2017年06月

2017年06月30日

経済指標の集中発表日

今日はプレミアムフライデー、今はこれにPretended(見せかけの)を前につけて、プレプレフライデーとしてもよさそうです。推進役である政府は成果を強調しますが、笛吹けど踊らずであるのは言うまでもありません。こんな四半期松の忙しいタイミングで、早く仕事を切り上げられる人はごく一部。旗振り役の博報堂は、デフレマインドを原因に挙げますが、これは月初にするか、法的に規制しない限り、浸透はしないでしょう。

今日はもう一つ、経済指標の集中発表日です。5月の消費者物価指数はコアCPIが前年同月比0.4%上昇と、5ヶ月連続の上昇です。しかしコアコアCPIは横ばい。ガソリンなどの燃料費の高止まりと、生鮮食品の高騰が物価上昇の主因であり、これでは消費が伸びるはずもありません。
それを示す家計消費支出、5月は実質で前年同月比0.1%減。しかし名目0.4%増であるように、生鮮食品やガソリンの上昇で、支出は増えています。一方で、勤労者世帯の実収入は実質で1.7%減、名目で1.2%減。これでは消費が低迷して当然です。賃金は3月から低下傾向であり、ボーナスも減少することから、今年は消費の伸びには期待できないのかもしれません。一方で小売販売等は堅調ですが、インバウンド消費が影響したとみられ、その原因は海外のバブルがまだつづいているから。そう考えると、日本の消費の現場は海外バブル次第、といえるのかもしれません。

完全失業率が前月比0.3%上昇し、3.1%となりました。自発的な離職が増えたこと、を理由として掲げますが、どちらかと言えば新たに求職する人が増えたことが原因と考えます。しかし相変わらず労働力人口は男性が減、女性が増であることからも、女性の求職意欲の高まりがみられるのです。そしてそれを引き起こしたのは、実収入の減なのかもしれません。
しかし実は、総務省の労働力調査では求職が増えた、としますが、厚労省の一般職業紹介状況では、新規求職申込は前年同月比7.5%減、前月比2.9%減。まったく真逆の結果となっています。月間でみても減少ですから、完全失業率の上昇の原因とはならないはず。ハローワークを通さない求職が増えたとしたら、求職の多様化ということですが、正直この辺りは検証も難しいため、転職サイトの伸長が裏にあるのだとしたら、有効求人倍率1.49倍は43年ぶり、などという言葉も実は空しいのかもしれません。

気になるのは、16年度の税収が当初予算で57.6兆円、とされていたものが、55.5兆円程度にとどまりそうなことです。2兆円以上も穴があくばかりか、今年度の補正予算を組む財源もない。日銀の返納も減っており、税外収入も低下しており、ダブルパンチです。
さらに5月の鉱工業生産指数が、前月比3.3%減。5月は調整しやすい面もありますが、これまでが自動車、半導体などが絶好調であった分、生産調整も起きやすくなっており、夏頃にも始まるとすれば、それも税収を押し下げる要因となりえます。これまでが絶好調だっただけに…これが今年のキーワードになるのかもしれません。

戦後3位の54ヶ月の景気回復…。しかし比較するまでもなく伸びは低いのであり、しかも公共工事の増と、円安によるみかけの貿易の改善と、インバウンド消費に支えられたもの、つまり財政出動と日銀の緩和だけの回復局面であり、それが税収の落ち込みと、日銀の限界で同時に終わろうとしている。今がゴルディロックスとされるのも、これがプレサージ・クライシスデイ(危機の前兆)を示すのなら、日本経済の深刻さをそのとき知ることにもなるのでしょうね。

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2017年06月29日

下村自民幹事長代行の醜聞

文春、新潮の2週刊誌が、与党の醜聞を報じました。金子総務政務官による公用車私的流用問題、議員会館内の保育園に立ち寄っただけなので、ルール上は問題ない、としました。要するに近場なら、ちょっと寄り道して自分の用事を済ますぐらいはルール上問題ない、と述べていることになります。それはルールを決めたのが総務省であり、政治家も関与して公用車の運用ルールを決めたのですから、問題が出ないようにした、という話です。
しかし公用車の私的流用は、舛添前都知事もそうであったように、非常に評判が悪い。今回にしても、一般の母親なら高い三人乗りの自転車を買って、わざわざ自分の足で漕いで保育園まで連れていくのです。ついでだから、といっても税金で得をしているようにみえる。これは総務省のルールが誤っている、誰もがそう思うことでしょう。

下村自民幹事長代行に加計学園から闇献金、という報道は下村氏が会見を開いていますが、加計氏の秘書室長が11人分の200万円をもってきた、とします。しかしどう考えても、政治資金収支報告書に記載したくないから、20万円以下に抑えるよう11人の名前を用意した、というようにしか聞こえない。そんなに都合よく、延べ11人で、しかも2回に分けて100万円というぴったりの金額を集めてきた、そういった偶然が起こり得るのか?
しかも事務所のデータでは加計学園からの入金としており、尚のこと説明とは矛盾します。もし11人分であったなら、11人の氏名を記載しておくでしょう。誰からもらったか、事務所で確認できなくなるからです。闇献金とするため、11人分で領収書を切った、となると本人たちの了解を得ていない場合、私文書偽造に当たるかもしれない。パー券でも節税になることもあり、11人がどういう処理をしていたか、も問題となるでしょう。

下村氏は「選挙妨害目的」として法的措置もちらつかせますが、記事そのものは確認していないものの、外形的には事実に基づいての報道なら、法的に何も問題ありません。下村氏が11人で領収書を切っていた、その事実を示す証拠は示されておらず、事務所データの真贋では問えるものの、下村氏はそれを認めた。つまり文春報道は、データに基づいて書かれているので、虚偽というには当たらないのです。都議選に重なったのが偶然か、意図的か、という点はあるとしても、違法とするには無理があります。
しかし下村氏が都議選の間は追及しないように、としたのは逆効果でしょう。疑惑が疑惑のまま残り、どこに行っても加計学園疑惑を想起させる。政治の場では、週刊誌のゲラは27日ころには出回っていたはずなので、もし影響させたくなかったのなら、今日までに11人の了承をとりつけ、公表しなければいけなかったのです。それすらなく、しかも宛名は黒塗りでも、領収書の写しすら示さないのでは誰も信用しません。

しかも、下村氏が文科相時代のことですから、尚のこと自民と加計学園は一体との疑惑を深めることになった。そもそも下村氏に献金があった、という話は既報であるものの、それを下村氏が説明してこなかったことにも問題があるのです。選挙妨害目的どころか、有権者に正しく判断してもらうために、情報を提供することは決して間違いではない。それを「妨害」と言ってしまうことも、「法外」な言いがかりとさえ言えます。下村氏の示した11人、オーシャンズ11でもあるまいし、華麗に盗みを働くのではなく、パー券を購入したこともこそこそと隠れて行っていたのなら、都議選も、安倍政権も末路にいたるという点で、オジャンズ11となるのかもしれませんね。

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2017年06月28日

欧州の金融政策と日銀

稲田防衛相の発言が、波紋を広げています。自衛隊法、公務員法、公職選挙法など、様々な違反がみとめられるのに、謝罪・撤回だけで済まそうとする。内閣改造を待って、ということなのでしょうが、法律も理解していない防衛相では危機対応も心もとない、というものです。基本的なことさえわかっていないのに、危機対応マニュアルを理解できているのか? この前のミサイル対応CMではありませんが、物陰に隠れて…などと言われても困ってしまいます。むしろ稲田氏が物陰に隠れたい気分かもしれません。

欧州では伊国による2つの金融機関の清算に、批判の声が上がります。伊政府は2行の優良資産を引き受けた金融機関に50億€を支払い、さらに120億€を保証するといいます。つまり国家による破綻処理ですが、EUでは金融の破綻処理は、政府ではなく投資家が負うべき、というルールを定めており、そのルールに伊政府の対応は抵触します。また金融機関を監督するECBとしては、いきなり寝耳に水でEUのルールを破られたばかりか、自分たちの対応が誤りだったと突き付けられた。それが波紋を広げているのです。
そんなECBドラギ総裁が、緩和をつづけて景気が回復することは、さらなる緩和をしているのと同じ、と述べて引き締めが意識され、ユーロ高となっています。今の緩和とて年内で終了して延長はしない、とみられていたので市場に引き締めの準備をさせよう、という意図もあるのでしょうが、絶好調とされる今の欧州経済でも、金融機関の不安はまだ払しょくされていません。スペインのサンタンデール銀行が、バンコ・ポピュラールを1€で買収したように破綻準備行とされる金融機関は、まだまだあるのです。そこに伊国の独断専行が起こったので、EU各国からも批判の声が上がるのです。

その影響は、EUで統一的に行おうとしていた預金保険制度に、伊国の銀行を含めないとする意見もあります。国家補償をつけるのだから、預金保険は要らないだろう、というのです。伊国の今回の判断は、伊国も反EUの動きをすすめるのか? という政治的不信と、金融機関に国家が関与することにより、政治主導で甘い査定が行われたり、投資家により安易な資金融通がすすむことにより、破綻すべき金融機関が生き残ったり、という弊害しかないという経済的な不信を招く、という意味でより深刻なのでしょう。
長期で低金利を維持することの弊害、が世界では懸念される。そんな中、未だにゼロ金利を継続して、出口を示しもしない日銀の特異性、リスクを意識される日もそう遠くはないのでしょう。日銀としては、少しずつ出口のヒントをだしているつもりなのでしょうが、インフレをターゲットにしているため、市場はまだ目標に達していない、としてどうせ引き締めなどできない、との油断が蔓延しています。いざ日銀が本気、という意識が急速に広がったとき、市場に大きな動きを引き起こしかねない状況でもあります。

株価もまったく値動きが小さくなり、配当分の再投資があっても商いも低調。市場としての油断と、官製相場による楽観が奇妙な相場をうみだしてしまった。しかし日銀の危機管理、出口戦略のマニュアル次第では、下方向にしか向かわない動きを誘発しやすくもするのです。四半期末の6月末、都議選も越して、黒田総裁の退任までに出口の道筋をつけるのなら、政治的イベントも少なくなるこの夏ごろから動き出さないと、間に合わない面もある。今年の夏は、海外と国内と、危機対応の考え方で右往左往する局面がでてくることも警戒しておくべきなのでしょうね。

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2017年06月27日

雑感。安倍政権の挙証責任

米国では最高裁が中東・アフリカ6ヶ国の国民で、米国との真正な関係がある場合以外は入国を禁止する、とする大統領令をみとめました。しかし究極の妥協案とされ、トランプ支持者からも、反対派からも評判が悪い。そしてそれ以上に評判が悪いのが、オバマケア代替法案です。23日になってやっと公表され、独立記念日までに上院を通そう、とする共和党執行部への反発も手伝って共和党からも反対を表明する議員がおり、成立の見通しも立ちません。

日本では、安倍政権が分かりやすく安易な嘘をつくため、国会が閉会中にもかかわらず政治の世界が忙しくなっています。山本地方創生担当相が「(国家戦略特区への獣医学部新設の)挙証責任は規制監督官庁(文科省)にある」と述べ、3月末までに文科省が果たせなかったので終わり、としました。しかし安倍首相が「獣医学会の圧力で1校に決めた」と述べているのですから、文科省の挙証責任という話とは矛盾します。
菅官房長官は「獣医師会、文科省、農水省は抵抗勢力」といいますが、一強の安倍政権が屈するほどの相手か? 甚だ疑問ですし、では安倍氏が講演で語った2、3校という話など口にもできないはずです。急に岩盤規制がふにゃふにゃになったり、抵抗勢力が両手を挙げて降伏したりするのでもない限り、一斉に反発が広がるでしょうから。

しかも菅氏が獣医学部への志望が15倍だから、新設に意味がある、としましたが、それこそ法科大学の失敗に何も学んでいないのか? 獣医師になりたい、という希望をすべて叶えようとしたら、資格としての獣医師の免許は使い物にならず、資格があっても獣医師になれない人が続出するだけです。抵抗勢力であるはずの農水省も、獣医師の需給バランスについて語らない。随分と安倍政権に従順な抵抗勢力もあったものです。
さらに都議選では、稲田防衛相が応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてお願い」と応援演説をしました。のちに「駐屯地に近いし、支援・理解に感謝している、という意味」と釈明しましたが、言葉からまったくその意味を推測できません。むしろ自衛隊を政治利用し、かつ隊員に政治的行為をうながすもの、と受け止められるでしょう。それは日報問題に手心加えて欲しければ、自民党を勝たせるように、とも聞こえます。

竹下自民国対が「安倍氏が追及を嫌がる」と、閉会中審査の拒否しました。しかし、恐らく30日辺りに閉会中審査を受け入れ、問題を解明しようとする姿勢を示し、都議選への影響を軽減しようとするでしょう。しかしここまで嘘を重ねてしまうと、それが潔い態度に見えず、姑息な弥縫策に見えてしまう。安倍氏が応援演説に入らない、と言われて集会に出席したのも同じ。街頭に立たず、支援者の多い集会にしか立たないようでは、周りも納得しない、単なる辻褄合わせをしているようにしか見えないのです。
米NYT紙に『トランプ大統領の100の嘘』という記事がでました。政権発足からこれまでについた嘘を、すべて羅列するという大胆さです。今なら『安倍政権の100の嘘』という記事も書けるかもしれない。各メディアでも骨抜き政治部より、社会面なら、という但し書きつきですが。今なら経済部も協力してくれるかもしれません。安倍政権では挙証責任どころか、虚構の責任をしっかりととらねばいけないのでしょうね。

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2017年06月26日

都議選は安倍隠し?

藤井聡太四段が29連勝しました。ただ、あまりふれられませんが、デビューしてすぐは順位戦も下位との戦いが多く、これから8、9段、順位戦でも上位の常連との戦いが待ちます。今はまだ天才中学生棋士、これから強豪ともまれる中で、どこまで伸びていくか。期待はありますが、大騒ぎせずに見守っていく方がよいのでしょう。

タカタが民事再生法の申請です。負債総額は3800億円、自動車会社の負担したリコール費用などが1.3兆円と試算され、合わせると製造業では戦後最大です。しかし言葉は悪いですが、米オバマ政権が描いたシナリオ通り、米自動車メーカーKSSがプレゼンスを高める結果となりました。しかも東芝のときは散々に「技術流出」「雇用確保」と言って、国家ぐるみで支援を模索するにもかかわらず、自動車の基幹部品を供給するメーカーであるタカタには、あっさりと民事再生となる不可解さも残ります。
経団連会長の榊原氏が、内閣支持率の低下に「過信があった」と述べました。「家臣のあなた」にそれを言われたらお終い、とも言えますが、ここにきて焦りからの様々な悪手も目立ちます。その一つが『弾道ミサイル落下時の行動』に関する政府広報。4億円もかけてTV、新聞などに広告を打ちますが、内容はスカスカ、実際には全く意味のない内容であり、壮大なムダ事業とされます。しかし安倍政権では、北朝鮮の危機を煽ると支持率が回復する、ということを経験則で知っているため、国会閉会後の回復期に先立って、また都議選にむけてこのタイミングで、との思惑があるのでしょう。これは北朝鮮に関して安倍首相や菅官房長官が「次元が異なる事態…」などと語るのと、同根のミスリードと言えます。

改憲案を年内に…という発言も同じ。求心力の低下を避けるため、新たな目標を掲げようとした結果、党内の調整もすすんでおらず、混乱をきたしている。結局、告示から投票まで一度しかない週末でも、都議選の応援に入りませんでした。国政の予定が立て込んでいるならまだしも、自宅で静養していたという。安倍氏に責任をとらせないため、安倍隠しをしているつもりなら、これも悪手です。結局、党内にも安倍氏は選挙に弱い、というイメージだけが残り、安倍下ろしを加速させるだけだからです。
しかも、竹下国対が加計学園問題で、閉会中審査について都議選後に考える、と発言しました。すると、自民都議を大量に落とせば、国民が望む問題解決にむけた動きがすすむ、という意識が都民にも芽生えるでしょう。ますます自民都議に投票する意欲を低下させます。むしろ加計問題の解決にむけた動きのカギは、都民がにぎっているといっても過言ではないのかもしれません。

これだけ悪手を重ねたら、将棋なら大きく形勢を損ねて大敗です。経済でももう安倍ノミクスを評価してくれる人はおらず、東芝とタカタという企業の処理でも温度差をつけるなど、説明がつかなくなってきた。そこで改憲という禁じ手を打ったら、むしろそれが悪手になった。将棋では「歩のない将棋は負け将棋」と言われ、角や飛車という飛び道具だけでは中々攻略できないものです。政治でも、一歩一歩すすめることが大切で、核や記者に頼って安寧をはかろうとしても、所詮はじり貧になるものです。歩がなったら『と金』、安倍政権も『都連』を失ったら、その重さが分かるでしょう。「府のない選挙は負け選挙」、安倍隠しという悪手の結果は、すぐに判明することになるのですね。

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2017年06月24日

安倍首相の神戸での講演

沖縄の平和祈念公園で行われた追悼式に、安倍首相が参列しました。産経の記事で『今年も慰霊とはかけ離れた光景が…』という記事、恐らくこうしたものを鵜呑みにしてしまう人が安倍支持者とリンクする、という意味で興味深いです。中身は『県外の反米基地活動家が集結し、怒声を上げたり、意味不明な主張をくり返し、安倍氏の車列にも罵声を浴びせた。一方で式は滞りなく進行し、最後に沖縄県民の「沖縄県問題は複雑。抗議活動をする人の意見も分かる。ただし政治と慰霊はまったくの別物」』です。
産経がタブロイド紙にみえるのは、心霊現象やUFOなどを取り上げる雑誌と、この記事の論理の組み立てがまったく同じだからです。反対派の中には県内の人間もいるでしょう。しかしあえてそれを取り上げず、かつ一方的におかしな論理、行動ばかり取り上げ、その異常性を訴える。最後にやっと中立的な意見をとりあげる頃には、前段の異常性ばかりが印象づけられているため、記憶に残りにくい。こうしてオカルトファンの心をつかむ一方、自分たちは間違った記事を流しているわけではない、とする手法です。産経の主張を信じる人と、オカルトを信じる人は、論理の組み立てという部分でどこか似通う点があるのも、こうした記事を鵜呑みにしてしまうかどうか、ということなのかもしれません。

安倍氏が神戸「正論」懇話会で講演しました。都議選の応援演説でもなく、神戸で何をしているのか! と自民都連から怒りの声も上がりそうですが、内容はさらに酷いものです。「獣医学部の新設は今治に限定する必要はない。速やかに全国展開」と述べました。しかしこれは意味不明であり、特区にした上で「広域的に」「限定」「のみ」といった文言を加えて今治にしたのが官邸では? と疑惑がもたれているのです。その「必要」性をつくった官邸により、加計学園が先行して建設をすすめている。今から全国で認可します、と言われても認可が下りて開学できるのは数年後、その間に獣医師が飽和状態であれば、参入もできない。もしこの主張をするなら、加計学園も白紙にもどし、今から全国で希望するところを募り、コンペなりで計画がしっかりしたところに認める、というならまだ話が分かります。
しかも特区至上主義者からも、これは評判が悪いでしょう。特区で優先的に特権を与えた挙句、全国展開して参入をしやすくしても、もはや旨味がなく、先行者優位の原則は利益修道の最たるものである、という特区制度の欠陥、最大の恥部をさらしてしまうも同然ですから。しかも短期間で全国展開すれば、余計に目立つのですから尚更です。加計学園に利益誘導するつもりがなかった、と言いたいのかもしれませんが、逆に自ら悪事をばらすようなもの。今頃、官邸は大慌てなのでしょう。

安倍氏は孔子の「六十耳順」を取り上げ、政策論争以外を盛り上げてしまった、孔子のようにいかない、としますが、これは論語の為政の一節であり、十五志学から始まり、六十の後も『七十而従心所欲、不踰矩』とつづきます。これを簡単に説明すると、七十になると心のままにふるまっても、道徳が身についているから行動が自然と道にかなう、です。六十耳順もできていないなら、七十で心のままにふるまっても、それは道徳が身についていない、行動が道にかなわない、となります。憲法改正の正当性を訴えますが、道にかなわない人が、国の規範たる憲法を改正して大丈夫か? との疑念も生じます。
山片蟠桃の言葉をとります。『そもそも一人の知には限りがある。数万の知には限りがない。…自分で十分として、下問を恥じて諫めを拒むものは、独学固陋で自暴自棄である』です。洋の東西を問わず、リーダー論の必須項目でもあります。では、安倍氏はどうか? 党にも相談せず、独自の憲法改正案をぶち上げ、周りがそれで混乱する。今回の講演もほとんど同じ構図のように思えます。孔子のように、などと高望みする前に、勝手にこれが良い解決法だ、などと周りの意見もきかず、勘違いして暴走していたら、仔牛のように屠殺されることになるだけでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2017年06月23日

株価とマネーの動き

東京都議選が告示されました。国政にも影響する、と言われますが、今回の争点は地域政党である都ファがどこまで議席を伸ばすか? 都ファが国政進出するにはまだ時間もかかることから、国政に影響する部分は、自民都連がどこまで議席を落とすか、にかかっているといえます。都ファが国政進出に時間がかかる理由、それは維新もジレンマに陥ったように、『都民ファーストの会』という名で国政に出ても、浸透力が期待できないからです。維新も大阪維新から日本維新と改名するも、分裂して…など紆余曲折を経ました。都ファも寄せ集め、今後も離合集散をくり返すことが想定され、期待をつなぎとめていくには小池都知事が求心力を維持し続けること、がカギになります。
自民都連にとって、いやが上でも注目が集まり、浮動票がうごく今度の都議選はどうにも旗色が悪い。そこにきてモリカケ問題に、自民二回生の問題など国政からの逆風だらけ、恨み節も聞こえます。豊洲移転の問題も争点にできそうもなく、小池氏の監視役、という主張にはすでにこの都議選の主役が小池氏である、とみとめてしまったかのようです。

しかし唯一ホッとしている部分は、株価の安定でしょう。安倍ノミクスは雲散霧消し、すでに自民内でさえ異論を唱える勉強会が開かれるなど、経済失政は明らかですが、株価は堅調。ただし6月は株主総会が集中し、株のトレーディングが減る時期でもあり、また配当の再投資があるため、それを先取りして株を買う、といった動きもみられ易い時期です。
しかし債券市場では、10年債の新発が7営業日も終値で動かず。先物も史上初の取引ゼロを記録するなど、異変がみられる。それに伴い、株式先物も商いが低調。今日は日経平均やTOPIXもほとんど値幅がでず、買わない、売らない、という姿勢が鮮明です。下を叩いても日銀のETF買いが待っていて動かしにくく、上値を追うにも高すぎて新規の買いが望めない。信用の売り残も減っていて、踏ませて上げる戦略もとりにくいのです。奇妙な安定、それはまるで呪いにでもかかってしまったかのように、動けない状態ということです。

しかし外国人投資家も、ここにきての原油安に警戒を抱いている。オイルマネーの変調が、大きな売りにつながったトラウマがよぎるからです。しかも今回はOPECが減産している最中、つまり前回よりリミットが高い。原油が1バレルで26$まで前回はいきましたが、今回は30$台とみられ、米WTIは40$割れに近づいているのが、不気味です。
一部で、すでに大口投資家が米株の指数先物に売りを溜めている、とされる。原油安を下げて、株を大きく下げて儲けをだす、そんな手口があるのかもしれません。その大口投資家がカナダの不動産会社へ出資というニュースもありますが、まだまだバブルが続くかもしれない、と投資家を欺くために種を撒いているのなら、意外と下を獲りに行くタイミングは早いのかもしれません。夏枯れは毎年、懸念されるものであり、夏休みシーズンで売買が細るからこそ、その辺りに仕掛けがくるのかもしれません。

日本では、よく上昇の理由に「外国人投資家が持たざるリスクで…」と説明されます。しかしこれは誤りで、もしそんなファンドマネージャーがいたら、失業ものです。海外が上昇すれば、リバランスで日本株を買う、というだけで、決して日本株がこれから上昇していくから買っているわけではないのです。日本は日銀の影響で、売買が低迷すると値動きが止まってしまう。しかし海外では、売買が低迷すると値動きが大きくなる傾向もある。今年の猛暑予想、すでに米国などでは熱波も発生しているようですが、今年は海外からの熱い動きに、日本が吹きさらされるようなことも起こり得るといえるのでしょうね。

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2017年06月22日

雑感、政治の腐敗

公明の機関誌「公明新聞」が、共産党を「汚い、危険、北朝鮮」の3Kと批判しました。しかしウィットはあまり感じられず、ただの悪口になっています。例えば、公明は(自民党の)金魚の糞、(創価学会は)金づる、(選挙になると)近所迷惑、の3キンとし、キンの含有率が低くて価値がない、などとすると、ユーモアを交えた笑える批判になります。
日本人は万葉集の時代から時の政権を面白おかしく批判するなど、風刺の文化が伝統としてあります。ただの悪口では品を疑われる、というものです。それに公明が共産をライバル視し、批判するのは滑稽でもあるのでしょう。宗教的紐帯と、政治的紐帯が似ていることをみとめるなら、どちらも弱点は同じと言えるのでしょう。

自民党の二回生、豊田衆院議員が政策秘書への暴行、暴言の報道をうけて離党しました。しかし離党で済む問題ではなく、傷害と威迫、それにパワハラなど刑事事件に相当します。離党ではなく、議員辞職を求めるべきでしょう。逆に、この問題を甘い処分で済ますと、安倍政権が掲げる『働き方改革』なども、絵空事に聞こえます。議員と秘書、という立場を利用したパワハラを、自民が容認しているとみなされるためです。
しかも河村元官房長官が「あんな男の議員いっぱいいる」と、自民党議員の質が低いのか? と疑われる発言まで。擁護するにしても、自民党全体のレベルを低下させて問題を希薄化させる、という最悪の発言です。都議選への影響、という話も流れますが、それ以上に臨時国会の召集にも、この問題は波及します。国会は閉会中なので、被害届が受理されれば逮捕もありうる。離党させたとしても、自民党議員時代の問題であり、政治倫理の乱れについては国会での説明を要する、との理屈が立ちやすい。加計学園問題では逃げ切りをはかる目論見かもしれませんが、豊田氏の問題から逃げると、政治的打撃も大きいのです。そのために被害届を受理しない、もしくは捜査をすすめない、となったら警察の捜査まで、安倍官邸がコントロールしているとの疑惑が膨らむことでしょう。

モリカケ問題では、官邸崩壊も囁かれる。初動の危機管理に失敗し、泥縄的な対応に終始するからですが、ただ森友学園のときと、加計学園のときと、安倍氏の心のもちようも少し異なるようです。森友学園のときは、安倍氏の感情的対応が目立ち、籠池氏の証人喚問も安倍氏の一言で決まるなど、かなりいら立ちもあった。しかし加計学園では、安倍氏に余裕がある。恐らくそれは慣れたというより、加計学園の主犯は萩生田官房副長官で、自分は関係ない、との楽観がそうさせているものとみられます。
山本地方再生担当相が必死で庇ったことからも、萩生田氏が主犯、とみて間違いないのでしょう。ただ安倍氏が勘違いしているのは、甘利経再担当相を切ったときも政権は存続したように、今回も大丈夫だろう、と高をくくっていることです。しかしいくら内閣改造で萩生田氏を切ったところで、今回は政権がもたない。それは今回の問題は根っこが同じ、文教族である萩生田氏が森友学園などの動きをみて、自分も恩のある加計氏へ利益誘導できる、と考えて暴走した面があり、森友も加計も連動したものであるからです。

ここにきて安倍氏がKYぶりを発揮し、自分は何も悪くない、第一次政権のころのようにまた部下に足を引っ張られただけ、とでも考えているのでしょう。しかし安倍政権になると頻発する閣僚、政務官等も含めた不祥事などは、安倍氏の指導力に原因がある、そう考えないと説明のつかない問題でもあるのです。政権に口利きできれば利益を得られる国、安倍政権の威光は18金以上に輝き、それを誤解して驕慢な人間がこれからも続々と現れることをこれらの一連の動きが示すなら、自公連立はキン慢政権といえるのかもしれませんね。

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2017年06月21日

東芝の半導体事業の売却交渉

日本原研で起きた被ばく事故、今日になり原規委が立ち入り調査しています。しかし不可思議だったプルトニウムの内部被ばくはない、という発表も、尿からプルトニウムが検出され、やはり内部被ばくだったことが判明。事故翌日の外部被ばくだった可能性…という話は何だったのか? 通常、体外の汚染は徹底的に落とします。一刻も早く除染しなければいけないからで、そこで検査し、汚染がなくなったことを確認する。その後、内部被ばくの検査を別の機器で行うはずです。つまり当初のような「外部被ばくだった可能性」という話は、この間のいくつもの手順で、何重にもミスがないと起こりえないのです。
今となってはほとんどのメディアも内部被ばくについて報じない。つまり報道が過熱している間は、それを鎮静化するため誤った情報を流し、後に真実を伝えるころには世間も興味をなくしている。恐らくこうした戦術を練ったのは原子力ムラであり、ダメージコントロールが働いていた、と考えられます。国民も、ほとんど事件のことなど忘れてしまっているでしょう。こうして日本で、原子力に関する重大な事故は、耳目にさらされないようにされてきたのであり、福島原発の事故以後も原子力ムラの利権構図が何も変わっていない、ということをこうした一連の動きで知ることができます。

東芝が半導体事業の売却を、日米韓連合との間で交渉すると決めました。株主総会前に、方針だけは示しておきたい、といったことですが、首をかしげる決定です。まず政府が示した条件、技術流出の防止、雇用の確保、産業革新機構の出資は産業革新につながるもの、を満たしていることを、世耕経産相も歓迎していますが、そもそもこの条件がおかしい。企業体としての収益を第一にしているわけではなく、売却した先でもこの条件が生きるのなら、低い収益を甘受しなければならなくなります。
半導体事業はIoTやVR、ARなどで事業拡大がみこまれ、設備投資も活発であり、それが株式市場の活況をもたらしているのは事実です。なので、今なら高値で売却できるとの判断もあるでしょう。しかし高値での買取を申しでた米系ファンドなどの外資系を排除するなど、この売却が国策である印象も否めず、東芝の利益を最大化する目的からも外れた。来年も東芝が経営危機になったら、誰が責任をとるというのか? WDの提訴が通ってしまったら、この売却話すら頓挫する可能性がある。何を最優先にしなければいけないのか、ということがずっと置き去りにされてしまったまま、といえるのです。

しかも東芝再建に欠かせない事業となる原子力は、上記のように情報操作により、国民に正しいリスクを伝えず、事業を継続することしか考えていない。正しい情報により、国民の審判をうけるといった潔さは、まったく欠けた組織です。東芝も同じように、債務超過に陥っているのに上場は維持され、事業を継続することを最優先しているなら、やはり原子力ムラの住人として、行動は一貫しているといえるのかもしれません。
日本では原発の再開で電気料金値下げ、など功の部分のみを報じますが、海外では原子力の発電コストは割高で、続々と廃止や建設計画の中止も取り上げられている。東芝の巨額損失さえ、元をたどれば米原子力企業WHから生じたものです。東芝はウェスタンデジタル、ウェスティンぐハウスなど、どうも東芝だけにWest(西)にツキがないようです。日米韓連合の米投資会社ベインキャピタルに韓国のSKハイニックスが加わる、という。韓国に事業を移転することで、苦境とされる韓国経済を救う、という米国の意図も含まれるのか? ベインが抜けて米投資会社KKRが入る、との噂もあり、そのときは米国にまた甘い蜜をしゃぶり尽くされて、ポイ捨てされるのか。死馬の骨を買う、という諺もありますが、これは「大したことのない人間をまず優遇すると、優れた人が集まる」という意味です。東「死馬」の骨(半導体事業)を買う、という企業にどんな思惑があるのか? そこに原子力ムラであったり、国であったり、様々な思惑がからむのであって、まだまだ骨の折れる作業がつづくのでしょうね。

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2017年06月20日

雑感。政治にまつわる動きのいくつか

注目された小池都知事の会見、「築地は守る、豊洲は生かす」と、何とも官僚の掲げたようなテーマを述べ、市場機能をいったん豊洲に移し、築地は五輪の拠点として利用した後、市場機能の一部をもどすとしました。築地はどうせ再整備だから、五輪の間にいったん潰し、新たな施設をつくって出直せばいい。恐らくそうした判断なのでしょうが、そこに人の想いが感じられない。算盤をはじいて、このやり方が一番ロスが少ない、として判断したように感じます。しかし市場を動かすのは人、人を蔑ろにしては決して計算通りいかない、とも言えるのです。
しかも豊洲と築地、ともに運用した方が利益が上がる、といいますが、築地を食文化や観光の拠点と位置付けるのなら、そんなところに戻る仲卸業者がいるのか? 最初から見世物にされる、と分かっているのですから。しかし逆に、集団で築地にもどる、という決断をするのなら、豊洲の空洞化も生まれる。ただでなくとも漁獲量が減り、魚介類の扱いは縮小していかざるを得ない、とされる中で市場だけは肥大化する。はっきり言えば、今回の判断は市場の見通しがついた、というより選挙戦術として豊洲移転派と築地残留派、双方にいい顔をした。これで争点をつぶし、都民ファへの追い風で大きく議席を伸ばす、との算盤をはじいたのでしょう。「築地は守る、豊洲は生かす」ではなく、公明は豊洲移転派を公約としていたことからも「都民ファは守る、公明は生かす」と読み替えると、今回の判断はすっきりと読み解けそうです。

文科省から新たな文書が出てきました。昨日、安倍首相の会見時点ではすでに流出していたとされ、官邸もその情報をつかんでいた。それを今日、文科省が出してきたという経緯ですが、萩生田官房副長官のご発言、とされた文書は伝聞などの不正確な情報によって作成された個人メモ、と文科省はします。しかしあまりに詳細、かつ人名も出てくるなど、ただの伝聞でないことは明らかです。恐らく松野文科としては、萩生田メールをだして一矢報いたことで、文科省の矜持を示して幕引き、ということを文科事務次官と話し合っていたのでしょう。しかし職員の不満は、まったく収まっておらず、戸惑いといら立ちが「伝言などの…」といった、強い否定につながったのでしょう。
しかし否定すればするほど、また情報隠しをしているのか? と懐疑の目をむけられる。そしてまた新たな情報流出に怯える、といった悪循環にも陥りそうです。これは文科省が今回の政府対応に納得するか、パソコン内のすべてのデータを消去するまで、止まらないかもしれません。何より、安倍政権が文科省を悪党に仕立て上げ、自分たちが生き残ろうとする以上、文科省も生き残りをかけた戦いにしかならないのです。

森友学園の問題では、大阪地検が補助金不正受給の疑いで、関係先を家宅捜索しました。しかし森友学園問題の本質は、不正受給ではない。そしてその本質には一切手付かずで、逃げ切りを図ろうとしているようにしかみえない。安倍政権の不誠実ぶりが、この事例でもはっきりするのでしょう。
江戸時代の人、伊藤仁斎の言葉を残しておきます。「高いところにいると、卑い方をみることになる。その言うことはどうしても卑近になる。自ずから卑い場所にいる者は、高い方をみるようになり、だからその言うことも高遠となる。…道徳がよく行われる時代には、議論は卑近なものとなる。道徳が乱れた時代には、議論は高遠なものとなる」 つまり今は道徳が乱れた時代、議論は高遠なものとならなければおかしいのですが、それをメディアが怠っているので、やたら卑近な議論が蔓延してしまうのでしょう。しかしこの言葉の含蓄は、高いところにいる者は、自らその選択をしていないにも関わらず、卑いところにいる者は『自ずから』と、自己選択によってそれを為していることです。今、高いところにいる者の議論が卑近なのも、世襲議員の蔓延という結果、自ら選択するでもなく高い地位にいられることで起こっているなら、卑近なことを言うしかない、ともなるのです。上記のいくつかの事例は、自ら卑いところにいる者たちの、高いところにいる者たちへの反抗、そういう面もあるのであり、その発言のどちらに理があるか、も考えるまでもなく自明である、となっているのでしょうね。


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2017年06月19日

国会閉会後の安倍首相の会談

仏国の議会選挙で、マクロン大統領の率いる共和国前進が、単独過半数を獲得する見込みです。株式市場は、今晩の欧州市場が堅調になるとの見立てで、2万円を回復していますが、圧勝予想からの過半数を上回る程度、との結果は正直、微妙なところです。日本の政治的にはかなりの衝撃度でしょう。投票率が低下した上での、既成政党の壊滅的な敗北は、日本でも起こりうる事態です。それは支持団体としても、自分たちにとって本当に利があるのか? それを再考したとき、社会の変化や情勢によっては支持するに値しない、となることもあるからです。

安倍首相が国会閉幕による記者会見で「印象操作のような議論に対し、つい強い口調で反論してしまう私の姿勢が政策論争以外の議論を盛り上げてしまった。深く反省している」と述べました。そもそも「印象操作のような…」という議論が、存在したのか? 安倍氏は自身を悪く言われると、すぐに「レッテル貼りだ!」と反論しますが、人は相手に伝えるときに何かに喩えたり、似たような話に重ねたりします。それを「印象操作だ!」と声を荒げ、議論を封殺してきましたが、もう何年もそれは誤りとされてきたのです。
自分が弱ると急に反省する、と言いますが、本質が変わらない以上、改めるつもりもないでしょう。なぜなら、安倍氏が一番「野党がレッテル貼りをする」というレッテルを貼っている張本人なのに、自分の反省ではなく相手がするから自分は応じただけ、という態度で、それを反省というのですから、反省する意味合いが全く的外れなのです。

しかも「二転三転し、時間がかかった」としますが、時間もかけずに調査できたはずで、二転三転したことではなく、抗弁して最終盤まで調査しなかったことが問題なのです。反省すべき点がどこかズレている。「国民に説明」としますが、方法も具体的な内容も示さない。反省だけなら猿でもできる、と言われますが、まさにこの会見はその通りです。
会見では「人づくり革命」として『みんなにチャンス! 構想会議』を夏にも立ち上げ、とします。ネーミングからしてセンスの欠片もありませんが、みんなのチャンスを潰して加計学園のみが参入できるようにした、その反省はないのか。そもそも国民はチャンスが欲しいのではなく、安定が欲しいのです。実は、金融機関には無担保・無保証融資の推進など、金融庁の指導が入っており、バブル期のような放漫融資を国家ぐるみですすめようとの動きもある。すでに始まっていることを、構想会議という名をつけてやった気になる、というのなら、これは『みんな茶番ス! 構想会議』となるのでしょう。

岩盤規制や抵抗勢力などと用い、ドリルで穴を開ける、と述べますが、誰もがその規制は必要があったのでは? 抵抗勢力とは、省庁内での力も弱く、三流ともされる文科省と、規模の小さな獣医師会? それが1強とされる安倍政権に抵抗できるとでも? 事実、今回とてごり押しして決めてしまったのであって、戦いの終わった後で「あれは岩盤規制だった。抵抗勢力だった」などと言われてもピンときません。岩盤規制、抵抗勢力を打ち破るのに国民の支持が必要です、というわけでもなく、国家戦略特区で決めてしまえばよいのであって、抵抗する術も限られると示しているのです。
しかも、特区会議の前に山本地方創生担当相が指示をだして、「広域的に」「限定」などの文字を追加した、と国会の答弁でみとめてしまった。そうなると民間議員の話し合いでもなく、内閣府が決めたとなり、これも国会答弁との齟齬を生じるのです。ドリルで穴が開いているのは、安倍政権の説明であって、むしろ何かを説明しようとすればするほど、そのドリルで開けた穴に『語るに落ちる』と最悪の対応に陥っているのでしょうね。

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2017年06月18日

雑感。安倍政権と空気

共同通信の世論調査で、内閣支持率が10.5%低下し、44.9%となりました。せっかく日系の3週連続の週末株買いで日経平均を2万円に接近させ、共謀罪も通して後顧の憂いをなくしたつもりだったのに、あまり効果がなかった。それほど加計学園の説明が拙い、と国民の誰もが感じており、かつ安倍氏が直接説明しなかった。集中審議でも、山本地方創生担当相の「俺が…、俺が…」は悪目立ちましたが、逆にそれで疑惑がさらに深まったと印象です。
萩生田官房副長官は「難癖」発言、下村自民幹事長代行は「意図的な魂胆」発言ですが、これもさらに印象を悪くします。萩生田氏は落選中に加計学園に教授として雇ってもらっていた、下村氏は加計氏から献金をうけとっていた、と報じられる。双方、まともに説明責任を果たしていないばかりか、暗に触れないようにしている。問題がないのなら、積極的に発言し、否定すべきですが、萩生田氏など加計氏との関係を挨拶をかわす程度、としたその日に安倍氏と加計氏とのBBQ写真が暴露される。下村氏など説明もしません。双方、とても不誠実な態度にみえ、都議選でも彼らが出てくることは最早マイナスでしかないのです。

共謀罪も、年後半の景気を冷やすのでは? と囁かれます。例えば商社が、ある商品を売って欲しいと言われた。それが毒物や爆薬なら、テロリストかもしれませんが、VRやARの機器ならふつうの取引と思うでしょう。しかし映像解析機能を利用して、高性能な誘導ミサイルがつくられる。全くその意図がなくても、協力したとみなされる可能性がある。また節税対策を相談された税理士が、それを指南したら、相手が組織的犯罪集団だった。つまり通常の商取引でも、相手がどんな背後関係をもっているか? それを確認しなければいけなくなります。
そうしたケースでも、有罪になる可能性はほとんどないかもしれない。しかし商社や税理士にとって、警察の捜査に協力して長いこと通常営業ができない、また風評被害まで含めればダメージは深刻です。これまでは組織的犯罪集団が、実際に行為にいたって初めて罰せられましたから、準備に協力しても罪ではなかった。しかし共謀罪は、準備行為も罪に問われるので、協力したとみなされる可能性もあるのです。タカをくくってこれまで通り、通常営業をしていたら、ある日突然警察に踏み込まれるのかもしれません。

頼みの経済が、共謀罪によってとん挫するなら安倍政権が成立を焦ったことは、本末転倒だったといえるのでしょう。しかも中小零細企業にとって厳しいなら、それは国民の多くが厳しい環境になる、ということです。日銀も中小企業の賃上げを良い兆候、としていましたが、それもとん挫するかもしれない。共謀罪の悪影響について、まだきちんと分析したものはありませんが、少なくとも経済的にはマイナスの効果しかなく、そのため証券会社や経済研究所も、出し渋っているといえるのです。
日本は政治的安定が、海外から評価されていた、などとも語られていましたが、米トランプ政権は支持率が低くても米株は堅調。株価はあくまで経済状況を映すのです。安倍政権の支持率が急落し、株価もツレ安というなら、上記の主張も正しいのでしょうが、そうならない場合、ますます安倍政権を降ろしても何の不都合もない、との認識が広がるでしょう。しかし一方で、株価の急落がさらに政権支持率を下げるのなら、ダメージは甚大とも言えます。経済第一のはずが、いつの間にかKY第一になって、国民を無視して共謀罪を通してしまう。国民がその説明に納得していないにもかかわらず「難癖」などと、ケチをつける行為もまた、KYの為せる業といえます。KYを逆手にとり、空気を支配してきたともされる安倍政権ですが、その空気にPM2.5が溜まってきて息苦しくなってきた今、息詰まる、行き詰まる、ということになってきたのでしょうね。

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2017年06月17日

日米の中央銀行の動き

日米の金融政策がでてきました。米FOMCは政策金利を0.25%引き上げ、1〜1.25%とし、また資産圧縮にむけた工程表を示しました。市場では年内にもう一回の利上げ、来年も2、3回の利上げを予想しますが、米国では期待インフレ率が1.6%まで急低下しており、3回も利上げすれば上限が期待インフレ率を越えてしまう。金利を上昇させるより、資産の圧縮に舵を切った金融引き締めに転じる、そう考えた方が今後の理解しやすいのでしょう。

日銀の金融政策は現状維持でした。会合後の黒田総裁の会談は、緩和の出口について言質を得ようとする記者と、黒田氏の化かし合いといったところで、ふわふわとした印象です。ただし黒田氏の発言には、奇妙な点が多い。デフレマインドの転換に時間、と述べますが、昨年度も大企業の賃金はマイナスです。人手不足から中小企業の賃上げは強い、と述べますが、業種によっては大企業の半分、という事態が異常なのであって、それが正常化しているとは言えますが、物価を押し上げるほど強くはない。生活に余裕のない家庭に、多少の余裕がでたからといってインフレになるわけではないのです。
イオン会長の「インフレはイリュージョン」発言にもあるように、デフレが事実上はじまっている。つまりマインド転換どころか、現状はすでにデフレに転換している。日銀は消費者物価の低下を、原油安などの資源価格低下を理由にしますが、消費者の購買意欲の低下が最大の原因です。なぜなら資源が下がっても、強気の価格設定をしていればいいのに、それでは売れないから価格を下げるのです。

出口において国債価額の低下により、損失がでるとの懸念については通貨発行益が継続してでるので、円の信認は揺らがない、と述べます。しかしこれはおかしな理論で、通貨発行権をもつ日銀が多額の負債を抱えれば、その時点で通貨の信認が崩れます。すると通貨発行益も低下する。つまり円が暴落すれば、そこから得られる利益も低下する。卵と鶏の話ではありませんが、国債と円、どちらの信認が先に崩れても、日銀には大きな問題が生じるのです。保有する国債が大きく毀損しても問題ない、長期で利益がでるから、などという理屈が成り立つなら、企業の倒産はもっと減っているでしょう。
ETF買入れについては、物価目標達成前でも縮小の見通しを示しましたが、流動性供給が物価上昇に寄与しない、と判明している現在、つづける意味は株価の高値誘導しかありません。しかし最近気になるのは、週末になると日系が先物に大口買いを入れ、高値維持に努めている。安倍政権が世論調査を気にして、週末だけは上げて終わるよう指示をだしているのでは? などと陰口を叩かれるほどで、今週末は売り方との打ち合いになり、売買高も膨らんでしまった印象です。流動性供給どころか、不浄な取引を供給しているようで、もはや国債ばかりでなく、ETFの下落さえ日銀は損失拡大に怯える。政府と一体となった株価維持策も、いずれ弾が尽きれば、その後はどうなるか分からなくなっているのです。

日銀はこっそり国債の買い入れ枠を減らしている、とされます。事実上、買える国債が減っており、テーパリングを始めざるを得なくなった。それを映したのか、英中銀の利上げ支持派の拡大によりポンド安を引き起こしたことに連想したのか、少し円安にふれています。最近、英国の日本化も囁かれており、それは米欧の経済圏とは距離をおく、という意味の位置づけであり、英国の動きは日本に直撃しやすくなるのかもしれません。
日銀と国債、株式、為替市場との腹の探り合いも、ここにきて極まってきた感もあります。それはもう限界を迎えているはずの緩和を、いつまでも続けるとする日銀に対して、呆れ始めているということでもある。日銀による市場との対話、今では化かし合いどころかバカ試合として、日銀の敗北が決定的になりつつある、ということでもあるのでしょうね。

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2017年06月16日

国会の集中審議

文科省と内閣府の調査が出そろいましたが、食い違いが顕著です。萩生田メールに関して、文科省から出向した職員が「陰で隠れて送った」と山本地方創生担当相が述べました。こんなバカな話はなくて、添付ファイルをどのように手に入れたのか? 手書きが加えられたものであり、内閣府内で共有するような資料ではありません。こっそり盗んだ、というのでもない限り、手に入るはずがないのです。文科省は、文科省との調整では当該職員が常に参加していた、という。であるなら、会議に参加した上司から、文書を送っておくよう指示をだされることは当然のように有りうる事情でもあります。
では、PDFとして添付された原文は誰が管理していたのか? それを明確にした上で、この職員がアクセスできたのか、それを示す必要があります。そうすれば「陰で隠れて」などできるか、少しは判明するでしょう。しかも藤原審議官は、手書きで修正したのは自分、と認めた上で山本氏の指示だった、直属の部下にしか伝えていない、当該職員には伝えていない、というのですから、尚のことその文書を手に入れられる可能性が少ないのです。萩生田氏が関与していない、ということを示したかったのか、やたら詳細に経緯を説明しましたが、逆にそのことで文書管理について、疑義が生じたといえます。

集中審議でも、山本氏は「スピード感をもって実現すべき」という安倍首相の常々用いる発言に、言及した可能性をみとめました。そうなると、文書の使い方によっては間違いなく首相の指示、となる。例えば「国家戦略特区をスピード感をもって実現すべき。首相もそう言っている」と述べれば、一般論としての発言ではなく、国家戦略特区に関する指示とうけとるでしょう。つまり目的語の使い方次第で、これは紛れもなく「総理のご意向」となります。
ただ問題は、それが本当にただのスローガンだけだったのか? 実際の指示があったのではないか? しかしそれは、内閣府の人間しか知りえないことなので、証明は難しい。内閣府は打合せや、他省庁との調整事項でさえ「残さない」としているので、安倍氏との会話も記録として残しておいているとは思えない。しかしこれは表向きの話で、役所文化として文書に残していない、などあり得ません。自己防衛のためにも、閣僚からの指示などは文書として残すものであり、本当は残してあるのでしょう。そうなると、安倍政権は相変わらず嘘をついていることになります。

安倍政権は、内閣府には記録がない、文科省の文書に書かれているようなことは、聞き取りしても発言していない、とします。しかしどんな裁判でも、証言よりは物証の方が重いのであって、これは文書を残している文科省の側が正確である、という認識になるのです。安倍政権は、内閣府と文科省との力関係で、自分たちの発言の方が重みがある、と勘違いしているようですが、文書を残していないとする内閣府は、むしろ証明することができないとなり、事実関係という点では不利になっているのです。
安倍氏は、前川前文科事務次官の参考人招致や、証人喚問について「国会でお決めいただきたい」と述べ、リーダーシップは発揮しないと明言します。しかし今国会中、党総裁としての発言を読売新聞に掲載し、「読売新聞を読め」と述べた。党総裁と首相という立場を混然一体とした上で、恣意的に使い分けていることが明らかであり、リーダーとしての資質にも疑義が生じる事態、といえるのでしょう。国家戦略特区はそうであるのに、証人喚問の判断は「スピード感をもって実現すべき」と指示をださない。文書の再調査さえ、そうです。国民の疑問、納得できないことに「スピード感をもって実現」できない。自ら「対応に時間がかかったことを率直に反省」と述べますが、おトモダチにはスピード決済、国民の疑問には遅々として答えず、反省だけで済ます。事実上、閉幕した国会ですが、むしろモリカケ問題についての疑惑は、これから「スピード感をもって」膨らんでいくとさえいえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(37)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年06月15日

文科省の追加調査

米FOMCが開かれ、0.25%の利上げとテーパリングにむけた工程表が示されました。詳細については後日、分析したいと思いますが、市場は比較的穏やかな受け止めでした。ただしそれは予想通りだから、というよりテーパリングの影響を読み切れない。人類が初めて迎える巨額な資産の圧縮という事態に、市場関係者の間でも戦略が描けていない、といった問題があるためとみています。今後、不測の事態がおきると狼狽の動きが広がるかもしれず、もう少しみてみないと次の戦略を描き切れない、ということなのでしょう。

昨晩の未明に共謀罪法案が成立しました。野党は内閣不信任案まで提出し、抵抗したものの数の横暴が可能である以上、空しい抵抗といえます。野党がだらしない、と言ってみたところで、与党に数の横暴を可能とする議席数を与えたのは国民です。つまり今回の事態をひきおこしたのは、国民の責任でもあるのです。
ただ、相変わらず誤解している人もいますが、参院の法務委員会ではモリカケ問題など取り上げてはいません。法務委員会は法律に関するものを取り上げるのであって、そこが共謀罪の審議を行ったのは、各法律を一体であつかうのが共謀罪だからです。モリカケ問題を取り上げていたのは参院行政監理委員会。それと法務委員会ががごちゃごちゃになり、モリカケ問題に費やして審議をしなかったのは野党、などと述べるのは誤りです。モリカケ問題は行政の瑕疵があった可能性があるので、行政監理委で取り上げたのです。

そんな加計学園の問題で、やっと文科省が『追加』調査の結果を公表しました。しかし解せないのは、民進党などが示した19文書のうち14文書が確認され、2つは確認できず、3つは存否不明とした。3つの文書は「法人の利益」に関わる、としましたが、今回の問題では加計学園と京産大のみです。同意さえ得れば公表してもいいはずですし、公益に資する限りにおいては出さないと奇妙な話です。ただし、今回踏み込んだのは新たな、萩生田官房副長官の指示、のメールを公表したこと。そこに文科省の矜持と、それをみとめた松野氏の意地をみる思いがします。つまりこの問題では、文科省は被害者であり、内閣府の指示で動いただけのこと。イニシアティブは内閣府にある、と示したのです。
内閣府の調査もはじまるようですが、こうした五月雨式の対応に陥ったのも、世論の反発が大きいことを意識したものでしょう。「徹夜で…」と述べますが、一緒に調査を表明していればこんなことになっていない。実際には何もなかった、というためのものですが、今回の文科省の調査でも、内閣府側の資料は確認できない、とする。つまり流出した文書は文科省内にない、あなたたちも流出させた側なのでは? と問うていることになる。そこで「ない」と公表すれば、国民の疑念はさらに高まります。

明日には参院で、安倍氏も出席しての集中審議です。逃げた、とみられたくないためにたった1日だけ設けた。つまりそこで新たな疑惑がでても、国会を閉じてしまえば終わりとの算段でしょう。しかしこの問題、新たな文科省と内閣府の対立の構図に発展すれば、またどんな資料がとびだしてくるか、分かりません。むしろ6、7月は各省庁の人事が取りざたされる時期、それでも怯まず『萩生田メール』を出してきたことからみても、文科省は全面対決上等、ファイティングポーズを解く気はないのかもしれません。
菅官房長官は「怪文書」などとしていましたが、撤回はせず、「言葉だけが独り歩きして残念」と述べました。残念なのは人格攻撃までして、文書を完全否定した結果が、こうなったことに対して反省の弁もないことです。しかし逆に、そんな態度が国民の強い反発につながり、政権は追いこまれることになった。今後も怪聞(怪しい噂)や、外聞(世間の噂)に右往左往するだけの、醜態をさらすことがほぼ確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(33)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年06月14日

国会終盤の奇策

国会が、自民党が打った奇策中の奇策により、大混乱です。国会法56条2項にある『但し、特に緊急を要するものは…議院の議決で委員会の審査を省略することができる』とあり、これが中間報告と呼ばれるものです。条文にあるように、『特に緊急を要する』ものでない限り、中間報告には資すないというのがこれまでの理解でしたが、衆参でそれぞれ30時間の審議をしておいて、今さら『特に緊急を要するもの』などとはできない。
今回、安倍政権がこんな奇策に打ってでたのは、安倍氏がもう肉体的に限界で、延長するのも負担になるから、という話ももち上がっています。安倍氏にとって、今国会はストレスが溜まることばかり。しかもオトモダチが次々とやり玉にあがり、これからは一緒にゴルフもできない。この話が話題にでないはずもなく、無理に話題にしなければギクシャクする。もうおトモダチではいられない。腹心の友どころか、腹黒の友、もしくは痛い腹をさぐり合われる友、という形の関係になります。

義家文科副大臣が、今回のメールや文書を流出させた人間に対し、「公益通報制度の対象になるのは、具体的にどのような法律違反があるか」と発言し、一般論と断りながらも「非公知の行政運営上のプロセスを流出させたら、国家公務員法違反になる可能性」と言及しました。制度の名称にもあるように、『公益』ですから法的意味をもちだすまでもなく、公共の利益に資するもの、として通報することが求められます。例えば、恫喝をうけて行政上のプロセスが歪められたとして通報しても、それは恫喝でない、と判断された場合は、通報者が国家公務員法違反に問われる可能性がある、ということです。
これは『公益』ではなく、そこに『違法』性があるかどうか、という判断を公務員に強いることとなり、当然のように委縮するでしょう。自分はこれを違法、と判断しても後に覆されたら、自分が違法性を問われるのですから。つまり『公益』と銘打ちながら、実際には『公益』ではない要件の通報しかみとめない、と述べていることになり、義家氏の発言は制度の根幹を揺るがすばかりか、制度そのものを否定するとさえいえるのでしょう。

今回、都議選の公示前に…との意見もありますが、こんなことをしたら自民都連もダメージを負うのは必然です。逆からみれば、都議選を捨ててでも奇策をつかわざるを得なかった、3日間の延長すらできないほどの事情は、安倍氏の意向としか思えないのです。奇策がただの奇妙な策にしか見えない。それは危険な策でもあり、その危険とは安倍氏自らが党内から集中砲火を浴びかねない、ということでもあるのです。
しかも国会を幕引きできても、疑惑は疑惑のまま残る。国民がもっとも嫌う、何となく悪いことをしている奴、という立場は支持率にも影響してくるでしょう。おトモダチに、ご意向によって利益誘導した挙句、おトモダオレになりかねない。今回の異例な国会運営によるダメージを自民都連と、仲間同士で負うことになるのなら、それはおトモグイとも言えそうです。いずれにしろ、『公益』に資することのない手法によるツケは、オトモナシと無視することができないとして、今後も禍根をのこすことになるのでしょうね。


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2017年06月13日

雑感。国会の動きと法人企業景気予測

内閣府と財務省が、4-6月期法人企業景気予測調査を発表しました。「貴社の景況」では全産業で-2.0、前回調査でも-1.1と下がる見通しでしたが、下げ幅が拡大した形です。ただ7-9月期は上げ幅を拡大する見通しとなりました。また「国内の景況」では+4.8と、前回調査の+2.0から拡大しました。うちの会社は悪いけれど、日本全体はいいと思いたい、そんな言葉は悪いですが、いい加減な感想のような結果にみえます。
あまり注目される指標ではありませんが、注目は売上高と経常利益の見通しです。H29年度の通年で売上高2.1%増、経常利益0.4%減。まずまずの結果にみえますが、問題は両者とも上期の方が好調で、下期は落ち込むとみている点。4-6月期の「貴社の景況」が落ちている中で、上期に想定通りの収益が上げられないと、下期はさらにおちこむ可能性もあります。設備投資も上期に集中しており、上期の出来次第で年度を通じた日本の景況も変わってくる、といえるのでしょう。

さらに年後半、世界経済のけん引役になるとみられていたトランプ減税は、もはや風前の灯火です。そんなトランプ政権は、初めての閣議で各閣僚がトランプ氏を称賛する、といった異常な光景もみられました。株式市場だけが減税効果を期待したまま、という異常事態もありますが、米国の政治も異常事態のようです。
また露国では反プーチンデモが頻発し、野党の指導者も逮捕された。プーチン氏の支持率は8割超え、などともされますが、3年連続のマイナス成長になるとも予想され、経済状況は厳しい。本当の国民の支持が低いことに気づいていると、閣議で褒めあってみせたり、デモを取り締まったり、野党を追い落とすよう画策したり、といったことが起こるのは、世界共通なのかもしれません。

日本では参院法務委員会が開かれる中、与野党の国対が断続的に協議を重ね、最終的に決裂して金田法務相と山本地方創生担当相の問責がだされました。与党は問責をださせ、残り僅かな会期の国会で主導権を得たい。野党は問責をださなければ共謀罪がそのまま通過してしまう。与党は刑法改正案を人質にしており、これで国会を小幅に延長することができ、共謀罪と刑法改正案を通してしまう算段がついたことでしょう。
野党としては問責をださず、強行採決された方が与党のイメージを悪化させられますが、無策で通した形になり、それも印象が悪い。衆院でも審議時間が30時間程度だったので、慣例では参院も同程度ですむ。結果的に、衆院を30時間で通過する段階でしっかりと抵抗をしておかないと、こうした追い込まれ問責という形になります。

ただ野党も、行政監視委で後1週間は加計学園の問題を追及できる、という実がある。刑法改正案を通さないと、国会を閉じる口実のつかない与党が、今度は延長を応じざるを得ない。奇策は週末も国会を開いて18日までに決めてしまう、というやり方もありますが、それは与党にダメージも大きいので、恐らく数日の延長で合意するのでしょう。
加計学園の問題は、今治市の情報開示で内閣府がずっとアドバイスを与えたことも分かってきた。京産大が手を挙げると、空白地域という条件をもちだし、排除したことも明らかになっています。もはや文科省の調査で何かが分かるようなものではなく、内閣府を徹底的に調査しない限り、究明できないことは明らかです。それをせず、文科省の調査だけで済ます時点で、解明する気ゼロといえるのでしょう。共謀罪が通ってしまうと、経済活動を委縮させるとの試算もある。そしてモリカケ問題は、今後も政局の重しとなり、経済対策すら出てこない、ということにもなるでしょう。国内の景況、年後半にはかなり深刻化するとみられ、安倍政権が経済面で追い詰められることが確実です。そのとき、閣議で安倍氏を礼賛し始めたり、野党を逮捕したり、といった米露と同じことをし始めるのかもしれず、その時は国民から問題山積という意味で問積をだされることになるのでしょうね。

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2017年06月12日

世界の債務と日本

加計学園問題における文書の調査、いつ発表されるかが明らかにされないのは、国会会期延長に関する戦略が政府内でまとまっていないから、ともされます。共謀罪を強行採決したら都議選を直撃する。強行採決でない道をとるためには会期が足りず、3〜10日の延長論も出てきています。その間もモリカケ問題で追及されますし、国際社会からの批判の声も高まるかもしれない。強行採決してでも週内に可決か、小幅延長で審議時間だけを確保するか、自民党内でも悩ましい判断といえるのでしょう。

上野動物園で自然交配によりパンダが生まれました。中国も「両国の国民感情の改善に大きな力を発揮して欲しい」と期待を示しますが、これは本音でしょう。中国経済の深刻な状況を鑑みると、日中の友好関係を高めて、債務保証という形でも日本からの支援をとりつけておきたい。そんな思惑が透けてみえます。
中国の民間債務は企業が17.4兆$、家計が4.1兆$との試算を国際決済銀行がだしています。企業は資金を借りて設備投資したり、企業買収などを行うため健全な債務もありますが、GDPの4倍に膨らむ民間債務が、健全であるはずもありません。中国にとって、リーマンショック後の成長はこうした民間債務の肥大化によって支えられた側面があるとすれば、持続性については懸念が生じる。そんな中、中国の吉林省で「一部の地域や企業が財政データの改ざん」と報じられます。見せかけの経済が、こうしたデータのねつ造や隠ぺいで一気に崩れる、ということはよくあること。中国では何が真実か? すら懸念材料です。

しかも新興国の企業債務は25兆$と、8年と少しで3倍。その間に経済成長もしていますが、問題はAIIBに参加する国も、実は借金まみれかもしれない。AIIBは中国による債務保証によって投資をすすめ、インフラ事業を加速するが目的ですから、さらに借金を加速する仕組みといえます。そして、ここまで借金を重ねても世界全体が低成長のまま、という現状は債務を返済するのに、相当の困難を伴うということ。インフラを整備して世界が成長するのであればペイできますが、そうでなければ返済能力に疑義も生じるのです。
世界全体の負債総額は152兆$で、世界のGDPの2倍強。このまま世界全体が低成長なら、先進国でさえ返済能力に疑義も生じる。特に、日本は国の債務を日銀が肩代わりしているのが現状であり、安倍政権のように歳出拡大、歳入は高成長頼み、といった経済政策に無策の政権のままでは、日本が行き詰まるのも時間の問題となるでしょう。

安倍政権では物価目標2%さえ達成すれば、経済はバラ色であるかのように喧伝されてきましたが、それもインフレだと過去の借金を圧縮する効果が期待できるためです。しかしもう失敗は確実、デフレに逆戻りしました。そうなるとここまで膨らませた借金、さらに日銀に蓄えた国債、そうしたものがさらなる重みとなってくるのです。
安倍ノミクスというのは、最初に就いたこのウソを如何にごまかすか? そればかりに腐心してきたように感じます。その結果、成長ではなくただ物価だけに注目が集まってしまった。しかしここまでお金をばらまいて、低成長というのは経済政策としては失敗と断言できるのです。安倍ノミクスは、もはや『やべぇぞミクス』などとも揶揄される。国会では加計問題が、米国では家計債務問題が深刻化しつつある。世界が一気にマイナス成長に転落する可能性もある中で、パンダのように白黒、勝ち負けがはっきりつくようなときには、日本は負け組に転落する恐れが強くなってきたといえるのでしょうね。

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2017年06月11日

雑感。築地移転と都議選

東京都の専門家会議が、築地市場の豊洲移転に関して、追加対策をまとめました。地下空間にはシートやコンクリートで敷設し、また換気するなどして地上への拡散を防ぐ。さらに地下水の浄化設備を増強する、などです。費用は120億円程度、工事期間は2年弱です。
この専門家会議は、東京都が設置したことからも豊洲移転が前提です。一方、小池都知事が立ち上げた特命のプロジェクトチームは、13日に結果を公表し、築地の再整備が前提とされます。14日には都庁内で検討会議を行い、都知事への報告を行う日程です。そうなると早ければ週末、熟慮を重ねたとの体裁をとるなら来週末辺りには、判断がでることになります。そうなると、都議選で自民が「決められない知事」と攻撃する材料を失い、今後はその判断が正しいのかどうか? が焦点になります。

一つ例を挙げると、マンションの耐震性が低いことが判明した。役所から引っ越し先を準備した、と言われたけれど、移転先も耐震性能が低いことが分かっている。確かに建物は真新しいけれど、間取りが3LDKから2LDKに減らされ、フロアも上がって使いにくくなる。さて、あなたは引っ越しますか? と問われたら、恐らく多くがNOでしょう。これまでのマンションには愛着もあるし、新生活への不安もある。条件がよくなるならまだしも、ただ新しいというだけで、それ以外の条件が悪くなるなら、尚更理解が得られません。
それでも豊洲がいい、という評論家や有識者は、いわば『政治』をしていることになります。つまり住民の理解や気持ちなどは二の次で、行政としての判断を優先する。確かに喫緊の危険があるなら、行政の判断を優先するのが自然ですが、東日本大震災でも大した被害をうけなかった築地は、建物にそれほどの脆弱性がみられるわけでもありません。行政の判断として、豊洲の方がいい、と決めたというだけのことになります。

築地に決めることは、そこで働く人の気持ちを優先した、となります。問題は、その判断で不都合が生じないかどうか。それこそ建物の耐震性能だったり、衛生面だったり。この場合、ネズミやゴキブリといったものは、豊洲に移転してもいずれ発生するので意味がありません。雨漏りが食品の中に入らないか、水たまりから病害虫などが発生しないか。そこにお墨付きさえ与えられるなら、築地再整備で十分という話になるでしょう。
もう豊洲に作ってしまったから、という説明では意味がない。築地の老朽化を理由にするのも同じです。もう手の施しようがないのなら老朽化を理由にできますが、補修、改修で済む間は、老朽化はメインの理由ではないのです。築地跡地の再利用、も同じ話で、再利用するのは行政の判断であって、そこで働く人にとってはどうでもいい話。それも『政治』であって、ダムや道路をつくるときの住民に移転してもらう話に似て、どう合意をとりつけるか、でしかありません。

さて、小池都知事がどんな判断を下すか、それは分かりません。ただ豊洲なら『政治』であり、築地なら『選挙』を意識した、となるのでしょう。その判断次第では、都議選に大きく影響し、ひいては国政にも響いてくる話です。都議選で自民が大敗すれば、安倍政権は一気にレイムダック化するでしょう。選挙に強い、が唯一の求心力であっただけに、小池氏に負けた安倍氏とのイメージがついてしまうためです。都議選はもうゼロサムゲームではない。一方が勝ったら、もう一方は立ち直れないほどのダメージを負うだけの、生きるか死ぬか、の戦いです。ツキ(築地)をとるのか、行政の利、豊(豊洲)をとるのか。その判断が、政治家の手腕ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(22)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2017年06月10日

骨太の方針2017

週末に日経平均は2万円台を回復しましたが、ソフトバンク(SB)が1社で70円ほど押し上げており、SB系の証券会社の日経225先物買いが利いた、といえます。TOPIXが1pt強の上昇でしかありませんし、全体では下げ銘柄の方が多いことからも、相場としては弱かった。昨晩のダウは堅調でしたが、NASDAQは100pt以上の大幅安になっており、膨らんでいたハイテク株バブルのアク抜きが顕著で、シカゴ日経平均の終値は日中終値と比べても、100円近く下落しています。
きっかけは新型iPhoneの半導体が、他社の高機能スマートフォンより劣っている、と報じられたこととされますが、FBやAlphabet、MSなどのソフト開発企業も売られており、NVIDIAなどのGPU関連も空売り専門の投資会社のリポートで売られた。悪材料が重なった、とも言えますが、実は今後起こりうる急落のシミュレーションをしたようにも見えます。今は個別の株を扱うより、ハイテク関連投資などの複数の株をパックにした売買が主流です。以前は連想売り、などと言われましたが、今は1社が大きく下げるとパックにしている他の株も売る。利益確定だったり、配分を合わせる調整だったり、そうして全体をどんと大きく押し下げてしまう。そんな取引が目立つようになったのです。これまでは株を押し上げる要因となってきたパック取引、通称はありませんが、今後は世界同時株安を引き起こす要因になりかねないほどに膨らんでしまっており、悪材料が重なったときは要注意なのでしょう。

日本では骨太の方針2017が閣議決定されました。人口減対策に人材投資、という記事を上げるところもありますが、要するに1人1人の生産性を上げないと、GDPが下がると言っているのであって、根本にある人口減を解消しよう、という話ではない。項目でみても働き方改革、人材投資で6頁、少子化対策と女性活躍で1頁にも満たない。どの項目も目新しいものはない、という意味では同じですが、少子化対策と女性活躍は特にやる気なし、です。
成長戦略の加速等…という項目は致命的です。IoT、ビッグデータ、AI、ロボット、シェアリングなどを活用し、Society5.0を「世界に先駆けて実現」とします。しかしもうすでに出遅れている分野ばかりで、ロボットは多少先行していましたが、もう追い抜かれた。今から何を「世界に先駆ける」のか? 現実を踏まえない、空疎な議論ほど無駄なものはありません。さらに生産性の向上に向けた施策…に、コーポレートガバナンスの強化が出てきますが、粉飾決算が頻発するばかりか、東芝のように上場すら廃止されず、生き残る企業がある日本は、ガバナンスのない国として海外に喧伝されてしまっています。強化どころか、これから頑張ります、というのがスジでしょう。

安倍ノミクスも4年半、これまでも掲げ、できなかったことを再掲してみました、がこの骨太です。細かい点をツッコミだしたら、止め処なく批判できるほどの代物であり、世界がやっているから日本もやってみよう、という後ろ向きな施策ばかりです。本当に、安倍政権には経済政策にめぼしいものがないのでしょう。日経が『安倍1強生かせず 安倍ノミクス5年、骨太方針決定』という記事を上げていますが、政治が1強であるからといって、経済オンチの政治家と、経済の専門家ばかりが集まっていたら、まともな政策など出るはずもないのです。骨太どころか骨粗しょう症、とこれまでも繰り返してきましたが、どうも安倍政権では頭ばかりが大きくなり、足腰はひょろひょろの、空想上の宇宙人の姿のような骨格になっているのでしょう。そうやって頭が大きくなった結果、頭の意向を忖度したり、頭とのコネがあれば利益誘導してもらえる。骨太どころか、コネ太の国になっているのが現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(32)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2017年06月09日

米英の政治イベントと、安倍政権

海外で大きなイベントが重なった木曜日、スーパーサーズデイなどとも呼ばれた昨日、無難に通過したとも言います。しかし米国で議会証言を行ったコミー前FBI長官は、トランプ大統領からの圧力は認めたものの、『Direct』はなかった。つまり直接的な指示はない、としたことで、従前の情報と変わりないとの認識が広がりました。日本ではアウト、という報道も多いですが、米国では手続き論にこだわるので、コミー氏に直接的なdirectがないと、捜査妨害とまでは言えない、との認識です。

英国選挙は保守党が過半数割れし、北アイルランドの地域政党との連立で、政権維持をめざすといいます。しかしメイ首相の誤算は、サッチャー首相のような強いリーダーとなるために、議席の上積みを狙って失敗した。弱いリーダーの印象が強まった点です。自由民主党とはBrexitの路線対立で組めず、小政党と組んでの連立は非常に不安定な状態となり、ハングパーラメント(宙ぶらりんの議会)はより深刻です。
しかしメイ首相としても、当初は圧勝の予想だったのであり、テロ等はあったものの選挙期間を通じて、労働党に追い上げられた。コストカッターとなり、警察官を減らしたことでテロが頻発しやすくなり、また国民負担を増やした。その決断は強く、独善的でもあったことから、Liarとまで呼ばれた。彼女は今後も強い自分を演出しようとすると、それこそハングパラメーター(宙ぶらりんの変数:議会多数派工作の難しさ)が、今後も重しとなるのでしょう。

しかしこの二つの事象に、怯えているのが安倍首相でしょう。前川前文科事務次官の証人喚問をしたら、何を喋るかわからない。コミー氏の姿と、前川氏の姿が重なります。また、絶対に勝てると挑んだ選挙で、単独過半数を失う。その冷たい、機械の印象を与え、メイボットとさえよばれるメイ氏の姿が、明日のわが身に映ったことでしょう。
文科省が文書について再調査の意向を示しました。しかし週末を前に、発表したのは週末の世論調査に配慮したものでしょう。また調査期間を伸ばして会期末を越え、さらりと発表するだけで終わり、そんな思惑もあります。ただそれ以上に、圧勝が予想された都議選において、苦戦が伝わることも大きいはずです。当初、楽観ムードだったことから、安倍氏も応援に入った。その勝利を自分の手柄とするためです。しかし大敗ともなれば、応援に入った安倍氏の責任論にもつながる。残り1ヶ月を切って、追いついた、逆転された、という危険な状況であり、それは英国選挙以上に深刻な状況といえます。

恐らくこの再調査は、文書の存在のみ認めるにとどまるでしょう。本来は内閣府や、諮問会議等々すべて出席者を調べないと、事実関係の突合せなんてできませんが、菅官房長官はあくまで文科省の判断、と文科省内にとどまる意向を示す。初めからやる気などない、と喧伝しているようなものです。それで国民が納得する、などと思っているのなら、国民をバカにしすぎとも言え、ハングパラドックス(宙ぶらりんの逆説)に苦しむことになるでしょう。国民受けのいいことをしているつもりが、どんどん支持を落とす。実は政界で、こうしたことはよくあることでもあります。
しかし安倍政権では森友学園につづき、加計学園と、ハングパラサイト(宙ぶらりんの寄生虫)が多いことが分かった。そして安倍氏の答弁は、嘘ばかりということもよく分かった。官僚を自分の命じたことを実行するだけの安倍ボットとし、少しでも異を唱える人間を排除し、人格攻撃までする悪質さも、国民は目の当たりにしました。安倍氏は自分の政権はパーマネント(永久)だとでも勘違いしているのでしょうが、今年に入ってからずっと判断を誤りつづけ、もはやその首でさえハング(宙ぶらりん)になりかけている、といえるのでしょうね。

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2017年06月08日

GDP改定値と景気ウォッチャー調査

日本の1-3月期GDP改定値が発表され、実質で前期比0.3%増、年率換算1.0%増でした。ただし速報値は年率で2.2%増であり、予想では2.5%増になるとみられていたのであり、想定外のマイナスに市場も動揺しました。主因は在庫投資と言いますが、法人企業統計をみると、前年同期比では2.1兆円の増ですが、これは商品が捌けなかったか、投資を抑えたことが要因であり、内閣府は石油元売りが設備更新で在庫を減らしたといいます。在庫を積み増すことも経済行為ですから、それを減らしたらGDPはマイナス…それは分かりますが、内閣府の説明が正しいなら、しばらく在庫は低位で推移するということですから、一時的なマイナスで済みそうにはありません。
さらに問題は、3年ぶりの名実逆転です。名目GDPは前期比0.3%減、年率換算で1.2%減。速報からも大きく下方修正となり、実質はGDPデフレーターのマイナスで押し上げられただけ、という結果です。つい先日、世銀もOECDも日本の成長率を上方修正したばかりなのに、まったく真逆の結果となった。一部の口が悪い人間は、速報値を高くするため数字をいじり過ぎて、法人企業統計で辻褄を合わせようとしたら、こんな惨憺たる結果になった、などと言います。いずれにしろ、経済指標を追いかけても最終的な結果が予想できない国になった、ということだけは間違いないのかもしれません。

5月の景気ウォッチャー調査は、現状判断DIが0.5pt改善、先行き判断DIが0.8pt改善。いずれも企業関連の指数が高く、全体を押し上げた形ですが、やはりインバウンドや海外需要を囃す論調も多く、国内にいたっては自然災害からの復旧案件で盛り上がる、という一過性の好況といった面が強い。特に、一時より円高になっても外国人旅行客が落ち込まないことは好事といえますが、今後はさらなる円高の恐れも強まります。
最近、日銀の黒田総裁がやたら弱気とみれる「教科書通りにいかない」などの発言から、黒田氏が金融緩和からの出口を模索しているのでは? と語られるようになっています。任期が残り1年を切り、始めたことの終わりを示さなければならず、焦って出口に向かうのではないか? そんな懸念が強まっているのです。

しかしGDPデフレーターが示すように、デフレ脱却どころか、デフレ逆戻り。いずれにしろ黒田バズーカは失敗で終わります。この失敗のツケをそうと見せないためには、黒田氏の任期延長という話も囁かれる。それ以上に、難解な出口を前にして日銀総裁のなり手がいない。特に、黒田氏がメンツを保つために出口戦略を示して退任すれば、それを実践していくだけの総裁でしかなく、難しい上に面白味もなければ、成功して御の字、失敗すれば袋叩きという、かなり難しい立場に立たされることになります。
日銀が出口を示せば、日本国債の金利は上昇して円高になる。それは出口戦略を発表する前、どころかその動きを察知すれば、市場は大きく動くでしょう。いずれにしても、黒田氏がメンツを保とうと出口戦略に動くだけで、彼のめざしていた方向性とは逆の結果に大きく動いて、最後を迎えることになります。GDP改定値の衝撃をうけても、安倍政権の動きは鈍い。国会を早く閉じてしまい、経済について語る気もないでしょう。それはアベノミクスや、デフレ脱却という言葉を、政権内から一切聞かれなくなったことでも分かる通り、失敗した部分からは目を背けていたいからです。安倍ノミクスは道半ば、選挙公約にも掲げていましたが、スタートに逆戻りした上、これからは転がり落ちるだけの坂道しか待っていない。円高が先か、景気悪化が先か、鶏と卵のような関係ですが、どちらが先に始まっても、日本経済には深刻な打撃となるのでしょう。ヘアスタイルが鶏冠、とも揶揄される安倍氏ですが、鶏を割くのに牛刀を用いるまでもなく、すでに起こり始めている円高と景気悪化がさらにすすめば、致命傷になりかねないことだけは確かでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(26)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2017年06月07日

雑感。原研事故と、読売新聞

日本原研で、作業員の内部被ばく事故がおこりました。肺から2.2万Bqという高い放射性物質が検出されており、残念ながら肺の汚染は除去が困難であるため、内部被ばくにより変形などの障害が出ることも想定されます。気になるのは、フード内で作業中に使用済みの核燃料の入っていた容器が破裂した、といいます。
今回のケースはいくつも不可思議な点があり、使用済み核燃料をフード内で扱うのは、検査のはずです。密閉した容器からとりだしたとき爆発した、といいますが、量は少ないはずですし、使用済み核燃料を粉状で扱っていたのか? いくらフードで空気を引いている、といっても杜撰でしょう。半面マスクをしていたのに、内部被ばくをする点も不可解です。慣れ切った作業員が、半面マスクをずらして作業していた可能性が高いのです。もし半面マスクを吹き飛ばすぐらい、強い爆発であったらフードも壊れ、室外に放射性物質が漏洩していた可能性もあるのであって、極めて危険な状況だったといえます。

読売新聞が大変です。前川前文科事務次官の『出会い系バー通い』を報じ、さらにそのイイワケの記事まで掲載したことで火に油を注ぎ、不買運動まで起こっているとされます。さらに逆風が、プロ野球の巨人軍が12連敗と精彩を欠くこと。日本一の発行部数を誇るのは、昔からの巨人軍ファンのお陰でもあり、巨人軍ファンが離れれば、読売新聞からも離れる。発行部数1位の座から転落するのでは? と噂されます。しかも、恐らくその購読者が他の新聞に流れることはなく、新聞全体の凋落をも促す、とされます。
また産経や読売は、加計学園の記事においても、特徴的な書き方をしており、産経はいつも通りのブーメランや、手詰まりといった文言が多くなります。今回、読売はネット記事にはしないものの、紙面上では安倍氏の発言は『強気』などと、あくまで安倍政権が有利になるような見出しをつけ、援護射撃を撃ってきました。

ただここにきて、安倍首相が「獣医学部の新設を1校と求めたのは獣医師会だし、近隣に獣医学部ない地域で、とも求められた」としていましたが、獣医師会会長が後者の話を否定しました。つまり、加計学園に有利となる条件は政権の誰かの指示により付加されたことになります。獣医師会会長が嘘をつく、という可能性もありますが、獣医師会としては「近隣に〜」という条件をつけたとて、何のメリットも必要性もない。一方で、安倍政権はその条件を付けたくて仕方ない理由があります。
怪文書とした文科省のメールも、複数の職員が存在を証言している。一部で、切り貼りではないか、との指摘もありますが、メールを省内でプリントアウトすれば、当然ログが残るので、データの形で外部にもちだす必要がある。PDFにするなり、データを分割して後で再現した可能性もあるので、決してそれが実在を否定するものではありません。それに、もしそんなデータなら、むしろ安倍政権は再調査した上で「ない」と発表するでしょう。そうすればより「怪文書」だとの印象を強められるのですから。

安倍政権が、とことん情報を隠す、うそをつく。しかし、それを援護射撃してきたメディアにも火の粉が広がってきました。そしてこの原研の事故、読売も経産省も、原子力政策推進派であり、安倍政権を支えてきた組織がいずれも弱体化する可能性が高まってきました。安倍政権、読売、経産省、これらをまとめて読売虚構軍と呼ぶのなら、連敗の泥沼が深刻化している状況は、野球と政治で似通ってきた、といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(21)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | メディア

2017年06月06日

世界情勢の緊張

日経平均はあっさり2万円割れですが、今回の上昇を演出した日系大手は、1年前も同様に3日と買いの持ち分を保有しませんでした。こんなことをしているから、マル政マネーなどと揶揄されます。海外投資家が追随買いしてくれないと、すぐに処分するような腰の入っていない買いだからです。しかし今回は、そもそも無理があるのは海外要因の不透明感が、より強まってきたことも買いの続かない要因です。

中東ではサウジ、バーレーン、エジプト、UAEの4ヶ国がカタールとの断交を発表しました。イラクと繋がりのあるテロ組織に協力し、バーレーンの国内を混乱させている、というのがその理由ですが、そもそもサウジとカタールは緊張関係にありました。湾岸協力会議(GCC)でもサウジとカタールは対立状態にあり、国境紛争も頻発していた。敵の敵は味方、とばかりにどちらかの国が一方を支持すると、その対立関係にある側を支持する、ということをくり返してきました。その最たる例がイランであり、サウジはスンニ派の盟主として、シーア派のイランを敵視する。一方で、カタールはイランを支持し、今回の引き金もカタールのタミム首長が、イランによる中東の役割を支持、一方でトランプ米大統領を弱虫発言するような、トランプ氏の中東歴訪を揶揄したのがきっかけ、とされます。
今後懸念される事態は、カタールからUAEへのガスパイプラインの停止、そして減産合意の空中分解、があります。5月に延長された減産も、米国によるシェールオイルのシェア拡大により相殺され、青息吐息の合意とされます。ここで中東が分裂すれば、事実上その合意も瓦解するでしょう。何より、サウジはオイルマネーを投資に回すことで国の財政を賄おうとし、カタールはリゾート開発などの国内投資に回してきた。オイルマネーの変調で、より早く打撃になるのはサウジです。カタールが合意から離脱すれば、イランも続く。アリの一穴どころか、原油相場に激震を与えかねない動きになる可能性もあるのです。

8日投開票の英国では、与党・保守党がリードを縮め、野党・労働党が肉薄しています。英国ではテロが頻発し、与党の信用が地に墜ちており、後2日でどう情勢が動くか分かりません。11日に投開票を迎える仏国議会選挙では、マクロン大統領率いる新党が過半数を獲得する勢いです。しかしこの場合、問題となるのは日本でもそうだったように、政治未経験の者を多数抱える政党が、いきなり政権運営を担わなければいけないことです。既存の政治家も参加しているとはいえ、心もとない陣営になりかねません。
パリ協定の離脱を発表したトランプ政権も、シェールオイルや石炭産業が潤う、と思ったところで中東の不安定化により、減産合意の破棄ともなればオイル市場が下落し、打撃となります。ただでなくとも中国経済の弱さで資源価格には下落圧力がある中ですが、トランプ政権の中東歴訪が引き金だったとすれば、皮肉といえるのでしょう。

カタールの火種が、アラブの火薬庫に火をつけるなら、この動きは「アラブの夏」として戦火にまで発展するのかもしれません。逆に、そうなった方が原油価格が上昇する、という見込みが立つなら、米露が連携して対立の構図を煽るのかもしれません。今では米露、双方とも原油算出国となり、その価格動向が経済にも大きく影響する。今は原油価格を優先した方がいいのか、それとも世界が不安定化することのマイナスを考慮すべきか、その損得勘定に忙しく、日系大手の株式の思惑など、軽く吹き飛ばすほどに世界の思惑が錯綜しているのが、ここ数日の動きでもあるのでしょうね。

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2017年06月05日

世銀による世界経済の見通し

NHKが複数の文科省職員の話として、明らかになった一斉メールに添付された文書は存在していた、共有フォルダに入っていた、と伝えました。そうなるとメールも本物、送受信者も明らかになったことからも文科省は完全に詰んだ、という印象です。それでも政府は再調査を拒否する。ますます国民からは懐疑の目を向けられるでしょう。一部の世論調査でも支持率は急落、株高で多少は緩和されたとしても、この加計学園の問題は岩盤規制を打破したら、政治家が利権を吸い上げる構図をつくる、というものです。経済に敏い人であれば、安倍政権が不誠実な利益構造をつくり上げる構図に、うんざりしている。つまり株高にしたから、という程度では到底納得できない、というところもあるのでしょう。

先週末の米雇用統計が予想に未達、賃金の伸びも抑えられ、米国債の利回りが低下し、円高で返ってきました。しかし今日の株価は、メジャーSQ前のロールオーバーが中心であり、値動きの少ない展開に終始しました。先週末の大幅高の後だけに、これを底堅いという人もいますが、2万円の上のコール市場に張った投資家にとって、今が居心地がいいだけで、将来の株価予想がどうなるか? によって下に張る投資家がでてくればどうなるか? という点が非常に懸念として残ります。
世銀による世界経済予測は2.7%の加速、で据え置きでしたが、日本は1月の予想から0.6%も引き上げて1.5%成長とします。大口出資国である日本の意向を十分に汲んでくれた発表、と言えるのかもしれません。一方で世界経済の懸念は、米トランプ政権による貿易政策で、中国などの輸出が鈍化すればアジアに波及すること、とします。ここで繰り返しにはなりますが、トランプ政権の貿易政策について、今一度簡単に説明します。

TPPやNAFTA,RDEPやEUも同様ですが、これは多国間貿易の仕組みです。一方で、トランプ氏の主張するのは二国間貿易交渉であり、どちらが自由主義で、どちらが保護主義、などというものではありません。トランプ氏を保護主義、と主張するのはこの多国間貿易の仕組みをとってきた欧州、またとりたい日本の主張であり、米国内ではトランプ氏を保護主義と主張する意見は多くない。二国間であろうと、双方が話し合って通商政策を決めるのなら、それを保護主義ということはできないからです。
しかしトランプ氏の貿易政策の誤りは、米国の国力を背景とした圧力や、米軍による防衛力の提供、というバーターで相手国に圧力をかけようとしていること、です。つまり保護主義だから問題なのではなく、経済に関係なく不公平な交渉を強いられる点にあります。一方で、多国間貿易でもそれがブロック経済化してしまえば、やはり世界経済には打撃です。どちらがいい、悪いではなく、どちらも運用の仕方を間違えれば、世界経済には打撃になる、ということなのです。そしてトランプ政権では、このままでは確実に間違える。世界最大の経済圏の国が貿易政策を誤る、だから問題なのです。

ここにきて日経平均株価によるPER(株価収益率)や、EPS(1株利益)の算出は、米国の算出方法とは異なり、実勢を現わしていない。米国に合わせるなら、決して割安といえない、との指摘もでています。私もほぼ同意見ですが、世銀による何事もなく世界が無事にすごすことができるのか? 米国が間違えることを既定路線とするのか? 今は世銀の見方に世界も傾いていますが、世界でも誰が、どんな都合の悪い事情を隠しているのか? それ次第ではすぐに詰むこともありうるのが、怖い点でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(40)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2017年06月04日

政治主導の誤謬

16年度の出生数が約97.7万人と、統計を取り始めてから初めての100万人割れです。出生率も1.44と、前年より低下。少子化に歯止めがかからないばかりか、さらに悪化です。厚労省は適齢期の女性が減ったことを理由としますが、それだと改善の見込みもない、となります。

産経の記事『民進よ、自らが政治主導を唱えていたことをもはやお忘れか? 批判のための批判では支持拡大の道理なし』とするものがあります。記事の内容を要約すると、民主党時代に「政治主導」を訴えていたのに、安倍政権が森友学園や、加計学園の問題で政治主導を発揮し、それを批判するとは何事か⁈ というものです。しかしこれは合成の誤謬、安倍政権のやっている政治主導は、もっとも悪い形の政治主導です。
今回の加計学園の問題で、岩盤規制などと安倍首相も用いますが、それは過当競争に陥って業界全体が疲弊しないよう設けた、障壁というべきものです。実際、獣医師は足りており、鳥インフルなどの疫病対策の人材不足、というのは待遇改善や民間の協力でどう補うか、という話。実際、これ以上に獣医学部が増え、獣医の資格をもつ人が増え、そのまま開業したら過当競争となり業界がつぶれます。

特に、獣医には補助金もほとんど出ず、省益とは絡まないために省庁としては敢えて身を挺して止めるほどの肩入れもない。岩盤規制どころか、需要さえ増えて獣医が必要なら、いつでも既存の獣医大学の定員増や、新設してもよい状態にあった、といえます。一方で、獣医は業界全体のパイが小さいために政治力もなければ、献金なども多くないので、政治家が狙い撃ちしやすい。そしてもう一つ重要な点は、獣医学部の大学には補助金がでる。ここに利権が存在します。
つまり今回の構図で重要な部分は、省庁は業界全体が疲弊しないよう、ルールを設けていただけで、省益ですらない。一方で政治には、オトモダチに大学補助金という利権を譲りわたし、それをタニマチとしてバックしてもらう、という明確な利権の構図がある。特に加計氏の行動をみれば、政治家が浪人している間に雇ったり、と政治への資金融通がめだつ。今回のことは、政治主導による政治家の利権を拡大した、といえるのです。

民主党は当時、政治主導とつかうときにもう一つ並べていた言葉がある。それは国民主導です。国民が、獣医の数が足りている獣医学部の新設など、果たして望んでいるのか? それを主導して欲しいと思っているか? 答えはNOです。政治主導とは、国民が望むモノを省益や、利権団体から国民の手にとりもどす、というのが正常な形です。決して、政治家の利権を増やすために用いられていいものではありません。
国民はそんな足りている獣医を増やすことより、減っている子供を増やして欲しい。そこに障害となっている、妊娠・出産への理解不足や、子育ての困難さ、そういうところにある規制や、岩盤のように硬直した男性社会の頭を打ち破って欲しい、そう考えているのです。安倍政権擁護のために、いくら民進党を批判しようと、安倍政権の歪んだ政治主導の形では、国民は誰も幸せになれないことだけは間違いないことなのですね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(27)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年06月03日

雑感。政治とメディアと

『加計学園』と各主要新聞社のHPでサイト内検索をかけたところ、ヒットしたのは毎日299、産経291、朝日176、日経95、読売3でした。検索のかけ方、時期の区切り方など様々ではあるのでしょうが、読売の突出した少なさが際立ちます。また産経は細かい記事も拾う傾向があるのと、反論も含みますので多くなりますが、読売は無視、産経は擁護、というオトモダチでも使い分けをしているのかもしれません。それにしても毎日の突出した多さにも驚かされます。ここには『執念』という言葉がぴったりかもしれません。
しかしそんな毎日系列のTBS記者、山口氏による準強姦事件まで出てきて、毎日としては余計に気合が入るかもしれません。山口氏はTBSと因縁浅からぬ関係、TBSでは事件当時、自社の記者であり追及しにくくても、毎日ならむしろTBSから情報を得て、他紙より深い記事が書ける。記者会見した女性の証言が事実なら、警察の動きも怪しいので、他紙を出し抜くチャンスでもある。そしてそれは、政権攻撃にもなるのですから、毎日にしてみればやらない手はありません。特に、加計学園の問題では朝日に抜かれているので、何かスクープをだしたいところかもしれません。

政治とメディアの関係、ということが話題になるのは米国も同じようです。パリ協定離脱を発表した米トランプ政権ですが、いつもフェイクニュース呼ばわりする新聞各紙の社説で、離脱を称賛する記事をだした5紙を紹介しました。自分を称賛する記事だけ信用できる、そんな使い分けができるはずもありませんが、トランプ氏にとって自分だけが正しい、という態度でもあるので、そんなことをしてしまうのでしょう。
パリ協定離脱に伴う宣言も、事実誤認がめだちますが、政権内でバノン主席戦略官の復権が影響しているとの見方もあります。娘婿のクシュナー上級顧問と意見が対立することが多くなった。今回のパリ協定離脱にも反対、と伝わります。バノン氏は元々、地球温暖化にも懐疑的な見方をしており、バノン氏が力を増せばそうなってしまう。さらに広報部長の辞任など、ここにきてトランプ政権のメディア戦略も変わるのか? この5紙の社説を紹介する、という行為がメディア取り込みの一環だとしたら、トランプ政権もいよいよ世論を意識しだした、といえるのかもしれません。

日本では、山口氏による準強姦事件の扱いはまだ各社とも少ない。これまでとて、強姦事件における犯人逮捕でも報じてきたので、疑惑の段階でも報じてよいはずです。しかも今回は、警察がすでに一度捜査しており、嫌疑不十分となったものを検察審査会に訴える、というものですから、行為自体は警察も認めていることになります。それを報じない、というのは不可思議としか言えません。確かに、最終的には無罪になることがあったとしても、これまで疑惑の段階でも報じるのが通常です。逮捕シーンを映像でみる機会も多いですが、その段階で犯罪をみとめていない場合、あくまで疑惑なのです。相手がジャーナリストだと筆が止まるのか? それとも、山口氏が安倍氏に近いので忖度が働くのか、この辺りのメディアの動きの鈍さが気がかりです。
英国で、実証主義への道を開いたヒュームという人は、懐疑論者としても有名です。奇跡の報告にはガセが多い、としてキリストの復活にも懐疑的な目をむけたため、世間から白眼視されていることを嘆いています。そんなヒュームの『道徳原理の追及』の中で「普通の社会では、自己礼賛をほしいままにすべきでない。…自分自身を公平に評することができるのは、親しい友人の間か、極めて男らしく振舞う人々の間においてだけである」という言葉を残しています。道徳にまで手を突っ込もうとする安倍政権で、このヒュームの書籍を読んだ人はいないのかもしれません。むしろ逆をとっているとも言えそうです。自己礼賛をほしいままにし、親しい友人の間で互いに利益を分け合い、男らしく振舞うことさえできない。日本にもメディアの報道に対する見方、それらに対して懐疑論者が増えるのなら、実証という最も大事なことが、記事の信ぴょう性をよみとく手法だと気づく人が増えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(31)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2017年06月02日

株高と、安倍政権

今日の日経平均は大幅高、一気に2万円を越えました。外国人投資家の買い…と報じるところもありますが、先物では昨日、今日と日系大手の買いが目立つ。ここが動くと値動きが大きくなる、という1年前までのパターンを踏襲する形です。現物より優先して先物が上値追いを試していたことからも、この日系大手の策動とみてよいのでしょう。しかしこのタイミングでどうして復活したのか? 口が悪い人間は「マル政マネーじゃないか」とし、骨太の素案がでるタイミングで米国のハネも利用して仕掛けた、とも勘繰ります。
そしてもう一つの理由、それは国際的な反共謀罪の動きを、株高でごまかすため、ともされます。国連の「表現の自由の促進」に関する特別報告者、デービッド・ケイ氏により先月末に報告書が公表され、都内で記者会見も行われました。会見の要点は二つ、放送メディアの規制には政府から独立した組織で行うべき。もう一つは、記者クラブ制度では政府よりの報道になり、厳しい調査報道の能力に影響がでる、です。つまり二重、三重にこの国では報道の自由が脅かされている、という由々しき事態を指摘しており、国際社会のそんな指摘から、国民の目を逸らすためにも株高が必要だった、というのです。

また加計学園に関する、文科省の新たな資料がでてきました。情報共有のためのメールの一斉配布であり、民進党が名前を黒塗りしたようですが、個人名が書かれた資料であり、個人のメールボックスを調べざるを得なくなった。調べないのなら、その理由を説明する必要も生じるのです。そしてもし仮に「なかった」とし、その後で別の資料が出てきたなら、虚偽答弁に問われる可能性もある。これまでも「ない」ではなく「確認できなかった」とし、虚偽にならないよう配慮する答弁を繰り返してきましたが、これだけ日時や送信相手がはっきりした資料になると「確認できない」は、もはや通用しないのです。
そしてこれは、これまでの政府答弁すら覆す。さらに厄介なのが、現役職員による行為とみられる点です。確かに、前川氏が退官前にすべてのデータをもちだした、という可能性もありますが、この五月雨式の流出は、明らかに嘘をつくならまだ出すぞ、という脅しにもみえる。安倍政権としても、このまま前川氏だけを攻撃していてよいのか? 逆に、前川氏にシンパシーを感じる現役職員を刺激しているだけではないか? との懸念も生じる。つまりこの流出のつづく状況は、安倍政権を疑心暗鬼に陥れるのです。

内憂外患、まさに安倍政権が統制できる、と考えていた国連や官僚機構からの反抗により、窮地に陥っているのが今です。高市総務相は「誤解に基づく」とするも、国連特別報告者は「リスクの解釈の違い」とし、意に介すことがない。国連事務総長との会談内容も、国連側は日本政府の発表とは食い違う内容を発表しているように、国連も安倍政権の詐略には与しない、との意識が強く働いているのでしょう。
官僚機構も、むしろ前川氏を攻撃する安倍政権を苦々しく見ており、ますます情報流出の懸念が高まってきた。しかしそんな中、未だに安倍政権に従順なのが株式市場、ということから今回も操作したのでは? というのです。5月半ばに、コール市場で2万円の上が一気に盛り上がり、いずれそれらの主体が利益をだすため、相場を引き上げるだろうとはみていました。しかし米雇用統計、米FOMC、そしてメジャーSQを前にしたこのタイミングではないだろう、というのが大方の見方だった。それを崩してまで、ここで仕掛けるほど政権が焦っているのなら、米国でヒンデンブルグ・オーメンが点灯したことですし、いずれ政局からの『売り優買い患』という状況になることも想定されるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(41)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2017年06月01日

法人企業統計と、市場の上昇

安倍首相が、須田氏のラジオ番組で「前川前文科事務次官は、大臣と一緒に私のところにきて意見を言えたはず」と述べました。しかしそれは内閣人事局ができる前の話でしょう。人事権をにぎられ、反対する意見を述べたら、人事考課が下がるのは確実です。今回のように不祥事による詰め腹を切らされるか、理屈をつけて降格するか、どちらかでしょう。
当時、内閣官房参与で、加計学園の理事もつとめていた木曽氏の話も出てきましたが、木曽氏は前川氏と会ったことは認めつつ、退任後の身の振り方を聞きに行ったとします。次官就任直後、身の振り方を聞きに行く時点で、それは圧力でしょう。長く勤められると思うな、と暗に伝えているからです。そして、参与に加計学園の関係者がいたら、間違いなく利益誘導の関係にあった、とも言えます。『総理のご意向』という文書があっても、安倍氏の直接関与の証拠は見当たらない、などともされますが、参与に関係者がいれば、官邸ぐるみだったとの動かぬ事実でもあるのです。

1-3月期法人企業統計が発表されました。前年同期比で、売上高が5.6%増、経常利益が26.6%増、設備投資が4.5%増。これだけみると素晴らしい数字ですが、昨年度は前半が減益、それを後半で取りもどした形です。しかもその年後半の盛り上がり、というのがトランプ大統領の誕生に伴う、市場の沸騰に支えられた形であり、それが消費を後押しした。欧米でも一気に指標が改善した期間であり、日本の企業もその流れに乗った。
問題は4月後半あたりから、トランプラリーに一服感があること。指標にも停滞感がでていることです。特に自動車市場に、消費先食いによるマイナス面が強く、それでも電気自動車などの新分野への投資をし続けなければならない。時代の進歩が速くて、立ち止まったら終わりという危機感で、企業は動いている。それが設備投資に表れ、業績が悪化しても高水準という状況をつくり上げているのでしょう。

トランプラリーが終焉したにも関わらず、株価は堅調推移です。以前も述べたように、相場が下がったら困る人たちにより、高値を維持しているのが実情です。しかしJPモルが債券トレーディング部門の収益悪化を発表したように、高値を維持するだけでは面白くない主体もいる。パッシブ系が中心の今は、証券会社などは特に収益確保が難しい環境といえます。機関投資家との間で、思惑のすれ違いが顕著ともいえます。
今日の株価は、思った以上に堅調ですが、これは日系が月初に銘柄の組み入れなどを行っている、と噂されており、それを囃した面もあったのでしょう。今週はすでに、来週のメジャーSQ前のロールオーバーが始まっており、今日もその動きで抑制されるかと思っていたところ、ロールオーバーの動きは小さく、月初高のアノマリーに皆が乗った形です。つまりこれも、値動きの良さを好感した証券会社の思惑もあったのでしょう。

しかしこれが上に行っている間はよいですが、すでに上値は限界に近く、さらに上は目指すのが困難。そのとき、下への動きを正当化できる材料がでてきたとき、が急落を招きやすくさせます。下への動きを正当化…何がその材料になるかはわかりません。しかしVIX指数の歴史的な低水準は、市場の油断がそうさせるとの指摘もあります。今日の上昇は法人企業統計をうけて、との意見もありますが、少なくとも過去の指標で株式市場が動くのだとすれば、それは盲信市場動静という、別の材料で上げたということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(50)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |