2017年01月

2017年01月31日

日銀の金融政策決定会合

昨日、安倍首相がトヨタ社長と3日にも会談、との記事がでましたが、これは悪い情報と言えます。なぜなら、日米首脳会談の1週間前に開くのですから、妥協点をさぐろうとするとしか思えない。つまり日米首脳会談は、日本側が大幅に譲歩する形になるとしか思えないのです。安倍政権のテンプレである「トランプ氏は自由貿易の重要性を認識しており…」も眉唾であり、自由貿易を高らかに誇る安倍政権が、その旗を下ろして不平等条約に突き進むのか? 来月10日の首脳会談は、様々な意味で注目なのでしょう。

日銀の金融政策決定会合が開かれ、現状維持が決まりました。展望リポートでは実質の成長率を16年度は1.4%増、17年度は1.5%増、18年度は1.1%増、とそれぞれ小幅に上方修正しました。先行きは「緩やかに拡大に転じていく」と、昨年末から市場で語られていたような、トランプ相場への期待も滲みます。しかし市場のテーマは、すでにトランプ政策のネガティブ要因に移っており、日銀の時宜を逸した認識がよりめだつ形となっています。
浜田内閣官房参与が、財政出動もすべき、といった主張をしていますが、その中で「健全財政が不況を招いた」と述べています。しかし独国は健全財政を達成しつつ、高い経済成長を保っており、こうした経済学を一般論でまとめる点で、すでに問題があります。日本の事情を考察した結果、として何が適切かを指摘していない。失敗したら、あれも足りなかった、これも足りなかった、などというのは愚の骨頂です。経済政策を実験でやってもらっては困るのであり、もう失敗は取り戻せないのです。

それは黒田日銀総裁も同じです。バズーカも撃ち尽くし、テーパリングも意識される中ですが、失敗の誤魔化しといった会見がめだちます。例えば、為替はファンダメンタルズを反映…と述べますが、自ら良好と判断する日本経済の、その円は安くなってきた。ファンダメンタルズが強ければ、本来は円高に向かうはずなのに、です。今は金融政策の方向性により強く為替の動きは依存しており、金利差やファンダメンタルズは補完的な位置づけでしかない。そうなってしまったのは、通貨量を拡大したため、実体経済と市場との乖離が生まれたこと。その結果、通貨のボリュームをより強く意識してしまうのです。
古臭い経済学の常識に従って判断を下し、間違える。どこかの米国大統領を笑うこともできません。そもそも安倍ノミクス3本の矢は財政出動、金融政策、成長戦略でしたが、金融政策一本足にしたのが安倍政権です。失敗しました、じゃあ改めて3本同時に放ちましょう、といっても金融政策が限界を迎えた今、3本そろうことがありません。しかも補正予算が組まれましたが、財源不足で赤字国債を発行するようになり、財政出動も難しい。これでもし本当に経済が拡大するとしたら、海外の奇跡を待つしかないのでしょう。

黒田氏は保護主義が拡散することはない、としますが、保護主義は相手への対抗措置を講じることにより、世界的に拡散するものです。個人的には、トランプ政権が続く限り、ドル基軸通貨体制の見直しが、国際的に議論がはじまることを懸念しています。保護主義を率先して輸出する国の通貨を、世界の基軸通貨にしておくことは不合理極まりなく、逆にそのときのマネーの予想もつかない動き、それは世界経済を混乱に導くかもしれません。
安倍ノミクスは、英語だとAbeconomicsと表記されることもあります。economicsにABをつけた形ですが、物事のはじまり、という意味でもつかわれるA、Bをつけなければいけないほど、基本ができていない、という意味にもうけとれます。では黒田バズーカには、後ろにCをつけ黒田バズーカしい、黒田恥ずかしい、と読み替えると、今の日銀のおかれた状況が示せるのかもしれませんね。

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2017年01月30日

雑感。トランプ大統領による入国制限

安倍首相とトランプ米大統領との電話会談で、トランプ氏の娘のイヴァンカ氏はあまり人を褒めない、としなら安倍氏と「もう一度会いたい」と述べていた、と伝わります。しかし言葉通りにうけとってはいけません。今、米国では反トランプ運動があり、トランプ氏への支持を表明した、献金した、などの人、組織に対して不買運動などの、強烈な反動がおきています。イヴァンカ氏の立ち上げたブランドも、当然のように不買運動に晒されており、危機的状態にもあります。反トランプ運動の小さな日本に、自分の商品を売り込みたい、との腹蔵が見え隠れするのであって、トランプ氏の周辺が経済的に窮地に陥っていることを、この一事は示すのでしょう。

そのトランプ氏が大統領令で、テロ懸念国に対して入国制限をかけたことで、世界中で大混乱しています。「ムスリムの入国禁止ではなく、国の安全を保つため」などとしますが、特定の国の国籍をもつだけで入国禁止など、聞いたこともありません。しかも今回は民間のデモ以外にも、各州の司法長官などが非難声明を発表、連邦裁判所では効力を一部停止するなど、司法関係が総じて反発。企業も対応を発表しています。
少し驚いたのは、米IT企業も強く反発している点です。IT企業はこれまで親トランプ派とみられてきました。大統領選も陰ながら支援していた、とされるぐらい蜜月で、クリントン氏へのネガティブキャンペーンでさえ、IT企業が主導していたともされます。投票直前にいくつも流れたクリントン氏の醜聞も、効果的な手法をとれたのは、情報の流し方に熟知しているIT企業の協力がないとできなかった、ともいわれるためです。しかし今回、入国制限に関して敵対した、ということは、トランプ氏に乗っかったのは利害によるものであり、自分たちに不都合なことをするならいつでも潰せるぞ、との恫喝かもしれません。

しかし、ホワイトハウスでは外国人訪問者すべてにSNSの履歴や通話記録の提出を求め、拒否すれば入国できない措置も検討、といいます。これは2つの意味で米国にとっては深刻で、まずSNS大国である米国が、SNSの拡大にブレーキをかけることになる。チェックされると分かっているものをする人は少ないでしょうし、SNSの安全性に疑義も生じます。また入国制限が拡大すれば、米国の観光業には大打撃です。入国審査でSNSや通話履歴をチェックすることも、その分の人員を増やすので雇用は拡大しますが、何も生まない分野であり、手間とコストを考えても、米経済をかなりの確率で下押しすることが確実です。
トランプラリーも、はたと立ち止まって考え直さざるを得ない。減税と公共工事、これまではそれを囃して来ましたが、本当に経済を知らないのではないか? 比較優位さえ知らず、米国に工場を誘致する、国境税をかける、などと述べることもそうです。企業経営者だからといって、経済を知っているわけではない。オールドエコノミーの復活も、実は何も経済のことを知らないから、そんなことを言っているのでは? 市場もそう懐疑せざるを得ません。そうなると、減税や公共工事にしろ、効果的ではない部門で行われる可能性も高くなります。

Trump大統領が、Slumpになるのか。Twitter爆弾は、時に市場にとって不都合なことも引き起こすことを、今回も意識させました。Slumpは暴落も意味します。米国製品の不買運動にまで拡大すると、米企業の収益にとっても悪影響がでてくるでしょう。ただでなくとももう相当の成長を織りこんでいる市場、トランプ期待が剥落するだけで一段安になりますが、業績悪化が重なると、かなり脆いともいえます。Trump氏がTramp(放浪者)を生み出しつづけるのなら、ますます米国の凋落がおき易くなってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2017年01月29日

天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議

共同通信が行った世論調査で、政府が検討する一代限りの特別法への支持が26.9%となりました。しかし同期間、日経新聞が行った世論調査では、特例法に賛成が64%。これをみても分かる通り、世論調査などは質問の仕方、意見の取り方で如何様にも変わる、ということを示すのです。しかし日経の調査でも、今後は退位をみとめる法律をつくるべき、が59%になっており、恒久法の制定をのぞんでいることは間違いありません。

有識者の意見、としてまとめられたものは一代限りの特例法による、と大きな偏りをみせました。しかし文科省の天下り問題で明らかになったように、省庁と学識経験者との関係はほとんどずぶずぶです。文科省は担当官庁ですから、当然のように天下り規制に引っかかりますが、経産省や財務省とて、多くの職員が退職後、大学教授として就任します。勿論、自ら書いた論文や、大学時代の研究や官僚としての経験が重視された、という人もいるでしょう。しかし大半は、省庁との付き合いを重視して採用されており、それは補助金や産学連携した事業の獲得など、金銭がらみで雇用されるのです。
今の有識者の立場は、政府に都合の悪いことはしない、ということで一貫しています。ナゼなら補助金にしろ、産学連携の事業にしろ、政府に認容権があり、不都合なことをしたらどんな嫌がらせがあるか、分かったものではないからです。特に今の安倍政権が、沖縄にする仕打ちをみれば、政府に逆らうとどんなことになるか、を如実に示します。基地に賛成であれば、行政機関でもない地元の団体にまで補助金をだす、一方で沖縄県には補助金の削減をチラつかせる。そんな政府の下では、もう逆らうことすらできません。

有識者の提言を「味がある」などと、座長をつとめた御厨東大名誉教授は述べ、「この特例法ができれば、それが先例となり、将来も柔軟に対応…」などとしますが、要するに自分たちで決めずに、逃げたことに他なりません。それは政府の志向する一代限りの特例法にしよう、と腰砕けになった以上、皇室典範に手をつけることもできないのでしょうが、その理由に何歳、と退位の年齢を決めると、それが強制退位との世論が醸成される。年齢を定めないと、恣意的な退位をゆるす、と述べています。しかし以前も述べましたが、ごく一般的な老後という認識のある70歳で、後は自発的な退位をみとめるだけで済む話です。そこまで務めてもらえるなら、それ以後は国民も反対はしないでしょう。
むしろ年齢で問題になるのは、父子継承ならまだしも、兄弟継承になるケースです。例えば天皇陛下が70歳、皇太子が65歳という場合、皇位を引継いだとしてもすぐに退位できてしまう。しかもそのとき、女系天皇が認められていないと、皇室は現秋篠宮家に移ることにもなる。このとき、多くの問題が生じてくる。早めにここに決着をつけないと、混乱する可能性が高いのです。一代限りの特例法を先例に…などと言っても、次の皇位継承はまったく事情が異なるものであり、先例にすらなりません。

だから皇室典範を改正するのは難しい、というかもしれませんが、それこそ静かに議論する、と現政府が云うのなら、むしろ今から上記のような、次の次の皇位継承について議論をはじめないと、時期が迫ってくるとさらに議論が混乱し、静かに…の議論も尽くせなくなる可能性が高い。今回、そんなよい機会でもあったのに、それを手放してしまったことにもなるのでしょう。安倍政権の下では、誰もがその意向に怯えつつ、顔色をうかがいながら行動するしかない。それはどこかの国と同じです。有識者として、見識を問う場面が皇室への深い理解ではなく、政治的配慮への目配せだった、というのが今回の顛末にもなりそうです。
政治、行政、そして学界、その距離感をこの国では間違えるようになっていることを浮かび上がらせた、それだけの意味でしかなくなってしまったのでしょう。そもそも、この有識者会議の名称に「負担軽減等」と、「等」が入っていますが、天皇陛下の負担を軽減より、政治への負担軽減、改憲の邪魔をしないことが主目的、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2017年01月28日

東芝の原発事業

米英の首脳会談が行われました。共同記者会見の内容はNATOの重要性を確認、トランプ氏の訪英を要請、米英の二国間貿易協定に前向き、ロシア問題では意見に隔たり、といった感じですが、重要なのはトランプ氏が極めて大人しかったことです。トランプ氏と実際に会って話をした、という人の話も含めてトランプ氏の人となりを想像すると、初対面が苦手で、話す対象、相手が限定されると、途端に借りてきた猫になってしまう。これはかなり慎重で用心深い性格とも言え、相手のことをよく知らないうちは、人の話に耳を傾けるいい人に見えてしまう。ファーストインプレッションだけでトランプ氏を評価する人は、大抵これで騙されてしまうのでしょう。それは安倍首相も同じです。
その反動として、相手が個人ではなく集団、もしくはよく知らない相手だと、攻撃的な言葉を浴びせても気にしない。対個人であっても集団の内の個、と捉えられれば蔑ろにしてもよい、となってしまう。最初の段階で敵、味方を見極めたなら、それが自分にとって不利益を与える相手であれば排除し、味方になるなら最大限もち上げる。親露派の態度をとるのも同様で、米英会談でも「露国や中国と深い関係を築けば…」と、これまでの中国への攻撃姿勢から一変、中国を重要視する発言をしたのも、これまでは貿易赤字の多い、よく知らない敵性国だった。しかしロビイ活動が奏効したのか、中国を味方と認識し始めていることがうかがえます。中国は賄賂社会でもあるように、関心を金で買うことぐらいは平気でします。トランプ氏が中国のハニートラップに引っかかったのか、マネートラップに引っかかったのか、いずれにしろトランプ氏の対中戦略が転換したように、今晩とされる安倍氏との電話会談では、朝貢の額が話し合われているのかもしれません。

東芝が海外の原発建設の新規受注をとりやめ、メンテナンスなどに規模を縮小する、と発表しました。東芝は国内の原発事業はゼネコン的位置づけなので、海外で建設まで行うとなるとノウハウがない、などとしましたが、そんなことは最初から分かっていたはずです。確かに、CO2削減のために原発建設を、という世界的な機運もありましたが、福島原発の事故で一変しました。世界一安全、などとされた日本の原発が全停電に陥っただけで、地域一帯が汚染されるほどの事故をおこすのですから、小国では怖くて仕方ありません。一発で国家財政を破綻させかねない事態すら招くのです。
そこにもってきて、日本製かと思った東芝の原発が、実は米国のCB&Iストーン&ウェブスター製だとなったら、尚のこと信用も低くなる。東芝は「ノウハウがない」のではなく、日本製とするためのお飾りに据えられた、ただのスケープゴートに過ぎなかった。そうなると受注も厳しくなりますし、これは新規の受注をとりやめるのではなく、事実上の受注競争に敗れた結果としての撤退、でもあるのでしょう。

それでも原発事業を切り離すのではなく、抱えざるを得ないのは、以前も指摘したように原発が国家プロジェクトだから。国内原発の再稼動のためにも、ゼネコンである東芝に撤退して欲しくないためです。しかし自ら認めたように、原発建設にノウハウがない、ということは保守・点検にもほとんど必要ない、ということ。東芝というブランドイメージのために残される事業、ということすら言いえてしまうのでしょう。
しかもWHや、CB&Iなど買収した米国の原発企業を切りたくとも切れない。今、そんなことをしたら日本が米国から睨まれてしまうからです。国策で米国と仲良くしよう、としている最中に、一企業が横やりを入れることを快しとせず、そうした面でも東芝はジレンマに陥っているのでしょう。未だにトランプ氏のことを、話をよく聞いてくれるいい人だ、と思いこんでいる安倍氏が、今日の電話会談で何を悟るのか? それ次第では、福島原発の事故の際、米軍がとった「トモダチ作戦」になり代わって、日本がトランプ氏と密接になろうとする「おトモダチ作戦」に、日本が移行せざるを得なくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(3)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 政治

2017年01月27日

雑感。日米の所得の問題

稀勢の里が明治神宮で奉納土俵入りを行いました。違和感があるのは「何年ぶりの日本人横綱が…」と報道される点です。別に、横綱なのですから国籍など関係ないはずですが、未だに相撲協会は年寄り名跡をとり、部屋をもつには日本国籍が必須、という方針を崩していない。いわば、差別的な条項を現代まで色濃く残す組織でもあります。つまり今のモンゴル出身の3横綱は、年寄り名跡をとるためには帰化するしかなく、部屋がもてないのであって、それは横綱であっても引退したら相撲協会を離れる、という異常事態にもつながります。
だから日本人横綱誕生を殊更に煽りたてますが、正直うんざりします。強さが認められて横綱になったのなら、国籍など関係なく対等にみなければいけないからです。トランプ米大統領のメキシコの壁を、日本人は笑えないかもしれない。相撲協会の国籍条項という差別意識は、国粋主義の残滓のようにしか見えないのですから。

そんなトランプ氏、メキシコが壁の建設費を支払わないなら会談する必要がない、とするTwitterで、首脳会談がとびました。外交はそれだけではないはずですが、今のトランプ氏は目先にしか拘っていない。非常に近視眼的な発想に陥っています。しかもスパイサー大統領報道官が、メキシコとの壁の建設費は貿易赤字国からの輸入関税で捻出、と発言しました。記者が「国民負担では?」と問うと、「雇用を増やす政策だ」と応じる。どうにも頓珍漢で、その能力不足は如何ともしがたい面があります。
国境税をかければ、すべて内製できるものでない限り、国民は高い商品を買わされる。米国は重い税負担に耐えないといけません。いくら雇用が増えても、それは国民が税負担を免れる、という話ではありません。しかも組立工のような低賃金労働が増えるなら、米国は賃金の伸びが止まります。雇用が増えても、労働需給が逼迫しても賃金が増えないのは日本が現在、体験していることです。トランプ氏の政策は、日用品まで国境税をかけるのであれば、より貧富の差を拡大するような策、といえるのかもしれません。

しかしそんな米国のトランプ政権に負けず劣らず、意味不明な政策をとっているのが日本の安倍政権です。2016年の消費者物価は0.3%下落、これは円高により輸入物価が下がったことが大きく影響した形です。結局、マネタリーベースを拡大しつづけても、物価に利くのは為替、という結果がでました。マネタリーベースを増やしたから円安になり、物価が上がった、との意見もありますが、日銀の政策により為替が変動するケースはここ最近、減っており、むしろ昨日のように円高に傾きやすい。今日になり、残存5年超10年以下の長期債の買い入れを4100億円から4500億円に増額し、昨日の上昇分を帳消しにしていますが、日銀は国債買い入れを止めるに止められない泥沼にはまったかのようです。
年初の比国との外遊で、安倍氏がドゥテルテ大統領にミサイルの供与を申しでて、それをドゥテルテ氏が断った、という話を比国の英字紙が伝えています。事実かどうか、というより、比国に上手く出し抜かれた、という点が問題です。菅官房長官は「承知していない」と、否定も肯定もしなかった。中国は強く反発し、比国としては対立を煽って、自国の立ち位置をより鮮明にした。日本を歓待したように見せて、中国への配慮も忘れていませんよ、日本のミサイル供与を断りましたよ、とのアピールに成功したのです。

事実上、春闘もはじまりましたが、米国の保護主義という事態をうけて、企業も賃上げどころではありません。安倍ノミクスは道半ば、どころか、今や土俵際。徳俵に足がかかって、何とか踏ん張っている状況です。ここで日本からの輸出にも国境税がかかれば、安倍ノミクスは完全に息の根を止められるかもしれません。それは海外の売上げ高の増加で、何とか成功したと誤魔化していたものが、それすらできなくなるのですから。稀勢の里関が白鵬関を破って横綱昇進を決めたようなうっちゃりが、トランプ氏を相手にできるかどうか。味方は徹底的に褒めちぎるものの、敵には徹底的に辛口、というトランプ氏を相手にして、甘口の安倍氏にはまさに正念場を迎えるのが、日米首脳会談になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2017年01月26日

ダウ2万$乗せ

米国株式市場で、ダウが20000$台に乗せました。連発される大統領令に市場が反応した形ですが、実は目新しいものは何もありません。実行力を評価した、などと云われますが、現実問題として達成可能なものは少ない。例えばメキシコとの国境に壁、という話にしても、後払いでメキシコに100%支払わせる、としますが、メキシコから拒否される可能性が高い。その場合、制裁措置となるのでしょうが、その制裁には予算措置も必要となりますから、議会の承認が必要です。そんなものに、議会が承認を与えるとはとても思えない。まともな国際感覚があれば、まずメキシコとの壁をつくる建設費すら議会を通せないかもしれません。確かに、一部ではすでに壁もありますが、すべて造るのなら莫大な予算もかかり、また維持費もかかってくる。メキシコとの交渉が長引けば、その分を米国が肩代わりして金利等の支払いをしなければいけなくなるのです。

今回の2万$乗せは、昨年中につけるとみられていましたが、日柄調整を必要とした。それはトランプ氏の日向の部分しかみておらず、駆け上がるだけの具体的な材料に乏しかったから。今回はそれを『実行力』という形で好感したに過ぎず、現実にPER20倍を越した市場を正当化できるほどの材料ではありません。ただ今は祭りの状態、踊らにゃ損、損。として全員が史上初、という水準に踊り上がった形です。しかも問題は、世界の成長の大部分が不動産価格の上昇によって成し遂げられており、不動産価格の上昇が止まった段階で、PER20倍の現状に達することは、未来永劫難しくなる点です。
トランプ氏の政策は、一時的には財政の大盤振る舞いにならざるを得ない。メキシコとの壁や、ガスパイプライン、しかも国境税をかけるなら、それは国民に対する増税になりますから、他の部分で減税しないと可処分所得も減る。またインフレも促すので、嫌でも国債の利回りが上昇するでしょう。FRBが利上げを模索している最中でもあり、金利上昇局面を迎える。すると不動産市場も変調するでしょう。その転換点がいつ来るか? それが世界経済全体の転換点にもなってくるかもしれません。

トランプ氏の政策がほどほどなら、逆にその転換点は遠い。矢継ぎ早に、しかも実行力もあるのなら、その転換点は早くくる。なので幕間に好感するには、この辺りしかタイミングもないのでしょう。割と天井打つのが早そう、今のうちに2万$つけて、お祝いムードを煽って、早めに逃げだす。それが米投資家の一致した点でもあるのでしょう。
しかも、トランプ氏は国連の分担金にも難色を示し、シリアに安全地帯を創設、イスラエルではエルサレムに外交施設を移転、なども語っている。外交面では非常に危うい立場に米国はおかれることになるのでしょう。手をつけることさえ困難だった部分に、あえて手を突っこもうとしている。それが実行力なのか、やり過ぎなのか、それによって米国は厄介な問題に足をとられることになるのでしょう。

メキシコとの壁も、もし仮にメキシコが支払いを渋ったら、軍事圧力を高めてでも支払いを迫るかもしれない。中東の緊張を煽るのもそうです。トランプ氏、実に米国の軍産複合体にとって都合いいことをしている、との見方もできます。中国への圧力を高め、一つの中国を否定するのも同様です。軍事的緊張を高め、米国の兵器産業を潤すことも、当然のように雇用確保にはなるでしょう。日本に求められる貢献とは、軍事的な協力と、米軍事兵器の購入といった形になるのかもしれません。トランプ政権のマイナス面をみない相場つきは、こうした高まる世界的な緊張、という面でもそうなのでしょう。それが現実になるのは、存外早いかもしれません。メキシコの壁、Wall(壁)streetの住人がもっともその危険性を認識しているからこそ、今のうちに…が今だったのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2017年01月25日

20年度の財政赤字が拡大との試算

訂正でんでん…今日になって、大手メディアまでとり上げています。安倍氏の代表質問に対する答弁ですが、こういう変化がおきてきたことは、空気の変化を感じます。山本七平氏の『「空気」の研究』では「空気とは何であろうか。それは非常に強固でほぼ絶対的な支配力をもつ『判断の基準』であり、それに抵抗するものを異端として、『抗空気罪』で社会的に葬るほどの力をもつ超能力である」とします。つまり人は論理的判断により、あらゆるものを決めているわけではなく、「空気を読んで」判断を下す。これまでは安倍政権に追従する、と判断して、政権に不都合な報道を差し控えてきたメディアが、空気を読んでそうした報道もだすようになってきた、ということです。
それは内政では安倍ノミクスの頓挫が明確、外交では地球儀俯瞰外交のすべてが失敗、といった事情もあるのでしょう。20年度の税収が8.3兆円の赤字、と中長期の財政試算が経済財政諮問会議に内閣府から示されました。これまで政府は20年度にプライマリーバランスを改善、と喧伝していたものが達成されなかった、となります。しかも恐らく8.3兆円の赤字も楽観的試算に基づくものでしょう。後3年も日銀が資産買い入れなどをつづけられるはずもなく、そのときの下押しは相当なものとなるはずだからです。

今日は国債の金利が上昇していますが、日銀は動きませんでした。円を不当に安く操作している、とのトランプ爆弾が怖い面もあり、安易にオペもしにくくなった。金利固定操作などの日銀が行っている金融政策に理解が得られるか、といった面が読みきれず、市場も月間の国債購入額が下がる、とみている。安倍政権ばかりでなく、黒田日銀もトランプ大統領の行動が読みきれず、今ひとつ迫力を失ってしまったのでしょう。
しかしこれは単に金利が上昇し、金利差が縮小して円高にむかう、といった話でもありません。これまでも安倍政権では、超低金利により利払い費が抑制され、それを補正予算に回す、といったことをくり返してきました。しかし金利が上昇すれば、そのへそくりもなくなり、さらに金利が急騰すれば、補正予算を組んででも利払いをしなければならない。金利上昇局面では、財政上の問題も大きくなってしまい、20年度の8.3兆円の赤字、なども達成できなくなる。むしろそんな可能性が高まっているのでしょう。

つまり、経済が成長するなら必然的に金利が上がる。それを日銀が無理やり固定しようとすれば無理も大きくなる。逆に、低成長のままなら利払い費の負担は減りますが、税収増は望めない。税収はこの綱引きをするのであって、ここからプライマリーバランスの改善に向かうためには、その綱引きをそれこそ無理やり何とかするしかない。逆に言えば、ここまで日銀がムリをしても、プライマリーバランスの改善どころか、悪化を始めた財政状況をみても、安倍政権ではもう財政の改善は不可能、というしかないのです.
円高になると、すぐに税収が悪化する安倍ノミクス。ということは、国内経済は税収増に関係ない、ということに他なりません。安倍ノミクスで本当に景気が回復しているなら、そんなことにはならないはずです。安倍ノミクスは国内経済に何ももたらしていないからこそ、円高で税収が下がる。それが顕著に数字に表れてきて、国民にも懐疑的な見方がより増えた。国民の間に流れる空気の変化は、その辺りからもくるのでしょう。

きちんと下調べもせず、相手を非難する。それを「一般論だ」と誤魔化す。漢字が読めない。第一次安倍政権のころと、何となく似てきました。そのころ、空気が読めない、とされた安倍政権。ただ、メディアに自分への批判が増えたことは感じているでしょう。しかもTPPが頓挫し、成長戦略すらゼロになった今、国民に夢や希望を与えることすら困難になってきました。空気が読めないのと同時に、地である学のなさ、まで露呈してしまうようでは、天(空気)知る、地(学のなさ)知る、人ぞ知る、でいうところの、人まで安倍政権の不誠実さ、失敗について知るところとなってくるのでしょうね。

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2017年01月24日

雑感。安倍氏とトランプ氏

参院代表質問で、安倍首相が所信表明で語った「批判に明け暮れ…プラカードを掲げても…」は一般論と語りました。見事な迷答ですが、そもそも所信表明は一般論を語るものではありません。『所信』とは信念であって、この国会を首相がどうしていくのか、いきたいのか、を語るものです。国会の正常化であれば、「民進党が…」ではなくて「一般論だ」の前に、どういう国会の姿をつくっていくか、を語らなければいけません。
しかもトランプ米大統領が「TPPを永久に離脱」に署名し、最早説得するどころではありません。安倍氏の語る「自由貿易の重要性については認識…」も、どうも眉唾です。トランプ氏は「日米の自動車は、日本側が不公平な条件を課している」との認識を示しました。ただの無知、1990年代で思考が停止している、というのは簡単ですが、もし自由貿易の重要性を理解しているなら、まず出てこない言葉でしょう。少なくとも両国の状況、交易の条件を確認してから、自由貿易の中で何をどこまで要求できるのか? という検討をするはずです。つまりトランプ氏は自由で公正な貿易どころか、米国が有利になるためなら不公平で不平等な公益条件を要求してくる、ということでもありそうです。

安倍氏は「日本企業の貢献等」を説明すれば、トランプ氏は理解してくれる、と説明しますが、最初から自由で公正な貿易を望んでいない以上、いくら説明しても説得できる限りではありません。恐らくトランプ氏は、今後も意図的に現状の誤認をくり返してくるものと思われます。正直、頭のいい人なら絶対にとらない手法ですが、トランプ氏は自ら「IQの高い政権」と言ってしまうぐらい、頭の悪さを包み隠していません。しかしそれが本当に頭が悪いのか、それとも演技なのか、その見方は割れています。そしてもし演技なら、わざと事実誤認をしてみせ、相手に妥協を求めてくることも平気でしてくるでしょう。
つまり今後、トランプ政権との付き合いは、安倍氏の語るような「主張すべきは主張し、理解を深める」などといった、甘いものでは到底太刀打ちできないものとなるでしょう。数字の一つ一つの意味、それを十分に理解し、相手の投げてくる変化球を巧みに打ち返さないといけないのです。しかしそんな安倍氏、国内向けには事実誤認と思われる経済指標の読み誤りを、度々披露しています。これでは「日本経済はそんな良好なのだから、もっと米国に貢献しろ」と言われてしまう。そのとき「いえいえ、実は日本経済はかなり悪いのですよ」などと言えるのか、どうか。ほぼムリだと思われます。

それは、安倍氏が自らの頭の悪さを包み隠したい、という見栄っ張りだからです。自らを批判されることを嫌う人間は、周りから優秀だと思われたい、という願望の強い人間でもあります。安倍氏は第一期の政権のときもそうですが、メディアの批判でさえ耐えられない。自分のことが大好きな人間は、愚かな人間を演じ切れないのです。
しかし数字に弱い、真の意味を理解しているとは思えないのでは、トランプ政権とはまともに交渉すらできないでしょう。前回の安倍氏との会談を大人しくしていたからといって、次も同じようにトランプ氏が振舞うとは、到底思えないのです。そしてその要求が誤認も含めて苛烈となったとき、数字や実体を駆使して反論できるとも思えない。恐らく、トランプ氏は役人による下準備、交渉の調整すら、無視してくる可能性がある。そのとき安倍氏の能力不足、それが日本にとって最大のネックとなってくることでしょう。

原稿を予め準備しておく所信表明演説でさえ、よく調べもせず、また後で「一般論だ」と述べてしまうところに、すでにその能力不足が垣間見えます。安倍氏の個人的な付き合い、といわれた日露首脳会談でも、結果は何も決められなかった。もしトランプ氏とのガチンコの首脳会談となったら、安倍氏は借りてきた猫にしかならないのかもしれません。
それはトランプ氏、安倍氏、両者はとてもよく似ており、何か敵対する相手をみつけては攻撃をしかける、といった攻撃性で評価されてきた部分もそうです。しかしそんな二人がぶつかれば、それは勢いもあり、能力の差が如実に結果として表れる。トランプ氏が愚者さえ演じられる巧者なのか、それとも本当に愚者なのか、それ次第では、安倍氏はこてんぱんにされることも、ある程度は想定しておかないといけないのでしょうね。

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2017年01月23日

トランプ相場の終わり

国会では代表質問もはじまりました。しかし産経など、二階自民幹事長が野次に対して反応したことを『反撃』と報じるなど、相変わらずの擁護姿勢が目立ちます。しかし原稿を読むだけの代表質問で、余計な言葉を交えること自体、おかしいのであって反撃してはいけない。委員会で民進党が掲げたプラカードについて、安倍首相は所信表明演説で批判しましたが、野党時代の自民も掲げていた。最近の国会では、自分で調べることすらなく原稿を作成しているようで、学生以下、受験生以下の仕事ぶりといえるのかもしれません。

今日の日本株は大きく下げました。トランプ氏が大統領に就任後、大統領らしくなるとの期待が裏切られた結果、ポジションを構築しておくことがリスクになってきた。つまり今後もTwitter爆弾が投下されるのなら、安心して投資し、それを放置しておくこともできません。つまりポジションを構築しているだけでリスクになってきたのです。
特にトランプ氏は「米国ファースト」と唱えるのですから、米国でも活動する日本企業が高い収益を上げていたら、もっと米国に貢献しろ、雇用を増やせ、と圧力がかかることは確実です。つまりナゼか、日本の市場関係者は来期も増益基調を予想しますが、トランプ氏にとって米国で稼いで利益をもって帰る日本企業は、敵視こそすれど、容認するケースは少ないと見て間違いなく、来期の業績の重しになることが確実なのです。

これまでの外国人投資家は、トランプラリーが始まってから日本に対して円売り、株買いのポジションを大量に構築してきました。それがトレンドだったから、という理由に過ぎませんが、その流れが確実に息の根を止められた。それもトランプ氏の就任演説が原因です。その結果、ポジションを下げざるを得なくなった。円は買い戻し、株で買い持ちしているものは売り、売り持ちしているものは買い、という流れになったのが今日です。
問題は次のトレンドがみえないこと。トランプ氏の政策が実現すれば、ドル買い、円売りにはなるのでしょうが、その実現が見通せない。下手に中身が変わると、効果も変わってくる。という面もあって、中々に踏み込みにくい。そこに来て、ポジション落としの流れは着実にでるでしょうから、やや弱含みの展開にならざるを得ないのでしょう。

米国ファーストの中では、稼げば稼ぐほどリスクを抱える。いつ制裁措置を加えられるか分からない。それがトランプ時代です。国であれ、企業であれ、それは変わらない。安倍氏の訪米日程が決まらないのも、もう安倍氏と話をすることはないから。しかも高いハードルを課しておくと、日本からのお土産も大きくなるのですから、尚更先送りしたいところです。つまり安倍氏が前のめりであればあるほどつけこみ易く、日本にとっての利を得たいのなら、見返りを要求される。TPPの重要性を訴えれば、その代償が必要となる。TPPが日本にとって利益になる、と安倍氏が国内向けに訴えれば訴えるほど、日本はそれを成立させる見返りに、米国にどんな貢献をしてくれるのか、と要求されるのです。
保護貿易化する世界で、日本企業には稼ぐ力がある、という見立てが果たして正しいのかどうか、それが今後問われてくるのです。それは「日本には…」と言い替えてもよいのでしょう。反トランプでもではプラカードを掲げ、シュプレヒコールを上げる姿がめだちます。日本では、安倍政権にそんなことをすると、批判する声も多い。どちらの国が正しい民主主義の姿か、それも今後は問われてくるのでしょう。そして自由、公正に稼ぐことができない、ということがどんな未来をもたらすのか? 今から未来をどう想像するか、そこに政治家も、市場関係者も、能力が問われてくる、といえるのでしょうね。

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2017年01月22日

雑感。東芝の事業切り売り

トランプ大統領の就任で、各国の反応が伝わります。総じて予想通りだが、翻意を願っていた人たちは残念と述べる。しかしそもそも選挙前の公約を撤回したら、政権がもたないのは当たり前です。逆に、未だにTPPを翻意させることができる、と考えている安倍政権はよほどオメデタイ、とも言えるのでしょう。それは自分たちがTPP承認せず、として選挙に勝ったのに、すぐ撤回しても支持率が落ちませんでしたよ、とでも言うつもりなのか? しかし日露外交ともども、ナゼか外交では必ず甘い見通しでつっこみ、常に玉砕している安倍政権では、展望もないままそんな方針を掲げていることにもなるのでしょう。

東芝が米原発企業WHに関連して巨額損失をだし、半導体事業の売却などにより、手元資金を篤くする計画をすすめています。虎の子の半導体事業を手放して、どんな再建計画があるのか? さらに上場企業である子会社の株式や、保有不動産の売却をすすめる、といいます。業績のいい事業を切り売り、資産も売却、東芝には展望もなさそうです。
しかし本来、原発事業の巨額損失ですから、原発事業を切り売りしなければいけないはずです。買ってくれる事業主がいる、とも思えませんが、タダ同然で放出すれば、再建ファンドなどが買ってくれるかもしれませんし、原発事業を切り離して国有化してもらう、というのも手でしょう。しかしそうした話が一切でない。それは、原発事業を抱えている限り、日本政府が東芝本体をつぶさない、という暗黙の決まりがあるためでしょう。

日本の原発は東芝、日立、三菱重工の三社で占められます。その一角が崩れれば、原発事業は寡占化がすすみ、独禁法にすら抵触しかねなくなる。さらに東芝は東電の福島原発や柏崎・刈羽原発でも実績がある。つぶしてしまったら東電の再建計画にすら影響がでてしまう。つまり東芝は、原発事業を抱えることで、いざとなれば国の支援をうけられる体制を維持している、とも言える状態です。
しかし今や新設の原発など、数えるほどしかなく、特に米国が米国第一主義に陥るなら、わざわざ原発で発電する必要もない。「米国でつくったものを米国人が買う」という方針に基づけば、シェールオイルで発電してしまえばいい、となります。二酸化炭素の排出など気にしない、というのがトランプ氏なのですから、尚更そちらに舵を切りやすい。もうWH社に稼ぐ力はなく、今後も赤字を垂れ流す事業にも関わらず、抱えざるを得ないのが現状なのでしょう。

しかし、国頼みの再建になるのは最終手段。それまでは事業の切り売りをして、当座の資金を確保するしかない、のが今の動きです。金融機関が融資を約束していますが、これも日本政府軽油の働きかけも予想されるところです。今のところ黒字化が達成される見こみもありませんが、上記の通りつぶすと面倒なことが増える、だからつぶせない。しかしそこに展望など、何もないのでしょう。
日本政府と同様、東芝も展望がないのは、結局のところ危機意識の欠如が大きいと考えます。本当に危ない、そんな状態だと考えていない、いざとなれば助けてもらえる、そんな甘い考えで両者とも事業の存続を考えているようです。しかしトランプ政権の誕生は、そんな甘い考えをふきとばす事態である、との認識をもった方がよいのです。東芝の事業切り売り、日本もそうやって事業を米国に切り売りして、存続をはかるような事態がやってくることも想定しておくべきなのかもしれませんね。

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2017年01月21日

トランプ大統領の就任演説

米国でトランプ氏が大統領に就任しました。就任演説はプロンプターをつかい、原稿を読んでいたため、内容は極めて穏当なものだったため混乱も生じていません。ただ演説の中身で気になったのは、分断が意識される米国で、エスタブリッシュメント(支配階層)とあなた方(国民)とを使い分け、さらに対立を煽るところからスタートした点です。今、あらゆる国で行われている敵をつくり、対立の構図を煽り、自らの正当性を訴える政治家、その流れの一つに米国も加わった、ということになります。
しかもエスタブリッシュメントだけでなく、「我々の富、力、自信は地平の彼方へ消え去った」とし、「中流層の富が…世界に再分配された」とまで述べる。つまり失敗したのはエスタブリッシュメントだが、簒奪者は国外の者であり、だから愛国心をもち、結束しよう。米国ファーストが正しい、という理屈に立っていることが、この演説から伝わるのです。「自国産業の保護こそがすばらしい繁栄と強さにつながる」と、保護主義による利点を最大限に謳い上げます。

しかし上記したように、トランプ氏が掲げる理屈、そこには論理の跳躍がある。失敗したはずのエスタブリッシュメントではなく、外国を攻撃対象とするからです。ここにはトランプ政権の閣僚が富裕層と軍人から指名されている、ということが深く関わるのでしょう。トランプ氏も富裕層、その富裕層への攻撃に国民が傾くようなら、自分とて安泰ではいられない。つまり富裕層への攻撃を、海外へと向けるための敵視政策、これがトランプ氏を貫く行動原理となっているのであり、そこが外せない大元になっているのです。
例えば日本では小泉政権で郵政反対派、第二次安倍政権では民主党(現民進党)が、最近では小池都知事が自民都連を、敵性として攻撃することが目立ちます。欧州でも極右とよばれる勢力は反移民だったり、国内の敵を攻撃してきた。しかし、トランプ氏はその上をいく。国内での失敗を、諸外国のせいにして国内をまとめる、という戦術にでた。これは相当に厄介です。なぜなら、日本でも敵視政策は人気があり、その愚をいくら説いても大多数の人々は歓喜し、そんな政治家を応援します。トランプ氏への熱烈な支持者、もこの類であって、かつそれが国内の敵ではない。下手をすれば移民の排斥や、他民族、他宗教への攻撃といった問題へと、容易く発展しやすい状況をうみだした、ともいえるのです。

日本にとっても重要な一節は「以前からの同盟を強化するとともに、新しい同盟を構築」とする部分です。つまり日本も否応なく、関係の変化が生じる。それが如何なるものか、推測するに、そのすぐ後にでてくる「米国への完全な忠誠」という言葉にあるのかもしれません。これは「政治の根底」という主語の下での話ですから、文脈としては別、との見方もできますが、その前段には「みんなが従う手本として、我々の生き方(保護主義)を輝かせよう」とあるので、自国第一主義を輸出する中で同盟があり、その先に米国への忠誠こそそれに適う、と述べているようにも読み解けてしまうのです。
「肌の色に関わらず、どんな人の体にも愛国者という血が流れている」という言葉を、軍人の知恵だとしてもち出しますが、思想、心情がちがったり、愛国の向かう先が米国でない人間は排除する、とも述べているように聞こえます。結局、米国第一主義ではなく、どちらかといえばトランプ第一主義でない人間は排除する、ということでもあり、トランプ氏が米国の代表でいる限りにおいて、まさにそれを最優先にして、経済、外交、そして軍事面も展開してくることになるのでしょう。

市場は一先ず、落ち着いています。ただ、TPP離脱、NAFTA再交渉、オバマケアの見直しのうち、オバマケアのみ大統領令をだして見直しを開始しました。トランプ氏の敵視政策の対象となったら、強権的な対応をされることが確実で、日本もTPPの翻意などを迫ったら、敵性国家の仲間入りをするかもしれません。自分の失敗、間違いを認められない人物にもみえ、それは日本の政治家にも多々いる傾向ですが、その最も頑迷なタイプの人物、それがトランプ氏にみえます。27日の日米首脳会談も飛びそうです。むしろ「中身のない話をする時間は終わった」と述べるように、必要のない会談はしなくていい、ということなのかもしれません。安倍首相は上手くやれる、などと考えているようですが、トランプケアに失敗すると大変なことになる、ということでもあり、それは市場の急変動も含めて、かなり難しい事態にさらされることだけは間違いないのでしょうね。

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2017年01月20日

安倍首相の施政方針演説

通常国会が開会し、安倍首相の所信表明演説が行われました。明治維新から約70年で焼け野原となり、再スタートし、それから70年かけて復興した…で始まりますが、だから2019年からさらに元号を変えて…との野望が見え隠れします。もう一度スタートラインに立って…との言葉は、まさにそれを示しますが、それを『憲法改正』をすれば何とかなる、としか思えない中身が、この後につづきます。
日米同盟の項では、辺野古移設に関して「『最低でも』と言ったことすら実現せず…威勢のよい言葉だけを並べても、現実は1mmも変わりません」と、自分たちは結果をだした、とでもいいたげですが、未だに沖縄との係争はつづき、結果など残してすらいません。北部訓練場の返還は安倍政権の前から決まっていたこと。安倍氏に返す言葉は「民主党政権のころのことを批判しても、現実は1mmも変わりません」です。何かというと「民主党政権のころは…」と使いますが、過去を論っても現実は何も変わっていないのです。

地球儀俯瞰外交の項も、随分と言及が少なくなったように感じますが、「TPP、日EU・EPA、RCEPなどで交渉をリードし…」と語りますが、前2つは暗礁が伝わり、RCEPは日本が出遅れ、中国に主導権をにぎられた状態です。日露、日中韓にもふれていますが、5年目を迎えてどれも停滞、もしくは再スタート。積極的平和外交って一体? との疑問符の方がつよくなる。地球・疑問外交、もしくは地球・義務感外交、といったところです。
安倍ノミクスの成果も語りますが、これまでも散々とり上げてきたので詳細は割愛しますが、物理学者デニス・ガボールの言葉「未来は予言できない。しかし創ることはできる」を引用しています。日銀の膨大な資産を『創る』ことで、景気をよくみせかけただけであり、未来を予断するなら日銀が苦境に陥り、日本経済全体がおかしくなることでしょう。

地方創生では岡山県の味野商店街をとり上げますが、政府の成果でも何でもない。自民政権がよくやる他人の褌を、まるで自分の褌のように語ることの一つで、逆にいえばそれ以外に語る例すら見当たらないのでしょう。これは農政新時代の項でも、農政は全農改革で達成する、としか読み解けない。地方創生に妙案なし、これが実態でもあるのでしょう。
全体的に、安倍政権になる前からつづけてきた施策もとりあげ、成果のように語るなど、民主党政権のころ…という割りに、イイトコどりだけが目立つものです。しかし学制の序文「学問は身を立つるの財、本とでもいうべきもの」を引用し、経済的に厳しい学生に1学年2万人規模で、月2〜4万円の返還不要の給付金、とします。しかしその程度で、どうやって就学できるのか? 甚だ疑問です。それなら高校無償化でもよかったはずですし、返還が必要な給付金などで、卒業後に苦しむ学生がいることが問題なのですから、尚更対策としては手抜きです。イイトコどりしても、結果は悪くなっていることも多いのです。

最後に、ハマグリを土産に持ち帰り、食べるのではなく土佐の海に撒き、それが未来をつくった話をもちだし、未来を拓く行動だとします。そこで「批判に明け暮れたり…プラカードを掲げても何も生まれません…真摯かつ建設的な議論を…」と野党に求めますが、野党から何かを言われると、必ず「民主党政権のころは…」とつかう安倍氏に、そっくり返される言葉なのでしょう。政権政党が建設的な議論をせず、拙速に国会で採決してしまう。先の臨時国会では、会期が短いだけにそんなケースばかりでした。ハマグリ、その貝合わせが上手くいかない、から転じて『ぐれる』という言葉になりました。これは悪の道に走る、ということと同時に『見こみが外れる』も意味します。すでに外交、内政とも見こみ違いが多数散見される安倍政権、土佐を例にだしたのは幕末維新をイメージさせたかったのでしょうが、土佐藩出身の坂本竜馬が目指したのは、旧体制の改革。旧体制である自公政権を討幕して再スタート、との印象の方が、より強まるような演説になっている、ともいえるのでしょうね。

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2017年01月19日

TPPの国内手続き完了へ

神奈川県の小田原市の生活保護担当の職員らが、「生活保護なめんな」と書かれたジャンパーで業務にあたり、市が謝罪しています。この問題で感じることは、市民と一番触れ合う機会の多い職場が、市職員にとって懲役、島流し、と卑下される立場にあることが如何に悲惨か、ということです。逆に見れば、市民より業者と会う機会の多い職場が天国、ということが如何に危険か。市民の中には、確かにモンスターと称される部類の人もいますが、それこそ職員を増員し、きちんと対応できる体制をとらなかった、市の責任がそもそも大きいのです。
しかもモチベーションを上げるのに、市民にその牙を向ければ、当然批判されます。本来は市の体制が整っておらず、担当者に多大な負荷がかかっていること、が問題のはずなのに、です。そもそも不正受給とされますが、支給していない段階では不正受給には当たりません。支給した後、不正があったと認められるので不正受給になるのです。審査の段階できっちり調査し、支給しない理論武装を整える。そのための人員をしっかりと確保し、不正受給に至らない仕組みをつくる、という市側の対応がなく、不正受給者の攻撃ばかりに注力すると、正規にうけとる資格がある人まで萎縮させてしまう、だから批判されるのです。モンスターが問題だ、担当者の負担が大きい、はこの場合において『だからジャンパーをつくっていい』という理由には一切ならない、ということです。

20日にTPPの国内手続きを終了し、取りまとめのNZに通知することが判明しました。トランプ氏の米大統領就任前、悪く言えば当てつけです。その20日にトランプ氏はTPP承認せず、と宣言すると伝わるのですから。しかしTPPに合意した国で、手続きを終了するのは日本が初、こんなところでも『初』に拘りますが、今後の推移はかなり厄介です。
米国抜きの11ヶ国でTPPを発効するケース。これは他の10ヶ国が輸出先としてターゲットにするのが日本だけとなり、工場の移転もすすむでしょうから、日本は安価な製品で溢れるかもしれません。それ単体ではよいことのようですが、強烈なデフレにより円高となり、また競争力の下がる国内の工場は壊滅します。日本はよりサービス業を充実させないと生き残れない、米国型の経済体制に舵を切らざるを得ず、失敗すれば貧困化がよりすすむでしょう。日本は投資や知財の分野が強いわけでもないので、TPPを締結してもメリットがないのに締結した、という最悪の展開になりそうです。

TPPが発効しないケース。これは現状維持になりません。なぜならトランプ氏は国境税を唱えており、実現すれば日本から米国に輸出するものにも税金がかかるからです。否応なく米国との新たな関係を模索しなければいけませんが、日米FTAを結ぶにしろ、TPPをベースにして、さらなる上積みを要求されることが確実で、それを呑めなければ国境税に苦しむことになる。損得は詳細をみなければはじけませんが、いずれにしろTPPをベースにするだけに、そこでの妥協がすでにギリギリだった場合、日本は相当困難な条件でも呑まざるをえないのでしょう。
トランプ氏が翻意し、米国も参加してTPPが発効するケース。ただしこれも再交渉が必要で、もし再交渉がなければ発効もしないでしょう。しかもその再交渉は、さらに米国の意向を最大限に組み入れなければいけないため、今より条件が悪化することは確実です。

日本がTPPに参加しない、という選択肢を明日放棄してしまうのであり、日本が外交的な主導権をにぎる機会を手放した、ともいえるのです。逆に、ここで最初の米国抜きで発効するケースになって、日本がそれでは嫌だ、と難色を示したところで、逆に手続きを完了した後に逃げた、として国際的な信用がガタ落ちになるだけでしょう。安倍政権の『初』もの好きのせいで、国益が著しく害される形になりそうですが、『初物に懲りて膾を吹く』ということにでもならない限り、その愚を悟ることすら安倍政権ではできない、ということでもあるのでしょうね。

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2017年01月18日

文科省の天下り斡旋

石破元防衛相がBS朝日の番組で、非核三原則のうち「核をもちこませず」は見直しの余地あり、としました。ただ、日本は米国の核搭載艦が領海を通過しないよう、特定海峡において12海里ではなく、3海里しか日本の領海とみとめておらず、中国の艦船が通過し放題ということが分かっています。つまり実は、中国が日本の近海を、それこそ対馬と九州の間の対馬海峡、北海道と青森の間の津軽海峡でさえ、公海ですから勝手に通過してもいい、となっているのです。国防、国防といいながら、実際には米国に気をつかうあまり、国防の最前線すら抜け穴だらけ、ということなのです。
玄海原発3、4号機について、原規委が新規制基準に適合するとして認可をだしました。燃料プールが数年で満杯、との話で、乾式貯蔵を検討と伝わります。乾式貯蔵はそれ自体が遮へい物であるキャスクに入れ、空冷によって貯蔵するものです。問題は、キャスクが壊れてしまうと燃料棒がふたたび反応状態になり、燃料棒ともども溶解してしまうこと。またキャスクが放射化されるため、くず鉄にもならずに放射性廃棄物になること。また恐らく空冷する際、フィルターにより汚染が出た場合も拡散を防ぐのでしょうが、大量に汚染物質がでた状態になると、フィルター交換をするため人が立ち入ることもできませんし、汚染物質を垂れ流すことになる点です。しかも玄海3号機はプルサーマル発電になるため、燃料棒はより放射線をだす状態であるため、尚更乾式では厳しいのかもしれません。
結局、上記の二点、領海の問題にしろ、原発の問題にしろ、目先のトラブルを回避するために小手先のことをしているだけで、長期でどうすればいいか、という視点がないため、国益を害しているといえます。しかも原発の再稼動は、目先のトラブルを回避する目的ではなく、むしろトラブルを拡大させるといった点において、より悪質といえます。

小池都知事が衆院選で自民党を応援、という記事が流れました。安倍首相との一対一の会談で語ったことなので、安倍氏かその周辺しか流せませんが、むしろ代理戦争となっている千代田区長選のために流された、とみられます。そうなると、自民都連辺りが流したともみられる。小池氏は自民を応援している、と吹聴することによって、自民都連が推す与謝野氏に票を集めたい、といった動機がもっとも想定されるからです。
しかし安倍氏か小池氏しか事実を知らないことが明白なのですから、洩らすとしたらその2人しかいないわけで、かつ自民にとって有利な情報でもあり、安倍氏が疑われる。それが自民にとって、どれほど利があるか? と考えれば、今回の動きは逆に自民都連の苦境を如実に示した、ともいえるのでしょう。自民都連の力は強大で、安倍氏さえ気をつかう、ともされますが、利用する側、される側、共倒れの結果しかもたらさないのでしょう。

文科省で天下り斡旋、との記事があります。前高等教育局長を早稲田大学に斡旋し、教授職に就いた、ということですが、注意すべきはこの程度よくある話だということです。そして、この指摘をした再就職等監視委員会は創設8年目にして、やっと仕事らしい仕事をした、ということ。しかも安倍政権では比較的冷遇されている文科省を相手に、です。
今回で違反、となれば関係者の処分と、各府省への勧告となりますが、過去まで遡って調べれば元官僚の大学教授など、言葉は悪いですが腐るほどいます。しかしそうしたところにはお咎めなし、さらに文科省以外の府省は、直接の利害関係にないので天下りし放題です。逆にいえば、文科省を規制することによって、他の府省の天下り先のパイが拡大する、といった仕組みもあるのです。これも安倍政権に逆らうと一罰百戒で厳しい対応をされる、と印象づけ、各府省に忠節を強いる事例ともいえるのでしょう。

しかし元官僚の大学教授など、言葉は悪いですが大して使い物にならない。優秀な大学をでただけで、通り一遍のことはできても、教育者とし相応しいわけでも、研究者として適するわけでもないからです。そしてそのことにより、授業料が上がり、若者が苦しんでいるのなら、本末転倒ともいえます。領海の抜け穴ばかりでなく、天下りの抜け穴もふさいでいかないと、国益を害しているだけなのです。再就職等監視委員会が8年ぶりに活動した結果として、さらに安倍政権強化に利用されているだけなのだとしたら、本末転倒でしょう。小池都知事との会談の話が洩れたこともそうですが、安倍政権にみられる抜け穴、それはどれも自利に対して動こうとする、浅ましさのために残されている、とさえ言えるのです。共謀罪の範囲縮小などとされますが、天下りをする官僚を国益を害す存在、とするのなら、それを差配した幹部まで含めて『共謀』した、として罪に処してもよいのかもしれませんね。

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2017年01月17日

雑感。英国のEU離脱とダボス会議

安倍首相が4ヶ国歴訪から帰国しました。今回はバラマキとともに、トランプ米次期大統領と会った、との実績を誇るトラの威を借る…ならぬ、トランプの威を借る外交、といえるのでしょう。しかしTPPの早期成立を確認しあうなどしましたが、英国のEU離脱に対して「よいことだ」などと発言する人物が、日本政府の説得ぐらいで翻意し、TPPの成立に動くはずがありません。トランプの意を変えられない、もしくはトランプの意を理解していない外交、ということにもなるのでしょう。
そんな英国のメイ首相が、EUからの離脱にむけた基本方針を語り、英国の単一市場からの離脱がほぼ決定的になりました。今後はEU側とFTA、EPAなどの経済協力をむすびながら、新たな関係を模索するのでしょうが、それで済むならそうしたい、と考える欧州各国は多いはずで、それこそ今年相次ぐ選挙で、離脱派が勢いをもつことが確実です。かといってEU側としても、英国との関係を完全に切れるか、というとそんなこともできません。

問題は、EUというシステムは加盟国すべてが幸せを享受できるものではない、ということです。富が集中する独国のような国もあれば、ギリシャのように危機から脱け出せない国もある。伊国の金融不安はずっと燻ったままで、解決の道筋さえつけられない。金融政策と財政政策を切り離してしまっているため、有効な対策もうちにくく、逆に富が集中する独国が支援や解決に向けた手助けを拒否してしまえば、苦しむ国は泣き寝入りするしかないのです。これでEUが崩壊に向かうなら、それはグローバル化の失敗例として歴史に刻まれ、今後も折にふれてとり上げられることでしょう。
個人的には、保護主義とグローバル化、どちらも行き過ぎたら悪弊しかない、と考えています。そして好景気のときはグローバル化が、不景気なときは保護主義が有利にみえる、ということでもあり、今はまだ景気後退も起こっていませんが、それは超金融緩和によって支えられたためであり、金融にかかわる部分以外への波及が少ない。そのため多くの国民が不安、不満を抱いており、それが反グローバル化の流れを生む。結果的に、どちらもより過信して邁進すると、その反動も大きくなり、より保護主義の流れが強まるということでもあるのでしょう。

ダボス会議での要人発言が市場を動かしています。トランプ政権で上級顧問になる、とされる人物がドル高牽制発言を行い、ポンド売りの流れとともに円高が加速しました。しかし今後、トランプ政権になればより強くドル高牽制をとってくるでしょう。米国で売るものを米国内でつくらせても、コストアップにより売価が上がる。輸出してその分を稼がないといけないためで、それにはドル高がネックになる。金利が上昇しやすい米国では、ドル高にもなり易いのであって、それを口先介入で止めたい誘惑があります。
しかしそんなダボス会議で、中国の習主席が「保護主義は共倒れ」と述べたのは、皮肉といえば言えるのでしょう。これまで自由主義経済の恩恵をうけ、自国は保護主義をとりながら成長してきた中国が、相手の保護主義化により、最大の懸念が生じるのですから。しかし逆に見れば、保護主義と自由主義が斑模様になると、自由主義をとる国は富の簒奪に遭う、ということでもあります。それでも成長し、にこにこと笑って許してくれていた自由主義経済の国、米国が態度を転換する、このインパクトは計り知れません。

トランプの尾を踏むのを恐れ、企業は一見するとトランプ氏に屈したようにみえますが、トランプ狸の皮算用なのでしょう。米国の周辺の国々が低成長、マイナス成長に陥れば、その影響はもっとも米国が強くうけます。米企業や金融機関は、世界的に活動しているのですから。トランプは死して皮を残すのか? むしろISILばかりでなく、中国にも不都合な存在になったトランプ氏、皮を残す間もなく暗殺される、との見方もあり、それに怯えてますます引き篭もるのなら、トランプの穴に入って得られるのは、コジレを得ず、という世界を混乱させる要因だけ、ということにもなるのでしょうね。

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2017年01月16日

雑感。トランプ氏の保護主義

豊洲の地下水でみつかった汚染、9回目にして一般入札で業者を選定したことが判明しており、どうもこれまでがお手盛り検査だったのでは? との最悪の憶測も流れます。地下水のくみ上げを始めたことで、地下水に流れができて…との推論もでていますが、地下にある砂利は本来、フィルターのように水を浄化する機能があるはずです。しかし流れができることで汚染が広がるなら、それはもうフィルターそのものが酷く汚れている、ということになる。そうなると、フィルターである土をすべて入れ替えない限り、地下水の汚染はいつまた出てくるか分からない、ということにもなります。今回、環境基準を越えているだけに、最悪でも基準値以下にしない限り、移転はできない。原因追及と同時に、対策がより困難になってきた、というのが現状でもあるのでしょう。
小池氏の築地視察で、移転派ばかりフィーチャーするよう都側が主導していたことから、ほぼ移転は規定路線かとみられていましたが、非常に難しい局面になった。それは政治的にも、です。小池氏も都議選前に決着をつけたかったものの、雲行きが怪しくなり、来年度の移転は難しくなった。予算措置もしていないことから、ほぼ1年以上先送りでしょう。千代田区長選、東京都議選、間違いなく豊洲移転の問題が争点に浮上します。

トランプ米次期大統領が、独BMWについてメキシコ工場で生産される車に35%の関税をかける、と発言しました。課税については大統領権限ではないので、実現性については不明ですが、その口が止まりません。市場ではスムート・ホーリー法といった、世界恐慌の前に米国で成立した輸入される農産物、工業品に高関税を賭ける法律、それが今回も成立するのではないか? と噂されます。まさに今、第二次大戦の前夜に近づきつつある、といえるのかもしれません。
そんなトランプ氏が称賛した英国のEU離脱、メイ英首相によるハードブレグジット観測が流れ、ポンドが急落しています。強硬離脱となればその影響は甚大、明日の演説でそれを表明されたら堪らない。最近の市場ではよく見られる、イベント前のポジション落としの動きが、ポンド急落の背景です。年明けにはブレグジットの方針を、EU側と詰めるという話もあったので、そろそろ何か動きが出てもいい、そんな思惑も先走っています。

しかしイベント前というのに、まったく安心したかのような市場、それが米国です。ダウは足踏みですが、NASDAQは絶好調で、循環投資が利いている状況です。しかし米国でもハードNAFTAが懸念されるところであり、メキシコなどは制裁関税をかける、と公に表明している。当然、メキシコの方が経済規模が小さく、対抗したとてどれだけの効果があるか分からない。しかし国同士の関係で、やられっ放しでは政治的にもたないのです。国民の不平、不満をすくい上げるのが政治家ですから、やられたらやり返さないといけない。それが大戦前の状況です。その反省から生まれたWTOの理念も外れ、米国がボーダータックス(国境税)にまい進するなら、貿易相手国もそうせざるを得ないのです。
そんな折、日本の安倍首相は最後の外遊先、越国を訪れ、TPPの継続を確認し合いました。米国が入らないTPP、何がメリットかも説明がつかないまま、自分たちが主張したことを中々取り下げられない、それも政治です。今、経済的には何が起こるか分からない、とされていますが、経済とて人がつくることであり、かつ今は政治が大きく左右する時代になってしまった、ということもできるのです。

豊洲の地下水、世界経済も似た状況といえます。表向きはキレイな、整備された施設がありますが、その下には大量の汚染された、危険物質が埋まっている。いつそれが地上に出てくるか、人に害を為すか、といった危うさがある点はそっくりです。移転ができない豊洲、利点の少ない保護主義、政治家には本来もつべき資質でもある、機転の利いた施策をうつことが、今は強く求められる時代ともいえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2017年01月15日

トランプ次期米大統領と中国経済

2016年の休・廃業が過去最高になる見こみです。安倍政権は倒産件数の減少ばかりを成果として語りますが、今はマイナスになるほどの低金利で、ゾンビ企業が生き残っているとされますし、倒産件数だけでは決して計れない、深刻さを映しているのが休・廃業件数の多さ、なのでしょう。一般には休・廃業の理由は後継者不足、などとされますが、金融機関にとってもメリットがある。倒産になると回収不能となり、不良債権になるので、休・廃業なら凍結、もしくは回収の先延ばしで済みます。隠れ不良債権ともなりうるこうした動き、景気が悪化すると一気に注目されるのかもしれません。

ではその景気悪化のタイミング、存外早まるかもしれません。それはトランプ次期大統領が、中国叩きをするのが、ほぼ確実だからです。しかも、不当に為替を操作し、輸出を増やしているとの誤った認識に基づく攻撃のため、中国のバブル崩壊が早まるかもしれないからです。
中国は昨年の新車販売が2800万台以上と、世界でもトップの販売数量を誇りました。1.6ℓ以下の販売に税の減免措置をとり、しかも年末終了の予定を延長していますが、実はこんなことをしても排ガスが浄化されるわけではありません。一台のエンジン容量が下がっても、数が増えてしまえば排ガスも増える。しかもエンジン性能によっては、むしろ浄化作用が下がるケースもあります。また最大の問題は、中国メーカーでなければ本国へと還流する際、人民元を売ります。つまり今、外貨準備を削ってまで中国は人民元安の防衛をしていますが、それすら無にさせかねない誤った施策、ということも言えるでしょう。

中国は今、資本逃避が起こっていて、それが人民元安を促す要因となっているのと同時に、通貨切り下げを行うのではないか? と噂され、それも人民元を売る要因ともされています。完全な変動相場制ではないため、売り圧力が強いと、基準値すら危なくなる。それを回避するには、大幅に切り下げてこれ以上下がらないようにする、といった思惑を市場に与えるしかありません。年初、中国の人民元防衛は一時的には成功したかのように見えますが、歪みのある市場は特に狙われる。しかも、市場では外貨準備が中国経済の規模と比べ、限界に近づいている、との見立てが多い。つまりこれ以上下がったら、通貨としての人民元の価値が低下し、一気に売り叩ける、との思惑が強まっているのです。
そんなときに、経済のことをわかっていないらしい経済人、トランプ氏が米国の大統領に就任する。これで為替操作国認定でもされ、輸出にブレーキがかかれば、中国経済の失速と貿易黒字の減少から、ますます人民元が売られやすくなる。そして中国のバブルが崩壊する懸念がある。通貨が安くなるなら、中国国内で製造した方が良さそうですが、中国の企業経営者でさえ続々とにげだすのは、この大混乱を避けたい、との意向です。中国の通貨防衛策、ここに来て非常に緊張感が高まっている状況ともいえるのです。

今年、中国の春節は1月28日。トランプ氏が大統領に就任してから、約1週間です。中国の事情を考慮せず、何かだして成果を喧伝したいのなら、まさにこのタイミングで仕掛けてくるのでしょう。トランプ氏が経済ブレーンからどんな説明をうけているか分かりませんが、今年は米中の緊張の高まりと同時に、経済的な誤解、錯誤によって何がおきるか、誰にも予想がつかないという問題に直面するのです。
中国のバブルが弾ければ、当然のように日本にも悪影響がでてきます。日本は金融政策も限界、財政政策とて諸外国にバラマキをしても、国内向けには相当に限界もある。通常国会開始とともに3次補正が議論されますが、こんな補正、補正で予算を組むような状態であれば、大きな景気後退の波が襲ってきたとき、それを上回る手を打て、といわれても土台ムリな話でしょう。先週末、懸念されたジブリの呪いは、一応回避された恰好です。しかし金曜ロードショーは3週連続のジブリ祭り、20日のトランプ氏の大統領就任、27日の春節前の除夕と、ジブリが重なってくくるのは、悪い印象をより強めてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2017年01月14日

豊洲の汚染物質検出と、東電救済と

毎年感じますが、異常気象の起こり易い特異日に、どうしてセンター試験を行うのか? 11月や12月でもよいのに、です。確かにクラブ活動が伸びて、受験勉強ができない生徒を救済するため、また高校三年まで授業をうけてから、ということかもしれませんが、全国の受験生をリスクに晒してまで、1月15日前後に行う必要はないのでしょう。一時期、大学を米国などとあわせて9月に始業式、といった話もありましたが、そんなことよりよほどこの天候不順で受験が混乱する、という問題の方が大きいと感じます。

大きな問題、ということでは豊洲の地下水から、基準を越えるベンゼンや砒素、シアンが検出されました。過去7回は非検出、8回目に3地点で微量を検出、そして今回、72地点からの検出です。どう考えても検査に不正があったとしか思えませんが、恐らくこれまではほとんど上澄みをすくってきた。しかし公開され、多くの人が歩き回った結果、水が撹拌されて沈殿していたものが浮いてきた。いくら水溶性といっても、流れが一切ない溜まり水では比重が大きいものほど沈む。それを採取する人間が知っていたか、知らなかったかは分かりませんが、豊洲の地下水にはこれぐらいの汚染がある、という前提で対処する必要がありそうです。そうなると移転できる、できないという問題以上に、その水を排水するときに浄化しないといけないので、排水設備の充実が必要になるのかもしれません。
調査を実施した東京都への不審も高まりますが、実は同じ構図なのが原発です。問題ありません、安全です、は電力会社の発表であり、第三者が客観的に調査したものではありません。一部の原発では、敷地外にモニタリング箱を設置するなどして第三者がチェックしていますが、それとて敷地外まで飛散しない限り、検出できないのであって、逆にそこで検出されていたら、住民は非難した方がいい、と呼べるレベルの事故が起こっていることになります。つまりその間の漏えいにまで至らない事象は、今のところ事業者の判断にすべて委ねられた、グレーゾーンということも言えるのです。

米NY州では、NY市近郊にある原発の運転終了が決まりました。事故がおきたときの被害想定が甚大なこともありますが、理由は収益性の低下です。日本では原発を動かさないと、東電の再建がうまくいかない、などと語られますが、再稼動するが前提で、多額のコストをかけて保守・メンテナンスをしており、その分が回収できないこと。また未だに国策で原発の輸出を画策するように、原子力ムラへの配慮から、日本ではそんな理屈がまかり通っている、とさえ言えます。しかし東電は年末、こっそりと原子力賠償機構に7千億円の支援を要請しており、昨年末には東電で3度目の支援策について閣議決定している。何のために? という国民への説明が抜け落ちたまま、東電を救済するために電気料金で、また税金で、じゃぶじゃぶと垂れ流されているのが実状です。
通常国会には、原子炉等規制法の改正案が提出され、高レベル廃棄物の埋設施設の周辺の掘削を禁止する、といいます。将来、そんな施設ができたら、こっそりと周辺の深いところまで死体を埋めたら、完全犯罪ができそうです。それ以前に、高レベル廃棄物をガラス固化する技術でさえ、今のところ確立していないにも関わらず、埋めた後の放射性物質の漏えいを法律にもりこむ、という時点で違和感があります。

日本では埋めてはいけないものを埋め、後で困っている、というのが豊洲です。地質調査でボーリングするぐらいで漏えいが懸念されるのなら、そんなものは埋めてはいけない。なぜなら地下水により、地上まで洩れてくる可能性があるからです。安全に管理する、というのはきちんと隔離し、接触を断つことによって成し遂げられるのです。核のゴミ、という前に、原子力政策全般が日本のゴミ、巨大な産業廃棄物レベルにまで堕してしまっているのが、現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2017年01月13日

退位問題の議論のすすめ方

12月の景気ウォッチャー調査、現状判断DIは51.4と横ばい、年末商戦がふるわなかった小売関連が大幅な悪化で、家計部門が悪く、企業関連は総じてよかった。株価が上がっても個人マインドは一向に上がらないことが、改めて示されました。先行き判断DIは前月比0.4pt悪化。住宅関連以外、総じて悪化しますが、企業関連は現状が高過ぎるため、将来にむけて弱含む、と判断するのは理解できても、小売がさらに悪化すると判断している。この辺りが日本経済の弱さであり、円安はコストプッシュインフレを意味し、ガソリン価格の値上がりなどもあって消費意欲を減退させてしまう。企業マインドと個人マインドの差、円安による景気への波及が斑模様になるのも、この辺りに原因があるのでしょう。

安倍首相が今年初の外遊として、比国、豪国、インドネシア、ベトナムと歴訪しています。比国ではドゥテルテ大統領の自宅に招かれ、朝食をともにするなど歓待された、と報じられますが、先に5年間で1兆円の支援を公表しており、そんな相手をむげに扱うはずもありません。GDPでみれば30兆円強の国に、年間で2000億円も資金が流れてくれば、単純計算で0.6%ぐらいの押し上げ効果があります。中身が分からないので、どれだけ寄与するかは分かりませんが、どんなに嫌な奴でもこれだけ大盤振る舞いしてくれたら、つくり笑顔であっても歓待してくれるでしょう。
金で関心を買う、安倍政権の常とする外交戦術ですが、結果はいつもそのときだけの関係で終わってしまいます。安倍外交の問題は、心でつながれない、真に信頼関係を築いているわけでもないので、情勢が変わればすぐに裏切られてしまうことです。例えば比国にしろ、中国がさらなる支援を約束し、2000億円を上回ってくるなら、比国はそちらにつくでしょう。中国との外交は常にそういう形で負けてきたのであり、今回もこれで比国が日米の側として機能する、とは言い切れない部分も残るのでしょう。

そんな安倍政権が特措法で済ませようとする天皇陛下の退位、自民内のごく一部の幹部で検討とします。党内でさえ議論百出になるため、安倍氏への求心力低下を避けたいのでしょうが、そんなものを党議拘束をかけて、賛成させるとしたら極めて問題があるのでしょう。特措法だからこそ、逆に政治利用しやすい形を今後つくりだす、ということでもあり、特殊事情として例外的にみとめるその理由まで明記する、としますから、下手をすれば「国民の象徴足り得ない」という一文で、政治が勝手に退位させることも可能となってしまうからです。皇室典範を改正し、どういった事情であれば退位できるか決めておけば、その想定に従って退位も決められます。つまりより天皇を政治利用しやすくする上、さらに党議拘束をかけるなら、党幹部の意思で退位を恣意的にとり扱え、国会で多数さえにぎっていれば政治利用できることになるのです。
しかも今の安倍政権は、党幹部でさえ右で固めており、多様な意見の集約でもない。そんなものを十分に議論する時間も与えず、半年で審議するつもりなら、甚だ大きな禍根を残すともいえます。しかも憲法が天皇陛下の意思に基づく行動を規定していないから、といって国会が勝手に決めていいのか? 一つの例としては、70歳を越えたら天皇陛下のご意思で願い出て、国会の承認によって退位できる、といった形でもよいわけです。そもそも解釈次第で憲法を蔑ろにしてきた安倍政権が、天皇陛下の意思の部分だけ、後生大事に守ろうとすること自体、正当性がないといえるのでしょう。

しかも退位した後の天皇陛下への予算措置、待遇についてはずっとその特措法が生きるのか、それとも毎年特措法によって規定しつづけるのか? 特措法の効果がどの段階までつづくのか、についての議論も必要でしょう。何かすごく大事なことが抜け落ちたまま、時期の話だけでてきているだけに、特に違和感が生じてしまいます。
安倍氏の手法、政治の場では数にものを言わせ、国外では金にものを言わせる。それで相手を黙らせ、自己満足しているだけなので、多くの人が危うさと疑問をいだきます。数も金も永久のものではない。安倍政権の手法では、間違いなくムダ遣いをしているのであって、効果もなければ、結果としてよりよいものになるわけでもない。比国の諺でいうなら、「賢いやり方は、見下すことなく騙すこと」とあります。そんな相手と朝食をともにしたぐらいで、両国の関係はよい、とでも思っているなら早晩、立ち往生することになるのでしょう。ただ、国内で「ものを言う」はずのメディアをすべててなづけているので大丈夫、と慢心しているようなら、立つことすら適わず往生することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(29)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2017年01月12日

トランプ氏の会見

昨日も少しふれましたが、2019年に皇位継承し、新元号とする検討を始めた、とする記事ですが、産経がスクープとしてだし、それを各メディアが追随する形で報じています。しかし退位でさえ決まっておらず、かつ天皇陛下の意思すら確認しないうちに、皇位継承を勝手に決めてしまう。これは天皇制を形骸化する、非常に危険なものです。
平安以後、貴族が強くなり、また武家社会が支配する過程で、天皇とは名ばかりで常に政治利用されてきました。即位、退位を政治によって恣意的に扱われ、自分たちの意見に近い人物を天皇として据えよう、とされてきた。安倍政権は戦前回帰どころか、天皇家の血を利用して自分たちのやりたい政治をする、賊徒とも呼べるものをめざしているとしか思えません。しかも、最初に産経にスクープさせた点をみても、これを観測気球として上げ、世論の反発が少なければそのまま押し通してしまおう、という悪意しか感じない。しかも2019年というのは、事実上の明治政府がうごきだしたタイミングから150年、そこに合わせて改元する、という自ら明治維新を意識する、安倍氏らしい発想ともいえます。しかしくり返しますが、天皇陛下の意思を確認もせず、また退位の方法すら決まっていないうちに時期だけ決める、というのは賊臣の行うことです。今後も気に入らない天皇陛下を政治の都合で勝手に退位させる、という動きをださせないためには、ここでこうした動きを食い止めるしか手がない。前例をつくれば、なし崩しになって、天皇陛下を恣意的に操る時代に逆戻り、ということにしかならないのでしょう。

トランプ米次期大統領の演説、見事なまでに幼稚な自己満足と、欺瞞に満ちたものでした。「神が創造した中でもっとも偉大な雇用をつくる人間になる」など、何を言いたいのかすら分かりません。英語のニュアンス的には「雇用創出者」といった感じかと思われますが、雇用を創ることがすばらしいのではない。例えば低賃金労働が増えても、雇用が増えたといえるのであって、労働の対価として相応しい賃金が得られているか、それで生活水準が上がるか、が評価されるのです。この間違った価値観でつきすすむ、というのは副作用の懸念が大きくなります。完全雇用の状態にある米国で、さらに雇用を増やすという愚を考えれば、米国は負のスパイラルに入りつつあるのかもしれません。
しかも減税や、公共工事などの話は一切なし。国の財政を精査しないといけない、公共工事も効率性を検討しないといけない、となるなら、半年程度で効果が出るような施策は出てこないかもしれない。つまり今の相場が織り込んでいるような期待は、先走りすぎになるということです。ふわふわと高かった市場にとって、これは痛烈な問題です。

しかも中国、メキシコと同列に、日本とは損ばかり、と述べた。対米貿易黒字を疑問視したものですが、日本は米国で稼いだ金を中東での原油で散逸し、中東諸国はその金をつかって米国などへの投資をすすめてきた。一国の赤字のみを捉えるのではなく、世界の資金の流れをみなければいけない米大統領のこの倒錯ぶりは正直、危険なレベルといえるのでしょう。トレード・タックスの話が俄かに盛り上がりますが、米企業の方が米国以外で活動しているケースが多く、米企業の収益悪化となれば、ますます誤った認識でつきすすむことの愚を意識されます。
直接の言及はなかったものの、ドル高牽制ともうけとられることから、為替が動いています。TPPもこれで完全に否定されたことにもなるのでしょう。雇用最大化と、グローバル化による最適化とは、真逆の考えになるからです。そして、この演説を聞いても日本にとって敵になることはあっても、味方になることは少なそう、とも言えます。ただ敵視の順が中国>メキシコ>日本、のようなので、その点では安倍政権は安堵しているのかもしれません。まだマシ…説得で何とかなるかもしれない、と例によって外交における根拠なき楽観が、安倍政権の中には垣間見られるからです。

「Make America Great Again」と語り、トランプ氏は当選しました。しかしどうやら「Make American Grief Again」つまり「米国の悲嘆よ、ふたたび」ということになりそうです。ただそれが、世界全体を悲嘆に暮れさせるかもしれず、そのときはトランプ効果を、トランプ降下として意識することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(20)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2017年01月11日

オバマ大統領の演説と、市場と情報操作

オバマ大統領の最後の演説、最後まで見事でした。真珠湾の演説で安倍氏も、オバマ氏の広島演説の構成をそのまま真似しましたが、遠く及びませんでした。それはいくら美辞麗句で飾っても、間の取り方、言葉の抑揚、音程などの点でまったく異なるからです。演説の最後の言葉は「Yes,We can.Yes,We did」としました。「我々はできる、我々はやり遂げた」としますが、オバマ氏がもたらした変化は、結果的にトランプ氏を大統領に押し上げるための下地をつくった、ということになるのかもしれません。
しかしトランプ氏がもたらす変化は、決してまい進してよいものではなさそうです。Twitterによる嘘ばかりでなく、嘘のニュースサイトを信じる国民が、どれほど多いのか。日本では既存のメディアを牛耳り、おべっか記事を書かせることで支持を得て、米国では日本よりも既存メディアへの信用が失墜しているため、嘘メディアにとびつき、それがトランプ氏への根強い支持になっている。演説でも語られていたように、プロパガンダや大衆扇動は民主主義にとっての危機になります。FacebookやTwitterがより利用される米国では、扇動により大衆が誤誘導されやすい社会になっている、とさえ言えるのです。

その影響は、株価や市場価格にも顕著にあらわれているのでしょう。PER21倍台という、正当化されるまで何年かかるか分からない水準まで、跳ね上がってしまったのも、楽観を拡散することによって誘導された結果、とみることができるためです。原油相場も、OPECの減産合意で1バレル50$を突破しましたが、シェールオイルのリグ稼働率の上昇報道をうけて、やや悪化しています。受給でみれば50$を割ってもおかしくないのですが、50$を割れそうになると奇妙な情報や、買い支えの動きがでてくる。市場や今や、水準感すらおかしいまま、操作された情報の中でふわふわしている印象です。
つまり米国は、情報操作が利きやすい国になっているために、金融機関などが簡単に相場操縦できてしまう。今の金融機関は、取引部門とアドバイザー部門に分かれているとはいえ、企業の格付けや相場の見通しをだすところと、自己売買するところが、一体であることが多い。収益性を高めたいなら、誤誘導であっても自分たちが儲かるような情報をだした方が、より都合いいとも言える状況になっているのです。

しかしオバマ氏は、最後はトランプ期待という上昇になりましたが、リーマンショックを上手く乗り切った政権として、今後も称賛されることになるのでしょう。それはFRBの超金融緩和、というサポートがあったとしても、です。ただ、金融市場と雇用に責任をもつFRBのせいで、低賃金労働者層が拡大し、金融市場にもバブルが起きている、という現状は、グリーンスパン元FRB議長のように、任期中はマイスターとまで賞賛されても、その後に悪名を被った、といったパターンもあるので要注意かもしれません。ただ、今のところ幸福のうちにオバマ氏は幕引きできる、といった意味では幸運だったのでしょう。
今晩、トランプ氏の演説です。ただその前に、日本では日経225先物を売り、TOPIX先物へと乗り換える動きもみられます。つまり上昇すれば御の字、下落してもTOPIX型なら日銀が買い支えてくれるので、損失も少なくて済む、といった思惑が働いたのでしょう。日本の場合、SNSによる情報操作が利きにくく、また外国人投資家が取引の7割ぐらいを占めるため、情報操作よりも公的部門の動きをより重視する傾向もあるようです。

安倍政権ではメディア操縦のため、政府宣伝費を上積みしている、といった話もあります。情報操作により、国の大事な決定まで左右されてしまう米国がいい、というつもりもありませんが、公的部門や公的部門に頼ったメディアにより、操縦される国というのも、また問題があるものです。昨日、19年から元号が替わる、という記事もありますが、退位の仕組みも決まっていないうちに、退位の日付だけが決まってしまう。この不条理にして、今上天皇に対する意趣返し、ともみられるこんなスクープで世論が「あぁ、そうなのか」と受け入れ、誘導されてしまう。世界は今、デモクラシーの危機というのは、まさに情報の扱い方への危機、となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(15)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2017年01月10日

トランプ氏による自動車産業叩き

韓国の慰安婦像の設置に対する日本側の対応について、安倍政権に近い識者ほど賞賛する傾向もありますが、そうした人物たちが一環して主張するのが「早く韓国は合意を履行すると宣言しろ」というものです。実は、日本側は打てる手を打ちつくし、これ以上やると敵性国に対する制裁に近い水準まで、対応を引き上げなければならない。つまり貿易の規制や資金移動の制限などに踏み込まなければいけなくなります。
そして長期化すると、今度は日本側がいつ解除するか? が問題になってくる。韓国側の反応がないまま、解除するわけにはいかないからで、一時帰国の大使など、召還にまで格上げされるとそれこそ動きがでるまで大使不在になります。そして逆に、日本側が圧力をかけていることに対して、米国から圧力がかかることにもなるでしょう。つまり安倍政権は短期での成果を狙うしかない。しかし韓国は無政府状態で、次の政権が決まるまで動きようがない。結果、長引くしかありません。振り上げた拳の下ろしどき、しかも今回、日本は大上段までふりかぶりましたから、特段難しくなったといえるのでしょう。これまでも同様ですが、一気呵成にこうしたことを始めても、終わらせ方まで考慮して始めないために、後で困ったことになる、ということが安倍政権ではしばしば起こります。

誰にでも拳を振り上げる、といえば今は米国のトランプ次期大統領です。メキシコ工場の新設にケチをつけられたトヨタが、今後5年間で100億$の投資を米国で行う、と発表しました。これをトランプ氏に屈した、との意見もありますが、強かな交渉術というのが正しいものです。まず使途を明示していません。元々、トヨタはTNGAと呼ばれる新たな車輌作りの方針を示しており、米国工場の刷新のための投資を計画していました。それを今回、カムリという米国トヨタを代表する車とともに発表したことで、米国に夢を与えた、ということになります。
実際には、さらにオートメーション化をすすめるなど、米国の雇用は削減する方向にむかうでしょう。米国では販売奨励金の上積みなど、利益率が急速に悪化しており、数を捌くためには必須ですが、いくらSUVが売れたとしても注力すべき市場ではなくなっています。そこにきて人件費でも利益率が圧迫されるなら、部品の質を下げるか、そもそもの人員削減をすすめるか、どちらかです。FCAは10億$をかけて工場を増設し、2000人の追加雇用、としますが、米自動車メーカーは米国内生産率が低く、やり玉にあげられる前に手を打った形ですが、恐らく10億$程度では短時間労働者を増やし、雇用者を水増しするので精一杯でしょう。

しかも、このままでは生産コストが上がるため、販売価格に転嫁せざるを得ないメーカーが出てくる。米国でも低賃金労働者が増え、自動車サブプライムローンに頼らざるを得ない状況で、価格が上がったら販売を直撃します。そのとき、トランプ氏が「安くしろ」などとTwitterで攻撃すれば、今度こそ米国から続々と企業は撤退するでしょう。いくら解雇がし易い制度とはいえ、米国で高い人件費を払いつづけるより、よほどメキシコやカナダで生産した方が、企業としても利があるためです。どうせトランプ氏は4年の任期で終わり、そう考えれば、残り任期がせまると統制が利かなくなる恐れすらあるのです。
すると、トランプ氏は振り上げた拳を下ろせなくなる。トランプ氏が勘違いしているのは、次の大統領選も勝ちたかったら、4年先を見すえて行動しなければいけないのに、就任前から飛ばしすぎていて、すぐに息切れするのが確実です。しかも、今のやり方では4年後に問題山積になることが確実で、特に4年サイクルの新車投入の多い自動車産業では、ここしばらくの突風だけ避ければ、後はトランプ氏の支持率が低下し、元通りの戦略ですすめられる、とすら考えている。なので一斉に屈したかのような態度をとれるのです。

トランプ氏にしろ、安倍氏にしろ、数年先のビジョンが描けているか? どちらも怪しいと言えるのでしょう。目につく、何となく良さそうなことに飛びついても、自分の考えている通りにならないと、途端に苦境に陥る。瞬発力でばかり評価される為政者、というのは、結局のところ数週間、数ヶ月先ですら見通せない、ということかもしれません。問題が発生しても沈黙するか、責任転嫁する態度までそっくりなのかもしれません。肝心の良い車を、より消費者がのぞむ価格で提供する、という企業の本来あるべき姿を忘れているトランプ氏、4年ごとに選択肢が与えられる米国では「他より良い」の選択肢が通じにくい点からしても、次の選挙は厳しい戦いになることが確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(29)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2017年01月09日

雑感。小売復活にむけた戦略について考える

今週から早くも米株市場は企業決算に焦点がうつってきます。その前に、小売関連は年末商戦が不振だったこともあり、大きく調整しています。ネット販売に主軸が移った、としても好調が伝えられる米経済で、小売業態の不振は雇用などにも直結する問題であり、製造業の工場移転を封じるより、小売の復活を促した方が雇用全体には大きく寄与するはず、ともいえます。米国ではいずれネットと均衡し、小売が復活するとの見立ても多いようですが、このままいけば小売はジリ貧でしょう。規模が小さくなれば大量入荷、値引きというスケールメリットが使えなくなり、ネットとの価格差は拡大するからです。しかしこれは日本にも同様の動きがあり、小売の復活について少し考えてみます。

衣服や靴など、本来は自分の体にフィットするかどうか、を確認して買うようなものまで今はネットで調達します。合わなければ売ってしまえばいい、が前提だからで、回転が利くものはネットが有利です。そんな中、ユニクロがここまで好調だったのも、価格と機能のバランスがいいというばかりでなく、自社生産、販売というネットでは売っていないものだったからです。しかも、要らないからと再販しようにも、販売価格がそれほど高くないため、二束三文にしかならない。これが差別化になりました。
しかし例えばヤマダ電機など、自社でEveryPadやHERBブランドを展開するなどしていますが、全く盛り上がらない。それは価格と性能、そしてデザインなども含めてバランスが悪いためです。これは戦略はよいが、生かしきれていない、といった典型であり、このネットでは絶対に売らない、それでも人々が欲しいと思える製品をどう揃えるか? といった点が小売復活の鍵になるのでしょう。そのためには小売による製造業の買収、もしくは独自販売契約といった生産体制をどう組むか、が重要と考えます。

つまり実店舗の強みは、きめ細かいサービスと故障時などの対応です。特に今、家電などの安価なものは中国製などが増えていますが、保証に関しての不安が付きまといます。しかし中国製であっても、家電量販店が独自ブランドとして実店舗でしか売らず、アフターサービスまで行うのなら、消費者も安心して買える。当然、価格も考慮して戦略を練るのなら、実店舗への客の呼びこみにつながるでしょう。小売が盛り上がるキラーコンテンツとして、ネットにはない商品、そうした展開も必要なのかもしれません。
しかし今とて自動車業界は販売奨励金など、消費の先食いでつなぐ状態。雇用統計では賃金の上昇も顕著でしたが、下層の低賃金で働く層にまで恩恵があったとは、到底思えない。そこに来て、トランプ氏の施策では米国で低賃金労働層を増やす恐れもあり、そうなると小売はますます失速することになるのでしょう。それが百均などの便利グッズでもよいのですが、実店舗でしか買えないキラーコンテンツ、そのついで買いを促すためには、まず実店舗に客をよびこむための、小売側の戦略が重要となってきます。

日本の百貨店は、中国人富裕層の爆買いをアテにしすぎ、爆買いのために売り場面積を広げるなどしたため、逆に日本人の客を遠のかせた、とされます。これも消費者の変化に合わせようとしたため、変化の速度についていけない、またついていこうとするとコスト増になってしまう、といった受身の態度が失敗の原因なのでしょう。客がそこでないと買えない、欲しいと思える攻めの戦略が、小売には求められるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2017年01月08日

東アジアの緊張と米国

日本の河井首相補佐官が、米国でトランプ次期大統領が国家安全保障担当の補佐官として任命しているマイケル・フリン氏と会談し、トランプ氏に早期訪日を要請、という話があります。しかしこれは困難でしょう。露国によるサイバー攻撃について、国家情報長官室がプーチン大統領による指示、と断定しましたが、トランプ氏はその結果に納得した様子はありません。あくまで露国を擁護する姿勢を示し、かつ「選挙の結果には全く影響しなかった」と言い放ちました。ここから伺えるのは、トランプ氏はかなり臆病な人間かもしれない、ということです。15日とされる会見も、本来は当選直後に行うべきものですし、トランプタワーの前の厳重な警備をみても、彼は暗殺を怖れている。そんな人物が外交のために、安易にでてくるとは到底思えません。トランプ政権になったら、会談したければ渡米するしか手がない、となるのかもしれません。

そんな折、北朝鮮で大陸間弾道ミサイル(ICBM)が発射実験の最終段階、と報じられます。金正恩氏が新年の辞として言及していることからも、北朝鮮が最適のタイミングを見計らって実験するでしょう。問題は、米国の対応です。対中強硬路線を鮮明にするその布陣からすれば、中国と協調して北朝鮮問題の対策をうつ、といったことはできそうもありません。しかも国内向けに、強いリーダーを自負するトランプ氏が、北朝鮮のICBM実験を放置しておくとも考え難い。そのとき、考えられるオプションとして攻撃を仕掛ける、ということも想定しておかなければいけません。
臆病なトランプ氏は、外交で活路を切り開く、といったことも苦手でしょう。それこそ国内から出てこなければ、外交どころではありません。恐らく北朝鮮も、米大統領の交代時期を狙って実験を行ってくるでしょうから、トランプ氏は就任早々、北朝鮮への対応について頭を痛めることになりそうです。

さらに問題を大きくしそうなのが、日本が慰安婦合意を反故にされたとして、対韓強硬路線に転じたことです。つまり米国として、軍事オプションを行使するなら、日韓の協力が不可欠です。韓国でも金正恩氏を狙うための特殊部隊を創設、といった話もありますが、韓国軍による地上戦と、米軍による空爆、日本による後方支援という形をとりたい。あくまで本格的な戦争になれば、北朝鮮のバックに中国が出てくるでしょうから、そこまでの全面衝突は避けるとみられますが、実験を阻止するだけでも、日米韓の緊密な連携が必要となってくるのです。そのとき、安倍政権は対韓強硬路線に転じた。こんなところにも、安倍政権の外交センスのなさ、がうかがえるのかもしれません。
中国とて、韓国の最大野党を招き、歓待するなど韓国の懐柔に動いています。ただ、韓国で左系の政党が政権をとったからといって、いきなり北朝鮮と融和し、中国にすり寄る、というのは早計な見方でしょう。なぜなら、韓国と北朝鮮が統一されるとき、経済力と軍事力の点からみても、韓国が主導権を握れる可能性がないためであり、特に中国主導で統一がすすむなら、ますます韓国の立場は悪くなります。いずれにしても韓国は北朝鮮軍を圧倒できる、ということを示さなければ、核兵器を保有するとみられる北朝鮮との交渉において、極めてマズイことにもなるのです。

様々な点で、東アジアのパワーバランスが変わろうとしている。韓国が今、朴政権が有名無実化したことでもそうです。そんなとき、日本が一体どんな展望をもって、韓国を突き放したのか? その代償を考えても、安倍政権の対応が今後、どう波及して行くか、悪い方に転がれば、トランプ政権からも見放されかねないのでしょうね。

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2017年01月07日

雑感。慰安婦合意について

中国の外貨準備が昨年末、3兆105億$と発表されました。約2年で1兆ドル減った計算ですが、個人的にはもっと減っている印象でした。放っておいても米国債で運用すると、米金利上昇で見かけの価値が目減りするためです。むしろ3兆$を切らなかった、としたいがための数値のようにも見え、これは米国発表の国債保有状況など、他の指標と照らし合わせないと何ともいえないかもしれません。
実は年初から、中国当局は人民元安の防衛に様々な手を打っています。オフショア人民元を絞り、人民元が急騰、翌日物金利も急騰。その余勢を借りて人民元の基準値を切り上げています。また中国では資本規制を企業から個人に拡大、個人は年間で外貨買いを5万元に制限されていますが、年初に新たな枠が生まれる。それを見越した投機スジのオフショア市場での元売りを、中国当局が徹底的に叩く目的だった、ともされます。さらに年明けに米金利が理由なく急落したのも、中国が仕掛けたとの見立てがあり、投機スジと中国当局の、為替市場をめぐる全面戦争の様相です。しかし中国は共産党の独裁体制を強めたり、香港を締め付けるたび、中国から資金は逃げていく。対策をとればとるほど深みに嵌っていく、といった状態であり、一時的な成功は将来、さらなる不安定な相場を引き起こしかねなくなるのでしょう。

韓国で、慰安婦像が日本総領事館前におかれ、日本側は対抗措置を発表した問題があります。不思議なことに、日本は米国に『理解』を求め、韓国に何かを働きかけた、という報道はなかった。韓国の行動に対し、日本も話し合いの過程をとばして行動に移した、ということかもしれませんが、この点をみても慰安婦合意が日韓の『理解』によって為されたものではなく、米国の顔色をうかがった末に結ばれたことが分かります。
慰安婦の話自体、虚構に近く眉唾なものが多い。例えば泣き喚く自分を日本軍が無理やり連行した、などという話は嘘です。そんな面倒な女性は殺してしまえば、他の女性は沈黙しますから連行がやり易くなったはずであり、そうした話が少しでも残っているはずですが、それはありません。騙された、という話は信憑性も高いですが、騙した主体が問題であり、それが韓国人なのか、日本軍なのかは証言だけではグレーです。しかも日本軍が騙したにしろ、必ず韓国人の仲介があるはずですが、そうした人物、団体がまったく明らかにされていない。正直、犯罪行為の立証としてはかなり弱いものです。

菅官房長官も「ウィーン条約が…」も、反論としては弱い。慰安婦像があったら生命に危険があるわけでもなく、業務に支障をきたすわけでもない。気にする人間には由々しき事態でも、気にしない人間なら像があっても何ら影響しないからです。喩えていえば、キリスト教国の外交官が、イスラム国家に赴任して、目の前にモスク(イスラムの礼拝堂)があるから仕事ができない、などと言ってもウィーン条約には抵触しないのです。つまり韓国に慰安婦像がそこら中にあり、日本公館の前にもあるからといって、何ら問題になるようなことでもない、となります。
しかし安倍政権では、ウィーン条約をもちだすしか反論の手がありません。それは、慰安婦合意は覚書すら交わしていない、ただの口約束だからです。しかもここに来て困ったことに、安倍政権ではすでに10億円を支払い、慰安婦の存在や日本の犯罪行為について認めてしまっている。つまりもう、上記したように何が正しくて何が間違っているのか、といった検証する機会すら日本は奪われてしまった。つまりこれまで韓国が慰安婦、と認めたものについては、今後も日本は対応を迫られることになるのです。

どちらから慰安婦合意を破棄することになるか、は分かりませんが、日本が支払った10億円はもどってきませんし、また解決の道をさぐろうとするとき、日本政府はあのとき認めた、という実績だけが残ってしまう。安倍政権の罪とは、大した検証を経ることもなく、さらに外交文書としてきちんと交わすこともなく、「不可逆的」なる不自然な言葉だけで「解決した」と考えた点にあるのでしょう。しかしある意味、これは不可逆的ではあります。つまりもう『慰安婦について認めていない日本』という状態には戻れないからです。安倍政権がめざした不可逆的、日本が『苛虐的な国』という結果だけが残されることになったのでしょうね。

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2017年01月06日

日米の雇用と政治

11月毎月勤労統計が発表され、実質賃金が前年同月比0.2%減と、11ヶ月ぶりに減少に転じました。しかしこの11ヶ月ぶり、というのは円高進行と軌を一にしており、ふたたび円安に転じたら物価が上昇し、実質賃金が下がった。つまり円安になると国民が苦しくなり、円高になると余裕がでる。しかしメディアが円高を悪しきもの、として報じるので余裕があるにも関わらず、国民の消費が盛り上がらない。非常に不合理な形で、日本は景気が抑えられていることになります。しかも問題は、安倍ノミクス開始以来、年間を通じた実質賃金の総額はずっと前年比マイナスです。安倍首相は賃金が増えた、増えたといいますが、この指標からもそれが嘘であることが鮮明です。

そんな安倍氏、年初から妙にハイテンションで「今年は解散は考えていない」と述べた後で、官邸から「今月は」と訂正が入りました。口を滑らせたのであり、首相が解散権を放棄したら力の源泉を失うことが確実です。首相周辺がくみ立てたシナリオを、首相自ら覆した、だから訂正が入ったのです。これを戦略的に行った、という話もありますが、首相自ら顔に泥を塗ってまですることではない、となるので否定できるのでしょう。
安倍氏のハイテンションぶりは、ちょっと異常なレベルです。酉年の解散話を滔々としてみせたり、映像でみると面白くもないことを言って、自ら笑ってみたり。真珠湾訪問が評価された、と勘違いしているのか、周りがヨイショしすぎて浮かれているのか、昔から口の軽い人で、国会がないときは元気、というとても国会議員が適職とは思われない面も多々ある人ですが、それにしても年末年始の休みがあって、回復したにしても首をかしげるほどのはしゃぎぶりです。月末のトランプ会談後、2月頭の電撃解散は相当程度あり得るほどのテンションで今年を迎えているのが、今の安倍氏なのでしょう。

そして韓国で、慰安婦像の設置に伴い、日本側は駐韓大使の引き上げや通貨スワップ協定の話し合いを凍結するなど、強硬姿勢にでています。元々、慰安婦合意なるものは国家間で結ばれた協定でもなく、単なる口約束であって相手の政権が交代、もしくは弱体化してしまえばこうなることが確実でした。これは先の読める、出来の悪いシナリオのドラマの中で、日本が損をする役回りを演じているというに過ぎず、安倍政権が強硬姿勢を示すのは体裁が悪いから、というだけです。これで慰安婦合意で支払った10億円は無駄だった、ということになるのですが、これから対露外交ではもっと損をする可能性もあって、安倍政権では『日本が損をする役回り』の外交ドラマしか、制作されていないのです。
つまり、外交文書を交わし、国家としてきちんとサインを交わしていたら、これは大使の引き上げなどをせずとも、約束不履行を詰り、10億円の返還を求められたのです。それに韓国が応じる見こみはありませんが、その手順を踏めないから、いきなり直接的な大使の引き上げ、スワップ協定の凍結、という外交カードを切らざるを得なくなった。ここから先は、貿易の一部を制限したり、関税をかけたり、といった嫌がらせぐらいしかすることはなく、それでも韓国が折れなければ、結局は慰安婦合意などなかったことにされかねなくなるのでしょう。

米国では12月雇用統計がでてきて、非農業部門の雇用者数は15.6万人増と、予想には届かなかったものの11月は上方修正され、また平均時給は前年同月比2.9%増と、インフレ昂進を予感されるものがでています。そんなとき、トヨタのメキシコ工場に難癖、という話もありますが、完全雇用の状態で、低待遇の製造業の雇用を増やそうとしている米国。極めて問題のある対応といえるのでしょう。しかも、賃金上昇圧力の高い米国で製造されたものを、米国の消費者は買わざるを得なくなるのですから、製造単価がそのままインフレにかぶってくる。しかも、質の低い部分がどうしてもでてきてしまいます。
米国でも日本でも、国のトップから国内の雇用分布まで、適材適所となっていない、それもまた一つのリスクではあるのでしょう。企業の経営戦略にまで口をだすトランプ氏、経済について無知としか思えない安倍氏、両者とも外交について疑問符が打たれる点はよく似ています。そこに、妙にハイテンションな部分まで似てくるのなら、結局トランプリスクは、安倍リスクとも重なる、ということにもなるのでしょう。今の日米とも、政治家の能力不足、これが真のリスクだとすれば、働き方改革は隗より始めよ、で政治家から始めないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(27)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2017年01月05日

年明けの日経平均

本年もよろしくお願いします。

年明け、大発会は大幅高、今日は日経平均は下落していますが、TOPIXは2日続伸です。これを良い情報、と思ってはいけません。昨年の終盤、相場が弱含んだのは年末年始の不測の事態に備え、ポジションを落とす動きがあったため、年初にそのポジションを戻したにすぎず、そういった取引をするのは短期スジだからです。つまり未だに日本株は、短期スジ主導で動いていることになります。また最近は為替感応度が低くなり、円高に耐久力がある、などとされますが、これは短期スジは円売り、株買いを仕掛けますが、最近の円買いは実需に伴うもので、堪えていた企業などがせっせと円を買っている。そのため株式との相関がない動きになっているだけなのです。どうして堪えていたか? 年末を株高で終えたい、との思惑から要請があったのかもしれず、その辺りも決して褒められた動きではありません。
また年初に当たり、相場予想をだすアナリストが「不確実性」をリスクに掲げますが、分かっていて言わないのか、本当に分かっていないのか、いずれにしろ相場はいつも「不確実性」のあるものであって、そんなものはリスクではありません。今のリスクは不確実性があるのに、相場が楽観シナリオしか織りこんでいないことです。特に日本株は、米ダウの2万$乗せを一緒に祝福しよう、的な乗りで相場が支えられており、これが短期スジの売りを手控えさせている。4日の上昇も、米株の上昇を見て買いポジションを増やした、がその実体です。しかしそんな「不確実性の米国」、懸念がより強まってきました。

保護主義、対中強硬派が主要ポストを占めており、世界的にみても貿易戦争が起こりそうな気配です。注意すべきは、今の世界経済は中国から溢れだすマネーで支えられている点です。中国からのマネー流出が止まれば、世界の不動産市場は下落に転じる。そうなると資産効果による消費も止まる。一見すると製造業が好調ですが、これも米中とも自動車には販売奨励金など、消費の先食い策をとっているためであり、日本の先例をみるまでもなく将来はその反動が来ます。しかも、先行きが不安な製造業をトランプ氏は囲い込もうとしている。将来的に、米国は負の資産を抱え込むことになるのが確実です。
米国による中国叩き、これを日本にとってよいことだ、などと考えてはいけません。それは米国にとって、最早日本はとるに足らない相手で、愛国主義を盛り上げるための仮想敵国ですらない、ということなのです。それは日本の競争力が落ちたからに他ならず、これも日本パッシングの一つであり、目立たずこっそり力を貯める、といった戦略でもなくこうなっているのですから、そこには政策の失敗が鮮明でもあるのです。

安倍首相は年頭所感で、安倍ノミクス三本の矢、ふかす、などと述べましたが、毎年同じことしか言っていません。これまで上手くいっていたなら、それでも良いのかもしれませんが、失敗と断じられることをまだ続ける、という。車に喩えるなら、いくらアクセルを踏んでもエンジンが壊れていたり、ギアがつながっていなければ車は先にすすめません。安倍氏の高齢ドライバーぶりでは、急発進して壁にぶつかるか、不意に道路から転がり落ちるような、そんな危険運転にしかならないのでしょう。
日経平均が2万円を大きく超える、といったシナリオは、今でさえ買いを溜めた外国人投資家が、さらに買うということ。残念ながらそうはならないでしょう。ダウ2万$乗せ、トランプ氏の大統領就任、期待が続々と現実になっていくとき、今の楽観が本当にその通りになるのか、が試されます。つまりさらに買う、というのは楽観すぎる今以上に、現実がそれを上回らなければならないのです。そして日本には、その楽観を上回る力がない。指導者にその能がない、これが現実です。相場格言では申酉騒ぐ、などとも言われますが、今の日本は『鳥なき里の蝙蝠』といった状況です。優れた者がいないところでは、とるに足らない者が幅を利かす、という意味ですが、日本の永田町辺りにいる蝙蝠たちは、経済最優先、と鳴きながら実際にそうでないところをみても、相場が下落したときだけ大騒ぎする、といった為体ぶりになりそうであり、日本は不確実性どころか、有言不実行性の問題の方が大きい、といったことになりそうですね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(9)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |