2017年02月

2017年02月28日

米国の軍事費増額方針

森友学園の問題に対し、民進党が予算委で使用しようとしたパネルを、自民が拒否しています。理由は「私立学校の教育方針を問題にしたら、教育の介入になる」だそうですが、とんでもない理屈です。教育における政治的中立性を担保できないなら、そもそも教育機関として相応しくないのであり、介入以前の話です。認可してはいけないのですから。例えば、一度認可をうけた学校が思想教育を行い、やがてそれがテロリストになるとしても、教育の不介入を盾に何もできないのか? そんなことはありません。
特にこの森友学園は個人崇拝、という最も忌むべきものを行っており、その悪質性は類をみません。カルト宗教並み、とさえ言えるでしょう。安倍首相はパンフに夫人が名誉校長として名を連ね、安倍晋三記念小学校なる寄付も募られたら、この学園が安倍氏に縁のもの、と保護者が考えていたのでは? と問われ「そんなことはありませんよ」と、なぜそれを断言できるのか、そんな答弁をしました。カリキュラムにも安倍氏崇拝のものが含まれていたら、当然そう考えるでしょう。だから自分と関係ない、というのならそんな父母のためにも詐欺として告発しないといけないのですが、そこは否定する。個人崇拝されて喜ぶような、矮小な人間でないなら、自身で徹底的に無関係であるという証明をしないといけませんが、自民がおかしな理屈で追及をかわそうとする点をみても、やはり後ろめたい箇所があるのでは? とまだまだ疑念を想起させるのでしょう。

すでに個人崇拝の状態になっている米国のトランプ大統領が、来年度予算の国防費の1割増額を明らかにしました。しかしこれは単に今年度にプラス1割ではありません。大統領選の勝利からトランプ氏は最新鋭機の値引きを求める、としており、兵器購入の予算が削減されるのと合わせれば、予算規模としては2割増しぐらいになるはずです。
しかしこれはトランプ氏の臆病な部分に起因するのでしょう。それはテロリストへの恐怖というより、これまで米兵器産業は不都合な大統領を葬ってきた、との都市伝説に対する恐怖です。大統領選で、兵器の値引きを宣言してしまったため、そこは実現させる。一方で兵器産業には、いっぱい買うから許してね、というための予算増額でしょう。しかも日本に米軍の駐留経費を増額させれば、さらに米国が拠出する軍事予算は削減されるのですから、尚のこと兵器産業を潤すことができる。いつ日本に対して駐留経費の増額を求めてくるか、それはトランプ氏の臆病具合が決める、といえるのかもしれません。

しかもトランプ氏は「世界の核に関する良識がもどるまで、核能力の強化・拡大」をすると述べます。米国の考える良識が、世界にとって最悪でしかないのですから、それは恫喝外交を復活させる、ということ。露国との核削減条約、STARTも見直すとしたものの、新たな戦略を示したわけではありません。他のどの国も、米国の核保有数に敵うはずもありませんが、それでもトランプ氏は「トップを走る」という。つかうこともできない核兵器を増やしていくなら、米国は兵器の保有というコスト増を招くことにもなり、そうした面でも軍事予算を増やさざるを得ない、ということにもなるのでしょう。
トランプ氏と安倍氏、度々類似性が指摘されます。嘘をつく、嘘をついても開き直る、味方は違法なことをしていても守ろうとする一方、自分にとって都合が悪くなれば、簡単に足きりする。最初に経済面を活性化させようとするのは、トランプ氏が真似をしている面もありますが、心の弱さを抗弁で乗り切ろうとする姿勢なども、とても似ています。軍事傾斜し、実行力のある相手には利益誘導する姿勢までそっくり、と言えるのでしょう。ただし、恐怖に対する向き合い方は異なる印象もうけます。それは心の弱さとどう向き合うか? という違いでもあるのでしょう。トランプ氏はただ、ただ反発し、安倍氏は大人ぶって余裕をみせようとし、かえって余裕のなさを露呈する。トランプ氏も、トランプ学園の詐欺行為が指摘されましたが、さて安倍氏は、安倍晋三記念小学校に対して、どう決着をつけるのか? 個人崇拝のいきつく先に、強烈な反動が待っているとするなら、それもまた恐怖でしょう。籠池氏の足きりだけで済むのか? 今日の国会では、余裕をみせようとして言葉づかいをわざとゆっくりにしていましたが、内心は親安倍だった人間が反安倍に切り替わる、そんなテロの恐怖に震える、といったところなのかもしれませんね。

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2017年02月27日

雑感、安倍首相の尻に火がついたのか?

予算案が衆院を通過しました。安倍政権は「予算成立が最大の景気対策」と述べますが、毎回その景気対策を打っているのに、景気は悪化が心配される始末です。GDPベースでは海外が堅調であるため、何とかプラスを維持していますが、国内はすでにマイナスが意識される。そもそも予算は成立することが前提であり、景気対策ですらありません。
ダウは31年ぶりの11連騰ですが、今はもう連騰させるためだけに上げている状態です。しかしトランプ相場が始まって4ヶ月余り、最近の株価の波動からすると3〜4ヶ月でピークを打つケースが多いですから、28日のトランプ演説で、一旦の山をつけるかもしれません。そうなると円高がすすみ易くなっている折、さらに日本株には逆風が吹くことでしょう。最近の春一番並みの暴風、とは言いませんが、日本独自の上昇材料がない以上、海外の動向をもろにかぶってしまうのであり、「最大の景気対策」を打ったところで焼け石に水どころか、冷や水にすらならないのでしょう。

焼けぼっくいに火がついているのが、安倍首相です。この言葉は男女間で用いられることも多いですが、元々焼けぼっくい…は両者が一度離れても、また元通りになるという意味です。大阪豊中市の森友学園の件は、醜聞が出てくるわ、出てくるわ。安倍氏を讃える宣誓をする、といった異常な教育環境であり、こんな学校をスピード認可した大阪の常識が問われる事態です。しかも、安倍氏が語れば語るほど、落ちていくのも異常事態です。
安倍氏は当初、森友学園をすばらしいとし、だから昭恵夫人も名誉校長になった、としました。しかし今では「渋々ひきうけた」に変わった。どちらかが嘘になります。しかし昭恵氏の講演内容などをみれば、明らかに森友学園に共感し、名を連ねたのであり、渋々といったことは微塵も感じられません。そうなると、安倍氏はこの問題はマズイ、と気づいた後が、嘘になります。つまり昭恵氏も含め、嘘をついたことになるのです。

安倍氏は「二人きりで会ったことはない」としますが、三人でも、秘書が隣席しても嘘でない。つまり何回、そしてどんな状況で会ったか、を安倍氏が明らかにしない限り、異常な関係を否定したことになりません。しかも籠池理事長が「何度も(安倍晋三記念小学校の設立を)依頼した」と述べていますから、何度も依頼する機会があった、ということでもあります。それは昭恵氏を通じて、かもしれない。その場合、安倍氏、昭恵氏、そして籠池氏かもしれず、それは親密以外の何者でもない関係、となります。
しかし安倍氏は、完全に保身モードに入っています。答弁のとき「レッテル貼り」というレッテルを貼ることで、印象操作をはかろうとしている。答弁でネクタイを触るのは、おかしく見られまい、という防衛本能ですし、身ぶり手ぶりが大きくなるのも、答弁が早口になるのも焦りの証拠。政治家生命をかける、とまで言い切るぐらい、この問題が致命傷になると気づき、日本会議の幹部である籠池氏まで、足きりしようと必死です。

しかしそれが上手の手から水、でもあるのでしょう。籠池氏は保守系メディアに限ってですが、発言をつづけており、安倍氏の答弁とも齟齬を生じている。籠池氏とすれば、子どもに「頑張れ」とエールを送らせ、記念小学校までつくろうとした相手から放り出されたら、立つ瀬もありません。このままでは廃棄物処理法違反ばかりか、詐欺罪を初め、諸々の罪を被せられ、表立った発言を封じられる恐れもあります。籠池氏はそうした足きりに遭わないためにも、安倍氏の手にすがりつき、関係の近さをアピールしつづける必要がある。
するとさらに矛盾を生じ、証人喚問が必要では? といった話もでてくるでしょう。本当は籠池氏を生かさず、殺さず、その発言を封じるべきだったのに、問題が大きすぎて焦って距離をおこうとしたため、逆にその近さが浮かび上がってくる。籠池氏が自棄になり、すべてを語りだすとさらに問題がこじれることにもなるのです。日本会議という基盤があるだけに、どうせ焼けぼっくいのように、また火がつく。上手の手からこぼれた水ぐらいでは、その火は消せないのです。大手メディアの動きは未だに緩慢で、燎原にはまだ火がついていませんが、籠池氏が勝手にその火を煽ってくれるかもしれません。今や安倍晋三疑念小学校となってきた感のある森友学園、誰が一体、焼け野原とされるのか? 保守層の共倒れになるのか、最後に泣くのが誰か、によって鎮火の仕方も変わってくるといえるのでしょうね。

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2017年02月23日

雑感。メディアについて

安倍政権下で結ばれた日印原子力協定、外務省が日本が原発を輸出した場合、仮に事故を起こした場合、その損害賠償責任を製造メーカーが負う可能性、について言及しました。無論、重大な過失や欠陥があった場合ですが、国際的には電力会社が負うことになっています。なぜなら、日本でもそうであるように設計指針を決めているのは国、及び電力会社であり、指針通りにつくることが原則で、製造会社はつくって終わりだからです。
しかしインドは原子力損害補完的補償条約を批准するため、国際的な電力会社がすべて負うことを、国内法としなければいけないのにそれをしていない。つまり曖昧な状態です。安倍政権はこの日印原子力協定を、今国会で承認を得て成立させたいようですが、時期尚早であることがハッキリしました。少なくともインドの国内法の整備を待ってから、原発の輸出を考えないといけない。さらに核拡散防止条約に入っていないインドに、原発を輸出することから見直さないといけないのかもしれません。また東芝の原発部門がメンテ専業になるなら、尚のこと三菱重と日立の2社寡占の状態に、国が介入して利益誘導することが正しいのかどうか、その辺りからの議論も必要となってくるのでしょう。

米国では、意外なところにトランプ効果、という話があります。新聞の電子版で、有料会員が急拡大している、というのです。トランプ氏が「フェイクニュース」と批判すればするほど、会員増になっているというから皮肉です。むしろ反トランプの国民にとって、トランプ氏が批判すればするほど信用が高くなる、ともいえるのでしょう。
しかしこの現象、日本でも使えます。トランプ氏は過激な発言で注目を集めますが、日本の安倍首相も偏った思想の持ち主と付き合っていることが、はっきりしてきたのが森友学園問題です。学園の父母に対し、政治的な署名を要請していたことが判明し、教育機関としてふさわしいのか? という話になっています。18歳の選挙権問題でも、散々に苦労して政治に興味をもってもらうよう促していましたが、そんな苦労すらあざ笑うかのように教育機関が政治活動をしている。憲法改正をしたい、という人間、組織はいとも容易く法律すら破ってしまうのか? との懐疑的な目を向けられるところです。

日本のメディアは牙を抜かれた状態ですが、親安倍政権の旗幟を鮮明にする産経とは真逆の、反安倍政権を鮮明にするメディアがあれば、それこそ注目を集め、有料会員も増えるかもしれません。なぜなら、楽しさや感動といった話は、一時的には注目を集めても短期間で終わりですが、怒りの感情は長くつづき、またそのエネルギーは強い。つまり安倍政権の施策に反対する人間にとって、その不満の捌け口として反安倍メディアが登場すれば、購読する動機になりうるからです。
こうした手法は諸刃の剣です。敵がいなくなれば、購読しようとする人も減る。常に何らかの敵をみつけて、注目を集めつづけなければならず、そこに経営陣の手腕も必要となってくるのでしょう。しかし今、まさにそれで成功しているのが、小池都知事といえます。

政治の世界では、こうした特定の相手を敵視し、支持を伸ばす手法で成功を納めるケースが多い。しかしメディアでは、今はそうした傾向はなくなっています。しかし米国の成功の例をみるまでもなく、この手のやり方は、反発を招くケースも多いですが、支持も集めやすいといえるのです。しかも、安倍政権の勢いが衰えてきた今、森友学園の問題をとり上げ易くなっているように、財界の後ろ盾も弱まってきたことで、より一層そうした方針をとり易くなっている、ともいえるのです。新聞の一面に堂々と『提言』なる記事を載せ、それを菅官房長官が「いい提案をいただいた」などという、出来レースのような記事にうんざりする国民も多いはずです。森友学園の問題、これが安倍氏に関係する者への利益誘導という展開までもっていけば、親安倍と反安倍、両者がそろう形でメディアの選別ができる時代が到来することになるのでしょうね。

明日、明後日とお休みします。もしかしたら明々後日までお休みになるかもしれません。来週には再開したいと思います。

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2017年02月22日

賃金構造と残業規制

森友学園の件が、ワイドショーなどでもとり上げられるようになりました。安倍政権ではプライマリーバランスの改善の旗を下ろしましたが、こんな甘い査定で国有地を売却していては、国の財政など良くなるはずもありません。しかも校舎の下の廃棄物は撤去したけれど、グラウンドは撤去していない、という。校舎の下はそれこそ表に出てくることはありませんが、グラウンドは生徒が運動する場であり、むしろその部分を重点的に撤去すべき、と言えます。豊洲新市場の地下の汚染が問題視されますが、この豊中の小学校予定地も土壌検査はきちんとした方がよいのかもしれません。
さらに伊丹空港が近く、騒音被害もあってまともに授業ができるのか? 防音工事をしても、音は完全に遮断できるわけではないですし、屋外の活動では声が聞きとれないケースも多くなります。本当に学校を建ててよかったのか? その辺りから追及も必要となってきます。安倍昭恵氏が絶賛した、という教育方針も、虐待の疑惑もでてきていますし、そうなると2017年末までの待機児童ゼロ、の旗も下ろした安倍政権では、児童虐待を放置するのか? といった別の問題にも発展してきそうです。

平成28年の毎月勤労統計確報がでて、月間の給与総額は前年比0.5%増となりました。しかし賃金構造をみると、男性は前年と同水準、女性が1.1%増と、その伸びの大半は女性だったことが分かります。しかも正規社員は僅かな伸びなのに比べて非正規が伸びていることからも、非正規で働く女性の賃金の伸びが、その大半だといえるのでしょう。
しかも安倍政権では、賃金が上がった、と成果のように語りますが、賃金構造をみると男性の賃金は、10年前より下がっている。東日本大震災で下がった分が、やっと上向いてきた状況で、未だに賃金デフレはつづいてる、が正しい見方です。官製春闘などとも言われましたが、効果がほとんどないことは数字がしっかりと示しています。しかも若年者の賃金は上がっていますが、男性の40代から上は軒並み下がっている。唯一65歳以上は上昇していますが、これまでは申し訳程度だった働きが、戦力として意識されたことで上がったのでしょう。全体でみると、人手不足を補うために、若者や高齢者、それに女性の活用を企業は模索しており、その部分の賃金の伸びが目立ち、逆に新規の労働者層でない部分を下げている現状が、よく映し出されています。

企業の規模別でみても、同様の結果です。大企業は前年同月比0.7%減、一方で中小企業は0.8%増。元々、平均賃金で100万円近い差があるとはいえ、人材確保が大変な中小企業が賃上げをしている。昨年の春闘で、ベアが達成された、などと報じられましたが、結果として大企業は賃下げになっており、これではプレミアムフライデーなどと銘打ち、今週末から消費喚起の施策もはじまりますが、盛り上がるはずもありません。
安倍政権では働き方改革の一環として、残業規制について前向きで、労使交渉が行われていますが、一向に落としどころもみえません。それはすでに安倍ノミクスが失敗し、経済界としても安倍政権に配慮する必要がなくなったので、わざわざ自分たちの首を締める残業規制を導入するのは馬鹿らしい。労働者側も、実は残業代を払ってくれるならもっと働きたい、という人もいて、一枚岩になれない。そこに来て安倍首相の求心力低下が議論を難しくしている、とさえ言えます。

トランプ政権と何を約束してきたのか? トランプ氏はぽろぽろ情報を出していますが、安倍氏は黙して語らない。経済界も、設備投資をしていいのか、賃上げをして将来は大丈夫なのか? 自信をもてなくなってきた。米国の雇用は守る、と国会で答弁しましたが、日本の労働者すら守れていないのに、どうして米国の雇用を先にするのか? ということにさえ不信感が募ります。どうせ残業規制どころか、それこそ大枠の働き方改革でさえ、いつ旗を下ろすのか分かったものではない。難しいことから逃げ回り、結局何も為したことがない安倍政権。地下に堪ったゴミを撤去もせず、表面だけ均してそれで終わり、という態度では、誰の信頼も得られないことが、ここに来て大きなネックになってきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(9)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2017年02月21日

雑感、バブルの記事

経団連の榊原会長が「東芝の半導体技術が海外に流出するのは問題」と語りました。安倍政権の提灯もち、とも揶揄される会長だけに、いよいよ護送船団方式で東芝救済にのりだすのでは? との観測も流れます。日本ではこうした「海外流出への懸念」が語られますが、企業買収に国境線の引かないのが国際社会の常識であり、これも参入障壁と意識されます。日米FTAによる二国間交渉に移行するのだとしても、こんなことをやっていると他の項目でペナルティーを喰らうことにもなるでしょう。
1月の対米貿易黒字が前年同月比で、26%減となりました。シェールガスが初計上されたことが大きいですが、700億円程度も上乗せされた輸入、まだ数量の少ないシェールガスだけで達成されたのなら、かなり高値掴みさせられているかもしれません。また気になるのが輸出で、自動車や半導体電子部品など、これまで牽引してきた分野が大きく減らし、6.6%減になっています。つまりこれまでは米国が堅調で輸出も増えてきましたが、輸出減という形でも貿易黒字が減殺されるのかもしれません。

最近、気になるのがバブルを示唆する記事です。独国では経済が好調ですが、不動産価格は現状の経済情勢でも説明がつかない、というほど騰勢を強めていますし、中国では鋼材価格が跳ね上がっている。米国では原油相場におけるファンドの買いが高水準に積み上がっているように、投資資金の流入によってあらゆる水準が押し上げられている。新興国の株価もそうですし、日本でも新興株であるジャスダック指数の堅調なども目立ちます。
しかし実は、世界はもはや金融引き締めへと舵を切り始めています。日欧では、購入できる国債が減少し、これ以上の日銀、ECBによる買い入れは市場を歪めるとして、事実上のテーパリングが開始される見こみですし、米国もFRBによる金利上昇とバランスシートの見直しが年内にも開始される見通しであり、金融市場への資金流入が、早晩はじまることにもなります。ここに来て、各市場がさらに跳ね上がっている。これはバブルの最後に咲く徒花、との見立てがよいのでしょう。

これまでは企業業績も堅調でしたが、それはバブルで、その分は消費が押し上げられますし、最大は企業の資産も上昇していたこと。自社株買い→株価上昇→資産価値の上昇、という好循環が生まれてきました。保有不動産の評価額も上がり、まさにこれまでは企業がバブルを享受できた時代、ともいえます。その時代がいよいよ終わりを迎える。恐らくこの一年以内に、バブル後の時代が始まることにもなるのでしょう。
実はバブルがはじけても、いきなり急落が起こるわけではありません。弾けたことに多くが気づいたとき、急落がおきます。直近ではサブプライムローンが弾けた後、しばらく市場は静観したようなもので、リーマンショックが起きるまで値を保つことができました。今の徒花も、花の命は短いといったことにもなるでしょう。ただ、枯れてもそれが椿のように花が丸ごとボタリ、と落ちるまでは気づきにくいのです。

楽天が自社株買いを発表しましたが、どんな採算があるのか? これから株価が一段高になるなら、それも成功でしょうが、経済全体がおかしくなるときに保有資産を高めると、後に減損処理などで、苦しむことにもなる。日本がバブル崩壊で得た、唯一の教訓とも言えるものですが、それを知らない経営者も増えてきた。今の徒花、それが満開と呼べるほどに世界全体でキレイに咲くのなら、その枯れ草の処理は、相当に大変なことになると覚悟した方がよいのでしょうね。

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2017年02月20日

雑感。平和への権利宣言

今晩の米国はプレジデンツ・デイで休日です。これは初代大統領ワシントンの誕生日を祝うためのものですが、権力の座につくと誰しも記念日や、暦に名を残したい、と考えるようで、ローマでは月の名前を皇帝の名前に置きかえてしまいました。ちなみに、日本では今日が天赦日。すべてが赦される最上の吉日とされますが、相場は今年最低の売買水準、北朝鮮の動向やら、関東では突風が吹いて停電がおきるなど、何かとよくない日でした。
さらに、こちらは追及の手から逃れられなくなりそうなのが石原元都知事です。会見の日程も迷走、発言は強気を維持しますが、急に歩き方が弱弱しくなり、哀れみを請うような態度をとりますが、百条委員会の設置にむけて議会が動きだした。本人がもっとも嫌がるつるし上げを食らう恐れもあります。天は赦してくれそうにない、と知って、急に気力が萎えたのかもしれませんが、かといって真実をどこまで語ってくれるのか? 自尊心の塊のような人物だけに、その塊が打ち砕かれるかどうか、注目でもあります。

国連で「平和への権利宣言」が採択されました。これは日本のNGOも深く関与し、人々が平和に生きる権利をもつことを示したものであり、新しい人権の概念を示すものです。しかしイラク戦争の有志連合は反対に回り、そこに米国が入っていることから日本も反対しています。日本の反対理由は「議論が熟していない」ということのようですが、だからといって日本が積極的に、議論の取りまとめに動いたわけでもなく、傍観していただけ。しかも採択されたのですから、熟すも熟さないもありません。宣言に拘束力はありませんが、宣言に沿って国際関係を築くことが求められます。
しかし日本が平和への権利宣言に反対したのも、安倍政権の態度が深く関わっている、という見方もあります。共謀罪について、安倍首相は「組織犯罪集団に限定し、一般人は対象でない」とします。しかし組織犯罪集団と、一般人の線引きは曖昧です。例えば割りのいいアルバイト、と思って請け負ったら、それが犯罪行為にかかわるものだった場合、一般人と言い切れるのか? そもそもその集団の目的が、よほど明確に犯罪行為を企図しているのなら、それらは共謀罪でなくとも立件可能ですが、その線引きすら曖昧なのです。一般人がそれに気づくか、気づかず手伝ってしまったら、どうなるか分かりません。つまり一般人も、いつその対象にされるか分からないのです。

中国の脅威を煽り、軍事予算を増やす点も、平和への権利宣言に乗れない点でしょう。宣言の中には「平和を構築する手段として恐怖と欠乏からの自由を保障すべき」とあります。恐怖と欠乏、そこには軍事的対立を排除しようとする試みも含まれるのですから、安倍政権の手法すら否定している。これは今の極右とされる政治集団の主張とも異なります。そしてこの宣言は、現行の日本国憲法を下敷きとしている部分も多く、改憲にむけて動く安倍政権では、尚更受け入れ難いものもあるのでしょう。
トランプ氏がF35の値下げを、安倍氏がトランプ氏に感謝した、と述べています。計らずも値下げ交渉を行ったことを「成果」としてくれたわけですが、米軍需産業としては面白くない動きでしょう。日本が中国の脅威を煽り、どんどん米国製の兵器を買うよう、これまでも仕向けてきたのに、値下げしたら売上げも下がるのですから。しかし昨晩のスウェーデンでテロ? との意味不明な発言もしているトランプ氏。自らフェイクニュースで情報を得ているのでは? などと揶揄される中、安倍氏との会話とて悪い話として米国では広まっていることでしょう。そしてそれは、入国制限に反対する動きとは異なり、軍需産業への敵としてのトランプ氏、という意味で、より悲劇的な結末を招き易いともいえます。

安倍氏は暦ではなく、歴史に名を残したい、とばかりに改憲、北方領土交渉、北朝鮮の拉致問題、などと邁進していますが、どれも形にすらなっていません。安保法制では南スーダンへの派遣で政府には「戦闘」の定義が存在しない、ということが判明し、自衛隊員への成り手は著しく減っていくことでしょう。平和を守るための部隊が、安倍政権の体裁のために自分たちの平和が脅かされる、といったことを意識させるからです。
平和への権利宣言、安倍政権では天がそれを赦しても、絶対にみとめるわけにはいかない、といった態度にもなるのでしょう。安倍氏自身、自分が政権を追われる恐怖、そうなるともう政治の中枢にかかわれない、との欠乏、その二つからの自由のために邁進する、といった姿勢がより鮮明になってきたことも賛成できない理由であるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(15)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年02月19日

北朝鮮の動き

北朝鮮の金正男氏が暗殺され、マレーシア警察は北朝鮮籍の男1人、ベトナムとインドネシアの女性2人を逮捕し、北朝鮮籍の男4人がすでに出国した、と発表しました。ただ今回、色々と腑に落ちない点もあります。それはこれまでの北朝鮮らしくない、という点です。今のところ情報は乏しいですが、女性2人を勧誘して実行犯に仕立てていることは、これまでの北朝鮮に見られなかったことです。これが新しい金正恩スタイルなのか、それとも異なるのか、その見方の違いで、今後の読みとり方も違ってきます。

北朝鮮にとって、今回の暗殺は実行犯と知られたくなかった。それは儒教的精神の残る北朝鮮で、兄殺しが知られれば、国民にも不信感が生まれるかもしれない。そのため北朝鮮の関与は消したい。しかしそれだと、逮捕された1人や当日出国した4人など、どうにも計画が杜撰です。イタズラ映像をつくる、というのなら映像製作会社に依頼すれば、北朝鮮の匂いを一切消すことができます。役者に素人をつかっているのですから、撮影隊も同じにしてもよい。わざわざ北朝鮮から出向かずとも、東南アジアでは恐怖映像を撮って、それを売って稼いでいるような撮影会社が山のようにあるのですから、ふつうに依頼をだせば二つ返事でOKしてくれたでしょう。そうすれば見届ける人間は1人でよく、拘束される危険を犯してまで、5人も残っている必要はなかったはずです。
むしろ北朝鮮の痕跡を残すつもりなら、実行犯も北朝鮮の女性をつかうはず。1人が注意を惹きつけているうちにもう一人が、何らかの毒物をかけた、とされるので、朝鮮人であっても警戒されずに近づけたはず。つまり突発的な手口で襲われたら、防御するのは難しいのですし、それこそ素人を実行犯にするより、訓練された北朝鮮女性をつかう方が、よほど成功の確率が上がったことでしょう。以上、これまでの北朝鮮のやり口と異なり、できるかできないか、やってみないと分からない当てずっぽう。そして隠す意図があったとしたら、あまりに杜撰。かといって、どうして女性2人をわざわざ雇ったのか? どれもこれもがあまりに中途半端で、何をしたかったのか、よく分からないのです。

あくまで憶測ですが、これが金正恩スタイルでないのなら、命令は北朝鮮からでていても、それは金正恩氏によるものではないのではないか? そしてそれは、金正恩氏を排斥する動きにつながるのではないか? それを主導するのは中国だと考えます。つまり北朝鮮内に、親中国派をつくり、金家を排除して新しく集団指導体制に移行させる。そのためには、先に金正恩氏を倒してしまうと、正男氏が後継者として浮上してしまう。そこで先に正男氏を亡き者にしようとした。そんな可能性を考えています。
もしこの憶測が正しいなら、今ごろ金正恩氏は恐怖しているでしょう。なぜなら兄が殺された理由も、誰が犯人かも分からないからです。そして北朝鮮内に、反金家が育っていることが怖くて堪らないはずです。これが新しい金正恩スタイルなら、話は簡単です。人材をケチって、しかも計画は杜撰なのですから、北朝鮮の劣化を示すことになる。それはミサイルや核技術の開発に注力しすぎて、他に予算も頭も回っていない、という話になる。しかしそうでないなら、北朝鮮内のクーデターを誘発する可能性も秘めるのです。

しかし北朝鮮がクーデターにより体制崩壊を、安穏と迎えるか? そこにリスクも漂うのでしょう。一部で、米国が攻撃する、といった観測もありますが、正直トランプ氏は威勢がよくても、米中で組んで北朝鮮を攻めたとて、メリットが小さいことから踏み込めるのか? その度胸があるのかは、甚だ怪しいとみています。それより、中国が関与して北朝鮮の体制転換をはかるケースは、中国のお国柄から考えても十分にありえます。ナゼなら中国国内は、そうやって権力闘争ばかりをしてきたのですから。まだ分かっている情報が少ないため、次の動きを予測することは難しいですが、上記した憶測が正しいなら、近々北朝鮮から、驚くような情報がとどくことになるのかもしれませんね。

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2017年02月18日

雑感。規制緩和の功罪

トランプラリーのつづく米株市場ですが、新薬の承認をスピーディーにする、としたトランプ大統領のヘルスケア改革に、医薬品業界は後ろ向き、という話がでています。要するに簡素化された試験で、新薬が承認されれば、そこに政府のお墨付きがないため、保険業界がその新薬に保険を適用できない、というのです。薬は承認されて、販売されればそれで終わり、ではなく、販売後にも予期せぬ副作用などがあり、訴訟リスクを抱えます。そのため保険をかけますが、厳しい審査を経た方が信頼も増すので、業界としてもありがたいのです。
例えば小泉政権でタクシー業界の参入障壁が取り払われる規制緩和が行われましたが、過当競争に陥り、タクシー業界が疲弊した、といったケースがあります。そして今、初乗り運賃を引き下げましたが、規制緩和なるものも、やり方を間違えれば、行政が手をつっこんでいることになる場合もあるのです。トランプラリーなるものも、今はすべて経済にとって好都合、という見方しかされず、米株市場は連日の高値更新となっていますが、規制緩和は諸刃の剣になる、それを無視した形でしかないのでしょう。

欧州でも、ギリシャ支援にIMFは50億€程度の拠出を想定、と伝わります。欧州の債権国は160億€を望んでいるようなので、これは大きな乖離です。しかしこれは欧州側が望外の期待を乗せすぎており、一体いつまでギリシャに支援をつづければ、債務国の状態から抜け出せるのか? といった目処も立たないまま、ただ生き永らえさせている状態です。
例えば、日本の東電も同じです。再建計画には原発再稼動を入れますが、原発の稼動など目処すら立っていないばかりか、柏崎刈羽原発を主に担当した東芝は、もはや原発事業の巨額損失で青息吐息です。米国では原発が高コスト発電だとして、続々と廃炉が決まっているのに、ナゼか日本ではそれが経営再建の柱になってしまう。保有しているだけで稼動しなければ、ただのお荷物でしかありませんが、日本だと低コストで動かせる、というのなら、どこかに歪があります。そんなものに頼り、経営再建を模索する時点で東電はかなり危険な経営状態です。東芝と同じ、原発を抱えていれば国が破綻させない、という仕組みだから、赤字であっても原発産業を抱える、それで存続させられている、というのなら規制どころか、寄生によって生き永らえている状態ともいえるのでしょう。

安倍政権では、17年末の待機児童ゼロ、についても公約を見直しました。幼保の一体化も徐々にしかすすまず、必要なところの規制緩和、構造改革がすすまない。少子化にもつながるこうした分野に手つかずで、安保法制や共謀罪に邁進する安倍政権。日米の共同声明でも財政政策と構造改革を柱にふくめたのに、日本の最大の問題である少子化を解消するための施策を置いてきぼりにしていては、成長戦略も何もありません。
日本株が米株についていけなくなったのも、米国は経済が堅調でテーパリングを開始する、日本では日銀が行き詰って自然テーパリングが開始される、そのため日米の金利がともに上昇する形にしかならず、円安がすすみにくくなったためです。米MMFの取り組みをみても、円売りを徐々に解消しており、それは米国の事情だけをみてドル買いをしていたものが、日本の事情についても目を向け始めたことを意味します。日本の事情、それは安倍政権が自身の成果とするため、異常なことをしたそのツケを支払う段になって、何の経済成長もしていない、という現状をみとめることです。そして日銀がそろろそツケの清算に入る。日本では規制緩和どころか、季世(世の末)の状態に入っており、そんなムードが市場の勢いにも現れてしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2017年02月17日

雑感。宗教と政治と

最近、ワイドショーなどでも小池都知事と、都政の話題が盛んです。石原元都知事の記者会見も、元市場長の発言が伝わると延期されるなど、何かときな臭くもあり、面白おかしくとり上げ易い面があります。しかし国政の報道と比べ、都政の報道のあまりの突出した多さぶりは、かなり違和感もあります。国政とて予算審議の場では、共謀罪の説明に窮している金田法相、南スーダンPKOでの『戦闘』について滅茶苦茶な説明をくり返す稲田防衛相など、面白おかしく揶揄するには絶好の材料ですが、メディアはとり上げようとしません。
最近、安倍政権の支持率も上がっていますが、その世論調査を請け負う某企業が、広告モニター募集をかける広告を打っています。こうしたもので、世論調査をする世帯を洗い出している、としたら穿ち過ぎでしょうか? 個人情報を登録し、広告について簡単に答えるだけで報酬がでる。これは思想・信条を洗いだすのにちょうどいい仕組みであり、また対象がしぼりこめます。以前から指摘しているように、本当に無作為抽出された電話番号にかけているだけなら、各社の世論調査でもバラつきがあるように、統計のクセからも近い数字になるはずがない。しかし対象を特定しておけば、その傾向を計ることができ、大体近い数字を集めることができます。新聞の広告モニターに募集するのは新聞を読んでいる層なのですから、特にメディアによって洗脳されている可能性が高く、その意味でも極端な意見がでにくいのです。

洗脳といえば、某女優が幸福の科学の専属タレントになる、といった件が話題です。細かい指摘は避けますが、あまりに暴露本の出版が早いことからも、宗教団体側が裏で糸をひいて引退騒動を引き起こしたのでしょう。元々、出版が主体の宗教団体ですから、話題性で部数を伸ばしたい。特にここ数年は国政進出をめざしますが、供託金すらもどってこないケースが大半のようですし、経営状態は苦しいはずです。ここらで一儲けしたい。しかし今回の動きは、明らかに前事務所との契約違反になりますし、その違約金も莫大になるでしょう。損得は今後、明らかになるのでしょうが、個人を利用して組織が綱引きする、という構図は、どちらにしろ個人のためにはならないものです。
宗教と政治、の話ででてくるのが、森友学園の問題です。国会でもとり上げられ、安倍氏の名前をつかって寄付金集めをしていることを、安倍氏自ら「初めて聞いた」と述べました。そうなると、この学校法人は名前を騙っていたことになり、しかも現状で日本のトップという異常な犯罪行為になります。もしこれが認められれば、そこら中で安倍氏の名前を騙った寄付金募集がはじまるでしょう。数十、数百件でも成功すれば、そうした詐欺は成功ですから、やらなければ損です。なぜなら違反ではないのですから。

しかも大阪、維新の地盤、そこで国有地が安価に安倍夫人の関連する団体に売却されていたのですから、勘繰るな、という方が難しいでしょう。しかもヘイト文書を園児の父母に配っていた、との話もでてきて、そんな団体と知っていたのか? も問われます。もし今の共謀罪の議論で、一般人、民間団体も犯罪組織に変われば対象、というのなら、ヘイトスピーチをするような団体は、まさにその監視対象ということにもなるのです。
しかし安倍政権では、支持母体でもある日本会議のメンバーのこうした団体を、犯罪集団と認定することはできないでしょう。裁判所がその認定をする、といっても、裁判所には調査能力はなく、警察がそれをする。警察とてやぶから棒に調査するわけではなく、対象を決めるでしょうからそのときに恣意的な判断が生じる。現政権を支持する団体を犯罪集団として、捜査できるはずがありません。結局、線引きの段階で政治の介入が可能であるなら、これは恣意的な運用ができる仕組みでもあるのです。

某女優は「洗脳されたい」と述べていますが、両親も幸福の科学を信奉しており、違和感もないのでしょう。しかしこの森友学園も、小さい頃から右翼思想を教えこむ、洗脳を是とする組織です。しかし洗脳されているかどうか、を判断することができるのは、それを客観視できる一般的な常識をもっている場合のみ。家族から影響をうけたり、小さい頃からそう教育されていると、その常識すら欠如したままとなってしまいます。日本にそんな教育機関が増えていくのなら、いよいよこの国のモラルが試されている、といえるのかもしれません。その前に、まともに答弁できない閣僚が大量に輩出されている時点で、この国の教育やモラルについては見直しが必要、といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(18)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 宗教

2017年02月16日

日米の市場の差

米国では労働長官の指名をうけたファーストフードチェーン経営のパズダー氏が、不法移民の家政婦を雇っていた、との醜聞をうけて指名を辞退しています。人材不足を露呈するトランプ政権は、一体いつから始動できるのか? といった事態に陥っていますが、NY市場は堅調です。それは知ったら終い、という格言通り、いつまでもトランプ政権が始動しない方が「驚くべき減税」の甘い言葉に踊っていられるからです。
しかし日本では麻生財務相が、委員会で「まだ120円にいっていない。円安と言われる覚えはない」と発言しました。なぜ120円が円安か? との基準もないですし、政策当局者が為替の水準に言及することは異常です。しかしこれほど夢のない話もありません。「驚くべき減税」には希望があっても、120円になったとて景気がよくなるわけでもなし、トランプ氏はメディアと敵対しながら、自分の意見を拡散することに成功しており、日本ではメディアを統制して意見を拡散しようと努める。その手法と、意味するところはまったく方向性を異にしており、結果は明確に市場にも現れています。

ダウは連日最高値更新、経済指標も良好、企業業績も堅調、それに減税と、トランプ氏はビジネスマンだから上手くやる、との期待。それらがない交ぜになっており、消費者のマインドも強気。減税発言からトランプラリー第二幕、というほど全体的に強い印象です。
かたや日本は安倍ノミクスが頓挫し、外需がこけたら景気後退、というほど深刻な状況にもかかわらず、政府から何もでてきません。未来投資会議では、自動運転の議論が活発ですが、それは成長戦略ですらありません。人手不足を解消する窮余の策であり、投資に対するリターンが少ないので、政府がやるしかない。しかも自動車業界と近い安倍政権が、業界に補助金をだすよう画策しているとしか見えず、なんとも情けない限りです。そのせいか、先週は猛烈にTOPIX先物を買い上げていた米系大手も、今週に入ってぴたりと動きが止まり、勢いが急に殺がれた。為替への感応度も低くなり、ダウとの連動性もなくなり、売買はぎりぎり2兆円を越える程度と閑散相場になっています。

トランプ政権はあくまで米国第一、これまでのグローバル経済を主導した米国とは、180度異なります。つまり米経済が好調でも、それが周辺国に波及しにくい構図です。そして世界経済が低迷すれば、米経済にも打撃となる。原油相場はWTIで50$を割れませんが、OPECの減産はすすんでも、米国内のリグ稼働率は急上昇し、減産分を埋める勢いです。それでも原油価格は下がらない。しかし世界経済が弱含み、さらに需要が減退すれば嫌でも原油価格は下がります。それが米国内のシェールオイル関連企業を直撃する。こうした動きのように、米経済だけ好調とはなり難い構図も、今の世界経済です。
しかも日米首脳会談の共同声明でも、財政政策、成長戦略、金融政策、が3本の柱とされますが、米国ではイエレンFRB議長が「財政政策を打つなら金融引き締め」と述べるように、必ずしも3本の矢がそろうわけでもありません。バランスが崩れればバブルを引き起こしたり、景気が悪化したりするものの、すべてが同じ方向に飛ぶ必要はなく、3つが鼎足の形で互いに刺激、抑制し合うことが、長期的にみても安定するのです。

日本はこれまで3本の足を無理やり伸ばし、高さを演出してきたため、無理が祟って今は成長できなくなりました。日銀のテーパリングについて市場の意識は低いですが、米FRBがテーパリングを示しても市場は好調、しかし日銀がテーパリングを示唆した途端、急落する覚悟も必要です。どの水準ならバブルか? それも一概には言えませんが、少なくともバブルを怖れて政策にも強弱をつけようとする米国と、バブルを狙ってすでに失敗が鮮明となった日本。市場の勢いにも、そうしたものが強く表れているのでしょう。残念ながら日本の場合、経済政策の自動運転化を考えた方が、よほどまともな対策がでてくるかもしれない、といった観測が流れる時点で、魅力のなさを露呈しているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(5)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2017年02月15日

風雲急の世界情勢

世界中が激しく動きだしており、警戒感も強まります。まず米国ではフリン大統領補佐官が辞任した件で、米紙では追加の報道があり、大統領選の最中、トランプ氏サイドと露国との通信がたびたび確認されている、とのこと。通信内容までは分からないものの、露国へ言及し始めたタイミングと軌を一にしていることから、何らかの密約があったのでは? と勘繰れます。トランプ政権はフリン氏個人の問題で、しかも違法性は確認されない、としていますが、フリン氏が単独で動けるはずもなく、トランプ氏も知っていた可能性が高くなる。今後、通信履歴などからトランプ氏の関与が明らかになると、政権にとっては打撃となるでしょう。
問題は、短期的にも日本に影響がでそうなこと。訪米時、日本が日露平和条約に動くことに、トランプ氏からお墨付きを得た、と報じられていましたが、これもフリン氏がいたからこそ。しかもオバマ政権下で、露国による米大統領選への関与から制裁が強化されましたが、裏でトランプ氏が糸を引いていた、となれば親露の態度はさらにその疑念を強めます。トランプ政権の親露の動きが制約されれば、日本も動き難くなる。米国の制裁が解除、もしくは緩和されない限り、経済協力も前にすすみにくくなるのです。

一方で、昨晩のイエレンFRB理事長の発言もトランプ氏にとって逆風です。大統領令でボルカールールの見直しを指示していますが、商業用不動産投資の伸びなど、金融機関へ規制をかけたから投資が減った、とのトランプ氏のロジックを否定します。しかも金利上昇と同時に、バランスシートの見直しについても言及、これは利上げによる金利上昇と、国債の放出による金利低下、を同時にすすめる形ですが、市場から資金を吸い上げるので景気が冷やされます。バブル退治に本腰を入れれば、トランプラリーも頓挫しかねなくなるのでしょう。
さらに北朝鮮の金正男氏が暗殺された一件は要注意です。先の張成沢氏の粛清以後、中国とパイプのある人物を次々に殺害しており、中国としては極めて不快です。米軍が北朝鮮を攻撃する、との韓国側の見立てもありますが、そのとき中国がどう動くか? フリン氏を失った米国が、対北退治に本気で動くか? それは余談をゆるさないところです。

つまり米国は今「驚くような減税」の話で湧きますが、財政措置でもある減税が、議会の協力なしですすめられるはずもなく、そこに出てきた露国の関与をトランプ氏自らが促していたとの疑惑。これで政府提出の法案はますます議会を通りにくくなり、減税話もすすまないかもしれない。FRBは年3回の利上げ、及びバランスシートの見直しを半年ぐらいで開始するのなら、景気も悪化する。トランプ政権が春ごろから一気にレイムダック化する恐れも出てくるのです。そのとき、支持率回復のために戦争…といった選択が北朝鮮の動きによってとり易くなった、ということでもあるのでしょう。
そして北朝鮮の反撃オプションは、まだ届くかどうかすら分からない米本土へのミサイルばかりでなく、助けてくれない中国、近接する敵である韓国、そして日本へと向けられるかもしれません。まさに風雲急、米国の財政年度が切り替わる9月までに、どこかの君主が少し対応を間違えただけで、何が起こるか分からないレベルで緊張が高まってしまうのかもしれません。それが、米国による侵攻なのか、それとも中国による侵攻なのか、その違いによってその後の世界の動向も変わってきそうです。フリン氏が政権から去った後の、露国もそのときどう動いてくるか分からない。下手をすれば、露国と北朝鮮が組む可能性すら滲むのでしょう。フリンから修羅場、かつての昼ドラならありがちな言葉ですが、世界が今、フリン氏の失脚から世界が少しずつおかしな方向に動き出していることを、認識せざるを得なくなりつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:24|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2017年02月14日

雑感。東芝の巨額損失と日米会談

トランプ政権で、早くも「Fired!」(お前はクビだ)となったのが、政権内では日本と最も近いフリン大統領補佐官です。フリンが辞任、日本語にすると怪しい響きですが、就任前に駐米ロシア大使と対露制裁の解除で協議、という疑惑です。しかし大統領補佐官の就任前に日本も訪れており、そのときの会話も問題になるかもしれません。今回は、米情報当局が電話の盗聴をしており、隠し切れないために辞任した、とみられますが、日本でも一体何を話し合っていたのか? 議会で追及されるかもしれません。
日本でも国会で集中審議が行われていますが、安倍首相が「共同声明は条約と同じ」と述べ、声明に入った文言は遵守される、との見方を示しますが、少なくともそんな効力はありません。両国、もしくは多国間で認識を共有したものを共同声明で発表するものであり、条約はきちんと署名し、遵守を約束します。簡単なわけ方でいえば、口約束と指きりぐらいの差、といった感じでしょうか。口約束なら簡単に破られますが、指きりの約束をやぶったら拳骨一万発と、針を千本飲まなくてはいけない。トランプ政権では口約束ぐらいなら、簡単に破るでしょう。それは「一つの中国」をいきなり認めた点にも表れ、中国からみれば大成功でも、台湾からみれば約束を破られたも同然ですから。

東芝の巨額損失が、さらに拡大する懸念もでています。すでに債務超過状態で、半導体事業を20%の売却から過半まで引き上げ、3月末の超過を回避する方針ですが、買収に意欲をみせる鴻海にしても、買い叩かれることが必定でしょう。なぜならもう時間がない。交渉先は限られ、その中で金額を決定しなければならない。すでに東芝株は急落していますが、事業としての価値を考えると、損失を垂れ流しつづける原発事業を抱える東芝本体の価値と逆転してしまうかもしれず、切り売りどころか、切り捨てになる可能性も捨てきれなくなります。
あくまで憶測ですが、恐らく政治が動くのでしょう。東芝破綻の影響が大きい、として事業再生ファンドなどを立ち上げ、東芝救済に動くのでしょう。原発事業を抱えている東芝の技術が、他国に流れるのが怖い。それは日本の原発の安全性、というより、原発のどこを突けば効果的に壊せるのか? イランで起きたように、原発のシステムに強力なウィルスを仕込まれ、暴走させられたら安全保障にも関わるからです。

どんなに損をだしても、原発事業は切れない。抱えている限り、国が支えてくれる。そうした構図になるのか? 3月14日の決算発表に間に合うのかどうか、ということと同時に、いつ政府から救済案がでてくるか、といったことが注目になります。しかし東芝の不誠実さをみるにつけ、ビジネスマンだからといって信用できない。それはトランプ氏にも言えることです。ビジネスマンは損得勘定で考えますが、必ずしもいつも得する選択をしているわけではない。米WH社の買収など、東芝の判断はまさにそうだったのです。
安倍氏は来月の訪独で、メルケル首相に「世界が分断されないよう日本が役割を果たす」として、まるでトランプ政権の営業マンようです。しかしトップがダメな組織は、営業がいくら頑張っても仕事はとれないものであり、近すぎる関係は、一方の没落により自分も凋落することになるのです。日本という組織のトップである安倍氏、その判断が是か非か。存外その結果がでるのは早そうであり、そのとき拳骨一万発と、針を千本飲まされるのは誰か、ということをよくよく見極めないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年02月13日

10−12月期GDP速報値について

日米首脳会談を、経済の専門家で評価する人がいたことは驚きです。「日本は為替操作していない」や「貿易不均衡はない」との言葉が、共同声明には入らずとも、言質をとれたのなら及第点ですが、何も決まっておらず、不透明感だけが残るからです。安保では及第点、というのはまだ分からなくもないですが、それでも共同記者会見で「日本を100%支持する」との言葉は、北朝鮮問題で米国が前面にでることはない、と述べたようにも聞こえます。日本がやるなら応援するよ、と言っているようにしか聞こえないからです。
「Look at me」が話題です。安倍氏をみつめるトランプ氏、という珍妙な映像を残しましたが、再び使わざるを得なくなる日。それは先送りしたあらゆる問題を、議論の俎上にのせたとき、になるのでしょう。日本が何を言っても聞く耳をもたず、要求をごり押ししてくるとき「私たちの状況をみて」と言わざるを得なくなるのでしょう。

10-12月期GDPが発表され、季節調整済みの前期比で実質0.2%増、名目0.3%増でした。実質で外需は0.2%増、内需は0.0%減の寄与と、外需依存が鮮明です。販売奨励金で好調な自動車、需要が一巡したとされながら買い替えと寿命サイクルの短いスマホなどの電子部品、が伸びた形です。ここ1年、内需がダメだと外需が、外需がダメだと内需が、といった形でうまく循環が働き、暦年でも実質で1.0%増となりました。
ただこの数字、GDPの統計手法が変わったたため、今ひとつ評価が低くなっています。安倍政権では暦年で2013年2.0%増、14年0.3%増、15年1.2%増、16年1.0%増(速報値ベース)と、1%以上の成長を達成しているようにみますが、国民にその実感はない。研究開発費もGDPに計上されたとて、それが国内で寄与しているかどうかは不明です。設備投資も同様、国内の設備を海外に移しても、それがGDPに反映されるわけではない。設備投資減税のある国で設備投資をし、それを生産拠点である他国にもちだすことなど、今はふつうに行われているのですから、特に変更後のGDPが映すのは総生産とは別の形です。

国内に限ってみれば、家計消費支出が0.0%減、住宅投資が0.2%増、設備投資が0.9%増、政府支出が0.4%増、GDPの6割を占める個人消費が微減する中、他が支えた形ですが、住宅投資は賃貸用がバブル症状、政府は赤字国債を増発して公共工事を増やす始末で、まともな状態ではありません。企業の設備投資も、トランプ政権により米投資が増えるなら、国内の設備投資は減るでしょう。不思議などこかがダメだと、どこかが支える、といった好循環が今後、つづく見こみもないのです。トランプ相場で、停滞気味だったバブルにもう一度ムチが入る、といった期待が外需を支えますが、金利上昇と不動産投資と、そのバランスが崩れるのがいつか、それがカギでもあるのでしょう。
国内需要デフレーターが暦年で-0.5%となり、デフレ傾向が鮮明です。円安で押し上げられていたGDPデフレーターも0.3%と、もう「デフレでない」ともいえなくなってきた。そんな中、内閣府の発表で今回、最終需要という項目が入ってきました。GDPから在庫変動を控除した数字、として示されますが、13年2.4%増、14年0.2%増、15年0.6%増、16年1.2%増と、消費税増税でおちこんだ需要が、着実に回復している、という政権にとって都合のいい数字ですが、在庫は国内のために積み上げているばかりでないので、その変動をとって『最終需要』とするのは違和感があります。こんな参考値を載せなければ、安倍ノミクスが成功した、といえないぐらいに低い伸びが、心苦しいところなのでしょう。

2016年の雇用者報酬は、前年比で実質2.6%増です。誰もがそんなにもらっていない、と感じるところですが、高額所得者が伸びれば高くなりますし、日本最大の雇用となる公務員給与が上がると、一気に上昇します。つまりこの数字が示すのは、さらに格差が拡大する方向、といったところなのでしょう。今回のGDP、国民の感じるところと、より大きく乖離した、というのが実感です。しかしこれほど良い数字なのですから、国内で大騒ぎしても良さそうです。しかしあまり大きく取り扱われていない。それは、これだけよい数字だと米国からの圧力がより高まるからでしょう。もっと日本は出せるではないか、余裕があるだろう、と。そのとき、安倍氏は「Don't look at me」と、この数字を隠そうとするのかもしれません。国内向けに、安倍ノミクスは成功していると言いたい心境と、そうすると米国の圧力が高まる懸念。よい経済指標を捻出しようと工夫してきたことが、こんなところで逆効果になりかねない、安倍氏の「しまった」顔がまた出ることになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(17)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2017年02月12日

安倍首相がはまる罠

日米首脳会談、異例の厚遇でトランプ大統領と安倍首相が満面の笑みで、顔を寄せ合って納まる写真も流れます。しかしこれは両国の親密ぶりを示すことで、米国に貢物をすると、こんなに歓待してくれる、と世界に喧伝するためのものです。ゴルフもくり返される食事会も同じ、トランプ氏は親しみやすい君主である、と喧伝のためにそうしています。
トランプ氏が用いている手法はマッドマン・セオリーと指摘されます。最初に高いハードルを掲げる、何をしでかすか分からない、との幻想を相手に与える。そのことで相手は何をするか怯え、有利な状況をひきだせる、というものです。そして今朝、そんなマッドマン・セオリーを効果的に用いる国、北朝鮮がミサイルを発射しました。日米会談のこのタイミングで撃つ、北朝鮮は何をしでかすか分からない。なので世界的な枠組みでの制裁はできても、誰も北朝鮮に手をだせない。核ミサイルのボタンを押されたら困るからです。
しかも今度は、米国が核ミサイルのボタンをにぎるのがトランプ氏。世界はトランプ氏に怯えることになりますが、一方で安倍氏とのにこやかな写真を拡散し、恐怖一辺倒でないと伝える。すでに一度、入国制限で世界にミソをつけているので、安倍氏の訪米はトランプ氏にとって都合よかったのです。しかし忘れてはいけないのが、昨年のAPECで大統領就任前のトランプ氏に会った安倍氏が、ノリノリで皆に自慢話をしていたところ、急にTPPの不参加を明言したことです。つまりトランプ氏は厚遇した相手、褒めちぎった相手でも、1日経つと真逆なことをする可能性がある。なぜなら、それもマッドマン・セオリーだからです。また手土産たくさんもっていかなきゃ、と恐怖に駆られる、その効果を最大にだすためには、数日後に円安牽制発言などを繰り出してくるかもしれません。

その原因は、経済対話のリード役を麻生財務相とペンス副大統領が務める点です。安倍政権は日本の事情もよく知るペンス氏が願ったり叶ったり、と思っているでしょうが、ペンス氏は経済については弱い、と自身も認めており、交渉の主体になるのはトランプ政権に多数いるGS出身者となるでしょう。彼らは日本の事情もよく知るからです。
つまりペンス氏は伝令役に過ぎず、日本にとっての防波堤ぐらいの役目しかない。しかも内容が分からないので、日本にどう不利かもペンス氏は判断できない。ペンス氏とて米国第一のトランプ氏に選ばれた副大統領であり、日本の擁護ばかりはしてくれないでしょうから、実は交渉の実務者が前面にでてきてくれた方が、日本としては交渉し易かったはずです。表の交渉でどう話がすすもうと、裏でトランプ氏が円安牽制なり、突飛な発言をすれば交渉過程が水の泡となる、そんな懸念がつきまといます。

しかも日本の弱みは、これまでトランプ氏が発言していた駐留米軍経費の全額負担や、それこそ円安などの、いわゆる不都合な部分を封印して、今回の友好さを演出されたことです。そういえば、あれはまだ交渉していないよね。と言って、続々と日本に不都合な交渉を仕掛けてくる可能性がある。そのたび、安倍氏は貢物をもって訪米しなければいけなくなるでしょう。ナゼなら、トランプ氏は最初からこれらの主張しており、急にちゃぶ台をひっくり返すわけではないからです。つまり日本はその主張を封印した状態で蜜月にはなりましたが、米国がそれらを繰り出してきたとき、再交渉を余儀なくされます。
北朝鮮に対してさえ、有効な手を打てない安倍政権が、主従関係にある米国のくりだすマッドマン・セオリーに対抗できるはずもありません。下手をすれば心の弱い安倍氏がそれに疲れ果て、退陣してしまう可能性すら滲みます。そして新たな政権になれば、またトランプ氏はそれを仕掛けてくるのでしょう。ナゼなら安倍政権を退陣させた強面政権として、さらにマッドマン・セオリーが使えるのですから。安倍氏は成功した、などと考えて意気揚々と帰国の途につくのでしょうが、APECの場と同じように得意気に話していたら、顔が青褪めるような発言が米国からとんでくることでしょう。相手が一番、調子付いているときに叩く方が、マッドマン・セオリーに有効なのですから、その息まで青くなり、青息吐息になるのも時間の問題、なおかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2017年02月11日

日米首脳会談について

安倍首相とトランプ大統領による、日米首脳会談が行われましたが、わかったことが幾つかあります。元々予定が100分とされた会談はほぼ中身がなかった。経済のことを聞かれると、安倍氏は「麻生財務相とペンス副大統領に…」と応じていたように、ちらりとでも話し合っていればよいですが、全く話ができないのは何も話していないため、でもあるのでしょう。恐らく、会談はほとんどゴルフの話題だったと思われます。
会談後の共同記者会見でも、似ているとされる二人ですが、違いが浮き彫りです。トランプ氏は自分の考えていることは滔々と語りますが、美辞麗句は用いない。安倍氏は何度も米国で語っている「Abeはエイブと呼ばれることもあり、それは米建国の…」を用い、米国と自分、という作文を読むような長い挨拶をしました。どちらがいい、とは一概に言えませんが、演説の上手かったオバマ前大統領と異なり、安倍氏はそれに似せようとして上手くいっていない、トランプ氏は似せる気もない、となるのでしょう。概して二人とも共同記者会見の場では、とても独りよがりに見えてしまうことになります。

出せるかどうか不明だった共同声明もでました。恐らく日本側が素案を書いたのだろう、というぐらい、日本の主張が通った形です。TPPは『自由で公正な貿易のルール』という形に置き換えられ、『最善の方法を探究』ということで二国間、地域経済に関わって行く、との文言が入った。尖閣や辺野古も従来通り、また『相互補完的な財政、金融、構造改革という3本の矢のアプローチ』と用い、安倍ノミクスにお墨付きを得ました。
しかしそこにはトランプ氏の周到な計算もうかがえます。記者会見の冒頭、トランプ氏は両国の関係を「さらなる投資を行い、深めていく」と述べています。投資? これが誤訳でないのなら、トランプ氏は米国に投資してくれる国は歓待するよ、と述べていることになる。会見でもくり返し、米国が偉大な国になれば周りの国にも利益、としますから、トランプ氏は米国の繁栄に貢献してくれる限り、相手の言い分も聞く、というスタンスであるのでしょう。つまり今回、日米投資イニシアチブにしろ、日本は色々と投資案件をもっていく算段をしていたことから、米国は歓待してくれたのです。

しかしその裏で、麻生氏とペンス氏の経済会談は相当シビアな交渉が展開されていることでしょう。安倍氏はワシントンD.C.からNYまで高速鉄道で1時間、と盛んにアピールしますが、以前も指摘したように日本の技術を米国に提供しろ、米国でつくるから、と言われたら反論しようがありません。今回、為替はメインでないとはいえ、『相互補完的』でない、つまり何度も撃たれた黒田バズーカと、財政政策、構造改革が軌を一にしておらず、金融一本足になっている日本には弱みがあるのです。
そもそも『相互補完的な〜』の件は政策担当者にとって当たり前のことであり、日本ではそこがすでに歪んでいる。財政政策、構造改革がすすめば、今の米国のようにドル高になるもので、日本が円安になるのは、金融一本足でしかないため。だから為替誘導との疑いをかけられるのであり、つまりこの共同声明に反して3本の矢を用いていないのは日本、ということになってしまうのです。もし安倍政権がこの共同声明通りにすすめるなら、財政政策と構造改革を、少なくとも金融緩和と同程度にすすめなければいけない。両政策とも黒田バズーカ並みにならないと、恰好の攻撃材料ともなるのです。

日本は安倍政権がこれまでやってきたことのお墨付きを得て、これまでの日米関係を踏襲したい、と考えていた。しかし米国はしたたかだった。辺野古とて『唯一の解決策』としたので、地元の抵抗ですすめられなかったら安倍政権の責任です。だから沖縄を蔑ろにしてでもすすめざるを得ない。TPPに代わる『最善の方法を探究』としたのも、トランプ氏が「米国益を最大化するのが最善」と述べているのですから、日本はそうでない、という理屈で対抗していかなければいけなくなったのです。
諸々のことが、これまでの日米関係に『トランプ』というカードが挿入された途端、常識が変わっているのに、日本の提案した共同声明の原案は、これまでの日米関係を下敷きにしたものではない。米国はほくそ笑んだことでしょう。これで日本は語るに落ちた、と。自ら望んでトランプ氏に服従する態度を示し、米国に貢献することを約束した。トランプ氏はそんな安倍氏の頭に、格下を意味する『B』をつけ、「Babeちゃん」と呼びたくなったことでしょう。かわい子ちゃんがネギを背負ってやってきたのですから、ハグまでして歓待してくれるのも当たり前なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(5)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2017年02月10日

国の借金と国民負担率

昨日、米系大手がTOPIX先物を買い溜めていると書きましたが、なるほどトランプ米大統領が昨晩に減税について言及、市場は爆騰しました。この米系大手は米政府にも人を送り込んでいることから、官製証券会社ともいわれ、米政府の動きを逐一くみとっている、とされます。予算教書もでてくる折ではありますが、わざわざ2、3週間のうちにだす情報を昨晩だしてきたところをみても、市場が織りこむ前に仕込んでおき、利益を得るという動きだったのでしょう。今後もこうしたことが増えるのかもしれません。
安倍首相が訪米していますが、先に中国に親書をおくったトランプ氏が、電話による米中首脳会談を行っています。これも対日牽制ではあるのでしょう。日本は対米貿易でも、安全保障でも、中国を隠れ蓑にしたいことは間違いなく、それで対日批判をかわす戦略でした。しかし安倍氏から提案をうけても「中国はそんなことを言っていない」とはねつけられたら、安倍氏には返す刀がない。米中会談の様子も「一つの中国」以外、中国国内でも詳しく報じていないことから、情報のとりようがない。日本としては対中包囲網を外交の基本としてきましたが、だからこそ中国問題を封印されたら、とりわけ厳しいのです。

日本の借金が昨年末で1066兆4234億円となり、前年から21兆8330億円増えました。安倍政権は「税収が増えた」を政権の成果のように語っていましたが、前年から2%も借金を増やしていたら、むしろ失敗です。安倍政権は財政拡大路線しかとっておらず、入ってきてもそれ以上に出て行ってしまう。しかもこれは今国会で成立した補正予算における、国債の追加増発分は含んでいない。つまり安倍政権では、借金の拡大がさらに加速することになっています。
同時に発表された国民所得に対する税と社会保障の負担割合、いわゆる国民負担率は42.5%となりました。この数字が高いほど高負担、高福祉を示し、欧州では高福祉のスウェーデンが56%、独国も52.5%とされます。しかし財務省の主張はまともに信じてはいけません。日本は確かに負担が低く見えますが、日本は世界に先んじて少子高齢化がすすみ、年金のみうけとる世帯は税負担が軽い。資産をもっていても、収入が低いので当然ですが、この世帯は支出を増やさない限り、国民負担率を押し下げているのです。

さらに欧州では移民、難民を受け入れているため、若年層世帯が拡大している。失業率が高くとも、社会保障が確立された国では失業保険なり、生活保護なりがでるので、それらの世帯は家族もいるので消費には大きく貢献する。つまり税でとっても、それが社会で回っていく形ができます。つまり欧州は高負担であっても、人口構成比からも高福祉が機能する限り、社会はうまく回るのです。
日本の国民負担率が低い、といっても国民の負担感が強いのは、消費税にしろ低所得者への負担が重いためです。低所得者が少なければ大きな声になりにくいですが、日本の場合は格差拡大が、低所得者層の増加によって為されているため、負担感の強い層が拡大しているともいえ、これが消費税増税に強い反発をうむ要因となっています。

安倍政権の財政拡張路線が成功しているなら、国の借金は増えていない。なので、日本のとるべき道は二つ、緊縮財政を布くのか、それとも今の規模を維持したまま、真に成長できる分野に財源を集中するか、そのどちらかです。しかし後者はこれまで失敗し、目利きの能力がない安倍政権では、まず達成不可能でしょう。ならば前者しかありませんが、そうなると市場が容赦なく売り浴びせてくることにもなるのでしょう。
しかし今は米国の財政拡大路線を囃し、昨日もダウは終値で最高値をとってきましたが、効果がなければただの借金拡大路線とさえいえる。米国がその失敗に気づくときまで日本が安穏と財政拡大をつづけていたら、借金は莫大になっていることでしょう。日米の財政拡大競争に陥るのか、それとも安倍氏、トランプ氏のダメトップ競争になるのか、いずれにしろ借金の返済能力が疑われるようなとき、両国とも過払い金の返済を法律事務所に相談したくなる、そんな状況になるのかもしれませんね。

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2017年02月09日

日米首脳会談前の市場

安倍首相が日米首脳会談に出発しました。安倍氏が会談するのは初日の午前中のみで、後はゴルフ三昧、トランプ氏と二日間行動を共にする、という異例の歓待ぶりです。しかしその予定が途中で切り上げられたら、それは交渉が上手くいかなかった、ということにもなる。異例の歓待、ということ自体が、すでに高いボールを投げられていることになります。麻生財務相と岸田外務相の二人がワシントンに残って交渉する。その交渉具合により安倍氏の日程も変わるはずです。そして、トランプ氏の経営する別荘の費用負担をどうするのか? との問題が米国でもち上がっていますが、それを日本が負担するとなると、安倍氏のゴルフのたびに、多大な出費が税金から賄われることになる。それだけの効果、成果をもち帰ることができるのか、安倍外交の正念場ともいえるのでしょう。

日本の景気も正念場で、昨日発表の1月景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが前月比-1.6ptと、大幅な悪化となりました。11、12月とトランプラリーで爆騰した株式市場の影響で押し上げられていましたから、反動ということもありますが、12月に年末商戦の不調で押し下げられた小売以外、すべての項目がマイナスです。先行き判断DIも前月比-1.5ptとなり、飲食関連以外はすべて悪化です。
1月に入って、態度を変えたのは外国人投資家も同じです。トランプ氏の当選から、円買いのポジションを一気に円売りへと傾け、一気に15円近くの円安に導きましたが、先週辺りから売りに転じてきた。トランプ氏が大統領に就任し、円安批判が強まったことで、円売りポジションがリスクになっています。FRBが金融引き締めする、米国で財政出動する、インフレがすすむ、という経済の方向性は円売りですが、トランプ政権では何が起こるか分からない。大きくポジションを傾けると、大損する可能性が高いのです。

それは株も同様、国境税の的にされた業種は、業績悪化につながる恐れもある。しかも、これは日米首脳会談に関わらず、いつでもリスクが高い。日本に国境税をかけない、との確約がない限りは常にリスクです。つまりこれまでの安倍ノミクス、黒田バズーカはあくまで市場にとって好都合なことが多く、買いを入れる戦略が成功するケースが目立ちましたが、トランプ砲はそうでない。買いと売りでバランスをとらないと、リスクヘッジができないのです。
しかし最近、少し気になる動きはトランプ政権に出身者を多くおくりだす米系大手が、やたらTOPIX先物を買い溜めている点です。2月のマイナーSQ前のポジション整理、とは思えない。明晩の日米首脳会談で、何かでてくるとの期待なのか。それとも現物のポジションを落とし、先物を買う動きなのか、日銀の指値オペをうけての債券絡みの動きなのか、ポジションをもつことがリスクとされる中なので、やや気になる部分ではあります。

しかもこの米系大手、トレーディング部門はもう人手いらず、600人いた従業員はすでに2人、とされます。つまりもうAIが取引の主体であり、完全AIの投資ファンドが話題になりましたが、すでに市場はアルゴリズム取引が大半を占めている、といってもよいのかもしれません。そのアルゴリズム取引で、日本では円売り、株買いを仕掛けてきた。そのヘッジがどう利いているのか? もし失敗していたら、反動売買の動きも大きくなる。それは安倍ノミクスへの失望が広がっていた、昨年11月までの動きにもどるのかもしれません。
安倍氏とトランプ氏が過ごすのはフロリダ州パームビーチ、パーならゴルフでは±0ですが、野球でいうパームは落ちるボールです。安倍氏が観光気分でお金を落としてくるつもりなら、日本の株価も急落する懸念があるのでしょう。安倍氏がもっとも苦手とする接待ゴルフ、接待される側から、する側に回ったとき、一体どれほど上手く立ち回れるのか。日本のポジションが改めて試されており、それ次第では投資家のポジションの大きな変動も覚悟しないといけないのかもしれませんね。

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2017年02月08日

雑感。貿易黒字と日米雇用イニシアチブ

米商務省が発表した2016年、通年の赤字額が0.4%増の623億$となり、そのうちの半分近くを中国が占め、2、3、4位を10%前後の割合で日本、独国、メキシコが別ける形となりました。2位といっても中国と大差ある、独国が落ちたのはVWの排ガス不正の問題、などと日本には影響ない、と報じるところが大半ですが、それらは一切関係ありません。トランプ政権は貿易赤字を問題視していますが、額は言及していない。この4ヶ国はどんぐりの背比べ、ぐらいにしか考えていないのです。なので、何位だろうと、中国が最大だ、と言ってみようと、圧力をかける割合が変わるわけではなく、貿易赤字国は皆敵なのです。
しかも日本から大幅な譲歩、妥協、材料を引きだせば他国との交渉でも有利になる。実は今週末の日米首脳会談は、安倍氏がどれだけ朝貢するかにより、他の3国から恨みを買う可能性が高くなる、ともいえるのでしょう。だからこそ米国は歓待する準備をしている。日本の手土産が多ければ多いほど、米国にとって有利だからです。

そんな中、巷間語られる手土産が『日米雇用イニシアチブ』です。規模は70兆円ともされますが、財源をどうするのか? しかも米国の道路や橋、水道事業などのインフラ事業ですから、収益性が上がる事業ではなく、民間資金は入らない。入るとすれば、その利息を日本が肩代わりするようなケースですが、米国のインフラを日本の財源で賄う、という奇妙なことになりますし、償還も日本政府が行うなら、尚更財源の問題が拡大します。
ODAのように米国に返済義務があるような仕組みなら、米国が納得するはずもない。どうやって資金を集めるか? そのうちの一部を年金基金から、ともされますが、その場合は首脳会談で金額の約束をすることがおかしい。安倍首相自ら認めていますが、年金の運用に政府が口をだせるのは、運用先の割合までです。株、債券、それを国内外でどう配分するか、であって、米国のインフラに…とは指示できない。もし金額を約束できるとしたら、事前にGPIFがどの事業に、どのぐらいの投資をして運用、と決まっていなければならず、明日の段階までそれが決まっていないのなら、70兆円など約束できないはずです。

高速鉄道にしろ、日本がウィンウィンの関係になるように…と主張する向きもありますが、トランプ氏はそんなことを望んでいない。新幹線を日本から輸出したら、貿易赤字は拡大してしまうのですから、米国に工場をつくってそこで新幹線を作れ、と言い出すでしょう。そうなれば設備投資をムダにしないためにも、米国で継続してつくらざるを得なくなる。日本にとっては何の旨味もない。しかもその建設費に年金原資を充てるなら、事業として成功しない限り損をする可能性が高い。かといって米国で高速鉄道が成功する見込みは、今のところ極めて低い、とさえ言えるのでしょう。
成熟国で、インフラ投資をしても経済成長への効果は低く、だからこそこれまで後回しにされてきたのです。そんなものに日本がお金をだす、という時点でそもそもおかしい。米国の雇用をつくる前に、日本で貧困に喘ぐ子どもたちへの補助をしっかりとすべきであるにも関わらず、です。しかもそれでトランプ氏は喜んでも、各国は日本に敵意すら抱くのなら、尚更何のためにやるのか? 理解に苦しみます。

対日強硬論をかわすため、としますが、日銀の異次元緩和など、不正なことをしているとの弱みがある、と認識しているなら本末転倒でしょう。しかも詐欺師に最初から金を渡してしまうと、よい金ヅルとばかりに要求が高くなる、ということでもあり、これが最後となるわけでもない。会うたびに手土産を要求されることが確実です。
これは『日米雇用イニシアチブ』などではなく、『日米小姓イニシアチブ』なのでしょう。日本は米国の小姓、子分ですよ、ということを国内外に喧伝するためのものです。しかも小姓なら主従関係もありますが、今のトランプ氏と安倍氏の関係は、まるで悪代官と越後屋のようです。黄金色のまんじゅうを手に、お目こぼしをもらいに行くのなら、『日米姑息イニシアチブ』としてもよいのかもしれません。建国記念日の前日に行われる日米首脳会談、ここまで米国のために尽くさないと、日本の立場も危ういということなら、亡国記念日として記憶されることになるのかもしれませんね。

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2017年02月07日

共謀罪

安倍政権の組閣において毎回、法相といえば安倍氏と親しいか、当選回数は多いけれどこれまで地位を伴わない人物か、派閥の論理で能力に関係なく選ばれてきた、いわば閑職でした。しかし安倍政権で共謀罪の提出が画策され、改めてその無能ぶり、トンデモ大臣ぶりを露呈することになり、安倍政権も苦虫を噛み潰しているところでしょう。
しかし元々、共謀罪を提出するなら法相にしっかりと答弁できる、能力のある政治家を充てるのがスジであり、この辺りも安倍政権のチグハグぶり、見通しの甘さ、を露呈したといえるのでしょう。メディア向けに、法案提出前の議論はやめよう、といったメモ書き? を配って、一体何がしたかったのか? 国会で集中攻撃にさらされ、閣僚でいることに嫌気が差したならすぐにでも辞任すべきであり、議論を封じて自らの安寧をはかるなど、国会にあるまじき行為ともいえるのでしょう。

しかしその共謀罪、安倍政権の中でも安倍氏のみ、前のめりといった状況です。構成要件を見直し、『共謀罪』を『テロ等準備罪』と名称を変え、しかも東京五輪に必要、というロジックまで用いますが、メディアは相変わらず『共謀罪』とつかいますし、五輪と絡めた論調はない。名称を変えたところで『等』が入っている以上、曖昧さを残す形であり、そんなものを好んでつかうメディアもないのです。特に、法律の歪んだ解釈が大好きな安倍政権では、要件を減らしたところで罪に結び付けられる可能性も捨て切れません。
なぜ自公がこの共謀罪に前のめりなのか、多くの識者が指摘するように、国際合意でもある国連薬物犯罪事務所の所管する条約でも、新たな法律は必要ない、とされます。それこそ政敵や、自分たちに不都合な組織、団体を犯罪組織とするつもりではないか? 例えば野党だったり、政府の醜聞をスクープしようとした組織だったり、与党を追い落とそうとする動きは、国家転覆罪にみえてしまう。自らが国のトップ、代表だ、という誤解を生じると、ついそんな指示をだしてしまいがちになります。

そんな状態に陥っているのが、今のトランプ米大統領でしょう。入国禁止を巡り、司法に圧力をかける姿勢など、まるで自分だけがこの国のトップであるか、のように勘違いした状態にあります。しかし大統領は行政の長であり、三権分立の中では行政だけが、トップを置くピラミッド型の組織であるための勘違いです。国会にも、合衆国最高裁判所にも、行政を抑止する権限があるのです。大統領令は法律と同等の権限をもちますが、だからといって、何でも達成できる打ち出の小槌にはなりきれないのです。
そのトランプ氏は、米国メディアから「嘘つき」との声も大きくなっていますが、日本の安倍政権も負けていません。防衛省が南スーダンで実施しているPKOで、廃棄としていた日報が今日になり、出てきました。そもそも日報を廃棄すること自体、大問題なのですが、党内からもそうした声が大きくなり、堪らず出したのでしょう。しかも肝心なところは黒塗りで、事実を明らかにする姿勢に欠ける。文科省の天下り問題でも、黒塗り資料。以前の甘利氏の贈収賄疑惑のときは、真っ黒の資料。真実はいつも藪の中で、しかも真実を隠すためなら嘘をついてもいい、という姿勢が強く滲みます。

日本のこころを大切にする党が、党名を「日本のこころ」に変えます。すでに参院議員2名と、政党要件すら満たせませんが、あぁ、日本のこころが消えていくのか…。という笑い話にもならない感慨を抱いて欲しくて、そんな変更をするのかもしれません。しかし日本でも嘘をつく政権が権力をにぎる構図は、まさに日本のこころ、誠実で正直者、という性質が消えている状態、といえるのかもしれません。権力の側が嘘をつき、国民がそれで歯噛みし、右往左往する。今から米国がそうした状態になりますから、それをみてその愚を悟るべきなのかもしれません。権力が嘘をつく、これ事態を『強暴罪』として取り締まりしなければ、国民の安心は一向に高まらない、といえるのでしょうね。

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2017年02月06日

雑感。高等教育の無償化?

東京MXテレビの『ニュース女子』という番組で、沖縄の米軍基地反対運動に対する報道がBPOの審議入りしています。司会をつとめる長谷川幸洋氏は、東京新聞の論説副主幹も務めており、東京新聞が謝罪する事態になっています。それについて長谷川氏は「主張の違いを理由に私を処分するのは言論の自由の侵害」と述べますが、論旨がずれています。番組内では落ちていた封筒が、金銭を渡したとされる封筒と同じだった、などの理由で反対運動をする人に報酬が、と極めて杜撰な検証で、それを公的な電波において事実であるかの如く報じたこと、が問題なのです。なのでこれは主張の違いではなく、ジャーナリストとしてその記事の検証、信憑性を高めたかどうか、が問われるのであって、それが劣っていたと判断されたら、メディアからは解雇されて然るべき、となります。特に副主幹という重要な地位にある人物なのですから、一般の記者より処分も重くなる。そしてナゼか保守系の人間は、批判されるとすぐに「言論の自由の侵害」をもちだしますが、言論の自由があるからといって、人を誹謗中傷していい免罪符ではないのです。
同じ長谷川でつながりますが、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏が、維新から千葉一区で出馬、として会見しています。「自業自得の透析患者は実費負担」などの発言が問題視され、表舞台からは姿を消していました。意見そのものを論評する気はありませんが、保守系の人間は自分が敵だ、問題だ、と感じると、相手を攻撃によって屈服させようとする嫌いがあります。前段の長谷川幸洋氏も同様ですが、その批判が正しいのか、相手への配慮がされているか、が問われるのです。それができていないと、バランス感覚が身についていない、として批判されますし、メディアからは消えます。メディアに登場する人が、すべて偏らず、中道の意見しか言わないのなら討論もつまらなくはなるでしょう。しかし偏りすぎれば、やはりそうした人物は危険視されるのです。そしてメディア以上にバランス感覚が必要なのが、政治家です。今の政治家に保守系が多い時点で、すでにバランス感覚が失われており、今さらもう一人増やしたい、と思う人は少ないでしょう。維新の意見には合うのでしょうが、国民の意思とは乖離しているのでしょうね。

先週、自民が教育再生実行本部にPTが立ち上がり、高等教育の無償化を含む検討、と報じられました。代表質問で維新が改憲項目の一つとして提案し、自民がのった形ですが、教育国債や高額所得者への課税を財源、といいます。しかし国債だといずれ償還する際、負担になるのは若者であり、大学の授業料が免除になる代わりに、国の借金を増やすことになる。また大学まで行かないとそのメリットがなく、ただ負担だけが圧し掛かる、といったことにもなる。何のためにこんなことをするのか? 一つは文科省の天下り問題もあって、教育機関への補助金が減らされそうであり、その減少を補おうという点。そしてもう一つは、教育機関を国からの予算で紐付けすれば、思想統制がし易くなる、との算段もあるのでしょう。
そもそもは奨学金などを借りても、賃金が安くて返済を滞ったり、就職に失敗して全額返済不能になったり、といった問題が発生していること、があります。無利子の融資としても解消しないので国費負担、という話もありますが、それを国債で賄ったら本末転倒であって、予算の組み替えで財源は捻出していかなければなりません。

例えば今、防衛省が学術機関との連携を模索していますが、防衛費を教育費に回してもよいでしょう。優秀な若者を育てることは、国防にも役立つ。使い物にならないオスプレイを買うより、よほど若者に投資した方が日本の将来を考える上でもよい選択のはずです。
最近、日本政府が米軍から調達する軍事兵器を値切りだした、といった話もあります。これまでは向こうの言い値で買ってきましたが、元々兵器には市場価格が存在しませんが、米兵器メーカーから買うより割高で、かつ仕様についても開示されない、といった問題もあったようです。日本政府も愈々、その負担に耐え切れなくなってきた。ここで思い切って国内生産に切り替える、というのも一つの手でしょう。学術機関には戦前の記憶もあり、アレルギーも強いですが、研究者になろうとする若者が金銭的理由で不足するような状況では、そんなことも言っていられません。むしろ自衛隊が、国防にのみ資するような部隊であれば、学術機関もこの提案に乗りやすいのではないか、と考えます。

安倍政権では防衛費が肥大化している。一方で、若者の負担軽減は、結局のところ国債でしか賄わない。であれば、防衛費から大学などの研究機関への補助金として回す、という形を想定してもよいのでしょう。中国への警戒ばかり煽って、兵器だけ揃えても、隊員になろうという若者が育たなければ、国は守れない。ただ、若者への教育により思想統制するのではなく、きちんと負担なく教育をうけられる機会をつくって、愛国心を育てない限りは、歪んだ、バランス感覚を失った人間しか育たなくなってしまうのでしょうね。

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2017年02月05日

日米防衛相会談の「唯一の選択肢」

千代田区長選、小池都知事が推薦する現職の石川氏が圧勝しました。大勝する材料はいくつもあり、現職であること、袂を分かつ前は自民が推薦していたこと、自民都連はすでに弱体化していること、半年前の小池旋風はまだつづいていること、などです。自民都連がいくら締め付けても、自民支持層は小池氏もまだ自民であり、乗りやすいのですから、弱体化した都連の言葉など聞くはずもありません。それに自民都連の推した与謝野氏は、与謝野ブランドとはいえ、与謝野氏そのものが選挙に弱く、風が強く影響する東京選挙区ではブランド価値も低くなります。与謝野氏の不幸は、さらに最初から勝てる見込みがなく、選挙序盤の丸川氏が現職閣僚として応援に立ったものの、それ以外ほとんどの自民党議員は手を引いてしまったことです。仏つくって魂入れず、ではありませんが、推薦候補をだしておきながら戦う気ゼロ、やる気なしの自民では石川氏圧勝も当然なのでしょう。

昨日、防衛省でマティス国防長官を迎え、稲田防衛相が会談しました。その中で普天間基地の移設は「辺野古が唯一の解決策」として推進することで一致、と報じられます。一部のメディアでは沖縄の敗北、とするところもあり、ちょうど訪米中の翁長沖縄県知事を揶揄するような見方まであります。しかし誤解してはいけないのが、日本側が辺野古以外の選択肢を示さない限り、米側から異なる解決策など示せるはずがありません。もし米側から異なる解決策を示すとすれば、それは在日米軍の撤収を含むことになります。
つまり米側が、ではどこどこにしよう、などともちかければ内政干渉ですし、そもそも日本の国内の情勢を精査しないといけません。日本側が代替案を示すまでは、米側としては唯一の解決策として同意するしかない。そんなものを、まるで鬼の首でもとったように金科玉条の如くに掲げ、地元の反対をうけても政策を前にすすめる時点でおかしい。米国とそれ以外の選択肢を協議していないから『唯一』になっているだけなのです。

そんな稲田氏は、国会でも意味不明な答弁をくり返し、かつ答弁を恣意的に長くするようなことをしている。ポスト安倍、として保守層の期待を集めていた時期もありますが、あまりの能力不足に愛想をつかされ、今は閣僚であることさえ苦痛なのでしょう。そんなやる気さえ失った稲田氏では、米側に別の解決策を提示することもないのですから、この話は「尖閣に安保適用」と同じぐらい、従来と何も変わっておらず、ニュースバリューの低い話です。メディアがそれを大々的に扱うことも、米側のお墨付き、がこの国の政治ではより重視されることを示すのみであり、属国待遇を自認するようなものです。
いつもの某右系メディアが、マティス氏が韓国を恫喝、という記事を載せますが、残念ながらその兆候はまったく読み解けない。もしマティス氏の発言がそうなら、日本も同じぐらい恫喝されたことになるのです。それは『唯一の解決策』である辺野古で、地元の反対にあってすすめられない日本政府に、だったら日本から撤収するぞ、と脅していることにもなるからです。言葉を勝手に解釈し、改変するなら、同様のことはどこでも起こってしまう。確かに韓国で親北政権ができたら、以前と同じように米韓軍事協定さえ蔑ろにされかねなくなりますが、それを現政権に突きつけたところで、プラスにならないことぐらいはマティス氏も重々承知しているでしょう。理解してないのはその某右系メディアだけなのかもしれません。それは日本に対しても同じ、マティス氏が状況の変化を促すのではなく、あくまでそれは今週末の日米首脳会談以後の話になります。

マティス氏が何を言おうと、どう考えていようと、トランプ氏の意向により日米関係は変化する。もし駐留経費の負担増に日本が応じない場合、在日米軍の撤収さえ口にするかもしれない。そうなると辺野古が『唯一の解決策』ですらなくなります。米軍基地など、もう必要ないのですから。トランプ政権における対日政策、それは今から変化する。そのとき選択肢は千々に広がっていきます。そんなとき、やる気のない防衛相を『唯一の選択肢』として選んでいるなら、対応すら覚束ないことになるのでしょうね。

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2017年02月04日

雑感。米金融規制改革法の見直し

昨日、麻生財務相が「円高の状況を是正するため、金融緩和した」と発言し、後に財務省から「デフレ状況是正のため…」と訂正が入りました。言い間違い? むしろ本当のことがポロリと出てしまったようです。節分に絡めて言えば「鬼は外」というつもりが、「鬼は内」と言ってしまって災厄を招き入れる、といったところでしょう。来週の日米首脳会談に麻生氏も同行しますが、米国で同じことをすれば恰好の攻撃材料にされるでしょう。戦後教育の悪しきカタカナ英語をつかい、自ら英会話ができると自負する麻生氏ですから、通訳も介さず勝手に発言して墓穴を掘らないよう、注意しないといけません。

米国で1月の雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数が22.7万人増と、市場予想の17.5万人増を大幅に上回りました。しかし時間当たり平均賃金が前月比0.1%増、しかも12月の平均賃金も0.4%増から0.2%増へと下方修正され、雇用は伸びているものの賃金の伸びが軽微となっており、米国ではスラック(緩み)とされ、警戒されています。
しかしトランプ大統領はこの雇用統計を信用しておらず、全く改善していない、との見方を示しています。ただ雇用統計の中にも労働参加率62.9%、就労率59.9%という数字があり、決して全米の雇用が失業率4.8%、などではないことを示しています。米国の場合、労働条件も含めて働きたいけど働けない、といった割合が4.8%であり、働きたくない、もしくは働かなくてもいい、という人が半数近くいるのが現状です。それを指して「オバマ政権は失敗した」というのは誤りで、リーマンショックからここまで回復させた、がオバマ政権の実績となります。

昨晩の米株は上昇しましたが、雇用統計より金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しに関する大統領令に署名し、市場が期待する金融機関への規制緩和、との期待が乗ったものでしょう。今はまだどこまで調整できるか、を調査する段階で内容は未定ですが、金融機関は負担の軽減であったり、収益機会の拡大であったり、ドッド・フランク法が見直されれば、今後の収益にも大きなプラスになるはずです。
しかしドッド・フランク法ができたのは、それこそリーマンショックの反省から、です。世界的にもバーゼル靴噺討个譴覿睛撒制を策定しようとしている段階であり、ドッド・フランク法も当然、その規制に合わせて策定されたもの。それ以上の米国独自の規制については見直しもできますが、バーゼル靴竜制に則らないと、国際的な活動は制限されてしまう。結局、米国が独自ルールを削る、ということにしかならないのでしょうが、それでも米金融機関にとっては光明です。

ただ今でさえ米不動産はバブルが懸念される。サブプライムを使ったローン組成で、売買が拡大していたリーマンショック前の価格を越えてきており、それは中国を初めとする不動産投資のシンジケートにより、実勢とかけ離れた水準にまで高騰してしまっているのです。そんなとき、金融を緩和すればバブルを助長する可能性もあり、ドッド・フランク法の見直しは次のトランプショックをおこす引き金になるのかもしれません。
しかし株式市場はすでにトランプバブル中です。再びダウは2万$に乗せましたが、減税や公共工事で業績が押し上げられる、との期待がのった数字であり、まだ何も決まっていないのはドッド・フランク法の見直しも同様です。相場では知ったら終い、という言葉がありますが、知らぬが華、というところでもあるのでしょう。来週、渡米する安倍政権の閣僚の面々も、今回は事務方の調整がすすんでいるとは到底思えず、何を要求されるのかも分かっていないのでしょう。緊張感も無く、財務相が一番間違えてはいけないところを間違えるなど、知らぬが華でいるのは今の内なのでしょうね。

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2017年02月03日

日銀の指値オペで初の実弾投入

マティス米国防長官が訪日し、安倍首相と官邸で、岸田外相と外務省で、それぞれ会見しています。尖閣諸島にも安保適用、と大々的に報じられますが、これまでの米国の態度と変化がないので、これは重要な記事ではありません。問題は米軍の駐留経費の負担増をトランプ大統領が求めていること。今回、その話は出ていないようですが、来週の首脳会談では必ずでてくるでしょう。地均しするなら今回でしたが、逆にマティス氏と話をできないようだと、トランプ氏マターということでもあり、大統領選のときの主張をそのままぶつけてくる可能性が高い。他国より負担している、などという説明は愚です。日本がこだわる尖閣を取引材料にされたとき、ぐうの音もでなくなってしまうでしょう。

日銀が指値オペを実施し、初の実弾投入となりました。1月の国債買入れ額が減少、年間の買い入れ額が減少する見通しとなり、長期金利が上昇。さらに昨年12月の日銀会合の議事要旨で、金利誘導目標の上下幅を画一的にするべきでない、との意見がみられ、目標範囲が幅広い、との見方が広がり、また今日の日銀の国債買入れ額が、1月31日より400億円増えて4500億円になったことも、緩和規模が不足していると見なされ、午前には長期金利が0.15%まで上昇しました。そこで12時30分、日銀が指値オペを実施、7239億円をかけて長期金利は0.1%以下となり、為替も113円にもどしている、というのが今日の流れです。
今回の金利上昇は、上記したように日銀の対応の変化をよみとったものであり、決して不自然ではありません。それを強引に抑えこみにいった日銀、強い決意を示した、との見方もできますが、理不尽な介入との見方もできます。これは逆に、トランプ氏による恰好の攻撃材料を与えた、とも言えそうです。市場が暴走しているから抑えこむ、これは世界的にも批判をうけませんが、動きそのものを制限すれば、金利差を抑制して為替操作する目的だとみなされます。健全な市場を阻害しているのですから。

ではこんなタイミングで、どうして日銀が動いたか? それはもう2月10日を越えたら動けなくなるから、なのかもしれません。もうすでに強いコミットを受けていて、実際には出来なくなっていても、今回の実績により幻影は市場にみせられる。その幻を市場にみせるためだけに、7000億円もかけてたった一度の指値オペを敢行したのかもしれません。
そもそもこの指値オペ、万能の剣ではありません。2度、3度と行えば市場は慣れ、儲かるなら応札しますが、そうでなければ見送り、市場で売った方がよいからです。今回も指値の利回りが0.110に対し、平均して0.087%で落札しており、売却した側は損をしている。もしかしたら、日本の金融機関が日銀の要請にしたがって応札したため、予想以上に利回りが低下して損をした、というのが実体かもしれません。つまりそれだけ今回の指値オペを成功した、という形で終えたかった。この1回に賭けていた、とも読み解けます。

日本に為替操作を止めさせた、というのはトランプ氏にとって極めて大きな成果になる。そしてそれは、中国の為替操作を止めさせるトリガーにも使える。中国は実弾を人民元安の防衛のために投入していますが、そうしたことは間違い、と世界に喧伝するためにも、まず日本を転ばせる必要がある。日本の妥協点としては、それを公表せず、市場には幻影だけを見せ続けて何とか円高防衛をしたいところなのでしょうが、公表しないとトリガーにはならない。10日は公表を見送ったとしても、いずれ日銀は緩和縮小に向かわざるを得なくなることでしょう。
米国は、尖閣の防衛は約束してくれても、円安の防衛は約束してくれなかった。それが今回、明らかになったことなのかもしれません。米国防長官が来日している最中行われた日銀の指値オペは、何を守り、何を守れないのか、如実にそれを示したのでしょう。お金も実弾、と表現されるように、相手への攻撃にも用いられますし、そのダメージが計り知れなくなることもある。今日の指値オペが、節目オペになるのなら、今後の日本には相当のダメージがでてくることにもなりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2017年02月02日

米国防長官の訪日

マティス米国防長官が韓国と日本を歴訪します。なぜかメディアは「日本と韓国」と表現しますが、訪問する順に用いるべきで、韓国が事前準備で、日本がメインである、との印象を与えようとする政府からの要請なのでしょう。しかしマティス氏は米軍の中でも中央軍、つまり中東担当であり、太平洋軍のことは詳しくないので、日韓両国の対北朝鮮の状況を確認する、が今回の主眼であるはずで、であれば順番通りに報じるのがスジです。
しかしオバマ政権時代と様変わりし、中国牽制より北朝鮮の暴発に、より神経をつかっていることがこのことからも理解できます。トランプ氏の性格だと、嫌いな相手は挑発してしまう、自制心のある中国より北朝鮮の方が、不測の事態を起こしやすい、とみているのかもしれません。北朝鮮も、安易な挑発にいたっていないのはトランプ氏の行動が読みきれないためでしょう。朝鮮半島の奇妙な安定は、独裁者同士の腹の探り合いで成り立っているといえ、マティス氏の日韓訪問はその状態にゆらぎを与えるのかもしれません。

最近、安倍首相に元気がない、と専らです。共謀罪に足をとられている、ということもありますが、日米首脳の電話会議以後、目つきがどんよりと曇っています。恐らく、かなり厳しいことを言われたと想定され、トランプ氏がターンブル豪首相との電話会談を、1時間の予定を25分で打ち切った、とされるように、不都合な話をすれば会談自体がとんでしまうかもしれない。一方で、国益を訴えるには今のトランプ氏の主張のほとんどを覆さないといけない。説得できる、などというのは甘すぎる考えで、相手の意にそぐわないことを言っても、尚且つ怒らせないようにするには稀有な人徳と、類稀な話術のどちらかを必要としますが、生憎と安倍氏にはその両方がありません。
野党が安倍氏を批判するのは当然ですが、実は政府内、自民党内からも安倍氏の人柄などを褒める意見が聞かれません。国内では褒められたり、もち上げられたりする経験しかなく、下働きで成果をだしてきたタイプではない。こうした人物は、他人の心に配慮する経験が圧倒的に足りないのです。なぜなら、相手がそうしてくれたからで、特にトランプ氏のような好き嫌いがはっきりしていて、嫌われたら終わり、という相手は苦手なのでしょう。しかも昨年の会談は社交辞令で済ませても、今回はまったく事情が異なります。

さらに首脳会談後、フロリダに大統領専用機で移り、一緒にゴルフとの話もでています。安倍氏として怖いのは、トランプ氏と親密になると世界から孤立する可能性がある点。今、世界の企業経営者もそうであるように、トランプ氏に近づくのか、距離をおくのか。米国には半数近いトランプ支持者がおり、距離をおけばそれらから攻撃される。しかもトランプ支持者は熱狂的で、執念深い。それは自身の支持層とも重なり、安倍氏を攻撃するだけで炎上してしまう。しかもそのやり口は安倍氏を擁護するのではなく、徹底的に相手を卑下し、貶め、精神的にダメージを与えようとする。擁護をするなら議論ができますが、議論はしたくないのです。なので相手の弱みであったり、ただの悪口だったり、といった攻撃になる。しかしそれに安倍氏が晒されたら、心が折れることが確実です。
どちらを味方につけ、敵とするか? この判断を誤ると4年間は辛酸を舐めさせられるのですから、重要な決断です。今はトランプ氏側につく、といった判断をしているようですが、焦って日米会談をセットした挙句、世界的な反トランプの動きが広がる中、非常に困ったタイミングになりました。しかも会談内容でさえ厳しいものになるなら、尚更安倍氏にとって難しい会談になったといえるのでしょう。

週末の世論調査で、安倍政権の支持率が2〜4%と大きく上がりました。恐らく、トランプ氏との対比で、あんな指導者でなくて良かった、との判断が働いたものでしょう。しかしそのトランプ氏に自ら接近すれば、同一視されかねなくなる。トランプ氏に阿諛追従していると、国内の支持すら失いかねないのが現状でしょう。Mad Dog、マティス氏の渾名ですが、狂犬という言葉には他にRabid Dogがあります。こちらはより『熱狂的』との印象の強い言葉であり、Rabiesはそのまま狂犬病を意味します。日米で一緒に狂犬病にうなされるのか? 安倍氏としても敵、味方、その区別をどうするか? それを考えると喉ばかり渇いて仕方ない、というのが現状かもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(20)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2017年02月01日

トランプ大統領による円安批判

トランプ砲が日本の円を直撃です。ブラフだ、最初に高いハードルを掲げて日米首脳会談を有利にすすめよう、との戦略だ、などの意見も聞かれますが、金融政策も絡めた批判を展開しており、どうも確信犯としか思えません。安倍政権の反応は、日銀の金融政策はG7やG20で合意された内容だ、デフレ脱却のためで為替操作でない、また米国も行っている、というものです。しかし残念ながら、反論としてはかなり弱いものです。
まずG7やG20で合意、という話は全く関係ありません。トランプ氏にとっては、TPPやNAFTAの見直しなどに踏みこんだように、国際合意よりは国民との約束が重要なのです。ナゼなら、国際関係でトランプ氏は選ばれたわけではなく、国民に選ばれた大統領であり、国民の意見を聞き、国民にとって都合よいことをする、で一貫しているからです。

デフレ脱却のため…という話は、日米欧で行われた金融緩和で、インフレやデフレを誘導する力はない、と認められました。つまりもうデフレ脱却の力がない、と分かっているのにまだやっている日本、という圧力がかかったら、反論できません。米国も行っている、というのは愚の反論です。米国は出口戦略、FOMCも開催されていますが、FRB内の資産をどう減らすか、についても議論が始まる見通しです。つまり金融緩和は過去のものになりつつあり、その差を問題にされる。例えば、あなたは昔戦争していたから、自分たちも戦争していいでしょう? などと相手に同意を求めても、否定されることが確実です。
下手をすれば、金融政策の方向性を合わせるよう、求められる可能性もある。つまり簡易版のドルペッグ制に円が陥ることも想定されます。米国が金融政策を引き締めたら、日本は経済情勢に関わらず、引き締めざるを得ない。そうなると金利差も拡大せず、ドル高、円安が防止できます。日本が精一杯抵抗できるとしたら、引き締めの速度をFRBより小さくすることで影響を最小限にすることですが、それすら攻撃材料にされそうです。

安倍氏は10日の首脳会談にむけて「日本が米国の雇用をうみだし…」と述べます。ナゼ日本がそんなことを約束しなければならないのか? この時点でもう交渉としては負けています。インフラ整備にも言及していますが、例えば日本の新幹線を売りこんだとして、トランプ氏から「じゃあ、その新幹線を米国で造れ」と言われたら、どう反論するのでしょう? 日本の技術が流出し、かつ高い人件費をかけてもコストが価格に反映できない可能性が高い。トランプ氏がウィンウィンを望んでいないのに、それを求めたところで答えは決まっている。日本が何を守り、何を拒絶するのか、それが試されるのです。
今日の市場はもどしましたが、これはまだメインシナリオがドル高であり、トランプ砲がドル相場を直撃していないためです。しかしドル買いをする投資家さえ、トランプ政権下では攻撃される恐れがあり、そのときは急激なドル売りが起こることにもなる。この程度の攻撃では動けない市場、これが最大のリスク要因にもなりかねないのです。

しかしドル安は中長期でみると、米国の国力を弱めます。それは対米投資を減少させ、米国債や不動産市場を直撃するからです。最大の債務国による通貨安政策は、米国が金融主導の経済から、製造業中心の経済へと先祖返りする、ということ。それは不都合な真実を浮かび上がらせるのかもしれません。FRBが資産売却、中国の人民元防衛のためのドル売りの米国債売却、空前の高騰する不動産、それらを総合的に鑑みても、今の米国はドル安に非常に脆い状態にあるともいえるのです。だから交渉戦術として円安を攻撃している、という評価は、ある意味トランプ氏の能力を過信したものです。しかしトランプ氏が本当に愚かだったら…。市場が愚かで、日本も愚かで、皆が愚かだった、として世界は次の危機に突入することになるのでしょう。トランプ相場にドランク(酩酊)していられる時間は、そう長くないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ