2016年10月

2016年10月31日

経済成長しない時代

韓国では朴クネ氏の親友が出頭し、朴氏への操り人形批判が渦巻きます。しかし日本の安倍政権も、日本会議の主張と驚くほど政策や主張が似ており、操られている感は似たり寄ったりです。神道や新興宗教も名を連ねる、この日本会議からどの程度の指示をうけているのか、それとも自らそこに寄せようとしているのか、前者なら操り人形、後者なら怪しい政策、と言えるのでしょう。どちらもアヤがつく、アヤとは色合いのことも意味しますが、色がついた政権ということは、その政策からもはっきりしているのです。

経済政策についても、新自由主義に基づく米国型、という色がついています。しかしこれまで掲げてきた看板政策「まち・ひと・しごと」「地方創生」「女性活躍」「一億総活躍」「働き方改革」など、どれもこれも何か成果あった? というレベルです。雇用環境が改善、というのも少子高齢化で高齢者が引退、その数より若者が少ないといった影響ですし、ワーキングプアが増えているのは米国も、日本も同じです。高齢者や女性が働かないと生活できない社会になった時点で、政治としては失敗といえるのでしょう。
ここに来て、未来投資会議もやる気なし。それも世耕経産相が露国にわたるように、露国との経済協力をおし進めるため、国内の経済対策に回す予算が乏しくなっている、というのです。何としても日露平和条約への道すじをつけたい安倍政権では、数千億円では足りず数兆円、数十兆円規模の協力を申しでる、とも噂されます。これでは国内経済に回す予算さえ不足する。それこそ特別目的債、の発行などとなれば日本の財政への懸念が世界に広がることでしょう。景気対策もなく、停滞する日本は返済能力すら疑われます。

そんな中、海運3社がコンテナ船事業の統合で合意、と発表しています。小売の決算も悪化しているように、今はモノが動かない。消費がすすまない。特に、海運では他社も含めて設備投資をする目的で、大型船の就航を行ってきたため、業界全体に能力の過剰感があって、それも船賃を低下させる要因となっている、といいます。つまり今の世界は、設備投資をすればそれが企業の負担ばかりでなく、業界全体を悪化させる時代に突入した。それは成長というパイを失い、他社のシェアを食う以外に業績拡大ができない、それが過剰競争を生み、過剰生産能力などに代表される『過剰感』という深刻な問題をひきおこしているのです。
そんな中、未来投資? などというお題目を掲げ、さらにこれまでの会議とほぼ同じ問題意識、目的をもつ新たな会議を立ち上げる、という安倍政権のセンスのなさ。それに、かける予算すら乏しくなり、未来さえ描けない日本、これは今後かなり日本にとって悪い状況をうみだすのでしょう。成長するための統合ではなく、弱者連衡型の統合が増えることも、実は世界にとって危機的な状況であることも意味しているのですが、安倍政権はそのことに対して問題意識すらないようです。

経済が成長しない時代、マイナス金利にしても、量的緩和をしても成長しないどころかマイナス成長も意識される時代。その先駆を日本が切ってきましたが、何の解決策も見出せてはいません。むしろ米国流の経済政策をとり入れた結果、中間層を破壊してさらに泥沼に陥った、とさえ言えるのでしょう。もしかしたら、成長しない時代というのは、政治家が旧態依然としたものにすがり、まったく成長していないところから起きているのかもしれません。アヤとは表面上に表れているものとは違った筋道、という意味ももちます。まず政治家は、現状にいたる過ちを認め、国民に謝ることから始めないと、世界全体をさらに危うくする、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(14)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2016年10月30日

雑感。五輪会場の問題

小池都知事の政治塾『希望の塾』の初回、開講式が行われました。「批評家ではなくプレイヤー」として、としていることからも政治家を養成する塾、小池チルドレンをつくるための塾であることが明白なのでしょう。ただ橋下氏がつくった維新の塾も、必ずしも成功したとは言えない。政治家をめざす、といっても目的も質も異なり、政治家になり易さだけを求めて集まってくる人もいるからです。2900人も集まったそうですが、書類選考で篩い落とせるのは素性ぐらい。その人物の資質や思想までも完全に把握することもできないため、この政治塾が政治家輩出の登竜門となるためには、いくつものハードルを課して政治家としての見極めをしていかなければいけない。それなのに、1ヶ月に1度ぐらいの講義しかしないのですから、この政治塾はむしろ既存の政治体制への圧力機関でしかない、と言えるのかもしれません。

その小池都知事が頭を悩ます東京五輪の会場問題。各競技団体からは「レガシー」のために競技場をつくって欲しい、と要望が上がります。しかしマイナー競技だったり、ムダに立派な競技場をつくっても将来に亘って赤字を垂れ流す結果となり、そんなもの「要らんしー」となることが確実です。レガシーになるかどうかは、競技団体の取り組みにもかかってくること。何も、立派な建物があるからレガシーになるわけでもありません。○○競技場跡地、などがレガシーだとでも考えているなら、「浅ましー」となるのでしょう。
ボート会場では、宮城の長沼や埼玉の彩湖が、東京湾の海の森と同時に名前が挙がっています。海の森は整備費が300億円、彩湖は整備費が266億円、長沼は200億円、などの試算がだされていますが、いずれも眉唾です。地元に建設工事をもってくれば、潤う建設会社に試算を委ねているからで、会場に決定して工事がはじまってしまえば、後で追加工事として請求できる。つまり決定するために見積もりを低くだす傾向があるからです。海の森の東京の試算が、いきなり491億円から300億円に圧縮可能などとしたのも、追加工事の対応費を削った、などと理由も語られますが、一番は他にとられるぐらいなら、というものがあるのでしょう。いずれにしろこうした試算が正確だった験しはありません。

重要なことは、それが試算通りにいくか、それを見抜く目をもった選考委員などの利害関係のない専門家を集められるかどうか。しかし築地の豊洲移転問題でも、移転に対して懐疑的な意見を述べていた専門家が、日建に反論されると言い返せなくなったように、賛否両者の意見を公平にみないといけません。小池氏をはじめ、都の幹部まで含めて、その判断ができるとは到底思えない、という点に大きな不安も残ってしまうのでしょう。
小池氏は「アスリートファースト」を唱えます。選手にとって一番いい選択、それは都内にあることや豪華さ、ということではないでしょう。都内にあってもアクセスが悪いところもある。豪華な建物でも、競技するとき閑古鳥が鳴いていては、プレイする側も興醒めしてしまうでしょう。身の丈、プラスアルファーぐらいのものを、五輪仕様に伴って仮設でつくっておく、ということが大切です。一つの提案ですが、例えば豪華な競技場などをつくるようなケースでは、競技団体に維持費の一部を負担させてもよいのでしょう。そうなれば、競技団体としても豪華な建物などをつくれば、将来的に自分たちの負担も増してしまう。それを国の補助金の流用などで補えない、といった仕組みをつくれば、競技団体も身の丈を意識するはずです。今はワガママを言った者勝ち、といった形となっており、正直「見苦しー」が目立ちます。この競技団体が維持費を負担する制度、について「アフィリエイトファースト」と言ってもよいのでしょう。アフィリエイトは成功報酬型の広告ですが、競技が盛り上がり、その団体が運営にも責任をもって、その成功報酬として豪華な建物をたててもやっていける。そうしたものでない限り、都民の負担は増すばかりです。

それに東京五輪、リオ五輪の閉会式にまで出かけ、マリオになった安倍首相は「都と組織委員が話し合って…」などと他人ごとのようですが、自ら広告塔になって国の関与を前面に打ち出したのですから、お金をださない、ということは通用しません。そうなると、国民負担となってはね返る恐れもあります。競技が国民の負担の上で成り立つ、という仕組みであってはいけない。競技が国民というファンの上で成り立つ、そうした形で無い限りは五輪も失敗することになるのでしょうね。

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2016年10月29日

雑感。米大統領選とハロウィン

米7-9月期GDP速報値が発表され、年率換算で前期比2.9%と成長が加速しました。ただし中身をみると個人消費が2.1%増と、前期からは減速、それを支えたのが輸出の10%増という伸びです。南米で大豆が不作、米国の輸出が急拡大したためで、これは次の期には剥落する要因です。また在庫投資も伸びており、GDPへの寄与率は0.61%もあります。恐らく年末商戦にむけて、部品の生産を増やすなどした要因なのでしょうが、これが10-12月期のブラックフライデー商戦の消費の伸びで解消されないと、これも下押し要因になりかねません。
非居住構造物への投資は5.4%増と、原油高を見越してシェールオイル関連企業が、活発化しているのかもしれません。企業の機器投資は2.7%減と4四半期連続の落ち込みで、企業のマインドはそれほど上がっていない。これで雇用が堅調なのですから、米国はソフト関連やサービス業の分野が堅調、ということなのでしょう。ただ不動産が堅調で株も高い、この状況で個人消費が落ちこんできたことは、かなり気がかりです。ファンドの運用成績も上がらないように、実は資産効果にも翳りが見えてきたのではないか。あらゆる市場が高すぎて、さらに上値を追うにも不安が漂いますし、経済の世界では米一強とされる中で、米経済が減速すると、世界全体がおかしくなる可能性すらにじむのでしょう。

そんな米国を左右する大統領選で、クリントン候補に関してFBIがメール問題の再調査をする、という話が出てきました。新たな情報がでてきた、というのですが、これがFBIによる疑惑のある人物を大統領にはしない、という強い意志なのか、それとも最近は露国の手先ともされるWikileaksによるハッキングで出た新事実なのか、いずれにしろ大統領選が再び混沌としてきました。女性醜聞まみれのトランプ氏なのか、不正メール問題で容疑者扱いのクリントン氏なのか、11日後に迫った大統領選に不透明感がただよいます。
今の世界経済は、どこかの成長している国に様々な国がもたれかかり、自国を成長させる形が一般的です。少し前の中国、今は米国です。少し前までアフリカが成長ドライバーなどと語られましたが、アフリカにそんな力はないことが鮮明となり、仕方なく米一国に頼らざるを得なくなった。しかも米国の次は見つかっていないのが現状です。

ハロウィンが日本でも定着しつつありますが、コスプレ文化という下地と、見知らぬ者同士が一堂に会して喜び合う、という非日常を味わうものとして、元々の風習とは大きく異なる形で広まっています。しかしこういう非日常のパーティーが流行るとき、というのは世の中に不透明感があったり、日常に不満があるときです。世界最初の集団ヒステリーともされる江戸時代末期の「ええじゃないか」も、討幕に利用された、政治の停滞に庶民が呆れた、ともされますが、こうしたものは国民の目晦ましになる一方で、その動きが暴走するととんでもないことも起こります。顔を隠す仮装も多いことから、犯罪の温床にもなりかねない。集団意識が働くと暴走しがちですが、日本でもハロウィンの犯罪が増えてくるようだと、国民の怒りのマグマが溜まっている、とみなすこともできるのでしょう。
米経済学者で、02年にノーベル経済学賞を受賞したカーネマンが提唱したピーク・エンドの法則、というものがあります。それは我々が、ピーク時と終了時に得た経験によって、物事を判断するというものです。リーマンショック後に迎えた、金融政策による効果で世界経済を押し上げよう、とした試みは、どうやらここにきて失敗だったことが鮮明になってきました。それはまるで、仮装して浮かれるようなもの。実体経済を包み隠して、それに目を向けずに表面上の非日常感を楽しむ、といったようなものだったのでしょう。しかしそのピークはいつだったのか? それすら定かでないまま、米国は利上げ局面、日欧も限界を迎えています。人が今回の金融緩和の時代を振り返ったとき、ピーク・エンドの法則でいえば「二度とするものか!」というほど、悪い印象しか残していない、とも言えるのでしょう。トリック・オア・トリート、いたずらか、ごちそうか、ご馳走を食べたのが富裕層だけで、それ以外の人間には何の恩恵もない。いたずらしたくなる、という意味で犯罪が増えてくるなら、これからは治安の面からも不安定化するのかもしれません。米大統領候補が二人とも疑惑まみれ、というのが、道徳心の欠如、誠実さの喪失をより象徴的に示しているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2016年10月28日

安倍外交の問題が噴出

韓国の朴政権が揺れています。父親同士が昵懇だった関係で、支援者とはいえ一般人である女性に国家機密を洩らし、かつ介入させていた疑惑が報じられ、本人も認めました。女性の父親が宗教家だったとも語られますので、一宗教による壟断も指摘できます。支持率が急落していることは勿論、韓国のお家芸である大統領が退任した後で逮捕される、という同じ轍を朴氏も踏んでしまうのでしょう。それどころか、大統領在任中でさえ逮捕される勢いです。
韓国のラスプーチンという声も聞こえますが、それを暴いたのが廃棄しようとしたパソコンを海外まで追いかけていって、中身をチェックしたという韓国メディアの執念を感じます。日本では、安倍首相がメディアの幹部と会食することもしばしばで、この程度の情報漏えいは日常茶飯事かもしれませんが、取り締まる法律も曖昧で、かつ取り締まる側がすべて権力側、という問題を抱えるため、この手の問題が事件化されることはありません。

安倍外交の失敗を感じさせる問題が、いくつか報じられます。国連総会第一委員会において核兵器を法的に禁止する条約の制定交渉、来年から始めるための決議案において、日本政府は反対票を投じたものの、賛成多数で可決されました。日本は法的拘束力の無い核兵器禁止の条約をめざし、167ヶ国が賛成した、などと自慢げに語りますが、123ヶ国しか賛成しなかろうと、より強い権限をもつ条約に集約されてしまうのですから、何の意味もありません。それより、法的拘束力がなければ賛成し、拘束力があると反対する、という日本の態度の差について、今後は世界から懐疑の目をむけられることにもなりそうです。
12月に山口で予定される日露首脳会談にも、暗雲が漂います。プーチン露大統領は、日露の領土問題について、中露で均等分割で合意した大ウスリー島をめぐって「先例がないレベルの協力関係を築き、非常に高いレベルの信頼を得たから」とし、日本はまだそのレベルにない、と示しました。つまり12月では交渉入りにさえ至らない、との認識です。平和条約交渉には「期限を設けるのは害」とさえ述べ、領土問題に一定の進展で、平和条約締結…との目論見は完全に頓挫したことになります。最近、政府からも弱気の発言がめだつのも、官僚級の調整がうまくいっていないことを示しますから、山口会談はちょっと早い忘年会ぐらいの位置づけになりそうです。

南スーダンでは、国連のPKO部隊(UNMISS)が救援要請、出動命令が出たにも関わらず、出動しなかった事例が発生。自衛隊も参加するUNMISSであり、駆けつけ警護の案件です。これまで安倍政権では、政府の要請で出動する、という建前を述べていましたが、今回暴走したのは政府軍兵士、政府に肩入れしたとしても市民が殺されることを、今回もまざまざ示しました。しかも相手は重武装をもつ政府軍兵士、本格的な戦闘も覚悟せざるを得ません。特に今回、国連も調査にのりだすようですが、今は自衛隊に駆けつけ警護が付与されていない、というイイワケも成り立ちますが、今後はその説明が通用しなくなります。
米国のクラッパー国家情報長官が、北朝鮮の非核化は「見込みがない」と述べ、波紋が広がります。安倍政権になってから「拉致問題解決の絶好の機会」といわれたときもありましたが、今や安倍政権からは拉致のらの字も出てこない。誰が言い出すのかは分かりませんが、最初に安倍政権が思い描く、理想的な展開が語られて喧伝されますが、後に困難と分かって沈静化をはかり、結果何も前に進まない、ということをくり返します。今回の日露交渉もほぼ同じ轍を踏むのでしょう。12月解散の大義すら失われそうです。

どうやらこうした政府の情報の流し方、安倍氏の気分が大きく関わっているようです。安倍氏の気分がいいとき、自分たちにとって都合よい記事を流し、それに酔う。しかし現実がそれに伴わないと気づき、修正が大変になる、という形です。戦後最大の哲学者、ともいわれるフーコーは『真理と権力』の中で、現代を「大作家消滅の時代」と呼びました。つまり知識人が、かつては夢や希望を語り、詩人のようであったのと違って、今は人々の生殺与奪の権利をにぎる数少ない人間たちである、というのです。日本の現状は、まさにフーコーの喝破した通りなのでしょう。知識人と呼ばれる層が、政府と協力して人々を苦しめることしかしない時代。夢も希望も、彼らから語られなくなった時代、そしてまるでおとぎ話のような外交の成功譚が先に語られ、後にそれができずに訂正される過程をみると、知識人の知識レベルの低下が嘆かれるとともに、大作家のつくウソも気になるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(31)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年10月27日

雑感。日本から海外へむかうマネー

三笠宮崇仁様が亡くなられました。「偽りを語る者が愛国者と讃えられ、真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を、私は経験してきた」と、率直に大戦前の日本を語るなど、戦前の語り部としても活躍されました。特に、南京に赴任したときは軍紀の乱れを嘆き、皇軍とは? という講話を残すなど、異常だった戦前の状況でも、正しくあろうと努められた方でもあります。戦前回帰をめざす今の安倍政権、そんな中で戦前を知る三笠宮様が亡くなられたのは、一つの時代の節目ということでもあるのかもしれません。戦前のメディアでさえ批判した三笠宮様、今のメディアがその言葉をどう受け止めるのか? その言葉をもう一度、恥ずかしげもなく再掲できるのか? そんなことを感じます。昭和の激動の時代を具に見ていた方だからこそ、まだまだ情報発信していただけいたかった。ご冥福をお祈りしたいと思います。

野村HDの7-9月期の決算がでてきて、前年同期比31%増と好調です。リテール(営業部門)が減速、ホールセール部門が好調、と明暗が別れ、かつ海外部門はコスト削減が寄与した、といいます。一時期、株式市場では先物の大商いが目立ち、上がるときは野村の買い、とまで揶揄されましたが、それを改めたことでホールセール部門が改善したのかもしれません。米国のホールセール部門は好調とされるのも、むしろヘッジファンドのパフォーマンスが悪化する中で、リスクを少し抑えてでも安定的に…という機関投資家の増加かもしれません。ただ、金融決算から見えてくるのは、今がバブルとの認識です。
例えば米株はPER18倍台、従来は14倍が高値ともされた中、米株はもう経済成長による押し上げ分を2年ぐらい、嵩上げしてしまっている状況です。日本株も14倍を越えていますが、こちらも割高の水準に入りつつある。国債はどこもバブルが指摘されるほど、買われているのが状況です。つまりトレーディング部門にとって、バブルであればそこそこ儲けがだせる。特に日本では、下げそうなときは日銀が買ってくれるため、日銀の買いが出そうなときはこぞって日系の証券会社が先物を買っている、という現状もあります。当然、ETFの組成にもある程度の株をもつ必要はありますが、今の証券会社はそうやって儲けをだす構図です。

最近の円安について、少し興味深い話があります。米MMFをみても、米投資家は円買いの水準を大きくは変えておらず、どこか別の主体が最近、円売りを仕掛けているとされます。その主体は、日系の金融機関。しかもそれは為替ヘッジのない海外投資、というのです。つまり為替ヘッジをすれば、為替市場へのインパクトは少ないのですが、ヘッジをせずに海外投資するときは、円売りドル買い、ユーロ買いを直接だすことになる。これがドル調達コストの高止まりでヘッジを利かせ難くなったのか、それとも別の理由でヘッジをかけていないのか? とにかく日系の金融機関の円売りが最近、活発というのです。
これは一見しても分かるように、日系の金融機関が為替の急変動に、より脆弱になったことを示します。一つの噂ですが、政府の要望もあるのではないか? 為替ヘッジを利かせていたら、いつまで経っても円安にならない。海外では為替ヘッジをせずに取引することも多いですから、それと同等を求められたのかもしれない。しかしそういう取引になれていない日系の金融機関、実は経営体質まで脆弱になっている、ということかもしれないのです。

この噂が真実かどうかは確認する術がありませんが、今の円安の持続性が、日系の海外投資余力に懸かっているのなら、早晩終わるのでしょう。そして、むしろその後で円高になることを望んでヘッジをかけていないなら、今後の為替動向にも要注目かもしれません。年末円安、株高なども囁かれますが、その根拠は薄弱であり、もし根拠も低く年末ドレッシングの思惑だけで上昇させれば、最近多発する年初からの大幅調整に見舞われることが確実です。「偽りを語る者…」が、市場にもいる以上、今後のマネーの動向には注意しておかないと、不意の動きに驚かされることもありそうです。売国、という動きが今後、増える原因となるのは、金融機関の脆弱さからシステム崩壊をおこす恐れ、です。独銀がそうであるように、海外投資を活発化させる日系の金融機関、日本からマネーが逃げ出していく現状は、決して楽観できない状況とも言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(18)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年10月26日

日比会談と大麻

タレントの高樹氏が大麻所持の疑いで逮捕されました。医療用大麻の合法化、を訴えて参院にも新党改革から出馬していましたが、当選したらどうなっていたか? 今回でも逮捕された後で、メディアでは「医療用大麻も娯楽用大麻も同じ」「大麻の依存性がつくと凝り固まった価値観で攻撃性を増す」などという論調も聞かれますが、選挙のときにどうしてその指摘をしなかったのか? 選挙の公平、公正を求めるあまり、危険な主張を野放しにしていたなら、それこそ大きな問題でしょう。特に、新党改革は与党系のグループであり、そんな政党だから気をつかったのかもしれず、報道のあり方に問題を感じます。
しかし都知事選に出たい、としてテレビ局やスポンサーに多額の慰謝料を払うことになった石田純一氏ですが、今回の高樹氏の方が、よほど大きな影響もありそうです。半ば芸能界は引退した状態の高樹氏ですが、再放送がつかえません。選挙に出たい、といっただけで干されるぐらい、今のテレビ局はぴりぴりです。選挙に出た、そしてその主張がまやかしで、逮捕された、そんな芸能人をつかうことが許されるはずもありません。なぜかネットでは高樹氏の慰謝料の件は盛り上がっていないようですが、石田氏をつぶそうとした人間たちには興味ないせいかもしれません。
さらに、高樹氏はネット番組で「大麻で幻覚はでない」と発言しており、それを語れるということは大麻をつかったことがある、とすぐに分かります。参院選の主張からも「怪しい」として内偵していたのか? そうだとしても逮捕が遅いですし、TPPが衆院で大詰めに、また日比会談の直前というタイミング、何か意図的なものを感じざるを得ません。

その日比会談、策士ともされるドゥテルテ比大統領に、いいように転がされた印象です。ドゥテルテ氏は中国で南シナ海問題を「棚上げ」し、経済協力をとりつけた一方、日本には「時がきたときは皆様の側に立つ」と、仲裁裁判所の結果を重視し、法の支配を唱える安倍政権に配慮してみせた。しかしこれは日本に対して痛烈な皮肉でもあり、米国を排除する姿勢を示す一方で、日本とともに中国と対抗する、というのは日本に矢面に立て、と述べているのと同義です。つまり南シナ海問題で、実効支配を強める中国に対して「法の支配」で対抗するのは、かなりの困難を伴います。日本の「法の支配」が通用するのは、あくまで米軍が世界の警察として、法の遵守をさせる行政官でなければならない。それなしで「法の支配」で中国に対抗するには、自衛隊に武装して南シナ海まで出て来い、と言っているのに等しいことになります。
安倍政権は、米比の橋渡しを…と思っていたら、その橋を比国の側から切って落とし、日本に中国と対抗するだけの覚悟を求めていることにもなるのです。安倍氏はドゥテルテ氏の発言に満足したかのようですが、この言葉は重いと理解していないようです。比国には日本から巡視船を供給する協定をむすび、今から続々と比国に運ばれますが、それと同時に海自艦もついてこないと、比国は中国側につくぞ、という脅しにも感じられます。

日中を天秤にかけ、支援合戦をしかけるつもりもあるでしょう。麻薬対策で国民の支持も高いドゥテルテ氏ですが、国民にもっとも支持されるのは、やはり景気です。インフラ整備や工場の進出などを、日中で競わせる。南シナ海というエサをぶら下げた草レース、しかし日本にとって直接の旨味はなく、間接的には安全な航路の確保や、東シナ海の問題につながる部分があっても、南シナ海単独では何のメリットもない。このレースにおいて人参が多いのはやはり中国の側であって、勝負をしても負けることが確実です。その代償として、日本も麻薬の取り締まりに厳しいですよ、として高樹氏の逮捕がこのタイミングになったのなら、この政権はどこまでも腐りきっている、となるのでしょうが、そこまでは穿ち過ぎかもしれません。
比国では「タバコの火を借りるのは、竈の火を借りるのと同じ」という諺があります。タバコの火だけのつもりが、食事までご馳走になる、という意味で、相手の好意につけこんでさらに大きな利を得る、ということにも繋がります。「法の支配」と言うのは簡単ですが、行うは難し。警察権の伴わない「法」に強制力はなく、米軍を排除した「法の支配」は、ただの理想論に過ぎない。それを金の力でどうこうする、とした時点で日本は体のいい財布として扱われるだけなのです。ドゥテルテ氏は禁酒を破って、外務省の開いたパーティーで日本酒の盃を重ねた、といいますが、「ホウノシ杯」という酒はさぞかし美味しかったことでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2016年10月25日

雑感。西之島とシン・ゴジラ

小笠原諸島で噴火をおこしていた西之島に、今日初の立ち入り調査が入りました。僅かに残った元の西之島で、鳥が繁殖していることは確認されていましたが、鳥が運ぶ糞によって今後、植物がどう育っていくか。そして鳥が溶岩で覆われた大地にどう戻っていくか。世界的にみても貴重な実験場となっており、今後の調査も期待されます。

安倍首相が東京国際映画祭のオープンセレモニーで、シン・ゴジラを官房副長官に奨められた、と語っています。このシンについて、特定の漢字は想定していないそうで、中国では『新』や『真』といった漢字が当てられている、とのこと。しかし日本では『晋』、もしくは『慎』の字をあててもよいのかもしれません。前者は安倍晋三氏、後者は石原慎太郎氏です。自分と身内に甘く、高額な海外出張をくり返した点も同じ。ともに保守で責められると逆ギレして返す点など、とてもよく似る二人ですが、都政を引退した後、問題噴出で逃げ回る石原氏の姿が、将来の安倍氏に重なります。決めきれない日本政府、という問題が映画では描かれるそうですが、決めてしまうことで、後に問題になることもある。慎・ゴジラの破壊力をみるまでもなく、晋・ゴジラはスケールアップして、後に日本上陸を果たすことになるのでしょう。
問題はその決めようとしているTPP、混乱していた審議日程も、27日に参考人質疑、安倍氏も出席しての質疑、28日午前に野党側の一般質疑で、28日午後は未定とします。与党はこの28日で審議を尽くした、として午後に委員会採決をめざすのでしょう。すると31日で衆院通過に目途が立ちます。野党がどうしてこんな審議日程を飲んだか、といえば、むしろ与党に強行採決をさせて、悪いイメージをつけようという魂胆でしょう。与党が今月中の衆院通過をめざす以上、この日程がぎりぎりでエサをぶら下げた形です。数で押されれば野党はどうしようもありませんから、せめて強行採決という体裁を与党にとらせたい。しかし塩谷TPP特別委員会委員長の「丁寧な運営を心がける」程度の発言で、審議にもどる野党の態度は、徹底抗戦とは映りにくく、農家の票も集まりそうにはありません。

NHKスペシャルのマネーワールドという特集もありましたが、今や資本主義の限界が意識されています。今の世界はマイナス金利、量的緩和を行っても低成長から回復できない。むしろ成長の原資もなく、富の偏在が激しくなり、行き詰まりが露呈している、というのです。日銀がはじめたゼロ金利、量的緩和は先行者有利の原則もあって、一定程度の成功を収めましたが、今は横並び。比較優位の原則も働かず、世界は好調な地域もないために投資も順調にいかない。成長できる余地を著しく削ってしまったのです。そんな安倍氏は、第三次小泉政権時代に、日銀が量的緩和を解除するのに伴い、反対した一人です。そして今まさに、日銀にマイナス金利まで含めた量的緩和を促しましたが、景気回復に失敗しています。
今、日本に必要なのは先行者有利の原則を、ふたたび起こすことです。それには従来のやり方とは違う、他国の真似できない方法で経済回復の道をめざすこと。恐らく安倍政権や日銀は、ETFやREIT購入をその政策だ、とアピールするのでしょうが、実を挙げていないことは論を待ちません。量的緩和が最大に効果を発揮するのは、景気が悪い国ではなく、景気の良い国でバブルをつくり、それに乗っかることです。景気の悪い国の市場を押し上げようとしても、効果は出ない。実体が伴わない以上、誰も本格的に買わないからです。昨日など、株式市場は日銀が買わなければ1.5兆円割れ。閑散を通り越して閑古鳥が鳴くような、そんな淋しい市場となってしまいました。

安倍政権に、そんな先行者有利の原則をめざせるような、理論的支柱はありません。TPPに拘るように、従来型の新自由主義に則ったことしかできない、それが限界です。そのうち怒りのマグマが噴出し、日本のほとんどを飲みこむ破滅的状況が起こるかもしれません。そのうち鳥が新たな種を運んできて、この国に見たことも無い植物、政策を芽吹かせるまで、復活は難しいのかもしれない。その前に晋・ゴジラが破壊の限りを尽くし、日本を滅茶苦茶にしていく、今はそんな状況なのかもしれませんね。

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2016年10月24日

小池グリーンと貿易統計

昨日の2つの衆院補選で気づいたことがあります。小池旋風ともされますが、実は投票率が低くて、浮動票が動いたような気配はない。つまり小池旋風が吹くのは、自公の支持者なのかもしれません。ある世論調査で、安倍政権の支持率は50%、しかし自民の総裁任期延長について、『どちらでもよい』に次いで『必要ない』が多かった。つまり安倍首相でなくともいい、という層にとって小池氏が魅力的に映るのではないか? ということです。
ただ、小池氏は若狭氏の当選後のコメントで「東京大改革を前にすすめる…地域のことは若狭氏に任せようと…」と、頓珍漢なことを言っていました。都知事が小池氏で、国会議員が若狭氏ですから「国政は若狭氏に任せて、私は東京大改革にまい進」というのが正しい。俄かに、自らの国政復帰を示唆したかのようです。小池氏としては、安倍氏に総裁任期を1期延長してもらって、その次は…と考えているのだとしたら、若狭氏と都知事をバトンタッチし、ふたたび東京10区から出馬、それを模索しているのかもしれません。

28年度上半期の貿易統計がでてきました。輸出が34.0209兆円で前年同期比で9.9%減、輸入が31.5630兆円で19.1%減、その結果2.4580兆円の黒字と、震災前の水準までもどりました。しかし喜べないのは当然で、輸出も輸入も急減です。特に、数量ベースで輸出は0.2%減と3期連続の減少、輸入は1.0%減と5期連続の減少。金額は為替でかなり左右されますが、数量はウソをつかない。輸出は海外経済の動向をあらわしますが、輸入は国内経済の動向をあらわす。とするなら、5期連続の減少というのは、日本経済が緩やかに下降線をたどっている、ということです。安倍ノミクスの失敗がより鮮明になってきたのでしょう。
9月のスーパー販売額が前年比3.2%減となりましたが、天候不順の面があったにせよ、小売に元気がありません。一つには天候不順で生鮮食品が高騰しており、家計に打撃となっていることなども挙げられます。肉より高い野菜、などとも揶揄されますが、生鮮食品は耐久消費財などとちがって、我慢していいものではない。円高による輸入物価の下げが、うまく家計に機能していない面もあるのでしょう。ガソリン価格の高止まりもそうで、家計の固定費が重しとなり、小売が回復する予兆はまったくみられないのが現状です。

小池旋風と言いながら、実は無党派層にそれほど広がっていない事実、そして景気がいいと言いながら、家計には広がっていない事実。それは表層のみを捉える、という意味で似ているのかもしれません。ちなみに小池氏のイメージカラーである緑、リビアで失脚したカダフィー大佐が用いていた国旗は緑一色、自身の政治思想を語った書物のタイトルは『緑の書』です。イスラムではモスクの屋根に緑が多く、神の玉座がエメラルドなど、緑が好まれる傾向もありますが、緑の少ない地域であることも影響しているようです。
中国では『緑衣黄裏』という言葉もあります。緑は青と黄色を混ぜた卑しい色、黄色は皇帝の色ともされるように高貴な色、でも服に用いられるときは、緑が表で黄色が裏地として用いられます。このことから貴賎が逆転すること、特に妾が正妻の立場を奪ったように振舞うことをさします。東京10区の応援演説で、安倍氏まで緑のネクタイをし、青汁を飲んできたとアピールしていましたが、日本でも広がる格差社会。その貴賎が逆転することを、小池新党にのぞんでいるのだとすれば、新党が正妻である自民の立場にとって代わる、ということを自民支持者も望んでいるのかもしれない。自民支持者とて、生活が苦しくなっている人も多い。生鮮食品を買うだけで大変、というのなら、日本でも緑の革命が起こってもおかしくない状況にある、といえるのかもしれませんね。

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2016年10月23日

2つの衆院補選について

衆院の補欠選挙が2つ、投開票されました。小池氏の都選出馬で空いた東京10区は自民公認の若狭氏、鳩山邦夫氏の逝去により補選となった福岡6区は、息子である二郎氏に当確がでています。鳩山氏については、当確後に自民が追加公認をだすなど、与党が勝ち馬にのる形になっています。どちらも小池旋風が吹く候補が当確しており、勝ったのは小池氏ということなのでしょう。これは与野党、どちらも課題を残した形です。

野党にとって厳しいのは、蓮舫民進代表の優柔不断さ、です。共産党は福岡6区で機能し、支持層をがっちり固めましたが、民進内部がぐらぐらで、無党派層もそっぽを向いています。つまり選挙に強いことを期待された蓮舫氏ですが、一言でいうなら「そうでもない」との認識が広まりました。それは福岡6区に中々蓮舫氏が訪れず、安住代表代行にほとんど委ねたことからも、そう。新潟県知事選では最後に現地入りし、勝ち馬にのろうとするなど、勝てそうなところに現れる。つまりイイトコどりだけをしようとしているのではないか? 恐らくこれは野田幹事長の意向も含まれるのでしょう。秘蔵っ子を、ムダ遣いするわけにはいかない。ここで蓮舫氏が失脚したら、野田氏も一緒に失脚する、と。
しかし勝てそうになくとも、一緒に戦って汗をかく。それで善戦したら大きな手柄ですが、そういうこともしていない。蓮舫氏を出し惜しみした結果、蓮舫・野田執行部は候補者からとても失礼だと映ったことでしょう。党公認をもらっても、この執行部は一緒に戦ってくれない、と。そもそも共産・自由・社民の公認を断ったり、唯我独尊の気は最初からありましたが、選挙活動でさえもそうだった。自分のためだけに党運営を壟断してしまう、野田氏の悪いクセが、今回よりはっきりしてきた、とも言えるのでしょう。

しかしそもそも、民進の支持母体である連合が共産嫌いなのは、かつての共産の活動、企業にとって不都合でも社会正義のためには、企業が隠す犯罪や問題行動を暴露し、告発するということを労組が嫌っていた面があります。企業は労組を、労働者が愛社精神を示す場、と考えており、労組もそうして活動してきた。今では春闘が馴れ合いで、大した対立がないのもそのためです。しかし企業が満足な給与を支払わず、非正規が増え、愛社精神など抱けなくなった今、労組の存在はただの互助会的になっており、昔ほどの集票力が期待できなくなっている。今、民進が連合に拘るのは、ここで連合を切ると自民の支持母体と化してしまうこと、及び選挙運動の運動員として、といったところです。
ただ、新潟県知事選でも示されたように、連合は与党系候補を応援したのに、与党系は敗北した。連合の力の弱体化をまざまざと示したのでしょう。蓮舫氏が、連合をコントロールできるのか? それによって無党派層をとりこめるか、も変わってきます。むしろ蓮舫・野田ラインは最も苦手な、組織を機能させるところから始めないといけなさそうです。野田氏はかつて民主党をぶっ壊した張本人、自分のためだけに組織を壊すことは得意でも、さて…? 年末解散とも言われる中、出直せるかがカギなのでしょう。

与党もこの結果は厳しい。福岡の分裂状態と、結局は小池都知事か、との認識が広まりました。福岡など鳩山氏の圧勝、自公の支持層と無党派層まで、すべて鳩山氏に流れてしまった。これで小池氏が新党構想など立ち上げれば、鳩山氏は恩義に感じて流れることが確実です。東京でも、小池氏を応援した都議の処分をこれからどうするのか。恐らく二階幹事長は矛を収めさせようとするでしょうが、都議団は面白くないでしょう。今は面従腹背でも、小池氏が弱ってくると、一気に問題が噴出するかもしれません。
小池氏は自民にもどって首相をめざしたいから、新党はない、という人もいます。しかし新党を立ち上げ、その勢いのまま自民と合流するのが、党内基盤の弱い政治家が首相になる唯一の方法でもあるのです。村山政権誕生然り、今は二階氏と組んで、小池氏は党内基盤を固める段階ですが、それが上手くいかないとなったとき、自民から議席を奪ってでも新党を立ち上げ、維新や日本のこころもとりこんで一大勢力となり、合流しないと憲法改正をできなくさせて…という戦略が考えられます。小池氏で勝った、という議員が増えることは、安倍政権にとって面白かろうはずがありません。安倍氏は対抗勢力をことごとく潰そうとしてきましたが、小池氏がそうやって冷遇された政治家をまとめきれるか? 今後の政局は小池氏と蓮舫氏、二人の女性がどう組織をまとめるか? 安倍政権がめざした女性活躍社会に、ひょんなところから突入していくことになるのかもしれませんね。


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2016年10月22日

雑感。物価と通貨安と

日銀の黒田総裁が、昨日の衆院財務金融委員会で2%の物価目標の達成時期を「見直しもあり得る」と述べました。2013年には「15年の前半」とし、それから4度延期して「17年度中」としていましたが、いよいよ2018年度に目標時期も突入するようです。というより円安で上がった物価も、今ではゼロからマイナスで推移することが多く、今後も上昇する見込みはありません。
例えばガソリン、ふたたびレギュラーでリッター120円をつけ始めていますが、100円台で1バレル50$ぐらいだと、昔の感覚ならリッター100円台です。今は政府も日銀もインフレ志向、安心して上乗せできますが、逆にいうと原油価格が下がったときに卸価格を下げていないため、上昇余地に乏しい。価格を高止まりさせれば、継続的に2%を維持していくのが難しくなるのです。エネルギーはコアコアCPIからは除外されますが、今の価格形成において重要なのは、企業の価格維持圧力の高まり、です。例えば冷蔵庫や洗濯機など、一時期と比べて日本製の白物家電はかなり価格が上がっています。様々な機能を付加した、といっても目を見張るほど性能アップしたかは、消費者には分かりません。そして日本メーカーのそうした価格戦略のため、低価格の層には中国や台湾のメーカーが進出してきている。安倍ノミクスにおける物価上昇目標は、結果的に日本メーカーの衰退と、アジア系企業の進出をもたらした、とさえ言えるものとなっています。

Brexitでも興味深いのは、ポンド安により英国に工場をおく企業が有利になっているか、というとそんなこともない点です。英国内で活動する分には消費が横ばいで、堅調なようですが、英国産というネガティブなイメージが定着し、ユーロ圏での販売低下が見こまれる。また今後、ハードBrexitになった場合、英国からユーロ圏に輸出するときは課税されることになるため、ポンド安で吸収できるかどうかも不透明です。EU側からは「ソフトBrexitはあり得ない」と度々クギを刺されており、英国が辿る道筋によっては、英国からの工場移転も視野に入れなければいけない。企業としては負担が増すでしょう。
そして英国には油田があっても、資源国ではないため、多くは輸入に頼ります。ポンド安が今後、輸入物価の上昇を招くなら、国内消費を落ちこませるかもしれませんし、製造業にとっても資材高騰で痛手になりそうです。そう考えると、Brexitの影響と黒田バズーカによる影響、実はどちらも似てくることに気づきます。通貨安による経済の見方、日本も英国も、輸出企業にはほとんど恩恵がない。むしろ通貨安を招いた国に、本社機能のある企業にとって、海外に展開する工場の数が多い分、メリットがあるということであり、直接の輸出が増えたり、といった影響はなかった。むしろ企業がにげだす方向でバイアスが懸かりやすい、ということが日英の状況からも判明したのでしょう。

今週の日本株の上昇は、一部で原油高によるオイルマネーがもどってきた、という見方もあります。しかし世界的にマネーを動かした気配もないのに、どうして日本だけに? という点が不思議です。そこで見えるのは、日本は中東産原油の輸入が多い、消費者物価を上げようとガソリン価格を高止まりさせる、といった要因です。さらに、サウジとして重要なのは、国営石油会社サウジアラムコの上場を成功させることです。中東の原油を高く買ってくれるお得意様、その景気がよければサウジアラムコも堅調。そんな思惑から、日本の景気をよく見せかけたい、というのは穿ち過ぎかもしれませんが、考えられないことではないのかもしれません。
今日のNHKスペシャルで、ISD条項によって小国家が企業から訴えられ、多額の賠償金を支払う可能性について、報じていました。その結果、国が社会保障費をけずり、国民生活が疲弊している、と。その中で、日本も「TPPにはISD条項が含まれる。いずれ…」といった言及がされていました。珍しくメディアがこうした問題を取り上げましたが、今後は日本とて海外企業から多額の損害賠償請求をされる、そんな未来もくるのかもしれません。そしてそうなれば、国家が疲弊して社会保障をけずったり、税金を増やしたり、国家が弱体化して円安となり、物価が上昇して2%など軽く達成してしまうかもしれない。これからの経済は、様々な要因で、何が、どう動くかをしっかりと把握しておかないと、突然とんでもないことが起こってもおかしくありません。日本の10年物国債の取引が成立しない日もありましたが、黒田バズーカの反動、予期せぬところで出てきた弊害、物価目標の達成どころか、金利誘導目標の揺らぎなども含めて、何がおこるか分からない時代に突入した、といえるのでしょうね。

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2016年10月21日

産経の「土人」発言擁護論

鳥取県中部で震度6弱の地震がありました。東日本大震災から、山陰地方は東へ、山陽から四国は西へ動いており、その歪が鳥取辺りに出やすいようです。ユーラシアプレートも割れており、山陰地方辺りの地下深くをその断層が通っています。その断層も真っ直ぐではないため、同じプレートの上であってもその割れた断片同士が違う動きをすることがあり、それが曲がった場所などで力を貯め、解放してしまうのかもしれません。
今回は表面近くの震源ですが、そうした地下深くの動きが影響している可能性もあります。熊本地震も大分辺りの断片が西に動き、長崎から鹿児島へと向かう断片の動きとぶつかり、熊本辺りで力が衝突することが関係した、とみられます。日本全体が一様に動くのではなく、断片ごとに異なる動きをしていることから、今後もこうした地下深くの動きによる地震が、日本のどこで起こってもおかしくありません。地下のどこにどんなプレートの断裂があるのか? それによっては原発や発電所、ダムもそうですし、道路などの配置も考え直さないといけないのでしょう。東日本大震災によって力を解放したのではなく、日本列島全体をこれまでと異なる動きに導いた。そう考えた方がよさそうです。

産経の『反対派の機動隊員に対する罵詈雑言を聞いたことがあるか? 「土人」発言を招いた沖縄の以上空間』という記事。正直、驚きです。記事の中に「沖縄県警を含む機動隊員が日頃から浴びている暴言については報じられることが少ない」としますが、そのこれまで報じていない産経が、他社が報じないことを報じたのなら一大スクープです。「不思議なことに…」と報じないことに疑問を感じているようですが、だったら自分たちはどうしてこれまで大きく報じてこなかったのか? まさに不思議なことに…です。
さらに「反対派の活動家」から、沖縄県警の機動隊員が脅迫された、難癖つけられた、としますが、「活動家」と特定しているのですからその人物が判明しているのでしょう。コメントを求めて併記しても良さそうですが、そうして形跡は一切ありません。あくまで沖縄県警の機動隊員の一方的なコメントだけで、あたかもそれを事実として報じています。

しかも驚くべきは「8月25日と9月24日」に、防衛省の沖縄防衛局職員が反対派の暴力でケガを負い、8月では個人情報が記載された書類を奪われた、とします。立派な暴行事件、窃盗事件ですから、なぜ告発しないのか? しかも「職員個人に危害が及びかねない」と懸念しているのに、です。警察の捜査が入ると報復される? しかし怯えて何もしないのなら、こうして報じられたことですら悪影響があるかもしれない。産経はどうしてその判断をしたのか? しかもどういう状況かは記載されていませんが、そもそも何で個人情報の書かれた書類を奪われる状況にしていたのか? 個人情報保護法違反に当たるかもしれませんし、何よりそんな悪質な事件を大きく報じてこなかったことも問題です。
さらに辺野古の問題をとり上げ、反対派のテントに「機動隊員の写真と氏名と役職が張り出されている。自身や家族の危険を感じながら…」機動隊員は妨害活動に向き合う、とします。しかし機動隊や防衛局では、とっくに反対派の身元はチェックし、むしろ機動隊や防衛局の方が反対派の詳細な個人情報をにぎっているでしょう。反対派は、嫌がらせも覚悟しつつ反対しているのです。それは今後も就職、または取引で不利益を被るかもしれない。それこそ賛成派の活動家から狙われる恐れだってある。それでも反対するぐらいに危機感をもっている、ということなのです。この論旨の中には、反対派は野蛮で暴力行為も辞さない、機動隊員や防衛局の職員はそれに耐えるだけ、暗にそうしたロジックが含まれます。それは機動隊員の差別発言と、同じ発想をもつとすら言えるのです。

最後に「こうした状況に耐えられなかったのかもしれないが、怒りの表し方が間違っている」とします。こうした状況を生み出したのが、反対派の側にのみある、とでも言いたいようです。住民の合意も得ず、強引に作業をおしすすめること、もこうした状況に陥った要因です。しかも翁長沖縄県知事が「強い憤りを感じている」と述べたことを、機動隊員がうける侮辱には何も言わない、と批判しますが、なぜか侮辱と差別を同列に扱わないといけないかのようです。侮辱だけなら日常生活、どこにでも溢れている。ケンカばかりでなく、ハラスメントと呼ばれるものはほぼ侮辱です。程度問題もありますが、県知事が対応すべきものなのか? もし産経がそれらの情報を掴んでおり、県知事でないと対応できないと考えるなら、まとめて翁長氏に要望書を提出するべきでしょう。
しかも翁長氏にのみ、「異常な状況を解消するため尽力することを願ってやまない」としますが、問題は「反対派の活動家」にのみあって、国側には一切問題ない、という意識があるからそうした結論になります。しかし国が強引にヘリパッド建設を押し進めず、きちんと話し合いの上ですすめていたら、こんな衝突は起きていないのです。反対派だけ消えろ、という論調は歪んでいると言わざるを得ません。日本全体を断片化し、反対派を排除し、嫌悪する態度、発想、姿勢こそが差別などの意識を芽生えさせるのです。日本全体を強烈な「安倍政権を賛美する側」と「それに反対する側」とに別け、対立構造をつくり、これまでの融和や協調を愛する国から、まったく異なる国に変えてしまった。1つ1つの問題が大きくなり、心の分断を生んでしまう背景、それを正さない限りは今後も各地で衝突が起こりうるでしょう。メディアがそんな態度に加担し、一方通行の見方をし、差別を擁護してしまう態度には端的にそうした傾向が見てとれるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(55)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | メディア

2016年10月20日

雑感。日経平均の17000円台乗せ

中国の習近平主席と、フィリピンのドゥテルテ大統領が会談し、比国は南シナ海の問題を棚上げし、経済協力を優先する姿勢を示しました。ドゥテルテ氏にすれば、米国は米国益のために南シナ海に介入しようとするけれど、金は出してくれない。中国は棚上げにさえしておけば金をだしてくれる、といったところでしょう。麻薬撲滅の協力もとりつけた。領土問題でやり合うより、協力しておいた方が十分に見返りがある、との判断です。
困ったのは日米、特に安倍政権でしょう。法の秩序、などと言ってみたところで、実利に勝るものはなし。これで南シナ海問題で日米は完全に部外者扱いをされてしまいます。比国をどうやってつなぎ止めておくか、という戦略がまったくできていない。オバマ大統領の人権発言もありましたが、比国が離れていくのはそれなりに理由もあります。日本、ひいては安倍政権の国際的な発言力が乏しく、世界を主導するリーダーシップに欠ける。もしそれがあれば、世界は『法の秩序』で一致しているはずなのですから。

日経平均が大きく動きました。しかしこれまで大人しかった欧州系1社が、今日は日経225の先物をラージもミニも大きく買った。朝から板に買いの見せ玉を貼りつけ、上昇を演出したのが原因です。しかし売買は膨らまず、1社だけ踊り上がった印象です。なぜこのタイミングで? というのは憶測でしかありませんが、米大統領選のTV討論が終わり、今晩の米市場が上昇するだろう、との読み。さらに12月末に向けて、大量のドレッシングが入るだろう、ということで先に買った。チャート上でゴールデンクロスが成立、上昇要因とみた、などです。
米大統領選では、すでにクリントン氏優勢が伝わり、今日のTV討論でも大きな流れは変わっていない。安心感という点では見劣りします。12月末のドレッシングも、すでにPERの水準からみて割安感はなく、ドレッシングで買い上がるとしても上値は限られます。もしそれで上げたら、来年に入って大幅な調整を迎えるでしょう。最後のゴールデンクロスはもっと深刻で、日銀の大量のETF買いで下げ難くなり、下がってきた移動平均線を上回ったというレベルです。本来、ゴールデンクロスは景気がよくなり、市場がそれをキャッチアップできなかったときに現出するものであって、今のように景気が悪い中でゴールデンクロスをしても『騙し』と呼ばれます。正常な景気循環、市場環境を大きく外れている以上、今はチャート上の相場転換サインに、大した意味が見出せなくなっています。

外国人投資家は、日露首脳会談の前に大型の補正予算が組まれるだろう、解散前にも景気刺激策をうちだすだろう、という分かり易い材料に食いついたのかもしれません。しかし安倍政権は最近、そうした市場期待を裏切りつづけてきました。規模だけ大きく見せかけても、実体が知れると中身がスカスカなことに失望する。そのため外国人投資家が離れていった経緯もあります。安倍ノミクスなど、今やその代表格とすら言えるでしょう。
10月に入って2週連続で、外国人投資家が買ったのも、知ったら終い、でも知るまでの上昇に乗る、といったところなのかもしれません。しかし国内でさえ懐疑的で、追随の買いもない中で一体、どれぐらいもつのか? 原油相場も、供給過剰状態は解消されていない中で、WTIの相場だけは50$台を回復してきました。市場が今や、正しい水準よりも思惑で左右されやすくなり、実体を映さなくなってきた。実利に勝るものなし、それを地でいくなら市場の暴走は、儲けを得るためだけの場と化そうとしている、とさえ言えそうです。比国の諺に「外れたら冗談、当たれば本当」というものがあります。今はそうした冗談を真実のように、いかに見せかけるかにバイアスがかかっている状態で、市場の説得力は薄れつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(18)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年10月19日

農相、機動隊員の発言

パリ協定の承認案が参院で審議入りしましたが、締約国会議には間に合わず、国益を大きく害する形となりました。すべては安倍政権の読みの甘さ、外交で情報をきちんと得られず、戦略を誤ったことが要因です。そんな外交にも戦略にも悖る安倍政権が、ナゼかTPPだけはやたらと急ぐ。しかも再交渉はしない、米国に早期承認を促す、とあたかも日本がリードするのだ、との説明です。しかし噂ですが、米国で国会承認がすすむと、実は日本にとって都合の悪い情報がでてくるからその前に国内は通しておきたい、というのが実態のようです。なるほど米国では黒塗り資料で国会審議、などは通用しないので、日米交渉の全容が明らかになってくるかもしれない。それでは安倍政権が困るのでしょう。もしかしたら「再交渉しない」との説明は、後に「再交渉しろ」との野党側の怒号に変わる可能性もあるのでしょう。よほど不都合な内容が含まれている、とみて間違いありません。

沖縄県の米軍北部訓練場のヘリパッド建設工事を警備する機動隊員が、反対する人々に向けて「土人」「シナ人」と暴言を吐きました。こうしたものは政権の態度、機動隊員を組織する幹部がどう考えるか、それが色濃く隊員にも反映されます。政権が県民との対話を重視しながらすすめる、という態度なら隊員もそれに順ずるケースが大半ですから。反対しているのはレベルの低い人間だ、そういう見下しがあるから出てしまう言葉です。
米軍海兵隊の隊員の質が低いのも、すでに明らかになった沖縄赴任の際の教育資料で、沖縄県民を見下すようなことをしているから、です。米軍に頭の上がらない安倍政権が、米軍と異なる方向性を示せるはずもなく、今回はそれを露呈した形なのでしょう。しかも沖縄県民を「シナ人」などと呼ぶことに端的に示されますが、安倍政権支持者はナゼか沖縄の中国に対する態度について、非常に嫌悪する意識をもち、まるで沖縄県が中国の出先機関であるかのように言う。そんな意識が現れるだけに、この問題は尾をひくでしょうし、沖縄のさらなる強い反発を招くことになり、事態は深刻さを増すことでしょう。

さらに国会では、山本農相が昨晩の佐藤衆院議運委員長のパーティーで「強行採決」と発言し、波紋を広げています。言葉は悪いですが、腹の内を明かしてしまうマヌケぶりで、議員の質も問われるものです。沖縄県民に対する態度もそうですが、自分たちに反対する相手を対等とはみとめておらず、上から目線で自分のやりたいことを押しつけてしまう。驕りなどとも言われますが、国会は強行採決、沖縄では強行行使、話し合いや説得、合意ということすら無視しているのが今の安倍政権、とも言えるのでしょう。
そんな中、自民党では総裁任期を2期6年から3期9年に延長する案が、最有力とされます。ポスト安倍を狙う政治家も、この案なら呑みやすい。誰もが自分が総裁になったとき…と考えて、少しでも長くできるのはありがたい、と考えるからです。しかし大抵、そんなことを考えるような政治家は、まず総裁にはなれないのでしょう。しかし安倍政権は『3』という数字に縁があるようです。安倍ノミクス3本の矢、3期9年などですが、次男なのに晋三と名づけられたこともそうなのでしょう。少し前、「3の倍数でアホになる」というギャグがありましたが、まさに安倍政権では当てはまってしまうようです。3期目になったらアホになる、経済の状況や政治の環境をみると、笑うことすら憚れる状況に陥る。問題発言などからも、そうした状況が想定されやすくなってきたのでしょうね。

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2016年10月18日

雑感。日銀のさくらリポート

日銀の地域経済報告、『さくらリポート』が昨日、発表されました。最近の日銀は自身の金融緩和策を正当化するため、評価を甘めにつける傾向があり、その例の一つはインバウンド消費に関して『1人当たりの消費額は…前年を下回っている…旅行者数は…前年を上回って推移…訪日外国人旅行者の全体の消費額は、伸びは鈍化しつつも堅調に推移』とします。しかし昨年までの異常な『爆買い』が終焉した今、消費額の減少を訪問者数の上昇で補えたとは、到底思えません。『堅調に推移』とは、昨年を上回っていなければいけませんが、そうした分析は一切ありません。あくまで『憶測』の段階に過ぎないのです。
しかもさくらリポートではインバウンド消費関連に、15頁も費やしている。全60頁ですから、実に4分の1以上です。残りが通り一遍の地域経済報告だけに、要するに日本の景気を支えているのは内需、外需ともに外国人だ、ということを暗に示しているのでしょう。

さらに地域別の経済報告で、奇妙な点は「住宅投資が持ち直している」と、ほぼ横並びで表現していることです。大都市部のマンション販売は一巡し、2桁減が伝えられますし、住宅ローンの動向をみても決して増えている報告はありません。低金利で住宅投資が、設備投資が増える、が金融緩和をするときの日銀の説明でしたが、実態はその説明通りになっていないのです。しかしさくらリポートの内容はそれと異なる。でている経済指標が間違っているのか、さくらリポートが間違っているのか、どちらかなのでしょう。
これは個人消費も同じで「底堅く推移」「持ち直し」という言葉を、判で押したように並べます。しかし小売の状況を示す指標は前年比で数%減をつづける。これもどちらかが間違えているのでしょう。恐らく、小売に関しては小売業協会の発表ではなく、商業動態統計を用いていることから、この差は起きています。つまり国の統計と、民間の統計とも差がでており、肌感覚は国と国民との間で、大きな乖離がある原因なのでしょう。

最近ではGDPをはじめとして、国の統計自体に政治家が不満をもち、見直しを声高に叫ぶ向きもあります。GDPなどは実際、国際基準に合わせるとして見直されますが、問題は経済統計に現れにくい貧困層の動向など、政府が積極的に把握していかなければ統計がとれないような問題が、今も見直し後も洩れていることです。NHKスペでもとり上げていましたが、今世界が懸念するのは『資本主義の限界』です。安倍首相は国会答弁でも「経済成長をして、それを増える社会保障費に…」と語りますが、日本など低成長の見本のような国で、成長しないから給付を減らす、という悪循環に陥っています。そもそも「成長しないと社会保障費が賄えない」という時点で、この国の発想はゆがんでいるともいえます。
つまり「持ち直し」や「底堅く推移」では、実はこの国は回っていかないような施策を、安倍政権は打っている。よい経済指標だけをみて、自己満足に陥っていても、決してこの国の状況は改善されないことを示すのです。資本主義の限界とは、低インフレ、低成長、そしてヤングワーキングプア。日本に最後の項目は当てはまりませんが、人口減少社会という原因がそうさせるだけです。世界も同じように人口減少により、縮小均衡を目指すとするなら、世界はもっと低成長、マイナス成長に陥ることになるのでしょう。つまり日本が世界のトップを切って低成長に陥っており、その対策も誤っていることになります。

日銀のさくらリポート、今では『暗さリポート』と銘打ってもよいのかもしれません。日本は「底堅い」や「持ち直し」では、到底回っていかないのに、それで景気判断を上昇修正し、対策がゆるんでしまう。9月に日銀が量からイールドカーブに目標を修正して以来、長期国債とETF購入額をじわっと引き下げていますが、市場にインパクトを与えないこの程度の見直しでは、日銀が破綻しかねないほどの保有資産を抱えるまで、それほど時間もかからないでしょう。めくらリポート、ぼんくらリポート、などとも揶揄されますが、最近では『厭きられポート』とも呼ばれる。厭きられているうちが華で、見向きもされなくなりつつある日銀。『堕落リポート』と呼ばれ出したら、もう終わりなのでしょうね。

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2016年10月17日

石原元都知事のコラム『記憶は一切ない』

厚労省が新年金ルールを適用すると、仮に05年から10年間の適用で3%給付額が減る、との試算をだしました。民進が要求しても出し渋っていた資料ですが、新潟県知事選が終わったことでだしてきたのでしょう。しかし厚労省の「給付の抑制がすすむので、将来世代がうけとる基礎年金の額は7%増える」との説明は、真っ赤なうそです。
今の給付が抑制されようと、納付する労働者階層が少子高齢化でしぼんでいくので、そもそも給付に回す年金財源が不足するのは必定です。さらに今の新年金ルールは時限法ではないので、将来もこのルールが適用されるため、水準が変わることはありません。つまり基礎年金の額が増えるかどうかは、将来に賃金が上昇しているか、インフレになっているか、どちらかでしかなく、年金財源に余裕があるかどうか、ではないのです。もしくは新たに年金法を改正して、給付基準を変えるか。その三つしかありません。今回の改正は、マクロ経済スライドに賃金スライドを付け加える、といった形であり、もし年金財源スライドをさらに付加するなら、むしろ将来世代の給付額はもっと減ることになるでしょう。つまり給付を抑制したら、将来に給付が増える、などという理屈はこの改正案には入っていないのです。むしろ将来世代がうけとる年金額は、運用は安倍政権で行った方針の見直しで失敗することが目に見えているので、税金をいくら年金に回すか、その一点で変わってくるものです。厚労省は分かっていてウソをついているので、悪質なのでしょう。

石原慎太郎元都知事が、産経によせたコラムで豊洲の地下空間について「報告をうけた記憶は一切無い」と語ります。都の調査要請をうけて出席を依頼されたとき、その断りを入れる際に「体調がすぐれず、高齢で記憶も曖昧…」としていましたが、「一切無い」という記憶ははっきりしているの? と首をかしげます。コラムを寄稿するほど元気で、頭もはっきりしているなら、別に都の参考人招致や証人喚問なりに応じても、特に問題ないはずです。もし10年も前でない記憶が曖昧、というなら、そんな耄碌した人物のコラムを載せている産経は大丈夫なのか? という別の意味でも問題が生じてきそうです。
しかもコラムの中で、民進が発掘したノリ弁とされるほとんど黒で塗りつぶされた資料、それを披瀝すればコトは解決する、とあたかも他人行儀です。恐らく業者と都側との交渉の過程を記した資料をさすのでしょうが、なるほどその場面に石原氏は登場しないでしょう。いわゆる担当者間の話であり、課長級ぐらいは登場するでしょうが、それより上の幹部が業者との調整に関わるはずもありません。ヒラの職員に全てを押し被せて、自分は安寧をはかろう、といった浅ましさしかそのコラムからは感じられませんでした。

あくまで推測ですが、都の市場長ぐらいの幹部が石原氏を訪ね、説明かたがた判子をもらいに行く。その中で説明がされたはずです。豊洲移転は石原氏の肝いり、しかも地下空間は自身が言い出したこと。説明がなくとも自ら訊ねるぐらいのことはしかねません。しかしそれは正式な打ち合わせではないから、議事録は残っていない。石原氏はそれで逃げきれる、と判断しているのでしょう。なので市場長なり、幹部連中が締め上げられることにも怯えている。「私は説明しました」と語られたら「記憶が曖昧」というイイワケを準備しておくため、先の「高齢により…」といった説明をしているものと思われます。
「瑕疵担保責任の放棄」ということを都から聞かれたが、記憶にない、とします。そんな細かい説明は聞いても憶えていない、という意味では正しいのかもしれません。しかし全体の説明も聞かず、判子を押してしまったら、それこそ「責任の放棄」になるのです。つまり知事は全権が委ねられる一方で、その判断について責任をとる必要がある。もし仮に職員が暴走したのなら、それさえも当時の都知事としての責任があるのです。コラムの中で芥川の「藪の中」や、パスカルの「見えざる者は知らず、知る者は見えず」といった言葉を引用し、何となく文学的なニュアンスをだしていますが、全体として知性の低い、お坊ちゃまが追い込まれてイイワケしています、という体を拭えません。都の官僚に篭絡された、といいたいのでしょうが、そんなことを言う落ちぶれた老人のことを『老落』としても良さそうです。耄碌という言葉は日本で誕生したものですが、こんな巨額の訳の分からない施政を行った年寄りにも碌を与えていかなければいけない、存外その負担の方が将来世代には重いのかもしれませんね。

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2016年10月16日

新潟県知事選と解散風

新潟県知事選、原発再稼動に慎重な共産、社民、自由が推薦する米山氏が当選確実となりました。自民、公明が推薦する森氏は長岡市長を17年勤めた実績をアピール。しかも楽勝と伝えられたところからの大逆転劇です。原因はやはり柏崎刈羽原発の問題でしょう。火災や汚染水漏れなど、これまでも県民の信頼を傷つけてきた。外部に漏えいがない、などと言ってももう信用がありません。もんじゅでもそうだったように、運営主体である東電が福島原発と同じである以上、同じトラブルを引き起こしかねない。政府が語る「世界一厳しい基準」ですら、もう信用がないのです。いくら東電の職員が多かろうと、原発関連企業の従業員とその家族がいようと、二階氏が業界回りをしようと、信用という最大のものを取り戻せない限り、県民の大勢は覆せない、ということなのでしょう。
しかし自主投票を決めていた民進の蓮舫代表が終盤、現地入りしましたが、勝てそうだと思ったから入ったのでしょう。連合との関係で自主投票にした、というなら本来、党幹部は動くべきではありません。個別の政治家と代表では、与える影響がちがいます。連合がこの行動を容認するか、裏切りとするか、それによっては今後の選挙でも禍根を残したことになります。補選は小池旋風が吹き荒れていて、中々難しくなっているため、何としても一つは自身の実績としてとりたい。選挙の強さをアピールして代表に就任したからには、結果を残していかなければいけない。その焦りからでしょうが、むしろ今後も原発再稼動に反対する候補を支持しないと、今回の行動に整合がつかなくなった。その代償も考えておかないといけないのでしょう。

しかしここに来て、菅官房長官や稲田防衛相が、早期の解散について否定的な見方を示しました。単に、強まりすぎる解散風を抑えよう、というだけではないでしょう。露国との交渉がかなり難航している、という事務方の動きを反映しているはずです。露国としては今回の交渉で、カードを切る必要はありません。日本との経済協力、といっても原油相場がもどり基調で安心感もありますし、何より増えたものが減った瞬間には悲観的なムードが漂いますし、悪影響もでますが、減ったことに慣れてしまえば何ということもありませんし、ルーブルが売られたり、露国債などが売り叩かれたりしなければよいのです。
安倍氏はこのタイミングがベスト、と考えたのでしょうが、もう一度原油が1バレル30$台に戻る、といったことがない限り、露国にはインセンティブがない。特に、プーチン大統領にとって別にレガシーをつくる必要もない。これまでも領土問題を次々と解決し、クリミア併合を成し遂げたプーチン氏にとって、日本との平和条約などあってもなくても評価が変わるものでもありません。つまり平和条約を結ぶ条件は、日本からどれだけお金を引きだせるか? その一点にかかっている、といってもよいのでしょう。つまり歯舞と色丹の値段はいくらだ? と安倍政権に問われており、それが国民に説明のつく額か? ということです。恐らく政権幹部にも、これは大変だぞ、との危機感が芽生えたのでしょう。

しかも安倍政権では、泉田新潟県知事を官邸で慰問した際、わざわざ安倍氏が会談するまでした。県知事の退任ぐらいで、首相が面会するなど異例ですが、そうまでして新潟県知事選に肩入れして負けた。やっぱり選挙に強くないじゃないか。との思いが党内にも走ったことでしょう。もし補選で若狭氏、鳩山氏が勝ったとすると、それは小池旋風の煽りであって、決して安倍政権が支持された、ともいえない部分がでてきてしまいます。
つまり解散風も、小池旋風頼みになるかもしれない。橋下氏は大阪府知事や大阪市長時代に、国政選挙の応援に飛び回りましたが、小池氏をフル回転させたい誘惑にも駆られます。しかしもし小池氏がそんなことをすれば、実は次期首相候補として小池氏が浮上してくる、というジレンマも抱える。安倍氏より選挙の強い小池氏を担いだ方がいいではないか? と。都知事で党総裁、というのは異例中の異例ですが、それこそここで小池氏がさらに力を発揮するようだと危険。特に、小池氏は東京五輪の成功に向けて忙しいタイミングであり、ポイントをしぼって応援してくるでしょうから、余計にその活躍が際立ってしまうことになる。まさに安倍政権にとっては、不都合なことにしかならないのです。

さらに民進の蓮舫代表の評価も計りかねるところです。小池旋風よりは弱そうだけれど、女性票は逃がしそう。安倍政権にむかって吹く風は、順風満帆どころか乱気流という面が強くなってきたのでしょう。どこから吹いてくるか、どこに吹き寄せられるのか、まったく分からなくなってきた。かつて社会党の土井党首が「山が動いた」との名言を残しましたが、風の上に山をつければ『嵐』です。年末解散の風、ヤマをはるのも難しくなっては来ているのでしょうね。





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雑感。問題続出の東京五輪

昨日、電通に労基法違反容疑で、立ち入り検査が行われました。一般的な労働基準監督署の調査ではなく、過重労働撲滅特別対策班による抜き打ち検査であり、菅官房長官がすぐにコメントをだすなど、政府が一体となって過重労働にメスを入れる姿勢を、と報じられます。しかし考えてみれば、過重労働を疑われた女性が自殺したのが昨年末、労基署が過重労働とみとめたのが先月末、それから半月の立ち入り調査。一見早いようでいて、問題が発生してからは約10ヶ月も経っています。その間、特に12日にはラグビーW杯のマーケティング活動権を電通が所得、電通としては東京五輪にむけて問題を長引かせるわけにはいかず、ラグビーW杯を受注できた今はちょうどいいタイミング、とさえ言えます。
電通に関しては、先にネット広告の不正もありました。FacebookやTwitterも犯しているネット広告不正。しかも電通は、トヨタが独自に調査して契約内容と違う、と指摘したことから発覚しており、逆にいえば指摘をうけなければ今でも続けていたはずです。そんな企業が広告大手、この国が担う世界的な事業の広告やプロデュースの業務は、ほとんどを受注しているのですから、かなり問題がある状態です。今回は過重労働ですが、実は独禁法違反の方がより重い課題であって、その解消が必要となってきます。

その五輪の前提となる築地市場の豊洲移転問題、豊洲の地下空間で基準の7倍のベンゼンが検出、と報じられます。地下水から水銀が検出された、という報告はなく、地下水由来だとすると奇妙です。下手をすると建設資材、例えば配管を覆う被覆材やサビ止めの塗料などに水銀が用いられていたのでは? とさえなる。そうなると建物全体の安全性は大丈夫か? ともなってくるでしょう。いずれにしろ再調査しなければでてこなかった問題で、先の検査が本当に正しく行われていたか? そうした疑問すら湧いてきます。
東京五輪ではボート・カヌー競技場に予定されていた海の森水上競技場から、宮城の長沼ボート場か、埼玉の彩湖にする案が浮上しています。元々、海の森水上競技場は風が強くて、波も高いためにボート競技には不向き。それを抑えるための工事費が莫大に膨れ上がる、とされます。しかし東京五輪、つくづく水には呪われている、と云えるのでしょう。

その端緒になったのが、安倍首相の「福島原発の汚染水はアンダーコントロール」発言です。アンダーコントロールどころか、地下凍結には失敗し、未だにノーコントロール状態です。しかも放射性物質であるトリチウムの除去は難しい、と経産省の作業部会が結論し、いつでも希釈して海に流す、という決定を政府がしかねない状況ともなっています。
そんな中、富山大の水素同位体科学研究センターがサイバー攻撃をうけました。情報の悪用は確認されていない、としますが、ここは福島原発関連のデータも知りうる立場にあったといえ、もし仮にその情報が抜かれても認めることはないでしょう。そもそも、どうしてこんなピンポイントでハッカーが狙ってきたのか? それはトリチウム除去で協力している露国なのか、中国なのか、相手は分かりませんが、当然のように福島原発のトリチウムの状況を知りたかった、という目的しか考えられないのです。

よくお金も水の流れに喩えられますが、五輪の会場建設、安全対策で膨らむ予算も考え合わせると、東京五輪は水に呪われている、としてもよいのかもしれません。しかしそれはウソをついたり、不正を働く輩をのさばらせたまま、巨額な利権である五輪などというものをひっぱってくれば、必然的におこることだったのかもしれません。結局それは、水は低きに流れる、質の低い人間たちに恣意的に扱われるツケ、とも言えるのでしょう。
すでに東京五輪は「コンティニュアル・トラブル」の状況に陥っています。このままだとサイバーテロなども含めて、何が起こるか分からない五輪ともなるでしょう。そう云えば安倍首相がリオ五輪の際、土管を通ってリオに出現する、という演出をしましたが、日本の土中にある電線の脆さも今回、露呈したところです。水、サイバー網、そして電線、それに予算。日本の抱えている問題が集約されているかに見える東京五輪、いずれも水には流せない問題だけに深刻であり、その発端になった人物の名をとって『アベノノロイ』と言ってもよいのかもしれません。

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2016年10月14日

市場をゆるがすABCD

ソフトバンクがサウジアラビアの政府系投資ファンド(PIF)と共同で10兆円規模のファンドを設立、と伝わります。米携帯電話会社スプリントを1.8兆円、英半導体アームを3.3兆円と、巨額買収が立て続けで、アームの買収では資金調達さえ苦慮、と伝わる中でこのファンドには2.6兆円を拠出、と伝わります。いくら世界的に低金利とはいえ、行け行けドンドンで突っこめるのか? スプリントもアームも、今のところ成功とは言いがたい中で、資金繰りに行き詰れば突然死の可能性すらにじむ。11.8兆円の有利子負債は重過ぎます。

今、市場ではABCDという言葉が盛んです。Aは米大統領選、BはBrexit、Cは中国、Dは独銀などの景気を失速させかねない不安、の頭文字です。しかしその霧は払拭しつつある、として強気派がまた年末2万円、などと言い出しました。ただ読みが甘すぎます。
まずAは、大統領選が問題なのではなく、リーマンショック以後の復調局面でつづく好景気がすでに8年に達し、米景気に一循環が漂うことが問題です。米FRBが利上げを急ぐのも、ここで景気後退を迎えると使える手段がない、との危機感です。さらに景気循環としての悪化もさることながら、どちらがなっても嫌われ者の大統領、米国民のマインドを冷やしかねません。トランプ氏ならおバカな財政政策が打たれる可能性、クリントン氏なら不動産や金融規制が、それぞれ懸念されます。Aの真の意味は米景気後退の可能性なのです。

Bは早くも「ソフトランディングはない。あるのはNo Brexitか、Hard Brexitだ」とEU大統領が指摘し、市場期待を打ち壊しました。もし仮にNo Brexitに終わった場合、メイ政権は交渉の失敗から失脚し、新たな政権に交代するなど混乱がつづく。もしHard Brexitだと、EU残留をのぞむスコットランドの独立運動が高まり、英国が分裂する可能性もある。いずれにしろ穏便な形で終える可能性は少ない。むしろHard Britainの公算が強いのです。
Cは、貿易統計の不振で懸念が生じ、消費者物価で安心感がただよいますが、不動産バブルと生産過剰の問題は解消しておらず、資金流出から人民元安も食い止められていない。生産過剰に手をつけた途端、人民解放軍の人員削減の問題も重なり、失業者対策が急務となってきました。中国リスクは改善どころか悪化しつづけている問題なのです。

独銀の問題ばかりでなく、欧州では伊銀の問題もあります。ABCDに、さらに付け加えるならE、中央銀行の出口(Exit)懸念、Gはギリシャ問題の再燃、Hは急速に拡大したハイイールド債の問題もあるでしょう。ジャンク債ともされる格付けの低い債券は、景気後退においてはリスクが高まります。IはImport、もしくはInwardを当てても良いかもしれませんが、各国で広がる内向き政策。貿易制限や移民の受け入れ拒否など、国内を重視して排外主義をとることによって、世界経済全体をおかしくしかねない、とも言えるのでしょう。
Jは勿論、日本です。世界経済の足をひっぱりかねない低成長と、突然死しかねない日銀。国債が400兆円を越えましたが、たった2%でも国債の価格が上昇したら、ざっくり8兆円の損失をだす。それこそ日本にインフレが定着したら、日銀は毎年損失を計上しかねない。中央銀行の経営不振、円の信認低下など、様々な問題を引き起こしかねないのです。

しかも、日本株について「底堅い」などという人も多いですが、残念ながら今の日本株は「浮き草」です。日銀やGPIFが株を買うから、水を注ぎ込むから水面、水準が上がってふわふわと高くなっている。しかし水を止めたら洩れでる水が多くて、水準は一気に下がってしまうでしょう。底は深いのに、水面の上にのっているだけ、それが今の日本株です。
しかも低金利により、安易に資金調達できるからと巨額の有利子負債を抱え、まだ資金を調達しようとするソフトバンクのような企業があると、今の環境が正しいのか? という懸念も生じさせるでしょう。突然死しかねない日本経済、それはソフトバンクと同じ、巨額の負債とそれでもイケイケ、という二律背反のような状態で、危険性を増すということでもあります。ソフトバンクの自立コミュニケーションロボ、Pepperに『酷評』という訳があるのも皮肉といえば言えます。辛らつなことばかり云うようですが、何も解決していない世界経済で、市場がふたたびふわふわと浮いていく、リーマンショック前夜のような状態に近づいている、といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年10月13日

安倍政権の閣僚起用について

トヨタとスズキが提携について協議を開始する、と発表しました。トヨタはスズキのインド販売網など、アジアへの強みを重視、といった報じ方しかされませんが、スズキのSエネチャージや軽量化ボディなど、子会社である同じ軽自動車を得意とするダイハツの二歩先にいるスズキの技術をとりこむことも、重要な戦略です。スズキは水素燃料車やアジア以外の販路も拡大したい。欧州ならマツダが強そうですし、軽自動車のOEMも行っていますが、マツダもトヨタと提携して技術開発をしている。マツダと組むのならトヨタと直接話した方が得策、というのがスズキの念頭にあったのでしょう。
ただスズキと言えば、これまで提携話が浮上したGM、VWなど、提携話が解消になった途端に両社とも経営不振に陥った。スズキに先見の明があるのか、スズキの呪いなのか。提携話の行方次第ではトヨタも…といった疑念も抱かれかねないのでしょう。日産・三菱連合とホンダ、それにトヨタの巨大連合体という形で、日本の自動車再編はすすみそうです。

日本の政界では自民と維新の協議によって、TPPの審議入りが決まりました。TPPは国益に反する、として署名活動までしていた稲田防衛相にも質問が及びますが「自民で国益に適うものになった」とします。では、その違いについて説明できなければいけませんが、そうしたものはありません。自民も維新も、TPPが国益に適うという説明は一切していない。それこそTPPは米国の審議の行方も分からない今、慌てて審議する必要などなく、パリ協定への細則の話し合いに日本が参加するためには、少なくとも今月中、下手をすれば来週までには国会で承認をうけなければいけないにも関わらず、まだ閣議決定しただけ。法律すらできていない状況です。こちらを優先する方が国益に適う、とさえ言える状況です。
維新は委員会の質疑でも、自民への阿りが目立ちます。提案型だとして議員の国籍法などの、独自法案の提出にこだわりますが、それも自民の協力がなければ成立しない。結果、さらに自民にすり寄るといった状況であり、提案型なのか、媚態型なのか、よく分からないものとなっています。少なくとも自民からは都合よくみられているものの、だからといって提携にすすむはずもない。もしそうなるときは、自民が凋落して少しでも数をかき集めたいとき、であって、組んでも旨味が少ないと言ったジレンマを抱えます。

しかし稲田氏をみても感じることは、安倍氏は効果的に、自民党内でも次期首相候補をつぶしてきた…ということです。稲田氏はこれまでの発言からみても、防衛相など無理スジだった。小渕元経産相もそうですし、石破氏は使いつぶそうとして逃げられた。小池氏は無視していたら都知事に転出した。小泉進次郎氏はTPPで問題続出の農林部会長を宛がい、といった形です。安倍政権下で、次世代とされる層が一切育っていないのも、安倍政権がトラブルを抱えるよう、ポジションを宛がった結果ということにもなっています。
もし政治家に、未来をつくる責務があるとするなら、安倍政権はまず落第でしょう。自民党の未来さえ壊して、自分の政権基盤を強化することに躍起なのですから。安倍政権の後は、日本が混乱することは目に見えているのでしょう。経済的にも行き詰まりが鮮明になってきて、政治の人材不足はもう目を覆うほどです。安倍政権が一強、などと言われるのは、野党ばかりでなく与党内の有力政治家をつぶした挙句、自民の人材不足も影響するのです。

かつて政治の世界でスズキと言えば、鈴木善幸氏です。父である晋太郎氏も通産相をつとめ、安倍氏と因縁浅からぬところですが、増税なき財政再建をめざし、土光氏を会長とするう行政調査会などを発足させるなど、今の安倍政権とは真逆であると同時に、行革大臣をつとめた中曽根氏の元で、日本の新自由主義が深まった、とされます。安倍氏が政界で力をもつ遠因にもなった、それが鈴木内閣でもあります。しかし今や、増税ありの財政再建しか模索できず、新自由主義にも限界が、社会保障も削ることしか頭にない。国力を弱める方向でしか、安倍政権は改革できずにいます。
スズキの呪い、とまでは言いませんが、安倍政権が誕生し、そして潰れていく課程には自民の長い歴史の中で、必然とも呼べるものがある。そして自民党を強固にする努力を怠りつづけた宰相の後は、他党との提携に活路をみいだすぐらいしか戦略もないでしょう。自民、そのジ・エンドを飾るジエン党になるために生まれてきた政権、となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:59|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年10月12日

農業へ外国人労働者受け入れ?

埼玉県新座市でおきた火事、これで東京23区の約半分が停電しました。日本のインフラの脆弱さを思い知らされると同時に、まんまとテロ組織にここを狙え、と教えたようなものです。日本の中枢を停電させ、その間にテロをすれば情報は錯綜し、交通網は麻痺し、大混乱に陥ることでしょう。安倍政権では北朝鮮や中国の脅威ばかり訴えますが、こうしたソフトテロの方がよほどダメージも大きい。欧米でもガチンコの戦争よりテロが頻発するように、日本だけが戦争の心配をして、テロの脅威を軽視している印象が拭えません。

『生活の党と山本太郎となかまたち』が『自由党』へと党名を変更しました。山本氏は独自に政治団体を組織し、比例も独自に候補を擁立する可能性をにじませます。小沢氏としても、民進党で野田氏に幹事長が交代し、いわば宿敵であって、生活の党のままだと野党共闘もすすみにくい。野田氏の側にアレルギーが強いでしょうから、その緩和の意味もあるのでしょう。当時の民主党代表として、野田氏は自民というより生活の党、当時は『国民の生活が第一』でしたが、そこと戦っていたような印象さえありました。
かつて小沢氏が率いた自由党は自自公連立を成し遂げたように、やや保守よりのイメージのある政党名です。つまり保守よりの野田民進でも抵抗感のない名前、とも言えます。小池都知事もかつて自由党に所属しており、小池旋風にあやかりたい、ということでもないでしょうが、小沢氏とてすでに高齢ですし、後何回選挙にでられるか分からない。かつての自由党が民主党と合流したように、民進党と合流して…という道も当然、視野に入れているでしょう。だからこそ山本氏は独自路線を歩み、もし合流となったら離れる、という意思表示をしている。小沢氏もそれは認めている、ということなのでしょう。

そんな中、国会では安倍氏がイライラしています。時折閣僚の答弁まで遮って自分で話をするのに、閣僚がいないとキレる。得意分野でない、という面があるとしても、年金改革法案は重要なはず。「細かいことは厚労相に聞いて」と言っても、民進の質問もそれほど専門的なものではなく、年金カット法案と攻撃するだけに減額されるのか、ということ。マクロ経済スライドを導入した年金は、安倍政権下ではインフレと低成長で、受給者はより苦しい立場に強いられます。さらに10年の支払いで年金を受給できるようになれば、イヤでも年金財政は苦しくなる。国家財政は生活保護世帯が減るので助かりますが、年金だけをみれば緊縮を迫られるのが当然です。国庫負担を増やさない改革などあり得ませんが、それが盛りこまれていなければ受給額を減らすしかない、という話になります。
しかもここに来て、輸入米の取引の情報開示を政府が拒むなど、どこまで真剣にTPP法案を通したいのか分からない。TPPの最重要部分の一つ、輸入した農作物の扱いで、情報を公開しないのであれば、もしTPPが発行された後、調整金が入っていたら市場価格が歪み、農家には打撃となることが確実です。それに答えないのでは、TPP法案など通るはずもありません。このことからみても、安倍氏はマジメに審議するのではなく、時間稼ぎをして、時間切れで法案を通そう、との戦略であることが見えています。苛立ちもパフォーマンスで、まともな議論を避けるためだとしたら、審議時間稼ぎのために余計な話をさしこんでいることになるのでしょう。

安倍氏は「アニメ、食、デザイン、ファッションに憧れて日本に来て、職を得て本国に帰って生かす」として、外国人労働者の受け入れに前向きの姿勢を示し、農業でも受け入れることを来年の通常国会で審議したい、と述べます。しかし実はそれらの職、日本では待遇が極めて悪い。あるアニメ製作会社の求人が話題で、アニメーターは1年間は給料をもらえると思うな、実家通い、親にある程度面倒をみてもらえる、などと厳しい言葉が並びます。そこに安価な労働力を期待して外国人労働者を入れるなら、日本を去ることには日本嫌いになっていることが必定でしょう。本国に帰ったら反日アニメをつくりまくるかもしれません。それに農業の分野には、研修と称して外国人労働者を受け入れた挙句、逃げだして行方不明、という話はたびたび聞きます。労働者として遇してさえいないのです。
日本の失敗は、外国人労働者を使いつぶすただの道具、としか考えていない点です。民主党で政権をとったとき、小沢氏が幹事長だった頃のキャッチフレーズは「コンクリから人へ」でしたが、安倍政権では「人からコンクリへ」。そして今では「人をコントロールへ」として国内統治に利用し、「人をコンクァー(征服)したい」と考えるようになっているのかもしれません。そのための外国人労働者を奴隷制度と考えているなら、早晩日本はテロの対象として、海外からも狙われることになる。インフラの脆さがそれに対応しきれない、ということでもあって、深刻な事態を招きかねないのでしょうね。

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2016年10月11日

衆院補選が告示

9月の景気ウォッチャー調査がでてきました。現状DIは前月比-0.8ですが、家計関連は大きく落ちこんでも企業関連が支えました。製造業が好調ですが、理由はどうやら熊本地震における1次補正の予算が動きだした点にあるようです。2次補正は今日成立しましたが、今年は参院選があったため、早期に補正が立て続けに発表されたことが企業マインドには影響したようです。先行きDIは前月比+1.1と、家計関連は回復すると見ており、企業関連も補正の影響が残ること、また自動車関連の輸出が好調に推移する、とみていることが影響するようです。ただ米国の自動車購買意欲も一巡感がありますし、自動車サブプライムローンの行方も気がかりです。住宅関連が崩れると、一気に悪化する恐れもある米国の一本足が、12月利上げも予想される中でどうなるか、といったところなのでしょう。

衆院の東京10区、福岡6区の補選が告示されました。小池都知事は福岡入りし、分裂となっている自民の鳩山氏の次男の応援をしています。人気者にはあやかりたい、政治の常であり、この動きは二階自民幹事長との約束、というのもその通りでしょう。二階氏としては自分の扱いやすい政治家、言葉は悪いですがあまり能のない、恩を売ったら手懐けられる政治家を増やしたい。秘書出身の対立候補はすでに色がついていて、扱いにくい。小池氏としては二階氏に恩を売り、自民との関係を残しつつ復党の芽を、そして都議などの子飼いの勢力を維持することにもつながる。小池氏、二階氏、双方の思惑が一致した形です。
ただ、かつて絶大な人気を誇り、4選を果たした石原元都知事が今や疑惑の人のように、人気があるからといって、今後はどうなるか? 特に二階氏は経世会の流れを汲み、集金力では有名ですが、それは醜聞とのバーターでもあります。かつて西松建設関連の政治資金問題の本命、と見なされていたように、政治と金の問題では闇を抱えています。小池氏、二階氏、双方が目立ちたがりのタイプでもあるため、ネガティブな報道が出始めると失速も早い。双方の蜜月ぶりは、逆に諸刃の剣である、という言い方もできます。

自民は、今後は政治パーティーでの白紙領収書はださない、という方針に舵を切りましたが、二階氏は「後ろ指をさされることはしない」と述べます。しかしこれまでしてきたことは「後ろ指をさされること」と認めてしまった。安倍首相は「違法ではないが、今後しない」と、意味不明な説明に終始しましたが、問題ないなら今後も白紙領収書をだしてもよいはずですし、問題ならこれまで行ってきた政治家に、何らかの罰も必要でしょう。
結局、バレたら止めればいい、という発想がそこに垣間見えます。意味不明な説明に終始する南スーダンの「戦闘行為なのか衝突なのか」の問題。「質問者の認識では戦闘だろうが、我々は衝突とする」という。要するに戦闘行為とすると自衛隊の駐留は撤収せざるを得ないから、衝突という認識で押し通す、とするものです。しかしそうなれば、単なる政権の解釈次第で法律が歪んでしまう、そんな恐れを自らみとめてしまったのです。法律に記載された言葉の定義を質しても、定義はこうだけれど我々はこう思う、というだけでそこから洩れてしまう。法律が形骸化する恐れが、常にこの政権では付き纏うのです。

パリ協定の話も、安倍政権の出遅れで致命的な悪影響が今後、出てきそうです。今すぐ他の審議を止めてでも、パリ協定批准にむけた審議を始める必要がありますが、閣議決定で批准を決めたのは今日。枠組みづくりに日本が参加できる見込みは、もうないとさえ言えるのかもしれません。相変わらずこの政権は、外交下手であることが露呈し、各国の動きを読みきれなかった現状もうかがえます。そんな政権が、国内にウソをついてまで、自衛隊を海外派遣することは、それこそ自衛隊が前線にとり残され、立ち往生する可能性を意識させるのでしょう。他国の動向を読んで、自衛隊も機敏に動かなければいけないのに、この政権ではそれができていないですし、国内についたウソのせいで動けない可能性もあるのですから。
NHKの世論調査で、安倍政権の支持率が急落です。ただ前回が急騰したのでその反動、元にもどった形です。しかし失ったものはとり戻せない。もし仮に自衛隊に犠牲などでれば、本来は戦闘行為のない場所にいるはずなので、おかしい、という話にもなるでしょう。安倍政権が怖いのは、野党との対立、戦闘ではなく、衝突なのではないか。しかもそれが壁であれば、それがいつのタイミングでくるか。自衛隊が危険に晒されている壁、パリ協定で日本が立ち遅れる壁、安倍ノミクスが失速する壁、もうハードルではなく、一つでも衝突すれば立ち行かなくなるほどの問題であり、補選や年末解散前までは壁にぶつかりたくない、とだけ考えているなら、国民からは後ろ指をさされることになるのでしょうね。

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2016年10月09日

蓮舫代表「ゾウとアリ」

米WP紙がやりました。トランプ氏の10年前の女性蔑視のわいせつ会話映像の暴露。そろそろ州によっては期日前投票がはじまる、といったこのタイミングでだす。勿論、メディアが選挙でイニシアティブをとった形です。しかし米メディアに公平、公正といった報道はありません。中立を表明していたUSAトゥデイまで、トランプ氏に投票しないで、という社説を掲げましたが、大体旗幟を鮮明にして記事にします。しかし今回、異例なのは保守系とされたメディアまでトランプ氏を強烈に批判し、投票するな、と訴える点です。
そこでこの醜聞、メディアは総スカンでトランプ氏を袋叩きにするでしょう。トランプ氏には積極的支持派、が多いことはネット調査で圧倒的に勝利する点でも明らかです。しかし米大統領選は選挙人名簿に記載された人しか投票できない。正直、ネット投票をしている層と重なるか、微妙だと考えます。しかも、謝罪が謝罪になっていないトランプ氏の対応は、日本だと炎上もの。これまでもスキャンダルを糧としてきたトランプ氏でも、有権者の半分を敵にしかねず、しかも投票日前。日本だと心をこめた謝罪をさせ、涙の一つでもみせて人間臭さをアピールした方が、プラスにもなったはずです。米国だと選対も少々異なるでしょうが、最後までトランプ流でいくことが吉か、凶か、見ものなのでしょう。

日本では衆院補選に関して、蓮舫民進代表が「アリがゾウに向かう選挙」と述べています。支持率だけをみればその通りですが、直近の国政選挙の結果をみると、それほどの差はついていない。議席数ではなく、投票率をみればかなり接近しています。その理由は政権支持率が50%台後半だろうと、自民党の支持率が40%台だろうと、残りは反安倍政権、反自民票に分類できるからです。つまり自民42%で、民進10%の支持率でも、上手くやれば民進の得票率は58%にすることが可能。反自民票をすべて集めることができれば、ですが。
そのために野党の共闘があり、反自民票を分散させない戦略があります。また自民とはまったく異なる政策を掲げ、反自民票を呼びこむことも必要でしょう。それが民進党、蓮舫体制でできるか、どうかです。現時点でその期待は低い。野田幹事長にしたこともそうですし、提案型とした点もそうです。提案? というのは自民と同じ土俵にのり、その中で自分たちの主張に近いものにしていく形でしょう。それが反自民票を集めるか? 甚だ疑問といえます。それこそ自民42%、民進10%の支持率通りの結果にしかなりようがありません。それこそアリがゾウに「そこを少しこうした方がいいよ」などと提案し、受け入れられて喜んでいても、みんなが見ているのはゾウの姿だけにしかならないのです。

政権政党だったのに、提案型の政治をして民主党を破壊した野田氏が悪い例として有名でしょう。何で与党なのに、野党に提案をしたのか? 党内にいた消費税増税反対派を敵に回し、自民を仲間にしようとすり寄ったために党が壊れた。そういう事情があるから野田氏は嫌われているのに、それと同じ手法をとろうという。その張本人である野田氏を幹事長に据える。蓮舫氏の向かう先は、まさに万年野党への道なのかもしれません。
アリとて軍隊アリともなれば、人間にすら襲い掛かり、ゾウさえ倒すと言われます。日本では少ないですが、アリは蜂の近縁ですので、針をもって相手を指すものや毒をもつものもいます。ゾウに対抗できないわけではありません。要は代表にその知恵があるか。敵に挑みかかる勇気があるか、です。しかし今のところ、蓮舫氏にその気概はみられず、小池都知事にシンパシーを感じたり、稲田防衛相に助け舟をだしたり。今のところ優等生ぶりの政治しかみせておらず、あまり政権をとろう、という真剣さを感じないのです。

補選で敗北したときの伏線との見方もできますが、「ゾウとアリ」の喩え話は、戦う党代表としての意気を感じさせないものです。アリの漢字『蟻』、今はつくりを『義』と当てますが、本字は凱旋などに用いられる『凱』の左辺。これは勝ち鬨のタイコの形を意味します。自らの党をアリに喩えた蓮舫氏、勝ち鬨を挙げられるかは、同じ個体群をまとめる女王蟻としての自身の腕次第、といったところでもあるのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2016年10月08日

雑感。日弁連の死刑制度廃止宣言

阿蘇山が爆発的噴火をおこしました。降灰の影響で停電もおこっていますが、どうしても気になるのが川内原発です。阿蘇は少し外れますが、川内原発は巨大カルデラと近い。噴火は一箇所でとどまるかどうかは不明で、それこそ同じ火山で連続して噴火、最後に破滅的な噴火を起こす、といったケースもあります。南九州一帯の火山地帯で、どこで何が起こってもおかしくはありません。そして、直接の火砕流が襲わなくても、川内原発が運転中に降灰によって停電が起こったら…。ディーゼルなどの仮設発電機が建屋内にないと、施設が全停電に陥り、メルトダウンへと進行する可能性があるのです。建屋外から電線で、と考えていると、その電線に火山灰が積もって電気を止めてしまう恐れもある。そういうことも考えて、原発の対策を考えなくてはいけないのですが、川内原発がどうなっているのか…。それによっては噴火、すぐに住民が逃げる、という避難計画も必要です。

日弁連が「死刑制度の廃止」を2020年までにめざす、とする宣言を採択しました。冤罪が多いことをその理由の一つとしますが、冤罪と死刑制度の存続とはまったくリンクしない話です。冤罪を生まないような仕組みづくりをすることは重要ですし、警察の捜査手法も含めて対策は必要でしょう。しかし冤罪があるから、といって刑罰を変えるなら、それこそ痴漢は冤罪が多いから、最初は口頭注意のみでとどめましょう、とするのと同じです。冤罪をかけられた人がそれで助かる部分があったとしても、実際に痴漢をした人まで罰せられない、といった風潮が生まれます。罪と罰の軽重がおかしくなれば、犯罪抑止の効果は期待できなくなります。
刑罰には、応報と矯正のバランスが大事なのです。罪を犯せば取り返しがつかないから、それをしない、という抑止の効果と、罪を犯した人を社会復帰させるにはどうしたらいいか? 今でさえ圧倒的に、この矯正の方に比重が置かれすぎていて、応報としての機能が劣っている。例えば弁護士が成年後見人だった老人の預貯金を横領し、東京地裁で懲役6年の実刑判決をうけた事件があります。しかし総額で1億円以上横領して6年で刑が済む、というのはどうにも納得いかない。詐欺や横領は他人の人生を滅茶苦茶にする行為であるにも関わらず、6年刑務所に入るだけで済むなら、多くが手を染めてしまう恐れがあります。

今の死刑制度では永山基準が重視されますが、これも首をかしげます。個人的には、罪と罰は等価でない限り、応報刑としての価値はないと考えます。また罪と罰はシンプルであるべきで、余計な判断基準を増やせば増やすほど、裁判にかかる比重も増す。裁判官の個性や思想に委ねる部分が大きくなり、結果として裁判の公平性も疑われる。この裁判官なら死刑だけど、こちらの裁判官なら有期刑で済む、となったら司法制度の崩壊です。
犯行当時は心神耗弱、もしくは精神疾患、という弁護も無意味です。それを証明することは誰にもできません。事件→逃走→逮捕→勾留→裁判、という課程を経た後で精神鑑定をしても、精神に影響する様々な要因が大き過ぎるからです。殺す気はなかった、という弁護も無意味。相手が死ぬかもしれない、という行為に及んだ時点で、未必の故意が成り立っているのです。それも証明の困難な話で、それを短縮された裁判期間で判断しなければならないのは、職業裁判官以外でも、制度に参加した民間人の負担も大きすぎます。

1人殺せば死刑、そこに酌むべき事情があれば減刑、その事情も証明できるものに限る。もし精神に疾患があったり、未成年であれば、その酌むべき事情で有期刑となった際、治療や矯正ということをしてもいいでしょう。そういう形でシンプルにしていくことが負担軽減も含めて必要なのでしょう。今、議論すべきは死刑制度の廃止、といった極論ではなく、現在の制度が複雑化し、かつ専門性も上がっているのにたずさわっているのが民間人であったり、精神疾患には素人の職業裁判官、という事態に問題が残っているのです。
海外では死刑制度の廃止が主流、などというのも暴論です。国民の意識、文化、制度などが異なるのに、刑罰の考えだけ統一しても意味がありません。キリスト教的な赦しの思想は、この国では馴染まないのです。仏教的発想は、因果応報。だから応報刑としての等価が一般的に行われてきました。キリスト教国の死生観は、最後の審判における聖別です。だから人がそこに介入して死刑にする、というのはおこがましいとの発想もある。しかし日本人は輪廻転生、因果は転生しても付き纏う、という考えです。その違いをまったく弁えない日弁連は、特定の思想を押しつけるだけの集団に成り下がった、とさえ言えるのでしょう。日弁連とは別に、弁護士の組合等を立ち上げる必要性もあるのかもしれません。そこでは死刑制度の存続を柱とする。つまり一つの思想に統一する、などという発想そのものが、人を弁護するに値しないのであって、死刑制度の存続を望む者からすれば、選択肢がなくなってしまうのです。二つの組織があって、選択肢があって、どちらが生き残っていくか。国民の大多数は死刑制度の存続を望む中、死刑制度廃止派が生き残っていくのは、かなり難しいことにもなるのかもしれませんね。

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2016年10月07日

米雇用統計と中央銀行の役割

米国の9月雇用統計が15.6万人増と、市場予想を下回りました。ただ平均賃金は2.6%上昇しており、新規失業保険申請件数も低位に留まることから、これは人手不足により雇用者数の伸びが限定されている、という形にもなります。これはもう金融緩和ではどうしようもなく、移民を増やすなり、政策対応でしか解決できない問題です。となると12月利上げも現実味を帯びますが、現時点での市場の受けとめは利上げに傾きすぎたこの一週間の巻き戻し、になっています。ポンドの急変動といい、市場の受けとめが最近、一定しません。
例えば市場ではトランプ銘柄と呼ばれる一群の株価が堅調です。それはトランプ大統領を予想したもののようですが、為替はむしろトランプ氏が大統領になるとドル安を志向しやすくなります。FOMCにトランプ氏は口出しできませんが、日本でもそうだったように、政府の関係者を会議に送りこみ、意見を反映する、などはトランプ氏ならしかねない。元々ハト派と目されるイエレン議長も、利上げを急ぐ理由がなくなります。それをこの雇用統計で織りこむのか? ただし、世論調査と市場観測と、最近では整合がつかない動きも目立つ。そこに中央銀行の役割という問題がからみ、今は非常に複雑になっています。

ワシントンで開催されるG20に出席する黒田日銀総裁は「金融政策は絶対的な限界ではない」と述べ、新たな枠組みを説明するとします。「物価2%達成まで強いコミットメント」とも。しかし今、世界の潮流は確実に黒田氏の語るものとは逆、つまり金融政策には限界があり、今の低金利による貸し出しが増えるといった効果はない。マネーフローを拡大しても、インフレには影響しない。日銀の政策を全否定するような議論がされています。
インフレは貨幣的現象には違いないが、それ以上に構造的現象であり、人口動態的現象である、と述べる人もいますが、個人的には「インフレはその国の経済全般の一つの指標でしかない」と考えています。構造的問題、経済政策全般に跨る問題、金融政策の問題、その総合的な形が景気であり、その景気の一つの指標がインフレです。景気がよいからインフレでもなく、悪いからデフレでもない。経済という大枠を考えるとき、今が景気が良好なのか、悪いのか、そのときインフレなのか、デフレなのか、で対応が変わるということです。安倍ノミクス、黒田バズーカはこの時点で、根本的に間違えているといえます。

それでも黒田氏を非難するとことはないでしょう。それはどこかの国のどこかのバブルを崩しかねないから。裏ではバブルを抑制するよう、日銀にも今の緩和策を手仕舞いするよう圧力はあるでしょう。総括的検証で、量から金利に移行したのなら、もっと大胆に量を絞れ。日銀の施策によって、バブルを弾けさせるな、むしろ日銀の方針転換でバブルがはじけるようなら、一気に日銀に対する批判も高まりかねなくなるのかもしれません。
債券運用大手のCEOが「今は株も債券もバブル」と発言し、波紋が広がっています。不動産市場ばかりでなく、株も債券もバブルなら、もう投資先はない。いくら低金利でも、お金を借りても投資先がない。バブルに付き合う自信があるなら別ですが、多くがそうは考えません。日銀がいくら下支えしようと、株式から投資家が消えていく。これは債券市場も同じです。世界全体が高齢化による貯蓄にまい進し、身を守るために身構えています。

悪貨は良貨を駆逐する、グレシャムの法則とも呼ばれますが、金貨、銀貨、銅貨などの含有率を変えて質を落とせば、財政上は助かりますが、人々は質の悪い通貨しか使用せず、良貨は貯めこみ、市場から姿を消すことになります。今の世界経済は、まさに財政の大盤振る舞いで悪貨が増える一方、良貨が姿を消してしまっているのが現状でしょう。このグレシャムの法則、人に対しても用いられます。質の悪い人間がでてくると、その誘惑に圧されて良い人間までダメになる。安倍政権が誕生し、同意人事などを通じて、質の悪い人間がNHKや日銀などにも蔓延してしまった。まさに悪人によって善人が駆逐されてしまったのが、現在です。グレシャムは英国の財政を立て直しましたが、日本ではそういう傑物の誕生は、悪人が駆逐されるまで待たなければいけないのでしょう。コミットメントどころか、すでにコミック(喜劇)ばりになってきた黒田日銀、世界にむけて恥をさらしに行く。G20という場で、一人だけドジョウ掬いを踊るような滑稽さになってきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年10月06日

雑感。政治と金

配偶者控除の廃止が、臨時国会で見送りになりました。年末解散に至るなら、この段階で導入すると選挙に痛手となる。そんな判断が働いたものでしょう。ただし、配偶者控除をうけられないなら、今の安い賃金では働けない、として雇用の流動化がおこることはほぼ確実です。つまり103万円以下の人件費で助かっていた中小、零細企業はそれだと人が集まらず、時給を上げればコストアップを迫られます。今の日本は景気が悪く、それに耐えられる企業も少ない。多く働いて稼ぐ、という人ばかりではないのですから、人口減少社会で、労働条件で選別されると日本ではむしろ職場が減って、均衡するようになるのかもしれません。それはさらに日本が低成長に陥る、引き金になる恐れもあるのでしょう。
IMFが日本の成長率を今年0.3%から0.5%に引き上げましたが、補正予算や消費税再増税の先送りが理由です。ただ「安倍ノミクスが成功」している国で、マイナス金利まで金融緩和をすすめた国で、たかだか0.3%の成長しかしていない。しかも補正の効果も限定的であるなら、0.5%でも達成は困難でしょう。相変わらず円安になると「企業が一息」などと言い出す人がいますが、少なくとも「輸出企業が」であって、輸入企業にとっては痛手です。そんな中、昨今の円安について今月14日に、米国でMMFの規制が変わるため、ドル調達を急いでいる、といった話もでています。そうなると長続きのしない円安といえます。

富士通のパソコン事業を、レノボが統合します。事実上買収といった形ですが、「国内生産」を売りにしていた富士通も、レノボが過半の出資をにぎる。ただこの中国企業の進出にも、不安な話が伝わります。李克強首相が金融機関に対し、融資条件を緩和するよう指示をだし、信用の低い企業でも資金繰りに窮していない。裏を返せば、中国は不良債権を大量生産している状況であり、持続不可能というのです。不動産バブルも斑模様となっているように、今の中国政府がすすめている政策は、将来的には中国を三流国家に逆もどりさせかねない、危険なものと言えます。恐らくこの問題にメスを入れよう、と考えた時点で終わり。その前に持続不可能により一気にガタガタになる可能性も捨て切れません。
しかし日本とて、中国を対岸の火事とも笑っていられない。中央銀行の比較でいえば、中国の方がまだ健全なのですから、中国は民間に借金を貯め、日本は中央銀行や政府が借金を貯め、という違いがあるだけです。しかもそれを改善させるべき政治家の資金管理が杜撰、という事例が国会ででてきました。

菅官房長官や稲田防衛相などの政治資金に、白紙の領収書問題がでてきました。政治資金規正法では誰が書くか、決まっていないから問題ない、という高市総務相の答弁は笑止千万です。パーティーで一件、一件に宛先を書くのは手間だから、相手も了承済み、という菅氏の答弁もお粗末と言わざるを得ません。恐らくこの問題は、与野党ともに同じような話があるのは、2重国籍問題と同様でしょう。あるところが始めたうまいやり方は、感染症のように政界に蔓延することになるのは、富山市議の問題をみても明らかです。
ただ、お金に対してその程度の認識でいる政治家が、国家予算を扱っているというのはもう不幸以外の何者でもない。「水増しはない」としますが、水増ししていたら私文書偽造や詐欺罪にもなりかねません。つまり「水増し」に至る甘い判断を誘発させかねない問題でもあり、また民間企業がこんなことをしていたら、税務署から査察も入る。そんなことを政治家がしていること、そのものが問題なのです。水増ししていないからいいだろう、は開き直り、犯罪になりかねないけれど、犯罪まではしていないからいい、という話ではありません。

お金と自分に甘いのは、アジア系の特徴かもしれません。しかもそれが、権力をにぎった側に顕著であるのは、自浄作用や監視機能を自ら低下させ、通用させてしまう点にあるのかもしれません。総務相の答弁をそのまま聞けば、政治家の政治資金の領収書は、すべて手書きでも問題ない、となるでしょう。検証に膨大な時間がかかり、その間に政治家はうまく言い逃れてしまう。それこそどこかの元都知事のように、高齢で記憶が曖昧、と言い出す輩も続出するでしょう。政治家に必要なのは、領収書以外にも良心書、水増しではなく、水ももらさぬよう細心の注意をもってお金を扱えるだけの器量、かもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年10月05日

野党は補選で共闘

するりと円安がすすんでいます。米国で利上げ観測が高まった、というより日本でこっそりと始まったテーパリングで、一旦は利益確定をする動きが外国人投資家を中心に広がったため、でしょう。本来は緩和縮小なので、円高要因になりますが、まだ縮小が小幅であることと、マイナス金利の深彫りもどこまですすむか分からない。ただここでポジションを軽くしておく、ということは将来ふたたび円を買い叩く準備をしている、とみなすこともできます。昨晩、金価格が急落していますが、マネーの流れの変化には要注意です。

民進党が2つの衆院補選での野党共闘を申し出ました。蓮舫体制になって初の補選で敗北しては、士気にかかわるとの危機感があったのでしょうが、しかし共産や社民の推薦はうけないなど、距離をとるスタンスを崩していません。やはり野田氏は多くの意見を集約し、人々をまとめることが苦手、というのがここでも露呈しました。新潟県知事選でも迷走しており、脱原発候補に推薦を与えませんでした。連合新潟にとって、東電の帰趨が重要でもあり、脱原発候補に勝ってもらっては困る。とはいえ、自民推薦の候補と戦えない野党第一党という脆さ、連合をまとめ切れない野田幹事長の手腕、この辺りが不安として、今後も民進党にはつきまとうことになるのでしょう。
そんな中、経産省では『東京電力改革・1F問題委員会』が開かれ、東電社長が「廃炉費用の一括計上」を「制度的な手当て」で回避したい旨を伝えました。要するに、一括計上したら債務超過だから計上しなくていいでしょ、という虫のいい話を伝えた、ということです。つまり柏崎刈羽原発が再稼動しても、この一括計上問題が解決しない限り、東電は破綻するのですから、東電を守りたい連合は新潟県知事選ばかりでなく、この問題では政府に協力したい立場です。ただ「制度的な手当て」をしないと生き残れない企業を、存続させるためには事故対応も含め、税金をつかった対応も必要となります。それならいっそ、原発と東電を別けて別組織にした方が、よほどすっきりするとも言えるのでしょう。

40年超の原発である美浜3号機が、新規制基準をみたすとして、残り2つの審査書が通れば再稼動が可能となります。今でさえ電力が足りないわけではなく、OPECが増産凍結に合意しても、WTI原油価格が50$を下回っている。結局、原発の問題は経済性や電力不足という大きな問題からは離れ、またベストミックスなどという訳の分からない誤魔化しの言葉でもなく、単に組織を維持するために必要、というだけで議論がすすんでいるのでしょう。
しかし民進党でさえ、実は組織的な問題がくすぶる。野田幹事長に反発する勢力がおり、いつまた党が割れてもおかしくありません。補選では協力できても、1月とされる解散・総選挙で野党共闘がむすべるか、は党の執行部の胸算用一つです。しかも野党共闘をせずに勝てるか? というと懐疑的なのでしょう。今は選挙戦を盛り上げないよう、メディアの扱いも小さい。臨時国会の論戦をみても、世論を主導できる形で争点化することすらできていないのでは、また組織票が強く影響する、自民有利の展開になると予想されます。

しかしそんな民進党に見切りをつけ、12月までに離党して他の野党に合流する議員が増えてくると、政権選択の受け皿としての位置づけが変わってきます。つまり連合に足をとられたまま、与党と近い政策をかかげつづける野党では勝ち目がない、となった議員が分裂して巨大な野党勢力をつくる。そうなると自民対新野党、それに民進、維新などがからむ展開となってくることも予想されるのです。今、民進党を結集させているのは、政党助成金などを貯めこんだ政党の金です。しかも野田代表当時、分裂する議員にびた一文渡さなかったことも有名で、年末までに離党する議員がいても、お金を渡すことはないでしょう。しかし議員になれなかったら元も子もない。蓮舫代表、野田幹事長の試金石でもある補選で負けるわけにはいかない、というのはこういう点からも明らかなのです。しかし今のところ補選は苦しい戦いも予想されます。2連敗するようだと求心力が離れ、大波が民進を襲うことにもなるでしょう。「政治的な手当て」を否定し、孤立主義をとる野田氏、民進を別けてすっきりする形にする、アンカーになる可能性も残されるのでしょうね。

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2016年10月04日

安倍首相の答弁は・・・?

昨日、東工大の大隅教授がノーベル医学生理学賞の受賞となりました。しかし安倍首相のコメントには興醒めで「日本人として誇りに思う」と。喜ばしいことには違いありませんが、「日本人として」というのとは少し違う。安倍氏が言うので、言葉の意味合いが少し違って聞こえるのかもしれませんが、基礎研究の危機を叫ばれる昨今、政治が過去の成果をまるで手柄のように語ることにも違和感があります。「誇り」という言葉は、今では良い意味が強いですが、元は自慢する、といったことです。それを光栄に思ったり、喜悦を感じるのは自然ですが、誇りとして自慢げに語ることでもないのでしょう。

臨時国会がはじまっていますが、おんぶ大臣・務台内閣政務官について、資質を問われた安倍氏が「何か問題が起こっているのですか?」と逆ギレしていましたが、問題があったらその問題の軽重について論じるのであって、資質とは問題を起こす可能性を問われています。問題をおこしてしまったら遅いのだから、そういう人物でよいのか? と。
安倍氏は年金改革の話にしても「不安を煽るような…」と民進の試算を糾弾しますが、不安を煽るから問題があるわけではない。事実と合致するか、齟齬がないか、が試算の価値を決めます。それこそ最近、省庁のだす見通しは「安心感をバラまく」ために為されたものが多いのですが、その前提や試算の課程では、相当に楽観的な数字が含まれていて、現実にその試算通りになることはないだろう、とすぐに見抜けます。こうしたものの方が罪が重いのであって、楽観的な試算ならよくて、悲観的な試算がダメ、というのは単に安倍氏の思い込み、間違いです。
塩崎厚労相への出席要求がなく、居ないことで安倍氏が答弁に立つ機会が多く「厚労相を呼べ」と安倍氏は丸投げしたいようですが、方針を示したのは官邸、それを具体化するのが厚労省、方針を聞くなら官邸の主である首相で間違いありません。問題は、安倍氏は「賃金、物価、どちらが下がっても年金給付が下がる」との指摘に、将来世代との負担の問題を挙げましたが、今の給付を下げたからといって、将来世代が多くもらえるわけではありません。むしろ将来世代ももらえる額は下がります。今回の改革案で助かるのは、年金財源の枯渇時期が、後ズレするということのみ。政府はたとえ運用に回す年金財源が枯渇したとしても、年金を支払わないといけないのであって、そのときは税金の投入額が増える、というだけなのです。これも安倍氏が意図的に楽観方向で答弁しているのか、勘違いしているのでしょう。下手をすれば年金の運用額が減ると、株価が下がる、とでも考えているのかもしれません。

北方領土でも「日本への帰属」ではなく、「4島の帰属問題」と言葉を弄します。4島の帰属問題なら、露国に4島とも帰属しても「解決」と言えるわけで、これこそ今国会最大の国民への裏切りでしょう。それを追及されると「EEZの拡大にも目を向けるべき」と、2島が返還されれば排他的経済水域が拡大される、との論調で正当化しますが、それで残りの2島が返ってこなくなったら、その損失は計り知れない、ともいえるのです。
しかも、そうした外交失敗の萌芽は、韓国との慰安婦合意でも顕著です。「おわびの手紙」を韓国側が要求していることに、「毛頭考えていない」と否定しますが、そもそもの韓国との合意事項をみても、こうした問題が後に起こることは予想されました。そして韓国側が「日本が追加の措置を履行しない」といって、ふりだしに戻すことすら、今後は予想されます。安倍政権は当初、慰安婦問題は「完全に解決」などと吹聴していましたが、たかが口約束など反故にされてきたのは、外交について少しかじった人間なら、すぐに予想もつく話です。もし北方領土の問題でも、安倍政権が「残り2島は継続協議」などと言ったとしても、露国側が「完全に解決」と言えば、日本はもう一方的に要求することしかできない、といった話にもなる。露国側が残り2島の返還についての対話を「毛頭考えていない」と云われれば、それで終わりになる可能性が高いのです。安倍氏の間違い、勘違いなのか、それとも単に稚拙なだけなのか、悪意でやっているのか、それは分かりませんが、少なくともこの政権の「成果」とするものに、何の価値もないことだけは確かですし、むしろ国益を害すことが多いのです。安倍氏は「誇らしい自分」として、レガシーばかりを追い求め、拙速に結果をだそうとして、結果として失うものが多い。それは科学技術の基礎研究でも同じなのでしょう。むしろ安倍氏に感じるのは「日本人という驕り」であって、自慢どころか驕慢といった形であり、将来を不安にさせるばかり、なのでしょうね。

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2016年10月03日

9月日銀短観について

9月日銀短観がでてきました。大企業製造業の現状DIは+6、非製造業は+18、中小企業製造業は-3、非製造業は+1です。先行きDIは同じ並びで+6、+16、-5、-2で、先行きでは少し下がることが分かります。日本経済は緩やかな回復どころか、ゆっくりと衰退していく。そうした傾向は短観からも明らかです。想定為替レートが111.41円から、107.92円に引き下げられたこともありますが、まだ現時点の為替レートからみると円安志向です。このまま乖離がつづく以上は、企業は先行きに何の期待ももてない、となることが確実です。
今日も国会で黒田日銀総裁が答弁に立ち、「まだ緩和余地はある」と発言しますが、円債相場はほとんど動かない。株価も無反応、すでに国債の買い取り枠縮小をはじめたため、発言がウソにしか聞こえない。日銀が引き締めに転じた、との話がコンセンサスになればさらに円高方向に動くでしょう。すでに日銀に操作、誘導の力はゼロです。

国内や海外では供給超過の傾向が顕著ですが、現状としての在庫判断は小幅に改善した。ここには販売価格判断が若干改善し、仕入れ価格判断が低下したことが影響するのかもしれません。ただこの販売価格判断、先行きではほぼ横ばいですが、仕入れ価格判断が急上昇すると大企業、中小企業はみており、これが企業判断に暗い影を落としているかもしれません。統計に答えたのは、OPECの増産凍結合意の前とみられますが、中国などの動きから鉄鋼やレアアース、レアメタルなどの値動きを気にしているとみられます。
その傾向は売上げや経常利益にみられます。今年度の売上げ高計画は、総じて悪化していますが、経常利益でみると大企業では素材関連で改善している。売上げ高が下がっているのは素材関連も一緒なので、これは見かけの在庫の評価が上がり、益がでるためとみられます。需要が落ちているのに、資源価格が上がる、という供給サイドの動向により今後も景気は左右されるのでしょう。さらに非製造業の計画からの上ぶれが大企業、中小企業両方で目立ちます。計画が元々低かった面があるとしても、売上高が下がっても、経常利益は上がる。ここには円高効果があって、非製造業に追い風となっているのです。

設備投資計画は、大企業で6.3%増と、前回調査より+0.1pt上昇しましたが、前年同期を下回っています。中行企業は今年下期、設備投資をほとんどしない計画でしたが、ここは若干改善されるものの、全体としては低調です。ソフトウェア投資は計画からの乖離も少なかったのですが、土地投資は今年、大きく落ち込むとみられていたものの、一気に計画段階からは増えてきた。もしかしたら本業の悪化を、上昇がつづく不動産投資などで賄おうとしているのか? もしそうなら危険な兆候ともいえるのでしょう。企業が土地投資を増やして、よくなった験しがありません。バブル化が懸念される土地投資、一体いつまでつづくのか? 世界の動向も含めて、この不動産の動向は要注意といえます。
売上げ高も減り、収益も減っているにも関わらず、雇用の不足感は現状から先行きで、さらに拡大する見込みです。仕事が減り儲けも減るのに、それ以上に労働者が高齢で退職してしまうから足りない。安倍ノミクスの成果などではないことが、ここからもはっきりします。

銀行の業況判断は現状、先行き、と下落がつづく。マイナス金利の深彫りがつづけば、さらに下押しも強まるでしょう。企業の資金繰りも、金融機関の貸し出し態度も改善をみこみますが、金利はじわりと上昇する予想が増えてきた。日銀の総括的検証を確認していないとしても、もうマイナス金利は限界では? と企業も考え始めたのかもしれません。総じて今回の日銀短観、今の株式市場と同じで、動きが少ないようにみえます。しかし中身は仕入れ価格が上がっても、価格転嫁できないなどの悪影響も散見される。それでも今、円高によるメリットがまだ国民までとどいていないのが現状で、需要が回復するにはほど遠いのです。
政府が「デフレにするな」と圧力をかけるのでなければ、そろそろ値下げにより集客をめざすところも増えてくるでしょう。今は値下げもできない、仕入れも上がる、消費者も高くて買いたくない、と誰もうれしくない状態です。安倍晋三氏の名前にもあるように、いよいよ日本が三流国めざして一気に崖を転がり落ちる、その入り口に来てしまったようです。ちなみに『晋』という字は、本字は上の部分が『至至』と書き、それは矢がとんでくる様、すなわち『すすむ』意として用いられたのです。今、安倍氏は景気悪化というその入り口に立って、飛んでくる矢をどうするか? に悩んでいるところでしょう。安倍ノミクス3本の矢、安倍氏の名前からもそれは3本もなく、またむしろ飛ばすのではなく、飛んでくる方向だった、というのが皮肉であり、その下に『日』がある。つまり日本に矢が飛んでくる名前だった、ということでもあって、今後そうした状況が顕在化してくるのかもしれませんね。

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2016年10月02日

小池都知事のグリーンボンドについて

経産省の認可法人・使用済み燃料再処理機構が発足します。原発をもつ電力会社から強制的にお金を集め、自動的に使用済み核燃料を処理する仕組み、それを担う組織です。原発の再稼動がすすまなければ、またウランを輸入できる環境である以上、そして高速増殖炉計画が頓挫した今となっては、使用済み燃料を再処理する必要はまったくありません。むしろ再処理し、ウラン、プルトニウム、廃液に別けてしまえば、プルトニウムは核爆弾の材料として管理する必要が生じ、またその量から世界に疑念を抱かせる。廃液はガラス固化体として地下埋設処分する予定ですが、そのガラス固化体にする技術でさえ確立されてはいない。また地下処分施設は場所の選定など、まったくすすんでもいません。
それでもこんな機構を経産省がつくったのは、これまで電力会社の積み立てで賄おうとしていた再処理の仕組みでは、実際の再処理がすすまない。そうなると再処理を担う日本原燃は事業が行き詰まり、すでに存在する高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵、その管理も立ち行かなくなる。数兆円かけて青森につくった一大再処理プラントも、すべてムダになる。そうなると青森で現地雇用した職員はすべて解雇され、また六ヶ所村との約束も達成されないなど、負の影響が大きい。だから強制的に再処理の事業をすすめてしまう枠組みをつくらざるを得なかったのです。しかしこの機構が収益を上げるなら、電力料金への上乗せが、もしくは税金として補填する、という話にもなります。当然、経産省の天下り組織としても機能するでしょう。こういうものがシレッとできてしまう。相変わらず安倍政権下での官僚のやりたい放題は、こんなところにも現れているようです。

小池都知事がグリーンボンド(環境債)の発行を示唆しました。世界各国ではこうした債券の発行が流行っていて、東京を環境、金融、両面からアピールできるとの話ですが、少々都合がよすぎる論調です。世界でこの債券がもてはやされるのは、環境対策をとられていないところにそれをすれば、儲けが出るから。要するに債券ですから収益を上げ、利払いをしていかなければいけない。環境対策はコストアップのイメージもありますが、既存の仕組みを作り直そうとすれば、それは対策費の上乗せです。しかし新規に環境対策をとった設備をつくり、それが既存の仕組みを駆逐してくなら、そこに産業として旨味がある。なので海外ではこの仕組みで成功し、債券としては資金を集めることができるのです。
翻って日本、これまでも環境対策には前向きで、例えば火力発電の高効率化と粉塵の捕集など、世界に先駆けて行ってきました。企業でも環境対策を行い、その浮いた経費を企業から支払いとして得ることで成立するものがあるほどです。さらに問題は、環境対策であろうと新規の産業が参入しにくい構図が日本にはある。ナゼなら既存の産業を管轄化においている経産省が、首を縦に振りたがらないから。東京がそれを打ち破るには、特区指定をうけるか、経産省を納得させるか、環境省など別の省庁に働きかけるしかありません。

環境というと聞こえはいいのですが、産業化できる可能性が少ないのは、日本の構造自体に問題があるせいでもあるのです。そして産業として上手く機能しないと、債券としての価値もない。グリーンボンドどころか、レッドボンドになりかねない。小池都政における負の遺産となって残ることにもなりそうです。石原元都知事が新銀行東京でミソをつけたように、金融の仕組みに行政機関が手をだして、成功した例は極めて少ないのです。
経産省としても、もしその仕組みが上手くいったら面白くない。自分たちの管轄でもないからです。相当に嫌がらせもしてくるでしょう。安倍政権は若干、小池氏へ秋波をおくっているような感じもみられますが、官僚ファーストの安倍政権が、それを打ち破って小池氏の行う政策を通す、ということも考え難い。先の原発の話でもそうですが、廃炉にむけて新電力の会社にも負担を…などと言い出す国で、本当にグリーンボンドなど成り立つのか? むしろそれでマジメに投資しようとする人を騙そう、騙したとなるなら、愚民ボンドと呼ばれる懸念も強まるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年10月01日

雑感、中央銀行バブルの終焉

米司法省による独銀のモーゲージ担保証券(MBS)び不正に関する制裁金、140億$から54億$へと減額される、との観測が伝わり、市場には安心感が広がりました。その前にはアジアの大手ヘッジファンドが5000万$を独銀から引き上げた、などの話も伝わっていますが、独銀の問題は今後も、時折ふって湧いたように話がでては沈静化し、ということをくり返すでしょう。その方が市場の値動きがでて、儲かると考える短期スジも多いからです。
実際には、独銀は見せ金を積むしか市場を安心させる術はありません。300億$以上あった株価の時価総額は、すでに170億$近くまでおちこみましたが、ここまで落ちこむと破綻したときに独銀に資産をもっていると、損失を受け入れるよう迫られるかもしれない。それを嫌って資金の引き上げが起こってしまう。見せ金を積む、ということは破綻しても分配する資金があるから、引き上げさせないようにする、ということでもあります。独銀の規模からすると、1000億$は軽く越える規模の見せ金が必要かもしれない。それを準備できるのはIMFか、ECBしかないでしょう。しかし両者とも、今はギリシャや欧州諸国の財務問題に手がかかっており、独銀まで手が回らない。独政府がそれを為せば、財務不安に直結するかもしれない。今はその責任の押しつけ合い、がはじまっているところなのでしょう。

日本とて対岸の火事ではありません。自己資本が7兆円と少ししかない日銀が、300兆円以上の資産を抱えている。それが損失をだしつづけると、いずれ日銀の経営に疑問符がつきます。日銀の場合、資金の調達手法は限られますが、正直もしそんな事態になれば、円の信任が傷つき、円安、債券安、株安の強烈な波が襲い掛かってくることになるでしょう。
そんな日銀が10月から、いよいよ量的緩和の縮小をはじめます。市場では予想通りの動きとして、冷静なうけとめですが、これは単なる国債買取を残存10年から25年のものを2000億円から1900億円に、残存25年超を1200億円から1100億円に減額する、というだけでは済みません。今までの規模から減額すると、それが引き締め効果となり、その他の市場がゆがみ始めます。今、国債の市場も日銀の存在感が大きくなり過ぎ、日々の取引が細っています。そんな中、日銀がいなくなったからといって、市場に投資家や金融機関がもどってくるか? というと懐疑的でしょう。国債市場が元にもどるまで、時間も必要です。その時間を待ってくれるか? 実は世界経済が安寧であることも前提となってくるのです。

つまり独銀不安、という最悪のタイミングで日銀は引き締めに転じた。世界は独銀の破綻により資金が消失する恐れに怯えている中、日銀まで引き締めだしたため、世界は不安が助長される恐れもあります。むしろ日欧の引き締め観測から、独銀などの欧州銀行の不安が再燃された、といえるのかもしれません。米司法省の動きもそうですが、世界は最悪のタイミングで最悪なことを始めた。ただしそれは、これから世界が弱含むことが確実なので、今のうちに自分たちのやるべきことをやり、手段を確保しておこう、という我意のぶつかり合いが、不幸な未来へ向けて世界を突き落とそす根源、なのかもしれません。
日本では『リーマンショック』と呼ばれる事象も、世界的には『金融危機』としか呼ばれません。ただし、今度そうした事態になると『中央銀行危機』という形で呼ばれるかもしれません。金融危機では中央銀行がアンカーとなり、金融機関に資金を無理やり積むことで市場を安定させました。しかし今回は、その資金を積むべき中央銀行が、すでに大量の国債を抱えた状態で、身動きがとれません。金融危機が波及し、中央銀行まで危機に陥るとき…それは大恐慌というレベルで済むのか、世界経済が一旦崩壊するほどのインパクトをもつのでしょう。そんな中、IMFは特別引き出し権(SDR)の構成通貨に、人民元が採用されました。金融政策も不安定な通貨が、これでお墨付きをえる。世界経済は皮肉と矛盾の中で不安定化するのでしょう。残念ながらここから年度の後半、不幸な未来を予感させるような出来事ばかり、ということでもあります。不正、不安、不幸、すべてに共通する『不』という字は、膨らんだ花が垂れる象形といいます。中央銀行バブルがはじけだし始めた世界、最後に咲いた徒花は、中央銀行に膨らんだ国債というものですら価値をなくす、という意味になってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:53|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般