事長には頚椎を損傷した谷垣氏に代わり、二階氏になりそうです。最近、安倍氏に阿る発言をくり返しており、安倍氏からも「政局が読める」と絶賛ですが、経世会の流れを汲む利権ずっぽりの人でもあります。むしろ小沢生活代表の陸山会事件の際、経産相だった二階氏にも西松建設から献金が流れており、こちらが本命視されたほどです。しかし二階氏に捜査の手は及ばず、秘書を切って生き残った。自民党を離れていた時代も含め、政界渡り鳥としては小池氏と同じで、風を読むのが上手いとは言えますが、後ろ暗いことがあるからこそ安倍氏におべんちゃらを使う、という目でみると、安倍政権は大きな爆弾を背後に抱えてしまった、とも見えます。
しかし今日、甘利氏も国会に復活したように、大臣なのに斡旋利得が適用されない、という流れは以前からつづいてきた。それを二階氏の幹事長就任は想起させるのでしょう。いずれ甘利氏も要職で復活、となるのかもしれません。安倍政権を阿諛追従しておけば、不正や犯罪をおかしても大丈夫、捜査に手心を加えてもらえる、そんな態度も目立ってきました。果たして小池氏は? 安倍政権との距離感は弁えていたように、すぐに都議会との関係修復をうちだした。探られてはいけない腹が、やはり小池氏にもあるようです。

しかし日経新聞が、安倍氏は倒産件数の減少を成果のように語るが、実は…といった記事を上げるように、もう経済の世界では探って報じておかないと危険水域に入りつつある、諸々の事情もでてきました。雇用回復も実は…、賃上げも実は…。今後はそういった真実の報道が増えてくるのでしょう。逆に、それがないと国民が知らないうちに突然死、ということもあり得る。例えば日銀のETF購入、海外勢が売りを溜めておき、海外の経済専門家から批判させたり、G20などの場で懸念を伝えたり、といったことで制度を改めさせれば、市場は一気に急落してしまうことでしょう。中央銀行が驚くほどの市場介入をくり返している、というのはどう考えても異常だからです。真実の報道に怯える、当たり前の状態にもどる、それすら困難になりつつある安倍政権ではネットの活用も活発ですが、仮想世界の住人ばかり喜ばせていると、現実からそっぽを向かれることにもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般