2016年09月

2016年09月30日

8月の経済指標

豊洲移転問題で、小池氏が都庁内の調査結果を公表しました。しかしいつ、誰が、は分からないとします。小池氏も政治家、都庁職員を責めていけば反発もでるので、犯人特定を見送る代わりに味方をつくった、というところなのでしょう。分からないはずがなく、知らずにサインしました、は明らかにその人物に責任があり、また発注書なのか、基本設計の計画段階なのか、どこかで仕様書をもってすすめられたはず。それを「無責任」という言葉で、犯人が特定できないことこそ「無責任」です。
地下水は飲み水じゃないから多少の汚染はいい、地下空間を盛りこんだことは英断、などの意見も目にしますが、今は砂利層がろ過装置の役目をもちますが、時間が経てば砂利も汚れ、有害物質が上がり易くなります。そのたび砂利層をすべて撤去し、新しいものに入れ替えていたら大変な工事です。配管のメンテナンスに必要、との意見にしても、メンテナンス用のトンネルをつくれば済むのであって、電線の地下化の話でもインフラ設備をまとめてトンネルに集約する話がある。建物の下、すべてを空間にする必要はありません。英断というからには『すぐれた判断』でなければいけませんが、これは複数ある選択肢のうちの一つを、技術会議の提案や説明とは違うが採用した、というだけの話でしかないのです。正しさの判断は人によって異なるケースもありますが、変な説明をすれば、その正しさ自体が不明瞭となってしまいます。

今日は経済統計の集中発表日です。まず有効求人倍率が1.37%と前月から横ばい。ただ中身は相変わらず、新規求人が伸びたのは教育・学習支援、宿泊・飲食、医療・福祉。低賃金や待遇の悪い業態が2桁の伸びを示しており、安倍首相も誇らしげに「有効求人倍率が…」などと語る前に、こうした業態の待遇を改善すれば、むしろ有効求人倍率は減っていく方向です。つまり高止まりをつづける背景は、政府の無策でミスマッチが解消されないから、ということですので、自分の失敗を誇らしげに語る、恥ずかしいことでもあります。
8月の労働力調査では、完全失業率が3.1%と前月比0.1%上昇。ただ、役員を除く雇用者5382万人のうち正規が3353万人のうち前年同月比24万人増、パートは985万人のうち46万人増。労働者全体に占めるパートの割合が急拡大していることが、この数字からも分かります。産業別就業者をみても、上記の3つの産業が高くなっているものの、求人が減らないのですから、人手不足がこの3つの産業では顕著で、埋め切れていない現状もうかがえます。

家計調査は深刻で、2人以上の世帯の消費支出は前年同月比、実質4.6%減。消費者物価が0.5%下がっているため、名目だと5.1%減。いくら8月が天候不順といっても、9月はさらに天候不順がつづくので、回復の見込みもないということになります。ただ収支でみると世帯主の収入が実質で1.8%増となり、若干の明るさもある。しかし配偶者が実質で5.7%減になった。昨年は逆の動きが多かったので、世帯主に下げ止まり感、配偶者には上限がみえてきた、となるのかもしれません。だから政府は配偶者控除を外し、配偶者にどんどん働かせて家計の可処分所得を増やそう…と考えているのでしょう。そうなると子育てでパートの職を離れる主婦は辛くなるのでパートにも育休を、という話にもなってきそうです。
8月の鉱工業生産指数は前月比1.5%上昇ですが、出荷が下がって在庫が増えた。先行きにはあまり期待できそうにありませんが、最近の指標ではちょっとでもよい数字がでると、基調判断を上方修正する傾向もあり、「一部に持ち直し」から「緩やかな持ち直し」に修正されました。ただ家計調査の消費支出をみても分かる通り、消費はまったく活発ではありません。

安倍氏の用いる「デフレでない」という言葉は、もう通用しないのでしょう。生鮮食品を除く総合で、6ヶ月連続の下落。しかも2月の0.0を除くと、今年に入ってずっと下落なのです。正しくは「デフレに戻った」です。有効求人倍率も、低賃金の業態を放置することにより、求人数が高いだけ。安倍ノミクスの成果って…? 本当に株価だけになってきました。その株価を支える日銀も、国債の買い入れ額を減少させると発表し、これが新たな引き締め効果を生じます。すでに10年物国債は0.1%に近づいており、0.0%に誘導する、とした日銀の思惑を外れています。誘導目標を達成できない、言っていた成果も剥落した、安倍ノミクスはもう失敗が明白になりました。日本経済は豊洲より先に、地盤沈下していくことが確実でしょう。こちらの犯人探しはもっと大変そうで、安倍政権、黒田日銀、そしてそれに協力した学者や有識者たち。これらがこの国の権力構造に深く食いこみ、政治力を行使している以上、有害物質がいつどこから沸いてくるか分からない、そんな状態で沈んでいくしかないのでしょう。デフレに逆戻りした以上に、この国はこれからの長期失速をどう覚悟していくか。日本経済に関して「英断」が必要になっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:52|PermalinkComments(14)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年09月29日

OPECの減産合意と、独銀の問題

OPEC減産合意…正確には、生産量を加盟14ヶ国で日量3250〜3300万バレルに制限する、ということですが、イランやリビアなど、増産に前向きな国はある程度許容する、ということで、その分はサウジなど他の産油国がかぶる、といいます。本当にこんな内容で合資したのか? 裏があるのでは? との懐疑も見え隠れする。そもそも増産凍結をしたところで、供給過剰が解消される見込みもない。他の産油国がその分増産するでしょうし、現状は供給過多の状態がつづいている。需要がない中で生産能力だけが伸びて行く異常事態です。企業、もしくは国家がどんどん破綻し、生産側が減少するわけではない増産凍結で、原油価格が上がるはずもないのですが、今は思惑と驚きとで上昇しています。
あくまで噂レベルの話ですが、正式合意は11月ですから、その間にサウジ政府が資金調達をめぐり、何らかの材料が必要だったのでは? 原油価格が上昇していれば、有利な条件で資金調達できます。またアラブの雄として、ここで指導力をみせつけることが前提だったのかもしれません。いずれにしろ、11月までに非加盟国との協議、またOPEC内でも足並みが乱れ、合意が齟齬にされる恐れが拭えないまま、一旦は小康を迎えたのでしょう。

欧州では独銀の問題が再燃しています。米規制当局から、住宅関連債券(MBS)の不正を指摘され、140億$の課徴金を要求されましたが、独政府が支援を拒否。独銀単独でまかないきれなければ破綻する可能性もあります。市場では米当局が課徴金の支払いを減免する、もしくは独政府が支援する、他の金融機関が支援にのりだす、などの選択肢で救済されるとみており、小康を保っていますが、今のところ単なる期待でしかありません。
リーマン危機と比べても桁違い、独銀の破綻は金融取引を一時的に崩壊させかねないインパクトをもつ、とされます。正直、そのインパクトは予想できませんが、恐らく世界的に金融取引が大混乱に陥り、しばらくはショックから立ち直れないことになるでしょう。金融機関、国家、いくつ破綻するか? といったレベルです。下手をすればECBでさえ経営危機に陥る。どこの中央銀行も国債を保有しすぎており、暴落のショックを中銀もうける。資金供給の余力も少なく、すれば通貨が暴落する懸念すらある。世界は少しでもマシなところ探し、がはじまるのかもしれず、その順に回復することになるのかもしれません。

日本の株式市場は、半期の末になる9月末にむけて、日系の頑張りで支えられた状況です。為替も円安にして、企業の海外での売上げを良く見せかけよう、とする動きもある。仮に12月解散なら、9月末の成績はそのまま選挙にも影響します。必死にもなる、といったところでしょう。年金、企業業績、国内に不安が巻き起こることにもなりそうですから。
ただ、世界はそう安寧ではいられそうもありません。実はちょっと耳にした話で、OPECの増産凍結も、実は欧州発の金融危機にサウジが焦った、そんな事情があったようです。中東は歴史的に欧州の金融機関との付き合いが深い。独銀の問題、伊銀も不安定なところが多く、ここに来てBrexitもあって英銀にも頼れない。中東にとっても欧州金融機関の問題は、かなり深刻なのです。しかし上記したように、最終的に減産で非加盟国をふくめて合意できる見込みは、限りなく低いですし、もし仮に合意できたとしても、こっそりと生産枠をやぶって増産している国を罰することができない以上、効果はないということにもなりそうです。仮初めの合意で市場が浮かれるところをみても、それだけ危機意識は高い、ということです。今のところ、抜本的な何かが変わらない限り、行き着く先にあるのは国家が死屍累々と横たわる、極めて不幸な未来でしかありません。一つの動きで世界が連なって動く。欧州の金融不安で、中東が動かざるを得なくなる。そしてこれまで、ISILや露国への牽制として原油安をみとめてきた米国が、ここで態度を転換してサウジの動きを容認した背景は? それらを考えると、安易に浮かれてばかりでは、その水準から一気に叩き落されることも覚悟しておかなければならない、となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:49|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年09月28日

働き方改革と、給与実態統計

安倍首相が「安倍ノミクス第3の矢、構造改革の柱」とする働き方改革。しかし「改革」は必ずしも良い方向になることを約束しません。改革とは古い体制を変えることで、改善を意味しないからです。むしろ改悪もありうる。そして大企業優遇型の安倍政権では、労働者が後者になることもあり得るのです。
それは同一労働同一賃金、非正規をなくす、もしこれが現実に達成されたとき、正規雇用並みの待遇に労働者全員がなる、というなら企業には大幅なコストアップが迫られます。すると収益を圧迫するので、株価は下落します。しかし今の市場で、そんなことは全く意識されていない。つまりこの『働き方改革会議』とやらで決まることは、企業にとって優しく、労働者にとって厳しいものとなる、というのがコンセンサスだからです。市場が間違えている可能性もありますが、恐らくこの予想は市場が正しいのでしょう。

そんな中、国税庁から給与実態統計がでてきました。まず注目すべきは給与所得者数と、源泉徴収義務者数です。雇用が増えた、が安倍氏の主張ですが、給与所得者数をみると25年は2.1%、26年は1.0%、27年は1.0%と伸びています。ただし、リーマンショックの翌年の21年は1.6%減ですが、それ以前でも0.7%の伸びで推移しているので、殊更に安倍政権で高くなったわけでもありません。しかも東日本大震災のあった後、24年にも0.1%減と、大きな悪材料で減った分がこの3年で乗った、と考えると、殊更に高い伸びではないのです。また源泉徴収義務者が26年、27年と増えていますが、これと世帯主の収入源などの実態と重ねれば、妻が扶養控除を外れて働く割合が増えたのかもしれず、雇用が改善していない可能性も残されています。一つ云えるのは、安倍氏が誇るほどではない、ということです。
次に、給与総額における税額の割合です。リーマンショック以後、民主党政権の頃は概ね4%前後で推移していたものが、安倍政権になってから25年4.35%、26年4.38%、27年4.39%と軒並み4.40%近くで推移。実に0.40%も税負担が増えている。所得税は前年実績に基づきかかるので、給与が増えているのか? というと伸びはそれほどでもない。確かに東日本大震災後、大きく落ちこんだ後には反動増もめだちますが、26年は1.4%、27年は0.8%、それに比べて税額の伸びは2.1%増、1.0%増なので、給与を上回って納税が増えています。安倍氏はプライマリーバランスが14兆円改善した、といいますが、消費税増税分と所得税のとり過ぎ、これで消費が回復したら奇跡でしょう。税額割合は5%に近いときもあったので、『とり過ぎ』は言いすぎかもしれませんが、民主党政権時代より内需が振るわない原因は明白です。エコ補助金などの購入助成金もなくなり、納税額が増えているのですから。

1年を通して勤務した給与所得者数をみると、25年は正規が1.5%増、非正規が5.3%増、26年は1.6%増、4.9%増、27年は1.2%増、3.0%増。非正規の伸びが圧倒的に高い。しかも、非正規だと半年、3ヶ月など雇用形態もまちまちなので、この数字よりかなり多いと推測できます。これが安倍政権の雇用増のからくり。しかもその伸びは鈍化している。東日本大震災からの復興で、乗っかっていた事業再開のボーナスが剥落しかかっているのです。
大体、この統計の数字で注目されるのは民間企業の平均給与ですが、420.4万円と、1.3%の伸びです。そのうち正規は1.5%の伸び、非正規は0.3%の伸び、とここにも格差がありますが、平均給与は正規が484.9万円、非正規が170.5万円。同一労働かどうか、勤務時間は同じか、など詳細が分からないので、単純比較はできませんが、実に3倍近い開きがある。これを福利厚生まで含めて同一の条件にしようとしたとき、無理があるのは誰の目にも明らかです。

しかも、この平均給与の問題は、役職員も含んでいることです。役職員の手当てにはストックオプションなど、株式を宛がわれるケースも多い。つまりここ数年の株価の推移をみても、役職員の手当ては見かけ上、かなり上昇していたことになり、それを含んでの1.3%増であるなら、役職員を除く一般社員の給与は横ばいか、むしろ下がった可能性が高いのです。安倍政権は「有効求人倍率が改善した」という言い方をして、あたかも雇用が改善したかのように言いますが、国税庁という厳しく税をとりたてるところがだした指標からは、決して雇用が安倍ノミクスで増えた、今後も増えて行く、という傾向はうかがえません。そして働き方を改革した先に、どんな日本の姿が待っているのか? 構造改革の柱どころか、構造改革なのかしら? という懐疑的な見方が強まるなら、安倍ノミクス退散の矢となって、安倍政権に突き刺さることにもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年09月27日

日本の代表質問と米討論会

米国の大統領選討論会、内容についてはふれませんが、面白いのは世論調査の結果です。従来の電話をかける形式ではヒラリー氏が勝ち、ネット調査ではトランプ氏の勝ち。これは嫌われ者同士で、聞かれればどちらかを判断するようなケースではヒラリー氏に、自ら意見を表明するネット調査では、強固な支持層をもつトランプ氏を優勢とする。つまり全体ではヒラリー氏が勝ったけれど、それでもトランプがいい、という人は相当数いる、ということを示します。今回、双方が特色を消した討論会でしたし、中身はあまりありませんが、ここで示された傾向が、残り2回の討論でどう変わるか? 要注目です。

日本でも代表質問が行われています。安倍首相は「TPPの再交渉はしないから、日本が先行承認しても問題ない」としますが、では米国が「日本が再交渉に応じないから自分たちは承認せず、TPPは消滅」といったら、日本はそれを飲むのか? 今の条件では承認しない、と米大統領候補は2人ともそう言います。だとすれば、日本は承認される見込みのないものを臨時国会で、何時間もかけて議論するのか? 極めて非生産的といえるのでしょう。それに、もしそこで再交渉となった場合、改めて国会で変更になる内容について再承認するのでなければ、話がおかしくなるでしょう。いずれにしろ臨時国会のような少ない日程で決めてしまうにはあまりに不透明な要素が多く、極めて問題がある、といえます。
年金の運用損の問題でも、安倍氏は「年金財政上の問題は生じない」「年金額に影響しない」としましたが、当たり前の話です。運用損を重ねていけば、年金の運用財源が早くに枯渇し、その分を税金で補う時期が早まる、というだけの話です。そのときは「社会保障費が財政上の負担」といって、またぞろ増税の話が蒸し返されることになる。年金を破綻させないようにする限り、しわ寄せが来るのは年金財政ではなく、一般会計の財政です。年金財政は、ゼロになったら運用しない、できないというだけで、別に問題が生じることもないのです。ただ、安倍政権では一つ気がかりなのが、年金の株式投資などで、信用取引を始める可能性があることです。レバレッジをかけて取引すれば、損失も拡大する可能性があり、原資を上回ってマイナスになるかもしれない。そのときは年金財政に問題も生じてきます。株価底上げに躍起な安倍政権が、禁断の手にのりだす可能性は否定できません。

ただ、野田氏の質問の「自民改憲草案を撤回し…」というのは意味不明でしょう。撤回しなくても議論できますが、問題は叩き台である草案にかなり問題がある、という点です。だからといって民進党内で意見をまとめることもできず、野党案も調整しにくい。だから撤回して…というのは、結果的に野田幹事長の手腕の限界を露呈したに過ぎません。改憲にのれば、結局はこうしてその難しさを痛感することになる。民進代表選ではあまり重要視されなかった改憲ですが、いきなりその困難さに直面した形でもあるのです。
昨日の所信表明でも、安倍氏は「非正規をなくす」などと高らかに宣言していましたが、恐らくそのときは正規もなくなるのでしょう。「働き方の多様化」の看板の下、境がなくなっていけば、確かに非正規はなくなります。同一労働・同一賃金など、今さらそんな看板を掲げられても、今までできてこなかったことが異常なのです。そしてなぜか、代表質問ではあまり重視されなかった。何をどうするかは、専門家会議で決まることで、まだ形がないから…というのでは、野党としては一歩も二歩も出遅れています。連合を支持母体とする民進ならでは、という提案をしても良かったでしょう。結局それが採用されれば与党の手柄、とされる恐れもありますが、個別の委員会で提案しても、一般には報じられずにそうなります。代表質問なら注目度も高く、民進が提案した、ということもできたはずです。

罵り合いとなり、政策論争がすすまない米国の討論会も問題ですが、野党の質問の質も低い、与党の応答もそれに輪をかけて国民をバカにしたようなものが多い、という代表質問も問題なのでしょう。トランプ氏がよく使う「アメリカ・ファースト」ですが、実はどこの国でも、政治家が本来、胸にきざむべきは「国民・ファースト」のはずです。その国民の方を向いていない質疑応答、米国は嫌われ者同士、日本では信用の無い者同士、という意味では、ほどよく日米の政治の特徴を現しており、どちらの国の政治も『逝治』に陥っていることを現している、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月26日

安倍首相の所信表明演説

第192臨時国会が召集され、安倍首相が所信表明を行いました。注目すべきは「自衛隊員に敬意を表そう」といって安倍氏が呼びかけ、自民党議員が全員起立して拍手したことです。これまでも安倍政権は韓国や中国のマネが多い、と指摘してきました。それは戦前の日本がとった統治の手法を、日本は敗戦で改め、中韓は戦勝国だとして改めることなく今に引きずっている。その結果、戦前回帰をめざす安倍政権は必然的に中韓と似てくる、ということでもあります。しかし今回のように、中国共産党や北朝鮮のような手法は、間違いなく品もなければ、最悪といえます。正直、とても気持ちの悪くて仕方ありません。
そもそも、安倍氏が中国、北朝鮮との緊張を煽り、また自衛隊の対応が拙くて日本は常時警戒態勢、という異常なレベルの緊張を強いています。スーダンでは銃弾が飛び交い、それでも自衛隊は常駐させられている。先進国は最早、スーダンから軍を退いているのに、日本だけが残っている。これが中国への対抗でなければ、単なる安保法制の実績づくりのために、自衛隊員が人柱になっている。そういう状況をつくっておいて、拍手なり敬意という言葉で誤魔化してしまうところに浅ましさ、いやらしさを感じます。こんな人間たちのために、危険に晒されている自衛隊員の方々は、本当に気の毒に感じます。

今回、今までは言及する政策一々に特殊な成功例をひき、自画自賛していましたが、そうした例は少なかった。ただ「介護士をめざす」「美しい田を守る」などの言葉を忘れない、と述べていますが、当たり前すぎてなぜ憶えているの? という方が逆に不思議です。介護士、農家、その職業につくなら当たり前。逆にそんなことを安倍氏は心に留めてしまうほど、当たり前のことをこの人物は分かっていないのか? 宇部の企業でオンリーワンの技術で世界に…という話にしても、政策の効果ではありませんし、そういう企業を日本につくる、としても、ではどうやって? がない。低利融資でそういう企業が育てば苦労はしません。
『未来への懸け橋』という項目で、水路を引く例がでてきましたが、インフラがないところにインフラを通せば、より高い効果が生まれる。しかし日本にそうした地域は皆無です。ということはインフラ整備などの公共事業での効果も限定的。なのに、それ以外の経済政策がでてこない。「東京、大阪をハブに日本を一つにした地方創生回廊…」など、効果はないでしょう。観光も成果を誇りますが、円安効果が途切れた今、伸びていく産業ではないのに、港湾整備や制度改正で日本に来易く…と、やたらと力をかける。農業も同様ですが、TPPですら発行が怪しいのに、それに頼って成長しようという。どれもが危ない綱渡りの上で、成果を出す前に果たして前提条件が成立するのか? というところから怪しさ満載です。

リオ五輪の成功や、宇部の蒲鉾店など、他人のふんどしで相撲をとるのが大好きで、自分の成果でないことを語りながら、『未来』を強調する。しかし今の幸福を語れない人間ほど、「未来はすばらしい」という。その例に今回も洩れません。今が失敗しているから、今の成功を並べることができず、他人のよい話をまるで自分が為したことのように語り、自分もそれに乗っかる形でイメージをよくする、というのはどこの宗教でも取り入れていることです。今回の所信表明も、多くがそうしたまやかし、で溢れていたともいえます。
「スタンディングオベーションは自然発生的」と、自民党は語りますが、ウソでしょう。同調圧力があったとしても、安倍政権に睨まれたら何をされるか…。しかし本来、3分の2を維持するためには党員を大事にしなければならない。若狭氏が補選に出馬するケースでも、口頭注意にとどまったことをみても、与党の政治家はもっと強気にでられるはず。実は一人一人にこの政権との向き合い方をつきつけているのです。全議員がスタンディングオベーションを行った、その時点で与党議員の腰砕けぶりがみてとれるのでしょう。米国流の手法を日本にも…ということで、安倍氏が率先してこの演出を行ったのでしょうが、どうもこの横文字をみると、マスターベーションにしか見えません。

俗に、日本で訳されるその言葉も、実は聖書由来ということはあまり知られていません。ユダの子オナンが兄の早逝にともない兄嫁を娶ったものの、子供が自分の子として認知されないことを嫌って、子づくりの本質的な部分でそれを拒否したことから、神の罰をうけた。その故事が誤って自ら慰める行為としての言葉になったのです。安倍政権の若者支援の話も、どうも他人の子、というよそよそしさしか感じない。「悲観、評論、批判」に明け暮れず、建設的な議論を、と述べますが、この所信表明では、その三点を外すことなどできない内容、としか言えません。むしろその程度の内容だから、それをして欲しくない三点セット、ともなるのでしょう。だからスタンディングオベーションなどをして、自らを崇め奉るがごとくに賛美させようとした。所信表明どころか、小心表明にしか聞こえませんでしたね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(24)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月25日

日本と中国、北朝鮮

中国空軍機8機、うち戦闘機2機が宮古海峡の公海上を通過し、自衛隊機がスクランブルする事例を発表しました。中国側が緊張を煽っている、などとする見方は早計で、最近の安倍政権は率先して南シナ海の問題に口出しし、緊張を高めています。言葉は悪いですが、よせばいいのに他人のケンカに、わざわざ関係のない他人が口をだす、という構図が南シナ海の問題です。確かに、アジアのリーダーとしての地位を得たい、との安倍政権の思惑はあありますが、日中双方が国内向けにも、対立構図を煽っておく方が得策、と考えている点が厄介です。日中、双方とも経済が傾き、敵をつくって国内の不満をそちらに逸らす。その対象が日本にとっては中国、北朝鮮で、中国は日本、そのうち北朝鮮も日本をいの一番に敵視してくるのかもしれません。
安倍政権にとって、中国や北朝鮮がちょっかいを出してくるなら渡りに船。むしろ安保法制の改正を正当化できる、との思惑はかなり深刻です。しかし間違えてはいけないのは、安倍氏が突出して中国、北朝鮮との対立構図をつくっている、という点です。北朝鮮の核実験やミサイル発射、南シナ海の問題など、日本がただ傍観していればいい、というわけではありませんし、国際世論をリードするのは重要でしょう。しかしこうしたものは裏で周到に根回しすることが大切なのです。それなのに安倍首相自ら、中国や北朝鮮を非難し、議論をリードするという。国際世論がまとまりかけたところで、首相がのりだして…というのが一般的な形であるにも関わらず、安倍氏が自ら出しゃばるのは、自分がやったというイメージを作ることが目的であるため、でしかないのでしょう。結果、日本は中国、北朝鮮との対立構図を生み、国民が危険に晒され、だから安保法制が必要でしょ? という何ともおかしな議論にさらされている。リスクを高めなければ安保法制も必要なかったのに…という当たり前の議論すら、今は封じられてしまっているのでしょう。

安保理では核実験の「自制」を求める決議が採択されましたが、安保理自体が核保有国で構成されており、先行者有利の原則を貫いていますし、今後も北朝鮮はやるだろう、として中露が反対するため、法的拘束力がかけられない。米国としては決議自体に意味があったとしますが、正直何の意味もないでしょう。この決議があったとて、北朝鮮が再び核実験を行った場合、カウンターとしての法的措置を何も発動できないのですから。
米国でさえ、対北朝鮮の問題では議論を主導できないのに、安倍政権で何とかなるはずもありません。だからこそずっと裏で工作をしていくしか、本来なら手がないはずなのに、上記したように安倍政権の思惑は議論を主導することではない。主導する、といって前面に立つ、そのリーダーシップぶりを国内にみせびらかせたいだけなのでしょう。

シリアの問題でも米露がふたたび空爆の問題で衝突しており、停戦合意がほとんど守られぬまま、短期間で終了したことでも、時代はより軍事で解決しようとする時代へと、移り行く状況にあるのかもしれません。軍事傾斜した為政者が続々と誕生しているのも、そんな不安を煽ります。敵をつくって劇場型の選挙をする、そんな手法の危うさにいい加減気づかないと、世界中がとんでもない未来へと突っこんで行くことにもなるのでしょう。
しかし強権的、とされるトルコのエルドアン政権、先のクーデターなども考慮して米格付け機関が、トルコ国債を投機的に格下げしました。元々、景気は悪化していましたが、政治リスクの高まりで不安定な状態になった、ということです。しかし日本とて、ほとんど同じ状況にあるのでしょう。もし仮に、安倍政権が突出して中北の敵視を公然と表明しつづけるなら、いつ不測の事態がおこっても仕方ありません。そしてそのときは、日本国債の格下げ、まだ投機的には余裕もありますが、そうなれば必然的に国債の利回りが上がり、リスク性資産としての価値の低下と同時に、景気悪化を引き起こす要因にもなりかねないのです。

安倍政権が12月解散を模索する一つの要因に、先にいけば景気が悪化するから今のうちに…というものがあります。もう政治の世界、与党内ですら、安倍政権がつづけば景気が悪化する、というのがコンセンサスになりつつある。だから余計に敵視政策で、国内を引き締めたい。でもそうすると国債の格付けも下がる、景気も悪化する。なので敵視政策で国民の目を逸らし…という悪循環。この負のスパイラルが今後、日本を覆う最大の悪材料となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2016年09月24日

雑感。独立法人の役員報酬

総務省が携帯電話の回線使用料を見直し、格安スマホの普及につとめる方針です。しかしこういう対策をすすめなければいけないほど、国民が貧しくなっているという意味では、素直に喜べる話でもありません。しかも格安スマホがすすんだとて、国民の消費が活発化するとも思えません。今後は企業業績が急速に悪化し、賃上げもすすまない。それどころか一時金の大幅な減額がみえています。さらに安倍政権がめざす正規と非正規との差をなくす、という施策によって、全体が底上げされるわけではない、となれば尚更でしょう。全体をさらに押し下げ、平等感を打ち出そうというなら、消費は停滞することが確実です。底上げとなれば企業の体力を奪う、成長産業のない日本では、このジレンマから脱せられない限り、消費そのものには何の期待ももてないことにもなりそうです。

しかし給与が増えてウハウハなのが、独法の役職員です。13年から専門性のある人材確保を目的に、給与水準の弾力化がすすめられたため、軒並み給与が引き上げられました。GPIFの理事長らは3000万円越えです。昨年は大幅な運用損をだしていますし、理事長にどんな専門性が必要なのかも分かりません。役職員が運用方針を決めているわけでもありませんし、まさか日々の取引に役職員が指示をだしているわけでもない。正直、管理職さえいれば事足りる組織に、高額の報酬をうけとる『専門性の高い』役職員は不要です。
しかし独法の事務・技術系職員の年間給与の平均は、677万円。国家公務員よりも高い、とされます。ただ国家公務員も、実はもっと高く、低く見えるよう管理職を抜いているともされるので、実はもっと高いかもしれない。安倍政権が本来目指すべきは、官民格差の解消なのでしょう。どうして官の側の方が民間平均より高いのか? 大企業の給与を参考にして人事院が勧告する、としていますが、その大企業が正規、非正規との差を解消する方向で正規を下げるなら、どういう反応をするか? 恐らく引き下げとはならないでしょう。上げていい、となったら損をだしても役職員の給与を引き上げる破廉恥漢ですし、この独法には、もんじゅで不祥事続きだった原研も含まれるのです。損をだしても、失敗しても給与の下がらない職場など、モチベーションが上がるはずもありませんし、コスト意識も、安全に、かつ確実に成果をだす、という意識が崩壊しているとも読みとれます。

『社会契約論』を記したルソーは、国家とは市民が生命や財産を譲渡する、という社会契約によってのみ成立する、としました。国王がいても、単なる行政官に過ぎない、とも。これがフランスの市民革命につながる思想となりますが、日本も行政官が国民を統治しているのだ、という勘違いを改めない限り、そろそろ革命によって変化をもたらさないと…という機運がおきるのかもしれません。ちなみにルソー、仏国王から申し出のあった年金の需給を断り、田舎にひきこもった経歴の持ち主です。しかしこのルソー、立派な人物というわけではなく、自己中心的で社交界になじめず、年金をもらうと国王をはじめとした上流階級と付き合うことになるから、という理由だったそうです。
『社会契約論』では奴隷制についても記され、奴隷については「勝者の得る当然の権利」、一方で敗者はその命を買うことのできる奴隷にすすんでなる、とされます。しかし後段では、戦争とは国家同士の争いであり、対人における権利は有しない、として敗者の命を奪う権利はない、つまり奴隷になる必要はない、という論調をとります。今の日本社会は、社会の奴隷のようになっている市民が増えたように感じます。社会、というより国家により奴隷化され、低賃金で使役される側、ともなっているのでしょう。そのルソーが音楽家をめざした頃、つくったとされるのが日本でも馴染みのある『結んでひらいて』。日本の政治でも、野党がくっついたり離れたり、結んでひらいて、手を打ったと思ったらまた結んでひらいて、最後にお手上げ、となるようなら、国家をむしばむ政治家、官僚がのさばるだけでしょう。管理する機能を失った組織に、自浄能力はありません。精神的支柱になるような、改革の機運が必要となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2016年09月23日

雑感。安倍政権の利用価値

やはり読売から、北方領土の2島返還について打診的に報じられました。最近は読売を通じて観測気球をあげ、世論を醸成しようとする動きが政権でも活発です。今回も2島返還で打ち止め感をだしておいて12月の山口会談のショックを和らげよう、という魂胆なのでしょう。しかし2島返還が行われたら、残りの2島は絶対に返ってこない。プーチン露大統領はおトモダチどころか、安倍首相をいいように利用して終わり、が結末になりそうです。

高速増殖炉原型炉もんじゅの廃炉の方針となり、福井県や敦賀市などが反発しています。廃炉になれば電源三法交付金が受けられない、となれば由々しき事態ですが、今回も安倍政権の手腕の拙さが問題になっています。新聞で報じられ、地元には何の説明もないままトップダウンで決まってしまう。しかもそれがもたらす影響、すべてを考慮しているのか? まったく疑問です。廃炉にはするしかないものの、ここまでずるずると引っ張り、結果としてずっと税金をムダにしてきた。そのツケもありますが、廃炉にすることで様々な問題が生じてくる。それを事前につぶし切れているのか? 正直、世耕経産相が「高速炉開発会議」でもんじゅ廃炉を決定する、としますが、政権の能力不足と有識者会議の無能さを鑑みるに、廃炉になるまで、廃炉になってから、様々な問題がでることになるのでしょう。
それは、もんじゅは通常の原子炉より大量の廃棄物がでそう、ということです。冷却材であるナトリウムの処理をどうするのか? ナトリウムが付着した配管や炉を洗浄したものも廃棄物になるので、水とちがって廃炉にするのも大変です。しかしここに最近出てきた話が乗っかる。つまり原発の廃炉に、新たに電気料金上乗せ、という話です。もんじゅは原型炉で、商業炉ではないので電力料金に乗せるわけにはいきませんが、もんじゅ廃炉税などが新設されるかもしれません。維持費用だけで200億円、ともされたもんじゅですが、それを廃炉費用に回してもまだ足りない、となればそうしたことも検討されかねません。

沖縄の海兵隊所属の攻撃機ハリアーが沖縄沖に墜落しました。原因は不明ながら、市街地で墜ちたら大惨事になっているところです。沖縄では基地反対運動が過熱するでしょう。辺野古移設も、国がトップダウンですすめる事業であり、地元との合意が得られぬままです。沖縄は辺野古訴訟に対して最高裁に上告しました。対立は決定的で、泥沼です。地元ときちんと話ができていれば、少なくともここまで問題はこじれなかったでしょう。
政府は地元との対話が苦手、日銀は市場との対話が苦手、まったく不思議なぐらい、この両者はよく似ています。やっつけ仕事で、やった後でその反応が芳しくないと慌てる、といったことをくり返します。ちょっと気を利かせると、打診的にマイナスの情報を観測記事として流し、反応をみるということも常態化している。政権の手法はもう解明されているのですから、本来は効果がないはずですし、そのことによる問題点を指摘するメディアもありそうですが、そういった動きは一切ありません。

安倍政権は、対話は苦手でもメディアとの会合や第三者委員である専門家を丸め込むのは得意、という何とも奇妙な関係性を築いています。しかしその結果、でてくるものがろくなものじゃない、という問題も抱えています。北方領土の2島返還の話も、もんじゅの話も、沖縄の辺野古移設の話も、ごく一部だけが問題視しているだけで、多くの国民にとって興味のある話題ではなくなっている。問題を矮小化し、国民にとって不都合なことを受け入れさせようとする試み。そこには官僚による安倍政権の支持率の高さを利用して、今のうちに…との思惑も含まれるのでしょう。結局、政権が無能であれば誰からも利用されて終わり、そういう結末ばかりが目につくようになってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(19)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月22日

日米の中央銀行の動き

財務省、金融庁、日銀が3者会合を開き「神経質な動き」「投機的な動き」と為替相場の動きを牽制しましたが、原因は日銀の新金融政策にあるのであり、まったく当たり前の動きです。日銀は質的・量的緩和の旗を下ろし、米国は利上げしなかった。むしろ100円台でとどまっているのが奇跡、というか、恐らくは当局から要請をうけた企業らが必死で為替予約を入れたりして、円高を食い止めているのでしょう。9月末日に円高がすすんでいると、企業にとっても海外売上げ高を円換算したときの目減り分が大きくなります。日本では9月が2Qの締めですから、年度末にむけて見通しも出さなくてはいけない。100円の防衛ラインはそれだけ重みがあります。ここを抜けたら一気に95円、90円に近づいてきます。

そんな米FOMCの結果は利上げなし、ドットチャートでも年内1回、来年2回の利上げに留まり、ハト派な印象を強めました。しかし声明文をみても「経済活動は拡大は加速」「労働市場は引き締まりつづけ」「家計支出は力強く伸び」と、経済の好調さをみとめる。一方で「設備投資は緩慢」「インフレ期待は2%を下回りつづけ、数ヶ月変化なし」と好調でない部分もみとめました。しかも3人が現状維持に反対票を投じ、意見が割れた。全体はハトだけれど、ハトになる理由はよく分からず、タカ派からすればこの状況で緩和をつづける理由は「Why?」というレベルにあることがうかがえます。
今回はイエレン議長によるジャクソンホールの講演で、一気に9月利上げ確率が高まった後、8月の雇用統計で一気に利上げの思惑が萎んだ。結局、イエレン議長による市場との対話不足、それが利上げできない原因なのでは? とうけとられても仕方ありません。タカ派には今回の結果が不満、ハト派には講演内容が不満、結果、イエレン氏はタカでもハトでもない、チキンなのではないか? そうなると12月の利上げも不確実となります。

日銀の昨日の総括的検証、メディアでは「長期戦」「持久戦」などとも報じられますが、まったく的外れです。効果も経緯も分からないけれど、この政策をつづけていれば、あわよくば物価が2%に達成するかも? というレベルです。金利を操作しかたらインフレ期待が高まる、という算段はまったく成り立たない。マネタリーベースを拡大したわけでもない。金利もいじってはいない。これで何をどうすれば、物価が上昇するのか? 意味不明です。オーバーシュートは強いコミットメントだ、と黒田日銀総裁は述べますが、嘘つきや信用のない人がいくら何かを言っても、誰も耳を貸さない。この半年がそうだったように、日銀の政策には最早懐疑的な見方が広がっていて、市場からはコミットメントではなく、これはコントかコメディ、そうした受けとめがされているのです。
まさに『あわよくば』→『泡よくば』→『バブルがよい形になってくれれば』消費者物価も上昇するのでしょう。しかし注意すべきは、物価が2%になったからといって、決して景気がよい状態かどうかは不明、ということです。日銀の物価2%の目標は、景気の回復は約束していない。このコミットメントはむしろ、自分たちが3年半行ってきたことは間違いではない、というためのもので、決して国民のことを考えた結果ではないのです。

むしろ、「神経質な動き」をしているのは日本の財務省、金融庁、日銀です。2円程度の為替の変動は、金融政策が重なった昨晩なら仕方のないところでしょう。このことからも、政府は100円の防衛ラインに相当焦っていることがうかがえます。「投機的な動き」と言っておけば、何か悪いことをしているような印象を与えられる、からといって今回の動きをそう断定するのは、お門違いも甚だしいのでしょう。むしろ財務省、金融庁、日銀の「同義的な動き」を示さない限り、コミットメントの価値はコメット(彗星)並みに一瞬で消える儚さ、でしかないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2016年09月21日

日銀による新たな金融政策

日銀の金融政策決定会合ででてきた答えは「長短金利操作つき量的・質的金融緩和」でした。短期金利を-0.1%に、長期金利を0%に誘導する。国債の買入ペースは年80兆円を維持、ETF購入ではTOPIX型を重視し、2%の物価上昇を想起に、また安定的に達する、とします。さらにオーバーシュートコミットメントとして、物価が2%に達してもすぐに政策を転換することがない、として安定的に2%を維持できるようにする、といいます。

まず「市場が好感した」というのは間違いです。すでに為替は円高となっているように、株式市場が開いているときだけ、円安に導く何らかの圧力があった。株式先物をみても、最近大人しかった日系が買い方に並ぶところをみても、相変わらず日銀の政策発表日には日系が買う、というアノマリーを踏襲した形です。つまり一般のメディアは、金融政策決定会合の日しか報じないので、その日だけ高くしておけば「市場が好感した」と使えるから、今日は頑張った、が正解です。また先物では欧州一社も買いでとっていますが、ここは現物を売って先物を買い戻す流れでしょう。つまり外国人投資家は期待外れとして売りで入ったものの、日系の抵抗にあって今日は様子見をした。だから上昇したのです。もし好感したなら、イベントドリブン型の買いがもっと値動きを荒くしたことでしょう。
では、日銀のこの金利操作政策の評価は? といえば落第です。黒田日銀総裁は記者会見でも緩和縮小(テーパリング)を否定しましたが、明確な緩和縮小です。金利が目標近くで推移する限り、日銀は動かない。量的な部分は縮小になります。質的な部分も、残存期限を7〜12年の国債を中心とする、としていたこれまでを転換し、年限の規制を外します。つまり質も担保できない。短期、長期など、どこかの市場に変調を生じればそこに手厚く資金をつぎこむので、日銀の保有国債に大きな偏りが生じることも想定されます。つまりこれは「長短金利操作つき量的・質的金融緩和」ではなく、単に「金利操作型金融政策」に転換した、となるのです。

しかも、その効果はさらに限定される。これまでは高い価格で国債を買っても、その後で日銀が買い戻してくれた。しかしこれからは日銀がどれだけの幅で、買いに動くか分からない。国債プレイが利かなくなる、その恐れから10年物国債が一時プラスをつけるなど、一気に売られた。しかも金利がマイナスとなった場合、ゼロ近傍に誘導するには日銀が保有している国債を売るのか? といった話にもなる。売りには買いで対抗できても、買いには為す術がない。それこそ国債を売って資金を吸収したら量的緩和でもなくなります。
さらに株式も、日経225型からTOPIX型を重視する、という流れを市場はこれまで織りこんできた。TOPIX型は金融株が主導ともされますが、その金融株、今日はマイナス金利の深彫りがなく、反発もしましたが、今後もマイナス金利を深彫りする、とします。つまり日銀はマイナス金利政策で、金融機関の収益性を犠牲にしつつ、その金融株を買う、という矛盾を抱える。株価の下支え感がより一層強まり、この部分も質的な面への懐疑的な見方を増しそうです。

何より、短期金利を-0.1%、長期金利を0%に誘導すれば、むしろイールドカーブのフラット化を促します。それではインフレ期待は低下するでしょう。マイナス金利を深彫りしつつ長期金利を固定するか、短期金利を固定し、長期金利の誘導目標を上げていくしかイールドカーブは改善しない。マイナス金利を深彫りすれば金融機関の収益悪化、年金・保険の利回り低下を招く。長期金利を上げれば、不動産投資などを減退させかねない。異常な水準の金利を、緩やかなカーブに固定しようとする試みは、正直何を狙っているかも分かりません。
今晩のFOMCで、何がでてくるか? 日銀は必死で手詰まりではない、テーパリングではない、と強調しますが、はっきりと手詰まり、テーパリングを示してしまった。そのマイナス効果を考えると、今後は株安の圧力が強まることも予想されます。しかも金利操作では劇的に市場環境が変わるわけでもない。日銀にはもう期待できない、として日銀トレードは終焉し、3年半経って黒田バズーカは完全に終わりを告げた、とみてよいのでしょう。総括的検証、日本人のエスタブリッシュメントにとって、最も苦手とされた検証は、やはり日銀も失敗したようです。その結果、出てきた案はバズーカどころか、パチンコ並みの当たるも八卦、といった策なのでしょう。黒田バズーカ、動物園並みのわくわく感は失われ、黒田バカ政策になってしまった、という形に終わったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年09月20日

12月に解散か?

豊洲市場の移転問題、東京都の説明が二転三転するように、石原元都知事の説明も二転三転します。契約書がでてきたら「副知事に丸投げしていた」とまで。昔から政治家には言われることですが「石原の、正体見たり、彼おバカ」という言葉がぴったりです。肝いりの豊洲移転事業を、副知事に丸投げしていた? 当初のコンクリブロック案といい、引っ掻き回した挙句、誰も一本スジの通ったことをしていない。それは午後から都庁に出勤して、決裁に判だけ押す。しかも週に2、3回、という勤務実態では詳細なチェックは無理でしょうが、いくらなんでも無責任すぎる組織の構築に、石原都政も関わっていたことを考え合わせれば、罪が重いといわざるをえないのでしょう。

安倍首相が国連総会出席で訪米し、ヒラリー・クリントン米民主党大統領候補と会談しています。国際的な顔の広さをアピールしたいヒラリー氏と、米に貸しをつくりたい安倍氏ですが、TPPですれ違ったように、必ずしも政策の一致はありません。トランプ氏よりマシ、というぐらいの判断で乗っかると、もしかするとしっぺ返しを喰らうかもしれません。支持率拮抗とも伝わりますが、健康不安と能力不足と、そんな最低の戦いをしている米大統領選では、情勢はどう転ぶか分かりません。この行動が吉とでることはありませんが、凶とでた場合は在日米軍の駐留経費全額負担などより、重い判断を日本に強いてくることを覚悟しないといけないのでしょう。
自民党では総裁任期の延長について議論もはじまりましたが、違和感があるのは天皇陛下のお言葉による、生前退位の議論については特措法で、自分の総裁任期は党則改定をにらみ、今から動きだす、という優先順位についてです。お言葉をうけたなら、すぐにでも皇室典範の改正なのか、特措法で対応するのか、という議論を含めて検討会を立ち上げるのならまだしも、そちらは中々始まらない。確かに総裁任期も迫っている、といっても後1年はあります。党内調整でごたごたするか、というなら国民的議論になる生前退位の問題の方が、やはり先に手をつけるべきと考えます。

しかも12月、もしくは来年1月の衆院解散話がでてきました。安倍氏としては、国政選挙に勝ち続けている、といっても参院選はかなり渋い結果だった。ここで勝利を得られれば、ご祝儀として総裁任期をかちとれる、との腹があります。プーチン露大統領との山口会談の余勢をかって…ということのようですが、その山口会談自体に芳しい話を聞きません。プーチン氏は2島返還で終了。しかも日本に渡してしまえば、日本からむしりとれる材料がなくなる。このタイミングで日本に何らかの特典を与える、とは到底思えません。
しかも解散するにも大義がない。そこで聞こえてきたのが、2島返還と同時に露国に与える特典、それが是か非かを問う、という話です。数十兆円なのか、百数十兆円なのか、いずれにしろ莫大な金額でしょう。数年かけて露国に支払うことになる。しかも2島返還で打ち止め、それでもいいですか? と。一見すると与党が大敗しそうですが、そこに今の民進党の不安定さがある。蓮舫代表は人気もありますが、野田幹事長は不人気。党内もばらばらで、野田氏では政策調整もできない可能性がありますし、民共共闘路線にも影を落としています。

そこにもってきて、蓮舫氏の醜聞を準備している、ともされます。恐らく解散直前には、かつての蓮舫氏のインタビュー記事で、二重国籍をみとめていたことなど、週刊誌やテレビ、新聞を通じてばんばん流れることも想定されますが、それ以上の醜聞がある、ともされるのです。あくまで憶測ですが、例えば蒋介石は中国系秘密結社、三合会とも繋がりがあった、とされますし、青パン、紅パンとは実際につながっていました。つまり台湾にわたった中国国民党は、意外と黒い人脈ともつながってしまう。蓮舫氏がそう、というつもりはありませんが、捏造する気になれば、いくらでも台湾系の結社とのつながりなど捏造できてしまう状況にあるのです。
野党を醜聞でぼろぼろにし、その間に選挙で勝って信任をうけた、として日露平和条約などを締結してしまう。北方領土が2島返還で終了、となるなら障害は取り除かれたので、条約締結も可能となるのです。12月選挙の噂、実は様々な問題、背後にある黒い動き、そうした諸々のことを含むことにもなるのでしょう。もし上記の想定が現実になってくるのなら「安倍晋三 正体見たり 彼悪魔」ともなってきます。自分のため、日本を犠牲にしつづける以上、彼の下で失うものの多さに、そろそろ気がつくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月19日

日銀の金融政策について考える

パラリンピック、日本は金メダルなしでした。しかし地上波の民放ではほとんど報じられず、ダイジェストのみ。やはりオリンピックとは扱いも違います。というより、障害者競技を平時からスポーツコーナーでもとり上げないのですから、パラリンピックだけ番組枠をもうけて報じるのも奇妙な話です。東京オリンピック、パラリンピックに向けては、毎日とは言わずとも、定期的に障害者スポーツもとり上げるなど、盛り上げ方も重要となってくるのでしょう。

いよいよ、今週は注目の高い日米中央銀行の態度が示される週です。日本ではすでにマイナス金利の深彫りは織りこみ済み、問題は外債購入、ヘリマネなど、異常な金融政策をとるかどうか、に焦点が集まります。外債購入は浜田内閣官房参与がいいだし、急速に話題となりましたが、これをすれば明確に日銀による円安誘導ととらえられ、海外からは為替操作国認定される恐れもあります。いくら国内法を解釈でのりきったとしても、海外がそう認定することを防ぐ術はありません。すでに米国では為替操作の『恐れ』として報告書にも日本が上げられており、日銀による外債購入は最後のタガを外すかもしれません。
しかも日銀による外債購入は、さらに日銀が為替リスクを負い、保有資産を高めるということ。国債はまだしも、ETFやREITなどの購入でリスク性資産が一気に高まる日銀。さらに外債も…となれば、別の意味で円は売られ易くなるかもしれません。それは日銀が赤字を垂れ流し、円の価値が下がるということ。外債も今や高値圏にあり、売られ易い地合いにもあります。すでに債券バブルは終わった、ともされる昨今、外債購入に踏み切るなど自ら泥沼にとびこむようなものです。これから債券はじわりと金利上昇、債券安へと舵を切る。それを日銀が食い止めよう、などと考えているなら愚か過ぎる、と言わざるをえません。

国際決済銀行(BIS)が2016年第1四半期の銀行貸し出しは世界的に低迷した、と発表しました。Brexitの前ですから、他に材料があるとすれば、金融の流れを大きく変えた一つに、日銀のマイナス金利があるのかもしれません。カナダ、中国やアジア諸国の一部で、信用の伸びが『異常に高い』。ドイツ、日本、ポルトガルでは不動産価格の伸びが『異常に高い』。BISが指摘するように、『異常』という言葉が頻発するような世界は、すでに『正常』ではない、ということです。世界はこれから否応なしに正常化しなければならない。いつまでも『異常』で、それが常態化すればそれが『正常』、などと言葉を弄することは虚しいのです。そんな中、日銀だけがさらに『異常』を追及する。もしかしたら日銀は世界の中でとり残され、日本が漂流することになるのかもしれません。
「市場に資金を流す」というお題目で外債を購入するなら、それは害災と呼ばれるのかもしれません。市場を自分たちの思い通りに操れる、そう勘違いした安倍政権と黒田日銀が陥ったジレンマ。それは市場という巨大なものに挑む、ドン=キホーテと同じなのかもしれません。安倍マリオでリオに登場した安倍氏のことを「内核通り大臣」と呼ぶそうですが、市場からは「無威嚇騒離大臣」とも呼ぶようです。手段も無い、威嚇する、騒ぐ、だから離れる。ドンキ=ホーテと書くと日本の小売店になりますが、安倍政権、黒田日銀の下では、日本がそのうち「激安の殿堂」と呼ばれる日が来てしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:48|PermalinkComments(16)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年09月16日

民進党幹事長人事は

民進党の幹事長に野田前首相がつくことが、両院総会で決まりました。「火中の栗を拾う」「泥の中でレンコンになって蓮の花を咲かす」と語っていますが、火中の栗を拾うのではなく、火中に栗を投げ入れたようなものです。民主党が壊滅する要因となった消費税増税をぶち上げ、自公との3党合意をむすぶ。政治手腕はお世辞にも上手いわけではない。
レンコンなのに風通しは悪く、その穴からは水が零れる。カンボジアでは『蓮の葉に水を差す』というと、葉には水が残らないことから、いくら言っても聞かない、『馬の耳に念仏』と同じ意味で用いられます。政治手腕がないのに、頑固で人の言うことを聞かない、ためになる提言や忠言をしても、それを採用しない。上に立つに相応しくないからこそ、党を壊滅する判断も下せた、組織統治においてもその手腕を疑われるほどの人物です。正直、安倍首相も代表質問のときに笑顔を浮かべ、シンパシーを感じているようなので、与党と仲良くやっていくには最適かもしれません。しかしそれでは益々、民進党が復権していく道は遠い、とも言えます。バカボンのパパに準え、バカなノダ、とも言われましたが、西から昇ったお日様が東へ沈むように、日はまた沈むことになるのかもしれません。

自民党の西村総裁特別補佐が「マイナス金利はデメリットよりメリットが多い」と語りました。企業が社債でも超低金利で調達できる、住宅ローンが借り替えられればその分が消費に回る、金融機関は短期的には損だが、長期でみれば資金需要が出てプラス、だそうです。この程度の認識だから、自民の経済政策に期待はできない、となってしまいます。
金融機関の資金需要をみても、貸し出しは増えていない。不動産ローンなど、逆に新規は減っているぐらいです。不動産市場の悪化も要因の一つですが、借り換えも減るのは担保価値の変動もあるのかもしれません。企業向け融資も増えていない。社債で調達できる、としますが、社債を発行できるほどの優良企業なら、内部留保も潤沢でそもそも借りる必要がない。無駄に資金を調達すれば、無理に設備投資などをしなければならず、それは今後、企業の負担にもなります。今、社債発行も活発でないのは、金利動向とは関係なく、企業にとって借りる必要性がないため、とも言えるのです。長期でみれば…に至っては、それは経済が上向くかどうか、であって、経済が上向けばマイナス金利は見直されるのですから、資金需要というよりそのことがプラス、なのです。

14日の、安倍氏の機関投資家向けセミナーの発言以後、株式が売られたのが一つの結果です。安倍氏はマイナス金利の深彫りを示唆し、これが投資家に嫌気された。日本ではマイナス金利はプラスより、マイナス効果が大きいと見られているのです。そのため深彫りすれば逆効果、景気悪化が意識される。しかも今、世界的に懸念されるのは債券バブルの崩壊です。各国でも国債の金利がじわりと上昇、日本では短期債は下落、長期債は上昇とイールドカーブの改善にはなっていますが、マイナス金利を深彫りしても短期金利が上昇していくようなときは、もう食い止めようがないのかもしれない。非常に危うい綱渡りになりかねないのです。
日銀が5日連続で733億円のETF買いを入れても、今週の市場は下げ続けた。日銀の神通力は失われた、とみるべきでしょう。来週の日銀会合は売りでとれる、そうみた層が売りを浴びせてくると、まったく為す術がありませんでした。日本が陥っている病は、政治家までが「日銀の政策は効果ある」といい、財界や金融機関は「効果がない」という。必ずどちらかが間違えている、という正しさが担保されない状況であり、しかも政治家の方が間違えている、と捉えられている点にあります。しかも、その間違ったことを言う与党に対して、野党の幹事長まで同じように経済の認識を間違えていた人物がついてしまった。国民にとって、金融政策が正しい状態が望ましいのに、それを選択できなくなってしまいました。それこそ今の状態は『みずから昇った(主役におどりでた)日銀が、次第に沈む』のを待つばかり、「これでいいのだ」とは言えなくなってしまったのでしょうね。

明日、明後日とお休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:46|PermalinkComments(24)このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年09月15日

民進党代表選について

豊洲の盛り土問題、石原元都知事の名前が挙がってきました。都政会見の発言をみても、石原氏が提案し、部下がその提案を実現するためにあくせくと専門会議の提言を覆していく姿が想像できます。たまに思いつきで言い出し、言い出したら止まらない。どこから仕入れたのか、コンクリブロック方式に石原氏が拘泥し、強引にねじ曲がったのでしょう。
しかしそう見ると当初、橋下氏が移転延期を決めた小池氏を批判していたこととも、整合がつきます。世論をつかむのが上手い橋下氏、でも盟友・石原氏を擁護しなくてはいけない。何かの折、石原氏からそんな話を聞いていたのか、世論を無視して移転延期を批判したのも、そんな経緯があったのでしょう。しかし豊洲移転の利権で、自民都連が潤っていた話もでてきた。石原氏は都政を「伏魔殿」と評しましたが、そのトップにいた人間が言うべき言葉でないのは当然として、自身もその悪魔の一人だった、というオチです。

民進党の代表選が行われ、蓮舫氏が849ptのうち503ptと圧勝しました。前原氏は203pt、玉木氏は116ptです。正直、当初から勝ち馬に乗る流れができて、二重国籍問題も判断には大きな影響がなかった。これは最近の国政選挙でもみられる傾向、つまり不祥事があってもあまり気にしない、という流れを踏襲したともみられます。不祥事なんて気にしていたら、とっくに安倍政権など交代している。不祥事があっても、それを上回る期待があればそこに乗る。ポジティブというと言い過ぎですが、悪材料に鈍感なのも圧勝の理由の一つでしょう。
しかし今回の代表選ほど、民進の問題を浮かび上がらせた、とも言えます。それは選択肢を与えない。意見が対立して、複数の案が提示され、そこで議論が深化され…という形で代表選がすすんだわけではありません。むしろ三者三様どころか三者同体、代表的な政策ですら意見はほとんど同じ、僅かな差、違いを見出して三者を判断するしかない。選択肢を与えない選挙、実はそれでは与党に勝てる見込みはほとんどありません。ナゼなら勝ち馬に乗る、という一つの流れがあり、僅かな差ぐらいでは与党へ投票するからです。つまりこの民進党代表選と同じ選挙戦術を、国政選挙でもとるようだと、万年野党どころか、さらに議席を減らす方向になるでしょう。それ以外では、自民が大きな失敗をするしか民進党を積極的に選ぶ理由がないからです。

政権をとったとき苦労しそうだから…そんな理由で辺野古移設容認。その前に、政権をとれる可能性すら放棄するのでは、戦いになるはずもない。国民に選択肢を与えない選挙戦術、これでは2位のまま。しかし政治の場では「2位じゃダメ」なのです。トップをとるために、如何に戦術を駆使するか? 代表選にはヒントどころか、ピンとのズレしか感じませんでした。蓮舫氏は、当初から圧勝予想でしたので、むしろ対立軸潰しを画策するのが自然です。問題は前原氏、玉木氏、両陣営とも「2位じゃダメ」な戦術なのです。
前原氏、反省する保守、謝罪する保守、に魅力はありません。玉木氏、どうしてリベラル色を前面にだし、自民と対立軸をもった野党、を打ち出さなかったか。保守である自民との対立軸にはリベラル色の強い野党であることが、絶対の条件です。それこそ勝ち馬に乗らせないためには、勝ち馬とはまったく毛色の違う馬、つまりスピード違反とも言われる経済政策で、もはや失速する安倍ノミクス。ならば速度は遅いけれど体力のある馬、もしくは馬場が荒れていても力強い脚をもつ馬、そんな姿を見せることが必要なのです。それが、自分がトップになれば蓮舫氏とは異なる姿になる、対立軸にもなり得るのです。

トップになったとき苦労しないように、トップになる前から心配する。それはトップを目指す人間のとる戦術ではない。では、蓮舫氏が民進党のトップになったとき、政権をとる前から政権になったとき、苦労しないように考えていては、永遠に「2位でいい」ともなるでしょう。塞翁が馬、でたまたま政権がとれました、では意味がない。それは自民が大失政を犯したときで、日本が多大な苦労をするときで、逆にトップになったら苦労するようなタイミングと言えます。馬を牛に乗り換えて、野党共闘という唯一の勝てる手段を捨てて、2位にとどまるのか。そんなことをするうち、後方から迫ってくる馬にも抜かれるでしょう。生き馬の目を抜くように立ち回れるのか、駄馬にも悖るのか、蓮舫氏に課せられたのは、二重国籍の問題以上に、2位じゃダメな状態をどう脱却するか、それによって馬脚を現すかどうかが決まってくる、ともいえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月14日

安倍首相の機関投資家向けセミナーの発言

高速増殖炉もんじゅの存続が厳しい、と報道があります。1兆円かけた夢の原子炉、などともされますが、最近では原型炉に格落ちし、仮に存続できたとしても商業炉として新たに建設し、安定して発電できる状況ではない。つまり採算をとれる見込みがない。ただの原型炉では、政府系機関しか扱えませんが、それすらどこも手を上げない、お手上げです。
しかしそれこそこれは、使用済み燃料の再処理全体に影響する問題です。青森県に建てた再処理工場は、それこそ3兆円と言われる事業費をかけた一大事業。それが無用の長物となれば、電事連にも相当の打撃です。さらにこれまで英国や茨城にある再処理工場でつくってしまったガラス固化体はどうするのか? 今は中間貯蔵として茨城や青森で受け入れていますが、高レベル廃棄物でもあるガラス固化体を作らない、となったらもう造ってしまった僅かなガラス固化体のために、日本のどこかに地層処分の施設をつくるしかなくなる。非効率で、大きな問題が未来に残ってしまった、となってしまうのでしょう。

最近の安倍政権の発言、安倍首相は「デフレから脱しつつある」「日銀の金融政策は徐々に実体経済に波及」など。菅官房長官は「マイナス金利は一定の成果を上げている」などですが、安倍―黒田会談後から増えた、こうした発言には裏がある、との見方が専らです。日銀は物価目標の旗を下ろす、なので政府がダメージコントロールを図り、物価2%は難しかったが、デフレ環境を脱したことでよしとする、という空気を醸したいのです。
しかしここに来て、日銀や政府の口先介入の失敗がめだちます。マイナス金利導入後、何を言っても、やっても上手くいかない。今回も、すでにヘッジファンドの運用担当などは日本にヘリマネなど「できることは何でもやれ」というスタンスであり、それがなければ日本は売りでとる。今の金融政策ではもう満足しない、ナゼなら結果が出ていないのですから。3年もやって「…つつある」などという政策が、これから劇的に状況を改善させる力がないことは明白、さらに「徐々に…」などという言葉は待っていられない。「マイナス金利は一定の成果」に至っては、「それ以上のマイナス効果」という言葉で打ち消されます。地銀が赤字転落、という記事もでてきましたが、金利が下がって借り易くなった、のと同時に、金融機関は貸し難くなった、のです。地銀の経営環境が悪化すれば、地方や中小企業に打撃となる。マイナス金利のマイナス効果は、着実に日本を蝕んでいます。

最近、私が耳にしたのは安倍ノミクスならぬ安倍ノゴミクス、という言葉です。もうこの経済政策はゴミレベルで、早く廃棄物処理にださないといけない。しかも生ゴミなので、時間が経てば腐臭がひどくなる。そんな位置づけであって、だから外国人投資家は、その廃棄物レベルの経済政策を覆い隠してくれるだけの何か、がなければ投資はしない。お金をドブに捨てるようなものだからです。しかも入ってくるのは長期で運用するマネーではなく、短期で運用するアクティブ。その結果、ボラティリティーを高めるだけで、ますます長期マネーは逃げていく。そんな相場つきにしかならなくなります。
日本は高レベル廃棄物どころか、安倍ノミクスというゴミまで、どうやって捨てるかが悩ましい。地層処分どころか、外国人を馳走し、お金をださせて処分するしかないのが、現状なのでしょう。しかし外国人投資家はそっぽを向く。日本が成長して行く、という夢がないためです。馳走とは、元々仏教用語で、走り回って他人のためにつくすこと、です。しかし走り回りもせず、自分のために誰かをもてなし、お金をださせようとする企みには誰も心を動かされません。もんじゅは元々、知恵の神。獅子の背に乗った形で表現されます。しかし安倍政権が乗っているのは火の車、知恵もなく、マイナス金利を深彫りするだけでは、やがてその落とし穴に嵌るのは自分たちでしょう。それこそ安倍ノゴミクスも地層処分するしかない、となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 原子力

2016年09月13日

雑感。民進党代表選と蓮舫氏の二重国籍

民進党代表選に出馬している蓮舫氏が、台湾と二重国籍であることが発覚しました。法的には相手の国籍を抜くことは努力目標ですので、このまま代表選を続ける、とします。今回も明白になったのは、蓮舫氏の二重国籍を批判し、法律の提出までチラつかせた維新がまた評判を落とした、ということです。維新は民進党を仮想敵とし、支持を上げようと躍起なようですが、偏狭やヘイト的な位置づけにとらえらえるなど、戦略ミスが目立ちます。
顧問弁護士である橋下前代表は、築地移転問題で盛り土がなくてもコンクリで埋まっているから問題ない、という見解を示しました。しかしどう考えても、よく調べもせずに喋っている印象です。コストダウンを考えていた東京都が、地下を全面分厚いコンクリで埋めていた、と言い切れるのかどうか? しかも水が回っていることは間違いないのですから、何をもって安全というのか? 単に移転できなかった損失だけを考えて、移転すべきと言っているのなら、政治家失格でしょう。食の問題で安全・安心を担保しないまま、なのですから。こういう点でも、維新は評判を落としている、と言えます。

しかしそんな民進党代表選、3候補がそろって野党共闘路線を見直す、としています。衆院東京10区補選も、そのため民進、共産と野党候補が分裂する。大体、政治家になるような人間は自分がやれば上手くいく、多数の議席がとれる、と考えがちですが、夢物語にすぎません。政権をとったとき、共産党と組んでいたら大変だ、などと考える前に、その政権をとれる戦略が描けていない。先週末に、世論調査をとったメディアもいくつかありますが、未だに「安倍ノミクスを評価する」という層が過半数いる。株価が若干、もどっていたこともあるでしょうが、実感がほぼなくても、他に魅力的な提案もないから安倍ノミクスでいいや、そんな判断をしていることが、世論調査の結果からもうかがえます。
安倍政権を支持する最大の理由は、相変わらず「他よりよい」ですから、他に魅力的なものができれば流れる可能性はあります。しかし民進党がその受け皿になるか、というと現状でそれはない、と確信できます。日本が大混乱するほどの何かがあれば別ですが、そんな状態で政権を引き継いでも苦労することは目に見えています。正統的な手段に頼って政権をとろうとしても、メディア統制の利いた安倍政権では中々崩れない。そうなると組織票が勝って、選挙で勝利できない構図がつづく。今の代表選でも魅力的な提案の出来ない候補たちが、党の代表になってからいきなりすばらしい提案をする、などということもまた夢物語です。そうなると、順当に野党のまま、ということにもなります。

市民連合が野党共闘路線の堅持を求めるのも、民進が保守的思想に流れるのを食い止めよう、といった意図もあるのでしょう。自公のように、左の公明と組んでも、結果的に右へ流れるケースもありますが、安倍政権の前までは歯止めになってきたことも事実です。
今、日本に求められるのは世界との関係、社会の多様化の中で、そのすべてを受容する懐の広さ、です。蓮舫氏のケースでも、二重国籍批判をしていた人、団体に懐疑的な目が向いたのもそうでしょう。安倍政権がめざす、全体主義的な傾向が、逆にそこから外れる人や団体へも目を向け易くさせ、結果的に多様な人々をどう受け入れるか、ということを考える人も増えています。環境立国をめざすなら、全体主義により閉鎖的になるより、多様な人々にどう門戸を開き、心を通じさせるか、も求められているといえるのでしょう。

生物には節がある、という意見を目にしたことがあります。昆虫や多足類のように、体節構造をもつものは明白ですが、ピカイアを祖とする脊椎動物も、体節構造である骨の周りに肉をつけ、進化する道をとった。小さな細胞が大きくなるとき、節をつくってそれを繋げる、ということが簡単に体を大きくする道だったのです。政党も同じ、節があってもそれを繋げ、大きくなるのでなければ、体を大きくすることは難しい。節もなく、大きくなろうとしても形が曖昧で、非常に脆弱ともいえるのでしょう。節をつくり、しっかりとそこにスジを通す。その周りに政策という肉をつけ、体を大きくして、巨大与党と対抗できるかどうか、が今は問われているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月12日

未来投資会議が発足

先週末の米株安、日本でも食い止めることができないまま、終値で300円近く下げました。日銀のETF購入は焼け石に水、材料にすらなりません。グローバルな金融緩和環境の見直し、これは緩和を拡大していかない限り、徐々に引き締め効果がでてしまう状況を、さらに悪くしたようなもので、景気がよくないのに金融を引き締めるのと同様です。「緩やかな回復」と言いながら、その実かなり景気が悪い状況ですから、株式市場が耐えられるはずもありません。世界市場の悪化は、日本株を引っ張ってきた輸出産業にも直撃し、それを補うはずの国内が失速するのですから、日本株には悪材料がてんこ盛りです。

本当は盛られるはずだった土が、盛られていなかったのが豊洲新市場。東京都は早い段階から盛り土は入れず、空間を利用したいとの構想を描いていたらしく、土木課なのかは分かりませんが、盛り土を入れずに空間とすることを決めていたのでしょう。その結果、汚染土の上にコンクリを打っただけで建てられており、コンクリにヒビでも入れば、地下から汚染物質が洩れでてくることは必定です。何か日本の経済環境によく似ているようにも見えます。薄っぺらな基礎の上に、すきまを空けてその上に立派な建物を構築している。下からは汚染の問題が、上からは耐震構造上問題ないのか、ということが懸念されます。
間口が狭くて、新市場に入った業者の使い勝手が悪い。モノの移動がフロアをまたぎ、かつコーナーがきつく、速度をだせば転倒するコンテナ車が続出するでしょう。フラットな市場なら、ぶらりと買いに歩く人もいて、そこで買い物をする人もいるかもしれませんが、フロアをまたいでまで品物を探す人がいるか? さらに塩水が使えないのでボウフラが湧く。赤ミミズならユスリカが大量発生し、品物に入ってしまうかもしれません。行政がつくったものに、安心して入れないから、民間が尻ごみする。まさに日本経済の縮図といえるのでしょう。

そんな安倍政権が、産業競争力会議などを束ねた『未来投資会議』を始動させました。要するに民間企業との話し合いをもって、成長戦略にしようというものですが、柱は1.ICTの活用と、2.ローカル安倍ノミクス、3.国民生活の利便性向上です。3.は言うまでもなく成長戦略でも何でもありません。通勤時間が短縮されれば余暇に回す、ネット環境が整えばその分、ネットで買い物する、などという波及効果は、期待するだけムダです。所得が増えることがでもっとも意欲を刺激するのであって、利便性はあくまで利便性です。
2.は、都市部でさえその恩恵をうけている人が少ない安倍ノミクスを、ローカルにもっていっても上手くいくはずがない。ローカルを『偏狭な』と訳すなら、今でも安倍ノミクスのことを言い当てるのかもしれませんが、円安しかない安倍ノミクスが地方に波及することもなければ、その円安、金融緩和が修正される局面では、誰も期待は抱けないでしょう。そして1.は、ナゼか公共工事などにドローンを、3次元データを、としますが、各社横並びでそのICTを導入すれば、競争ではなくただの環境整備です。海外の大型の公共工事をそれで受注する、というのなら成長戦略になりますが、各社横並びのICT技術なら、恐らく工事単価が下がることもないですし、それで工期が短縮することもないのでしょう。

7月の機械受注が予想と異なり、+4.7%と好調さを示しました。設備投資の先行指数、ともされますが、今の設備投資がICT関連なら、それはむしろ人材不足を補うためのICTであって、新たに雇用を増やし、企業が活性化するためのものではない。今の設備投資が、実は景気の良好さを意味していない、というなら、この数字自体に一喜一憂するのは、あまり意味がないのかもしれません。
未来投資会議、と名を変えても、やっぱり成長戦略が描けていない、というのが実体なのでしょう。そもそも参加しているメンバーが代わらず、議論する中身に大差ないのなら、でてくる結論が変わるはずもありません。私のパソコンだけかもしれませんが、『未来投資会議』と打とうとすると、『未来投資家異議』と変換されてしまいます。本当は必要だった盛り土を入れられていない日本経済、地盤沈下をおこしつつあり、今や古臭く聞こえる安倍ノミクスという言葉でさえ、ローカルではなくロートル安倍ノミクスと読めてしまいます。一昨日は広島カープがセ・リーグで優勝しましたが、昔からある野球の罵声に「ウーパールーパー」があります。学術名『アホロートル』というこの生物、安倍ノミクスも可愛らしい水生生物並みに、水面下に沈みつつあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年09月11日

雑感。水溜りと激甚災害

務台内閣府政務官が、台風10号の被害に遭った岩手岩泉を訪れ、長靴でなかったために職員におんぶされて水溜りを渡った、という話があります。しかし被災地の視察に何の準備もせずに行ったのか? 被害の程度の軽いところだけ回ればいい、という気持ちだったのか? よく分かりませんが、復興政務官も務める務台氏のお粗末ぶりが目立ちます。
ただ、この記事自体というより、こういう話がぽろぽろと報じられるようになった、ということが重要と考えます。これまでは閣僚がおこした重大な問題でさえ、大きく報じられることはなかった。しかしこんな瑣末的な事象もとり上げられるようになったことは、一つの変化です。これまでは財界も、安倍政権を応援してきた。円安にし、輸出企業を潤したことで財界でも力のある大企業は満足していたからです。しかし総括的検証を初め、安倍ノミクスへの期待は大きく低下しつつあり、安倍政権に阿諛追従することしかしなかった榊原経団連会長まで、マイナス金利の効果は出ていない、というところまできました。

台風10号、政府に豪雨被害にも関わらず対策本部ができた話が一切ない。それでも激甚災害に指定するという。熊本地震は、政府も対策本部を立ち上げたのに、激甚災害の指定はされていない。このチグハグ感がどうにも馴染めません。局所的被害と広域被害、の差はありますが、どちらも激甚災害でよかった気もします。どうも被害の程度というより、震度6ぐらいでは出さない、という何か政府内で基準でもあるのかもしれません。
そんな政府で、農業災害補償制度を縮小する案がでています。義務だった加入を任意にするのですが、その代替策として収入下落に伴う保険制度を導入する、といいます。制度設計はこれからですが、つまり災害にしろ、TPPで安価な農作物が入ってきて農家の収入が減ったら保険で補填する、ということです。しかしそんな保険が成立するのか? これは保険ではなく、国費をつかって農家に戸別補償をするのと同じです。それで農家の収入は安定するかもしれませんが、逆にいえば国家統制の下で、働かされているのと同じ。しかも恐らく最低賃金以上に補償されることはないでしょうから、農業自体に参入しようとする若者は、皆無となるかもしれません。自然災害と、TPPが同じ位置づけで補償されるのなら、それはTPPも天災と同じ、政府の腹の中にはそんな思惑もあるのかもしれません。

これからも自然災害が多発することは、ほぼ確実でしょう。地震、津波、それに台風などの大雨、そんな中で、補償は天井なしになる可能性も拭えず、そこに人災も加わってくるとなれば、大変なことです。そうまでしてTPPを結んだとて、北朝鮮はすでに核保有国となり、安全保障がより強固になることもない。先のASEANでも、TPPへの参加をよびかけた安倍氏に同調する国は、ほとんどなかった。米国内でさえ懐疑的な見方が広まるTPPに、興味をもつ国がいないのは当然ですが、そんなものを推奨する日本まで評判を落とす結果になったともいえるのでしょう。
被害が激しいことを『激甚』といいますが、下種なのに身分の高い人を『下貴人』と呼ぶのなら、日本にこれからおこることは下貴人災害ということもできるのかもしれません。経済にしろ、国際社会での日本の立ち位置にしろ、これまで築いてきた日本の良いイメージを覆し、悪いイメージをばら撒いている今の安倍政権、今後おこることはまぎれもなく人災です。人災被害で補償をだす、政府がそんな態度をくり返すのなら、そのうち誰かに背負われないと水溜りも越えられない、そんな脆弱な国に成り下がってしまうことは、ほぼ間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:50|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月10日

米株の大幅下落

最近、驚くような話がいくつも政府から語られます。扶養控除の廃止もそうですが、東電の福島原発の廃炉費用に関して、新電力会社にも負担させ、国民に電力料金として転嫁しよう、というのです。当初の廃炉計画、廃炉費用の見積もりが甘かった、ということと同時に、凍土壁など上手くいきそうもない事業にばんばん予算をつぎこんでいる。廃炉にむけた新しい機器の開発なども、上手くいっているのか、いないのか。そんな情報すら開示されていないのに、国民にむけて金だけだせ、という。しかも、原発がイヤで新電力会社に移ったのに、原発の費用負担をしろ、と迫られては、国民は原発から逃げようがありません。この問題が深刻なのは、そのうち使用済み燃料の保管費用がかかるから…、ガラス固化体にした高レベル廃棄物を地層処分するのにお金が足りないから…、などと言って、電気料金に上乗せされるかもしれません。結局、経産省が無能で、無計画で、無駄なことをする分を国民が負担させられている、という構図が永遠につづくのかもしれません。

昨晩、米国株が大幅下落しました。ハト派とみられていたローゼングレン・ボストン連銀総裁のタカ派発言もあり、利上げを意識した、ともされますが、FEDWatchもFF金利先物も9月利上げ確率は高まっていない。株式市場と国債市場が、まったく異なる反応を示したことは、8月の雇用統計後にも株式市場と為替市場でもおきましたが、最近は市場ごとに異なる立場をとるケースが目立ちます。そうなると、必ずどこかの市場が『間違えている』ことにもなる。それが修正される段階において、不測の事態がおこることも予想できます。
しかしECB理事会で、ECBは期限をくぎって緩和策を打っているため、その先延ばしするのでは? とみられていましたが現状維持だった。代わって今行っている政策について検証する、という。日銀も総括的検証をする、というように、ここに来て異例で異常な金融政策をつづけることに対して、懐疑的な見方が広がってきた。つまりもう市場が期待するような、資金流入の拡大は期待できないのでは? という連想につながり、株式市場は弱含んでいます。しかし実需の取引も多い為替、また金融機関の需要がある国債、においては資金流入が細る、といっても影響が軽微ですむ。利上げという実際の金利差の問題と、それによって市場への資金流入が細る問題と、別けて考えなければいけないようです。

問題は日銀です。榊原経団連会長までもが「マイナス金利は効果がでていない」と言い出す始末。日銀委員がマイナス金利には副作用がある、と認める発言をするのも、布石を打っているようにしか見えません。イールドカーブのフラット化を解消する方向で動くのでは? との観測記事も流れましたが、どちらも金利上昇局面入りを示唆し、市場には警戒感が広がった。しかし日本の場合、円安に動いているように別の形の緩和を期待する、といった思惑があります。ただ金利を上昇させた上で、別の形で資金を市場へ流すことをすれば、不測の事態を生じるかもしれない。日銀の思惑通りの動きを市場がしなかったときは、より深刻な事態を招きかねないのでしょう。そのとき、株式と国債は日銀が買い支える、為替市場は財務省にお願いする、それが昼の安倍、黒田会談とみるとすっきりするのかもしれません。
最近、安倍ノミクス、黒田バズーカを横書きし、縦に並べて書いてあるのをみて気づいたことがあります。一文字ずつたて読みするとアク、ベロ、ノダ、ミバ、クズー、スカ。何とも悪い言葉が多いのです。後ろから二文字目を抜くと、それぞれ安倍ノミス、黒田バカになることは知られていますし、安倍ノミクスを逆から読むと『竦みのベア』、弱気相場を示すともされています。しかしこのたて読みの真ん中の四文字、ノダ、ミバはそれほど悪い言葉ともいえないでしょう。ただ、これをアナグラムにするとバダノミ、場頼みとなる。安倍政権も黒田日銀も、今や市場に神頼みするレベルで、上手く言って欲しいと考えているのでしょう。そんな無能、無計画で、無駄なことをする分を国民が負担させられるのだとしたら、国民もいい加減、こうした手法の愚かさに気づくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年09月09日

北朝鮮による核実験

北朝鮮が、建国記念日に核実験を行いました。ミサイルの性能も上がっていることが確認されており、安倍首相も「今までの脅威のレベルと異なるレベルの脅威」と述べています。しかし政府は核実験を受けた後で、国家安全保障会議(NSC)を開催しており、遅きに失している、とも言えます。北朝鮮が核実験をするかもしれない、で情報収集するのでない限り、日本に核ミサイルが落ちてから「さてNSCでも開くか」では遅いのです。
これまでのミサイル発射で、北朝鮮が移動式、及び潜水艦発射式の、中距離ミサイルを手にしていることは分かっていた。発射する兆候をつかんで、対処することが難しくなった。だからこそ北朝鮮全体の動きをつかんで、対応するしかなくなった。NSCはそういった事前対応をするのなら有効ですが、事後対応でとどまるなら、専門会議など開く必要もないのです。1.緊張感をもって情報収集、2.国民への情報開示、3.関係諸国との連携、などは言わずもがな、であって、核実験をしそう、ミサイルを発射しそう、では日本がどう対応するか? それがない限り、国民の安全は何も保障していないことになります。

そもそもミサイル実験をくり返す中で迎える北朝鮮の建国記念日、何が行われるか? ということが重要だったはず。もし報復、もしくは反撃をどうするか、を考えるための組織なら、ご大層なNSCなど必要なく臨時閣議で十分です。その程度のシミュレーションはしていないとおかしいのであって、被害があってから考える、などしていたら怠慢です。今回のように、事後にNSCを開くのはその時点で能力不足、と思って間違いありません。
オバマ大統領が「制裁を強化するが、効果は…」としたように、日本が「断じて許容しない」「強い抗議」などと言っても、何の意味もないことは明白です。国連で制裁決議を可決しても同じでしょう。しかし安倍氏の言うような「異なるレベルの脅威」か? というと、実はそれほどでもない。もしそういうのなら、それは日本政府がこれまでの北朝鮮のミサイルと、核開発のレベルを軽視していた、に過ぎないのです。むしろ北朝鮮のミサイル、核開発がこうだから日本としてどう対応するか? との発想でなければお粗末なのであって、泰然自若としていない方がおかしい。今回の安倍政権の対応、残念に過ぎます。

さらに今日、昼に日銀の黒田総裁と会談している。日銀との会談など、明日、明後日でも問題ないはずで、総括的検証の説明なら休日でもよい。市場に影響を与えよう、としてあえて金曜日にセットした。慌ててNSCを開くぐらい官邸はバタバタなのに、日銀総裁とは会う、というチグハグぶりもみせています。韓国大統領とも連絡をとったのが夕刻、岸田外相が米韓と連絡をしたのも午後、グダグダぶりも露呈した、といえるのでしょう。
核実験をしそう、ということが事前に分かっていれば、日米韓で共同声明ぐらい準備しておくべきでしょう。もし分からずとも、想定し、準備するぐらいはできるはずです。核実験後、3時間以内にそれがだせたら及第点、今回はそれが出せていないので落第です。NSCの能力不足も含め、安倍政権のソフト面の限界は、より深刻なレベルなのでしょう。

「異なるレベルの脅威」ではないもう一つの理由は、すでに中国は日本を滅ぼすほどの核ミサイルを保有しています。中国が紳士で、北朝鮮が野蛮、という線引きでもあれば別ですが、脅威のレベルは中国だけから、中朝2ヶ国が核ミサイルを撃てる能力を有した、という段階になったに過ぎない。危機のレベルは上がりましたが、レベルが異なるほどに変化したわけでもないのです。逆からみれば、国内の危機意識を煽り、軍事予算の増額や核ミサイルの保有に道筋をつけるため、そうした物言いをしているようにしかみえない。安倍政権のそんな思惑の方が「異なるレベルの脅威」、その脅威はそんな能力しかないのか、という半ば呆れるところから来るものであって、こちらの方がよほど深刻ともいえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(13)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2016年09月08日

景気ウォッチャー調査と国際収支

4-6月期GDP改定値が前期比0.2%増、年率0.7%増に上方修正されました。しかし設備投資の増と同時に、在庫も積み上がっており、歓迎しきれない部分もあります。もしかしたらiPhone7向けの電子部品? とも考えられますが、昨晩発表されたiPhone7も、機能性の向上だけで爆発的ヒットの予感はありません。よくiPhoneを高評価する記事をみかけますが、価格が同一機能の製品より倍近く高いのであって、価格対費でみると首を傾げます。これまで中国向けの商品開発だったものが、新興国での伸びが鈍化し始め、今回から日本向け機能をもりこんでやっと使い易くなってきた、という程度。ゼロ円端末の発売がなくなった日本で、どこまで売上げを伸ばせるか? 高額だけに微妙といった感じなのでしょう。

8月の景気ウォッチャー調査がでてきました。現状判断DIが前月比0.5pt改善。家計は住宅関連が高い伸びで、小売も飲食も落ち込みますが、それ以上に企業マインドの改善が大きい。ただし、景気ウォッチャー調査は25日から月末に調査が行われます。8月26日のイエレンFRB議長の講演後、円安、株高に向かったことを好感した可能性があります。
先行き判断DIは前月比0.3pt改善。企業関連の非製造業が伸びていますが、受注増といったコメントがあるものの、どうやら補正予算の執行に期待する向きが多い。27兆円などと、過大に報じられたことを真に受けたのか、もしそうなら秋にはこの数字も低下していくことが予想されます。円安、株高もここに来て転換しつつあるように、日米の金融政策の行方次第では、年末にかけて何が起こるか? その不透明感も強まってくるからです。

7月の国際収支をみると、経常収支は1兆9382億円で7月では過去最大、1443億円と黒字幅が拡大、一見すると良好です。しかし中身をみると、前年同月比で輸入は26.0%減、輸出は15.7%減。サービス収支も赤字が拡大、と世界に比べ、国内の経済規模の縮小が大きいために何とか黒字化できた、という悪い数字です。第一次所得収支が1兆6938億円になっていますが、黒字幅は縮小。年金が外国株、外債を買い、国内金融機関も高い利回りを求めて、外債や外国株に回す、という中ですから、去年に比べて規模が拡大したのに受取り額が減った。円高の影響が大きいですが、中身はかなり悪いことがうかがえます。
株価も、明日のSQを前にして17000円意識も高まりますが、日銀の大量買いがあっても下げ渋る程度で、押し上げ効果がない。日銀が買うから…という理由で、株を買う人などいない。事実、外国人投資家は8月売り越しており、日銀の爆買い発表後であっても、何の期待もしていないことがうかがえます。中国人観光客の爆買いはインバウンド消費、などとも言われましたが、日銀によるETF購入の爆買いは、ワンバウンド消費とも言えるのでしょう。ワンバウンド、一度跳ねる、という意味ではなく、一つに縛られた、という意味です。しかしこのワンバウンド、イレギュラーする恐れが高く、エラーを招き易い。そのリバウンドに、今の市場は戦々恐々、といったところなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年09月07日

二つの補選に向けた動き

東京10区補選、若狭衆院議員を公認する方向で固まってきたようです。小池都知事のブームに乗って…ということですが、小池氏を応援したら除名を含む処分、を求めていた都連の方針は完全に無視した形になりそうです。党公認をうけずとも出馬する意向を示していた若狭氏に対して、分裂を回避した、というと聞こえはいいですが、要するに今の小池人気に対抗できる候補がみつかりそうもない。目先の勝利を求めた結果、ともいえます。
しかし若狭氏にしろ、小池氏は自民都連への対抗として新党構想をもつ、とされる。若狭氏も当然それにはのるでしょうから、今分裂するのか、将来離脱されるのか、の違いでしかなくなります。自民にとっては面白くない結果ですが、安倍氏にとっては補選敗北、という結果は回避できます。二階幹事長がそれを優先した、が本音になるのでしょう。

しかし自民都連としては、この党本部の判断は面白くない。自民党公認候補を破った小池氏と組んで、五輪利権を都連から引き剥がしにかかっているようにも見える。都知事選の前に語られた政治資金の問題など、公的機関をつかってきちんと調査すれば、政治資金規制法違反には余裕で問えそうにも関わらず、それをしない。これは自民党議員は大体やっているから、という以上に、小池氏という政治家は利に敏いところがあるので、それこそ醜聞を握っておけば仲良くできる、と踏んでいるのではないか。都連にはそんな疑心暗鬼も生じそうです。安倍政権の広報紙、産経が小池氏に猫なで声をだすのも不安なのでしょう。
民進は元NHK記者の鈴木氏を公認し、共産も候補をとり下げて野党統一候補として挑む方向です。民進代表選の行方もありますが、統一候補でどれだけ小池人気に食いこむか、その試金石にもなりそうです。恐らく小池氏の支持者は、そのまま若狭氏に流れると想定され、また自民の支持母体も若狭氏が公認されれば、気兼ねなく若狭氏に投票できる。国政の、しかも衆院選で野党統一候補として戦えるか? そこが注目点にもなります。

鳩山邦夫氏の逝去に伴う福岡6区補選、こちらは林芳正議員の秘書である蔵内氏を福岡県連が申請、一方で鳩山氏の次男が出馬を表明、と自民は分裂選挙になる気配です。知名度の無い蔵内氏か、知名度はあるけれど悪評も多い鳩山氏か、という何とも厳しい選挙になりそうですが、民進は在インド・チェンナイ日本総領事館元職員の新井氏を公認、共産もそれに乗る方向です。ここでは民進は勝たないと、かなり厳しいことにもなる。新代表の試金石、という意味では非常に重要となり、全力投球してくるのでしょう。
小池氏にしろ、蓮舫氏にしろ、女性の活躍がめだちますが、ボーヴォワールの『第二の性』の冒頭で語られるのが「人は女に生まれない。女になるのだ」というものがあります。女性的なるものは神話のようなものだから、それに囚われるのではなく、どのように修行し、それをどのように感じ、どのような世界に閉じこめられ、どのような脱出法がゆるされるか、を哲学的に究めようとしたものです。実存主義の、被抑圧者としての女性論として、一つの記念碑ともされます。今、政治の世界で活躍する女性の中でも読んだことがあるのは、ごく少数でしょう。ただ、恐らく安倍氏を初めとする、日本会議のメンバーで読んだ人は皆無なのかもしれません。これを少し変えると「人は政治家に生まれない。政治家になるのだ」としてみると、政治家としての身の処し方も、この一冊には語られるのでしょう。第二の政党、それをつくり上げることができるか、東京都議会でも、国政でも、今は自民に代わる新たな勢力の伸張づくりには、様々なアプローチも必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月06日

有権者調査について

フィリピンのドゥテルテ大統領が、米大統領を「クソ野郎」とまで腐し、米フィリピン会談が延期になるなど、ASEANが波乱含みでスタートしています。麻薬撲滅にむけ、犯罪を確認したらその場で射殺して構わない、など強硬な取締りを推奨する比国に、欧米の人権意識を当てはめて批判しても、妥当性はありません。死刑制度も同様ですが、その国の歴史や国民の意識など、様々な問題がからみます。それは犯罪捜査でも同様です。そもそもテロリストだといって、他国に乗り込んで殺す国、微罪なのに黒人を射殺してしまう国に人権意識をもち出して欲しくない、といったこともあるでしょう。さらにドゥテルテ氏はどちらかと言えば中国とも上手くやっていきたい。圧力一辺倒の米国と、どこまで手を組めるか、といった見えない暗闘もあります。米国の助力は得たい一方、交渉の主体を握られては元も子もない。ただ、あまりに言葉が過ぎた点で、これは失策ともなるのでしょう。
しかし日本は、比国に大型巡視船2隻の供与を約束。ただこれはODAの円借款ですから、丸々プレゼントではありませんし、言わば武器輸出の一環とみなすこともできます。巡視船なので、兵器とは言えませんが、機関銃ぐらいの装備はあるはずで、後にイージス艦などの本格的な戦闘も想定した兵器の輸出につなげたいのかもしれません。

朝日・東大の共同調査で面白いものがありました。政権交代前の09年と、今年の有権者調査で『重視した政策』を比例投票先の政党別にみたものです。その中で、外交・安保を重視したのは09年で2.1%しかありませんが、そこでは自民71.4%、民主11.4%と圧倒していた。政権交代をしても外交分野では自民の支持が高かったのですが、16年になると自民55.4%、民進17.3%。自民が落ちて民進が上がっている。実は外交・安保、安倍政権では弱点とみなされていることが分かります。つまり自民党はもっと上手くやるはず、という意識がみられます。
医療・年金、財政・金融は民進が大きく減って、自民が盛り返した。しかし参院選前に年金の運用成績を公表しないなど、特殊要因があったこと。財政は悪化していますが、ここまで円安による税収の伸びで、悪化の度合いが減ってきたこと、などで評価されたのかもしれません。しかし今後、一気に逆回転することを考えると、また日銀や年金が大損を被る恐れが強いことを考えると、この数字は自動的に再逆転することも想定できます。

憲法は16年でも重視した層は民進に投票している。本気で民進が政権をとりたいなら、憲法改正議論にはやはり乗らないのがベストでしょう。むしろここで支持を落とすと、民進が浮揚する目は当分ない、とも言えます。子育てでは09年はこども手当てを標榜していた民主に期待が集まり、大きく支持を得ていたものの、政権途中でその旗を下ろさないまでも縮小したことでネガティブな印象が強まり、16年では公明と民進で並ばれるほどです。
経済の分野では、今のところ自民が圧倒ですが、これは安倍ノミクスへのポジティブな印象が残っているため、でしょう。しかしその印象も、もうしばらくすれば変わります。日銀の黒田総裁の昨日の講演、まだ緩和の手はある、と盛んに強調していましたが、逆に手詰まりの印象を強く残しました。日銀の緩和が止まれば、すべてが逆回転を起こす懸念すらあります。そもそも日銀の成果を、自民の成果と誤解しているのなら、日銀の失敗も自民の失敗、とうけとめられることが確実で、9月の総括は国民の判断にも大きな影響を与えるのでしょう。

鶴保沖縄北方領土担当相が、40kmの速度超過で免停です。急いでいた、そんなに速度がでていたのか、とイイワケしていますが、安倍ノミクスも速度違反で、多くのことが急激に悪化してしまったのです。もう巡航速度にもどしただけで引きしめ効果になる。免停どころでは済まず、危険運転で執行猶予のつかない懲役刑になることが確実です。
だからといって、民進党が自民の失政を待って…というのでは日本で無政府主義者が増えるだけ。しかも組織票が強い間は、自民が大敗することもないのですから、政局が混沌とし、誰も正解をもたないがゆえに、国民もダメぶりが酷いところを消去法的に削るしかなくなります。反省ばかりして、こうやります、という提案がない。それでは特に経済分野では、民進に期待する人は皆無ともなるのでしょう。改憲議論に前向きになるのではなく、経済論戦で勝てるようになれば、ドミノ倒しのように民進も支持が集まるはずですが、今の代表選にその期待はもてないところに、限界も感じます。民進党、民に心頭滅却ばかりを強いるのなら、民進党滅却すれば火もまた涼し、といわれるだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:43|PermalinkComments(21)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2016年09月05日

G20と保護主義

7月の毎月勤労統計が出てきました。現金給与総額は前年同月比1.4%増ですが、所定内給与は0.4%増、所定外給与は1.8%減、特別に支払われた給与が4.2%増と、これは7月のボーナス月が影響しています。実質賃金は2.0%増、といったところでここ数ヶ月は消費者物価の下落により押し上げられているだけです。問題は所定内、所定外とも労働時間が減少していること。常用労働者が2.1%増、と言いながら、入職率が下がり、離職率も下がっている。つまり囲い込みによって労働者を確保しながらも、労働時間が減少、つまり仕事が減っていると思われる点です。
しかも産業別で給与が伸びたのは、不動産バブルに湧く不動産業、爆買いに沸いた卸売・小売などが目立ち、それらはボーナスの伸びが高くなっている。要するに円安や金融緩和により、一時的な上昇にとどまる可能性が高いのです。その他、情報通信や学術研究など、成果報酬型の産業の一時金の伸びが高い。この7月は特殊要因が大きい、とみて間違いないのでしょう。

G20が閉幕しましたが、『強固で持続可能な均衡ある包摂的な成長を達成するため、すべての政策を活用』としますが、ならば今の異常な金融緩和は改めざるを得ません。なぜならやたらと長い『成長』の概念に、適さないからです。そもそも『包摂』という言葉は、ある概念が他の概念を一部として含むこと。異常な金融緩和もその一部として含むのなら、それは強固で持続可能とはいえない。長ったらしい成長の定義は自己矛盾すら孕みます。
注目した点をいくつか。まず資本フローへの対処に係るIMFの見直し作業、これは資金の流れを透明化し、生じている問題に対処するためにIMFがどう関わるか、という問題ですが、中国のような国は弾けても困りますし、中国からのマネーフローは読みにくい。それ以外の国でも、IMFがどう関わるか、によって大きな変化が生じる可能性もあります。ただ年末までの決着に期待、というだけですが、日米の影響力の強いIMFの関与がどこまでみとめられるか? またバーゼル3を年内最終化にも期待、として金融規制への期待を滲ませます。

貿易と投資のあらゆる保護主義に反対、としますが、実はあらゆる保護主義、には日本とて含まれるのです。まず異常な金融緩和により、倒産件数も減っていますが、これは本来淘汰されるべき産業が生き残ってしまう、つまり競争過多の状態を継続させます。これが生産過剰につながる。また日本の企業買収が、あらゆる形で阻害されていることも一つです。TPPを導入すれば、自動的に解消される、といった問題でもなく、日本はかなり保護主義的色彩の強い国であることは、疑いのない事実でもあるのです。
最近、中国企業による国際的な買収が頓挫するケースも目立ちます。安全保障上だったり、経営への不安だったり、事情は様々ですが、もし保護主義を撤廃したらどうなるか? 国家を内部から支配することも可能、ということでもあり、今の世界は間違いなく保護主義の方向にむかっている。逆に、向かわざるを得なくなっている、とも言えます。表向きは自由貿易を謳っていても、ダンピングなどで制裁を課すケースが目立つのもそのひとつです。

国内で統制型経済を布きつつ、国際的には自由主義であることが望ましい中国と、国内には自由主義を謳いつつ、実は未だに社会主義的色彩が残り、かつ安倍政権では全体主義が広がる日本と、保護貿易に関する認識も、大きく異なっているのが現状なのです。
日中首脳会談が、ほぼ中国側の言い分で短時間だけ、開催されました。文句を言いたい安倍首相と、聞く耳をもっていない習主席と、話がかみ合うこともなければ、逆に時間を多くもらったからといって、安倍氏が文句を言えたかどうかも疑問です。ただ、米国向けに日中は対話の道をつないでいます、というアピールにはやや時間が短かったのかもしれません。そんな安倍氏、G20後の会見で「臨時国会は安倍ノミクスを加速」と語りました。しかし相変わらず言葉の足りない安倍氏、そこに言葉を足すなら「安倍ノミクスをか『ぼ』そく」というのがふさわしいのでしょう。これが日本の補語主義、政治家のかたる言葉が反故にされたり、といったことも反故主義とすることと同時に、政権を維持するための保護主義も、より深刻ということが云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年09月04日

雑感。G20が開幕

20ヶ国・地域首脳会議(G20)が、中国で開幕しました。中国の習主席は「牽引力不足、金融市場の動揺、貿易投資の低迷」を重層的なリスクとしましたが、否定はしないものの全然足りない、と感じます。過剰生産・過剰投資、天変地異、テロの台頭、愛国主義。保護貿易に対しては話し合いもされていますし、過剰生産も世界フォーラムを設立し、情報を共有する、としますし、テロの封じ込めや税逃れも議論する、とします。地球温暖化対策として米中が事前にパリ協定の批准を表明するなど、すすんでいるよう見せかけることもしていますが、実際に何の対応もされないことがほぼ確実です。
情報の共有ぐらいで過剰生産が何とかなるなら、原油相場が急落などしていません。また増産凍結でさえ合意できない現状も、起こっていないでしょう。各国の疑心暗鬼、自分たちが率先して行動することで、損をするのではないか? つまり他国は約束を破り、こっそりと増産しているかも…。そんな不安から増産は止められない。後は体力勝負、淘汰されていく企業、国がでてきて、自然に減産されるのを待つだけです。

しかし翻ってみれば資本主義、自由主義の経済とは本来そういうものです。競争により整理縮小、淘汰がおこって最適化される、が本質であり、フォーラムだろうと情報を共有し、生産調整をする時点で自由主義の経済とは離れています。保護貿易の問題も同様ですが、要するに生産する側で調整するのか、消費する側で調整するのか、という差でしかない。過剰生産とは供給サイドの暴走、保護貿易とは消費サイドの暴走、です。作り過ぎを防ぐのか? その作り過ぎたものを買わずに、国内の価格が暴落するのを防ぐのか? 今問われるのは、明らかにバランスを崩している世界全体の供給、需要の関係をどう正常化させるか、です。
バランスを崩した原因は、金融緩和や財政出動などの政策によって、生産サイドにも消費サイドにも、過度の負荷をかけたことです。その結果、生産サイドは過剰供給の状態が生まれ、消費サイドがそれに対応できるぐらい、財政出動なりで潤っていた時期はよかったものの、そんなものがいつまでも続くはずもない。結果、あらゆるものがバランスを崩していて、今後も財政出動なり、金融緩和なりをつづけても、多少の延命にはなっても余計にバランスを可笑しくしてしまう、負のサイクルを大きくしてしまう原因になるのです。

それを正常化、といって良いのか分かりませんが、以前の状態にもどそうとするだけで、経済にはかなりの下押しがある。しかしそれを戻さない限り、経済が正常化することもなく、それこそ過剰生産を無理やり止めるのか、保護主義により流入を防がない限り、誰がババを引いて損するか、という話にしかならない。正直、日本がTPPなどを推し進めようとするなら、ババを引くのは日本、ということにもなりかねない。だから米国もここにきて態度を見直す方向に舵を切った、という事情もあるのです。
ではこうした状態を解消するには、何年、何十年かかるかは分かりませんが、しばらく低迷を耐えてでも、その国に見合う経済規模、経済政策を打っていくしかありません。しかしそれを邪魔するのが、愛国心です。経済が低迷しだすと、政治が安易に手をだし、自分たちの正当性に利用する手法、それが愛国心です。そして愛国心と同時に、国やシステムに対して反抗する機運も高まる、それがテロです。これらはバラバラの問題ではなく、経済をよくみせて支持を集めよう、という最初の政治による動機によって生まれた金融緩和や財政出動が問題だった、とも言えるのです。それを場当たり的に、延命措置をほどこそうと安倍首相は主張する。これでは何も解決しないばかりか、もっとも「誘惑に駆られた政治家」とも言えるのでしょう。今、問われるのは「全員が我慢できるか?」ということです。しかし誰かが抜け駆けしているかも…という疑心暗鬼が、対策を難しくする。世界は見事に自由主義を放棄し、計画経済へと陥りつつある、その罠に気づかない限り、対応は難しいといわざるをえないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(17)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年09月03日

日露首脳会談後の報道

昨晩の米8月雇用統計をうけ、市場ごとにまちまちの反応を示しました。株式は9月利上げが遠のいた、として株高。為替は9月利上げを織りこんで円安。しかし債券市場は反応薄であり、FEDウォッチをみると9月利上げの確率は下がり、12月は上がった。日本からみるとまさにイイトコドリ、米株高、円安で帰ってきており、シカゴ日経平均も17130円に上昇しており、週明けは重かった17000円を突破して始まりそうです。しかしあくまでイイトコドリ、米国市場は株と為替、どちらかの判断が間違っていることにもなる。9月のFOMCを通過すると、どちらかが修正されることにもなります。
しかも忘れているのが、日銀が『総括的検証』をする点です。ただ緩和をするだけなら、総括などする必要がない。検証の結果、下手に引き締めと捉えられ、かつFOMCで9月利上げがない、となるとダブルで円高圧力がかかることになる。急変動を引き起こしかねない要因ともなります。唯一、この円安のよかった点は9月、輸出企業は半期の締めで決済することも多いですが、円安で若干の余裕がでることなのでしょう。ただ輸入企業には逆効果ですし、為替予約などが増えれば円高に巻き戻されかねない。しかも貿易赤字に巻き戻されれば、それはGDPを悪化させます。円安の功罪、今回はより鮮明になるのかもしれません。

昨日の日露首脳会談、日本側のうけとめはかなり前向きな報道がめだちます。しかし昨晩の会談後の安倍首相の苦りきった表情、背後にいた世耕氏の険しい表情、どう考えても前進したとは思えません。それが急に報道ベースで、あたかも領土問題が解決しそうな煽りをするのは、12月15日という山口会談までの日程も影響するのでしょう。特に臨時国会が控え、この日露首脳会談について問われることも多い。会談が不調だった、となればどう転ぶか分かりません。さらに小池氏の都知事選出馬による東京10区補選、改憲をめざすなら落とすわけにはいかない。そして今、安倍政権がもっとも恐れているのは日銀の金融政策決定会合なのかもしれません。
総括した結果、何かが変わるのなら引き締めの方向しかありません。これまでが異常な緩和方向だったのですから。マイナス金利の拡大など、工夫はしてもマネーサプライを現状の規模で拡大しつづけるのは無理。いつかは引き締め、が9月になるかもしれない。そうなれば株安が襲います。安倍ノミクスが頓挫、という印象が強くなることは何としても避けたい。外交成果もまったくない中、マリオ安倍程度では安倍政権の正当性すら揺らぎかねない。北朝鮮の拉致問題はもう明らかに頓挫しており、唯一残るのが北方領土問題。ここで頓挫したら、もう安倍政権の外交には落第点しかつかない。株安のタイミングでは、何としても外交では成果がありそう、という期待をつないでおく必要があります。

それだと12月15日で、何らかの結果もでます。しかしもし仮に進展がなくとも、期待をつなぐ戦略は、東方経済フォーラムの安倍氏の演説でも語られました。「年に一度、ウラジオストクで会う」これは日本側の支援の進捗具合の確認、ということですが、お金もだして、剰えわざわざ相手国に出向いて会う。どこまで卑屈なのか、といったことも疑問ですが、毎年会うからその都度変化があるかもしれない、と期待をつなぐことができます。
しかし安倍氏の演説に、すでに「もうムリ」という文言もある。「歴史に対する立場、各々の国民世論、愛国心」があるから難しい。それを「70年つづいた異常事態」としますが、経済協力をしたとて後何十年経てば、それらが解消されるかも不明です。ここには自民党総裁任期を延長し、安倍政権を延命させて…という強かな読みもあるでしょうが、事実上、安倍氏の寿命から考えても政権の間は成果なく終わることが確実です。日本の「カイゼン」で露国企業もよくなる、として組むことを提案していますが、経済制裁をうける露国と、企業がどこまで組みたがるかは分かりません。それこそ企業は米国とも商売しなければいけない。米国から睨まれたら、商売上がったりです。しかも経済制裁の対象に、企業もなりかねないのなら、やはり二の足を踏むことになるでしょう。そのたび、安倍政権は企業経営者を「バカ」呼ばわりし、政権に協力しないと悪態をつくのでしょう。しかし企業からみれば「安倍政権がつづく異常事態」に見えてくるはずで、日銀の総括的検証後の株価とともに、安倍バッシングが高まることになりかねないのでしょう。日露首脳会談でみえたこと、またその後の報道から読めること、何もないけど、何かあるように思わせたい、という安倍政権の足掻きでもあるのなら、足きりに合う日も近くなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:54|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | ロシア

民進党の代表選が告示

米8月雇用統計が15.1万人増と、計ったように微妙です。つまり10万人台後半なら、利上げ観測が高まっていたところですが、すれすれで10万人台後半。予想は18万人でしたから、予想にもとどかない。9月利上げにむけた地均しとはならず、FOMCまで気迷いも続いてしまいそうです。ISM製造業指数も予想に反して判断の境目である50を下回ってきましたし、雇用は堅調ながら自動車販売にも鈍化がみられる。インフレ率も成長率も低いまま、今の米国は正直、異常なレベルの低金利をつづけるほどではないが、安定して成長している、といった状況です。これをFRBがどう判断するか、極めて微妙ともいえるのでしょう。

日露首脳会談が開かれましたが、安倍首相の険しい表情が印象的です。プーチン大統領は領土問題で話し合うことはない、というスタンスで、これは日ソ共同宣言の平和条約締結と2島返還のセット合意とも、細川、エリツィン会談の4島返還の話し合いをすすめることで合意、とも異なり、かなり後退した印象です。これがハードルを上げて交渉ごとをうまくすすめよう、ということでないのは明白です。ウクライナ問題で露呈したように、国民は強い露国の復活に歓喜し、プーチン氏の支持率が上がった。今、日本に妥協して領土を明け渡すことは、露国にとって政権基盤を揺るがす事態にすらなりかねないのです。
プーチン氏のネックは年齢。ロシア人の平均寿命は越えているので、いつ倒れてもおかしくない。わざわざ政権の末期に、汚名をかぶる必要はありません。そもそも、ロシア人は北方領土の経緯についてもよく知りませんし、問題意識ももっていない。昔、日本の地図には樺太の南半分が空白で描かれていた、などという事情すらロシア人には「何それ?」のレベルなのです。むしろ先に経済協力や、ロシア経済の担当相をおくなど、山のようにカードを切ってしまった。後はそれこそ実弾(現ナマ)を積むしかない状況に追い込まれました。12月15日の山口会談、ふぐの味はほろ苦くなるかもしれず、露国流ならふぐ毒で暗殺…というところまで、安倍氏は追い込まれてしまったのでしょうね。

民進党代表選が告示されました。蓮舫氏、前原氏、玉木氏の三つ巴ですが、共産党との選挙協力は消極的、憲法改正では議論にのるものの、蓮舫氏が9条改正に反対、玉木氏が降るスペックの集団的自衛権行使に反対、前原氏が自衛隊の明記、と分かれました。また経済政策では、前原氏が再分配、蓮舫氏は好循環、女性活躍、玉木氏は玉木ノミクスとして人に投資、という形です。正直、三者三様ということでもなく、似た者同士が少しずつ違いをうち出している印象で、国民にはその違いがよく分からないものとなっています。
逆からみると、これという目玉がない。この代表になったら、民進党がこう変わる、という想像ができない。自民との対決姿勢を鮮明にうちだすわけでもない。改憲に向けて審議にのる、としますが、民進党のめざす国の形がよく分からない。保守から革新まで、幅広い政治家がいるために、どちらに転ぶかよく分からず、国民も支持しにくいのです。世論を二分するような問題で、党内さえ意見が割れる。結局、この憲法審査会にのれば、また民進党が分断するのでは? との懸念さえ生じる。はっきり言って、メディアの袋叩きが怖いのと、党内の意見はどうだろうと自分のすすみたい道がある、というのは分かりますが、こういうセンシティブな問題は民進党のもっとも苦手とするところでもあるのです。

経済政策で与党との違いをうちだすのでもない。人への投資、再分配、もっとも財務省が嫌うものであり、その突破力はこの3氏からは感じられないのでしょう。行財政改革が本来は必須であるはずなのに、今の政界ではメインシナリオではないから、検討項目にも上げない。これでは安倍政権と何も変わらない、と言っているのと同じです。もっと野党らしく、攻撃的な姿勢で与党と対峙して行く、という姿勢はまったく見えない。未だに前原氏などは「反省を…」と口にする。一体、政権交代してから何年反省しつづけるのか? カチッとした総括ができないから、こうしてずるずると引きずる悪循環に陥っているのです。民進党は出直す、そのための政策はこう、という提案が無い限り、この代表選はただの一野党の頭をすげ替える、というだけのものに終わってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 00:00|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月01日

雑感。防災の日と法人企業統計

台風10号の爪痕が東北、北海道で深刻ですが、政府の動きは熊本地震と比べると、著しく鈍いことが分かります。熊本地震のようなピンポイントだと、そこにワッと支援物資を集めてしまえばいい。しかし大規模な水害になると、何をどうしていいかも分からない。結局、マニュアル化されたものでないと対応できないのは、行政機関の悪いクセです。
防災の日、ということで安倍氏を初め、閣僚が官邸へと徒歩で集まっていますが、徒歩ではなく小走りか、もしくは連絡をとりながら、が正しい参集方法です。それもできない高齢というなら、まずそのことが可笑しいのです。危機対応において、迅速さが保てないのですから。また安倍氏は公邸を利用していませんが、自宅から通う分は確実にロスであり、それをどう補うか、も検討課題でしょう。閣僚がいない方が都合いい、というのなら別ですが、マニュアル化されたものに横から口出して、混乱させると考えているなら、逆にその徒歩の道のりを遠回りさせるマニュアルも必要になるのかもしれません。

今日も日経平均は上昇していますが、ドルベースの日経平均でみると、先週末の26日が162.8。イエレン講演後の29日が164.4。30日が163.8。31日が164.0。今日が164.0。見事にほぼ横ばいです。イエレン講演で急速に9月利上げ観測が高まり、ドルを売って円を買っていた層が慌てて買い戻す。その流れとしてドルベースの日本株の価値を一定にするよう、株買いを入れている、といった構図であり、明晩の米雇用統計を前にして為替も株もポジション整理の一環、ということです。米雇用統計で良好な数字がでたら、やれやれといったところ、逆に悪ければ改めてポジションを組んでくるでしょう。9月の動きが分かり難いのが、明日の米雇用統計、9月9日にはメジャーSQ、そして21日前後には日米の中央銀行の金融政策会合がある。そのたびに、次にどんな戦略を組むのか、という転換を迫られる点です。それ次第では上にも、下にも、大きく振られやすい。今は米FRBの動きだけをキャッチアップしていますが、やがて日銀に次の手があるか、それにも注目が集まりそうです。
4-6月期法人企業統計がでてきましたが、前年同期比で売上高が3.5%減、経常利益が10.0%減と、2四半期連続で大きな落ちこみとなりました。円高の影響が大きく、製造業の経常利益は3四半期連続で21.2%減、20.4%減、22.4%減と、大幅な悪化がつづきます。それでも設備投資は3.1%増、と伸びがつづく。これでGDPは上方修正される可能性もありますが、気になる数字もあります。売上高がおちこむとき、これまで景気後退期と重なってきました。つまり企業からみると、すでに景気後退にみえるのです。

麻生財務相が、内部留保を溜めこむ企業に向けて「経営者はバカ」といった話をしていますが、今の企業が自衛モードに入ったとしても決しておかしくない状況は、すでに構築されてしまった。逆にこれが為替の変動によってのみ起こっているなら、その急変動をリスクと捉え、やはり企業は内部留保をためこむ。つまり政府の態度、施策によりリスクへの警戒が強まっているから、賃上げも設備投資もほどほどで止めてしまうのです。
麻生氏はまた、証券会社や不動産会社に勤める人間は「ヤバイ奴」と述べました。一昔前の相場ゴロ、という人間を指しているのでしょうが、言葉を足すなら「政治家になるような人間はロクな奴でない」とも言われたものです。どちらも大きなお金を扱い、平然としているのですから、「まともな奴」では勤まりません。

安倍政権の閣僚の醜聞、内閣改造後の毎回のセレモニーのようにぞろぞろ出てきています。しかも山本地方創生担当相、今村復興担当相、加藤1億総活躍担当相など、安倍ノミクスの重要なポジションを担う閣僚らに、金にまつわる醜聞がつづく。これも人災だとするなら、防災の日に何らかの対策も必要なのでしょう。ちなみに「ロクでなし」のロクは俸禄の禄ではなく、碌の当て字も見かけますが、正式には陸の字をあてます。平らなこと、まっすぐなこと、などを意味し、そうでないから「ロクでなし」なのです。やばくても仕事ができればよいですが、ロクな奴でない人間が行う政治の方が、よほどリスクでもあって、その人災に企業も備えてしまうのが、今の日本の実状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:52|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済